#紅型被布 #紅型ナワチョウ被布 ・ 3年前…っと 言いたいところなのですが😅 1年遅れて制作した (4歳の時に七五三を🤣) 娘の #被布コート ・ 写真を見て ぜひうちの娘にも!!っと 友人が挙手してくだったので この度お貸しすることに✨ ・ #万華鏡紋様 を 鮮やかに艶やかに 赤でパキッと染め 地色を着物の 着物の地紋に合わせて #紅梅色 で染めました ・ 今の工房に移る前 借りていたアパートで この被布コートを 仕事の合間に 染めていましたね… ・ 被布コートを 制作してくださったのは Instagramで繋がった @pikku_milka さま 柄合わせも綺麗にしていただき 丁寧なお仕事に感激したこと 今でもよく覚えています ・ そして #水引 の #髪飾り は #和の暮らし展 で ご一緒している @kazumi_kimono さま のリボン型🎀の髪飾り ・ 友人のお嬢様にも ウキウキしながら お召しいただけますように🕊 そして #七五三 記念の衣装として 思い出に残りますように✨ ・ ・ #紅型 #紅型ナワチョウ #縄トモコ #びんがた #びんがたナワチョウ #なわともこ #七五三 #ハレの日の #置きコーデ #きものコーディネート #沖縄 #okinawa #bingata #tomokonawa #nawachou #bingatanawacho https://www.instagram.com/p/CoewB8ML2GR/?igshid=NGJjMDIxMWI=
0 notes
ラスト彼岸花
2023.10.14
秋になりましたね。秋を通り越して冬が近づいてきている感じがします。
今日も車を運転して写真を撮りに出かけたら、ニット帽を被ったカップルが歩いていました。
イオンに買い物に行ったらコートを着た男性が買い物をしていました。
だんだんと冬の景色になってきましたね。秋はどこへ行ったんでしょうか?それとも季節を先取りしている人がよく目につくだけなんでしょうか。
掛け布団も少し厚手のものに替えないと朝方寒くなってきました。扇風機もいつなおそうか悩んでる最中です。
そう言えば今年はコオロギの鳴き声を聞いてないような気がする。
秋の花の彼岸花もそろそろ見納めになってきましたよね。田んぼの稲刈りも終わって冬支度感が出てきました。
これから何を撮ろっかなぁ・・・。
2 notes
·
View notes
大脱走
今これを書いているのは実家のベッドの上。
この始まりは前にも書いたことあった気がする。
本当であれば東北の名湯と言われる温泉地で働いているはずだった。
実際、今月の始まりの日に仕事始めを迎えていた。
初日から違和感があった。
聞いていた仕事と実際の仕事が違っていた。
確かに契約書には書いているのだけど、派遣会社の担当者と話したときには出てこなかった内容だった。
そして雰囲気に居心地の悪さを感じた。
それはその日に一人の派遣社員が遅刻した後に、休憩時間に荷物ごと逃げ出して人手が足りなくなったのもあるだろう。
管理者の高圧的な振る舞いも気になっていた。
サービスの質も高額な宿泊料金の割には今ひとつだと感じていた。
二日目は頭痛で休んだ。モチベーションも上がらなかった。
三日目の朝、バタバタと混み合う朝食会場の中で、ここにいることが不快になった。
朝の仕事を終えて外に出る。
雲一つ無い青空が、ホテルから下っていく坂道の上に広がっていた。
その青さが心から溢れ出しそうな思いを更に膨らませた。
「天気いいね」
一緒に寮へと向かう同僚に声を掛けた。
「ドライブ日和だよ」
そう続けた。
同僚は車を持っていないらしい。
寮の部屋に入って布団に��まって目を閉じた。
カーテンの隙間から日差しが入ってきて、暗い視界に僅かに光を感じさせられる。
目を開けて、布団から出る。
気がつけば荷物をまとめていた。
なにかに取り憑かれたかのように。
大して広げていなかったから十分そこらで荷物はまとまった。
オリーブ色のコートを羽織って茶色い帽子を被る。
管理者の番号を着信拒否にする。
車に荷物を詰め込んでアクセルをふかした。
街が遠ざかる。BGMは斉藤和義の「幸福な朝食 退屈な夕食」
今歩いているこの道がいつか懐かしくなればいい。
県境の長いトンネルを越えると雪景色だった。
溶けた雪を飛ばしながら進む。
何も怖いものなんてなかった。
途中で雨にあたる。
ドライブ日和だった天気が変わっている。
どこにも止まらず家まで四時間半走り続けた。
そして数日経って今に至る。
派遣会社からは一度電話が来ていたがそれ以降は来なかった。
仕事の数も少なく、しばらくは地元でバイトしようと決めた。
そんなときに中学校のときに通っていたフリースクールの先生から連絡があった。
仕事の話らしく今度飲みながら話すことになった。
今歩いているこの道がいつか懐かしくなるはずさ。
15 notes
·
View notes
ある画家の手記if.?-8 雪村絢視点 告白
朝起きたら乾ききった大量の血でベッドのシーツはシワになったまま固まっちゃってた。
してる間ずっと端によけてた布団は無事、だけど血痕が、床にも壁にもそこらじゅうに飛んじゃってるから、大掃除して色々買い換えないと。前の家にいた頃、完全に乾いた布とかの血を洗って落とすのは至難の技だったから無駄に時間消費してないで血で汚れたものは丸ごと捨てちゃってた。今は綺麗に落とせる洗剤とか売ってたりするかな。
部屋やベッドはひとまず放置して先に人体。
二人でお風呂にお湯をためて使いながら、弱く出したシャワーで派手な血の跡を体から軽く流して落とす。真澄さんの背中はまだ生乾きの部分もあったから、広範囲の傷自体を流したりはしないでおいた。
少し思う、真澄さんってどこか…弱い?
まったく同じように転んで同じように怪我しても、出血が激しい人と滲む程度にしか血も出ない人といる。血圧とか血液量とか血液の凝固のスピードとか皮膚の違い? 理人さんは後者に近くて、血みどろになるような日はもっと激しい暴力があった日だった。真澄さんの派手な出血量と凝固の遅さが気になる。元からの体質がこうじゃないなら、体が弱ってるか深刻な病気の可能性もある。
「……」
体を拭いて着替えて、リビングのソファに座って真澄さんに両手の指の手当てをしてもらう。真澄さんの背中を手当てするには俺がまともに指使えないと話になんないし。
俺の指は包帯とガーゼで綺麗に巻かれた。とれた爪はどうにもなんない、割れたり指に刺さった爪を丁寧にピンセットで動かしながら処置された。出血が止まるのが遅いのに痛覚は鈍い、俺も弱ってる。
次は俺の番。真澄さんの背中、まだ生乾きだから止血帯大きく貼ろうかな…とかやり方考えてたら、インターホンが鳴った。約束の時間より少し早いけど、たぶん香澄だ。今日デートの約束してたから。
「…。」
「……」
真澄さんと顔を見合わせる。
この状況を今からバタバタ隠そうとしてもな、寝室見られたら事が起きた場所は一目瞭然だし、背中の怪我、いろいろと言い逃れるのは無理。香澄がどこまで察するかだって分かんないんだし、とりあえず下手に取り繕うのはスッパリ諦めよう。
鍵を開けて香澄が来るのを待つ。
ドアを開けて入ってきた香澄は、まず俺の指を見て唖然とした。
「香澄おはよ~。キッチンにハーブティーあるから飲んで待ってて。今手が離せなくてさ。すぐ終わるから」
いつものちょっと気怠げなような穏やかなようなゆったりした口調で話す。以前よりさらに口調から覇気が抜けた。ここも省エネ。
場に緊張感がないことを香澄に示すためにあくびとかしながら、玄関からリビングのもといたソファの位置にぽすっと座って、真澄さんの手当て続行。
香澄は紅茶も入れずソファにも座らず、俺たち二人を見ておろおろしてる。明らかに自分も何かをすべき状況に見える、でも何をすべきか何もわからない、ような感じかな。ごめんね、話せること、今回はすごく少ないんだ。
「ど…したの…その、怪我…」
香澄のほうに微かに走る緊張感と不安と恐怖、いつも通りを徹底することでこの異常事態を平常に錯覚させるとか俺にできるかな…真澄さんの協力があればできるかな。
「どれも病院行くほどのやつじゃないから。そろそろ終わりそうかも。香澄、俺の部屋からコート取ってきて~」
「うん…」
二人とも処置が終わって怪我をいつもの服で覆い隠して、ぱっと見だけでも装って、香澄の目につく頻度が落ちれば少しは気にせずに楽しく過ごせるはず。…楽しい記憶を、幸せな記憶を一つでも 多く香澄の中に遺したい
香澄が俺の部屋にコートを取りに行ってる間に、痛まないようにそっと真澄さんの背中に頬を寄せてすり寄った。
本当は傷を労わって今日はずっとそばについてたかった。でも俺も指を怪我してちゃきっと大したことできないし。もともと今日は香澄と約束してた。それを前日に事態をこじらせたのは俺だ。
昨日はずっと予想外のことが続いたけど予想外のことが起きる可能性には前もって思い到れたはずだ、踏み込んだ話をするんだから。俺がもっとスケジュールに余裕みて真澄さんと話すべきだった。
ソファから立ち上がったらコートを体にかけてくれる香澄と二人で玄関に向かおうとして、真澄さんのほうを振り返る。「絢…」呼ばれて香澄のほうを振り返る。定まらない視線が二人を交互に行き来した末に、床に落下した。
こんなのは嫌い。
とどめられなかったどうしようもなく溢れる感情の発露とか、それで泣いたり怒ったりとか、体力いるから苦手だけど嫌悪してるってほどじゃない、特にこの家に来てからは、なるべく自分の素直な感情を圧し殺さないって決めたから。
でもこれは、そういうのとも違う。二人の間でどっちにするのか俺はどうするのかうじうじ俯いて悩んで、二人に決めてほしいアピールみたいで鬱陶しい…
「光を迎えに行くからそこらまで乗ってくか」
真澄さんが言い出してくれた。怪我させといて、また助けられてる…。
この場で俺が一番呑気でいい身分なのに。怪我も少ないし、ひどく詰られた訳でもないし、香澄みたいに事態の詳細がわからないまま俺も真澄さんも両方の怪我を心配してなくてもいい。
視線だけ俯いたまま動けずにいたら、頭にスポッと帽子被せられた。
「まだ家に居るんなら先に出るよ。もし出掛けるなら戸締まりしといて」
いつも通りの真澄さんに、背中の怪我は?って訊こうとして、結局訊けないまま俺も香澄も、さっさと廊下の横を通り過ぎて玄関から出ていく真澄さんの背中についていった。
「香澄、せっかくだしピアスのお店の近くに降ろしてもらおーよ。歩かずに済むし」
駐車場まであくまで笑っていつもみたいに歩きながら、先を行く俺の手を取ろうとした香澄が手をとめた。俺の指が痛むのを心配して。
香澄はいつも必要なときは真澄���んと接してるけど、多くを語る気はそんなにないみたい。これまでがこれまでだから、ってのは香澄の記憶の欠損で成り立たない。あるいはその欠損がギリギリ今の関係を保ってる、こっちかな。二人からは馴れ合いたくないというより不要に馴れ合えないみたいな、磁石のプラスとマイナスみたいなのを感じる。心配してることくらい語っていい気がするけど。
「今日は香澄が運転したら?うちの車、運転そんなに難しくないと思うよ」
暗に込めた意味をこれくらいなら香澄は十分察する。
「えっ うっうん…いや、あの」
「…」
察したせいで狼狽えてる。でもやっぱり詮索はできない。怪我の理由も、何があったかも。
俺は昨日の真澄さんとのことは、感情面や会話内容やしたことまでは詳しく話したくない。事実関係ならバレても平気だけど、…でもどこから寿峯に伝わるか分かんないし、知られればそこで寿峯の中では終わるって思うたびに、追い詰められるような、常軌を逸した悪いことをしてるみたいな気がして
なんでそうなるのか分かってるけど解らないのがもどかしい、なんだって反論なら簡単だけど信じるものが違えばこうなる、多くの人が信じるものを寿峯も信頼してるから社会を形作る信頼を損なうなって指を指される俺は 悪者じゃなくて、ただの少数だよ。少数だってことを悪にするのが、悪だ。
「保険適応さしてねえからお前はだめだ」
「ち、ちがう!」
俺がごちゃごちゃ考えてる前後で真澄さんと香澄が言い合いしてる。ちょっとだけいいなとか思ったり。
「兄ちゃん怪我してるんだから運転はしちゃだめでしょ。車の運転は責任重大だよ!」
「お前話聞いてたか?大した怪我じゃねえって絢がそう言ったろう」
「うぐ…。…でも絢は兄ちゃんのこと心配してるよ」
「…」
三人で車に乗る。運転は真澄さんが緩やかに押し切った。
店の近くで二人で車から降りた。
いつもみたいに香澄の腕にまとわりつかないで、香澄の指先を包帯だらけの指先でキュッと軽く握った。香澄が俺のほうを見る前に、横顔で小さく呟く。
「俺、真澄さんのことが好きなんだ」
「……」
光さん、ごめんなさい。
家庭内だけに関係も事実もとどめて絶対外に漏らさないことで、誰からも許されなくても結実する関係だって。俺の想いを認めて、迷う俺に道を示してくれた、その条件が誰にも言わないことだったのに。
黙って静かに聞いてる香澄は”好き”の意味をちゃんと理解したかな。もっと小さな囁やくような声で付け足す。
「…まこには内緒にしてね」
眉を下げて、悲しく微笑む。
香澄も小さく「わかった」ってだけ答えた。
寿峯と一度少し似たケースで揉めた香澄なら責めないでいてくれるかも。直にぃとだけ結ばれたい香澄には理解不能で呆れられるかも。香澄も直にぃも愛す情香さんのことを知ってるから静かに納得してくれるかも。
俺は香澄にどれだけのことを求めてるんだろう。俺に守らせてくれるなら、俺の願いはたったひとつそれだけだったはずなのに。
「兄ちゃんのこと心配だよね?…戻る?」
隣から少し顔を傾けて俺のほうを見てくる香澄に、にっこり笑って返す。
「大丈夫。真澄さんは俺が香澄と一緒にいるほうが嬉しいと思う」
ピアス店の中に入っていきながら、真澄さんに借りた手袋をはめる。
店内が寒いわけじゃないけど包帯が目立つから。香澄は逆に手袋を外してた。白い毛糸の、ポンポンがついたクリスマスに俺が編んで香澄にあげたやつ。あの日の服に合わせて作ったけど、意外と香澄がはめてたら他の服とも合わないことない。俺の耳にはかいじゅうピアス。
綱渡りは避けるほう。100パーセントの安全がどこにもないにしろ、俺は俺の納得できるラインまで安全度が満ちるまでじっと待つ。でも同時に、ある程度のリスクと不確定の未来の恐怖に晒されてはじめて得られる堅実な安心や信頼ってものもある。
人間関係の深度が一気に進むときはそういうところを起点にしてたりとか。これまで築いたものが壊れる時に発生する。全てに言えるわけじゃないけど。
この前光さんが読んでた仏語の本を軽い気持ちでめくった、そこにあった”l’homme est d'abord ce qui se jette vers un avenir,et ce qui est conscient de se projeter dans l'avenir.”っていう一説。「人は賽子のように自分を人生の中へ投げる」? 本当の意味は知らないけど、言葉面だけならあんな感じなのかな。
黒髪に戻してからここまで外を出歩いたのって初めてだ。ここまで車だし、近場だけど。
来てるのはピアスのお店。寿峯が連れてきてくれた。香澄も寿峯とだいぶ前に来た記憶があるっぽい。
「思い立ってもさ、あの人の好みとか普段どういう系統の服着てるとか、俺なんも知らないんだよね。会ったのもほんの数回だし。そこで香澄の出番です。ピアス選ぶための手がかり知らない?」
ずらっと並んだピアスを二人で見ながら、横の香澄に振る。俺がピアスをあげたいのは情香さん。
最近、寿峯と香澄が少し衝突して仲直りした、なんの問題かは俺が本人たちに問うべき筋じゃないとしても察しはつく、香澄は寿峯の言い分に返す言葉がなくて情香さんに連絡した。情香さんは電話一本ですぐその場に来てくれて、香澄が傷つきすぎる前に寿峯と物理的な距離を離させた。
これはやや憶測混じり。だいぶ後になって和解も済んでから、香澄が俺との通話中にあのとき情香さんが来てくれたことを話したから、そこから。
「うーん…会ったばっかりの頃はカジュアルめなスーツとかだったけど、あれは仕事の都合だったみたいだし…最近は夏ならタンクトップとデニムに編み上げブーツとか、冬もロンTとデニムとか、ピアスはたくさんしてるけど飾り気なくてシンプルな…あ、靴はいつもすごく高いヒール履いてる」
「…」
それって護身用の武器としてのヒール��ゃないかなぁ、とか思ったり。
情香さん、やり方は正攻法だけど同時に大胆でもある。誰かを守るとき仕方なく他の誰かから不興を買うことになっても大して意に介さないというか。俺は俺にとって瑣末なたった一人でも敵を増やさないように動くほうだから。
にしても、結果寿峯は香澄とは和解しても情香さんには不愉快な気持ちを抱えてた。おそらく情香さんが香澄を連れ出すときにそうなるように印象操作した、寿峯の中で香澄の立場が悪くならずにネガティブな感情は情香さん一人に集まるように。
一年前に真澄さんと話してた通り。情香さんはおそらく一生香澄を家族として守ってくれる。
それはおそらく、家族だからとか息子だからとか、そういう固定観念に縛られて愛情を落とした強迫的な守護の意思というより…愛情を基軸にした情香さんにとってごく自然なことだから。ただ自分だけにとって自然な行いっていうなら以前の直にぃもそうかもしれないけど、情香さんは自分の逸脱に仔細な自覚がある。
あの人柄なら、例えばいつか直にぃと香澄が完全に離別して戸籍も分けて他人として別々に生きるようになったとしても、情香さんは今とほとんど同じように香澄に関わり続けるだろう。
直にぃと香澄の関係は、情香さんと香澄の関係にそれほど影響しない、情香さんの価値観の中では、多分。
「あ、香澄のピアスあった」
指をさして香澄に見せる。ロップイヤーのピアス。
耳から下がるタイプより耳たぶに綺麗におさまるような小さめのがいいかな。香澄なりふり構わず唐突な動きとかするし。
「香澄はピアスしないの?」
「うーん、俺の服とピアスって合うかな」
「耳たぶからジャラジャラ下がってるアクセよりは小ぶりのが香澄は似合うかな?服には合うやつ探せばいいじゃん、ふんわりしたモチーフのさ、これとか」
目先にあった冠かぶったうさぎのピアスを掲げて見せる。
「か、かわいい… !」目を輝かせてピアスを見てる。確かにさっきのロップイヤーよりデザインがかわいいかんじ。
「まあ王子さまうさぎって実質俺だし。」
軽口叩きながらピアスを手に取る。これは俺から香澄へのプレゼント。香澄にはまだピアス穴も何もないし、これから穴あけてつけろって強要の意味でもない。
ピアス穴は放置し続けたらいつか自然に塞がってなくなる。またあけたくなれば香澄が自分であければいいだけで、そこには香澄の意思に基づいた決定と行動がある。刺青なんかより、ずっといい。
香澄が見つけた情香さんのピアスと、俺が見つけたインペリアルトパーズのピアスと、王冠うさぎ、これらを持ってカウンターに行こうとして、意外な二人組とはちあった。
虚彦くんと空ちゃんが俺たちより先に喫茶店から出ていって、愛想よく見送ってからソファの上で香澄にもたれてぐったりする。
「絢、疲れた?熱ない?」
俺の額に手を当ててる香澄の首元にグリグリ頭を押しつける。
「前よりさらに体力落ちたな~ってのもあるけど、そっちより気疲れ的な…人と話すの好きなほうなんだけどなぁ」
相手が悪かった。
空ちゃんのほうはかえって本人と話してよかったような感触。やっぱりデータ上だけだと憶測入れても拾えないものが多いな。だいぶ他人行儀に接されたけど、初対面の、それも成人済みの年長相手なら常識的だ。施設育ち、か。そういう対人スキルがないとやってけない場所だったってことか、…真澄さんがまったくどうでもいい他人に接するときの最低限の礼儀だけ弁えた態度とも少し似てなくもないか…?目もとが似てるからそんな気がしたかな。
面立ち…そんなに凝視するのも失礼だからそこまで念入りに見たわけじゃないけど、やっぱり目もとが似てるかな。年齢が比較にならない気がするけど、俺の歴代彼女とかとは全然違うタイプ。
元カノ、みんな細くてか弱そうで繊細そうで、顔やスタイルはキレイ系だけど化粧とかでニュアンス可愛くしてて、服は清楚で大学生の範疇から逸脱しないかんじで、俺が「こうしよっか」て言えばなんにでもついてきちゃう、常識とか判断能力がないわけじゃないけど、少し言いなりになりすぎるところがある、みたいな。
容姿だけなら空ちゃんもあんなかんじにもなるかもしれない。でも彼女には強い意志と自我があった。本人が強いとは自覚してないかもしれないような、潜在的な強さ。
なら、香澄のトラウマの起爆剤になるかもしれない自分を彼女がもし知ったとして、そんなものに成り下がるのはごめんだって反応、香澄がどうなろうが知ったことではないって反応、いろいろあるけど、どうかな…。
虚彦くん…は、俺には少し…おかしいように、見える。
あの子、まっすぐに俺のほうを見てくる。並んで歩いてるときも首曲げて俺の目を覗き込んでくるとかって意味じゃない。俺がそういう印象をあまりにも強く受けるって話。
静かに、まっすぐ。簡単なことのようで、普通は躊躇ってできない。
俺相手には虚彦くんは真顔みたいな無表情なことが多いから、あの目で見られると俺が俺を誤認しそうになる。…まるでとうに死んだ首吊り死体を見るような目で、目の前の事実を淡々と見つめてる、だから俺が気づいてないだけで俺の方が本当は首吊り死体なんじゃないか?ってふうに。
彼のモノの見方が全てになってモノの実態と入れ替わって支配する、そういう…少しだけ似てる目を知ってる。直にぃだ。
一、二度だけ会った若い頃の直にぃはもっと顕著だった。人間を無理やり強引に静物にする目をしてた。
相手の目を見て話しなさい、なんてよく言うけど、あれはその通りにするにしても相手の肩やせいぜい顎とかあちこちに目線は適宜移動させながら、本当に相手の目だけじっと見ろってことじゃない。
本当に相手の目を長時間じっと見つめて失礼じゃない関係っていうと、恋人同士とか夫婦とか。それも多分愛し合ってる感情を伝え合うための行為に分類される。
相手をじっと見ることは、付き合いの浅い相手とのコミュニケーションにおいてはディスコミュニケーションのほうに入る。
個人差はあれど一般的に、じっと見られてる相手は居心地の悪さや落ち着かなさや不快感を覚える。そういう不快感をわざと与えることでなんらかの感情を自分相手に抱かせて、その感情を恋愛感情や強い関心なんだって相手に錯覚させていく、結婚詐欺師とかそんな感じかな。
ぶっちゃけると昔の俺がよく使った手ってだけなんだけど。
二人が出ていって早々に手袋をとった。あったかい店内ではめてると蒸れて汗がしみるから。怪我、虚彦くんにはバレてたけど。俺の包帯だらけの指先を香澄の指先がそっと撫でる。
「俺もう一杯なんか飲みたいな」
「俺も。次はコーヒーとかお茶じゃなくてジュースにしようかな」
「香澄、ぶどうジュース頼んでよ、俺カルピス頼む」
「? 俺のぶどうジュースも飲む?」
「そーじゃなくてさ、香澄と俺のジュースを二人で混ぜたら多分ぶどう味のカルピスできるじゃん?美味しそう」
俺の体をソファの上で上体だけ楽な姿勢で寝かせて、頭を膝の上に乗せさせてる、香澄は俺の髪を撫でる。
香澄と俺が初めて会って、会話っていえないような会話で話をした、そこも喫茶店だった。
あのときの香澄を、何も知らない俺は大雑把に区分してだいたいこういう人種だろって、乱暴にあたりをつけた。そうすると全部俺の都合のいいように解釈ができるから。俺と話す気なさそうで口数少ないのも楽しくなさそうなのも、ああ人見知りね、で終わっちゃうんだよな。きっとどこまでいっても俺に非がこない。
そ��いうとこは、つくづく理人さんに似てた。
香澄と二人で細長いガラスコップからぶどうジュースとカルピスを混ぜるのに四苦八苦して、最終的には交互にすばやく飲めば口の中で味が混ざる!なんて言って笑う。
飲み終えたら二人一緒に喫茶店を出た。
店を出るときに香澄が俺にマフラーを巻いてうさぎ耳のついた帽子を被せてくれた。
今朝家を出てくるときに真澄さんが同じことしてくれた。
ねえ香澄。血縁関係がなくたって、一緒に過ごした頃が曖昧だって、それでも香澄を育ててくれたのは真澄さんで、二人は似てないけどときどき似てるよ。
俺がそろそろ体力的にきつくなってきたから、俺の家まで一緒に帰ってきた。香澄はいつもみたいに泊まってく。
真澄さんは光さんと一緒に先に帰ってきてた。ソファで二人で話してたら光さんが途中で眠り込んじゃったかんじか、真澄さんの膝の上に小さなまん丸の頭を乗せて、光さんは珍しく俺たちが帰ってきても気づかないでぐっすり寝てた。
帰宅したときのいつもの感覚で、香澄と一緒にお風呂入ろうとして、やめた。指に爪がないのバレちゃうし、服の上から触って香澄もわかってはいるだろうけど、実物見ると怖がらせそう。痩せすぎた。運動して絞ったんじゃないからきれいな痩身でもないし。
真澄さんと光さんと香澄と俺で、寝るまでになんかして遊んだり、ただのなんてことない雑談でもいい、できたらなって思ったんだけど、帰るなり俺が熱出して、何もできなかった。
書斎で布団に入って大人しくしてながら、取り繕えなくなっていくのを感じる。前から外出した日は帰ってきたらだいたい微熱は出してたけど、普通に振る舞うことだってできた。でも今はこの程度の微熱が誤魔化せないくらいあつくて苦しくて痛い、寝てるしかできない。
香澄はずっと俺についてるつもりだったのを、真澄さんに首根っこ掴まれて書斎から引きずり出されてった。
久々に外出したんだし、外でもらってきた風邪とかインフルエンザだと確かに危ないから、一人で少し様子を見なきゃ。
そのとき真澄さんに借りた手袋返そうとして、ひっこめた。
両手で手袋を持って引き寄せて、頰にあてる。俺の手よりずっと大きな手。革の部分がきもちいい。帰ったときにすぐ殺菌消毒したから顔すりすりしても一応大丈夫なはず。
少し眠った間に、俺が握りしめてた手袋が口元からなくなってて、ほつれて解けかけて出血が滲んでた包帯がきれいに新しく処置しなおされてた。…真澄さん。
眠ってたら何時間か経って夜になってた。
急な高熱とかその前兆とかひどい頭痛や関節痛も喉の痛みも、これから発症する兆しはなにもなかったから大丈夫かなと思って、リビングに出てってみる。
途端に香澄に書斎の中に押し戻されて抱えられてベッドに入れられて布団かけられた。
「まだ安静にしてなきゃダメだよ」
熱のことか指のことか、どっちもかなこれ。
「…ひどくなんないから、いつもの疲れたときの体が火照ってる感じだと思うよ。ひとに移さないやつ」
熱って前提で話したら、俺が話すうちにも香澄はサイドテーブルに常備してる解熱剤を出して、水を用意して持ってきた。
俺もベッドの上で体を起こす。
「香澄、薬飲ませて」
指差し指の指先で自分の唇をトントン軽く叩いて示す。にこって笑いかけたら香澄が急に挙動不審になった。意味は伝わったってことかな。
俺と薬を交互に見てたけど、意を決したのか薬と水を口に含んだ。
こぼしちゃわないように唇をきれいに合わせて喉に通す。
すぐ間近に香澄の顔がある。切れ長の涼しげな、俳優さんみたいな綺麗な目。何事もなく普通に学校いって、友達作ったり、部活入ったり、そんなありきたりな愛しい時間を今日まで積み上げられたなら。香澄は容姿だけでもきっと人気者でいっぱいモテた、そんな香澄じゃなかったから直にぃと出会った。
幸せを願うことだけでも難しい。
しっかり飲み込めてから唇を離して、お互いに微妙に照れる。布団を持ち上げて俺の横のマットレスをぽんぽん叩いたら、香澄がもそもそ潜り込んできた。
ベッドの中でしばらく香澄と身を寄せあってたら、またいつの間にか眠ってた。
夜中。
一人で布団から起き上がった俺の横で香澄もぼんやり目を覚ます。
こういうことは ずっと言いたくなかった。
誰かの体について何かを強いるようなこと。強いてなくても、願うだけでも、今の姿と本人そのものを否定してるようで、
俺の気に入る姿に変わってくれって 前後にどんな事情があっても、要はそういうことだ。
それなら刺青を入れた綾瀬樹と、刺青を消せって言う俺に、何の違いがある。違わないんだ本当は。
愛から生じて香澄を守りたいがために。
刺青を入れるのも消すのも惨い苦痛を伴う。どこかで「痛いから嫌だ」って香澄に言ってほしい。
でも …真澄さん
昨夜、眠りに落ちる寸前、俺の頰に落ちてきた雫 伝い落ちて俺の唇の間に滑り込んだ 血じゃなかった
泣かないで、俺の愛する人たち
香澄の話を真剣に聞いてくれた寿峯 誰より香澄を生涯愛してくれる直にぃ 二人を見守ってくれる情香さん 裏で手を回してくれた慧先生 虚彦くんと空ちゃん
はじめから俺が何も言わなきゃいい、香澄は気にしてないんだから。
だってそれは本人から 見えない位置にある。
だから、それを一番近くで見続けてきたのは 直にぃだ
それでもきっと何も知らない直にぃはどれだけ傷つきながらも言い出すことができない なら、俺が
いなくなったあとも二人が愛し合い続けられるように
香澄のまわりの愛する人が損なわれずに 明日も香澄を惜しみなく愛してくれるように
「香澄 その背中の刺青、…消してほしい」
.
0 notes
TOGALI MARUMI アイテム紹介
こんばんは。
・
さて、今日は早速だが、現在開催中の"TOGALI MARUMI"のPOP UPでご覧いただけるアイテムを僕の独断でいくつかご紹介をさせてもらえればと思っている。
・
最初に。
"TOGALI MARUMI"の服は、尖りと丸みの構成比率がある。
これは、見る人によって尖り具合や丸み具合も変わると思うけど、それはそれでOKだ。
むしろ、ブランドの提示する構成比率と比較し、自分はどのように感じるのか。
そんな部分を大切にしてもらえればと思う。
アイテム紹介の最後には、ブランドが提示している尖り要素と丸み要素の構成比率も記載するので、お楽しみに。
・
ということで、そんなブランドのユニークなアプローチが前提にあるとうことを踏まえた上で、生地のこと。デザインのこと。
色々なアプローチを少しご紹介させて貰えばと思う。
・
それでは早速、アイテム紹介に。
と行きたいところだけど、その前に、今回新たに発表された素材をご紹介させてもらう。
まず一つ目は”KOKEISI”という名が付けられたテキスタイル。
ジャガードと呼ばれる、柄を出すのが得意な機械を使って織られた
布になる。
素材はポリエステル。
なので、サラッとした肌触りになる。
デザイナーの大小さんが拠点を構える群馬県の桐生という街は、繊維産地の街になる。
そんな桐生という街で生地も製作された。
二つ目は"chemical organic"と名付けられたテキスタイルになる。
ベースはオーガニックコットンを使っている。
そんなオーガニックコットン素材に"ORGANIC"のポップな刺繍が目を引く。
オーガニックというナチュラルな印象を打ち消すような、そんなユニークな生地になるのだ。
デザイナーさん曰く、「生娘がゴリゴリにタトゥー入れて帰ってきた」。
そんなイメージのテキスタイルらしい。
実際にこの生地を見てみると、このイメージが結構ししっくりくるので、楽しんでもらえるはずだ。
・
以上、この2種類のテキスタイルが今回のオリジナルテキスタイルになる。
なお、この2種類のテキスタイルを用いたアイテムに関しては、全て受注生産となる。
・
それではいよいよアイテム紹介に。
(全て紹介するととんでもない分量になってしまうので、今日はオススメのアイテムということでご理解いただけると幸いだ。)
TOGALI MARUMI : swallow rib pants (KOKEISI) ¥44,000 (tax in)
TOGALI MARUMI : swallow rib pants (chemical organic) ¥44,000 (tax in)
まずは今季新たに登場したリブパンツ。
お尻周りはゆとりがあるけど、着用するとすっきりとしており、スウェットやジャージを着用しているような。
そんな印象をいただく。
ユニークな点は、裾のリブが非常に長く取られている点だろう。
しかも、このリブの部分。
リブ編みと平編みを切り替えて使っており、伸縮の度合いも変わる。
そのため、裾に向かって少し広がりがあり、靴を飲み込むようなスタイリングを楽しんでいただける。
パンツが靴を飲み込む。
そんな発想がとてもユニークだ。
靴下のような靴が増えてきたということで、靴に対する逆襲から生まれたパンツだということだ。
目の付け所と、そんな発想のデザインの落とし方が面白い。
こんな感じで、靴の上部にリブを被せて着用するイメージだ。
素材もユニークだけど、デザインにもしっかりと遊びを感じられる点が面白い。
なお、リブを折り返すと、普段よく目にするリブパンツに変わるので、気分や装いに応じてリブの使い方を変えて楽しんでみてはいかがだろうか。
(swallow rib pants : togali 60% / marumi 40%)
続いては、"TOGALI MARUMI"の定番アイテム。
D-pantsを紹介させていただく。
TOGALI MARUMI : D-pants (KOKEISI) ¥50,600 (tax in)
TOGALI MARUMI : D-pants (chemical organic) ¥50,600 (tax in)
"TOGARI MARUMI"のファーストシーズンから発表されてきた"D-pants"。
僕も1本保有しているパンツになるのだけど、着用時のストレスは一切感じられず、非常に重宝しているパンツの1本だ。
横から見るとアルファベットのDのような形になることから"D-pants"と名付けられている。
一見メンズアイテムに見えてしまうかもしれないが、折り返して着用できるように計算されており、女性も着用が可能だ。
昨年のイベントでも女性の方が購入しており、また、イベント終了後に数点仕入れていた"D-pants"も半数以上は女性が購入している。
・
また裾をキュッと絞って着用することも可能だ。
先ほどのリブパンツ同様、その日の装いに併せて着こなしを変えていただくと良いのではないだろうか。
・
ちなみに昨年ご購入いただいた方にもおすすめをしたい。
素材が変わると、結構シルエットも違って着用時の印象も大きく変わる。
なので、昨年の1本とは雰囲気の違う1本になるので、もし良かったらお試しいただきたい。
(D-pants : togali 70% / marumi 30%)
・
さて、続いては使いやすいバッグを。
TOGALI MARUMI : PK bag (KOKEISI × ISI print) ¥8,800 (tax in)
TOGALI MARUMI : PK bag mini (KOKEISI × ISI print) ¥5,500 (tax in)
TOGALI MARUMI : PK bag (chemical organic) ¥8,800 (tax in)
TOGALI MARUMI : PK bag mini (chemical organic) ¥5,500 (tax in)
今回のメイン素材を使ったバッグになる。
サイズも大と小ということで、共に使いやすいサイズのアイテムになる。
服はちょっと取り入れるのが難しい。
でも小物くらいだと、ちょっと装いのアクセントにもなって丁度良い。
そんな方もいらっしゃるのではないだろうか。
こちらがminiサイズのイメージ。
そしてこちらが大きいサイズになる。
テキスタイルを存分に楽しめるということで、こちらも今回個人的にはオススメの1アイテムだ。
(PK bag : togali 30% / marumi 70%)
その他にもコートやエプロンも今回は発表されている。
(エプロンの着用画像がなくてすみません。。)
このコートもポケットがめちゃくちゃついていて、ユニークな仕様となっている。(ゴミを入れるためのポケットまでついていて、面白い。)
なので、残り2日間となってしまったが、最終日は祝日でもあるのでもし良かったら店頭でご覧いただけると嬉しく思う。
・
さて、ここまでは受注ベースのアイテムをピックさせてもらったが、今回即売しているアイテムも数点ご用意がある。
TOGALI MARUMI : LLSF Tee (zumi) ¥18,700 (tax in)
TOGALI MARUMI : LLSF Tee (nat) ¥13,200 (tax in)
袖の長さがアクセントになったロンteeにフードがついたカットソー。
トップスとして着用いただくのはもちろんなんだけど、インナーに入れて、袖のレイヤードを楽しんでいただく合わせ方もオススメだ。
コートやシャツの袖口からインナーを出して楽しむイメージをいただけると良いかと思う。
ちなみにこちらは今回の"ISI print"を施したものもある。
TOGALI MARUMI : LLSF Tee ISI print (sumi) ¥22,000 (tax in)
TOGALI MARUMI : LLSF Tee ISI print (nat) ¥17,600 (tax in)
無地も良いけど、プリントが入ると一層1枚でも決まるというか、アクセントになるので、オススメだ。
こちらも現在店頭に出ている限りになってしまうアイテムなので、気になる方はお早めに。
(LLSF Tee : togali 40% / marumi 60%)
・
そして本日最後に紹介するアイテムが、ちょっとしたジャケットにもなるトップス。
TOGALI MARUMI : 3PK CO (nat) ¥27,500
非常に高密度でハリのあるコットン素材。
シャツよりも厚く、ジャケットよりは薄い。
コートやジャケット感覚で楽しんでも、デザインシャツとして楽しんでいただいても良さそうだ。
ちなみにこちらも先ほどのTee同様に、"ISI print"が施されたものも。
TOGALI MARUMI : 3PK CO ISI print (usumi) ¥41,800
また、このアイテムのユニークな点は、前後どちらを前にしても着用ができてしまうという点だ。
ちょっと今回は、ボタンで前を止める側でしか着用しておらずで恐縮なんだが、2wayで楽しんでいただける。
なお、背面には大きいポケットがついており、そんなポケットを主役にした面を前に持ってきて着用しても楽しそうだ。
(3PK CO : togali 30% / marumi 70%)
・
その他にもシャツのご用意がある。
本当だったら全部紹介できれば良いのだけど、ちょっと今日はこの辺りで。
・
いかがだろうか。
色々とここまで紹介をさせてもらったけど、なんかユニークだなぁなんて思ったりしませんか。
・
装う上で、このなんだかワクワクするような、ユニークなデザインが大切だと思っている。
・
工場で生地から全て手がけて、手の込んだアイテムを作っているのに、それをいい意味で忘れさせてしまうようなユニークなデザイン。
なんか改めて変なバランスだなぁなんて思ったりしている。
・
めっちゃ産地について語ったかと思ったら、急にハンドル切って、別のベクトルに向かっているような。
・
僕はどちらも好きだから、本当にどこを切り取っても楽しんでしまう。
・
一部当店でも引き続きご覧いただけるけど、今回即売のアイテムも限りがあるので、イベント後はそんなに多くは店頭に並べられない。
なので、残り2日間。
せっかくならこの機会にぜひ遊びにいらして欲しい。
・
それでは次回もお楽しみに。
・
P.S. 3PK COは絶対にもう少し尖り要素がある気がしてならない。。。
0 notes
思いつきのドライブ
Wednesday 12 March 2014
昨夜10時半、Kちゃんが乗った新幹線が三島駅に到着した。kちゃんと会うのは今年で2回目。そしてKちゃんが静岡に来るのはこれで5回目。女の子では一番多く来ている。真観とKちゃんはよっぽど気が合っているのかな?Kちゃんは昼から夜までの仕事を終えてから来たので遅くなった。Kちゃんはキャメル色のコートを着ていた。会うごとに大人の表情を見せるKちゃん。真観は三島駅までKちゃんを迎えに行き茶畑庵に戻る前にスーパーマーケットに寄った。『晩ご飯は食べたの?』『お腹は空いてないです』それではデザートくらいと滅多に買わないいちごを1パックを買った。真観は料理は好きだが料理で来訪者を持て成すことはまずない。持て成すことは何も特別なことをしなくてもいい。それに真観の料理は我流すぎて人を喜ばせるほど自信は真観にはない。茶畑庵に戻るとKちゃんは『また雰囲気変わりましたね』と感想。『はい、いつもレイアウトは変わります』レコード鑑賞と坐禅以外は使わないリビングと和室を繋げた部屋に備えたコタツに入り向かい合っておしゃべり。このコタツは真観がちゃぶ台の上に毛布を被せてそして大きいお盆をテーブル代わりにした有り合わせで完成したコタツ。ちゃぶ台の脚が短いので工夫して少し高さを足している。このコタツの下にはホットカーペットが敷いてあるのでそれが暖かさを加える。
Kちゃんは静岡に来る前に真観とのやり取りで今回の静岡来訪で特に行きたいとことはなく真観に会えればいいと言ってくれていた。でもせっかく来たのだから一緒に何かしたいと思う真観。そこでいちごを食べて話している内にいちご狩りがいい!と閃いた。真観は最近ラジオでいちご狩りの話題を聞いたばかりだったからだ。早速ネットで調べてみるとあるわあるわいちご狩りスポット。『いちご狩り行こうよ!僕も行ったことないから行きたい!』真観の表情が明るくなった。Kちゃんも喜んでいる。よし決まった!
深夜2時におしゃべりをお開きにしてKちゃんを2階のライブラリー室に案内した。今夜のKちゃんの寝室はここ。Kちゃんにおやすみ言って真観は自分の寝室へ。布団の中にこっそり湯たんぽを2つ忍ばせていることは内緒にして。暖かくして寝てもらいたい。
さて、明朝の坐禅会はどうしようか?と寝る前に思案する真観。静岡にいる時は坐禅会に必ず行くと決めていた真観だったがこれから寝たんでは3時間も寝れない。坐禅会に行けたとしても睡眠不足は解消出来ない。真観は座禅会を諦めることにした。
真観は8時頃目を覚ました。Kちゃんが起きている様子はない。真観は布団から出ずに二度寝をした。1時間後やっと布団から出てキッチンの石油ストーブに火を点けてコーヒーを淹れる準備をしているとKちゃんも2階から降りてきた。『もう起きてたんですけど松谷さん寝てるかなぁと思って』昨夜のスーパーマーケットでいちごと一緒に買ったクロワッサンと買い置きしてあるバナナそしてコーヒーで朝食を食べる。石油ストーブを囲みながら今日のプランを練る2人。いちご狩りのスポットはいくつもあったが一番近いスポットはいわゆるいちご農園とかではくレジャー施設の様な印象を受けた場所でそこに決めた。真観はその施設を箱根に行く途中で見たことがあった。
茶畑庵を出発する前、恒例の茶畑庵来訪者との記念撮影をする。その記念撮影に使うベンチは玄関前にいつも置いてある。そのベンチに座って写真を撮るのだが強い陽射しが横から入り腕のあたりが写真にすると白く飛んでしまう。そこで初めてベンチを移動させて写真を撮った。二人ともカメラマンだからどう撮るか?あーでもないこーでもないとやるのが意外に楽しい。
そのいちご狩りの施設は茶畑庵から30分ほどの距離にあった。駐車場に車を停め受付を済ませる。いちご狩りが出来るビニールハウスはその施設から少し離れた高台の場所にあったので他のお客をフォローしながら歩いて行った。天気は穏やかで正に早春そのもの。気持ちも晴れやかだった。早速いちご狩りを始めた。いちご狩り、すなわちいちご食べ放題ってことだ。真観もKちゃんも次から次へと赤く熟したいちごを食べる回る。う〜ん、美味しい!手には受付で配られたプラスチック製のソーサーを持ちながら。そのソーサーは採ったいちごの蔕を入れる受け口とコンデンスミルクを入れる受け口と両方の役目をしていた。コンデンスミルクと一緒に食べるもよし、そのまま食べるのもよし。でもコンデンスミルクと一緒に食べた方が多かった。『いちごって可憐ですよね〜。幸せになれる』とKちゃん。2人ではしゃぎながらいちごを次から次へと頬張る。今回Kちゃんが東京の土産で蜂蜜を持って来てくれたのでその蜂蜜が入った瓶とスプーンも持参しておいた。その蜂蜜といちごと一緒に食べてみたがそれはどうも違った。やっぱりコンデンスミルクがベストマッチだった。『じゃあ、「Today's Fashion」を撮ってもらっていい?』と真観はKちゃんにお願いするとKちゃんは広いいちご狩りのスペースで人がまだ立ち入ることが出来ないレーンを使いたいと係員に尋ねた。あっさり承諾を貰い2人は撮影を始めた。真観のカメラには撮影比率を変えれる機能があるのでスクエアフォーマットにして真観はKちゃんに自分のカメラを渡した。その方がイメージが浮かび易いと思ったからだ。それは「Today's Fashon」はいつもスクエアサイズで仕上げているからだった。撮影は計11カット。デジカメの画面で撮った画像を見直し『うん。いいんじゃない』と真観は満足げ。「Today's Fashion」を撮り慣れている真観だけに自分の表情の善し悪しは良く知っている。さてどうだろ?2人各々30ヶくらいはいちごを食べただろうか?その頃になるといちごでお腹がいっぱいになっていた。いちごでお腹いっぱいなんて初めての経験だった。このいちご狩りは時間制限はなかったが約1時間ほどで打ち止めにした。
元の施設に戻りKちゃんは家族や会社の同僚への土産を買った。Kちゃんの素晴らしいところは必ずそうやって何かを人にプレゼントしていることだ。真観はこれまで何度となくKちゃんからプレゼントを貰っている。
次なるプランとの候補として長泉町のフォトミュージアムに行くのもいいと考えていた。真観が行きたかったからだ。時間は2時。しかし真観は『折角箱根に来たんだから箱根ドライブしようよ。先ずは芦ノ湖はすごそこだから行ってみよう!』Kちゃんは東京に住み家族と暮らしているが家には車が無くドライブの経験が少ない。だからドライブを楽しんでいる様子。車でドライブしながら仕事のこと、彼氏とのこと、家族とのこと色々話してくれるKちゃん。真観も自分の考えてることをKちゃんに聞いてもらった。その会話には喉に何かが突っかかる様な障害物はどこにも無くスムースに流れる。芦ノ湖に着くと天気も上々で2人は散歩をした。この辺りは標高が高いせいか雪がまだ残っている。しかもカチカチに固まって水分を相当含んでいる。郵便局の前を通ると局員たちがせっせと雪かきしていた。真観またまた閃いた。『僕行きたい所ある!富士屋ホテルに行ったことがないから行ってみたい!』富士屋ホテルは承知の通り有名な箱根の老舗のホテル。このホテルの前も何度か通ったことがあるだけで訪れたことはなかった真観。Kちゃんに知っている限りの富士屋ホテルの情報を伝え車を富士屋ホテルまで走らせた。
15分ほどだったかそんなに遠くなく富士屋ホテルに着いた。真観の目的としてはこのホテルで食事かお茶をしたかった。そうすれば泊まらないビジターでも雰囲気を楽しめるかなと思ったからだ。正面玄関でポーターに『ビジターですけど中に入ってもいいですか?』と尋ねると快く迎えてくれた。明治11年創業のこのホテル和洋折衷の様式で真観好み。Kちゃんも珍しがってあちこち探索。来て良かった。真観は、Kちゃんをあっちで撮ったりこっちで撮ったりちょこちょこ撮影を楽しむ。Kちゃっも嫌がらない。2人が行った時は既にレストランは閉まっていたがメニューの値段をチェックすると高価だった。それでお茶も諦めた。ロビーを中心にホテル内外を探索しただけでも十分楽しめた。
直営のベーカリーでクロワッサンを買って車の中で食べた。真観実はクロワッサンが好きでKちゃんも彼氏がフランス人ということで縁がある。(笑)そして長泉町のフォトミュージアムに行くかどうかiPhoneを使いネットで閉館時間を調べてみるとキャイ〜ン!休館日じゃないか。またもやと真観は思った。『ここはどちらにしても行けないですね』『私、帰りも新幹線で帰ります』そうKちゃんは言った。Kちゃんが新幹線で静岡に来たのは初めてだった。真観が安さで勧める高速バスとは違い快適さをKちゃんは優先した。それでは取りあえず三島方面に戻ろう。そして三島に近づいた頃にお腹が空いていたら何か食べよう、そういうことになった。三島といえば鰻だ。真観は三島で鰻を食べたのは一度もない。Kちゃんは三島と鰻の関係性すら知らない。鰻の他に何かあるかなぁと考えてみるともう一つ真観には行ってみたい自然食レストランがあった。あまり肉を食べないKちゃんは自然食レストランの方に興味を示したので鰻を止めて自然食レストランへと向かった。自然食レストランに着いて外壁にあったメニューを見るとこのレストランはどうもバイキング形式らしい。ディナーだと1人2.000円もした。そこでまた真観『そんなにお腹も空いていないしバイキングまでは食べれないでしょ?2人で4.000円以上掛かるのって高くない?』とう提案して止めることに。これは遠路遥々東京から新幹線に乗ってお金を使わせていることに対しての配慮であるし真観のケチ(倹約)の精神があってのこと。じゃあ真観がお金持ちになって気前良く奢ってあげればいいと思う人もいるだろうがそれは残念ながら難しいし真観はしたくもない。どちらにしてもKちゃんは嫌な顔一つ見せないのだからいいのだ。真観はそう思った。
『お蕎麦が食べたい』とKちゃんがいうので『だったらサントムーンのフードエリアに行こうよ。あそこならお蕎麦だってベジタリアン料理もあるし』それから2人はサントムーンへと向かった。サントムーンへは一度Kちゃんと行ったことがあり真観がお気に入りのウニスパゲティも食べれる。サントムーンに着いて二人ともカレーを注文しウニスパゲティも更に注文して2人で分けた。十分な美味しさで値段もリーズナブル。楽しく過ごす2人にとってはどこでも楽しいはずだ。
食後、Kちゃんは7時20分の新幹線に乗ることに決めた。丁度いいお開きの時間だ。真観は、三島駅までKちゃんを送った。Kちゃんが東京の自宅に着くころはまだそんなに遅くならない。三島駅のロータリーに車を停めて車の中で握手をしてKちゃんと別れた。
2年前、真観はKちゃんの作品撮りをしたが未だにその写真を作品として纏めていない。それをKちゃんは催促しない。何故だか分らないが一度も催促しない。それに甘えて制作を延ばし延ばしにしている真観。さてどのタイミングでKちゃんに渡そうか?そのタイミングは必ずやって来る。少なからず真観が考えていることは作品には作品撮りの時の写真だけではなく今までKちゃんと会った時に撮った写真を含めて纏めるのはどうだろうか?ということ。その日は、もしかしたらKちゃんが日本を離れる時かもしれない。
Today's Fashion(Facebookより)
#12032014
思いつきで箱根と三島市の境にある伊豆フルーツパークへいちご狩りに行った。(茶畑庵から30分ほど)
静岡産いちご「紅ほっぺ」を30個くらい食べたらハルオも紅ほっぺ。w
ファッションは、当然「赤」でコーディネート。
このいちご狩り、4月いっぱいまで楽しめる。(時間制限なし/1.680円也)
0 notes
東京茶丗SOUです。
皆さまに日本茶の美味しい淹れ方をはじめ、
お茶にまつわる四季折々のお楽しみ情報等を配信しております。
お付き合いの程どうぞよろしくお願いいたします。
【丗 SOU-Letter】 Vol.57/ 令和六年二月
春寒のみぎり、暦の上では春となりましたが
コートにマフラー・手袋、冬の防寒具が手放せない毎日が続きます。
被災地の皆さまにおかれましても一日でも早い復興をお祈りしています。
気持ちだけでも温まっていただきたく、
2月6日MatchaDayにあやかり、
温かくおいしい抹茶のいただき方のお話をお届けいたします。
日常、皆さまがお馴染みの茶屋町などでいただく
お抹茶のほとんどは「お薄(うす)」とよばれる薄茶(うすちゃ)。
お料理から甘味まで様々にお楽しみいただける万能の抹茶には、
「薄茶」より濃度のある「濃茶」と呼ばれる飲み方があります。
今回は初めての方でも美味しくいただける濃茶の作り方をお伝えいたします。
濃茶のポイントは口当たり。
トロっと、プリンを啜るかのようにいただくのが濃茶の醍醐味でしょうか。
用意するのは
【2人分】抹茶6~8g・湯・茶漉し・茶碗・スプーン・茶筅(なければお箸)
美味しい濃茶は準備が要。
先ず、抹茶を茶こしで漉します。(細かい網目がお勧め)
粒子が小さくなるほど、だまになりにくくなめらかな口溶けになります。
次に、お湯を茶碗に8分目ほど淹れ茶碗を温めておきます。
茶碗が肌感ほどに温まったら、湯を捨て茶碗の中を軽く布巾でふき取ります。
準備が終われば、抹茶を点てます。
2人分の抹茶を茶碗に入れ、約80℃のお湯を30cc程ゆっくり溢し淹れます。
そして、茶筅の穂先で少しずつ泥をこねる様に、抹茶を練っていきます。
丁寧に丁寧に練っていくと、表面に艶が出てきます。
カスタードプリンのような滑らか仕上りなったところで、
お湯を10cc程、追湯。ふわっと湯気が立つ中
表面を撫でるよう茶碗の縁に沿って大きくゆっくりと抹茶を緩めます。
混ぜ合わせれば、香・艶・色よしの美味しい濃茶ができあがり!
ぜひ、丗SOUのスティック抹茶「㐂yorokobu」でもお試し下さいね。
【POPUPのご案内】
2/12(祝月)・2/17(土)11:00~16:00 銀座LOFTでPOPUPを行います。
都内LOFTさまで販売している10種類のお茶の中から
和紅茶と抹茶の配茶を予定しております。
是非、この機会にお立ち寄り下さい。
【今月オススメの丗SOU】
バレンタインデーのギフトに和紅茶はいかがでしょうか。
優しくスッキリとした甘みがチョコレートにピッタリ。
◆晴-harasu-¥1,685(税込)
https://sanjuu.theshop.jp/items/11486956
【丗SOUインフォメーション】
NFTアートをスタートしました。
丗SOUが織り成すクリエイションを是非お楽しみ下さい*
https://opensea.io/SOU-2023
0 notes
続・17歳
音楽部で組んだギタリスト、その中で最初に入ってくれた方のギタリストとはマブダチになった。朝は自分の家に寄ってくれて一緒に登校したし、帰りも一緒だった。色々沢山話した。
レッドツェッペリンが好きで、三国志が好きで、わざと古い言い回しを駆使する笑い(トータルテンボスの「しのびねえな」「かまわんよ」のような感じの)が得意で、最高にいい奴で、でも自分より少し頭が良くて自分より少し社交的だった。
その、最初のギタリストが何故かライブだけは頑なに拒んでいて、自分としてはそこが不満だった。
結局その辺の理由は聞いてないか覚えてないんだけど、多分「自信がない」「恥ずかしい」といったところだったと思う。その辺は己の技量をまるで客観視せず、とにかく出たがる自分も障壁になっていたのかもしれない、と今では思うけど。
そうした苛立ちはありながらも、最初のギタリストとは意気投合し、ある時彼もまさかのドラムセットを自宅に購入した時にはすげえなと思った。
最初のギタリストの家に遊びに行って、音量に気を使いながらも彼のセットを借りて彼のギターとセッションした事はあったはずでそれは確実に楽しかったし、Zepを通じて変拍子に触れたり自分にない音楽を知る事が出来た事は大きかった。
そんな最初のギタリストとは、ある日突然に絶縁を言い渡された。
状況証拠として、まず高校が中途半端な進学校だった。しかも一クラスしかない英語科で、そこは英語の成績がある種ヒエラルキーに関わる関係性もあって、そんなの関係ねえという奴もいただろうけど、少なくとも自分にはそこに引け目があった。
それと、それまでは対等な関係だと思っていたけど、実は彼とは自分が気づいてないだけの主従関係がいつの間にか成立していて、その辺自分が無自覚に無頓着だった。
だってバンドでやる曲の決定権は彼にあって、自分のやりたい曲が採用される事はあれど、自分の知らないうちに曲が決まる事はざらであって、何なら彼がドラムセットを購入した時点で不穏と言えば不穏だったのだ。だってドラムで遊びたいだけだったら、自分の家に来れば良いだけなんだから。要はそれで満足してない、って事なんだから。
ある日、最初のギタリストと学校からの帰り道で、ちょっとした諍いがあった。たまにある自分に対してのからかいみたいなもので、そこに自分の成績が劣っているみたいな話も織り交ぜられていたんだと思うし、その辺含めてそういう所が嫌なんだ、という駄目出しがあったと思う。少なくともその時の自分は、逆に相手の嫌なところを指摘する、という能力はまるでなかった。口喧嘩ができなったのだ。
詳細は覚えてないけど、とにかく反論出来ないほどやり込められた自分としては、その時の仕返しの方策としてぶん殴るのは違うし出来ないし、怒って別行動で帰る(今ならこれが正解かなとは思うけど)というのは負けを認めるようで癪だし、という精神状態になり、かなり追い詰められた苦肉の策で、怒りの表明として彼のコートに唾を吐きかけた。
そういうシーンを映画か漫画か、または実際に誰かがやったのをどこかで見たのかもしれない。苦し紛れの自分がそれしか出来ないという状況下でやった事ではあるけど、当然彼は激怒して「ふざけるな」と冷たい言葉と共にコートを脱いで自分に投げつけた。次の日からはマブダチではなくなった。これに関しては完全に自滅であって、彼は悪くない。自分のしくじりだと思う。
とにかくそういう出来事があって、更にそれとは別の話で財布の連続盗難事件が学校であって自分も被害を受け、その上修学旅行先の京都で倒れて長期入院、その遠因として英語教師による暴力の常態があった上での登校拒否、に自分は陥ってしまった。
教師との無言の戦いは2か月に及んで、なんやかんやで学校に戻った頃には、音楽部のバンドに自分の居場所はなかった。
ドラマーの座には、最初のギタリストが就いていた。
そのまま、自分は音楽部としては卒業アルバムに載る事はなかった。
0 notes
#被布コート ではなく、 ワンランク上の コーディネートを 楽しみたい方にオススメ。 #コーデュロイ #ケープ を 組み合わせた #祝い着 #スタイリング ちょっぴり背伸びした #3歳女の子 に大変身 ワクワクが止まらない #七五三 まいりになり��う。 👘3歳女の子着物一式 レンタル 価格:33,000円(税込) 📩下見希望の方は、 @toku36com のDM まで #宮川徳三郎商店 #宮川徳三郎 #アンティーク着物 #京都 #桂 #松尾大社 #こども着物 #着物 #ファッション #記念撮影 #前撮り #着物レンタル #レトロガール (京都着物 宮川徳三郎商店 Kyoto Kimono Store & Rental) https://www.instagram.com/p/CWU2kjhPqGW/?utm_medium=tumblr
0 notes
#被布コート #被布 #七五三 #岡山市 (着物と浴衣の店 かもや呉服店) https://www.instagram.com/p/CREfMMEFIL5/?utm_medium=tumblr
0 notes
#紅型被布 #紅型ナワチョウ被布 #紅型ナワチョウハレの日きものコーディネート ・ 友人と #沖縄プリンスホテルオーシャンビューぎのわん @okinawaprincehotel_ginowan で待ち合わせ 3歳になられるお嬢様への 試着&着方をレクチャー させていただきました👘✨ ・ お召しいただくと… か、か、カワイイ🥰🎀✨ サイズもピッタリ!! っということで!!! お貸しすることに👘🎉✨ ・ 昨今なかなか着物を 纏う機会も減る中で こうしてハレの日の ご家族のおもひでに 加われるというのは とても嬉しくありがたく🌹🎀 ・ 生まれた頃から 存じ上げているお嬢様が こんなに! 大きくなられたというのも 感慨深く🥹✨✨ ・ お客様とお会いする… などでないと なかなか遠くて行けない😂 プリンスホテルの壁紙や 飾っていただいている原盤を 友人と観ながら〜など しあわせな一日でした🌞 (pic.6〜7枚目が 壁紙の原盤の作品です) ・ ・ #紅型 #紅型ナワチョウ #縄トモコ #びんがた #びんがたナワチョウ #なわともこ #七五三 #ハレの日に向けて #きものコーディネート #沖縄 #okinawa #bingata #tomokonawa #nawachou #bingatanawachou #被布コートがピッタリなお嬢様を観ながら #もうとっくに着れなくなってしまった娘の成長にも感慨深く (沖縄プリンスホテル オーシャンビューぎのわん) https://www.instagram.com/p/ComehFJrnn0/?igshid=NGJjMDIxMWI=
0 notes
後足で砂をかける
バイトの給料が出たので前の家の清掃費を支払いに銀行までチャリを漕いだ。先日の引っ越しの後始末だ。
引っ越しのとき、ずぼらなボクはギリギリまでまったく準備をしていなかった。必要な物から順に車に詰め込んで残りは捨てていけばいいだろうと、ずぼらな人間特有のずぼらな計画を立てていた。ずぼらな人間が繁忙期の引越し業者とやりとりできようはずもない。軽バンを借りての独力での引っ越しだった。
それでボクは引っ越し前日から荷造りを始めた。読み通り準備はさくさく進んだ。前の引っ越しで使った段ボールが中身の入ったまま放置されていた。それを閉じてその日の朝にコンビニで買ったガムテープで封印した。嵩張りそうな食器や書籍、スーツやコートはゴミ袋に詰め込んだ――どうして日雇い労働者がそれらを持つ必要がある?
夕方ごろから始めたので、さくさく進んだとは云っても夜通しの作業だった。外観的には夜逃げだった。本質的にも多分に夜逃げだったような気がする。住所と紐づいたあらゆる支払いを、あわよくば踏み倒そうと思っていた。家賃とか光熱費とか学費とか。
そうして予定日になって、ボクは一人車を走らせた。実際のところ引っ越しの日がその日である必要は特になかった。前にも後にも・誰とも何処とも予定はないから何時まででもその家に住み続けることができた。家賃を滞納して強制退去命令を喰らったとて、それから半年は居住する権利があることをボクは知っている。
ただ、片付けの途中で面倒くさくなってしまった。最低限の衣服とPC、分解した自転車を車に積んだ時点でなんかもうどうでもよくなった。とっ散らかった汚い部屋を見るのが嫌になった。
どうせ暖かくなるし布団はいらないか。炊飯器は年単位で洗ってなくて汚いしなくてもいいだろう。洗濯はコインランドリーで済む。冷蔵庫には腐って緑色になった牛乳しか入っていない。
ボクはほとんどのゴミを見て見ぬふりして目を瞑って――ここで云う「目を瞑る」は比喩であり、視覚情報なしに車の運転はできない――家を出た。自分が認識していなければ実質的にゴミは存在しない。失敗も、汚点も、後悔も。もし物質宇宙が人間の思考によって創造されたのであれば、それを仮想現実より上に位置づける特別な理由はないのだ。
立つ鳥跡を濁す。
考えてみれば、ボクは今まで他人に迷惑をかける立ち去り方ばかりをしてきた。小中高と卒業式には出たことがないし、ついていけなくなった部活は総体前に辞めた。ありとあらゆるバイトを連絡なしにばっくれた。大学を辞めたときだって誰にも何も話すことなく唐突に退学届だけ郵送で送り付けた。ゼミの先生からの電話や数少ない知人からのラインは着拒とアプリ消去で解決とした。未納の学費の請求書だけがしつこく追いかけてきた。
悲しいことに、唯我論にふけってみたところで現実は思い通りにはならない。今回だって同様だ。
引っ越して1週間後、前家の大家から清掃費の請求書が届いた。6桁あった。当然だった。いくつかの粗大ごみ、冬物の服とコート、その他大量の日用品、それらすべてを置いてきた。掃除も一切していない。風呂場には髪の毛が溜まったままだし、シンクは生ゴミでどろどろだった。
しかしながらレンタカーを借りた時点でボクの全財産は4桁になっていた。いくら大家が迷惑を被りその補償を求めたところでない袖は振れない。請求書は適当なダンボールの中に放り込んで再度ガムテープで封をした。みなかったことにした。一度身についた思想の様式はなかなか覆らない。
それから1ヶ月立ち、催促状が届いた。玄関に赤い封筒が落ちているのを見た――新居のポストは玄関ドアに付いている――ときは一瞬心臓が止まった。赤単色というのは非常に攻撃的なカラーだ。これ以上知らぬ存ぜずは通用しないなと流石のボクも観念した。速やかに銀行へ行くことにした。外は豪雨だったけれどそれを気にする余裕はなかった。つい前日バイト代が入金されていたのが幸いだった。
都会に住んでいる人には分らないだろうけれど、田舎の道はたとえ舗装されていようとも出所不明の土に塗れている。そしてクロスバイクには泥除けがついていない。
雨の中往復6キロの道程を走ったボクは、家に帰りついたときにはびしょびしょだった。シャツの背中の真ん中には一筋の泥汚れが出来ていた。自転車の後輪に巻き上げられた泥が飛んできたのだ。車輪が1回転するたびに。まっすぐ正確に。
この背中につく泥汚れを初めて見たときの困惑はよく覚えている。まったく心当たりのない汚れだったから小一時真剣に頭を抱えた。朝からの行動を振り返り、いったい何があったのか頭をフル回転させて考えた。結局原因が自転車の後輪だと分かったのはそれから数回同じ経験をした後だった。
クロスバイクはときに持ち主に唐竹割の太刀筋を残す。そう気づいたとき、ついでに長らくの疑問も氷解した。
ボクはずっと、雨の日にズボンの後ろ側の裾ばかりが汚れるのを不思議に思っていた。雨の中を歩くと必ず踵が集中的に濡れそぼる。傘のサイズと角度の問題かと思って傘の傾け方を色々試してみたけれど効果はなかった。いつもふくらはぎ~踵の部分が汚れた。サッカーの練習のとき着るピステなんかでは顕著だった。嫌で嫌で仕方なかった雨の日のクレーコートでの練習。泥が体に付いたそばから流されるほどの雨でも、しっかりとこびりつくアキレス腱まわりの汚れ。
その正体は自分が巻き上げた土だった。意外と気づかないけれど、歩くときの人の脚の動きは回転運動に近い。特に膝から下は二重振り子のように小さな弧を描き激しく動く。自転車の後輪のように。人間のふくらはぎが作り出す力のモーメントは結構大きいのだ。
脚が回転運動しているということは、自転車の後輪と同じように泥を巻き上げるということだ。そして足の裏についた土や水のベクトルは長ズボンの裾に向かっている。ボクは自分で自分に泥を吹っかけていたのだ。
清掃費を支払ったことでボクの預金はついに3桁に突入した。後足でかけた砂はいつだって自分に返ってくる。次は誰からどんな書状が届くだろう。
1 note
·
View note
逃避行。
課題を片付けるためにモンスターを流し込んで早朝を迎えた。課題がつまらなくなってパーカーを被りコートを着て、財布と鍵をもって家を出た。外は白んではいるもののまだ暗い。いま出てきたアパートをみると明かりはついておらず、寝静まっているようだった。
もさもさと積もっている雪を踏みつけるようにして歩く。大きな道路に出てしばらく歩いていると、バス停に始発とおぼしきバスがやってきて、何人かの乗客をそこで携えていた。勢いでそれに乗り込んで揺られてみる。
そのまま乗っていると、海の方に向かっているみたいで、身を任せてそのまま海が一番近いバス停で降りて、潮臭い方へ歩いていた。こんなパーカー一枚で防げるような寒さならよかったけれど、さすがに寒かった。歩くスピードをあげてハーバーに来た。
ハーバーといえば船があるけど、どれも今日は動かないみたいだった。海の様子は凪のようで水面が鏡のようになっていた。穏やかで波がほぼなく、風もほぼない。サークルでやっていた帆船は凪では走れないけど、その状況は結構好きだった。静けさが生む緊張感のようなものがあって、それからサークルの誰かの悪のりで風起こしと称した飛び込み大会も始まったりする。俺が好きなのは船外機つきのボートに乗ってニュートラルギリギリ手前のアクセル状態でゆっくり回船するときだけど。
海まで歩いて見知らぬハーバーのおじさんに気軽に挨拶して、なんでここにおるんじゃ、と言われたから散歩散歩、もう帰る、といい踵を返した。そのまま国道沿いを歩いて、ようやく空が明るくなってきた頃に、バス停で立ち止まった。予約の要らない高速バスで札幌まで乗れる。始発の次くらいのバスだったけど、ひとは全然乗っていなくて、バスに乗ってきた手ぶらな俺を運転手は一瞥して数取機をかちりと一度押した。
朝早くにこんなバスに乗るひとはよっぽどの用事があるのだろう、ビジネスマンや学生が何人か乗っていた。
課題の提出は明後日。けれど明日までには終わらせたいな。そんなこといって札幌に向かっている馬鹿野郎だった。
海の見える右側の窓側の席に身を沈めてシートベルトをかちりと締めてからパーカーのフードを被って目を閉じた。あとの面倒なすべてがどうにかなってくれますようにと無駄な神頼みをして眠りについた。
2 notes
·
View notes
空みたい海みたい
陰日向の多肉植物の葉が茶けてぶよぶよに腐っているのを見たとき、ああこれでやっと自分の中に衣吹くんと別れる明確な理由を見つけられたと思った。
「水を遣るのは月に一、二回でいいの。それ以上では腐ってしまうから」
何度説明しても、衣吹くんはそれに対して「なんか可哀想な気がする」との言葉を返した。あのね、衣吹くん。衣吹くんのそのピントのずれた愛情こそが、この植物を水中毒で殺しちゃった要因なんだよ。そうやってはっきりと言ってやったなら、彼は一体どれぐらい盛大に顔をしかめて、どれぐらい私への言い訳を重ねるのだろう。
結局私は衣吹くんのそういう言い訳がましいところをどうしても好きになれなくて、きっと衣吹くんだって私のこういう言葉尻の冷たいところをどうしても好きになれなかったのだと思う。大学のサークル内で知り合い、就職を機に一緒に暮らし始めて一年と六ヶ月。好きな音楽も、好みのファッションも、味覚も性格も笑うポイントも、何もかもが相容れない私たちの唯一の共通点は「異常なほどに青色が好き」ただその一点で、本当に、それだけを理由として恋愛関係を貫いてきた私たちはよくここまで続いたものだと自分でも感心してしまう。
晩御飯を食べながら同棲の解消を申し出たとき、衣吹くんは間の抜けた声を上げて驚いていた。けれどそれもわずかな時間だけのことで、しばらくすると彼は、
「あー……、となると俺も引っ越さなきゃだ。ふたりだからここの家賃も払えていたわけだし、ひとりになるならこの広さは要らないもんなあ」
そうして食べ終わった食器をシンクに置き去りに、通帳を見ながらかったるそうに電卓を弾き出す。ずっと前から私の心持ちがそうであったように、衣吹くんの中でも私はとっくの昔にただの“同居人”へと成り下がっていたのだろう。友人などの部外者からどう見えていたのかは知らないけれど、少なくとも私たちの認識が共通して「愛しの恋人」などという甘ったるいものであった時期なんて暮らし始めてから最初の数ヵ月そこらが精々だったはずで、それに関して私自身「私たちなんてそんなものだろうな」としか思えない。それでもこの事実はどうしても私の心にある何らかのしこりの輪郭を明らかにする。
衣吹くんがブツブツ数字と格闘する声を背に、私はふたり分の食器を洗う。冷しゃぶを載せていた、掌を広げたよりも大きな紺色の平皿。モヤシと韮のナムルは空色の小皿に、取り皿に使ったコバルトブルーの豆皿は駅前の雑貨店で四枚ずつ買ったものだ。衣吹くん用のお茶碗はネイビーブルー、私のお茶碗は茄子紺。ふたつ揃いのマグカップはそれぞれ浅葱色と白群、お互い気分によって好きなほうを選んでいた。
家にある全ての食器が青いだなんて、この街じゃきっと私たちだけだよね、と顔を見合わせて笑った一年六ヶ月前の私たちが今の私たちを見たら、一体どんな顔をするのだろう。訳もなくスポンジを繰り返し握り締める。肌理の粗い泡が立つ。
「なあー、未波はいつごろ出て行きたいとかあるの? 特にないんだったらさ、悪いんだけど二ヶ月ぐらい待ってもらえない? せっかくならじっくり家探ししたいけど、俺いま仕事死ぬほど立て込んでてしばらく内見だ荷造りだってできそうにないんだよな。となるとまあ先延ばしにはなっちゃうけど、お互い三月の引っ越しシーズン辺りに新居探しに行ったほうがむしろ得な気がするんだよね。そっちのほうが絶対、いま慌てて決めるよりいい部屋見つけられるだろうし。あ、それとも未波は実家戻る予定だとか?」
蛇口をひねる。スポンジごと右手を水道にかざす。白い泡が排水溝へと吸い込まれていく。
「……んーん、私もまたひとり暮らしする予定。確かに三月くらいのほうが空き部屋の数も多いだろうし、そっちのがいいかもね。じゃ、お互い目標はその辺りってことで」
衣吹くんとの生活もあと二ヶ月だけなのだと思うと、自然と嫌味は出てこなかった。
最後ぐらいは常に笑顔で、冷たい言葉を慎んでいよう。たとえ、衣吹くんがどれほどの言い訳を重ねたとしても。
そこからの二ヶ月間を衣吹くんがどう感じていたのか私にはこれっぽっちもわからないけれど、少なくとも私にとってこの二ヶ月は彼と同棲した一年八ヶ月で最も幸福な時間だったと言い切ることができた。当たり前のことだ、私たちはもう二ヵ月前に恋人としての生活を暗黙の了解として終えていて、それ以降私たちはお互いをただのルームメイトとして扱うことに徹したのだから。
私は衣吹くんの後に入る湯船に髪の毛が浮かんでいても苛立ちを覚えなくなっていたし、お茶を飲んだだけのコップをシンクに放置されても「だらしないな」と思っただけで済んだし、何となく流しただけの映画に手を繋ぐシーンが出てきても、キスシーンが出てきても、それ以上のシーンが出てきても、私たちには自らにそういったノルマを課す必要がなかった。おそらくは衣吹くんも、私が食器棚の扉を半開きにしたままなのを見ても苛立たなかっただろうし、私が出しっ放しにしたままの基礎化粧品を見ても何とも思わなかっただろうし、風呂上がりの私が薄着でくつろいでいても、この二ヶ月ただの一度も抱き着こうとはしなかった。恋人であることを辞め、同居するだけの他人として一定の線引きができるようになった私たちは、誰が見ても適切な形でお互いを尊重し、そうしてお互いに干渉することへの興味の一切を失った。
そもそも私たちは恋人になんてなるべきじゃなかったのだと思う。
同じ大学の、好きな色が一緒で、何となく話しやすい異性の友達として、だらだらと時間を無駄にして馬鹿みたいに楽しいことだけを共有しておけばよかったのだと思う。他の友人を介し、たまに飲みに行って、お互いを異性として意識することもなく、だから恋仲になることもなく、そうしているうちにどこかで飽きがきて、少しずつ疎遠になっていけばよかったのだと思う。
そうしたらきっと、きっと私たちはこんなふうにお互いを「もうどうでもいい人だしな」なんて諦めずに済んだはずなのだと思う。
こんなにも悲しい気持ちを、こんなにも淡白な状態で知ることなんてなかったはずなのだと思う。
三月。上旬に衣吹くんが駅から少し遠い川沿いのアパートを、中旬には私も地元密着型のスーパーからほど近い���パートを契約し、四月の第一週にお互いこの部屋を出ていくことになった。
私が新しく暮らすアパートから駅へ向かう途中にも幅の狭い川があって、内見に向かう道中にはその川の両脇に咲く桜の花を眺めた。不動産屋と「綺麗ですねえ」「そうですねえ」なんてありふれた言葉の応酬をしていると、道路の向こうから散歩中の園児がカートに載せられこちらへ近づいてくるのが見えた。子どもたちは口々に「きれいだねー」「かわいいねー」「ピンクだねー」と笑っている。不意に利発そうな男の子が、
「おいしそうだねー」
とおかしなことを口走って、カートを曳いていた保育士が、
「食べられないねー」
慣れた様子で彼を窘めていた。盗み聞きなんて趣味が悪いとはわかりつつ、思わず吹き出してしまうと、彼らの会話を聞いていなかったのだろう不動産屋が不思議そうな顔で私を見る。いえ、すみません、何でもないんです、などと適当に誤魔化して、私は再び内見先へと歩を進めた。不動産屋が辺りの特徴をぽつぽつ挙げていくのを話半分で聞きながら、たぶんこの場に衣吹くんがいたなら不動産屋と同じ反応をしただろうな、とそんなことを考えた。衣吹くんが契約した川沿いのアパートの近くにも桜の木はあるのだろうか。特に理由はないけれど、ないといいな、と思う。
三月も下旬辺りになると、部屋中が茶色いダンボールまみれになっていた。衣吹くんが依頼した引っ越し業者のダンボールに描かれた鳩と私は数分おきに目が合い、私が依頼した引っ越し業者のダンボールに描かれたパンダは衣吹くんから「笑いかたが気味悪いんだよな」と何度も罵られていた。家財はそれぞれ等分ぐらいの金額になるよう譲り合い、お互いこれから始まるひとり暮らしには邪魔になりそうなソファーやダブルベッドは専門の業者に引き取ってもらう方向で話しがついた。多額の処分料がかかるかと心配したが、むしろふたりで割ってもその日の夕飯には充分すぎるお金で買い取ってくれるという。有り難いことだ。
四月の第一週、金曜日。私たちがこの部屋で共に過ごす最後の日だった。明日の午前に私はこの部屋を発ち、明後日の昼過ぎには衣吹くんもそうなる。数日前までは、最後の晩餐ぐらいパーッと外食でもしようかと話していたのだけれど、どうしても冷凍食品を食べ切れないまま今日まできてしまい、捨てるのも勿体ないからと結局こうしてふたり青色ばかりの皿をダンボールの上に並べ、無駄に品数の多い冷食だらけのディナーを囲んでいる。お湯で温めただけ、チンしただけ、自然解凍しただけの夕食も、いつもの青い皿に載せてしまえば普段通りの食事と同じ顔をして私たちに食べられるのを待っていた。どちらからともなく戴きますと手を合わせ、そっと箸をつける。肉厚なハンバーグからは肉汁がジュワッと溢れ出し、大口で頬張ると蕩けたモッツァレラチーズが上顎へ直に触れ思わず「あち」と慌ててしまう。
「なあ未波。俺、前から思ってたんだけどさ……」
ハンバーグを咀嚼した衣吹くんが、軽く俯いたまま私に話しかける。なに、と返事をするよりも早く彼は、
「青い皿って、なんとなくまずそうに見えるよな。飯が」
俺、ずっと嫌だったんだ。そうにへら顔で笑った。
「……何それ。いまさら言う?」
衣吹くんの言葉を受け、この二ヶ月間ずっとこらえてきたような冷たい言葉を返しながらも、思わず吹き出してしまう。だって、全く同じことを私もこの一年八ヶ月の間彼に言えずにいたのから。
ふたりとも、青が大好き。それだけの理由で親しくなった私たちは、この部屋に入れるものはできるだけ青で揃えてきた。カーテンも、カーペットも、ベッドシーツも布団カバーも枕カバーも、デニムなんて黒や白がほしくとも無理に青を選んでは、衣吹くんに見せて「似合うね」「そうでしょう?」と笑い合ってきたのだ。同棲を初めてふた月ほど経ち、見事青にまみれたこの部屋を衣吹くんは「空みたい」と言い、私は「海みたい」と言った。衣吹くんがそれに気づいていたかはわからないが、私の発した、海みたい、には軽い侮蔑の気持ちが込められていた。
「青色、確かに好きなんだけどさ、なんつーか……、俺、正直にいうとここまでじゃないんだよな」
「ああもう何それ、私だってそうだよ。最初に言ってよ。私なんてもう青い服だらけなんだよ。ほんとは赤とかピンクとか黒とかも着たかったよ」
「俺だって青いデニムのコートなんか買いたくなかったよ。本当はあれブラックのほう狙ってたんだからね。未波と買いに行ったから青にしたけどさ、ひとりで行ってたら確実に黒を買った」
「私、衣吹くんにずっと内緒にしてたけど、ブルーハワイのシロップ苦手なんだよね。一番好きなのはレモン。次がいちごで、その次はメロン」
「青じゃねえじゃん」
「そう、青じゃないんだよ」
お互いくつくつと小刻みに肩を揺らして笑う。先ほどまでは湯気の立っていたハンバーグがどんどんと冷めていく。それでも私たちはこれまでの隠し事や嘘を一つずつ、まるでパレットの青絵具を薄めるようにしながら丁寧に暴いていった。
「衣吹くん、青が好きだからメロンソーダが好きって言ってたじゃん。あれ初めて聞いたとき私『いやそれ緑じゃない?』って思ったんだよね」
「あああれね、俺も言いながら心の中でしくじったなーって思ってたわ。だってメロンソーダなんて好きじゃねえもん。あの頃まだ付き合ってなかったから。未波の気を惹きたかったんだよな。音楽家も作家も俳優も、未波、何一つ俺の“好き”と被ってなかったからさ、このままだとやべえ、何かこじつけなきゃって焦ってさ」
「ね、ほんとに私たちって趣味合わなかったよね。それこそ付き合う前、衣吹くんから『青色が好きなら、ブルー・マンデー・ムーンとか聴いてる?』って訊かれたとき、私それが曲名なのかバンド名なのかもわかんなかったんだから」
「俺、あのバンドは青とか関係なく好きだからね?」
「私はピンとこないんだよね。歌詞とかもう訳わかんないよ、いちいち回りくどいし」
「だー、そこがいいんだよ」
ダンボールの上に並ぶいくつもの青い皿を境として、私たちはどこまでもクリアに、親し気に話を続けていた。何一つ勘ぐることなく、気遣うことなく、気後れすることだってなかった。きっと私たちは青色になんか頼らずに、最初から、こんなふうに軽口を叩いておきさえすればもっと近しい距離で互いを認め合えていたのかもしれない。私たちはずっと馬鹿の一つ覚えみたいに青いものだけを揃え続けるばかりで、ずれたピントを直そうともしなかった。
明日の午前、この青まみれの食器を一枚残らず置き去りに、私はこの部屋を出ていく。ふたりで過ごす最後の夜を、私たちは軽快に罵りながら笑い合って過ごしている。窓際に吊るされたままの青いカーテンが、空みたいな、海みたいな顔で私たちを窓の外の濃紺から区切っている。
3 notes
·
View notes
神戸・教員間いじめ事件の衝撃2019年10月、教員による教員「いじめ」が大きく報道された。舞台は神戸市立東須磨小学校。インフォーマルな権力を掌握した教員グループが、他の教員たちを習慣的に辱め、暴力を振るい、奴隷化し、そのことを楽しんでいた。被害教員を恥辱にまみれさせる嗜虐あそびの数々は、奴隷プレイともいうべきしかたで、生きることのすべてをきめ細かく「わがもの」につくりかえようとするものであり、全人的な教育・指導(人格支配)の創意に満ちていた。またそれは、職場を加害教員グループを中心とするお祭り騒ぎで埋め尽くす、政治的な空間占拠の営みでもある。彼らは、ここはオレたちを中心とした祭りで埋め尽くされた世界であるという「現実」をつくりあげ、逆らうことはできないぞと他人を畏怖させ、支配を確かなものにする。被害教員を(それが人間だからこそ)人間以下の存在に変形させるお祭り騒ぎによって、あそびの「感動をわかちあい」、職場を「感動でいっぱいにする」ことは、自分たちの勢いを中心として「指導力」がすみずみに広がる集団形成をもたらし、逆らうと怖いぞという権力の誇示にもなっている。「人間まるごと支配」の祭りと、人間関係の利害・権力政治が一体となり、人格モードが変わった教員たちはおぞましい別世界をつくりあげていた。 〔PHOTO〕iStock もちろんこのような「世界」は、市民社会の基本的なかたちと相容れない。現代の先進諸国は人間の尊厳に高い価値をおく。人は個人として尊重される。奴隷的あるいは家畜的な扱いを受けない。人格支配は許されない。すべての人は人間として平等である。もちろん限定された職務の範囲において職務権限の不平等は必要だが、それは、人間「まるごと」が上位者たちに「なかよくしてもらえるよう」に変わる――生まれ変わる――ことを求める身分関係ではない。これが市民社会の基本的なかたちである。しかし日本の学校は、多かれ少なかれ、子どもだけでなく教員にとっても、「何があたりまえの現実であるか」が市民社会と異なる別社会になっている。それは学校だけではない。「社畜」「ブラック企業」などと言われ、人格支配がまかりとおる日本の職場についても、同じことが言える。 わたしたちが生きる日本は、中間集団全体主義にまみれた社会だ。中間集団全体主義は、人格支配を必須条件とする。市民社会の論理とは相容れない。各人の人間存在が共同体を強いる集団や組織に全的に(頭のてっぺんから爪先まで)埋め込まれざるをえない強制傾向が、ある制度・政策的環境条件のもとで構造的に社会に繁茂し遍在している場合に、その社会を中間集団全体主義社会という(『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』253ページ)。東須磨小学校の閉鎖空間では、私たちの社会のすみずみにいきわたる中間集団全体主義が、極限的、集中的、典型的にあらわれた。これは、私たちの顔をくっきりと映し出す倍率を高くした鏡である。人間を不幸にする社会のしくみは、「あたりまえ」の生活に埋め込まれている限り、いつまでも続く。「それ」として見えてこないからだ。今回の極限的な事件は、人が人をいためつけ、人が人を恐れて生きなければならない中間集団全体主義の場のしくみを、くっきりと浮き彫りにする。そして、これを社会問題にすべきではないかと問いかける。「殺してやる」「どうなっても知らんぞ」まず報道を用いて、教員たちの群れがつくりあげていた、「別の世界」を紹介する。現校長(前校長のもとで教頭であったが今年2019年になって持ち上がった)は、加害教員たちについて話す。「この4名の教諭は本校の中核教諭です。指導力とともに力を持ち合わせ、私もこの先生から教えてもらうことが多かったです」「自分より力があり、口出しできなかった」(『FNN PRIME』2019.10.08)。このグループが生じた経緯については、次のように報じられている。前の前の校長が一昨年(2017年)4月、後にグループの中心になる加害教員を東須磨小学校に呼んだ。この教員の周囲にイジメ集団が形成された。この教員は、前の校長にも気に入られていた(『週刊新潮』2019年10月31日号)。校内でインフォーマルな権力を掌握し、だれも逆らうことができなくなった加害教員グループは、以前の校長たちのもとで勢力を拡大していった。 東須磨小学校に勤務していた元教員は証言する。前校長は、「あいつは今から切る」「殺してやる」といった発言をしていた。殺すというのは、���の(教員の)世界で生きることができなくしてやるという意味なのだが、そういうことはしょっちゅう言っていた。前校長は、「裏切った奴らの方に付くんだったらオレは遠慮なくあんたのことは切るからな」「どうなっても知らんぞ」とことあるごとに言っていた(フジテレビ『バイキング』2019年10月16日放映)。被害者の一人は、昨年2018年の12月に前校長に相談しようとしたが、「それはいじめじゃないよな」「いじめられてないよな」と繰り返し言われ、「仲は良いよね」と念を押された。また、「(加害教諭から)お世話になっとるやんな(世話になってるよな)」とも言われた。前校長は、近隣学校の親睦会に欠席すると伝えてきた教員に「お前、オレの顔に泥を塗ってええんか」と脅した(教頭時代)。酒を飲めない教員に強制的に酒を飲ませた。書類を渡しに来た教員に、「お前、タイミングを考えろよ。俺がイラついているのが分からんのか」と凄んだ。以後その教員は他の教員に「今、〇〇先生に話をしに行ってもよいですか」とメモで事前確認をしなければならなくなった(教頭時代)(『週刊文春』2019年10月31日号)。想像を絶する加害行為の数々加害教員グループの行為については、次のようなことが報道されている。(1)身体を押さえつけ、歓声を上げながら、激辛のカレーやラーメンを強制的に食べさせる。その激辛の汁を目に塗りたくる。焼き肉のタレを大量に飲ませる。(2)新車の上に乗る。車の中で液体をぶちまける。鞄に氷をいれる。髪の毛や服にノリをつけて、パリパリにする。児童へ配布するプリントに落書をきしたり、水で濡らしたりする。はいていたジーンズを破る。パソコンのキーボードを壊す。携帯電話にパスワードを入力して使えなくする。(3)被害教員の尻を棒状のもので叩き、みみず腫れが生じた。足を踏みつける。プロレス技をかける。椅子を蹴る。被害者が『痛い、痛い』としゃがみ込むほど強く、叩いたり、蹴ったりする。熱湯の入ったやかんを顔につける。首をしめて呼吸困難に陥らせる。ビール瓶を口に突っ込んでビールを飲ませる。ビールのから瓶で頭をたたく。被害教員(男性)の乳首を掃除機で吸う(『週刊新潮』2019年10月31日)。(4)「ボケ」「カス」「クズ」「とろい」「犬」「ポンちゃん(ポンコツの意味)」などと言う。「毎日、…〝性病口〟〝くず口〟〝うんこ口〟〝ごみ口〟などと呼」ぶ(『週刊新潮』2019年10月31日号)。(5)飲食を強要する。仕事をしているのに自動車による送迎を強要する。ダイエットを命じ、体重増減のこまかな報告を要求する。(6)被害教員が担任をしているクラスの児童に「反抗しまくって、学級をつぶしたらいい」とけしかける。被害教員を侮辱し痛めつけるさまを児童におもしろおかしく話す。児童に被害教員のことを「犬のような存在」と言う。(7)猥���メッセージを送るよう、強要する。「そろそろ生理ちゃうんか」などと女性教員の生理周期を話題にして笑いものにする。しゃがんでいるときに見えた女性教員の下着をみなのまえで話題にする。しゃがんでいる女性教員に後ろから接近し、足で尻を持ち上げるようにして接触する。セクハラの被害教員を、頭が揺れるほど叩いたり、運動会でひきずって怪我をさせたりする。(8)男性教員と女性教員に性行為を強要する。さらに性行為を画像にとって報告するよう命令する。 これについては『週刊文春』が詳細に報道している。 …A(加害教員)が、Z先生(被害教員男性)に向かってこう尋ねた。「そういえばお前、体重なんぼまで落ちてん?」…Z先生はAと男性教員Bらから、ダイエットを命じられていた。…体重の増減は、数値の見える体重計の写真をLINEに送ることで、Aらに管理されていたが、その日、Z先生の体重を確認したAは、ニヤつきながらこう言い放ったという。 「おっ、痩せてるやん。ご褒美に約束通り、Y(女性被害教員)と(性行為の意で)ヤろか」 Aから性行為を強要されたY先生とZ先生は、拒否の意思を示した。だが、Aはうら若き女性のY先生にこうたたみかける。 「じゃあこの後、Zのチンコ握るくらいはせぇよな」 さらにAは、後で行為の証拠画像を送って来るようにと念押しまでした。…Aは「ネットで拾った画像を送って来ないように」と、Y先生の手に、黒いペンで目印となるマークを付けたのだ。…解散間近、AはY先生とZ先生に追い打ちをかける。 「お前ら、(さっき言ったことを)今日やらんかったら知らんぞ」 …「(証拠画像は)汚いからオレの携帯には送ってくんなよ。X(被害教員)の携帯に送れ」 …X先生のスマホが、メールの受信を告げる。画面を開くと、Aが命じた行為を実行したと思しき画像が映し出された。男性の陰部を握る女性の手には、Aが付けた黒い印が残っていた。…その後、Aはこの経過を面白おかしく同年配のBに話し、「Zが射精した」と二人で笑いの種にしていたという。(『週刊文春』2019年10月24日号、22~23ページ)(9)被害教員(男性)が交際している女性についての性的なデマによる侮辱、および下着・性的画像・接触の要求。これについては『週刊新潮』と『週刊文春』が報じている。加害教員は、被害教員が「交際している女性についても、〝やりまんと付きあってるもんな〟〝俺、お前の彼女とエッチした〟〝お前の女、すぐ股開くで〟〝軽い女やから〟」などと言った(『週刊新潮』2019年10月31日号)。 C(加害教員)はX(被害教員)に『Y(Xが交際している神戸市内の女性教職員)の下着を持ってこい』とか『下着の写真を撮ってこい』と要求するようになった。Xのスマホを取り上げ、勝手にフォルダをスクロールして彼女の写真を探したこともあった。「オレはYと一発ヤッた」と言い出して、性器の特徴まで妄想して、ニヤニヤと語り始めた。CはXに、Yについての性的写真をしつこく要求した。Cは、自分がつくった粘土細工をXに渡し、それをYの自宅アパートに飾っておくよう命令した。そしてXに、「おい、彼女の下着をはやく見せろよ。そういえば、粘土細工を渡したよな。オレの作品を部屋にちゃんと飾っとるか、今から行って確認させろ」と言って、実際にYの自宅にやってきた。Cは何度もYの自宅前までおしかけた。Cは飲み会の帰りにXの車に乗り込むと、自宅ではなく、Y宅に向かうようXに指示したこともあった。Cは、Yの家に上がり込み、わいせつな行為に及んだとする噂を生じさせた。(『週刊文春』2019年10月31日号)(10)被害教員が出張にいくとき「甘いもんを買ってくるのが礼儀やろ」と強要し、買ってくると「こんなもんで好かれようとするな」といって、目の前でお土産を捨てた(『週刊新潮』2019年10月31日号)。(11)思い通りにならないと感じた児童の体を突き飛ばす。被害児童は骨折した。学校組織はそれを警察に届けず、闇から闇に葬った。市教育委員会は、「突き飛ばしたのではなく、児童をバレーボールのコートの外に出そうとした際に児童の足がもつれて転んだ」と説明した。児童に「あなたのことが嫌い」と言う。急に椅子を引いて児童を転倒させる。被害児童は頭を打った。加害教員について次のように言う保護者もいた。「本当に熱心で、親身になってくれる先生だったんです。問題を抱えた子の家に何回も足を運んだり、イジメやセクハラをしていたなんて信じられません」(『週刊文春』2019年10月31日号)。現校長は一連の虐待行為を教育委員会に報告していなかった。事件が大きく報道された後の記者会見で、ときに泣いたりしながら、誠実そうな表情で、「本当に被害教員には申し訳ないが、そういうことを感じたり気づくことはできなかった。隠蔽という意図は一切私の中ではありませんでした」と答える。それに対し、東須磨小学校で勤務していた教員は、「私は、被害者が暴力的なパンチやキックをされているのを、主に職員室内で見た。教頭(現校長)は同じ職員室内で仕事をされているので、余計目にする機会は多かったんじゃないかと思う」と証言する(フジテレビ『バイキング』2019年10月16日放映)。また現校長は、教員の加害行為を問題にする保護者に対し、「先生にも、そして皆さんにも本当にごめんなさいの気持ちでいっぱいです。これから先生たちみんなが仲良くなるように、先生たちは全力で力を合わせて一生懸命がんばります」と答えた(『FNN PRIME』2019年10月8日)。10月16日に開かれた保護者会で学校側は加害教諭4人のコメントを公表した。そのうちリーダー格の40代女性教諭のコメントは次のようなものだった。「自分の行動が間違っていることに気付かず、被害男性が苦しんでいる姿を見ることは、(今まで)かわいがってきただけに本当につらい」。なぜいじめが起こるのかこの事件を、マス・メディアは集中的に報道した。テレビでは、「立派で尊敬すべきはずの先生がこんなことをしている。あきれた。ゆるせない」という感情のストーリーをあおる報道が目立った。ここで起きていることの大筋は、本稿のはじめの部分で述べた。上記報道による紹介を読んだあとで、もう一度、はじめの部分の論述に目を通していただきたい。一言でいえば次のようになる。(1)学校と教育が特別扱いされる現行制度に支えられた構造的な閉鎖空間のなかで、(2)嗜虐的攻撃(いじめ)の筋書を用いた遊びによる悪ふざけのお祭り騒ぎと、(3)利害権力政治が、(4)不可分に結合し渾然一体となることで、(5)大きな市民社会のなかで「何があたりまえであるか」の別領域となった祭政一致の小さな社会が生じた。 以下、今回の事例を検討しながら、この「祭」と「政」の詳細を分析する。加害教員が行った嗜虐的迫害の内容は驚くほど多彩である。一見すると一つ一つがバラバラでまとまりがなく、理解しがたく感じられるかもしれない。しかし、そのほとんどは、以下で説明する全能筋書〈遊びたわむれる神とその玩具〉によって組み立てられていると考えれば、一貫した論理のもとで理解可能になる。戦略的攻撃と嗜虐的攻撃は、結合していることが多いが、それ自体、別のものである。たとえば、ピストルを突きつけて脅した後に口封じのために撃ち殺して金を奪うといった行動は、通常、「金を手に入れるためにピストルで脅し、口封じのために射殺する」といった戦略的攻撃の側面と、「ピストルをつきつけられた被害者がブルブルふるえて失禁するさまを見てゲラゲラ笑う」といった嗜虐的攻撃の側面が結合している。嗜虐的攻撃は、独特の欲望のひな型を満たすことをめざす攻撃である。この欲望のひな型は、全能を享受することに向けられた筋書の一種である。説明しよう(以下引用箇所では嗜虐的攻撃を「いじめ」と表記している)。【他者コントロールの欲望のひな型】他者をコントロールする全能というものについて、掘り下げて考えてみよう。たとえば、コップを壁にたたきつけて粉々に砕いても、そこには他者コントロールの手応えはない。それに対して他者は、自己とは別の意志を有しており、独自の世界を生きている他者である。だからこそ、いじめ加害者は、他者の運命あるいは人間存在そのものを深部から、自己の手のうちで思いどおりにコントロールすることによって、全能のパワーを求める。思い通りにならないはずの他者を、だからこそ、思い通りにするのである。これを、他者コントロールによる全能と呼ぼう。他者コントロールによる全能には、さまざまなタイプがある。いじめによるものは、そのうちのひとつだ(『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』74~76ページ)。それでは、嗜虐的攻撃(いじめ)の欲望のひな型は、どのようなものか。【嗜虐的攻撃(いじめ)の欲望のひな型】いじめの加害者は、いじめの対象にも、喜びや悲しみがあり、彼(彼女)自身の世界を生きているのだ、ということを承知しているからこそ、その他者の存在をまるごと踏みにじり抹殺しようとする。いじめ加害者は、自己の手によって思いのままに壊されていく被害者の悲痛のなかから、おもいどおりにならないはずの他者を、だからこそ、思いどおりにする全能を生きようとする。このような欲望のひな型を、加害者は前もって有しており、それが殴られて顔をゆがめるといった被害者の悲痛によって、現実化される。これがいじめの全能筋書である(『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』77~78ページ)。【嗜虐的攻撃(いじめ)の全能筋書のレパートリー】嗜虐的攻撃の全能筋書は、具体的な迫害行為の場面で、さまざまなかたちをとる。これらはすべて、もともとあった他の筋書が、嗜虐的攻撃の全能筋書に転用(流用)されたものである。代表的なものは、次の三形態のレパートリーである。(1)〈破壊神と崩れ落ちる生け贄〉: 加害者が力を加えると、被害者は、その爆発的な勢いによって瞬時に崩れ落ちる。子どもが積み木を一気に崩すときのような筋書の転用(流用)。(2)〈主人と奴婢〉: 命令―使役の筋書の転用(流用)。(3)〈遊びたわむれる神とその玩具〉あるいは〈遊ぶ神〉: 悪ふざけによって、通常の世界の条理を、条理が条理であるからこそ「ありえない」やりかたで変形させることは、世界そのものを自在につくりかえているかのような全能筋書となる。全能は、笑い転げるというしかたで享受される。遊びたわむれる神は笑いながら世界を破壊しつつ創造する。つまり、あらたな接続線を引いて世界の別次元の脈絡をありえないようなやりかたで強引に結びつけ、思いのまま��条理そのものを一気に破壊しつつ再創造する。そして、その思いもよらぬ形態変化の愉快なかたちに笑い転げるのである。この論理は抽象的に考えればムズカシそうであるが、具体例を挙げれば、わかりやすい。たとえば通常は口から吸うたばこを肛門にさして、肛門から吸うしぐさをし、これをホタル(尻が光る昆虫)と命名する(学生の体験談より)。こういうものである。こういった楽しい遊びのストーリーが、嗜虐的攻撃の全能筋書として転用(流用)される。この全能筋書〈遊ぶ神〉のレパートリーが、人間の嗜虐的攻撃に最悪の「豊かさ」を付け加える。たとえば児童生徒による嗜虐的迫害(いじめ)事例をみると、よくここまで思いつくものだと感心せざるをえない遊戯的様式を、加害者たちは創造する。たとえば、手に積ませたおがくずにライターで火をつける。靴を舐めさせる。ヒモで首を縛って四つんばいにして犬にする。草を食わせる。便器に顔を突っ込む。性器を理科の実験バサミではさんだり、シャープペンシルを入れたりする。スカートを頭の方で結び視界と自由を奪ったうえで、予期せぬ身体的侵襲を加える虐待遊びを、「茶巾絞り(ちゃきんしぼり)」と命名する。そこには歌や奇妙な命名や振り付けがしばしば付随する。また、ルワンダや旧ユーゴなどでみられたように、民族紛争時の民兵が、ただ殺すのでなく、なぶり殺しを行う(さらに強姦がその「味つけ」に加わる)ときの、創意に満ちた「なぶり」の要素を生み出すのが、全能筋書〈遊ぶ神〉である(『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』84~97ページ 要約と加筆)。この理論について詳しくは拙著『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』を参照されたい。学術書としては『いじめの社会理論――その生態学的秩序の生成と解体』がある。 〔PHOTO〕iStock 性的に「おもうがまま」にすること今回の東須磨小学校の事件に特徴的なのは、全能筋書〈遊ぶ神〉が突出している、ということである。加害教員が被害教員を嗜虐的に痛めつける筋書のレパートリーのうち、〈遊ぶ神〉が圧倒的に多い。加害教員たちが行っていたお祭り騒ぎは、広い社会では何の利益ももたらさない純然たる愚行であるが、閉鎖的な世界ではきわめて合理的な権力政治の手段になっている。実際に彼らは世渡りがうまい。自己コントロールも人並み以上である。加害教員は前校長のお気に入りでもあった。前校長が、些細なことに難癖をつけて下位者を痛めつけるありさまを紹介したが、このような前校長にへつらって気に入られるためには、かなりの自己コントロール能力が必要である。加害教員たちは、市民社会から遮断された人間関係の政治において、きわめて合理的にふまっている。それは次のような祭政一致の政治である。 (1)お祭り騒ぎの勢いによって、ここにいるオレたちが勢いの中心なんだゾということを絶えず示し続けることができる。(2)そのお祭り騒ぎが嗜虐的迫害(いじめ)であるから、他の人たちはものすごい恐怖を感じる。このことによって、他人を恐怖で支配することができる。(3)もともと日本の学校は構造的に、その場その場の「みんな」の感動が響き合い「ひとつになること」、「わたしたちの日々のがんばり」、主流のムードに同調して「なかよくすること」が、規範の準拠点になりがちである。規範の準拠点とは、神とか、天皇とか、法とか、人間の尊厳といった、「よい/わるい」を決定する、これ以上根拠をさかのぼることができない畏怖すべき参照点である。このような小社会で、お祭り騒ぎの勢いの中心になることは、自分たちが生み出す「みんなの」勢いが、神のように畏怖すべき規範の準拠点になるということでもある。勢いの中心にある側に逆らうことは、力関係上大きな損失があるとか、気持ちのうえで圧倒されるとかいったことだけでなく、「なかよくする」「みんなで気持ちを一つにする」という最高規範に反しているという罪悪感をもたらす。加害グループがインフォーマルな権力を掌握し、日々お祭り騒ぎを積み重ねることが、「よい/わるい」の基準自体を外部の市民社会とは別のものにする。彼らはこうして、悪ふざけを積み重ねながら祭政一致の別世界をつくりあげる。これは生物学でいう「ニッチ構築」にあたる。(4)「おもしろ」と恐怖が一体となったお祭り騒ぎは、サブリミナルなところから、人格のまとまりをすり抜けて情動を反応させ、パブロフの犬のような反応の連鎖としての人間の集合体をつくる。こうして人間存在の深いところから被害者を、調教された動物のように従属させることができる。このような祭政一致の「おもしろ残酷遊び」は、進行するにつれて性を手段とするようになりやすい。それは、性が人間存在の深み、核心、根底にあると感じられているからである。だからこそ、それを思うがままに破壊してつくりかえることは、他者の人間存在を「わがもの」にする営みが完成形に近づくあかしとみなされる。性が人間存在の深部が賭けられた領域であると感じられるからこそ、嗜虐的虐待がエスカレートするにつれて、性という媒体が入り込んでくる。多くの前近代社会では、勝った側が負けた側を性的に「おもうがまま」にすることは、その力の輝きを示す営為として当然のことであった。預言者モーセが率いるユダヤ人集団はミディアン人集団との戦争に勝ち、男たちを皆殺しにし、女と子どもを捕虜にした。捕虜たちが生きているのを見たモーセは、もっとまじめに殺せと怒った。「子どもたちのうち男の子は皆殺せ。男と性行為をしたことのある女も皆殺せ。処女だけは、おまえたちのために生かしておけ」(『旧約聖書』民数記)内戦や民族紛争のような局面では、それが条理であるがゆえに条理をひっくりかえして〈遊ぶ神〉が、性の使用と結合して暴走し、強姦と殺戮と極限的なブラック・ユーモアが渾然一体となった凄惨きわまる事態をひき起こす。 心理学者のフィリップ・ジンバルドーは、健康な若者を十数人ずつ、看守役と囚人役に分けて地下の模擬監獄で共同生活をさせた。すると、ほんの数日で、看守役は囚人役を嗜虐的に痛めつけるようになり、囚人役は心理的に破綻しはじめた。(注:近年、ジンバルドーが若干のそそのかしをしていたという説が有力になってきた(参考)。しかし、若干のそそのかし程度でここまでエスカレートすることは、人間は状況によってきわめて嗜虐的になりうることを示す。ジンバルドー自身の不正疑惑と実験そのものの価値は別である)このプロセスが進行するにつれて、看守役が、囚人役に性行為のしぐさをするよう命じてあざ笑うといったことが、自然発生的に増えてきた。また、アブグレイブ収容所に収容された人々に米軍関係者が虐待を加えていた事件でも、それが進行するにつれて、遊戯的に性的な恥辱を与える残虐な行為がエスカレートしていった(ジンバルドー『ルシファー・エフェクト』)。被害教員の存在を深部から破壊しつつ…東須磨小学校の加害教員たちも、被害教員の存在を深部から破壊しつつ完全に「わがもの」にする遊戯として、被害教員の性をいじくりまわしている。被害教員が、その性を、存在の根底において「かけがえのない、固有の世界を生きる、わたし」と関わる領域としているからこそ、そのポイントに集中して恥辱を加えるお祭り騒ぎは、他者を人間であるからこそ人間以下の存在に変形して支配する祭りに欠かせない要素になるのである。また、被害教員が交際する女性は、被害教員��とって「ただ肉体目当てにひっかけて遊んでいる」のではなく、「かけがえのない、固有の世界を生きる、わたし」の深部で交わる「特別なあなた」であるからこそ、加害教員は、被害教員が交際している女性に性的に接近し、汚辱を加えて、お祭り騒ぎをしようとするのである。もし交際女性が被害教員と前者の関係にあったとすれば、加害教員は少なくとも女性の側にはそれほど関心をもたなかったであろう。性の領域にかぎらず、被害者が自己が自己であることに関連づけて、何よりも大切にしている(と感じられる)ものを破壊し、汚し、あるいは、何の価値もない存在に変形することは、祭りに必要なイベントとなる。歴史をひもとけば、子どもを神への生け贄にすることが求められ、それに従うことで共同体の一員として生存することが許される、といったことは、祭政一致の社会ではよくみられる。新任教員がはじめて給料をもらって、あるいはみずみずしい人生の門出を祝うようにして購入したとおぼしきピカピカの新車だからこそ、加害教員たちは上に乗ってへこませ、水をこぼし、汚して破壊しようとする。これが激安のオンボロ中古車であれば、わざわざこのようなことをしないだろう。神は「わたしは全能の神である」といってアブラハムのもとにあらわれた。そして、アブラハムの人生を、高齢の妻が子を産むといった、ありえないことでいじくりまわしはじめた。そしてアブラハムに、子のイサクを殺すように命じた。アブラハムは従順に命令に従おうとした。神はその態度をよしとした(『旧約聖書』創世記)。加害教員グループがやっていることは、こういうことである。前述のお土産のエピソードは、きわめて示唆的である。加害教員はお土産を買ってこいと被害教員を圧迫し、そのうえで、被害者が苦労して買ってきたお土産に「こんなもんで好かれようとするな」と悪態をついてゴミ箱に捨てたのであった。この、お土産をごみ箱に捨てる行為の意味は、中井久夫による次の分析がみごとに当てはまっている。 「透明化作戦」の過程で行われるものに「搾取」がある。… …何よりも被害者を打ちのめすのは、そのようにして被害者にとってはいのちがけで調達した金員を、加害者がまるで無価値なもののように短時間で慰みごとに浪費したり、甚だしきは燃やしたり捨てたりすることである。これは加害者が加害者にとっては被害者の献身的行為も無に等しいということを被害者に見せつけるために行う行為である。被害者にとっては、加害者がいかに巨大で、自分がいかにちっぽけでとるに足りないかを身にしみてしたたか味わう瞬間である。(中井久夫『中井久夫集6 1996-1998 いじめの政治学』みすず書房)癌の進行度をあらわすステージ分類のように、人道に反する行為によって人間が根底から破壊される程度を示すステージを考えることができる。たとえば、ナチスドイツのユダヤ人収容所でのありさまは最高レベルの進行度を示していると考えることができる。そこでは、人前で裸でいるとか、人が見ているところで排便排尿するといったことが、あたりまえの状態になっていた。このような事態が認められれば、ステージはかなり進行していると判断できる。 人間の奴隷化・家畜化『週刊文春』によれば、東須磨小学校の加害教員は男女の被害教員に性行為を強要し、「命じた行為を実行したとおぼしき画像」(『週刊文春』2019年10月24日号)を送信させた。実際に性的行為の画像が送信されたという事態は、人間の奴隷化、さらには家畜化という点で、ステージがナチスドイツのユダヤ人収容所と同等の水準に達していることを示している。加害教員たちが行おうとした遊びの筋書は、次のようなものである。二匹の家畜化した被害教員に、家畜のように交尾することを強制する。飼い主になった加害教員は、侮辱の笑いを浴びせながら、その家畜人間の交尾を見世物にして盛り上がる。これである。性行為の画像を要求することは、性的興奮のためにポルノグラフィを手に入れるといったこととは、まったく異なっている。これは、人間を人間でない家畜にみたてて、人間がその汚い家畜に変化させられて交尾するのを、きれいな人間としてあざ笑う、という筋書を成就する遊びである。だから、加害教員は「(証拠画像は)汚いからオレの携帯には送ってくんなよ。X(別の被害教員)の携帯に送れ」と命令する(加害教員は、被害教員を汚物のカテゴリー(穢れが多い。人に非ず。人間以下の動物)に入れ、自分たちを汚物に触れない清浄のカテゴリー(きれいな人間)に入れる)。その結果、実際に性行為の画像が送信され、加害教員グループは、「Z(被害教員)が射精した」と笑い合うのである。もちろん人間の尊厳を最高価値とする市民社会の側としては、報道が正しいとすれば、このような加害教員たちに、(1)刑事裁判による執行猶予なしの重い刑事罰、(2)民事裁判による高額の損害賠償金の支払い、(3)退職金なしの懲戒免職を科さねばならない。この三つのうち、どれか一つでも欠けることは許されない。たとえ初犯であっても執行猶予をつけてはならない。彼らが為したことは、人道に反する罪であるからだ。加害集団の「世渡り」と「世界」のしくみ以下の論述は、東須磨小学校のケースが生じる10年前(2009年)に書かれたものであるが、「生徒たち」を「加害教員グループ」に代えれば、そのまま、加害教員グループの合理的な「世渡り」と、彼らが生み出しながらそのなかに棲む「世界」のしくみを要約したものになっている。すこし長くなるが、「生徒たち」を「加害教員グループ」に書き換えて紹介しよう。お祭り騒ぎで悪ノリするときの存在感は、群れのなかでの有利な身分や勢力を与える。嗜虐的攻撃(いじめ)によるお祭り騒ぎは脅しによって力を顕示し、自己勢力を拡大する合理的な戦略にもなっている。…集団生活で悪ノ��する権力ゲームは、他者コントロールの全能追求で利益を最大化できる、あるいは利益のためにこの全能追求に「気合いを入れ」なければならない利害構造に支えられている。…加害教員グループにとって権力とは、他者コントロールの形態を用いた全能具現の営為であると同時に、利害構造のなかでの戦略的行為でもある。利害構造のなかの戦略的合理性という観点からは次のように言うことができる。お祭り騒ぎ(悪ノリ)は…戦略によって導かれ、このお祭り騒ぎを通じて当の戦略がさらに合理的となるような政治空間ができあがっていく。そしこの政治空間のなかで、お祭り騒ぎはますます戦略的に合理的なものになる。この繰り返しのなかで、巻き込まれた者たちの内的モードは、心理的断片群が瞬時に群れの勢い(空気)に応じて作動する、「群れ人格」のモードへ転換していく。こうして、保身と勢力拡大の手立てを計算しながら、ばかになって悪ノリする者たちが生み出す心理―社会的な政治空間が完成していく。そしてこの政治空間を成立平面として、さらに次の時点の権力とお祭り騒ぎが生み出される。このようなループが回り続けるとき、政治空間は動かしがたい社会的現実になる。そしてこの社会的現実のなかで、嗜虐的攻撃(いじめ)はどんどんエスカレートしていく。(『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』157~159ページ 「生徒たち」を「加害教員グループ」、「〈祝祭〉」を「お祭り騒ぎ」、「いじめ」を「嗜虐的攻撃(いじめ)」に書き換えた)加害教員グループがどれほど戦略的合理性(世渡り能力)に満ちており、どれほど狭い世界の「中核」として政治的に成功していたかを示すのが、前述の現校長の発言である。「この4名の教諭は本校の中核教諭です。指導力とともに力を持ち合わせ、私もこの先生から教えてもらうことが多かったです」「自分より力があり、口出しできなかった」(『FNN PRIME』2019.10.08)彼らが生きる教育的自治の「世界」に市民社会が介入したとき、彼らは破滅した。彼らの世渡り能力(戦略的合理性)は、教育の世界でうまくやることに特化しすぎており、外の世界が見えなくなってしまっていたのだ。このような教育的自治の世界がいかに有害なものであるかを、加害教員グループはくっきりと示してくれた。 〔PHOTO〕iStock 私たちは、日本のまちがった教育制度のもとで大繁殖する、教育的自治の世界から大きな被害を被っている(これについては、この『講談社現代ビジネス』での一連の論考、あるいは『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』などで繰り返し論じた)。だが、私たちは学校の集団生活を「あたりまえ」と感じるように習慣づけられてしまっているので、それが目の前にあっても見えてこない。だから学校が市民社会のなかの「別の世界」になること自体が、改善すべき社会問題と感じることはなく、結果、悲惨な事態はいつまでも続く。この、教育的自治の世界で大繁殖する残酷を、東須磨小学校の加害教員グループは、いわば10倍の倍率で拡大してみせてくれた。彼らは、細胞内の特定の構造をくっきりと浮き上がらせる染色液のような存在である。
神戸教員いじめの「残酷な支配構造」加害者が作り上げた「別世界」 - ライブドアニュース
39 notes
·
View notes
旅する珈琲 Vol.4
さてさてどうしたものかな、とサーチャー氏は首を傾げました。
友人の待つ北の街に向かっていた列車が、途中の小さな駅でどうにも立ち行かなくなってしまったのです。
この雪じゃあね、と車掌さんが帽子をあげ、申し訳なさそうな顔になりました。
「しかたがないですよ」
その帽子にはこんもりと雪が積もっています。
サーチャー氏がそこに視線を移したものですから、車掌さんは気恥ずかしそうに苦笑いして帽子を脱ぐと雪をはらいました。きっとさっきまで外で雪かきをしていたのでしょう。
ふわふわのマシュマロのように見えますが、こういう雪は指にくっついてとても冷たいものなのです。サーチャー氏は気の毒に思う気持ちと感謝の気持ちでいっぱいになりました。
「除雪車が来てくれますから明日には動くでしょう。でもとにかく今日はこの駅で足止めです」と車掌さんが言います。
「駅の近くには宿もありますから、温かいベッドで眠れるはずです。そちらへどうぞ」
「ありがとうございます」
サーチャー氏は丁寧にお辞儀をしました。それから「車掌さんや機関士さんたちはどうするんですか?」と尋ねます。
この列車の乗客はサーチャー氏をいれても3人ほどです。ほとんどのお客は1つ手前の大きな駅で降りてしまっていました。
3人くらいなら小さな駅にある町の小さな宿でも泊まれるでしょうが、この列車を動かしている人たちは車掌さん以外にも機関士や運転士たちといった鉄道員が何人もいるはずです。
車掌さんはちょっと驚いたように目を瞠ってから肩を揺すって笑い出しました。
「さあさあお客さん、私たちのことは心配せんでもいいんです。どのみち私たちは列車から離れるわけにはいきません。でも冬のたびにあることですからね。駅舎には毛布もストーブもあります。慣れていますよ!」
サーチャー氏は「そうですか」ともうひとつお辞儀をして客車を降りました。
空からはしんしんと真綿のような雪が降り続いています。
サーチャー氏はマフラーをしっかり巻き直して毛織りのコートの襟を立て、駅から出ました。
振り返ると鉄道員たちが雪かきをしている姿が見えます。丁寧に列車の雪を払っている姿は頼もしいものでした。
遠くに除雪機関車の汽笛が聞こえてきましたから、確かに明日には動けそうです。
無理しなくてもいいのになあ、とサーチャー氏は思いました。クリスマスまでには間に合うようにたっぷりと余裕を持って列車に乗りましたから2、3日遅れたところでどうということもありません。
けれど、すぐに思い直します。
隣の客車に乗っていたえんじ色のコートを羽織った背の高い紳士は、小脇に大きなぬいぐるみを抱えていました。もしかしたら彼は出来るだけ早く家族のもとに帰りたいかもしれません。
サーチャー氏の友人はいい大人ですから、サーチャー氏の訪れが少し遅れたところでお土産話がひとつ増えたくらいに思ってくれますが、ぬいぐるみを待っているのが小さな子供ならそんな風には思えないでしょう。子供の世界はいつだってとても小さくて大切なものばかりで、はち切れそうなのです。
きっと、列車を動かす人たちはそういうことがよくわかっているのです。だからあんな風に懸命に雪を除けてくれているのです。駅はいつだってそんな人たちの群像劇で溢れているのですから。
サーチャー氏は鉄道員という仕事に改めて深い敬意を抱きました。幸せを運ぶ人のことをサンタクロースと呼ぶのなら、彼らだって立派なサンタクロースに違いありません。
そんな風に考え事をしていたせいでしょうか。サーチャー氏はいつの間にか小さな町の外れに出てしまっていました。
真っ白な雪景色の木立がずっと向こうまで続いています。
(おやおや)
いつのまに駅前の通りを過ぎてしまったのでしょう。もしかしたら宿屋のあるほうと反対側へ歩いてしまったのかもしれません。雪の日というものはいろんな感覚を不思議な方へと引っ張ってしまうので油断は禁物です。
急がないと夕暮れになってしまいます。引き返そうかと思いましたが、もう少し歩いた辺りの木立の影に、ちらりと家の灯りが見えました。
他に家らしきものはありません、ぽつんとひとつだけ小さな屋根が見えます。窓には灯りが点っていました。
サーチャー氏はその家で少し温まらせて貰おうと考えました。
何故って、その家の窓辺の灯りがとても素晴らしく居心地良さそうに見えたのです。洋燈の光以外に赤や緑や金色の小さな灯りがきらきらしていて楽しそうです。そんな風に窓辺を灯りで飾っている家の住人がひと嫌いであるなんて思えません。
サーチャー氏は雪に滑ったりしないよう慎重に、けれど足早に近づいて行って扉をノックしました。とても古風な石造りの家ですが、扉は綺麗で明るい緑色です。
「すみません、��んにちは!」
扉はすぐに開きました。
「こんばんは、いらっしゃい!」
なかから出てきたのは驚いたことにトロルでした。サーチャー氏は目を瞬きます。トロルはふつう南の国にいるものです。こんな雪深い町に好んで住んだりしません。とても寒がりなのです。
「ははあ」
トロルはサーチャー氏の顔を見てにこにこしました。
「僕がトロルなので驚いているんですね! 僕は変わりもので、南の国と北の国と行ったり来たりしているんです。さあさあお入り下さい。旅の話を聞かせて頂けるなら、美味しい晩ごはんと温かい寝台がご用意出来ますよ!」
もちろんサーチャー氏は大いに感激してトロルの招待を受けることにしました。
「僕はチョコミントロルのフォラステロといいます」
トロルは自己紹介しました。
なるほど毛並みはチョコレート色ですし、鼻の色は爽やかなミントの色あいです。
「僕は一年の半分をカカオの農園で過ごして、もう半分をこの辺りの森で過ごすことにしているんです。何しろいい香りのミントの葉がつめるのでね!」
フォラステロは素晴らしく滑らかなホットチョコレートにマシュマロをたっぷり浮かべてくれました。
ひと口飲んだだけで体の内側からぽかぽかしてきます。
「こいつは凄���」
サーチャー氏は冷えた鼻先までかっかとしてくるので驚きました。
「そうでしょうそうでしょう」とフォラステロは得意そうです。
「最高の金色のカカオで作った特製のホットチョコレートです。唐辛子を少し入れるんです。冷えた時にはこいつが一番ですよ!」
それからフォラステロはとても美味しい料理を次々に振る舞ってくれました。
カカオで煮込んだ肉料理はスパイスとカカオの良い香りがして柔らかく美味でしたし、添えられていた芽キャベツとジャガイモはちょうど良いゆで加減でほくほくでした。鱈とリーキのスープも思わずおかわりをしてしまうほどの美味しさでした。
デザートはもちろんチョコレートのケーキです。
濃いチョコレートが染みこんだ生地にキルシュに漬けたさくらんぼが挟まっていて、生クリームと一緒に食べるのです。
サーチャー氏は大喜びで、「御礼に、ぜひ君に珈琲をご馳走したい」と申し出ました。
一緒に食事をして打ち解け、すっかりくだけた物言いになっていました。
「このケーキに最高にあう、おすすめの珈琲豆があるよ!」
サーチャー氏が旅をしながらあちこちで集めてきた鞄一杯の珈琲豆は、生の豆と焼いてあるものと両方あります。どちらも大切な友人へのお土産ですが、旅の途中で良くしてくれたひとたちにいれてあげることはちっとも惜しくはありません。そんな話をこそ、友人は喜んで聞いてくれるはずだからです。
フォラステロは大喜びでした。
サーチャー氏が丁寧にいれた珈琲の香りにミントグリーンの鼻をひくひくさせて、「やあこれは素敵な香りだぞ!」と手を打ちます。
それから何かに気付いたように、ぱっと明るい顔になりました。
「君はなんて素敵な珈琲を持っているんだろう。これは僕がいた国の珈琲だね!」
もちろんそうなのです。料理を食べながらカカオ農園の話を聞いていたサーチャー氏には、それがどこの国のことなのかわかりました。大小の島がいくつも集まって出来ている国です。海に囲まれ、濃い緑と濃い色の花とたくさんの動物たちがいる国です。そこでは果物と一緒にカカオがつくられていますが、珈琲もたくさんつくられていました。
サーチャー氏は友人から貰った愛用のポットで珈琲をたてながら片目を瞑ってみせました。
「君さえ良かったら、僕がこの珈琲豆を手に入れた島の話も聞いてくれないかい」
「もちろんだとも!」
フォラステロは身を乗り出して、にっこり笑いました。
それから少し茶目っ気のある顔になりました。
「その前に、ちょっとした提案があるんだ」
「なんだい?」
「ゆっくり君の話を楽しむ前に、珈琲を飲んで体を温めてから、僕の家の大きな魔法瓶にホットチョコレートをいれて、駅に差し入れにいかないか。そろそろ本格的に冷え込んでくる時間だろう?」
サーチャー氏はびっくりしました。
それはまさしく、「そう出来たらいいな」と思っていたことだったからです。
ホットチョコレートを飲んだ時、頭に浮かんだのは雪まみれで働いている鉄道員たちのことでした。彼らがこの素晴らしいホットチョコレートを飲むことが出来たら、どんなに喜ぶだろうと思ったのです。
「どうしてわかったかって顔をしているね」
フォラステロはミントグリーンの鼻を得意そうに動かしました。
「簡単だよ。僕はトロルだから君が『いいやつ』だってことはすぐわかる。そして君は食事の時にどうしてこの町に来たのか話をしてくれたね。その時、列車の車掌さんや鉄道員さんたちの話をしてくれたろう。彼らの帽子の上に積もった雪のことや、ぬいぐるみを抱えた紳士のことも」
フォラステロはにっこりと笑顔になります。
「『いいやつ』の考えそうなことはたいてい決まってるものなんだ。だから僕はホットチョコレートのちょっとした配達を提案してみたってわけだよ!」
サーチャー氏はすっかり感激してフォラステロの手を握りました。
「嬉しいな! 君はなんていいひとなんだ」
「僕らは『いいやつ』同士ってわけだね!」
気に入った冗談のようにふたりは笑い合いました。
そうときまれば善は急げです。
サーチャー氏のいれた香り高い珈琲を飲みながら、ふたりは大きな魔法瓶を用意し、特製ホットチョコレートをたっぷりと入れました。それから、サーチャー氏が鉄道員たちの珈琲をいれて別の魔法瓶にいれている間に、フォラステロはベーコンとチーズとチコリのサンドイッチを手早く作ります。それをチョコレートのケーキの大きな塊と一緒に布に包み、ついでに林檎のジェリーボンボンもおまけにして支度はすっかり出来上がりました。
ふたりは荷物を持ち、コートを着込んで夕闇に沈んでいく雪の世界に足を踏み出しました。
「心配はいらないよ!」と、帽子を被ったフォラステロがカンテラを持って笑います。
「このカンテラは特別製なんだ。僕の一番の友達が、僕が決して迷わないようにって火と水と鉄で作ってくれたものなんだ。友達が願いを込めて作ってくれたものはいつだってそのひとを守るものだよ。知ってるだろう?」
もちろんサーチャー氏にも分かります。サーチャー氏もそういうものを大切に持っているからです。
2人は雪降る夜の中に歩き出しました。雪は相変わらず静かに落ちてきていましたが、お腹のなかが温かいせいで、あまり寒さは感じません。一面の雪景色でしたが、道がわからなくなるようなこともありません。ふたりは北の国の歌と南の国の歌を2つづつ歌い、そうしているうちにちゃんと駅に着きました。
駅と列車の周りでは幾人もの鉄道員たちが総出で線路の雪かきをして働いています。
彼らは、サーチャー氏とフォラステロからの思いがけない贈り物に大層驚き、歓声をあげました。
小さな駅舎のなかにはストーブがありましたから、鉄道員たちはみなそこに集まり、寄せ集めた大きさの違うカップでホットチョコレートを飲みました。ふわふわの雪に覆われた手袋の下の冷たく固まってしまった指先も、ホットチョコレートが溶かしていきます。あっという間に体中が火照ってくることに、鉄道員たちは驚いたように顔を見合わせました。非常用の冷たいパンと薄い豆のスープでは物足りなかったお腹も、フォラステロのサンドイッチとチョコレートケーキ、サーチャー氏の珈琲で満たされました。
鉄道員たちは嬉しそうに目を細め、いくにんかは目尻を拭っていました。とても寒いときに温かいものを体に入れると、じんわりと涙が滲むものです。それは天国のように幸せな心持ちなのです。
みんなチョコレートや珈琲をおかわりしていました。
カップを両手に持ち、「ああ温かいですねぇ」と白い髭の機関士さんが目を細めます。
「ありがとう。お二人のご親切でお腹も心もとても幸せです」
口々に御礼を言いながら幸せそうに溜息をつく鉄道員たちに、トロルとサーチャー氏もすっかり満たされた気持ちになって顔を見合わせました。
「そう言って貰えて、僕らもとても幸せな気分です」
「幸せはいつだってお互い様で、かわりばんこですからね」
フォラステロが哲学者のような顔で言うと、みんなの間に優しい笑いが零れました。
黒い眉毛の機関士さんは逞しい胸を叩き、「こんな素晴らしい贈り物を貰ったのだから、一晩中だって私たちはあの列車のかまどくらいに赤々と燃えて頑張る事ができますよ! 今度は私たちがお客さんに幸せを贈る番です。かわりばんこです!」と言いました。
駅舎を去るころには雪はすっかりやみ、夜空には満天の星が広がっていました。これならば明日は列車も動きそうです。
フォラステロは「明日、君の見送りに一緒に駅へ来るよ。その時に魔法瓶を持って帰れば良い」といい、ホットチョコレートと珈琲のはいった魔法瓶を鉄道員たちのために二つばかり置いてきました。
「ねえきみ、僕は今日とても素敵な友人を得たよ」
「奇遇だね、僕もそう思っていたところだよ!」
サーチャー氏とフォラステロは握手をしてうなずき合いました。
新年を迎えたらお互いの友人も連れて4人でお祝いをする約束をして、サーチャー氏は翌日、もっと北の街へと出発しました。
きっとあちらでは友人のロースター氏が首を長くしてサーチャー氏の訪れを待っていてくれるに違いありません。珈琲豆も土産話も新しい友人のことも喜んでくれるでしょうけれど、ロースター氏が何より喜んでくれるのはサーチャー氏の元気な姿です。
サーチャー氏はかたんかたんと揺れる温かい列車のなかで帽子を顔に下ろして微笑み、短い眠りについたのでした。
1 note
·
View note