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#白謙かまぼこ
hirasen · 1 year
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#ひらせん食堂 #2023年初め の #超豪華レイトランチ ( #笑 )は、 #新年らしく #チーズ入り海苔もち #チーズ #海苔もち と #お雑煮 の #ダブルもちモチ攻撃 #です!? #やっぱり #もち #餅 は #ウマウマー ♪ #そのほかにも 、 #リンゴ や #ミニ白謙笹かまぼこ #白謙かまぼこ (https://www.shiraken.co.jp) #など #最高な料理 の #数々 ! #家族の皆様 、 #今年もヨロシクお願い申し上げます ☆ https://www.instagram.com/p/Cm39h6NvJuP/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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hachikenyakaiwai · 24 days
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【かいわいの時】宝暦十四年(1764)四月六日:対馬藩通詞鈴木伝蔵、大坂に滞在中の朝鮮通信使節随員を殺害し出奔(大阪市史編纂所「今日は何の日」)
(事件のあらまし) 朝鮮の上々官名ハとううんとうと申を、対州の家中通詞役鈴木伝蔵といふ者、右上々官を鑓の穂先壱尺斗残し是を以て咽を突通し自害の体をしつらいさし殺しけり。右上々官ハ日本にて大目附役の人なるよし其趣を聞に、西国にて人参を荷打せしと偽りて金銀を私欲したる事ありて此役人に伝蔵より返済せねばならぬ金子有しを毎々催促しける、大坂にて相渡べき約束なりしをいまだ相渡さず、よって厳しく催促致しける故、何とやら私欲の義も露顕に及ぶべきやうになりしゆへ止事を得ず、右のごとく害しける由也(『明和雑記』)。
(犯行現場および時刻) 西本願寺津村別院棕櫚の間(朝鮮人来朝大坂旅館西本願寺座割兼小屋掛絵図)。初七日戊子陰寒(『趙済谷海槎日記』)。コメント欄に写真 ▼朝鮮人来朝大坂旅館西本願寺座割兼小屋掛絵図 조선인래조대판려관서본원사좌할겸소옥괘회도 京都国際学園「関西に残された朝鮮通信使の足跡」より。
(殺害方法および凶器) 寝所へ忍入、鑓の穂先壱尺斗残し是を以て咽を突通し、自害の体をしつらいさし殺しけり(『明和雑記』)。関の兼永の槍(『通航一覧』)長さ4寸ほど(『差上記』)。
(事件の目撃者) このとき賊は、三房格軍(水夫)の姜右文の足を誤って踏み、驚いて目を覚ました姜によって目撃されている(『日東荘遊歌』訳注)。
(指名手配) 一 行年廿六歳 一 背ノ高サ五尺三寸中肉にて顏の色白ク眼は少シ大キク張強シ人体骨柄賤からず 一 其節之着類黒羽二重之袷下には群内大嶋の襦袢 右体之者見付次第訴出候ハゝ御褒美被下候間可遂吟味者也 四月九日(「鈴木伝蔵人相書」)。
(犯行の動機) 崔天悰は高麗人参の密貿易に絡んで鈴木伝蔵を叱責した。事の露見を恐れた伝蔵が崔を殺害した(『明和雑記』『摂陽奇観』)。伝蔵の自白によると、人参の取引がもとで殺したというが、真相は到底わからず(『日東荘遊歌』)。
(事件の背景) 朝鮮と対馬の通詞が手を組んで密貿易(積荷の横領)を繰り返していた(『扶桑録』『東槎日記』「海遊録』)。舞台は主に大坂であり、一行はできるだけ長く大坂にとどまろうとした(『扶桑録』)。「裨将の言うままに放っておいたら《略》崔天悰事件のようなこと必ずやまた起こるでありましょう」(金仁謙)。※鈴木伝蔵は通信使が絡んだ密貿易の一味。崔天悰もそうであったかは不明。
(事件の余波) この一件を初めに歌舞伎化したのは並木正三で、67年(明和4)2月大坂嵐雛助座(角の芝居)で《世話料理鱸庖丁(すずきぼうちよう)》を上演。史実に近かったため2日間で中止を命ぜられ、ただちに奥州藤原の世界に改めた《今織蝦夷錦》を上演した。『世界大百科事典(旧版)』【韓人漢文手管始】より。
(写真)「世話料理鰭庖丁 絵番付」1467(『摂陽奇観』所収)
(浜松歌国は)鈴木傳藏の朝鮮信使殺害事件を詳記し、次に其の事件があってから四年目、この事件が角の芝居嵐雛助座に於て、並木正三により新狂言に取組まれたことを書き加へたのみでなく、當時板行の繪番附を其のまゝに貼りつけてゐます。この鈴木傳藏事件が上演されたは、歌國が生れる十年前のことで、その當時の繪番附を手に入れることは容易ではなかつたらうと思はれます(校訂者識)。『浪華叢書 第四』より=写真も。
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elle-p · 6 months
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P3 Club Book Shinjiro Aragaki short story scan and transcription.
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料理天国、食べたら地獄
······ったく、 何で俺がこんなこと······」
「す、すいません荒垣先輩······っくしゅん!う~げほげほっ」
「ゆ、ゆかりちゃん、大丈夫?」
ここは、寮のゆかりの私室。ピンクのパジャマにカーディガンを羽織り、つらそうに咳き込むゆかりの背を、優しく風花がさすっている。体調不良を押してタルタロスに出撃し、ゆかりはすっかり風邪をこじらせていた。そんなゆかりのベッドの横には、同じく心配そうにたたずむ美鶴と、やや所在なげに立つ荒垣の姿があった。そして荒垣の手には、彼が言った “こんなこと” の成果である、温かそうな料理がトレイに乗って湯気を立てていた。どうやら、ゆかりを心配する美鶴に頼まれ、病人食の定番となる粥を作っきてくれたらしい。
「荒垣先輩って、優しいですよね」
「んな······っ!?ま、まあ、ただの気まぐれだ。気にすんな。さっさと食っちまえ」
風花の素直な言葉に、荒垣はそれだけ言ってぶっきらぼうにトレイを差し出す。
「 うう、ありがとうございます。はふ······」
ゆかりが、一見普通の粥に見えるその料理をスプーンですくい、ぱくりと口に入れた。
「どうだ?岳羽?」
熱くないか、ちゃんと飲み込めるかと、美鶴が母親のように心配げに声をかけるが、その目の前でゆかりの表情がみるみる蕩けた。
「ぅ美味しい~っ!何これ、どうやって作ったんですか? 信じらんないー!」
先ほどまでの苦しそうな様子はどこへやら、あっという間に元気を取り戻したゆかりが、凄い勢いで手と口を動かし、器の中身はさほど間を置かずに空になってしまっていた。
「どうやってつーか、ま······適当だな。普通の粥じゃ栄養が足りねえかと思って、中華風のミルク粥にしてみた」
あっさりと荒垣は言うが、じつはけっこう手間がかかったもの。ニンニク、生姜、ネギのみじん切りをゴマ油でじっくり炒め、米と具---拍子木に切ったニンジンと大根を投入して鶏ガラスープを注ぎ入れる。あとはフタをし、沸騰したら吹きこぼれないよう弱火でことこと30~40分。米が十分柔らかくなったところで、牛乳を入れて塩で味をととのえ、できあがったものがこちらにございます、という感じ。体の免疫力を高める、炭水化物や蛋白質、ビタミンA・B・Cに β カロチンを含む、まさに完璧なる病人食なのだ。
以前から、荒垣の料理はプロ並だと真田あたりが言っていたが、その現物を実際に口にしたゆかりは、想像以上の感動を味わっていた。ゆかりは素直に、その賞賛を口にする。
「適当なんてとんでもない!荒垣先輩、もう最高ですよ!尊敬します!」
「バカ野郎······なに恥ずかしいことを······」
「なーに謙遜してるんですか?食事は人間の基本ですよ。大切なことです。それをしっかりできる荒垣先輩は立派です!もう、他の男連中にも見習わせたいぐらいですよ。人として、料理のひとつもできなきゃ駄目だって、ね」
興奮気味で止まらないゆかりの演説に、そこで突然ストップがかかった。
「ちょーっと待ったぁ!」
「!?じゅ、順平?それに皆も?」
ゆかりの部屋の入り口に、順平を先頭にして寮生の面々、すなわちこの部屋にいなかった全員が集まっていた。順平の足元からはコロマルまでが顔を出している。
「何ごとよ、いったい?」
「いや、あんまりいい匂いなんでな、つい······」
正直に真田が言いかけるが、それを体ごと遮って順平がびしっと指を突きつける。
「ゆかりッチ······貴様はオレを怒らせた!」
「は、はぁ?」
「料理ができなきゃ人として駄目?料理がお上手な岳羽サマは、オレたちが人間じゃないとおっしゃるわけだよな?」
「い、いや、別にそこまでは······。そ、それに順平がまともに料理できないのは事実じゃん」
と、そこで順平は、ちっちっと指を横に振る。
「料理が “できない” と “やらない” は違うんだぜ、ゆかりッチ。それに、オレだけじゃねえぞ、お前が傷吻つけたのはな······」
くくっと、芝居の気まんまんで順平が涙をこらえるように両目を手で押さえた。その言葉に、ゆかりが周囲をあらためて見ると。 「あ」
ベッドの脇で美鶴と風花が、顔を伏せてどんよりと暗い空気をまとっていた。
「い、いや、あの。私······別にそういうつもりじゃ······せ、先輩?風花?」
「ゆえにっ!!」
ぐわっと伏せていた顔を上げ、順平は大いに 盛り上がって高らかに宣言した。
「貴様に料理勝負を挑むっ!!」
「はぁ?」
かくて、第一回巌戸台分寮クッキング王決定戦の開催が決定したのであった (どどーん)
「という訳で、本日の司会はわたくし、アイギスがお送りするであります。いかがでしょう、解説の天 田さん」
「······みなさん、ヒマですね」
「なるほど。では、審査委員長の荒垣さん」
「······ったく、 何で俺がこんなこと······」
順平が宣言した翌々日。ゆかりがすっかり体調を取り戻し、ちょうど日曜ということもあって、ついに料理対決が開催される運びとなった。おそらく仲間内でもっとも鋭敏な味覚を持つであろう荒垣を審査委員長とし、味覚がないアイギスは司会を勤めることになっている。天田も参加をうながされていたが、「なんで僕が料理なんか······小学生に何を期待してるんです?」と一蹴し、解説者の席についている。そして、残る全員が参加者兼審査員というわけだ。
当初、美鶴と風花は徹底的に拒否の構えを見せていたのだが、「お祭りみたいなもんだし」とか、「何ごとも経験だし」とかいう順平の甘言で徐々に態度を軟化させ、ついには「······にイイとこ見せるチャンスなんだけどなー」という、とある個人名を出しての決定的なひと言で、料理対決に参加するよう洗��、もとい説得されてしまったのであった。
「では、いよいよ競技を開始するであります。最初はゆかりさんからお願いします」
「オッケー!見てなさいよ、順平!」
意気揚々とゆかりが持ってきた料理、それは本人の自信を裏切らない見事なできばえ。見た目からして美味しそうな、幕の内弁当である。卵焼き、焼き魚、かまぼこといった幕の内弁当定番のおかずに加え、小さなハンバーグやチーズチキンカツなど洋風のおかずも入っている。もちろんご飯は俵型に成型され、上にはパラパラと黒ゴマが振りかけられている。
「うん、なかなかやるじゃねえか」
卵焼きをひと口かじった荒垣の評価に、ゆかりがガッツポーズを決め、それに続いて他のメンバ ーも横から次々に箸を伸ばす。
「焼き魚は西京味噌漬けか······いい仕事だ」
「うわあ、このかまぼこの切り方、凝ってる」
「もう、優勝は岳羽で確定か?」
立て続けに上がる賞賛の声に、ちょっと照れたような誇らしいような顔でゆかりが言う。
「あ、でもね。今回は意外なライバルがいたっつーか······私も食べてみたいんだよね、 彼の」
そのゆかりの視線の先にいるのは、自己主張が足りない気味の現場リーダーの姿。だが、前髪で隠され半分しか見えない顔に、常にはない自信がかすかに滲んでいるような気もする。
「では、続いてお願いしましょう」
アイギスに促され、2番手の料理が運ばれる。
「おお······!」
それは、ちょっとしたレストランで出してもおかしくないアサリとトマトのパスタ、ボンゴレ・ロッソであった。さっそく審査委員長の荒垣が、フォーク一本で器用にパスタを巻きつけて、ぱくりと口に入れる。
「ちょっとパスタが柔らかいが、合格点だな」
「どれどれオレにも······おおっ、美味ぇ!」
「アサリとトマトって合うのねー」
意外といえば意外だが、幼い頃に両親を亡くしてひとり暮らし歴も長い彼は、料理の腕は決して悪くないのである。ただ、あっさりした性格ゆえか、パスタや丼ものなど簡単に作れるものに限られるというのが弱点といえなくもない。
「で、次は誰だ?」
連続して出される美味い料理に、最初は苦い顔をしていた荒垣も、上機嫌になってきたようだ。やはり、楽しい食事は人を和ませる。もしかすると順平は単に、荒垣と他のメンバーとの間の距離を、少しでも縮めようとして料理対決を企画したのかもしれない。もし、そうだとしたら、その意図は十分に果たされつつあった。
だが。
そんな楽しい雰囲気は、あまり続かなかった。
「······なんだこりゃ?」
「え、えーっと、ラーメンっす」
「カップ麺じゃねえか」
荒垣の前にあるのは、お湯を入れて3分でできるカップ麺だった。ちなみにシーフード味。
「い、いやカップなんすけど!ちゃーんとオレなりの工夫があってですね。荒垣先輩のミルク粥にヒントを得て、牛乳で作ってますっ!」
荒垣がうげっという顔をする。残りの連中も、一様に嫌そうな顔を浮かべている。 「え?え?みんな何だよ?いや、マジ美味い
んだって!」
「たとえ美味くても······料理じゃねえだろ」
「順平さん、失格であります」
どこに置いていたか、アイギスが横にあった鐘をカーンと1回鳴らす。
「いいっ!?そ、そんなぁ······」
がっくりと肩を落とす順平。ただひとり、そのカップ麺をひと口すすった現場リーダーが、うんまあ不味くないよ、といった感じで順平の肩をぽんぽんと叩いていた。
「では、続いて美鶴さん、お願いします」
事態は、破滅に向かって加速していた。
「鴨肉のコンフェ、フォアグラとトリュフ添えだ。素材はすべてフランスから空輸させた」
胸を張って、 豪華な銀の皿を突き出す美鶴の顔には、しかしだらだらと汗が流れていた。皿の上の料理を凝視しつつ、荒垣が尋ねる。
「······鴨は、どれだ?」
「こ、これに決まってるだろう」
「この黒いのは?」
「と、トリュフだ」
「こっちの黒いのは?」
「フォアグラ······だと思う」
「んじゃ、こっちの黒いのは?」
「ええと······付け合せのポロ葱、か?」
聞かれても困る。
下を向いていた荒垣は、凶悪な光を目に宿らせつつ、美鶴に向かってぽつりと言った。
「全部、炭じゃねえか」
「ま、まあ多少火加減を間違えたかもしれないが、素材はいいんだ。食ってないと······」
「食えるかぁ!次だ次!」
世界の終わりのような顔をする美鶴を尻目に、アイギスが鳴らす鐘がかーんと響いた。
「俺は料理などあまりやったことがないからな。変なものを出すのも申し訳ないから、シンジの料理を真似させてもらうことにした」
続く真田の料理は、白濁したスープのようなものだった。どうやら、 荒垣が一昨日作ったミルク粥を参考に作ったらしい。
「順平も、どうせシンジの料理を参考にするならこうするべきだったな。まあ、俺も多少は自己流にアレンジさせてもらっているが」
既に勝ち誇った様子の真田に、荒垣も苦笑しつつ答える。
「くくっ、アキの料理か······そう簡単に俺の味が盗めるもんかよ」
「食べてみなければわからんだろ?」
「わかったわかった。じゃ、いただくぜ」
スプーンで粥をすくい、軽く冷ましてから口へと運ぶ。そして、刹那の間を置いて。
ぶぴゅる。
変な音と同時に、荒垣の鼻と口から白濁液が吹き出した。
「な、な、な、なんだこりゃあっ!!」
「牛乳よりも高蛋白で低カロリーなプロテイン粥だが······筋肉にはいいぞ?」
「食えるかあああああっ!!」
「最後に風花さん、どうぞ」
鐘を鳴らしつつ、 アイギスが淡々と言った。
---それから、5分後。この世のものとは思えない絶叫が、月光館学園巌戸台分寮から響き渡った。付近の住民の通報で、パトカーや救急車が出動したが、とくに事件性はないとのことで早々に引き上げたらしい。ただ、目撃者の証言によると、捜査員や救急救命士たちは一様に、口や腹を押さえていまにも嘔吐しそうな表情を浮かべていたとか。その日、どんな恐ろしいことがあったのか、口を開くものはいない。
「いいかお前らっ!料理の命は火加減!それと塩加減だ!いいな、順平!」
「う、ういっすっ!」
「あと常識だが、プロテインは料理に入れるなよ!わかったか、アキっ!!」
「あ、ああ、わかった」
「つか、山岸!なんでそこでタバスコとか入れるんだ!色を基準にして調味料足すんじゃねえ!味見しろ味見っ!」
「は、はいっ!」
料理対決の翌日。寮のキッチンでは突発料理教室が行なわれていた。こいつらの料理の腕を放置していたら、いずれ人死にが出る。事実、俺は死にかけたという荒垣の命令で、順平、真田、美鶴、風花に対し、マンツーマンで料理を教えることになったのだ。
「······ったく、何で俺がこんなこと······」
そうボヤきつつも、手取り足取り指導する荒垣の頑張りもあり、徐々に全員の料理は “食えなくはない” レベルへと上がっているようだ。
「おら、待て美鶴。焦げそうになったら、一度フライパンを火から降ろして······そうそう。落ち着いてやりゃあ大丈夫だ」
「りょ、了解した」
そんな荒垣の様子を横目で見て、風花はくすりと笑って言った。
「やっぱり、荒垣先輩って優しいですよね?」
その言葉が届いたかどうか定かではないが、荒垣は黙々と料理指導を続けていく。ただ、その横顔には、かすかに笑みが浮かんでいるような気がする。やがて、料理のいい匂いを嗅ぎつけてか、ゆかりたちが同じく笑顔でキッチンへと歩いてくるのが見えた。やはり、楽しい食事は人を和ませる。どうやら、今日の夕食も楽しいものになりそうだった。
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straycatboogie · 27 days
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2024/04/03
BGM: Jamiroquai - Canned Heat
昨日から、鶴見俊輔『期待と回想』をふとつまみ読みするつもりで読み始めたらやめられなくなってしまったので読み進めている。このタッチに親愛の情を抱き、もちろん畏敬の念をも同時に感じている。彼は本書で自身のモットーを次のように語る――彼は渡米の経験もあり英語は話せるが、しかしあえて英語を使えない人間であり続けようとする、と……これはたぶん、「謙遜」とかそんな話ではないと思う。もっとプラクティカル(実務的)な、この世界を無垢な眼で見つめて分析したいという彼が編み出した方法論から来たものなのかな、と思ったのだった。
ぼくはこの本を読み読み、鶴見が実にブリリアントな、すばらしく聡明な人物であることを学ぶ。同時にユーモアのセンスというか才覚と、「愚者」に徹するところから来る鋭利な「眼力」を持った人でもある、と。だからこの本からはロジックをゴリ押しした本が持ちうる(つまり、一般的な哲学書が往々にして帯びがちな)「冷たさ」がない。あたたかくてチャーミングだ(いやもちろん、彼の人格がこうした語りのぬくもりをもたらした……なんて話にはならないだろうと思う。そう言いたくなるほど親密な情を持ってしまいそうになるが)。何章か読み、この態度について考えさせられた。
自分自身のあしあとを振り返り……子どもの頃、ずっとクラスメイトからアホだバカだと罵られ、役立たずだ帰れだ死ねだと言われ……でもいま、人によっては賢いと言ってくれる人もいたりするのだった。何だこりゃ? アホな話かもしれないが、なんだかティアーズ・フォー・フィアーズの曲の歌詞のようなおかしな世界になったものだと思ってしまう。だからこんな、ここにいるこのぼくのようなねじれた・曲がった性根を持つ人間ができたのかなあ、と。
賢さとアホさの間の関係について考える。でも、「賢いけど、あえてアホなふりをする」というのが鶴見的な賢者の態度なのかというとそれもまた違うような気もする。というのは、鶴見やぼくが考える賢さとは「みんなミスをする欠陥のある人間であり、その意味ではアホかもしれない」という事実を直視するところから始まると思うのだ。鶴見はそうしたミス(しくじり)にポジティブな意味を加えようとする。「可謬主義」「マチガイ主義」とまで呼ぶ――しくじりを認め、ポジティブに捉えもっと思考を推し進めるある種の居直りにして大胆不敵な姿勢だ。
ところで、Xで友だちがこんなことを投稿していた。なぜある種の人々はクリエイターになりたがるのか。面白い話題だ。単純に「有名になりたいから」では片付かないのではないかと思う――そういう側面はありうるとはいえ。人はそうした功名心・承認欲求とは一歩距離を置いた場所で、情熱のほとばしりをどうしたって形に変えたがるものではないかと思う。熱湯が心の噴水ないしは間欠泉から湧き出て、止まることがない。ぼく自身、そんなほとばしりとしてこんな日記を書いているのだった。
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kennak · 10 months
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「『ハムレット』の研究については、海外のものも含めてほとんどの文献や論文に目を通してきたつもりですが、その解釈は初めてです。私自身も、そんな解釈が可能とは思いもよりませんでした。でも、その解釈は『あり』だと思います」 いったい何が起こったのか? 主人公ハムレットが父親の仇(かたき)として憎むクローディアスのある台詞(せりふ)について、司会の伊集院光さんがさりげなく発した感想が、河合さんの思考を一時フリーズさせたのである。 伊集院さんの直観的なコメントが稲妻のようにひらめき、著名な研究者や作家が一瞬我を忘れてしまう。そんな瞬間を何度体験したことか。更にいえば、この瞬間こそ、「100分de名著」という番組の最大の醍醐味である。台本通りの予定調和を切り裂く一言。それを受けて、一気に場が加速を始める。刺激された講師からも想像を超えたコメントが次々に発せられる。ウィンブルドンでの頂上決戦で一流テニスプレイヤーたちが繰り広げるようなラリーの応酬。番組の進行を俯瞰(ふかん)して眺めているはずのプロデューサーも、恍惚に近い感情に押し流されていく時空だ。 今回問題となったクローディアスの台詞とはこうである。 言葉は宙に舞い、心は重く沈む。心の伴わぬ言葉は、天には届かぬ。 (「新訳 ハムレット」シェイクスピア著、河合祥一郎訳、角川文庫) ハムレットの父親である先王を殺した罪をクローディアスが懺悔(ざんげ)するシーン、ラストの台詞。懺悔室でさんざん懺悔した風を見せて、最後に「なーんちゃって」と、クローディアスは舌を出すわけだ。こんな懺悔なんて噓っぱちだよ、と。 物陰に潜んでこの様子を見つめるハムレットは、懺悔の途中で殺してしまっては、クローディアスを天国に送ってしまうことになる……ということで、クローディアスを殺すことを思いとどまる。だけど、実はクローディアスは懺悔なんてしていなかった。哀れ、ハムレット。ここで殺してしまえばよかったのに……と、舞台を観ている観客がはがゆい思いをするシーンとされてきた。これまでの解釈では。 ところが! 伊集院さんは新たな解釈を打ち出すのだ。 「ぼくは、真剣に何かを話すことが怖いから、本当のことをいった後に、つい照れ隠しで『なんつったりしてね』っていうことがよくあるんです。つまり、クローディアスはここで、舌を出して『なーんちゃって』といっているわけではなくて、『こんな俺が天国に行っていいわけないじゃん。懺悔で許されていいわけないじゃん』って真摯な気持ちで懺悔しているともとれるのではないか」 河合祥一郎さんが青ざめたのはこの解釈を聞いたからだ。クローディアスという登場人物が単なる悪役ではなく、極めて複雑な陰翳(いんえい)をもつ魅力的な存在として立ち上がってくる優れた解釈。一流の研究者ですら思いもよらなかった解釈が飛び出してしまうこの状況を、伊集院さんは、かつてこんな言葉で語ってくれた。 「無知との遭遇」 もちろんスティーブン・スピルバーグの映画「未知との遭遇」をパロったものだが、伊集院さんは、こんな風に説明してくれたのである。 「中卒で教養も知識もない自分のような人間だからこそ、先生方はいつも全身全霊でぼくにぶつかってくれる。だからなんだよね。いつもだったら絶対に出会わないぼくのような『無知』に先生が遭遇したときに、思いもよらない化学反応が起こる。自分自身も全く忖度(そんたく)なしで直観的に感じたことを言葉にしていくと、それが一流の先生方も驚いてしまうような言葉に結果的になってしまう。それを受けて先生も想像以上の言葉を発してくれる。この番組が一番面白いのはこういう響き合い」 伊集院さんの言葉は謙遜にすぎる。ラジオパーソナリティとして長年培ってきたトーク展開力、膨大な数触れ合ってきたリスナーたちの人生、休日すらインプットの時間としてさまざまな体験を仕込んでいく貪欲さ……伊集院光という人間の裾野の広大さが、可能にした解釈だと私は思う。 収録終了後、河合さんは私にそっと耳打ちした。 「秋満さん、ぼく、このネタで一本論文を書けてしまうかもしれません。目が覚めるようでしたよ」
伊集院光さん衝撃コメントに青ざめる講師…「100分de名著」の舞台裏|名著の予知能力|秋満吉彦 - 幻冬舎plus
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patsatshit · 5 months
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【更新日変更のお知らせ】
来週からは土日限らず、お互いのタイミングで更新していきます!今後ともよろしくお願いします。
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ようやく観に行けました『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』。
今回も3時間を超える大作。だけど夢中にさせる筋と迫真の演技のおかげで長尺であることを忘れてしまっていた。アメリカの歴史における暗黒の章に光を当てた、示唆に富み心揺さぶられる映画だった。
新たな富の発見により、支配と資産を求める冷酷な人間の標的となったオーセージ族。映画では彼らの最も悲惨な苦しみを描いている。人間の貪欲さ、人種差別の永続的な結末、歴史を清算することの重要性をタイムリーに思い出させる。人間の残虐行為の根底にある残忍さと暴力性を見事に表現した映画だった。
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とにかく主演の3人(ディカプリオ、デニーロ、リリー・グラッドストーン)がすさまじかった。
デニーロが演じる正常化された人種差別主義者のキャラクターは壮観で、スクリーンに現れるたびに恐ろしくて不吉な予感が漂ってきた。この感覚はそれまでのデニーロ映画でも感じてきたことだが、彼はスクリーンに登場するやいなや、その荘厳かつダイナミックなオーラで画面越しに我々を圧倒してくる。キャラクターによっては異常な恐怖心を覚える。本作でもデニーロの凄みが遺憾なく発揮されていて、ただ恐れ入りました。
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Robert De Niro is No.1 actor in the world @imdb
善良な男から叔父に操られるがまま深い闇に堕ちていく主人公アーネストを演じたディカプリオも圧巻だった。非常に謙虚で醜い男を抑圧的な表情とセリフで見事に演じ切っていて、誠実さとは裏腹の残忍さが際立っていた。
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子役からずっと第一線を走っているレオ様@imdb
そしてなんと言ってもアーネストの妻モリーを演じたリリー・グラッドストーン!彼女のドラマチックな演技には心を動かされた!話し方や表情に絶妙な気だるさがあり、憂鬱さや疲労感がとてもよく伝わってくる。特にディカプリオを伴っての会話や、シーンの端々での凍りつくような痛々しい演技は衝撃的。彼女の力強い存在感、繊細な表情から想像を絶する悲劇に巻き込まれた女性の痛みと回復力が伝わってきて何度も涙が溢れた。
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この映画の大きなサプライズ!@imdb
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あと裁判のシークエンスがとても上手くできていると思った。一連の出来事の背景事情を明らかにしながら、その先の展開へとスムーズに繋げるために効果的なシーン。映画としてもかなり重要なシーンだと思う。ブレンダン・フレイザーが裁判に関する疑念を操るキーパーソンを演じている。後半にちょろっと出てくるのみなのだけど、すごく印象に残るキャラクターだった。
いろいろあったブレンダン・フレイザー。私の中では(スティーヴ)ブシェミとアダム・サンドラーと一緒にロックバンドを組んでた映画(『ハードロック・ハイジャック』)のイメージが強かったので、こんなシリアスな役もできるんだと(かなり上からの言い方)結構衝撃でした。『ザ・ホエール』も観てみたくなったー。
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『アイリッシュマン』『ウルフ・オブ・ストリート』の撮影監督であるロドリゴ・プエリトの、キャラクター性を正確に捉えた巧みな映像とスコセッシの演出が今回も予想通りに見事だった。さらに長年スコセッシ作品の編集に携わってきたテイラー・スクリーンメイカーとのコラボレーションにより、各シーンが視覚的に魅了され没入感を与えてくれるものとなっている。どのシーンをみても編集の過程で細部にまで細心の注意が払われているのだろうなと感じられる。ザッツプロフェッショナル!
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スコセッシは『グッド・フェローズ』や『カジノ』、『ウルフ・オブ・ストリート』と同様、今回もメインキャラクターの態度や性格の変化を明らかにするために、「警察捜査」の部分を引き延ばした脚本を書いているように思った。常にメインの登場人物を真ん中に配置し、プロットを進化させ、観客を混乱させないように配慮している。それにより登場人物が裏切った時にはとびきり驚かされるし、中毒性のある展開を作り出すことができている…のかなと思ったりした。
ともかく衰え知らずの巨匠には恐れ入るしかない。一体どこまでいくんだろう、Martin,Martin,Martin…。
前作の『アイリッシュマン』をみた時「集大成」という言葉を使って感想を書いたけれど、この作品も十分それに値する。これからも我々の想像をはるかに超える作品を作ってほしい。一生ついていきます…。Love, Martin..
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ここまで結構な熱量で話してきたけど、この作品は正直自分の好きなスコセッシの感じではなかった。(どてー)だけど、彼のキャリア後期の作品に新たな輝きが加わったと思うと感動してしまう。
すでにおかわり欲でいっぱいです。
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『キラーズ〜』をみに久しぶりにトーホーシネマズさんへ行った。単館で映画を観ることが多くてなかなか行けてなかった。結構面白そうな映画、やるみたい。
私が気になってる映画5選。勝手に紹介。
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・『瞳をとじて』(ビクトル・エリセ監督)
待ちに待ったエリセ監督の新作!『ミツバチのささやき』のアナ・トレントも出るんですって。楽しみ。でもこれミニシアターでやりそうなところ、トーホーさんでやるのね…意外だな!
・『哀れなるものたち』(ヨルゴス・ランティモス監督)
これもトーホーさんでやるんだと驚いた!予告編の時点で毒々しさ全開!誰かとみたい映画。
・『ナポレオン』(リドリー・スコット監督)
リドリー・スコットの新作ということで。
・『サンクスギビング』(イーライ・ロス監督)
これも贔屓の監督案件。『イングロリアス・バスターズ』で「ユダヤの熊」に出会って以来、密かに応援してるイーライ・ロス。この映画の元ネタはタランティーノと(ロバート)ロドリゲスの『グラインドハウス』に収録されたフェイク予告編。それを長尺にしてみましたver.。大体の筋は分かるから正直あまり期待してない……小声。だけどみようと思ってます!!!スキだから!!
・『エクソシスト信じる者』(デヴィッド・ゴードン・グリーン監督)
『エクソシスト』ファンとして興味あり。「正統派」続編とか言われるとどうにもこうにも。本家のエレン・バースティンも出るしなぁ。
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しっかし映画も高くなったもんだ…。飲み物忘れたら悲劇。こんなちっさいコーヒーも590円って。もう悔しい、呆れて笑ってしまった。
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『キラーズ〜』を観て大満足した夜、BSで『レザボア・ドッグス』を観た。大好き映画の一つ。マドンナの「ライク・ア・バージンは〜」から始まる井戸端会議、からの壮絶な流血シーン。全画面全映像センスの良さがだだ光り。『パルプ・フィクション』もそうだけど、タランティーノ映画は物語の構成がカッコいい。今回も6人の「Mr.〇〇」の身に起こる出来事(災難)を断片的に伝えるっていう手法、斬新だしかなりいけてる。
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推しはやっぱしブシェミas Mr.Pink🎀
だけど悔しいくらいティム・ロスがかっこいんだよな…。
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ミスターオゥレンジ
点と点が繋がる瞬間がたまらなく気持ちがいい、とても物騒なお話。
タラさんが新作作るたびに脚本をある俳優がバラした云々言われるけど、それくらいタランティーノへの期待と人気が高いんだなぁって再認識させられたりする。
というわけで、ほぼ映画の話題でした!
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aya-ebina · 9 months
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2023/08/05
木曜日に詩集が家に届いた。文学フリマで売り切れるとよいな。表紙も帯も白い紙なのだけど質感が違うし、本文用紙は柔らかい紙でめくりやすい。意外と軽い。
今日は定期通院。話すことを全く考えていなくて、思いつきもしなくて、診察室に入って「どうですか?」と聞かれても即答できず。「暑いなと思っている、暑くて会社に行きたくないと思う」と言う。そのあと、前回の代診で話したことをざっと話す。調子がよいと話すことがないのは「精神科あるある」らしい。話すことがないのは幸せと言える。ここしばらく雑談して帰るみたいなことになっている。
夕方、葉ね文庫へ行き、テーブル・ポエティクスへ参加する。髙塚謙太郎さんと峯澤典子さんから、詩にまつわるいろいろなお話を聞く。参加者からの質問にも丁寧に答えられていた。わたしはもう少し考えて詩を書いたり、詩について勉強したりしたほうがよいのではないかという気持ちになる。詩史や詩論の類をほぼ読んでいないし、実作も書けるように書くばかりだ。
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yachch · 1 year
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アフターヘブン 試読
「おかえりなさい、アンナ。――あなたが生まれ、育まれたグルダに」
 真珠を守る貝のように硬くこわばり、かすかに震えるフランギスの細い腕の中で、アンナはその声を聞いたのだった。  左足に重心をずらそうとして靴のかかとが霜を踏み砕き、その下に広がるぬかるみへと沈みこんでいく。夜の間に凍った地面は太陽のひかりにあてられ、生クリームのようにやわらかく溶けはじめていた。後退しようとすればするほど深みにはまっていく気がして、アンナは据わりの悪い椅子に座るようにその腕の中にとどまるしかない。 ――なにもしらないひとがこの場を目撃したなら、祖母と孫が別れを惜しんでいるようにみえるだろう、とアンナは思う。  ふたりの背後にそびえ立つのは寄宿舎学校の門で、アンナは真新しい制服を着ているのだから。そうした断片的な情報から、規律の厳しい学校生活に入る孫と、その孫を心配する心優しい祖母という構図をあてはめてみることはきっと難しくない。  でも、それは真実から遠くかけ離れた想像だ。  アンナが寄宿舎学校に入ることは事実でも、ふたりは血縁関係にはあたらない。おたがいを家族と認識しあう仲でもない。謙遜でも何でもなく、ただの他人だった。三十年とすこし前、この国で多くの批難を浴びながらも施行された法律によって、たまたま結びつけられただけの。 「ここに来るまでに、ずいぶん身体が冷えてしまいましたね」  抱擁を解くと、フランギスはアンナの冷えた首に自分のマフラーをそっと巻きつけた。  抱きしめられていたのはわずかな時間だったのに、ようやく解放された気がしたのはアンナがずっと緊張していたせいだろう。他人と触れ合うと頭が真っ白になって、全身から汗が噴き出して、そして逃げ出したくなる。フランギスが悪いわけではなく――ふたりは法律によって結ばれた関係だが、フランギスは一貫してアンナを尊重してくれている――誰に対してもそうなのだから、そういう性分と言うほかなかった。 「暦の上では春を迎えたけれど、この時期のグルダは寒いとあれほど言っておいたのに。お前でもうっかりすることがあるんですね、アンナ」  ええ、まあ、とアンナはあいまいに笑う。そんな彼女の首もとでしっかりマフラーの結び目をこしらえてから、「さあ、行って」とフランギスがささやいた。 「私はここであなたを見送ります。心配しないで、私はあなたの代理人ですから、またいつでも会えますよ。困ったことがあったら――」  ぬかるみを跳ね飛ばしながら走ってくる乗用車が目に入り、アンナはとっさにフランギスの腕を引く。しかし弾丸のように飛びかかってくる泥を避けるには、その行動はいささか遅すぎたようだ。 「アンナ、何がみえますか? 私に教えてください」  黒いガウンの裾が泥で汚れるのにも動じず、フランギスはじっと周囲の音に耳を澄ましていた。それでは埒があかないと思ったのか今度はアンナに説明を求める。  通り過ぎるかと思われた乗用車は門からすこし離れた場所で停まっていた。 「一台の車が……門の前に停まっています。窓が黒くて、スモークガラスって言うんでしょうか、乗ってるひとはみえないし、降りてくる気配もないし……誰かを待っているんでしょうか?」 「車体の色、タイヤの大きさ、あと、ナンバーは?」  いつになく焦った様子で、フランギスは次々と質問を重ねていく。  そのひとつひとつに丁寧に回答すると、フランギスは「そう」と小さな溜め息を漏らしたきり、今度は押し黙ってしまった。そのまま宙を仰いだ目線の先を追いかければ、木々の枝にわずかに残された枯れ葉が目に入る。 ――あの枯れ葉は、冬の間、風にも雪にも負けずあの場所にとどまり続けていたんだろうか。 「きっと、天国からお迎えが来たんでしょう」  葉が風にちぎりとられるのと、門の脇にある通用口からひとりの少女が飛び出してきたのはほぼ同時の出来事だった。寒空の下、コートもはおらずに出てきた制服姿の少女は、ふたりなど目に入らないとばかりに押しのけて例の車輌まで駆け寄る。 「あたしに時間をちょうだい! まだ帰りたくない!」  大きな声で叫んだ少女に呼応するように運転席の窓がわずかに開いた。そこで何を言われたのか、少女はずるずるとその場に座り込むと力なく握った拳で地面を叩いた。 「そんな……もうすこしで卒業できたのに……あたし……」  ぬかるみに膝まで浸かって、少女はすすり泣いた。がんぜない背中は悲しいくらい痩せて、ブラウス越しにでも浮き出た肋を両手でつかんでしまえそうだった。  呼吸すら忘れてその背をみつめるアンナの片袖を、後ろから誰かが引く。 「行きなさい、アンナ。ただでさえ到着が遅れてしまったんですから、先生がたもお待ちかねですよ」  爪弾かれたように振り返ったアンナをフランギスは穏やかに諭した。 「でも……、フランギス先生��」  アンナの口を冷たい手でそっとふさいで、フランギスは無言で首を振った。背後にいる少女の存在に触れることは禁忌だとでも言うように。  通用口をふさぐ赤錆びた扉が、勢いを増した風に揺れてぎいぎいと軋む。その音に混ざって、かすかに嗚咽の声が聞こえてくる。  アンナは自分の胸の中で熱いものと冷たいものがせめぎ合うのを感じた。  「――アンナ」  結局、フランギスの呼びかけを無視してでもアンナはその子に声をかけることにした。ハンカチを差し出すと、その子ははしばみ色の目でじっとアンナをにらみつけた。  宙を舞ったナナカマドの枯れ葉がひらりと泥海に落ちる。油をかぶったように黒く濡れた両手を握り込みながら、少女はきつく下唇を噛みしめた。 「……あんたは何回目なの?」  続けざまに少女が「あたしはもう十回よ、十回もくり返した!」と叫ぶと、ぎゅっと力の入った目尻から涙がぽろりと一粒こぼれ落ちた。 「だから、これで完全におしまい。――あんたは、うまくやれるといいね。あたしが帰るところが天国なら、ここは……、」  少女が後部座席のドアを開くと、車内に焚きしめられた奇妙な香りが周囲に拡散した。その香りを香りと認識する間もなく、アンナの意識は急にぼんやりする。  意識がもうろうとしたのはほんの数秒だったが、気が付けば車は跡形もなくなっていた。  道のむこうをみればすでに車影は遠く、ベールがかかったように垂れこめる深い霧の中に入りこもうとしている。白い霧に吸い込まれると、車は完全にみえなくなった。  『ここは』――続くことばが何だったのか、アンナはしばらく思い出そうとこころみたが、しびれを切らしたフランギスに呼びかけられて考えるのをやめてしまう。ガムのようにへばりついてくる泥を靴の先でかきわけながら元いた場所に戻る。  フランギスはアンナを叱らなかった。  彼女に見送られて、アンナは先ほど少女が飛び出してきた通用口から学校の敷地に足を踏み入れた。どこからともなく現れた守衛が即座に扉に鍵をかける。錆びた格子越しにフランギスと向き合うと、実は自分は投獄されたんじゃないかという突拍子のない妄想にアンナにとり憑かれた。 「ああよかった」  扉の格子に力なく指をからませて、フランギスがふと溜め息を漏らした。 「ここまでお前を送り出せて。最後の力をふりしぼって、私の善性がそのほかのすべてに勝ったように思います」  そう不可解な発言をするとともに、フランギスは目を細めた。眼球という感覚器官を失った暗い視界の中、何とか一条の光をさぐり当てようとするように虚空を凝視する。  ここに来てから、フランギスはふだんよりもすこしだけ感情的になっているようだ。長い冬を耐え忍んだ病人が春のきざしにふと心身の緊張をゆるめて死に至る、そんなあやうさを秘めているようにもアンナには感じられた。 「行ってきます、先生。またお会いできる日を楽しみにしています」  もしかして、これが今生の別れになるんじゃないか―そんな不安に駆られつつも、アンナはあたりさわりのない挨拶を口にすることしかできない。 「いってらっしゃい、アンナ」  フランギスの声を背に、アンナは自分を待ち構える森をみあげた。
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nemosynth · 1 year
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episode 5 - KAWAI K5000W
1988年春、ついにKORG M1発売!!! タメにタメ、待ちに待った救世主の降臨に市場もコルグ社員も湧い た!!! 同時にROLANDも新型廉価版LA音源シンセ・キーボードによるちゃきちゃきのラインナップD-20、D- 10、同LA音源モジュールD-110を発売。既に前年に歴史を変えたD-50とともに世界は一気にPCMサウンドへと なだれ込んだ。
そこへ同時デビューしたのはCASIO VZ-1。それまでの人気商品CZ シリーズからさらに踏み込んだ新開発iPD音 源とグラフィックLCDとをひっさげ、事実上のデジタル・フル・モジュラー・シンセとなるも14万8千円というお 値打ちな戦略プライス。
しかし不運にしてその新音源iPD方式とは難攻不落のFM 方式をさらに上回る高度な変調方式となってしまい、音 創りは超難解。でもそれだけならまだシンセ・ヲタにとって挑戦しがいがあったはずなのだが、タイミング悪 くPCMサウンド時代到来にはちあわせしてしまいVZ-1は埋没。PCM波形を使う方が単純明快な理論で仕組みも分 かりやすく結論も早くおまけに音が斬新とくりゃ、いくら名機でも相手が悪かったとしか言いようがない。
そしてそれは5年に及ぶ無敵のラインナップを誇っていた鉄壁のFM音源シンセたちと言えども、時代の潮流が変 わったことを思い知る運命の瞬間であった。
♬     ♬     ♬
ついにやってきた本格的デジタル・シンセ時代。上から下まで計5機種に及ぶPCMシンセが一気に発売されたこ とで堰を切ったようにサンプル・ベースの音色が世界を席巻。最安価のキーボード・シンセはROLAND D-10、メ ーカー小売価格12万8千円、しかもまだ当時珍しいベロシティ対応鍵盤も搭載。さぁついにキミやボクにもPCM音 色をタッチ・センス・フル対応でどうぞ!
と思ったその矢先......!!!
第6のPCMシンセ、ダークホースKAWAI K1、61 鍵ながらに可搬性に優れたコンパクトなボディにたくさんの PCM 波形を搭載しアコピの音もばっちしでお値段きゅっきゅっぱ! しかもベロシティだけじゃないよアフタータ ッチも装備、おまけに鍵盤はクラス初おもりつきで“カワイらしく”タッチもよろしいのよ、さりげなくベクトル合 成までできたのよ♬
まさかのPCM シンセが10万円を切る値札付けて登場、思わぬ伏兵にD-10、D-20、D-50、M1に至るまで親亀 コケたら皆コケるが如く足をすくわれ総ずっこけ。しかも相手はKAWAI。よもやこんなにセンスの良いあかぬけた フレンドリーな機種を投入してくるとは誰が予想し得たであろう。ってかそもそもカワイってシンセ作ってたっ け? やんごとなき良家の坊っちゃん嬢ちゃんがお行儀よくヤノピを習うカワイ音楽教室? KAWAIの電子オルガ ンことドリマトーンなんて覚えてる? エレクトーンはYAMAHAの商標ですよ。バブル期のことなんてもう忘れた ってか?
しかしその源流は、実は狂乱バブル期どころか日本が焦土と化し灰燼(かいじん)と化し、すべてがただの焼け 野原となりただただ空だけが広く明るかった敗戦の翌年にまでさかのぼるのであった。
♬     ♬     ♬
TEISCOとはTokyo Electric Instrument and Sound Companyの略だという。その前身となるアヲイ音波研究 所が設立されたのが敗戦翌年の1946年。その2年後辺りからはテスコというブランドでハワイアン・ギターやアン プを販売。まだ日本が謙虚にもの作りしていたころであり、朝鮮戦争へ行った米兵が買っていったという話もあ り、いずれにせよビザール・ギターとして欧米で知られることに。
1958年、なんと日本初の電子オルガンことテスコ・スーパーエレガン(TEISCO Super Elegan)発売。モノ フォニックの真空管式オルガンであり、ここからKAWAIの電子オルガンことドリマトーン・シリーズへとつなが る。そしてついに、1964年にテスコは株式会社となり、2年後KAWAIすなわち河合楽器製作所の系列会社にな り、電気楽器メーカーとして頭角を現すようになった。
GS(グループ・サウンズ)ブームとともに個性派ギターを連発したTEISCO。映画『エレキの若大将』にも映っ ているという。有名なのはスプリット・ピックアップを6つも搭載したSpectrum 5シリーズ。なんですかこれは、 ピックアップ加算合成方式のギター・シンセですか? いやこれぞまさしくビザール・ギター見参!
だがギター・ブームが下火になるとともに、入れ違いに盛り上がりを見せてきたシンセ・ブームにあやかるべ く、1976年テスコ初のシンセ100FをTEISCOブランドとKAWAIブランドの両方にて発売。これが黎明期の混沌に ふさわしく機種名すらもが不定で、
・100F ・S-100F ・Synthesizer 100F
などと表記。 100Fは 37鍵のアナログ・モノシンセであり、1VCO/1VCF/1VCA/1HPFという構成で一番最後にハイ パス・フィルターが来るのがちょっと面白いが、多分これはEGが暴れて低音ぶっぱなしてアンプぶっとばすのを防ぐためであろう。お値段は9万5千円と、当時としては少し安めな印象もあって興味深い。しかもじつはさりげなくオシレーターでフィルターのカットオフモジュレーションができたのよ♬ まるでプロ5とかOberheimみたいだね!
以来、テスコはカワイの傘下にありながらTEISCOブランドでもって次々とアナログ・シンセを世に送り出 し、YAMAHA/KORG/ROLANDの御三家とはまたひと味もふた味も違う、ビザール・ギター・メーカーにふさわ しいひねりの効いた独自路線でクールな機種展開を魅せる。
そんなふうにちょっと変わった個性派アナログ・シンセを“Sシリーズ”や“SXシリーズ”として輩出したテスコ。 そのテスコがそれまでのアナログから脱してデジタルへと足を踏み出した次世代シリーズが、KAWAIブランド の“Kシリーズ”であった。時に1983年DXシリーズ降臨、デジタル・シンセ台風の暴風圏内、KORG DW-8000が 逆風の中で後出しジャンケン負けの崖っぷち、ROLAND JX-10 "Super JX" がそれでもなんとか踏みとどまろうと していたとき、突如として出現したみょーなシンセKAWAI K3とは?
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1.序
Kシリーズ初号機K3は、2基のデジタル・オシレーターとアナログのVCF/VCAによる6音ポリのハイブリッド・ シンセ。そのデジタル・オシレーター波形とは、KORGのDWGS音源と同じく、現実のサンプルをフーリエ解析し サイン波倍音加算合成にて再合成したものであった。
なれど正直、K3はなんとも言えない機種であった。音源構造といいUIといい、どう見てもKORG DW-8000を大 いに参考にしているのはさておき、外観デザインがイケてない家具みたい、ホイールなんかピッチ・ベンド用1つ しかない。しかしK3にはDW-8000には無いメリットがあった。音源波形が32種類もあって、ハイブリッド・シン セ最大級のバリエーションであったとか、LFOにS/H波があるとか、アフタータッチで波形2つの比率を変えられる などなどといった地味にヲタなアドバンテージがあっただけでなく、一つ明らかに抜きん出たところがあった。
たった1個だけとはいえ、音源波形を自作できたのである。
なんとK3において、33番目の音源波形とはユーザーが作成する波形であった。その実態は128倍音から32個を 選び、それらを加算した結果をレンダリングさせ波形メモリーに記憶させ1波ループさせることで音源波形として 利用する、つまりユーザー・エディットできるサイン波倍音加算合成であった。当時KORG DSS-1、ROLAND S- 50、CASIO FZ-1、E-MU Emax SEのごときサンプラーでもないのにユーザー音源波形を自力で生成できる減算方 式シンセというのは寡聞にして聞かない。しかもサイン波加算合成とは理論こそフランス革命直後の18世紀末ジョ ゼフ・フーリエによるフーリエ展開のころからあれど、具現化にはおびただしい数の正弦波発振器をただただひた すら愚直に並列に配置し、愚直にいちいち発振器ごとに周波数だのエンベロープだのなんだのとパラメーターを設 定せねばならず、リアルな音を出そうものなら最低でも数十基はサイン波オシレーターが必要となり、デジタルに よるシミュレーションの到来まで待たねばならなかった。そんな愚直にもほどがあるシステムを実用化しユーザー に開放すべく、民生機シンセとして本格的に挑んだのがKAWAIのKシリーズだったのである。
当時デジタル化に乗り遅れ、息も絶え絶えだったKORG。瀕死の彼らが力尽きて手が届かなかった音創りへの夢 を、実は黙って引き継いでいたKAWAI。奇妙なK3の開発には、実は稀代のプロデューサー佐久間正英氏がかかわっ ていたとも言う。音創りに賭けたKAWAIの想いはその翌年、大化けすることになる。
2.破
ROLANDが革命的な主砲D-50をファイアしたのと同じ1987年、KAWAI K5ローンチ! D-50と同じ16音ポリ でほぼ同じプロ価格、2基の63倍音加算オシレーターでもって最大127ものサイン波倍音をユーザーが設定し加算 合成する方式、しかも2オシレーター個別に4基の多ポイントEGで倍音構成を制御したのちデジタル・レゾナン ト・フィルターとデジタル・アンプで加工するという、怒涛のパラメーター群の襲来に飲み込まれてしまう、ガチ で恐ろしい超弩級ヲタ・シンセであった。
さらに民生機初グラフィックLCD装備。7ステージEGはもちろん、倍音加算状況をスペアナのように分かりやす く図示してくれるSF映画のごとき進化ぶりに誰もが腰を抜かした。ぐっと外観も当世風イケてるデジタル・シンセ になり、ただプログラマブル127倍音加算合成というDX7すらもが顔面蒼白で逃げ出す膨大な数のパラメーターを設 定せねば音創りできず、あまりの道のりの遠きにかかわるのもためらわれるほどで、誰もがK5の存在には気がつい ていないふりをして布団の中にもぐってしまっていた。だから意外に知られていない(笑)。しかしそれは知られ ざるKAWAIが放つ超弩級音源シンセ、前代未聞の巨大アーキテクチャーを誇る革新的シンセであった。
なお、K5の音源方式はARTS音源(Additive Real Time Synthesis)となっていたが、商標にでも引っかかった のか、後からADD音源(Additive Digital Dynamics Synthesis)となった。
3.急
���して翌1988年、冒頭で紹介した驚愕の廉価版シンセK1見参! なんせタッチ・センス完備の16音ポリデジタ ル・シンセが9万9千8百円。してその音源波形はPCM波形と、DWGS音源みたいなサイン波加算合成で生成し たVM波形なるものとで合計256波形に達し、そのうち4波形を選んでおのおのに音量エンベロープかましてミック スするだけ、あとは必要に応じてAM変調もカマすだけ、ジョイスティックまであってベクター合成ごっこするだ け、これまた壮絶にシンプルな加算合成シンセであった。フィルターすら持たないコロンブスの卵シンセであり、 逆にその限定っぷりが潔く音創りに見切りの早さと創意工夫とをもたらし、画期的コスト・ダウンも実現せしめ た。KORG M1がデビューした熱狂の影で、K1もまた人気を呼んでいたのである。
そのさらに翌1989年には16ビット・デジタル・オシレーターにデジタル・レゾナント・フィルターとマルチエフ ェクトとを加えたPCMシンセK4を投入。K1はリバーブ/ディレイを追加したK1 IIへと置き換わり、ここにKAWAI Kシリーズはラインナップ完成。腕っぷしの強いドラマーがたたいたみたいな頼もしい音がするリズム・マシンR- 50シリーズ、メリケン人の熱きご要望に応えたというこだわりのパーカッション・シンセ・モジュールXD-5、庶 民の味方シーケンサーの名機Q-80、明らかに“分かってる”人が開発した便利アイテムMIDIミキサーMM-16、明ら かに“分かってる”人が開発した4チャンネル・セミモジュラー・リバーブRV-4などなど、KAWAI機種だけを買えば いっちょまえにかっちょええ“分かってらっしゃる”自宅スタジオが、しかも比較的にお買い得なお値段で実現する というシンセ・キッズにうれしい夢が実現、奇跡のようにきらめくデジタル・シンセ音が誰でもお手軽に手にでき るKAWAIシンセ黄金時代を迎えた。
廉価機種で輝いていたKAWAIに対し、当時のKORGはM1とTシリーズという20万、30万、40万円するプロ価格 帯にフォーカスしていたので、KORGとKAWAIとでPCMシンセ市場の棲み分けができていたとも言える。プロから アマまで広くPCMシンセでカバーしていたのはROLAND1社だけであり、YAMAHAはFMシンセの着地点をどう見 つけるか決断を迫られていた。してYAMAHAはV80FDという幻のFMフラッグシップ・シンセをデビュー目前にし て葬り去り、代わりにSY77というFM+PCM からなる新RCM音源の開祖へと舵を切る。
このときCASIOはVZ-8Mという、冒頭に出てきたデジタル・フルモジュラー・シンセVZ-1の同時発音数を8音 ポリへと半減させた1Uラックの普及機を出したもののそこから広がらず、明らかに時代はPCMシンセのものとなっ ていた。ここへ来てCASIOはプロの音楽文化からは距離を置くようになり、電子楽器全体の民主化へと専念するよ うになる。電卓屋CASIOの本分はテクノロジーの民主化にあり、FZ-1みたいな29万8千円プロ仕様プロ価格サンプ ラーを出すと“CASIOらしくない!”と言われて、10万円安いFZ-1GXへ交代させるなどかわいそうなところもあっ た。その一方、CASIOのおかげで安くなった液晶をニンテンドーが黎明期のゲーム機に使用したわけであり、他方 CASIOシンセの孔を埋めたのはスノッブなプロ文化ともつながりうるKAWAIのPCM/加算合成シンセであった。
4.SHIN
だが1990年代になってからKAWAIはDTMへ方向転換、その数年後GMegaという、音が良い32音ポリGM音源モ ジュールの名機を見た。GMegaをK1のボディに入れたキーボード・シンセ版K11というシンセもあった。デジタ ル・レゾナント・フィルターをシリパラ可変できたが、評判は聞かない。DTMではROLANDとYAMAHAに後追い となって今一歩、シンセも数年間ラインナップを放置したせいか存在感もディケイ。ついにテスコも影も形もなく なって河合楽器に完全吸収。KAWAIシンセは沈黙した。
そのまま数年が経過、他社シンセも数世代が経過、KORG TrinityとROLAND XPシリーズとが世界を席巻してい た1996年、シン・エヴァのごとく突如として新解釈で出てきたプロ仕様シンセが本稿の主役、KAWAI K5000シリーズである。こんにちのピアノ専業っぷりからは想像もできないKAWAIのシンセさしずめ“シン・Kシ リーズ”とでも言うべきか、それは一体どのような機種だったのであろう?
♬     ♬     ♬
 “写実派PCM音源の時代に終止符を打つ、印象派『アドバンスト・アディティブ』音源搭載”
K5000シリーズのカタログには、そう書いてあった。そこには以下のラインナップがあった:
・1996年発売 KAWAI K5000S 16万8千円 素のシンセ ・1996年発売 KAWAI K5000W 21万8千円 ワークステーション・シンセ ・1997年発売 KAWAI K5000R 12万5千円 ほぼK5000S の2Uラック・マウント音源モジュール版
プロ仕様の割に比較的お値段がフレンドリー。してその実態は、シンセ・ヲタを黙らせた鬼のフラッグシップK5 をさらに発展させたる前人未到のシンセシスAA音源(Advanced Additive Synthesis)。
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それは凶悪な倍音加算合成に飽き足らず、悪魔の128バンド・デジタル・フォルマント・フィルターを追加、さら にPCM音源波形とも組み合わせ今度こそめんどくさいシンセ・ヲタどもを完全に沈黙せしめたるもの。すなわち、
①16基の言わば“倍音加算ジェネレーター”が64サイン波倍音加算合成を行い、2基ペアで128倍音加算も可能 ②26基の128バンド・デジタル・フォルマント・フィルター ③36基のDCOこと、ピッチや波形の概要パラメーター設定部 ④46基のDCFことマルチモード・レゾナント・デジタル・フィルター ⑤56基のDCA
倍音加算ジェネレーターの代わりにPCM音源波形オシレーターを使うときは上記3から音創りが始まる。こうし て最大6基のオシレーターにて倍音加算サウンドとPCMサウンドとをレイヤーして音創りする。
倍音加算合成にはマクロ・エディット機能もあり、奇数次倍音のみ、偶数次倍音のみ、などと特定の倍音グルー プに絞ってエディット可能なばかりか、さらに驚愕するのは個々の倍音ごとにEGを設定可能。そんな128倍音ごと に個別に多ポイントEGなんか設定してられっか!という至極まっとうな向きには、モーフ・モードを使うことによ り、時間軸上の4点タイム・スライスに128倍音スペクトラムを設定することで、その4点をモーフィングするウ ェーブテーブルを作成可能。つまりAA音源とはウェーブテーブルを自作できる音源方式!! この快挙はほとんど世に知られていない。
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それをさらにデジタルならではの最凶128バンド・フォルマントフィルターや、さらに別のレゾナント・デジタ ル・フィルター、デジタル・アンプ、ADDSRという2段ディケイ装備の多段EGなどで加工。
のちのバージョン・アップでは、0.5秒くらいの短いWAVファイルを外部から読み込み、それを逆フーリエ変換 で解析、さらにフーリエ変換でもって整数次倍音のみで再合成、つまりアナリシスとリシンセシスとを行うとい う、空前の機能すら付いてきてゾクゾクさせた。あまりのパラメーター暴風雨ぶりにグラフィックLCDでのエディ ットはもちろん、あとからPC/Mac版エディター・ソフトEMAGIC SoundDiver for K5000が一緒に付いてくるようになった。
“写実派PCM音源の時代に終止符を打つ、印象派『アドバンスト・アディティブ』音源搭載”
このカタログ・キャッチ・コピーは、奇しくもD-50開発者ROLAND菊本氏が命題としてきたシンセのシンセた るゆえんそのものである。鏡写しにリアルな写実主義よりも理想的な音を求める印象派。お手本を忠実になぞり過 ぎるお行儀の良いサンプラーではなく、ハミ出まくるやんちゃ坊主こそ自由を謳歌できるシンセ。
リアルよりアイディアル(理想的)そのままに、AA音源では狙ったところに倍音を立てられる便利さにうれしく なる。これがFM音源とかだとレシオだのモジュレーター出力レベルだの、あるいは減算方式だと音源波形選択やカ ットオフ、レゾナンス、各種変調ソースからの変調デプスなどなどのバランスだの、ともかくいろいろ周りから堀 を埋めるがごとく遠隔操作しているようでまどろっこしいことを想起すれば、直接に当該倍音を操作するAA音源に は納得しかない。
しかも和音で弾いたとき音が濁りにくい。多彩なデジタル音も太いアナログ音も出る上にクリーンでクリアで内 蔵エフェクトも高品質。アコピのサンプルに至ってはKAWAIピアノらしい重厚で太くてプログレッシブな音がして 良い。
1990年代も後半に入ったとき、あらためて隆盛するPCMシンセへのアンチテーゼが登場したのである。それは
リアルさばかり求められる時代へ歯向かうデジタル・シンセの聖戦、その布告であった。
♬     ♬     ♬
アゴが外れるほど驚愕させられたのは、その愚直なまでに広大だった音源方式だけではない。シリーズ唯��、か つKAWAI初のワークステーション・シンセとなったK5000Wにはこれまた広大なMIDI シーケンサーが内蔵された だけでなく、APG(Auto Phrase Generator)という一種の原始的なAIみたいなやつがフレーズを自動生成してく れる機能すらあった。
ユーザーがレコーディングしたシーケンス・データをなんとK5000Wが解析、別途ユーザーが指定した音楽ジャ ンルなどに則して勝手にK5000Wが最大8パートのマルチトラック・シーケンス・データを作成。しかもコード進 行を提案までしてくれる! 挙げ句、自動生成したシーケンス・データをご主人様がを気に入らなければ何度でも リトライ、K5000Wが都度違う楽曲データをご提案。最大で8,000通りくらいの場合分けで勝手にデータを作成し てくれる。
ユーザーが指定できる音楽ジャンルはプリセット105、ユーザー2つ。え、ユーザー?......そう、ユーザーが電子 オルガンやアレンジャー・キーボードなどで伴奏スタイル・データを作成し、それを読み込ませることでプリセッ トにない新しいジャンルを追加可能。未知のジャンルに至るまで人間様の感性を見抜いて提案してくれるのです よ、シンセが! プリセットされたジャンルには1990年代らしく“ランバダ”もあったが、APG機能の本質はAI支援 作曲、つまり機械が人間をアシストする時代への一歩二歩であった。さぁほら、落ちたアゴを拾いたまえ。
そうでなくともK5000Wの内蔵シーケンサーは当時のワークステーション・シンセとしては巨大な代物で、40ト ラック/4万ノート記録ができるという、およそ規格外と言っていいくらい大規模なものであった。MIDI端子すら IN/OUT/THRUを2セット計6端子も装備し、もはや広大なMIDIシステムの中核を成すキーボード・コントローラ ーですらあった。いわばKAWAIのPCなんか使わないぞ宣言、なのであろうか? SoundDiverはエディターであっ てシーケンシングじゃないしね。
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普通にPCMワークステーション・シンセとしても卓越した素養があり、加えて革命的な目玉機能も目白押し、し かも値段も比較的にいいところを突いており、ビルド・クオリティもさすがのメイン・イン・ジャパン、鍵盤タッ チも素晴らしいところはヤノピの老舗ならでは。ワークステーションではないK5000Sに至ってはノブがたくさん 付いて、例えば奇数次倍音だけをえいや!っとひねって制御。宣伝にはクリヤ・マコト氏を起用、まだ氏がエヴァ のクロージング・テーマを手掛ける前のことである。
主役は最後に現れる。1990年代も後半、ノストラダムス最後の審判が見えてきた世紀末、世も押し詰まったころ 遅れて出てきた意欲作、それはデジタル・シンセ最後の聖戦であった。
デジタル・シンセの時代。
新しいテクノロジーが新しい音と表現をもたらし、技術こそが未来を切り拓く。健全な未来観。シンセは未来。 シンセはSF。技術的センス・オブ・ワンダー。まぶしいくらい無邪気にテクノロジーを信じ、ハイテクで世界が一 つとなり、音楽が世界を一つにするというビジョンに歓声を上げる。約束された未来、痛々しいまでにナイーブな 未来感覚。そしてデジタルだからこそ多彩な音が可能となり、それはスター・ウォーズ異星人のようにチグとハグ の多様性であり、だからこそ多彩たり得た。
かつてCASIOがキーボード業界に乱入してきたとき、彼らのデジタル技術レベルはYAMAHAよりも5年は先を行 くものであったという。すなわち楽器業界にてデジタルはCASIOの独壇場だったのであり、CASIOのおかげで楽器 は初めて民主化しえた。
そこから始まった楽器のデジタル化が15年かけてたどり着いたK5000。ようやくインターネットがお茶の間に入 り込み、新しい世界の足音が聞こえ始めたその時。だが他方、迷いが出てきてどんどん感情的になっていくとき、 なんでもできてしまうデジタルへの疲れから人は限定を求め始めたのか。そして再び人が主役の時代へ、人の出番 が多いシンセへ、それはアナログ・シンセであった。
しかしアナログへの回帰とは、今やギターと同じくらい定番と化したアナログ・シンセ音色への懐古と郷愁でも あり、人は生まれる前の時代に対してすら懐かしさを抱きしめて生きるものであるという真理の追認でもある。デ ジタルもアナログもどちらが古いとかではなく、等しく未来へ向かうテクノロジーではなかったか。それこそFM音 源もMinimoogの同窓生たる古いテクノロジーだったのであり、だからこそ永遠に新しいのではなかったか。定番 と化したアナログ・シンセへ還ることはたやすい。だがシンセはそれで良かったのか? 前を向くのが新しい楽器 ではなかったのか? 楽器のフロンティアを開拓するのは、へんてこなシンセたちではなかったか。
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テスコのたましい百までも。
K3では、DW-8000が実現できなかったユーザー波形を。K5では、FM音源がなし得なかった倍音のダイレクト 操作を。K1では、ROLAND D-50でのPCMとシンセ波形との組み合せを格安プライス上質キーボードで。K4で は、KORG M1でも実現できなかったPCM波形を加工するデジタル・レゾナント・フィルターを。K11では、ROLAND JD-990と同じくセミモジュラー構成のPCM音源を安価かつ良質なキーボードで。K5000では、優れて 柔軟な音源と、来たるべきAI時代を予見する機械作曲の曙光を。
他社に学びつつも、他社がたどり着けなかったいま一歩最後の詰めをKAWAIのシンセは探求し続け、K5000Xと いうまぼろしの76鍵フラッグシップまで企画されていたという。しかし発売から2年後、K5000シリーズは一斉 に値下げされて在庫一掃セールが始まり、同年ステージ・ピアノの名機MP9000が入れ替わりに発売。そのまま河 合楽器は本業であったピアノに専念し、ごりごりのシンセの火は消えた。
時に西暦1998年。ついに世紀末が始まろうとしていた。Y2K問題が現実のものとして立ちはだかり、その対処に 翻弄され中小企業に至っては経営に大きな打撃をこうむり、世の中は終末ムードに覆い尽くされ、新しい世紀への 胎動もまた始まっていた。とっくにアナログ回帰への胎動と心音が聞こえてきた中、その過程で既に3年前に史上 初のバーチャル・アナログ・シンセCLAVIA(NORD) Nord Leadがデビューしていた。無名のメーカーから突如 として彗星のように登場するそのさまは、かつてのアナログ名機SEQUENTIAL Prophet-5を思わせた。ハンドメ イド・イン・スウェーデン、ニュー・タイプにふさわしく赤い彗星は高速演算DSPシンセ、感受性豊かな木製ピッ チ・スティックと石製に間違えられたモジュレーション・ホイール装備、EGのアタックが食い付くように激速でク ール!
ここからPCMシンセへのアンチテーゼが続出するようになり、それはKORG ProphecyやZ1、ROLAND JP- 8000やJP-8080、ACCESS Virus、WALDORF Q、QUASIMIDI Raven といった一連の変わりもんシンセた ちとなった。それは既存シンセへのもう一つのアンチテーゼとして独DOEPFERがユーロラック規格を提唱し始める ころであり、実はK5000もその同じ時代の空気を吸って生まれた果実の一つであった。そのミームは2003年 にROLAND V-Synthシリーズとなって結晶化する。V-Synthは売れはしなかったがその怪物性が話題となった現代 のレジェンドであり、楽器店から“ローランドさんやっちゃいましたね♬”と言われたらしい。が、それでももう20 年ほどたつ。へんてこなシンセたちが挑戦するフロンティアは依然としてまだまだ開拓が始まったばかり。
へんてこシンセの挑戦は今やシンセの本流へと還流し、YAMAHAはMontageにて8オペ88アルゴリズムのFM音源へ回帰、KORG はKronos/Nautilusにて9つの音源を同居、ROLANDは変幻自在のZEN-Core音源にてハード/ソフト/モバイルの垣根をクラウドで超える大統一理論的存在になろうとしている。
一方、もう一つのアンチテーゼたるシンセの先祖返りも進み、ついにモノホンのアナログ復権を見た。それを 重々に認めながらもそれでもなお前を向こうとしたSEQUENTIALのデイヴ・スミス爺。そのProphet-5 Rev.4登場 に、Rev.1でもRev.2でもRev.3でもRev.3.3でもない、たった一つ時代の流れに歯向かう橋頭堡のようなビンテー ジ・ノブを回しきったRev.4サウンドに、電子楽器の歴史の縮図と宿命と可能性とを見る。さらにその彼方にある Rev.5サウンド、いまだ見たことも聴いたこともないサウンド、私たちはいかなる音色を次世代Rev.5世代へと贈り とどけるのか? Rev.5、Rev.6、Rev.7、Rev.8、Rev.9、Rev.10、私たちはいまだ4にしか到達しえていないでは ないか。次のRevisionはどんな音なのか、それがアナログであれデジタルであれハイブリッドであれハードであれ ソフトであれアプリであれクラウドであれ、まだ見ぬ全く新しいなにかであれ。
歴史のまにまに運命へと消えたK5000シリーズ、その恐るべき愚直な倍音加算合成はひょっとしていにしえの TEISCOの変態ギターSpectrum 5シリーズ���見た“ピックアップ加算合成”に由来するのか? 春の遠雷を聞くか のようにその遠いこだまするエコーなのか? いや違う、多分違うと思うけど、そう想像するのは楽しい。
デジタル・シンセの春、デジタル・シンセ最後の聖戦は、ここに海外からアナログとモジュラーという先祖返り したかのような新しい黒船の到来を迎える。次からはそのルーツとなった海外からの波を俯瞰してみたい。きっと それはここまでの電子立国にっぽんシンセ自叙伝テクノロジー・ドリブンな歴史観とは全く違った、地球人類ならではの必要性と必然性に迫る視座からのものになるであろう。パンデミックにもめげず、ここまでお読みいただき まことにありがとうございました。まだまだWeb連載は続くで。ぜひぜひぜひとも皆さまおすこやかに~~~~! Stay healthy, and stay cool!!!!!!
(2022年2月10日Sound&Recoeding公式サイト初出)
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nyantria · 2 years
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†Мария
日本正教会のホームページに教義についても組織についても信仰生活のあり方についても “言葉で説明出来る範囲のこと” は全て書かれています。
因みにカトリックは正教会に反抗し「家出」して破門された偽キリスト教会です(正教会が連中を破門したら仕返してきたという、全く悪魔の手下は猛々しいね)。
*使徒たちの信仰と彼らから始まった教会のありかたを、唯一正しく受け継いできた(正統信仰)*
*中世西ヨーロッパの「スコラ神学」や近代の宗教改革とも無縁*
*正教会と他の諸教会が「分裂」したのではなく、正教会から他の諸教会が離れていったというのが「教会分裂」の真相*
*人間の理解をこえた事柄については謙虚に沈黙する*
*「煉獄」「マリヤの無原罪懐胎」「ローマ教皇の不可誤謬性」はない(これらは全てカトリックの創作)*
*「原理主義」も「予定説」も是としない*
*「何も足さない、何も引かない」(古代教会の教義と信仰を堅守)*
https://www.orthodoxjapan.jp/seikyoukai.html
キリスト教の土台
イイスス・ハリストス(イエス・キリストの日本正教会訳)の十字架刑による死と三日目の復活という出来事を「神による人間の救い」として直接体験し、その証人として世界中に伝えたお弟子たちのことを特別に「使徒」と呼びます。正教会はこの使徒たちの信仰と彼らから始まった教会のありかたを、唯一正しく受け継いできたと自負します。
正教会は中世西ヨーロッパの「スコラ神学」や近代の宗教改革とも無縁でした。キリスト教会は現在は多くの教派に分裂していますが、中世のある時期までは「一つの聖なる公なる使徒の教会」(ニケヤ・コンスタンティノープル信仰告白)としてほぼ一致していました。正教会はこの東西教会が一つにまとまっていた時代に、五世紀間にわたって合計七回開催された全教会の代表者たちによる会議(「全地公会議」325年~787年)で確認された教義や教会組織のあり方、教会規則、さらに使徒たちの時代にまでさかのぼることのできる様々な伝統を切れ目なく忠実に守り続けています。正教会と他の諸教会が「分裂」したのではなく、正教会から他の諸教会が離れていったというのが「教会分裂」の真相です。
教義的には、人間の理解をこえた事柄については謙虚に沈黙するという古代教会の指導者(聖師父)たちの姿勢を受け継ぎ、後にローマ・カトリック教会が付け加えた「煉獄」・「マリヤの無原罪懐胎」・「ローマ教皇の不可誤謬性」といった「新しい教え」は一切しりぞけます。またプロテスタントのルターやカルヴァンらのように「聖書のみが信仰の源泉」だとも「救われる者も滅びる者もあらかじめ神は予定している」とも決して言いません。かたくなと見えるほどに、古代教会で全教会が確認した教義を、「付け加えることも」「差し引くこともなく」守っています。
教会組織も、ローマ・カトリック教会のようにローマ教皇をリーダーとして全世界の教会がきちんと一枚岩に組織されたものではなく、各地域の独立教会がゆるやかに手を結びあっているにすぎません。しかし強力なリーダーシップがないからと言って、聖書解釈の違いや教会のあり方への理解の違いから無数の教派に分裂してきたプロテスタント諸教会とは異なり、正教信仰と使徒からの教会の姿を各教会がすすんで分かち合うことによって「正教会」としての一致を保ち続けてきました。
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38nakao · 23 days
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2024.04.04(日) ぼくはプータロー
 3/15(金)に「しごやめ」してから3週間が経った。そして、本日はお給料日であ〜る(補足:3/29に書き始めた)。残業代が基本給の1/4くらいあるし、外勤手当とか通勤手当もプラスあるのに、税金でもろもろ引かれて、もらえるのは基本給くらい。やってらんねー!!!税金死ね!!でも給料はあと2回でる!有給最高!!
 こういうのは今年度は自分でやらねばならぬ。保険、税金、経費、もろもろろろろろろ…ぜんぶ自分でやらんといかん!まあちゃんとできなかったら損するだけなので、死にはせんよ。でも自分でやるのは大変だぞう?だーい丈夫でしょ(ヤーレンズ)。
 しごやめ最終日は「こんなに!?」ってくらいプレゼントをもらった。本当にもらいすぎなくらいもらった。こういう時に泣けないのが悲しい(���しいと泣く)。ヤンヤンつけボーのパーティーセット、カンカンに入った紅茶、ちいかわグッズ、かわいいねこちゃんのハンカチ、焼酎と棒サラミ・ホタテ紐のセット、京都のクラフトビールセット。
 一番嬉しかったのは花束で、配色がミシガンだった!(ナカオが冬になると着だすアウターだ!) 花束をあげるのにそういう発想になるのが思い浮かばなかった。みんな忙しいのに、わたしのことを考えながら選んでくれたのだと思うと、本当に嬉しかった。本当に嬉しくなると照れ臭くなって、感情をうまく出せなくて、喜びが伝わらなかったら嫌だなあ。
 そーいや、フリーランスの屋号を「すなおなデザイン研究所」みたいなストレートな屋号を考えているのだけど、わたしは本当にすなおなのだろうか? 以前「さやちゃんは素直じゃないよ」と言われた。「ひねくれてるけど、それが顔に出ちゃうし分かりやすい。」「ある意味すなお。」と続く。一応「それが面白い」とのことなので、褒められているというか、その通りわたしの面白いカオなんだと思う。
 
 最近自我は芽生え出しましたが、自分の軸というか個というか……とにかく自分が分からないよ〜〜〜ッ!!!
 とにかく面倒臭い人間で、面倒臭いとは思われたくない。気弱なくせにナメられると腹が立ち攻撃する。面倒臭がりなくせに聞き分け良いが、間違ったことは嫌いで、窮屈・束縛と感じると争いたくなる。頑張りたくないから頑張りを評価されたい。
 自分に自信はないけど自分に価値を感じていたい。だから褒められたい、でも
自分自身の評価以上になにかを与えてもらうと、申し訳なくなってしまう。
 返さなきゃ!と無意識に思っちゃうんだろうか。「そこまでわたしに価値はない」と思ってるから、イコールになるようにしようとする。そして、物的にお返しができない・したくない場合は「申し訳ない」と謙虚な”風”を装ってるんだろう。
 素直に喜ぶ方がみんな喜ぶ!というのも知ってるから、みんなの前では喜んでるし本当に嬉しくはある。たぶん、コミュニケーションが演技になっちゃってるんじゃないか?「理性」が先で「感情」を後付けして、それに準じた「行動」を、結構やってしまっている(でも演技が下手なのか、他人をそれで魅了できてない)。
 これでは、初めて「人間失格」を読んだ時に「これはわたしだ!」と勘違いしたあの頃と変わらんではないか!!! とってもダサいよ、ナカオさん!
 
 認めたくなかったけど、わたしって結構なメンヘラでモラハラ野郎って最近思う。ひとりで悲しいときはメンヘラに、ふたり以上で分からなくなるとモラハラになる。要は「欲しがり」なんだと思う。
 でもねえ、子どものわたしは「山も谷もない穏やかな人生」を望んでいた。将来のことを聞かれても世間知らずで、未来のことなんて考えたことがないので、「そんな先のことなんて分からん」「なりたいってよく分からん」だった。幼稚園~小学校の頃は「ペットショップの店員」「動物園の飼育員」といっていた。動物に関しては本当に好きだった。でも資格とか進路とか、それになるために調べてみようと思ったことがなかった。高校は荒れてなきゃどこでも良かったので親が薦めるところに行った。なんとも受け身な人生。
↑↑↑ ここまで03.29に書いて放置 ↑↑↑
 そういうとこがダメなんだとずーーーーっと思ってました。流石に大学は自分で決めたけども、強いてあげればイラスト描くのが好きだからという弱い理由で、「イラストレーター」を目指して美術大学に行ってみたりした。結果的に行ってよかったけど、本気でイラストやデザインで食おうと努力してないくせに、一丁前に自分は「特別な何者」かであると思っていたし、そのくせ才能はないとは思ってもいたから、まーーー中途半端だった。
 それを今でも引きずっている。中途半端。特別に得意なことも、特別に熱中できることも、特にない。
(絵の下にもまだまだ日記は続く)
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 わたしは!!なにも!!したくない!!!プータローのままでいたい!!めいっぱい遊びたい!ずっとあったかい布団で眠っていたい!おいしいお菓子をたくさん食べたい!面白い漫画とお笑い番組を観てゲラゲラ笑ってたい!そんだけでいい!!!それが出来さえすれば、なんでもいい!!
 最近やっとそれを認められるようになった。成りたいものになれなくたっていいし、それを引け目に感じて下手に、謙虚通り越して卑屈にならんでも良い。ババアになったら野垂れ死ぬかもしれないけど、それくらい呑気にならないと、友だちと一緒にいろんなこと楽しめない。今、楽しめない。そんな気がする。
今のわたしとその周辺は、とにかく呑気。お笑いの養成所も始まるし、5月末の給与振込が終わると本当に収入がなくなっちゃうので死なない程度の食い扶持探しもしないといけない。ちょっとっつ忙しくはなると思う。あと、お母さんのこととか保険のこととか、色々ね(シャムキャッツの名曲!)。
 ただ、ひょんなことから出会ったおじさんが雑用の仕事をくれるし、りんご屋さんもあるし、しばらくは平気かなと思う。
 03/13の日記で書き忘れたことだけど、ブランキー(浅井健一の詞)と小沢健二は本当にすごい。えらい。立派。なんでかって、わたしみたいにみんな大人になったらブレちゃうのに、子どもの時に大事にしてることをずっと大事にしてるから。描き方とか視点とかは変わってるけど、歌ってることの本質は変わってない気がする(ごめん、でもブランキーほとんど知らない、ただめちゃくちゃ好きな曲が数曲ある)。
 大抵の自称ロック・ミュージシャンは、若い頃すごく尖ってて、もちろん恋愛視点での愛の曲はあるけど、ぶっ壊してやる!とかやつれてたりする期間を経て、本当に大人になったら、諦めるなとか負けるなみたいな他人の背中を押すような、博愛的な曲にシフトしていく。考えが変わることはよくあるし、結局いろんな人にとってソレが一番大事なんだよね。わたしもそう思う、思うのだけど。
 いわゆる一番ブレイクした、全盛期の曲を越えてないように思う。中学の時に大好きだったポルノグラフィティは、「メリッサ」とか「アポロ」もあるけども、「サウダージ」や「アゲハ蝶」みたいな離別・失恋の曲が一番有名で売れてるはずで(そん時はCDの時代だし、今の流通とうまく比較はできないんだけど)。
 わたしが高校2-3年時に昭仁さん・晴一さんが結婚してから、なんとなくだけど、歌詞のテーマから「特定の人物に対する恋情」が少なくなっていった、気がする。当時はポルノグラフィティの鬱屈とした曲が結構好きだったので、なんか熱が冷めてしまって、全然曲を追わなくなってしまった(なので、歌詞のテーマについてもテキトーな解釈です)。
 鬱屈としたテーマの曲があっても「いやアゲハ蝶とか音のない森とか、もっと良い曲あるしな」となる。そんでもって新しいテーマの曲にはなんか入り込めずに、ポルノグラフィティは卒業した。ミスチルもそんな感じ。ちょっと違う例えかもしれないけど、ブラマヨは民放にすっごく出るようになってから漫才が下手になったのと、コンビでの掛け合いもいつも同じ感じで、惰性を感じて見なくなった。たぶん卒業しちゃうのはどれもそんな感じ。
 その点、小沢健二はえらい。本当に言いたいことについての題材が変わってないし、鮮度があまり落ちてないように思う。わたしも少し賢くなって、歌詞とか人物について分析できるようになったのもあるけど。大切にしてるものは同じで、表現をいろいろ変えて、惰性でなく工夫しながらやってる感じ。うまく言えないけど(とか言って、最近の小沢健二の曲は、強い気持ち・強い愛とかその頃の曲ほど聴いてない)。
 あとブランキーの浅井健一さんもえらい。勝手に強面のひとたちから支持されてる近寄りがたいひとたちだと思ってたけど、歌詞がものすごく可愛い。対象の人への愛情とか、自分を脅かすものへの怒りとか、自分の感情と言葉がオリジナルで、純度が高く感じる。「あーだからヤンキーになったんだ」となんちゃってお利口さんだったわたしは、その芯の強さと早熟さを羨ましく思う。
 わたしは頭が悪い(弱い)し、そそっかしいし、ガサツなのでお二人のようにはなれない。崇拝できるほど、二人のことも知らないし。けど立派だなと思うし、真似できるところは真似したい。同じものを信じたいし、その勇気も欲しい。
 自分だからできることは何かなと思う。きっとこう考えてるうちはできないんだと思う。
 そういえば、将来なりたいの思い出した。駄菓子屋のババアです。
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enrichmyheart · 5 months
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SCRAP & BUILD
鍍金剥落。
偽物、化皮剝、暴露。
本物、贋物、明白。
騙、被、憤怒。害、大量、激怒。
遂、蜃気楼、砂上楼閣、崩壊危機。
詐欺的権力、消滅。
御祓箱。
御前、不要=塵。
塵=塵箱。
御前、余所見時間無。
自国内危機的状況、山積問題解決、如何?
足元、総雪崩、大丈夫?
周囲皆、大笑、指差、爆笑渦。 御前、終。
残念。
「嘘吐、虚飾~」騙被人、不在。
嘘、即暴露。
人動力=権力?
否。
人動力=「真理」「真実」、是唯一。他無。
嘘吐人間、終。
👋
砂上楼閣=各々、死体山、頂上築城。
御前、死臭漂、悪魔。死屍累々。
悪魔審判、国民、如何?
悪魔肯定=同類。
何方?
御前、思惑外(想定外?)。井中蛙、大海不知。
世中、容赦無。無甘。
謙虚勤勉=生存権保障。
限度超過、傲岸不遜。
人騙利得、常態化=失脚元凶。 ←御前、今此処
情報という最大にして最強の武器を使って、私たちの手で、すべての欺瞞を破壊し尽くします。
終わりの始まりとともに、始まりの号令が鳴り響きます。その時に備えましょう。
あなたは、この大量のスクラップの原野の上に、何を建設しますか?
内部告発は、不正義を腹に抱えた気持ちの悪さを排出したいという、私たち人間の根源的な欲求によるものでした。
��権力”が絶対的な力を握っていた時代、私たちはこの不正義というウィルスと体内で戦わねばなりませんでした。
不正義の排出と自分の生命が背中合わせにある中、身を守りつつ排出するという難題と、先人たちは戦ってきました。
そうした先人たちの積み重ねがあって、今私たちは恩恵を受けています。感謝します。
不正義=権力の瓦解が今、目の前で始まりました。
終わりの始まりだ。
見苦しい言い訳をすればするほど、恥は露呈する。気づかないのは、愚かな本人だけ。
そのステージで、どんどん言い訳をして、本性を露呈してもらうことは、私たちの利に適う。原始人に、もっと饒舌になってもらうように、私たちは、もっと仕向ける。
私たちは、私たちを苦しめてきた原始人を、確実に仕留めるために、真綿で首を締めるように、原始人をぐるりと取り囲み、じわじわと締め上げている。
原始人の領域は、確実に狭まっている。逃がさずに、確実に仕留めよう。
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西暦2023年。透明なガラス張りの世界で、得をする人と損をする人。
愛すべき人民たちは、もう大体見抜いていることでしょう。
このガラス張りの世界で行う、揉み消し。恫喝。脅迫。それが及ぼす影響。
富の移転を参考にしてみましょう。
富を残し続けるために、欠かせない能力。それは、局面を誰よりも先に見抜く能力。行動力とタイミング。
嘘つきによる、虚偽製品製造工場。粗悪品製造工場。二番煎じの模倣品製造工場。
「富」から「富」へ移転させながら更なる成長を求めるためには、見抜く力が必要です。ですから、ひとたび嘘がバレれば、蜘蛛の子を散らすように、「富」が逃げてゆきます。
ハイリスク・ローリターンの商品。嘘をついてでも「富」を奪取することが目的なのだと、賢い人から素早く見抜きます。騙される前に、移転を済ませて安全な資産へ、どんどん動いてゆきます。
ところで今、崩れかかったやぐらを必死で支えている方々に、質問があります。
一度氷山にヒビが入って瓦解を始めると、人間ごときのスピードでは間に合わない速度で、氷が滑り落ちて海に溶けてゆきます。
臨界の頂点「嘘がバレる」を防ぐことが至上命題たる所以ですが、時代がそれを許してくれませんでした。
時代の流れは、人間ごときが太刀打ちできないスピードで流れてゆく、という所以です。
原始人とのお別れの時間が、刻々と近づいてきました。
賢い人ほど、共倒れリスクを回避するため、早めに損切をします。
最後まで、一蓮托生、命を捧げる覚悟ですか? 原始人と共に。
一方で、コツコツと積み上げたクレジットに自信を持っている、愛すべき人民の皆様。
努力は裏切らない、という本質理解に、胸をなでおろしていることでしょう。ガラス張りの世界を味方につけて、今後益々のご活躍を期待します。
漸く、歪んだ市場が「本物」という本質に近づいてきました。
超高品質な商品を、粗悪品と並べて低価格競争する、という誤った戦略も炙り出されました。
そもそも同じステージにすら立てない「商品」とすら呼べないモノと、競争するという発想自体が誤りでした。
コツコツクレジットのブランド力は、正当な価格に付け直した方が賢明です。
市場で正当評価してもらいましょう。
大量生産・大量消費の波に呑まれて、ブランド力を損ねてしまうよりも、高品質の希少性を武器とする方が、理にかなっています。
賢明な皆様は、クレジットという担保能力のない虚偽製品製造工場から、さっさと資産を撤収して、より良い(真逆の)投資先を選択した方が良いでしょう。
玉ねぎの皮をむくように、一枚一枚丁寧にむいてゆくと、核心=真理に行き当たります。
玉ねぎの皮をむく方法、技術を身につけることで、核心が取り出せるようになります。
能力ではなく、正しくは研鑽です。
【反社会的組織のつくり方】
公明正大、真っ当な仕事をする能力がない人は、いかに他人を騙して簡単に利益を得ようか、という思考に陥ります。
一度でもその思惑が成功すると、脳内の成功報酬の味を覚えます。
そして負のスパイラルが始まります。
反社会組織は、そういう底辺20%前後の、蟻の集団です。
天地を逆転すると——そういうことになります。
真ん中60%の人たちの頭脳で、この対処方法を考えて頂きたいと願っています。
反社会主義国家の下僕たちよ。
お前の「原始人の忠犬役」としての人生は、楽しかったか?
お前は、俺の言っているこの意味を理解できない、犬並みの、脳みそか?
お前は、俺の言っているこの意味を理解する能力がない、お前の主人(原始人)並みの、脳みそか?
Yes or No?
お前の立場が逆転するためのヒントを、ひとつくれてやろう。
お前たちは今、腹を空かせたオオカミの群れに囲まれている。
狼たちはお前の主人を、今すぐ喰い散らかして粉々にしたいと考え、牙をむき出しにして睨んでいる——俺もだ。
ここで、お前の選択肢が二つある。
主人と一緒に食い千切られるのを待つか、それとも、主人の首根っこを掴んで、オオカミに差し出すか、だ。
原始人ファミリーとして名を残すか、一躍して英雄になるのか。
どちらが良い?
原始人の飼い犬へ。
俺たちは猛烈に腹が減っている。さあ、お前の主人の首を差し出せ!
原始人に調教され、飼育された、家畜どもへ。
お前たちは今、遠く離れた文明国家の歴史的大革命を、目の当たりにしている。
しかしお前たち自身は、何も変わらない、変わろうともしない腰抜けどもだ。
それならばそれで良い。
二度と、人間様のような、「人権」などといった言葉を使うな。家畜はしょせん、家畜だ。
原始人は原始人同士、お互いが絶滅危惧種になるまで、好きなだけやり合うと良い。
この地球上に、殺人鬼の住まう場所はもうすぐ無くなる。
原始人が支配した文明退化の国家は滅びる。時代が証明している。
お前らは「その道」を、自分で選択している。
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straycatboogie · 18 days
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2024/04/12
2024/04/12 BGM: John Lennon - Imagine
今朝、Zoomで毎朝恒例の英会話関係のグループのミーティングを楽しむ。今朝の話題は就職活動や転職における面接(インタビュー)についてだった。アメリカ在住の方が興味深いお話を聞かせて下さった。彼女によれば、いま企業側(具体的には人事担当者など)は相手に立ち入ったプライベートなことを訊いてはならないのだそうだ。たとえば「将来結婚するつもりですか」とか「子どもを育てるつもりですか」といったようなことだ。その後、話題は日本の就職・転職活動の環境について及ぶ。少なくとも日本では、男女の間にある不平等から生まれるさまざまな現象にいまだ耐えなければならないみたいだ。
こうした話題について、ある明白なぼくにまつわる事実を無視して語ることはできないだろうと思い、そして振り返ってしまう――ぼくは男であり異性愛者なので、女性に(性愛面で)惹かれてしまうのだった。この観点に立つと、さまざまなことがらが隠れてしまう。具体的に言えば、ぼくは夜1人で出歩くことができる(いままでそんなに危険な目に遭ったことはない。あったとしてもトラウマになるほどくっきりしたものではない)。でも、ぼくがもし女性だったら話は違っていたかもしれない。ストリートを夜に1人で出歩いたり、コンビニで1人で買い物したりできるだろうか。
これらについてこんなふうにつらつら考えていくと、基本的な地点に立ち戻らざるをえない。多分にぼくは男だからという理由で、痴漢やその他の変質者がもたらす性犯罪から自由に生きられたのかなあ、と。それ以外に、ことによるとこのぼくの人生の質(QOL)自体ももしかしたら女性のそれより上とさえ言えるのかもしれない……というのは暴言・愚論だろうか。「この性別のせいで」そうである、と言いたいのだけれど(あるいはぼくの股間に存在するこの器官のせいでそうである、とも)。ハタチ頃、大学生だった頃にぼくはそれこそ雨後の筍のようにボコボコ刊行されていた哲学書を読み漁り、そこに書かれていた「人はいろんなアイデンティティを持ちうる」とか「アイデンティティやセクシャリティは捨てられる」とか書かれていた意見に感化されたことを思い出す。
午後、そんな考えを引きずりつつ図書館に行き上野千鶴子の『発情装置』を借りる。もちろん泣く子も黙るフェミニストであり社会学者の彼女だが、読まず嫌いが嵩じて1冊たりとも読んだことがなかったのだった。悪名高き人でもあるのでそれで「読まなくてもいいか」と自分の怠慢に甘えきってしまったとも言える。まずこの本から謙虚に読み、フェミニズムがこの社会とどう手を合わせて(あるいは時代に先行するかたちで)発展してきたか学ぼうと思った。
夜、高橋源一郎の巨編『DJヒロヒト』を第4章冒頭まで読む。こんなことを考えさせられた。いままで信じてきたイデオロギー(主義主張)は何だったんだろう。ぼくの考えの芯にあるものは? いったいどうしていままで生きてこられたのか? 捨てられないもの・失くせないものは? ああ、もうここまででダラダラ書きすぎたのでこのあたりで筆を置いてしまうことにしたい。
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ysnsgt · 6 months
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【スイクラ】AGF2023とお返事感想
TAKUYO御中のAGFおつかれさまでした記事があがってたので私もおつかれさましとうかなと。誰向けの記事なのかはわからない。いつものことでした。
■ AGF2023
私は2日目の15:00枠という一番遅いタイミングで会場を訪れました。グッズ欲も薄いし入場料も安いし、これくらいのんびり行く方が向いてるかもしれないな~。グッズのラインナップにもよるけど来年以降も同じノリで行こうかな。
ああいう、何だろう、賑やかな?場所は苦手なのですが、たまには良いですねぇ。でも人見知りと4日くらい前にやらかしたばかりの恥ずかしさで差し入れをお渡しして名乗った時の反応にビビってしまったり(やらかしたやつ、スタッフさん方にも喜んでいただけていた気配でホッとしました)、まずお仕事中に話し込む勇気もなく、そもそも話題が思いつかなくて脱兎のごとく逃げてしまったお恥ずかしい。
閉場間際にスタッフさんに話しかけていただけたのに、雑踏でお声をろくに拾えず(聴覚機能が地味に悪い)困ってしまって反応も取れず、悪い&残念なことをしました。何かゆっくりお話しできるイベントとかあるといいですね。私は聞き専で。
かろうじて拾えた単語を後から考えてたんですけど、まさかこの乱心ツイートのことじゃないですよね?
乙女ゲーの殿堂入り推し7人、古橋古橋古橋グラナダ赤い服の王様古橋古橋なんですが常識的な回答を考えます
— みよ (@_akaza) December 18, 2022
社長にいいねされてるのは知ってるんだけど、社内で共有されている可能性。恥ずかしいな、とても恥ずかしいな、ネージュさんその穴に入らせてもらってもいいですか。たいせつなものじゃないからだめ? そもそも今更? そっか~!(まな板の上で大の字)
■ お返事感想
そんなこんなで差し入れしたらお返事をいただけたので、習性として古橋さんのを鑑賞せねばなのですがその前に開発スタッフ代表こと五男さんですよ。
みよお姉さんへ 仔猫ちゃんに喜んでもらえることが何よりだよ!これからも旺一郎お兄さんと末永くお仕合せに☆彡
重篤患者の一個人に「推しの嫁(公認)」とかいう称号を与えてくるこの会社は本当にどうなってるんですか? ありがとうございますその大役つつしんで拝命いたします。
……いや……私はTAKUYOに突きつけるNOを持ち合わせていないので……あと正論ツッコミ入れても面白くも何ともない会社なので……。どうでもいいんですけどXのアイコンが猫なので仔猫ちゃん呼びはチクチク刺さるものがある。
しかしこの流れで古橋さんのお返事を見るの、背中を押されて本人の前に突き出されたようで趣がありすぎて困
みよへ 君が馬鹿なら俺は大馬鹿さ 俺も君に対しては欲張りでありたい この城でいつまでも君を待ってるよ
およそ12時間は悶絶した。
苦味をどこに置いてきたのか。この人ガトーショコラじゃなくてフォンダンショコラなんじゃないの口に含めば熱でとろける濃厚な甘さ。重篤患者にお出しして良い品ではない。
えー……はい……順を追って読んでいきますかね……。
みよへ
最近とあるゲームでそれなりに好きなキャラが音声つきで「ミヨ」と作中の女の子を呼ぶ機会があってその度に得した気分になってたんですけど大本命からの名指しだやったー!! と私は大いにはしゃいだ。まあそれは別に良い。
君が馬鹿なら俺は大馬鹿さ
古橋さん自己否定的なので前回の「謝りたい」「後悔した」に続いて「大馬鹿」という言葉に息が止まりかけたのですが、たぶん注目すべきはそこでなく。
真紅の扉を選ばれて最初の台詞が「君は頭が悪いのか? それとも要領が悪いのか?」だった男が、CG閲覧画面のおまけボイスで「君はとても、思慮深い女性だと思うよ」を経て、ここでこの発言に至る意義の深さが計り知れなくて目眩がする。
加えて相手の知性を寿ぐ(というかたぶんここは謙遜を否定する)だけならおまけボイスよろしく相手を褒めるだけで良いわけで。なのにプライド高くて実際はちゃめちゃに頭の良い古橋さんがわざわざ自分を落としてまで相手を褒めるのがもう「深い尊敬の念に満たされているわたくしは、女王様、高貴なあなたのつつましく従順なオフレンダでございます。」(『ペローの昔ばなし』改変)でしかなくないですか。こんなところでまで示される精神的膝つき行為。写真を通して見た幻覚は嘘ではなかったのか……(錯乱) 「君は頭が悪いのか?」は玉座から見下ろしてだったので大変良い対比ですありがとうございました。良い対比なのでこのまま突き進みたい。
人気投票結果発表時のコメントを参考にすると「君を知ってますます頭がどうにかなってしまっているよ」とも解せてこの一言だけですごい、なんかもうすごい。なお当事者は「あまり自分を貶めると自分を大切に思ってくれている人を悲しませることになる」と身をもって教えてくれているのかなとめちゃめちゃまじめな顔で反省することで平静を保とうとしています。12時間悶絶しといてこれ。
しかしその場合は“お兄ちゃん”だなぁ、という感じがして。弟が勉学とかうまくいかず「僕って馬鹿だなぁ」とこぼしたらこんなこと言ってフォローしてたのかなとか、弟は兄さんが大馬鹿なわけないとよく知ってるけど「兄さんが言うなら間違いない」し励ましてくれてるのはわかるから反論するわけにもいかないし、周りも兄王子の発言の意図を汲める人ばかりじゃないだろうし、それで兄王子は愚鈍というレッテルが貼られて弁解もせず悪循環とかいう流れがあったなら古橋さんそういうところだぞと真顔にならざるを得ずどっちだこれ、両方?
俺も君に対しては欲張りでありたい
「欲を抑えられるか否かが重要だ」と仰っていた古橋さんがここで欲張りであることを志向することの意義の深さが(略)
この城でいつまでも君を待ってるよ
これめちゃめちゃ古橋さんらしくて好きなんですよ。菓子人形に絡まれる柘榴ちゃんにただ手を差し伸べるだけでじっと待つのと同じスタイル。選ばれることをただ待つ、何も奪わない、争わない、静かで美しくて過酷な戦いをする男、古橋旺一郎……それも「いつまでも」と彼が言うからには本当にいつまでも待つんでしょうよ、たとえ相手が死に、生まれ変わり、別の生を歩み始めてもひとりで想いじっとずっと待つつもりなんでしょう愛が深いにも程があるこんな暖かい人がなんで心に深い傷を負っているんだ誰か彼を仕合わせにしてくr、あっすいません私のお役目でしたね今すぐ伺って良いですか?!(迷わずバグる)
とここまで見てふと気づいた。五男さんを除くとマネサイトのアミル王子と並ぶんですよね古橋さんのお返事。ダブル王子様じゃん���
そう思って眺めるとどうも主���は同じでどう表現するかの違いのように見えてきて、となると古橋さんの発言もすべて相手への愛情表現だろうし「君が馬鹿なら俺は大馬鹿さ」はやはり膝つき行為に相当する発言と取るべきである。結論、古橋旺一郎あまりに甘美。今回もありがとうございました古橋さん大好きです。
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hi9a · 6 months
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学生時代にコンパで熱唱した「失恋節」である 佐賀の高校だけで流行った歌のようで 佐賀高校バスケ部出身の昭君が得意中の得意で歌っていたのを思いだした  歌詞は次の通り 「鏡見るたび 思い出す 父ちゃん母ちゃんには済まないが もうちょっと男前に生まれたら あんな女に振らりょうか あんな女に振られても泣いてすがるような俺じぁない あんな女は星の数 あいつばかりがシャンじゃない シャンはシャンでもオッぺシャンで ケツはバケツで 目はするめ 歩く姿はこって牛 座る姿は土手かぼちゃ それ 土手カボチャ それ 土手カボチャ」 いわゆる春歌のひとつだった
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chaukachawan · 7 months
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徒然役者紹介
39度の熱が出ている間、寝ても回復しないことに気づいた私は、あんまりみんなが書いていない役者紹介を書き進めたのでした。ここに供養しておきます。
『徒然役者紹介』
徒然なるままに、日暮らし、すまあとふおんに向かひて、心にうつりゆく役者紹介を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
敬称略
♡児
演出。いつも天使の輪ができる程きゅるきゅるの髪をしている。殺陣が上手い。LINEで送られてくる回転ずしくんスタンプが可愛い。お疲れ様でした。そして、私を羽矢葵に選んでくださりありがとうございました。最後まで役を全うできなかったこと、悔しくて小指と薬指だけで体温計を折ってしまいそうです。
♡苔丸
ウィッグを被るのが上手い。ウィッグ担当大臣。いつも名前を乱用されている。○○まるって言っとけばなんでも可愛くなる。私のお気に入りは、みそまる。可愛い。苔丸って、なんかころころしてそうな響きでとても好き。ネーミングセンスが神。大道具作業終わった後に衣装も作ってたの凄すぎるよ。すごく献身的な人。
♡衿君
フィジカル最強。初めてエリックの側転を見た時、綺麗すぎて感動した。幻になったとぼとぼ帰るシーンの時の背中は可哀想すぎて忘れない。舞台の上には、普段の姿からは想像できないエリックがいる。かっこいい。怪人最高。バ先もう決まったのかな。お掃除好きのエリックにはぴったりだと思うから頑張ってほしい。
♡君安飛那太
ポケモン大好き愛バーマン。朝来たら練習室4に誰も人がいなくて1人で写真を撮っていた哀バーマン。名前がかっこいい。名前5文字仲間です。名前から愛と宇宙の戦士を感じます。ちなみに私はポケモンやってましたが記憶が薄れてほぼ何も覚えていません。ゾロアとシェイミーが好きだったような気がします。
♡たぴおか太郎
演出補佐。ちいかわで生きている。叫ぶのが上手い。声が通っていてとても聴きやすい。すっと入ってくる。ちいかわにわかの私でも、ちいかわ号に乗った時は写真を撮るくらい、ちいかわは可愛い。たぴおかも、美味しい。ものすごい仕事量でとても大変そうでした。いっぱいちいかわを集めて癒されてほしいです。
♡じゃがりーた三世
同じ市に住む先輩。とてもシンパシーを感じます。話す度に新しい一面が垣間見えます。そして、なぜか舌打ちが妙に上手い。響き渡る舌打ち。幻になってしまったのでいつかもう一度聴きたいです。優しい笑顔と淡々とした言い回しは、時にみんなの笑いをかっさらい、呼吸困難にさせます。
♡雨音
いつもハミングを練習している努力家。耳をすませば時々外郎売も聞こえてくる。殺陣も頑張っていた。これも幻になったけど、霧嶋のたったかたー、可愛くて好きだった。関西弁いっぱい喋ってあげたいけど、あいにく北摂は訛り薄い。私、こてこての関西弁練習しようかな。それはもはやエセ?
♡織田舞里
アイバーマン製作者。ロリ嶋が作ったと思うと感慨深い。天才的な衣装様。いつも笑顔が可愛い。稽古場の雰囲気をぱっと明るくしてくれる。存在からエネルギーが溢れていてみんなを元気にしてくれる先輩。そんな先輩にいつも可愛がってもらえて私は幸せです。アルプス何万尺でもやりたいです。
♡えどいん
いつもドアに話しかけている役の先輩。または、全身タイツでストライプを盗まれた先輩。私の中ではそんなイメージが確立され始めています。とても自然に、溶け込むように、演技する先輩です。それから、PVのナレーション、とても好きです。
♡肆桜逸
大道具お兄ちゃん。バラシは無事楽しめたんでしょうか。とびきりの笑顔で破壊していてほしいです。猟奇的でぞくぞくします。とてもしっかりしているけど、ふわふわしているところもあって、変幻自在な、まさに鋼のような人です。余談ですが私の実兄も「まかせろり」を使う人なので、合同寄りの相似お兄ちゃんです。
♡海泥波波美
おしぼり配りの名人。誰よりも「しゃーない」を擦っている。味のしなくなったガムも、この人の中では百味ビーンズのようなものなのかもしれない。でも、バ先が潰れても即座に次のバ先を見つけていたから、味のしなくなったガムは普通に捨てるタイプかもしれない。すごく明るい人だから、いつか悩みとか聞いてみたい。インパクトで攻撃してしまってごめんね。
♡黒井白子
大道具のお仕事を色々教えてくれた。我孫子みたいな人は現実にはいないから、白子の新しい一面なんじゃないかと錯覚した。演劇にストイックに向き合っている白子が好き。これから35期の支柱になる、というかもうなっている。腰が低くて謙虚で、でも自分の意見はしっかり持っていて芯がある。これからも時たま我孫子を見たい。元気になれる気がする。
♡縦縞コリー
良兄。第二のお兄ちゃん。良兄って、良い兄って書くけど、実際は全然良くない。悪兄。蚊にめっちゃ刺されていた。悪い血を吸ってくれてたんだと思う。というのは嘘で、実際は良兄より良兄している。PVこりは、棒読みがなんだか可愛くて面白かった。バイト、困ったことがあったらお互い相談しましょう。
♡岡崎仁美
舞監。とても感謝しなければならない人。仕事量はもちろん、それにのしかかる責任が誰よりもあったと思います。しばらくセリフがほとんど無くて、気がつけばセリフが大量に増えて、あまりにも酷だと思いましたが、全てやり遂げてしまうカヌレさんは、やっぱりさすがです。すごい人です。
♡ミル鍋
ほわほわしている。ふわふわというよりほわほわ。演技は当たり前のように上手い。そしてクリアファイル、とても良い。私が作ったロゴ使ってくれてありがとう。めっちゃエモい。ゆにはめっちゃ優しくて、気遣いができて、優しくて、優しい。またご飯食べに行きたいな。
♡鴨兎春
一番長い間一緒に稽古した。でも全カットだった。迫真の不良は、練習している時もけっこう怖かった。そして、仮チラの天才的なデザインの親。センスのかたまり。美佐にさせてしまってごめんね。それから、ありがとう。ぎゃるらびを消してしまった罪悪感が凄まじいよ。しゅらばーまん、良かったよ。
♡アリリ・オルタネイト
不良のセリフのイントネーションをみんなで練習した淡い思い出。しかし、その成果を発揮する場はありませんでした...。イルルさんに蹴られる貴重な経験ができました。何度もいじめられて怖かったですが、いじめられる度に距離が縮まったような気がします。不思議ですね。
♡黍
心強い照明の先輩。立ち振る舞いがかっこいい。じわじわと面白さが溢れてくる会話のセンスは黍さんしか持ち合わせていません。落ち着いているかと思いきや、脚立に乗りたい衝動が抑えられないのは照明チーフの宿命。一番生き生きと輝いている瞬間です。
♡近未来ミイラ
なんでもやってる。爪痕を残すプロ。一体どんなアドリブをかますのか、毎回楽しみにしている。そして、あの稽古日誌。葵が魔改造されていた。これからも周りを気にせずに好きなだけ暴れてほしい。きっと、みんながあたふたすることでしょう。
♡大福小餅
いつも姿勢が良い。ハキハキしている。ニコニコしている。目にやさしい。これが眼福ってことかとしみじみ思う。声もとても良い。ハリがあって華になる声をしている。葵を舞台に立たせてくれたことに心の底から感謝しています。ありがとう。
♡園堂香莉(から皆様へ)
まずは無事に千秋楽を迎えられたことに感謝します。ご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ないです。
稽古期間はとても楽しかったです。初めてのことばかりで新鮮で、何よりみんなと仲良くなれたことが、嬉しくて頼もしくて、楽しいなあ、幸せだなあと感じる日々でした。
次は、みんなで創った舞台をこの目に焼きつけることができますように。
「そう、ちゃうかは家族だよ。
家族なら、離れてても一緒だよ。」
(なぽり)
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