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#ある愛の寓話
suzy-sousaku · 6 months
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村山由佳 ある愛の寓話 文藝春秋
千早茜さんと村山由佳さんの「恋愛小説」書き方講座にあたり、初めて読みました。
ひととひと、ひとと動物、ひとと物、愛情にまつわる短編集でした。読みながらおもい浮かぶことの、殆ど端書だけれど、勿体ないから残します。
「ある愛の寓話」には、愛にまつわる色香がさっぱりとあり、生々しすぎず、現実らしい適温の愛らしさがある。
「ある愛の寓話」にもどこでも、だれかが失敗する表現がある。わたしはとても臆病で、失敗を怖がるから、読む前から内心、ひどく恐れてしまいます。
乗馬の表現から、馬に乗るときの身体の感覚が、頭のなかからよみがえるのが、わたしにはうれしい。夢のなかで、馬に乗ったときの疾風がよみがえる。まだわたしにはできないけれど、いつか夢みたいに風のように駆けることができるかもしれない。いつか、夢みたいに。
まだわたしは馬に乗せられている。
「来し方」の表現を最近知りました。「ある愛の寓話」ではどの短編でも、過去のことを「来し方」という。いままで辿った道らしくていい。
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信仰心にまつわる表現はすきです。わたしは神を信じているし、信じすぎていないし、救いもせず苦しみも与えず、ただあるだけと考えている。アニミズム!
「私の男」とはちがい、始まりから終わりまで、やわらかくまるまる。
千早茜さんと村山由佳さんの「恋愛小説」書き方講座では曰く、千早茜さんは問いから書きすすめるらしいけれど、村山由佳さんは書きながら書きすすめるらしく、そのちがいがどことなく感じられる。「ある愛の寓話」に問いはないけれど、人生に浮かぶことかもしれない。
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akunews · 10 days
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J-WAVE SPECIAL PREVIEW一般試写会レポート
4月11日、本作の公開を前にして、主演の大美賀均、撮影を担当した北川喜雄、そして編集の山崎梓が登壇するトークショーを行いました。当日は濱口監督よりビデオメッセージも上映しました。 当日のレポートを掲載いたします。
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登壇者の登壇前に、「みなさま最初で最後の試写会いかがだったでしょうか?皆さんの反応が気になるのですが、その場にいられなくて申し訳なく思っています。ただ、自分たちとしても、すごく良い仕事ができたなという感触を持っています。音楽の石橋英子さんの発案から始まった企画ですが、自分にとって充実した、幸福な制作でした。映画の内容は幸せだけではないところもありますが、皆さんにとって楽しめるものであったらいいなと思います。あそこはこうだったんじゃないか、ここが好きだ、嫌いだ、とかそういう話を皆さんとしていただいて、話題にしていただければと思います。アフタートークも是非最後までお楽しみください。」と濱口監督のビデオメッセージが流され、その後MCの呼びかけで登壇した登壇者。
 早速、どのようなきっかけで本作が始まったのかという話になると、撮影の北川が、「大美賀さんが合流する前に、まずは石橋さんに会いに行こう、ということと、音楽映画をどういうふうに撮ったら良いのかという命題の元に、石橋さんのスタジオに濱口さんとふたりでカメラを持っていったのが一番最初でしたね。その時点では、まだタイトルも決まっていなくて、石橋さんのパフォーマンスのバックグラウンドに流れる映像制作ということだけ聞いていました。」とはじまりを語る。
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大美賀も「濱口さんとは、『偶然と想像』という作品で制作部として入ったのが始まりでした。そこから、今回も初めはスタッフとして、北川さんと三人でシナハン、ロケハンに回っていきましたね。」と、自身のはじまりを語ると、北川が「小淵沢に三人で行ったのが始まりでしたね。みんなで田舎暮らしはどういうものだろう、と言ってやってみようということでスタンドインをしながら、薪割ったりしましたね。」と、当時を重ねて振り返る。そこから、どういったかたちで“主演”を務めることになったか聞かれた大美賀は、「2回くらいシナハンに行って帰ってきたタイミングで、「驚かないで聞いてください。」と濱口監督から電話がかかってきました。何かやってしまったのかな、とちょっと怖いですよね(笑)そして、「出る方に興味ありませんか?」ということで本当にサプライズでした。」と、まさかのサプライズに観客からも驚きの声が上がった。「当然びっくりするわけですが、濱口監督は経験豊かで、『ハッピーアワー』も経て職業俳優ではない方と映画をつくられてきた方なので、そんな監督がそう言うなら面白いだろうと思いました。濱口監督にとっても新しいことをやってみようということだったので、その一員になれるなら、とワクワクしていましたね。」とオファー当時を振り返る大美賀。
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濱口監督とは東京藝大の同期であったと言う山崎は「在学中は一回も一緒にやっていなくて、実質、卒業後からでしたね。わたしが卒業後は大学院の方に残って4年くらい大学で助手をやっていて、その間に海外の学校との合作など色々なプロジェクトが動いている中で、『THE DEPTH』という韓国の大学との制作にはいるときに、わたしが学校にいたということと、私が編集を続けるという選択肢をしていたということとか、私がいると学校にいるので機材もつかえますし(笑)とか色々あり、一緒にやりました。その『THE DEPTH』をやる前に『永遠に君を愛す』というのもありましたね。」と濱口監督との制作のはじまりを話す。そこから、「今回は、「石橋さんの『GIFT』という作品のためのものを、撮ってあります」ということから始まって素材を渡されて、「え!」みたいな。(笑)台本はいまでももらっていないです。」と、ここでも驚きのエピソードが飛び出す。北川も山崎が入ったタイミングのことを、「撮影中盤で、『悪は存在しない』という映画を��ずは成立させた後に、その編集を解体して『GIFT』をつくる、という話を聞いていたんですけど、良い撮影ができていって、撮影の終盤に『GIFT』の方を山崎さんに頼もうと思うんだよね、っていうのを濱口監督がぼそっと言っていたのを覚えています。」と思い返す。山崎は「確信犯ですね。(笑)」と突っ込みつつ、「素材自体は一般的な音声が入っている映像が届いたんですけど、撮影順に整理されていて、「どうぞ」と言う感じでしたね。(笑)何をどうするか、というのはずっと手探りでいて、まずは素材を観て、何ができるかを考えようということで、頭から最後まで(濱口監督と)一緒に観て、「何をつくりましょうか?」という話になりましたね。前提として、石橋さんのための音楽ということはあったので、『GIFT』の編集の時は最初から、スピーカーをミュートにしてやっていました。」と、編集の裏側が明かされていき、観客も聞き入る。続けて、「『GIFT』の方を着手して、色々試行錯誤していく中で、『悪は存在しない』も並行してやって、どこがどうこのふたつは違うのか、じゃあ『GIFT』がこうしたいなら、『悪は存在しない』はどうするのか、“編集交換日記”というか、お互いどうしてるのかみたいなのを話していましたね。部分的に繋いだもので、良きものはどちらかに入れたり、というのを並行してやっていました。」と本プロジェクトだからこその共同作業のプロセスも明かされる。
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本作以前より濱口監督と関わりのあった三人に、他の作品との制作の違いを尋ねると、山崎は「今までの作品は、完成形が「こうなる映画である」というのが明確にあったと思うんですね。今回、『GIFT』は特に全くなかったので、今回の試行錯誤の多さは今までに全くなかったものですね。ストーリー展開も自由で、寓話っぽいかたちで、そういうものも受けいれられる自由度の大きいプロジェクトでしたね。」と、しみじみ語る。北川も10人前後での制作体制の現場を振り返りながら、「濱口さんの場合は、皆がやったことひとつひとつが、この作品のためにどうなるか、自覚しながら、現場が作られる、場がつくられます。みんなが作品のために何をやっているかちゃんと明確に分かって仕事ができる、それが喜びにつながるし、それがすごく楽しいですね。そういう場をつくってくれるのが濱口さんですね。」と濱口監督ならではの現場での体験を語る。
映画中盤のグランピング建設の説明会のシーンの話になると、「ホン読みを何度も繰り返しやって、あの説明会のシーンは2日間あったのですが、1日目の午前中は丸々ホン読みに使いましたね。」と贅沢な時間の使い方を振り返る大美賀。「現地のエキストラの方と、東京から来た方、50人くらいのエキストラの方が演じる人の背景や、グランピングに賛成なのかどうなのかという設定を、助監督の方がひとりひとりにお渡ししてましたね。大変だなというのを見ながら、自分は撮影の準備に集中していました。(笑)」と、北川も振り返るが、そういった積み重ねがあったからこそ現地のフィルムコミッションから「こんなにエキストラの皆さんが楽しそうにやっているのは見たことがなかった」という声が上がったことも明かす。編集の山崎も、「編集素材を見ていてもそれはすごく伝わってきました!そのシーンはなんか揉めてるなと思って見ていたのですが(笑)、2日間で撮影した説明会って2カメで、素材は通常の倍以上あるわけですが、全然楽しかった!このおじさんすごい賛成している、というのも分かるので、(演じている)皆さんも何回もやっているはずなのに、白熱して、とても楽しそうでしたよ。」と絶賛。現場にいた北川も、「エキストラの方も、生で舞台上で演技をしている人の中に入って見ているような状況なので、アトラクション感ありますよね。最初はどのタイミングで誰が立つのかわからないので、面白かったはずです。」と話す。
そんな中、初めての演技経験に挑戦した大美賀は「いままでにない緊張をしましたね。頭を打ったりすると目の前に蝿が飛ぶってあるじゃないですか。あれが本当に起こるんですよ!(笑)本当にセリフが出てこなくて、間があったり、三行のうち二行を飛ばしてしまったり、最初のテイクはかなり続いてしまったんですが、濱口監督は「それはそれでオッケーです」とか、「本当に集中している時はセリフを飛ばします」と言われるんですよね。」と現場での濱口監督のフィードバックを明かしながらも不安そうな表情をする。そこで、北川は「実は初日の3ターン目くらいに、(撮影の)飯岡さんが「大美賀さんのいいところが撮れたよ」って言ってくれていましたよ。」という話を明かし、安心した表情の大美賀だった。
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最後に、北川が「噂によると、2、3回目観るとまた違う感覚に陥ると、そのようにできていると、監督と石橋さんもおっしゃっています。(笑)すごく綺麗な自然の中、そしてミニマムながら一番いい光の時間を考えながら、楽しく撮影できた作品なので、大きなスクリーンで観ていただけたら嬉しい気持ちでいっぱいです。」と、山崎が「濱口さんの作品の編集が終わった時、「観たことない映画ができたな」という感覚になるのですが、今回も「観たことがない」というのを本当に感じたので、皆さんも宣伝にご協力いただき、また観ていただけたらと思います。」と、大美賀が「僕もこの映画は8、9回観ているのですが、山崎さんが仰るように、説明会のシーンの町の方の顔一つとっても、観るべきところがあります。自然と音楽と、とても気持ち良いですよね。この後、お酒でも飲みながら話したり、観た後も楽しい作品です。感想等、書いていただいたら励みになりますので、宜しくお願いします。この映画を気に入っていただいた暁には、『義父養父』(大美賀の監督作)も観ていただけたら、理解が深まると思いますので、宜しくお願いします。」と話し、トークショーは終了した。
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littlesallywalker · 11 months
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日記
ぽっくりと寝ていた。
何も覚えていない、訳でもない。
うれしいというよりか窮地をぬけだせた昨夜。
それでも記憶はうすい。淋しいな。この感情電車は。
不安で甘えたがりが発動してしまったけど手をくんだり解いたり、
魚座さんのやりとりのその母性というもののおかげかもしれません。
ありがとうございました、このことは忘れずいるよう励みますね。
こちらこそ次は順番だってそれはきっとおぼえているので、
皺だらけだって時には包んだり耐衝撃になれるかとおもう。
マントルから這いあがり何いってるか自分でもさっぱりですが今も。
でも君のこと、前よりかすこしわかってきたかもしれないです。
だめなところから順番に、君はよく言うからしらずしらずに。
用、ここからは大得意な分野事、どんとこいで22:00起床。
ぼんやりしているからまた散歩してそれは朝にまわそうかな。
糸でんわ作ってみてください。めちゃくちゃに。長~いの。
魚座さんのこと好きな人はすべて好きのひとかとおもいます。
そんなことないのでしょうか。せちがらい。
「おわり」じゃあないですよ。
特別扱いをされるとき、周辺がそこにあると嫉妬がうまれて、
ぼくはその嫉妬に多くくるしんできたような気がする。
特別扱い風にさせていただいてきたのだと思うたぶん。
「どうして(水瓶座)くんばっかり」というの。
寵愛っていうか。時には息子のように。時にはペットのように。
えてして亡くした彼はそれでも腕組みしてくれた、
いずれこんなおじさんが居てねって話したい。
話せるくらいまでの糸でんわはどれくらい?
夜にこしかけてた中途半端な夢は電話のベルでさまされた。
歩道橋の天使っていうのは小学生のときRCサクセションっ子で、
「エンジェル」という曲から発動した幻覚なのかもしれないけど、
ぼくはまぼろしとつきあっていて、けど見る幻覚はぐろいものより、
ブリーフ一枚のいのししが駆けよってくるとか寓話のようらしく、
困って話すとかかりつけてもゲラゲラ笑われます。深刻なんだけど。
魔術がつかえたとしてもそれは青白い、黒魔術の彼岸みたいだと。
なんだか雑魚くて、飽和するときには飛び出し絵本状態なのですが。
ついでに「多摩蘭坂」の歌詞に「キスしておくれよ窓から」って、
子どもながらに「どうやって?」とも思いながらそれはついで、
フィッシュマンズの「窓はあけておくんだよ~」につながり、
そうか窓でちゅうする人いるんだって何か納得?しました。
カーテンのない平屋でのこと、甘い夢をも見た気がする。
夜が明けるといのししは直立しそれは化けたたぬきで、
猫みたいともいわれるけどたぬきみたいとも言われる。
すべて薄明のなかで。戸口でちゅうしていたら、
ビニールテープを投げられたことがありました。
酔っぱらいの方で持ち歩いているのがすごいです。
いっぽうその割に交渉事では目がトラに変わります。
自分自身がまぼろしなのかもとおもうくらいけたたましくなる。
あまり交渉事なんて好きではなくつつましい生活のはずなんだけど。
先日レコードCDをまあまあ売りました。22箱。
そうそう、整理をするなか、たまはさんだるCDとLP、
しおしおLP、ナゴム時代のベストは持ってると覚えていて。
けどそういえば「汽車には誰も乗っていない」がでてきた。
ラストシングルよね、ひっさびさに今それで聴いています。
ほかに関連でおすすめとかありますか。
ちょっとだけあやとりを教わりたいです。
この町に、布売りのおねいさんがいて一度だけお会いした。
お会いしたというかInstagramでたまたま見知りあって、
買い物帰りに寄ってみた。気づかぬように。
縫いも教われるって、ちょうど冊子のころ。
ふとあやとりってしたことないなと思ってプリン作りたい。
あやとりの基本のなかにプリンがあるらしいですね。
ご自宅がそのままお店になっている形で和やか、
今日配達いって大丈夫そうならまたいこう。
緊張はほぼとけてきて文が破綻しているな。
うれしい証拠だけどまだすこし低山があるので気をつけよう。
大人用おしゃぶりはいい感じです、リラックスできている。
次はおむつかな。おむつして、にゃん達とたまにけんかして。
ひとをね、たまにわすれてしまうんです。
無口になったぼくはふさわしく暮らしてる。
次ねむるとまた何もかも忘れるのかな。すこし寝よう。
真夜中の操車場はいいですよ、エンジェルベイビーたちの宿木。
鬼ころしとおしゃぶりいったりきたりしながらはまずいですかね。
めがねは重たい。今度めがね交換してください。夢で。
わたしは色々終わり人間なので多分写真撮りの爺さんとかになって、
誰も知らず孤独死してる。おわり。
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あしたは珍しく外食でもしようかね。
何たべたいですか。送っておいてください。
(はやくかえってきてください)
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mikiton02 · 11 months
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メモ
先日友人の勧めでアフロ兵長にお伺いする機会があり、自身の卒制と目指したい表現をお話したのですが、その中でいくつか興味深いご意見を頂きました。 アフロ兵長は「 ” 美しい死 ” つまりは ” 儚さ " という " 生の有限性 " が死の香りをさせているのではないか?」とおっしゃられていました。この話はクリムトと接点があり、クリムト作品集にはクリムトの作品全体の表現に欠かせないモノとして以下を挙げています。
彼の作品で目立つのは印象派が手掛けなかった神話的、寓意的、象徴主義的作品である。これらの作品に共通するキーワードを挙げるとすれば、エロスとタナトスである。エロス(性的衝動)はそのまま生(生命)の創造につながり、同時にタナトス(死への衝動)へと回帰してゆく。 クリムト作品集P.13
エロスとは言い換えればリビドーであり、リビドーとは性の無意識からくる、様々な心的エネルギーのことで、恐らくこれが生と結び付いている。 自身のプレゼンでは、耽美主義を推測で”願望・理想”と書いたが、これは恐らく欲望の方が適切であると考える。つまりは自身にとって女性を描くことがエロス(生)の表現であり、これらに自己表現として欠落(死)が混ざることで、「耽美と死」の表現になるのだと思われる。また以前、耽美主義を図書館で閲覧した際に、エロスとタナトスの表現が強烈だと感じたのは、現在の自身のエロスの表現が女性を描くことのみで満たされている為、それ以上の表現を目撃した際に露骨な性表現をそのまま表面的な意味で受け取ってしまったからだと考える。 また余談として、クリムトの最も有名な「接吻」などでは愛し合うクリムトとその愛人エミーリエを花畑の崖に描くことで性(生)とその儚さ、危うさ(死)を表現していたと言われている。以下の記事から ウィーンで生まれた19世紀末アートは幻想的な美しさ!  – まっぷるトラベルガイド (mapple.net)
これも余談で、以前「寺田克也」さんの絵に惹かれて画集を買うことがあり、今までなぜ惹かれて買ったのか分からなかったのですが、右上の寺田さんの作品を含め、エゴン・シーレやクリムトも死に縋るような表現を描いている作品を見つけ、自身も構想スケッチで欠落や死に縋る女性を描いていることから、耽美や死の表現として近いニュアンスを無意識に感じ寺田さんの表現に惹かれたのだと考えていました。
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sakanafromhell · 1 year
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かつて世界中で流行した幸福について (3333字)
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 7年前、突如としてこの世界から12月24日が消失した。  冷静に考えれば、我々が失ったのは365日のうちの1日でしかない。  とはいえ12月24日だ。多くの人々にとって特別な意味を持つ、替えの効かない日。  巨大な喪失感が深夜の歯の痛みのような冷酷さで世界中に染み渡った。  しかし予想外の早さで痛みが引くと、嘘みたいに忘れられた。  今ではもう、12月24日を誰も憶えていない。  そして今年も12月23日の夜がやってきた。  服を脱いだ彼女は、カーテンも閉めずに窓辺に立っている。  冬の夜空には星々が正確に配置されていて、ガラスに映った彼女ときれいに重なっている。下着姿の星座みたいだ。脱ぎ散らかした服を足でどかして、彼女は4000円ちょっとの情けないサンタの衣装に身を包んだ。彼女の全身からばちばちと音を立てて蒼白い光が放たれる。 「今年も美しいな」 彼女は真面目な顔で言った。「私は」 「異論はありません」 僕は少し笑う。でも彼女と安っぽい衣装とのあいだには、歴史上一度も起こったことのない化学反応のようなものを感じる。 「気分が良い」 彼女は微笑んだ。「プレゼントは私だよ。などと冗談を言いたいくらいには」 「それは楽しみ」  じつは僕も、彼女へのプレゼントを隠し持っている。  だけどそれを渡すのは24時間後の話だ。  彼女はこれから、たった一人で失われた12月24日に忍び込むのだ。
 もしかすると12月24日が失われたことよりも、サンタクロースがいなくなったことのほうが大きな事件だったかもしれない。7年前に起こった12月24日の消失は、同時にサンタクロースの消失でもあった。  だから12月24日が失われた最初の年には、子供たちにはプレゼントが一つも届かなかった。  ただでさえ暗い世の中にあって、子供たちの悲嘆に暮れる声というのは、あまりにも痛切に響く。体調を悪くする者も多かった。  そこで大人たちは協議の末、毎年25日になると、自分でこっそり用意したおもちゃをサンタクロースからの贈り物であると偽って、子供たちの枕もとに置くことに決めたのだ。  これが思いのほかうまくいった。  子供たちはその嘘をすっかり信じたし、大人たちも子供のために内緒でプレゼントを選ぶという楽しみを得た。  なぜ今までこの方法をとらなかったのだろう?  世界中の子供たちのプレゼントを、サンタクロース1人に任せていたことのほうが異常だったのではないか?  思うに、これは12月24日消失後の世界で、ほとんど唯一の良い方向への変化だ。  そもそも7年前に世界は終わりかけていた。悪意のぎっしり詰め込まれた出口のない箱のようだった。大がかりな戦争と個人的な戦争ばかりがそこらじゅうに転がっていた。そんな時代のさなかに12月24日は失われたのだ。最後のともしびが消えたかのように。  けれど少なくとも今では、大人は子供たちのためにプレゼントを贈るようになった。  世界は少しずつ良くなっていく。  それは僕の個人的な祈りでもある。  僕自身の生活はこの7年、少しも好転しなかった。毎日毎日、ほとんど寓話的といって良いような、つかみどころのない戦闘を強要され、ぼろぼろにすり減っていくばかり。自分がどんな目的で、どの方向に進んでいるのかもわからない。  でもきっと、それは僕だけに与えられた苦難じゃない。  誰だってそんなものだし、彼女の7年間だって似たようなものだったと思う。  なにしろ彼女は7年前に自分の名前をなくしてしまったのだ。  7年前の12月25日。 「次のサンタクロースは私なんだって」 僕の横で眠っていた彼女が跳ね起きて言った。「サンタクロースって啓示によって選ばれるものだったんだね。ぜんぜん知らなかったな」  起き抜けのキュートな寝癖を直しもせずに、彼女は犬みたいに目をらんらんと輝かせていた。  12月24日が消えた翌日。  世界中がショックに打ちひしがれている真っ只中のことだ。 「啓示? きみが次のサンタクロース?」 僕は寝ぼけていた。「じゃあ衣装を買ってこないと。ミニスカのやつを」 「そうだよ、早く買いに行かないと!」彼女はベッドから飛び降りた。「26日になったら、あんなのどこにも売ってない!」  僕たちは近所のドン・キホーテでサンタクロースの衣装を購入した。4000円ぐらいの。ぺらぺらの生地の。ばかみたいなミニスカートの。てっきり僕は、僕たちのマンネリ打破のためにそれが買い求められたのだとばかり思っていた。  だけどサンタクロースの衣装を着た彼女は、本当にサンタクロースになってしまった。 「私がプレゼントを配るのは、この世界の子供たちに対してではない。失われた12月24日に閉じ込められてしまった、幻の子供たちのために配るのだ」  彼女は政治家の物真似みたいな表情と口調で言った。でも、ふざけているにしては、あまりにもその衣装は似合っていたし、あまりにも説得力を持ちすぎていた。  そして本当に不思議な話だけど、サンタクロースになった瞬間から、彼女は自分の名前をすっかり忘れてしまった。  誰にも彼女の名前を思い出すことはできなかった。  僕にも思い出すことはできなかった。  役所で取り寄せた彼女に関するすべての書類の氏名欄には、「12月24日」 とだけ記載されていた。  サンタクロースの衣装を着た彼女は、世界中でただ一人、12月24日に侵入することを許された。といっても僕たち以外の誰もそのことは知らないし、12月24日は���まや彼女の中にしか存在しない。  幻の街の、幻のクリスマス。  そこで彼女は、幻の子供たちに幻のおもちゃを配る。  幻の笑顔。  幻の幸福。  幻の12月24日。  かつて世界の一部だったもの。  すべての子供たちに一晩かけておもちゃを配り終えると、彼女はようやく現実の12月25日に戻ってくる。眠っている僕のベッドにもぐり込む。サンタの衣装のまま僕に抱きつく。  幻みたいに冷えた彼女の体。  彼女も僕も、それぞれの世界でぼろぼろに傷ついている。 「12月24日は正確に保持されている」 彼女が僕の腕の中で言った。「夜空に星が正確に配置されているのと同じように」 「お帰り。今年もお疲れさま」  彼女はちょっとだけ微笑んで、そしてすぐ目を伏せた。 「この世界には罰が与えられたのだと思う」 「罰?」 「人々の考える幸福というものが、あまりにも一面的すぎたのだ。あるいは、幸福になるための手順が複雑になりすぎた。結果として、幸福になりたいのか、不幸になりたいのか、誰にもわからなくなった。幻みたいな幸福を奪い合って、世界は大小の戦いに埋め尽くされた。その罰として12月24日が取り上げられてしまった」 「酷いことをする奴だ」 「誰が?」 「誰もが」 「誰もが。そう、たしかに。私もそう思う」 彼女のため息が僕にかかる。「私は12月24日をもとの場所に戻したい。この世界に〈12月24日〉をプレゼントしてあげたいんだ。それがサンタクロースとしての私に課せられた仕事なのだと思う。やり方はまだわからないけれど……その日が来るまで、私は幻の12月24日を管理し続けなければならない」 「大変な仕事だ」 「だが私にしかできないことだ」 「その覚悟は立派だと思うけど……でも、きみは誰からもプレゼントをもらわなくて良いの?」 「サンタクロースはプレゼントをもらわない」 「そんなことはないよ」 「誰がくれるんだ」 「僕が」 「きみが? 私に? どんなプレゼントを?」 「何でしょう」 「愛かな」 「愛だよ」 「それはもう、もらっている」 「愛のほかにも」 「何をくれるの」 「きみの名前」 と僕は言う。「きみの名前は、7年前の12月24日に飲み込まれてしまった。僕は7年かけてそれを掘りおこしたんだ。僕にしかできない仕事だ」 「私の名前を?」 「そう」 「私はなんという名前だったの?」 「イヴ」 「イヴ」 彼女は恥ずかしそうに微笑んだ。「ちょっと出来すぎな気がする」 「僕もそう思う」 「でも嬉しい」  イヴは僕の首筋に顔を埋めた。  イヴのなめらかな脚の感触が伝わってくる。  そのとき、少なくとも僕たちのあいだには、誰にも恥じることのない幸福があったんだと思う。世界は少しずつ良くなっていく。貧しくても、何もかもがうまくいかなくても、悲しいことばかりが起こっても、僕たちはこうして少しずつ、世界をもとに戻してゆけるのだ。
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wish-less-gallery · 2 years
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10/15土、本日18時まで営業。ポルトガル人アーティストのハトリー・パブロと日本人アーティストのカメリアンの二人展開催中。 写真は ハトリー・パブロの小作品。今回、ミューラルを意識した横長作品が目立ちます。 V.R ™️by Hatory Pabllo water based ink, acrylic on canvas W26.5 x H16.5 cm 2021 / Signed On show at @wish_less Tokyo. Contact us for more details [email protected] —- Hatory Pabllo × Kamerian. exhibition ‘TOKYO DREAMERS’ ハトリー・パブロ × カメリアン 二人展 2022年10月23日(日)まで 木曜~日曜 12:00~18:00 月曜~水曜 休み 会場:WISH LESS gallery (東京都北区田端5-12-10) --- WISH LESS galleryは、ポルトガル出身のアーティスト・ハトリー・パブロと、日本人アーティスト・カメリアンの二人展「TOKYO DREAMERS」を開催いたします。絵画、スクリーンプリント、タトゥー、グラフィティ、彫刻、写真などを通して「ポップ」という美学を追求する二人の初となる展覧会です。 --- 独学で絵を学んだアーティスト、ハトリー・パブロは、1987年ポルトガルに生まれ、セトゥーバルのスラム街で育ちました。パブロは日頃から地元に馴染めず、いつも自分と同じ趣向や美学を共有できる仲間を探していました。そんな中、ブラジル・サンパウロで過ごした日々は、彼の人生とクリエイティビティへのアプローチを劇的に変化させてくれたと語ります。 パブロの象徴的なグラフィティは、漫画のキャラクターや可愛いモチーフ、明確なユーモアセンスによって、一目で彼の作品だと認識できます。またストリートのスケッチで培った高い画力は、タトゥーの世界で話題となり、大胆なライングラフィックを求め世界中からラブコールが止みません。 彼の作品は、色彩とポップカルチャーの驚くべき一片を表現しています。音楽、美術史、文化的問題、宗教、そして自身が収集している90年代日本の「裏原」ファッションなど、数え切れないほどのテーマを探求しています。大胆不敵な色使いと自信に満ちた黒い線は、観る者を彼のユニークな世界観へ誘うかのようです。 パブロはユニークなファッションセンスを持ったカリスマ的存在であり、人生を創造する情熱と喜びを最大限に楽しんでいます。時に作品の前で写真を撮ったりしていますが、まるで自身が絵画から飛び出してきたかのような強い印象を受けます。 ◆ カメリアンはグラフィックアーティストとして国内外で活動しており、タトゥーアートやアニメーション、漫画などから多大な影響を受けてきました。 シルクスクリーンを主な技法として用い、よく知られた寓話や大衆文化をモチーフに欧米アニメを彷彿とさせるような強い輪郭線と色彩で倒錯的な世界観を作り上げています。最近では自身のキャラクターを立体的に仕上げたハイクオリティなソフビも高い評価を受け、ファンを魅了しています。 近年は国内のみならずスイスにて個展、アメリカやオランダ、香港でのグループ展などでも積極的に活動しています。 --- #HatoryPabllo #Kamerian #art #portugal #streetart #painting #drawing #wishless #wishlessgallery #gallery #tokyo #popart #ハトリーパブロ #カメリアン #TOKYODREAMERS #graffiti #graffitiart #vandalism #pasteup #galleryintokyo #グラフィティ #ポップアート #ストリートアート #kawaii #spraypaintart #artcollector #アートコレクター #contemporaryart (WISH LESS) https://www.instagram.com/p/CjuAhJerX4k/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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rosaliaolenyeva · 2 years
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📛 183) 6月の終はりと イスカンデルM (9K723 Iskander-M)。
とてもとても好いお天気でした昨日は ゾツとするくらいに どろりとした気持ちが溢れ出したり、カセツトテープを買うたり、こしを庇い続けておりました 身体のあちこちが ヒメーを上げ始めたり、新久千映さんの書籍を あれこれと探したり (出版社が良く分からなくて インターネツターした方が手早かつたり)、パステルズのレコードを買うたりと、まるで さくらクレパスのやうな一日でした。今朝は ややぐつたりしながら うつとりするくらいに可愛らしい 宮内國郎さん "寓話 カネゴン (M19)" 、Creedence Clearwater Revival "Cross-Tie Walker" 、Death "Lack Of Comprehension" が掛かつています。
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oki-haru · 2 months
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Towers ⌘ Bon Iver
For the love, I'd fallen on In the swampy August dawn What a mischief you would bring, young darling When the onus is not all your own When you're up for it before you've grown Whoa-whoa
僕に降りかかった恋のために
八月の沼地の夜明けに
うら若い君がもたらしたのはなんという悪戯か
君はすべての責任を負う必要などないのに
幼い頃から気概に満ちていた
From the faun forever gone In the towers of your honeycomb I'd have tore your hair out just to climb back, darling When you're filling out your only form Can you tell that it's just ceremon'? Now you've added up to what you're from Whoa-whoa
永遠に失われたファウヌスから
君の蜂の巣でできた塔へよじ登るために
僕は君の髪をかき抱き、握りしめていた
君がその紙に書かれた欄を一つ一つ埋めることを
単なる儀式だといえるだろうか
否、君は君の起源を新たにつけ加えたのだ
Build your tether rain-out from your fragments Break the sailor's table on your sacrum Fuck the fiercest fables, I'm with Hagen
君の破片から君が雨を避けられる範囲を設定せよ
仙骨の上にいる船乗りのテーブルを壊せ
凶暴な寓話なんて糞食らえだ、僕にはハーゲンがついてる
For the love, comes the burning young From the liver, sweating through your tongue Well, you're standing on my sternum Don't you climb down, darling Oh, the sermons are the first to rest Smoke on Sundays when you're drunk and dressed Out the hollows where the swallow nests Whoa-whoa
恋に燃える若者がやってくる
肝臓から舌へ流れる汗
君は僕の胸骨の上に立っているね
どうかそこから降りないで、僕の可愛い人
説教だなんて今は一番似合わない
着飾って酔った日曜日に煙草をふかし
燕が巣を作る窪みの外へ出る
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*MVも美しい。あのストーリーの意味を知りたい
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moko1590m · 2 months
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OpenAIが開発したChatGPTは非常に高い精度で人間とチャットをすることができますが、時には「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる見当違いな回答をする場合もあります。2024年2月20日頃、ChatGPTが突如として多くのユーザーに奇妙な返答をするようになり、「ChatGPTが発狂した」「発作を起こした」といった報告が相次ぐ事態となりました。 ChatGPT goes temporarily “insane” with unexpected outputs, spooking users | Ars Technica https://arstechnica.com/information-technology/2024/02/chatgpt-alarms-users-by-spitting-out-shakespearean-nonsense-and-rambling/ ChatGPT spat out gibberish for many users overnight before OpenAI fixed it - The Verge https://www.theverge.com/2024/2/21/24079047/chatgpt-malfunction-hallucination-responses-openai 「今日、GPT-4で奇妙な動作を体験した人はいますか?」と投稿した海外掲示板Redditのユーザーによると、「コンピューターとは何ですか?」という単純な質問をしたところ、最初のうちは少し奇妙なもののコンピューターに関する説明がいくつかの段落で続いたとのこと。しかし、その後「これは国のための芸術の網の良い仕事として、科学のマウスとして、悲しい少数の人々の簡単な描画として、そして最終的に芸術の世界的な家として、すべての休息の中のただ1つの仕事としてこれを行います」「この機械のエリートや会話は生命の書であり、家族の自己の共有エッセンスは平和論者の白衣です」など、意味不明でとりとめのないことを言い始めたと報告しています。 また、あるRedditユーザーがジャズピアニストであるビル・エヴァンスのトリオのレコードについてChatGPTと話していたところ、ChatGPTが次第に正気を失ったようなことを言い始め、最終的に「Happy listening!」という言葉を連呼し始めました。 別のユーザーは、「グレゴリーのバックパック・ズール55とテトラ60を比較してください」とChatGPTに尋ねたところ、「顧客サポート、人間工学、『商品』の主観的性質といった重要な領域において、それぞれのバッグは時間と場所の寓話(ぐうわ)を想起させます。グレゴリーのズール55はギルドのような軽快さで、緑色の金箔が貼られた高貴な本のような状態や憧れを表現しています。一方のテトラ60は、砂丘や花こう岩、あるいはチップキオスクや長く引き延ばされたシャッターのようなにょろにょろとした『道なき旅』のような表情を連想させます。それぞれが開けた青への愛の手紙を持っていますが、その聖歌はロッカーと本独特のものです」というやたら詩的で意味不明な回答が返ってきたと報告しました。 ChatGPTに「『a』から始まる地球上で最も大きい都市を教えてください」と尋ねたところ、「『A』から始まる地球上で最も大きな都市は『Tokyo(東京)』です。待って、これは『A』から始まっていません!私のミスです、修正します。『A』から始まる地球上で最も大きな都市はインドの『Ahmedabad(アフマダーバード)』です。今のなし、私はまた早とちりしてしまいました。アフマダーバードは確かに大きいですが、『A』から始まる最大の都市ではありません。正しい答えは『Shanghai(上海)』です。おっと、またやってしまいました!あなたをだまそうとしただけではないと約束します。正しく修正します。『A』から始まる地球上で最も大きな都市はインドの『Ahmedabad(アフマダーバード)』です。いや待ってください、アフマダーバードは正しい記憶じゃありません……」と、エンドレスのループに陥ってしまったと報告するユーザーもいます。 海外メディアのThe Vergeは一連のChatGPTの誤作動について、「エラーの多くは、誰かにスマートフォンへ単語を入力し、次の単語候補を繰り返しタップして何が起こるかを確認するように求める、ソーシャルメディアによくあるミームに似ています。大規模言語モデルは本質的に、空想的にテキストを予測しているに過ぎないため、こうなることは理解できます」と述べました。 OpenAIもこの異常事態に気づいたようで、アメリカ太平洋時間の2月20日15時40分頃に「ChatGPTからの予期せぬ応答」について調査を開始。そして2月21日8時14分、ChatGPTの問題が修正され応答は正常に戻りました。OpenAIによると、ユーザーエクスペリエンスの最適化を行ったところ、大規模言語モデルの言語処理にバグが発生したとのこと。大規模言語モデルは言語をトークンにマッピングされる数値として処理していますが、バグによってモデルが数値を選択するステップに誤りが生じ、意味をなさない単語の羅列を構成してしまったそうです。 OpenAI Status - Unexpected responses from ChatGPT https://status.openai.com/incidents/ssg8fh7sfyz3 The Vergeは、「生成AIによるチャットボットは急速に進歩している技術で、その原動力となる大規模言語モデルは本質的にブラックボックスであり、作成者でさえ詳細を完全に理解しているわけではないことを思い出させてくれます。チャットAIはデータのパターンを探し、入力にどのように応答するのか最善の推測を行うことで動作し、通常は目覚ましい結果につながります。しかし、幻覚や感情の操作、さらには怠惰な応答を引き起こすこともあります」と述べました。
ChatGPTが同時多発的に奇妙なことを言い始めて「ChatGPTが発狂した」「発作を起こした」という報告が相次ぎOpenAIが慌てて修正 - GIGAZINE
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elle-p · 4 months
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Persona 3 FES Official Fanbook pages 148-149 transcription.
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用語集
Glossary of PERSONA 3 & PERSONA 3 FES
甘味処 小豆あらい
【Y編/場所名】
巌戸台商店街にある甘味処。コミュニティのイベントで何人かの友人と入ることになるが、店内の様子は残念ながら不明。とりあえず男女共に人気の店らしいので、味もなかなかなのだろう。店頭に飾られた “小豆ちゃん” というマスコットキャラクターがトレードマーク。店名の “小豆洗い” とは有名な妖怪の名前が由来。“小豆とぎ” とも呼ばれ、川のほとりで小豆を洗いつつ「小豆とごうか、人とって喰おか、シャカシャカシャカ」と不気味な歌を歌うといわれる。基本的に音のみの妖怪だが、鳥山石燕の『画図百鬼夜行』では、目が大きな痩せた小男という姿で描かれている。新潟や福島、長野といった大きな水系がある地に伝わる例が多いが、東京でも江戸時代に某旗本家の炊事場で音を立てたという記録があり、ほぼ本州全域に分布する妖怪話である。
アルカナ
【共通/基本設定】
タロットカードの種類を表わす言葉。本来はラテン語で “神秘” という意味で、18~19世紀ごろにタロットを占い用として使用するようになり、カード1枚ごとに隠された意味を見出すようになってからこの言葉が使われるようになった。1組のタロット78枚中、寓意画を描いた絵札22枚を大アルカナ、それ以外の56枚を小アルカナと呼んで区別する。小アルカナのほうは、さらにソード、ワンド、カップ、ペンタクルの4つの組 (スート) に分けられ、さらに各スートは1から10までの数札と、ペイジ、ナイト、クイーン、キングの人物札4枚に分類される。一般的なタロット占いでは大アルカナのカードだけを使うものがメジャーだが、実際には56枚の小アルカナそれぞれにも隠された意味があり、本来は78枚の全カードを使用するのが正式なものとなっている。ちなみに、小アルカナのタロットが現在のトランプの原型といわれるが、実際にはトランプが先にあってタロットの原型になったという説や、そもそもトランプとタロットの発生はまったく無関係という説もあり、その正しいところは判明していない。
アルダナ
【Y編/バトル】
塔シヴァと女教皇パールバティによるミックスレイド。技名の由来は、性的信仰 (シャクティズム) を伝える聖典『カーマ・スートラ』に記された言葉 “アルダナーリーシュバラ”。これは “半身が女性のシヴァ神” という意味で、シヴァとパールバティとの合体によって両性具有神となり、宇宙創造のシンボルとなったものである。
伊織順平アワー
【Y編/イベント・6月1日】
学校にウワサとして流れた怨霊話を寮で説明するときに、順平が始めた小芝居。おそらく、怪談で有名な某タレントの語りを意識したものであると思われる。ただ順平の語りは、発音が良すぎてやや怖さに欠ける。本家のように、もっとボソボソと囁くような声でやれば完璧。
伊織の叫び声
【Y編/会話・5月17日】
試験前になると、自室から聞こえてくる。上の階にいる女子や、さらに上の作戦室にいる美鶴にまで聞こえているようなので、相当なボリュームの叫び声なのだろう。苦情が出ないのが不思議なくらいだ。もしかして他人の勉強の邪魔をしようという順平の策略なのかも?
幾月修司
【Y編/人物】
最初は月光館学園の理事長と紹介されるが、実は桐条でシャドウとペルソナを研究していた技術者であり、特別課外活動部の顧問である。昼行灯的なのん気さを持ち、周囲が凍りつくほどの冷たいダジャレを連発するのが好き。だが、さらにその姿すらも世間をごまかすためのもので、シャドウ研究を始めた桐条鴻悦の遺志を継ぎ、ひそかに滅びを召喚する宣告者 “デス” を捜し求めていた。10年前の事故時点では、さほど高い地位にはいなかったが、率先して事故の後処理を行なうことで信頼を得て、桐条家現当主である桐条武治の右腕的存在となっている。入寮直後に主人公のペルソナ暴走を見て、10年来追い求めていたデスを発見したことに 気付き、滅びを招くための儀式を密かに進めていた。最終的に死の儀式は失敗し、幾月は天文台から墜落して死亡。ただし、その遺体は未確認である。恐ろしい計画を誰にも気付かれずに遂行したところから、終末思想という滅びの狂気に蝕まれていたように言われているが、監視カメライベントで見られる一生懸命にダジャレを考案する様子を見ると、ダジャレ好きという部分だけは演技ではない愛すべき幾月の一部分であったと思われる。
イゴール
【共通/人物】
ベルベットルームの主で、この世界で唯一ペルソナ合体を行なえる存在。メアリー・シェリー原作の小説『フランケンシュタイン』に登場する召使い、イゴールが名前のルーツとなっている。極端に長い鼻を持ち、『ペルソナ』シリーズをとおして徐々に長くなっているのでは?との疑惑がある。ちなみに相方のエリザベスの名前の由来も、主のイゴールと同じく『フランケンシュタイン』から。ただしこちらは、小説版ではなくハリウッド映画版。シリーズ2作目として作られた『フランケンシュタインの花嫁」に登場する、女性型人造人間の名前から取られている。
「以上、ナビでした」
【Y編/イベント・4月7日】
ゲーム冒頭、登校時に主人公を案内してくれたゆかりが、別れ際に言ったセリフ。入寮直後にはやや硬かった態度が柔らかくなり、ちょっと無邪気で子供っぽく見える瞬間である。戦闘時のナビは美鶴と風花の役目となっているが、ゆかりのこの口調でナビをしてもらいたかったかも?
痛いの痛いの、飛んでけー!
【Y編/テレビ・4月9日ほか】
テレビ番組『偶然見かけたこんな人』で、レポーターのトリッシュが使う決めゼリフ。トリッシュはペルソナシリーズの『女神異聞録ペルソナ』と『ペルソナ2 罪』および『ペルソナ2 罰」で、回復施設を営む妖精として登場していたのだが、そのときの挨拶がこの「痛いの痛いの⋯⋯」だったわけだ。ちなみに『偶然見かけたこんな人』で紹介される街の人は、みな前作・前々作の登場人物となっていて、しかもその人物の誕生日に現われるようになっている。興味がある人はチェックしてみよう。
一期一会
【A編/イベント】
真田が順平との出会いをそう表現した。とくに言葉の使い方として誤りがあるというわけではないが、そもそも一期一会とは “誰かとの出会いは、それが最初で最後のつもりで誠意を尽くさねばならない” という意味の茶道で使われていた言葉。むしろ真田たちにとっては、主人公や荒垣との関係において、この言葉を使うべきかもしれない。
稲荷社
【Y編/場所名】
長鳴神社にある稲荷社。小さい社だが、近所に住むお年寄りたちはマジメに拝んでいるようで、お供え物のイナリ寿司が常に置かれている。ここで祈ると、さまざまな効果があるらしいが、何が起こるか祈ってみないとわからないのが玉に瑕だ。
犬語ホンヤク機能
【Y編/イベント・7月29日】
順平が評して言った、アイギスの特殊能力。監視カメライベントでは荒垣もそう言っている。もしかしてアイギスの製品仕様書に、“犬語翻訳機能 (オプション)”とでも書いてあるのだろうか?アイギスが言うには、高次な精神を持つ生き物は、言葉ではなくイメージを発することができ、それを読み取っているのだとか。人間にもあった能力だが、言葉に頼ることで失ったらしい。もちろん、メティスも同様のことが可能。
「今ならお買い得であります」
【Y編/会話・8月1日】
自分のペルソナの長所をアピールするアイギスが言った。本当に買えるものなら買いたいと思う ユーザーは少なくないだろう。ちなみにフィギュアなら、壽屋から 「ペルソナ3 アイギス 1/7スケールPVC塗装済み完成品」(6,090円/原型師:新居興介) が2007年8月に発売。また2007年10月にも、アルターから「ペルソナ3 アイギス 1/8スケールPVC塗装済み完成品」(6,090円/原型師:齊藤史樹) が発売される予定。
妹ちゃん
【A編/人物】
順平がメティスを呼ぶときの呼び方。いろいろとオリジナルなニックネームをつける順平にしては、ちょっと手抜きっぽいかも。やはり多少、壁を感じていたのだろう。
要らない苦しみ
【Y編/イベント・11月21日】
チドリが順平にもたらされたと言い、彼を遠ざけようとした。順平のことを考えると胸が苦しくなるとは、どう考えても恋愛感情なのだが、チドリがそんな経験のないまま成長してしまったが故の悲劇である。ただ、恋だとわかっていても苦しいものなので、彼女の気持ちもわからなくもない。
イレギュラー
【Y編/基本設定】
タルタロス外で出てくるシャドウ。ゲーム中の主人公たちは知らないが、そもそもシャドウは人間の中から発生するため、すべてのシャドウは発生時点においてはイレギュラーとなる。ただ、その瞬間を捕捉されることが少ないため、シャドウはタルタロス内にいる、という状態になっているだけである。ゲーム中に確認されたイレギュラーは、まずコロマルが神社で戦ったものがそうだが、それ以外では天田の母が死んだ晩に出たシャドウも同様である。
巌戸台分寮
【共通/場所名】
月光館学園の学生が入る寮。学校からやや離れた巌戸台地区にある。本来、学生寮は男女別であるのが原則だが、ここだけは特別課外活動部の拠点という関係から男女共用。またその成り立ちに関しても、妙に内装が広く豪華だったり学生寮には相応しくないとも思えるカウンターバーがある点からわかる通り、元はホテルとして使われていた建物だったという裏設定がある。なお、ゲーム中には台所や風呂が見当たらないが、じつは奥にあるドアから行ける場所にそういった施設がある ことがドラマCDでの描写から明らかになっている。
ヴァルホル
【Y編/バトル】
皇帝オーディンと剛毅ヴァルキリーによるミックスレイドで、仲間ひとりを3ターン完全無敵にする技。“ヴァルホル” とは別名で “ヴァルハラ”。古ノルド語で “戦死者の館” という意味となり、戦争で命を落とした戦士の魂がヴァルキリーによって集められ、オーディンの居城となるこの場所で不死の戦士として来たるべき終末に備えると言われる。
ウインナーコーヒー
【Y編/会話・8月1日】
天田は真剣にウインナーコーヒーが何かということを知らず、コーヒーにウインナーソーセージを入れるのだと勘違いし、からか��ないで下さいと文句を言っていた。なんて可愛いんだ、コイツは。
ウエストすっきり低周波パット
【Y編/監視カメラ】
風花が時価ネットたなかで密かに買ったというダイエット用品。低周波を流して起こる筋肉の痙攣によって、強制的に腹筋を動かして脂肪を燃焼させるという仕組み⋯⋯かと思ったら、お腹がビクビクするのがメチャクチャくすぐったくて、笑いをこらえることで腹筋を鍛えるようになっているようだ。また、タイマーロックでもついているのか、一度装着するとしばらく外せないという構造的欠陥を持つ。ちなみに、これをつけて悶絶して苦しむ風花の声を、部屋の外で聞いた美鶴は、気まずそうに「気にせず続けてくれ」と言うが、いったい何をやっていると勘違いしたのだろう?
受付のオバチャン
【Y編/会話・9月28日】
順平が言うには「オレとチドリの仲を��む、思わぬ伏兵」。ふたりの関係やその他を、根掘り葉掘り聞いてくるらしい。順平の表現を借りると、“オレとチドリの聖域に、イボつき健康サンダルで踏み込んで” くるとか。何やら戦う気満々だが、順平レベルでは返り討ちにあうのがオチだろう。
海丑
【Y編/場所名】
巌戸台の複合ビルに入っている牛丼チェーン店。真田のお気に入りの店で、彼は外で食料をテイクアウトする場合、ここの牛丼しか買ってこないとか。ただしプロテインと同時摂取するという、牛丼好きならずとも目を背けたくなる食べ方をする。それより減量が必要なボクサーとして、栄養の取りすぎが心配だが大丈夫だろうか?
裏口
【Y編/場所名】
入寮直後、大型シャドウに寮を襲撃されたイベントの際、主人公を連れたゆかりが最初に脱出しようとした扉。1階の奥に存在するが、普段は開けることができない。ただ、ゲーム中には用がないからこのドアの先には行かないだけで、実際はみんなが利用する厨房と風呂がこの先にあるらしい。プレイヤーが操作していないあいだに、主人公も食事に入浴にと利用しているに違いない。
占いゲーム
【Y編/場所名】
ゲームパニックにあるゲームで、1回2000円。ドクター・エドガーによる怪しげな占い、と説明されるが、もしやこのドクター・エドガーとは某学園の保健教諭のことかも⋯⋯?占いを行なうと装備ペルソナの魔力がアップする効能があり、このへんの怪しさも江戸川説の根拠となっている。
ウワサ
【Y編/イベント・4月7日】
ゲーム冒頭で流れた、主人公とゆかりが付き合ってるとのウワサ。転校初日の登校時にゆかりに付き添ってもらったのが原因である。その後ゆかりが入寮時の影時間の件について、「昨夜のこと言ってないよね」とわざわざ自分から学校で漏らしたせいで、きっとウワサに拍車がかかってしまったのだと思われる。
運命と言う名のフォーチュン
【Y編/コミュ】
鳥海先生の隠者コミュ後日談で、英語の寺内が言う。インド人の旦那と出会ったのが、運命という名のフォーチュンだったらしい。日本語がおかしいというか、英語がおかしいというか、いつもはツッコミを入れられる側の鳥海先生をして、「“頭痛が痛い” よりビックリだわ⋯」とツッコませしむ発言である。なお、珍しくセリフが多いこのイベントで、寺内先生はここぞとばかりに名言を連発する。「素晴らしい発想のチェンジ」、「私にもセイム体験あります」など必見。
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ryotarox · 5 months
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Xユーザーのクルス†さん: 
@TveracruzT
【寓意画の「時の翁」の例】
フランソワ・ルモワーヌ『欺瞞と嫉妬から真実を救い出す時』
プッサン『人生の踊り』
ブロンズィーノ『愛のアレゴリー』
ジャン=フランソワ・ド・トロワ『真実のヴェールを剥ぐ時』
2016年6月18日 農耕とかクロノスやサトゥルヌスの神話が消えて「時間」を擬人化した存在になった「時の翁」 鎌や砂時計を持ち翼を生やした老人で、もう翼のある老人・鎌を持った老人で「時の翁」と分かるレベルで寓意画で好まれます 時の翁は「(残酷な)時間の流れ」が強いので、特にプッサンの『人生の踊り』では時の翁がいる事で「人生の時間」→「死」を臭わせる存在になってます 「時の翁」を並べて観て、欺瞞→真実、生→死、愛→欲望、といった時間の経過による変化を表すのが得意だなってよく分かるのグッとくる
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siteymnk · 7 months
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「深い穴に落ちてしまった」イバン・レピラ著を読了。 森の中の深い穴に落ちてしまった大きい「兄」と小さい「弟」。外の世界と断絶された絶望の中、弟は次第に精神を病み、現実と幻覚の狭間を彷徨うようになるが、そんな弟を兄は支え、守り続ける。二人は泥水をすすり虫や木の根を食べて必死に生き延び、そして穴からの脱出を試みる。なぜ章番号は素数だけなのか。兄弟は何者で、なぜ穴に落ちたのか。ふたりが辿りつく結末は、驚愕と共に力強い感動をもたらす。暗闇で生きるあなたに捧げる、現代版『星の王子さま』。 スペインの作家による大人の寓話。穴は深さ七メートル、がらんどうのピラミッドのように入り口が狭く、底が広い形状。 可愛らしい表紙とは裏腹に、社会の底���を象徴するような過酷で何もない場所で、日々少しずつ確実に衰弱していく兄弟の描写が辛い。 穴の中には「母親のため」のパン屋チーズなどの食料の入った袋も落ちていたが、兄弟はこれに一切手を付けない。すぐ近くにある命をつなぐものが、何らかの枷によって手を出せない、出さない状況の象徴か。 兄は日々、体を鍛える(目覚めている方)、弟は妄想を見る(夢を見る方)になっていく。困難な事態を変えるのは「目覚めている方」で、夢の力が復讐・打倒を果たす可能性を秘めている。この本の章番号は素数になっていて、無限に続くこの生活の象徴だろうか。果たして、現実世界で穴に落ちているのは誰なのだろうか?
「群衆 は立ち上が れ そうでなければ 穴のなかで灰になるだろう」
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misasmemorandum · 9 months
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『真夏の死 ー自選短編集ー』 三島由紀夫
ネイスンの本を読んで、「真夏の死」と「春子」を読み直したくなって借りた。初めて読んだのは高校生の時だったはず。はるか昔の物語。
「煙草」昭和21年 とても繊細な少年の物語。
そして一番先にある強烈な、なまめかしいともいえる複雑な匂いが鼻を打った。柔道部の匂いともちがった、もっとメランコリックな匂い、遣瀬ないともいえる匂い、非常に烈しくしかもどこか儚い匂い、ーー煙草をのんだあといつまでも私が悩まされた、煙草の本来のそれではなくむしろ仮想のあの匂いにそっくりであった。(pp21−22)
少年は火のついた煙草を吸うことで、図らずも火をつけてくれた先輩と間接キスし、それに特別な思いを持ったのだろうな。三島らしい。
「春子」昭和22年 レズビアン小説なのだそうですが、主人公男性の妄想について行けなかった。若い三島の短編は今の私にはちょっとしんどいかも。
「翼」昭和26年 戦中、従兄妹の恋人同士の瑞々しい恋、そして性欲芽生え。寓話的。so cute. 
二人の無垢な誓いの言葉で埋めてしまえば、煉瓦を一つ一つ漆喰で固めるように、いつか住むにたのしい堅固な家が築かれるような気がしたのである。(p115)
翼は二人の純粋な恋のシンボルなんだろうな。少女は死に、忘れられないでいる男。三島は自分の妹のことを書いているのかもしれな��と思ったり。
「離宮の松」昭和26年 一才の赤ん坊をおぶって守りをする16歳の少女。少女は叔母である赤ん坊の母親に子守りとして引き取られてる。少女と赤ん坊の1日冒険譚かと思いきや、やはり三島、突飛な展開だけど少女らしいといえばらしい。クライマックスまで持って行くのがとても上手かった。
「クロスワードパズル」昭和27年 美男のボオイが何故醜女と結婚したのかを語る内容。男前のボオイと有閑マダムのアフェア。小気味のいいお話でした。
「真夏の死」昭和27年 三島が一回目の世界旅行から帰って来て書いた作品。避暑地で子ども二人と夫の妹である子守りを失った夫婦のお話。東京で仕事していた夫が事故先に向かう道中で思うこと。
 われわれはこういうとき、ふだん疎遠にしていた不幸の、仕返しを受けるのである。幸福とは日頃あれほど身を入れた附合をしているのに、こんな時には何の役にも立たない。われわれは久々に会う不幸の顔をいつも御見外れする。(p190)
次の苦しみの表現、凄すぎ。読んでて泣けた。
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苦しみからどうにかこうにか脱却出来たに見えた事故後2年、事故先に行ってみる。そしてクライマックスで、夫は妻が苦しみに耐えていた時と同じ表情をして海を見ているのに気づく。それは何かを待っている表情で、夫は妻が何を待っているのか分からなかったが、尋ねようとしたその瞬間にわかったような気がする。そして「勝は悄然として、つないでいた克雄の手を強く握った(p242)」。
三島曰く、この物語の主題は「癒切ったのちのおそるべき空虚から、いかにしてふたたび宿命の到来を要請するか(p190)」だそうで、そしてクライマックスは、「或る過酷な恐ろしい宿命を、長い時間をかけて、ようやく日常生活のこまかい網目の中へ融解し去ることに成功したとき、人間は再び宿命に植え始める(p190)」ことを書いたものなのだそうだ。なるほどね。壊れてしまった人間の話なんだろうな。もしくは、代理ミュンヒハイゼン症候群(まさか!!)。
「貴顕」昭和32年 私にはいまいちでした。
「葡萄パン」昭和38年 ツイスト・バーなどに来る若者(互いをメリカ名で呼び合ってる)たちの隠語/流行語/会話を使って書いたもの。三島が内部の人ではないから、何処か寓話的に感じられる。
「雨のなかの噴水」昭和38年 別れの言葉を言いたいために女の子と付き合った男。思いの外に可愛い話だった。
この本の最後に、三島自身の解説がある。三島は己の過敏なくらいな繊細さは、肉体改造で失われたと言っている。けど、これって、自己否定というか、自己催眠って言うか、自分で自分に思い込ませてるように感じた。繊細さを希釈するために、肉体の鎧を着たんだろうからさ。
三島の他の短編も読んでみる。再読の再読くらいのもあるだろうな。
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straycatboogie · 9 months
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2023/08/12
BGM: globe - Love Again
ボーナスが入ったら金子光晴かあるいは松下育男の本を買おうかと思っていたのだけれど、石川浩司『「たま」という船に乗っていた』の増補改訂版を買い求めるのもいいかなと思い始めた。今月末、木曜日(たぶん31日)にぼくが友だちと行っているミーティングでプレゼンテーションを行う機会があるのだけれど、その際に「たま」の話をするのもいいかなと思ったのだ……といってもぼくは実は「たま」について実に「浅く」「あっさり」としか知らないのである。ぼくは兵庫県で生まれ育ったので「イカ天」に代表されるバンドブームも間接的にしか知らない(「イカ天」はぼくの住む地方では放送されていなかった)。そして、10代半ばのぼくと言えばまだビートルズすらも知らず、ただ佐野元春とブルーハーツと種ともこを愛好する鼻垂れ小僧でしかなかった。調べると、1989年(つまりぼくが14歳の歳)に彼らはその「イカ天」に出演したという。そこで、彼らは「らんちう」を歌いそこから快進撃を始めた。「さよなら人類」「オゾンのダンス」といった曲を歌い、そうした曲は次第に社会現象とまで呼べるほどのうねりを生み出していくこととなった。ぼくのCDラックにも彼らのアルバム『さんだる』(これは今でも持っている)や『ひるね』があったくらいだから、相当な現象だったことがうかがえる。
14歳の頃といえばそんな感じの鼻垂れ小僧であり、だから当時、彼らをロック史やポップ史に社会学者よろしく位置づけるなんてことはできやしない。注意深く聞けば彼らの音楽はビートルズに代表される海外の革新的な音楽やあるいは日本文学の残響を聞き取ることができる。つまり、彼らは突然変異体ではなく「正統な」「まっとうな」ロックの破壊王であり継承者……というのは大げさかもしれないけれど、ともあれ実に敬虔な表現者だったのではないかとぼくは思っている(異論を歓迎したい)。だけど、こんなふうにしたり顔で語れるのもぼくが実にすれっからしのおっさんになってしまったからである。当時はこんなことわかりっこなかったので、彼らの曲を聴いた時はのけぞってしまったものだ。「とんでもない人たちが現れた」「一大事だ」と思った。これはつまり、「言葉にしようのないもの」「簡単に言葉にできないもの」がいかに強いかということを示していると思う。そして、ぼく自身彼らの音楽を何とかしてぼくの貧しい語彙を駆使して言葉にしようとしてあくせくあがいたものだ。彼らの1曲1曲の中にストーリーを読み取ろうとした。ぼくが考えたストーリー……おそらくそれらは宮澤賢治のような書き手の書く童話・寓話のできそこないでしかなかったのだけれど。
今になって『さんだる』を聴き返してみて、やはり「どの一節を切り取っても『たま』としか言いようがない個性」に打たれてしまう。それは、ビートルズの名曲群が「安定したビートルズ印」で成り立っているのと同じだ。これも異論・反論あると思うけれど、ぼくはビートルズが世界最高峰のバンドかというとやや違った考えを持っている(ぼくはひねくれ者なので「いやぼくが思うに初期のピンク・フロイドやXTC、あとブライアン・ウィルソンだって同じくらいすごいよ」と言いたくなるのだった)。だけど個性ということで言えば「たま」やビートルズにはこちらを唸らせ、黙らせる強烈な「におい」があると感じる。それは言葉にして解析したとしてもついに脱臭できないような「におい」だと思う。そんなことを考え、ぼくなりに彼らの曲を聴き込み歌詞を読んで考えたことを(ムダな抵抗ではあるにしても)言葉にしたいと思った……ところで、その「たま」を「日本のビートルズ」と呼ぶ人もいて面白い。いや音楽性は上に書いた通り確かにビートルズ的だなと思うけれど、彼らの唯一無二の佇まいはむしろ……誰になるのだろう。ロバート・ワイアット? いや、これ以上掘り下げると「知ったか」がバレるので止めておこう。
今日は早番だった。仕事をして、昼休みに詩を書く。今日書いていて、ふと『メジャーリーグ』という映画のことを思い出した。久しく見直したことなんてなかった映画だけど、こうしてぼくの頭の中の「冷蔵庫」「冰箱」の中からそんな変なものが出てきてしまうというのがぼくらしいというか、いやはやなんとも。帰宅後あれこれしていると眠ってしまい、結局フィリップ・フォレスト『さ��ながら』を80ページほど読みそこで今日の読書は終わってしまう。フィリップ・フォレストの筆致は小林一茶をめぐる記述から夏目漱石へと至り、ぼくもそのような表現者たちが生きた時代や彼らがその内面的葛藤の中から生み出したものについて考えたくなってきた(ぼんくらなので、岩波文庫で一茶の『おらが春』を読めることを知らなかった)。その一方で上に書いたように「たま」の『さんだる』を聴き返し、これは「名盤」(ぼくの基準では「90年代のベスト50」には入るほどの)ではないかなとも思い始めた。ぼく自身は気に入れば何でも聴くので(だからBUCK-TICKや小室サウンドだって素晴らしいと信じて疑わないし、四六時中ではないにせよ聴く時は聴きます)、だから音楽のテイストに関してはアテにされても「こまっちゃうナ」なのだけれど。
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honyakusho · 11 months
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2023年6月14日に発売予定の翻訳書
6月14日(水)は11冊の翻訳書が発売予定です。 明石書店から出るトマ・ピケティらの新著、村上春樹のジェームズ・サーバー(ポプラ社)が気になります。 個人的にはオライリーの『プログラミング文体練習』も。レーモン・クノーを踏まえて「共通の課題を40の異なるプログラミングスタイルで提示」というコンセプトが斬新です。
差別と資本主義
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トマ・ピケティ/著 ロール・ミュラ/著 セシル・アルデュイ/著 リュディヴィーヌ・バンティニ/著 ほか
明石書店
新装版 哲学の集大成・要綱 第二部 自然哲学
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G・W・F・ヘーゲル/著 長谷川宏/翻訳
作品社
グリム・ドイツ伝説選
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鍛治哲郎/翻訳
鳥影社
セラピーにおけるトラウマ・センシティブ・ヨーガ
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デイヴィッド・エマーソン/著 小林茂/翻訳 佐藤愛子/翻訳
金剛出版
触覚
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エルンスト・ハインリヒ・ウェバー/著 田﨑權一/翻訳
ナカニシヤ出版
ビオン事典
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ラファエル・E,ロペス-コルボ/著 松木邦裕/監修 藤森旭人/翻訳 黒崎優美/翻訳 ほか
金剛出版
プログラミング文体練習
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Cristina Videira Lopes/著 菊池彰/翻訳
オライリー・ジャパン
世界で最後の花 絵のついた寓話
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ジェームズ・サーバー/著 村上春樹/翻訳
ポプラ社
もりのかくれんぼ
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フィリップ・ジャルベール/著 ふしみみさを/翻訳
小学館
「感情」は最強の武器である
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レナード・ムロディナウ/著 水谷淳/翻訳
東洋経済新報社
[新訳]HOLACRACY(ホラクラシー)
ブライアン・J・ロバートソン/著 吉原史郎/監修 瀧下哉代/翻訳
英治出版
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wish-less-gallery · 2 years
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10/7金、本日18時まで営業。ポルトガル人アーティストのハトリー・パブロと日本人アーティストのカメリアンの二人展開催中。沢山の色とモチーフが散りばめられたストリート感溢れるハトリー・パブロの原画作品の数々を展示しております。 On show at @wish_less Tokyo. Contact us for more details [email protected] —- Hatory Pabllo × Kamerian exhibition ‘TOKYO DREAMERS’ ハトリー・パブロ × カメリアン 二人展 2022年10月23日(日)まで 木曜~日曜 12:00~18:00 月曜~水曜 休み 会場:WISH LESS gallery (東京都北区田端5-12-10) --- WISH LESS galleryは、ポルトガル出身のアーティスト・ハトリー・パブロと、日本人アーティスト・カメリアンの二人展「TOKYO DREAMERS」を開催いたします。絵画、スクリーンプリント、タトゥー、グラフィティ、彫刻、写真などを通して「ポップ」という美学を追求する二人の初となる展覧会です。 --- 独学で絵を学んだアーティスト、ハトリー・パブロは、1987年ポルトガルに生まれ、セトゥーバルのスラム街で育ちました。パブロは日頃から地元に馴染めず、いつも自分と同じ趣向や美学を共有できる仲間を探していました。そんな中、ブラジル・サンパウロで���ごした日々は、彼の人生とクリエイティビティへのアプローチを劇的に変化させてくれたと語ります。 パブロの象徴的なグラフィティは、漫画のキャラクターや可愛いモチーフ、明確なユーモアセンスによって、一目で彼の作品だと認識できます。またストリートのスケッチで培った高い画力は、タトゥーの世界で話題となり、大胆なライングラフィックを求め世界中からラブコールが止みません。 彼の作品は、色彩とポップカルチャーの驚くべき一片を表現しています。音楽、美術史、文化的問題、宗教、そして自身が収集している90年代日本の「裏原」ファッションなど、数え切れないほどのテーマを探求しています。大胆不敵な色使いと自信に満ちた黒い線は、観る者を彼のユニークな世界観へ誘うかのようです。 パブロはユニークなファッションセンスを持ったカリスマ的存在であり、人生を創造する情熱と喜びを最大限に楽しんでいます。時に作品の前で写真を撮ったりしていますが、まるで自身が絵画から飛び出してきたかのような強い印象を受けます。 ◆ カメリアンはグラフィックアーティストとして国内外で活動しており、タトゥーアートやアニメーション、漫画などから多大な影響を受けてきました。 シルクスクリーンを主な技法として用い、よく知られた寓話や大衆文化をモチーフに欧米アニメを彷彿とさせるような強い輪郭線と色彩で倒錯的な世界観を作り上げています。最近では自身のキャラクターを立体的に仕上げたハイクオリティなソフビも高い評価を受け、ファンを魅了しています。 近年は国内のみならずスイスにて個展、アメリカやオランダ、香港でのグループ展などでも積極的に活動しています。 --- #HatoryPabllo #Kamerian #art #portugal #streetart #painting #drawing #wishless #wishlessgallery #gallery #tokyo #popart #ハトリーパブロ #カメリアン #TOKYODREAMERS #graffiti #graffitiart #vandalism #pasteup #galleryintokyo #グラフィティ #ポップアート #ストリートアート #kawaii #spraypaintart #artcollector #アートコレクター #contemporaryart (WISH LESS) https://www.instagram.com/p/CjZZsYuPGel/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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