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#耳掛けボブ
hairmake-lamp · 1 year
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kzn.h
ミニボブ◎ シルエットにこだわります◎ .
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frames-inc · 2 years
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switchfukuroi · 1 year
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okunokazuhiro · 1 year
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0663lovesdq3 · 1 year
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1:魔法使いの家族たち
此処はスーの村の奥地。 独自の民族が大半を占め、水が多い地域で静かな村に とある外国人の若い夫婦と小さな娘が穏やか(?)に暮らしていた。
父は旅人だった魔法使いのエルマー、母は地元の木こりの娘バーバラ、 娘は父そっくりな魔法使い見習いのエレア。 頭脳派の夫と脳筋の妻、それを中和やフォローする娘。
スー独自の民族は基本黒髪で小麦色の肌。 母バーバラは地元出身ではあるが、金髪のグリーンアイで 白い肌と外国人の見目だった。 エジンベアあたりから嫁いできた外国人の母に似たようだ。
父エルマーと娘エレアも見目は白い肌の外国人だが、 彼らは『魔族』の血が入っており、嫌でも目立ってしまう 魔族の証の青銀髪(せいぎんぱつ)と呼ばれる 水色のような銀髪の持ち主である。
…といった何かと特徴的な家族なので 地元ではちょっとした名物家族となっていた。
スー村長「やあ、エルマー君にエレアちゃん。今日も魔法の訓練か?」
エルマー「村長さん、こんにちは。 そうです。少しでも娘の魔法の才能を伸ばしてあげたくて。」
エレア「そんちょうさん、こんにちは。 きょうもいいおてんきなので、しゅぎょうのしがいがあります!」
村長「そうかそうか…。エルマー君がこのスーにやってきて 『あのバーバラ』と結婚してエレアちゃんが生まれて、 父娘で魔法の修行まで…。時が経つのは早いもの。 目立つ青銀髪を持つ魔族の血を引きしおぬし達の魔力はとんでもなく強い。 スーの村燃やさんように気をつける笑」
エルマー「苦笑 そうなったらもう私はスーを追い出されますね💦 大丈夫です。ここの村から少し離れた大きな湖の付近で娘と修行に励みます。」
村長「修行頑張る、エルマー君、エレアちゃん。 おぬし達も怪我だの火傷だの気をつける。」
エレア「はいっ。しゅぎょうがんばってきますね、そんちょうさん!」
ーーーーー
名物・青銀髪父娘はスーの奥地、大きな湖付近で魔法の修業に明け暮れていた。
エルマー「エレア、メラ出来るかい?やってごらん。」
エレア「はいっ、パパ」
エレアは神経を集中しメラを唱えた!ボゥン!! 炎の球は巨大化しエルマーに向かった!!!
エルマー「うおわあぁあぁあぁあ!それメラゾーマじゃないか! パパを殺す気かぁあぁ!!エレアァぁあ!!」
エレア「きゃー!!パパ💦ごめんなさ~い!」
エルマーは顔面蒼白で咄嗟にマホカンタを唱えたが 彼の長髪の毛先が少し焦げてしまった!
ズドーーーーーーーン!!!!!
間一髪!マホカンタが間に合い、巨大化した炎の球が凄い音をたてながら跳ね返り湖に落ちて鎮火した! ザッバアアァアン!!と物凄い水爆音が響いた。 至近距離でマホカンタをしたが為、エルマーも少しふっとばされてしまった。
エルマーはどこからともなく出したナイフで焦げた髪の毛先を整えながら呟いた。
エルマー(我が娘ながらなんて魔力だ…少なくともまだまだ私の魔族の血が受け継がれてるんだなあ…おまけに見事に私にそっくりだし。) 「あ~ビックリした…💧燃やされるかと思った…。 エレアはせっかく魔力は高いのに、 飛ばす方向も火力もコントロールがイマイチだよなあ…。 ま、まあ継続は力なりで根気よく修業しようか💧」
エレア「すみません、パパ…おケガはありませんか…? い、いまのひかったバリアのようなまほうはなんですか?」
エルマー「大丈夫だよ、エレア。あれはマホカンタ。 相手の呪文を跳ね返すんだ。エレアもそのうち覚えるだろうね。」
エレアは涙目で落ち込んでいる。 父譲りで魔力があり詠唱も出来るのに、放つ呪文の火力はランダムで 更にどこに飛んでいくか分からないという なんとも勿体ない能力である。
エレア「おしえてくださってありがとうございます…ぐすっ… わたしもパパみたくじょうずにまほうつかいたい〜!えーん!」
エレアは泣き出してしまった。 エルマーは愛娘にハグとキスをして一生懸命慰めた。
エルマー「エレア、元気出して。 パパだって初めから魔法が出来たわけじゃないよ。 お前はちょっとばかり無鉄砲で『いのちしらず』だけど、 友達を庇って魔法でそこらの魔物蹴散らしてるだろ? すごいじゃないか!よしよし、泣くな…」
バーバラ「あなた〜、エレア〜!ご飯にしましょう!」
ご飯支度をしながら薪割りをしていたバーバラが 片手で大量の薪を抱えながら夫と娘を呼びに来た。
エレア「ママ!まきわりおつかれさまです。 きょうはものすごいまきのりょうですね…」
バーバラ「ほほほ。今日のご飯は煮込み料理にしたから薪割り捗っちゃったわ笑。 当分困らないわよ!ところでさっきなんか湖からもの凄い音したけど…」
エルマー「もうそんな時間か。 さすが『ちからじまん』のバーバラだなあ笑  湖の水爆音はエレアの魔法のせいだ。」
バーバラ「スーが水とか川の多い地域で良かったわね。 あなた達の魔法でスーの村が燃やされたら大変だもの! 湖といえばあなたがどっかから降ってきて水没したの思い出すわね〜笑」
エルマー「私達ってなかなかない出会いだよね笑」
エレア「え!パパとママはあのみずうみでであって けっこんしたの?なんかステキ!」
エレアのメラ(メラゾーマ)が鎮火した湖は、 かつての両親の出会いの場だった。 両親は実は他よりちょっと風変わりな結婚だった。 後述で彼らの馴初めを公開する。
エルマー「エレア、もしやこの綺麗な湖から ロマンチックなもの想像してるのか?笑」
バーバラ「うーん…なんかもう、今思えば無茶ぶりも いいとこな結婚だったわよねあたし達😂 ちょっと恥ずかしいし、エレアがもう少し大きくなったら話してあげるわ。 まあ、それであなたが生まれたんだけどね!」
エレア「そうなの?いったいどんなけっこんしたのかしら…」
エレアはちょっと気になったが、 両親が自ら話してくれる機会を待つ事にした。
ーーーーー
家に戻り、仕込んだ煮込み料理を食べながら家族団欒をする。
バーバラ「そういえばね、村のみんなが話してたんだけど、 アリアハンの勇者オルテガさんの子供が旅立つらしいわよ。 もうすぐ16歳で成人迎えるみたい。」
エルマー「え?そうなんだ!時々オルテガ様の子供の事は耳にしてたけど… いよいよ勇者様が成人して魔王討伐に旅立たれるのか。」
エレア「わあ!ゆうしゃさまのこども? どんなおかたなのかしら。」
エルマーとエレアは勇者様の最新情報を聞き、わくわくしている。 バーバラは村人から耳にした情報をそのまま夫と娘に話し続けた。
バーバラ「それが…その子、女の子らしいわよ。」
エルマー・エレア「!?」
夫も娘も目を見開き、同じ顔して非常に驚いている。
エルマー「おっ…女勇者様なのか!すごいなあ、女の子なのに…。 よっぽど厳しく鍛えられたんだろうなあ。」
エレア「え~!カッコいい!わたし、おんなゆうしゃさまにあいたいです!」
ヘーゼルの瞳を輝かせランランとしているエルマーは 咄嗟に閃き妻子に話を持ちかけた。
エルマー「勇者様が女性となると、 きっと力不足な面もあるだろうし何か手助け出来たら良いな…。 バーバラ、エレア、女勇者様が私をお供にしてくれるか分からないけど、 これからアリアハンに旅立っても良いか?」
バーバラはちょっと怪訝な顔をした。
バーバラ「え?勇者様が女の子って聞いてあなただけ旅立つつもりなの……?やましい気持ちじゃないでしょうね?あたしもエレアもついていくからね!」
エルマーは純粋に女勇者様の手助けをしたかっただけだったが、 妻子を置いて行くのも確かに心配だし、 バーバラにますますやっかまれそうなのでため息混じりにすぐに折れた。
エルマー「ヘンな焼きもち妬くなよ…。 だいたい女勇者様はこれから16歳で成人迎えるところだろ? 私のような歳の離れた妻子ある男なんか相手にしないだろうし、 エレアの前でそういう事言うな。 エレアも女勇者様に会いたがっているし、 お前たちを置いて行くのも心配だから みんなで女勇者様に会いに行こうか。」
バーバラ「ふふっ、そうこなくっちゃ! あなた女みたいで綺麗なカオだし、年齢重ねてちょっと素敵になっちゃったからか 村の女子とか旅の女性とか、男の人にまで無駄にモテるから心配になっただけよ。 特にあなた、女の子には『やさしいひと』だし!」
バーバラはちょっぴり頬を赤らめながら彼女なりに夫を立てた。 エルマーは男性だが、中性的な顔立ちで背中あたりまでの長髪のせいか たまに女性に間違えられてしまうのだ。 バーバラがエルマーと出会った時も女の子と思ったそうだ。
ここスーの村でバーバラと結婚した時も 現在ほど長髪ではなかったものの、 当時はシャギーの入ったボブぐらいの髪だったせいか スーの村民には散々性別不明で不思議がられたことがあった。 喋って初めて男性とわかる程。 だがエルマー本人としては髪を切るのが面倒で、 たまに揃える程度で伸ばしっぱなしのようだ。
エルマー「それ褒めてるの?💧別にモテるなんて思ってないけど… たまに未だに女性と思われるし 男にも声掛けられるし私だって複雑な気分なんだぞ。 お前はせっかく綺麗なのにその剛力で男が寄り付かないよなあ…💧 まあその方が良いけど笑」
突然スーに降ってきて湖に水没し、スーの男達に恐れられている 『ちからじまん』のバーバラの夫になった外国人のエルマーは 村の男達にモノ好きと思われている。 これも彼らが名物家族と言われる原因のひとつである。
バーバラ「痛いとこ突いてくれるわねえ… なによ、あたしがモテモテの方が良かった?笑  あなただってあたしの事褒めてるのか貶してるのか分からないわよねー。」
エルマー「私は思った事を言ってるだけだ。 まあモテるモテないは別として外の世界を見るのも楽しいものだぞ。 旅を経て私の故郷にも寄れるといいけどな。」
バーバラ「あら、あなたどこ生まれなの?」 (そういや出身聞いてなかったわ!)
エルマーは一瞬、ン??と思いつつ答えた。
エルマー(あれ、言ってなかったっけ? 7〜8年ぐらい一緒にいるのに…まあいいや。) 「私はノアニール出身だよ。ここのスーみたいに水分は多くないけど 森が生い茂った中にある静かな町で、ちょっと行くとエルフの里もあるんだ。」
バーバラ「まあエルフ?耳が尖って綺麗な人達が多いって聞いた事あるわね~!見れたらいいなあ。 エルマーもエレアも耳が尖ってないけど、その珍しい青い髪はエルフの血だったりしてね!」
エルマー「うーん…私とエレアの青銀髪の由来は母方の家系らしく 母からはざっくりと『魔族』の血としか聞いていないからなあ。 エルフとか他の魔族も混じっているかもしれないな。」
エレア「わ~!パパ!がいこくにいくのもたのしみですっ!」
バーバラ「そうね笑  ママとエレアはスーから出たことないものね。 外国人のお友達も出来るかもしれないし! エルマーは元々旅��てたから外の世界は慣れっこだろうけど。」
エルマー「おいおい。旅行じゃないんだからな笑 この物騒な世の中を平和にするお手伝いをしに行くんだぞ。」
ただエルマーは気がかりな点が1つあった。 バーバラは『ちからじまん』ではあるが、先天性の持病を患っていた。 母親がこの病でバーバラの幼少期に亡くなっており、バーバラにも遺伝してしまっていたようだ。 エレアの出産時に発覚し、医者にも妻本人にも 生来のものとは伝えられなかった為、 エルマーは出産が原因と思い込んでいた。 バーバラは医者に事実を告げられショックだったが、 夫を気遣い医者にも口止めをし、生来の持病だった事は伏せていた。 普段は元気だが、時々調子が悪いと発作が起こり苦しそうにすることがある。
エルマー「ただ…バーバラ。 お前は身体があまり丈夫じゃないから心配だな。 旅先で倒れら���たら女勇者様にもご迷惑が掛かる。 無理はしないでくれよ。 エレア、パパと一緒にママを助けような。」
エレア「はい!もちろんですっパパ!」
バーバラ「エルマー…ありがと。 旅してたら鍛えられてきっと少しは丈夫になるかもね。 足を引っ張らないよう、このあたしのパパ譲りのパワフルアタックで頑張るわ!」
バーバラの『ちからじまん』は彼女の木こりだった父の影響である。 主婦らしく熱したフライパンや、薪割りで使う斧を振り回して 近所の魔物を恐れずに蹴散らす頼もしい豪快な女性だった。 村人には「フライパンのバーバラ」と呼ばれ男達には恐れられているが、 先述したように薪割りをするなど家では力仕事の担当になっている。
エレア「ママ…けっしてむりしないでくださいね。 わたしにもいろいろママのサポートさせてください。」
バーバラはエレアを抱きしめ頭をなでなでした。
バーバラ「エレアもありがとね。 みんなで女勇者様のサポート頑張りましょ!」
一家は皆で女勇者様の妄想を始めた!
エルマー「女勇者様はどんなお方なんだろうなあ…」
バーバラ「あたしはオルテガさんに会ったことないけど 聞いた話では男前で逞しい人みたいね。 そんないかにも漢!って感じの娘さんなら ゴッツい女の子かもしれないわよね笑」
エルマー「うーん…私もオルテガ様の噂はそうやって逞しい男性とかよく聞くけど、 魔法使い修行の旅してた時もお会いした事なかったから、全く想像がつかないな…」
バーバラ「女の子ってだけで色んな子妄想しちゃうわよねえ… いくら16歳で成人するとはいえ、 やたらセクシーで女丸出しじゃない事を祈るわ💧」
エルマー「私もそれは嫌だなあ笑」
エレア「きっと、りりしくてすてきなおかたよ!」
エルマー「私もだけどみんな好き勝手言って…笑 ともかく女勇者様にお会い出来るのが楽しみだな。 じゃあ早速明日から準備しよう!」
まだ見ぬこの世の希望を担う女勇者様の妄想を楽しそうにしているエルマー達一家だが、 この旅がエルマー達の今後を大きく変える序章となる事は彼らも知らない…
~~~~~
数日後… エルマー達はスーから小さな旅船を経由してアリアハンに到着した。
エレア「わぁ〜!みどりがきれいですてきなおくにですね! おおきいおしろもはじめてみました!すごいです! ここにおんなゆうしゃさまがいるんですね!」
エレアは初めての海外で元気いっぱいにはしゃいでいる。 一方、父は少し具合悪そうにしていた。
エルマー「うう…船は初めてだったけどちょっと酔ったな…💧 ん?あれエレア、ママはどこ行った?」
エレア「あちらではいてるみたいです…ママにあっちいけといわれました。」
エルマー「えっ!」
エルマーは猛ダッシュで娘が指差す方向に向かった。 バーバラは海辺に向かって思い切り吐いていた。
エルマー「バーバラ!大丈夫か??まさか2人目…」
エルマーは妻の心配をしすぎて少しパニックになったのか 素っ頓狂な事を言ってしまった。
エルマー(はっ…!しまった。私は何言ってんだ? バーバラの持病が発覚してから、 エレア以降の子供は作らないように気を付けてたのに😱)
バーバラは真っ青な顔してハンカチで口を抑えながら夫に答えた。
バーバラ「これから長旅予定なのにんなわけないでしょ… 今赤ちゃん出来たらあたしだけ旅できなくなっちゃうでしょうが… 船初めてだったし、ちょっとだけ持病の発作が重なるし… エレアに見られたくなかったから外してもらったのよ…おえっ…」
エルマー「!!発作出たのか!何で私に言ってくれないんだ!」
バーバラ「…ごめんなさい…あなたやエレアに心配掛けたくなかったの… 着いたばかりで申し訳ないけど少し横になりたいわ…」
エルマー「そうか…わかった。今日はすぐ宿屋で休もう。」
バーバラ「ごめんね…女勇者様に会う前で良かったわ…」
バーバラは船酔いと発作がWパンチで重なり、かなり具合が悪そうだった。
エルマー「バーバラ、しっかり私につかまってろ。」
エルマーはバーバラをお姫様抱っこしてアリアハンの城下町へ向かった。
バーバラ「ありがと、エルマー… あなた女みたいな綺麗な顔してても、やっぱり男の人なのね…」
エルマー「いいから黙って寝てろ。 こんな時にまでいらんこと言わないでくれ💧」 (こんな余裕があるなら思ったより発作は酷くないみたいだな…)
エルマーは妻のいつもの一言余計なセリフに複雑な気分だった… バーバラは夫の腕の中でホッとしたのかスッと眠ってしまった。
エルマー「エレア、パパ達に付いてきなさい。」
エレア「あっ、はいっ!ママはだいじょうぶですか?」
エルマー「船酔いが酷いみたいだから今日はすぐ宿屋で休ませる。」
娘には母の発作のことを伏せて、一家は城下町の宿屋に向かった。
妻をお姫様抱っこして城下町に現れた深緑のローブを羽織ったエルマーと 彼にそっくりな娘エレア達は目立ったのか、 町の人達に少しザワつかれてしまった。
町の男性「なんだ?外国人の家族連れ…か?青い髪…?」
町の女性「まあ!でも素敵な人ね!お子さんかな? 小さい女の子も可愛いわ!」
町の老人「ほう…ワシの若い頃に負けないぐらいイケメンじゃのう。 具合悪そうにしてる奥さん?も美人じゃのう〜」
兵士「青い髪の毛の外国人ってこれまた珍しいな…」
エレア「パパ…わたしたち、まちのひとにみられてませんか?💧」
エルマー(またか…やはりどこに行っても青銀髪は目立ってしまうんだ。) 「パパとエレアの青銀髪に、ママを抱きかかえて町に入ればそりゃ目立つだろうな💧」
エレア「パパとおそろいのこのかみのいろ、めずらしいのかしら。」
エルマー(おそろいって…🤦‍♂💘エレアったらなんちゅう可愛い言い方…💘) 「ママと結婚する前も、地元のスーでも周りの人々に散々珍しがられたからな。 青銀髪はパパの家系の特徴だから、お前が将来お嫁に行って子供が生まれても多分遺伝するぞ。 まあ何言われても気にするな。生まれ持ったものは仕方がない。」
エレア「はぁい、パパ。」
エルマー達はちょっと複雑そうな顔で急いで宿屋へ向かった。 隣が女勇者様の生家というのは後々知ることになる。
ーーーーー
一方エルマー達一家の目的である女勇者様は、 丁度外出先から帰るところだった。
女勇者(ん?なんかお隣の宿屋付近が騒がしいわね?旅の家族連れかしら。 一緒にいる小さい女の子、青い髪してる…。珍しい…。初めて見たわ。 ローブ被った人はお父さんかな? 奥さんぽい人は抱き抱えられてるけど、どうしたのかしら…)
女勇者は隣が気になりつつ自宅に入った。
女勇者「母さーん!祖父ちゃーん!ただいま!」
女勇者母「おかえり!ロゼア!」
ロゼア祖父「おお、帰ったか!わしの可愛いロゼアや。」
ロゼアが見かけたエルマー達一家は 宿屋に入るところだった為、全員顔が見えなかった。 更に父のエルマーはローブのフードを被っていた為、青銀髪は見えていなかった。 この家族連れが後に彼女の仲間となる。彼女の今後を大きく変える切欠とも…。
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7140714 · 2 years
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- 内側をツーブロックに🧱 大分涼しい🎐6mmです。 耳に掛けると若干分かるくらい。 別荘の近くの美容室へゆきました✂︎ 綺麗なラインのボブを提供してくださって毎度ありがとうございます🙌 #ボブ#ツーブロック #ツーブロック女子 #ショートヘア #カラー #夏 #別荘 #afro #東金 #九十九里 (Kujūkuri Beach) https://www.instagram.com/p/Cd2CAy_pivk/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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tobhearts-ise · 3 years
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『反抗期が来たのでヤッたってください!』お客様の意思は固いようで。 ヤッたりました。 重めのボブに隠れた刈り上げラインは カッコいいし意志があり。 男勝りだけど可愛さと愛嬌があって努力家で少々なことではへこたれない。 いつもサラリと話す事にこちらもやる気がみなぎるのでした。 #うじやまだ駅前横丁 #松阪 #tobhearts #トビハー #口コミを強要させません #伊勢 #ボブ #己龍 #オシャレすぎるお店が苦手な方専用サロン #刈り上げ女子 #レザーアート女子 #ショートボブ #黒髪 #耳掛けボブ 〒516-0037 伊勢市 岩渕 2-2-18 うじやまだ駅前横丁 【to B hearts】営業時間 8:30〜19:30 毎週月曜・第2第3火曜定休 #ホットペッパービューティー からご予約もok (伊勢 トゥービーハーツ to B Hearts) https://www.instagram.com/p/CT_HAJQBUxV/?utm_medium=tumblr
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mitsuruitabashi · 2 years
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#撮影データ #耳掛けショート ※年末年始は31日〜5日までお休み頂きます。 表面上のヘアスタイルの変化だけではなく、内面からの変化を意識出来るヘアスタイルを創る事を意識しています。 また、#似合わせカット はもちろん、#ライフスタイル の一部である髪を任されてる事に感謝をしながら、 #髪を素敵に ! どんな長さでもどんな髪質でもどんな方でも、#似合う は必ずあります。 プロとして、「出来るものは出来る」 「出来ないものは出来ない」「良いものはいい」「良くないものは良くない」とハッキリ伝えるのがモットー! 髪の事ならどんな事でも一度ご相談下さい…。(人生相談も受け付けてますw) #美容のプロ #撮影 #作品撮り #撮影モデル募集 #ショート #ボブ #ショートボブ #大人ショート#BOB #hairstyle #hairsalon #hair #haircut #表参道美容師 #表参道美容室 #青山美容師 #青山美容室 #clasico_hair #CLASICO #板橋充 _____________________________________ 【CLASICO ホームページ】 www.hair-clasico.com _________________________________ (表参道 美容室 美容院 CLASICO) https://www.instagram.com/p/CXalUAAv8vd/?utm_medium=tumblr
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frames-inc · 1 year
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エヌドット/N. スタイリングセラム/1,980円(税込) ウェットな質感でツヤやかに仕上げてくれるN.スタイリングセラム♪ 毛先に少しつければ今日のアクセントになるかも☆ N.のオイル等、各種取扱っております。 ちょっとした質感の変化で髪印象UP!  男性にも女性にも人気です♪ 気になる方もリピーターもぜひお問い合わせください♪ . . . . HOTPEPPERBeauty & DMにて ご予約お待ちしております♪ . https://beauty.hotpepper.jp/slnH000233159/ . ☎ 089-960-0050 ☎ . . 【FRAMES hair design】 初回 髪質改善、カット13750→10300 髪質改善ストリートメント、カット19250→14400 デジタルパーマ、カット15950→12100 カット、カラー10450→7800 カット、イルミナカラー11550→8700 カット、イルミナカラー、ブリーチ 17050→12900 ブリーチ、イルミナカラー[S.B込み] 14850→9500 ハイライト、インナーカラーは要相談! . . . . . #艶髪トリートメント #暗髪カラー #耳掛けショート #松山市美容室 #松山市 #美容室 #古川 #FRAMES #フレイムス #デザインカラー #イルミナカラー #グレージュカラー #外国人風カラー #ボブ #ショート #ショートボブ #オッジィオット #oggiotto #エヌドット #モロッカンオイル #髪質改善 #サイエンスアクア #酸熱トリートメント #ストリートメント #ケアプロ #超音波トリートメント #ヘアスタイル #大人 *…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*….. #フレイムスヘアデザイン #フレイムスアイラッシュアンドネイル *…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*….. (フレイムス ヘア デザイン【松山市 美容室】) https://www.instagram.com/p/CnYEyv9vD71/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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switchfukuroi · 2 years
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rodgehata · 2 years
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ari0921 · 3 years
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甘利を狙え…! 岸田「経済安保」内閣に「中国が仕掛けるヤバすぎる工作」の中身
メディア、野党もターゲットになる
井上 久男
岸田「経済安保内閣」の衝撃…!
10月4日に発足した岸田文雄内閣は、「経済安全保障政権」だ。
一般にはあまりなじみのないこの言葉、どういうことかご存知だろうか。
「経済安保」とは日本の生存基盤、独立、繁栄を経済面から確保することである。
元来、日本は、国の生存基盤であるエネルギーや食料を海外に依存してきた。しかし、エネルギーや食料だけに限らず、経済のグローバル化や著しい技術革新の進展などにより、意識しないまま国の生存基盤を他国に依存しているものがある。
身近な例を挙げてみよう。
新型コロナの蔓延では「マスク不足問題」が生じた。日本はその生産の多くを中国に依存していた。マスクに限らずガウンなどの医療器具も中国に頼っていた。
こうした物資が世界で奪い合いになり、日本に輸入されなくなると、国民生活に多大なる影響が生じた。このため、内閣国家安全保障局内に2020年4月に新設された経済班は、マスク調達が最初の大きな仕事になったと言われている。
また、いまや生活必需品となったスマートフォンはどうだろう。
ミサイルよりも「効果的な攻撃」
コミュニケーションの手段としてだけではなく、決済機能としても欠かせなくなっている。国内で人気の高いiPhoneは、米国のアップルが企画開発し、台湾の鴻海精密工業などが製造しているが、もし、これが国内に入らなくなったら生活に支障をきたすことにもなるだろう。デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中で国家の生存基盤は、サイバー空間にまで広がっているのだ。
「半導体不足」もそうだ。
日本の基幹産業である自動車の国内生産で減産が続くのは、台湾など海外に依存してきた半導体の供給が滞っていることが大きな理由だ。コロナ問題が収束した後も、もし日本への供給が意図的に止められたら、日本の自動車メーカーは国内で生産を続けられなくなり、国内では雇用問題が確実に起こる。
こう考えてみれば、もし他国が日本の国民に心理的な打撃を与えようと考えれば、日本の領土をミサイルや航空機で爆撃するよりも、多岐の分野にわたる生存基盤をターゲットに攻撃する方が、効果は高いことが分かるだろう。
たとえば、金融機関や電力会社にサイバー攻撃を仕掛けて決済機能や電力供給を麻痺させれば、経済活動は停止し、国民生活に大混乱を招くのは必定だ。
すでに伝統的な陸海空の軍事力だけでは、国家の生存基盤は防衛できなくなった時代に来ていると言えるのだ。
経済安保内閣のキーパーソン
加えて、経済力をつけた中国の台頭により、世界のパワーバランスは崩れようとしている点を考えておく必要がある。特にインドアジア太平洋における中国のプレゼンスの高まりが、米中間の緊張関係を加速させており、たとえば、豪州が米英の協力を得て原子力潜水艦を保有する戦略に急遽変わったのは、明らかに中国対応だ。
豪州は今のモリソン政権が誕生する以前は、「紅く染まったオーストラリア」と呼ばれ、南太平洋に面した戦略的要衝のダーウィン港が、中国人民解放軍出身者が社長を務める嵐橋集団によって99年間の租借権が設定されるなど、領土の一部が中国に侵食されてしまった。
新型コロナの喧騒に隠れる形で、新たな世界秩序が構築される動きに、敏感なのが第百代首相に就いた岸田文雄氏だ。外相や防衛相も経験しており、外交や安全保障面の知識も深い。
岸田氏が政調会長の任にあった2020年6月、ポストコロナ後の日本の強みと弱みを洗い出すために新国際秩序創造戦略本部が創設された。岸田氏はその取りまとめ役の座長に、信頼関係が厚い当時自民党税制調査会長の甘利明氏を指名した。
その甘利氏は、岸田氏から打診を受けた際にこう答えた。
「コロナ禍が収束すれば、DXが一層進み、人々の価値観や企業動向は世界的に大きく変化する。国際政治の場では新たな覇権を構築しようとする国が出てきて、民主主義を基盤とする国々vs.権威主義の国々の対立構図は深まり、世界の秩序は変わるかもしれない。こうしたビッグピクチャーの上で政策を作るのであれば引き受ける」
インフルエンス・オペレーションの恐怖
甘利氏が座長となって、同本部幹事長には山際大志郎氏(麻生派)、同本部事務局長には小林鷹之氏(二階派)が就任。このメンバーに加えて、17年4月から経済安保政策を練ってきたルール形成戦略議員連盟事務局長である中山展宏氏(麻生派)の4人が「チーム甘利」として自民党内の経済安保政策づくりをリードした。
20年12月に同本部からサプライチェーンの多元化・強靭化、国際機関を通じたルール形成への関与、経済インテリジェンス能力の強化など重点的に取り組むべき課題と対策を提言。各省庁が所管する業法の見直しを含め、22年の通常国会で経済安全保障推進法(仮称)を制定することも求めた。これらが自民党初の正式な経済安保政策である。
このほど、「チーム甘利」の小林氏が経済安保担当相、山際氏も経済財政担当相として入閣した。これが、岸田内閣が「経済安保政権」と呼ばれるゆえんである。
中国が「甘利を狙う」
菅義偉政権では、親中派の代表格、二階俊博氏が幹事長として党内を牛耳り、それに配慮していたが、甘利氏を幹事長に沿えた岸田政権では対中関係で変化が生じるに違いない。
岸田派の源流である宏池会は、安全保障的にハト派のイメージが強いが、岸田政権は経済安全保障政策を強く推進し、中国にとっては意外と手ごわい存在となるだろう。
一方で中国の立場に立てば、経済安保政策のブレーンである甘利氏が最も厄介な存在となる。自民党ナンバー3の座から甘利氏を追い落とす工作を仕掛けてくる可能性があると筆者は見ている。
中国共産党が最も得意とする手法の一つが「インフルエンス・オペレーション(情報操作)」と呼ばれる工作活動だ。前述した豪州が「紅く染まった」大きな理由は、中国マネーの力によって、まずは在豪州の華僑ネットワークが「親北京化」され、そのネットワークを使って、豪州のメディアや政治家を篭絡していったからだ。
メディア操作
たとえば、元外相のボブ・カー氏を、中国マネーで設立したシンクタンクの所長に就けるなどして共産党擁護の論陣を張らせ、ラジオ局などメディアも実質、中国マネーの支配下に置いた。
中国は軍事的な活動よりも、こうして社会に影響力のある政治家やメディアを味方に付ける工作活動を重視している。その工作活動によって、豪州を親中国に染め上げて、準備淡々とダーウィン港の租借権を勝ち取った。「戦わずして勝つ」孫子の兵法が今でも引き継がれているのだ。
逆に、中国に批判的な与党政治家の批判を煽るために、野党政治家や政権批判系のメディアなどに対して中国側が「インフルエンス・オペレーション」を仕掛けてくることもある。
こうした海外による工作活動は、日本も他人事ではないと考えておくべきだ。
仮に筆者も中国などの依頼を受けて工作活動に関わるジャーナリストであれば、岸田政権の要の一人である甘利氏を徹底攻撃するだろう。
甘利氏は16年1月、金銭授受の問題を受けて内閣府特命担当大臣(経済財政担当)を辞任しているが、いわゆる「政治とカネ」の問題を鉾にすれば世論を誘導することは比較的容易だ。
「政治とカネ」と「経済安保」
甘利氏の金銭授受の問題を改めて取材すると、受け取った金銭100万円は政治資金として適正に処理されている。問題視されているのは、甘利氏が知らないところで秘書が別の金を受け取って一部を個人で使ったり、過剰接待を受けていたりしたことだ。
この問題について、検察は刑事告発を受けて捜査したが、甘利氏を不起訴にした。検察審査会でも甘利氏は不起訴とされ、秘書は不起訴不当となった。その結果、秘書のみが再捜査されたが、そこでも不起訴となった。
甘利氏が経済財政担当相を辞任したのは、自身の金銭授受によってではなく、秘書の問題で世間を騒がせたとして使用者責任を取ったのである。その後、甘利氏は選挙での禊も受けた。
「政治とカネ」の問題については、「経済安保」の世界の趨勢があることも考慮に入れる必要があるだろう。
全般的に日本のメディアは経営体力が劣化している。そうしたメディアに中国マネーが渡り、中国にとって不都合な日本の政治家を報道によって社会的に抹殺してしまう動きを仕掛けることは十分にあり得る話だ。
外国に「情報操作」されていないか…?
メディアに限らず、野党政治家に中国マネーが流れる可能性もあり、その金を受け取った政治家が国会で追及するかもしれないし、経済安保政策は「愚策だ」と国民にアピールするかもしれない。
「インフルエンス・オペレーション」は決して絵空事ではないのだ。
野党は、与党を追い詰める本格的なネタがないからと言って、検察が不起訴処分にして司法的にはケリがついた過去の問題をほじくり返していると、国民からは国益を損なっていると見られかねなくなっている。
世界が新しい秩序構築に向��て綱引きをしている中で流れる政治関連のニュースを��る時には、外国に情報操作されていないかといった視点も必要になっていることを頭の片隅に入れておいた方がいい。
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okunokazuhiro · 1 year
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✔︎丸みボブ×ツーブロック どの角度から見ても丸みのあるキレイなフォルムへ 2枚目→ツーブロックを入れることにより耳掛けした時のアクセントに スタイルは保存してお使いください⇧ 予約はDM or プロフィール欄のホットペッパーより受付 髪の毛の悩みや疑問、ヘアスタイルなどDMにて気軽にご相談ください。 –––––––––––––––––––––––––––––––––––––––– #髪質改善 #透明感カラー #阿倍野縮毛矯正 #メイク #アディクシーカラー #グラデーションカラー #イルミナカラー #アレンジ #阿倍野 #縮毛矯正 #ヘアケア #ウルフ #阿倍野髪質改善 #スタイリング #メンズスタイル #ショートヘア #ダメージレス #美容室 #インナーカラー #天王寺髪質改善 #大阪 #バレイヤージュ #イメチェン #天王寺ショートスタイル #サロンモデル #ボブ #ヘアメイク #阿倍野ショートボブ #撮影 #撮影モデル –––––––––––––––––––––––––––––––––––––––– https://www.instagram.com/p/Cl7MP-uPlsB/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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tanuyamafia · 3 years
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ドリルは星々を撃ち堕とし、月に照準を合わせる
 日常生活で指紋を意識することはほとんどない。精々、刑事ドラマかその類の陳腐なフィクションで時折自分の指を見つけるくらいが関の山だろう──もちろん、常習の犯罪者なら話は別だが。一方で、「声」は生活と、あるいは人生そのものと不可分だ。専業主婦も路上のアウトローも、「声」で語り、「声」を聴く。指紋や虹彩と同じように、声彩も決して他者と同一することは起こり得ないそうだ。声とは天から授かる幾つかの自己同一性の中で最も簡単に認識でき、どうしても認識せざるを得ないものということだ。
*言うまでもなく、疾患やその他の事情で声を持たない/必要としないケースについては含んでいない。あくまで想像に過ぎないが、そういった人々にとっての「声」として機能する代替はあるのではないかと思う。
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 Pop Smokeの死によって、ヒップホップカルチャーが背負うことになった損失は計り知れない。少なくとも、「悲運の天才児」としてアイコン消費されるべき存在ではないと思っている。彼の才能や功績、失われた未来の全容はまだ誰にも掴み切れていない──それらを正確に判断するには数十年を要すると思う。とにかく、彼についてのニュースは常に2020年の中心部にあった。様々な面から話題となった遺作『shoot for the stars,aim for the moon』は爆発的なセールスを収め、全19曲すべてがビルボードチャートにランクインするなど、あらゆる意味で記念碑的作品となった。
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Chee KeefやLil Reese,DJ KENN,Young Chopらが打ち出したドリル・ミュージック。彼らのフッドであり、ドリル・ミュージックの聖地であるシカゴは、2011-2012年にシカゴで起きた事件による年間死者数が同年のイラクやアフガニスタンでの米兵の死者数を上回ったことから、Chiraq(シャイラク/Chicago+Iraq)と自虐混じりに呼ばれている。カニエ・ウエストやコモン、チャンスザラッパーといった面々から連想されるシカゴとは全く異なるものだ。
ドリル・ミュージックがイギリスに渡り、その背景にあるギャングの抗争や貧困といった共通項を持つグライムと合流したことで発生したUKドリル。その後、ニューヨーク・ブルックリンで「再発見」されたブルックリン・ドリルは、UKドリルを通過したことによる洗練が施されている。だが、シカゴやロンドン南部のそれらと同じく、フッドの凄惨と混沌がそのままパッケージされていることには変わらない。drillとは、殺害や発砲といった意味のスラングだ。節操ないファッションではなく、相応の覚悟を持って彼らのドリル・ミュージックは表現される。
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敢えて明記するなら、ブルックリン・ドリル最大の特徴は乱雑に配置される抜けの良いドラムと、自在にスケールを行き来する重低音からなる独特の空間感覚だろうか。その中を埋め尽くしたかと思えば不意に休符が取られたりするフローの運動のスリルと予測不可能性がとても面白い。音楽評論家ではないので観測としてそれが正しいかはわからないが、ジャンルとしてはそんな印象を受けながら愛聴している。
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 ヒップホップ生誕の地にして、最大の震源地であったにも関わらず、長らくサウスに王座を譲っていたあいだに異形のサウンドを産み落としたブルックリンは本当に偉大であると同時に奇妙な街だ。2000年代後半にはAnimal CollectiveやGrizzly Bear,MGMTといったアクトが、インディーロックの磁場として機能させたブルックリン。これ以上に街の潮流の変化が驚くほど唐突な街も中々ないのではないか。
 シカゴから瞬く間に世界中を駆け抜けたドリル・ミュージックが(現段階での)終着駅として合流したブルックリン・ドリル。当事者や一部の耳の早い愛好家のためのアンダーグラウンドサウンドに留まらず、シーンの中心部に食い込む契機となったのがPop Smokeの登場だ。彼のヒットによって再度世界に拡散された結果、日本にもドリル・ミュージックの波が到来している(もちろんPop Smokeだけの功績ではなく、ブルックリン以前のUKドリルに影響を受けたラッパーもいる)。大阪のヒップホップクルー・IIKINGZは、"大阪drill"と銘打った楽曲を発表している。
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 これはもはや個人的な感傷に他ならないけれど、ブルックリン・ドリルを完全に開花させ、シーンの中核へと君臨させる役割を担った人物がPop Smokeで本当に良かったと思う。もしも運命の掛け違いが起きて、その役割を果たすことになったのがTekashi69だったとしたら(それはそれで興味が無いと言えば嘘になる)、末恐ろしい事態になっていただろう。
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 話を冒頭に戻そう。
 「声」とは天からの授かり物だ。「〇〇さん(俳優とか歌手とか)は良い声してるよね」とか、そういう話をしたいわけじゃない。どんな声を授かって生まれようとも、真に求められるものは「語り」だ。「語り」とは、自身で獲得/形成することができる。肌で触れ、その眼で見たすべての事象が、「語り」の基盤を固めていく。例え「声」が醜く気持ちが悪いと理不尽に罵られようとも、「語り」は決して誰にも奪えない。麗しい美声で語られる空虚と、喧々しいしゃがれ声で語られる真言なら、耳障りの良いだけの上澄みに惑わされることなく後者に耳を傾けなければならない。
 往々にして表現者の真価とは、「声」と「語り」が共振したときに顕われる。影響力と言い換えてもいい。ともすれば凄惨の引鉄にも善性の契機にもなりうるそれは、とても危うく儚いものだ──私たちは何を摂取するにしても、語り手の資質を問わなければならない。例えばアドルフ・ヒトラーは、声と語りを用いて何を実行したのか。ジョン・レノンやボブ・ディランは何を成し遂げたのか。日本の政治家が、プロンプターを横目にやりながら機械的に原稿を読み上げる。音楽産業が生産した歌はどれも同じに聴こえる。託された意思を持ってフッドの現実を語るラッパーの表現は他と何かが違う。葉枝が複雑に分岐しているだけであって、根幹にあるものは同じだ。
 ドリル・ミュージックを、その背後にある修羅や流血と切り離すことは不可能だ。その背景や歴史を無視して産業的に加工された大衆向けのラップ・ミュージックは優しい毒だ。Pop SmokeがChristian Diorの名を叫ぶとき、そこで提示されるのは単純なフレックスや資本讃歌ではない。彼が異様に低く、破裂するようなあの声を放つと、あの恐ろしく醒め切った眼が見た景色を私たちに直視させる。Pop Smokeは、「声」と「語り」によって文脈の外側にあるものを呼び起こす。彼がドリルの装衣を纏うことは必然だ。
 2020年2月19日、Pop Smokeの声は銃撃によって永遠に剥奪された。どれだけの未発表音源が発掘されようとも、本当の意味で彼の声を聴くことは二度とない。だが、彼がブルックリン・ドリルのサウンドに刻み付けた「語り」は残り続ける──彼だけのものとしか言いようのない、追随不可能の「声」とともに。
Rest in paradice,Pop Smoke.
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cardamomoespeciado · 4 years
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世界の要人が丸裸!中国が集めていた驚愕の個人情報
 (福島 香織:ジャーナリスト)  中国・深圳に拠点を置く国有系企業「振華数拠信息技術有限公司」(以下、振華データ)が世界の政界財界関係者、軍事関係者を含む240万人分の個人データを集めていたことが明らかになり、世界を震撼させている。すでに多くの専門家がそのデータの分析を進めており、データの入手方法や入手目的などについて議論が交わされている。 ■ 世界の要人、軍事関係者の個人情報を収集  オーストラリア放送(ABC)、英国デイリー・テレグラフ、インドのインディアン・エクスプレスなどが9月14日に報じたところによれば、北京大学滙豊商学院(深圳)で教鞭をとった経験がある米国人経済学者、フルブライト大学(ベトナム)のクリス・バルディング教授が、偶然このデータベースを発見し、告発した。  問題の振華データは2017年に設立したばかりで、深圳のハイテク産業が集中する同市南山区に本部を置いている。業務は海外のさまざまなデータを収集・分析し、中国国内機構に提供するというもので、オフィシャルサイトでもそのように説明されていた(この騒動が表沙汰になった後は、同社の公式サイトは封鎖されている)。  振華データのデータベースは通称「海外核心情報データベース」(OKIDB:Oversea Key Information Database)と呼ばれ、大きく人物データベース、機構データベース、コンサルティングデータベース、関連データベースの4つにわかれている。公式サイトでは、240万人分のデータがあると説明されていた。  このうち人物データベースには、全世界の軍部、政界、ハイテク業界、メディアの関係者、民間組織リーダーなどのデータがそろっており、彼らのツイッター、フェイスブック、LinkedIn、インスタグラム、TikTok、ブログなどの資料を合わせて個人カルテが作成されている。
 さらに機構データベースでは、世界各国の核心的機構についての情報があり、それが人物データベースとリンクされている。  報道を総合すると、振華データは中国政府および中国共産党、人民解放軍を主要顧客とし、世界の著名人の個人資料データベースを作ることを請け負っているという。  ネットセキュリティー専門家たちが、バルディング教授が入手したデータを調べたところ、米国のトランプ大統領、英国のボリス・ジョンソン首相、日本の安倍晋三前首相、オーストラリアのモリソン首相、インドのモディ首相など世界の要人および軍人、ロイヤルファミリー、財界人、芸能人らの詳細な個人資料が含まれていることもわかった。また知名度は比較的低いが、経営者、学者、社会運動家、犯罪者などの個人情報もあったという。 ■ 振華データは政府との関わりを否定  振華データの親会社は国有企業の振華電子集団で、本部は貴州省貴陽にある。貴州省といえば、ビッグデータ産業の新聖地として習近平の肝煎りで「貴安新区」が2014年に制定されたことを思い出す人がいるだろう。振華データの王雪峰CEOはもともとIBMに勤務し、かつて中国のSNS微信上で「データを利用した情報戦」を支持する発言をしたことがある。  BBCが振華データのサイトを通じて関係者に連絡をとったところ、「メディアの報道は無から有を作り出している」と述べて報道内容を全面否定した。またインディアン・エクスプレスによると、ニューデリー駐在のある中国外交官が匿名で「中国が、かつて企業や個人が保持している個人情報の提供を要求したことはないし、これからもしない」とコメントしている。ただし中国当局と振華データとの関係についてはノーコメントだったという。  当社は一民間企業であり、中国政府とも人民解放軍とも無関係であり、一般の商業行為に従事しているだけであり、メディアが歪曲して報道している、というのが振華データとしての公式の立場である。
■ ダークウェブサイトからも情報を入手か
 バルディング教授は昨年(2019年)、中国の大手ハイテク企業ファーウェイのリサーチを行う過程で、このデータベースを偶然見つけたという。最初は中国共産党の監視対象である運動家・活動家のデータだと思っていたが、調べていくうちに、対象が全世界の多種多様の要人であることに気付き、中国のネット監視やデータ収集能力、インテリジェンスへの投資とその影響力を過小評価してはならないと考え、告発を決心した。
 バルディング教授は振華データ関係者を通じて、データベースの複製を手に入れ、オーストラリアのネットセキュリティー企業「Internet 2.0」のロバート・ポッターCEOの協力を得てデータの中身を分析した。さらに世界各国、メディア、ジャーナリストに資料を提供し、報道するよう求めた。個人ブログサイトでも9月14日に声明を発表した。
 資料のほとんどは、ツイッターやフェイスブックなどの公開情報をもとに収集したものだったが、住所、電話番号、生年月日、職業履歴や家族構成、銀行口座の番号のみならず、中には銀行の取引記録や、診療カルテなど、非合法に入手したと思われる情報も含まれていたという。
 台湾・国防安全研究ネット作戦コンサルタント安全研究所の曽怡所長が米国の政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア」の取材に答えて、こうしたデータはダークウェブサイトを通じて入手した可能性がある、と指摘していた。ダークウェブサイトとは、閉じられたネットワーク上に構築された匿名性の強いサイトで、ハッカーたちがコンピュータウイルスやハッキングツール、あるいは麻薬や犯罪に絡む取引をしており、一部国家のインテリジェンス機関関係者も出入りしているという。特定の対象者に対するハッキングや情報収集にからむ取引もダークウェブサイトで行われているとされる。
■ 中国の情報収集力に世界が驚愕
 ABCによれば、振華データのデータベースは軍関係者の資料がきわめて興味深いという。例えば米国空母の軍官に関しては、特別に詳しい記述がある。このことから、このデータベースの主要ユーザーは人民解放軍だとみられている。
また個人単体の情報だけでなく、人によっては人間関係も詳細に書き込まれている。たとえばボリス・ジョンソンの資料には、彼の大学時代の友人や密接な関係をもつ人間の名前、来歴などもあったという。
 国別で言うと、米国人が5万人以上、英国人が4万人、オーストラリア人が3.5万人、カナダ人が5000人、台湾人2900人、日本人も500人以上が含まれている。
 またデイリー・テレグラフの調べでは、データベースには英国や米国の軍艦がいつどこに停泊するかといった情報も収集されていたという。さらに英国の国防・情報・航空宇宙関連企業、BAEシステムズのロジャー・カー会長の個人情報や、英国の宇宙産システム関連のサイトからダウンロードされた資料などもまとめられていた。
 ほとんどがネットの公式情報の寄せ集めとはいえ、通常の手段では入手できない情報も多数含まれており、中国の情報収集力とデータベース構築力に世界が驚愕している。
 英国保守党のボブ・シーリィ議員は「振華データのこうしたやり方は、個人の弱点を探し出すためだろう」とデイリー・テレグラフにコメントしていた。
 振華データの情報収集のやり方は、かつて問題視された選挙コンサルティング企業ケンブリッジ・アナリティカの強化版、という指摘もある。ケンブリッジ・アナリティカは、2016年の米大統領選や、英国のEU離脱(ブレグジット)を問う国民投票で勝利側が利用したコンサル企業として一躍注目されたが、フェイスブックを利用した情報収集のやり方にプライバシー侵害の疑いがもたれていた。ロシアンゲートの情報操作に関わったとの疑いがかけられたこともあり、2018年5月に破産申請し、業務停止している。
 フェイスブックのスポークスマンはBBCに対し、振華データの情報収集のやり方は、フェイスブック利用規則に違反しており、たとえ公開資料であってもこのような使い方は許されない、とコメントしている。ツイッターも「振華データとはなんら情報共有協議をしていない」と語っている。
■ 「政府による個人情報収集」を誰も止められない中国
 振華データのデータ収集のやり方は、たとえ営利目的の民間企業であっても当然問題があるのだが、やはり中国共産党政権下での国有系企業であるという点が、最大の懸念だろう。西側民主主義国家であれば、情報収集についても政府とメディアが牽制し合い、監視し合う関係にある。だが中国の場合、党と政府とメディアは一体であり、情報の悪用を世論によって監視する仕組みがない。
 理屈上は、政府がダークウェブから個人情報を収集すれば、メディアがスキャンダルとして暴き、世論によってその行為を正すことができる。逆にメディアが個人情報を違法に収集すれば、プライバシー侵害としてコンプライアンスとモラルを問われることになろう。
 シドニー科技大学の馮祟義教授はABCに対し、「中国には、ネット企業を含めていかなる企業も、すべての持ちうる個人情報を政府に提供することを義務付ける法律がある。中共(中国共産党)政権は統一戦線戦略を継続している。もし、あなたの個人情報が中共政権にわたり、あなたが反共的な思想の持ち主であるとわかれば、あなたを攻撃したり孤立させたりできるし、もし親共的な人物であると思えば、取り込む対象となり、党の代理人としてリクルートされるかもしれない」と語り、中国における個人情報データベースの脅威と影響力を指摘した。
 バルディング教授は、こうしたデータベースの存在は、中共中央と人民解放軍が民間ハイテク技術産業を利用して「超限戦」(非軍事的な要素を組み合わせた新しい戦争)の準備を進めていることの証左だと指摘している。こうしたデータベースが何をターゲットにしているかを調べていけば、中国のサイバー戦や国際社会における敵意の方向性がより明確にわかる、という。そう考えると、このデータベースがはらむ脅威はケンブリッジ・アナリティカどころの問題ではない、とも主張する。
 米国は国家安全を理由に、周辺国にも中国のインターネットや中国の科学技術を利用しないよう呼び掛け、ファーウェイはどこからも半導体供給を絶たれてついにスマートフォン事業撤退か、といった崖っぷちに追い詰められている。
 ファーウェイ製品には日本にもファンが多く、民間企業を政治的理由でここまで追い詰めなくとも、という同情論も耳にするが、振華データの問題をみると、中国企業に個人情報を預けることの恐ろしさを再認識させられる。
 やはり私たち西側の自由社会の住人は、中国共産党政権に支配されたハイテク企業とは共生できないのだ。
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kkagneta2 · 4 years
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ボツ2
おっぱい、大食い。最後まで書いたけど胸糞なのでここに途中まで投稿してお蔵入り予定。
時: 午前8時05分
所: ○○中学正門前
身長: 標準的。155センチ程度。
衣服: 〇〇中学指定の制服。黒のセーラー。リボンの色より二年生と断定。
年齢: 中学二年生なので14、5。
持ち物: 右手に〇〇中学指定の鞄。左手にスマホを所持。
同行者: 友人1名。興味無しのため略。
背格好: やや細身か。冬服のため殆ど見えなかったが、スカートから覗く脚、そして周りの生徒と見比べるに、肩や腕も細いと思われる。腰回りもほっそりとしていると感じた。正確には引き締まっていると言うべきか。
顔: いと凛々し。小顔。頬は真白く、唇には薄い色付き。笑うと凄まじく整った歯が見え隠れする。この時髪をかき上げ血の色の鮮やかな耳が露出する。
髪: ボブ系統。ほぼストレートだが肩のあたりで丸くなる。色は黒、艶あり。
胸: 推定バスト98センチ、推定アンダーバスト62センチのK カップ。立ち止まることは無かったが、姿勢が良いのでほぼ正確かと思われる。しっかりとブラジャーに支えられていて、それほど揺れず。体格的に胸元が突出している印象を受ける。隣の友人と比べるとなお顕著である。制服のサイズがあっておらず、リボンが上を向き、裾が胸のために浮いていた。そのため、始終胸下に手を当てていた。揺れないのもそのせいであろう。制服と言えば、胸を無理に押し込んだかのように皺が伸び、脇下の縫い目が傷んでおり、肩甲骨の辺りにはブラジャーのホックが浮き出ている。されば制服は入学時に購入したものと思われ、胸は彼女が入学してから大きくなった可能性が大である。元来彼女のような肉体には脂肪が付きづらいはずなのだが、一年と半年を以てK カップにまで成長を遂げたところを見ると、期待はまずまずと言ったところか。要経過観察。名前は○○。胸ポケットに入れてあったボールペンが落ちたので拾ってあげたところ、「ありがとうございます」と丁寧にお辞儀をされる。
  時: 午前10時28分
所: 〇〇駅構内
身長: 高い。170センチ強
衣服: 薄く色味がかった白、つまりクリーム色のファー付きコート。内には簡素なグリーンのニットを羽織る。首元に赤のマフラー。
年齢: 22、3。休み期間中の大学生かと思われる。
持ち物: キャリーバッグ。手提げのバッグ。
同行者: 友人2名。先輩1名。何れも女性。貧。
背格好: 体格が良いと言った他には特に無し。腕も見えず、脚も見えず、首も見えず。肩幅の広さ、腰つきの良さから水泳を営んでいると推定される。
顔: その背に似合わず童顔。人懐っこい。マフラーに顔を埋め、視線を下げ、常に同行者に向かって微笑む。愛嬌よし。
髪: ショート。これより水泳を営んでいると断定。色は茶、染め上げてはいるがつやつやと輝く。
胸: 推定バスト129センチ、推定アンダーバスト75センチのR カップ。冬である上に、胸元が目立たないよう全身を地味に作っており、某コーヒーショップにてコートを取っても、無地のニットのために膨らみが分かりづらかった。さらに、胸の落ち具合から小さく見せるブラジャーを着用しているかもしれない。そのため、推定カップはR カップより3、4カップは大きい可能性がある。コートを取った際、胸元が一層膨らんだように感じられた。机の上に胸が乗って、本人は気にしていないか、もしくは気づいていなかったが、柔らかさは至高のようである。他の男性客の腕が肩にぶつかって、驚いた際に胸で食べかけのドーナツを落とす。以降会話は彼女の胸に話題が移ったらしく、左右に居た友人二名が所構わず触れるようになり、両手を使って片胸片胸を突っついたり、揺らしたりして遊ぶ。「机まで揺れる」と言う声が聞こえてくる。「ちょっとやめてよ」と言いつつ顔は相変わらず微笑むでいる。しばらくして四人とも席を立って、地下鉄筋の方へ消えていく。童顔ゆえに顔より大きい胸は驚くに値するが、体格からして胸元に自然に収まっているのを見ると、やはりなるべくしてなったとしか思えず。
  時: 午後00時14分
所: 〇〇市〇〇にあるスーパー前
身長: 低い。150センチに満たない。
衣服: 所謂マタニティウェア。ゆったりとした紺のワンピースに濃い灰色のポンチョ。
年齢: 26、7
持ち物: 買い物袋。ベビーカー。
同行者: ベビーカーの中に赤ん坊が一人。女の子である。
背格好: 小柄。寸胴で、かつ脚も長くはあらず、そして手足が細く、脂肪が程よくついている。つまりは未成熟な体つき。身長以上に小さく見える。
顔: かなりの童顔。着るものが着るものであれば高校生にも見える。可愛いがやつれていて、目の下に隈あり。子供が可愛くて仕方ないのか、そちらを見ては微笑む。
髪: セミロングを後ろで一束。中々の癖毛であるかと思われるが、目のやつれ具合からして、もしかしたら本当はもっと綺麗なのかもしれない。髪色は黒。可愛らし。
胸: 推定バスト110センチ、推定アンダーバスト58センチのQ カップ。体格が小柄であるのでQ カップよりもずっと大きく見える。というより迫力がある。私が訪れた時は買い物袋をベビーカーに吊っている最中であった。ほどなくして赤ん坊が泣き出したので、胸に抱えてあやしたが、赤ん坊は泣き止まず。片胸と赤ん坊の大きさはほぼ同じくらいであっただろう。また、胸と赤ん坊とで腕は目一杯伸ばされていた。胸に抱いて「よしよし」と揺らすのはしばらく続いたが、赤ん坊が泣き止むことはなかった。そこで、座る場所を求めて公園へと向かおうと、一度ベビーカーへと戻そうとしたのであるが、一度胸に食らいついた赤ん坊は離さない。「さっきも飲んだじゃない」とため息をついて片手で危なっかしくベビーカーを引こうとする。「押しましょうか」と接近してみたところ、意外にもあっさりと「よろしくおねがいします」と言って、私にベビーカーを預けた。中には玩具が数種類あった。道から離れた日差しの良いベンチに腰掛け、ケープを取り出して肩にかけ、赤ん坊をその中へ入れる。それでもしばらくは駄々をこねていたであったが、母親が甘い声をかけているうちに大人しくなった。私が「お腹が空いてたんですね」と笑うと、「困ったことに、食いしん坊なんです。女の子なのに」と笑い返して赤ん坊をあやす。話を聞いていると、母親の母乳でなければ我慢がならないと言う。授乳が終わってケープを外した時、子供はすやすやと眠りについていた。「胸が大きくなりすぎて、上手く抱っこできなかったんです。大変助かりました。ありがとうございます」と分かれたが、その言葉を考えるに、妊娠してから一気に胸が大きくなったのであろう。授乳期を終えたときの反動が恐ろしい。むしろベビーカーの中に居た赤ん坊の方に興味を唆られる。
  時: 午後01時47分
所: 〇〇市市営の図書館。某書架。
身長: 標準的。158センチ程度。
衣服: 白のブラウスにブラウンのカーディガン。
年齢: 30前後か。
持ち物: 白のタブレット
同行者: 無し
背格好: 小太りである。全体的に肉がふっくらとついている。けれども目を煩わすような太り方ではない。豊かである。ただし、著しく尻が大きい。
顔: 目尻は美しいが、柔らかな頬に愛嬌があって、どちらかと言えば可愛らしい方の顔立ち。鼻がやや低く、口元はリップクリームで赤々と照りを帯びている。色白とは言えないが、光の加減かと思われる。眼鏡をかけており、リムの色は大人しい赤。非常によく似合う。
髪: ストレートなミディアムヘア。髪色は黒であるが、不思議なことに眼鏡の赤色とよく合い、前髪の垂れかかるのが美しい。
備考: 司書である。
胸: 推定バスト128センチ、推定アンダーバスト81センチのO カップ。本日の夜のお供にと本を物色中に、書架にて本を正していた。胸が喉の下辺りから流麗な曲線を描いて20センチほど突き出ているばかりでなく、縦にも大きく膨れており、体積としてはP カップ、Q カップ相当かもしれない。頭一つ分背が低いので上からも望めたのであるが、カーディガンで見え隠れする上部のボタンが取れかけていた。本を取る度に胸が突っかかって煩わしいのか、肩を揺すって胸の位置を直す。本棚に胸が当たるのは当然で、文庫本などはその上に乗せる。一つの書架を片付け終わった辺りで、適当に思いついたジャンルを訪ねて接近すると、如何にも人の良さそうな顔で案内をしてくれた。脚を踏み出す度に甲高い音が鳴るのは、恐らくブラジャーのせいかと思われる。歩き方が大胆で胸が揺れるのである。途中、階段を下りなければならないところでは、一層音が大きくなって、臍のあたりで抱えていた本を胸に押し付けて誤魔化していた。そのため、ブラジャーのストラップがズレたかと見え、書棚の方へ目を向けている隙に、大胆にも胸を持ち上げて直していた。なまめかしい人ではあるが、年が年なので望みは無い。
  時: 午後02時22分
所: 〇〇小学校校庭
身長: 140センチ前後か
衣服: 体操服
年齢: 10、11歳
持ち物: 特に無し
同行者: 友人数名
背格好: ほっそりとしなやかである。幼い。腕も脚もまだ少女特有の肉が付いている。今日見た中で最も昔の「彼女」に似ている体つきであったが、この女子児童は単に骨格が華奢なだけで、痩せ細った体ではない。健康的である。脚が長く、短足な男子の隣に立つと、股下が彼の腰と同位置に来る。
顔: あどけなさは言うまでもないが、目元口元共に上品。笑う時もクスクスと擽るような、品の良い笑い方をする。眼鏡はテンプルに赤色が混じった、基本色黒のアンダーリム。そのせいで甚だ可愛らしく見えるが、本来は甚く聡い顔立ちをしているかと推定される。が、全般的に可愛らしい。
髪: 腰まで届く黒髪。ほぼストレートだが若干の癖あり。また、若干茶色がかっているように見えた。髪の質がかなり良く、時折肩にかかったのを払う度に、雪のように舞う。
胸: 推定バスト81センチ、推定アンダーバスト48センチのI カップ。体育の授業中のことである。男子は球技を、女子はマラソンでもやらされていたのか、校庭を走っていた。身体自体は小柄であるから胸はそう大きくはないのだが、無邪気に走るから激しく揺れる。揺れるごとに体操服が捲れ上がって腹部が見え��うである。明らかに胸元だけサイズが合っていない。何度か裾を直しながら走った後、耐えかねて胸元を押さえつけていたのであるが、いよいよ先生の元へ駆け寄って校舎内へ入った。そして出てきてから再び走り初めたけれども、その後の胸の揺れは一層激しくなっていた。ブラジャーに何かあったのだろうと思われる。顔には余裕がありながら、走る速さがこれまでとは段違いに遅く、これまで一緒に走ってきた友人に追い抜かれる。結局、彼女は胸を抑えながら、周回遅れで走りを終えた。しかし可哀想なことに、息を整えていると友人に後ろから手で掬われて、そのまま揉みしだかれる。小学生の手には余る大きさである。寄せあげて、掬い上げて、体操服をしわくちゃにしながら堪能する。私にはそう見えただけで、実際にはじゃれついていただけであろうが、指が深く沈み込んでいる様は男子児童の視線を寄せるのに足る。なされるがままにされていた彼女は、そのうちに顔を真っ赤にして何かを言いつつ手をはたき落とし「今はダメ」と言い、以降はすっかり両腕を胸元で組んで、猫背になって拗ねてしまった。この生徒は要観察である。下校時に再び見えてみれば、制服下の胸はブラジャーは着けていないながら見事な球形を為している。先程の光景から張りも柔らかさも極上のものと想像される。名前は○○。名札の色から小学5年生だと断定。ここ一ヶ月の中で最も期待すべき逸材。
  時: 午後05時03分
所: 〇〇市〇〇町〇〇にある某コンビニ
身長: やや高い。163センチほど。
衣服: ○○の制服。
年齢: 17歳
持ち物: 特に書くべきにあらず
同行者: 無し
背格好: 標準的だがやや痩せ型。恐らくは着痩せするタイプである。一見してただの女子高生の体であるが、肩、腰つきともに十分な量の肉量がある。その代わり腕は細い。右手に絆創膏。
顔: あどけない。非常に可愛らしい顔。人柄の良さが顔と表情に出ていると言ったところ。眉は優しく、目はぱっちり。常に口が緩んで、白い頬に赤みが差す。が、どこか儚��である。分厚くない唇と優しい目が原因か。
髪: 後ろに一束したミディアムヘア。一種の清潔さを表すと共に、若干の田舎臭さあり。後ろ髪をまとめて一束にしているので、うなじから首元へかけての白い肌が露出。これが殊に綺麗であった。
備考: 高校生アルバイター
胸: 推定バスト118センチ、推定アンダーバスト68センチのP カップ。服が腰元で閉じられているので、高さ24センチほどの見事な山が形成されている。そのため余計に大きく感じられる。手を前で組む癖があるのか胸が二の腕によって盛り上がって、さらに大きく見える。レジ打ちを担当していた。面倒くさい支払い方法を聞いて接近。レジにて紙を用いて説明してくれるのであるが、胸元が邪魔で始終押さえつけながらでの説明となり、体を斜めにしての説明となり、終いには胸の先での説明となる。ブラジャーの跡あり。よほどカップが分厚いのか胸と下着との境目がはっきりと浮き出ている。この大きさでこのタイプのブラジャーは、1メーカーの1ブランドしかないため、懐かしさに浸る。大体分かりました、では後日よろしくおねがいしますと言うと、にこやかにありがとうございましたと言う。腕の細さと胸の大きさとが全くもって合っていない。腰つきとは大方合っている。顔があどけないところから、胸に関しては期待して良いのではないだろうか? それを知るには彼女の中学時代、ひいては小学時代を知る必要があるが、そこまで熱心に入れ込めるほど、魅力的ではない。
   本日も予が真に求むる者居らず、―――と最後に付け足した日記帳を、俺は俺が恐れを抱くまでに叫び声を上げながら床へと叩きつけ、足で幾度も踏みつけ、拾って壁に殴りつけ、力の限り二つに引き裂いて、背表紙だけになったそれをゴミ箱へ投げつけた。八畳の部屋の隅にある机の下に蹲り、自分の頭をその柱に打ちつけ、顎を気絶寸前まで殴り、彼女の残した下着、―――ブラジャーに顔を埋めて髪を掻き毟る。手元に残りたる最後の一枚の匂いに全身の力を抜かされて、一時は平静を取り戻すが、真暗な部屋に散乱した日記帳の残骸が肌へと触れるや、彼女の匂いは途端に、内蔵という内蔵を酸で溶かすが如く、血管という血管に煮えたぎった湯を巡らせるが如く、俺の体を蝕んでくる。衝動的にブラジャーから手を離して、壁に頭を、時折本当に気絶するまで、何度も何度も何度も打ちつけ、忌々しい日記帳を踏みしめて、机の上に置いてあるナイフを手にとる。以前は右足の脹脛(ふくらはぎ)を数え始めて26回切りつけた。今日はどこを虐めようかなどと考えていると、彼女の残したブラジャーが目につく。一転して俺のこころは、天にのぼるかのようにうっとりと、くもをただよっているかのようにふわふわと、あたたかく、はれやかになっていく。―――
―――あゝ、いいきもちだ。彼女にはさまれたときもこのような感じであった。俺の体は彼女の巨大な胸が作り出す谷間の中でもみくちゃにされ、手足さえ動かせないまま、顔だけが彼女の目を見据える。ガリガリに痩せ細って頬骨が浮き出てはいるが、元来が美しい顔立ちであるから、俺の目の前には確かにいつもと変わらない彼女が居る。我儘で、可愛くて、薄幸で、目立ちたがり屋で、その癖恥ずかしがり屋で、内気で、卑屈で、でも負けん気が強くて、甘えん坊で、癇癪持ちで、いつもいつもいつも俺の手を煩わせる。冷え切った手で俺の頬を撫でても、少しも気持ちよくは無い、この胸、この胸の谷間が冬の夜に丁度良いのだ。この熱い位に火照った肉の塊が、俺を天に昇らせるかの如き高揚感を與えるのだ。
だがそれは後年の事。床に広がったブラジャーを拾って、ベッド脇のランプの燈を点けて、ぶらぶらと下へと垂れるカップの布をじっくりと眺める。華奢で肉のつかない彼女のブラジャーだったのだから、サイドボーンからサイドボーンまでの距離は30センチ程もあれば良く、カップの幅も中指より少し長い程度の長さしかない。が、その深さと広さはそこらで見かけるブラジャーとは一線を画す。手を入れれば腕が消え、頭を入れればもう一つ分は余裕がある。記念すべき「初ブラ」だった。
それが何たることか! 今日、いや昨日、いや一昨日、いやこの一ヶ月、いやこの一年間、いや彼女が居なくなってから実に6年もの間、このブラジャーが合う女性には出会うどころか、見かけることも出来ないではないか。細ければサイズが足りず、サイズが足りればぶくぶくと肥え、年増の乳房では張りが足らず、ならばと小学生の後を付け回してはお巡りに声をかけられ、近所中の中高にて要注意人物の名をほしいままにし、飽きる迄北から南の女という女を見ても、彼女のような体格美貌の持ち主は居なかった。風俗嬢へすら肩入れをし、ネットで調子に乗る女どもにも媚びへつらった。
恭しくブラジャーを箱へと収めて床に散らばりたる日記帳の屑を見るや、またしても怒りの感情が迸ってくる。今日は左太腿の上をざっくりとやってやろうか。紙屑をさらに歯で引きちぎり、喉に流し込みながらそう思ったけれども、指を切る程度に留め、代わりに床を突き抜ける位力を入れて、硬い板の上に差す。今日書いた文面はその上にあった。
「なんで、なんで俺はあんなことを、……」
気がつけば奇声を上げつつ髪の毛を毟り取っていた。時計を見れば午後11時28分。点けっぱなしにしておいたパソコンの画面にはbroadcasting soon! という文字が浮かび上がって居る。忘れた訳では無かったが、その英単語二文字を見るだけで、怒りも何も今日の女どもも忘れ、急に血の巡りが頭から下半身へと下り、呼吸が激しくなる。まるで彼女を前にした時のようである。急いで駆けつけて音量を最大限まで上げて、画面に食い入ると、直にパッとある部屋が映し出され、俺の呼吸はさらに激しくなった。
部屋はここと同じ八畳ほど、ベッドが一台、机が一つ、………のみ。
机の上にはありきたりな文房具と、食器類が一式、それに錠剤がいくつか。ベッドの上には質の良さそうな寝具、端に一枚のショーツ、その横に犬用のリードが一つ。これはこれから現れる者が、謂わばご主人さまに可愛がられるために着けている首輪につながっているのである。そしてその横に、あゝ、彼女がまだ傍に居ればぜひこの手で着けて差し上げたい巨大なブラジャーが一つ、………。ダブルベッドをたった一枚で埋め尽くすほど大きく、分厚く、ストラップは太く、今は見えないが12段のホックがあり、2週間前から着けているらしいけれどもカップは痛み、刺繍は掠れ、ストラップは撚れ、もう何ヶ月も着たかのようである。
しばらく見えているのはそれだけだったが、程なくしてブラジャーが画面外へ消えて行き、ショーツが消えて行きして、ついに放送主が現れる。病的なまでに痩せ細って骨の浮き出る肩、肘、手首、足首、膝、太腿、それに反して美しくしなやかな指が見える。顔は残念ながら白い仮面で見えないが、見えたところで一瞬である。すぐさま画面の殆どは、中央に縦線の入った肌色の物体に埋められるのだから。その肌色の物体は彼女の胸元から生え、大きく前へ、横へと広がりながら腰元を覆い、開けっ広げになった脚の間を通って、床へとゆるやかにの垂れており、ベッドに腰掛けた主の、脚の一部分と、肩と、首を除いて、体の殆どを隠してしまっている。床に垂れた部分は、部分というにはおかしなくらい床に広がる。浮き出た静脈は仄かに青々として、見る者によっては不快を感ずるだろう。
言うまでもなく、女性の乳房である。主は何も言わずにただそこに佇むのみで、何も行動をしない。仮面を着けた顔も、たまに意外と艶のある黒髪が揺れるだけで動かないのであるが、極稀に乳房を抑える仕草をして、愛おしそうに撫でることがある。けれどもそれは本当に極稀で、一回の配信につき一度の頻度でしかなく、殆どの場合は、一時間もしたらベッドに倒れ込んで寝てしまうのである。
この配信を見つけてからというもの、俺の日中の行動は、その寝姿を見るための暇つぶしでしか無い。彼女そっくりな体つきに、彼女そっくりな胸の大きさ、―――しかもこちらの方が大きいかもしれない上に、彼女そっくりな寝相、………見れば見るほど彼女に似て来て、また奇声を発しそうになる。無言で、手元にあった本の背表紙で頭を打ちつけて落ち着きを取り戻し、画面を見ると、ゴロンとベッドから落ちてしまったその女の姿。彼女もよくやった寝相の悪さに、途端懐かしさが込み上げて来て、
「あゝ、こら、叶(かなえ)、寝るんだったらベッドの上で寝ないと、……。手伝ってやるからさっさと起きなさい」
と頬を叩いたつもりだが、空を切るのみで、消息不明となっている者の名前を呼んだだけ、羨ましさと虚しさが募ってしまった。
   幼馴染の叶が居なくなってから早6年、片時も忘れた事はないのであるが、隣に住んでいながら出会いは意外と遅いものであった。当時俺は11歳の小学5年生、物凄く寒かったのを思えば冬から春前であったろうか、俺の家は閑静な住宅街の中に突如として現れる豪邸で、建物よりも庭に意匠を凝らしたいという父上の意思で、洋館が一つと離れが一つ庭に面する形で建てられ、俺はその離れを子供部屋として与えられていた。球状の天井を持つその部屋は、本当に子供のために閉ざされた世界かのようだった。庭の垣根が高く、木に埋もれる形で建っているのであるから、内は兎も角、外からだとそもそも離れがあることすら分からない。音も完全に防音されていて、車が通りかかるのすら、微妙な振動でようやく分かるくらい外界から切り離されているのである。いつも学校から帰ると、俺はその部屋で母上と共に話をしたり、ごっこ遊びをしたり、宿題をしたりする。食事もそこで取って、風呂には本館の方へ向かう必要はあるけれども、学校に居る7、8時間を除けば一日の殆どをそこで過ごしていた。だから、近隣の様子なぞ目については居なかったし、そもそも父上から関わるなというお達しがあったのだから、あえて触れるわけにはいかない。学校も、近くにある公立校へは通わずに、ずっと私立の学校へ入れられたのだから、関わろうにも、友人と言える者も知り合いと言える者も、誰も居ないのである。
そんな生活の中でも、よく離れの2階にある窓から顔を突き出して、燦々と輝く陽に照らされて輝く街並みを眺めたものだった。今はすっかりしなくなってしまったけれども、木々の合間合間から見える街並みは殊に美しい。一家の住んでいる住宅街というのが、高台に建っているので、街並みとは言ってもずっと遠くまで、―――遥かその先にある海までも見えるのである。
そう、やっぱり冬のことだ、あのしっとりとした美しさは夏や秋には無い。いつもどおり、俺はうっとりと椅子に凭れかかって街並みを眺めていたのであるが、ふとした瞬間から、女の子の声で、
「ねぇ、ねぇ、ねぇってば」
と誰かを呼びかける声がしきりに聞こえてきていたのだけれども、それが少し遠くから聞こえてくるものだから、まさか自分が呼ばれているとは思わず、無視していると、
「ねぇ!」
と一層激しい声が聞こえてくる。下を見てみると、同年代らしい女の子が、彼女の家の敷地内からこちらを不満そうに見つめてきている。
「僕ですか?」
「そう! 君!」
と満面の笑みを浮かべる。
この女の子が叶であることは言及する必要も無いかと思うが、なんと見窄らしい子だっただろう! 着ている物と言えば、姉のお下がりのよれよれになった召し物であったし、足元には汚らしいサンダルを履いていたし、髪は何らの手入れもされていなかったし、いや、そんな彼女の姿よりも、その家の古さ、ボロさ、貧しさは余りにも憐れである。流石に木造建築では無いものの、築20年や30年は越えていそうな家の壁は、すっかりと黒ずんで蜘蛛の巣が蔓延っており、屋根は黒いのが傷んで白くトゲトゲとしているし、庭? にある物干し竿は弓なりに曲がってしまっていて、痛みに傷んだ服やタオルが干されている。全体的に暗くて、不衛生で、手に触れるのも汚らわしい。広さ大きさは普通の一軒家程度だけれども、物がごちゃごちゃと置かれて居るのでかなり狭苦しく感じられ、俺は父上がどうして近隣の者と関わるなと言ったのか、なんとなく理解したのだった。目が合った上に、反応してしまったからには相手をしなくちゃいけないか、でも、できるだけ早く切り上げて本の続きでも読もう。―――俺は一瞬そう思ったが、ようようそう思えば思うほど、彼女に興味を抱いてしまい、小っ恥ずかしい感情がしきりに俺の心を唆していた。
それは一目惚れにも近い感情だっただろうと思う。というもの、その時の叶の外見は、着ているものが着ているものだけに見窄らしく見えただけで、顔立ちは悪くないどころかクラスに居る女子どもなぞよりずっと可愛いかった。いや、俺がそう感じただけで、実際は同じくらいかもしれないが、普段お嬢様と言うべき女の子に囲まれていた俺にとっては、ああいう儚い趣のある顔は、一種の新鮮さがあって、非常に魅力的に見える。どこか卑屈で、どこか苦心があって、しかしそれを押し隠すが如く笑う、………そういう健気な感じが俺の心を打ったと思って良い。また、体つきも普段見るお嬢様たちとは大きく変わっていた。彼女たちは美味しいものを美味しく頂いて、線の細い中にもふっくらとした柔らかさがあるのだが、叶はそうではない。栄養失調からの病気じみた痩せ方をしていて、ただ線が細いだけ、ただ貧相なだけで、腕や脚などは子供の俺が叩いても折れそうなほどに肉が付いておらず、手や足先は、肌が白いがために骨がそのまま見えているかのようである。兎に角貧相である。が、彼女にはただ一点、不自然なほど脂肪が蓄えられた箇所があった。
それはもちろん胸部である。叶は姉から譲り受けた服を着ているがために、袖や裾はだいぶ余らしていたのであるが、胸元だけはピンと張って、乳房と乳房の間には皺が出来ていて、むしろサイズが足りないように見える。恐らく裾を無理やり下に引っ張って、胸を押し込めたのか、下はダボダボと垂れているけれども、胸の上は変にきっちりしている。体の前で手をもじもじさせつつ、楽しげに体を揺らすので、胸があっちへ行ったり、こっちへ行ったりする。俺は最初、胸に詰め物をしているのであろうかと思われた。そう言えば、一昨日くらいにクラスの女子が、私の姉さんはこんなの! と言いつつ、体操服の胸元にソフトボールを入れてはしゃいでいたが、その姿がちょうどこの時の叶くらいであったから、自然にやっぱりこの年の女子は大きな胸に憧れるものなのだと納得したのである。だが、叶の胸は変に柔らかそうに見える。いや、それだけでなく、ソフトボールを入れたぐらいでは脇のあたりが空虚になって、はっきりと入れ物だと心づくが、彼女の体に描かれる、首元から始まって脇を通り、へその上部で終りを迎える曲線は、ひどく滑らかである。手が当たればそこを中心に丸く凹み、屈んで裾を払おうとすれば重そうに下で揺れる。
俺が女性の乳房なるものに目を奪われた初めての瞬間である。
それは物心ついた少年の心には余りにも蠱惑的だった。余りにも蠱惑的過ぎて、俺の体には背中をバットで殴られたような衝撃が走り、手が震え、肩が強張り、妙に臀部の辺りに力が入る。頭の中は真っ白で、少しずつ顔と耳たぶが赤くなっていくのが分かる。途端に彼女の胸から目が離せなくなり、じっと見るのはダメだと思って視線を上げると、さっきとは打って変わって潤いのある目がこちらを見てきている。微笑んでくる。その瞬間、徐々に赤くなって行っていた顔に、血が一気に上る感覚がし、また視線を下げると、そこにはこれまで見たことがない程の大きさの胸。胸。胸。………あゝ、なんと魅力的だったことか。
「こんにちは」
「うん、こんにちは。今日は寒いね」
彼女に挨拶されたので、俺はなんとか声を出したのだった。
「私は全然。むしろあったかいくらい」
「元気だなぁ」
「君が元気ないだけじゃないの」
「熱は無いんだけどね」
「ふふ」
と彼女は笑って、
「君どのクラスの子?」
「いや、たぶん知らないと思う。この辺の学校には通ってないから」
「どおりで学校じゃ、見ないと思った。何年生なの?」
彼女がこの時、俺を年下だと思っていたことは笑止。実際には同い年である。
「へぇ、あっちの学校はどうなの?」
「どうもこうもないよ。たぶん雰囲気なんかは変わんないと思う」
「そうなんだ」
と、そこでトラックが道端を通ったために、会話が区切れてしまって、早くも別れの雰囲気となった。
「ねぇ」
先に声をかけたのは彼女だった。
「うん?」
「またお話してくれない?」
少年はしばし悩んだ。近くの者とは関わるなと言う父上の言葉が頭にちらついて、それが殆ど彼女の家庭とは関わるなとの意味であることに、今更ながら気がついたのであったが、目の前に居る少女が目をうるませて、希望も無さげに手をもじもじと弄っているのを見ると、彼女の学校での扱われ方が目に見えてしまって仕方がなかった。そっと目を外すと、隣に住んでいなければ、多分一生関わること無く一生を終えるであろう貧しい家が目に飛び込んできて、だとすれば、良い育ちはしていないに違いはあるまい。だが、今言葉を交わした感じからすれば、意外にも言葉遣いはぞんざいではなく、笑い方もおっとりとしている。それに何より、自分がここまで心臓の鼓動がうるさいと思ったことはないのである。少年の心はこの時、「またお話したい」などというレベルではなく、彼女に近づきたい気持ちでいっぱいであった。近づいて、もっともっとお話をして、その体に触れて、夜のひと時をこのメルヘンチックな我が部屋で過ごせたら、どんなに素敵だろう。この窓から夜景を見て、手を取って、顔を突き合わして、行く行くは唇を重ねる、………あゝ、この部屋だけじゃない、綺麗に見繕って、二人で遊びに行くのも良い、いや、もはや二人きりでその場に居るだけでも僕の心は満足しそうだ。………実際にはこんなに沢山ことを考えた訳ではなかったけれども、しかしそういうことが、父上の言いつけから少年をすっかり遮断してしまった。つまりは、彼女の言葉に頷いたのである。
「もちろん。こうやって顔だしてたら、また話しかけてよ」
「ふふ、ありがとう。またね」
「またね。―――」
これが俺と叶の馴れ初めなのだが、それから俺たちは休みの日になると、窓を通じて10分20分もしない会話を楽しんだ。尤もそれは俺が父上と母上を怖がって、勉強しなくちゃいけないだとか、習い事があるとか、そういう理由をつけて早々に切り上げるからではあるけれども、もし何の後ろめたさも無かったら日が暮れても喋りあったに違いない。
「えー、……もう? 私はもっとお話してたい!」
「ごめんね。明日もこうやって外を眺めてあげるからさ」
その言葉に嘘はなく、俺は休日になれば、堪えきれない楽しみから朝食を終え、両親を煙に巻くや窓から顔を突き出していた。すると叶はいつも直ぐに家から出てきて、
「おはよう」
と痩せ細った顔に笑みを浮かべる。彼女もまた、楽しみで楽しみで仕方ないと言った風采なのである。
「おはよう。今日はいつにもまして早いね」
「ふふ」
会話の内容はありきたりなこと、―――例えば学校のこと、家のこと(彼女は���まり話したがらなかったが)、近くにある店のこと、近くにある交番がどうのこうのということ、近くにある家のおばさんが変人なことなど、強いて言えば、近所の人たちに関する話題が多かった。というのも、この住宅街に住んでいながら、今まで何も知らなかったので、俺の方からよく聞いたのが理由ではあるけれども、話に関係ないから述べる必要はあるまい。
それよりも、あんまり叶が早く出てくるので、いつのことだったか、聞いてみたことがあった。すると、彼女は心底意地の悪い笑顔で、
「私の部屋から丸見えなんだもん。そんなに楽しみ?」
と言うので、無性に恥ずかしさが込み上げてきたのは覚えている。どう返したのか忘れたが、その後の彼女の笑う様子が、強烈に頭に残っているのを考慮すれば、さらに恥ずかしい言い訳を放ったのは確かである。………
そんなある日のことであった。確か、叶と出会って一ヶ月経った日だったように思う。何でも学校が春の休み期間に入ったために、俺達は毎日顔を合わせていたのであるから多分そうで、非常に小っ恥ずかしい日々を送っていたのであるが、この日は俺しか俺の家には居ないのであった。それも朝一から深夜まで、何故だったのかは忘れてしまったが、両親も居なければ、ハウスキーパーも、確実に居ないのである。然れば初恋に目の暗んだ少年が悪巧みをするのも当然であろう。つまり俺はこの日、叶をこのメルヘンチックな離れに招待しようとしていたのである。
一種の期待を胸に抱きながら、いつもどおり窓から顔を突き出して、今や見慣れてしまった貧しい家の壁に視線を沿わせては、深呼吸で荒れそうになる息を整えようとする。一見、「いつもどおり」の光景だけれども、この時の俺はどうしても、初めての彼女をデートに誘うような心地よい緊張感ではない、恐ろしい罪悪感で押しつぶされそうだった。別に子供が同級生の女の子を連れてくることなど、親からしたら微笑ましい以外何者でもないかもしれない。が、これから呼ぶのは、父上が関わるなと言った、隣家の貧しい娘なのであるから、どうしても後々バレた時の事を考えると、喉が渇いて仕方ないのである。―――出来れば叶が今日に限って出てきてくれなければ、なんて思っても、それはそれで淋しくて死ぬ。まぁ、期待と緊張と罪悪感でいっぱいいっぱいだった少年の頭では、上手い具合に言い訳を考えることすら出来なかったのである。
「おはよう」
そうこうするうちに、いつの間にか外に出てきていた叶が声をかけてきた。一ヶ月のうちに、さらに胸が大きくなったのか、お下がりの服の袖はさらに長くなり、………というのは、服のサイズを大きくしないと胸が入らないからで、その肝心の胸の膨らみは今やバレーボール大に近くなりつつある。
で、俺は焦ることは何もないのに、挨拶を返すこともせずに誘うことにしたのであった。
「ねぇ」
「うん?」
「きょ、今日、僕の家にはだ、だれも居ないんだけど、………」
「え? うん、そうなの」
それから俺が叶を誘う言葉を出したのは、しばらくしてのことだったが、兎に角俺は彼女を頷かせて門の前まで来させることに成功して、庭を駆けている時に鳴った呼び鈴にギョッとしつつ、正門を開けると、さっきまでその気になっていた顔が、妙に神妙なので聞いてみると、
「なんか急に入って良いのか分からなくなっちゃった」
ともじもじしながら言う。それは引け目を感じると言うべき恥であることは言うまでもないが、一度勢いづいた少年にはそれが分からず、不思議な顔をするだけであった。それよりも少年は歓喜の渦に心臓を打たせており、今日という今日を記憶に焼き付けようと必死になっていた。というのは、普段遠目から見下ろすだけであった少女が目の前に現れたからではあるけれども、その少女の姿というのが、想像よりもずっと可愛いような気がしただけでなく、意外と背丈がひょろ高いことや、意外と服は小綺麗に整えてあることや、手も脚も、痩せ細った中にも一種の妖艶さが滲み出ていることなど、様々な発見をしたからであった。特に、胸元の膨らみにはただただ威圧されるばかり。大きさは想像通りだったものの、いざ目の前に来られると迫力が段違い。試しに顔を近づけてこっそりと大きさを比べて見ると、自分の頭よりも大きいような感じがし、隣に並んでみると、彼女の胸元にはこんな大きな乳房が生えているのかと驚かれる。
「ちょっと、どうしたの」
と言われてハッとなって、叶の手を引きながら広大な庭を歩き始めたが、少年の目はやはり一歩一歩ふるふると揺れる彼女の乳房に釘付けであった。
庭の様子は今後必要ないから述べないが、一方はお坊ちゃん、一方は女中にもならない卑しい少女が手を取り合いながら、花々の芽の萌ゆる庭園を歩く様子は、或いは美しさがあるかもしれない。
離れについて、「や、やっぱり私帰るね」と言い出す叶を無理に押し込んで、鍵をかけると、一気に体中の力が抜けて行くような気がした。何となく庭を歩いているうちは、誰かに見られているかのようで、気が気でなかったのに、今となっては何と簡単なことだったであろう。とうとう成功した、成功してしまったのである、叶を一目見た瞬間に思い描いていた夢が、一つ叶ったのみならず、この心の底から沸き起こる高揚感はなんだろうか。期待? それとも単に興奮しているだけ? いや、恐らくは彼女が隣に居ること、手を触れようとすれば触れられる位置に居ること、つまり、彼女に近づいたという事実が、嬉しくて嬉しくて仕方がないのだ。そしてそれが、自分の住処で起こっている、………俺は多分この時気持ち悪いくらいに笑っていたように思ふ。頭は冷静に叶をもてなしているつもりでも、行動の一つ一つに抜けている箇所が、どうしても出てしまって、土足のまま上がろうとしたり、段差に足をひっかけて転けそうになったり、お茶を溢しそうになったり、最初からひどい有り様であったが、彼女は引け目を感じながらも笑って、
「ほんとにどうしたの、熱でも出てるんじゃ、………」
と心配さえもしてきて、その優しさもまた、俺には嬉しくて仕方がなくって、ますます惚けてしまったように思われる。が、それが出たのは昼前のことだったろう、あの時俺は、目の前ある叶の乳房が大きく重たく膨れ上がっているのに対し、それを支える身体が余り痩せすぎている、それもただ単に痩せているのではなくて、こうして間近で見てみると、骨格からして華奢であるので、身長はどっこいどっこいでも(―――当時の俺は背が低かったのである)、どこか小さく感じられるし、そのために、余計に体と胸元の膨らみとが釣り合っていない上に、胸が重いのか、ふらふらとして上半身が風で煽られているかの如く触れる時がある、それが緊張で体が強張っている今でも起こるので、段々と心配になってきて、
「す、すごい部屋、………」
ときちんと正座をしながら目を輝かす彼女が、今にも倒れてしまいそうに思われたのだった。しかし惚けた少年の頭では、ああ言えば失礼だろうか、こう言えば婉曲的に尋ねられるだろうか、などと言ったことは考えられない。ただ、この眼の前に居るかぁいい少女が、かぁいくってしょうがない。あれ? 叶ってこんなにかぁいかっただろうか? と、彼女の一挙一動がなんだか魅力的に見えて来て、手の甲を掻くのすらもかぁいくって、言葉が詰まり、今や何とか頭に浮き出てきた単語を並べるのみ、彼女を一人部屋に残して外で気持ちを落ち着けようにも、今ここに叶が居るのだと思えばすぐさま頬が燃え上がってくる。再び部屋に入れば入ればで、自分の思い描いていたのよりかぁいい少女が、きちんと正座をしながらも、未だに目をキラキラとさせ、口をぽかんと開けて部屋中を眺めている。そんなだから、一層少年の頭は惚けてしまった。同時に、胸の前で、乳房を押しつぶしながらしっかりと握られている両の手が目について、その細さ、そのか弱さに惹き込まれて無遠慮に、
「ねぇ、前々から気になってたんだけど、どうしてそんなに細いの? どうしてそんなに痩せてるの?」
と、彼女の正面に座りながら聞いた。
「あっ、うっ、……」
「ん? だって手とか僕が握っても折れそうだし」
「え、えとね?」
「うん」
「その、食べては居るんですけれど、………」
叶はここに来てからすっかり敬語である。
「食べても食べても、全然身につかなくって、………その、おっぱいだけが大きくなってしまってるの。だから、こんなにガリガリ。骨も脆いそう。………あはは、なんだか骸骨みたいだね」
「全然笑い事じゃないんだけど」
「うん、ありがとう。それだけでも嬉しいな」
とにっこりするので、
「もう」
とにっこりとして返すと、叶はすっかり普段の無邪気な顔に戻った。
「あ、でね、もちろんお母さんも心配してくれて、お金が無いのに、私のためにたくさんご飯を作ってくれててね、―――」
「たくさんって、どのくらい?」
「えっと、………」
と言葉に詰まるので、
「まぁ、別に笑わないからさ。言ってごらん?」
とたしなめた。すると返ってきた言葉は、俺の想像を軽く飛び越していたのだった。
毎日微妙に違うから昨日のだけと、はにかんだ叶の昨夜の夕食は、米を4合、味噌汁が鍋一杯、豆腐を3丁肉豆腐、その肉も牛肉1キロ、半分を肉豆腐へ、半分を焼いて、野菜はキャベツとレタスと半々に、鶏胸肉2枚、パスタ500グラム、………を食した後に寒天のデザートを丼に一杯、食パンを2斤、牛乳一リットルで流し込んだ、と、ご飯中は喉が乾いて仕方がないと言って、水もペットボトルで2本計4リットル飲んだ、いつもこれくらいだが、それでも食欲が収まらない時は、さらにご飯を何合か炊いて卵粥として食べるのだと言う。
笑わないとは言ったけれども、流石に苦笑も出来ずに唖然とするばかりで、俺は、スポーツ選手でも食べきれない食い物が、一体全体、目の前で顔を覆って恥ずかしがる少女のどこに入って、どこに消えたのか、想像をたくましくすることしか出来なかったが、そうしているうちに、今日の朝はねと、朝食までおっしゃる。それもまた米が4合に、やっぱり味噌汁を鍋一杯。そして、知り合いが店を構えているとか何とかでくれる蕎麦を、両手で二束、大鍋で茹でてざる蕎麦に、インスタントラーメンを2人前、水を2リットル。言い忘れてけどご飯は大きなおにぎりとして、中に色々と具材を入れて食うと言って、最後に、デザートとは言い難いが、デザートとしてシリアルを、やっぱり牛乳1リットルかけて食べる。その後パンがあればあるだけ食べる。水も何リットルか飲む。で、大体食事の時間は1時間半から2時間くらいで終わるけれども、お腹が空いていたら30分でもこれだけの量は平らげられるらしい。
「いやいやいやいや、………えっ?」
俺のそんな反応も当然であろう。ところで以上の事を言った本人は、言っちゃった、恥ずかしい、と言ったきり黙って俯いているが、益々見窄らしく、小さく見え、やはり可哀想でならなかった。
ポーン、と鳴って、時計が12時を示した。叶の告白から随分時間が経ったように思っていたら、もうそんな時間である。空腹を訴えかけている腹には悪いが、今ここで食事の話題を振れば恐ろしい結果になるかもしれない、一応自分の昼食は、父上が予め出前を取ってくれたのが、さっき届いたからあるし、母上が夕食もと、下拵えだけして行った料理の数々があるので、それを二人で分けて、一緒に食べる予定ではあったのだが、しかし先の話が本当だとすれば、とても量が足りない。だが、恐ろしい物は逆に見たくなるのが、人間の常である。俺は、叶がご飯を食べている様を見たくてたまらなかった。普段、外食は両親に連れられてのものだったけれども、幸い街を歩けばいくらでも食事処にはありつける。日本食屋に、寿司屋に、洋食屋に、喫茶店に、中華料理屋に、蕎麦屋饂飩屋鰻屋カレー屋、果ては創作料理屋まであるから、彼女をそこに連れて行ってみてはどうか。もちろん一軒と言わずに何軒も訪れて、彼女が満足するまでたくさんご飯を食べさせてあげてみてはどうだろうか? 俺はそんなことを思って、心の内で嫌な笑みを浮かべていたのであったが、偶然か必然か、その思いつきは叶の願いにぴったり沿うのであった。
「あはは、………やっぱり引いた?」
と叶がもじもじしながら言う。
「若干だけど、驚いただけだよ」
「ほんとに?」
「ほんとほんと」
「じゃ、じゃあ、もう一つ打ち明けるんだけどね、………あ、本当に引かないでよ」
「大丈夫だって、言ってごらん?」
と言って顔を緩めると、叶は一つ深呼吸してから、もじもじさせている手を見つめながら口を開くのであった。
「えとね、私、………実はそれだけ食べても全然たりなくて、ずっとお腹が空いてるの」
「今も?」
「今も。ほら、―――」
叶が服の裾をめくり上げると、そこにはべっこりと凹んでいる腹が丸見えになる。
「すっかり元通りになっちゃった。君と会うために外に出た時は、まだぼっこりしてたんだけど、………」
「お昼は?」
「え?」
「お昼。お昼ごはん。どうするの?」
「我慢かなぁ。いつもお昼ごはんは給食だから、全然平気だよ!」
この時、図らずも俺の画策と、彼女の願い、というよりは欲望が、同じ方向を向いたことに歓喜したのは言うまでもない。俺はこの後のことをあまり覚えていないが、遠慮する叶に向かって、
「ご飯一緒に食べよう!!」
と無理やり立たせて、取ってあった出前を彼女の目の前に差し出したのは、微かに記憶に残っている。彼女はそれをぺろりと平らげた。口に入れる量、噛むスピード、飲み込む速度、どれもが尋常ではなく、するすると彼女の胃袋の中へと消えていった。母上が下ごしらえして行った料理もまた、子供では食べきれないほどあったが、5分とかからなかった。こちらは食べにくいものばかりであったけれども、叶は水を大量に飲みつつ、喉へと流し込んで行く。それがテレビでよく見る大食い自慢のそれとは違って、コクコクと可愛らしく飲むものだから、俺はうっとりとして彼女の様子を見つめていた。食べ終わってから、俺は彼女の腹部に触れさせてもらった。その腹は、3人前、4人前の量の食事が入ったとは思えないほど平たく、ぐるぐると唸って、今まさに消化中だと思うと、またもや俺の背中はバットで殴られたかのような衝撃に見舞われてしまった。ちょうど、叶の乳房に目を奪われた時と同じような衝撃である。思わず耳を叶のヘソの辺りに押し付けて、たった今食べ物だったものが排泄物になろうとしている音を聞く。ゴロゴロと、血管を通る血のような音だった。
「まだ食べられる?」
「もちろん!」
叶は元気よく答えた。俺は彼女がケチャップで赤くなってしまった口を、手渡されたナプキンで綺麗に拭き終わるのを待って、
「じゃあ、行こうか」
と、財布と上着を取りながら聞いた。
「どこへ?」
「今日はお腹いっぱいになるまで食べさせてあげるよ」
俺の昼食夕食を軽く平らげた彼女は、今更遅いというのに遠慮をするのであった。「いや、私、もうお腹いっぱいで」とか、「お金持ってない」とか、「別にいいって、いいってば」とか、終いには「ごめん、ごめんなさい」と言って泣き出しそうにもなったり、なんとかなだめて離れから飛び出ても、動こうとしなかったり、自分の家に入ろうとする。「だ、大丈夫! 嘘! 嘘だから! 忘れて! もう食べられないから!」など、矛盾に満ちた言葉を放っていたのは覚えている。俺はそれをなんとかなだめて、気持ちが先行してしまって不機嫌になりつつも、最終的には弱々しい彼女の腰を抱きかかえるようにして引っ張って行った。
「ごめんね、ごめんね。ちょっとでいいからね。私よりも君がたくさん食べてね」
と食べることには堪忍したらしい叶が、物悲しそうにしたのは、確か家からまっすぐ歩いて、3つめの交差点を曲がって、広めの県道を西に沿ってしばらく行った所にある小綺麗な中華料理屋だっただろう。前にも述べたが、俺はこの日のことをあまり詳しく憶えていないのである。何故この中華料理屋に訪れたかと言えば、ようやく落ち着いた叶に何が食べたい? と聞くと、渋々、春巻きが食べたいとの答えが返ってきたからであるのだが、この店は昔も今も量が多いとの文句が聞こえてくる名店で、俺はよく、父上が天津飯一つすら苦しんで食べていたのを思い出すのである。とまぁ、そんな店であるのだから、そんな店にありがちな、所謂デカ盛りメニューなるものがあって、例えば丼物、―――麻婆丼だったり、炒飯だったり、それこそ天津飯だったり、そういうのはだいたい揃ってるし、酢豚とか、八宝菜の定食メニューもそれ専用の器すらあったりする。そしてそれを30分以内に食べきったら無料なので、これならお金を気にする彼女も安心してくれるだろうと、少年は考えた訳であったが、いざ入ってみて、奥の席へ通されて、
「この春巻きを10人前と、デカ盛りメニューの麻婆丼一つと、それと僕は、………エビチリ定食をご飯少なめでください!」
と注文すると、
「ぼ、僕? 冗談で言ってる?」
と、まず俺を見、そして叶を見して怪訝な顔をするのであった。
「冗談じゃないよ。ねぇ?」
と叶を見るが、彼女は静かに俯いている。
「ま、そういうことだから、お金は出すんだから、早く! 早く!」
「でもね、これはとっても量が多いんだよ?」
「うん、知ってる。だけど叶ちゃんが全部食べてくれるから、平気だよ」
「え、えぇ、………? この子が? 嘘おっしゃい」
そういう押し問答は10分乃至15分は続いたのであったが、とうとう店側が折れる形で、俺達の前には山になった春巻きと、山になった麻婆丼と、それ比べればすずめの涙程のエビチリが、テーブルの上に現れたのであった。俺も驚いたし、店員も驚いたし、何より他の客の驚きようと言ったら無い。奥の席だったから、人気はあまりないものの、写真を撮る者、頑張れよと冷やかしてくる者、わざわざ席を変わってくる者も居れば、自分たちも負けじとデカ盛りメニューを頼む者も居る。彼らの興味は殆どテーブルの上に置かれた理不尽な量の料理と、それに向かう華奢な少女であったが、妙に俺は良い気になって、ピースして写真に写ったり、冷やかして来た者を煽ったりして、相手をしたものだった。本当に、あの時の俺は、自分が一時の有名人になったかのような心持ちで、サインでも握手でもしてやろうかと思った。いや、そんなことよりも、もっと写真に撮って、もっと騒ぎ立てて、もっと人を集めてくれという気持ちであった。有頂天と言っても良い状態だった。が、ふと叶の方を見てみると矢張り俯いたままでいる。―――あゝ、こんなに騒がしかったら美味しいものも美味しくは無いだろうな、早く食べないと冷えてしまう、それに、自分もお腹が空いて仕方がない、そろそろ追っ払おうかしらん。叶の様子にいくらか冷静になった俺はそう思ったのであった。
「ごめんね、彼女、恥ずかしがり屋だから、ほら、あっち行ってて」
そう言うと、店主のハラハラした視線だけはどうすることも出来なかったが、皆次第に散り散りになった。叶もまた、周りに人が居なくなって安心したのか、顔を上げる。
「騒がしかったね」
「うん」
「まったく、野次馬はいつもこうだよ」
「うん」
「足りなかったら、もう一つ頼むことにしようか」
「あ、あの、………」
「うん?」
「いただきます」
この時の彼女の心境は、後になって聞いたことがある。たった一言、ああいう状況に慣れていなかったせいで、食べて良いのか分からなかった、と。実際には、中華店へ入る前から匂いに釣られて腹が減って死にそうになっていたところに、いざ目の前に好物の春巻きと、こってりとした匂いを漂わせている麻婆丼が現れて、遠慮も恥も何もかも忘れて食らいつきたかったのだそうである。事実、麻婆丼は物凄い勢いで彼女の口の中へと消えていった。
ところで麻婆丼は、後で聞けば10人分の具材を使っているのだと言う。重さで言えば8.7キロ、米は5合6合はつぎ込んで、女性の店員では持ち運べないので、男が抱えなければならない。時たま米の分量を誤って、餡のマーボーが指定分乗り切らない時があって、そういう時は乗り切らなかった餡だけ別の器に盛って出す。かつて挑戦した者はたくさんいるが、無事にただで食べられたのはこれまで1人か2人くらい、それも大柄な男ばかりで、女性はまだだと言う。
そんな麻婆丼が、11歳の、それも痩せ細った体つきの少女の口の中へ消えていくのである。休むこと無く蓮華を動かし、時折春巻きを箸に取っては、殆ど一口で飲み込むが如く胃の中へ流し込み、真剣ながらも幸せの滲み出た顔をしながら、水をグイグイ飲む。見れば、心配で様子を見に来ていた店主は、いつの間にか厨房に引っ込んで呆れ顔をしている。叶はそれにも気が付かずに黙々と口を動かして、喉が微かに動いたかと思ったら、蓮華を丼の中に差し込んで、幸せそうな顔で頬張る。あれよあれよという間にもう半分である。こういうのは後半になればなるほど勢いが落ちるものだのに、叶の食べるスピードは落ちないどころか、ますます早くなっていく。やがて蓮華では一口一口の大きさが物足りないと感じたのか、一緒に付いてきたスプーンで上から米もろとも抉って食べる。叶は普段から綺麗に食べることを心がけていて、大口を開けて食い物を口へ運んだとしても、それが決して醜くなく、逆に、実に美味そうで食欲が掻き立てられる。優雅で、美しい食べ方は、彼女が言うには、体の動かし方が重要なのだと、かつて教えてもらったことがある。気がついた時には、もう普通の麻婆丼と殆ど変わらない分量になっていた。一個もらうつもりだった春巻きは、………もう無かった。
俺は、叶の料理を食べている姿をついに見ることが出来て、ただただ感激だった。先程は恐ろしい勢いで食べたと言っても、量は大食いの者ならば簡単に平らげる程度しか無かったのである。それが今や10人前の巨大な麻婆丼を前にして、淡々と頬張っていき、残るは殆ど一口のみになっている。彼女はここに来てようやくペースが落ちたのだが、その顔つき、その手付き、その姿勢からして、腹が一杯になったのではなくて、あれほどあった麻婆丼がとうとうここまで無くなったので、急に名残惜しくなったのであろう。その証拠に、一口一口、よく噛み締めて食べている。俺は、またもや背中をバットで殴られたかのような衝撃に身を震わせてしまい、その様子をじっくりと穴が空くほどに見つめていたのであったが、汗もかかずに平然と、最後の豆腐に口をつける彼女を見て、とうとう食欲がさっぱり無くなってしまった。代わりに無性に苛立つような、体の内側が燃えるような、そんな堪えきれない欲が体の中心から沸き起こってきて、今までそんなに気にしてなかった、―――実際は気にしないようにしていた胸元の膨らみが、途端に何かを唆しているように思えて、もっともっと叶の食事風景を見ていたくなった。
「ごちそうさまでした」
と、声がしたので見てみると、澄ました顔で水を飲んでいらっしゃる。俺は慌てて、店主がテーブルの上に乗せて行ったタイマーを止めて時間を見てみた。
「16分39秒」
「えっ? 食べ終わった?」
「ほんまに?」
「本当に一人で食べたんだろうか。………」
気がつけば観客たちがぞろぞろと戻ってきていた。彼らの様子は、もうあんまりくだくだしくなるから書かないが、俺はまたしても注目を浴びている彼女を見て、ただならぬ喜びを感じたということは、一言申し上げておく必要がある。少年は輪の中心に居る少女の手を取るに飽き足らず、その体に抱きついて(―――何と柔らかかったことか!)、
「やったね叶ちゃん。やっぱり出来るじゃないか」
と歓声を放ち、
「ほら、ほら、この子はデカ盛りを16分で食べきったんだぞ。男ならそれくらいできなきゃ」
と、まるで我が手柄のように、奮闘中の大学生らしき男性客に言うのであった。俺の感性はまたしても有頂天に上り詰めて、多幸感で身がふわふわと浮いていた。隣で叶がはにかんで居るのを見ては、優越感で酔っ払ってしまいそうだった、いや、酔いに酔って、―――彼女の隣に居るのは僕なんだぞ。少年はそう叫んだつもりであるのだが、実際には心の中で叫んだだけなようである。俺がこの日の記憶をおぼろげにしか覚えていないのは、そんな感情に身も心も流されていたからなのである。………
騒ぎが収まってから、俺は半分近く残っていたエビチリを叶にあげた。もちろんぺろりと平らげた訳なのだが、しかしその後余りにも平然としてデザートの杏仁豆腐を食べているので、ひょっとしたら、………というよりは、やっぱりそうなんだなと思って、
「もしかしてさ、もう一回くらいいける余裕ある?」
「あ、………もちろん」
もちろんの部分は小声で言うのであった。そして小声のままその後に続けて、今体験した感じで言うと、もう一回あのデカ盛りを食べるどころか、さらにもう一回くらいは多分入ると思う。なんて言っても、まだ空腹感が拭えない。実のことを言えば、あれだけ店主が期待させてくるから楽しみだったのだけれども、いざ出てきてみれば、美味しかったものの、いつも食べてる分量より少なかったから、拍子抜けしてしまった、30分という時間制限も、頑張ったらさっきの麻婆丼2つ分でも達成できると思う。いや、たぶん余裕だと思う、出来ることならもう一回挑戦してみたいが、あの騒ぎを起こされた後だとやる気は起きないかなと言う。少年は彼女の食欲が未だに失せないことに、感謝さえしそうであった。なぜかと言って、この日の俺の願望は、彼女の食事姿を眺めること、そして、街にある食事処をはしごして、彼女が満足するまでたくさんご飯を食べさせてあげること、―――この2つだったのである。しかし、前者は達成したからと言って、それが満足に値するかどうかは別な問題であって、既に願望が「彼女の食事姿を飽きるまで眺めること」となっていた当時の俺には、元々の望みなどどうでもよく、叶がお腹いっぱいになっちゃったなどと言う心配の方が、先に頭に上っていた。が、今の彼女の言葉を聞くに、彼女はまだまだ満足していない。腹で言えば、三分ほどしか胃袋を満たしていない。となれば、第二の願望である「彼女が満足するまでたくさんご飯を食べさせてあげること」を達成していない。然れば、僕が叶の食事風景を飽きるまで眺めるためにも、そして叶が満腹を感じるまでに食事を取るためにも、今日はこのまま延々と飯屋という飯屋を巡ってやろうではないか。そして、あのメルヘンチックな子供部屋で、二人で夜景を眺めようではないか。………斯くして三度、俺の願望と叶の欲とは一致してしまったのであった。
結局叶は、春巻きをもう一度10人前注文して幸せそうな顔で味わい、その間に俺は会計を済ましたのであったが、あっぱれと未だに称賛し続けている店主の計らいで杏仁豆腐分だけで済んでしまった。本当にあの体にあの量が入ってるとは信じられんとおっしゃっていたが、全くその通りであるので、店を出てから叶に断ってお腹に手を触れさせてもらったところ、ちょうど横隔膜の下辺りから股上までぽっこりと、あるところでは突き出ているようにして膨らんでいる。ここに8.7キロの麻婆丼と、春巻き20人前が入っているのである。ついでに水何リットルと、申し訳程度の定食が入っている。そう思うと、愛おしくなって手が勝手に動き初めてしまいそうになったけれども、人通りの多い道であるから、少年は軽く触れただけで、再び少女の手を引いて、街中を練り歩き出した。
それから家に帰るまでの出来事は、先の中華料理屋とだいたい似ているので詳しくは書かないが、何を食べたかぐらいは書いておこう。次に向かった店は近くにあったかつれつ屋で、ここで彼女は再びデカ盛りのカツ丼4.3キロを、今度は初めてと言うべき味に舌鼓をうちながらゆっくりと、しかしそれでも半額になる25分を6分24秒下回るペースで平らげ、次はカレーが食べたくなったと言って、1つ2つ角を曲がってよく知らないインドカレー屋に入り、ご飯を5回おかわり、ナンを10枚食べる。おぉ、すごいねぇ、とインド人が片言の日本語で歓声を上げるので、叶はどう反応していいのか分からずに、むず痒そうな顔を浮かべていた。で、次はラーメン屋が目についたので、特盛のチャーシュー麺と特盛の豚骨、そして追加で餃子を頼んで、伸びたらいけない、伸びたらいけないと念仏のように唱えながら、汁まで飲み干す。この時既に、一体何キロの料理が彼女の腹に入っていたのか、考えるだけでも恐ろしいので数えはしないが、店を出た時に少々フラフラとするから心配してみたところ、
「いや、体が重いだけで、お腹はまだ大丈夫」
という答えが返ってくる。事実、その移動ついでにドーナツを10個買うと、うち9個は叶の胃袋へ、うち1個は俺の胃袋へと収まった。そして今度は洋食屋に行きたいとご所望であったから、先の中華料理屋の向かい側にある何とか言う店に入って、ナポリタン、―――のデカ盛りを頼んで無料となる19分17秒で完食す。とまあ、こんな感じで店をはしごした訳であったが、その洋食屋を後にしてようやく、ちょっと苦しくなってきたと言い出したので、シメとして喫茶店のジャンボパフェを食べることにした。彼女にしてみれば、どれだけ苦しくても甘いものだけはいくらでも腹に入れられるのだそうで、その言葉通り、パフェに乗っていたアイスが溶けるまでにバケツのような器は空になっていた。そして、喫茶店を出た時、叶は急に俺の体に凭れかかってきたのであった。
「あ、あ、………苦しい、………これがお腹一杯って感覚なんだね」
と、俺の背中に手を回してすっかり抱きついてくる。うっとりとして、今が幸せの絶頂であるような顔をこちらに向けたり、道の向かい側に向けたりする。人目もはばからず、今にもキスしそうで、その実ゴロンと寝転がってしまうのではないかと思われる身のこなし。心ここにあらずと言ったような様子。………彼女は今言った量の料理を食べて初めて、満腹感を感じられたのであった。―――あゝ、とうとう僕の願望と叶ちゃんとの欲望が、叶い、そして満たされたしまったのだ。見よ見よこの満足そうな顔を。ここまで幸せそうな顔を浮かべている者を皆は知っているか。―――少年も嬉しさに涙さえ出てくるのを感じながら、抱きついてくる少女のお腹に手を触れさせた。妊娠どころか人が一人入っているかのようにパンパンに張って、元の病的なまでに窪んでいた腹はもうどこにもなかった。胸元だけではなく、腹部にある布地もはちきれそうになっていた。思えばここに全てが詰まっているのである。今日食べた何十キロという食べ物が、………そう考えれば本来の彼女の体重の半分近くが、この腹に収まって、今まさに消化されているのである。少年と少女はついに唇を重ねるや、そっとお腹に耳をつけてその音を聞いてみると、じゅるじゅると時々水っぽい音を立てながら、しかしグウウウ、………! と言った音が、この往来の激しい道沿いにおいても聞こえてきて、この可愛らしい少女からこんな生々しい、胎児が聞くような音を立てているとは! 途端に、股間の辺りから妙な、濁流を決壊寸前の堤防で堰き止めているかのような、耐え難い感覚がして、少年は咄嗟に彼女から身を引いた。今度の今度は背中をバットで殴られたような衝撃ではなく、内側からぷくぷくと太って破裂してしまいそうな、死を感じるほどのねっとりとした何かだった。そしてそれは何故か叶の体、―――特に異様に膨らんだ胸元と腹を見るだけでも沸き起こってくるのであった。少年は恐怖で怯えきってしまった。この得体の知れない感覚が怖くて仕方なかった。目の前でふらふらとしている少女から逃げたくもなった。が、無情なことに、その少女はうっとりと近づいてきて、少年の体にすがりつくので、彼は逃げようにも逃げられず、為されるがままに、その痩せきってはいるけれども上半身の異様に膨れた体を抱いてやって、少女の希望ゆえにお腹を両手で支えながら帰路につくのであった。
「お母さんに何言われるか分からないから、楽になるまで遊んで」
離れに戻ってから、叶はそう言って俺の体に寄りかかってきた。道沿いでしてきた時はまだ遠慮があったらしく、俺はすっかり重くなった彼女の体を支えきれずにベッドに倒れてしまい、じっと見つめる格好になったのであるが、そのうちに堪えきれなくなって、どちらからともなく、
「あははは」
「あははは」
と笑い出した。
「ねぇねぇ」
「うん?」
「さっきキスしてきたでしょ」
「………うん」
俺はこっ恥ずかしくなって、素っ気なく答えた。
「もう一度しない?」
「………うん」
今度はしっかりと叶の顔を見つめながら答えた。
これで俺たちは二度目の接吻をした訳であるが、俺の手はその後、自然に彼女の胸に行った。この時、叶の方がベッドに大きく寝そべっていたので、俺の方が彼女より頭一つ下がった位置にあり、目の前で上下する乳房が気になったのかもしれない。俺の手が触れた時、彼女はピクリと体を震わせただけで、その熱っぽい顔はじっとこちらを向けていた。嫌がっている様子が見えないとなれば、少年は図に乗って、両手を突き出して乳房に触れるのであったが、それでも少女は何も言わない。思えば、少年が恋する少女の胸に手をかけた初めての時であった。やわらかく、あたたかく、頭ぐらい大きく、手を突っ込めばいくらでもズブズブと沈み込んでいき、寄せれば盛り上がり、揉めば指が飲み込まれ、掬い上げれば重く、少年はいつまででも触っていられそうな感じがした。と、その時気がついたことに、着ている物の感触として、女性にはあって然るべき重要な衣服の感覚が無いのである。
「ぶ、ぶ、ぶ、ぶらは、………?」
と少年は何度もどもりながら聞いた。
「高くって買えないの。………それに、おっぱいが大きすぎて店に行っても売ってないの。………」
と少女は儚げな表情を、赤らめた顔に浮かべる。
それきり、言葉は無かった。少年も少女も、大人にしか許されざる行為に、罪悪感と背徳感を感じて何も言い出せないのである。少年の方は、父上の言いつけに背くばかりか、この部屋に連れ込んで淫らな行為に及んでいるがため、少女の方は、相手が自分の手に届かない物持ちの息子であることから、果たしてこんなことをして良いのかと迷っているところに、突然の出来事舞い込んできたため。しかし両者とも、気が高揚して、場の雰囲気もそういうものでないから、止めるに止められない。そして、どうしてその行動を取ったのか分からないが、少年は少女に跨って下半身を曝け出し、少女もまた裾を捲って肩まで曝け出した。玉のような肌をしながらも、はちきれんばかりになったお腹に、少年はまず驚いた。驚いてグルグルと唸るそれを撫で擦り、次に仰向けになっているのにしっかりと上を向く、丸い乳房に目を奪われた。生で触った彼女の乳房は、服を通して触るよりも、何十倍も心地が良かった。少年は、少女の腹を押しつぶさないように、腰を浮かしながら、曝け出した物を乳房と乳房が作る谷間の間に据えた。と、同時に少女が頷いた。右手で左の乳房を取り、左手で右の乳房を取り、間に己の物を入れて、すっぽりと挟み込み、少年は腰を前後に振り始めた。―――少年が射精を憶えた初めての時であった。
叶の腹がほぼ元通りに収まったのは、日も暮れかかった頃であったろうか、彼女を無事家まで送って行き、すっかり寂しくなった部屋で、俺はその日を終えたのであるが、それからというもの、お話をするという日課は無くなって、代わりに、休みの日になると叶を引き連れて、街にある食事処を次々に訪れては大量に注文し、訪れてはテーブルを一杯にし、訪れては客を呼び寄せる。その度に彼女は幸せそうな顔を浮かべて料理を平らげ、満足そうな顔を浮かべて店を後にし、日の最後は必ずその体を俺に凭れさせる。彼女にとって嬉しかったのは、そうやっていくら食っても俺の懐が傷まないことで、というのは、だいたいどこの店にもデカ盛りを制限時間内に食べられれば無料になるとか、半額になるとか、そんなキャンペーンをやっているのだけれども、叶はその半分の時間で完食してしまうのである。「頑張ったら、別に2倍にしても時間内に食べられるよ」と言って、見事に成し遂げたこともあった。その店には以降出入り禁止になってしまったけれども、痛いのはそれくらいで、俺は俺の願望を、叶は叶の欲望を満たす日々を送ったのであった。
だが、叶を初めて連れて行ってから一ヶ月ほど経った時の事、父上に呼ばれて書斎へと向かうと、いつもは朗らかな父上が、パソコンの前で真剣な表情で睨んで来ていらっしゃった。俺は咄嗟に叶との行動が知れたのだなと感づいて、心臓をドキドキと打たせていると、
「まぁ、別に怒りはしないから、隣に来てくれ」
とおっしゃるので、すぐ傍にあった椅子に腰掛けて、父上が真剣に見ていたであろうパソコンの画面を見てみた。そこには家中に配置されている監視カメラの映像が映し出されていたのであったが、その映像をよく見てみると、若い少年と少女が手を繋いで庭を渡る様子と、端に俺が叶を連れ込んだ日の日付と時間が刻銘に刻まれているのである。俺は頭が真白になって、どういい訳をしたらいいのか、どうやれば許して頂けるのか、―――そういう言葉ばかりが浮かんで結局何も考えられなかったが、兎に角、叶と会っていたことが父上にバレた、それだけははっきりと分かった。
「この映像に思い当たる節はないか?」
無いと言っても、そこに写っている少年の顔は俺であるし、後ろ姿も俺であるし、背丈も俺であるし、況や叶をや。言い訳をしたところで、事実は事実である上に、父上に向かってこれ以上見苦しい姿を見せたくなかったし、嘘を言うなんて事は俺には出来ないので、正直に告白することにした。もちろん、彼女に一杯物を食べさせてたなんて言うべきではないから、ただ一言会っていたとだけ伝えることにした。
「ふむ、正直でよいよい。そんなとこだろう。いや、それにしても、いきなり自分の部屋に連れ込むとは」
と、一転して朗らかになったので、急に恥ずかしくなってきて、キュッと縮こまったのであった。
ところで俺がこの監視カメラを甘く見ていたのには、少しばかり理由がある。1つには、庭は木が生い茂っていて見通しが悪いこと、そしてもう1つには、子供部屋として使っている離れには設置していないこと、だから俺はあの日の朝、部屋にさえ連れ込んだらこちらのものと思っていたのであったが、それ以上の理由として、父上がその防犯カメラの映像をあまりチェックし給はないことが挙げられる。父上は抑止力としてカメラを設置していらっしゃるだけで、その映像を見ることは月に一回あるかないか、それもたまに半年間もすっぽ抜かすこともあれば、チェックをするのも適当に何日かを選んで、早送りをして見るだけというずさんさがあった。俺はしばしばその様子を眺める機会があったのだが、いまいち鮮明でない画面であるがゆえに、もはや人が居るかどうかが辛うじて分かる程度であった。だから、俺はあの時、叶を部屋に連れ込んだとしても、見つかるはずは無いと高をくくっていたのである。
で、子供が一人で家の中で何をしているのか気になった父上が、ひょんなことから防犯カメラの映像を、ぼんやり眺めていると、何者かと共に離れにまで入っていく事を確認し、それが何とも見窄らしい格好をした少女であるから、2、3回繰り返して見ているうちに、隣家の貧家の娘であることに気がついたのであろう。
俺はそれから、また真剣な顔つきになった父上に、たんまりと諭されてしまった。この住宅街は、その大半が一般庶���の暮らしている家で埋められているのであるが、とある一画にだけは物騒な人(に売られる)が住んでいる。不幸なことにこの家を建てる時に、上手い土地が無かったために、ある一つの家を挟んで、そこと向かい合わせになってしまった。それならば、せめて家の裏にして、木で生け垣を作って完璧に仲を隔ててしまおうと思って、お前の部屋からも分かる通り、風景は見えるようにだけしたのである。もちろん、それなら別に他の所に住めば良いではないかと思うかもしれないが、しかしこの地は俺が子供時代に何年か過ごしたことがある土地であって、そして、お前のお母さんの生まれ育った土地である。つまりは夫婦の思い出の地であって、(言葉を濁しながら、)つまりは俺もお前と同じ穴の狢であるから、近所に住む女の子を一人や二人呼んだところで何も言いはしない。が、裏にある地区だけはダメだ。別にそういう地区ではないが、何しろ物騒な噂ばかり聞く。で、彼女の家はそんな地区と我々とのちょうど境目に建っていて、一番可哀想な境遇を経ているのであるが、向こうから色々と入れ知恵されていると人はよく言う。もし問題が起これば面倒事になるかもしれないし、お前に怪我でもあったら良くない。実際、昔お前のお母さんの友人が、あの地区にいる人といざ��ざを起こした時に、上辺だけは丸く済んだけれども、その後に復讐として連れ去られそうになったことがあった。彼らは放っておくとどこまで非情なことをするのか分からない。だからあの言いつけはお前を心配してのことだったのだ。そもそも、俺はお前にはもっとふさわしい女性とお付き合いしてほしい。ほら、一人二人くらい学校で仲良くなった子は居るだろう。いたらぜひ言ってくれと、最終的には学校生活の話をするのであったが、父上は諭している途中ずっと真面目であった。俺はそれをふんふんと頷きながら、その実父上がそういうことを話てくれることが嬉しくて、内容はあまり耳に入ってなかった。ただ叶が可哀想なんだなと思うくらいで、始まった父上の詰りに、すっかり考えを逸らされてしまったのであったのだが、
「しかし、可愛い子だな。あんな家に住ませておくのがもったいない。転校して会えなくなる前に、分かれの挨拶くらいは許してやるから、やっておけよ」
と、突然父上が衝撃的な事を言ってのけるので、
「え? 転校?」
と聞き返してしまった。全く、転校するなどとは俺には初耳で、椅子の上でぽかんと口を開けたまま固まってしまった。
「もう少ししたら、気晴らしに別荘の方で何年か過ごすからな、―――あゝ、そうそう本当に何年間かだぞ、一週間などではなくて。だからそのつもりでな」
俺はぽかんと口を開けたまま固まってしまった。
それからは急に頭がぼんやりとしてしまって、引っ越しまでどう過ごしたのか憶えて居ない。ただ、最後に叶に会ったことだけは憶えていて、彼女は泣いていたように思う。ようやく自分が満足する量の食事を隔週ではあるけれども、取っている彼女の体つきは、微かに肉付きがよくなっているのだが矢張りガリガリに痩せ細っていた。逆に、胸元だけは一層膨らみ始めていて、その大きさはバレーボールよりも大きかった。俺は木陰に入って、最後にもう一度触らせてもらった。もうこれが最後だと思うと、お腹にも耳を当てた。朝食後直ぐに出てきたというその腹からは、矢張りゴロゴロと中で何かが蠢く音が聞こえてきた。そして泣いて泣いて仕方がない彼女と最後のキスをして、また会う約束を交わして、蕾を付け始めた桜の花を、雲の下にてあわれに見ながら袂を分かった。
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