東鹿越駅~富良野駅 Hgashi-shikagoe Station~Furano Station
北海道空知郡南富良野町~富良野市 Minami-furano-cho, Sorachi-gun~Furano-shi, Hokkaido, Japan
2023/08
根室本線・富良野駅~新得駅間が2024年3月末をもって廃止となります。
この車窓からの景色は、来年の4月以降、見られなくなります。夕方に撮った為か、なんだかちょっともの悲しげな感じになりました😔
そして、久しぶりに涼しい北海道を体感。夕方からは寒い位で、富良野駅の待合室は暖房が効いていました😄
この次の週からは、北海道もかなり暑くなっていたようですが。
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6章終わった、ヒースクリフ~~~…の感想まとめ続きから
自分メモに近い
【上】
・0章?で、ヒースクリフにシンクレアが撲殺されてるのがめちゃくちゃ好きで、そのあともずっと若干根に持ってたら良いなって思ってて…
だから、何かあったら力づくで自分を止めてくれとヒースが言ったときのシーンで、シンクレアが「頭を強く突く位はいいんじゃないですか?」て言ったの嬉しすぎた しかもあの笑い方で…
撲殺されたの踏まえての発言…だよね?!
・シンクレアを掃除屋の真似して怖がらせるロージャ可愛すぎるし、その光景があまりにも和み
5章の無人船でホンルにも脅されてたし、根本的にホラーが苦手なんだろうな…ロージャとホンルに定期的に怖い話大会されててほしい
・キャシーより、の手紙を読み上げさせられて照れ気味のヒース、そしてそれをからかうロージャとグレゴールのやり取り本当にかわいい
思春期DKが親戚の年上2人にからかわれる奴じゃん!
・あとラブレターの下りまじでまじでまじで良すぎ
本と黒板だけを見ながら必死に勉強だけやってきたんです!的にキッてなってるの良すぎ お付き合い経験はなしの可能性高ということでいいですか
・ドンキはあんま図星言うてやるな!でも段々ドンキにもギャンッて言い返せるようになってるシンクレアもまた良し
・おめかしヒースクリフかわいすぎる スタイリスト担当ろじゃほんるありがとうありがとうありがとう
【中】
・デッドラビッツボスの正体が…良すぎたよ~~~!
バトル開始時気付いてなくて、ただ立ち姿?とか攻撃スキル名とかであれ…?てなりはじめて…からのあの流れ、本当に良すぎた
・でもめちゃくちゃ苦戦した 中指ドンキムルソーのお陰でなんとか突破しました
・憤怒の象徴的なヒースクリフが、自分の過去と向き合う中で見せるのが…そりゃ激しい憤怒でもあるんだけど、まっすぐな怒りではなくて…それこそ袋に死体がぐちゃぐちゃに詰め込まれるように、怒り以外の卑屈、嫉妬、悲しさ、愛着、色んな感情が入り混じったものなんだろうなって感じがすごく…よかった
・あとヒンドリーに対し、多分今までの旅路がなかったら結構直情的に怒りをぶつけていたんだろうが、今までの旅路で変わったからこそ若干哀れみの方が強い感じで見られるようになってるんだろうなって感じが…怒りが高まって、ある段階でスッ…と怒りの波が引くような反応をするのが印象的だった
・でもゴミカスホームレス呼びがあまりにも直球悪口ホームランすぎて若干笑ってしまった そんなこと…言うな!
・イサンマジでかわいそうだ
4章で自分の生み出した技術、九人会に向き合い、全てに向き合い、自分で決断していく(流され受け入れることをやめる)決意をしたんだろうな、て思ってるけど…マジで…過去の幸せな思い出を構成する要素のほとんどが…再会するたびに心を刺してくるの…辛かろう がんばれ…がんばれ…
・ヒンドリー、生家に対する絶望と傷つけられたという記憶が彼の根底に流れているからこそ、地獄に果てがなかったんだろうな
地獄はその人の心が画角を決めるから、その人の心の一番柔らかく温かい所に成りえた家がそれに絡みついてると心底地獄だ
・過去のヒースクリフがヒンドリーの心を決定的に壊したあの一言、あの舞台を作り上げてしまった全てにおいて…もはや両方が加害者で被害者だったんだろうけど それでも…決定的に誰かの心を壊してしまうと、両者とももう取り返しがつかなくなる、それは傷つけられた側も勿論だけど傷つけた側も同様で…
人に嫌われる、を通り越して恨まれる、そこまで行ってしまうともう…
【下】
・別の世界のヒースクリフ~~~!!!泣
囚人ヒースクリフも何度も言ってたけど、変わりたいと思う事、その難しさ、しんどさ…本当…悲痛で…
何度も歯を食いしばって、こういう風にあれたらいい、という形にしがみついて、でも事あるごとに今までの苦労を全部自分で台無しにしてしまうような綻びが露呈して、自分に心底がっかりして、惨めに思って、もしかしたら変われたかもしれない、善くなれたのかもしれない、なんて気持ちを抱いた自分があまりにも馬鹿らしく思えて…
人が自分を変えたいと思うときって、その繰り返ししかないもんな…
繰り返ししかないんだけど、繰り返すしかない
・そしてネリー!!!泣
ネリーなんとなく不穏だな…と思ってたんだけど、彼女があの行動に至った理由が語られた後、めちゃくちゃ好きになってしまった~…
・自分の幸せの為に、消したくないと言い切れる大事な思い出を共にした人たちを切り捨てる決断ができる人だ
でも自分の幸せを追求すること、それも大事なことだ…
キャサリンとの思い出は大事、キャサリンやヒースクリフの事を憎み切ってしまっているわけではない…というような意図にとったけど
多分、自分の幸せを追いたいけど、キャサリンやヒースを裏切ることはできない…であのまま苦悶し続けるといつかはその二人の事も憎み切ってしまっていたのではないかと思うから、そうなるまえに…憎み切る前に、切り捨てたのは優しさでもあるなあと感じた
・鏡技術が、それまでのすべての価値基準を切り捨てさせる恐ろしさ…てことでもあるんだろうけど
・やはりリンバスのキャサリンも、ヒースクリフの幸せを一番に願っての行動だった…そしてそれがヒースクリフに届いた、ていうのが本当に嬉しかった…
・最後の色んな世界の二人、おそらく対応する世界が表示されるタイミングが微妙にずれてるのも悲しくて良かったな
・ヒースクリフの発言の「学がねえ上に性格まで汚ぇから罵ることも多い」とか、すごく卑屈な発言が多いんだけど…卑屈、妬みを感じている事をあんま隠す気なさそうなのがすごく好きだけどな
他の囚人ってあんまり卑屈な発言はしない気がする
ありそうだとしたらシンクレアだけど、卑屈というか気弱な発言が多い気がするし
自信がないからこそ妬み僻み嫉妬する、手に入れたくて足掻く、自信がないから向き合えない、負のループだね…
・clear…章タイトルに即したギミックも面白かったけど、やっぱラストのパッシブがあまりにも良い ヒースクリフの意地を見せてもらった…仲間が残っている限り、決して倒れないって…さ~~!!
・ヴェルのあの演出も本当によかった、ルイナラスト周辺のあの演出が大好きだったからさ…あまりにも格好良い…赤い視線~~!!そりゃドンキもああなるよな…てなった
でも全然そのギミックに気付いてなかったから、大罪たちとマジで無限バトル繰り広げすげー疲弊した
でも湧き出続ける百鬼夜行の絶望感を味わうためには必要だったのかも
・ムルソーのあの鎖のシーンも…自分で考えてその時やるべきことをやるために動いてくれて、ホンルも思ったことをそのまんまいうんじゃなくて大分言葉を選んでた感じが…担当章経てない囚人達も変わっていってる感じが…ぐっとくるな…ヒースが今回屋上に至れたのも、これまでの旅路あっての事なんだろうな
・六章クリア後、他の鏡世界のストーリーの「キャシー」の部分の表記やボイスが黒塗り、ノイズ、で徹底的に消し去られているのを見返すとつくづく…六章~…
・でも本当、指輪が残っていてよかったなあ
死体袋の台詞変化嬉しく悲しい
どんなバラバラ死体になっても指輪無くしませんように…みんな回収手伝って!!!!
ーーーーーー
シンクレア、イシュメ章が結構明確に過去の仇との決別!!感が強かったので、六章の荒涼とした読後感がなんだかすごく新鮮だった
でもとってもよかった
ヒースクリフが六章開始時点でワザリング・ハイツと向き合う勇気を得ていたこと、そしてそれはきっと今までの旅路によって得たものであるという事
様々な悪意や利己的な欲望に絡み取られながらも、自分がどうすればよかったのか、という事にも気付けたこと
人生でただ一つ、それだけ手にはいればもう他に何もいらない、というものに出会えていたのに、それがどうやっても手に入らないという事が分かってしまった後…それでも生き続けるしかないこと、どうやって生きていくかという事、それが見られて…なんかすごくよかったなあ…
「強い怒り」に支配されている、という点でイシュメールと似ていると思ったけど、やはり全然違ったのが面白かったな~…
イシュメは結局誰かに自分のコンパスをゆだねてしまった自分との決着が一番にあって(あとクィークエグは死んでしまった、と何年かかけて受け入れていたのもでかそう)、
ヒースクリフはキャサリンがいるからこそ成し得る幸せが一番にあったから…一人だけでは成し得ない(と本人が思っている)人生の幸せ、てのが大分違ったのかなあ
キャサリンを生き返らせるていうのはもうほぼ確実に無理なんだろう、というのは本人もわかったうえで、世界から消されたキャサリンを取り戻すことを人生の新しい目標にしつつ、「こうでなければ幸せになれない」ていう鎖から解かれた状態で、新しいドアを開けて、そこから見る人生を…歩いて行ってほし~…
心が縛られていなければ、きっと新しい幸せも、苦しさも、出会うものだと思うし(それは絶対に「それまで求めていたもの」とは違うけども…)
そういう意味でも、やっぱり1・2章(グレゴロージャ)とちょっと似た終わり方だったなと思う。
個人的にはグレゴールとロージャは絶対に今後まだ色々あると思ってる…あの二人は自分の感情も隠せるし、諦めを手段として使える大人だから、担当章を経て自分の人生を歩む気持ちを強く持ち直しはしたけども、まだ果たしたいことが残っているのではないかな、と思うから…
1・2章組は明確に仇といえる存在を~というより、自分の人生を歩む決意を新たにし、3・4・5章は仇敵を倒して…というか自分の罪を見出し乗り越える決意をし、6章は罪と向き合ったことによって新しい目標を得た、て感じなのかなあ
ーーーー
なにはともあれ6章完結おめでとうございました!
メイドバトラー人格実装楽しみ!!!!!
バトラーファウファウに出てた詰めの甘い新人バトラーシンクレア人格もお見せいただけるんですよね!?楽しみ!!
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P3 Club Book Koromaru short story scan and transcription.
虎狼丸の優雅な一日
初夏の爽やかな日差しが心地よい日��日。今日もなかなかの散歩日和だ。少し早めに出かけて、少し寄り道をするのもいいかもしれない。明確な言葉によるものではないが、だいたいそんなことを考えつつ、その柴犬は神社の石畳から身を起こして軽くあくびをした。
犬の名はコロマル。正式には虎狼丸と書くのだが、本人 (本犬?) は字が読めないので、とくにその違いにこだわりはない。彼がこだわっているのは、毎日の散歩。先日、彼の飼い主である神社の神主が事故で亡くなって以来、新しく神社の主となった人間は、最低限必要な食事は出してくれるものの、散歩に連れて行ったり頭をなでてくれたりはしない。コロマル自身、前の飼い主だけが唯一の主人であると思っており、もし新たな神主が散歩に連れて行こうとしたとしても、以前のルートを変えるなど考えもつかないことだった。なので、今日もコロマルは散歩に行く。まず、長鳴神社からムーンライトブリッジを超えてポートアイランドの駅前まで。その後、再びブリッジから蔵戸台方面に戻り、町をぐるりと巡ってから神社に戻る。これが、毎日の長い散歩のロードマップ。
「わん!」
人間の言葉に直せば、さあ行くか、といった感じだろうか。コロマルは一声鳴くと、いつもののんびりとしたペースで歩き出した。
「あ、コロ助、おはよ!」
ふと、かけられた声に、コロマルは面倒くさそうに顔を向ける。それは、三つ編みの髪を頭の両側でお団子にした、小学生くらいの女の子。いつも、夕方ごろに神社で遊んでいる子だ。
実を言うと、コロマルはこの子が少し苦手だった。嫌いなわけではないのだが、ややコロマルを構いすぎる傾向にあるのだ。大人と比べて体温が高い子供が、気温が高い日にむしゃぶりつくように抱きしめてくることを想像してほしい。毛皮に覆われたコロマルの苦労は、その想像の軽く上をいくものだ。ただし、慈悲深いコロマルは、そんな女の子も無下には扱わない。この子がわりと苦労人であることを、コロマルは知っているのだ。そうしょっちゅうではないが、この子の両親は酷いケンカをするらしく、夕刻の神社で悲しみをこらえるようにコロマルに抱きついてくることがある。群れで暮らす犬族は、それこそ家族や仲間は命に等しい。それが仲良く暮らせない悲しみは、いかほどのものだろうか?そう思うと、コロマルは多少うっとうしくても、彼女に優しくせずにはいられないのである。
「あ、もう時間だ。ごめんねコロちゃん、舞子もう行かなきゃ。あーあ、塾面倒くさいなあ」
そう言って、彼女はコロマルの頭をひとなですると、廠戸台商店街方面へと歩み去った。うん、これぐらいのスキンシップが、コロマルにとってはちょうどいい。少し気分を良くして、コロマルも再び歩み始めたのだった。
潮の香りがする中、コロマルはムーンライトブリッジをてくてく進む。人間は、ここを観光地とかいう扱いでありがたがって見に来るらしいのだが、コロマルにとっては散歩ルート中もっとも退屈な行程である。というのも、橋の手すりが高すぎて、コロマルの体高では絶景と噂の風景も見えないからだ。しかも、やたらとたくさんの自動車が前から後ろから突っ走ってきて、危ないわ埃っぽいわ、嫌な油臭い空気を吐き出すわで不愉快ですらある。
であるからして、コロマルはこの場所を無心で歩く。なるべく潮の匂いにだけ集中し、遠くに見えるポロニアンモールの丸いドームを目指してずんずん歩く。時おり、ランニング中の人間が立ち止まって手を伸ばしてきたりするが、それも可能な限り無視してひたすら前へ。
しかし、それでも2度呼ばれると、つい立ち止まってしまう。コロマルが行ってやらないと、呼んだ人間は時々えらく傷ついた顔をすることがあるのだ。人間を傷つけることは、コロマルの本意ではない。なので、コロマルはあくまで “仕方なく” 人間に思うさま頭をなでさせる。コロマルはそういう自分の性格を時おり誇らしくすら思っているが、じつはなでられている間、ついつい尻尾を振ってしまっていることには気づいていない。コロマルはそんな犬だった。
「あれー、コロちゃん?こんなとこまでお散歩に来てるの?」
「あ、ホントだ。健脚だね〜」
ポロニアンモールに来たところで、厳戸台あたりでよく見る女子高校生に出会った。いつもの制服姿ではなく私服姿。セミロングの髪の子は、ピンクのタンクトップにデニムのジーンズ、ショートの髪の小さい子の方は、水色のワンピースを着ている。もっとも、犬であるコロマルにとって、服の違いは別にどうでもいいのだが。
このふたりは、けっこうコロマルのお気に入りである。水色ワンピースの子は、動物の扱い方を心得ているのか、コロマルが気持ちいい場所を的確になでてくれる。タンクトップの子は、なでかたこそ普通だが、あまりベタベタしようとしない点で好感が持てる。コロマルに触りたいという気持ちは、たくさん伝わってくるので、むしろもっと触ってくれてもいいのに、と思うことすらある。もし犬の言葉がわかる人がいれば、遠慮しないでいいよと言ってあげたいほどだ。まあ、そうそう都合のいいことはないと、犬ながらに買いコロマルはそう思う。
「あ、コロちゃん、こういうの食べるかな?」
そう言って、水色ワンピースの子が手に提げていた袋から何かを取り出す。赤いビニールに包まれた、棒状の何か。漂ってくるかすかな匂いに、ある期待を抱き、思わずコロマルの尾がぶんぶんと大振りになった。
「あれ?ソーセージじゃん。どーしたの?」
「え?あ、た、たまには自分で料理しようかと思って······さっきデパートで、ちょっと」
「ふー���、風花も料理したりするんだ」
「ま、まあね。あはははは」
ワンピースの子は何か焦った様子だが、すでにコロマルは、想像の中に広がるソーセージの味で心が一杯になっている。ワンピースの子は、そんなコロマルの期待に応えるように、できるだけ意いでビニールをむいてくれた。
「はい、どうぞ」
「わん!」
礼を言うのもそこそこに、コロマルはソーセージにかぶりついた。そういえば、朝食をとってからけっこうな時間が過ぎている。ちょうどいいタイミングの思わぬ幸運に、コロマルの心にじんわり幸せが広がっていく。やはり、何かを食べているときが、いちばん幸せだ。それがとくに、好きな人が手ずから食べさせてくれるとあれば、それ以上何を望むことがあろうか。
欠片ひとつ残さずにコロマルはソーセージをたいらげ、もう一度「わん」と礼を言う。
「どういたしまして」
とワンピースの子が答え、買い物の続きがあるからと、コロマルをひとなでしてどこかの店へと向かってふたりは歩き出した。ごくまれにだが、このようにコロマルの意思が、人間に通じているように思えることがある。それは単なる錯覚や勘違いかもしれないが、それもまたコロマルに満足感を与えることのひとつなのだ。
ともあれ、コロマルは今日彼女たちに会えた幸運に感謝しつつ、散歩の続きを楽しむことにした。いずれ、コロマルは先ほどの想像どおり彼の言葉を理解できる存在と出会い、この日もっとも幸運だったことは、ワンピースの子がくれた食物が “調理前” だったことにあったのだと知るのだが、それはまた別の話である。
散歩の折り返し点、ポートアイランド駅に着いたときには、太陽は南天を過ぎ、もっとも暑い時間帯を迎えていた。駅そばにあるオープンテラスのカフェは、日曜ということもあって満員。いつもなら、ここで小腹が空くタイミングとなるために、カフェの客に愛想を振りまいたりすることもあるのだが、今日はもらったソーセージのおかげでその必要もない。
とりあえず、涼しい日陰でも探そうかとコロマルが駅前広場を見回したとき、ぞわり、と背中の毛 が逆立つような感覚がした。無意識に、尻尾が丸くなって足の間に挟みこまれる。コロマルは、その感覚に覚えがあった。
--いた。
花塩そばのベンチに座った、白いドレスの少女。手には大きめのスケッチブックを持ち、空ろな目でしばし前を見つめては、手元に目線を移して右手を動かす。その作業を、少女はひたすら続けている。
コロマルは、あまりこの少女に近づいたことがない。別に危害を加えられた訳ではない。ただ、以前1度だけ、少女の前方にいたときにじっとあの目で見つめられた。それだけだ。その目が、コロマルは今も怖くて仕方がない。
言葉を持たないコロマルは、その印象をうまくまとめることはできないが、あえて説明するとしたら、それは生き物としてはありえないほどの、虚無に満ちた視線だった。コロマルの目からは、少女は既に死者に等しく見えた。
だが、そんな少女が。
「······おいで」
なんと、コロマルを認めて声をかけてきたのである。一瞬のためらいののちに、コロマルは少女のほうへと近寄った。丸めた尻尾は、気力を振り絞って常態に戻している。少女に対しておびえを見せることが、何となく申し訳なく思えたからだ。それがなぜかは、わからない。
コロマルが近寄ると、少女は手に持ったスケッチブックを数枚めくり、やがてコロマルにひとつの絵を示した。強弱が定まらない輪郭線、不安定な色彩。正直、犬であるコロマルに絵の良し悪しはわかりはしないのだが、その絵からは何か圧倒されるものが伝わってきた。それは、この世のすべての生き物が恐れるべく定められた、“死” そのもののイメージだった。
「······これ、お前よ」
その言葉に、コロマルは首をかしげて再び絵を見る。よくわからない。だが、コロマルの生き物としての鋭敏な感覚が、その絵にこめられた別のイメージを感じ取った。
これは、憧れ?
紙の上にすみずみまで満ち溢れる、死というマイナスイメージの中、ほんのかすかに匂う生への憧れというプラス。それはまるで、地平線まで広がる黒々とした底なし沼の真ん中から、すがるように空に向かって伸ばされた白い手。
「普通は······誰かに見せたりしないけど······お前は、勝手にモデルにしたから、一応······」
目を合わせず、言い訳するように少女は呟き、そそくさとスケッチブックを畳んでしまう。
「く~ん」
と、コロマルは、甘えるように鼻を鳴らす。少女に付きまとう、得体の知れない死のイメージは微塵も薄れてはいないが、それでも小さな小さな助けを呼ぶような気配が気になった。だが、少女にはそんな想いは通じず--。
小さな体に不釣合いな大きさのスケッチブックを抱え、少女は無言で立ち去ってしまった。
自分には、あの虚無から彼女を助けることはできない。それを本能的に知覚し、コロマルは少し悲しくなる。そしてコロマルは気づく。
--誰かを守れる力が欲しい。
そんな想いが、自分でも意外なほどに、強く強く満ち溢れていることに。それは、愛する主人を突然の事故で亡くして以来、自分の気づかない場所で、静かにっていた火だった。
それから、コロマルは沈んだ気分を晴らすように、ポートアイランド駅近辺をたっぷり散策した。今日はなかなか面白い人間が多く、別に吠えたり呻ったりもしていないのに「ちょっと!アタシは犬って苦手なのよ!犬は悪い人がわかるって言うし、アタシなんか噛まれるに違いないんだからね!しっし!訴えて慰謝料とるわよっ!」と叫ぶ中年男にじゃれ付いたり、なにやら月高の女生徒を付け回す同じく月高の男子生徒を、真似して尾行してみたりした。そして、ほんの少し気持ちが復活したところで、コロマルはポートアイランドをあとにして、行きと同じ道を辿って帰路に着く。
ポロニアンモールで立ち話をする主婦の、買い物袋から漂う匂いの誘惑に打ち勝ち、相変わらず埃っぽくて油臭いムーンライトブリッジをずんずん進み、ほんのちょっと厳戸台駅前に寄り道をする。これもいつものルート。
このあたりに来ると、昼が長い夏とは言え、すっかり日は傾きかけていた。駅前商店街に多数存在する食べ物屋からは、それぞれに違ったいい匂いが漂ってくる。とくに気になるのが、香ばしく焦げたソースの匂い。前に1度だけ食べたことがある、たこ焼きの匂いである。
ちょっとした気まぐれで、店主が散歩中のコロマルに投げてよこしたたこ焼きは、今までに経験のない美味だった。
「ホンマは犬猫にタコやイカはあかんのやけどな。ウチのはほら、タコ入ってへんから」
店主はそんなことを言っていたが、コロマルにとってはどうでもいいことである。ただ、もう1度だけ店主が気まぐれを起こしてくれないかと、このあたりで足を止める癖がついてしまったのが、我ながら情けない。
空腹をこらえながら、コロマルは商店街を進む。今日はあいにく、コロマルに食べ物を恵んでくれる気になる人間はいないようだ。いつも新しい神主が提供してくれる食事は、コロマルにとってはやや物足りない分量である。今日はちょっと疲れたので、もしかするとあれでは足りないかもしれない。今夜は、空腹をこらえて寝るしかないかと、コロマルが覚悟したとき。
「よう、コロちゃんじゃねえか」
後ろからかかる声。
大きく尻尾を振って、コロマルは声の主のもとに走り寄った。亡くなった主人を除けば、おそらくコロマルがもっとも大好きな人間だ。
「ほら、焦るなって」
そういって、その人は懐から容器を取り出し、地面に置いて開けてくれる。中身は何か肉を煮込んだもの。巌戸台商店街やポートアイランドでよく見かけるその人は、いつの頃からか、定期的にコロマルに食べ物を持ってきてくれるようになっていた。口調は乱暴だが、優しい人だ。
「よし、いいぜ。食えよ」
いつものことだが、コロマルは律儀に一声吠えて礼をいい、それから出された食事を食べ始める。あまり味を気にしないコロマルだが、その肉は絶品だった。濃すぎない味付け、適度な歯ごたえ、神社で出されるドッグフードとは雲泥の差である。食べながらコロマルは思う。色々あったが、今日は総じていい日だった。明日もいい日になるだろうか?
どちらにせよ、コロマルは毎日を精一杯生きるだけだし、日課の散歩も変わらないだろう。手が届く範囲の幸せ、それを守ることがコロマルの重要事であり、それは確かに、生き物すべての真理なのである。
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0721
��昨日は財布とスマホを忘れて労働に出かけてしまった。気づいたのは電車の中で、あちゃーとは思ったけどまあでもパスモ(クレカと一体型のやつ)があるからべつに平気だなと思ってすぐあきらめた。待ち合わせの予定とかもなかったし。こういうときに限って何か緊急の連絡が…とはちょっと思ったけど、一月に義父が亡くなったばかりだからしばらくそういうことはあるまいと思った。またそういうことがあるかもとはあんまり考えない。こういうのって性格なのかな。誰からも何も来ないに千円と頭の中で賭けた。
つまりわたしは労働に遅刻しないよう、わざわざ引き返さなくたって平気だと自分に言い聞かせているのだろうかとちょっと思った。そんなに遅刻をおそれているのか。ちょっとくらい遅刻したって気にしない感じの方がいいのに��と思う。自分も周囲も。わたしは電車とか待ち合わせとか映画の上映開始時間とか、いつもいろんなことがギリギリで、ギリギリまで仕度ができないタイプなんだから大手を振って遅刻しちゃえばいいのに毎度バタバタ走って大汗をかいている。悪あがき。一生こうやって走っているんだろうかとときどき恥ずかしくなる。
さっき電車に乗り込むとき、ホームと電車のすきまに靴を落としてしまった人がいた。すきまにかかとを引っかけて転んでしまったようで、一瞬迷ったけどわたしも電車を降り、大丈夫ですかと声をかけた。このときはまだ自分が財布とスマホを忘れてきたことに気づいていないのが、なんか昔話の正直者っぽいムーブだな……。人助けってほどのことでもないけど、うっかり者で正直者のなんとか太郎的な。
でもそんなんではないな、昔話の無償の正直さではないな。自分も乗りたい電車に遅れそうでしょっちゅう走っているタイプだから味方したくなったってだけかもしれない。自分ももうずっと前、学生時代、靴をホームのすきまに落としたことがあって、東中野の駅で足を踏み外して体ごと落っこちかけたのを近くにいた人がすぐ引っ張り上げてくれた。そのときは演劇のフライヤーを業者に届けに行く用事でかなり重たい紙袋を持っていた。よく引っ張ってもらえたなと思った。そういう善意の循環……みたいなことを考えるとなんかちょっと気味が悪いような気もする。これはわたしがひねくれているだけかも。
転んだ人は声をかけられてかえって恥ずかしいかもしれないと思って、駅員さんが来るまでなんとなく近くで見守り、駅員さんはすぐ来たので車輌ひとつぶんくらい離れたところに移動した。そして、電車一本くらい見送ったっていいや、多少遅刻してもいいやという判断をした自分に酔っていないか?みたいなことも思った。多少の遅刻は気にならない自分をやりたかったんではないか。なんだか心臓がばくばくし、さっきその人が転んで尻もちをついたとき、プリキュアみたいな絵面と一瞬重なった。スカートが広がった感じと手に握ったままのハンディ扇風機がなんか魔法少女みたいだなと思った。それがうしろめたくて声をかけたのかもしれない……とかも考えた。
なので財布もスマホも忘れてきたと気づいたときちょっとほっとした気持ちもあった。慣れない善意のようなことをしたからそれと釣り合いがとれているような気がした。バチが当たるの逆みたいな。
そういうことを考えていたら電車はすぐ着いて、財布もスマホも持っていないのに水筒と読みかけの本は持って会社に出かけるのなんか優雅だな…と思った。あとタオルと日傘と飴。リュックの中で水筒の氷がカラカラ鳴って、このごろ水筒には冷たいお茶を入れているから、歩くたび遠足の子どもみたいな音がする。
読みかけの本はレアード・ハント『インディアナ、インディアナ』。柴田元幸訳。柴田元幸だから読んでみるというのは武豊が乗るから買っておくみたいな感じ? わかんない。インディアナ〜は難解な小説ではないと思うんだけど、ゆっくり読まないとすぐなんだかよくわからなくなる小説。もうあと少しで読み終わるんだけど、読み落としているところがたくさんある気がして行きつ戻りつ読んでいて、今はもっかい最初からゆっくり読み直している。
「ヴァージルの死ぬ間際にノアはもう緑の印は見つかったかとヴァージルに訊いて見つかったならどこにあるのか教えてくれと頼んだがヴァージルは長いあいだノアの顔を見てそれから眠りに落ちそれから目ざめてノアの顔を見てそれからまた眠りに落ちた。」だいたいこういう感じ。辛抱強く話を聞くみたいな小説で、いつかこういうの書きたいな、書けたらなあと思う。このそれからが3回続くの、自分だと書くのに勇気がいると思うし、書いたとしても書いたぞってあざとさが出てしまう気がする。
お昼は会社の横に来ていたフードトラックでタコスを食べた。パスモで支払えた。白いタコスには鶏肉、ピンクの生地には牛肉の赤ワイン煮込み、黒っぽい生地にはサボテン?を何か和えたやつ。三個入り。キウイのサルサが辛くて美味しかった。スマホを持っていたらぜったい写真を撮っていたなと思った。
並んでいるとき、トラックに据えた鉄板の火が消えてしまったようで店の人が五分くらい格闘していた。しばらくチャッカマンをカチカチやっていたけどたぶんチャッカマンも燃料切れのようで、ぜんぜん火がつかない。ライターでやろうとしてなかなかうまくいかず、昼休みの五分くらいってけっこう長く感じるしかなり人も並んでいたんだけど、その人はまるで焦らず黙々とやっていたのですごいなーと思った。焦りが顔に出ないタイプなだけかもしれないけど。べつに誰にも謝らず、普通に注文を受け普通にタコスを包んでとやっていて、そうだよなあと思った。
労働を終えまっすぐ帰宅したらスマホにはやはり誰からも連絡は来ていなくて、千円勝ったと思った。千円くらい何か食べようと思った。わざわざ夜出かけるのめんどくさいなとは思ったけど、金曜の夜でほんとは寄り道したかったのだから出かけたい気持ちが勝った。
ぶらっと出てみたらいつもより涼しくて、どこまでも散歩できそうな気持ちのいい晩だった。ぶらぶら歩き、なんとなく電車に乗っていた。夜だから上り電車は空いていて、定期圏内の、でもあまり降りる用事がない駅のちょっと歩いたところにある中華料理屋というか定食屋というか、カツカレーが美味しいらしいので前から行ってみたかった。ふだんぜんぜん用事のない、買い物に行くような街でもない、誰も知り合いもいない駅。ここでわたしが何か交通事故とかにあって死んじゃったりしたら、なんであんなところにいたんだろうと家族は不思議に思うんだろうな……とあまり行かない場所に出かけるたび思う。
駅を降りたら書店があったので覗いてみた。雑誌と漫画と学参の棚が大きい、ちょっと広めの店舗の懐かしい感じの書店。気になっている本のリストを頭に浮かべながら物色し、目当てのいくつかは置いていないようだったけど、そういえばしゃしゃさんの本が今日発売日じゃなかったっけと思って探した。『蒼き太陽の詩』。1,2巻は棚に差してあったけど今日発売の3巻はなかった。レジに持って行って、これの3巻もありますかと尋ねたら奥から出してきてくれた。ラスト一冊でしたと教えてくれた。あっ善意と思った。カツカレーを食べながら読んだ。
『蒼き太陽の詩』は、アラビアンファンタジーというのかな、双子の王子が国王の座をめぐって殺し合う……というワクワクハラハラする物語。砂漠の王国が舞台の大長編で、読みやすくてぐいぐい進んだ。『インディアナ、インディアナ』を読んでいたから余計にそう思うのかも。壮麗な織物みたいな物語で、読んでいるとキャラクターたちの声が聞こえてくるし人や周りの風景が目に浮かぶ。生き生きとしている。これアニメになったらいいなーと思った。赤将軍のユングヴィはファイルーズあいさんがいいな……。
カツカレーの店は、客はわたしだけで、店のおじいさんは座敷でテレビを見ていた。テーブルにハイボールのコップとつまみがいくつか並んでいて、わたしが来たのでおじいさんはちょっと慌てたようすで、でもにこやかに注文をとってくれた。すっかりすり減った畳が赤くなっていて、ちょっと緊張した。あまりきれいでない状態に緊張するのもあるし、よそものが入ってきてすみませんみたいな緊張感もある。テーブルはきれいに拭かれていた。揚げたてのカツが大きくて、油と肉汁がジュワッと溢れてきてすごく美味しかった。カレーは濃くて、柔らかくほぐれた牛肉もけっこう大きいしたくさん入っていた。たしかにうまい。がつがつ食べるうちにだんだん体のこわばりがほどけた。
テレビの音がものすごく大きくて閉口したけど、カツを揚げ終えたおじいさんが汗をぬぐいながら夢中で見ているのがなんかよかった。『チコちゃんに叱られる』というやつ?初めて見た。音が大きいから見てしまう。ボーッと生きてるんじゃねえよってこれかと思った。Vtuberっぽい。おじいさんが何度もはははと笑った。どうしてゴルフボールの表面にでこぼこがあるのかというのをとても真剣に見ているので、ひととおり解説が終わるのを待って会計を頼んだ。
家に帰ったら板垣さんがツイッターでスペースをやっていたので、洗い物や洗濯物などを片付けながら聞いた。どうやら同じ大学出身だったことがわかって思わず話しかけてしまった。一日いろいろカラフルでなんか気持ちが興奮していたのか、やけにたくさんしゃべってしまって、恥ずかしくなって寝た。文フリの話とか小説の話。
千葉雅也『エレクトリック』、わたしは父親がエロいのがいいと思った。と言ったんだけど、なんていうの、エロいって言い方はちょっとちがう気もするんだけどエロく書くことのすごさがあってそれをそう受け取りたいというか……。これは『サバービアの憂鬱』で読んだんだったかな、「男性は会社(仕事)に嫁ぐ」というのを思い出したの。大場正明『サバービアの憂鬱 「郊外」の誕生とその爆発的発展の過程』。うろおぼえだからちょっとちがうかもだけど、男性が会社(仕事)に対して「嫁」になってしまう、みたいな。父親の人妻的な感じ。そういうエロさ。舞台の宇都宮も郊外(サバービア)だなと思った。そしてそういう小説の、文章自体がヘテロでない感じがあって、すごくよかった。多くの小説の文章が意識的にも無意識的にも備えている、当然の「調べ」みたいなものがあんまりない文章だと思った。
『エレクトリック』の前後で読んでいた、数年前の文藝賞の作品が、なんかこうすごくどヘテロだったのもあってそう思ったんだと思う。ヘテロが悪いわけではもちろんないけどよくもわるくもどヘテロ、ザ・調べという感じで、この作品のどこらへんがわたしは苦手だったのかを語ろうとすると、そこに糸口があるみたいな話。
なんていうの、村上春樹に文句言ってる場合じゃないくらい若い作家の新しい作品がめちゃめちゃ古いジェンダー観で、読んでいて作品の面白さとかすごさはわかるような気はしたんだけど、でもこれをよしとするんだなあ、帯に誰々氏が激賞と書いてあるけどそうなんだ?!みたいな驚きは、やはりあった。ジェンダー観もそうだし、地方や精神障害者への偏見を強化するような感じもあって気になった。「壮大な作品」「圧倒的な熱量」「知識と想像力を駆使し」と帯に書かれていたけど、わたしは読んでいて小ささや狭さの方が目についた。
いやわざとそう書いている、いかにもなステレオタイプをやることに意味がある作品なんだろうとは思った。仕掛けというか。でも意味があるんですよと書くずるさというか……。ステレオタイプをなぞり続けたい、そのようにして書けるものに作家は意味を見出したいし、どうしても興味がある。それってフェチではあるよなあと思うんだけど、ステレオタイプをフェチと指摘されることってあんまりない気がする。
偏見の強化によって生まれる痛み、それを感じない場所に作家は立っていて、痛みを感じる人のこともあまり見えない。いや見えてはいるかもしんないけど、自分の書くこの作品とはさほど関係ないと思っている? それは別の作家、何かそれにふさわしい属性を持った作家がやることであって自分の作品では関係ない。おそらくは無自覚な特権があり、特権って言うと反発したくなると思うけど……みたいなことを思って、うーーんとなった。やつあたりかもしんないけど。作品名出さずに書いてるからなんのこっちゃって感じだと思うけど。
まあ小説ってそんなに読まれないんだろうなと思った。読む人そんなにいないから、これのここってどうなのみたいな話題にのぼることってあんまりない。漫画とはそこがちがう。あとまあわたしが純文学、文芸誌とその賞にそれなりに夢をもっている(もっちゃっている)ふしはあるな…。
そしてこの作品の直後にC・パム・ジャン『その丘が黄金ならば』を読んであーーーこういうのが好きだ〜〜と思って、なんかそういう不満のようなものはふっとんだ。大きい。大きい小説。こういうのがいい。小さい小説がだめなわけではぜんぜんないけど、大きい話を書こうとしたものが狭苦しく感じられるのはやはりつらい。あと長さもよかった。四六版で384ページ。父親が亡くなり子どもたちが埋葬の旅に出る…という筋書きで、本のけっこう前半で埋葬は済んじゃう。その後が長いのがよかった。純文学系の賞はちょっと短いのかもしれない。「自分の書くこの作品とはさほど関係ない」と書いたけど、まあだって短いもんなー。読む人にも書く人にも。この長さの話はもうちょっと掘り下げたい。日記に書きたいことっていろいろあるな。長くなったのでまた今度。
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230812
朝、5:30に起床。
新幹線に乗るために早起き。したけれど、彼が切符を忘れてしまい、指定席の席には座れなかった。少し遅れた自由席。難なく座れてよかった。
名古屋につく。
レンタカーで山に登って景色を眺めて、水族館にいった。
あつくて、ねむくて、あまり覚えていない。
AM1:05。
海がくる音がする。
台風が近いからだろうか少し乱暴な波。
今日を終わらせるのがもったいなくて、日記をかく。
彼がいびきをかいている。
波といびきって似ている。波は海の息吹のかたち。
布団にいくと彼のいびきがうるさくて、起こしたら「いい夢みていたのに」と怒られた。
何の夢だったかは忘れていた。
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230813
朝、窓の外が明るい。
すっかり日がのぼっている。
せっかく海がみえる部屋なのだから、早起きして日の出を見ればよかった。けど、まだ生まれたばかりの太陽で、新しい光が海をきらきらさせて、きれいだった。
あつくなりきる前に、伊勢神宮にいきたくて、朝食を食べてすぐ、ビーチホテルを出た。
ほんとうに近くに海があったのに、海には一度も行かなかった。
行きたいと訴えるわたしの中のちいさな子を理性がいなした。大人になった。もう30歳だし。
そして、その選択は間違ってなくて、世界は狂ったようにあつく、わたしたちは歩いて10分程で、ソフトクリームを手にしていた。
(海に行ったら行ったで、きっと海に行ってよかったと思ったのだろう)
汗をながし、たどり着いた伊勢神宮のことはよく分からなかった。罰当たりだろうか。
あつくてあつくて、あつかったのだ。
お昼に、少し高いところにある喫茶店で食べたカレーが素敵だった。
またたくまに思い出になっていく今が、あつさにかすんでゆくけれど、写真には、たしかにわたしたちがあそこにいたということが残っていて、旅行を満喫していた。楽しかった。
ユニクロで、汗で湿った服を着替えて、新幹線で赤福を食べたところまで旅行だった。あっという間に。
電車を降りると、リンリンと虫が鳴いていて、もう秋になるらしい。
まだこんなにもあついのに。
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230814
朝、彼を見送りに駅まで歩く。
路面が濡れていて、雨が降っていたらしい。
湿度はあるけれど、涼しくて、意外と朝早くから活動している人がいることを知る。AM4:30。
次に会えるのは9月。
いつも我慢すること、我慢しなかった。
ひとり暮らしの部屋をみて「あなたはがんばっているね」と言ってくれた。もうがんばるのにも疲れてしまって、一緒に北海道にいきたかった、あのとき。
そうしたっていいのに。私は自由なのに。
何にこだわり、しがみついているのか。
白んでいた空が青に染まっていく。
あとちょっと、あと半年。
人生のうちのたった半年。わたしのペースでがんばるから、みていて。
ヨーグルトを食べながらちょっと泣いた。AM5:30。
パキポディウムが大きく葉を伸ばしている。
去年の夏は葉を枯らしてしまっていたけれど、今年はほんとうにのびのびとしている。
鉢が窮屈そう。植え替えしてあげたい。
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2024/03/11
8月32日
(季節外れの詩を供養します🙏)
溶けていった制服の紺色
汗で滲んでいく視界
はじまりとさようならは似た色をしている
夕方と夜が混ざり合って
曖昧な顔でわたしを見つめる
定期券を握りしめて
一両だけの電車を待つ
待っている人はわたしだけで
みんなどこかに消えてしまった気分だ
日付は夏の終わりを示していて
まだ肌を突き刺すほどに暑いのに
秋を呼ばなくてはならないと知った
止まってしまいそうなこの瞬間も
いつかは消えてしまう
喉を通り抜けていく
透明な水が涼しい
耳を澄ませると
蝉たちの合唱が聴こえる
目を閉じれば
瞼の裏には向日葵畑が焼き付いている
景色を嗅げば
潮の香りが漂い始める
わたしはまだ夏を終わせたくないようだ
足は自然に駅から離れていく
まだ続きを望んだなら
季節を巻き戻すように
青空に向かって
走っていこう
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FREEDOM UNIVERSE " 秋 "
10月も終わりですね~。
いよいよ秋本番!!ってな感じになりましたので【 Freedom Universe 】 第3弾のご紹介をさせていただきます。
今回の基本モデルは、Rhino-4st.。
気になるお題は「秋」、そして『 紅葉(こうよう) 』です。
F.U. Rhino-4st. FT / 紅葉
(これまでのおさらい)
・第1弾…テーマは「春」
モデル:Hydra LS-22F
インレイ:桜
カラー:夜桜
記事はコチラ 👈 クリック
・第2弾…テーマは「夏」
モデル:Dulake-5st.
インレイ:海
カラー:浅瀬から深海グラーデーション
記事はコチラ 👈 クリック
今回の企画を考えていた時は、まさか今年の夏がこんなに長いなんて思っていませんでしたので、ご紹介するのをちょっと躊躇しちゃっていました!
なんて、本当は文章を書くのが遅くて気が付いたら涼しくなってきただけなんですけどね(笑)。
実は今回のRhino-4の基本アイディアはコロナ禍で残念ながら開催されなかった " 2020年楽器フェア " に出展予定だった物を復活させたのですぐに決まったのですが、そこはやはり 【 Freedom Universe 】なので、当時のスペックから相当ブラッシュアップしてあります!
《 ネック 》
● ネック:インディアン・ローズウッド
ネック材はヘッドから丸々と、音響特性にも定評があるローズウッドにしてみました。
もちろん指板も、同一材を貼り合わせてありますよ~。
● 指板インレイについて
今回も指板のインレイは、インレイワーク専門工房 『 OGAWA INLAY CRAFT 』 さんに入れてもらいました!!
・OGAWA INLAY CRAFTさんのオフィシャルウェブサイト
👉 https://ogawainlay.com/
過去2回の【 Freedom Universe 】で、『 OGAWA INLAY CRAFT 』 さんには何度もデザインをやり直してもらったり等、ご迷惑をおかけした反省も踏まえて、今回は先にラフスケッチをお送りしてからご依頼させていただきました。
その後「 2023ハンドクラフトギターフェス 」で直接打ち合わせも出来たので、過去2回よりはスムーズには進みましたが、しかし!色々とわがまま放題なお願いもしてしまいました・・・スミマセン!!
僕:今回のテーマが「秋」と『 紅葉(こうよう) 』なので、もみじだけではなく銀杏等も入れて、色味も赤だけじゃなく黄色や緑、さらにはグラーデーションもかかっている葉っぱをフレイム(虎杢)のスタビライズドウッドでお願いします!
と、言いたい放題、わがまま放題なお願いにも関わらず、様々なトライアウトを経て仕上げて頂きました。
そして、インレイが入って出来上がったネックを見た瞬間に思った事は、「まるで絵画の様な仕上がり!美し過ぎるでしょ!!」でした。
杢目と相まったグラデーション、染色の濃淡を活用した紅葉や銀杏は気品溢れるカラフルな風合いを醸し、まさに「秋」のイメージにぴったりの仕上がりになりました!
《 ボディ 》
● ボディトップ材:キルテッドメイプル
ボディトップはキルテッドメイプルですが、全面にキルテッドが入っている物ではなく1/3位バール部分がある、非常にレアな物を使いました。
でもね、この手の材料ってなかなか使いづらいんです…
個人的にはキルテッドの杢も深くてギラギラしてIるし、バールもバランス良く共存している感じの大きさだから結構好きなんですけど、木取りに関してはどっちを上にするとカッコ良い?とか悩む、作りて泣かせの材なのですが今回は敢えて使ってみました!
だって【 Freedom Universe 】だから!
そんなこんな悩みつつも仕上がってみたら、びっくりです。
ボディ上部のキルテッドからバールに変わっていく流れや、丁度ブリッジ搭載部をよけてバールが出ている等々、まるでこのベースの為に生まれた材料みたいな感じで、奇跡的に狙い通りとなりました!
● ボディバック材:ホンジュラスマホガニー 1P
ボディバックは1ピースのホンジュラスマホガニーを、贅沢に使っています!
最初は2ピースの予定だったんですが、丁度いい感じの2ピース材がなかったので、イイ感じの1ピース材にしちゃいました。
だって【 Freedom Universe 】だから!!
● カラー:紅葉グラデーション
ボディカラーは「紅葉」をイメージしたグラデーションカラーで仕上げてもらいました。
ボディの上から下へ向かうにつれ、キルテッドからバールへと変化してゆく流れが、ハラハラと地に舞い降りた紅葉を想像させ、カラーと相まってより一層「秋」を感じさせるアクセントになっています。
指板インレイとのマッチングもドンピシャリ!で、狙い通りカッコよく仕上がっていますね~。
● ピックガード:アクリルクリア 1P "カスミ柄"
「秋+紅葉」と言えば「=旅」でしょう!ということで、弊社営業担当の小野から飛び出たピックガードのイメージ…
「古い感じの旅館にある、模様入り硝子窓」
…そんなリクエストにお応えするため、今回はピックガードもちょ���と変わった素材を使っています。
一見クリア(透明)のピックガードじゃん?って思うかもしれませんが、実は表面がデコボコしていて光の当たり方で見た目も変わるんです!
そして、ちょっとだけピックガードがある所と無い所の見た目が違うところなんて、「古い旅館の窓ガラスから見える紅葉」な風景が浮かんでくるじゃないですか。
同じアクリルクリア素材でも単なる艶消しやちょっと黄色がかった物も試してみたのですが、イメージ的にこれに決まりました。
だって【 Freedom Universe 】だし、前から使ってみたかったので!!
【 Freedom Universe 】だから!っていい言葉ですね~。
木工職人的には絶対カッコいい杢目なんだけど、材の状態で説明しても完成イメージが伝わらないし、伝えづらいし…とか、個人的には好きだけどこれはちょっとハードルが高いな~…、ていうような材料を使ってギターやベース作ってもいいんですよ(笑)。
もちろんカッコ悪くなったりとかしたら大問題なのでプレッシャーは相当ありますが、今の所は大丈夫かな・・・
てな感じで、今回も音に関しては弊社営業担当でベーシストでもある民谷にお願いしました。
《 インプレ 》
ネックグリップや指板R、フレット形状、そしてピックアップやプリアンプ等に関しましては、Rhino-4st.のデフォルト仕様 (Standard Style)ですので、その辺に関しましては割愛させていただきます。
自分らで企画しておいてこんなこと言うのもなんですが、一瞬試奏するのを躊躇うほどでした。
それほど眩く綺麗な楽器に仕上がりっています。
ボディ材にメイプル・トップ、ホンジュラスマホガニー・バック仕様のRhinoは今までも製作したことはありますので、何となく音のイメージはついたのですが、やはり今回のポイントはローズウッド・ネックでしょう。
基本的には暖かみのある中低域寄りの音ではありますが、このモデルはトップにメイプルを貼ることで程良いアタックを含ませ、そこにローズウッド・ネックによる低域をタイトに締めた分離感のあるトーンが、スピーディで細かいパッセージのベースラインでも音像にメリハリを持たせ、一音一音が「見える」ベース・サウンドとなっております。
一言で表しますと「強い音」のひとつに属するかと思います。
これがまたパッシブでも " グリグリ " くる音なので、「プリアンプは無くても良かったのでは?」なんて一瞬頭を過ぎりましたが、この上質で「強い」パッシブ・サウンドを活かし過度な色付けをせずに、様々な使用状況での外部機器や音場に準じたアジャストをする為の補正ツールとして、弊社オリジナルプリアンプの効き目は秀逸だと思いましたので、結果オーライでしょう。
【 Freedom Universe 】だからって言うのもなんですが、今回もやはり才色兼備の逸品には間違いないと思います。
以上、試奏現場から民谷でした。
今回ご紹介した F.U. Rhino-4st. FT / 紅葉 はShop & Show Room 『 Universal Space 』 で試奏&ご購入可能ですので、是非弾いてみてください(ご来店にはご予約が必要です)!
弊社25周年Annive.期間は後ちょっとですが、まだまだネタはありますので頑張ります!
そして先にお伝えしときます!
次の【 Freedom Universe 】のお題は、「冬」です。
それ以外は内緒ですので、乞うご期待ください(笑)。
木工長:郷右近
新Shop & Show Room
『 Universal Space 』がオープンしました!!
https://global.fcgrtokyo.com/ja/universal-space.html
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「何もないところ」
2年前に首都圏からここに引っ越してきたときに、あるお店の人が私に言った。「よくこんな何もないところまで来ましたねえ」。それは、「ようこそ、何もないところですが」といった歓迎の気持ちを込めた言葉だったと思うが、こんな風に言われてしまう「何もないところ」ってかわいそうだな、とちょっと思った。
確かに、「〇〇市」と言えば、「ああ、あの観光名所で有名ですよね」と言われるようなところは数多くある。しかしよく考えてみれば、それよりもはるかに多くの市町村などが、「それ、どのあたりですか?」と言われるような、聞いたこともないような名前の場所だろう。読み方がわからないものもあれば、自分が住んでいる県の町でも場所があまりよくわからない、何があるのかわからない、という場合もある。
そんな「何もないところ」の一つに引っ越してきた私の新たな趣味がウォーキングだ。「何もない」ということは、都会にはない視界が開けた風景がすぐ近くにあるということ。それで、歩くのが楽しくなったのだ。そして、遠くを見ることが多くなったから、視力もよくなった。そんな場所を歩いていると、いろいろな発見がある。同じ道を歩いていても、時間帯や季節によって、「何もないところ」は異なる表情を見せる。それらを写真に残してみると、あることに気づく。あれ、これが「何もない」場所なんだろうか、いろいろあるじゃないか、と。
「何もなく」ても、そこで生活し、学校で勉強し、あるいは仕事をしている人がいる。毎日、夕暮れ時には家々に灯りがともり、海岸沿いにある工場の煙突からは絶えず白煙が出ている。洋上風力発電のための風車も回っている。都心に行った帰り道、高速道路を走る車からこれらが見えると、ああ、家に帰ってきたな、と思う。私にとって一番好きな場所は、今、住んでいるところなのだ。そういった「何もない」ところでも、人々の日々の営みがあることを愛おしく思う。
どんな場所にも、その場所なりに美しい風景がきっとあるだろう。多くの「何もない」と思われている場所にも、必ず何かあるはず。もしあなたが今、住んでいる場所をあまり気に入っていなかったとしたら、今日、少しだけ歩いてみて、見つけてみませんか。
神栖(かみす)市(茨城県)
市役所裏の緑地公園。1周4.4キロの池があり、10種類以上の野鳥が見られる
ウィンド・パワーかみす第1洋上風力発電所。神栖市は、日本初の本格的な洋上風力発電所が誕生した場所。誰もいない海岸で景色を満喫できる
息栖(いきす)神社。鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)と香取神宮(千葉県香取市)とあわせて東国三社とされる。鹿島神宮、香取神宮までは、それぞれ車で20分ほど。東国三社に共通のお守りがあり、本体となる木のお守りをどこか1社で買い、残り二社で、色の異なるシールを購入して本体に貼れば完成(最初の1社のシールはすでに貼られてある)。
季節によって、この景色は変わる。冬は緑がなく、一面、荒涼とした砂漠のよう
地元の人ですらほとんど行かない夕日スポット、なさか夕日の郷公園
イギリスで出会った景色と一瞬、似て見えた(?)風景
*ここまで読んで、神栖市に関心を持ってくれた方へ。神栖市がどこにあるかは、市のキャラクター、カミスココくんが、ものすごくわかりやすく示してくれています(頭は茨城県の形。神栖市はココよ、と教えてくれています)。ちなみに、好物はナタデココみたいです。
カミスココくんプロフィール / 茨城県神栖市 (city.kamisu.ibaraki.jp)
*ほとんど誰からも注目されない場所が、日の光を浴びてきらきら輝いている。そんなところを歩くときに気分を一層盛り上げてくれるのが、この音楽。
(278) "Say So" - Doja Cat - Cover (Violin) - YouTube
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2023.8.20
わたしのヒースクリフ、好天が続いて朝の時点でわたしは汗まみれ。朝はだいたい一番目に仕事先に着くので、当然空調が入っていない。SECOM(ではないがよく似たもの)解除して鍵を開け、ドアを開けるとふわっと涼しいが、それは前日の空調ののこり。仕事用の制服を身につけ、パソコンを立ち上げながらカーテンを開けているうちにじっとり汗をかき始めて、オープンする頃にはもう汗がぽたぽた滴り落ちる。午前の早いうちにわたしは不快感を覚えながら仕事をする。それは幸せな事なのだろうか、働く事ができるということは?
わたしは「無能な働き者」がぴったり。
期限まであとひと月くらいあるのでその分練習や予習が出来るし、その為に備品(備品とは……)を持ち帰ったのに、どれも全然したくない。そのくせ一発で成功すると思っているから始末が悪いのだけれど、ずっと「それ」を抱えているとだんだん抱えていることが負債のようになってきて、それで飽きてしまう。どうしたらいいのだろう。おもちゃの工作もあと残りわずかなのに、もう作ることを考えるだけで苦痛なのに、あとひと月後には数を合わせておかなければならないのに、全部面倒くさくてたまらない。夏の疲れだったらいいのだけれど……多分疲れというより、慣れからくる衝動的なものだと思う。何か新しいことと並行しながらならいいかもしれない、と手を出したことは途方もなく難しくて、心が折れそう。参考書が増えていくばかりだし、参考書はわたしのレベルよりずっと高いので、参考にならない。読んでいるだけなら面白いけれど、作ろうと思うと何も思いつかなくて真っ白になる、小説と同じで。わたしはいつだって書きあぐねている。それを書き上げたら世界が変わるわけではないけれど、違った景色は見たいわ。明日もうんうん唸りながら考えてみるけれど、それも途中で飽きちゃうかもしれないな。
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2023.7.9sun_tokyo
朝
暑すぎて目が覚める。
エアコンをつけるも、もうひと眠りするほど
早くもない、アラームよりは少し早い、微妙な時間。起きよう、と思うものの、すぐには立ち上がれず、右を向いたり左を向いたり、布団の中で、数分を引き延ばす。
そういえば、最近あまり夢をみていない。みているのかもしれないけれど、覚えていない。
子どもの頃は、ほとんど毎日夢をみていて、宙に浮いてかなりの距離を移動したり、知らない人に追いかけられて走って逃げた末に包丁で刺されたり(刺されたところで目が覚めたので、自分が死んだのか無事だったのかもわからない)、村を救う、みたいなハードな夢も多かった。
現実世界ではぼんやりと生きていたので(今もだけど)、毎日夢を生きる方がずっと大変で、起きるとぐったりと疲れていたりした。
起き上がって、白湯をつくり、洗濯をして、シャワーを浴びる。こないだ買ったデニムのちょっとワイドなパンツを履く。
どうせ汗で流れ落ちるけれど、一応化粧もする。
家を出ると曇っていて、風が強い。なまぬるい風。青空も見えるのに雨もぽつぽつ。不穏な天気。
このところ猛暑続きだったので、今日は少し涼しくて過ごしやすいのかな、と期待するも、しかし歩いているとすごい湿気で、あっという間に暑くなる。
今日は日曜日なので、1日お店にいる予定。
家からお店に歩いて行くときは、途中で公園の中を通る。あるときに、日傘をさしていても直射日光が強すぎて、日陰を求めて逃げるように公園に入ってみたら、ちょうどよい木陰の道があって、それからは、秋も冬も、雨の日も、いつも公園の中を通るようになった。外の道路を歩くのと、ほんの数メートル、ズレるだけなのに、景色が、世界が、全く違う。
何かの約束みたいに、枝につけられたピンクのリボン
あじさいの坊やたち
多分何時間も同じ作業をしているんだろう、真剣な表情の砂場の男の子
何かを考えているようないないような、ぼんやりとベンチに座っているおじいさん
軽い足取りで植物のあいだを闊歩する鳩
メガネに白マスク、白シャツに斜めがけバッグ、というお揃いコーデの2人組とすれ違う。
白い小花柄ワンピースに白いバッグ、フラットバレエシューズな2人組と、すれ違う。
お店に着いたら屋上の植物たちに水をあげる。レモンマートルとシルクジャスミン。レモンマートルは、葉っぱをちぎるとレモンの香りがする、というのにひとめぼれして、先月、三茶の広場でやっていたマルシェで買った。
(マルシェで植木屋さんに葉っぱを嗅がせてもらったら、予想以上にレモンの香りで、テレビショッピングばりのリアクションをとり、即決した)
屋上はかなり過酷な環境で、しかもわたしたちがしっかりとした世話を出来ないので、前にいた植物は枯れてしまったのだけど、今のところ、この2人はなんとか元気でいてくれている。一緒にがんばって、夏を越そうね。
昼
12時になってお店を開ける。ドアを開けていると、外からは もわぁ とした空気が入ってくる。ぽつぽつとお客さんが来てくれるも、こんなに湿度が高くて暑い日は、みんな家にいた方がよいのではと思ってしまうくらい。座っているだけで熱中症になりそう。
ふらふらになりながら、何度もお茶とはちみつレモンを飲む。
夕方
最近は暑いからか、日曜日でも夕方以降にたくさんお客さんが来てくれたりするのだけど、今日はいちにちを通してお店は緩やか。屋上に出てひと呼吸。もうすぐ19時でも空はまだ、だいぶ明るい。
お客様がいないのでイスに座って、空を見上げる。広い空の下、とりあえず生きていれば大丈夫、と思う。息を吐いて、吐ききって、ゆっくり、吸う。背中まで空気を入れる。
横隔膜は開きすぎないで、背中は少し丸める感じ。頭は前に出ないように。ピラティスでまっすぐな立ち姿勢をおしえてもらうも、しっくりこないまま、だけど少しずつ、反り腰は直ってきている。お客様がいないのをいいことに、まっすぐ立つ練習をしてみるも、周りのビルの誰かから見えていたら、不気味だったかも。
夜
お店は21時で閉店。今日はわたしはnicolasに寄らずに早く帰ることに。
スーパーに寄って野菜や豆乳、アイスとチョコレートを買う。そして大好きな桃がなんとクーポンで割引になっていたので、もちろん買う。くだものはみんな好きなのだけど、中でも桃は特に好き。すべての食べものの中でも、上位に好き。このあいだnicolasで、今年初の桃をいただいたのだけど(もちろん天才的においしかった!)、デザートで食べるのと、そのままの桃を食べるのはまた違う気がする。というわけで、丸ごと桃は、今年初!
桃は柔らかいぬめぬめがいいのか、少し硬めのシャキッとしたのがいいのか。派閥があるらしいが、正直わたしは桃に関してはもう何でも好き。桃というだけで愛している。
義理の実家からいただいた、おいしいハムやソーセージと、パプリカを焼いたのとトマトと、味の薄い野菜スープを作って食べる。
最近夏バテぎみなので、麹甘酒も、ちゅーっ。
明日はもっと、暑いらしい。
先月のB&Bでの安達茉莉子さんと土門蘭さんのイベントのアーカイブを観ながら、横になる。このあいだ途中まで見たので、続きから。
(しかし気づいたら寝てしまっていて、ちょっとしか見れていなかった、これを毎回続けていて、全く見終わらないまま、視聴期限が迫っている)
翌朝
夫の人が帰ってきたら桃を剥いて食べよう、と楽しみにしていたのに、結局起き上がれず。そのまま寝てしまい、
桃は翌朝、食べました。ぬるり。あんまり甘くなかったけれど、これはこれで、愛している。
-プロフィール-
くまがいれいこ
40歳
世田谷
本屋・twililight手伝い
@reioyms
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🐣番外編😛誕生日SP😝追記アリ❣️🌼
✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。
本日(2023/07/03)日付も変わり夜空も色濃く溶け月は満ち常闇が耽ける頃、某オムライスからトンデモない爆撃品物の数々がみーくんの連絡先に届く―…
う゛わああああああああぁぁああああああああぁ゛あギャンkawaiiぁぁぁああぁぁぁあああああぁぁぁあああああぁぁぁああああ⁉️⁉️⁉️⁉️⁉️❤️🔥❤️🩹❣️💕💝💘💖💗💓💞(初手悲鳴)あぁぁぁあああああぁぁぁあああぁ⁉️⁉️⁉️⁉️ぁぁ💥💥💥💥💥💥😭😭😭😭ああ゛ぁぁぁア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"🌋🌋🌋
コレは…ッッ‼️‼️🌋星カビ某マルクオンリー神イベントで初対面した頃の俺…ら…⁉️⁉️⁉️(INまるそまるちゃん🎀😛😝💜(可愛すぎ💥💥💥(可愛すぎ💖💢💢💦‼️‼️😡😡🥲💖💖💖)))
★オンラインの同人誌即売会的なイベで、その時のアバターが俺が買い物カゴ頭に乗っけたマルク、オムライスこと おむがマルクソウルくんだった
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おむとの初対面って勿論いっちゃん最初はTwitterだったんですけど上記の同人イベで俺がおむの同人誌買いに行ったのが全ての始まりで、恐らく初対面の割に互いに取っつき易さを感じだし一緒にネコチャンのアバターを追いかけだした辺りから「あ…コイツ/この人なんか気が合うな…?🐈🐣」と恐らく互いに思いだし、
そこからイベ後も何か色々とたくさん話してるうちに仲良くなっていって今に至るんですが、いや待て可愛すぎ➕〜色褪せないあの頃の想ひ出〜のセットで殴ってくるな4んでしまいます有難う🥹💘🐣おm…
🐣🎁<まだあるやで🥰 🤯🐈
ええ゛ええええ嘘ぉぉおおおェェエエ工ええ真・漢のピンクパーティーだあああああぁぁぁあああああぁぁぁ💥💥💥😭😭😭⁉️⁉️⁉️⁉️ええええミー太郎まで⁉️⁉️⁉️⁉️⁉🤯🤯🤯️😭😭😭😭😭💘💘💘💘💥💥💥💥💥💥あああゲキ可愛ああぁぁぁあああああぁぁぁああぁ゛ぁぁあああああヴッ‼️🪦👼(尊死(死語))
ブロロロロロ🏍エイジャックス🚿ゲシュタルテ🦊キルシュテン(未来の姿)orアンジェリカ🐱おにいちゃん💪ハルモト🐰…みんな…みんな超絶カッコ可愛く描いてもらえて良かったなあ…‼️‼️🥲💘💘こちらはデジタル作品らしいがデジタルでこんな可愛らしい質感出せるもん⁉️⁉️ン?天才??(せやで工藤😁)
すみません取り乱しました。いそいそ…😫💦💦👕👚(歓喜で弾け飛んだ衣服を掻き集める音)
早��話、本日はみーくんの誕生日でした。🦀
みーくんという野郎は長年どのインターネット界隈に属しても人の誕生日は祝いたがるクセに自分の誕生日は極力書かず教えずなタイプの猫ニンゲンなのですが此処は見ての通り辺境の地なので…いぇーい✌️🏠✌️クラスのみんなにはナイショだよっ♡🥳🏹🌸
てゃ(鴨見居ちゃん♡)とおむには以前から教えてて日付変わって早々お祝いしてくれて嬉C〜💕🥰🍋✨️👏🌼☺️🫂と力が抜けてたトコに渾身のダイレクトアタックが襲ったっていう🎁🎁🎁🐣👊💥🐈🪦👼おむ、ほんと、本当になぁ、ホントありがとう、おm…
🐣🎁<差分もあるヨ🥰 🪦🌋
なんだァ…ッッ⁉️⁉️⁉️💥💥💥この👉🐣ヒヨコォ…ッッ⁉️⁉️⁉️🌋🌋🌋(恐怖(昇華(歓喜(大歓喜(キョダイマックス歓喜)))ミーちゃん♂マヂ激カワギャルぢゃんね???😣😖😫💥💥💥&ポケモンズのみ差分助かるありがとォ〜〜〜ッッッ‼️‼️‼️😭😭😭💘💘💘
この後なんとGB(グリーンバック)verのミー太郎&ミーちゃん♂の単品もくれたので…こんなんさァ…ッ!動画作成勢的にこんなサ…ッ!!〝素材〟もろたら…!
もうこれサ…〝やる事〟ひとつしかねェよなあッ…?!⁉️⁉️
ゆっくり実況もどきデキちゃうじゃん⛩
デフォルメなミー太郎ず〜っとkawaii😭🙏💘🐣
卵料理だけに栄養満点ボリュームいっぱいお腹いっぱい大満足ってな…ガハハ…🥹…ガハ…🥲…あのですね、ちょっと真面目な話、こんなんちょっと泣くだろって、俺とてゃは痛いほど知ってるんですけどおむホント良い奴で、上記の作品もメッッチャ時間掛けて描いてくれたみたいで、なんだろな…「良いこといっぱいあってほしい🐣💌 」って良く言ってくれるんですけど、お前こそな💌🐈と思います(毎秒後方彼氏面)
去年のも載せたい!🥲💘とお願いして許可得た昨年おむから貰った激カワ💖まるそまちゃんも一緒に載せちゃうお〜💕︎🍦🎀😛💜😝いま気づいたんだけどソフトクリームの材料スプラッシュマルクやんけwww🎀🎀🎀🐱(一年越しの衝撃真実(ヒント:そちゃちゃの翼))
7月3日はソフトクリームの日らしくて、てゃと一緒にソフトクリーム関連のまるそまちゃんの誕イラを各自から頂きました🥰🙏✨️🍦🐣💓🌼 「さん」呼びに時代を感じる…が、てゃおむ&まるそま界隈と邂逅して先々月辺りでやっと一年経っただけってマ?🤔❓
追記❣️❣️😍👉てゃ🌼にも許可とってきた🥰ので上に書いてる昨年もろたカワイコちゃんズ載せちゃ〜う♪♪⛄️❄️💙
「さん」呼びに時代を感じ(以下略) かびちゃの頭🍦✨️いつ見ても美味しそう過ぎるネ♡♡♡😋ニッコニコなまるきゅ😆と🍦見てヨダレでちゃってるそちゃちゃ💜が!かんわいぃ〜!!!💕︎💕︎💖💯
涼しげブルーな背景も相まって俺が生まれ落ちた日にピッタリな清涼感ある誕イラなのだ!!🍨✌️💘✨️あと俺はてゃそちゃのファンです🥺🥺🥺(ここ重要(ェェ…(ふわふわ🐑💖お帽子💖毎秒モフらせろ😡😡🤬👉😨💜)))
てゃ…💙改めて…💙𝐓𝐡𝐚𝐧𝐤 𝐲𝐨𝐮 な…💙ブチュ…💖😘😨
✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。
勢いに任せて書いちゃったので誤字脱字スンゴかったらゴメンなさい😭🙏💦これにて閉廷…🐣🎁))
🐣🎁<まだ俺のバトルフェイズは終了してないぜ
ひょ?>👓🤯🐈
ミスド500円クーポンまで貰ったので真剣にオムライスちゃんさん様と結婚しようかと思います。オムシャンクス、有難う御座いました。🎁🍩🐈 ((👋🐣
🌟P . S. てゃ💕コレクレーマラソンがんばえ💕︎😭💰🌼
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余花に吉兆
1.
友人あるいは恋人のようなことを始めたら、もっと分かり合えて親密な空気だとか柔らかな信頼みたいなものが生まれるかと予想していたが、俺らの空間は特段何かが変化することもなく、近すぎず遠すぎずの関係が果てなく伸びていくのみだった。
大切なものを手のひらに閉じ込めるような日々だった。彼の大きな体は存在感だけでもどこか騒々しかったが、無音より心地よかったのだ。
うずたかく積もった瓦礫がようやく街から消える頃、俺は人生初の無職デビューを飾った。事務所は畳んだし復興支援委員会の任期も終わった。警察や公安、行政から相変わらず着信や不定期な依頼はあれど、様々な方面からの誘いを断り所属する場所がなくなった俺はぼんやりと初夏を迎えることとなった。
無職になりまして。とセントラルの定期通院の帰り、待ち合わせた居酒屋で焼き鳥をかじりながら言うと彼は呆けた顔で俺を見た。エアコンの効きが悪いのか、妙に蒸し暑くてふたりとも首筋にじんわり汗が滲んでいる。
「お前が?」
「はい。しばらくゆっくりしてから次のこと考えようと思って」
「お前にそんな発想があったとは」
「どういう意味ですか」
「休もうという発想が。いつも忙しく働いとったろーが。そもそも趣味や休みの過ごし方をお前の口から聞いたことがない」
「それ元SKたちにも言われましたわーー。人を仕事人間みたく言わんでくださいよまあその通りですけど。今までやれなかったこと全部やったろ、と思ってたんですけど10日で飽きました。福岡いるとどうしても街の様子気になっちゃうしホークスだ〜〜♡ て言われるし、どっか旅行でも行けばって言われるんすけど全然そんな気になんないんすよ。来月には引きこもりになってるかもしれねっす」
そしたら会いに来てくださいね♡ と言ったら、彼は釈然としないような、そして何かに耐えるような、そんな顔をした。
店を出ると強い風が頬を打った。まだほんのわずか残っていた春の気配が吹き飛んでいく。じゃあ、と手をあげかけたところでデカい手が伸びてきて顎を掴まれた。「飲み直すぞ、うちで」「ひゃい?」かくて俺はそのままタクシーに突っ込まれ(この人と乗る後部座席は超狭い)、轟邸へお持ち帰りされることとなった。
暗闇の中でうずくまる恐竜みたいな日本家屋。数奇屋門と玄関の間だけで俺の1LDKがすっぽり入りそう。靴を揃えて上り框に足をかけると今度は首根っこを掴まれた。連行されるヴィランそのままの格好で俺は廊下を引き摺られ居間の隣室へ放り込まれる。今夜は何もかも展開が早い。「なになに? 俺には心に決めた人がいるんですけど⁉︎」「使え」「は?」
「この部屋を好きなように使え。しばらく置いてやる」
「もしかしてあなた相当酔ってますね⁉︎」
「あれくらいで酔わん。お前が、ヒーロー・ホークスが行くところがないなんて、そんなことがあってたまるか」
畳に手をついて振り仰ぐ。廊下から部屋に差し込む灯りは畳の目まではっきりと映し出しているけれど、彼の表情は逆光でわからない。
「俺、宵っぱりの朝寝坊ですよ」
「生活習慣までとやかく言わん。風呂を沸かしたら呼びに来てやるからそれまで好きにしてろ」
けれど俺が呼ばれることはなく、様子を見に行くと彼は居間で寝落ちていたのでやっぱり酔っていたのだと思う。デカい体を引きずって寝室に突っ込んだ。風呂は勝手に借りた。
酔ってはいたものの彼の意思はしっかり昨晩にあったようで、そして俺も福岡に帰る気が全くおきなかったので、出会い頭の事故のように俺の下宿生活は始まった。
「うちにあるものは何でも好きに使え」なるありがたいお言葉に甘えて俺は巣作りを開始した。足りないものはAmazonで買った。徹夜でゲームしたりママチャリで街をぶらついたり(帽子をかぶってれば誰も俺に気づかなかった)ワンピース一気読みしたり豚肉ばかり使う彼からキッチンの主権を奪いそのまま自炊にハマったりもした。誰を守る必要もなく、誰かを気にかける必要もない。誰を満足させる必要もなかった。彼が出かける時間に俺は寝ていたし夕飯も好きな時間に食べていたので下宿より居候の方が正確だったかも知れない。誰かとひとつ屋根の下で暮らすことへの不安はすぐ消えた。早起きの彼がたてる足音や湯を使うボイラー音、帰宅時の開錠の音。そんな他人の気配が俺の輪郭を確かにしていったからだ。
ヒーローを引退した彼は事務所を売却したのち警備会社の相談役に収まっていたがしょっちゅう現場に呼ばれるらしく、出勤はともかく帰り時間はまちまちだった。まあわかる。治安維持に携わっていて彼に一目置いていない人間はまずない(治安を乱す側はなおさらだ)。「防犯ブザーのように使われる」とぼやいていたが、その横顔にはおのれの前線を持つものの矜持があった。どうしてか俺は嬉しい気持ちでそれを見ていた。
2.
ある夜、俺は玄関で彼のサンダルを履き外へ出た。引き戸を開けると明るい星空が広がっていて、それが妙に親しかった。縁側に腰掛けてぼんやり彼方を眺めると星の中に人工衛星が瞬いている。ほとんどの民家の明かりは消えていて、夜は少し湿りそして深かった。紫陽花だけが夜露に濡れて光っていた。
知らない街なのに、他人の家なのに、帰らんと、とは微塵も思わなかった。俺はここにいる。知らない場所に身ひとつで放り出されてもここに帰ってくる。呼吸をするたびに心と体がぴったりと張り付いていった。
気配を感じて振り返ると、あの人がスウェ���トのまま革靴を引っ掛けて玄関から出てくるところだった。
「風邪をひくぞ」と言われ何も答えずにいると犬か猫みたいにみたいに抱えられ、家の中に連れ戻された。
それからほとんど毎夜、雨でも降らない限り俺は外に出て彼方を眺めた。そうすると彼は必ずやってきて俺を連れ戻した。ある夜「一緒に寝てください」と言ったら彼は呆れたように俺を見下ろして「お前の部屋でか」と言った。そうかあそこは俺の部屋なのか。「あなたの部屋がいいです」と言ったら視線がかちあい、耳の奥で殺虫器に触れた虫が弾け飛ぶみたいな音がして、目が眩んだ。
「そんで、同じ布団で」
「正気に戻ってからセクハラだとか騒ぐなよ」
彼の布団にすっぽりおさまると目が冴えた。やっぱこの人なんか変。そんで今日の俺はもっと変。分厚い背中に額をあてて深く息を吸った。おっさんの匂いがして、めちゃくちゃ温かくて、甘くて甘くて甘くて足指の先まで痺れる一方で自分で言い出したことなのに緊張で腹の奥が捻じ切れそうだった。
彼の寝息と一緒に家全体が呼吸をしている。眠れないまま昨夜のことを思い出す。俺が風呂に入ろうとして廊下を行くと、居間で本を読んでいた彼が弾かれたように顔を上げた。その視線に斥力のようなものを感じた俺は「お風呂行ってきまぁす」となるべく軽薄な声で答えた。一秒前まであんな強い目をしていたくせに、今はもう血の気の失せた無表情で俺を見上げている。妙に腹が立って彼の前にしゃがみ込んだ。「一緒に入ります?」「バカか」「ねえエンデヴァーさん。嫌なこととか調子悪くなることあったら話してください。ひとりで抱え込むとろくなことないですよ。俺がそれなりに役立つこと、あなた知ってるでしょ?」
「知ったような顔をするな」
「俺はド他人ですが、孤独や後悔についてはほんの少し知っていますよ」
真正面から言い切ると、そうだな、と素っ気なく呟き、それきり黙り込んだ。俺ももう何も言わなかった。
ここは過ごすほどに大きさを実感する家だ。そこかしこに家族の不在が沈澱している。それはあまりに濃密で、他人の俺でさえ時々足をとられそうになる。昨日は家族で食事をしてきたという彼は、あの時俺の足音に何を望んだのだろう。
いつぞやは地獄の家族会議に乱入したが、俺だって常なら他人の柔らかな場所に踏み入るのは遠慮したいたちだ。けれどあの無表情な彼をまた見るくらいなら軽薄に笑うほうがずっとマシだった。これから先もそう振る舞う。
きんとした寂しさと、額の先の背中を抱いて困らせてやりたい怒り。そんなものが夜の中に混ざり合わないまま流れ出していく。
3.
涼しい夜にビールを飲みながら居間で野球を眺めていたら、風呂上がりの彼に「ホークス」と呼ばれた。
「その呼び方そろそろやめません? 俺もう引退してるんすよ。俺はニートを満喫している自分のことも嫌いじゃないですが、この状態で呼ばれるとホークスの名前がかわいそうになります、さすがに」「お前も俺のことをヒーロー名で呼ぶだろうが」「じゃあ、え……んじさんて呼びますから」「なぜ照れるんだそこで」「うっさいですよ。俺、けーご。啓吾って呼んでくださいよほら」「……ご」「ハイ聞こえないもう一回」「け、けいご」「あんただって言えないじゃないですかあ!」
ビールを掲げて笑ったら意趣返しとばかりに缶を奪われ飲み干された。勇ましく上下する喉仏。「それラスト一本なんすけどお」「みりんでも飲んでろ。それでお前、明日付き合え」「はあ」「どうせ暇だろ」「ニート舐めんでくださいよ」
翌日、俺らは炎司さんの運転で出かけた。彼の運転は意外に流れに乗るタイプで、俺はゆっくり流れていく景色を眺めるふりをしてその横顔を盗み見ていた。「見過ぎだ。そんなに心配しなくてもこの車は衝突回避がついている」秒でバレた。
「そろそろどこいくか教えてくださいよ」
「そば屋」
はあ、と困惑して聞き返したら、炎司さんはそんなに遠くないから大丈夫だ、とまたしてもピンぼけなフォローで答えた。やがて商業施設が消え、国道沿いには田園風景が広がり出した。山が視界から消え始めた頃ようやく海に向かっているのだと気づく。
車は結局小一時間走ったところで、ひなびたそば屋の駐車場で止まった。周りには民家がまばらに立ち並ぶのみで道路脇には雑草が生い茂っている。
テレビで旅番組を眺めているじいさん以外に客はいなかった。俺はざるそばをすすりながら、炎司さんが細かな箸使いで月見そばの玉子を崩すのを眺めていた。
「左手で箸持つの随分上手ですね、もともと右利きでしょ?」
「左右均等に体を使うために昔からトレーニングしていたから、ある程度は使える」
「すげえ。あなたのストイックさ、そこまでいくとバカか変態ですね」
「お前だって同じだろう」
俺は箸を右から左に持ち替えて、行儀悪く鳴らした。
「んふふ。俺、トップランカーになるやつってバカか天才しかいねえ、って思うんすよ。俺はバカ、あなたもバカ、ジーニストさんも俺的にはバカの類です」
「あの頃のトップ3全員バカか。日本が地図から消えなくてよかったな」
そばを食べて店を出ると潮の匂いが鼻を掠めた。「海が近いですね?」「海といっても漁港だ。少し歩いた先にある」漁港まで歩くことにした。砂利道を進んでいると背後から車がやってきたので、俺は道路側を歩いていた炎司さんの反対側へ移動した。
潮の香りが一層強くなって小さな漁港が現れた。護岸には数隻の船が揺れるのみで無人だった。フードや帽子で顔を隠さなくて済むのは楽でいい。俺が護岸に登って腰掛けると彼も隣にやってきてコンクリートにあぐらをかいた。
「なんで連れてきてくれたんですか。そば食いたかったからってわけじゃないでしょ」
海水の表面がかすかに波立って揺れている。潮騒を聞きながら、俺の心も騒がしくなっていた。こんな風に人と海を眺めるのは初めてだったのだ。
「俺を家に連れてきたのも、なんでまた」
「……お前が何かしらの岐路に立たされているように見えたからだ」
「俺の剛翼がなくなったから気ィ使ってくれました?」
甘い潮風にシャツの裾が膨らむ。もう有翼個性用の服を探す必要も服に鋏を入れる必要も無くなった俺の背中。会う人会う人、俺の目より斜め45度上あたりを見てぐしゃりと顔を歪める。あの家で怠惰な日々を過ごす中で、それがじわじわ自分を削っていたことに気づいた。
剛翼なる俺の身体の延長線。俺の宇宙には剛翼分の空白がぽっかり空いていて、けれどその空白にどんな色がついているかは未だわからない。知れぬまま外からそれは悲しい寂しい哀れとラベリングされるものだから、時々もうそれでいいわと思ってしまう。借り物の悲しさでしかないというのに。
「俺より先に仲間が悲しんでくれて。ツクヨミなんか自分のせいだって泣くんですよかわいいでしょ。みんながみんな悲壮な顔してくれるもんだから、正直自分ではまだわかんなくて。感情が戻ってこない。明日悲しくなるかもしれないし、一生このままかも。
あなたも、俺がかわいそうだと思います?」
「いいや」
なんのためらいもなかった。
「ないんかい」
「そんなことを思う暇があったら一本でも多く電話をして瓦礫の受け入れ先を探す。福岡と違ってこの辺はまだ残っとるんだ。それから今日のそばはおれが食いたかっただけだ」
「つめたい!」
「というかお前そんなこと考えとったのか。そして随分甘やかされとるな、以前のお前ならAFOと戦って死ななかっただけ褒めてほしいとか、ヒーローが暇を持て余す世の中と引き換えなら安いもんだと、そう言うだろう。随分腑抜けたな。周囲が優しいなんて今のうちだけだ、世の中甘くないぞ、きちんと将来のことを考えろ」
「ここで説教かます⁉︎ さっきまでの優しい空気は!」
「そんなもの俺に期待するな」
潮風で乱れる前髪をそのままにして、うっとり海に目を細めながらポエムった10秒前の自分を絞め殺したい。
彼は笑っているのか怒っているのか、それともただ眩しいだけなのかよく分からない複雑な顔をする。なお現在の俺は真剣に入水を検討している。
「ただ、自分だけではどうしようもないときはあるのは俺にもわかる。そんな時に手を……
手を添えてくれる誰かがいるだけで前に進める時がある。お前が俺に教えてくれたことだ」
「ちょ〜〜勝手。あなたに助けてもらわなくても、俺にはもっと頼りたい人がいるかもしれないじゃないですか」
「そんな者がいるならもうとっくにうちを出ていってるだろう。ド他人だが、俺も孤独や後悔をほんの少しは知っている」
波音が高くなり、背後で低木の群れが強い海風に葉擦れの音を響かせた。
勝手だ、勝手すぎる。家に連れてきてニートさせてあまつさえ同衾まで許しといて、いいとこで落として最後はそんなことを言うのか。俺が牛乳嫌いなのいつまでたっても覚えんくせにそんな言葉は一語一句覚えているなんて悪魔かよ。
俺にも考えがある、寝落ちたあんたを運んだ部屋で見た、読みかけのハードカバーに挟まれた赤い羽根。懐かしい俺のゴミ。そんなものを後生大事にとっとくなんてセンチメンタルにもほどがある。エンデヴァーがずいぶん可愛いことするじゃないですか。あんた結構俺のこと好きですよね気づかれてないとでも思ってんすか。そう言ってやりたいが、さっき勝手に演目を始めて爆死したことで俺の繊細な心は瀕死である。ささいなことで誘爆して焼け野原になる。そんなときにこんな危ういこと言える勇気、ちょっとない。
「……さっきのそば、炎司さんの奢りなら天ぷらつけとけばよかったっす」
「その減らず口がきけなくなったら多少は憐れんでやる」
骨髄に徹した恨みを込め��肩パンをした。土嚢みたいな体は少しも揺らがなかった。
車に向かって、ふたりで歩き出す。影は昨日より濃く短い。彼が歩くたびに揺れる右袖の影が時々、剛翼の分だけ小さくなった俺の影に混じりまた離れていく。
「ん」
炎司さんが手でひさしを作り空を見上げ、声をあげる。その視線を追うと太陽の周りに虹がかかっていた。日傘。
「吉兆だ」
4.
何もなくとも俺の日々は続く。南中角度は高くなる一方だし天気予報も真夏日予報を告げ始める。
SNSをほとんど見なくなった。ひとりの時はテレビもつけず漫画も読まず、映画だけを時々観た。炎司さんと夜に食卓を囲む日が増えた。今日の出来事を話せと騒ぎ聞けば聞いたで質問攻めをする俺に、今思えば彼は根気よく付き合ってくれたように思う。
気温もほどよい夕方。庭に七輪を置き、組んだ木炭に着火剤を絞り出して火をつける。静かに熱を増していく炭を眺めながら、熾火になるまで雑誌を縛ったり遊び道具を整理した。これは明日の資源ごみ、これは保留、これは2、3日中にメルカリで売れんかな。今や俺の私物は衣類にゲーム、唐突にハマった釣り道具はては原付に及んでいた。牡丹に唐獅子、猿に絵馬、ニートに郊外庭付き一戸建てだ。福岡では10日で暇を持て余したというのに今じゃ芋ジャージ着て庭で七輪BBQを満喫している。
炭がほの赤く輝き出すころに引き戸の音が聞こえ、俺は網に枝豆をのせた。
「今日は早いですね〜〜おかえりなさい」
「お前、無職が板につきすぎじゃないか?」
「まだビール開けてないんで大目に見てください」
家に上がった彼はジャージ姿でビールを携えて帰ってきた。右の太ももには「3-B 轟」の文字。夏雄くんの高校ジャージだ、炎司さんは洗濯物を溜めた時や庭仕事の時なんかにこれを着る。そのパツパツオモシロ絵面がツボに入り「最先端すぎる」と笑ったら「お前も着たいのか?」とショートくんと夏雄くんの中学ジャージを渡され、以来俺はこの衣類に堕落している。遊びにきたジーニストさんが芋ジャージで迎えた俺たちを見てくずおれていた。翌々日ストレッチデニムのセットアップが届いた(死ぬほど着心地がよかった)。
焼き色のついた枝豆を噛み潰す。甘やかな青さが口の中に広がっていく。
「福岡帰りますわ、ぼちぼち」
彼の手からぽとりとイカの干物が落っこちた。砂利の上に不時着したそれにビールをかけて砂を流し、網の上に戻してやる。ついでにねぎまを並べていく。
「……暇にも飽きたか」
「いや全然、あと1年はニートできます余裕で」
ぬるい風と草いきれが首筋をくすぐり、生垣の向こうを犬の声が通り過ぎていく。いつも通りのなんでもない夕方だ。そんななんでもなさの中、現役の頃は晩酌なんてしなかっただろう炎司さんが俺とビールを開けている。俺らはずいぶん遠くまで来た。
「福岡県警のトップが今年変わったんですけど、首脳部も一新されて方針も変わったらしくて、ヒーローとの連携が上手くいってないらしいんすよね。警察にもヒーローにも顔がきいて暇な奴がいると便利っぽいんで、ちょっと働いてくるっす。そんで、俺のオモチャなんですけど」整理した道具たちに目をやる。「手間かけて悪いんですが処分してくれませんか?」
「……どれも、まだ使えるだろう」
「はあ。リサイクルショップに集荷予約入れていいです?」
「そうじゃない。処分する必要はないと言ってるんだ」
的外れと知っていてなお、真っ当なことを言おうとする融通のきかなさ。その真顔を見て俺この人のこと好きだな、と思う。子どものま���老成したような始末の悪さまで。
「それは荷物置きっぱにしてていいからまたいつでも来いよってことでしょーーか」
「……好きにしろ」
唸るような声はかすかに怒気をはらんでいる。さっきまで進んでたビールは全然減ってないしイカはそろそろ炭になるけどいいんだろうか。ビール缶の汗が彼の指をつたい、玉砂利の上にいびつな模様をつくっていく。
「じゃあお言葉に甘えて。それとツクヨミが独立するってんで、事務所の立ち上げ手伝ってほしいって言われてるんすよ、なんでちょくちょくこっちに滞在するので引き続きよろしくお願いします具体的には来月また来ます♡」
「それを先に言え‼︎」
今度こそ本物の怒りが俺の頬を焦がした。具体的には炎司さんの首から上が燃え上がった。七輪みたいに慎ましくない、エンデヴァーのヘルフレイム。詫びながら彼の目元の皺を数えた。青い瞳にはいつも通りに疲労や苛立ち、自己嫌悪が薄い膜を張っている。今日も現場に呼ばれたんかな。ヒーロースーツを着なくなっても、誰かのために走り回る姿は俺の知ったエンデヴァーだった。腕がなくなろうが個性を使わなかろうが、エンデヴァーを許さぬ市民に罵倒されようが。だから俺も個性なくてもできることをやってみっかな、と思えたのだ。ここを離れ衆目に晒されることに、不安がないわけではないけれど。
疲れたらここに帰ってまたあの部屋で布団かぶって寝ればいい。家全体から、やんわり同意の気配が響くのを感じる。同意が言いすぎだとしたら俺を許容する何か。俺のねぐら、呼吸する恐竜の懐の。
「その……なんだ、頑張れ」
「アザーース」
帰属していた場所だとか、背にあった剛翼だとか。そんなものがごっそりなくなった体は薄弱で心もとない。だから何だ、と思う。俺はまだ変わる。
空があわあわと頼りない色合いで暮れていく。隣にしゃがんだ炎司さんの手が俺の背に添えられた。翼の付根があったあたりにじわりと熱が広がり、そのまま軽く背を押されて心臓が跳ねる。
「来月はそば打ちでもしましょうね」
短い肯定が手のひらの振動から伝わる。新たな命を吹き込まれる俺の隣で、炭がぱちりと爆ぜた。
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静かな波を装いに - amachi. "Undulate Jacket" / "Undulate Pants"
こんばんは。
・
まずは、明日からの営業予定のお知らせだ。
6/5 (月) 〜 6/11 (日) 営業予定
6/5 (月) 13:00 〜 20:00
6/6 (火) 13:00 〜 20:00
6/7 (水) 13:00 〜 20:00
6/8 (木) 15:00 〜 20:00 ※
6/9 (金) お休み ※
6/10 (土)13:00 〜 20:00
6/11 (日) 13:00 〜 20:00
※ 6/8 (木) は15時からの営業となります。
※ 6/9 (金) はイベント搬入のためお休みとなります。
※ 6/10 (土) より"osakentaro POP UP"が始まります。
・
いよいよ週末から"osakentaro POP UP"が始まる。かなりユニークなアイテムが並ぶはずなので、ぜひ遊びにきてみてはいかがだろうか。
さて、本日の本題に入る前に。
先週、群馬の桐生に伺った際、オープン前に自然豊かな川辺やダム湖に連れていってもらった。
お天気にも恵まれて、木々の隙間を縫って日差しが差し込む川辺。
また、穏やかな波がたつ湖面。
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大阪市内に拠点を置く身としては、なかなかと触れることのできない環境。
あまりの心地よさと美しさに、眺めているだけで心が落ち着く。
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そんな風景を眺めていると、こうった自然の表情をテキスタイルに落とし込みたくなる気持ちが理解できた。
・
目の前に広がる、自然が見せる一瞬の表情。
それを切り抜き、布に閉じ込められたら。
そんなことを思わずにはいられなかった。
さて、本日は、そんな水面の揺らぎに見た感動にちなんで、"amachi."の素晴らしいアイテムを紹介させてもらおうと思う。
amachi. : Undulate Jacket ¥89,100 (tax in)
amachi. : Undulate Pants ¥89,100 (tax in)
基本、"amachi."の服に用いられるテキスタイルは全て、オリジナルとなる。
シーズンコンセプトに合わせて、"amachi."がテキスタイルから作り込む。
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だから、展示会に行くと素材の説明を聞かせてもらえるのだが、聞くたびになるほどとなるような、面白いテキスタイルに毎シーズン出会う。
素材好きな僕として、どれもユニークな視点や発想で、ワクワクさせられてしまうのだ。
・
今日、紹介するアイテムもそんなワクワクしたテキスタイルを用いた1着となる。
・
Collection 012 / SS 2023
"Regarding Wave"
波について
風について
それらを感ずる石を想う
葉や梢は媒介者
大気の中に存在するすべての道
打ち寄せる
流れ込む
吹きすさむ
そよぎ、傾き、浸食する
何を見て、何を見ないのか
とどまることなき存在の瞬間
・
今季の"amachi."のコレクションテーマを記載したカードには、このように書かれている。
・
自然に身を置き、観察することで、気がつくことをデザインに落とし込む"amachi."らしさを感じずにはいられない。
・
今日紹介するこのアイテム達。
素材はリネンとキュプラの異なる糸を用いたアイテムとなる。
リネンの比率が多めなので、ムシムシ、ジメジメするこれからの季節にもサラッと着用することができる。
肌寒さを急に感じたり、夜も深まると急に気温も下がったりする。
こういったサラッとしたジャケットはこれからの季節にかなり重宝することができそうだ。
・
太めのリネンの糸とキュプラの糸を使って織りあげた素材に、加工を施すことで、テキスタイルに波打つような表情が生まれる。
・
先日、僕が桐生という街で出会った、穏やかで静かな波のような、そんな表情なのだ。
そんなテキスタイルを用いたジャケット。
ゆったりとして、穏やかで、とても美しい。
・
ちなみに、ジャケットはリバーシブルで着用することができる。
裏側にすると、ライトグレーのような淡い色味となり、より爽やかな印象を与えてくれる。
・
一方、同素材を用いたパンツ。
ウエストは共布の紐で調整ができる。
シルエットはワイドで、動きやすく、そして、何よりも涼しい。
リネンをベースにした素材ということもあり、夏場でも快適に着用ができそうだ。
また、個人的に、足元をキュッと絞れるようなデザインというのもおすすめのポイントになる。
スニーカーやサンダルなどラフなシューズに、キュッと絞って合わせる。
とても素敵だと思わないだろうか。
・
波打つ素材が生み出す、奥行きのある表情。
装いに取り入れ、光が当たることで、その表情は一層際立つ。
特にジャケットの背面のシルエットが素敵だ。
ゆったりとして、ストレスを感じないのに、羽織った時、気持ちはちょっとピンとしたような。
特別な気持ちを感じていただける。
・
その瞬間、服を着る楽しみのようなものを強く実感する。
・
素材良し
デザイン良し
季節良し
・
この3つが重なった時、その日の装いは特別なものになるはずだ。
もし良かったら一度店頭で袖だけでも通して見てほしい。
・
またこちらは現在オンラインショップにも掲載をしているので、合わせてそちらもご覧いただけると嬉しく思う。
波というと、海を先に思い浮かべてしまうけど、この"amachi."のアイテムにおける揺らぎというものは、静かで穏やかで。
そんな波に感じられる。
それは、川のせせらぎの合間に生まれる波だったり、湖のような閉ざされた空間で生まれる波だったり。
・
桐生から帰ってきて、店でこのアイテムを見た時、あの時の思いが呼び起こされた。
・
このアイテム達を纏った日。
きっと、そんな穏やかな美しい世界を感じてもらえるはずだ。
・
それでは次回もお楽しみに。
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All day
昼間は暑いけど、夕方からは涼しくなるこの時期が好き。シャツ一枚羽織ればちょうど良くて、梅雨前だから湿っぽくもなく、あの汗ばむ暑さもまだ先。
私は伸びた髪を手櫛で梳いて、今年こそは髪を切ろう、と小さく誓う。やっぱり長いと首元があまりにも暑い。
そんなことを考えながら、私は海を見ていた。目の前の太平洋は、私の1.0の視力では地平線まで何も見えなくて、だからこそこのままずっと進んでいくと果ての世界があると考えた昔の人の気持ちも少しは理解できる。
特にやることがない時は、気づくとこの海岸まで車を走らせてしまう。
小石で出���ているこの海岸は、遊泳禁止のお陰かほとんど人が居ない。朝はぽつぽつと釣り人がいるが、夕方はあまり見かけない。
型落ちのSUVをガタガタ言わせながら海岸まで乗り入れて、海に対して平行に車を止める。そして海岸側にある助手席に周り、ドアを開けて海を見るために横向きに座る。
ダッシュボードを開けて、中からセッターを出して火をつける。喫んで、ゆっくりと煙を吐いた。上る煙は風で流れていく。
この前、斉藤 海人の3回忌だった。
私の恋人だった。
海人と出会ったのは確か5年前。あの時の私は仕事も上手くいかず、趣味も無いから発散出来ることもなかった。そして限界に達した私は仕事を辞めた。
そんな時、私は近所の中古車屋で80万で売られてた型落ちのフォレスターを衝動的に購入した。趣味も無く、大して交友関係もなかった私は、当時の同世代の人たちと比べると貯金残高はとても多い方だったと思う。でも、何も目標が無いのに貯めているのが突然馬鹿らしくなったから起こした衝動的な行動だった。
ペーパードライバーだった私は初心者マークを付けて、Googleマップで見つけた行ってみたいところにとりあえず車を走らせる、みたいなそんな事をして毎日を過ごしていた。
ある日、私はこの海岸に初めて車を走らせた。初めてきたその時から、人があまり居ないこの海岸が好きになった。景色も、雰囲気も。
1時間くらいぼーっとして帰ろうとした時、海岸の入り口でバイクに跨って何度も何度も蹴っている人が居た。
「大丈夫ですか?」
いつもは声をかけないのに、何故かその日は声を掛けた。
「いや、なんか調子悪くて……。エンジン掛からなくなっちゃいました」
そう困ったように笑いながら返した彼が海人だった。
そのバイクは、全く詳しくない私が見ても明らかに古いと分かった。正直、この場で直すのは難しいような気がした。
「何処まで帰るんですか? よかったらとりあえず送っていきますよ」
そんな言葉を私は口走っていた。正直、今でもなんであんなことを言ったのか分からない。彼も少し驚いた顔をして、少し迷ったような顔をした後、地名を言った。そこは、私が住んでいるところからもあまり離れていない場所だった。
「そこなら本当送りますよ。私の家からも15分くらいなので」
恐縮する彼を押し切って、私は彼を車に乗せた。バイクは一旦、海岸の入り口に留め置いた。軽トラを持っている友人に連絡をしたら、一緒に取りに行ってくれる算段をつけられたらしい。
こうして私は、車に初めて乗せた人が海人になった。
車で何を話したか、正直覚えていない。きっと本当に他愛もない雑談をしていたら、もう彼の家に着いた。
それからも私は時折車を海岸に走らせた。暫くしてまた就職してからも、やる事がない休みの日は海岸にいた。
海人も直した原付に乗ってたまに海岸で釣りをしていて(彼曰くここは釣れないけど人が居ないからここで釣りをしているらしい)、会ったら少しずつ話すようになった。そして、彼とは海岸でたまに会う関係から休みに会う約束をするような仲になり、気づけば海人がいない生活を考えられないくらい、お互いの生活にとってお互いが大切な存在になっていた。
付き合い始めてからは海岸待ち合わせでは無く、海人は私の家に原付で乗り付けてきて、私の車に乗り換えて一緒に海に向かった。そして海に着くと、何をするわけでも無く、たまに話して、たまに微睡んで、たまにくっつき合い、ただ海を眺めていた。
海人は海岸に着くと車を降り、後部座席のドアに持たれてセッターを吸った。いつも自分の胸ポケットに入れていて、そして忘れた時用にとダッシュボードの中にも一箱置いていった。
私は煙草を吸っていなかったけど、この海岸に流れるあの煙の匂いは嫌いじゃなかった。
そんな彼が居なくなったのは2年前。
あの時期、私は再就職した会社で新規事業の立ち上げメンバーに選ばれ、その仕事の佳境だった。一番忙しい時は休日返上で働き、平日も早朝から深夜まで働いていた。少ない休みも、気づいたらすぐに過ぎ去っていた。
小さい飲食店を友人と経営していた海人は、私の休みに自分の休みも合わせてくれた。ただあの日は海人だけが休みの日だった。晴れて気温も高かったけど、風が強かった。
あの海岸で小学生が3人遊んでいたらしい。ただあそこは遊泳禁止だ。海岸は小石で出来ているし、水深もすぐ深くなり、何よりも潮が速い。そんな場所であの日は南風のせいで波も高かった。
海で遊んでいた3人のうち1人が足を滑らせて溺れかけていたのが見えたらしい。波を被り、見えなくなる。
そこで咄嗟に海人は海に突っ込んだ。そして海に沈む彼の掴み、陸に向かって引っ張った。その瞬間、波を被り、溺れた子はその波に押されて陸に打ち上がった。
でも海人はそのまま飲まれた。
他の小学生が近くの家に助けを求めたお陰ですぐに海人の捜索は始まった。でも、見つからなかった。帰ってこなかった。
あの古い原付だけ、海岸に留め置かれていた。
そんなこの海岸が、私は少し憎かった。それでも私はここに通ってしまう。
海人にまた会いたい。でも、私は自分で海に入っていく勇気は無い。
だから私は今日もセッターに火を付ける。せめて、少しでも思い出せる様に。そして、願わくば、少しでも私の寿命が短くなります様に。
吐いた煙は変わらず、海風に流された。
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三輪と嵐山さんと迅の小説(二次創作)
ザ ランドスケープ
ビロウ ザ ボックス
彼を見つけたければ、屋上に行くといい。たいてい、決まった場所に座って、眼下を眺めている。そこに広がるのは、廃墟の街だけなのだが。彼は、この街の住人たる死者の守護者なのだ。
「弱い子は嫌いよ。早くいなくなればいいのに」
いとこの小南桐絵の言い分は冷たかったが、的は得ていた。
この場所には強くないといられないのだ。強くなければ、街を守ることはできない。本来ならば、彼は守られるべき市民のひとりであった。
嵐山准は、先日ボーダーに入隊した。三門市を襲った災厄から半年以上経ったあとのことだ。市民からの志願入隊第一号とのことだったが、小南からの推薦が大きかったように思う。同期入隊を果たした柿崎国治は選別を勝ち抜いただけあって、運動神経もよく、また頭脳も性格も申し分ない少年だった。
メディア対策開発室長の根付栄蔵から依頼があったのは入隊して少し経ってからのことだった。
「記者会見ですか?」
「俺たちふたりで?」
できたばかりの本部建物の公開と併せて、新入隊員の記者会見を開くのだという。
柿崎と戸惑う視線が交差した。彼らは、まだ十五才であった。
「もちろん、進行は私達で行うよ。君たちはメディアの前で挨拶をして、これからの抱負を語ればいい」
根付はなんでもないことのように言う。
「月見さんや沢村さんもですか?」
同時入隊と言えば、月見蓮や沢村響子がいる。
「月見くんは太刀川くんの推薦、沢村くんは東くんの推薦だからね、ちょっと違うんだよ」
だから、同席しないのだと言う。
「俺も桐絵の推薦じゃあ」
「それは違うよ。自信を持って会見に臨むといい」
それに柿崎くんひとりでは可哀想だろうと続ける根付に嵐山はもう一つ疑問を投げた。
「じゃあ、あの子は?」
「あの子?」
「時々、太刀川さんや迅くんと訓練してる…」
「ああ、三輪くん?」
ガランとした巨大な箱のような真新しい建物のなかを子どもがフラフラとしているのを時折見かける。
年の離れた弟妹よりも少し上だろうか。
「あの子は一緒に出ないんですか? 同期と聞いたんですが…」
小南は最近入ってきたばかりと言っていた。
意表をつかれたように、根付は眼をぐるりとさせて上を見た。考えもしなかったようだ。
「うーん、彼は君たちみたいに選抜されたわけではないから」
年齢も低いしとつけ加えたあと、言った。
「それに…もうすぐ、いなくなるかもしれないしね」
彼とは話したことはない。よく屋上にいて、ひとりで鍛錬していると思えば、時折、昏い目で下の景色を見渡していた。そこからは、彼の失った街を眺めることができるのだ。
近界民侵攻の遺族だと聞いた。どういった事情で、ここにいるのかと思ったが、入隊志願者だという。嵐山や柿崎と違うのは、手順を踏んでいないだけでなく、他に行くあてもないらしい。
「あの子? 迅にひどい態度をとるんだもの。助けてもらったのに!」
先輩であるはずの小南の、彼に対する悪印象の理由はこれにつきた。小南は仲間を大切にする。
迅悠一は災厄の日以前からのボーダー隊員である。嵐山と同い年で同じ高校に入学しているはずだが、会うのはいつもボーダー本部の建物の中だった。飄々としていて、大人びた少年だ。模擬戦をすれば、驚くほど強い。戦闘経験の豊富さをうかがわせた。
一方で、従兄妹である小南とは本部では会えない。来れないのだ。近界民侵攻からあと、小南の両親はボーダーから距離を置かせたいようだった。それが原因で娘とぶつかっている姿をしばしば見かけた。
あたしは大丈夫、強いからと小南は言う。両親は引き下がらない。だって、桐絵。あの子もあの人も、もういないじゃないの。
「三輪くんがいなくなるかもしれないって聞いたんだけど」
迅に聞いてみると、え、なんで?と彼は不思議そうな顔をした。
「うーん、それを言ったの、根付さんあたり?」
「うん」
「そんなことにはならないよ」
「そうなんだ」
「人は増やさなきゃいけないだろう? 経験のあるものだけ集めても限度がある。何のためにこんなデカい箱を作ったんだ。これからは、隊員を育てて行かないと」
大人びた考えに素直に感心する。
「すごく色々考えているんだね」
「師匠の受け売りかな」
迅は照れくさそうにへらりと笑った。
この、師弟の関係もよくわからない。根付はそういうのはもう見つけなくて良いシステムにすると言っている。そのためか、嵐山と柿崎は講師を順繰りにトリオン体での戦い方を学んでいる。おかげで、ボーダーの様々な人と接することができるメリットがあった。
「師匠って忍田さん?」
確か太刀川の師匠が忍田本部長のはずだ。迅は気障っぽく方目をつぶった。
「ハズレ」
柿崎が食堂で、三輪とふた言み言、言葉を交わしている。遠くに座って眺めている嵐山はいまだに彼と会話をしたことがなかった。
「柿崎、お前、何を話してたんだ?」
「え? 食器の返し方がわからなくて聞いてたんだ」
納豆パックどうすんのかわかんなくてさという。
「お前、すごいな」
「へ? なんで? 今度、手合わせしてもらう約束もしたよ?」
「ほんとにすごいな」
嵐山には彼はいつも刺々しい雰囲気をまとっていて何もかも拒んでいるように見える。
訓練室の前である。
「秀次、ここを追い出されないように強くならないと」
口調は軽いが、重いことを迅が三輪に告げていた。
「……」
三輪は黙ったまま、迅を睨むと、何も言い返さずに、消えていく。いつもそうだ。三輪は迅をひどく嫌っているようだった。
思わず、声をかけた
「この前、大丈夫って言ってたじゃないか?」
「強くなるチャンスは逃さないほうがいいからね」
迅の言葉はいつも正しいように思える。
「それも君のお師匠さんの言葉なのかい?」
「ハハ、バレた?」
にこにこしながら、頬をかく。その笑顔から師を深く慕っている様子が伝わってきて、つられて微笑んでしまう。
「君のお師匠さんに会ってみたいな」
迅は笑みはそのままに一度目を閉じたあと、視線を遠くにうつした。
「うん、ぜひ。そのうちにね」
遠い場所で暮らしているのだろうか。嵐山はそう思った。
屋上に出ると果たして彼はそこにいた。
「いつもここにいるんだね」
「……」
三輪は返事をせず、嫌そうに視線を寄越した。何か嫌われるようなことをしたかと思うほどだ。
いや、したのかもしれない。彼を見ていると、家族を失った自分を考えてしまう。自分を失った家族を考えてしまう。小南を失った自分を考えてしまう。自分を失った小南を考えてしまう。
想像の話だ。
嵐山はまだ何も失っていない。三輪は失っている。もう失うものなどない。根付は三輪はもうすぐいなくなるかもと言った。そうかもしれない。守るものなどなくて、彼はなぜここにいるのだろう。
「きみが追い出されることはないそうだよ。迅が言ってた。安心していい」
「そんなの、信用できない」
「俺は迅を信じるよ」
「あんたは、信じればいい。俺は、信じない。話はそれだけか?」
三輪は振り向いて、嵐山をにらんだ。
「ほっといてくれ」
「君はどうして迅にそんな態度をとるんだ?」
「は? なんで、あんたにそんなこと…」
三輪の言葉が途切れた。嵐山の背後を見る。いっそう、視線が鋭くなった。
「迅」
三輪が不愉快そうに屋上から去ってしまったあと、ふたりはすっかり黙ってしまって、眼下の荒涼とした景色を眺めている。見えるのは、廃墟の街だ。不意に嵐山は三輪が守っているものがわかった気がした。
迅が嵐山に向き直った。
「記者会見、明日だろう?」
忘れていた。
「そうだった。やばい。進行表をもう一度、確認しないと」
「君ならできるよ」
「どうしてそう言えるんだい?」
迅は得意気に笑った。
「俺のサイドエフェクトがそう言ってる」
嵐山は何も失わない。これからも失うつもりはない。最後まで、彼は何も失わないつもりだ。
終わり
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230908
つよい雨が降っていた。
けれど、布団は安心で。もう少し、もう少し、とうとうとしていた。
バジルが吹き飛んでいないかが心配になる。風。
仕方なく起き上がって確認する。大丈夫だった。
ゆらゆら揺れているだけだった。
朝ごはんに生ハムと梨を食べる。
朝ごはんが贅沢だと嬉しい。台風だから、といいものを買っておいてよかった。
詩を読み返す。
もういけない、まだいける、の繰り返し。窓にあたる雨粒をみながら、ひとつ追加でかく。
もうこれ以上は今のわたしには無理…となったところで、人に送る。
すぐに、これはよい本になる…と返ってきて、言葉にならないような喜びが駆け巡る。
日記をまとめる。
ずっと詩をみていたから、今日はもう詩から少し離れたい。
2021年から2022年の冬の日記。
大切にしたい、と思った。
とりたてて大切ではなかった日々の出来事。
自分の日記なのに、少しどきときした。思い出にふれて。
それもひと段落したら、絵を描いていた。
長いこと途中のままにしていた絵をみていたら、するりと線がかけて、今日は線がいい日だった。
夜、晩ごはんを食べながらみていた「メタモルフォーゼの縁側」がとてもひびいて、うららが情けなくて泣いてしまうところではわたしもないていた。
よい気分で、明日早起きして、また1日つくることを楽しみに、ねた。
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230909
早起きできなかった。
アラームはいつ消えたのか。
午前中はさらさらと雨が降っていたり、雲がかかっていたりで空が沈んでいたけれど、午後になると晴れてきた。でかけよう、と思う。
電車を乗り継ぎ、ずっと気になっていた本屋へいく。
店内がセピアのトーンで、落ち着く。
本を2冊と、手帳を1冊買った。
手帳は2023年のもので、半額になっていた。
併設されている喫茶店でゆっくりとする。
浅煎りのコーヒーとバスク風チーズケーキ。
チーズケーキは爽やかで軽かった。
おいしいなと思うのと同時に、彼のつくる濃厚なチーズケーキが恋しくなる。
購入した本をよんだり、詩を書いたり、机の引き出しを開けたり。
引き出しには桜とコーヒーカップの写真が表紙の文庫本と、『駅から5分』懐かしい。
こんなにもよいものだったのか、と高まる。
少しずつ、つながるような、重なるような短編集がすき。
角度が違えば、新しい景色がみえる。
少し歩く。少し歩いて、製本の道具を買って、バスに乗って、帰る。
購入したばかりの手帳を眺める。
表紙の絵が素敵。
色んな人の心にあるような赤い屋根の家。山。
色えんぴつがしずかな音。
色えんぴつ、色えんぴつ、色えんぴつ。色えんぴつで絵が描きたくなる。
絵の具と、色えんぴつ、薄い重なりで。
描けたら、それを手帳にしてみたいな、と布団で思い立って、メモして、ねた。
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230910
朝、強気にセットしたアラームに起こされる。
AM5:30。朝ご飯のパンを買いそびれたから、何としてでも、朝、米を炊きたかった。
炊飯器のタイマー機能を使いこなせない。
ねむい。
朝、起きるために寝ていたから、上手く眠れなかった。
卵かけご飯を食べて、おにぎりをつくって、アルバイト。
わたしの日記を、手渡す。
日記をつくって、売るということ、いまだにわたしの中で、よくわからない。
家に帰ってきて、詩を書こう、と思っていたのに、頭の中がバタついていて、上手くいかなかった。
ゆっくり。ゆっくりを意識して、回転を下げるように、として、やっと少し、かけた。
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230911
朝、寝坊。
向かいの家の給湯器の声に起こされる。
最近、急に不安になる。詩について。
自信がなくなる。私以外の人から同みえるか。
わたしがわたしの感じたことを言葉におとしこめることができているのならよいはずなのに。
仕事。
いつもと同じ試薬を同じ分量加えているのに、溶けなかった。いや、溶けるのにpHを変えると、ふたたび、粒子として現れた。
水を純水から超純水に変えたら、溶けた。
水をきれいにしているフィルターが寿命を迎えて水質が低下していたらしい。
透明で、見えないのに、たしかにそれは存在していて、形を変えて、物質として目にみえるようになって、不思議だ。
晩ごはんは実家でシチュー。
月曜日はカレーの日と決まっているけれど、涼しくなるとシチューになるとのこと。
「おなかいっぱいになった」というと「そりゃよかった」と母は言う。
すすめられるがままに、パンとお菓子を持って帰る。
学生の頃のわたしの顔がまるかったことを思い出す。
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230912
目が覚めると、透き通った朝だった。
塩をふって炒めただけのキャベツがおいしかった。
目があいているのに、あいていないみたいだった。
どうやら、ねむかった。
電車で本を読んでいたら、まどろんでいた。
そのまま、気も、しずみこんでいき、帰り道。
これはよくない、と部屋に帰ったらまず、シャワーを浴びる。
これが功を奏して、いつもよりたくさん時間があった。
明日の準備をして、ねた。
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