Tumgik
#框を見せない
oharash · 11 months
Text
余花に吉兆
1.  友人あるいは恋人のようなことを始めたら、もっと分かり合えて親密な空気だとか柔らかな信頼みたいなものが生まれるかと予想していたが、俺らの空間は特段何かが変化することもなく、近すぎず遠すぎずの関係が果てなく伸びていくのみだった。  大切なものを手のひらに閉じ込めるような日々だった。彼の大きな体は存在感だけでもどこか騒々しかったが、無音より心地よかったのだ。
 うずたかく積もった瓦礫がようやく街から消える頃、俺は人生初の無職デビューを飾った。事務所は畳んだし復興支援委員会の任期も終わった。警察や公安、行政から相変わらず着信や不定期な依頼はあれど、様々な方面からの誘いを断り所属する場所がなくなった俺はぼんやりと初夏を迎えることとなった。  無職になりまして。とセントラルの定期通院の帰り、待ち合わせた居酒屋で焼き鳥をかじりながら言うと彼は呆けた顔で俺を見た。エアコンの効きが悪いのか、妙に蒸し暑くてふたりとも首筋にじんわり汗が滲んでいる。 「お前が?」 「はい。しばらくゆっくりしてから次のこと考えようと思って」 「お前にそんな発想があったとは」 「どういう意味ですか」 「休もうという発想が。いつも忙しく働いとったろーが。そもそも趣味や休みの過ごし方をお前の口から聞いたことがない」 「それ元SKたちにも言われましたわーー。人を仕事人間みたく言わんでくださいよまあその通りですけど。今までやれなかったこと全部やったろ、と思ってたんですけど10日で飽きました。福岡いるとどうしても街の様子気になっちゃうしホークスだ〜〜♡ て言われるし、どっか旅行でも行けばって言われるんすけど全然そんな気になんないんすよ。来月には引きこもりになってるかもしれねっす」  そしたら会いに来てくださいね♡ と言ったら、彼は釈然としないような、そして何かに耐えるような、そんな顔をした。  店を出ると強い風が頬を打った。まだほんのわずか残っていた春の気配が吹き飛んでいく。じゃあ、と手をあげかけたところでデカい手が伸びてきて顎を掴まれた。「飲み直すぞ、うちで」「ひゃい?」かくて俺はそのままタクシーに突っ込まれ(この人と乗る後部座席は超狭い)、轟邸へお持ち帰りされることとなった。
 暗闇の中でうずくまる恐竜みたいな日本家屋。数奇屋門と玄関の間だけで俺の1LDKがすっぽり入りそう。靴を揃えて上り框に足をかけると今度は首根っこを掴まれた。連行されるヴィランそのままの格好で俺は廊下を引き摺られ居間の隣室へ放り込まれる。今夜は何もかも展開が早い。「なになに? 俺には心に決めた人がいるんですけど⁉︎」「使え」「は?」 「この部屋を好きなように使え。しばらく置いてやる」 「もしかしてあなた相当酔ってますね⁉︎」 「あれくらいで酔わん。お前が、ヒーロー・ホークスが行くところがないなんて、そんなことがあってたまるか」  畳に手をついて振り仰ぐ。廊下から部屋に差し込む灯りは畳の目まではっきりと映し出しているけれど、彼の表情は逆光でわからない。 「俺、宵っぱりの朝寝坊ですよ」 「生活習慣までとやかく言わん。風呂を沸かしたら呼びに来てやるからそれまで好きにしてろ」  けれど俺が呼ばれることはなく、様子を見に行くと彼は居間で寝落ちていたのでやっぱり酔っていたのだと思う。デカい体を引きずって寝室に突っ込んだ。風呂は勝手に借りた。
 酔ってはいたものの彼の意思はしっかり昨晩にあったようで、そして俺も福岡に帰る気が全くおきなかったので、出会い頭の事故のように俺の下宿生活は始まった。  「うちにあるものは何でも好きに使え」なるありがたいお言葉に甘えて俺は巣作りを開始した。足りないものはAmazonで買った。徹夜でゲームしたりママチャリで街をぶらついたり(帽子をかぶってれば誰も俺に気づかなかった)ワンピース一気読みしたり豚肉ばかり使う彼からキッチンの主権を奪いそのまま自炊にハマったりもした。誰を守る必要もなく、誰かを気にかける必要もない。誰を満足させる必要もなかった。彼が出かける時間に俺は寝ていたし夕飯も好きな時間に食べていたので下宿より居候の方が正確だったかも知れない。誰かとひとつ屋根の下で暮らすことへの不安はすぐ消えた。早起きの彼がたてる足音や湯を使うボイラー音、帰宅時の開錠の音。そんな他人の気配が俺の輪郭を確かにしていったからだ。  ヒーローを引退した彼は事務所を売却したのち警備会社の相談役に収まっていたがしょっちゅう現場に呼ばれるらしく、出勤はともかく帰り時間はまちまちだった。まあわかる。治安維持に携わっていて彼に一目置いていない人間はまずない(治安を乱す側はなおさらだ)。「防犯ブザーのように使われる」とぼやいていたが、その横顔にはおのれの前線を持つものの矜持があった。どうしてか俺は嬉しい気持ちでそれを見ていた。
2.  ある夜、俺は玄関で彼のサンダルを履き外へ出た。引き戸を開けると明るい星空が広がっていて、それが妙に親しかった。縁側に腰掛けてぼんやり彼方を眺めると星の中に人工衛星が瞬いている。ほとんどの民家の明かりは消えていて、夜は少し湿りそして深かった。紫陽花だけが夜露に濡れて光っていた。  知らない街なのに、他人の家なのに、帰らんと、とは微塵も思わなかった。俺はここにいる。知らない場所に身ひとつで放り出されてもここに帰ってくる。呼吸をするたびに心と体がぴったりと張り付いていった。  気配を感じて振り返ると、あの人がスウェットのまま革靴を引っ掛けて玄関から出てくるところだった。 「風邪をひくぞ」と言われ何も答えずにいると犬か猫みたいにみたいに抱えられ、家の中に連れ戻された。  それからほとんど毎夜、雨でも降らない限り俺は外に出て彼方を眺めた。そうすると彼は必ずやってきて俺を連れ戻した。ある夜「一緒に寝てください」と言ったら彼は呆れたように俺を見下ろして「お前の部屋でか」と言った。そうかあそこは俺の部屋なのか。「あなたの部屋がいいです」と言ったら視線がかちあい、耳の奥で殺虫器に触れた虫が弾け飛ぶみたいな音がして、目が眩んだ。 「そんで、同じ布団で」 「正気に戻ってからセクハラだとか騒ぐなよ」  彼の布団にすっぽりおさまると目が冴えた。やっぱこの人なんか変。そんで今日の俺はもっと変。分厚い背中に額をあてて深く息を吸った。おっさんの匂いがして、めちゃくちゃ温かくて、甘くて甘くて甘くて足指の先まで痺れる一方で自分で言い出したことなのに緊張で腹の奥が捻じ切れそうだった。  彼の寝息と一緒に家全体が呼吸をしている。眠れないまま昨夜のことを思い出す。俺が風呂に入ろうとして廊下を行くと、居間で本を読んでいた彼が弾かれたように顔を上げた。その視線に斥力のようなものを感じた俺は「お風呂行ってきまぁす」となるべく軽薄な声で答えた。一秒前まであんな強い目をしていたくせに、今はもう血の気の失せた無表情で俺を見上げている。妙に腹が立って彼の前にしゃがみ込んだ。「一緒に入ります?」「バカか」「ねえエンデヴァーさん。嫌なこととか調子悪くなることあったら話してください。ひとりで抱え込むとろくなことないですよ。俺がそれなりに役立つこと、あなた知ってるでしょ?」 「知ったような顔をするな」 「俺はド他人ですが、孤独や後悔についてはほんの少し知っていますよ」  真正面から言い切ると、そうだな、と素っ気なく呟き、それきり黙り込んだ。俺ももう何も言わなかった。  ここは過ごすほどに大きさを実感する家だ。そこかしこに家族の不在が沈澱している。それはあまりに濃密で、他人の俺でさえ時々足をとられそうになる。昨日は家族で食事をしてきたという彼は、あの時俺の足音に何を望んだのだろう。  いつぞやは地獄の家族会議に乱入したが、俺だって常なら他人の柔らかな場所に踏み入るのは遠慮したいたちだ。けれどあの無表情な彼をまた見るくらいなら軽薄に笑うほうがずっとマシだった。これから先もそう振る舞う。  きんとした寂しさと、額の先の背中を抱いて困らせてやりたい怒り。そんなものが夜の中に混ざり合わないまま流れ出していく。
3.  涼しい夜にビールを飲みながら居間で野球を眺めていたら、風呂上がりの彼に「ホークス」と呼ばれた。 「その呼び方そろそろやめません? 俺もう引退してるんすよ。俺はニートを満喫している自分のことも嫌いじゃないですが、この状態で呼ばれるとホークスの名前がかわいそうになります、さすがに」「お前も俺のことをヒーロー名で呼ぶだろうが」「じゃあ、え……んじさんて呼びますから」「なぜ照れるんだそこで」「うっさいですよ。俺、けーご。啓吾って呼んでくださいよほら」「……ご」「ハイ聞こえないもう一回」「け、けいご」「あんただって言えないじゃないですかあ!」  ビールを掲げて笑ったら意趣返しとばかりに缶を奪われ飲み干された。勇ましく上下する喉仏。「それラスト一本なんすけどお」「みりんでも飲んでろ。それでお前、明日付き合え」「はあ」「どうせ暇だろ」「ニート舐めんでくださいよ」  翌日、俺らは炎司さんの運転で出かけた。彼の運転は意外に流れに乗るタイプで、俺はゆっくり流れていく景色を眺めるふりをしてその横顔を盗み見ていた。「見過ぎだ。そんなに心配しなくてもこの車は衝突回避がついている」秒でバレた。 「そろそろどこいくか教えてくださいよ」 「そば屋」  はあ、と困惑して聞き返したら、炎司さんはそんなに遠くないから大丈夫だ、とまたしてもピンぼけなフォローで答えた。やがて商業施設が消え、国道沿いには田園風景が広がり出した。山が視界から消え始めた頃ようやく海に向かっているのだと気づく。  車は結局小一時間走ったところで、ひなびたそば屋の駐車場で止まった。周りには民家がまばらに立ち並ぶのみで道路脇には雑草が生い茂っている。  テレビで旅番組を眺めているじいさん以外に客はいなかった。俺はざるそばをすすりながら、炎司さんが細かな箸使いで月見そばの玉子を崩すのを眺めていた。 「左手で箸持つの随分上手ですね、もともと右利きでしょ?」 「左右均等に体を使うために昔からトレーニングしていたから、ある程度は使える」 「すげえ。あなたのストイックさ、そこまでいくとバカか変態ですね」 「お前だって同じだろう」  俺は箸を右から左に持ち替えて、行儀悪く鳴らした。 「んふふ。俺、トップランカーになるやつってバカか天才しかいねえ、って思うんすよ。俺はバカ、あなたもバカ、ジーニストさんも俺的にはバカの類です」 「あの頃のトップ3全員バカか。日本が地図から消えなくてよかったな」  そばを食べて店を出ると潮の匂いが鼻を掠めた。「海が近いですね?」「海といっても漁港だ。少し歩いた先にある」漁港まで歩くことにした。砂利道を進んでいると背後から車がやってきたので、俺は道路側を歩いていた炎司さんの反対側へ移動した。  潮の香りが一層強くなって小さな漁港が現れた。護岸には数隻の船が揺れるのみで無人だった。フードや帽子で顔を隠さなくて済むのは楽でいい。俺が護岸に登って腰掛けると彼も隣にやってきてコンクリートにあぐらをかいた。 「なんで連れてきてくれたんですか。そば食いたかったからってわけじゃないでしょ」  海水の表面がかすかに波立って揺れている。潮騒を聞きながら、俺の心も騒がしくなっていた。こんな風に人と海を眺めるのは初めてだったのだ。 「俺を家に連れてきたのも、なんでまた」 「……お前が何かしらの岐路に立たされているように見えたからだ」 「俺の剛翼がなくなったから気ィ使ってくれました?」  甘い潮風にシャツの裾が膨らむ。もう有翼個性用の服を探す必要も服に鋏を入れる必要も無くなった俺の背中。会う人会う人、俺の目より斜め45度上あたりを見てぐしゃりと顔を歪める。あの家で怠惰な日々を過ごす中で、それがじわじわ自分を削っていたことに気づいた。  剛翼なる俺の身体の延長線。俺の宇宙には剛翼分の空白がぽっかり空いていて、けれどその空白にどんな色がついているかは未だわからない。知れぬまま外からそれは悲しい寂しい哀れとラベリングされるものだから、時々もうそれでいいわと思ってしまう。借り物の悲しさでしかないというのに。 「俺より先に仲間が悲しんでくれて。ツクヨミなんか自分のせいだって泣くんですよかわいいでしょ。みんながみんな悲壮な顔してくれるもんだから、正直自分ではま��わかんなくて。感情が戻ってこない。明日悲しくなるかもしれないし、一生このままかも。  あなたも、俺がかわいそうだと思います?」 「いいや」  なんのためらいもなかった。 「ないんかい」 「そんなことを思う暇があったら一本でも多く電話をして瓦礫の受け入れ先を探す。福岡と違ってこの辺はまだ残っとるんだ。それから今日のそばはおれが食いたかっただけだ」 「つめたい!」 「というかお前そんなこと考えとったのか。そして随分甘やかされとるな、以前のお前ならAFOと戦って死ななかっただけ褒めてほしいとか、ヒーローが暇を持て余す世の中と引き換えなら安いもんだと、そう言うだろう。随分腑抜けたな。周囲が優しいなんて今のうちだけだ、世の中甘くないぞ、きちんと将来のことを考えろ」 「ここで説教かます⁉︎ さっきまでの優しい空気は!」 「そんなもの俺に期待するな」  潮風で乱れる前髪をそのままにして、うっとり海に目を細めながらポエムった10秒前の自分を絞め殺したい。  彼は笑っているのか怒���ているのか、それともただ眩しいだけなのかよく分からない複雑な顔をする。なお現在の俺は真剣に入水を検討している。 「ただ、自分だけではどうしようもないときはあるのは俺にもわかる。そんな時に手を……  手を添えてくれる誰かがいるだけで前に進める時がある。お前が俺に教えてくれたことだ」 「ちょ〜〜勝手。あなたに助けてもらわなくても、俺にはもっと頼りたい人がいるかもしれないじゃないですか」 「そんな者がいるならもうとっくにうちを出ていってるだろう。ド他人だが、俺も孤独や後悔をほんの少しは知っている」  波音が高くなり、背後で低木の群れが強い海風に葉擦れの音を響かせた。  勝手だ、勝手すぎる。家に連れてきてニートさせてあまつさえ同衾まで許しといて、いいとこで落として最後はそんなことを言うのか。俺が牛乳嫌いなのいつまでたっても覚えんくせにそんな言葉は一語一句覚えているなんて悪魔かよ。  俺にも考えがある、寝落ちたあんたを運んだ部屋で見た、読みかけのハードカバーに挟まれた赤い羽根。懐かしい俺のゴミ。そんなものを後生大事にとっとくなんてセンチメンタルにもほどがある。エンデヴァーがずいぶん可愛いことするじゃないですか。あんた結構俺のこと好きですよね気づかれてないとでも思ってんすか。そう言ってやりたいが、さっき勝手に演目を始めて爆死したことで俺の繊細な心は瀕死である。ささいなことで誘爆して焼け野原になる。そんなときにこんな危ういこと言える勇気、ちょっとない。 「……さっきのそば、炎司さんの奢りなら天ぷらつけとけばよかったっす」 「その減らず口がきけなくなったら多少は憐れんでやる」  骨髄に徹した恨みを込めて肩パンをした。土嚢みたいな体は少しも揺らがなかった。  
 車に向かって、ふたりで歩き出す。影は昨日より濃く短い。彼が歩くたびに揺れる右袖の影が時々、剛翼の分だけ小さくなった俺の影に混じりまた離れていく。 「ん」  炎司さんが手でひさしを作り空を見上げ、声をあげる。その視線を追うと太陽の周りに虹がかかっていた。日傘。 「吉兆だ」
4.  何もなくとも俺の日々は続く。南中角度は高くなる一方だし天気予報も真夏日予報を告げ始める。  SNSをほとんど見なくなった。ひとりの時はテレビもつけず漫画も読まず、映画だけを時々観た。炎司さんと夜に食卓を囲む日が増えた。今日の出来事を話せと騒ぎ聞けば聞いたで質問攻めをする俺に、今思えば彼は根気よく付き合ってくれたように思う。  
 気温もほどよい夕方。庭に七輪を置き、組んだ木炭に着火剤を絞り出して火をつける。静かに熱を増していく炭を眺めながら、熾火になるまで雑誌を縛ったり遊び道具を整理した。これは明日の資源ごみ、これは保留、これは2、3日中にメルカリで売れんかな。今や俺の私物は衣類にゲーム、唐突にハマった釣り道具はては原付に及んでいた。牡丹に唐獅子、猿に絵馬、ニートに郊外庭付き一戸建てだ。福岡では10日で暇を持て余したというのに今じゃ芋ジャージ着て庭で七輪BBQを満喫している。  炭がほの赤く輝き出すころに引き戸の音が聞こえ、俺は網に枝豆をのせた。 「今日は早いですね〜〜おかえりなさい」 「お前、無職が板につきすぎじゃないか?」 「まだビール開けてないんで大目に見てください」  家に上がった彼はジャージ姿でビールを携えて帰ってきた。右の太ももには「3-B 轟」の文字。夏雄くんの高校ジャージだ、炎司さんは洗濯物を溜めた時や庭仕事の時なんかにこれを着る。そのパツパツオモシロ絵面がツボに入り「最先端すぎる」と笑ったら「お前も着たいのか?」とショートくんと夏雄くんの中学ジャージを渡され、以来俺はこの衣類に堕落している。遊びにきたジーニストさんが芋ジャージで迎えた俺たちを見てくずおれていた。翌々日ストレッチデニムのセットアップが届いた(死ぬほど着心地がよかった)。  焼き色のついた枝豆を噛み潰す。甘やかな青さが口の中に広がっていく。 「福岡帰りますわ、ぼちぼち」  彼の手からぽとりとイカの干物が落っこちた。砂利の上に不時着したそれにビールをかけて砂を流し、網の上に戻してやる。ついでにねぎまを並べていく。 「……暇にも飽きたか」 「いや全然、あと1年はニートできます余裕で」  ぬるい風と草いきれが首筋をくすぐり、生垣の向こうを犬の声が通り過ぎていく。いつも通りのなんでもない夕方だ。そんななんでもなさの中、現役の頃は晩酌なんてしなかっただろう炎司さんが俺とビールを開けている。俺らはずいぶん遠くまで来た。 「福岡県警のトップが今年変わったんですけど、首脳部も一新されて方針も変わったらしくて、ヒーローとの連携が上手くいってないらしいんすよね。警察にもヒーローにも顔がきいて暇な奴がいると便利っぽいんで、ちょっと働いてくるっす。そんで、俺のオモチャなんですけど」整理した道具たちに目をやる。「手間かけて悪いんですが処分してくれませんか?」 「……どれも、まだ使えるだろう」 「はあ。リサイクルショップに集荷予約入れていいです?」 「そうじゃない。処分する必要はないと言ってるんだ」  的外れと知っていてなお、真っ当なことを言おうとする融通のきかなさ。その真顔を見て俺この人のこと好きだな、と思う。子どものまま老成したような始末の悪さまで。 「それは荷物置きっぱにしてていいからまたいつでも来いよってことでしょーーか」 「……好きにしろ」  唸るような声はかすかに怒気をはらんでいる。さっきまで進んでたビールは全然減ってないしイカはそろそろ炭になるけどいいんだろうか。ビール缶の汗が彼の指をつたい、玉砂利の上にいびつな模様をつくっていく。 「じゃあお言葉に甘えて。それとツクヨミが独立するってんで、事務所の立ち上げ手伝ってほしいって言われてるんすよ、なんでちょくちょくこっちに滞在するので引き続きよろしくお願いします具体的には来月また来ます♡」 「それを先に言え‼︎」  今度こそ本物の怒りが俺の頬を焦がした。具体的には炎司さんの首から上が燃え上がった。七輪みたいに慎ましくない、エンデヴァーのヘルフレイム。詫びながら彼の目元の皺を数えた。青い瞳にはいつも通りに疲労や苛立ち、自己嫌悪が薄い膜を張っている。今日も現場に呼ばれたんかな。ヒーロースーツを着なくなっても、誰かのために走り回る姿は俺の知ったエンデヴァーだった。腕がなくなろうが個性を使わなかろうが、エンデヴァーを許さぬ市民に罵倒されようが。だから俺も個性なくてもできることをやってみっかな、と思えたのだ。ここを離れ衆目に晒されることに、不安がないわけではないけれど。  疲れたらここに帰ってまたあの部屋で布団かぶって寝ればいい。家全体から、やんわり同意の気配が響くのを感じる。同意が言いすぎだとしたら俺を許容する何か。俺のねぐら、呼吸する恐竜の懐の。 「その……なんだ、頑張れ」 「アザーース」  帰属していた場所だとか、背にあった剛翼だとか。そんなものがごっそりなくなった体は薄弱で心もとない。だから何だ、と思う。俺はまだ変わる。  空があわあわと頼りない色合いで暮れていく。隣にしゃがんだ炎司さんの手が俺の背に添えられた。翼の付根があったあたりにじわりと熱が広がり、そのまま軽く背を押されて心臓が跳ねる。 「来月はそば打ちでもしましょうね」  短い肯定が手のひらの振動から伝わる。新たな命を吹き込まれる俺の隣で、炭がぱちりと爆ぜた。
2 notes · View notes
ii-think · 2 months
Text
ホオノキカウンター搬入
昨日は現場を大工さんに任せて、事務所で入口の木製建具の詳細図を描き描き。 屋内の建具とは異なり、外部面への設置となると”雨仕舞”・”防犯”・”気密”、そして もちろん”意匠面”も!!考慮する項目が多くなり、一枚の建具の作図になんだかんだと 時間がかかってしまいます。 今回は内部がよく見渡せるように、シンプルな框戸+強化ガラスの意匠に。 建具材は桧の枠材に合わせてスプルース材とし、ナラ材の木ハンドルがアクセントに なってくるようなイメージです。 ドアクローザーは掘り込み式の製品にする事で、入口付近の印象をすっきりとさせます。 で、今日はこないだのホオノキ材を軽トラに積んで、現場に搬入してきました。 これまでに見てきたホオノキ材よりも少し色が濃い印象。オスモのクリア塗装を施せば もっと見ごたえのあるカウンターに仕上がることでしょう。楽しみです。 大工工事は、この二日の間に壁・天井のベニヤ…
Tumblr media
View On WordPress
0 notes
unicodesign · 1 year
Text
尾山台コーポラ確認会
昨年12月に上棟上棟した尾山台のコーポラは、1階から間仕切り工事が進んでいます。
Tumblr media
お客様が現場を確認する唯一の機会である現場確認会が今日からスタート。
Tumblr media
壁や天井のボードが張られる前の状態で、間取りの感じや窓からの見え方を確認していただき、コンセントやスイッチの位置などを確認する会。
実際の床の高さにあった踏み台に乗って、実際の窓からの見え方などを体感していただきます。
Tumblr media
窓の具合も確認します。
Tumblr media
前回の打ち合わせで依頼していた色サンプルから、建具、キッチン、玄関框などの塗装色を決定。
Tumblr media
一通りの確認をして終了。設計が終わってからだいぶ時間も経過していたので、設計内容のおさらいをする形になりました。
ちなみに3週間後に確認会を行う2階は、電気配線が進行中。
Tumblr media
このあと、間仕切りがたち、設備の配管まで進みます。設備業者さんと細かい部分をを確認しました。
Tumblr media
最上階の4階はこれからサッシュを取り付けていきます。吹抜けからの光が良い感じ。鉄骨階段の詳細を詰めなくては。
Tumblr media
始まると立ち止まれない現場、次々の確認事項は、わんこそばならぬ、わんこタスクですが、とにもかくにも現場が滞らぬよう気を引き締め直した確認会でした。
1 note · View note
kazuya-ikezoi · 1 year
Photo
Tumblr media
足元を浮かせて、全体を軽快な印象にまとめた事例 玄関框、手洗いカウンター、階段の足元を浮かせています 具体的な打ち合わせに入ると、材料や色など、やりたいことが 多くて、なかなか上手くまとまらなかったりします そういう時は一部分じゃなく、一歩下がって全体を見ると いい感じに調整できると思います と言っても、集中していて難しいので、相談ください◯ 他にも色々な事例を紹介しているので @kazuya_ikezoi から見てみてください #ピクチャーウィンドウ #玄関手洗い #手洗いボウル #鉄骨階段 #オープン階段 #設計士とつくる家 #コラボハウス https://www.instagram.com/p/CnKEO8rPxNS/?igshid=NGJjMDIxMWI=
0 notes
crystallizedheaven · 1 year
Link
現代日本クトゥルフ小説、最新話更新しました。
まず今までの情報を整理して、推理するパートです。
意外な事実も明らかになります。
真相はどこにあるのか?
0 notes
kachoushi · 2 years
Text
各地句会報
花鳥誌 令和4年3月号
Tumblr media
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
………………………………………………………………
令和3年12月2日 うづら三日の月句会 坊城俊樹選 特選句
しとしとと雨しとしとと冬近し 喜代子 護りうけ思ひ絡まる毛糸編む さとみ 冬河や網打つ人は何を漁る 都 冬怒濤雄島は人を寄せ付けず 同 寂聴の過去は激しく榾燃える 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年12月2日 花鳥さゞれ会 坊城俊樹選 特選句
秋風や消えゆく物にますほ貝 雪 蓑虫の纏へる物の哀れさよ 同 亡き友の顔をかぞへて師走かな 匠 裘かくしに去年の映画の券 同 なんとなく交はす言葉にある師走 かづを こころして願掛けをせむ神還り 数幸 恋多き尼の死悼む歳の暮れ 清女 仲よしの三人の婆おでん酒 啓子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年12月4日 零の会 坊城俊樹選 特選句
枯葉積む蝶のむくろを嵩として はるか 乃木将軍の墓ひとりぼち冬の蠅 佑天 枯葉舞ふ異人の墓は仰向けに 伊豫 赤信号ぬるき懐炉は胸の奥 ゆう子 冬霞あふひの墓の見つからず 佑天 黄落にころんと転び笑ひをり 久 坊城雀冬晴を祓ひに来 順子 十字墓影を寝かせて冬ぬくし 秋尚 冬の日に白装束の透きとほる きみよ
岡田順子選 特選句
百度石在らば祈らむ冬空に 炳子 墓一つ極月一つあるごとし 伊豫 冬晴や絵画館やや浮かみたり 佑天 塋域は枯野とならむ魂の黙 ゆう子 元勲の墓冬帝の貌をして 俊樹 極月の指墓碑銘を愛しみ 千種 冬晴や虚子の見守る墓一基 三郎 懐旧の情とは極月の男 千種 抱擁すマリアは寒き手を拡げ 俊樹 蝶も無き冬の墓標となりしかな 同 けふあたり上へと魂の日向ぼこ 慶月
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年12月10日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
面影山に半襟掛けて時雨虹 美智子 冬ぬくし赤子を丸く抱いてをり 栄子 冬ざれや修築の碑は沖を見て すみ子 ざらざらの風紋壁画冬日吸ふ 悦子 色鳥の木戸を飾りて飛び去りぬ 宇太郎 黄落の色に染まりて町の風 和子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年12月11日 札幌花鳥会 坊城俊樹選 特選句
冬日落つ老いのひと日の終りけり 独舟 ペーチカやレコード針の飛ぶところ 晶子 君知るや時空を超える除夜の鐘 同 悴みて錠剤一つ転がりぬ 寛子 樽前山を背負ひ堂々たる雄鹿 のりこ 魔女の口笛かも知れぬ虎落笛 岬月 天空の乱れし夜の虎落笛 同 クロークに寒さ預けて席に着く 同 恋心捨てしを叱咤虎落笛 同 五稜郭兵を鎮める雪しきり 雅春 冬虹を翔け上らんと鳥一羽 同 榾爆ぜる音にも温みありにけり 慧子 故郷は遠し一夜の雪二尺 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年12月11日 ますかた句会 栗林圭魚選 特選句
みちしるべなき分かれ径枇杷の花 秋尚 中子師と歩みし坂ぞ枇杷の花 三無 杉樽に醤油の香り枇杷の花 ゆう子 新聞の折り目ずれなく漱石忌 同 枇杷の花不穏なること無き日々よ 同 布団干す母手作りの重さかな 多美女 立ち止まり見る人もなく枇杷の花 白陶 いぶかりつ人恋ふ猫や漱石忌 百合子 烏瓜色仕上りて句碑頭上 三無 日を回しながらゆつくり紅葉散る 秋尚
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年12月13日 武生花鳥俳句会(十二月十三日) 坊城俊樹選 特選句
色鳥の風と光に遊びをり 中山昭子 色足袋をはいていよいよ籠りけり 上嶋昭子 落つるもの大地に還し山眠る みす枝 一灯のともる社や神の留守 英美子 極月にして捨つるべきもの何もなし 世詩明 冬麗やこの郷土にて生かさるる 信子 吾町に煙突のなきクリスマス ただし 時雨るるや振子時計の重き音 信子 天界の星座の見ゆる大枯木 みす枝 妻が留守する小春日でありにけり 世詩明 天帝の光射す庭冬の蝶 錦子 誰かれと言はず着ぶくれ句座にあり 英美子 身籠りてふくらむ夢や毛糸編む 同 街路灯夜霧の���るむ一直線 一枝 外���の襟立て警邏街の辻 三四郎 外海も内海も凪石蕗の花 中山昭子 何処見るでなき見つめゐる日向ぼこ 英美子 鴨一羽急に羽搏き黙破る みす枝
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年12月13日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
金色の曙杉や冬日向 美貴 お喋りは徐々に大声冬日向 あき子 松籟に静けさつのる炭手前 同 冬日向旧姓残る裁縫箱 美貴 山寺の燃える紅葉に冬日差し 迪子 ひと畝の冬菜を残し寺の畑 秋尚 彩りに冬菜を入れて中華粥 迪子 尉もまたかぐはしきもの桜炭 三無 晴れし日は富士仰ぎ見ゆ冬菜畑 貴薫 黒糖の飴舐め冬菜畑入る 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年12月14日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
乾きたる白杖の音や枯木道 登美子 初めての柚子湯子の手に一つづつ 裕子 冬タイヤ着け替へる音響く町 紀子 根深持ち友わが家を探し来る 令子 母と娘のふところ温め根深汁 同 甥つ子の来福めがけ霰降る 紀子 冬夜空指輪のやうな月蝕を 光子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年12月14日 萩花鳥句会
リハビリの迎へ待つ間や著ぶくれて 祐子 月蝕や三代並び膝毛布 美恵子 姿変へ伏兵地球を凍らせる 健雄 交差点スマホの生徒息白し 吉之 句仲間の声懐かしや忘年会 陽子 けたけたと笑ふみどり児日向ぼこ ゆかり まつしろな書類重ぬる年の暮 明子 彼の宿の達磨火鉢を懐かしむ 克弘
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年12月16日 伊藤柏翠俳句記念館 坊城俊樹選 特選句
竜胆の花がこんなに似合ふ墓 雪 考へのあるとも見えぬ懐手 同 木犀の香にほころびの見えそめし 同 機嫌よく水の軽さや紙漉女 眞喜栄 音のなき竹百幹の霜の声 同 枯菊をくべ足し仕舞ふ畑仕事 同 マスクして美人の顔を半分に 清女 丸太棒の如き大根もて余す 同 嘗つて僧と梅見の宿の河豚料理 ただし 渡来仏残る若狭に牡蠣筏 千代子 越に棲み訛は二つ石蕗の花 同 青空に別れに来たか赤とんぼ 輝子 冬帝の足音もなく来る越路 かづを 黒手帳終へし師走の赤手帳 高畑和子 ふぐと汁喰べて睡むたくなりにけり ただし 鴨浮寝何れか父やら母子やら 玲子 酔漢の愚痴の繰り言忘年会 みす枝 大根を抜きて土の香漂へり 富子 虎落笛白きもの皆吹き飛ばす 山田和子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年12月19日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
重力の強くなりたる冬至前 久 遥か行く貉の怪や枯野径 三無 裸木の一木領す群れ鴉 菟生 寒鴉鳴くまだ釣果なき釣人に 佑天 神鈴を鳴らす冬帝鎮むまで 慶月 冬木立天は奪へるもの奪ふ 慶月 冬ざれの谷戸田貫く風太し 三無 径を問ふ人にやさしき頰被 亜栄子 むじな池人惑はせて氷りけり 久 焚火の香まさをな空へ消えゆけり 眞理子 古鏡なす日輪弾く冬の沼 菟生 燃えつきの悪き焚火やむじな池 千種
栗林圭魚選 特選句
痛きほどの青空尖る冬芽かな 斉 初霜の葉脈白く浮き立たせ 貴薫 霜枯の行く手阻みし杭一つ 炳子 女坂とても険しき水仙花 芙佐子 朝霜を畦の日蔭に消し忘れ 秋尚 田の氷罪あるごとく割られけり 千種 径を問ふ人にやさしき頰被 亜栄子 むじな池人惑はせて氷りけり 久 烏瓜空眩しみて破れけり 久子 霜光る崩るるままの藁ぼつち 炳子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年12月21日 鯖江花鳥俳句会
新米を上り框にどさと置く 上嶋昭子 難儀やなあと呟きて懐手 同 真砂女の句厨に貼れば時雨くる 同 実印を押して腕組む冬座敷 同 寒雀あやとりの子に近づきぬ 同 秋霜や左近の陣に残る石 同 床の間の螺鈿煌めき冬座敷 中山昭子 暖炉燃ゆ三重奏の楽豊か 同 蓑虫の蓑の衰へ如何にせん 雪 炉話や若き日の恋爆ぜてをり みす枝 船頭の笑はせ上手冬日焼 洋子 奈落とも思ふ夜更けの雪起し 一涓
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年12月22日 第四十四回近松忌記念俳句大会 坊城俊樹選 特選句
お歯黒をつけし女の近松忌 世詩明 男云ふ今際の言葉近松忌 雪 心中はむかしがたりや近松忌 遊子 近松忌雨の鳥語を供華として かづを 忍び泣くお初時雨や近松忌 ただし 近松忌盗人被りの成駒屋 道夫 南座の木戸に盛塩近松忌 同 あでやかな傘をすぼめて近松忌 上嶋昭子 しぐるるや胸のほのほは消えもせず 同 近松忌今も名残の七曲り 節子 許されぬ恋の道行き雪深し 同 近松忌皆口紅の濃かりけり 匠 日野山の晴れて時雨れて近松忌 同 手枕の味を忘れて近松忌 千代子 恋に燃えし寂聴逝けり近松忌 みす枝 人情の深まる里や近松忌 同 近松忌お初の恋はありのまま 千加江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年12月 九州花鳥会 坊城俊樹選 特選句
棘の威の死して残れる枯茨 洋子 クリスマス会果てまこと神の闇 古賀睦子 山の端にしたたる銀河神楽宿 佐和 独り三味線せめて一手間熱燗に 勝利 熱燗に火宅を忘れおほほほほ 美穂 棋士決めの王手の響き冬座敷 吉田睦子 スイミング二秒縮めて聖夜の灯 桂 北窓を塞ぎて画布の静かな絵 朝子 お尻立て鳰はするりと異次元へ 勝利 胴長と漁網干しゐる舟小春 由紀子 熱燗や三巡目なるあの話 成子 音楽会敢へて師走を忘れたく さえこ かりそめに置く一本の冬の薔薇 由紀子 凍星や阿修羅は泪とどめたり 久恵
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
4 notes · View notes
citrusgraceblog · 3 years
Text
橘品女子・新企画収納商品・おしゃれな女子用アイテム&折りたたみ下駄箱のおすすめ
|https://ameblo.jp/yinluokyoto/entry-12691138906.html
【折りたたみシューズキャビネット・下駄箱】
工具が不要で簡単に組み立てできるシューズキャビネット。折りたたみ式なので、フレームを広げるだけで素早く設置できるため、ねじやビスを使う必要がありません。細かい作業が苦手な方や組み立てに労力をかけたくない方におすすめです。
靴を収納させたり整理したりする際に便利。大容量タイプのモノを探している方におすすめの製品です。
スキスムシューズボックス
間取りやスペースにあわせて、多彩なオプションと豊富なプランをラインナップ。レスフラット/フルフラット/四方框デザインよりお選びいただけます。他のスキスム製品とカラーコーディネートできます。
靴をすっきり収納できるシューズキャビネット。スリムタイプやつっぱりタイプは、狭い玄関にも設置しやすいのが魅力。オープンタイプのシューズラックは通気性や出し入れの面でも便利ですが、半透明の扉やカバーが付いているタイプなので、靴が丸見えではないのがあまり気にならないです。
上下段に分かれている、12足分の靴を入れられるシューズキャビネット。上段にスリッパ、下段に靴を入れられるため、来客時に靴を整理できます。自宅で個人事務所やクリニックを経営している方にもおすすめです。
部屋の中やウォークインクローゼットに靴をたっぷり収納したい方にもおすすめの製品。扉付きでリビングなどの人目がある場所にも置けるのが魅力です。カバーの色は茶色があり、インテリアにあわせて選べます。
2 notes · View notes
kkagneta2 · 4 years
Text
ボツ3
長身女性。これも最後まで書いてるけど個人的に好きじゃないので途中まで投稿してお蔵入り。
麻耶が昼の弁当を忘れたから届けてくれ、と白羽の矢が立ったのは、先週水曜日の午前10時34分。僕が、………じゃなくて俺が昼からの講義にそろそろ赴こうかとぼんやりしている時だった。
「なんだ、あいつが弁当を忘れるなんて珍しいじゃないか」
呆れつつも、別に弁当を届けるくらい訳ないし、久しぶりに母校に入れるかと思うとちょっとウキウキして、俺は赤い綺麗な風呂敷に包まれたそれをいそいそとリュックに入れた。食の細い俺とは違って、バレーで多くのエネルギーを使う彼女の弁当箱は大きくて、リュックはすっかり重くなってしまった。
麻耶が通う中学校とは、歩いて15分ほどの距離がある。俺はその15分の道のりを、普段の倍くらい重いリュックを背負って、冬の寒さに凍えながら歩き、やがて見えて来た懐かしの校門をくぐった。卒業してからこれで3回目なのだが、ここに身内が入学してからは初めてであった。校門があって、校庭があって、校舎があって、右手に体育館、左手に駐輪場やらゴミ捨て場やら何やらがある、………この光景は10年近く経った今でも変わっていない。俺は、あの麻耶がこの校舎の中で黙って授業を聞いている所を想像して、吹き出しそうになったけれども、そのまま校庭を突っ切って、靴箱、―――に向かいそうになる足を職員玄関へと向けた。
入って直ぐ近くにある事務室の人たちに妹の忘れ物を届けに来た旨を伝えると、もうすぐで休み時間ですので本人に直接手渡してくださいと言われ、少々手持ち無沙汰になった。10分ほどしてチャイムが鳴ると同時に麻耶はやって来て、まずはありがとうと言って弁当箱を受け取った。
「お母さんが来るのかと思ってた」
「なんか用事があるんだって」
「ふーん、それで暇なお兄ちゃんが来たって訳なんだ」
「暇とはなんだ、暇とは。俺だってこれから、―――」
「はいはい」
と伸び上がって今にも突っかかりそうな俺を制してから、少し後ずさって考え込む様子。なんとなく良くない予感がしたから固まって、
「どうしたんだ、………?」
と聞いた。すると手を打つ代わりに眉をパッと上に吊って、
「お兄ちゃん、ちょっと待っててくれる?」
「?」
「ちょっと回ってくるから、そこに居てね!」
「ちょ、ちょっと、―――」
さて弁当箱ごと廊下の奥に消えた彼女は、それから1分か2分くらい経ってから、職員玄関から入ってきたのであった。
「おまたせ」
「一体どうしたんだ、わざわざそっちから来て」
「折角届けてくれたんだもん。いくらお兄ちゃんだからって、見送らないと、こう、………良心がね���………」
などと胸を抑えて心にも無いことを言う。そして飛び跳ねるように背筋を伸ばして、
「さ、そういうことだから、お兄ちゃんほら、靴履いてよ。これから大学あるんでしょ?」
と、兄である俺を見下ろしながら言った。
この時俺は上り框、麻耶は土間に立っていたから、見下ろすと言ってもまだ顔と顔を突き合わせられていた。が、ストンと降り立った時にはすっかり見上げる形、もう慣れた光景に眉間にシワを寄せていると、その頭の上に手を置いて、
「あれ? さっきまでここに顔があったのに。どこ行ったんだろう、………」
と不思議そうにキョロキョロする。
「うるさい。お前が高すぎるんだ」
「え~、お兄ちゃんが低すぎるんだってば。147って何、女の子じゃん」
「お前こそ178とは何だ。いや、何なんだちくしょう、………」
「何なんだろうねぇ、どうしてお兄ちゃんはお兄ちゃんなのに、こんなに小さいんだろうねぇ」
と、今度は肘を乗せて来たから払い除けた、そのまま歩きだして、
「休み時間終わるぞ」
「大丈夫だよ。次は高杉先生だから、―――お兄ちゃんも知ってるでしょ?」
「知ってるけど、俺はお前のお兄ちゃんなんだから、見過ごしちゃいけないだろ」
わざと「お兄ちゃん」の部分を強く言ってのけると、麻耶は突如として腹を抱えた。
「お、お兄ちゃん、………お兄ちゃん、お兄ちゃん、………お兄ちゃんだって、………くっ、笑っちゃ、………あはははは!」
「………もう、何だよ。早く教室に戻れよ。………はぁ、やっぱり来るんじゃなかった。………」
「あっ、ひどいお兄ちゃん、わたしに餓死しろと?」
余程俺が「お兄ちゃん」を強調したのがツボに入ったと見える、目元を拭って、その屈託ない笑みを浮かべたまま、こっちに駆けてきて、
「ま、可愛いお兄ちゃんに免じて許して差し上げましょう」
と言いつつ俺の手を取る。
「誰が可愛いお兄ちゃんだ」
「だって可愛いんだもん。こんなちっちゃなお手々して、生意気な事ばっかり言うんだもん。お兄ちゃんは可愛いね」
「お前もな」
「えっ、やだ、照れる」
「生意気なところだ!」
そうして俺は、取られた手を取られたまま、引きずられるようにして校門まで麻耶と歩いて行った。やはり休み時間はもう終わりだったらしく、すれ違う生徒たちはみな反対方向に進んでおり、みながみな見慣れぬ来訪者を一瞬間不思議そうな顔で見つめてから、微笑ましい笑みを顔に浮かべつつ通り過ぎる、………俺はそれではっと気がついて、麻耶の手を振りほどこうと何度も藻掻いたけれども、そうすればするほど妹は握った手に力を込めてきて、来た時には一歩のように感じられた校庭が果てしなく広いように感じられた。
「お兄ちゃん、お弁当ありがとね」
「礼はいいから、お兄ちゃんは早くこの手を離してほしいな。お前、力入れすぎで痛いんだよ」
やっとの思いで校門に辿り着いても、俺の手はしっかりと握られたままだった。
「えー、やだ」
「やだじゃありません。………いや、ほんとにお願い、後で何か買ってあげるから、………その、頼むよ。………」
時にチャイムがカーンと鳴って、校庭には俺達2人だけがぽつんと居るようになっていたから、教室という教室から視線を集めているような気がして堪らなかった。麻耶はニッと笑って、
「そんなに必死にならなくてもいいじゃん。お兄ちゃんはほんとに可愛いね」
と力を緩めて、その手で俺の頭を撫で、頬を撫で、顎を撫で、外れかかったマフラーを掛け直す。俺はムッとして何も言わず。ずっと近くなった我が妹の顔を見つめるのみ。
「もっと可愛い柄のを買えばよかったのに。お兄ちゃんはこんな大人っぽいの似合わないよ。………よし、できた!」
「その時一番気に入ったのがこれだったんだ。多少似合わなくても別にいいだろ」
「今度わたしのを貸してあげよっか」
「いいから、いいから、もう早く授業に行けって」
と、無理矢理校舎の方へ押しやると、
「もう、可愛いお兄ちゃんと一緒に居たい妹の気持ちを分かってくれてもいいじゃんかー」
と文句を言つつも、しぶしぶ麻耶は踵を返して手を振った。
「ばいばい、お兄ちゃん」
「ああ、ばいばい」
と、俺も踵を返した時だった、
「そうだ、お兄ちゃん、―――」
振り返ると、麻耶は無邪気な顔をこちらに見せていた。
「次は制服で来てみてよ。―――」
聞いて愕然とした。未だに頭にこびり付いて離れないその言葉、彼女からしてみれば単なる思いつきだったのに、………と思っても今は遅い。この時なぜか俺は、制服を着て、妹の通うこの学校を訪れたくて堪らなかった。
4 notes · View notes
2020zaji · 4 years
Text
#リハビリ|119への道(2)
 2016年は最悪の年だった。その年、桜の季節に、わたしは親友を亡くした。両親ともに健在なわたしにとって、彼女の死は、いままで生きてきたなかで最も身近な、具体的な「死」だった。なにか面白いものを見つけるたび、なにか美味しいものを食べるたび、「教えてあげよう」「次は一緒に食べに来よう」と。つい思ってしまう。もう彼女はいないのに。もう、彼女は、いない。
 なぜ、いないのだろう。その理不尽さに、悲しみというより、怒りが、涙と共にこみ上げる。あまりの苦しさに、心臓のあたりで、血液がゴボゴボ渦巻くような気がしていた。なんだかおかしい。これは気のせいではないかも。
 家から最も近く、毎年人間ドックに行くかかりつけのクリニックで、年明けの2017年1月に検査を受けると、たしかに不整脈が出ているという。24時間心電図をとることになった。結果は「心配のないタイプの不整脈」とのことだった。なんだ、そうか。
 翌月くらいから、今度は首と肩がひどく強張るようになった。もともと歯を食いしばる癖のせいで、十年以上もの間、朝起きると顎から首にかけて首が回らないほど強張る症状に悩まされたことがあった。だが、数年がかりの噛み合わせ治療で、この1〜2年はようやくその悩みから解放されていたはず。それなのに、また? いったいどうしたんだろう。 
 そうは言っても、肩こり腰痛は職業病のようなところもある。不整脈を心配して検査した結果、心配ないといわれたこともあった。年度末の忙しさもあった。あらためて医者に行ったのは脳出血で倒れる数週間前のことだ。
 2017年6月6日、救急車で運ばれた。それも、実はかかりつけクリニックに行って帰宅した数時間後のことだった。その日クリニックに持参した「頭痛の推移」と題されたメモがいまも手元に残っている。なるべく正確に、かつ手短に症状を説明しようと準備したものだ。以下、そのメモを引用してみる。[ ]内は、いま振り返って思い出したことを追加した内容。
5月22日(月)首と肩の凝りがあったところに、昼間「寝違え」のような状態が起きて、首が回らなくなる。
5月23日(火)仕事の途中、目に止まった15分ヘッドマッサージをして悪化。
5月24日(水)激痛でクリニックへ。痛み止め薬をもらう。
[5月26日−28日は地方出張]
5月29日(月)朝、顔の左半分のみ腫れていた。左側頭部を中心とした頭痛。
5月30日(火)朝、顔の左半分のみ腫れていた。左側頭部を中心とした頭痛。クリニックへ。痛み止め薬をもらう。念のため頭部MRI検査を受ける。
6月2日(金)大学で[高校の先生がたを前に学科説明をしている最中]前例のないほどの激しい頭痛(両目の奥から頭頂部を引き絞られるよう。血管が切れそうにズキンズキンと痛む)→医務室で血圧を測ったが88−127で異常なし[低血圧のため例年の健康診断では60−85程度なので、いま思えば普段よりはかなり高かった]→頭痛薬を飲んで帰宅。
6月3日(土)朝、いったん痛みはおさまっていたが、薬を控えたら昼食中に痛みが再開。痛み止めを飲む。
6月5日(月)痛みは弱くなっていたので薬を飲まずにいたら、授業中に6月2日と同様の激しい痛み(立っていられないほど)で授業を中断(15時40分頃)→医務室で血圧を測ったが異常なし[上記6月2日と同様。学生と面談の約束があり、頭痛薬を飲んで学生を待ち、面談後に帰宅]。帰宅時に左足の感覚が変だった気がする[帰路、駅のエスカレーターで左足の先がひっかかった。家の上がり框、バスルームの入り口でも、左足の先がひっかかった]。夜も痛みが続き、痛みでよく眠れないほど。
6月6日(火)朝起きても強い痛みが続いている。
 ということで、6日にクリニックへ行くと、5月30日に撮影したMRIの結果が出ていた。正常範囲とのことだった。医師からは「偏頭痛でも人によっては頭が割れるほど痛む」という説明を受け、痛み止めの薬をもらって帰宅した(件のメモには医師の手書きで「偏頭痛」と書き込みが残されている)。何も出来る状態ではなく、薬を飲んで横になった。
 ふと気がつくと、部屋は暗くなっていた。夕方かな? 夜かな? などと、ぼんやり思った後、徐々に異変に気がついた。変な格好で寝ていて身体の一部がしびれたようになることはある。だが、どうも様子が違う。右手で触ると、左側が氷のように冷たかった。過去に読んだあれこれの情報がよぎる。「あ、これは完全に脳に問題が起きている。救急車を呼ばないと。このままでは死ぬことになる」。
1 note · View note
neu-ve · 7 years
Text
WEB内覧/ホール
Tumblr media
今回は、玄関ポーチを入ってからすぐ。ホールのご紹介です。
またまた長いのでご覚悟を…!
Tumblr media
ようこそ!
前回の記事でご紹介した、黒い玄関ドアを開けた状態のビジョンです。 ちょっとローアングルですが、こちらがホール全体。
このホールは、玄関ポーチと同様に、一般的な広さの我が家��対し贅沢なスペース取りをしてあります。
動線なので省スペースにしがちな廊下も、通路幅をなるべく広く。 そして階段は、下部を一切収納にしない片持ち(キャンティレバー)。
一見デッドスペースになりがちなことをしているのですが、それは、家に入ってから出来るだけ窮屈な印象を受けないようにしたかったためなんです。
目線を手前だけで止めず、なるべく奥行きを感じられる空間を意識しました。
Tumblr media
土間は玄関ポーチと合わせ、左官屋さんのモルタル仕上げ。 住んでから4ヶ月、微かなクラックだけで程よく落ち着いてくれた気がします。
写真では伝わりにくいですが、土間の奥行きは1200mm、幅は1800mm。
人の肩幅が約600mm計算ですので、大人3人が2列で並べる広さ…なんですが、う〜ん文章でも伝わりにくいですね、ごめんなさい。 スケールで四角を作ったり、実寸の紙を敷いてみたり…何度も確かめたスペース。 減額調整の際にだいぶ面積を削りましたが、賃貸マンション時代に玄関に余裕がないのが苦手だったので、土間は出来るだけ広く残すように努力しました。
夫婦二人には充分な余裕があって、揃って外出する際もストレスなく暮らせています。
そしてこのモルタル、とにかく汚れが目立たなくて助かっています!
玄関の大敵は、泥汚れですよね。 白等の淡い色はもちろん、黒等の暗い色も、どうしても泥汚れが目立ってしまいがちですが、中間色であるグレーはとても実用的なカラー。
汚れを目立たせない最強カラー=グレーという方程式は、どの場所にも言えることなので、念頭に置いておくととても便利ですね。
Tumblr media
玄関ドアを閉めると、横にはポスト。
前記事でご紹介した通り壁厚分しか奥行きがないので大きな郵便物はドサッと床に落ちてしまいますが…郵便屋さんのファインプレーでいつも上手に立てかけられています。
ちなみに新聞屋さんには、軒下に立てかけておいてもらうようにお願いしました。深い軒は雨にも濡れず安心。朝、主人が新聞をピックアップしそのまま出勤しています。(今時、新聞とってるのも珍しいかもですがお仕事で使います)
ポストから鍵に近い距離ですが、下部の鍵はサムターン回し防止タイプで、ロックをかけてツマミを取り外せるので、普段は付けていません。
Tumblr media
そして玄関ドアの横には…
Tumblr media
SICの扉があります。
フルハイトドアで、出来るだけ壁と同化するように作って頂きました。
でも中はまだ未完で、今は私がダンボールで手作りした靴箱が鎮座。けっこう自信作なんですが(笑)お見せするには見苦しいので割愛しますね。
約70足の靴と、傘や羽織をかけられるような収納計画をしてあって、これからDIYで棚を取り付けます。 (出来上がったら、SIC単体でWeb内覧の記事を書く予定です) DIYと言っても、棚柱を付けてカットしたラワン材を置いていくだけ! 家中の見えない部分の収納は、ネジ用の下地材だけはきちんと入れて頂き、あとはDIYにすることで…かなりコストダウン出来ました。
車輪が汚れて家の中に入れたくないスーツケースも、ここに収納できるような動線にしました。WICも近いので、荷造りはホールで行うことが出来ます。
見せたくない分電盤やWi-Fiルーターも、SICの中にまとめて頂きました。
Tumblr media
SICは“ドア”ではなく“扉”。
SICに入る時はわざわざ閉めることはない(土間側からしか開けない)だろうと割り切り、金具を少しでも簡易にして減額しています。 そのためレバーハンドルではなく、こんなプルノブをつけて頂きました。 カワジュンのPS-075-T05。価格も1000円弱だし、意匠的にも存在感を最小限に出来るので嬉しい。 この建具は、木の厚みも他のドアより薄めなんです。
減額のつもりが、これがとても具合が良くて!
扉の上下に付けたマグネットで留めるだけなので、扉をトンッと押せばあとは勢いで勝手にピタッと閉まってくれるズボラ仕様。
ドアよりもきちんとした開け閉めじゃないから、ワンアクション少なくてとても便利です。
Tumblr media
フローリングは、IOCのもの。カンヌブランという商品です。
とても幅広な190mm、なんともいえないマットでグレイッシュなカラーと、ランダムな節目。邪魔になるほど沢山のサンプルを取り寄せて比較しましたが、中でもこれは別格に理想的なフローリングでした。
でも、予算より少し高額(㎡/8800円)で何度も何度も諦めかけましたが、家に入って一番最初に目にする床だし、小さい面積であるホールだけなら…と後悔のないように導入しました。
複合フローリングなので、冬の寒い時期もつなぎ目は一切開かず安定していました。これは複合特有のメリットだったなぁと思います。
でも扱いや質感は、ほぼ無垢材。 複合とは言え、厚みが4mmもあるのがポイントです。
白い壁と黒い階段の激しいコントラストも、彩度を抑えたこのフローリングなら、柔らかく繋いでくれると思いました。 モルタルとも明度の相性が良く、とても心地よいカラーに感じています。
Tumblr media
そして玄関の框。 完全な箱型で、框を感じさせないディテールにして下さいました。
これは、4mmの複合フローリングの、4mm厚の部分を生かして使ってくれています。
高さも、フローリング幅と合わせた190mm。 これが低すぎず高すぎず…靴の脱ぎ履きに絶妙で、とても生活しやすく嬉しいです。
無駄な接続部が一切見えない美しい納まり。 接続部分に何か貼ってごまかすのではなく、あるのにないように見せてくれているんですね。
Tumblr media
それは床と壁の接続部である、巾木にも言えます。(巾木の記事はこちら) 家中、アルミアングルを使用して"入り巾木風”にすることで巾木の存在感を消して頂きました。
壁とドアは、混在しても1つの面としてつながるよう意識しています。 そのため、フルハイト(天井まで高さのある状態)&ドア枠なし&隠し蝶番がマスト。
造作のドアですのでもちろん既製品よりも価格は高くなりますが、建具では少しでも余計な線や金具を消す事が、家のクオリティを左右する鍵。 これは迷う事の無かった増額パーツでした。(神谷から既製品も出ています)
ドア下部の隙間も、巾木と同じ高さにして下さっています。
そしてホールの壁と天井は、全て塗装にしました。
職人さんにお願いすると、塗装はクロスよりも高額になってしまいますが、ベンジャミンムーアのAuraという素人でも美しく仕上がる塗料でDIYすることで約3万円で塗装壁を実現しました。(ペイント選びの記事はこちら、自主塗装の記事はこちら) フラットな意匠はもちろん、お手入れがとても楽! 体力は要りますが、諦めなくて本当に良かったと思います。
※一時期、下地のパテによって変な艶が出てしまって、補修で塗装屋さんがベンジャミンムーアで再塗装して下さったのですが、養生したのに一滴も塗料が垂れませんでした…塗料も凄いですが、やはり職人さんは凄いです。
Tumblr media
こちらはフリースペースへ続く階段。 画面左側はWICの扉です。 家中のレバーハンドルは、全てWESTの3rd zeroで統一しました。(レバーハンドル選びの記事はこちら)
家の中の建具はほぼフルハイトですが、フリースペースのドアだけは床レベルの関係で程よい高さで止めてあります。
我が家の前面道路は絶妙な坂になっていて、敷地内で約60cmの高低差があり、Wさんはそれを生かしたフロアレベル作りをして下さいました。
フリースペース側のレベルを0cmとし、玄関側が+60cm高さ。 この2つの区間の繋ぐホールで高低差を調整したので、約3段(60cm分)の階段があるんです。
この、半地下感が私達夫婦はとても好き。 なんだかいつもちょっとワクワクする感覚があります。 通常の半地下の場合は地面を掘り下げる為、一気に予算がはね上がるのですが、土地の起伏に上手く合わせて頂いたため増額も特になく、ありがたい限りです。
Tumblr media
ドアを開けると約10帖のフリースペースへ続きます。 (フリースペースを作った経緯はこちら)
フリースペースの向こう側は中庭。 時々このドアを開け放してホールからも中庭のシンボルツリーが見られるようにしてあります。
ドアは可動域が広く、うまく織り込んで死角にすることが出来ます。
フリースペースを店舗として使う場合は靴に履き替えるので、ここからまたモルタルへの切り替え。(今は頑丈なスリッパを常備しています)
そして、将来このフリースペースはAirbnb等でリースすることで収入を見込む部屋となる可能性もあるため、境界を少し強めに意識し、こちら側から本錠で鍵をかけられるようになっています。
Tumblr media
廊下に腰掛けて土間に足を下ろして撮ったビジョン。
たった3段のこの箱階段も、とても好きな空間です。 框や巾木を極限までミニマルに抑えて下さったお陰で…彩度を抑えてじっくり選んだ、壁・モルタル・フローリングの3つの素材感がきちんと引き立っている気がします。
2FリビングであるM邸にとって、夏にここはちょっとした避暑地になるはず。 本を読んだりできるように、背面にはフロアランプ用のコンセントを配置してあります。フロアランプは検討中で、近い将来の楽しみ。
M邸のホールは、あえて充分な広さで取ったことで、結果的に単なる“廊下”や“階段下”の枠を越えて、無意識に居住部の延長のような扱いになりました。
ホールの記事、あまりにも長くなったので2回に分けます(苦笑) 次回はホール内の片持ち階段の内覧です。もう少しお付き合いください!
Tumblr media
●我が家と同じように建築家と家を建てている方のブログ集はこちら。 これから家づくりをされる方は是非ご参考ください。
●当サイトはDisqusという安全なコメント機能を設置しています。お持ちのDisqus/FB/twitter/Googleアカウントでコメントをご投稿頂けますが、“ゲストとして投稿”にチェックを入れるとアカウントなしでお気軽に書き込んで頂けます。コメントは管理人の承認後に表示されます。
0 notes
kazuya-ikezoi · 1 year
Photo
Tumblr media
前に、上がり框を斜めに切った玄関を紹介しましたが 今日は斜めのアプローチやデッキの事例になります 斜めに切り取ると、動きを出せたり余白を残せたり お好みですが参考にしてみてください 他にも事例を紹介しているので @kazuya_ikezoi からとんで見てください #平屋の家 #玄関アプローチ #タイルデッキ #ウッドデッキ #化粧梁 #軒天板貼り #目隠し塀 #板塀 #シンボルツリー #外構デザイン #設計士とつくる家 #コラボハウス https://www.instagram.com/p/CmWVZDRvnw9/?igshid=NGJjMDIxMWI=
0 notes
aa-labo · 2 years
Photo
Tumblr media
おはようございます。 岩成台の家 リビングの連装の木製建具です。 枠も建具もすべて無垢のナラ材で製作しました。(ちなみに床のフローリングも無垢のナラ材です) 建具の框は全て枠の裏に隠れるような納まりとしており、建具を開けても閉めても建具の存在を消して室内から見た姿に変化はありません。(隠し框という名の納まり) #木製建具 #隠し框 #ナラ材 #無垢材 #中庭のある家 #中庭のある暮らし #愛知県春日井市 #青木昌則建築研究所 https://www.instagram.com/p/CaLRw_-BBnx/?utm_medium=tumblr
0 notes
ii-think · 3 years
Text
栗の玄関框と米栂羽目板(木 マンションリムフォーム)
晴れ間が続かず、、、畑が乾かず、、、耕せず、、、 秋冬野菜の苗がどんどんと大きくなっていくのに、未だに畑は夏仕様(汗) どこかで一日掛けて畑つくりたいのですが、粘土質なのでしっかりと乾いてくれないと 耕せない。。。うーーーん。。。どうしたもんか。。。 さて、そんな中でもマンションリノベーションは天候に関係なく木工事が進んでいます。 この物件の目玉!?見どころの一つでもあるホールと洗面を区切る米栂格子の打ち合わせが あったので、原寸図を作成して神戸市灘区の現場確認に行ってきました。 格子と洗面カウンター(桧巾ハギ)が絡むので大変そうですが、上手く仕上げて欲しい箇所です。 それと、玄関の栗の平框が取り付けられていました。 これまではまっすぐに製材した材を使う事が多かったですが、ここ数年で思考が変わったようで こうした”木”そのものの柔らかな、自然な形状に癒やされる事が多く、設計にも反映する…
Tumblr media
View On WordPress
0 notes
khrbuild · 3 years
Text
そろそろ 少し お湿りを下さい。
あついよねーー!
岸和田市大北町リフォーム工事
貝塚市水間 新築 リフォーム 坂口建設
あついよね~~!
スポットクーラーに 扇風機に 空調服 きてても、あついよね~~!
この暑さは いったい どこからやってくるのでしょう~?
そういえば 話全然かわるんですが、
私 このブログを 自分のFacebookにも のせてるんですよ。
Facebookから このブログに来てくれている方も いらっしゃるかと!
いつも ありがとうございます。
Facebookは 知り合いの 知り合いが 友達になって、 どんどん 輪が広がっていくんですよ。
友達の友達は
皆友達だ見たいな感じでね!
タモさん わっかーー!!
Tumblr media
そのFacebookで ある人から 友達申請きたんですよ
それが あの ZOZOのね!
前澤くんですよ!!
Tumblr media
これ ほんまもんかな?
ずっとお金 配ってるみたいですが
お金いらんから 宇宙に一緒に連れていってほしいなーー!
なんで きたんやろ?
にせもんかな?
まぁ、棚ぼたの お金よりも 目の前の現場を がんばりましょね!
玄関の ケヤキ框が入りました。
Tumblr media
Tumblr media
これが入れば 床材を張りましょう
Tumblr media
うつくしですね
Tumblr media
さぁ 週なか 水曜日です!
残り頑張っていましょう!
本日はこのあたりで おやすみなさい
貝塚市 岸和田市 熊取町 泉佐野市 泉大津市 和泉市 泉南市 阪南市
天然素材スイス漆喰 カルクウォール
リボス自然健康塗料自然健康塗料取扱店
0 notes
banks-house · 3 years
Text
下舞木の家 完成しました!
なかなかブログを更新できておらずすみません、、、
工事を頑張って進めていました。
おかげさまで本日無事、下舞木の家のお引き渡しが完了いたしました!
���音性能が最高に良い「セルロースファイバー断熱」で包み、 高性能樹脂トリプルサッシに入れ替えた 下舞木の家は、性能的には申し分ない良い家になりました。
ですが、性能だけではなく、 造作もたくさんのこだわりを持って仕上げた家なので、 少しづつ、この家の見所を紹介していきたいと思います。
どうぞ続きをお読みいただけたら幸いです。
Tumblr media
先ずは、特注の和紙の照明。 群馬のメーカーさんにお願いして、今回初めて導入させていただきました。
Tumblr media
玄関の上がり框は、解体時にでた既存のケヤキの柱を再活用。
Tumblr media
古材の風合いと、自然な木材の風合いが、家に表情を出してくれました。
Tumblr media
人工的な存在感を放つエアコンは、天井を切り欠いて極力目立たぬように納めました。
Tumblr media
総ヒノキの造作のベッドは、海外のベッドルームを思わせる仕上がりになりました。
Tumblr media
書斎には畳を導入し、吹き抜けを見下ろせる開放的な空間になりました。
まだまだある、下舞木の家の見所は、今後少しづつ紹介していこうと思います。
0 notes