東京五輪から2年 湾岸はいま
悪夢のようなTOKYO2020大会から2年が経った。
五輪のために姿を変えられたあの場所は、巨額の資金を費やして建てられた会場は、白いフェンスに閉ざされていた公園は、いま一体どうなっているのか。
湾岸エリアを中心に、フィールドワークを行った。
①築地市場
築地本願寺から場外市場に向かう。日曜日。外国人観光客、親子連れ、カップル。賑わいは築地市場があった頃と変わらないように見えた。どの店にも、昼食を目当てに沢山の人が並んでいる。
立体駐車場の最上階から市場のあった方を見下ろす。縦横に走るターレ、魚の並ぶケース、積み上げられたトロ箱、林立する仲卸の看板――それらが全て消え去り、でこぼこの、剥き出しのコンクリートだけが灼熱の太陽に焼かれていた。その一部は駐車スペースに。数台の自家用車。物悲しくなるぐらいしょぼい。
駐車場のわきに、築地市場の仲卸とおぼしき店名のプレートを付けたターレが放置されていた。よく見ると、ナンバープレートを外した痕がくっきりと残っている。
石原元都知事が主導した2016年五輪招致当時、築地市場を潰してメディアセンターを作るという話が出ていた。2020東京大会ではそれが「駐車場」にかわり、市場は2018年10月に東京都によって閉鎖された。選手村から競技場への輸送のために新たに作られた環状2号の全面開通は、五輪閉幕から1年以上も過ぎた2022年12月。五輪招致が、都民の台所を打ち出の小づちのように利権を生み出す空虚な「一等地」に変えてしまった。
築地を舞台にしたある連載漫画の中で、目利き一筋の主人公は何故か移転に何の葛藤もないまま「豊洲で頑張っていこう」と仲間に呼びかけていた。築地市場83年の歴史は、急速に「なかったもの」にされようとしている。
②月島
東京では五輪の前から、競技会場と直接関係のない場所でも各地で再開発が起こっていた。晴海にも程近い、湾岸エリアに位置する月島もまたその1つ。もんじゃストリートで有名なこの町は、一本裏道に入ると古い木造家屋が軒を連ねる下町らしさが���っている。私たちが2017年に訪問した際は、月島1丁目西仲通り地区再開発計画のためにもんじゃストリートの店舗が軒並み閉店していた。
そして今回訪ねてみると、MID TOWER GRANDなる地上32階、高さ121mの超高層マンションが建ち(2020年10月竣工)、その1階にもんじゃ屋などの店舗が入っていた。
月島ではさらに地上48階、高さ178.00mのタワマンを建てる月島三丁目南地区第一種市街地再開発事業、地上58階、高さ199mのタワマンを建てる月島三丁目北地区第一種市街地再開発事業が控えている。フィールドワークの後で知ったことだが、この月島三丁目再開発計画には反対運動や行政訴訟も起こっているとのこと。長年暮らしてきた人々の息吹が聞こえるような町並みが、大手開発業者によって姿を変えられようとしていることには胸が痛む。
③晴海選手村
カンカン照りの選手村跡地。ここはHARUMI FLAGなる高層マンション群として開発され、完成すれば5,632戸12,000人が暮らす街になるという。未だ工事中で通行できるのはメインストリートの車道のみ。焼けつくような暑さの中、誰もいないコンクリートだらけの空間は殺伐とした雰囲気が漂っていた。
選手村をめぐっては、東京都が適正価格の10分の1という不当な安さで都有地を三井不動産ら11社のデベロッパーに売却したとして住民訴訟が起きている。五輪という祝賀的なイベントが作り出す例外状態によって、公共財産が民間資本に吸い上げられた象徴的な場所だ。
街の中心に近づくと、左手には、大会中、大量の食材廃棄が問題となった食堂の跡地が、中央区立の小中学校(2024年度開校予定)として整備されていた。
右手には三井不動産の商業施設「ららテラス」。その1階には「東京五輪を振り返りスポーツの力を発信する施設」として「TEAM JAPAN 2020 VILLAGE」が設置されるらしい。五輪と三井不動産のどこまでも続く蜜月がうかがえる。
その先では道路を挟んで左右両方の街区で50階建ての2棟の超高層タワーマンションが目下建設中だった。
選手村を訪れるとき、2018年、建設工事中に2人の労働者が亡くなったことを思わずにはいられない。その街区は、労働者の死という痛ましい現実を塗り固めるようにSUN VILLAGE(太陽の村)という輝かしい名前で分譲されている。
この街区だけではない。この街全体が、五輪によって引き起こされた問題などまるで何もなかったかのように成り立っている。この街ではとても生きていけない、生きた心地がしない。生気を抜かれたようにその場を後にした。
④潮風公園、お台場海浜公園
ビーチバレーボールの会場設営のため何年もフェンス封鎖されていた潮風公園。わたしたちは初めて公園内に入った。こんなに広かったのか!無観客のくせに、この公園全体を占拠していたなんて、ほんとうに厚かましい。
東京湾の対岸の埠頭にはコンテナが並んでいる。海をみてみると、うっ!海水は泥沼のような色。しかし、なぜか匂いはせず、潮の匂いさえもしない。ファブリーズでもしているのか?
わたしたちは、野宿の人たちが寝ていた場所を探して公園内を歩いた(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織員会による追い出し→https://x.gd/ZJP4d)。木がたくさんあってなかなか住み心地よさそうだと思っていたら、屋根のある排除ベンチにたどり着いた。なんて醜いデザインなのだろう。
次に「トイレのようなニオイ」と話題になったお台場海浜公園のビーチへ、匂いを確認しに行った。「遊泳禁止」の看板があり、スクリーニングのためと記してあったが、やはり汚染が懸念されているのだろろう。このビーチの海水も濁っていて、潮の匂いさえもしない。怪しい水質だ。
しかし、暑すぎる。灼熱の日差しの下で、ビーチバレーボールや、トライアスロンをやって、汚い海に飛び込んでいたのか。
知れば知るほど、オリンピック・パラリンピックは地獄だ。
⑤有明
有明の旧会場エリアへ。グーグルマップで見ると、どうやらこの一帯は「有明オリンピック・パラリンピックパーク」と名付けられたらしい。いまや地に落ちた電通がオリンピックでちゃっかりゲットした、唯一黒字と言われる有明アリーナへ。SNSではステージが見えない席があると不評を買っていたが、「ディズニーオンアイス」をやってるらしく、猛暑の折、駅から会場まで大勢の人だかり。
有明体操競技場はこの5月に「有明ジメックス」と名を変え、株式会社東京ビックサイトが運営する展示場としてオープンしたらしい。第一印象は「・・・神社?」世界的ウッドショックの最中に木材を山のように使って、10年程度で取り壊される予定とのこと。こんなに立派にする必要あったのか?
そこからゆりかもめの駅を越えると、フェンスで囲われた草ぼうぼうのワイルドな一角が。有明BMX会場跡地だ。グーグルマップには「有明アーバンスポーツパーク(2024年4月開業)」とあるが、いまのところ影も形もない。スポーツ施設より原っぱ公園の方が需要あるのでは?
有明テニスの森公園は工事パネルが外されて、開放感に溢れていた。こんな素敵な場所を何年もオリンピックのために囲って、市民を排除してきたかと思うとあらためて腹が立つ。
真夏の炎天下に火を燃やし続けた聖火台があった夢の大橋にも立ち寄った。観覧車が無くなっていた。東京都はこの夢の大橋を含むシンボルプロムナード公園の一角に、新たに聖火台置き場をつくって飾っている。東京都はいつまでオリパラの亡霊にすがる気か。。
⑥辰巳・東京アクアティクスセンター
アクアティクスセンター
「威圧」を形にしたような巨大建造物。
建物の周りには木陰がなく、取ってつけたような弱々しい植栽が施されている。
正面外の、広すぎる階段は、車いす利用者でなくても、大げさすぎてびっくりする。コンクリートが日射で熱い。ゴミ一つ落ちていないのは、人が寄り付かないからだろう。
その下にたたずんで私は、ピラミッド建設のために労働を強いられている人のような気持ちがした。
ここは、公園の一部であった。近くに団地もある。誰でも入って、海からの風を感じながらくつろぎ、出会う場所だったはずだ。
5年前に訪れた時は、工事中で巨大な支柱がそびえたっていた。三内丸山遺跡にインスパイアされたのかと思ったが、出来上がったのは帝国主義の終点のようなしろものだった。
「お前たちが来るところではない。」という声がどこからか聴こえる気がした。
知ってる。だから入ってみた。静かだ。人っ子一人いない、空調が効いて冷え切っている。だだっ広いロビーの小さな一角に、TOKYO2020オリパラのポスターたちがいまだに展示されていた。
競争をあおり、序列化し、勝者に過剰な価値を与え、「感動」を動員するスペクタクルがここで続けられるのだ。
生きていくのに必要な潤いをもたらす公園に、このような醜悪なものが君臨しているのを私は許せない。
炎天下の湾岸エリアを丸1日かけて回った。TOKYO2020跡地は、廃墟になっていると思いきや、むしろ多くの場所でまだまだ開発が続いていた。開発への飽くなき欲望と「レガシー」への執着、五輪災害は閉幕後も延々と残り続けている。
この日撮影した映像を使って「オリンピックって何?東京からパリ五輪1年前によせて」という動画を作成し、1年後に五輪開幕が迫るパリでの反五輪の闘いに連帯を示すメッセージとした。
From Tokyo To PARIS, NOlympicsAnywhere
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2022/10/22〜
10月23日
朝はそんなに早く起きれず、ハトバスは満席で、でも朝の休日の丸の内を歩いて、ハロウィーンの飴をパパブブレで買って、ちいかわのショップに整理券を持って静かに並ぶ方々を見て、首都高をくぐって図書館へ行った。
予約していたボードリヤールの“透き通った悪”を借りて、ユリイカの長島先生の対談を読んだ。
そして今日は2回目のお散歩会。曇りの良い天気。待ち合わせた新浦安駅は大きなイオンとアトレとディズニーリゾートちっくなホテルや団地があった(百万��と苦虫女のロケ地!)。
スケールアウトした道や碁盤の目状に並ぶ郊外住宅、夢の国の安らかBGM、隠さないレプリカ感のホテルの佇まい、エイの写真の駅、海と中洲、観覧車、端に突き刺さったシンボル、西日、遠くの町並み、何かずっと生えている大きな油菜みたいな背の高い黄色い草…たくさんのものが割と全て主役級で忙しい。
おしゃべりをしながら、途中ふっと会話を抜けて写真を撮ることができるお散歩だった。
私は、またお隣さんからラインが来た話(さつまいもをいらなかいか?と言う内容)や、幼馴染の会があるらしく心がざらついた話をしてしまった。
お散歩をした2人とは比較的よく会っているので、最近どう?とか仕事何してる?とかを話さずに、写真や映画の話、昔見ていたアニメや映画の話ができて、とっても楽しかった。
2人は今度山登りに行くらしい。ちょっと頑張れないアクティビティなので、羨ましいけれど、良いお年を!と言って別れた。
女の子と写真のことをまとめた写真集をみてもらった。改めて、30歳で消えたい、と思った。
それと、2人と私は、みんな二人姉妹の長女だったな〜と帰宅して思い出した。それだけなんだけれど、だからって共通点を見出すことはできなくて、うん全てのことがこうであれ!と思っている。
一人で街を歩くと、周りの人達をよく見てしまう。自分も周りの人も同じところにいて、大勢の中の1人であると感じることが多い。でも今日は、私達、と、その他の皆さん(違うところにいる大勢の私達)になっていた。気づかなくて良かった嫌なものも含め、周りが見えずに、でもそれはそれで楽しく過ごすことができた。
ただ、とっても疲れている!ので、なるべくゆっくり夜更かしをしよう。
(いつも早く寝ようと焦ってしまう。)
10月23日
思ったより朝起き上がれたので午前中の予定を済ませて、先週落として失ったお花を、町のお花屋さんで購入した。ケイト、というらしい。
やっぱりまだ幼馴染の会のざらざらが残り、お部屋や水回りの掃除をたくさんした。えらい!掃除をしながら、会の主催の人(母から連絡をとるように、と、連絡先が送られてきた)は、よく思い出したら私に傷つき度の低いいじめをしてきた人だった!ぜったいにいかない!思い出したように傷ついているので!
午後、筑波山へ行った話を聞く。
写真も見せてもらった。山の入り口に大きいカエルの像と、廃墟化したデパートの屋上程度の遊園地があるらしい。
カエルとイカの解剖実験を高校生の時にしたことを思い出した。
昨日の友人達もそうだったけれど、みんな登山をしている…
最果タヒの、味方はいらない、を読みたくなる。非の打ち所がないマンのパブリックイメージに対抗するために、こんなに大きな声で鼻歌を歌って踊って帰宅しているのでは!私は!と、思ったりした。
市長選があったので投票しに行く。今日まで全く市政に興味が持てず、投票所のポスターで2人しか立候補者がいないこと、2人とも差し障りなく見えること、無所属なこと、を確認した。投票用紙記入用のペンがよく尖っていて書きやすかったので、画数の多い方の立候補者の名前を書いた。
10月24日
昨晩食べたものが、全てあまり味がしなくて、少しずつ酸っぱさだけあって、クレイジーソルトをたくさんふりかけた。
クエン酸洗浄したポットの洗いが足りなかったのかな。また感染症を患ってしまったのかな。
ダークチョコレートも味がしなくて悲しかった。
このあと、明日からの休みの予定を上司に相談して、一先ず明日時間休を取れたら映画を見にいこうかな。
10月25日
午前休をとって8:45の回の“マイ・ブロークン・マリコ”を観て出勤した。
ショッピングモールって当たり前に映画館がついているけれど、こんなにもシアターを隠し持っていたの?と、驚いた。平日の朝一だからか、シアターには3人だけで、いつも出てくる映画館空間での不安ちゃんは引っ込んでいた。
とても漫画っぽいシーンが多い(漫画が原作らしいので当たり前か…)、と、あと、名前のわかる役者さんがいなかったので、よくストーリーに集中できた気がする。マリコ役の女優さんかわいい。
どんな映画を観ても、しばらくは自分の周りもその世界の延長ごっこをしてしまうので、午後からお仕事にしてバランスを取れた気がする。
映画を観終えてショッピングモールのテラスに出ると、駅とモールの間の広場に、保育園児4クラス分くらいのお散歩が来ていた。いろんな移り変わる広告に囲まれながら幼少期を過ごすミュータン���増殖?と思った。
今日は曇天のいい天気。
一昨日教えてもらった通り、ショッピングモールの空きテナントにスープストックトーキョーが入店する知らせが張り出されていた。
そして職場で梨をもらった!今年はもう終わってしまったと思っていたので嬉しい!けれど「梨があるよ〜」と知らせてくれた上司は、明らかに私の名前だけを呼ばず、前々から接する度にギクシャクっぽさを感じていたので、うーんそうゆうことかしら…。たぶん心当たりもあるので(食事の誘いを断ったりしている。)、このことが、どうか周りの人にばれてなければいいな、とだけ思っている。
聴くことより見ること、話すことより読むこと、の方が、自意識・孤独を高めます(トゥアンの本より)。
10月26日
寒さで体が冷えすぎて、仕事中の記憶がない!(嘘だけど。)
年々、ウルトラライトダウン的なインナーダウンは薄く、ヒートテック的な暖か肌着は厚くなっている気がする。
何かしたいのに何もできていないとき、やりたいことを整理して、諦めるものを作っても良いのか…水野しずのnoteを読んだ。何を諦めようかな、と、考えながら帰ってきたはず。
あまり良くない感じで眠すぎて、ホームの端を歩いていたら「あぶねえぞ!」と、おじさんに言われてびっくりショックだった。大きな声と汚い言い回し、こわい。
10月27日
今日は自分の段取りの悪さを謝りながら右往左往しているうちに午前中が終わり、急ぎ仕事でいろんな人に連絡しつつ、報告したりされたりして就業した。でも、その中でも、すごくこんなにもマジな感じでお話しできる社会人(新人さん)なんて…!頼もしい!と思っていた人に、それを伝えることができた(「え?それ褒めてるの?」と言われた。)。
帰宅すると、エレベーターの鏡に、生活の音とマナーについて注意が書かれた住人へのお知らせが貼ってあった。お話声や歩く音、カーテンや窓を閉める音など、生活のちょっとした音についての注意で、私はお隣さんのそれらの音にとても疲れていたので少し安心した。みんな思っているのかもしれない。私もアラームをすぐ止められるようにしたい。
と、思って窓を開けると、どこかのお部屋からきつい食事の匂い(餃子のような匂い)がして、急いでお香を炊いている。
SNSの好きな女の子は、昨日のお誕生日に東京タワーとロイホに行っていたらしい。愛。
着たい服も、撮りたいものも、行きたい展示も、食べたいものも、観たい映画も、身につけたい香りも、聴きたい音楽も、読みたい本も、会いたい人も、何も、何もない…!の気持ちになり、日曜の夜のイベントを思ってとった翌日の有給を、4回目のワクチン接種に充ててしまった。
年末調整の紙が配られてパニック!
10月28日
「マックを食べたからちょっと匂うかも」と言われた車に乗った。確かに何かの匂いはしたけれど、それがマックの匂いかは分からない位、私はしばらくマックを認識しない生活をしている。
朝からだめで、話しかけられる度に涙目で応えていたきがする。それなのに帰宅して、とっても掃除をして、梨の皮むきを済ませて、ヘトヘトにさせてしまった。
明日からどう過ごせばいいのか、何ならこれからの夜の時間すらどうすれば良いのかわからない。
とりあえず、年末調整を出せたのでえらい!
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2024のお慶び
早速年賀状に間違えて堂々と2004と書いてしまった(イラストの中に描いてしまったので訂正しようがなし)。ココロ、いつまでゼロ年代。
日記ではあけましておめでとうございます!の記事ですね、今年もよろしくお願いします。この日記、いつまで続くんだ…笑。今日から博文館の懐中日記をうきうきと書き始めました!
博文館新社 博文館 日記 2024年 B7 懐中日記 No.50 (2024年 1月始まり) https://amzn.asia/d/g2cGwrz
赤森さんも引き続き今年も懐中日記とのことなのでお揃い。書く場所が無地なのでなんでも書けるのがよいです。私は箇条書き風にしました。朝から夜までの行動記録という感じ。意外にTwitterにも書かずtumblrにも書かずなことってあるな、と思った。まあそりゃいちいち書かないし今日は地震があって夜はツイートをしませんでしたので、特にだね。そういえば今日は朝夢を見なかった。だいたいいつも見た夢の内容や光景に夕方くらいまで引きずられているので、夢を忘れていると快適。
15時まで寝て体力が回復したため(なんと昨日大晦日は銀座ライオンビ��ホールで酒を飲んだ。酒と言っても、ジンソーダとカシオレだけ。でも全然具合も悪くならず、酔いも1時間で終わったので、今日に影響することはなかった)、ジーパンとセーターに着替えて駅前のスーパーへ。ドラッグストアが空いていなかったので、もう1つの駅前のココカラファインまで行って、なかなか元日から歩くことができた。嬉しい。5300歩くらい歩いた。ただ風呂には入っていない。夜20時過ぎにどうしても寒い感じがして布団に入り、23:30まで寝ていた。具合はいいがこうして見ると結構寝すぎである。思い立って朝から何人かの友人にはあけおめLINEを送った。年賀状を1枚投函した(昨日やっと描き始めた)。色々なことが変わって、着実な日々を過ごせているなあと思った。ふと、このマンションの部屋は今の自分の身分相応な感じがして好きだな、と思った。6畳1Kで家賃5万。かなり都心に近いのだが、古いくらいで特に問題なく、土地柄とても家賃が安い。ユニットバスだが日当たりがよく、寒くない(夏は危険なほど暑い)。住人も普通だし周りは住宅街で治安が良い、駅まで10分以内。この家賃でこの条件の良さは破格だ。ベランダなどはないが、そういうところも私の身の丈に合っている気がして気に入っている。あと10年くらいこの部屋に住みたい。都立大に入学することになってもここから通うと思う。しかし多摩はやや遠いな…。(なにもかも皮算用)
もう今日は本当に嫌なことが寝起きにあり、それで夢の内容は飛んだのかもしれない。ただ、その嫌なことももうここに書くほどでもないか、と感じる。博文館の懐中日記に一日の行動記録をつけ、あんスタの公式手帳(なんか高いのに買った)にあんスタ関連の予定を全部書き込みイベントを走る計画を明確にし(様々なキャンペーンの期限も書いた)、かなり頭の中が整理された。あとは今月の予定を手帳に書けばいいのだが、さすがに夜遅くなったのでやめた。今日も年賀状を1枚書いた。12月に大量に本を買ったのに、まだ全然手をつけていない。部屋の中に本と段箱が積み上がっていて、結構カオティックだが、暫く誰も家に来る予定がないので気楽。机の上さえ片付いていればそこまで精神的にはものの散乱は悪くないことに気づいた。今日は水炊きを作ろうかと思ったが、下腹が便秘?で痛すぎて断念。米を炊いたので、白いご飯とシジミのインスタント味噌汁を飲んで夕飯とした。昼には最後の「いなりあげもち」を食べてしまった。さよなら、いなりあげもち。おいしい時間をありがとう。
脈絡なく、特に今日はなんの思考も思想も書かずに日記が終わりそうだ。ごちゃごちゃ考える日ではなく、どちらかというと体を動かした日だった。一日に1ページくらいは本を読み、1時間は英語の勉強をしたいものだ。あとは風呂に入れればいいなあと思う。風呂のハードルはとても高い。疲れるから。でも頭を洗わなくてよくて、湯船に浸かるだけなら意外とできる。冬は積極的に湯船に浸かっていきたい。大家さんがくれたと思われる(25日に家に帰ってきたら玄関の新聞受けにクリスマスプレゼントとして挟まれていた)ゆずとバブがあるので、使いたい。薄い生地のワンピースを洗う用の洗濯ネットが欲しいんだった。セリアが営業開始したら買おう。
今まではあれやろうこれやろう、を全部どこかに書いていた気がするが、見てわかるもの(対応すべきものが目の前にあるもの)は書かなくていいし、短期的に対応すべきものと中期的に、長期的に、とそれぞれ書く場所を変える(付箋メモ、手帳、スマホのメモ)ようになったのは、なかなか自分も、人生手慣れてきたな、という感じだ。基本的には手帳(スケジュール帳)に集約しているが、その体力がない時の「一時保存の場」を作る、とりあえずどこかに書く、ができるようになった。重要なものは目につく場所にその物自体を置いて忘れないようにするとか。(しかしこれはどんどん他のものも置いていって前の方のものを忘れる場合があるので注意)。一人暮らしも、まあ慣れたというか、やっと落ち着いてきたかなという感じだ。今?遅くない?と思うが、今です。なにもかも周りの人より10年遅いくらいなのはもう仕方ないとして、体は老いていくのが悔しいと思う。でも、見た目が結構若いほうだし、まあ、痩せればもうちょっと健康になるだろうから、かなり恵まれている方だと思う。そこでとくに悲観的になる必要はない。代謝もいいし、風邪は引かないし。ただちょっとフルタイムで働く体力はない。が、それは年齢関係なくないし、障害者なのでと開き直れるのでまあ問題なし。明るく楽しく生きる才能があってすげーなと思う。先のことに対しては楽天的だが、人間関係に対してはナイーヴ過ぎると思う。傷ついたり防衛したり警戒したり思い直したりが忙しい。今年は人間関係上の思考の悪い癖を徐々に取り払っていけるといいな〜。
今日は元気に動けたが、明日は分からない。明日も元気だと嬉しいが…。小説を書く気は起こらないけど、それは健康が上手くいってからの話なのかもしれない。マイナスきいろとオリジナルBLを、カクヨムとムーンライトノベルスで連載していきたいと思っている。やばい、マイナスきいろの資料的なものどこにやったっけ…。オリジナルBLはあのファイル、というのが思い浮かぶが、マイナスきいろの資料まとめファイルがどれなのか全然思い出せない。できれば明日探したい。
うわ、もう3:40になっている。まだ3時くらいかと思った。夜寝てしまったからまだ眠れるほど疲れていない。英語はリスニングをpodcastで少しした。単語帳も開ければよかったな〜と思う。12月一切英語をやっていないが、10・11の2ヶ月で結構やったので、どうにか1月ののこり20日で感覚を思い出したい。英検はたぶん1/21だと思う。一次試験を突破したいが、ライティングとリスニングの対策をかなり頑張らないと無理だと思う。体力と仕事優先で行くので、またあんスタと勉強が疎かになりそうだ。まあ、それは体力が回復し、仕事に慣れるまでは仕方ないのかもしれない。
2024.1.1
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出店店舗様のご紹介!写真メイン。 ✨店舗名✨ deuce cafe ✞出店日程✞ 2022年 、1月9日 1月10日 🍎時間🍎 10時から16時 🧁出店お探し目印🧁 オレンジのかわいい車 🍇出店内容🍇 ・クレープいろいろ ・ ・ 🍰Instagram🍰 https://instagram.com/deuce.cafe/ ♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦ 新春 食の祭典ほかご紹介 岡山サウスビレッジ http://www.southvillage.jp/0002shisetsu/ 1月8、9、10 催し内容チラシみてくだされまし 雨天決行 お問い合わせ 岡山市北区矢坂本町20-1 夢の駅駄菓子号 葵の雫石 07040981652 主催 葵の雫石&演芸ファンタジー 協賛 ステージ全般 ゆめらぼ/RIAリアー/Stylish/ 協賛 ㈱REL本社 協賛出店店舗ご案内 ★夢の駅駄菓子号 8.9.10 @yumenoeki.okayama ★Deucecafe 9.10 https://instagram.com/deuce.cafe/ ★紅茶とスコーンのお店ティーズクローバー 8.10 @ts.clover https://instagram.com/ts.clover/ ★CrossEdge 8 ★芋屋 蜜の月 https://tsuboyaki-imo.com/ ★ドリンク専門店TRENCH COFFEE @trenchcoffee_2016 ★a la maison レストラン ア・ラ・メゾン8.9.10 @a_la_maison_kawakami ★好日 台湾ドリンク専門店 10 @niceday200530 ★Village Chaya (ビレッジ茶屋)8 ★77MOE 8 @77moe1010 ★FRUITS STAND Oli 8.9.10 @oli.fruits ★kitchen森のくまさん 8.10 ★咲屋 8.9.10 ★マラサダドーナツ 8.9 ★うまか亭 8.9.10 ★cafewaft 8.10 ★いきな家 8.9 ★㈱REL本社 8.9.10 ★赤岩整骨院 ★smile born ★ふぁみりお ★さちや誕生石アクセサリー★La.flure ★雑貨移動販売店まほらま ★切絵タカシ ★伝説の鑑定師にぎさき ★バルーングリーティング ★パステルアートAnju ★カラーセラピー彩 ★ユーカリの木 お知らせ!感謝の夢の駅から新春夢箱! 🌷下記ここまでのマークまで#ハッシュタグつけて投稿で必ず5等までの夢箱当たります🌷 #葵の雫石 #岡山サウスヴィレッジ新春食の祭典2022 #夢の駅団体イベント出張 #夢の駅 #岡山サウスヴィレッジ葵の雫石&演芸ファンタジー主催イベント #2022岡山夢の駅団体イベント #葵の雫石岡山移動販売グッピー販売 #deucecafe #岡山移動販売クレープデュースカフェ 🌷🌷🌷🌷🌷🌷🌷🌷🌷🌷 ここまで 🌷🌷🌷🌷🌷🌷🌷🌷🌷🌷🌷🌷🌷🌷🌷 #岡山熱帯魚 #岡山移動販売 #岡山駄菓子 #夢の駅駄菓子号 #移動販売駄菓子 #岡山イベント #岡山おでかけ #岡山サウスヴィレッジ #サウスヴィレッジで遊ぶ #食の祭典 #演芸ファンタジー #ゆめらぼ #Stylish #RIA #白バイくるイベント #岡山すずちゃん #子供アイドルイベント #岡山アイドル入場無料 #岡山を楽しんで #岡山に帰ったら行きたいイベントがある (おかやまファーマーズマーケットサウスヴィレッジ) https://www.instagram.com/yumenoekievent/p/CYXW27nhh8t/?utm_medium=tumblr
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UNIQLO LifeWear Day Tokyoで東北ユースオーケストラ弦楽八重奏が演奏!
2019年10月14日(月)、有明コロシアムで行われた
UNIQLO LifeWear Day Tokyoのオープニングセレモニーにて、
東北ユースオーケストラ弦楽八重奏が演奏しました。
■UNIQLO LifeWear Day Tokyo
https://www.uniqlo.com/ambassador/jp/
UNIQLO LifeWear Day Tokyoは、ユニクロが主催するチャリティテニスマッチ。イベント収益の一部がユニクロが支援する団体に寄付されます。
ユニクログローバルブランドアンバサダーのロジャー・フェデラー選手と
ゲストプレーヤーであるジョン・イズナー選手が対戦。
他にも、グローバルブランドアンバサダーとして、錦織 圭選手、国枝慎吾選手、ゴードン・リード選手(以上テニス)、アダム・スコット選手(ゴルフ)、平野歩夢選手(スノーボード)もイベントに参加していました。
=====
今回の演奏者は、
1st Violin 渡邊真浩さん、井澤佳子さん
2nd Violin 伊藤拓也くん、日比野愛さん
Viola 村岡瞭くん、鈴木愛未さん
Cello 誉田憲丸くん、高橋彩夏さん
仙台・福島組は、前日に東京入り。東京駅で集合の1枚です。
台風19号の影響で、新幹線の遅れも心配されましたが、
無事に東京へ到着しました。
イベント当日午前11時。団員達が有明コロシアムに集まります。小雨模様で、肌寒い天候となりました…。
会場に到着し、控室横で音出し。
ちなみに今回の衣装として、イベントTシャツを頂きました。背面にはアンバサダー選手のサインプリント入りです!
そしてステージで、リハーサルと音響チェック。
演奏者たちは全く緊張していない様子だったのですが、この晴れの舞台に臨む団員達を見て、なんだか事務局メンバーのほうが感慨深く、心が熱くなっておりました…。
リハ後は、控室に戻り昼食休憩でした。
一方、その間に会場がOPEN。
限定グッズを求めてたくさんの観客が会場にやってきます!
ちなみに、この日の観客数は8千人だったそうです!
会場内のサステナビリティコーナーではTYOのパネルや、募金箱も設置させて頂きました。
チェロの阿部君、募金箱を持つためだけに福島から駆けつけてくれました。
さて、いよいよ本番衣装にチェンジ!
控室から移動し、いよいよ本番です。
ディレクターさんと1st Violinの渡邉真浩さん、演奏開始のタイミングについて最終確認をします。
本番直前。ピースするくらい余裕の様子です…。
まずはMCの方から1名ずつ団員の紹介をして頂き、
続いて坂本龍一監督からのビデオメッセージ。
そして、演奏スタート!
曲は『戦場のメリークリスマス』より「Merry Christmas, Mr. Lawrence」の弦楽八重奏バージョンです。
大きな拍手を頂きました。
お疲れ様でした!
セレモニーが終わり、チャリティマッチがスタート!
さすが世界で活躍するアスリートの試合。ボールを打つ音から、迫力があります。
帰りの新幹線の時間が迫っており、少しの時間となりましたが
団員達も試合を観戦させて頂きました。
イベント終了時には、沢山のお客様に募金へのご協力を頂きました。
ご協力くださった皆様、ありがとうございました!
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RDR2:44:宝探しに行こう!!
すったもんだのとんでもハプニング……でもなんでもない想定内すぎてなんで回避できなかったのかと悔いしか残らないような事件から数週間( ・ὢ・ )
体調も戻ったし、今日は遊びに行くもんね( ・ὢ・ ) 誰がなんて言ったって行くもんね( ・ὢ・ )
……と、ME:Aのスットコくんは若者設定なのでそんな調子でもいいとして、三十路も半ばのおっさんでやるとちょっと(?)苦しいものがありますな(ㅍ_ㅍ)
とりあえずはまだ読んでなかった新聞でも……。なになに……サンドニでも連続殺人事件? 岩に掘られた顔の彫刻って、例の石刻とは別かな。グリズリーのあたりって言われても広すぎて見当もつかないんだけど……。おまけみたいに書いてある大文字の文言は、チートコードってヤツですな。使うといろいろ便利だけど、トロフィーが無効になるだけならともかく、セーブできなくなるっていう仕様。つまり、チートコードで進行した部分は「なかったこと」にして再開されるわけで。スリープ機能もありますし、一気にクリアまでとかも可能ではありますが、あまりにもペイが大きすぎる気がします。
あとは、バレンタインの銀行強盗について。―――おい、全部ダイヤルロック解除したのに、ダイナマイトで爆破しただと? まったくメディアってやつは……。強盗がひどい奴だと思わせるためのでっち上げだなこれ。ひどい奴ではあるんだけど、そこまで脳筋じゃないぞ俺は。
脳筋じゃないことを証明するためにも、まずはこの分かりやすい地図だな。
三角形っぽい形した池で、北に向かって川がのびてるみたいな場所の傍だから……
間違いなくここ。エリジアン池の北のはず。
そんなわけで、行こうか相棒。……この間はよく連れて帰ってくれたな。おまえのおかげで無事みたいなもんだぞ(´ω`*) おっとそういえば俺が寝込んでる間、ちゃんと餌もらってたか? まあそのへんはキーランの奴とかホゼアが、なんだかんだで世話は欠かさずにいてくれたと思ってるけどな。
でもそれはそれとして、俺の手でちゃんとブラッシングしてやって、それからお礼代わりに角砂……あれ? ない? 干し草も切れてる? よし、宝探しに行く前に、まずはメドウズの馬屋に寄って、おまえのごはん買い込むぞ。
そんなノリでのんびり出発するアーサーです。九死に一生を得て、なんてこともない景色もなんだか新鮮。
ところでジョンの奴、「俺が狼に襲われて怪我してたときには」とかなんとか言ってたけど、そもそもあいつは自力じゃ戻ってこれなくて、俺は自力だったわけだし? コルムの野郎にしてみれば、まんまと捕まえて餌にしようとした相手に部下ころころされて逃げられたわけだから、さぞかし腹も立ってるだろうし、いい気味だ。その点考えてもただ救援待ってたジョンの奴とは……なんだよ。大人げないって言いたいのか?(๑•̆૩•̆)
むっ、ルモワンの連中だ。話が違うとか言ってるから、仲間割れみたいなもんかと思って今までスルーしてきたが……それならそうと分かったときに全員始末すればいいとして、とりあえず助けておくか。
……と思ったのに、「見知らぬ人」二人はころころされて帰らぬ人に。少し遅かった……。
この馬車、どうすっかなぁ。俺が強奪したわけじゃないのにシェイマスに売れるみたいなこと左上で言われてるし、一度くらいは持ち込んでみるか。
あ”……。
えーとー……この馬車は事実俺のものじゃないんだが、あそこに転がってる死体の、ギャングのほうは俺が始末したけど、他の二人は俺がやったわけじゃなくて、助けようとしたんだけど遅かったわけで……。
通報されちゃうかなぁと思ったら、白いまますっと消える「目撃者」の文字。
「分かってる。それに、このご時世、持ち主のいない馬車を売って金にするくらいいいじゃないか。たしかあんた、鉱山の閉鎖で仕事をなくして流れてきたんだってな。暮らしだって大変だろ。黙っててやるから、行けよ(๑>ω・๑)」
脳内でそんな音声を流しつつ、のこのこと馬車を運びます。
なお、通り道に等しい位置にメドウズの馬屋があるので、ちょっと立ち寄って馬のおやつと餌をがっつり買い込みました。
お、牧場が見えてきた。
おー、シェイマスが自動的に納屋の扉開けてくれるのか。近づくとあとはオートで納車。
「いい馬車だ。これなら売れるだろう。よし、これがあんたの取り分だ」くらいの台詞とともに40$ゲット~(´ω`*) グリッチとかに頼らない金策として駅馬車強盗というか、馬車の売却が上がってましたっけ。
名誉とか気にしないなら、一人乗りの馬車に飛び乗って御者蹴り落とすだけでゲットできますし、ラクな稼ぎではありますな。ただ、懸賞金ってその場合どうなんだろう。うまくやれば名誉ダウンだけ?
まあ、少なくとも今回のアーサーさんではそんなことやりませんが。
おー、おまえか、元気にしてたか(´ω`*) くらいで見かけたら撫でてやります。ここにはもう一匹いるんだけど、そいつはちょっと遠くて声かけられなかったなぁ。
で、ふらふらと目的地に向かうこのあたり、実は動画にしたので、いずれアップします。
世間にはいい動画たくさんありますよ。攻略系、ネタ系、プレイスルーの実況系。
でもだからあえて、「RDR2は西部スローライフを楽しめるゲームである」ことをメインにした、ただダラダラと馬で目的地に向かって、見かけたとこに立ち寄って……みたいな動画もあってもいいじゃないかと。ネタバレもほぼなし(立ち寄った家屋の内部くらい)。人によっては大きな減点要素にしている「いちいち手にとって仕舞う」といったアニメーション、そんなものをゆっくり見てもらおうかなと。
それで、案外こういうこともできるってことが、迷ってる人の背中押すこともあるかもなと。
そんなわけでここからはスクショが少ないのですが、立ち寄った家で見つけた手紙。南部人のガーフィールドという男が、北部人の彼女マーサにあてて戦地から送った手紙です。
元は奴隷制賛成の南軍思考だった彼氏ですが、マーサと付き合い、そして実際に戦場に来て、こんなくだらないことのために命を賭けるなんて馬鹿げてる、と悟った様子。だから生きて帰って彼女に会いたいのだけど、軍の士気は下がり、兵士たちから将軍への信頼も薄く、にも関わらず、名誉挽回のため無理な突撃をしかねないという……。
「スカーレットメドウズにある敵陣地」に向かっていると書かれているので、そのへんに戦場跡地があれば、そこで彼は死亡したのかもしれません。
あと、ハリス将軍って、さっき読んだ新聞にも出てたな。戦争の英雄扱いされてなかったっけ? この無茶な突撃に成功し、大勢死なせてでもとりあえず戦勝者という英雄になったのか、それとも政治的なあれこれなだけか。
なお、お目当ての宝物は、手に入りませんでした。゚(゚´ω`゚)゚。
場所は見つけたし、ヒントにあったものも見つけたのだけど、どこをどう探しても調べられなくて。ツレちゃんに、「ここで合ってる?」と聞いたら、そこで間違いないとのこと。
で、とうとう正解を聞いてしまったのですが……そこを調べることができなくて。で、おそらくそこにギャングのキャンプがあるせいではないか、ということになりました。
なんだよー、せっかく来たのにこのクズギャングども( ・ὢ・ ) 増援含めて皆ころころしたけどさー。
あと、エリジアン池で釣れる魚が「汚染されたブルーギル」とかでドン引きしたりもしてます。え……ここってなんなん? たしかに水面にすげー数のハエみたいなの飛んでるけど……:( •ᾥ•): 魚がけっこう泳いでるので、産業廃棄物的なものではないような気もするのですが……さすがにこんな池に入ってなにがあるか調べる気にはなれないなぁ:( •ᾥ•):
それからまたとことこと、気になるものの傍へ寄り道。
監視塔? 見張り台? せっかくなので登って景色を堪能。てっぺんにはアイテムがありましたし、足元の箱にはけっこういいもの入ってました(´ω`*)
ここ、前に来たことあるんだけど、そのときはもう夜手前で、登らなかったんだよな。
で、その傍の小屋には、人がいると思って近づいたら……戦争がまだ終わってないと思ってるというか、いやいや30年前のままだと思ってるってことは、これはもうただの精神異常……。
さわらぬ神とキ(ピー)にたたりなし。とっとと行こう。
……と思ったのですが、それこそ見張り台だろうと思える場所には興味がわいたので登ってみたり。お、シガレットカード2枚。それに……え? すげーガラガラっつーかシャカシャカ音してるし、赤いドットがある……ガラガラヘビ? でもどこにいるんだこれ? と探したりもしてました。しかし今、小動物用の矢が切れてるんだよなぁ。これって店で売ってたっけ? そういや拳銃用の通常弾もあんまりなかった気が。今度銃砲店も行かないとな。
そしてその後に立ち寄った家。ドアは強引に開けるしかなく、強盗になっちゃうのかなぁと思いつつ入ってみたらこれ。
椅子に腰掛けてちんでる女性と、足元に子供。
テーブルとその脇に男女。こ、これは……服毒一家心中orなんかえげつない食中毒っていうか、知らずに毒草とかガチで混じってた系では……:( •ᾥ•):
どっちか分かるような手がかりはなかったけど、
外にこういう休憩場所があったり、ニワトリが何羽も飼われてたりで、ささやかながら幸せな家族だったように思えます。
それから、釣りの餌を買っておきたくてラグラスへ。
ついでに沼地の真ん中あたりにぽこっと出てる場所を探索してみたら、お墓を発見。よく見えないし、双眼鏡使ってもあんま意味ないのですけど……マーサ、て書いてないか? これって昨日寄った家で手紙もらってた女性なんだけど……あの家にあった死体がマーサじゃないのん? これはただの同名の人のお墓? 飾ってある写真も、手に取れないしよく見えないのでなにも分かりません。
ちなみにここすげー数のワニがいて、くろたまちゃんがビビりまくりに。そらそうだ。ワニはぎんばくくんでも逃げるし。つーか銃声の一つや二つには驚かなくても連発するとさすがに軍馬でも怯えるし、ワニみたいなデカい猛獣に飛びかかられたら馬もひとたまりもないわけで、これに怯えないのは生き物としてどうかって話。
なお、帰り道、近道しようと川を渡ろうとしたらくろたまちゃんが突然棹立ちになり、アーサー落として戻ってしまいました。どうやらワニ踏んだぽい:( •ᾥ•): そら逃げるわ。逃げていいっていうか、マジで逃げて? アーサーは小銭でゾンビできるけど、馬は蘇生薬間に合わなかったらそれきりだからな? ロードしかなくなるからな?
なお、★3ワニだったのでちゃっかりゲットです。ワニ皮は大荷物のタイプか。罠師さんに衣類作ってもらうのに複数枚要求されてたはず。ワニ自体はラグラスとかサンドニの東行けばいくらでもいるからいいけど、一匹狩るごとに届けることになるなら……マジでここは、馬2頭連れだしてそれぞれに乗せるくらいしたほうが効率はいいですな。
なお、沼地でキャンプする気はなくて寝てないアーサー。しきりに目元を揉むような仕草をします。すまんアーサーさん、サンドニのホテルまでがんばってくれ(´・ω・`)
サンドニの罠師のとこ寄ってワニ皮売って……大衆酒場のほう行こうと思ったのにまたネズミ退治になってしまい、しかもこういうイベントあると全店閉店しちゃうの? ホテルつきの酒場のほうもやってなくて、うとうとしながら拠点まで戻ることになりました(´・ωゞ)ネム…
というわけで、辿り着いたのはもう明け方どころか昼前だったので、夕方まで爆眠。
あ、そういえば万年筆手に入れたんだった。メアリーベスにあげなきゃ。モリーには手鏡。あとチャールズに密造酒渡したり。たぶんこれ、後で火炎瓶かなにかになって分けてもらえたはず。
川辺には釣りするダッチ。珍しくハビアにまでカリカリしてる( ತಎತ) 「犯罪者(クリミナル)と無法者(アウトロー)は違う。俺たちはアウトローだ」、「同じに思えるんだが」、「その違いが分かるようになったら」云々。
俺が声かけて、ハビアの忠誠心疑うなんてどうした、って言うと、「誰も信じられない」みたいなこと言うし。俺も?(´・ω・`) とかしょんぼりした顔見せたらあわあわする本心を隠して不機嫌な顔しそうな気もしますが、まあ、アーサーさんそんなに可愛くはないのでな、夢見んな?(ㅍ_ㅍ)
あとまあ、ダッチはそんなに「いい人」ではないので、そこも夢見てもしゃーないでしょうな。余裕があるときには気に入った相手にくらい親切に寛容に接しても、余裕がなくなったら自分のことしか考えないタイプでしょ彼は。
ピアソンはまた釣り。ここにいると、日暮れどきの釣りがあいつの日課かな。海軍にいた短い期間のことを、クソミソに言う一方でやたら美化したり。分からんでもない。過ぎ去った過去の栄光……ってほどではないにせよ、ろくなもんじゃなかったとしても、ギャングの一団で料理番やってるよりは輝いていたんだろう。
本当だとは思えない昔の与太話より、そうやって黙々と釣りしてるほうがよっぽど、「水」に関わる生活をしてた感あるけどなw
今日の宝探しは空振りに終わったけど、金塊は6章クリア後まで取っておいたほうがいいかなって気もするし、明日は3章のシメになるメインミッションにでも取り掛かろうかなぁ。そうすると、以後はけっこうシビアな展開ぽいので、セーブデータ分けておきたいかも(´・ω・`)
うーん、どうしよっかなぁ。
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こちらは、 #ゴールド で、 #てんとう虫 が取り外し出来るチャームにしてます。 #キーリング 四つ葉はやっぱり大きい方が良いなぁと、投稿してて感じたよ。 ∞----------------------∞ いつも見てくれて、 ありがとうございますm(._.)m Thanks like♡ いいね♡ m(._.)m Thanks follow m(._.)m コメントもありがとうございます(*⁰▿⁰*) ∞----------------------∞ #くみひもみのり #くみひもみやび #君の名は。 #欲しいものリストに入れて欲しい #madeinjapan #present #おしゃれさんと繋がりたい #Instagram #instagramjapan #Japaninstagram #Instalike #pic #写真好きな人と繋がり #写真撮ってる人と繋がりたい #イベント情報 12月4日(土)11時~16時 @cafe.de.rance のランスさんにて 第26回 Happiness collection 開催🎉 #今宮駅近く #カフェデランス #大阪イベント #フリマ #大阪フリーマーケット あと、 @kyoneko_yuyup の #京ねこマルシェ さんの #ハンドメイド作家さんの委託販売 の募集!をしてたので、 新装オープン から、#資材販売で 絹糸 を売りまーす! 旗じまいの糸でして、タッセルや刺繍 などに使いやすい糸だと思います。 #新世界 の通天閣すぐ近く ですです。 前のポストからは変更で、 来年からの販売になりました〜 どうぞ宜しくですm(._.)m いつ間にやら、イベントは来週の土曜日で、夜に寝ると1時間毎に起きてしまうのをどうにかしないとと… 今日は、寝付くのにまぁまあな時間がかかったんだけど、 足が冷たくて寝れなくて、旦那さんに伝えると布団乾燥機であっためてくれ…で、 1時に暑くて起きて(笑) で、 今度は追われる夢で魘されて起きて😓 12時前にお布団に入ったのは久々で、嗚咽があり、しんどくて寝たんだけど、なんなんだろうね。 大わ冷機の一件から、夜寝れなくなったのは元々が夜型だったから仕方ないって思ってたけど、 自律神経だったり、 ストレスだったり、 あっ 私、スマートウォッチ歴が結構長いんだけど、 寝てるだけなのに、心拍数がめっちゃ上がってて、夢なのに、身体に連動してるんだ…って可視化できて、不思議な気持ちになったよ。 二日続けて大量蕁麻疹でお出かけは嫌なので、無理矢理寝ます! 皆さんも寝る時は何も考えずに寝てね。 私は何も考えてなかったのに、枕に頭が乗った瞬間、 大わ冷機の事がよぎるので最悪な毎日です。 悪徳弁護士の懲戒請求も叶わなかったし、3回目は何が出来るんだろう… モラハラパワハラ弁護士は消えてなくなればいいのに。 あと、 大わ冷機の不正した奴らに制裁を下すにはどうしたらいいんだろう… とりあえず 来週のイベントの準備頑張ろう。 その前に京都に呼ばれたから行かないとだ。 今日はいい日になりますように。 あっ シズヤのカルネ食べたいな。 (Japan) https://www.instagram.com/p/CWoK9EDPm8z/?utm_medium=tumblr
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わたがしだらけ
わんこがしきりに舐めてくる夢を見る。ほけっとした憎めない顔つきをして、はっはっはっと忙しなくあったかい湿った吐息を出し入れして、暖簾のような舌をだしっぱなしにしただらしなさ。ダックスフントであったりコーギーであったり、豆柴であったり、ゴールデンレトリーバーであったり、ダルメシアンであったり、パグであったりチワワであったり、種類は多岐に渡った。種名を記憶していない、テレビでしか見たことがない凜々��い立派なわんこも、その夢ではみんなだらしなかった。
俺はいつもそんなわんこの舌にもみくちゃにされている。べろべろん、くすぐったいだろ、ぺろぺろ、やめろっ、ああ、うふふ、もふもふ、ふわふわ、べろんべろん、きゃっきゃうふふ……よくわからない湿った、でもふわふわした甘い幸福にまみれて自意識も失われてフライアウェイした頃、頭部に強い衝撃が襲いかかり、ようやく目が覚める。それは寝相が悪すぎてベッドから落ちた場合であったり、母親に叩き起こされた場合であったり、枕元に置いた目覚まし時計が落ちてきた場合だったり、いろいろだった。そういった類の夢を見た日は、何かしらの物理的衝撃が無いと目覚めないのだった。
割と真面目に、自分にはわんこに興奮する性癖があるのではないかと内心悩む。
至ってノーマルな自己評価は間違っているのだろうか。
試しにどこかのおばさんが散歩しているブルドックをさりげなくまじまじと目で追ってみたのだが、幸福感だとか興奮だとかは一切発露せず、不審な視線を返されて逆にいたたまれなくなった。近日中に夢にはそのブルドックが登場してラブラブにダイヴして更にいたたまれない朝を迎えたので、そういった行為はやめた。
この情緒の正体が一体なにものか、意を決して彼女に相談した。そう、俺にはちゃんと彼女がいるのである。その彼女は怪訝な表情を浮かべ、絞りきった答えとして夢占いを勧めてきた。朝のめざまし占いみたいなおみくじ感覚のものは気にならないのだが、占い、それも夢占いという一層スピリチュアルなものは疑わしいし、どことなく恐ろしくて二の足を踏んでいる間に、彼女から別れ話が切り出された。気色悪い男としてカテゴライズされてしまったのだろう。解せない。
次に友人に相談した。クラス替えをして席が前後になって話すようになったが、テンポがちょうどよく合うのでなんとなくそのままつるむようになった奴だ。
彼女との失敗から学んだのであまりことこまかに話さずにざっくりと「わんこにもみくちゃにされる夢をよく見てなかなか起きれない」と話した。これだけでもなかなか頭おかしい字面である。一方友人は「ふうん」とこれ以上無い適当な相槌を打ちながらスマホゲームから視線を離さない。真剣さをそれとなくちりばめるとゲームを止めて、「それって何がやばいん?」と逆に尋ねてきた。
「朝起きれないこと以外は特に問題無くない?」
それだけでも充分大きな問題だとは思う。
「いや……俺、なんか変なんかなって」
「考えすぎだろ」なんでもないことのように笑った。「人間、ちょっと他人と違う部分なんてそれぞれあるもんだし」
どこか達観したことを解ったようにさらっと言うのだけど、それが鼻につかないのがこいつの人間としての特性である。
「わんこの夢に興奮することが?」
「そういう人もいるよ。大体、夢だろ。幸せな夢ならますますいいじゃん。なに、夢精して汚すから困ってんの?」
最後の質問は黙殺した。
「猫でも見たら? 猫カフェに行くとかさ、犬のイメージが相殺されるかもよ」
なんだその謎理論は、と思いながらも、悪くはない予感もした。多分夢占いよりはマシだ。
ついてきてくれるらしいので、放課後になってその友人と初めての猫カフェに向かった。気恥ずかしかったのだが、友人は気にも留めていないようにあっさりと可愛らしい女子向けっぽい木製のドアを開けた。男子高校生二人が猫カフェに来る光景を果たして店員はどう見たのだろう。考えすぎなのか。
猫は可愛かった。ちいさい子は両手にすんなり収まるような、かよわい、守ってやらなければならないような父性のような部分が刺激されるような気もした。猫はすましたいけすかない印象があるが、人慣れしているやつばかりだし、ちょっとしたでぶ猫なんて胸を覆うあったかさやもふもふ加減がたまらないような気もした。夢でのわんこたちの激しすぎるスキンシップとは真逆のおとなしさに純粋に癒やされるような気もした。でもそれって一般的な感覚だろう。同行した友人もそれなりに幸せそうだし、スマホで写真を撮りまくっててこっちが恥ずかしいくらいだった。
「つまり、考えすぎなんだよ」
猫の写真を待ち受けにして満足感を得た顔で猫派の友人は言った。こいつ俺をだしに使ったんじゃないだろうか。
制服に獣のにおいが沁みついただけであとは変わらなかった。翌日また夢を見た。にゃんこではなく一貫してわんこだった。休日だったこともあり延々と放っておかれ、夕食の時間になって落とされた母の雷でようやく気がついた。考えすぎと言われてしまえばそれまでだが、隠された性癖というより一種の病気ではないかと不安になる。生活に支障が出るのは困るが、決して夢の内容自体が嫌なわけではないし、夢を見ている間はむしろ底知れない多幸感に包まれるのが複雑なところである。
不安が拭われる前に、夏休みに入ろうとしていた。夏休みの途中では近所で花火大会という一大イベントが来る。元カノと一緒に歩くはずだったイベントである。代わりにかの友人を含めた数人と行くことになった。何故こうなった感は否めないが、花火大会だというのに家で過ごしたりましてや家族と行くなんて猫カフェ以上に恥ずかしい。
そして、もう一つ大きな問題として、これは学校という閉鎖空間だからこそ起きてしまう悲劇なのだろうが、元カノが僕の夢について漏らしてしまい、あることないこと膨らませながらおかしな噂になって、頭おかしいやつという不名誉なレッテルを貼られてしまった。所詮は夢の話であり、身近な友人達は笑い飛ばしてくれる。それにこんなつまらん噂話は退屈な学校生活における刺激の一環であり、時間と新たな話題が解決してくれるだろうとは思いながらも、意外に痛みを伴った。
当初は彼女が唯一になるはずだったが、結果的にこの友人がこの一連の恥ずかしい夢について相談できる相手になってしまったため、たまにその話をぼんやりとするようになった。聞いているようで全然聞いていなくて、聞いていないようでやっぱり全然聞いていないので、真剣に聞けよと言いたくなる時もあるが、徐々に俺の方も慣れてきて、仕方ないかもしれないと受け入れるようになっていた。普通を求める俺の実生活に影響が出ているというのに、何が仕方ないんだという話ではあるが。
夏期講習の地獄が終わってから、懐かしの駄菓子屋で安い棒アイスを食べる。コンビニは学校のやつがいる可能性があった。奇異な視線にも疲れるものだ。
「大変だなあ」
実に他人事として友人は言う。
直射日光に当たると秒でアイスが溶けるし、単純に暑いため、僅かに出来た軒下の影で頬張る。背後で扇風機のからから回る音がして、店主のばあちゃんが奥の畳であくびをしている。軒先では柴犬が気怠げにアスファルトに突っ伏していた。夢に出てくるわんこもあんな感じでだらしない体格をしている。いっそ俺もああなりたい。もしかしてわんこになりたい深層心理だったりするのだろうか。そんな暑さにやられた思いつきをふと言ってみると、
「おれも猫になりたい」アイスを噛み砕きながらぼやく。「夏期講習、面倒臭いから」
ものすごく適当なことを返された。
それはそうとして、アイスは美味い。きれいにたいらげた頃、隣で小さな声があがった。
「当たりだ」
「え?」
「意外と運がいいんだよな」
得意気に木の棒を見せびらかしてきた。確かにあたりと印字されている。都市伝説ではなかったのか。
そして、その小さな棒が差し出された。
「やるよ」
「え?」単純なロボットの一つ覚えみたいに同じことばかり繰り返した。
「おれの強運で、お前の不運が相殺されるかもしれない」
聞き覚えのある文句である。
正直に申せば唾液まみれであろうものを受け取るのもばっちいという思いも無いわけではなかったのだが、ちょっとまいっていたのだろう、おとなしく受け取った。扇風機を一身に浴びている奥のばあちゃんに見せると、無言で冷蔵庫を指差された。適当に取れ、という意らしい。慣れないことで少しおどおどとしながら、アイスをもう一本取り出す。おまけを食べている間に、友人はなんだかんだ英単語帳を開いて何かを出し抜こうとしていた。柴犬は鼻提灯でも浮かべる勢いで爆睡していた。
そして���の夜はそのだるだるとした柴犬が溌剌として俺に飛び込んできた。アスファルトに投げ出していた活力が無かった舌でこれでもかと舐め重ねてきて、もふもふで押しつぶしてくる。そして俺はかけられるわんこ圧にまみれて苦しいどころかなぜか途轍もなく幸せで、思考はわたがしのごとく中身がなくなって、トリップして、もうなんでもいいやとそのふわふわの幸福の渦に身を委ねているのだった。
やっぱり病気かもしれない。
ベッドから落ちて、花火大会の当日をそうした柴犬の夢と共に迎え、LINEで友人達が会話を重ねているスマホ画面を全然違う世界の出来事みたいに眺めた。窓から差し込む陽光は夕方のものだった。起きたばかりだというのに待ち合わせ時間が近い。目覚めたばかりの瞬間は、夢があまりにもはっきりとしすぎていて、リアルの方が現実感が無い。
特に大きなきっかけがあったわけでも興味があったわけでもないが、夢心地のまま「夢占い 犬」と検索をかけていた。生々しい傷を残していった元カノのアドバイスである。
一瞬で膨大な検索結果が出てくる。適当に上位に出てきたサイトに踏み込む。
急に意識が冴えてくる。
夢占い業界では、犬は親しい人を示し、更に区分すると犬は男性の象徴でもあるらしい。舐められる夢はそれをどう感じるかで意味が異なるようだが、幸福感を覚えていれば、恋愛的発展うんぬんかんぬん。
「え?」
咄嗟にかの友人が脳裏に浮かんで、コンマ数秒で打ち消した。
床の上で固まったまま、他のページも確認する。全部が全部同じではない。いろんな夢占い論理が展開されている。少しほっとした。あくまで占いである。そしてあくまでこれは女性目線での話である。冷静になってみると若干でも動揺した自分が恥ずかしい。
振り払うように身支度をして、待ち合わせ場所である駅前に向かった。家を飛び出して、息が切れそうになりながらも走った。驚いたのか、途中で吠える声が聞こえた。わん、と一声。無視した。夢のわたがしみたいなふわふわした多幸感をできるだけ打ち消そうとした。
駅前では既に人数分集まっていた。律儀な奴等なので、きちんと時間に合わせてきたのだ。
「また夢でも見たか?」
遅刻した俺をからかうように友人が言う。ひそひそと仄暗い、悪い意味での嗤いネタとして回ったこの話題をなんでもないように笑って言える奴は限られている。
いや、そっち?
と思わざるを得ない。わんこの方ではなくて?
あくまで夢の話だ。そう言い聞かせているのも束の間、よくつるむ奴等とわいわい、夏期講習がどうこう、宿題がどうこう、お盆がどうこう、口うるさい先生がどうこう、と話に話を咲かせていたら気が紛れた。
やがて現地に辿り着く。真昼の名残のような蒸し暑さが人波を包み込んでいた。夜といってもだらだらと汗が垂れていく。凄まじい人だかりで、見失わないようにするだけでも大変だった。
祭は地元での開催なので、知り合いとも擦れ違う。元カノの姿も見かけた。俺のことには気付かなかったようで、彼女もよくクラスで一緒に話している友達と祭を楽しんでいるようだった。結局噂なんて気にしているのは俺だけで、考えすぎで、本当にどうでもいいことだと実感する。当たり前みたいにカップルも見かけた。あいつらそうなんだとしげしげ眺めた。
花火の場所取りは別の友人がしてくれていた。それぞれお礼を言って、率先して交代要員を申告したのは猫派の友人だった。言葉に甘えて、夕食代わりの焼きそばや、たこ焼きや、きゅうりの浅漬けや、ベビーカステラなどそれぞれ両手に買い込んで随分なごちそうになった。祭の夜が創り出す非日常的な空気にすっかりほだされて晴れやかな凱旋気分で持ち帰ってみると、友人はしれっと単語カードを捲っていた。
「えーっ祭まできて何やってんだよ」
「勉強だよ」
極めて冷静に返され、信じられないと土砂降りのごとく非難が飛び交って、わかったわかったとポケットにしまわれて、買い込んだ食料を囲む。
「どんだけ食う気」
と友人は呆れながらも、焼きそばを啜った。その後は、見え隠れする歯に青のりが貼り付いていた。
周囲の賑わいは増していくが、水に薄めた藍はどんどん濃厚になっていき、空は既に暗くなっていた。
やがて、前触れもなく鮮やかな炎のきらめきが空を飛ぶ。軌跡が途切れ、間もなく大輪の光の花が炸裂し空を彩った。遅れて、おもたくみぞおちまで響く巨大で深い音。
分散していた人々の意識が一気に花火に集まる。おおとどよめきのような歓声があちらこちらであがった。つられて俺も声をあげた。空から見たら、無意識のうちに一致団結して顔が上向いて、面白い光景だっただろう。
花火が次々とあがる。最初から惜しみなく繰り出されて見入っていた。ぼうっとしている最中、ふと友人を見やった。視線を感じた予感がしたからだった。奴はやや驚いたようだったが、明滅する光に照らされて、いたずらに口を指差して笑っていた。なに、と問うと、口をあんぐりと開けているのが犬みたいだ、とのことだった。ただ馬鹿にされていることはよく解った。仕返しのつもりで歯に付いた青のりを指摘すると、すました顔をして、唇のあたりの皮膚がうごめいた。隠された場所で舌が青のりを払っているのだ。ふわふわしたなにかが意識を掠めた。
この情緒の正体がどういうかたちをしていたとしても、彼との関係性は良好でありたいと思った。
了
「わたがしだらけ」
三題噺お題:駄菓子屋、空を飛ぶ、くすぐったい
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【フォトログ:東京五輪まで2カ月、開催是非で割れる都民の声】 - ロイター : https://jp.reuters.com/article/olympics-2020-tokyo-portraits-idJPKCN2D80AR : https://archive.is/PvtXl
2021年5月27日12:56 午後
By Reuters Staff
[東京 21日 ロイター] - 7月23日の開幕まで2カ月足らずとなった東京オリンピック。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響で昨年から1年延期されたものの、現在も感染拡大は続いており、開催の是非を巡って東京都民の意見は大きく割れている。
{{ 図版 1 : 7月23日の開幕まで2カ月足らずとなった東京オリンピック。開催の是非を巡って東京都民の意見は大きく割れている。写真は飴店の三代目大澤敏彦さん。都内で5月5日撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
感染第4波で東京都などに緊急事態宣言が出され、医療システムに大きな負荷がかかっていることから、五輪中止を訴える人も多い。感染拡大を予防する措置として、海外からの一般観客の受け入れ中止が既に���まった。国内観客についてまだ対応は決定していない。
政府は五輪を安全に実施すると強調するが、各種世論調査では回答者の過半数が五輪の延期または中止を望むと回答している。都内で話を聞くと、より複雑な絵も見えてきた。
飴店の三代目の大澤敏彦さん(67)は、国内観客を入れての五輪開催を願っている。
「観客がいなければ、選手にとっては緊張感とスリルがなくなる。観客が声を出したり、騒いだりしたほうがいい」
{{ 図版 2 : 高橋昭博さん(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
飲食店経営の高橋昭博さん(34)は、開催自体には賛成だが延期が望ましいと考えている。選手団や関係者が海外から来ることに伴う感染リスクが心配だという。通常の五輪であれば、経営する飲食店は海外からの観光客で一杯になっていたはずだった。
「国民は、正直開催を心の中からは喜べないのかなと思う」
ヨガ講師の山村径子さん(58)も、複雑な思いだという。
{{ 図版 3 : 山村径子さん(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
「変異株が入ってきて、大変なことになってしまうんじゃないかないかという恐れはある。ただ、選手の方たちが今まで頑張ってきたことを考えると、やらせてあげたいという気持ちもある」
より年配の市民は、高度経済成長を遂げる日本の輝かしいイベントとなった1964年の東京大会との落差を鮮明に感じている。
{{ 図版 4 : 川田勲さん(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
「周りが盛り上がらない。周りがお通夜みたいな感じですよ」
川田勲さん(77)は、銭湯の湯舟に浸かりながらこう話した。7月2日まで1回目の新型コロナワクチン接種が受けられないが、それでも五輪は予定通り開催して欲しいという。
やはり64年五輪の楽しかった思い出があるという89歳の男性は、今回の五輪は費用がかかりすぎだと考えているものの、開催を願っている。
「やはりスポーツを見るのは楽しいし、勝った時のアスリートの笑顔には私たちも元気をもらえる」
寿司店を経営する米花隆志さん(49)は、日本の国際的な評価がかかっていると考えている。
{{ 図版 5 :米花隆志さん(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
「世界からみて五輪を中止にした国として100年ぐらい言われてしまう。やらない後悔よりは、やった方がいいと思う」
一方で、酒井美礼さん(73)さんは絶対に中止されるべきだと話す。
{{ 図版 6 : 酒井美礼さん(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
「もうオリンピックをしている状況ではない。コロナで地球が大変なことになっている中で外国の方を呼んだりしなければならないなら中止すべきだ。選手たちには気の毒に思うが、やむをえない」
会社員の田島龍太朗さん(36)は、周囲の人のほぼ全員が開催に反対だと話す。海外からの一般観客が来ないのなら、経済的な効果も大きくないとの考えだ。
{{ 図版 7 : 田島龍太朗さん(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
「大会をやるにしても、新しくスタジアムを作ったりといったことの経済効果はあったのかもしれない。作ったものを今後もどう生かすかを考えないと無駄になるかなと」
その国立競技場のそばを歩いていた自転車店経営の吉田秀夫さん(41)は、大規模なスポーツイベントを巡る議論が「気持ちよくなかった」と話す。
{{ 図版 8 : 吉田秀夫さん(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
「(開催が)1年伸びて、もめたりしている。無理やりでもやるとかいう議論を聞くと、IOC(国際オリンピック委員会)を含めて、世界的な闇を見てしまった感じがある」
●スライドショー
{{ 図版 (省略) : 1/13 2本の縄を使う縄跳びダブルダッチのチームREG STYLEのKAIさん(29)。「無理してやるものではないかもしれないが、皆の活力になるものとしてと気持ちいい感じで行えるようであれば、是非やって欲しい」。代々木公園で5月2日撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
{{ 図版 (省略) : 2/13 ボールダンサーの矢野秀太さん(28)。「アスリートではないが、自分の技術や専門に命をかけてやっているので、オリンピックに向けて人生かけてやっている人たちの気持ちが分かる。選手の気持ちを考えると開催をした方がいいとは思ってたけれど、いろいろと考えて気持ちが変わった。今は、選手は確かにオリンピックに命をかけてやっているわけだけど、それを開催することによって、その選手1人2人じゃなくて、もっと多くの人の人生がガラッと変わってしまう事態になり得る」。原宿で3日撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
{{ 図版 (省略) : 3/13 投資銀行勤務の北原卓さん(35)。「実際には、今ワクチンを受けた国民は数パーセントにすぎないし、今の条件で行うのは危険かもしれない」。都内のジムで5日撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
{{ 図版 (省略) : 4/13 都内の公園でエクササイズしていた本多健一さん(57)。「周りには心配している人が多いが、必要以上に心配をしているのかな、と。野球でや相撲もお客さんを入れているし、方法を工夫すればできるかと思う」。12日撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
{{ 図版 (省略) : 5/13 飲食店勤務の石原陸さん(54)。「オリンピックはやったほうがいいと思う。見るにしても結果を聞くだけにしても、スポーツが好きなので応援したい」。都内で13日撮影(2021年���ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
{{ 図版 (省略) : 6/13 ホステルを経営する新保朋子さん(42)。「オリンピック1年延期はそうせざるを得ない状況だったと思う。本当に開催できるのかどうかというのを日本の国民は不安と期待をしながら日々過ごしている」。7日撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
{{ 図版 (省略) : 7/13 茶道裏千家養和会塩月弥栄子の茶室代表の味岡宗靖さん(47)。「茶道で伝えている心でもって、みなで分かち合い、みなで共有して仲良くしていこうというのが必要だが、その交流がコロナで断たれている。その交流の1つのきっかけであるオリンピックは今の状況ではなかなか難しいのではないか」。都内で10日撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
{{ 図版 (省略) : 8/13 クリニック院長の三浦和裕さん(45)。「(五輪開催を巡る問題は医療の)マンパワーが一番大きい。医療資源には限りがあるが、(開催すれば)色々なところに人を行かせなければいけない。ワクチンを打つ人や(五輪の)現場にいる人。僕ら町医者みたいな一般診療も全部ストップする訳にいかない。それこそ医療崩壊になってしまう。病院を守る人も必要だ」。都内のクリニックで13日撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
{{ 図版 (省略) : 9/13 ペットサロン経営者の森部暢章さん(37)。「ウイルスはなくならないし、ウイルスに影響されてしまうより、人間は負けない。夢や目標に頑張って努力してきた人達の活躍を観たいです」。代々木公園で2日撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
{{ 図版 (省略) : 10/13 会社員の平山智洋さん(37)と妻で女優・ヨガ講師の松本莉緒さん。「今住んでいる所の近くにオリンピック選手村があり、競技場も新しく東京湾岸沿いに建ち始めている。住んでいる身としては、オリンピックのワクワク感、ポジティブ感が強くなってきている」。都内で2日撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
{{ 図版 (省略) : 11/13 夫とともに足袋専門店を経営する大橋祥江さん(56)は、同居する夫の父親(97)が五輪を心待ちにしていたが、最近は様子が違うと話す。「今の状況で全く話しをしなくなりました。多分同じようにオリンピックを見るために生きしのいだ人たちがいると思うので、何とか形に出来ればいい」。銀座で19日撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
{{ 図版 (省略) : 12/13 カイロプラクターの��井大輔さん(40)。「もちろんリスクはあるが、何をしていてもリスクはぬぐい切れない。普通に暮らしていても病気になれる。オリンピックだから特にリスクが高いと思っていない」。東京駅前で2日撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) }}
{{ 図版 (省略) : 13/13 フィンランド出身で都内在住の会社員テレス・ウィクさん(31)さん。「個人的には、経済のためにはやった方がいいと思うが、皆の安全を考えれば中止した方がいい」。原宿の竹下通りで3日撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon ) }}
(文:Elaine Lies記者、写真:Kim Kyung-Hoon記者)
私たちの行動規範: {{ トムソン・ロイター「信頼の原則」 : https://www.thomsonreuters.com/en/about-us/trust-principles.html : https://archive.is/0KsrA }}
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【報告】即刻中止!東京五輪5.17銀座デモ
5月17日、バッハ来日に抗議するために計画された銀座デモ。バッハの来日は中止(延期)になったが、オリンピック・パラリンピックは依然として中止されていない。
組織委会長・橋本は緊急事態宣言の期間中の来日はバッハに負担をかけるので厳しいと語った。間違えるな。ぼったくり男爵バッハを筆頭としたIOC、そしてオリンピック・パラリンピックこそが私たちの重い重い負担となっているのだ。
オリンピックを今すぐ中止しろ!バッハよ、二度と来るな!の意思を示すため、デモは予定通り敢行された。参加者は80名。
(Photo by @kojiskojis)
(photo by @mkimpo_kid)
雨模様にも関わらず、新橋駅前SL広場には80名の参加者と、多くのメディアが集っていた。
デモ前に、主催のおことわりんく、反五輪の会、そしてこの日広島でバッハ来日と「聖火」リレーに抗議行動を行うはずだった「東京五輪の中止を求める広島連絡会」、デモ前日に長野でオリンピック反対集会を開いた「オリンピックいらない人たちネットワーク」、オリンピック終息宣言展がアピールを行い、最後におことわりんくによる国・都・組織委・JOC宛の要望書「オリンピック災害からの復興へ~TOKYO2020の即時中止を求めます」が読み上げられた。
(それぞれのアピール内容要旨は記事後半に掲載)
デモは銀座中央通りをズドーンと行進。
オリンピックなんかいらないぞ!
世界のどこにもいらないぞ!
IOCはぼったくりをやめろ!
IOCは略奪をやめろ!
IOCに殺されてたまるか!
IOC解体!
オリンピックより命を守れ!
オリンピックより暮らしを守れ!
延期じゃなくて 中止だ中止
オリンピックは 廃止だ廃止
解散地点では、翌18日にJOC前抗議行動を予定している都教委包囲・首都圏ネット、イスラエルによるパレスチナ虐殺やミャンマーでの国軍の弾圧について武器輸出反対ネットワークNAJATからアピールがあった。
<報道など
都内で東京五輪反対デモ「五輪はすでにゴリンジュウ(ご臨終)」の横断幕も(東スポ)
Anti-Olympics protests in Tokyo as Covid-19 outbreak worsens in Japan(CNN)
Olympia-Skepsis in Japan: "Das Risiko ist zu groß"
PROTESTERS HIT THE STREETS IN JAPAN... 'Cancel' The Games(TMZsports)
※5月9日のデモと比べると記事の数は少なかったが、「世論調査で80%が反対」「日本で東京五輪反対の声が高まる」などのニュースとともにデモの画像が紹介されることが多くなった。
各団体によるアピール(要旨)
1,おことわりんくからのアピール
TOKYO2020は70日を切ったのに中止決定が出ず、怒り心頭だ。
私たちは毎週金曜日、組織員会のあるトリトンスクエアでスタンディングをしている。私たちの回りには警備員、その向こうに警察官、少し離れたところに私服警官が監視しているが、それでもエールの声が届き始めている。
3月25日には福島Jヴィレッジから「聖火」リレーがスタートした。ベルリンオリンピックでナチスドイツが使った「聖火」という言葉を日本だけが今も使っている。復興を偽装するために「聖火」リレーは準備された。去年は常磐線を全面���通させ、帰宅困難区域を一部解除して浜通りの全市町村を「聖火」リレーが通るという偽装工作をした。双葉町の駅前をランナーが何周もする一方で、テレビには映らないけれど、その向こう側はまだ一人も住民が戻ってきていない帰宅困難区域。これがオリンピック、「聖火」リレーの本当の姿だ。
政府やオリンピック推進者は、様々なことを隠そうとするけれど、マラソンのテスト大会があった札幌でも「五輪無理」という女性の姿があった。長野では抗議の人たちの声をNHKが慌ててミュートする放送事故があった。いくら隠そうとしても、各地で抗議行動が起こっている。先週末の世論調査では、8割の人々がこの夏のオリンピック・パラリンピックをやるべきではないという声をあげている。隠そうとしても隠し切れない。
それでもまだ政府はコロナの感染者を「さざ波」と言ったり、丸川は「絆」という言葉を持ち出し、官房長官は「安心安全の大会」と言う。「戦争」を「平和」というような政府だから、今更驚かないけれど、いい加減にしてほしい。
5月1日、2日は沖縄でトーチリレーが行われたが、辺野古の工事は続いているし、南西諸島には自衛隊基地が配備されている。沖縄の人々は戦争準備のこの国の姿を肌身で感じている。
今日、本来ならバッハが来て広島でランナーとして走ることになっていた。広島の人たちはとても怒りデモを準備していた。バッハは広島で走り、平和をアピールするつもりだったのだろうが、今の世界は実際どうなっているか。パレスチナの人たちは攻撃され、日本の中でも名古屋入管でウィシュマさんが殺されている。それから沖縄の状況もある。そういうことが起こっているのに「平和の祭典」も何もないだろう。
海外の仲間からも非難、抗議の声があがっている。この間はIOCの記者会見でNOlympicsLAの仲間が反五輪の会の手ぬぐいをもって抗議するこということがあった。
オリンピックをやめる権限、誰がもっているのか。お金がどれだけかかっているか。正真正銘のことがわからない、不可解な組織だ。
去年の延期は安倍とバッハが会談して決めたのだから、日本政府は言うべきことを言ってほしい。そして、IOCにきっちり詰め寄るのは、私たちと世界中の人たちだ。
バッハはこなくていいし、その前にオリンピックをやめさせよう。みんなの力でやっていきたい。
2,広島からのアピール
「東京五輪の中止を求める広島連絡会」です。いま丁度、広島平和記念公園の中で点火セレモニー、トーチキスというくだらない行事の最後の場面が終わったようです。
広島市内のコロナ感染者数は昨日(5/16)165人、一昨日(5/15)166人。119万人の人口に対してこの数です。東京の人口比で言えば1000人を大きく超えて2000人に届くかもしれないようなコロナ変異ウイルス拡大局面にて、広島県は点火セレモニーを実行しました。いま東京五輪をやりたいと思っている人たちは、人々の命も健康も生活も考えていない、無責任な人たちであるということが明らかになっているのではないでしょうか。
東京五輪をここで止め、日本の社会を本当に一人ひとりの命と健康と生活に責任をもつものに変えていきましょう。
1964年10月10日の聖火リレーの最後の選手は、1945年8月6日広島県三次市で生まれた坂井義則さんでした。日本の復興をオリンピックと結びつけるために、あえてアメリカ帝国主義によって原爆攻撃が行われたその日に生まれた坂井さんを「聖火」リレーの最後のランナーにしました。このように、もともとオリンピックが謳っている「平和」はきわめて偽善的で、本当の平和とは無縁な商業主義、ナショナリズム、権威主義、そういったばかげた大きな行事です。私たちは今日、東京の銀座、皆さんたちが歩いて首都圏の人々に訴える「東京五輪をただちに中止せよ」の声に、広島から連帯していきたいと思います。
3,長野から「オリンピックいらない人たちネットワーク」によるアピール
東京の皆さん、オリンピックに反対する皆さん、長野では昨日、東京オリンピックに反対する集会を行いました。福島からも「オリンピックどこでねえ」という連帯のメッセージが届きました。日本中から、皆さんのことを注目してます。どうか、力を合わせて東京のオリンピックをとめるために、もうひとふんばり頑張ってください。
オリンピックなんかより命が大事です。1000分の1秒、100分の1秒を争うようなスポーツより命の方が大事です。サーカスみたいなオリンピックより命が大事です。オリンピックよりパンをよこせ。豚肉をよこせ。ホッケをよこせ。食べ物をよこせ。暮らす場所をよこせ。
オリンピックは平和の祭典なんかじゃありません。このいまも、パレスチナのガザでは子供たちがイスラエル軍に殺されようとしています。オリンピックなんかのためではなく、戦争を止めるために力を使うべきです。
皆さんが連日連夜オリンピックに反対の声をあげていることは世界中の人が見ています。どうか力を合わせて最後までオリンピック反対を頑張りましょう。
4,反五輪の会によるアピール
バッハは二度と来るな!東京に来るな!
バッハが来たら、オリンピックを強行するということだと思います。絶対に許せません。
昨日は都庁でパラリンピック100日前のイベントをやっています。「安全安心」と繰り返しますが、誰も信用していません。競技場の中だけ安全でも、こんなの許されないでしょう。世界中が苦しんでいる、それでも強行する。これがオリンピックの本当の姿です。
私たちは2013年招致決定の前からオリンピック反対の声を小さいけれどあげてきました。都営霞ヶ丘アパートでは、高齢者の方たちが終の棲家と信じて長年暮らして来た団地が、オリンピック・メインスタジアムである国立競技場のために奪われました。90代の方も何人かいました。そして強制的にいくつかの都営団地に分散して転居させられました。それ以降何人も訃報が届きました。
そして競技場の敷地として組み込まれてしまった都立明治公園からも、野宿者が追い出されました。長い方では30年暮らしていました。アルミ缶を集め、炊き出しを回り、カツカツの生活をしている私たちの仲間が、強制執行で無慈悲にも追い出されたのです。
この8年間、私たちはこういったことをつぶさに見せつけられてきました。オリンピックをやるためだったらどんな人たちでも踏み潰す。そしてコロナ禍で世界中の苦しんでいる人々を踏み潰してでも強行しようとしている、これがオリンピックの本当の姿です。
こんなオリンピック、ここで、東京で中止にさせて永遠に終わりにさせたい。オリンピックは廃絶、廃止、解体せよ。この一言しかありません。オリンピック・パラリンピックともに、結局は���力主義、金儲け、カネ、カネ、カネのための祭典だということを、世界中の人が分かったと思います。こんなイベント、もう二度とやってはいけない。東京dでもやってはいけない。東京から反撃の狼煙をしつこくあげていきたいと思います。今日が最後のデモになることを願って一緒に歩きましょう。
また、これだけオリンピックやるのかやらないのかと毎日騒いでいる中、いくつかの都立公園では、仮設会場の準備が当然のように始まっています。いまやめればやらなくていい工事。いまやめれば追い出されなくて済む野宿者がいます。今月末あたりから都内各地でどんどん工事が始まります。絶対に許せない。いま行われている「聖火」リレーでも、見えづらいけれど路上から多くの野宿の仲間が排除されているはず。一番苦しい立場におかれている人々を踏みつけて進んでいる「聖火」リレー、開かれようとしているオリンピック・パラリンピックに対し、私たちは最後まで抗議の声をあげて反対していきたいと思います。
5,「オリンピック終息宣言展」からのアピール
「ぼったくり男爵」という言葉を最近よく目にするが、ぼったくりとは犯罪だ!バッハが加害者なら被害者がいるはずだ!新橋をご通行中の皆さん、他人事みたいな顔している場合ではありません。ぼったくりの被害者はあなたがたなんですよ。あなたがた一人ひとりが被害者です。電車で財布をすられたら嫌でしょう。家に空き巣が入って通帳を持って行かれたら嫌でしょう。土地の登記簿を勝手に書き換えられたら嫌でしょう。同じことなんですよ、やられているのは。
東京都の税金、医療リソースぼったくられています。そして、先ほどの話に出て来た、明治公園、都営霞ヶ丘団地。皆さんはそこに住んでいたわけではないし、自分は野宿者ではないから関係ないと思うかもしれませんが、公園というのは公共の園です。みんなのものです。緊急時、災害がおきたときの一時避難先場所です。それを奪われたということは、いざというときに生き延びる権利を奪われたということです。埼玉の人も、千葉の人も、神奈川の人も、東京都の財産は皆さんの財産です。それをぼったくるのを許していていいんですか。
そして、ここから1キロほどのところにある築地市場。これも、東京都民の大切な財産の一つです。それなのに、オリンピックを口実に5億という都有地を取り換えて、毒のある場所に魚や野菜の市場を移すという、最低なことをやってのけました。晴海の選手村もそう、有明アリーナもそう、どうして都民の財産が安くぼったくられているのですか。皆さん泥棒の被害者です。黙っていていいんですか。これ以上ぼったくらせるやめましょう。
築地を返せ。晴海の選手村はコロナの専用閉鎖病棟にして明け渡せ。有明アリーナを電通に売るな。
ぼったくりたちはきれいなことを言います。夢や希望を謳います。そうしてやっているのが湾岸再開発、オリンピックに名を借りた東京中の再開発であり、その惨状がいま旧築地市場のところにあるあの廃墟です。あの素晴らしかった築地市場はもう戻らない。オリンピックによって奪われたものはたくさんあるのです。皆さんから奪われているのです。泣き寝入りはやめましょう。彼らのいう再開発、彼らのいう未来にあなたがたの居場所はありません。私たちの居場所はありません。もうぼったくらせるのはやめましょう。
ぼったくり男爵バッハは二度とくるな。
6,都教委包囲首都圏ネットよりアピール
私たちは、東京の教育問題をメインに闘っている団体です。私は日の丸君が代で卒業しt機で規律しなかったということで処分を受けています。
まさにオリンピックはナショナリズムを国と国を争わせてナショナリズムを高めるものです。いま、子どもたちがオリンピックに観戦動員という形で動員されようとしていますが、東京都教育委員会はこのコロナ禍にあっても、それを中止すると言いません。子どもたちの命をまもるためにもオリンピックを中止しろということを関係各方面に訴えていきたいと思います。
(翌18日のJOC前抗議行動→こちら)
7、NAJATよりアピール
5月15日はイスラエルが「建国」され、大量虐殺や民族浄化が行われたナクバと呼ばれる日だが、いまイスラエル軍は戦争犯罪のデパートのように殺戮を行っている。昨日は14人の家族全員が殺されている。メディアが入っているビルをM15やドローンで爆撃してすべて破壊する、こんなことが自衛の名のもとにまかり通っていいわけがありません。しかも、それを日本も含めて国際社会が止めることができない。バイデンはミャンマーについては正義面をしていますが、イスラエルについては彼らを守って具体的な措置をとらない。パレスチナの人たちはいま本当に孤立を強いられ、痛めつけられ、殺されています。私たちができることをこれからもやりたいと思います。
一方で、ミャンマーではもう3カ月以上、強権的に弾圧や虐殺が続いています。この間、「ミャンマー国軍の資金源を断て」ということで、日本の経済協力が実際に国軍の弾圧を支えている、少なくともまずそれを断ち切れ、という取り組みをしてきました。21日㈮に外務省前で「ミャンマー国軍の資金源を断て」ダイインを行います。ぜひ集って下さい。大使館や外務省にも抗議の声を届けてください。
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Page 114 : 月影を追いかけて
静かな空間では、時に、些細な音も雷鳴のごとく響く。ポケギアが鳴り、アランの表情は瞬時に緊迫した。
たった一人登録された、限られた人物からだと画面で確かめ、すぐに回線を繋ぐ。
「もしもし」
『手がかりがありました』
前置きも無く、開口一番端的に告げられたため、アランは一瞬耳を疑ったが、聞き違いではない。息を詰め、耳を傾ける。
次のように続く。
クヴルールの伝を使い町のいたる地点に設置された防犯カメラを確認したところ、キリの中心市街地にて何度か光の輪の残像が発見された。夜間照明に照らされた黒い肢体はまさにブラッキーのものであったという。とはいえ、町をあげた祭ともあり前日から外部から多数の観光客が足を運んでいるため、かのブラッキーであるという確証は無い。しかしそもそも希少価値の高い種族であり、誰も彼もトレーナーの傍を離れて夜の町を疾走しているとは考えづらい。野生である可能性も低い。となれば、あのブラッキーである可能性は自然と高くなる。
問題は現在地である。
『現在作動しているカメラにはどこにも姿が見えません。記録を元に足取りを追うと可能性が高いのは中心街付近となりますが』
「昨日もその辺りは行ったんですが」
『歓楽街の方面は?』
アランは口を噤んだ。
日が沈んで代わりに起き上がる場所、夜の店で煌めき、ネオン色が明滅し、色香が漂い酔い狂う歓楽街はキリにも存在する。特に昨夜は祭の前日ともありとりわけ人通りが多かった。エーフィを従えていたとはいえど、土地勘が無く気圧されたアランは踏み込めなかった。鮮やかな嬌声の纏わり付く賑やかな場所にブラッキーが潜り込むとも考えづらかったということもあっただろう。回り込んで他の場所をあたっていた。
しかし、夜の街は朝に眠る。夜が明けた今ならば、人通りはあっても夜間に比べれば安全だろう。エクトルが傍らに居れば尚更である。
『その付近に居た形跡も残っています。とはいえ、遠く移動している可能性も否定できません』
「勝手な予想ですけど、そう遠くまでは行っていない……行けないと思います」
『何故?』
「むしろ、動き回る姿の方が想像できません、最近の元気の無さを思い返すと。今は例外なんですけど」
エクトルは沈黙した。
「考えが甘いですかね」
『いえ。……いや、甘いといえばそうかもしれませんが、ブラッキーを一番���解しているのは、貴方でしょう』
「そんなことは、ないです」
一つ一つの音に力を込めて弾き出すように、語気を強くした。
『……とにかく、行ってみる価値はあるかと。ネイティオには引き続き未来予知で探らせます』
「分かりました」
まだ部屋にいることを伝え回線を切断すると、アランは身支度をする。身支度といっても、改まってするといえば、うなじを完全に覆うように伸びた髪を小さな尻尾のように括るだけだ。
エーフィと共に部屋を出る。急ぎ足で外へ向かうと、部屋に居ては気付けなかった町の賑わいに足を止めた。
雲一つ無い爽快な空から降り注ぐ白い朝日が町を照らし、白壁は眩しく反射する。大通りの方面から薄らと明るい笑声や音楽が流れてきて、陽光と混じって白壁を反射し町へ浸透している。早朝は誰一人見かけなかったホテル前も、ずらずらと人波が出来ていた。道行く人々は揃って湖へと向かっている。それぞれの傍で種類豊富な羽ばたきが行き交った。もうじき祭の目玉の一つであるポッポレースが開催される。
エーフィに気が付いた人はさり気なく若紫の柔らかな肢体に目配せする。注目自体は既に幾度も経験している。首都の人口密度に比べてしまえば空いているものの、好奇を寄せられる数が、明らかに多い。アランは小さな両の拳を固く握った。
「ブラッキーを、早く見つけなきゃ」
焦燥は滲んでいない。締まった顔つきで呟くと、エーフィも肯いた。
栗色の視線が上がる。エクトルは道路を挟んで向こう側、建物の屋根の下にいた。
「エクトルさん」
器用に立ったままノートパソコンを操作しているエクトルに声をかけると、彼は画面から目を離した。
「ああ。少しは休まれましたか」
「はい、ちょっとだけ」
病的なまでに青白かった頬は僅かに血色を取り戻し、声にも張りがある。頷いたエクトルは、パソコンをひっくり返し、アランに画面を見せる。
画質は悪いが防犯カメラの映像が敷き詰められており、それぞれ蠢く人影がリアルタイムで映し出されていた。アランは目を丸くする。
「こんなの、ここで見ていいんですか」
「さて」
濁した横で絶句するアランをよそに、欠片も悪気を感じていないようにエクトルは淡々と操作し、無数にあるうちの一つの映像を拡大する。
「この時間帯に」
昨晩、二十時十一分。
電灯に設置されているものか、僅かに上空から映した道路を一瞬、黒と黄色の残像が横切って、すぐに停止する。時間を調節して、まさに横切ろうとした瞬間で止めると、その姿形は街灯の下に明らかとなる。
探し求めている姿を画面越しに発見し、アランは息を止めた。
「……良かった」
ぽつんと零して、エクトルは彼女を見た。
顔が綻ぶと思いきや、安堵を示す言葉とは裏腹に緊張は保たれている。
「少しは、安心されましたか」
「はい」アランは言う。「どこかで動けなくなってるんじゃないかとか、誰かに捕まっていないかとか、そういうことにはなっていなさそうで、良かったです」
エクトルは小さく頷く。
確かに、ブラッキーは稀少なポケモンであるが故、野生と勘違いされれば、血気盛んなポケモントレーナーの前に現れれば捕獲に傾くのも可能性としてはある。小規模とはいえ、ポケモンバトルの大会もイベントとして行われるのだから、腕自慢のトレーナーがいてもおかしくはない。だが、捕獲用のボールに入れられ「おや」が認証されているポケモンは、基本的には捕獲できない。ポケモンについて少しでも知識を囓っていれば誰もが知る常識事項である。
一方、例外もある。
トレーナーのいるポケモンが犯罪行為に及んでいる際、現場を抑え込むために特殊なボールを使って強制的に「おや」を上書きし捕獲に踏み込む場合がある。倫理規定の側面からすれば黒寄りのグレーゾーンだが、小さくはない抑止力を持つ。一歩間違えれば犯罪に使われかねないため、普段は首都アレイシアリス・ヴェリントン中央区にある警察庁にて厳重に管理されているとエクトルは噂に聞いている。必要時にはテレポートで各地に飛んでいけるだろうが、今回のような片田舎のたった一匹の脱走劇に使用されるとは考えにくい。
制止し難い行為、たとえば、無差別な殺戮さえしなければ。最も、そのような事態に至れば捕獲というレベルに収まらない場合もある。
幸い、ブラッキーが攻撃行為に及んでいる話は流れてきていない。恐らくは、彼はただ逃げて、どこかに身を隠している。既に理性を取り戻していれば、ひとまずは穏便にアランの元へ帰ってこられるだろう。だが、ブラッキーに会わなければ話は進まない。
「比較的人通りの少ない細い道を選んでいるように見えますね。稀少なポケモンですから、近辺に聞き込みをすれば、目撃情報も得られるかもしれません」
エクトルはパソコンを操作し、今度は画面に地図を広げる。色素の薄い画像はキリの中心街を示しており、目を引きつける赤のマーキングが点々とつけられている。ブラッキーの姿を確認した地点である。彼の辿った道筋が浮き上がってくる。
まっすぐ道を疾走しているのではなく、迷うように右往左往としていた。同じ場所を数回通過している様子が窺えるが、二十二時頃を境に足取りが忽然と消えている。既に半日近く経過している。遠方に逃げ去っている可能性も捨てきれないが、中心街を彷徨っている様を汲み取れば、まだ希望は捨てきれない。
「隠れているんでしょうか」
「その可能性もあります」
「行きましょう」
アランが即座に言う。エクトルは頷いた。
場所としては遠くない。徒歩で中心街の方面へ向かう。
大通りに出て彼女達の視界を埋め尽くすのは、朝から活力を漲らせている祭の光景であった。
各地から町を繋ぐ駅を要し活発に人が行き交うそこは、湖畔とは別に、花々の飾り付けは勿論のこと、食事や雑貨の並ぶ出店が立ち並び、香ばしい匂いが漂う。大道芸人が道端でパフォーマンスを披露して歓声が飛び、青空に相応しい金管楽器の華やかな音声が突き抜ける。クラシックギターを使った弾き語りに観衆が聴き入っている横で、人慣れしているのであろうピジョットのような大きな体格の鳥ポケモンが注目を浴びていた。上空の旗には小型の鳥ポケモンが並んで毛繕いに勤しんでいる。駅前から湖畔へ伸びる大通りは朝から歩行者天国となっており、浮かれた子供達が走り回る声に、忙しなく湖畔へ足を向ける町民や観光客の期待を込めた声に、彩色豊かにごった返していた。
仮にあのフカマルがいれば、喧噪に煽られ盛り上がる姿が見られたことだろう。もしかしたらザナトアと共に今頃湖畔で楽しんでいるかもしれない。
晴天の吉日、白い輝きに満ちた町は、アラン達との温度差を明確にする。
活気を膨らませた空気に馴染むことなくアランは周囲を見渡す。首都に負けるとも劣らない熱気ある人混みの中では、ブラッキーの姿は当然のように無い。エーフィに目を配るが、彼女も首を横に振った。
途中、以前エクトルと共に訪れた、アシザワの経営する喫茶店の前を通った。扉には閉店を示す看板がかけられている。赤いレインコートで雨中を踊っていた少年と赤毛の上品な女性を引き連れて、どこかに出かけているのだろうか。
場所を変える。
エクトルに連れられ、アラン達は出店の並ぶ大通りを外れて歓楽街の方面へ足を向ける。人の少ない路地を進み、奥まった建物の入り口や看板の足下、屋根の方までそれぞれ目配せする。壁の隅で蹲り顔を伏せている男の前を通り抜ける。表だった華やかな空気は少しずつ変容する。
夜こそスポットライトが盛大に当てられ多くの人間で賑わう歓楽街は、朝を迎えてしまうと夢であったように静かになる。闇夜に輝くライトは全て消灯し、競うようにひしめきあっている看板はいずれも沈黙している。昨夜は大いに盛り上がったのか、空いた酒の瓶や踏みつぶされた花飾りが道路の端に転がり、ところ構わずといったような吐瀉物を見つけて思わずアランは眉を顰めた。
閉めた店ばかりだが、独特の残滓が漂っている。それは、薄らぎながらも、濃厚な空気感だった。人通りが全く無いわけではないが、通り道に使うのみだったり、帰り際であったり、気怠げに壁に寄りかかって煙草の煙を燻らせている男女がいたり、まばらに気配は佇んでいる。頭上を飛ぶポッポは、巷の賑わいに一役買っていた姿とは裏腹に、閑古鳥の役割を担っていた。
途中、シャッターを閉めかけた夜の店の前、道を陣取るように止まっているトラックの横で二人の男性が話し込んでいる。扉が開けられた荷台には段ボールや瓶のような物体が窺える。店で使う酒を仕入れている最中のようだった。
「失礼」
目を付けたエクトルが、二人の間に割って入る。不審な視線が彼にぶつかったところで、胸ポケットからカードを取り出した。
「クヴルールの者ですが、お聞きしたいことがあります。お時間いただいても構いませんか」
差し出された身分証に目を通して、少ししてから、店員とおぼしき男性の方が顔色を変えたのを、アランの目も捉えた。
「この辺でなんかあったんすか」
「いえ。ただ、何か変わったことが無かったか確認している所です。本日は秋季祭ですので」
はあ、と怪訝に返しながら、男性は出しかけていた煙草をしまう。エクトルも身分証を戻した。
「昨晩、この周辺で不審なポケモンを見かけませんでしたか」
「不審なポケモン?」
「コラッタならいくらでも居ますよ。店の裏でゴミ食って、邪魔なんすよね。なんとかなりませんか、ああいうの」
店の責任でやってくれ、と返したくなるところを抑え、無視する。
「コラッタ以外では?」
「あとはヤミカラスも困ったもんすけど。他は、でも鳥ポケモンは夜は大体いませんし」視線を横に移す。「そんな変わったことあったか」
「知らんよ」
店員に話を振られた傍らの男性はむすっと首を振る。無理も無いが、警戒心を顕わにして隠そうとしていない。
「ま、夕べは祭の前日ですし、見慣れないお客さんも他から来るから、外部のトレーナーが自慢げにポケモン見せるってことはありますよ」
「たとえば、ブラッキーは?」
背後にいるアランがさり気なく視線をエクトルの背に向ける。
「ブラッキー?」
男は眉を潜める。
見覚えが無いというよりも、種族名自体を知らないのだろう。ぴんとも引っかからない表情を浮かべ、隣を見やるが、視線を受けた方も微妙な顔つきをしてい��。
「イーブイの進化形ですが」
「イーブイなら解るけどなあ」
稀少ではあるが、愛くるしい外見から愛玩用としてたびたびメディアでも取り上げられる。その進化形も他のポケモンと比較すれば知名度の高い部類に入るが、彼等は興味を持っていないのか、曖昧な返答である。
エクトルは溜息を呑み込み、手に提げていた黒革の鞄から一枚の写真を取り出す。アランのブラッキーかどうかは定かではないが、くっきりと全身が写された画像が印��されている。
差し出されたものを確認して、二人して声をあげた。
「見覚えがありますか?」
「あ、いや」慌てて店員は首を振る。「こいつがブラッキーかって思っただけで。これならテレビで見た覚えがある」
「俺も。……こんな場所で見るか? 結構珍しいんでしょ」
記憶には引っかからないようだ。エクトルは早々に諦め、二人に礼を告げて別れた。下手に詮索して勘付かれては困る。
「……なんか、おっかなかったな」
遠のいていく背中が、声の届かない範囲まで歩いて行った頃を見計らい、運転手は肩の力を抜いてぽつりと呟いた。
「クヴルールサマってやつだよ。余計なことを言ったら締められる」
「なんだそれ」
真面目な顔で言う店の男をせせら笑ったが、冗談ではないようで、笑うに笑えないような居心地の悪い空気が漂った。
「あの大男もそうだけど、俺はあの後ろの子供もなんか変な感じがして、厭だったな」
「ああ」
図体が大きく、佇まいのみで威圧するエクトルの背後。
大人同士のやりとりを、一歩下がってアランは静かに睨むように見つめていた。殆ど瞬きもせずに、顔の皺の動き一つすら逃さずに記憶に留めておこうとするような小さな迫力があった。ただの子供だというのに、見張られている感覚には、大の男であっても脅迫的なイメージすら持たせた。
「というか、何、知らないのか」
「何が」
「何がって。あのカード見てなんも思わなかったわけ」
「そんな大層な輩だったのか?」
「大層というか」
面倒臭げに頭を掻いてから、店の男は苦い顔で呟いた。
「自警団ってやつ? クヴルール家に害ありと判断したら、誰であろうと容赦無くこう、らしい」
と言って、片手で首を横に切る仕草をしてみせた。
エクトル自身ははなから大した期待はしていなかったが、初発は空振りに終わった。その後も注意深く周囲を確認しながら、ブラッキーが映っていた防犯カメラの付近に向かう。どれほど理性的に行動しているか不明な相手に対して、地道に足取りを辿る行為に意味があるかは解らないが、現場の確認はしておくに越したことはない。
「ここですね」
エクトルはそう言って、立ち止まる。三叉路にあたり、左右に分岐する地点に向けて防犯カメラが電柱に設置されている。アランは現場に立ち、ブラッキーが一瞬映った場所に立つ。彼は突き当たりとなっている部分を左側へと走って、画面外���消えた。
雪道でも泥道でもないのだから、足跡は残っていない。僅かな痕跡を探るように、エーフィは周囲を嗅ぎ回る。
左へ曲がって道を辿ると、両脇を雑居ビルが立ち並び、細い隙間のような路地が通っている。朝の日差しを浴びながらも、昨日の水溜まりが乾ききらない、閉塞感を抱かせる湿り気がある。
「ああいう外付けの階段とか、簡単に昇れそうですよね」
アランはビルの壁に沿うように設置された階段を見ながら呟く。
「屋上の可能性ですか」
エクトルが上空を仰ぐと、アランは肯く。
「上の方も探していないので。ブラッキーの身軽さだったら、屋上を跳んで渡るのもできそうな気がします」
「このくらいの距離なら、可能でしょうね」
隣接したビルならば遠くてもせいぜい二、三メートルの距離だ。建物の間を繋いでいるケーブルや、旗の紐を足場にすればより容易なように見える。
「ただ、ビルの高低差がありますから。ブラッキーの体調が万全でないのならそう簡単なことでもないかもしれません」
と、彼方から小さな花火の音が聞こえてきた。
ぽん、ぽん、と、軽快な響きに、アランは自然と音のした方に顔を向けた。
「ポッポレースが始まりますね」
腕時計を確認しながら、エクトルは呟く。
「ポッポレース……」
「出場する予定でしたか?」
すぐにアランは首を振る。ザナトアが出場することは噤んだ。
「エクトルさんは、大丈夫でしたか」
「何が、でしょうか」
彼にとっては何気ない一言だったが、些細な言動にどこか棘のあるような色が含まれる。尋ね返されて、アランは一度閉口した。
「その、お祭りに、行かなくて」
エクトルは僅かに目を丸くした。苦笑いを浮かべる気にもなれず、静かに首を振る。
「祭に浮かれるような人間ではありません」
「お祭りの仕事もありませんか」
「今は休んでると言ったでしょう。やることも無いんです。お気になさらず」
人の様子を必死に嗅ぎ取ろうとしている、とエクトルは思う。ただ顔色を覗うだけではなく、その奥にある真意も探ろうとしているような目つき。
アランが探りを入れても、エクトルにとって祭に対する思い入れは薄い。
祭もポッポレースも、エクトルに参加した記憶があるのはかすかな少年期のみだった。クラリスに仕えるようになってからは、祭日は屋敷から出ずに、クラリスと共に、窓から遠景に見える鳥ポケモン達の羽ばたきや、花火を眺めるぐらいのものだった。普段は立ち入ることのできないクヴルール家の屋敷の面した湖畔だが、祭日は例外で、かなり接近することができる。それは外敵の侵入を比較的容易にする時間帯でもある。クヴルールはキリで随一の権力を持つが敵も多い。のんびりと目を輝かせているクラリスの傍で、彼女とは異なる意味で目を光らせていた。癖は簡単に抜けるものでも無く、エクトルには秋季祭も気を張り詰める日である認識が強い。その役割が終わってもなお、結局祭の賑わいからは縁遠い立ち位置にいるとは、笑い話にもならない。
「ブラッキーに集中しましょう」
逸れた気を戻すようエクトルが促す。自らに言い聞かせる言葉でもあった。
暫く道なりに進めば、やがてブラッキーが最後に防犯カメラに映った地点に近付いていく。歩いてみれば、先ほどの地点からそう遠くはない。迷うように道を行き来していたのか、休息をとりながら移動していたように予想される。
その途中、ふとアランは足を止めて、左手の方へ視線を向けた。
薄汚れた白壁が立ち並んでいた中、石造の、他より幾分古びた建物が現れる。町の中に追い込まれたようだが、しかし屋根の高い建造物。天に向けて高く伸びていた。緑青色の屋根は長く酸化し続けて変容させてきたような、独特の色合いをしている。
「教会ですね」
見とれていたアランの隣で、エクトルが言う。
「水神様の、ですか」
「はい」
祭日を祝ってであろうか、町に並んでいるような花を模したカンテラが巨大な扉を挟むようにこじんまりと飾られ、硝子に囲まれた炎がちらちらと揺らいでいる。その下には吊り下げられるように青い花が飾られていた。
祭日とはいえ、人は湖畔や大通り沿いの方面に偏っているためだろう、人気は無かった。
「……中に入ってみてもいいですか?」
アランが尋ねると、エクトルは目を瞬かせた。
「ブラッキーが中にいるかもしれない、と?」
「はい……居なくても、何か手がかりがあるかもしれません」
エクトルは小さな教会を改めて見やる。少なくとも、昨夜、この周辺にいたのは間違いない。深夜帯以外は自由に出入りが出来るようになっているが、逆に夜間に隠れるには絶好の場所になる。目の付け所としては悪くないか。水神を信仰する教会は基本的にクヴルールの管轄であり、エクトルの顔も効きやすい。彼は頷いた。
開かれた小さな門を潜り、入り口を隠すような形になっている壁の横をすり抜ければ、すぐに中へと続く玄関がある。冷えた印象を持たせる灰色の床を踏み抜いて、中へ入ると、高い屋根の印象を裏切らない空間が目前に広がった。
古びているとはいえどちらかといえば白の印象を持たせる外観だったが、天井には群青をベースに、人や、鳥ポケモンや湖のポケモンと見受けられる生き物達が躍動的に描かれていた。両脇の巨大な磨り硝子は無色だが、正面のステンドグラスは薄い青の硝子を張っており、入り口から見ると白い陽光と青い陽光が混ざり合うようだった。
建物を支える柱には翼を持つ獣や人の巨大な石造が並び、天井まで意匠は凝らされている。
地上にはいくつもの石造のベンチが整然と並べられ、一番奥は一段高くなっている。目を引くのはその中央を陣取る、獣とも、人間ともとれるような、不思議な石造だった。天を仰ぐ右腕は人のもの、左腕は獣のもので、布を纏った身体には鱗のような模様も窺える。その周囲を鳥ポケモンの石造が豊かに舞い、今にも動き出しそうな実に躍動的な姿が彫られていた。
入り口に立ったまま動かないアランをエクトルは急かそうとはしなかった。軽く内部を視線で探ってみるが、ブラッキーはひとまず見当たらない。
「……水底にいるみたい」
ぽつんと呟いたアランを、エクトルは横目で見やる。
「……昔、水神様と人間は、同じ空間で生活を共にしていたと言われています」
アランは隣に立つエクトルを見上げた。
「しかし、嘗て町を沈めるほどの巨大な豪雨が訪れました。水神様は人間とポケモン達を助けるため、彼等に遠くへ逃げるよう指示し、町を深く巨大な穴のように沈め、そこに大量の雨が流れるように仕向けました。そうして雨水は全て穴に流れ込み、現在の湖になり、水神様はかつての町と共に水底に沈まれたと伝えられています」
「……」
「以来、水神様はいずれやってくる大きな災害を予兆し、民の生活を救おうとされている……そのために、水底から町の未来を視て、地上の民に伝える。その伝達を担うのが、人間と水神様を繋ぐ、噺人」
「それが、クラリス」
「ええ」
アランは、正面の奥に佇む、半獣半人の石造を見つめる。
「あれは……水神様ではなく、噺人を模しているんでしょうか」
「真正面の石造ですか」
「はい」
「水神様ではなく?」
言うまでも無く、信仰対象は水神であり、噺人ではない。
「はい。……水神様は、ポケモンだと、クラリスが言っていました」
するりと出てきた言葉にエクトルは眉を潜め、反射的に周囲に目配せしたが、近くに人は居ない。しかし人が居ないが故に声は通りやすい。
「言葉には気をつけてください」
わざと語調を強めると、アランは俯いた。
「すいません」強制的に話を終わらせるように、アランは不器用に微笑みを浮かべた。「ブラッキーを探しましょう」
微妙な距離感を保ち、二人は奥へと進む。石の床を叩く足音が上へと抜けていく。
エーフィは軽快な身のこなしで動き回り、長椅子に跳び乗ってそれぞれ確認する。
最奥にある一段高い敷居の手前には腰の高さの鉄製の柵が設置されている。明確な区画だが、ブラッキーにとってはあってないような柵だろう。巨大な半獣の石造を中心として、柵の向こうはゆとりのある空間がとられている。アランは青い逆光に照らされている石造を再度見上げてから、柵の前に立ち、装飾の隙間に彼の影が無いか目を凝らすが音も気配も感じ取れない。冷たく整然としていて、虫一匹紛れ込む隙の無いような雰囲気すらある。
ここにもいないのだと、彼等の間を諦念が流れ出す。
と、背後、入り口の方から足音がした。氷のように冴えた沈黙では、音の一つ一つが響く。
弾かれアラン達が振り返ると、月の獣ではなく、漆黒のコートのような、足下まで裾が伸びた服を身につけて玄関口に立つ女性がいた。ザナトアほど老いてはいないが、エクトルよりも年齢は上に見える。深くなろうとしている皺に柔らかな印象を持たせながら、彼女はゆっくりと会釈した。その手には白い綿を実らせている芒のような植物をたっぷりと生けた花瓶を抱いていた。
奥の石造へまっすぐ繋がる群青のカーペットを通らずに、壁に沿って奥までやってきて、柵の手前、端に鎮座する台にその花瓶を置いた。表通りを彩る花々よりも随分と質素だが、静粛な空間に似つかわしい趣深さがある。
「……何か、ご入り用ですか?」
観察するように眺めていたアランに彼女は声をかける。優しく撫でる声をしていて、表情も同じように柔らかい。
それから、既によく知っているのか、エクトルに向けて深々と礼をした。それは目上の者に向けて礼儀を以て対応する姿であった。しかし、頭を下げられたエクトルも深く一礼し、口を開く。
「少し、探しものを。勝手に入り、荒らして申し訳ございません」
「とんでもない。ここは誰にでも門戸を開いていますから。私の目には、何か隈無く目を配っているようにしか見えませんでしたよ」
女性はゆったりと微笑んだ。
彼女はこの教会に常在している司祭であり、サリア・クヴルールと名乗った。秋季祭の間もここに携わり、祈りを捧げているという話だった。床にぎりぎり届かない長さの黒い服装は彼女達の正装なのだろう。
つられるようにアランとエクトルもそれぞれ名乗れば、彼女はエクトルの名はやはり知っている様子であり、存じ上げております、とただ一言穏やかに言った。
「しかし、秋季祭だというのに、湖畔ではなく何故ここに。お手伝いできることであれば、私もお探し致しますよ」
アランとエクトルは一瞬視線を交わし、アランの方から歩み出た。
「ブラッキーを……ポケモンの、ブラッキーを探しているんです。夕べ、この辺りにいたことは解っているんです。もしかして、見かけていませんか」
「ブラッキー……?」
サリアは口許に手を当て、蒼く透いた瞳を丸くした。
手応えを感じ、アランは思わず身を乗り出した。
「知っているんですか?」
「その……はい。皆様が探しているブラッキーかどうかまでは解りませんが、確かに昨晩、ここにおりました」
アランはエクトルを振り返る。エクトルは驚きを顔には出さなかったが、促すようにアランを見て頷いた。
ここにいた、ということは、今はここにいない、という裏返しでもある。しかし、確かな証拠を明らかにすれば、彼へ至る道筋が一つ見えてくる。
「詳しく聞かせてもらっていいですか」
エクトルが言うと、サリアはすぐに了承した。
「秋季祭の前日ということもあり、昨日はこの場所も一日中頻繁に人が出入りしておりました。水神様への感謝と祈りを込め、昨晩は小さなコンサートを催しておりました。キリの皆様は勿論、他所からの方々も来られ、音色に耳を傾けておりました」
弦楽四重奏に独唱を重ねた、こじんまりとした演奏ではあったが、教会全体のすみずみまで音が沁みていく素晴らしい時間であったという。
人々がそれぞれ長椅子に腰掛け、サリアは教会の入り口近くの壁に控えて、演奏を傾聴していた。定期的にこの場に呼ぶ顔なじみの演奏者達が幾重と重ねる音の層は、聴く者を癒やし、そしてどこか哀しみも湛えながら、自然と心に浸透していく。
そうして演奏をしている最中、小さなお客が教会の入り口に立った。誰もが演奏に集中している中、音も無く入ってきたという、美しい身体の獣。
それが、ブラッキーだった。
「はじめは声をあげそうになりました。しかし演奏中でしたので、物音一つ立てるのも憚られて」
「……ブラッキーは、どんな様子でしたか」
アランは尋ねる。
「特に、何もする様子はありませんでしたよ。引き寄せられてきたようにここに入ってきて、……あの辺りですね、私の居た場所の、反対側の、一番端にある柱の物陰に座り込んで、それからは暫く音楽を聴いているように見えました」
サリアは教会の最後方、今アラン達の立つ奥の位置から見て、左側を指した。壁に沿うような柱がいくつか立っており、鳥ポケモンを模したような石造が彫られているが、そのうち、建物のほとんど角にあたる部分にブラッキーは居たのだと言う。
演奏中は奏者の付近のみが照らされ、客席の後ろに向かうほど暗闇は濃くなる。隠れているようで、ブラッキーの放つ小さな光は、よく映えたと言い、些細な動きもよく解ったらしい。しかし、彼は殆ど身じろぎすることなく、静かに長座した。サリアは、きっとあの獣も音楽を聴いているのだと思���た。
演奏が終わり教会内全体が点灯すると、ずらずらと人々は教会を後にし始めた。興奮の色濃い中で、隅で黙って蹲る獣に気付く者は誰もいなかった。サリア自身も、教会を訪れた人々に声をかけられたり、演奏者にお礼をしに行っている間は、すっかりブラッキーのことを忘れていた。
演奏者を見送り、教会から人がさっぱり消えて、演奏に震えた心地良さの最中でほっと肩の荷が下りたところ、さてそろそろ教会を閉めようかと見回して、はっと気付いた。あのブラッキーは、どうなったのだろう。
「慌てて見に行ったら、まだ同じところに居たんです」
床に身体を倒し、寛いでいるようにも見えた。眠っているかと思ったが、近付くと、赤い目が動いてサリアを捉えた。無意識に足を止めるような強い視線だった。
その場には、サリアとブラッキーしかおらず、沈黙が続いた。
ブラッキーが野生なのか、人のポケモンなのかは解らない。しかし、サリアは追い出すことも、声をかけることもせず、そっとしておくことにした。どんな獣であれ、ポケモンを労ることは、水神様に祈りを捧げる者として迷いのない行為であった。サリアは裏手に戻り、キリの住民から分け与えられた木の実を持って、ブラッキーから少し離れた地点に置いた。もしかしたら寄ってくるかもしれないと希望を抱いたが、彼はちらと視線を寄越しただけで、やはり動かなかった。
誰も寄せ付けようとせず、ひたすらにその場から動かずにいる姿は、身体を休めているというよりも誰かを待っているかのように見えたと言う。
「ブラッキーは、貴方を待っていたのかもしれません」
おやであるアランを見て、ぽつりとサリアは言った。
アランは甘い言葉に揺れることなく、顔を俯かせ、静かに首を振った。
「解りません。……自信はありません」
その理由を彼女は続けなかったし、サリアやエクトルも深く掘り下げようとはしなかった。アランの言葉に滲む、強い拒絶のような意志を静かに感じ取ったからだった。
「でも、結局その後、ブラッキーはどこかに行ったんですね」
「はい。普段、夜中は閉めるんですが、昨晩は結局一晩中開けていました。夜明け近くになって見に行ってみたら、既に姿は無く」
でも、と続ける。
「置いていた木の実を、一つ食べてましたよ」
サリアは嬉しそうに笑んだ。
「……そうですか」
アランは、優しげな声でただ一言ぽつんと呟いた。
ヤミカラスを襲撃してから、他のポケモンや人を襲うこともなく、完全な拒絶をすることもなく、彼は彷徨っている。たった一匹、慣れぬ土地を渡り、この教会は彼にとってひとときの微睡みの空間となったのかもしれない。
エクトルは沈黙するアランを横目にしながら、考える。仮にサリアの言うように、ブラッキーもアランを求めているのだとすれば、今は擦れ違いを起こしているに過ぎない。会うことさえできれば、元の鞘に収まり、何故今回のような衝動的な事件を起こしたのか、その疑問への追求に集中できるだろう。だが、浮かび上がる懸念事項への警戒を続けるに越したことはない。
「ただ、その後どこ��行ったかは解りません。お役に立てず、申し訳ございません」
「そんなことないです。ありがとうございます」
慌てて頭を下げるアランに、サリアは微笑ましさを覚えたようで、にこやかに笑う。
「私はポケモンに詳しくありませんが、草臥れたような様子だったので、時間が経っているとはいえまだこの辺りにいる可能性はあるかと思います。見つかるといいですね」
「はい」
サリアに礼を言い、彼等は教会を後にしたところで、エクトルは不意に呼び止められた。
「……何か?」
「一つだけ。……クラリス様は、ご健勝でいらっしゃいますか」
エクトルは表情を変えず、暫し言葉を選ぶように沈黙してから、顔を上げる。
「元気でいらっしゃいます。先日成人の儀をつつがなく終え、噺人としての責務を全うされておられます」
「ああ、そうですか。安心致しました」
サリアはぱっと喜びを素直に顔に出した。
彼女はエクトルがクラリスの付き人であることを知っているのだ。クラリスの現状を知る者は、クヴルールの中でも限られている。教会を預かる身であるサリアも、大きな枠からすれば末端の身なのだろう。
水神様のご加護を、と手を合わせた彼女の別れの挨拶を受け、外に出れば、天頂に迫ろうとする太陽の光が目を突いた。
「クラリスが、噺人として生きていく。それで、本当に良かったのか、私には解らないんです」
玄関から数歩離れ、サリアを含め周囲に人の気配が無くなったところで、アランは呟いた。独り言のように小さな声だが、エクトルへ向けた言葉でもあった。エクトルはゆっくりとアランを振り返る。
「キリの外に出ることを願っていて、自由を求めていて……最後、クラリスは手紙で、受け入れているように書いていましたけど、それは本当のクラリスの思いだったんでしょうか。私にはそう思えなくて」
「……良い悪いではありません。お嬢様の意志も関係ありません。噺人として水神様に選ばれた、そうと判明した時から、全ては決まっていました」
「でも、何も閉じ込めなくたって。一番大切なのが季節の変わり目なら、それは一年に四回。その間くらい、自由にさせてあげたって、いいじゃないですか」
「噺人は、時と心を水神様に捧げます」
アランはエクトルを見上げる。
「時と心?」
「ええ。生きているその時間。心は、清純でなければ水神様をお言葉を頂くどころか、水神様に辿り着くことすらできないと言われています。だから、噺人は日がな一日、水神様に祈りを捧げ、心を手向ける。そこに余計な感情は要らない、と」
「余計な感情……クラリスが自由を望んだことが、ですか。他の町へ行ったり、誰かを好きになったり、友達を作ったり、キャンプをしたり、ああいうなんでないことを望むのは、余計なんでしょうか」
エクトルの内心にそっと棘が立つ。
「あくまでも、噺人としては、です」
「でも、クラリスにその自由を望ませたのは、エクトルさんじゃないんですか」
エクトルの表情が僅かに歪んだ。
「私が?」
鈍い低音に気圧されるように、アランの目が揺らいだ。
「……はい。クラリスは、外の世界に強い憧れを持っていた。旅の話をよく聞きたがった。旅の話を聞くのが、好きだって。それは、エクトルさんの旅の話を聞いていたから、でしょう?」
流石に強い威圧に怖じ気づいたのか、慎重に言葉を吐いた。対し、エクトルは厳しい視線をアランに刺す。
彼女はエクトルの過去を知っている。ザナトアから聞いたのだろう。どの程度か彼には不明だが、少なくとも、嘗てアーレイスをポケモントレーナーとして旅をしていた事実を知っている。エクトルにとってはとうに遙か昔に追いやって薄ぼやけた記憶。キリに籠っていては感じられない他地方の空気、町、人々、文化。自ら足を運んで見聞が広がる喜び、育成の楽しさ、勝利の達成感、どうしても勝てない苦しみ。縁を切ったはずの家に連れ戻され、顔を突き合わせた、腐敗した狭小な世界に閉じ込められる運命にある憐れで美しい少女。
「エクトルさんだって、できるだけ、クラリスの好きなようにいさせてあげようと」
「クレアライト様」
早口で制す。敢えて呼んだのは、彼女のまことの名だった。アランは眉間を歪める。
「憶測だけで物事をはかるのはおやめください。……お嬢様に旅の話を聞かせたとは、仰る通りです。しかし、私に語るものがそれしかなかっただけ。悩まれた末、お嬢様は自らクヴルール家に戻ることを選ばれました。そうする他なかった」
努めて静閑たる語調ながら、一言一句が刃であった。息を呑むアランの前で、大きな息を吐く。
「それだけが事実です」
ぽつりと、突き放した。
アランは何か言いたげに口を開いたが、すんでで留めた。二の句を告がせるだけの余裕すら潰すエクトルの重圧に、圧し負けた。
と、エクトルは微細な振動を感じ、上着の裾を上げた。ふっと緊張の糸が緩む。モンスターボールを装着できるように設計されたベルトの、最も一番手前に位置したモンスターボールを取り出す。小刻みに震える捕獲器を開放すると、中からネイティオが姿を現した。
「視えたか」
静かに尋ねると、ネイティオは頷いた。
「ネイティオがブラッキーの出現地を視たようです。今は、こちらに集中を」
アランを振り返って言うと、彼女は驚くわけでも喜ぶわけでもなく、覚悟を固めるように首肯した。
常に閉じられた翼が突如開き、ネイティオがゆったりとした動きで飛び上がる。予知した地点へ誘おうというのだろう。天を仰いだところで、アランは目を大きく見開いた。
一陣の冷たい風が吹く。
「待ってください」
向かおうとした一同を制する。驚愕を秘めた栗色の瞳の向いた先に視線が集まる。
上空、正面の屋根の付近を飛んで現れた鳥ポケモンの群れ。白壁に朱色が鮮やかな、ヒノヤコマがぱっと気が付いたように甲高い声を上げ、下降してくる。連れ立つのはピジョンやムックルといった同じ鳥ポケモンで、既に彼女にとっては見慣れた姿であった。ヒノヤコマの背には、なんとフカマルが跨がって手を振っている。則ち、ザナトアの育て屋に集うポケモン達である。
「どうして」
アランの声は明らかに動揺していた。既にポッポレースは始まっているはずだ。レース本番に挑んでいれば、今頃湖畔の上空を疾走しているはずである。特に、ヒノヤコマやピジョンといった進化組はチームを統率する要にあたる。はなから彼等が欠けた状態で出場しているのか、なんらかのアクシデントがあったのか、この場では判別がつかない。
一同がアラン達の正面に集まり、スイッチが入ったかのようにその場は賑やかになる。緊張は嘘だったかのようだ。羽音や鳴き声が彼女達を鼓舞する。エーフィは柔らかく笑んで、アランを見た。
喉がこくりと動き、彼女は唾を呑む。
「手伝ってくれるの?」
信じられないでいるのか、まず問いかけたが、はじめ反応しなかった。しかし、エーフィが通訳をしたように鳴き声を発すると、一様に頷き、頼もしい歓声をあげた。
フカマルがアランの前に出る。ぎゃ、といつもの声を上げて、手を上げた。無邪気な彼を凝視している脇の視線には気付かないで、アランは毒気を抜かれたように微笑んだ。しゃがみこんで小さな青い手を握り、両手で優しく包む。細かな竜の鱗が肌に食い込んでも構わないように、握る手に力が籠る。そして聞き慣れた賑わいを見回した。
「ありがとう、皆」
噛み締めた言葉を絞り出し、アランは立ち上がった。
「行こう。ブラッキーを迎えに」
一斉に翼が広がった。今も行われているであろう、無数の翼を持つ者達が発つ湖畔でのレースに比べればずっと小規模だが、力強い羽ばたきは太陽に向けアラン達を先導する。引力に導かれるまま、彼等は走り出した。
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