今回の参院選でも政治的思想の選択肢がかなり狭く、もはや「保守 vs. 革新」ではないのだよな…と思っていたところに20世紀後半のアメリカでのリベラリズム論争に関する論文に行き当たった。
アメリカ的な価値観でいうと「ネオリベラリズム=新自由主義」はリバタリアン思想、すなわち自立した個人の市場参画による富の総和が社会の豊かさを表すのであり、制度的な再分配を自由への制限として拒否するスタンスで、これは保守ではなく、むしろラディカルなリベラル思想であるとしていること。そして、この思想がクラッシュしたのが2008年のリーマンショックによる金融危機で、個人の欲望を追求し続けることが分断や格差を生むエンジンであることが詳らかにされた。だから、その後にマイケル・サンデルを旗振り役としたコミュニタリアン思想、すなわち個人の欲望の追求に止まらず、「私たち」のより良い未来を探索する政治的・経済的活動が希求されるようになったのでした。
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今回の選挙も、「保守 vs. 革新」ではなく、「リバタリアン (新自由主義) vs. コミュニタリアン」という構図に持ち込むことができれば、立憲民主党をはじめとした野党勢ももっと頑張れたのでは?と思うのです。自民党自体が実は (アメリカ的な判断軸に依拠すれば) 革新政党の要件を多分に満たすことが、今の政治状況において考慮すべき現実だと思います。