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#二つの戦争と人類の未来
henokaapa · 1 month
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人間とAIの相互否定を予見させる現世界
 2,3日前にEU議会がAIの規制法案を世界で初めて成立させたと報じられた、その中に軍事的規制があるのかどうかが日本の報道では分からないが、今ウクライナでもガザでも攻撃にドローンの無人機が大量に使われている。安価でしかも簡単に作り出せるドローン兵器は今やなくてはならない武器になりつつあるが一方で場所や時間を選ばず人道的に危険な攻撃も非常に増え兵士の戦闘での死傷者が減る一方民間人の死亡が急激に増えている、特にイスラエルのパレスチナ攻撃は食料配布の広場に意図的にドローン攻撃をして多くの女性や子供が犠牲になり国連が躍起になってそれを停止させようとしてもイスラエル側はその中にハマスが紛れ込んでいると主張して止めようとしない、今や国連の存在感はイスラエルの歯止めにも無力な存在として人類の危機を止められる機構は皆無となりつつある、その根底にあるのは以前から私がブログでも呼びかけている、否定の負の感情である、ネタニヤフ氏の狂気ともいえる執拗な攻撃性はこれまでのユダヤ人への迫害の歴史がそれを物語っていると私には見えて仕方がない。それはこの日本でも決して他人事ではない、今自民党の政治危機が何故これほど行き詰まりを見せているかにも実は国全体の方向性を国民が見いだせないでいる為で、誰一人「こうしよう」という方向性が見いだせないその根底にあるのは否定の存在感が横たわっているためであると私は思う、保守政治が自ら作り出した矛盾は自分の存在を否定する行為であったためにその方向性を自ら失わせ、しかも政治的選択の道を自ら閉ざすものでもあった、というのも裏金事件の根底には国家否定の源流が流れているからに他ならない。同じ困難はアメリカの政治にも見られる、それが民主主義の否定となって人類全体が暗雲の下でもがいている。これはある意味戦争よりももっと悲惨な結果を人類にもたらしかねない、一部の人たちが懸念するように人類はAIによって敵だと認識されかねない危険がある。それを防ぐためには人間存在が否定的であることを止めることが何より大事なことになる、私たちは自らをAIに否定される前に考えを変える必要がある。
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ari0921 · 2 months
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和六年(2024)3月4日(月曜日)
  通巻第8160号  <前日発行>
<速報>
 ナワルヌイが去って、次の「ロシア民主主義」のイコンは?
  「反プーチン」の女流作家、風刺画家、海外に逃げたジャーナリスト等はいま?
*************************
 反プーチンのイコンだったナワリヌイが突然死。毒殺説がいわれたが、ウクライナの情報機関が血栓と確認した。
 ナワルヌイは極右民族主義活動で知られ、プーチン批判と言っても、ほかの民主主義的な反プーチンとは一線を画していた。
葬儀は3月2日、モスクワで行われ雪道をいとわず数千の人の行列ができた。墓は花束で埋まった。筆者は李克強が急逝した折、安徽省の生家跡に数万人の弔問客が訪れ、花束で埋め尽くした場面と二重写しになった。
後者は中国民衆の習近平独裁への当てつけ、しずかなる抗議行動だった。
 2月27日、モスクワの裁判所は「ウクライナ侵攻に反対した」として、ノーベル平和賞の人権団体「メモリアル」幹部、オレク・オルロフに禁錮2年6月を言い渡した。
 オルロフは22年11月、フランスメディアへの寄稿文が「ロシア軍の信用を失墜させた」として、罪に問われ、23年に罰金を言い渡された。オルロフは「共産主義を脱したはずのロシアが全体主義に逆戻りし、今やファシスト化している」とプーチン政権を鋭く糾弾した。 
 ▼有名女流作家に「外国エージェント」のレッテル
 2024年3月1日、ロシア当局は「ウクライナ戦争に反対し、LGBTQプロパガンダを推進した疑い」で、女流作家のリュドミラ・ウリツカヤを「外国工作員」と認定した。
 ウリツカヤ女史は現在、海外に移動したとされ、ノーベル文学賞候補作家とも評価されているが、ソ連時代からクレムリンに抗議し、プーチン大統領を激しく批判してきた。
リュドミラ・ウリツカヤの作品は日本でも『女が嘘をつくとき』など11冊が翻訳されていてファンが多い。バシコルトスタン共和国生まれで、児童文学でロシアブッカー賞を受賞した。写真を見ると明らかにロシア人ではなくバシコール人、あるいはタタール人かも。
ロシア法務省は、ウリツカヤ女史が「ウクライナでの特別軍事作戦に反対」したことを外国のエージェントと認定し、著名作家のボリス・アクーニンを含む「WANTTED」のリストに加えた。
ボリス・アクーニンはロシアを代表する推理小説家だが、グルジア人だ。
2014年にロシアを出国し現在、ロンドンに暮らしているとみられる。日本留学組で、本名のチハルチシヴィリの名前で翻訳した日本文学には三島由紀夫『金閣寺』や多和田葉子の小説がある。勿論、日本語に堪能。
ロシアは「外国工作員」という用語を反逆者や国家の敵とみなす人々に適用し、ラベルを貼られたすべての人物の出版物に「警告マーク」を義務付けている。アクーニンの作品はロシアの書店から撤収された。
前述の」ウリツカヤの小説は17ヶ国で翻訳され、とくに『ダニエル・スタイン』はカトリックの司祭になったポーランド系ユダヤ人の実話に基づいた物語。プーチン大統領がウクライナでの軍事作戦を命じると、彼女は「無意味な」紛争はロシアにとって「壊滅的」なものになるだろう」と予測し、ドイツへ出国した。
 ▼風刺漫画家も排除へ
同日の3月1日、ドキュメンタリー映画監督のユーリ・ドゥッドや政治学者のエカテリーナ・シュルマンらクレムリン批判者を「外国工作員」と認定した。
 ロシア法務省は風刺画家セルゲイ・エルキンら9人を加えた。
エルキンはプーチン風刺で有名な漫画家だが、便座をタイタニックに見立て、その甲板で両手を広げたデカプリオの格好をしたプーチンをからかう構図は大ヒットとなった。 
エルキンが筆名でないとすれば、人名からの類推でアルメニア人かもしれない。
ジャーナリストのローマン・ドブロホトフ(ウェッブサイト『インサイダー』創設者)は嘗てのマレーシア航空撃墜事件や初回のナワルヌイ毒殺未遂事件などを暴いてきた。
カレン・シャイニャン(同性愛を公言した編集者)もリストに名を連ねている。
 (その風刺漫画は下記サイトで確認出来ます ↓)
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kennak · 8 months
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とっくの昔に旬を過ぎている質問と思われますが、面白そうなので回答します。 一般的に思われている「クラシック」とは、ヨーロッパの市民階級を対象とした芸術音楽です。古典派の時代くらいから市民階級を対象とした「コンサート」が行われるようになり、レパートリーとして交響曲をはじめとする器楽曲が数多く書かれ、19世紀を通じて隆盛を極めました。はじめは存命の作曲家の作品ばかりが演奏されていたようですが、コンサートの数が増えるにつれ、曲が足りなくなり、「すぐれた作品であれば、故人のものでも演奏しよう」ということになります。数々の音楽雑誌が創刊され、音楽に関する言論が盛り上がります。シューマンが創刊した「新音楽時報」が代表格で、これは現在も刊行されています。音楽雑誌の主要な関心は、「未来に遺すべき優れた音楽作品の選定」でした。現在コンサートのプログラムを飾る数々のクラシックのレパートリーは、こうした中で選ばれてきたものです。バロック時代の作品はいわば「前史」として、後に発掘されたものです。メンデルスゾーンがバッハを発掘した例はあまりにも有名です。 作曲家たちは、こうした中で勝ち残りつつ、世俗的な成功をおさめようとしのぎを削っていました。みんな「世界で自分にしか書けない、鮮やかな個性」を目指していた、といっていいと思います。が、19世紀後半に爆発的な数の作曲家が出て、個性を追求しようにも、もはや音の組み合わせが尽きつつあるのではないか…その問題から逃れようがなくなっていきました。そもそもオクターブに12音しかないものを、多くの作曲家が競争して曲を書いて行ったら、可能性を汲みつくしてしまうのではないか…そういう種類の問題です。 その問題の処し方は、ヴァーグナーが切り開いた半音階和声の道や、国民楽派が切り開いた民族性追求の道、フランス人たちが切り開いた旋法や非機能的和声の活用の道でした。 20世紀に入っても、少なくとも第一次世界大戦まではこの延長上で数々の作曲がなされていました。民族性追求はジャズやガムランなど非ヨーロッパ音楽への関心を生み、そのよって立つ民族を広げながら続いていきます。フランス人たちの切り開いた道も、それはそれで継承されていきます。 が、半音階和声の追求の中からシェーンベルクが無調の道を開き、一般の聴衆と決別する傾向が出て来ます。複調を多用した作品でスキャンダルとなったストラヴィンスキーの春の祭典も、同じように言えるかもしれません。新しい作曲技法の追求は、第1次世界大戦前の段階で、「クラシック」の前提であった「市民階級を対象とした芸術音楽」から外れ始めたのです。簡単に言えば、「最新の技法で曲を書くと、市民に聞いてもらえない」「市民を置き去りにしないと、最新の技法を試せない」という状態に陥ったのです。 第1次世界大戦以降、ロマン的な感覚が毛嫌いされ(民族主義を盛り上げる=ナショナリズムに訴える=戦争に結果的に協力する部分があったのは否定できません)、クラシック界は新古典主義の時代となります。シェーンベルクは十二音技法を開拓しますが、これも言ったら無調のシステム化であり、理性的です。中には新古典主義の語法を適度に取り入れつつもロマン的な曲を書いた人もいますし(バーバーとか)、ルネサンス期の舞曲や民謡を編曲した懐古的な作品も見られますが、例外的です。 ただ、この新古典主義ですが、形式への回帰とロマン的な感情表現の否定、下手をするとオリジナリティの否定(民謡と現代的な作曲技法を結びつけたりしています)ですので、大物は出て来にくいです。最大の大物はラヴェルとバルトークだと思いますが、フランス6人組といっても一般的には知られていないでしょうし、コダーイやカゼッラやマリピエロも通常は知らないでしょう。 何より、第1次世界大戦が、それまでの「未来に遺すべき優れた音楽作品の選定を行う市民階級の共同体」に物理的・経済的に深刻なダメージを与えたことは間違いないでしょうし、それまでのようにナイーブに共同体の共同主観を信じることも難しくなったでしょう。ナイーブに自国の素晴らしさと誇りを信じた結果、破局的な大戦に至り、ドイツ・ロシア・オーストリア・オスマンの4帝国は解体となりました。フランスは人口構成が変わるほどの大ダメージです。ロマン派音楽の前提だった「世界で自分にしか書けない、鮮やかな個性」という理想自体が、技術的にも理念的にも疑わしくなったと言えるのではないでしょうか。 悪いことは続くもので、ソ連では社会主義リアリズムが叫ばれるようになり、音楽は大衆に奉仕するものとして、人為的に古めかしい様式で書くことを強制されるようになりました。ナチスは実験的な音楽とユダヤ人の音楽を抑圧しつつ東方に勢力を広げました。ここでもロマン派音楽の前提だった「世界で自分にしか書けない、鮮やかな個性」を試みるための自由が奪われたわけです。結局、そうした自由が残っているのは実質アメリカだけのような状態になりました。ガーシュウィンやグローフェやコープランドやバーバーやケージなど、アメリカだけがかなり元気に見えるのは、絶対に偶然ではないでしょう。 要するに、戦間期の段階で、すでに「クラシック」を生み出してきた種々の条件が大幅に崩れています。オリジナリティの余地は狭まり、オリジナリティ自体の正当性が疑われ、クラシックを支えてきた市民階級の共同体は物理的・経済的・精神的に力を失い、やがては全体主義国家による抑圧も行われるようになった、ということです。こうした時代に、ベートーヴェンのような素朴な市民共同体の信奉者や、ショパンのような詩人や、ヴァーグナーのような誇大妄想狂が伸び伸びと作曲できたでしょうか。 さらに、凄惨な独ソ戦はドイツ以東を滅亡の淵に突き落とします。一応戦勝国のはずのフランスも、ドイツに率先して協力した者を糾弾するなどで戦後は内輪もめです。クラシックを支えてきた市民階級の(ある意味のんきな)共同体など、大陸諸国では崩壊したものと思われます。おまけに戦後は鉄のカーテンで、東欧は全てソ連の影響下となり、抑圧体制となります。社会主義リアリズムは粛清を伴う形になり、自由な創作は生命の危険を伴う状態にすらなりました。社会主義リアリズムとは「強制されたロマン主義音楽や民族主義音楽」と言えると思います(ショスタコーヴィチやハチャトゥリアンを聞けばわかります)。ソ連の音楽界は、西側諸国から離れ、ガラパゴス的な世界となりました。 対抗上、西側諸国では、いわゆる前衛音楽が各国政府によってバックアップされ、自由のアピールとされました(ロマン主義・民族主義・新古典主義のどれをやっても、社会主義リアリズムと被ってしまいます)。前衛音楽は新しくていいのですが、一般市民にアピールする力はありません(ヨーロッパの音楽愛好者が、「前衛音楽は、風変わりな音が古い城の大広間などで演奏される様が最初は非常に新鮮で面白かったが、すぐに飽きた」などと書いています。一番好意的な反応でこのくらい、と考えられます)。受け取り手の共同体が崩壊し、作品をつくる側が市民階級から背を向けていたとしたら、巨匠が出てくる余地があるわけがないではありませんか。 一応、メシアンだのブーレーズだのケージだのライヒだのと、主要な作曲家を挙げることはできますが、おそらく一番影響力があって楽壇をリードしていたブーレーズが、ある時期からほとんど作曲をしなくなり、指揮ばかりするようになってしまったのが象徴的です。要するに、「クラシック」を生み出してきた種々の条件が完全に崩れてしまったのです。質問に対する直接のお答えは、これです。 戦後に起きた大きな変化としては、世界の中心がヨーロッパからアメリカに移ったこと、旧体制(ナショナリズム的な国家体制)が若者世代から各国で猛反発を食らい無視できなくなったこと、貴族主義やエリート主義の崩壊(といって悪ければ地下化)などがあるでしょうが、これもすべてクラシックの首を絞めています。代わりに台頭した音楽が、アメリカ起源のロックで若者対象の音楽であることが象徴的です。 それでもクラシックに関心のある層は、クラシックの新作ではなく、指揮の巨匠によるレコードの演奏の違いに関心を寄せるようになりました。が、徐々に生演奏のハッタリ要素は自粛され、レコードにしても傷のない演奏をコンサートで行うのが当たり前になり、クラシックは新作という意味でも、演奏という意味でも、活力を削がれる形になっていきます。1960年代くらいのライブ録音など聴くと、相当にロマン的な無茶をやっていて楽しいですし、各国のオーケストラにもまだ明確にエスニシティがありますが、70年代以降どんどんそれは消え失せていきます。演奏に全く傷のない録音とそれとそん色ない生演奏の極北は、シャルル・デュトワとモントリオール交響楽団だと思いますが、あれはあれで尖った個性だったと思います。しかし、もはやその路線もありません。クラシックのCDは、どれをとっても似たような穏健な解釈とそこそこ傷のない演奏により、聴く人の「既存の曲のイメージ」をほぼ再確認するだけのものになっているように思います。おまけに値崩れも甚だしく、昔の巨匠と世界的オーケストラの録音が、500円くらいで投げ売りされていたりします。 それでも、宮廷料理に起源のある高級料理が滅びないのと同様、クラシック音楽が絶えることは一応ないでしょうし、また映画音楽などのネタ元として、クラシック音楽は活用され続けるでしょう。もしかしたら、一応西欧文明の影響下にある国々に普遍的に流行する音楽も書かれる余地はあるかもしれません(クラシックではありませんが、Let it goが世界43か国語に訳されて歌われたのはなかなかエポックメイキングだと思います)。が、その時に使われる作曲技法は絶対に最新の前衛的な技法などではなく、多くの人にわかりやすいロマン的あるいは民族的あるいは新古典的な様式でしょう。 クラシック的(あくまで「的」ですよ)な作曲法で大流行した例としては、パーシー・フェイスとか、ヘンリー・マンシーニとか、ポール・モーリアとかが挙げられるでしょう。映画音楽は後期ロマン的な様式で書くというルールがハリウッドで確立されており、ジョン・ウィリアムスはその巨匠です。日本だと久石譲ですね。こうした音楽は、おそらく今後も書かれ続け、一定程度の人気を得る曲も出てくると思われます。 が、クラシックの系譜に直接つながる音楽=ヨーロッパの市民階級を対象とした芸術音楽で、作曲家が世界で自分にしか書けない鮮やかな個性を目指して最新の技法で書き、多くの人に受け入れられた上、歴史の審判を経て残る音楽=はもはや、存在しえないと思います。
なぜ、現代に、クラシックの大作曲家が輩出されないのですか?大昔の作曲家のみで、例えば1960年生まれの大作曲家なんていません。なぜでしょうか? - Quora
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keredomo · 11 months
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ヒロスエの手紙
 ヒロスエのごく個人的な恋文が大衆に晒されたことがひたすらに悲しい。  有名人の個人的なことが暴力的暴露に晒されることにカタルシスを覚える者の感覚がまったくわからない。ヒロスエもまた自分と同じく人間であることを想像できない思考回路がわからない。その人が与えてくれる画面越しのきらめきを搾取するばかりで、自分の側からは相手に何の幸福ももたらし得なかった者たちが、ただただ身勝手に期待し身勝手に非難し、おのれの信じてきたものを守るためだけにひどく攻撃する。ヒロスエと自分があたかも対等であるかのように非難するくせに、ヒロスエが人間であることは認めない。その大衆のふるまいが憎い。あなたが信じるものとヒロスエが信じるものとは本来別物であって然るべきなのに、ヒロスエの倫理が自分と同じでなかったことを憎んで、好き放題叩く。あまりにも醜い。
 不倫の報道があるたびに(そもそも不倫を報道することが是である社会が狂っているのだが)大衆は「婚姻制度」を揺るがす事態に動揺して、婚姻制度に反撥した個人を「死んでもよい」くらいの勢いで、思いっきり叩く。その弱さがゆえの攻撃性が私には憎くて仕方ない。婚姻制度を信じることのしょうもなさに、その思考停止に、気づく余地もなく大喜びで信仰してそれが与える正しさに淫して、そんな有様ながら自分が信じているものを信じきれていない弱さを他者への暴力という形に転化させてしまう、無恥。あまりにも愚かだ。暴力に淫する人間の無様なこと。
 「愛」とか「好き」とかの、定義がさだかでないままに流布してしまった概念を扱うのが難しいのと似て、「婚姻制度」をどの程度確固たるものとして扱うかには時代による揺らぎがある。  自我を持つ同士の思想も感性も大きく異なる二者が育む複雑な関係がなす近代以降の恋愛と、国民をふやし国を強くする糧としての繁殖を目論んであつらえられた婚姻制度とは、ほんらい別物でよかったはずだ。一緒くたにしたのは、国家が戸籍管理をスムーズに運用するためだろう。さらに道徳というものを導入し、社会の規律を守れる人間だけが正しい人間であると吹聴する。こうして悪魔的に賢い人間が作り出した婚姻制度は、人権侵害という暴力を正当化する頑丈な武器となった。元来、暴力を振いたくて振いたくて仕方ない生き物である人類はみな、大喜びでその武器を振り回し、人を傷つけまくっている。大いなる権力が認めている道理に従えばおのれもまた正しいものになれるのだと信じ、その正統性を主張することで他者を嬲る暴力の快楽に、愚衆はあらがえない。
 婚姻において夫婦間の愛情関係が維持されるべきだというのは、ロマンティックラブイデオロギーが強要する信仰にすぎない。その信仰���強化するための生ぬるいフィクションが未だに世に喜んで受け入れられているのを、白けた目で見ている。社会に促されるがままに家父長制という神を信仰させられている人間たちは、自身が信仰する神のありかたに反抗する者を断罪したくて仕方ない。セクシャリティの多様性には寛容な態度を示す者も、なぜか婚姻契約の反故については目の色を変えて激怒し暴力を行使しようとする。己の信仰が脅かされれば、安寧もまた脅かされるからだ。狂ったように、自分の信じる脆い倫理の埒外にある人間を傷つけようとする。
 何が正しいのか、何が正しくないのか、正しさの基準点を見定めて自分自身でしかと判断するには、膨大な労力がかかる。それを全うするためには、自分が生きていて手が届く範疇よりも広い世界に眼差しを開き、その無知を恥じ、愚直に学び、知るために奔走し、知がもたらす自己否定の痛みを伴いながら異和を受け入れ、おのれの状況・環境を相対化して広い意味で客観視する必要がある。その学びを怠って、ぬるま湯に浸って生きている人間に、他者を非難する権利などないはずだろう。脊髄反射で他者を叩くことなど、少しでも知性が働けばとても出来やしないはずだ。芸能人の不倫ゴシップに沸き立つ人間が「相手も同じ人間である」「その相手は自分と異なるバックグラウンド・状況に立っている者である」と考え至るだけの想像力を欠いているのは、国家が婚姻制度を「信仰」に仕立て上げたせいだけではない。阿片のように与えられたその信仰を、一度たりとも疑わなかった者の咎でもあるはずだと言いたいのだ。
 一口に婚姻といっても、個のなす一対一の関係である以上、そこに築かれる文脈は膨大なものになる。配偶者のモラルハラスメントからようやく逃げ延びた先が家族ではない他者だったのかもしれない。妊娠だけを強制される性交に苦しんでいた日々の唯一の救いが家族ではない他者だったのかもしれない。もちろん、幸せな結婚生活・家族計画もこの世にはごまんとあるだろう。しかし、それと同じように、幸せではない結婚生活・家族計画もごまんとある。  婚姻関係と家族を神聖視することは、間違いなく一つの宗教にすぎない。それがきちんとあなたに幸福をもたらしてくれているのなら、そのまま信じていてほしい。あなたが幸福であるのなら、私は何の文句もない。けれど、信仰に従った十全な幸福に浸ることが叶わず、異教徒を迫害し討伐しようとして首を刈り耳鼻を削ぎ死体を燃やすような真似だけはしてほしくない。そんなかたちでカタルシスを得たところで、結局はだれも幸福にならない。
 「個人」という概念は近代、明治以降の開化政策によって西洋から日本に導入された。それまでの日本は「共同体」を重んじる社会で、たとえば村落の夜這いのシステムは本来「夜闇にまぎれて女を襲って身勝手な快楽を得るため」ではなく「試しに知り合い同士で体を重ね、もし女性側から性的な面での合意がとれればまぐわい、夫婦となりましょう」といった至極理性的なものであった。そういう伝統を明治維新によってがらりと覆した結果、かつてのシステムが機能しなくなり、人口維持ができないことを恐れ、共同体を離れた個人間の恋愛を繁殖制度に持ち込んだのはほかでもない国家だった。  初めて国際政治の場に立った日本が直面したのは、国家の「武力的」繁栄のために人口を増やす必要があるという喫緊の課題であった。明治政府も大正政府も、戦争の可能性を視野に入れて、兵となる国民を殖やすのに躍起なのだった。それで産めよ殖やせよをやっているうちに、生殖につながる恋愛感情を利用する策を講じたのがうまくいった。その成功体験を引きずってこんにちまできていて、だからLGBTQ+のことを「非生産」として認めないばかげた与党をやっているのだろう。とっくに不戦条約を掲げているはずの憲法を改めてまで戦争を望み、非生産な結婚を望まず、女を産む機械だと言って憚らない政府に反撥するのであれば、婚姻制度自体もきちんと疑うべきではないのか。なぜ陽動されていることに気づかないのか。
 国家の敷いたレールに人生を捧げるかどうかは、個人がそれぞれに選べばいいと思う。ただし、自分が選んだ道を正しい道だと盲信し、他者に強要することだけは避けてほしい。あまつさえ、自分は国家に従っているがゆえに圧倒的に正しく、おのれの盲信に反した他者を叩く権利を持っているなどと前近代的なことを主張するのはやめてほしい。  それぞれの人生をそれぞれが選ぶことを容認し、選んだ道が同じではなかったことを責めることなく、自分だけの人生を謳歌してほしい。それがいわゆる本質的な多様性なのではないか。「多様性」は善性を大いにはらんだ言葉であるように見なされているが、まったくそんなことはない。信じる神が違う者同士が隣人となった時に、いかに共存するか、共存するための自治を対話によって確立できるか、そういう難しい話であるはずだ。一方的に叩き、相手の尊厳を貶めるのは対話ではなく暴力であり戦争の契機にすぎない。
 ヒロスエの手紙を晒すことによる公開処刑は、日本社会の幼稚さをあまりにも無様なかたちで明らかにした。ここまで、大きな社会構造の話をしてきたけれど、最後に個人の話に焦点を戻して終わろう。  誰を責めたところで、自分の人生がよくなることなどないはずだ。無為な、鬱憤晴らしの暴力を他者に振ったところで何も変わらない。見つめるべきは他者よりもおのれではないか。おのれを見つめて、愛のありかを定めるのが、人生というものではないのか。  あなたのそれは、他者を貶めることで守れる程度の安い人生なのか?
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takahashicleaning · 5 months
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TEDにて
ヴィージェイ・クーマー :自律的に協力し合う飛行ロボット
(詳しくご覧になりたい場合は上記リンクからどうぞ)
アメリカのペンシルベニア大学のヴィージェイ・クーマーの研究室で開発しているクワッドローター型の小さく敏捷(びんしょう)な飛行ロボットは、自律的に集合を作り
お互いの存在をカメラで認識し臨機応変にチームを組んで、建設や災害時の初動調査やその他様々なことをこなします。
コンピューター制御の方法は、12次元に及ぶ複雑な計算を驚くべきことに、4次元の最小スナップ軌道に変換する計算に置き換えて、しかも!、内部の高速なCPUを処理させていくことで軌道をリアルタイムで、微修正していきます。
他に、リアルタイムな高速なセンサーフィードバック技術リアルタイムな高速なモーションキャプチャー技術も導入しています。
最後には、映画007のテーマソングを自律的なロボットが自動演奏してくれます!
私が、今、手にしているロボットは、私の学生アレックスとダニエルが作ったものです。重さは、50グラムほど消費電力は15ワットで見ての通り、直径20センチほどの大きさです。
このようなロボットの仕組みを簡単にご説明しましょ。4つのローターが、すべて同じ速さで回っているとき、ロボットは空中で静止します。
4つのローターの回転速度を上げると上に加速し上昇します。ロボットが傾いていれば、当然、その傾いた方向に進むことになります。ロボットを傾けるには2つの方法があります。
この写真で4番ローターは速く。2番ローターは遅く回っています。そうするとロボットを「ローリング」させる力が働きます。一方、3番ローターの回転を速く。
1番ローターの回転を遅くするとロボットは手前側に「ピッチング」します。最後に、向かい合った2つのローターを他の2つより、速く回転させると垂直軸を中心に「ヨーイング」します。
オンボードプロセッサは、行うべき動作に対して必要となるこれらの方法の組み合わせを求め、モーターに対して毎秒600回送る命令を決めています。それがこの基本的な仕組みです。
この設計が有利な点は、サイズを小さくするほど、ロボットの動きが敏捷になることです。ここで、Rはロボットの大きさを表す数字で実際には半径です。Rを小さくすると様々な物理的パラメータが変わります。
中でも一番重要なのは、慣性。すなわち動きに対する抵抗力です。回転運動を支配する慣性の大きさは、Rの5乗に比例します。
ですから、Rを小さくすると慣性は劇的に減るのです。結果として、ここでギリシャ文字のαで表している角加速度は1/Rになります。Rに反比例するのです。
小さくするほど速く回ることができるようになります。このようなロボットを作る理由は何かというと多くの平和的な応用があるからです。
自律的なロボットが、解決すべき基本的な問題は、1つの地点から別の地点へ移動する方法を見出すということです。これが簡単でないのは、このロボットの力学的特性が極めて複雑なためです。
実際、12次元空間で考える必要があり、そのためちょっとしたトリックを使って曲がった12次元空間を平らな4次元空間に変換しています。その4次元空間は、X、Y、Z座標とヨー角からなっています。
そうするとロボットがするのは、最小スナップ軌道を求めるということになります。物理学のおさらいですが、位置の変化を微分していくと速度、加速度、ジャーク、スナップとなります。
このロボットは、スナップを最小化するようになっています。それは、結果としてなめらかできれいな動作を生み出すことになります。
また、障害物の回避も行います。この平らな空間における最小スナップ軌道を 複雑な12次元空間へと逆変換して、それによって制御や動作の実行をするわけです。
MITの物理学者であり、AIの研究者であるマックス・テグマークの言うように・・・
ロケットの話と似ていて技術が単に強力になれば良いというものではなく、もし、本当に野心的になろうとするなら、コントロールの仕方と、どこへ向かうべきかも理解しないといけません。
エリエゼル・ユドカウスキーが、「友好的なAI」と呼ぶものです。そして、これができれば素晴らしいことでしょう。病気、貧困、犯罪など苦痛というマイナスの経験を無くすことができるだけではなく、様々な新しいプラスの経験から、選択する自由を与えてくれるかもしれません。
そうなれば、私たちは自分の手で運命を決められるのです。そして、準備がないままにつまづきながらアジャイル(=機敏さ)で進んで行くとおそらく人類史上最大の間違いとなるでしょう。
それは認めるべきです。冷酷な全世界的独裁政権が可能になり、前代未聞の差別、監視社会と苦しみが産まれ、さらに、人類の絶滅さえ起こるかもしれません。
しかし、注意深くコントロールすれば、誰もが裕福になれる素晴らしい未来にたどり着くかもしれません。貧乏人は、金持ちにより近づき、金持ちはさらに金持ちになり、みんなが健康で夢を追い求めながら自由に人生を送れることでしょう。
その他に、行政府自身が社会システム全体の資源配分の効率化を目的とする保証はないため政治家や官僚は自らの私的利益のために行動を歪め、市場の失敗を矯正するどころか資源配分をより非効率にする可能性すらあります。
続いて
人間自体を、追跡すると基本的人権からプライバシーの侵害やセキュリティ上の問題から絶対に不可能です!!
これは、基本的人権がないと権力者が悪逆非道の限りを尽くしてしまうことは、先の第二次大戦で白日の元にさらされたのは、記憶に新しいことです。
マンハッタン計画、ヒットラーのテクノロジー、拷問、奴隷や人体実験など、権力者の思うままに任せるとこうなるという真の男女平等弱肉強食の究極が白日の元にさらされ、戦争の負の遺産に。
基本的人権がないがしろにされたことを教訓に、人権に対して厳しく権力者を監視したり、カントの思想などを源流にした国際連合を創設します。他にもあります。
参考として、フランスの哲学者であり啓蒙思想家のモンテスキュー。
法の原理として、三権分立論を提唱。フランス革命(立憲君主制とは異なり王様は処刑されました)の理念やアメリカ独立の思想に大きな影響を与え、現代においても、言葉の定義を決めつつも、再解釈されながら議論されています。
また、ジョン・ロックの「統治二論」を基礎において修正を加え、権力分立、法の規範、奴隷制度の廃止や市民的自由の保持などの提案もしています。現代では権力分立のアイデアは「トリレンマ」「ゲーム理論の均衡状態」に似ています。概念を数値化できるかもしれません。
権限が分離されていても、各権力を実行する人間が、同一人物であれば権力分立は意味をなさない。
そのため、権力の分離の一つの要素として兼職の禁止が挙げられるが、その他、法律上、日本ではどうなのか?権力者を縛るための日本国憲法側には書いてない。
モンテスキューの「法の精神」からのバランス上、法律側なのか不明。
立法と行政の関係においては、アメリカ型の限定的な独裁である大統領制において、相互の抑制均衡を重視し、厳格な分立をとるのに対し、イギリス、日本などの議院内閣制は、相互の協働関係を重んじるため、ゆるい権力分立にとどまる。
アメリカ型の限定的な独裁である大統領制は、立法権と行政権を厳格に独立させるもので、行政権をつかさどる大統領選挙と立法権をつかさどる議員選挙を、別々に選出する政治制度となっている。
通常の「プロトコル」の定義は、独占禁止法の優越的地位の乱用、基本的人権の尊重に深く関わってきます。
通信に特化した通信プロトコルとは違います。言葉に特化した言葉プロトコル。またの名を、言論の自由ともいわれますがこれとも異なります。
基本的人権がないと科学者やエンジニア(ここでは、サイエンスプロトコルと定義します)はどうなるかは、歴史が証明している!独占独裁君主に口封じに形を変えつつ処刑される!確実に!これでも人権に無関係といえますか?だから、マスメディアも含めた権力者を厳しくファクトチェックし説明責任、透明性を高めて監視しないといけない。
今回、未知のウイルス。新型コロナウイルス2020では、様々な概念が重なり合うため、均衡点を決断できるのは、人間の倫理観が最も重要!人間の概念を数値化できないストーカー人工知能では、不可能!と判明した。
複数概念をざっくりと瞬時に数値化できるのは、人間の倫理観だ。
そして、サンデルやマルクスガブリエルも言うように、哲学の善悪を判別し、格差原理、功利主義も考慮した善性側に相対的にでかい影響力を持たせるため、弱者側の視点で、XAI(説明可能なAI)、インターネット、マスメディアができるだけ透明な議論をしてコンピューターのアルゴリズムをファクトチェックする必要があります。
情報技術の発展とインターネットで大企業の何十万、何百万単位から、facebook、Apple、Amazom、Google、Microsoftなどで数億単位で共同作業ができるようになりました。
現在、プラットフォーマー企業と呼ばれる法人は先進国の国家単位レベルに近づき欧米、日本、アジア、インドが協調すれば、中国の人口をも超越するかもしれません。
法人は潰れることを前提にした有限責任! 慈愛や基本的人権を根本とした社会システムの中の保護されなければならない小企業や個人レベルでは、違いますが・・・
こういう新産業でイノベーションが起きるとゲーム理論でいうところのプラスサムになるから既存の産業との
戦争に発展しないため共存関係を構築できるメリットがあります。デフレスパイラルも予防できる?人間の限界を超えてることが前提だけど
しかし、独占禁止法を軽視してるわけではありませんので、既存産業の戦争を避けるため新産業だけの限定で限界を超えてください!
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ophelia333k · 10 months
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2023年7月4日 どこでもない場所、超越愛(Vaporwave)
 楽天カードから督促状が届く。「楽天カードより大切なお知らせです。内容をご確認ください」という文章が中央にあって、背景は一面にびっしりと「Card Rakuten Card Rakuten Card Rakuten Card Rakuten Card Rakuten…」と同じ文字列が繰り返し印刷されている。この督促状を持って三月ウサギの庭園に赴いたのなら、お茶会に参加できるのかな? と考えてみる。
***
 Vaporwave。何年も前から漠然と聴くことはあっても、詳しいことはほとんど何も知らないという状態が続いていて、たとえば2019年12月号のユリイカ〈Vaporwave特集〉を買ったものの、ほとんど読まないまま放置する、というような状態だった。つまり、強い興味を持ってはいなかったわけだけど、今になって「Vaporwave」に対する興味が湧いてきたというか、自分とVaporwaveを接続する文脈が少しだけ見えた。
 元々、四流色夜空さん主宰の合同誌「ムジーク!ムジーク!ムジーク!」に寄稿した『枝がスルスルと伸びていく』という小説の元ネタとしてtelepath テレパシー能力者の「思い出」という曲およびPVを使っていたということがあり、それは感覚的な選択なので、書いているときはvaporwaveという文脈にほとんど意識的ではなかったのだけど、今にして思えばVaporwaveという文脈は自分にとって重要なのかもしれない。
 とりあえず、一から文章を書くのが億劫なので今日の自分のTwitterを引用すると、
〈自分がラブホテルの清掃をやりながらときどき感じていた空間の無-場所性(どこでもない場所〈nowhere〉の感覚、いま自分のいる場所がどこなのか分からなくなる感覚)は、Vaporwave的な反-場所性にも重なるはずで、それは村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』が描く高度消費社会の迷宮性にも似ている〉(2023.07.04)
 という感覚がある。
 ***
 Vaporwaveに分類される音楽を聴くときに自分が強く感じるのは、第一に非-時間性であり、第二に、非-空間性(非-場所性と言った方がいいのかもしれない)。
 まず、時間に関して言うのなら、Vaporwaveが主に1980年代から1990年代にかけての大衆音楽のサンプリングと加工を基本としている以上、方向は過去を向いているはずなのだけれど、(木澤佐登志の言葉を借りるなら)同時に「失われた未来、ロストフューチャー」の幻影を見せるものでもあり、「もうひとつの世界(alternative world)」を幻視させるものでもある。
 そして、そこには奇妙な懐かしさ(実在しないはずのノスタルジー)と、対象の曖昧な喪失感(それはあらかじめ失われているものの喪失感)がある。
 空間に関しては、よくVaporwaveにおいて描かれるイメージの一つでもある、どこまでも続いていく平坦なショッピングモールに代表されるように、グローバル資本によって均質化された、〈どこでもない〉空間という性質。
 しかも、そのとき重要なのは、むしろ本来はそれが〈どこにでもある〉ということで、平坦な資本主義的空間(たとえばショッピングモール)が「どこにでも遍在している」からこそ、むしろ〈どこにもない場所〉として表象される。
 ボードリヤールの言うように、もはや私たちの周りには「オリジナル(=モデル)」そのものがどこにも存在しておらず、存在するのはコピーの更なるコピーとしてのシミュラクル(イメージ)だけであり、そのような高度消費社会におけるシミュラクルとしての世界の加速の先に、Vaporwaveの反-空間性はあるのかもしれない。
 ***
 第三に、ニューエイジという文脈ももちろんあって、Vaporwave(たとえばtelepath テレパシー能力者とVAPERRORの「超越愛・テレヴァぺ」)を聴く時に、ある種の神秘的な空間が自分には見える。時間や空間を超越した、この宇宙の本源的な波のような力が自分の中へと入り込んでくる。というのは半分は嘘で半分はほんとうであり、Vaporwaveがニューエイジの文脈をサンプリングするのは、パロディであり風刺でしかないから。
 ここで、正直言ってVaporwaveがニューエイジの文脈に対してどの程度まで批判的なのかというのは図りかねるのだけど、そもそも文脈を辿るのなら、1960年代(言うまでもなく1968年には五月革命があり、日本ではたとえば佐世保エンタープライズ寄港阻止闘争があったし、アメリカでは反ベトナム戦争の流れもありつつ、ヒッピーたちが誕生する)のカウンターカルチャーに起源を発していて、しかし、結果として自己啓発や健康食品やマルチ商法という形で資本へと回収されたり、あるいはオウム真理教のように新宗教という形を取ることになる。
 と、必然的にニューエイジは堕落(つまり、消費社会という内部へと回収される)することになり、ここに俗流アンビエントの話もあるわけだけど、そう思うと、消費社会をパロディし風刺することと、ニューエイジ的文脈をパロディすることの間に連続性が見えてくる。
 ***
 ここで、telepath テレパシー能力者の話にまた戻ると、自分はある時期、たとえば「超越愛・テレヴァぺ」のようなアルバムを、眠剤を飲んで曖昧で脳みその奥に訳の分からないものが見えるような状態で聴き続けていて、だからこそ、当時はtelepath テレパシー能力者のアルバムの、深いエコーのかかった重低音が脳みその奥に響き、浮遊感の中、布団の中で見えているのか見えていないのかも分からない幻覚のようなもやばかりを見ていた。宇宙そのものと接続されているような、しかし深い孤独感もしくは海の底を回遊するような感覚もあって、そこで夢を見ていた。
 ***
 最後に、冒頭で引用したツイートにも感じることだけど、(高度消費社会を背景とした)Vaporwaveにおける非-場所性は、ある時期の村上春樹にも共通していると感じていて、その一つの例が『ダンス・ダンス・ダンス』およびそこに登場する「いるかホテル」であり、自分が何年も働いているいくつかのラブホテルの、窓のない内部でもある。    村上春樹について言うのなら、村上春樹が1968年に早稲田大学に入学している以上、(彼が学生運動とは一定の距離を取っていたとはいえ)、70年代以降の間での転向の問題というのはあると思っていて、『ダンス・ダンス・ダンス』の主人公が広告業か何かをこなしながら、消費社会の中で(外面的にはそれなりに順調に)生きていながらもそこにはある種の罪責感があり、それゆえに「羊男」という影の存在が現れるのかもしれない。
 ***
 あと、村上龍の『MISSING 失われているもの』も、(直接的ではないけれど)「非-場所性」と「非-時間性」を感じるという意味で、近いものがあると思う。
 ***
 かなり長くなってしまっているし、明日は朝から夜まで授業なので早起きなのだけど、もう少しだけ書いてしまいたい。2019年12月に買ったユリイカの「vaporwave特集」を初めてまともに読んだ感想として、まず目についたのは木澤佐登志と、河南瑠莉だった。木澤佐登志については今更言うこともあまりないけれど、冒頭からtelepath テレパシー能力者の曲のタイトル(「あなたの愛は私の救世主です」、「���遠に夢」、「心と魂の核変換/私たちの感情は一緒になって」、「ほとんど幸せ」……)を引いていて、それを「その空疎さと無意味さゆえにほとんど泣きそうになるくらい甘美だ」と評価する。   〈それはどこまでも具体的な「意��」をすり抜けていく、蒸気のように霞消えていく「イメージ」を、彼岸の幻影(ヴィジョン)を追い求めていく……〉(p85)
 河南瑠莉はマーク・フィッシャー『資本主義リアリズム』の翻訳者で、加速主義とvaporwaveの深い繋がりを認めながらも、むしろVaporwaveに内在する「減速的な」美学について論じる。
 あとは、柴崎裕二の「Vaporwaveと俗流アンビエント ニューエイジの消費主義的異形をめぐって」も、興味関心には近かった。
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tanakadntt · 1 year
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唐澤さんオタオメ〜
シリアス
大人のする未来の話
一 未来の話
「三輪くんは幹部候補じゃないよね」
問われた三輪秀次は何とも言えずに無表情で彼を見返した。
実際、何も言えない。わからない。わかるわけもない。
いや、どうだろう。遠征選抜試験の直前である。
隊員である自分には全容は明かされてはいないが、伺い知ることのできる内容を鑑みるにわかっておかないといけないことのようだ。
ボーダー内での自分の立ち位置、自分の能力、自分の意志をはっきりと認識しておく。
ロジカルにもフィジカルにもメンタルにも厳しい試験だ。三輪隊では、古寺の一次試験からの参加が既に決まっている。古寺頑張れ。古寺偉い。お前ならできる。
黙っているのをどう受け取ったか、
「そんなに警戒しないでも」
同じ城戸派だろと唐沢克己はニコリと顔に屈託のない笑みを乗せた。
まだ、誰もいない会議室だ。出張から今朝帰ってきて時間が中途半端に余っちゃってね、早めにきたのだと言う。三輪は会釈をして壁際に立った。
あまり唐沢と話したことはない。苦手ではない。話すことがないだけだ。忙しい人であるし、接点も少ない。この人のおかげでボーダーがまわっていると皆が口を揃えて言う。三輪もそう思う。ボーダーがボーダーたり得る体裁を保っていられるのはこの人の働きによるものだ。
そして、今回の選抜試験の最終的な決定権を持つ一人でもある。A級部隊は正式には戦闘試験からの参加となるが。
この質問は、試験の一環なのだろうかと三輪は考えた。参考程度の。
「上層部の決めることです」
「自信があるんだね」
そう返されて、戸惑う。挑発的とも取れる言葉と裏腹に唐沢からは敵意は感じられない。むしろ、彼は不思議そうに首を傾けた。
「君はここについて知らないことが多いだろうに」
「……」
ボーダーには、旧ボーダー時代に繋がる秘密がある。古参隊員と言われる自分でも触れられない部分だ。
上層部と、さらに昔から在籍する者たちがその秘密を共有している。
その僅かな人間同士は、化かしあい、足を引っ張り合っているのを三輪は知っている。だから、深く知らないほうがいいと思っていた。
あの人たちが仲がいいのか悪いのか、いつも判断に苦しむ。真剣ではあるが、彼らの化かし合いは時として楽しそうにも見えるのだ。
現に目の前の唐沢など生き生きとしている。三輪は唐沢が自分との会話の時間を取りたくてわざと早く来たのだとようやく悟った。
「隊員ですから」
知る必要がないと判断されたら、知らないままでよい。
言外に伝えると、
「殊勝だねえ」
と笑われた。
「期待してるんだよ、頑張ってよ城戸派筆頭」
城戸派閥最大の人物はあなたではないかと言いかけて、三輪は黙った。
「未来の話だよ」
急に唐沢の体が大きくなってその影に入った気がした。
「ねえ、君、幹部候補じゃなかったら何だと思ってる?」
ニ 大人の話
唐沢克己は林藤匠を待っていた。
本部地下の駐車場へ続く廊下である。会議は遅くまでかかった。この時間は歩くものはいない。
「唐沢さん、何か…?」
「長期遠征選抜試験の前にね、ちょっと」
唐沢は話をしませんかと誘った。
駅前のコーヒーショップは酒類も出すから遅くまでやっていて、しかも喫煙席がある。年々、愛煙家は肩身が狭くなる一方だから、貴重な場所だ。唐沢は根付に苦い顔をされながらも本部建物内喫煙を死守している。林藤玉狛支部長は貴重な煙吸いの同士であった。
コーヒーを飲みながら煙草を吸う、という一見器用な真似を
しながら、唐沢は口を開いた。
「今回はお金を遣いますよ」
「ああ、まあねえ」
メディアの前で大々的に打ち出した長期遠征のことである。
のんびりと林藤は煙を吐き出す。
元々、ボーダーはお金を浪費するばかりの組織だ。近界の技術や情報を小出しに売ってもこちら側には役に立たないことも多い。玄界は役に立つことが金になる世界なのだ。
遠征の予算を計上した結果、はじき出された莫大な金額を思い浮かべた。
「でも、唐沢さんなら大丈夫でしょ」
林藤が続けると、私が何もしなくてもお金は入ってきますと唐沢は肩をすくめた。
「遠征とは随分魅力的な言葉らしくてね。
目ぼしいところはみんな我先に出してくれます。乗り遅れたくないんでしょうね」
支援者は国内だけではない。企業だけでもないことを唐沢は告げた。
思いのほか、でかい話になったと林藤は思う。
近界は、もはや得体のしれない異世界ではなく、利益を生み出す可能性を秘めた新天地であった。利権争いはもう始まっている。玄界は役に立つことが金になる世界なのだから。
拉致被害者の救出を掲げた遠征がどのような結果で終わろうとも、一度出来た道は閉じない。近界もこちら側も今までと同じではいられないだろう。トリオン研究も金があれば、さらに進む。
この遠征をきっかけとして、二つの世界は大きく変わっていくはずだ。
「この流れを作ったのが、わずか十五歳の少年とは、」
「随分、三雲を買って頂いているようですが」
林藤は唐沢の言葉を遮った。が、彼は構わず続けた。
「あの年齢であの胆力、気に入っていますよ。いやはや、先が楽しみだ」
唐沢は本当に楽しそうに最後まで言ったあと、不意に話題を変えた。
「遠征試験は幹部候補の人選も兼ねていますけど」
「そうですね」
唐沢は少し声を小さくした。
「僕も卒業の準備かなと思うわけです」
「ご冗談を」
林藤は二本目の煙草に火を点ける。唐沢との密談はたまにある。一方的に彼が誘い、本部側の情報を伝えて終わる。その情報に見合うだけのものを彼が欲しいときだ。
「外務部長のお仕事がさらに忙しくなるのはこれからでしょう」
「だからこそですよ。何事も準備がものを言います」
唐沢の言い分にも一理ある。支部長は気楽でいいと林藤は思ったが、心のうちに留めておいた。
そして唐沢は意外なことを言った。
「今度の遠征試験で見つけられたらと思ってますよ、僕の後継者を」
「後継者ですか」
五年近く前に城戸に請われて来た仕事請負人だ。請け負った仕事が終われば、いつかいなくなるかもしれないと思っていたが、後継者とは。
「唐沢派の誕生ですか?」
揶揄すると、動揺もせずにニコリと笑った。
「とんでもない。ボーダーに拾われて五年、城戸さんの元にいて考えを改めることもあってね、僕なんぞでも若者たちに残せるものがあればと思いまして」
若者たちの将来にね、と唐沢は言う。
若者のためと言いながら、辞めていく隊員の記憶操作をし、三雲を利用しようとする。二枚舌も甚だしい。林藤は本部の、城戸のやり口が嫌いだ。
わずかに眉を寄せて不快感を示した林藤にお構いなしに、唐沢は続けた。
「それで、城戸さんは誰を後継者に考えてるんでしょうね」
「先ほどね、会議前にちょっと三輪くんと話したんです」
話題転換が多い男だ。三輪秀次もまた利用されている子どものひとりだ。あれよあれよと言うに城戸派筆頭などというものに祭り上げられている。
「僕たち、こんなに先のことを考えてるのに今日、三輪くんと話したら、先のことを考えてないって言うんですよ。ただ、高校卒業後はボーダーに専念したいと」
参ったなあ、と煙草を持った手で形のいい眉毛をなぞる。そんな仕草が似合う。唐沢は伊達男だった。
「若者の特権ですよ」
「木ばかり見て森を見ない」
「それも特権です」
恐らく二つの未来があるんです、と唐沢は続ける。
「交流が始まっても、いや始まるからこそ、紛争が多発するのはどこの世界でもそうでしょう」
政治は血を流さない戦争であり、戦争は血を流す政治であると言ったのは誰だったか。
「ポストボーダーの未来の一つは現ボーダーをさらに拡充し、あちら側からの防衛を全世界に広げた機関」
地球防衛隊ですね、と呟く。その言葉はひどく滑稽に聞こえた。
「そして、もうひとつ。現在とまったく違うボーダー。
僕がここに呼ばれたのは、元々、民間組織として独立するためです。
ボーダーが民間組織である必要性を常々考えているんですよ。
国家に所属しない何か。こちら側にもあちら側にも与しない。
それはもう第三勢力と考えてもいいんじゃないですか」
「実は、僕は城戸さんは防衛機関をさっさと誰かに譲って、そちら側に行ってしまいたいんじゃないかと思ってる」
「旧ボーダー、現ボーダー、ポストボーダー」
歌うように唐沢は単語を並べた。
夢のような話だ。林藤は釘を刺しておくことにした。
「後継者を三輪とお考えのようですが、彼は選択外でしょう。未熟ですよ。もっと向いている人材はたくさんいる。幹部の中からさらに選ぶという選択肢が現実的ではないですか?」
「今のところ、城戸さんに一番考え方に近いと周りに認識されているのは三輪くんでしょう。あの通り、素直で真面目な子だ。城戸さんのやり方をそのまま残せる。近界民への敵意が難点でしたが、それも最近は落ち着いてきたようだ。
なに、若者はいくらでも伸びしろがありますよ。それに、貧乏クジを引いてくれそうな人物を考えていくと…」
「貧乏クジですか」
「貧乏クジでしょう」
唐沢はニコリと笑う。
他をあげるとすると、と続ける。
「唯我くんも候補にあがっていると言う話がありましたが」
「知っています」
林藤は固い声で答えた。
唯我尊がボーダーに入隊するにあたり、検討された事項である。
「ご実家の意向ですね。尊くん自身の適性というより利権の話になる。ここまで話が大きくなると、ボーダーを支えるのが唯我グループだけでは弱い。それに、組織が一企業に下るのは、林藤さん、あなたが許さないでしょう」
「…もう、事実上そうなっているでしょう」
そうおっしゃる? 私の力不足ですね、と営業部長は頭を下げた。
「ね、だから、貧乏クジなんです」
「あなた方はずっと喧嘩をしていらっしゃる」
「……」
誰と、とは聞くまでもない。林藤は否定はしなかった。
「あなたには、迅くんがいる。
それだけでも大きなアドバンテージを持っていらっしゃるのに、まだまだ満足されない。あの可愛らしい殿下のことは別としても、最近では、ヒュースを手に入れた。本部が排除できないように非常に巧妙に。
何より、空閑です。黒トリガーを持っている。最上氏の忘れ形見だ。実動部隊に影響力の大きい忍田さんは必ず空閑の味方になる。
そして、あの近界民が言うことを聞くのは三雲くんだけじゃないですか」
「あなたが三雲を評価するのはそのためですか?」
「普通の子ではできませんよ」
唐沢は悪びれもせずに言った。
「それだけじゃない。
風間くんは三雲くんに好意的だ。太刀川隊の、出水くん、唯我くんの弟子になったのは大きい。雨取くんのことで、東くんとも縁ができた。
鬼怒田さんは技術者だ。自分の能力が存分に振るえる場があれば満足する。そうだ、あなたにはもうひとり近界民がいましたね。根付さんも三雲くんを認めている。もちろん、僕も。
彼には大いに期待してるんですよ」
「大の大人が中学生に何を期待するのです?」
「ポストボーダーですよ」
ねえ、林藤さん。唐沢は肩をすくめた。
「子どもを利用するのはおたがいさまではないですか」
「…一緒にしていただいても困りますね」
「…喧嘩でもないんですよ。主義主張の違いという奴でね」
目指すものが違いすぎるのだ。
「喧嘩ですよ。あなた達は歩みよろうとしない。お互いに優位を競い合っている。林藤さん、また隠し玉を増やしているでしょう」
「何のことでしょう?」
ガロプラとの同盟の件は迅の予知も使って、慎重に行なった。
これは唐沢のブラフだろうと林藤は踏んだ。恐らく、本部で三雲と話して何かあると感じただけだ。
「結局のところ」
あっさり唐沢は引き下がったが、注意深くこちらを伺っている。
「鍵を握るのはあなた方二人の喧嘩の行方だ」
林藤は、腕時計を見た。
「もう、こんな時間だ。唐沢さんは明日も早いでしょう」
唐沢も客の少なくなった店内を見渡した。伝票を持ちながら、立ちあがる。それでも、なお言葉を紡いだ。
「迅くんにはどう視えているんでしょうね」
けれど、僕達にも見えますよね、未来。
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250thursday · 1 year
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『荒野の夢拾い』イベントの感想(ネタばれあり)
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※ゲーム内画像:私のスクリーンショット
 『荒野の夢拾い』イベントが始まると知った時、本当に嬉しかった。
 アンドルーがこれまでに出たイベントは、全員参加のものを除けば3周年記念(グローバル版)とCOAⅥ(Ⅳに巡路人もいるけど…実装してください!)。この2つのイベントでの役割はまさかの朗読あり・動画ありでとても嬉しかった。豪華で充分満足している。
 けれど、その活躍を見た後でも、やっぱり季節イベントでの活躍も見たいと思っていた。
 季節イベントは、季節の催しと共にキャラクターの価値観が伺えて、趣がありとても好きだ。第五人格は基本的にシリアスな世界観なので、気分転換になる。そんなイベントに大好きなキャラが参加する姿を想像しただけでわくわくする。そのうえアンドルーはゲームでの詳細や他キャラクターとの関わりがなかなか明かされなかったので、ますます公式の描くアンドルー・クレスを渇望していた。
 常に何らかのイベントに出ますように……と祈っていた。今年も例年と同じく、あわよくば植樹節イベントに出てますように……と祈っていた。何気なくチェックしたTLで祈りが現実になったと知った時は夢かと思った。イベントのメインなうえに頭に葉っぱが乗っている。頭に葉っぱが乗っている(重要)。私は緑色や植物モチーフが好きなので、植樹節イベントは特に好きなイベントだった。本当の本当に嬉しかった。(↓浮かれて撮った写真)
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 しかし、イベントが始まるまでに喜びが落ち着いて疑いの気持ちが高まってきた。本当にアンドルーがイベントのメインになることがあるのか?実は人気者のペット化した3匹がメインのお話なのでは?等々。
 でも今なら断言できる。アンドルーは間違いなくこの物語の主人公だった。
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 荒れた昼夜の世界を延々と歩き続けるアンドルー。
 入手できるスタンプやアイコン、家具のモチーフ(それらのテキストまでも!)どれもがアンドルーの憧憬を表していた。イベントに入れば男の影が見えたという記述だけで喜び、本人が言葉を発しただけで喋った!!!とはしゃぐ。タスククリアでヒントが解除されることに気付かず湖景村から一生出られないのでは?という恐怖もまた思い出だと思った(後で無事クリアできた。)あまりの供給に囲まれすぎて放心状態が続いた。
 しかし、最初は会えたことに喜びを感じたものの、一日ごとに少しずつ世界の背景が明らかになり、これまでの植樹節イベントと違い少しも緑が増えないことに不安を感じた。徐々に植物ノートも埋まっていく。色々知りたいけど同時に終わりに近づいていると考えると嫌で、少し怖かった。アンドルーが咳き込む様子や食糧・水も手に入らない世界を見て、最後はどうなってしまうんだろうと心配だった。
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『これが枝から落ちた最後の葉でないことを祈る。』
 衣装テキストは、O・ヘン��ーの『最後の一葉』を彷彿とさせた。原作を読んだことはない。ただ、病人が窓の外の枯れ葉を見つめて、あの最後の葉が散るとき私の命も終わると言った……というくだりだけは知っていた。
 この荒れはてた世界で独りぼっちの『枯れ葉』なアンドルー。どう考えても最後の一葉じゃないかと思った。日に日に弱る様子や改善されない過酷な世界を見せつけられて、『あれ』(おそらくイチハツの種)への執着と最期へのほのめかしがあって。そんな決まりきった現実の前で『そうでないことを祈る』だなんて、どうしてそんな皮肉めいたことを言うんですか?(これだから第五人格は……)
 
そう考えているうちに7日目が訪れた。アンドルーはイチハツの種を見つけてしまった。先日の砂糖缶を思い出して、今度は落胆しませんようにと思った。喜ぶ姿を見ることができても、素直に喜べなかった。イチハツの種と共に永久の眠りについてしまうことを考えると怖かった。
 しかし、そんな心配をよそにアンドルーは思い直したような口ぶりで話し出した。今の大地は種を植える価値もないと。この嵐が自分を呑み込むまで行くと。そして再びイベント画面で、あの変わらない荒野を歩き続けた。
 正直初めはぽかんとしてしまった。アンドルーが生き続けた。それは嬉しいことだけど、本人の願いは完全に叶っていなくて、しかしアイリスの種は見つかって…………
 これまでのイベントとは違い、7日目の日が過ぎても大地には一つも芽吹かなかった。相変わらず暗い荒野をアンドルーは歩いている。
 悪意に溢れた世界、闇夜、孤独、叶わぬ願い……本編とさほど変わらないラストにやりきれなさを覚えた。
それなのに、何も好転していない世界だというのに、自暴自棄にもならずイチハツ(アイリス)を――希望という花言葉を持つものを――抱いて歩み続けるというのか。
 こういう人なのか、アンドルー・クレスは。
 このイベントをきっかけに『最後の一葉』を読んでみた。あのくだりの後には続きがあった。
 最後の枯れ葉が2晩の嵐に負けず奇跡的に留まり続ける姿を見て、病人は考えを改め病状は回復した。しかしその葉は、病人の事情を知った知人の老画家が嵐の中壁に描いた精密な絵の枯れ葉だったのだ。そして画家は無理が祟ったために病人と同じ病に掛かり、命を落とす。
 嵐の中でも残り続けた最後の一葉。
 それを見て生き続けることを決めた病人。
 アンドルーにとっては不本意な選択だったかもしれないけれど、死への歩みを生きる方へと変えた姿が重なった。
『何かが、あの最後の葉を散らないようにして、 わたしが何て悪いことを思っていたか教えてくれたのね。』
 何も知らない病人はそう言い、病と闘う身体を起こして明日への支度を始めた。しかしその「何か」は神秘的な超常現象ではなく、紛れもなく人から人への思いやりだったように思う。
 灰色ウサギさんから白ウサギさんへ。白ウサギさんからアンドルーへと希望が託されたように。
 冒頭に目覚め、アンドルー・クレスが話しかけた『お前』がどんな人物かは明かされなかった。もし私たちプレイヤーに語りかけていたのだとしたら、そのことに意味があったように思う。大地が不毛であり続け、希望のイチハツを探すたった一人の人間であったアンドルーが『枯れ葉』という名前だったことにも。私たちにそれを眺める日々があったことも。
 私たちプレイヤーはラストの後どうするのだろう。避難所へ行き地上を忘れた生活を送るのか、あの場で立ち尽くすのか、それとも。
 私たちプレイヤーに呼び名があるとしたら何だったのだろう。他人の僅かな安らぎを奪いただ生き延びる虫けらか、安穏とした環境でペットのように外のことをよく知らず生きてしまった動物たちか、もしくは。
 あの切ないラストを見て、アンドルーを地上で最後の植物、希望を持つ最後の一人にしてしまうかどうかを私たちに委ねられているように思えてしまった。だから私は、プレイヤーも一枚の葉となれるのではないか、と思う。アンドルーが夢見たような青空と、緑の大地と、イチハツの花畑が輝く世界を信じて希望を持つ葉に。そのために必要なのは――戦争にしてもその後の生き方にしても――やはり『他人への思いやり』なのかもしれない。
 アンドルー、他にもきっとあなたと同じ事を願う人たちがいるはずだから。
 それで、そんな人たちが増えれば豊かな緑が帰ってくるはずだから。
 そうしてあなたを取り巻くものが黒く濁るものたちでなく柔らかな緑となった時、最後の一葉でなくなった時に、豊かな大地にイチハツの種を植えてほしい。そして咲いた花々を見守って穏やかに眠れる日が来てほしい。
 なんて素朴で難しい夢なんだろうか。
 あなたの夢はいつもそうだ。
���でもどうか、いつの日か叶いますように。
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〈おわりに〉
・日没衣装の胸元がドリームキャッチャーだったの思い出して顔がクシャクシャになりました 夢を胸に抱き続け彷徨う人……
・奇跡的に夢が叶って青い空!緑の大地!!イチハツの花々!!!ができたとしてもアンドルーの体質だとその風景を暗がりから覗くことしかできないのでは?え?悲しい
・『3カ月探し続けた』というのがやけに具体的で意味ありげに思える。でも何を意味するかどこと繋がるのか分かりません。助けて……
・守り抜いていた研究所が実は……という雰囲気。でも具体的に実は何をしていた、というのが分からない。
→イチハツの種の資料を漁っていた時に見つけた奇妙な薬とは?「私」の予想とは?消えた灰色ウサギ(エミリー)、彼女が残した種とどんな繋がりが?
→ベトナム戦争に使われた枯葉剤もふと頭に浮かんだけれど確証はない。
容器の色から虹枯葉剤と呼ばれたとか?日本と違って虹の色は6色だけど……(アイリスは虹へと変わり……)(イチハツは花弁が6……)
・ログボの星座の文章がとても意味ありげで不穏だなと思いました。人間の成長を思い起こさせるような気も…?
・第七次大絶滅、完全にフィクションかと思っていたら現実でも大絶滅は既に5回起こっていてて、人類の環境破壊により6回目が起こりそうなんですね。6はあまりに近すぎるから7にしたのかな……未来の話として託されたのかな。
・こちらの方が翻訳された『最後の一枚の葉』を読みました。ありがとうございます。
https://www.hyuki.com/trans/leaf.html
・このたった二週間のイベントに歴史、植物学、アンドルーの背景推理や人となりが色々凝縮されてるなーと思いました。凝縮されすぎてて言いたいことがうまくまとまりません。あれこれ書きましたが……
 毎度のことながら濃いイベントをありがとう。
 来年の植樹節イベントはどんな内容でしょうね。全く別の舞台かもしれないし、もしかしたら続編かもしれない。今回のお話はあまりにも寂しすぎた(じゃなきゃこんな幸せを願う感想文書きません。)
 次はもう少し賑やかで、誰かの幸せが叶えばいいなと思う。
 ありがとう第五人格。これだから第五人格は……
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namuahi-san · 1 year
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 馬無山(うまなしやま、馬に乗らなくても登れることからその名がつけられた山)が噴火し、補修者(ぶっ壊れてしまった世界を補修する者たち)も、オルタナ力士(ぶっ壊れた世界に順応して生きる者の総称)も皆、黒焦げ骨付き肉と化した。つまりジ・エンド(おしまい)だ。神が不在(いない)のだから仕方がない。じゃあ、マチ子は? マチ子は肉全般が嫌いだった。が、嫌いな食べ物を食べることで魂がより高いレベルに達する(実際、鳩にちくわをやるおばさんは鳩の魂をそうしているわけで……)ことを知っていたので仕方がなく黒焦げを口に入れ、いそいで川の水で流し込んだ(ところで、実家から電話が来ると聞いたことないような方言で訛る猫の話はしましたっけ?)。お金がなさすぎて塩(主食)を買うのに躊躇してたら海の水を焼いて塩(主食)を作ることを思いつくような人だって世の中にはいるのだ(それはマチ子)。あまつさえ、それを売って儲けようだなんて(原価はゼロ円ですね)! そう思ってマチ子、三十五年ローンで七階建ての塩御殿を建てたが結果、塩屋大赤字(主にガス代です)。塩御殿は売却されパルコ(塩)とかになりました。マチ子はね、悲しみのあまり、こう、猫背になったんですってよ。猫だけに(だけに?)。バスに乗るマチ子(バチ子)。窓から見えた細い道に『猫背矯正! 直します、すごく!』の看板を発見した。降車ボタンを押すと同時に両手をクロスしたまま窓を突き破り(そのとき、一陣の風がマチ子の頬を凪いだら……?)バスを降りた。件の猫背矯正医院では医者と看護師が互いをメフィスト(看護師)、ゼロ(医者)と罵り合っており、壁には、生のサメが『神さまアレルギーで神様がいない世界に行った人も、まあ……なかにはいますかねえ!!』とトゲ吹き出しで叫んでいるポスターが貼られていた。マチ子、いつまで経っても自分の番が回ってこないことに腹を立てて、裸(ら)、併設されている教会へと。奥の大きな十字架には肋(ろっ)の浮き出た男が磔(くつろい)でいた(あるいは、男は本当に存在するのではなく、皆(みーんな)の無意識が作り出した幻想、なのかもしれませんね)。そのうちの一人が、さみしい、という名前の子供だ。さみしい、は、墓場(常温)、というあだ名の女性と結婚し、戦争(うぉー)、というあだ名のバイト先のおじいさんを産んだ。戦争(うぉー)はいつも左手で右の脇腹をおさえているところからついた名で、名札にも、あっ、ここでニュースなんですが! 鳩にちくわをやり続けているおばさんを黒く塗りつぶしたら、鳩を黒く塗りつぶすおばさんに進化しそうだったので! 鳩おば(鳩をどうにかしようとするおばさんの総称)をマチ子(西暦のことをキリストの何回忌って数え方するタイプの女)が滅することで、未然に止めることができました。良かった……鳩は平和のシンボルですからね、なるべくむごたらしく殺した。表彰式を途中で離(り)するマチ子。おい主役は……マチ子はどこだ! 一方その頃、インター・ネットでは。おや、夫婦でそれを描き続けてる絵本作家の担当編集者が困ってるようですよ。夫婦はしきりにヤバい虚構の国(滋賀県付近)で鳩をむごたらしく殺す話を描きたいと言ってきかず、結局その話は自家製本(玩具屋の床に転がり、欲しい! 買って! と無限に駄々をこねている子どもの皮を集めて造ったものではありませんよ、あしからず)され各地の公民館や幼稚園、図書館といった公共施設に配られたということです(その頃の町の子どもたちの総数は、若干、ですが……減っていたそうです)。え? だからマチ子はどうしたかって? それどころ��ゃないんだよ! 世界では体の先���が壊死するタイプの奇病が大流行! 指先から発症して、第一関節、第二関節とそのたび切っていくしかないって、これ、どういうことかわかります? はい……自分(っぶん)、いいっスか……? 考えたら、怖くなってきたんっスが(震え)つまり、ね、最終的に人間は完全な球体になります(わあ……きれい)。そんな病気を鎮めるために祈り師は生まれた。税金の無駄遣いとの批判もあったが、彼らはシンプルに病気の鎮(ちん)を願った。祈り師たちの一日はこうだ。国から税金を貰う。ホテル暮らしで、好きなもの(湿らせたお麩等)を飲み食いし、ふて寝。で、時間が余り、尚且つ興がのったら激しく祈る。誰に? だから、まだいない、神に。一方マチ子(後にこの話をハッピーエンドで終わらせる存在)は、勤務先のスナックでいつだって常連のクソ客に絡まれていた。客はマチ子のことを姪だと思い込み、真(しん)には自分より年上のマチ子に対し、このタイミングで死することを勧め続けている。こんな調子だ。ヘイ、どうだろう、いま君は美しい……その美しさを永遠にするため死ぬという選択肢イェイ? マチ子はマチ子で叔父(叔父ではない)の顔に唾(だ)を吐きかけ耳たぶを思い切り捻り上げ部屋を後にした。バタン!(ヒュー!(口笛)) ドアが閉まる音。静寂(サイレ���ス)。マチ子の叔父(マチ子の叔父ではない)の、啜り泣く声。さて、君はこんなマチ子のことをどう思う? マチ子(苗字は川中島。浅くて広い川の中にある小島に代々住んでいる一族)はね、世界を救おうとしているんだ。嘘じゃあ……ない。現にマチ子はその足で叔父(叔父)の口座からありったけのお金を引き落とし、飲食店を開いた。店名はない。看板、いや、紀文のかまぼこ(赤、縁起が良さそうという理由で)の下に敷かれていた板が入口のドアの横に両面テープで貼ってはいるが……。食べログの唯一のレビューはこうだ『親兄弟を殺してでも食べたい名店の味!』。インター・ネットの効果だろうか。マチ子の店にはたちまち多くの人(じん)が並んだ! 並んだ数はあまりに多く、その行列は山(ざん)を越え、町(ちょう)をはみ出し、補修者も祈り師たちも踏みつけ、国(こく)を跨ぎ、海(かい)に浮かび、世界(ぜん)を繋いだ。そして食べた全員(みーんな)が、せーの、過激な食中毒! (もしくは)未知の病気! によってドラスティックに絶命した。巨大な両翼によって空に浮かぶオルタナ力士(本名)は、それをかなり満足そうに見ていた。するとどうだろう。『なにか』が集まり『なにか』が生まれた。やあ、俺さ。神は言った。こうして神は地上に降臨なさったのです(え? 話はこれで終わりかって……? いえいえ、本当のお話はここから、ですよ)。『それ』っぽいのがマチ子ひとりなことに神はひどく動揺(ヴァイヴ)していた。そして、マチ子に永遠の命を与えようと決めた。マチ子は口では文句を言いつつも満更ではなさそうで、むしろ(イェイイェイ)とさえ思っていた。神は、ひとりぼっちになったら正直……ちょっとキツいかな〜……と思っていたのだ。だが、それを知ったオルタナ力士がシュン!(音)と地上に舞い降り、神に反対した。神は突然の闖入者に驚き、多大なる衝撃を受けた(そう、神は反論とかに滅法弱いのだ)。そうして神は、喉越しの良い麺類しか喉を通らなくなる……。反抗したオル士(おるし、オルタナ力士の略称)もこれには驚き、甲斐甲斐しく風の強い島に行き本格的な歯応えとするりとした喉越しを両立させた素麺を自ら作るなどして永い時間(あいだ)尽くしていたが、その心にはある計画を秘めていた。オル士はそれを、鹵(ろ)と呼んでいた。床に伏せる神の前に出された素麺は、その日だけ特別なものだった。おお、いつもすまないねえという神に、オル士は何も言わず椀を差し出す。口を開くと余計なことを言ってしまいそうだった。神はそれを気にする様子もなく箸を持ち、以前よりもゆっくりとした動作で麺を口に運ぶ。ああうまい、と神が言おうとしたそのとき、素麺は意思を持っているかのように神の口蓋垂に絡みついた。別の麺が、口蓋扁桃、舌根扁桃をバウンドし気管に飛び込んでいく。それは賭けだった。神の身体の構造がマチ子と同じかはオル士には分からなかった。ただ、神は一瞬驚いたようにオル士を見たあと、胸の上あたりを押さえ、ゆっくりと目を細めると何事か唇を動かし、上半身を起こしたままの姿で動かなくなった。享年およそ四十四億歳であった。オル士はそれを見届けると、(手の代わりだろうか)両翼を自身を包むように前へと持っていき、静かに合わせた。オル士が立ち上がると、終わったの? と無邪気な声がした。オル士はやけに長い睫毛を二、三度瞬かせると、緊張した面持ちでマチ子の方へと手を伸ばした。マチ子はいつか祈り師の上着からくすねたハンカチで自分の手を拭き、差し出された手のひらを見た。水でもどしたばかりのどんこのような、ふっくらとした手。数十億年ぶりの神のいない世界。太陽の光はどこまでも白く、マチ子はその手を伸ばした(人類が誕生する、何千年も前の話だ)。え? マチ子たちはその後どうしたのかって? どうしたもこうしたも、あんたの知っての通りだよ。オル士は神との戦いを、一対一(タイマン)で、武器も持たず、だが局部だけは隠した格好で行ったと後世に伝えた。その結果、神は倒れ、世界に再び混沌(リアル)が戻ったのだと。当初、素の姿で舞うことで素舞(すまい、すまう)という名だったものは、やがて相撲(すもう)と呼ばれるようになった。戦う者は、オルタナ力士の本名から、力士と名付けられた。彼らは皆一様に、オル士のような肉体を目指した。素麺作りのための毎日の島への往復によって作り上げられた、豊満ながらも無駄のない肉体を。ん? だからマチ子はどうしてるかって? マチ子なら今日も海に出てるよ。今は砕けたガラスの破片が海の流れのなかでいい感じに丸くなったものを透明石と呼んで、ふらっと遊びに来た人に売りつけているのさ。
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ophelia333k-k-k · 1 year
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2022年12月13日
暗闇 見つめている二重らせん 週刊誌の最後のページ 孵化する 孵化させる 目が覚める からっぽのまま 赤ん坊の手を握る 哲学ニュース 強度 占星術師 と打ったら変換される 性占術師 学生時代 最も力を入れたこと 死は幻想である 愛、あ、あ、あ、名前を教えて なりたいもの わたしが 明るい世界 明るい未来 クビになったドラッグストア 礼拝 お好み焼き チューニングの狂った 歌 聴こえなくなるまで 聴こえなくなるまで featuring あなたのこと 声 死について って誰も知らない経験していない から 駆け込み乗車 禁止 お兄ちゃん お兄ちゃん 扉を開けて 機内モードで延命する アジテーション はやくしたい 遅く 結婚 まん防 イデア的には ずっと一緒がいい よね 今だけ無料 アジテーション テナント募集 の 看板 らすとくりすます とぽろじー 言葉で考えるのをやめる あ、あ、あ、 図式化 ズキズキする 監視されていた 白い部屋 女衒 パッチワーク フランケンシュタイン みたいに 愛と幻想と 愛と幻想と 糸 ほどけていく ことを想像する ジャスミンを銃口に 営業系総合職 死んだ瞬間の聴覚について 死んだ瞬間の聴覚について のように のように さようなら 魔法少女 ハートフィールド 歌う メヌエット ピーチ姫の テトラポット アストラル界 あなたの 吸い込まれる ダム 死体画像 すぐ会いたい女子が急増中 アカツクシガモ 京都市植物園 振り回す キャリアチェンジ された アルバイト する このサイトにアクセスできません と 声が して振り向く 昨日 のことを覚えていない 迷宮 のようだと うわさのベーコン クルトン コーラ・パール ゾラ ほら、と 初音ミクの額から垂れる汗 花園神社で 迷い込む 見世物小屋よ 一生バイト ポケットモンスター 正解を引き当てるまで やる気が出ないな 英単語帳 ランボーを読んでしまったなら ロックンロールはそう ホテル暮らし 空調の音 Jアラート 星座を結ぶ ロックマンエグゼ lain rain ruin  ビスク・ドール 野良犬 奈良へ向かう列車 アーレント 現実感 人生攻略サイト 灰と は 意図 思考 回路の中を むさぼり食う 吸う 空気 止まった ままの 子宮的な エリア 嘘をついたまま死ぬ のね ルビンの壺 12ポイント stray sheep と 動詞動詞動詞動詞 同時的に 田中角栄 魔人ブウ 犯す 壊す 作る 波打つ わたしは 殺す 生かす 咲く 咲かす ライフハック 死 冷蔵庫 咲かす 飛び立つ やわらかく もやもやと ばたばたと 解毒する 夏休み 向日葵 消滅した 蝉が鳴く なく 無く 咲く さ さ さ 教育する アナイス・ニン 逃げ出す 逃走する 闘争? 領域を広げていく 閉じる 閉じこめる 閉じ込められた 布団の中 宇宙のように 宇宙そのもの 高橋まつり 滅びた 100年後のことを考えて 文章を書く 脳みそから溢れ出した 白い水着 黒いタイツ 道化のように 大天使のように 借りる 回帰する アカツクシガモ 成長すること 天秤のことを考える by  this river ラブ&ポップ 脳破壊 快楽 シャドウ・ワーク 子宮口から この世界の果てまで 共同体 忙しい 忙しさ exclusive みんなのレビュー 連帯 証明するために ランキング もっと欲しい あなたらしい 瞬間に 祈る手 summer 上映する ロングヘアー 偏差値 ピアス 18個  生き延びる ラリる 刺さった 反射した 発射した 家畜人 ホワイトノイズ 空間 依存症 白い 微分不可能な やわらかい その曲線 エゴサーチ バーモント・カレー 姦淫する 階段 聖書 夢の中に出てくる 中島らも 他人の日記 読む 話す 歌う ような気がする そんな感覚が 一時間天気予報 ペヨーテ ぐるぐる回る 永久に 永久的に 結びつけた 途端に壊れる ぱりん、と ふらっと 消えちゃいそうな気がする 意識が高い 高低差 風圧 やさしい言葉 インターネットのグロサイト 巡る 再度 巡る 繰り返していた クリスマス サンタさん 産道 乱視のまま 今日も生きている 息をする あらゆる 虹色の 永久に理解されることのない強度 氷点 貯金やダイエット レポ漫画 面白くなる 国語辞典 解剖する やまい、だれ 芽殖孤虫 ひらひらと 眠る ゴミ出し 擬音一覧 シーシュポス 間違った注文 集める 女性が一生で排卵する卵子の数は400個~500個と推定され 細胞膜 ずきずきと 痛む手 うつらうつらと その指で 欺瞞 マッサージ されたまま死ぬ アイライナー いつかは終わる 旅 続いていく 気持ち悪い、 と少女 折りたたみ傘 出会う 解剖学の教科書 ホーリー・マウンテン もやし 食物繊維 的な ひらく 伸びる 匂いがする 恥丘 裏切る 一本の木 待ち続けている 市民会館 明かしえぬ共同体 ムーミンたち ムーミン谷へ 向かっている ヤツメウナギ もし仮にそれが ハッとする 気がつく 失う 海のそばで グランドメニュー 幽霊 ピアスの穴 カッターナイフで切る 舌を 下へと 血が出る 地が出る前に ここからいなくなる 踊る 大雨の中 浴びる 天高く 土砂降り もっと 濡れてしまいたい 溶ける あらゆる種類の動詞 固着した エディプス・コンプレックス 身体を売る 眠りにつく べたべたした くすぐる 太もものうぶ毛 のように 行こうね ずっと一緒に 逆にする 黒板に描かれた 天使と怪物 流れとよどみと 恋と革命 そのままの 君でいてね イデオロギー それとも 触れる 手に 手のひらに その温度を そっと撫でる ように見える 青ざめた 顔 目で 浮き上がる 物流倉庫会社 キスをする どこにも行けない どこにも行けない 憂鬱な夫婦 中絶用の 願いを書く 七夕 永遠に落ち続ける夢 人生ゲーム 青いピン そのように 性行為のやり方 鍵付き完全個室 運動会 発熱 保健室 はつなつ 人生経験 終わりゆく 肉の厚さ 海馬 言語野の 衰退 ダウンロード数 数えていた 新しい生活様式 リズム 物語ること 豊かな 再生回数 氷 覆われる 世界すべて 素数のように 感じる 解体 怒らない? 起こらない、何も 可能性が失われていく 研ぎ澄まされていく 失われていくことで 何者かになった その平らな牧場 忘れてきた お持ち帰り する 立派な 飛び降りて 刻まれた 胎児のように さえぎられる 海岸には小屋��あって 喧嘩をする 白鳥 食べられる 汚い 穢れてしまった 純粋なもの 銃を撃つ 一発 チェーホフ、どこへ行ったの? と母親が階段を上がってくる 切符をなくしてしまったままで 生き続けている気がする 少女には 晴れ 絵日記は かすれてしまった とうに 音楽にはならない 寒天培地の上で 有性生殖する していた した方がいい 人生経験 ペットボトル HPVウイルス 頭のない 風邪総合 目をさます 神経系 ポーチの中で 白い粉になった 睡眠薬 遠くの方へ、遠くの方へ 並べられている 全校集会 鳴らされて 走る 望遠鏡を 覗き込む もうすっかり 子宮頸がん 夢中になって 標本にする どうやって? 悟りについて 五億年ボタン 走馬灯 一週間くらい考えてもいい? 愛妻弁当 ぷっちょ の容器でオナニーする カンブリア紀の 海中生物やわらかく モニターの奥 夏の光 ぴったりと 豊かに 遅延しながら 本間ひまわり いま、を指差す指の先 爪の長さ 変わって 一括見積もり ふざけているのではなく 頭痛 左側 ありがとう こんにちは おはようございます それは愛ではなく の ような 夜行バス 棺 出生外傷 の あなたは ロビンソン トリップした 虹色の女 devenir ひだ 開く 一枚一枚 めくっていく 匂いがする 工場の赤ん坊が コンクリート 嘘だった あてのない 意味のない 海 潜り続ける 潜水艦の中で 夢を見ている 象徴的に もっと速く 飛び立つ 自壊したい 鯛 平らな 館内における密を避けるため 破れた 四つん這いになって するだろう 想像 するだろう 未完のままの もはや戦後ではない 未亡人 ぷろ、ぱかんだ 重量と恩寵 根を 肉体が壊れていくのは かもめ 肉塊 台風が来る前の夜 アオカビ もっとたくさんの地獄 天国は通り 過ぎては消えていく スーツの人が通り過ぎていったあとの 匂い 大人の匂い 食器返却口 この席の使用はお控えください アルコール消毒 セーブポイント 豚 のような女 と 猿の ような 男が出会う 死体ごっこ バラバラに 組み合わせる 英単語帳の例文みたいに 死に近い コンクリート 裂け目 洗浄液 メリークリスマスの Yahoo知恵袋 真理があると言われている そこにある 死んだあと魂はどうなるの? と子どもが尋ねる 何グラムの 前世の記憶 当たり前の事 トンネル 潜り抜ける音 夢の中の休憩所 自動販売機 光 光 夜の闇に飲み込まれないように コンビニエンスストアは灯台として 鳴りやまない 崩れていく 昨日 来ない 来ている すでに いま 冬の ま、ふゆ ま 電気ストーブ あたたかく すりつぶす 通勤・通学 するための列車 眠る 折りたたまれたヒダ 予言する 1999年 産まれ た 朝 ねむる ねむる もっとよくなる 地方都市
夢の中では 現実的な 現実的なもの 親ガチャ 100年後の 2000万年後の 想像していてね 空っぽの脳 おばさんが入ってくる大量に 魚 飛び跳ねる 誰も見ていないところで 老人の声はデカい 無が無限に膨らんで 恒星たちは爆発し きっと届かないまま ゲーム実況見ていた 二年間 だった気がする だった気がする この区域で路上喫煙をすると 一千円の過料が科されます と どこかに書いてあった 教科書に落書きをしている間に 終わっていた もっと濡れたい 雨に 幼形成熟 恋と革命のために 太郎 花子 由香 香織 紗耶 話題のツイート 温泉むすめ 逃れてゆけ 逃れてゆけ 自撮りしているふたりを 見つめる 目 目玉 浜辺で 白く 白く 白く 白く 境界線はほどけた もう一度 あまい 糖衣錠 統一的な 像 増殖する お支払い方法 まとめサイト この世界の秘密 ねじれたソーセージ 青い 白い 脆い イオン・モール 迷子になる 歌を歌う 歌っていた 冗談でした あらゆる 情報商材のために すべて ひとつの 自己啓発 は はいいろの ノイズで 
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nyantria · 1 year
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Chapter 12 - The Battle for the World - by Patrick Wood
/第12章 世界のための戦い
Patrick Wood 2時間前
/さあ、われわれは自分たちのために町を築き、天に頂を持つ塔を建て、われわれの名を高めよう。- 創世記11:4
バベルの塔の原作では、世界中の人々が天に向かって塔を建てることに同意し、おそらく天から神を引きずり降ろし、地上で神を扱うために塔を建てたとされています。しかし、その意図が何であったにせよ、結局は希望的観測に過ぎず、神自身がその一団を解散させ、共謀者たちを散らばらせた。しかし、現代の地上の様子は全く違う。しかし、現代の地球では、ごく一部のエリートが、世界を再構築する方法について、互いに意見を出し合っている。そのようなエリート集団が今、共通の言語と目的を持って話すとしたら、次のようなことを言うのではないだろうか。
われわれは神と取引し、神は死んだ。私たちは今、自分たちの喜びのために物事を動かしています。我々は世界の構造と機能を再構築し、我々の新しい世界に適合するようにあなたを変更します。我々は不死身で全知全能だだが、君たちは違う。あなたたちは、私たちの世界を調和させるために必要な資源となるのです。我々は、あなたがそれを好むかどうか気にしない。なぜなら、あなたは絶望的に追い詰められ、我々を止める力がないからだ。
はじめに
本書ではこれまで、テクノクラシーとトランスヒューマニズムが、科学主義と呼ばれる共通の哲学的立場によって結びつけられていることを明らかにしてきた。両者は、収斂科学(NBIC)を等しく利用して、疑似科学に基づく未来を構築しようとする。テクノクラシーは、人間の消費と資源の利用可能性とのバランスを保つように社会を変革することを目指すものである。トランスヒューマニズムは、個々の人間の変容と、テクノクラシーによって運営される世界との関係を扱っている。
つまり、テクノクラシーは建築であり、トランスヒューマニズムはコンプライアンスであると言えるかもしれません。あるいは、テクノクラシーは建物であり、トランスヒューマニズムはテナントである。もっと正確に言えば、テクノクラシーは新しい世界を建設するための建築基準法であり、トランスヒューマニズムはそこに住む人々のための建築基準法なのです。
テクノクラートとトランスヒューマニストは、世界の人々の多くがこのような急激な変化に抵抗しているため、あるいは、この計画を理解していればそうなるであろうため、人類と戦争して服従させることが必要であると考えた。この新しい「悪の枢軸」は、意図的な戦争が自分たちに対して行われ、すでに負けていることに大多数の人々が気づかないうちに、多面的な勝利のための戦略を共同で作り上げているのだ。歴史上、戦争は常に領土をめぐって行われ、その結果、国境は常に変動してきた。この戦争も同様である。ただし、これまでの戦争とは桁違いの規模である。この戦争は、すべての国境を消し去り、すべての公有地と私有地を集め、エリートたち自身が運営する(できれば所有する)単一のグローバルな共有信託に入れることを目的としている。
このような包括的な目的は、1970年にブレジンスキーが書いた『Between Two Ages/二つの時代の間で:テクノロジー時代におけるアメリカの役割』にまで遡ることができる。
人間の組織化された生活の基本的な単位としての国民国家は、主要な創造的力であることを止めた。国際銀行と多国籍企業は、国民国家の政治的概念をはるかに凌駕する形で行動し、計画を立てている[1]。
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ari0921 · 9 months
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 安倍政治は若者世代を元気づけた
  櫻井よしこ
安倍晋三総理が亡くなって1年。7月8日、各地で偲ぶ会が催され、東京・元赤坂の明治記念館での「安倍晋三元総理の志を継承する集い」はネット中継された。冒頭、2014年5月30日に安倍総理がシンガポールのアジア安全保障会議で行った基調講演の一部が紹介された。第二次政権を12年12月に発足させた安倍氏は、13年12月、靖国神社に参拝し、英霊たちに感謝を捧げ、日本人皆が夢をもって暮らせる国を創りたいと、アベノミクスを始動させた。エネルギーに溢れ、溌剌とした様子で氏は語っている。
「私はこの1年と半年近く、日本経済を今一度イノベーションがさきわい、力強く成長する経済に立て直そうと粉骨砕身、努めてまいりました。アベノミクスと人はこれを呼び、経済政策として分類します。私にとってそれは、経済政策をはるかに超えたミッションです。未来を担う新しい日本人を育てる事業にほかなりません」
新しい日本人とは「昔ながらの良さを、ひとつとして失わない日本人です」と簡潔明瞭だ。
具体的には「貧困を憎み、勤労の喜びに普遍的価値があると信じる日本人は、アジアがまだ貧しさの代名詞であるかに言われていたころから、自分たちにできたことがアジアの他の国々で同じようにできないはずはないと信じ、経済の建設に孜々(しし)として協力を続けました」と、アジアのリーダーたる自負心を語った。中国を強く意識した言葉でもあろう。
日本は中国とは違って、国民を大事にし近隣諸国を尊重する。日本の国柄はずっと前から古代の先人達がつくりあげ、残してくれたものだ。安倍氏は言い切った。「新しい日本人は、こうした無私無欲の貢献をおのがじし、喜びとする点で、父、祖父たちとなんら変わることはないでしょう」。
首相再登板を果たした安倍氏に世界は注目し、各国指導者たちは安倍氏に幾度も拍手を送った。日本の自分たちにできたことがアジアの国々で同じようにできないはずはない。相手への信頼、相手の可能性を評価し抽き出す前向きの姿勢は、インドをはじめアジア諸国に大いに歓迎された。それは日本の若者世代にも向けられていた。
命日の朝日社説
にも拘わらず、このような前向きの姿勢を見ることなく、何があっても安倍氏非難しかしないような朝日新聞は命日の社説で、安倍政治は「分断に満ちた荒々しい政治」だったと貶めた。
確かに平成から令和へと、日本社会における不公平感は高まった。また、社会保障のツケは次世代任せとでもいうかのような世代間の不公平という話で終わらせるのではなく、自分のことはもっと自分でやるのがよいと、自立を促す気概が強まった。朝日はそれを「分断に満ちた荒々しい政治」と切り捨てる。だが若者が置かれていた苦況を改善し、皆が働ける社会を創ったのは安倍氏である。21年12月3日の「言論テレビ」で安倍氏は語った。
「私が政権を取った2012年(民主党政権時代)の就職内定率は68%で、就職氷河期より悪かった。安倍政権時の最終的な就職内定率は98%に上がりました。すると新卒者が増えます。新卒者の給料は低いですから、平均実質賃金は低くなります。65歳以上で300万人が働くようになりましたが、現役時代よりは給料が低い。女性も300万人、新たに仕事を始めた。高い給料の方もいらっしゃいますが、結婚、出産を経て職場復帰した当初は、給料は低かったりします。パートから始める人もいますから、それらを足し合わせて平均すれば、実質賃金は低くなる。
しかし、その後は、だんだんと実質においてもプラスになっています。大切なことは総雇用者報酬、みんなの稼ぎを足し合わせたものです。総雇用者報酬は、民主党政権時代にはマイナス2兆円、安倍政権ではプラス35兆円です」
第二次安倍政権前の3年余りの民主党政権時代は若い世代にとっては極度の就職難だった。12年の正社員の有効求人倍率は0.48倍、安倍政権発足8年目の19年には1.14倍に上がった。全都道府県で1倍を超えたのは史上初めてだった
安倍氏は経済を成長させて皆が働き自立できる社会を創ろうとした。可能性が花開き、夢が叶う。広い未来が開ける。そんな社会を若者や女性に用意した。朝日新聞は認めないが、安倍氏の政策を真っ当に評価し、希望を託した人々は数知れない。そうした人々、老若男女が、安倍家による法要が営まれた東京芝の増上寺にも、奈良市の近鉄大和西大寺駅前の献花台にも、長い列をつくり献花した。
「勝てるんですか」
明治記念館での集いではもうひとつの安倍氏の肉声が伝えられた。19年1月28日、国会での施政方針演説だ。安倍氏は平成から令和への御代替りに触れ、平成の時代に起きた阪神・淡路大震災、東日本大震災に関して、天皇、皇后両陛下のお励ましが国民をどれほど慰め力づけたかを語った。その上で、明治天皇の御製を紹介した。
「しきしまの 大和心のをゝしさは ことある時ぞ あらはれにける」
今を生きる日本人も同じ気持ちで共に日本の明日を切り拓こう、と呼びかけた。
ロシアのウクライナ侵略戦争は、来る中国の台湾・沖縄侵略戦争と重なって見える。それ以前から米国の力は相対的に低下し、中国の脅威が強大化していた。100年に一度の危機に直面して、安倍氏は15年、野党とメディアの凄まじい反対、非難キャンペーンの中で支持率を13ポイントも下げながら平和安全法制をまとめた。
当時、自衛隊の最高幹部達に、安倍総理が聞いた。「勝てるんですか」と。その場に激震が走ったと当時の国家安全保障局次長、内閣官房副長官補、兼原信克氏は振り返る。
自衛隊は憲法上も政治上も厳しくタガをはめられていて、「米軍が助けに来なければ必ず負けるように作られた軍隊」だから、勝てるはずがない。それでは日本国は持たず日本国民は救われない。だから安倍氏は総理退任後も、台湾有事は日本有事、日米同盟有事だと警告した。GDP比2%の防衛費、核共有論の議論の勧めなどを提案した。
政治家として全力を尽くした安倍総理を振りかえるのに、朝日は相変わらず統一教会問題をとり上げる。9日の社説、「教団と自民党 社会の不信に向き合え」で安倍氏が「国政選挙で『教団票』を差配していたといわれる」と書いた。教団票は全国で6万~8万票、創価学会の力は600万~800万票だ。朝日が統一教会の6万~8万票を大仰に問題視するのなら、その100倍の創価学会をなぜもっと追及しないのか。
安倍氏貶めに走る余り、我を忘れる朝日の主張は的外ればかりだ。
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herbiemikeadamski · 2 years
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. (^o^)/おはよー(^▽^)ゴザイマース(^_-)-☆. . . 7月26日(火) #先負(庚辰) 旧暦 6/28 月齢 27.0 年始から207日目(閏年では208日目)にあたり、年末まであと158日です。 . . 朝は希望に起き⤴️昼は努力に生き💪 夜を感謝に眠ろう😪💤夜が来ない 朝はありませんし、朝が来ない夜 はない💦睡眠は明日を迎える為の ☀️未来へのスタートです🏃‍♂💦 でお馴染みのRascalでございます😅. . 昨日とはガラリと天候が変わり雨☔️ しかもムシムシで梅雨の再来の様です。 だんだんと雨が強くなって来た⤵️ 家出る時は傘は🌂要らんだろうな でしたが、今は無理ですね☂️☔️☂️ さて、今日を含めあと3日でつくば にサヨナラです🤚年内2ヶ月の筈 が年越して9ヶ月も経ちました💦 次の熊本も年内って云ってるんだが 恐らく伸びますよ⤵️昨日、説明会 に行って来ました🤚思ってた以上 に辺鄙な所で宿舎の最寄り駅までが 徒歩30分と現場の最寄り駅からは 徒歩40分⤵️宿舎から現場まで徒歩 だったら2時間コースらしいので完璧 に車🚗ない生活は考えられません。 東京に向かう最終の航空便が19時 でエンドで市内を走るくまモン🚌の 最終が19時半って考えられない⤵️ あー嫌だ嫌だ嫌だ🚀🚀🚀🚀🚀 . 今日一日どなた様も💁‍お体ご自愛 なさって❤️お過ごし下さいませ🙋‍ モウ!頑張るしか✋はない! ガンバリマショウ\(^O^)/ ワーイ! ✨本日もご安全に参りましょう✌️ . . ■今日は何の日■. #日光の日.  820(弘仁11)年、弘法大師が日光山を命名しました。  元々は「ふたらさん」と言い、「二荒山」の字が当てられていましたが、弘法大師がこれを「にっこうさん」と音読みにし「日光山」の字を当てたとされています。 . #先負(センマケ=又は、センプ・センブ・サキマケ、とも言う).  「先負日」の略。  陰陽(おんよう)道で、急用や公事(クジ)に悪いとされる日。  「先ずれば即ち負ける」の意味で、「何事も先に急いではいけない」とされる日です。  午前中はとくに悪く、午後はしだいによくなるという俗信がある。 . #中伏(チュウフク).  選日の一つ。  三伏(サンプク)の分類で、初伏(ショフク)、中伏(チュウフク)、末伏(マップク)からなる一つである。  中伏は、夏至 (げし) のあと四度目の庚 (かのえ) の日。  三伏とは、夏の最も暑い時期。火性の最も盛んな夏季の庚日は凶であるとする。  そこで夏季3回の庚日を三伏とする。  夏至後の第3の庚 (かのえ) の日を初伏、第4の庚の日を中伏、立秋後の最初の庚の日を末伏と云う。  この三つを合わせて云う。 . #大東亜共栄圏. 1940(昭和15)年7月26日(金)先負.に中国を含む東南アジアを含むアジア全体に絶対平和を実現する「大東亜新秩序」は日本が掲げたキャッチフレーズであった。  第2次近衛文麿内閣は、国防国策体制を明記した基本国策要綱を閣議決定し、日本による支配を打ち立てることを掲げたものある。  大東亜共栄圏とは日中戦争から太平洋戦争時代に西欧諸国の植民地支配を打破してアジア諸民族の独立をはたし、共存共栄を図ることが目的で日本が唱えたスローガン。  アジアは1つの共同、欧米支配化には屈っせず自立して繁栄ことが出来るものとした。  日本の中国および東南アジア全域対する侵略を合理化するために唱えたもの。  しかし、日本が敗戦したために実態は日本の軍国主義を維持するための新たな植民地支配が行われたと伝えられる。 . #うな次郎の日. . #ポツダム宣言記念日. . #幽霊の日. . #夏風呂の日. . #ナプロアースの日. . #ふろの日(毎月26日). . #プルーンの日(毎月26日). . #ドッグデー期間(7/23~8/23犬の日)#ドッグデイズ. . #聖ヨアキムと聖アンナの祝日. . #リベリア独立記念日. . #モルディブ独立記念日. . #モンカダ兵営襲撃記念日(キューバ). . . ■今日のつぶやき■. #魚の目に水見えず(ウオノメニミズミエズ) 【解説】 水中にすんでいる魚には水が見えないし、空気中にいる人間には空気が見えない。 それと同じで、あまり身近にあるものは目に入らず、ありがたみもわからないと云う事。 . . 1984(昭和59)年7月26日(木)先負. #丘みどり (#おかみどり) 【演歌歌手】 〔兵庫県姫路市〕 . . (八潮駅) https://www.instagram.com/p/Cgc5yrwBCNuPGQr40kUmbH-BYUyi1rjf9jbMpM0/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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tumnikkeimatome · 16 days
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post-apocalyptic:終末もの作品の起源と歴史
終末もの作品の定義と特徴 終末もの(post-apocalyptic)作品とは、人類文明が崩壊した後の世界を描いた物語のことを指します。 核戦争、パンデミック、自然災害、宇宙人の侵略など、様々な要因によって文明が破壊され、荒廃した地球で生き残った人々の物語が展開されます。 終末もの作品の特徴は、過酷な環境、資源の枯渇、人間性の崩壊などが挙げられます。 生存者たちは、食料や水、安全な住処を求めて、過酷な環境に適応しながら生きていかなければなりません。 また、文明の崩壊とともに、社会秩序も失われ、人間性の崩壊が描かれることも少なくありません。 終末もの作品の起源 終末もの作品の起源は、19世紀末から20世紀初頭にかけて書かれたSF小説にさかのぼります。 H・G・ウェルズの「タイム・マシン」(1895年)では、80万年後の未来で、人類が二つの種族に分かれて退化している様子が描かれました。 また…
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taketea44 · 16 days
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毎日が記念日
4月12日は…
���界宇宙飛行の日
1961年4月12日、世界初の有人宇宙衛星船・ソ連のボストーク1号が打ち上げに成功しました。
搭乗したガガーリン少佐は、宇宙から地球を見た時の感想を
「地球は青かった」
と表現し、流行語になりました。
そして、宇宙から見た地球には、国境なんて見えない青い美しい星なんですけど…内戦や国際紛争が未だに絶えないのが残念です。いつ、平和な星になるんでしょうか。
【AI-イチロウによる4月12日の出来事】
1. 1961年 - ソビエト連邦の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンが、ボストーク1号に搭乗して、人類初の有人宇宙飛行を行いました。
2. 1981年 - スペースシャトル「コロンビア」が初飛行し、アメリカ合衆国とNASAにとって、宇宙開発における新たな節目となりました。
3. 1861年 - アメリカ南北戦争が勃発しました。南部側の州は、合衆国からの独立を宣言し、南北を分断する大きな戦争が始まったことになります。
4. 1955年 - アルバニアがワルシャワ条約機構に参加し、東側陣営に加わることを決定しました。
5. 1990年 - 南アフリカ共和国で、黒人への人種差別を廃止することを目的とした「国民和解法」が制定されました。
6. 1945年 - 第二次世界大戦中、アメリカ合衆国海軍が東京湾に進入し、日本に対する最初の空襲を実施しました。
7. 1988年 - アメリカ合衆国上院がテキサス州のロナルド・レーガン国際空港の名前を変更し、レーガン大統領の名前を冠することを決定しました。
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shintani24 · 22 days
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2024年4月6日
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時速6キロ以上で歩道は走れない 時速20㎞以上は原付バイクと同じで免許が必要 利用者急増の電動キックボード あなたはルールを知っていますか?(RCCニュース)2024年4月6日
利用者が急増している電動キックボード。街で見かける機会も増えてきましたが、交通違反や事故も増えてきています。あらためて交通ルールなどを調べました。
広島市の中心部でも見かける機会も増えてきた電動キックボード。シェアリングサービス「LUUP」が広島市で事業を開始して8ヶ月。貸し出し・返却する場所はおよそ120箇所にも上ります。
利用者の男性 「バランスがちょっとだけ取りにくいけど、あと車道を走らないといけないというルールがあると思うので、そのあたりは自転車のほうがいいけど、新感覚で楽しめるかなと思っています」
利用者の女性 「最初はちょっと怖かったんですけど、そんな車くらいの速いスピードは出ない乗り物なので、慣れたら操作もしやすかったです」
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「LUUP」の利用に必要なアプリのダウンロード数は100万を超えています。記者も初めて体験してみました。
隈元大樹 記者 「加速が結構スムーズですね。地面に段差があるとなかなか怖いですが、バランスも保てる感じで進んでいきます。操作も簡単で、ちょっとした移動にはすごく便利だと思いました」
初心者でも簡単に楽しめる電動キックボード。一部の機種では運転免許が必要ですが、「LUUP」などは16歳以上であれば、免許を持たなくても乗ることができます。その手軽さから、仕事や観光など幅広く利用されています。
しかし、利用者の急増に伴い、事故や交通違反も全国的に増えてきています。去年12月、長野県では電動キックボードに乗った女性が、信号を無視して交差点に進入。バスにはねられて死亡する事故が起こりました。
今年2月には、愛知県で電動キックボードに乗った男性が、歩行者をはねたうえ逃走する事故も起こり、歩行者の男性は大けがをしました。広島市中心部の本通り商店街でも、スマホを操作しながら電動キックボードを運転する人の姿も見られました。
県警は対策室を発足 交通ルールを周知し取り締まり活動を強化
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広島県警 大木晋 交通部長 「”自転車小型モビリティ対策室”を発足させました。新たな小型モビリティに対する対策というのが、喫緊の課題となっているというところでございます」
広島県警では、利用者が増えてきている電動キックボードなどに対応するため、「自転車小型モビリティ対策室」を新たに発足させました。
自転車小型モビリティ対策室 宮庄律和 室長 「正しく乗っていただくために、交通ルールの周知と、街頭での指導取締り活動を強化していくと言う目的で設置したものでございます」
広島県内では、去年7月1日から先月末までで、電動キックボードの交通違反は6件。そのうち1件は、禁止されている2人乗りで走行したものです。残りの5件は、車道を走る必要があるのに歩道を走行した、通行区分違反です。
「LUUP」などの電動キックボードは、最高速度が6kmに制限されるモードと、それ以上の速度が出せる2つのモードに切り替えが出来ます。6km以上にスピードが出る状態で歩道を走ると、通行区分違反になります。
宮庄 室長 「まずは交通ルールをしっかりと、まだ理解されていない県民の方も沢山おられると思いますので、広報啓発をしていきたいと思っております。」
少し遠い場所へも楽に移動ができる電動キックボード。利用者ひとりひとりが、ルールを守って安全に使用することが求められます。
電動キックボードのルールをおさらい
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■年齢について 16歳未満の人はいかなる種類の電動キックボードも乗ることが出来ません。損保ジャパンが全国のおよそ1000人に実施した調査では、約半数の人が、16歳未満は運転できないことを知らなかったそうです。
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■免許の有無 「LUUP」などは、免許が無くても乗ることが出来ますが、実は、市販されている電動キックボードの中には運転免許が必要なものも存在しています。
最高速度が20km以下であることや、車体の長さが190cm以下かつ、幅が60cm以下など、決められた要件を満たさない電動キックボードは、原付バイクと同様に運転免許が必要となります。
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■歩道か車道か どこを走るべきかですが、原則としては車道です。ただし時速6キロ以下のスピードリミッターがついている車両では、リミッターを作動させることで歩道での走行が可能になります。このリミッターですが、緑色に光るランプ(最高速度表示灯)が点滅していれば、作動していると判断することができます。
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■飲酒運転 当然ですが、飲酒運転は絶対にいけません。自動車と同様、電動キックボードや自転車も道路交通法違反で摘発の対象となります。
「LUUP」でも電動キックボードの交通ルールの周知に向けて、利用者へ講習会を実施するなどしているということです。
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自宅が爆撃され、家族を失った少女。もうひとり生き残った親族の男性と並んで座り込み、言葉を失っていた=2024年3月26日、パレスチナ自治区ガザ南部ラファ、ムハンマド・マンスール撮影
吹き飛ばされた子どもたちはハマスなのか 絶望の街ガザからの報告(朝日新聞 テーマ特集:イスラエル・パレスチナ問題)2024年4月6日
イスラム組織ハマスの奇襲に端を発したイスラエル軍のパレスチナ自治区ガザへの報復攻撃が始まり、7日で半年となる。ガザでは3万3千人以上が犠牲になってもなお戦闘に終わりが見えない。避難民ら150万人が身を寄せる最南部ラファの状況を、ムハンマド・マンスール朝日新聞通信員(28)が報告する。
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【動画】ガザ南部の避難民キャンプ 軍事衝突から半年=ムハンマド・マンスール撮影
人々の心まで変えられてしまった
イスラエル軍の攻撃が始まってからのこの半年で、ガザは大きく変わった。あまりにも多くの罪のない人々が殺された。街は、空爆や砲撃で跡形もないほど破壊し尽くされた。そして生き残った人々の心まで、変えられてしまったと感じる。
「イスラエル軍は、早く殺しに来てくれないだろうか」「長い時間をかけて、恐怖を与えられ、死んでいくことにもう耐えられない」
1週間ほど前からだろうか。ガザ全域からの避難民が身を寄せる最南部ラファでは最近、そんな声が目立ち始めた。これまでになかったことだ。
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イスラエル軍の攻撃から避難した人たちが殺到し、約150万人が集まるパレスチナ自治区ガザ南部ラファの市街地=2024年3月27日、ムハンマド・マンスール撮影
2週間ほど前、ラファの東の方で爆撃音がして、私は現場に向かった。飛び散ったミサイルの破片、がれきにこびりついた大量の血痕……。もう、嫌と言うほど見てきた光景があった。巻き込まれた小さな女の子が病院に運ばれた。追いかけていくと、まもなくその子が亡くなったと聞かされた。
「自分の家が爆撃され、自分の子どもが爆撃されると思わなかった」。父親のムハンマド・アルアサムナさん(35)は、何度も繰り返した。
もちろん、ガザで安全な場所など、とうの昔からない。アルアサムナさんもそれは分かっているはずだ。だが、爆撃されるとは思わなかったのだ。
アルアサムナさんは、ラファで人気の飲食店を経営していた。死亡したイリーンさん(6)は、心優しく、勉強が得意で、誰からも愛される女の子だった。爆撃される理由はどこにもなかった。まさか、とはそういうことだ。
アルアサムナさんは言う。
「これまで不安と緊張、疲労の中で生きてきた。飢えに苦しみ、たくさんの死を目の当たりにし、今日、わが子を失った。これ以上、イスラエルは何を望むんだ?」
これのどこが「自衛」なのだろう
1週間ほど前の夜には、ラファ北部の民家が爆撃され、一家10人と、その家に身を寄せていた避難民らが殺された。近くの電線には、爆風で吹き飛ばされた子どもたちの遺体がぶらさがっていた。
8歳ほどに見える女の子が、爆撃を免れた父親と並んで座っていた。話を聞こうとしても、二人の口から言葉は何も出てこなかった。父親が大粒の涙を流しながら、破壊された家を力なく指さす。
言葉はなくても、気持ちは分かる。吹き飛ばされた子どもたちは「ハマス」なのか。その父親の年老いた両親は、イスラエルの人々に何かしたのか。米国はイスラエルには自衛権があると言うが、これのどこが「自衛」なのだろうか。
女の子が無言でかがみ込んでいると、その頭の上に父親が、なだめるように手を置いた。女の子は父親を見上げた。その目は涙でいっぱいだったが、「パパ、泣かないで」と語りかけているように見えた。
この半年間で希望は失われた
罪のない子どもが爆撃で殺されるのも、思い出の詰まった家が突然破壊されるのも、ガザではこの戦争前から「日常」だった。
だから、人々は明るかった。絶望していては生きていけないから、時に憤り、泣き叫び、それでも「また頑張ろう」「何とか生きていこう」と声を掛け合ってきた。
だが、今回は規模がちがう。この半年間で、人々は希望を持って生きていけなくなった。
私も、その一人だ。
侵攻が始まる2カ月前に結婚したばかりだった。経済状況は厳しかったが、何とか幸せな暮らしを築いていきたいと思っていた。
しかし、新しい家も、買いそろえた家具も、爆撃で粉々にされた。祖母は、粉じんを長期間吸い込んだことで肺を病み、避難生活の中で命を落とした。5日には、移り住んでいた家の近くが爆撃され、私たちはテントに避難した。
あまりにも早い速度で友人や親戚が命を落とし、悲しむことさえ難しくなった。
食料や水、燃料など、命をつなぐものすべてが足りず、それらを探し求めて歩き回り、長い行列に並ぶことが一日のほとんどを占めている。
時間の感覚がまひしていき、記者の仕事をしていなければ、もう6カ月経つのだということは分からなかったと思う。
この残酷な戦争が終わってほしい――。自分を捨てず、希望を捨てず、そう祈り続けることは、もう難しい。(ガザ南部ラファ=ムハンマド・マンスール、構成・高久潤)
コメントプラス
高久潤(朝日新聞エルサレム支局長=文化、消費)【視点】 エルサレムを拠点に、イスラエルとパレスチナを取材しています。
ガザについては、外部からガザの中に記者は入ることができないため、この記事を一緒に書いたマンスール通信員ら現地の記者たちが担っています。私たちは携帯電話がつながる限り、必ず毎日その日起きたこと、ガザの市民の間でどんなことが話題になっているのか、そして記者よりも先にガザの市民である彼らが今何を考えているのかについて「おしゃべり」をしています。そこから取材を広げていくのです。
戦闘が始まって、まだほどないとき。「こんなことは経験したことがない」「こんなことは見たことない」「こんなこと聞いたことないという表現について、よく話題になりました。
ガザへの空爆の規模、回数、そして死者数・・・・・・。あらゆる意味で、今回の戦闘でのガザの惨状は「未曽有」というしか言いようがありません。私もこれまで書いてきた記事でそうした地元の人の声をたくさん書いてきました。実際にみな口をそろえて言うからです。
ただ、いくらなんでも「こんなこと起きたことがない」が続きすぎじゃないか? 私はガザに比べればよっぽど安全なエルサレムにいることもあり、口がさけても私からいうことはありませんが、ふとマンスール通信員がそんなことを漏らしました。
「私の表現はおおげさだろうか」と。
もちろんそんなことはありません。確かに日々数十人から百人近くがイスラエル軍の攻撃で死んでいくので、報じていると悪い意味で「慣れてしまっている」と思うこともあります。ただ、やはり現地の様子を伝える映像や写真、そしてマンスール通信員の話を聞いていると、それが「大げさ」とは思わない。だから「そんなことないよ」と伝えます。
ですが、戦闘が始まって3カ月たったころ。彼が「やはりおおげさなんだろうか」と言ってきました。だからそんなことないけど、なぜそんなことを聞くのかと尋ねたらこう言われました。
「いや、こんなにひどいことがおきているのに、どうしてイスラエルの攻撃をとまらないのか。いや国際社会はとめようとしないのだろう。私たちの表現や声のあげかたがおかしいのだろうか」
私は絶句してしまいました。もちろんそんなことはありません。止まらない、止められない理由の責任を最も感じる必要がない人たちにそのように感じさせてしまう私も含めた国際社会、そしてイスラエルとは何なのか。
本日の朝刊2面に引用しましたが、イスラエルのユダヤ人たちは、ガザでの戦闘の継続を決めるファクターとして、ガザの市民の苦しみをまったく考える必要はない、またはそんなに考える必要がない、と答える人が8割にのぼります。どうしてイスラエルのユダヤ人たちがこのように考えるのか。これについては、本日から始まる連載「イスラエル軍の実像」で書いていく予定です。
ただ、理由がなんであれ、半年以上もこのような戦闘が続いてしまっていることをまったく恥じる必要がないのは、ガザの人たちだけだと私は思います。
程度の違いはもちろん人や国や立場で違うと思いますが、少なからずは恥じないと���けない私を含めた人たちはまずはガザで何が起き、どうしてこんなことになっているかを知らなければならない。残念ながらこの戦闘の行く末は見通せません。どうして見通せないのか。どうしてそんなことになってしまっているのか。そういうことがわかるような記事をしつこく、書いていきます。
マンスール通信員は日本に来たことがありませんが、日本がとても好きです。いつも「いつか自分たちも日本のようになれるだろうか」と言います(この地域では日本は戦後復興をへて先進国になった『すごい国』と言われることが多いのです)。
でも。もはやこの言葉を私は素直に受け取ることはできません。やはりこの言葉にふさわしくない恥ずかしい存在だと日本や自分のことを感じてしまうのです。半年たって、そう強く感じています。
「FREE GAZA」ガザ侵攻から半年 市民グループが原爆ドーム前で抗議のアートイベント(RCCニュース 4月8日)2024年4月6日に追記
イスラエルによるガザ侵攻について、市民グループが7日、原爆ドーム前(広島市)で抗議するアートイベントを行いました。
「私たちは、パレスチナの人々が解放を求め続けるために、この大量虐殺を終わらせるために行動しています」
抗議活動を行ったのは、「広島パレスチナともしび連帯共同体」です。このグループは、パレスチナ自治区ガザでイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まって間もない去年10月から毎日、原爆ドーム前で停戦を訴えています。
「FREE」「GAZA」と書かれた2枚の横断幕に呼びかけに応じて、集まった市民や観光客などがメッセージを書き込みました
広島市立大学 田浪 亜央江 准教授 「今、どんなことが起こっているのかを考え、自分の体で表現するアクションに参加してほしい」
今後もSNSなどを通じて世界へメッセージを発信したいとしています。
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蛇口に尻こすりつけ使用不可に=「性欲のため」男逮捕―警視庁 (時事通信)
公園の水道に尻をこすりつけ、使用できない状態にしたとして、警視庁が器物損壊容疑で自営業の男(56)=東京都杉並区=を逮捕していたことが6日、捜査関係者への取材で分かった。
「性欲を満足させるためにやった」と容疑を認めているという。
捜査関係者によると、男は1日午前2時20分ごろ、世田谷区粕谷の都立芦花公園で、水道の蛇口に肛門をこすりつけた疑いが持たれている。
公園側は、衛生上の観点から蛇口の使用を禁止した。後日交換する予定という。
同日午前3時ごろ、同区南烏山の路上で、下半身を出して自転車に乗っている男を警察官が発見。男の携帯電話から公園で全裸で自身を撮影した写真が見つかったため、公然わいせつ容疑で逮捕した。その後、蛇口に肛門をこすりつけている写真も見つかり、4日に器物損害容疑で再逮捕した。
男は持ち歩いていた双眼鏡で付近に人がいないことを確認した上で撮影していたという。
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ゆうちょ銀行 通常貯金の金利20倍に引き上げ 利率改定は17年ぶり(FNNプライムオンライン)
ゆうちょ銀行は、8日から通常貯金の金利をこれまでの年0.001%から、20倍の0.02%に引き上げると発表した。
日銀のマイナス金利政策解除決定を受けたもので、通常貯金の利率改定は17年ぶり。
1月に引き上げたばかりの定期貯金の金利もさらに引き上げ、預入期間5年の場合で、年0.07%から年0.2%にする。
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