ポモドーロ/高知県宿毛市【ランチ】小洒落たイタリアンレストラン
ポモドーロとは
ポモドーロは、高知県宿毛市中央(こうちけんすくもしちゅうおう)にあるレストランだ。
モットーは、“安心・安全”。マグロを煮てオリーブ油に漬け込んだツナ、宿毛の豚を使ったパンツェッタ、フォカッチャなど3種のパン、これらはすべて自家製。ハーブや果物も自宅の畑でとれた新鮮なものを使っている。塩、オリーブ油以外の調味料はできるだけ使わず、素材の味を引き出したいというオーナーのこだわりだ。1番の人気はパスタ類だが、旬の魚のうまみが溶け込んだアクアパッツァも絶品。舌が忘れられない名店だ。フランスやイタリアものを中心に300種以上あるワインも通のお客さんに喜ばれている。
ポモドーロ 宿毛店・四万十店│食楽図鑑web から引用
ポモドーロ
高知県宿毛市中央6-6-11
0880-63-0835
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29/07/23
会社の近くペルシャ料理屋があって、そこへいくと必ず幸福な気持ちになれる。店内にある大きなタンドールが放つ熱で店内がほかほか暖められていて(背中向かいの席では熱いくらい)、照明は薄暗くて、食事はおいしくて、なんだか居心地がよくて眠くなっちゃう感じ。ワンプレートメニューが大半だが、基本的な組み合わせとしては、バスマティライス、チキンorラムor両方の炭火串焼き、サラダ、焼きトマト、一欠片のバター、が盛り付けられている。若干酢にくぐらせたような風味のする、炭火で焼かれたチキンがお気に入りで毎回それを頼んでいたが、こないだはものすごくラムを食べたい気持ちになって、ラムはあまり好んで食べないけど美味しく食べられるのか心配半分、ラムが美味しいということになったならばそれはさぞかし美味しいだろうという楽しみ半分で店へ向かい、いつものチキンと、ラム(ミンチにしたラムを小さく成形した、ラム苦手な人にとって一番難易度低そうなやつ)が両方乗っているプレートをお願いして、食べたら、ラムが...とっても美味しかった..!
美容師の友だちに髪の毛を切ってもらうようになってから3ヶ月経つ。今回は彼女のお家にお邪魔して、髪を切ってもらって、ビールとおつまみをいただいた。ヘアカット中のBGMは千と千尋で、おつまみは彼女のシェアメイトが作った夕飯の残り物で、ああいう時間がもっと人生の中にあればいいなと思った。またすぐね。
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金曜日に有給を取って3連休を作り、マルタへ旅行した。イギリスは秋みたいに寒いけど、ヨーロッパには記録的な熱波がやってきており、マルタも例外ではなく、空港を出たら暑すぎて、いっぱい歩くのはやめよう..と危険を感じた。マルタには電車がなくて、移動手段はバスだから、3日間で15回くらいバスに乗った。前回のオスロ旅行で、自分の興味関心に基づいて行きたいところをいくつか選んでおくべきだという教訓を得たため、ワイナリーとかレストランとか色々ピックアップしておいたのに、バスが来なくて閉館時間に間に合わないみたいな理由で立てた予定はほとんど全て崩れ、行きたかったところの9割は行ってない。
立てた予定が全て崩れて向かったバスの終点には、イムディーナという静まり返った美しい城塞都市があった。後から調べてみたらマルタ最古の都市で、かつてはマルタの首都だったらしい。なんか普通のマルタの街に到着したなと思ってぷらぷら歩いていたら、お堀じゃないけどお堀みたいな高低差のある場所へ出て、中へ入るととっても別世界だった。旅をしている時(文字通りの旅ではなく、その場に意識があってその場に集中してわくわくしながら歩いている時)は自分の足音が聞こえる、とポールオースターの友だちが言ってたが、わたしは匂いもする。暑すぎるのか、痩せた雀が何羽か道端に転がって死んでいた。馬車馬は装飾のついた口輪と目隠しをされ、頭頂部には長い鳥の羽飾りが付けられていた。御者がヒーハー!と言いながら馬を走らせた。とにかく暑かった。
ほとんど熱中症の状態で夕食を求め入ったレストランで、ちょっとだけ..と飲んだ、キンキンに冷えた小瓶のチスク(マルタのローカル大衆ビール)が美味しくて椅子からころげ落ちた。熱中症なりかけで飲む冷たいビール、どんな夏の瞬間のビールよりうまい。
安いホステルにはエアコン設備などもちろんついていない。さらに、風力強の扇風機が2台回っている4人部屋の、私が寝た2段ベッドの上段だけ空気の溜まり場になっていた。明け方に頭からシャワーを浴びてさらさらになって、そのまま二度寝する。隣のベッドのイタリアから来たかわいらしい女の子2人組が夜遊びから帰ってきて、わたしは出がけに、部屋で少し話す。8年前に来たコミノ島はプライベートビーチのようで素晴らしかったけど、昨日行ったらツーリズム化されていて悲しかった。耳の裏に日焼け止めを塗り忘れて痛くなっちゃったから、あなたは忘れないように。わたしたち今ちょっとおかしいのよ、と言いながらドレスも脱がずにそのままベッドの上で眠ってしまった彼女は天使か何かみたいだった。扇風機をつけたまま部屋を出て行く。
地面がつるつると滑る。
砂のような色をした街並みが広がるマルタにもイケてるコーヒー屋は存在する。これも近代化・画一化の一途かと思うと、微妙な気持ちにもなるが、こういう場所へ来ると息が深く吸えるので有り難くもある。
マルタは3つの主要な島から成る。そのうちのゴゾ島へ行く。首都のバレッタから港までバスで1時間強、フェリーで20分。
フェリーほどいい乗り物はない。売店でビールとクリスプスを買って、デッキへ出て、なるべく人がいない場所で海を眺める。乗船案内と音楽が止んで、フェリーが作る波と風の音しかしない中に佇むと、これでいいような気がしてくる。ビールはあってもなくてもいいけど、フェリーのデッキで飲むビールの味というのがあって、それはめちゃくちゃうまい。
ゴゾ島へ降り立つと、足音と匂いがした。適当に道路沿いを歩いていたら、また別世界に続きそうな脇道があって、進んだらやっぱり別世界だった。ディズニーランドのトムソーヤ島で遊んでる時みたいな気持ちで謎の小屋へ入り、人で満杯のhop on hop offバスを眺めやりながら、人懐こすぎる砂色の猫と涼む。港とは反対側の海辺へ行きたかったのでバスを待つものの、一生来ないため、バス停近くのローカルスーパーを覗く。これといった面白いものは置かれていなくて、見たことある商品ばかりが並んでいた。バスは一生来ない。
バスを降り、水と��しさを求めて入った地中海レストランは目と鼻の先に浜があり、今回の旅は下調べなしの出会いが素敵だなあとしみじみする。カルパッチョと白身魚のライススープ、プロセッコと、プロセッコの10倍あるでっかい水(笑)。カルパッチョは、生ハムのような薄切りの鮪が敷かれた上に生牡蠣、茹で蛸、海老が盛られていた。鮪は日本で食べるのと同じ味がした。カルパッチョは旨く、プロセッコはぬるく、ライススープは想像と違った。パンに添えられたバターは外気温のせいで分離していた。水が一番おいしかった。
おいしいものとお酒が好きで楽しい。
ヨーロッパ人の色気の正体ってなんなんだろう?アジア人が同じ格好をしてもああはならない。胸元がはだけていてもスカートが風で捲れてもはしたないと全く感じない。むしろロメール作品のようにさえ見える。そもそも'はしたない'という概念がアジア(少なくとも日本)にしか存在しないのではないか?色気って品かと思ってたけどそれは日本だけかもしれない。
地元料理が食べられるワインレストランを夕食に予約してみたらコース一択だった。お昼食べ過ぎてあんまりお腹空いてなかったからちょっと小走りで向かってみる。ラザニア、ムール貝と魚のスープ、うさぎの煮込みなど。人ん家の料理みたいな美味しさだった。マルタのワインはほとんどが島内で消費されるらしい。ゴゾ島の白ワインの感想:暑い村、お絵描きアプリのペンの一番太い線(色はグレーがかった白で透過度50)。食後のグリーンティーは、TWININGSのティーバッグで、お砂糖をいれる選択肢が与えられて、洋風の装飾がたっぷりついた受け皿付きの薄いカップと共にポットで提供された。カップの底に描かれた静物画のような果物が綺麗でうっとりした。
どこにでもあるような早朝からやってるスタンドでドーナツとオレンジジュースとコーヒー。扇風機に当たり続けていたいが荷物をまとめて宿を出る。行きたい街へ向かうバスが一生来ないため、行きたい街に名前が似てる街が行き先に表示されているバスに適当に乗ったら、行きたい街より30度北へ行くバスだった。でもやっぱり行きたい街へ行きたかったので、30度北の街へほとんど到着してからバスを乗り換え行きたい街へ向かったが、Googleマップの示すバス停へは行かず、行きたい街を通過してしまったため、行きたい街から30度南の街に降り立つこととなった。海辺でチスクを飲みながらメカジキを食べた。暑すぎて肌着1枚だった。店先のガラスに映る自分に目をやると、いわゆるバックパッカーの様相をしていた。
空港行きのバスだけは遅延なくスムーズに来て着く。肌着状態からシャツを身につけ普段の姿(?)に戻ると、途端に具合が悪くなった。日に当たりすぎたみたい。お土産を買ってセキュリティを通過し、充電スポットの近くに座って搭乗を待っていたら、すぐそばにグランドピアノがあることに気がついた。誰か上手な人が演奏しないかしらと思っていたら、青年によるリサイタルが始まった。父親が彼を呼びにやってくるまで、クラシックからビートルズまで5-6曲。思わぬ良い時間だった。
都市に住むと、旅行から帰ってくる時安心する。
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会社の人たち語録
・やりたいことたくさんあるけど、今はやりたくないです。
・返事がないのはいい知らせではないので。
・Are you alright? まあまあ、ぼちぼち。
夕方、商店街へ買い出しに行く時がすごく幸せ。食べたいと思うものしか買わなかった時は特に幸せ。ぱつっと瑞々しい野菜、ちょっといいパスタ、ジャケ買いしたクラフトビール、好きな板チョコ。そんでキッチン飲酒しながらご飯作る。ビールを開けて一口目を飲むまでの間だけは音楽を止めるというのにはまっていて、そういえばフェリーのデッキで乗船案内とBGMが止んだ時の感じに似ていなくもない。フラットメイトが、夜中3時まで友人とリビングで遊んでいたり、土曜の夜にパーティへ出かけたりしているのと比較して、わたしが幸せ感じてるポイントは内向的だ。
やりたいことが浮かぶ。それをやる前に、比較対象の選択肢や判断軸を不必要なほど増やしてしまいがちだが、最適な選択を選び取ることよりも、やりたいと思う気持ちを満たすことの方が幸せなんじゃないか?
色々比べて悩んじゃったら「朝から決めてたことだから」って言うとスッと選び取れる!
食材の買い出しで1週間くらいはもつかなと感じるくらいたくさん買っても実際3日もすれば冷蔵庫空になるやつ、悲しさというかやるせなさを覚えるんだけど、こないだ500gパックの美味しそうなミニトマト買った時に、長く保ち続けること(終わりを迎えないようにする、終わりを想像しないようにすること)よりも、きちんと消費する(終わりを気持ちよく迎えること)を考えるようにしたら明るくなれてよかった。終わりって何事にもやってくるもんね。
食の話ばっかり回。
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10月29日(日)
おはようございます〜🎃
スプーキーバーガーも本日最終日🍔
阪神勝ちましたねぇ〜🐯
今夜はバファローズかな⚾️
な〜んて感じのニワカ野球ファンな自分ですが、甲子園でアルバイトしていた事も!野村監督時代だけどね。よく挨拶したなぁ!新庄、今岡、薮、大豊、ジョンソン、ブロワーズの時代。
ナイターの阪神vs巨人戦は昼からスタンバイして、外野ライト側の濃い〜お客さんに囲まれて、メガホンやグッズ、6回までにジェット風船の販売を1人でやってましたよ!怖い思い出もいっぱいなアルバイトだったけど、
楽しかったなぁ…⚾️笑
🎃ハロウィン限定🎃
●SPOOKY BURGER
スプーキーバーガー
¥1800+tax
数量限定
(テイクアウト不可 Eat in only!)
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スプーキーって気味が悪いとか不気味って意味なんだけど、味わいもしっかりスプーキーしちゃってます😱💦笑
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悪魔のブラックバンズに、パティ+メイプルシロップで煮絡めたほっくりパンプキン🎃自家製ベーコン🥓、クセの強いゴルゴンゾーラをふんだんに使った甘塩っぱい系バーガー!口の周りや指をペロペロしながら、最後はバーガー袋に残った肉汁やメープル、溶けたゴルゴンのMIXソースをポテトに付けて召し上がれ!何とも罪悪感のあるハンバーガーに仕上がっております!😈✨😈✨😈
もちろん追いメープルもご用意してますよ😎笑
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期間短めですがハロウィン🎃までお楽しみ下さいね!(29日まで)
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【本日のパイ&ケーキ】
●オレオチーズケーキ
●塩キャラメルのパンプキンパイ
●アップルカスタードパイ
●ソルティーハニーパイ
●ミシシッピーマッドパイ
●バナナクリームパイ
【本日のクッキー】
●ダブルチョコレートクッキー
●ハワイアンクッキー
●m&mチョコレートクッキー
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【🎃ハロウィン企画👻】
Trick or Treat ‼︎ もしくはモンスター達が動き出すオモチャのスイッチボタンを押せたらお子様お菓子プレゼント🎁
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●『CHICKEN & CORN CHOWDER チキン&コーンチャウダー』そろそろクリーム系が恋しくなる季節じゃない?🥰
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【お客様へ】
⚠️お席のご予約はお受けしておりません。店内のご利用は、ご来店頂きました順番にご案内しておりますので、来られましたら必ずスタッフにお声がけ下さい。
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店内のご利用は、混雑時はお席の譲り合いにご協力お��い致します。(目安 : お食事のご提供から約60分)
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テイクアウトはお電話にてご注文承ります。☎️078-986-1237 です!事前のご注文でお引渡しもスムーズです。※タイミングでお時間が少しかかる場合もございます。ご了承下さい。
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当日のご予約は、開店前の朝9時からお電話にてご注文承ります。当日ご来店頂いてからのご注文はかなりお時間がかかる場合もございますのでご注意下さい。
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またスタッフ少人数のため、11時から営業が始まりますと、お電話に出れない場合もございます。少し時間をあけて 再度お電話頂けると幸いです。
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ハンバーガーだけでなく、ご一緒にパイ🥧やケーキ🍰、クッキー🍪もテイクアウトも承ります。
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⚠️ハンバーガーはお引き渡し後、1時間以内にお召し上がり下さいね!
パイ・ケーキ類は速やかに冷蔵庫で保管し、当日中にお召し上がり下さい。
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駐車場はお店の周りに5台、第2駐車場に5台と数に限りございます。出来るだけ乗り合わせてのご来店でお願い致します。また駐車場内での事故や盗難等トラブルにおきましては一切の責任を負いかねますのでご注意下さい。
では本日も素敵な一日をお過ごし下さいね😊👍✨✨✨
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おはようございます。雲ひとつないいいお天気ですね😀本日もよろしくお願いします。 今日のお肉のランチは鶏もも肉の悪魔風です。ハーブ🌿の香るチキンにピリ辛のソースをかけた、寒いこの季節に食べたくなるやつです!(安心してください!激辛では有りませんよ👍) この後、間もなくOPENです。 #チャビーズキッチン#テイクアウトも受付中#高知イタリアン#高知パスタ#高知ピッツァ https://www.instagram.com/p/Cn8QALJSmnO/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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【朗報】チェンソーマン2部、1話だけで加藤純一要素が盛り沢山の疑惑が浮上する
1: 風吹けば名無し 2022/07/15(金) 05:45:49.19 ID:2kVFKkLZa
戦争の悪魔←房総の悪魔 加藤純一は房総半島で生まれた悪魔の子
三鷹←一富士二鷹三茄子←高田健志 高田健志のあだ名はハゲ茄子
三鷹「投票で飛び降りる人を選ぶなら」←高田健志は人狼ゲームの配信が人気
三鷹「みんなが羨ましかったんだ」←加藤純一は嫉妬でアイドル実況者を叩いていた
正義の悪魔の爆破シーンはさよなら絵梨のセルフオマージュ←さよなら絵(Vtuber)梨(梨民=加藤純一アンチ)
コケピー←顔がない←カオナシ コケピー死亡←チキン冷めちゃった
コケピー 三鷹 夜鷹(戦争の悪魔) ←ねもうすバード
戦争の悪魔登場シーンの背景看板「白浜医院」←医療従事者 「アン ク」←あ クンクン…
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ぼくのこと、ここに置いてくれる? 行くところないんだ。
長谷津の勇利の家は、古いし、ぎしぎしいうし、部屋は狭いしで、ヴィクトルにとって初めて体験する場所だった。けれどヴィクトルはこの家が好きだった。古風な雰囲気がすてきだし、あたたかみがあるし、人々の「生活」というものが染みついている気がした。それは「他人の生活」の印象ではなく、親しみやすい、こころが落ち着く感じだった。勇利はこの家で育ったのだ、と思えば、ますますヴィクトルはここが好きになった。冬になり、隙間風が入りこんでくることが多くなっても、その気持ちは変わらなかった。
「ヴィクトルのサンクトペテルブルクの家は豪華であたたかいんだろうね」
初めて毛布を出したとき、勇利は申し訳なさそうに言った。
「ここじゃ寒すぎない?」
「俺は寒いのには慣れているから平気だよ。ロシアにくらべたらこんなのは暖房と温泉がいっぺんにあるようなものさ」
ヴィクトルの言葉に笑ってから、勇利はベッドの端にちょこんと腰掛けた。
「でも、ロシアは家の中はあったかいでしょ? 試合で何度か行ったけど、外は寒くても、建物に入るとすごく暖房が行き届いてたよ」
「まあ、そうじゃないと大変なことになるからね。けど、だからといって、日本でも同じだけのものを俺が要求しているなんて思わないでくれ。さっきも言ったように慣れてるからそれほど寒いとは感じないし、ここはすてきな家だよ。俺はこういうの大好きだよ」
「そっか」
勇利はかすかにほほえんだ。ああかわいいな、とヴィクトルは胸のときめきを抑えるのが大変だった。ヴィクトルにとって勇利は愛すべき生徒だが、それとは別に、彼にはいつもヴィクトルはまいってしまっているのだった。去年のバンケットのときからだったけれど、こうして一緒に過ごすようになって、その気持ちは深まる一方だ。
「ヴィクトルは、いま、家はどうしてるの?」
「どうしてるって?」
「誰もいないの? 家って住まないと傷むっていうけど、大丈夫なのかな? もしかして……誰か……」
ヴィクトルはどきっとした。勇利は何か余計なことを考えてはいないだろうか。ヴィクトルが家をまかせるような相手がいると。そういえば、西郡やミナコが、酔っぱらったときに、「ヴィクトルは世界一もてる」「恋人だらけ」「身のまわりのことをやってくれる女性が山ほどいる」などと吹きこんでいた。勇利は笑って聞き流していたから大丈夫だと思っていたのだが、もしかしたら信じているのかもしれない。冗談ではない。女性をはべらせているなどというでたらめはさっさと打ち消しておかなければ。勇利にそういう誤解をされるなんて我慢がならない。
「うちは無人だよ!」
ヴィクトルは力強く言った。
「鍵をかけてそのままさ。傷むとか、そんなことは考えたこともないな。もし何かあれば手を入れればいいんだし、勇利のところへ来るにあたって、そういうことはまったく頭になかった。それより早く日本に来たくて、そのことばっかりだったよ」
「ふうん、そうなんだ……」
勇利はにこっと笑ったが、ヴィクトルは、これではまだ足りない気がした。もっと──何か、勇利を安心させることを言わなければ。
「そもそも俺、自分の家に他人が入ることがいやなんだ」
ヴィクトルは熱心に説明した。
「考えただけでぞっとするね。俺の家に入ったことがあるのは、俺とマッカチン、それにヤコフくらいだよ。あとは業者とかそんなところさ。誰かを招くなんて想像したこともない」
「そっか」
勇利がにっこり笑った。
「そうそう。そうなんだよ」
ヴィクトルは真剣にうなずいた。
「俺の家には誰も入れるつもりはないよ。絶対にね」
「ヴィクトルとマッカチンだけのお城だね」
「そうさ!」
勇利が納得してくれたようなので、ヴィクトルはこころの底から安堵して息をついた。西郡やミナコに余計なことを言わないように注意しておかなければと、このときヴィクトルはまじめに決心した。
シーズンが終わったら、勇利はロシアへ来る。たくさんの話しあいの結果、そういうことになった。それが動かしがたい事実として決定すると、ヴィクトルは有頂天になり、浮かれてしまった。勇利が来る。勇利が俺の町に! サンクトペテルブルクは曇り空が多く、どんよりとした印象だけれど、勇利がやってくればきっと花が咲いたように華やかに、明るくなるだろう。ヴィクトルの世界は輝くにちがいない。勇利と通りを歩き、勇利と買い物に行き、勇利といろんなところへ出かけるのだ。なんて楽しみなことだろう。勇利が長谷津を教えてくれたように、勇利にサンクトペテルブルクを教えようとヴィクトルは張り切った。そして、勝生家でよくしてもらったみたいに勇利によくしてあげよう。ヴィクトルの家が自分の家だと思ってもらえるような努力をしよう。
しかし、そんなヴィクトルのこころぎめなど知らぬというように、勇利は地図や間取り図を示して笑顔で言った。
「ぼくはここに住もうと思ってるんだ」
「は?」
それはリンクの近くのちいさなアパートで、確かに便利そうではあるけれど、それ以上のことは何もない、何の変哲もない住居だった。
「ちょうどひと部屋だけ空いてて。家賃もそれほど高くないし、悪くないと思うんだよね。ちょっと狭いかなあっていう気はするけど、ぼく家で過ごすことそんなにないし、あんまりひろすぎても落ち着かないしね」
そんなことはどうでもいい。ヴィクトルは、勇利はいやではないのだろうかとうろたえた。家賃が安くても、面積が気にならなくても、そこにはヴィクトルがいないではないか!
「勇利……」
「ん、なに?」
「それでいいのか? だって……」
「うん。住んでみないとわからないところもあるけど、そんなこと言い出したらどこでもそうだしね。デトロイトへ移り住むときもわりとおおざっぱにきめていったし、ぼくはそういうの気にしないよ」
「そうじゃなくて!」
ヴィクトルは焦りながら熱心に言った。
「そこには俺がいないよ?」
「え?」
「だから……、俺はてっきり……勇利は俺の家に……」
「えー、そんなこと」
勇利はかぶりを振った。
「だめだよ。だめだめ」
「えっ……」
だ、だめなんだ……。ヴィクトルはぼうぜんとした。勇利の物言いは、そんなことしていいわけない、といった感じだった。勇利がロシアへやってくるにあたり、住処の候補として思い浮かべたものの中に、ヴィクトルの家は数えられてもいなかったのだ。これはヴィクトルにとってかなり衝撃的だった。だってヴィクトルは勇利の家に世話になったのだ。すこしくらい、ぼくもヴィクトルのところに行けるかな、と夢想してくれてもよいではないか。勇利のことだから、ずうずうしいとか慎みがないとか、そんなふうに遠慮する可能性はあるけれど、まったく考えもしないなんて、そんなことが……。
「ないない。ヴィクトルと一緒に住むなんてない。あり得ない」
「そ、そこまで言わなくても……」
ヴィクトルはますます落ちこんだ。
「大丈夫。ヴィクトルの邪魔はしないよ」
勇利は優しくほほえんだ。
「ちゃんとそういう線引きはするから、安心して」
「いや……邪魔とか安心とか……」
「ヴィクトルには自分のいいように、いい環境で暮らしてもらいたいんだ」
勇利は落ち着き払って言った。
「だからヴィクトルの家に押しかけたりしないよ」
「押しかけるとか……」
俺はおまえに来てもらいたいんだ……。ヴィクトルはそう言いたかったけれど、勇利の態度には、「引退します」と宣言したときのような、おごそかな、きっぱりとしたものがありありとあらわれており、何を言っても無駄という様子だった。
「もしかして心配してたの?」
勇利は笑った。
「勇利が一緒に住みたいって言ってきたらどうしようって? 憂鬱にさせてごめん。ぼくのことは気にしないで。コーチをしてくれるだけでじゅうぶんだよ」
俺はそれじゃじゅうぶんじゃないんだ! ヴィクトルはわめき散らしたかったが、素直に口に出すことができなかった。勇利がせっかくロシアへ来る気になっているのに、余計なことを言ったら臍を曲げてしまうのではないかと、それが心配だった。いつ「終わりにしよう」とそっけなく突き放されるかわからない。勝生勇利はおそろしい。
「そういうわけだから安心して。ロシアへ行くの楽しみだな。春でも寒いのかな」
「ああ……」
ヴィクトルは勇利の言うことをまったく聞いていなかった。勇利とは一緒に暮らせないのか……。そのことが重くこころにのしかかり、せっかく彼がロシアへ来てくれるというなりゆきになったのに、ひどく苦しく、さびしく感じた。
勇利の言っていたアパートを買い取ってやろうか、俺もそこへ引っ越そうか、などと真剣に思案していたヴィクトルだが、そんなことをすれば勇利があきれて、やっぱり「終わりにしよう」と言い出す気がしてできなかった。ひと足先にロシアへ戻った彼はすっかり落ちこんでおり、ヤコフに「おまえ……ついこの前までは人生はばら色とかなんとか言っておったのに……」といぶかしげにされ、ユーリには「ヴィクトルが静かだと気持ち悪い」と言われた。しかしヴィクトルはそれどころではなかった。
落ち着け。勇利のこのさきすべてがきまってしまったわけではない。もしかしたら彼がヴィクトルがいないのはいやだと言い出すかもしれないし、そうでなくてもアパートに何か不都合が起きるかもしれない。何も起こらなかったとしても、とにかく勇利を口説いて「ヴィクトルと一緒に住みたい」と思えるようにすればよいのだ。そうだ、毎日彼を招いて食事をごちそうするのはどうだろう? ヴィクトルの家から帰りたくない、と思わせることに成功すれば、ひとつの屋根の下で暮らすのだって夢ではない。あきらめるのはまだ早い。努力をするのだ。
やがて勇利がやってき、ヴィクトルはそのときばかりはうっとりとした気持ちになった。勇利は前よりも綺麗になり、さらに可憐になっていた。以前は眼鏡をかけているときは野暮ったく、平凡で、まったく目立たなかったのに、いまはそんなことは関係なく、ひどくかわいらしく見えた。ヴィクトルは勇利に、ニット帽をかぶらせ、マスクをさせる必要性を感じた。しかし、ユーリにこっそりと「勇利はますますうつくしくなったと思わないか」と言ってみたところ、彼は薄気味悪そうにヴィクトルを見やり、「いや前と同じだろ……」と答えるだけだった。
「同じ? ユリオの目は節穴なのか?」
「ヴィクトルの目がどうかしてんじゃねえのか。ただのブタじゃねえか。気色の悪い……」
勇利が「どうしたの?」と後ろから尋ねたのでヴィクトルは振り返った。みずみずしい、楚々とした愛らしさは、世界じゅうの人から愛されそうだった。ヴィクトルは、勇利を誰にも渡してはならないという気持ちになった。そうなると、もともと勇利と一緒に住めないことが憂鬱だったのに、ますますいやなこころもちになった。勇利がロシアへ来てくれてうれしいのに、それと同じだけ不満をおぼえるというおかしな状況だった。
それはともかく、勇利と過ごす時間は楽しかった。ヴィクトルは勇利をリンクへ連れてゆき、久しぶりに彼のスケートを直接目にした。姿かたち同様、すべりにもみがきがかかっていて、ヴィクトルはこころを奪われるとともに誇らしくなった。あの子は俺の生徒なんだ、と思った。
「勇利、よかったよ」
「本当?」
「ああ。俺がいなくてもがんばってたんだね。えらいよ」
「ヴィクトルが恥ずかしい思いしないようにと思って……」
勇利ははにかみながら、彼の実力がいかほどのものかとリンクサイドで見守っていたクラブのコーチ陣や生徒たちに目を向けた。なんてけなげでかわいらしいのだろうとヴィクトルは感激した。
「勇利は俺の自慢の生徒だ」
「あの……」
勇利がためらった。
「なんだい?」
「……ヴィクトルがすべってるところも、見たい……」
「もちろんだよ!」
勇利の視線を浴びてすべることは、最高に気持ちがよかった。誰に見られるよりもうれしい。これがこれから毎日続くのだと思うと胸が躍った。
しかし、練習を終えて着替えているときはまた気分が落ちこんだ。ふたりは同じ家に帰るわけではない。
「勇利……」
「なに?」
勇利がヴィクトルを見た。知らないうちに、無意識に呼びかけてしまった。ヴィクトルは急いで提案した。
「食事に行かないか。一緒に」
「いまから?」
「そうだ」
「でもぼくこんなかっこうだし……」
勇利は動きやすそうな服装を見下ろした。
「構わない。高級レストランへは連れていかないよ。俺のかっこうだって同じようなものだ」
「うーん……、だけど、今日はやめておくよ」
勇利は困ったように断った。
「着いたばかりだし、時差もあって、早めにやすもうかなと思ってたんだ」
「そうか……」
ヴィクトルはがっかりした。しかし勇利の言う通りだ。彼は疲れているだろう。へこたれずにヴィクトルは誘った。
「じゃあ明日はどうだい?」
「明日かぁ……」
「明日は着替えを持っておいで。俺もそうするよ。そしてふたりで食事をしよう」
「うーん……」
勇利は考えこんだ。ヴィクトルはどきどきしながら返事を待った。勇利がほほえんだ。
「うん、わかった」
「本当かい?」
「着替えだね。持ってくるよ。あの、スーツじゃないとだめなの?」
「いや、なんでもいいよ。気軽な店にしようと思う」
ヴィクトルは頭の中にあるレストランの一覧表から、勇利が緊張せずに入れるような店を急いで選び出した。
「この近くでね。歩いていける。味も悪くないよ」
「もちろん美味しいものがいいにきまってるけど、ぼくはなんでもいいよ」
勇利はあっさり言った。
「ヴィクトルと一緒なら」
ヴィクトルは有頂天になった。断ったあとにこういうことを言ってくるのだから憎い子だ。俺をもてあそんでいるのか、とヴィクトルはうきうきしながら思った。
「じゃあ、明日」
勇利はクラブの建物の前でヴィクトルに手を振った。
「楽しみにしてるよ」
ヴィクトルは声をはずませた。
「デートだね」
「あははっ」
勇利はもう一度手を振って帰っていった。ヴィクトルは、いま、適当にあしらわれた? とがっかりした。頬をあからめるとかして欲しかったんだが……。
まあいい。明日は勇利と食事だ。ヴィクトルはいい気分で帰途についた。
約束通り、練習後にレストランへ寄り、勇利と楽しく食事をした。離れていたあいだのことやスケートのこと、長谷津のみんなのことなど、話は尽きなかった。夕食のあともヴィクトルは勇利を帰したくはなく、飲みに行こうと誘った。勇利は迷うそぶりを見せたが、「もっと話したい」とヴィクトルが言うと、「ぼくも」と了承してくれた。
「勇利」
ほの暗い店の、窓のほうへ向けてつくられた席で、勇利の横顔をちらと見た。勇利は目の前にひろがる異国の上品な夜景にうっとりし、しとやかな笑みを浮かべていた。
「これをきみにあげたいんだけど……」
ヴィクトルは、リボンをかけた白いちいさな箱を差し出した。テーブルの上に置かれたそれを勇利は見、それからヴィクトルの目を見た。
「これは?」
「きみへの贈り物だよ」
「本当に?」
勇利がうれしそうにまぶたをほそめた。その微笑があまりにかわいらしく、ヴィクトルはいますぐ抱きしめたいと思った。
「開けてみていい?」
「いいとも」
答えてから、ヴィクトルはかなり緊張した。受け取ってもらえなかったらどうしよう? 勇利の様子から判断すれば、おそらく──。いや、しかし、やってみる価値はある。言わなければだめだ。このままでは……。
「なんだろう……」
勇利はしなやかな指でリボンの端をつまみ、するっとほどいて箱の上部を持ち上げた。それは簡単にひらき、中から出てきたのは、ふわふわしたペーパークッションにうずもれた銀色の鍵だった。
「え……」
勇利は瞬き、それから慎重な態度で顔を上げた。
「ヴィクトル、これって……」
「俺の家の鍵なんだ」
ヴィクトルは急いで言った。
「勇利には持っていてもらいたいなと思って」
「…………」
勇利は難しい顔をして黙りこんでしまった。ヴィクトルはさらに急いだ。
「重苦しく考える必要はないんだ。勇利の好きに使ってくれればいい。それを持っているからといって勇利を縛るつもりはないし、俺の家で何かしろと強制するつもりもない」
ヴィクトルは、勇利がとにかく深刻にならないよう、言葉を用心深く選んだ。
「なんていうか、ただ持っていてもらいたいというか、それによって何かが起こると期待しているわけじゃないんだよ」
しまった。ちょっと生々しい言葉だっただろうか? 勇利がどう受け止めるか心配でヴィクトルはどきどきした。
「俺の気持ちっていう……それだけの……」
「ごめんなさい」
勇利は箱を閉じ、吐息をついてそれをヴィクトルに返した。
「これ、いただけません」
ヴィクトルは目をつぶった。やっぱり……。溜息が漏れた。そうなるだろうと思ってはいた。勇利がヴィクトルとの同居を選択しなかった時点で、もちろんこういうなりゆきになるのだ。
「なぜ?」
それでもヴィクトルは粘り強く尋ねた。
「勇利に負担をかけるつもりはないよ。ただ……」
「負担だと思うわけじゃないよ。ぼくがそれを持っていられないというだけのことなんだ」
「どうしていやなんだ? 勇利、何か身構えてる?」
「そうじゃないよ。なんていうか……申し訳ないから」
申し訳ない? なんのことだろう。ヴィクトルのファンに対して、という意味だろうか。
「勇利──」
「ヴィクトル、気を遣わないで」
勇利はほほえんだ。
「ぼくは大丈夫だから。心配いらないよ」
「勇利……」
勇利はこの件についてあまり話したくなさそうだ。しつこくしたら怒り出すかもしれない。ヴィクトルは仕方なく、少ない情報でよく考えてみた。勇利はヴィクトルの家の鍵を受け取ることを申し訳ないと言う。ヴィクトルが気を遣っていると思っている。つまり、こうだろうか。異国の地で不安な勇利を気遣い、ヴィクトルがおまもりのような気持ちでこれを差し出したのだという解釈をくだしているのだろうか。
「勇利、あのね──」
「本当にごめんなさい」
勇利はゆっくりとかぶりを振った。
「でも、うれしかったよ。ありがとう」
彼はほほえんで率直なまなざしを示した。迷惑そうではない。うれしいなら受け取ってくれればいいのにとヴィクトルは思った。
「俺のことが嫌いというわけじゃないんだね?」
「そんなことあるわけないじゃない」
勇利は驚いたように瞬き、それから笑い出した。
「ヴィクトルの優しさに、ぼくの敬愛と好意は増すばかりなんだ」
「…………」
「ヴィクトルはぼくの王子様だよ」
王子様の家には入れないということだろうか。勇利の中には、いつまでもヴィクトルは神様だという気持ちが根付いているのだろう。
無理やり持たせても仕方がない。ヴィクトルはいったん鍵は引き取ることにした。いますぐなんでも上手くいくわけではない。勇利の目にあふれる愛情は確かで、疑いの余地はない。ゆっくりと事を進めよう。
「ヴィクトルってほんとに優しいよね……」
「そういうわけじゃないけど」
「ううん、そうだよ」
勇利はにっこり笑った。ヴィクトルはテーブルの上にある彼の手をそっと握った。勇利は拒絶せず、じっとヴィクトルの目をみつめた。
けっして酔わせようと思ったわけではない。勇利がおかわりをするのを止めなかったのは、ただ彼と長く一緒にいたかったからと、夢中になって話し続けており、彼が何杯飲んだかを数えていなかったためだ。気がつくと勇利はまっかな頬でヴィクトルにもたれかかっており、ヴィクトルはようやく、失敗したのだと理解した。
「勇利、大丈夫かい?」
肩を抱き寄せて尋ねると、勇利はとろんとした目つきでヴィクトルを見、「んー」と返事をした。
「具合は悪くない?」
「んー」
だいぶ酔っているようだ。だが、いつかのように踊り出すほどではない。ヴィクトルはほっとしつつも、さてどうしたものかと考えこんだ。勇利の部屋は知っている。送っていける。しかし、彼をひとりにするのは心配だった。それならヴィクトルの家に連れ帰るしかないけれど、それもいささかためらわれた。まるでヴィクトルが企んで飲ませ、酔わせて好きにしようとしているみたいではないか。そんなつもりはなかったのだ。
「勇利、立てるかい?」
「うん……」
勇利は立ち上がり、ヴィクトルに抱きつくようにして寄り添った。ヴィクトルはどきどきした。勇利のよい匂いがした。練習のあとなので汗の匂いも混じっているが、長谷津で慣れ親しんだ、優しい、なつかしい匂いだった。
「あぶないな。俺の家に来る?」
「ん……」
「いいんだね?」
「うん……」
勇利はわけもわからず返答しているようだ。ヴィクトルは反省した。酩酊している勇利に「いいのか」なんて尋ねて責任を押しつけている。ひどい男だ、自分は。やはり彼のアパートに送っていったほうがよいだろうか。いや、それはだめだ。こんな状態でほうっておけない。
ぐずぐずと思い悩んだあげく、結局タクシーで自宅まで勇利を連れ帰り、抱いていって寝室のベッドに横たえた。
「勇利、起きてるかい?」
「ん……」
「水、飲む?」
「いらなぁい……」
勇利はほとんど夢の中にいるようだ。ヴィクトルは彼をせつなくみつめ、ふっと息をついた。
「何もしないよ」
身をかがめて耳元にささやく。
「きみにめろめろでも、紳士のつもりなんだ」
ヴィクトルは苦笑を浮かべた。勇利はすやすやとやすらかな寝息をたてている。口の端を吸いこむようにして、すこしほほえんでいるようだ。何かよい夢でも見ているのだろうか。
「ヴィクトル……」
「なんだい?」
「…………」
寝言らしい。ヴィクトルは勇利の眼鏡に手を伸べ、そっとはずしてやった。服を脱がせてよいものかと迷ったけれど、このままでは寝づらいだろう。ヴィクトルは勇利の上着やシャツを丁寧に脱がせ、代わりに自分の簡単な部屋着を着せた。それは勇利には大きくて、首元がよく見え、なんだか目の毒のような感じだった。
「何もしない、何もしない」
呪文のようにくり返し、勇利の身体を掛布で覆う。どうしても可憐なくちびるや首のあたりに視線が向いてしまうから、そんな作業もひと苦労だった。マッカチンがやってきて勇利を眺めたので、ヴィクトルはそっと撫でてやった。
「明日遊んでもらおうね」
シャワーを浴び、バスローブ姿で水を飲みながら寝室へ戻った。勇利は相変わらずすやすやと眠りこんでいる。ヴィクトルは水の入った瓶をまくらべへ起き、ベッドにもぐりこんで溜息を漏らした。
何もしないぞ。
マッカチンがいてよかった。ヴィクトルは勇利の匂いとぬくもりを背中で意識しながら眠りについた。
翌朝目ざめても、勇利はまだ深く寝入っていた。よく寝るな、時差ボケが残ってるのかな、と思いつつヴィクトルは起き上がり、自然に勇利にキスしようとしてぎょっとした。俺は何をしているんだ。
「やれやれ……」
今日は練習は休みなので、寝かせておいても問題はない。しかしヴィクトルは仕事がある。取材のために出かけなければ。勇利の朝食を支度する時間くらいはあるので、店がひらくのを待ってマッカチンをともない、外へ出た。近くのパン屋で勇利の好きそうな、チキンなどの挟んであるパンを買った。それから、卵や牛乳、ヨーグルトや果物を購入した。いつもはどこかの店やクラブの食堂で食べているから、こんなことはめったにしない。勇利に食事をごちそうして家にいたいと思わせる、などと計画を立てていたので、すこしは練習したのだけれど、せっせと台所でつくった朝食は、あまり美味しそうには見えなかった。
「……まあ、仕方ない」
ヴィクトルはがっかりしてつぶやいた。
「努力はみとめてもらえるだろう」
そろそろ出かけなければ、と着替えながら、でもあれを食べて「こんなまずいごはんをつくるひととは暮らしたくない」と思われたらと不安になった。やっぱり出来合いのものだけを出すべきだろうか。いや、しかし、それではパンのみということになる。そんなそっけない朝食はよくない。どうしよう……時間がない。くそ、もう行かなければ。
「マッカチン、勇利を頼むよ」
ヴィクトルは溜息をつきつつ家を出た。
やたらと上質なベッドの中で目がさめた。勇利はしばらくぼんやりし、視界に勢いよくマッカチンが入ってきたことで、自分がどこにいるかに思い至った。
「ああ……失敗した……」
ヴィクトルに迷惑をかけてしまったようだ。さいわい、いつかのように記憶がすっかりなくなっていることはなく、自分がゆうべ何をしていたのか、どうやってここへ連れてこられたのか、それを明確に思い出すことができた。
「最悪だ……」
勇利は室内を見まわした。いかにも私的な、ヴィクトルのためという空間だった。ヴィクトルとマッカチン以外、きっと誰も入ったことがない。なのに自分が泥酔したせいで……。勇利は溜息をついた。ヴィクトルはなんと思っただろう? 優しいひとだから嫌悪感を抱いてはいないかもしれないけれど、その優しさに甘えるのは思い上がりだ。
「あぁあ……」
しかも着ているのはヴィクトルの衣服だった。まったく、自分は何をしているのだろう。もう泣きたい。
謝らなくちゃ、と部屋を出た勇利は、人の気配がないことに気がついた。なんだかよい匂いがするので食堂へ行くと、テーブルの上に朝食の支度がしてあり、上品な型押し模様のついた便せんがのっていた。
おはよう勇利。
きみが起きるまでいられなくてごめん。仕事があるので出かけるよ。
食事はテーブルの上にあるものを好きに食べてくれ。全部食べてもこぶたにはならないから大丈夫。あたためてね。コーヒーでも紅茶でも好みのものを淹れて。ミルクは冷蔵庫にあるよ。ヨーグルトもね。使った食器は流しに置いておいてくれればいい。
もし帰るのなら、鍵��自動だからそのまま出てくれ。もちろん、俺が戻るまでいてくれても構わない。むしろ大歓迎だよ。夕方には戻れると思う。
きみの服は寝室の椅子に置いてあるけど、洗っていないんだ。俺の服はどれでも好きなのを着ていいから、思うようにしてくれ。服だけじゃなく、家の中のもの、なんでも自由に使っていい。自分の家だと思ってくつろいで。マッカチンにはもうごはんをあげてある。欲しがっても騙されちゃだめだ。
それじゃあ行ってくるよ。
愛する勇利へ
きみのヴィクトルより
「……ふっ」
まるで恋人へ宛てたような書き置きに、勇利は笑ってしまった。
「愛する勇利へ、だって」
肩をふるわせながら手紙を置く。
「きみのヴィクトルより、だってさ」
迷ったけれど、せっかく用意してくれたものに手をつけないのは失礼だろう。勇利は卵料理をあたため、冷蔵庫から出したミルクをグラスに注ぎ、ヨーグルトと果物を合わせた器を並べて朝食にした。レタスやチキンを挟んであるパンは、買ってきたばかりなのか、とてもやわらかかった。卵料理はかたくていまひとつ美味しいと思えない。勇利はまた笑った。ヴィクトルでも朝ごはんつくるんだ……。しかもあまりじょうずじゃない。勇利はずっと笑いながら食事をした。そばに来たマッカチンが甘えるように勇利を見た。
「だめだよ。もうもらったんでしょ? マッカチン、ヴィクトルはあんまり料理が上手くないね。ぼくだって人のことは言えないけどね。それでもこうしてつくってくれるんだ。ヴィクトルはどうしようもなく優しいね。本当は、彼、きっと、こんなこと……」
そこで勇利は食べる手を止め、ふうっと息をついた。ヴィクトルに悪いことをしてしまった。
勇利は使った皿を洗い、丁寧に片づけをした。しかし、必要以上にものには手をふれなかった。借りていたヴィクトルの服も洗濯するべきだったが、それは自分の家でしようと思った。とにかく、他人がさわった感じが残らないようにと、細心の注意を払った。
「マッカチン、ぼく帰るよ」
勇利はマッカチンのつむりを撫でた。
「ごめんね。もうちょっと一緒にいてあげたいんだけど」
自分の服に着替え、ヴィクトルの服はかばんにつめこんだ。やり残したことはないかとひとつひとつ考え、大丈夫だとうなずいて靴を履く。ここには、これからさき、もう来られないだろうけれど、探険なんてしなかった。じろじろ見るのは失礼だ。
「じゃあね」
勇利はすぐにヴィクトルの家を出た。ポケットには、ヴィクトルがくれた置き手紙が丁寧にたたまれ、おさまっていた。
ヴィクトルは、勇利が待っているのではないか、おかえりと迎えてくれるのではないかと思って期待をこめて帰ってきたのだが、家には明かりがついていなかったし、扉を開けたときも人の気配はなく、しんとしていた。やっぱりそうだよな、とヴィクトルは落ちこんだ。
やってきたマッカチンに話しかけつつ、食堂へ行ってテーブルを見た。勇利はすべてすっかり食べてしまったようで、食器は綺麗に洗ってあった。食べてくれただけでもヴィクトルはうれしかった。
置き手紙があった。勇利の持ち物の手帳の切れ端だ。丁寧な文字でこう書いてあった。
ヴィクトル、おかえり。
ゆうべは迷惑かけてごめんなさい。反省しています。今後はこんなこと、ないようにします。本当にごめんなさい。
朝ごはん、ありがとう。美味しかったです。
それから、服も借りちゃってごめん。洗って返します。……普通に洗っていいんだよね? ヴィクトルの服は高級なのばっかりだからこわい。手洗いします。
では。またリンクでね。
ぼくの王子様へ
貴方の忠実なる生徒より
勇利がいないことがヴィクトルはさびしかったけれど、最後のひとことでしあわせになった。
「何が忠実だ」
ヴィクトルは手紙にキスをした。
「俺の言うことなんか聞かないくせにね」
それからもヴィクトルは、折にふれ、勇利に鍵を持ってもらおうと努力をした。ジュースを買ってきてあげる、と言えば、紙パックのジュースと一緒に鍵を渡そうとした。勇利と手をつなぐときはてのひらに鍵を忍ばせ、鍵と一緒に彼の手を包んだ。勇利がすべり終わったあと、「勇利、ちょっとおいで」とまじめな顔で呼び、どんな注意をされるのだろうと身構えている彼に「とてもよかったよ。着氷のあとに妙に力が入っていたからそこさえ気をつければ言うことなしだ。ごほうびにこれをあげよう」と鍵を握らせたりもした。だが、すべてだめだった。そのたびに勇利は笑い、「なんで渡してくるの」とヴィクトルにそれを返した。時には「そんなに気軽に出してきちゃいけない」と説教をされることもあった。ヴィクトルは心外だった。渡すべき相手にしか渡していないというのに。
一緒に暮らさなくてもよいのだ。──いまはまだ。受け取ってくれるだけでいい。だが勇利はそれをよしとしなかった。それならとヴィクトルがただ家に誘っても、それさえも断った。「勇利が俺の家にいたがるように」と思って立てた計画は、ことごとくついえてしまった。まず勇利がヴィクトルの家に近づきたがらないのだから話にならない。
何がいやなのだろうと考えてみると、最初に勇利を家に泊めたことしか思い当たらなかった。勇利はきっと、迷惑をかけた、もうあんなことはしてはならないと自分を戒めているのだろう。ヴィクトルのことをいやがっているという感じはしない。ただ、長谷津にいたころより態度が厳しくなっているかもしれない。ヴィクトルに対する態度ではなく、自分を制御する態度ということである。
もっと甘えてくれていいのに、とヴィクトルは不満だった。異国の地ではさびしいと言い、ぼくに構ってとわがままを述べ、ヴィクトルの家に上がりこみ、ここに住むからめんどうを見てと求めたって、彼ならちっとも構わないのだ。ヴィクトルは勇利の言う通りにするだろう。なんでもしてあげる、望みを言ってごらん、と甘やかすにちがいない。自立心の強い勇利はそれがいやなのかもしれないが、それにしてもヴィクトルからへだたりを取りすぎだと思う。ヴィクトルはおもしろくなかった。
このところ、勇利はギオルギーと仲がいい。そのことをヴィクトルは気にしていた。勇利に友人ができるのはもちろんよいことだ。しかし、あのふたりはたいして話が合うまいと思っていたのである。ギオルギーは思いこみは激しいけれど、実直な、きちんとした男だ。ただ、話題といえば惚れた女のことばかりで、勇利にはいちばん苦手な相手ではないだろうかという気がしていた。勇利も愛にあふれているのだけれど、ギオルギーとはあきらかに型がちがう。それなのに、練習のあとは何か簡単に言葉を交わしたり、確認をしたりしているのだ。
「最近、勇利と仲がいいみたいだね」
どうしても気になったので、ヴィクトルはギオルギーがひとりでいるときを見計らい、さりげなく話しかけた。リンクサイドで自分の滑走の動画を見ていたギオルギーは顔を上げ、「ああ」とあっさりうなずいた。
「そんなにふたりの気が合うとは知らなかったよ」
「べつに気が合っているわけではないが……、カツキは話していても物静かで楽な相手だな」
勇利は確かに控えめで清楚だ。だが、「物静か」と言い切ってしまうのは多少抵抗がある。ヴィクトルはバンケットで大騒ぎした勇利を思い出し、ふっと胸があたたかくなった。しかしその安寧は、ギオルギーの次の言葉で吹き飛んでしまった。
「寮は物音にうるさい者も多いが、あれなら誰にも文句は言われないだろう。問題はなさそうだ。彼自身も過ごしやすいと言っているし、互いにとってよかった」
「なんだって!?」
聞きまちがいかと思った。寮? いったいいつ勇利が寮に行ったというのだ。意味がわからない。
「勇利は寮を訪問しているのか!?」
ものすごい剣幕で質問してしまい、まわりの注目を浴びたヴィクトルは咳払いをした。
「もちろん……、友人の家に遊びに行くくらいは当然のことなんだが」
いいのだ。それくらいは。友達は多くいたほうがよい。しかし、友人づくりを苦手としている勇利が、と思うと違和感をおぼえた。
「遊びに行っているわけではないぞ」
ギオルギーは不思議そうに言った。ヴィクトルはさらに心中穏やかではなくなった。
「どういうことだ」
「なんだ、彼に聞いていないのか?」
「何を!?」
「住んでいる部屋がだめになってしまったそうだ」
「だめに……?」
「ああ。空き巣が入ったらしい」
「勇利の部屋に!?」
「いや、同じアパートのほかの部屋らしいが、鍵は壊されるし、荒らされるし、ひと部屋では済まなかったということだ。さすがに気味が悪いだろうとヤコフコーチが彼に声をかけた。その結果、新しい部屋がきまるまで寮へ入ることになった」
「それをなんで君が知っている!?」
そういう相談は俺にすべきじゃないのかとヴィクトルは抗議した。
「そんな話、まったく聞いていない」
「ちゃんと報道されていたぞ。ヤコフコーチもニュースを見てカツキを心配したのだ」
「それは……」
確かにニュースは近頃見ていなかった。だがそういう問題ではない。
「私も以前は寮に住んでいたから、カツキもいろいろ訊きたいことがあるのだろう。私はそれに答えているだけだ。不安もあるだろうからな。そうそう、このあいだ、私の大切な女性に、親切で頼りになると言われたのだ。愛する彼女……」
「そんなことより」
ギオルギーの新しい彼女の話などどうでもよい。
「寮へ入ることを勧めたのはヤコフなんだろう?」
「そうだ。カツキはべつにもとの部屋でいいと言っていたようだが」
「よくない!」
「そうだろうな。私もあまりいいことだとは思わん。ヤコフコーチも同意見だろう」
「それならなんでヤコフは俺に言わなかったんだ!?」
ギオルギーは興味なさげにかぶりを振った。
「さあな。私もカツキに、どうせならヴィクトルにどうかしてもらってはと提案したが、そういう話にはならなかった。彼のやり方に口を挟むつもりはないからそれ以上は言わなかったが」
「意味がわからない!」
ヴィクトルは憤慨しながらヤコフがいるはずのスタッフルームへ向かった。勇利に問いただしたいが、彼はいまバレエの時間である。
「ヤコフ!」
扉を開けるなりわめいたヴィクトルに、ヤコフがめんどうくさそうな視線を向けた。
「なんだ、騒々しい」
「いったいどういうことだ!」
ヤコフは、何がだ、とは言わなかった。彼は「聞いたのか」と溜息をついた。
「聞いたとも! なんで勇利は俺のところへ来ない!?」
ヴィクトルは、重厚な椅子にゆったりと座っているヤコフのそばでまくしたてた。ソファを示されたがのんびり腰を下ろす気になれない。
「言っておくが、わしも提案した。もとの部屋で構わんというようなことを言うから、クラブの管理者としてそれは容認できないと。コーチに相談すべきだと勧めた」
「勇利はなんて!?」
「『ヴィクトルに迷惑はかけられない』そうだ」
「迷惑!?」
「ヴィクトルは優しいから、これを聞いたら部屋へ来いと言うにきまっている。それは困る。だから言わないで欲しい。そう懇願してきた」
「…………」
「わしとしてはおまえのところへ行ってもらいたいが、おどして言うことを聞かせるわけにもいかん。いかにも頑固そうな、手のつけられん態度だったしな。それで仕方なく、寮へ入れるように手続きしてやった。もっとも、寮は若い連中が多い。カツキも、自分のような立場の人間が占領していては悪いと思ったのか、すぐに新しい部屋を探すと言っておったが」
ヴィクトルは来たときと同じ勢いで部屋を出た。そろそろ勇利が戻ってくる時間だ。みっちりと叱ってやらなきゃ、と決心していた。
ところが勇利は、ヴィクトルの剣幕におそれをなした様子もなく、汗を拭きながら平然と言い返した。
「ああ、うん、寮にいるけど。それがどうかした?」
「どうかしたじゃないだろう!」
ヴィクトルはむきになった。
「そういうことは俺にいちばんに報告すべきじゃないのか!?」
「ヴィクトル、声が大きいよ……」
「聞けば、俺には黙っていてくれとヤコフに頼んだそうじゃないか。どういうことだ!」
「ヴィクトル、こっちへ……」
リンクメイトたちがじろじろ見るのを避けるように、勇利はヴィクトルの手を引いて廊下のすみへ行った。
「確かにそう頼んだよ。でもヴィクトルは、ぼくが困ってるって知ったら家においでって言うでしょ?」
「当たり前だ! 何がいけない!?」
「いけなくはないよ。ありがたいと思う。でも……」
勇利はふっと息をついた。
「ヴィクトルに迷惑はかけられないよ」
まただ。迷惑をかけられない。いったいどういうことなのだ。
「俺はそんなの迷惑だとは思わない」
「ヴィクトルは優しいからそう言うけど」
「優しいとかそういうことじゃない。俺が何度勇利に鍵を差し出したと思ってる? 冗談だとでも思っているのか?」
「あれこそ親切でしょ」
勇利はゆるゆるとかぶりを振った。
「大丈夫。心配しないで。なんとか部屋もみつかりそうだし」
「そんなの探さなくていい!」
「ヴィクトルのところには行かないよ。安心して……」
来ないから安心できないんだ! ヴィクトルはもっと言ってやろうかと思ったが、勇利の口元はしっかりと引き結ばれ、何を言���れても動じない、といった印象だった。勇利も大人なのだし、彼の意思を尊重しなければならない。守ってやるからおいでと甘やかすのは失礼なのだろう。ヴィクトルはそうしたいけれど。
「……わかった」
ヴィクトルは溜息をついた。
「勇利のきめたことなら反対はしない……。でも、そういうことはちゃんと俺に言って欲しい」
勇利がゆっくりと目を上げてヴィクトルを見た。
「勇利にひみつをつくられるのはかなしいよ。俺のためを思ったのだとしてもだよ」
勇利はようやくやわらかな目つきになると、うん、とこっくりうなずいた。
「ごめんなさい」
「これからはちゃんと話してくれるね?」
「はい……。ぼくも意地になってた。よくない態度だったと思う」
「俺も頭ごなしに叱りつけてすまない。ただ勇利のことが心配なんだ」
「ありがとう」
勇利はとろけるような微笑を浮かべて熱心にヴィクトルをみつめた。ヴィクトルの胸がぎゅうっと引き絞られた。ああ、いますぐこの子をさらっていけたら。そう思った。
ヴィクトルは相変わらず、せっせと勇利を食事に誘ってはデートをくり返していた。勇利自身の意見は知らないが、ヴィクトルとしてはこれはデート以外のなにものでもなかった。
勇利は、ヴィクトルが家に招こうとしてもけっしてうなずかないけれど、外で食事をしようという誘いには素直に応じた。ヴィクトルは、なぜ外で食べるのはよくて家はだめなのだろうと思案し、もしかして勇利はヴィクトルの家を訪問したが最後、何かいやらしいことをされると心配しているのではないかと思いつき、言い訳をしたくなった。ちがうのだ。そんなことをしようと思っているのではないのだ。もちろん、将来、そうなれたらと考えてはいるが、何もいますぐ強引に、という気持ちではいない。勇利さえよければ──いますぐでもいいけれど。ヴィクトルはそうしていろいろと悩み、溜息をついたあげく、勇利を一度だけ家に泊めたとき何もしなかったことを思い出し、それを知っている勇利が警戒するのもおかしな話だと気がついて、自分の考えはまちがっていると悟った。どうも勇利のことになると気がはやって妙なことを考えてしまう。
「勇利、食事に行こうか」
「うん、いいよ」
その日もヴィクトルは勇利を夕食に誘い、おおいに楽しい時間を過ごした。ヴィクトルの家に来ないからといって、勇利がヴィクトルにつめたいわけではない。一緒にいるときは優しく笑うし、目つきはヴィクトルへの愛を語っている。いったい何がだめなのだろうとヴィクトルは答えの出ない問題についてまた思案した。勇利とはもう一生一緒に住めないのではないかと、気弱な不安が頭をよぎったりもした。
「明日はひどい雨らしいよ」
ヴィクトルはレストランの大きな窓から空を見上げて言った。重そうな雲が低くたれこめ、どんよりとしており、いかにも嵐が来そうな様相だった。もっとも、サンクトペテルブルクはたいてい曇っている。
「ずっと湿った空気だったね」
勇利はうなずいた。
「明日が休みでよかった」
「家に閉じこもってじっとしてることだね」
「そうする」
「俺の動画でも見るんだろう」
「たぶんね」
勇利はほほえんだ。
「今夜は大丈夫かな」
「明日の昼過ぎから大降りだそうだよ」
「そっか」
「この町じゃ、日本みたいに晴れ渡ることはめったにないから、勇利はおもしろくないだろうね」
「そんなことないよ。どこでも、その国その国の事情といいところがあるよ。ここはヴィクトルの生まれ育った町だし、そう思って見ると親しみが湧く。情緒的ですてきなところだしね」
ヴィクトルは黙って勇利の手を握った。勇利は微笑してされるがままになっていた。
「勇利……」
「ん?」
一緒に暮らしたい。その言葉をヴィクトルはのみこんだ。
「綺麗だ」
勇利は笑い出した。
「本当だ」
勇利はまだ笑っている。
「うそじゃないぞ」
「ありがとう」
勇利はヴィクトルの手を見た。
「離してくれないと食事ができないよ」
「離したくない」
「そう?」
「ああ」
勇利は何も言わず、チョコレートのような色の甘そうな瞳でヴィクトルをみつめた。ヴィクトルは胸がどきどきして、結局手を離してしまった。だが、食事が終わるまでずっと勇利を求めていた。終わってからも求めていた。帰りたくなかった。しかし、ヴィクトルの目には、勇利は帰りたそうに見えた。
「ぼくんち、寄ってく?」
通りに出てそう問いかけられたとき、ヴィクトルの心臓は一度止まってしまった。もちろんそんなはずはないのだが、それくらいどきっとしたし、我を忘れてしまった。
「この近くなんだ。新しく借りた部屋」
「……いいのかい?」
「いいよ。狭くて殺風景なところだけど、ヴィクトルさえよかったら……」
「行く」
ヴィクトルが勢いこんでうなずくと、「ヴィクトル、鼻息が荒い」と勇利が笑った。
「そうかい?」
そうだろうな、と思った。
「うそうそ。でも期待しないでよ。何もないんだから」
何もなくてもいい。勇利がいるだけでヴィクトルには天国だ。ヴィクトルは有頂天になって勇利についていった。それにしても妙だ。ヴィクトルの家に来るのはいやで、自分の部屋へ招くのはよいのだろうか。勇利の思考回路はわからない。
「ここだよ」
路地の奥にあるその細長い建物は、いかにも古く、さびしく、うらぶれてアパートらしくなかった。
「この最上階なんだ。びっくりした? クラブの近くでぼくの支払える家賃でってなると、あんまり候補がなくて」
急な狭い階段を勇利は上がっていった。
「でも、ひみつ基地みたいでわくわくしない?」
勇利の言うことはわからないでもないが、しかしあまりに古ぼけているのではないだろうか。味わいはあるが、便利で住みやすいとは言えないようである。
「ここ。入って」
部屋もやはり狭かった。ベッドとちいさなテーブルセット、それにおもちゃのような本棚しかない。
「紅茶でも淹れるね。座ってて」
「勇利、ここ、快適なのかい?」
ヴィクトルは部屋を見まわした。
「うん。おもしろいよ」
「おもしろいね……」
「まあ、ぼくはあまり部屋にはいないから、居心地は気にしないんだ」
勇利の淹れた紅茶をヴィクトルはゆっくりと飲んだ。なくなってしまうと帰らなければならなくなる。それはせつなかった。
「ヴィクトルはこんな部屋、住んだことないでしょ」
勇利がいたずらっぽく言った。かわいい笑顔で、ヴィクトルは胸がうずいた。
「ないね」
勇利はうんうんとうなずいてくすくす笑っている。ヴィクトルは口をひらいた。
「勇利とだったら、どんなところでも住むけどね」
勇利がぱちりと瞬いた。
「ここだってそうだよ。すてきだね。確かにひみつ基地だ。勇利と身を寄せあってここで暮らしたいな」
勇利がほほえんだ。冗談だと思っているらしい。
「引っ越してこようかな」
ヴィクトルはつぶやいた。勇利がまた瞬いた。
「同じ部屋に勇利の息吹が感じられるというのはすてきだ。狭いと距離がより近くなって、さらに胸がときめく」
勇利は何も言わなかった。彼は不思議そうな顔でヴィクトルをじっと見ていた。ヴィクトルはたまらなくなった。この可憐な、世界にたったひとりのうつくしい子を愛していると思った。
「勇利……」
ヴィクトルは手を差し伸べ、向かいにいる勇利の頬にふれた。勇利はじっとしていた。
「きみと一緒に暮らしたいな……」
勇利のくちびるが何か言いたげに動いた。ヴィクトルは顔を寄せ、彼のくちびるに接吻した。勇利がはっと息をのんだ。
「──愛してる」
ヴィクトルは勇利のまじりけのない瞳をまっすぐにみつめた。チョコレート色の中に何かがきらめき、流れ星のようにすっと線を引いて、うつくしい余韻を残した。
「ごめん。帰るよ」
ヴィクトルは立ち上がった。
「ヴィクトル」
「紅茶、美味しかった。ありがとう。またね」
ヴィクトルは階段を二段飛ばしに駆け下りると、古めかしい建物を飛び出すようにあとにして、路地に立ち尽くした。
キスしてしまった。勇利に。
翌日は、予報通りの空模様だった。ヴィクトルは激しい雨音を聞きながら、勇利はいまごろどうしているだろうと考えた。ヴィクトルにキスされたことを怒っているだろうか? 気に病んでいるだろうか。それとも、まったく気にしていないだろうか。怒られるのも、嫌悪を持たれるのもいやだけれど、気にしてくれないのもさびしい。ヴィクトルは家の中をうろうろと歩きまわり、勇利のことばかり思案した。かわいい勇利。可憐な勇利。うつくしい勇利。勇利の音楽的なスケート。ヴィクトルのスケートを愛している勇利。ヴィクトルを愛している勇利。しかし家には来てくれない勇利。なのに自分の部屋には招いてくれる勇利。勇利にキスをしたヴィクトル。ヴィクトルの家にはもうずっと訪れてはくれないのだろうか。いや、それよりさきに、部屋に呼んでくれなくなるかもしれない。キスをされるなんて危険きわまりないから、ふたりきりになるのはいやだと思っているかもしれない。
いつの間にか夜になり、雨はますます激しくなってきた。ヴィクトルは溜息をつき、窓辺に立ってカーテンをそっと手で払った。表の通りを見下ろしたとき、はっとなった。街路灯のよわよわしいひかりが、トランクをごろごろ転がしてきた青年の姿を照らした。彼は防水用のウィンドブレーカーを着て、その上から重そうなバックパックを背負っていた。
「……勇利」
ヴィクトルはつぶやいた。勇利だ。ヴィクトルが見間違えるはずがない。勇利だ。
彼は通りを渡ると、迷いもなくヴィクトルの家の前庭に入ってき、小径に沿って庭を勢いよくを突っ切った。勇利の姿がヴィクトルのいる窓から見えなくなり、すぐあとに呼び鈴が大きく鳴った。ヴィクトルは駆け出し、マッカチンがついてきた。
「勇利!」
勇利は、フードの先からぽたぽたと雨しずくをこぼしながらにっこり笑った。
「こんばんは」
「勇利、どうしたんだ──いや、そんなことどうでもいい!」
勇利が来た! どんなに誘ってもヴィクトルの家へ入ることを承知しなかった勇利が。酔ってどうしようもなくなり、ヴィクトルが連れ帰ったとき以外足を踏み入れることを拒んだ勇利が。
「入ってくれ。寒かっただろう。びしょ濡れだ」
「中は濡れてないんだ。上着、ここで脱ぐね。それから、バックパックを拭くタオルを貸してもらえるとうれしいんだけど」
「ちょっと待って!」
ヴィクトルは飛ぶように走ってタオルの置いてある棚まで行き、何枚もそれをつかんで勇利のところへ戻った。ヴィクトルのあとを浮かれたようにマッカチンが追った。
「はい、これ」
「ありがとう。……ヴィクトル、こんなにいらないよ」
勇利が陽気に笑った。ヴィクトルは胸が痛いくらいどきどきした。
「上着を貸してくれ。かけておけばすぐに乾くよ。バックパックも、拭いて置いておけばいい」
「あ、悪いんだけど、このトランクも……」
「もちろんさ。こっちのすみへどうぞ。お風呂に入る?」
「ううん。冷えてないよ。一生懸命歩いてきたから暑いくらいなんだ」
「でも何かあたたかいものを用意するよ。紅茶? コーヒー? ミルク?」
「何もいらないよ」
ヴィクトルは急いで勇利を居間へ案内した。信じられなかった。勇利がいる。夢ではない。
「いきなり来てごめん」
勇利はソファではなく、ふかふかした敷物の上にぺたんと座りこんだ。ヴィクトルもすぐ前に座った。
「ぜんぜん構わない。ぜんぜん」
ヴィクトルは勢いこんで言った。勇利がほほえんだ。彼は改まったそぶりで口をひらいた。
「ヴィクトル、あのね」
「うん」
「ぼくのこと、ここに置いてくれる?」
ヴィクトルは目をみひらいた。
「ぼく、行くところないんだ」
勇利は可笑しそうに笑った。
「あのね、あの部屋、雨漏りがすごくて」
ヴィクトルは瞬いた。
「最初は食器を置いてしのいでたんだけど、もうあっちこっちで漏り始めて、器の数は足りないし、家の中にいても雨が降ってるみたいな感じで」
「…………」
「っていうのはちょっとおおげさだけど、でも、天井のあちこちに水が染み出してるし、とてものんびり過ごせないんだよね」
「…………」
「次こういうことがあったらちゃんと報告しろってヴィクトル言ってくれたし……」
勇利は目を伏せ、それから上目遣いでヴィクトルを見た。
「つまり、ここに住んでいいっていう意味でしょ?」
「…………」
「何度も鍵をくれようとしたし……」
「…………」
「あれ、ぼく、ヴィクトルはコーチとしての義務感でそうしてくれてるんだと思ってたんだけど、ちがったみたい」
「…………」
「だって、ゆうべ、ヴィクトル……」
勇利は頬を赤くし、そっとみずからのくちびるに指先でふれた。ヴィクトルは胸がいっぱいで何も言えなかった。
「……あれ? そうじゃなかった?」
勇利が不思議そうに顔を傾けた。
「もしかして、ぼくが最初に考えてたのが正しいの?」
「…………」
「やっぱり、責任感で渡そうとしただけだった? 報告しろっていうのも、言葉の通り? ただ報告すればよかっただけ? ぼく、来ちゃいけなかった?」
ヴィクトルはなおも口が利けなかった。勇利は困ったように頬に手を当てた。
「ぼく、まちがえた? はずかし──」
ヴィクトルは両手��差し伸べ、勇利を胸に抱きしめた。勇利がぱちくりと瞬いた。
「……まちがってない」
ヴィクトルはささやいた。
「合ってる」
「…………」
「合ってるよ……」
勇利がヴィクトルを見た。ヴィクトルはチョコレート色の瞳と視線を合わせ、まぶたをほそめると、首をかたげてくちびるを重ねた。勇利がヴィクトルの背中に手をまわし、そっと目を閉じた。
「なんでなかなか俺の家に来てくれなかったんだい?」
ヴィクトルは、うっとりと胸にもたれかかっている勇利に抗議するように言った。万事望み通りになり、喜びでうきうきしてしまうと、そんなふうに文句を述べるゆとりができた。
「ひどいじゃないか。俺をもてあそんだのか? そうだろう。俺が何度も鍵を渡そうとしたり、家においでと誘ったりするのを見て笑ってたんだ」
「だからそれは義務感からの行動だと思ったんだってば……」
勇利は片目を開け、あきれたようにヴィクトルを見た。
「なぜそんなふうに思う? あんなに熱心だったのに。俺が勇利を愛してるのなんてあきらかだろう? なのに家には行きたくないとか、鍵を渡してくるなんて恥知らずだとか」
「言ってないよ」
「それくらいの気持ちだったんだろ」
「あのね、ぼくばっかり責めないでくれる? ヴィクトルはいまは気を変えたみたいだけど、もとはといえばヴィクトルのせいじゃないか。ぼくと暮らしたくなかったでしょ」
「なんてことを言うんだ」
ヴィクトルはますますむっとした。
「そんなわけないだろう。冗談じゃない。誰がそんなことを言った?」
「ヴィクトル」
「そうだろう。誰も言わない。きみの想像だ。……なんだって?」
「ヴィクトルが言った」
勇利はヴィクトルの胸から身体を起こし、自分は悪くないというように言い張った。
「ヴィクトルがそう言ったんだよ」
「なに言ってるんだ?」
ヴィクトルは眉根を寄せた。
「ヴィクトル、また忘れたんだね」
勇利は笑った。
「そんなことは言っていない」
ヴィクトルは断定的に宣言した。
「言うわけないだろう? なんで勇利と暮らすのをいやがらなければならないんだ。わけがわからない。こんなに望んで、夜も眠れなかったっていうのに」
ヴィクトルは勇利と額をこつんと重ね、こらしめるようににらんだ。
「何を勘違いしているのか知らないが、そんなあり得ないことを──」
「他人に入りこまれたくないって」
勇利がそらんじるようにつぶやいた。
「え?」
「誰も家に入れるつもりはないって」
「なに?」
「誰かが入ると思うとぞっとするって」
「……何が?」
「ここはヴィクトルとマッカチンだけのお城。そうだったでしょ?」
「…………」
そんなことは言ってない。言っていない、……はずだ。言っていない……。しかし、記憶の底に何かひっかかるものがあった。
『ヴィクトルは、いま、家はどうしてるの?』
『俺、自分の家に他人が入ることがいやなんだ。俺の家には誰も入れるつもりはないよ。絶対にね』
『ヴィクトルとマッカチンだけのお城だね』
あれか……!
ヴィクトルは動揺した。すっかり忘れていた。そもそもあれは、勇利を拒絶したいという意味での発言ではなかった。かえって勇利への愛情を表現したつもりになっていたのだ。あのころはここでふたりで暮らせるなんて、考えてもいなかったから。
「ち、ちがうんだ、勇利」
ヴィクトルはうろたえながら言い訳を始めた。
「あれはそういう意味じゃない。そうじゃないんだ」
「そう言われたらぼくだって遠慮するよね。ああ、ぼくには入りこめない場所なんだなって。わがまま言ってヴィクトルにめんどうだと思われたくないもの」
「ちがうんだ」
「ヴィクトルは人を自分の家に入れたくない。なのに鍵を渡そうとするから、このひとは残酷だなあと思ったよ。ぼくをためしてるのかと思った。これで大喜びで受け取ったりしたら、自覚のないやつだってきめつけられるのかなって」
「ちがう! そういうつもりじゃなかった」
「酔っぱらってヴィクトルのお世話になったときは本当にまいったよ。嫌われたかと思った。できるだけ家のものにさわらないようにしてすぐに帰ったけど、あのとき、ヴィクトル、本当はいらついてなかった?」
「そんなわけないだろう! 俺は家に帰ったら勇利がいるかもしれないと思ってわくわくしてたんだぞ!」
「それは初めて知った」
勇利はくすっと笑った。
「勇利、よく聞いて」
ヴィクトルは真剣に言いつのった。
「確かに言った。他人は入れないとね。でもそれはちがうんだ。勇利に誤解されたくなくて。俺はあのときまで、本当に家には誰も入れていなかったんだ」
「これからさきも入れたくないんじゃないの?」
「黙って聞いてくれ。確かに入れたくない。入れたくないが、いいんだ。勇利はいいんだ。俺はただ、勇利が俺のことをもてると思ってるみたいだったから、誰でも家に入れると断定されたくなかっただけなんだ」
ヴィクトルは一生懸命に説明した。
「勇利なら別だ。勇利は来ていいんだよ」
「そう?」
「そうなんだ。むしろ来て欲しいんだ。いて欲しいんだ。勇利がいなくちゃだめなんだよ、俺は」
「そう?」
「そうなんだ。そうなんだ」
「ふうん」
「勇利が別に部屋を借りると言ってきて、俺がどれだけがっかりしたと思う。もう毎日毎日しおれてたんだよ。ヤコフたちに訊いてみてくれ。勇利がロシアへ来るのはうれしい。最高だ。でも一緒に住めないなんてひどい。そんなの聞いてない。俺は衝撃のあまりぐったりしていた。ふらふらだった」
「そうなの?」
「どうすればいいのか考えていた。勇利は言い出したら聞かないから、とりあえずは受け容れるしかない。勇利の気に入らないことをして、また終わりにするなんて言われたらたまらないからね。でもあきらめたわけじゃなかった。どうにかして勇利の気持ちを変えようと思っていた。将来はふたりで暮らすんだときめてた」
「そうなの?」
「勇利をここへ迎えようと必死なのに、勇利はぜんぜん俺を相手にしてくれないし、勝手に寮へ行ったりするし、さらに部屋を借りたりするし、さすがの俺もくじけそうだった」
「前向きなヴィクトルが」
「おまえが頑固だからだ」
「ヴィクトルが誰も入れたくないって言うからだよ」
勇利はじっとヴィクトルの目を見た。
「ぼくだってヴィクトルのところに来られたらなあと思ってたよ。でも、あんな拒絶の言葉を聞いたんじゃ、絶対そんなこと言えないじゃないか。手がかかる邪魔者だなんて思われたくないからね」
「それは……、それは、悪かったけど……でもあれはずっと前の……」
「部屋へ入られるのは困る、って宣言してるひとに、ところで一緒に住んでいい、なんて訊けないよ」
「それはそうだけど……」
「ぼくだって……」
勇利はふと目を伏せ、吐息のような声でささやいた。
「さびしかったんだからね……」
そのひとことでヴィクトルはもう何もかもをゆるせる気がした。
「本当だよ」
勇利が念を押した。
「本当にさびしかったんだから」
「ごめん」
勇利はほほえんだ。
「……でも、食事に誘ってくれたのはうれしかったよ」
「……勇利」
「酔ったぼくを家に連れてきてくれたのも」
「勇利!」
ヴィクトルは夢中で勇利を抱きしめた。
「勇利、俺の勇利。おまえは、俺が自然で豊かな生活をいとなむために不可欠な存在だ」
ヴィクトルは勇利の耳元に熱烈にささやいた。
「勇利、愛してる」
勇利が純粋そうな目でヴィクトルをじっと見た。
「おまえなしじゃだめなんだ。ぜんぜんだめだ」
「…………」
「いつも、勇利と会っているあいだは元気なのに、帰ってきてからは冷蔵庫の奥でひからびたチーズみたいになっていた」
その物言いに、勇利がかすかに笑った。
「かわいそうだろう?」
「……うん」
「ヴィクトル・ニキフォロフじゃないみたいだろう」
「ん……」
「俺を元気にできるのは誰なのか、どういう行為なのか、勇利、知っている?」
「…………」
「わかるだろう?」
「ふたりでひみつ基地に行って、雨漏りのする部屋で過ごしてみる?」
ヴィクトルは笑い出し、勇利に頬ずりをした。
「確かにそれは楽しそうだ」
「ぼくの最初のアパートで、泥棒が来るかもしれないって思いながら暮らすとか」
「スリルがあるね……」
ヴィクトルは勇利のくちびるを親指でなぞった。
「選んだ部屋がことごとくそんなことになるなんて、ぼく、運がないのかなあ」
「今度の部屋は最高だ」
「本当?」
「本当さ。なにしろ、ずっときみの王子様がいるからね。さっそく勇利の部屋のものを買いにいこう。でも買わなくていいものもある」
「なに?」
「ベッドはいらないよね。俺のがあるから」
ヴィクトルがきめつけると、勇利はおおげさにあきれた顔をした。
「話すことがまずそれなの?」
「そうだ」
「えっちなんだから……」
「そうだ。俺はえっちだ。覚悟しておいてくれ。おまえはえっちな男と住むことになるんだ。これがどういうことかわかるよね?」
「えっちなんだから」
勇利はヴィクトルをにらんだ。
「でも勇利を泊めた夜は何もしなかっただろう?」
「分別があるね」
「えっちだけど紳士だよ」
「えっち紳士」
勇利はくすくす笑い、ヴィクトルの肩に頬を寄せた。
「……べつに、何かされても、よかったけど」
「え?」
勇利はぱっと立ち上がると、「上着は乾いたかな」と言いながら玄関のほうへ行ってしまった。
「勇利、ちょっと待って。どういう意味だ? きみね……」
「あ、乾いてる。ヴィクトル、これどこに置いたらいい? トランクも。ぼくの部屋は?」
「勇利!」
ヴィクトルは勇利の腕をつかみ、真剣に言った。
「今夜から一緒に寝るぞ」
「ぼくが試合でクワドフリップ跳ぶのを見ているときみたいな顔で言わないでください」
「そんな顔してた? というかきみ、試合中に俺の顔を見ている余裕があるのか?」
「試合中は見てないよ。でも、どこのテレビ局も、ぼくがクワドフリップ跳ぶときはヴィクトルの顔を映すんだよ。あとでスロー再生見たら絶対ヴィクトルを挟んでくるんだから。ヴィクトル、すごく挑戦的だよ」
「そうかな。初めて知った。勇利、返事は? もしかしてかわそうとしてる? 俺は断られているのか」
「ヴィクトル……、分別があるね」
勇利はほほえんだ。ヴィクトルは分別をかなぐり捨てて、勇利を寝室へ連れていった。
「ぼくの荷物」
「そんなの明日にしろ」
ヴィクトルは勇利をベッドに押し倒すと、服を一枚一枚脱がせていった。勇利はとくに文句も言わず、されるがままになっていた。
「ヴィクトル……ぼく……」
「さあ、もう何も言わないで。愛してるんだ……」
ヴィクトルは勇利を抱きしめた。勇利のしなやかな肢体はいともたやすく腕の中におさまって、すんなりとヴィクトルのもののようになった。ヴィクトルは勇利のおとがいを持ち上げた。くちびるを重ねると、甘えるように勇利が抱きついてきた。ヴィクトルは夢中になって熱烈なキスをした。
「……待って。ひとことだけ、いい?」
「こわいことじゃないだろうね」
「ちがうよ。それが終わったら本当にもう何も言わないから」
勇利はヴィクトルのくちびるをかるくついばんだ。ヴィクトルは身構えた。
「じつはあの卵料理、いまひとつだったんだ。ヴィクトルでも変な料理つくるんだぁって思った。発見。ちょっとうれしい。以上」
「勇利、それ、いま言わなきゃいけないこと? 『ヴィクトルでもセックスへたくそなんだぁ』とは絶対言わせないからね」
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余は如何にしてセクラバとなりし乎
どの大晦日だっただろうか。
私は家族と紅白歌合戦を見ていた。
私は大晦日紅白絶対主義者であり、妹がガキ使を見ていたとしても、視聴予約をしておいて紅白が始まったら即座に切り替わるようになっていた。
小さな頃はチャンネル争いを激しく繰り広げていたが、その頃には妹も諦めきっていた。
かと言って、私は熱心に紅白を見ていたわけでもない。私は流行りの歌手がわからぬ。
唯一聞いていたJ-popと言える音楽は、アンジェラアキぐらいだった。アンジーに関しては、初期のシングルから聞いてきたファンで、最後のライブもチケットを確保してくれた友人のおかげで行くことができた。
その時のライブの衝撃は忘れられない。アンジーのパフォーマンスもさりながら、
「え?コンサート中は席から立つの?」
という質問をするほどの世間知らずだった。それから幾年、立見席で団扇を胸にペンラを片手に “Bravi!!”と歓声をあげるとは1ミリも思っていなかった。
その年の紅白も演歌歌手以外ほとんどわからず、ハロプロ、ジャニーズ、アルファベットと数字のグループも名前を見たことがある程度だった。宜なるかな、アイドルグループは嵐ぐらいしか誰が誰なのかもわからない。
一方で、NHKの歌番組の良いところは、先日の「思い出のメロディー」でミッツ・マングローブさんが指摘していたとおり「振れ幅」である。アイドルの歌と踊りもあれば、聞かせる歌手もいる。それ故に、紅白で感銘を受けて聞くようになった歌手や歌もたくさんある。美輪明宏さんの「ヨイトマケの唄」はその典型的な例である。
だが、私の目は開いていなかった。曲の直前に現れたグループを一瞥して、「また過激な名前だこと。本人たちは意味がわかっているのかしら」などとビチビチ言いながらチビヒチビ酒を舐めていた。
さはさりながら、実はこの年の紅白で、キメッキメの勝利くんの表情にキュンとしていた。
それからとても長い時間が経った。
その間にマイケル・ジャクソンが逝去した気がするし、オバレが解散を強いられた気もするし、宮崎駿監督が引退宣言をしていた気がする。要はいろいろなことがあったのである。
プライベートでも、元来楽天的な自分が精神的に体調を崩したり、家族が他界したり、足を火傷したりした。世間にとってはどうでもいいことだが、個人的にはいろいろなことがあったのである。
ある日、友人がトゥイッターでセクゾの話をし始めた。今考えると撒き餌だったのかもしれない。
「ふーん」と関心があった呟きをファボする。すると友人からLINEが届いて曰く、
「Sexy Zoneを一緒に推しましょうよ」
そして、簡潔かつパッション溢れる概要説明があった。第1の聞法である。
しかし、当時の私は無知であり、ふまけんを区別できなかった。牛タンゲームをしていたのはケンティーだと思っていた。否、ふうまちんである。そして、数々のトンチキソングたちを愛せずにいた。
「『WildがMildになる』のは流石に無理があるし、そもそもなんでsexy summerに雪が降るの?」
そんな未熟な人間にもかかわらず、先輩セクラバたる友人は優しくサンガに招き入れた。コート・ダジュールでリペ魂を見た。第2の聞法である。
帰りのバスの中、私は、スマホでファミクラへの入会手続きを進め、ジャニーズネットに課金し、リペ魂のブルーレイ、リペのアルバム、stageのブルーレイをとりあえずAmazonで注文した。大人であることの特権を振りかざした瞬間である。
あの時の感動を何と言い表せば良いであろうか。私がSexy Zoneに抱いていた全ての偏見が覆された。
ただひたすらに顔がいいと思っていたしょりぽんのお茶目さ(プンププンプン)、ケンティーの一瞬も力を抜くことない、にも関わらず自然でsexyな所作、ぱっと見怖かったふうまちんの多彩な歌声と愉快なトーク、マリちゃんの成長ぶり、そしてソウ・マッシマである。鼻の下投げキッス、ひょっこりさん(最近知った)、圧巻のファンサ、その一方で横アリのスクリーンを我がものとするパフォーマンス...
セクラバという言葉が生まれる前、セクゾのファンは、セクガル、セクメンと呼んでいた。しかし、それに加えてSexy Loversという言葉がケンティーによって生み出されたと聞く。これは、阿弥陀如来の摂取不捨の弘誓に通ずるものである。
合掌...いただいた浄なる右手と我が不浄なる左手を合わせ、ただ感謝するしかない。
日を経るごとに円盤が増え、ポポロやMyojoといったドル誌、インタビューが掲載されたこれまで手に取ったこともないような若者向けファッション誌(近しいところでも宝塚関係である)、部屋をsexyたちが埋めていく。
もともとひどく腐っていた私は、本棚からはみ出て本棚の前に本の山を作る愚か者である。しかし、同時に語学オタクでもあり、仕事関係の本でも山を作っていた。それまで本の山たちは2つであった。真面目な本のそれと不真面目な本のそれである。ここに新たな山が生まれた。
何番煎じか知らないが、私はその山のことをsexy zoneと呼んでいる。大切なことのため補足するが、小文字のsexy zoneである。
曲を聴き、ライブ映像・特典映像を見て、セクチャンも見て、時に編集者のスクリーニングがなかったとしか思えないようなインタビューを読む。一度読み、反芻してから映像を見ると新たな発見がある。まさしく「學而時習之、不亦説乎」。
そんなある日、友人からLINEが届て曰く、
「ライブに行きませんか」と。
身に余る喜びである。
一方で、ティーンなど遥か彼方に卒業した私がその場にいてよいのだろうか。恥ずかしくて死んでしまうのではないか。また、私は無駄に背が高い、というより長い。背の低いティーンたちに、後ろから石を投げられないだろうか。
しかし、これら懸念はナンセンスであった。セクラバの懐は深い。そして、sexyたちは、ティーネージャーが応援するものと考えること自体がsexyたちの思いに反することであった。
そして、これらの無駄な逍遥を凌駕するほど、sexyのライブは圧巻であった。
初のライブ参戦、第3の聞法である。
プロフィールからもわかるとおり、私は聡ちゃんを中心とした箱推しを自認しているが、今回はしょりぽんの団扇を買うことにした。普段、友人と話す時に使っている勝利くんの愛称「しょりぽん」「しょりり」「ちょり」なんて物販の人に言っても通じないんじゃないだろうか...かと言って「勝利くん」なんて呼ぶなんて馴れ馴れしすぎるし...と思って最終的な結論として「佐藤さん」の団扇とお写真とあとペンラと会報入れを注文することにした。物販のお姉さんも「佐藤さんの団扇です」とリテンションがすごい。
結果として「佐藤さん」の団扇やプロマイドやらを、友人の忠告どおり持ってきておいた大きめの紙袋に入れて物販を出た。
「佐藤さん」の団扇がでかい。そして「佐藤さん」の眼力が強い。これは扇ぐためのものではなくて応援のためのグッズなのだ。確かに普通のサイズの団扇だとステージに立つアーティストからは見づらい。他のファンの邪魔にならずさない最大のバランスを図ったものなのであろう。
そしてペンラである。言葉がない。ただありがたい。今、家の仏壇的なエリアに一緒に飾ってある。
ペジ魂は、近々発売される円盤を以って聞くべきものである。
だが2つだけ、付言することが許されるのであれば、開始前の茶畑、五濁悪世のこの世に数少なき優しい世界であった。
そして、最後のしょりぽんのアクションは、可愛すぎて私の心から永遠に消えない。
帰りの道すがら、私は友人に言った。
「やっぱ、ライブいいわぁ...」
オペラやクラシックのコンサートは、いくらでも円盤になっているが、やはり舞台で聞くと、弦楽器の音の震えや歌手のブレスや間の取り方が空気を通じて感じられる。なかなかお高いため舞台に行けず、ブルーレイで済ますことも多いが、やはりその場で聞くのには敵わない。
ライブも要はそういうことである。
しかもライブの恐ろしいことはそれぞれの一回性がオペラよりも高く、各地各回ごとにMCからパフォーマンスまで違う。
なんということだ。何度も通わなくてはいけないじゃないか。
かつての私は、朝起きてパンとサラダを食べて、昼は職場の近くに来るお弁当屋さん(たまにチキンライスのチキンに火が通っていない。チンすればいいだけの話だが)を食べ、夜はお腹が空かないためサラダを摘みながら酒を飲む質素な生活を送っていた。
ぱっと見ヘルシーでマリのようなご飯メニューに見えるが、酒をとんでもなく煽るので真逆である。マリ様に日々の生活を提出しようものならお説教されそうである(それはそれでいい)。
職場のデスクは、執務資料と辞書、あと両親の写真ぐらいしか置いていない殺風景なものだったが、今ではからテンのMV撮影に臨むチビーズたちのかわいい写真が飾ってある。私は、上司たちに背を向けて座っているため、上司たちは私よりも寧ろ日に何度も麗しいちょりー、ソちゃん、マリの笑顔を拝んでいる。拝観料を取ってもいいのではなかろうか。
私は、多少BL漫画を読んで、多少酒を飲む以外、非常に慎ましい生活を送っていた。
たとえSexy Zoneの功徳を説けど、いくらなんでもセクラバになれば人生薔薇色などというつもりは毛頭ない(効能は強いが、危ない薬として取り締まられてしまうかもしれない。訴因、sexy)。
しかし、何回りも若い子たちから多くのことを学んでいるのは事実である。
1つ例を出したい。
私は年を経るごとに誕生日というものを記憶から抹消し、家族や友人からのメッセージでやっと誕生日を思い出した。家族たちに適当なお礼を伝えて仕事に戻り、案の定日付が越えた頃に帰宅すると、バースデーカードが届いていた。
第4の聞法である。
これは、個々人に届けられ、個々人が聞くべきものであって、私がここで解説すべきものではない。
唯だ1つ、私の変容を伝えることだけ許していただきたいが、私は己の行動を強く恥じた。そんな機会をくれたsexyたちに感謝の念を伝えたい。
人が喜びと苦しみの中(これを「度すること難しき海」、「難度海」に例えよう)でなんとか生きる中で、私の出会ったsexyたちは、そのものが我々を導く無礙の光明というよりも、彼らは、難度海をともに渡り、光明を探すものであるようにみえる。経に曰く
『今生まれたこの時代の中で、僕ら光さがしている』
余は如何にしてセクラバとなりし乎。
竊に以みれば、最初こそ彼らのかっこよさ、美しさに惹かれるも、段々彼らの語る言葉、行動に惹かれていく。彼らの紡ぎ出す言葉の一つ一つに、私は少なからず彼らの直面してきた労苦を見出すとともに、同時に彼らの偉大さを嘆ずる。
今日もまた、円盤やラジオ、会報、雑誌でsexyたちの言葉を聞く。
時々、「変態(笑)」と呼ばれかねない内容を私も投稿したり、ライブで声をあげたりする。
これ、愛しきsexyたちがsexyであり続けられるように、彼らの誓願が広く響き渡るように、祈り申し上げるものなり。
斯くして余はセクラバとなりき。
敬って白す🌹
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✿ デビルド・チキン | Devilled Chicken
・ スリランカ風デヴィルド・チキンです。その名(devil)の通り、悪魔のように辛い料理ですが、辛さの中にトマトの旨味や玉ねぎの甘みが加わって病みつきになる美味しさです。辛さはチリパウダーやガーリックチリソースからくるストレートな辛さが特徴です。スリランカでは一般的な家庭のおかず(炒め物料理)として親しまれているようです。
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迷ったら中米に行こう!~戦々恐々とコスタリカを旅する~
20代最後の夏に思い切って中米コスタリカへ行きました。
幼稚園からの友人が海外協力隊として現地で活動しており、彼を頼りに8月10日から16日の1週間、初一人海外へ出て行きました。
コスタリカで見たものや経験はどれもみずみずしく新鮮なものばかりで、この気持ちが少しでもフレッシュなうちにメモを残しておきたいと考え、帰国の途につくコスタリカサンホセ空港にてキーボードを叩き始めました。(が結局書ききれたのがだいぶ後になってしまいました汗)散文的な内容になることを恐れずゴリゴリ書いていこうと思います。
【コスタリカの概況】
言語はスペイン語。国教はカトリック。そのため街の要所には教会が立ち並んでいる。
コスタリカの歴史は基本的にはスペイン人統治時代から始まり、それ以前の先住民の歴史的、文化的な遺産などの観光資源に乏しいのが現状。
しかし、先住民たちが森を切り開き巨大な文明を築かなかったことと恵まれた気候から自然が非常に豊かで九州と四国を合わせた程度の国土面積に、地球全体の5%もの動植物が存在すると言われている。
国はこの点を自国の観光資源として捉え、国土の多くを国立公園として保護し、その自然の中を探索する『エコツーリズム』を世界に先駆けて始めた。これが世界に受け入れられ、それまで農業依存だった国の経済構造を好転させた。
そのほかにも軍隊を持たない平和国家として、軍事費に充てていた費用を教育や医療、再生可能エネルギーなどに投資し、前述のエコツーリズムに加え、中南米で屈指の教育、福祉、自然エネルギーの国として強い国家アイデンティティを保有している。(日本も見習いたい)
街の観光地はどこもごみが少なく、水道水も飲めるのは中米に限らず世界的にも希少な国のひとつではないだろうか。
【コスタリカの人々】
・観光地のガイドからUberのドライバー、クラブに来ていた若者に小学生まで様々な人と触れ合ったが総じて気さくで穏やかな人が多かった印象。車の運転もアジアなどに比べても丁寧な感じだった。
・観光地やホテルでは英語を話せる人が非常に多いため、スペイン語が苦手でもガイドを受けたり簡単なコミュニケーションは十分可能(ただし自分は英語もできなかったため状況は変わらなかった)
・中米の中で治安が良く経済が安定していることもあり、多くの移民が存在し、とくに貧しいニカラグア人が市街地でホームレス化している現状が社会問題となっている。そのほかにも社会情勢が不安定なベネズエラ人なども目立った。
私のコスタリカ旅行
友人が1週間のバカンス休暇を取りほぼ土地勘もコミュニケーションもできない私にほぼ24時間付き添ってく��て様々な場所に行かせてくれました。
現地で撮った写真を見ながら適当な順番と粒度でコスタリカについて語りたいと思います。
1.市街地の風景
成田からヒューストンを経由し、サンホセ空港に到着。
駅からバスでサンホセ市街地へ出て街を散策。初めての中米だが、町の雰囲気は東南アジアとも近い印象。首都ということもあり、おそらく単純に国の経済力、発展度によって似た雰囲気の街が出来上がってしまうのかもしれない。(日本も昔はこうだったのかも)
市街地には人通りが多い。また、路上に座り大声で物売りをする人も多く見かけたが、友人曰く彼らはニカラグア移民だとのこと。あまり近づかないようにした。
2.食事
「コスタリカの食事はマズイ」と友人から聞かされていたため戦々恐々として乗り込んだものの、総じておいしかった。ただし、値段の割に(というか高い店に限って)全くおいしくない店もあり、その辺はどんな店でも一定のクオリティは保っている日本の外食店文化のありがたさを感じた。
<上流国民編>
初日夜は友人の現地の友達で日本に留学経験もあるというコスタリカの方とコスタリカの中ではちょっとハイソな街で夕食。とてもいい方たちだった。
写真は2件目に行ったビールバー。クラフトビールの飲み比べができた。
※ここに関わらず外食費は総じて日本よりやや安いものの大きな差はなく���中米の中では非常に高いとのこと。家族を大事にし、家での食事を重んじる国民性があるとはいうものの、平均月収が日本の数分の一ということを考えると外食はなかなか大変な出費になるのだと思う。
山でのレジャーや森の散策を楽しめるモンテベルデ自然保護区で止まったホテルの隣にあったレストラン。モンテベルデという土地柄もあり周りは外国の観光客だらけ。
キャンドルがあったりと店の雰囲気は日本の都会のおしゃれレストランさながらな雰囲気だったが、料理は10ドル弱、ワインもボトル15ドル程度となかなかのコスパ。そして味が抜群にうまかった。この旅の中でもトップクラスに満足した食事だった。
同じくモンテベルデでの食事。わかりづらいが、本物の大木をそのまま残し、その周りに3階建ての建物を巻きつける(?)ような特徴的な構造を持ったモンテベルデの有名レストラン。パスタは15ドル程度と結構お高め。
ただ申し訳ないが味がマズかった。4分の1程度しか食べれなかった。友人が「コスタリカの料理は味が薄い」と言っていたのはこれか!と納得。
その後パスタは宿へ持ち帰るも、部屋に置いておいたら蟻の餌食となり無事死亡。
<庶民編>
友人行きつけという現地の食堂にて。コスタリカでは米(左)、レモンとパクチーの効いたサラダ(中央)、ポテト(右)、豆(奥)を基本セットに、そこに豚肉やチキンなどのメインが乗るワンプレート料理がスタンダード。
米はタイ米などに近く、日本のよりも細長くて水分が少ない。また、黒い豆と米を合わせて炊くとコスタリカの伝統料理「ガチョピント」となる。
だが、米と豆を別々に食べても味は大差ない。
これは別の店だが、基本は一緒。そこに焼きバナナなどがついていた。
モンテベルデの屋台にて。鶏むね肉とポテトというシンプルで豪快なファストフード。非常にボリューミーだが500円程度。美味しかった。
<家庭料理編>
チフリーゴ。友人がお世話になっているホストファミリーのお家に自分もお邪魔してごちそうになった伝統料理。
ご飯に鶏肉と豆が乗っており、そこに刻んだトマトとパクチー(←これもよくコスタリカで出てくる)をお好みで載せて食べるどんぶり。鶏肉にトマトの酸味やパクチーの刺激が合わさりとても美味しかった。
米を食べる文化があるため、各家庭に炊飯器もある模様。(米があるのはありがたかった・・・)
朝は旦那さんのほうが準備してくれた。ガーリックトーストにソーセージに卵、そしてパパイヤとかなりボリューム満点でおいしかった。
3.文化編
<原住民編>
原住民が木の実などをすりつぶす際に使用していたとされる石の机。独特な形状が面白い。石工技術の高さがうかがえる。
よく日本のテレビなどでもコスタリカを紹介する際に一緒に出てくる謎の石球。その製造年代や製造方法、作られた目的などが不透明で一部ではオーパーツの一つともいわれていたが、現在では研究も進みその謎が徐々に明らかになっているとかいないとか。
ちなみに写真は国立博物館にあったレプリカ。本物はコスタリカの郊外にあるため、観光地にはしばしばこのようなレプリカが置かれていた。
<建造物>
国立劇場
コスタリカを象徴する建造物の一つ。この建物を壊したくないがために内紛が起こらない、と言われるほど現地人からも愛されているという建物。劇場内部も見学ができる。
息を飲むほどの迫力。今なお現役の劇場として使用されており、しばしば日本の能や和太鼓の演奏なども上演されるとか。
受付兼待合室。豪華すぎて落ち着いて待てなさそう。
ロスアンヘレス大聖堂
首都サンホセの隣の県カルタゴにある大聖堂。国内各地から人々が巡礼に訪れる聖地で建物も非常にでかい。
中の造りも荘厳で素晴らしい。礼拝に訪れた人は中央の通路を膝立ちで移動して祭壇へ向かう慣習があるようだった。我々は邪魔にならぬよう脇の通路を回って見学した。
<若者文化>
現地人が多く集まる深夜のクラブへ友人と2日連続で繰り出した。入場前にID(自分の場合パスポート)と場所によってボディチェックが行われ、さらに場所によっては入場料も支払う。
クラブで飲むのは大体ビール。他の酒より値段が安いため、お金のない現地の人もビールばっか飲んでいるとのこと。
ちなみにコスタリカのメジャーなビールはimperialとPilsenの2種類。そしてちょっと高くてマイナーなBAVARIA(写真)がある。味はimperialが薄くて軽く、Pilsenは少し香りとえぐ味が強い印象。BAVARIAはその中間といった感じ。
美味しかったのは写真に乗せたBAVARIAのゴールド。一番日本のビールに近い。時点でimperialのsilverという種類のもの。
BAVARIAはあまり扱っているところが少ないため、一通り飲んだ後はimperialを選んで飲むことが多かった。
左の黒人Jango。入場の手続きで手間取っていると後ろから声をかけてきた。身長めっちゃ高いし超怖い。
でも本当は荷物を預ける場所を教えてくれようとしていたこのクラブ界隈の従業員?オーナー?的な人だったらしい。その後テキーラを2杯もご馳走してくれた。めっちゃ気さくでいい人。
ぶれぶれ。お酒飲みながら爆音の音楽を聴いてるとある若者グループの輪に招かれて一緒に踊ってた。なんとなくアジア人で(自分は楽しんでたけど)周りになじめてないオーラが出ていたのか誘ってくれたのだと思う。
言葉は通じないけどお酒もあいまって身振りや表情でコミュニケーションを取る感じがなんとも楽しかった。
友人が話したところそこのグループにいたほとんどの人がベネズエラ人だったとのこと。ベネズエラといえば近年の超インフレで経済が破綻寸前、首都の治安は世界最悪と言われている国。あんなに気のよさそうな彼らの背景にそんな深刻な事情があるのか、と色々と考えさせられた。
4.自然編
上でも触れたモンテベルデ自然保護区にて、昼と夜の森林散策ツアーやキャノピーなどのレジャーを体験した。
昼はオランダ人の家族と一緒にガイドの話を聞きながら野山を散策。
トゥカーン(の子供)
なんか笑顔の木
景色が一望できる!と思ったもののあいにくの雨。朝は晴れていたのに、、
羽が透明な蛾?
ゴミをあさっていたアライグマ。全然人を怖がらない。
ちょっとここからはモンテベルデではないけど、
これは幻の鳥といわれるケツァールを見にいくツアーでの朝の集合場所のロッジに来ていたハチドリ。
で、1時間以上何か所もポイントを回ってやっとお目にかかれたケツァール。 これはメスのため尾が短いが、オスはもっと尾が長く色も鮮やか。残念ながらこの日オスはお目にかかれず。
5.その他
帰国最終日にどこ行きたいかを友人に尋ねられ、彼の職場のゴミ収集センターと地域の小学校へ行くことに。
サンホセのゴミ収集センター
回収されたごみたち。袋の中身はまだまだ分別が行き届いていない状態。
各地から届けられたごみ袋はこの台で職員の方が一つ一つ開封し手作業でごみを仕分けている。
普段はこの仕分け作業をおばちゃん2~3人で行うそうだが、この日は民間企業からCSR活動の一環と職場体験ということでさらに数名参加していた。エライ
ペットボトルは無色と有色のものを分けてプレス。プレスすることで輸送にかかるコストを下げている。
これらは民間の業者に売却され、資源として再利用される。
段ボールも同様。談笑しながらも手際よく潰してトラックにつめていた。
外では家庭のごみなどを持ってくる人がごみを捨てていた。まだまだポイ捨てなんかも多く、ゴミに関しての市民の意識が低いとも感じられたが、このように律義にごみを持ってきて捨ててくれる人がいることがありがたいとのこと。
サンホセの小学校
その後サンホセの小学校にアポなしで突撃するも、友人の顔パスで難なく入れた。
カメラを向けると照れて顔をそらす子供。なんかとても開放的で自由な雰囲気。
生徒たちは全員1日学校にいるわけではなく、上級生と下級生が曜日ごとに午前、午後の授業日を交代でまわすようなカリキュラムを取っているそう。
例えば月曜日の午前が上級生の授業なら、午後には上級生は下校し、下級生が授業をする。火曜日はその逆、といった感じ。
後者が”ロ”の字型になっており、中庭が校庭になっており、中央の礼拝堂を挟んでコンクリートのバスケコートが二面あった。
ただしバスケを行っている生徒は誰もいなかった。コスタリカ人はサッカーが好きだからフットサルコートにでもすればいいのに。
牛乳パックを再利用してできた机だそう。木のように固い。
体育の時間で誰もいない教室。
パソコン教育も行われている。ここのパソコンも友人の協力隊活動の一環で企業から提供されたもので、この部屋はそのために新たに作られたものなのだそう。
食堂。おやつにフルーツを振る舞われることも。
帰り際に先生に挨拶をすると我々もフルーツをゲット。リンゴをむしゃむしゃ食べながら帰路についた。
さいごに:コスタリカを旅行しての感想いろいろ
1.意外と多かった、日本を親しんでくれる人々
この旅で最も印象深く嬉しかったものの一つが日本に親しんでくれている人が多かったこと。上でも述べた初日に紹介してもらった女性たちのほかにも、例えば2日目に行ったクラブでは「日本人!?」と声をかけてくれたコスタリカ人がいたのだが、彼はなんと3月まで我々の地元の宮城県の東北大学に留学していたとのこと。
さらに4日目に利用したUberの車の後ろにはなぜか日本の国旗が飾ってあって、話を聞いてみると彼は日本にこそ行ったことないものの、日本の興味があり自主的に日本語を学んでいるとのことだった。友人曰くこんなに色々と日本を知っている人に出会うことは珍しくてラッキーだったとのこと。楽しい出会いのある旅行だった。
2.中米への関心が深まった
当たり前すぎる小学生並みの感想だが、こちらも自分の心に大きな変化をもたらした。
先ほども述べたようにあまり日本人にとってなじみのないコスタリカだが、地球の裏側では日本に関心を持ってくれている若者たちがいる。そしてみんな気さくで親しみやすく、とても可愛げのある人たちだった。
日本に興味を持ってくれている人たちがこんなにもいてくれていることを考えるとすごく嬉しく感じたのと同時に、自分たちももっと海外に目を向けていかなければいけないと感じた。
さらに前述したベネズエラ人との出会いも考えさせられるものがあった。恥ずかしながら自分はベネズエラなんていう国は国名を知っている程度の知識で、彼らに出会わなければきっとこの先もベネズエラに関してここまで関心を抱くこともなかったと思う。
帰国してすぐに、超インフレが進むベネズエラでは桁を減らすための新たな通貨の単位を作るという経済政策が打ち立てられたとのニュースが入ってきた。もちろんこんな政策ではさらに経済を混乱させることになりかねないという見方が大半だ。経済が混乱すれば他国への移民問題もより深刻になるだろう。これから先中米はどうなるのか、今後の情勢には色々と関心を寄せていきたいと考えるようになった。
3.外国語を話せるようになりたいと思うようになった
今回の旅行は友人のサポートもあり様々な出会いと気づきのある非常に楽しい旅行だったが、それゆえに言葉を理解して自分の気持ちを伝えられないもどかしさを抱えていた。
例えば彼のホストファミリーの家にお世話になった際も、食事を「美味しい」という気持ちすらうまく伝えられず非常にもどかしかった。お土産に持って行った九谷焼についても、本当はその背景にある日本の文化や歴史なんかを話したいという気持ちはあれどそんな高度なコミュニケーションが取れるはずもなく、、
ホストファミリーのおじいちゃんおばあちゃんが本当に親切にしてくれただけに、自分の気持ちを言葉で伝えられない歯がゆさがあった。
海外旅行は恐らく簡単な英語と身振り手振りで頑張れば、観光地を巡ったり宿に泊まったりなどある程度の目的は達成することができると思うし、実際自分もその程度で良いと考えていた。
でも海外旅行で一番楽しいのは現地の人との生のコミュニケーションだろうと思った。その土地の人が何を考え同くらいしているのか、そういったことを言葉を介して理解し、また自分の考えも相手に伝えられるようになりたいと強く感じた。
せめて日常会話レベルの英語でも身につけたい。。30年弱の人生で今が一番外国語学習欲が高まっていると感じている。今やらないと一生やらない気がするので、ひとまず本を読みながら拙いながらも話せるように勉強中。
4.ごみのことに関心を持つようになった
友人の職場に行き、いろいろとごみへの思いを語ってくれたこともあり自分もごみへの関心が高まった。
自分が普段何気なく出しているごみも処理には多くの人手が必要ということ、作業はハードなこと、そして何よりも地球上の多くの人が関わり、今後も関わり続けていかなくてはならないものだということ。
現地の方の仕事ぶりを見て説明を受けると、自分もなにかできないか自然と思いを巡らせていた。
例えば友人はごみを出す段階で分別がされていないことがひとつの問題と言っていた。
なるほど、確かにゴミ箱は色分けされてどこに何を捨てるべきかが分かりやす���なっている。
ただ、ちょっとデザインの観点から考えてみるとゴミ箱の上にはごみの種類が分かるような絵を入れたり、ゴミの入れ口を入れるごみの形にしてごみを捨てる行為をアフォードさせるような施策があってもよいかと感じた。
現状だと識別する要素が色と小さく書かれた文字のみのため、例えば歩きながら街を歩く人がごみを捨てようとした際に反射的に自分が捨てたいごみの正しいゴミ箱を判断しづらいのではと感じた。色とごみの種類に明確な関係性がないため、ほかの要素で使い手に正しいゴミ箱を反射的に認知させる仕掛けが必要と考えた。
日本のごみ箱はまだそのへんが少し良くできていて、入れ口の直下に何を入れるごみ箱なのかを絵と言葉で入れることでごみを捨てる人の目に必ず入るように工夫されているとともに、口の形状で何を入れるべきかを感覚的に示している。
缶やペットボトルなど、入れ口を丸くすることでそのごみ箱が飲み物の容器を捨てるものだと把握できるのと同時に、丸い形状に筒状のものを入れたくなる人間の心理も上手に作用させている。
そんな小さな改善を重ねながら、街がもっと綺麗になってコスタリカ人のごみへの関心が高まることを願っている。
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長野市「グリーンピース」由緒正しき洋食屋 店名 グリーンピース 場所 長野県長野市桐原1-3-3 電話 026-244-9037 ジャンル 洋食店 バリアフリー △ 入口に段差あり 駐車場 あり 食べたもの 「Cランチ」980円 物事を上下で考えないようにしている 価値観にはどのようなことであっても上も下もない。ぼくもあなたもあいつもこいつも同じものだから、扱いはつねに一定的であることが望ましい。いったいなんのこっちゃ?という思われるかもしれないが、けっこういるではないか。マンガはダメ、SFなんてロクなものではないという人は少なくなったろうが、こんなことを言うヤツはまだまだいる。 どのようなものにもよい面も悪い面もある だから一方的に断ずるのではなく、あくまでも水平に。ガースーやアベシンゾーにだってよいところや功績はあるだろう。悪口ばかり言っていてはならぬ。認めるべきは認め、ちゃんと褒めてあげなければいけない。よいところがあるかどうかはわからないが。 もちろん 時と場合による。とくにリスペクトしている方は別だ。親兄弟家族知人友人仕事関係まったく会ったことのない方まで含めて、お世話になっているかた、影響を受けた方々は私より上つ方に決まっている。私のような特にいい加減な人間にとって奉らねばならぬ存在はたくさんある。 洋食屋 という名はとても響きがよい。洋食屋というだけで一段も二段も上に見えてしまう。レストランでも定食屋でもない、洋食屋というのが素晴らしいでらないか。これは充分リスペクトに値する。今回は初めてお邪魔したところが典型的な「洋食屋さん」であったので少々舞い上がってご紹介する次第だ。 「グリーンピース」 桐原駅から南下して、北長野通りとの交差点近くにあるお店。こちらは昔からよく知っているところなのだ。だって信号待ちで必ず目に入る場所だもの。なんか洋食屋っぽいのがあるなぁ、とはずーっと長い間思っていたが、駐車場が少なく、いつも混んでいたので敬遠していたのだ。この度、たまたま通りかかった時に、あ、空いているではないか!ちょうど昼どきだ!と急遽お���魔した次第。 内部は 狭いながら、明るく清潔感たっぷり。ではあるがうっすら油染みていて、ぺとぺと軽くする感じ。そうだよそうだよ、これが洋食屋なのだ。手書きのメニューもよい。カレー、スパゲティ、トンカツ、グリルチキンという名前が一層美味そうにみえる。初訪問はよくわからないのでランチメニューからの選択とした。A、B、Cとある中でもっとも選択肢の多いCセットとする。 Cセットとはとんかつをメインに3種あるサイドメニューを選択するシステム。とんかつにハンバーグ、あるいはとんかつにエビフライというコンビネーションも惹かれたが、この際もっとも昔の洋食屋っぽい名前を選択した。 「Cセット とんかつ&チキンピカタ」980円 とんかつは厚ければ厚いほど、デカければデカいほどよいと考えるものにとって、これは物足りない。と思えるほど小ぶりなとんかつだが、逆にこのサイズはじつに品よくみえる。池波正太郎が好んだのはこれくらいかな。和風ソースとしたので大根おろしが添えられているのもよい。醤油ベースのソースがまた美味いのだ。さくりとした食感と、醤油の強い香りが素晴らしい。 ピカタ という料理は本来「バター焼きした子牛肉のレモン汁かけ」を指すのだそうだが、なぜか日本では下味つけた肉に溶き卵を絡ませて焼き上げた料理。洋風玉子とじというのがイメージだが、最近あまり見かけないよね。こちらはチキンピカタ。皮身たっぷりでとてもジューシー、玉子のまったりもじつによろしいのである。 じつによいお店、一方的にリスペクトする対象である。美味かった美味かった。次回はポークソティーシャリヤピンをいただきたい。 #長野 #長野県 #長野市 #長野グルメ #長野市ランチ #長野市カフェ #長野ランチ #洋食 #食堂 #定食 #定食屋 #定食屋さん #定食ランチ #洋食屋 #とんかつ #ピカタ #チキン #ポーク #大根おろし #和風 #グルメな人と繋がりたい #グルメ好きな人と繋がりたい #食べるの好きな人と繋がりたい #飯 #飯スタグラム #飯テロ #美味しい #コロナに負けるな #좋아요_한국 #좋아요_일본 (キッチン グリンピース) https://www.instagram.com/p/CTo7ucrpvik/?utm_medium=tumblr
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恋人岬/和歌山県すさみ町【絶景ポイント】〜BUSHイタリアンカフェ【ランチ】デートに最適?婦夫波を見られるカウンター席でパスタ
恋人岬とは
恋人岬(こいびとみさき)は和歌山県西牟婁郡すさみ町見老津(わかやまけんにしむろぐんすさみちょうみろづ)にある岬だ。
激しい海流が陸(おか)の黒島にあたり、真っ二つに裂けた波がぶつかり合う様は婦夫波(合掌波)と呼ばれ、枯木灘を代表する奇観です。 和歌山朝日夕陽百選の一つです。 激しい海流が陸の黒島に当たり、真っ二つに裂けた波が再びぶつかり合う様は婦夫波や合掌波と呼ばれ、枯木灘を代表する奇観です。
恋人岬 | 一般社団法人すさみ町観光協会 から引用
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【小説】フラミンゴガール
ミンゴスの右脚は太腿の途中から金属製で、そのメタリックなピンク色の輝きは、無機質な冷たさを宿しながらも生肉のようにグロテスクだった。
彼女は生まれつき片脚がないんだとか、子供の頃に交通事故で失くしたのだとか、ハンバーガーショップでバイト中にチキンナゲット製造機に巻き込まれたのだとか、酒を飲んでは暴力を振るう父親が、ある晩ついに肉切り包丁を振り上げたからなのだとか、その右脚についてはさまざまな噂や憶測があったけれど、真実を知る者は誰もいなかった。
ただひとつ確かなことは、この街に巣くう誰もが、彼女に初めて出会った時、彼女はすでに彼女であった――ミンゴスは最初から金属の右脚をまとって、我々の前に現れたということだ。
生身である左脚が描く曲線とはまるで違う、ただの棒きれのようなその右脚は、しかし決して貧相には見えず、夜明け前の路地裏を闊歩する足取りは力強かった。
脚の代わりでありながら、脚に擬態することをまったく放棄しているその義足は、白昼の大通りでは悪目立ちしてばかりいた。すれ違う人々は避けるように大きく迂回をするか、性質が悪い連中はわざとぶつかって来るかであったが、ミンゴスがそれにひるんだところを、少なくとも俺は見たことがない。
彼女は往来でどんな目に遭おうが、いつだって澄ました表情をしていた。道の反対側から小石を投げてきた小学生には、にっこりと笑って涼しげに手を振っていた。
彼女は強かった。義足同様に、心までも半分は金属でできているんじゃないかと、誰かが笑った。
夏でも冬でも甚平を着ている坊主崩れのフジマサは、ミンゴスはその芯の強さゆえに、神様がバランスをとる目的で脚を一本取り上げたのだ、というのが自論だった。
「ただ、神様というのはどうも手ぬるいことをなさる。どうせしてしまうのならば、両脚とももいでしまえばよかったものを」
そう言いながら赤提灯の下、チェ・レッドを吸うフジマサの隣で、ミンゴスはケラケラと笑い声を零しながら、「なにそれ、チョーウケる」と言って、片膝を立てたまま、すっかりぬるくなったビールをあおった。
彼女は座る時��生身である左脚の片膝を立てるのが癖だった。まるで抱かれているように、彼女の両腕の中に収まっている左脚を見ていると、奇抜な義足の右脚よりも、彼女にとって大切なのはその左脚のような気がした。それも当然のことなのかもしれなかった。
彼女も、彼女を取り巻いていた我々も、彼女が片脚しかないということを気にしていなかった。最初こそは誰しもが驚くものの、時が経てばそれは、サビの舌の先端がふたつに裂けていることや、ヤクザ上がりのキクスイの左手の指が足りていないこと、リリコの前歯がシンナーに溶けて半分もないこと、レンゲが真夏であっても長袖を着ていることなんかと同じように、ありふれた日常として受け入れられ、受け流されていくのだった。
「確かにさぁ、よく考えたら、ミンゴスってショーガイシャな訳じゃん?」
トリカワが、今日も焼き鳥の皮ばかりを注文したのを頬張ってそう言った。発音はほとんど「超外車」に近かった。
「ショーガイシャ?」
訊き返したミンゴスの発音は、限りなく「SHOW会社」だ。
「あたし障害者なの?」
「身体障害者とか、あるじゃん。電車で優先席座れるやつ」
「あー」
「えー、ミンゴスは障害者じゃないよ。だって、いっつも電車でおばあちゃんに席譲るじゃん」
キュウリの漬物を咥えたまま、リリコが言った。
「確かに」
「ミンゴスはババアには必ず席譲るよな、ジジイはシカトするのに」
「あたし、おばあちゃんっ子だったからさー」
「年寄りを男女差別すんのやめろよ」
「愚か者ども、少しはご老人を敬いなさいよ」
フジマサが呆れたように口を挟んで、大きな欠伸をひとつした。
「おばあちゃん、元気にしてんのかなー」
まるで独り言のように、ミンゴスはそう小さくつぶやいて、つられたように欠伸をする。
思えばそれが、彼女が家族について口にしたのを耳にした、最初で最後だった。
俺たちは、誰もろくに自分の家族について語ろうとしなかった。自分自身についてでさえ、訊かれなければ口にすることもなく、訊かれたところで、曖昧に笑って誤魔化してばかりいた。
それでも毎日のように顔を突き合わせ、特に理由もなく集まって酒を飲み、共に飯を食い、意味のない会話を繰り返した。
俺たちは何者でもなかった。何かを共に成し遂げる仲間でもなく、徒党を組んでいたというにはあまりにも希薄な関係で、友人同士だと言うにはただ他人行儀だった。
振り返ってみれば、俺がミンゴスや周りの連中と共に過ごした期間はほんの短い間に過ぎず、だから彼女のこと誰かに尋ねられる度、どう口にすればいいのかいつも悩んで、彼女との些細な思い出ばかりを想起してしまう。
ミンゴスは砂糖で水増ししたような甘くて怪しい錠剤を、イチゴ柄のタブレットケースに入れて持ち歩いていた。
彼女に初めて出会った夜のことは、今でも忘れられない。
俺は掃き溜めのようなこの街の、一日じゅう光が射さない裏路地で、吐瀉物まみれになって倒れていた。一体いつからうつ伏せになっているのか、重たい頭はひどく痛んで、思い出すのも困難だった。何度か、通りすがりの酔っ払いが俺の身体に躓いて転んだ。そのうちのひとりが悪態をつき、唾をかけ、脇腹を蹴り上げてきたので、もう何も嘔吐できるものなどないのに、胃がひっくり返りそうになった。
路地裏には俺のえづいている声だけが響き、それさえもやっと収まって静寂が戻った時、数人の楽しげな話し声が近付いて来るのに気が付いた。
今思えば、あの時先頭を切ってはしゃぎながら駆けて来たのはリリコで、その妙なハイテンションは間違いなく、なんらかの化学作用が及ぼした結果に違いなかった。
「こらこら、走ると転ぶぞ」
と、忠告するフジマサも足元がおぼつかない様子で、普段は一言も発しないレンゲでさえも、右に左にふらふらと身体を揺らしながら、何かぶつぶつとつぶやいていた。サビはにやにやと笑いながら、ラムネ菓子を噛み砕いているかのような音を口から立てて歩いていて、その後ろを、煙管を咥えて行くのがトリカワだった。そんな連中をまるで保護者のように見守りながら行くのがキクスイであったが、彼はどういう訳か額からたらたらと鮮血を流している有り様だった。
奇妙な連中は路地裏に転がる俺のことなど気にも留めず、よろけたフジマサが俺の左手を踏みつけたがまるで気付いた様子もなく、ただ、トリカワが煙管の灰を俺の頭の上めがけて振るい落としたことだけが、作為的に感じられた。
さっきの酔っ払いに蹴り飛ばされてすっかり戦意喪失していた俺は、文句を言う気もなければ連中を睨み返してやる気力もなく、ただ道に横たわっていた。このまま小石にでもなれればいいのに、とさえ思った。
「ねーえ、そこで何してんの?」
そんな俺に声をかけたのが、最後尾を歩いていたミンゴスだった。すぐ側にしゃがみ込んできて、その長い髪が俺の頬にまで垂れてくすぐったかった。
ネコ科の動物を思わせるような大きな吊り目が俺を見ていた。俺も彼女を見ていた。彼女は美しかった。今まで嗅いだことのない、不可思議な香水のにおいがした。その香りは、どこの店の女たちとも違った。俺は突然のことに圧倒された。
彼女は何も答えない俺に小首を傾げ、それからおもむろにコートのポケットに手を突っ込むと、そこから何かを取り出した。
「これ舐める? チョー美味しいよ」
彼女の爪は長方形でピンク色に塗られており、そこに金色の薔薇の飾りがいくつもくっついていた。小さな花が無数に咲いた指先が摘まんでいたのはタブレットケースで、それはコンビニで売られている清涼菓子のパッケージだった。彼女はイチゴ柄のケースから自分の手のひらに錠剤を三つほど転がすと、その手を俺の口元へと差し出した。
「おいミンゴス、そんな陰気臭いやつにやるのか?」
先を歩いていたサビが振り返って、怪訝そうな声でそう言った。
「それ、結構高いんだぜ」
「いーじゃん別に。あたしの分をどうしようと勝手じゃん」
彼女が振り向きもせずにそう言うと、サビは肩をすくめて踵を返した。連中はふらふらと歩き続け、どんどん遠ざかって行くが、彼女がそれを気にしている様子はなかった。
「ほら、舐めなよ」
差し出された彼女の手のひらに、俺は舌を突き出した。舌先ですくめとり、錠剤を口に含む。それは清涼菓子ではなかった。これはなんだ。
「ウケる、動物みたいじゃん」
からになった手を引っ込めながら、彼女は檻の中の猛獣に餌をあげた子供みたいに笑っていた。
口の中の錠剤は、溶けるとぬるい甘みがある。粉っぽい味は子供の頃に飲まされた薬を思わせ、しかし隠し切れないその苦味には覚えがあった。ああ、やはりそうか。落胆と安堵が入り混じったような感情が胃袋を絞め上げ、吐き出すか悩んで、しかし飲み込む。
「ほんとに食べてんだけど」
と、彼女はケラケラ笑った。その笑い声に、冗談だったのか、口にふくまないという選択肢が最良だったのだと思い知らされる。
それでも、目の前で楽しそうに笑っている彼女を見ていると、そんなことはどうでもよくなってくる。こんな風に誰かが喜んでいる様子を見るのは、いつ以来だろうか。笑われてもいい、蔑まれても構わない。それは確かに俺の存在証明で、みじめさばかりが増長される、しがない自己愛でしかなかった。
からかわれたのだと気付いた時には彼女は立ち上がっていて、俺を路地裏に残したまま、小さく手を振った。
「あたしミンゴス。またどっかで会お。バイバーイ」
そう言って歩き始めた彼女の、だんだん小さく、霞んでいく後ろ姿を見つめて、俺はようやく、彼女の右脚が金属製であることに気が付いたのだった。
人体の一部の代用としては不自然なまでに直線的で、機械的なシルエットをしたその奇妙な脚に興味が湧いたが、泥のように重たい俺の四肢は起き上がることを頑なに拒み、声を発する勇気の欠片も砕けきった後であった。飲み込んだ錠剤がその効用をみるみる発揮してきて、俺はその夜、虹色をした海に飲み込まれ、波の槍で身体を何度も何度も貫かれる幻覚にうなされながら眠りに落ちた。
その後、ミンゴスと名乗った彼女がこの街では有名人なのだと知るまでに、そんなに時間はかからなかった。
「片脚が義足の、全身ピンク色した娘だろ。あいつなら、よく高架下で飲んでるよ」
そう教えてくれたのは、ジャバラだった。ピアス屋を営んでいる彼は、身体のあちこちにピアスをあけていて、顔さえもピアスの見本市みたいだ。薄暗い路地裏では彼のスキンヘッドの白さはぼんやりと浮かび上がり、そこに彫り込まれた大蛇の刺青が俺を睨んでいた。
「高架下?」
「あそこ、焼き鳥屋の屋台が来るんだよ。簡単なつまみと、酒も出してる」
「へぇ、知らなかった」
そんな場所で商売をして儲かるんだろうか。そんなこと思いながら、ポケットを探る。ひしゃげた箱から煙草が一本出てくる。最後の一本だった。
「それにしても……お前、ひどい顔だな、その痣」
煙草に火を点けていると、ジャバラは俺の顔をしみじみと見て言った。
「……ジャバラさんみたいに顔にピアスあけてたら、大怪我になってたかもね」
「間違いないぞ」
彼はおかしそうに笑っている。
顔の痣は触れるとまだ鈍く痛む。最悪だ。子供の頃から暴力には慣れっこだったが、痛みに強くなることはなかった。無抵抗のまま、相手の感情が萎えるのを待つ方が早いだとか、倒れる時の上手な受け身の取り方だとか、暴力を受けることばかりが得意になった。痛い思いをしないで済むなら、それが最良に決まっている。しかしどうも、そうはいかない。
「もう、ヤクの売人からは足を洗ったんじゃないのか?」
「……その仕事はもう辞めた」
「なのに、まだそんなツラ晒してんのか。堅気への道のりは険しいな」
掠れて聞き取りづらいジャバラの声は、からかっているような口調だった。思わず俺も、自嘲気味に笑う。
学んだのは、手を汚すのをやめたところで、手についた汚れまで綺麗さっぱりなくなる訳ではない、ということだった。踏み込んでしまったら二度と戻れない底なし沼に、片脚を突っ込んでしまった、そんな気分だ。今ならまだ引き返せると踏んだが、それでも失った代償は大きく、今でもこうしてその制裁を受けている現状を鑑みれば、見通しが甘かったと言う他ない。
「手足があるだけ、まだマシかな……」
俺がそう言うと、ジャバラはただ黙って肩をすくめただけだった。それが少なからず同意を表していることを知っていた。
五体満足でいられるだけ、まだマシだ。特に、薄汚れた灰色で塗り潰された、部屋の隅に沈殿した埃みたいなこの街では。人間をゴミ屑のようにしか思えない、ゴミ屑みたいな人間ばかりのこの街では、ゴミ屑みたいに人が死ぬ。なんの力も後ろ盾も、寄る辺さえないままにこの街で生活を始めて、こうしてなんとか煙を吸ったり吐いたりできているうちは、まだ上出来の部類だ。
「せいぜい、生き延びられるように頑張るんだな」
半笑いのような声でそう言い残して、ジャバラは大通りへと出て行った。その後ろ姿を見送りながら、身体じゅうにニコチンが浸透していくのを脳味噌で感じる。
俺はミンゴスのことを考えていた。
右脚が義足の、ピンク色した天使みたいな彼女は、何者だったのだろう。これまでどんな人生を送り、その片脚をどんな経緯で失くしたのだろう。一体、その脚でなんの代償を支払ったのか。
もう一度、彼女に会ってみたい。吸い終えた煙草の火を靴底に擦りつけている時には、そう考えていた。それは彼女の片脚が義足であることとは関係なく、ただあの夜に、道端の石ころ同然の存在として路地裏に転がっているしかなかったあの夜に、わざわざ声をかけてくれた彼女���また一目見たかった、それだけの理由だった。
教えてもらった高架下へ向かうと、そこには焼き鳥屋の移動式屋台が赤提灯をぶら下げていて、そして本当に、そこで彼女は飲んでいた。周りには数人が同じように腰を降ろして酒を飲んでいて、それはあの夜に彼女と同じように闊歩していたあの奇妙な連中だった。
最初に俺に気付いたのは、あの時、煙管の灰をわざと振り落としてきたトリカワで、彼はモヒカンヘアーが乱れるのも気にもせず、頭を掻きながら露骨に嫌そうな顔をした。
「あんた、あの時の…………」
トリカワはそう言って、決まり悪そうに焼き鳥の皮を頬張ったが、他の連中はきょとんとした表情をするだけだった。他は誰も、俺のことなど覚えていなかった。それどころか、あの夜、路地裏に人間が倒れていたことさえ、気付いていないのだった。それもそのはずで、あの晩は皆揃って錠剤の化学作用にすっかりやられてしまっていて、どこを通ってどうやってねぐらまで帰ったのかさえ定かではないのだと、あの夜俺の手を踏んづけたフジマサが飄々としてそう言った。
ミンゴスも、俺のことなど覚えていなかった。
「なにそれ、チョーウケる」
と、笑いながら俺の話を聞いていた。
「そうだ、思い出した。あんた、ヤクをそいつにあげてたんだよ」
サビにそう指摘されても、ミンゴスは大きな瞳をさらに真ん丸にするだけだった。
「え、マジ?」
「マジマジ。野良猫に餌やってるみたいに、ヤクあげてたよ」
「ミンゴス、猫好きだもんねー」
どこか的外れな調子でそう言ったリリコは、またしても妙なハイテンションで、すでに酔っているのか、何か回っているとしか思えない目付きをしている。
「ってか、ふたりともよく覚えてるよね」
「トリカワは、ほら、あんまヤクやんないじゃん。ビビリだから」
「チキンだからね」
「おい、チキンって言うな」
「サビは、ほら、やりすぎて、あんま効かない的な」
「この中でいちばんのジャンキーだもんね」
「ジャンキーっつうか、ジャンク?」
「サビだけに?」
「お、上手い」
終始無言のレンゲが軽い拍手をした。
「え、どういうこと?」
「それで、お前、」
大きな音を立てて、キクスイがビールのジョッキをテーブルに置いた。ジョッキを持っていた左手は、薬指と小指が欠損していた。
「ここに何しに来た?」
その声には敵意が含まれていた。その一言で、他の連中も一瞬で目の色を変える。巣穴に自ら飛び込んできた獲物を見るような目で、射抜かれるように見つめられる。
トリカワはさりげなく焼き鳥の串を持ち変え、サビはカップ酒を置いて右手を空ける。フジマサは、そこに拳銃でも隠しているのか、片手を甚平の懐へと忍ばせている。ミンゴスはその脚ゆえか、誰よりも早く椅子から腰を半分浮かし、反対に、レンゲはテーブルに頬杖を突いて半身を低くする。ただリリコだけは能天気に、半分溶けてなくなった前歯を見せて、豪快に笑う。
「ねぇ皆、違うよ、この子はミンゴスに会いに来たんだよ」
再びきょとんとした顔をして、ミンゴスが訊き返す。
「あたしに?」
「そうだよ」
大きく頷いてから、リリコは俺に向き直り、どこか焦点の定まらない虚ろな瞳で、しかし幸福そうににっこりと笑って、
「ね? そうなんだよね? ミンゴスに、会いたかったんでしょ」
と、言った。
「あー、またあのヤクが欲しいってこと? でもあたし、今持ち合わせがないんだよね」
「もー、ミンゴスの馬鹿!」
突然、リリコがミンゴスを平手打ちにした。その威力で、ミンゴスは座っていた椅子ごと倒れる。金属製の義足が派手な音を立て、トリカワが慌てて立ち上がって椅子から落ちた彼女を抱えて起こした。
「そーゆーことじゃなくて!」
そう言うリリコは悪びれた様子もなく、まるでミンゴスが倒れたことなど気付いてもいないようだったが、ミンゴスも何もなかったかのようにけろりとして椅子に座り直した。
「この子はミンゴスラブなんだよ。ラブ。愛だよ、愛」
「あー、そーゆー」
「そうそう、そーゆー」
一同はそれで納得したのか、警戒態勢を解いた。キクスイだけは用心深く、「……本当に、そうなのか?」と尋ねてきたが、ここで「違う」と答えるほど、俺も間抜けではない。また会いたいと思ってここまで来たのも真実だ。俺が小さく頷いてみせると、サビが再びカップ酒を手に取り、
「じゃー、そーゆーことで、こいつのミンゴスへのラブに、」
「ラブに」
「愛に」
「乾杯!」
がちゃんと連中の手元にあったジョッキやらグラスやらがぶつかって、
「おいおい愚か者ども、当の本人が何も飲んでないだろうよ」
フジマサがやれやれと首を横に振りながら、空いていたお猪口にすっかりぬるくなっていた熱燗を注いで俺に差し出し、
「歓迎しよう、見知らぬ愚か者よ。貴殿に、神のご加護があらんことを」
「おめーは仏にすがれ、この坊主崩れが」
トリカワがそう毒づきながら、焼き鳥の皮をひと串、俺に手渡して、
「マジでウケるね」
ミンゴスが笑って、そうして俺は、彼らの末席に加わったのだ。
ミンゴスはピンク色のウェーブがかった髪を腰まで伸ばしていて、そして背中一面に、同じ色をした翼の刺青が彫られていた。
本当に羽毛が生えているんじゃないかと思うほど精緻に彫り込まれたその刺青に、俺は幾度となく手を伸ばし、そして指先が撫でた皮膚が吸いつくように滑らかであることに、いつも少なからず驚かされた。
腰の辺りが性感帯なのか、俺がそうする度に彼女は息を詰めたような声を出して身体を震わせ、それが俺のちっぽけな嗜虐心を刺激するには充分だった。彼女が快楽の海で溺れるように喘ぐ姿はただただ扇情的で、そしていつも、彼女を抱いた後、子供のような寝顔で眠るその横顔を見ては後悔した。
安いだけが取り柄のホテルの狭い一室で、シャワーを浴びる前に外されたミンゴスの右脚は、脱ぎ捨てられたブーツのように絨毯の上に転がっていた。義足を身に着けていない時のミンゴスは、人目を気にも留めず街を闊歩している姿とは違って、弱々しく薄汚い、惨めな女のように見えた。
太腿の途中から失われている彼女の右脚は、傷跡も目立たず、奇妙な丸みを帯びていて、手のひらで撫で回している時になんとも不可思議な感情になった。義足姿は見慣れていて、改めて気に留めることもないのだが、義足をしていないありのままのその右脚は、直視していいものか悩み、しかし、いつの間にか目で追ってしまう。
ベッドの上に膝立ちしようにも、できずにぷらんと浮いているしかないその右脚は、ただ非力で無様に見えた。ミンゴスが義足を外したところは、彼女を抱いた男しか見ることができないというのが当時囁かれていた噂であったが、俺は初めて彼女を抱いた夜、何かが粉々に砕け散ったような、「なんだ、こんなもんか」という喪失感だけを得た。
ミンゴスは誰とでも寝る女だった。フジマサも、キクスイも、サビもトリカワも、連中は皆、一度は彼女を抱いたことがあり、それは彼らの口から言わせるならば、一度どころか、もう飽き飽きするほど抱いていて、だから近頃はご無沙汰なのだそうだった。
彼らが彼女の義足を外した姿を見て、一体どんな感情を抱いたのかが気になった。その奇妙な脚を見て、背中の翼の刺青を見て、ピアスのあいた乳首を見て、彼らは��情したのだろうか。強くしたたかに生きているように見えた彼女が、こんなにもひ弱そうなただの女に成り下がった姿を見て、落胆しなかったのだろうか。しかし、連中の間では、ミンゴスを抱いた話や、お互いの性癖については口にしないというのが暗黙の了解なのだった。
「あんたは、アレに惚れてんのかい」
いつだったか、偶然ふたりきりになった時、フジマサがチェ・レッドに火を点けながら、俺にそう尋ねてきたことがあった。
「アレは、空っぽな女だ。あんた、あいつの義足を覗いたかい。ぽっかり穴が空いてたろう。あれと同じだ。つまらん、下種の女だよ」
フジマサは煙をふかしながら、吐き捨てるようにそう言った。俺はその時、彼に何も言い返さなかった。まったくもって、この坊主崩れの言うことが真であるように思えた。
ミンゴスは決して無口ではなかったが、自分から口を開くことはあまりなく、他の連中と同様に、自身のことを語ることはなかった。話題が面白かろうが面白くなかろうが、相槌はたいてい「チョーウケる」でしかなく、話し上手でも聞き上手でもなかった。
風俗店で働いている日があるというリリコとは違って、ミンゴスが何をして生計を立てているのかはよくわからず、そのくせ、身に着けているものや持ちものはブランドもののまっピンクなものばかりだった。連中はときおり、ヤクの転売めいた仕事に片脚を突っ込んで日銭を稼いでいたが、そういった時もミンゴスは別段やる気も見せず、それでも生活に困らないのは、貢いでくれる男が数人いるからだろう、という噂だけがあった。
もともと田舎の大金持ちの娘なんだとか、事故で片脚を失って以来毎月、多額の慰謝料をもらい続けているんだとか、彼女にはそんな具合で嘘か真実かわからない噂ばかりで、そもそもその片脚を失くした理由さえ、本当のところは誰も知らない。訊いたところではぐらかされるか、訊く度に答えが変わっていて、連中も今さら改まって尋ねることはなく、彼女もまた、自分から真実を語ろうとは決してしない。
しかし、自身の過去について触れようとしないのは彼女に限った話ではなく、それは坊主崩れのフジマサも、ヤクザ上りのキクスイも、自殺未遂を繰り返し続けているレンゲも、義務教育すら受けていたのか怪しいリリコも、皆同じようなもので、つまりは彼らが、己の過去を詮索されない環境を求めて流れ着いたのが、この面子という具合だった。
連中はいつだって互いに妙な距離を取り、必要以上に相手に踏み込まない。見えないがそこに明確な線が引かれているのを誰しもが理解し、その線に触れることを極端に避けた。一見、頭のネジが外れているんだとしか思えないリリコでさえも、いつも器用にその線を見極めていた。だから彼らは妙に冷めていて、親切ではあるが薄情でもあった。
「昨日、キクスイが死んだそうだ」
赤提灯の下、そうフジマサが告げた時、トリカワはいつものように焼き鳥の皮を頬張ったまま、「へぇ」と返事をしただけだった。
「ドブに遺体が捨てられてるのが見つかったそうだよ。額に、銃痕がひとつ」
「ヤクの転売なんかしてるから、元の組から目ぇ付けられたのか?」
サビが半笑いでそう言って、レンゲは昨日も睡眠薬を飲み過ぎたのか、テーブルに突っ伏したまま顔を上げようともしない。
「いいひとだったのにねー」
ケラケラと笑い出しそうな妙なテンションのままでリリコがそう言って、ミンゴスはいつものように、椅子に立てた片膝を抱くような姿勢のまま、
「チョーウケるね」
と、言った。
俺はいつだったか、路地裏で制裁を食らった日のことを思い出していた。初めてミンゴスと出会った日。あの日、俺が命までをも奪われずに済んだのは、奇跡だったのかもしれない。この街では、そんな風に人が死ぬのが普通なのだ。あんなに用心深かったキクスイでさえも、抗えずに死んでしまう。
キクスイが死んでから、連中の日々は変化していった。それを顔に出すことはなく、飄々とした表情を取り繕っていたが、まるで見えない何かに追われているかのように彼らは怯え、逃げ惑った。
最初にこの街を出て行ったのはサビだった。彼は転売したヤクの金が手元に来たところで、一夜のうちに姿をくらました。行方がわからなくなって二週間くらい���った頃、キクスイが捨てられていたドブに、舌先がふたつに裂けたベロだけが捨てられていたという話をフジマサが教えてくれた。しかしそれがサビの舌なのか、サビの命がどうなったのかは、誰もわからなかった。
次に出て行ったのはトリカワだった。彼は付き合っていた女が妊娠したのを機に、故郷に帰って家業を継いで漁師になるのだと告げて去って行った。きっとサビがここにいたならば、「お前の船の網に、お前の死体が引っ掛かるんじゃねぇの?」くらいは言っただろうが、とうとう最後まで、フジマサがそんな情報を俺たちに伝えることはなかった。
その後、レンゲが姿を見せなくなり、彼女の人生における数十回目の自殺に成功したのか、はたまたそれ以外の理由で姿をくらましたのかはわからないが、俺は今でも、その後の彼女に一度も会っていない。
そして、その次はミンゴスだった。彼女は唐突に、俺の前から姿を消した。
「なんかぁ、田舎に戻って、おばあちゃんの介護するんだって」
リリコがつまらなそうに唇を尖らせてそう言った。
「ミンゴスの故郷って、どこなの?」
「んー、秋田」
「秋田。へぇ、そうなんだ」
「そ、秋田。これはマジだよ。ミンゴスが教えてくれたんだもん」
得意げにそう言うリリコは、まるで幼稚園児のようだった。
フジマサは、誰にも何も告げずに煙のように姿を消した。
リリコは最後までこの街に残ったが、ある日、手癖の悪い風俗の客に殴られて死んだ。
「お前、鍵屋で働く気ない? 知り合いが、店番がひとり欲しいんだってさ」
俺は変わらず、この灰色の街でゴミの残滓のような生活を送っていたが、ジャバラにそう声をかけられ、錠前屋でアルバイトをするようになった。店の奥の物置きになっていたひと部屋も貸してもらい、久しぶりに壁と屋根と布団がある住み家を得た。
錠前屋の主人はひどく無口な無骨な男で、あまり熱心には仕事を教えてはくれなかったが、客もほとんど来ない店番中に点けっぱなしの小型テレビを眺めていることを、俺に許した。
ただ単調な日々を繰り返し、そうして一年が過ぎた頃、埃っぽいテレビ画面に「秋田県で殺人 介護に疲れた孫の犯行か」という字幕が出た時、俺の目は何故かそちらに釘付けになった。
田舎の街で、ひとりの老婆が殴られて死んだ。足腰が悪く、認知症も患っていた老婆は、孫娘の介護を受けながら生活していたが、その孫に殺された。孫娘は自ら通報し、駆けつけた警察に逮捕された。彼女は容疑を認めており、「祖母の介護に疲れたので殺した」のだという旨の供述をしているのだという。
なんてことのない、ただのニュースだった。明日には忘れてしまいそうな、この世界の日常の、ありふれたひとコマだ。しかし俺は、それでも画面から目を逸らすことができない。
テレビ画面に、犯人である孫娘が警察の車両に乗り込もうとする映像が流れた。長い髪は黒く、表情は硬い。化粧っ気のない、地味な顔。うつむきがちのまま車に乗り込む彼女はロングスカートを穿いていて、どんなに画面を食い入るように見つめても、その脚がどんな脚かなんてわかりはしない。そこにあるのは、人間の、生身の二本の脚なのか、それとも。
彼女の名前と年齢も画面には表示されていたが、それは当然、俺の知りもしない人間のプロフィールに過ぎなかった。
彼女に限らない。俺は連中の本名を、本当の年齢を、誰ひとりとして知らない。連絡先も、住所も、今までの職業も、家族構成も、出身地も、肝心なことは何ひとつ。
考えてもしょうがない事柄だった。調べればいずれわかるのかもしれないが、調べる気にもならなかった。もしも本当にそうだったとして、だからなんだ。
だから、その事件の犯人はミンゴスだったのかもしれないし、まったくなんの関係もない、赤の他人なのかもしれない。
その答えを、俺は今も知らない。
ミンゴスの右脚は太腿の途中から金属製で、そのメタリックなピンク色の輝きは、無機質な冷たさを宿しながらも生肉のようにグロテスクだった。
「そう言えば、サビってなんでサビってあだ名になったんだっけ」
「ほら、あれじゃん、頭が錆びついてるから……」
「誰が錆びついてるじゃボケ。そう言うトリカワは、皮ばっか食ってるからだろ」
「焼き鳥は皮が一番美味ぇんだよ」
「一番美味しいのは、ぼんじりだよね?」
「えー、あたしはせせりが好き」
「鶏の話はいいわ、愚か者ども」
「サビはあれだよ、前にカラオケでさ、どの歌でもサビになるとマイク奪って乱入してきたじゃん、それで」
「なにそれ、チョーウケる。そんなことあったっけ?」
「あったよ、ミンゴスは酔っ払いすぎて覚えてないだけでしょ」
「え、俺って、それでサビになったの?」
「本人も覚えてないのかよ」
「リリコがリリコなのはぁ、芸能人のリリコに似てるからだよ」
「似てない、似てない」
「ミンゴスは?」
「え?」
「ミンゴスはなんでミンゴスなの?」
「そう言えば、そうだな。お前は初対面の時から、自分でそう名乗っていたもんな」
「あたしは、フラミンゴだから」
「フラミンゴ?」
「そう。ピンクだし、片脚じゃん。ね?」
「あー、フラミンゴで、ミンゴス?」
「ミンゴはともかく、スはどっからきたんだよ」
「あれじゃん? バルサミコ酢的な」
「フラミンゴ酢?」
「えー、なにそれ、まずそー」
「それやばいね、チョーウケる」
赤提灯が揺れる下で、彼女は笑っていた。
ピンク色の髪を腰まで伸ばし、背中にピンク色の翼の刺青を彫り、これでもかというくらい全身をピンクで包んで、金属製の片脚で、街角で、裏路地で、高架下で、彼女は笑っていた。
それが、俺の知る彼女のすべてだ。
俺はここ一年ほど、彼女の話を耳にしていない。
色褪せ、埃を被っては、そうやって少しずつ忘れ去られていくのだろう。
この灰色の街ではあまりにも鮮やかだった、あのフラミンゴ娘は。
了
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【イエローの魔力】 ・ 今までのイメージとは異なる、新たなる作風。 ・ うつわの中に描かれている抽象的なモチーフ。 ・ 何より神々しく輝くイエローに! ・ 力をもらっている。 ・ 勇気をもらっている。 ・ ここに、カレーを盛り付ければ!! ・ そしてカレーを食べたならば!!! ・ さらなるパワーがみなぎってくるに違いない。 ・ やっぱり、カレーといえばイエロー。 ・ イエローといえば、カレー。 ・ このうつわを見つめていたら、沸沸と。 ・ カレー粉と小麦粉で昔ながらの黄色いカレーを作ってみたくなってきた♪ ・ じゃがいも、にんじん、玉ねぎ。 ・ お肉はポークかチキンか、はたまたビーフ!? ・ 兵庫県の陶芸家、#馬川祐輔 さんの#カレーのカタチ ・ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ・ 「カレーのためのうつわ展 ー絶品なうつわ、襲来。ー」 【オンライン店絶賛開催中!!】 ( @aburakame )←から「油亀のweb通販」へどうぞ スパイスカレー弁当のご注文もこちらから ・ 【実店舗 アートスペース油亀 展覧会開催中!!】 2020年10月10日(土)→11月23日(月・祝) open11:00→19:00 入場無料 展示替えのため火曜休廊 会場:アートスペース油亀 岡山市北区出石町2-3-1 ・ マスク着用のうえご来���いただき、会場入り口で手指消毒と検���をお願いいたします。また、体調の悪い方はご来店をお控えください。 感染拡大防止のためにも、みなさまのご理解ご協力を重ねてお願い申しあげます。どうぞよろしくお願いいたします。 ・ 【無印良品にてサテライト展 開催中!!】 2020年10月3日(土)→11月30日(月) open10:00→20:00 入場無料 会期中無休 会場:無印良品 岡山ロッツ Open MUJI 岡山市北区中山下1丁目11-54 LOTZ 4F ・ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ・ #カレーのためのうつわ展#カレー好き#カレー大好き#カレー皿#カレー好きな人と繋がりたい#カレーは飲み物#欧風カレー#スパイスカレー#カレーパン#カレー巡り#カレー部#アチャール#カトラリースタンド#器#うつわ好き#器好き#器好きな人と繋がりたい#器のある暮らし#和食器#アートスペース油亀#油亀#curry#spice#spicecurry#ceramic#pottery#japan ・ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ (アートスペース 油亀) https://www.instagram.com/p/CHNZ_w_l5uL/?igshid=9x1uusas1i6n
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材料(2人前×2食分)
鶏もも肉
2枚
玉ねぎ
1個
にんにく
2片
塩こしょう
少々
砂糖
小さじ1杯
パセリ
大さじ1杯
唐辛子(輪切り)
小さじ1杯
オリーブオイ
3 tbsp
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5月18日(月)のお弁当です😃 今日のメインは「🐔チキンの悪魔風👿」と、「鯛のエスカベーチェ(南蛮漬け)🐟」です。 今週いっぱいはお弁当のテイクアウトの予定にしております。 当日分も有りますので、ご連絡お待ちしています。 チャビーズキッチン 088-874-2277 #チャビーズキッチン #チャビーのお弁当 #チャビーのテイクアウト #イタリアンのお弁当 (Chubby's Kitchen -チャビーズキッチン-) https://www.instagram.com/p/CAUDKCdHhBB/?igshid=tngu7phtjxyo
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いつぞやのディナー(*´∇`*)#アンチョビ と#ガーリック の#サラダ #夏野菜のグリル #じゃがいものトルティージャ #ガーリックトースト #ディアボロチキン #チキン #悪魔風チキン #トルティージャ #夏野菜 #ディナー
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