2023年12月22日に発売予定の翻訳書
12月22日(金)には39冊の翻訳書が発売予定です。ハーパーコリンズ・ジャパンからは14冊が出ます。
日本とベルギー 交流の歴史と文化
岩本和子/編著 中條健志/編著 石部尚登/著 武居一正/著 山口博史/著 渡邉優子/著 ほか
松籟社
ラストコールの殺人鬼
イーロン・グリーン/著 村井理子/翻訳
亜紀書房
シェリング以後の自然哲学
イアン・ハミルトン・グラント/著 浅沼光樹/訳
人文書院
超越論的存在論
マルクス・ガブリエル/著 中島新/訳 中村徳仁/訳
人文書院
エコノミック・ステイトクラフト : 国家戦略と経済的手段
デヴィッド・A・ボールドウィン/ 佐藤丙午/監修・翻訳 国際経済連携推進センター/翻訳
産経新聞出版
親愛なる八本脚の友だち
シェルビー・ヴァン・ペルト/著 東野さやか/翻訳
扶桑社
愛と精霊の館(上)
ノーラ・ロバーツ/著 香山栞/翻訳
扶桑社
愛と精霊の館(下)
ノーラ・ロバーツ/著 香山栞/翻訳
扶桑社
アーサー・マッケン自伝
アーサー・マッケン/著 南條竹則/翻訳
国書刊行会
本当は何があなたを病気にするのか? 上 : あなたが病気について知っていると思ってきたことすべてが間違いの理由
ドーン・レスター/著 デビッド・パーカー/著 字幕大王/翻訳 中村篤史/著
ヒカルランド
答え 第4巻[世界の考え方編]
デーヴィッド・アイク/著 渡辺亜矢/翻訳
ヒカルランド
HEARTSTOPPER ハートストッパー5
アリス・オズマン/著 牧野琴子/翻訳
トゥーヴァージンズ
マンガの描き方
スコット・マクラウド/イラスト 須川宗純/翻訳
国書刊行会
サードフード 上 : エシカルな食の未来を探して
ダン・バーバー/著 小坂恵理/翻訳
NTT出版
サードフード 下
ダン・バーバー/著 小坂恵理/翻訳
NTT出版
幻想の公衆 リップマン
佐々木孝夫/翻訳
一藝社
金より価値ある時間の使い方 1
アーノルド・ベネット/著 河合祥一郎/翻訳
KADOKAWA
忘れたとは言わせない
トーヴェ・アルステルダール/著 染田屋茂/翻訳
KADOKAWA
ドイツ現代刑事法史入門
トーマス・フォルンバウム/著 野澤充/翻訳 公文孝佳/翻訳
成文堂
高原の魔法
ベティ・ニールズ/著 高木晶子/翻訳
ハーパーコリンズ・ジャパン
侯爵と疎遠だった極秘妻
マーガリート・ケイ/著 富永佐知子/翻訳
ハーパーコリンズ・ジャパン
家政婦は籠の鳥
シャロン・ケンドリック/著 萩原ちさと/翻訳
ハーパーコリンズ・ジャパン
野の花が隠した小さな天使
マーガレット・ウェイ/著 仁嶋いずる/翻訳
ハーパーコリンズ・ジャパン
鷹の公爵とシンデレラ
キャロル・モーティマー/著 古沢絵里/翻訳
ハーパーコリンズ・ジャパン
初恋は切なくて
ダイアナ・パーマー/著 古都まい子/翻訳
ハーパーコリンズ・ジャパン
秘書は一夜のシンデレラ
ロレイン・ホール/著 中野恵/翻訳
ハーパーコリンズ・ジャパン
荒野の乙女
ヴァイオレット・ウィンズピア/著 長田乃莉子/翻訳
ハーパーコリンズ・ジャパン
記憶の中のきみへ
アニー・ウエスト/著 柿原日出子/翻訳
ハーパーコリンズ・ジャパン
純粋すぎる愛人
リン・グレアム/著 霜月桂/翻訳
ハーパーコリンズ・ジャパン
ギリシア富豪とナニーの秘密
キム・ローレンス/著 岬一花/翻訳
ハーパーコリンズ・ジャパン
裏切られた再会
ペニー・ジョーダン/著 槙由子/翻訳
ハーパーコリンズ・ジャパン
華やかな情事
シャロン・ケンドリック/著 有森ジュン/翻訳
ハーパーコリンズ・ジャパン
情熱を捧げた夜
ケイト・ウォーカー/著 春野ひろこ/翻訳
ハーパーコリンズ・ジャパン
パパはたいちょうさん わたしはガイドさん
ゴンサロ・モウレ/著 マリア・ヒロン/イラスト 星野由美/翻訳
PHP研究所
ミセス・ハリス、国会へ行く
ポール・ギャリコ/著 亀山龍樹/翻訳
KADOKAWA
REBEL MOON パート1:炎の子
V・キャストロ/著 ザック・スナイダー/イラスト カート・ジョンスタッド シェイ・ハッテン ほか
竹書房
チクタク村はおおさわぎ
イザベッラ・パーリャ/著 フランチェスカ・アイエッロ/イラスト 石井睦美/翻訳
BL出版
セマンティックエラー 2
J. Soori/著 ハンナオ/翻訳 武石文子/翻訳
すばる舎
スポーツ (手のひら図鑑:16)
クライヴ・ギフォード/著 ブライアン・バーンズド/著 スティーブン・コンウェイ/著 ほか
化学同人
0 notes
科学的歴史観(科学的人間観)
なんという名前で呼べばいいのかわからないが、人に関する大きな歴史を科学的な視点から見ることに、ここ5年ほどはまっている。これはたぶん一過性の興味ではないと思う。この興味が尽きるときは、本当の老いとの道行きがはじまるとき、なのだろう。待ち遠しい、とはいわないにしても、それ���それで受け入れたいと思う。自然さは自分の信条だから。
でもこれは、どうやら個人的な興味云々ではなく、世界的な知的な一つの傾向らしい。
「ビッグ・ヒストリー」ないし「オリジン・ストーリー」。
その焦点は「人とは何か」に合わされている。徹底して、と言ってもいい。単なる宇宙論、物質論、時間論、考古学、地質学、気候学、生物学、文明論、歴史学単体ではなく、それらの総合として「人」を理解しようとしている。
人間理解という意味では、心理学や哲学に対抗する視点かもしれない。心理学や哲学が、人のある部分に焦点を合わせて専門的に見ていくのに対して、外側から(空間的にも時間的にも)、「世界」という視点から、総合的に見ようとしている。
そういう視点から人のすべての営為を見ようとしいる。たとえば哲学に関しても、その内容を問うのではなく、人はなぜ哲学という問いを問うのか、なぜそのように問う存在になったのか、そのように問うた結果どのような者になったのか、を考えるようなアプローチだ。
そしてそのアプローチの精神において100%「科学的」である。観測された事実を元に仮説を立てて検証する、という姿勢である。そこでは「空想」は注意深く選り分けられる。
たとえば、「空想」についていえば、単に空想で出した結論は完全に却下される一方、空想こそがさまざまな仮説を生み出す元であり、それが多くのものを生むことは、積極的容認される。人とは、そういう「空想」=イマジネーションによって、人になってきたところの者である、ということは観測される事実であるから。
空想で結論を出す、たとえば宗教のような行為についても、科学的でないと否定するのではなく、なぜ宗教を人は抱くのか、を問うような立場である。それは芸術についても同じだ。
宗教も芸術も、いわば空想やフィクションの産物である。でも、空想やフィクションは人の持っている大事な要素だし、およそおろそかに扱っていいものではない。
自分が読んだ、読んでいる、そういうことを扱っている書物は、以下のようなものである。
自分は、そういう中で自分が体験してきた「デザイン」というものを語りたいと思う。
それは一言で言えば、「現象」に抱く感情、という視点といえばいいか。端的にいえば、それは「表現」の問題である。人とは「顕れ」に対する反応体である、そんな視点かと思う。
誰もそれを語っていないから、自分はそれを語りたいと考えている。
「137億年の物語」ーー宇宙が始まってから今日までの全歴史(クリストファー・ロイド)
「生命40億年全史」(リチャード・フォーティ)
「サピエンス全史」ーー文明の構造と人類の幸福(ユヴァル・ノア・ハラリ)
「ホモ・デウス」ーーテクノロジーとサピエンスの未来(ユヴァル・ノア・ハラリ)
「オリジン・ストーリー」ーー138億年全史(デイヴィッド・クリスチャン)
「21 Lessons」ーー21世紀の人類のための21の思考(ユヴァル・ノア・ハラリ)
「ファスト&スロー」ーーあなたの意思はどのおゆに決まるか?(ダニエル・カーネマン)
「神々の沈黙」ーー意識の誕生と文明の興亡(ジュリアン・ジェインズ)
「眼の誕生」ーーカンブリア紀大進化の謎を解く(アンドリュー・パーカー)
「世界史」(ウィリアム・H・マクニール)
「人類20万年」ーー遙かなる旅路(アリス・ロバーツ)
「ヒューマン」ーーなぜヒトは人間になれたのか(NHKスペシャル取材班)
「ユーザーイリュージョン」ーー意識という幻想(トール・ノーレットランダージュ)
「ワンダフルライフ」ーーバージェス頁岩と生物進化の物語(スティーブン・ジェイ・グールド)
「New Scientist 起源図鑑」ーービッグバンからへそのゴマまで、ほとんどあらゆることの歴史(グレアム・ロートン)
など。
7 notes
·
View notes
『アウェイデイズ』日本公開版オリジナルメインビジュアル完成!
待望の日本オリジナルメインビジュアル完成!
待望の『アウェイデイズ』日本公開版オリジナルメインビジュアルが完成。悪名高き“パック”が好んで身にまとったピーター・ストーム社のナイロンアノラック、カグールのモスグリーンを思わせる緑色は、それともフットボールスタジアムのピッチなのか? そこに佇む7人の男たちが見つめる先はバラバラだ。足元から伸びる影には大きな亀裂が入っているようにも見える。いずれにしても女性の姿はどこにもなく、男臭さが否応なく充満したメインビジュアルとなっている。デザインは『ノーザン・ソウル』(2014年)、『グッド・ヴァイブレーションズ』(2012年)などを手がけた武田明徳(VOX)。このメインビジュアルのチラシは近日上映劇場にて配布が開始される。
映倫審査の結果レイティングは〈R18+〉に
また、公開決定発表時には完了していなかった映倫審査の結果、レイティングは〈R18+〉に。鑑賞できるのは18歳以上となる。尚、本編の修正は一切ない。
終わりなんだろ?俺たちはもう…
語られる事の無かった<カジュアルズ>黎明期を描いた、破れかぶれの青春の物語。
1979年、ポストパンク時代のイングランド北西部マージーサイド州バーケンヘッド。カーティとエルヴィスはEcho & The Bunnymenのギグで運命的な出会いを果たす。2人の間には誰にも邪魔することの出来ない友情が芽生えるのだが、それは互いに惹きつけ合いながらもどこか不安定で、いつ壊れてもおかしくないコントロール不能なものだったー。圧倒的な暴力とセクシャル、そしてロックンロールに満ち溢れた『アウェイデイズ』の世界。Joy Division、The Cure、Magazine、Echo & The Bunnymen、Ultravoxの音楽をバックに、若者たちが自らの拠りどころを探し、絶対的な者へ憧憬を抱き、“族”の中で避ける事の出来ない運命にもがき苦しむ様をリアルに映像化している。これまで日本ではほとんど紹介されることの無かった英国フットボール発祥の文化“Football Casual”<カジュアルズ>の黎明期を初めて切り取った本作は公開当時『さらば青春の光』(1979年)、『トレインスポッティング』(1996年)、『コントロール』(2007年)、『スタンド・バイ・ミー』(1986年)等の映画を例えに、これら全ての要素を詰め込んだ『ライ麦畑でつかまえて』(J・D・サリンジャー著/1951年)のジャックナイフ版であると紹介された。本国公開より11年の月日を経て遂に日本での劇場公開が決定。英国青春映画の足りなかったピースがようやく埋まろうとしている。
カジュアルズとは?
一般的にイングランドでは毎週末にサッカースタジアムに通う労働者階級のファッションを“Football Casual”と呼ぶ。フーリガンの別称として“カジュアルズ=Casuals”という言葉を使う向きがあるが、Football Casualという言葉自体は80年代に入ってから雑誌がカテゴライズして広まった言葉であり、70年代の終わりに、何千というリヴァプールのサポーターたちがチームに帯同してヨーロッパをまわりアディダスのスニーカーを手に入れ、それを履いてロンドンのチームとの試合に行く、それを見たロンドン子たちが衝撃を受け真似ていったという大きな流れがある。リヴァプールでは自分��ちを“Scallys”と呼び、カジュアルズはロンドンでの呼称として広まった。まずフットボールありきで、スタジアムに入り易くするためにスポーツブランドに身を隠す様になったと言われている。
劇中を彩るポストパンク、ニューウェイブの名曲群!
YOUNG SAVAGE/ULTRAVOX
DECADES/JOY DIVISION
THE RASCALS/ALL THAT JAZZ
NAG NAG NAG/CABARET VOLTAIRE
JUST FOR A MOMENT/ULTRAVOX
THE LIGHT POURS OUT/MAGAZINE
DISLOCATION/ULTRAVOX
SLOW MOTION/ULTRAVOX
TOP YOURSELF/AMNESIACS
10.15 SATURDAY NIGHT/THE CURE
INSIGHT/JOYDIVISION
GAUDETTE/STEELEYE SPAN
24 HOURS/JOY DIVISION
GOING UP/ECHO & THE BUNNYMEN
『アウェイデイズ』
プロデューサー:デヴィッド・A・ヒューズ
監督:パット・ホールデン
脚本:ケヴィン・サンプソン(原作「AWAYDAYS」ケヴィン・サンプソン著)
出演:ニッキー・ベル、リアム・ボイル、スティーブン・グレアム、イアン・プレストン・デイビーズ、ホリデイ・グレインジャー、サシャ・パーキンソン、オリヴァー・リー、ショーン・ワード、マイケル・ライアン、リー・バトル、レベッカ・アトキンソン、ダニエレ・マローン、デヴィッド・バーロウ、アンソニー・ボロウズ 他
原題:AWAYDAYS|2009年|イギリス|105分|カラー|ビスタ|5.1ch|DCP|R18+
© Copyright RED UNION FILMS 2008
本国公開2009年5月22日|日本語字幕:額賀深雪|日本語字幕監修:イノベヒロキ(LRF)
宣伝:VALERIA|配給:SPACE SHOWER FILMS
公式HP|awaydays-film.com
公式twitter|@awaydays_film
公式facebook|@awaydays.film.japan
『アウェイデイズ』
10/16(金)より新宿シネマカリテほかにてロードショー!以降、全国順次公開!
© Copyright RED UNION FILMS 2008
back to HOME back to MOBSPROOF back to MOBSPROOF web page
0 notes
悪いように見えて、実はよいアイデア - 『逆説のスタートアップ思考』
逆説のスタートアップ思考 (中公新書ラクレ 578)
作者: 馬田隆明
出版社/メーカー: 中央公論新社
発売日: 2017/03/08
メディア: 新書
この商品を含むブログを見る
Taka Umadaさんの著書「逆説のスタートアップ思考」を読んだ。この中でまるまる一章を割いて説かれているのが「スタートアップを始めるうえでアイデアの重要性」である。こんな一節から始まる。
スタートアップは全て「アイデア」から始まります。アイデアが悪ければ、どんなに優れたチームやプロダクト、または実行力が備わっても、急成長することはできません。アイデアという根本的な部分を間違うと、その後の事業全てが破綻します。
僕が先日翻訳を行ったポール・グレアムのエッセイ『How to Get Startup Ideas』でも”アイデア選定の重要性”についてのメッセージが強く打ち出されている。
スタートアップには多くの人が「わずかにほしいモノ」か、少数の人が「強く望むモノ」のいずれかを作ることができる。この場合、後者を選ぶことだ。後者のタイプのアイデアのすべてが良いスタートアップアイデアとは限らないが、成功したほぼすべてのスタートアップアイデアは後者のタイプだ。
スタートアップは断続的な成長ではなく、急成長を目指す企業体だ。この本では、スタートアップにとってのアイデアは「悪いように見えて、実はよいアイデア」であること、そして「考えるのではなく気づくことだ」とまとめられている。
― 「悪いように見えるアイデア」のほとんどは「悪いように見えて、本当に悪いアイデア」であることから、その選定には極めて注意が必要だ、という但し書き付きで、ね。
評価 : ★★★★★ (5)
自分を含めて、これからスタートアップを通じて新たなアイデアを検証していく際には、以下のような不安がつきまとうのではないだろうか。
「スタートアップのためのアイデア」はどのように生み出すべきなのか?
どういう性質のものであるべきなのか?
アイデアをどうやって評価すればよいか?
この本はそういった疑問に対して、”ものさし”になるような本だ。簡潔で、読みやすい。著者の意図がとても反映されている。
「読みやすかった」っていう感想が結構嬉しいです。内容の独自性よりも、分かりやすさと有用性のほうに振ってるので…。
— tumada (@tumada) 2017年3月14日
この記事では特に1. 生み出し方と 2. 性質 について特筆すべき点を引用付きで紹介したい。 またこの本には「悪そうに見えて、実はよいアイデア」なのかどうかを検証する『アイデアのチェックリスト』が付いている。これは起業家や投資家の発言から、3.アイデア評価をするための軸を与えてくれる素晴らしいまとめだ。こちらも合わせて紹介させてもらいたい。
1 / アイデアの生み出し方 - 考え出すのではなく「気づく」
スタートアップのアイデアは、ポール・グレアムが言うところの”Organic”に生まれることが望ましい、というのはこの本でも度々説かれている。
反直観的ではありますが、急成長するスタートアップのアイデアは考えようとしてはいけない、ということです。アイデアは考えるのではなく、気づく必要があります。だからまずは自分の体験やたくさんの人たちのやっていることに注意を払ってみる。それがスタートアップのアイデア探しの方法だといえます。
もう少し別の確度からアイデアに気づく方法も紹介されている。それが反領域的な場所を選ぶことだ。
反領域的な場所で探す
グーテンベルクが活版印刷機を発明できたのは、ぶどう圧搾機を見て、それが印刷に使えることを思いついたからと言われています。別のところで発達した知識やツールを他の領域に応用するような反領域的な試みは、新しいイノベーションのきっかけとなり得ます。
この「ある領域Aで有用な手法を別の領域Bへ持ち込むこと」は「領域Aに近すぎず、自分が専門性をもつ領域Bを選ぶ」という条件がつくように思える。現Y Combinatorの社長であるサム・アルトマンは「流行のアイデアをもとにしたスタートアップの投資は1つ例外を除いてうまくいかず、逆に他の投資家が断ったようなスタートアップへの投資の方が良い成果を出している」とも話しており、領域Bを選ぶことには相応の難しさが伴うことがわかる。
領域Bにとって「新しい価値」となる手法を選定し、正しく持ち込むこと。そのセンスは自分の経験や観察からOrganicにアイデアを生み出すこととそう難易度は変わらないかもしれない。注意を配り、気付きを捉えられるよう集中力を��めていきたい。
2 / アイデアの性質 - 悪いように見えて、実はよい
生まれたアイデアは「どのようなものであると良い」のだろうか?その答えは「やってみるまでわからない」が本当のところであるが、殆どのアイデアは「悪そうに見えて、単に悪いアイデア」であり、「悪そうに見えて、良いアイデア」を選ぶことをこの本は何度も強調している。そしてそれは本当に難しい、とも。
「悪く見えるアイデア」を選ぶとは言えピーター・ティールの「賛成する人がほとんどいない大切な真実」という言葉で重要なのは、賛成する人がほとんどいないけれど、それは真実である、という条件を含んでいることです。この条件をみたすのは、本当に難しいことです。
(中略)
繰り返しますが、このポイントは何度でも強調させてください。ほとんどの悪く見えるアイデアは単に悪いアイデアです。
では「悪いように見えて、実は良いアイデア」とは別の確度から観察するとどういうものなのか。共通する特徴を抜き出してみる。
「難しい課題」のほうが簡単
この本のタイトルが"逆説の”となっている理由は、スタートアップを成功させるための思考法は時として「論理的に考えて正解と思われることの逆を実施したほうが成功に近い」というパラドックスがあるからだ。
もう一つ、スタートアップにとって反直観的で重要な事実として、「難しい課題のほうがスタートアップは簡単になる」というものがあります
難しい課題は「社会的な意義」を含むことが多く、そのミッションやバリューがGoogle で広告のチューニングのために働くエンジニアがスタートアップへ移る理由にもなる。多くの人が手伝ってくれる「大義名分」が得やすいのだ。また難しい課題ほど手付かずのまま市場が残っていることが多く、競争が激しくなかったり、大きなアップサイドが生まれる。直観的に無理だ、と思ったアイデアこそスタートアップ向きのアイデアなのだ。
良いアイデアは「面倒」
誰もやりたがらない面倒な課題を選ぶことも、反直観的ながらスタートアップにとって極めて有効なアイデアとなる。例えば世界中への貨物輸送を最適化するFlexportのアイデアは、紙で行われていた積荷目録をすべてデータベースへ置き換えるという「面倒」な仕事から始まった。
Flexport という貨物の輸送を可視化できるサービスを提供したスタートアップは、世界中の運送業者のデータベースを用意し、それを無料のソフトウェアとして提供することで、運送をより効率化する土台を整えました。彼らはこれまでメールやFAX,紙で行われていた積荷目録を一つひとつデータ化していき、「規制機関から認可が下りるまでに2年かかる」という面倒な作業を乗り越え、現在、世界の物流を効率化するサービスとして注目を集める用になっています。彼らの取り組んだ課題は、業界内で課題として認識されていたものの、面倒だし、退屈で、誰もが無視していた課題です。それに取り組んだ結果、大きな成長を遂げることができました。
大きな仕事をしようとすればするほど法律や規制、既得権益などが絡み、面倒な仕事はたくさん発生することになります。そうした領域に踏み込むことは誰もが嫌がります。しかし裏返せば、面倒な仕事は誰もがやりたがらないため、大きな課題と市場が手付かずで残っている場合があります。
”インターネット世代のための仲業者”と銘打つFlexport
シンプルだが、説明しにくい
難しかったり、異様に「面倒」だっとしてもスタートアップの提��するプロダクトはシンプルであるべきだ。一方でその概念は説明しにくい。「既存のカテゴリーにはまらない、事業内容を説明しにくいもの」だからだ。
今でこそ大衆に広く認知され始め、時価総額兆円クラスを超えるAirbnb やUber も、プロジェクトが生まれた数年前にはそのアイデアは「シンプルだが、説明しにくい」ものの代表例だった。(いや、いまもそうかもしれない)
Airbnb のアイデアは「他人の家の空きスペースに泊まる」という極めてシンプルなものです。Uber の仕組みも「見知らぬ他人の車をスマートフォンで呼び出して相乗りする」とシンプルに説明ができるでしょう。しかし、こうした説明を彼らの登場前に初めて聞いたとすれば、おそらく「まさか」と反応してしまうアイデアだったのではないでしょうか。言い換えるならば、シンプルな表現で意味自体はわかっても、意味する内容はわかりづらいアイデアだといえます。
Umadaさんが公開しているスライドの中では、スタートアップのアイデアが説明しにくい理由が以下のようにまとめられている。
脱領域的でカテゴリがない
適切な言葉がまだ無い
創業者も真の意味がわかっていない
よりよい、ではなく「異なるもの」
従来のソリューションの生産性を倍にするようなソリューションはスタートアップには向かない。なぜならスタートアップには信頼がなく、2倍程度の性能差では大手が提供するソリューションをリプレイスできないからだ。信頼のないスタートアップが既得権益を置き換えるには10倍の性能を提供する必要がある。そしてそれは「よりよい」ものではななく、「異なるもの」だ。Amazonに買収されたKiva Systems(現・Amazon Roboticsはその典型とも言える。10倍の性能を持つものは総じて「狂ったアイデア」だ。
スタートアップの製品は従来のものに比べて、性能で10倍、もしくはコストやかかる時間で10分の1を実現する必要があると言われます。
(中略)
Amazonに約650億円で買収された、仏隆寺魚を手がけるKiva Systemsは、それまで避けられないと思われていた「物流センターで人が移動しながらピッキング作業や物の持ち運びをすること」を問題として捉え、それをロボットという、2003年の設立当時からすると「狂ったアイデア」で解決しようとしました。しかもロボットが人のように取りに行くのではなく、ロボットが棚の下に入り込み、商品の載った棚を乗せて人のもとに持ってくるようなやり方で、です。普通はそこで、どうやったら効率的な棚の配置をするかや、小型のセグウェイのようなものを使って人間の移動を速くする、などを考えるでしょう。しかし彼らは棚自体を動かすことを考えました。
”Amazon is able to quickly package and ship millions of items to customers from a network of fulfillment centers all over the globe.”
3 / アイデアの評価 - チェックリストと照らし合わせてみる
ここまで「悪いように見えて、実はよいアイデア」がどうやって生まれ、そしてどういう”習性”をもつのか、について見てきた。しかし仮にアイデアを生み出し幾つかの習性を満たしていたとしても、そのアイデアを自分自身で「良いものだ」と評価するのは難しい。”一見悪いアイデアに見える”、”言葉にするのが難しい”、”自分にしか気づいていない真実を含んでいる”のだから当然だ。そういうアイデアを評価する上で最も参考になるのは、過去に「悪いように見えて、実はよいアイデア」を生み出し、育てたことのある先人の経験だ。この『逆説のスタートアップ思考』にはその先人の発言が引用され、チェックリストとしてまとめられている。
あなたのアイデアがその全てに応えられる必要はないと思いますが、検証の一つの指針にはなるはずです
何かのアイデアが浮かんだとき、それを測る物差しとしてどれか一つの問に当てはめて考えてみる、というのはとても有用なフレームワークになる。そしてその行為はいつでも、どこでも、そしてどんな起業家にとっても可能であることのほうが日本のエコシステムにとっては正なはずだ。
シリコンバレーで先んじて培われてきたスタートアップの方法論について多くの方にご理解いただき、そしてたくさんの人達がスタートアップに挑戦できる環境を作る一助ができればと考えています。
という著者ご本人の意図にも合致すると考え、チェックリストにまとめられた発言をまるまる紹介させていただく。
※ご本人・出版社から許可もいただきました。
アイデア
悪いように見えて、実は良いアイデアですか(サム・アルトマン)
賛成する人のほとんどいない、自分だけが知っている大切な真実を前提としたアイデアですか(ピーター・ティール)
自分しか知らない秘密を使ったアイデアですか(クリス・ディクソン)
週末に頭のよい人達がやっているようなアイデアですか(クリス・ディクソン)
「私はどんな問題を解決すべきなのか」を考える代わりに、「誰かが解決してくれるなら、どんな問題を片付けて欲しい?」と考えてみましたか(ポール・グレアム)
誰も築いていない、価値ある企業とはどんな企業でしょうか(ピーター・ティール)
検証
そのアイデアは考え出した(think up)ものではなく、気付いた(notice)ものですか(ポール・グレアム)
アイデアよりも人に注目して、特に病的なまでに活気にあふれていて独立心旺盛な人に注目して気付いたアイデアですか?(ポール・グレアム)
何かを模倣したようなアイデアではないですか(ポール・グレアム)
人にアイデアを話すときに、多くの場合は理解をしてもらえずに痛みを覚えるようなアイデアですか(バカにされますか)(クリス・ディクソン)
アイデアを秘密になんてしていませんか(クリス・ディクソン)
「Why Now?」の問いに答えられますか?なぜ2年前だと早すぎて、2年後だと遅いのですか(セコイア・キャピタル)
「Why You?」の問いに答えられますか?他人ではできず、自分しかできない理由はなんですか。たとえばあなたの知的好奇心や専門性があるものですか(ポール・グレアム)
自分の直接的な体験から気づいたアイデアですか(クリス・ディクソン)
他人やプロから見ると、それはおもちゃのようなものですか(クリス・ディクソン)
今の社会的規範の反しているように見えますか(クリス・ディクソン)
一部の投資家だけにしか刺さらず、多くの投資家からは悪いアイデアだと思われるようなものですか(サム・アルトマン)
スタートアップをするために作ったようなアイデアではなく、自然発生的に出てきたものですか(ポール・グレアム)
未来を考えたときに、今現在掛けているものであり、未来にあるべきようなものですか(ポール・ブックハイト)
課題
これまで見落とされていたような問題ですか(ポール・グレアム)
ミッションを持って取り組んでいる困難な課題ですか(サム・アルトマン)
Google でも他の会社でも、より高給でより高い地位につける人が、20番目のエンジニアとして穴開他の会社を選ぶ理由のあるアイデアですか(ピーター・ティール)
そのアイデアの実行は苦行や面倒を伴うもので、だからこそ誰も手を出していないものですか(ポール・グレアム)
歯ブラシテスト(一日に利用する歯ブラシの回数である2回を超えて毎日訪問する価値があるようなサービスかどうか)をクリアしますか?(ラリー・ペイジ)
技術
最新の技術によって、新たに解決できる問題にいち早く気づけたようなアイデアですか(ポール・グレアム)
2倍や3倍ではなく、10倍以上と言った、桁違いの効率向上やコストダウンを実現できるものですか(ベン・ホロウィッツ)
コストやサイクルタイムが急激に変化している技術領域ですか(サム・アルトマン)
既存の技術でも、新しい組み合わせによるものであったり、新しい領域に挑むものですか(スティーブン・ジョンソン)
戦略
今はまだ小さな市場から始まるものですか(ピーター・ティール)
その小さな市場を独占できますか(ピーター・ティール)
急成長している市場ですか(サム・アルトマン)
このまま正しく進めていけばどれだけ大きな企業になりえますか(ポール・グレアム)
競合がいて、それに対する優位性を語れますか(競合はいない、と言うのはよくない答えです)
スケールしないことから始めていますか(ポール・グレアム)
おわりに - スロー思考をうまく使う
人の判断メカニズムを心理学的な実験と、統計学的なアプローチで読み解いたファスト&スローという名著がある。*1
ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
作者: ダニエル・カーネマン,村井章子
出版社/メーカー: 早川書房
発売日: 2014/06/20
メディア: 文庫
この商品を含むブログ (24件) を見る
反直観的なアイデア、というのはそれに気付いたとしても見逃されがちなアイデア、になりうる。 ファスト&スローの著者であるダニエル・カーネマンによると人間の思考や判断は、2つのシステムによって制御されている。ほとんどの判断は人間自身を守るために殆どが”直観的”になされる(ファスト思考・システム1)。一方で反直観的で疑い深い思考というのはカロリーを多く使い、非常に怠け者だ(スロー思考・システム2)。
システム1とシステム2の分担は、きわめて効率的にできている。すなわち、努力を最小化し成果を最適化するようになっている。ほとんどの場合に仕事の配分がうまくいくのは、システム1がだいたいにおいてうまくやっているからだ。慣れ親しんだ状況についてシステム1が作り上げたモデルは正確で、目先の予測もおおむね正しい。難題が降りかかってきたときの最初の反応も機敏で、だいたいは適切である。ただしシステム1にはバイアスもある。バイアスとは、ある特定の状況で決まって起きる系統的エラーのことである。これから見ていくように、システム1は本来の質問を易しい質問に置き換えて答えようとするきらいがあるうえ、論理や統計はほとんどわかっていない。システム1のもう一つの欠陥は、スイッチオフできないことである。たとえば自分の国の言葉が画面上に現れたら、注意が完全にほかのことに向いているときは別として、ついつい読まずにはいられない
(中略)
システム1は衝動的で直感的であり、システム2は論理思考能力を備えていて注意深い。しかし、少なくとも一部の人のシステム2は怠け者である。そしてこのことに関連するちがいが人々の間に見受けられる。すなわち、システム2を使いたがる人もいれば、システム��寄りの人もいる
スタートアップのアイデアに気づく、そして検証するというのは、この日頃眠るスロー思考を叩き起こし、日常を観察することから始めることではないだろうか。だからこそ人が気づけないアイデアに出会えるのであり、そのアイデアがスタートアップをスタートアップたらしめてくれるのだと思う。スタートアップを始めるためにアイデアを探してはいけない、とポール・グレアムは説く。一方で、スタートアップ向きのアイデアはそれを探せるようにスロー思考へ意識的にスイッチを入れないと見つからない、というのも逆説的な真実なのではないだろうか。
最後に『逆説のスタートアップ思考』が、多くの人に届き、こういった「一見受け入れがたい真実」が共通認識として広まり、チャレンジしやすい社会になれば僕も嬉しい。システム2を叩き起こして、次のアイデアを見つけられるモードにスイッチを入れよう。
逆説のスタートアップ思考 (中公新書ラクレ 578)
作者: 馬田隆明
出版社/メーカー: 中央公論新社
発売日: 2017/03/08
メディア: 新書
この商品を含むブログを見る
*1:上下巻セットで、未だ上巻の70%しか読めていない。。
via Yamotty Blog http://ift.tt/2nsGyAf
0 notes
なんという名前で呼べばいいのかわからないが、人に関する大きな歴史を科学的な視点から見ることに、ここ5年ほどはまっている。これはたぶん一過性の興味ではないと思う。この興味が尽きるときは、本当の老いとの道行きがはじまるとき、なのだろう。待ち遠しい、とはいわないにしても、それはそれで受け入れたいと思う。自然さは自分の信条だから。
でもこれは、どうやら個人的な興味云々ではなく、世界的な知的な一つの傾向らしい。
「ビッグ・ヒストリー」ないし「オリジン・ストーリー」。
その焦点は「人とは何か」に合わされている。徹底して、と言ってもいい。単なる宇宙論、物質論、時間論、考古学、地質学、気候学、生物学、文明論、歴史学単体ではなく、それらの総合として「人」を理解しようとしている。
人間理解という意味では、心理学や哲学に対抗する視点かもしれない。心理学や哲学が、人のある部分に焦点を合わせて専門的に見ていくのに対して、外側から(空間的にも時間的にも)、「世界」という視点から、総合的に見ようとしている。
そういう視点から人のすべての営為を見ようとしいる。たとえば哲学に関しても、その内容を問うのではなく、人はなぜ哲学という問いを問うのか、なぜそのように問う存在になったのか、そのように問うた結果どのような者になったのか、を考えるようなアプローチだ。
そしてそのアプローチの精神において100%「科学的」である。観測された事実を元に仮説を立てて検証する、という姿勢である。そこでは「空想」は注意深く選り分けられる。
たとえば、「空想」についていえば、単に空想で出した結論は完全に却下される一方、空想こそがさまざまな仮説を生み出す元であり、それが多くのものを生むことは、積極的容認される。人とは、そういう「空想」=イマジネーションによって、人になってきたところの者である、ということは観測される事実であるから。
空想で結論を出す、たとえば宗教のような行為についても、科学的でないと否定するのではなく、なぜ宗教を人は抱くのか、を問うような立場である。それは芸術についても同じだ。
宗教も芸術も、いわば空想やフィクションの産物である。でも、空想やフィクションは人の持っている大事な要素だし、およそおろそかに扱っていいものではない。
自分が読んだ、読んでいる、そういうことを扱っている書物は、以下のようなものである。
自分は、そういう中で自分が体験してきた「デザイン」というものを語りたいと思う。
それは一言で言えば、「現象」に抱く感情、という視点といえばいいか。端的にいえば、それは「表現」の問題である。人とは「顕れ」に対する反応体である、そんな視点かと思う。
誰もそれを語っていないから、自分はそれを語りたいと考えている。
「137億年の物語」ーー宇宙が始まってから今日までの全歴史(クリストファー・ロイド)
「生命40億年全史」(リチャード・フォーティ)
「サピエンス全史」ーー文明の構造と人類の幸福(ユヴァル・ノア・ハラリ)
「ホモ・デウス」ーーテクノロジーとサピエンスの未来(ユヴァル・ノア・ハラリ)
「オリジン・ストーリー」ーー138億年全史(デイヴィッド・クリスチャン)
「21 Lessons」ーー21世紀の人類のための21の思考(ユヴァル・ノア・ハラリ)
「ファスト&スロー」ーーあなたの意思はどのおゆに決まるか?(ダニエル・カーネマン)
「神々の沈黙」ーー意識の誕生と文明の興亡(ジュリアン・ジェインズ)
「眼の誕生」ーーカンブリア紀大進化の謎を解く(アンドリュー・パーカー)
「世界史」(ウィリアム・H・マクニール)
「人類20万年」ーー遙かなる旅路(アリス・ロバーツ)
「ヒューマン」ーーなぜヒトは人間になれたのか(NHKスペシャル取材班)
「ユーザーイリュージョン」ーー意識という幻想(トール・ノーレットランダージュ)
「ワンダフルライフ」ーーバージェス頁岩と生物進化の物語(スティーブン・ジェイ・グールド)
「New Scientist 起源図鑑」ーービッグバンからへそのゴマまで、ほとんどあらゆることの歴史(グレアム・ロートン)
など。
1 note
·
View note