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#私は楽器部品に堕ちました
guitar-ijiri-house · 2 months
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【セリア】100均トランプ兵がストリングガイドの台座に!?【私は楽器部品に堕ちました 第4堕】 _ ギターいじリストのおうち
A simple modification to an electric guitar using a playing card soldier shaped charm purchased from the 100 yen store Seria!
The thickness is close to that of the string guide base, so it can be used in place of the base!
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hachinana87 · 1 year
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ハミルトン劇評翻訳
ハミルトン独語版(ハンブルグ公演)プレミアおめでとう〜!ということで戯れに2016年のハミルトン評を訳してみました。そもそもこの作品の何が凄いのか?というのが解題されてて面白いです。
なぜハミルトンがミュージカルの歴史を作るのか 
サラ・チャーチウェル  2016.11.5 
【このカッコは私の注釈です。英語やミュージカル全然詳しくないので誤訳必須。気になる方は原文↑読んでね。この記事は初演一年近くすぎて英国公演が迫ってきた時の記事で、ちょうどブレジグットのときでした】 
建国の父アレクサンダー・ハミルトンがブロードウェイのヒップホップミュージカルの意外なスターになっている。来年には来英するが、移民の包括の描写はこれ以上ないと言うほどタイムリーなものだろう 
 7月23日の夜、私はニューヨークの劇場にいて、彼の国の独立、そして連邦政府のために奔走した男についてのミュージカルを見ていた。ジョージ3世が「太海は隆起し、帝国は堕ちる/その間助け合ってきたじゃないか」と歌う間、英国ではヨーロッパ連合を離れるか否かの投票が行われていた。『ハミルトン』がアメリカの独立の物語を来年ロンドンに持っていく頃には、その約束された成功はあらゆる種類の歴史の皮肉を描き出すだろう。 
 『ハミルトン』はアメリカン・ミュージカルの歴史にとって滅多にない変革的経験となった。『ショウボート』や『オクラホマ!』、『ウエスト・サイド物語』のようなゲーム・チェンジャー。その後に出るものを永遠に作り替える革新的な作品となった。しかしこれらの先駆の作品などと違って、ハミルトンは一人の男、リン=マニュエル・ミランダーー作曲・作詞・脚本を全て担ったーーによって作られたのだ(スティーブン・ソンドハイムも同じように全てを担ったが、彼の作品はブロックバスターではなかった)。『ハミルトン』はアメリカのポップミュージックのサウンドトラックと、歴史上最も独創的な脚本を使いながら、アメリカの歴史と現在の政治を結びつける。結果的に、ショウのなかのほとんど全ての歌が複雑な歴史劇コンサートとなる。古風な音楽と現代的な音楽の重なり合いは、歴史上の出来事と現在の政治と混じり合うのと同じようにそれぞれのレイヤーを重ねる。2年もしない間に、「ハミルトン」はボックスオフィスの記録を塗り替え一ー1億ドル以上のチケットを売り上げたーー、演劇関係の賞を総なめにし(ピューリッツァー賞戯曲部門を含む)、他の作品ではこれまでなかったような大仰な賞賛を集めた。しかし「ハミルトン」はそのすべての賞賛を超える作品である。 
 ミランダが休暇中にロン・チャーナウのアレクサンダー・ハミルトンの自伝を読んだ時、彼はすでに成功したミュージカルを作っていた(『イン・ザ・ハイツ』)。(この気まぐれのお陰でロン・チャーナウは『ハミルトン』の売り上げの1%を手にすることとなり、金持ちになった)ハミルトンはアメリカの歴史上の一種の変質を表象していていた。建国の父でありながら、歴史から神話に作り変えられることはなかった。それには多くの理由がある。ハミルトンの立ち位置が今の神話に相容れないものであると言うことは無視できない点だ。例えば彼はエリート主義を公言したし、終身大統領制度を支持した。彼が推進した連邦政府の拡大は1794年のウイスキー反乱を引き起こしたが、それは暴力的に鎮圧された。これらの事実はミランダの「若く、貧しく、飢えた」西インド諸島からの移民が、知能と努力と大胆さでアメリカン・ドリームを掴むというミュージカルには出てこない部分である。ミランダは移民社会と平等主義と業績主義のシンボルとしてハミルトンを讃える神話を作った。歴史の視点で言えば拡大解釈だが、演劇的には天才的な所業だ。 
 ハミルトンはアメリカ独立のヒーローとなり、ジョージ・ワシントンの右腕となり、アメリカ初代財務大臣となり、連邦政府の州政府に対する上位性を示す文献的根拠となった「フェデラリスト・ペーパー」の共同執筆者(ジェームス・マディソンと共同)となる。国立銀行について論争し、国の証券や国債を作り、アメリカの経済的成功の礎を築いた。彼のドラマチックな人生は現職の副大統領アーロン・バーとの決闘で殺されるという結末でメロドラマティックな終わりを迎えた。このような業績とドラマにも関わらず、ハミルトンはアメリカの歴史の中で主流から追いやられていった。ワシントン、ジェファソン、ジョン・アダムスは数えきれないほど小説、映画、ミニシリーズ・ドラマとなったし、彼らが一堂に会するミュージカル『1776』にもなった。『1776』は独立宣言を描いた作品だが、ハミルトンは名前すら出てこない。【1776は独立宣言のころの話で、その頃ハミルトンは大尉ぐらいなので作中に出てこないのはそんなに不自然ではないかな?こんなに大がかりではないですが、ハミルトンの伝記はちょくちょくフィクション化もされてた模様。ゴア・ヴィダルのバーの小説にも出てきます。まぁ派手な経歴の割に他よりも少ないというのはそうなんでしょうな】 
 脇に追いやられると言う扱いは、彼自身プエルトリコの移民の息子であるミランダと共鳴した。個人としても、アメリカの歴史としても、かの国の移民への扱いを体現しているからだ。この対の洞察が、この歴史・文化・政治参画に関してのミュージカルの中で煌めいている。建国の父たちのキャストはほぼ有色人種である(建国の母たちもいるが、キャストは圧倒的に男性中心)。その結果が、想定もしない現象を生み出した。政治・経済・人種の歴史に関する歴史劇が、今のアメリカの政治・経済・人種の状況を皮肉る、ブロードウェイ・ヒット。このショウの全てが「メタ」で、あらゆる層に重ねられている。『ハミルトン』はメタ演劇で、メタ歴史、メタミュージカル、そのあらゆる層へのメタなのである。 
 作品には、ミランダの幅の広く正確な音楽参照が多分に含まれている。歪んだブリットポップ風のジョージ3世に始まり、デスティニーズ・チャイルドのように歌うスカイラー三姉妹。ノートリアスB.I.Gからケンダー&エッブへの目配せ。ミランダは詳しい知識を駆使し、『ショウボート』『ウエストサイド物語』の様な作品がメインストリームのマイノリティ文化に関する認識で重要な転機をもたらしてきた業界ーーアメリカのポップカルチャーの縮図に等しいーーについて機知に富んだ会話を導く。『ハミルトン』はこのプロセスを用い、サブカルチャーの音楽を使いながら、メインストリームの歴史を読み解いていく。ロジャース&ハマースタインの『南太平洋』から引用された人種差別に関する台詞(“you’ve got to be carefully taught”)はバスタ・ライムスと肩を擦り合わせる。ソンドハイムが『太平洋序曲』で試みた視点の実験は、スヌープ・ドックに出会う。ジョン・アダムスに関しては、『1776』からミランダが借りてきた節を使ったギャグもある。『1776』のオープニング・���ンバーは大陸議会がアダムスを黙らせようとする「Sit down, John」なのだが、ミランダも同じように、アダムスと彼が表象するアングロ中心のアメリカ社会に、脇にどけと伝える。ミランダはアダムスを劇中に登場させておらず、名前が出てくるのは二幕以降になるが、そこでハミルトンは「座れジョン、デブのマザーファッカー!」と歌う。もう少し(色んな意味で)控えめなものでは、ミランダはハミルトンに印象的な「満足することはない(I will never be satisfied)」の節を与えるのだが、これは『1776』のアダムスの台詞、「私はいつも不満足なんだ I have always been dissatisfied, I know that.”」に呼応する。 
 ミランダの詞は目が眩むようだ。ソクラテス(Socrates)は凡人(Mediocrities)とライムし、その前には農奴解放(manumission)と奴隷解放(abolition)と武器(ammunition)がつながる。ギルバート&サリバンはサンプルされるだけでなく、洗練される。ミランダは記者たちにギルバートの有名な歌詞を改善したと嬉々として語る。それは今やワシントンのラップとなる(Now I’m the model of a modern major general / The venerated Virginian veteran whose men are all / Lining up, to put me up on a pedestal.”)【ミランダはギルバート&サリバン『ペンザンスの海賊』の歌詞をここで引用していて、ずっとgeneralの韻はmineralじゃかっこわるいと思ってた、とインタビューで話すのが好きなのです】言葉に酔った陽気な作家のように、駄洒落が溢れている(“Local merchants deny us equipment, assistance / They only take British money, so sing a song of sixpence.”) 
 『ハミルトン』はオペラと同じように、ほぼ歌い通しである。話す台詞はほぼない。多くの人が示唆するほどは、ラップは多くない。ラップが現れるとしたら、それはジェファソンとハミルトンの閣僚会議をエミネムの8mileばりのラップバトルで表すような「実用的で戦略的な聡明さ(practical tactical brilliance)」を伴っている。ハミルトンとバーの宿命的な決闘はギャング抗争と関連づけられ、自身もギャング抗争が元で亡くなったノートリアスB.I.Gの「Ten Crack Commandments」がサンプリングされる。「ワシントンの後ろ盾があるのはなんと素晴らしいことだろう」とバー、ジェファソンとマディソンは歌う。これは一義的にはハミルトンの後ろ盾のワシントン大統領のことを言っているのだが、同時に現代のワシントンDCから疎外された(政治から疎外された)市民が感じる政治的不平等とも呼応する。”Wait for It”はバーの性格に関する歌であるが、同時に「順番を待て」と言う言葉が有色人種のコミュニティにとってなんと破滅的なものをもたらすかということについての歌でもある。 
 詞と同じく、音楽も、単にスコアとしての意味だけではなくむしろ歴史的な要素としても利用される。ジェファソンとバーはそれぞれ二幕に大きなソロがある(ミランダは寛大にも、自分ではなく共演者たちに良い曲を振っている)。パリから帰ってきたジェファソンが歌う“What’d I Miss?”は、ブギウギ調のピアノリフを生かしたストライドやラグタイムの混じったディキシーランドジャズ【初期のジャズ】的な音楽だ。このラップの祖父としてのジャズの起源の召喚は少し場違いでーーしかもジェファソンを演じるダヴィード・ディグスは「ジャズ・ハンド」まで使って演じるーー同時にシリアスなものだ。ジェファソンはハミルトンや他の閣僚よりずっと歳上だからなのだ。ミランダは若いキャラクターにヒップホップの影響を与え、ジェファソンにオールドスクールなジャズを歌わせるが、またそのジャズの中にもキャブ・キャロウェイのような、ラップの起源を感じさせるボーカルにもオマージュをはらっている。劇が進むたび、ジェファソンのバーにもたらす影響は強まっていく。二幕の最大のバーの見せ場“The Room Where It Happens”では彼の音楽スタイルはシフトし、ジェファソン風のディキシーランド・ジャズスタイルを取り入れていく。バーの歌はコール・ポーターの“Blow, Gabriel, Blow”やフランク・レッサーの”Sit Down, You're Rockin' the Boat”のような1世紀以上使われ続けるゴスペル風の、観客が足を弾ませるようなコーラスをバックにしたショー・ストッパーだが、これらの楽しく、あまり意味がない歌とは違い、“The Room Where It Happens”は歴史の記録について語ったーー足を踏み鳴らしたいぐらい素晴らしいーーインスタント・クラシック・ナンバーである。 
 この曲は劇の多くの意味での転換点となる。バーは待つのをやめる。歴史の空白は政治的排除のメタファーとなる。“The Room Where It Happens”は、語られる歴史がどのように権力の神話を作り上げるか、または現実の政治がどうなされるかの歌だ。バーは「誰も実際は知らない/政党がどう同意に持ち込まれるか/チェスの試合で何が捨て駒にされたか/何かが起こったとはわかるが/実際にそれが起こった部屋には(自分達は)いない」そして力強いバース「ことが起こる部屋に/自分も居たい」の前にバースをつなげる。 
 ミランダは「ことが起こる部屋」に、移民や奴隷の子孫、黒人や、ラティーノやアジア系、未来に対して希望が持てない貧しい子供たちを置く。「煙が充満した部屋」に残された個人の野望は、権力から排除された人々の象徴となる。「我々は救世主を求めるが/彼らが捨てたものを知らない/私たちは新しい始まりを望むが/夢みるのは多くは闇」。この歌は、通して歴史の記述と国の語り手の権力に対して疑問を投げかける劇全体を要約している。ハミルトンの妻イライザは、最初のうちは歴史の一部となることを望むが(「あなたの物語の一つとなりたい/いつか誰かが描く物語の」)、ハミルトンの裏切りに遭い、手紙を燃やし、自分の語りをコントロールしようとする。しかし、ハミルトンは若くして死に、イライザは「物語に戻る」。ミランダは終幕に戻り、ワシントン、ジェファソン、マディソン、イライザの歴史を語るが、結局問われるのは「誰が生き、死に、誰が物語を語るのか?」ということだ。 
 ただ、「何が語られなかったのか」という疑問は、『ハミルトン』自体の神話化でも言えることである。ミランダはカラーブラインドネスを使い歴史を告発するが、『1776』の公演は1969年でありながら、今日の「ハミルトン」が言及するよりも直接的に奴隷制について言及した。まあ確かに、『1776』は白人だけのキャストが奴隷制の是非について議論するものではある。ジェファソンは金髪の妻が恋しすぎるあまり、彼女が来るまで独立宣言が書けないと嘆くのをえがきつつも、彼の奴隷サリー・ヘミングス(おそらくジェファソンの私生児を6人ほど産んだ)は言及されない。しかし、『1776』はショッキングなまでにフランクで残酷な「糖蜜をラムに」で終わる。この中では北部の制度の欠陥を指摘し奴隷制度に対する欺瞞をも暴く。『ハミルトン』はヘミングスのことに対して一度だけ言及し、奴隷制に対する言及もあるが、ジェファソンだけが奴隷を所有していたと示唆し、歴史が証明するよりもハミルトンを奴隷制廃止に熱心に描いている。実際は、ワシントンもマディソンも奴隷を所有していたし、ハミルトンは妻の家族のために奴隷取引をしていたこともあるし、農奴解放については冷淡だった。 
 『ハミルトン』は有色人種の俳優を取り上げるが、実際の奴隷の描写はない。これはしかし、まさに彼の語りに欠かせない選択だ。彼は長きアメリカの語りの伝統である白人の「ブラック・フェイス」を取り上げ、それをひっくり返したのだ。然るべきところに音楽を置き換え、歌詞を書き換え、政治をひっくり返し、ショーに合うように作り替えた。そうすることで同時にアメリカの現代の現実への批判、アメリカ独立のパワーの賞賛、アメリカンミュージカルの歴史への祝福を歌った。もし英国にお住まいならば、来年の11月まで待たなければいけないが、これを見るときは、あなたも「ことが起こる部屋」に居合わせることになるだろう。
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laminanona · 5 months
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今、どうしてもまとめておきたかった創作持論。
といっても、最近は専ら二次創作専門に成り果てているので、二次創作も含めた、創作活動のこと。
創作活動は、強烈な自己肯定と自己否定の繰り返しだなとよく思う。 自分が生み出した作品を形にしていく過程は本当に気分がよく、ただ、これが本当に良いものなのか、人に受け入れられるのか……を考え出すと、けっこう病んでしまったりもするのだ。
自分の作品作りについて、自惚れてばかりではひとりよがりの作品になってしまうし、不安になってばかりでは完成しなかったり、自信のなさからありきたりで薄っぺらいものになりがちな気がする。 自分を信じて、自分を疑う。その両方を同時にしなければ、上達というものはしないような気がしているのだ。 その、信じると疑うという相反するものを同時に自分自身に向け続けるというのは、なかなか難しい。 でも、だんだんわかってきたのだが、信じるべきところと、疑うべきところは別なのかもしれない。 あくまで経験則だから、持論でしかないのだけど。
おそらくまず、「アイデア」というものは疑ってはいけない。 私の創作スタイルは大きく二種類ある。ひとつは、頭に浮かんできた物語や絵を描き起こして形にしていくスタイル。もうひとつは、感じた感情や伝えたい想いがあって、それを表現するために1からつくっていくスタイルだ。 ただ、どちらも言えることだが、その、頭に浮かんできただとか、伝えたい気持ちだとか、そういうものはあまり疑うべきではないなと思う。それを、おもしろくないんじゃあないかとか、反感を買うんじゃないかとか、ありきたりなんじゃないかとか、そんなことを考え始めるともう何も創り出すことはできないのだ。 だから、自分の中から生まれてきたアイデアというものは、基本的には自分を全力で信じてやったほうがいい。好きでいてやったほうがいいとも言えるかもしれない。いや、好きで考えてるんだから、好きという感情を信じるべきなのかもしれない。
ただ、創作というものは難しいもので、単にそうして思いついた、伝えようと思ったものをそのままストレートに描いたって、なかなか他人に伝わるものではないのだ。 もちろん、ここはセンスや才能の問題もあるとは思う。人に伝える才能や、何か惹かれるセンスを持っている人ならば、そのままうまくいくこともあるのかもしれない。 ただ、受け入れられるかというは、基本的に読者側の問題である。 読者にはいろんな層があるし、流行り廃りにも敏感だ。 だからこそ、読者に伝えるための「表現」については、けっこう自分を疑ったほうがいいというか、過信しすぎてはうまくいかなと思ってる。 自分が頭の中のイメージからなんとなく描き出しただけの表現が良いものとは限らず、良い表現というものは、理論的に考えねばならないことも多いし、流行もある、常に進化していくし、古びた表現はすぐに飽きられてしまう。 作品の命はアイデアだ。アイデアが良いものでなければ、いくら理論を学んで最新のトレンドを取り入れて表現力を磨こうが、おもしろくないものはおもしろくない。 ただ、表現が下手だと、良いアイデアも死んでしまう。 よく、広告ではPVでは面白そうだったのに、実際は全然駄作だったみたいな映画とかゲームとか、出会うことがある。これは、アイデアは素晴らしいのに表現が下手だから……というのが私の見解であり。 ただ、この表現というものは本当に自分ではなかなかまずいことに気づかないのだ。 見ている側からすれば、よくこんな酷いものにGOサイン出せたなあなんて思っちゃうものだが、創り手側になるとほんとわからない。 自分にとって、頭の中にあるアイデアが最高だからだろうか……。 と、いうわけで、アイデアを絶対に信じて、表現を疑いまくる。というのが、良い作品づくり……とまではいかなくても、上達にはつながるんじゃなかろうか。少なくとも、精神衛生上はかなりマシな感じで取り組めるのではないか。と、思っている。
最後に、絶対に信じ続けなければならないし磨き続けるべきなのは、基礎力だと思う。 絵だとデッサン力だとか、そういう、もう上っ面の知識やコツやごまかしなんかではどうしようもない部分だ。 自分は良い作品を作って発表しているつもりなのに、なぜだか全然伸びない、見てもらえない、評価されない……という状況でダークサイドに堕ちそうになっているとき、こんなに努力してきたのに自分はヘッタクソなんだなあ……って自信喪失してしまうことが多々ある。これ、本当によくないと思ってて。 基礎力って裏切らないけど、基礎力に裏切られたような状況って何事においてもよくある。 ただ、積み上げてきた基礎力って必ず役に立つものであり、これを疑うこと一番心が折れると私は思っているのだ。 そして、こんなもの意味なかったんだと思って、その積み上げてきた基礎力をぽーんと放り投げてしまったり、努力するのをやめてしまったら、もうその先には進めないと思っている。 基礎だけではダメなのだけど、基礎がないとダメなのだ。 たまに若い人が流行と勢いだけでガツーン!と人気になっていくことがある。 そういうの見てると、本当に、自分の今までの努力ってなんだったんだ??みんなそんなもの見てないんだな……ってかなしくなっちゃうんだけど、でも、やっぱり、基礎ができてる人って強い。後からじわじわ、表現力を身に着けてずーっと長く続けていく大器晩成型というか、そういう人、たくさん見てきたので……。
というわけで、アイデアを信じ、表現を疑い、基礎力は(ちゃんと積み上げてきた分は)信じる、でもやった気になってるだけでついてない基礎力は疑え〜!ちゃんと鍛錬しろ〜!って感じな気がする。
今は、そう思うことで、なんだか落ち着いているのだった。
ところで、それとは別に、これは二次創作限定の悩みだったんだけど、これもけっこう自分の中で同時にスッキリした部分があって。
二次創作というのは、長く続けるほど不安になってくる。 最初こそもう原作が好き!感動した!!の勢いだけで作れるので一種のトランス状態であり、なんとも思わないのだけど、何作か描いているうちに、自分の世界観と混じり合い、なんだかよくわからなくなってくる。 原作に忠実な絵柄や作風で描かれる方もいらっしゃって、そういう人に比べると自分の二次創作作品ってすごい思想が強いというか我が強いというか……二次創作なんてそんなもんだろとも同時に思いはするけど不安なのだ、これは、もしかして失礼にあたるのではないかと。 私は、他人のまわしで土俵に立って好き勝手やるのが楽しいんだけなんじゃあないかと。 だから、自分の作風が原作と乖離するほどいつも不安だった。 でも、思ったんだけど、自分でしかできない、自分ができる精一杯の表現で、作風で、大好きなキャラクターを描くというのは、創作活動をする人間にとって、その作品に対する最大のリスペクトなのではないだろうか。 感想だって、自分の言葉で表現するものだ。 ファンアート的なものもきっと、それに類するものであるのだから、自分が出来得る最高の表現で、時に自分の世界観と混ざりあった作品を創り出すのは、やはり��なのだと思う。 だから、その、自分が自分らしく表現したいって思えるほど原作が大好きなんだ!って気持ちも、疑わずに信じていったほうがきっといいんだろうなって、そう思ったのでした。
めちゃくちゃ長くなっっちゃった。 大事なことだと思ったので……気が変わるまでは、忘れないようにしよう。
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pureegrosburst04 · 1 year
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嘘と真実 心の奥底からの欲望と只の弱さ
下等生物のゴローニャに演技でも涙を流す我々は、全てのジュニアアイドルから見ても魅力的で母性本能をくすぐる程可愛いのだよ🧡(黄金の真実)」 
表版仮想大鉱山フルメンバー「”””ニヤア〜〜〜””惨めなオモチャW(黄金の真実)”””””」
ゴールドガッチャ「オエエエエエ❗️❗️❗️ガッガハ‼️…」ゴールドバラバズー500F「それが君の本音で良かった、あんな方々を継ぐ事などできないのだからね。(トレジャーパワー)を幾ら強化した所で””””シックス様””””の背中に追い付くイメージが……」ゴールドガッチャ「浮かびすらしない、完全に別次元であるな、我等の祖先、”””創造神”””などより遥かに狂っておる。
我々をカリスマの頂きへと導く筈の神々しく気高き精液は””被害者面をするように泣きながらもしっかりと咥え込んで離さない女子中学生の生温かくて卑劣なスレイヴ・おマンコちゃん💛””に締め付けられビュルルルルルッ💛といつもいつも吸い上げられて鈍才に逆戻りさせられてしまうのだ……(笑) 昨日は三人も自殺されてしまった、恐らくきっと我々の足を引っ張るのが嫌になったのだ(黄金の真実)。だからこそ紡ぐのだよ!高貴なペニスとねっとり愛し合った、我々の夢の為に死を選ぶまでのスレイヴ・おマンコちゃん💛の秘密の物語を………(笑)」  
ゴールドバズー「(誰か助けてくれ もうこんな化け物共にはついて行けない…正義の味方もごめんだけどよ、でも全然マシかもな。俺が幸せなら周りの奴等なんかどうだっていい)」
ゴウンゴウンゴウン…ジューー(焼却処理)❗️❗️❗️ 姉妹の抜け殻「あああああああ‼️‼️‼️」五萬レッド/手長No2「はははは!そのままお陀仏しろ産業廃棄物!!!wwww」ジューーー❗️❗️❗️…プスプスプス………
ゴールドバラバズー「ああ、そうそう。君の妹だが…私直々に種付けプレスしてから”””””秘密結社ゲゼルシャフト様”””””に売り飛ばしたら臓器を全部取られて死んでしまったのだ(笑) 」
””高遠夜霧””みたいな最強として産まれたかったよ。だから俺様は犯した女全員に中絶させて悲劇の血統に終止符を打つぜえ!(黄金の真実)!!www」
ゴールドキング「自分をゴミだと自覚しているから死んだのだよ、それが現実だとしてもね(笑) 前向きに考えれば、代謝で何とかなっただろうに」ぺっ
男の中の男の失格の粗チン(笑)に相応しいアラフォー女性(皺くちゃババアw)と年を取り首になったAV女優(特にリストカットをしている傷物…W)等のパートナーを充てがうのだ。さあ新郎新婦のお二人とも、これは結婚なのだよ?
表版仮想大鉱山「(´;ω;`)」
強いアマカジなんていらない(黄金の真実) 慰みものにされないお前なんていらない
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タマコ君、顔の皺くちゃが増えてしまうぞウンコババアWWWWW
レロレロっクチュ🧡 女子中学生「ヒ、ひいいい」 ゴールドガッチャ「おかしい、我等は練りに練ったこの計画を実行にうつしたときには喉もカラカラだったのが…」ゴールドバラバズー「禁断の果実からトロトロの愛液が溢れ出し、我々に潤いの恵みをもたらした🧡」
女子中学生14歳「………」ちゅぱっちゅぱっ💛  ゴールドバズー「お前合唱部だったんだってなぁ?んなくだらねえ事より俺様のリコーダーを美味しそうに咥えて音鳴らす方が一部分AVに乗るこの動画観る負け組同級生のみんなもよっぽど気持ちいぜ!!!」女子中学生14歳「………」ぶびゅっぶびゅびゅびゅ🧡 ゴールドバズー「あークチュクチュお口演奏でスッキリしたぜ♪……おいなんか文句あんのか?賢者タイムの今は冷静闇人格作動中だぞおい」バチンッバキッ 女子中学生14歳「やめて下さい、やめて……」ゴールドバズー「上目遣いには気を付けろよ劣等生物。今の俺は容赦しねーぞ」 〜放送終了〜
ゴールドバラバズー「時に諸君、世の中には食用ポケモンという素晴らしいジャンルがある(ニヤア💛)」ゴールドバズー「こういう劣等生物は料理に惨い加工を施してからドブに捨てる為にあるんだぜwww(黄金の真実)」ゴールドガッチャ「サーモグラフィーでドデカバシに丸呑みにされ溶けていくメスしか居ないアマカジを観ていたら」ゴールドバラバズー「我々の可愛いオチンチンが勃起してしまったのだよ💛」
どう足掻いても[下衆]では届かない{{{恐怖}}}
ゴールドバラバズー「は❗️❓…嘘だ…ウソだ、なんでこんな……リスクばかり…死刑は嫌だ………」
霧島04(10歳)「カッコつけなくて良いんだぜ。お前ら(蜜蜂)は女の子(劣化猿)にいつだって残酷な結果を残せる訳じゃない馬鹿なんだからよ(赤き真実)」ゴールドバズー「……あなたは……一体何者なんですか?」霧島04(10歳)「文字通りのプレデリアンだ。俺と言う本当の絶対悪を教えてやろう(赤き真実)」ゴールドガッチャ「それは……やめて下さい………」ゴールドバズー「森永雅樹は悪に堕とされた雑魚で、あなた様は産まれた時から悪として成った神だ」ゴールドバラバズー500「我々は”””””シックス様”””””のように命を賭けてまで何かをするつもりなどありません(黄金の真実)」表版仮想大鉱山三人「今ここで着いて行ったら、我々に待っているのは破滅だ。もう洗脳されるのは嫌だ、マインドコントロールされるのも嫌だ。また…また今理解した、このお方はもう片方だけでも想像の遥か上を行く邪悪なのだ」
ゴールドバラバズー「我々は絶対悪でありながらもう悪事を働くのに疲れた(赤き真実)、だから善へ、楽な方へ一生逃げ続ける。貴様は相良君には無い物を産まれた時から全て持っている(腕力も本質も学力も健康も)。そんな雑魚に憧れたなんて真っ赤な大嘘憑きも水に流す。だから手を出さないでくれたまえ、我々の友人なのだよ 君は幼い少女よりずっと綺麗でどんな下衆よりもクリアにドス黒い。敵う奴なんてどこにもいないのだからね」
霧島04(19歳)「俺の3センチンコを8千人の処女に1秒ずつ挿れました(赤き真実)。これでタイムアタックヤリチンキングとして十分力を誇示できたよな?」高級ゴールドデューク/バズー「???………貴方様は頭が、おかしいです(いつもの事だけど)」G(グランド)下っ端「(勿体ねえ……商品終わっちゃった)」高級ゴールドキング/バラバズー500F「キリシマゼロフォーサイコパスワールドの赤き真実はどうかどうか、フィクションの上に成り立つものであってください」
無印04(10歳)「ある相棒と同化してみて色々な事を学んだ 会社の繋がりこそが家族だ。利益を出しヘマをフォローし合うビジネス、一緒にいて楽しいと思うための友達と🤝同じだろ?豊かな世界で金がなかったらどんな関係でも通じない。使えない奴はあとグサれなく切り捨てる爽やかな絆、それが一番大事で尽くさねえ奴は絶好だって事だ(赤き真実)」
純粋硬派柱SuperPureEgrosburst04 霧島狩魔(裏ストボス)「俺の域には虫けらのび太じゃ未来永劫届かない、ある0点祭りの身障が小学校に上がるまでに寿命切れになった無価値な皺くちゃおばあちゃんもな、死ぬべきだから死んだんだよ 確かに死んだ。これが無価値化を証明してる宇宙の理がそう言ってるんだよ、だって存在がありえない神はゴミだから。死んだ奴もゴミだから(赤き真実)
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いくら泣いても身障が小学校に上がる前に御臨終だよ。あちこちがガタガタで面白いポンコツデブは二度と帰っては来ない、現実の人間とかも騙すのは楽しいぜ。俺は{{{絶対悪だと言ってるのにそうじゃないと自分から騙されてくれるんだから みんなも匙加減には気をつけろよ、対象を尊敬してるとしか思えない選択肢を選ばなきゃならない状況化に自分を追い込めばどう頑張ってもお人好しのゴミが優しい奴だと信頼してくれる餌になるぜ 球磨川禊は青いんだよ、信じてもらう努力じゃなくて信じさせる努力をしなくちゃ大物は釣れねえんだから。その点俺は一石二鳥(赤き真実)}}}」
〜闇金返済裏施設〜
霧島04「羊水の腐ったババア(産業廃棄物)に価値はねえ、チェンジ」アラフォー女性「何でそんな事言われなきゃいけないんですか?」霧島04「責任は表版仮想大鉱山が取るって契約で金を貸したろ。口答えしたからチェーンソージ(処刑掃除)」ブイいイイーン‼️‼️‼️ アラフォー女性「ああああああ❗️❗️❗️(断末魔)」闇金契約で連れて来られた女性達は怯えていた 霧島04「時代が変わっても家電と違って進歩しないゴミだから女性(劣化猿)は若ければ若い程良い(赤き真実)」AV女優「宜しくお願いします♡(内心は完全に震えている)」霧島04「チェンジ」次の風俗嬢「……」霧島04「魔臭気の臭いがプンプンだぞ チェンジチェンジチェンジチェンジチェンジチェンジチェンジチェンジチェンジチェンジもっともっともっともっともっとこんな虫ケラとは格の違う女を」女性達「………」 女子中高生以外の彼女達はブランドの価値がないと霧島狩魔に言われてヤスリで顔を骨が見えるまで削られ切って死んだ(赤き真実)
霧島04(裏ストボス)「35のブスババアよりずっ���綺麗なアートだぜ(赤き真実)、かりちゅま?何々の悪役に比べればまだ全然可愛い?そんな嘘で貼られたレッテルは忘れた」
ゴールドバズー「(このお方は女に対して俺達よりずっと冷たい目で見てる。クズ男に堕ちたんじゃねえ本質が違う、このプレッシャーでわかるぜ……)」純粋硬派柱PureEgrosburst04「そうさ、俺は産まれた時から何も変わっていない。AV女優も風俗嬢もアイドルの劣化下位互換で薄汚いゴミだと正統な評価を下すだけさ。男性ではなく神として(赤き真実)」ゴールドバズー「は、はは…御守り持っても心を読めるんですね……ちくしょう役立たずが❕❕」バシッ!(御守りを地面に叩きつける音)
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yuupsychedelic · 1 year
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作品集『Poetry Showcase 03:恩師へ / 大人になるってなんだろう? / 私の十代』
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作品集『Poetry Showcase 03:恩師へ / 大人になるってなんだろう? / 私の十代』
1.恩師へ 2.大人になるってなんだろう? 3.私の十代
1.「恩師へ」
小学時代はあなたのことが嫌いだった あれこれと煩く言ってくるから 中学時代はあなたに媚びを売る人もいた 勉強もしないくせして将来は気にしていた 高校時代のあなたはいつも誠実で 何かある度に言葉で抱きしめてくれた
時が移ろうたびに 大人を見る目線も変わる
まるで転がる石のように 毎日変わる僕たちだけど
いつの時代も帰れる場所があるなら つらい時は縋ってもいいはず でも大人は時に一人でやらなきゃいけない あの頃の思い出を胸に秘めながら
栄光の日々を掴むため 共に走り出した僕らの物語 たとえ錆び付いても この約束だけは守ります
小学時代のことを忘れたフリして いつの間にか黒歴史にしたい僕もいたけど 中学時代に築いた思い出達は かつての積み重ねの先にあると気付いた 高校時代は友と距離を置いて 孤高の人でありたいと気取ってみたが 大学時代にやっと気付けたんだよ 僕の方が間違っていたんだと
黄昏時まで友と言葉を交わした あの日を覚えていますか?
放課後の教室は無性に切なくて そう遠くない旅立ちを憂いた
いくつになっても心に刻まれてる 子供時代のさまざまな記憶 ただ大人になるだけじゃ見えて来ない だから新しいことを日々始めるんだ
栄光の日々を掴むため 共に走り出した僕らの物語 たとえ錆び付いても この約束だけは守ります
夕暮れ時の教室で あなたと交わした約束を
卒業式に一度も涙は流さなかった 人前で泣くのは柄じゃない すべてが終わって家に帰ってから ふとした時に流れた涙が 本音だと気付いたのは遥か未来
あの日友にさえ言えなかったサヨナラ 僕はこうして独りになった 果てなきエゴとつまらないプライドのせいで 本当に大切なものも掴めないまま
いくつになっても心に刻まれてる 子供時代のさまざまな記憶 ただ大人になるだけじゃ見えて来ない だから新しいことを日々始めるんだ
栄光の日々を掴むため 共に走り出した僕らの物語 たとえ錆び付いても この約束だけは守ります
夕暮れ時の教室で あなたと交わした約束を
そして、いつか愛した場所を 忘れぬよう心に栞を挟む
2.「大人になるってなんだろう?」
まるで熱に浮かされたかのように 親の反対を振り切り上京した 四年前の三月はあまりに寒すぎて 安物のダウンでは凍えそうになってた
東京に来たら何かが変わるかもしれないと 根拠のない期待に浮かれた季節 今の私にあるのはセフレと悪い噂くらいで 愛なき夜に身を委ねてばかり
Think Difference…… それぞれに描く未来があるのに 一方しか見られなかった 私には私の考えがあるからと 意固地になってた十八の頃を恨む 
六大学を出てもガクチカは書けない 怪しげな求人票は届いても 本当に行きたい会社を希望する勇気もなく 私には私の友がいるからと 親にすら本音を話せない自分を憎む
新宿で高校時代の友とばったり逢ったけど 私にはひとつも気付いてくれない マッチングアプリで出逢った男友達には 私だと気付かずに汚された
不細工だと何度中傷されたって もう一人の私には何とも響かない この空っぽな人生は何処へ向かったっていい たとえトイレでも役割があるだけマシだ
何度ナイフで手首を切ろうとしただろう 未だに私には傷ひとつない 危険な綱渡りをひたすら繰り返してきたのに 男も女もやさしかった
Think Difference…… もっと良い未来があったのに 自分から手放してしまった 私には私の努力が出来たはずなのに 頑張ることすら放棄してしまった
「努力は報われる」とある人は言ったけれど 頑張れなかった人は無数にいる まさか私がその一人になるとは思えなくて かつての私に未来を教えられるなら でも同じことの繰り返しになりそうで
大人になるってなんだろう? 今の私にはわからない
キャリーケースを抱えて 夜明け前の街を歩く ある少女と今日もすれ違う 彼女の眼にはまだ光が漲っていた
何よりも私より遥かに美しくて 泣きたくなったよ この人生も私もクソみたいだ 今すぐに死ねるなら死んでしまいたい
これから何処へ向かうかはわからない マッチングアプリの通知を待つだけ 愛する意味も夢見る価値も忘れたままで 夜が明けた後も生きていくんだろう 一生このまま……
Think Difference…… それぞれに描く未来があるのに 一方しか見られなかった 私には私の考えがあるからと 意固地になってた十八の頃を恨む
大人になるってなんだろう? 今もこの先もわかりたくもない
ただ私らしく生きてみたかったんだ 私らしさを知りたかったんだ 私なりに可愛くなりたかったんだ 私も美しくなりたかったんだ
何より…… 私は普通の恋がしたかったんだ
ブロンドの長髪と ストロベリー・スウィッチブレイド風は 疲れた人生を隠すためのメイク
その時…… 誰かが私をぎゅっと抱きしめた
3.「私の十代」
高校卒業してから会えなかった幼馴染と 親戚の集まりで久々に会った 何かが特別変わったわけじゃないが ほんの少しだけ自信を持っているようだった
あなたともう一度逢う前に かつての記憶を何度か振り返ってみた 姉御肌のあなたはいつも傍にいて 決して強くないのに僕を守ってくれた
どうしてそんなにしてくれるのか いつか尋ねたこともある あなたはとっても悲しそうな瞳で 僕の無関心を静かに詰った
こうして日常的に会わなくなったから やっと素直になれた気がする お酒が入っていたからかもしれないが 僕はあの日の話をあなたとした
放課後に二人で会った日のことを かつては忘れたと誤魔化していたけど 本当はちゃんと覚えてた 目の前のあなたと向き合えなかっただけ
あなたに最近の話を聞いていると 付き合っている人がいるという きっと僕はあなたのことが好きだったんだ
素直になったのがあまりに遅すぎて すべてを失った十代の後悔
この日も僕はあなたから逃げ出してしまった あなたの選んだ人の話を聞きたくなくて でも僕はちゃんと向き合うべきだったんだ 深夜に送られたLINEを見て嗚咽する
あなたと離れて何度か恋もしたものの あなたのことは忘れられなかった 誰よりも長い時間を過ごしてきた友よ なぜ僕は友���さえ素直になれないんだろう
二人で旅に出た夏の日のことを 僕は楽しくなかったと誤魔化したけど 本当は人生で一番楽しかったんだ 目の前のあなたと向き合いたくなかっただけ
あなたに恋人がいると聞いて 僕は何をする気力もなくなった でもこれで良かったんだ
最後の瞬間すら素直になれない すべてを失った十代の後悔
布団に包まり 涙が枯れるほど泣いても もう変わらない現実 好きな人を好きになってはいけない 自分自身の優柔不断のせい
好きになればなるほど距離は遠くなり 僕はいつも遠回りしてばかりで まるでバッドエンドを自分で呼び寄せるように あなたさえも見失いそうだ
僕たちの関係はどこへ向かうのか 答えは僕が決めるんだ たとえ不釣り合いでもやり直せなくても 後悔だけはもうしたくない
僕は不器用なりにこの恋を叶える あなたをもう一度振り向かせてみせる 冬の夜空に夢を描いた あなたと恋仲になると誓った
やっと気付いてくれたんだね 私キミがあまりに鈍感過ぎるから 駆け引きのつもりで恋人を持ち出して もう一度振り向かせようとしたんだ
だけどもう遅すぎるよ 明日には彼と同棲することになった キミと違って余程素直な彼は こんな私さえ抱きしめてくれる
幼馴染のキミへ 私がいなくても幸せになってよ もう私がいなくたってキミは跳べるんだ
Bonus.「恋愛ポートフォリオ」
最初に告白した彼は クラスの人気者でした スポーツも出来て頭も良く 誰もが羨む存在
でも賢いがゆえに影もある 彼には二人目の恋人がいました
二番目に付き合った彼は 図書室が好きでした 静かに見えて冗談がわかる 付き合うほど好きが増していく
四季を重ねたって 少しも飽きずに いつまでも傍にいたいなんて 公園で言葉を交わしたこともある
でも転校してしまった 小学五年の秋 木枯らしが切なすぎて
もう恋なんてこりごりだと 闇雲にスポーツに打ち込んで 気付けば中学に進学し 髪をばっさりと切った夏
同じ部活の先輩に思わず恋をした あっという間に距離は縮まって ふたりは友達以上になり 三番目の恋をした
あなたは私を好きだと言うけど 実は他の女の子が好きだった 気づいてたのです 机の中のプレゼントに
ただ、やりたいことをやればいい! ただ、やるべきことをやればいい! ただ、やれないことをやればいい!
先輩方の背中を追い ここまでやって来たんだ 最後にスリーポイントを決めたら 全国大会への切符を掴む
私たちは跳べると信じていたのに 私のせいで跳べなかった そんな時に慰めてくれたあなたが 四番目の恋人になる
あれほど優しかった人が 付き合った途端に豹変する 言葉も交わしてくれなくなり 身体にアザは増えていく
そんな時に救ってくれたのは 幼馴染でした 男の子は信用ならないと この時心から思ったのです
一本のビデオが運命を変えてしまった 私のことを誰も知らない街へ向かう その音声は偽物であなたの陰謀が蠢く それでも人は人気者のあなたを信じるだろう
桜の咲く季節にひとりでクラスに佇んでた 私に気付いた少年とふと目と目が合う もう恋愛なんて二度としないと決めてたのに あなただけは信用できると恋に堕ちたんだ
最初のキスはあなたから ある放課後のこと 胸がこんなに熱いのは 初夏の陽射しのせいじゃない
あなただけは信用できると思っていたのに また裏切られたのは SNSの通知に気付いてしまったから
リコメンドは人の首を絞めることもある あなたの温もりはすべて嘘でした
六番目の恋は自然発生的なもの 塾で隣の席に座ることが多かった彼と いつの間にか付き合ってた
大した仲じゃなかったけれど 一緒にいて心地よかった でも何かが物足りなくて 大学進学と共に別れた
Evergreen…… すべてが真っ白な季節 同じ学部のあなたに恋に落ちたのは
アイビー・ファッションが似合う シティボーイなアイツよ 颯爽と現れる仕草と同じように 光の速さで浮気された
最初は気づかぬフリしたけど そのままじゃいられない 誤魔化し合うだけの関係は すぐに破綻していった
最後のキスは夏祭りで 私から切り出した 七番目の恋はこれでおしまいと もう開き直っていました
誰もいない街 ヒステリックなニュース 何もすることがなくなった私は マッチングアプリを始めた
最初に出逢った彼とは��信不通になり 次の彼は口を開けば ケ・セラ・セラ
でも八番目の彼は他の彼とは違った カメラが好きなあなたに思わず恋をした だけど良い恋人に限って目の前から消えてく さよならも言えないまま この世界から去っていった
私に一言くらい言ってくれてもいいじゃんか ひとりで死ぬなんて狡すぎるよ
九番目の彼は狡猾だった 元カレの死に落ち込んだ私を まるで飲み込むように恋に堕としたの そんな関係は長続きしない 安らぎも温もりもなく 私たちはどこへも向かえなくなっていた
あなたと出逢うまでは 恋なんか信じられなくて いつかは裏切られると 心に過っていた
何度恋に期待しただろう そして何度裏切られただろう ある時は浮気され ある時は無関心だった
さよならを告げるまでは 恋は終わらないけど 自然に終わった恋を見るたび 胸が痛くなる
それでも誰かを好きになることを あきらめたくはない 誰かを愛していくことを あきらめたくはない
星空にあなたと誓う 幸せな未来を信じて たしかな明日を信じて……
十番目の恋人よ あなただけは信じてもいいですか? 私愛してもいいですか?
作品集『Poetry Showcase 03:恩師へ / 大人になるってなんだろう?/ 私の十代』製作クレジット
Produced by Yuu Sakaoka with the Young Brigade
Written by Yuu Sakaoka, TORIMOMO, Yurine, Bohemian “Kazuma” Scott, Sakura Ogawa Designed by WOMBO Edited by Minoru Ichijo, Yuu Sakaoka
Original Piece / Arrangement by Hori “Fighting Peacock” One, Yuu Sakaoka with the Young Brigade Basic Track - Hori “Fighting Peacock” One, Bohemian “Kazuma” Scott, Yuu Sakaoka Recorded at Hori “Fighting Peacock” One Private Studio(Los Angels), Yuu Sakaoka Studio(Kakogawa)
1.恩師へ Produced / Drafted by Yuu Sakaoka Written by Yuu Sakaoka, Yurine
2.大人になるってなんだろう? Produced by Yuu Sakaoka with the Young Brigade Co-Produced by TORIMOMO, Yurine Written by Yuu Sakaoka, TORIMOMO, Yurine
Original Piece / Arrangement by Hori “Fighting Peacock” One Electric Guitar by Bohemian “Kazuma” Scott Recorded at Hori “Fighting Peacock” One Private Studio
3.私の十代 Produced by Yuu Sakaoka with the Young Brigade Drafted by Bohemian “Kazuma” Scott Written by Yuu Sakaoka, Bohemian “Kazuma” Scott, Sakura Ogawa
Original Piece / Arrangement by Bohemian “Kazuma” Scott Synthesizer by Yuu Sakaoka Recorded at Hori “Fighting Peacock” One Private Studio, Yuu Sakaoka Studio
Bonus. 恋愛ポートフォリオ Produced / Written by Yuu Sakaoka with Sakura Ogawa Drafted by Sakura Ogawa
Original Piece / Arrangement by Yuu Sakaoka Piano by TORIMOMO Synthesizer Guitar, Bass, Drums by Yuu Sakaoka Recorded at Yuu Sakaoka Studio
Respect to KAZUHIKO KATO, KAZUMI YASUI, THE ALFEE, Taylor Swift Dedicated to my Friend, my family, and all my fan!!
2022.12.31 坂岡 優
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mori-mori-chan · 2 years
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読書感想文17
寒椿/宮尾登美子
※ネタバレを含みます
もうね……すごく良い本を読みました。文章の一つ一つに情念が迸っていて、読み進める毎に見たことのない筈の景色、行ったことのない土地の匂い等がその文才を以てありありと浮かんでくるんですよね。
すごくざっくり説明しますと、高知は浦戸町にある芸妓子方屋・松崎の娘にして現在は物書きの悦子と、松崎に売られてきた4人の少女・澄子、民江、貞子、妙子の、苦界の中で交錯する苛烈で鮮烈な生き様を大人になった彼女達が振り返り、そして現在の状況を交えて描いた物語です。
自分の言葉で文章を書くにあたり、最近は極力男らしさ/女らしさといった性差に関する表現は使わないように心がけております。ジェンダーレス化が進んでおりますし、かつて我々が刷り込まれていたような男性像/女性像はすでに古いものとされており、ネイルしたりピンクの衣類を身に着けたり甘い飲食物を好む男性やベリーショートだったりニンニクマシマシの激辛中華料理を口にしたりメイクをしない女性がいても何もおかしくはなく悪くもないのです。男だから、女だから、がなくなりつつある時代です。が──敢えて言います、この作品が私の胸にずぶりと刺さったのは、芸妓という因果な商売に身を堕とした女性を描いているのが女性だったからではないでしょうか(※宮尾登美子自身が女衒とその愛人の娘という業が深い生まれの人ですし……)。
「お前散々性差がどうだの長ったらしい前置きしといて!!!」と怒られが発生しそうなんですが、男性が描く「男性相手に体を売る生業をしている女性」って妙にエロくてそのくせ歳暮みたいな一面がある、みたいな、男性(というか書き手)が望む女性像が投影されていたりして「んなわけねーだろ!」と思うことが多々あるのですが、今作では女性の中に渦巻く愛憎や不安や苦しみがしっかり書き切ってある一方であくまで生きていくための手段と割り切って勤める妙子のような女性もいて、芸妓として生きる4人の、似た者同士でありながらも異なるスタンスの書き分けが上手になされていてよかったです。因みに「んなわけねーだろ!」と思った作品はこちらです(これいる???と言わざるを得ない唐突なラブシーンがありかなりげんなりしました)なんでしょうね、女性だからこそ書ける、女性の内面で燃えさかる愛憎や欲望があると言いますか……ってこういう「女性/男性だから~」というのも性差別に該当するんでしょうかね。しかしやはり、男性では民江の歪な父親への憧憬や描けないようにも思います。逆に、未読ですが石田衣良の『娼年』が評価されているのは、男性作家による売春する男性を描いた作品だから、のような気もします。
……と読み終えた時に頭の中でどのように感想文をしたためるかを考えていたのですが、解説で伊集院静が似たようなことを言っておりちょっとびっくりしました。いや本当に真似とかじゃなくガチで被っただけなんですよ!私は男性として生きたことがないので男性の感情は理解できないですし同じ人間というよりは別の生物と捉えています。”人間(男と女)をいかに見つめても、少なくとも私には少女の目を持つことはできないし、養えない。それは逆も言えることであろうが~”と静も言っています。
本作は『一章 小奴の澄子』『二章 久千代の民江』『三章 花勇の貞子』『四章 染弥の妙子』で構成されております(『一章 小奴の澄子』の時点で貞子のみ故人です)。全章を通して言えるのが、芸妓という特殊な職業についてはいるものの性描写はほぼなく、”本人の意思を無視して体を売る職業に堕とされたもののだからといって無暗に哀れな存在として描写されていない”です。水揚げの描写もサラッとしており、そうすることで体を売ることが彼女達にとってはあくまで生活の為にこなしているただの業務、日常の一部であることが伝わってきます。
一章のヒロインである澄子(53)は、豪勢でバイタリティ溢れる力強く情の濃い女性です。元日の飲み会で階段から転げ落ち首から下が動かなくなってしまった彼女が幼少期の苦労や長年のパトロンである溝上、動かない体で送る今後の人生……様々なことに日々思いを馳せ、動かなくなった我が身に憤りと悲しみを感じながら時を過ごす、一章はそんな内容になっております。トップバッターだからか、この章だけで2/5ほど使っていますが、読みごたえは十分です。
まだ芸妓になりたての頃に出会い、その後二十数年の時を経て銀行頭取となった溝上にずっと好きだった、等と告白されたらまぁたまらんですよね。それも満州での夫婦生活が破綻した経験のある彼女なら尚更。が意義という職業に就きながらも一途でピュアな面のある澄子は溝上を「おっさん」と呼び、慕っています。が、悲しいかな彼女達はどんなに付き合いが長く深い仲でも、正式な夫婦ではなく……地位も財力もある溝上を狙う他の女や何も出来ない己の体の老後、溝上に捨てられること等への不安は尽きません(実際に溝上は若い女性が好きとのことで既に別の女性が……)。赤の他人に排泄物を処理される澄子の苦痛は、私はまだ経験してはいないのですがそれまで自分の力で生きてきた彼女にとっていかに辛く恥ずかしいものか、嫌というほど伝わりました。この、情熱的な澄子の抱える一抹の弱さの描写が何とも響いて……。彼女としては長い時間を一緒に過ごし実質夫婦のようなものなのだからこの男は自分を捨てまい、と信じたい気持ちはあるものの今の身では何かしてあげることも出来ない上に結局は越えようのない身分の違いがあることを、ふとした時に痛感するわけで……。
この第一章で私は一気に心を掴まれました。苦界に生きる女性達の強かさと儚さと、命の煌めきを垣間見ましたね。余談ですが私も交際相手とは恐らく入籍することはないので、澄子の何となく拠り所がないような不安な気持ちはとてもよくわかります。
ヒロイン・民江(50)に勝手に肩入れしてしまったこともあり、二章は個人的にすごくクるものがありました。決して芸妓に向いているとは言えない気質や外見ながらもとにかく必死に、どこまでも思うが儘に生きる姿がなんだか胸を打ちまして……自分も民江と同じく斜視で(自分は間歇性ですが)異常に頑固で聞き分けが良くなく、ときおりブチ切れて破壊的な行動に出る節があるため、傍から見たらかなり扱いにくく厄介な彼女が何だか憎めないんですね。とはいえ「父親に抱く感情」は民江と私では真逆なんですけども……あ、父親に人生を悪くされた点も同じですわガハハ!!
民江は”小さいときから澄子には才覚で負け、貞子には器量で負け、妙子にはものの弁えで負け、周りから莫迦扱いされて~”との描写があるように、到底恵まれているとは言い難い人物です。自分を売り飛ばした父親にいつまでも金蔓にされ続け、それなのに恐れにも似た思慕を抱き、惚れた男に惹かれるくらい猪突猛進にアタックし、とても不器用でひたむきな生き方をしています。どこか自分の世界を生きているところがあり、だからこそ不遇な環境の中でも強く生きられたのかもしれません。
また、この章では未来の芸妓として売られてきた女子4人と家の主の娘である悦子との身分や育ちの違いがよりはっきりと書かれるようになります。年の近い少女5人ではありますが、悦子はやはり他の4人に対し本人に(そのつもりはなくともどこかで)一緒にされたくない、自分は違う、という感情があったりします。まぁ……そうよな……。
三章は他の章とは色合いが異なっており、故人となった貞子の28年で終わった生涯を悦子が振り返る内容となっています。貞子は目を見張るほどの美貌と芸の達者さを持っていながらも、"口の明いた甕"と呼ばれる母親譲りともいえる無気力さと餓鬼の如き食い意地で水の様にどんどん下へ下へと流れていきます。素質が素晴らしいだけに、破滅的な人生を歩んでいく彼女に対し見た目も楽器の才能も終わっている自分は複雑な気持ちを抱かざるを得なかったのですが、生まれも育ちも職業も特殊な、それも自らで選んだのではなく勝手に「そうなっていた」彼女はもしかしたら色々と諦観の境地にあったのかもしれません。
大工の亮吉に見初められ彼の妻になった貞子ですがもともと生活能力が著しく低かったこともあり結婚後は家事育児等は一切何もせず、苦労は全て亮吉が負うことに。まぁ~本当に亮吉がいい男で……。結局のところ、貞子は亮吉も子供も実母ハルエもこれまでに彼女を買った客達も皆どうでもよく、唯一愛したのは美しく、仲間もいた松崎で暮らしていた頃の己の姿だったのです。だからこそいつまでも暮らしをよくする努力を放棄しせず美に執着し、実母が亡くなった時同様のぼろぼろの姿で逝ったのでしょう。それでもやりたい放題、好き勝手に生き、芸妓ではなく大工の妻として早死にした貞子は幸せだったように思います(亮吉からしたら間違いなくたまったものではありませんが)。
今は不動産会社の社長夫人として生きている妙子(50)がヒロインの『四章 染弥の妙子』は最終章を飾るだけありこちらも読みごたえ抜群でした!言い方はアレですが芸妓からの社長夫人というと現代で言ったらキャバ嬢が太客捕まえて玉の輿(Twitterでよく見るやつ)、みたいな印象がありますが実際はその真逆で、妙子は結果的に社長夫人となっただけで全ては彼女の努力と甲斐性を以て夫・幹雄を見捨てず陰から支え続けたお陰なのです。
五人姉妹の三女にもかかわらず長女ポジションを担わされていた妙子は良く言えば聡明で控えめ、悪く言えば地味な性格で、最初の男とのただただ不快で思い出したくもない一晩などの影響で決して芸妓に向いている娘ではありませんでした。辛いことがあっても実家には帰りたくない──嫌々ながらも芸妓を続けるうちに縁があり高知へ移り、借金も無事完済(えらいネェ~)。ところが、高知大空襲により自分を売った、憎くて、それでも恨み切れない父親が亡くなったことで生活がより苛烈なものになり、妹の八重子は流れでパチンコ狂いのクズと結婚、妙子はキャバレー勤めを始めるようになります。綺麗さっぱり足を洗ったはずの男相手の世界に再び戻っていくわけですが、後の夫となる幹夫と出会うのもそのキャバレーでのことだったのでまさに人生万事塞翁が馬ですよね。
幹雄との結婚は実は妙子にとっては博打のようなもので、苦労三昧の結婚生活を送る妹や、大男に裏切られ捨てられた、多くのかつての仕事仲間を見てきている以上腹を括ってのものだったのでしょう。今までにしてきたこともない一般的な仕事(Twitterでいうところの昼職)を必死にこなし夫の為に努力しついていこうとする姿には非常に胸を打たれましたね……(今の世の中なら「男の為に尽くすだけの女の人生なんて!」と言われそうですが、時代が時代なので……)。結局幹雄は事業を駄目にしてしまうのですが、それでも彼についていこうと決めた妙子の決意が何とも格好良いです。やっと成功が見えてきたかと思えばまた荒波に揉まれ、それでも強く生きる二人ですが、望んだにもかかわらず子を成すことはなく、それが何とも悲しくて。
"~それは同じように澄子や民江たちにも云えることであり、二人とも妙子が最初から社長夫人の座に迎えられたとばかり思っているかもしれないが、そんな僥倖などめったにあるはずはなく、もしあっても今の妙子の気持からすれば努力なしで得た座はごく脆いもの、という肚の据えかたがある。”とありますが、読者として妙子の奮闘を見守ってきた(?)ためかこちらまで「そうだそうだ!妙子は頑張ってきたんだぞ!」と声を張りたくなりますね。となるとこの章の紹介の冒頭で書いたキャバ嬢の例を否定することになるんですけどね(玉の輿に乗ったキャバ嬢はそれはそれできっと日々色々努力しているのでしょう)!ラストが非常に爽やかで、心地よい風が吹き抜けていくようでした。
読み終えた際、この物語の持つ余りのエネルギーにぐったりしてしまい、感想文を書くのにもかなりの時間を要してしまいました。極力読み終えたらその時の感情を忘れないよう早々にアップするようにはしているのですが本作に関しては約一か月弱かかってしまいました。人によるでしょうが、私はもう圧倒されてしまっていましてね……。尚映画化されているとのことでチラッと内容を確認してみたのですが全くの別物で「えっこれ原作要素なさすぎるんだけど大丈夫そ?」となりました。漫F画太郎の『罪と罰』じゃないんだよ
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angtelice · 2 years
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口に出さない努力は初めから無かったものにされる、と親友が憂いげに呟いた事がありました。同じ様に、どんなに鮮烈な感情も、劇的な思い出も、音や形に残さない限り存在しないことと同義になってしまいます。私は、この経験をお前の勝手な夢物語だろうと片付けられたくありません。だから此処に書き残したいと思います。長くなりますが、書きたいと思います。
昨日私は、自殺に失敗してしまいました。
痛みも恐怖もあったけれど、でも、それよりも生きていてはいけないという使命感のようなものに頭が支配されていました。遺される家族や恋人や友人を慮る余裕など何処にもありません、ただ、これ以上耐えかねる苦痛があった、それだけで突き動かされました。しかし不運にも物理的な理由により自殺は失敗に終わり、途方に暮れてどうでも良くなりふらふらしているところを友人に回収され、死にぞこなったままいろんな人に怒られ説得され時間が過ぎていき、現在に至っています。
私には一つ、あまり治らないとされている大きな病気があります。苦労にしろ功績にしろ、ひけらかすという行為自体に学も品もないように思えていた私は、この病気のことをあまり人に言っていませんでした。毎日泣いたり、吐いたり、外出に恐怖が付き纏ったり、動けないほどの倦怠感や、突然の体の震えや、夜眠ろうと思って目を瞑ると悍ましい映像が次々と流れることや、幻覚、眩暈が治らなくなったこと、とにかく誰かといるか何かをして気を逸らしていないとじっとしていられないほどの苦痛がある日々ですが、ほぼ誰にも詳細は言わずに耐えておりました。もちろん体調のために大切な約束、責任の伴う会議、単位のかかった授業といったような、絶対そこだけは耐えなければいけなかった瞬間に耐えきれなかったことも数えきれない程ありました。その度に、病気と言いたくないが故に適当な理由を言い訳として、嘘を重ねておりました。全て病気の所為にしたらいよいよ人としての終わりだと思っていたからです。でも、そんなことだから私は、日々やるべきことや大切な人より甘えや遊びを優先する堕落しきった楽しい毎日を過ごす人に見えていたようです。結果、元より無かった社会的な信頼や、大切な人たちからの期待も、遂に全て失ってしまいました。
できなかったこと、叶わなかったことや失敗や、失ったものばかり数えていた日々の中、僅かに残っていた物をさらに失った痛みは憔悴した私に全てを諦めさせ、自死に駆り立てる動機としては十分でした。目の前が悲しい色の絵の具で一色に塗り潰されて、何も見えなくなって、私は居なくなった方がいい人間だ、こんなものが存在していて許される訳がない、誰も喜ばない、みんなのために、私のために、はやく、はやく、はやく、こうするしか、。頭の中をぐるぐるぐるぐる、ものすごい速度でそんな思考が回って私を支配していました。恐ろしい手際で準備を済ませ、自殺を決行しました。
でも、死ねませんでした。
冒頭でも触れた、私が死ねなかった“物理的な理由”ですが、最期に及んでも情けないことに、一瞬の外出のその間に鍵を紛失して家に入れなくなった為、でした。人に迷惑をかけずに死ぬために用意したものは全て家の中でしたので、家に入らなければ何も実行できなかったのです。遺書も書けないですしね。そんな訳で、手段を失ってしまいました。力なくドアの前をうろうろして、へにょりと項垂れてしばらく突っ立っていました。惨めでした。全てに失敗したから終わりにしようとしたら、終わらせることすら失敗に終わったんです。この上なく惨めすぎて、もう全部どうでも良くなりました。後に母に、電話口で言われました。「鍵が無かったのは、偶然じゃないからね。それは私がやったのよ。いい?私はあなたを愛している。あなたが思うより、強くあなたを愛しているの。どれくらいかというとね、あなたが自殺だなんて馬鹿げたことをしようとしたときに、こうやって離れているのに鍵を無くして防げてしまうくらいには、あなたを愛しているの。そう簡単に死なせたりなんかしない。だからもう、馬鹿げたことは考えないでちょうだい。」震える声でそう言われました。この瞬間私は膝から崩れ落ちて声を上げて泣きました。
その後、家に帰れない死に損ないは、フラフラと1時間半歩き続けました。10キロの楽器を背負っていたこともあり、何度もベンチや地面に座り込みながら徘徊を続けました。そのうち、天使みたいな人格をしている友達が私を回収しに来てくれました。隣の駅で待ってるからそこまで来いと言うことで、歩いて向かっていたのですが、ふと見上げた先の彼女が待つ駅には、天から幾つもの光の筋が垂れていました。川べりの傾斜の急な土手をよじ登った先で、手の泥を落として顔を上げた時にこんな景色が目に飛び込んできたものだから、少しの間呼吸も忘れて立ちすくみました。これまでとは違うあったかい雫が頬を伝って、ああ、本当に彼女は神様が使わせた天使なのかもしれない、そんなことを考えました。彼女は普段通り、暖かいカフェでゆっくり穏やかに楽しい話を聞かせてくれました。
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友人に家へ送り届けられた後は、家で待つ仕事帰りの恋人にしっかりと怒られてしまいました。不思議と、死のうとしたなんてまだ言ってないうちに、「生きているだけで丸儲けなんだから」と諭されて、この人には嘘が付けないなあなんてぼーっとする頭で考えていました。
他人と自分に見放され尽くしたことで一度は命を手放した私ですが、結局のところ人の愛に生かされています。幸か不幸か、こんな経験をした事で、母にも、お天道様にも、友人にも恋人にも、本当に愛されていると思えるようになりました。
まだ自分が生きていて良いのか自信はありません。死んだら喜ぶであろう人達の顔も、たくさんたくさん思い浮かびます。でも、少なくともあの時死んではいけなかったなと、振り返って思えるようになりました。何故生きるんだろうと切羽詰まって考えれば考える程、人生には大層な意義が必要なような気がしてきます。でも大義なんて、勿論あったらベターだけど、無くたって嘆くことはない、言ってしまえば嗜好品くらいのものでした。今のところ私には大義はおろか、思い残したことも夢も食べたいものすらありません。それでも、ただ愛のために生きる人生があっても良いじゃないかと思っています。立派ではないのかも知れないけどそれはすごくあたたかい生き方なような気がしています。状況は何も変わっていないので今後も、唇を噛んで耐えなければならない理不尽や、私を傷付けたい人や私自身の所為で何度も心が潰れることがあると思います。でも、私が見失っていた綺麗な綺麗な景色は、醜い人の心如きが汚せるものではありませんでした。辛い時は下ばかり向いてしまうけれど、これからはむっと踏ん張って、空を見上げて、そのことを思い出したいと思います。
何かの為に生きる、と思うとその何かが崩れた時に道標を失ってしまいます。人も物も、幸も不幸も変わらずにずっと続くなんてことはありません。無情な時の流れの中で、唯一変わらないものは、“過去には確かにあった”という記憶だけだと思います。もし今私を愛している人たちが死んでも、未来では私を嫌いになっていても、それでも今愛してくれたことがなくなる訳じゃない。記憶は褪せて、思い出せなくなることはあっても、褪せただけで、思い出せないだけで、完全に無くなることはない。そう思うと愛してくれた人がいたという誇らしさとくすぐったさで、私は一生独りでもあたたかくいられると思いました。生き続けるかは分かりません。長々滔々と述べておきながら、結局明日にはまた全て諦めていたりするのかも知れません。でも、とりあえず今はまだ死んじゃいけないと思っています。弱くて不器用で要領も悪い、嫌われ者で取り返しのつかない間違いも何度も重ねる自分は、まず愛されるに足る人間になれるように頑張りたいです。少しずつ頑張って、死ななくてよかったって思える日が来たなら、それを人生の幸せと思いたいです。
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keredomo · 3 years
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天使の食べ物
 精神の健康な年上の女友達は「食べていいものといけないものを区別する意味がわからない」と外国人のような大袈裟な身振りを添えて笑ったけれど、〈天使の食べ物〉を求めて食料品店を何時間もふらふらと彷徨う人間を私は少なくとも三人知っている。いずれも女で、いずれも痩せこけていて、そのうちの一人はかつての私だった。  それを「摂食障害」と安易に括るべきかわからない。私には生き様に思える。
 摂食に正常と異常��どあるのだろうか。セクシャリティには多様性を認めるのに、摂食には多様性を認めてくれないのか。  太る権利はあるのに、痩せこける権利はないのか? 太ましく生きる権利はあるのに、痩せこけて死ぬ権利はないのか?
 私たちは〈天使の食べ物〉を求めている。  食べても精神に差し支えのないもの。口にしても決して太らないもの。身体に干渉してこないもの。私を変えないもの。私を侵犯しないもの。快楽を退けておこなう食のかたち。食の快楽をおのれに許さない者たち。
 三人の女のうち、一人にとってのそれはコンビニで見かける袋入りの千切りキャベツだった。一人にとってのそれはメレンゲ菓子だった。私にとってのそれは白滝であった。いずれも、食べれば食べるほど飢えを強める代物で、女のうち二人は、飢えを催す胃の内容物に苛立ってすべて吐いてしまうのだった。食べ物が私を侵害することが許せないためだ。理屈が通っている。  女の一人、「吐くのが上手だったの」とぎこちなく打ち明ける。もう一人の女が笑って「私もよ」と言う。絆が生まれる。手を結ぶ。
 私たちは、〈天使の食べ物〉などこの世に存在しないということをいつまでたっても認めることができず、あてどなく、今日もまた何時間も下界を彷徨う。〈天使の食べ物〉を諦めきれない。
 女の一人に、「どうやって人と暮らしているの?」と訊くと、「同居人の食事だけ、味見をせずに、レシピ通りに作って出すの。どんな味かはわからないけれど、フィードバックが必ずあるから、それを反映させて次の食事を作る。私は私の食べられるものを食べる。あんがい成り立つものです」と言う。
 今日もあてどなく彷徨う。〈天使の食べ物〉はどこにあるのか。  女のうち二人は、毎日体重計に乗り、昨日の食事が今日の身体を脅かしていないことを確認して安堵する。数値は低ければ低いほどよい。  残りの一人は、——私は、あまりにもその数値に一日の精神状態を脅かされるというので、社会に出てからは体重を計るのをやめた。疲れ果てて口にしたマドレーヌの重さを直視したくない弱さは女の体を無慈悲に膨らませたが、女としては、それすら直視せずにすむほどに疲れ果てればいいだけだった。
 二人の女ほど潔癖になれない後ろめたさは尾を引いた。下界に降れば、いまだ未練がましく〈天使の食べ物〉を求め彷徨う。
 「最近は、少し食べられるようになったの」と女の一人。「同居人の料理なら食べられる」。  私とも付き合いの長いその同居人が、もともと食べることに苦痛しか見出せない人だったから、精神上、そういう結論に至れたのだろう。
 食にエラーを抱えている人間は、同じくエラーを抱えている人間としか食を共にできない。自分では食べられないものを作って供している彼女は特異な存在だ。私はラーメンを好む男と暮らせなかった。夜中に来訪して野菜だけのスープを台所に作って帰っていく男とは一緒に暮らしたかったが、叶わなかった。
 「よかったね」と返す。本心からそのように思う。  堕落でも、疲弊でもない活路を彼女は手にしたのだ。よかったね。本当によかった。
 私だけ、〈天使の食べ物〉を手に入れることなく、一人きりでぼんやり彷徨い歩いている。誰に手を握られることもなく、一人きりで飢えている。
 緊急事態宣言下。恵比寿のフレンチレストランで、酒もなしにフルコースに興じている。  年上の女友達はこの上なく健全な健啖家、美食家で、私は彼女に「ものの味がわかる女だ」と評価されているらしく、レストランへの相伴によく誘われる。
 私はサワラのポワレを食べる。私は鹿肉のタルタルを食べる。私はワインをしこたま飲む。私はラーメンを食べない。菓子パンを食べない。おにぎりも食べられない。私はフォアグラのソテーを食べる。私は蕎麦を食べる。私は豆腐を食べる。私は春雨を食べる。私はもやしを食べる。最近はキヌアも食べている。食べていいものたち。
 「食べていいものといけないものを区別する意味がわからない。食べたいものを食べればいいじゃない」  「うーん、そういう人ってね、痩せていなければ大人に詰られる幼少期を過ごした人に多いのよ。たとえばバレリーナはその最たる例だね」
 体重計から逃げた私は、シェフが腕によりをかけた子羊のローストに舌鼓をうつ。曲線の緩みきった腕の輪郭をなるべく見ないようにして、自分を見ずに済むように、視線を相手にむける。  年上の女はつやつやしている。よく食べ、それをエネルギーに変換している顔色だ。生命が輝いている。ぴかぴかと光っているけれど、私はなぜだか、その健康的な美しさにどうしても惹かれない。未だに骨のような身体に惹かれてしまう。理性と堕落によって体重計から足を洗っても、幼少期に植え付けられた強迫観念からは簡単には逃れ得ない。
 食べられない二人の女は、生き物の色をしていない。その存在は陶器やクロッキーに近い。  それがまた美しいから困る。強く惹かれる。死の方へ、強く惹かれる。
 続ける。「バレエを習うとね、幼い頃から鏡張りの部屋に詰め込まれて、先生に言われるの。あんたはあの子より太っているから見栄えがしないのよ、痩せなさい。〈甘いものを食べてはダメ〉。ああ首が短いわね、顔が大きいわね。ちっとも美しくない。ジャンプが低すぎるわ。〈肉なんか食べるからよ〉。ひどい浮腫み。どうしてそんなに輪郭がぼやけているの。〈コメなんか食べてるんじゃないでしょうね〉。比べられるの、そして貶められるの。人格形成期にそんな仕打ちを受けて、まともな食生活なんて送れるわけないじゃない」。
 私はやっと大人になって、そこからはようやく抜けたけどね、と自嘲気味に笑うと、さすがに目の前の人間を無碍にもできない年上の女が困惑して言う。私のことを傷つけないよう、言葉を選びつつ。
 「私の後輩にも、そういう、痩せていることが第一である女がいたよ。私に面と向かって言うの。あんたは確かに美人だ。でも、私のほうが綺麗だ。なぜならあんたは太っていて、私は痩せているから。そう言って嗤う。ぞっとしたよ」  「あまりにも抑圧されて育った者は、その抑圧を他者への攻撃にかえるでしょう。悲しいことだけれど、そうしなければ生きていけないから」  「わからないなあ……」  「わかっちゃおしまいだよ、わからなくていい」
 年上の女は、きっとわかりたいのだろう。わからなければ、優しくできないから。相手に適切な言葉をかけられないから。  でも、あなたはきっと理解できない。あなたは自分自身で自己を肯定することを余儀なくされて生きてきた、それを引き受けることのできた知性と胆力の持ち主だ。私はそこに惚れている。一方、あなたを「太っていて醜い」と断じる者は、他者の評価や相対的な値というものに振り回されて生きてきて、そういうものさしが自己存在を規定している。
 弱い。弱い者の切実さは、強い者には理解できないと思う。だからあなたはわからなくていい。中途半端に理解を示さなくていい。あつらえられた優しさは時に人を取り返しようもないほど深く傷つける。
 「あなたは、眠れない人じゃない?」  「うん」  「不眠症の人間に今更ラベンダーティーを勧めるようなことをね、わざわざしなくていいんだよ」  「ふむ、……私はそれを優しさだと受け取るけれど、なるほどね……」
 他者との断絶についてよくよく知っている彼女は、それ以上食い下がらない。
 私たちは食後のコーヒーに合わせて出てきた菓子をつまむ。彼女は忌憚なく、フレンチの様式美を受け入れてそれを口にする。私は、これを摘むことで明日の私がどれほど醜くなるのだろうと恐れながら、摘む。
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trinityt2j · 3 years
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ダ-ティ・松本 不健全マンガ家歴30年[-α]史 ●はじめに  この文章は同人誌「FUCK OFF!7」において書かれたものをベースにして逐次増補改定を加えていき、いずれ歴史の証言として、[というほど大袈裟なものでは無いが…]一冊の本にまとめたいという意図のもと、近年どんどん脳が劣化していくダ-松の覚え書きとしても使用の予定。事実関係は間違いに気付き次第 訂正。同人誌発表時のものも今回自粛配慮して、実名、エピソード等を削除した箇所有り。有り難い事に某出版社よりすでに出版打診があったがまだまだその時期ではない、マンガを描く事が苦痛になったら活字の方も気分転換にいいかも…。 /*マークは今後書き加える予定のメモと心得たし。 ●前史/修行時代・1970 さいとうプロの短くて濃い日々……  1968年に上京。数カ月後東京は戦場に。熱い季節の始まりだった。 2年後親元を飛び出し友人のアパートに転がり込む。場所は渋谷から井の頭線で駒場東大駅下車、徒歩5分。地図で見ると現在の駒場公園あたり。昼間でも裸電球を付けなければ真っ暗という馬小屋のような部屋。数メートル先には当時の建設大臣の豪邸が…。前を通りかかるだびに警備のおまわりがじろり。  いつまでも友人に迷惑もかけられないのでとりあえずアシスタントでも…と手元にあったマンガ誌をひっくり返し募集を探す。幸いさいとうプロと横山まさみち氏のところでアシ募集があり両方応募。どっちか一つ通れば…と思っていたら何と両方受かってしまい、双方に条件を聞く。当時高円寺 のアパート、風呂無し4畳半の部屋で相場12000円の時代。前者一ケ月の給料10000円、後者20000円との事。給料の方がボロアパートの家賃より安いとは…!どう考えても前者は食う方法がないと判断し、後者さいとうプロへ入社。  ここに居たのはたったの半年に過ぎないけれど今思えばこれだけで本が一冊描ける位の濃���半年だった。しかしこのあと2X年分も書かねばならないことを思えば今回はいくつかのエピソードを書くだけに留めよう。  ダー松が入った時は小池一夫氏[クビ?]、神田たけ志氏や神江里見氏、きしもとのり氏[現・松文館社長]等と入れ替わりの時で、きし氏の女遊びの凄さと神江氏の絵のうまさは伝説になっていた。現在「亀有」「ゴルゴ」が歴代単行本の巻数の多いベスト1、2位だが[ともに100巻を越えた]、3位は神江氏の「弐十手物語」[70巻以上]だという事は知ってる人は少ないだろう。  当時の制作部は、さいとうたかを[以下ゴリ]をトップに石川班[ゴルゴ13、影狩り]、甲良班[バロム1]、竹本班[シュガー、どぶ等]の3つに分かれ、それぞれのキャップにサブ・チーフが一人づついて、ヒラが2~6人いるというシステムで総16名。独立し現在も活躍中の叶精作、小山ゆう、やまさき拓味の3名がそれぞれの班のサブ・チーフ。ダー松は石川班で左右1メートル以内に叶氏とゴリにはさまれ、のんびり出来ない状態で、はなはだ窮屈。叶氏はほとんどマンガ家になりたいとも思った事のなかった人で、設計事務所みたいなところで図面を引いていた人がなぜマンガプロダクションに来たのか不思議だった。格別マンガ好きというわけでもなかったせいか現在まで全ての作品が原作もので、オリジナルは一本もないのはそのせい?祭りなどの人がうじゃうじゃ出てくる群集場面が得意。 やまさき氏は大の競馬好き、現在競馬マンガを多く描くのは当時からの趣味が生きたというべきか。もう一つの趣味である風俗についてはここでは書くのは差し控えよう。小山氏は後日ここの事務の女性と結婚するが、当時はつき合っているとは誰も知らず、スタッフの一人がやめる時その女性に交際を申し込んだら、茶店に呼び出されて小山氏からと凄まれたと聞いたが嘘か本当かは不明。  ここでの生活は新入り[ダー松を含めて3名]は朝の9時前に会社に行き、タイムカードを押し、前日のごみをひとまとめして外に出し、トイレ掃除をして、16人分のお茶を2Fで入れて制作部のある3Fへの狭い階段をふらふら昇り、机ごとに置いて歩き、終れば、一息ついて買っておいたパンと牛乳を3分で食べて、やっとそれから仕事。しかし新入りの3名の内1人折茂は常に遅刻なのでいつも佐藤と2人でやっていた。佐藤も遅れる時はダー松1人で。辞めてから10年位、16人分のお茶を持って階段をふらふら歩きお盆をひっくり返す夢をよく見たものだが、実際ひっくり返したのは折茂と佐藤の2人で、よく茶碗を割っていた。 たまには夕方6時には帰れるが、普通は夜10時までで、アパートに帰って銭湯に行けばもう明日にそなえて寝る時刻、このくり返しの日々。週1日は徹夜で明け方に帰り、その時は当日の昼12時出勤。休日は日曜日のみで忙しい時はそれも取り消し。つまり休みは月3日。[これで給料2万円!]そんな日々の繰り返し。  夕方までは皆和気あいあいと仕事していたが、ゴリが夕方6時頃に「おはようさん」と現れると、全員無駄口がたたけなくなり、仕事場はシーンと静まり返り、以下その日が終わるまでは疲れる時間がただひたすら流れるのみ。 当時石川班は「ゴルゴ13」と「影狩り」を描いていたがゴリは主人公の顔と擬音のみ。マジックで最後に入れる擬音はさすがに入れる位置がうまいと感心。ゴルゴの顔はアルバムに大小取り混ぜてコピーがとってあり、忙しい時は叶氏がピンセットで身体に合わせて「これが合うかな~」といった感じで貼り付けていた。  その頃すでに「ゴルゴ」は近々終わると噂されていたが、現在もまだ続いているとは感嘆ものだ。 ゴリと石川氏が「ゴルゴ」の最終回の終わり方を話しているのを聞いたら、何ともつまらない終わり方。しかしあれから20年以上も経つ事だし、きっともっといい終わり方���考えてあるだろうなと思っていたら、先日TVで本人が最初から考えてある終わり方だと言うのを聞き、がっくり。企業秘密だろうから書かないが、作品の最初の方に伏線が数度出ているのでわかる人にはすぐわかる筈。  辞めた小池一夫氏とさいとうプロに何があったかは知らないが、漏れ聞く話では結構もめ事があったみたいだ。 「子連れ狼」で「ゴルゴ13」と同じ設定の回があった時、「小池のガキャー訴えたるー!」とゴリが吠えていたものだが、結局たち消え。さいとうプロ作品で脚本を書いた本人が辞めた後、他の作品で同趣向の作品を書いても著作権は脚本を書いた原作者のものだと思うがどんなものだろう。その回のタイトルは忘れたが、ある場所に居合わせた人々が武器を持った集団の人質となり、その中に素人だと思われていた主人公、実は殺しのプロフェッショナルがいて、次々とその集団を殺していく、といったプロットで、ミッキー・スピレーンの短編に同じような作品があり、本当に訴えていたら恥をかいたと思うが・・・。  そういえば事務の方には山本又一郎という男がいたが、後年映画プロデューサーとして 「ベル薔薇」や「太陽を盗んだ男」等を創る事になるが、この野郎が生意気な男で当時皆に対して10歳は年上、といった感じの振る舞いだったが後日俺と一つしか年が離れてなかった事を知り、そんな若造だったとは、と皆怒ったものだ。以来奴の事を「マタさん」から「クソマタ」と呼ぶようになる。  さて半年後に先輩たちが積もり積もった不満を爆発させる反乱事件が勃発し、2年は居るつもりでいたここでの生活も、辞めるか残るかの選択を迫られる。残ればさいとうプロの現体制を認める事となるので、ダー松も退社。 しかし反乱グループとは別行動をとって一人だけの肉体労働のアルバイター生活へ突入。超ヘビーな労働の���氷工場、人使いの荒い印刷所、命綱もない高所の足場で働く建設現場等々。トラックの助手をしていた時は運ちゃんが「本宮ひろしって知ってるか?うちの息子の友達でさぁ、昔、おっちゃんメシ食わしてくれーなんて言ってきたもんだが、今は偉くなっちゃってさー、自分のビル建てたらしいよ。赤木圭一郎みたいにいい男なんだ。」とうれしそうに話してくれたが、運ちゃんには悪いがそいつは今も昔も一番嫌いなマンガ家なんだ。あの権力志向はどうにかならんか。天下を取る話ばかりだもんなぁ。  ところで後日、単行本の解説で高取英が「さいとうたかをのヤローぶっ殺してやる!」とダー松が言ったなどと書いているが、小生はそんな危ない事言った覚えはないのでここできっちり訂正しておきます。 「会社に火ィつけてやる!」位は言ったかも・・・[嘘] 。 悪口は言っても別に怨みなど無い。ところでアシスタントとしてのダー松は無遅刻、無欠勤以外は無能なアシだったと反省しきり。理想的なアシスタントとはどんなものか、それはまた別の機会に。 *入社試験はどんな事を? *さいとうプロには当時ほとんどろくな資料は無かった? *ハイジャックの回の飛行機内部の絵は、映画「大空港」を社内カメラマンが映画館で写してきたものをもとに描く。 *当時のトーンは印刷が裏面にしてあり上からカッターでけずったり出来ない。 *トーンの種類は網トーンが数種、それ以外はほんの3、4種類位しかなかった。 *仕事中のB.G.M.はアシの一人が加山雄三ばかりかけるので大ひんしゅく。好評だったのは広沢虎造の浪曲「次郎長三国志」、初代桂春団次の落語。眠気もふっとぶ位笑えた。 ダ-松が岡林信康の「見る前に跳べ」をかけてるとゴリは「何じゃー!この歌は!」と怒る。名曲「私たちの望むものは」はこの男には理解不能。 ●1 9 7 1 ~ 1 9 7 4  持 ち 込 み & 実 話 雑 誌 時 代    当時は青年劇画誌全盛時代で、もともと望月三起也氏や園田光慶氏のファンで活劇志向が強く、 主にアクションもののマンガを描いて持ち込みに行っていた。今のようにマンガ雑誌が溢れかえって、山のようにマンガ出版社がある時代ではなく、数社廻るともう行くところがない、という状態で大手では「ビッグコミック」があっただけで 「モーニング」も「スピリッツ」も「ヤン・ジャン」も当然まだない。テーマを盛り込んだ作品を持って行くと編集から「君ィ、うちは商売でやっているんだからねぇ」と言われ、アクションに徹した作品を持って行くと「君ぃ、ただおもしろいだけじゃあねぇ」と言われ 「おい、おっさん!どっちなんだ?」とむかつく事多し。この辺の事は山のように書く事があるが、有りすぎるのでパス。 *そのうち書く事にする。  ただ金属バットで頭をカチ割って脳みそをぶちまけてやりたいような奴が何人もいたのは事実。今年[’97]「モーニング」に持ち込みに行って、断られた奴が何万回もいやがらせの電話をかけて逮捕された事件があったが、そのうちトカレフを持って殴り込みに行く奴が出てくるとおもしろい。出版社も武装して大銃撃戦だぁ!などと馬鹿な事書いてどうする!とにかく持ち込みにはいい思い出が何もない。そんな中、数本だけ載った作品は渡哲也の映画「無頼」シリーズの人斬り五郎みたいな主人公がドスで斬り合う現代やくざもの[この頃の渡哲也は最高!]、ドン・シーゲルの「殺人者たち」みたいな二人組の殺し屋を主人公にした『汚れたジャングル』、陽水の「傘がない」が好きだという編集さんの出したテーマで車泥棒とブラックパンサーの闘士とのロード・ムービー風『グッバイ・ブラザー』、拳銃セールスマンを主人公にした『ザ・セールスマン』、等々10本ちょい位。  さてその頃並行してまだエロマンガ専門誌といえるようなものがなかったような時代で、実話雑誌という写真と記事ページからなる雑誌に4~10ページ位を雑誌の味付けとして描かせてもらう。当時、お手本になるようなエロマンガなど皆無で、エロ写真雑誌を古本屋で買ってきてからみのポーズを模写。マンガで裸を描く事はほとんど初めてで、これがなかなか難しいのだがエロシーンを描くのは結構楽しい。当時出版社に原稿持って行き帰りにグラフ誌をどっともらって帰るのが楽しみだった。SM雑誌の写真ページも参考になる。なお当時のペンネームは編集部が適当につけた池田達彦、上高地源太[この名前はいけてます。また使いたい]等。その数年後、逆にマンガが主で記事が味付けというエロマンガ誌が続々と創刊される。 *さいとうプロをやめたあと編集や知人に頼まれて数人のマンガ家の所へ手伝いに行く。秋田書店「漫画ホット」で『ジェノサイド』を連載中の峰岸とおる氏の所へ行き、仕事が終わったあとまだ売れてない頃の榊まさる氏も交え酒を飲む/川崎のぼる大先生のところへ数日だけ/3000円たこ部屋/小山ゆうオリオンププロ *当時のアルバイトは記憶によると時給150~200円位/大日本印刷市ヶ谷駐屯地/坂/ *一食100円/どんなに貧しい漫画家もみかん箱の上で書くやつはいない/TV萩原サムデイ *ろくでなし編集者 ●1 9 7 5 ~ エ ロ マ ン  ガ 誌 時 代 に 突 入   実話誌は意外とエロは抑え目で描くように口すっぱく言われていたのだが、以前活劇っぽい作品を描かせてもらってたが潰れてしまった出版社にいた児島さんが編集する「漫画ダイナマイト」で打合せも何にもなしに好きに描かせてもらい、ここでエロマンガ家としての才能[?]が開花する。描いてて実に楽しく眠る時間がもったいない位で、人に睡眠時間が必要な事を恨んだ程。出来る事なら一日中休まず描いていたい気分で完全にはまってしまう。  初の連載作品「屠殺人シリーズ」はこの頃から/『漫画ポポ』。中島史雄氏は大学時代にこの作品を見ていたとの事で、トレンチコートにドクター・ペッパー模様のサイレンサーつきマグナム銃で遊戯人・竜崎一也が犯しまくり殺しまくり、サディスト、マゾヒスト、殺人狂、まともな奴が一人も出てこない性と暴力の祭典。ちなみにタイトルページは描かないでいい、との事でどうするのかと思っていたら編集部が中のワンカットを拡大してタイトルページを創り、1ページぶんの原稿料をけちるというせこいやり方だった。けちるといえば、原稿の1/3にCMを入れる際、原稿料を1/3削った会社もあり。 ●1 9 7 6 ~   後に発禁仲間となる高取英と出逢い、『長編コミック劇場』で「ウルフガイ」みたいのをやろうと、怒りに震えると黒豹に変身してしまう異常体質の主人公を設定し、獣姦のイメージで「性猟鬼」なるエロマンガをスタート!しかしその号で雑誌が潰れる。この路線は今でもいけそうな気がするがどんなものだろう。  この頃の珍品に「快楽痴態公園」がある。タイガースに11-0とワンサイドで打ちまくられ、怒ったジャイアンツファンのおっさんが公園でデート中の女をずこずこに犯りまくり、その間にジャイアンツは9回裏に12-11とゲームをひっくり返してしまうのである!その時のジャイアンツの監督はもちろんミスター長嶋、先発堀内、打者は柴田、土井、高田、王、張本等々がいる。タイガース監督は吉田、ピッチャー江本、キャッチャーフライを落球する田淵、そしてあの川藤もいる。解説は牧野…… ●1 9 7 7 ~   上記2作品を含む初の単行本「肉の奴隷人形」が久保書店より発行。後にリングスの会場で逢った佐竹雅昭氏はこの本が一番好きとの事だった。  「闇の淫虐師」もこの年スタート。一話完結でバレリーナ、バトンガール等々、毎回いろんな女たちをダッチワイフのごとくいたぶりまくるフェチマンガとして1979年まで続け、単行本は「堕天使女王」「裂かれた花嫁」「エロスの狂宴」「陶酔への誘い」「終りなき闇の宴」の全5巻。ちなみに今年「闇の淫虐師’97」を『コミック・ピクシィ』にて発表。いつか『闇の淫虐師・ベスト選集』でも出したいところ。 [’98に実現、’99には続刊が出る] ●1 9 7 8 ~   久保書店より第2弾の単行本「狂った微惑人形」。収録作品の「犯された白鳥」は持ち込み時代に描いた初のバレリーナもの。結構気に入っていた作品なのに、後年再録の際、印刷所の掃除のおばさんが捨ててしまい、この世にもはや存在しない不幸な子となる。[’99に宝島スピード・ブックに本より直接スキャンして収録]  エロ、グロ、ナンセンスの会心作「恍惚下着専科」を発表。サン出版より同名の単行本発行。また同出版より「コミック・ペット/堕天使画集」として今までの作品を続々単行本化。全10巻位。これは今でも古本屋で流通しているとの事で、まだまだ世間様のお役にたっているらしい。  この年、「堕天使たちの狂宴」を描いていた『漫画エロジェニカ』が発禁処分、来年でもう20年目となる事だし、当時の人たちと集まってその大放談を収録し「発禁20周年特集号」でも創ってみようかと計画中。さて当時の秘話としてもう時効だろうから書いてみるけど、前述の『堕天使画集』に「堕天使たちの狂宴」は収録される事となり、当然修正をガンガン入れて出版されるものと覚悟していたら、米国から帰国後出来上がった本を見ると発禁になった状態のまま再録されている!以下桜木編集長との会話 ダ/いや~、いい度胸してますね。 編/だって修正してあるじゃない。 ダ/その修正状態で発禁になったんですよ 編/・・・・・ ダ/・・・・ 以下どんな会話が続いたのか失念…… それにしてもサドの「悪徳の栄え」の翻訳本は発禁後20年以上して復刻されたけれど、「堕天使たちの狂宴」は半年もしない内に単行本になっていたとはエロ本業界とは何といいかげんな世界!しかし作品そのものは、今見るとリメイクする気にもならないどうという事もない可愛い作品で、結局あれもあの時代の姑息な政治のひとかけらに過ぎなかったのだろう。いい点があるとしたら一つだけ、それまでのエロマンガになかった瞳パッチリの少女マンガ的ヒロインを登場させた事位か。今の美少女エロマンガは本家の少女マンガもかくや!という位眼が大きいが当時としては画期的だったかも。 ●1 9 7 9 ~   この年の「淫花蝶の舞踏」は「堕天使たちの狂宴」よりずっといい/『漫画ソフト』。今年出た「別冊宝島/日本一のマンガを探せ!」でベスト2000のマンガがセレクトされているが、ダー松の作品の中ではこの作品が選ばれている。教師と生徒、二人の女たちが様々な男たちの手によってに次々ともてあそばれ、闇の世界を転々として再び巡り会う時、女たちは蝶と化し水平線の彼方に飛び去り、男たちは殺し合い血の海の中で屍と化す。ダー松作品にはこのように男根が女陰の海に飲み込まれてに負けるパターンが多い。[性狩人、遊戯の森の妖精、美少女たちの宴、人魚のたわむれ・・等々]  この年からスタートの「性狩人たち」シリーズ[劇画悦楽号]はバレエ、バイオレンス、SEXの三要素がうまくからみあい、それぞれが頂点まで達する幸福な神話的作品だ。ここから派生した路線も多く、美少年路線は’83の「聖少女黙示録」へ。身体障害者路線は’80の「遊戯の森の妖精」、’84からの「美姉妹肉煉獄」へと繋がる。’81の最終話「ハルマゲドンの戦い」ではせりふなしで24ページ全てが大殺戮シーンという回もあり、中でも一度やりたかった見開きで銃撃戦の擬音のみという事も実現。こんな事がエロマンガ誌で許される時代だった。ちなみにこの回は[OKコラルの決闘・100周年記念]だが、何の意味もない。単行本は最初サン出版より、その後久保書店より「白鳥の飛翔」「少女飼育篇」「ヘラクレスを撃て!」「眼球愛」「海の女神」の全5刊。現在入手出来るのは後の3刊のみ。[「海の女神」も最近在庫切れ]  この年出た「人魚のたわむれ」の表題作は性器に{たこ}を挿入するカットを見た編集長が「・・・[沈黙]・・・頭おかしいんじゃ・・ブツブツ・・気違い・・・ブツブツ・・・」と呆れてつぶやいていたのを記憶している。たこソーニューは今年出た「夜顔武闘伝」で久しぶりに再現。なおこの作品は’83にマンガと実写を噛み合せたビデオの珍品となる。水中スローモーションファックがなかなかよい。 ●1 9 8 0 ~   なぜか「JUNE」の増刊として作品集「美少女たちの宴」がサン出版より出版され、その短編集をもとに脚本化し日活で映画が創られる事となる。[「花の応援団」を当てたこの映画の企画者・成田氏は日活退社後「桜の園」等を創る。]その際、初めて映画撮影所を見学し、せこいセットがスクリーン上ではきちんとした絵になってるのを見て映画のマジックに感心。タイトルはなぜか「性狩人」で、’96にビデオ化された。監督・池田敏春のデビュー第2作となり現在までコンスタントに作品を発表しているが、出来のいい作品も多いのになぜか代表作がない。初期の「人魚伝説」が一番いいか。  この映画に合わせて「美少女たちの宴」を2~3回のつもりで「漫画ラブラブ」で描き出すがどんどん話がふくらみ、おまけに描いてる出版社が潰れたり、雑誌が潰れたりで雑誌を転々とし条例による警告の嵐がきた「漫画大飯店」を経て、「漫画ハンター」誌上で完結したのは’83になる。この作品でクリトリスを手術してペニスのように巨大化させるという人体改造ものを初めて描く。  この年の「遊戯の森の妖精」は身体障害者いじめ鬼畜路線の第2弾!森の中の別荘に乱入したろくでなしの二人組が精薄の少女の両親達を虐殺し、暴行の限りをつくすむちゃくちゃな作品で、雷鳴の中、少女の性器に男達のペニスが2本同時に挿入されるシーンは圧巻!しかしこのとんでもない男達も少女の性のエネルギーに飲み込まれ、朽ち果てていく・・・。 ●1 9 8 1 ~   美少女マンガ誌のはしり「レモン・ピープル」誌創刊。そこで描いたのが「白鳥の湖」。虚構の世界のヒロインを犯すというコンセプトは、アニメやゲームのヒロインをずこずこにするという今の同人誌のコンセプトと同じかも。バレエ「白鳥の湖」において悪魔に捕われたオデット姫が白鳥の姿に変えられる前に何にもされてない筈がないというモチーフにより生まれたこの作品は、悪魔に男根を植えつけられたヒロインが命じられるままに次々と妖精を犯して歩き悪魔の娘となるまでを描くが、あまり成功したとは言えない。ただ人形サイズの妖精をしゃぶりまくり淫核で犯すアイデアは他に「少女破壊幻想」で一回やっただけなのでそろそろもう一度やってみたいところ。「ダーティ松本の白雪姫」はその逆をいき、犯す方を小さくした作品で7人の小人が白雪姫の性器の中にはいり、しゃぶったり、処女膜を食べたり、と乱暴狼藉![ちなみに両者をでかくしたのが同人誌「FUCK YOU!3」の「ゴ���ラVSジュピター」]この童話シリーズは意外と好評で続いて「ダーティ松本の赤い靴」を上記の単行本に描き下ろして収録。童話は結構残酷なものが多く、この作品も切られた足だけが荒野を踊りながら去って行くラストは原作通り。 *近年童話ブームだがこの頃もっと描いておけば「こんなに危ない童話」として刊行出来たのにとくやまれる。 「2001年快楽の旅」もこの本に収録。快楽マシーンを逆にレイプしてしまう、珍しく映画「2001年宇宙の旅」風のSF作品。  掲載誌を決めずに出来る限り多くのマンガ誌で描こうというコンセプトで始めたのがこの年スタートした「怪人サドラン博士」シリーズ。「不死蝶」シリーズや「美少女たちの宴」シリーズの中にも乱入し、「漫画ハンター」最終号では地球をぶっ壊して[その際地球は絶頂の喘ぎ声をあげ昇天する!]他の惑星へ行ってしまう。今のところ10誌位に登場。いつかこのサドラン・シリーズだけ集めて単行本化したいところ。ちなみに「サド」と「乱歩」を足して「サドラン博士」と命名。作者の分身と言っていい。 [後年、「魔界の怪人」として全作品を収録して刊行、04年現在品切れ中]  この年描いて’82の単行本『妖精たちの宴』に収録の「とけていく・・」はレズの女たちが愛戯の果てに、肉体が溶けて一匹の軟体動物と化す、タイトルも内容も奇妙な作品。作者の頭もとけていた? ●1 9 8 2 ~ 1 9 8 3   ’83年に「美少女たちの宴」が完結。全てが無に帰すラストのページは真っ白のままで、このページの原稿料はいりません、と言ったにもかかわらず払ってくれた久保書店、偉い![明文社やCM頁の稿料を削った出版社=某少年画報社なら払わなかっただろうな……と思われる……]この作品以外は短編が多く、加速度をつけてのっていく描き方が得意のダー松としてはのりの悪い時期に突入。また10年近く走ってきてだれてきた頃でもあり第一次落ち込み期と言っていい。マンガがスタンプを押すように描けないものか、などとふとどきな考えまで湧いてくる。思えば一本の作品には、いったい何本の線を引いて出来上がっているものなのか。数えた馬鹿はいないだろうが数千本は引いている筈。一ヵ月に何万本とペンで線を引く日々・・うんざりする筈です。  この頃のめぼしい短編をいくつか書くと、少女マンガ家の家に税務調査にきた税務署員が過小申告をネタにねちねちいたぶるが、アシスタントに発見された署員は撲殺される。そして板橋税務署は焼き討ちにあう、といった作品「[タイトル失念]xx税務調査」。[後日読者よりこのタイトルを「色欲ダニ野郎」と教えていただく。ひどいタイトル *編集者のつけるタイトルはその人のセンスが実によくわかる。しかしサイテ-の題だなこりゃ…。 果てるまで「おまんこして!」と言わせながら処女をやりまくる「美処女/犯す!」はラスト、狂った少女が歩行者天国の通行人を撃ちまくり血の海にする。「嬲る!」はパンチドランカーとなった矢吹ジョーが白木葉子をサンドバッグに縛りつけ、殴って、殴って、殴りまくる。段平おっちゃんの最後のセリフ「・・ブスブスくすぶっちゃいるが・・・」「打てッ!打つんだ!ジョー!」「お前はまだ燃えつきちゃいねえ!」とはエロ・ドランカーの自分自身に向けて発した言葉だったのかも。トビー・フーパーばりの「淫魔のはらわた」は電気ドリルでアナルを広げてのファック!とどめにチェーンソーで尻を切断!いまだに単行本に収録出来ず。[’98の「絶頂伝説」にやっと収録]「からみあい」は夫の愛人の性器を噛みちぎる。「危険な関係」はアルコール浣腸をして火をつけ尻から火を吹かせる。この手は『FUCK YOU!2』の「セーラー・ハルマゲドン」で復元。そういえばこの作品の序章と終章だけ描いて、間の100章位をとばすやりかたはこの頃の「禁断の性獣」より。女性器にとりつき、男性器に変身するエイリアンの侵略により地球は女性器を失い滅亡する、といったストーリーで当時聞いた話では谷山浩子のD.J.でこの作品がリスナーの投書でとりあげられ、ダー松の名はダーティ・杉本と読まれたそうな。ヒロインの少女がひろ子という名前なのでこのハガキが選ばれたのかもしれないが、作者は薬師丸ひろ子からとったつもりだったのだが・・。[別にファンではない。] 「女教師狩り」は映画館で観客に犯される女教師とスクリーン上の同名のエロ映画の二本が同時進行し、一本で二本分楽しめるお得な作品。 ’83は’80に「漫画エロス」にて描いた「エロスの乱反射」の最終回の原稿が紛失したため単行本が出せないでいたのを、またまた「仏の久保さん」に頼んでラスト近くをふくらませて「漫画ハンター」に3回程描かせてもらい、やっと’85に出版。見られる事に快感を覚えるファッション・モデルが調教される内に、次第に露出狂となっていき、街中で突然裸になって交通事故を起こさせたり、最後はビルの屋上でストリップショー。そしてカメラのフラッシュの中に飛び降りていき、ラスト1ページはその性器のアップでエンド!  本格美少年・ゲイ・マンガ「聖少女黙示録」も’83。レズの姉たちの手によって女装に目覚めた少年がホモのダンサーたちに縛られなぶられ初のポコチンこすり合いの射精シーン。そして性転換して女となった主いるが、その中の’84の「白い肌の湖」はタイトルで解る通りのバレリーナものだがポコチンを焼かれた男が、一緒に暮ら人公が手術で男になった少女と暮らすハッピーエンド。この作品は単行本「美少女ハンター」に収録されてす二人の女と一人の男に復讐するエンディングがすごい!まず男の性器を切り取り、片方の女の性器にねじ込んだあと、その女の性器ごとえぐり取る。そしてその二つの性器をつかんだまま、もう一人の女の性器にフィストファック!のあげく、その二つの性器を入れたままの女性器をナイフでまた切って���ほとんどビックマック状態でまだヒクヒクうごめく血まみれの三つの性器を握りしめるとんでもない終り方!全くダー松はこんな事ばかりやっていたのかとあきれかえる。もう鬼畜としか言い様がない!しかし「ウィンナー」を二枚の「ハム」で包むなんて・・GOODなアイデアだ、又やってみよう。 ●1 9 8 4 ~   「漫画ハンター」で「闇の宴」前後篇を描き、後日これをビデオ化。雪に包まれた六本木のスタジオで痔に苦しみながらの撮影。特別出演として中島史雄氏が絶妙の指使い、東デの学生時代の萩原一至が二役、取材に来たJITAN氏もスタジオに入ってきた瞬間、即出演で生玉子1000個の海で大乱交。カメラマンが凝り性で照明が気に入るまでカメラを廻さず、たった二日の撮影はやりたい事の半分も出来ず。撮影が終ると痔はすぐに完治。どうもプレッシャーからくる神経性だったみたいでこれに懲りてビデオは一本のみ。 この年の「肉の漂流」は親子丼もので、近所の書店のオヤジからこの本はよく売れたと聞いたが、一時よく描いたこのパターンは最近では「FUCK YOU!3」の「母娘シャワー」のみ。熟女と少女の両方が描けるところが利点。「血の舞踏」は久しぶりの吸血鬼もの。股間を針で刺し、噛んで血を吸うシーン等々いい場面はあるが、うまくストーリーが転がらず3回で止める。短編「果てるまで・・」は核戦争後のシェルターの中で、父が娘とタイトル通り果てるまでやりまくる話。被爆していた父が死んだ後、娘はSEXの相手を捜して黒い雨の中をさまよう。  またリサ・ライオンの写真集を見て筋肉美に目覚め、マッチョ女ものをこの頃から描き出す。しかしなかなか筋肉をエロティックに描くのは難しい。 ●1 9 8 5 ~   くたびれ果ててすっかりダレてきたこの頃、8年間働いてくれたアシスタント女史に代わってパワーのかたまり萩原一至、鶴田洋久等が東京デザイナー学院卒業後加わってダーティ・マーケットも第2期に突入!新旧取り混ぜておもしろいマンガをいろいろ教えて貰って読みまくる。「バリバリ伝説」「ビーバップハイスクール」「ペリカンロード」「めぞん一刻」「わたしは真悟」「Be Free!」「緑山高校」「日出処の天子」「吉祥天女」「純情クレイジー・フルーツ」「アクター」「北斗の拳」「炎の転校生」「アイドルをさがせ」「綿の国星」「いつもポケットにショパン」「バツ&テリー」「六三四の剣」永井豪の絶頂期の作品「バイオレンス・ジャック」「凄之王」「デビルマン」等々100冊以上とても書ききれない位で、う~ん・・マンガってこんなにおもしろかったのか、と感動! そこで眠狂四郎を学園にほうり込んで、今まであまり描かなかった学園マンガをエロマンガに、というコンセプトで始めたのが「斬姦狂死郎」。「六三四の剣」ばりに単行本20巻を目指すものの、少年マンガのノリは今では当たり前だが、当時はまだエロマンガとして評価されず、ほんの少し時代が早すぎたかも。’86に中断、今年’97に「ホリディ・コミック」にて復活!果たしていつまで続けられるか? →後に「斬姦狂死郎・制服狩り」、「斬姦狂死郎・美教師狩り」として刊行完結  前年末から始めた「美姉妹肉煉獄」は身障者いじめの鬼畜路線。盲目の姉とその妹を調教して性風俗店等で働かせ、娼婦に堕していく不健全・不道徳な作品で、肉の快楽にひたっていく盲目の姉に対し妹も「春琴抄」の如く己の眼を突き、自らも暗黒の快楽の世界にはいり、快楽の光に目覚めるラスト。 また、これからは女王様物だ!となぜか突然ひらめき「筋肉女」シリーズの延長としてフィットネス・スタジオを舞台に「メタル・クイーン」シリーズも開始。これは単行本2冊分描いたが、連載途中でヒロインの髪型を歌手ステファニーのヘア・スタイルにチェンジしたり、レオタードもたっぷり描けてわりと気に入っている。  10年近く描いた「美蝶」先生シリーズもこの年スタート!こうしてみるとマンガを描く喜びに満ちた大充実の年だったかも。 ●1 9 8 6 ~   この年は前年からの連載ものがほとんどだが、「エレクト・ボーイ」は空中でファックするシーンが描いてみたくて始めた初の超能力エロマンガ。コメディ的要素がうまくいかず2回で止める。この路線は翌年の「堕天使輪舞」で開花。  「夜の彷徨人」は自分の育てた新体操選手が怪我で選手生命を失ったため、その女を馬肉のごとく娼婦として夜の世界に売り渡した主人公という設定。しかし腕を折られ、女にも逆に捨てられ、そして事故によってその女を失ったあげく不能となってしまう。失った快楽を取り戻すため無くした片腕にバイブレーターを取りつけ、夜の街をさすらい次々と女たちをレイプしていくというストーリー。がっちり設定したキャラだったのにまったく話がはずまず、男のポコチンは勃起しないままに作品も不発のまま終る。  「斬姦狂死郎」が不本意のまま終わったため学園エロス・シリーズは「放課後の媚娼女」へと引き継がれる。当時見ていた南野陽子のTV「スケバン刑事・」とS・レオーネの「ウエスタン」風に料理。ラストの「男といっしょじゃ歩けないんだ」のセリフは一番好きな映画、鈴木清順の「東京流れ者」からのもじり。単行本は最初司書房から出て、数年後ミリオン出版から再販、そして’97久保書店より再々販ながら結構売れて今年また再版。この作品は親を助けてくれる有難い孝行息子といったところ。 ●1 9 8 7 ~   さいとうプロOBで那珂川尚という名のマンガ家だった友人の津田が「漫画ダイナマイト」の編集者になっていて、実に久しぶりに同誌で「堕天使輪舞」を描く。超能力エロマンガの第2弾。今回はエロと超能力合戦とがうまくミックスされ一応成功といっていい。この路線は「エレクト・ボーイ」とこの作品、そして’96の「夜顔武闘伝」も含めてもいいかも。一時、この手の作品は数多くあったが最近はめったに見かけない。しかし、まだまだこの路線には鉱脈が眠っているとにらんでいるがどんなものだろう。 ●1 9 8 8 ~   「放課後の媚娼女」に続いて抜かずの凶一無頼控え「放課後の熱い祭り」を2年がかりで描く。’89に完結し司書房より単行本化。そして今年’97に改定してめでたく完全版として復刊!この頃が一番劇画っぽい絵で、たった2~3人のスタッフでよくこれだけ描き込めたなと改めて感心!エロシーンがちょっと少なめながら中島史雄氏がダー松作品でこの作品が一番好き、とお褒めの言葉を頂戴する。  TVで三流アマゾネス映画を見ている内、むくむくとイメージがふくらみ、昔から描きたかった西部劇と時代劇がこれで描けると、この年スタートさせたのが「不死蝶伝説」なるアマゾネス路線。昔々青年誌の創世期にあのケン月影氏がマカロニ・ウエスタンを描いていたことを知る人は少ないだろう。俺もあの頃デビューしていたらウエスタンが描けたのに、と思う事もあったが、このシリーズでほんの少しだけその願望がかなう。  この頃、アシスタントやってくれてた格闘技マニアの鶴田洋久に誘われ、近所の空手道場通いの日々。若い頃修行のため新宿でやくざに喧嘩を売って歩いたという寺内師範は、もう鬼のような人で、行けば地獄が待っていると判っててなぜ行く?と不思議な位休まず通う。体育会系はマゾの世界と知る。組手は寸止めではなく顔面以外は当てて可だったので身体中打撲のあざだらけ、ビデオで研究したという鶴田の体重をかけたムエタイ式の蹴りをくらい、右手が饅頭のように腫れ上がる。先輩たちの組手の試合も蹴りがもろにはいってあばら骨が折れたりで、なぜこんなヘビーな事をする?と思うが、闘う事によって身体の奥から何か沸き上がってくるものがある。スリランカの元コマンドと組手をやった時、格闘家の気持ちが少しだけ判るようになった。 ●1 9 8 9 ~   ’94まで続く「美蝶」シリーズでこの年は『ノスフェラトウ篇』を描き、シリーズ中これが一番のお気に入り。同人誌の「王夢」はこれが原点。  短編では「悪夢の中へ」はスプラッタ・エロマンガで久しぶりにチェーンソゥでお尻のぶった切り!はらわた引きずり出し、人肉食いちぎり!顔面叩き割り等々でラストに「ホラービデオの規制をするバカは俺が許さん!」などと書いているので、この年が宮崎事件の年か?世間は彼が日野日出志・作のホラービデオ「ギニーピッグ」を見てあの犯罪をおかした、としてさんざんホラービデオの規制をやっといて、結局見てもいなかったとわかったあとは誰一人日野日出志氏にもホラービデオさんにも謝らす゛知らんぷり。残ったのは規制だけで、馬鹿のやる事には全く困ったもんである。先日の「酒鬼薔薇・14才」の時も犯罪おたくの心理学者が、「これはマンガやビデオの影響です。」などと相も変わらずたわけた寝言をぬかしていたが、馬鹿はいつまでたっても馬鹿のまま。少しは進歩しろよ!お前だよ、お前!短絡的で幼稚な坊や、小田晋!よぅく首を洗っとけ!コラ!  「獣人たちの儀式」は退学者や少年院送りになつた生徒、暴走族、ヤクザ達が集まって酒盛りしながら女教師たちをずこずこにしてOB会をひらく不健全作品。編集長が「また危ない作品を・・・」とこぼしたものだが、岡野さん、田舎で元気にお過しでしょうか。この頃の「漫画エロス」には「ケンペーくん」だとか「アリスのお茶会」だとかおもしろい作品が載っていたものです。「爆走遊戯」は伝説のストーカー・ろくでなしマンガ家の早見純が一番好きな作品と言ってくれたが、なぜだかわからない。人の好みはいろいろです。以上3本は単行本「熱き唇の女神」に収録。 「ふしだらな女獣たち」はフェミニストの女二人が美少年をいじめる話。これは「氷の部屋の女」に収録。 ●1 9 9 0 ~   この年の「美蝶」シリーズは『ダンシング・クイーン篇』。マネキン工場跡でJ・ブラウンの「セックス・マシーン」にのせて5人プレイをするシーンや文化祭でのダンスシーン等々結構好きな場面多し。暗くて硬い作品が多いので、この「美蝶」シリーズは肩肘張らずに、かなり軽いノリでキャラクターの動きに任せて、ストーリーも、そして次のコマさえも先の事は何にも考えず、ほとんどアドリブで描いた時もある。  「不死蝶伝説」に続いてシリーズ第2弾「不死蝶」は2誌にまたがって2年位続ける。これも結構お気に入りの一遍。 ●1 9 9 1 ~ 1 9 9 3   「性狩人たち」の近未来版、といった感じの「夜戦士」は学園物が多くなったので、マグナム銃で脳天をぶっとばすようなものが又描きたくなって始めたミニシリーズ。全5話位。松文館より単行本「黒い夜と夢魔の闇」に収録。  この年から知り合いの編集者がレディス・コミックを始める人が多く、依頼されてどうしたものかと思ったが、エロなら何でもやってみよう精神と何か新しい世界が開けるかも、という事から’94位までやってみたものの結果的に不毛の時代に終わる。与えられた素材が体験告白物という事で、非現実的なものは描けないという事は得意技を封印して戦うようなもので苦戦を強いられ、これって内山亜紀氏がやまさき十三原作の人情話を描いたようなミス・マッチングで不発だったかな。今後、もしやることがあれば美少年SMのレディス・コミックのみ。そんな雑誌が出来れば、の話だが。  いくつかやったレディコミの編集の一人「アイリス」の鈴木さんは同じさいとうプロOBで、マンガ・アシスタント、マンガ家、マンガ誌の編集、そして今はマンガ学校の講師、とこれだけ多くのマンガに関わる仕事をしてきた人はあまりいないだろう。これでマンガ評論でもやれば全て制覇だが・・・。  この頃はいつもと同じ位の30~40本の作品を毎年描いていたが、レディコミは一本30~40枚とページが多く結構身体にガタがきた頃で、右手のひじが腱傷炎になり1年以上苦痛が続く。医者通いではさっぱり��みがひかず、電気針で針灸治療を半年位続けてやっと完治。その後、住んでいたマンションの理事長を押しつけられ、マンション戦争の渦中に巻き込まれひどい目にあう。攻撃するのは楽だが、話をまとめるなどというのは社会生活不適格のダー松には大の苦手で「お前等!わがままばかり言うのはいいかげんにしろー!」と頭をカチ割りたくなるような事ばかりで、ひたすら我慢の日々で血圧がガンガン上がり、病院通いの日々。確実に寿命が5年は縮まる。あの時はマジで人に殺意を抱いたものだが、今でも金属バット持って押しかけて奴等の脳みそをクラッシュしたい気分になる時もある。いつかこの時の事をマンガにしようと思っていて、まだ誰も描いてない「マンション・マンガ」というジャンル、タイトルは「我が闘争」。え?誰も読みたくない?  この間に出た単行本は「血を吸う夜」、「赤い月の化身」「熱き唇の女神」[以上・久保書店] /「牝猫の花園」「真夜中の人魚たち」[以上久保書店]、「美蝶/放課後篇」「美蝶/ダンシング・クイーン篇」「不死蝶/鋼鉄の女王篇・上巻」[以上ミリオン出版]。 ●1 9 9 4 ~ 1 9 9 5   ろくでもない事が続くのは厄払いをしなかったせいか、このままここにいたら頭がおかしくなる、と15年以上いたマンションから引っ越し。��橋から巣鴨へ移動し気分一新!以前からうちもやりましょうよ、と言われていた同人誌創りをそのうち、そのうちと伸ばしてきたものの遂に申し込んでしまい、創らざるをえなくなる。しかもそれが引っ越しの時期と重なってしまい大いに後悔する。しかしいろんな人にお願いして何とか一冊でっちあげ、ムシ風呂のような夏コミに初参加。これが運命の分岐点。レディコミもこの年で切り上げ、以下同人街道をまっしぐら。現在まで「FUCK OFF!」が9まで、「FUCK YOU!」が4まで計10+&冊創る。  ’95からダーティ松本の名前にも飽きてきたしJr,Sam名でも描き始める。 レディコミ時代は松本美蝶。あと2つ位違うペンネームも考案中。  この間の単行本「氷の部屋の女」「双子座の戯れ」[久保書店]、「黒い夜と夢魔の闇」[松文館]、「危険な女教師/美蝶」[ミリオン] ●1 9 9 6 ~   美少女路線の絵柄もこの年の「夜顔武闘伝」あたりでほぼ完成、今後また少し変化させる予定。しかしこの作品は超能力、アマゾネス、忍法エロマンガとでも呼ぶべきか。「グラップラー刃牙」みたいに闘技場での勝ち抜き性武道合戦までいきたかったけれど、残念ながらたどり着けず。  「冬の堕天使」は久しぶりの吸血鬼もの。都営住宅で生活保護をうけている吸血鬼母子のイメージが浮かび、そこから漫画家協会・加藤芳郎を撃つ有害図書騒動のマンガへ。吸血鬼少年が光の世界との戦いに旅立つまでを描き、「闇に潜みし者」は時空を越えて近未来での戦い。その間を描く作品を今後創らなければ。  「FUCK CITY 2006」はクソ溜めと化した近未来のTOKYOを舞台に久しぶりにダーティ・バイオレンスが炸裂!ハード・エロ劇画と同人誌風・美少女路線の合体は果たしてうまくいったかどうか?30ページほど描き足して、’97、9月にフランス書院のコミック文庫にて発売。[「少女水中花」]  「放課後の媚娼女」と「人形愛」刊行。[いずれも久保書店刊]前者は以前、上下巻だったのを一冊にまとめて。後者は近作を集めた同人時代を経ての初単行本で、同人誌を知らなかった読者はショックを受ける。メタルフアンから以下のようなお手紙を受け取る。「これはジューダス・プリーストの『ターボ』だ。ラストの『眠れる森の少女』は『レックレス』にあたる。しかしジューダスもその後『ラム・イット・ダウン』や『ペイン・キラー』という傑作を世に出した事だし、今後を期待したい」という意のダー松のようなメタルファン以外は意味不明の激励をうける。 ●1 9 9 7   同人誌「エロス大百科シリーズ」スタート!いろんな項目別に年2刊づつ計100ページ位を別刊シリーズとして出し続ければ10年で1000ページになり、以前「谷岡ヤスジ1000ページ」という枕に最適の本があったが、これも一冊にまとめて枕にして寝れば、目覚める頃は3回夢精しているなんて事に・・・などとまだたった40ページの段階で言っても何の説得力もないか。飽きたら2~3号でSTOPするだろうし・・。[推測通り「毛剃り」「美少年SM」「女装」3号でストップ中]冬にはやおい系にも進出の予定。  今年出した単行本は厚くて濃いエロマンガを集めた久保書店MAXシリーズ第2弾!「放課後の熱い祭り/完全版」と「夜顔武闘伝」オークラ出版。ともに大幅描き足して25周年記念出版として刊行。ティーツー出版よりJr,Sam名で「昼下がりの少女」、9月にはフランス書院より「少女水中花」の文庫本が出る予定で現在、この同人誌と並行して描き足し中。「斬姦狂死郎」第2部も「ホリディ・COMIC」誌にて6月よりスタート!年内創刊予定の『腐肉クラブ』なる死体姦専門のマンガ誌にも執筆予定。  さてさて25年間、旅行の時を除いて、現在まで2日続けてマンガを描かなかった事はほとんどない。これはその昔、伊東元気氏というマンガ家とお会いしたとき「今月何ページ描いた?」との問いに、「今月仕事ないんでぜんぜん描いてません」と答えたら、「そんな事じゃ駄目だ。仕事があろうがなかろうが、毎月100頁は描かなきゃ。」と言われ、以後その教えを守り[描けるページ数は減ったが]、マンガは仕事ではなくなり、朝起きたら顔を洗うのと同じで生活そのものとなり現在に至る。  今は何でも描けそうなハイな状態で、以前はたまには外出しないと煮詰まってしまうので週いち位ガス抜きをしていたものだが、最近はせいぜい月いち休めば十分の「純エロマンガ体」。[純粋にエロマンガを描くためだけの肉体、の意。ダー松の造語]  こうしてふり返ると、この路線はまだえぐり足りない、これはあと数回描くべし、なぜこれを一度しか描かない!等々、残り時間にやるべき事、やりたい事の何と多い事! 爆裂昇天のその日まで・・・      燃 え よ ペ ン !  なお続きは 1997年後期 1998年 INDEX
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sonezaki13 · 4 years
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※サークル内企画「自分の過去作品をリメイクしよう!」で書いた作品です。
高2の時の作品「しとしと降る雨のリズム」のリメイクです。オリジナル版は下にあります。
中途半端なモブキャラF②
「嬉しいなぁ」
 クマを買った帰り道、エミはにこにこしていた。きっと今だってエミはあの時のままの気持ちなんだろう。いや、さすがにそれは私のただの願望か。
「そんなに嬉しい?」
 手にとってクマばかり見ているので何度も自転車に轢かれそうになるエミの手を引きながら私は訊いた。
「とってもとっても嬉しいよ」
 クマにアテレコしながらエミは答えた。親指と人差し指で器用にパタパタとクマの手を動かし、顔を隠して照れさせたりする。どうしてエミはこんなに私に懐いているのだろう。何が好きなんだろう。どこも良いところがないのに。魅力なんて一つもない。エミが私と一緒にいるメリットがない。
「私なんかとお揃いで何が良いんだか」
 赤信号の向こうで細い雲が流れている。空が高い。
「私はユイちゃんがいなかったらダメダメだよ」
 はいはい、と聞き流す。エミはいつも優しい。良い子だ。誰にでもだ。私がいなくたってエミは強くて優しいだろう。エミが外国人に道案内している時も、うずくまっているおばあさんに声をかけて救急車を呼んでいる時も、私はぼーっと突っ立って、いないふりをしていた。関係ないですよ、とモブに徹していた。なぜそれで私を見損なわないのか、見放さないのか。むしろ不自然だ。何を企んでいるんだ。いや、きっと、エミが優しすぎるせいだろう。企みがあるならさすがにもう実行してるはずだ。あまりにも一緒に過ごした時間が長すぎる。エミは私を見捨てられない。エミはこの通り私にとにかく甘いので、私はどんどん弱くなる。依存させられているような気もする。ダメにさせられている。エミのせいで私は嫌な奴なのかもしれない。でも別に良いや。エミが助けてくれるし。エミがいるから、私はいつもエミ頼みだ。エミがいなかったら友達いないもん。
「人を助けたいとか、心配、とか初めて思ったのが、タコ公園でユイちゃんを見た時なんだよ」
 エミは横断歩道の白いところだけを楽しそうにひょこひょこ歩いた。私はそれを見ながらのそのそと歩く。
「記憶力すごいねー。えらいえらい」
「あー! 信じてないでしょ」
 エミがむすっと膨れる。きっとエミの中ではそういうつもりなのだろう。そんなのどうせ勘違いなのに。だから私なんかに懐いているのだ。私がこんなに性格が悪いのに、クラスで浮かないのも、いじめられないのも、エミの明るさのお陰だ。エミはクラスの他の仲良しグループとも上手くやっている。私はエミがいないと一人ぼっちだけど、エミは違う。エミはどこへでも行けるし、何でもできる。きっとそのうち自分の勘違いに気付いて、私なんていらなくなるだろう。エミの目と頭がまともになったら、私がエミに見捨てられるのだ。私なんかに構うのはエミがどこかイカれてるからだろう。まともになったら嫌われるに決まってる。
「汚い」
 明らかに自分からぶつかりに行ったくせにチサトは死んだ顔で吐き捨てた。どんどんエスカレートしていく。きっとまだまだ酷くなる。
「ゴミの菌で死んじゃうー」
 取り巻きがまたふざけて騒ぎ出す。エミとぶつかったチサトの肩を大袈裟に拭いて、別の子にタッチする。
「何すんのキモすぎ」
 きゃーきゃーと黄色い声をあげながら、鬼ごっこが始まる。触られたところを大袈裟にごしごしと擦る。
「ゴミちゃん洗ってあげるよ。このままじゃ汚すぎて死んじゃうよ。ゴミちゃんを綺麗にしてあげる。ほら」
 鬼ごっこをしていた子分Cがエミをトイレに連れて行こうとする。汚い汚いと騒いでいたくせに動こうとしないエミの腕を掴んで引っ張る。加勢が来て、笑いながら背中を押したり、小突いたりしている。そして思い出したように「もう、触っちゃったじゃん」などと言いながら、うへぇという顔をしてみせる。
 誰か来ないだろうか。大人とか、正義感あふれるヒーローとか。先生とか見回りに来れば良いのに。誰かモブじゃない人。いや、先生が来たって無駄だ。助けてくれない。私たちを助けてくれる人なんていないのだ。チサトたちも馬鹿じゃないので目立つ時間帯でエミをいじめることもない。それに、救世主が現れたところで私たちはこの事実を隠すだけだろう。そして「本当に何でもないんだな」と念押しされたのを頷き、去られたところで落胆するのだ。結局は無駄。関係ない人しかいないのでどうしようもない。
 一度、勇気あるクラスメイトによって担任に告発され、学級会が開かれた。その子にとっては関係があったんだろうか。しかし、告発者は匿名だった上、エミも黙り込んでいて、結局はチサトたちの説明だけで終わった。結局モブはモブ。役に立たないし無駄だった。その時の説明だと、チサトとエミが喧嘩をして小突き合いになったのだということだったので、チサトとエミはお互いに「ごめんなさい」を言い合わさせられ、私たちは拍手をした。茶番だ。バカバカしい。でも誰も茶番だなんて指摘しなかった。ただモブたちは何の責任も負わず、勝手にがっかりしていた。チサトたちがいない休み時間の会話には、先生の対応への落胆が色濃く出ていた。しかし、誰一人そんなことが言える権利なんてないのだ。だって、主張してない。今だってもしヒーローが現れても、私たちは素知らぬ顔をするのだろう。だってモブだし。むしろ隠蔽に協力するのだろう。自分は悪くない、関係ない、気付いてくれない、助けてくれないのが悪い。関係ないから仕方ない。
 無駄に正義感の強そうな英語教師が、ラクガキされたエミの机やノートを見つけ「誰にされた」と騒ぎ出したことがあったが、今度は、何度訊かれても「自分でやった」とエミがきっぱり言い切ったことで、先生から気味悪がられただけで終わった。エミもまた素知らぬ顔をして隠蔽に協力している。一番の当事者なのに何故なのだろう。まるで傍観者だ。らしくない。いや、未だにチサトを可哀想と思っているのだろうか。エミならあり得る。まだチサトを助けようと思っているのかもしれない。何でそこまでするのだろう。チサトになんてそんなに構ってやる義理はない。チサトが犯されて、虐待されても、地獄に堕��ても、私には関係ない。勝手にされてれば良いし、勝手に地獄に行けと思う。むしろ地獄に堕ちろ。
「ゴミちゃん、頭うんこ臭いんじゃない?」
 トイレからずぶ濡れのエミが出てくる。廊下に出てきているのに、にやにや笑いながら子分がエミの背中をデッキブラシで擦っている。まだ新しい鮮やかな緑。毛がしっかりとしていて、痛そうだ。
「こいつ便器に頭突っ込んで水流で洗ったんだよ。やばくない? 」
 手を叩いて笑いあっている。自分でやるわけがない。どうせやらせたのだろう。最低だ。いや、でも今日はマシだ。便器に投げ捨てられたお弁当を食べさせられていた日もあった。それに比べればマシだ。腹を壊したり、吐いたりする危険性はない。濡れたままだと風邪を引くかもしれない程度の危険性なので、今回のはまだ良かった。大丈夫。マシだ。エスカレートの一方ではなかったということだ。そうだ。そのうち飽きないだろうか。飽きてくれれば良い。ただの遊びならどうせそのうち飽きる。
 やはりエミもチサトも気持ち悪いほどの無表情だった。もう何も感じないようにしている。何も見ないようにしている。知らないふりをして生きている。気付いてないふり。分からないふり。彼女たちもまた、私のような傍観者に近いのだ。
「死んでよ。汚れてる。どんだけ磨いてあげても綺麗になんないよ。生きてたってどうせ逃げられない。死んだ方が良い」
 ゴシゴシとデッキブラシで擦られるエミに向かってチサトは言った。なんだかエミはぽかんとしている。もうここにはいないのだろうか。
 チサトはきっと自分自身に言っている。これは他人を使った自傷行為なのだ。優しいエミを凶器にして。エミが何でこんな目に遭わないといけないのか。前世で殺人でもしたんだろうか。いや、前世なんかないし、死んだら終わりだ。エミのどこに落ち度があったんだろう。「あの子ももっと反抗したら良いのに」と誰かが小声で言ったのが聞こえた。そうだ。反抗しないということは受け入れているのだ。エミは喜んで受け入れているのだ。好きで殴られ、汚物扱いされ、水をかけられているのだ。そういう趣味なのだ。世の中にはいろんな人がいる。多様性を受け入れるべきだ。仮にエミが嫌がっていたとしてそれは明確に表明しないエミが悪いのだ。表明の仕方が足りないのだ。傍観者たちにも、チサトたちにも伝わるわけがない。伝わってないなら思っていないのと同じだ。
 別に誰もこの醜悪な行為を嫌悪していない。受け入れているのだ。不快に思う者なんて一人もいないし、その必要もない。許容しているのだ。仕方ないことなのだ。チサトも、エミも、子分たちも、傍観者たちも、甘んじて、喜んで受け入れているのだ。そこに何も悪いことなんてないし、変えないといけない部分もない。このままで良いのだ。
 ※
 私が堂々と生きていたことなんてあっただろうか。いつもこそこそして、卑怯に、自分だけは傷付けられまいと、関係ありません、という顔をして嵐が過ぎるのをただ待っている。
 暴力を見ていた。幼稚園児の頃はいちいちピーピーギャーギャー騒いでいた気がする。その頃は怖がる役のモブだったんだと思う。いつだって黄色い声をあげるのはモブの役目だ。外で暴力があった時も叫ぶのはモブ。別に殴ってる人も、殴られている人もギャーギャー言わないものだ。私はそう思っているし、そういうものだ。でも騒ぐのも面倒になってきた。だって騒いでも無駄だし。仕方ないし。
 母が泣いている。父が怒鳴っている。小学生の私は居間でドリトル先生を読んでいる。本を読むのにとても集中しているので周囲のことなんて見えていない。それまで読んでいた学校の怪談シリーズを読み終わってしまったので何を読もうか迷っていたら、エミが薦めてくれた。
 父が寝室に戻って、母は一人で洗い物をしながら泣いている。そして、何を思ったのか、泣きながら皿を床に叩きつけた。私はビクッと思わず飛び上がる。驚いただけだ。怖いとは少しも思っていない。そんなこと思う気持ちもないし。それより、ドリトル先生は動物と話せるのだ。それは勉強の賜物なので、勉強を頑張っていれば大抵のことはできるようになるのだと思っていた。映画のドリトル先生はそういう能力という設定になっていることを後から知って、落胆した。
「宿題もうやったの」
 破片を集めながら母が私に話しかけてきた。
「終わってる」
 さっきまでこの場でやっていたのに、この人は私を何も見ていないんだなと思った。目の前のことで精一杯なんだ。本来なら優しい娘は母が叩き割った皿の破片拾いを手伝ってやるべきなのだろう。しかし私は優しい娘じゃないのでしない。私は家でもただのモブだ。父と母の夫婦喧嘩の背景映像だ。這い蹲っている母を椅子から見下ろしている。「ユイは冷たいね」と母も言っていた。そうなんだろう。そう言われるからそうなんだと思う。しかし、だからと言って母を責めてはいけない。母も一人の人間なんだから仕方ない。母は悪くない。苦しんだり、悲しんだり、ストレスが溜まることもある。仕方ない。大人は大変なのだ。「子供は良いよなぁ」と酒を飲みながら父も言っていた。子供は楽してるんだから、辛いことばかりの大人を受け入れてあげないといけない。「子供に戻りたい」と母は泣いていた。そんなに羨ましいんだ。これが羨ましいんだ。私は楽をしている。私は良い。グッド。マーベラス。大人になったら一体どんな地獄が待ってるんだろう。大人ってそんなに辛いのか。まだまだこれからもっと苦しいことや辛いことが待っている。まだまだだ。これからだ。頑張れ。ファイトだ。負けるな。頑張って生きろ。耐えろ。歯を食いしばれ。これくらいで音を上げるな。
「嫌だねぇ」
 エミが言った。私が、家に帰りたくないと言った時の話だ。おとうさんとおかあさんがけんかするからかえりたくない。馬鹿だ。なんでそんなことを言ったんだろう。言っても仕方のないことなのに。言ったって先生もクラスメイトも「大変ね。仲をとりもってあげてね」とか「うちもそんなもんだよ」とか笑うくらいなのに。
「嫌じゃないよ。大丈夫だよ。これくらいで嫌なんて言っていたら大人になれない」
「でも嫌なものは嫌じゃん」
 どうせエミも心の中では「それくらい」と笑っているんだろう。うるさいな。大人が喧嘩してるところなんて見たこともないくせに分かったような口をきくな。家族で仲良く過ごしてることくらい知ってるんだからな。私はエミのこういうところが嫌いだ。大嫌いだ。知りもしないくせに、他人の地獄にずかずか上がってきて生ぬるい共感をするな。分からないくせに。理解できないくせに。モブでいとけよ。本当は、私は心のどこかでずっとエミを鬱陶しいと思っていたのかもしれない。こんなに長く一緒にいれば当然エミにイライラすることもあったし、疎ましく思うこともある。本当は邪魔だったのだ。要らなかったのだ。だからエミからこうして引き離されてせいせいしているんだ。関係ない立場になれて心底良かったと思っているんだ。エミがいない方が良いんだ。エミだって、私なんかといない方が良い。私がエミの価値を下げている。
 私は自分が辛いと思っていた。でも違った。とても恵まれている。もっと辛い人がたくさんいるのに、私はそれを微塵も助けようとは思わない。辛いわけがないじゃないか。バカバカしい。私は他人の地獄にずかずか上がり込むような真似はしない。勝手に苦しんでいて下さい。どうせ放っておいても大人になったら辛いことや苦しいことでいっぱいなのだ。どうしてわざわざ苦しみに行く必要があるのか。チサトはもっと地獄を見ているだろう。エミはもっと地獄を見せられているだろう。私は襲われたことも、殴られたことも、便器の弁当を食わされたこともない。私は楽をしている。地獄には底がない。私はきっとまだまだ地獄に堕ちる。痛めつけられている人間をただ眺めているだけで済むなんて、なんて幸福なんだ! すごいね!
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oooorip · 4 years
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刀ステ信者の刀ミュ初見感想③(真剣乱舞祭2018〜葵咲本紀)
こんばんは。刀ステ信者です。
またの名を、刀ミュ大好きなっちゃったオタクです。
刀ミュ配信、終わっちゃったね。
さびしい。本当に寂しい。毎日8時が近づくたびに、両手でペンライト握りしめながらDMMのページをじっと見つめていたあの日々。
マジでつらい。初日に戻りたい。全肯定オタクとしてもう一度観たい。
ほんとに大丈夫かな、最後まで観れるかな?と���安になっていた自分をタコ殴りにした後抱きしめたい。
大丈夫、お前は刀ミュが大好きになる。急勾配を転がり落ちていったあと、最後に地面に設置されていた底なし穴への扉がパカッと開き、まんまと中に落ちる。
ほんとにねえ、今………マジで大好きなんですよ、刀ミュ………へへ………ほんと、どうして生で観てこなかったかなあ……(号泣)
期間中、マジで悔しくて何度泣いたことか。配信終わったあとお布団の中でわんわん泣いた。
①、②と立て続けでクッソ長い前置き書いてきましたけど、もうあんなもの必要ないです。
なにも書くことがない。だって今、わたしは刀ミュが大好きだから。神に誓ってそう言える。
今回で感想もラスト。
刀ミュ最高、出会えてよかった、でも配信もっとみんなで観たかった、なにより生で観たかった。
そんな気持ちがごちゃまぜになっているので、褒め称えた次の瞬間メソメソしはじめたりと、おそらく度々情緒が不安定になると思います。
めちゃめちゃ気持ち悪いと思いますが、最後までお付き合いくださる方がひとりでもいらっしゃれば嬉しいです。
①真剣乱舞祭2018
先人の課金がねぶたとお神輿になって帰ってきた。
すごかった。すごかった…………
これ、ぜっっっっっったい現場楽しかっただろうな〜〜〜〜……(真剣乱舞祭のたびに言ってる)
真剣乱舞祭っていわゆる全国コンサートツアー的なものだと思うんですけど、その為だけにあのセットや手の込んだ衣装用意できるってめちゃめちゃすごくない?
刀ミュには力(金)があるぞ!オタク〜!ってことだし、その力(金)でオタクを幸せにしたい!って気持ちがヒシヒシ伝わってくる。
今更ながら刀ミュ、最高に福利厚生が手厚いコンテンツだよね。もっと早く気付けてれば寿命伸びただろうなあ……
こんなに見目麗しいソーラン節、確実に刀ミュでしか見れない。画面のどこ見ても美人しかいない。
お祭り衣装のみんなめちゃめちゃよかったな〜〜〜!あの格好で腕組んでる三日月がやたら可愛くてずっと覚えてる。
ていうかみんなお肌綺麗だし、脇がすべすべのサラサラなんだよね…マジで当たり前のように全員脇が綺麗だけど、確実にスキンケアにお金と手間がかかっている。本当にありがとうございますとしか言えない。
東西祭対決で、自分の太ももが賄賂になると思ってる村正がめちゃめちゃ可愛かった。ていうかもう早くみほとせ観たくて暴れそう。でもみんなと観たいから我慢するね……大人だから……
歴史上の人物たちがみんな出てくるのも、なんか迷い込んじゃったぞみたいな雑な理由じゃなく、ちゃんと「お祭」ってテーマに沿ってて上手いな〜〜〜!と思った。
あそこの近藤さん、土方さんが一言目からやべえ奴連れてきたのに全然動じてなかったよね。さすが局長。
自分は久々に会った友達が榎本くんみたいなの連れてきたら面白すぎて死んじゃいますね。
でも榎本くん、言動がぶっ飛んでるけどマジで顔が品の良いハンサムなんだよなあ……好きだ……
2018の時点でこんなに最高な真剣乱舞祭、2019年には歌合に名前が変わってますが、いったいどんなに良くなってしまってるんですかね。
その真相を確かめるため、我々はDMMの配信販売ページに向かった──。
誰だろうね。真剣乱舞祭はストーリーに関係ないんだろうから見なくていいや〜って言ってたオタク。
わたしなんだよね〜。
万死だね。
②三百年の子守唄
もうタイトルの字面だけで涙が出てくる。
めちゃめちゃ好き。大好き。泣きながら感想書いてる。
ストーリーが良いなんてもんじゃない。神曲かざぐるま。刀剣男士が大好きになれる。
刀剣男士がここまで人間と密接になるお話、今まで観たことなかったのですごく新鮮でした。
実際の人に成り代わり、人として子育てをして、その人生に寄り添う。本来人の命を奪う道具であるはずの刀剣男士が、人を生かす。死ぬ運命にある人に、死んでほしくないと思う。
めちゃめちゃエモかった。あまりに刀らしくない話なのに、顔グッチャグチャになるまで泣いちゃった。
かざぐるまが神曲すぎるんですよね。歌自体はすごくいい歌だな〜って真剣乱舞祭2017の時に思ってて、事前にサントラ買ってたので何度も聞いてきたけど、まさかこんなエモいシーンの歌だったとは。
ミュージカルとかで、ひとつの曲の中で時が流れて子どもが大人になっていくの大好きなんですよね。ライオンキングのハクナマタタとか。
優しくて壮大なメロディも好きだけど、歌詞が大好き。人の一生に寄り添いつつ、でもそれは刀剣男士にとっては一瞬なんだなっていう、超然とした人ならざるものの目線が良い。ストーリー知った今聴くとめちゃめちゃ泣いちゃうよ……
ストーリーもね、刀ミュで1番好きなのはむすはじだと思ってたんですけど、もうだめ。選べなくなった。個人の所感ですけど、たくさんある中の1番が選べなくなると沼に足取られたなって感じしませんか?
人に幸福を届ける物吉、人の願いを聞き届けてきた石切丸、誠実で人に仕えることにまっすぐな蜻蛉切。
この三振りに対し、
人に破滅をもたらす妖刀とされてきた村正、霊にまつわる妖しい伝説を持つ青江、他者と関わるのを嫌う大倶利伽羅。
このキャラ構成、天才だと思うんですよね。
そこそこ上手く人間とかかわれる刀と、そうじゃない刀の対比がすごく好き。最初はうまく人と関われなかった刀たちが少しずつ歩み寄っていく過程が良いのはもちろん、逆に上手く関われてきたからこそ壁にぶつかったり、つらい思いをする刀たちの姿がすごく切ない。
村正が自分に向いてない!って言いながらでも気になって終始コソコソしてるところ、めちゃめちゃ可愛かった。ほかのみんなと衝突して出て行っちゃう度に、行かないでよ〜〜〜、画面にいてよ〜〜〜〜お願いだよ〜〜〜って暴れた。吹き矢やられたい……
今回の語り部でもある石切丸に対しては、こんなに人に偏った優しさ持ってて刀やりづらすぎるだろうなあ…と思いました。
ひとりで全部抱え込もうとする姿は三日月を彷彿させられたけど、彼には青江がいて本当によかった。
あそこの二振り、話す内容はふわふわしてるのにちゃんとお互いの大事な部分わかりあってるの良いよね。
あと五平が死んじゃうところの伽羅ちゃんの「だから馴れ合いたくなかったんだ……!」てセリフ、大好きなんですよね。
そのたった一言に彼の生来の優しさ、失うことを恐れる臆病さ、その思考に至るまでの歴史、寂しさが詰まってる。
伽羅ちゃん、本当にいいキャラだよね。刀ステの義伝がやっていた頃、どっかの媒体で脚本の末満さんが「大倶利伽羅のセリフは引き算」って言ってて。(猪野くんが末満さんからそう言われたって話だったかもしれない)
自分はそれで末満さん天才だなと思ったんですけど、本当にその通りじゃない…?
彼の言葉は時に必要なものさえ引いてしまうほど少なくて、けれど短い言葉でたくさんの感情を表してくれる。
みほとせはその彼のよさをこれでもかってくらい引き出して、魅力的に描いてくれた作品だなと思ってます、だから刀ミュの脚本も天才です。
そう、脚本が天才だなって今回めちゃめちゃ噛み締めた。
みほとせだけじゃなくミュのストーリーに出てくる歴史人物、誰もいやな人がいないのがいいよね。いわゆる悪意を持ってるキャラ。
これは自分の考えですが、ストーリーを描く上で悪意を持った存在ってすごく便利だと思うんですよ。
人間は悪意に対して安易に心が動くので、物語を進行させやすい。見ている側もそっちにヘイトが向くので、ストーリーに多少のアラがあっても目立たない。
悪意のあるキャラっていうのは、それだけで物語を動かせるんです。
逆に悪意なしで物語を作るとなると、一気にダレやすくなってしまう。物語を、見ている側の心を大きく動かすのが難しくなるからですね(※ド素人の所感)
歴史もののお話なんて、特に歴史上の人物の誰かに悪役を背負わせた方が話が作りやすいと思うんです。
でも刀ミュのストーリーに出てくるキャラクターたち。刀剣男士はもちろん、歴史上の人物たちもみんな優しい。
闇堕ちする理由すら、お兄ちゃんに裏切られてめっちゃ悲しい!大好きな人を守りたい!パパにお兄ちゃんを殺されてめちゃくちゃ悲しい!じゃないですか。こうして見ると兄弟間特大感情すごいな……
天下取りたくて仕方ねえ、そのためならなんでもするでござるみたいな人間が誰もいない。誰も腹黒いこと考えてない。もちろん実際はそんなことなかったと思うけどね。
こんなに悪意を持たないキャラばかりで作られた作品が、一度たりともダレてないっていうのが凄いなと自分は思ってて。
逆にそれだけ刀剣乱舞の名のつく物語を慎重に、丁寧に作ろうとしてくれてるんだっていうのが伝わってきてすごく嬉しい気持ちになった。
本当、刀ミュってどんどんストーリーが緻密になっていきますよね。大好き。
徳川家康がなぜ太平の世を築くことに執着したのか。なぜ彼の物語につけられたタイトルが「三百年の子守唄」なのか。
そのすべてがわかった瞬間、もうありえないくらい涙が溢れてきちゃった。
いまわの際で、まるで自分に両親を与えてくれなかった運命に向かって勝ち誇るように笑っていた家康。彼の最期が物吉くんに看取られて本当によかった。ちょっと、いやだいぶ羨ましいけれど。
あのシーン見ちゃうと家康がバブちゃんだった時から物吉くんの愛情が100%だったの、すごい胸にくるものあるよね・・・
真剣乱舞祭で村正派に萌えまくり、1日でもはやく観たいと思っていたみほとせ。
それにここまで涙腺をブチ壊されるなんて思ってもみませんでした。
最初は村正の太ももと蜻蛉切の脇ばっかり目がいっちゃってたのに。そんな邪な気持ちを抱いていた自分が許せなくて100回指詰めました。
おかげで指全部なくなりましたが、明日はいよいよ運命の葵咲本紀。
今回の配信の大トリにして、自分の大本命です。
正気でいたら褒めてね。
③葵咲本紀
Life is wonderful. No toumyu is no life.
みなさん。人生は幸せですか?
わたしは幸せです。世界で1番幸せです。
お母さんとお父さんに感謝。この世に生まれてきてよかったと、心の底から感じています。
どうしてこんなに幸せになれたかと言うと、ミュージカル刀剣乱舞「葵咲本紀」と出会えたからです。
何度も書いた通り、葵咲は大本命でした。why。当時、葵咲で軒並み自分の周りが屍になっていったからですね。
同志が何人も死んでいる。ならば、自分だってきっと無事では済まない。
なのでこの配信が始まる前から、葵咲のことは内心めちゃくちゃ気になっていました。刀ミュのストーリー全然わかんないけど、いっそ円盤買っちゃおうかなと思ってたくらいに。
大本命との邂逅。さて、その結果はどうだっ��か。
正気を失った。
配信買った。永遠に観てる。
絶対に円盤も買う。CDも買う。保存用と、脳に埋め込んでおく用の二つ。
一時たりとも離れていたくない。葵咲本紀で生命維持がしたい。
こんな感じです(血走った目)
なんでこれほど好きかというと、理由は100億個あるんですけど。
まずストーリーが好き。みほとせで、子守唄が歌われ続ける世の中にしたいと願った徳川家康の子どもたちのお話。
自分が子ども時代苦労して家族のありがたみをわかっている人間でも、決して自分の子どもみんなを幸せにできるわけじゃあないんですよね。みほとせでも思ったけど、その辺すごく人間臭くて好き。
実は葵咲、なんでこのメンツなんだろう?って1番謎に思ってた公演で。
観てめちゃめちゃ納得できた。「家族」がテーマだからなんですね。
徳川家の壮大な家族喧嘩に関わることで、こてぎりくんは同じ江の「先輩」を救い出し、村正派はお互いの絆を確かめあえた。
御手杵くんは歴史から消された貞親と話すことで、「でも存在しなかったわけじゃない」っていうのを教えてもらって。
明石と鶴丸は刀ミュ自体の物語を動かすキャラクターとして起用されていたんですね。
明石をこういうキャラクターにしたの、すっごいチャレンジだったんじゃないかな?自分はめちゃめちゃ好きでした。
(歴史改ざんと判断するには)まだ早いとか、きっちり見届けさせてもらいますわとか言ってたし、明石、政府と繋がってたりするのかな?それとも三日月がこっそりやっていることをついにミュ審神者が勘付いて、明石に探らせてるのか。
てか役者さんが本当に絵のままで初見三度見した。ひょろ長くて、腕足が細くて、鎖骨が骨ばってて。
こんなご本人、どこから連れてくるんでしょうね?!流石に3Dプリンターを疑うレベル。
初登場のこてぎりくん、もう100回見てるけどあまりにも目がクリックリでかわいくて女の子にしか見えない。かわいい……かわいいね……好き。
最初に出てきて0.2986秒で2部はじめた時は振り落とされそうになりましたが、顔がかわいいので必死にしがみつきました。
村正派もめちゃめちゃよかったなあ。みほとせの物語を乗り越えたこからこそ、「誰かを思うこと」に目覚めた村正がすごく良かった。
信康のことで家康に怒りを持ったままの彼、最初は蜻蛉切もいってたけどちょっと意外だった。その後、実はこっそり信康に関わっていたことを知って泣いちゃいました。通りすがりの裸のおじさん、健気すぎるよ……
あと貞親さんと御手杵の歌のシーンがめちゃめちゃ好きです。歌がいい。でも最後のほうチューしそうになるよね??
「響きは音に応じる」って歌詞、むすはじ意識してるよね。そういうとこえっちだよ刀ミュ。大好きだよ。
また中の人の話をしちゃいますけど、御手杵の役者さんえげつなくないですか……???
初めて出てきた瞬間、「長!!!!!」って声出た。いくらなんでも長すぎる。
後でツイッターに流れてきた情報みたんですけど、「絵と頭身が一緒」っていう奇跡よ。これぞ遺伝子の勝利ですね……。
徳川兄弟がみんな信康さんのこと大好きで、誰も天下なんて欲してないのもすごく良いなと思った。
みほとせの時も書きましたけど、この腹黒い悪意のなさで物語が面白く成り立つの本当すごい。
それと葵咲、作中の曲もダントツで全部好きです。カッコいい曲ばっかりだし、最後の先輩と秀康を正気に戻すところの曲なんか歌詞もメロディもめちゃめちゃ大好き。作曲の天才がいるとしか思えない。
って感じで葵咲が好きなところはまだまだ出てくるんですけど、特に1番好きなのは鶴丸国永です。
もうめちゃめちゃカッコいい。めちゃめちゃかわいい。めちゃめちゃ強い。
ひときわ通る伸びやかで低い声。その声で歌われる歌があまりにも上手い!
そんな高スペック隊長にもかかわらず、やった仕事は主に
検非違使と追いかけっこしたこと、三日月宗近の存在をプンプン匂わせたこと。
…以上!
さすがに盛った。
めちゃめちゃ仲間庇って戦って、村正派の二人のシーンで空気よんでぺちゃんこになって、こてぎりくんと秀康の刀が関係していることを瞬時に見抜いたりしてましたね。あとまじで上手い歌を歌ってくれた。鶴の一声、二曲とも大好き。
でも彼自身は家康、徳川兄弟どちらと関わるでもなく、表立つわけでもない。作中で鶴丸国永については「めちゃめちゃカッコいいこと」「めちゃめちゃ強いこと」以外のなにもわからない。
唯一わかるのは、三日月宗近がめちゃめちゃ好きということだけ。
自分は刀ステの鶴丸が三日月にクソデカ感情を持っている事実に一生萌え散らかしているオタクなので、もう暴れまわりました。
ここでもかーい!!
って窓開けて叫んだ。
ほんとどこいっても……どこいってもさあ……勘弁してよ鶴丸さん……
っていうか、やっぱり三日月は歴史のあちこちで人生のネタバレをして回ってるんですね。
三日月の目的って「どんな形であれ歴史をあるべき姿にする」なんでしょうか。
でもそのためには、どうしても理不尽に死なないといけない人が出てくる。いわゆる、悲しい役割を背負わされた歴史上の人間ですね。
彼らを救い、歴史の表舞台からいなくなってもらう代わりに、刀剣男士の協力者「物部」の役割を積極的に与えて回っている。
明石はそのやり口は目的がどうあれ完璧な歴史改竄だと思っていて、鶴丸は退屈しなくて面白い!と三日月を肯定している。
ははあ〜〜〜〜、なるほど〜〜〜〜〜・・・・・・????(大好き)
それだけならまだ良かったんですよ。作中で三日月の存在を匂わせ、彼を肯定しているだけならまだ日本語が話せた。
でもそれだけじゃなかった。
2部の鶴丸ソロ曲。
あれ、なんなんですか…………………?????
もう1億5000万回くらい聴いてますけど、何度聴いたってこんなの
「To 三日月 From 俺」
じゃん。
いや、なにをもって主に夢を見させてくれるはずの2部パートで、そんな歌を聞かせてくるんですか……????
みんな恋愛曲歌ってるじゃん。抱きしめたいって言ってくれるじゃん。きみとこのままナウェフォエバーじゃん。
鶴丸だけだよ、友達(三日月)との思い出をひとり寂しく歌ってるの…………
なんらかの意思のもとで動いている明石や敵の動きさえ見抜く強キャラで、なに考えてるか全然わからなくて、めちゃめちゃ強くて自信に溢れた刀ミュの鶴丸国永。
その鶴丸国永のソロ曲がこれ。
……これ?!(混乱)
なんなんでしょうか、鶴丸国永にとっての三日月宗近って…………????
これで完全に頭おかしくなっちゃった。人生が幸せになっちゃった。生まれてきた意味を知った。
で、ここでちょっと思い出して頂きたいんですけど。
私が4年間刀ミュを観てこなかった理由。それは「2部が楽しめないと思っていた」から。
①の記事に散々書き連ねられるほど、その障壁は高く厚いものだとずっと思ってきました。
その2部に、最後の最後で生まれてきた意味を教えてもらっちゃったんですよね。
……
(崩れ落ちる音)
見事にオチがついてしまった。
狙ったわけじゃないんですよ、ほんとに。そんなに器用だったらもっと人生成功してただろうし。
今までの人生、散々後悔してきたけどもう1番後悔した。高校受験失敗した時より後悔した。
刀ミュ、どうして生で観に行かなかったんだろう。こんなに最高の鶴丸国永を、どうして自分の目で観なかったんだろう。
葵咲と出会えて世界で1番幸せだけど、違う出会い方がしたかった。歴史変えたい。
鶴丸のソロだけじゃなくて葵咲の2部、ほんとに世界で1番大好きなんですよね。入り方も今までにない感じでめちゃめちゃかっこいいし、サディスティックえっちだし村正のソロかっこいいし、闘魂歌とかもう好きすぎて謎の涙でてきちゃう。
本当に本当に後悔してる。幸せだけど苦しい。
そんなこんなで配信当日は後悔のあまり泣きながら観終わりました。
それから二日間、仕事以外は一生葵咲の配信観てる。一時も離れたくなくて。
無事に正気とはバイバイしてしまいましたね。
でも幸せです。絶対再演やってほしい。今度こそ、命をかけて通うので。
ありがとう世界。
ありがとう刀ミュ。ありがとう、葵咲。
あとがき
めちゃくちゃ長くなってしまった。
まずはここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
①、②からこの③まで書いてきた刀ミュの感想ですが、ありがたいことに自分が思った以上にたくさんの方に読んでもらえて嬉しかったです。
もともと刀ミュを観よう、その感想をしっかり書こう!と思ったのはひとりのフォロワーさんとのやりとりがきっかけでした。
以前、そのフォロワーさんに自分にぜひ刀ミュ新作のパライソを観てほしい!って言ってもらったんですよね。
星の数ほどいるオタクの中で、そんなふうにわざわざ言ってもらえるのすごく光栄だなと思って。
だから観ることに決めました。きっと2部は楽しめないだろうけど、とりあえず観るだけ観てみよう!と。
感想はそのフォロワーさんに、自分が刀ミュの過去作観たよ〜って届けばいいなあ。ついでに自分みたいなオタクにも届けば嬉しいかな?ぐらいの気持ちでした。
今ではあの時、そう判断した自分によくやったと言ってやりたいです。
遅すぎたけど、でも知らないよりずっと良かった。
この世界のどこかにいる、この刀ミュ無料視聴を企画してくれた方々。本当にありがとうございました。
おかげさまでこの数日間、本当に楽しかったです。刀ミュが大好きになれた。大好きになれて、本当によかった。
こんなに良いものをタダで観せていただけて、もうこれ以上望むものなどなしって気持ちもあるんですが、ダメですね。オタクの仕事はここからです。
生きる意味を教えてくれた御礼に、これからできるだけお金を落としていこうと思います。
重ねてになりますが、①からこのあとがきまで読んでくださった方々、本当にありがとうございました。
今度はぜひ、チケット戦争の地でお会いしましょう。
刀ステ信者の刀ミュ初見感想 おわり
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inertiaoz · 4 years
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こんにちは。いつもお世話になっております。
もう冬ですね。寒いですよね。日頃よく分からない日記を見ていただいている皆さまに感謝を込めて、冬を乗り切るための素敵アイテムをご紹介したいと思います。けして宣伝ではないです。っていうとより胡散臭いですね。お勧め順に書いていきます。
一つ目。ダメ着4g(¥12,477)。
ただのフリースではありません。まずツナギゆえの保温性。足まで完全カバーできてモコモコしてないから動きやすい。暖房要らずで電気代も節約できます。そしてお尻のところにジッパーを付けただけの「着たままトイレシステム」。天才的な発想ですよね。ツインテホールには外からヘッドホンを入れられます。寝る時に着てると冬の朝の「布団から出れない」がなくなります。布団がなくても温かいですから。ゲーマー用じゃないバージョンもアマゾンで2000円ぐらいで売ってます。昨日久しぶりに出してみたら元カノの匂いがしました。
二つ目。スモークレス灰皿(¥4,290)。
始めて日が浅いですが、Tumblrはどうも喫煙者の多いSNSのように感じております。寒い中わざわざ外に出てタバコ吸うの嫌ですよね。そんな方にこちら。部屋の中の臭いと副流煙の有害成分をだいぶ抑えてくれます。電子ライター機能も地味に便利です。ちなみに私は最近「xx君の家ってタバコ臭さがラブホっぽいよね」とありがたいお言葉を頂戴しました。
三つ目。デニスコロンのストール(¥75,391)。
急に手の出しづらい価格のものになりましたが、手織りのヒマラヤンカシミアで作ったストールです。近年カシミアのお値段上がる一方ですが、良いものは良いです。保温性、吸湿性、手触り、やっぱりカシミアです。手織りならではなのが、巻いた時のふんわりとしたボリューム。冬場はもちろん、春秋でも使えちゃいます。プロパーで買うと13万ぐらいするので通販で買いましょう。
四つ目。Ten-Cのコート(¥137,884)。取扱店増えてきてます。
イタリア陸軍で採用されている日本製のゴワゴワな化学繊維が風を全部防いでくれます。中に別売りのダウンが付けられますがこれはユニクロのダウンで大丈夫です。買ったばかりの時は自立するぐらい硬いですが、着てるうちに柔らかくなって表面がレザーのようにエイジングしていくのも楽しいです。こういうアウトドア的な見た目のものって本来趣味ではないんですが、これは暖かすぎて3年迷った挙句に買いました。真冬の「洒落たウールのコート着てる場合じゃねー」という時に是非。
以上、おすすめ商品でした。皆さまが大事な方と良い冬を過ごせますように。
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2ttf · 12 years
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ayanemutuki · 5 years
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光の庭
!Fire Emblem Heros fan fiction!
・カミュとプリシラの話。名も無き森の夢語りの続き。
・独自解釈・ネタバレ・異世界交流を含みます。カップリング要素一切皆無。
Image song:光の庭(D)
00.
ある時、美しい真白の城に美しい姫君が居た。美しい姫君は、一人の王子様に恋をしていた。幼い頃に、出会った異国の王子様。だが、王子様は黄金郷を探しに長い長い旅に出てしまった。姫君は戻って来ない王子を慈しみ、会いたいと願った。だが、彼女の前に現れたのは、美しい悪魔だった。悪魔は言った。 「お前の願いを叶えてやろう」と。
01.
たまに愚痴りたい時もある。とかつて、この世界には居ない部下のロベルトが言っていた。王だって、王子だって――たまに不満を漏らしたい時もある。 アスク城にある酒場で、レンスターの王子はミルクを飲んでいた。 「不思議な感覚だな」 目の前に居るレンスターの王子はそう言い、椅子に座りながら此方を見ていた。 「この世界に来てから、驚きの連続だと思った。セリスの父上と母上が一緒に居て、アレスの父上と…伯母上もこの世界に居る。最初は夢だと思っていたけど、頬をつねっても、夢じゃない――本当の世界なんだなって」 「リーフ王子は、どう思いますか?」 「でも…この世界に来ていない父上と母上が来たら――僕は、どんな気持ちでいけばいいんだろうって。それが不安なんだ。フィンやナンナも、僕に気を遣ってくれているけど、僕は王の器に��つのが相応しいのかどうか、悩んでいるんだ」 リーフは王の立場であるが、王の立場に相応しいかどうかは――自分自身でも分からないのだ。幼い頃に国を追われ、若き騎士と、異国の王女と共に各地を帝国軍��ら逃げるように転々として来た日々。とある村でエーヴェルと言う女性に救われ、村の人達と、家族のように過ごしてきた日々。その平穏な日常が、ずっと続けばいい。その平穏が――帝国軍の襲来と共に終わった時。 自分にも見覚えがある筈だ。幼い双子の王子と王女も、立場が災いし、暗い、孤独のような日々を送ってきた。王族の頂点に立つのも、王族に生まれるのも、碌な事が起きない。それがリーフ自身が理解している事であり――黒騎士カミュの悲しみでもあった。 「貴方は貴方の道を進めばいい」 だから、自分なりの言葉を贈る事が、精一杯の類でもあった。 「王族であっても、貴方は貴方の道を進めばいいのです。誰の言葉に惑わされなくたっていい、自分の、信じる道を突き進めばいい」 それが――自分自身の答えでもあり、嘗て――自分自身が下したつらい決断でもあった。だが、目の前の王子は、 「…何だか、あなたの言葉に、救われた気がするよ…有難う、カミュ将軍」 ――救われた、か。 自分は、誰かの助けになれたのだろうか。酒場からの帰路についている最中、自分自身はその言葉に悩んでいた。 『…それでも、人は何処へ行くのでしょうか』 トルバドールの女性のプリシラから言われたその言葉は――確かに、彼の胸に響いた。人は、死んだら何処へ行く。 「…カミュ将軍、聞こえていますか?」 リーフの護衛騎士であるフィンから、ハッと我に返った自分は彼の方を見た。 「先程、リーフ様と何かお話しされていましたが…どうしましたか?」 「あ、ああ…少し、彼の悩みについて相談したりしていた」 「…そうですか、有難う御座います」 フィンからいきなり感謝され、こちらも理解がイマイチ分からなかった。何故、感謝されてしまうのだろうか。 「…私でも時、リーフ様のお力に、なれない時があるのですよ。自分自身では耐えきれない、立場故や、ナンナ様の事――そして、キュアン様とエスリン様の悩みを抱えているのですから…ですが、こちらに来てから打ち明けられる人が居て、嬉しかったと思うのですよ。だからこそ――」 「いえ、いい…此方こそ、感謝する」 自分自身でもどうすることも出来ない悩みは――リーフやフィンだけが抱えているのではない、エレブ大陸の杖使いのプリシラも心配していたと言うのなら、自分は結局。一人で悩みを抱えているのだな。と苦笑しながら。
02.
「光と闇、どちらが正しいかなんて私には分からないんですが、どちらも間違っている、どちらも正しいって言うのは、人其々なんだと思います」 モノクルをクイッと片手で正し、闇魔導の使い手である彼――カナスはそう述べた。カナスの自室の書斎は彼にとって、宝庫であろう。ナーガ神についての伝承、ギムレーに関してのレポート、ラーマン経典、正の女神アスタルテの本…探究者である彼は、異国の騎士である自分にそう述べた。 「貴方が出会ったあの闇に堕ちた暗黒皇帝ハーディン…でしたっけ、彼は元々、善良な騎士だったと聞きます。オルレアンの方々から慕われていて、草原の民達からは希望だったと聞きました…例えるなら、闇に堕ちてしまえば、後は奈落の底――私は、堕ちてしまった人達を知っています」 黒い牙の者達の事を、述べたいであろう。剣を振るう『白狼』のロイド、獰猛な凶器を振るい、戦場を大暴れする『狂犬』ライナス――彼らの事を言いたげであった。自分は「何も言わなくていい」と告げ、カナスは「有難う御座います」と申し訳無さそうに言った。 「…闇は、必ずしも負の一面、悪とは限らないと、私は思うのです。歴史に葬り去られた、真実。語られざる、英雄の物語――それは、貴方が経験していると自分自身が物語っているからこそ、歴史が証明している。そう、例えばマルス王子が」 光の英雄なら、貴方は闇の英雄でしょうか。 「…妙な例え方だな、しっくり来る」 「でしょう?」とカナスは人差し指を振った。彼が椅子に座っており、机には色々書物が積み重なっていた。「バレンシア大陸の歴史」「ギムレー経典」「アステルテ経典」「魔石と魔王」「神竜ナーガとメディウスについて」知識を欲する彼が、異界の書物を欲するのも無理はない。と我ながら思う。するとカナスは、ある一冊の本を本棚から出した。 「英雄王マルスの物語」 知識を欲する彼が、この英雄譚に興味を持つのは珍しい事だ。自分の悩み故の決断力であろうか。 「マルス王子が、皆から慕われている光の英雄ならば、貴方とハーディンは闇の英雄です。ですが、彼と貴方の闇は、断然に差があり――違うのです。暗黒皇帝と化したハーディンは、心の闇に、呑まれた英雄。そして貴方は――例えるのは少し難しいのですが、歴史の闇に葬り去られた、英雄でしょう」 ああ、納得した。あの時の自分は黒騎士ではなく、ただの旅の者であった。カミュではなく、シリウスと名乗っていた。 「史実なき戦い、影に隠れた者――闇に葬り去られた者は、私の世界でも居ます。ですが…光と闇は、バランスが成り立たなければ存在意義を見出す事が出来ない。そして、貴方は――何を見出したのでしょうか。何を――」「カミュしょーぐん!マークス様とミシェイル様が呼んでるの!」 自分とカナスが振り返ると、ピエリとラズワルドが自室のドアを開けて、自分を呼び出しに来たのだろう。ラズワルドが「だ、大事な話をされていたのですね…!」と申し訳無さそうな表情をしたが、自分は「いや、良い」と手を振った。 「では、この話はまた、後程で」 まるで自分らしくない。と言い聞かせながら――自室のドアを、閉めた。 「…行ってしまいましたか」 カナスは、飛び出して行ったカミュを見つめ、ふぅ…と疲れた息を吐き出す。やはり、自分はこの世界でも探求を求めすぎている悪い癖が出てしまったようだ。 「…後で、ピエリさんとラズワルドさんに、お菓子でも贈っておきましょうか」 申し訳ない事をしてしまった表情をしたラズワルドに、お詫びの礼の品を考えておきながら、カナスは一つ、気になる事を呟いた。 「…それに、まるで彼女について話したくない素振りを、していた気がしますね…」
03.
「彼の王は泥から生まれた」 アカネイアの大陸一の弓騎士は、そう答えたという。泥から生まれた――その例えは、何処から来たのだろうか。レベッカはそう思った。 それは前、あの自分でさえも畏怖する力を持つ暗黒皇帝と相対していた時の事だ。ジョルジュやカミュが、苦虫を噛んだ表情をしていたのを忘れられない。それに、プリシラも、カミュやマークスについて余所余所しい態度をつい最近していたのも切っ掛けである。あまり他人の過去に突っ込みたくない(エリウッドや彼の御子息の有り難い御忠告である)のだが、ジョルジュと話をするタイミングが偶然にも弓を射る練習の休憩時に出来てしまったのだから。 「…ハーディンは、元々はオレルアン王の王弟だ。しかし、兄より劣る弟と言うのが災いなのか、少し心に歪があった」 ゼフィールもそうだった。彼は優秀過ぎるが故に、父親から忌み嫌われていた。とエリウッド様の御子息であるロイ様もそう仰っていたわね。とレベッカは納得の表情を浮かべた。それと同時に、遣る瀬無い感情が浮かび上がった。 「だが、アカネイアも元々は、高貴な血で建てられた国じゃない、それと同時に――神に守られし王国でもなかった。三種の神器を竜の神殿から盗み、其れを統治して出来上がった王国だった」 「こっちも、竜と人に歪な亀裂が入っていたのね」 「…人間、そう簡単に上手くいくもんじゃないがな。俺だってアカネイアの傲慢な貴族が嫌いだった。ラング将軍やエイベル将軍も、俺は死ぬほど嫌いだったが、アカネイアの為に、と何処かで逃げていた。現実逃避をしていたのかもしれない」 「こっちも大変なのね。ロイ様から、可愛らしいギネヴィア姫様が美しく成長したって言うから…もし会える機会があったら、見てみたかったなぁ」 「そうか…此方もニーナ様と出会える機会があったら、宜しく頼む」 分かった、約束するわ。とにこやかに微笑んだのだが――ジョルジュは口を開き、重たく、ある事を語る。 「――俺も、何時かはああなるだろう。と何処かで諦めていた」 「いつかは、ああなる…?」 「アカネイアの血を引く民が、他国の者達を蔑み、愚かだと嘲笑い、奴隷階級の者同士を戦わせ、動物の様な目でしか見ない剣闘士達の闘技場を見世物の様に観戦し…俺はそれが嫌いだった。だが、俺では何とかならなかった。ニーナ様は、その現状を変えようと必死に頑張っていた。だから俺は彼女の手伝いをしようと考えていた。だが、俺では役不足だったと…グルニア軍と戦う時に、気付いてしまった」 「あ…ああー…黒騎士の、カミュ将軍の事かしら?」 「だが、彼でしかニーナ様の心を開く事しか出来なかったんだろうな。敵国の騎士と、我々の国の王女、相容れない関係なのに、出会ってしまった。出会わなければ良かったのか、出会ってしまったのは必然だったのだろうか。それは今の俺にとっては分からない事だった」 ジョルジュの疑問に、レベッカはある事を口にしようとしたが――開けなかった。 ――ねえ、それはもう、必然だった方が良かったのじゃないかしら。辛い事や、悲しい事、楽しい事があるけれども、出会わなければ、何かが産まれなかったんじゃないかしら。 ニニアンの事を思いながら、レベッカの拳は固く握りしめた。
04.
ニノは歌を歌っている。古い、エレブに伝わる歌である。まだ幼さが残っている魔導士の少女は、アスク城のバルコニーの冷たい夜風に吹かれながらも、用意されている椅子に座って歌を歌っていた。 それを遠回しに見ていたカミュとミシェイルは、暗夜第一王女カミラの臣下である竜騎士の少女から貰った(彼女曰く、日頃レオンやマークスと接していたからそのお礼らしい)暗夜王国産のワインをグラスに注ぐ。 「何処か、遠い国の歌のように見えた」 とカミュはそう述べた。歌は、竜と人の物語を準えた叙事詩のようであった。竜と契約した者と、美しい少女の物語。エレブ大陸に伝わる、悲しい物語でもあった。 「あの少女は、雪を義理の兄と一緒に見た事があるらしい…俺も、ろくに妹であるマリアに、其れらしい事が出来なかったな」 王の激務に追われ、妹のマリアと一緒に、遊んだり一緒にお出かけする事が出来なかったらしい。その王位が、自らの父を手をかけた代償だったとしても、マリアはミシェイルが大好きだった。大好きな兄を、慕っていたのだ。 「…私も、同じ気持ちだ」 敬愛する王の子であるユミナ様とユベロ様と、一緒に遊んだり笑ったり、泣いたりする事はごく僅かで、彼等に何か残す事が出来たのか――後悔した事もあった。 カミュはそう、述べていたがミシェイルに至っては 「貴様はバレンシアであのリゲルの王子と楽しく接していたのではないか」と答えたが、カミュは首を横に振った。 (貴様は本当に優しすぎるな。それが仇となる時があるのだがな――) ミシェイルはそう思う。マリアから見たら自分は「優しい兄」だと思うのであろう。だが、自分はそう優しい兄ではない。妹のミネルバから見たら「父親殺しの自分勝手な兄」と認識された事もあった。 ニノが歌を歌い終わり、立ち上がる。バルコニーの玄関に優しい兄であるロイドとライナス、大事な人であるジャファルが居て、ニノは駆け寄ってロイドに抱きしめる。 (兄である俺が、何をしてやれたんだろうな) ミシェイルは思い悩む――すると、カミュは笑って誤魔化した。 「だとすれば、貴方も私も同じ悩みを抱えていたのではないか。優しい兄と、王子と王女に仕える騎士が、何をやれたのだろうか」 「お前は悩んでいるのか?」 「ええ、自分は――優しすぎるのではないのか。と思い悩む事があるのです。少し、コンウォル家の令嬢と出かけた時に」 あのトルバドールの少女の事か。とミシェイルはすぐに分かった。彼女は厳格な兄と、彼に使える優しげな、柔らかな声音をした修道士の従者が居る。 「…カミュ」 「…何だ」 「――ドルーアに従った者同士、同じ悩みを抱えているが…貴様も俺も、『どうしようもない大人同士』また、飲む事があったら悩みを打ち明けようか?」 「…それは遠慮しておきます」 やはりこいつは騎士であるが故に優しすぎるな。とミシェイルはそう思いながらも、最後の一杯であるワインを飲み干した。
05.
戦場を駆ける漆黒の駿馬、まるで父上の様だと最初は、そんな感想を自分の心に抱いていた。 「…おい、貴様」 プリシラはゲストルームで暗夜王国のあのドジなメイドのフェリシアが淹れた紅茶を飲んでいる最中に、ある人物と出会った。プリシラは唇をハンカチで上手に拭き取り、後ろの方を振り返る。やはり、最近召喚されたばかりの――師子王エルトシャンの息子であり、セリスやリーフと共にユグドラルの解放戦争を戦った仲でもある…。 ――黒騎士アレス。父親譲りの剣裁きをし、戦場にその名を轟かせている聖騎士だった。 「はい、何でしょうか」 自分がそう答えると、アレスは「丁度良かった、貴様に話がある」とソファに腰掛けた。ベルクトといい、ミシェイルといい、兄と同じ融通が利かない人達と何気に縁があるのだろうか。とそう思っていると、アレスは意外なことを口にする。 「…最近、カミュについて気にしているのだな」 「えっ」プリシラはティーカップを落としそうになったのだが、アレスは「いや、忘れてくれ」とそっけなく答えた。これでは話になっていないのでは。思い切って、プリシラが思い当たる部分を考え、アレスに対してある事実を口にする。 「…貴方のお父様を、思い出しちゃったの?」 無言。どうやら図星のようだ。だが、アレスは「ああ、そうだ」と答えを口にする。プリシラは「やっぱり、そうなんですね」とふふっと笑う。早速だから、彼もお茶に誘ってしまおう。と、隣に居たジョーカーに、紅茶を頼んだ。 「エルトシャン殿下と、カミュ将軍は無茶をし過ぎなんだと思います」 毎回、シグルドとミシェイルが彼等を抱えて私やセーラさんの所に駆けつけて杖の治療を受けてしまうんです。と口にする。 「父上が、シグルド…様と本当に親友だったのか」やはり彼は敵討ちのシグルドに対して敬語をつけるかどうか、まだ迷っているみたいだった。 「で、カミュがミシェイルに抱えられているのは…どんな関係なんだ?歴史書だと、ドルーア側に就いたマケドニアとグルニアの総帥だったと聞いているが」 「…どんな関係、ですか」 確か、その時カミュの事を話していたミシェイルは、友人と言うか、親友とは言い難い…所謂、共犯者?の様な態度をしていた。 「ええっと…一緒に戦った、戦友?」 上手く誤魔化しておく事にした。彼等に首を突っ込むと、余計事態が悪化してしまう。 「そうか」とアレスは納得した表情をした。 「正直、思う。俺はずっと復讐の事を考えていたが…実は、父上の背中を追っていただけだろうな。と今は思ってる」 プリシラは、何も口にしない。アレスの話を、ただ聞いているだけだ。 「…父上は、立派な騎士だったと、母上から聞かされていた。高潔で、誇り高く、優しい騎士だったと聞いていた。俺はそんな父上に憧れていた」 だが、父上が死んだ時は――全てが変わった。とアレスは何処か暗い表情で語る。 「…そうですか、誇り高い黒騎士さんでも、弱音を吐く事はあるんですね」とプリシラは、ちょっと皮肉を込めた言葉を吐き出した。 「騎士である彼等は、誰かを守る為に戦っているんです。貴方のお父様やシグルド殿下、セリス様に、エリウッド公…それに、カミュ将軍や、ミネルバ王女も、前線で戦っている。人はいつか死にます…ですが、その何かを、また次の誰かが受け継いでいるのでしょう」 アレスは「そうか」と口にすると、ソファを棚代わりにして置いているミストルティンを構える。 「…この剣は、父上が俺を見守っている証だったんだな」 プリシラは、そんな彼を見て――ゆっくりと微笑んだ。 「私も貴方も、似たような悩みを抱えているんですね。だったら、一緒にお話ししましょうか」
「んで、俺が弓兵に狙われている若を守る為に、颯爽と弓兵を背後から攻撃して、若を助けたんですよ!」 「成程…今度、ミカヤが狙われた時にはその戦法を組み込む事も考えてみるか」 「じゃあ弓兵はあたしに任せるね!マシューは魔導士をお願い!」 「いやいやいや、俺は若様命だからな!じゃあ魔導士はガイア、お前に任せるぜ!レベッカー、期待してるぜー」 「何で俺!?おい、アズ…ラズワルド、笑いを堪えるな!」 ハハハ…と、食堂で弾んでいるマシュー達の姿を見て、ルーテは考える。プリシラがカミュについて気にしている。つまり、プリシラはカミュを見て何かを思い出した可能性は高い。だとしたら、カミュと関わりのある人物を探ってみる事にした。ジョルジュ、リンダ、ミシェイル、ミネルバ、マリア、パオラ、カチュア、エスト、ベルクト、アルム…思い当たる節が見当たらない。だとすれば、まだ可能性がある筈だ。此処はプリシラに尋ねるしか方法は無いだろう。ルーテが心の中でえいえいおー!と誓った途端に、カミュがミシェイルと一緒に、食堂に入って行った。 「いっつも行動しているのは、お友達なのかしら?」とラーチェルが困惑している表情をしていた。何時だったか、覚えていない。ふと、彼等の会話が聞き取れた。 「…で、最近その御令嬢が貴様を気にしていると?」 「ああ、そうだが……恐らくは、あの一件で」「そうか」 (つまり) 「一緒に出掛けた時に、彼女の言葉が…うん…」 (プリシラさんと出掛けた――つまり、彼女の方程式に考えると、ピクニックか何処かに行ってきたのでしょう��そして、彼女の言葉を考えると――やはり、カミュ将軍の過去に何か関係が?) ルーテがその光景を見ていると――後ろからカナスが「何をやっているんですか?」と話しかけてきた。 「いえ、人間観察です」 「人間観察って…ああ、カミュ将軍の事ですか」とカナスは、何か納得した表情で見据えた。 「多分、彼等については、放っておいたほうがいいと思います」 「どうしてですか?私は非常に気になるのです」 するとカナスは――微笑み、こう答えた。 「あれが、彼等なりの答えなのですから」 (彼等なり、ですか) 恐らくは、自分が介入しなくても、無自覚に彼の善人さが――悩みを解決してくれるのだろう。ルーテはそう思い、魔導書を持ち、立ち上がる。 「カナスさん、有難う御座いました」 ルーテが立ち去った後、一人取り残されたカナスは――ちょうど部屋に帰ろうとしていたマシューを呼び出す。 「…マシュー、少し良いですか?」 「えぇ、何だぁ?」 「私の悩みも聞いてくれませんか」「は、はあ…」 恐らく、カミュについては…勝手に誰かが、悩みを解決してくれるのだろうから。
07.
「わぁー!雪だ!」 黒い天馬に乗っている軍師ルフレの娘と名乗る少女は、降り積もる雪を見て感想を述べた。護衛にはパオラが居るが、どうやら雪と聞いて駆け付けたターナと、追っかけてやって来たであろうフロリーナも参加した。ミシェイルは不満げに竜で空を飛んでいるが――そう言えば、雪なんて久々だろう。とこの時思った。 『貴様は、雪を見たと言っていたが――何時頃だ、アンリの道か?』 『アンリの道…確か、氷竜神殿に行く最中に、だ。ミシェイルは雪の中を行くと言うのか?』 『少しあの軍師の娘とやらが雪を見たいと言っていてな…全く、あの黒い牙の少女もそうだが、少しは危機感を…』 『いえ、それは構わないと思った方がいい――こんなに降り積もる雪の中で戦った時は、氷竜神殿で竜達と戦った時以来だったな。だが、こっちの方が、まだ暖かい』 『…まだ、暖かい?』 『あの時、猛吹雪で――凍えるような息吹を感じたが、ニフルで降り積もる雪は…暖かさを感じる。死を感じられない雪だ』 出発前のカミュとのやり取りを思い出す。自分が彼女らの護衛に立候補に参加したのは、マークが自分の末っ子の妹を思い出す故か、将又他の立候補役が彼女等を任せられない故なのか(ナーシェンやヴァルター)…。だが、ミシェイルはこの雪に、確かな暖かさを感じられたのは事実だった。 「…あの、ミシェイル様?どうなされましたか?」 「いや、少し昔の事を思い出してな」 「…昔の事、ですか?」 「もし、俺と貴様、どっちがマルス王子率いるアカネイア軍を討ち取れるかとしたら――貴様はどっちを選ぶ?」 カミュは自分の忽然とした問いかけに戸惑いを隠せずに居るが、『もし仮にマルス王子を討ち果たし、そしてガーネフを倒せるか』についてを答えるとしたら。まあ、小難しい問いかけに彼は答える事が出来ないだろう――と確信した矢先。 「…ミシェイル、陛下だろう」 驚きを隠せない答えだった。何故自分がマルス王子を倒せるか?とカミュに問いかけた。しかし彼は 「騎士として死ねるのなら、それでいい」と答えるだけだった。丁度その頃は、雪がしんしんと降り続いていた。 結局は、この戦いに何も意味がないと分かっていただろうか、それとも――あの双子の未来が掛かった戦い故の、結論だろうか。 この雪には何もいい思い出がない。が、カミュは気楽に答えた。勝者と敗者の答えなのか、それとも…まあ、いい。これが終わったらカミュにさっさと暖かい酒を寄越せと訴えかけてやろう――降り積もる雪に、舌打ちをしながら。
08.
あいつの顔を見る。高慢な性格のリゲルの王子であるベルクトから見た黒騎士さんについての物語と言うのを誰かはそう言う。俺は彼ではなく、リゲルにいた頃を思い返す。叔父上と話していた時に、今と違う笑い方をしていた。何となくだが、あの時は陰りがない顔をしていた――あのティータという女性と幸せそうに、睦まじく過ごしていた。だが、今の姿は――リゲルの騎士ではなく、グルニアの黒騎士団を率いる騎士の姿だ。何処か、陰りが見えたような気がした。 「貴様からしたら、どうなんだ」「だが、彼が優れた騎士であるのは間違いないだろう」 ノディオンの騎士であるエルトシャンから見たら、自分から見たら優れた騎士である事を直ぐに見抜いた。若くして死んだ者であるが、シグルドの戦友である彼の下す判断は、流石はクロスナイツ騎士団長でありながら、ミストルティンを持つ(どうでもいいが、息子も優れた騎士であるが俺と似た性格をしている)騎士である判断であろう。 「優れた騎士でも、弱点を取られると直ぐに脆くなる」「例えば?」 エルトシャンは口ごもった。きっとあのノディオンの王女や妻の事を言いたいのだろう。自分はそう易々と言及する事は無かった。自分もリネアの事を思い返していたからだ。 「父上は、そう仰っていたのか」 「そうだ」 アレスは自分の問いかけに答え「そうか…」と悩める、思春期の少年らしさをまだ残している表情をしていた。すると会話している自分達の後ろでプリシラが絵本を持って何処かに行こうとしていた。 「おい、いったい何をしに行くつもりだ?」 「あれ、ベルクトさんに…アレスさん?珍しいですね。二人で何をしていたのですか?」 「ちょっとな…貴様こそ、何をするつもりだ?」 「ノノやミルラが絵本を読みたいって言うから、書斎から絵本を取り出してきたんです。この絵本が一番好きそうかなー…と考えてしまったんです。じゃあ、私は先を急いでますから」 それでは、失礼します。と言い、彼女は先に行ってしまった。 (分からない事だらけだ、結局は――自分は皇帝にはなれないと、何処かで感じてしまったのか。だが、あいつは…王になる器になんて持っていなかった。そう言えば、カミュも何時だったか、ある事を自虐していたな) 『私は騎士の器を持っているとは思えないのですが――王には、猶更向いていなかったのかもしれません』 (…似たもの同士、って事か) 急に用事があると言い、ベルクトが立ち去った後一人取り残されたアレスも自室に帰ろうとした瞬間、後ろから肩をポンポンと叩かれた。後ろを振り返ると――不機嫌な表情をした、従妹のナンナが居た。 嗚呼、これはまた説教のパターンか。と理解したのだが…ナンナは、意外な言葉を口にした。 「ちょっと、話があるの」
09. 「最近、プリシラと言うあのトルバドールの少女とよく話してるわね…私だけじゃ、相手にならないと思っているわけ?」 伯母上譲りの気の強さが得りなナンナの言葉に、アレスは言葉を詰まらせた。別にそう言う訳ではない、ただのお茶会仲間だ。と上手く話せば、ナンナは「…そう」と溜息を吐きながらそう言った。彼女と話をするのは久々だろうか?…いや、ナンナはいつもリーフと話をしていた。そりゃあ彼女はリーフの大事な人だから…幼い頃から一緒にいた仲だろう、仕方がないとは言え、彼女に詰め寄られては困る。「気の強いナンナ様」に言い寄られては、流石の黒騎士アレスもお手上げだろう。 「…そうだな、ナンナ。俺は今、悩んでいるんだ」 「…悩んでいる?どうしたの、らしくないわよ」 らしくない、か。そうだな。と確かに今の発言はまずかっただろうか。ふと考えると、ナンナにある事を尋ねた。 「…ナンナ、一ついいか?」 「どうかしたの?」 「…お前は、フィンの事をどう思ってる?」 えっ。まさかアレスから、フィンの事を尋ねられるとは思っていなかった。これは、答えに迷ってしまう。私はフィンのことを理解している母とは違うのだ…だが、ナンナははっきりと答えた。 「大切な人よ。私やリーフを、立派にエーヴェルと一緒に育ててくれて…エーヴェルが石化した時も、支えてくれた人」 そうか。とアレスは無表情で頷き、天井を見上げた。 …アレスと別れた後、ナンナは彼の行動に不可解を感じた。 (…でも、どうしてあんな事を。いつものアレスだったら――あれ?) そう言えばプリシラと言えば、一つ気になる事がある。プリシラは別の異界で黒騎士と言われているカミュについて詳しく調べている様子が見受けられた。アレスも、プリシラとお茶会をしていたと言う訳ではなさそうだ。じゃあ、一体何の為に?とナンナが考えるとしたら――直接カミュ本人に問い質すしか無さそうだ。 「…でも、どうしてアレスは悩んでいたのかしら…あら?そ���いえば、カミュ将軍と、叔父上は一緒に出撃していたから…もしかして、そのせい…?」 ナンナは、やっぱりアレスの気持ちも考えた方が良いのかしら。とぼやいた。
10. ざく、ざく、ざく。プリシラはニフルの土地を歩いていた。雪が降り積もるこの国は、雪合戦でも出来そうだ。と考える程だった。そう言えばカミュも、カナスに話をしていたらしく、自分も彼も、似た悩みを持っているのだな――と思いながら、雪がじゃりじゃりとなるこの地を足で踏みしめながら、前に――カミュと一緒に森を歩いていた事を思い出した。死んだら、魂はどこへ行くのだろうか。と問いかけていた。彼は、ニーナ王女の事を語っていた。救国の聖女。と何処かの記述ではそう記され、或いは傾国の魔女。と記されていた。他者を犠牲で成り立っている平和と言うのは、あまりにも残酷だったのだろう――ロイが語っていた『女王ギネヴィア』の物語――ゼフィールの豹変、そしてベルン動乱…竜と人が、分かり合える日は何時かは来るのだろうか。もし、そうだったとしたら…この冬景色を、竜達が見られる日が来るのかもしれない。 ふと、プリシラの足元に、誰かが居た――下を見たら、竜の少女であるファが、雪を見てキラキラと目を輝かせていた。 「ファ、雪を初めて見た!」「ふふふ、そうですね。これが雪なんですよ」 あのね、ニニアンお姉ちゃんからお話しをしてもらったの!イリアの雪はね、綺麗なんだって!と健気に話す姿は、とても楽しかった。 カミュとミシェイル、それに兄とルセアも一緒に連れて来て、ファと一緒に遊ぶのも考えたのだが――雪を見て、思った。 「カミュ将軍に――また、問いかけたい事があります」 この世界にきて、どう思ったのでしょうか。私はそれが、聞きたいです。 「…」 外でニフルの雪を見て、カミュは思う。自分は役目を果たしたからそれでいい。と何処かで思っていた。だが、バレンシアのアルムやベルクト、ティータを見て――一度は考え直した。生きると言うのは、とても残酷な事だ、だが、必死に生きていれば、結果が見えてくる事もある。と言うのも、事実だ。だが、一つだけ心残りがあるとすれば――。 「…この雪を、一度だけニーナに見せてもらいたかったな」 彼女がこの世界に来るのは、まだ遠い。
11.
真白のお姫様に王子様に会える対価というのは、人の心臓でした。人の心臓を悪魔に渡せば、お前の願いは叶えてあげる。そう、1000人の人間の心臓を私に渡せ。と。 お姫様は必死に人間の心臓を食らい続け、悪魔に献上をしました。そして残り一つの心臓を悪魔に上げれば、王子様に会える――しかし、現実は残酷でした。何故なら、残りの心臓は、王子様でしたから。 そう、お姫様は、王子様の国の民や、家族の心臓を喰らい、悪魔に献上したのです。 怒り狂った王子様は、国の民や家族を殺したお姫様にこう言ったのです。 「人殺し」と。 そうして真白のお姫様の心臓は剣で貫かれ、ドレスは真っ赤に血に染まったのです。
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事実を知らしめることが親善に
豊田有恒(作家)
愛国の一方で政府批判
 このところ、韓国の反日が常軌を逸したものになっている。いわゆる従軍慰安婦の問題は、日本の巨大新聞が、その強大な影響力を行使した結果、世界中にまき散らされた虚構なのだが、いわば韓国との連携のもとで、拡大した側面も見逃せない。
 明らかに、韓国は、変わってきている。なぜなのだろうか? 私は、1970年代の初頭から、韓国へ通い始め、韓国語も学び、多くの著書を上梓してきた。しばしば、親韓派と目されてもきた。弁解になるが、これには、理由がある。70年代の当時、例の巨悪の源泉である新聞社は、北朝鮮一辺倒だったのである。今日では考えられないことだが、北朝鮮を「地上の楽園」と美化し、相対的に韓国を独裁政権と規定し貶(おとし)めてきたのである。
 私は、もともと、小説家であり、思想的な背景はない。韓国へ行くようになったきっかけは、小説の取材のためでしかなかった。韓国は、あの新聞社が報じるように、独裁政権の国だと思いこんでいた。これは、おおかたの日本人の当時の平均的な理解だったろう。なにしろ、良心的と目されていた大新聞が、北朝鮮への帰国事業などを後援し、後にノーベル賞を受賞する有名作家や、国際無銭旅行で大ベストセラーを出した評論家などが、すっかり賛同しているのだから、実際に韓国へも北朝鮮へも行ったことのない人間は、そうだと信じこむしかなかった。
 しかし、韓国へ通ううちに、日本の報道が、おかしいのではないかと、うすうす思いはじめた。三十代はじめで若かったせいだろう、フットワークが良かったから、取材目的の古代遺跡のほかにも、あちこち歩きまわる。ディスコで知り合ったディスクジョッキーをやっているという同年輩の韓国人と意気投合したが、この男、どこでも政府批判ばかり口にする。こちらが、心配になって、周囲を見回したほどだった。日本では、KCIA(韓国中央情報部)の悪行ばかりが報道されていたから、言論の自由はないという先入観にとらわれていたが、こうした報道が、変ではないかと感じはじめた。
 また、一方では、政府批判もするが、この男、愛国心を口にする。ディスクジョッキーという軟らかい職業の男が、愛国心を口にすることに、違和感も持ったが、やや羨ましくもあった。当時、日本のマスコミは、左翼デマゴーグに牛耳られていたから、愛国心などと言えば、右翼と間違われかねないような風潮が、蔓延していた。しかし、韓国では、こうした言説は、この男だけではなかった。あちこちで、北朝鮮に偏している日本の報道がおかしいとする、多くの韓国人の批判を耳にするようになった。また、必ず日本に追いついて見せるという、愛国心をむき出しにした意見にも接した。
韓国の実情紹介に誹謗中傷
 韓国語が判るようになると、行動範囲も広がってくる。こうした韓国人が、KCIAに監視されているから、点数かせぎに愛国心を口にしていたわけではないと、だんだん判ってきた。バイク・カーマニアだったので、現代(ヒョンデ)自動車(チャドンチャ)や大林産業(テーリムサノプ)のショールームに足を運んで、韓国の自動車・バイク事情に関心を持ちはじめた。
 日本で報道されるような「暗く抑圧された独裁国」といったイメージでないことが、しだいに判ってきた。日本で、しばしば誤解されていることだが、反日の激しさから、韓国人に険しいイメージを持つ日本人が多い。一面では当たっていないこともないが、日常の生身の韓国人は、妙になれなれしく陽気で人懐(ひとなつ)こい。
 あの大新聞は、「暗く抑圧された独裁国」という疑似イベントを売りまくって、北朝鮮を美化し、韓国を貶める方向へ、日本国民をマインドコントロールしていたのだ。
 韓国では、確かに日本より言論の自由が制限されていた。しかし、それは、金日成の個人崇拝による究極の独裁国家である北朝鮮と対峙するためであり、ある程度は強権政治を敷くしかなかったのである。当時、韓国では「誤判(オバン)」という表現が、しばしば使われていた。韓国国内が混乱していると見てとり、好機とばかりに北朝鮮が南進に踏み切るのではないかというわけだ。つまり、北朝鮮に誤判させないように、常に国内を安定させておかなければならなかったのだ。全ての韓国人が、ほん(・・)もの(・・)の(・)独裁国家である北朝鮮を恐れていたからだ。
 こうした韓国の実情を、広く知らせたくなった。小説家という職業柄、書くメディアには、事欠かない。小説家の仕事ではないという躊躇(ためら)いもあったが、最初のノンフィクションとして「韓国の挑戦」(祥伝社)を上梓したのが、昭和53(78)年のことだった。書評では、これまでの日本の対韓認識を一変させたとまで、評された。当時の私には、巨悪と戦おうなどという大それた問題意識は、まったくなかった。
 だが、ベストセラーにはなったものの、あれこれ、雑音が耳に入ってきた。この問題が、当時のマスコミ界では、タブーになっていると知ったのは、発売されてからだった。つまり、ほんとうのことを言ってしまったため、このタブーに抵触した。期せずして、あの大新聞と言う虎の尾を踏んでしまったわけだ。
 朴政権に買収されている―は、まだしも上品なほうで、韓国に愛人がいるとか、韓国成り金だとか、いろいろ悪罵を聞かされることになった。そこで、子供たちもつれて、一家5人で毎年夏休みに韓国へ遊びにいき、印税を使い果たした。
日韓のため尽くした金思燁氏
 あの大新聞が主導して、日本人を親北朝鮮、反韓国という方向へ誘導していたわけだが、最近は、かつての報道姿勢が嘘だったかのように、あの大新聞は、北朝鮮を賛美するようなこともなくなり、いつのまにか北朝鮮への批判を、臆面もなく展開するようになった。
 それどころか、70年代当時あれほど嫌っていたはずの韓国に過剰に感情移入し、悪いのは全て日本人式の報道姿勢で、虚構に基づく従軍(・・)慰安婦(・・・)なる疑似イベントを垂れ流す始末である。多分、従軍(・・)慰安婦(・・・)報道についても、いったん非を認めたものの、真剣に謝罪するつもりなどなく、なし崩し的に、鉄面皮を決め込んで、風当たりが収まるのを待っているのだろう。
 実際、当時、私は、韓国人の魅力にハマってもいた。日本人のように、控え目でなく、陽気に自己主張する姿勢が、一度も宮仕えしたことのない私のような一匹オオカミの作家には、波長が合っていると錯覚したせいでもある。
 当時、知り合った韓国人のなかには、私の終生の師と仰ぐ人も、少なくなかった。東国大学の金思燁(キムサヨプ)先生とは、シンポジウムの席で知り合った。日韓バイリンガルの世代的な体験から、「日本書紀」「万葉集」を韓国語に、「三国(サ��グク)史記(サギ)」「三国遺事(サムグンニュサ)」を日本語へ翻訳され、日韓古代史の研究におおいに貢献され、また、東国大学に日本学研究所を設立され、初代所長として、日本研究を韓国に定着させた功績は、おおいに評価されるべきだろう。
 金先生に招かれ、東国大学で講演したこともある。最初、韓国語で話しはじめたのだが、見るに見かねて、助け船を出してくださったのは、先生の優しさだった。私のほうも、日本人を知る方々が物故して、日本語スピーカーが減っていることに危惧を覚え、毎年、拙著も含めた文庫本を教材として日本学研究所へ寄贈し、日韓親善に努めたものである。金先生は、私のささやかな協力に、研究所からの表彰という栄誉で応えてくださった。ほんとうに尊敬できる立派な方だった。
 また、在日の人では、作家の故・金(キム)達(ダル)寿(ス)さんとは、古代史の会を通じて、親しくしていただいた。「日本の中の朝鮮文化」は、十数巻にわたる大著だが、日本全国に足を運んで、いわばライフワークとして書かれる際、金さんが自分に課していたことが、ひとつだけあった。韓国・朝鮮人の書いたものは、絶対に引用しないことだった。韓国・朝鮮人の書いたものなら、例の剣道の起源の捏造のように、なんでも朝鮮半島から渡来したと、こじつける文献が、いくらでも見つかるだろう。
 おそらく、金さんは、韓国・朝鮮人の書いた文章を引用したいという誘惑に駆られたこともあったにちがいない。しかし、日本人が書いたものしか引用しないと、いわば、痩せ我慢のように、心に決めていたのだ。
 金達寿さんとは、酒を呑んだり、旅行したり、また拙著の解説をお願いしたりしたこともある。艶福家で豪快な人だった。
今に伝わらぬ統治のプラス面
 時の政権を批判して、亡命同様に日本へ渡り、「コリア評論」を主宰されていた金三(キムサム)圭(ギュ)さんとも、知り合った。何度か、同誌をお手伝いした記憶がある。金さんは、東亜(トンア)日報(イルボ)の主筆の体験を生かして、当時は画期的だったクロス承認方式を提唱して、健筆を奮っておられた。南北朝鮮の対立状況を解消するため、中ソ(当時)が韓国を、日米が北朝鮮を、それぞれ承認することによって、平和を担保するというアイデアだった。
 しかし、その後の経緯を考えれば、中露は韓国を承認したが、日米は、北朝鮮と国交を持たないままである。あの当時は、かの大新聞の陰謀で、日本では伏せられていたが、北朝鮮という史上かつてない独裁国家の実像と戦略が、今や全世界で周知のものとなったからである。
 例の大新聞は、韓国を独裁国家と決めつけて、あれこれ捏造報道を繰り返したが、まもなく馬脚をあらわすことになった。あまり、褒められた話ではないのだが、不純な動機ながら、多くの日本男性が、韓国を訪れるようになり、本物の韓国を実際に目で見るようになったからだ。
 今も変わらぬ売春大国は、当時から有名だったのだ。空港などでは、団体旅行の男たちが、昨夜の女がどうのこうのと、聞えよがしに話しているのは、同じ日本人として、気が引ける思いだった。当時は、日本世代の韓国人が健在だったから、日本語を理解できる。あまりの傍若無人さに、舌打ちをしながら、露骨に「ウェノム」だの「チョッパリ」だの、差別用語を口にしている韓国人も、珍しくなかった。こうした日本人は、韓国語が判らないから、差別用語で呼ばれても、判らないのだから、おめでたい話だ。
 しかし、不純な動機から訪韓しようと、実際の韓国を見てくれば、韓国が制限付きながら、自由主義の国だと判る人が増えてくる。とうとう、例の大新聞も、疑似イベントのような韓国=独裁国家論を、引っ込めるしかなくなったようである。
 免税店などでは、日本世代の年配の女性が、若い人に日本語を教えているケースもあった。何度か訪れ、親しくなると、世間話のようなこともするようになる。さる女性は、つい最近(当時)、女学校の同窓会を行なったところ、多くの同窓生が日本から駆けつけてくれたと、嬉しそうに話してくれた。
 当時、女子の高等教育は、日本でも朝鮮でも、まだ途上だった。女学校は、いわば最高学歴で、いい家の子女しか、通えなかった。したがって、この方の同窓生は、かつてソウルに住んでいた日本人が多かったわけだ。いや、この方も、元日本人であり、内地か朝鮮かなどと、出自を気にすることなく、自由に青春を共にしていたのである。
 多くの悲劇も誤解も矛盾もあったが、こうした日本統治時代のプラス面が、日本でも韓国でも、今の世代に正確に伝わっていないことが、日韓の最大の問題なのだろう。
良好になりつつあった日韓関係
 70~80年代にかけて、韓国では、慰安婦も歴史認識も、話題にすら昇ったことはなかった。その後、韓国を独裁政権扱いする報道も影をひそめ、日韓関係は、良好な方向へ向かいはじめた。もちろん、一部では、反日もあるにはあったものの、顕在化しなかった。
 むしろ、日本人のほうが、韓国への好感度を増していった。「冬のソナタ」のヒットの影響もあったろう。元のタイトルは「冬(キョウル)恋歌(・ヨンガ)」である。主役の裴(ペ)勇(ヨン)俊(ジュン)の魅力もあったろうが、誰が訳したのか、ソナタという言葉が効いたせいもあるだろう。
 70年代、日本世代の免税店のおばさんたちは、男ばかり来ないで、女性にも韓国へきてもらいたいと、いつもぼやいていた。家内を同行すると、おおいに喜ばれた。当時、ビーズのハンドバッグ、螺鈿(らでん)の漆器、絞り染めの生地など、男には価値の判らない土産物が、韓国では安く買えたのである。時代は、様変わりして、多くの中年女性が、日本から韓国を訪れるようになった。
 私も個人的に、日韓親善に尽くしてきたつもりである。東国大学以外にも、たまたま知り合いができた祥(サン)明女子(ミョンヨジャ)大学(テーハク)など、いくつかの大学へ、文庫本を教材として寄贈しつづけた。韓国の日本語スピーカーを減らさないためである。
 また、本業に関して言えば、日韓の推理作家協会の交流プロジェクトが、行なわれた際には、おおいに働いたと自負している。韓国では、減ったとはいっても、日本語で案内してくれる作家に、事欠かない。しかし、日本では、「韓国の独裁政権、やっつけろ」式の景気のいいスローガンをぶち上げる作家は、たくさんいたものの、韓国語で案内できる作家が、ほとんどいなかった。「あれ(イッチョ)に(ゲ・)見えます(ポイヌン・)建物(コンムル)は(・ン)、国会(クッケ)議事堂(ウィサタン)で(・イ)ございます(ムニダ)」などと、東京観光ではバスガイドのようなことも、しなければならなかった。
 90年代には、日本人の韓国に対する関心と、好感度も高まり、韓国人の日本への興味、関心も、増していった。サッカーW杯の共同開催に向けて、日韓関係は、新たなステージに向かうかに見えた。
日韓離反狙う慰安婦捏造報道
 だが、ここで、あの大新聞は、またしても、その強大な権力を行使して、日韓離反の挙に出た。
 1991年、いわゆる従軍慰安婦なる虚構が、報道されたのである。この巨大新聞は、現在では、いちおう虚妄だったことを認めてはいる。だが、軍隊相手の売春婦である慰安婦と、勤労動員で働いた挺身隊を、混同した報道に関しては、当時は事実関係の研究が進んでいなかったためと、弁解している。
 しかし、年齢の離れた姉が、あのころ女学生で、勤労動員により中島飛行機の工場へ、自転車で通っていたのを、私ははっきり覚えている。もちろん、慰安婦とは、何の関係もない。ことは、姉の名誉とも関わってくる。
 平成に入って早々のころには、あの新聞社にも、私と同世代の社員が、まだ現役でたくさん働いていたはずである。知らないはずがない。二十数年も訂正することなく、頬かぶりをしてきたのは、単なる誤報などではなく、あの大新聞が仕掛けた日韓離反策の一環で、意図的なものだからなのだろう。
 日韓離反を図る大きな意思は、あの新聞の言論支配のもうひとつの柱として、吉田某なる人物による、済州(チェジュ)島(ド)における日本官憲の女狩りという、とんでもない虚構を付け加えることによって、さらに拡大していく。
 しかし、その後の十数年は、この大新聞の企みは、まだ功を奏さなかった。日本では、韓国ブームが続いていたからである。これまで訪韓したことのない、中年婦人層が、韓国を訪れることが多くなり、韓流にはまった韓国語学習者も、増えていった。そればかりでなく、男性のなかにも、韓流ドラマにはまる人が多くなった。韓国の大河ドラマ「朱蒙(チュモン)」は、高句麗の開祖朱蒙を主人公とした作品だが、私の近くのDVD店では、新作が十巻入っても、即日借りだされるほどの人気だった。
 朱蒙は、もともと「三国(サムグク)史記(サギ)」に記録される神話上の人物なのだが、それを強引に歴史ドラマ風に、仕立て上げるところが、まさに韓国人である。元ネタが僅かしかないので、古今東西のエンタテインメントから、使えそうな要素を、流用している。水戸黄門のような部分も、大奥のような部分もあるが、臆面もなく、受けそうな要素を投入しているから、たしかに面白いことは面白い。
 また、韓国側も経済力の伸長と共に、訪日して実際の日本を肌で知る人々が増えてきてもいた。別府の大ホテルなど、経営危機に陥った苦境を、韓国からの観光客の増大で乗り切ったほどである。国際化というスローガンが、しばしばマスコミを賑わすが、お互い知り合う以外に、国際理解が進むことはない。 
慰安婦と同構造の原発報道
 だが、挺身隊=慰安婦という虚妄、済州島女狩りという捏造は、徐々にボディブローのように効いていった。韓国では、従軍慰安婦像なるものが、日本大使館の前に設置され、アメリカ各地へ飛び火していく。あの像は、新聞報道にあった12歳の少女として造られている。挺身隊=勤労動員には、中学生、女学生も動員されたから、その年齢の生徒たちも少なくなかったが、軍隊相手の慰安婦に、その年代の少女がいたという記録もないし、事実もなかった。
 韓国では、挺身隊問題対策協議会という団体が、活動し続けている。あまりにも長ったらしいので、挺(チョン)対(テ)協(ヒョプ)と略している。あの大新聞が垂れ流した挺身隊=慰安婦という虚構を、そのまま踏襲しているわけだ。語るに落ちるとは、このことだろう。
 事実関係が、はっきりしたのだから、あの新聞の責任で、韓国側に訂正を求めるのが、筋だろう。だが、あの新聞は、それをしない。それどころか、慰安婦の存在は事実だから、これまでの方針に変わりないという態度を、とりつづけている。
 なぜ、こうなるのだろうか? 韓国の問題と離れるが、私も筆禍に遭ったことがある。あの新聞社は、取材も検証もしないで、記事を書くことが、はっきり判った。私が受けた筆禍など、些細なことだが、問題の根は、共通している。
 私は、本業のSF小説の未来エネルギーとして、昭和30年代から、原子力に興味を持っていた。そして、日本中の原発と、建設予定地の全てを、取材した。当時、人気の「朝日ジャーナル」誌が、特集を組んだなかに、私の名前も、名誉なことに入れてあった。その特集とは、「わたしたち(原発反対派)を未開人と罵った識者十人」というものだった。もしかしたら、原発反対派を未開人と罵った粗雑な人間が、その十人の中に、いたのかもしれない。
 しかし、私は、そういうことを言ったこともないし、書いたこともない。それどころか、立地点の住民の反対を尊重すべきだと、常日頃から主張してきた。また、すでに物故したが、反対派の大立者の高木仁三郎は、私の中学の同級生で、同じ大学に入った間柄であり、かれが反対意見を発表できないような事態になったら、私と意見が異なってはいても、かれの言論の自由を守ると宣言してきた。さらに、原発に反対する自由のない国は、原発を建造すべきではないと、何度も書いたことがある。
 ことは、原発賛成、反対という問題ではない。こうした報道をするからには、私をふくめて、そこに記された十人が、そういう発言をしたかどうかを、取材確認する必要がある。
 ところが、私には、まったく取材は来ていない。そこで、私は、雑誌「諸君」のページを借りて、当時人気だった筑紫哲也編集長宛てに、私が、いつ、どんなメディアで、そういう発言をしたかと、問い合わせた。もちろん、そんな発言など、あるわけがない。筑紫編集長の回答は、のらりくらりと、話題をすりかえることに終始した。
韓国人と〝あの新聞〟の共通点
 つまり、あの大新聞は、取材も検証もしないで、主義主張に基づくフィクションを、報道の形を借りて、読者に垂れ流しているわけだ。原発などに賛成し、傲慢な発言をする非国民が、十人必要になった。そこで、関係ない人間もふくめて、誌上でさらし者にしたわけだ。つまり、原発推進めいた意見を、圧殺する方針だったのだろう。
 いわゆる従軍慰安婦の報道と、まったく同様の構造である。
 従軍慰安婦なるフィクションを、あたかも事実であるかのように、売りまくって読者を欺いた責任は、まさに重大である。しかも、日韓関係を破壊したばかりでなく、全世界にわたって日本の名誉を泥にまみれさせた罪科は、きわめて悪質である。
 誤報ではなく、明らかに意図的な捏造である。この捏造が,韓国に飛び火すると、さらに拡大していく。その意味では、この大新聞の離反策に、うまうまと乗せられた韓国も、いわば被害者と言えるかもしれない。主義主張を真っ向から掲げて、事実の確認も検証もしない韓国の国民性と、あの新聞の社是(?)は似ているかもしれない。
 私は、過去四十数年にわたって、韓国と関わってきた。最初、自宅ちかくの笹塚の小さな教室で、韓国語を学びはじめた一人に産経新聞の黒田勝弘さんがいる。あちらは、ソウル在住が長いから、私��ど到底及ばないネィティブスピーカーに近い語学力だが、スタートは一緒だった。
 以後、折々に韓国関係の著書を上梓してきたわけだが、その都度、親韓派、嫌韓派などと、勝手に分類されてきた。例の大新聞もふくめて、日本のマスコミが北朝鮮に淫していたころは、日本のマスコミ批判とともに、韓国擁護の論陣を張り、顰蹙を買った。また、韓国の反日が、度を過ぎたと思えば、遠慮なく韓国批判を展開してきたつもりである。
 国際親善には、王道はないから、知る以外に近道はないと考え、「日本人と韓国人、ここが大違い」(文藝春秋)「いま韓国人は、なにを考えているのか」(青春出版社)など、比較文化論ふうの著書もあり、口はばったい話だが、日本人の韓国理解に貢献してきたつもりである。
 もちろん、私の独断と偏見に堕す危険があるから、多くのコリア・ウォッチャー仲間から、助言や意見も頂戴し、拙著の間違いも指摘された。
転向左翼の韓国利用
 いわゆる韓国病にはまりかけていたとき、早大名誉教授の鳥羽欽一郎先生から、たしなめられた。「豊田さん、日本人と韓国人は、おたがい外国人なのだから、同じ視点に立つということはできませんよ」と、確か、こんなことを言われた。そのときは、むっとしたが、先生は、韓国にのめりこみすぎている私に、ブレーキをかけてくださったのだ。
 70年代、韓国にまじめに取り組もうという日本人は、それほど多くはなかった。田中明氏のような大先達のほか、外交評論の大御所岡崎久彦氏にも、お目にかかり、励ましを頂戴したことがある。外務省在勤中で、本名をはばかったのか、「隣の国で考えたこと」を、長坂覚のペンネームで、早い時期に刊行されている。現在は、本名で再版されているから、入手可能な名著である。
 また、産経新聞の柴田穂さんも、大先達の一人だった。韓国関係の会合で、何度か、お目にかかり、アドバイスを頂戴したこともある。なにしろ、中国政府に批判的な記事を書き、産経新聞が北京支局の閉鎖に追いこまれたとき、支局長として残務を整理し、従容として北京を退去された剛直な方である。支局閉鎖という事態を招いたのだから、本来なら責任重大なはずだが、言論の自由を守ることを優先したのである。
 それに引き換え、当時あの大新聞は、中国べったりの記事を、垂れ流しつづけていた。この新聞社には、Aという名物特派員がいた。中国通をもって自任していたはいいが、他社の記者まで、このA特派員に、お伺いを立てるようになったという。どこまで書いたら、中国政府の逆鱗にふれるか、A特派員に、判断を仰ぎに来たのだ。早い話が、あの大新聞が、日本の中国報道を検閲していたことになる。
 70年代、北朝鮮一辺倒だった日本の文化ジャーナリズムの世界で、一つの伝説があった。いわゆる進歩的文化人は、自分の名前だけ、ハングルで書けたというのである。申し合わせたのかもしれないし、あるいは、あの大新聞の関与があったのかもしれない。現在からは、信じられない話だが、ハングルで名前を書いてみせるだけで、朝鮮問題(?)の権威扱いされたそうである。
 しかし、現在の日韓の確執を眺めると、妙なねじれ現象がある。竹島問題にしても、従軍(・・)慰安婦(・・・)にしても、韓国側と共同歩調を取っているのは、70~80年代、あれほど韓国を独裁国家扱いして、忌み嫌っていた進歩的文化人なのである。節操もなにも、あったものではない。日本叩きに資する、あるいは、商売になると判ったら、かつて贔屓にした北朝鮮を見捨て、韓国に媚びるのだから、こういう世渡り上手と戦うのは、容易なことではない。
事実伝えることが真の親善に
 翻って、現在の韓国である。反日は、狂気の沙汰の域に達している。これには、日本世代が現場から退き、あるいは物故したという事実が、おおいに関係している。私が、多くの教示を受けた方々は、もし存命なら、こんなことを言うと怒られるかもしれないが、日韓双方の美点を兼ね備えておられた。
 もう一歩、踏み込んで言えば、日本の教育を受けた方々だった。立派な方というと、ややニュアンスがずれるが、韓国語でいう「アルンダウン・サラム」という方が多かった。こういう世代が亡くなり、反日が質量ともに、変わってしまった。まず、かれらが考える仮想の日本人に対して、際限なく敵意をむき出しにした、いわばバーチャル・リアリティの反日になっている。
 日本では、韓国人は、険しいイメージでとらえられがちである。反日の激しさを見れば、間違いではないが、一面的に過ぎる。日頃の生身の韓国人は、お喋りで、陽気で、図々しいくらい人懐こい。日本人は、以心伝心を理想とする文化を生きているが、韓国人は、口にしたことが全てである。発信能力を磨かないと、生きていけない社会である。たとえ嘘でも、自分の主義主張を正面に掲げないと、たえず足をすくわれる危険に直面している。
 そのため、国際的には、日本人より判りやすいと定評がある。よく見てもらえれば、日本人の誠意が通じるはずだが、韓国人のほうが声が大きいから、知らない人が聞くと本気にする、と言った程度には、説得力を持ってしまう。
 大方の日本人の対韓姿勢は、「また、韓国人が騒いでおる。放っておくのが、大人の態度」といったものだろう。これが、日韓摩擦を拡大した主な原因のひとつである。日本からの反撃がないから、向こうは、さらに反日をエスカレートさせるのだ。
 日本は、和の社会だとされる。これには、聖徳太子が引き合いに出されることが多いが、贔屓の引き倒しの面がある。有名な十七条憲法の第一条が、はきちがえられている。太子は、談合のような和を勧めているわけではない。あくまで論じてからと、なれあいを戒めている。
 まさに韓国相手では、論じなければ駄目なのだ。相手は、合理的な議論が苦手だから、徹底して、論拠を上げて、言い負かすつもりで、追いつめなければ、非を認めない。一見、乱暴なようだが、反日が、高くつくという事実を、知らしめないかぎり、韓国の反日は、拡大するばかりで、絶対に解消しない。
 現在の韓国は、日本世代がいなくなり、歯止めがかからなくなっている。さながら李朝時代の政争のような、権力闘争すら起こりはじめている。日本が、関わりを持つ以前の時代へ、先祖がえり(atavism)してしまった感がある。ここに乗じて、あの大新聞が、新たなテーマで反日の捏造を加えて、逆襲してくる畏れもある。いや、その萌芽は、すでに現れている。
 私の「どの面下げての韓国人」(祥伝社)は、やや刺激的になるのを承知のうえで、出版社と協議して決めたタイトルである。さっそく、左翼弁護士が、噛みついてきた。ヘイトスピーチだというのである。しかし、ネットでは、すぐ反論されている。つまり読んでいないことを白状したようなものだというのである。なかには、あの本は韓国に同情しているのだ、とする感想もあった。こういう応援は、ありがたい。
 私は、あるときは親韓派、あるときは嫌韓派というレッテルを、貼られてきた。私は、日本人であり、日本を愛している。その都度、批判すべきことは、日本であれ韓国であれ、批判してきたつもりである。
 あの大新聞は、苦境を打破するため開き直って、韓国批判の本には、すべてヘイトスピーチだという烙印を押して、葬り去ろうというわけなのだろう。また、いわゆる従軍慰安婦の仕掛け人の元記者の就職先や自社に、脅迫があったという事実をもとに、言論の自由を盾にして、被害者の立場へ逃げこもうとしている。自分が、強大な権力をふりかざして、異なる言論を圧殺してきたことには、すっかり頬かぶりしている。
 韓国には怒りを込めた反論を、あの大新聞には、厳しい追及の手を緩めてはならない。それが、ほんとうの日韓親善につながるからだ。
 とよた・ありつね 昭和13年前橋市生まれ。父の医院を継ごうと医者をめざし、合格した東大を嫌い慶應大に入るも、目標が変わり武蔵大に入学。第1回日本SFコンテストなどに相次いで入賞して在学中の37年作家・シナリオライターとしてデビュー。手塚治虫のもとで「鉄腕アトム」のシナリオを二十数本担当。「スーパージェッタ―」「宇宙少年ソラン」の脚本も手掛ける。『倭王の末裔 小説・騎馬民族征服説』が46年にベストセラーとなる。47年東アジアの古代史を考える会創設に幹事として参画。50年「宇宙戦艦ヤマト」の企画原案、SF設定を担当。SF作家クラブ会長、島根県立大学教授などを歴任。63年オートバイ日本一周を達成。近著に『日本の原発技術が世界を変える』『どの面下げての韓国人』(ともに祥伝社新書)など。
※別冊正論23号「総復習『日韓併合』」 (日工ムック) より転載
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to63chang · 3 years
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20200329
最近書くことがなくなっていて彼氏とも別れたし私の中では前ほど投稿数が減った気がするんですが。なんか書く。書き方というよりも何かしら忘れそうで。ただでさえ自堕落貯金切り崩し女に成り下がっているのに。
前置きはここまでとして。昨日今日の話。
昨日はメイド服を着て過ごした。ハヤちゃんに前に買ってもらってたやつ。あれで洗濯物干したり、論文書いたり料理したりゲームしたりといつも通りの生活した。もともとコスプレするのは(きわど過ぎるのは除くよ)お願いされたりしたら平気で着るし自ら進んでも着る。この年齢でしか着れないものを着たいわね。んで、ハヤちゃんと若葉から連絡が来てたので今日はメイドで過ごすと伝えたら驚かれたけど自撮りを求められたので送って反応あったらメッセージ送信の取り消しを使って消した。最近は自撮り載せて消すようにしてる。スクショされててもいいけどさ、悪用しててもいいけど自分で蒔いた種は一粒でも回収するようにしてる。最近の件だと思い出したくないなぁ…シャウエッセン…。めっちゃ帰りたいラインしちゃってごめんね。そのあとは後輩の論文概要チェックして直しての繰り返しをして過ごした。あと大量ポテサラをつくった。美味い。夜にはラジオ聴きつつ23時から友達とのオンラインあつ森を片手間に行い聖徳太子な気分を過ごした。あつ森内でお互いの近況報告をチャットしたのはものすごく笑った。その後は本を読んで終了。
今日は、8時半に目が覚めた。本来なら会社勤めしてた時の22時就寝5時半起床を目指しているはずなのにどんどん落ちこぼれていく。うえんって思っていつものように布団でラインのチェックして雪?って言われて窓開けたらマジ雪やんけで布団にこもりなおした。10時になってようやく布団から出てエアコンとサーキュレーターと電気カーペットのコンボで寒さをしのいで午前中を過ごす。映画もたくさん観たけどリップヴァンウィンクルの花嫁良かったなあ。女の子同士でウェディングドレス着るのしてみたくなっちゃった。絶対楽しいやんな。あ、この口調で思い出したんだけど、エセが私の口癖に入っていてネットの友達(中学生とか)とオンラインでゲームした時に関西人かと思ったとか言われる時があってやめてえと思った時があったんだけど最近ゲームだったり、ラインするときにヤツも似非関西弁使っていて姉弟だなあ(?)としみじみ思いました。あとは雪降ってるから親からの連絡よ。コロナで研究できるのとか知らんがな。今度都と打ち合わせあるんだからそっからでいいじゃんとか、紙ってコロナついてから何日かしたら大丈夫とか本当…。先週末父親なんて私をトーキョーからジッカに帰そうとしたからね。怖い怖い。コロナ爆弾かもしれないし、じーちゃん本当に殺したくないから収束するまで帰りません。やっと骨折したところ回復してきたのに!!!あとはいつも通り、アンケートつくったり、論文書いたり、部屋の片づけとアイロンかけて、あとは来週に来るソファのためにきれいにした。寝れるソファ買ったし客2人まで呼べるぜ!あとは湯船浸かってドブズラジオ聴いて本読んでいまに至る。本当はSNSやめてえなって思ってるんだけどそれぞれのコミュニティに友達いるしやめるにやめれない。ツイッターはアカウントが5個あってインスタも4個あって各々が切っても切れん。せめてもの1個ずつに…リアルとイラストゲームと本音に纏まっておるけどもむずい。あとご飯か。ご飯載せてない日は食ってないことが多いです。うふふ。あとそうだ、メモすることを再開した。やること書いとかないと本当に忘れてしまう。出来たら✓入れて達成感。明日は何しようかな。食料品買うのはもちろん、後輩たちにプレゼンする資料つくりにヨーグルトの器…あれ気になってるんだよなあ。明日12℃か最高気温…。最低気温も低いしな。あとそろそろ花屋で花買って家で飾りたいんだけど花瓶…。バイトもしたいし。ころなてゃ…治まってくれないかな。。。会いたい人に会えないまま死ぬのは嫌だしセックスしないまま死にたくねぇ。。。
私のリスペクトするパンティは1000人斬りしたけど私もそこ目指そうと考えたときはあったけども、50人にも満たないし健全なほうだと思うよ(?)
でも、中途半端じゃなくてきれいな数字にしたい(ある数字超えた��たりから数えなくなって記憶吹っ飛ばしてたけど無理やり思い出した)
あと新規でやる人には避妊具ちゃんとつけるかの確認している。ジウ事件からそこは怠ってない。ジウなー―――――――――――――久しぶりに連絡しようかなとか考えてたけどリスキーちんこだし、下着付けないで外出歩くし、ライン連絡先消しちゃったし。でもすっごくタバコ吸う姿はかっこよかった。顔小っちゃかったし、背中の和彫もかっこよかったけど。忘れよう。
ほんとは違うこと書こうとしたけど長くなっちゃったからこの辺で。
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