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#神戸バレエ
larrysballet · 2 years
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sdeet · 3 months
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観たいものメモ3
貞松・浜田バレエ団 創作リサイタル35 新制作 白鳥の湖 -The Lake-(世界初演)
振付が森優貴なので観たい。
イスラーム映画祭2024
『炎のアンダルシア』という作品があるんですけど、これアヴェロエスを主役にした創作映画だっていうんで前から観たかったやつなので頑張って観に行く。
NDT(ネザーランド・ダンス・シアター)プレミアム・ジャパン・ツアー2024
チケット発売は3月 絶対観るやつ 絶対観るやつ
金剛流能『石橋』 / 舞囃子『乱』『雪』
行けたら行きたいがこの週末たてこみすぎてる
京都芸術大学 2024年度 公開連続講座日本芸能史「大地母神信仰と芸能・芸道」
これすごく気になってるんだけど、特に聞きたい講演の日程が絶対外せない用事がある日とかぶっててどうにもままならない。
平山素子「POISON」リ・クリエイション|Motoko Hirayama dance Shakespeare.『POISON recreation』
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シェイクスピアもの。無料公開中。
平山素子 × 笠井叡「フーガの技法」を踊る|Motoko Hirayama × Akira Kasai Dance by ’The Art of Fugue’
youtube
 平山素子作品好き。
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theatrum-wl · 5 months
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【投稿企画】先月の1本・来月の1本(2023年12月)
読者の方々からお寄せいただいた12月の「先月の1本・来月の1本」をご紹介します。先月の観劇の記憶を思い起こしながら、来月の観劇のご予定にお役立ていただければと思います。
・谷岡健彦 教員(1~5本) 【先月の1本】 ナミマノチドリ(文学座有志自主企画)「ひまわり」(文学座アトリエ) 竹内銃一郎の1988年の作品を文学座の有志が上演。竹内の荒唐無稽で不条理な戯曲に、「世話」の演技に長けた文学座の俳優がうまく肉付けをしていて面白かった。 【来月の1本】 新派「東京物語」(三越劇場) 4年ぶりの三越劇場での新派の初春公演。日本橋のデパートに「お芝居」を観に行くこと自体が自分には楽しい。山田洋次が『東京物語』を演出するのも面白そう。
・りいちろ 自由業(11本以上) 【先月の1本】 艶∞ポリス「角狩りのカリスマ」(学芸大学 SORA) 美容室での演劇、場所の利を生かしつつ、でもそれだけに頼ることなく美容師たちや訪れる客の様々な想いやプライドや陰を描き出す作劇の研がれ方に心奪われる。 【来月の1本】 東葛スポーツ「相続税¥102006200」(北千住1010 稽古場1) まずはタイトルの納税額に圧倒されるのだけれど、そこからどんな世界が現れてくるのか。ドキドキワクワクしながら足を運びたい。
・小泉うめ 観劇人・観客発信メディアWL(11本以上) 【先月の1本】 倉田翠「指揮者が出てきたら拍手をしてください」(旧市民会館おおみや) バレエの素養のある身体の共通性が浮き彫りにする人の個性と生き様やライフスタイル。「ダンスとは?」という問いの答えを再確認させてくれた。 【来月の1本】 ARU.「聞こえない波」(デザイン・クリエイティブセンター神戸 KIITO) 場所と人、身体と音、そんなフレーズに何か引っかかるものを感じたら一緒に観ましょう。久しぶりの真冬の神戸港の風も楽しみにしています。
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shukiiflog · 7 months
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ある画家の手記if 中郷稔視点
例えば俺の革靴の靴底にはパリに持つ別宅の周辺の街路の美しいタイルを職人に頼んで打ちつけてもらっていて、それで歩くたびに高いヒールを履いた女が歩くより響く硬質な音がいちいち鳴る。 これから語ることはそれに勝るとも劣らない、取るに足りない話。 今となってはすべてが過ぎた話だ。
教授の勧めで俺は大学を卒業せずに中退して、早くから自分のアトリエを持った。まだ分不相応という連中もいたが、教授は俺が一生そこを拠点に制作を続けることを疑っていなかった。俺自身、そんなような今後になるだろうと思っていた。 資金繰りと、ほんの少しの思うところでしばらく海外を彷徨くことになったが、帰国してからは断崖絶壁にほど近い立地のボロ屋敷を買って、そこをアトリエにした。 年中やまない強い潮風、叩きつけてくる白砂、風雪に晒されて煤けた洋舘仕立ての白い三階建。遠巻きの近隣住民か���はお定まりの幽霊屋敷という噂付きの物件だった。
俺に両親はいない。 赤子の頃、ちょうどこのボロ屋敷の近くの浜辺、打ち上げられた粗末な小舟の中に放置されていたのを運良く拾われた、捨て子だったと聞いている。発見時、頭に大きな怪我を負っていたとか。 物心つくまでの施設暮らしのあとに、酔狂な金持ちのご老人に誘われてそこの養子に入った。その爺さんが大層な遊び人で顔が広く、意図せずして俺にも半端な知り合いーーー後の人生の稼業において太い人脈になるような金持ち連中ーーーが、大勢できた。 その中で爺さんとは唯一関係なく、不可抗力として知り合ったのが、近所に住んでいて同い年の充(みつる)だった。
充は奇妙な幼馴染だった。幼い頃に知り合って以来、関係は途切れず続いていた。 俺がアトリエを構えると気まぐれにそこへも顔を出した。 いつも大型犬を連れている。充は人間よりも大型犬と一緒に育ったようなやつで、犬の扱いには優れていたが他がまるきりだめだった。 特にいけなかったのは人間への関心の薄さ、理解の欠如、境界線への無頓着、危機意識のなさ。 小柄であどけない容姿の充はしょっちゅう襲われかけた。本人もそれで泣きも怒りもせずへらへら笑っているからたちが悪い。 一度勤めかけた犬の訓練士の仕事も職場でいたずらされているのが明るみになって、切り落とされるように充の採用の話が立ち消えになり、それきりだった。 少し目を離せばもう勝手に触られる、どこかへ連れ込まれる、見かねて街中や人混みでは俺が無理やり腕を絡めて引いて家族か付き添いかパートナーのふりをした。それにも充は笑うばかりだった。 充は俺といても芸術に感化されたり触発されたりすることは一切なかった。
アトリエには馴染みの大学の卒業生たちが溜まることがよくあった。各々好き勝手に泊まっていったり数ヶ月も黙って居候するやつもいたが、放っておいた。 その頃から俺には絶え間なく誰かしらミューズがいた。彼ら彼女らを直接的に作品のモデルに使うこともあったが、ただそばにいるだけで十分だった、リャナンシーが周囲を舞っているように。一人にはとどまらなかった。この世には美しいものが多すぎるし、そのどれもを俺は心から愛していた。
直人と知り合ったのは教授の個展のレセプションでだった。 おそらくまだ学生だったんだろうが、馴染みの教授のパーティに手伝いとして駆り出されていた。俺も学生の頃はそういう仕事で食いつないでいた。 存在だけは前から知っていた。その日は髪をオールバックにしてすらりと長い肢体を黒いスーツに収めていた。背は高いが職業モデルの空気感は持っていない。纏っていたのは画家のそれだった。それにしても目立つ長い手足や大きな手よりも秀でて美しいのはスーツに隠れた胴、特に背中だろうと思った。 その場で、同じ学校の先輩だと名乗って直人をパーティ会場のトイレに引っ張り込んで服を乱して背中を見た。痩せ気味の背中は少しだけ骨が目立ったが大事な筋肉を残していて、その筋肉はあまり肥大せずに筋ばって浮きやすい体質のようだった。 傷がつかないうちに手元に置きたいと思ったものの、会場にはもう一人気にかかる人間がいた。慧鶴だ。 あまりにも華やかな慧鶴はパーティ会場でも常に人に囲まれていて声をかけるだけで骨が折れる。 結局その日はどちらにも大して接触しないままその場を後にした。 少し気分を害してもいたような気がする。俺のすることに直人がやや戸惑いつつもただ受け身だったからだ。背中を暴かれても困り顔で慌てるだけ。その自分への歪な無関心さが充と少し重なって見えたんだろう。
ちょうどそれくらいの頃からか、誰を抱くときも服は脱がなくなった。 服の下は生傷だらけでとても見られたものじゃなかった。 何をされても笑っている充に苛立ってその小さな体をこれ以上ないほどひどく犯して暴力を振るい傷めつけて追い込めば、こいつに暴力やその先に待つ死の恐怖を教え込めるのか、一度試したことがある。 すると誰に犯されても機嫌よく笑っていた充が俺相手には抵抗するような素振りを見せて、最中もひっきりなしに俺の体に爪を立てて噛みついて泣き喚いて暴れた。残念ながら体格と筋力の差で充の抵抗は俺にとって簡単にあしらえる程度のものでしかなく終わったが。 だが俺は嬉しかった。何かに抵抗して必死に嫌がる姿に、ようやく充が俺と共に同じ時間を過ごしているような錯覚を抱いた。真実など知るか。そう感じたまでのこと。それが全てだ。 それから、ずっとそんなことを続けている。
俺の意識はいつも身体から数センチほど浮いていた。 この感覚をひとに上手く説明するのは難しい。物心がついたときにはそうだった。生まれつきといっていいのかも知れない。 数センチ斜め上から自分自身の肉体を意識体だけで常に見下ろしているような感覚だ。俺はいつも自分の肉体が行うことをぼんやりと見ていた。あるいは別の場所に意識は向いていた。 肉体は俺が動かすものではなく勝手に動くものだった。それも相手に応じて臨機応変に現実的な実に的確な行動と判断を無駄なくこなしていく。はたから見れば何もおかしいところなどない。気づく人間も一人としていなかった。まず俺自身がその状態に長い間疑問を持たなかった。 もっと人は意識と身体にズレがなくぴったりと重なり合うようにして生きているものだと気がついたのは、充を抱いた時にその数センチずれた意識が身体に引き戻されたような感覚があったからだ。意識ーーー精神と肉体が、綺麗に重なってすべてが生々しくクリアに目が覚めたように感じられた。 どちらの状態のほうが心地いいとも、正解だとも思えないまま、俺は自分を放置し続けた。 服の下で治っては増えてを繰り返す生傷が痛んでたまに何かを訴えるようだったが、それも無視し続けた。
俺はアトリエにやってきた誰にでも笑顔であたたかく接して、求められることには教え導いたり、ここに居たいという人間には居場所を与えた。能力を持て余した後輩を相応しい道に進めたり、バレエで成功したいという女をモデルにして海外留学資金を工面してやったり、食っていけずに路頭に迷った画家をアトリエに置いて画材を貸し与えたり、頼られればすべてに応えた。 全員感謝して俺をたいそう慕ってくれた。恩人だという人間もいた。 身体から意識が浮いている俺はずいぶんと愛想がよく慈悲深くて面倒見がいい。そのすべてに自分がやっているという実感に欠けていたが、外聞が悪いわけでもなし、それも放っておいた。 俺の行動で誰が救われようと害されようと知るか。誰にでも無神経に手を差し伸べられるのは相手のことなどどうでもいいからだ。本当に救いたい相手に迂闊に触れられるものか。
直人がスラムで一人意固地になって荒れながら絵を描いていると噂に聞いて、手に入れられると踏んだ。あの背が欲しかった。 今にも崩れそうなボロアパートまで訪ねていった、部屋の扉を開けた途端ガラスコップが飛んできたのを避けながら近寄った。直人はすっかり痩せていたがその土地の荒廃した空気に馴染んでいて、痩せ方は衰えるというより一層研ぎ澄まされて暴力的な、生命力に漲った野良犬のようになっていた。 その一方で瞳の奥はいまだに寂しげに揺れたままで、まるで幼い子供だった。あやしつけて懐かせるのも服従させるのもまったく楽な仕事だった。あの先の見えない場所のせいかどうかは知らないが直人もそう望んでいた。高い背に頑丈な体、怪力と、疲れ知らずの性欲は、他のなにより暴力に向いていた。本人にもその自覚はあるらしかった。
直人の背中を気に入っていたが、直人は俺のミューズではなかった。直人はすでに体にいくつも傷を抱えていた。だからただ可愛がった。たまに雑用を言いつけることはあったが、直人も嫌がらずに従った。 前にパーティで服を剥がした時も思ったが、まるで目の前のことしか見えていないようだった。それは静物画を描くにはうってつけで、後天か先天か知らないが狂気と呼んでもいい。が、大抵の人間はそれを画家と呼んだ。 直人は人を傷つけることをひどく恐れていた。その一方で林檎と人間の区別もうまくついていないのだから笑い話だが。 いつだか直人は俺に自分のこれまでの話を詳細に語った。それで俺が傷つかないことを理解したからだ。嘘か本当かすらどうでもよかったが聞く限りこいつは嘘のつけない人間らしい。第一俺の中にいちいち話を疑うほどの関心がなかった。
その頃から充は俺のアトリエへあまり顔を見せなくなっていた。 とうとう何がしかのトラブルで死んだかと思っていたが、直人が慧鶴に引きずられてここから出ていったのと入れ替わりのようなタイミングでまたふらりと訪れるようになった。 充が自発的に俺から離れていくことはない。姿を見せなかった期間に何があったか、結局尋ねはしなかった。 俺の体は充のいない間にすっかり癒えて綺麗になっていて、その責任を取れと言わんばかりに俺はまた同じことをただ行動でのみ充に対して繰り返した。充の反応も以前と変わりなかった。また服の下に生傷が絶えなくなった。
たちの悪い人間だ。愛嬌のある幼げな笑顔で誰のことも疑わない。人間に関心が薄いが人間を嫌悪したり遠ざけているわけではない。充にとって自分に振るわれる暴力はまったく悪意や害意を含まないものらしかった。充にとってはそうだった。路上で他人からいいように暴行されようと、充はそれを凌辱だとか侵害だとか屈辱的だとかいうふうには捉えられない。むしろそういうものはすべて自分と積極的に関わろうとする友好的な態度だと見做されていくらしかった。それが突き詰めてしまった寂しさからくることに薄々気づいてはいたが、俺は俺が頭で考えてみたことなど信用しない。
充が唯一自分からもコミュニケーションを取りたがる犬を奪ったらどうなるか、試した。 いつものように連れてきた大型犬を、充がベッドで気絶している間に鈍器で殴り殺した。さすが充の育て上げた犬だった。常にそうではあったが、完璧に行き届いた躾と人間というものへの揺るぎない信頼と安心感に満ちていた。野生の死んだゆきすぎた従順さ。どれほど暴力を振るわれても逃げることも噛みつく事も、鳴き声すら上げずに犬は飼い主である充のそばについて離れず最期まで耐えた。 充はぼんやり目を覚ましてから黙って頭の潰れた死んだ犬を大事そうに抱えてもう一度眠った。 次の日から、充は散歩に行くような気軽さと頻度で自殺未遂を繰り返すようになった。取り乱すわけでもなく悲痛な様子でもなくいつもの顔でただ導かれるようにふらふらと。
充は俺のミューズではない。それに足る程度の容姿とオーラを備えてはいたし、実際俺に勝手に何らかの影響を与えていってはいたんだろうが、俺の何かが充をミューズにすることを拒んだ。モデルにすることも。 俺にとってのモデルは興味関心の対象とは違っていた。そういうものへの愛もある。 ただ、なぜかはわからない、ある時またいつも通りやってきた充が指を数本欠けさせていたことに対して抑制できない感情が働いた。充もその時笑いながら言った「おれはおまえのモデルじゃない」と。その通りだ。自分のことを把握しきった人間などここには今も昔もいない。 冷水がはられたままの浴槽に充を体ごと放り込んで片腕で頭を水中に押さえたまま、浴槽の隣に座って俺は何事かをしばらく一人で充に話し聞かせていた気がする。喉の動くままに。 なにを話したか自分でも覚えていないが気がつくとかなりの時間が経っていて、水中に沈められたままの充はそのままこときれていた。
俺はその日充がつれていた大型犬を引き取った。名前は確かバスター。 上等な名入りの首輪を飼ってつけてやった。 充はバスターを自分の恋人だと言い俺には懐かないと豪語したが、バスターは俺によく懐いている。 生前の充の命令を今でも守り続けるかのように。
0視点:一人のモデルが二人を横目で見ていた
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しずかちゃん
Saturday 11 August 2012
"しずかちゃん"と一緒に東京へ。
新宿から大江戸線に乗り牛込神楽坂駅へ。
バレエの撮影。毎年行事のこの仕事今回は、規模縮小で1人で撮影。
"しずかちゃん"大活躍。怪物君は、出番なし。
夜7時半頃には終了。7.000枚以上撮った。
難波さんとビデオの方と3人でお疲れ会。
その後、難波さんと水道橋までタクシーで移動し機材をオフィスに置いた。
そして前に一度上野さんと行ったことのあるショットバーに行く。
カナディアン・クラブのソーダ割りをお互い2グラス飲んだ。
終わりの頃の難波さんは睡魔が襲っていた。
11時過ぎ、2人で水道橋駅まで行き、難波さんとは、代々木駅で別れた。
僕は、WOMBへ。ツッチーオーガナイズのパーティーへ。ユーがいた。ミオがいた。イタ君がいた。テクノのパーティーで4フロアの音が鳴っていたがどこも今ひとつ乗れなかった。
3時半、セコバーに行くつもりだったが一緒行こうと話していたユーと会えなかったので諦めてWOMBを1人出た。
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blue-item · 2 years
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ゲスト◇AOTO
兵庫県神戸市在住。6歳よりタップを学び始める。その他バレエ、シアター、ジャズ、バトントワリング、ストリートなど様々なジャンルを学びながら近年では指などを使い表現するタット、Digitzを独学で追求している。 タップでは様々な要素を取り入れた独自のスタイルを模索しカホンやジャンベといった打楽器でリズムを創り出す。 2021年3月に高校を卒業した後、師弟タップユニット「青より碧し〜blue more than blue〜」としても活動中。
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ensemblesonne · 2 years
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wasite · 2 years
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WASITE.store 2022.05.26 now OPEN  今日の海 昨日は「タップダンスの日」ってことで、 みなも踊ったらええやないかい! みたいな感じで収めましたが、今日は 1877年の今日誕生 イザドラ・ダンカン!!!(〜1927) おい!ダンカン! ダンカン、ばかやろう! (ってタケシは言ったことない) という日本のダンカンさんではなく、 アメリカ・サンフランシスコで生まれた 「モダンダンスの祖」!!! 今日もダンスに絡んだ内容ですが、 この人の前の時代には、 ダンスというのは芸術ではなかった。 というのは、 ドイツのミュンヘンにある 「芸術家の家」 という施設で公演計画が持ち上がった! が! 「え、ダンスやんの?   ダンスは芸術の殿堂にふさわしくない」 とフランツ・フォン・シュトゥックから反対!!! このフランツさんはパリ万博(1889)で金賞を受賞した 絵画の分離派の創始者の一人。 つまり、この人もガチの芸術家。 この反対にガチ切れ? ダンカン「おい!ばかやろう!」(妄想) とフランツさんの家に突撃4時間の熱烈論議!!! 結果。。。 公演決定!!! in 芸術の殿堂です!!! 今までバレエの世界で革命を起こした 二人の新しい靴を履いたマリーを紹介しましたが、 今日のダンカン! 裸足です。 「裸足のイザドラ(ダンカン)」 と、あだ名が広まる! ダンカン、小さい頃から教わった古典舞踊の 「慣習的な動き」に ぜんっぜん!満足しない。 ダンカン「せや!自由な踊りを創作したろ!」 この小さなダンカンが、 今の現代小学校〜高校に取り入れられた 「表現運動系及びダンス」の授業に現れたら ガチのヒーローでしょうwww いきなり「自由な踊り」なんて そうそうできるもんじゃない。 授業で生徒は戸惑ってない? ダンカンだって、いきなり自由に踊ろう! なんて思わない。 古典があって、制約があって、 ルールやマナーがあって、 だんだんうっとおしくなって、 そんなもの知るか! となった時!(不満や怒りを感じた時) 自由は体を通して表現される。 だから、 先生「はい!型にこだわらず自由に踊ってね〜」 って言われても、 何したらいいのかわかったものじゃない。 それに同調圧力の強い日本! みんなと違うことをすることに 「は、恥っず!」 という感情は当然ある。 ただでさえ恥ずかしい、 さらに発表とか人前で踊る。 緊張。。。 前にも言ったことがあるけど、 緊張を抑える方法。 人は同時に複数の感情を抱けません。 恥ずかしいとか緊張している時、 思い出すのです。 「怒り」を!!! 人は激しい怒りの中では緊張できません。 現代社会では、何かと怒りなどの感情は どちらかというと「負の感情」のような位置付けで、 あまりこれを良しとしません。 しかし、怒りだって、 人が自然に持っている当たり前の感情です。 否定するのはおかしいし、 他の感情と優劣を比べてマイナスに思うことも また不自然ですよ。 すべての感情は必要なことで、 否定するのは人間性の一角を否定すること。 ただ、怒りから発生する行動には 気をつけないといけないけどね。 昨日のネタは「感情が体を動かす」の反対、 「体の動きが感情を作る」ということでした。 ですが、芸術家・ダンサーは、 感情を動きにする(できる)からアートです。 そして人はミラーニューロンという細胞があって、 表現者の動きを見て、 自分に似ている動きを見ると好感を覚え、 好きな動きを見ると感情が動かされます。 アート・芸術とは、 表現者(表現物)と観衆(聴衆)との間で 交互に作用! か〜ら〜の〜 精神的・感覚的な変動を得る&得ようとする活動 のこと! ダンスは始め芸術ではなかったらしいですが、 一番原始的で人間らしい芸術表現だったんじゃないかな。 現代舞踊はなかなか理解しづらいこともあるw そんな時、ちょっと真似してみるのです。 芸術家はこの動きをしている時、どんな感情だったか。 動きを観察して、同じ動きを再現してみる。 その自分の体が動くと、 演者の感情がかすかでも伝わる、 かもしれないよ。 米津玄師さんの紅白2018の時の ダンサー(菅原小春さん)。 ちょっと真似してみたいと思います。 ・・・ とりあえず、 学校の授業で創作ダンスの時にはさ、 テーマ:最近身近で感じたムカつくこと(怒り) をダンスで表現させたらどうでしょう? ("踊る"さんま御殿みたいなお題w) 他にさぁ、 怒りを出していいよ、 なんて言われることないんだから。 体で何かを表現していいのなら、 抑えてる感情「怒り」を出してあげようってのが、 まだ健全じゃない? とりあえず、創作ダンス授業で裸足になる奴がいたら、 そいつはガチ。 ってことで今日も ストーーーーーーップ!!!ロシア!!! では、今日も良い1日を! #WASITE #ワシテ (WASITE) https://www.instagram.com/p/CeAarJYvX7-/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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lazervmax · 6 years
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イベント告知サイトのPeatixに告知と招待券3枚ずつを出してみました。
イベント告知サイトのPeatixに告知と招待券3枚ずつを出してみました。 Peatixはまだイベント登録数少ないみたいだけど、チケットを紙で発券せず、 画面チケットで入金処理もできるシステムなのは今後伸びて行く可能性があるんじゃないかな。   2018.11.4(日)「躍動する色彩 vol.2」
<第1部>open13:15 start13:30 close15:00 https://yakudou01.peatix.com/    <第2部>open15:45 start16:00 close17:30 https://yakudou02.peatix.com/   <第3部>open18:15 start18:30 close20:00 https://yakudou03.peatix.com/
先にグループを作らないとイベント登録できないので、   Art Dance Music…
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kobeballetstudio · 3 years
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【神戸・西神南】Kobe Ballet Studio
7月のレッスンも今週で最後です。
来月〜10月までのスケジュールです。ご確認ください。
🎀4才〜無料体験レッスン受付中です!ご質問など、お気軽にお問い合わせ([email protected])ください
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giraffe750 · 6 years
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忘れぬうちに、昨日作った神戸インクのラメバージョンもトラベラーズノートに記録する。 昨日はバレエ「眠れる森の美女」第3幕より、「青い鳥のパ・ド・ドゥ(青い鳥とフロリナ王女)」、「オーロラ姫とデジレ王子の結婚式のグラン・パ・ド・ドゥ」をテーマに作りました。 バレエくくりでまだまだ作りたいインクがあります(笑)。 @nagasawa_sol @helico1618 @helicolom #万年筆 #インク沼 #神戸インク物語 #神戸インクラボ #ラメインク #ガラスペン #helico #シュクル #ガラスペン #バレエ #眠れる森の美女 #オーロラ姫 #青い鳥とフロリナ王女のパドドゥ
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larrysballet · 1 year
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#ballet #balletphotography #大阪バレエ #梅田バレエ #天王寺バレエ #阿倍野バレエ #神戸バレエ #西宮北口バレエ #三宮バレエ #バレエ留学 #バレエ #子供バレエ #大人バレエ #キッズバレエ (at Larry's School of Ballet ラリーズスクールオブバレエ) https://www.instagram.com/p/CqLdJERvxwP/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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sdeet · 9 months
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観たいもの気になるものメモ
・『むかし、むかし』
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劇団KIOとカナダのカンパニーCorpus(日本では「ひつじ」の演目が有名で劇団コープスとも呼ばれるけどダンス、フィジカルシアター)の演出家の共同制作初演だそう。めっちゃ観たい。チケット詳細はもう少し後かな。
・太陽劇団(テアトル・デュ・ソレイユ)『金夢島 L’ÎLE D’OR Kanemu-Jima』
公演は東京と京都。佐渡島が取材先のひとつでありイメージとかモチーフになっているらしいのに何故新潟でやらない。なぜ佐渡でやらない????? チケット購入済み
関連イベント 太陽劇団『1789』上映 &アリアーヌ・ムヌーシュキンとのトーク
・映画 『ダンサー イン Paris』
ホフェッシュ・シェクターとカンパニーがそのまんま出てくる映画。日本でも上映してほしいな〜〜と言っていたやつがちゃんと劇場上映になるそうなのでやったー。見に行く。
・国内ダンス留学@神戸9期Newcomer/Showcase#1・#2
ピチェ・クランチェンの振付作品があるのでこれは観に行く。
・〈新国デジタルシアター〉演劇公演『骨と十字架』無料配信
めちゃめちゃ話題になってた作品『骨と十字架』が9月からYoutubeで無料配信になるそう。普段新国立でかかるタイプの演劇とかは観ない感じの人もどんどん話題にしててすごかったもんな。うぉーありがとう新国立劇場。公共の仕事してる。
・音楽ドキュメンタリー映画『 遊牧のチャラパルタ』上映
・THEATRE for ALLがリニューアルする
・イ・ラン Moshimoshi City :1から不思議を生きてみる|뚜벅뚜벅, 1도 모르는 신기속으로
・バック・トゥ・バック・シアター 影の獲物になる狩人
以前見た『ガネーシャ VS. 第三帝国』がじわじわと印象深かったので観たい。
・講座 奇術の歴史
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swaramayana · 3 years
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せい‐じつ【誠実】 の解説
[名・形動]私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対すること。また、そのさま。「誠実な人柄」
[派生]せいじつさ[名]
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E8%AA%A0%E5%AE%9F/
かい‐ほう〔‐ハウ〕【開放】 の解説
[名](スル)
1 門や戸などをあけはなすこと。あけたままにしておくこと。「開放禁止」
2 制限をなくして、自由に出入りさせること。「門戸を開放する」「市場開放」
3 「開放絞り」の略。「開放で撮ると背景がやわらかくぼける」
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E9%96%8B%E6%94%BE/
ちょう‐わ〔テウ‐〕【調和】 の解説
[名](スル)全体がほどよくつりあって、矛盾や衝突などがなく、まとまっていること。また、そのつりあい。「調和を保つ」「周囲と調和のとれた建造物」「精神と肉体が調和する」
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E8%AA%BF%E5%92%8C/
がい‐こう〔グワイカウ〕【外向】 の解説
興味・関心が外部の物事に向かいがちな性格上の傾向。「外向的な性格」⇔内向。
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E5%A4%96%E5%90%91/
BigFiveが社会人基礎力と進路選択に対する自己効力に与える影響に着目すると,
「前に踏み出す力」に対しては,「外向性」,「開放性」が正の有意なパスを示している。社交的で好奇心が高い者は,一歩前に踏み出し,失敗しても,柔軟に粘り強く取り組む力が備わっている傾向があると示唆される。
「チームで働く力」に対しては,「調和性」,「誠実性」,「開放性」が正の有意なパスを示している。温和かつ誠実で独創的なパーソナリティ特性の者は,多様な人々と共に目標に向けて協力する力が備わっている傾向にあると示唆される。
「考え抜く力」に対しては,「誠実性」,「開放性」が正の有意なパスを示している。誠実で創造力が豊かなパーソナリティ特性の者は,現状を分析する力や目標達成へのプロセスの検討をする力が備わっている傾向にあると示唆される。
そして,「進路選択に対する自己効力」に対しては,「外向性」,「調和性」が正の有意なパスを示している。社交的で協調的な者は,進路選択に対しての遂行可能感が高い傾向にあると示唆される。
紀要論文
1. 伏見 友里
2. 井森 澄江
https://tokyo-kasei.repo.nii.ac.jp/index.php?action=repository_view_main_item_detail&item_id=10096&item_no=1&page_id=13&block_id=21
外向性では、「外向性」と「レジリエンス全体(r=.62)」との間に高い正の相関がみられ、「問題解決能力(r=.47)」「ソーシャルサポート(r=.56)」「自己効力感(r=.41)」「未来志向・楽観性(r=.39)」との間に中程度の正の相関がみられた。
開放性では、「開放性」と「レジリエンス全体(r=.29」「問題解決能力(r=.31)」「未来志向・楽観性(r=.23)」との間に弱い正の相関がみられた。
調和性では、「調和性」と「レジリエンス全体(r=.33)」「問題解決能力(r=.23)」「ソーシャルサポート(r=.29)」「自己効力感(r=.28)」「未来志向(r=.21)」との間に弱い正の相関がみられた。
誠実性では、「誠実性」と「自己効力感(r=.62)」に高い正の相関がみられ、「レジリエンス全体(r=.52)」「問題解決能力(r=.49)」「未来志向(r=.33)」との間に中程度から弱い正の相関がみられた。
レジリエンス得点が高いほど、神経症傾向が少ないことが示された。
紀要論文
1. 田島 祐奈
2. 岩瀧 大樹
3. 山崎 洋史
https://swu.repo.nii.ac.jp/index.php?action=repository_view_main_item_detail&item_id=6053&item_no=1&page_id=30&block_id=97
・開放性
相関のある行動
美術作品を作った(.51)
詩を読んだ(.38)
絵を描いた(.36)
詩を書いた(.36)
本を買った(.32)
本を読んだ(.30)
美術展に参加した(.29)
誰かにプレゼントをした(.29)
オペラやオーケストラのコンサートに参加した(.28)
バレエ公演に参加した(.28)
・誠実性
相関のある行動
男性の友達と性的な話題について会話した(-.23)
衣服を着ずに家の周りでくつろいだ(-.22)
ヒッチハイカーを拾った(-.21)
タブロイド紙を読んだ(-.19)
シートベルトを着用せずに車を運転した(-.19)
他人がいる中で罵った(-.18)
空想に1時間を費やした(-.18)
古着屋で買い物をした(-.18)
汚い冗談を言った(-.18)
音楽を聴いた(.18)
・外向性
相関のある行動
汚い冗談を言った(.28)
パーティを計画した(.26)
6人かそれ以上の人数の人たちを楽しませた(.24)
冗談を言った(.24)
クラブや組織のためにボランティアをした(.24)
日焼けしようとした(.23)
市議会に出席した(.23)
髪を染めた(.23)
ナイトクラブに行った(.23)
バーで酒を飲んだ(.22)
・協調性、調和性
相関のある行動
物乞いにお金をあげた
(.23)
バーで酒を飲んだ(-.22)
美術作品を作った(-.22)
馬に乗った(-.22)
重要なものを置き忘れた(.21)
タクシーに乗った(-.21)
温度計を利用して温度を測定した(.20)
ビールを飲んだ(-.19)
自助グループに参加した(.18)
鎮痛剤を服用した(.18)
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%B0%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%96%E6%80%A7%E6%A0%BC%E7%89%B9%E6%80%A7%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E7%9B%B8%E9%96%A2%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88
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shogotakeuchi · 4 years
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《文句言ってないで西田さんがお金の支援したらいいじゃない。たくさん稼いでるでしょ?》
俳優の窮状「直訴」したら…西田敏行、思わぬ“炎上” 一般の個人事業主たちから反発
実は僕も、同様のことを思っていました。
もちろん、辛辣で冷徹なことを言っているという自覚はあります。
でも、憲法で職業選択の自由が謳われて、実際ほぼそのとおりになっているこの国で、ひとりのオトナとして、一種の成果給の世界に身を投じる事を選んでの現況なのですから、甘んじて受け入れるか宗旨変えをする���、それは各々で考えてくださいとしか言いようがないのです。
例えば歌舞伎役者の世界でも、俗に「三階さん」と呼ばれる端役のポジションがありますが、食えなくて廃業する人が跡を絶たないと言います。
僕は中学生の頃から宝塚歌劇の星組のファンなのですが、あの世界もまた残酷で、レビューで大階段から降りてくるシーンなんかは、男役と娘役のトップ各1名だけが、(多くの人がテレビやポスターなんかで周知している)羽飾りやらラメやらの装飾ゴテゴテのひとりカーニバル状態になることを許されて、その次の準主役級なんかはもう、孔雀の羽2本だけとか、物凄い格落ち感を出しまくって現れるのです。それでも、そうやって単体で紹介されるというだけで、ある意味雲の上の存在で、その他大勢は(狭き門をくぐって音楽学校に辿り着いたのにもかかわらず)八百屋でザルでまとめ売りされる果物のごとく、ひとりひとりの見分けなんかつけようのないラインダンスで舞台に現れてオシマイというのが相場なのです。それはそれはまことに、清く正しく美しく、舞台での人気だけがバロメーターという、本当に公平で公正で、当然その分残酷で、野坂昭如の娘だろうが、当代の片岡仁左衛門の娘だろうが(でも、そこそこ売れた)、松岡修造の娘だろうが、脚光を浴びなければそれまでなのです。
いやいや、主役級として、宝塚という狭い(そしてディープな)世界で一世を風靡しても、卒業後の、その先の世界もまた長く険しいというのが、引き続き残酷な実際です。元宝塚の肩書で引き続き食べていけるなんて、一握りどころかヒトツマミなんじゃないかと、心底思うほどです。残りの大部分は、ヒトタマリもないでしょう。
元宝塚で女優と言えば、パッと思いつくのは黒木瞳(月組)とか純名里沙(雪組)あたりかなぁといったところですが、星組推しのワタクシとしましては娘役の南風舞(みなかぜまい)が良かったと、声を大にして言いたいワケです。特にトルストイの戦争と平和の冒頭の、ソプラノ独唱は、いまでもあれ以上の華やかな娘役は出てきていないと個人的には思うのですが、卒業後の現在、別に売れてはいないというのが、まぁ、広い世界での評価や相場ということなのでしょう。※ご当人は、門戸厄神の駅前のスタジオで、バレエの先生をなさっています。
一応、自分なりに、そういう世界を、相応の時間を費やして眺めてきたので、西田氏の持つ危機感だとか、彼の立場だとかは、斟酌に値するとは思いつつも、役者だから、俳優だからという括りだけでモノを言うのは、「甘ったれるな」という感想しか出てこないのです。
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sorairono-neko · 4 years
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きみにふれてみたい、だからきみの愛を待ってる
「全部、スケートで返すから」  勇利のそのひとことで、ヴィクトルと彼はつながりあった。これまでの、どこか線を引いたものとはちがう、それよりも一段色を濃くした関係を持ったのである。少なくとも勇利はヴィクトルに一歩近づき、見えない壁のようなものをひとつ取り払ったのだ。  だがヴィクトルは、それで安心はしていなかった。まだこれは入り口なのだ。思っていたよりも勇利は、難解でつかめない性質をしているようである。バンケットの夜、ヴィクトルに近づいてきたり、笑いかけてきたり、抱きついてきたりした彼とはちがう。もっと奥が深く、謎を抱えている。いちばん不思議なのは、こんなにへだたりをとることにこだわるのに、時にはあの夜のように大胆にヴィクトルを求めるということだ。  できればあれくらい勇利と近づきたい。普段からずっと。無邪気な笑顔を向けられ、寄り添われ、ヴィクトル、と甘ったるい声で呼ばれたい。貴方が好きで貴方が必要だという視線をそそがれたい。貴方だけを見ている、という情熱を示してもらいたい。  もちろん、いまの勇利にそれがないとは言わない。確かにあの勇利といま目の前にいる子は同じ人物だと信じることができるほどには、勇利はヴィクトルに好意をあらわしている。ただ、それを覆い隠すふるまいがそれ以上に目立つのである。  あの夜くらい勇利と仲よくなりたい。あの夜以上に。信頼しあって、師弟として濃密に愛しあって、ひとつの目標のために互いに手をたずさえて難局にあたる。そういう間柄になりたい。勇利がこころをひらいてくれたことは、そのための兆しとも言える。  しかしヴィクトルにはもう理解していた。勇利はそんな簡単な若者ではない。「全部スケートで返す」という言葉ですべてが解決するほどわかりやすくはない。たとえばいま、ヴィクトルが当たり前のように勇利の肩を抱き寄せたら、彼は驚いてなにごとかという顔をするだろう。一緒に寝ようと言ったって、やはり戸惑った態度になるにきまっている。そういう意味では、ふたりの関係はまだまだ熟しておらず、初々しいままだった。  勇利は、普段にいきなりさわったらびっくりする子だ。ヴィクトルはまずはそのことをしっかりとこころに刻みつけた。これで仲よくなれたと思って親密に行動したら、きっとまた問題が起こる。もしかしたら眉をひそめるかもしれない。警戒されてしまうかもしれない。勇利は「ヴィクトルはヴィクトルでいて欲しい」と言ったが、それは「ぼくに対して好き放題にふるまってもいい」という意味ではないだろう。そのことは忘れないようにしなければ。  こちらから近づくのは、たぶん、よくない。ヴィクトルはそのことを頭においておくことにした。バンケットのおり、当たり前のようにくっついてきたからと、そのつもりでしばらくいろいろしていたけれど、勇利の反応はかんばしくなかった。ああいうことはいまはやめておいたほうがよさそうだ。勇利はたぶん、酒が入ったときだけは陽気になるが、普段はおかたい、馴れ馴れしい態度を敬遠するようなたちなのだ。いつもそうしてまじめにしているからこそ、おさえつけられたものが酔ったときはおもてに出るのかもしれない。  とにかく、いまは良好な関係を築き、それを深めていく時期だ。せっかく勇利が信頼を見せてくれたのだから、それを大切にはぐくんでいきたい。ヴィクトルのほうから強引なことをするのはよしたほうがいい。勇利は踏みこまれるのが嫌いなのだから。きっとこころだけの話ではない。あまりに近づきすぎたら、勇利が話した「ぐいぐい来る女の子」のように、いやがられて突き飛ばされるかもしれない。  まあ、あの無視された日々は、ある意味突き飛ばされたようなものだけど……。ヴィクトルは思い出して溜息をついた。すこし笑ってしまう。無視なんて初めてされた。あからさまに目をそらされた経験なんてない。  あんなにきらきらした純粋な目で見られたのも初めて、ダンスバトルをしたのも初めて、コーチになってと言われたのも初めて、無視されたのも初めて……。勇利はヴィクトルにいろいろな「初めて」をもたらす。 「こんなに仲よくなりたいと思ったのも、慎重に行動するのも初めて」  つぶやいてヴィクトルは笑ってしまった。 「なんですか?」  勇利が振り返る。ロシア語だったので伝わらなかったらしい。 「なんでもなーいよ」  ヴィクトルは笑顔でかぶりを振った。 「そうですか」  勇利がうなずく。彼は岩のふちにもたれ、ぼんやりした。ふたりはいま一緒に温泉に入っているのだ。  こうして裸の付き合いはできるんだけどな……。ヴィクトルはちらと横目で勇利を見た。ヴィクトルにとって、それほど親しくない相手の前で服をすべて脱ぎ、同じ湯につかる、というのは初めての体験だった。だが、そういうことをすれば、なんとなく親近感がわいた。勝生家の温泉に来る常連客たちと湯をともにしたら、あっという間に仲よくなれた。なるほど、日本人というのはこうして親しくなるものなんだな、と感心したものである。  しかしそれが勇利にはいっさい通用しないのだった。勇利はヴィクトルと温泉に入っても、さほど親しみを感じていないようだ。温泉を経営している家の息子だからだろうか。人と一緒に湯に入る、というのは彼にとって当たり前のことで、いちいち仲よくなるとかならないとか考えるようなことではないのかもしれない。そういえば、昔から友人が少ないと聞いた。この温泉にやってくる同級生もいただろうに、それでも友達ができないということは、つまり勇利は温泉でのつながりに特別なものを見出していないということだろう。もっとも、彼の場合、練習が忙しくて、同級生が来るときもずっと家を空けていた可能性もあるが。  とにかく温泉で仲よくなるのはだめみたいだ。ヴィクトルはふうっと息をついた。いまだって、「なんでもないよ」と言われて、あっさり勇利は引き下がった。「何か言ったでしょう?」「いまのロシア語ですか?」と話を続ける気はないようである。俺、興味持たれてないのかな、と可笑しくなる。会話を発展させるということをしない勇利なのだ。いつも自分の世界だけで生きているようなところがある。芸術家には大切な部分ではあるのだけれど、いまはもうすこしうちとけて欲しい。  勇利は、ヴィクトルが自分の体験を話したら、同じように彼自身のことも話してくれた。そんなふうにすこしずつ近づくしかないようだ。 「俺ね、温泉って入ったことなかったんだ」  ヴィクトルは笑顔で語りかけた。 「こんなにひろいお風呂初めてさ。最初入ったときは感動したな。こんな場所をひとりじめ! って浮かれちゃったよ。勇利は自分の家のお風呂だから慣れてる?」 「そうですね」  勇利はこっくりうなずいた。 「もちろん温泉は好きだけど、日常だから……。あの、すみません」 「何が?」 「ひろいお風呂がいいんですよね。ぼく、もしかして邪魔だったかな。あっちのお風呂に行くので、ヴィクトルはひとりでここを……」 「ちょっと待った!」  ヴィクトルはとっさに勇利の手をつかもうとし、いけないいけない、と思い直して腕をひっこめた。不用意にさわるのはよくない。 「そういうことじゃない。そういうことじゃないんだ」  どうやらこの話題は失敗だったらしい。 「ここにいてくれ、勇利」 「でも、ヴィクトル貸し切りが好きなんでしょ?」 「いや、好きとかそういうことじゃない。ひろくていいなというだけだ。勇利の家のお風呂ってすてきだねという話だ」 「はあ……そうなんですか……」  勇利はきょとんとしている。いけない。俺はどうも勇利に「よくわからないことを言うやつ」と思われたようだぞ。べつによいのだが、いろいろ考えたうえでの行動を不可解そうに眺められるとなんとなくさびしい。 「えーっと」  ヴィクトルは無意識のうちに勇利の肩を抱き寄せようとし、おっと、と自分をいましめた。しかし、ここで勇利の手をつかんだり、バレエのまねごとをしたりしたことはある。そのときは勇利はとくにいやがったりはしなかった。ならばいまも構わないのではないだろうか。……いや、だが、あのころより魔法がとけてきている感じがある。この前は「あぁん!?」などと言われてしまったし。すこし遠慮がなくなってきている。それは歓迎なのだが、まだ親密になったというほどでもないから、接触に関しては以前より後退しているかもしれない。  勇利って難しいな。 「そういえば、勇利のパーパに、この温泉は効く、って言われたんだけど、何に効くんだい?」  ヴィクトルは結局、さして悪くはないが特別よくもない、ごく普通の話をすることにした。 「ああ……、まあ、疲労回復とか、打ち身とか、そういうのです。女性は肌にもいいと言ってますね」 「肌か……」  ヴィクトルは勇利の身体をちらと見た。 「勇利、綺麗だよね」 「え? 何がですか?」 「だから肌だよ」 「そうかな」  勇利は自分の身体を見下ろした。 「長いあいだデトロイトにいたから、そんなに効いてないと思うけど……。でも、もう一ヶ月くらい経つからあらわれてきたのかもしれません」 「ちいさなころからつちかわれた肌質というものなんじゃないかな」 「さあ……ぼくにはわかりませんけど……」  勇利は首をかしげた。ヴィクトルは、「綺麗だよ。ほら、このあたりとか」などと言いつつ勇利の素肌にふれようとし、おっと、とまた手をひっこめた。あぶないあぶない。どうも不用意にさわろうとしてしまう。誰にでもというわけではない。勇利だけだ。なぜだろう? バンケットのとき、愛情いっぱいに抱きつかれたから、それが感染してしまっているのだろうか。 「そうかなあ……」  勇利は納得しかねる様子だ。自分の腕を眺めたり、胸にふれたりしている。ヴィクトルはそんな彼をじっと見ていた。 「ヴィクトルのほうが綺麗ですよ」  唐突に顔を上げて勇利は言った。ヴィクトルはびっくりした。 「温泉に入ってるとか関係なく、ヴィクトルは綺麗」  勇利は率直に言い、かすかにほほえんだ。 「ヴィクトルがいちばん綺麗なんです」  確かなことだというような勇利の口ぶりだった。 「言われ慣れてると思うけど」  そうだ。確かに言われ慣れている。称賛の言葉なんて珍しくもない。しかし……。  勇利が言うと、なぜか特別に聞こえた。彼の褒め言葉は、いままでヴィクトルが聞いてきたものとはちがう響きを持っていた。 「ヴィクトルは綺麗で、かっこいい」  勇利は続けた。 「ヴィクトルくらいかっこよかったら、どんな感じがするものなんだろう……」  彼は口元に手を当て、考え深そうにつぶやいた。それからまたヴィクトルを見てちょっと笑った。 「どんな感じがしますか?」 「どんなって……」 「鏡見るたび、俺ってかっこいいな、とか思うの?」 「いや、べつに……」 「そっか……、いつものことだもんね。いちいち毎回感動することでもないか。ヴィクトルにとってはそのかっこよさが当たり前だから……」  勇利は言葉を切り、それからいつもより明るい声で言った。 「かっこいいのが当たり前って、かっこいい」  彼は笑った。 「なに言ってるのかわからなくなってきた」  ヴィクトルも何を言われているのかよくわからなかった。ただ、勇利のいまの話し方は、親しい感じでよいなと思った。海で勇利と語らったときも、彼はあまり丁寧な言いまわしをしなかった。そっちのほうがいい、とヴィクトルは考えた。たとえば礼を述べられるなら、サンキューよりサンクスと言われるような。親密な表現をして欲しかった。勇利は教科書通りの英語を話すのかと思っていたが、海外スケーターの友人と電話しているのをちらっと聞いた限りでは、ちゃんと砕けた話し方も理解しているようである。それならヴィクトルにもそうしてもらいたい。  いや、しかし、待とう。何かをしてくれ、と勇利に対し要求するのはよそう。勇利はヴィクトルに、ヴィクトルはヴィクトルでいてほしい、と言った。ヴィクトルも勇利にはありのままでいてもらいたいのだ。ふたりの間柄について、ああしろこうしろと口にしたくない。 「ヴィクトルは寝起きでもかっこいいんですか?」  勇利が尋ねた。ヴィクトルは笑って「どうかな」と答えた。 「会ったことあるだろう?」 「あるけど、ぼくの言う寝起きって、本当に起きた瞬間のこと。ベッドで起き上がったときのことです」  一緒に寝ればその瞬間がわかるよ。ヴィクトルはそう言おうとして思いとどまった。代わりにもう一度「どうかな」とほほえんだ。 「ぼくの予想では、ヴィクトルは起きた瞬間からかっこいいです」 「勇利、どこ行く?」  勇利が玄関のほうへ向かっていたので、ヴィクトルは不思議に思って尋ねてみた。 「おつかいです」 「おつかい」 「ちょっとそこのコンビニまで」 「ふうん……」  ヴィクトルは勇利を見ていた。勇利もきょとんとしてヴィクトルを見ていた。勇利はゆっくりと言った。 「……一緒に行く?」 「行く行くー!」  すでに日は暮れ落ちている。雨が続いたあとの晴れた晩で、緑の匂いが風に濃かった。甘いような、むせ返るこの匂い。生々しいほどの自然を感じる。ふたりは、街路灯がほのかに照らす道を連れ立って歩いた。 「なに買う?」 「えっと、買い忘れたらしい卵……、それから牛乳……、真利姉ちゃんの要望でスナック菓子……、あとは好きなの買っていいって」 「好きなの」 「おやつですね。ヴィクトルなに食べたい?」 「アイスかな!」 「アイスね」  勇利はにこっと笑った。このところ気がついたことがある。勇利は、普段はなんとなくぼんやりして表情があまりないが、ヴィクトルのことになると笑ったりする。ヴィクトルはそのことがくすぐったくて仕方ない。たぶん当人は気がついていないだろう。 「このあたりは夜になると静かだね」 「そうですね。ロシアはもっと賑やか?」 「俺の住んでるあたりは、賑やかというほどでもないけど、でもこんなに人通りがなくなったりはしないかな。夏は白夜で、いろんな催しがあるよ」 「ああ、白夜」  勇利は星空に目を向けた。 「きっと綺麗でしょうね……」  彼の夢見るような視線に、ヴィクトルはなんとはなし見蕩れてしまった。きみも綺麗だよ。そう言おうとして、とりあえず口をつぐんだ。なんだ、この口説き文句みたいな言葉は? そういえば前にも言ってしまった。温泉で。でもあのときといまとでは、ちょっと意味合いがちがう。 「白夜かぁ……」  勇利がつぶやいた。こうしておとなしやかな様子で歩いている物静かな彼は、あのバンケットのとき踊り狂っていた彼と同じ人物とは思えない。とても穏やかで神秘的だ。こういうところがよくわからないし、魅力的だなと思う。 「勇利もいつかサンクトペテルブルクにおいでよ」  ヴィクトルは誘った。 「案内するよ。いろんなところへ連れていってあげる」 「ヴィクトルの生まれた街ですね」  勇利はほほえんだ。 「行きたいなあ……」  しかし、行きたい、と言いながら、彼は生涯かなうことのないねがいを口にしているようなふぜいだった。月明かりを頬に受け、瞳に星を映し、どこかさびしそうに笑っている。胸が痛くなるような横顔だ。 「おいでよ。必ずおいでよ」  勇利にそんな顔をさせたくなくて、ヴィクトルはつい力をこめ、熱心に誘ってしまった。 「俺の家に泊めてあげるよ。俺が勇利のところにお世話になってるみたいに」  勇利はきょとんとしてヴィクトルを見た。そして彼はくすっと笑った。 「いいね、それ」  いいね、それ。いいね、それ、だって。  ヴィクトルは、本当にいつか勇利が自分の街に来るような気がした。 「温泉はないけどね」  ヴィクトルはうれしくなって、そんなはしゃいだ話し方をした。 「知ってる」  勇利がまたくすっと笑った。 「知ってる? なんで?」 「え? だって……」  彼は一瞬だけ、からかうようにヴィクトルを見た。 「貴方、温泉に入ったのはうちが初めてだって言ってましたから……」  そこで勇利は歩道から明るい駐車場へと入り、コンビニエンスストアの扉を押し開けた。ヴィクトルはちょっと立ち止まり、それから急いであとを追った。勇利はもうカゴに卵と牛乳を入れており、真利のスナック菓子を選んでいるところだった。 「ヴィクトル、欲しいもの持ってきて」 「…………」 「ヴィクトル?」 「え? なに?」 「アイス、欲しいんでしょ?」 「欲しい」 「ぼくのも取ってきてください」  勇利は袋を見くらべながら言った。 「かき氷」 「カキゴーリ」 「シャーベットアイスですよ。それならカロリーが低いから」 「そうだね」  ヴィクトルはアイスクリームのたくさん入った冷凍庫の前へ行った。自分が欲しいものと、それから勇利の欲しがった「かき氷」を取ろうとした。 「……勇利」 「何ですか」 「赤いのと青いのとある。どっち食べる?」 「ああ……、うーん、どっちでも。ヴィクトル選んでください」 「赤いのはなに?」 「いちごかな」 「青いのは?」 「ソーダ」  ヴィクトルは、青いかき氷を食べている勇利を想像してみた。みずみずしくていいなと思った。次に、赤いかき氷を食べている彼を思い浮かべた。かわいらしくていいなと思った。  ヴィクトルは目当てのものを手にし、勇利のもとへ戻ろうとした。雑誌の並んでいる棚の前を通った。その表紙はかなり過激だ。 「ねえ、勇利」 「はい」  勇利がカゴにスナック菓子を入れながらこちらへ歩いてきた。 「勇利はこういうの、見たりするのかい?」 「こういうのって?」  勇利は顔を上げた。ヴィクトルが成人向け雑誌をまっすぐ指さしていることに気がつくと、彼はぎょっとして急いで寄ってきた。 「勇利のそういう話を聞かないなと思って」 「そんな話はいいですから!」  勇利はまっかになった。声をひそめているが、かなり怒っている様子である。 「なんで? 大事なことじゃないか。男の子なんだし。日本人ってまじめそうなわりに、こういうところでは大胆だよね。勇利もそう?」 「もう帰りましょう」 「いっさい興味がないということはないだろ? 勇利っておとなしそうだけど、そのあたり、どうなんだい?」 「ノーコメントです!」 「また?」  ヴィクトルは陽気に笑った。 「��うやってすぐごまかす」 「こういうところでする話じゃないでしょ!」 「じゃあ、家に帰ったらゆっくり聞かせてくれる?」 「ヴィクトル!」  勇利はレジにカゴを置き、振り返った。 「いい加減にして!」  ヴィクトルはきょとんとした。それから楽しくなって彼のところへ行った。カゴの中にアイスクリームとかき氷を入れる。 「もう、ほんと、怒るよ!」  ヴィクトルはほほえんだ。勇利は会計のあいだも帰り道でも、つんと澄ましてヴィクトルのほうを見もしなかった。 「勇利、悪かったよ」 「ほんとに悪かったと思ってるの?」 「思ってるとも」 「どうだか……」  勇利が横目でじろりとヴィクトルをにらんだ。その突き放すような目つきがかわいかった。 「で、どうなんだい?」 「何が?」 「ああいうの、勇利、見てるのかい?」 「ヴィクトル!」 「勇利」 「なに!」 「カキゴーリとニシゴーリって、似てるね」  勇利が目をまるくした。彼はぱちりと瞬き、それからくすくすと笑い出した。 「ね?」 「そうだね」  勇利は愉快そうにうなずいた。 「似てるね」  それから、彼は思い出したように何度も笑いながら、夜道をゆっくりと歩いた。ヴィクトルは勇利の隣にいた。風に乗って勇利の匂いが漂った。ヴィクトルの手が、勇利の手にふれそうだった。  手をつないだら勇利はどんな顔をするだろう。ヴィクトルはふとそんな好奇心をおぼえた。怒るだろうか? 平然としているだろうか? 照れるだろうか? しかしヴィクトルはそうはしなかった。あとすこしで勇利にふれられる、というところをのんびりと歩いていた。だめだ。いまはまだ……。 「ああ、風が湿ってる。梅雨ももうすぐ明けるかな。明けたら夏ですね。ものすごく暑い……」 「勇利」 「ん?」 「もしまたおつかいを頼まれたら、俺を誘ってね」  勇利はヴィクトルのほうへ首をまわし、大きな目でヴィクトルを見た。黒い瞳の中に月明かりが瞬いて、綺麗だった。 「うん」  ヴィクトルは、リンクにいるとき以外も、なるべく勇利と一緒に過ごすことにした。勇利がどこかへ行こうとすれば行き先を尋ね、ついていってよいかと訊いた。家に飾ってある賞状やトロフィーをひとつひとつ見て、これは何のときのものか、いくつで取ったのか、と興味を示した。勇利がたまに洗濯を手伝っていたら、「俺も」と言ってふたりで物干し竿をいっぱいにした。そうしていると、勇利とのあいだにすこしずつ会話が増えてきた。 「ヴィクトルって」  勇利は白いシャツをひろげながら尋ねた。 「自分の家では、洗濯とかしてたの?」 「いや」  ヴィクトルはかぶりを振った。 「クラブに持っていくとどうにでもなるんだ」 「へえ……」  勇利は意外そうに眉を上げた。 「そうなんだ。手伝いの人とかがいるのかと思った」 「考えたこともあるけど、自分の家に人が入るのがいやでね。信頼できる会社もあるんだが、なんとなく気持ちが向かなかった」 「じゃあ、ごはんは?」 「クラブに栄養士がいるからね」  なるほど、と勇利は感心した。彼は新しいシャツを取り、皺を伸ばした。���の無邪気な仕事ぶりにヴィクトルはほほえんだ。 「勇利は? デトロイトではどうしてた?」 「ごはん? ピチットくんと当番制かな。あ、ピチットくんっていうのは友達のスケーターなんだけど。タイの。ヴィクトル知ってるかなあ……。当番制っていっても、結局一緒につくることが多かったけどね。どっちも得意じゃないから、協力しあうしかないというか……」 「勇利と一緒につくるのは楽しそうだ」 「何が?」 「いろいろ」 「ヴィクトル、それ、陰に干さないとだめなやつ。こないだ真利姉ちゃんに怒られた」 「失礼」  勇利はヴィクトルを眺めて笑った。 「ヴィクトルが日本らしいこんな庭で洗濯物干してるなんて、ちょっと衝撃だね」 「そうかい?」  相変わらず勇利は、自分のことではたいていぼんやりしているけれど、ヴィクトルのことでは笑うのだった。 「じゃあ写真撮って」 「え?」 「SNSにアップしよう。洗濯物を干すヴィクトル・ニキフォロフ」 「いいの? こんなのヴィクトルじゃない、とか言われるんじゃない? ヴィクトルはなんていうか……、革張りのソファに座ってワイングラスをまわしてるような……」  ヴィクトルは噴き出した。 「いまさら何を言ってるんだ。俺はこれまで、いろんな写真を出してるよ」 「そうだけど、こんな家庭的なのはまだないでしょ」 「勇利はどう?」  ヴィクトルは勇利の顔をのぞきこんだ。 「何が?」 「家のことなんかしてる俺、ヴィクトル・ニキフォロフじゃないって思う?」 「…………」  勇利はヴィクトルを見てにっこり笑った。 「ヴィクトルはいつでもヴィクトルだよ」  そのとき、真利が縁側へやってきて、「おーい、これも」と声をかけた。 「はーい」  勇利が振り返って駆けていく。ひらひらと彼のシャツの裾がひるがえる。髪がさらさらしていて、ヴィクトルは、その艶やかな黒髪を撫でてみたいと思った。でもだめだ。自分からふれるのはよくない。ずいぶん親密になったつもりだけれど……まだ。 「ねえ勇利」 「んー?」  勇利は大きなカゴに入った洗濯物をこちらへ運んでくる。ヴィクトルの使っている敷布だ。 「もし俺が、きみに──」  きみにふれたら、きみは近づきすぎだと驚くのだろうか? いやな気持ちになるんだろうか? ただ仲がよいしるしだということを示したとしても……。なにしろきみは、人に踏みこまれるのを極端にいやがるから──。 「あ、ヴィクトル」  勇利がふと気がついたというように顔を上げた。 「ぼくちょっと行ってくる」 「え?」 「そろそろ表にビールが届いてる時間なんだ。中に入れなくちゃ。手伝ってくるよ」 「…………」 「これ、よろしく!」  勇利がカゴをヴィクトルに持たせた。彼はちょっと走ると、ふいに振り返って楽しそうに言った。 「洗濯物抱えてるヴィクトル、おもしろい!」  長谷津は夏を迎えた。ヴィクトルにとっては初めての日本の夏だ。もう、信じられないくらい暑い。連日、彼はへたばっていた。せめて昼間はリンクへ行きたいけれど、一般開放の時間だ。遊びに行こうか、と勇利に提案したら、「ヴィクトルが行ったら騒ぎになっちゃうんじゃない?」と笑われた。 「みんなもう俺のことなんて慣れてるだろ」 「それはそうかもしれないけど、やっぱりすべってるとなると話がちがうと思うな。ぼくだって、ヴィクトルがリンクに遊びに来てるなら見たいもん」 「勇利は俺のすべってるところなんて毎日見てるだろう」 「それとこれとはちがうんだよ。慣れてても話がちがうっていうのはそういうこと」  わかってないな、と勇利は笑った。勇利はやはり、ヴィクトルのことになるとよく笑う。好かれている──とは思う。だが、いまだに勇利は、彼のほうから積極的に近づいてきて何かをしようと言うことはない。なんでもヴィクトルが誘うのだ。言えば素直に応じはするが、勇利から親しみを示して欲しいなとヴィクトルはぼんやり考えている。 「ゆうりー」  炎天下では外での体力作りもできないので、昼間は勇利はのんびりくつろぐか昼寝をするかという時間にあてている。勇利の部屋をのぞいてみたが、彼はいなかった。 「勇利?」  ヴィクトルは一階へ下り、縁側へ行ってみた。勇利が畳の上に寝転がり、扇風機をまわして眠っていた。寝てるのか。起こしては悪いと思い、ヴィクトルは黙って腰を下ろした。ちゃぶ台の上に、すこしだけ麦茶の残ったグラスと、空になったアイスクリームの容器がある。いや、アイスクリームではない。たぶんシャーベット──かき氷だ。  ヴィクトルはぼんやりと頬杖をつき、勇利の寝姿を眺めた。暑いとはいえ、何か身体にかけたほうがよいのではないだろうか。しかし、そうしたらかえって汗をかいてよくないだろうか。  ヴィクトルは勇利のそばへ寄っていった。前髪が流れてあどけない額がのぞいている。試合のときの勇利はおでこが見えているが、あの凛々しさはいまはかけらもない。子どもみたいにすやすや眠っている。口元がもごもご動くのは、夢の中で何か食べているのだろうか。  いまだにヴィクトルは、勇利に自分からふれていなかった。踏みこまない、ときめたままにふるまっている。気持ちはずいぶん通じあってきたと思う。勇利がゆるせる境界線というものもわきまえられた。もっとも、それは日によって変化するので、絶対とは言えないけれど。  いまヴィクトルが親しげにさわったら、勇利はどんな顔をするだろう。まだそこまではされたくないだろうか。接触されるのはいやだろうか。ヴィクトルとしては、親愛の情を勇利に示すなら、彼をかるく抱擁したり、手を握ったりは当たり前になりたいのだが、勇利はどうだろう。 「…………」  ヴィクトルはそっと手を上げた。勇利の頬にふれようと伸べる。さわりたい……。氷の上では凛としているのに、そこから降りると、どうしてこうおさなげな様子になるのだろうか。頬も、ふっくらしているというほどではないのに、確かにヴィクトルとは何かがちがう。研ぎ澄まされている、とはとても言えない。大人の男のようではない。だから余計にふれてみたくなる。  ヴィクトルは勇利のほっぺたを撫でようとした。髪にふれ、耳たぶをつまみたかった。こめかみに浮いている汗を指先ですくいたかった。やわらかそうなくちびるを押してみたかった。  だが、手を止めた。  勇利が寝返りを打ち、「ん……?」とつぶやいて目をさました。 「ヴィクトル……?」 「やあ、おはよう」  ヴィクトルは手を握りこみ、身体の後ろへ引いてほほえみかけた。 「何してるの……?」 「勇利の寝顔を見てた」 「変な顔してた……?」 「いや、ぜんぜん」 「わかった。ほっぺたに畳の跡がついてるからおもしろかったんでしょ。もう……」  勇利は目をこすりながら起き上がり、きょろきょろとあたりを見まわした。 「なに?」 「眼鏡……」 「きみの後ろにある」 「ん」  勇利は両手で眼鏡をかけた。ヴィクトルはなんとなくちゃぶ台の上を見、「ひとりでかき氷食べたの?」と尋ねた。 「ヴィクトルも欲しかった?」  勇利が笑った。 「でもそれ、ぼくのだよ」 「かき氷へのこだわりがすごい」 「そうじゃなくて。だってそれ、ヴィクトルがぼくに選んでくれたやつだもん」 「え?」 「先月……? かな? 一緒に夜コンビニ行ったでしょ。そのとき、ヴィクトルにぼくのかき氷も取ってって頼んだんだよ」 「……ああ、あれか」  ヴィクトルは驚いた。 「そう。だからあれはぼくの。ヴィクトルがぼくに取ってくれたソーダ」 「まだ食べてなかったのか」 「うん」  勇利はそばに落ちていたタオルで汗をぬぐった。 「なんかもったいなくて」 「もったいない?」 「だって、ヴィクトルがぼくのために選んでくれたから」  勇利は白い歯を見せた。 「食べちゃうのが惜しくなったんだよね」 「…………」 「だから名前書いて、奥のほうに隠してたんだけど、真利姉ちゃんに発見されて、霜だらけになってるし、食べないなら食べるって言われて、仕方なく」  ヴィクトルは言葉もなかった。勇利は、ヴィクトルが取って渡した、という、たったそれだけのものを、こんなにも大切にしていたのだ。 「……美味しかった?」  ヴィクトルは尋ねた。 「うん。つめたくて」  勇利はあくびをひとつした。 「はあ、よく寝たなあ……。汗だくだ。温泉入ろうかな……」  勇利はタオルとグラス、それにかき氷の容器を取り上げ、部屋から出ていった。ヴィクトルはひとり取り残された。  おそらく勇利は、ヴィクトルからふれても、きっと怒ったりいやがったりはしないだろう。もう、それくらいには信頼してくれているし、好意も寄せてくれている。しかしヴィクトルは、やはり、彼のほうから近づいてきてくれるのを待つことにした。こころはこんなにひらいてくれるのだ。いつか──いつか、身体のほうでも、彼から自然に接されたい。当たり前みたいにくっつかれたり、すり寄られたり、もたれかかられたりしたい。  中四国九州大会が近づいていた。この予選に出なければならないのは、勇利が昨季の全日本選手権で失敗したからだが、ヴィクトルは、ある意味ではこれはよかったと思っていた。いきなりグランプリシリーズに出るよりは、もうすこし前に目標があったほうがよい。  勇利も試合が近いからか、近頃はいつも以上に練習に熱が入っている。あまりに熱中しすぎて、ヴィクトルが注意しなければならないほどだ。もともと稽古の好きな勇利だが、このところは、もっと、もっと、ととにかくリンクにいることを求めるのである。あからさまに禁止すれば精神的に悪い影響が出そうだし、だからといって好きなだけやらせるわけにもいかないし、操縦が難しいところだった。  もっとも、本気になってこころも身体も試合用になってゆくのはよいことだ。ヴィクトルはそういう意味では安心していた。  ある日、ヴィクトルは夜半にふっと目がさめた。どうして起きてしまったのかわからない。喉が渇いたわけでも、手洗いへ行きたいわけでもなかった。ヴィクトルは考えこんだ。  起き上がって館内着を身につけ、廊下へ出る。家の中はしんと静まり返っている。ヴィクトルはゆっくりと歩いた。階段を下りてとっつきの部屋が居間だ。そこからちいさな音が漏れていた。ヴィクトルは思いきって襖を開けた。  勇利がいて、彼は真剣にテレビをみつめていた。映っているのは勇利自身である。試合の映像だ。見覚えのある衣装を着ている。昨季のフリースケーティングだった。  勇利はヴィクトルが入ってきたことに気づいたはずだが、顔を上げもしなかったし、何も言わなかった。ヴィクトルは襖を閉めて勇利の隣に腰を下ろした。ヴィクトルも画面を見た。国際大会ではない。どうやら、全日本選手権のようだ。  全日本選手権……。  この試合で、勇利はすべてにおいて失敗をした。ヴィクトルもこの映像は何度か見た。技術は悪くないのに、何かにとらわれたような、なんとももどかしいすべりだった。おまえはもっとできるだろう、と言いたくなる。ここをこうして、こっちをああして、こういうところに気をつけて、と片っ端から注意したい。実際、勇利にそれを伝えたこともあった。しかし何よりいちばんしてやりたいのは、ぎゅっと抱きしめて、「大丈夫だ。きみはちゃんとできる」と声をかけることだった。  ヴィクトルは横目で勇利の様子をうかがった。勇利は真剣な表情をしているが、とくに悲観的には見えない。だが、極上の心理状態とは言えない気がした。きっと彼は、試合が近づくことでやる気にみち、それと同時に不安が生じ、昨季の最後の試合がどんなふうだったか確かめたくなったのだろう。どうも自分をいじめすぎるな、とヴィクトルは思った。どうせなら、絶好調だった時期の試合を見ればよいものを。たとえば、グランプリファイナル出場をきめたときの演技だとか、パーソナルベストを更新したときの競技だとか。なのに勇利は、苦しい、つらいときのものを選ぶのである。まあ、グランプリファイナルを見てないだけましなのかな……。ヴィクトルはそう考えた。 「どうしてこれを見てるんだい?」  ヴィクトルは静かに尋ねた。 「とくに意味はないよ」  勇利は淡々と答えた。 「ただ、急に見たくなって」 「こんな夜中に?」 「うん」 「眠った?」 「寝たよ」  うそだろうな、となんとはなしヴィクトルは見当をつけた。 「どうして悪い試合を見るんだ」 「だから、見たくなったからだよ」 「グランプリファイナルじゃないだけいいけどね」  あのときはすべてを失敗したわけではなかったけれど、国際大会で惨敗した、初めてのグランプリファイナルで、という思いは、相当に彼を苦しめただろう。 「それはさっき見た」 「見たのか!」  ヴィクトルはあきれかえった。勇利が前を向いたまま口元にひとさし指を当てる。 「しっ、静かに。みんな寝てるんだよ」 「勇利、きみね……」  こんなもの見るな。憂鬱になるばかりだぞ。ヴィクトルはそう言って消してやろうかと思ったが、でもこれがいま勇利のいちばんやりたいことなのだろう、と結局は理解を示した。勇利はよくわからない精神構造を持っている。だめだ、と頭ごなしにきめつけていたのでは、彼とともには歩けない。ヴィクトルは、勇利について、よくわからないなあ、と首をかしげるたび、こういう選手なのだ、受け容れよう、と思ってきた。だから今夜もそうするしかない。 「……いまならこんな失敗しないって思うのに」  勇利は、テレビから発されるひかりだけをおもてに受けてつぶやいた。 「でも、本番になったとき、本当に失敗しないかどうかはわからないんだ……」  ぽつんと落ちた言葉に、ヴィクトルはどう答えればよいのかと迷った。 「失敗しないさ」  結局、ありきたりだけれど、いちばん大切なことを口にした。 「しないよ」 「どうしてそう思うの?」 「どうして? 当たり前だろ? 俺は毎日勇利と一緒に練習してる。勇利がどれだけできるか、勇利と同じくらい──いや、勇利よりよくわきまえている。自分の知識に照らしあわせれば、勇利はちゃんとできるという答えが出るよ」 「それ、ぼくの精神的な部分も考えあわせた結果?」 「そうだよ」 「…………」  勇利はしばらく黙りこんでいたが、そのうち、口元にかすかな笑みを浮かべた。 「……ありがとう」  彼は物穏やかに礼を述べた。 「たぶん、実際本番になったらかなり緊張すると思うんだけど、そう言ってもらえるとうれしいよ」 「緊張してもできるさ」 「……うん」  勇利はこくんとちいさくうなずいた。彼はずっと自分の演技を見ていた。何度も転び、悔しそうに立ち上がる数ヶ月前の自分を見ていた。  ヴィクトルはふいに、勇利を抱き寄せたい気がした。こんなことをして自分を追いこむな。俺ができると言っているんだから俺を信じろ。そうささやいて髪を撫でてやりたかった。しかし、それを勇利が望んでいるか、よくわからなかった。彼は傷つきやすく繊細だが、たとえかなしんでいたとしても、どうかほうっておいてくれ、と言っているようなところがある。なぐさめなんかいらない、ぼくはひとりでいたいんだ、という気配を感じるのである。ヴィクトルが抱き寄せ、優しくすることで、かえって彼の精神をみだしてしまうかもしれなかった。  ヴィクトルは悩んだ末、そっと手を上げ、勇利の肩を引き寄せようとした。勇利はまだ熱心に画面を見ている。勇利。ひとりで見るな。次からは俺を呼ぶんだ。きみの何もかもに俺は付き合うよ。だからひとりぼっちでがんばるな。俺はおまえのコーチだろ。抱きしめてそう言いたかった。  しかし、耐えた。勇利の肩にふれる直前、ヴィクトルは手をひっこめた。さわりたいな、と思った。勇利のぬくもりを感じて、ヴィクトルのことも親しく理解してもらって、もっと近々と彼に話しかけたかった。だが、できなかった。自分がそうしたいと思っているだけで、勇利はちがうかもしれないのだ。利己的な考えで勇利をなぐさめたつもりになるのは愚かというものだ。  勇利のほうから甘えて、寄りかかってきてくれたらいいのに……。ヴィクトルは手を握りしめて膝に置いた。  やがて勇利は満足したのか、ふうと息をつき、映像を止めてヴィクトルを振り返った。 「もう寝るよ」 「……ああ」  ふたりは連れ立って二階へ上がり、ヴィクトルの部屋の前で向かいあった。 「一緒に見てくれてありがとう」 「いや……」 「ヴィクトルってすごいね」  勇利はほほえんだ。窓ガラスを通してあわい色の月光を浴びる彼は不思議に神秘的で、笑い方もひどく優しかった。 「どうして一緒に見てもらいたいと思ってたこと、わかったの?」 「え?」 「おやすみなさい」  勇利はヴィクトルに背を向けた。ヴィクトルは閉まった扉をじっと見ていた。勇利は、甘えたいのか甘えたくないのか、よくわからない子だ。  すこし汗をかいたので、ヴィクトルはその夜二度目の温泉に入っていた。ひとりで露天風呂につかりながら、彼はついさっきのことを思い出していた。  そのとき、ヴィクトルは店の食事処で夕食をしたためていた。そこに勇利が通りかかったため、常連客たちが彼を呼び止め、一緒に食事するよう勧めた。勇利は遠慮していたが、結局押し切られて、台所から自分の夕飯を持ってきた。そのとき彼は、空いている席がほかにあるのに、わざわざヴィクトルの隣まで来て、窮屈なところへ座った。ヴィクトルはすこし驚いた。思わず勇利をみつめてしまった。しかし勇利は気にしていないようで、常連客たちの話に控えめに応じていた。ヴィクトルがいつまでも見ているので、彼は不思議そうに顔を上げた。 「なに?」 「いや……」  食事が終わっても、勇利はなかなか席を立たなかった。それは客たちにいろいろと話しかけられているからなのだが、ヴィクトルはなんとなく妙な気持ちになった。これまでちっともなつかなかった猫が、そっとそばに寄ってきたような気分だった。撫でたら警戒してどこかへ行ってしまうだろうか? それとも、撫でてよいからこんなに近くへ来たのだろうか? ヴィクトルはひどく悩んだ。結局ヴィクトルは何もしなかった。あれは何だったのだろう。 「まあ、意味なんてないんだろうけど」  ヴィクトルは風呂から上がり、二階へ行った。自室にあかりがついている。妙だ。消さなかっただろうか、と思いながら中へ入った彼は、その場に立ちすくんだ。  ヴィクトルのベッドで、勇利が寝ていた。  そばにはノート型のパーソナルコンピュータがある。動画がひらいたままになっていた。きっと、何か意見を聞きたいと思ってやってきたのだろう。待っているあいだに眠りこんでしまったのだ。彼の姿勢は、ベッドに座ったまま、眠気に耐えきれずころんと寝てしまった、という感じだった。ヴィクトルは驚きからさめるとほほえんだ。 「気持ちよさそうに寝るね」  起こさないよう、そっとベッドに腰を下ろした。勇利のあどけない顔。呼吸で身体がすこしずつ上下している。深く眠っているようだ。赤ちゃんみたいだな、とヴィクトルは可笑しかった。  いつの間に、こんなに安心した顔を見せるようになったのだろう。以前はもっと緊張していた。自分がみっともないことをするのではないかと、ひどく用心していたのである。なのにいまは、ヴィクトルの部屋で、ヴィクトルのベッドで、こんなふうに無防備に眠りこんでしまっている。ヴィクトルと一緒にいれば安心、とでもいうように……。 「かわいい」  ヴィクトルは声に出してつぶやき、ほほえんだ。 「そんなにかわいいことをされると、撫でたくなるぞ」  勇利……、もう俺のこと、こころの底から信頼してるだろう? ヴィクトルはうれしくなった。ああ、こんなに無垢なところをさらけ出す彼の髪をかき上げ、そのまま梳き、よしよしとかわいがることができたらどんなにいいだろう。俺はおまえをかわいく思っているよとそぶりで伝えられたらどんなにか楽しいだろう。ヴィクトルのことが好きで、そっけなくて、用心深くて、警戒心が強く、困難な性質をした、かわいい勇利。  あとひと息なのだ。きっとあとすこしで勇利のほうから歩み寄ってくれる。我慢に我慢を重ね、無理に近づかず、さわることも耐えたヴィクトルに勇利のほうから寄り添ってくれる。利己的にならず、勇利が勇利の好きなときに近づいてくれるよう忍耐しきったヴィクトルを信じ、こころを完全にひらいてくれるのだ。  あとひと息……。 「勇利……」  ヴィクトルは勇利の寝顔をみつめた。しかし、そんな日が本当に来るのだろうか、という気持ちもあった。勇利が他人に自分から寄っていくなんて、そんなことがあるだろうか。この、踏みこまれることが嫌いな、人との接し方がへたな勇利が。勝生勇利が誰かに自分からぴったりとくっつき、ぬくもりをわかちあうなんて、どうもありそうにない話ではないか。  今日はじゅうぶんにがんばったので、すこし早めに練習を終え、ヴィクトルは私室でくつろいでいた。夕食後、勇利は部屋に閉じこもり、何かひとりで楽しんでいた。おそらくヴィクトルの動画でも見ているのだろう。勇利はいつもそうだ。  夜も十時を過ぎたころ、勇利の部屋の扉がひらいた。お風呂かな、だったら俺も入ろうかな、と思っていたら、勇利が障子の向こうから声をかけてきた。 「ヴィクトル、ぼくコンビニ行くんだけど、ヴィクトルも行く?」  ヴィクトルはぱっと立ち上がった。 「行く行くー!」  誘ってくれた。勇利が。初めて。ヴィクトルは浮かれながら勇利と家を出た。  雨上がりのしっとりとした大気の中、ふたりは連れ立って夜道を歩いた。 「雲が晴れてきたね」  勇利はおぼろな月を見上げて言った。 「明日はまた暑いかな」 「そうだね。日本の夏、びっくりだよ」 「ぼくも久しぶり。デトロイトも暑かったけどね。日本は独特だよね。湿度が高いから」 「勇利、初めて俺を誘ってくれたね」 「え?」 「コンビニ行こうって」 「そうだっけ?」  勇利は不思議そうな顔をした。 「そうかな……、そうかも。前にヴィクトルが言ってたから」 「え?」 「またおつかい頼まれたら誘って、って」 「…………」 「今日はおつかいじゃなくて、ただぼくが行きたいだけなんだけど、ヴィクトルも行くかなーと思って」  ヴィクトルはがっかりした。勇利が自分で誘いたくて誘ってくれたわけではないのだ。近づいてくれたのかと思ったのだが、ただヴィクトルの要望に応えただけのことらしい。つまらない。 「ヴィクトル、どうしたの?」 「なんでもない。勇利は何を買いたいんだい」 「かき氷」 「また?」 「うん、また」  勇利はくすっと笑った。 「ヴィクトルが選んでくれる?」 「…………」 「今度はすぐ食べるよ。同じことしてたら真利姉ちゃんに怒られるからね……」  好かれていると思うんだ。好かれていると思うんだ……。ヴィクトルは呪文のようにそう考えた。しかし、最後のところで近づいてきてくれない。そもそも、勇利にそれを求めることがまちがっているのだろうか。彼はそういう発想などない、誰にもふれない性質なのだろうか。きっとそうだ。考えにないことなら、いくら待っていたって起こるはずがない。勇利から接触してくれるなんて。 「今日は赤いのにしたら?」 「ヴィクトルがそう言うなら」  ヴィクトルは、勇利って罪な子だなあと思った。貴方がそう言うなら、なんて口説き文句ではないか。なのにちっとも接近してこない。かけひきでもしているかのようだ。俺をためしてるのか、という気がしないでもない。魔性のカツ丼ってこういう意味なのか?  店に入ると、勇利はすぐに大きな冷凍庫の前に行った。 「ヴィクトルもアイス食べるでしょ? どれ?」 「うーん……」 「あ、新しい味出てる」 「じゃあそれ」  ふたりは支払いを済ませて店を出た。勇利はのんびり歩きながら言った。 「帰ったら一緒に食べる?」 「そうだね……」  ヴィクトルは上の空だ。勇利は気づかないようである。 「ヴィクトル、ほんとにアイス、あれでよかったの?」 「いいよ」 「ヴィクトルって日本のお菓子好きだよね」 「ああ」 「ぼく赤いかき氷食べたら、べろが赤くなっちゃうかもなあ……」 「勇利」 「なに?」 「勇利って……」  自分から人にさわったことあるのかい? そう尋ねようとしてヴィクトルは口をつぐんだ。おかしな質問だ。 「どうしたの?」 「いや……」 「あ、ヴィクトル、見て」  ふいに勇利がヴィクトルに身体を寄せてきた。ヴィクトルは驚いた。それと同時に勇利はヴィクトルの腕を取り、そっと静かに手を添えた。 「あそこに川あるでしょ」  勇利が右手を示した。ヴィクトルは返事ができなかった。 「あの川ね、ぼくが学生のころ……」  勇利は何か話している。しかしヴィクトルの耳には入らなかった。勇利がヴィクトルの腕に手をからませた。当たり前みたいに……。 「……でね、ぼくはそのときヴィクトルのことを考えてたんだけど、もう突然大きな水音がしたからなにごとかと思ったんだよね」  勇利が笑った。笑いながら、すり、とヴィクトルにすり寄った。無意識にしか思えない、自然な行動だった。 「ヴィクトルと歩いてて、いま急に思い出した。おもしろいでしょ?」 「…………」  話が終わっても、勇利はヴィクトルから離れなかった。相変わらずヴィクトルの腕に手をかけ、くっついている。自転車のベルが鳴ったので、彼はヴィクトルのほうへ身体を寄せた。自転車が通り過ぎてもそのままだった。 「どうしたの?」  勇利が不思議そうにヴィクトルを見上げた。眼鏡のレンズの向こうで大きな目が瞬き、あたたかそうな色の瞳がきらきらと輝いている。勇利にふれられているところが熱かった。 「……いや、ぼうっとしてた」 「ヴィクトルでもぼうっとするんだ」  勇利は笑うとヴィクトルの肩に頬を寄せ、かるく身をぶつけた。 「……うん、するよ」 「へー」  勇利がかるくうなずいた。 「ぼくはわりとひんぱんにするけどね」 「そう……」  ふたりは家まで腕を組んで歩いた。その夜、ヴィクトルはどうしてだかなかなか寝つけなかった。  翌日、日が落ちてから、勇利がはしゃいだ様子でヴィクトルのもとへやってきた。 「ヴィクトル! 近所の人が花火くれたよ。一緒にする?」 「するするー!」  ヴィクトルは思わず勇利に思いきり抱きついた。勇利は「わっ」と声を上げたけれど、笑って、「暑いよー」と優しくとがめただけだった。浜辺で花火をした。ちいさなふくろにすこし入っていただけだったので、すぐに終わってしまったけれど、たいへん楽しかった。 「最後は線香花火だね」  ぱち��ちとはじけるほのかなかよわい火花を、ふたりで静かにみつめた。ヴィクトルは勇利にくっついた。 「なんでそうくっついてくるの。暑いってば」  勇利が笑った。 「そうかな」 「そうだよ」 「勇利の髪、黒くて綺麗だね」  ヴィクトルは勇利の髪に目を閉じてキスした。勇利はまた笑って、「花火見てよー」と言った。 「勇利って綺麗だよ」  ソファの肘置きにクッションを置き、それをまくらにして、ヴィクトルはくつろいでいた。しばらく何か家のことをして立ち働いていた勇利が居間へやってきた。勇利、座るかな、場所を空けたほうがいいかな、と思ったところで、勇利は身をかがめ、ヴィクトルの腹の上にのってきて、胸元におとがいをのせた。 「なに見てるの」 「企画資料。俺を呼んでこういうことをしたいっていう説明だよ」 「催し物?」 「そうだね」 「おもしろい?」 「まあまあ」 「そう……」  勇利はしばらく静かにしていたが、そのうちヴィクトルが持っている資料に手を伸ばし、それを揺らしたりつついたりするようになった。ヴィクトルはほほえんだ。 「いたずらしない」 「うん」  ヴィクトルは勇利の背中に資料を立てるようにし、それを手で支えて続きを見た。勇利はじっとヴィクトルをみつめていたが、身体を伸ばし、ヴィクトルのおとがいにそっと接吻した。 「勇利」 「ん?」 「いたずらは……」 「これいたずらなの?」 「…………」  ヴィクトルはそれでもしばらくは我慢して、文字を目で追っていた。勇利はそのあいだもヴィクトルの首やおとがいにくちびるをふれさせ、ヴィクトルの匂いを吸いこみ、「ああ、あったかい」とご満悦だった。ヴィクトルはちっとも文章が頭に入ってこないことに気がついた。 「勇利」 「満足」  勇利がもぞもぞと動いてヴィクトルの上から退こうとした。ヴィクトルは資料を投げやり、彼を抱きしめて頬ずりした。 「ちょっと、ヴィクトル、離してよ」 「そっちから来ておいてなんだ」 「もういいの」 「俺はよくない」 「勝手なんだから」 「どっちが?」  ヴィクトルは身体を入れ替え、勇利をソファにあおのかせると、のしかかっていって熱心に接吻した。勇利が、ん、ん、とかわいい声を上げる。  まったくもう。最初はぜんぜん俺に近づいてこなかったくせに。初めて俺の腕を取ったときの胸のときめき、忘れてないぞ。いまもこうされると同じだけ喜んでるんだからね、俺は。わかってるのかな?  勇利はあの夏の夜から、ヴィクトルに自分からさわってくるようになった。しかしたびたびというわけではない。思い出したように、ふいに、すっとふれてくるのである。本当にさりげなく。当たり前のように。一緒に歩いていて急にすり寄ってきた勇利が、ヴィクトルの手の中に彼の手をすべりこませると、ヴィクトルは気持ちが転倒し、ひどく感覚が甘くなって、もう勇利にさわったり抱きついたり髪を撫でたりと、いろいろなことをしてしまうのだ。それで勇利は「ヴィクトルは接触過多」と言うのだから……。 「ヴィクトルがこんなに仲よくしてくれるようになるなんて、思ってなかったなあ……」  勇利がぼんやりつぶやいたのでヴィクトルは驚いた。 「俺は最初から勇利に友好的だっただろ?」  こちらのせりふなのだが、と思いながら抗議すると、勇利はかすかにほほえんだ。 「だってヴィクトル、家に人が入るのはいやって言ってたでしょ」 「え?」  なんのことかよくわからなかった。そんな話をしただろうか? 「ほら、家のことを手伝ってくれる人はいないのかって訊いたとき……」 「……ああ」 「だからぼくをここに住まわせてくれるってヴィクトルが言ったの、すごくびっくりしたし、うれしかった」  勇利は部屋を見まわした。ふたりがいるのは、もう、長谷津ではなかった。 「そもそも、サンクトペテルブルクの街をヴィクトルとふたりで歩けるなんて、そんなのも夢物語だと思ってたし」  勇利はうっとりと言ってまぶたを閉じた。 「ヴィクトル、いつかおいでって言ってくれたけど……、本当になるなんて思ってなかった」 「…………」 「ぼく……」  勇利はささやいた。 「いま、とてもしあわせだよ……」  ヴィクトルは無言で勇利を抱きしめた。勇利が「苦しいよー」と笑う。彼はいまでも、ヴィクトルのことだと特別によく笑う。 「ヴィクトルって親しみやすいし優しいけど、ぼくにはとても近づけない、特別なひとだと思ってたなあ……」 「そうか……」  勇利がぱちりと目をひらいた。彼は可笑しそうに言った。 「でも、長谷津のときも時間が経てばそうだったけど、こうしてふたりで過ごすと、もっといろいろなことがわかって、ヴィクトルってぼくにとてもちかしいひとなんじゃないかって思ったよ」 「本当かい?」 「うん」 「たとえば俺のどんなことがわかった?」 「うーん、わりと適当に返事して、あとで『聞いてない』って言うところとか」  ヴィクトルはくすっと笑った。 「やすみのときは寝坊が大好きで、髪もとかさずにぼーっとしてるのが楽しいとか」 「あはは」 「ごはんは自分でつくったことないって言いながら、ぼくがこれやってって言ったらまじめに取り組むこととか」 「勇利を怒らせたら大変だからね」 「ぼくがやっといてって言ったことはやらないくせに、ほかのめんどうなことをさっさとやっちゃってることとか」 「そんなことしてる?」 「そんな、いろいろだよ……」  勇利はヴィクトルの肩に頬をこすりつけ、「そういうの、知らなかったんだから」と目をほそめた。  勇利、俺も知らなかったよ。きみがこんなにあまえっこなところがあるなんてね……。 「それから、意外とあまえんぼう!」  勇利ははしゃいだ声を上げた。 「それはきみだろ?」 「なに言ってんの?」 「きみだ」 「ぼくは普通です」  勇利は拗ねたように言って、キスをねだるみたいにすり寄った。ヴィクトルは、それだよそれ、と思いながらかるくくちづけした。さっきまで「満足した」とか言っていたのにこれだ。かわいい。どうせすぐにまた「くっつきすぎ」などと抗議するのだろう。何が理由で気持ちが切り替わるのかよくわからない。 「ああ、あと」  勇利は首をもたげてうれしそうに笑った。 「貴方は、起きたらやたらとくっついてきて、べたべたするのが好き。ヴィクトルは起きた瞬間からかっこいいんだろうと思ってたぼくは何なんだろうね? こんなのだからあのとき答えを教えてくれなかったの? ヴィクトルは、ぼくのことで何か新しくわかったことある?」 「それはたくさんあるけど、それでもやっぱりおまえは永遠の謎だよ。たとえば、あまえんぼうスイッチはどこにある?」 「そんなものはありません」
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