Tumgik
#変幻の半狐
modernheavy · 9 months
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今日読んだ漫画 2023年7月24日(月)
花とゆめ2023年16号
🎤『花時をかける』青海瑠依
👑『ザーフィラ陛下と黒と白』もといも
🦁『贄姫と獣の王 SPショート』友藤結
🛐『神さま学校の落ちこぼれ』日向夏+赤瓦もどむ
🐱『ぬこづけ!』柚木色
パルシィ(漫画アプリ)
🦊『変幻の半狐』いくたはな
デザート2023年9月号
👼『恋せよまやかし天使ども』卯月ココ
LaLa 2023年9月号
🐉『龍皇の影姫』大宙晃
⚔️『あかのたち』海道ちとせ
😼『夏目友人帳』緑川ゆき
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🦇『君の幸せに僕は殺される』碧井ハル
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littleeyesofpallas · 4 months
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Hengen no Hanko[変幻の半狐]
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iconomiccc · 1 year
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tagged by @katebvsh to list seven of my favorite films.I would like to thank my friends who always take an interest in me and care about me. I would be happy if it was an opportunity to meet good works. それぞれのタイトル下に解説文をつけました。ネタバレしているので嫌な方は読まないでください。I've added a commentary below each title. Please do not read if you do not want to spoil the content of the story. カラスの飼育~Cría Cuervos~ (1976) 高校生の頃にカヒミ(kahimi karie)のアルバムでカバーされていた「Porque te vas」という曲で知って見た映画。カヒミさんは主役のアナ・トレントが自分の幼少期のようでシンパシーを感じると言っていました。私も同じように感じたのかは初見時はよくわからなかったけど、とにかく湿度の高すぎる古めかしい屋敷の中の空気のように重く苦しいストーリーなのに、24時間ずーっと流していても気分が良い不思議な映画だと感じました。やはり自分の感性に似たものを感じて懐かしかったんでしょうね。 汚いことがたくさんある大人の世界に対する子供の鋭い視線、汚い世界で生きていて死んでしまった大好きな母親に対する愛、でも大きくなれば自分もその汚い世界に入っていくのだ、望む望まずに関わらず。それに対するどこまでもピュアな嫌悪感・拒否感が彼女を殺人に駆り立てたのではないだろうかと思っています。 アナの子供特有のスラリとしたお人形のようなスタイル、髪型、顔立ち、衣装、とても愛らしくて全て完璧。スペインの田舎の草原はどこまでも終わりがなく続いているようで、物語と同じく、救いなく連綿と続いていく人生のような寂しい風景だと感じました。 夢 (1990) 黒澤明とスティーブン・スピルバーグの合作。 高校時代の同級生に親が映画マニアで家に死ぬほどテープやDVDがある女の子がいて。その子と私がたまたま天気雨(狐の嫁入り)という気象現象に遭遇した時、私が「天気雨大好き!!」と言うと、「黒澤明の夢って見たことある?狐の嫁入り行列の映像があるんだけど、霧深い杉林の中で子供時代の黒澤明が狐に見つからないように隠れて嫁入り行列を見るの。その時の狐たちがリズムに乗って歩いていて、三歩に一度突然ぐわっと後ろを振り向くのが怖くてねー」って。 それがずっと記憶に残っていて、見てみたら最高でした。まさに私が思い描く通りの狐の嫁入り行列の映像化。見つかったら殺される、と言う緊迫感を忘れさせるほど幻想的なシーンで、何回も繰り返しみてしまう。 同時収録されているお雛さま人形たちが段々畑で実際の人間の大きさになって花吹雪の中舞い踊る話も大好き。黒澤監督が幼い頃にみた夢の映像化作品なので、ストーリーにあまり意味はないけれど、とにかく映像が美しいです。 The Addams Family (1991) 24時間ずーっと流してても苦にならない不思議な映画二作目。これもカヒミさん繋がりで知り好きになったもの。 中学、高校時代の私はカヒミカリィという人の感受性に痺れるようなシンパシーを感じていて、彼女が理想の姿でもあったけれど同時に全く自分と同じ悲しみを含んだ魂の形をしているなとひしひしと感じていました。懐かしい、いつも私が感じているもの、好きな感じ、落ち着く感じ。 カヒミさんはアダムスファミリーのようなお城で暮らしたい、世間と常識が真逆であっても家族の中では愛や信頼が成り立ち、幸せに暮らしていると言う姿が理想的とおっしゃっていました。アルバム「クロコダイルの涙」収録の「superfreak」はまさにその世界を彷彿とさせます。 私も赤い絨毯に蜘蛛の巣のはった不気味な古城に暮らしていた前世があると思う。世の人の不気味に思うものが私の美を感じるもの。 お気に入りキャラはイケてるいとこのモップさんとペットの賢いハンドくんです。可愛すぎ。 Nell(1994) ジョディ・フォスター主演。ノースカロライナ州の深い山奥、美しい、湖のほとりにある木でできた家。そこに住む言葉が不自由な現代版狼少女のネルと医師のジェリー、心理学者ポーラ三人の心の交流・家族愛が不器用に育つ過程を描いた物語。体は大人だけど心は幼児でもない、小さな子猫でもない、不思議な存在であるネルと関わることで、常識の中で生きてきた普通の大人の男女二人が、一人の生き物としてそれぞれネルを守ろうと変わり始める姿に胸を打たれる。 私はなぜか小さい時から泉や水辺で水浴するという行為やシーンがとても好きなのですが、ネルが夏の夕方、森の中の湖で泳ぐシーンがすごく好きです。なんだろう、体が溶けて揺れて大気と水と一体になるような陶酔感。 真っ当に育った人間ではない存在であるネルが社会に復帰するために街に出るシーンは人々の好奇な目線やからかいに胸が苦しくなるのだけど、それをも乗り越えて人生は変化をし続けながら続いていく。目と心を世俗の汚れから洗ってくれるような作品。 Digging to China (1998) 実家にいた時衛星放送で偶然録画してすごく気に入った作品。まず登場人物全員の衣装やメイクや背景が半端なく可愛くて感心する。(一番の推しは主人公のお姉さんが妹捜索時に着ていた透明に白のドットの雨ガッパ) 思春期前の少女と知的障害ゆえに少年のような心を持った大人の男性の不思議な友情を描いた素敵な作品。 リボンのついたキャンディーのように可愛くて、でも油断してたら包み紙で手を切ってしまって血が滲むような、なんとも言えない純粋さと可愛らしさが混ざった妙味ある童話みたいな映画。大好き。 かぐや姫の物語 (2013) あまりにも打ちのめされるので気軽に繰り返し見たいという作品ではないけれど、強大な力を持っているので選ばざるを得ない。 鬱病から社会復帰するときにリワーク施設に通っていて、そこでのプログラムで映画鑑賞というものがあり、月に二、三回スタッフさんの持ってきたDVDを見ていて出会いました。 もう、上映後は泣きに泣いて震えて頭が働かないくらい衝撃的でした。 このDVDを持ってきた支援員さんに、私が泣きながら「○○さん、これ。私、わかった」というと、彼女も目を潤ませながら笑顔でうなづいてくれたことを覚えてる。 これは竹取物語という昔話の単なるリバイバルではなく、「この地球で生きるとはどういうことなのか」「人間は死んだらどうなるのか」を描いた物凄く重い作品です。 これは、「この世に生まれてきて、自分を愛してくれた両親が望む娘の幸せと自らが望む幸せが合致せず、親のためにとひたすら自分を殺し続けた結果、苦しさに耐えきれなくなり自殺に至る娘の生涯」を描いた作品なのです。 姫が帝に抱きしめられて瞬間移動ができているのは、もう半分死の世界に行っているからです。生身の人間にあんなことはできません。最後に月の使者が迎えに来るのは文字通り死の世界からのお迎えです。兵士たちの放つ矢は全て花になってしまう。死の前にはどんな権力も力も通用しません。 羽衣を着てしまえば地球でのこと(生きていた時のこと)を全て忘れる、躊躇した姫に親の愛で動けるようになったおじいさんとおばあさんが駆け寄ったとき、「ととさま、かかさま!!」と泣きながら振り返り、二人に抱きつきながら「離れたくない!!」と叫ぶ姫のセリフは、「死にたくない!!」という生への執着、生への恋慕の叫びなのです。 死んだら無の世界に行きます。生きていた頃の記憶は全て忘れて、喜びも痛みも悲しみも何もない光に満ちた世界に行くのです。 姫が地球を飛び立ち、宇宙を月に向かって進んでいるとき、ふっ、と振り返って青い地球をかえり見たとき。一粒涙を流したのは、喜びも悲しみも苦しみも全てが咲いては枯れ、沸き起こり、繰り返されている、生の世界の営みを愛おしく思う心の表れでしょう。 今生きていることが途方もなく尊いことだってことは普段、忘れてしまいがちなのですが、見た後にそれを思い出して自分を抱きしめたくなるような凄い映画です。 中国の植物学者の娘たち(2006) フランスとカナダ合作映画。監督は中国の方ですが同性愛を描いた作品のため中国では撮影許可が降りず、ベトナムで撮影されたもの。 映像も俳優さんたちも風景も全てが物凄く美しいけれど、物凄く悲しいストーリー。二人の愛が本物であったが故に、その愛の花が咲く大地が中国であったというだけで最後、二人は死刑にされてしまいます。 私は植物が好きなので画面に溢れんばかりに写り続ける緑と水と土の香りにとても癒されます。二人が出会い、互いに恋心を抱くようになり、少女のような淡い確かめ合いの時期を経てむせかえるような花と緑の中で激しく結ばれる。しかしその愛はこの人生では許されないものだった。関係が露見した二人は不幸になり、周囲から孤立し、ラストは死に別れるというとても辛い結末。 人間の幸福とは、国家とはなんなんだろうか?考えざるを得ません。 私は異性愛者ですが、幼い頃から同性愛者の人たちに不思議なシンパシーを感じていました。なんなら、そこらじゅうに在る異性愛よりも日の目を見ない同性愛の方が純粋であるとも思っていた。 どうして、同じ性別の人を愛しただけで罰せられなければいけないのか理解不能でした。愛の感情は人間に等しく与えられているものなのに。 見た後悲しくて胸が潰れそうになるので、これも気軽に何度も見ようとは思えないけれど、しかし心に残る作品です。
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yotchan-blog · 19 days
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2024/4/8 12:01:13現在のニュース
関経連副会長人事の内幕 過去に重大不祥事の関電、NTT西から(朝日新聞, 2024/4/8 11:55:22) 旧村上ファンド系投資会社が応募へ  半導体素材JSR株のTOB(朝日新聞, 2024/4/8 11:55:22) 高齢女性のスマホから聞こえた機械音声 異変感じた大学生の行動力(朝日新聞, 2024/4/8 11:48:16) 【チャンネル正論】産経新聞出版編集長が語る 『トランスジェンダーになりたい少女たち』 - 月刊正論オンライン([B!]産経新聞, 2024/4/8 11:45:40) 実質賃金マイナス過去最長 23カ月連続、リーマン以来 2月1・3%減([B!]産経新聞, 2024/4/8 11:45:40) もう一つの「年収の壁」壊せ 住民税非課税が映す不公平 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/4/8 11:45:30) 牛丼の松屋が「外交戦略」の舞台に 欧州各国からラ��コール相次ぐ | 毎日新聞([B!]毎日新聞, 2024/4/8 11:43:01) 門に「お前らにDNAないよ」 意味不明な文章も 2神社で落書き | 毎日新聞([B!]毎日新聞, 2024/4/8 11:43:01) 国連事務総長、「独立調査」要請へ ガザで人道支援者殺害相次ぐ | 毎日新聞([B!]毎日新聞, 2024/4/8 11:43:01) 幻想の明かりに白狐 にぎわうお城まつり 大和郡山 /奈良 | 毎日新聞([B!]毎日新聞, 2024/4/8 11:43:01) なぜ市民の犠牲が多いのか イスラエル兵に尋ねて浮かんだ「自画像」(朝日新聞, 2024/4/8 11:40:41) 宝塚星組トップ娘役・舞空瞳さんが退団会見 「胸がいっぱい」(毎日新聞, 2024/4/8 11:40:12) 半導体株、終わらない宴 生成AIにプロもなお強気 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/4/8 11:39:26) 近大教授は理事長・世耕氏出席の入学式をどう見たのか 今年度からメッセージ動画で授業も([B!]産経新聞, 2024/4/8 11:39:20) 女児の成長祈る恒例の「流しびな」 奈良・吉野川([B!]産経新聞, 2024/4/8 11:39:20) 「自民生まれ変わり日本の再生を」茂木氏が地方で説明 裏金事件 | 毎日新聞([B!]毎日新聞, 2024/4/8 11:36:30) 当麻寺練供養 準備に熱([B!]読売新聞, 2024/4/8 11:36:19) 植田日銀総裁、デジタル円発行「従来以上に検討」 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/4/8 11:33:10) 人手足りず…急募 「花摘みボランティア」が大活躍 千葉・市川(毎日新聞, 2024/4/8 11:33:05)
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petapeta · 3 years
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五木寛之の百寺巡礼高野山を読み進むと、梅原猛氏が、人間には、円的人間と、楕円的人間があるとの考え方が紹介されている。  弘法大使空海を、典型的な“楕円的人間”として、説明している。    空海は、一方では、朝廷や権力と結びついて、京都の「東寺」を中心として、政治的に活動し、土木工事もすれば、書は、日本三筆のひとり、外国語にもすぐれ、綜芸種智院という学校を建てたり、多彩な文化活動を手がける。  しかし一方では、純粋な宗教人として、「高野山」に金剛峯寺を開き、孤独を愛し、人間の根底をみつめる求道的な生活を続け、「即身成仏」、62歳の生涯を遂げる。    このように東寺を定点として社会貢献的な活動に励む空海と、高野山を定点として純粋な宗教人の空海像とが、揺れ動き交錯する。魅力溢れる空海の人間像を説明するのに東寺と高野山を2つの定点とした楕円形をかりて、”楕円的人間”と称するのとは、まさに「言い得て妙」と首肯している。 (三)楕円幻想  もう少し考えてみた。  空海の如き、天才偉人のみならず、われわれ、凡人にも小なりとはいえ、複数の中心があり、たえず揺れ動いているのでは・・・と。  五木寛之氏に導かれ、昭和10年~50年頃に活躍した評論家花田清輝(1909-74)の、「楕円幻想」を索引して、勉強させてもらった。  楕円という、円とは異なった不思議な図形について、文学的というより、哲学的とも��える小論文だった。何しろ難解極まりなかったが、何度か読み返すうちに、いくらかは理解できた。以下、「楕円幻想」の一部を要約する。    円は完全な図形であり、それ故に、天体は円を描いて回転する・・・・・・しかし、惑星の軌道は楕円を描く。  このことを予言したティコは、科学的でなく、眼に見えない頭の中の宇宙に、二つの焦点がある。彼の分裂した心の中に、中世と近世とが二つの焦点として役割を果たしている。  (中略)  円が跳梁するときもあれば、円の代りに、楕円が台頭するときもある。・・・・・・  我々の描く円は、ことごとく歪んでおり、そのぶざまな形に嫌気がさし、すでに我々は円をかこうという気持ちさえ失っているのではなかろうか。  例えば、二葉亭四迷の小説『其面影(そのおもかげ)』の主人公は恋に悩み、精神的なプレッシャーに耐え切れず、小説の終章になって、親しい友人に苦々しくつぶやく。  「君は能く僕の事を中途半端だといって攻撃しましたな。成程僕には昔から何だか中心点が二つあって、始終其二点の間を彷徨しているような気がしたです。だから事に当って何時も狐疑逡巡(こぎしゅんじゅん)する、決着した所がない」    「其面影」 小説の梗概  小野哲也という法学士は、衣食のため、小野家の養子となる。養家の妻と姑の物質的な欲望と、精神的な圧迫のため苦しむ。たまたま、他家に嫁した義妹、小夜子が、夫が死亡したため小野家に戻る。小野は小夜子への同情が恋へと変わり・・・。小夜子は宗教的良心に、呵責に堪えず身を隠し、小野は乱酒・・・身を亡ぼす。     (明治39年10月10日~12月31日、朝日新聞連載)    花田清輝氏は、この小説を評して、  「我々の魂の分裂は、もはや我々の父の時代(明治40年頃)からのことである。おそらく主人公は初歩の幾何学すら知らないで、二つの焦点を、二つの中心としてとらえている」と分析している。 (四)仕事と生活を定点として  「其面影」から、さらに100年を経て、複雑な環境に生活する現代人の深層を考えると、さらに、心の中心は、楕円のように2点、いやそれ以上の数多い定点の上に生活しているのかもしれない。    最近、政府が推進している「仕事と生活の調和」を考えてみる。仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章は、  いま何故仕事と生活の調和が必要なのか、仕事と生活が両立しにくい現実、働き方の二極化等、共働き世帯の増加と変わらない働き方・役割分担意識、仕事と生活の相克と家族と地域・社会の変貌、・・・等々、読み進んでいくと、仕事と生活、家族、地域社会とのかかわりあい・・・、と、問題は益々、錯綜していく。    仕事と生活は「両立しにくい、両者の相克」というより、われわれは、この2つの中心として、一人の人間として活動する。 ― いわば、楕円的な軌跡をたどりながら、仕事から、社会生活からいろいろな体験を重ね、勉強しながら、人格を高め、充実した人生を送りたいものである。
宮島醤油ホームページ 会長コラム::楕円形::
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sonezaki13 · 4 years
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※サークル内企画「自分の過去作品をリメイクしよう!」で書いた作品です。
高2の時の作品「しとしと降る雨のリズム」のリメイクです。オリジナル版は下にあります。
中途半端なモブキャラF③
 
 昼休み、エミはそそくさと別棟のトイレで弁当を食べ、図書室で過ごす。図書室は先生が駐在しているのでチサトたちも迂闊なことができない。
 私はエミの様子を本棟の空き教室から見ている。トイレや図書室の中までは見えないが、移動している様子は見えるのでおおよそ見当がつく。エミがいなければつるむ相手もいないので、休み時間、誰からも声をかけられない。便利だ。エミの後を離れたところからこっそり追ってみたりもした。まるでストーカーだ。何がしたいんだろう。自分が一人でいるのが嫌だからエミにすがりつこうとしているのだろうか。でも、話しているところをチサトたちに見られたらどうなるか分からない。モブキャラごときがエミと話すのはおかしい。わきまえろ。関係ないんだから大人しくしてろ。
 その日の昼休みも話しかけることもなく、終わった。と、思うということは、私はエミと話すことを試みているらしい。モブのくせに一体何の権限があってエミと話す気なんだろう。そもそも、何を話すつもりだ。話したいことなんてあったっけ。話したいこともないのに話そうだなんておこがましい。私とエミは用もないのに話せるような仲じゃない。モブのくせに図々しい。
 放課後、一人で帰っていると雨がぱらぱらと降りだした。群れて帰っている子たちや走り込みをしている運動部員が口々に騒いでいる。天気予報になかったらしい。天気予報なんて元々見てないから知らないけど。いつも折り畳み傘持ってるし。
 制鞄に手を入れて折り畳み傘を取り出そうとしたが、見つからない。まさかチサトたちの嫌がらせか、と思ったが、そういえば家に干したままだった気がする。私は大抵人のせいにする。嫌な奴だ。別に今始まったことでもないので気にしていない。仕方ない。そういう人間なのだ。モブだし。
 少し考えて例の廃工場が近くにあることに思い至った。また女子が犯されていたら嫌だな、と思いながら前回使った抜け道から侵入する。面倒臭いことに巻き込まないで欲しい。元はと言えばあんな所で犯されていたチサトが悪いのだ。薄いトタン屋根が雨音を鳴らす。パタパタと子どもが楽しそうに踊っているみたいだ。これは私の言葉じゃない。エミが昔言っていた。
「ユイちゃん」
 回想ついでの幻聴かと思ったが、確かに懐かしい声がした。間違えるはずもない。声の方を見ると、エミがいた。まだ大して雨が降ってもいないのに一足先にずぶ濡れになっていたし、顔が赤くなっていた。チサトたちのせいだろう。埃っぽいコンクリートの地面の上で膝を抱えている。
 私はしばらく、あー、だとか、うー、だとか言っていた気がする。話すことがない。話すべきことがない。でも話したい。話したい? アホか。何を話せば良い。話すべきことを話そう。ふさわしい言葉。なんだそれは。かける言葉がない。調子はどう? 今日は何されたの? 痛くない? チサトってひどいと思わない? どれを言っても不正解で不躾で無神経だ。優しくない私がいくら優しいふりをしようとしたって急に出来るはずもない。モブは所詮どれだけ足掻いてもモブだ。価値のあることなんか言えるわけがない。
「大丈夫?」
 絞り出すようにして出てきた言葉がよりにもよってそれだった。無神経すぎやしないか。馬鹿なんだろうか。馬鹿なんだ。
「大丈夫だよ」
 赤くなった顔で、くしゃみをして鼻を啜りながらエミは微笑んだ。
 言わせている。そんなのそう答えるしかないじゃん。何やってんだよ。ほんと駄目だな。モブだから仕方ないか。特に優しいエミならそう答えるに決まっている。違う。こんなことを言わせたいんじゃない。私はただ、私はただ、エミに、エミを、エミが。上手く言葉を組み立てることができない。言葉が空回りする。こんなにバカだったのか私は。
「私はエミに何をしたら良いのか分からない。何もできないでいる。私はいつもエミに頼りきりなのに」
 俯いて、ボロボロのエミから目を背けてボロボロこぼすみたいに言った。こんなのダメだ。ただのゲロだ。言葉のゲロ。
「ユイちゃんにどうにかしてもらおうと思ってないよ」
 胸の奥がぎゅっとなった。モブのくせに。
 私は言葉の裏側で「そんなことないよ」と言ってもらえることを期待していた。この期に及んで私はエミに助けてもらおうとしていた。なので、エミの言葉には面食らってしまったと同時に痛くなった。痛いとか、笑える。何が痛いだよ。そんなの感じなくて済むようにしてたくせにアホか。死ねば良いのに。死ぬ気もないくせに。こんなことで。こんなことで何悲しんでんだよ。関係ない、で済ませてたくせに。役立たずのモブのくせに。いくらエミが酷い目に遭っていても、ちくりともしなかったくせに。私は嫌な奴だ。
「何かして欲しくて、ユイちゃんと仲良くしてるんじゃないから」
 落として上げるのか。ずるい。いや、やはりエミは優しいのだ。勝手に勘違いしただけのくせに。
 思わず顔を上げると、相変わらずエミはあまり表情のない顔をしていた。汚れた鞄には、お揃いで買ったクマのマスコットがぶら下がっている。クマも以前踏まれた時よりさらに黒ずんでいるようにも見えた。そんなことを言われてしまったら、私はどうすれば良いのか分からなくなる。エミのせいだ。期待されてないのか私は。ただ甘えていれば良いのか。餌を待つ雛鳥みたいに口開けて鳴いとけば良いのか。いや、元々分からなかったくせにエミのせいにしようとしている。エミの優しさに甘えてしまおうとしている。
「ありがとう。でも、我慢しないで」
 何言ってんだ。私は。
 エミはぎこちなく微笑んだ。久しぶりに笑った顔を見たような気がした。こんな顔をさせたかったじゃない。こんな顔をさせたくて、言葉をかけたんじゃない。胸くそが悪い。吐き気がする。何の権利があって、どの口がこんなことを言っているのだろうか。我慢しないで? 馬鹿なのか。何となく聞こえの良い言葉を並べて励ましの優しい言葉をかけられたとでも思っているのか。自己満足にも程がある。本当に、鬱陶しくて、疎ましい。消えろ。死ね。私は嫌な奴だ。嫌な奴だと嫌悪するくせに何もしない自分が嫌だ。そこまで分かっているくせに、それでも何もできない自分が嫌だ。モブのくせにモブにすらなりきれない。だから嫌な奴なんだ。私は何者にもなれない。どこにも行けない。
「ユイは弱虫だ。泣いてたら強くなれないよ」
 友達が囃し立てる。昔はエミも他の子ども達と一緒に遊んでいた。私はすぐ泣いていた。転べば怪我をしていなくても泣いていたし、そんなだからすぐ物を取り上げられたり、からかわれたりして泣かされていた。泣くまいとはいつも思うのだが、涙は止まらないのだ。止めようとすればするほどますます涙は出てきて、とうとうしゃくりあげてしまう。
「嫌がってることはやめて」
 エミが私たちの間に割って入った。からかわれている私を助けるのはエミの役目で、私があんまりからかわれるものだから、エミまで皆と疎遠になってしまった。
「嫌がってることはしちゃ駄目なんだよ。『やめて』って言ってたでしょ」
 私はせいぜい一度小さな声で「やめて」と言えたくらいで、抵抗らしい抵抗もできずただ泣いているばかりだった。公園で遊んでいる学校の子たちの輪に入りたそうに眺めている時も、エミが「入れて」と言ってくれた。エミは私の声にいつも耳を傾けたくれたし、私の様子を見ていてくれた。エミが代わりに怒ってくれるし、抵抗してくれるので、私はただ守られていれば良かった。
「あなたたちだって嫌なことされたら嫌でしょ。やめて欲しいってなるでしょ」
 エミは説教臭くてウザがられる子どもだった。しかし状況によっては周囲に助けを求めたりするような賢さもあったので、エミに反撃してくるような子はいなかった。いつも、格好付けて攻撃されるくらいなら、守りに入っていたのに、チサトの時は失敗してしまったのだろう。エミはチサトに同情しすぎていた。この頃のように私のことだけを守っていればあんなことにはならなかったのに。チサトをそんなに気にかけたいならかければ良い。勝手にすれば良い。私はいつだって傲慢で自分のことしか考えていない。だから眺めているだけでいる。誰かが何とかしてくれるのを待っている。何もしなければ傷付かないし失敗しない。しかし、何もしないなんてことは結局できない。私は「ただ見ている」ということを選んでいる。なので傷付くし失敗する。それなのに自分のせいではないかのようなふりをしている。
「弱虫だから鍛えてあげてるだけなのに。良い子ちゃんぶってつまんないの」
 私から取り上げたぬいぐるみを、その子は高く放り投げた。耳の長いうさぎのぬいぐるみだ。ぬいぐるみは木の枝に引っかかってぶら下がっている。私たちのような小さな子どもには届かない。
「エミとユイはほっといて遊ぼ」
 私たちを置いて、皆タコのすべり台へと駆けだした。エミは木に登ろうとしたが、足や手をかけられる場所が少なく、よじ登ることができない。何度も挑戦していたが、結局はずり落ちてしまって駄目だった。その時の私も眺めているだけだった。ついには帰る時間になってしまったので、エミは自分のお母さんを呼んできた。私はただ眺めているだけだった。お母さんは「あらあら」と少し困ってから、箒を持ってきて、ぬいぐるみをとってくれた。たぶんお礼は言ったと思う。何もしない私でも、それくらいはできたと思う。いや、できただろうか。私は全然ちゃんとしていないので、定かではない。もっとちゃんとしないといけないのに。
「ごめんね。私もっと強くなるからね」
 帰り際、エミはそう言った。違う。私が弱いのが悪い。いじめっ子が言っていた通りだ。
 帰りが遅いので心配して父が迎えに来てくれた。もう夕飯が出来ていると言っていた。確か父はちゃんとエミとエミのお母さんにお礼を言っていた。その時は父と母はそこまで仲が悪くなかった。両親にお誕生日プレゼントは何が良いか訊かれた時も、私はただ欲しい物をじっと眺めているだけだった。
 何でこうなってしまったのだろう。
 私はいつもただ眺めているだけだった。自分のことなのに、自分に関係のあることなのに、まるで遠い世界の出来事かのように素知らぬ顔をして、何となく欲求を匂わせている。傲慢で我が儘だ。恥をさらして生きている。恥をさらして生きているから胸を張れないのか。それとも胸を張らないから恥をさらしているのか。生まれつき狡くて卑怯な人間はいる。私が弱いのは親のせいでも、いじめっ子のせいでも、エミのせいでもなくて、私自身のせいだ。
「やっばー。すごいの見つけた」
 チサトの手下みたいな女子が濁ったジュースのペットボトルを掲げている。なんだかよく分からない固形物が浮いている。パッケージを見る限りイチゴミルクだった何からしい。
「これ絶対めちゃくちゃ前のやつじゃん」
 くすくすと笑い合っている。さっきの移動教室で棚の隙間でごそごそやっているかと思ったらこんなくだらないものを見つけてきたらしい。チサトはその様子を楽しそうに眺めていたが、そのペットボトルをさっと子分Aの手から奪った。周囲の目が好奇心で輝く。期待している。薄汚い好奇心がそのペットボトルに向けられている。どんな風にしてエミに嫌がらせをするのか誰もが気にかけている。モブは皆気になって仕方ないのだ。
 チサトは何も言わずにそのペットボトルの中身をエミがいる机の上にぶちまけた。びちゃ、と重い水分が出てきた。悪臭が教室中に立ちこめる。おぇっとむせる声があちこちから上がる。窓の近くの生徒が大慌てで窓を開ける。
 黒ずんだイチゴミルクなのか何なのかわからない液体がエミの机を伝って、スカートを、床を汚す。
「臭い」
 チサトがエミを見下ろしながら言った。いや、お前のせいだろ。えっ、何。コントか。ツッコミ待ちか。思わず内心で突っ込んでしまった。
「臭くなったじゃん」
 珍しく無表情ではなく顔をしかめている。匂いのせいだろうか。眉を顰め、忌々しそうに唇を噛みしめている。そして、エミの頭を掴むと、汚れた机の上に押しつけてごしごしと押しつけて擦った。エミを雑巾だとでも思っているのだろうか。
「とれない」
 チサトがポツリと独り言のように呟いた。エミが濁った咳をした。音からしてもしかしたら吐いたのかもしれない。エミの机の上はゲロとお茶だった何かで悲惨なことになっているだろう。その前から落書きでボロボロだったけど。
「とれない。とれない」
 頭でもおかしくなったんだろうか。いや、元からか。イカれてるよなぁ。チサトは頭おかしい。きっと虐待されて頭がおかしくなったんだ。可哀想だな。死んでた方が良かった。
「とれないよ。これ。とれない。どうすんの」
 上げようとするエミの頭をぐりぐりと机に押しつける。それでもエミはじたばたともがいている。手と足を使って立ち上がろうとするエミの体を、取り巻きたちが鼻をつまみながら押さえつけた。
「あんたのせいだ」
 チサトは怒っていた。不可解だ。どうしてここでチサトが怒るのだ。意味が分からない。全部自分がやったくせに。チサトが悪いくせに何を言っているのだろう。そんなことモブも皆分かり切っているはずなのに、誰一人チサトたちを止めない。関係ないから。にやにや笑っている子たちすらいる。モブに徹している。モブレベルが高いんだろう。すごいな。私はモブすら上手くできない。
「全部あんたのせいだよ」
 たぶん、皆これをパフォーマンスだと思っているのだろう。中世ヨーロッパでは処刑が娯楽だったというし、暇を持て余して中学生にとってはいじめが娯楽なのだ。だから誰も止めない。告発した子だって、止めようとしたふりをしただけだ。結局は役立たずのモブ。
「全部全部あんたが悪いんだよ」
 またどうせ自分に言っているくせに。一人で勝手に死んでくれ。他人を巻き込むな。誰にも迷惑かけないようにして一人ぼっちで孤独に死ね。
「死ね」
 お前がな。エミをぐりぐりと頭で机を擦る力が強くなる。机でエミの顔を押しつぶす気なのだろうか。
「死ね」
 チサトの語気が強まる。何勝手に熱くなってるんだろう。バカでしょ。自分の言葉に自分で興奮してんのかこいつ。変態かよ。
「死ね」
 チサトの顔が赤い。怒っている。怒りに震えるほどに怒っている。何にそんなに怒っているのだろうか。下らない。それをエミに押しつけているだけだ。お前なんて、エミに関係ないくせに。勝手に関係してくるな。マジで死ねよ。
「死ね」
 チサトが言葉を重ねるのに合わせて、取り巻きは冗談ぽく手拍子を始めた。重い空気を積極的に茶化していくいつものパターン。何人かがふざけて、チサトの「死ね」に「死ね」を重ねていく。本当にあるんだな。死ねの大合唱。都市伝説じゃなかったらしい。こういうの本当にあるのか。そわそわしていたクラスメイトたちまで何人か合唱に加わっている。野次馬根性か何かだろうか。しーね、しーね、とリズミカルにクラスの半分くらいが一致団結したような気がした。この団結力があれば今年の体育祭はうちのクラスが優勝だ。おめでたい。楽しみだ。合唱コンクールも優勝できるかもしれない。協力って大事だな。勝手にすれば良い。知らないけど。モブ共は本当に勝手だ。ちょっと勝手すぎるんじゃないか。私も勝手だけど。
「いや、お前が死ねよ」
 何て言おうかとか、どうやって動こうかとか、特に考えてもいなかったが、考えるより先に口と手が出ていた。
 チサトが呆気にとられている。いや、チサトだけではない。教室中が呆気にとられていた。
 一呼吸置いて悲鳴があがる。黄色い悲鳴を上げるのはいつもモブだ。チサトも私も黙っている。チサトの顔面から血の気が引いていく。自分の手の甲からだらだらと流れる血を黙って見つめている。少し黒っぽいのは静脈の血だからだろうか。手や指となるともっと勢いよく血が出るかと思った。うっかりエミの髪の毛まで一緒に切らなくて良かった。結構腕前は良い方みたいだ。プロになれるかも。カッターナイフの。
「ごめんなさいは?」
 ダンボールを切る用のデカいカッターナイフをチキチキさせながら私は言った。血が付いたら刃が錆びそうだ。チキチキ。何枚か折ったらまた文化祭に使えるだろうか。何だかチキチキ言わせるのにハマってしまって私は刃をわざと何度もチキチキ出し入れしているチキチキ。小学校の卒業証書を入れる筒をポンポン鳴らしてたのを思い出す。ポンポンよりチキチキの方がイケてる気はする。こういうのを中二病と言うのだろうか。チキチキ。知らないけど。
「悪いことしたらごめんなさいだよね」
 私は、私とエミ以外はチキチキどうでも良い。やばいじゃん、頭おかしい、等のざわめきが聞こえる。聞こえてますよ。チキチキ。何人かいない気がするから先生呼びにチキチキ行っちゃったかな。すごいな。モブのくせに役に立つんだな。あまり時間がない。でもまぁ残ったのは全員クソみたいな役立たずのモブだチキチキ。そもそももっと前に頭おかしいシチュエーションがあっただろうに、チキチキお前らは頭がおかしいんだろうか。モブだから考えないのか。関係ないもんな。仕方ないよな。ツッコミが遅すぎる。チキチキ。私は誰かのモブかもしれないが、私にとってはエミと私以外全員学芸会の木の役くらいの存在価値だ。チキチキ。チサトが可哀想なことは分かるチキチキが勝手に不幸になれば良い。犯されて殺されようが、チキチキ自殺しようが関係ない。死ねば良い。勝手にチキチキ死ね。でもエミが死ぬのはチキチキダメだ。エミを失うのはダメだ。それは私に関係がある。チキチキ。
「嫌がってることは、しちゃ駄目なんだよ」
 勝てないと思ってたけど、案外いけるじゃん。やったね。カッターナイフ全国大会優勝するかも。まぁチサトなんて屈強な男じゃあるまいし、たかが同い年の女子だ。でもチサトは背も高いし、丸腰だったら勝てなかったろう。私は装備が強いから助かった。カッターナイフの腕前が光る。カッターナイフで人を切るのは初めてなので才能があると思う。持ってて良かったカッターナイフ。
「ごめんなさい」
 チサトは顔にカッターナイフを突きつけられながら、手の甲を止血しようと必死に押さえている。目にはうっすら涙が浮かんでいる。すごい。あっさり。チサトってこんなに弱っちいんだな。カッターナイフよりも弱いとは思わなかった。もっと早くこうしていれば良かった。勝ち気な女もととりあえずカッターナイフを突きつければ言うことをきく。これってトリビアになりませんか。
「許してあげるから死んで」
 カッターナイフの刃がチサトの頬に触れた。チサトの体に力が入るのが分かった。換気のために開け放たれた窓へとチサトを押しやる。
「このまま飛び降りて自殺ね」
 頬にカッターナイフを押し当てたままチサトを窓の外に向かってぐいぐい押す。ぱらぱらと雨が降っている。外が明るいから気付かなかった。狐の嫁入りだ。こんなに明るいのに雨が降ったら虹が出るんじゃないだろうか。出たら綺麗だろうな。
 クラスのざわめきが大きくなる。でも誰も止めない。どうせその程度だということは分かっている。モブは鳴いてるだけ。そういうBGM。所詮背景。
 チサトの髪が雨で湿っていく。しとしとと優しい雨だ。どんな顔をしているのだろう。不服そうにしているのだろうか、恐怖に震えてるだろうか、諦めているだろうか。窓の下へ押し出しているので見えない。
「やめて」
 エミの声がした。
 やっぱりさすがだな。すごいよ。やっぱりここで来るのはエミなんだ。すごいな。ドラマチックだな。モブとは違う。特別なんだ。やはりエミは強くて優しいエミなんだ。
「チサトは悪くないよ」
 やっぱりそう言うんだな。まただ。二回目だよそれ。何も変わってない。エミは変わらない。私も変わらない。いや、変わったのかな。きっとエミは私のことも悪くないと言うのだろう。誰も悪くないなどと綺麗事を抜かすのだろう。エミは強いから分からないんでしょ。
「エミ、ごめんね」
 多分私はこれが言いたかったんだろうな。だってなんかいきなり自然と口から出てきたから。ヨダレみたいなもんだ。言葉のヨダレ。何を謝ってるんだろう。どこからどこまでが駄目だったんだろう。むしろ悪くなかったところが見つけられない。悪いのは何だろう。私の存在だろうか。そんな状態で謝ったって、許されるはずもない。罪が何かも分からないのに償えるわけがない。言いたい気持ちは確かにあった。でも、これは私がすっきりしたいのと一緒だ。ヨダレ以下じゃん。ゲロでありウンコだ。悪臭を放つ、何の役にも立たない言葉だ。
 チサトからパッと手を離して窓の外へと身を乗り出した。ぐらりと視界が揺れる。教室内のくすんだ空気と違って外の空気は澄んでいる。悲鳴が上がる。校舎中に響きわたってそうだ。
「ユイちゃんは悪くない」
 エミが私の腕にすがりついた。柔らかくて温かい。生き物。でも、ほらね。やっぱりエミはそんなことを言うんだ。じゃあ誰が悪いんだよ。誰も責めることができないなんてあんまりじゃないか。エミは誰にだってこうするんでしょ。チサトがもし自ら身を投げようとしていたって止めていたに決まっている。知らないおっさんでも止めている。言わせている。させている。私はモブのうちの一人だ。いくら暴れてみても結局はモブなのだ。役に立たない。関係ない。いや、関係できないのだ。絶対ここは死ぬところだったじゃん。人死にがでないなんてつまらない話だ。この辺りで一人くらい死んでおいた方が盛り上がる。私は誰にも助けられないし、誰も助けることができない。この状況は良くならないし、何も解決しない。何も終わらない。今までも、これから先も地獄だ。マシな地獄かもっと酷い地獄か分からないけど、地獄であることには間違いない。でもそれも結局は単なる私の期待であって、地獄すらも来ず、どこへも行けない方がリアルかもしれない。何かそんな気もする。全部めちゃくちゃになれば良かったのに。中途半端だ。結局は中途半端。
 バタバタと足音がしてクラスメイトたちが教師何名かを連れてやってきた。何か叫んでいる。私はすがりつくエミを振り放した。エミが尻餅をつく。関係ない。チサトとも関係ないし、当然エミとも関係ない。だってモブだし。思い出したようにカッターナイフをチキチキやる。もうさっきほどチキチキを好きにはなれなかった。何かな。どうなるんだろ。少年院とかかな。ほらね、やっぱり私ただの嫌な奴じゃん。それでも生きなきゃいけないんでしょ。それでもこの人生終わんないんでしょ。面倒くさい。あーあ。
 青空を背景にしとしとと雨が降っている。こんな弱い雨では何一つ切り刻めやしない。相変わらず虹は出ない。
【書いてみた感想】
・僕っ娘はあまりにもパンチが強すぎて内容を持って行かれるのでカットした。必然性がない。
・いじめの理不尽さはオリジナルの方が上。負けてる。
・どうしても「しとしと降る雨のリズム」のままそれらしい内容にすることができなかった。どう考えてもこの話は「しとしと降る雨のリズム」じゃない。でもあまり良いタイトルも思い付かなかった。今も当時も語感は気に入ってるのでよそで使いたい。
・腐った給食を用意させるために頑張ることを諦めた。
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sylphy-bat · 5 years
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Joker
There will ALWAYS be a Joker. Because there’s no cure for him. No cure at all…Just a Batman. (Jonny Frost)
ジョーカーはこれからも常に存在するだろう。彼に治療薬はない。ただバットマンがいるだけだ。
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2008年の作品。アート、ストーリー展開等、他の作品とは一線を画しているといえるこの作品。ジョーカーのマインドを、彼のいたって平凡な手下の目線から描く。ジョーカーの不可解な行動、動機、そしてバットマン。ジョーカーファン、またはそうでなくとも手にとっていただきたい!(そして、あのBatman: Noelも手掛けたBermejo氏のアートも素晴らしい。)
今回のテーマ、かなり悩みましたが、「ジョーカーの魅力/ジョニーの失敗」。彼ら二人は読めば読むほど、かなり対照的に描かれています。ジョニーがジョーカーの手下(右腕)になり、いかに彼らの道が分かれていくのか。そこを中心に盲目の信頼の行方を追っていこうと思います・・・
さてコミックは、ジョーカーがアサイラムから出所したところから始まり、ジョニー・フロストが彼を迎えに行く。ジョニーはジョーカーの噂だけは聞いていた。あのジョーカー。名前を聞いただけで震え上がる者も少なくない。ジョーカーの存在もゴッサムの病気の一部とも言えるのかもしれない。しかし・・・
彼を最初に見たジョニー。腹の底で何かを感じた。何かしらのオーラ、普通の犯罪者とは違う、尊敬の対象へと変化したのである。(まあ、これ���見ればジョーカー降臨!という感じはするが)
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ジョーカーの魅力とは何だろう?クレイジーだから?その派手な衣装だから?誰もできない、口に出すのもはばかれるような犯罪を犯すから?そして誰も予測不可能なことを仕出かすからか・・・?このことについては後々触れていくけれども・・・
ジョニーはジョーカーに自己紹介をする。「俺の名前はジョニー、ジョニー・フロストだ」そこからずっとジョーカーはジョニー・ジョニーと呼ぶのだが、そこが彼にしかわからない一種のジョークにも思える。ジョニーは相当の正直者、ナイーブで、人を信用する。(そうでなければ初対面のジョーカーに普通に拳銃を渡さないような・・)ジョニーにはもともとあまり自尊心���ない。彼の生活は既に荒廃し、出所(5度目)したときには妻から離婚届を突きつけられる。彼には失うものもなく、でも何かで有名になりたい(Something big)と思っているが、どうしたらいいかわからない。だったら、ヴィランの中でも勝ち組につきたい、トップの中のトップの者につきたい、それでジョーカーの迎え役に手を挙げたのである。自尊心がない者、自分に自信を持てない者は誰かに与するのが楽である。そしてその誰かが、自分にとってよければ、自分自身を再発見できるが、そうでなければ、自分をまた失うことになる。そしてそれがジョーカーだと・・・?
もともとカリスマと呼ばれる者は自分とは別の者と組もうとすることはあまりない。その必要性はない。すでに力強い個性があり、他人が勝手についてくるし、他人を引っ張っていけるからである。それはもちろんエゴともなりえる。自分の思い通りにできるのであれば、あとは個人個人の問題だ。ジョーカーの場合、自分の思い通りに人を動かすことが重要であり、完璧なパペットが必要となってくる。彼の自尊心は高すぎるため、自分が常にトップでなければならない。劣等感を感じることは一番嫌いで、特に他人からの憐れみはもってのほかである。(バットマンとかね)その例はこのコミックでは様々なところで見られるが、「自分のルックスで誰にも謝るな」というのも、自分が劣っていることを否定することだ。またキラークロックと会いたがるのも、自分のルックスを気にして劣等感を感じなくてもよいということだ。
ジョーカーは自分がいない間に奪われてしまったテリトリーと金を取り返しに、それに関わった全てのマフィア、ヴィラン(トゥーフェイス)に対して復讐をしていく。最初のモンティからスタートし、ペンギンと協力しながら血みどろの戦争が始まっていく。彼の殺し方は、(こう言ってもいいのかなあ)アートとも言える。それとも彼のプライドか。それぞれの人に対するふさわしい死、いかに「芸術的」「ジョーク的」に殺すのかというのがこのコミックでは伝わってくる。そしていかに自分を裏切った人間以下の者、という烙印を押すか、というのもある。ここまで書くと、ジョーカー賛美なんですけど、いや、これは彼なりの「魅力」なんだろう。ここのジョーカーはよくわけのわからない、ただの狂った変人ではなく、リアルなサイコキラーだと思う。「殺人」自体を真剣に捉えているのではないだろうか・・・
そういうジョーカーにだんだんひかれていくジョニー。彼は「勝ち組」になったことはなく、いつも他人から見下される立場であった。それがジョーカーに仕えることで、名前を覚えてもらったこと、ジョーカー側にいることで、他人に畏怖を与えられること・・・彼は「力」の味を知ったのである。「ジョニー・フロスト、敵に自分がやりたいことをさせられる・・・やつらがやりたいことなんてくそくらえだ」しかし、彼はもちろん自分ではやっていない。実際ジョーカーである。彼は自分が強いフリをしているだけであり、完全なる虎の威を借りる狐である。ジョニー自身はジョーカーのドライバーという立場だが、少なくともジョーカーの偉大なオペレーションの一部になることで、自分の存在意義を見出したといってもいい。彼は自分が頼りにされていると感じ、信頼されていると思っているのだ。しかしながら、彼とジョーカーがお互いに理解しあっているというのは幻想である。ジョニーはジョーカーの復讐の手法を全て理解していると「思い込んでいる」。そして自分が何をしても許されると思い始める。ジョーカーはもちろんそこまでは思っているわけではない。
彼らのマインドがうまく表現されているシーンとして、ジョーカーがジョニーに「窓の外をみて何が見えるか」と聞く。ジョニーは「Lights(光)」だと言うが、ジョーカーは「He’s out there. (やつがいる)」ジョニーのナイーブさとジョーカーのマインドの対照性だろうか。(ちなみにこのシーンでは、背景のネオンにSin will find you out.(罪はお前を見出す)と書いてある。悲劇の結末の前触れか・・・)
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ジョーカーを理解することは、ナイーブさがまだあり、いまだ良心の呵責がどこかにあるはずのジョニーにはできないはずで、ジョーカーがジョニーを髪の毛一本ほどにも思っていないのかもわかっていない。なぜならジョーカーを真に理解できるものはいない。彼がトップへ登り詰めれば詰めるほど、彼は孤独である。(リーダーの宿命である)ジョニーが、ジョーカーが女性に抱き付き、涙を流すのを覗き見てしまうのもそれである。その上に重なるジョニーの語りで、ジョニー自身は本当の邪悪にはなりきれないこともわかる。
ジョニーがだんだんジョーカー信仰からさめ始めるのはジョーカーをトゥーフェイスの手下から救ったことだろう。命を救うことでジョニーはジョーカーよりも上であることを示してしまった。報復としてジョニーの元妻がジョーカーの欲望の犠牲となることで、ジョーカーがこれでイーブンだろ、とつぶやく。他人の身に起これば普通に笑っていたことが自分に起こることで、夢から覚める。あるアパートの夫婦を殺害した後のシーンで、ジョニーはジョークにI am sorryという。これはジョニーがジョーカーに対するシンパシーであり、他人の痛みでしか生きがいを見つけられないジョーカーへの言葉だ。ジョーカーはジョニーが自分に対して謝っていると思っている。そのため、結局自分が一番嫌いなのは謝罪だ、と言っている。ジョニーは既に彼は理解すべきではなかったと後悔し始める。だが時既に遅し。
ジョニーは誰か「すごい人」に信頼されたかった。役になって名を売りたかった。彼が仕えたのは他でもない、自分以外を信頼することのないジョーカーであった。そしてそれがIt killed me.なのであろう。
最後のシーン、バットマンとジョーカーが橋で対決する。この彼らの会話があまりにも名文すぎてぜひ読んでいただきたいが、バットマンのジョーカーの理解が上であったことを示す。ジョニーは彼らの対決を見て悟る。ジョーカーはゴッサムに根付いた病であり、そしてそのためにバットマンがいる、と。
ジョーカーとジョニー。彼らの関係はあまりにも一方通行であった。ジョニーの盲目的信仰が邪悪を目覚めさせてしまったのか。それはジョーカーについていけない彼が悪かったのか。中途半端で偏った理解が、危険なものを生み出す。それは今の社会にも通じるのであろう。ジョーカーはクレイジー。そのクレイジーは「面白い」の定義ではなく、計算しつくされた行動、そして社会の規範を超越した誰にも理解が及ばない人間性と言える。言うなれば超人格なのかもしれない。それは、このコミックが示唆しているとおり、その精神面でさらに上を行くバットマンのみが対処でき、彼を治そうと果てしなき戦いをする。それは彼らの宿命である。
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lucewizard27 · 6 years
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緑影のメモリア
思えば夏になる度に、あの旅はどんな時であっても楽しかったように思う。窓の外を見なくとも聞こえてくる豪雪は、この先の日々の不透明さを示していた。二度と会えなくなるなら、何か言えた言葉もあったかもしれない。もう一度会えるとわかっていたから、刹那に呼び出す戦闘中の間に垣間見える影があの夏の瞳と同じで、多分「彼」なのだろうと朧気に感じている。 息を吸えばむせ返るような香りに、風に混ざる鳥の声とが重なって、そこら中に虫や小動物が居る生々しい現実に引き戻される。ほんの数日の調査という名前の旅路は、束の間に与えられた夏休みとも言えた。同行者は誰がいいかと問われ、単にサバイバルならエミヤかロビンだなあと名前を上げれば、エミヤが居なくなると昼食の味の質がどうのとスタッフからの要望(別に食堂のスタッフは別に居るのだが、彼の場合は自主的にそこに入り浸りなのだ)で、白羽の矢はロビンに立ったのである。自分としても、気心知れた仲ではあるから、愛すべき後輩が居ないという心細い旅であっても、どうにかやり過ごせそうだと安心しきっていた。 フィールドワークというのは学校にいた時、授業で経験したことがある。あの時は裏山に居るとかっていう希少種の昆虫を見に行くなんて名目で、科目の担任教師による半ば自由学習の時間のようなものだった。衣服は必ず長袖長ズボン、取り立てて運動神経がいいわけでもなかったし、虫が好きっていうよりは苦手な部類だった。家に口には出せないアレが出た時も、退治は家族内で押し付け合いで誰も動かないから泣く泣く自ら動いた程度のーーだからそう、好きじゃない。本当はロビンと一緒でも、虫除けを欠かさずにしていたくらいだ。ロビンはそんなに怖いものじゃないと笑っていたけれど。 草の葉を掻き分けて魔術の痕跡を追う。今回の調査の目的は、聖杯を作ろうとしているような痕跡がある......という欠片らしき気配を感じたなんてふんわりしたことが発端だ。大概の事件はそうでもなさそうに始まり、いつも始末に負えなくなるから、突っ込み役にロビンはいい配役だったかもしれない。ああ、とは言っても、思考する割に何もかもが稚拙なのだ。調査といってもロビンの後ろをついて回るのが精一杯。何かできるわけでもない。どうしたらいいのかなんて聞いて知っているはずなのに、肝心の調査のとっかかりが触れられない。そういうのは向き不向きがあると、孔明大先生が言う。だからきっと、魔術は向いていない。礼装を使って漸く邪魔にならない程度なのだ。先を歩いていたロビンが振り返り、足元に気をつけるように言う。この地域の猟師だろうか、ギザギザのついた罠があってうっかり踏みそうになった。咄嗟にロビンが戻って来て担ぎ上げたから、怪我はなかったものの。 ぺしり、と軽く頭を小突かれて、ロビンがため息をつく。ちょっと休みますかと気を使われて、体力と筋力が欲しいと心から思った。 川遊びなんてしたのは子供の時......今も、まだ成人はしていないけど、この状況で興じれるわけもない。そのくせロビンだけは気持ちいですよなんて笑いながら、足を水の中に突っ込んでいる。生前の森に近いのかなどと聞いたのは、いつもより距離が近いとか気心知れたように感じたからだろう。単に共にいる時間が長いから、理解できているような気がしているだけなのに。多分、この英霊の何も知らない。これから先も理解できない。問いかけた瞬間瞬いて、いや全然と言い切った懐かしむ眼差しは永遠に追いかけることは叶わない。 ロビンという存在は夢のようなものだ。もう死んでいる、死者だから。所詮は影法師、手は届かない。だからこんなにも鮮やかに残る。忘れられなくなる予感がした。 「足、冷やしておいたらどうです?こうも暑いと気分も滅入るでしょうしねえ」 ばしゃり、ロビンが水を掬ってこちらにひっかけて来た。放られた水滴が膝にかかり、じっとりと汗をかいていた衣服の下の足がひんやりとした。仕方がないからズボンを捲り、足を大人しく川に浸すとロビンは目を細めるようにして笑っている。まるで、借りて来た猫みたいだ、と。そんなことを言いながら、笑うのだ。別に不快ではない。クラスメイトとの悪ふざけを思い出して、実感のない旅の裏で、現実感が追いついてくる。平穏は程遠い。元いた場所には帰れない。先生、さようなら、冬休みのバイトが終わったらーー......もう夏だった。夏だったんだ。 結局、森の中には何もなかった。何も居ないし、痕跡もない。ただ、ロビンが何を思ったのか、数日でいいからマスターを日本に返してやってくれなんて言うから。夏休みと言えば何をしたいと聞かれて、お祭りに花火大会、あげれば幾らもあった。でも真似事だ。シミュレータでならと言ってくれたから、誰と行きたいかなんて決まってた。ロビンだ。甚兵衛にラムネに、狐のお面を渡して、ひまわり畑に連れ出した。年が明けたら行くはずだった祖母の家はもうない。親戚が遺産を分割して、もう土地ごとないらしい。本当は、冬のバイトが終わったら、春には行くはずだった。結局行けなくて、そういうことばかりが増えていく。その内、死んだことにされるのかもしれない。帰れないのなら同じことだ。でもそれでもよかった。あの子が笑うなら、マシュが普通の女の子みたいに笑ってくれるなら。自己犠牲のつもりはない、どれもこれも得難い日々だ。 「思うんですけどね。オタク......ああ、マスターは無理に子供ぶる必要も、普通の人間みたいな素振りも必要ないんじゃないですかね。アンタみたいな人間は、一見普通なんだが、その実何処かズレてるんだ」 ロビンが先を歩きながら狐面をかぶる。思い出の中そのままに、ひまわり畑に囲まれた一本道を進む。あの休憩場を越えれば公園があって、海が見える。そのすぐそばの坂道を下れば祖母の家だ。記憶をかき集めて実際の地理を見て、ダヴィンチちゃんプロデュースの夏休み。数時間なら、と。ああ、蝉の声がする。暑くて茹だるような、湿っぽくて潮の匂いがする。海くさいーーだから、山とは縁がない。 「普通であることをとったら何も残らないよ」 何処にでもいるようなが取り柄で、当てはめられた普通に焦がれた。友人と話していても、楽しいのに理解には及ばない。動じないんじゃない。不感症になったみたいだ。振り返りお面を指でちょいと押し上げて、ロビンが失笑する。 「世界を救ったってのになんて面するんですかねえ。そんなにあのドクターのいない世界が......取りこぼしたのが辛いのか」 全て救うだなんて傲慢がすぎるぜと、立ち止まったロビンに足が追いついた。横に並べばまだ見上げる背に、いつか追いついて並ぶのかなとも思う。変わらないで居たい。変わらないでありたい。ロビン、ドクターと同じように君のことも忘れたくない。 「......なあ、マスター。世界を全部救い終わったら、誰か一人くらいは護衛に残っていいんじゃないかとオレは思ってるんですよ。その役目、しがない弓兵で良けりゃあオレにしておいてくれませんかね」 拾った小石が捨てられないみたいに、お面から見えるだけの口元が笑みを形どる。 「ちったあ、気心しれてんでしょうが。そこら辺、最初から見てればわかりますよ。普通でなくなったアンタでも、あそこにいる連中は何も変わりはしない。外部の連中だって、怖がる必要なんてない」 だから一度くらい、褒めてくれと強請ったらどうだと。嬉しかったのかもしれない。褒められたかったわけじゃない。優しくして欲しかったわけじゃない。どういう顔をするのが、幻滅されずに済むかわからなかっただけなっだきっと。世界を救った藤丸立夏。英雄の顔なんて一生知りたくもない。ただ、もしそうならざるを得ないなら、この時のロビンみたいにありたいと願った。 救われたのだ、確かに。何も変わらなくても、決別があっても。救われていた瞬間はあった。ただそれだけの話。影の中で見返す瞳が、手を伸ばせばすぐに留まってしまいそうだから、ーー雪景色が終わるまでは立ち続けようと思う。冬が終われば、春が来て、夏が来ればときっと来年もロビン、君と過ごしたい。 今は、そう、雪はまだ続いていて。誰かの願いを踏み締めて。それでも歩くから、君の元まで。
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toubi-zekkai · 3 years
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 裸になりたいとき、冬子はいつもこの雑木林にやって来た。後ろを振り返れば覗かれる林の切れ間から拡がる白い街は冬子に何種何重もの衣装を強制した。他人の押し付けに抗う強さも器用さも冬子は持ち合わせておらず、彼女の部屋の中は山のような衣装に埋め尽くされていた。自分だけの部屋は冬子が衣装から解放される数少ない場所であったが、電話口の向こうから画面の向こうから玄関の向こうから衣装の催促が絶えることはなかった。家という構造物自体が衣装の一形態でもあった。眠るとき冬子は衣装から逃げるように毛布を被り、何も身に着けずに眠った。しかし目覚めると裸の冬子の前にはいつも復讐するかのように山積みの衣装が置かれていた。冬子の自我は膨大な衣装によってばらばらとなり、僅かに残った透明な心は酸欠の魚のように息を絶えようとしていた。他人を遠ざけようと努力はしたが、他人は遠ざけるほどに近付いてきた。衣装を着ないで済ませる場所はどこにもなく白い街は衣装に汚染されていた。
 篠笛を紅い唇にあてがって���い狐の少女が深い森の奥の更に奥へと入り込んでいくように白いコートに身を包んで仄暗い雑木林を歩く冬子の背後には鼻歌と香気の余韻が白霧の残糸のようにあとを引いていた。ふと耳の後ろに微かな羽ばたきの音を耳にして冬子は黒いブーツの歩みを止めた。ゆっくりと後ろを振り返った瞳の先に白く光る鱗粉を淡雪のように振り撒いて雑木林の暗い坑道に群がる蝶たちの幻影が映った。さざめく光の帯を後引きながら月の都へと里帰っていく典雅な一族の行列ように蝶の群れがつくる光の軌跡は冬子の顔のすぐ先から遠く雑木林の切れ間へと続いていた。虚ろな瞳に熱に浮かされたように光を浮かべて冬子は自分もまたああして儚げにゆらめく蝶のひとひらなのだという思いを強く胸に抱いた。しかし、街の方へ生の光源へと飛んでいく蝶の群れとは反対にその白い冬の蝶は透き通る羽根を大きく広げてひとり雑木林の暗い口穴の奥へと吸い込まれるように飛んでいくのだった。
 冬子が歩く雑木林の道は地中を深々と削り取った窪地に流れる古い人工水路の両脇に沿って東京の西の果てから東の先へと伸びていた。空を横断する鳥の瞳で眺めれば巨大な大蛇が灰色や白色が目立つ街や町を跨ぐ形で横たわっているように見えるだろう。悠然と地の上に眠り込んでまるで動くことを知らない大蛇は季節の移ろいに合わせて装いや表情をめまぐるしく変えた。  二月を半ば過ぎて、大蛇の鱗や肉はすっかりと削ぎ落されていた。黒い枝を伸ばす木々が寂しい骨のように立ち並び、青く澄んだ冬の空が透けて見える。しかしそれでもこの林道は洞窟の内部のように薄暗かった。久しく太陽の恩恵とは縁がない腐葉土の絨毯は乾く機会がなく雨の日の記憶を未だ濃厚に留めていた。時折見かける倒木の裂けた樹皮には白い茸が立て付けの脆い階段のように張り付き、窪地の水路近くに立った低木の樹皮には苔が青い髭のように張り付いていた。動きを見せる生き物の気配はなく雑木林は時が止められたかのような静寂に包まれていた。  あまりにも静かだと聞こえてくるあの耳鳴りのように微かな水路のせせらぎが冬子の小鹿のように立った耳に聞こえてくる。視線は自然と水路が流れる窪地へと吸い込まれた。黒いフェンスに阻まれて近付いて降りていくことは出来ない。それでも黒い網目の窓を通して水路の姿を確認することが出来た。乱暴に古い地層を剥き出していている崖の底で水路の水は老婆が押して歩く手押し車のようにゆっくりと流れていた。暗い洞窟の天井を形作る木々の枝の先も水路の真上には届かず、直に降り注ぐ太陽のくちづけを浴びてきらきらと一面に黄金色の粒子を浮かべていた。暗い雑木林から眺める光のさざめきはひと際眩しく瞳に映り、真夜中に窓辺からひとり覗くパレードのように冬子の前を通り過ぎていった。  初めてパンダを見る童子のように冬子は黒いフェンスの前にじっと立っていた。華やかな光の行列は視界の先に水路が見えなくなるまで続いていた。勢い余った光の粒の数々が冬子の顔に浮かんだ二つの黒い丸池にも飛び火している。パレードが避け難い伝染病のように瞳の内側の更に内側へと行進を開始していた。軽い眩暈を覚えて冬子が不意に瞼を閉じると光の粒は火花のように飛び散って暗闇のなかに焼き付いた。そのとき白く光る粉を淡雪のように振り撒いてまたあの蝶の群れが冬子の前に現れた。  冬子が再び現実の光に目を開いたのは暗闇に揺らめく蝶の群れが白霧のように消えてからしばらく後のことだった。羽ばたく音、猫が笑うような声とともに撫でるような微風が耳の先をかすめた。目を開くと猫の姿はなく一羽の雉鳩が黒いフェンスの上にとまっていた。季節は真冬であるにも関わらず雉鳩は年若い競走馬のように無駄のない引き締まった身体つきをしていた。やや膨れている胸から細い首にかけては長茄子のように優美でしなやかな曲線が描かれ、頂に小振りな頭を可愛らしく乗せている。慎ましく閉じられた双翼を綾なす橙色に縁どられた黒い鱗の紋様は亀裂に晩夏の落暉を滲ませた黒い鱗雲そのものであり、上品に織り込まれながらも内から溢れる野生の命の色が強く滲み出ていた。  案山子が振り返るように雉鳩は小首を背後へと捻って森の住人らしい優しく澄んだ瞳で冬子を見つめた。外円を赤橙に縁どられたつぶらな黒い瞳の表面には見慣れない来訪者に対する好奇と恐れの拮抗でさざ波が立ち、二つの存在の間に横たわる澄んだ空気を揺らして冬子の黒い瞳にもまたさざ波を立てた。優しい皺が冬子の目尻に作られ、波に揺れ溢れ始めた瞳を包むように黒く長い睫毛の上下が静かに閉じられた。白肌の頬がやや桃色に染まり、未だ少女のあどけなさが残る口元がほころぶと無垢な白い歯が清水に洗われた卵のように輝いた。                                   からころと御籤箱を振るように雉鳩は丸い頭を幾度と傾げては目の前で白く輝いた笑顔の華の真価を慎重にかつ真剣に吟味していた。冬子の華奢な首から下の身体は雉鳩を驚かせることのないように配慮して街灯の柱のように微動だにしないでいる。時間はゆるやかに水面に遊ぶ陽の煌めきやせせらぎの音とともに水路の下流へと運ばれていった。やがて納得の出来る答えを引き当てた雉鳩は再び前を向くと冬子にまるい背中を見せてそのまま動かなくなった。  やがてじわじわと強まる太陽の輝きがその水路の面全体を豊穣な稲穂の大海へと変えた。ふたつの背中はいにしえの昔から仲睦まじく横並んた白樺と花崗岩のように久遠の岸辺から満ち溢れてくる時を眺めていた。
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modernheavy · 9 months
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今日読んだ漫画 2023年7月17日(月)
パルシィ(漫画アプリ)
🦊『変幻の半狐』いくたはな
となりのヤングジャンプ
👧『she is beautiful』凸ノ高秀+江坂純
[第36-2話] she is beautiful - 原作:江坂純 漫画:凸ノ高秀 | となりのヤングジャンプ
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littleeyesofpallas · 4 months
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Itsuwarihime no Naishogoto[偽り姫の内緒ごと]
Oji Neko[おじねこ]
A neighbor is sweeter than a kiss[おとなりさんはキスより甘]
FIRST LOVE WITH ME AGAIN[俺ともう一度、初恋。]
CARDCAPTOR Sakura CLEAR CARD-arc[カードキャプターさくら クリアカード編]
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GIFTED[ギフテッド]
Koisuru Bokura no Naisho Banashi[恋するぼくらのないしょ話]
SHINKON DAKEDO KATAOMOI[新婚だけど片想い]
chihiro-kun wa atashi holic.[千紘くんは、あたし中毒。]
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Anyway, I will fall in love with you[どうせ、恋してしまうんだ。]
Hitorijime shitai, koinanda[ひとりじめしたい、恋なんだ]
pichi pichi pitch aqua[ぴちぴちピッチ aqua]
Fuji no Kousha-sama wa Sakura no Himegimi ni Hatsu Koinaka nari!![藤の公爵様は桜の姫君に初恋中なり!!]
Hengen no Hanko[変幻の半狐]
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penguin tachi.[ペンギンたち。]
Bokura ni shika Egakenai Koi o shiyou[僕らにしか描けない恋をしよう]
Majo MAID wa Joou no Himitsu wo Shitteiru.[魔女メイドは女王の秘密を知っている。]
A vampire lives in the dormitory[ヴァンパイア男子寮]
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xx05484xx · 6 years
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総の括です(2017年ver)
久しぶりにブログを書きに来たらもう今年が終わる……。2017年を振り返ります。
▼1月
無職中。早寝早起きを心がけた。卵焼きの練習をたくさんする。わりと得意になった。バレンタインに備えてフォンダンショコラの練習を5回する。全部失敗した。才能がなさすぎる。
▼2月
転職する。奈良県民なら誰もが知ってる会社に入ったけれど採用されたときから正直ウーンという気持ちでいた。バレンタイン、練習の成果あってまあまあな出来のフォンダンショコラをあげられた。喜んでもらえたのでよかった。LOSTAGEとtoeのツーマンライブに行く。これがライブ始め。
▼3月
幻燈の夜には大阪編、AIMING FOR ENRIKEのツアーファイナル、河山帯礪、apa apa cafe10周年記念イベントの計4本ライブへ行く。ほぼ週一ペース!この私が!すごい。ライブ中耳栓をするようになった。めちゃめちゃ聴こえやすくなったので耳栓は最高。皆も耳栓しよう。Ukiyo Girl主催の「百年ののち」というZineに短歌を寄稿させていただいた。一生の宝物。恋人の誕生日もあった。良い1日だったなあと思える日が多かった。
▼4月
色々あって仕事を辞める。また無職になる。辞めて2日後に今の会社に面接してもらった。高校のアルバイトのときからず〜〜〜〜〜っっっと飲食業しかやってこなかったのだけれど、この会社ではじめて他業種に入る。ひええ。
▼5月
GW明けから社会人復帰する。永遠に無職でいたいと願ってしまう。新しい職場、行きたいときに誰にも断らずトイレに行けるという環境にひどく感動した。あとお昼休みの時間が変動しないのも感動した。入社して2週間くらいで出勤時間が7:00〜16:00になる。狐火さん・ムシケのツーマンポエトリーライブに行く。血ではなく魂の繋がった福岡の弟と一緒に観た。狐火さんに「ほんとうのきょうだいみたいですね」と言われて照れる。へへへ。
▼6月
恋人と3年目を迎える。うれしい。やすらぎの道にあるtuBUというカフェへ食器と食パンとペンのポストカードを買いに行ったら自分の後ろの席に安福望さんご本人が座っていらっしゃるという驚きの事態が。うれしい。職場で突然ぎっくり腰になる。完治に一週間かかった。かなしい。
▼7月
LOSTAGEのワンマンライブ(奈良ネバーランド)へ行く。しんどすぎた。忘れられない1日。誕生日に可愛いワンピースを着てひまわり畑へ行く。時期が早かったのか半分くらいしか咲いてなかった。あんまりにも暑すぎて笑うしかなかった。恋人が手作りバースデイケーキをくれる。クオリティが毎年確実に上がっているのでびっくりする。今年はアボガドクリームチーズケーキ。おいしかった!
▼8月
社会人になってはじめてお盆休みを貰う。恋人と広島へ旅行に行く。江田島へ海上自衛隊第一術科学校の見学に行った。いろいろなことを思った。弟とふたりで中華を食べに行く。恐ろしく辛かったけれど美味しかった。弟とふたりで出かけたのはこれがはじめて。母方の曽祖父とうちの家族で伊勢鳥羽へ旅行に行く。本店で食べる赤福氷、めちゃめちゃにおいしかったけれどサイズはあの十分の一くらいでいいな……。旅行っていいなあと思った。もっといろんなところへ行きたい欲が湧く。
▼9月
出勤時間が9:00〜18:00に戻る。何やら残業がちょこちょこ増える。おや……??と思いつつも残業代はきちんといただけるので素直に従う。LOSTAGEのワンマンライブ(十三ファンダンゴ)へ行く。2:50という曲が今までで一番美しく聴こえてめちゃくちゃ泣いた。行ってよかった。
▼10月
あほのような残業時間になる。お昼ごはんに今までずっとおにぎりを食べていたのだけれど、残業が多すぎてそれだけでは足りなくなってしまい、自分でお弁当を作るようになる。常備菜レシピとかをよくネットで検索するようになった。三連休にLOSTAGER東の御大が奈良へ遊びに来られる。奈良でいちばんおいしい伊酒屋ことkore karaへ一緒にごはんを食べに行った。最高だった。皆さんも是非行ってみて欲しい。
▼11月
残業時間が完全にあほになる。もはや観念する。インターネットを殆どしなくなる。精神がはちゃめちゃになりがち。ツイッターもタンブラーもインスタも殆どしなかったのであんまり記憶が無い。恋人から来年入籍しようかと誘われる。入籍することになった。がんばります。ういす。
▼12月
残業残業残業んんんんんんんんなんなんだ残業。なんなんだ!!!!!!高校の頃からの大親友が結婚披露宴に呼んでくれる。実はウエルカムボードを描かせていただいた。本人のみならず、大親友のおばあちゃんがめっっちゃめちゃに絵を褒めてくださり、とても嬉しかった。描くのは本当に大変でもう二度とやりたくねえなとは思ったものの、引き受けたことは本当に良かったなあと思った。サプライズで中座のエスコート役にも呼ばれた。海老を食べている最中だったのでマジでびっくりした。結婚式とか披露宴とかいうものに初めてお呼ばれしたのだけれど、最高のイベントだと思った。Laika Came BackコンサートとTHROAT RECORDS大忘年会へ行く。ライブ始めもライブ納めもLOSTAGEな一年でした。
さすがに今月のことは記憶がまだはっきりしてるなあ。それ以外のことは結構思い出せなくてツイッターとか色々遡らないと書けなかった。でもログインしてない日も多かったので、ほんとうはもっと色んなことがあったのだと思う。まあ、思い出せなくても、過ごした時間は私の中に確実に存在するので、よしとしましょう。今までにないくらいライブに沢山行けたのは良かったなあ。殆どLOSTAGEだけど。わはは。
今年のはじめに書いたブログの一部。
『今年の抱負。今年は、今までよりもう少し、自分のために生きる年にしたい。ごはんを三食たべる、毎日お風呂につかる、恋人から貰った二体のぬいぐるみに挟まれて布団でねむる。行きたいところには行く、会いたい人には会う、お喋りをしたり写真を撮ったりする。そういうふうに出来たらいいな。料理も出来るようになりたい。いろいろ思い浮かぶね。ちょっとずつ頑張ろう。 あ、あと、とりあえずは転職ね……(小声)』
ごはんはちゃんと食べるようになった。最近は栄養バランスもちゃんと考えてる。お風呂も入ってる。シャンプーをちょっと良いのに変えた!ぬいぐるみは4体に増えた。行きたいところは結構行けたけど、会いたい人には会い足りない。写真は写ルンですをよく持ち歩いた。料理も最近頑張ってるし、転職もできたし、わりと目標達成できたな?がんばったな、ふはは。来年の目標は来年になったら考えます。今紅白見てるので��三浦大知さんめちゃめちゃかっこよかったです。
少ない更新ながらも読んでいただいている人が増えてうれしかったです。今年一年ありがとうございました!どうぞ良いお年をお過ごしください。
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yuragawa · 6 years
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Patch 8.8
初めに
パッチノート8.8がリリースされた。今回のパッチはMid-Season Invitationalで使用されるらしいとも言われており、ゲーム全体の数値バランスに関わるような変更(タワーの耐久性や収入カーブなど)には手を加えていない。一方で個別のマッチアップやチャンピオンの性能については広範な変更が行われるというパッチとなった。
時間経過によるパワースパイクの速さといった部分に手を加えると競技シーンへの影響が大きく、練習試合を組みにくいこの時期(他チームは休暇に入ったので、選手は日本に行ったりデトロイトに行ったりFortnite配信したりしている。)に行うのはMSI参加チームや試合そのものに悪影響という判断があると思われる。
では個別の要素についてチェックしていこう。
筆者はCCタンクとサポートを愛して止まないサモナーなので、ノーチラスについても言及している。
チャンピオンの変更
ルブラン
以前の変更とはいったい。というのは冗談だが、ルブランはスキルセット自体の変更は小さいものの操作タイミングやスキルの使用順、パワーの配分は大きく変化した。パッチノートにも言及されているが、”ディストーション”と”再演”で位置取りを行う場合、以前よりも計画的なプレイが求められるはずだ。”シジルマリス”と”エーテルチェイン”はスキルを全て当て切った場合に与えるダメージが重点配分された。こういった変更は他のチャンピオンでも見られるが、「チャンピオンに習熟することで引き出せるポテンシャルを強化する」という意図で行われている。
”シャターオーブ”が無くなった事で減少したミニオン処理能力は”ディストーション”のダメージ強化とクールダウン減少により補填されているが、ウェーブクリアするかチャンピオンに仕掛けるかの選択(そして攻めっ気が過ぎるとガンクを受ける)が以前より難しくなった点は留意されたし。
Faker選手やFebiven選手といったアサシンを得意とし、メカニクスに優れるプレイヤーが大暴れしてくれることへの期待感もあるが果たしてどうなるやら。
アーリ
幻惑のオーブを振ればとりあえず移動速度上昇により安全性が高まるというプレイは不可能になった。全体としては、ミニオン処理をしながらサステインし、”チャーム”と連動する要素が増したスキル、特にターゲットを制御しやすくなった”狐火で隙を突いてダメージを与える攻撃的なプレイを志向している変更と言えるだろう。追撃の始点とすることが前提のため、”チャーム”そのもののダメージは減少している。そして”スピリットラッシュ”は序盤からスノーボールできた場合の伸びしろを大きくするため魔力反映率の強化が行われた。
イレリア
Better Nerf Irelia。中盤以降の集団戦での圧力を少々下げた......のだが、基礎ステータスの物理防御と”瞬刃”によるミニオン処理能力は向上した。レーン戦でまず勝たなくてはならないという競技シーンではむしろ強化では?という声も上がるほどである。当面は監視が継続しそうな情勢だ。
サイオン
パッチノートと同じ内容の繰り返しになるが、問題は”破滅の斧”と”殺意の雄叫び”を比べた際に、”破滅の斧”はスキルレベルを上げずとも攻撃力を反映する係数が固定値であることから十分な効果が発揮できるので、”殺意の雄叫び”を伸ばしてポーク能力を高めるのが鉄板という状況である。Patch 8.7環境ではトップ・ミッド・サポートの全てのポジションで勝率が50%を超えている状態でもあった。そのため低レベル時の”破滅の斧”のダメージを弱体化し、スキルレベルを上げることで攻撃力の反映率が上がっていく形へ修正された。レベルを上げていけば従来通りの威力を発揮できるので、序盤にどちらを伸ばすのかをポジションやマッチアップ毎に考���る必要がでてくるだろう。
ヴァイ
彼女は近年のジャングル向けチャンピオンと比較して、周回速度が高いわけでもなくかといって集団戦の影響力が大きいわけでもなく...という微妙な状況にあったため、全体的な能力強化が行われた格好だ。オーンやガングプランク、カミール、ナーといった凶悪なライバルがひしめくトップレーンに戻れるかはなんとも言い難いところではあるが、スキルを回転させやすくなっている点や新ルーンとの組み合わせによる可能性の模索が行われるだろう。
ノーチラス(おまけ)
2012年頃、CCが山積み(固有能力、Q、E、Rの4つ!)だけれど使い方が今一つ周知されていなかったノーチラスは、フリーチャンピオンとして使用された週から一気に強力なピックとして浮上し、そのあと弱体化されたという過去を持っている。主に”錨投げ”のクールダウンを伸ばすという形でパワーを失った彼が戻ってきそうなのは嬉しいところだ。かつてのノーチラスは”錨投げ”を壁にヒットさせて移動した場合、クールダウンが半分になるという効果がついていたためジャングルを高速で回る問題児だったが、今回は大丈夫だろう。
環境の変化を検討する
新パッチにおいては、一つの変更がゲーム全体に大きな影響を及ぼすことが少なくない。トラッカーナイフが削除された際には以下の変化が生じた。
トラッカーナイフを最優先で完成させる以外のプレイが選択肢になった。
ジャングルがチャンピオンとの戦闘に役立つステータスを以前より早く上げることが可能になった。
早い時間にブーツを購入し、”プレデター”のキーストーンを用いてガンクするチャンピオンが台頭(オラフ・スカーナー)。
敵ジャングルへ侵入して視界を確保する際、深い位置(有効な位置)へワードを設置するまでの安全確保が手持ちワード数の減少により困難になった。
結果、視界を確保してゲームを支配するためにはレーンを押し込むことがより重視されることに。
変更内容はあるポジションにおける動きの基本や、時間帯ごとの影響力の大きさを全く別のものへと変貌させる可能性がある。あなたがもしアナリストや戦略分析に興味があるのであれば、様々な可能性を考えてみるのも良い。
その変更で何ができるのか?できなくなるのか?
”鉄板”が無くなることで、現れる選択肢もある
パワースパイクが早くなったりしないだろうか?
ゲームの展開は早くなる?遅くなる?
最も良い影響を受けるのは?最も悪い影響を受けるのは?
天敵が消えて浮上するチャンピオンも存在する
浮上したロール(アサシンなど)に対応できず消えることも
今回はスイープレ��ズの購入が不可能になった。Lv1-8の部分へ影響することになるが、果たして何がかわるだろう?
それでは良い週末を。
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uradouri-log · 4 years
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好きなシナリオ_過去ログ
2013~2016年頃にサイト移転前にメモしてたのを格納。 年代はうろ覚えです。 プライベッターに格納してしまってもいいかもしれない。
■ 好きなシナリオ シナリオ感想というより、好きなシナリオをただただ上げているだけのページ。 ユーティリティシナリオと店シナリオ以外は、ネタバレを避けるためコメントは少なめに。 通常、VIP、兄貴わりとごちゃまぜですのでご注意ください。(狂い、地雷はたぶんあまりあげてない、はず) ※各サイト管理人様へ。勝手にご紹介してすみません。ご迷惑でしたらご連絡ください。削除等の対応をいたします。随時更新。
◆好みな傾向(特に一番上。それ以外はあったら嬉しいな程度) ・PCメインで進行 ・口調設定有、口調対応有り ・PC同士の会話が多い ・PC同士の関係反映
◆少し苦手… ・NPCとの恋愛 ・PT内が非常に険悪になる
【はじめての方向け 】 ■チュートリアル ※一通りの遊び方を確認できます。 ■カードの世界 ※カードの使い方を実際に遊びながら確認できます。 ■ASKシナリオ ※公式サイト様のシナリオ。様々なシナリオでクロスオーバーされています。 ■さくっと寝る前カードワース ※良作の短編シナリオ詰め合わせ。
■制作者向け ※ありがたくも便利なテンプレートシナリオ(遊ぶのではなく、)WirthBuilderでこれをもとにシナリオを作ったりするのを目的に配布してくださっています。NEXT用と明記がないものは、当方はver1.50で動作確認しています。
■一人称・二人称自動設定リソース 一人称と二人称、そして口調自動設定処理まで実装されている寺雨さんのテンプレートシナリオです。口調設定の処理を組むときにすごく参考にさせていただいてます。 ■二人用テンプレートシナリ(NEXT用) 二人用シナリオを制作する上で、キャラクターの役割分担、口調分け設定、3人以上で入っても問題なく開始可能な処理まで実装されているサンガツさんのテンプレートシナリオです。
【ユーティリティ】 ※口調、性格、種族、嗜好とか自分のキャラに細かい設定ができます。 シナリオによって対応してたりしてなかったりしますが、自己満足できていいかも。 これ以外にも沢山公開されてます。 ただ、個人サイトに控えめにあげられてるのが多い。
■VC2 ※年齢、性別、特徴、口調、種族、職業、役割、恋愛関係設定可能。 これ以前に上げられているユーティリティシナリオのクーポン配布がまとめて出来るので、 このユーティリティシナリオである程度クーポンをPCに配布しておけば、にやっとできるかも。 (口調、種族、職業、役割、恋愛関係は特に。) ■初期クーポン編集 ※年齢、性別、特徴設定可能。 ■称号登録所 ※口調・職業・役割などに加え、酒豪・方向音痴といったフレーバー的なクーポンを配布するシナリオ。 ■VIP Wirthクーポン配布 ※口調、性格、嗜好とか。現在入手不可ですが↓のシナリオで一部のクーポンは入手可能。 ■宿の自室 ※一人称、二人称、口調、性格(例:知識人、ツンデレ/素直、大人/子供など) それとこの方の「一人称二人称自動設定リソース」がとても参考になるしありがたいです。 ■風聞の暗躍者 ※口調、性格、味覚、生い立ち、性癖、職業、役割等色々設定可能。かなり他種類のクーポンが配布できます。 ■夢クーポン配布所 ※冒険者達が抱く夢をクーポンで配布。PCの個性付けに。 ■アスカロン教会跡 ※冒険者の心の闇を付与するクーポン。PCの個性付けに。 ■冒険者の心得 ※これで配布されている「料理上手、料理下手、デスコック」 は他のシナリオで見かけたりします。デスコックいいよね!! ■非公式種族登録所 ※いろんな種族クーポンを設定できます。鑑定を使うと・・・?作者様のシナリオはこれら種族に対応してることが多いので、より楽しめますよ! ■Adventurer’s Spice ※特徴付けクーポン配布シナリオ。食事傾向と関係設定が色々あって素敵! ■英知の書 ※異言語クーポン。 このPCはこの言語に精通している・・・とかとてもいいなっておもいます。 ■クーポンマガジン CW号 ※ユーティリティシナリオの称号はかなりの数網羅されている。もう手に入らないシナリオのものもあるので有り難いですね! ■星の距離を超えて ※人外PCの人間に対する思想や態度を決定するクーポンを配布されています。種族に寄って複数パターンにわかれているので突入するだけでも楽しいです。 ■その鏡に写るのは ※髪色、瞳色クーポンを配布されています。さりげに吸血鬼クーポン反応して嬉しかった…。
【 街・店 】  ※街中でイベントをこなしていったり、スキルを購入がメインのシナリオ。 好みが分かれるので色々探してみるといいかも。
■交易都市リューン #C2 ※画像差し替え、口調設定可能なリューン ■轗軻の人 ※美麗で心くすぐられる魔術 ■碧海の都アレトゥーザ ※港町で買い物とクエスト。舞踏家スキルときめく ■メレンダ街 ※買い物と数え歌を巡る謎。多種多様お洒落なお店とスキル達 ■隠者の庵 ※他のシナリオで対応されているスキルが沢山 ■水は流れず ※吸血技能販売シナリオ。PT内で吸血契約可能。 ■思い出は緑 ※植物系スキル。グラフィックが綺麗。温室とかいいなあ ■死霊術師の館 ※死霊術師、吸血鬼技能の販売+α。職業、種族クーポン配布有り ■4色の魔方陣 ※幽閉された魔術師からスキルを教わる。格好いい系魔術 ■城館の街セレネフィア ※多種多様スキル。銃スキル好きだなあ ■明けの森の花屋 ※精神適正、花スキル ■魔女のビブリオテカ ※セイレーンやエルフ専用スキル。種族クーポン配布有り。綺麗! ■きつねのパン屋さん ※妖狐技能とアイテム(パン)販売。妖孤クーポン配布有り。可愛い! ■WELCOME TO ADROAD! ※種族クーポン配布有り。グラスホッパーとライカンスロープいいぞ・・・いいぞ・・・ ■万魔の街シュカー ※人外向けクーポン盛りだくさん!!人外好きさんにおすすめです。 ■闘者の杯 ※アイテムとスキル。アンティーク調で高性能。リューンスキルのアレンジがすごいかっこいいです。渋いぞ!! ■時計塔と霧の街 ※吸血鬼や歌劇、機甲技師、医療系、童話モチーフ。見て回るだけでも楽しい作りこまれたスキルカードがたくさん。 ■夜渡る鬼 ※短剣技能に加えて、吸血鬼PCがいると…。【器用】適正の吸血鬼技能が嬉しい!局外者経由PCでぜひ! ■忘れ水の都 ※時空魔法(隠し)とか舟歌技能が好きです!斧とオカリナ技能も好きだ。 ■魔光都市ルーンディア ※血液パックが売ってるのがすごい。吸血鬼PCもにっこり! ■リューン互換+α ※リューン互換の美麗スキルカードにうっとりします。宝石モチーフになってたり、エジプト風になってたりとても素敵。 ■湖水都市カスケード ※ここの教会区の技能が好きで…。神官戦士達の槌、斧、槍、鎌、剣が特に好きです! ■万色の魔術師、その遺産 ※火・土・光・風・水・氷・雷・闇・無・星の全部で10種類の属性の美麗な技能が。魔術師PCの得意属性を考えながら買い物したらとても楽しいと思います! ■うさぎ小屋 ※器用適性の超能力・双銃・香水・家政婦・舞踏スキル。双銃かっこいいー!!
【クエスト】
■新月の塔 ※塔に囚われた五人の仲間を助け出せ!仲間を助けていく課程がたまらない。 ■アゼリナを翔る者達 ※船旅と港町、観光したり、謎を解いたり。壮大。キャラの人格設定が合致するととても燃える。 ■深き淵から ※PTに関係設定してプレイをおすすめ。PT会話豊富。最初の選択肢は是非大事な相手がいるキャラで。 ■桃源郷の恋人 ※PTに関係設定してプレイおすすめ。PT会話豊富。所持クーポン分岐、イベント分岐が作り込まれていて何周やっても楽しいです。
■廃墟のひとり子 ※姿を消した仲間を残りの5人が捜す。姿を消した側の仲間の場面もみれてときめく。 ■悪夢の地※PC達のかっこよさ。壮大で燃える展開。マルチエンド。一番長い展開のエンドは本当に熱くなります。 ■見知らぬ仲間 ※リーダーを気遣う参謀と盗賊が一癖あってたまらない。 ■帰らずの遺跡 ※参謀かっこいい。自キャラの参謀がリアリストというか冷血タイプなら是非。 ■碧眼の瞳 ※幾度も試行錯誤しながら頑張るPC。シリアス。徐々に広がる展開。 ■冒険者の宿で ※ある程度散策進めていくと、釣り、散策、ダンジョンなんか色々出来る。時々墓地の教会で…? ■砂を駆る風となれ ※PCの魔術師役メイン。カンタペルメのネタで雑談可愛かった。砂漠はロマン。 ■敵意の雨※シリアス。数々の強敵を倒してきたPTで是非。 ■協奏曲<FATE> ※6話完結。作り込みが凄い。リーダーメイン。2話目は是非リーダと仲の良いPCで。吟遊詩人反応有り。 ■キカイジカケ ※口調対応はそれなり。演出が凄く好き。リーダーと相棒がとても仲良しなので、そういう二人を選択するといいかと。 ■紫紺に染まる真紅都市 ※ファッションショー開催までに事件解決するシナリオ。多数のクーポン対応によるPCとNPCの反応の多さに脱帽と感動。調査楽しいいい ■凍える湖城 ※冒険者たちがわいわいしながら街を助けるのがとても好きです!サブイベントあったりする!かわいい!! ■幻牢の王国 ※見知らぬ土地で散り散りになった仲間を探しにいく…冒頭からときめきますね。仲の良いPTの軽いやりとりがすごく楽しいです! ■ 銀の小袋亭※暗殺者タイプの盗賊キャラで是非 ■ジェーンシリーズ ※コミカル。PCとNPCのやりとりが楽しい ■相棒捜しの依頼 ※親友、片思い、恋人設定で楽しめる ■ 汝は王様なりや?※さくっと笑いたい方。テンション高いパーティが好きなら。パイルドライバー!!!! ■屍の恋人※お互い大事に思っている相手がいる2人をパーティに入れて是非 ■よいこの雑貨※保護者とマスコットのある日。可愛い。ほんとかわいい!! ■幸福な関係 ※大事な相手を看病する話。親友、片思い、恋人で楽しめる ■盗賊物語 ※盗賊、盗賊スキル大活躍。潜入捜査とか好きな方向け ■B.U.Gallery ※ちょっと背筋が寒くなる話。PT内の会話多くて楽しい ■記憶は洞窟の中に…… ※仲間の1人がうっかり記憶喪失に。コミカル ■紅し夜に踊りて※紅い夜に戦う冒険者達。最後の敵は…! 人外PCいたら本当滾りますよ。 ■劇団カンタペルメ※演劇しようぜ!! 大好き!!! ■にわか雨の英雄 ※コミカルな立ち位置のPCがいれば是非。娘さんとの攻防! ■局外者 ※じんわりと雰囲気が大好きなんです……。PC1人が吸血鬼になってしまうのでご注意ください ■木の葉通りの醜聞 ※知識人、参謀系PCがとても格好いい。ちょっとした推理。 ■虹色の魚 ※海に潜って魚探し…だったんだけれども! ■がたごと。 ※おだやかにべた甘ですね…。お互い素直で甘い関係のPCがいるなら ■喧嘩にかぶる笠はなし ※ツンデレ口調が、なんかもう…好きです(真顔)くだらないことで喧嘩するけど仲良し冒険者達で是非 ■交易都市の一夜※追っ手をまいて書類を届けろなシナリオ。PCが帰らぬ人にならないようルート選択は慎重に… ■寸劇剣戟バレンタイン※しゃべりまくるPC達が楽しい!寸劇しながらチョコを依頼人にあげるシナ。クールなPCだとイメージに注意かもしれない。 ■月下美人 ※仲良しな二人組で。親友、恋人設定と口調設定可能。ツンデレも付与できます。ときめきます。 ■相棒捜しの依頼※2人用。恋人、片思い、親友関係設定+喧嘩仲間、普通、主従、暴走選択可能。口調設定もできるので、PCに関係設定考えてれば是非。可愛い。 ■ゴブリンの洞窟coolREMIX ※お前等…クールすぎるぜ ■アンタレス ※この世界観、雰囲気が凄く好きです…。静かな夜の街を一人で歩く。 ■盲目の道筋 ※すごい緊張感。低レベル向けとのことですが、高レベルでも楽しめるんじゃないかな。背筋が寒くなる演出が凄い。 ■美酒は魅惑の味わい ※兄貴系シナリオです。しかし、お酒の材料集め楽しい。 ■ザベリヤ村の攻防戦 ※緊張感ある村探索とギミックや建物を利用した篭城戦にときめきました…。 ■施錠された小屋 ※みんなで小屋掃除。丁寧な作りです。どうしようもなくなったばあいもちゃんと脱出できますが、色々とアイテム利用していく課程楽しい。 ■雨宿りの夜 ※この静かにぞくりとする雰囲気が大好きです…。探索ほんのりホラー好きにお勧めしたい…! ■ガラス瓶の向こう ※深い絆で結ばれた二人の冒険者でどうぞ。たのしみすぎてDLからしばらくプレイできなかった。ときめきますね。 ■賢者の果実 ※受難の主人公(戦士タイプ、あまり頭良くないの推奨)と仲間の掛け合いが凄く楽しいです。 ■My Own World ※恋人、仲が良すぎな親友とかの二人でプレイを是非。片方が依存気味なのがすごくたまらんです ■祝日のネットワヤージュ ※パーティがわいわいしながら、年末大掃除。保護者とマスコットの間柄設定できるノ嬉しいな。クロスオーバーの会話もいい。 ■ネムリヒメ ※仲の良い2人でぜひ。 ■わっしょい! ※わっしょい!!わっしょい!!そいや!!そいや!!(かなりルート分岐があるので狂い系大丈夫ならぜひ) ■アッチャラペッサー ※アッチャラペッサーアッチャラペッサーアッチャラペッサーアッチャラペッサーアッチャラペッサーアッチャラペッサーアッチャラペッサーアッチャラペッサーアッチャラペッサー ■聖北屋敷(仮) ※吸血鬼が主人公ですよ!!吸血鬼PCをコミカルに大変な目に会わせたい人あつまれー!! ■魔導書解読の依頼 ※次第に様子がおかしくなるPCの1人。PT同士の会話がいろいろ考えられていて楽しいです! ■赤い花は三度咲く ※戦士がかっこいいーー!!戦士と参謀の互いを考えてこその喧嘩から始まり、救出、その後の展開が素敵。 ■毒を食らわば ※2人シナリオ。皮肉屋参謀とちょっとお人好しの戦士がかなり危険な目に。シリアスでややグロ。なんだかんだ信頼しあってる感じがすごく良いです。あと全体の雰囲気が好き。 ■In the mirror ※とあるNPCはわかるひとにはわかるあの方。巻き込まれたPCを助けるために仲間ががんばる展開大好きです。 ■Through the hole ※↑の続き。切り替えながらダンジョンの謎を解いていくのが楽しいです。バッドエンドはなかなかぐろいので注意。 ■アケロンの渡し ※最後の台詞がかっこいいです。幽霊船探索は楽しいぞ! ■老婦人と絵画 ※老婦人と1人のPCの短いふれあい。長命種でやるとまた感慨深いかもしれない。私はひねくれ系のやつ突っ込ませました。 ■ウニ退治 ※狂い系なのかな・・・?な、なんかすきです・・・。 ■まどろみは竜の夢 ※依頼先で病に倒れた主人公を救うべく、仲間たちが探索へ。PTの会話が主体。雰囲気が素敵です。 ■船出の歌を歌うという事 ※1人用。目が冷めたら見知らぬ船にいた。魂を救ってあげる話。静かで切ないですが、美しい雰囲気です。 ■碧落飛翔 ※竜と共にレースに挑む話。主人公だけじゃなく他の仲間との連携や支え合いが描写されていてたまらない。後半の流れは鳥肌ものです・・・! ■Mimic ※参謀かっこいいーー!!後半の台詞ははまるかたにはがっつりはまるとおもいます。あと全体のつくりがとても丁寧だなあと感じます。 ■ごく普通のゴブ洞 ※これだけ大量のフレーバークーポンに対応しているシナリオを今まで見たことがない。すべてのPCでいきましょう!!ぜひ!! ■ハロウィンカーニバル!!(仮)企画サイト ※限られた素材を生かして各々がシナリオを作り、一箇所のアップローダーにまとめあげる企画。楽しいハロウィンシナリオいっぱい。 ■Wolf’s Night ※狼男の足取りを追うシティアドベンチャー。PTのキャラ付けがしっかりされているので合致すればかなり盛り上がるかと! ■ワナ罠 ※カードワースならではの楽しさ。まずはぜひやってみてほしいです。楽しい! ■まどろみは竜の夢 ※主人公と相棒の掛け合いを中心としたシナリオ。とある竜との邂逅。展開によっては…? うおお好きだ。 ■ねことぼうけんしゃと ※猫に触りたい冒険者とそれを見守る冒険者かわいい!!保護者とマスコットみたいな間柄で遊ぶと暖かい気持ちになります ■日記 ※同じ組み合わせで周回プレイでなるほどとなる感じ。PC同士のやりとりが、お互い信頼しあってるんだなあと感じて嬉しいです。 ■夜と私と吸血鬼と ※メンタル弱い吸血鬼ってかわいいとおもいます…。いつもは不遜な子がよわるとこうなるでも、もともとちょっと打たれ弱いタイプでも私は美味しいなと!! ■パーティ名会議(新) ※素養クーポンたくさんあればあるほど会話の幅が広がってすごくたのしい!!です!! ■夜闇を駆ける ※親友な間柄でやりました。視点切り替えと時間制限の緊迫感がすごい。頭脳担当の方のリドルは右の部屋に苦戦しつつなんとかなったのでよかった! ■金の鍵の部屋の恋人 ※内側にこもらせる系PCが好きだとときめきます。表面は落ち着いた水面みたいというか、感情を爆発させず、淡々とした態度をとってる相方が愛しい ■黄昏の恋人 ※仲間の逢引(?)現場に遭遇した主人公の胸中がみていてにやにやしてしました。相方が主人公を少し子供扱いしてるのが好きです。あとさりげに素養とか吸血鬼クーポン反応してるっぽくてウワアア! ■隣りにいるのは ※無音と効果音で構成された場面と、要所要所でかわされる会話で、じわじわと這いよってくるような恐怖とか狂気とか執着が垣間見えて、心臓を鷲掴みにされます。 ■より道 ※子供PC2人をつっこんだら大変かわいいリリカル空気になってこっちがにやにやしました…。好意をオープンにしてるほうのPCの可愛さ。と内省的な方のむずむずした感じがすごくいいです。 ■鋏 ※戦闘狂と飼い主の組み合わせがまず大好きです!!まさにそういうPCが自PTにいたので嬉しい…。戦闘狂の方を表現する文章一つ一つが、目を通す度に染みこんでくるような感覚になりました。 ■たなごころ ※長命種と短命種の組み合わせがまず大好きだし、この短命種の包容力と長命種の普段はそうでもないかもしれないけれど、ふと未来に不安を感じている臆病さが大好きだなあと思いました。 ■木漏れ日の雫 ※さりげない会話に気心知れた2人という印象を受けて穏やかな気持ちになりました。無礼講!という事でで酒癖暴露されてると楽しいです…ww ■6月末の簡易ブライド ※かーーーわーいかっっっったーーー!!冒頭のやり取りが大好きです。ドア「(解せぬ)」 ■なんかヤバイ洞窟 ※なんかヤバイので、いかないとまずい的な(たとえ脳筋戦士でも落ち着いたリーダーでもクールな参謀でも語彙って大事なのがわかる)
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azure358 · 4 years
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--深海人形特別篇-- Legions 02
ーー老いることも死ぬことも、人間と言う儚い生き物の美しさだ。
ーー胸を張って生きろ
ーー…以上、煉獄杏寿郎の台詞より
※…以下、Twitterの自アカウントより、今迄、文量不足やら記事躊躇ったやらで出せずに居た相当に過去の物を引用(※…一部、修正、若しくは、改変)、或いは、遠く長い間、御蔵入りになって居た書き下ろしの文章を掲載(※…ずっと、誰にも知られる事無く、適当にひっそりと眠らせて置くのも……と思い。)。
[[MORE]]
※これから先の
※こいつ様予言集()
…オタクが今まで以上に、最底辺の人間とみなされ、差別される時代が来る。オタクを名乗るDQN人間が、平気でサブカルアニメゲーム漫画を打ち壊して止まないので、古典&文学研究方面(※又は、ハイカルチャー全般)に走り出す人が増える。
大衆は悪い文明?いや文明ですらありません。文明に似つかわしく無いので、大抵人間未満であるが為に、ただ文明に飼われるだけの家畜でありましょう。そして、大衆文明と言うのは大衆を家畜化しきることができた『偉大』な文明の事を言うのです。
これから先、この国、日本にも、ナチのような政党が出て来て、そんなナチみたいな奴等に、便乗する輩が大量に出て来る。これは予言だ。大衆文明の行き着くところなどそんな物だ。
或いは『隠居』する。 死ぬ間際に本にして、後世の人の為に残しておく事もあるかもしれない。それくらい、今の内に自称オタクのDQN馬鹿を、ある程度以上に駆除しておかないと、オタクの世界って、更に、末期際どくなる。
大衆は、手慰みに、自分の首を締める真似をする。
ウチの親がよくそうしていたように。
中世スペインのある村で、馬鹿騒ぎのあまり自分達の村を破壊した村人や、例の『御下品革命』の民衆、『ウォール街の靴磨き少年の逸話』を出すまでも無い。
大衆は文化を踏みにじる。
ウチの親がよくそうしていたように。
…文化と文明は、いつも優れた人間が、作り出す。…『大衆が文化を作り出す』と言うのは、明らかに幻想だ。
…盗権はこれから、パチカス・スロカスマネーに手ェ出しはじめる(高確率で、文詐欺の方も)。
…これからは、若くしての死人が増える。…今までが、あまりにも、死ななさ過ぎたから。…それ以上に、老人が多く亡くなっていく。
…これからの高齢化社会は、ーー 一部今まで通りながらーー 気に食わない老人から、順に、高齢者を大量に殺す社会になる。
…なので、無為に長生きする事を拒否する老人ばっかりの世になる。
全体主義・世間の大多数が支持する意見に棚引かないような、『酷い個性』が、次々に、闇で撃ち殺されて行く世の中になる。
親が子供を殺す事が常套化する。
…多喜二さんみたいに、又、見せしめで殺される人も出て来るかもしれない(※これで精神的に大打撃を受けた、共産主義者とプロレタリア文学者は多いと言う……)。何時の時代も、警察は無能ですよね。
…癌以上に、新型梅毒、新型肺結核が脅威になる(※…もし、新型天然痘が、これからの時代に、登場したとしても、結局は、初見殺しにしかならない)。
…、
…生まれる人間の数より、死ぬ人間の方が圧倒的に数多くなった時代が、もうすぐ、世界的にやってくる。
※試製対デミウルゴス型ゼロ・ディヴァイド〜The Enforcer.
※個人的な、二次創作とは?、…についての駄文(※前半Twitter自垢より引用)。
※この文章は、ある特定の人々の二次創作を否定する物ではありません(※御安心下さい)。
…いつか、紙の、今までの小説再録した同人誌を幾らか(※コピ本では無くオフセット製本で 出したいなと思っていたけど、今回の件で完全に出さない事にした(※一生な)。
…今こそ、同人は、昔の同人雑誌、我楽多文庫、アララギ、ホトトギス、白樺、明星が出ていた時代に戻るべき。
…原作敷衍して、若しくは、肉付けして、設定やら世界観膨らましていくの楽しくない? …それなのに、なんで、一から俺設定、俺性癖てんこ盛りで、謎パロディ謎捏造塗れの原作塗り潰すばっか真似をするの?(※理解もしたくない)、
…ほんと、今までやって来た二次創作と人生は無駄だったのか……?(※虚無感)。
…軽率コラボ控えるようにしたら「なんで最近軽率コラボネタ無いんですか?」、拙作のネタをあのモラハラ腐豚共からネタパクりされた!って言ったら、「元々どっちも二次創作なんやから同じ元ネタ借りとる者同士、大目に見てやれや」…、……最早、日本のオタクは9割以上方絶滅した方が良い(※結論)、
やはり人生早く死んだ方がマシだ
腐、同人ゴロ「…二次創作は原作から逸脱すべき、しないのは最早海賊版!」←これよ()
…昔から、ずっとジョジョに寄生する二次創作者多過ぎ(※なるべくワイがジョジョクラスタを避ける理由)、
…前々から、…ああ言う、ジョジョに寄生する二次創作オタクと自称ジョジョマニア大っ嫌い。…結局は、その人達は、荒木先生の才能を当てにする『虎の威を借る狐』で、ジョジョにいる理由も、(※今の言葉で言う所の マウント取る為でしかない。ジョジョは、かなりそう言う寄生害虫共にやられてる(※確信)、
…確かに、何処のジャンルにも、そんな、寄生害虫共は沢山いるんですが、それでもジョジョジャンルはずば抜けて多い(※テレビアニメシリーズ化する前からずっと多い)、
…昔から、こいつ様言ってたよね。
「…ガレッガ拙作小説読むより、バトルガレッガしろ!指の折れるまで!」って(※…他ゲーが原作の場合もそうですけど!
…で、それで、どれくらいの人が、実際に、ゲームをやってくれたでしょうか?…今、思えば、二次創作マジ馬鹿馬鹿しい案件の萌芽だったと(ry
…とにかくリクエスト送って神絵師・神物描きに頼るより私自らが出る!(※自家発電派(※全体に向かって発表するとは言っていない)、
…同人二次創作で「作者の尊厳!」とか言い出したら、…それ以前に、原作者の尊厳はどうなるの?(※原作私物化してないか?)
今まで公式の為に二次創作して来たはずなんだけど、結局は全部無駄だったな。
…二次創作、あんな無駄な事に、貴重なはずの人生を割かなければ良かった。いやその前に生まれて来た事自体が間違いだ。
…並木先生は、Rev.2016限定版付属の小冊子『BLUE SCAPE』で疾風の音楽について、『東亜プランのドライバ(※注:音源の事)で崎元さんの音色が鳴っている』と御書きになられていましたが、個人的に、私の、理想的な二次創作についてのイメージも、丁度、そうです。
『原作を音源に作者の組んだ音楽が鳴っている』。多少のアレンジ、独自要素の追加があろうとも。…やはり、基本はそうあるべきでしょう。
…だけど、巷の二次創作は違う訳です。最初から極特定のキャラ(※多く推しCPとその他御気に入りキャラ)だけ同じであとは原作の世界観諸共全部違う事など最早、日常茶飯的です。…その作者にとって、都合の良い処だけが残って、都合の悪い所は一切無いように『世界観的なシステムプログラム』が組まれていたりもします。…そこで、私は、こう思うのです……ーー「…何故、都合の悪い所を逆に利用して、上手く面白く、その点を、描くようにしないのだ?…せっかくの材料を、せっかくの原作の大事な一部分を、どうして、ワイの気に食わないから!と排除するのか……?」…と。
PS.…東方原作は、まだ、好意的に思えても、巷の東方二次創作自体は、かなり未だに嫌いです。
…各拙作で、『世界観第一』、『登場人物のスタンドアローン性、…そして、各々、独自の性格と人間性を、何よりも重要視して』来たのは、あんなマジどうしようも無い『腐った牝豚共(※特に性根が)』に対する『アンチテーゼ』でもあるのですが……(※…何度もこう書きますが、キャラクターはレトロシューティングゲームの如く、世界観の為に消費されるべきです ※独り歩きだけはさせてはいけません)。
※次の世界へのプロトコル〜The my Blue Print.
※『…同人とは、二次創作とは?それらはこれから、そして今どうあるべきか?』…と言う事を個人的に、オリジナリティー溢れる()見解を以って書いた。
…『知は争いより出ず』。…常に、画期的なアイディアは、戦闘的であり、闘争的であり、それは、大抵、一種の『生存競争と言う名の戦場』で生み出されるのである。
…世間のヲタク(※腐豚も!)は、よく言う。二次創作は楽しんだもん、萌えたもん勝ちだと。…だが、本来、そうでは無い。…本来、二次創作とは、公式とその界隈に貢献した者勝ちの世界である。
…少しばかり以上に、…公式に、金が行くようにしてやるべきであり、…その公式に『殉ずる』界隈の為に、常日頃から、『新しいアイディア』を出してやるべきなのである。
…その前に、二次創作者がデカイ面するな!と言いたい人は、沢山いるだ��う。まさにそうである。当然ながら、���々のようなのは、いかにも、『夜郎自大な』デカイ面をしてはならない。
…だが、世の中には、その作品ジャンル、公式等に擦り寄る為『だけ(!)』に、二次創作とか同人作品とかしている……、……そんな輩が溢れ返っている。
…軽く、これまで出会って来た中で、自前の具体例を挙げてみれば、自前の絵本に出て来るゆるキャラ(?)を売り込む為に某弾幕SHTの祖とされるレトロ縦シューを絡めた写真画像付きつぶやきを投稿をしてた(※これを初めて見た時は、ーー今はひどく恥じ入る案件の一つだがーー、少し感激したが、よくよく考えてみればこれは 『明らかに』 ただの、自分の絵本を売りたいが為の『擦り寄り行為』ではないか?)とか、その某同人格ゲー(※及びそのアーケード版と続編)で声優をしていた中の人が、つい最近まで、自称:半公式のオンラインラジオをしていたとか……本当に枚挙にいとまがない。…多分、そう言う人達は、本当に偉大な作品の一体、何処が偉大なのか?と言う事と恥を知らない北斗のモブモヒカンみたいな人達なのだと思う。要するに、実は、別にジャンル自体は何でも良かったりする、『虎の威を借る狐をしたいだけの寄生虫』な訳ですね。改めて、絵本作家、及び、その作品の作者と面識ある人として、紛れも無く、『最低』の行為だと思います。
…ほぉ〜〜〜ら〜〜〜〜〜〜〜〜ついにこうしてはっきり書いてやった名誉欲と虚栄心しか最早無いような連中の醜態言ってやったゾ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!(※得意気)
…何言ってんの、その人。現実は物語では無いだと?…歴史が一番だけど、現実自体が一種の物語なのに草(※シェイクスピアすらも教養にないのかな?)
…聴く耳を持つ者は聴くがよい(※聖書)。…物語を制する者は世界を制する、ホピ族の格言。
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isya00k · 7 years
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涼風に鳴る幽かの怪―肆
 ぽてぽてと短い肢で歩み寄ってきた猫は、猫と呼ぶには余りにずんぐりむっくりとしていた。  大きな鼻と球体と譬えてもいいようなまん丸とした体。猫と言うよりかこれは――豚だ。  二股に分かれた尻尾が猫らしさを感じさせるが、目つきの悪さと鼻のでかさがその印象を薄れさせる。長い尻尾を二本持った真っ白な豚がそこには存在していた。 (ぶ、ぶさいく……)  口から出かかった言葉を飲み込んでたまは視線を逸らす。先程、言葉を喋っていた。  言葉を……? 「ね、ねねねねねねね?」 「たま?」  正治と猫。  緋桐と猫。  交互に見直しても、猫の姿は変わらない。「なんじゃ、その小娘は」と大欠伸を漏らした豚のような猫にたまの表情は更に引き攣った。 「ね、ねねっ」 「そうじゃ、わしは猫じゃよ。豚なんかじゃありゃあせん」  豚でないことを驚いている訳じゃない。確かに第一印象は豚だが――でっぷりと太った様子がかわいいという言葉を発してあげれない自分が切なささえも感じるが、そうではない。  猫が。  猫が、喋ったのだ。 「ね、猫が、しゃ、喋っっっ!?」  外見に気取られている場合じゃない。猫は、普通に意思疎通を行ってきている。  指さし、思わず竦んで後退するたまに緋桐は首を傾ぐ。怪奇現状だ。狐のクオーターとか、陰陽師とか、蛇女とか、そういった事からすれば些細なことかもしれないが自分の『まともな人間回路』は未だ麻痺していなかった。 「そりゃあ、喋るわいな……」  困り顔の猫にたまは絶句した。 「猫が喋る事位あるだろう?」 (あるわけないでしょ! 妖怪『目付き悪い』め! まともだって信じてたのにっ)  たまの中にある正治は案外まともという幻想ががらがらと音を立てて崩れていく。  乱雑に置かれた埃だらけの椅子にへたりこみたまは頭を抱えた。……妖怪の世界では猫は普通に喋るし、狐は意地悪で……ああ、なんてことだろう。  埃だらけの古びた写真館。映像を映し出す事はない廃墟と化したその場所で猫は大欠伸を漏らし緋桐を見上げていた。 「その嬢ちゃんは『こちら側』の癖に胃弱じゃの。吃驚病で死んでしまうんでないかい」 「吃驚病なんてものがあればね」  びっくり病なんて謎の奇病の話に花を咲かせ始めた猫と狐。  不憫に思ったのか、そっと肩を叩いてくれた正治の表情は、いつもより優しく感じられた。 「……それで、こんな場所まで何の用じゃ? 八月朔日の坊の事はよぉく知っておるがの。  吃驚病のお嬢ちゃんは何じゃ? 見たところ、わしに会わせるために連れて来たんじゃあないじゃろうに」  二股の尻尾をゆらゆらと揺らしたでっぷりと太った猫は首を傾ぐ。  埃をある程度払って、懐から使い古された風呂敷を取り出した正治はたまをそちらに座る様に促し、猫の様子を見つめている。 「こちらはたま。幽霊退治の依頼人だ」 「奇抜な依頼人じゃの」  くあ、と大欠伸を見せた猫はその瞳に爛々とした色を乗せる。  含みある言い回しで緋桐を見上げた彼女――きっと、前説明通り彼女なのだろう――は短い前足で頭をかしかしと掻いた。 「わしは雪洞。可愛いかわいいお猫様じゃの」  ふりふりと尻尾を揺らした豚猫。たまはこの猫が猫語で喋って居てくれたらここまで驚くことはなかったのにと頭を抱えた。  ……猫語とは何なのか、彼女はよく知らないが。 「それで、何用かの。狐塚」 「ああ。君さぁ、政友会のオッサンのこと口説いた訳? 例のお役所から探されてるけどさ」  床に無遠慮に座り帽子を膝の上へと置いた緋桐は困ったような顔で頬を掻いた。  例のお役所と言うのが正治へと依頼を出したところなのだろう。緋桐と正治と過ごすようになってから政府には『例のお役所』と呼ばれる場所があり、妖怪たちと深い関係性にあるのだという。政友会のオッサンを口説いた結果が役所からの捜索命令と言うのは何ともおかしな話だ。 「……そうじゃの。適当に遊んだだけじゃ」  詰まらなさそうに雪洞は言う。その言葉に困った様に緋桐は大きな息を吐き出した。 「適当されても困るんだけどさぁ」 「狐塚がわしで困るなら楽しいわいなぁ。紛い物(おもちゃ)遊びは楽しむもんじゃ」  雪洞はちら、とたまを見遣る。その視線にたまと正治は顔を見合わせ小さく首を傾いだ。  玩具遊び……自分は雪洞にとって『緋桐』の玩具に思われているのだろうか。 「奇妙なお客人を玩具にするのは可哀そうじゃろうて」 「遊んでるわけじゃないさ」  猫の言葉に引っ掛かりを感じるのは自分だけではないと思いたい。たまが首を捻れば正治も同じようにじろりとたまを見つめてくる。  上から下まで、まるで値踏みするような視線は緋桐が向けて来たものにも似ていた。 「……な、なんですか?」 「いや、普通だ」 「そ、それ、馬鹿にしてるんですか……」  女の子なんですが、と唇を尖らせたたまに正治は慌てたように顔をあげ「すまない」とごにょごにょと呟く。  外見は十分大人びているが、こう言った所は初心な青年らしい。寧ろ、緋桐の方が『女性慣れ』している雰囲気を感じさせるのかもしれないが――謝られた以上、気にするのは野暮な話だ。 「余計なことは言わないでくれよ。大福餅」 「のう、狐。猫にお願いをするときは小馬鹿にするもんじゃないぞ」  凄んだ猫に緋桐は悪いねと小さく笑う。大福餅の呼び名は雪洞の外見にぴったりだった。  欠伸を噛み殺す猫の背をぽんぽんと叩いて何事かを耳元で囁く緋桐に猫は「なーお」と鳴いて見せた。 「ん、で、適当に遊んだだけだっていう役人はどうする? 雪洞はあっちに帰ったって言うかい?」 「そうじゃなあ……どうしたもんか」  向き直った緋桐に雪洞はわざとらしく首を傾ぐ。  尻尾をたしりと揺らした彼女はぱちぱちとわざとらしく瞬いて、その姿を美しい女性へと変えた。 「わし、美しいからのぅ」  ――確かに、美人だった。  腰まで垂らしたのは長い黒髪。瞳は猫の頃と同じく、鮮やかな水晶を思わせた。縁取った睫は長く、着崩された着物からわかる体のラインは柳の様に靭やかだ。 「化けると『人』が変わるよね」 「猫が変わるんじゃよ」  わざと残していたのか二股の尻尾がゆれている。化け猫と漸く同じ目線になったたまは女性としての敗北を感じた様に胸元に手を当て、大きく息を吐き出した。 「あ、あの……」  猫でないなら、会話だってできる。  ゆっくりと息を吐き出しながら声を発したたまの視線はあちらこちらに揺れ動く。 「雪洞さんは、適当にお役人さんと遊んだ? だけ、なんですか……?」 「妖怪と人間は生きる時計が違うわいね」  ぴしゃり、と言ってのけた雪洞にたまは「時計」と小さく呟いた。 「オレの外見と君の時間がずれていると感じてくれたら簡単じゃないかな、たまちゃん」  幼い緋桐の外見に、たまは何となく頷く。  妖怪は長く生きるのだという――それこそ、本物の妖怪であれば華やかな平安の世界で陰陽師たちと過ごしたものもいることだろう。緋桐の様な4分の1では影響も少ないのだろうが雪洞は本物の妖怪だ。何時から生きているのか……それを、時計の針の動きが違うのだと彼女は譬えた。 「わしは狐塚の所の『お嬢』とは違うわいね」 「ばあさんのことは言わないでくれないかな」  困った様に笑った緋桐はたまに「オレのおばあさんは本物のお狐なんだ」とだけ告げた。  雪洞は緋桐の祖母が幽世からひょこりと顔を出し、人間と出会い恋に落ちた事を物語の様にたまに言って聞かせた。 「初耳だな」と呟く正治は興味深そうに彼女の話を聞いている。狐と人間の恋は、儚いままで終わる事無く無事に成就し、半分だけ狐の力を受け継いだ子供を産み落とす――そうして、その娘から生まれ落ちたのが緋桐だというのだ。 「じゃ、じゃあ、雪洞さんだってお役人さんと上手くいって、子供ができて、その……幸せに」  ぼそぼそと呟くたまに雪洞は冷たく「上手くいくことが多い訳なかろうに」と発した。  冷たい一瞥にたまは小さく息を飲む。それは、良く分かっていた。  お役人による片恋の相手探し。相手が妖怪であることを知っているのに探してしまった――その彼の気持ちはどうなるのか。  恋に恋する乙女、たま。ぎゅ、と掌に力を込めて「でも、好き合ってるなら……」と声を震わせる。 「まあ、たまちゃん。妖怪にもいろいろあるんだよ」  宥める様に笑った緋桐の言葉に雪洞は小さく欠伸を漏らす。その仕草さえも何処か色香を感じさせるのだから頭の固い役人が彼女に揺れた気持ちも理解できる。 「妖怪以外にもいろいろあるじゃろうて。八月朔日の坊が六月一日のお嬢が持つはずの刀を持って居るのも色々の内じゃ」  雪洞の言葉に、表情を凍らせたのは正治だった。  あまり触れて欲しい所ではなかったのだろうか、腰に下げた刃に触れて、正治は表情を凍らせる。 「『くさか』のお嬢……?」 「ああ、六月一日っていうのは正治の家の本家に当たるおうちだよ。お嬢って言うのはそこの跡取り娘だね」  聞きなれない名前に首を傾げたたまへと緋桐は解説する。  六月一日家という由緒正しき陰陽師――本家は不幸にも男児に恵まれず、強い力を持っていた跡取り娘は男児として育てられていた経歴がある。  それはこのご時世なればよく聞く話であった。跡取りに恵まれなければ、養子をとるか婿取りを行い家を存続させていく。陰陽師の家ともなれば、婿や養子を選ぶのにも難しいという事か、それ故の待望の男児を頂く分家に『家宝』を授けたというのは何もおかしくはない。 「本家に生まれたのがお嬢で分家に生まれたのは望まれた男児となれば、そうもなるわいね。  ……そういえば、何処かの女郎蜘蛛の一族もそんな話を聞いたことがあるのぅ」 「女郎蜘蛛の話は知らんが、本家のお嬢を護るのも分家の役目だと聞いている。  その為の力として霊刀を頂くのは何も可笑しな事ではないだろう。いや、寧ろ……」  意地悪く言う雪洞に正治は唇を引き結ぶ。何処か言い辛いかのように彼は視線をうろつかせ、緋桐をちらりと見やった。  困ったときは狐頼りとでもいうように正治は「狐塚」と小さく呼ぶ。 「……まあ、ほら。本家のお嬢――『ていちゃん』は霊刀なんて必要ない位に強いからね」  助け舟を出したと言う風でもなく、何気なく緋桐は付け加えた。  誰にだって事情はあるのよね、とたまは僅かに納得し、美しい女の姿をした妖怪をじっと見つめた。 「でも……その、どうするの? お役人さん、探してるんでしょう?」  話が脱線し続けたが、たまは自分の目的を思い出したという様に三人へと向き直る。  一人は『色恋に首を突っ込むのも野暮だ』と言う様に眉を顰め、  一人は『わしゃ何も知らんわいね』と言う様に子供のようにふい、と視線を逸らした。  そして、残る一人はと言えば、 「ああ、それね。雪洞はお役人の事好きなの?」  直球を投げ入れることを厭わず悪戯っ子の様に笑って見せたのだった。  緋桐さん、と呼んだ声は僅かに震えた。このご時世だ。お家の事情で結婚相手も選べない、このご時世に惚れた腫れたで話をするのは野暮も野暮。 「惚れた腫れたで共に居られる関係でないと雪洞は言っただろう」 「人間同士ならお家���都合もあるだろうけど、オレ達は妖怪だし?」  慌てて口を挟んだ正治にも緋桐は何もおかしくはないと小さく首を傾いだ。  この状態の彼に何を言っても伝わらないと理解しているのか頭を抱えた正治は大きく息を吐き出す。 「……時計が、生きている時間が違うと言っていただろう」  妖怪がお家事情に縛られないとするならば――命の長さは理由にならないのか。  雪洞は長きを生きたことで普通の猫より妖怪へと変化した。その彼女はたまや正治が想像する以上に長きを過ごし、長きを生きる事となるだろう。 「もし、雪洞さんがお役人さんのことを、す、好き……でも。  夫婦になっても、その……何時かは死に別れてしまうんでしょう?」 「そうだね、きっとその時は来るだろうね」  妖怪と人間である以上は、そうなるのは当たり前だと緋桐は大きく頷いた。  その悲恋に胸ときめかすのはあくまで物語の中だけだ。袴をぎゅ、と握ったたまは胸中の思いをどう言葉にしたものかと正治をちらりと見つめた。 「お前は、どういいたいんだ? 狐塚」 「オレは雪洞次第だと思ってる。どうせ、お役人は勝手だよ。  妖怪は長い時間を生きていかなきゃいけない。人間はすぐに心移りするだろうけれどね」  妖怪と人間の違いは外見や住む場所だけではないのだと緋桐は言った。  長く生きる妖怪は、人間が一生のうちに感じる心の変化をゆっくりと刻んでいく。  役人の青年が今、雪洞に熱を上げたとして、明日には忘れてしまうかもしれない。  それでも、雪洞は彼のことを百年は思い続けることができるだろうと緋桐は言った。それ程に妖怪は長きを生き、心の揺らぎを少なく過ごしている。執念深い、と付け加える彼に雪洞は大きく頷いた。 「ここでわしがあやつと結ばれたとて、所詮はわしは妖怪じゃ。  あやつの気まぐれにわしが振り回されてやる道理はありゃあせん」 「……雪洞さんは、悲しい片思いのまま、ってこと?」  たまの言葉へと、「乙女なことを」と雪洞は小さく笑った。 「人間なんてそんなもんじゃ。何時かは大事な相手だって忘れてしまう。  大切な友の事も、何時の日か情を酌み交わした相手のこともじゃ」  尻尾がゆらりと揺れる。��がりを照らした灯りの下で雪洞は『猫』のように笑って見せた。 「――一晩でいいんじゃ。わしに時間をおくれ。全く、人間はわしを惑わせる」  活動写真館を後にしたたまは妖怪と人間の違いを改めて考えていた。  正治と自分は『普通の人間』で、緋桐は4分の1が妖怪の血を含んでいる。  雪洞の言った『時計』を感じることがない自分たちが彼女の気持ちを大きく揺らがせたのは、あまりに無遠慮だったのではないかと思ってならない。 「たまちゃん、何考えてる?」  屋敷について、正治が茶の準備をしている最中に緋桐は何気なく問いかけた。  彼にとっては当たり前の妖怪と人間の違いは、たまにとっては新しい世界であり、全く知らなかったものだった。 「ねえ、緋桐さん。妖怪のこと……教えてもらってもいい?」 「君は、そうやって危ない橋を渡るのが好きなんだね」  からりと笑った緋桐は困った様に肩を竦める。  霊力のある正治が妖怪について学ぶのとは大きく違う――たまは、普通なのだ。 「オレが妖怪について教えてあげるのは簡単だよ。  雪洞の事、オレの事、正治の家の事……でもさ、それを知ったってたまちゃんは何もできない」 「何も」  何処か、突き放すかのようなニュアンスを含んだ言葉にたまは唇をきゅっと引き結んだ。  こういう時の緋桐の目がたまは嫌いだ。全てを見透かす様な色をしているから、何も言う事が出来なくなる。 「たまちゃんは優しくて頑張り屋だから、雪洞の為に何かできないかって思ってるのかもしれないね。  でもさ、今のたまちゃんには何かをすることはできないだろうからね。雪洞の答えを待とうよ」  ね、と笑った緋桐にたまは首をふるりと振った。  何もできないから、待って居ろ――自分たちが、彼女の心を揺さぶったのに?  そう思えば、ハイと頷くことができなくて、たまは唇をぎゅ、と引き結ぶ。髪にしっかりとつけていた椿の髪飾りを勢いよく机の上に置いてゆっくりと立ち上がった。 「緋桐さんの冷血漢」  たまちゃん、と制止する声を振り払い勢いよく屋敷を後にする。  夜の帝都の風が冷たかろうが、銀座が遠かろうが関係ない。  雪洞が一人で悩んでいるのだ。親身になって話を聞いて、彼女の力になってやりたい。  あの美しい女は、一人で泣いているのだろうか。  不細工な猫だと知っている役人は今宵も彼女のことを思っているのだろうか。  まるで、文学のような美しい恋物語が、たまの脳内では組み立てられていく――恋は、無常なものだから。  人々の間を擦り抜けて、走るたまを誰もが気に留めることはない。  未だ灯りの消えぬ帝都の街を行く馬車は夜会に向かうのか何処か楽し気だ。  誰の目にも見えていないかのように、走りながら雪洞の居た活動写真館へ向かうたまの足は『いつも』よりも軽く感じた。 (わたし、こんなに走れたの――?)  どうしてか、自由に足が動く感覚が妙に心地よい。  身体が羽の様にふわりと浮いているようにも感じられた。  土を踏みしめ、帝都の街を奔るたまは背後に奇妙な違和感を感じ始める。  周囲の灯りが次第に暗くなり、今まで明るかった筈の背後も暗闇に囲まれ始める。 (……あれ?)  暗がりに手を伸ばせば、目の前を塞ぐ何かがそこにはある。  ぺたぺたと触れれば固い壁のようなものがあることにたまは気付いた。  戻るにも灯りは消えて、目の前には壁がある。少し横に進んでみようかとゆっくりと歩き出せば、その向こうには茫と輝く提燈が存在していた。  帝都の街には余りにも不似合な提燈の回廊は赤い鳥居の下で続いている。 「こんなところ、」  銀座へ向かう道に会ったかしらと小さく呟くたまは不安を感じ頭へと触れた。  勢いよく机に叩きつけてしまった緋桐からの贈り物。お守りの役割を持っていたと思われるそれ。 (きっと、お守りがないから変な物に化かされたんだわ……)  暗がりからの不安に息を飲みこみ、緋桐さんと名を呼ぼうと息を吸う。  ふと脳裏に過ったのは彼が告げた言葉だった。 『――たまちゃんは何もできない』  心の奥底から、何かがこみ上げる。  助けを呼んではいけない気がしてたまはゆっくりと灯りの方へと歩き出した。  灯りがある方向に行けば、きっと誰かがいる。そう思えば、緋桐がいなくったって自分にも何かできるのだという根拠のない自信が湧き上がってきた。 「大丈夫」  正治がいなくったって、自分は可愛い箱入り娘ではないのだから。 「大丈夫よ」  緋桐がいなくったって、妖怪に化かされたとしてもきっと、彼らは話せばどうにかなるはずだ。  次第に近づく灯りに心が落ち着く。そうだ、人間は話し合えば何とかなるはずだ。  聞こえた笛の音、微かな太鼓の音。灯りはゆらりゆらりと誘う様に揺れている。  その最中、たまの眼前でふわりふわりと幾つもの焔が揺れていた。 「ッ、」  それは青白く何かを燃やしたものだった。まるで花の様にその焔を散らし、たまが訪れたことを歓迎するように無数が点いて消えてを繰り返す。  勢いよくへたり込み、背後を見遣れど、その向こうに来た道は存在していなかった。  ガチガチガチと何処からか、大きな音が聞こえる。  まるで何かをぶつけたかのような。  ガチガチガチ……。 (……何……?)  赤い鳥居の向こう、白い何かが見える。  ガチガチ、  絶えず音鳴らすそれは、その白いものから聞こえるのだとたまはしっかりと認識した。 「ひ、」  その白いものが――人間の骸骨だという事を認識したのも、その瞬間であっただろうか。  巨大な骸骨が鳥居に手をかけ、歯を大きく鳴らしていた。空洞となった肋骨が風に揺らされ悲し気に鳴いている。  息を飲みこんだたまは、巨大なそれに気付かれることが無いようにゆっくりと下がろうとして『壁』に背を付けた。 「え……?」  今まで、そこには壁が無かった筈なのに。  言葉は出てこなかった。  髑髏はしっかりと『たまのことを見つめていた』のだから。  周囲に茫と焔が浮かび上がる。瞳が入っていたはずの空洞はたまのことを見下ろしている。 (あれは、何? 妖怪? ……なんの妖怪?)  脳は混乱していた。目の前にいるものが、何か――それを理解できないままにたまは緋桐さんと小さく名前を呼ぶ。  骸骨の腕はゆっくりとたまへと伸ばされる。  捕まればどこかに連れていかれてしまうのだろうか?  臓腑の詰まらない巨大な髑髏はその手で自分を握りつぶしてしまうのだろうか?  徐々に血の気が引いてくる感覚がする。下がろうにも後ろには道はなく、目の前には骸骨と妙な焔が存在している。 「緋桐さん、」  呼べど、愛らしく笑う狐はそこにはいない。 「正治さん」  不愛想な顔をした青年将校もここにはいない。  ――私が、悪かったんだわ。  無遠慮に口を挟もうとしたのは自分の方だった。  ――私が、悪かった。  お守りだと、普通の自分が妖怪の世界に足を踏み入れることは危険だと言われていたのに。  どうして髪飾りをはずしてしまったのか。  どうして、彼の言う事を聞けなかったのか。  じわりと涙が滲みだす。じりじりと近づく掌から逃げる様に背を壁へとぴたりとつけてたまは「緋桐さん」と呼んだ。 「女の子の夜歩きは危険だよ。簡単にあの世にご招待だ」  茫と浮かび上がった青白い焔は先程までのものとは違う。  青白く、何処か美しいそれを狐火と呼ぶのだとどこかで聞いた気がした。  金の結った髪に細い手足、意地の悪い言葉はもう聞きなれたもので。 「緋桐さん」と彼を呼んで顔を上げれば、そこにあったのは深い紅色の瞳だった。
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