Tumgik
#犬の半襟
iafshop · 10 months
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いのち、ばんざい。
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いのち、ばんざい。
作家名:和田聡文 会期:2023年7月27日(木)~8月20日(日) 時間:16:00-22:00 休廊日:7月31日(月)、8月7日(月)、12日(土)~16日(水) 料金:入場無料 場所:IAF SHOP* 福岡市中央区薬院3-7-19 2F TEL:090-5475-5326(佐藤) http://iafshop.tumblr.com/
=================== 本展に関する4つの動画がyoutubeにて公開されています。
いのち、ばんざい。 https://www.youtube.com/watch?v=A6Nv8syTENs
プランクトンダンス https://www.youtube.com/watch?v=ZyDdtBkHNnk
よるのかんだた うっすらと排除される「おっさん」という属性について https://www.youtube.com/watch?v=V5GnpN0LLtU
louper digger looper https://www.youtube.com/watch?v=lFFif7LwFtw ===================
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色々、五月蠅いね。
だけど、あたしは、
ポリネシアの血族。海に浮かぶ島々の者。
8人産んでも2子しか生きて残せなかった祖霊の末の子。
だけど、あたしは、
一度は魔法使いになり、
高校卒業13年目にして、
やっとこさ同級生の妻と再会し、
今は青年の一人の息子の親になった、
「うっすら嫌われる中高年のおっさん」。
だからこそ、あたしはブリジット・バルドーの側に立つよ。
あたしは、どうせ「色々分かっていないおっさん」だから、
おっさん臭いことしか思い付かないし。
ならば、いっそ、「おっさん臭さ」を引き受けて、
すごくベタに「天」と「人」と「地」のお話しをする。
「いのち、ばんざい。」
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■ 天(伴天連さんの話):
「挑戦」って言葉を知ってるかい?
この島国と伴天連(バテレン)の話だよ。
最初の「挑戦」は戦国時代。「第一次挑戦」ってやつさ。
大海原を渡ってやって来たんだ。揉み手、摺り足、赤ら顔で。
でも、銃器の販売やら、人身売買やら、
伴天連同士のもめ事やら、色々あって、
お前ら、帰れって、叩き返しちゃった。
次の「挑戦」は幕末から維新。「第二次挑戦」ってやつさ。
真っ黒い船に乗って、煙モクモク、やって来たんだ。
漢字やめれ、アップデートしろ、神社、仏像打ち壊せとか、
色々やり過ぎて、嫌われて。案外、不人気。
パァとはしなかったね。
「俺らも案外とすげえ」とか逆に調子に乗られちゃうし。
近々の「挑戦」は大戦直後。「第三次挑戦」ってやつさ。
美しい、大きな銀色の飛行機でやって来た彼は、
コーンパイプをぷかぷか。
欧米様にはかなわねぇ。マッカーサー格好良いとか。
伴天連さん達、大チャンス。
天皇さんに聖書の講義したり、農業国に変えちゃうぞ、とか、
亜米利加さん、大盛り上がり。
でも、まあ、隣の半島やら、東の側やら、
ゴタゴタ、ピカピカ、どかんどかんで、
余裕無くなって、締め付け中途半端。
で、この島国のアップデート人口は1%程度。
しょぼいかぎり。
で、今。
「次にファシズムがやってくるとき、
 彼らは、「反ファシズム」を掲げてやってくるだろう。」
と、「ディミトロフなんとか」が言ったとか何とか言うけど、
四回目の「挑戦」は、どんな顔をして来るのかな?
もう来てるのかしらん?
「ソドムの街を火と硫黄で焼き払う」の、逆で来るのかな?
「産めよ、増えよ、地に満ちよ。」の、逆で来るのかな?
「天父神」、「長兄たる救世主」の、逆で来るのかな?
虹の橋を渡って来るのかな?「第四次挑戦」ってやつが。
ブロガー納言と、レディコミ式部と、
元祖バ美肉おじさん紀貫之と、古典BL信玄公と、
カルーセルと、明宏と、ピーターと、
おすぎとピーコと、デラックスと、マングローブと、
天宇受賣命と、阿国と、弥次喜多と、
全裸監督、村西とおると、
エロ屋/小説家/ニュースアンカー、紗倉まなと、
オスカルと、ジルベールと、
バンコランとひばりくんのこの島に。
また、来るのかな?
生まれて、まぐわって、子らにつなげる
我らの原罪を問うために。
でも、また来ても言い返すよ。あたしは。
あたしは、人間だし��生きてるし、おっさんだから。
「いのち、ばんざい。」
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■ 人(カンダタさんの話):
「カンダタ」のお話って、知ってる?
お馬ぱかぱか、愛馬の「カンタカ」君じゃないよ。
芥川龍之介くん初めての児童文学
「蜘蛛の糸」のあいつだよ。
地獄と極楽の間で宙ぶらりんのお友達。
でもさあ、この話、なんか変。
違和感マシマシ。
この話の「釈迦さん」、なんか上から目線。
切羽詰まって、焦って、失敗しちゃったカンダタさんに対し、
「浅ましい」とか「ヤレヤレ愚民は。。。」感、丸出し。
しょうがないじゃん。カンダタさんは。
生まれからして元々余裕なんかないんだし。
「糸切れちゃう!登ってこないでー!」とか、
そりゃー、言いたくなるよ。安全問題だし。
なのに、何、その、ちょっと一本釣りうまく行かなかったら、
飽きちゃって、テキトーに放り出しちゃう、投げやり感。
お腹空かせた虎さんに、我が身ぽーんと投げ出す、
釈迦牟尼本来のキャラじゃないよね。。。
大体、自分は涼しい顔して、快適な場所に居て、
面白そうな奴だけ、一本釣りとか、
衆生を救おうって気概が無いよね。
福祉事業をなめてんの?
現場に飛び込んで行って、問題解決せんのかーい!
我が身ポーンと行かんかーい!!
大体、カンダタ以外の奴らはみんな、
亡者、すなわち、アウトオブ眼中。
目覚めて、アップデートした奴にだけ、
極楽から「救済」の手を差しのべるとか、
キリスト教終末論の「携挙(けいきょ)」かよ。
救ってやるのは伴天連だけで、
ハルマゲドンで亡者/異教徒は一掃かよ。
「選民思想」臭え。
手に似合わない「水掻き」なんかを付けてでも、
なんとかして、なんとかして、漏らさず衆生を救おうってな、
大乗レスキュー「阿弥陀如来」の気概はどこ行った?
で、さあ。
このへんちくりんな違和感の話を妻にしたら、
理系にして日本文学オタクの我が妻も、
「あたしもヘンだと思ってた」とのこと。
でね。。。調べてみたの。ちょっとググって、wikiにて。
そしたらさぁー。パクリだって。
ドイツ生まれアメリカ籍の作家ポール・ケーラスの著作
『カルマ』収録の「The Spider-Web」が元ネタだって。
タイトルまんまじゃん。。。。しかも、この『カルマ』、
「本場モンの仏教説話を紹介」ってな本なんだけど、
「The Spider-Web」については「創作」だって。
本物に創作混ぜ混ぜ、仏教説話の捏造じゃん。
パクリとか知らんかったわー。龍之介やらかすなー。
バチモンの仏教説話とか知らんかったわー。
ポール、やらかしおったなー。
そりゃー。「ヘン」だわな。釈迦のキャラじゃないわなー。
仏じゃないじゃん。偽仏じゃん。仏罰モンだわー。
「自分ばかり地獄からぬけ出そうとするとか、
 無慈悲だわー。浅間しいわー。」とか、
「蓮の華の何とも云えない好い匂い」の
爽やかな極楽の風に吹かれて、のほほんしてる
偽仏のてめぇこそ、文句言える立場??
「どうでも良いわー。平等に地獄に落ちればー。」
とか、なにその「タワマン文学」。
「瞑想」じゃなくて、「マインドフルネス」、
「ヨガ」じゃなくて、「ピラティス」とか、
言い出すんじゃないの?
あらまー!「カッコイイ消費者」ですことっ!!
「丁寧な暮らし」ねっっ!!!
美しい、大きな銀色の摩天楼から見下ろしてる
虚業の小金持ちみたい。
カンダタ君もさあ、
タワマン野郎に「いいね!」とか声かけられて、
「一歩抜け出すチャンス!!」とか
調子に乗るの止めようよ。。
良いことないって。。
あいつらさあ、ペットか番犬探しているだけだから。
カワイソウな順か、カワイイ順に声掛けてるだけだから。
カワイソウな奴に餌やると「徳」を積めるし。
「徳」=「信用」=「クレジット」=「通貨」だから、
儲かんのよ。「カワイソウなペット」を飼うと。
大体、地獄って、年季を勤め上げると、
生前よりちょっとは良いステージに行けるし、
学校みたいなもんじゃん。
周りにいる奴らもカンダタ君と似たようなもんで、
みんな生前、色々苦労してるし、
タワマン野郎よりずっと共感できるじゃん。
鬼だって学校の先生みたいなもんで、
死なないように注意して、君を鍛えてくれてるだけで、
ちゃんと良く見てくれてんじゃん、君のこと。
ウエメセのタワマン野郎よりずっと。
ヘンな上昇志向に捕らわれて、痛い目見るより、
実直に自分の手で、地に足付いたコトをしようよ。
そうだ。友達を作りなよ。愛する人を作りな。
出来たら家族になって、子供を育てなよ。
老いて子供がもう無理なら、若い者を応援しなよ。
虚業で浮いてるタワマンの偽仏よりずっと良いよ。
地に足を付けて生きるってことだよ。
だから、「ぢごく」で結構。大「地」の「極」み。
だから、おっちゃんは叫ぶよ。
「いのち、ばんざい。」
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■ 地(生き物の話):
やあ、こんにちわ。僕らの名前は「オピストコンタ」。
「尻尾が後ろ」って意味だよ。
人間の精子みたいな形なんだ。
キノコとか、ツボカビとかの菌類と、
人間とか、魚やミミズ、トンボなんかの多細胞の動物を
ザックリ含んだフレンズさ。
襟鞭毛虫なんかのちっこい奴らも僕らの仲間さ。
世の中、僕ら「オピストコンタ」だけじゃなくって、
色んなフレンズがいるよ。
土の中にも、蓮のお池の中にも、地べたの上にも。
「真核生物」に限っても色々いるよ。
「オピストコンタ」の兄弟分「アメーバ動物」
草花や樹木とかを含むフレンズの「アーケプラスチダ」
昆布とか珪藻とかのフレンズの「ストラメノパイル」
ゾウリムシとかのお友達「アルベオラータ」
有孔虫、放散虫のフレンズ「リザリア」
ミドリムシとか光合成する奴もいる「エクスカバータ」
「クリプト植物」とか「ハプト植物」とか「太陽虫」
「真核」じゃなくて、「原核」だけど、細菌も色々。
シアノバクテリア(藍藻)とかを含むフレンズ。
美しい、大きな銀色の鏡胴を持つ顕微鏡で、
小さな水滴に閉じ込められた彼らを、上から覗き込むと、
色んなフレンズが、わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、してて、
本当に、本当に、面白いよ。例えば、
放置しちゃった植木鉢の雑草の中。
劣化したプランターの壁面。
ジメジメ湿った苔の上。
蓮のお池の水の中。
只の水溜まり。
蟻の行列。
蝸牛。
藻。
蝶や蛾。
ダンゴ虫。
マ��トビムシ。
苔の子実体の森の中。
くるくる回るミズヒラタムシ。
慌てて席取りをするクラミドモナス。
巨大なミジンコの屍骸を喰らう原生動物。
ほとんどが単細胞で、小さくて、単純なはずの生き物が、
くるくる踊ったり、パクパク食べたり、
ぶつかってビックリしたり、キョロキョロあちこち覗き込んだり、
居場所を見つけたり、喧嘩したり、慌てて逃げまどったり。
多細胞生物ではなく、ただの「群体」に過ぎないのに、
喧嘩せずにお互いしっかり体をつないで、
くるくるくるくる泳ぐ、ヒゲマワリ(ボルボックス)やシヌラ。
動物じゃないと思っていたら、
意外とクネクネ、クルクル、活発に動く、シアノバクテリア。
小舟みたいに、スイスイ走り回る、小さな小さな珪藻たち。
独立した多細胞生物のはずなのに、
まるで一個の生き物のように合体してしまうイトヒメウズムシ。
それに、なにより面白いのは、
ご先祖の「古細菌」から、ずっと昔に枝分かれして、
お互い全然違う見た目や、違う生き方をしている
遠く離れたフレンズたちのはずなのに、
みんな、みんな、わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、
ぶつかり合ったり、喧嘩したり、身を寄せ合ったり、協力したり、
まぐわり、接合して、次世代を作ったりすること。
知ってる?生物の世界において、
「成体(アダルト)」とは、「生殖可能となった個体」という意味。
子供を作るのが「おとな」なのさ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ちょっと違う話をするよ。「シン・ウルトラマン」って映画の話。
その映画の中で、ウルトラマンは、頭の先からつま先まで、
均質な物体で出来た、微細構造を持たない完全体とされる。
「一にして全、全にして一」な完全な個体。ほぼ神。
当然、マンガ「はたらく細胞」みたいに
わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、協力し合う、
たくさんの細胞を持つ「多細胞生物」ではない。
理念、思想の固まり、孤高で単一の「思念体」。
外宇宙から来た、美しい、大きな銀色の飛行体。
よって、本質的に「個と個の(細胞)間の協力」は、
その身体自身に内在せず、
「バディー(仲間)」の意味がまったく分からない。
(映画では、故郷は「光の星」。国家は無い。)
(彼は人類と同種のものから進化した存在。)
彼は弥勒菩薩の様に完全な美(統一感)の化身だが、
無関係の子供を助けて死んだ男のことが分からない。
進化の最果てに居る彼には、「仲間」の意味が思い出せない。
遠い未来に来迎する弥勒菩薩の様なポーズをとって、
死んだ男の姿を掌に、森の中で悩み続ける。
覚えていたが、今は忘却した何かを思い出そうとして。
強くて、全知で、大きくて、けれど孤高のウルトラマンには、
起動してしまったゼットンを止める術が分からない。
なのに、弱くて、無知で、小さくて、愚かな人間たちは、
ぶつかり合ったり、協力したり、怒ったり、信じあったり、
ドキドキしたり、お尻パンパン気合を入れたり、
わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、
ゼットンを止める解決策を見つけ出す。
上から目線の外星人たちには出来なかったことを、
小さな「はたらく細胞」みたいな人間たちが成し遂げる。
VRゴーグルを付けての独り言、虚空に手をブンブン、
滑稽で、とっても格好悪いけれど。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ずっとずっと昔に進化の枝分かれをする前から、その後も、
地べたに這いつくばって生きる「いのち」の本質は、
わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、
ぶつかり合ったり、喧嘩したり、食べ合ったり、
身を寄せ合ったり、協力したり、
まぐわって、子供を作ったり、育てたりしながら、
「なんとか必死に次につなげ続けること」なんだろう。
人間も明確に動物だし、生き物だし、「いのち」。
だから、おっさんは、勇気を出して、ベタなこと言うよ。
わたしは、一人の息子の父親だから。
ショーペンハウアーとか、シオランとか、ベネターとか、
そんな馬鹿どもの言うこと知るか。五月蠅い。
「いのち、ばんざい。」
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4 notes · View notes
shukiiflog · 8 months
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ある画家の手記if.39  告白
三人で家族旅行をして、香澄の睡眠も落ち着きだしてからしばらく経ったある日に、情香ちゃんは唐突にこの家を出て行った。 もともとこのままずっとここにいる気じゃないのは僕も香澄も分かってたし、出ていくことに変な他意はなくて、そろそろいつもの体を動かす忙しい仕事に戻りたくなったんだろうなと思った。
荷物もないし玄関まででいいというから、香澄と二人で玄関で見送る。 一人靴を履いた情香ちゃんは玄関で香澄の頭を髪が爆発したみたいになるまでわしわし撫でたあとで、満足したみたいに笑った。 「ん。もうそんな痩せこけてないな」 「…うん。ありがとう。情香さんの料理おいしかった」 情香ちゃんが香澄をまっすぐ見つめる。 「困ったらいつでも呼びなよ」 「うん」 「…香澄の目は綺麗だな」 そう言って情香ちゃんが香澄の頭を両手で挟んで持って引き寄せ て 「?!」 「ちょっ…」 香澄の目元に軽くキスしていった。香澄はフリーズして目をぱちくりさせてる。 僕は後ろから香澄を抱きしめて牽制する。 「…情香ちゃん、や、やめて…。香澄口説かないで」絶対僕が負けるから。 「そう思うならもう少しお前も大人になるんだな」 情香ちゃんは笑いながら颯爽と扉の向こうに消えていった。 「……。」 「………。」 室内に残された二人でしばらく同じ体勢のまま固まる。 「……香澄…情香ちゃんに心変わり「してないよ?!」 つっこまれるみたいに否定されてほっと息をつく。…へんな感じだ。前だったらそんな、香澄が誰を好きだって、こんなに焦ったりしなかったのに…今僕に気持ちの余裕がないのかな、家族になろうって言ったときだって僕は、香澄にほかに彼女とかがいるならそれで…って思ったり…してたのに。 ……もしかしてこれが独占欲ってやつかな。 もやもやを新鮮に感じながら、香澄に提案する。 「…ねえ香澄。僕はこれからどうしてもやりたいことがあるんだけど、香澄も手伝ってくれる?」 香澄は後ろから抱きしめてくる僕の腕の上に手を乗せて、僕の足の上に足を乗せて、僕もそれに合わせて足をぶらぶらさせたり体をゆらゆらさせて二人で玄関先で一緒に揺れる。 「いいよ。やりたいこと?」 僕はそのまま足の甲に香澄を乗せて二人羽織みたいな二足歩行を戯れにしながらリビングまで戻った。 香澄をソファに待機させると、家族旅行で買ったばかりの防寒具一式をすばやく取ってくる。 ソファに座った香澄にぐるぐるマフラーを巻いて頭に大きめのニット帽をしっかりかぶせて耳まで覆った。体にコートをかける。 僕は寒さに強いから適当なコート一枚でいいや。 「よし、出発」 二人で家を出て、すぐ隣のひらけた公園まできた。 まだ雪が積もったままで、隅のほうに少しだけ子供が雪で遊んだあとが残ってる。 一番綺麗に高く積もったあたりを二人で探して見つけた。 「…よし。香澄、雪だるま作るよ」 僕の真剣な声にとなりの香澄がふっと息を噴き出すみたいに笑った。 「…え。なにに笑ったの」 香澄は手袋をした手で口をおさえて笑いを堪えるみたいにしてる。 「な、なんでもないよ…作ろっか」 …また僕へんなことやらかしたのかな…でも香澄は嫌な気になってるわけじゃないみたいだ 「香澄…」 じと…と香澄を半目で見たら、香澄が笑って両手を掲げて降参しながら白状する。 「直人かわいいなと思ってつい、だってすごく気合い入ってて、ほんとに真剣にやりたいことみたいだったから、なにかと思ったら…」 まだ笑ってる。雪だるまは子供の遊びじゃないんだぞ。 二人で小さな雪玉を転がしながら、僕が胴体、香澄が頭を担当することになった。 香澄が凍った空気に白い息を吐く。 「はー…… 今日からもう情香さんいないんだね…」 「香澄が呼べばきっといつでもまた来てくれるよ。僕が呼んでもあんまり来てくれないけど…」 「そういえば直人は情香さんと一緒に暮らしたことないって言ってたけど、二人が一緒にいるのすごく自然だったよ。幸せそうだった。どうして別々に暮らしてたの?」 「………」 僕の返事がそこで途切れたから香澄は慌ててつけくわえた。 「ごめん、口出しなんて…「いや、なんでも聞いていいよ。香澄も家族なんだから」 笑って香澄が謝るのを遮ったものの、質問には答えられずに、話は自然と別のことにうつっていった。 かなり大きくなった雪玉を、バランスをとりながらふたつ重ねて、二人で支えてしっかり立たせる。 長身の男二人で丸め続けた雪だるまの身長はなかなかのものになった。少なくとも子供が集まって作れるサイズ感じゃない。 「僕は目を探してくるから、香澄は鼻か口を見つけてきてくれる?」 「なんでもいいの?」 「いいよ」 二人で手分けして公園内の木や石を見て回って、手頃なものを探す。僕は黒々としたつぶらな石の瞳と元気に広がった枝の腕二本を見つけた。香澄も尖った石を持ってきて、顔の真ん中に鼻にして刺した。 目も腕もついて、ちょっとだけ天を仰ぐ顔の角度で、かわいくできた。完��だ。 「香澄、ケータイ持ってきた?」 「持ってるよ。写真撮ろうか」 「うん、……誰か…撮ってくれる人がいたら…」公園内は平日だからか閑散としてる。香澄と僕と雪だるまを撮ってくれそうな人が通りがからないか待ってみる。 すると一匹の大きなシェパードが遠くから僕らのほうに向かって猛スピードで走り寄ってくるのが見えた。 人なつこいのか、雪だるまに興味があるのかな。 「首輪つけてるね、飼い主に写真が頼めないかな」 二人で飼い主の影がどこかにないか見回す。 すぐに体に触れられるほど近くにきた犬の頭を撫でる。吠えたり噛んだりもしない、よく躾けられたいい子だ。 「直人、犬には嫌われないんだ」 「ね、猫だけだよ…あんなに嫌われるのは」 「犬も好き?」 聞かれて一瞬ぼうっとする …似てるってよく言われるな 犬は好き 特に大きい犬は僕がぎゅって抱きしめても骨を折ったりしなくて安心だし 犬は好きだったよ 飼い主が …いや、飼い主のことだって別に嫌ってたわけじゃ その時、雪上に大きな指笛の音がまっすぐ空間を貫通するように響き渡った 「…あ、この子の飼い主さんかな」 香澄が音のしたほうに振り返って、丘の上の散策路に人影を見つけた。 笛の音で犬は全身をぴしっと引き締めてまた一直線に音のしたほうへ駆け出した。 犬の…首輪に下がってたあれは名札? BU…STER…? 「come,バスター」 散策路の人影が一言発した 介助犬とかの訓練用に共通で決められてる命令語だ 犬と一緒にすぐ木立の陰に消えていって僕にはほとんど見えなかった 襟を立てたロングコートだけちらりと見えた 「………人違い…」 …だと思う。あの人はこの時期に日本に滞在してることは滅多にないし ここに居るほうが変だ 「直人」 横から怪我してないほうの腕を香澄にひっぱられた。顔を覗き込まれる。 「変な顔してるよ。大丈夫?」 「…うん。なんでもない」 いつも通り笑ったつもりだったけど香澄に手袋をはめた手で顔を挟まれる。…心配かけちゃってる。 「…さっきの人、知り合いだった?」 「…ううん、人違いだよ」 今度こそうまくちゃんと笑って、香澄をぎゅっと抱きしめる。 「雪だるま…大きく作ったからきっと明日もまだちゃんと残ってる。今日は写真は諦めて帰ろうか」 「…うん」 二人で雪だるまを公園に残して家のほうへ歩き出す。 まだちょっと心配そうにする香澄の頭をわしゃわしゃ撫でて頭を胸に引き寄せてこめかみにキスした。 香澄の右手から手袋をすぽっと取ると、素手になった香澄の指に自分の指を絡めて、しっかり繋いだ手を僕のコートの左ポケットに突っ込んだ。 夜。久しぶりに二人だけで夕飯を作って食べる。 ひとり分の賑やかさが消えて、ほんの少しだけ寂しいような、不安なような。 それをかき消すように二人でいつもより手間をかけて凝った料理をいくつも作った。 食事が終わって片付けも済んで、僕がソファに座ったら香澄が横からするりと僕の膝の上に座った。…かわいいな。 香澄の体を包むように抱きしめる。 「…こういうの久しぶりだね」 って、自分で口に出しておいてだんだん恥ずかしくなる。 情香ちゃんもいたときはそういうことを意識して避けてたわけではなくて、自然とそういう気分にはならなかった。 「…香澄、こっち向いて」 僕の腕の中でゆったりリラックスしてた香澄が顔をあげて僕を見る、手で顎をとって軽く開かせると舌をさし入れて深くキスした。香澄も目を閉じて舌が口内でゆっくり絡み合う。一度少し唇を離してもう一度、角度を変えてもう一度、そうやって何度も深いキスを繰り返してるうちに、身体の芯からじんわり溶けそうになる。…気持ちよくて目が潤む。 一旦休憩。口を離すと少しだけあがった息が至近距離で混ざり合う。 「…香澄… …したい」 正直にこう言っても大丈夫。香澄はもう嫌なときはちゃんと嫌って言える。迫られても襲われても、意に沿わないときは自分の身を守れる。…帰ってきてくれた。それがすべてだった。 香澄の両腕が僕の背中に回って、ぎゅっと僕の体に絡められた。 「……うん…」 首元にあてられた香澄の顔は見えないけど、ちゃんと聞こえた、返事。 そのまま香澄の脚の下に腕を通してもう片腕で背中を支えて、横抱きにしてソファから抱え上げる。 左腕に少しだけ痛みがあった。負担がそっちにいかないように香澄の体の重心を少しずらす。 ドアを開けっぱなしだった僕の部屋に入ってベッドの上に香澄をおろすと、少し赤らんだ頰にキスを落とした。
続き
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doctormaki · 1 year
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イースターの夜は近所の州立歌劇場で、一席だけ空いていた振付師John Neumeirによるバレーを見に行く。席が空いていてラッキーだったね、とチケット売場のオッサンにウィンクしてもらう。これで振付師Neumeirの作品を見るのは4作目。う~む。恵子が来た時に見た白鳥の湖の解釈も変わっていたが。。。う~む。恵子の云う、おゲイの芸は、なんとも言えん。
ワシはYaleで教えていた時に女性から男性に性転換したトランスジェンダーの学生がカミングアウトしてくれたり、男性から女性になったトランスの友人がいたりと、別に性別で人間の区別をあまりしていない。まぁしかし、ワシはレズでは無いので、男らしい男が好きだ。ナヨくて、指が細くて髪がサラサラで、細見で、なんなら顔に髪がかかりつつ、眉毛を整えた、まるで女っぽい男はワシのタイプでは無い。博士課程の学生に戻った頃、学年では先輩で、毎回会う度にファンデーション塗ってた男子学生にはドン引きした。これは別に、ワシの好み、テーストの問題なので、別に差別をしている訳ではない。嫌いなものや苦手なものを好きなフリせんでもえーやろ。
ワシは男らしい男が好きだが、父も伯父達も体毛があまり無いので、体毛濃い男は苦手で、気持ちが大きな、さっぱりカラッとした、器のデカい男が好きだ。だからといってに脱毛している男子を見ると、こいつは実は熊男だったのではないか。。。と疑いばかりが増幅し、安心して付き合えないのだ。つまり、あれだ。整形美人が苦手なのと同じくらい、脱毛男子やナヨ系男子は苦手だ。ちなみに、ワシは女は美人が好きだ。本当に美人な女は性格が良い。ブスは性格が悪く、ネチネチして、ヒネている。ブスの癖にカワイコぶりっ子している女は最悪のブスだ。ワシはブスとはあまり付き合いたくないのだ。男はエエ男、女は美人だけとしか、ワシは付き合いとう無い。
そして、ノイマイヤーはおゲイなので、男性ダンサー同士のリフティングや男性ダンサー同士の絡みが多いコレオグラフィーなのだ。昨晩見たものは、男性と女性がシーン毎に分けられ、女性は女性同士で絡み合い、男性は男性同士で絡み合うダンスの場面が多かった。いい加減、見飽きた。おまけに恵子が指摘したように、ダンサーの背がマチマチで、揃っていない。加えて、バレーと言ってもモダンバレエの要素が強いので、機敏な動きができるアジア系ダンサーや、背の小さなダンサーが起用されているのは良いのだが、プリンシパルが白人で背が高いので、全体的に微妙なのだ。
何が微妙かというと、超大型犬のベムりんがふわふわ、ドタドタ優雅に踊るのが、白人プリンシパル達のイメージ。のんちゃんのような小型犬やレオみたいな中型犬が、キビキビと、兎に角小忙しく細かな表現に精を出しているのが、アジア系ダンサーや、女性よりも背の低い男性ダンサー達的なイメージ。う~む。。。恵子はダンサーの数が揃わないから、編成が美味くないわねと、ピシャリと指摘していたが、編成だけの問題なのか、何なのか、4度目の鑑賞でも良く分からない。
けれど、チグハグなんです。。。これは、ワシは申し訳無いのだが、おゲイの芸の特徴かもしれないと最近思うのだ。舞台演出家のRobertWilsonと言い、JohNeumeierと言い、八十代、七十代後半のおゲイが作り上げて来た、ある種のアンチメインstreamとしての、おゲイ文化。おゲイ芸術。なんかこれらには通底しているようなものを感じる。本筋を知っていると、ある種の本流のパロディでもあるし、同時に、ゲイとして周縁に追いやられた者の叫びというか、表現方法への苦悩みたいなものも分からないではない。でもなぁ、ワシはやっぱり、古典的な人間らしく、昔ながらに良いとされるような筋の芸事の方を好むようだ。
つまり、あれだ。ファッションも、カッチリした着こなし好きなのと同じだ。洋服でも、着物でも、だらしなく着るやつと、きっちり着こなすやつがいるとしたら、ワシは子供の頃から、制服はきっちりと着たいタイプ。襟元がだらしなかったり、プリーツが開いていたり、ハンカチにアイロンかかっていないのは嫌なのだ。ワシは幼稚園の頃から、お食事に行く時はネックレスしないとね、と親に言われるでもなく、勝手におめかししていたオシャマさんだった。そういう意味では、芸術も、昔ながらの、ある種の形式を重視しつつ、そこから少しだけ外れた芸が好きだ。基礎や基本を抑えていた上で、崩してほしいのだ。
そういう意味では、ワシは飽くまでも、芸事とは世阿弥の守破離でしか無いと思う。守、基礎がいい加減なのに、ハモリモあるかい?ちゅーの!っていうザ昭和の一徹頑固親父のメンタリティなのだと思う。まぁ、そのうち、3ヶ月バーレッスンしただけでバレーやったと公にできるような軽微な方々に駆逐される存在なので、ワシの言説は、所詮、負け犬の遠吠え。ワオーン。合掌。
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qianchun · 3 months
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昨日先生と進路のこと話した。ちなみに、先生や先輩は私がメンタルヘルスに問題があることは私がオープンにしてるから理解してくれている。
先生はわりと評価してくださって、まさかそんな褒められると思ってなかったから拍子抜けした。
論理的な文章が書けているし、研究には新規性があるから大丈夫だとお褒めの言葉をいただき、博士後期に進むことを応援してくれた。前々から勧めてくださった某有名私大なら自由に研究もでき、そこは奨学金も豊富。
そこの博士後期であれば、箔がつくから就職は決まるだろうと。
進学先の先生に私のことを紹介してくださるとのことだった。
とにかく、在学中に論文を何本か書きなさい、紀要論文執筆の打診を受けられるように、努力なさいとご助言いただいた。
でも、このまま躁鬱で不安定だと仕事できないよと忠告された。ごもっともだと思った。
家に帰って、なぜだか躁鬱を発症した中学時代、高校時代に経験した、嫌な気持ちが蘇ってきた。
躁鬱はいきなりあらわれた。病気から来る異常な行動に目をつけられ、学校ではいじめられ、親、先生には腫れ物扱いされた。
心の中がぐちゃぐちゃで、病的に肥大した誇大妄想、幻聴、寝食��忘れて活動し続けるといった、躁の症状が急激にあらわれ、まもなくすると深い深い鬱期に突入した。感情はジェットコースターのように乱高下し、コントロールが効かず、なすがままに振り回された。
クラスメートとすれ違うたびに「きもい死ね」と言われたり、家庭科の授業で私物のまち針をバキバキに折られたり、なくしたと思っていた鉛筆がなぜか亀の水槽の中にあって、ぬめりやにおいがなかなか取れなかったり、いきなり背中を蹴られたり、襟ぐりを後ろから引っ張られて、手指消毒用のアルコール首の後ろから服の中に噴射されたり、精神科に通院していることを信用していた友達に打ち明けて「絶対に他の人に言わないでね」と念押ししたにもかかわらず、翌日バラされ、「あいつ精神科通ってるんだってよ」とひそひそと陰口を言われ、普通の人間とは違う、ゲテモノを見るかのような、差別的な目でジロジロ見られたりした。とにかく色々あった。クラスメートたちの、まるで地球外生命体を見るかのような、偏見に満ちたあの目は特に記憶に残っていて、今でも脳裏にベッタリとこびりついている。
家庭内でも居場所がなかった。当時、父親は職が続かず、精神状態が今以上に不安定で、よく八つ当たりされた。母親は、私が幼少の頃から自身が入会している宗教の信仰を押し付けてきていたのだけれど、中学時代は特にひどかった。集会に来ないとダメだと苛烈に責め立てられ、腕を引っ張られ、半ば強引に連れて行かされた。
中高通じて、先生にはなぜか犬猫の名前みたいなあだ名で呼ばれた。あだ名呼びは、私だけだったと思う。人間扱いしてもらえていないというか、バカにされた気分だった。
高校時代のある日の放課後に、おかしなことを急に堰を切ったように喋り出し、先生たちがわらわらと集まってきて、冷ややかな視線を浴びた。どの先生も怪訝そうな顔つきだった。気がついたら、救急車のベットの上だった。多分先生が救急車を呼んだのだと思う。日はとっくに暮れていて、真っ暗だった。救急隊のお兄さんたちが、優しく声かけしてくれたことが唯一の救いで、心が暖かくなった。そのことはよく覚えている。
夜中家を飛び出し、高校に歩いて行こうとしたこともあった。大声で歌いながら、ローファーを履いた足でひたすら歩いた。車に乗った知らないおじさんに呼び止められ、方角が違うことを教わり、車に乗るように言われた。それで、「自分は産婦人科でマッサージの施術を行った経験がある。疲れただろうからやってあげよう」と言われ、よくわからないままに足を開かされ、真っ暗な車内で鼠蹊部を揉まれた。気づいたら朝になっていて、細かな記憶は飛んでいるが、無事高校に連れて行ってもらった。今考えたら、これは危機一髪の状況である。そのおじさんがとても悪い人であった場合、殺されていた可能性もあったのではないか。体は触られたが、それ以上の被害も受けず、なにより命が助かってよかった。今は前向きに捉えることにしている。
性的逸脱もあった。詳細はあまりにもやばすぎて、万が一知り合いにばれた場合、絶縁されそうなので伏せる。ただ、親や学校の先生にはバレてしまい、正確には不安になって自分から話してしまったのだが、かなり大変なことになった。発覚したときの絶句した母の顔が忘れられない。
上述したエピソードはごく一部である。
ずっとずっと、何もかもが混乱していた。
ただただつらかった。
中学時代は塾に通わせてもらい、そこに入り浸った。他校の子は優しく、いじめられることもなくて楽しくて、中学時代唯一の居場所だったかもしれない。学校に行けないときは塾へ行き、ひたすら勉強した。その甲斐あって、第一志望の高校に進学できた。高校時代は頭がふわふわして勉強に集中できず、部活だけはなぜだかできたので練習に明け暮れた。
でも、先述したような躁エピソードが出現、その後すぐに突如不登校状態に陥り、病状は悪化していった。
高校2年の終わり頃に「このままだと留年だ」と通告を受け、以前から行きたいと思っていた通信制高校へ編入した。野球が強豪で有名な、全日制の私立高校の一階部分を借用し、土日に開講するという、特殊な形態の学校だった。土日が授業だったので、野球部の練習を横目に学校に通った。編入前に通っていた高校のことを思い出し、胸がきゅっとなった。
田舎の高校で、通学路の途中途中畑がたくさんあった。畑の横道をとぼとぼ歩くうちに、「田舎も悪くないけど一度は都会に出たい」という気持ちが芽生え、都内の大学の受験を決めた。通信は熱心で優しい先生が多く、補講をたくさんしてもらえた。どの先生も私を人間扱いしてくれてうれしかった。クラスメートも穏やかで、たった一年間の学校生活だったけど楽しかった。無事現役で卒業、浪人もせず大学へ入学できた。
進学先は第一志望の大学ではなかったが、学問に目覚め、そのまま大学院へ進学し今に至る。大学院進学は金銭面や先の見えない将来に不安を感じたが、今諦めたら絶対後悔すると思い、受かる自信はなかったが、自分の人生は自分で責任を持つと覚悟を決めて受験した。結果的には悪くない成績で通過できていたと先生から聞き、ほっとしたことをよく覚えている。
うわあああぁっと、当時の映像が頭の中で渦を巻いた。涙が出てきた。
定期的に昔のことを振り返ってつらくなる。仕事が続けられるのか不安だし、自分でもどうしたらいいかよくわからない。それでも生きてるから、とりあえず今できることを頑張ろうと思う。
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furugiyakikkakeyaniku · 6 months
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スウェットなど追加
ご来店お買い物ありがとうございます^ ^
本日も13時〜20時までの営業(電話やSNSなど前日までに連絡頂ければ12時〜営業致します)
体調の優れない方はご来店をお控えください
本日はスウェットなど
追加しておりますので、ご紹介☆
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U.P renoma
中国製
目をひく赤茶色ボディにブランドロゴ刺繍など感じの良い、重ね着風ネックスウェット
アメカジなボトムに相性良いかと
L表記、実寸メンズM〜Lサイズくらい
是非♪♪
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GIANNI VALENTINO
中国製
クリーム色ボディにグレーのリブライン&左胸のロゴ刺繍がナイスなチョイジップスウェット
チェック柄スラックスなど合わせても良い感じ
L表記、実寸メンズM〜サイズくらい
是非♪♪
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Hush Puppies
中国製
うすだいだい色のワッフルボディに左胸の犬のワンポイントロゴ刺繍が可愛い一枚
襟内側のストライプ柄も爽やかで良いです
LL表記、実寸メンズLサイズくらい
是非♪♪
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11月11日(土)19時オープン、19時半スタート ZINO にて
「錆鉄学園 第1回特別課外授業」
特別課外授業講師(SP GUEST LIVE)に大阪からDEGURUTIENI
購買部(SHOP)にSHOGUN TAPES
肉店主は課外授業講師(DJ)オスグッドとして登壇致します
当日会場にて汚J作の鉄グッズ(上右画像レコードフレーム)など競り売り限定販売あり
追加課外授業講師(DJ)に山本セロ
お時間ご都合の合う方、是非♪♪
それでは本日も元気に営業致します
明後日日曜日は思い月29日開催ニクニクルー☆
よろにくです^ ^
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kachoushi · 1 year
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各地句会報
花鳥誌 令和5年3月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和4年12月1日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
亡き母の言葉身に入む夕明り 喜代子 美人画を日毎見つめた古暦 都 湯豆腐や仕切向うの京言葉 同 榾の宿見知らぬ人と語らひし 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月3日 零の会 坊城俊樹選 特選句
愛妻は冬天に有り見得を切る 慶月 着ぶくれの肩に銀座ののしかかる 炳子 楽屋口より銀鼠のインバネス 要 懐手役者戻りし噂など 順子 木挽町の電線緩く短かき日 三郎 市松の歌舞伎のれんを出で嚏 慶月 団十郎の顔があちこち十二月 和子 薔薇の紙袋の中の聖樹かな 同 ベントレーの真つ赤に負けてゐる聖樹 三郎
岡田順子選 特選句
寒椿真紅へと歌舞伎めく 三郎 昭和めくショール纏ひて三越へ 俊樹 着ぶくれの肩に銀座ののしかかる 炳子 楽屋口より銀鼠のインバネス 要 半世紀前の残像獅子の冬 炳子 緞帳の街を冬日の揺りおこす 三郎 楽屋口興行なくば石蕗明り 光子 聖夜待つ靴職人の鉄の音 はるか 木挽町の電線緩く短かき日 三郎
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月3日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
水鳥の水曳きどこも濡れてゐず 睦子 LEDのひんやり灯る夜業かな 同 あさきゆめみし水鳥に忽と日暮 美穂 裸婦像の目に郷国の冬の虹 かおり 水鳥の陸に上がれば幼なけれ 睦子 水鳥の言問ふやうに漂へり 朝子 日向ぼこ石となりたき日のありぬ 美穂 昇降機空まで行ける聖夜かな 愛 出逢ひとは別れの序章おでん酒 朝子 よきことの一つ蜜入り冬りんご 美穂 忘れたきことも掃き寄せ落葉焚く 孝子 女医の手の結婚指輪冬ぬくし 久美子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月5日 花鳥さゞれ会 坊城俊樹選 特選句
じよんがらもよされも遠き虫の出湯 雪 枯るるもの枯るるにまかせゐる他は 同 裸木に巣箱が一つ傾ける 同 散りてなほ緋を極めたり櫨紅葉 笑 冬の蝶小さき花に身を委ね 同 綿虫の恋の信号飛び交はし 同 目に見えぬものが背押す街師走 かづを 新刊書表に並べ書肆師走 匠 長者町大名町も落葉降る 和子 正信偈声高々と十二月 清女 うつかりと仲直りするおでん酒 啓子 沈下橋今日も見えずに歳用意 天空
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月9日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
餌台に人を覗きて冬の禽 宇太郎 姉の忌の近し綿虫横を飛ぶ 和子 冬めくといふ風音の離れぬ日 同 かき混ぜて消ゆる泡みる夜の葛湯 栄子 菊に埋む引導なしの葬一つ 宇太郎 花石蕗や蜑の通ひ路九十九折 益恵 院殿の墓碑を囲みて霜柱 美智子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月9日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
大根を洗ひ干したる深庇 世詩明 白山の雪の白さを見え深め 同 筆太に妻の消息年賀状 同 戻られし神をねぎらふ注連飾 ただし 大いなる榊まつりし神迎 同 山眠る話時々ちぐはぐに 清女 幸不幸仏に委ね報恩講 同 初時雨韋駄天走りあちこちに 輝一 切り分けの聖菓較べる子供かな 誠 老い一人煙草を口に日向ぼこ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月10日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
大年のバックダンサー出番待つ 登美子 大銀杏黄葉や夜道光りたる 紀子 白山を見て暮らす日々障子貼る 登美子 母と吾と灯ひとつの根深汁 同 遥かにも雪の白山見ゆる橋 令子 年末や薪湯沸かして近所呼び みえこ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月10日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
言葉直ぐ固まつてゆく冬夜かな 秋尚 年惜しむ陽子の墓所に供華新た 幸風 一筋の日差しを纏ひ浮寝鳥 幸子 茶の花を飾る店主のハンバーグ 亜栄子 冬の夜機織るやうなものがたり ゆう子 多摩川の皺む波間に浮寝鳥 美枝子 それぞれは好みの椅子に冬の夜 ゆう子 折節に冬帝なごむ母の塔 幸風
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月12日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
蕪一個抜き来一人の夕厨 一枝 著ぶくれを拾ひ電車の満員に みす枝 越前の奥へ奥へと時雨降る 世詩明 時雨るるや村暗くなり小さくなる みす枝 生と死を考へながら柚子湯かな 信子 オブラート破れて苦き十二月 清女 煤払ひ古き薬を捨てにけり ただし 太平の色したたらす熟柿かな 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月12日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
お化粧の仕上げにマスクかけにけり 三無 湯ざめして婆ちやんいつも卵酒 和魚 「どうしました」マスクの医者の声やさし あき子 受け継ぎし神楽の面の儼乎たる 史空 御神酒吹き魂入れらるる神楽面 三無 神楽の音菜つ葉切る手はづませる ことこ マスクしても寡黙の人になり切れず 秋尚 鉦の音の早まる宵の里神楽 同 神楽面舞へば表情豊かなり 史空 母の手が湯ざめするよと襟押へ ことこ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月13日 萩花鳥句会
月の夜は銀の毬藻に浮寝鳥 祐子 七五三おんなの一生歩み出す 健雄 極月の破れ手帳の重さかな 俊文 故郷の煉物届きおでん鍋 ゆかり 思ひ出の中の障子を開ける朝 陽子 一人去り彼の人も去り山眠る 吉之 張り替へて色あせ目立つ障子骨 恒雄 影絵如障子に木々の写りゆく 美恵子
(順不同) ………………………………………………………………
令和4年12月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
残菊は残菊と云ふ色の香に 雪 穴無惨枯蟷螂となり切れず 同 煤払大仏様の膝の上に みす枝 雪起こし百貫玉の落つる音 同 師走来て一番のりの美容院 富子 雪囲ひ男結びの揃ひけり 真喜栄 一斗樽三つ仕込みて師走かな 玲子 道一筋孤高の山の雪化粧 嘉和 注連細く巻きて御幣に神宿る 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月16日 さきたま花鳥句会
黒煙を吐きて冬野へ陸蒸気 月惑 実南天御成座敷の窓明り 一馬 額縁門残る紅葉や泉岳寺 八草 終の地に老いて根を張る冬紅葉 裕章 散るやちる散るままなりし落葉道 紀花 結願の晴れ切る空や冬木の芽 とし江 店抜けて女将小走り酉の市 康子 取寄せし河豚ひとまづは仏壇に 静子 一人見る冬満月や奢侈極む 良江
(順不同) ………………………………………………………………
令和4年12月18日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
冬日向野良猫が来て完成す 千種 寒禽の古代広場の空に消ゆ 白陶 大枯木侘しや空の巣を抱き 圭魚 冬帝に眼見開く埴輪かな 三無 浮寝鳥にも攻防の濁り池 要 昃れば雪虫蒼く漂へる 炳子 群れてゐて己を尽くす野水仙 三無
栗林圭魚選 特選句
冬帝に眼見開く埴輪かな 三無 冬枯に錆朱のコート遠ざかる 要 日矢刻みつつ枯葉舞ふ小径かな 同 紅葉散る眩しき日矢を弾きつつ 三無 冬枯に詩吟朗々沁み渡る 要 浮寝鳥にも攻防の濁り池 同 昃れば雪虫蒼く漂へる 炳子 落葉ひとつひとつ大地へしじま足す 千種
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月21日 福井花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
ふり向けば虹もかかりて片時雨 笑子 日本海よりの潮風懸け大根 同 師走てふ町行く人も急ぎ足 啓子 山眠る小動物も夢の中 同 ゆつたりと領域守り浮寝鳥 千加江 惟みる中子師校歌能登小春 淳子 大焚火して棟梁の頰染めて 同 貫之の土佐日記なる波の花 同 アナウンス飛び交ふ案内駅師走 和子 極月や討入り語る講談師 泰俊
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月22日 鯖江花鳥俳句會 坊城俊樹選 特選句
越前の夜の更け行く菊膾 雪 帰り花ほどの身の上知るばかり 同 柏翠の調理師免許身に入みぬ 同 人の世にかくも爽やかなる別れ 同 猫じやらしてふ名全うして枯るる 同 近松忌男の持てる顔いくつ 同 シャッター通り歩く男の冬帽子 昭子 着膨れて隠しから出す小銭入 同 箱階段みしみしと鳴る日短 同 優男には近よらず雪女郎 同 み仏の膝に眠りし猫小春 ただし 彫り浅き千代女の句碑や風白し 同 荒るる潮崖を昇りて浪の花 みす枝 聞き上手相槌上手炬燵の間 同 追憶の母はつつましヒヤシンス 一涓
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月25日 月例会 坊城俊樹選 特選句
鯉はまだ水底に居て降誕祭 小鳥 片翳りして水鳥の消ゆる午後 炳子 羽根付けし少年少女クリスマス 順子 木枯や犬咥へたる赤きもの 和子 発声のなく群衆となる外套 光子 冬木の芽依代として時を待つ 三郎 寒禽の声やさしきは恋ならむ 昌文
岡田順子選 特選句
鯉はまだ水底に居て降誕祭 小鳥 青年は武道館へと冬木の芽 月惑 本殿の奥のひと揺れ年の果 三郎 零戦の真後ろに立ち懐手 小鳥 極月の鯉は黄金の鯉となり 俊樹 青といふ底なしの天なる寒さ 光子 繭白の提灯三列春用意 和子
栗林圭魚選 特選句
献木の葉も艶々と冬椿 佑天 鯉はまだ水底に居て降誕祭 小鳥 引つ掻きてみたき青空年つまる 順子 鴨の声幽かに聞きて九段坂 炳子 裸木の列柱なせる大鳥居 要 寒禽の鳴き交したる虚空かな 佑天 枯れ様をさらし尽くして濠の蓮 要
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月 九州花鳥会 坊城俊樹選 特選句
仲直りしたくて蜜柑剥いてやる ひとみ 細胞の溶け出してゐる日向ぼこ 同 少年は狐火を見に行きしまま 同 手回しのミル短日の音重ね 由紀子 花枇杷や八十路麗し名妓の家 久美子 鉄瓶のきりりと据る冬の朝 さえこ 花枇杷に愛を求むる虫来る 美穂 さよならと赤きマフラー振り向かず 同 神鈴を打ちて寒濤迫りくる かおり 蕪村忌や立てる襟なき放浪者 勝利 追羽根の一人一人に違ふ空 朝子 宇宙船帰還するらし葱刻む 愛 日おもてに人見知りの子枇杷の花 睦古賀子 波の上の禅定なるや浮寝鳥 同 狼の魂いまも大和に伏せしまま 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年11月2日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
熟し柿落す一つを拾ひけり 世詩明 渡り鳥集合離散離れざる 同 松手入れ空の明るさ戻しけり 同 病室の窓にもトンボ見舞はれし 輝一 耳遠く遅れて笑ふ老いの秋 秋子 生きるとはすさまじきもの蟻の列 同 静かなる大和三山星月夜 誠 新涼の後ろ姿の理髪台 同 心中にたむける回向近松忌 やす香
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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amanda-122 · 1 year
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トップガン マーヴェリック、 めちゃくちゃ面白い
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好きな映画といえばキャシャーンとカンフーハッスルとキングスマンの 三つ巴だったけど完全に首位に躍り出た 本当に最高の映画です
これ見たあと1作目も見て、何もかも上手にアップデートされた映画なんだなって ことがわかってさらに好きになってしまった。36年も経って続編って何ごと…?って 思ったけどこの映画にはそれだけの時間が必要だったのだということが空中戦の シーンで特によくわかる。製作陣も宇多丸も言ってたけどこれ級の戦闘機映画は もう二度と見られないかもしれない。 すごいな〜〜〜〜トム・クルーズって普段何食べてるんだろ?(??)
1:冒頭〜空母からの戦闘機射出シーン これ1作目の冒頭を完全にトレースしてるんですよね。 あまりにもエモすぎて1作目に思い入れある人たち息してるか心配になっちゃった。 1作目の時はイントロ部分が結構長めでやや冗長に感じられるんだけど、 マーヴェリックではちょうどいい長さになっていてDanger Zoneの歌が掛かった 瞬間ブチ上がる なんとびっくりすることにこの時点でチケット代の元がもう取れます。やったね!
2:謎の男の写真 マーヴェリックが生活する格納庫の壁にたくさん飾られた 思い出の写真の数々の中に軍服姿の謎の男のピン写真があるわけですが これ本来はここにあるはずのない写真、ということが後々作中でわかるので 2周目改めて確認した時に「ンア〜〜!!??」となること不可避。
3:ダークスターは犠牲になったのだ マーヴェリックという男が「天才的なセンスで今もなお現役で戦闘機を操縦している」 「相変わらず上司の言うことを聞かない」「現在進行形で無茶しまくっている」ことを 非常にわかりやすく説明するために犠牲となった超音速機ダークスターちゃんのことを 私たちは忘れないでしょう
4:ブラッドショー家の記憶 ルースターが彼の父・グースと同じ曲を陽気に演奏している様子を見て マーヴェリックが過去を思い出しちゃうシーン、 1作目未見でも「マーヴェリックはルースターのことを子どもの頃から知っていて、 どうやら彼の父は過去の任務中に死んだっぽい」ということがわかるように 無駄なくまとめられていて良い。
5:マーヴェリック教官の登場シーン 「教官と生徒という関係になることを知らずに前日最悪な会い方をしていた」 という流れも見事な前作トレース。お約束! ここでマーヴェリックを睨みつけるルースターの顔の作画が神絵師のそれ。
6:ジャイアンなハングマンにしっかり言い返すボブ 人畜無害そうな登場の仕方しといてボブも結構食わせ者だな!というのが わかるシーン
7:マーヴェリックの曲芸飛行 天地逆さになって相手機体の真上に張り付くやつ1作目でもやってたけど、 今回しっかり全体の動きが見れるので、より気持ち悪さとすごさが強調されていて良い
8:無茶な作戦内容聞いて顔を見合わせるフェニックスとボブ いい〜〜〜とてもいい〜〜〜 あとフェニックスいつも椅子座る時大股になるのもめっちゃいい〜〜〜〜このペア好〜〜
9:まもって!守護天使 大出世したアイスマン提督によってマーヴェリックはおそらく今まで 何度も助けられてきたんだろうなというのが数分の会談シーンから 感じられて良い。何十年にもわたる感謝が「ありがとうアイス すべてのことに」 という短い言葉にギュッと詰め込まれている。 あとここでマーヴェリックは「今の実力のルースターを任務に抜擢したら彼は おそらく死ぬし、かといって選ばなかったら自分を恨んだままで一生関係が 修復できない」という2択で悩んでおり、任務にめちゃくちゃ私情を挟んでいることが 判明する。核プラントどころではなかった。
10:基地ボッチサイクロン えっ、誰もいないんだけど!?状態で基地内うろうろしてるサイクロンかわいい 誰か伝えてあげて!!
11:ビーチフットで一人だけTシャツ着てるボブ わかる!ボブはむやみやたらと上半身を露出しない!!解釈一致!! ちなみに1作目ではビーチバレーの時グースだけTシャツを着ていてこれも解釈一致
12:招かれて初めてペニー宅に踏み入れるマーヴェリック ナンパに失敗したからって女子トイレにまで侵入してくるマーヴェリックはもういないのです(1作目)よかったよかった
13:脱出後アメリアとばっちり目が合うマーヴェリック 4回劇場に行ったけどこのシーンで吹き出してる人が毎回必ずいた
14:ルースターの暴言に2回ボコられるマーヴェリック 「死んでも誰も悲しまない」と言われた時のマーヴェリックは目を瞑って 感情を上手にやり過ごしてるんだけど、「あんたを信じて親父は死んだ」と 言われた時は脳天ガツンと殴られたみたいな感じで一瞬よろめくんですよね。 おそらくマーヴェリックを動揺させたいルースター、確実に致命傷を与える言葉選びを していてひで〜〜〜と思いながらもその容赦なさがある意味<親子>喧嘩っぽくも あってなんとも言えない気持ちになる。
15:ペニーとマーヴェリック 1作目の残念なところが「ヒロインとゴリゴリにロマンスするくせに全然信頼関係を 築けていないところ」だったので、今回マーヴェリックのピンチに際してペニーが 語りかけた言葉をきちんと素直に受け止めているところがすごくいいなと思った。
16:任務は不可能じゃないことを体を張って示したマーヴェリックに対しての反応 マジかよスゲー!と色めきたつ候補生たち、静かにガッツポーズを握りしめる ウォーロック、マーヴェリックってこういう男だよ…と複雑な表情をするホンドー、 それぞれのリアクションからマーヴェリックへの眼差しがわかるので大変興味深いシーン。
17:マーヴェリックがほぼ犬 希望どおり任務を命じられそうになって思わず感情が昂り、ウォーロックに 制止される時のマーヴェリックの挙動がほぼ犬
18:最期のあいさつ これ視聴3回目くらいになってやっと気づいたんだけど、白い詰襟服姿で ペニーの前に現れた時おそらく「自分も任務に行くことになった」ことだけじゃなく 「もう二度と会えないかもしれない」こと伝えてるんですよね。 ただ「二度と会えないかもしれない」選択肢を示したのは他ならぬペニーで、 その彼女に、愛する女性に、最大限の敬意を払ってお別れのあいさつするために 普段着ない白詰襟をわざわざ引っ張り出してきてきたんだろうなと思うと 思いのほか重いシーンだった。
19:やっぱりホンドーにもお別れのあいさつしてる マーヴェリックが「生きて帰れないかもしれない」と思っていることはここで 明確にわかるものの、その直前ルースターに対しては「戻ったら話の続きをしよう」と 生還前提の話をしているので、ほい??ってなる つまりアイスに話していた ①自分抜きでルースターを任務に行かせたらルースターは死ぬ ②かといってルースターの身を案じるあまり任務から外したら一生恨まれてしまう この2つを回避するために ③自分抜きでの任務成功はあり得ないとみんなに納得をさせたうえで  ルースターを連れて行き、自分の命と代えてでもルースターを生還させる という第3の選択をしていることがはっきりわかってしまう…わかってしまうのだ…
20:操縦テクみんなやばい 一流の人間しか出てこないのであまり考えてこなかったけど、トップスピードのまま 狭い橋脚の隙間を走り抜けるシーンで「こいつら全員とんでもねぇ」ということに改めて気づきます
21:撃墜されたルースターの元に駆け寄るマーヴェリック 安定のトム走りが気になって一瞬緊張がゆるんでしまう 背筋ピーン
22:敵地脱出シーン マーヴェリックの操縦するF-14の後ろに乗るのはブラッドショー家の男と 相場は決まってらぁ!!みたいな力技 しかしエモい
23:勝手にけしかけておいて勝手にうろたえるルースター 「曲芸技を見せてやれ!」とけしかけておいてその直後に「やりすぎだ…」 って言うルースターが憧れのヒーローを前に興奮しちゃう少年みたいでかわいい
24:帰還後の艦上でのハングマンとルースター 他のみんなみたいにハグせず、握手だけで済ませてるのなんか良い。 アイスマンとマーヴェリックみたいな関係になっていくのかなって予感させるものがある。
25:格納庫にルースターいる 第3の選択肢で死ぬかもしれなかった命を他の誰でもないルースターに救われて、 こういう未来になって本当によかったね。
最高!!!!
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zbame · 2 years
Photo
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着物でおでかけする時に 大好きな猫さん、大好きな犬さんが 襟元で一緒にてくてく歩いてくれる。 そんな半襟です。 半襟・猫の足跡 https://zbame.thebase.in/items/26569826 犬の足跡 https://zbame.thebase.in/items/24894493 #普段着物 #犬の半襟 #猫の半襟 #着物でお出かけ #犬の足跡 #猫の足跡 #猫と一緒にお出かけ #犬と一緒にお出かけ #kimono #着物女子 #猫好きさんに届いて欲しい #犬好きさんに届いて欲しい #犬好き着物好き #猫好き着物好き https://www.instagram.com/p/CVebRjehwhA/?utm_medium=tumblr
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toubi-zekkai · 3 years
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厚着紳士
 夜明けと共に吹き始めた強い風が乱暴に街の中を掻き回していた。猛烈な嵐到来の予感に包まれた私の心は落ち着く場所を失い、未だ薄暗い部屋の中を一人右往左往していた。  昼どきになると空の面は不気味な黒雲に覆われ、強面の風が不気味な金切り声を上げながら羊雲の群れを四方八方に追い散らしていた。今にも荒れた空が真っ二つに裂けて豪雨が降り注ぎ蒼白い雷の閃光とともに耳をつんざく雷鳴が辺りに轟きそうな気配だったが、一向に空は割れずに雨も雷も落ちて来はしなかった。半ば待ち草臥れて半ば裏切られたような心持ちとなって家を飛び出した私はあり合わせの目的地を決めると道端を歩き始めた。
 家の中に居た時分、壁の隙間から止め処なく吹き込んで来る冷たい風にやや肌寒さを身に感じていた私は念には念を押して冬の格好をして居た。私は不意に遭遇する寒さと雷鳴と人間というものが大嫌いな人間だった。しかし家の玄関を出てしばらく歩いてみると暑さを感じた。季節は四月の半ばだから当然である。だが暑さよりもなおのこと強く肌身に染みているのは季節外れの格好をして外を歩いている事への羞恥心だった。家に戻って着替えて来ようかとも考えたが、引き返すには惜しいくらいに遠くまで歩いて来てしまったし、つまらない羞恥心に左右される事も馬鹿馬鹿しく思えた。しかしやはり恥ずかしさはしつこく消えなかった。ダウンジャケットの前ボタンを外して身体の表面を涼風に晒す事も考えたが、そんな事をするのは自らの過ちを強調する様なものでなおのこと恥ずかしさが増すばかりだと考え直した。  みるみると赤い悪魔の虜にされていった私の視線は自然と自分の同族を探し始めていた。この羞恥心を少しでも和らげようと躍起になっていたのだった。併せて薄着の蛮族達に心中で盛大な罵詈雑言を浴びせ掛けることも忘れなかった。風に短いスカートの裾を靡かせている女を見れば「けしからん破廉恥だ」と心中で眉をしかめ、ポロシャツの胸襟を開いてがに股で歩いている男を見れば「軟派な山羊男め」と心中で毒づき、ランニングシャツと短パンで道をひた向きに走る男を見れば「全く君は野蛮人なのか」と心中で断罪した。蛮族達は吐いて捨てる程居るようであり、片時も絶える事無く非情の裁きを司る私の目の前に現れた。しかし一方肝心の同志眷属とは中々出逢う事が叶わなかった。私は軽薄な薄着蛮族達と擦れ違うばかりの状況に段々と言い知れぬ寂寥の感を覚え始めた。今日の空が浮かべている雲の表情と同じように目まぐるしく移り変わって行く街色の片隅にぽつ念と取り残されている季節外れの男の顔に吹き付けられる風は全く容赦がなかった。  すると暫くして遠く前方に黒っぽい影が現れた。最初はそれが何であるか判然としなかったが、姿が近付いて来るにつれて紺のロングコートを着た中年の紳士だという事が判明した。厚着紳士の顔にはその服装とは対照的に冷ややかで侮蔑的な瞳と余情を許さない厳粛な皺が幾重も刻まれていて、風に靡く薄く毛の細い頭髪がなおのこと厳しく薄ら寒い印象に氷の華を添えていた。瞬く間に私の身内を冷ややかな緊張が走り抜けていった。強張った背筋は一直線に伸びていた。私の立場は裁く側から裁かれる側へと速やかに移行していた。しかし同時にそんな私の顔にも彼と同じ冷たい眼差しと威厳ある皺がおそらくは刻まれて居たのに違いない。私の面持ちと服装に疾風の如く視線を走らせた厚着紳士の瞳に刹那ではあるが同類を見つけた時に浮かぶあの親愛の情が浮かんでいた。  かくして二人の孤独な紳士はようやく相まみえたのだった。しかし紳士たる者その感情を面に出すことをしてはいけない。笑顔を見せたり握手をする等は全くの論外だった。寂しく風音が響くだけの沈黙の内に二人は互いのぶれない矜持を盛大に讃え合い、今後ともその厚着ダンディズムが街中に蔓延る悪しき蛮習に負けずに成就する事を祈りつつ、何事も無かったかの様に颯然と擦れ違うと、そのまま振り返りもせずに各々の目指すべき場所へと歩いて行った。  名乗りもせずに風と共に去って行った厚着紳士を私は密かな心中でプルースト君と呼ぶ事にした。プルースト君と出逢い、列風に掻き消されそうだった私の矜持は不思議なくらい息を吹き返した。羞恥心の赤い炎は青く清浄な冷や水によって打ち消されたのだった。先程まで脱ぎたくて仕方のなかった恥ずかしいダウンジャケットは紳士の礼服の風格を帯び、私は風荒れる街の道を威風堂々と闊歩し始めた。  しかし道を一歩一歩進む毎に紳士の誇りやプルースト君の面影は嘘のように薄らいでいった。再び羞恥心が生い茂る雑草の如く私の清らかな魂の庭園を脅かし始めるのに大して時間は必要無かった。気が付かないうちに恥ずかしい事だが私はこの不自然な恰好が何とか自然に見える方法を思案し始めていた。  例えば私が熱帯や南国から日本に遣って来て間もない異国人だという設定はどうだろうか?温かい国から訪れた彼らにとっては日本の春の気候ですら寒く感じるはずだろう。当然彼らは冬の格好をして外を出歩き、彼らを見る人々も「ああ彼らは暑い国の人々だからまだ寒く感じるのだな」と自然に思うに違いない。しかし私の風貌はどう見ても平たい顔の日本人であり、彼らの顔に深々と刻まれて居る野蛮な太陽の燃える面影は何処にも見出す事が出来無かった。それよりも風邪を引いて高熱を出して震えている病人を装った方が良いだろう。悪寒に襲われながらも近くはない病院へと歩いて行かねばならぬ、重苦を肩に背負った病の人を演じれば、見る人は冬の格好を嘲笑うどころか同情と憐憫の眼差しで私を見つめる事に違いない。こんな事ならばマスクを持ってくれば良かったが、マスク一つを取りに帰るには果てしなく遠い場所まで歩いて来てしまった。マスクに意識が囚われると、マスクをしている街の人間の多さに気付かされた。しかし彼らは半袖のシャツにマスクをしていたりスカートを履きながらマスクをしている。一体彼らは何の為にマスクをしているのか理解に苦しんだ。  暫くすると、私は重篤な病の暗い影が差した紳士見習いの面持ちをして難渋そうに道を歩いていた。それは紳士である事と羞恥心を軽減する事の折衷策、悪く言う��らば私は自分を誤魔化し始めたのだった。しかしその効果は大きいらしく、擦れ違う人々は皆同情と憐憫の眼差しで私の顔を伺っているのが何となく察せられた。しかしかの人々は安易な慰めを拒絶する紳士の矜持をも察したらしく私に声を掛けて来る野暮な人間は誰一人として居なかった。ただ、紐に繋がれて散歩をしている小さな犬がやたらと私に向かって吠えて来たが、所詮は犬や猫、獣の類にこの病の暗い影が差した厚着紳士の美学が理解出来るはずも無かった。私は子犬に吠えられ背中や腋に大量の汗を掻きながらも未だ誇りを失わずに道を歩いていた。  しかし度々通行人達の服装を目にするにつれて、段々と私は自分自身が自分で予想していたよりは少数部族では無いという事に気が付き始めていた。歴然とした厚着紳士は皆無だったが、私のようにダウンを着た厚着紳士見習い程度であったら見つける事もそう難しくはなかった。恥ずかしさが少しずつ消えて無くなると抑え込んでいた暑さが急激に肌を熱し始めた。視線が四方に落ち着かなくなった私は頻りと人の視線を遮る物陰を探し始めた。  泳ぐ視線がようやく道の傍らに置かれた自動販売機を捉えると、駆けるように近付いて行ってその狭い陰に身を隠した。恐る恐る背後を振り返り誰か人が歩いて来ないかを確認すると運悪く背後から腰の曲がった老婆が強風の中難渋そうに手押し車を押して歩いて来るのが見えた。私は老婆の間の悪さに苛立ちを隠せなかったが、幸いな事に老婆の背後には人影が見られなかった。あの老婆さえ遣り過ごしてしまえばここは人々の視線から完全な死角となる事が予測出来たのだった。しかしこのまま微動だにせず自動販売機の陰に長い間身を隠しているのは怪し過ぎるという思いに駆られて、渋々と歩み出て自動販売機の目の前に仁王立ちになると私は腕を組んで眉間に深い皺を作った。買うべきジュースを真剣に吟味選抜している紳士の厳粛な態度を装ったのだった。  しかし風はなお強く老婆の手押し車は遅々として進まなかった。自動販売機と私の間の空間はそこだけ時間が止まっているかのようだった。私は緊張に強いられる沈黙の重さに耐えきれず、渋々ポケットから財布を取り出し、小銭を掴んで自動販売機の硬貨投入口に滑り込ませた。買いたくもない飲み物を選ばさられている不条理や屈辱感に最初は腹立たしかった私もケース内に陳列された色取り取りのジュース缶を目の前にしているうちに段々と本当にジュースを飲みたくなって来てその行き場の無い怒りは早くボタンを押してジュースを手に入れたいというもどかしさへと移り変わっていった。しかし強風に負けじとか細い腕二つで精一杯手押し車を押して何とか歩いている老婆を責める事は器量甚大懐深き紳士が為す所業では無い。そもそも恨むべきはこの強烈な風を吹かせている天だと考えた私は空を見上げると恨めしい視線を天に投げ掛けた。  ようやく老婆の足音とともに手押し車が地面を擦る音が背中に迫った時、私は満を持して自動販売機のボタンを押した。ジュースの落下する音と共に私はペットボトルに入ったメロンソーダを手に入れた。ダウンの中で汗を掻き火照った身体にメロンソーダの冷たさが手の平を通して心地よく伝わった。暫くの間余韻に浸っていると老婆の手押し車が私の横に現れ、みるみると通り過ぎて行った。遂に機は熟したのだった。私は再び自動販売機の物陰に身を隠すと念のため背後を振り返り人の姿が見えない事を確認した。誰も居ないことが解ると急ぐ指先でダウンジャケットのボタンを一つまた一つと外していった。最後に上から下へとファスナーが降ろされると、うっとりとする様な涼しい風が開けた中のシャツを通して素肌へと心地良く伝わって来た。涼しさと開放感に浸りながら手にしたメロンソーダを飲んで喉の渇きを潤した私は何事も無かったかのように再び道を歩き始めた。  坂口安吾はかの著名な堕落論の中で昨日の英雄も今日では闇屋になり貞淑な未亡人も娼婦になるというような意味の事を言っていたが、先程まで厚着紳士見習いだった私は破廉恥な軟派山羊男に成り下がってしまった。こんな格好をプルースト君が見たらさぞかし軽蔑の眼差しで私を見詰める事に違いない。たどり着いた駅のホームの長椅子に腰をかけて、何だか自身がどうしようもなく汚れてしまったような心持ちになった私は暗く深く沈み込んでいた。膝の上に置かれた飲みかけのメロンソーダも言い知れぬ哀愁を帯びているようだった。胸を内を駆け巡り始めた耐えられぬ想いの脱出口を求めるように視線を駅の窓硝子越しに垣間見える空に送ると遠方に高く聳え立つ白い煙突塔が見えた。煙突の先端から濛々と吐き出される排煙が恐ろしい程の速さで荒れた空の彼岸へと流されている。  耐えられぬ思いが胸の内を駆け駅の窓硝子越しに見える空に視線を遣ると遠方に聳える白い煙突塔から濛々と吐き出されている排煙が恐ろしい速度で空の彼岸へと流されている様子が見えた。目には見えない風に流されて行く灰色に汚れた煙に対して、黒い雲に覆われた空の中に浮かぶ白い煙突塔は普段青い空の中で見ている雄姿よりもなおのこと白く純潔に光り輝いて見えた。何とも言えぬ気持の昂ぶりを覚えた私は思わずメロンソーダを傍らに除けた。ダウンジャケットの前ボタンに右手を掛けた。しかしすぐにまた思い直すと右手の位置を元の場所に戻した。そうして幾度となく決意と逡巡の間を行き来している間に段々と駅のホーム内には人間が溢れ始めた。強風の影響なのか電車は暫く駅に来ないようだった。  すると駅の階段を昇って来る黒い影があった。その物々しく重厚な風貌は軽薄に薄着を纏った人間の群れの中でひと際異彩を放っている。プルースト君だった。依然として彼は分厚いロングコートに厳しく身を包み込み、冷ややかな面持ちで堂々と駅のホームを歩いていたが、薄い頭髪と額には薄っすらと汗が浮かび、幅広い額を包むその辛苦の結晶は天井の蛍光灯に照らされて燦燦と四方八方に輝きを放っていた。私にはそれが不撓不屈の王者だけが戴く栄光の冠に見えた。未だ変わらずプルースト君は厚着紳士で在り続けていた。  私は彼の胸中に宿る鋼鉄の信念に感激を覚えると共に、それとは対照的に驚く程簡単に退転してしまった自分自身の脆弱な信念を恥じた。俯いて視線をホームの床に敷き詰められた正方形タイルの繋ぎ目の暗い溝へと落とした。この惨めな敗残の姿が彼の冷たい視線に晒される事を恐れ心臓から足の指の先までが慄き震えていた。しかしそんな事は露とも知らぬプルースト君はゆっくりとこちらへ歩いて来る。迫り来る脅威に戦慄した私は慌ててダウンのファスナーを下から上へと引き上げた。紳士の体裁を整えようと手先を闇雲に動かした。途中ダウンの布地が間に挟まって中々ファスナーが上がらない問題が浮上したものの、結局は何とかファスナーを上まで閉め切った。続けてボタンを嵌め終えると辛うじて私は張りぼてだがあの厚着紳士見習いの姿へと復活する事に成功した。  膝の上に置いてあった哀愁のメロンソーダも何となく恥ずかしく邪魔に思えて、隠してしまおうとダウンのポケットの中へとペットボトルを仕舞い込んでいた時、華麗颯爽とロングコートの紺色の裾端が視界の真横に映り込んだ。思わず私は顔を見上げた。顔を上方に上げ過ぎた私は天井の蛍光灯の光を直接見てしまった。眩んだ目を閉じて直ぐにまた開くとプルースト君が真横に厳然と仁王立ちしていた。汗ばんだ蒼白い顔は白い光に包まれてなおのこと白く、紺のコートに包まれた首から上は先程窓から垣間見えた純潔の白い塔そのものだった。神々しくさえあるその立ち姿に畏敬の念を覚え始めた私の横で微塵も表情を崩さないプルースト君は優雅な動作で座席に腰を降ろすとロダンの考える人の様に拳を作った左手に顎を乗せて対岸のホームに、いやおそらくはその先の彼方にある白い塔にじっと厳しい視線を注ぎ始めた。私は期待を裏切らない彼の態度及び所作に感服感激していたが、一方でいつ自分の棄教退転が彼に見破られるかと気が気ではなくダウンジャケットの中は冷や汗で夥しく濡れ湿っていた。  プルースト君が真実の威厳に輝けば輝く程に、その冷たい眼差しの一撃が私を跡形もなく打ち砕くであろう事は否応無しに予想出来る事だった。一刻も早く電車が来て欲しかったが、依然として電車は暫くこの駅にはやって来そうになかった。緊張と沈黙を強いられる時間が二人の座る長椅子周辺を包み込み、その異様な空気を察してか今ではホーム中に人が溢れ返っているのにも関わらず私とプルースト君の周りには誰一人近寄っては来なかった。群衆の騒めきでホーム内は煩いはずなのに不思議と彼らの出す雑音は聞こえなかった。蟻のように蠢く彼らの姿も全く目に入らず、沈黙の静寂の中で私はただプルースト君の一挙手に全神経を注いでいた。  すると不意にプルースト君が私の座る右斜め前に視線を落とした。突然の動きに驚いて気が動転しつつも私も追ってその視線の先に目を遣った。プルースト君は私のダウンジャケットのポケットからはみ出しているメロンソーダの頭部を見ていた。私は愕然たる思いに駆られた。しかし今やどうする事も出来ない。怜悧な思考力と電光石火の直観力を併せ持つ彼ならばすぐにそれが棄教退転の証拠だという事に気が付くだろう。私は半ば観念して恐る恐るプルースト君の横顔を伺った。悪い予感は良く当たると云う。案の定プルースト君の蒼白い顔の口元には哀れみにも似た冷笑が至極鮮明に浮かんでいた。  私はというとそれからもう身を固く縮めて頑なに瞼を閉じる事しか出来なかった。遂に私が厚着紳士道から転がり落ちて軟派な薄着蛮族の一員と成り下がった事を見破られてしまった。卑怯千万な棄教退転者という消す事の出来ない烙印を隣に座る厳然たる厚着紳士に押されてしまった。  白い煙突塔から吐き出された排煙は永久に恥辱の空を漂い続けるのだ。あの笑みはかつて一心同体であった純白の塔から汚れてしまった灰色の煙へと送られた悲しみを押し隠した訣別の笑みだったのだろう。私は彼の隣でこのまま電車が来るのを待ち続ける事が耐えられなくなって来た。私にはプルースト君と同じ電車に乗る資格はもう既に失われているのだった。今すぐにでも立ち上がってそのまま逃げるように駅を出て、家に帰ってポップコーンでも焼け食いしよう、そうして全てを忘却の風に流してしまおう。そう思っていた矢先、隣のプルースト君が何やら慌ただしく動いている気配が伝わってきた。私は薄目を開いた。プルースト君はロングコートのポケットの中から何かを取り出そうとしていた。メロンソーダだった。驚きを隠せない私を尻目にプルースト君は渇き飢えた飼い豚のようにその薄緑色の炭酸ジュースを勢い良く飲み始めた。みるみるとペットボトルの中のメロンソーダが半分以上が無くなった。するとプルースト君は下品極まりないげっぷを数回したかと思うと「暑い、いや暑いなあ」と一人小さく呟いてコートのボタンをそそくさと外し始めた。瞬く間にコートの前門は解放された。中から汚い染みの沢山付着した白いシャツとその白布に包まれただらしのない太鼓腹が堂々と姿を現した。  私は暫くの間呆気に取られていた。しかしすぐに憤然と立ち上がった。長椅子に座ってメロンソーダを飲むかつてプルースト君と言われた汚物を背にしてホームの反対方向へ歩き始めた。出来る限りあの醜悪な棄教退転者から遠く離れたかった。暫く歩いていると、擦れ違う人々の怪訝そうな視線を感じた。自分の顔に哀れな裏切り者に対する軽侮の冷笑が浮かんでいる事に私は気が付いた。  ホームの端に辿り着くと私は視線をホームの対岸にその先の彼方にある白い塔へと注いた。黒雲に覆われた白い塔の陰には在りし日のプルースト君の面影がぼんやりとちらついた。しかしすぐにまた消えて無くなった。暫くすると白い塔さえも風に流れて来た黒雲に掻き消されてしまった。四角い窓枠からは何も見え無くなり、軽薄な人間達の姿と騒めきが壁に包まれたホーム中に充満していった。  言い知れぬ虚無と寂寥が肌身に沁みて私は静かに両の瞳を閉じた。周囲の雑音と共に色々な想念が目まぐるしく心中を通り過ぎて行った。プルースト君の事、厚着紳士で在り続けるという事、メロンソーダ、白い塔…、プルースト君の事。凡そ全てが雲や煙となって無辺の彼方へと押し流されて行った。真夜中と見紛う暗黒に私の全視界は覆われた。  間もなくすると闇の天頂に薄っすらと白い点が浮かんだ。最初は小さく朧げに白く映るだけだった点は徐々に膨張し始めた。同時に目も眩む程に光り輝き始めた。終いには白銀の光を溢れんばかりに湛えた満月並みの大円となった。実際に光は丸い稜線から溢れ始めて、激しい滝のように闇の下へと流れ落ち始めた。天頂から底辺へと一直線に落下する直瀑の白銀滝は段々と野太くなった。反対に大円は徐々に縮小していって再び小さな点へと戻っていった。更にはその点すらも闇に消えて、視界から見え無くなった直後、不意に全ての動きが止まった。  流れ落ちていた白銀滝の軌跡はそのままの光と形に凝固して、寂滅の真空に荘厳な光の巨塔が顕現した。その美々しく神々しい立ち姿に私は息をする事さえも忘れて見入った。最初は塔全体が一つの光源体の様に見えたが、よく目を凝らすと恐ろしく小さい光の結晶が高速で点滅していて、そうした極小微細の光片が寄り集まって一本の巨塔を形成しているのだという事が解った。その光の源が何なのかは判別出来なかったが、それよりも光に隙間無く埋められている塔の外壁の内で唯一不自然に切り取られている黒い正方形の個所がある事が気になった。塔の頂付近にその不可解な切り取り口はあった。怪しみながら私はその内側にじっと視線を集中させた。  徐々に瞳が慣れて来ると暗闇の中に茫漠とした人影の様なものが見え始めた。どうやら黒い正方形は窓枠である事が解った。しかしそれ以上は如何程目を凝らしても人影の相貌は明確にならなかった。ただ私の方を見ているらしい彼が恐ろしい程までに厚着している事だけは解った。あれは幻の厚着紳士なのか。思わず私は手を振ろうとした。しかし紳士という言葉の響きが振りかけた手を虚しく元の位置へと返した。  すると間も無く塔の根本周辺が波を打って揺らぎ始めた。下方からから少しずつ光の塔は崩れて霧散しだした。朦朧と四方へ流れ出した光群は丸く可愛い尻を光らせて夜の河を渡っていく銀蛍のように闇の彼方此方へと思い思いに飛んで行った。瞬く間に百千幾万の光片が暗闇一面を覆い尽くした。  冬の夜空に散りばめられた銀星のように暗闇の満天に煌く光の屑は各々少しずつその輝きと大きさを拡大させていった。間もなく見つめて居られ無い程に白く眩しくなった。耐えられ無くなった私は思わず目を見開いた。するとまた今度は天井の白い蛍光灯の眩しさが瞳を焼いた。いつの間にか自分の顔が斜め上を向いていた事に気が付いた。顔を元の位置に戻すと、焼き付いた白光が徐々に色褪せていった。依然として変わらぬホームの光景と。周囲の雑多なざわめきが目と耳に戻ると、依然として黒雲に覆い隠されている窓枠が目に付いた。すぐにまた私は目を閉じた。暗闇の中をを凝視してつい先程まで輝いていた光の面影を探してみたが、瞼の裏にはただ沈黙が広がるばかりだった。  しかし光り輝く巨塔の幻影は孤高の紳士たる決意を新たに芽生えさせた。私の心中は言い知れない高揚に包まれ始めた。是が非でも守らなければならない厚着矜持信念の実像をこの両の瞳で見た気がした。すると周囲の雑音も不思議と耳に心地よく聞こえ始めた。  『この者達があの神聖な光を見る事は決して無い事だろう。あの光は選ばれた孤高の厚着紳士だけが垣間見る事の出来る祝福の光なのだ。光の巨塔の窓に微かに垣間見えたあの人影はおそらく未来の自分だったのだろう。完全に厚着紳士と化した私が現在の中途半端な私に道を反れることの無いように暗示訓戒していたに違いない。しかしもはや誰に言われなくても私が道を踏み外す事は無い。私の上着のボタンが開かれる事はもう決して無い。あの白い光は私の脳裏に深く焼き付いた』  高揚感は体中の血を上気させて段々と私は喉の渇きを感じ始めた。するとポケットから頭を出したメロンソーダが目に付いた。再び私の心は激しく揺れ動き始めた。  一度は目を逸らし二度目も逸らした。三度目になると私はメロンソーダを凝視していた。しかし迷いを振り払うかの様に視線を逸らすとまたすぐに前を向いた。四度目、私はメロンソーダを手に持っていた。三分の二以上減っていて非常に軽い。しかしまだ三分の一弱は残っている。ペットボトルの底の方で妖しく光る液体の薄緑色は喉の渇き切った私の瞳に避け難く魅惑的に映った。  まあ、喉を潤すぐらいは良いだろう、ダウンの前を開かない限りは。私はそう自分に言い聞かせるとペットボトルの口を開けた。間を置かないで一息にメロンソーダを飲み干した。  飲みかけのメロンソーダは炭酸が抜けきってしつこい程に甘く、更には生ぬるかった。それは紛れも無く堕落の味だった。腐った果実の味だった。私は何とも言えない苦い気持ちと後悔、更には自己嫌悪の念を覚えて早くこの嫌な味を忘れようと盛んに努めた。しかし舌の粘膜に絡み付いた甘さはなかなか消える事が無かった。私はどうしようも無く苛立った。すると突然隣に黒く長い影が映った。プルースト君だった。不意の再再会に思考が停止した私は手に持った空のメロンソーダを隠す事も出来ず、ただ茫然と突っ立っていたが、すぐに自分が手に握るそれがとても恥ずかしい物のように思えて来てメロンソーダを慌ててポケットの中に隠した。しかしプルースト君は私の隠蔽工作を見逃しては居ないようだった。すぐに自分のポケットから飲みかけのメロンソーダを取り出すとプルースト君は旨そうに大きな音を立ててソーダを飲み干した。乾いたゲップの音の響きが消える間もなく、透明になったペットボトルの蓋を華麗優雅な手捌きで閉めるとプルースト君はゆっくりとこちらに視線を向けた。その瞳に浮かんでいたのは紛れもなく同類を見つけた時に浮かぶあの親愛の情だった。  間もなくしてようやく電車が駅にやって来た。プルースト君と私は仲良く同じ車両に乗った。駅に溢れていた乗客達が逃げ場無く鮨詰めにされて居る狭い車内は冷房もまだ付いておらず蒸し暑かった。夥しい汗で額や脇を濡らしたプルースト君の隣で私はゆっくりとダウンのボタンに手を掛けた。視界の端に白い塔の残映が素早く流れ去っていった。
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montagnedor · 4 years
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femme ou mere
@du-elms さん、お誕生日おめでとうございます! ヒュンマというかマムヒュンみが凄いします、ついでにジャンルを拝見してましたらうっかりラーハルト+ヒュンケル成分も。 練習でお笑い系ヒュンマも書いてましたので、そのうち投稿させていただきますね((´∀`*)) +++++
夕暮れのころ、 川縁で血抜きをしてから荷車に乗せられたそれを見て、子供は聞いた “ねえロカ、これ本当に食べちゃうの……ですか?” “ああ、この辺の畑をひっくり返した暴れん坊イノシシだ、悪いがさすがにおしおきさ。それにな、これはカツレツにすると凄くうまい!” 言いつつ行く荷車から血が滴るので、近所の子犬たちまでひどく興奮して付いてくる。 狩りの文化を見せてあげてください。そういったのはアバンだった。完全な普通の害獣系の動物がベストで、モンスターだったら間違っても二足歩行してるのじゃなくてす、地上世界の食の連鎖や文化として受け���れられそうなのをね。 地底深くの死者の館に育った子供は、少なくとも熟成肉を――いくらか腐らせた肉に何だろうという顔になったし、あの世界で可能な範囲に限られるが人外じみた育て方はされていなかったようなので。 “カツレツ?” “それはアバンに教えてもらえ、きっと三角巾かぶって手ぐすね引いて待ってるさ、いっぱい食えよ” 荷車の上でまだ人形のように頭部の重量比が大きく、ふらふら揺れる子供の反応に今後の成長をいとおしむような声がかかり男が振り返って返事をする間、止まった荷車の下に赤い水たまりができていくのを子供はずっと見ていた。 血の匂いに、周囲の空気がざわつくのを感じながら *** 「人間が殺すのを一番嫌がる獣は何か、知っているか?」 ある夜、夕餉の後の焚火を囲み、青年らは二人してそんな話をした 「知らんな、物心ついた頃、俺の家は既に複数名での狩りに参加させてもらえなかった。だから子供の腕力で鳥の羽を楽にむしる為に湯にくぐらせるなどいろいろ学んだ」 なるほど手際がいいわけだ。 *** “―――ヒュンケル!” その声と共に襟首を掴まれ子供の身体は宙に浮いた。と同時に先程まで座っていたところに棍棒が叩きつけられる “畜生、血の匂いで……コングヘッドか” 車に積んでいた鋤を手に男が飛び降り、それを中型の猿型モンスターに振りかざす、 あ、と子供の喉から小さな、それを制するような悲鳴が上がった。 しょうがねえんだよヒュンケル、野生のただの猿だってそうだが、頭がいい分気が立ってるとやることがヤバいんだ。飼い犬だって二匹で両側から引っ張って引き裂いて食っちまうことさえある。なまじ人間に似てるから狩人のオジサン連中だって殺すにはいい気分がしないのさ。 さあ帰ろう、レイラとアバンが待ってる。 荷車が行く。明日にもなれば引き取ってもらえるだろうという大きな死骸。あれは食べないの……ですか、と聞いた子供にぎょっとした風に振り向いた男の横顔。血が溢れた道の脇に犬たちが群がり、もうついてこない。 *** あれはロカだったな、お前も知っているマアムの父親だ。地底魔城で初めて会った時といい、血と獣の匂いの印象が強くて、優しい男だったのを忘れていた。 つまり自分に近い異物ほど忌避し、しかも殺す以外の手段を持たないのが人間、というわけだ。 ああ、当時の俺もそう感じた、そして幼いなりにますます鬱屈した。お前の幼少期と違い、俺につらくあたる人間はとても少なかったのに 「それはお前が自分自身を彼らの仲間だと認識できていなかったからだろう」 ぱちり、と音を立て火が爆ぜる 「あの小娘たちもお前にとっては異物か」 火の上で白く湯気を立てていたポットで煎れた紅茶を半魔の青年は相手に差し出す。その応えを言外に強く求めているように。それに紫色の瞳が見返した。 「そう――そうだな俺には女や、とりわけ『母』の概念が乏しい」  父が神話や英雄譚で教えてくれたものが大半で、だからそれは神か天使といったものだった、そこはこれも母の記憶をいたみ尊めているお前とさえ違う。 「多分、畢竟怖くもあるんだろう」 どこかに導かれるのも慈しみをもらうのも、きっとそれは俺にとって「懐かしいもの」にさえなりえない、いっそ「大母」的な何かに食い殺されるような、そうされてもいいような恐れと甘えが生じるばかりだ。もしただ守るだけでいい弱い存在でいてくれれば楽だっただろうに、彼女も尊敬に値するほど強くなって行くのをみれば、 そうだな、挙句彼女に抱き留めてもらうなどという無様の中でもうろたえつつ、それが母なるものの理屈に合わないほどの献身性か優しさかそんな馬鹿なとあの後言葉もなく震えていた彼女を思えば、テメーのためだからだよ、別にテメーじゃなくてもアイツはやるだろうけど、あの時のアイツはテメーのためにやったんだよそれがわかんねえかコノヤロウと大魔導士が切れ散らかしまでで、 長い、と半魔がやめさせた。 そういう話だから、 「笑っていいぞ」 そう呟くように言いカップに口をつけた彼に、 焚火の向こう半魔の青年は頭痛でもするように眉間を指でもみほぐした (了)
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hi-majine · 5 years
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五人まわし
 女郎買いふられて帰る果報者という川柳もありますように、あの廓《さと》へ足をいれてもてると身のためにならないと申します。むかしから、女郎買いをせっせとして、ごほうびをいただいたなんていう人はひとりもありません。足しげく通っているうちには、持っている金はなくなる、親からゆずりうけた財産がなくなる、家、土蔵《くら》がなくなる、他人の信用がなくなる、ただいまはそういうことはありませんが、むかしは瘡《かさ》をうけて鼻の障子がなくなるという。なくなるものばかりで、ふえるものは借金。なるほど、ふられて帰る者のほうが、果報かも知れません。しかし、どなたでも、あの廓へ足をいれたが最後、身のためになるから、どうにかしてふられてみたいなんていうかたはあまりないようで、たいがいはもてるりょうけんでおでかけになる。むかしから、もてんとすべからず、ふられずとすべしなぞといわれております。なるほど、もてようとしてでかけるより、ふられまいとしてでかけるにかぎるんだそうで……もてりゃああのくらいやすいものはありません。そのかわりふられると、あのくらいつまらないものはありません。  ところで、京都、大阪あたりの関西の遊廓では、その晩、登楼すれば、その女郎は、朝までほかの客はとらなかったのですが、東京では、まわしといって、ひとりの女が、いく人もの客の相手をしましたので、なじみの客が一晩にかちあうと、女がなかなかまわってきませんから、客のほうでは、売れのこった木魚みたように、ふとんの上にちょこなんと坐って、女のくるのを、いまか、いまかと待っているということになったもんで……
「あーあ弱ったなあ、今夜は、もののみごとにしょい投げを食った。全体ゆうべの夢見がよくなかったよ。債券にあたってありがてえとおもっていたら、うちのなかへ水雷艇《すいらいてい》がはいってきやあがったからねえ。どうかんがえてみても、水雷艇なんてえものは、陸《おか》にあがるもんじゃあねえからなあ。なんかわりいことがなけりゃあいいとおもっていたら、今夜はこのしまつだ。ちぇっ、いやになるなあ。今夜ここの楼《うち》でいくらか銭をつかうくらいなら、質屋から帯でもだしときゃあよかった。女郎買いにきてこんな里心《さとごころ》がでちゃあおしまいだねえ。おれの部屋はさびしいが、となりの部屋はまたやけにもててるなあ……ええ、おしずかにねがいますよ。となりには独身者が住居しておりますよ。しずかにしろ、こんちくしょうめ、さっきからだまって聞いてりゃあべちゃくちゃしゃべってばかりいやあがって、しずかにしろい!いま、腹を立ってるところだぞ。こっちはなにをするかわからねえや。ひさしく人間の刺身を食わねえぞ。いやだいやだ、たばこの火は消える、命に別条ないばかりてえんだ。かなわねえな、こうなると……こりゃあまた、障子だの、壁だのに、おそろしく落書をしたねえ。ふられたやつのしわざだよ。落書にいい手はねえてえが、まったくだ。えー、なんだと……『この楼《うち》は、牛と狐の泣き別れ、もうコンコン』だと、ちくしょうめ! ……こっちのはなんだって……東京駅から神戸までの急行列車のあがり高がみんなもらいてえだってやがら……いきなことを書くやつがあるもんだねえ。こういう人とつきあってみたいねえ。おたがいに長生きするよ。やあ、またそばへ書きたしたやつがあるな。ぼくも同感、ふざけちゃあいけねえや。のんきなやつもいたもんだ……どうにかして女のくるような思案をめぐらさなくっちゃあ……『火事だ、火事だ!』とさわぎだすか? しかし、女のきたところであとのおさまりがつかねえからねえ。『ちょいと、火事はどうしたの?』『じつはねぼけたんだ』なんてえのはいけねえな。廊下へでて、すっぱだかでころがっていようか? 人が多勢あつまってくるだろうな。『なにをしてるんです?』と聞かれたら、『どじょうの丸煮のかたちだ。駒形のどじょう屋で研究をした』なんてえのは、あんまり女っ惚《ぽ》れのする芸当じゃあないねえ。いまから帰るったって時間ははんちく(はんぱ)だし、そればかりじゃあねえ。宵勘《よいかん》てえんで、もう勘定は宵にとられちまったんだからなあ。まったく女郎買えのつけなんてえものはあとでみるもんじゃあねえや。金五十銭也、娼妓揚げ代。ちぇっ、ふざけちゃあいけねえ。なにが揚げ代金だ。あげるにもさげるにも、てんで手がかりがねえんじゃあねえか。それに、こうなってみると、この二度めのすしの代金だけはよけいだったねえ。こんなことになると知ってりゃあ、とりゃあしねえや。あんちくしょうめ、『ねえ、ちょいと、さびしいじゃあないか。代《かわ》り台《だい》(遊廓でとる料理を台のものといい、そのおかわりの意)でもおいれな』てえから、おれもいい間のふりをして(ちょい気どって)、『ああ、弥助(すし)でもいれな』なんて高慢なつらをしたんだが、とうとう七十五銭|玉《たま》なしだ。吉原《なか》で七十五銭の弥助とくると、いくつもねえんだからねえ。すしよりも笹っ葉のほうが多いんだからな。のりまきばかりうんとあって、たったひとつしかねえまぐろを女が食っちまやあがった。おらあ、のりまきを二本しきゃあ食わねえよ。どういうわけだろうね? おらあこの女郎買えにくると、のりまきよりほかに食えねえてえのは? ……一度はさかなを食ってみてえとおもうんだが、習慣たあおそろしいもんだ。ついのりまきのほうへ手がいっちまうんだから……おやおや、まだ嘆《なげ》いちゃあいけねえよ。運勢地に落ちないところがあるねえ。おもて階段《ばしご》を、トーン、トーン、トンときたよ。しめしめ、これだよ、情夫《まぶ》はひけすぎ(遊女が店にならぶ、いわゆる張り店からひきあげる。午前二時すぎ)てえのは……いちばんしめえにおれんところへおみこしをすえるてえやつだ。『ちょいとすまなかったね。おそくなっちまって……なにね、酔っぱらいのお客があったもんだからさ。ようやくいま寝かしつけてきたところだよ。今夜はよくきてくれたねえ』てなことを……おや、足音はどこへいっちまったんだい? そのまま立ち消えは心細いぜ。おやおや、こんどはまた階段《はしご》を足早にトントン、トントン、トントン……なんだ、むこうの部屋だ。廊下バタバタ、胸ドキドキ、いやんなっちまうなあ……三度めの正直というぜ。こんどは、上ぞうりをひきずりながらバタバタやってきたな。待てよ。こいつは、起きているてえやつも、いいようでわるいねえ。かんがえもんだよ。『あら、ちょいと、起きてたの?』『うん、待っていた』なんてえのは甚助《じんすけ》(やきもち)すぎるからなあ。といって、寝たふりをしていて、『あらちょいと、よく寝ているねえ。起こすのもかあいそうだから、ほかへまわしにいこう』なんていかれちゃった日にゃあ、とんだ川流れだからなあ。そればっかりじゃあねえ。友だちがそういったよ。『おめえは、人に寝顔をみせるな。おめえの寝顔をみると、たいていの者はおどろいて腰をぬかす』だって……ひどい寝顔なんだねえ。『じゃあ、起きてる顔はどうだい?』『起きてる顔は、なおよくねえ』『それじゃあ、おれは、どういう顔がいいんだい?』って聞いたら、『おめえは、死に顔がいちばんいい』だってやがら……ふざけちゃあいけねえ。死に顔なんぞよくったって、なんのたしにもなりゃあしねえや……むずかしいよ、こりゃあ、起きていていけず、寝ていていけねえんだからなあ。しかたがねえから、目をあいていびきをかいてやろう。だれがみたって、寝ているんだか、起きているんだか、さっぱりわからねえ。グー……グー……」 「へえ、こんばんは……」 「グー……おや、なんだい、若い衆かい。若い衆ならこんなことをするんじゃなかった。ええ、なんだ?」 「へい、お目ざめでござんすか?」 「なにを!」 「お目ざめでござんすか?」 「よくみろい。寝ている者が口をきくかい?」 「ええ、あなたさまは、目をあいていびきをかいていらっしゃいましたが……」 「なんだ?」 「へい、失礼ですが、おひとりさまで?」 「よくみろい。そばにだれも坐っていねえんだ。おひとりさまにきまってらい。それとも、てめえのうちには、お半分さまだの、四半分さまだのてえ人間がいるのかい? いるんならお目にかかろうじゃあねえか」 「どうもおさみしゅうございましたろうな?」 「おくやみにはおよばねえや。女郎屋のまわし部屋に、夜なかにひとりでぽつんと坐っているんだ。たいていおにぎやかじゃあねえや」 「まことにお気の毒さまで……あの妓《こ》さんなら、もうほどなくおまわりになります」 「ばかっ、なにいってやんでえ。おらあな、大掃除して、検査のくるのを待ってるんじゃあねえぞ。ほどなくおまわりになりますてえやがる。ばかにしやがんない。おまわりもちんちんもあるもんか。犬とまちげえんな」 「おそれいりました」 「こう聞きな。こちとらは、なにも女郎|買《け》えにきて、そばに女がいねえからぐずぐずいうような、そんな野暮《やぼ》なおあにいさんじゃあねえんだ。女郎買えにきて、もてるのはいけねえんだ。なるたけあっさりしているのがいいんだがな、あっさりしすぎらあ。こう、てめえにいってもわからねえがな。このあいだの晩だ。おらあ、ここの楼《うち》へ初会《しよけえ》であがってやると、ぜひとも近えうちにきてくれと、たのまれたから今夜あがってやったんだ。ふるのもいいから、きれいにふれい。宵に一ぺんでもきてよ、『今夜いそがしくってまわりきれないから、このつぎにきたときにゆっくり埋めあわせをするから、今夜はがまんをしておくれ』とか、なにか気やすめの文句のひとこともいってくれりゃあ清く帰ってやらあ。三日月女郎を買って、宵にちらりとみたばかりてえのは聞いているが、皆既月蝕《かいきげつしよく》でどうなるんだい?」 「まことに相すみませんで……もうじきにおみえになります。しばらくご辛抱を……」 「なにいってやんでえ。女にそういってくれ。なまいきなまねをするもんじゃあねえってな。あの女のつらなんざあ客をふるつらじゃあねえや。廊下へでて、けつでもふれい。どうみたって売れる女じゃあねえ。大一座の初会でもなきゃあ売れ口のねえ女じゃあねえか。さあ、てめえじゃあは��しがわからねえ。もうすこし人間らしい若え衆をよこしてくれ」 「へえ?」 「まだ死亡届けをしてねえ、区役所へいけば戸籍のある人間をひっぱってこいてえんだい。わからねえかい? もっと人間らしいやつをよこしてくれ」 「へえ、わたしは人間らしくみえませんか?」 「あたりめえよ。てめえなんぞはできのいい猿じゃあねえか」 「こりゃあどうもおそれいりましたなあ。できのいい猿とはひどいなあ……ええ、おっしゃるところはごもっともでございますがな、吉原には吉原の法というものがございますが、ひけ過ぎになりますと、不寝番《ねずばん》のわれわれが、お客さまの仰《おお》せをなんなりとうけたまわりますのが、これがむかしからの廓《くるわ》の法、すなわち廓法《かくほう》でございましてな」 「なに! やい、ばか野郎、モモンガー、チンケイトー、脚気衝心《かつけしようしん》、発疹《はつしん》チフス、インフルエンザ、ペスト、コレラ、肺結核、糸っくず、バケツ、丸太んぼう、鱈《たら》のあたま、スカラベッチョ」 「スカラベッチョてえのはどういうことで?」 「なにをいやあがるんだい。かんべんならねえことをぬかしゃあがったな、うぬは……すなわち廓法だと……ふざけたことをいうない。てめえのつらなんざあ、すなわちてえつらじゃあねえや。すり鉢《ばち》づらが聞いてあきれらあ。すりこぎ野郎め。てめえたちに吉原の法なんぞを聞かされてひっこむような兄《にい》さんとは、おあにいさんのできがちょっとちがうんだ。オギャーと生まれりゃあ、三つのときから大門《おおもん》をまたいでいるんだ。そもそも吉原というもんのはじまりはな、元和《げんな》三年の三月に、庄司甚右衛門というお節介《せつけえ》野郎があって、淫売というものを廃するために、公儀へねがってでて、はじめて江戸に遊廓というものができたんだ。むかしからここにあったんじゃあねえぞ。むかしは、葺屋町《ふきやちよう》の二丁四面というものをお上《かみ》から拝領をして、葺屋町に廓《くるわ》があったればこそ、大門通りという古蹟がいまだにのこっているんだ。それを替地《かえち》を命ぜられたのがここだ。もとは一面の葭《よし》、茅《かや》しげった原だというので吉原といったのを、縁起商売だからてえんで吉原《きちげん》と書いて吉原《よしわら》と読ましたんだ。近くは明治五年十月|何日《いつか》には解放……切り放しというものがあって、それからのちは、女郎屋が貸し座敷と名がかわって、女郎が、でかせぎ娼妓《しようぎ》となったんだ。吉原中で大見世が何軒で、中見世が何軒、小見世が何軒あって、まとめれば何百何十何軒あるんだか、女郎の数が何千何百何十何人いるか、どこの楼《うち》にゃあどういう女がいて、年齢《とし》がいくつで、情夫《いろ》がいるとか、仲の町芸者が何人、横町芸者がどのくらい、たいこもちがいくたりいて、おでん屋が三十六軒あって、どこのつゆが甘《あめ》えとか辛《かれ》えとか、こんにゃくの切りかたが大きいか、小せえか、共同便所へいくたりへえって、小便をしたやつがあるか、くそをたれたやつが何人だか、ちゃんと心得てるおあにいさんだ。ふざけやがって……ぐずぐずいわねえで、やい、玉代《ぎよくだい》(遊女揚げ代金)けえせ! まごまごしやあがると、あたまから塩をつけてかじっちまうぞ、この野郎!」 「ごめんなさいまし。ただいまじきにおいらんがうかがいますから……勘定はすくねえが、いうこたあ多いや……ああおどろいた。たいへんな野郎があるんだねえ。あれじゃあとても女にゃあもてないよ。あたまから塩をつけてかじるってやがら……生梅《なまうめ》とまちげえていやあがるのはひどいねえ。あのおいらんときた日にゃあ、どこへいっちまったんだろうなあ……ええ喜瀬川さんえ、ええ喜瀬川さんえ……」 「おい、くわーっ、小使い、給仕」 「ひらけねえやつもあるもんだ。女郎屋の二階へきて、小使いだの、給仕だのってやつがあるもんか。こらってえのはいくらも出っ会《くわ》したが、くわーってえのはおだやかじゃあねえね……へいへい、ただいまうかがいます。へい、こんばんは、およびになりましたのはこちらさまで?」 「や、ずいとすすみなさい」 「へい」 「つらをあげろ」 「こんばんは」 「年齢《とし》は?」 「えへへ、もういけませんで……」 「だまれっ、人間、もういけませんという年齢があるか。何歳に相《あい》なる?」 「へえ、四十六歳になります」 「なに、四十六歳? かくすとためにならんぞ」 「かくしゃあしません」 「今日《こんにち》、男子たるべきものが、四十六歳にもなって、分別もつかず、客と娼妓《しようぎ》と同衾《どうきん》するのを媒介しておれば、貴様なにがおもしろいか? 貴様の両親じゃとてそうであろう。相当の教育もしたであろうが、貴様の怠惰薄弱心《たいだはくじやくしん》からして、今日では、かかる巷《ちまた》に賤業夫となって、耳に淫声を聞き、眼に醜態をみる。今日を、無念無想、空空寂寂《くうくうじやくじやく》と暮らしておる。ああ、いまさらになって、両親をうらむなよ」 「いえ、うらんだりいたしません……意見をされるのはおそれいったねえ……で、ご用をうけたまわりたいもんで……」 「もそっと前へすすみなさい。貴様も三度のめしを食いおって、打たれたらいたいという感覚のある人間なら、ものをみたら黒白が判然するじゃろう。貴様の目で、いかにわが輩の部屋が一目瞭然《いちもくりようぜん》たるぐらいのことはわかっておろう。みらるるごとく、四隣沈沈、閨中寂莫《けいちゆうせきばく》、人跡途絶《じんせきとだ》えて、闃《げき》として(しんとして)声なきはちと心ぼそい。わが輩の部屋にひきかえて、むこう座敷をみなさい。かの娼妓なるものの待遇によってからに、喜悦の眉《まゆ》をひらいて、胸襟《きようきん》をうちひらき、喋喋喃喃《ちようちようなんなん》(男女が仲良く語りあうさま)としておるは、げにや艶羨《えんせん》(ひどくうらやむこと)の極《きわ》みではないかい?」 「どうもおそれいりました」 「ここに二個の枕がならべてある。一個は、むろんわが輩が使用するにきまっちょるが、のこる一個は何人《なんぴと》が使用するのか? いかにわが輩|寝相《ねぞう》がわるいというても、まさか掛けがえの枕じゃあなかろう?」 「なに、そのひとつは、あの妓《こ》さんのです」 「さあ、あのお妓さんにも、このお妓さんにも、まだ娼妓ちゅうものは一回もまいらんじゃないか。よく常識をもって判断をしてみなさい。今日、男子たるべきものが登楼をする目的とするところは那辺《なへん》にあるか貴様、女郎買いの本分たるや、なにによるか?」 「へい」 「ここに受取書というものに、酒食の代とあるはいいが、冒頭《ぼうとう》にある金五十銭也、娼妓揚げ代ちゅう点にいたっては、ほとほと解釈に苦しむ。いわゆる有名無実のものといってよかろう。それとも当家の娼妓にかぎっては、お酒の相手は十分にいたしますが、閨房《けいぼう》中の相手をせぬちゅうことが民法にでてでもおるのか? ただちに玉代をかえせ、玉代を! まごまごするとダイナマイトを使用するぞ!」 「ごめんくださいまし……ああおどろいた。たいそうなやつがいるもんだねえ。ダイナマイトを使用するだってやがら……とてもあれじゃあ女にはもてねえよ……ええ喜瀬川さんえ、ちょいとお顔を……」 「廊下をかれこれとご通行になる君、ここへもお立ちよりをねがいとうおすな。オホホホホ、オホン……」 「おやおや、黄色い声をだしゃあがって、おもいやられるねえ。へいへい、ただいま、こんばんは。こちらでござんすか?」 「さあ、ずいとはいりたまえ。はいりたまえ。清めたまえ……あとをしめたまえ。あとしめ愛嬌守り神なぞはいかがでげす?」 「いや、おそれいります」 「当家ご繁昌、君あればこそでげす。まさに当家の親柱、大黒柱、うけたまわれば、かの隣室の野暮てんどもがとやかくいうのを、君が風に柳とうけながしているぐあいは感心でげすな。さすがにや千軍万馬往来の猛者《もさ》だけのことがあるねえ。角がとれてまるいねえ尊公は……角がとれてまるいから、ちょうど到来物《とうらいもの》の角砂糖にひとしいねえ」 「あっ、さようで……」 「もそっと前へすすみたまえ。みうけたてまつるところ、尊公もオギャーと生まれて、すぐお女郎屋の若い衆さんでもありゃすまい? もとはずいぶんお道楽もあったにしたところが、このお女郎買いなるものがでげすな、ご酒《しゆ》をいただいている場合はともあれ、いざお引け、いわゆる閨中《けいちゆう》の場合となってから、そばに姫が侍《はべ》っているほうが愉快とおぼしめすか? はたまたご覧ぜられるがごとく何人《なんぴと》もおらんほうが愉快とおぼしめすか? 尊公のお胸に聞いてみたいねえ。おほほほ」 「どうもおそれいりました。なんとも申しわけがございません。あのお妓さんなら、もうほどなくおみえになります。しばらくご辛抱……」 「いえ、なにも姫のご来臨のないのをとやかくいうのじゃごわせんよ。傾城傾国《けいせいけいこく》に罪なし、通う賓客《まろうど》に罪ありとは、吉田の兼好《けんこう》もおつうひねりましたなあ。しかし、いまさら姫がご来臨になったところが、もはや鶏鳴暁《けいめいあかつき》を告ぐるころおい、いかんともせん術《すべ》がごわせん。玉代をかえしておくれでないかねえ。ついては、ちと尊公の背なかを拝借したい。そちらへおむけください」 「へい、どういうことになりましょう?」 「火ばしがまっ赤に焼けておりますから、これを尊公の背なかへジューッとあてがって、東京市の紋を書いてみたいよ」 「ごじょうだんおっしゃっちゃいけません。ただいまじきにうかがいますから……ひどいやつがあるもんだねえ……ええ、喜瀬川さんえ、喜瀬川さんえ……」 「おお、ちょいときてくんな、切りだし君、切りだし君、ちょいときてくれ」 「あれあれ、なんだい、切りだし君てえのは? ……ええ、切りだし君とおっしゃるのは、わたしのことでございますか?」 「てめえだ、てめえだ。てめえなんざあ、まだ妓夫《ぎゆう》(牛)の資格はねえや。妓夫(牛)のくずだから切りだし(こまぎれ)でたくさんだ」 「ひどいことを……妓夫のくずで切りだしとは……どうも、おそれいりまして……おや、どうなさいました? 夜具ふとんをすっかりたたんじまって、たたみをあげてしまいましたな。どうなさいました?」 「おう、ちょいとこっちへへえってくんな。なくなりものがあるんだ。どうみつけてもでてこねえんだ。ちょいとへえってさがしてみてくれ」 「へいへい。では、たたみのあいだへお銀貨でもおとしなさいましたか?」 「そうじゃあねえやい。おれが買った女がいなくなっちまったんだ。たたみをあげてもでてこねえんだ。おめえ、へえってきて、よくさがしてくんな。それでもでてこなけりゃあ玉代をけえしたほうが身のためだぜ」 「こりゃあわるいしゃれだなあ。もうじきにおいらんがまいりますから、しばらくご辛抱を……ああ、おどろいた。ちょいと類のねえまねをしやがるなあ。もっとも最初の切りだし君からおかしいとおもったよ。たたみをみんなあげちまやあがって、その上にあぐらをかいていばっていやがらあ。じょうだんじゃあねえ。おいらんはどこへとじこもっちまったんだろうな? ……喜瀬川さんえ、ちょいとお顔を……」 「あいー」 「どこでござんす?」 「ここだよ」 「あー、おいらん、あなた、すこしまわってやってくださいよ。お客がうるさくってしようがありませんよ」 「うるさくったって、あたしゃ、この人のそばをはなれるのがいやなんだもの」 「ねえ、杢兵衛大尽《もくべえだいじん》、あなた、おいらんをすこし、まわしにだしてやってくださいな」 「そりゃあ、おらあだって、商売《しようべえ》だから、ほかにもいったらよかっぺえと、こういったんだけどもねえ、喜瀬川はいかねえだ。おらあのそばをはなれるのがいやだってなあ……『そりゃあ、はあ、年期《ねん》があければ夫婦《ひいふ》になるだから、いまに、はあ、朝から晩までくっついていられるだ。だどんも、いまは苦界《くげん》の身だから、つれえけんども、まわしまわれっ』てえのに、まわりゃあがらねえでなあ。おっ惚《ぽ》れてるんだなあ、おらあに……それで、ほかの客は、なんちゅうとるかねえ?」 「へえ、玉代かえせってんで……」 「玉代けえせってか? ふーん、田舎《えなか》もんだねえ。おらなんざあ、こうみいても江戸《いど》っ子だあ……なんてまぬけなやつらだんべえ。そんなざまだから、女《あま》っ子に、もてねえだよ……で、ひとりけえ?」 「いえ、お四人《よつたり》で」 「どうも、あきれたもんだ。おいらん、どうするべえ?」 「玉代をかえして、帰ってもらっておくれよ」 「そうけえ。われがそういうなら、玉は、おらがだしてやるべえ……で、いくらだ?」 「えー、おひとりが一円ずつでございますから、みんなで四円で……」 「そいじゃあ、四両だしてやるだから、みんなに帰ってもらってくんろ」 「どうも相すみません。まことにおそれいります。では、ごゆっくり、えへへへ」 「さあ、これで、われも安心して、ここにいられるだぞ」 「だけどもねえ、もう一円はずみなさいよ」 「どうするだ?」 「わたしにくださいよ」 「なんで、われに一円だすだ? われとおらとの仲でねえか。われがものはおらのもの、おらのものはわれがものだんべえ?」 「けれどもさ、銭金《ぜにかね》ばかりは他人だというからさ。わたしにも一円くださいな」 「そうか。われがそれほどいうなら、さあ、一円やるべえ」 「これをもらえば、わたしのものだね?」 「ああ、やっちまえば、われのもんだ。そんなこと、聞くにゃあおよぶめえ?」 「それじゃあ、あらためて、これをおまえさんにあげる」 「あらためて、おらがもらってどうするだ?」 「後生《ごしよう》だから、お前《ま》はんも、これを持って帰っておくれ」
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kkagtate2 · 5 years
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乃々香の部屋に入ったのは、別に昨日も来たので久しぶりでも何でも無いが、これほどまでに心臓を打ち震わせながら入ったのは初めてだろう。今の時刻は午後一時、土曜も部活だからと言って朝早く家を出ていった妹が帰ってくるまであと三時間弱、…………だが、それだけあれば十分である。それだけあれば、おおよそこの部屋にある乃々香の、乃々香の、-------妹の、匂いが染み込んだ毛布、掛け布団、シーツ、枕、椅子、帽子、制服------あゝ、昨晩着ていた寝間着まで、…………全部全部、気の済むまで嗅ぐことができる。
だがまずは、この部屋にほんのり漂う甘い匂いである、もう部屋に入ってきたときから気になって仕方がない。我慢できなくて、すうっ……、と深呼吸をしてみると鼻孔の隅から隅まで、肺の隅から隅まで乃々香の匂いが染み込んでくる。-------これだ。この匂いだ。この包み込んでくるような、ふわりと広がりのあるにおい、これに俺は惹かれたと思ったら、すぐさま彼女の虜となり、木偶の坊となっていた。いつからだったか、乃々香がこの甘い香りを漂わせていることに気がついた俺は、妹のくせに生意気な、とは思いつつも、彼女もそういうお年頃だし、気に入った男子でも出来て気にしだしたのだろう、と思っていたのだった。が、もうだめだった。あの匂いを嗅いでいると、隣りにいる乃々香がただの妹ではなく、一人の女性に見えてしまう。彼女の匂いは、麻薬である。ひとたび鼻に入れるともう最後、彼女に囚われ永遠に求め続けることになる。だからもう、いつしか実の妹の匂いを嗅ぎたいがゆえに、言うことをはいはい聞き入れる人形と成り果ててしまっていた。彼女に嫌われてしまうと、もうあの匂いを嗅げないと思ったから。だが、必死で我慢した。我慢して我慢して我慢して、あの豊かな胸に飛び込むのをためらい続けた。妹の首筋、腰、脇の下、膝裏、足首、へそ、爪、耳、乳房の裏、うなじ、つむじ、…………それらの匂いを嗅ごうと、夜中に彼女の部屋に忍び込むのを、自分で自分の骨を折るまでして我慢した。それなのに彼女は毎日毎日、あの匂いを纏わせながらこちらへグイッと近づいてくる。どころか、俺がソファに座っていたり、こたつに入っていると、そうするのが当然と言わんばかりにピトッと横に引っ付いてくる。引っ付いてきて兄である俺をまるで弟かのように、抱き寄せ、膝に載せ、頭を撫で、後ろから包み込み、匂いでとろけていく俺をくすくすと笑ってから、顎を俺の頭の上に乗せてくる。もう最近の彼女のスキンシップは異常だ。家の中だけではなく、外でも手を繋ごう、手を繋ごうとうるさく言ってきて、…………いや声には出していないのだが、わざわざこちらの側に寄って来てはそっと手を取ろうとする。この前の家族旅行でも、両親に見られない範囲ではあるけれども、俺の手は常に、あの色の抜けたように綺麗な、でも大きく少しゴツゴツとした乃々香の手に包まれていた。
……………本当に包まれていた。何せ彼女の方がだいぶ手が大きいのだ。中学生の妹の方が手が大きいなんて、兄なのに情けなさすぎるが、事実は事実である、指と指を編むようにする恋人つなぎすらされない。一度悔しくって悔しくって比べてみたことがあるけれども、結果はどの指も彼女の指の中腹あたりにしか届いておらず、一体どうしたの? と不思議そうな顔で見下されるだけだった。キョトンと、目を白黒させて、顔を下に向けて、………………そう、乃々香は俺を見下ろしてくる。妹なのに、妹のくせに、小学生の頃に身長が並んだかと思ったら、中学二年生となった今ではもう十、十五センチは高い位置から見下ろしてくる。誓って言うが、俺も一応は男性の平均身長程度の背はあるから、決して低くはない。なのに、乃々香はふとしたきっかけで兄と向き合うことがあれば、こちらの目を真っ直ぐ見下ろしてきて、くすくすとこそばゆい笑みを見せ、頬を赤く染め上げ、愛おしそうにあの大きな手で頭を撫でてきて、…………俺は本当に彼女の「兄」なのか? 姉というものは良くわからないから知らないが、居たとしたらきっと、可愛い弟を見る時はああいう慈しみに富んだ目をするに違いない。あの目は兄に向けて良いものではない。が、現に彼女は俺を見下ろしてくる、あの目で見下ろしてくる、まるで弟の頭を撫でるかのように優しくあの肉厚な手を髪の毛に沿って流し、俺がその豊かすぎる胸元から漂ってくるにおいに思考を奪われているうちに、母親が子供にするように額へとキスをしてくる。彼女には俺のことが事実上の弟のように見えているのかもしれない。じたい、俺と妹が手を繋いでいる様子は傍から見れば、お淑やかで品の良い姉に、根暗で僻み癖のある弟が手を引かれているような、そんな風に見えていることだろう。
やはり、乃々香はたまらない。我慢に次ぐ我慢に、もう一つ我慢を重ねていたいたけれども、もう限界である。今日は、彼女が部活で居なければ、いつも家に居る母親も父親とともに出かけてしまって夜まで帰ってこない。ならばやることは一つである。大丈夫だ、彼女の持っている物の匂いをちょっと嗅ぐだけであって、決して部屋を滅茶苦茶にしようとは思っていない。それに、そんな長々と居座るつもりもない。大丈夫だ。彼女は異様にこまめだけど、ちゃんともとに戻せばバレることもなかろう。きっと、大丈夫だ。……………
  肺の中の空気という空気を乃々香のにおいでいっぱいにした後は、彼女が今朝の七時頃まで寝ていた布団を少しだけめくってみる。女の子らしい赤色のふわふわとした布団の下には、なぜかそれと全く合わない青色の木の模様が入った毛布が出てきたが、確かこれは俺が昔、…………と言ってもつい半年前まで使っていた毛布で、こんなところにあったのか。ところどころほつれたり、青色が薄くなって白い筋が現れていたり、もう結構ボロボロである。だがそんな毛布でも布団をめくった途端に、先程まで彼女が寝ていたのかと錯覚するほど良い匂いを、あちらこちらに放つのである。あゝ、たまらぬ。日のいい匂いに混じって、ふわふわとした乃々香の匂いが俺を包んでいる。…………だが、まだ空に漂っているにおいだけだ。それだけでも至福の多幸感に身がよじれそうなのに、この顔をその毛布に埋めたらどんなことになるのであろう。
背中をゾクゾクとさせながら、さらにもう少しだけ毛布をめくると、さらに乃々香の匂いは強くなって鼻孔を刺激してくる。この中に頭を入れるともう戻れないような気がしたが、そんなことはどうでもよかった。ここまで来て、何もしないままでは帰れない。頭を毛布とシーツの境目に突っ込んで、ぱたん…と、上から布団をかける。------途端、体から感覚という感覚が消えた。膝は崩れ落ち、腰には力が入らず、腕はだらりと垂れ下がり、しかし、見える景色は暗闇であるのに目を見開き、なにより深呼吸が止まらぬ。喉の奥底がじわりと痛んで、頭がぼーっとしてきて、このまま続ければ必ず気を失ってしまうのに、妹の匂いを嗅ごう嗅ごうと体が自然に周りの空気を吸おうとする。止まらない。止まらない。あの乃々香の匂いが、あの甘い包まれる匂いが、時を経て香ばしくなり、ぐるぐると深く、お日様の匂いと複雑に混じり合って、俺を絞め殺してくる。良い人生であった。最後にこんないいにおいに包まれて死ねるなど、なんと幸せものか。……………
だが、口を呆けたように開け涎が垂れそうになった時、我に返った。妹の私物を汚してはならない。今ここで涎を出してしまっては彼女の毛布を汚してしまう。--------絶対にしてはいけないことである。そんなことも忘れて彼女の匂いに夢中になっていたのかと思うと、体の感覚が戻ってきて、言うことを聞けるようになったのか、呼吸も穏やかになってきた。やはり、毛布、というより寝具の匂いは駄目だ。きっと枕も彼女の髪の毛の匂いが染み付いて、途方も無くいいにおいになっていることだろう。一番気持ちが高ぶった今だからこそ、一番いい匂いを、一番最初に嗅ぐべきだと思ったが、本当に駄目だ。本当にとろけてしまう。本当に気を失うまで嗅いでしまう。気を失って、そのうちに乃々香が帰ってきたら、それこそもう二度とこんなことは出来なくなるだろうし、妹の匂いに欲情する変態の烙印を社会から押されるだろうし、その前に彼女の怪力による制裁が待っている。……………恐ろしすぎる、いくらバレーをしているからと言って、大人一人を軽々と持ち上げ、お姫様抱っこをし、階段を上り、その男が気づかないほど優しくベッドの上に寝かせるなんてそうそう出来るものではない。いや、あの時は立てないほどにのぼせてしまった俺が悪いが、あのゆさゆさと揺れる感覚は今思い出してみると安心感よりも恐怖の方が勝る。彼女のことだから、決して人に対してその力を振るうことはないとは思うけれども、やはりもしもの時を想像すると先ほどとは違う意味で背中に寒気を覚えてしまう。
ならばやるとしても、少し落ち着くために刺激が強くないものを嗅ぐべきである。ベッドの上に畳まれている彼女の寝間着は、………もちろんだめである、昨夜着ていたものだから、そんなを嗅げば頭がおかしくなってしまう。それにこれは、もう洗濯されて絶対に楽しめないと思っていた、言わば棚から牡丹餅と形容するべき彼女の物なのだから、もう少し気を静めて鼻をもとに戻してから手に取るべきであろう。なら何にしようか。早く決めないと、もう膝がガクガクするほどにあの布団の匂いを今一度嗅ぎたくて仕方がなくなっている。
そういえばちょうど鏡台横のラックに、乃々香の制服があるはず。…………あった、黒基調の生地に赤いスカーフが付いた如何にもセーラー服らしいセーラー服、それが他のいくつかの服に紛れてハンガーに吊るされている。その他の服も良いが、やはり選ぶべきは最も彼女を引き立たせるセーラー服である。なんと言っても平日は常に十時間以上着ているのだから、妹の匂いがしっかり染み付いているに違いない。それに高校生になってからというもの、なぜか女生徒の制服に何かしら言いようのない魅力を見出してしまい、あろうことか妹である乃々香の制服姿にすら、いや乃々香の制服姿だからこそ、何かそそられるものを感じるようになってしまった。-------彼女はあまりにもセーラー服と相性が良すぎる。こうして手にとって見るとなぜなのかよく分かる。妹は背こそ物凄く高いのだが、その骨格の細さゆえに体の節々、-------例へば手首、足首やら肘とか指とかが普通の女性よりもいくらか細く、しなやかであり、この黒い袖はそんな彼女の手を、ついつい接吻したくなるほど優美に見せ、この黒いスカートはそんな彼女の膝から足首にかけての麗しい曲線をさらに麗しく見せる。それに付け加えて彼女の至極おっとりとした顔立ちと、全く癖のない真直ぐに伸びる艶やかな髪の毛である。今は部活のためにバッサリと切ってしまったが、それでもさらりさらりと揺れ動く後髪と、うなじと、セーラー服の襟とで出来る黒白黒の見事なコントラストはつい見惚れてしまうものだし、それにそうやって見ていると、どんな美しい女性が眼の前に居るのだろうと想像してしまって、兄なのに、いつも乃々香の顔なんて見ているのに、小学生のようにドキドキと動悸を打たせてしまう。で、後ろにいる兄に気がつくと彼女は、ふわりと優しい匂いをこちらに投げつけながら振り向くのであるが、直後、中学生らしからぬ気品と色気のある笑みをその顔に浮かべながら、魂が取られたように口を開ける間抜けな男に近づいてくるのである。あの気品はセーラー服にしか出せない。ブレザーでは不可能である。恐らくは彼女の姿勢とか佇まいとかが原因であろうが、しかし身長差から首筋あたりしか見えていないというのに、黒くざわざわとした繊維の輝きと、透き通るような白い肌を見ているだけで、あゝこの子は良家のお嬢様なのだな、と分かるほどに不思議な優雅さを感じる。少々下品に見えるのはその大きすぎる胸であるが、いや、あの頭くらいある巨大な乳房に魅力を感じない男性は居ないだろうし、セーラー服は黒が基調なのであんまり目立たない。彼女はその他にも二の腕や太腿にもムチムチとした女の子らしい柔らかな筋肉を身に着けているが、黒いセーラー服は乃々香を本来のほっそりとした女の子に仕立て上げ、俗な雰囲気を消し、雅な雰囲気を形作っている。------------
それはそれとして、ああやって振り向いた時に何度、俺が彼女の首筋に顔を埋め、その匂いを嗅ごうとしたことか。乃々香は突っ立っている俺に、兄さん? 兄さん? 大丈夫? と声をかけつつ近づいてきて、もうくらくらとして立つこともやっとな兄の頭を撫でるのだが、俺が生返事をすると案外あっさりと離してしまって、俺はいつも歯がゆさで唇を噛み締めるだけなのである。だが、今は違う。今は好きなだけこのセーラー服の匂いを嗅げる。一応時計を確認してみると、まだこの部屋に入ってきて二十分も経っていない。そっと鼻を、彼女の首が常に触れる襟に触れさせる。すうっと息を吸ってみる。-------あの匂いがする。俺をいつも歯がゆさで苦しめてくるあの匂いが、彼女の首元から発せられるあの、桃のように優しい匂いが、ほんのりと鼻孔を刺激し、毛布のにおいですっかり滾ってしまった俺の心を沈めてくる。少々香ばしい香りがするのは、乃々香の汗の匂いであろうか、それすらも素晴らしい。俺は今、乃々香がいつも袖を通して、学校で授業を受け、友達と談笑し、見知らぬ男に心を寄せてはドキドキと心臓を打たせているであろうセーラー服の匂いを嗅いでいる。あゝ、乃々香、ごめんよこんな兄で。許してくれなんて言わない。嫌ってくれてもいい。だが、無関心無視だけはしないでくれ。…………あゝ、背徳感でおかしくなってしまいそうだ。………………
----ふと、ある考えが浮かんだ。浮かんでしまった。これをしてしまっては、……いや、だけどしたくてしたくてたまらない。乃々香の制服に自分も袖を通してみたくてたまらない。乃々香のにおいを自分も身に纏ってみたくてたまらない。自分も乃々香になってみたくてたまらない。今一度制服を眺めてみると、ちょっと肩の幅は小さいが特にサイズは問題なさそうである。俺では腕の長さが足りないので、袖が余ってしまうかもしれないが、それはそれで彼女の背の高さを感じられて良い。
俺はもう我慢できなくって着ていた上着を雑に脱いで床に放り投げると、姿見の前に立って、乃々香の制服を自分に合わせてみた。気持ち悪い顔は無いことにして、お上品なセーラー服に上半身が覆われているのが見える。これが今から俺の体に身につけることになる制服かと思うと、心臓が脈打った。裾を広げて頭を入れてみると、彼女のお腹の匂いが、胸の匂いが、首の匂いが鼻を突いた。するすると腕を通していくと、見た目では分からない彼女の体の細さが目についた。裾を引っ張って、肩のあたりの生地を摘んで、制服を整えると、またもや乃々香の匂いが漂ってきた。案の定袖は余って、手の甲はすっかり制服に隠れてしまった。
---------最高である。今、俺は乃々香になっている。彼女のにおいを自分が放っている。願わくばこの顔がこんな醜いものでなければ、この胸に西瓜のような果実がついていれば、この股に情けなく雁首を膨らませているモノが無ければ、より彼女に近づけたものだが仕方ない。これはこれで良いものである。最高のものである。妹はいつもこのセーラー服を着て、俺を見下ろし、俺と手をつなぎ、俺に抱きつき、俺の頬へとキスをする、-------その事実があるだけで、今の状況には何十、何百回という手淫以上の快感がある。だが、本当に胸が無いのが惜しい。あの大きな乳房に引き伸ばされて、なんでもない今でも胸元にちょっとしたシワが出来ているのであるが、それが一目見ただけで分かってしまうがゆえに余計に惜しい。制服の中に手を突っ込んで中から押して見ると、確かにふっくらとはするものの、常日頃見ている大きさには到底辿り着けぬ。-------彼女の胸の大きさはこんなものではない。毎日見ているあの胸はもっともっとパンパンに制服を押し広げ、生地をその他から奪い取り、気をつけなければお腹が露出してしまうぐらいには大きい。さすがにそこまで膨らまそうと力を込めて、制服を破ったりしてしまっては元の子もないのでやりはしないが、彼女の大変さを垣間見えただけでも最高の収穫である。恐らく、いつもいつも無理やりこの制服を着て、しっかりと裾を下まで引っ張り、破れないように破れないように歩いているのであろう。あゝ、なるほど、彼女が絶対に胸を張らないのはそういうことか。本当に、まだ中学生なのになんという大きさの乳房なのであろう。
そうやって制服を着て感慨に耽っていると、胸ポケットに何か硬いものを感じた。あまり良くは無いが今更なので取り出してみると、それは自分が、確か小学生だか中学生の頃に修学旅行のお土産として渡したサメのキーホルダー、…………のサメの部分であった。もう随分と昔に渡したものなので、その尾びれは欠け所々塗装が禿げてしまっているが、いまだに持っているということは案外大切にしてくれているに違いない。全く、乃々香はたまにこういう所があるから、ついつい勘違いしそうになるのである。そんな事はあり得ない、----決してあり得ないとは思っていても、つい期待してしまう。いくら魅力的な女性と言えども、相手は実の妹なのだから、-------兄妹間の愛は家族愛でしかないのだから。…………………
ちょっと湿っぽくなってきたせいか、すっかり落ち着いてしまった。セーラー服も元通りに戻してしまった。が、ベッドの上にある妹の寝巻きが目についてしまった。乃々香が昨日の晩から今朝まで着ていた寝巻き、あの布団の中に六七時間は入っていた寝巻き、乃々香のつるつるとした肌が直に触れた寝間着、…………それが、手を伸ばせば届く位置にある。---------きっと、いい匂いがするに違いない。いや、いいにおいなのは知っている。俺はあのパジャマの匂いを知っている。何せ昨日も彼女はアレを着て、俺の部屋にやってきて、兄さん、今日もよろしくね、と言ってきて、勉強を見てもらって、喋って、喋って、喋って、俺の部屋をあのふわふわとしたオレンジのような香りで充満させて、こちらがとろとろに溶けてきた頃に、眠くなってきたからそろそろお暇するね、おやすみ、と言い去っていったのである。………その時の匂いがするに違いない。
それにしてもどうして、………どうして毎日毎日、俺の部屋へやって来るのか。勉強を教えてほしいなどというのは建前でしかない。俺が彼女に教えられることなんて何もない。それは何も俺の頭が悪すぎるからではなくて、乃々香の頭が良すぎるからで、確かにちょっと前までは高校生の自分が中学生の彼女に色々と教えられていたのであるが、気がついた時には俺が勉強を教わる側に立っており、参考書の輪読もなかなか彼女のペースについていけず、最近では付箋メモのたくさんついた〝お下がり〟で、妹に必死に追いつこうと頑張る始末。そんなだから乃々香が毎晩、兄さん兄さん、勉強を教えてくださいな、と言って俺の部屋にやって来るのが不思議でならない。いつもそう言ってやって来る割には勉強の「べ」の字も出さずにただ駄弁るだけで終わる時もあるし、俺には彼女が深夜のおしゃべり相手を探しているだけに見える。それだけのために、あんないい匂いを毎晩毎晩俺の部屋に残していくだなんて、生殺しにも程がある。
だから、これは仕方ないんだ。乃々香のせいなんだ。このもこもことしたパジャマには、悔しさで顔を歪める俺を慰めてきた時の、あの乃々香の大人っぽい落ち着いた匂いが染み付いているんだ。------あゝ、心臓がうるさくなってきた。もう何が原因でこんなに心臓が動悸してるのか分からない。寝間着を持つ手が震えてきた。綺麗に丁寧に畳まれていたから、後できっと誰かが手を加えたと気がつくであろう。だけど、だけど、このパジャマを広げて思う存分においを嗅ぎたい。嗅ぎたい。…………と、その時、するりと手から寝巻きが滑った。
「あっ」
ぱさり…、という音を立てて乃々香のパジャマが床に落ちる。落ちて広がる。袖の口がこちらを見てきている。たぶんそこから、いや、落ちた時に部屋の空気が掻き乱されたせいか、これまでとはまた別種の、-------昨日俺の部屋に充満した、乃々香がいつも使うシャンプーの香りと彼女自身の甘い匂いが、俺の鼻に漂ってくる。もうたまらない。パジャマに飛びつく。何日も食事を与えられなかった犬のように、惨めに、哀れに、床に這いつくばり、妹の着ていた寝間着に鼻をつけて思いっきり息を吸い込む。-------これが俺。実の妹の操り人形と化してしまった男。実の妹の匂いを嗅いで性的な興奮を覚え、それどころか実の妹に対して歪んだ愛を向ける男。実の妹に嫌われたくない、嫌われたくない、と思いながら、言いながら、部屋に忍び込んでその服を、寝具を、嗅いで回る変態。…………だが、やめられない、止まらない。乃々香のパジャマをくしゃくしゃに丸め、そこに顔を埋める。すうっ………、と息を吸う。ここが天国なのかと錯覚するほどいい匂いが脳を溶かしてくる。もう一度吸う。さらに脳がとろけていく。------あゝ、どこだここは。俺は今、どこに居て、どっちを向いているんだ。上か、下か、それも分からない。何もわからない。--------
「ののかっ!」
気がつけば、声が出てしまっていた。-------そうだ、俺は乃々香の部屋に居て、乃々香のパジャマを床に這いつくばって嗅いでいたのだった。顔を上げ、そのパジャマから鼻を離すといくらか匂いが薄くなり、次いで視界も思考も晴れてくる。危なかった、もう少しで気狂いになって取り返しのつかない事態になっていたところだった。だが、パジャマから手を離し、ふと首を傾ぐとベッドの下が何やらカラフルなことに気がついた。見ると白いプラスチックの衣装ケースの表面を通して、赤色と水色のまん丸い影が二つ、ぼやぼやと光っている。こういうのはそっとしておくべきだが、そんな今更戸惑ったところで失笑を買うだけであろう、手を伸ばして開けてみると、そこには嫌にバカでかい、でかい、………でかい、…………何であろうか、女性の下着ということは分かるが何なのかまでは分からない。いや、大体想像はついたけれども、まだ信じられない。これがブラジャーだなんて。……………
とりあえず目についた一番手前の、水色の方を手に取ってみると、案の定たらりと、幅二センチはある頑丈なストラップが垂れた。そして、恐らくカップの部分なのであろう、俺の顔ほどもある布地がワイヤーに支えられてひらひらと揺れ動いている。片方しか無いと思ったら、どうやらちょうど中央部分で折り畳まれているようで、四段ホックの端っこが二枚になって重なっている。俺は金具の部分を持って開いてみた。………………で、でかい。…………でかすぎる。これが本当にブラジャーなのかと思ったけれども、ちゃんとストラップからホックからカップから、普通想像するブラジャーと構造は一緒なようである。……………が、大きさは桁違いである。試しに手を目一杯広げてカップの片方に当ててみても、ブラジャーの方がまだ大きい。顔と見比べてもまだブラジャーの方が大きい。とにかく大きい。これが乃々香が、妹が、中学生が普段身に着けているブラジャーなのか。こんな大きさでないと合わないというのか。……………いや、いまだに信じられないけれども、ところどころほつれて糸が出ていたり、よく体に当たるであろうカップの下側の色が少し黄色くなっているから、乃々香は本当に、この馬鹿にでかいブラジャーを、あの巨大な胸に着けているのであろう。そう思うと手も震えてくれば、歯も震えてきてガチガチと音が鳴る。今まで生で見たことが無くて、一体どれだけ大きな胸を妹は持っているのか昔から謎だったけれども、今ようやく分かった気がする。カップの横にタグがあったので見てみると、32KKとあるから、多分これがカップ数なのであろうと勝手に想像すると、彼女はどうやらKカップのおっぱいの持ち主らしい。………なぜKが二つ続いているのか分からないが、中学生でKカップとは恐れ入る。通りで膝枕された時に顔が全く見えないわけだ。
-------あゝ、そうだ、膝枕。乃々香の膝枕。アレは最高だった。もうほとんど毎日のようにされているが、全くもって飽きない。下からは硬いけれど柔らかい彼女の太腿の感触が、上からは、………言うまでもなかろう顔を押しつぶしてくる極上の感触が、同時に俺を襲ってきて、横を向けば彼女の見事にくびれたお腹が見える。それだけでも最高なのに、彼女の乳房にはまるでミルクのような鼻につくにおいが漂い、彼女のお腹にはあのとろけるような匂いが充満していて、毎晩俺は幼児退行を経験してしまう。だがそうやって、とろけきって頭の中から言葉も無くなった俺に、妹はあろうことか頭を撫でてくるのである。そして、子守唄でも歌ってあげようか、兄さん? と言ってきて本当に、ねんねんころりよ、と赤ん坊をあやすように歌ってくるのである。あの膝枕をされてどうにかならないほうがおかしい。もう、長幼の序という言葉の意味が分からなくなってくるほどに、乃々香に子供扱いされている。-------だが、そこにひどく興奮してしまう。彼女に膝枕をされて、頭を撫でられて、子守唄を歌われて、結果、情けなく勃起してしまう。俺はもう駄目かもしれない。実の妹に子供扱いされて欲情する男、…………もしかしたら実の妹の匂いで興奮する男よりもよっぽどおかしいが、残念ながら優劣を決める前にどちら��俺のことである。…………あゝ、匂い。乃々香の匂い。--------彼女の布団が恋しくなってきた。動くのも億劫だが最後にもう一嗅ぎしたい。…………………
これで最後である。もう日が落ちかけてきているから、そろそろ乃々香が帰ってきてしまう。この布団をもう一瞬、一瞬だけ嗅いだら彼女のブラジャーをもとに戻し、パジャマを出来る限り綺麗に畳み、布団を元に戻して部屋に戻る。まだまだ満足とは言えないが、こういう機会は今後もあるだろうから、今日はこの辺でお開きにしよう。
そんなことを思いつつ体を起こして膝立ちの体勢でベッドに体を向けた。布団は、先程めくったのがそのまま、ぺろりと青い毛布とシーツが見えている。そこに吸い込まれるように顔を近づけ、漂って来るにおいに耐えきれず鼻から息を吸う。------途端、膝が崩れ落ちた。やっぱりダメだった。たったそれだけ、………たった一回嗅ぐだけで、一瞬だけ、一瞬だけ、という言葉が頭の中から消えた。ついでに遠慮という言葉も消えた。我慢という言葉も消えた。ただ乃々香という名前だけが残った。頭を妹の布団の中へ勢いよく突っ込んだ。乃々香の、乃々香ままの匂いが、鼻を通って全身に行き渡っていく。あまりの多幸感に自然に涙が出てくる。笑みもこぼれる。涎もだらだらと出てくる。が、まだ腕の感覚は残っている。手を手繰り寄せ、上半身を全て乃々香の布団の中へ。------あ、もう感覚というかんかくがなくなった。おれは今、ういている。ののかの中でういている。ふわふわと、ふわふわと、ののかのなかで。てんごくとは、ののかのことであったか。なんとここちよい。ののか、ののか、ののか。……………ごめんよ、乃々香、こんなお兄ちゃんで。----------------
  気がついた時には、いよいよ日が落ちてしまったのか部屋の中はかなり薄暗く、机や椅子がぼんやりと赤く照らされながら静かに佇んでいた。俺はどうやら気絶していたらしい。まだ顔中には信じられないほどいい匂いを感じているが、それにはさっきまで嗅いでいた布団とは違う、生々しい人間の香りが混じってい、------------あれ? ………………おかしい。俺は確か布団の中で眠ってしまったというのに、なぜ部屋の中が見渡せる? それに下からは硬いけれど柔らかい極上の感触が、上からは顔を潰さんと重々しく乗ってくる極上の感触が、同時に俺を襲ってきている。しかもその上、ずっと聞いていたくなるような優しい歌声が聞こえてきて、お腹はぽんぽんと、軽く、リズムよく、歌声に合わせて、叩かれている。……………あゝ、もしかして。……………やってしまった。乃々香が帰ってきてしまった。ブラジャーもパジャマも床に放りっぱなしだったのに、布団をめちゃくちゃにしていたのに、何もかもそのままなのに、帰ってきてしまった。きっと怒っている。怒っていなければ、呆れられている。呆れられていなければ、もう兄など居ないことにされている。…………とりあえず起きなければ。----------が、体を起こそうとした瞬間、あんなに優しくお腹を叩いていた腕にグッと力を入れられて、俺の体は万力に挟まったように固定されてしまった。
「の、乃々香。…………」
「兄さん、起きました?」
「あ、うん。えっと、………おかえり」
「ただいま。------まぁ、色々と言いたいことはあるけどまずは聞くね。私の部屋でなにしてたの?」
キッと、乃々香の語調が強くなる。
「あ、……いや、………それは、……………」
「ブラジャーは床に放り出して、寝間着はくしゃくしゃにして、頭は布団の中に突っ込んで、…………一体何をしていたんですか? 黙ってないで、言いなさい。--------」
「ご、ごめん。ごめんなさい。………」
「-------兄さんの変態。変態。変態。心底見損ないました。今日のことはお父さんとお母さんに言って、もう縁を切ってもらうつもりです」
「あ、………あ、…………」
もう言葉も出ない。ただただ喉から微かに出てくる空気の振動だけが彼女に伝わる。が、その時、あれだけ体を拘束してきた腕の力が弱まった。
「……………ふふっ、嘘ですよ。そんなこと思ってませんから安心して。------ああ、でも、変態だと思ってるのは本当ですけどね。………」
「あ、うあ、………良かった。良かった。乃々香。乃々香。……………」
「あぁ、もう、ほら、全然怒ってないから泣かないで。そもそも怒ってたらこんな風に膝枕なんてしてませんって。………ほんとうに兄さんって甘えんぼうなんだから。………………」
と、言うと、またもやお腹をぽんぽんと叩いてきて、今度はさらにもう片方の手で頭を撫でてくる。俺は、乃々香に嫌われてなかった安心感から、腕を丸めてその手の心地よさに身を任せたのだが、しばらくして、ぽんっ、と強く叩かれると、頭を膝の上からベッドの上へ降ろされ、次いで、彼女の暖かさが無くなったかと思えば、パチッ、という音がして部屋の中が明るくなる。ふと目を落としてみると、いまだ床にはブラジャーとパジャマが散乱していて、気を失うまでの興奮が蘇ってきて、居ても立ってもいられなくなってきて、体を起こす。
「あれ? 膝枕はもういいんです?」
隣に腰を下ろしつつ乃々香が言う。
「まぁ、ね。いつまでも妹の膝の上で寝ていられないしね」
「ふふふふふ、兄さん、いまさら何言ってるんです。ふふっ、昨日も私の膝の上で子守唄を聞きながら寝ちゃっていたのに。--------」
「うぅ。……………それはそれとして、ごめんな。こんな散らかして」
「別に、このくらいすぐに片付けられるから、何でもないですよ」
------それよりも、と彼女は言って俺をベッドの上に押し倒し、何やら背中のあたりをゴソゴソと探る。
「今日は何の日でしょう?---------」
今日、…………今日は確か二月一四日、…………あゝ、バレンタインデイ。……………
「せっかく、本当にせっかく、昨日兄さんに見つからないように作ったんですけど、妹のブラジャーを勝手に手に取る人にはちょっと。…………」
「ほんとうにごめんなさい。乃々香様、チョコを、--------」
と、ふいに、顔の上に白い大きな、大きな、今日嗅いだ中で最も強烈に彼女の匂いを放つ布、-------四つのホックと二つのストラップと二つのカップからなる布が、パサリと、降ってきた。
「ふご、………」
「兄さんはその脱ぎたてのブラジャーと、……この、特製の、兄さんを思って兄さんのために兄さんだけに作ったチョコレート、どっちがいいですか? と言っても、そこに落ちてるブラよりもっと大きいし、それに私さっきまでバレーしてて結構汗かいちゃったから、チョコ一択だと思うけど。…………」
ブラジャーのあまりにも香ばしいにおいに脳を犯され、頭がくらくらとしてきて、ぼうっとしてきて、またもや乃々香のにおいで気を失いそうだが、なんとか彼女の手にあるハート型の可愛いラッピングが施されたチョコレートを取ろうと、手を伸ばす。…………が、途中で力尽きた。
「落ちちゃった。……………兄さん? にいさーん?」
「ののか。……」
「生きてます?」
「どっちもほしい。…………・」
「そこはチョコがほしいって言うところでしょ。…………まったく、変態な変態な変態な兄さん。また聞きますから、その時はちゃんとチョコがほしいって言ってね。---------」
と、言うと乃々香は俺を抱き上げてきて、こちらが何かを言おうとする前に俺の顔をその豊かな胸に押し付け、後頭部を撫で、子守唄まで歌いだしたのであるが、いまだに湿っぽい彼女の谷間の匂いを嗅ぎながら寝るなんて、気を失わない限りは到底出来るはずもないのである。---------
  (おわり)
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furugiyakikkakeyaniku · 6 months
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デニムジャケット等追加
ご来店お買い物ありがとうございます^ ^
本日も13時〜20時までの営業(電話やSNSなど前日までに連絡頂ければ12時〜営業致します)
体調の優れない方はご来店をお控えください
本日はデニムジャケットなど
追加しておりますので、ご紹介☆
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Lechien Feroce
中国製
クールなBKデニムに左胸の犬キャラとカラフルな文字刺繍&ジッパーがユニークなジャケット
太めのアームなどディテールも良い感じ
メンズ3Lサイズ
是非♪♪
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EDWIN
国内モノ
茶色のコーデュロイ襟が感じが良く、ポケットなどディテールもシブいデニムカバーオール
コチラも太めのアームが良い感じです
メンズLサイズ
是非♪♪
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Blue Mountain
国内モノ、DAIEIプライベートブランド
まだまだ状態も良好で色落ちも楽しめるスタンダードなGジャンタイプのデニムジャケット
あえて原色のパンツなど合わせても良い感じ
メンズLサイズ
是非♪♪
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Sさん、ありがとうございます^ ^
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Tさん、ありがとうございます^ ^
いよいよ明後日です❗️
お時間ご都合の合う方、是非♪♪
それでは本日も元気に営業致します
よろにくです^ ^
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kkagneta2 · 5 years
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妹の匂いはどんなにほひ?
お兄ちゃんが妹の部屋に忍び込んであれやこれを嗅ぐ話。
乃々香の部屋に入ったのは、別に昨日も来たので久しぶりでも何でも無いが、これほどまでに心臓を打ち震わせながら入ったのは初めてだろう。今の時刻は午後一時、土曜も部活だからと言って朝早く家を出ていった妹が帰ってくるまであと三時間弱、…………だが、それだけあれば十分である。それだけあれば、おおよそこの部屋にある乃々香の、乃々香の、-------妹の、匂いが染み込んだ毛布、掛け布団、シーツ、枕、椅子、帽子、制服------あゝ、昨晩着ていた寝間着まで、…………全部全部、気の済むまで嗅ぐことができる。
だがまずは、この部屋にほんのり漂う甘い匂いである、もう部屋に入ってきたときから気になって仕方がない。我慢できなくて、すうっ……、と深呼吸をしてみると鼻孔の隅から隅まで、肺の隅から隅まで乃々香の匂いが染み込んでくる。-------これだ。この匂いだ。この包み込んでくるような、ふわりと広がりのある甘い匂い、これに俺は惹かれたと思ったら、すぐさま彼女の虜となり、木偶の坊となっていた。いつからだったか、乃々香がこの甘い香りを漂わせていることに気がついた俺は、妹のくせに生意気な、とは思いつつも、彼女もそういうお年頃だし、気に入った男子でも出来て気にしだしたのだろう、と思っていたのだった。が、もうだめだった。あの匂いを嗅いでいると、隣りにいる乃々香がただの妹ではなく、一人の女性に見えてしまう。彼女の匂いは、麻薬である。ひとたび鼻に入れるともう最後、彼女に囚われ永遠に���め続けることになる。だから俺はもう、実の妹の言うことをはいはい聞き入れる人形と成り果ててしまっている。彼女に嫌われてしまうと、もうあの匂いを嗅げないと思ったから。だから、必死で我慢した。我慢して我慢して我慢して、あの豊かな胸に飛び込むのをためらい続けた。妹の首筋、腰、脇の下、膝裏、足首、へそ、爪、耳、乳房の裏、うなじ、つむじ、…………それらの匂いを嗅ごうと、夜中に彼女の部屋に忍び込むのを、自分で自分の骨を折るまでして我慢した。それなのに彼女は毎日毎日、あの匂いを纏わせながらこちらへグイッと近づいてくる。どころか、俺がソファに座っていたり、こたつに入っていると、そうするのが当然と言わんばかりにピトッと横に引っ付いてくる。引っ付いてきて兄である俺をまるで小さな子供かのように、抱き寄せ、膝に載せ、頭を撫で、後ろから包み込み、匂いでとろけていくその小さな子供をくすくすと笑ってから、顎を頭の上に乗せてくる。もう最近の彼女のスキンシップは異常だ。家の中だけではなく、外でも手を繋ごう、手を繋ごうとうるさく言ってきて、…………いや声には出していないのだが、わざわざこちらの側に寄って来てはそっと手を取ろうとするのである。この前の家族旅行でも、両親に見られない範囲ではあるけれども、俺の手は常に、あの色の抜けたように綺麗な、でも大きく少しゴツゴツとした乃々香の手に包まれていた。
……………本当に包まれていた。何せ彼女の方がだいぶ手が大きいのだ。中学生の妹の方が手が大きいなんて、兄なのに情けなさすぎるが、事実は事実である、指と指を編むようにする恋人つなぎすらされない。一度悔しくって悔しくって比べてみたことがあるけれども、結果はどの指も彼女の指の中腹あたりにしか届いておらず、一体どうしたの? と不思議そうな顔で見下されるだけだった。キョトンと、目を白黒させて、顔を下に向けて、………………そう、乃々香は俺を見下ろしてくる。妹なのに、妹のくせに、彼女が小学生の頃に身長が並んだかと思ったら、中学二年生となった今ではもう十、十五センチは高い位置から見下ろしてくる。誓って言うが、俺も一応は男性の平均身長程度の背はあるから、決して低くはない。なのに、乃々香はふとしたきっかけで兄と向き合うことがあれば、こちらの目を真っ直ぐ見下ろしてきて、くすくすとこそばゆい笑みを見せ、頬を赤く染め上げ、愛おしそうにあの大きな手で頭を撫でてきて、…………俺は本当に彼女の「兄」なのか? 姉というものは良くわからないから知らないが、居たとしたらきっと、可愛い弟を見る時はああいう慈しみに富んだ目をするに違いない。あの目は兄に向けて良いものではない。が、現に彼女は俺を見下ろしてくる、あの目で見下ろしてくる、まるで弟の頭を撫でるかのように優しくあの肉厚な手を髪の毛に沿って流し、俺がその豊かすぎる胸元から漂ってくる匂いに思考を奪われているうちに、母親が子供にするように額へとキスをしてくる。彼女には俺のことが事実上の弟のように見えているのかもしれない。じたい、俺と妹が手を繋いでいる様子は傍から見れば、お淑やかで品の良い姉に、根暗で僻み癖のある弟が手を引かれているような、そんな風に見えていることだろう。
やはり、乃々香はたまらない。我慢に次ぐ我慢に、もう一つ我慢を重ねていたいたけれども、限界である。今日は、彼女が部活で居なければ、いつも家に居る母親も父親とともに出かけてしまって夜まで帰ってこない。ならばやることは一つである。大丈夫だ、彼女の持っている物の匂いをちょっと嗅ぐだけであって、決して部屋を滅茶苦茶にしようとは思っていない。それに、そんな長々と居座るつもりもない。大丈夫だ。彼女は異様にこまめだけど、ちゃんともとに戻せばバレることもなかろう。きっと、大丈夫だ。……………
  肺の中の空気という空気を乃々香のにおいでいっぱいにした後は、彼女が今朝の七時頃まで寝ていた布団を少しだけめくってみる。女の子らしい赤色のふわふわとした布団の下には、なぜかそれと全く合わない青色の木の模様が入った毛布が出てきたが、確かこれは俺が昔、…………と言ってもつい半年前まで使っていた毛布である。こんなところにあったのか。ところどころほつれたり、青色が薄くなって白い筋が現れていたり、もう結構ボロボロである。だがそんな毛布でも布団をめくった途端に、先程まで彼女が寝ていたのかと錯覚するほど良い匂いを、あちらこちらに放ち初めた。あゝ、たまらぬ。日のいい匂いに混じって、ふわふわとした乃々香の匂いが俺を包んでいる。…………だが、まだ空に漂っているにおいだけだ。それだけでも至福の多幸感に身がよじれそうなのに、この顔をその毛布に埋めたらどんなことになるのであろう。
背中をゾクゾクとさせながら、さらにもう少しだけ毛布をめくると、白いふさふさとしたシーツが見え、さらに乃々香の匂いは強くなって鼻孔を刺激してくる。ここに近づけるともう戻れないような気がしたが、そんなことはどうでもよかった。ここまで来て、何もしないままでは帰れない。頭を毛布とシーツの境目に突っ込んで、ぱたん…と、上から布団をかける。---------途端、体から感覚という感覚が消えた。膝は崩れ落ち、腰には力が入らず、腕はだらりと垂れ下がり、しかし、見える景色は暗闇であるのに目を見開き、なにより深呼吸が止まらぬ。喉の奥底がじわりと痛んで、頭がぼーっとしてきて、このまま続ければ必ず気を失ってしまうのに、妹の匂いを嗅ごう嗅ごうと体が自然に布団の中の空気を吸おうとする。止まらない。止まらない。あの乃々香の匂いが、あの甘い包まれる匂いが、時を経て香ばしくなり、ぐるぐると深く、お日様の匂いと複雑に混じり合って、俺を絞め殺してくる。良い人生であった。最後にこんないい匂いに包まれて死ねるなど、なんと幸せものか。……………
だが、口を呆けたように開け涎が垂れそうになった時、我に返った。妹の私物を汚してはならない。今ここで涎を出してしまっては彼女の毛布を汚してしまう。--------絶対にしてはいけないことである。そんなことも忘れて彼女の匂いに夢中になっていたのかと思うと、体の感覚が戻ってきて、呼吸も穏やかになってきた。やはり、毛布、というより寝具の匂いは駄目だ。きっと枕も彼女の髪の毛の匂いが染み付いて、途方も無くいいにおいになっていることだろう。一番気持ちが高ぶった今だからこそ、一番いい匂いを、一番最初に嗅ぐべきだと思ったが、本当に駄目だ。本当にとろけてしまう。本当に気を失うまで嗅いでしまう。気を失って、そのうちに乃々香が帰ってきたら、それこそもう二度とこんなことは出来なくなってしまうだろうし、妹の匂いに欲情する変態の烙印を社会から押されてしまうだろう。いや、その前に彼女の怪力による制裁が待っているかもしれない。……………恐ろしすぎる、いくらバレーをしているからと言って、大人一人を軽々と持ち上げ、お姫様抱っこをし、階段を上り、その男が気づかないほど優しくベッドの上に寝かせるなんてそうそう出来るものではない。あの時は立てないほどにのぼせてしまった俺が悪いが、あのゆさゆさと揺れる感覚は今思い出してみると安心感よりも恐怖の方が勝る。彼女のことだから、決して人に対してその力を振るうことはないとは思うけれども、やはりもしもの時を想像すると先ほどとは違う意味で背中に寒気を覚えてしまう。
ならばやるとしても、少し落ち着くために刺激が強くないものを嗅ぐべきである。ベッドの上に畳まれている彼女の寝間着は、………もちろんだめである、昨夜着ていたものだから、そんなを嗅げば頭がおかしくなってしまう。それにこれは、もう洗濯されて絶対に楽しめないと思っていた、言わば棚から牡丹餅、僥倖、零れ幸いと形容するべき彼女の物なのだから、もう少し気を静めて鼻をもとに戻してから手に取るべきであろう。なら何にしようか。早く決めないと、もう膝がガクガクするほどにあの布団の匂いを今一度嗅ぎたくて仕方がなくなっている。
そういえばちょうど鏡台横のラックに、乃々香の制服があるはず。…………あった、黒基調の生地に赤いスカーフが付いた如何にもセーラー服らしいセーラー服、それが他のいくつかの服に紛れてハンガーに吊るされている。その他の服も良いが、やはり選ぶべきは最も彼女を引き立たせるセーラー服である。なんと言っても平日は常に十時間以上着ているのだから、妹の匂いがしっかり染み付いているに違いない。それに高校生になってからというもの、なぜか女生徒の制服に何かしら言いようのない魅力を見出してしまい、あろうことか妹である乃々香の制服姿にすら、いや乃々香の制服姿だからこそ、何かそそられるものを感じるようになってしまったのである。-------彼女はあまりにもセーラー服と相性が良すぎる。こうして手にとって見るとなぜなのかよく分かる。妹は背こそ物凄く高いのだが、その骨格の細さゆえに体の節々、-------例えば手首、足首やら肘とか指とかが普通の女性よりもいくらか細く、しなやかであり、この黒い袖はそんな彼女の手を、ついつい接吻したくなるほど優美に見せ、この黒いスカートはそんな彼女の膝から足首にかけての麗しい曲線をさらに麗しく見せる。それに付け加えて彼女の至極おっとりとした顔立ちと、全く癖のない真直ぐに伸びる艶やかな髪の毛である。今は部活のためにバッサリと切ってしまったが、それでもさらりさらりと揺れ動く後髪と、うなじと、セーラー服の襟とで出来る黒白黒の見事なコントラストはつい見惚れてしまうものである。それにあの後ろから見える、微かに撫でている肩の丸みや、その流麗さを隠しきれない腰や、ひらひらとお尻の動きに合わせて踊るスカートや、そこから伸びる細い、けれども肉付きの良い足の曲線、………などなどを見ていると、どんな美しい女性が眼の前に居るのだろうと想像してしまって、兄なのに、いつも乃々香の顔なんて見ているのに、小学生の男子児童のようにドキドキと動悸を打たせてしまう。で、後ろにいる兄に気がつくと彼女は、ふわりと優しい匂いをこちらに投げつけながら振り向くのであるが、直後、中学生らしからぬ気品と色気のある笑みをその顔に浮かべながら、魂を抜き取られたように口を開ける間抜けな男に近づいてくるのである。あの気品はセーラー服にしか出せない。ブレザーでは不可能である。恐らくは彼女の姿勢とか佇まいとかが原因であろうが、しかし身長差から首筋あたりしか見えていないというのに、黒くざわざわとした繊維の輝きと、透き通るような白い肌を見ているだけで、あゝこの子は良家のお嬢様なのだな、と分かるほどに不思議な優雅さを感じる。少々下品に見えるのはその大きすぎる胸であるが、いや、あの頭よりも大きい巨大な乳房に魅力を感じない男性は居ないだろうし、セーラー服は黒が基調なのであんまり目立たない。彼女はその他にも二の腕や太腿にもムチムチとした女の子らしい柔らかな筋肉を身に着けているが、黒いセーラー服は乃々香を本来のほっそりとした女の子に仕立て上げ、俗な雰囲気を消し、雅な雰囲気を形作っている。------------
それはそれとして、ああやって振り向いた時に何度、俺が彼女の首筋に顔を埋め、その匂いを嗅ごうとしたことか。乃々香は突っ立っている俺に、兄さん? 兄さん? 大丈夫? と声をかけつつ近づいてきて、もうくらくらとして立つこともやっとな兄の頭を撫でるのだが、生返事をすると案外あっさりと離してしまって、俺はいつも歯がゆさで唇を噛み締めるだけなのである。-------だが、今は違う。今は好きなだけこのセーラー服の匂いを嗅げる。一応時計を確認してみると、まだこの部屋に入ってきて二十分も経っていない。そっと鼻を、彼女の首が常に触れる襟に触れさせる。すうっ………、と息を吸ってみる。-------あの匂いがする。俺をいつも歯がゆさで苦しめてくるあの匂いが、彼女の首元から発せられるあの、桃のように優しい匂いが、ほんのりと鼻孔を刺激し、毛布のにおいですっかり滾ってしまった俺の心を沈めてくる。少々香ばしい香りがするのは、乃々香の汗の匂いであろうか、それすらも素晴らしい。俺は今、乃々香がいつも袖を通して、学校で授業を受け、友達と談笑し、見知らぬ男に心を寄せてはドキドキと心臓を打たせているであろうセーラー服の匂いを嗅いでいる。乃々香、ごめんよこんな兄で。許してくれなんて言わない。嫌ってくれてもいい。だが、無関心無視だけはしないでくれ。…………あゝ、背徳感でおかしくなってしま��そうだ。………………
----ふと、ある考えが浮かんだ。浮かんでしまった。これをしてしまっては、……いや、だけどしたくてしたくてたまらない。乃々香の制服に自分も袖を通してみたくてたまらない。乃々香のにおいを自分も身に纏ってみたくてたまらない。自分も乃々香になってみたくてたまらない。今一度制服を眺めてみると、ちょっと肩の幅は小さいが特にサイズは問題なさそうである。俺では腕の長さが足りないので、袖が余ってしまうかもしれないが、それはそれで彼女の背の高さを感じられて良い。
俺はもう我慢できなくっ��着ていた上着を雑に脱いで床に放り投げると、姿見の前に立って、乃々香の制服を自分に合わせてみた。気持ち悪い顔は無いことにして、お上品なセーラー服に上半身が覆われているのが見える。これが今から俺の体に身につけることになる制服かと思うと、心臓が脈打った。早速、裾を広げて頭を入れてみると、彼女のお腹の匂いが、胸の匂いが、首の匂いが鼻を突いた。するすると腕を通していくと、見た目では分からない彼女の体の細さが目についた。裾を引っ張って、肩のあたりの生地を摘んで、制服を整えると、またもや乃々香の匂いが漂ってきた。案の定袖は余って、手の甲はすっかり制服に隠れてしまった。
---------最高である。今、俺は乃々香になっている。彼女の匂いを自分が放っている。願わくばこの顔がこんな醜いものでなければ、この胸に西瓜のような果実がついていれば、この股に情けなく雁首を膨らませているモノが無ければ、より彼女に近づけたものだが仕方ない。これはこれで良いものである。むしろ最高のものである。妹はいつもこのセーラー服を着て、俺を見下ろし、俺と手をつなぎ、俺に抱きつき、俺の頬へとキスをする、-------その事実があるだけで、今の状況には何十、何百回という手淫以上の快感がある。だが本当に、胸が無いのが惜しい。あの大きな乳房に引き伸ばされて、なんでもない今でも胸元にちょっとしたシワが出来ているのであるが、それが一目見ただけで分かってしまうがゆえに余計に惜しい。制服の中に手を突っ込んで中から押して見ると、確かにふっくらとはするものの、常日頃見ている大きさには到底辿り着けぬ。-------彼女の胸の大きさはこんなものではない。毎日見ているあの胸はもっともっとパンパンに制服を押し広げ、生地をその他から奪い取り、気をつけなければお腹が露出してしまうぐらいには大きい。さすがにそこまで膨らまそうと力を込めて、制服を破ったりしてしまっては元の子もないのでやりはしないが、彼女の大変さを垣間見えただけでも最高の収穫である。恐らく、いつもいつも無理やりこの制服を着て、しっかりと裾を下まで引っ張り、破れないよう破れないよう慎重に歩いているのであろう。あゝ、なるほど、彼女が絶対に胸を張らないのはそういうことか。本当に、まだ中学生なのになんという大きさの乳房なのであろう。
そうやって制服を着て感慨に耽っていると、胸ポケットに何か硬いものを感じた。あまり良くは無いが今更なので取り出してみると、それは自分が、確か小学生だか中学生の頃に修学旅行のお土産として渡したサメのキーホルダー、…………のサメの部分であった。もう随分と昔に渡したものなので、その尾びれは欠け塗装は所々禿げてしまっているが、いまだに持っているということは案外大切にしてくれているに違いない。全く、乃々香はたまにこういう所があるから、ついつい勘違いしそうになるのである。そんな事はあり得ない、----決してあり得ないとは思っていても、つい期待してしまう。いくら魅力的な女性と言えども、相手は実の妹なのだから、-------兄妹間の愛は家族愛でしかないのだから。…………………
ちょっと湿っぽくなってきたせいか、すっかり落ち着いてしまった。セーラー服も元通りに戻してしまった。が、ベッドの上にある妹の寝巻きが目についてしまった。乃々香が昨日の晩から今朝まで着ていた寝巻き、あの布団の中に六七時間は入っていた寝巻き、乃々香のつるつるとした肌が直に触れた寝間着、…………それが、手を伸ばせば届く位置にある。---------きっと、いい匂いがするに違いない。いや、いいにおいなのは知っている。俺はあのパジャマの匂いを知っている。何せ昨日も彼女はアレを着て、俺の部屋にやってきて、兄さん、今日もよろしくね、と言ってきて、勉強を見てもらって、喋って、喋って、喋って、俺の部屋をあのふわふわとしたオレンジのような香りで充満させて、こちらがとろとろに溶けてきた頃に、眠くなってきたからそろそろお暇するね、おやすみ、と言い去っていったのである。………その時の匂いがするに違いない。
それにしてもどうして、………どうして毎日毎日、俺の部屋へやって来るのか。勉強を教えてほしいなどというのは建前でしかない。俺が彼女に教えられることなんて何もない。それは何も俺の頭が悪すぎるからではなくて、乃々香の頭が良すぎるからで、確かにちょっと前までは高校生の自分が中学生の彼女に色々と教えられていたのであるが、気がついた時には俺が勉強を教わる側に立っており、参考書の輪読もなかなか彼女のペースについていけず、最近では付箋メモのたくさんついた〝お下がり〟で、妹に必死に追いつこうと頑張る始末。そんなだから乃々香が毎晩、兄さん兄さん、勉強を教えてくださいな、と言って俺の部屋にやって来るのが不思議でならない。いつもそう言ってやって来る割には勉強の「べ」の字も出さずにただ駄弁るだけで終わる時もあるし、俺には彼女が深夜のおしゃべり相手を探しているだけに見える。それだけのために、あんないい匂いを毎晩毎晩俺の部屋に残していくだなんて、生殺しにも程がある。
だから、これは仕方ないんだ。乃々香のせいなんだ。このもこもことしたパジャマには、悔しさで顔を歪める俺を慰めてきた時の、あの乃々香の大人っぽい落ち着いた匂いが染み付いているんだ。------あゝ、心臓がうるさくなってきた。もう何が原因でこんなに心臓が動悸してるのか分からない。寝間着を持つ手が震えてきた。綺麗に丁寧に畳まれていたから、派手に扱うと後できっと誰かが手を加えたと気がつくであろう。だけど、だけど、このパジャマを広げて思う存分においを嗅ぎたい。嗅ぎたい。…………と、その時、するりと手から寝巻きが滑った。
「あっ」
ぱさり…、という音を立てて乃々香のパジャマが床に落ちる。落ちて広がる。袖の口がこちらを見てきている。たぶんそこから、いや、落ちた時に部屋の空気が掻き乱されたせいか、これまでとはまた別種の、-------昨日俺の部屋に充満した、乃々香がいつも使うシャンプーの香りと彼女自身の甘い匂いが、俺の鼻に漂ってくる。もうたまらない。パジャマに飛びつく。何日も食事を与えられなかった犬のように、惨めに、哀れに、床に這いつくばり、妹の着ていた寝間着に鼻をつけて思いっきり息を吸い込む。-------これが俺。実の妹の操り人形と化してしまった男。実の妹の匂いを嗅いで性的な興奮を覚え、それどころか実の妹に対して歪んだ愛を向ける男。実の妹に嫌われたくない、嫌われたくない、と思いながら、言いながら、部屋に忍び込んでその服を、寝具を、嗅いで回る変態。…………だが、やめられない、止まらない。乃々香のパジャマをくしゃくしゃに丸め、そこに顔を埋める。すーっ………、と息を吸う。ここが天国なのかと錯覚するほどいい匂いが脳を溶かしてくる。もう一度吸う。さらに脳がとろけていく。------あゝ、どこだここは。俺は今、どこに居て、どっちを向いているんだ。上か、下か、それも分からない。何もわからない。--------
「ののかっ!」
気がつけば、声が出てしまっていた。-------そうだ、俺は乃々香の部屋に居て、乃々香のパジャマを床に這いつくばって嗅いでいたのだった。顔を上げ、そのパジャマから鼻を離すといくらか匂いが薄くなり、次いで視界も思考も晴れてくる。危なかった、もう少しで気狂いになり、取り返しのつかない事態になっていたところだった。が、パジャマから手を離し、ふと首を傾ぐとベッドの下が何やらカラフルなことに気がついた。見ると白いプラスチックの衣装ケースの表面を通して、赤色と水色のまん丸い影が二つ、ぼやぼやと光っている。こういうのはそっとしておくべきだが、そんな今更戸惑ったところで失笑を買うだけであろう、手を伸ばして開けてみると、そこには嫌にバカでかい、でかい、………でかい、…………何であろうか、女性の下着ということは分かるが何なのかまでは分からない。いや、大体想像はついたけれども、まだ信じられない。これがブラジャーだなんて。……………
とりあえず目についた一番手前の、水色の方を手に取ってみると、案の定たらりと、幅二センチはある頑丈なストラップが垂れた。そして、恐らくカップの部分なのであろう、俺の顔ほどもある布地がワイヤーに支えられてひらひらと揺れ動いている。片方しか無いと思ったら、どうやらちょうど中央部分で折り畳まれているようで、四段ホックの端っこが二枚になって重なっている。俺は金具の部分を持って開いてみた。………………で、でかい。…………でかすぎる。これが本当にブラジャーなのかと思ったけれども、ちゃんとストラップからホックからカップから、普通想像するブラジャーと構造は一緒なようである。……………が、大きさは桁違いである。試しに手を目一杯広げてカップの片方に当ててみても、ブラジャーの方がまだ大きい。顔と見比べてもまだブラジャーの方が大きい。二倍くらいは大きい。とにかく大きい。これが乃々香が、妹が、中学生が普段身に着けているブラジャーなのか。こんな大きさでないと合わないというのか。……………いや、いまだに信じられないけれども、ところどころほつれて糸が出ていたり、よく体に当たるであろうカップの下側の色が少し黄色くなっているから、乃々香は本当に、この馬鹿にでかいブラジャーを、あの巨大な胸に着けているのであろう。そう思うと手も震えてくれば、歯も震えてきてガチガチと音が鳴る。今まで生で見たことが無くて、一体どれだけ大きな胸を妹は持っているのか昔から謎だったけれども、今ようやく分かった気がする。カップの横にタグがあったので見てみると、32KKとあるから、多分これがカップ数なのであろうと勝手に想像すると、彼女はどうやらKカップのおっぱいの持ち主らしい。………なぜKが二つ続いているのか分からないが、中学生でKカップとは恐れ入る。通りで膝枕された時に顔が全く見えないわけだ。
-------あゝ、そうだ、膝枕。乃々香の膝枕。アレは最高だった。もうほとんど毎日のようにされているが、全くもって飽きない。下からは硬いけれど柔らかい彼女の太腿の感触が、上からは、………言うまでもなかろう顔を押しつぶしてくる極上の感触が、同時に俺を襲ってきて、横を向けば彼女の見事にくびれたお腹が見える。それだけでも最高なのに、彼女の乳房にはまるでミルクのような鼻につくにおいが漂い、彼女のお腹にはあのとろけるような匂いが充満していて、毎晩俺は幼児退行を経験してしまう。だがそうやって、とろけきって頭の中から言葉も無くなった俺に、妹はあろうことか頭を撫でてくるのである。そして、子守唄でも歌ってあげようか、兄さん? と言ってきて本当に、ねんねんころりよ、と赤ん坊をあやすように歌ってくるのである。あの膝枕をされてどうにかならないほうがおかしい。もう、長幼の序という言葉の意味が分からなくなってくるほどに、乃々香に子供扱いされている。-------だが、そこにひどく興奮してしまう。彼女に膝枕をされて、頭を撫でられて、子守唄を歌われて、結果、情けなく勃起してしまう。俺はもう駄目かもしれない。実の妹に子供扱いされて欲情する男、…………もしかしたら実の妹の匂いで興奮する男よりもよっぽどおかしいが、残念ながら優劣を決める前にどちらも俺のことである。…………あゝ、匂い。乃々香の匂い。--------彼女の布団が恋しくなってきた。動くのも億劫だが最後にもう一嗅ぎしたい。…………………
これで最後である。もう日が落ちかけてきているから、そろそろ乃々香が帰ってきてしまう。この布団をもう一瞬、一瞬だけ嗅いだら彼女のブラジャーをもとに戻し、パジャマを出来る限り綺麗に畳み、布団を元に戻して部屋に戻る。まだまだ満足とは言えないが、こういう機会は今後もあるだろうから、今日はこの辺でお開きにしよう。
そんなことを思いつつ体を起こして膝立ちの体勢でベッドに体を向けた。布団は、先程めくったのがそのまま、ぺろりと青い毛布とシーツが見えている。そこに吸い込まれるように顔を近づけ、漂って来るにおいに耐えきれず鼻から息を吸う。------途端、膝が崩れ落ちた。やっぱりダメだった。たったそれだけ、………たった一回嗅ぐだけで、一瞬だけ、一瞬だけ、という言葉が頭の中から消えた。ついでに遠慮という言葉も消えた。我慢という言葉も消えた。ただ乃々香という名前だけが残った。頭を妹の布団の中へ勢いよく突っ込んだ。乃々香の、乃々香ままの匂いが、鼻を通って全身に行き渡っていく。あまりの多幸感に自然に涙が出てくる。笑みもこぼれる。涎もだらだらと出てくる。が、まだ腕の感覚は残っている。手を手繰り寄せ、上半身を全て乃々香の布団の中へ。------あ、もう感覚というかんかくがなくなった。おれは今、ういている。ののかの中でういている。ふわふわと、ふわふわと、ののかのなかで。てんごくとは、ののかのことであったか。なんとここちよい。ののか、ののか、ののか。……………ごめんよ、乃々香、こんなお兄ちゃんで。----------------
  気がついた時には、いよいよ日が落ちてしまったのか部屋の中はかなり薄暗く、机や椅子がぼんやりと赤く照らされながら静かに佇んでいた。俺はどうやら気絶していたらしい。まだ顔中には信じられないほどいい匂いを感じているが、それにはさっきまで嗅いでいた布団とは違う、生々しい人間の香りが混じってい、------------あれ? ………………おかしい。俺は確か布団の中で眠ってしまったというのに、なぜ部屋の中が見渡せる? それに下からは硬いけれど柔らかい極上の感触が、上からは顔を潰さんと重々しく乗ってくる極上の感触が、同時に俺を襲ってきている。しかもその上、ずっと聞いていたくなるような優しい歌声が聞こえてきて、お腹はぽんぽんと、軽く、リズムよく、歌声に合わせて、叩かれている。……………あゝ、もしかして。……………やってしまった。乃々香が帰ってきてしまった。ブラジャーもパジャマも床に放りっぱなしだったのに、布団をめちゃくちゃにしていたのに、何もかもそのままなのに、帰ってきてしまった。きっと怒っている。怒っていなければ、呆れられている。呆れられていなければ、もう兄など居ないことにされている。…………とりあえず起きなければ。----------が、体を起こそうとした瞬間、あんなに優しくお腹を叩いていた腕にグッと力を入れられて、俺の体は万力に挟まったように固定されてしまった。
「の、乃々香。…………」
「兄さん、起きました?」
「あ、うん。えっと、………おかえり」
「ただいま。------まぁ、色々と言いたいことはあるけどまずは聞くね。私の部屋でなにしてたの?」
キッと、乃々香の語調が強くなる。
「あ、……いや、………それは、……………」
「ブラジャーは床に放り出して、寝間着はくしゃくしゃにして、頭は布団の中に突っ込んで、…………一体何をしていたんですか? 黙ってないで、言いなさい。--------」
「ご、ごめん。ごめんなさい。………」
「-------兄さんの変態。変態。変態。心底見損ないました。今日のことはお父さんとお母さんに言って、縁を切ってもらうつもりです」
「あ、………あ、…………」
もう言葉も出ない。ただただ喉から微かに出てくる空気の振動だけが彼女に伝わる。が、その時、あれだけ体を拘束してきた腕の力が弱まった。
「……………ふふっ、嘘ですよ。そんなこと思ってませんから安心して。------ああ、でも、変態だと思ってるのは本当ですけどね。………」
「あ、うあ、………良かった。良かった。乃々香。乃々香。……………」
「あぁ、もう、ほら、全然怒ってないから泣かないで。そもそも怒ってたらこんな風に膝枕なんてしてませんって。………ほんとうに兄さんって甘えんぼうなんだから。………………」
と、言うと、またもやお腹をぽんぽんと叩いてきて、今度はさらにもう片方の手で頭を撫でてくる。俺は、乃々香に嫌われてなかった安心感から、腕を丸めてその手の心地よさに身を任せたのだが、しばらくして、ぽんっ、と強く叩かれると、頭を膝の上からベッドの上へ降ろされ、次いで、彼女の暖かさが無くなったかと思えば、パチッ、という音がして部屋の中が明るくなる。ふと目を落としてみると、いまだ床にはブラジャーとパジャマが散乱していて、気を失うまでの興奮が蘇ってきて、居ても立ってもいられなくなってきて、体を起こす。
「あれ? 膝枕はもういいんです?」
隣に腰を下ろしつつ乃々香が言う。
「まぁ、ね。いつまでも妹の膝の上で寝ていられないしね」
「ふふふふふ、兄さん、いまさら何言ってるんです。ふふっ、昨日も私の膝の上で子守唄を聞きながら寝ちゃっていたのに。--------」
「うぅ。……………それはそれとして、ごめん。ほんとうにごめん。ごめんなさい。勝手に部屋に入ってこんな散らかして、しかも、しかも、……………」
「別に、このくらいすぐに片付けられるから、何でもないですよ」
------それよりも、と彼女は言って俺をベッドの上に押し倒し、何やら背中のあたりをゴソゴソと探る。
「今日は何の日でしょう?---------」
今日、…………今日は確か二月一四日、…………あゝ、バレンタインデイ。……………
「せっかく、本当にせっかく、昨日兄さんに見つからないように作ったんですけど、妹のブラジャーを勝手に手に取る人にはちょっと。…………」
「ほんとうにごめんなさい。乃々香様、チョコを、--------」
と、ふいに、顔の上に白い大きな、大きな、今日嗅いだ中で最も強烈に彼女の匂いを放つ布、-------四つのホックと二つのストラップと二つのカップからなる布が、パサリと、降ってきた。
「ふご、………」
「兄さんはその脱ぎたてのブラジャーと、……この、特製の、兄さんを思って兄さんのために兄さんだけに作ったチョコレート、どっちがいいですか? と言ってもそのブラって、床落ちてるのよりももうちょっと大きいし、それに私さっきまでバレーしてて結構汗かいちゃったから、チョコ一択だと思うけど。…………」
ブラジャーのあまりにも香ばしいにおいに脳を犯され、頭がくらくらとしてきて、ぼうっとしてきて、またもや乃々香のにおいで気を失いそうだが、なんとか彼女の手にあるハート型の可愛いラッピングが施されたチョコレートを取ろうと、手を伸ばす。…………が、途中で力尽きた。
「落ちちゃった。……………兄さん? にいさーん?」
「ののか。……」
「生きてます?」
「どっちもほしい。…………・」
「そこはチョコがほしいって言うところでしょ。…………まったく、変態な変態な変態な兄さん。また聞きますから、その時はちゃんとチョコがほしいって言ってね。---------」
と、言うと乃々香は俺を抱き上げてきて、こちらが何かを言おうとする前に俺の顔をその豊かな胸に押し付け、後頭部を撫で、子守唄まで歌いだしたのであるが、いまだに湿っぽい彼女の谷間の匂いを嗅ぎながら寝るなんて、気を失わない限りは到底出来るはずもないのである。---------
  (おわり)
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karasuya-hompo · 5 years
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RDR2:41:ニューハノーバーの旅
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 川辺でモーニングコーヒーを飲みながら、今日の計画を考えてるふりをしてみたり。  調理鍋近くのコーヒーは無事に朝から飲めました。いいですなぁ。そんなわけで朝の日課の一つにでもしようかと思います。  日課といえば雑用ですが、雑用中は挨拶できないのが残念です。何故だ。別に口が塞がってるとか、喋ってる余裕もないほどハードなことしてるわけじゃなし。バケツ片手に提げてても挨拶くらいできるだろ。
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 とりあえずまずはジョサイアの話を聞こう。  「有言無実行だと思ってるだろ?」、「まあ口から先に生まれてきたのは間違いないよな」みたいな話から、それはさておき、駅馬車強盗をしたことあるか? まあ渋々付き合ってならね(´・ω・`) ……というのはRPの話で、「強盗したことがないとでも?」というのが当然の返事。  ジョサイアが言うには、駅馬車強盗の難点は、その馬車が確実に金になるかどうか分からないこと。馬車そのものをシェイマスに買い取ってもらえることはさておき、中に乗っているのが金持ちでないとか、ろくな荷物がないとかは、確かにありそうです。  そんなわけで、彼に誘われてローズへ。
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 グレイ家、ブレイスウェイト家に関わるならもっと慎重になるべきだ、というのはね、うん、俺もそう思うんだけど、ダッチがやると決めたら俺の言うことなんてもう聞かないしさぁ( ತಎತ)
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 さて、ジョサイアとともに行ったのは駅舎の郵便局。他愛もない会話をする知り合いのようでいて、金を払うと、獲物になる駅馬車の情報をもらえる仕組みになっているようです。それが「意気消沈した友人」という合言葉というか、ネットワークのこと。ストロベリーの郵便局員も仲間だそうな。  というわけでこれからは、彼等から確実に金になる馬車の情報を仕入れられるようになりました。……まあ、やらないけどな(´・ω・`)
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 ストロベリーの話が出たので、こんなこと言うアーサー……おまえなぁ、ついこの間、5日ほどもあのへんに滞在して、ストロベリーの町もさんざんうろついて、ホテルも舐めるように見て回ってたろうが……。
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 待ち伏せ開始。それにしてもジョサイアのベスト派手だな。鮮やかなブルー。こういう派手なベストを取り入れて小粋に着こなすとか……無理(´・ω・`) 今度着こなし真似してみようかなぁ。濃い色、細めのストライプのジャケットに、白のスタンドカラーのシャツ、黒いパフタイ、派手で光沢のあるベスト、ズボンは白に近いような無地で、靴はさすがに見えないけど、アーサーならウィングチップにするか、あるいは裾を外に出した乗馬ブーツとかかなぁ。  ただ、こういう格好は綺麗に髭をあたって髪もセットしてこそ似合うので、タイなしの開襟にして、ラフさを加えたほうがうちの長髪アーサーにはいいかもなぁ(´ω`*)キセカエ タノチイ  ちなみに馬車強盗は、荒事の得意でないジョサイアが噛むだけあって、「気付かれず」にやるものでした。ジョサイアがあれこれ喋って気を引いている間にそーっと失敬するという、ショーン救出のときと同じパターンですな。
 さて、メインを一つ進めたからには、放浪しないと!!  という最早使命感に近いわくわくを伴って、本日の行き先はヴァンホーンとかアンスバーグの近くです。そのへんの水辺沿いは通ったけど、陸側はまだマップがぼやけてるのでね。
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 断続的な射撃音がするので見てみたら、ここにも射撃練習中の人がいました。……これ、以前はそもそも瓶が見えねぇんだよ!! てことで負けましたけど、ここなら視認しやすいかな。  デッドアイ使えるのかどうかも気になったりしたけど、今回はスルー。また今度来よう。
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 そういえばここ、伝説の動物がいる……イヌ科っぽい絵が書き込まれてるんだけど、狼? と思って見てみたらキツネ。これなら襲われることはなさそうだと追跡し、無事にゲット٩(ˊᗜˋ*)و  伝説の動物は一匹しかいないため、運搬中に殺されたりして皮をロストしたように見えても、ちゃんと罠師のところに届いているそうですね。だからかえって安心してこのままハノーバー北の旅を続けます。  そしたら幸いにも道中で罠師のお店発見しました。キツネの皮だけで作れるようになるものはないのかな……チャップスくらいか。しかも裾を出す設定、というかシューズを履いてきてたので、フィッティング中も自動的に裾の中に入ってしまってて見た目が分かりませんw まあいいや、とりあえず作っとこ。
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 ふらふらと建物マークに近づいて、古い交易所でスケッチした後、すぐ傍のこの小屋へ。  見晴らしいい素敵な場所。きちんと木の塀で囲いもしてあって、
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 小さな建物なんだろうと思ったらトイレかw ドアはないけど、まあ、この時代ですからねぇ。しかもこんなとこ、そうそう人が通らないだろうし。  で、中に入れるのかな、入った途端強盗と見做されて住民に攻撃されたりしないかなと思いつつ、ドアに接近……。
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 どじゃーん……!( ゚д゚)  動画とかでは見たことある……隕石の落ちた家だ! 煙出してるとこ調べると隕石が手に入りました。  海外版の動画を見てて「どうせ日本版だとバラバラになってたりしねぇんだろ(ಠᾥಠ)」と思ってましたけど、まあ、足がちぎれてる程度の表現はあるので良しとしましょうかね。  どうやらここ、一度中に入ることで「隕石の落ちた家」としてスケッチできるようになるみたいです。  それにしても、この状況下で平然と物色していくのもどうかと思うぞ?
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 これは★3クロクマ見つけて追っていたら、線路伝いに移動されましてね? 列車来ないといいなぁと思って追跡したのですが、間の悪いことの貨物列車が来てしまいました。  高架橋みたいな場所だったのでクマを追い抜いて慌てて脇に降りたのですが……戻ってみてもクマの死体すらないのは、クマもどこかから脇へと逃げたのか、轢かれるとともに死体になるのではなく消滅したのかですな。イーグルアイで見てみても、距離を広げすぎたせいか痕跡見えなくなってたのがどうなったのかは分かりません。  しかしこのへんにいるんだな……クロクマの皮は罠師のお店で必要だったはずだし、思ってたよりずっと小さかったので、また今度狩りに来よう。  そういえば、ホゼアと追った伝説クマ、早めに狩りなおしたいなぁ。ホゼアはなんかもう病死しそうな気配がビンビンなので、元気でいる内に狩れば、もしかしたら「あのクマ狩ったぞ!」て報告できるかなぁって。
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 ◯と□のある建物ところに行ったら……天文所? とか思いましたけど、これは……電波塔とか、なんかそういうのかな。シガレットカードも「発明」シリーズの電球だし。  中に入れないし誰もいないし、つまんないなー。なにかないかなぁ。  と進んでいたら伝説の動物のテリトリーに入ったという表示が。なにかと思えばヘラジカ? ヘラジカってたしか、いるはずの場所でなかなか見つからないとか言ってる人をまとめサイトで見かけたことがあるぞ。だから、もしかするといたりいなかったりするんじゃないか、と言われています。  まあ探してだけみるべーよ、と痕跡を集めて行ったら……。
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 普通に狩れちゃった(´ω`*)  ちなみに推奨は改良矢でしたが、毒矢で動けなくしてから、近づいてヘッドショットでトドメ。すまん、残酷ではある。たぶんライフルで撃ったところで、伝説のヘラジカは一匹しかいないのだから、この角が手に入らなくなるとかはないと思うんだけどね。気分として、角をできるだけ傷つけずに狩りたいよなと。  気分の問題というと、こういう希少な……というか年月を経てここまで育っただろう動物には、せめて敬意を表するというか、なにかアクションできても良かったかなと思います。事故死してしまう人なんかもそうだけど、死体の始末はできないにせよ、十字くらい切るとか、無信心ならそれなりに一言かけるとかでもいいし。
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 ともあれ解体。毛皮の後は、このすげー立派な角。リアルではこういう角や牙目当てに乱獲されて絶滅危惧種とか、あるあるですな……(´・ω・`)
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 このおうちはなんなんだろうなぁ。けっこう小奇麗だから廃屋ではなさそう。ドアには鍵がかかってて入れないし、特になにか落ちてるってこともなく。
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 こっちは入れたおうち。後になって通ったときに撮影してるので時刻が前後してるうえに雨になってますが。
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 ここでは宝の地図発見!  んー……この形の池みたいなとこの近くなら、それほど見つけるの難しくなさそうだから、これもまた今度探しに来ようっと。木を目印にして……裏返すと、北へ何歩、東へ何歩、みたいなことが書かれてますね。楽しみ~(´ω`*)
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 で、ここ。あー……察したよねこれは。「世捨て人」って、あの犬けしかけてきたばあさんもそうだったし、なんかすげー態度が同じだよこのじいさん。  だからってころころすると名誉下がりそうなんで……ちょっと失礼、と縛って転がしておいて家探しするのは名誉に関係ないこの世の中。  よしよし、地図の半分ゲットだぞ。これで一枚の地図が完成。見てもちょっと分かりづらい地図だけど。
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 そんなことしつつふらふらしてたらすっかり夜、しかも雨ですよ。体力に雪の結晶マークが出現したのでぎょっとした気温見てみたら-4度。慌てて着替えました。  遠くに見えるのはサンドニの街の明かり?
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 きっとそうだろな。このへんに他に高さのある建築と、あんなたくさんの明かりがあるような場所ないしね。
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 明かりがついてるから誰かいるんだろうけど、入れもしないし特になにも起こらないおうちを2つほど発見したり。
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 そして噂のブッチャーズ・クリークを初めて通り抜けました。ここって奇妙な人いっぱいいるんでしょ。つかなんか怪しい人たちの集まりなんでしょ。夜に通るのは怖いけど、通り抜けるだけならなんでもなくてほっとしました。  それにしてももう1時。そろそろキャンプ張らないと、寝ないor昼まで寝るになっちゃうな。
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 とキャンプして迎えた朝。ふと見ればすぐ傍に、他の誰かのキャンプ跡でもないし、でも金庫みたいなのあるぞ……って、……なんか白骨が3つほど並んでる……:( •ᾥ•):  夜中だったから全然気づかずにキャンプしたというか、キャンプしようとすると自動的に「付近の適した場所」に移動させられるんだけど、とにかくこんな添い寝友達がいたことにはまったく気づかなかったわ……。
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 それから、昨日の罠師のところへ。伝説のヘラジカの皮を売らないといけないので、彼のところ目指しつつ、まだ通ってない道を潰していたのです。  って、そこにそうやって立ってるくせに営業時間外かよ!! ただ立ってるだけなら商売してくれよ!!  しばらく待ってても開店しないし、近くにいたらダメなのかなとちょろっと離れた直後、8:10くらいにお店始まりました。
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 おっ、いいジャケット作れる!! しかもこれ防寒着だ。防寒着っていうと裾長のコートしかなかったから、これは嬉しいなぁ。さっそく作ってもらおう(´ω`*)  でも気温は20度。昨日の夜のあの寒さはなんだったんだ。そんなわけで適当に馬積みの服に……って、着替えたりするとすぐセットが勝手に入れ替わるから困ります。
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 おかげで犯罪用のダサセットしかないし。  このおじさんは、ヴァンホーンの駅馬車近くにいた酔っぱらい。ヴァンホーンに来るつもりなかったのですけど、途中でまたレース挑まれましてね。アンダルシアンで勝てるのかよと思いましたけど、無事勝利。特になにがもらえるってわけでもないから、逆に言えば負けてもそれだけのミニゲームかな。  で、この酔っぱらいは「駅はどっちだ……」とか言ってるので教えてあげたら、名誉アップ。……このおっさん、ほっといて大丈夫か? とつい駅まで見届けてしまうアーサーさんでありました。そしたらゲロ吐いて酔いつぶれ寝てしまいましたけどね。  ……こうしてまた天使アーサーの噂が一つ追加されるんですよ。 「あの薄汚ぇ酔っぱらいの相手するだけでもどうかしてるってのに、後をついていくからよ。俺ァてっきり、こりゃ人けのない駅の傍で強盗でもする気だなと思ったね。けどあんな爺が金なんて持ってるはずもねぇ。馬鹿な奴だ、どうせなら見に行って笑ってやれと思ったら……なんにもしねぇんだよ。もう飲むなよとか、起きねぇと列車来るぞとか、爺がすっかり寝入っちまうまで相手して、黙って去っていったんだ。信じられるか? ありゃ頭がどうかしてるか、筋金入りのお人好しだぜ。ったく、調子狂っちまうよな。なんか俺も今日はよ、一つくらいはいいことしたい気分だぜ」  みたいなね?(マテ
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 そんなアーサーさん、釣り人さんには忘れず声をかけます。幸い、驚いて魚が逃げるとかいうこともなく、返事してもらえますしね。  近くに波紋も出てるし、俺も今度ここで釣ってみよっと。  って、「今度」「今度」と、今度やることがどんどん増えていきますな(´ω`*)  アンダルシアン親密度4になってしまったので、馬屋に寄って、と。……ほんとなつくの早すぎないか? 名誉レベルの割引価格で買って、MAX育てて売って、30~$くらい。野生馬はそもそもが安いためたとえ売りものの馬と同じ品種でも価格は上がらず、やっぱり利益はそれくらいです。効率のいい商売ではないけれど、誰も死なないし、不幸にもならないしなぁ。  なついた馬にとってはアーサーと離れるのは嫌かもしれない? それを言われると(´・ω・`) 街道を流してたら突然主を振り落として近づいてきた馬が実は売った馬だった、とかあったら大笑いしますけどねw 大丈夫、良い馬だから新しいご主人にも気に入られ、大事に可愛がられて、みんなもっと幸せになってると信じてる。そもそも俺の馬だといきなりギャングに襲われたりと怖いことも多いしな。  ちなみにレース挑まれる前にどこに向かっていたかというと、賞金首のところです。  リンジーなんとかっていう、サンドニでもらってきたビラの奴。デッド・オア・アライブで100$の大物ですよ。  どうなってるんだろうなと思ったら、手下とともに古びた砦にいましてね。やべぇな、複数人入り交じるとうっかりころころしちまうぞ、まあ持っていくのは死体でもいいんだけど、できれば生きたまま連行したいなと、思いました。  そしたら、親切にもリンジーだけは赤いドクロマークでレーダー表示されますので、手下からぷちぶちと。
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 そして、生リンジーだけでなく、建物に隠されていた南北戦争の帽子とナイフもゲット!!  運んでいる途中にしゃべるのを殴らずに放っておくとどうなるんだろうと思ったら、好きなだけ喋るだけですね。  しかも、リンジー目当ての別の賞金首に襲われました。「よく生かしておいてくれたな」とか言っていたので、死体にしていると襲われなかったか、あるいは台詞くらいは違ったのかも。  まあ三人くらい今更ひょこっと出てこられてもな。  政府に踊らされて賞金稼ぎ同士で殺しあうなんて馬鹿な野郎どもだとか、この国はもうなんでも金になっちまった、とか。たぶんアーサーからしたら頷ける内容だったと思います。  でもまあ、無法者の時代であっても、弱い奴が食い物にされるのは一緒だしな。おまえが今俺の馬のケツに乗せられてるのは、時代がどうのじゃなくおまえと手下が弱いからだろ。その点俺はまだ生きてるし、まだいくらかの自由もある。いずれ時代に飲まれて終わるとしてもな。
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 というわけでお待ち遠さまー、配達品でーす! 100$おくれ!(´ω`*)
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 ここ数日は大物狩ったり宝の地図見つけたりといっぱい遊……働いたので、自分ご褒美でおねーちゃんつけました(๑ ิټ ิ)  風呂は定期的に入らないとだし、町に寄ったときに入るようにしないと、拠点には川しかないからなぁ。……川で泳いでも綺麗になるんだろうか? 馬はそれでOKなんだけど、俺は? スタミナつけるためにも、今度から拠点では朝の水泳でも日課にしてみようかなぁ。しかし、脱げないんだよな。ベストとかコート、靴は着ないことを選べるけど、シャツ、サスペンダー、ズボンは着替えることができるのみ。だったらできるだけ薄着にして、裸足で泳いだら雰囲気出るか……?  そしてみんなに、またアーサーがなんか変なこと始めたぞ頼むからその体力を仕事に回してくれ、とか思われるんだな、うん。
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