Tumgik
#ヤバい奴らに喧嘩を売った奴
urusura · 1 year
Text
定期的にスレ住人に話題にしてもらえて良かったね。明日香キララと統一教会に喧嘩売ったのが運の尽きよ。んで肝心の動画も全然面白くなかったし、一体何がしたかったのか、コイツ。
0 notes
tufboy02 · 8 months
Text
​​
Tumblr media
​「このままではヤバい…」各地で路線バスが崩壊寸前…いったいなぜ?【#みんなのギモン】 - 記事詳細|Infoseekニュース
【全文を読む】
​私は25年バス運転士を続けて来ましたが、2年前に退職しました。
主に大型バスで路線バス・観光バス・貸し切りバス等全般運転。
班長で2つの営業所の路線も運転してきました。
大手鉄道会社だったのでダイヤ数は平日、土日祝日をあわせて200ダイヤ近くありました。
勤務ダイヤの改善や運行管理者、新人教育までしました。
辞めて行く人の理由をこんなに不思議がられても困ります。
運行ダイヤは会社が決めます。はっきり言って道が空いてても間に合わない設定にされていました。
駅周辺に車が押し寄せてくる時期には駅前から幹線道路に出るまで30分掛ったこともあります。
県境位遠い終点に行くバスを運転している時は最大2時間遅れたこともあります。
挽回する余地は全くありません。休憩も取れなくて食事も抜きで走りっぱなしのこともありました。
兎に角道路に車が溢れています。バスレーンなんか守るどころかバス停に平気で駐車する輩も多い。
それに加えてクレーマーならまだしも喧嘩を売って来る客も多数いましたし、やってられんと言う感じになりますわな。
小泉政権の時にバス5台あれば、バス会社が作れるようになってから、やたらバス会社が増えて運賃の値下げ合戦が始まると仕事の取り合いみたいになり、例えば観光バスを借りるのに10万円だったのが5万円に下がる、そうなると当然私どもの給料もどんどん下がって行きました。
勤続年数と役職の高い運転士は1000万円近くもありました。
今では三分の一位しかありません。
仕事がきつくて給料が安ければ皆やめたくなりますよ
入って1週間で辞めた人もいたし、無断欠勤を繰り返して転職する人もいた・・・
仕事終わって車庫に帰って料金箱精算後洗車したり、ほうきで掃いたり、窓ガラスを拭いたり、コロナの最盛期には室内消毒までしていました。
どこかの幼稚園で降車確認しないで園児を閉じ込めて死なせた奴がいたが、私どもはいちいち終点に着く度に忘れ物はないか確認したり、寝ている客を起こしたりするのは当然のこと。
乗っているか乗っていないかのレベルじゃないだろうが、怒りが込み上げてくる。
言えばキリがないが、テレビ局は気楽なものでなぜ運転士不足になっているのか核心を掴んでいないのには呆れ果てる。
Tumblr media Tumblr media
0 notes
pureegrosburst04 · 9 months
Text
アイエフ「アンタ達、バカンス遺跡調査しなさい」御茶ヶ滝「ごめんね、これから怪盗リベンジブラックジョーカー検定があるんだ😎」アイエフ「え?………成る程ねーwアンタ達そんな趣味あった訳。見た目通りの受け専門🤭」 御茶ヶ滝「?(・・?) 地雷を踏んだ気がする😰」 超電波油「(俺にはピンときたぞ😠 あいつら…絶対にボイコットしてやる😡)」
〜複製電脳軍要塞〜
御茶ヶ滝「参加した人は主観視点に異次元カメラが付くそうじゃないか。捕まって逆レイプの一部始終まで上位現実に配信されたら解放されてもプラウド💎が無くなってしまう。リスクが1%でも‼️俺達は不参加でいいね?😤」知球GrassShining1 チー牛「え?まさかそんな簡単な事にも気づかなかったんですか??100円スーパーに売ってるドリンク怪盗する奴とか誰も捕まえにきませんよ。俺達の仲間7人とも全員なんの警戒もせずピザ食って泥酔して終わりを1000回以上繰り返して無事なんですがWWW 」
超電波油「クソッタレ‼️(今のをコピーアンドペーストしてアイエフさんに言えば良かった(T ^ T))」 御茶ヶ滝「ガッデム‼️(焦ってカウンター返事の機会を潰しちゃった……今からクールに言っても怪しまれるだけだ。時既に引き返せないヽ(´o`;))」
〜結局遺跡を探索してから参加した表主人公達〜
知球GrassShining1 チー牛「A級レンタルヒーローの美術品活動に出かけるんですか、新しいネタ持ってきてくださいお願いします。なんか最近虚無感が凄くて…」御茶ヶ滝「一緒に行こうよ。本物より不細工で貧弱な偽体にありえないフィジカルを貸せば身売りだって怖く無いよ 俺達の本体はここでさっきの超密度変化クリスタルの中で寝てるし、向かうのはドッペルゲンガーだけだよ」知球GrassShining1 チー牛「それは、本物の俺そのものです」
Tumblr media
超電波油「御免なさい(T ^ T)」
知球GrassShining3「ここまでは話して出発なされましたね、旨い酒を飲むので結果報告だけでも…m(__)m」
〜なら聞いてくれるか?俺達がした冒険の記録を↓〜
超電波油「黄色い海のように溢れる水があった。これは固体となる事で尋常じゃない収縮をしたんだ」御茶ヶ滝「その時の会話がこれ→この両手に収まるクリスタルがその正体って訳だね。溺れる訳にもいかないというか怖いから常に冷やしておこう」超電波油「作った奴も理にかなってるよな…現実的にはあり得ない研究で理で埋め合わせをしたこの科学。(元の世界には千空しかいなかった気がする)」超電波油「まあ特に話すことはない。””””アイエフさん(真主人公)””””はクールビューティだが手料理を美味しく食べる俺達を幸せそうに見る母性もあるのは確かだ、そんな人がバカンスで危険な任務も頼むわけも無し」御茶ヶ滝「本当にヤバいのは”””””ペニーワイズ(裏ストピエロボス)”””””、こっちの話の尺が長いのは悪い意味で解決した今も情報不足だからだよ」超電波油「ワールドネームは”売春カジノ🔞”と”””””殺人ピエロの街🤡”””””これを知る事は撤退する上でもとても大きな意味がある」御茶ヶ滝「何故ならしっかりと場所と地名を確認を重ねて選択すればいつでもワープ出来るから、ここまでは良いね?」
御茶ヶ滝「あれは中世のヨーロッパみたいな街だったよ、表版仮想大鉱山のほんの一部なのに危険度は未知数」防聖孤島「法律もクソもないイケメンもクソしかいない道を俺達は全力で無免許運転した。そしたら身栄に関しては理想すぎる程シンクロした建物を見つけた。蜘蛛の巣も傷一つないのはまさにイデアを感じた、自分達が強い自信はあったし2年前に”ゴールドバラバズー500”ならギリギリコンビプレイで倒して、並行世界でも楽勝で潰して来た俺達ならなんとかできると思って踏み込んだ」御茶ヶ滝「同じような景色が続いて目的地に着いた時は基地を潰せると高揚感と緊張の心拍」超電波油「建物をぶち破るか相談をして上にも知らせた。アイエフさんは真剣な覚悟を決めた声で駐車場の車の中に隠れていてって言った、だから夜が来た時に大警鐘の寒気がしたんだよ→おい、霧の出てる方の建物をよく見てみろ。ジオラマみたいな雰囲気だったのに妙に汚れができて生々しくなってる。ここの駐車場で様子を見ながら隠れてやり過ごすぞ。アイエフさんはともかく俺達は何も知らされてない、流されるな」御茶ヶ滝「夜が完全に明けなきゃ帰れない気がした。魔界と完全に繋がりが切れた時がその時だと本能でわかったよ」
防聖孤島「この後は結論から言うと頭が良くてもギャンブルに弱い気質をして、いつも良い子に過ごしていた俺達に武装して乗り込む選択肢はあれど賭け事で核心に迫る無謀さは無かった 結局徹底的に弱い拠点から経済を潰す事で間接的にその並行世界も救った。今思えばカジノ内部の方にコアがあったんだろうな…だが切断されても魔界は健在。これからも勝つ自信はない あの”””””ピエロ”””””は””””ラオウ様(真主人公)””””じゃなきゃどうにもならない(赤き真実)」
超電波油「ちなみにアイエフさんも……あの人さ、何気に最強クラスなんだよな 普通少年ジャンプとかのヒロインって中々バトル的にはやるけどある程度で打ち止めじゃん?…で、俺らみたいな奴らが無双するじゃん?超えられる気しねえわ」上位現実の視聴者ベールさん「ニヤニヤ😏」
知球GrassShining1 チー牛「ふう……👏  ちなみにパソコンで他の逃走者の状況も観れますよ。怪盗キッドっていう唯一の正統派大物は来てくれないけどまあ……、アダルト🔞目的がすぐ散るのも後半からクオリティが良くなるし」超電波油「そんなものは当然観ない」御茶ヶ滝「普通に仲間と飲み交わすフード&ドリンクに勝る幸せがどこにあるのかなあ?」知球GrassShining1 チー牛「やはりお二人は純粋硬派柱の宝玉ですね、この世界中に配信されてるマイクに一言」(ぼっ🎤) 超電波油「ちん◯ってのはな、PS3のコントローラー購入を諦めた負け組が使う原始時代に廃れた暇つぶしのアクションレバー玩具だ」御茶ヶ滝「その通り、附録のおまけだよ🙃。ただ、携帯出来る長所はあるけど栄養不足だと棒で振って叩いても弾力無いから楽しく握れないに加えて人前では通報されるだけの役立たずだから基本ほっとくといいよ( ◠‿◠ ){{とうとうお前世間的にもマジでヤベェ奴になったねwww毒電波で触らぬ汚染に祟り無しに名前変えなよ(^◇^;アイエフさんは、俺が貰っちゃうかも💙)}}」超電波油「ホントだよな、素のサイズが大きいのが長所だと思えねえ(そこは乗っかるなよ‼️💢演技でも照れくさい反応しろや、ピュア二人でサイコ100倍じゃねえか折角フォロー返しの準備して皆んながほっこりする所をキラーパスにしやがって💢😡🖕)」知球GrassShining1 チー牛「大体精力剤盛られてキョコンになったらペットボトルに用足せるのかって怨恨の殺人事件が起こってもおかしくないですからね」
表主人公+チー牛1「(誰か助けて下さい。もうこいつら男性じゃないでしょ。衝撃の宇宙人説押していい?)」 
裏配信をこっそり⭐️観てるユニちゃん「この人達、やっぱり頭がおかしい(ドン引き)」ネプテューヌ「この子達は……”羊の皮”を被った””””ゴールデンシープ””””だよね…(;´д`)」
心を手に取るように読んでいる更なる裏視聴者➡︎ゲイムギョウ界のベールさん「素敵ですわ💓、数々の物語を経る前の早い段階から痴態を晒しておきながらの方向性のない駆け引きが現していらっしゃるのは…早熟な恋愛のデフレーションを心配した日々が杞憂となるワタクシを安堵させましての流石と呼べるライバルコンビの活躍🎶 ここからが盛り上がりですわね🤭」
御茶ヶ滝「恋愛運を知りたいです🙇、全部金運に極フリしたくて。」 超電チャブル「占ってくれますかね?謎の美少女さん」謎の美少女「ええ、スーパーコンピューターの予測演算で………す、すごい💦 貴方達、……7139億年以上正統派童貞よ。当然同性愛の影も形も無い(赤き真実) あるのはスパーリングと健康(;゜0゜)」
防聖孤島「俺は、正義のドーテーだ😎(黄金の真実)」謎の美少女「ひくわー(⌒-⌒; )」
〜表主人公達は未来永劫正統派童貞であるお互いを尊敬し合い、自分には失望してヤケ酒をして、相棒に聴いてもらえる独り言の嵐〜
超電波油「幾ら強くなっても意味がないのが喧嘩?これは日常的に闘い続けてきた猛者に当て嵌まる言葉だ。粘着されながらいじめられてやり返さなくちゃならない立場の人こそ強くならなきゃいけない。戦闘に無縁な人ほど武勇伝を手に入れる意味がある ひっく(^ν^)」
御茶ワールド「F(フェア)の秀才方って俺達が付き合ってる下級住人と霧島04(裏ストボス)を屠る上級住人とで名前の意味が異なる😤」
Tumblr media
更にベロベロに酔っ払う表主人公達二人  超電波油アンタッチャブル「あ〜寝たきりで筋肉に良質な刺激を与え続けて口内環境までいつも纏ってるオートブラシジェルで綺麗になるB(バグ)の家族達いいなあ(T ^ T)、何のトレーニングも無しで筋肉がどこまでも刺激されて成長する””””帯電振動体質(令和向け、高次元の絵から出てくる餅)””””なんてズルいぜ(マリオブラザーズシリーズでいうスーパーを越えた形態だよな??)。俺だって筋肉密度が常人の何倍もある””超人体質(昭和マンガの主役止まり)””なのに更に上を行く最先端の進化を併せ持たれちゃたまんないよ(;´д`)<<プロテインが飲めばマッチョになる魔法の飲み物だとはいいご身分ですねえ💢」
〜帰り道〜 
Tumblr media
御茶ヶ滝ウォーターワールド「あー外寒い。何でベールさんに秘密を守ってもらう為にここより寒い無人島みたいなとこで漁をしなくちゃいけないのかな(−_−;)、俺の能力上天職みたいで燃えるけど、彼女はぬくぬくした所で寝て起きたら俺の料理を食べてゲーム。いや他の子達の分も用意しなくちゃいけない、俺の秘密がバレるバレない以前に周りの目が変わるのも困る🥵。」超電波油「秘密ってなんすか?」御茶ヶ滝「ペニーワイズが主催した大運動会で表版仮想大鉱山のアレ()をクラウチングスタートをして喰らうちんこスタートをする霧島04(ラスボス)に他の純粋硬派柱がみんな揃って性病のグログロ鮮血で真っ青😨🥶😱😰になって呆然と見ていた事(大嘘なのに、ノンフィクションwww)」
Tumblr media
防聖孤島(9365億歳正統派童貞)「はっきりとした事がある。俺達は、女性の手が好きじゃ無い吉良吉影だったんだ。{{{本物の純粋硬派柱}}}。?  “ジャニー喜多川”よりやべえよ。あと、この言葉を使うのは初めてじゃ無い」
Tumblr media
〜アルテマジキチ〜
タイム風呂敷で100年間洗ってない虫歯100億%状態になった口の臭い💩を初対面の少女に吐きかける”””霧島04””” 女の子「息、歯垢臭い‼️」 霧島04(ラスボス)「はー、はー、歯垢のメニューです‼(ぷ〰︎ん、ぷ〰︎ん💩)」️少女「臭い臭い‼️」 
霧島04「だから、歯垢のメニューですって言ってるだろ‼️(赤き真実)‼️」
(真剣にオヤジギャグを貫くサイコパスは謎のマジギレして血反吐を吐くまで女の子をぶん殴ってから少女の乳房を切断して傷口にシーハーした100本の爪楊枝を刺して、こんな事をしたからこそ肉が垂直の美を飾りしアイアンメイデン❤️‍🔥  と、芸術家を気取った。) 乾かした🪨ウンチロック💩を取り付ければ服で誤魔化せるザマス(赤き真実)
1 note · View note
keredomo · 3 years
Text
『八月の光』、分厚いですよね(後半)
Tumblr media
 後半です。前半ではクリスマスとジョアナを中心に愛と承認についてうだうだ書きました。後半では腹を括って書ききれなかった「信仰とはなにか」問題について書かねばなりません。書き切るためにも、とにかく気合でページを進めるのみです。デスマーチ……(私はものを読むのが得意でない)。  後半で取り扱う人物がまー軒並みクズでして、奴隷労働をさせられることになった怒りをフォークナーに癒してもらうために読み始めたはずが、より一層怒り狂うはめになりました。
【主な登場人物】
リーナ・グローヴ:神がジェファソンに導き給うた。そろそろ産まれそう。
ジョー・ブラウン:自分が作った酒でアル中になるバカ。
ジョー・クリスマス:愛した女を殺し家を燃やして逃走中。賞金首。
ジョアナ・バーデン:愛の渦に飲み込まれ死亡。享年44歳。
バイロン・バンチ:おれがリーナを守る!夫に会わせてやるからな!
ゲイル・ハイタワー:実はバイロンとマブダチ。本は結構読むらしい。
 それでは参りましょう。悪態が炸裂して大変なことになりそうです。
【目次】
383ページ 頭蓋骨に蛆が詰まっているとしか思えない
395ページ 「確信」への憧憬  
403ページ ハイタワーの受け取った「おつり」
474ページ まるで死が賜物であるかのように
495ページ 黒人の神様
498ページ 罪を抱えきれない弱い人間
526ページ リーナの出産
574ページ このタイミングで新キャラ出すの何なの
631ページ ハイタワーの死/リ��ナの再出発
やっと読み終わりました(656ページ)
383ページ 頭蓋骨に蛆が詰まっているとしか思えない
 前半冒頭で「走る下半身」として紹介したジョー・ブラウンという男がいましたね。こいつの名前は偽名です。リーナの夫になることから逃れるために町を移り、名を変えました。本名(かどうかも怪しいが)ルーカス・バーチ、バイロン・バンチと名前が似ていた偶然がリーナを彼のそばまで運んできたのです。必然でしょうね。  このクソ野郎は、リーナから逃げて流れ着いたこの町に同じく流れ着いたストレンジャーであったクリスマスとつるんで密造酒の製造販売で儲けようとするのですが、脳が5gくらいしかないのであちこちでヘマをやらかしてクリスマスに睨まれます。とはいえクリスマス自身もストレンジャー特有の警戒心があり他に仲間にできそうな人もなく、同じくストレンジャーであるブラウンと一緒に過ごすことを選びました。宿のない彼をジョアナに与えられていた小屋に招いて共に暮らすようになると、ブラウンはクリスマスとジョアナが男女関係であることを知るようになります。へえ、こいつはおもしれえや。あの北部人の女とね。のみならず、クリスマスが酩酊して「自分には黒人の血が流れている」と独白するのも聞く。いよいよこいつの弱みを握ってやったぜ。こいつは使えそうだ。  それで、火事の現場に偶然居合わせたブラウンに容疑がかかった際、相棒クリスマスの複雑で繊細な事柄をぜんぶ、ぜーんぶぶちまけて、自分の利益に替えようとするわけです。我が身の安全とクリスマスの首に懸かった賞金の千ドルのために、知ってることをすべて警察に打ち明けて、「あいつが殺したんだ!あいつが悪人だ!」と喚く。「俺は何もかも知っている!犯人を明らかにしたんだから千ドルよこせ!」とぎゃんぎゃん叫ぶ。なんなんだこの下劣野郎は。最悪すぎる。
ブラウンはしゃべりたがった、熱心に大声でしゃべりたがり、どうやら彼がそうするのも千ドルの賞金が欲しいためだとすぐに明らかになったのだった。 「おまえは共犯証言をして自分の罪を軽くしたいわけかね?」保安官が尋ねた。 「俺はそんな証言したくねえよ」ブラウンは表情も声もやや荒っぽく、突っかかるように言った。「誰がやったか俺は知ってるんだ、千ドルくれれば話すんだ」
 ちょっと頭蓋骨に蛆が詰まっているとしか思えないですね。それとも、この時代、1930年代のアメリカの南というのは、ここまで人を貶めなければ自分が生き延びることができないような時代だったのでしょうか。
 2020年を生きる私はブラウンのキャラクターに対してはっきりと憎悪をもっていますが、当時の土地や時代のことや、信仰のもう手に負えないほどの形骸化のことに鑑みるに、彼が神を無視し、慣習を無視し、父親となってこの世に囚われることを拒み、逃げ、逃げ続け、この世に反抗して生きられるのならば何だってやる、という態度を選択するのももしかすると一つの生き様なのかもしれない、とわずかな同情の余地をもつこともできます。彼の発言や行動の迂闊さと利己心をみるに、そこまで確固たる思想があるとはまったく思えないけど、絶対ないとは言い切れないよね。
 もちろん、どう擁護しようと、こいつのせいでリーナは孕んで共同体から疎外され、こいつのせいでクリスマスはリンチに遭って死ぬわけです。  ですが、彼を悪であると断じていいのかどうかはわかりません。
 リーナはすごく晴れ晴れしく旅を続けています、この男を追う旅を。この小説のラストシーンは再びリーナの歩みで締めくくられるのですが、そのリーナの姿の晴れやかなことといったら。生きる勇気をもらえるラストシーンです。この美しさ、晴れ晴れしさは、未読の方には是非読み通して味わっていただきたいものです。  クリスマスは、これは想像にすぎないけれど、多分ジョアナを殺して一人になった時からずっと死にたかったのだろうと思います。二人で死ぬつもりだった女を一人で死なせて、彼はもう生きていくことはできなくなったような気がする。二人で死のうとしていたような女を一度人生に置いて、それから再び一人になるということはできないような気がします。
 ジョー・ブラウンの存在は、「引き金は意思を持たない」ということを示しているのかもしれません。事実、この世には、明確な意志で以って引かれる引き金なんかほとんどないのです(私たちが抗いながらも自殺に憧れる理由でしょうか)。
395ページ 「確信」への憧憬  
 これまでこの記事では愚昧な男バイロン・バンチと追放された牧師ゲイル・ハイタワーのことにはほとんど触れずにきました。どちらも物語の主要人物なのですが、どうも魅力に欠いて、それは彼らに主体性がないからだと思います。自己についても他者についても社会についても責任を有していない。呆れたことですが、一般的なことかもしれません。  動くことはもちろんsurviveするための能動的選択ですが、不動のまま耐え続けることもまた生き延びるための一つの選択肢でしょう。とくに共同体から疎外されては生きてゆかれないような状況では、動くことのほうが愚策であることが多い。  バイロンとハイタワーの両者は「耐える」ことを選んだ者でした。  ある側面では、この小説の結末について思えば、これはそういった「どこに自分を見出せばいいかわからない」ような生を生きてきた彼らを救済する物語であるとも言えるかもしれません。
「彼女はいまあなたがしているように僕を見つめてて、それから言ったんです、『その黒ん坊の名は何というの?』まるで神様が見るみたいに、人間の嘘から知りたいことだけを、尋ねもせずに、見つけだしちまうんです」
 バイロン・バンチがリーナに恋をするのも頷ける話です。確信を持つ人間は、従い続ける人間にはあまりにも眩しく見えるものでしょう。
 バイロン・バンチは、よりによってジョアナの死体と家が燃え上がっているまさにその時にジェファソンにたどり着いたリーナと偶然出会って恋に落ちます。「ルーカス・バーチ(下半身ジョー・ブラウン)を探していたら、バーチじゃなくてバンチならここにいるっていろんな人に言われたわ。バンチってあんたなのね。」みたいな感じで話します。今書き出してみて気づいたけど、売野機子の描く物語の登場人物にこういう話し方をする子がけっこういますね。『かんぺきな街』とか。
 バイロンがリーナを保護し、彼女の望みを叶えるためにブラウンに会わせてやろうとするその健気さ、甲斐甲斐しさというのは、明らかに当時理想とされていた男性像から逸脱したものです。言ってしまえば性役割が反転しています。ここがリーナというキャラクターの底知れなさで、この人、主語が一貫して「あたし」なんですよね。前半の登場人物紹介で「電波」と書きましたが、彼女を電波と言わしめる社会順応性のほうがどう考えても悪ですね。
403ページ ハイタワーの受け取った「おつり」
 『いかん、わしはせんぞ。わしはお役ご免の株を買ったんだ』。それがいまは口でしゃべる言葉ほどになって、繰り返し、執拗に、主張するように、『わしはそのために支払ったのだ、値段をごまかしはしなかった。誰にもそうは言わせんぞ。わしはただ平和が欲しかっただけだ。言い逃れもせずに彼らの値段どおり払ったんだ』。
 『 』は作中人物が頭の中で考えた会話や独白を示すそうです(原文では ‘ ’ )。ゴシック体(原文はイタリック)となっている“意識の中を走る「思考の流れ」”との違いが相変わらずよくわかりませんね。より強く現実に即している思考ってことなのかな。
 本書ではバイロン・バンチとハイタワーの対話に少なくない紙面が割かれているのですが、この箇所ではバイロンがハイタワーにクリスマスを助けるための嘘をついてくれないかと懇願します。  バイロンはハイタワーに頭を下げつつ、「悪人と同様に善人にも負債が——償わねばならぬ負債が——あるとあなたに言いましたね」と話しています。ハイタワーはそんなこと、つゆほども承知していない。  先に「耐える」者として触れたとおり、そして上記の引用からも見て取れるような、「ただ悪事を犯さないというだけで“善人”である」というスタンスをとっていたハイタワーには、自分が支払わなければならない負債なんか到底あるとは思えないのです。  しかしその後、ハイタワーはほとんど自らの意志で「おつり」を受け取ることになりました。
 この場面の前後で、クリスマスの祖父母が新たに登場します。ここにきて新キャラ出すのやめろ。クリスマスの(微妙にたいしたことない)出生の秘密が明らかになると同時に、前半で触れた孤児院の「番人」はクリスマスの祖父だったことが判明します。孤児院のシーンでの描写でも完全にヤバい男でしたが、何がどうなってあんなにヤバかったのかが明らかにされて私も安心しました。詳しくは後ほど。
474ページ まるで死が賜物であるかのように
それでいてなおその音楽は冷酷で執念ぶかい性質を持ち、用心ぶかくて、わが身を犠牲にする情熱もなく、頼み、懇願するのだが、それは生をではなく、死を請い願っているのであり、他の新教音楽と同様、人々に生命を禁じるその高い調子は、まるで死が賜物であるかのように、死を請い願っているのだ。
 ハイタワーが今は自分の所属先ではなくなってしまった教会、そこで奏でられるパイプオルガンの音色について回想しているこの箇所は、明らかにイエス・キリストを擬人化(擬人化?)した挙句クリスマスに重ねている文章ですね。  この、クリスマスの心情を髣髴とさせる一節をハイタワー(堕落した牧師)の思念として描き出すのもなかなか皮肉に満ちていながら、……もしかすると、「わかりあえなさ」を強調しているのかもしれません。
この人々は喜びや陶酔には耐えられぬようであり、そこから逃避するために暴力と酒と喧嘩と祈りを用い、破滅するときにも、また、同様に、きまって暴力を用いるのだ だから彼らの宗教も当然のことに、彼ら自身やお互いを、十字架上に追いあげるようなものになるのだ と彼は考える。この音楽の内奥には、あの人々が明日はせねばならぬと知っているものに対する彼らの宣言と献身とが聞きとれるように思える。また、前の週は奔流のごとく過ぎ去り、明日に始まる来週は深淵であり、いまだけは瀑布(ばくふ)の落ち口に集まった水の流れが一つに調和して厳粛で朗々たる響きをあげているといったふうなのだ、それも弁明のためでなくて自らの落下を前にしての末期の挨拶であり、それを神へではなくて鉄棒のはまった監房に死を待つあの男へであって、その合唱ばかりか他の二つの教会の音楽も聞えてくる監房にいる男に、彼らは喜んで磔のための十字架を建てようとしているのだ。(太字箇所はここではゴシック体)
『というのも、あの男を憐れんだりすればそれは彼ら自身への疑問を生むことになるからだ、彼ら自身を憐れむ希望と必要を生むことになるからだ。だから彼らは喜んであの男を磔にする十字架を建てるのだ、喜んで。それが恐ろしいことなのだ、まったく恐ろしい、恐ろしい』
 思念はイエス・キリスト、クリスマス、そしてハイタワー自身が民衆から受ける仕打ちを重ね合わせながら、自己を守るために他者の理解を拒むという民衆的暴力の陰惨さに辿り着きます。  この箇所を他人事として棚上げすることは許されないように思われます。私たちが他者を拒むとき、それが暴力の行使にあたることにはほとんど気づきません。しかしそれは、『八月の光』あるいは聖書に描かれる実際上の血祭りとなんら変わりないと、ここにはっきりと記されていました。
 ハイタワーとクリスマスは、それこそクリスマスの死の瞬間まで一切、直接に接触することはありません。隠居しているハイタワーは、クリスマスの存在を知ってはいるものの、バイロンの噂話で聞きかじる程度です。  こうしてかつての自分が民衆から受けた迫害にあらためて思いを馳せる夜を経たことで、その後ハイタワーはクリスマスを暴力と死から逃そうとする行動をとることになるのですが、結局守りきれず、無力感に包まれたままハイタワーもまた孤独に息をひきとりました。
 直接に愛し合うことのない人間がほとんど唯一の理解者としてこの世に存在しうるということは、絶望でしょうか。それとも希望でしょうか。自分が生きながらにして享受できない救いははたして救いなのでしょうか。生前評価されなかった画家を死んでから愛でるというおこないの下劣について、私たちはどう折り合いをつければいいのでしょうか。
 死が賜物であると宣べるとき、私たちはこの生の耐え難い無力感から解放されることの安堵に支配されてしまうのでしょう。その安堵に抵抗し続けることの困難に、それでも立ち向かわなくてはならないのですが。
495ページ 黒人の神様
『坊や、なんであっしばかり見つめとるだね?』するとその子(引用者注:孤児院時代のクリスマス)は言った、『おじさん、どうして黒ん坊になったの?』それで黒ん坊が言った、『あっしが黒ん坊だなんて誰が教えたい? ええこの白人の父(てて)なし子め!』するとその子が言うんだ、『ぼく黒ん坊じゃないよ』、そして黒ん坊が言った、『おまえはそれより悪いだ。自分が何だか知らねえんだから。それもだ、これからずっと一生知らねえだ。おまえは行きて、そいから死ぬだがそれでも死なねえままだ』
 呪いがすごい。この呪詛によって、人種差別の罪、暴力でもって黒人を奴隷として使役してきた白人の罪のすべてがクリスマスに注がれています。神なき人の子に重すぎる原罪を背負わせるのやめろ。
そしてその子が言うんだ、『神様は黒ん坊じゃないよ』、そしてその黒ん坊が言うのさ、『おまえは神様が何だか知ってるにちがいねえな、だっておまえがどんな人間かは神様だけが知っとるんだからよ』。
 「神様は黒ん坊じゃない」!  その次の黒ん坊のセリフもまたすごいものですが、「神様は黒ん坊じゃない」という一節に衝撃を受けました。そうだよな、黒人の歴史においては、キリスト教が布教される(あるいは強制される)その担い手は白人だったわけで、それは書物ではなく口承と絵図とモチーフのみによって教えられたわけで、イエス・キリストは黒人の姿をしていない……。一度も考えたことがなかった。黒人にとっては、神の子は自分と同じ肌の色をしておらず、よりイエス・キリストの姿(と思い込まされているもの)に近い白人たちのほうが上等な生き物であると思わされてきたのかもしれない。白人たちも当然その傲慢に染まっていたことでしょう。聖書におけるイエスの肌は褐色であるにもかかわらず。  ここで私が割って入って「神様は黒ん坊でもないけど白人でもありませ〜〜ん残念でした〜〜〜!」と叫びながらハリセンでクリスマスの頭をはたけたら何か変わっていたかもしれません。悔やまれます。
 その直後の黒ん坊のセリフ「おまえは神様が何だか知ってるにちがいねえな、だっておまえがどんな人間かは神様だけが知っとるんだからよ」、こっちが真実ですね。どんなに正しいことに触れても、それが正しいと知らなければ受け取ることは叶わないのはやるせないものです。私もきっとおびただしい正しさを取りこぼして過って生きているのだろうな。
 それにしても、構造が明らかになるにつれフォークナーの筆力にひれ伏すばかりです。私事ですが、ここ何年かは、複雑きわまりない人生から「咀嚼可能なていどに簡易化をほどこした物語」を抽出することに取り組んできましたが、そろそろ「複雑な物語構造を組んで現実を再構築する」ということに取り組んでみたい気がしています。
498ページ 罪を抱えきれない弱い人間
 クリスマスの祖父について少し触れておきたいと思います。老ハインズと呼ばれている、町で噂のキチガイ爺です。「番人」の描写の時もやたらと神神神神言ってましたが、この人もまたあんまりよろしくない形で神と共にあり神を都合よくつかって救われたがっている人です。彼は常時、神と会話(対話でなく会話です)をしています。
老ドック・ハインズはあれが馬車に乗って出てゆくのを見送ってから、神様がおいでになるのを待っとると神様がやってきて老ドック・ハインズに申された、『おまえも行ってよろしい。おまえはわたしの仕事を果した。あとはもう女の悪業しか残っておらぬが、それはわたしの選んだ手先に見張らせる値打ちもないものじゃ』。
 クリスマスを孤児院から養父母に引き渡したあとのシーンですね。老ハインズは自分を神の使者だと思っているようです。  彼の一人芝居の滑稽さには正直ちょっと笑ってしまうのですが、直後に来るシーンはかなり切実で泣けてしまいます。
夜になると彼は言った、『神様、あの父なし子は?』そして神様が言われた、『あれはまだわたしの大地を歩いておる』、そして老ドック・ハインズは神様と連絡をとっておってそして晩になると彼は言った、『神様、あの父なし子は?』そして神様が言われた、『あの子はまだわたしの大地を歩いておる』、そして老ドック・ハインズはなおも神様と連絡をとっておって、そしてある夜に彼はもがいたり荒れくるったりしてから大声で叫んだ、『あの父なし子、神様! わしは感じます! わしは悪魔の歯と牙を感じます!』そして神様が言われた、『それはあの私生児じゃ。おまえの仕事はまだ終っておらん。彼はわたしの大地の汚れであり憎しみなのじゃ』
 ぐううう……(ぐうの音)。いやね、今となっては「私生児くらいでそんな……」という感じですが当時は気が狂うほどの罪だったんでしょう。自分の手から放してしまった孫をずっと気にして、不安にかられて、神様、神様と唱え続けている老ハインズの哀れな姿に胸が締めつけられます。ついに不安も苦しみも罪の意識も自責の念も背負いきれなくなり、ハインズは神様に「彼はわたしの大地の汚れであり憎しみなのだ」と言わしめてしまいました。  貶めることで安堵しようとする。人間のそういう弱さはよくわかります。自分の罪を自分で抱えきるには人間は弱すぎる。老ハインズと同じことを私もよくやっていると思います。でも、人間が弱いからと言って、自らその弱さを手放しに許すことは堕落にほかなりません。生きる以上、私たちはこの弱さに抗っていかなければならない。
526ページ リーナの出産
 さて、物語も終盤にさしかかっています。ついにリーナが出産するのですが、ブラウンが彼女を匿うことにしたのは実はジョアナ・バーデン邸の一角、クリスマス(とブラウン)が寝泊まりしていた小屋なんです。  クリスマスがジョアナを殺して家を焼いたそのすぐそばの小屋でリーナの子が産まれた瞬間、そこには、大人になったクリスマスに再会することで罪を許されたいと願ったものの叶わなかったクリスマスの祖父母(老ハインズら)と産婆役のハイタワーが集い、ここまできてもなお事態を我が事とみなしていなかったために医師を連れて来るのが間に合わなかった情けないバイロン・バンチが遅れてやってきて……なんというか、すごい構図ですね。ゴーギャンの『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』(1897-98)を思い出します。
Tumblr media
 ゴーギャンこれ。好きなんだよね。
『哀れな女だ』と彼は考える。『哀れにも不毛な女。あと一週間だけ生きのびておれば、幸運がこの場所に戻ってきたものを。この不毛の破滅した土地に運と生命が戻ってきたものを』。
 ハイタワーはリーナの小屋に医師役として通いながらこんなことを考えますが、ほんとにそうかなあ。ジョアナとクリスマスが破滅し、家が燃え上がって何もかも失われてしまったからこそ、ここに新たな生命が芽吹いたんじゃないのかな。わからないけど、そんな気がします。世界は運動し続けるもので、とどまることはないと思う。
574ページ このタイミングで新キャラ出すの何なの
 おい、もうほぼ読み終わろうとしているこのタイミングでなぜまたも新キャラを登場させる。すごい度胸だフォークナー。登場させたペラッペラの新キャラにクリスマスを惨殺させる役割を担わせるのに何の意図があるんだフォークナー。  この新キャラ(警官パーシイ・グリム)は物語に颯爽と現れて颯爽とクリスマスを殺して消えます。なんなんだ。
 留置所から逃げ出したクリスマスはハイタワーの家に駆け込み(クリスマスの祖母が彼に会いに留置所へ行き、ハイタワーが守ってくれるはずだと説いたためです)、ハイタワーも彼を追っ手の警官グリムから守ろうとするのですが、空しくクリスマスはグリムに撃たれて殺されてしまいます。
他の連中が台所に着いたとき、テーブルは横にのけられ、グリムは死体の上にかがみこんでいた。彼が何をしているのかと近づいて、一同は男がまだ死んでいないのを知った、そしてグリムのしていることを見たとき、彼らの一人は咽喉のつまった叫びをあげ、壁のほうへよろめいていって嘔吐しはじめた。グリムもまた、血だらけの大ナイフを背後に投げすてながら飛びさがった。「これで、きさま、地獄に行っても白人の女にいたずらできないぞ」と彼は言った。
 このシーンは……ちょっとあまりにも悲惨で口を噤んでしまいますが……。直後に「尻や腰のあたりの切り裂かれた服の間からは」という記述があるので、おそらくそういうことですね。一体、警官には正義の名の下にそんな仕打ちをおこなう権利があるというのでしょうか。正義は最悪。いや……マジで最悪ですね正義……。正義によって私刑が正当化されると思っている人間は本当に吐き気のする悪でしかないですね……。おえ。
彼らはこの澱んで僧院めいた薄暗さの中へ、いま彼らが彼にしたばかりの残酷な夏の光に似た何かを持ち込んだのであった。  その光の残映は彼らの上に、彼らのまわりに、ただよっていた——それは光の持つ恥知らぬ残忍酷薄な明るさともいえた。
 「八月の光」が何であったのか、端的に述べられた箇所です。  柔い光は人に優しく、あたりを照らして私たちに景色を与え、世に温度と色彩をもたらし、それは恩寵というべき恵みです。しかし、あまりにも強い光は私たちから視力を奪い、体を灼熱に焦がし、すべてを奪いつくす暴力と転じます。それは私たちの力ではどうにも操ることのできないもの、畏怖すべき自然です。  このグリム然り、『異邦人』のムルソー然り、どうも「太陽のせい」で人は道を踏み外しがちになるようです。それはお前が常日頃からきちんと責任について考えておらず、また畏れという意識のもとに生きてないからだと思います。バーカ。
631ページ ハイタワーの死/リーナの再出発
『いずれにせよ、人間の手で神様に非難や責任を押しつけえないものが、何かあるにちがいないのだ。どこかにあるにちがいない』。
 終わりから2番目の章はハイタワーが息をひきとる間際におこなう回想に充てられています。祖父の栄光、父の真面目さ、自殺させた妻のこと、などなど。相変わらずあまり反省の様子は見受けられませんが……。初めて知ったのですが、死ぬ間際にはアメリカ人にも走馬灯が見えるようです。
 それでも、上に引用したハイタワーの独白は、「八月の光」を否定しうる力強い一節に違いありません。この小説に登場した人物には、神を信じるのではなく、神に責任を転嫁したり、神を都合よく利用したり、神にすべてを預けて破滅へと堕ちていったりする者も多くありました。まともに神を信仰していたのは記憶の限りではリーナくらいでしょうか。  別に神を信仰することが圧倒的な是ということもなく、神のかの字も口にしないジョー・ブラウンのあっぱれな逃げっぷりもそれはそれでよかろうと思います。人倫には悖るし、局部を切り取られるべきはクリスマスではなくこいつなわけだが……。
 自分を手放してしまうこと、抗うことを諦めてしまうこと、すべてを「八月の光」のせいにして責任を取らないまま都合よく救済されようとすること。生きるという重圧からの解放に誘惑され、ともすれば抗い難く飲まれてしまうそういった堕落に抵抗し続けることこそ、私たちが生きるこの世界にたいする責任を果たすことに繋がるのかもしれません。
 ちゃっかり逃げおおせたブラウンを追って、リーナは再び立ち上がります。今度はバイロン・バンチも一緒です(残念ながらまだまだ片思いの模様。)。
『逞しいもんだ。男どもがあんたを踏みつけにして行っちまうと、あんたおはやつらの残したものを集めて、また進むというわけだ』
 そのとおり。私たちは何度踏みつけにされても立ち上がるのです。
やっと読み終わりました(656ページ)
 読み終わったぞーーー!!!ワーーー!!すごかった!!!  軽い気持ちで書き始めた感想文のために2周もするはめになり、私もリーナと一緒にずいぶん遠いところに来た気分です。私の読解力の低さゆえ一読では読みきれないところが結構あったので、こうして精読する機会を得られてよかった。
 しかしフォークナーの筆力えげつないな……。 
 と言うのが今は精一杯です。人の人生を初めから終りまで描き切るようなことは、今の私には逆立ちしたってできっこありませんが、「人の人生を初めから終りまで描き切るようなことも人間には可能なのだな」ということをこの20代の終りに初めて知れたので、おそらくこれから先、見ようとするもの、見えることをわかっているので見ようとすることができるもの、が格段に増えてくると思います。とても嬉しい。嬉しいな。精読できてよかったな。
 追うリーナ、逃げるブラウン、彷徨うクリスマス、助けるジョアナ、閉じるハイタワー、従うバイロン。人間同士を物語によって絡めあい、多様な生き様を浮き彫りにしつつ、フォークナーはけっしてその是非を問わない。善悪を診断しない。評価を下さない。優れた小説とはかくあるべし、というまさにお手本のような作品でした。これは個人的な感触にすぎず、後日もっと学びを深めたあかつきには撤回することになる謂いかもしれませんが、多くの小説においてはテーマがすでに正義を帯びているような気がします。気がするだけだけど……。
 というわけで、拙い感想文に長々とお付き合いくださり本当にありがとうございました。長かったでしょう……。読んでいただけて嬉しいです。ありがとうございます。  最後に、フォークナーがノーベル文学賞を受賞した際のスピーチより有名な一節を引用して締めくくりたいと思います。
I believe that man will not merely endure: he will prevail. He is immortal, not because he alone among creatures has an inexhaustible voice, but because he has a soul, a spirit capable of compassion and sacrifice and endurance.
 ——私は、人間とはただ耐えるだけの存在ではなく、打ち克つことのできる存在であると信じています。人間は永遠の存在です。あらゆる生き物のうちただ人間だけが尽きることのない声をもっているから、というわけではありません。人間に魂があるからです。他者を思いやり、自己犠牲を厭わず、忍耐強く耐え抜くことのできる精神を人間が備えているからです。
訳は拙訳でした。全文はこちら↓ https://www.nobelprize.org/prizes/literature/1949/faulkner/speech/
 リーナの旅は続く。わたしは次は何を読もうかな。
(2020/05/17 16:21)
0 notes
karasuya-hompo · 5 years
Text
RDR2:37:悪い奴等は~天使の顔をして~♪
 みたいなアーサーさんもいいと思うんですよね。人目のあるところでは天使だけど見ていなところだと悪魔、みたいな? でもそれって、ギャングらしいプレイを効率的に行うための必須ポイントですよね?  それはそれとして、……元ネタ分からない人のほうが多そうですがホントそれはそれとして。  クレメンスポイントのキャンプの近くで、通りかかると「脚を使うんだよ脚を! 手を上げて!!」とかいう声が聞こえてくる場所がありましてね? ダンスの練習でもしてんのかよと思いつつスルーしていました。  しかし今日、なにげなく双眼鏡で覗いてみたら……
Tumblr media
 KKKか(ㅍ_ㅍ) 儀式の十字架を立てるのにじたばたしてたのか。  で、十字架の下敷きになった白いの二人、0(:3 )~ =͟͟͞͞(’、3)_ヽ)_かな(ㅍ_ㅍ)ドウデモイイガ  それにしても、ストロベリーからの帰り道で見かけた連中といい、間抜けに描かれてますね。恐ろしげに描かない、間抜け・馬鹿として描くというのは、対象を否定させるためとしてはなかなか良い手法だと思います。悪魔に憧れる厨二あるいは馬鹿はいても、馬鹿に憧れる馬鹿以下はそうそういませんもの。
Tumblr media
 さて、キャンプでレニーに話しかけて、ミッションすることにしました。  レニーは20代前半くらい? まだまだ場数は踏んでいないけど、賢くて勇気もあって、それに思いやりもある普通に良い青年。なのに黒人ってだけで、解放奴隷の息子ってだけで、差別され馬鹿にされ嫌われたりして生きづらく、そんな自分を当たり��に仲間として受け入れてくれるダッチギャングに身を寄せて……。  気軽に話せる相手も、大半は同じ黒人とか、あるいは中国人とかみたいに白人以外の人たちなんだろうなぁ。
Tumblr media
 で、彼等から仕入れた情報で、軍人崩れのルモワン・レイダーズが、武器なんかを貯めてるアジトがある、と?  字幕で口元隠れてますけど、アーサーもちょっと微笑みながら聞いてるんですよね。レニーのやる気、がんばって貢献しようとしてるのが頼もしいって感じですかね。
Tumblr media
 白人であるアーサーは、直接自分がそういう差別をされることがないから、レニーの抱える生きづらさを本当の意味で分かることはできないわけで。「あんたには分からないよ。黒人の俺と一緒に馬を並べて走らせてたら、暴言吐かれたりするんだぜ」っていうレニー。  アーサーたちのような、肌の色なんかまったく関係なく、「なんでそんなことでおまえ嫌うのかさっぱり分からん」て兄貴分たちがいるのは、心強い拠り所でしょうなぁ。  レニーの台詞からすると、西部のほうはそういう差別があんましないのかな。無法者のまだ生き残ってる世界だから、力さえあれば一目置いてもらえるってことなのか。それもまた駆逐されていく世界なんだけっども。
Tumblr media
 おや……ここってこの間きるきるしてスケッチしてきた教会じゃないか。セイディとの買い出しのときに絡まれた連中の仲間かもしれないってことでしたが、そうか、ここにいた連中も仲間だったのか。どうやらレニーと来るときは、イベント的に無人になるのかな。  ちなみに通り道にあった戦場跡地はやっぱり南北戦争のものでした。  教会をちょっと調べてみよう、と言っていると、怪しげな馬車が通りかかります。どうやら火薬とかを積んでるっぽい? よし、旅人を装って、ちょっと距離をとって尾行だ!  そして辿り着いたのが、アジトだという噂の邸宅跡。
Tumblr media
 あの赤い箱、全部火薬か?  レニーに友好的なふりをして近づかせ、奴等を集めてアーサーが一気にころころするか、それとも派手に爆発させて暴れるかの選択。  え……ちょっと待って。友好的なふりして近づくのが俺ならともかく、おまえはたぶんまずいぞ。こいつら絶対レイシストだろ。  というわけで、派手に行こうぜ٩(。•ω<。)و  さくっと赤い箱を撃って付近の敵を一掃。あとはこつこつ潰していきます。
Tumblr media
 二階だか三階だかのガトリング野郎は俺に任せろ! てなもんで、相変わらず前衛は仲間に頼み、自分はスナイパースタイル。  ところで西部劇、ガトリングというと「拳銃では相手のできない恐ろしい武器」なわけですけど、RDR2のものは大した威力もないのであんまし怖くはありません。もちろん、射程内、遮蔽物もないとなったら即座に蜂の巣でしょうけど。……ガトリングというと、昨今ではマグ7のプラットさんが思い浮かびますなぁ。ベタだけど好きなシーン(´ω`*) でもあの映画で一番「あらやだ素敵(´ω`*)」てなったのはビョンさまのセクシー加減でしたけど。もともと嫌いな俳優さんではないけど、マグ7のキャラが一番好きですね。  閑話休題。  一掃した後調べると、ふほほほほ武器がたんまりありますな。売ればいい金になるぜ。
Tumblr media
 帰り道、案の定ルモワンどもとかち合います。まあとりあえず穏便に「おまえさんらのとこと取引してきたんだよ」とか嘘言っときますけど……「黒人なんかと取引するわけがねぇ。北部人のおまえだってなんか怪しい」と。  ……じゃあ、ちねば?(ㅍ_ㅍ)  迂闊に銃撃戦すると、馬車の火薬に当たるとかあるんじゃないですかね? 一応「武器がいっぱいだ」って話しかしてないけどさ。万一火薬も積まれてたら確実にやばいので、とっととデッドアイです。  最近ショーンががんばってるから、みたいなレニーです。そうか、年齢の近い若者組、大人組の一歩手前の彼等には、早く認めてもらいたいって思いもあるし、同世代として張り合う気持ちもあるんだな(´ω`*)  ショーンは大口野郎だから言ってること真に受けるなよ、とアーサー。なにより、レニーはすごくがんばってる。この間ビルも褒めてたよな。カラードだから一層がんばらないと認めてもらえないって思いがどこかにあるのか、それとも、こんな俺を仲間にしてくれてるからって思いなのか。  おまえは本当によくやってる、焦らなくていいんだぞ。いっぱい功績上げなかったら仲間じゃなくなるなんてことないんだ。  なんて具合に、アーサーさんとシンクロしてしまいますがな。レニー、おまえはほんとにええ子や。゚(゚´ω`゚)゚。  それに、ショーンのこともなんのかんの言って、生意気で大口叩いてうるさいけど、決して嫌いじゃないぽいアーサーさんです。レニーに比べて短絡的で危なっかしいから、なにかしでかさないかハラ��ラしてたりして、そのせいでつい怒ったりしてるんじゃないかなw
Tumblr media
 手に入れてきた武器の中から一本、失敬しとこ。  ほほう、ボルト式ライフルですな。てことは、高威力の単発銃? 見た目がかなり好きなので、これは近いうちに銃砲店でカスタムしてこよっと。それに、強い猛獣と戦うときに役立ちそうだしね。  ちなみにうちの親父という人が、ライフル射撃の国体選手だったこともあって、昔の実家にはライフルのストックなんかがありました。自分はほんの子供だったので漠然としか覚えていませんけど、その形状によく似てる気がするんですよね、これ。
Tumblr media
 軽口くらいは叩くけど、基本的に素直でがんばり屋のレニーには、アーサーも毒づいたりせず素直に接します。おじさんほんとおまえには期待してるけど、でも命は粗末にするんじゃないぞ(´・ω・`)イイナ?
Tumblr media
 法執行官とか相手にするより、無法者相手にドンパチやるほうが後ろめたさがなくていいなぁなんてことを思いつつ、暮れの川辺を眺めるアーサーさん。空のグラデ、樹木のシルエットが綺麗です。
Tumblr media
 モリーとダッチはここんとこ毎晩みたいに痴話喧嘩……テントが隣なので毎度筒抜けに聞こえてるんですけど……?  構ってほしいモリーと、今後のこととか考えてるから邪魔されたくないダッチ。あー……それでおまえ他の男つまみ食いしたんだろ? そうなんだろ? そういえばモリーの相談事って、あれっきりではないと思うのですが、こじれない内に話つけたほうがいいぞー? 荒事になって俺が駆り出されるのは正直迷惑なんだけどなー? 平和に暮らしたいんだしー?  そんな一夜が明けて、「手に入れたボルト式ライフルをカスタムしてこよう!」とローズの銃砲店にマーカーつけたアーサー。  しかし……キャンプから出る道に、ホゼアのいる場所の黄色いエリア印がはみ出てましてねぇ。これをシカトして出て行くのも心苦しいわけで。
Tumblr media
 ホゼアは、密造酒を本来の持ち主、ブレイスウェイト家に買い取らせることにしたようです。そのへんで見つけたってことにして……って少し無理がある気はするけど、そこを言いくるめたり、お互い本当のところは分かってはいても、取引に旨味があるようにして持ちかけるのが彼の得意技か。  そもそも密造酒なんて公にできないものなわけで、迂闊によそに売るよりも、元の持ち主、さばくルートなんかを持ってる相手に売り戻したほうが良かろうってことでもありますかな。隠しておくにはかさばるしね。
Tumblr media
 邸宅前の用心棒たちには、商談に来ただけだ、俺たちが怪しい振る舞いをしたら撃ってくれていいぞ、なんて言って、とりあえず中に入る許可ゲット。
Tumblr media
 あー……おばちゃんが当主? やだなぁ。こういう業突く張りの金持ちババアって、野郎の場合よりタチ悪いんだよ大抵……( ・ὢ・ )  これはそもそもうちのものなんだからそれを買う理由はないだろ、いやでも今は俺たちが持ってますよ? みたいなやりとりの末、どう思ったか、金を払ってやりなと命じたキャサリン? ファーストネームは字幕に出なかったし、さらっと聞き流してしまいましたけど、なんかそんな名前。  しかし受け取るんじゃなく、これをローズの町の、グレイ家の酒場=ホテルに持ち込んで客どもにタダでくれてやって、一日の商売を台無しにしてやりなという命令つき。  どんだけ嫌いなんだグレイ家のこと。
Tumblr media
 ローズの向かう馬車上でも、「あの2家はとことん憎み合ってる」とか話してます。日記からすると、イングランド系のグレイ家と、スコットランド系のブレイスウェイト家だったかな。まあ犬猿の仲ですね。  そしてホゼアの計画。「おまえはこれかぶってパイプくわえて、俺の弟でバカのふりして黙ってろ」。アーサーにこんなことさくっとさせられるのは、さすがホゼアw ……ところで弟ってのはちょっと無理が……いえなんでもありませーん:( •ᾥ•):
Tumblr media
 裏口にたむろしてる店員? あるいは用心棒? に小銭を渡してちょっと入れてくれよ、30分だけだからさー、と押し通るホゼア。
Tumblr media
 そして、密造酒の大盤振る舞い!!
Tumblr media
 アーサーはひたすら注ぐ係です。しかもプレイヤー、ちゃんと時々操作させられるw
Tumblr media
 ぐっでんぐでんになった人たち。普段は小粋なピアノを奏でてくれてるピアニストも椅子の上に立ってノリノリになってますw  だがしかし、そこにルモワンレイダーズが! それは俺たちの酒だろ、とか言ってきて、誤魔化そうにも通じず、はい銃撃戦。  えっと……ちょっと待って? ローズでドンパチ禁止じゃなかったっけ……?σ(๑• . •๑) しかもホゼアはグレイ保安官に会ってダッチとともにしばらく話し込んでたわけだし、やばいんじゃないの??
Tumblr media
 まあいいや。とりあえずホゼアを放せこの野郎( ・ὢ・ )
Tumblr media
 逃げてきた二人。  金はある程度貯まったけど、逃亡しきった後で安定した暮らしをするためには、もっと金がいる。その点ではホゼアもダッチと同意見なのか。  金、金、金……。金を追って、その金で買われた銃に追われて、追いつめられていくんじゃないのかね……? コーンウォールからピンカートンに大金が流れてもいるようで、コーンウォールという大資本を敵に回したヤバさはこれからますます募ってきそうです。
Tumblr media
 キャンプに戻ってダッチに報告。これからどうするのかと言うと、ダッチは、ブレイスウェイト、グレイ、双方に取り行って、いがみ合いを利用して相手の仕業と見せかけつついろいろといただこうと、そういう計画なようですが、あまりにも危ない橋。  ……マイカ、おまえなんか吹き込んでんじゃないだろな? つーかダッチがなんでマイカを重用するのかが謎。……なんとなく、今のダッチが「聞きたい言葉」を言ってくれるからかもなって気はします。殺しや盗みを楽しめればいいから、この先どうなろうと知ったこっちゃないし、たぶんダッチギャングって場に愛着もないから、潰れたらよそに行くだけ。だから自分の好きな騒動と混沌が起こるように仕向けたい。だからハイリスクハイリターンで起死回生狙おうとしてるダッチを気軽に、無責任に焚き付けられる。違うかな。  この先のストーリー見ていけばもっと見えてくるものもあるのでしょう。ただ、それでもマイカに忠誠心があったとかは、絶対ない気がするw  個人的には、そういう本物のトラブルメーカー、凋落の決定的な引き金引く存在ってのが身内にいたほうが面白いと思います。誰も彼もが主人公に都合のいいことばっかり言ったりしたりする世界よりはずっと好き。
 さて、次回は「世紀の銀行強盗」。派手なミッションタイトルなんだけど……メンバーがビルとレニーとカレン? それで「世紀の」? いや……ダッチが陣頭指揮取って、選りすぐりの精鋭でとかなら分かるけどさ?w  そしてこれもまた、「ボルト式ライフルを……」と思って馬の傍に行ったらビルがすぐそこにいて「アーサー」、「アーサー」ってしつっこく呼ぶのでね……つい話を聞いちゃった系でのスタートですw
1 note · View note
getrend · 2 years
Text
涙が出るくらい笑ったgifハラデイwwwwwwww
今日のピックアップ記事 【閲覧注意】ヤンキーがヤバい奴に喧嘩を売ってしまった結果半殺しにされる…(ポッカキット) 【ヌード速報】現役グラドル・城本ひめか衝撃の初ヌード!上向き乳首お○ぱいが最高!(動ナビブログ ネオ) 【怖】テスラ車、24人死傷の大事故を引き起こす・・・・・・・・・・・・(2chエクサワロス) 車と家族の感動ストーリー。父がレストアし家族のために手放した1968年製ポンティアックGTOを約22年ぶりに彼の元へ。(1000mg) 海外「日本人が世界を変えるぞ」 日本企業が水力発電に革命を起こしたと世界的な話題に(パンドラの憂鬱) 涙が出るくらい笑ったgifハラデイwwwwwwww(妹はVIPPER) 【閲覧注意】お○ぱい好きは絶対に見てはいけない画像集(23枚)(ほぼにちエログ) いしだ壱成…
Tumblr media
View On WordPress
0 notes
groyanderson · 3 years
Text
ひとみに映る影シーズン2 第六話「どこまでも白い海で」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 最低限の確認作業しかしていないため、 誤字脱字誤植誤用等々あしからずご了承下さい。 尚、正式書籍版はシーズン2終了時にリリース予定です。
(シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!!
pixiv版 (※内容は一緒です。) ☆キャラソン企画第六弾 金城玲蘭「ニライカナイ」はこちら!☆
དང་པོ་
 アブが、飛んでいる。天井のペンダントライトに誘われたアブが、蛍光灯を囲う四角い木枠に囚われ足掻くように飛んでいる。一度電気を消してあげれば、外光に気がついて窓へ逃げていくだろう。そう思ったのに、動こうとすると手足が上がらない。なら蛍光灯を影で覆えば、と思うと、念力も込もらない。 「一美ちゃん」  呼ばれた方向を見ると、私の手を握って座っている佳奈さん。私はホテルの宴会場まで運ばれて、布団で眠っていたようだ。 「起きた?」  障子を隔てた男性側から万狸ちゃんの声。 「うん、起きたよ」 「佳奈ちゃん、一美ちゃん、ごめん。パパがまだ目を覚まさなくて……また後でね」 「うん」  佳奈さんは万狸ちゃんとしっかり会話出来ている。愛輪珠に霊感を植え付けられたためだ。 「……タナカDはまだ帰って来ないから、私が一美ちゃんのご両親に電話した。私達が千里が島に連れてきたせいでこんな事になったのに、全然怒られなかった。それどころか、『いつか娘が戦わなければいけない時が来るのは覚悟していた。それより貴女やカメラマンさんは無事なのか』だって……」  ああ。その冷静な受け答えは、きっとお母さんだ。お父さんやお爺ちゃんお婆ちゃんだったらきっと、『今すぐ千里が島に行って俺が敵を返り討ちにしてやる』とかなんとか言うに決まってるもん。 「お母さんから全部聞いたよ。一美ちゃんは赤ちゃんの時、金剛有明団っていう悪霊の集団に呪いをかけられた。呪われた子は死んじゃうか、乗り越えられれば強い霊能者に成長する。でも生き残っても、いつか死んだら金剛にさらわれて、結局悪い奴に霊力を利用されちゃう」  佳奈さんは正座していた足を崩した。 「だけど一美ちゃんに呪いをかけた奴の仲間に、金剛が悪い集団だって知らなくて騙されてたお坊さんがいた。その人は一美ちゃんの呪いを解くために、身代わりになって自殺した。その後も仏様になって、一美ちゃんや金城さんに修行をつけてあげた」  和尚様……。 「一美ちゃんはそうして特訓した力で、今まで金剛や悪霊と戦い続けてた。私達と普通にロケしてた時も、この千里が島でもずっと。霊感がない私やタナカDには何も言わないで……たった一人で……」  佳奈さんは私から手を離し、膝の上でぎゅっと握った。 「ねえ。そんなに私達って信用できない? そりゃさ。私達は所詮、友達じゃないただの同僚かもしれないよ。けど、それでも仲間じゃん。幽霊見えないし、いっぱい迷惑かけてたのかもしれないけど」  ……そんな風に思った事はない、と答えたいのに、体が動かなくて声も出せない。 「いいよ。それは本当の事だし。てかだぶか、迷惑しかかけてこなかったよね。いつもドッキリで騙して、企画も行先も告げずに連れ回して」  そこは否定しません。 「だって、また一美ちゃんと旅に出たいんだもん。行った事のない場所に三人で殴り込んで、無茶して、笑い合って、喧嘩して、それでも懲りずにまた旅に出るの。もう何度も勝手に電源が落ちるボロボロのワイヤレス付けて、そのへんの電器屋さんで買えそうなカメラ回してね。そうやって互いが互いにいっぱい迷惑かけながら、旅をしたいんだよ」  …… 「なのに……どうして一人で抱えこむの? 一美ちゃんだって私達に迷惑かければいいじゃん! そうすれば面白半分でこんな所には来なかったし、誰も傷つかずに済んだのに!」 「っ……」  どの口が言うんですか。私が危ないって言ったって、あなた達だぶか面白半分で首を突っ込もうとする癖に。 「私達だって本当にヤバい事とネタの分別ぐらいつくもん! それとも何? 『カラキシ』なんて足手まといでしかないからってワケ!?」 「っ……うっ……」  そんな事思ってないってば!! ああ、反論したいのに口が動かない! 「それともいざという時は一人でどうにかできると思ってたワケ? それで結局あの変態煙野郎に惨敗して、そんなボロボロになったんだ。この……ダメ人間!」 「くっ……ぅぅうううう……」  うるさい、うるさい! ダメ人間はどっちだ! 逃げろって言ったのにどうして戻ってきたんだ! そのせいで佳奈さんが……それに…… 「何その目!? 仲間が悪霊と取り残されてて、そこがもう遠目でわかるぐらいドッカンドッカンしてたら心配して当然でしょ!? あーそうですよ。私があの時余計な事しなければ、ラスタな狸さんが殺されて狸おじさんが危篤になる事もなかったよ! 何もかも私のせいですよーっ!!」 「ううう、あああああ! わああぁぁ!」  だからそんな事思ってないってば!! ていうか、中途半端に私の気持ち読み取らないでよ! 私の苦労なんて何も知らなかったクセに!! 「そーだよ! 私何もわかってなかったもん! 一美ちゃんがひた隠しにするから当たり前でしょぉ!?」 「うわあああぁぁぁ!! うっぢゃぁしいいいぃぃ、ごの極悪ロリーダァァァ!!」 「なん……なんだどおぉ、グスッ……この小心者のっ……ダメ人間!」 「ダメ人間!」 「ダメ人間!!」 「「ダメ人間ーーーっ!!!」」  いつの間にか手足も口も動くようになっていた。私と佳奈さんは互いの胸ぐらを掴み合い、今まで番組でもした事がない程本気で罵り合う。佳奈さんは涙で曇った伊達眼鏡を投げ捨て、私の腰を持ち上げて無理やり立たせた。 「わああぁぁーーっ!」  一旦一歩引き、寄り切りを仕掛けてくる。甘いわ! 懐に入ってきた佳奈さんの右肩を引き体勢を浮かせ、 「やああぁぁぁーーっ!!」 思いっきり仏壇返し! しかし宙を回転して倒れた佳奈さんは小柄な体型を活かし即時復帰、助走をつけて私の頬骨にドロップキックを叩きこんだ!! 「ぎゃふッ……あヤバいボキっていった! いっだあぁぁ!!」 「やば、ゴメン! 大丈夫?」 「だ……だいじょばないです……」  と弱った振りをしつつ天井で飛んでいるアブを捕獲! 「んにゃろぉアブ食らえアブ!」 「ぎゃああああぁぁ!!!」 <あんた達、何やってんの?> 「「あ」」  突然のテレパシー。我に返った私達が出入口を見ると、口に血まみれのタオルを当てて全身傷だらけの玲蘭ちゃんが立っていた。
གཉིས་པ་
 アブを外に逃がしてやり、私は玲蘭ちゃんを手当てした。無惨にも前歯がほぼ全部抜け落ちてしまっている。でも診療所は怪我人多数で混雑率二〇〇%越えだという。佳奈さんに色んな応急手当についてネットで調べてもらい、初心者ながらにできる処置は全て行った。 「その傷、やっぱり散減と戦ったの?」 <うん。口欠湿地で。本当に口が欠けるとかウケる> 「いや洒落になんないでしょ」 <てか私そもそも武闘派じゃないのに、あんなデカブツ相手だなんて聞いてないし> 「大体何メートル級だった?」 <五メ���トル弱? 足は八本あった>  なるほど。なら牛久大師と同じ、大散減の足から顕現したものだろう。つまり地中に潜む大散減は、残りあと六本足。 <てか一美、志多田さんいるのに普通に返事してていいの?> 「あ……私、もうソレ聞こえてます」 <は?>  私もこちらに何があったかを説明する。牛久大師が大散減に取り込まれた。後女津親子がそれを倒すと、御戌神が現れた。私は御戌神が本当は戦いたくない事に気付き、キョンジャクで気を正した。けど次の瞬間金剛愛輪珠如来が現れて、御戌神と私をケチョンケチョンに叩き潰した。奴は私を助けに来た佳奈さんにも呪いをかけようとして、それを防いだ斉二さんがやられた。以降斉一さんは目を覚まさず、タナカDと青木さんもまだ戻ってきていないみたいだ、と。そこまで説明すると、玲蘭ちゃんは頭を抱えて深々とため息をついた。 <最ッ悪……金剛マターとか、マジ聞いてないんだけど……。てか、一美もたいがい化け物だよね。金剛の如来級悪霊と戦って生きて帰れるとか> 「本当、なんで助かったんだろ……。あの時は全身砕かれて内臓ぜんぶ引きずり出されたはずなんだけど」 <ワヤン化してたからでしょ> 「あーそっか……」  砕けたのは影の体だけだったようだ。 「けど和尚様から貰ったプルパを愛輪珠に取られちゃって、今じゃ私何にもできない。だってあいつが、和尚様の事……実は邪尊教の信者だとか言い出すから……」 <は!? 観音和尚が!? いや、そんなのただの侮辱に決まってるし……> 「…………」 <……なに、一美? まさか心当たりあるの!?> 「あの」  佳奈さんが挙手する。 「あの。何なんですか? そのジャソン教とかいうのって」 <ああ、チベットのカルト宗教です。悪魔崇拝の仏教版と言いましょうか> 「じゃあ、河童の家みたいな物?」  とんでもない。 「テロリストですよ。ドマル・イダムという邪尊の力を操ってチベットを支配していた、最悪の独裁宗派です」 「そ、そうなの!?」  ドマル・イダム。その昔、とある心優しい僧侶が瀕死の悪魔を助け、その情け深さに心打たれた悪魔から不滅の心臓を授かった。そうして彼は衆生の苦しみを安らぎに変える抜苦与楽(ばっくよらく)の仏、『ドマル・イダム(紅の守護尊)』となった。しかしドマルは強欲な霊能者や権力者達に囚われて、巨岩に磔にされてしまう。ドマルには権力者に虐げられた貧民の苦しみや怒りを日夜強制的に注ぎ込まれ、やがてチベットはごく少数の貴族と無抵抗で穏やかな奴隷の極端な格差社会になってしまった。 「この事態を重く見た当時のダライ・ラマはドマル信仰を固く禁じて、邪尊教と呼ぶようにしたんです」 「う、うわぁ……悪代官だしなんか罰当たりだし、邪尊教まじで最悪じゃん……」 <罰当たり、そうですね。チベットでは邪尊教を戒めるために、ドマルの仏画が痛々しい姿で描かれてます。まるで心臓と神経線維だけ燃えずに残ったような赤黒い体、絶望的な目つき、何百年も磔にされているせいで常人の倍近く伸びた長い両腕……みたいな> 「やだやだやだ、そんな可哀想な仏画とか怖くて絶対見れない!」  そう、普通の人はこういう反応だ。だからチベット出身の仏教徒にむやみに邪尊教徒だと言いがかりをつけるのは、最大の侮辱なんだ。だけど、和尚様は……いや、それ以上考えたくない。幼い頃、和尚様と修行した一年間。大人になって再会できた時のこと。そして、彼に授かった力……幸せだったはずの記憶を思い起こす度に、色んな伏線が頭を過ぎってしまう。 <……でも、一美さぁ>  玲蘭ちゃんは口に当てていた氷を下ろし、私を真正面から見据えた。 <和尚にどんな秘密があったのか知らないけど、落ちこむのは後にしてくれる? このまま大散減が完全復活したら、明日の便に乗る前に全員死ぬの。今まともな戦力になるの、五寸釘愚連隊とあんたしかいないんだけど> 「私……無理だよ。プルパを奪われて、影も動かせなくなって」 <それなら新しい武器と法力を探しに行くよ> 「!」 <志多田さんも、来て> 「え? ……ふええぇっ!?」  玲蘭ちゃんは首にかけていた長い数珠を静かに持ち上げる。するとどこからか潮騒に似た音が聞こえ、私達の視界が次第に白く薄れていく。これは、まさか……!
གསུམ་པ་
 気がつくと私達は、白一色の世界にいた。足元にはお風呂のように温かい乳白色の海が無限に広がり、空はどこまでも冷たげな霧で覆われている。その境界線は曖昧だ。大気に磯臭はなく、微かに酒粕や米ぬかのような��りがする。 「綺麗……」  佳奈さんが���然と呟いた。なんとなく、この白い世界に私は来たことがある気がする。確か初めてワヤン不動に変身した直後だったような。すると霧の向こうから、白装束に身を包む天女が現れた。いや、あれは…… 「めんそーれ、ニライカナイへ」 「玲蘭ちゃん!?」「金城さん!?」  初めてちゃんと見たその天女の姿は、半人半魚に変身した玲蘭ちゃん。肌は黄色とパールホワイトのツートーンで、本来耳があった辺りにガラスのように透き通ったヒレが生えている。元々茶髪ボブだった頭も金髪……というより寧ろ、琉球紅型を彷彿とさせる鮮やかな黄色になっていた。燕尾のマーメイドドレス型白装束も裏地は黄色。首から下げたホタル玉の数珠と、裾に近づくにつれてグラデーションしている紅型模様が美しく映える。 「ニライカナイ、母なる乳海。全ての縁と繋がり『必要な物』だけを抜粋して見る事ができる仮想空間。で、この姿は、いわゆる神人(かみんちゅ)ってやつ。わかった?」 「さっぱりわかりません!」  私も佳奈さんに同じく。 「よーするにここは全ての魂と繋がる母乳の海で、どんな相手にもアクセスできるんです。私が何か招き入れないと、ひたすら真っ白なだけだけど」  母乳の海。これこそまさに、金剛が欲しがってやまない『縁の母乳』だ。足元に広がる海水は、散減が吐く穢れた物とはまるで違い、暖かくて淀みない。 「今からこの海で、『マブイグミ』って儀式をする。一美の前世を呼んでパワーを分けて貰うってわけ。でもまず、折角だし……志多田さんもやってみますか?」 「え、私の前世も探してくれるんですか!? えーどうしよ、緊張するー!」 「アー……多分、思ってる感じと違いますよ」  玲蘭ちゃんは尾ビレで海水を打ち上げ、飛沫から瞬く間にススキの葉を錬成した。そして佳奈さんの背中をその葉でペンペンと叩きながら、 「まぶやー、まぶやー、うーてぃくよー」  とユルい調子で呪文を唱えた。すると佳奈さんから幾つもの物体がシュッと飛び出す。それらは人や動物、虫、お守りに家具など様々で、佳奈さんと半透明の線で繋がったまま宙に浮いている。 「なにこれ! もしかして、これって全部私の前世!? ええっ私って昔は桐箪笥だったのぉ!?」 「正確には箪笥に付着していた魂の欠片、いわゆる付喪神です。人間は物心つくまでに周囲の霊的物質を吸収して、七歳ぐらいで魂が完成すると言われています。私が呼び戻したのは、あなたを構成する物質の記憶。強い記憶ほど鮮明に復元できているのがわかりますか?」  そう言われてみると、幾つかの前世は形が朽ちかけている。人間の霊は割と形がはっきりしているけど、箪笥や虫などは朽ちた物が多い。 「たしかに……このおじさん、実家のお仏壇部屋にある写真で見たことあるかも。写真ではもっとおじいさんだったけど」 「亡くなった方が必ずしも亡くなったご年齢で現れるとは限らないんですよ」  私が補足した。そう、有名なスターとか軍人さんとかは、自分にとって全盛期の姿で現れがちなんだ。佳奈さんが言うおじさんも軍服を着ているから、戦時中の御姿なんだろう。  すると玲蘭ちゃんは手ビレ振り、佳奈さんの前世達を等間隔に整列させた。 「志多田さん。この中で一番、あなたにとって『しっくりくる』者を選んで下さい。その者が一つだけ、あなたに力を授けてくれます」 「しっくりくるもの?」  佳奈さんは海中でザブザブと足を引きずり、きちんと並んだ前世達を一つずつ見回っていく。 「うーん……。やっぱり、見たことある人はこのおじさんだけかな。家に写真があったなら、私と血が繋がったご先祖様だと思うし……あれ?」  ふと佳奈さんが立ち止まる。そこにあったのは、殆ど朽ちかけた日本人形。 「この子……!」  どうやら、佳奈さんは『しっくりくる前世』を見つけたようだ。 「私覚えてる。この子は昔、おじいちゃん家の反物屋にいたお人形さんなの。けど隣の中華食堂が火事になった時、うちも半焼しちゃって、多分だからこんなにボロボロなんだと思う」  佳奈さんは屈んで日本人形を手に取る。そして今にも壊れそうなそれに、火傷で火照った肌を癒すように優しく海水をかけた。 「まだ幼稚園ぐらいの時だからうろ覚えだけど。家族で京都のおじいちゃん家に遊びに行ったら、お店にこの子が着てる着物と同じ生地が売ってて。それでおそろいのドレスを作ってほしいっておじいちゃんにお願いしたんだ。それで東京帰った直後だよね、火事。誰も死ななかったけど約束の生地は燃えちゃって、お人形さんが私達を守ってくれたんだろうって話になったんだよ」  佳奈さんが水をかける度に、他の魂達は満足そうな様子で佳奈さんと人形に集約していく。すると玲蘭ちゃんはまた手ビレを振る。二人を淡い光が包みこみ……次の瞬間、人形は紺色の京友禅に身を包む麗しい等身大舞妓に変身した! 「あなたは……!?」 「あら、思い出してくれはったんやないの? お久しぶりどすえ、佳奈ちゃん」  それは見事な『タルパ』だった。魂の素となるエクトプラズム粒子を集め、人工的に作られた霊魂だ。そういえば玲蘭ちゃんが和尚様から習っていたのはこのタルパを作る術だった。なるほど、こういう風に使うために修行していたんだね。  佳奈さんは顕現したての舞妓さんに問う。 「あ、あのね! 外でザトウムシの化け物が暴れてるの! できれば私もみんなと一緒に戦いたいんだけど、あなたの力を貸してくれないかな?」  ところが舞妓さんは困ったような顔で口元を隠した。 「あらあら、随分無茶を言いはりますなぁ。うちはただの人形やさかい、他の方法を考えはった方がええんと違います?」 「そっかぁ……。うーん、どうしよう」 「佳奈さん、だぶか霊能力とは別の事を聞いてみればいいんじゃないですか? せっかく再会できたんだから勿体ないですよ」 「そう? じゃあー……」  佳奈さんはわざとらしいポーズでしばらく考える。そして何かを閃くと、わざとらしく手のひらに拳をポンと乗せた。 「ねえ。童貞を殺す服を着た女を殺す服って、結局どんな服だと思う? 人生最大の謎なんだけど!」 「はいぃ???」  舞妓さんがわかっていないだろうからと、玲蘭ちゃんがタルパで『童貞を殺す服』を顕現してみせた。 「所謂、こーいうのです。女に耐性のない男はこれが好きらしいですよ」  玲蘭ちゃんが再現した童貞を殺す服は完璧だ。フリル付きの長袖ブラウスにリボンタイ、コルセット付きジャンパースカート、ニーハイソックス、童話の『赤い靴』みたいなラウンドトゥパンプス。一見露出が少なく清楚なようで、着ると実は物凄く体型が強調される。まんま佳奈さんの歌詞通りのコーデだ。 「って、だからってどうして私に着せるの!」 「ふっ、ウケる」  キツキツのコルセットに締め付けられた私を、舞妓さんが物珍しそうにシゲシゲと眺める。なんだか気恥ずかしくなってきた。舞妓さんはヒラヒラしたブラウスの襟を持ち上げて苦笑する。 「まあまあ……外国のお人形さんみたいやね。それにしても今時の初心な殿方は、機械で織った今時の生地がお好きなんやなあ。うちみたいな反物屋育ちの古い人形には、こんなはいからなお洋服着こなせんどす」  おお。これこそ噂の京都式皮肉、京ことば! 要するに生地がペラッペラで安っぽいと言っているようだ。 「でも佳奈ちゃんは、『おたさーの姫』はん程度にならもう勝っとるんやないの?」 「え?」  舞妓さんは摘んでいたブラウスを離す。すると彼女が触れていた部分の生地感が、心なしかぱりっとした気がする。 「ぶっちゃけた話ね。どんなに可愛らしい服でも、着る人に品がなければ『こすぷれ』と変わらへん。その点、佳奈ちゃんは立派な『あいどる』やないの。お歌も踊りもぎょうさん練習しはったんやろ? 昔はよちよち歩きやったけど、歩き方や立ち方がえろう綺麗になってはるさかい」  話しながらも舞妓さんは、童貞を殺す服を摘んだり撫でたりしている。その度に童貞を殺す服は少しずつ上等になっていく。形や色は変わらなくても、シワが消え縫製が丁寧になり、まるでオーダーメイドのように着心地が良くなった。そうか、生地だ。生地の素材が格段にグレードアップしているんだ! 「うちらは物の怪には勝てへんかもしれんけど、童貞を殺す服を着た女に負けるほど弱い女やありまへん。反物屋の娘の誇りを忘れたらあかんよ、佳奈ちゃん」  舞妓さんは童貞を殺す服タルパを私から剥がすと、佳奈さんに当てがった。すると佳奈さんが今着ているサマーワンピースは輝きながら消滅。代わりにアイドルステージ上で彼女のトレードマークである、紺色のメイド服姿へと変身した。けどただの衣装じゃな���、その生地は仙姿玉質な京友禅だ! 「いつものメイド服が……あ、これってもしかして、おそろいのドレス!?」  舞妓さんはにっこりと微笑み、輝くオーラになって佳奈さんと一体化する。京友禅メイド服とオーラを纏った佳奈さんは、見違えるほど上品な風格を帯びた。童貞やオタサーの姫どころか、全老若男女に好感を持たれる国宝級生人形(スーパーアイドル)の誕生だ!
བཞི་པ་
「まぶやー、まぶやー、ゆくみそーれー」  またしても玲蘭ちゃんがゆるい呪文を唱えると、佳奈さんの周囲に残っていた僅かな前世残滓も全て佳奈さんに吸収された。これでマブイグミは終了だ。 「金城さんごめんなさい。やっぱり私、バトルには参加できなさそうです……」 「お気になさらないで下さい。その霊的衣装は強いので、多少の魔物(マジムン)を避けるお守り効果もあります。私達が戦っている間、ある程度護身してて頂けるだけでも十分助かります」 「りょーかいです! じゃあ、次は一美ちゃんの番だね!」  いよいよ、私の前世が明らかになる。家は代々影法師使いの家系だから、力を取り戻してくれる先代がいると信じたい。 「まぶやー、まぶやー、うーてぃくよー」  玲蘭ちゃんが私の背中を叩く。全身の毛穴が水を吹くような感覚の後、さっき見たものと同じ半透明の線が飛び出した。ところが…… 「あれ? 一美ちゃんの前世、それだけ??」  佳奈さんに言われて自分から生えた前世達を見渡す。……確かに、佳奈さんと比べて圧倒的に少ない。それに形も、指先ほど小さなシジミ蝶とか、書道で使ってた筆とか、小物ばっかり。玲蘭ちゃんも首を傾げる。 「有り得ないんだけど。こんな量でまともに生きていけるの、大きくてもフェレットぐらいだよ」 「うぅ……一美ちゃん、可哀想に。心だけじゃなくて魂も小さいんだ……」 「悪かったですね、小心者で」  一番考えられる可能性としては、ワヤン不動に変身するためのプルパを愛輪珠に奪われたからだろう。念力を使う時、魂の殆どが影に集中する影法師の性質が仇となったんだ。それでも今、こうして肉体を維持できているのはどういう事か。 「小さくても強いもの、魔除けとか石とか……も、うーん。ないし……」 「じゃあ、斉一さんのドッペルゲンガーみたいに別の場所にも魂があるってパターンは?」 「そういうタイプなら、一本だけ遠くまで伸びてる線があるからすぐわかる」 「そっか……」  すると、その会話を聞いていた佳奈さんが私の足元の海中を覗きこんだ。 「ねえこれ、下にもう一本生えてない?」 「え?」  まじまじと見ると、確かにうっすらと線が見えなくもない。すると玲蘭ちゃんが尾ビレを振って、私の周囲だけ海水を退けてくれた。 「あ、本当だ!」  それは水が掃け、足元に残った影溜まりの中。まるで風前の灯火のように薄目を開けた『ファティマの目』が、一筋の赤黒い線で私と繋がっている。そうか。行きの飛行機内で万狸ちゃんを遠隔視するのに使ったファティマの目は、本来邪悪な物から身を守る結界術だ。私の魂は無意識に、これで愛輪珠から身を守っていたらしい。 「そこにあったんだ。やっぱり影法師使いだね」  玲蘭ちゃんがファティマの目を屈んで掬い取ろうとする。ところが、それは意志を持っているように影の奥深くに沈んでしまった。 「ガード固っ……一美、これどうにかして取れない?」  参ったな。念力が使えれば影を動かせるんだけど……とりあえず、影法師の真言を唱えてみる。 (ナウマク・サマンダ・バザラダン・カン・オム・チャーヤー・ソワカ)  だめだ、ビクともしない。じゃあ次は、和尚様の観世音菩薩の真言。 (オム・マニ・パドメ・フム)  ……ん? 足の指先が若干ピリッときたような。なら和尚様タイプⅡ、プルパを発動する時にも使う馬頭観音真言ならどうか。 (オム・アムリトドバヴァ・フム・パット!)  ピクッ。 「あ、今ちょっと動いた? おーい、一美ちゃんの前世さーん!」  佳奈さんがちょんちょんと私の影をつつく。他の真言やお経も試してみるべきか? けど総当りしている時間はないし…… —シムジャナンコ、リンポチェ……— 「!」 —和尚様?— —あなたの中で眠る仏様へ、お休みなさい、と申したのです。私は彼の『ムナル』ですから……—  脳裏に突然蘇った、和尚様と幼い私の会話。シムジャナンコ(お休みなさい)……チベット語……? 「タシデレ、リンポチェ」  ヴァンッ! ビンゴだ。薄目だった瞳がギョロリと見開いて肥大化し、私の影から飛び出した! だけどそれは、私が知っているファティマの目とまるで違う。眼球ではなく、まるで視神経のように真っ赤なエネルギーの線維が球体型にドクドクと脈動している。上下左右に睫毛じみた線維が突き出し、瞳孔に当たる部分はダマになった神経線維の塊だ。その眼差しは邪悪な物から身を守るどころか、この世の全てを拒絶しているような絶望感を帯びている。玲蘭ちゃんと佳奈さんも堪らず視線を逸らした。 「ぜ、前世さん、怒ってる?」 「……ウケる」  チベット語に反応した謎のエネルギー眼。それが私の大部分を占める前世なら、間違いなく和尚様にまつわる者だろう。正直、今私は和尚様に対してどういう感情を抱いたらいいのかわからなくなっている。でも、たとえ邪尊教徒であろうとなかろうと、彼が私の恩師である事に変わりはない。 「玲蘭ちゃん、佳奈さん。すいません。五分だけ、ちょっと瞑想させて下さい」  どうやら私にも、自分の『縁』と向き合うべき時が来たようだ。
?????
 ……釈迦如来、文殊菩薩、普賢菩薩……。座して目を閉じ、自分の影が十三仏を象る様を心に思い描く。本来影法師の修行で行う瞑想では、ティンシャやシンギング・ボウルといった密教法具を使う。けど千里が島には持ってきていないし、今の私にそれらを使いこなせる力もない。それでも、私は自らの影に佇むエネルギー眼と接続を試み続ける。繋がれ、動け。私は影。私はお前だ。前世よ、そこにいるのなら応えて下さい。目を覚まして下さい…… 「……ッ……!」  心が観世音菩薩のシルエットを想った瞬間、それは充血するように赤く滲んだ。するうち私の心臓がドクンと弾け、業火で煮えくり返ったような血が全身を巡る。私はその熱量と激痛に思わず座禅を崩してしまうが、次の瞬間には何事もなかったかのように体が楽になった。そしてそっと目を開けてみると、ニライカナイだったはずの世界は見覚えのある場所に変わっていた。 「石筵観音寺……!?」  玲蘭ちゃんが代わりに呟く。そう。ここは彼女も昔よく通っていた、私達の和尚様のお寺だ。けどよく見ると、記憶と色々違う箇所がある。 「玲蘭ちゃん、このお御堂、こんなに広かったっけ……?」 「そんなわけない。だってあの観音寺って、和尚が廃墟のガレージに張って作ったタルパ結界でしょ」 「そうだよ。それにあの外の山も、安達太良山じゃないよね? なんかかき氷みたいに細長いけど」 「あれ須弥山(しゅみせん)じゃん。仏教界の中心にある山。だぶか和尚はこの風景を基に石筵観音寺を作ったんじゃない? てーか、何よりさ……」 「うん。……いなくなってるよね、和尚様」  このお御堂には、重大な物が欠けている。御本尊である仏像だ。石筵観音寺では和尚様の宿る金剛観世音菩薩像がいらした須弥壇には、何も置かれていない。ここは、一体……。 「ねーえ! 一美ちゃんの和尚さんってチベットのお坊さんなんだよね? ここにいるよ!」 「「え?」」  振り返ると、佳奈さんがお御堂の奥にある扉を開けて中を指さしている。勿論観音寺にはなかった扉だ。私と玲蘭ちゃんが中を覗くと、部屋は赤い壁のシンプルな寝室だった。中心に火葬場の収骨で使うようなやたらと背の高いベッドが一つだけ設置されている。入室すると、そのベッドで誰かが眠っていた。枕元にはチベット密教徒特有の赤い袈裟が畳まれている。佳奈さんがいて顔がよく見えないけど、どうやら坊主頭……僧侶のようだ。不思議な事に、その僧侶の周りには殆ど影がない。 「もしもーし、和尚さん起きて下さい! 一美ちゃんが大ピンチなんですーっ!」  佳奈さんは大胆にも、僧侶をバシバシと叩き起こそうと試みる。ただ問題がある。彼は和尚様より明らかに背が低いんだ。 「ちょ、佳奈さんまずいですって! この人は和尚様じゃないです!」 「え、そうなの? ごめんごめん、てへっ!」 「てへっじゃないですよ………………!!?!?!??」  佳奈さんが退き僧侶の顔が見えた瞬間、私は全身から冷や汗を噴出した。この……この男は……!!! 「あれ? でも和尚さんじゃないなら、この人が一美ちゃんの前世なんじゃない? おーい、前世さムググム~??」  ヤバいヤバいヤバい!! 佳奈さんが再び僧侶をぶっ叩こうとするのを必死で制止した。 「一美?」  玲蘭ちゃんが訝しんだ。面識はない。初めて見る人だ。だけどこの男が起きたら絶対人類がなんかヤバくなると直感で理解してしまったんだ! ところが…… ༼ ……ン…… ༽  嘘でしょ。 「あ、一美ちゃん! 前世さん起きたよ! わーやば、このお坊さん三つ目じゃん! きっとなんか凄い悟り開いてる人だよ!」  あぁ、終わった……。したたび綺麗な地名の闇シリーズ第六弾、千里が島宝探し編終了。お疲れ様でした。 「ねー前世さん聞いて! 一美ちゃんが大ピンチなの! あ、一美ちゃんっていうのはこの子、あなたの生まれ変わりでー」 ༼ えっ、え?? ガレ……? ジャルペン……?? ༽  僧侶はキョトンとしている。そりゃそうだ、寝起きに京友禅ロリータが何やらまくし立てていれば、誰だって困惑する。 「じゃる……ん? ひょっとして、この人日本語通じない!?」 「一美、通訳できる?」 「むむ、無理無理無理! 習ってたわけじゃないし、和尚様からちょこちょこ聞いてただけだもん!」 「嘘だぁ。一美ちゃんさっきいっぱいなんかモゴモゴ言ってたじゃん。ツンデレとかなんとか」 「あ、あれは真言です! てか最後なんて『おはようございます猊下(げいか)』って言っただけだし」  私だけ腰を抜かしている一方で、佳奈さんと玲蘭ちゃんは変わらずマイペースに会話している。僧侶もまだキョトン顔だ。 「他に知らないの? チベット語」 「えぇー……。あ、挨拶は『タシデレ』で、お休みなさいが『シムジャナンコ』、あと印象に残ってるのは『鏡』が『レモン』って言うとか……後は何だろう。ああ、『眠り』が『ムナル』です」 ༼ ! ༽  私が『ムナル』と発音した瞬間、寝ぼけ眼だった僧侶が急に血相を変えて布団から飛び出した。 ༼ ムナルを知っているのか!? ༽ 「ふわあぁ!?」  僧侶は怖気づいている私の両腕をがっしと掴み、心臓を握り潰すような響きで問う。まるで視神経が溢れ出したような紅茶色の長い睫毛、所々ほつれたように神経線維が露出した肌、そして今までの人生で見てきた誰よりも深い悲壮感を湛える眼差し……やっぱり、間違いない。この僧侶こそが…… 「え? な、なーんだ! お坊さん、日本語喋れるんじゃん……」 「佳奈さん、ちょっと静かにしてて下さい」 「え?」  残酷にも、この僧侶はムナルという言葉に強い反応を示した。これで私の杞憂が事実だったと証明されてしまったんだ。だけど、どんな過去があったのかはともかく、私はやっぱり和尚様を信じたい。そして、自分の魂が内包していたこの男の事も。私は一度深呼吸して、彼の問いに答えた。 「最低限の経緯だけ説明します。私は一美。ムナル様の弟子で、恐らくあなたの来世……いえ、多分、ムナル様によって創られたあなたの神影(ワヤン)です。金剛の大散減という怪物と戦っていたんですが、ムナル様が私の肋骨で作られた法具プルパを金剛愛輪珠如来に奪われました。それでそこの神人にマブイグミして貰って、今ここにいる次第です」 ༼ …… ༽  僧侶は瞬き一つせず私の話を聞く。同時に彼の脳内で凄まじい速度で情報が整理されていくのが、表情でなんとなくわかる。 ༼ 概ね理解した。ムナルは、そこか ༽  僧侶は何故か佳奈さんを見る。すると京友禅ロリータドレスのスカートポケットに、僧侶と同じ目の形をしたエネルギー眼がバツッと音を立てて生じた。 「きゃあ!」  一方僧侶の掌は拭き掃除をしたティッシュのようにグズグズに綻び、真っ二つに砕けたキョンジャクが乗っていた。 「あ、それ……神社で見つけたんだけど、後で返そうと思って。でも壊れてて……あれ?」  キョンジャクは佳奈さんが話している間に元の形に戻っていた。というより、僧侶がエネルギー眼で金属を溶かし再鋳造したようだ。綻んでいた掌もじわじわと回復していく。 「ど、どういう事? 一美。ムナルって確か、観音和尚の俗名か何かだったよね……そのペンダント、なんなの?」  僧侶の異様な力に気圧されながら、玲蘭ちゃんが問う。 「キョンジャク(羂索)、法具だよ。和尚様の遺骨をメモリアルダイヤにして、友達から貰ったお守りのペンダントに埋め込んでおいたんだ」 ༼ この遺骨ダイヤ、更に形を変えても構わんか? ༽ 「え? はい」  僧侶は私にキョンジャクを返却し、お御堂へ向かった。見ると、和尚様のダイヤが埋まっていた箇所は跡一つなくなっている。私達も続いてお御堂に戻ると、彼はティグクという斧型の法具を持ち、装飾部分に和尚様のダイヤを埋め込んでいた。……ところが次の瞬間、それを露台から須弥山目掛けて思い切り投げた! 「何やってるんですか!?」  ティグクはヒュンヒュンと回転しながら須弥山へ到達する。すると、ヴァダダダダガァン!!! 須弥山の山肌が爆ぜ、さっきの何百倍もの強烈なエネルギー眼が炸裂! 地面が激しく揺れて、僧侶以外それぞれ付近の物や壁に掴まる。 ༼ 拙僧が介入するとなれば、悪戯に事が大きくなる…… ༽  爆風と閃光が鎮まった後の須弥山はグズグズに綻び、血のように赤い断面で神経線維が揺らめいた。そしてエネルギー眼を直撃したはずのティグクは、フリスビーのように回転しながら帰還。僧侶が器用にキャッチすると、次の瞬間それはダイヤの埋め込まれた小さなホイッスルのような形状に変化していた。 ༼ だからあなたは、あくまでムナルから力を授かった事にしなさい。これを吹けばティグクが顕現する ༽ 「この笛は……『カンリン』ですか!?」 ༼ 本来のカンリンは大腿骨でできたもっと大きな物だけどな。元がダイヤにされてたから、復元はこれが限界だ ༽  カンリン、人骨笛。古来よりチベットでは、悪い人の骨にはその人の使っていない良心が残留していて、死んだ悪人の遺骨でできた笛を吹くと霊を鎮められるという言い伝えがあるんだ。 ༼ 悪人の骨は癒しの音色を奏で、悪魔の心臓は煩悩を菩提に変換する。それなら逆に……あの心優しかった男の遺骨は、どんな恐ろしい業火を吹くのだろうな? ༽  顔を上げ、再び僧侶と目が合う。やっぱり彼は、和尚様の事を話している時は少し表情が穏やかになっているように見える。 ༼ ま、ムナルの弟子なら使いこなせるだろ。ところで、『鏡』はレモンじゃなくて『メロン』な? ༽ 「あっ、そうでしたね」  未だどこか悲しげな表情のままだけど、多少フランクになった気がする。恐らく、彼を見た最初は心臓バクバクだった私もまた同様だろう。 「じゃあ、一美……そろそろ、お帰ししてもいい……?」  だぶか打って変わって、玲蘭ちゃんはすっかり及び腰だ。まあそれは仕方ない。僧侶もこの気まずい状況を理解して、あえて彼女と目を合わさないように気遣っている。 「うん。……リンポチェ(猊下)、ありがとうございました」 「一美ちゃんの前世のお坊さん、ありがとー!」 ༼ 報恩謝徳、礼には及ばぬ。こちらこそ、良き未来を見せて貰った ༽ 「え?」 ༼ かつて拙僧を救った愛弟子が巣立ち、弟子を得て帰ってきた。そして今度は、拙僧があなたに報いる運びとなった ༽  玲蘭ちゃんが帰還呪文を唱えるより前に、僧侶は自らこの寺院空間を畳み始めた。神経線維状のエネルギーが竜巻のように這い回りながら、景色を急速に無へ還していく。中心で残像に巻かれて消えていく僧侶は、最後、僅かに笑っていた。 ༼ 衆生と斯様にもエモい縁を結んだのは久しぶりだ。また会おう、ムナルそっくりに育った来世よ ༽
ལྔ་པ་
 竜巻が明けた時、私達はニライカナイをすっ飛ばして宴会場に戻っていた。佳奈さんは泥だらけのサマードレスに戻っているけどオーラを帯びていて、玲蘭ちゃんの口の怪我は何故か完治している。そして私の手には新品のように状態の良くなったキョンジャクと、僅かな視神経の残滓をほつれ糸のように纏う小さなカンリンがあった。 「あー、楽しかった! 金城さん、お人形さんと再会させてくれてありがとうございました! 一美ちゃんも、あのお坊さんめっちゃ良い人で良かったね! 最後エモいとか言ってたし、実はパリピなのかな!? ……あれ、金城さん?」  佳奈さんが振り返ると同時に、玲蘭ちゃんは焦燥しきった様子で私の首根っこを掴んだ。今日は色んな人に掴みかかられる日だ。 「なんなの、あの前世は」  その問いに答える代わりに、私は和尚様の遺骨(カンリン)を吹いてみた。パゥーーーー……決して癒しの音色とは言い難い、小動物の断末魔みたいな音が鳴った。すると私の心臓に焼けるような激痛が走り、全身に煮えたぎった血が迸る! それが足元の影に到達点すると、カセットコンロが点火するように私の全身は業火に包まれた。この一連のプロセスは、実に〇.五秒にも満たなかった。 「そんなっ……その姿……!!」  変身した私を、玲蘭ちゃんは核ミサイルでも見るような驚愕の目で仰いだ。そうか。彼女がワヤン不動の全身をちゃんと見るのは初めてだったっけ。 「一美ちゃん! また変身できるようになったね! あ、前世さんの影響でまつ毛伸びた? いいなー!」  玲蘭ちゃんは慌ててスマホで何かを検索し、悠長に笑っている佳奈さんにそれを見せた。 「ん、ドマル・イダム? ああ、これがさっき話してた邪尊さん……え?」  二人はスマホ画面と私を交互に三度見し、ドッと冷や汗を吹き出した。憤怒相に、背中に背負った業火。私は最初、この姿は不動明王様を模したものだと思っていた。けど私の『衆生の苦しみを業火に変え成仏を促す』力、変身中の痛みや恐怖に対する異常なまでの耐久性、一睨みで他者を黙らせる眼圧、そしてさっき牛久大師に指摘されるまで意識していなかった、伸びた腕。これらは明らかに、抜苦与楽の化身ドマル・イダムと合致している! 「……恐らく、あの前世こそがドマルだ。和尚様は幼い頃の私を金剛から助けるために、文字通り彼を私の守護尊にしたんだと思う。でもドマルは和尚様に『救われた』と言っていた。邪尊教に囚われる前の人間の姿で、私達が来るまで安らかに眠っていたのが何よりの証拠だ。観世音菩薩が時として憤怒の馬頭観音になるように、眠れる抜苦与楽の化身に代わり邪道を討つ憤怒の化身。それが私……」 「ワヤン不動だったってわけ……ウケる」  ウケる、と言いつつも、玲蘭ちゃんはまるで笑っていなかった。私は変身を解き、キョンジャクのネックレスチェーンにカンリンを通した。結局ドマルと和尚様がどういう関係だったのか、未だにはっきりしていない。それでも、この不可思議な縁がなければ今の私は存在しないんだ。この新たな法具カンリンで皆を、そして御戌神や千里が島の人々も守るんだ。  私は紅一美。金剛観世音菩薩に寵愛を賜りし紅の守護尊、ワヤン不動だ。瞳に映る縁無き影を、業火で焼いて救済する!
0 notes
higashiazuma · 3 years
Text
ヤンヨグ鮭卓ログ #1 おいでませ異世界~ここはよいとこ残業地獄
!ご注意! このログには、裁定ミス、吟遊プレイ、内輪ノリなどが大量に含まれます。 どんとこいガハハ!な方のみ、お酒でも飲みながらのんべんだらりとお楽しみください。
ちなみに文中で使用しているナイスな各種シートは公式サイト(http://www.bouken.jp/pd/yy/)からDLできるぞ! るるぶを購入したら、今日から君もヤンキーだ!!
GM : ではマスターシーン、「邪神シーン」です! GM : 遥かなる異世界、ガイヤンキー。 GM : かつて偉大なるグッドヤンキーに救われたというこの世界で、人々は平和な時を過ごしていました。 GM : ですが… GM : 邪悪に顔を歪めた人魚とドワーフが、城の執務室のドアを乱暴に開け放ちます。 GM : その音に、机に座っていた水色の髪のエルフの男性が、ビクッと体を震わせます。 稲原 アギト(PL) : ガタッ GM : ステイ 劔 理一(PL) : アッ中の人! 稲原 アギト(PL) : スミマセン GM : イイノヨ ※アギトの中の人は無類のエルフスキーである。ちなみにエルフくんには眼鏡属性がありましたが、眼鏡率がすごいことになったのでログ化にあたってサクッと削除されました。悪しからず。 GM : そして開け放たれたドアから、ツカツカと入室してくる影がひとつ。 GM : 「さて、イワン君。お願いしていた書類はできていますか?」 GM : イワンと呼ばれた男性が使っている机は…おぞましい量の書類で埋め尽くされています。 GM : 「す、すみません画定様!申告書がなかなか集まっておらず……」  「困りますねえ…期日は、ちゃあんと守っていただかないと。何のための役所だと思っているんです。」 GM : 「すみません!!すみません!!!」  「あなた、昨日の帰りは何時だったんですか?」  「昨日は…2時に…」  「おや!帰った!!こんなに仕事をためておいて!!帰った!!」 GM : バッドヤンキー、画定はイワンの耳元に口を寄せ、そっと囁きます。 GM : 「あなたも、町長のようになりたいのですか?」 GM : 「ヒィッ!!!!」 GM : 思わず身をのけぞらせるイワンの目には、深い恐怖の色が浮かびます。 GM : 「では、くれぐれも よ ろ し く お願いしますよ。」  そう言って、画定とその配下たちは退室します。 GM : イワンの脳裏に浮かぶのは、陰惨な町の様子。 GM : かつては観光で栄えたこの町は、今や誰もが年度末までに提出しなくてはならない大量の書類に埋まり、決して終わることのない無間地獄の中にいます。 GM : イワンは震える手で、引き出しの中から古めかしいスクロールを取り出すと席を立ち… GM : それを手に、部屋の隅に魔法陣を書きはじめます。 GM : 「ヤンキー様、ヤンキー様、どうぞお出でください…」 GM : 「遠く、遥かなる異世界より…どうか、どうか我らをお救いください…!!」 GM : イワンは最後の呪文を魔法陣に書き込みます。 GM : ”夜” GM : ”露” GM : ”死” GM : ”苦” GM : すると、部屋にはまばゆいばかりの光が満ち溢れ……… GM : ~ここまで邪神シーン~
Tumblr media
GM : ~ここから異世界シーン~ GM : 召喚されたあなた方の目にまず映るのは、まるで何かの映画のセットのような部屋。先ほどの執務室です。 GM : ウゴイテイイデスカラネー 稲原 アギト(PL) : すごい笑ってた 劔 理一(PL) : ちょっとツッコミが追いつかなくって ちょっと 稲原 アギト(PL) : ヨロシクが1文字1文字出てくるシーンでだめだった 劔 理一(PL) : 同じく GM : えへへ
※やったぜ。GMは画面の前でガッツポーズをしたという。
劔 理一(PL) : エルフの名前がイワンだ! に反応している暇もなかった 稲原 アギト(PL) : 労基に行った方がいい案件では……? GM : 労基があればいいね 劔 理一(PL) : 労働基準法は非常に現代的な概念ですからね… GM : 魔法陣の中央に立つあなた方二人の目の前で、男が祈るように手を組んでいます。 稲原 アギト : 「ここは……」 GM : イワン「成功だ…成功した…!!」目の前の男性はちょっと泣き出しそうですね GM : 耳がとんがってる 劔 理一 : 「な…なンだァどうした? ウチの校長室…もここまでシャラ臭くはねえわな…」 稲原 アギト : 「真の男はそんなに軽々しく涙を見せるものじゃない」どうしようついたてとかあったらかくしてあげようかな GM : じゃあ手近なところについたてはないですが、書類ならいっぱいありますね 劔 理一 : 書類をこう、うまいぐあいに積み上げてこう 稲原 アギト : かくしてあげよう……いじめでは? GM : どさどさ GM : 「細工品売却税の証明の証明の証明書」みたいな書類がいっぱいある 劔 理一 : ウワーッお役所仕事の最たるものだァー!!! 劔 理一 : 「ああ…知ってるぜ、こういうの。親父みたいな連中が好きなやつだ」 稲原 アギト : 「よし、これでみえなくなった。原因はよくわからないが、おれが力になれることなら力を貸さないでもない」 稲原 アギト : 「すこしならベイブを見てもいい」 GM : ちなみにRPの指針として、今すぐ協力しなくても大丈夫です。真の男(ヤンキー)は最後にはやるべきことを見つけるものなので 稲原 アギト(PL) : なるほど!ありがとうございます 劔 理一(PL) : 今はまだ事情を知らないものなあ、PCは
※そういうこと。
GM : 「本当ですか…!ああ、よかった…!!まさかヤンキー様が三人も…!!」 稲原 アギト : 「ベイブはヤンキーではないが……?」 GM : ベイブ「プイ?」
※ヤンキークラス:モルモル/ヤンキースキル:プイプイ言う、鼻をひくひくする
劔 理一(PL) : (あっ…お助けNPCだな…) 稲原 アギト : おれはけいさんが得意じゃないのでリヒトを見る ※アギト氏ー!!三人!!!三人!!!!かたてでたりる!!!!! 劔 理一 : 「…俺とお前以外に誰かいたか?」アギトを見返す GM : じゃあリヒトさんの後ろにもういっこ事務机があることにしましょう 劔 理一(PL) : ふむふむ GM : そこに誰か座ってます GM : 「よーっす。いやー、お互い災難っすねぇー。」 劔 理一 : ばっと振り返ろう 稲原 アギト : 「よくきたな」あとから来ておいても言う GM : 「お互いっすよそれはー」ヘラヘラ笑います GM : 「俺はハル。高1っすー。本名はヨシハルっつーんですけど、イモいんで。ハルって読んでほしいっすわぁー。」 GM : ということで、お助けPCであるとこのハルのキャラクターシートです。
Tumblr media
稲原 アギト : 「おれはアギト。高六だ(マウンティング)」 劔 理一 : あっチャラい感じのやつだ! ネオヤンだ! 劔 理一 : 「劔 理一だ。学年については気にしなくてもいい」 稲原 アギト : ヤンキーっぽい! GM : 「マジっすか!大先輩じゃないっすか、パねっすね!!よろしゃっすしゃっすー!」 GM : 「リヒトさんっすか。よろしゃっすー。」ヘラヘラ 稲原 アギト : 「むやみにケンカをするのは真の男ではないと先人もゆっている。おれはおまえとよろしくやる予定だ」ハルさんと握手しよう GM : 「ヘッヘッヘ、あんまり喧嘩とか得意じゃないんで。よろしくしてもらえるなら願ったりかなったりですよー?」握手に応じます。 GM : 裏でダイス振ったら抗争中の学校潰した男になりましたが腰は低いですね 稲原 アギト : 学校を潰すのはすごいな……地図から消したんだろうな…… GM : そこまでではないです たぶん きっと
※本当は武勇伝シーンで一緒に振ろうと思っていたけど、シーンがとても盛り上がったので、裏でそっと武勇伝表のダイスを振るGMの姿があったという。
劔 理一 : わりと接し慣れていないタイプのせいか理一はちょっと戸惑っている!「…まあ、確かにここでいきなりおっ始めても良いことねェわな。よろしく頼む」 GM : 「ヒューッ、クールっすねえ。何か面白い話あったら聞かせてくださいよぉー。」 劔 理一 : 「音楽と料理の話ぐらいしかできねェよ」 劔 理一(PL) : めっちゃキレてるやつですよねハルくん
※キャラシのヤンキースキルのこと。プロレスの1R目からパイプ椅子を持ってくる程度にはキレキレ。
GM : PC達が和気あいあいしてると、イワンが書類をはらって向き直ります GM : イワン「申し遅れました、私はイワン=ミニバン。理由あって、この町『共和制コーラルキングダム』の政務を取り仕切っています。」 GM : ※町名はまよきんの表できまりました 劔 理一 : ※だと思いました
※同社のTRPG迷宮キングダムのこと。某アジアの大国を引いたので、国旗→赤→サンゴとちょっと捻りました。
GM : イワン「ここは異世界ガイヤンキー。かつて皆さまの世界から召喚された正義のヤンキー様により、一度救われた世界です。」 GM : イワン「この町は…そうですね、ご覧いただいた方が早いでしょう。」 GM : そう言ってイワンは、皆さんを部屋のテラスに招きます。 劔 理一 : テラス! 稲原 アギト : 「そういう説もあるな(分からないので適当に話を合わせておく)」 稲原 アギト : テラス席は良い席だ~ GM : なんかこう 洋館のなんか 犯人おいつめるかんじのやつです GM : おそとの GM : ということで、タウンマップを公開しますね。
Tumblr media
※本来であれば、ここで夢見るNPCの「大切な夢」も公開されますが、今回はシナリオの流れ上まだ伏せています。 GM : ここ、共和制コーラルキングダムは、エメラルドグリーンの海に生えた巨大な珊瑚を利用して築かれた町です。 根本に生える色とりどりのサンゴにより、海はまるで七色に輝いているように見えます。 劔 理一 : すごい! 異世界っぽい! でも寿司屋がある! GM : ヘイラッシャイ 稲原 アギト : ボスの弱みを一つ GM : なるほどワサビを>ボスの弱み
※ボスの弱みをひとつ握ってほしい、の意。
GM : 美しいコーラルピンクの珊瑚の洞をそのまま施設として利用したり、枝の上に大きな貝殻や水晶で作られた建物が建てられていたりします。空中に浮く水晶の足場で連絡通路が作られていたりもしますね。 劔 理一 : ああートロピカルなリゾート…! GM : その景観はもとより、ドワーフの職人による珊瑚細工、巨大な珊瑚から発せられる魔力の波を応用したマナサーフィンなどで、一大観光地として潤っていました。
※大きいサンゴといえばエアサーフィン。(※アマプラへのリンク)
GM : 人口は700人程度ですが、平和な頃にはその何倍もの観光客でごった返していたそうです。 GM : ですが今皆さんの眼下に広がる町は、紫色のモヤのようなものでどんよりと覆われており、大きな通りは閑散としています。 GM : 時折通りかかる人も皆目を伏せ、足取りはどこかフラついているように見えます。 GM : ハル「あらぁー、ずいぶん賑やかなモンっすねぇー。」 劔 理一 : 「いや、そうか…? 結構ヤバそうだぞあいつらの顔」 GM : 具体的に言うと正気度が30くらいしかなさそうな人しかいない 稲原 アギト : まだいけそう GM : まだ舞える 劔 理一 : あっ30ぐらいならまだ大丈夫だな GM : イワン「『絶望』です。」 GM : イワン「平和だったこの世界に、邪神が戻ってきたのです。邪神は我々の『絶望』を喰い、力をつけると聞きます…。」 GM : イワン「町長は古代よりの儀式に則り、異世界よりヤンキー様を召喚しました。」 GM : イワン「ですがそれは、邪神の狡猾な罠でした。用いられた儀式は邪神が用意した偽物の儀式であり、召喚されたのは…」 GM : イワン「邪悪な意志を持つ、バッドヤンキーだったのです…。」 劔 理一 : 「悪の…ヤンキー…?」 劔 理一 : 良いとか悪いとかあんのかヤンキーに…? みたいなかお
※さあ………?
稲原 アギト : 「うつむいて裸足で逃げ出したくなるほどのミステイクだな……」 劔 理一 : 「なんでちょっと可愛いンんだよ」 GM : と言ってタウンマップにここを牛耳るバッドヤンキーチームの情報をぺたり
Tumblr media
劔 理一(PL) : すごい面子だなあ…人魚とドワーフとビヤーキー… 稲原 アギト : 格闘家ヤンキー……!たたかってみたいな 稲原 アギト : おれの拳がプイプイとうずいている GM : バッドヤンキーの名前は、2人は耳にしたことあるかもしれません。何処かの町にマジでヤベー奴がいるみたいな GM : 半年くらい前からぷっつりと噂を聞かなくなっていましたが…といった感じで 劔 理一 : 隣の駅あたりかな 劔 理一 : そしてチーム名がカロウシである 稲原 アギト(PL) : こっちのチーム名テイジタイシャとか労働基準監督署とかにするか 劔 理一(PL) : テイジタイシャいいなあ GM : 労基もイイデスネェ 劔 理一(PL) : 異世界TRPG伝説 カロウシ&テイジタイシャ GM : つらみしかない
※「テイジタイシャいいなあ」そう呟いた劔PLのテキストが、なぜか滲んで見えた。
GM : イワン「ヤンキー様、手前勝手なお願いだとは承知しております!どうか、どうかバッドヤンキーを打ち倒し、この町をお救いください…!!」 GM : ハル「つってもなぁー」 GM : ハルはどうすんの、みたいな感じで二人の方をちらっと見ます 稲原 アギト : 「おれは救うとかはどうでもいいが、真の男になるためになんじゃくものにはこのてっけんをおみまいするつもりだ」 劔 理一 : 「…そのバッドヤンキーとやらにはなンとなく聞き覚えがあンだよ。風の噂だが」 劔 理一 : 「なあ、そいつらをボコしたら、俺らは元の世界に返して貰えるってやつか」 GM : イワン「受けていただけてもそうでなくても、皆さんの帰還は保証いたします。なんでしたら…ご希望とあれば……今すぐにでも………」つらそう 劔 理一(PL) : あ、一応ちゃんと帰還保証あるのか! GM : あります!
※バッドヤンキー討伐パック、なんと今なら帰還保証付き!
GM : ハル「アギトパイセンお人よしっすねぇー」 劔 理一 : 「いや、良いンだ。タダで返せとは言わねえよ、何もせずに帰るのと何かして帰るのは同じだろ」 稲原 アギト : 「さいきんはサボりすぎてたからな。ここで暴れていけば帳尻が合うだろう」 劔 理一 : 「俺は乗ってやってもいいぜ。アギトのやつは当分帰る気なさそうだしよ」 GM : ハル「そんなもんっすか。いやー、お二人とも良いヒトっすねぇー、涙ちょちょぎれるっすよ。」ヘラヘラ 劔 理一 : 「《サボり魔》がやる気になってンだから相当だぜこれは」 GM : ほんとだ!!かっこいい!!! 稲原 アギト : 「やはりな。おれのみこんだふたりは真の男だったか」がしっとハルを掴もう 稲原 アギト : 「ハル、おれはおまえに闘争の炎が渦巻いているのを感じていた」 稲原 アギト : 「握手の時につたわってきた」 GM : 「え、え。何スか。えっ」 GM : リヒトさんの方にドウシタライイノって目線を 劔 理一 : 「諦めろ。そいつにはなんか…凄みだけで全てをアレするタイプの理不尽がある」 劔 理一 : 「俺は弁当のうまいおかずを一品やっただけでだいたい同じようなことになった」 稲原 アギト : 「話は決まったな(決まってない)」 GM : ちっちゃい声で「マジッスカ...」って聞こえます GM : と、イワンがふと町を見やり、血相を変えます。 GM : イワン「皆さん、バッドヤンキーが戻ってきています!裏口へご案内しますので、今すぐ【城】から離れてください!!」 GM : イワン「ヤンキーの皆さまとはいえど、町が絶望一色の今はバッドヤンキーの力は強大!太刀打ちできないはずです…!」
※クライマックスまではバッドヤンキーには太刀打ちできませんよ、という事をやんわりと伝えています。
稲原 アギト : 「おれ”たち”はたたかってもいいのだが……あ、しまった。ベイブ!」 GM : 「プイ!」
※既にリヒトとハルも勘定に入っている。
劔 理一 : 「そうだ、ここにいるのは俺たちだけじゃねえんだ。今は作戦を練るときだろうな」 GM : イワン「ありがとうございます…!ですが、まずは町の皆を助けてやってください…!お願いします!!」 GM : イワン「私なら大丈夫です!どうかくれぐれも、【城】には近づかないでください!!」 GM : と、皆さんは急かされながら城の裏口から町に向かいます… 稲原 アギト : 向かおう
※【友情度】の処理で少しごたついたので一部割愛。このタイミングで夢見るNPCからPC全員への【友情度】が1点上昇します。 また、この後PC同士がお互いの第一印象を決めるのですが、その際誤ってお互いへの【友情度】を上昇させています。 本来は、「第一印象を決めて関係を記入する」「友情度は変化しない」処理にするべきでしたね。ウカツでしたが、本セッションはこのまま進行します…悪しからず。
GM : イワンから皆さんへの感情ですが GM : アギトさんに「かっこいい」 GM : リヒトさんに「利用できる」 GM : ハルに「つよい」 劔 理一(PL) : 確かにハルくんはつよい 稲原 アギト(PL) : この過労エルフはリヒトさんになんて感情抱いてるんだ GM : かしこそうだし書類整理手伝ってくれないかなーって GM : ネットリとした視線が 劔 理一(PL) : いやまあ一番まともに利用できそうな感はあるかもしれません 稲原 アギト(PL) : まきこまれ GM : あ、そうだ関係性でですね。「第一印象表」というものがございます GM : 自作orロールでどうぞ GM : ロールする場合は1D6です 劔 理一(PL) : ロールしますかね 劔 理一 : !roll 1d6 ダイスボット : @リヒト rolled 1. GM : リヒト→アギトへはライバルでいいですかね 劔 理一(PL) : ですね! GM : ではリヒトさんは、ハルに対して「ヤベエ」という印象を受けました 劔 理一(PL) : うんわかる ヤベエ 劔 理一 : こいつ…完全に巻き込まれておきながらあんなヘラヘラと…のらりくらりと… GM : 逃げながらも、「ドラクエみたいっすねー」ってヘラヘラしてました 劔 理一(PL) : ウッ感覚が完全に現代っ子!
※りひとPLしってるか さいきんのげんだいっこは どらくえがよくわからない
稲原 アギト : やはり真の男 稲原 アギト : !roll 1d6 ダイスボット : @アギト rolled 1. GM : アギトもやっぱり「ヤベエ」なこいつっておもいました 劔 理一(PL) : 先輩二人が揃いも揃ってヤベエヤベエと思ってる状況 GM : !roll 1d6 ダイスボット : @GM rolled 1. GM : ハルはアギトに「ヤベエ」って思いました。さもありなん GM : !roll 1d6 ダイスボット : @GM rolled 2. GM : リヒトには「パねえ」って思いました 劔 理一(PL) : よかった…全員が全員をヤベエと思っていなくてよかった…
※セッション中使用する機会はありませんでしたが、【友情度】は【友情修正】による判定補助や、【ツープラトン】などに使用されます。また、お助けPCであるハルのクラス、【ネオヤンキー】の専用スキルにも関係します。ここでの【友情度】の処理ミスが、後々えらいことになるのですが………
GM : ダチリスト���IQが低い
Tumblr media
稲原 アギト : おれでもかんぺきに理解がデキる すばらしいリストだ リストは簡潔なほうがいい GM : まじやべえ GM : では、メインフェイズに移りまーす!
TO BE CONTINUED...
0 notes
chaukachawan · 4 years
Text
ラストダンス
 いやー面白かったっすね(観劇後)。正直脚本は徹頭徹尾何言ってるか分かんなくて若干滑ってたけど、それを上回る役者さんの危機迫る演技とキャスパ、お笑いをよく分かってる演出さん、そして見事な照明音響と映像編集がその辺をすごくいい感じに仕上げてくださってました。
 それを受けてお前に何ができるのかって?
 役者紹介だよ!!!!
 えです。完全に客として楽しんだので、感想がてら書いてきます。
・橋本悠樹  この人はね、すごい人です。コメディもシリアスもできるんですよ。医者でありながら弁護士みたいなもんじゃないですか? おまけに顔がエモい。 以前出オチにするわ学祭で腸ぶちまけさせるわ酷い目に遭わせてしまったので、今回主役をやっていただけて本当にうれしいです。  30分近くえ製の長台詞しゃべりまくるとか僕は絶対にやりたくありません。死んでも嫌です。その点この方は文句ひとつ言わず完璧に覚えて下さって間まで完璧に取って下さるんだもん。  コンピューターを扱う学部の後輩の人でもあるので、多分頭にIntel入ってるんだと思います。大役務めて下さってありがとうございます。ありがとう。全セリフ面白かったです。ライフゲームの拡張機能は「ドラッグした範囲を塗るモードのON/OFF」「白黒反転」があると意外に便利ですよ。
・堀文乃  普通えの脚本は一回出ればもう十分というのが定説なんですが、この人は私が書いた脚本全部に参加して下さってるんですよね。そろそろ頭がえになってくる頃だと思うんですが、大丈夫かな。一度頭の中にえが潜んでないかCT検査で診てもらって下さい。そいつ脳を破壊します。  演技に関してはもう何も説明する必要ないですよね。だってシザーズの主人公務めた人ですよ。入団直後にえ地獄を潜り抜けた人ですもの面構えが違う。幾度の戦場を超えて不敗、その体は無限のキャスパでできている。キャスパも考えて下さいました。すごいや。  多分えに対する抑止力として送り込まれたんだと思います。アーバンクライミングと「ねー」死ぬほど笑いました。ありがとうございます。  演出補佐もやって下さいました。お願いできたとき本当に嬉しかったです。シザーズ以来の夢が叶いました。またいつかお願いします(傲岸不遜)。
・なしもとはな  この方も堀さん同様かわいそうな方で、入団直後にえの脚本でツッコミをやらされた被害者です。何が悲しくてあんな狂った脚本の中で正気を保ってないといけないんでしょうかね。以降は真面目なキャラをこなす事が多かった方なので、もっと今回みたいな役、いやそれ以上に狂った役が見てみたいなと思います。椅子に足かけてセリフいうとこ超面白かった。  クールに見えてすごい面白い方なので、そういう雰囲気を生かしたキャラをもっともっと見てみたいです。まだちゃうかの脚本家はこの方のポテンシャルを活かせてない。僕はじきに消えますが、遺言として遺しておきたいです。何なら自分で脚本書いてその主役やったっていいんですよ。頑張ってくわさい。
・岸田月穂  キキさん脚本で私をカツラで気持ちよくぶっ叩いて下さった方です。常日頃から明るくて、え脚本の地獄を太陽の様に照らして下さったであろう事は想像に難くないです。そんな人がなんでこんな頭おかしい役やらなきゃいけないんですか。世の中は残酷すぎる。根っからの善人が涙を流す世界なんて僕は間違ってると思います。次の公演では舞台の上でずっと微笑んでてほしい。  前ひでー役をお願いして、今回はその時に輪をかけてひでー役をやってもらってしまいました。クソ頭おかしい通り魔の人殺しなのに、この人がやると2割増で愛着が芽生えてくるんですよね。そりゃ書いた役は我が子なので無論愛おしいんですが、それとは別にやっぱり人の好さが演技にも染み出て来ているんだと思います。多分悪人やっても同情してしまいそう。  生きてるとこめっちゃ面白かったです。みんなも粗品で「秋花粉!」
・おはようさぎ  想像で物を言うんですけど、霜降りの黒毛和牛って恐らくどう調理しても旨いですよね。だって素材が霜降りの黒毛和牛なんだもん、不味くなりようがないですよ。何がいいたいかというと、この人はコメディにおける霜降りの黒毛和牛です。脚本のネタに困ったら  おはようさぎ:(アドリブでなんか言う。15分)  と書けば問題なく受理されます。そして通ります。一回この人主役で誰か三谷幸喜の「誰かがみている」みたいな脚本を書いて下さい。死ぬほど笑うと思います。どうせ死ぬならこの人の演技で笑いすぎて死にたい。  手前味噌でなんですが、ようやくこの人の見たかった姿が見れた様な気がします。何者にも縛られずにトンチンカンなセリフをさも当然の様に放って会場を爆笑の渦に叩き込んでほしい。引退前の老害の願いです。  某漫画に「人が死ぬのは忘れ去られた時だ」みたいなヒルルク?の台詞がありますけど、そしたら多分この人は世界が終わるまで死なないんじゃないでしょうか。面白かった所?全部だよ。  Twitter企画丸投げしました。ごめんなさい。面白かったです。
・西岡克起  想像で物を言うんですけど、伊勢海老って(略)  おはようさぎさんをアッパー系のヤクだとしたら、この人はなんちゅうか、ダウナー系のヤクです。キマる事には変わりないんですが、なんかホッとする感じというか。すごいハートフルなコメディでボケ要因としてやってくれるんじゃないでしょうか。面白い人です。  今回すごい場を支配するというか、何かそういう感じの特徴的な役をお願いしました。結果としてめっちゃ特徴的な感じになったので万々歳です。それに予想できない感じも含めるともう、え(人名に非ず)!?フレンチトーストの上にアイスクリームまで乗っけてくれるんですか��?みたいな感じですごい面白かったですね。  ボケの二大巨頭としておはようさぎさんとあんじょうやってって下さい。アドリブで泣いてた所おもろかったです。
・西田幸輝  ………………口にするのがはばかられる程のひでー目にあって、今回も別の意味でやべー事をさせられたもう、えの被害者です。面白くなる様にと書いてはいるんですが、そっちがダメかと思った矢先別の方向ですごい笑いを取ってくれたなぁと思ってます。殻を破ったと言われる理由が分かりました。誰があの「名前の呼び方のクセすごい奴」の方向性出してくると思います?すげー面白かった。完っ全に場を支配してましたね。あれが見たかったんや。前に僕の脚本でありもしない台詞を(しかもめっちゃかっこいいセリフなんですよこれが)捏造して読んだ人がいるんですが、それと同じぐらいに良い意味で「してやられた」と思いました。多分感銘を受けた32期の人も多いと思います。頑張ってね。  どうでもいいけどたまに同い年という事を忘れそうになります。かわいい。
・樹木キキ(演出さん)  メタの演出やってて主に自分の無能さに打ちひしがれて死にそうだった私に優しく美酢(ミチョと読みます。フルーティーで大変飲みやすくおいしい酢です。是非)のパックを下さったとってもいいひとです。何回かこの方の脚本に出たり同じ役職をしたりしたんですが、やっぱ何をするにもかなわないですね。役者しながら演出って普通できませんよ。どんな才能ですか。  演出をお願いする時の逸話はあまりにも僕がクズすぎるのでここでは言えないんですけど、いまだに何で引き受けて下さったのか分からないです。そして今思えば特になんもできず、勝手に重荷を押し付けてしまった様な気がします。感謝の念に罪悪感が勝ってる。  僕の脚本は何ちゅうかクセの塊で、そのままだと臭くて食えたもんじゃないんですよ。そこを色んな人にわかりやすく、受け入れられやすくアレンジしてくださって本���に感謝してます。やっぱりセンスのある人のフィルターを通した方がいいなぁ、というのを痛感しますし、自分の演出としての才能のなさを痛感しますね。もう二度と演出やんねえ。というのは感謝の気持ちを込めて言ってます。本当にありがとうございました。ベルマーク面白かったです。  今度美酢100個を箱単位で送り付けますね(着払い)。
・え(脚本)  え?いたっけそんな奴。  いなかったんで、ここでは板倉さんという別の方を紹介していこうと思います。「フニクリフニクラ」の演出指導をやっておられながら本脚本の照明にも関わってくださって、もうキャスパの時「すげえこんな事できるんだ」の連続でした。全脚本の照明案を一人で担当なさるという過労死しそうになる様な環境の中、まとステの世界を文字通り彩って下さってありがとうございます。今度パーティー呼んでくださる時までには何か作れる様に頑張ります。
・木下梨実(オペさん)  さっすがきりみさんのコーナー!このコーナーではちゃうか民の皆様から寄せられた日常のふとした「さっすがきりみさん!」をご紹介していきたいと思います!まずはこちらのお便りから─────────  そんなコーナーは存在しない。/木下梨美(30期・匿名希望)  この後ご本人から怒られる。  詳しい話はまた追って聞きたいんですが、まとステ班の一員としてずっと稽古場にいて下さったそうですね。ありがとうございます。演技指導もすごい堂に入った方なので、色々な面で稽古場を盛り上げて下さったんじゃないでしょうか。だとしたら解釈一致ですね。  この人をイメージした脚本を一度書こうとしたんですが、おもっくそ人外な上によくよく考えたら喧嘩売ってるとしか思えない設定だったんでやめました。人間の役をなさる事が稀な方なので、いつか人間キャラとして笑いを獲りにいってもらいたいです。別に笑いでなくてもいいんだけど………………いつか本当に自分脚本の役者としてやってもらいたいです。
・藤田悠希(オペさん) 「照明を作るのって、建物の設計に近いですよね」  舞台照明に携わり30年、プロの藤田はそう語る。 (僕らは位置について~♪) 「光の筋を柱みたいに一本一本設置していって、そうやって頭の中でお客さんの、演者の望む形を与えてやる」 「そうして出来た中で、初めてこう、活き活きと輝いてくるのかなと」 (横一列でスタートを切った~♪)  長年の経験を経て口にされたその言葉は、重い。 「やっぱ分かってきますよ。  どんな光が望まれてるのか、感覚で」 「それをちゃんと形に、  ………………現実の形にしてやるのが、自分たちの役目だなって」
 キャットウォークの上で、自負に満ちた瞳が今も舞台を見据えている。 (ずっと探していた~♪ 理想の自分って~♪)
 嘘です。実はあんまり絡みがない。  ひたすらに好青年な印象で、試しに読み合わせのとき役を読んでもらったらめっちゃうまかったのを覚えてます。もったいないとは思うんですが、曰く照明の仕事に専念したいみたいな事をおっしゃっていたのでそれはそうかと思いました。早くもプロの風格を感じました。  え、トニーさんの次の世代にこの人いるんですか?もうちゃうかプロ級の照明作れますよ。願わくば某公演でのフィルさんみたいな目にあわないでほしいです。これからの照明、及びスタッフワークをお願いします。ちょっと役者として参加したいなと思ったら是非。そういう先輩もいたそうです。  色々な意味でこれから楽しみです。どうか私のような人間と関わらずにちゃうかライフを楽しんで下さい。 ・島﨑愛乃(オペさん)  眠らない街、神室町。  眠らない人、こっこさん。  何のキャッチコピーだ。  めっちゃ失礼ですけど、とにかく「過労の人」というイメージがあります。制作チーフもなさってとにかく仕事ができる人で、おまけに性格もいいんですよね。ちゃうかの人は大体そうですけど、中でも特に人として欠けている点が見当たらない。あ、でも照明仕込みの後に音響仕込みに参加するのはやめて下さい。『照明班の』貴重な人材が死んでしまいます。  あの、ちょくちょくダル絡みをしています。やめます。余計なストレスを与えてしまって本当にすいません。でも人格の輝きがヤバいから対等に話せないんですよね。どうしても神を相手にしている気分になる。人ですね。すいません。いつか役者に来てほしい。
   脚本やそのキャラは自分にとって子供の様なもんです。  それだけに、とある公演の時は子供を十分に育ててやれなかった後悔や無力さを痛いほど思い知らされました。  役者さんの期待にも答えられなかったでしょうし、あらためて自分はこう、手前勝手な想像を人に押し付けることしかできない人間なんだなと思い知らされた様な気分でした。  今回こういう形でリモート参加という特別な形を許してもらって、少し稽古場から距離を置いた事で改めて自分の立ち位置が見えてきた気がします。  身勝手ながら、客として楽しんだ公演は素晴らしかったです。やっぱり自分の手を離れて育った子供がこれだけ元気な姿を見せてくれれば、親としても本当に感無量だと言わざるを得ません。最上回生がこんな事を言っていると、諸先輩方に怒られるかもしれませんが。  関わって下さった全ての方々への感謝の念で一杯です。  次は少し休みます。  また別の公演でこうした形で関われるとしたら、その時はまたはっちゃけようと思います。  え  
0 notes
sonezaki13 · 4 years
Text
 正義の味方
 いつも通り出勤すると、シャッターの降りた店の前でおっさんが寒そうに首を縮めて立ち尽くしていた。何となくヤバい気がしたので、目が合わないようにしながら足早に通り過ぎようとしたが、案の定、おっさんは話しかけてきた。
「おい、お前ここの奴だろ。もう入れてくれよ」
「大変申し上げにくいのですが、開店前ですので、開店までお待ちください」
「こんな寒い中待ってるの辛いんだよ。俺、年だからさ」
 そっちが勝手に来たんだろ。頭イカレてんのか。
「お客様、開店は九時からなので。まだ一時間あります」
「俺一人くらいどうってことないだろ」
「あなただけを特別扱いすることはできません。それに中で開店作業がありますので」
「先に買ったらとっとと帰るから邪魔はしねぇよ」
 驚いた。入った上に買い物する気でいるらしい。衝撃的だ。開いた口が塞がらない。閉めてるけど。スーパーくらいどこでもあるだろ。気でも狂ってんのか。普段どんな僻地にいるんだ。
「開店作業がまだなので売ることはできません」
「俺このあと仕事あるから急いでんだよ。時間ないんだよ」
「お忙しいところわざわざありがとうございます。お仕事が終わってからのご来店をお待ちしてます」
 みじんも感謝していないのはバレている。一瞬むっとした表情を浮かべたものの、おっさんはすぐに頼み込む姿勢へと戻った。
「仕事終わるの遅いから夜は無理なんだよ。なぁ頼むよ」
「別の日にお願いします」
「今日しかない」
 はい出た。こういう系の奴は「今日しかない」とすぐ言う。こういう系の奴同士で作戦会議でもしてるんじゃないかレベルで同じことを言う。お前ら一体普段どうやって予定たててんだ。今までどうしてたんだ。さては、常に行き当たりばったりなのか。そうか。
「お休みの日にお願いします」
「休みは予定が入ってるから」
 じゃあ予定やめれば。いつまで先の予定まで立ててるんだか。
「では日程調節の上ご来店お願いします」
「ほんとお前らは殿様商売だな。客を見下しやがって。柔軟な対応っていうのができないのか」
 ほら。本性を表した。こちとら目があった瞬間からそういう人だと思ってましたよ。
「そんな風にはみじんも思ってませんが、あなたにそう感じさせてしまったことには申し訳ないと思います」
 何が悲しくてタイムカードを切る前から仕事をしないといけないのだろう。気分は最悪だ。朝の星占いは三位だったのに。まぁ当たったことないけど。昔フられた日の星占いも一位だった。
「黙れ。調子に乗るな」
 それはこっちのセリフだ。勝手に並んでおいて何なのだ。頭がおかしいんじゃないか。
 おっさんが拳を振り上げる。俺が若い女だったら「責任者呼べ! いや、社長だ! 社長を出せ!」などと喚き散らされて終わりだったろう。あーあ。客に手をあげられるなんて滅多にないことだが、たまにある。まぁ、これで通報すれば勝てるので黙って殴られておけば良い。でも決して喜ばしいことではないので本当にうんざりする。面倒くさい。仕事も大して好きじゃないが、働いてる方がマシだ。まぁでももし選べるんだったら働かずに気楽に生きられる人生の方が良かったな。選べないけど。宝くじで二億当たんないかな。
 その瞬間、僕らの間に颯爽と立ちはだかる男が現れた。
「こんな人のためにあなたが苦しめられる必要なんてありません」
 おっさんの腕を片手で止めながら奴は言った。駅で見かけたら十分後には忘れてそうなくらい平凡な顔をしていた。おそらく出勤途中らしくスーツを着ている。
 そして奴は空いた方の腕を大きく振り上げた。堅く握りしめられた拳。痛そうだ。勢いをつけて振り下ろす。途端に吐き気がした。文字通りの意味で。今朝のコーヒーが鼻の奥でつんとしている。喉の奥でコーヒーとゲロの苦みが混ざり合いながらせり上がってくるのを飲み込む。ひりついたような不快感が残る。鳩尾が鈍く痛む。言葉にならない呻き声が口から漏れた。涎も一緒にこんにちは。
 えっ、何で何で。おかしくない?
 何で俺が殴られてるの。わけわからなさすぎ。奴に問いかけようと言葉を発そうとしたが、呻くだけで言葉にならない。奴は本気だ。本気で鳩尾を殴られた。
 腹を抑え���地面にうずくまっていると、さっきのおっさんはうひぃと変な声をあげて一目散に逃げていった。そりゃあ逃げるよな。こんな頭のおかしい奴が割り込んできたら。
 スマホを取り出そうと腹から手を離した瞬間に、上から容赦なく足が降ってきた。ずん、と重みのある感触と音がした、ような、気がした。カラカラと音を立ててスマホが地面を転がっていく。乗せられた革靴から手を引き抜こうとすると、さっと足を退けられ、また倒れ込んでしまった。爪が剥がれた気がして見てみたが、剥がれていなかった。少しヒビが入っただけだ。手の甲全体が赤くなっている。骨が折れているかは分からない。案外人間は頑丈だ。小学生の頃、滑り台のてっぺんから落ちた時も、同じことを思った気がする。じんじんと痺れるように痛むが、とりあえず動かせるので、欠勤しなくて済みそうだ。この人手不足の状態で休んだら他のメンバーに負担を強いてしまう。
「あなた何なんですか」
 腹から声を捻り出して言った。まだかすれている。
「正義の味方だ」
 奴は俺の前髪を掴んで引っ張る。痛い痛い。こんなに短いのにそんなに引っ張ったら頭皮が千切れちゃうって。
「正義の味方なのにそんなことするんですか」
 振り払おうと力の入らない方の手も使って、奴の腕をめちゃくちゃに叩く。しかし、びくりともしない。
「お前が悪い」
 わけがわからない。理不尽だ。何の言い掛かりなんだろう。ぶちぶちと髪の毛が何本か抜けた。あー。ハゲ予備軍と言われてるのに貴重な髪の毛数本が無惨な姿にされてしまった。
 ぱっ、と手を離されて尻餅をつく。手をついたところで、踏まれてない方の手の上にも足が振り下ろされる。この数分のうちに何回「折れたかも」と思っただろう。本当に痛い時は声なんて出ない。悲鳴をあげて助けを求めたいのに痛くて声が出せない。さらに鳩尾に蹴りが入る。ゲロが口内にまで出てきた。喉から口にまでひりつく不快感がある。それをペッと奴に向かって吐きかけた。
 奴はさっと身を引いたが、カッターシャツの裾をほんの少し俺のゲロが汚した。明らかに不愉快そうに眉を潜める。そこで間髪入れずに俺は彼の足に突進した。手に力が入らなくても体当たりくらいはできる。俺が足の上に乗っかった形で奴は倒れ込んだ。俺を離そうと手で俺の頭を掴もうとしたので、ゲロ塗れの口で奴の親指に噛みついてやった。前歯だと力が入る気がしなかったので、あえて横を向いて思い��切り噛み付いた。ゴリゴリ���と嫌な音がする。もちろん、ちぎる気で噛んだ。奴が驚いてギャッと悲鳴を上げる。俺には出なかった類の声だ。俺の歯はそこまで強くないだろうが、それくらいの気合いでやればある程度効くだろう。奴は空いた方の手でガンガンと俺の頭を殴る。口の中に血の味が滲む。俺のじゃない。肉に歯が食い込む。気持ち悪くて離しそうになったが、俺はさらに顎に力を込めた。頬を平手打ちされても、頭を拳でごんごん叩かれても俺は離さない。目がチカチカする。実際に揺すられているよりも大きく視界が揺れている気がする。目の前が全体的に白っぽく、幾多もの点が瞬きながら流れていく。これが俗に言う星が舞うというやつだろうか。生温かい鉄臭さが喉の奥にしみていく。浸食されるような嫌悪感。
「犬みてえなマネしやがって。気持ち悪い」
 掠れた声で罵られたので言い返そうとしたが、顎の力が緩みそうになったのでそのまま歯を食いしばった。心の中で「俺犬派なんで、そういう悪口はちょっとやめていただきたいですね」と言い返した。
 もがく奴の蹴りが何発か俺の腹にまた入る。めり込む深さを感じて、男の体も意外と柔らかいんだなぁと思った。鈍痛。またゲロがあいつの指にかかる。噛まれた手を夢中で振り回して店のシャッターに俺は打ち付けられた。ガシャガシャと騒々しくシャッターが音を立てる。俺の頭はなかなか割れない卵みたいだな。ぼやーっと視界の靄が濃くなり、全体的にチカチカしている。青とか赤とかにも点滅している。遠くで別の人たちの声が聞こえてきた気がした。
 体から力が抜けていくような、いや、意識だけが外れるみたいな気がして、ハッと気付いた時には病院のベッドに寝かされていた。
 初めて仕事を休んでしまった。皆勤だったのに。皆勤くらいしか取り柄がないのに。やってしまった。思わず頭を抱える。大慌てで店に連絡して遅刻を謝罪し、向かおうとしたが、既に事情を知っているらしい店長に「災難だったな。今日は休め」と止められてしまった。幸い、大した怪我はしていなかったらしく、一日で退院はできた。
 聞いた話によると、出勤時に俺たちを見かけた後輩が通報したらしい。年下なのにしっかり者だ。
「気を付けて下さいね」
 後になってから話した際に警察官からなぜかそう注意された。
「罰せられるべきは彼でしょう」
「いや、彼は『正義の味方』なので、我々は罰することができません」
 俺の頭の上には疑問符が飛び交っていただろう。
「『正義の味方』は『正義の味方』ですよ。良いから気を付けてください」
 全く意味が分からなかったが、とりあえず空気を読んで俺は曖昧に笑って頷いた。もしかして俺が知らないだけで皆知っているのだろうか。そう思って、Google検索をしたり、SNS内を調べたり、数日間は普段見ないくだらないワイドショーも嫌々見てみたりもしたが、まるでわからなかった。奴は一体何だったんだろう。
「正義の味方って知ってる?」
 仕事中に品出しをしながら後輩に聞いてみた。
「急に何ですか。『正義感の味方』は『正義の味方』ですよ」
 後輩は警察官と同じことを言った。そういえばあの警察官も俺より若そうだった。世代差だろうか。
「それが分からないから訊いてんだよ。ググッても出てこないし」
「そんなの載ってるわけないじゃないですか。『正義の味方』は『正義の味方』ですから。それ以外の何者でもない。どうせまたググって調べようとしたんでしょ。無駄ですよ。そういう物じゃないんで」
 後輩の表情を見る限り嘘をついているわけではなさそうだ。しかしますます訳が分からない。俺は同じ質問を先輩にも店長にもしてみたが、ほぼ同じ答えだった。店長は「考えたって分からないぞ」と付け加えた。狐につままれたようだ。俺を置いて世界が変わってしまったような気がする。いや、世界がおかしく見えるというのなら、それはもう俺がおかしいのだろう。もし世界中の誰もが犬を見て「猫」だと言っていたら、客観的事実として俺の認識が狂っているのは間違いない。
 正義の味方の正体がわからないまま数日が過ぎたある日、突然それはやってきた。休日にGEOで新作ゲームの中古が出てないか見ていると、ゴーンゴーン、と突然鐘が鳴り響いた。しかしそれは俺の頭の中でだけだ。俺以外誰も鐘の音に驚いていないし、鐘なんてどこにもないからだ。
 気が付いたら俺は店を飛び出して猛ダッシュしていた。そして横断歩道もない車道を横断し、斜向かいのケータイショップへ突っ込んでいった。いらっしゃいませの声を無視して奥のカウンターへ突っ込んでいく。そこでは厚化粧のババアが金切り声で「分かるように言わなかったあなたが悪いんでしょ! 私は素人なんだからね!」と叫んでいる。そして無駄にキラキラしたケースに入ったヒビだらけのiPhoneを大きくふりかぶった。
「こんな人のためにあなたが苦しめられる必要はありません」
 iPhoneを持ったその手を掴む。どこかで聞いたような台詞が俺の口から飛び出した。目の前の女の子がほっとした顔で俺を見上げている。あちゃー。違うんですよ。
 俺の拳がカウンターの向こうにいる女の子の頬をビンタする。あーあ。それなりにかわいい女の子だったのに残念だ。こんな形以外で出会ってたら一回くらいヤれてたかもしれない。スニーカーのままカウンターに上り、何が起こっているのか理解できていないその顔面に、引っこ抜いてたキーボードを叩き込む。キートップがいくつか落ちる。多分元々ぐらぐらしてたんだと思う。AとKがころころと床に飛び降りる。あとBがあったらAKBなのに惜しい。
 ババアは面食らって口をパクパクさせながら震えている。
「あなた何なんですか」
 鼻血をぽたぽたと白いテーブルに垂らしながら女の子が俺を睨みつけて言う。おお怖い怖い。接客やってる女は穏和そうにみえても大体怖い。これは単なる俺の経験談だ。
「正義の味方だ」
 口が勝手に動いていた。何これ。
 あー、いや、これ知ってるわ。これ。なんかマンガで見たわ。いや映画だったかな。両方かもしれない。ゾンビの血を摂取するとゾンビになるってやつでしょ。その理屈じゃん。正義の味方の血を摂取すると正義の味方になっちゃうんでしょ。俺、あいつの血、めちゃくちゃ飲んだわ。あれじゃん。思いっきりあれじゃん。わかるわかる。これ知ってるやつだわ。進研ゼミでやったところじゃん。進研ゼミだったっけ。Z会かもしれない。ってか最近Z会って聞かないよな。もしかして潰れた? くもんにやられた?
 ガン、と頭に衝撃を感じた。女の子にiPadで頭を殴られた。形的にたぶんiPad Proだ。ホームボタンないし。ひどい。iPadは人を殴るものじゃありません。超高級鈍器だ。ボロキーボードとは訳が違う。
 しかしそこへさらに鐘が鳴る。ゴーンゴーン。これは俺にしか聞こえていない。なぜなら誰もその音に反応していないからだ。
 俺は弾かれたようにケータイショップを飛び出す。そして歩道を全力で走る。何人かはねたかもしれない。徒歩で人をはねるなんて前代未聞だ。いや、徒歩じゃないな。俺は走っている。しかも普段こんな速度で走ったことがない。オリンピックに出られるんじゃないだろうか。尋常じゃない速度で風景が流れていく。階段を上り、閉まる改札を無理やり突破して走る。後ろで駅員が何か叫んでいる。こんなことならPiTaPaを作っておけば良かった。
 駅構内で泣き叫ぶ幼児がいる。
「黙りなさいって言ってるでしょうが! なんでそんなにママを困らせるの!」
 半泣きの若い女が手を振り上げている。俺は寸前でその手を止める。細い腕だった。
「こんな人のためにあなたが苦しめられる必要はありません」
 俺は女を解放し、両手で幼児を突き飛ばす。軽い体は簡単に吹き飛んで柱へぶつかりかけたが、すんでのところで女が受け止めた。
「何するの」
 女がヒステリックに叫ぶ。ほんとそうですよね。でも俺正義の味方だから仕方ないんです。
「あなた何なんですか」
 母は強し、というやつだな。さっきまで殴ろうとしていた幼児をぎゅっと抱き締めている。俺に対して敵意をむき出しにしている。
「正義の味方だ」
 またもや口が勝手に動いた。おいおい。俺は女から幼児を引き離そうと女の腕を蹴った。
「やめなさい」
 振り返ると複数人の警察官がいた。俺は無視したが押さえ込まれてしまい、ようやく俺は幼児を女から奪おうとするのをやめた。逮捕はできないが、手を出せないわけではないらしい。
「また『正義の味方』か」
 警察官がうんざりした様子で言っていた。好きでなったわけではない。これは感染症のようなものだ。パニック映画なら世界中に「正義の味方」が広がり、感染者と非感染者の攻防戦が始まるのが妥当な展開だろう。そもそも正義の味方は今どれくらいいるのだろう。俺が知らなかっただけで、誰もが当然知っている程度の知名度があるのだろうか。いや、殴られた人は皆驚いていた。それともあれは自分が「正義の味方」に殴られるなんて、という驚きだろうか。「正義の味方」はいつからいるのだろう。どうやって始まったのだろう。俺が産まれた時にはもういたのだろうか。
 先日殴られた時とは違って、iPad Proで殴られた頭は全然痛まなかった。正義の味方を全うしている間は俺は無敵でいられるらしい。走る速度も尋常じゃない。元々あまり腕っ節は強くないが、人を殴る強さだって以前より強い気がする。「正義の味方」を殴り返した時よりも遥かに手応えがあったのに、まるで自分の体は痛まなかった。体罰は、ぶった方も痛いのだからお互い様、という謎理論が昔は流行していたが、自発的に殴っておいてその言い分はどうかしているとしか思えない。���傷行為の道具にされただけじゃないか。
 解放された後、俺はのろのろと線路沿いの道を歩いていく。相変わらず世界は不機嫌だ。道の端でボソボソと喧嘩しているカップルがいる。ドラッグストアで店員にいちゃもんをつけるジジイがいる。信号がタイミング悪く変わって舌打ちをするサラリーマンがいる。補助輪の自転車で母親を追いかける子供が、晩ご飯に対する不平不満を連ねている。外に出れば、こうして、息をするように不機嫌な人々が視界に飛び込んでくる。いつから世界はこんなにも不機嫌になってしまったのだろうか。
 あの流行病があった数年間のせいだ。誰もがそう言う。それが一番都合が良いから。あの前と、あの後で、決定的に何かが変わってしまった。皆何となくそう思っているから諦めている。仕方なかったのだ。太刀打ちできない未曾有の災厄のせいなのだから仕方ない。あの病の世界的流行で何百万人もの死者が出て、流行抑制のために多くの犠牲を払った。あれは身体だけでなく、世の人々の精神すらも根深く蝕んでしまった、とよく言われているし、俺もそう思っている。二千年代にもなってそんなことに人類が右往左往させられるなんてフィクションじみていた。俺はあの頃、社会人になって新人とも言われなくなり、ようやく新しい環境も身になじんできたところだった。そんな所に強制的に環境変化をねじ込まれ、人間関係も大きく変わらざるを得なかった。世界は元には戻らないし戻れない。完全に元通りになんてなりっこないのだ。世界は重度の脳梗塞を起こしてリハビリ中の老人だ。後遺症は一生ついて回る。途中から気付いていた。とぼけていただけだ。誰もが、後に残る世界は素晴らしいものだという前提の夢物語をしていた。絶望しないように。皆我慢してたから。今だってまだ我慢してるから。皆えらいから。頑張ったから。我慢したのに、頑張ったのに、バラ色の未来がやって来ないだなんてあんまりだ。そんなことがある訳がない。まだ今は途中なのだ。然るべき成果が得られるのはまだ先なんだ。もっと我慢したら、もっと頑張ったら、幸福な世界が実現するのだ。でも、皆、ずっとずっとは頑張れないし、我慢できないから、ちょっとくらい当たり散らしてしまうのは、仕方がない。そして、こんなにも皆不機嫌なのに鐘の音はしない。正義の味方の発動条件は何なのだろう。
 今まで働いてきて、何度も訳の分からない客に絡まれたことはある。流行病の時は特にひどかった。毎日のように赤の他人から罵られていた。でも、正義の味方が現れたことなんて一度もない。自称「正義」の罵倒をしてくる人はいくらでもいたが。そんな時こそ正義の味方は来るべきだった。でもいなかった。もしかしたら、俺は未来の正義の味方だから爪弾きにされていたのだろうか。なるのが必然だとしてカウントされていたのだろうか。いや、俺だけじゃない。皆、働いていて嫌な思いはしている。先輩が、後輩が理不尽な怒りをぶつけられているのを見るのも嫌だった。でも、正義の味方なんかが助けてくれたことはなかった。無闇に叫ぶ客を、俺たちは「雑魚がキャンキャン吠えやがって。こっちがビビって従うとでも思ってんのか」という冷めた目で見ていた。今もそうだ。どんな穏和な従業員でもあの目をすることがある。あれは諦念だ。無になっている。無駄に傷付かないよう、受け身をとっているのだ。怒ったりしたい。そういう点では、こうして世界が不機嫌になり始めた時に、他の人よりも耐性があるのかもしれない。正義の味方は爆発的な怒りに呼び寄せられるのだろうか。だとしたら、少々の不機嫌や苛つきには反応しないのかもしれない。我慢できていては駄目なのか。正義の味方とは一体何なんだろう。俺の知る限りではただの乱暴者でしかない。世間の人々が正義の味方に対してどのような感情を抱いているかは分からない。きっと訊いてもまた「『正義の味方』は『正義の味方』」というよく分からない回答をされるのだろう。まるでそこだけが触れてはいけない世界のバグみたいに皆型にはまった答えしか言わない。それとも俺が知らないだけで言及すると罰せられるような法律があるのだろうか。
 この考えを話せる相手がいたらな。しかし、こんな話ができるほど、自分をさらけ出せる身近な相手はいない。恋人か家族か親友でもいないと無理だろう。生憎誰もいない。親友は数年前の流行病で死んだし、恋人には捨てられた。家族とは疎遠だ。爺ちゃんが死んだ時に実家に戻らなかったからだ。流行病があったから、行くのをやめた。移動を控えなければいけない時なのだといくら説明しても理解してくれなかった。家族には許せなかったらしい。冷血だの人でなしだのと罵られ、それ以降、連絡はとっていない。仕方なかった。俺にはどうにもできなかった。今だって何も出来ない。いや、何もしていないだけだ。出来る気がしないから。また調子に乗ったところを世界からボコボコに殴られて台無しにされるのだ。いくら得ても奪われるのなら最初からなければ何の問題もない。
 と、暗い気持ちになっても仕方ない。全然嬉しくないが、俺は正義の味方だ。嬉しくないついでにヒーロー衣装を揃えることにした。立ち寄ったドン・キホーテのパーティーグッズコーナーで三十分吟味した結果、馬と鹿のマスクを買った。曲がりなりにも接客業をしているのであまり顔を晒したくはない。顔バレNGだ。俺的に。持ち帰った鹿のマスクから角の部分を切り取り、馬のマスクに穴をあけて嵌め込んだ。馬と鹿のキメラみたいな生き物のマスクができた。お手製ヒーローマスクの完成だ。米津玄師かよ。高校生の頃めちゃくちゃ流行ってたなぁ。パクったんじゃないよ。馬と鹿を米津玄師が一人占めするのは良くない。俺にだって使わせろよ。
 あれ以来、幾度となく鐘は鳴った。鐘が鳴る度、俺はヒーローマスクを被り無双モードで町に繰り出し、別段悪いこともしていない人をボコボコに殴りつけて帰ってきた。他人の家に上がり込むこともあった。戸締まりが甘ければ、開けられる出入り口がなぜか瞬時に分かり、そこから乱入したが、どこも空いていなければ窓やドアを破壊して入った。しかし損害賠償を求められることはなかった。正義の味方に法律は無効らしい。警察官や「『正義の味方』だから」と何度か渋い顔をされたことがある。そういうものらしい。ありがたいと言えばありがたい。正義の味方の活動は俺の意思とは関係のないところなのだから。心神喪失扱いにでもなってるんだろうか。
 拳に血が滲み互いの血が混ざってしまうことも、俺のように噛みつかれたこともあったので、「正義の味方」をあちこちにうつしてしまっている可能性もある。しかしうつせば治るものでもないらしく、相変わらず鐘は鳴り、俺は走り出していた。しかし、正義の味方は意外とご都合主義らしく、仕事中に呼び出されることはなかった。その上、正義の味方をしても疲れない。痛みもない。なので日常生活に今のどころ支障はない。俺を殴った奴のように他にも正義の味方がいるはずだが、鉢合わせたこともない。これだけ頻繁に制裁を加えているのに知人を制裁したこともない。とはいえ、正義の味方はどうやら分担されているらしい。思いの外、待遇が良くて驚いている。正義の味方はどこぞのホワイト企業が取りまとめているのだろうか。もっと振り回されると思っていた。フィクションの世界のヒーローというのはそういうものだ。
 正義の味方らしき人が走っているのは何度か見たので、俺以外にも正義の味方は何人もいるのは間違いない。一匹見たら百匹いると思えって言うし。見かけた正義の味方の中には俺が殴って流血戦をした人もいたので、やはり正義の味方が血でうつるのは間違いないらしい。ゾンビじゃん。広がり方が悪役だ。彼ら、彼女らは人らしからぬ走りっぷりをしているので分かりやすい。正義の味方になる前は見たことがなかった。彼らはいなかったのだろうか。それともいるのを俺が認識していなかったのだろうか。
 把握している限り正義の味方によって死んだ人はいない。加減をしているつもりはないが、加減はできているらしい。思い返してみれば、健康的な若者相手なら道具の使用も辞さないが、老人や子供は丸腰で殴っている。正義の味方は正義の味方であり、公平だ。
 そして、正義の味方の制裁を受ける側も、呼んでしまった側も正義の味方を知らない。必ず何者かを問われるので「正義の味方」と名乗る。名乗ることで正義の味方は正義を味方になるのだろうか。それとも一度でも正義の味方と関わることで「『正義の味方』は『正義の味方』だよ」とプログラムされるのだろうか。
 仕事帰りに、弁当屋の丸椅子で唐揚げが揚がるのを待っていると、スマホが震えた。取り出すと、なんとなく追っているコミックスの更新通知が来ていたので、ダウンロードして開く。もうすぐアニメ化されるらしい。確かにそこそこ面白いもんなぁ。
「すみません」
 とびきり懐かしい声がした。小柄な女性が弁当屋のカウンターの前に立っていた。Web注文の画面を見せて、FeliCaにタッチをした。
 恋人だった。
 恋人だった人だった。よくできた話だ。こんな風に町でばったり会うなんて。ベタなラブソングじゃあるまいし。何て声を掛けようか。名前で呼んだら気持ち悪いだろうか。苗字か? 旧姓か新姓か? 旧姓で呼んで訂正されたら心臓に悪いし、新姓だと馴染みがなさすぎて口にしただけで心臓に悪い。
 もたもたしているうちに彼女の方から声をかけてきた。俺の苗字を呼ぶ。ただ呼ばれただけだし、そもそも付き合う前はそう呼ばれていたのに、なぜだか傷付いてしまう。女々しい。俺はこうして何かにつけてうじうじしている奴だった。元々そうだった。彼女によってますます女々しくなる。彼女といた頃の俺は今よりもっともっと弱かった。支えてくれる人がいると人は弱くなってしまう。奪われる側の人間だった。その頃の俺が呼び起こされてしまう。
「久しぶりじゃん」
 彼女は笑顔を向ける。
「ほんと久しぶりだよね」
 妙にぎこちない口調になってしまう。 
「こんな所でどうしたの」
「今実家にいるから。おつかい」
 彼女はプラスチックの容器に詰められたらコロッケを見せながら言った。そういえば、彼女の実家と俺の家は同じ生活圏内だった。知らないうちに会っているかもしれない。お互い面識はないから会っていたとしても分からないけれど。いずれ挨拶しないとなんて話してたこともあったっけ。
 何で実家にいるんだろう。妊娠して里帰りか? 妊婦には見えない。離婚したのだろうか。
「何かあったの。実家の家族とかに」
 あえて可能性の低そうなところに言及する。
「別に実家にくらい行くでしょ」
 大げさだなぁと笑う。また彼女は俺にがっかりしているのだろうか。いや、もう赤の他人となってしまった今、俺にそもそも期待なんてしないだろう。違う。元々恋人だって、赤の他人だ。何考えてるんだ。イカレたのか。よく考えれば分かることだ。やはり、ただ単に久しぶりに実家に戻ってきているだけなんだろう。そういえば、世の中は三連休らしい。
 唐揚げ弁当お待ちのお客様ー、とマスクを付けた店員に呼ばれ、レシートメールを見せて、カウンターに置かれた弁当を袋ごと手にする。昔は手渡しだったなぁ、と思った。彼女と付き合っていた頃はまだそうだった。あの頃と同じ店員はもういない。流行病があってから、極力接触せずに販売を行う取り組みがどんどん普及した。
「元気にしてる?」
 自分で口にしてみて、元気ってなんだろう、と思った。健康ではあるけど元気ではない気がする。もう随分長いこと元気じゃないかもしれない。元気とは何だろう。何これ。哲学的命題か。
「元気だよ。そっちこそ元気?」
「それなりに」
 それなりに。それが一番しっくりくる気がした。
「あのさ『正義の味方』って知ってる?」
 我ながらいきなりだな。
「もう。何その質問。哲学? それともそういうキャラでもいるとか?」
 彼女が首を傾げる。少し泣きそうになった。俺の知ってる世界だ。懐かしい気持ちで世界が以前の形に戻ったような気すらした。
 平和に付き合っていた頃も、俺はよくぼーっと今考えなくても良いようなことを考えては落ち込んでいた。ある意味平和ボケ。平和すぎて、有り余った脳味噌を無駄な思考に使ってしまう。そうして難しい顔で考え込んでいると、テレビを見ていた彼女が不意に振り返り「あー! またなんかうじうじしてるんでしょ」と首ねっこを掴んでくる。「首はやめて弱いからマジでマジで」なんてソファの上で転げていた。
 もしあの病の流行がなかったら俺たちはまだ付き合っていただろうか。いや、元々駄目だったのを、災厄が暴いただけだ。人間関係がダメになるのは往々にしてそういうものだ。原因は目の前の出来事だけではない。決裂する瞬間、もっともっと前から原因が積み重なっているのを見ようともせず、ただ目の前の出来事に憤慨している。これは一般論だ。俺の話じゃないよ。
「そうだよな。やっぱそうだよな」
 そうして、俺は「正義の味方」にまつわる話をした。俺が正義の味方であることは伏せた。俺にとって正義の味方であるのは情けなく恥ずかしいことだ。まだ俺は彼女になるべく格好をつけたかった。それが何の効果も成さないことを知っていながらも。
「何それ。下手な小説みたい。無名のアマ作家が書いたなんちゃってラノベじゃあるまいし。疲れて夢と現実が混ざっちゃってるんじゃないの。ちゃんと寝なよ」
「だよな」
 笑ってみたものの、残念ながらこれは夢ではない。鞄の中のヒーローマスクがそう言っている。でも俺が狂っているわけではないことが証明された気がした。もし狂っていたとして、俺も彼女も狂っている。それだけで、救われてしまった。俺はまた彼女に救われた。別れても尚。
「そろそろ行かないと」
 彼女は腕時計を見ながら申し訳なさそうに言った。すっかり袋の中のおかずは揚げたてではなくなっている。
「また飯でも」
 あはは、と彼女は笑いながらひらひらと手を振った。馬鹿にされたんだろうか。いや、性格的にそうではないだろう。変わっていなければ。これは、ただ、誤魔化されただけだなのだ。彼女と俺が飯に行くことなんて、もうないのだ。馬鹿にはしていないが、いよいよ頭がおかしくなったくらいは思われたかもしれない。
 家までの道を歩いていく。世界がまだ安穏としていて、俺たちが付き合っていた頃は、この道を彼女と一緒に手を繋いで歩いていた。坂道で突然競走を始めたり馬鹿なことをしていた。昔の話だ。昔の話は昔の話でしかないし、正義の味方は正義の味方でしかない。彼女に確認をとる必要なんてなかったのに、どうして確認なんかしたのだろう。自己満足に他人を巻き込んだだけだ。ああ駄目だ。すっかり、弱い俺が呼び戻されてしまった。後ろから多い被さっている。重い。気付けにコンビニで発泡酒を買い足す。唐揚げ弁当はすっかり冷めていた。
「無理だよ」
 あの日、四角い画面の中で彼女が言った。俺は何も答えずにキーボードの埃をエアーダスターで吹いた。キートップも汚れている。拭き掃除しないといけないな、と思った。画面に目を戻すと彼女の後ろのポスターが剥がれかけているのが気になった。もうずっと気になっているけど言うタイミングを逃してしまった。
「私もあなたも別々の場所で働いてるし、会うためには電車にも乗らないといけない」
 がっかりした、なんて言う子じゃないけど顔には思い切りそう書いていた。ドライすぎる回答だ。俺の「会いたさ」は渇いてパサついた状態でくるくる俺一人の部屋で回っている。
「君は寂しくないの」
 問いかけると、あはは、と画面の中の彼女が笑った。悲しそうだった。俺は何でそんな顔をさせてしまったのだろう。
「ねぇ、私の話聞いてた?」
 何を急に言い出すのだろう。面食らってまた黙ってしまった。黙っている俺に彼女は言葉を重ねる。
「君が話し出す前に、私が何の話してたか覚えてる?」
 俺は必死に記憶の糸を辿ったが、まるで思い出せなかった。なんとなく彼女がしゅんとしたり笑ったりしていた顔が浮かんでくる。
「聞いてないもんね。適当に相槌打ってりゃ良いって思ってるよね。私のこと好きだって言うけど、私のことなんて、あなたは何も見えてない。あなたはいつも自分に夢中。嫌い嫌いって言ってるくせに。大嘘だよ。そんなに自分が好き?」
 彼女の後ろのポスターが剥がれかけているのが気になった。彼女の好きなアニメのポスターだ。劇場版の前売り券を買った人だけが先着でもらえるものだ。一緒に買いに行ったし、貼る時は俺も手伝った。上の段を留めたのは俺だ。俺の貼り方が悪かったんだろうか。
 たぶんその時からどんどん、どんどん、俺と彼女はズレていった。噛み合わなくなっていった。いや、もっと前からそうだったのに気付いていなかっただけかもしれない。世界の混乱が収束へ向かい、ようやく出歩けるようになった時も、俺たちは一向に会う約束を取り付けなかった。何となくどこそこへ行こうと話をふっても、以前のように彼女は話を進めてはくれなかった。俺はそれ以上踏み込むことができなかった。もし踏み込んでいたら奇跡の起死回生があったのだろうか。俺が悪いところを全部なおしても彼女はもう俺からどんどん離れていくだけだ。そう思いたい。思いたいだけ。俺はそれをすんなりと受け入れた。見苦しくすがりついても結果は何も変わらないことが分かっていたから。
 その二年後に彼女は俺の知らない男と入籍した。教えてくれるような友達もいなかったのでFacebookで知った。綺麗な花嫁姿だった。知らない男で良かったなぁと思った。何かが少しずつ違っていたら自分がその知らない男になれていただろうか。時々集まって遊ぶような微妙な仲の友達はあの病気のせいですっかり疎遠になってしまい、今だってもうお誘いは来ることもない。ひょっとしたら何人かはあの病気にやられて死んでしまったかもしれない。それ以外の要因でぽっくりいってる可能性もある。LINEくらい送れば、生きてるかどうかくらい分かるかもしれないが、そこまでしようとも思わない。持ってしまうことが怖いから。失うことが怖いから。奪われることが怖いから。怖い。怖いのだ。俺は本当は臆病なのだ。小学生の頃お化けが怖くてトイレに行けずにおねしょしたことがある。怖がりなのだ。テストで百点をとりそうになって、あえて一つ間違えたことがある。怖い。怖かった。百点をとってしまうのが怖かった。好きな子に告白されたのに断ったことがある。怖いのだ。それを受け取ってどんな目に遭わされるか分からない。そんな恐ろしいことができるわけがない。彼女にはフられようと思って告白したら、付き合えてしまった。恐ろしいことをしてしまった。その結果がこれだ。自業自得だ。俺が全部悪い。全部全部悪いそういうことにして欲しい。じゃないとあんまりだ。
 夕闇を背景に電線でカラスが鳴いている。 
 電信柱を拳を打ち付けた。じん、と骨に響く。正義の味方ではない俺は強くもないし、痛みも感じる。電線に止まったカラスは驚きもせずに鳴いている。もう一発叩く。握り拳に力を入れる。さらにもう一発、もう一発、とだんだん打ち付ける速度が速くなる。関節の皮がすりむける。電信柱の黄色と黒の縞模様に血が滲む。黄色に付いた血は目立つ。擦り付けられた血が不規則に線を引く。表面が無駄にぼこぼこしているので、俺の指は下ろし金にかけられた大根みたいだ。何にそんなに怒ってるんだろう。とりつかれたみたいに、そうしないといけない気がした。
 電信柱はびくともしない。そりゃそうだろう。たかがこれしきの衝撃で動いたら電信柱は電信柱としての役割を果たすことができない。もし俺が今正義の味方だったら、電信柱をへし折ることくらいできただろうか。豪邸の重いドアを蹴りで開けたこともあるくらいなので、できたかもしれない。
 骨ばった指にも肉はある。皮がすりむけた中には肉がある。血が巡っている。生きているから。大根おろしでミンチが作れる。何言ってるんだろう。大根も下ろし金もここにはないけど。
 俺の気持ちはどこに向ければ良い。こんなに怒っているのに。正義の味方は来ない。誰に怒っているのだ。何に怒っているのだ。自分か。彼女か。友達か。家族か。過去か。未来か。世界か。あの流行病か。正義の味方か。分からない。何がそんなに嫌なんだ。誰も悪くないし、何も悪くない。あの病の時、自業自得だという言葉が流行った。外出したんだから自業自得だ。その仕事を選んだんだから自業自得だ。事情なんて知ったこっちゃない。そのくせ責める。自業自得だ。お前が酷い目に遭うのはお前が悪いからだ。なんでそんな酷いことを言うんだろう。どうして誰も彼もがそんなに荒んでるんだろう。テレビをつけてもSNSを開いてもいつも誰かが誰か責めている。何でそんなことするんだろう。知っている。分かっている。問うまでもない。理不尽に酷い目に遭うのが当たり前だと認めるのが怖いからだ。自業自得じゃなかったら壊れてしまうから。俺はその話を彼女にもした。彼女は俺が話し終わるまでひたすらうんうん、と受け止めて「大丈夫だよ」と言った。こんなに話したら気持ち悪いんじゃないかと俺が変に話を反らそうとすると「言って良いよ。大丈夫だよ」と促した。彼女は全部お見通しだった。彼女の「大丈夫だよ」が聞ければ、大丈夫な気がした。大丈夫じゃないけど、大丈夫な錯覚ができて、彼女にそう言われたら半日くらいは俺は正義の味方じゃなくても無敵だった。でもそんなことはもう無い。一生無いかもしれない。じゃあどうすれば良いんだ。憎む相手をくれ。何も憎めないし、恨めないなんてあんまりじゃないか。しかし俺はやり場のない怒りを電信柱にぶつけている。電信柱も悪くない。分かり切ったことだ。でも電信柱はビクともしないから。平気だから。殴ったって平気だ。俺の家にはサンドバックもパンチングマシーンもないから仕方ないよね。スーパーの床で駄々をこねて転がり回っている子供と同レベル。大の大人になっても。こんなおっさんになるなんて子供の頃は夢にも思ってなかった。彼女と付き合っていた頃だって思っていなかった。やっぱりあの病気が悪いのだ。でも病気は殴れない。じゃあ何を殴れば良いんだ。そうだ電信柱だ。でもどうしてだろう。ちっともすっきりしないのだ。やっぱり駄目だ。早く来てくれ。やはり正義の味方のことは正義の味方は助けないのだろうか。
「来いよ! とっとと来いよ! ほら! 何で来ないんだよ」
 息を切らしながら、電信柱を蹴る。じん、と痛みが股関節にまで上ってくる。痛くない方の足で蹴ろうとしたら、バランスを崩して倒れてしまった。馬鹿だな。馬鹿なんだ俺は。でも、俺馬鹿なんだよ、って誰に言えば良いんだろう。正義の味方じゃなくて良い。通行人でも警察官でも良い。誰か俺を見つけてくれ。
 ゴーンゴーン、と鐘が鳴る。正義の味方の出番だ。やっぱり俺がヒーローになるしかないらしい。俺は血まみれの手でヒーローマスクを被る。
 痛みが消えていく。正義の味方は無敵だ。痛みなんて正義の味方には似合わない。足が勝手に動き出す。猛ダッシュで俺は家から離れていく。唐揚げ弁当は電信柱の下で置き去りになっている。食べられる頃には冷めているだろう。誰かが間違えて捨ててしまわないことを祈る。捨てられさえしなければ現代文明の利器、電子レンジがあるから大丈夫だ。現代に生まれて良かった。俺は恵まれている。電子レンジのない土地や時代だってあるのに、俺は電子レンジのある土地と時代で生きることができている。電子レンジを得ている。俺から電子レンジを奪うことはできない。ざまあみろ。
 見知らぬ民家の塀をよじ登り、一階の屋根から、開け放たれた二階の窓にダイブした。
「こんな人のためにあなたが苦しめられる必要はありません」
 俺は目の前の女が振り下ろそうとした包丁を白羽取りした。包丁を奪って窓の外に投げ捨てる。なんかヒーローっぽくて格好良い。格好付けすぎだろうか。顔が隠れているから余計に芝居じみた言動をしている気がする。ヒーローマスクはダサいけど。
「は? お前何?」
 危うく刺されるところだった男が言った。お前が言うのかよ。危機を救われたことにイマイチピンと来ていない様子だった。
「正義の味方だ」
 俺は男の顔面に擦り剥けた血まみれの指で殴りつけた。痛くはないが傷が塞がるわけではない。うっかり血が口に入ってしまったかもしれない。あちゃー。これでこいつも正義の味方になってしまう。また世界が平和になってしまう。やっちまったな。
 包丁を持っていた女は男を庇おうとしたが、俺はそれを振り払う。男の方を膝で固定し、馬乗りになって顔面を殴る。ジタバタともがいているが俺は今無敵なので効かない。女がめそめそと泣いている。ぺちぺちと叩いてきたが、俺はビクともしない。ひんひんとしゃくり上げている。多分あれはメンヘラだ。メンヘラっぽい鳴き声してるから。ほら、来てるTシャツもそれっぽい。あんなの絶対ヴィレヴァンでしか売ってない。
 男の鼻っ柱を血まみれの拳で何度も打ちつける。鼻から血が出てきた。鼻血だろうか。それとも鼻の外側を怪我したのだろうか。鼻の外側からの出血だとしても鼻血というのだろうか。鼻から出たどこまでの血を鼻血というのだろうか。その謎を解き明かすため俺はアマゾンの奥地へと向かった。アマゾンってどこの国だっけ。
 ところが俺はメンヘラに悲鳴をあげさせられることになった。焦げ臭い嫌な匂いがして、匂いの元を辿ってみると、思わず立ち上がってしまった。
「これ以上殴ったら、燃やすから」
 振り返ると、メンヘラが百円ライターをカチカチしている。明らかに自分の親指も炙っているが気にしていない。狂気の沙汰だ。いや、メンヘラだから自然か。いつの間にか俺のスニーカーの靴ひもがチリチリと焦げていた。それ自体は特にマズいことではない。しかし、俺は痛みが分からない。気が付いたら焼き殺されているかもしれない。それはさすがにヤバい。自分が殺そうとしてた男を守るために見知らぬ男を焼き殺そうとする心理もヤバいけど。
 俺は男を蹴り、メンヘラを蹴り、また窓から外へ出て行った。ポツポツと雨が降ってきた。ボロ屋根で雨粒が踊る。俺の唐揚げ弁当どうなってるんだろう。
 だんだんと正義の味方の力が抜けていく。いつもそうだ。出てくる時は一気に出てくるのに、抜ける時はビーチボールの蓋が緩んでしまったみたいに徐々にふにゃふにゃになっていく。だんだんと走る速度が落ちてきて、最終的に俺は一人で雨に打たれながら歩く寂しいおっさんになった。ヒーローマスクも外して手にぶら下げる。明らかに不審者だ。電信柱を殴った痛みが疼く。足が痛い。擦り剥けた指はヒリヒリとする。男を殴った痛みは残らない。ご都合主義だ。雨足が強まってきてとりあえずヒーローマスクを傘代わりにしたが、大した効果が得られるはずもなく、肩も足も濡れていく。正義の味方になることでハイになっても抜ければ結局なる前と同じメンタルに落ち着く。弱く、奪われるだけの俺。自発的に他人を殴ったことなんてなかったのに。
 気付いてしまった。
 正義の味方を呼ぶのは怒りじゃない。暴力なのだ。それもただの暴力ではない。人間への暴力だ。誰かが誰かに暴力を奮おうとした時、正義の味方は呼び出される。幸か不幸か、俺は自発的に暴力を奮おうとしたことがない。優しく生きていたら損をする。へらへらと良い子ちゃんぶっていても、誰も守ってくれない。暴力を奮おうとするクズだけが救われる。元々我慢できる人は、暴力に頼ろうなんて思ったこともない人はただただ虐げられているだけ。正直者は馬鹿を見る。
 雨に打たれた唐揚げ弁当を手に取る。俺と同じで唐揚げ弁当も誰にも見つけられなかったらしい。いや、見つけたところで片付ける義理もないか。すっかり唐揚げが湿気ている。雨水だって中に入ってしまっているかもしれない。受け取った時は美味しそうだったのにこんな姿になってしまった。電子レンジも万能じゃないので、唐揚げ弁当を元の姿に戻すことはできない。
 良い子にしてたって誰も助けてくれない。良い人でいたって何の得もない。そんなこと昔から分かっていたじゃないか。必死に努力して何事もなく無事に終わった物事は無視され、悪事だけが罰せられる。商売にもよくあることだ。クレーマーの主張だけが受け入れられ、何も言わずに満足している人たちの意見は無視され、改悪が繰り返される。行動を起こせ。黙るな。判断しろ。動け。さもなくば、ただ奪われ、ただ殴られ、死ぬだけだ。
 というのは極論だけど、あながち間違っていない気もする。
 正義の味方は人々の暴力を引き受ける。受け止めはしない。ただ引き受け、それを受け流す。そして暴力を客観視させる。正義の味方はやはり正義の味方なのだ。勧善懲悪だ。正義の味方は常に弱者の味方だ。暴力に至るほどの不快を強いられた、暴力に頼らざるを得ない弱者救済のために正義の味方は正義の味方たりえる。正義の味方は正義の味方でい続ける。暴力は悪なのだと見せつけるためだけに、耐えきった者が殴られる。いつかこの世界から暴力がなくなるまで、この連鎖は続く。確かにここのところ、殺人事件や傷害事件のニュースを目にしない。正義の味方の効果だろうか。
「いただきます」
 誰と一緒でも、たとえ一人でも、いただきますと言うところが俺の良いところだと誰かが言っていた。誰だっけ。俺の妄���だろうか。だって一人でもいただきますを言ってるだなんて誰も知りようがない。そんな言葉をかける人がいるわけがない。バスタオルを首に巻いたまま、しおしおの唐揚げを割り箸で挟む。発泡酒はまだ冷蔵庫の中だ。
 大気汚染の成分とか入ってるよ、やめなよ、絶対ヤバいって、と頭の中で誰かが言う。その誰かは彼女であり友達であり家族である。俺の知っている「誰か」のキメラだ。
 電子レンジで温められた唐揚げは、思ったより変な味はしなかったが、何となくじゃりじゃりした。誰かが近くを歩いて泥でもかけたんだろうか。
「でも唐揚げは唐揚げじゃん」
 俺は誰かのキメラに答えた。じゃりじゃりする弁当の続きを頬張っていく。食べ終わってから飲もうと思っていた発泡酒が不意に飲みたくなって、冷蔵庫に取りに行く。発泡酒の後ろでタッパーが積まれている。色とりどりの蓋のタッパーの中には母親がこの家で作ってくれたものも、恋人と作ったものも、皆で宅飲みした時の残りもある。ちゃんとある。間違いなくここにある。黒っぽい中身のそれらを指でつついてみる。胸の奥で小さな火が灯った。これがきっと愛しさだ。どれも入れた瞬間のことを覚えている。楽しかった。嬉しかった。ありがたかった。ずっとこうしていたかった。
 発泡酒を手にとって、俺は冷蔵庫を閉めた。
「赤ちゃんじゃないんだから自分の感情くらい自分でコントロールしなよ」
 誰かのキメラが言う。電信柱を殴ったのがそんなにダメですか。俺は正義の味方の世話になったことがないのに。それなら一生赤ちゃんで良いです。生後372ヶ月の赤ちゃんです。ほぎゃー。新生児みたいに快と不快しか感情がなければ良かった。
 ピンポーン
 ハッと目を覚ます。いつの間にか俺はベッドで眠っていた。もう日が高く昇っている。慌ててシフト表と電波時計の隅の日付を交互に見る。良かった、休みだ。
 そして慌てて布団から飛び出し、インターフォンに出る。
「はい」
「宅配便でーす」
 寝癖を手櫛でなおしながら玄関へ向かう。マジか。これ夢オチかよ。つまんないやつじゃん。
 玄関のすぐ横に置いているシャチハタで押印する。実家からだった。開けると一番上に「HAPPY BIRTHDAY」と印字されたカードが入っていた。裏面に懐かしい文字で「たまには帰っておいで」と手書きの文字が書いてある。今日は俺の誕生日だ。また年をとった。また古びていく。老いていく。どんどん死んでいく。両親から、あの時は悪かった、と何度謝罪されただろう。決して許していないわけではない。俺は少しも怒っていない。むしろ家族を大切に思っている。カードを捨てると、その下には保存のきく食べ物と俺の好きな作家の新刊が入っていた。新刊はもう持っているから要らない。古本市場に売りに行かないと。食べ物は役に立つ。
 とりあえずテレビをつける。
「国がしっかり経済が復活するための支援をしないとダメなんですよ。納税ってこういう時のためのものじゃないんですかね」
 嫌いなワイドショーだ。深刻な口調で、被害者代表みたいな面をしてタレントがコメントしている。相変わらずだ。あの流行病があってから、いつ見かけても、こういうテンションの話題を飽きもせずに放送している。偶然見たときに限ってそうなっているだけだろうか。それとも、忘れているだけでずっと前からこの調子だったかもしれない。
 チャンネルを回す。一通り流してみて、きのこの炒め物をしている番組に落ち着けた。
 また誕生日が来た。いくつの時から誕生日が嬉しくなくなっただろうか。最後の楽しかった誕生日は、彼女と過ごしていた気がする。彼女が来て手料理を作ってくれた。たぶん冷蔵庫のタッパーの中にまだその時の残りがある。楽しかったなぁ。「別れよう」と言った時の彼女の驚いた顔が浮かんでくる。分かってたくせに。言わそうとしてたくせに。それともアレか。俺が歩み寄るのを待ってたのか。図々しい。試し行為か。そういうのはうんざりだ。勘弁してくれ。傷付いた顔をするのはやめろ。自業自得じゃないか。
 ゴーンゴーン。鐘が鳴る。俺はソファの上に転がっていたヒーローマスクを被る。
 あーあ。分かっていたけど、やっぱりこれ現実か。つまんないやつじゃん。
 然るべき成果が得られるのはまだ先なんだ。今はまだトンネルの中にいる。止まない雨はない。まだか、まだかと俺は我慢している。頑張っている。
 ダッシュでマンションの階段を駆け下りていく。三階まで降りたところで、隣のビルに飛び移る。まるでヒーローじゃないか。いや、正義の味方なんだからほぼ等しい。体が軽い。こんなに体が軽いのは俺が正義の味方だからだ。風を切って俺は走っていく。俺は奪われない。失わない。だって正義の味方だし。イカしてる。イカレてるの間違いかもしれない。まぁ、ともかく、正義の味方は正義の味方だ。俺は俺だ。平気だ。そう、「大丈夫だよ」。
 口の中で呟いたその言葉は飴玉みたいにいつまでも転がっていた。
 ひょっとしたら、もう誰もが正義の味方なのかもしれない。
0 notes
oharash · 5 years
Text
Home,sweet home.
電車のなかで、俺はいつも音楽を聴く。ドアのわきに立って、デイパックを足元に置いて。iPodはジャケットのポケットに入れている。ネックウォーマーをずり上げて、鼻も口もうまるようにうつむいている。
 ネックウォーマーは何本も持っているのでしょっちゅう洗う。顔を埋めた時に柔軟剤のにおいがするように。
 こうしているととても安心した。まわりにどれだけ人がいても、こうしていれば誰も俺を見ないし話しかけない。イヤフォンからはBUMP OF CHICKEN。俺は全然聴かないアーティストだったけど、ユウくんが好きだというので最近聴くようになった。気に入った曲がいくつかあったのでよくプレイリストに入れている。弱音という名の地雷原を最短距離で走ってこい、藤原基央が俺の耳だけに歌いかけている。
 ふだんの下校と違うのは俺が特急に乗っていることだった。桑川を過ぎたあたりで隣のボックス席が空いたので座ることにした。羽越本線の景色はひたすらに鉛色だ。水平線に行くほどに薄いグレーになっていく海に、それに少し暗さを足した雲が垂れ込めている。それでも今日は雲が薄い方で、その隙間からいくつか光の筋が伸びて海を貫いていた。
 インスタをスクロールすると兄が雪山でトリックを決めている動画をアップしていた。
  今年、兄が高校を卒業すると同時に俺は高校生になった。俺は相変わらず一年の3分の2は海外で過ごしていて、それはほとんどにおいて兄と一緒だった。物心ついてからの記憶にはずっと兄がいてそれは今も何も変わらない。合宿もふだんの練習もメシも寝るときも。俺がメディアに取り上げられることが増えたとかそういうことはライダーとしての俺たちにはそんなに重要なことではなかったけれど、俺だけが招待される大会が増えたことだけは岩みたいにゴツゴツした現実だった。
 プレイリストが切り替わってヒップホップが流れ出す。デイパックのポケットから水筒を取り出し口に含んだ。サラサラと薄い音がする。澄んだ水の冷たさ。
 兄のできることや得意なことが、俺のできることや得意なこと、好きなことに自然となった。俺たちはそういう兄弟だった。今も次の遠征に兄に一緒に行ってほしいし一昨日までの遠征だって一緒に行きたかった。そんなことが続くたび、チューニングがずれるみたいに言葉が通じなくなってゆく。それは兄と俺だけの言語で、今までの俺たちは「あつい」のひと言でそれが25度なのか30度なのかまでぴったりとわかりあえた。曇りくらいで気が塞ぐのはそのせいかも知れない。あるいはユウくんの誘いにのったのだって。
  画面が更新されシュウイチくんがバックカントリーの下見をしている写真が流れてきた。滑らかに雪上を駆ける感覚が足に蘇り、一昨日の雪上練習でできたこめかみの擦り傷がじん、と震えた。
 T市の駅で降りて西口にまわる。S市行きのバスに乗る頃には光はすっかり黄色く、その後バスで寝たまま到着したS市は光の粒が舞っていた。当たり前だけど俺の地元であるM市よりずっと都会で、M市にはない広告看板やネオンが瞬いている。街だけど風に冷たいかおりがするのが心地よかった。「着いたよ」とメッセージを送ると「予定通りにC駅に迎えに行くね。S駅まで迎えに行けなくてごめん」と返ってきた。仕方ないユウくんがターミナル駅にいたら目立つし。ましてここは彼の地元にほど近いし。昨日LINEで送られてきた通りに鈍行に乗り換えて、指定された駅で降りる。階段を登ると、自動改札の前にキャップとメガネのユウくんがいた。アンダーアーマーのスリムなダウンジャケットを着ている。
「おつかれ」
「おつかれ」
   最初の言葉はどうしてもぎくしゃくして居心地が悪い。
「来てくれてありがとう。疲れたでしょ。とりあえず出よ。荷物持つよ」
 ユウくんちの最寄駅前は小ぢんまりと栄えていた。ここでユウくんが育ったなんて嘘みたいな好ましい控えめさ。大晦日の夕方だからか、知らない街だからか、すれ違う人はみんな家路を急いでいるように見える。もう少しで街から誰もいなくなってしまいそうだ。半歩先を行くユウくんの背中を早足で追いかけた。
「これもしかしてお土産?」ユウくんがさっき俺から受け取った紙袋を少し上げる。「母さんが持ってけって」「いいのに。大晦日に大事なアヅを預かるんだから、お釣りがくるよ。アヅと年越しできるなんて嬉しい。来てくれてありがとう」ユウくんは嬉しい、とかありがとう、とかそういう言葉をよく口にする。まだそれに慣れなくて俺はすぐに言葉を返せない。道路の向かい側の道を歩くカップルの、馴染んだ後ろ姿を羨ましく眺めた。同じように半歩ずれて歩いていても、楽しそうに話しながら歩く後ろ姿。俺はピアスを外してポーチにしまった。ひとつ無防備になった気がして心細くなった。
 ユウくんの家の玄関を開けると、湿度の高い空気に包まれた。リビングではお父さんがテレビを見ていてお母さんがオープンキッチンに立っていた。「遠くから来てくれてありがとう。ゆっくりしていってね。困ったことがあったら何でも言って」お父さんはわざわざ立ち上がって俺に握手を求めながらそう言った。大きくてかさついた手は全然ユウくんに似ていない。古い木の幹みたいに頑丈そうな男の人だ。校長先生って聞いていたけど本当にそんな感じ。にこやかで、俺の茶髪もオーバーサイズのファッションも気に咎めるふしがないのがかえって居心地が悪かった。うちみたいに部屋の隅に雑誌や脱ぎ捨てた上着や書類が溜まったりしていなくて、代わりに背の低い観葉植物が葉っぱを広げている。兄弟喧嘩で空いた壁の穴だとか落書きの後なんかもない。清潔で整った住まいを見ていると、ユウくんがどうしてあんなに物怖じせず人に好意を示せるのか少しわかった気がした。
 ユウくんの家族と鍋と寿司を食べて、紅白を見た。俺の家ではいつもガキ使だったのでちょっと新鮮だった。一年のほとんどは海外にいるのでたまに帰国して音楽番組を見ると歌手も歌もほとんどわからなくて、弟が解説を加えてくれる。そんな話をしたらユウくんが「わかる!  俺も姉ちゃんに教えてもらう」と機嫌よく笑ってくれた。寿司はお店からとったものだった。きちんと握られた寿司はめちゃめちゃ美味くて、それなのに俺は母の手巻き寿司が恋しくなった。母のつくる手巻き寿司は兄と俺の好物だ。ぬるい酢飯と、母が産直で買ってくる刺身が唇に触れる最初の一瞬が好きだ。あのつるつるとした滑らかさが。
 ユウくんのお姉さんは友達と旅行に行っているそうで会うことはなかった。紅白が終わる前に布団に入った。午前5時に出る、という約束はそのときにした。元日の朝一番に、誰と何をするより先に、出かけようという約束。
「大丈夫?」
すっかり全部話がまとまった後になってユウくんは聞く。
「アヅ、移動で疲れてるでしょ。もっと遅くていいんだよ」
「いい、5時」
「まだ暗いよ?」
 ユウくんは時々、変なところで煮え切らない。
「知ってる」
 視線だけを向けて言うとユウくんは観念したらしく、じゃあアラームセットするね。とスマホを手に取った。
 ユウくんの部屋は家具としては勉強机と、窓の脇にぴったり寄せたベッドと本棚がふたつしかない居心地の良さそうな部屋だった。けれどその本棚が俺の身長ほどあり、本はそれぞれ2段ずつしか収められておらずほかの段にはさまざまなものが置かれている。トロフィーや賞状なんかは別の部屋に置いてあるのか姿はなく、大部分は何の役に立つとも知れないがらくた同然の品々だった。なぜか古びた羅針盤、アンモナイトや三葉虫の化石(フェイクかもしれない)、RPGに出てきそうな剣に龍が巻きついているキーホルダー、象牙や石英やサンゴを加工したアクセサリー、ガラスの香水瓶、三角プリズム、チェスの盤と駒、そしてスワロフスキーなどの凝った装飾を施されたヘッドフォンとイヤフォン。まだまだあったが、どれもユウくんらしい趣味のもので俺の部屋にはないものばかりだった。俺がクリスマスに贈ったTiffanyのブレスレットは箱と一緒に一番上の段へ置かれていた。
 海外遠征に出るたびに集めるのだろうか。これらとりとめのない収集品のひとつひとつに、ユウくんの嗜好だとか経てきた時間にまつわる何らかの記憶のかけ��が閉じ込められているのか、と俺はため息をつくような気持ちで考えた。この部屋をなんとなく居心地よく感じるのは、ユウくんが短いけれど分厚い時間を一緒に過ごしてきたこれらのものが含む記憶のふくらみのせいなのかも知れなかった。
 灯りを落とした部屋で、気がつくとユウくん目を開けて俺をじっと見下ろしていた。すこし面白がっているような顔つきになっているのはユウくんの目に、布団の上でまんじりともせずいる俺もまた収集品のひとつのように映っているからだろうか。やがてその表情も失われ、ユウくんはゆっくり目を閉じた。彼の瞳にいたずらっ子のような表情が一瞬ちらりとまたたいたのが俺は気に入って、もう一度それを見たいと待ち続けたけれど、それきりユウくんは目を開かない。呼吸のリズムがいつのまにか寝息のそれに変わっていた。
 4時すぎに目が覚めた。アラームが鳴るまでうとうとして、ユウくんと一緒に着替えて顔を洗った。真っ暗だ。
 何も咎められることをしているわけじゃないのに、なぜかどきどきした。
 玄関へ向かうとき、ユウくんの両親の寝室のまえを通る。俺は息をひそめ、床がきしまないようにゆっくりと、最大限の注意を払って一歩ずつ歩いた。
 玄関には、活けたばかりの水仙の香りが漂っていた。消臭剤じゃなくて生花ってあたりに俺の家との違いを感じる。お正月の冷たいかおり。
 なるべく音をたてないようにドアをしめた瞬間、何か取り返しのつかない悪いことをしてしまったような気持ちになった。眠っているユウくんの父さんと母さんのもとからユウくんを連れ去って、悪いことをさせるような気持ち。
 おもては寒く、まだ月も星も見えた。ユウくんはエレベーターの中で俺の手を握り、そのまま自分のダウンジャケットのポケットに入れた。
俺は空いている方の手でニットビーニーを少し下げた。今までで一番ユウくんを親しい人として感じた。
 道は海の底みたいにしんとしている。玄関灯に照らされて、どの
家にもしめ飾りが飾られていた。
「しずかだね」
ユウくんが言うので俺は頷いて「さむいね」と空を見上げる。ずっと手を繋いでいた。
  3時だとまだ、カウントダウンを終えて帰ってくる人がいる。6時だと早起きの老人が元朝参りへ繰り出し始める。5時の住宅街はまだ眠っていて、息を吸うと鼻と口の周りに冷たい空気が集中した。まだ誰も吸っていない新しい冷気だ。
 車のいない道路をいくつか渡って、古めかしいというか単に古い岩造りの鳥居の下にたどり着いた。鳥居の右も左も民家。道路を挟んで向かい側にはシャッターを下ろした商店。有名でも何でもない、ユウくんが子どもの頃に友達と初詣に行った神社を希望したのは俺だった。
 それでも神社だけあって、てっぺんの見えない石段を登る。石段の両側には赤松や杉が生い茂って石段をトンネルのように覆っていた。
「S市は初売りが有名なんだよ。他の地域に比べて福袋の中身が超豪華なんだって。2日の朝からだけど、みんな今日の夜とかから並び始める」
「行ったことあるの?」
 ヤッケを着て長靴を履いたじいさんが階段を降りてくる。うちの地元で見るようなスタイルに少し心が和む。繋いだ手を離した。
「ない」「ないのかよ」
 石段を登り終えると社の前は小さな広場になっていて、神社の人とおぼしきばあさんが火を焚いていた。
「アヅ知ってる? 正しいお参りの作法ってさ」
「うん」
「鳥居をくぐったらしゃべっちゃいけないんだって」
「何でそれ今言うの」
「だよねえ。今思い出したよ。水で口を洗うやり方とかも見てきたんだけどさ、そもそもここ水場ないしね。昔はあったような気がしたんだけどな」
 お賽銭を入れて手をふたつ叩いて目をつぶった。閉じたまぶたが冷たい。炎の中でバチっと木がはぜる大きな音が耳の奥へ残響を残した。
  息を吸いながら目を開けると、ユウくんはまだ目を閉じて手を合わせていた。邪魔をしてはいけない気がして体がこわばる。やがてユウくんは目を開けて、うっとりと御神体に目を向けたまま少し微笑んだ。
  おみくじを引いた。特に飾りやお守りの入っていない100円のシンプルなやつ。俺は末吉、ユウくんは小吉。庭火にあたりながら神さまの言葉を読み上げていく。
「なんかふたりともショボい」
「持ってる男ふたりなのにね。ねえ末吉と小吉ってどっちがいいんだろうね?」
「末っていうくらいだから俺のがやばくね」
 スマホを取り出して検索窓に「末吉 小吉」と打ち込む。ユウくんは覗き込むように俺にもたれ、スマホと俺のおみくじを見比べていた。
「あらそいごと、あぶないです、全力を尽くしましょう。転居。取り返しのつかないことになります。注意しましょう。お産。安産です。アヅもう出産するしかないんじゃない、これ」
「はー? あ、やっぱ末吉のがヤバイって。その下、すぐ凶じゃん。凶なんてそうそう入ってないだろうからどっちみち俺らヤバい���。つか俺‘学問 茨の道である’とか知ってるっつーの。ユウくんの…しせもの」「うせもの」「うせもの。‘でない’とか見も蓋もなくね」
「失くさなきゃいいってことでしょ。それより恋愛、俺‘一途な思いが愛を深める  行動で示せ’…行動かあー。行動って難しいよね。俺ジュニアの頃から結構気合い入ったストーカーの人いるんだけどさ、あの人だってあれで俺への何かを示してるつもりなんでしょ」
「何それめっちゃヘビーな話」
「話さなかったっけ」
「ストーカーいるのは知ってたけどそんな前からだとは思わんかった。ていうかいいの、タクシーとかで来た方がよかったんじゃねえの」
「ううん、さすがに正月はあっちも休みたいのか、海外に行ったままだと思ってるのか来ないんだよね」
  木を燃やしているとき独特の煙のかおり。ユウくんがぐいぐいと俺にもたれてくるので、お互いのダウンジャケットがこすれあって軽薄な音をたてる。「なんかされない?」「へーき。さすがにカナダに住むわけにいかないのかあっちにいる時も四六時中張ってるわけじゃないし、大会とかのときはSPつけるし。アヅも気をつけなよ、これからどんどん人気出てくるんだから。ていうか何の話だよ。行動で示せってって話だよね。今年俺めっちゃ示すために行動するわ。何してほしい?」「肩が重いから自力で立ってほしい」「うわ塩っ。でもほんと、基本は自分で考えて行動するけど、してほしいことあったらいつでも言ってよ」
 ユウくんが俺の顔を覗き込むので、そのつるりとした頰が間近にやってきた。骨の上に薄い皮膚が張っていて女の子みたいに白い。
  俺のおみくじ。‘恋愛 心落ち着ければ吉’。神さまは簡単に言ってくれる。落ち着いてできる恋愛なんてそもそもしない方がいい。
 行動ねー、とユウくんは繰り返した。白い息が泡みたいに消えていく。俺は丁寧におみくじを畳んで財布に入れた。
 帰り道、国道から一本入ったコンビニで温かい烏龍茶を買った。お正月の早朝のセブンイレブンはそこそこ静かだ。客は眠そうな顔をした若い男女の集団と、親密そうな若い女の子ふたり、そして俺たちだった。
「初めてだね」
 外のベンチに座るとユウくんが言った。
「え?」
 ユウくんは深く腰掛けて背筋を伸ばしている。俺は浅く腰掛けるのが癖だ。膝が前に出て、ちょっとだらしない具合になる。
「会うの、今年はじめて」
  ホットレモンに口をつけて言う。小さな飲み口から湯気が立ち上って消えていく。
「……そだね」
  俺は息をついてもうひとつ脱力した。コンビニ前の適当な空気が落ち着く。空にはまだ暗さが満ちていた。真夜中の高速を走っている時の抵抗感のあるぬるぬるした闇じゃなくて、頰をさらさらと撫でる細かな粒子の闇だ。
「おめでと」
 俺が言い、
「今年もよろしく」
と、ユウくんが言った。
 ユウくんがトイレ、というのでもう一度コンビニに入った。ユウくん
が思い出して年賀状を会計している間、俺はユウくんの横に立ってガムとか小さなぬいぐるみとか、食玩とかミニカーなんかが並んでいる即席の棚を眺める。
「あ、プー」
 それは柔らかいプラスチックでできたくまのプーのコインケースだった。顔の裏側に垂直な切れ込みが入っている。俺の手のひらの半分くらいの大きさ。手にとった顔だけのくまのプーは首からかけられるようにひもが付いている。
「買ってあげようか」
 ユウくんが言った。
「え、いいよ」
 俺が言うより早く、ユウくんはそれを掴んでレジに出していた。
 帰り道、俺はそれを首にかけて小銭を入れてみた。歩くたびに小銭がかすかに音をたてる。俺の姿を見てユウくんが少し驚いていた。
「無理やり買っといてなんだけど、意外。アヅが身につけてくれると思わなかった」
 俺も同感だった。ここまでファンシーでなくても、キャラものをあえて身につけてファッションをハズす奴はいる。けど俺はそういうのはあまり好きじゃなかった。人のリアクション待ちのようにも感じるしそんなもので目をひくのはすごくダサい気がするから。
 自分でも驚いたのだけれど、俺はこのプレゼントがすごく嬉しかった。すごくすごく嬉しくて、ばかばかしいくらい胸にしみて、俺はこんなにひとりぼっちだったのかって思った。
 そっとドアを開けると、家はまだ眠りの中だった。俺たちは部屋に戻り、部屋着に着替えてもう一度ベッドにもぐる。正確にはユウくんはベッドに、俺は床にしいた布団に。
「母さんも父さんもココの出身なんだけどさ、なんでかお雑煮は関西風なんだよね。元日はいつもそれ」
「関西風ってどんなの」
「餅が丸くて汁が白い。ばあちゃんちで食べるのは普通のさ、いや普通って言ったら変だけど、いわゆる関東風のすまし汁みたいなやつで。俺、言われるまでふたつが同じ‘お雑煮’だって知らなかったよ。うちが関西風なのはただの母さんの好みらしいけど。アヅんちは?」
「たぶんユウくんのばあちゃんちのパターン」
「だよねえ。まあ、とりあえず食べてみてよ」
 眠る前にキスがしたいなと思っていると「やっぱり一緒に寝る」とユウくんはベッドからずるりと体を落として俺の隣に潜り込んだ。そしてむく犬みたいに俺の腹に額を押し付けた態勢に落ち着く。俺の頰を撫でていったユウくんの柔らかい髪は外のかおりを残していた。俺は自分が懸命に無表情を取り繕いながら、実はややもすると埒をこえてごぼりと外へ溢れ出してしまいそうになる気持ちを押し殺そうと必死になっていることに気づいた。それが寂しさであることをユウくんは知らない。俺以外に誰も知らない。
  ユウくんは俺よりずっと大きいけれど小さいペットみたいな振る舞いをする。身のうちに飼っているうちにどんどん情がうつるような。餌をやり忘れてるんじゃないか、ときどき不安になる。餌をやり水をやり、ユウくんが満足そうにごろごろ喉を鳴らし始めると、俺は彼の柔らかな髪だとか張り詰めた背なんかを撫でてやる。ユウくんが安心してゆく一方で俺はどんどん不安になって、寂しさがぱりぱりと耳の奥でひび割れていく。
「ねえアヅ」
   ユウくんが俺の腹に頭をぐりぐりと押し付けてくる。
「神社で何お願いしたの」
「…俺もユウくんもケガしませんように」
「うわめっちゃ現実的。夢がない」
「いやすごく大事でしょ。全然、一番大事」
「そりゃそうだけど。俺はアヅが俺のことめちゃめちゃ好きになってくれますようにってずっとお願いしてたよ」
  ユウくんはペットみたいに振る舞うし時々年齢より幼く見えるけど、一方で期待というものを何ひとつ持っていないように見える。最初からきれいさっぱり。
  普段は可愛く見られるような仕草を意識してやっているくせにそんなところは全然可愛くなくて、そういうところを見ると不安になるばかりの俺の心は少し凪ぐ。
  それから、俺が何も言わなくても言葉を催促しないところも。
「俺を幸せにできたのはスケートとアヅだけ。俺を悲しくできるのもスケートとアヅだけだよ、」ユウくんは言葉を探すように少し黙る。「そりゃ、スケートはひとりでできるものじゃないから家族とかコーチとかサポートしてくれる人含めてのスケート、だけど」
 ユウくんはもぞもぞと上体を起こして俺を見下ろす。こめかみのかさぶたに指がそっと触れた。
「アヅ疲れたでしょ。人見知りなのにうちの親とたくさん喋ってくれてありがと。親に俺のカッコいいアヅを紹介できてよかった。改札で見たときすごく心細そうで、悪いことしたなって思ったんだ。年越ししようって無理やり誘ったし。でも俺アヅのこと大好きだからさ、連れてきたかったし、これからもそうするよ。ねえ。だから約束しよ」
  何に、という言葉すらなかった。ユウくんが俺の瞳の中を覗き込んでいる。その目はピカピカと光っていて、本物のけもののようだった。何月何日に、とか、何時にどこで、とか決めなくても、約束はできるのだ。ユウくんに会って俺はそんなことを初めて知った。
  ユウくんの母さんが作ってくれたお雑煮を食べてテレビを見た。ユウくんの箸づかいはとてもキレイだ。それを見ながら慣れない中指を使って箸を駆使し餅を拾ってみる。ユウくんの父さんがお年玉を渡してきてすごく困った。どう言ったら気を悪くさせないで断れるかを考えていると「君がプロのスノーボーダーなのは知っているけれど、私にとって君はユウの友達の高校生だから」と言ってユウくんの父さんは俺の手をとってポチ袋を握らせた。お礼を言うとユウくんが嬉しそうに俺の肩を抱いた。穏やかで暖かいこの家の空気が少し体に馴染んだ気がする。
「アヅはスケボーも上手いんだよ。小4からスポンサーついてるから、メディアにも全然物怖じしないしすごいかっこいいんだ」「いや前の大会のとき全然喋れてなかったじゃん」「えっ喋ってたよ。すごく落ち着いてた」「帰国後の会見で、報奨金どうしますかーって聞かれたとき俺とスバルくんが貯金っすねーへへっとかまだ決めてないっすとか言った後に超ハッキリ‘僕は全額寄付します’ってユウくんが言って、あとで仲間に俺すんごいいじられたし。俺ら超馬鹿っぽいって」「いやあれはほら、まあ、アヅは疲れてたし仕方ないよ」「何そのフォローになってないフォロー」「エックスゲームスの賞金のほうが高いんでしょ? 俺あれ聞いて、ああ俺の世界大会の重さとこの人たちのは違うんだなって思ったもん。何か、色んな世界とか考え方があるんだなって思った」
  ユウくんはにっこり笑った。薄い唇の間に少しだけ歯がのぞき、それは結構キュートな笑顔だった。ユウくんの父さんも同じ笑い方をしていて、それはとても似ていた。
   そういえば昔の写真を見ると俺と兄は同じ顔をしていたけど、去年くらいからはっきりと違う顔になってきた。あるものを選ぶ、あるいは選ばされるというのは別のものを選ばないということで、俺たちはそうした大小無数のむごく切ない分岐点の連なりから成り立っている。そのうちのひとつが痛切な悔恨だとかそういったものとともに想起されて、その分岐から以後の‘全てのちがい’が生じたのだとあるとき突然思い込む。でもきっと、それは生まれた時から決まっている。
 ぎゅうと締め付けられる胸を抑えると、なぜだか笑みがこぼれた。決まっているから、だからそんなことは悲しんだって詮無いことだ。その代わりに俺はおみくじだとかプーの財布だとか、そんな小さなものを積み重ねる。
 甘やかな餅が咀嚼され喉奥に追いやられていく。ユウくんが優雅な仕草で黒豆を取り分けてくれるのを見て、いつか兄に会わせたいな、と思った。
0 notes
i-my-me · 4 years
Text
3回無視される女
一柳 みちる(攻め)
二階堂 幸司(受け)
志水 絵梨(みちるのセフレ)
岸田 亨(みちるの後輩)
 見ると狂う動画があるんですよ。
VHSで、や。誰かがUSBにデータ落としたのが出回ってるんで今はVHSじゃないンスけど。てか昔VHSのことみんなビデオビデオっていってましたよねエ。それが今じゃVHSVHSって言ってて訳わかんなくないすか? 何の略だよみたいな。え? ビデオ・ホーム・システムっていうんだ。へー、先輩物知りっすね。
  で。内容なんですけど。よくわかんねえですよ。視聴者投稿心霊ビデオ。カッコ、ガセ、カッコ閉じ。みたいな。
ビデオカメラで心霊スポットっぽい廃墟を撮ってるんです。撮影者は男で、ほかに男二人、女二人がちらちら写ってて。みんなでワーワーキャーキャーみたいな。軽いノリの心霊スポットめぐりを動画に撮りましたーって感じ。そんで、もともとホテルの廃墟らしいんですけど地下があって。動画の最後に地下いくんですけど、そこに女が立ってるんです。別にヘンな女じゃないんです。白い服に長い黒髪、って感じじゃなくて、普通の服装の、普通の髪型の、女。黄色のワンピースに、茶髪らしいっす。フツーでしょ。ソイツが中心に立ってて、でも誰も気づかないんですよね。一人の女が、黄色いワンピースの女にぶつかるんですよ。どっちの女もぶつかった感じで体が跳ねるんですけど、ふたりとも反応しない。確かにぶつかった様子が写ってるのに、女はぶつかってないみたいな素振りなんです。そんでみんな「なんにもないねー」みたいな。「帰ろっかー」みたいなね。
 で、みんなぞろぞろ帰ってく。撮影者が階段に背向けて撮ってるらしくて、四人ともカメラのほうに向かって歩いてきて左右にフェードアウトしてく。んで、残ったのは件の「見えない女」だけなんですけど、その女が歩いてくるんですよ、さっきのやつらと同じく。でもほかと違うのが、階段に向かって歩いてくるってよりもカメラに向かって歩いてくる感じでまっすぐこっちにくる。どんどんどんどん近づいてきて、ちょっと背伸びしてカメラに顔を近づけてきたんです。そんで云うんですって。
「無視したの2回目だよ。3回目はないから」
  後ろから他の男の「オイー。帰んぞー」って声がして。女がすっと階段のほうに歩いてく。撮影してる男も振り返って階段上る。その間、前を歩いてる女の白いパンプスが写ってるんですって。でもやっぱり誰も何も言わない。
 そのまま雑談しつつ車に乗り込むんですけど、黄色いワンピースの女も当然のように車にいるんです。当然のように他のやつ等は無視し続けてる。いないみたいに。
 そんで暫く走ってたら、黄色い女が「酔ったア」っていうんです。車にって意味だと思うんですけど。でもみんな反応しないじゃないですか、女は「酔った酔った酔った! ねえ! とめてよ!」ってでかい声で言う。でもみんな無視してケータイ弄ったりしてる。
んで、ひとりの男が言うんです、「このまま飛ばしてカラオケで朝明かしちゃおうぜ」って。
みんな「おっいいねー」みたいな。撮影者は助手席に乗ってて、カメラを前に向けてたんですけど、「いいねいいね」みたいなこといいながら振り返って後部座席を写す。
そしたらその黄色いワンピースの女が、待ってたみたいに身を乗り出してて、カメラ掴んで引き寄せながら叫ぶんスよ、すごい形相なんすよ。
「三回目はないって言ったよね!!」
 それで、急に映像が終わるって言う。
 「訳わかんないっすよね。でもこれ見ると狂うっていう」
「へえ。で、お前それ見たの?」
「せんぱ~い。おれ狂ってるように見えますウ?」
「お前はいっつもおかしいよ」
 みちるがそういうと、後輩の岸田はケラケラ笑った。お願い事があるという話で、わざわざ仕事終わり、真っ直ぐ待ち合わせ場所に来たのだが、一向に相談事とやらを言い出す様子はなく、唐突に怪談話を始めたのだから呆れる。会って開口一番に「相談に乗ってもらうんだから奢りますよ」といって入った店も、安価なドーナツ屋だった。舐められているのだといわれればそうなのだが、この男はすべての人間平等にこのような振る舞いをするので、付き合うならいちいち怒るほうが疲れる。
「用事あるっていうから来たんだよ。怪談話に付き合わされるンなら帰る」
カップの縁に付いた飲み跡を親指の腹で拭いながら話を促す。
「雑談して空気を和らげようと思って、」
「疲れてんだよ。ていうかそんな気ィ遣いながらされる頼みごとなんて禄なもんじゃねえだろ。さっさと断ってやるから云え」
 岸田は相変わらず軽佻な笑みを浮かべて、口を無理に動かすような仕草をした。それから何事もないように笑う。
「先輩、相も変わらず欲しがりさんですね」
「帰る」
「わー! すみませんすみません。先輩しかももう頼めるひといないんです! 助けて下さい」
 立ち上がろうと机に手を突いたみちるの手首を掴んで、岸田は哀願した。上目に視線を遣して許しを請うように頭を下げる。あげた腰を椅子に下ろすと手首は開放され、岸田も幾分かは真面目な顔になって椅子に座りなおした。
「うちの大学にもオカ研あるじゃないスか」
「ああ。うん」
「あすこにいる一年のヒラサカってヤツが、あるビデオを探してるってネットで滅茶苦茶呼びかけてるんすよ。しかも賞金付き」
 そういうと岸田はスマホを取り出してSNSを開いて見せてくる。比良坂というアカウントのプロフィール欄には、大学名とオカルト研究会所属であるという簡素な自己紹介のみだった。下の投稿文を見てみると、
 『三回無視する動画のデータをお持ちの方はリプかDMください。お礼金出します』
『見ると呪われる動画のデータはリプかDMください。お礼金5万出します』
『心霊スポットめぐりしている動画でそれを見ると呪われると噂の動画のデータをお持ちの方連絡ください。お礼金10万出します』
『黄色のワンピース 茶髪 三回無視 女 見ると呪われる 動画データ20万買取』
  という内容が羅列している。お礼金とやらは、投稿されるたびにどんどん値上がりして行き、直近の投稿では、50万にまで跳ね上がっている。20万付近になると反応も増えているが、投稿が絶えないところ見ると、いまだ求めているデータを手に入れられていないようだった。
日付をみるとここ最近投稿されたものばかりだが、何せ投稿量が多い。何気なくそれらを下にスクロールしていくと、岸田がアッと声を上げてそれを止めた。
「それで、ここです。ここ」
 示されたところを読む。
 『データや情報を頂けるのは有り難いですが、ガセネタやニセデータであることが多いです。中にはそれっぽく撮った動画を送ってくる人もいます。出来の悪い動画に払うお金はありませんが、完成度の高い再現動画であれば、そのデータの購入も検討します。最大で30万払います』
 「ね、スゴイでしょ」
「狂ってンな」
 みちるは淡白に云った。少なくともみちるには、ただのデータにぽんと30万だの50万だの出せる金はない。金銭感覚の乖離も相まって、比良坂という人物の狂気ぶりが浮き彫りになっている。所詮金持ちの道楽……というには切羽詰った印象を受けるが、それにしても正気の沙汰ではない。放っておけば、礼金の額も百万くらいに伸びそうだ。
「これね、リンク先にいくとホームページに飛ぶんです。ンで、おれがさっき先輩に教えてあげた話はここに載ってるわけっすね。この内容に沿った、完成度の高い動画は30万で買い取ってくれると」
「ああ」
 岸田が何をしたいのか判ったみちるは、聊か低くなった声で唸る様に相槌を打った。
「つまりお前はこれの再現動画撮って30万稼ごうって魂胆ね」
「話が早い!」
「俺に協力しろと」
「その通り!」
「断る」
「何でエ?!」
 まだ夜というには明るい時間とはいえ、薄暗く、店内も落ち着いて静かな空間となりつつある中で、岸田の絶叫はひときわ目立って響き渡った。みちるは足を蹴って黙らせる。
「んな禄でもねえこと当てにしないで真っ当に稼げ。バイトのシフト増やせよ」
「先輩がそれいうンすか?! おっさんに抱かれて金稼いでる先輩がっ?」
「声がでけえ」
 店内が静けさを増したのを感じて岸田の足を二度蹴った。二回目の蹴りは脛にあたり、岸田は顔を臥せって悶絶している。
「すみません、コーヒーもう一杯お願いします」
飲み干したカップにコーヒーを淹れてもらいながら、岸田が回復するのを待つ。店員が厨房に戻るのを待ってから口を開いた。
「俺がおっさんにケツ売ってんのとお前のは違うだろうが」
「どこがスか。寧ろ倫理的にヤベーのは先輩の方っしょ」
「お前が倫理を語るな。明らかに怪しいだろ。あるかも判らん動画に50万だの30万だの出すとか。旨いだけの話があるか」
「金で男子大生抱くおっさんのどこが怪しくないんですか!」
「俺の話はもういいだろ。うるさいな」
 岸田は不服そうな顔で居たが、やがてせわしない様子で膝を揺らし始める。トントンと踵が床を叩く音が聞こえる。
「お前そんなに金入用なの?」
「あー……まあ。」
 気まずそうにうなずいたあと、岸田は微笑んで右手を上げ、ドアノブを捻る様に手を動かした。
「パチンコ嵌っちゃって」
「バカ、死ね」
「ほんとやばいっす。親の仕送り使い込んででも我慢できなくて友だちにも借金したんスよ。でもこういうときに限って勝てないンだよなあのクソ台がよ、絶対遠隔操作だよヤクザ商売が……や、でもマジで学校とか親にも云うとか云われちゃってそれだけは勘弁じゃないすか! 今すぐ金ほしいんです。足洗うためにも兎に角三十万! 頼みますよ。金借りてるからダチには頼みづらくて」
 両手をすり合わせて、殆ど泣くような格好で岸田は頼み込んでくる。みちるは喉につっかえていたため息をまるまる吐き出してから黙ってコーヒーを飲んだ。
「前に教えてやった時、向いてないから止めるって云ってただろ」
「でも先輩あン時大勝ちしてたじゃないスか! んで運だとかいうからおれにも運が来たらあんくらいは行けッかなって。あれくらい当てたらやめようって思ってたのに!」
「お前本当向いてねえな……」
 うるさいっすよお、と岸田はとうとう泣いてしまった。たかが三十万されど三十万、学生にとってははるか頭上の大金だろう。岸田もそれなりのバイトと親の仕送りで生活できていたそこそこ裕福な類の学生であったろうが、こういう目に遭えばあっさり沈んでしまうものである。その沼に突き落としたのは自分でもある、と思えば口の中も苦くなるというものだ。
「わかったよ」
「え。」
「その胡散臭い動画づくり手伝ってやるよ。ただしその比良坂とか云う奴がインチキ野郎でも俺を恨むなよ」
「大丈夫っす、そん時は比良坂を恨みます!」
 真っ直ぐな正論だった。
「ンで、俺は何すりゃいいの」
「動画に出てくれればいいです。画質悪いビデオカメラ用意して撮るんで顔はそんな見えないと思うけど、イヤなら撮影者の男役でもいいですよ。あと男ひとり、女ひとり声かけてくれないですか。女の子ふたりはこっちで協力してくれる子いるんですけど、それ以外はいなくて」
「お前マジで友だちいねえな」
「先輩よりはいますけどねー。ま。いま大体の奴に金借りたり、金せびられるから遊ぶなって注意喚起回ってるみたいで。セフレと元カノのふたりしか捕まんなかったです」
「嫌なメンツだなあ」
「ふたりとも友だちで仲良いンで無問題ですよ」
「もっと嫌だよ」
 みちるの言葉が聞こえないのか、岸田は機嫌よくメッセージアプリを開きながらなにやら操作している。と思っているとテーブルのスマホが震えて、グループに招待されている通知が来た。
「この件は今度からこれで連絡取りましょう。あ、女の子はフリーの子がいいなー。彼女ほしいんで、俺。足洗うにはやっぱ彼女っていうストッパーが必要ですよねー」
 ウフフ。と笑う岸田は、メンツを余程地獄の様相にしたいらしい。
「俺とお前穴兄弟になるけどイイのか、それは」
「俺といい感じになったあと、先輩と浮気しないんならオッケーですよ。女の過去とか気にしない性質なんで。つかやっぱ先輩女関係乱れてますね」
 お前ほどではない、と否定しようと思ったが、傍から見たらどんぐりの背比べなのでやめた。フリーで、岸田と(いい意味で)相性がよさそうな知り合いを選んでメッセージと岸田の写真を送る。バイトでもしているのか、すぐに既読は付かなかった。スマホを置いて岸田に向き直る。
「メンツは判った。でも勝算あるの? お前映画監督でも動画撮った事もないんだろ。比良坂ってのはそういうオカルト系の舌は肥えてんだろうから、ただ撮るだけじゃ跳ねッ返されると思うんだが」
「あー。大丈夫ッす。賞賛はありますよ」
 岸田は得意げな表情で、再びホームページを開いた。動画の説明と思われる、怪談話をスクロールしていくと下に画像が二枚貼られていた。遠目からみれば白黒写真にも見えるが、スケッチのようである。
「これ、動画で写る廃墟の様子らしいんですけどね。こっちが玄関、これが階段下りてすぐの地下。ここの真ん中に女が立ってるっていうんですけどね。」
 言葉を一旦区切り、眼を弓なりに細めながら、岸田は笑った。
「ここ。おれの地元にある心霊スポットとそっくりなんすよ。つか、多分同じ。ね。凄くないすか? ここのリプとかみても、そこの話してるやつ誰一人いないんですよ。あすこの心霊ホテル、ありきたりっつーか、そこまで有名じゃないから地元の人間でもないと知らないのかな。でもおれはこの絵みてぴんときましたよ、あ、ここだって。ここで撮ればかなり『リアル』に撮れると思うんですよ! これって勝ちじゃないすか?」
 余程自信があるようだ。
「ふうん。ホントなら確かに凄いけど、なんだって平良坂って奴はそこまで詳しく知っててデータ欲しいんだろうな」
「見たことあるけど、データ手元にないってことはよくあることでしょ。曰く付きの動画って、そういう界隈じゃ高く売買されたりしてンじゃないですか? 三十万、五十万出してもヨユーで元取れるような。……マ。ただのオカルト狂いかもしれないけど。でもそんなことどーでもいいじゃないですか? とりあえずおれはこれに賭けたいんで。お願いします!」
「あー、うん。わかったわかった。いつやんの?」
「揃い次第ですかねー。こっちは三人オールオッケーなんで、明日にでもいけますよ」
 スマホが震える。さっきのグループチャットに件の女ふたりが参加したようだ。
「じゃあこっちの予定決まったら連絡するよ」
「お願いします。マジ、俺らは一時間後集合ってなっても即行けるンで。よろしくです」
 そういって岸田は、冷え切ったコーヒーを一気に飲み干すと立ち上がった。
「すみません、おれこれからバイトなんで失礼します」
 岸田の言葉に被さるようにしてスマホが鳴る。先ほど声をかけた知り合いからの電話だったので、スマホを取り上げながら岸田に片手を上げる。岸田が出口に歩いていくのを眺めながら出ると、開口一番に「浮気ってどっから浮気?」と来た。
「そりゃあもう、手エ握るのも���目だよ」
『フーン。みちるに抱かれるのは浮気なわけでしょ。逆はどうよ』
「逆?」
『あたしがみちる抱くのは浮気なわけ?』
 絵梨はそういうと笑った。冗談のような口ぶりだが、それが本気で云っているというのは短い付き合いでも解る事だった。
「当たり前だろ。どういう理屈だよ」
『そっかなー。あたしのは使ってないわけよ。アンタのもね。てか気持ちよくないし。なんか犬と遊んでる気分じゃん』
「ひとを犬扱いするなって」
 似たようなもん、と笑うので、電話を切ってやろうかと思う。一度お遊びで逆をさせたのがまずかったのか、それ以来時折手癖の悪い男みたいに「ヤらせてよ」とくる。悪ふざけでもなく、この女の加虐性に火を点けてしまったあの夜を後悔し続けている。
「何回も云ってるけど、腰の振り方も分かんねえ女に抱かれる筋合いはないよ。金くれるンでもないのに」
「ま。金払ってまでみちる甚振ってもしょーがないか。岸田くんってフリーなのマジ? 可愛い顔してるけど」
「元カノと連絡とってるタイプ。セフレ一人。パチンコで大損して知り合いに借金こさえて泣いてる。ストッパーになる彼女が欲しいって。どうよ」
「いい感じ。バカなのが好きだかンね。みちるくん手放すのは惜しいけど、可愛い彼氏できんならしょうがないかな。例の動画撮影だっけ? あたし暫く空いてっからいつでも連絡してよ。そんじゃあね」
 絵梨は一方的に捲し立てると、そのまま電話を切った。いつもの事なので気にすることでもない。後ろから駅の音が聞こえていたので、電車に乗る寸前だったのだろう。みちるはスマホを仕舞うとそのまま立ち上がって出口に向かった。
 あとひとり、男が必要だが大方見当は付けている。問題は、絵梨の様に協力的ではないので、どう引っ張り出すかと云うところである。
   ****
「全然話と違うんだけど」
「ンだよ。飯食ったろ」
「それだけのつもりだった!」
「俺はそんなつもりなかったよ。お前も聞いてこなかったじゃん」
 あの日から、早い方がいいという事で次の日の夜に件の心霊ホテルとやらに向かうことにしたが、騙し討ちと云う形で引っ張り込んだ男の機嫌が思いのほか悪かったので、みちるは駅に着くまでに宥められるかどうかを考えていた。幼馴染、現・同居人の幸司は首辺りまで肌を赤くさせながら此方を覗き込んできた。
「なあ。僕は「ご飯外で食べてくるの?」って意味で聞いたんだよ。そしたら君はうんっていっただろ」
「ああ。でも俺はそのあと用事があるって意味も含めて、飯外で食ってくるって云ったんだぜ」
「まあ、それは解るよ。多少のすれ違いはね。でも、それじゃあそこで解散して良いじゃんか、なんで僕も行くんだよ」
 幸司は口に手を遣りながら云った。電車内での声量に気を付けているつもりだろうが、その配慮が意味を為しているとは云い難い。少し離れた位置にいる絵梨が声の大きさに、窺うようにこちらを見ている。
「丁度男手が足りなかったんだよ」
「ほら! 最初から騙して連れてくつもりだったんだろ」
 色の薄い眦が吊り上がるのに比例して声が跳ね上がる。腕を掴んで落ち着かせようと伸ばした手は跳ね除けられた。
「云ってお前が来るか?」
「そうじゃなくてちゃんと説明するべきだって云ってンだよ。来てほしいなら僕を納得させろよ。君はいっつも自分勝手で順序を守らないんだ。僕がそういうの一番嫌いだって知ってる癖に!」
「ねえ。喧嘩するなら一回降りようよ。二人とも声おおきいって」
 近づいてきた絵梨が耐えかねたようにそう云った。その声に幸司は驚いたように振り返って、肩より下にある絵梨を見て恥じ入った様に脣を噛む。
「ごめん」
「まーみちるが悪いと思うけど。幸司くんも付いて来たってことは本気で嫌なわけじゃないんでしょ、みちるに怒るのは当然としても後でいいんじゃない?」
 それは、と口を開いてから、幸司は諦めたように首を傾げる。幸司が本気で嫌がって怒っているというのは、みちるが一番わかっていた。彼は確かに無理やり電車に乗せられたようなものだ。然し、みちるが幸司の腕を掴んで無理やり歩かせたとか、脅して付いてこさせたというわけではないので、傍目からは幸司が進んで付いて来たようにも見えてしまう。
 要は、彼の生来からの自己犠牲を伴うお人好しな性格や、奉仕精神が形成した、彼の流されやすい性格を、みちるが十分理解した上で利用したのだ。そうすれば、自分で付いて来たんだろ、と云い包めてしまえるというのも計算済みで。
 みちるは絵梨に手で制して、車内の端、暫くは開閉されない扉の前まで幸司を引っ張る。顔を寄せて謝ると、幸司の顔からは幾分か怒りの色は抜けて、太い眉は困った様に下がっていた。
「謝ってほしい訳じゃないよ」
「解ってる。でも、本当に悪かった。こうすればお前は勝手に帰らないで付いてきてくれるっていうのも分かってやった。これからやろうとしてるのが、お前が凄く嫌がるだろうなってことも知ってた。でも本当にお前しかいなかったんだよ。急に今日に決まって頼めるやつもいないし、丁度お前が空いてるみたいだったしさ」
「良くない事だと思うよ。後輩くんを助けるのもね。自分で蒔いた種じゃないか」
「俺が教えたのが悪かったんだよ。あんな悪ハマリするような奴だって見抜けなくて連れてったんだ。種を蒔いたのがのがアイツでも、水かけて肥料ぶっかけたのは俺みたいなもんだぜ。突き放して切羽詰まったアイツが下手なところに金借りに行ってみろよ。ボヤが延焼するだろ。尻拭いにお前を付き合わせるのは本当に申し訳ないって、」
「もういいよ。僕が怒ってるのはそれだけじゃないって云うのも判ってるよね」
 顎を引いて身を起こした幸司は、そのまま扉に寄りかかって此方を見る。多分、見当違いなことをいったら次の駅で降りて行ってしまうだろう。
「騙して、ちゃんと説明しなくて、ごめん」
「うん、」
「何の為に何をするか説明してから、お前の同意を得るべきだった。せめて納得させてから出かけるべきだった。順番間違ってた」
「そ���だよね。僕も君もずっと家に居たのに、何も話さないで出がけに急に話持ち出して、騙し討ちだったもんね。めんどくさかったんだろ。出かける前にこんな問答したくないもんな」
「そうだな、そう思ってああしたよ」
 幸司は目を伏せた。睫毛の間から見える黒目が少し濡れているように見えた。
「頼むから少し誠実になってくれよ。君の性格は解ってるつもりだけど、今回みたいにわかってて不誠実な方法を取るのはいい加減やめてよ。後で揉めるのなんて判りきってるじゃないか。てきとうに扱われるみたいで、不愉快だ」
「判った」
 頷くと、幸司はようやく顏を上げて、脣の両端を引き上げた。でも目線は斜め下、肩辺りに落ちている。理解はしてくれたが、赦してはくれていないということだ。
「うん。じゃあ仲直りしよう」
 そういうと幸司はみちるの肩を掴んで引き寄せる。長い腕が背中に回って、肩に頬が乗る。筋肉で張り広くなった背を軽く撫でると、熱い身体は離れていく。
「先に絵梨さんの処戻ってて。僕はもう少し頭冷やしてからいく」
  戻ると絵梨はスマホから目を離して怪訝な顔をしていた。
「何あれ」
「もう納得してくれたから大丈夫だよ。悪かった」
「じゃなくてさ。いっつもあれやってんの? 抱きしめるやつ」
 絵梨はわざわざ両手を広げて、空気を抱きしめるような仕草をしたあと、脣を鳴らした。キスはしてないだろ、と反論してから顔を逸らす。
「いいだろ、別に」
「悪いなんて云ってねーじゃん。仲いいね」
 おもしろい玩具を見つけたような顏で絵梨が笑うので、みちるは向きなおって制した。
「頼むから幸司をいじんなよ。俺にやるみたいなやつ。アイツは俺らと違うから、いろいろ。繊細だから、マジで。頼むぜ」
「親かよ」
 深刻そうに云うみちるの言葉を、冗談だと捉えたのか絵梨が笑う。振り返って幸司が此方に意識を向けていないのを確認した後、絵梨に向きなおって顔を近づけた。
「マジで云ってんの。あのな、アイツ婚前交渉はしない主義だぜ。俺の云ってる意味わかるか?」
「はあ?」
 面を喰らった顏で絵梨は顔を突き出してきた。
「マジで?」
 小さく何回も頷くと、絵梨は思いついたように両手を合わせ、祈るような仕草をして云った。
「あー、こっち系の人?」
「違う。や、アイツのばあさんはそう。でもそれの影響で、あいつ自身は別に何も信仰してないけど、そういう道徳で生きてンの」
「あーっそ。まーそういうことなら、いつものノリでいじったらヤバいかもね、たしかに」
「理解が早くて助かるよ。弄るんなら岸田にしろ。あ、でも幸司の前ではやるなよ。泡拭いて倒れられたら困る」
 呆れたように絵梨がスマホを振ると、ストラップが揺れる。先についたウサギのマスコットが顔にあたりそうだったので、みちるは顔を引いた。
「じゃあ、アンタが身体で金稼いでンのも、あたしみたいな(幸司君からしたら)ヤベーお友だちがいるのも知らない訳か」
「まあぼんやり分かってんじゃねえの。俺の事知ってるやつはアイツに云うだろ、そんな奴とルームシェアして大丈夫? みたいな。俺と違って友だちに恵まれてるからな、アイツ。でも、まあ、寛大なんだよ。やさしいから、相容れない部分は目エ瞑ってくれてんだろ」
「へー。まあ、毎回あんたみたいな不誠実の塊がアホやるたびにあんな風に怒ってくれんならマジで良い奴だね。フツー縁切るよ」
 毎回縁切られるかな、とは思っている、とみちるは密かに覚悟している。性格を直すにも惰性が先んじて同じことになるのだが、今回は本当に危なかった。本気で幸司は怒っていたし、泣きそうになっていたので、そろそろ本気で誠実さという者を身につけなくてはいけないかもしれない。
「つかそんな箱入りの男をこんな緩い集まりに引っ張りこんでんなよ、」
至極正論だ。
「知ってんだろ、男の友だちなんて他にいねえよ」
正論に現実をぶつけると絵梨は閉口した。呆れているとも云う。
0 notes
yo4zu3 · 5 years
Text
NIGHTCALL(柴君)
 ▽
 その日の君下はすこぶる機嫌が悪かった。
 元々の鋭い目付きと無愛想な性格が相まって、だいぶ人相が良くない自覚はある。それ故に君下はクラスで浮いている存在だった。親しい友人もいなければ、用がない限り誰も彼に近づこうとしない。通常運転で既にこれだから、今日のように君下が青筋を何本も立てて座っていると、あからさまに教室の空気が何キロも重くなった。
 ーー事の発端は前日の練習後に遡る。
 すっかり日の落ちきった午後8時過ぎ。
 その日鍵当番だった君下は倉庫に備品を片付け終えて、鍵を返しに体育教官室へと向かった。ノックをして「失礼します」と声をかけると、白く烟った教官室の奥から「君下、ちょっと」と顧問である中澤の声がした。グラウンドの脇にある小さなプレハブで、ほとんど体育教師たちの喫煙所と化しているそこは、普段ならば生徒が立ち入ることは許されていない。君下は初めて足を踏み入れる場所に少しドキドキしながら、「ッス」と小さく返して扉を閉めた。
「おう。どうだ、新しいポジションは」
 ぎい、と椅子が鳴り、パーテーションの向こうに背伸びをした中澤の頭が見えた。いつ見てもとっ散らかった黒髪にいくらか白いものが混じり、疲労が滲み出ているようだった。
「まあ、ぼちぼちです」
「そうか」
 二人の間でゆらゆらと紫煙が燻っている。中澤は咥え煙草のまま、無言で何か言いたげな目を向けていた。そうして暫くの沈黙が続くと、ようやく君下は腹の底で蟠っていた疑問を口にした。
「でもなんで、俺がフォワードなんすか」
 数時間前、中澤は部活前の君下を呼び止めて、ポジション変更を告げていた。入学して以来ずっとトップ下を守ってきた君下に、センターフォワードに入れと言ったのだ。
 このチームでプレイして半年は過ぎたが、君下には中澤の考えがいまいち分からないままだった。そもそも君下を聖蹟に引っ張ってきたのは他でもない中澤であったが、たかが中学生にエースナンバーをくれてやると約束したこともまた、腑に落ちないことだった。とはいえ当時の君下は、自分の力を過信していたきらいがあった。それに加え貰えるものはありがたく貰う主義なので(俗に言う貧乏性というやつだ)、返すつもりもなかったのだが。
「お前ならできると思ったからだ」
「はぁ」
「まあまだ初日だ。明日も同じ形でいくから、焦らずやってみろ」
 中澤は深くヤニを吸うと、ゆっくりとした動きで目を伏せて灰を落とす。それからもう一度まっすぐ君下と向き合った。
「それと大柴のことなんだが」
 その名前を耳にして、君下の顔がぴく、と引き攣った。なんとなく、こちらが話の本題なのだろうと思った。中澤もそれに気づいたようで、言葉を区切ると片眉を僅かに上げた。
「なんだ、なにか聞いていたか?」
「いや、なにも」
「そうか」
「で、何なんすか」
「一週間ほど休むそうだ」
「……は?」
 君下はぽかんと口を開けながら、なるほど合点がいった。
 君下がいきなりフォワードにコンバートされたのは、正規のフォワードである大柴が何かしらの理由でポジションを外れたから。大柴がいない理由などそんなことはどうでもいいが、問題はなぜパサーである君下がそこに入るのかということだ。
 選手層の厚いこの学校にはフォワードをやるものはいくらでもいる。それに君下がトップ下を離れるのならば、ふたたび開いたその穴には一体誰が入るというのだろう。
 君下の賢い頭脳は一瞬にしていくつもの疑問が浮かべたが、そのどれもが意味のないことのように思えた。中澤の光のない瞳がじっとこちらを伺っている。監督には何か���えがあるのかもしれなかった。
「……ポジション交代はその一週間だけっすよね」
「いや、それはわからん」
「おいおい、俺は嫌ですよフォワードなんて」
 よりによって、あいつの代わりだなんて。
 そう言い返すのも憚られた。そのぐらい、君下は大柴喜一という男が気に食わなかった。
 蘇る中学都選抜時代の記憶。同じチームにいながら味方同士で競い合うようにボールを奪っていたあの頃。たしかに君下は、最初からパサーをしていたわけではない。むしろ今の大柴のように、自分で積極的にゴールを狙うようなプレイスタイルだった。頭も切れて自分で点を取れる。それ故に中学選抜でついたあだ名は「悪童」であり、おそらく中澤もそれを知っているのだろう。そうでなければこの指示には疑問点があまりに多い。
 いつのまにか握った拳に汗をかいていた。君下が目の前の男を睨むように立っていると、煙草の火を消した手でぽん、と肩を叩かれる。力強いが、それでいてやさしい手つきだった。
「君下。賢いのは随分だが、そうあまり深く考えるな。俺はこのチームのありとあらゆる可能性を試したいだけだ」
「……」
「やるだけやってみろ。ただ、チームが今のままでは勝てる試合も勝てん。そのぐらい、ピッチに立っているお前なら分かってるだろ」
「ッ……クソが」
 君下は昨日のことを思い出して、小さく舌打ちを零した。
 結局何も言い返すことができなかった。中澤の突拍子も無い提案はともあれ、言っていることはあながち間違いではなかったからだ。
 七月、夏のインターハイは予選決勝で敗退した。
 一年生である君下にとって高校最初の大舞台だった。敗因はオフェンス陣が思うように点が取れなかったことと、チームの司令塔である君下との連携がほとんど機能しなかったことだった。
 苦汁を舐めることは二度としたくなかった。あんな無様に敗けるのは御免だった。中学時代の大敗を教訓にしてきたつもりだったが、その結果がこれだった。
 勝てない。
 だ��ら君下は的を絞るために、チームの頭脳であり心臓であるパサーに徹することにした。たとえ自分の得点を捨ててでも。
 だがそれでも勝てなかったら、あの努力の日々には一体何の意味があるのだろう。
「おーい君下、寝てんの?」
 唐突に声がして、背後から肩を叩かれ君下はハッとした。そこでようやく自分がぼんやりとしていたことに気がついた。
「うぉ、何だよ」
「何だよじゃねーよ、さっきから何回も呼んでるんだけど」
「悪い……」
 君下に声をかけたのは鈴木だった。同じサッカー部の一年で、レギュラーではないがそこそこ上手い経験者。地味だが人好きする性格で、部内でも浮き気味の君下に気軽に声をかけてくるような男だった。
「どうした、寝れてないのか? すごい顔してるぞ」
「うるせぇこれは元からだ」
「それは否定しないけど、今日は特にひどいぜ。乾燥した日のグラウンドみたいな顔色してる」
「お前わりと失礼だな……」
 あまりにもじっと見つめられるので、君下はなんだか気恥ずかしくなってきた。目を逸らして、「何でもねぇよ」と小さく呟くと、鈴木は紙パックの牛乳を啜りながら「ならいいけどさ」と、さして興味もなさそうに教室の入り口を見ている。
「君下がいつもに増してすげー顔してるから、みんな怖がってるぜ」
 そう言われて、君下はようやく周りを見た。昼休みである今、自分の周りの席はおろか、君下の席からきっちり教室半分は人が居なかった。ドアの周辺に佇んでいる、不安げにこちらを見つめるクラスメイトの集団に気づいたところで、再び鈴木に視線を戻す。君下と鈴木を見つめるたくさんの目は、まるで檻の中にいる猛獣でも見ているかのような視線だった。
 見た目で勘違いされやすいが、君下はいわゆる不良などではなかった。根はクソがつくほどの真面目であり、寧ろ学業における成績は優秀で、入学以来ずっと学年一位をキープしている。それに加えて強豪サッカー部の特待生で奨学金を貰っている身であるから(君下の家は貧乏な父子家庭だった)、素行不良などどうしたってできるわけがなかった。
 ただ大柴と居ると、腹の奥底から湧き上がる得体の知れない感情に左右されやすくなる。あのふざけた態度と面を見ているだけで、どうにも我慢が効かなくなってしまうのだ。
 顔を合わせればどちらかがーーどちらかと言えば大柴からの方が多いがーー喧嘩を吹っかけて、その場で睨み合いや口論になる。悪ければ互いに手がでることもあるが、大抵の場合がその場に居合わせた誰かの仲裁で未遂に終わった。そう言うことがしばしば起こり、いつのまにか二人は犬猿の仲として学校中に認知されるようになったのだ。
 ▽
「あの赤アタマ、とうとうクビになったのか?」
「さぁ、知らね。ともかく1つ席が空いて良かったよな」
「ほんとそれ。ただでさえレギュラーなんて狭き門なのによ、一年が二人も居座っちゃあな」
「最初から先輩に席を譲れってんだよ」
「言えてる」
「つーか君下もだよ、なんであいつがフォワードなんだよ」
「あーあれ監督の指示だとよ。臼井が聞いたって」
「マジ? なんでよ」
「知らん」
「ついにケツでも開いたか?」
「ギャハハあり得る」
「おい! きったねぇなー、飛ばすなよ」
「だってよぉ、夏負けたの、明らかにあいつのせいだったろ?」
「な、流石の悪童もブルっちまったんじゃね?」
「あーあったな悪童とかいう大層なあだ名」
「ハッ、どこでもいいから使ってくれってか、一年坊が。調子に乗りがって」
 大柴がいない部活はいつも通りだった。
 入学早々レギュラー入りを果たした君下や大柴が、控えの上級生に陰口を叩かれているということはなんとなく想像がついた。今までだって何度も似たような経験をして、その度に結果で黙らせてきた君下だったが、こんなあからさまな陰口を偶然聞いてしまって、素直に気分がいいとは言えなかった。
 大柴の不在についてミーティングで中澤は何も言わなかったし、それについてわざわざ聞き返す者もいなかった。君下が大柴の居たポジションにコンバートされた今、大柴はドロップアウトと考えるのが妥当だった。
 君下は当然のようにフォワードの練習に混ぜられ、久しぶりにも感じるシュート練習に身を入れた。トップ下でもそれなりに蹴る機会には恵まれるが、聖蹟高校の得点数の8割以上は、伝統である三本の矢からなるフォワードの功績だった。総シュート数で考えても、圧倒的に場数が違う。
 加えてフォワードは敵ディフェンダーとのぶつかり合いになることが多い。前線でボールを保持するための身体の強さは勿論のこと、それを振り切るだけの脚力と、飛んできたボールに合わせられるジャンプ力や背の高さも必要になる。
 君下はそのどれもを持っていない。背や筋肉量といった先天的なフィジカル面も足りなければ、瞬発力だって左サイドの水樹に比べれば今ひとつだった。だから何も持たない君下が前線で勝負するためには、シュートの精度を上げる以外に道はない。
 慣れない雰囲気での練習を終え、君下は日課にしている勉強もそこそこに眠り込んでしまった。一日中気が立っていたこともあり、無意識のうちに疲労が溜まっていたらしい。夢も見ないほどぐっすりと眠り、目が覚めたのは翌朝5時だった。
「……寝すぎたな」
 ベッドの上で背伸びをして、ブランケットに包まったままカーテンの外を見る。秋の朝は遅い。空は夜を色濃く残したまま、まだ星がいくつか輝いていた。こんな時間に目が覚めたのはあの夏の試合ぶりだった。
 だが起きるのには僅かに早い時間だった。自主参加の朝練には顔を出すつもりだが、それでもあと30分は眠れるだろう。君下はゆるく瞼を閉じて、再び睡魔がやってくることを祈った。
 そうして暫くうとうととしていると、ブルッ、と枕元のスマホが振動した。震え続けるスマホに苛立ち、チッと短く舌打ちをしてもぞもぞと手繰り寄せる。
「あ?」
 あれからまだ十分も経っていなかった。当然アラームも鳴っていない。ホーム画面に残っていたのは、メッセージアプリからの通知で「バカ喜一:不在着信」の文字。
「電話……あいつが?」
 中学都選抜の付き合いで止むを得ず連絡先を交換した記憶はあるが、実際に番号を使ったことなど今まで一度もなかったはずだった。メッセージアプリって電話帳が勝手に登録されるのか? 寝ぼけた頭でそんなことを考えていると、手の中のスマホがもう一度震えだす。また「バカ喜一」からの着信だった。本当に本人なのか怪しいところだが、君下は出るかどうか迷った末、緑の通話マークに触れた。
「……おう」
『お、繋がった。そっち何時だ?』
「はあ?」
『だから、何時だって聞いてんだろ』
 電話の相手はちゃんと大柴だった。だが言われた言葉の意図がよく分からない。もしかしてかけ間違いなのか? 偉そうな口調はいつも通りなのに、随分と久しぶりに声を聞いたような気がした。
「朝5時過ぎだが」
『ア? んな早く起きてるとか、ジジイかよ』
「んだとテメェ」
 親切に教えてやった挙句に罵られ、カッと頭に血が上った君下は通話を切った。強制終了。二度とかけてくるんじゃねぇと思いながら、ブロックしようと思ったがどうにもやり方がわからなかった。覚えていたらあとで鈴木に聞こうと思った。
 へんな電話のせいですっかり目が覚めてしまった。少し早いが支度をして、まだ空が暗いうちに家を出た。その後電話がかかってくることもなければ、人の疎らな電車に揺られてぼんやりとしていると、あれだけ嫌っていた大柴から着信があったことなどすっかりと忘れてしまった。いつのまにか日が昇っている。たくさん寝たからか、昨日よりは少しマシな気分だった。
「お、昨日より元気そうだな」
 そう言われて君下が振り返ると、いつのまにか鈴木が後ろの席に座っていた。鈴木はいつものように牛乳パックのストローを噛みながら、片手であんぱんの袋を破っている。この男はたしか君下の隣のクラスだったはずだが、まるで最初から自分の席だと言わんばかりの態度で他人の席に腰掛け、口の端からパンくずをぼろぼろと零していた。
「食い方が汚ねぇ……」
「いやこれパッサパサなんだって。見ろよ、半分食ったのにまだあんこが出てこない」
「やめろ、食いかけを人に向けるな」
「絶対あんこ入ってないよな? チクショウ売店のおばちゃんに文句言ってくるわ」
 ドッコイセ、ととても高校生に似合わない掛け声とともに、鈴木はのそりと立ち上がると大きく背伸びをした。くああ、と大きく口をあけて欠伸をする鈴木に向かい、「お前こそちゃんと寝てんのか?」と問いかけると、背伸びのせいではみ出したシャツをスラックスに押し込みながら「いやーホラゲ実況見てたら寝れなくなってさ」とケシの実のついた口でぼそぼそ呟いている。
「あ、」
 唐突に声を上げた君下は、そういえばこの男に聞きたいことがあったはずだった。律儀にも椅子を元に戻した鈴木が「ん? なに?」と首を傾げていたが、やっぱり思い出すことができずに「いや、忘れたわ」とだけ返した。鈴木はしばらく不思議そうな顔をしていた。
「君下ってわりとおしゃべりだよな」
「別に、普通だろ」
「なんか色んな噂が立ってるからさ、てっきりヤバいやつかと思ってたけど。口が悪いしちょっと変だけど、思ったより親しみやすいっていうか」
「変って、どこが」
「そのインナーの信じられないほどのダサさとか」
「ハァ? 目ぇついてんのか格好良いだろうが」
「あとそのネックレス、田舎のチンピラみたい」
「お、お洒落だろ……」
「全然。てか普通に怖いからやめたほうがいいよ」
 そんな感じでああだこうだと一通り文句をつけて、鈴木は去っていった。不思議な男だった。それでも嫌な気がしないのは、陰口を言う上級生たちとは違い、この男に一切の悪気が感じられないからだろうか。
 ▽
 枕元で長い振動がして、君下は無意識のうちにスマホを手に取ったらしい。枕に顔を埋めたままそれを耳元へ当てると、ガザガザとしたノイズに混じり、男の低い声がする。
『おい、起きてるか』
「んーー……ぁんだよ、」
 喋りながら、寝起きの君下は自分が誰と話しているのかわからなかった。頭が重い。昨夜は遅くまで予習をしたから、あまり寝たような気がしなかった。そんな君下の都合など知らない男は、『なんだよ、毎朝5時に起きてるんじゃないのか』と不貞腐れている。
『寝ぼけてんのか?』
「………………っるせーんだよタワケが」
 ムニャムニャと呟いて、諦めたように薄っすらと目を開ける。ぼやけた視界が捉えたスマホの通話画面には「バカ喜一」の文字があった。ちょうど朝5時を過ぎたところで、昨日も似たような時間に電話があったことを思い出した。
「テメェ……ふざけんのも大概にしろよ。こんな朝っぱらに電話してきやがって」
『るせぇな、俺だって暇じゃないんだよ』
「つーかお前、今どこに居んだ」
『イギリス』
「ハア? テメェのほうこそ寝ぼけてんのか?」
『昨日言っただろうが』
「聞いてねぇ。 つか、イギリスがどこか知ってんのかよ」
『当然だろ、馬鹿にするな』
「馬鹿だろうが」
『ブッ殺す』
 そこでブチッと通話が切れた。大柴が切ったようだ。
「いや……何なんだよ」
 君下はスマホを放り投げると目を瞑り、ごろりと仰向けになった。両腕を額の上に乗せて、はぁーっと長い溜息をついた。
 ……イギリスだと?
 学校も練習も来ないやつが、なんで突然そんなところに居やがるんだ。テメェが練習に来ないせいで、俺はやりたくもないフォワードをさせられているというのに。
 ブーッと再びバイブレーションが鳴った。また大柴からの着信だった。自分から切っておいて掛けてくるとは、奴は余程暇なのだろう。電話に出るか迷った君下は起き上がり、のろのろと部屋を出て小用を足しに行った。戻ってくるとまだスマホが健気に鳴っているので、仕方なく濡れた手で通話ボタンに触れる。
『遅い』
「うるせぇ俺はテメーと違って暇じゃねぇんだ」
『せっかく俺様が起こしてやったってのに』
「早すぎだ馬鹿が。そっちは……夜8時ってとこか」
『ああ、結構寒いぞ』
 君下は通話開始5秒で電話に出たことを後悔した。どうやら大柴はモーニングコールのつもりで電話を掛けてきたらしい。余計なお世話だ。
 だが本当にイギリスにいるのだな、と君下は思った。そもそも日本にいるのならば、大柴がこんな時間に起きているはずがない。
「つーか、なんで急にイギリスに?」
『従姉妹の結婚式だ。俺も練習があるし、最初は行く予定じゃなかったんだが無理矢理母さんが……まあ、いろいろあんだよ。家庭の事情ってやつだ』
「ハッ、金持ちも大変だな」
『そういうお前は、練習はどうだ?』
「あぁ……」
 君下は黙ってしまった。あれだけ練習に不真面目だった大柴が、部活のことを気にかけているのが心底意外だった。だからこの男に本当のことを言うべきなのか、少しの間迷ってしまった。
 俺が今、お前のポジションをやっていること。俺のいたポジションには、大して上手くもない三年が入っていること。そのせいでなかなか連携が取れずに水樹が苦労していること。皆はお前がもう戻って来ないと思っているということ。
 ……というか、お前は本当に戻ってくるんだよな?
 そんならしくもない疑問までもが浮かんできたところで、電話の向こうから『喜一、そろそろ出掛けるわよ』と彼の姉らしき声が聞こえてきた。
『悪い、もう行くわ。今から夕食なんだ』
「あ、ああ……そうか」
『じゃあな、俺の分までしっかり練習したまえ』
「うるせぇタワケが。お前こそサボってんだから筋トレぐらいしとけよ」
『余計なお世話だバーカ』
 ブツリ、そこで今度こそ通話は終わった。
 最後、咄嗟に口うるさいことを言ってしまった君下に対し、大柴は本気で怒っている様子ではなかった。どちらかというと仲の良い友人に対して使うような、気安い軽口のような「バーカ」だった。聞きなれない声になんだか胸のあたりがむず痒く、自分のベッドの上だというのに居心地が悪かった。
 いつのまにか、普段起床する時間になっていた。アラームのスヌーズ機能を切った君下は、もうすっかりと目が覚めている。 
 ▽
 
 翌朝も大柴から電話が掛かってきた。やはり朝5時ちょうどだった。
『起きてるか?』
「ン゛……んだよ喜一……」
『おい起きろよ、俺は夕食前しか時間が取れねぇんだ』
 聞き飽きているはずの大柴の声はどことなく落ち着いていて、寝起きの耳にやさしい、低い声だった。君下は練習の疲労が溜まっているせいか身体が怠く、目を閉じたままごろりと寝返りを打って仰向けになる。
『お前が疲れてるなんて珍しいじゃねぇか』
「別に、いつも通りだろうが」
『あっそ』
「それで結婚式とやらは終わったのか?」
『いや、明後日だよ』
「そうかよ……」
 一言二言と適当に話しているうちにだんだんと頭が回ってくる。冷静になった君下は、なぜ俺はこいつとどうでもいい話をしているのだろう、と訳がわからなくなった。思い返してみれば大柴と、こんな友人同士の世間話のような会話をしたことがなかった。
 昨日だってそうだった。部活の様子を聞いてきた大柴があまりにも意外だったので、君下はつい本当のことを言い止まってしまった。つまり君下は大柴に気を遣ったのだ。この犬猿の仲である男に、悪童と呼ばれた男が、だ。信じ難いことである。
『そういや今日筋トレしたぞ』 
「テメェどうせ腹筋10回とか、そんなしょうもねぇこと言うんだろ」
『なぜ分かった?!』
「バカじゃねーの」
『う……で、でも走ったぞ! ホテルの横にバカでかい公園があって、デカイ犬もいっぱい走ってた』
「へーへー」
『んだよ舐めやがって……フン、まあいい。俺様は今からレストランへ行くからな』
 今日はロブスターだ! と電話口で叫ばれ、思わず顔を顰めているとそこで電話は切れていた。ロブスターは羨ましいが、一体あいつは何がしたいんだ。
 その日は土曜日で、午後の練習では他校との練習試合が組まれていた。相手は東京でベスト8に残る常連校であり、選手層も厚く、攻守ともにバランスのいいチームだ。そこへ君下が初めてフォワードとして、ボールキックをすることになったのだった。
「君下、お前は無理に取りに行かなくてもいい。が、来たボールは必ず拾え。自分で狙えるなら狙って、無理ならいつも通り水樹か、右サイドの橋本に流せ。俺はお前にフォワード��入れと言ったが、お前のやることは普段と少しも変わりないよ」
 試合前に中澤の言葉を聞いた君下は、あぁなるほど、と思った。まだ一年の君下にエースナンバーを与え、トップ下としての才能を見出したのは中澤であり、敗戦が続いた今でもその可能性を見捨てられたわけではないことを理解した。
 要するに司令塔のポジションが一列上がっただけだ。とは言えそこはチームの最前線であり、全体の指揮を執るには偏りすぎている。後列を動かすためにはどうしたって中盤、とくにトップ下を経由しなくてはいけない。その為の「大してうまくもない三年生」だった。つまり君下が全てパスで動かせばいい。
 結果は、数字だけで見れば引き分けで思うようにはいかなかったが、君下にはたしかに手応えがあった。課題も見えた。後半で蹴ったフリーキックがうまく入ったとき、求めていた何かが満たされる感覚があった。本来ストライカーならば持っているはずの獰猛さを、この練習試合を通して君下はまざまざと思い出したのだった。
「おつかれ〜」
 首元をひやりとしたものが触れ、君下は思わず「ヒッ!」と悲鳴を上げた。ゾゾゾ、と鳥肌を立たせながら振り向くと、冷えたスポーツドリンクを片手に鈴木が立っていた。その後ろに佐藤という、いつも鈴木と組んでいる男もいる。
「テメェは……いつもいつも俺の背後に立つんじゃねぇ」
「こわ、どっかの殺し屋みたいだな」
 君下が「ほい」と手渡されたドリンクを受け取ると、二人は君下の隣に座り込んだ。試合に出ていない二人は何をするわけでもなく、ただ君下が靴紐を解いているさまをじっと見ているだけなので、どうにも居心地の悪い君下は「んだよお前ら」と渋い声を出す。
「君下、なんか今日は吹っ切れたみたいな顔してる」
「そうか?」
「うん、ちょっと嬉しそうだよ。な、佐藤」
「うーん、ごめん。俺には全然わかんないんだけど」
 いきなり話を振られた佐藤は、眉を下げて困ったように笑っている。君下はあまりよく佐藤のことを知らないが、こいつは苦労人タイプだろうなと思った。
「でもお前、あれはまさか狙って打ったのか?」
「あのフリーキックな。相手チームもびっくりしてたよな」
「まあ、あんなのはマグレだ。毎回入るようなもんじゃねぇ」
 半分は謙遜だったが、それを百発百中にするための練習をしてきたつもりだった。今日入ったのはそのうちの何割かに過ぎないのだろうが、キックの精度は経験の数に比例すると君下は思っている。しばらくどん底を歩いてきた分、この1点は希望を持つには十分な1点だった。
「ていうかさ、大柴って辞めてないよな」
 何気ない佐藤の一言に、君下は飲んでいたスポーツドリンクを吹き出しそうになった。寸でのところで飲み込むと、気管に入ったのか「ゴホッ!!」と大きく咳き込む。鼻の奥がつんとする。
「うわッ大丈夫か?」
「……な、何でもねぇ」
「あー佐藤、こいつの前で大柴の話はナシだろ」
「え、そうなの?」
 君下は口元を拭いながら、キッ、と隣の鈴木を睨んだ。当の鈴木は涼しい顔で、しかしぺろりと舌を出している。なんだか嫌な予感がしていた。
「喧嘩の相手がいなくなってさ、ほんとは寂しいんだよこいつ」
「おい、何バカなこと言ってやがる」
「そうなのか?」
「あ、水樹先輩」
「なっ……?! アンタも信じてんじゃねぇ!」
 鈴木の両頬をつねる君下の後ろに、いつのまにか二年生である水樹と臼井が立っていた。「いひゃい、いひゃい」と抵抗する鈴木の声に、通りかかった他の先輩らも「え、なになに?」「何してんの?」と次々と群がってくる。
 君下は咄嗟に鈴木の顔から手を離し、「あ、いや、何でもないっす」と、わざとらしい笑顔を貼り付けて肩を組んでみせた。これ以上鈴木が何も言わないように、肩を組むふりをして首を締めようという魂胆だったが、水樹の隣に立っていた臼井が唐突に「それにしても、今日のお前はすごく良かったよ、君下」と褒め出したので、それがあまりに意外だった君下は「あ、あざす……」と答えることしかできなかった。
「確かにあのキックは痺れたわ」
「わかる、最近めっちゃ蹴ってたしな」
「ポジション変わって大変だったろ? ほんとお前はよくやってるよ」
 結果は引き分けで褒められたものではない。だがそれでもきちんと評価してくれる者もいる。その事実にほんの少しだけ泣きそうになっていると、首を大きく傾けた水樹に「今日の君下は、なんか大柴みたいだった」と言われて、君下はその日で一番キレ散らかしたのだった。
 ▽
 電話が鳴っている。
 君下はスマホを手に取り、「着信:バカ喜一」の文字をぼうっと眺めた。
 大柴がいなくなって既に5日が経っていた。
「おう」
『あ? なんだ、起きてやがる』
「毎日テメェに起こされるのも癪だからな」
 自分で言いながら思わずふ、と小さく笑うと、聞こえていたらしい大柴が『なんだよ、気持ち悪いな』と笑っていた。
 未だに電話で話していることが幻のように感じるのは、大柴の声が記憶の中よりも柔らかいからだろうか。あの嫌味ったらしい顔も見えないせいなのか、不思議と君下が本気で苛つくことはなかった。
『さっきまで隣の公園で子供たちとサッカーしてたんだ。俺様の圧勝だったけど、でもさすがはヨーロッパって感じだったな。俺らが子供のときより上手いかも』
「へぇ、折角だから負けてくれば良かったのに」
『負けねーよ。俺を誰だと思ってる』
「大人げねぇな」
『それで急に土砂降りになって、慌てて戻ってきたところだ』
「そりゃあ、災難だったな」
『うわ、道が冠水してやがる。酷いなこれ』
 大柴の声が遠くなったので、恐らく窓を見に行ったのだろう。そういえば電話に出たときからザーザーと雨のような音がしてた。
「明日なんだろ、結婚式。あ、待てよ、日曜なら今日か?」
『明日で合ってる』
「せいぜい楽しんで来いよ」
『ん。式が終われば明後日にはもう飛行機だ』
 あ、帰ってくるのか、と、君下は当たり前のことを思った。中澤にも言われていたので分かってはいたが、なんだか実感がまるでなかった。
 大柴は��ってくる。そうしたら君下はもうフォワードじゃなくなる、かもしれない。元に戻ることは喜ばしいことのはずだった。
 だが君下は、昨日の練習試合で何かを掴みかけた気がした。出来ることが増えるということは、単純に考えて良い事のはずなのに、大柴の居ないチームがうまくまわりはじめてなんだか寂しく思ったことを、鈴木に言われた君下は気づいてしまったのだ。
 同時に君下はずっと苛立っていたのだ。
 大柴がいなくなり、それを受け入れはじめたチームと君下自身に。
 当然のように中澤が君下をフォワードに置き換えたことに。
 君下に黙って、勝手にイギリスなんかに行ってしまった大柴に。
「ハハッ」
 思わず君下は笑った。自分でも気味が悪かった。それでも笑わずにいられなかった。お前がいなくて寂しいと言ったら、この男はどんな顔をするだろうか。そう考えて、今だけは電話越しで顔が見えないことが惜しかった。
「さっさと帰って来ねぇと、寂しくて泣いちまうだろうが」
『……へ? な、なに言って……おま、』
 予想通りの反応を見せた大柴がおかしくて、笑い死にそうだった。君下は暫く笑いを堪えていたが、どうしても漏れてしまう吐息を聞いて、本当に泣いているのだと勘違いした大柴が「いや、仕方ねぇだろ……」と慰めのような言葉を吐くので、もう限界だった。笑いすぎて本当に涙が出てくる。
「冗談だバーカ。だがぼーっとしてると、俺がテメーの背番号貰っちまうからな」
『あ゛?! なんでそうなるんだよ!』
「ああ、言い忘れてたが、俺いまお前のポジションしてんだわ」
『ハア?! 聞いてねぇぞ!』
「まあ言ってないからな。お、練習の時間だ。せいぜい旅行を楽しめよ」
『おい待てっ!』
 ブツリ。通話を切って、ついでに電源も落とした。
 君下はもう寂しくなどなかった。
 君下の電話に怒り狂った大柴が帰ってくるのが楽しみだった。 
 
( NIGHTCALL / おしまい )
0 notes
【閲覧注意】この乳首ポロリ美女で興奮できる奴、ガチで頭おかしい…(画像あり)
今日のピックアップ記事 【コードギアス】カレン「ち○ぽ早くぅ♥ちょーだいっ♥」カレンが資金稼ぎに体を売って輪姦されたり潜入調査でキメセクレ●プされてチ○ポにドハマリし…(ぶひドウ!) 長谷川るい画像200枚!Eカップ巨乳に小柄なボディのA●女優を調査!(ときめき速報) 【解決】自転車で子供にケガをさせてしまった。親「家一軒分の賠償を覚悟しろ!」俺「ふぇぇ…」→2chで相談した結果・・・(かぞくちゃんねる) 【警告】座っておしっこしてる奴、ヤバいぞ…(雪夜速報) 陰キャ陽キャを絶対に判断できる方法発見したwxvwxvwxvwxvwxvwxv (暇つぶしニュース) 【閲覧注意】この乳首ポロリ美女で興奮できる奴、ガチで頭おかしい…(画像あり)(ポッカキット) 某スポーツ有名底辺高校で喧嘩に弱い俺はイジメられて体育授業でタヒ合いがある度に軽く手段リンチを受けていたがついにリンチが…
View On WordPress
0 notes
karasuya-hompo · 5 years
Text
Skyrim:カゲタのぼうけん 1
 トカゲ太郎。略してカゲタ。  DreamWeaverの追加種族modで作った、「小柄なアルゴニアン・ダスクストーカー」である。
Tumblr media
 これくらいちっさい。  隠密と搦手系の魔術が高めの初期ステータスを持っている。
Tumblr media
 ちなみにモヒカンにしてみた。  作ってみたらなかなか気に入ったので、せっかくだし、こいつもまたなにか背景とか決めて、RPしてみることにした。  ふと思いついたのが、「魔法の師匠を探し、モロウィンドからソルスセイムに渡ってきた」という設定。  それと、使う魔法はCyan49さんがリリースしてくれた独自魔法の中から、水と毒をメインにしたいと思った。アルゴニアンらしい属性だし、なんといっても、毒魔法はパークを取っていなくても無音で唱えられるから、暗殺系のスタイルと相性がいいのだ。  しかもその毒・水は、ネロスが販売してくれる。  実際には先行して、某所のチート箱で手に入れてしまったのだけど、そのへんは脳内補完することにし、まずは普通に火炎や氷雪で戦えばいいだけの話。  で、地味な戦闘に時間かけるのを楽しむプレイではないので、速習本を使ってとっとと魔法系のスキルと隠密だけは上げてしまった。(「無音の唱え」を取ってしまったので毒魔法の利点が一つなくなった気がするのは気のせい) その代わり防御関係をまったく上げていないので、これはこれで「レベルが上がっているだけに、食らうとすげー痛い」という縛りになるので良し(๑•̀ㅂ•́)و✧  キャラクターの背景、なんでアルゴニアンなのにモロウィンドから来てるのか、といったことはざっくりとだけ作って、スタート地点は、(脳内保管で)ソルスセイムである!!
 ソルスセイムはねこすけが一通りやってるけど、冒険の記録はとってないし、RP的にも遊んでいない。360時代に「新DLCだぜー!!」でとにかくプレイしただけ。PS3ではノータッチだったような記憶もある。  なので今回初めて、このキャラではソルスセイムをメインにして遊んでみる。スカイリムでドラゴンを出していないので、もしかすると途中で進まなくなるのかもしれないが、それはそれ。それに、途中でなんらかの理由をつけてスカイリムには渡るはずだ。  ともあれ、ソルスセイムに渡ってきた、なにも知らないアルゴニアンが、魔法の先生を探したりしつつ気ままに冒険する。そんな話である。
 ソルスセイム島の港は、島の南、レイヴンロックって町にあった。おいらが着いたときには隣に一隻の船がもやってあって、船員がせっせと荷物を積み降ろしてる最中だった。彼等は人間で、どうやらこの島にはダンマーしかいないってわけじゃなさそうだ。  なんか身なりのいいダンマーのおっちゃんが来て、なにしに来たって言ったけど……ふーん。本土の人より、アルゴニアンかどうかってこと、気にしないのかな。厳しいけど、嫌な感じはしなかった。  おいらは魔法を教えてもらいに来ただけだ。偉いウィザードの先生がいるっていうから、その人に。正直にそう答えると、おっちゃんは「偉いウィザード?」って少し考えて、それから思い当たったみたいにはっとした。そんでおいらをじーっと見下ろして、「止めはしないが……、好きにするといい」って、町に入れてくれた。  ところでおいらは、ダスクストーカーっていう、アルゴニアンの中でもちょっと変わった種族らしい。普通のアルゴニアンよりずっと小さいんだ。そのせいでいつも子供に間違われる。おっちゃんも、船の上を見渡して「親はどうした」なんて、今度はちょっと怖い声で言ってきた。  おいらは、一人前の立派な大人だって言うにはまだ若いだろうけど、一人旅を心配されなきゃいけないほどの子供じゃない。分かってもらうのはちょっと大変だったけど、ともかくおいらは無事に、レイヴンロックに入ることと、滞在することを許してもらえた。  それじゃ、さっそく町を探検だ!
Tumblr media
 鍛冶屋のおっちゃんは人間だ。町の中はダンマーばっかりだけど、住み着いてる人間もいるんだな。  おっちゃんからは、つるはしの話を聞いた。貸したまま返ってこないんだってさ。返してくれるように頼みに行くくらいなら、見学のついでにできそうだ。
Tumblr media
 錬金の店はおねーさんがやってた。  モーサル……スカイリムにはそんな町があるらしい。スカイリムって、どんなとこだか知らないけど、ここから近いのか? 尋ねてみると、モロウィンド本土以外で、唯一行き来のあるノルドの国だと教えてくれた。じゃあ、港にいた人間の船員は、スカイリムから来た人たちってことか。  それにしても、この町のダンマーはみんな親切っていうか、温厚な人ばっかりなんだな。200年くらい前だっけ。アルゴニアンがモロウィンドの南を侵略したせいで、おいらの知ってるダンマーって、みんなしてアルゴニアンが嫌いって感じだった。おいらを育ててくれたおじいさんとおばあさんみたいなのが、超がつくみたいな変わり者ってだけでさ。  けどこの町の人たちはおいらと普通に話してくれる。まあ、毎回毎回、子供扱いされたりそれを訂正したりするのは大変だけど、そんなにたくさん人がいないのは幸いだな。
 宿屋にはでっかいカニのオブジェが飾ってあるから(注:町改修mod)、どこが宿屋だったっけ、なんて探さなくても良さそうだ。  それから、食料なんかを売ってくれるおっちゃんもいる。  あとは、廃屋とか、なんかの研究所みたいなとこ(注:町mod)くらいか。  一時間もあれば全部見終えられる小さな町だ。でも、目の敵にされないだけでもおいらにはめちゃくちゃ住みやすそうだ。
 ところで、町の名前って、あの岩からついたのかな。鳥の頭の形をしたでっかい岩が見える。(注:これも町modの一部) よし、まだ寝るには早いし、ちょっとあの岩のところまで行ってみるか!
Tumblr media
 キナレスの祠だ。でもおいらに届くかな……ぎりぎり届いた(๑ΦㅂΦ)و✧ 祝福もらってこっと。
Tumblr media
 お~! 町が一望できるぜ! なにがあるわけでもなかったけど、達成感と満足感はあるな。
 途中に変な岩と、灯台みたいなのもあった。変な岩は、ぶつぶつ言いながら虚ろな目で働いてる人ばっかりで、怖いから近寄るのはやめとくことにした。  灯台は、これ、炎じゃなくて魔法で光ってるみたいだ。すげーなー……。
Tumblr media
 町に戻って、鍛冶屋のおっちゃんに頼まれたつるはしについて話をしにいくことにした。  人間のじいちゃんと、ダンマーのおば……ちゃん、て言っても怒らないかな。夫婦喧嘩してたけど、仲がいいからみたいだ。じいちゃんの、ひいじいちゃんが事故死したことに、なにか納得いかないらしい。それを調べたいじいちゃんと、旦那にそんな危ないことしてもらいたくないし、そもそもそんな話は妄想じゃないのかって思ってるおばちゃんか。  よし、当分はここを拠点にすることになるだろうし、できるだけ人の役には立っておかなきゃな。おいらがそれ、確かめてきてやるよ!  あっ、その前に、つるはしなんだけど……。元々はスコール村にあったものを、あのおっちゃんが巻き上げるかなにかしてきた、のか? だからって、じいちゃんがそれを返さないのとはまた話が別な気もするけど、ま、いっか。とりあえず渡してもらえたし。  よし、それじゃ改めて、行ってくる!
Tumblr media
 行ってきた!!  途中のあれこれとかでっかい剣とか、スクショ撮り忘れた(´Φ_Φ`) 奥のほうに、ひいじいちゃんってのが死んでた。落盤事故なんかじゃなかった。日記があったから、持って帰ってあげたら証拠になるよな。  それから、奥地で見つけた変な本だ。
Tumblr media
 開いたら、変な触手が出てきて、変な緑のとこに飛ばされた。  そこもスクショ忘れたけど、変なとこだった。変なふわふわしたのとか、変なにょろにょろしたのとか、変なデカいのとかいた。本がいっぱいあった。  アホなんとかっていう、ハ……ハルミ、なんとか? っていうデイドラの世界だそうだ。ふーん(Φ_Φ) なんか面白かったし、恩恵ももらえたから別にいっか。  真実が分かって、鉱山のじいちゃんとおばちゃんも喜んでくれたしな。  しかもつるはし、鍛冶屋に届けたら、持っていけばいいってもらっちゃったぜ。……でも「これが誰のものかはっきりさせたかっただけだ」とか鍛冶屋のおっちゃん言ってたけど、このつるはし、スコール村ってとこから失敬してきたっぽいんだよな。だったら、本当に誰のものかっていったら、スコール村の人のだろ? 腕のいい鍛冶屋みたいだけど、勝手なこと言う人だなー。  スタなんとかっていう氷みたいな鉱石、このつるはしじゃないと掘れないみたいだけど……、重いし、スコール村ってとこに行ったら、持ち主に返してあげよっかな。
 酒場のおっちゃんもいい感じの人だった。  この島にいるマスターウィザードって人について聞いてみると、東のきのこハウスに住んでるらしい。なんか……すごい顔された。「正気か?」みたいな。おじいさんも、「とびきりの変人」っては言ってたけど、聞きしに勝るってヤツかな。でも他にアテなんかないし、行ってみるけどさ。  いろいろ話してたら、お酒の宣伝を頼まれた。10人に配ればいいのか。町のこと知るついでにいろいろ話しかけて、受け取ってもらえないか聞いてみよう。  しばらくはここの宿でお世話になるんだし、仲良くしなきゃな!
Tumblr media
 翌朝。さっそくきのこハウスに行くことにした。  東の海岸沿いに行けば、目立つきのこだからすぐ分かるってさ。  そんなわけで東に向かったら、なんか襲われてる人がいた! よし、ここは加勢するぞ!!
Tumblr media
 ―――と思ったけど思ったより強くて……町まで逃げてきたら、衛兵たちが倒してくれた(´ΦωΦ`)  もうちょっといい防具がないと、ソルスセイムの旅は厳しそうだ……って、そういえば、鉱山から出るとき、山賊のリーダーから立派なもふもふつきの鎧剥ぎとったっけ。重装は苦手だけど、とりあえず身を守るのに着ていこ……。  死んだらオレンジ色の灰みたいになったやつが、手紙持ってた。なんとかっていう将軍の、攻撃命令だ。さっき襲われてた人、衛兵隊長さんのとこに行ってその手紙渡したら、このカ……なんとかって将軍は、200年も前に死んでるはずだって言われた。  でもその将軍が、町に灰のゾンビみたいなの送ってきてるみたいなんだよな。衛兵は町を守る仕事があるし、おいらに調査してくれって。隊長さんの役に立っておいたら、いざってときに助けてもらえそうだけど、おいらにできるかな。今の灰ゾンビでさえちょっと危なかったもんなー。……今すぐどうにかしてくれってわけじゃないみたいだし、ちょっと考えよう。
Tumblr media
 ボロい小屋を見つけた。無人みたいだ。  なにかないかなと見て回ってたら、地下室への落とし戸発見!
Tumblr media
 中には山賊がいた。本当の住民は殺されたのかな。
Tumblr media
 フロなんとかって人の日記が残ってた。なんか、地下から声がするとかヤバいこと言ってるぞ。  壁を掘って、本棚で隠してるのか。なんで隠すのか自分でもよく分からないとか、なんかヤバい人だな。
Tumblr media
 その本棚の後ろの道。……行ってみよう!
Tumblr media
 すぐ行き止まりだったけど、そこで人間の男が死んでた。フロなんとかって人かと思ったけど、違うみたいだ。
Tumblr media
 血まみれですげー読みにくいけど、「ここに来るな」って書いてある。ここで死んでるのは、日記に書いてあった、ビョ……なんとかって人、かな。日記と手紙とで名前が違うんだけど、たぶん、手紙のほうは短くして呼んでる、いわゆるニックネームみたいなやつだろう。  この置き手紙、読んだのに入ってきちまったんだな。で、フロなんとかに殺された……のかな? 自分がなにするか分からない、みたいなことも書いてあるし。  なににかはよく分からないけど、取り憑かれたとか、そんなんだな、きっと。  ところでフロなんとかって人、名前からして男だと思うんだけど、ここんで死んでるビョなんとかさんも男だし……日記とか手紙見ると、なんかこう、さぁ(´Φ_Φ`) まあいいけどな。タムリエルじゃ男同士だろうと女同士だろうと、さくっと結婚もできるくらいだしさ。
Tumblr media
 ところで、宝箱の中にこんなものが入ってた。……変なものには触るな、手放せなくなると厄介だぞっておじいさんも言ってたし、そっとしとこっと(;Φ_Φ)っ◯”  それより、オークフレッシュの魔法書だ! これを覚えたらちょっとは打たれ強くなる! 魔法の効果を最大限に引き出すには、鎧着てちゃダメなんだけどな。
Tumblr media
 海岸線を東に向かってたら、座礁したみたいな、乗り捨てられたみたいな船のとこに、衛兵たちがいた。あたりには山賊の死体だ。ここにいた連中、やっつけて一服してるのかな。  本土に戻りたくなったら、って、おっちゃんが言ってるの、モロウィンドのことじゃなくスカイリムのこと? グジャランド船長、か。その人に頼めばスカイリムに連れて行ってくれるみたいだ。覚えとこう。
Tumblr media
 あ……フロなんとかって人だ。なんかよく分かんないけど、半裸で死んでた。  いったいなにがあったんだろ。手紙とか日記とか見てみても、はっきり分かんないんだよな。……まいっか。
Tumblr media
 おっ! あれかな!? でっかいきのこ!!
Tumblr media
 あ。  ここって、隊長さんの言ってた、カなんとか将軍がいるらしいとこだ。……危なかったら逃げればいいし、よし、行くだけ行ってみよう!!  ……案外なんとかなるもんだ。おじいさんに隠密と魔法、特訓してもらってて良かったぜ。……おじいさんが生きてたらなぁ。別に魔法の先生なんて、探さなくても良かったんだけど……(´ΦωΦ`)
Tumblr media
 ちょっとしんみりしちまった。  ところでさすがにこの鍵は、おいらには無理だ。ちょっと動かしただけで折れちまう。ピックいっぱいあったらなんとかなるかもしれないけど、20本くらいしかないし。無理に開けるのはやめとこう。デカい宝箱は魅力だけどな。
Tumblr media
 途中で日記を見つけた。カなんとか将軍を、 ハートストーンを使って生き返らせた奴がいるってことか。ヤバい実験だな、これ。えーっと……イルダリって奴が、復讐のために実験台にしたみたいだ。  それにしても、なんでみんなちゃんと、日記帳に名前書くんだろうな?
Tumblr media
 カなんとか将軍。めちゃくちゃ強そうでどうしようかと思ったけど、見つかりさえしなければ、な。ダスクストーカーってのは小柄なのもあるから、隠密はけっこう得意なんだ。  なんかすごいハンマーを持ってた。使わないけど、せっかくだしコレクションにしよう!
Tumblr media
 きのこの家に向かう途中で、あの緑のとこにいた巨人みたいなのと戦ってる狩人たちに会った。こいつ、けっこう攻撃力高くて厳しかったんだよな。でも狩人が四人もいたら、こっちのもんだ!
Tumblr media
 やっときのこに着いた! ここにすごいウィザードがいるのか……。どんな人だろう。まあ、普通の人じゃないっぽいのは、みんなの様子でもう分かってるけど。  家の前で魔法の練習してるみたいな人と、その人に文句言ってる人がいた。執事と、弟子! 弟子がいるってことは、「弟子なぞ絶対にとらん!!」てことだけはないってことだ。おいらも弟子にしてもらえるかな!?
Tumblr media
 ……やっぱりいきなり押しかけてきても、弟子入りは無理みたいだ。  なんか偉そうな人だけど……おいらも偉ぶってる奴が好きなわけはないけど、この人はなんか、変な人だな。変な人だから、偉そうでも不思議とムカッとこないや。  それに、みんな「変な人」とは思ってるみたいだけど、すごいウィザードっていうところは否定しなかったんだ。なんとか弟子入りできないかなぁ。  そしたら、実験の手伝いならさせてやってもいい、みたいに言ってくれた。うん、まあ、たぶん使いっ走りとかなんだろうけど、それでもこれ、チャンスだよな? 役に立つって証明できたら、弟子にしてもいいっても思ってもらえるかも。それに、二度と来るな、邪魔だっては言われなかったから、また来てもいいみたいだし。  えーっと……執事を探してお茶を入れてもらうのと……うん? そうさ。おいらおじいさんに基本的なことは教えてもらったから、だいたいの魔法は使えるんだ。召喚はあんまりしないけど、使えって言われれば、それなりのことはできる自信があるぜ。  ……アッシュ……ああ、あの灰のゾンビみたいなやつ? あれの灰を、これ使って採取してくればいいのか? よし、分かったぜ、先生!(๑ΦㅂΦ)و✧
0 notes
cinema-note · 7 years
Link
映画では様々な職業のキャラクターが登場しますね。 中でも人気なのが「殺し屋」。 普通の生活をしている限り関わることはないであろう職業。 重い過去やしがらみを抱えたキャラクターが多く、ついその人間性に惹かれてしまいます。 アクションシーンも組み込みやすく、映画映えしますよね。 今までにも殺し屋を題材にした映画は数多く公開されています。 今回は殺し屋が主人公の映画を10作品まとめてみました!
レオン(1995)
レオン 完全版 [Blu-ray]
posted with amazlet at 17.08.17
角川書店 (2013-04-19) 売り上げランキング: 1,231
Amazon.co.jpで詳細を見る
殺し屋、というとまずこの映画が思い浮かびますね。 数々の名作を生み出したリュック・ベッソンによる、初のハリウッド映画です。 幼い頃から殺し屋として生きてきた孤独な主人公レオン。 ある日家族を失った少女・マチルダが、弟の復讐のためにレオンの元へと転がり込んできます。 不思議な同居生活を経て交流を深める2人は、やがてお互いの間に愛情が芽生えるも悲しい運命を迎えてしまいます。 アクションと純愛が織り交ぜられた作品。 2人の純粋な心や行動に何度観ても涙が出てしまいます。 ジャン・レノとナタリー・ポートマンも好きですが、脇役のゲイリー・オールドマンの存在感が強烈。 時々思い出しては、すだれをシャーってしたり薬をキメて悦に入ったり、「エッッッッッブリィッッワアァン!」と叫ぶ彼の真似をしたくなります。 1番好きなシーンはレオンとマチルダの最後のシーンかなあ。 いや、マチルダがロシアンルーレットをするシーンも好きなんですよね。健気でかわいすぎる。 「This is from Mathilda.」も好きだし・・・ 名シーンが多すぎてここには書ききれないのでぜひ実際に作品を観てほしいです。 通常版と完全版がありますが、完全版を観てくださいね! 多くの人の心に残る名作。ラストのStingにジーンとくる『レオン』
ニキータ(1991)
ニキータ [Blu-ray]
posted with amazlet at 17.08.17
角川書店 (2013-04-19) 売り上げランキング: 21,214
Amazon.co.jpで詳細を見る
『レオン』を制作するきっかけとなったリュック・ベッソンの作品。 女殺し屋が主人公の物語です。 不良少女のニキータは、友人たちと麻薬を盗むために薬局を訪れるが警察にみつかり激しい攻防戦が繰り広げられます。 唯一生き残ったニキータは、表向きは死んだことになりましたが、実際は政府直属の殺し屋として利用されます。 訓練を終え、殺し屋として社会に潜り込んだ彼女は、1人の男と恋に落ちたことで普通の生活を求め葛藤し始めます。 映画が面白くなってくるのは本編後半から。 殺し屋として社会の中で生き残るか、追っ手から逃れながらも一般人としての生活を求めるか、ニキータは葛藤の渦に飲み込まれていきます。 初めて観たときはそのラストを飲み込むのにちょっと時間がかかりました。 『レオン』もまあまあショッキングなシーン多いですが、『ニキータ』がさらにショッキングなシーンが多いので血みどろが苦手な方は覚悟したほうがいいかも? ちなみに本編では、レオンのモデルとなった掃除屋が登場しています。演じているのもジャン・レノなんですよ。 レオンより大人で人間らしい男でしたね。 主演のアンヌ・パリローの美しさにも惹かれますね。 あのベリーショートに憧れた時もありました・・・
ジョン・ウィックシリーズ
ジョン・ウィック 期間限定価格版 [Blu-ray]
posted with amazlet at 17.08.17
ポニーキャニオン (2017-06-02) 売り上げランキング: 262
Amazon.co.jpで詳細を見る
最近の殺し屋映画イチオシです!! キアヌおかえり〜!! かつて伝説の殺し屋と言われたジョン・ウィックが活躍するアクション映画。 現在は2作品公開されています。 1作目は長い引退生活を送っていたジョン・ウィックが裏社会にカムバック。 恋人を病気で亡くし、彼女が遺してくれた犬と隠居生活を過ごしていたところに、突然強盗が押し入ってきます。 大切にしていた犬を殺されてしまったジョン・ウィックは、復讐を果たすために再び裏社会へと飛び込んでいきます。 彼の気持ちも十分すぎるほどわかりますが、犬を殺されただけでマフィアの一族壊滅させちゃうジョン・ウィック最高すぎます! 前半はちょっとダレますが、ジョン・ウィックが覚醒してからは怒涛の展開に爽快感MAX! 中二心くすぐる数々の演出もたまりません。 続編は『ジョン・ウィック:チャプター2』。 今度は妻との思い出が詰まった大切な家を燃やされ、ジョン・ウィック大激怒。 かつて交わした契約を終わらせるために、またまた裏社会に身を投じていきます。 前回よりストーリーのテンポが良くなっていて、さらに爽快感が増してます。 裏社会に生きる様々なキャラクターも魅力的に描かれています。 もちろん今作でも中二心をくすぐる演出がいっぱい! シリーズを通してみられるキアヌのアクションにも注目。 矢継ぎ早に繰り出される、激しい武術やガンアクションには見惚れてしまいます。 キアヌー!私の首を絞めながら反対側にいる敵を殺した後で私の頭をブチ抜いてくれー! 様々な種類の銃が登場するので武器マニアも楽しめますよ。 実はめっちゃヤバい男だった!ガン・フーアクションに引き込まれる!『ジョン・ウィック』 アドレナリン全開!作り込まれたアサシンワールドに引き込まれる!『ジョン・ウィック:チャプター2』
007シリーズ(ダニエル・クレイグ版)
007/ダニエル・クレイグ ブルーレイコレクション(3枚組) [Blu-ray]
posted with amazlet at 17.08.17
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2015-10-07) 売り上げランキング: 26,671
Amazon.co.jpで詳細を見る
世界で一番有名な殺し屋、登場です。 殺し屋というよりはスパイのイメージの方が強いと思われますが、「007」は「殺しのナンバー」と言われているんですよ。 『007シリーズ』は50年以上続く長寿作品。 全ての作品をまだ観られていないので、2006年から6代目ジェームズ・ボンドを演じているダニエル・クレイグ版の『007シリーズ』をご紹介。 1作目の『007 カジノ・ロワイヤル』は、それまでの007シリーズをリセットした新たなシリーズの作品となりました。 007のナンバーを与えられたジェームズ・ボンドが、誰もが知る最強の殺し屋になるまでの姿を描いています。 本編ではかなり押され気味のボンドでしたが、クライマックスで自分の名前を名乗るシーンはシビれましたね! 007シリーズでは初となる続編として、その後は『007 慰めの報酬』、『007 スカイフォール』と続きます。 ここでもボンドは苦労しながらも敵を追い詰めていきます。 そしてすべての物語が1つになる4作目、『007 スペクター』。 これほど過去作を綺麗にまとめあげた作品は少ないので��ないでしょうか。 ついにボンドが大ボス・ブロフェルドと対決。 「スペクター」、「ブロフェルド」は007シリーズにおいて、ボンドの宿敵といわれる存在。 過去3作の物語が繋がったクライマックスは、今までシリーズを観てきたからこその感動がありました。 ダニエル版007は、最終的に1つの物語へと繋がるので『007 カジノ・ロワイヤル』から『007 スペクター』まで公開順に観ていくことをオススメします。 ダニエルのボンド役降板の話題があった時、『007 スペクター』の完成度の高さに別に交代してもいいかなと満足していましたが、また最新作でボンドを続投してくれるようですね。 どんな風にカムバックしてくれるのか今から楽しみです! 6代目ボンドは今までにないアツい男!そして原点回帰の物語が始まる『007 カジノ・ロワイヤル』 失った愛を殺し、そして007になる。これぞボンド!『007 慰めの報酬』 例え天が落ちようとも、己の正義を貫け。『007 スカイフォール』 ダニエル版007シリーズの全てにつながる物語『007 スペクター』
コラテラル(2004)
コラテラル スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]
posted with amazlet at 17.08.17
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン (2012-09-14) 売り上げランキング: 6,529
Amazon.co.jpで詳細を見る
トム・クルーズの貴重な悪役がみれますよ! タクシードライバーの男が乗せてしまったのは、殺し屋でした。 金を積まれ強引に貸切にされたタクシードライバーは、殺し屋の任務に次々と巻き込まれてしまいます。 弱々しかったタクシードライバーが徐々に機転を利かすようになって、最後に一発逆転する姿がみていて気持ち良かったです。 気持ちはタクシードライバー側に寄っていたので、あのラストでホッとしました。 トムにしてはめずらしいワルの役。 冷酷で冷静な殺し屋を演じています。 いっつも半笑いで人を殺すから、真一文字で人を殺していく姿が新鮮です。 見た目も白髪に髭面でっぷり体型となかなか衝撃的。
ローグ・アサシン(2007)
ローグ アサシン [Blu-ray]
posted with amazlet at 17.08.17
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2008-02-22) 売り上げランキング: 58,827
Amazon.co.jpで詳細を見る
ジェット・リーとジェイソン・ステイサムのバトルは必見! FBI捜査官ジョンは、仲間を殺された復讐のために殺し屋のローグを探していました。 中国マフィアと日本のヤクザの抗争の操作をしているうちに、ローグの手がかりを発見します。 やがてローグとジョンは相対し、ジョンは衝撃の事実を知ることになります。 伝説の殺し屋と、FBI捜査官の攻防戦を描いたアクション。 クライマックスの結末は衝撃的で面白かったですが、ストーリーはしっちゃかめっちゃかなんですよね。 日本のヤクザや日本の文化が相変わらずアメリカンスタイルで描かれているので、いまいちストーリーにのめり込み辛い。 唯一ジェイソン・ステイサムが日本語を喋るというだけで、この映画に対する好感度がうなぎのぼりになりました(笑) 驚きのクライマックス!ジェイソン・ステイサムの日本語も聞けるぞ!『ローグ アサシン』
メカニック(2011)
メカニック [Blu-ray]
posted with amazlet at 17.08.17
ワーナー・ホーム・ビデオ (2012-04-25) 売り上げランキング: 1,736
Amazon.co.jpで詳細を見る
今度はジェイソン・ステイサムが殺し屋! どんな任務も必ずこなす「メカニック」と呼ばれる殺し屋・アーサー。 彼は任務のために自身の恩師で友人のハリーを殺してしまいます。 一方殺されたハリーの息子は、父の復讐を果たすために復讐相手とは知らずアーサーのもとに弟子入りすることを決めます。 アーサーは標的となりながらも、ハリー暗殺の真実を究明していきます。 息子がなかなかマヌケで、終始アーサーの一人勝ち感があります(笑) ラストのやったと思ったらやられた展開は面白かったですね。 やっぱりステイサムに勝てる奴なんていないんだ・・・ ジェイソン・ステイサムはやっぱり最強!ド派手な銃撃戦がかっこいい!『メカニック』
Mr.&Mrs.スミス(2005)
Mr.&Mrs. スミス [Blu-ray]
posted with amazlet at 17.08.17
ジェネオン・ユニバーサル (2010-05-12) 売り上げランキング: 29,687
Amazon.co.jpで詳細を見る
プライベートでは騒がしい2人ですが、出会いのきっかけとなったこの作品はめっちゃ面白いんです! 映画に罪はないんです!(笑) 結婚して数年たった夫婦。 実はお互いが殺し屋だということを長年知らずに過ごし��いました。 ある日それぞれの任務で失敗し、自分の任務を邪魔した相手を探し当てたところ、犯人は妻と夫であったことが判明。 壮絶な殺し合い、もとい夫婦喧嘩の幕が開きます。 最初は仮面夫婦のようだった2人の化けの皮が剥がれてからのやりとりが、なんともまあ清々しい! みていて笑っちゃうくらい。 本編クライマックスの背中合わせになって銃をぶっぱなすシーンが大好きです。 黄色いサングラス欲しい〜
ボーンシリーズ
ジェイソン・ボーン・シリーズ/ペンタロジー Bul-ray SET [Blu-ray]
posted with amazlet at 17.08.17
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン (2017-03-08) 売り上げランキング: 6,239
Amazon.co.jpで詳細を見る
この作品も人気シリーズですね! 現在も新シリーズが公開されています。 記憶喪失となったジェイソン・ボーンという男が、自分の正体を知るために手がかりをたどっていくサスペンスアクション。 『ボーン・アイデンティティ』、『ボーン・スプレマシー』、『ボーン・アルティメイタム』の3作でジェイソン・ボーンは己の過去の記憶を思い出していきます。 目が醒めるまでのことは何1つ覚えていないのに、襲いかかってくる敵をかわしたりのしたりする身体能力や技術は備わっていることに戸惑うジェイソン・ボーン。 彼はかつてCIAの極秘プロジェクトに参加した暗殺マシーンだったのです。 記憶を取り戻した彼は一体どんな結末を迎えるのか・・・ 現実味のあるストーリーやアクションは、スパイ映画の常識を変えたと言われるほど。 『007シリーズ』や『ミッション:インポッシブルシリーズ』などのスパイ映画もこのシリーズに影響されて作風をシフトチェンジしたなんてことも言われていますね。 アクションシーンにおける、手ブレや接近の多いカメラワークも特徴的。 酔いそうになるのですが、緊張感が増してドキドキします。 全3作で完結したと思われた『ボーンシリーズ』ですが、2016年にはシリーズ新章として『ジェイソン・ボーン』が公開されました。 ジェイソン・ボーンにはまだ思い出せていなかった過去があったことが判明し、行方不明だった彼が再びCIAの前に姿を現します。 ちなみに、スピンオフとして『ボーン・レガシー』という作品もありますよ。 こちらは『ボーン・アルティメイタム』の前後の時間軸に並行して起きている物語で、別の主人公がCIAと戦う姿が描かれています。 記憶を失った孤独な男が自分の正体を知るために奔走する。映画史を変えた大人気スパイ映画『ボーンシリーズ』4作品 孤高の男が帰って来た!再び過去の記憶を辿るサスペンスアクション『ジェイソン・ボーン』
ザ・コンサルタント(2017)
ザ・コンサルタント ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
posted with amazlet at 17.08.17
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント (2017-05-17) 売り上げランキング: 90
Amazon.co.jpで詳細を見る
この殺し屋もまた一癖あるキャラクターをしています。 昼間は会計士として働くクリスチャン・ウルフ。 夜は凄腕の殺し屋として活動する裏の顔を持っていました。 彼は会計監査の仕事を依頼され、天才的な頭脳で大企業の不正を一晩にして暴いてしまいます。 ところがその仕事は突然打ち切られ、ウルフは身の危険にさらされることとなってしまいます。 自閉症を抱えながらも、その天才的な才能を遺憾なく発揮しながら生きているウルフ。 殺し屋でもアンチヒーロー的なキャラクターで、ぐっと惹かれるんですよね。 そしてウルフの性格を反映したアクションにも注目。 まるで計算されたかのような緻密で神経質な動きに、アドレナリンが全開になります。 とある会計士の抱える過去を追い、彼を知る。遠慮のない洗練されたアクションシーンも見事な『ザ・コンサルタント』
まとめ
第5位:ザ・コンサルタント 第4位:ボーンシリーズ 第3位:007シリーズ 第2位:レオン 第1位:ジョン・ウィックシリーズ いかがでしたか? 1位と2位でかなり迷いましたが、より殺し屋っぽさが描かれている『ジョン・ウィックシリーズ』を選びました! 今回紹介したキャラクターだったら、私はジョン・ウィックに間髪入れずに殺されたいですね! みなさんはお気に入りの殺し屋、もしくは気になる殺し屋はいましたでしょうか。 まとめていて気がついたのですが、ジェイソン・ステイサム殺し屋になりすぎ!(笑) いや私が観ている作品の主人公がステイサムばかりなのか・・・? 同じ職業の作品でもアクション重視、ストーリー重視と作品によってポイントは違うのでぜひ色々見比べてみてくださいね。
YOU MIGHT ALSO LIKE
完全版!旅行気分を味わえる!映画の街・ニューヨークが舞台の名作映画30作品
低予算?ぶっ飛んでる?B級だからってあなどってはいけない!オススメB級映画10作品
ハゲだけどではない!ハゲだからかっこいい!「ジェイソン・ステイサム」年代順オススメ映画12作品
ゴリマッチョ、細マッチョ、ハゲマッチョ・・・あなたのお好きな筋肉はどれ?筋肉映画まとめ12作品
捕食されたり、仲良くなったり、戦ってみたり・・・地球人と宇宙人とのふれあい映画12作品まとめ
記憶を失った孤独な男が自分の正体を知るために奔走する。映画史を変えた大人気スパイ映画『ボーンシリーズ』4作品
レオ様の演技に酔いしれる・・・「レオナルド・ディカプリオ」年代順オススメ映画12作品
夏休み!家族で観てほしいおすすめ映画10作品
ハリウッドスターと言えばこの人!「トム・クルーズ」年代順オススメ映画12作品
1人より2人!観たら相棒が欲しくなる!?オススメのバディ映画5作品!
1 note · View note