Tumgik
#バットマン葬られた真実
pumpkin0141 · 2 years
Text
バットマン葬られた真実を4話まで聴きました。
現時点での感想というか、ほぼほぼリドラーに対する感想になった。
●●●●●●●●●●
ネタバレ注意
●●●●●●●●●●
リドラー最推しです。今回のリドラーはめちゃめちゃ良いね!zero year感ある方向性のキャラ作り感ある。
比較的落ち着きがあり、理性的な発言をし、一般のそれと変わらないような感性をみせ、一見話が通じるような印象を抱かせながら、人命・倫理観に根本的な拗れがあってどこまで行っても小悪党のサイコパス野郎な感じめちゃめちゃ好き
次点ではアーカムシリーズの騒がしいハイテンションマッドサイエンティストおじさんも好きだよ。こちらは小物感強めでめげないしょげない諦めないの自己顕示欲丸出しおじさんやね。
たまーーに的を射た発言をぶっかけてくる理性的な面もあるけど、基本は自分のトラウマからくると思われる攻撃的な発言しか繰り出さない異常者だね。
バッツィへの異常な執着と自分の相手となるのは彼しかいないと豪語する感じはかなり世界が狭めやね。
てか初手からゴア描写えぐい
ブルースが医者(検死医?)としての側面しかなかったり両親が生きている、そういう世界か?と思わせておいて、節々にん?と思わせる描写
やっぱりお母さんの真珠のネックレスが飛び散る描写は共通なんだな。
お父さんの手はとても冷たい、もそういうことなんだろう。
どちらにせよ、ブルース・ウェインは死に近すぎるというか、死人というよりも犯人の視点に立ちすぎている。 
バットマンの根本として、
バットマンもヴィランも結局のところ同じである、
というテーマが根付いているな。   
というところで一転して、資産家のブルース・ウェインが飛行機事故で死亡するニュースと共に主人公がバーバラゴードンにうつる。
この直前に誰かが飛行機事故で死亡したニュースをブルースが聴いている。
世界がリンクしているのか、それともブルースが夢を見ているのか?
若干これはスケアクロウのにおいもしたけど奴は長期の幻覚というよりは恐怖ガスだから違うんだろうが、ブルースにとっての悪夢や恐怖みたいなものはやはり両親がキーになってそうではあるね。
リドラーだ。
リドラー最推しなのでほんとほんと最近推されてて私は嬉しい。
今回のリドラーはかなり解釈好きな方のリドラーです。 
アーカムにおるのにめちゃめちゃバーバラに電話かけるじゃん 
緑の服=リドラーで周知なん草
結構バレるし結構目立つんやね。
なのにパパラッチに写されたくないとかいうならその緑のクッソ目立つ服着てんじゃねえ。
上下緑のセットアップだろてめぇなんなら緑の帽子も被ってんだろ。妖怪全身緑謎謎おじさん。お巡りさん、コイツです。 
アルフレッド相手にして一応敬語だし下手だし挨拶はする。
一見まともそうな振る舞いをするなオメーはよ。
アーカムで模範囚だと言いはるのは真剣なのかジョークなのかイマイチわかんない所がいいな。
解釈というか作者毎にこの辺は変わってそうだけど、共通してどの世界線でも自分を精神異常だと思ってはいるんだろう。
ただ、他の囚人とは違う、あいつらよりマシ、とかは思ってそうだが。 
犬にビビるん可愛い。暴力に弱い。
なぞなぞにすべて例えちゃう癖、可愛いね
途中でキャスターに
おかしいと思わなかったのか?
いつどこで誰がなぜ?それでお前らニュースキャスターは食ってるんだろう?
と詰めたが、
わからない、と言う事についての詰め方がガチ。
頭の悪さが悪いというより、物事の道理についての考え方がかなり潔癖な部類だと思われる。
〇〇であるならば△△でなければならない、みたいな道理が彼の中にありそうだな。と感じさせる一面だと感じた。 
バーバラに静かにしろって言われたら黙っておくの従順だね。
会話の節々に相手を試すように幾度と尋ねるのは、いわゆる試し行為と呼ばれるものなのかな。
謎謎も実際、バーバラの知能の高さが自分が組むのに相応しいか見定めてる感じもあったし、それに合格すれば彼の中では認められる部類に入るんやろう。
明らかにレイシストな振る舞いだが、同じグループ、立場に立ちさえすれば関係性を築くに至るんだろう。
ではなぞなぞをしようじゃないか?←は?可愛い
悪口を皮肉で返す男、ユーモアもジョークもキレがいいね。アルフレッドには一刀両断されてたけど。
バーバラに天才、と言われたら少し不服そうな声を出して
私は天才じゃない
偉大な人間ではない 
非凡な頭脳を持っているのは認める
世界を変えるほどの思想、それは私の持っていないものだ 
って言うのは少し驚きだった。
ここは結構リドラーのキャラの重要な部分だよな。
このリドラーはだいぶ、自分を客観視できているし、自分で自分を小悪党である事を認識しているな。
結構作品によっては、自分の頭脳を過信して天才だなんだと言いはるイメージがあるけども、やっぱ世界を変えようとか、何らかの思想のもとで動いているわけではない、というのはある。
その思想のなさがリドラーというキャラを小物たらしめているし、逆にこういう風に味方としての振る舞いもできるようなものになっている気がする。
ただここでじゃあコイツの核はなんだ?となると、本人も言うように
「才能だよ」
ということなんだな。
彼にとって、非凡な頭脳も才能もそれ単体では天才にも、世界を変える偉大な人間たらしめるものでもない、という考えがしっかりある。
自分で自分を、ただ才能があるだけの矮小な人間に過ぎない事を定義付けた上で、自分なりの行動をしている。
この客観性を持った上で、自己の能力を見せびらかすためと相手を試したい衝動?にかられて狂気的な事件を起こしまくるのか… 
一見、理性的に見えてその実、本能のままに赴く獣のような二面性がたまらんな。
そして自分が獣であることも発言的に認識している。
でもそれしか自分の才能を使う理由がないのかもしれない。
なぞなぞは芸術 
テストも好きだと言ってたが、それとは違って芸術と称するだけあって謎謎は彼にとっての道理を表してるものなのかもしれない。 
何かを表すのにそのものの名前を直接言うのではなく、それを示す抽象的な概念を組み合わせてから、相手にそれを見つけ出させる、という流れは、リドラーにとって大切な儀式の一つなんかも知れない。
バーバラもいうように、謎謎の最後はいつも「私は誰だ?」で終わるのだから、謎謎を通じて自分探しをしている、という説についてリドラーは否定も肯定もしてない。
もしこれが正しいとすると、彼にとって謎謎はそのものの正体?について理解、もしくは定義するための行為なんだろうか。 
名前それ自体に意味はないというか、この世界で当然のように意味を持ってつけられた名前を持つ概念や物体について、謎謎を通して彼なりに再定義して、はじめて彼はその答え(=対象とするもの)を認識できる、というか相手と共有できるのかもな。
謎謎に例えるのが癖、というように謎謎をつ来る行為にも彼にとって意味はありそう。
Aという概念や物があったとして、
謎謎に例える行為によって、Aが一気に抽象的な形のない、しかし確実にそれとわかる特徴を持つ概念に変換される。
その後に、その謎謎を誰かに解かせる行為により、その確実にそれとわかる特徴を持つ概念がAである、という証明をその他者が実行することではじめて、Aという概念を他者と正しく共有できる、ということなんかもしれん。
根本的に、彼は自分の目、頭脳を通して見る世界と、他人が見ている世界が同じものだとは思ってないんじゃないか?
名前自体が大事なんじゃなく、それが持つ仕組みのようなものが重要なんかもしれない。
名前があればそれを言えば何なのかわかる、というのは当たり前のように見えて実はかなり不確かなことだと思う。
ある意味、彼は「賢すぎる」あまりに、名前とそれのもつ仕組みや意義が正しく使われていない世界を理解できちゃうし、それに耐えられない。
リドラーキャラがたりここまでにするか。
頭いいやつと頭いいやつとで捜査進むのテンポ良すぎ
マジで暴力には弱いなんもできんぞこいつ。
やめろ、とか言うてんのほんまクソザコ。
ボコボコにされてうめき声あげてるリドラー君からしか得られない栄養がある
ウギャッって言ってるの笑う
時間がない、私が推理しないとって言ってるのは、やっぱバットマンが自分以外の手で殺されるのは不服なのか?そういう動機なんだろうか?
慣れっこさ、何度もお縄になった悪党だからな
って発言、めちゃめちゃバーバラの悪口を根に持ってて笑う。
自虐なんかもしれんが、どこまで理性でどこまで本能なんだろうね。この辺の曖昧さが精神異常なところなんだろうけども。
なぜ警官になった?
それをバーバラに聴くのは、
人の命に価値はなく、興味もないが、人の思考と人の行動には意味と意義を見出そうとする男が他人を理解するために必要な儀式か?
その後の、
あぁ、ごめん、 
に死んだ。爆弾発言だよ。
あやまる!?あやまる!??????あやまった!!????????
謝る…
リドラーはゴードンを刺した
他に何かがあった?
生きてたらいつか教えるよ何があったか 
↑死ぬ気あんの?
リドラーが謝るって結構とんでもねえこ��だと思うんだよな。
刺したのは間違いないのか、それとも事故だったのか…? 
リドラーは人命に価値をおいてないだろうし、自分のしでかしている事が悪である自覚はあれど、人殺しに良心が痛むような人物ではないと思うが…
この辺はちょっとあとあとにならんとわからんかも。
でももともと戦闘力クソザコの頭脳特化マンがボコボコにされて手負いで動けなくなったからって本人の能力自体は死んでないがただ単に周囲にデバフかかるのオモロ
本当にクソザコおじさんだな…
今日はここまで。
いつかリドラーのキャラについて考察まとめたいなぁ
1 note · View note
arthur-meursault · 3 years
Text
ひさびさの日記だよ。
またグダグダくだを巻くと長くなっちゃうから、最近読んだ漫画に点数つけてくね。100点満点だよ。
前から読んでた作品は省いて、最近読み始めたものだけにするよ。
ちなみにダンジョン飯、沈黙の艦隊、火の鳥、ジョジョ、ワールドトリガー、ウォッチメン辺りが95点以上の作品。チェンソーマン、呪術廻戦、鬼滅の刃が90点。ゴールデンカムイが85点、アンデッドアンラックが83点。映像研が80点。
こういう感じで減点方式でやらせてもらうよ。
あ、ちなみに前から読んでる作品はレビューしないよ。
あと買ってある単行本をまだ読んでない作品もできません。
レビューの順番はバラバラだからスクロールして気になるタイトルがあったら読んでね。
・葬送のフリーレン/アベツカサ,山田鐘人
85点
うまい、新しい、面白い。
現3巻で連載中。のっけから点数高めの作品。これは1巻が最強に面白かった。
勇者が魔王を倒してからいく年が経った。1000年以上もの長い長い寿命を生きるエルフが勇者の仲間として(本人としては)たった10年だけの冒険を思い出しつつ旅してく話。まず設定がエモいし、それを料理する手腕もうまい。また魔王勇者ものの設定のアレンジが絶妙で、そこかしこで感心させられる。
2巻以降は新たな仲間を得て再び旅路につくのだが、この展開もなかなか面白い。が、面白さのピークは1巻に詰まっていた。これを超えてくれることを望む。そしたら90点越えも視野だよ視野。ぜんぜん期待できる。この作品は強い。
今後アニメ化などをきっかけに大ヒットしていく作品だろう。すげーぜ。
・嘘喰い/迫稔雄
93点
歴史的大傑作ギャンブル漫画
49巻で完結済み。
全巻買いしたのを20冊ペースで読んでいきました。
面白いねえ。よく作者はこんなこと考えつくなというトリックの数々。途中で先読みは諦めて素直に漠さんの掌で楽しむことにした。
まずなんといっても嘘喰いこと斑目獏のキャラクターが良い。このキャラ一人がこの漫画をここまで成長させた。本当に天才の思考を覗き見ている感覚が味わえる数少ない作品ですよ。彼は訳がわからない天才ではなくて「常軌を逸して観察力に長け、かつ周到」という本質の部分が丹念に描かれてる。
そんなの獏さんにしかできないだろ、という説得力がある。
やってることはババ抜きとかじゃんけんとかポーカーとかなーんも難しくないのに、裏ではこちらの読みを遥かに超えた戦略同士がぶつかり合ってる。
減点ポイントがあるとすれば作者の迫稔雄氏はツイッターのレスバが弱すぎる。
・ハイパーインフレーション/住吉九
76点
なんだこりゃで知的なオモシロさ
ジャンプ+にて6話まで更新中。
若干異世界の入った中世西洋文明にて、迫害される少数民の少年が生殖機能と引き換えに無限に偽札を生む能力を身につけ、資本主義社会に立ち向かっていく話。なんかもう、説明不要なんだよね。なにが面白いのかよくわからないけど、キャラとか、セリフ回しとか、なんもかんも面白い。
最近読んだ歴史系(歴史ものではない)の漫画ではピカイチの独自のセンスを感じる。単行本で早く読みたい。
・満州アヘンスクワッド/門馬司.鹿子
62点
1巻最高、その後ひどし
現在3巻で連載中。
落ちこぼれの日本兵が満州でアヘンを栽培し裏社会を手中に収めていく話。一巻は問答無用で面白かった。窮地に追い詰められて金を欲する日本兵の青年が、嗅覚と植物の知識を活かして芥子を手に入れアヘンを作る。ダウナーなクライムサスペンスとしてワクワク感がすごかった。でも2巻以降は勢い重視のB級サスペンスになっちゃった。この漫画に求められてるものってそうじゃないと思うんだけど。
本来なら50点以下でもいいけど、1巻めちゃくちゃ面白かったからそのぶん加点。
・逃げ上手の若君/松井優征
72点
さすがの松井
現在3話まで連載中。
松井優征作品はそこまで好きではないのだが、それでもやっぱり面白いし上手い。うまいというか、テクい。うーん。1巻出たらたぶん買うな。
ジャンプに掲載するのに最適な形にオミットされた歴史もの。見習う箇所多々あり。
・ネオ・エヌマ・エリシュ/マミー
62点
緻密な歴史もの
現在全2巻で完結。
ツイッターでアップされていた古代における奴隷の扱いに関するくだりが気になり購入。
完全記憶能力を持つ女子高生が博物館でうっかり古代のピポグリフを読み解いてしまい、魔法の力?で過去に飛ばされ預言者扱いされつつ、魔法の石板の破片を集めて元の世界に戻ろうとする話。
歴史ものとしては豆知識などが横溢してて面白い。舞台も目新しくて楽しい。
異世界転生もの(タイムリープもの)としては微妙。専門性は極めて高いがお話としては上質と言い難い。キャラ作りもハズし演出など頑張ってはいるのだがもう一歩といったところだ。
ところで本作は2巻が電子書籍でしか発売されてないので渋々全巻電子で購入した。売れなかったら最終巻とか紙本で出さないやつ、本当に嫌い。
・四ツ谷十三式新世界遭難実験/有馬慎太郎
73点
奇才が描いた異世界探訪もの
現在全1巻で連載中(休載中?)
ワープ技術を開発した天才研究者四ツ谷十三は性格がとにかくねじ曲がっており、他人が苦しむ様を見るのが大好き。そんな彼の弟妹はいつも苦労させられていて……そんな導入から四ツ谷が弟妹と友人2名を全く知らない惑星へ放り込んで置き去りにする『いたずら』から物語ははじまる。転送先はワープ技術の元ネタとなった特殊なワープ生物が生息する未知の惑星。帰る方法はワープ生物を捕らえること。地理も生態系もなにもかもが常識離れしたダンジョン的異世界で彼らの5人のサバイバルがはじまった……5人というのは四ツ谷もうっかり帰りそびれたからである。というあらすじ。
長くなったが、この話のキモは四ツ谷十三というキャラクターなのだ。
天才であり度を越した皮肉屋で楽天家でドジな『いたずら』好き。かといって人を真顔で殺すよくある極悪人ではなく、あくまで度を越した嫌がらせ程度。そんな四ツ谷と四人のメンバーがつかず離れずで異世界を探索していく、これが面白い。
ただし欠点としては、異世界探訪ものとして突出した面白さがないということ。設定はかなり緻密なのだが、どことなく既視感が漂う。また異世界で意思疎通可能な生物が出てこないので人間ドラマにも寄与しないし、仲間内も基本仲良しなので四ツ谷十三以外のキャラ同士でドラマが生まれない。
ただし1巻のオチに当たるくだりでは少し息を飲まされた。上記の減点ポイントは要するに序盤だからで、これからどんどん面白くなっていくのだろう。しかし2017年以降続刊が出てない…打ち切られたか廃刊したのかなんなのか。無念。
・攻殻機動隊/士郎正宗
95点
天才が描いたアウトローガンアクション
全3巻(1〜1.5〜2)で完結済み
説明不要の傑作。
僕がいうことなんかないかな。本作は岡田斗司夫のYouTubeチャンネルで紹介されてて興味を持った。
いやー面白い。当然SFとしても面白いし、アウトローものとしても古臭くて面白い。そのチグハグ感がたまらない。
SF的ギミック描写が今なお古びていない、というより示唆的であるというその点は素直に凄み、賞賛する。
押井守が才能の大半を費やしたのも理解できる。庵野秀明や宮崎駿が褒め殺すわけだ。
傑作!
怪獣8号/松本直也
70点
普通
全1巻で連載中
普通だなあーー……普通にうまいし普通に面白いし大衆ウケしそうだなあー……。俺としてはそんな惹かれるものはなかった。
作家として気になるポイントは、本作の見開きの作り方がウェブにも紙にも対応している、ということらしいのだ。見開き漫画としてドバーンと一枚絵をただ描くのではなく、一枚1コマの情報量を意識して描くと。それが縦スクロール漫画にも対応してるというのだ。面白い。勉強になるなあ。
抜刀/ザビエラー長谷川
45点
キメ絵はすごい、それ以外が……
全2巻で連載中
作者のザビエラー長谷川さんはすごい人なんである。そのすごさは抜刀の1巻巻末に掲載されている「僕はアナタに殴られたい」という漫画を読めばわかる。嘘喰いの顔面ドアップ演出をさらに力強く汗臭く荒削りにしたようなど迫力の『顔』。これを見るだけで惚れ惚れしてしまう。
他にもストーリーの山場で銀杏BOYZの歌詞をそのままオノマトペのように叩き込む。音楽を漫画化したものとしてこれ以上の圧がありえるだろうか。ロックンロールだ。嫉妬する。
だが一方で、この作者さんに連載は難しいんじゃないのか、長編構想はできないのでは?とも感じていた。
キャラクターのバリエーションは多いわけではないし、世界観や凝った展開で魅せることはできるのかどうか。
ストーリーも作れるのか。
あと、根本的に画力はどうなのか。
圧のある顔面に一点特化された画力が連載漫画の強度を保てるのか?
で、その懸念が全部当たったのが本作。
45点は正直あげすぎかな?と。
20点でもいいくらいだ。それくらい本作はひどい。背景はおろかキャラの画力すら伴っていない。お話に関しては素人以下といってもいい。
でも1巻巻末についてくる読み切り『僕は〜』の衝撃にはそれを補ってあまりある価値がある。
そういうわけで25点上乗せして45点です。
最果てのソルテ/水上悟志
73点
ああ、これが水上悟志だ
全1巻で連載中
水上悟志は好きな作家だ。何が好きって、作品がじゃない。作品はとにかくうまい、うまいと思う。だが最高傑作の惑星のさみだれも僕にはあんまり合わなかった。
すごくわかりやすい作家なのだ。そして優しいのだ、水上悟志は。そこが好きだし、だからこそピンとこないのかもしれない。
いうなればコロコロの冒険漫画を200%上質にしてすこしビターにチューニングしたような、そんな世界観なのだ。そして僕はそういう作品があんまり好きではない。この持ち味は石黒正数にも通じる。彼らは藤子・F・不二雄の影響が多大なのだろう。そして藤子先生はそんなに好きでない。ドラえもんとかも、子供の頃あんまり面白いとおもってなかった。僕はパーペキにブラックジャック派だった。手塚治虫派だったのだ。
それでも僕は水上悟志が好きだ。尊敬してる。こんなにも縦横無尽に自分の描きたいものを描き切れる人はいない。こんな作家になりたい。
だから追いかけますよ、水上先生。
九国のジュウシ/西公平
75点
なんじゃこりゃ〜ヘンテコ〜な歴史もの
全2巻で連載中
作者があの『ツギハギ漂流作家』の西公平だという。何が嫌いかよりなにが好きかで自分を語れよ!という。俺によく効くセリフである。
そんなことまったく知らずに購入し、読了し、感想を呟いた。よかった、それで。おかげで本作は『打ち切り漫画家が描いた妙な作品』というレッテルでは済まされない奇妙な魅力を持ち得たからだ。
戦国時代。主人公の十四郎はニホンオオカミに育てられた野生児。超人的な強さを持ち、戦場を育て親の母オオカミの狩場としか認識していない。そんな彼が大友家家臣であり岩谷城主である高橋紹運、その息子で戦国と江戸を跨ぐ傑物・立花宗茂と出会い、彼らの運命を少しずつ変えていく(史実とは変わらないケド)という。
いわゆるメアリー・スーものである。
とにかく面白いのは主人公のチートじみた強さ……ではなく。
濃いキャラ群である。主人公の十四郎は狼に育てられたため人間を冷めた目で見ており、戦場も「弱い同種が争ってるな』程度の認識しかない。この冷め方、突き放し方が面白い。
またとぼけたハゲだがそこそこ強く優れたリーダーである紹運、軟弱だが十四郎の修行を経て覚醒していく宗茂、その許嫁である性悪だが憎めない誾千代、さらにはたびたび出てきては十四郎に首をスポスポ吹っ飛ばされるモブたちまで……全員キャラ立ちしてる。
そして時代考証もしっかりしている。最初はこの手の歴史物に詳しい新人の作品かと思ったほどだ。巻末を読むと一から調べたらしい。なるほど。
そんでアクション描写だが、なんだろうな、これは。もうまさに……すポポポーンという感じで人が死んでいく。かといって迫力がまったくないわけではなく。刃牙と榎本俊二を混ぜたような。
……もう読んでいただきたい。
面白いんだよお〜!
仄見える少年/後藤冬吾,松浦健人
65点
普通のジャンプ漫画じゃ
全2巻で連載中
なんかもうあんま言うことないな……実は一巻だけで読むのをやめてる。呪術廻戦に影響されてるのはもちろんわかるんだが、呪術で面白いのはあの過剰とも言える世界観を覆う悪意と殺意、高度な駆け引きを要求される戦闘描写、そして残酷な世界を打ち破り、時として叩きのめされ、それでも立ち上がる愉快で軽快で型破りなキャラたちなのだ。それがないときちゃあもう……なんかブリーチが連載してた頃のジャンプ漫画読んでるみたいだったな。
メダリスト/つるまいかだ
70点
普通の青年漫画、絵が良い
全1巻で連載中
もうあんまり言うことないのだが、幼女と兄ちゃんという組み合わせで買った。アフタヌーン系にしては珍しくロリらしいロリキャラだったので。中身は普通にアスリート漫画だったな。絵はめちゃくちゃうまいし華がある。ヒットしてもおかしくないな。ブルーピリオドもそうだけど、アフタヌーンは俺が興味ない面白い漫画を作るのがうまいな。
レベルE/冨樫義博
85点
面白いけどさすがに古びてる
全3巻で完結済み
ハンターハンターなんだよなあ、これ。面白い。
あんま言うことねえや。個人的にはそんな気に入らなかった。暗黒大陸編のほうが百倍おもしろい。
でも技術点で85点もってくのはやっぱ冨樫おかしいよ。無敵素敵。
終わりの国のトワ/上田完
72点
良質!
全1巻で連載中
この世界から失われた言語と『あるもの』を求めて古代ローマ的ファンタジー世界観を旅する若者の話。
話は『あるもの』の正体とそれを突き詰めるところに向かっていくのだが、この設定が面白い。
メタ的にいうと、BLというジャンルをこういう形に落とし込んでくるのか!といったような。萩尾望都だなあ…。
まだ大きな山場はないけれど、ゆったりと3巻ぐらいかけた中編として読みたい作品だ。
絵も美麗。
続刊が楽しみである。
そのへんのアクタ/稲井カオル
90点
もう好きすぎますよこの世界観
全1巻で連載中
宇宙生物による海岸からの侵攻がはじまった世界。とてつもない強さで敵を打ち倒し人類を救う、『終末の英雄』と呼ばれた男がいた。彼の名は芥。人々は彼に続いて立ち上がり………その数年後、人類はなんとなく平和を取り戻していた。宇宙生物は相変わらずやってくるが対処法がマニュアル化されてるため誰でも倒せるようになった。もはや英雄は必要ない。というわけで思春期の大半を怪物退治に費やしたばかりに人間性と社交性を失った英雄が鳥取に左遷される場面から物語ははじまる。
シリアスな世界観を下敷きにしたコメディ作品。なにより情報量マシマシのギャグがたまらん。
それがいちいちキャラ立ちに繋がっている。
無駄なキャラクター、不要なキャラ描写が一切ないタイトでキレキレの構成と、『終末も回避できたしゆる〜く生きていきましょう』というゆるゆるアポカリプスなテーマがなぜだかベストマッチ!
全キャラ好きじゃー。打ち切りはやめておくんなまし。無限に読みたいんだ。
宙に参る/肋骨凹介
75点
良質な宇宙SF最前線
もともと宇宙SFものというジャンルはそこそこ好きで、あさりよしとお作品とか主要なものはだいたい買ってある。この宙に参るもそうした系譜の作品だ。
この手の作品の特徴として、まず知識量がハンパではない。つぎに、ストーリーよりも考察第一。そして、考証や設定に限らずキャラクターの死生観や着眼点が目新しい。最後に、キャラがなぜか全員ドタバタしがち。
本作もこれらの課題?的なものをしっかりクリアしている。こういう作品はいつの時代も作られていかねばならんと思う。まあ、宇宙SFを義務感で描く人だーれもおらんだろうな。それでいい。
出版元が大手ではないらしいので頑張って続いてくれ。人気出て欲しいなあ。
ドゥームズデイ・クロック/ジェフ・ジョーンズ(脚本),ゲーリー・フランク(作画),ブラッド・アンダーソン(着色)
85点
ヒーローものとしてのウォッチメンの決着
ウォッチメンの続きをやってやろうという、ヒーローものを好む人間なら誰しも一度は夢見る大海を目指したコミック。
ロールシャッハの手記により再び崩壊の危機に面したウォッチメン世界。彼を再生してもらうべくドクターマンハッタンを追いかけロールシャッハ二代目とオジマンディアスが手を組んでDCユニバース世界に飛び込む……。
この設定だけでワクワクさせられるが、端々の描写もいちいち秀逸。
ジョーカーやバットマンとロールシャッハのやりとり。
ドクターマンハッタンVSヒーロー総当たり戦で圧倒的な強さを見せつける我らが青ハゲ超人(ついでに元ネタのキャプテンアトムも倒していく)。
マンハッタンとスーパーマンがもし出会ったら?これをまさに『完璧に』描き切るとは……ジェフ・ジョーンズ恐るべし。
原作のような圧倒的カリスマ性を帯びることはなかったし、もちろんそんなことは期待していない。それでも本作は十分に成功したヒーロー漫画だった。
ヒーローに鮮烈な負の疑問を投げかけ、陽炎のように消えていった『ウォッチメン』。
その疑問に終止符を打つのもまたヒーローなのだ。
アメコミの底力を見せられた気がする。
以上、最近読んだ作品の個人的レビューでした。
つまらない作品を買うことは基本しないので点数高めだな。といっても異世界転生もののしょーもない作品も一巻だけ買ったりしてるのだが、まあ当たりはそうそうないよねえ。
日記っぽいことも書いておくか。
ここんところは資料本とかハードカバーをパラパラ読むことが多い。漫画の資料本はバカスカ買い漁るタチなので。
漫画、わりと買ってるつもりだったけど、思ったより新規参入作品に手をつけてなかったな。
連載中で追いかけてる作品は
・ゴールデンカムイ
・ワールドトリガー
・呪術廻戦
・チェンソーマン
・ハンターハンター
・アンデッドアンラック
・亜人
・映像研には手を出すな
・ハクメイとミコチ
・ダンジョン飯
・空母いぶき(シリーズ)
・デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション
・ブルージャイアント(シリーズ)
・ゴールデンゴールド
・上野さんは不器用
・キルミーベイベー
・ねえピヨちゃん(あ、これ最高)
・ヒストリエ
・大ダーク
・ドリフターズ
この20作品かな。ハンターとかドリフは全然新刊でないけど、それでも毎月なにかしら新刊買ってる気がする。
他にもいろいろ読んだ気がするけどこの辺でやめとくか。
最後に、購入したけどまだ読み切ってない作品を下記しておく。
・カムイ外伝
・ミステリと言う勿れ
・不滅のあなたへ
・銃座のウルナ
・ブルーピリオド
・ヴィンランド・サガ
この辺かな。
まあ頑張ってそのうち読みます……。
それではまた。
2月の日記でした。
2 notes · View notes
sylphy-bat · 4 years
Text
Detective Comics #1027
Tumblr media
144ページ、記念号。バットマンデイ9/20の週に発売。もちろん、バットマン初登場のDetective Comics #27から数えて1000回目というもの(厳密には違うというコメントも見かけるがまあ、置いておきましょう笑)
#1000の記念号も素晴らしい作品ばかりで、Variant Coverもこれでもかぐらいにあったが、今回も同じく素晴らしい作品がずらっと並ぶ。通常カバーはAndy Kubert & Brad Anderson。えっ、Variant Cover? もちろんぼちぼち買いましたよ!
今回は12作品が勢揃い。ライター&アーティストのラインナップも気合が入っている。また中にはPinupのアートが挟まれ、同時に美しいページばかりだ。ぜひ好きなカバーを手に取ってみて、このバットマン81周年をお祝いしてみてはいかがだろうか。今回は前半部分をレビュー。
Blowback
Writer Peter J Tomasi
Art Brad Walker
バットマンは捕まっているようだ。水中に。逆さまに。誰かが、やはりいつものように、バットマンを殺したがっている。バットマンの体には、心音を聞く機械やら防水カメラも取り付けられ、死んだときに水が引き、解放されるシステム。死んだ証拠を確実に手に入れるために、誰かがこんな手の込んだことを仕掛けたわけである。
バットマンは自分がなぜこうなったのか記憶を辿りながら、自分が戦ってきたヴィランに思いを馳せていく。ジョーカー、ペンギン、キャットウーマン、リドラー、トゥーフェイス...それぞれのコマは実際に過去の作品のコマが使われていることが多いので、どの作品かな、どの時代かなと考えるのも楽しい。
どんな罠にかかろうとも、どんな脅しを受けようとも、どんなにゴッサムが危機に陥ろうとも、どんなに解決策が全くないと思えても、バットマンは切り抜ける方法を見つける。それは彼が数百以上のシチュエーションを全て計算し、どんな状況でも対応できるから、と言える。バットマンは常に努力し、上を目指す。でもそれはバットマンだけではできないだろう。彼には、切磋琢磨できる環境があった。彼には戦う相手、ヴィランがいたのだ。ヴィランはバットマンが憎むべき敵ではあるものの、彼らこそが、バットマン自身を高みへさらに押し上げ、戦う理由を毎回作り出してくれる。どれだけバットマンが迷惑に思おうが、彼らがいるからバットマンでいられる。彼らがバットマンを毎回成長させてくれるのである。
だからバットマンは全てお見通し。もちろん今回のバットマンを監禁していた犯人に辿り着く。バットマンを出し抜くのは100年早かったかも。本当に、「お大事に」。
The Master Class
Writer Brian Michael Bendis
Art David Marquez
一人の探偵の遺体がビルの屋上に。それを最初に発見したロビンを皮切りに、なぜかナイトウィングやバットガールやレッドロビンやスポイラー、レッドフード、最終的にはバットマン本人までその遺体に吸い寄せられるように来る。ジョーカーか何かの罠を想像するレッドフードを聞き流しつつ、一人の遺体を前にわいわい(?)謎を解こうとするバットファミリー。(そのテンションに、ちょっと待て、みんな、落ち着け、人が殺されてるんだぞと読みながら思った私)
一応、このファミリーの邂逅は本当に本当の偶然だったらしい。バットマンが指揮を取り、各々自分の得意分野で遺体を分析、推理し始める。レッドロビンが遺体を細かく分析、証拠を調べるダミアン、データを検索するスポイラー、ナイトウィングが推理を組み立て、バットガールと共に周辺調査、レッドフードは常に慎重に見張りしつつ携帯をハッキング。最終的に警察が着くよりも先に真犯人へ辿り着き、一件落着。鮮やかだ。
探偵の死から、ファミリーが自然に集まり、一つの事件を解決する。そんな、普通の作品だが、こんなに大きなグループでも誰一人無駄が全くない。皆が自分の役割をわきまえ、一番効果的な解決を導く。皆がそれぞれ探偵だ。バットマンの教えは確実に受け継がれていく。家族を失ったバットマンが得たファミリーとして、彼らはふさわしい。
Many Happy Returns
Writer Matt Fraction
Art Chip Zdarsky
2回目の「出会い」から、ジョーカーはバットマンのために誕生日プレゼントを用意するようになったという。毎年。毎月。必ず何かの「プレゼント」がバットマンに用意されている。誰かが犠牲になるような危険なプレゼントもあれば、全く他愛無いものもある。ジョーカーはバットマンの誕生日など知る由もない。でも必ず毎月30日前後のどこかでジョーカーは彼なりの方法でバットマンの誕生日を祝うのである。いつかはわからないけど、何年もやれば、「数打ちゃ当たる」の法則で、本当の誕生日を祝えるだろうと考えたのかもしれない。(過去の「誕生日」のコマを見ると、興味深いコマもある。60年代のジョーカーや、バットマン/ジョーカーの衣装を身につけていたのもある)
何十年もバットマンはジョーカーのプレゼントを「もらって」きた。だが今月はジョーカーのプレゼントは来ていない。絶対にこんなことはあり得ない。月末最終日、真夜中までのカウントダウンが迫る中、バットマンはジョーカーを必死に探し、GCPDには万全の警戒をさせる。絶対何かあるはずだと。最悪のシナリオまで考えていたバットマン。ジョーカーがバットマンに用意したとびきりのプレゼントとは...
個人的に、ジョーカーはそういう記念日を大事にする方だと思う。Fool’s Errandという別の作品ではジェイソンを殺した日に、ジョーカーはバットマンにわざわざ子供を助けさせるということをやった。ジョーカーが殺した日でもあり、ジョーカーが殺さなかった日にもなるようにという、ジョーカーなりのジョークとも捉えていいだろう。ジョーカーは自分がジョーカーになった日やバットマンに一番最初に会った日ですら覚えているのだろうとすら思う。それはジョーカーにとってバットマンは特別だからである。特別な「人」であるからこそ、その人のためにいろいろやってあげたいというジョーカーなりの思いがあるのだろう。だが、ジョーカーの行動や考え方は一般とはかけ離れたものであり、普通に理解はできないものだ。このジョーカーは実は悪気はなく、バットマンのためをただ思って、喜ぶだろうと思って本気でやっているのだろう。バットマンのために人を「殺してあげる」のであって、多分彼にとって誕生日カードを送るのと同じレベルなのだ。他の世界は必要ない、自分とバットマンだけの世界を求めて。
バットマンとジョーカー。なぜ、彼らはこんなにも複雑な関係になり得たのか...
Rookie
Writer Greg Rucka
Art Eduardo Risso
私の中ではこの作品が一番好きである。
やっぱりRuckaとRisso。この名コンビは常に名作を出してくれる。最高の安定感である。
大学を卒業した一人の女性。彼女は様々なテストをパスして晴れて念願のポリスアカデミーの入学許可を得る。彼女の夢は立派な警察官になること。Protect and serve。市民を守り、奉仕すること。普通の都市ならそんな夢が叶うはずだっただろう。
ゴッサムは、そうではない。
立派な警察官になることなど、正義という言葉など、無意味だと捉える者たちが蔓延るゴッサム。警察官になるための誓いをただの言葉と捉え、彼らは私腹を肥やすために犯罪者と付き合っていく。そうやって、若き情熱あふれる新人は踏み潰され、正しさ、正義を訴える者は排除され、葬り去られていく...それがゴッサムだから。孤独で戦うにはあまりにも無力だ。一人で崩すには大きな壁が、目の前にあるのだ。長い物には巻かれるしか方法がないのか。
でも、必ず、良き行為を見ている人がいる。
誰かが、必ず、気付いてくれる。
女性は、仲間の不正を告発し、仲間に脅されながらも不正に加担しない姿勢を貫くのをゴードンに認められ、MCU(Major Crime Unit)へ推薦される。その様子を見守り、陰で支えていたのは、もちろん、バットマンである(ゴードンにおそらく推薦したのもバットマンであろう)。彼女はもう、孤独ではない。
犯罪者と戦うだけでなく、人々をそっと見守る彼。だからこそ闇の守護者の名前にふさわしいような気がする。
Ghost Story
Writer James Tynion IV
Art Riley Rossomo
Rossomoの超ユニークなアートは理由はなぜかきちんとは言えないが、私はかなり好きである。Batman/Shadowクロスオーバーをやっていた頃から好きなのだが、本当になぜ好きかは言葉で説明できない(笑) でも特に、異世界や単純な話の中の闇を描く作品に親和性があって、興味を持って読んでしまう。
幽霊って本当にいるの?
幼きブルースはかつてそんな素朴な質問を母親にしたことがあった。幽霊は怖いものと考えるブルース。死んだらママも幽霊になるの?と。
そう、かつてブルースも幽霊が怖かった。今ではバットマンはロビンと共にDeadmanを軽くあしらいつつ、協力して、幽霊を収集するSpecter Collectorと戦う。ロビンは幽霊を怖がるが、バットマンは幽霊に恐怖を感じない。
幽霊は記憶が形になったものだから。悪い記憶もあれば、いい記憶もある。悪い記憶のみに捉われていれば、それが心の中で大きな存在となって、自分にまとわりつく。でも、いい記憶も存在する。その記憶が幽霊となっても、生きる者をずっと守ってくれるのだ。
Deadmanは最後に、亡くなった両親がバットマンを見守っているのか知りたいか?と聞くが、大丈夫、私は知っている、とバットマンは答える。バットマンの中で、両親はずっと生き続けているはずだ。だからこそ、バットマンは戦う意義を見出すのである。
Fore
Writer Kelly Sue Deconnick
Art John Romita Jr.
Foreはゴルフ用語で、ボールを打った後、ボールを打った方向にいる人��向かって「危ない」と注意すること。なので、今回はブルースと、ブルースが持っている土地を買収しようと企む男Mr. Steele(鋼、要は誰も倒せないような強い男の意を含む)とのゴルフのお話。
まず本題に入る前に。ブルースが真夜中に、大雨の中に相手に誘われてゴルフをやることになるのだが、ブルースが雨よけに、頭の上に自動で浮くライト付きの傘?を使っているんだが、それ私が欲しいですよ(笑) 確かこれ、実際に実用化までいってるのかな?
で、Steeleの今回の目的は、わざわざこういう誰もが尻込みしそうな変な時間にゴルフに呼びつけ、相手の弱さを見極めた上で、自分に強さをアピールして、自分が望むものを(どんな手を使ってでも)手に入れることである。もちろん、Steeleがブルースを貶めようといろいろ喋るわけではあるが、その間回想シーンとしてバットマンが汚職警官を追い、違法賭博やドラッグ現場を叩きのめす様子が描かれる。お前は雨よけなんか使って弱っちいなとかSteeleに言われながらも、ブルースはバットマンなので(!)、実はSteeleの想像の及ばないところで、相手を簡単に叩きのめせる実力を持っているわけだ。
Steeleが、自分は警察も買収済みだから自分にできないことはないぞ、と脅しに出たところで、全てを録音していたブルースがゴードンに連絡。逃げようとしたSteeleにブルースがゴルフクラブを投げてつまづかせてあえなく御用となった。そう、「前方注意」ですよね。
通常の夜の活動はバットマンの世界だが、ブルースの姿でも活動はできる。夜明けに去っていく姿は、やはりバットマンらしい。
あと一言だけ。Romitaのバットスーツいいですねえ。
後半レビュー続きはまた別途。
2 notes · View notes
wknmh-notes · 6 years
Text
イタリアのマンガ文化と日本 - ルッカ コミックス&ゲームス2017
12月。ミラノの街も木々の黄葉に染まり、秋の深まりから冬へと移り変わっている今日この頃。 イタリアは10月29日の日曜日深夜にサマータイムが終わり、日本との時差は8時間となりました。
10月末から11月初頭にかけて、イタリアに来て初めて泊まりがけの旅行に行きました。行き先はピサとルッカ。
ピサは皆さんご存知の通り斜塔で有名な街ですが、今回の目的はルッカで行われる「ルッカ コミックス&ゲームス2017(LUCCA COMICS&GAMES HEROS 2017)」に行くことでした。
Tumblr media
ピサのことは一旦置いておいて、今回は以下のことを。 ちょっとボリュームが多いです。
ルッカのこと
ルッカ コミックス&ゲームスのこと
ヨーロッパ、世界におけるマンガ文化
出展ブースはアメリカもの、日本もの、ネットドラマが中心
コスプレイヤーから見る人気作品
ゾンビが親しまれる文化に思うこと
改めて、ルッカ コミックス&ゲームスのこと
ルッカのこと
ルッカはトスカーナ州、いわゆる中部地方の北西に位置する小さな都市。
近隣にはフィレンツェやピサがあります。
Tumblr media
↓↓拡大すると…
Tumblr media
ミラノは北部のロンバルディア州にあるため、移動には時間がかかります。ピサまでIntercityという列車で4時間(もっと早い列車でも3時間)、さらにルッカへはRに乗り換えて30分。 それならもう数日間宿を取ってしっかり楽しもう、と旅行を決めた次第です。
ちなみに普段は静かで穏やかな美しい街並が楽しめる街とのことですが、このフェス期間中は完全にお祭り会場と化していました。
ルッカ コミックス&ゲームスのこと
ルッカ コミックス&ゲームス(LUCCA COMICS&GAMES HEROS)は、毎年10月末〜11月初頭に開催される世界有数のコミックフェスティバルです。 1966年から始まったこのイベントはルッカの街全体を会場として年々盛り上がりを増しており、その規模は日本のコミックマーケット(以下コミケ)、フランスのアングレーム国際漫画祭(Festival international de la bande dessinée d'Angoulême)に次いで世界で三番目だそうです。(つまり、日本のコミケは世界最大規模)
「街全体を会場にしている」とは具体的にどういうことかというと…
Tumblr media
会場でもらった地図。上記のように広げると縦46.5×横93cmの大きさ。
もう少し情報量を削るとこんな感じ。
Tumblr media
見ての通り、城壁に囲まれたルッカという街をそっくりそのまま会場として利用しているわけです。壁で仕切られた広い土地、というのがお祭りの会場として適していると考えられたのでしょうか。
この中にありとあらゆるブースが設けられるほか、大量のコスプレイヤーが街を闊歩していたり、一般のお店でもマンガやゲームのグッズを販売していたりと本当に街一帯がイベントを盛り上げているようでした。
Tumblr media
右側が城壁の外、左側が城壁の上。穏やかな風景とコスプレイヤーの対比。
Tumblr media
街中で売られるマンガやゲームのグッズ。個人的な印象では刀が一番人気で、他にNARUTOのクナイやハリー・ポッターの杖などもありました。
ちなみにこのフェスはイタリア内でも知られていて、ミラノのイタリア人に「先日ピサとルッカに行きましたよ」と言っても「ふーん」という反応で終わるところを、「ルッカのコミックフェスに行ったんです」と言うと目を輝かせて「本当に?良いね!」とまるで違う反応が返って来るので面白いです。
ちなみに今回このフェスに行ったのは、以下の理由から。
ヨーロッパの漫画文化に触れたかった
ヨーロッパで日本の漫画がどれくらい親しまれているか知りたかった
ここで少し世界のマンガ事情について解説します。
ヨーロッパ、世界におけるマンガ文化
世界で流通しているマンガの系統は3つに大別されると言われています。 一つはアメリカの「コミックス」、一つは日本の「マンガ」、そしてもう一つがフランス語圏の「バンドデシネ」。
「コミックス」はヒーローものを中心とした劇画調のタッチのもので、スーパーマンやバットマンなどのいわゆるアメコミと呼ばれる作品を指します。オールカラーで薄い月刊誌への連載という形を取り、単行本化するのは一部とのこと。
「マンガ」はご存知の通り、基本白黒で描かれ各コマの大小・強弱や線による演出力の高い作品で、週刊誌や月刊誌への連載を経ての単行本化が一般的です。ちなみにイタリアでも「MANGA」と言えば通じるほど親しまれています。
「バンドデシネ」はフランスで9番目の芸術と位置づけられるように、長い制作期間で一コマ一コマの絵を完成度高く描き込んでいく密度の高い作品です。こちらも基本オールカラー、しかし連載形式は取らず単行本ありきで執筆されるのが普通とのこと。古い作品では「タンタンの冒険」などもこれに当たります。
自分はここ数年この「バンドデシネ」に興味を持っているのですが、なかなか日本で発掘するのが難しく情報も少ないのが悩みでした。 今回のフェス自体はフランス語圏ではないものの、同じヨーロッパで行われるフェスであればバンドデシネ作品に触れられるかも…という期待が自分の中にはあったのです。
ちなみに自分がバンドデシネに興味を持った書籍がこちら →「松本大洋+ニコラ・ド・クレシー」
Tumblr media
イタリアで買ったバンドデシネ作品。 いずれもオールカラー、かつ左はハードカバー。それぞれ20ユーロ弱(1ユーロ130円程度なら2000円超)なので、日本のマンガと比べると高め。
出展ブースはアメリカもの、日本もの、ネットドラマが中心
出展ブースはとてもたくさんあって、とても全部は回りきれませんでした。 大きな区分としては以下の二種類があり、
企業エリア(Netflixなど一企業が広いスペースをブースとして貸し切る)
テーマエリア(COMICSやJAPAN TOWNなど、テーマに沿った小さいブースの集合)
それ以外の独立エリア(EXIBITION、RAMEN SHOPなど多種多様)
その中の系統はだいたい以下の通り。
ネットドラマ・テレビシリーズ系(Netflixやその他有名ドラマシリーズなど)
アメリカ作品系(ワーナーブラザーズ、スターウォーズ、アメコミなど)
日本作品系(任天堂、BANDAI、ドラゴンボール、その他漫画など)
Tumblr media
スターウォーズブースはやはり人気。写真はお客さんではなくオフィシャルスタッフ。
Tumblr media
ワーナーブラザーズブースはずっと長蛇の列。(入場は断念)
Tumblr media
任天堂ブースも大人気。マリオだけでなく、ゼルダの伝説も親しまれている。
Tumblr media
みんな大好きドラゴンボール、と言っても良さそうなほどイタリアでも有名。
Tumblr media
JAPAN TOWNには日本のお店や会社が多く出展。和服やかんざし、民芸品などの伝統的なお店から、マンガ用品(コピックなど)やフィギュア職人が実演するブースも。 日本人スタッフの方も多く、いろいろお話を伺えました。
自分が期待していたバンドデシネものは、正直存在感が小さかったです。
というのも、イベントの正式名称が「LUCCA COMICS&GAMES HEROS」であることからもわかる通り、このフェスはマンガ・ゲーム・ヒーローもの(映画やドラマ、アニメ含む)すべてを網羅しています。 さらに言えば、「ヒーローもの」という巨大なくくりの中に「マンガ」「ゲーム」「映画・ドラマ」が置かれているという印象すら受けました。
そう考えると、
バトルものの映画やドラマ → アメリカ作品系のヒーロー
バトルもののマンガやゲーム → 日本作品系のヒーロー
というように、このフェスでアメリカ作品・日本作品の存在感が強いのも納得できます。イタリアやヨーロッパ発のヒーローものってイメージがあまりありませんし…。(自分が知らないだけかもしれませんが)
とはいえもちろんヨーロッパのコミックエリアもちゃんとありました。 ボリューム的には少し物足りないものの、エリア内に所狭しと各作家さんや出版社ブースが並んでいていろいろな作品を手に取ることができて嬉しかったです。
出展している作家さんご本人がいらっしゃるブースも多く、描画の実演や実際に言葉を交わしてお話を伺えたりできたのは非常に良い学びになりました。 「僕はオノ・ナツメと友達だよ!」という方もいらしたな…。(オノ・ナツメ先生はイタリア留学経験のある漫画家さんです)
コスプレイヤーから見る人気作品
「ジャンル的にどういうものが親しまれてるかはわかったけど、具体的にどんな作品が親しまれてるの?」と思う方もいるかもしれないので、こ��で参考までに自分が見かけたコスプレを箇条書きにしてみます。
※()内はその作品において見かけたキャラクター名 ※太文字は自分が見かけた頻度の高い作品 ※ネットドラマやアメリカ系、その他自分がよく知らない作品は言及なし ※作品名は順不同
Tumblr media
なぜかよく見かけた亀仙人のコスプレイヤー。
<日本作品系>
ルパン三世(ルパン、次元、五右衛門)
ONE PIECE(ルフィ、トラファルガー・ロー)
HUNTER×HUNTER(ヒソカ)
BLEACH(アランカル版の一護)
となりのトトロ(トトロ)
もののけ姫(サン)
魔女の宅急便(キキ)
紅の豚(ポルコ)
FINAL FANTASY Ⅶ(クラウド)
FINAL FANTASY Ⅷ(スコール、サイファー)
FINAL FANTASY Ⅸ(ビビ)
スラムダンク(桜木花道)
NARUTO(暁の装束、サクラ、四代目火影、カカシ)
ドラゴンボール(孫悟空、ベジータ、クリリン、ピッコロ、亀仙人、神龍、超サイヤ人)
進撃の巨人
新世紀エヴァンゲリオン(綾波レイ、アスカ)
魔法陣グルグル(ニケ、ククリ)
東京喰種
ドラえもん
名探偵コナン(コナン)
ハイキュー!!(烏野や他校のユニフォーム)
スーパーマリオ(マリオ、ルイージ)
ポケットモンスター(サトシ、ピカチュウ、コスプレではないがゲンガーの顔Tシャツを着た人がちらほら)
ゼルダの伝説
美少女戦士セーラームーン
プリキュア系
デビル・メイ・クライ
銀魂(坂田銀時)
犬夜叉(犬夜叉、桔梗)
<海外作品系>
ディズニープリンセス
スターウォーズ
ゴーストバスターズ
ハリー・ポッター(ハリー、各寮のローブや杖)
バットマン(バットマン、ジョーカー)
スパイダーマン(スパイダーマン、ドクター・オクトパス)
パイレーツ・オブ・カリビアン(ジャックスパロウ)
シュレック
アサシン・クリード
ピーナッツ(スヌーピー)
Netflix系ドラマとおぼしきもの
その他アメコミ系
<その他>
アーミー系コスチューム
ゾンビ系メイク(とても多かった)
あくまでコスプレなので、「格好良い!」と思う服装の作品が多い印象です。そのせいか少女マンガのキャラクターはほとんどいませんが、実際には矢沢あい先生などの少女・女性マンガもイタリアでは親しまれています。
NARUTOは忍者、BLEACHは和服で刀、というわかりやすい日本らしさと格好良さが人気の要因かもしれません。 ルパンもこんなに親しまれているとはつゆ知らず。イタリア人のルパンと次元はとても格好良かったです。 しかし、ゾンビ系コスプレイヤーの方々がそのままの格好で列車に乗り込んでいる様は何だか異様でした…。
ゾンビが親しまれる文化に思うこと
このフェスを通じた個人的な体感の一つが、「ゾンビが親しまれすぎじゃないか」ということ。コスプレでゾンビ系メイクをしている人がとても多いのはもちろん、このフェスで二つもゾンビ系のブースが設置されていました。
Tumblr media
バイオハザードに出てくる街、ラクーンシティを模したスペース。 この中に入って何かを体験するプログラムもあった模様。
Tumblr media
ウォーキングデッドのブース。こちらも人気があるようでした。
単純に人体にペイントすれば完成するという手軽なコスプレ感もあるのかもしれませんが、日本のハロウィンと比べても抵抗がなさすぎだろう…と。 もしかしてこれは日本と欧州での文化の違いに起因するのでは?と思い少し調べてみました。
ゾンビは土葬文化から生まれた怪物です。つまり、死んだ人の身体が残っていないとそもそも存在し得ない。キリスト教文化は土葬なので、文化上欧米ではゾンビが存在し得る環境だったといえます。 これに対し日本は火葬文化なので、死体が残存する期間がとても短い。そのため、死後の肉体をベースにした怪物が日本には見られないと考えられます。
そもそも日本でゾンビが流行した大きな要因はゲーム「バイオハザード」ですが、そのストーリーは某企業によって開発されたウイルスへの感染がゾンビ発生の要因というもの。 つまり日本で流行している「ゾンビ」は土葬文化に由来しないものであり、重視されているのは「思考能力のない死体あるいは感染者が、人を喰らうことで増殖していく」という概念なのだなあ、と調べていて感じた次第です。
※調べる中で見つけた、ゾンビ文化隆盛の文脈がわかりやすくまとめられている記事はこちら
改めて、ルッカ コミックス&ゲームスのこと
正直得るものが多すぎてここに書ききれないのですが、イタリアにおけるマンガ文化や日本の立ち位置を知るには絶好の機会でした。 日本のマンガ・ゲームが世界に知られていることは情報として知っていたけれども、「本当にコンテンツとしてここまで力があるのか…」と驚きました。
もちろんここに訪れているのはイタリアの中でもかなりマンガ好きの人々なので、一般的にイタリア人がどのような作品に普段触れて何を感じているのかを知るには、引き続き日常の中で会話しながら知っていく必要がありそうです。
それにしても面白かったな…。
Tumblr media
おそらく模写のショップ。
Tumblr media
街の至る所に道案内の看板が。
Tumblr media
日本作品のブース内。写しきれないほどのフィギュアがたくさん。
Tumblr media
手塚治虫作品ブース。
Tumblr media
本当はルッカの観光名所の建物。入れずじまい。
<書ききれなかった物事の覚え書き>
宿の予約はお早めに(2・3ヶ月前にはもうルッカの宿がAirbnb含め埋まっている)
各都市からルッカの会場までの公式直行バス利用は難易度高め
ルッカの駅から会場までは徒歩15分ほど、近い
エリア内にある「RAMEN SHOP」はカップラーメンとRed Bullが売られているところ
個人的には世界のマンガ家7名の原画展示会場が非常に良かった
↑ここで松本大洋先生の原画を鑑賞、大きな学びを得る
ジブリ作品、宮崎駿監督はやはり有名
過去には本フェスでヤマザキマリ先生も講演
今年はBLEACH作者・久保帯人先生来場予定も急遽キャンセル
「ワンパンマン」の人気
ワコムやイタリアのマンガ学校のブースもあり
▼参考資料
LUCCA COMICS&GAMES HEROS 2017
ルッカ コミックス&ゲーム(Lucca Comics & Games)-アーモイタリア
バンドデシネ -wikipedia
アメリカン・コミックス -wikipedia
0 notes
sylphy-bat · 5 years
Text
B&W Complete Review Pt. 10
Leavetaking (Art by Brian Stelefreeze, Written by Dennis O’Neil)
Tumblr media
この作品も、個人的にはとても好きでシリーズ中のトップ10に入るもの。
バットマンが裏通りで撃たれるのだが、それが両親の事件と並行して語られていく。撃たれたバットマン、そして両親の死で一人取り残されるブルース。助けを求める彼。ただバットマンのもとに代わる代わる近しい者が来るが、それはバットマンの幻想で、現実には彼を救う者はいない・・・
なぜこれほどまでにバットマンにとって皮肉な最後となるのだろうか。バットマンは人々の命を救ってきた。幾度も。彼の戦いは自分のためでなく他人のためであったはずなのだが、最後はなぜ見捨てられる存在へとなるのだろうか。それはバットマンが人との関わりを避けてきたツケなのだろうか。ブルースはあの事件で一人となった。孤独となったとき、多分救ったのはアルフレッドであっただろうが、もしかして本当に孤独の状態を救い、前へ進む動機を与えたのはバットマンという人格なのだろうか。一人でいることの弱さ。「バットマン」はブルースにとってそれを強さへと変える武器となったのかもしれない。
もちろん一人でいること、人との関係を避けることは、傷つきたくないことの表れとも言える。Hushでキャットウーマンとの関係を望みながらも、最後に拒否する例はいい例とも言える。バットマンには、一人でいることの強さであるのと同時に、一人で取り残されるトラウマもまた抱える。バットマンにはそれが本当の恐怖ではないのだろうか。彼が、誰にも相手にされず、ただ一人、普通の人として死ぬ。その傍には誰もいない。そういえば1971年のThe house that haunted Batman!という作品では、バットマンが自分の葬式の悪夢を見る。自分が横たわっている棺桶の周りに集った仲間たち。それぞれが一人一人バットマンをけなしていく。裏切者と呼ばれるわ、スーパーパワーがない故にスーパーマンはバットマンにこき使われっぱなしだった、とか、ロビンはバットマンがいなくなったことで自分が今度は主役になるんだとか・・・バットマンは一生懸命自分が生きていることを無駄に仲間たちにアピールするところで目が覚めるという・・・
ブルースとして取り残され、そしてバットマンとしても一人死ぬのか・・・ではバットマンは一体何を残すのか。この作品のテーマはそれだろう。確かNoelでは、未来の亡霊としてジョーカーがバットマン死後の未来を見せているシーンもあったりするが、彼の存在はその��忘れ去られていく存在なのか。でも私としては、バットマンは死ぬまでゴッサムにとって最善であり続けるために戦っていくだろうと思っている。たとえ彼が善だろうが、悪と言われようが、ゴッサムのためなら。
The Third Mask by Katsuhiro Otomo
Tumblr media
日本人の漫画家が描くバットマン。なかなか珍しいですが、他の作品とやはり違った角度でバットマンを描いている。
ある男が様々な犯罪を行う。だがこの男は一見どこにでもいそうな男だが、別人格では超人的力を持つ。その男と戦うためにバットマンは・・・?この作品は、多重人格に焦点を当てている。ただ男が言うように、二重人格というわけではない。それ以上の人格の可能性だ。
バットマンは男に会ってから、男が言ったことを(ケイブではなくウェイン邸で)考え、その後また男を追っていくのだが、ここでシグナルが歪んで見える。
Tumblr media
また最後のバットマンも胸にもマークが消え、それがバットマン自身のセリフにそのまま反映されている。
I’m…not Batman.
これが意味するのは、ブルースでもバットマンでもない、3つ目のアイデンティティ。バットマンという枠にはまらず、彼の真の力を解き放つアイデンティティ。そう考えればいいのだろうか。何かしら人格ととらえてしまうと、そこで「型」もしくは「枠」が存在してしまう。一旦そういったものを設定してしまうと、その拘束力は強く、その「枠」の外の考え方はできなくなり、行動や力もその「枠」に限定されることになる。バットマンもある意味、「枠」の一つだろう。だからバットマンの中に限界が存在する。それを超えたとき、新しい力が生まれるが、それはいい方向なのか、悪い方向なのか、それはわからないけれど。
これをエルスワールドの世界と考えてもいいだろう。いや、コミックに限らず他の全ての媒体なのかもしれない。バットマンはバットマンであっても、バットマンであることをベースに、それを超えようとして、新しい作品がうまれていく。それと同時に新しいバットマンもうまれていく。もちろん他ジャンルでも共通と思うが、そうやって彼の物語は続いていく。
2 notes · View notes
sylphy-bat · 5 years
Text
Batman: White Knight pt.2
レビュー前半では主にバットマンとジョーカー、Jack Napierの関係性と彼らがゴッサムにもたらしたものについて触れてみたが、今回は二人のハーレイと、ジョーカーが殺したと言われているジェイソンについても触れ、最後にJackとバットマン、Neo Jokerの戦いを通し、ゴッサムには本当に何が必要なのかを考察したい。
Tumblr media
今回出てくる二人のハーレイ(ちなみに言っておくと、今回の彼女の服装のデザインどれもが素敵だと思う)。これもジョーカーとJackの対照性と考えてもよいだろう。最初に(#2)、Jackが正気となって釈放された際、出迎えたのが、おそらく「新しい方の」ハーレイ。彼女はJackが帰ってくるや否や、ジョーカーに戻そうと口紅まで持ち出すが、Jackはそれを断り、代わりに彼女に求婚をする。しかし、彼女は「ジョーカー」を愛しており、正気に戻った普通のJackなど求めてはいなかった。そこで彼女に半殺しにされそうになっていたJackを救ったのが、Jackの元に戻ってきた「前の」ハーレイ。(コスチュームも、あのAnimated Series初登場時のクラシカルなものだ)彼女は「Jackを愛している」と言い、彼を彼女のアパートへ連れていくのである。
この二人のハーレイとかつてのジョーカーの出会いもまた、対照的なものだ。後に語られるが、旧ハーレイ(Harleen Quinzel)は精神科医としてアーカムに勤務し、後にジョーカーに一目ぼれして、彼を脱走させる。その後、ジョーカーとともに犯罪に次ぐ犯罪を行うようになるのだ(もともとのオリジン)。彼女はジョーカーを救った者だ。新ハーレイ(Marian Drews, 後のNeo Joker)の方は、逆にジョーカーに救われた者である。彼女はもともとリストカットをしていた。ところが、彼女が働いていた銀行で、偶然ジョーカーによる強盗にあい、実際に死の危険に直面した彼女は生きる意志を見出した。生きるために、ハーレイ役を買って出た彼女だったが、その一種のジョークが本物となり、結局2代目ハーレイとして活躍をしていくことになる・・・
ジョーカー、そしてWhite Knightとして活躍するJackの両方を愛するハーレイ。彼女は、もともと精神科医でもあるからか、彼の本心は善にあると考えていた。彼の弱さを知り、だからこそ支えたいと思う。多くの者は信じないが、自分だけが本当の彼を知っていると。そして、たとえ、ジョーカーが自分を愛していないことをわかっていても・・・
ジョーカーは、先のレビューでも少し触れたが、バットマンファンという感情をとうに通り越して、彼を本気で愛していた。#1でバットマンに対して言うセリフの中に、Gotham’s power couple, また殴り合いの後に夫婦としてmake up sexが必要だ、とある・・・だが個人的には、Snyderのジョーカー三部作(Zero year, Death of the Family, Endgame)に描かれた、Snyder解釈の捻じ曲がった、unhealthyな愛憎劇というよりは、ただ純粋に彼を好きなのではとも思えてくる(よりレゴバットマンの色が強い気がするが)。だから、ハーレイはその間に割って入れず、狂人の二人に挟まれた、逆に正気の者なのだろうと思う。
ちなみにバットマン、ジョーカー、ハーレイの三角関係を、別の視点で描いたR.I.Pシリーズの中のClown at Midnight (短編小説のような構成)という作品があるが、あの作品でも、一旦死に、人間離れした神への存在へ復活を遂げようとするジョーカーと、あくまでも人間でい続けるバットマン、その間に挟まれたハーレイが描かれ、二つの彼らの世界の橋渡しを行う役割を担っている気がしている。彼女は、こう考えると、ジョーカー側でもなければ、バットマン側でもなく、あくまでも中立の存在である(以前にもどこかで書いたが、ハーレイの色は血の色である赤と、バットマンの黒を表しているのかとも思えるのだ)
ハーレイがジョーカーの元を一旦離れたのは、ある事件がきっかけだろう。それがジェイソン・トッドの誘拐事件である。(ちなみに、この作品では、ジェイソンが一代目ロビンとなっている。#3のアルフレッドの葬式後のディックとバーバラの会話を参照)今回のジェイソンの事件は、コミックA Death in the Familyを辿るというよりは、ゲームArkham Knightのネタにかなり近いだろう。今回は、ジョーカーによる誘拐の大きな理由はロビンへの嫉妬であったとしている。#2でハーレイがJackに語る話と、#7でバットモービルの中でJackがバットマンに語る話に詳しく描かれているが、ジョーカーはバットマンにより近いジェイソンをひどく妬み、そしてジェイソンこそ、自分が唯一知らないバットマンの正体を知っているはずだとして誘拐したのだ、と言う。ジョーカーはたいてい、バットマンの正体が誰であろうと気にしないように描かれている作品が多いのだが、今回のバットマンマニアに近いジョーカーにす��ば、彼こそ全てを知りたいという思いが強かったのだろう。ここでも、ジョーカーはバットマンロゴTシャツを着ていること、蝙蝠の瞳にフォーカスがされていることから、ジョーカーはバットマンの一部を自分に取り込もうとしているようにも見える。ヒューゴ・ストレンジのようなバットマンになりたい、という感情よりは、精神的な距離において近くにいたいというようなものだろう。いつもバットマンのそばにいたジェイソンによって、その自分の抱いていた希望をかなえようとしていたとも言える。ハーレイは、バットマンへの執着がジョーカーをそこまで追いつめたことに恐怖を覚え、バットマンに助けを求めたが、時既に遅し。ジョーカーの元へ戻った時にはジェイソンの姿はどこにもなかったのである。バットマンは殺す一歩手前までジョーカーを打ちのめしたが、ハーレイが止めに入ったおかげで結局彼をアーカムアサイラム送りにするしかなかった。ジョーカーはその時何も言わなかったため、バットマンは今のいままで、ジェイソンが死んだと思っていたのだ。ただ、#7のJackの告白で真実を知る。ジョーカーの長時間の拷問の末、ジェイソンが最後にこう言ったのだ。I wish I’ve never met Bruce Wayne. そう聞いたジョーカーはブルースがバットマンであることを知り、それから、ジェイソンを解放したのだ。ただ、ジェイソンはバットマンの元に戻ってくることはなかった。ジョーカーから受けた身体的・精神的苦痛は、バットマンへの憎悪へと変わっていき、結局彼は自分の存在をこの世から消すことで、バットマンに罪の意識を負わせようとしたのだ。
AKでは、バットマンと同じようにロビンという存在を自分のために得ようと、ジョーカーはジェイソンを誘拐している。彼はバットマンの正体を聞くが、彼は答えを聞く前にジェイソンを殺し、その様子をビデオに録り、バットマンに後に送り付けている。だが、彼は実は生きており、その後ジョーカーとハーレイは1年にわたり、拷問に次ぐ拷問と同時に、バットマンへの憎悪を植えつけ続けた。(特にコミックArkham Knight Genesisでは、その様子が事細かに描かれており、ジェイソンに、バットマンの格好をさせたBlockbusterとCatmanを銃で殺させているなどしている)彼はゲームArkham Asylumあたりで脱走を図ったようで、その後、Arkham Knightとしてバットマンの復讐を胸に戻ってくる・・・なので、今回と共通する部分はあるだろう。
ハーレイは中立の立場である、と書いたが、バットマンも実はジョーカー側であるはずのハーレイをある程度高く評価はしていた。バットマンはディック、バーバラが、Jackが提案したGTOに加わっていくのを引き留められず、孤独となったところで、ハーレイにJackのことを相談に行く(#5)。
Because sometimes you kept himsane. That’s what connected us, Harley. Because as bad as he was-- only you andI knew how bad he wanted be.
この三人の三角関係は実はもっと複雑ととらえるべきなのかもしれない。バットマンとジョーカー。この二人がうまく存在するのは、彼らをつなぐ誰かが必要、それがハーレイなのである。バットマンはジョーカーを本当の意味で理解できないからこそ、ハーレイを通じて、解釈しようとしているのだろう。ハーレイは、ジョーカーとバットマンが「彼ら自身の道に逸れた行為を行わないように」うまくコントロールする役割とも考えられる。だから、バットマンとジョーカーの距離がいかに近くても、彼女はバットマンに対して嫉妬しない。バットマンのあるべき姿と、ジョーカーの行動を一番理解しているから。彼女は、二人を心の奥底では「good guy」であると信じているのだ(だから最後の#8で、彼女の本当の役割が明かされるのである)。彼らは法律を少し破ってでも、本当の目的は善である、と。そして、一番彼らが似た者同士であることを理解している。Jackはヴィランではない、と主張し続けるハーレイだが、その言葉は頭からジョーカーは変わるはずがない、と信じ込んだバットマンに理解されることはなく、さらにバットマンを正気から追いやっていく。
Am I the only one who hasn’t lost his mind?
とバットマンは言い、手すりの彫刻を壊すのだが、実際彼こそ、Jackと正反対に狂気の色が濃くなっていくのだ。これも一種の均衡である。
翻って、2代目ハーレイはジョーカーの狂気に溺れていった。その彼の狂気が、彼女をひきつけてやまないのだろう。彼のジョーカー性からほどばしる狂気とそこから生まれる予測不可能な混沌。Jackはただのつまらない男に成り下がった抜け殻のようなものだと。
Joker’s more than just a man. He is a riot. (#3)
ジョーカーという人格は、薬のせいで抑えられてしまっていると主張する彼女は、真の人格こそジョーカーであると考えているのだ。その狂気を引き出すにはただ一つ。自分がジョーカーの代わりとなって、ゴッサムを奪うこと。そうすれば、「彼」は気付いてくれる。自分の元に返ってくるはず。そう信じ、彼女は、もともとJackがコントロールしていたスーパーヴィランたちを奪い、フリーズの巨大フリーズガン(みたいなもの)を使って、ゴッサムを自分のものにしようとするのだ。(あえて言うなら、映画のSuicide Squadハーレイはキャラ的にどちらかというとこっちなのかなと)
フリーズと、ブルースの両親の話にきっちり触れようとすると、また長くなってしまうので、軽くにとどめておくが、#4の最後で、Neo Jokerによって、実際両親がナチスに何らかの形で関わっていた疑念が出てくる。確かこの両親を極悪人に扱うというモチーフは、ゲームTelltaleシリーズに似ているのでは?という話もあったが、TwitterでSean Murphy自身がゲームをやってないとのことを言っていた気がする。結局フリーズの父親がナチスではあったが、彼が持っていた冷凍技術の研究開発を続けられるように援助したのがウェイン夫妻であった、ということが明かされている。どうも両親を極悪人にする傾向(また少なくともしようとする)のは、好まれるんでしょうかねえ・・・そして当時作られた巨大フリーズガンが、Neo Jokerによって使われてしまうわけだ。
バットマンが暴走した結果、結局GCPD, ディックを筆頭としたGTO、そしてJackによって彼は逮捕され、バットマンはアーカムアサイラムへ。だが、それですべてが終わりではなかった。Neo Jokerが何と巨大フリーズガンを使って町全体を凍らせ、ジョーカーを渡せと要求。ジョーカーはこの新たな脅威に立ち向かわねければならないのだが、なんと#6の最後で、彼の薬の効果が切れ始め、ジョーカーの人格が表れ始めるようになる。彼にはもう時間が残されていない。ジョーカーとして彼女と戦うのか、それとも・・・?
これもある一種の均衡とも言える。#7で興味深いことをJackが言っているため、引用することにする。
I turned this city upside down– exposed the corruption, won over the people, ended vigilantism. All I wanted was for them to see the truth: that Gotham’s problems aren’t special and that we don’t need a lawbreaker like Batman to sustain the city. But following the rules didn’t work. Nothing has changed because Gotham is still being hostage by a pack of criminals. What’s worse—they’re being led by a monster of my creation.
Jackがやってきたことは、バランスを崩し、ある意味ショック療法みたいなことを使って、ゴッサムが特別な都市ではなく、普通の都市として機能させようとしたことだ。ただ、それが全くうまくいかず、結局犯罪者に支配された町という構造には変わらない。なぜか。一番手っ取り早い答えは、ゴッサムはやはり特別な都市であるということ。以前にもメトロポリスやシカゴなど他の都市から来た警察官たちがこのゴッサムで様々な問題に直面する。スーパーヴィランの多さ、異常な犯罪率の高さ、狂気と混沌。それは普通の警察官ではやはり全て解決できるものではない、とも思えるのだ。また、別に、私個人が前からゴッサムに対して考えているのは、均衡の都市であるということだ。善があれば、悪がある。正義があれば、不正もある。そして、正気と狂気の釣り合い。今回は、バットマンが「悪」へ傾いていく(この言葉も実際適切ではないのだがとりあえず)のだが、だから、それを正そうという存在がJackであったわけだ。彼らの役割が入れ替わろうとも、バットマンvsジョーカーの構図は変わらない。ただ、一旦Jackがバットマンを倒してしまえば、ゴッサムが均衡をとろうとして、新たにその対抗馬を生み出すのである。ゴッサムは犯罪で栄えてきたのであれば、そのサイクルを打ち破るのは容易ではない。ましてや、その状態はゴッサムの都市の構造自体の問題であればなおさらである。ヒーローにはヴィランがつきもの。Jackは知らず知らずのうちにあるべきバットマンのような存在となり得ただけに、バットマンには欠かせない宿敵も生み出す結果となってしまったのだ。それは彼が避けられない運命であったとしかいいようがないだろう。
Jackはいわば、成り上がりの「ヒーロー」であり、彼はヴィランを倒すスキルを持ち合わせていない。だから、最後にはバットマンを頼るしかない。彼のヴィランに対処する経験とスキルは豊富であるからだ。実際はハーレイのアドバイスでJackはバットマンを頼ろうとしたのだが、バットマンは結局自分の助けを求めることをわかっていたからこそ、アーカムアサイラムへ自ら行ったようである。興味深いことに、彼の「狂気」は、アーカムアサイラムによってリセットされ、あるべき自分を見出している。(アーカムアサイラムが、実は彼が本当は属すべき場所であったから、とも解釈できるのだが)Dark KnightとWhite Knight。彼らと、GTOが協力し、Neo Jokerとマッドハッターによってコントロールされたフリーズガンを止めるために、戦うのである。(GTOが使うバットモービルコレクションには注目あれ!TASから、ティムバートン版バットモービルやら、ダークナイトのタンブラーやら、本当に惜しみないファンサービスがあふれている)
ゴッサムにはヒーローは二人いてはいけないのだろう、Jackはジョーカーへの変貌に抵抗しながらも、命を張ってハーレイを守りつつ、死んだように見えたが、最後にバットマンに助けられる。(その後の会話で、Jackが、なぜ助けたんだ?俺を死なせたくなかったのか?それとも、ヒーローにさせたくなかったのか?とバットマンに言うのだが、バットマンはその質問を上手くかわしてしまう・・・個人的には両方だと考えている)その間には新旧ハーレイの戦いがあるのだが、彼の本当の顔がJackなのか、それともジョーカーなのか。善を信じる者、狂気を信じる者。その考えは対照的ではあるのだが、結局答えは出ていない。特に、その後Jackがゴッサムの改革の中で犯した罪(スーパーヴィランをコントロールし、Batman Devastation Fundの証拠を不正に手に入れた罪)から結局アーカムアサイラムへ送られ、ハーレイとJackとして結婚しようとするが、彼は儀式の前にジョーカーに戻ってしまうのだった。
Jackのゴッサム改革は何をもたらしたのか。やはり「ヴィジランテ」の限界を見せたことで、ゴッサム市民があまりにも異常な体制を当たり前だと普通に受け入れていたことの弊害を明らかにし、それでもって、彼なりにゴッサムを「普通の都市」に生まれ変わらせようとしたのだ。均衡というのは崩せないものであるが、何にせよ、バットマンが本当の解決策であってはならない、というのが一番の主張である。彼は実際一時的な解決策に過ぎない。恒久的な解決策を取るなら、犯罪の原因を取り除くことから始めなければならないのだ。バットマンは一人だ。彼だけが強くても、ゴッサムは本当の意味では変わらない。そして、彼の判断が常に正しいものとも限らないものだ。彼の正義はときたま、法律と違うものであるから。だからこそ、彼は仮面を脱ぐ。市民の信頼をもう一度取り戻し、警察と別々ではなく、包括的に協力することで、ゴッサムを変えられるのでは・・・と。
ゴッサムのあるべき姿を問われれば、私はこう言うだろう。ゴッサムが安全になり、バットマンがいなくなったときが、一番いいのだろうが、その時にはゴッサムを定義するものがなくなってしまう。彼らは相互依存の関係であるがゆえに。だからこそ、バットマンは存在し続ける。そして、バットマンあるところにジョーカーがいる。この宿敵同士の戦いは、形を変えながらも、果てしなく続くのではないかと思うのだ。それを、この作品は違う形で見せてくれたと思う。バットマンとは?ジョーカーとは?この問いの答えは、やはり私の中ではまだまだ出そうにないようだ。
0 notes
sylphy-bat · 5 years
Text
Batman: Absolution
2002年のグラフィックノベル。私の中でもTop 10に入る良作。だがたぶんマイナーなのかあまり見かけない。前から作品をTwitter上で定期的に紹介していたにも関わらず、ちゃんとレビューをしていなかった気がするので、今回レビューをしてみようと思う。
Tumblr media
Children of Mayaという過激派グループに属していたJennifer Blakeという女性。10年前、彼女は、ウェイン・エンタープライズ爆破事件を起こす。富を少数の人が握ることで社会が腐敗している、との主張を持つグループは、富の象徴である大企業を狙ったわけだ。ブルースはその場にいながら、全ての人々を助けることはできず、多くの命が失われた。Jenniferは逃亡し、姿をくらませる。怒りに震えるバットマンはただひたすら、彼女の行方を追っていく。10年後の彼らの再会は、思いがけないものだった...
この作品のテーマは複数あるが、メインテーマはタイトル通り、Absolution, 赦しである。このコミックで何度か繰り返されるバットマンのセリフがある。No miracles, no mercy, no redemption。犯罪を犯した者には、奇跡も、慈悲もなく、救われることもない。バットマンは、常に犯罪者に対しては厳しく、その罪が安易に許されるものであってはならない、という考えがある。罪を犯した者は、何があってもその罪を償わねばならない。彼は、どんなときであれ正義を貫き、犯罪者と呼ばれる者たちにとって、そして法律で犯罪とは定義されずに司法の目をかいくぐる者たちにとって「恐怖の存在」と言われる存在なのである。ただ、彼でさえ、その「正義」そのものに取り憑かれたように戦う自分にも、疑問を感じている。その、それ以外に何も見えないかのように戦っている自分こそ、過激派が自らの主張のみを唯一正しいものとして他のものの破壊行為を行う、つまりJennifer とも同じなのではないだろうか、と。ある人々はバットマンを狂人だと言う。正義のためなら、(殺人はしないにせよ) 手段を選ばないのような彼の行為は、他の人々から100%の賛同を得ることはないだろう。バットマンの場合、それが復讐心から出た善の行動、すなわち正義の戦いに結びついたが、善悪の境界というものは、簡単に線引きが出来そうで出来ないものである。彼がいつ、正義を振りかざして、別の道を歩むことになるのだろうか。誰にもわからないのだ。彼は、たとえ一般の人よりも数十倍優れているとはいえ、人間であるのだから。
Jenniferは爆破事件後、名前を変えながら、国境を越え、逃亡していく。バットマンはわずかな手がかりを頼りに、彼女がキリスト教系の慈善団体を転々としていることを知る。ただ、そこで聞くのは、彼女は何かから逃げるというよりは何か救いを求めるかのように祈り続け、恵まれぬ���に奉仕し続けていた、と。バットマンはそのことを全く信じない。ただ、彼女がバットマンや他人(特に敬虔な信者たち)を欺きたいがための行為だろう、と。ただ羊の群れに狼が毛皮をかぶって身を潜めているようなものだと。バットマンは、犯罪者が簡単に改心するだろうとは思わないのである。
バットマンはそういえば信仰というものを持たない。彼がおそらく「��拝」するものと言えば、自分の理性と論理的思考だと思う。彼にとって、誰か全知全能の存在が世界をコントロールしているとは思えない。そうであったら、なぜ悪は存在するのだろう。なぜ自分の両親は殺されねばならなかったのだろう。(BvSのルーサーの考えにも繋がってくるが...) 全知全能の存在はどのようにして善悪を決めているのか?その存在の意志で、全て決まってしまうのはどうなのだろうか?いや、ある全知全能の存在に身を委ねるのではなく、いざ頼れるのは己のみだと。幸運や奇跡などは存在せず、全ての行為は神という「実際に形なき存在」ではなく自分に起因するものだと。そして悪魔という存在も同様に、理性が弱まったときに聞こえる、より楽な道を行け、というささやきが悪魔であると彼は考えるのである。天国も、地獄も、彼にとっては存在しないのだ。
ミズーリ州、ロンドンと追っていき、あと一歩で彼女を捕まえられない中、インドのニューデリーへ。バットマンはそこで彼女を捕らえようとする。しかし、これまでの追跡の中での負傷と疲労がたたり、Jenniferの目の前で意識を失う。彼女はたぶん悩んだに違いない。10年追ってきた彼に、復讐する絶好の機会だと。ただ、目覚めたブルースが目にしたものは、彼を看病するSister Moonの姿だった...彼女はJennifer Blakeは過去の存在、彼女は死んだと言い、今はヒーラーであるSister Moonなのだと。彼女は治療のために、バットマンのマスクも外し、彼が回復するまで付き添うのだ。
ここで問題となってくるのが2つあるので、それぞれを分析してみる。一つは仮面である。この作品ではJenniferと自分が逃亡するために使った他の偽名の数々、そして現在のSister Moonというアイデンティティ、それに対応するのはブルースとバットマンという対比が見られる。以前にも何度か別レビューで仮面の話はしており、ここでも触れてしまう(仮面の話は好きなので笑)が、仮面の中のどの顔が自分の本当の姿なのか、ということである。バットマンは、Sister Moonが看病のためマスクを外したため、最初目覚めたときに自分のマスクがないことに対して驚いてはいる。ただ、その後の発言がとても興味深い。「お前が見たもの(マスクを外したブルースの顔)は「仮面」だ。お前が世にそれをばらしたとしても、関係ない。そのことが、逆に本当の自分を解き放つのだ。」と。ここでははっきりとバットマンの本当の正体はブルースではなく、正義の代弁者としての存在であるバットマンなのだと言うのである。ブルースはただの仮面、バットマンの本性を隠すものに過ぎない。ここではたぶん、ブルースは弱さとしても捉えているのかもしれない。(Batman: Egoにもそういう描写があるが)
翻ってバットマンはSister Moonそのものは、「ただの仮面」だと信じきっている。Jennifer Blake, テロリストのアイデンティティというものは全く消えることはありえない。彼女がバットマンに対して自分の過去を語るシーンがあるが、バットマンが半分彼女を軽蔑しつつ、シニカル的に分析するシーンもまた、彼の犯罪者に対する考え方が滲み出ていい。犯罪者は、自分の過去がいかに悲惨なものか語ることで、自分が社会から追放された被害者なのだという印象を植え付けようとする。まるで、自分が起こした犯罪の重みがそのことによって軽くなるとでも言うように。バットマンはバットマンであるがゆえに、個人の感情を切り捨てているのである。今回は彼は善か悪かの物差しでしか見ようとしないのだ。たとえバットマンを救った者がJenniferの今の姿であるSister Moonであるとしても、自分が過去に犯した罪をそれで帳消しにしようと恩を売るような行為に過ぎない。だからこそ、Jenniferが自分の過去を語り終えたとき、バットマンは背筋も凍るような嘲笑を浴びせるのだ。
仮面は嘘なのだろうか?仮面が本当の自分になるのだろうか?JenniferはSister Moonとはなった(?)が、ここではブルースも、バットマンという「嘘」を作り、マスクをかぶることでブルースという人格を消し去ろうとしているのではとも思えてくる。より良い自分を見せようとするのが仮面?それはもともとの自分から出た本当の自分?と考えると、仮面と本当の自分には境界がほぼないのでは?というパラドックスが生まれてくる...
そしてそれに繋がってくるもう一つの大きなテーマとなってくる「赦し」。Jennifferを連行しようとするバットマンの目の前で、あるグループが彼女を誘拐、そしてその後戻ってきて、そこにいる人々、村を破壊しようとする。その者はかつてのChildren of Mayaに属し、Jenniferとも親しかったJohn Smallという男。この前にニューデリーでバットマンと接触し、彼は、Jenniferとかつて友人だったが、今は違う、と被害者ぶりを装っていた。Johnは慈善団体を隠れ蓑にJenniferとずっと組んでいたと言い、一方Jenniferは必死になってバットマンに、村と慈善団体の建物を破壊しようとするJohnを止めろ、と言うのだが...
バットマンはJohn と戦い、人々を救いながら思う。自分のこれまでの戦いは何だったのだろうと。自分の判断は実は間違っていたのではないのか?10年のこの戦いは、人々のためではなく、自分の怒りから来ているのではないのか、と。バットマンを出し抜いた者への怒りではないのか?それによって、自分の都合のいいように人々を判断してきたのではないのか?悪は善に、善が悪に変わることだってあるのではないのか?今回はJohn Smallの判断も誤った。ではJenniferはどうなのか?
最後にJenniferは自らの命を犠牲にし、子供を救う。ただ信者たちがJenniferの遺体を火葬し祈りを捧げる中で、バットマンだけ、一人冷静に思う。たとえどんな行為であろうと、どんな気高き行為であろうと、過去は何者にも変えられない。最後の最後で彼女は神に赦しを求め、自らの命を投げ出したのかもしれないが、それには遅すぎたのだと。
最後までJenniferの改心が真実だったのか明かされない。そしてバットマンの彼女に対する考えも当たっていたのかどうかもわからないままだ。彼女は本当に最後まで悪だったのか。悪が善に変わることはないのか、本当に赦しは存在しないのか。バットマンの、正義を求めるが故に犠牲にしてきたものがこの作品で少し垣間見える気がする。バットマンは常に冷静だ。ある人は冷たすぎる、冷酷だ、とさえ言う。バットマンはヒーローではあるが、スーパーマンと同等のヒーローと考えにくいのは、彼は人々を助けるというよりも、犯罪者を徹底的に追う者だからなのだろう。この作品を読んで私は思うのだ。偉大なるバットマンでも、常に100%正しいというわけではないのでは、と。
0 notes
sylphy-bat · 5 years
Text
Batman and Son pt.2
Tumblr media
今回はThe Clown at Midnightから触れていきます。前回は「3」の数字をキーにして、ダミアン、バットマンなどの関係を見てみました。モリソン氏の、アンバランスな「3」の関係。それがサーガを通じ、他のコミックとは全く違った雰囲気となっているのではということで、今回も「3」に焦点をあててやってみようかと思っています。
The Clown at MidnightはInterludeの扱いで、モリソン氏の手によるものではなく、しかも短編小説の形式。ジョーカーの手下、Bozzoの葬式から始まり、ジョーカーの「復活」と「変身」、ハーレイとジョーカー、そしてバットマンの対峙までを描きます。実はこれ、本当に難解で、比喩を多用し、それぞれの登場人物の心理をとても深く分析しています。コミックではないがゆえにどうしても語りの部分が細かくなるのはしょうがない部分もありますね。それだけバットマンワールドは実は難解なのかもしれませんね。
この短編で焦点となるのは、バットマン、ジョーカー、そしてハーレイ。これも永遠のトライアングルと言える関係。どれかが欠ければ均衡が崩れるという関係はここでもまた重要となってくる。ジョーカーはBatman and Son冒頭で一回「死んで」いる。だが、アーカムへ運ばれ、そこでリハビリをしながら、ある「時」を待っている。真夜中という復活の時を。ジョーカーはここで一回「死ぬ」ことで、もともとのjoker(冗談を言う者)という役割を捨ててしまっている。このモリソンサーガにおいて、ジョーカー=面白いというかつての前提はここを境になくなったのである。ジョーカーはその「死」から過去の「ジョーカーらしさ」を捨てようとする。それは最後に彼に残っていたはずのわずかな人間性のかけらをなくすことを示している。Bozzoの死、それからKilling Jokeでも登場したドワーフ、ソロモンの死・・・全てはジョーカーの「変身」への準備である。
「変身」とは、ジョーカー、道化の神への道である。一回死ぬ→復活で、人間を超越した存在へとなる。それはキリストっぽいとも言えるかもしれない。特にハーレイの分析やアーカムの医者によれば、彼には「自己」がない。彼らしさを定義することは不可能なのかもしれない。または、「自己定義」がないことで、常に変化するゴッサムとゴッサムが生んだフリークたちに対応できるのかもしれない。コミックArkham Asylumでも述べられている通り、ジョーカーはsuper-sane(常軌を逸した正気性)であり、本当の混沌の神とも言える。だが、実際正気であろうとしても、それは万人には全く理解できるものではない。特にジョーカーの「変身」の場面あたり、私には全く意味不明・・・おそらく私がかろうじて唯一理解できるのは、バットマンへの執着ぐらいか。それが人間性を全て失った神、ジョーカーなのかもしれない。
この短編の中でもジョーカーはシヴァに例えられる場面がある。ヒンドゥー教三大神である破壊の神。ジョーカーの後にはただ死と破壊しかない。殺人でアーカムを脱走するジョーカーは、既に楽しいからではなく、そうしなければならない義務感もただよってくる気がする。ヒンドゥー教では三神一体という考えがある、創造の神ブ���フマー、繁栄、維持の神、ヴィシュヌ、そして破壊の神シヴァが一体であるという。そうすると、これって創造がバットマン、繁栄がハーレイ?とか考えたくもなるが、ここでは少し違いそうだ。ハーレイは言語セラピストとして、(確かに道化の神の名前を偽名として使って)ジョーカーの脱走を手伝った。ハーレイはジョーカーを愛しているのと同時に、彼女だけがMr. Jのことを理解できると「勘違い」している。(ここではバットマンが、ジョーカーは変わった、とハーレイに言うが彼女は耳を貸そうとしない)ハーレイはジョーカーを愛しているから彼を理解できると思っている。しかし既に「神」になりつつあるジョーカーは、人間であるハーレイ、そしてまたバットマンにも完全に理解ができない存在へと進化している。(ジョーカーに近い存在であるならハーレイは半分神、半分人間に近いのかも)
そこでジョーカー(神)とバットマン(人間)、そしてハーレイ(ジョーカーとバットマンの仲介役)という関係ができる。バットマンがハーレイを先に改心させようとするのは、彼女が人間(性)に近い存在であり、またそれであるがゆえにジョーカーに殺されそうになるというのもある。そして黒と赤のモチーフ。サーガを通して繰り返されるこのモチーフは、二つが合わさると死という薔薇の花びらを中心に展開する。私はこのモチーフ自体、バットマンとジョーカーそのものではないかとも思える。バットマンが黒、ジョーカーが血の赤、そして彼らの周りで起こる死の数々。そこでハーレイの黒と赤。彼女の存在が二人の関係をそのまま表現しているのと同時に、彼ら二人の間に存在し続けるのである。バットマンとジョーカー。彼女も二人の間を行き来しながらも、彼らの間には死しかない、というメッセージを送っているのかもしれない。
短編最後のシーン、バットマンとジョーカーの対決シーンで、ハーレイがジョーカーを撃つが、ジョーカーのバットマンへの嫉妬と同時に、それは人間性への回帰でもある。もちろんハーレイの改心には程遠いが、振り子がバットマンの方にわずかに振れたのだろう。しかしこの小さな「勝利」はもちろんこれからの悲劇の序章に過ぎない。彼ら3人の均衡の崩壊の始まりでもある。
その次の章、Three Ghosts of Batmanでは、破壊の「3」である。3人のゴーストから想起されるのはクリスマス・キャロルの3人のゴースト、過去・現在・未来・・・この頃読んだレビューでは、この3人のバットマンゴーストも過去・現在・未来まで表すと書いてあったが、たぶんここではあくまでもバットマンへの銃への誘惑、モンスター性、そしてゴッサム自体の破壊者をそれぞれ表しているのではないかと思う。3人の偽バットマンに以前会ったことがあったというブルース。それは幻覚だと思い、ただの自分に対する警告だ、と信じ、理性で説明できないものは全て黒の事件簿へと書かれていった。バットマンの強みは理性と分析力。しかし、それで説明できないものとなると理解できない。そして、Under the Red Hoodレビューでも触れたとおり、彼は過去に弱い。記憶は邪悪なものへとなり得る。思い出したくない記憶は必ずあるが、そこから逃れることは不可能である。なぜなら理性が記憶のベースであり、本当にそれをなくしたければ、正気を失うしかない。(Killing Jokeで述べられている通り。)だが、バットマンは過去から逃れたいが、理性と正気を保ちたいがために、半分狂気(昼がブルース、夜がバットマン)のままでいるのである。それはジョーカーから見ると、ある意味中途半端と言われそうだ。
Jezebel との会話で、彼女は両親の死に触れる。ブルースはそれを乗り越えた、と話す。実はその次の場面で第2のバットマンであるベインバットマン?にコテンパンにされ、ベインとのあの戦いを思い出してしまい、相当の恐怖を感じている。彼は実は過去を全く「乗り越えて」いない。そうであれば両親の死も乗り越えているのかも謎だ。Noelでは粗暴なバットマンに警告として3人のゴースト?が現れ、パズルのピースを埋めていくように新しく尊敬されるヒーローとして生まれ変わっていくバットマンが描かれるが、ここではそうではない。3人のバットマンのゴーストたち。バットマンが一番苦手とする過去と理性で理解できない幻覚。それがバットマンを滅ぼしていく。新しい価値を創造する3人のゴーストとバットマンの既存の概念を破壊する3人のゴースト。モリソン氏はまた、過去のモチーフをあえて逆手にとり、バットマン最終章にふさわしい物語を作ったのであろう。Dr. Hurt(これも過去からの遺物ともいえる)のもくろむ「バットマンの美しい崩壊」にぴったりでもある。
最後にBethlehemに少し触れておく。ダミアンバットマンが第3のバットマン(アンチキリスト)と対決する。ダミアン=悪魔の子という感じがぬぐえないが、原罪(ここではブルースの死)を負いつつ戦うという、アンチキリストの敵としてのキリストとも言えるかもしれない。この辺は聖書ヨハネの黙示録あたりをベースにしているところもあり、ちょっと理解が難しい部分もあるが、ゴッサムを滅ぼす第3バットマンは悪魔に魂を売った人物で、聖書で神を冒涜する獣にも例えられる。ここでの警告はもちろんバットマン信仰の危険性だけではなく、(おそらく)バットマン自身が支配することへの危険性である。バットマンは創造の神ではないのでは?と先に書いた。バットマンは既存のシステムを壊して新しい秩序を作り出そうとしているように見えるが、彼は「創造」するのではなく、あくまでも創造するのはゴッサム市民なのである。第3バットマンをダミアンが殺すが、それはただ目の前の危険を取り除いただけでダミアンに代わっただけではないのか、なので、また同じことが繰り返されるだけ、という示唆があるのではないかと思う。バットマンは永遠にいてはいけないのか・・・?
Batman and Son。このコミックは奥が深い。ブルース/バットマンの家族の関係はもとより、ジョーカーとハーレイ、バットマンの関係がこれまで以上により複雑に分析されている。このコミックからスタートしたモリソンサーガ。どのようにバットマンが美しく崩壊し、堕ちていくのか。次回、Black Gloveに触れていきます。
0 notes