【小説】『それはあなた そして私たち』
この冬は終ぞエアコンを点けることの無いまま終わった。寒がりなあなたが最後の最後、一日中点けっぱなしだったサービス品のエアコンはあなたの気配そのものだったから。あの低い稼働音の聞こえる部屋の扉を開けたなら、またあの日に戻ってしまう。苦しみもがくあなたがもう一度死んで、私はもう一度あなたを見殺しにする。そんな地獄が繰り返される予感がした。それは一日中ダウンジャケットを着こんで過ごす室温よりもはるかに冷たく寒い想像だった。しかし、私にとっては着込めば済む話でも、花の好きだったあなたが世話を焼いていた観葉植物たちにとっては違ったらしい。彼らには過酷な環境だったようだ。喚叫も出来ぬ彼らは一周忌までを私と共に過ごした後、だんだんと生気を失っていった。くったりと項垂れた葉の色は黄色く、その付け根は腐っていった。名前すら知らないその植物たちが再生するのに必要なものは何なのか。水が。肥料か。光か。温度か。答えは明白であったのに私はそれでもエアコンを点ける事はなかった。こうして私はもう一度あなたを見殺しにした。治療を受けよう、という私の言葉を意に介さなかったあなたが朽ちていったから。生きようとする植物の言葉を解さずに私は彼らを朽ちさせた。トレースするように。自覚的に。
家に十余りあった鉢植えは終には二つになっていた。三年前の誕生日にあなたが私に送ってくれたムスカリと幼い頃に参加したイベントでもらったゴーラムというサボテンだ。前者は一年ぶり芽が出て、小さな花が一つ咲いた。後者は昨年にはカリカリに萎んで乾いた葉がぽろぽろと落ちるくらいだったのに、瑞々しく膨らんで多肉植物らしい見た目になった。これが本来のあり様なのか。ムスカリの花の紫から白へと変わるグラデーションを見ながら私はそう思った。もう体調と顔色を窺って話しかけなくても良いし、昼夜を問わない呼び出しに気を張らなくても良いし、家に帰る度、あなたが生きているのかどうか怯えなくても良いのだ。ケアに身を捧げたこの数年を思って鼻を啜る。
私が死んで得た自由の味はどうだ、と枯れた根の張る鉢植えが訊ねた気がした。共に生きる約束も、一緒に死ぬ約束も、果たせないまま長い長い一年が過ぎた。私は独りだ。
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小説投稿のお知らせ
こんばんは、十ヶ十です
約半年ぶりに小説の投稿をします
「大切なあなたを亡くした私の話」です
短いので明日の丑三つ時に単発で出します
それでは本文チラ見せ
この冬は終ぞエアコンを点けることの無いまま終わった。寒がりなあなたが最後の最後、一日中点けっぱなしだったサービス品のエアコンはあなたの気配そのものだったから。
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【詩画】 真っ直ぐな目で見てくれ
アナログで水彩絵の具を使って描いています
傷ついている人なんて見ていたくないから、
大団円を夢想する
見ないふりをする
もう大丈夫でしょ?ね?
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うるう年で助かった
こんばんは、十ヶ十です
最低月一更新滑り込みセーフ!
今年がうるう年で助かりました
実は、
停電によるモデムの故障
&
プロバイダー契約の更新し忘れ
が重なって、ネットの海から水揚げされていました
何とか契約はし直したものの、
今現在もWi-Fiの設定が終わっておらず
ゴリゴリの有線接続です
当然、携帯のギガ(そもそも5GB)は使い果たし、
低速通信(それでも4G)
せっかくなので、かの有名な
鬼ほど軽くて爆速で開く(らしい)阿部寛のホームページの
を開いてみました。
開いて数秒、
機織りみたいに上から表示されていく阿部寛・・・
さすがに低速過ぎたみたいです
まぁでも意外と何とかはなりますね
ちょっとだけデジタルデトックスが出来た一か月でした
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【切り絵】タイトルは特にない
久しぶりに切り絵をしました
途中でデザインカッターの刃先を一本折ってしまってちょっとショック
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【散文詩】虎の頭に馬の脚
夜の部屋には化け物がいて
そいつと目を合わせてはいけない
瞳が焼けて涙が止まらなくなるから
夜の部屋には化け物がいて
そいつに見つかってはいけない
足を食われて立てなくなるから
夜に部屋には化け物がいて
そいつを見つけてはいけない
毒が回って息が出来なくなるから
こわい こわい化け物を
早く殺してしまわなければ
あぁでもそれじゃ逃げ切れない
瞼の裏にも化け物はいるから
Ⓒ2023十ヶ十颯
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【工作】クラフトバンドのティッシュ箱
クラフトバンドがあったので、ティッシュ箱を飾ってみました。
設計図は無く、箱に当てがいながら作ったので、
大きさはピッタリ。
でも、商品によって少しずつ箱の規格が違うから、
銘柄変えると使えないかもしれない。
まぁ、その時はその時か。
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【小説】『獣を放つ』4終
幼い頃に離婚したと男の父親は酒を呑む獣だった。酒を呑み、理性を失っては暴れる獣だった。その風貌は獣らしく毛深い。赤く上気した顔に生える髭は毎日の手入れを怠るずぼらさのせいで、いつもまばらに伸びていたし、手足は濃く太い毛に覆われていた。酒気を帯びた呼気の不快さに隠れた煙草の匂いとすえた体臭を携えて、獣はいつも家に一つしかないエアコンがよく効いた部屋にいた。机の上にはビールの缶が乗っていて、側に広げられた型の古いラップトップパソコンには何やらウェブページが開かれている。黒いテーブルには缶かコップの丸い跡が幾重にもついていた。男の定位置は父親の背中側。食事後の晩酌を邪���せずに宿題が出来る板の間だった。プリントで問題を解いていると時々、板の目に鉛筆の芯が嵌まって不自然な直線が引かれる。穴が空いてしまうこともあって、上手く書き直せなくなるのが嫌だった。
突如、体内で飽和した熱がぶわりと脳味噌を炙って、真夏の陽炎みたいに風景が揺らいだ。くわんくわんと明滅を繰り返す中、瞬きをする。ドツっと鈍い音が床から伝わってきた。後に続くのは母の金切り声。対抗するような怒号。蛍光灯を遮って立ち塞がる巨体。理性の楔を断ち切ったその姿は獣そのものだった。影から手が伸びてくる。抵抗すればより悪い結果を招くことはわかっていたからそのままじっとその影を見つめていた。宿題が破れてしまわなければいいなと思ったことを覚えている。
口の中に温い液体が競り上がる。呼吸の度に撫ぜられるような体毛の動きが落ち着かない。寒気に似た奇妙な感触が心臓の鼓動に合わせて全身を巡っていった。ふと見ると床に、突いた手の指先が白くなっていた。固い土にシャベルを突き刺すように身体の芯から何かが浸食してくる。荒い息が唇を掠めた。苦しくて叫びたいのになんと叫べばいいのかわからない。志向先の定まらない激しい後悔に涙が溢れた。皮膚を突き破って暴れ放たれる衝動に手近なものを引っ掴み、腕を振り上げる。叩きつけるように振り下ろし、それを投げつけた。飛んでいく先には幼い自分が座っていて、恐ろしさと軽蔑と少しの心配を滲ませた目でこちらを見ている。それを透過したスマートフォンが床で跳ね壁まで転がった。子どもが頭を押さえる。大人になった男の中で死にぞこなっていた子どもが。
「あ゛っ…ぁ゛ぁ゛…」
閉じた咽頭に擦れた声が嗚咽に変わる。短慮の末に暴れる男はいつかの獣そのものだった。
酒は大人の象徴だ。酒の味を知っていることが大人と呼ばれる種族の要件なのだ。だから、酒が呑めるほど大人になればこの地獄から抜け出して、自由を得ることが出来るのだ。そう男は思っていた。その漠然とした思い込みはどこか儀式めいたニュアンスで男の内にあった。しかし、たとえ酒が呑めるようになっても、成人式が過ぎ去っても、自由を得ることは出来ないでいる。薄く張った肌の下、癒えた筈の生傷がシクシクと痛む。痛みの源は体内で流れる獣が開けた風穴だ。
食道が激しく波打つ。男は這うようにシンクへとすがり付いた。縁に手を掛け、頭を突っ込むと決壊した唇から泡立った液体が口からまろびでる。アルコールとグレープフルーツの合成香料の香りが鼻の奥に刺さった。
結局自分も、あいつと同じ獣だ。
幼い頃、泣きじゃくった時と同じ鈍痛が副鼻腔を加熱する。舌の上にはざらつく苦味が残っていた。
Ⓒ2023十ヶ十颯
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【小説】『獣を放つ』3
酒は大人の象徴だ。酒の味を知っていることが大人と呼ばれる種族の要件なのだ。だから、成人したら、大人になったら、自分も当たり前に酒を呑むようになる。そう男は思っていた。その漠然とした思い込みはどこか儀式めいたニュアンスで男の内にあった。しかし、たとえ酒を呑まなくても、成人式に出なくても、時は流れて年は取る。もう缶の側面のお酒とかかれたマークが男を咎めることはなくなっていた。クールビズで袖を通さなくなってから、クリーニングにも出さずに放置されているスーツは何代目かわからないくらいだし、通勤定期の日付は繰り返される印刷にすっかりぼやけている。いつの間にか大人と呼ばれる年齢になっていたのだ。しかし、イニシエーションの階段を踏み外して出来た鈍痛はいつも男と共にある。それは大人になり損ねた男が負った全治一生の傷だった。
酒を呑むことさえ出来れば。あるいは。
その傷をなぞる度、男はそんなことを夢想した。チューハイの缶にゆっくりと手を伸ばす。手にした缶は暑い部屋に放置されて温くなっていたけれど、それでも体温よりはいくらか冷たい。持ち上げるとぼたぼたと雫が垂れて、灰のスウェットズボンを濡らした。指先を濡らした一滴がつつつっと手首にまで走る。パッケージにかかれたアルコール度数三パーセントという表記の意味は酒の中では低い部類で、初心者でも呑みやすい。そうネット記事には書いてあった。男は震える親指をプルタブに掛ける。開けろと手に指令を出して、指先がゆっくりをプルタブを持ち上げた。
ツッ、シゥーッ、プツッ。
僅かに空いた隙間から炭酸が吹き出す。つられて飛び出た泡が弾けた。そのままゆっくり、ゆっくりとプルタブを押し込んでいく。コカカッと金属が剥がれる音と共に口が開いた。ふわりとアルコール特有の匂いとグレープフルーツの香料が香る。
これが酒。
魔羅の雫。
数多の人を狂わせてきた液体。
大人のシンボル。
男はガチガチと揺れ動く顎を押さえ込んで、唇の隙間から酒を流し込んだ。炭酸の泡が口内で次々と弾ける。溢れないように唇をきゅっと結ぶと、息が詰まって鼻息が荒くなった。早く呑んでしまえと思うのに、ほんの一口の呑み込み方が解らない。
呑め。
呑め。
呑み下せ。
舌が震えて、段々と液体が温くなっていく。男は大きく息を吸って止めると、まるで大きなカプセル薬を飲むときのように覚悟を決めた。ごくっと喉をならして口内に溜まった空気ごと飲み込む。ザワッとうなじから全身に寒気が広がった。食道を液体が下っていくのが妙にはっきりと感じられる。
やっと、やっと呑み下してやった。
男はふはぁっと止めていた息を吐き出した。ぶるっとまた体が震えて、逆立った毛にティーシャツが触る。肋骨の奥でダクダクと心臓が波打つのがわかった。むくむくと胸の内で不快な何かが膨張する。破裂しそうで、はみ出しそうで、思わず胸を押さえた。ぜぇぜぇと耳障りに跳ねる呼吸音は自らのものだった。溜まった涙に視界が揺らいで目を閉じる。光が透けた瞼の赤の中で、男は走馬灯のように引きずり出された自らの過去に出会った。
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【小説】『獣を放つ』2
次の日、男は仕事の帰りに寄ったスーパーで件のものを買い揃えて帰宅した。鉄は熱いうちに打てと言うには随分と盛りを過ぎているけれど、潮時を逃す愚かさはよく知っている。男はシャワーで汗を流すと、さっそくテーブルの上に二つを並べて置いた。肴としていつもの配信を点ければ、後は蓋をあけて、用意したグラスにそれぞれを入れて飲み干すだけ。なのに男はたったそれだけのことが出来ず、気づけば数十分の時が過ぎ去っていた。
男は酒が呑めなかった。それは二十歳になって初めての参加した飲み会で発覚したことだ。祝い酒だと同級生達が杯を煽る中、男は一人、嘔気を催した。それも酒を飲む前に。グラスに口を付けようとしただけで、手が震えて途方もない嫌悪感が走る。"酒"と呼ばれる液体が体内に入ることを想像しただけで急降下していく気分に男は動揺した。
なぜ?
それまで普通に使えていた自らの腕の動かし方が急にわからなくなる。
酒…?アルコール…?これを体内に入れるなんて。
初めてのビールの感想を口々に言い合う周囲との距離が急激に離れていく感覚。飴色めいた蛍光灯に照らされた宴会場は直ぐに男の居るべきところではなくなった。男は出来るだけそれとなさを装ってジョッキを机に戻す。楽しげな宴会に水を差す訳にはいかず時間を掛けて嫌に丁寧に箸をとった。並んだ料理の中には好物もあったが、せりあがる胃液が邪魔をする。そして男は数分もしない内に席を立つとトイレに駆け込んだのだ。
個室に閉じ籠り喧騒から離れても気分に回復の見込みはない。ぐぐっと絞り上げる嗚咽に男はとうとう嘔吐した。便器に散らばる固形物のない吐瀉物と目が回るような濃い芳香剤の臭い。便座に付いた傷。トイレットペーパーの下手くそな切り口。宴会の遠い喧騒。男は浅い呼吸で息を整えて、レバーに手を掛け水を流す。ぐるぐる回る水の動きが静まってから、やっとのことで個室から出た。胃液で不味い口を濯ぐと今度は水道水の臭いが鼻についた。
何とか体裁を整えて戻った席では、同級生達が楽しげに初めての飲酒を楽している。床にはアルコールに悟性を鈍らせた男達の擲った倫理が散らばっているようだった。赤い顔をした友人に初めてのビールはどうだったかと尋ねられる。男は赤い星マークのジョッキを一瞥し、まぁまぁと曖昧に答えた。しかし、自分の席の前に置かれたそのビールは乾杯してから、一ミリリットルだって減っていない。減ったように見えるのは単に盛られた泡が消え、炭酸が抜けただけのことだった。男の沈んだ心を置いて飲み会は続く。ふいに隣に座っていた友人がトイレに立ち上がってふらついた。咄嗟に捕まられた肩にぐっと体重がかかる。ギギッと音を立てて軋んだのはきっと、床板ではなく崩壊寸前の心だった。男は手持ち無沙汰に持ったままだった箸を置く。そして自分の分の会計を幹事に託して席を立った。荷物をまとめる様子に気がついた数人が男に声をかける。
「えっ…帰んの?」
驚いたように見開いた目はうっすらと赤い。
「うーん…なんか調子悪いんだよね」
男はばつが悪そうに首に手を当てた。
「二十歳だからってはしゃぎすぎたか?」
「まぁ確かにちょっと顔色悪いか」
「お前今日体調しっかりしてこいよ」
「大丈夫か」
現役の学生だった頃に比べるとかなり大人びた同級生達が口々に声をかけてくれる。
「まぁ大丈夫だろ、わるいな、お疲れ」
それでも男にはもうそこへ留まる気力は残っていなかった。
「おう、お疲れ」
見下ろした机の皿の上では食べ残しの享楽が干からびていた。
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【小説】『獣を放つ』1
プラスチックテーブルの上の水たまりがまた一回り大きくなった。結露した雫が滑り落ちたからだ。表面張力の中心にあるのはグラス性の容器に入った氷菓と缶チューハイ。共にテーブルに置かれてから数十分が経過しており、その表面は粒々とした水滴もないくらい満遍なく塗れている。その一部始終をそばでずっと見ていた男はため息を吐いて頭を掻いた。
好奇心に負けてうっかり買ってきてしまったが、やはり失敗だったかもしれない。
男は半ば予期していた後悔を噛み締めていた。ぬるい部屋の空気はみるみる間に氷を溶かし缶の冷たさを奪うのに、男はどちらの封も開けられないでいる。口にしないならしないで仕舞ってしまえば良いものを、それすら出来ないで、男はただ流れる雫と時間が立つにつれ大きくなる水たまりを眺めていた。今度こそは呑めると思ったのに、まだ、また、出来ないのだろうか。男は天井を仰いだ。
男は二日前、YouTubeでとある雑談配信を垂れ流していた。梅雨も明け、本格的に気温が上がっていく最中のことだ。
「お前さぁ、家で酒のむ?」
「酒?いやあんま呑まへんなぁ、たまにな��って感じ」
「そっかぁ」
「��?どうかしたん?」
「いや最近暑いし、外出たないし、家で酒のみたいな思ってんけど、なんかええのないかなって」
「なるほどね」
「なんかええのある?」
「家か、家でなら…うーん」
一方が尋ねもう一方が答えに窮する。
「あっ、あのグレープフルーツのアイス知ってる?」
尋ねた方が何かを言いかけたとき、悩んでいた方が声をあげる。
「なにそれ?」
「あのー夏の部活の後とかに食うとうまいやつ」
「あー、味の付いた氷みたいなん?」
「そう、それ。あれに酒入れて飲むとうまいねん」
「あぁ、確かにうまそうやな」
「ただのサイダーとかでもうまいんやけど、レモン系のチューハイとか入れるとばりうまい」
「うわっ合いそ!そんなん考えたことなかったなー」
配信の音声を聞きながら、男は件の氷菓の味を思い出していた。普段アイスコーナーなど見向きもしない男はまだそれが売っていると言うことさえ知らなかったから、辿るのはかなり古い記憶になる。もったりしない甘さと爽やかなグレープフルーツの香り。配信者の言うとおり、夏によく合う懐かしい味だ。男はあの氷菓とサイダーを合わせたドリンクを想像してみた。独りでに背後へ夏の風景が重なる。子ども時代のことながら、鮮明な味の記憶に胸が高鳴った。
きっと美味しいに違いない。酒と合わせるのだって、いつも楽しそうに宴会の話をする彼が言うのなら、間違いないだろう。
男は顔も知らない彼らが居酒屋で楽しそうにする様を想像した。
彼らの語る話のように楽しく酒が呑めたら。 男は久しぶりに酒に興味を抱き、呑んでみたいと思った。
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小説投稿のお知らせ
こんばんは。十ヶ十です。
明日から四日間かけて小説を上げます。
酒が呑めない男の話です。※嘔吐表現あります。
投稿時間は丑三つ時です。
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これが酒。
魔羅の雫。
数多の人を狂わせてきた液体。
大人のシンボル。
男はガチガチと揺れ動く顎を押さえ込んで、唇の隙間から酒を流し込んだ。
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【散文詩】シンドローム
時折、頭のどこかが狂ってしまって
言葉が溢れて止まらなくなる
仕方ないから慎重に並べて
伝える形に誂えてみる
しかしそれらはいつだって
あなたの下に着くその前に
音波に成り代わって
振動に成り果てて
ちょっとばかし鼓膜を震わせるだけなのだ
伝わってほしいのはそれだけじゃないのに
Ⓒ2023十ヶ十颯
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紫トウモロコシとゆで汁染め
たまたま立ち寄った産直で紫色のトウモロコシを見つけ、
好奇心から購入してみました。
コーンスープにしたら毒々しくて面白そうだとも思ったのですが、
初めてなのでシンプルにゆでて頂きました。
実の薄皮の中は鮮やかな紫ですが、
中身は普通のより透明感のある白色。
味は特筆するほどではありませんでしたが、
皮が固めで、噛み心地がもちっとしてました。
と、まぁここまではある程度想定していた違いで、
本体より驚いたのが、ゆで終わった水の、その鮮やかな色!
染物が出来そう、と思い立ったので、
少しだけ煮詰めて、手ぬぐいの切れ端を染めてみました。
どうです?
意外と染まったでしょう?
左上の所は輪ゴムで縛って、絞りを試してみました。
染まった所とそうでない所の違いが分かりやすいですね。
以上、小さな自由研究についての報告でした。
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最低月一更新
こんばんは。
気が付いたら月末で、慌てて記事を書いている十ヶ十です。
知らぬ間に梅雨明けして、知らぬ間にセミの鳴く頃になっていました。
どうも天井に写るフラッシュバックに目を奪われ過ぎている。
色々思って想像したところで、伝える先のない言葉はあまりにも無意味だ。
空想が途切れるたびに、言葉が伝達手段であることを思い出して、
費やした時間の余りの不毛さにまた不毛を重ねたくなる。
儘ならないものです。
もしかしたらせっかくの潮時を逃してしまったのかも。
それではこの辺で。
今夜もお付き合いいただき、ありがとう。
一か月待っててくれてありがとう。
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【工作】風の届かない場所
古紙から外したホッチキスの針でクラゲを作りました。
壊れやすいので、空き瓶にでも詰めておきましょう。
そこは彼らの住む海のように広く自由ではないけれど、
海の底と同じように風の届かない場所だから。
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