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#花で彩る毎日の暮らし
naomode911 · 2 years
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中目黒 オートクチュール✨ 藤の花たくさん写ってる バージョン♡ 季節によって別の お花になってる事が あるみたいなので 他の季節にまた 行きたいな♡ 今日お仕事いったら あのカフェとても素敵ですね🤭 と、言われました! どこからどう撮っても 絵になるお店♡ 女子同士がオススメです! 気になる方はぜひ♡ @hautecouturecafe_official #カフェ #cafe #オシャレ #スイーツ #sweets #japan #東京 #tokyo #アフタヌーンティー #afternoontea #花で彩る毎日の暮らし #caffe #予約必須 #人気店 #藤の花 #映え #インスタ映え #フォトジェニック #モデル #girl #ケーキ #cake #コース料理 #フルーツ #オートクチュール #中目黒 #オートクチュールカフェ #HAUTECOUTURECAFE #HAUTECOUTURE #女子会 https://www.instagram.com/p/CftsX4RP5Ud/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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elle-p · 5 months
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P3 Club Book Koromaru short story scan and transcription.
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虎狼丸の優雅な一日
初夏の爽やかな日差しが心地よい日曜日。今日もなかなかの散歩日和だ。少し早めに出かけて、少し寄り道をするのもいいかもしれない。明確な言葉によるものではないが、だいたいそんなことを考えつつ、その柴犬は神社の石畳から身を起こして軽くあくびをした。
犬の名はコロマル。正式には虎狼丸と書くのだが、本人 (本犬?) は字が読めないので、とくにその違いにこだわりはない。彼がこだわっているのは、毎日の散歩。先日、彼の飼い主である神社の神主が事故で亡くなって以来、新しく神社の主となった人間は、最低限必要な食事は出してくれるものの、散歩に連れて行ったり頭をなでてくれたりはしない。コロマル自身、前の飼い主だけが唯一の主人であると思っており、もし新たな神主が散歩に連れて行こうとしたとしても、以前のルートを変えるなど考えもつかない��とだった。なので、今日もコロマルは散歩に行く。まず、長鳴神社からムーンライトブリッジを超えてポートアイランドの駅前まで。その後、再びブリッジから蔵戸台方面に戻り、町をぐるりと巡ってから神社に戻る。これが、毎日の長い散歩のロードマップ。
「わん!」
人間の言葉に直せば、さあ行くか、といった感じだろうか。コロマルは一声鳴くと、いつもののんびりとしたペースで歩き出した。
「あ、コロ助、おはよ!」
ふと、かけられた声に、コロマルは面倒くさそうに顔を向ける。それは、三つ編みの髪を頭の両側でお団子にした、小学生くらいの女の子。いつも、夕方ごろに神社で遊んでいる子だ。
実を言うと、コロマルはこの子が少し苦手だった。嫌いなわけではないのだが、ややコロマルを構いすぎる傾向にあるのだ。大人と比べて体温が高い子供が、気温が高い日にむしゃぶりつくように抱きしめてくることを想像してほしい。毛皮に覆われたコロマルの苦労は、その想像の軽く上をいくものだ。ただし、慈悲深いコロマルは、そんな女の子も無下には扱わない。この子がわりと苦労人であることを、コロマルは知っているのだ。そうしょっちゅうではないが、この子の両親は酷いケンカをするらしく、夕刻の神社で悲しみをこらえるようにコロマルに抱きついてくることがある。群れで暮らす犬族は、それこそ家族や仲間は命に等しい。それが仲良く暮らせない悲しみは、いかほどのものだろうか?そう思うと、コロマルは多少うっとうしくても、彼女に優しくせずにはいられないのである。
「あ、もう時間だ。ごめんねコロちゃん、舞子もう行かなきゃ。あーあ、塾面倒くさいなあ」
そう言って、彼女はコロマルの頭をひとなですると、廠戸台商店街方面へと歩み去った。うん、これぐらいのスキンシップが、コロマルにとってはちょうどいい。少し気分を良くして、コロマルも再び歩み始めたのだった。
潮の香りがする中、コロマルはムーンライトブリッジをてくてく進む。人間は、ここを観光地とかいう扱いでありがたがって見に来るらしいのだが、コロマルにとっては散歩ルート中もっとも退屈な行程である。というのも、橋の手すりが高すぎて、コロマルの体高では絶景と噂の風景も見えないからだ。しかも、やたらとたくさんの自動車が前から後ろから突っ走ってきて、危ないわ埃っぽいわ、嫌な油臭い空気を吐き出すわで不愉快ですらある。
であるからして、コロマルはこの場所を無心で歩く。なるべく潮の匂いにだけ集中し、遠くに見えるポロニアンモールの丸いドームを目指してずんずん歩く。時おり、ランニング中の人間が立ち止まって手を伸ばしてきたりするが、それも可能な限り無視してひたすら前へ。
しかし、それでも2度呼ばれると、つい立ち止まってしまう。コロマルが行ってやらないと、呼んだ人間は時々えらく傷ついた顔をすることがあるのだ。人間を傷つけることは、コロマルの本意ではない。なので、コロマルはあくまで “仕方なく” 人間に思うさま頭をなでさせる。コロマルはそういう自分の性格を時おり誇らしくすら思っているが、じつはなでられている間、ついつい尻尾を振ってしまっていることには気づいていない。コロマルはそんな犬だった。
「あれー、コロちゃん?こんなとこまでお散歩に来てるの?」
「あ、ホントだ。健脚だね〜」
ポロニアンモールに来たところで、厳戸台あたりでよく見る女子高校生に出会った。いつもの制服姿ではなく私服姿。セミロングの髪の子は、ピンクのタンクトップにデニムのジーンズ、ショートの髪の小さい子の方は、水色のワンピースを着ている。もっとも、犬であるコロマルにとって、服の違いは別にどうでもいいのだが。
このふたりは、けっこうコロマルのお気に入りである。水色ワンピースの子は、動物の扱い方を心得ているのか、コロマルが気持ちいい場所を的確になでてくれる。タンクトップの子は、なでかたこそ普通だが、あまりベタベタしようとしない点で好感が持てる。コロマルに触りたいという気持ちは、たくさん伝わってくるので、むしろもっと触ってくれてもいいのに、と思うことすらある。もし犬の言葉がわかる人がいれば、遠慮しないでいいよと言ってあげたいほどだ。まあ、そうそう都合のいいことはないと、犬ながらに買いコロマルはそう思う。
「あ、コロちゃん、こういうの食べるかな?」
そう言って、水色ワンピースの子が手に提げていた袋から何かを取り出す。赤いビニールに包まれた、棒状の何か。漂ってくるかすかな匂いに、ある期待を抱き、思わずコロマルの尾がぶんぶんと大振りになった。
「あれ?ソーセージじゃん。どーしたの?」
「え?あ、た、たまには自分で料理しようかと思って······さっきデパートで、ちょっと」
「ふーん、風花も料理したりするんだ」
「ま、まあね。あはははは」
ワンピースの子は何か焦った様子だが、すでにコロマルは、想像の中に広がるソーセージの味で心が一杯になっている。ワンピースの子は、そんなコロマルの期待に応えるように、できるだけ意いでビニールをむいてくれた。
「はい、どうぞ」
「わん!」
礼を言うのもそこそこに、コロマルはソーセージにかぶりついた。そういえば、朝食をとってからけっこうな時間が過ぎている。ちょうどいいタイミングの思わぬ幸運に、コロマルの心にじんわり幸せが広がっていく。やはり、何かを食べているときが、いちばん幸せだ。それがとくに、好きな人が手ずから食べさせてくれるとあれば、それ以上何を望むことがあろうか。
欠片ひとつ残さずにコロマルはソーセージをたいらげ、もう一度「わん」と礼を言う。
「どういたしまして」
とワンピースの子が答え、買い物の続きがあるからと、コロマルをひとなでしてどこかの店へと向かってふたりは歩き出した。ごくまれにだが、このようにコロマルの意思が、人間に通じているように思えることがある。それは単なる錯覚や勘違いかもしれないが、それもまたコロマルに満足感を与えることのひとつなのだ。
ともあれ、コロマルは今日彼女たちに会えた幸運に感謝しつつ、散歩の続きを楽しむことにした。いずれ、コロマルは先ほどの想像どおり彼の言葉を理解できる存在と出会い、この日もっとも幸運だったことは、ワンピースの子がくれた食物が “調理前” だったことにあったのだと知るのだが、それはまた別の話である。
散歩の折り返し点、ポートアイランド駅に着いたときには、太陽は南天を過ぎ、もっとも暑い時間帯を迎えていた。駅そばにあるオープンテラスのカフェは、日曜ということもあって満員。いつもなら、ここで小腹が空くタイミングとなるために、カフェの客に愛想を振りまいたりすることもあるのだが、今日はもらったソーセージのおかげでその必要もない。
とりあえず、涼しい日陰でも探そうかとコロマルが駅前広場を見回したとき、ぞわり、と背中の毛 が逆立つような感覚がした。無意識に、尻尾が丸くなって足の間に挟みこまれる。コロマルは、その感覚に覚えがあった。
--いた。
花塩そばのベンチに座った、白いドレスの少女。手には大きめのスケッチブックを持ち、空ろな目でしばし前を見つめては、手元に目線を移して右手を動かす。その作業を、少女はひたすら続けている。
コロマルは、あまりこの少女に近づいたことがない。別に危害を加えられた訳ではない。ただ、以前1度だけ、少女の前方にいたときにじっとあの目で見つめられた。それだけだ。その目が、コロマルは今も怖くて仕方がない。
言葉を持たないコロマルは、その印象をうまくまとめることはできないが、あえて説明するとしたら、それは生き物としてはありえないほどの、虚無に満ちた視線だった。コロマルの目からは、少女は既に死者に等しく見えた。
だが、そんな少女が。
「······おいで」
なんと、コロマルを認めて声をかけてきたのである。一瞬のためらいののちに、コロマルは少女のほうへと近寄った。丸めた尻尾は、気力を振り絞って常態に戻している。少女に対しておびえを見せることが、何となく申し訳なく思えたからだ。それがなぜかは、わからない。
コロマルが近寄ると、少女は手に持ったスケッチブックを数枚めくり、やがてコロマルにひとつの絵を示した。強弱が定まらない輪郭線、不安定な色彩。正直、犬であるコロマルに絵の良し悪しはわかりはしないのだが、その絵からは何か圧倒されるものが伝わってきた。それは、この世のすべての生き物が恐れるべく定められた、“死” そのもののイメージだった。
「······これ、お前よ」
その言葉に、コロマルは首をかしげて再び絵を見る。よくわからない。だが、コロマルの生き物としての鋭敏な感覚が、その絵にこめられた別のイメージを感じ取った。
これは、憧れ?
紙の上にすみずみまで満ち溢れる、死というマイナスイメージの中、ほんのかすかに匂う生への憧れというプラス。それはまるで、地平線まで広がる黒々とした底なし沼の真ん中から、すがるように空に向かって伸ばされた白い手。
「普通は······誰かに見せたりしないけど······お前は、勝手にモデルにしたから、一応······」
目を合わせず、言い訳するように少女は呟き、そそくさとスケッチブックを畳んでしまう。
「く~ん」
と、コロマルは、甘えるように鼻を鳴らす。少女に付きまとう、得体の知れない死のイメージは微塵も薄れてはいないが、それでも小さな小さな助けを呼ぶような気配が気になった。だが、少女にはそんな想いは通じず--。
小さな体に不釣合いな大きさのスケッチブックを抱え、少女は無言で立ち去ってしまった。
自分には、あの虚無から彼女を助けることはできない。それを本能的に知覚し、コロマルは少し悲しくなる。そしてコロマルは気づく。
--誰かを守れる力が欲しい。
そんな想いが、自分でも意外なほどに、強く強く満ち溢れていることに。それは、愛する主人を突然の事故で亡くして以来、自分の気づかない場所で、静かにっていた火だった。
それから、コロマルは沈んだ気分を晴らすように、ポートアイランド駅近辺をたっぷり散策した。今日はなかなか面白い人間が多く、別に吠えたり呻ったりもしていないのに「ちょっと!アタシは犬って苦手なのよ!犬は悪い人がわかるって言うし、アタシなんか噛まれるに違いないんだからね!しっし!訴えて慰謝料とるわよっ!」と叫ぶ中年男にじゃれ付いたり、なにやら月高の女生徒を付け回す同じく月高の男子生徒を、真似して尾行してみたりした。そして、ほんの少し気持ちが復活したところで、コロマルはポートアイランドをあとにして、行きと同じ道を辿って帰路に着く。
ポロニアンモールで立ち話をする主婦の、買い物袋から漂う匂いの誘惑に打ち勝ち、相変わらず埃っぽくて油臭いムーンライトブリッジをずんずん進み、ほんのちょっと厳戸台駅前に寄り道をする。これもいつものルート。
このあたりに来ると、昼が長い夏とは言え、すっかり日は傾きかけていた。駅前商店街に多数存在する食べ物屋からは、それぞれに違ったいい匂いが漂ってくる。とくに気になるのが、香ばしく焦げたソースの匂い。前に1度だけ食べたことがある、たこ焼きの匂いである。
ちょっとした気まぐれで、店主が散歩中のコロマルに投げてよこしたたこ焼きは、今までに経験のない美味だった。
「ホンマは犬猫にタコやイカはあかんのやけどな。ウチのはほら、タコ入ってへんから」
店主はそんなことを言っていたが、コロマルにとってはどうでもいいことである。ただ、もう1度だけ店主が気まぐれを起こしてくれないかと、このあたりで足を止める癖がついてしまったのが、我ながら情けない。
空腹をこらえながら、コロマルは商店街を進む。今日はあいにく、コロマルに食べ物を恵んでくれる気になる人間はいないようだ。いつも新しい神主が提供してくれる食事は、コロマルにとってはやや物足りない分量である。今日はちょっと疲れたので、もしかするとあれでは足りないかもしれない。今夜は、空腹をこらえて寝るしかないかと、コロマルが覚悟したとき。
「よう、コロちゃんじゃねえか」
後ろからかかる声。
大きく尻尾を振って、コロマルは声の主のもとに走り寄った。亡くなった主人を除けば、おそらくコロマルがもっとも大好きな人間だ。
「ほら、焦るなって」
そういって、その人は懐から容器を取り出し、地面に置いて開けてくれる。中身は何か肉を煮込んだもの。巌戸台商店街やポートアイランドでよく見かけるその人は、いつの頃からか、定期的にコロマルに食べ物を持ってきてくれるようになっていた。口調は乱暴だが、優しい人だ。
「よし、いいぜ。食えよ」
いつものことだが、コロマルは律儀に一声吠えて礼をいい、それから出された食事を食べ始める。あまり味を気にしないコロマルだが、その肉は絶品だった。濃すぎない味付け、適度な歯ごたえ、神社で出されるドッグフードとは雲泥の差である。食べながらコロマルは思う。色々あったが、今日は総じていい日だった。明日もいい日になるだろうか?
どちらにせよ、コロマルは毎日を精一杯生きるだけだし、日課の散歩も変わらないだろう。手が届く範囲の幸せ、それを守ることがコロマルの重要事であり、それは確かに、生き物すべての真理なのである。
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ari0921 · 5 months
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和五年(2023)12月27日(水曜日)参
    通巻第8070号
 AIは喜怒哀楽を表現できない。人間の霊的な精神の営為を超えることはない
  文学の名作は豊かな情感と創造性の霊感がつくりだしたのだ
*************************
 わずか五七五の十七文字で、すべてを印象的に表現できる芸術が俳句である。三十一文字に表すのが和歌である。文学の極地といってよい。
どんな新聞や雑誌にも俳句と和歌の欄があり、多くの読者を引きつけている。その魅力の源泉に、私たちはAI時代の創作のあり方を見いだせるのではないか。
 「荒海や佐渡によこたう天の川」、「夏草や強者どもが夢の跡」、「無残やな甲の下の蟋蟀」、「旅に病で夢は枯野をかけ巡る」。。。。。
 このような芭蕉の俳句を、AIは真似事は出来るだろうが、人の心を打つ名句をひねり出すとは考えにくい。和歌もそうだろう。
 『春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天香具山』(持統天皇)
 皇族から庶民に至るまで日本人は深い味わいが籠もる歌を詠んだ。歌の伝統はすでにスサノオの出雲八重垣にはじまり、ヤマトタケルの「まほろば」へとうたいつがれた。
 しかし人工知能(AI)の開発を米国と凌ぎを削る中国で、ついにAIが書いたSF小説が文学賞を受賞した。衝撃に近いニュースである。
 生成AIで対話を繰り返し、たったの3時間で作品が完成したと『武漢晩報』(12月26日)が報じた。この作品は『機憶(機械の記憶)の地』と題され、実験の失敗で家族の記憶を失った神経工学の専門家が、AIとともに仮想空間「メタバース」を旅して自らの記憶を取り戻そうとする短編。作者は清華大でAIを研究する沈陽教授である。生成AIと66回の対話を重ね、沈教授はこの作品を「江蘇省青年SF作品大賞」に応募した。AIが生成した作品であることを予め知らされていたのは選考委員6人のうち1人だけで、委員3人がこの作品を推薦し
「2等賞」受賞となったとか。
 きっと近年中に芥川賞、直木賞、谷崎賞、川端賞のほかに文学界新人賞、群像賞など新人が応募できる文学賞は中止することになるのでは? 考えようによっては、それは恐るべき時代ではないのか。
 文学の名作は最初の一行が作家の精神の凝縮として呻吟から産まれるのである。
 紫式部『源氏物語』の有名な書き出しはこうである。
「いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり」
 ライバルは清少納言だった。「春は曙、やうやう白く成り行く山際すこし明かりて、紫立ちたる雲の細くたなびきたる」(清少納言『『枕草子』』
 「かくありし時すぎて、世の中にいとものはかなく、とにもかくにもつかで、世に経るひとありけり」(道綱母『蜻蛉日記』)
 額田女王の和歌の代表作とされるのは、愛媛の港で白村江へ向かおうとする船団の情景を齊明天王の心情に託して詠んだ。
「熟田津に 船乗りせむと月待てば 潮もかなひぬ今は漕こぎ出いでな」(『万葉集』)。
 「昔、男初冠して、平城の京春日の郷に、しるよしして、狩りにいにけり。その里に、いとなまめいたる女はらから住みけり。」(『伊勢物語』)
 ▼中世の日本人はかくも情緒にみちていた
 「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶ泡沫(うたかた)はかつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」(『方丈記』)
 『平家物語』の書き出しは誰もが知っている。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。 奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。 猛き者も���にはほろびぬ、 偏(ひとへ)に風の前の塵におなじ」。
 『太平記』の書き出しは「蒙(もう)竊(ひそ)かに古今の変化を探つて、安危の所由を察(み)るに、覆つて外(ほか)なきは天の徳なり」(『太平記』兵藤祐己校注、岩波文庫版)
「つれづれなるままに、日くらし硯にむかひて、心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ」(『徒然草』)
 古代から平安時代まで日本の文学は無常観を基盤としている。
 江戸時代になると、文章が多彩に変わる。
 井原西鶴の『好色一代男』の書き出しは「「本朝遊女のはじまり、江州の朝妻、播州の室津より事起こりて、いま国々になりぬ」
 上田秋成の『雨月物語』の書き出しはこうだ。
「あふ坂の関守にゆるされてより、秋こし山の黄葉(もみぢ)見過しがたく、浜千鳥の跡ふみつくる鳴海がた、不尽(ふじ)の高嶺の煙、浮島がはら、清見が関、大磯小いその浦々」。
 近代文学は文体がかわって合理性を帯びてくる。
「木曽路はすべて山の中である」(島崎藤村『夜明け前』)
「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜ぬかした事がある」(夏目漱石『坊っちゃん』)
「石炭をば早はや積み果てつ。中等室の卓つくゑのほとりはいと静にて、熾熱燈の光の晴れがましきも徒らなり。今宵は夜毎にこゝに集ひ来る骨牌カルタ仲間もホテルに宿りて、舟に残れるは余一人ひとりのみなれば」(森鴎外『舞姫』)。
 描写は絵画的になり実生活の情緒が溢れる。
「国境の長いトンネルをぬけると雪国だった」(川端康成『雪国』)
 谷崎潤一郎『細雪』の書き出しは写実的になる。
「『こいさん、頼むわ』。鏡の中で、廊下からうしろへ這入はいって来た妙子を見ると、自分で襟えりを塗りかけていた刷毛はけを渡して、其方は見ずに、眼の前に映っている長襦袢姿の、抜き衣紋の顔を他人の顔のように見据みすえながら、『雪子ちゃん下で何してる』と、幸子はきいた」。
 「或春の日暮れです。唐の都洛陽の西の門の下に、ばんやり空を仰いでいる、一人の若者がありました」(芥川龍之介『杜子春』)
 ▼戦後文学はかなり変質を遂げたが。。。
戦後文学はそれぞれが独自の文体を発揮し始めた。
 「朝、食堂でスウプをひとさじ吸って、お母様が『あ』と幽(かす)かな声をお挙げになった」(太宰治『斜陽』)
 「その頃も旅をしていた。ある国を出て、別の国に入り、そこの首府の学生町の安い旅館で寝たり起きたりして私はその日その日をすごしていた」(開高健『夏の闇』)
 「雪後庵は起伏の多い小石川の高台にあって、幸いに戦災を免れた」(三島由紀夫『宴のあと』)
和歌もかなりの変質を遂げた。
正統派の辞世は
「益荒男が 手挟む太刀の鞘鳴りに 幾とせ耐えて今日の初霜」(三島由紀夫)
「散るをいとふ 世にも人にも さきがけて 散るこそ花と 吹く小夜嵐」(同)
 サラダ記念日などのような前衛は例外としても、たとえば寺山修司の和歌は
「マッチ擦る つかのま海に霧ふかし 身捨つるほどの 祖国はありや。」
 わずか三十一文字のなかで総てが凝縮されている。そこから想像が拡がっていく。
 こうした絶望、空虚、無常を表す人間の微細な感情は、喜怒哀楽のない機械が想像出来るとはとうてい考えられないのである。
AIは人間の霊感、霊的な精神の営みをこえることはない。
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blue-belta · 8 months
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毎週日曜日は先週の #大きなひとこま絵日記 です。
1週間を1ページにコツコツ描いていくスタイルで、2021年1月から始めて138週目になりました。
ご近所のお庭で見つけたお花。
なんだろ?
#蒸しパン と #紅たこせん 。
アンネイ教室のおやつ。
蒸しパンはさつまいも入り。
一夏頑張った #ひまわり 。
ありがとう。お疲れさまでした。
#出雲 の植え込みで見つけた #謎の実 。
なんだろ?
#植木鉢 は、ガーデニングではなく、なんと #ティラミス 。
先日ランチをいただいた #4gats ( #クアトロガッツ )のデザートです。
メニューに「 #土じゃね 」とだけ書いてあり、いったいなんだろうと。
出てきたものを見て納得、土じゃね?(笑)
ちなみに土に見えるのはオレオクッキーを砕いたもの。一部残っているかたまりが、ダンゴムシのようでいっそうリアルでした。
中はベリー類とパンケーキ?コーンフレーク入りのティラミス生地でした。
2人でシェアしましたが、お腹いっぱい。
そして #ウエダのワッフル 。
4gatsさんのご近所なのです。
ここのワッフルはふわふわでとってもおいしいの。
カスタードクリームとの調和もすばらしく、私のイメージでは、スフレのような感じ。
JR松江駅からも近いので、松江にお越しこ際にはぜひ。
日持ちはしないのでお土産にできないのがちょっと残念。
というわけで、先週も楽しく描きました。
今週も描いていきますね。
この絵日記をベースにした #イラスト日記 のレッスンを #ミルーム さんでしています。
絵日記は楽しいです。
描くのも楽しいけれど、あとから見直すのもとっても楽しい。
毎日が宝物になっていく絵日記、ぜひ一緒に描きましょう♪
#art #drawing #pensketch #watercolor #sketchjournal #絵日記 #スケッチジャーナル #ペンスケッチ #水彩 #透明水彩 #1日1絵 #イラストグラム #今日何描いた #今日何描こう #絵を描く暮らし #大きなひとこま絵日記 #絵日記 #スケッチジャーナル #sketchjournal
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dryflower-forest · 1 year
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2023年5月4日
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 麦わら帽子を被って、最近買った青色アロハを着て、短パンにブーツで玉川上水沿いの林道を少し散歩。温かさを通り越して暑いくらいの陽射し。風も、五月の風も時折吹いていて、その度に飛んでいきそうな麦わら帽子を手で抑えた。飛ばされてしまえばよかっただろうか。どこへ?もちろんゴッホの夏へ。「君に握手を贈る」毎回決まって締めくくりにそう書かれていた彼の手紙。林道は木々の草々の、青空へと太陽へと伸ばされた夥しい緑の握手に覆われ仄かに薄暗く涼しく、地面へと落ちた木漏れ日を横ぎる揚羽蝶や紋白蝶の黒い影。ちょうど去年の今頃はドイツ人の作家シュナックが書いた「蝶の生活」という本を読み始めた頃で、様々な蝶の成虫幼虫の挿絵入りでその生態が博物学的に生物学的に紹介されているだけでなく、それぞれの蝶との彼の出会いや蝶を巡る幻想的な小説の章まである、蝶という生き物に対する虫網を持って野原を駆け巡るかつての少年そのままの純粋な愛と憧れと詩情に溢れたその本を鞄に入れて仕事の行き帰りや今日のような散歩の途中、時間を見つけては僕も蝶の影を追っていた、まるでシュナックの魂が乗り移ったかのように。
 ところで、「ゴッホの手紙」の中にも蝶が登場する。蝶ではなく蛾なのだけど、それは「死人の顔という蛾」で、
昨日は、死人の顔という珍しい大蛾を写生してみた。その色彩は、黒、灰色、陰影のある白や反射光のある洋紅色、かすかだがオリーブ緑色に転じた色で、たいそう大きい。  それを���くため殺してしまわなければならなかった。それ程蛾は美しかったので惜しかった。ーー硲 伊之助 訳「ゴッホの手紙 下」よりーー
背中に人間の髑髏の模様があるその大きな蛾の彼の素描を見たとき、これはたぶん半ばゴッホの想像或いは幻想で描かれた蛾の絵なのだと思っていたのだけど、その同じ蛾をシュナックの「蝶の生活」の後半の蛾の章で発見して僕は驚愕した。「死人の顔という蛾」は実在していたのだ。それは髑髏面型雀蛾(ドクロメンガタスズメ)という。
この蛾は埋没してしまった古代の夜の世界の最後の���撃者である。その恐ろしい紋章によってこの蛾は人間たちに死を、今なお存在する黄泉の国を思い起こさせる。ーー岡田朝雄 訳 シュナック「蝶の生活」よりーー
 煙草を吸う。照明は天井に二つ埋め込まれている小さな電球色のLEDだけで薄暗い、小さな動物や昆虫をペットショップで買ったときに小さな動物や昆虫が入れられる二つの小さな空気穴が空いているだけの小箱のように薄暗い喫煙所で煙草を吸う。ぼんやりと浮かぶ闇の壁にもたれ掛かって煙草を吸う人の顔、その唇の先から指の煙草の先から流れる揺らめく煙は千変万化の軌道を描き、天井へ、まるであの天井の二つの円いLEDの光から出ていくように、地獄の底から見上げた高く高く厚い厚い天井に空いている小さな二つの出口、ここの住人には決して手の届かない小さな二つの出口、窓、裂け目、地上への出口へと流れていく煙かのように、煙を糸のように吐いて、その糸が吸い込まれていく、決してわたしを引き上げてはくれない、わたしが吐いた蜘蛛の糸の流れの先を見上げるわたしはきっと今ルドンの気球の眼をしている、重力を、わたしが重力に縛られた存在なのだと、私は重いのだと、つまりは地獄の底に居るのだと気が付かせてくれる、そんな喫煙所、でもね、地獄の底にも光るものがあって、それは二つの光源のちょうど真下に二つ置かれている灰皿、銀色に鈍く光る灰皿、水の張られた皿を円く囲って覆う銀の蓋が鈍く光っている、大概は捨てられた煙草と煙草の灰の山に埋まっているその二つの目玉と瞳、だけど、たまに掃除の人が来ることがあって、そのときは捨てられた煙草も煙草の灰も綺麗に除けられて、だから銀色の眼球の真ん中に張られた水が二つの瞳のように浮かぶ、でも、その二つのお皿は煙草の脂や錆で焦げ茶や黒茶や赤茶や朽ち葉色に染まっているから、その二つの瞳は冬の池の底、その秋に散ったたくさんの落ち葉が静かに安らかに沈み込んでいる冬の池のようで、電球色のLEDに照らされて琥珀色に輝き微かに揺らめくその瞳は穏やかな午後の陽が射し込む冬の池の底のようで、髑髏面型雀蛾の羽根、身体の色合いはちょうどそんな色をしている。わたしの部屋が、今も少しだけ置かれているけど、百花繚乱のドライフラワーに埋め尽くされたら、きっと真夜中に窓を叩いて飛んで来るだろう、髑髏面型雀蛾。しかしそのとき彼が背中に乗せて持って来るのはいったい誰の骸骨だろう?それはきっとわたし自身の骸骨だ。ゴッホはあの蛾の背中に彼自身の骸骨を見たのだ。もう彼は居なかった。それからしばらくして彼は死んだ。でも、もう既に彼は居なかった。最後の方に描かれている彼の絵はまるで煙で描かれているようだった。彼は死んで、煙になってその煙が彼自身の最期、骸骨を見ていた。わたしもその蛾を見たときにはもう居ないのだろう。真夜中に窓を叩く風。わたしの居ないドライフラワーが咲き乱れたわたしの部屋の中を気ままに優雅に不思議そうに舞う髑髏面型雀蛾。
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わたしは わたしの居ない わたしの部屋で暮らしたい かつてそうだったように わたしは わたしの居ない わたしの世界を見てみたい かつてそうだったように
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yui-on · 1 year
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閑話休題 伍
「YoshimiO & U-zhaan
LIVE IN POLARIS Release Commemorative」
at 結音茶舗
【日時】5/3 2023 (水曜日・祝) open 18:00
【会場】結音茶舗
    大阪府大阪市中央区谷町六丁目14-2 路地奥
【料金】限定20名先着(※要予約) 4,000円+ワンオーダー
【予約】E-mail : mailto:[email protected]
    Tel : (06)4305-4926 (12:00-24:00・月曜休)
出演
LIVE
YoshimiO x U-zhaan
Hideo Nakasako
にしもとひろこ
DJ
あらゆるゔぇーだ
Sound: Kabamix
YoshimiO & U-zhaan
LIVE IN POLARIS
シタール奏者のヨシダダイキチが結成した実験的インド音楽ユニット「SAICOBABA」のメンバーとして1999年から数多く共演をしてきたYoshimiOとU-zhaanが、出会って23年目にして突発的に初開催したデュオ即興ライブのフル音源をBandcamp限定でリリースする。マスタリングはkabamix。
YoshimiO and U-zhaan, who have performed together numerous times since 1999
as members of SAICOBABA, an experimental Indian music unit formed by sitar player Yoshida Daikichi, will release the full soundtrack of their first duo improvisation live performance, which was held suddenly and unexpectedly 23 years after they met, exclusively on Bandcamp The mastering was done by kabamix.
YoshimiO/
Vocal, Piano, Bamboo Flute, Triangle, Synthesizer
 
U-zhaan/
Tabla, Kanjira, Alto Horn
Mastered by kabamix.
Artwork by UTA
YoshimO・ヨシミオ(a.k.a.Yoshimi P-We)
1986年BOREDOMSのEYE等とUFO OR DIEを結成。
初めてドラムを叩き、初動でシャウトするステージから、
1988年より30年以上世界で最も先鋭的なエクスペリメンタル・ハードコアバンド・
BOREDOMSのコアメンバーとして活動。
1993年Kim Gordon,Jullia CafritzとのFREE KITTENのドラマーとして加入後、
1995年より自身のプロデュースバンドOOIOOを結成し、ギターヴォーカル&トランペットでの表現は現在進行形である。
1999年からシタール奏者のヨシダダイキチが結成した実験的インド音楽ユニット「SAICOBABA」を経て、
2015年には古代ヌメロロジカルな手法をもとに演奏されるラーガコアバンド
[SAICOBAB]をヨシダダイキチ、HAMA(滞空時間)等と結成し
Vocalist・YoshimiOとしての活動を始める。
2020年よりYoshimiOのすべてのインプットは和泉希洋志からアウトプットされる
YoshimiOizumikiYoshiduOでピアノを奏で発声。
複数のパーマネントな音楽活動はもちろん、世界中を舞台にした数え切れないセッション・ワークやレコーディング、プロジェクトへの参加、  映画のサウンドトラックをはじめとするソロ=YoshimiO名義での音源制作、他ミュージシャンへの楽曲提供、 CM音楽制作、さらには、自身のブランドemeraldthirteenでの服飾デザインまでをもこなす、正にポリフォニックな多層型アーティスト。
音楽制作、延いてはその根幹となる器楽演奏や発声の方法までもが完全にオリジナルなメソッドで
貫かれており、楽器や音そのものから放たれるバイブレーションと素直に対峙することから始まる
身体的反応を第一義としたプリミティブな表現を核に、同時代性を伴う鮮烈な色彩感覚をちりばめた、独自のエートスを獲得している。 
U-zhaan・ユザーン
オニンド・チャタルジー、ザキール・フセインの両氏からインドの打楽器「タブラ」を師事。2000年よりASA-CHANG&巡礼に加入し、『花』『影の無いヒト』など4枚のアルバムを発表。2010年に同ユニットを脱退後、U-zhaan × rei harakamiとして「川越ランデヴー」「ミスターモーニングナイト」等を自らのサイトから配信リリース。2014年にはゲストに坂本龍一、Cornelius、ハナレグミ等を迎えたソロ名義のアルバム『Tabla Rock Mountain』を発表した。2021年にU-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESSによるアルバム『たのしみ』、2022年に蓮沼執太との共作アルバム『Good News』をリリースしている。
Hideo Nakasako
関西を拠点にAmbient〜Dub〜Technoに影響を受けた電子音楽を制作するプロデューサー。現在は自身で録音したフィールドレコーディングやシンセサイザーで作ったテクスチャーをレ��ヤーしたAmbient Musicに傾倒している。
Blue Arts Music,shrine.jp,Muzan Editionsなど国内レーベル中心にリリースを重ね、自身のBandcampにて精力的に作品をリリースし続けている。2023年2月Muzan Editionsより「Collected Sound Fragments」をリリースする。
2017年よりクラブの音響、環境でアンビエントミュージックを楽しむパーティーDon't Danceを主宰する。
https://hideonakasako.bandcamp.com
にしもとひろこ
散らばる光と戯れるように、独特な声色でうたを紡ぐ。
アコースティックデュオ「たゆたう」、女性5人バンド「Colloid」などで活動するほか、主に声のみで物語を奏でるソロパフォーマンスやボーカル・コーラスサポートも行う。
2014年 劇団sunday『友達』、2016年 423アートプロジェクト『とちのこゑ』、 2017年 瀬戸内サーカスファクトリー主催『サカイデマングローブ』、2018年 『大阪府障がい者舞台芸術オープンカレッジ2018「うみのうたごえ」』、BRDG vol.5『Whole』、2020年BRDG vol.6『ふれる~ハプロス』などで楽曲提供、劇中での生演奏に参加。
日々の暮らしの中、歌ったり、描いたり、作ったり、多岐にわたるアーティスト活動をめぐりながら独自の世界観を表現する。
あらゆるゔぇーだ ARAYURUVEDA
コロナ禍において自宅をインドに近づけるために、インドのレコードを聴きながらカレーをつくる活動をはじめる。インドの音楽をより楽しむために、近隣諸国のレコードも買うようになり、戸惑う。BGMにより空間が唐突にアジア、アラブ化するのを楽しんでいる。
結音茶舗
542-0012
大阪府大阪市中央区谷町6丁目14-2 路地奥 結音茶舗
電話 06 4305 4926
map
https://goo.gl/maps/ePqVuHhzoU72
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営業時間
お昼 12:00 - 深夜24:00
ランチタイム 12:00 - 15:00
喫茶 15:00 - 17:00
日本茶バー 19:00 - last
定休日毎月曜 第三火曜
イベント・催しによって変動あり
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暮しの彩り~その160
この時期、ハッとする良い香りに「どこから?」と思うことがあります。そんな花のひとつが藤の花。
お庭の藤の写真を送っていただいたので紹介いたします。
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『いつもウェブサイトを楽しく拝見しております。我が家の唯一自慢の藤の花が咲きました。今年はどんな花をつけてくれるのか、ドキドキわくわくしながらこの時を待ちわびて、見事に咲いてくれました。
窓を開けると、藤の花の甘い香りに包まれます!毎日小さな幸せを楽しんでいます。藤の花に感謝です。』
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窓を開けたら満開の藤の花!なんと羨ましい!甘い香りがここまで漂ってきそうです。
富谷は養蜂に力を入れていて、はちみつは全国的な大会で賞をいただくほどの美味しさ。季節によってその味が変わりますが、私が初めて富谷産のはちみつを食べた時に香ったのが藤の香りでした。その感動は今でも忘れられません。ミツバチたちが一生懸命花から蜜を集めているのだ、ということを初めて実感した瞬間でもありました。
きっと、このお庭の藤の蜜も富谷のミツバチたちは集めていると思います。それは人には作ることのできない貴重なハチミツになるのです。(ちなみに一匹のミツバチが一生かけて集めて作るハチミツはティースプーン一杯分くらいだそうです)
いただいた藤の写真から、いろんなことが連想され、思い出され、感動を味わいました。
待ちわびた花が咲くこと、窓を開けるたび幸せを感じること、香りを胸いっぱい吸い込むこと、なんという喜び、暮らしの醍醐味でしょう!
どうぞ今日も目一杯、花と香りを楽しんでくださいね。素敵なおたよりありがとうございました。
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lastturn71 · 3 months
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岩城滉一 26年ぶり主演 映画『ラストターン 福山健二71歳、二度目の青春』 ささやかに生きる男の第二の人生を熱演!共演に宮崎美子 高月彩良 田山涼成など演技派俳優も出演
人生は、今この瞬間も、誰もが輝いている
岩城滉一が26年ぶりの映画主演で愛妻を看取った男の第二の人生を熱演! 本作の主演は、これまで年齢を感じさせないワイルドなイメージが強かった岩城滉一。 1997年に公開した『なにわ忠臣蔵』以来、約26年ぶりに映画で主演を務めます。岩城が演じるのは、ごく普通に暮らし定年を向かえた71歳になる福山健二。認知症だった愛妻を看取り、刻々と近づく人生の最期を意識し始めていたが、自身の物忘れに不安を覚え始め市のコミュニティクラブへ参加することを決意。さらには、ずっと苦手だった水泳に挑戦するなど、新たな一歩を踏み出していきます。
岩城は今回の出演に関し「プロットを読んで『残りの人生をどう過ごして行くか?』という問いかけに、とても興味を覚えお引き受けしました。」と語っています。さらに本作について「やはり、同世代の方々には観て頂きたいと思いますね。70才を過ぎても一日一日を楽しくしっかりと生きていく。先を明るく見ていく事はとても大切なことですから。」と話しています。
共演には岩城演じる健二を置いて亡くなってしまう認知症を患っていた愛妻・福山佳代役に、優しい演技で魅了し、歌手としても活躍している宮崎美子。宮崎は「この映画は残された旦那様の理想形です。良いお友達を見つけるなど、人はいつでも、何歳になっても、誰かと、何かで関わらないと生きていけないものだと、それが出来たとき、人生の「ラストターン」が上手く決まるのではないかなと思います。」と役柄を通して感じ取った作品への思いを語っています。また健二が通う水泳教室の講師・岸本香里役を圧倒的な演技力でドラマ、舞台と出演が続く女優・高月彩良が演じています。
高月は岩城との共演について、「ワイルドでパワフルな方なので、撮影現場は常に明るく、共にさせて頂いた時間は、華やかで刺激のある毎日でした。」と有意義な撮影期間だったと振り返っています。
さらに健二を色々なところに引っ張っていく、社交的な友人・橋本勉役の田山涼成をはじめ、淵上泰史、西尾まり、三浦誠己、貫地谷しほりら実力派の面々も出演し、温かな人間賛歌の日々を演じました。   定年後の新しい人生を踏み出していく。日本公開を前に世界で賞賛の声! 監督・脚本を務めた久万真路監督は、数多くの監督の下で助監督を経て、映画『うちの執事が言うことには』で長編映画監督デビュー。その後はNetflix オリジナルドラマ「火花」( 7・8 話)や、人気テレビドラマ「ワカコ酒」(TX)等を手掛けています。完全オリジナルの脚本となる本作は定年後の新しい人生を踏み出していくというテーマを描いており、久万監督は「年齢を重ね、経験値は上がっている筈なのに、新しいものについていけないからと、振り落とされてしまう。
今の高齢者達に明るい未来が見えないのであれば、後に続く我々はどうなってしまうのか。そろそろ年寄の仲間入りする身となり、何とかもがけないものだろうか。そんな気持ちでこのシナリオを書き始めました。」と自身の思いがきっかけとなったと語っています。 そんな本作は日本公開を前にオランダで開催された実写映画・アニメ・ドキュメンタリーなど映像作品を中心に様々な日本文化を紹介する祭典「カメラジャパン・フェスティバル2023」にて、いち早く上映され、上映後には現地の観客、メディアから暖かい拍手が巻き起こりました。
また映画を鑑賞した現地のメディアからは「本作はこれまでに作られた同じ焦点の日本映画とは一線を画す、非常に洗練された創造的なコンセプトに従って創られていた」と称賛の声が届いています。
人生100年時代、新時代のグランド・ジェネレーション世代に贈る、自分の姿勢一つで、今この瞬間も輝けることを思い出させてくれる、二度目の青春映画『ラストターン 福山健二71歳、二度目の青春』にご注目ください!
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unicodesign · 5 months
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十色クリスマスマルシェ
1��月2週目の日曜のことですが、今年3回目となる「十色ハウスで小さなマルシェ」クリスマス編が開催されました。
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3回目にして初めての青空の下、ろじにわがクリスマスらしい彩りに。
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スイーツ、
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パンとコーヒー、
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室内では、本やアクセサリー、ラッピング雑貨など。
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このピアス、なんとレシートからできているそう。
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ステンレスの製作キッチンも立派な陳列台に。
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ろじにわでは、お花、古着、古物など。
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毎回きてくださるご近所の方も。
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トミカに夢中になるご近所のお子さま達。
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十色ハウスにお住まいの方もマルシェを楽しんでくださったり、いろいろな交流がありました。どんな風にお住まいなのか、お宅を拝見させていただく嬉しい機会もあり、巧みな暮らし方に関心したり、良い参考になりました。
すべての住戸が南に向くようにと設計した南の窓を定位置にしているギンタくんです。
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今回も、オーナーの心意気で、賑わいを生んだクリスマスマルシェ。小さな「ろじにわ」が文字通り十色に彩られる可能性がまだ色々ありそうで楽しみです。
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naomode911 · 2 years
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中目黒にある オートクチュールカフェ☕*° ずっと行きたいな♡って 思ってたのが 念願叶って ゆみこちゃん行けた😍 何処を どうやって撮っても 映えるしかない✨ 写真にその素敵さが そのまま映るカフェ! 今のシーズンは桃🤭 桃を使ったスイーツが 中心で見た目だけじゃなくて お味も美味しかったです😋 また行きたいお店♡ @hautecouturecafe_official #カフェ #cafe #オシャレ #スイーツ #sweets #japan #東京 #tokyo #アフタヌーンティー #afternoontea #花で彩る毎日の暮らし #caffe #予約必須 #人気店 #藤の花 #映え #インスタ映え #フォトジェニック #モデル #girl #ケーキ #cake #コース料理 #フルーツ #オートクチュール #中目黒 #オートクチュールカフェ #HAUTECOUTURECAFE #HAUTECOUTURE #女子会 (Nakameguro, Meguro-ku) https://www.instagram.com/p/CfrHe9Cvg7-/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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itocaci · 8 months
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online shop "秋分" update 〜 山装う秋
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こんばんは。
昨日、半袖で家を出たのだけど、夕暮れ以降、急に肌寒くなり1枚羽織りがあったらなんて思ってしまった。
日をまたいだ頃、酔い覚ましも兼ねて散歩をすると、とても心地の良い秋の空気を感じることができた。
夏の夜と違って、秋の夜はどこか静かで、虫の音ささやかな音が気持ち良い。
コンビニで買ったホットラテを飲みながら、早速秋の夜を存分に楽しませてもらった。
さて、まずは明日からの営業予定のお知らせだ。
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【9/25(月) 〜 10/1(日) 営業予定】
9/25 (月) 13:00〜20:00
9/26 (火) 13:00〜20:00
9/27 (水) お休み
9/28 (木) 13:00〜20:00
9/29 (金) 13:00〜20:00
9/30 (土) 13:00〜20:00
10/1 (日) 13:00〜20:00
いよいよ9月も最後の週を迎える。
来週末から10月へ。
当店も7周年と言うわけだ。
秋の新作も続々と到着をし始めているので、ぜひ遊びにいらしてほしい。
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さて、昨日は秋分の日。
そんな秋分の日から、急に気温も下がり心地の良い秋の風を感じられるようになった。
そんな季節の節目。
当店のオンラインショップも更新をさせて頂いた。
今回は新作やこれまで出したことのないアイテムをメインにピックをさせて頂いているので、正直見応えもあるのかなぁなんて思っている。
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今回は、少し気が早いけど、秋の風景をイメージしてアイテムをピックしてみた。
前回の節気「白露」では秋の七草をイメージさせてもらったのだけど、ちょっとその流れを継ぎ、彩りに満ちた花や色づき始める木々をイメージして、そんな秋の世界に溶け込めるような。
そんなアイテムをメインにピックしている。
「山装う」
そんな言葉があるように、秋が深まると徐々に木々が色づき始める。
中津の公園のイチョウの木も、銀杏の実が落ち始めて、装いの準備を始めた。
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個人的に話になるのだけど、僕は秋が最も好きな季節だ。
理由は単純。
最も装いを楽しむことのできる季節だからだ。
最近は残暑も長く、気がつくと冬になっている。
秋なんてあっという間だという方も多い。
僕もそのように思う。
だからこそ、僕はそんな短い秋を存分に楽しみたいと思っているのだ。
早速今日はロンTeeを着用している。
明日は何を着ようか。
今の時期ならシャツも気持ちよさそうだ。
そして、もうしばらくするとニットやジャケットなど、楽しむアイテムの幅も広がる。
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「山装う」
そんな美しい秋の世界を装うなんて表現したこの言葉が僕は大好きだ。
だから僕も、そんな木々や秋の花々に負けないように、精一杯装いを楽しみたいと思う。
ぜひ、皆さんも秋の装いを存分に楽しんでみてはどうだろうか。
なお、オンラインショップは下記からご覧いただける。
それでは次回もお楽しみに。
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sicihi · 8 months
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景色とアロエ
Twitterの下書きにあった、多分2022年11月〜12月くらいのもの
最近思うこと、忘れたくないものごと
・紅葉は色付いた葉が枝についているとグラデーションぽくてきれい
・西陽を透かして光る葉は欲しくなるのに手に入らない
・葉が落ちた地面は点描画のような複雑な色の絨毯みたいでうれしい
・沢山の葉が落ちて黒っぽい枝が多くなって彩度が低い木はかっこいい
・落ちた葉が川面にまばらに浮いているのは楽しい
・落ち葉をもっと豪快に踏み締めて歩きたいのにな
・通勤路にあるアロエらしき植物に元気のよい形の蕾みたいなものがついていて、これからの展開が気になりすぎる(開くのか?もっと色付くのか?中から何かが生じるのか?)
・トチノキのおおきな葉っぱが側溝に垂直に刺さっていて嬉しかった、もっと沢山さしたい
・この季節の朝夕は彩度が低いことが多いのでその中にある派手色の山茶花にすぐ目を奪われる
・アベリアって花期が驚くほど長い!もう寒いのにまだ香る
・今日空をみたら肋骨みたいな雲があった
追記
アロエは実際花だった。年明け頃が盛りで、円錐状に下の方が大きく広がり上の方は小さいのがぎゅっと上を向いてついているのが、下からじわじわ色付き、咲いて、さっさと枯れてゆく。先端の丸く尖った形といい密集ぐあいといい、バナナを思い出す。開花した時にくるりんと外ハネになるのがおしゃれだ。
ここのアロエは花を毎日見ていたら好きになって、梅雨時期も葉に器用に沢山水滴をのせていたのを写真に撮ったりしていたが、夏頃にばっさり切られていた。結構ショックだったけれど、狭い歩道にかなり繰り出していたので仕方なかったのかもしれない。それでもこの夏の間にずいぶん伸びていたけれど、来季も花はつけられるのかな。
今の日々の行動範囲ではかなり多くのアロエを見るが、どれも分厚い葉肉を縦横無尽に伸ばしていて、植物なのにとても動的に見える。わさわさぞりぞり足(葉)を回転しながら移動しそう、きっといつかする。
あまりにもわさわさのアロエがそこかしこにあるので毎日沢山見るうち、人はいつアロエを家に植えるのか、という問いが浮かんだ。いつか私もアロエと暮らすのか。もう既に、ほんの少しアロエがほしい気持ちになっている。
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blue-belta · 11 months
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毎週日曜日は先週の大きなひとこま絵日記です。
1週間を1ページにコツコツ描いていくスタイルで、2021年1月から始めて127週目になりました。
#コメダ珈琲 で #かき氷 。
マンゴーとジャスミンティー。
友人と半分こ。
#ステテコ 買いました。
昨年試しに1本買ったら、これがもう涼しくて。今年も1本追加です。
#アマリロゴールド 、だと思う。
近所で咲いていたお花。
かわいい形の #イギリスパン 。
マッシュルームみたい。
#ミレージャギャラリー さんのエントランスを飾っている枝。
そそられます。
展示会が始まった週。
10年(以上?)ぶりで、ドキドキしながらの参加でした。
たくさんの方が来てくださって本当に感謝です。
昨日はみんなでパーティ。
差し入れの #笹かま #塩パン屋 のパン、どれもおいしかった♪
色鉛筆の展示会の最中なので、色鉛筆で日記を描きたかったのですが、仕事もあり、ちょっと時間が取れなくて今回も水彩で。
#art #drawing #pensketch #watercolor #sketchjournal #絵日記 #スケッチジャーナル #ペンスケッチ #水彩 #透明水彩 #1日1絵 #イラストグラム #今日何描いた #今日何描こう #絵を描く暮らし #マルマンスケッチブック
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johncoffeepodcast · 1 year
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ティエリの結婚
 晴れた日に洗濯物を自転車のカゴに入れて、公営の洗濯場に行った事がある。その日、その青年は家で洗濯物を干す時間が勿体ないと感じた。だから洗いざらしになった洗濯物を隣の家のご婦人に預けに行ったのだった。この青年の場合は一枚一枚手で、丁寧に洗って物干し竿に干していると、日が暮れてしまう。太陽が山の向こうに沈み込むまで、昼のうちは一生懸命働いているので、3度の炊事に加えて自分の洗濯物を洗うとそれ以外の事には手を付けられなくなってしまうのだった。だから膝をついて土埃を含んだズボンが去年の冬に編んだカゴの中に随時3本は溜まっている。この青年の日常は馬の世話で忙しく、陽が高いうちは厩戸にこもりきりなので、夕方、隣と軒を連ねる長家に帰ると、あとは眠るだけだった。1週間ぶりの休日に洗濯場で汚れた衣類を洗うと、掌出来たきり一向に治る気配のない切り傷の存在に気づくのだ。この青年の家で大量の洗濯物を干すには、ベランダの物干し竿が短すぎるし、長さも足りない。全て洋服をかけるには、隣人の家に持ち込む他に方法がなかった。それに、この青年が隣の家に洗濯物を預けに行く本当の理由は、単に2階のベランダが狭すぎるというだけでは無い。隣に住む、美しい娘に会えるからだった。この青年は自分の洋服を洗う。という行為に幸福を感じているし、労働後に疲労感を携えて家を清潔に保っておくのも好きだった。この一見素晴らしい青年の肌は浅黒く。この地域では珍しい彫りの深い顔をしている。青年は、都市で起きた弾圧を受けて片田舎にやってきていた。
 情勢は常に不安定だった。この土地には古典派と新鋭派の教会があって、それまで優勢だった古典的の教会は、武力を使って新しく出来た新鋭派の繁栄を抑えようとしはじめていた。戦火が日に日に増してきて、命の危険を感じた新鋭派の人々は、都市から離れ、田舎に租界をする様になった。このティエリという青年は、元々都市で馬を育ていて、父親は馬の鞍を作ったり、荷役の馬を移動手段として誰かの手に引き渡す仕事をしていた。大都市では新鋭派の人々は迫害され、新たに流れついた土地では元々暮らしていた人々と新たに流入してきた人々の間では新しく軋轢が生まれた。流入者は酒場の暗がりに連れ込まれると、秘密裏に粛清が下される事もあった。この青年が流れついた先でも、先例に違わず新たに流入してきた人は差別的な略称で呼ばれる様になった。流浪の民は様々な呼び名で呼ばれ、通常最も多い呼び名だとボニシェリだとか、ケラントマなどという俗称で呼ばれた。しかし、その様な流浪の民も、田舎がまだそれほど強く教化されていない事に気が付くと、融和を求める先住民族に対して、自分達の誤解を晴らす為に元々住んでいた場所の料理を振る舞った。新鋭派の言い分は、水辺で採れた鴨肉のローストや、戸棚にずっと置いてあったワインと共に、人々の体の中に流し込まれた。都市から離れた田舎では、新鋭派と古典派の間で徐々に融和が進んだ。新たに流入してきた人々は、経済的に貧しく依然として蔑まれていた存在だったのだが、辺鄙な土地に行けば行くほど徐々に土地は平和になっていった。それからと言うものの、融和が進んだ田舎の人々は、実権を握る教会に対抗する様に首領都市に伝道師を送り込む様になった。それでも新たな土地に受け入れられなかった人々は、流れついた土地の外で森を切り開いて新たに文明を作って暮らした。ティエリという青年は、都市で家族を失い、一度叔母さんのいる地方都市へ預けられた後、最近16歳になった。この青年は最近、酒場で人々を家まで送っていく馬の世話をする仕事を見つけたのだ。
 隣のアパートに暮らす美しい少女の名は、ウディーネといった。彼女はまだ学生だった。この時、中等教育を受けられる16歳ぐらいの少女は限られた家に産まれるか、とても裕福な家業を起こしている者だけだった。それも大地主か、医者の娘か、鉄道を建設する会社に勤めている人に限られた。畑を耕す傍らで小売や製粉業を営んでいる零細農夫たちは、教育を受ける機会を得られない。この地方にはガラスの天井のような物が存在した。その狭き門を通り抜けたウディーネは、あと一年で中等教育を納めようとしている。ウーディーネはとても優秀で有名だった。ウディーネの父親は坑夫で、母親はワインの製造に携わる家庭の娘だ。ウディーネは庭の手入れや家の手伝いの合間で机に向かい、初頭教育を受けた時、学力テストで全県で一番になった。それからは地域の人々からも初の女性医師になるのでは無いかとロレーヌ県全体から噂される事になったのだ。普通ウディーネぐらいの歳の少女は、初頭教育の学校を卒業すると、地元のブドウ畑に送られて、寒空の下枯れた蔓を素手で折り、収穫して干され、萎んだ���萄を荒れ果てた桶の中で詰まなくてはならなかった。それからぶどうは、踏んで果汁を搾り取らなくてはならない。なので葡萄畑で働く少女達はスカートの裾から染めあげられて真紅色の素足になってしまう事が多��なってしまうのだ。だから娘達は、自然と編み上げのロングブーツを履いている事が多くなった。この地方の人々は一年を通じて生きる為にワインを作らなければならない。それはロレーヌ県では当たり前で、同級生が畑で働いている間、学校に通えているウディーネはみんなが憧れる存在だった。実際、ウーディーネが暮らす家も、この青年と居を隣合わす貧しい長屋だ。しかしそんなウディーネが何故、労働者階級に生まれついたのに中等学校に通えていたのかと言うと、ウディーネは去年、初等教育学校を卒業する間際に母の働くブドウ畑で、葡萄を潰してワインに瓶詰めにする最適な方法を見つけ出していたからだった。ウディーネは自分が発見した方法を、大人に臆する事なく畑で働いている全員に教唆した。ウーディーネはその功績を県の農務局から認められ、助成金で学校に通う事が出来ていたのだ。
 ロレーヌ県はフランスとドイツの間にある山岳地帯だった。山に沿って傾斜のある丘陵は、陽がかげると寒く、氷柱が垂れ下がる程街中が冷え込み、山陰から太陽が高く昇る12時ぐらいになればやっと暖かい日差しが街の上に降り注ぐ。それは荒涼とした空気の中、葡萄の幹を冷たく霜がつく程に厳しい風が撫で下ろした。岡から見下ろすロレーヌの街は、緑やオレンジ色で彩られていた。家屋の屋根は主に淡いオレンジ色の煉瓦で出来ていて、灰色の石畳で出来た道路と調和して、うまい具合に植え込みの草花と混じり合っている。2人が隣り合わせに暮らす長家は、農耕地の多い街の端っこにあった。その辺りは扇状地になっていて、ティエリが働く酒場や、ウディーネが通う学校は、街の中心部にあった。中心部の商工会議所の前には馬車が泊まる停泊所があって、その隣にウディーネの通う中等学校が建っている。学校の近くには、税務署や警察署、酒場や市場、それに市役所などが全て同じ一角に集っていた。ロレーヌの街は古典的な教会を中心に広がりを見せ、人々が各々得意な事業を営む事で何とか豊かさを育む事が出来ている。ティエリが来る前のロレーヌは、農業が中心の山岳地帯だった。この土地は新しい人々の流入によって最近産業が盛んになってきたのだ。新しく流入して来た人が来る前は、畑から採った作物を自分たちでロバを操って運び、移動手段として誰かが馬を携えて馬車を引かなくてはならなかった。しかし新たに流入者が来た事で、大規模な商業者達は大量に彼らの様な金銭を得る機会を得たい人々をすぐさま雇い入れた。代替的な産業の効率化はどんどん進んだ。新しく来た人々はそのような事情を加味する事なく、日々をこなし、地主や鉄道の経営者はその利潤を自分や社会の為に使った。新しく来た人々はそんな事よりも、飯を買う為のお金を懐に入れなければならなかったし、新しく生活を初める初期設備を揃えなればならなかった。そのような事が繰り返されて、街は徐々に栄えていった。ティエリの酒場が開くのは午後5時だ。ティエリは畑の側の厩戸から、数頭の馬を率いると、自分の馬を酒場に向かって走らせた。この青年の馬は毛並みに艶があって品が良く、筋肉が力強く張り詰めている。馬の蹄鉄が石畳を踏み締めると、長い立髪が風の様に頭上で靡くように震えている。この青年は毎日、酒場への道の途中にウディーネの学校に寄った。門の外でウディーネの帰りを待つ青年は、中等学校が終わったウディーネを見つけると、青年は手を振った。『ウディーネ。』青年は門の外から呼びかけら様にして言った。ウディーネは革の鞄を前後に揺らしながら、校門の外にいる一頭の馬に近づいてくる。ウディーネは、青年から馬の手綱を預かった。『今から酒場へ行くの?』とウディーネは青年に尋ねた。青年は頷いた。『今日はいつもより多くチップを貰えると良いわね。次に会えるのはいつ?明日?』『明日もこの時間なら会えるかな。』と青年は半ばそっけない感じに言った。『じゃあ今度うちに来た時には私の家族と一緒に食事でもとりましょう。良いわね?私が聞いたのは、洗濯物が溜まって、家に尋ねに来てくれた時。いつもの様にそそっかしく帰らないで。』ウディーネはティエリに言った。ウディーネは、ティエリが何か見当違いをしていると勘ぐった。ティエリは2本の手綱を持って、馬の鼓動を確かめる様に下腹に手を当てている。馬の鼻から息を吐かれると、ウディーネも黒い目の馬の胴体をさすった。それからウディーネは、編み込んだ長髪を揺らしながら、黒い馬の背中によじ登る様にして跨った。ウディーネはスカートをたくし上げ、鎧の鞍に足を掛けると、脚の内側で馬の胴体を締め上げる。馬は息を吐きながら唇を震わせて、ゆっくりと前に歩き出した。ウディーネは編み上げのブーツを馬の尻に当て、その合図で馬が走り出すと、馬は土埃を跳ねあげて石畳を走り出した。街の人々は、そんなウディーネの姿を見かけると男勝りな変わり者。だとか、学校に通い勉学に励む変人。など様々な噂話を街角で繰り広げたりしたが、ウディーネ当人はその様な風評を全く気に留めていない様だった。
 ティエリは厩戸から2頭の馬を率いて、馬を酒場の外にある停泊場に繋いだ。停泊場にはウエスで黒い塗料がかけられており、過敏な馬にとってはそれがどの様に作用するのか気掛かりだった。ティエリは酒場の両側に開く跳ね扉を開けると、すぐに酒場の主人が配達されて置いてある酒瓶のケースを貯蔵庫へ運ぶように言いつけた。ティエリは夕方の5時から夜の11時まで働いている。現在は週に5日、酒場に届けられた物を食物庫に運び入れ、数時間後に酔っ払いが帰路に着くため丸テーブルの椅子から立ちあがりだしたら、馬車を運転して送り届ける運転手として主人の酒場で働いている。酒場の主人はティエリが亡命してきたときにロレーヌの地で最初に出会った人物だった。まだこの街に来たばかりのティエリが、まだ何処へも行く当てが無く、3週間ぐらい続けて寝床の酒場のカートンケースに隠れて路肩でうずくまって北風を凌いでいると、主人が鍵をベルトから下げてティエリの元へやってきた。主人は店を開ける素振りを見せると、カートンケースの横で蹲るティエリの様子を眺めた。店主は店の中から戻ってくると、片手に鍋から掬い上げられた牛のスープを持っていた。ティエリはそれが実に2日ぶりの食事だった。『美味いか?』と主人は聞いた。そのスープが再び立ち上がる気力を繋いだのだった。『明日からもっと良いものが食べれるぞ。』と主人は煤だらけで寝そべるティエリに言った。『その為には、ここで働く事だ。』その瞬間の青年の目の輝きを店主は決して忘れたりはしない。スープを貰った次の日、その青年は何処かから3匹の馬を連れて店主の酒場にやってきた。店主は馬を持っている青年の姿に驚きを隠せない様だった。携えていた3匹の馬は、都市の戦果を切り抜けて青年共々傷だらけ。青年は酒場の主人に黒毛の馬と茶色い馬、茶色と黒の混血の馬の存在を告げた。馬はブルブルと頭を前後に震わせて、汗で濡れた立て髪から湯気を上げている。酒場の主人は傷だらけだが、この様に立派な馬を見るのは初めてだと目を丸くして呆気にとられた。それから流浪の民の青年は、『この馬と共に、私に何かできる事はありませんか?』と主人に対して請願をしたのだった。
 元々この青年は、都市で馬の鞍を作っていた。青年は、争いが激化すると自分が世話をする馬の中から最大限の無理をして8頭のうちの3頭だけを引き連れて都市から逃げてきていた。それからは酒場の前で寝ていた時も、長屋に落ち着いてからも、毎晩、夢の中で残こして来てた馬の事を考える様になった。酒場を営む主人は青年に話しかけてくれた命の恩人というだけでなく、親切な事に、ティエリの住居が決まるまで身の廻りの世話を焼いてくれた人物だった。ティエリが店を手伝出してからは、次の住居をどうするのかよく店主に相談をしていた。青年が働きだしてからしばらくたったある晩。酒場の主人の親友、ウディーネの父が酒場に南で取れた椰子酒を飲みに来た。その時、主人は青年が馬車に乗っている間、ウディーネの父親に流れ者を匿っている事を相談したのだ。ウディーネの父親は周囲を見回して、自分は違う事を考えていると言う振りをした。ウディーネの父親は、椰子酒をもう一杯飲み干した時、口が緩んだのか自分の住む長屋の隣が空いている。という話を酒場の主人に報告した。酒場の主人は、すぐさまティエリにウディーネの父親を紹介した。食料の貯蔵庫から出て来たティエリは、住める家があるかもしれない。と言う事を主人に伝えられると『屋根があるなら何処でも良いです。本当にありがたいです。』と食い気味に言った。その時、ウディーネの父親は眼を丸くして、青年の事をつま先から舐める様に見渡した。ウディーネの父親も酒場の主人と同じく、3頭の馬を携える褐色の肌の青年を初めてだった。『有り難いです。』とティエリはもう一度念を押すように言った。ウディーネの父親もティエリが食い気味に来るので、若干圧倒された様だったが、戦乱を免れてきた深刻な事態を飲み込み、快い返事で承諾をした。その様な流れで青年はウディーネの住む長屋の隣に引越して来たのだ。だから青年は酒場の主人に温情を感じている。青年は毎日、届いた酒を酒場の貯蔵庫に持って行く際、自分が此処に寝泊まりしていた時から感じていた先行きの見えない不安について思案した。酒場に客が入り始めてからは、店の外に立って酔っ払っいが出てくるまで辛抱強く吹き下ろされる北風の寒さに耐え忍ばなければならなかった。青年は最初の給料を馬にかけるキルティングの衣装と、ブランケットに変えた。それからは馬も、馬車の後ろに乗せた酔っ払いの臭気を一見気にしていない素振りを見せた。馬も青年も、今出来る唯一の事は馬の健康を守る事と、スープを恵んでくれた恩人の施しに報いたいと言う事だった。青年は送り届ける街の人々の家を覚えた頃、この土地にすっかりと溶け込み始めた。
 酒場にはティエリと店主以外にもう一人ティエリによく話かけてくれる人が居た。それは眼鏡をかけたシンディという女だった。酒場に来る役人はすぐに分かった。特に若い役人は綺麗な衣類を身につけていて、ウェイトレスの娘をからかうからだ。しかし彼女はウディーネと同様にそんな事など気にしない。ロレーヌの男達は、大概そういうものだし、シンディというウェイトレスの女は客が全員帰った後、店のカウンターの片付けをしながら、その場でエプロンの前ポケットに挟んだ自分の取り分のチップを数えるのが日課だった。『自分の強さを誇張する為に、誰かを貶めなければ役人の試験には受からないのよ。』とシンディは言った。シンディは度々手をタオルで拭いては、冗談を交えては、樽につけられた皿洗いながら、その時居合わせた従業員と共に笑っていた。ティエリはシンディの事を尊敬している。シンディの様な芯の通った女性が何故ロレーヌには産まれるのだろうと青年は考えた。酒場のテーブルに椅子をひっくり返しながらその胸の内をシンディに打ち明けた所、シンディは『知らないわよ。』と言った。シンディは『そんな事をいちいち気にしていると、人生が悲観的になるわよ。』とティエリに言った。シンディは誰からも頼られる人物だった。実は昨日、ティエリが酒場の看板を閉まっている時にシンディに『実はウディーネは、中等学校に通っている。』と勇気を振り絞って告げてみた。するとシンディは、その時もウディーネに対して卑屈な意見を述べなかった。代わりに『良いんじゃない。』と言って、シンディはエプロンの腰紐をキツく結んだ。シャツの袖を仕事で出来た力瘤がせっせと食器を運び、戸棚の中に仕舞われている。シンディは今、炊事場で水道から冷水を客がミートローフを食べ終えた鍋に当てている。泡立てた束子で皿を洗いながら、シンディはティエリに聞いた。『あなたはそのウディーネという人の事をどう思ってるの?』『どうもこうも。』と青年は答えた。『私に何か言って欲しいんでしょ?』ティエリは一瞬、返事をするのを躊躇った。『それがこの先、きっと結果いい結果をもたらすかも知れない、とかきっと貴方は考えているのよ。』『そうだ。』『だからもう、その子の事が気になっているんでしょ?あなたは違うって言いたいのかも知れないけど、何故か貴方の耳が赤くなっているのが顔を見れば分かるわよ。』揶揄われた事で恥ずかしくなったティエリは、いそいそとシンディのいる台所に入り、わざとらしく脅かした。皿を洗う事に夢中になってワッと驚いた。シンディはティエリに対して『馬鹿ね。』と嘲るように言った。
 月曜は朝から馬の世話をした後、畑で育てた作物を酒場に届けた。その日は朝からから馬具を取り付けて、鎧の位置を調節してそれぞれ合った馬具をあつらえたりした。3頭の馬はどれも肉の付き方が三様に異なる。黒い馬と茶色い馬と、混血の馬には其々にトラウマがあり、馬車に乗客を乗せて、ゆっくり馬車を引いていく事に慣れるまでには随��と時間がかかった。それから3頭の馬には、鞍とあぶみが背中からずれない位置に設置した。青年は普段から馬にストレスをかけないような世話をする事にしたのだ。昼にウディーネの住むアパートに出向いて、昨日貸した馬はどうだったのか乗り心地を尋ねたところ、『跨って、走っても大人しくて静かな馬ね。』と馬達の歩行を褒めた。今日のウディーネは、まるで何処かに行くのかとでも言う様に、着飾っていた。赤いチェックのスカートに緑のブラウスと、ブロンズの長い髪が澄んだ青い目を際立たせている。青い目はティエリと馬を見つめた。『今日は学校は?』と青年が尋ねると、『今日は休み。』と言った。ウディーネは今から何処か行かない?と言いたげな感じだった。それはまるで予期されていた事の様に、玄関のすぐ外では茶色い馬と、昨日ウディーネが乗ってきた黒い馬が立っている。ウディーネはティエリが厩舎から乗ってきた茶色い馬の様子を眺めた後、『疲れてそうだから休ませてあげたら?』と馬の様子を観察して述べた後、青年の返事を待った。青年はウディーネの背後に見える家の廊下の若草色の壁紙や、雉の絵柄が書かれている鍵置きのテーブルを眺めている様だった。『これ?気になるの?』ウディーネは鍵置きのテーブルの上に載ったブリキの剥製を指し示す。ティエリは、そうだ、何処か出かけようか、と機転を気掛けせて言いかけたが、ウディーネはティエリがインテリアに眼をとられている事を察すると、紅潮した表情を浮かべて家の中に入る様に誘った。ティエリは玄関の外でブーツを叩いて土埃を落とし、二階へ登る階段を上がった。狭いウディーネの部屋には、絨毯の上に読みかけの本が置かれていた。ウディーネは何処でも自由に座る様に言った。ティエリはこの日、初めてウディーネの家に呼ばれることになった。
 ウディーネの部屋は落ち着いた黄色い壁にクリーム色のカーテンが掛かっている。ウディーネは何処から出してきた小さな折り畳みのテーブルを絨毯の真ん中に広げた。テーブルを広げる前には、市場で売られている花柄のクロスが物を隠す様にかけられていた。ティエリは絨毯の上に座ったはいいものの、何処かそわそわと落ち着かない感じだった。ウディーネの部屋の辺りの見て、馬を操っている時とは対照的な様子だ。ティエリが絨毯の上座っていると、ウディーネが茶器から紅茶を注いで、スプーンでかけ混ぜながらティーカップを目の前に運んだ。『黒い馬は突然跳ねたりしなかった?』とティエリはウディーネに尋ねた。『全然。とても大人しかったわ。』ウディーネはティーカップの紅茶を一口飲むと、『私には懐いているのね。』と言った。『夜、馬車を引いていた時には結構焦っている感じだったんだ。』『本当?』『うん。だから帰り道に何かあったのかと思った。』ウディーネは首を左右に振った。『全然。そんな事無かったわ。』『ならいいけど。』しばらくしてウディーネは尋ねた。『黒い馬は、突然跳ねたりするの?』『いや通常ではそんな事は無いんだけど、たまに厩戸から連れて、貸したりするときに落ち着きが無くなって帰ってくる事があったたんだ。』とティエリは言った。それからティエリはロレーヌに来る前の事を話した。それから話を変えて、馬車を引く時に縛られたロープが体を強く締め付けるんだけど、その時馬が、瓦礫の中で、厩舎を抜け出してきた時の事を考えているような気がする。とウディーネに告げた。ウディーネは『何故、馬は厩舎を抜け出してきたの?』とティエリに尋ねた。『何故?』その理由をティエリがウディーネに告げかけたその時、ずっと前から居たように、工事現場から帰ってきたウディーネの父がウディーネの部屋の戸口に立っていた。ティエリが入って来た時から、ウディーネの部屋のドアは開け放たれていたのだった。『何だティエリ、来てたのか。』昼食を取りに帰ってきたウディーネの父親は自分の部屋に戻る途中で青年に向かって言った。ティエリは、ウディーネの部屋の絨毯から立ち上がり、頭に載せた茶色いフェルトの帽子を取った。それからティエリは、ウディーネの父に向き直って言った。『昨日はどうも。』『昨日の御者は君だったっけ?』ウディーネの父親は言った。『飲みすぎるのも程々にしないとな。外にいるのは君の馬かい?』『ええ。昨日引いていたのと同じ馬です。茶色い馬がユージーン。黒い馬がハビットと言います。』『馬に名前を付けているのか。』『ええ。』『そうか。それで、さっき、洗濯物が乾くからもうそろそろ取りに来いと、私の妻が言っていたぞ。頃合いを見て、ベランダに取りに行くといい。』『そうします。』と青年は言った。『外の馬も長い時間、貴方の家の灌木に繋いでいるのは悪いですから。』突然、ウディーネは、座りながらティエリと父親を交互に行き来するように仰ぎ見た。ティエリはウディーネに何?と表情で訴えかける素振りを見せた。するとウディーネはもう一度、2人の様子を見比べた。ウディーネの父親はウディーネを不思議そうに見つめた。ウディーネは父親が単に事実を述べただけの事である事を悟ると、『ティエリもお昼はまだよね?』と言った。それから、『折角ならお父様と一緒に食べて行ったら?』と付け加えた。父親はけったいそうに客間の入り口の木枠に肩肘を付いているが、特段、嫌な素ぶりを見せる事は無かった。それからウディーネの父親は申し出に悩む間もなく返答をした。『そうだな。ウディーネ。母さんを呼んでこい。ティエリの洗濯物を持って来て、ランドリーバックに入れて下の階に降りてきなさい。ウディーネ。ワインセラーの隣に���ムの塩漬けが置いてあるから。戸棚から出して君が好きな様に皿に盛り付けると良い。』とウディーネの父親は言った。父親は一度ゆっくり話してみたいと思ってたんだよ。と言わんばかりにティエリの肩を揉んだ。ウディーネの父親はダイニングの椅子をティエリの為に引いて昼食に招いた。ティエリはウディーネの家族と和やかな昼食に同席する。食卓には質素だが、高タンパクの食事がティエリの皿の上にも並んでいた。『いっぱい食べろよ。』とナイフとフォークを持ったウディーネの父親はティエリに言った。『豆は良いから、肉を食え。』その席では塩漬けの肉は特別な時の為に取っておく物だとウディーネの父親から聞かされた。終いには、ウディーネの父親はその肉を、自分の皿からティエリの皿へ移した。ティエリはその時、ロレーヌ地方の男は父親から娘と同席してランチを摂る時、誰もがその様にされて来たのだと悟ったのだった。
 食事の席では、馬を操れるなら、工事現場によって1週間も働けば五ペンスにはなるぞ。とウディーネの父親に言われた。食事を終えてティエリを玄関へ見送りに来たウディーネの父は、ブーツを履いているティエリに忍び寄ると、『また来るといい。』と大袈裟にティエリに言った。ティエリは振り返ってウディーネの父親に『また来ます。』と精悍に言った。それからティエリは羊の毛で出来たコートを羽織ると、フェルトの帽子を被り直して黒毛の馬に跨った。内股であぶみに足をかける姿を見たウディーネは、父親の目線に気がついた。ウディーネは馬に跨るティエリから視線を外すと、ティエリが馬に走る様に合図を出すまで、馬の蹄を眺めていた。ガス燈が灯る街は静かで、夕闇が街を染めようとしている。ウディーネの父親は、日中は鶴嘴を握り、指の皮が厚くなった手の平をウディーネの肩に置き、『ティエリ、気をつけて帰るんだぞ。』と言い放った。ウディーネはティエリが馬に跨り、走り出すのを見守っている。母親も加わって、ウディーネの親子はティエリが走り出すのを見守っていた。母親は静けさに摘まれたような様子だった。馬に乗れる若者はみんなこの地域からは離れてしまった。都市で起きている戦争にこの地域の若者はすべて駆り出されてしまっている。戦争は長引いて、思想の中枢を司る都市では古典派の攻撃を受けて、もう壊れる物は壊し尽くしたという壊滅的な状況に落ち着いている事いう事をウディーネの母親は最近父親と話して知った。更に最近、主要都市では衝突が新たな動きを見せ始めた。古典派の人々と新鋭派の人々が自分たちがどちらの派閥に属しているのかを見かけで区別しようと思い始めたのだった。都市の人々は自らがどちらに属するのか知らしめる様になった都市では最近、外出時に古典派の人々が自発的に白い包帯を腕に巻くようになった。その慣習は、もうロレーヌの目と鼻の先の都市まで辿り着いているそうだ。隣町から酒を飲みにやって来た男から、その話を聞いたロレーヌの古典派の枢機卿は、その前触れを大いに心配していた。ロレーヌに暮らす古典派の人々や新鋭派の人々にとっても、それは争いが始まる前兆なのではないかと日に日に噂が広がっていった。
 ある日、酒場から住処に帰ったティエリは、街の中央部に警報が上がっているのを聞き付けた。ウディーネは翌日、学校に行く事になっていたのだが、今は中心街に行くのは危険だという父親の言いつけが下された。だからこの日、ウディーネは朝、ティエリの家を訪れると、2人で自転車を漕いでティエリの厩戸に来ていた。ウディーネが肩から斜めに下げている狩猟用のバックは、頑丈な革製で、ティエリが馬具を加工する技術を応用して仕立てた物だった。厩戸では干し草を馬の周りに敷き詰めてあり、水道から水を汲んだ陶器がすぐそばに置いてある。その陶器の水は茶色く、何回かブラシをボウルにつけては、ブラシを陶器に戻して馬の毛を綺麗に解かしていた。解かされた毛並みは太陽に当たると輝いていた。ウディーネは、ティエリが馬を磨く様子を観察しながら、茶毛馬が気持ちよさそうに目を細めていくの様子に心を奪われた。その時ウディーネの頭の中にあったのは、その気持ちよさそうな馬の表情に反して、ティエリが昼食の前に語った馬達が過去に都市を逃れてきた出来事だった。黒毛の馬は茶色い毛の馬の横で、脚を折り畳み積み上げられた干し草の上に座っている。黒い馬はまつ毛が長く、時々瞳を瞬かせては、厩戸の奥を見つめている。いま黒い馬の見つめているのは、厩戸に掛けられている振り子の時計だった。ウディーネは次第に、脚を折りたたんで干し草に寝そべっている黒い馬から目が離せなくなった。意思のある強い眼差しが瞬くたびに、潤みを帯びた眼差しが交互に織り交ぜられる。ウディーネは馬を見つめながら、その側に佇むティエリを見た。『どうした?』ティエリはブラシで馬の体を解かしながら言った。『都市で暮らしていた時に、結婚していた人はいる?』『まだ結婚はしてないよ。』ティエリは笑いながら言った。『じゃあ、あなたの家族で結婚した人はいる?』『いるとも。兄は都市で幼馴染と結婚して、今はこの国の何処かで暮らしているよ。』ウディーネは木箱に座って長い脚をぶらつかせている。黒い馬はウディーネを見ているようだった。『この街に来る前は、もっと馬を飼っていたんでしょ?』『そうだよ。全部で30頭ぐらいいた。』『それ以外の馬はどうなったの?』『戦争が酷くなる前に逃した。』ウディーネは今度は黒い馬に視線を移した。『父親が5頭馬を乗って行き、兄が4頭持って行った。それ以外は全て僕が都市の何処かへ行ってくれと願いながら厩舎にロープで繋がれた留め具を切った。』『その後逃げた馬はどうなったの?』『そうだな。』ティエリは少し黙り込んだ後に言った。『知らない。それ以来僕の馬以外には会えてないから。』『この3頭は幸せそう?』『争いから逃れてからは、段々幸せに近づいていると思う。』『仕事は大変?』『馬はよく頑張ってくれているよ。』『貴方は幸せ?』『本来はもっと馬を早く走らせたい。今は人の役に立つ事だけしかやらせてあげないし、多分この子達は息苦しさを感じているだろうね。』黒い馬は干し草の上に寝そべって白い息を吐いている。磨き上げられた筋張った脚は、綺麗に折り畳まれたままだ。厩戸の天井の隙間から迷い込んできた木漏れみが、馬の艶のある毛並みを照らし出している。馬は立ち上がって、少し辺りを歩くと、厩戸の干し草をはみ始めた。
 その後ウディーネとティエリは、一日中厩戸の中で今後の自分達の事を話した。夕方、ティエリが酒場へ働きに行く時間になると、自分達の結婚の話になって、ウディーネはティエリに『もし、君の父親が了承してくれたのなら、僕たちは結婚しよう。』と言った。ウディーネは勿論承諾した。そして厩戸の中で勢いよくティエリの胸元に抱きついた。しがみつくように抱きついたウディーネは、ティエリの汗や、干し草にまみれたオーバーシャツの汚れなど気にしていないようだった。ティエリは捲られた綿のシャツから腕をウディーネの腰に回した。汚れた自分の身体から少しだけ距離を作るとウディーネは『結婚しましょう。』とティエリに確認する様に言った。ティエリは誰かに請願する様に天を仰ぎ見ると、そのままウディーネの瞳を覗いて頷いた。『さっきの警報は何なんだろう。君は、街で何があったのか知っているの?』ウディーネはロレーヌの近くの街で何があったのか知っていたのだが、彼女は首を横に振った。警報が鳴った理由は、今朝、朝食の時に母親から聞かされた。それは中央都市の武装勢力がロレーヌの���にも流れ着くかもしれないという事だった。その時、ロレーヌの古典派の教会は、ロレーヌに安住する新鋭派の伝統師にも呼び掛けて、人々は動員して無駄な武力衝突を避けようとしたのだった。枢機卿の呼びかけに賛同した古典派と新鋭派のロレーヌに住む民衆は、共に協力をして、ロレーヌへわたる為の大河へかかる吊り橋を切り落としたのだった。ウディーネの父親は、酒場の店主と信者と共に、その戦乱を遅らせる行動に加わった。それが、父親がウディーネに学校に行くなと告げた1番の理由だった。今は一旦は都市からやって来た新鋭派の武装勢力が、これ以上ロレーヌの街に侵攻する事が出来ない様になっている。しかし、3日もすれば遠征をして裏の山を伝って数百人の兵士達がやって来てしまう事など誰に相談せずとも図り知れてしまう事だと分かっていた。ウディーネは、ティエリに『行かないで。』と言った。今度は、ティエリが腰に回した手を、自分の目の前に持ってきてウディーネは、土まみれの青年の手を握りしめた。この時、ティエリはウディーネの手を突き放したりはしなかった。しかし、ティエリは言った。『僕は酒場を見に行くよ。』ウディーネの目には、眼に一杯の涙が溜まっていた。街ではその暴動の時に続いて、2度目の警報のベルが鳴った。『絶対に帰って来てね。』とウディーネは言い放った。ティエリは帽子を目深に被り、黒い馬に乗って、酒場のある中心街へ民衆が働く葡萄畑の中を颯爽と駆け抜けて行った。
 中心街へ着いた時、まず立ち寄ったのは酒場だった。店主はティエリに中に入る様に言った。決起集会が市役所にある中央広場で催されていたのだ。『お前はここに居なさい。』酒場の店主は息を潜めてそう言った。『どうしてこんな時に来たんだ。』『警報が鳴って、胸騒ぎがしたんです。』とティエリは言った。『迂闊に外に出てはダメだよ。』酒場に居たシンディーの腕には白い紐が巻かれていた。それはシンディーが古典派である事を示すサインだった。『これからどうするんだ。』主人の問いかけにティエリが言い淀んだのは、脳裏に燃え盛る都市の残像がよぎったからだった。そしてティエリは言った。『僕はウディーネと暮らす事になるでしょう。』『何?』『結婚するんです。ウディーネにプロポーズをしてきました。』『本当か?』酒場の店主は尋ねた。ティエリは転々として来たが、この青年が本当に心を通わす事が出来たのは、ウディーネただ1人だった。ウディーネは、厩戸の中で自分の家族が古典派であるという事も聞かされていた。だが、それでもティエリはウディーネの事を愛している。ウディーネもその気持ちは一緒だった。シンディーは眼鏡の曇りをナプキンで拭きとりながらティエリに感心を注いでいた。『それでウディーネからは?』シンディーは聞いた。『何て返事をされたんだ?』と酒場の主人も聞いた。『ウディーネは了承してくれました。三月に葡萄畑で結婚式を挙げる予定です。』『じゃあ君も婚約するまでに改宗するんだね。』ティエリは一度、言い淀んで頷いた。茶色い毛の馬と真鱈模様馬は白い息を吐き、蹄鉄が石畳の上をを強く踏みしめている。馬が繋がれた停泊場の馬車は出払っていた。帷から見切れる人々は急いで家に帰っているようだった。店の中はがらんとしている。酒場には店主とシンディー以外は誰も居なかった。布で拭いた眼鏡を掛け直したシンディーは、泣いている。2度目の警報が鳴った理由は、中央広場で、元々ロレーヌの街で暮らしていた新鋭派の男が古典派の人間をナイフで刺し殺してしまったからだった。シンディは、ティエリに状況を説明する店主の説明を聞いているうちに、こんな時に幸せを掴みかけているティエリの事が不憫でテーブルに突っ伏して咽び泣いてしまった。帰った客の飲みかけのビールの瓶は、テーブルの上に置かれたままだ。ティエリは寂しげな目を向けた。その情景を生き写した鏡の様に酒場の壁や掛けられた時計、それに雉の剥製などに得体の知れない物が忍び寄っている気がした。
 中央広場で配られていたビラが、北風に飛ばされて屋根の上を舞っていた。その上には暗い雲が薄暗くなった夜空を隠してしまう様に覆い被さっている。ティエリは人々の流れに寄り沿うようにして中央広場まで走っていくと、教会の鐘付き堂の上に1人の男が立っていた。男は鐘の中にぶら下がる太い縄を引いて、鐘の音を街中に響かせていたのだ。音を聴いた人々が中央広場の集会場に集まってきていた。ティエリは中央広場に併設された証言台に向かって、押し寄せる人々の中から、後から遅れてやって来たウディーネを見つけた。ウディーネはティエリより後方の15m程離れた所に押し潰されそうになりながら何とか立っている。ウディーネも手を挙げた。ティエリの存在に気が付いた様だ。ティエリは、人々の流れを掻き分けてウディーネの元に歩み寄った。するとウディーネに近づく途中で、集会場の証言台に向かって罵っている男にぶつかってしまった。ティエリは少しよろめいたが、大事には至らなかった。男の腕には既に白いリボンが巻かれている。少しして、枢機卿らしき白い装束を纏った人物が証言台の前に立った。袂が長く、長い帽子を頭に被るロレーヌの枢機卿は、人々が静粛になるまで2分ほど黙って証言台の上で待った。枢機卿が佇んで、宣誓書を読み上げようとすると、人々の視線が枢機卿の袖の長い装束の袂に集まった。人々は襟元を保つように徐々に口数が途切れ、段々と自分達の周りが静まり返ると、枢機卿に注目が集まった。完全に静まり返ると枢機卿は幾つも折り畳まれ手に持っていた宣誓書を開いた。それから自分で、一度咳払いをして、更に群衆の視線を自分に集めた。枢機卿は荘厳に、一言一言、祈りの言葉を人々に授ける様に宣誓書を読みあげ始めた。『良いですか、皆さん。私たちはこれから逃れられない事態に突入するかもしれません。隣の街では既に戦闘が始まってしまいました。ロレーヌの街は山間部の田舎町でずっと平和が続いています。今回の殺傷事件を大事にしてはいけません。これ以上、私達の街では住民が誰1人としてかける事が許されないのです。私はこの街で無駄な死人を1人も出したくはありません。』何処からか枢機卿に反対意見をを述べる叫び声がした。その声の主は、ティエリにぶつかった白いリボンを腕に巻いた男だった。枢機卿は窪んだ目で、声がした辺りを探る様に睨んだ。そして再び咳払いをした枢機卿は、その男がいる辺りに曖昧な視線を送った。『これからは私たちは団結し、再び道を塞ぐ形で交戦します。相手に対する猜疑心を駆使して山を越えてくる新鋭派の義勇軍とは闘わなくても済むようにです。』その宣誓書が読まれた事で、ロレーヌの人々は外出する時には同じ色のリボンをつける事になった。しかしやり方に賛同できない者や、教義の再現性を重んずる者の中には枢機卿の宣誓の内容を破る者もいた。それらの人々は白いリボンをする様になった。そして次第にロレーヌの人々は新鋭派や古典派の無駄な争いを避けるべく、腕にリボンを巻いて外出する様になった。ティエリも腕にリボンを巻いて出掛けた。地方にもティエリの様な人々が逃げ仰せて来たのだが、ロレーヌの街でティエリの様なボニシェリの異邦人が、腕にリボンを巻くという事は、まるで地面が割れて、新たな芽吹きが起こる新たな地殻変動だった。
 翌日、ティエリは洗濯物を預けにウディーネの家にやってきた。ウディーネは二階で寝て居るふりをしていて、代わりにウディーネの父親がティエリの前に現れた。母親は葡萄畑に出掛けている様だった。『ティエリか。』『先日は昼食をご馳走様でした。』『ウディーネは部屋にいるよ。』ウディーネの父は言った。『今日も物干し場を借りに来ました。この洗濯物を奥さんに頼んで欲しいのです。』『すまんティエリ。妻は今朝、出て行ってしまったんだよ。』ウディーネの父親の腕には白い包帯が巻かれている。『昨日、あいつに家の中で、白い包帯を撒こうとしたら、拒絶されてしまった。俺はもっと彼女の言動に注意を払って接してあげるべきだった。ウディーネの母親は、平和の為に外出時の見せ物としたリボンを腕に巻く事には耐えられたのだが、それを家庭内に父親を軽蔑した。それから暫くして、ウディーネの父親は言った。『君は構わず、君はうちへ寄って是非とも中へ入ってくれ。』ウディーネの父親は言った。『ウディーネだけ幸せになってほしいんだ。』『奥さんは何処へ行ってしまったんですか?』『分からない。私の妻はより辺もないしロレーヌからは出ていないと思う。』ティエリの馬はウディーネ家の木に繋がれて静かに帰ってくるのを待っている。『戦争が近づいてきて、俺は尊厳を失ってしまった。』それからウディーネの父親は語った。ウディーネの父親は母親に拒絶され、妻の頬に強烈に手を挙げてしまったという事だった。ウディーネの父親はその事を悔いて、2匹の馬と、ティエリに見つめられながら玄関に膝から崩れ落ちた。父親は静かに泣いた。ウディーネも自分の部屋から出てこない。『ウディーネには幸せになって欲しい。ティエリ、あの子を幸せにしてやってくれ。』ティエリはウディーネの家から少し離れて、玄関から馬の繋がれた外に出た。ティエリはウディーネの部屋がある2階の窓を眺めた。風に吹かれた人影がカーテンの奥にウディーネが佇んでいる。ウディーネは物書き机に座っている様だった。カーテンの隙間から見てとれるのは、ウディーネ長い髪が一つに後ろで結ばれている様子だった。ウディーネは机の上で何かを記録している様だった。『ウディーネ。ウディーネ。ティエリが来たぞ。』ウディーネの父親は家の中からウディーネに向かって呼びかける。するとウディーネは憂鬱そうに立ち上がりながら、二階の窓枠の近くにある書き物机から自分の部屋のドアへ歩いた。ウディーネは誰にも悟られない様に自分の部屋の扉を締めた。ウディーネが部屋の戸口から書き物机に戻ってきた時、ウディーネは外の冷たい木陰に立ちすくむティエリの姿を捉えた。ウディーネの灰色のブラウスの腕には白いリボンが巻かれていた。
 
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nomurami · 1 year
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野村みずほ 個展「帰ってから戻るまで」 2022.12.18 sun - 2023.01.08 sun @zenzaiマージナルギャラリー
展示風景まとめページはこちら
はじめての個展が無事閉幕しました。 関わっていただいたすべての人に感謝をしています。
お話をいただいたのは桜が咲き始めた3月のこと。 鹿児島帰省の最終日、空港バスに乗る前に友人とランチをしようと鹿児島中央駅に着いたときでした。 Webサイト経由で来たメッセージは、「要出展料で海外アートフェアに出しませんか」というたまに来る勧誘メールではありませんでした。 個展、あのマルヤガーデンズ、あのzenzai(鹿児島ではけっこうな人が知っているカフェで、わたしも本店へ3度ほど行ったことがありました)、しかも初売りなどで来場者が多い年末年始。 うまい話すぎて動悸が止まりませんでしたが、すぐにやらせてくださいとお返事をしました。 (その後友人と鶏飯を食べましたが、まだ「やっぱりなしで」と言われるのではないかと思っていたので友人には黙っていました)
話が進みどうやら本当らしい、と確信が持てたので、制作の日々がスタートしました。
まず考えなければならなかったのは展示方法です。 紙っぺらに描いて画鋲や虫ピンで壁に飾る、という飾り気ゼロのスタイルだったため、 人にお見せする、あわよくば買っていただくための体裁を整える必要がありました。 額装に憧れはありましたが、予算や時間、どの額が合うかなど考えることが増えてパンクするのがこわかったため 安全策として今回は基本的にパネルへの水張りにすることにしました。 しかしそれも不器用ゆえに角の折り方など習得に大変苦労しました。
そして個展のテーマ。 京都芸大の卒業制作で「京都在住観光記」と題して京都で暮らすなかで撮った風景を描いたように、 観る人のほうにも「これ知ってる」「見たことある」という共通点を発見する楽しさや親しみを持ってもらえるものがよいなと思っていたので 鹿児島の風景に絞って描くことに決めました。 中でも鹿児島を離れてからの約10年の間の帰省で撮った写真、ということで進めていきましたが、 交友関係が狭いため人物が偏っていたり、家の中など私的すぎるものが多かったりと、 描くのは楽しそうだけれども第三者目線を考えたとき様になっているかを考えると、モチーフ選びのさじ加減が難しかったです。
過去の作品にも鹿児島を描いたものがあるのでそれを出してもよかったのですが、 わたしは大学時代ののびのびしたわたしの絵が好きで手放したくないため、 そしてそんなわたしの好きなわたしに頼らなくても、今のわたしでちゃんとやれるんだと自信をつけたかったため、 3月末から12月初めまでの8か月強で描いたものを展示しようと思いました。
そうは言っても卒業から5年以上が経ち、制作も2か月に1枚程度に減っていたため、いきなり人に見せられる作品を描こうと奮起しても思い通りにいかず、 自分で気に入る出来のものが描けるようになったのは10月くらいと、かなりギリギリでした。
制作期間中、ずっと「無名のわたしでよいのか」「価値を見出してくれる人なんているのか」「1枚も売れないのではないか」「オーナーさんにがっかりされるのではないか」など、 誰からもかけられていないプレッシャーにひとりで悩まされていました。 本業(Webデザイン)のほうがとてもホワイトなため、そちらで悩みを抱えなかったのはとても幸運でした。 基本テレワークのため、いちばん根を詰めていた期間は始業前と昼休みも制作をしていました。
あっという間に12月が来て、あっという間に搬入日になりました。 不安でたまらなかった小心者のわたしを、家族と恋人は全力でサポートしてくれました。 展示作業は芸大時代人任せにしていたせいでわたしのほうには活かせる経験がありませんでしたが、 恋人は一流の段取り力でてきぱきと作業し、かつわたしが不安を忘れられるようたくさん励ましてくれました。 夕方になり作業が終わってみると、35点すべての作品が過不足なくぴったり空間にはまっていて驚きました。 家の壁にあるときよりもずっとよく見えて、馬子にも衣装とはこのことだろうかと思いました。
それでもやっぱり初日の在廊前は緊張しており、身を固くしながらギャラリーへ向かったところ、 家族が先に来て入り口にお花を飾ってくれているのが目に入りました。 ほかにもたくさんのお花がすでにあり、立派な胡蝶蘭までいただいていて、 抱えていた不安との落差が激しすぎて頭が追いつきませんでした。 始まってからも続々と懐かしい方たちが来てくださって、しかもたくさん褒めてくださって、 悩んでいた日々なんてなかったかのようなあたたかく楽しいひとときを過ごしました。
搬入時、年越し、搬出時と期間中3回の帰省と在廊をしましたが、 毎回本当にたくさんの方が来てくださり、あたたかいお言葉をかけてくださいました。 家族、恋人、親戚、絵に描かせてくれたような親しい友人をはじめ、卒業以来会っていなかった中学高校の友人やそのご家族、遠方に住む友人、お世話になった先生やその教え子の方、両親や姉の関係者の方々、恋人のご家族やご親戚や先輩、SNS上でご挨拶した方まで。 友人同士が偶然同じタイミングで来て再会を喜ぶ場面もたくさんあり、それだけでこの場を提供できてよかったなという気にもさせてくれました。
専門の美術画廊ではなくカフェギャラリーという空間に(僭越ながら)わたしの絵は相性が良いのではないかと思いました。 難しいことは抜きにして、ひと目で何が描いてあるかわかるし、知っている景色もある。遠目で見ると写真っぽいけど近くで見ると筆の跡がわかる。もりもりした油絵のイメージとちがう薄塗りが水彩みたい。 絵を楽しみたいという方だけでなく、カフェを目的に来た方にもとっつきやすい作風だったかもしれません。この発見もうれしかったです。
いちばん心配していた売れ行きは、本当に意外なことに小作品が中心ですが1枚どころかけっこうな数をご売約いただきました。 ご購入いただいたのはもともとの知人の方が多いので、初回ボーナスのようなみなさまのやさしさだと捉えておりますが、 お金を出してもよいと価値を認めてくださったこと、そしてギャラリーさんへ少しでも恩返しさせていただけることが大変うれしく、ありがたいです。
長いはずの22日間の個展はすぐに終わりがやって来ました。 最終日は17時搬出開始で、1時間も経たないうちに完了しました。 作品を自宅に返送し、家族に焼肉で労ってもらい、東京に戻りました。
個展を開くことは夢のひとつで、でも行動力も自信もないため、おばあちゃんになってから小さなギャラリーを借りてやることができたらいいな、くらいに思っていました。 それがこんなに早く、そして想像もしなかったくらい最高の個展として叶うなんて。本当に夢のようなことです。
わたしがやったことといえばただ細々と描き続けていたということだけです。 きっかけを作ってくださった村原さん、選んでくださったオーナーの浜地さん、足を運んでくださったみなさま、あたたかいお言葉をくださったみなさま、お花や差し入れをくださったみなさま、お買い上げいただいたみなさま、そして惜しみない協力をくださった家族と恋人に心から感謝しています。 またいつか機会をいただけるようこれからも描き続けようと思います。本当にありがとうございました。
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naritamarchaiswebsite · 8 months
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暮しの彩り~その130
「暮らしの彩り~その129」でピンクの彼岸花のことをお伝えしました。
それを読んでくれた友人がメールと写真を送ってくれました。
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『マルシェのウエブサイトを見て、うちの彼岸花は?と今朝確認したら咲き始めてました~。昨年、畑にしようと思ってたところにまとまって咲いてたので、掘り起こして植え直していたんです。咲いてくれて良かった!』
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『ラベンダーの葉の間からもひょっこり。』
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彼岸花の形ってなんて面白いのでしょう。花火みたいです。仕事で忙しくて、帰るころには真っ暗で庭の様子も見えなかったようなのですが、ウェブサイトを見て朝に確認してくれたとのこと。
この頃では「朝にこのウェブサイトを見るのが習慣になっている」と言ってくださる方もいて、ほんのちょっぴりでも一日の暮らしに彩りを添えることができたらこんなに嬉しいことはないな、と思っています。
コロナが始まった2020年の4月から毎日アップしてきたこのウェブサイト。当時は不安になるニュースで溢れていたので、少しでも明るい気持ちになるように、と祈りをこめて始めたものでした。
こうして時折メールや写真を送っていただけるようになって、それはもう思いもかけなかったご褒美をいただいているようです。
ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。
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