旧東隊の小説(二次創作)
ホッケえいひれ揚げ出し豆腐
一月か二月の頃だった。
トリオン測定ですごい数値を叩き出した新人が二人も入るそうだというのが、その夜の話題だった。出水公平と天羽月彦のことだ。
新生ボーダーが動き出して一年半になる。『旧』ボーダーという言葉が定着するほどに、時は勢いを増して流れていく。その間に、一番仕事をしたのは開発室室長の鬼怒田本吉だった。
まず、彼は異世界に通じる門の発生ポイントを特定できるようにした。次に門の発生を抑えるトリオン障壁を一時的ではあるが生成に成功、最後に門発生ポイントを誘導する装置が開発され、三門市の安心を約束する三点セットがわずか一年で出来上がる。元々の研究分野の応用とはいえ驚嘆に値する開発速度だった。
こうして、急務だった門発生のコントロールに成功した後は研究途中で放置されていた擬似トリオン訓練室の完成、隊員増加を見越してランク戦で使う対戦ブースと八面六臂の活躍である。
短期間でこれだけのことをやってのけた彼及び彼のチームは、城戸政宗司令がどこからか連れてきた逸材だった。三門市にやってきた時には一緒だった家族とは離婚している。仕事に打ち込みすぎたせいだと専らの噂だった。
開発室以外も働いた。門がコントロールできるまではいつどこで出現するかわからない。国の機関に代わって街を守るボーダー隊員たちは昼夜を問わずパトロールを行い、近界民と戦った。
三門市民は最初、胡乱な目で彼らを見ていたが、公的機関と連携した規律ある行動に徐々にボーダーの存在は受け入れられていく。根付メディア対策室室長による世論操作も功を奏していた。
出ていく人間は出ていき、かわりに大量の物資と人材が流れ込んでくる。
ボーダーにもまた人材が集まった。
まず、市民志願者第一号として柿崎国治と嵐山准が入隊する。華々しい記者会見の後、志願者はぐっと増えた。
東春秋が部隊を結成したのもその頃だ。
この時期の部隊は自由結成と言うよりは忍田や根付の意向が強く反映していた。東隊も忍田の指示によるものだった。
忍田自身も部隊を持っていたが、本部で戦闘員を統括する役職につくために解散することが決まっている。
ガラリと引き戸をあけて顔を出したのは東春秋だった。いらっしゃいませと店員が声をかけると案内はいらないと手を振って、店内を見渡す。じきに見知った顔の並ぶテーブルを見つけて近づいた。
二十二歳だと言うが、ずっと老けて見える。外見だけではない。彼に接する人間はつい彼が二十代前半の若造だということを忘れてしまう。
後ろには背が高い男女二人がやはり背の高い東を挟んで並び立つようにいた。どちらも目を引く美男美女だ。彼らは近隣の六穎館高等学校の制服を身につけていた。
さらに後ろに中学校の制服を着た少年がひっそりと控えている。前のふたりと違って背は低い。寒いのか、マフラーをぐるぐると首に巻いていた。
三人は物珍しげに店内を見回している。
「なんだ、三人とも居酒屋は初めてか」
テーブルにいた眼鏡の男が声をかけた。既に頬は赤い。手には盃を持っている。日本酒派だ。林藤匠という。ボーダーでは古参の一人だ。歳は三十一になる。そろそろ現役を引退したいとボヤいているが、いかんせん昨今の人手不足だ。
ボーダー本部建物ができたにも関わらず、旧本部ビルから動こうとしない、なかなかの頑固者だった。
「学生ですから」
と、生意気そうに答えるのは、背の高いほうの一人である二宮匡貴だった。
「あれ、根付さんから聞いてないか? ボーダーマークの貼ってある店はボーダーなら学生でも入れるようになったんだぜ」
トリオン器官の性質上、十代の隊員は増えていく。本部でも食堂は設置しているが、彼らは三門市の飲食店にも協力を求めていた。パスポート制で十代への酒類の提供はないなどの配慮がされている。
「知ってますが…」
さらになにか言おうとする二宮を東は遮った。
「今夜は明日の確認だけしに来たんです。本部で聞いたら、ここにいるっていうから」
「明日? ああ、国の視察ね。用事は、唐沢さん?」
「俺?」
テーブルの奥から唐沢克己外務営業部長が顔を出す。彼はビール派だ。既にジョッキをほとんど空けている。まだ三十そこそこだが、やり手の男だ。鬼怒田同様、城戸司令がスカウトしてきた。元ラガーマンだという以外素性を明かさない男だったが、人当たりがよい。
今夜の飲みメンバーは林藤、唐沢に加え、エンジニア冬島慎次、戦闘員の風間蒼也、木崎レイジの三人だった。風間と木崎は二十歳前なので、烏龍茶が並んでいる。
「まあ、たってないでこっちに座れよ、東くん」
「あー、ウチはウチでご飯を食べる予定なんです」
東はお供のように控える背後の三人を見やった。東隊のメンバーだ。
「ここで食べていけばいいよ」
「はあ」
少しだけ、東の心が揺れた。老成しているとはいえ二十二の青年だ。気楽な酒の席は魅力的だ。
「大丈夫です。俺たちは帰ります」
東の心を見透かしたように、二宮が後ろの中学生の背を押して店の入口に向かおうとする。
「東」
林藤は声をかけた。
「みんなで食べてけよ。唐沢さんの奢りだ」
「あなたじゃなくて、俺ですか?」
急に振られた唐沢が満更でもなさそうに笑った。確かにこの男前は今日の面子の中で一番地位が高く、懐も暖かい。
「あら、素敵。せっかくだから、ご馳走にならない? 二宮くん」
そこで初めて、女学生が口を開いた。こちらも生意気な口調だが、軽やかでトゲトゲしいものを感じさせない。
「加古」
「ねえ、三輪くん?」
「……」
急に話を振られた中学生は無表情のまま首を傾けた。
「わかりません」
「東さんがここでお酒を飲んでるとこを見てみたくない? 面白そう」
三輪は悩みながらうなずいた。
「ほら、三輪くんもそう言ってるし」
「言ってないだろう」
「言ってないです」
「わかった、わかった」
いつもの掛け合いが始まりそうになって、東は決断する。一応、上役たちの前だ。
「ごちそうになろう。唐沢さん、ありがとうございます」
東が頭を下げると、揉めていた三人がピタッと止まって、同時に頭を下げた。よく訓練されている。東を猟師になぞらえて獰猛な猟犬を三匹飼っていると言っていたのは誰だったか。
「遠慮せずたくさん食べなよ」
唐沢はいつもの人当たりのよい笑みを浮かべた。
「追い出された」
案内されると同時に、風間と木崎が東隊の猟犬三匹のテーブルにやってきた。テーブルが窮屈になったらしい。
今夜はボーダー戦闘員と唐沢の交流会であるらしかった。
風間の兄は林藤の弟子だった男だ。故人である。木崎は東から狙撃手としてのスキルを学んでいるので、東隊の面々とは面識がある。今は林藤に従い旧本部ビルに寝泊まりしている。狙撃以外の分野では林藤に師事していた。
一方は小柄で華奢、もう一方は筋肉隆々の巨漢だ。正反対の見かけだが、どちらも恐ろしく強かった。さらに木崎はトリオン量は二宮と同程度を持っていて近界のトリガーを使いこなす。
加古の隣に木崎が座り、二宮と三輪の隣に風間が座った。スペースの有効活用の結果である。三輪は隣が風間なので緊張する。風間蒼也は様々な思惑の絡む本部で誰からも重用され、確実に任務をこなすエリートだった。
「もう、頼んだか」
「まだです」
彼らはまだ食べるつもりらしい。
「居酒屋は初めてか」
木崎が気を使って、品書きをテーブルの真ん中におく。
店員がまとめて置いていった突き出し(お通し)を配る。
「飲み物から決めよう」
と、店員を呼んでさっさと飲み物を決めてしまう。さくさくと仕切る姿が頼もしい。三人はジュースにしたが、風間と木崎はまた烏龍茶だった。
「おすすめは、揚げ出し豆腐だな。家で作るの面倒だし」
「そう��う基準か」
「寺島たちに頼まれて作ったが、たくさん食べるものじゃないし、持て余した」
寺島たちと寺島雷蔵と諏訪洸太郎のことだろう。四人は同い年で気が合うようだった。諏訪は二宮と加古の同期でもある。
「おごりなら諏訪と雷蔵でも呼ぶか」
「来ないだろ」
確かにもう遅い。
「今日の当番は?」
お酒をあおる大人席では、林藤が煙草の煙を吐き出しながら聞いた。
「忍田さんとこと迅です」
迅悠一は木崎隊であったが、先日、晴れて『風刃』所持者となり、隊を離れS級隊員となっている。
「あとは嵐山隊ですね」
なんとなく大人たちは子どもたちのいるテーブルに視線を向けた。三輪がジュースを飲んでいる。迅、太刀川、嵐山と三輪の苦手な三人だ。
「明日は俺らの勤務か」
正直、オーバーワークだ。ここにいるメンバーは皆、ワーカホリック気味ではあるが、大規模侵攻からずっと働き続けている。
「入隊志願者が増えてますからもうちょっと頑張ってもらって…。部隊が増えてくれば、部隊の輪番制に移行するって城戸さんが言ってます」
「もうすぐですよ」
冬島がエイヒレに手を伸ばしながら言う。
「そう願いたい」
品書きと書かれたメニューには写真がない。並ぶ単語は知らないものが多い。
三輪が大人たちのテーブルをチラリと見れば東は刺身の盛られた皿をビール片手につついていた。嬉しそうだ。確かに、隊長ではない東は不思議な感じがした。
「秀次は刺身か」
二宮がつらつらと品書きを見ながら勧める。二宮も初めてだからよくわかっていない。
「盛り合わせがあるぞ」
「ちょっとずつ色んなのが食べたいわ」
加古がウキウキしている。
「レイジさんおすすめの揚げ出し豆腐は頼むでしょ。風間さんのおすすめは?」
「コロッケと卵焼きだな」
間髪入れずに答える。迷いがない。
「じゃあ、それー」
「また家で作れるようなものを…」
木崎がぶつくさ言うが、三輪は蕎麦を茹でるくらいしかできない。
「二宮は?」
風間が水を向けるが、彼は熟考に入っている。
「先に頼んじゃいましょ。店員さぁん」
「加古、お前なあ」
「大丈夫だ、二宮。何度でも頼めるから」
「風間さんがそう言うなら」
注文を手早く木崎がまとめる。
「三輪は決めたのか」
「じゃあ、刺身盛り合わせ(小)で」
「あと、ホッケ」
「加古、語感で決めただろう」
「干物だな。北の魚だ」
明日、視察団が来るというのに、大人組はまだまだ飲んでいる。タバコの匂いがする。
焼肉屋ともファミリーレストランともバーガー屋とも違う雰囲気にふわふわする。
「秀次」
三輪は、二宮に揺り起こされた。ひと通り食べたあと、いつの間にか眠っていたらしい。
「中学生には遅い時間だな」
木崎が気の毒そうに言う。
「大丈夫です。すみません」
彼らも高校生なのだ。
「ほら」
おにぎりが渡された。大きい。海苔がパリッとしている。
「結局、二宮くんが選んだのがこれよ」
おにぎりを優雅に食べるという器用なことをしながら、加古が教えてくれる。
「悪いか」
「いい選択よ」
「うまいな」
風間はまだ食べている。木崎はカチャカチャと皿を重ねて、テーブルを綺麗にしている。 三輪は散々食べたあとだが、おにぎりを持って、「いただきます」と言った。おにぎりは何も入っていなくて塩がきいている。
「おいしいです」
「そうか」
「東さん、あれ酔っ払ってるわ」
三人が揃って東のほうを向くと、その様子がおかしかったのか、木崎と風間が笑った。
「明日はお前らが頑張れ」
その日はみんなボーダー本部に泊まった。
終わり
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餐餐大魚肉,業障有得受
以下兩位有緣人分享,來文照登:
分享一
阿伯說:「修行人為了長養慈悲心,所以選擇吃素,但吃素的人卻不代表一定有在修行,學佛人在這事理上應了解清楚,才能真正明白吃素的意義。現今人十分愛護自己的伴侶動物,若能將此愛心延伸至身邊萬物,不殺、 不食用,並同理憐憫動物被殺的恐懼心與苦難,這即是慈悲心,也是遵守五戒中的『不殺』。」
我的居住地冬天很長,每年秋末我都會開始餵野生動物直到次年春天。白天有各色鳥類、松鼠,夜間也有許多野兔進食。每天在家中放眼望去,外面餵食點好不熱鬧,白雪覆蓋的寂靜世界,增添許多生氣。
前陣子鄰居和我先生,都看到了狼在社區出沒。上星期連續兩天,半夜我被兔仔哀嚎聲驚醒,幾分鐘的犬吠伴隨淒厲尖叫聲後,嘎然停止回歸寂靜。之後我卻無法再入睡,想到餵食的兔子被獵食,久久不能釋懷。
從接觸佛法到現在,我的味覺、嗅覺和知覺開始改變。現在我去市場買食物時,會速速通過肉品區,因為濃濃的肉腥味會讓我作嘔,有時吃蛋也覺得蛋變腥了。以前超愛吃韭菜,如韭菜水煎包、韭菜盒子,都是我魂縈夢牽回台必啖的家鄉美食,現在也覺得韭菜變腥了。
回想過去��生長在農家的母親,為了補充營養,在自家院子裡圈養雞隻。自小就常看到大人宰殺飼養的家禽,所以對於動物的痛苦也就無感。同時間家裏也開始養寵物,隨著年齡增長,開始能慢慢感受到動物的感受。現在家中的一隻貓,是幾年前從家門前樹林裏撿來的,照顧這隻貓讓我真正感受到動物被遺棄的恐懼。
動物短短的一生只能為生存,尋找食物和躲避獵食動物,艱苦而活。前個星期樹林裏殺戮戰場的發生,看到動物的苦難,讓我感到難過。也慶幸身而為人的我,能還能在有生之年聽聞佛法、能跟冤親債主解怨釋結、能跟隨菩薩、阿伯、精舍師兄師姐們一起修行,是何等珍貴。我更要珍惜現在擁有的一切,廣結善緣、努力提高心性。
分享二
年前參加了一場親戚的婚禮,在高興的同時,也感到悲傷。高興的是看到親戚結婚,成家了,因此為他感到高興。悲傷的是,在辦酒席時殺了很多物命,雞、鴨等。
多年前曾參加過另一位親戚的婚禮,辦酒席時,同樣是殺了很多物命。記得當時遠遠的看到幾個人在殺一隻豬,豬的痛苦叫聲很慘烈,而旁邊被綁了一隻待宰殺的羊,在豬的痛苦叫聲下,旁邊的羊一直在發抖,看到這樣的場景,感到很悲傷。
在此也懺悔,自己小時候,未接觸佛法明白因果時,也殺了很多小動物,真的是造了很多惡業。本世要努力誦經消業,提升心性,諸惡莫作,眾善奉行。
(分享完畢)
「動物短短的一生只能為生存,尋找食物和躲避獵食動物,艱苦而活」,動物一輩子就是為了自己的命在活,如果把牠的命奪走了,牠能不恨嗎?
精舍開示的業障有各種案例,有的為財,有的因為感情,還有因為爭論或是不當言語造成的業障,當然也有殺生害命的業障。每種業障會依據瞋恨與受傷害程度開示,雖然數字各有不同,但殺生害命的經文數通常不小。因為眾生都愛惜自己的性命,就連《金剛經》也直接說我相、人相、眾生相、壽者相,壽者相就是愛惜自己的生命。
相較人的精采生活,動物可就沒這麼多彩多姿了。分享者說動物一生都在尋找食物和躲避獵食動物,為的就是活命。我們若取了牠的命,牠才不會放過我們。這是為什麼殺生害命的業障總是重,因為剝奪了人家最重要的東西。
以下一位有緣人分享:「自己吃素,每次到外面聚會,總是顯得格格不入,記得還有次活動全場就我一個人吃素。即便如此,要我把肉一口一口吃下去,我卻做不到。以前我看過許多介紹宰殺的影片,有號稱人性化的標準電宰,也有殘酷無道的濫意宰殺,雖然說死的過程不一樣,但結局都是殺。現在學佛了,懂了因果,也感受得到靈界,更是不敢肉食了。現前看過一則精舍的案例,說到獵殺了一條大魚,結果大魚當了他這輩子的丈夫折磨她的例子。每次我看到網路釣到大魚的影片,我都會想到這個案例,非常為那位釣到魚的釣客感到憂心。」要遠離殺生,除了自己不要殺,還得要素食,才能遠離這些是非。
殺生害命算是大業障,換句話說,讓對方免於被殺就是大善業了!我們常說人生應該要行大善,在此教您一個快速行善的方法,就是勸人茹素。無論是轉發影片或是轉發案例,甚至是在訂餐的時候,鼓吹一下健康素或是哪些素食好吃,這都是減少物命被害。「我知道有哪間店挺好吃的(素食)」、「這個餐點好吃,吃吃看(素食)」、「我這有份多的午餐直接請您吃」這些都是方便法。沒有肉食的需求,自然就沒有殺生,一點一滴的累積,往後都可以變成大善業。
人生不長,但一天要三餐,如果餐餐大魚肉,往後業障有得受。愛自己吧!不要讓未來過得太辛苦。
南無本師釋迦牟尼佛
南無藥師琉璃光如來
南無阿彌陀佛
南無大悲觀世音菩薩
南無大願地藏王菩薩
南無韋馱菩薩
南無伽藍菩薩
南無十方一切諸佛菩薩摩訶薩
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特等席で眠る
膝の上で眠る愛おしい犬を撫でていた。耳はぺたんと倒れ、機嫌良さそうに揺れるしっぽを見せつけながら時折掌に擦��寄って来る姿はいつだって可愛い。ここは彼の特等席なのにも関わらず、未だに一度俺の顔を伺って"良し"を貰ってからしか乗ろうとしない。曰く、無意識だそうで。根っからの犬気質なのか、なんなのか。 普段の姿からは想像出来ぬような柔らかな表情を浮かべ、今にも溶けだしそうな瞳は一時も逸らすことなく己を映していた。
『……そんな見つめられたら恥ずかしいんやけど。』
「…………。」
『わかった、わかったから。寝るまでは許したる。眠なったらちゃんと目ぇ閉じなあかんで。』
理解したかは定かではないが、犬はこれがお気に入りらしい。元より人の顔を見つめてくるのは常で、飼い主の少しの違いでも見つけてしまえば鼻を寄せ"これはなんだ"とでも言うように咎めて来る。目敏く小さなものでも指摘してくるものだから、自分以外の匂いや噛み痕を見つけた時にはどうなってしまうのだろうか。まあ、愛犬意外に触るのも噛まれるのも勘弁したいところなので実行に移す気すらないのが現実なのだが。
そんな考え事をしていると、膝の方から寝息が聞こえ始め先程までこちらを見つめていた瞳は瞼に隠されてしまっていた。自分より先に寝るなんてことは滅多に無いものだから急いで自分の携帯を探して寝具を撫でる。ぱしゃり。あ、可愛い。誰に見せることもない写真フォルダ。昔から可愛くて大切なものは隠して誰にも見せず触れさせない。いつか"閉じ込めてしまいたい"なんて言った俺に"貴方になら何されてもええですよ"と笑いながら言った犬を思い出した。
本当にこの家から出ることも出来ず、頑丈な首輪に鎖なんてつけられてしまったらどんな反応するのだろうか。ああ、でもきっといつだって従順な俺の犬は「わん。」と鳴くのだ。
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