Tumgik
#冷食捜査官
xinu1941-1966 · 2 years
Text
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
冷食捜査官 reisyoku sousakan : Frozen Food AGENT 2008年講談社刊 by とり・みき comic by TORI MIKI
1: 冷たい女 cold women 1991
2: Strawberry Fields Forever 2002
#冷食捜査官 #Frozen Food AGENT #とり・みき #とりみき #TORI MIKI #TORIMIK I#BLADERUNNER #GHOST IN THE SHELL #SF #manga #japan #comic #sciencefiction
242 notes · View notes
dempameat · 2 years
Photo
Tumblr media Tumblr media Tumblr media
((3) 徳川龍之介 20時までの短縮営業中さんはTwitterを使っています: 「とり・みきさんの「冷食捜査官」1巻を店頭に。名作です。この漫画の2巻とHUNTER×HUNTER最新刊、どっちが先に出るか、未来の僕教えてください。 https://t.co/Ag2pF8vo1v」 / Twitterから)
2 notes · View notes
ashi-yuri · 5 months
Text
E.オニール「氷人来たる」
希望、世界から社会から自分自身から見棄てられた者たちのためのささやかなエンターテイメント
Kentucky Route ZeroのAct.2幕間劇「エンターテイメント」の引用元ということで読みました。絶版ですが、縁あって読めて非常に良かったです。よかった。
Tumblr media
オニール作品の解説本であらすじは知っていたけれど、予想していたものよりずっとよかった。
ハリー・ホープを主人とする明日の叶わない夢ばかりを話す者達が集う、どん底のような酒場に常連の気のいい営業セールスマン「ヒッキー」がやってきて、みんなに酒をおごり、ハリーの誕生日を祝い、『みんなが幸せになる方法』を教えてくれるという話。
ほんとに望みや救いがなくて、特に悪人や悪意も存在しないのにかかわらず、最初から最後までみんな終わってていい。解説読んだだけだと、ヒッキーが酒場の哀れな人々をだます詐欺師で扇動者みたいな役割だと思ってたけれど、彼自身もどん底にはまって抜け出せないままの人間で、つまり酒場の全員(捜査官以外)が偽りの希望にすがって酔いつぶれて自分ではどうしようもないまま終わりを待ってるだけ。変わりたくても変われないし、ほんとうは変わりたくもない。
翻訳の地面を這うような泥臭さも良くて、テキストの強度がすごく高い。時代で風化しないのすごいな。同じ主題を強度の弱い文章やセンチメンタルで自己憐憫的に描かれたらほんとに鼻持ちならないだけだけれど、この圧で語り掛けてくるのはさすがだなあ。
ラリー:(ここは)云つてみりや、「絶望酒場」、「どん底バー」、「終点カフェ」、「海底食堂」つてとこさ。この雰囲気の美しい静けさに気がつかないのかい?それは、ここが最後の港だからだよ。ここに居る者あ誰だつて、次には何処へ行こうか、などと思い悩む必要はないんだ、なにしろこれから先は無いんだからな。連中にとつちや、大きな慰安さ。もつとも、ここでさえ、君が長く居りや自然と分かるように、みんな過去や未来についての無害な夢を少しばかり抱いて、生きてる振りを続けてはいるけどね。
なんとか俯瞰しようとしながら不信感と失望に怯え続けて、自分が死ねない代わりに、自分と同じ裏切りという罪を犯した若者が自ら死にゆくのを見ているだけの最悪な行為で締めくくる元革命運動家のラリーがいちばん台詞と描写に力が入っていてよかったです。
各幕の終わりに、「真実に目覚めた」ヒッキーが、みんなの幸せと心の平安を得る方法について語り始める場面も怖いくらい凄味があって、作品単体としては「エンターテイメント」より好みだと思う。
出てくることのない「氷屋」って真実みたいだなと思った。みんなとっくに終わってる人たちだから、氷屋が来ると自分をもう騙せなくなって終わるんだろう。真実はいつだって冷たいので。
このどん底で今日を生きるためには、真実から目を背け大いなる眠りを待ちながら酔い続けるしかないのだから。
ヒッキー:(目を閉じる)とうとう自分というものを手放すことができるんだ。���の底に自分を沈めるんだ。静かに休むんだ。もうこれ以上行かなくてもいい。お前らの心を苦しめる下らない希望や夢は、もう一つだつて残つちやいないんだ。諸君に俺のいう意味が分るようになるのは、皆が―済まないが―すつかり疲れちやつた―ひと眠りしなけりや―うんと飲んでくれ―俺が奢る―
KRZの理解を深めるうえでも読んでよかったな。
KRZは暖かい親密さと同時に冷たい諦観と悲しみを持つ作品だけれど、後者について「氷屋来たる」はKRZの底流に流れてるものと共通する部分が多いのではないかな。にしてもエンターテイメント、これに比べたらまだぜんぜん優しさと救いがある…
なんでコンウェイやエンターテイメントの登場人物たちが自分にとって毒であり死に近づくだけの酒を必死に飲み続けるのか、自分はいまいち理解しきれてなかったけれど、「氷屋」読んでようやくすこし理解できるようになった気がする。ここまで絶望してるかはわからないけれど。
「氷屋」では登場しないままヒッキーに殺されるイヴリン、愛と寛容の象徴であり頑強なキリスト教道徳を体現する女性、エンターテイメントは彼女を一人の人間として描きイブリンの側から物語を語り直す試みでもあったんだろう。コーラとかパールもひとりの人間として現代人に共感できる形に書き直されているし。(それをフェミニズム的反転と評する人もいるのかもしれない)
ヒッキー:な、エヴリンは俺を愛してたんだ。そして俺も彼女(あいつ)を愛してたんだ。そこが難儀なところさ。彼女(あいつ)があんなに愛してなかつたら、逃げ道を見つけだすのは容易いことだつたろう。それともまた、俺が彼女(あいつ)を愛してなかつたら、だ。だが、実際の状態がああだつたから、道は唯一つしかなかつたんだ。(言葉を切る―それからあつさりと附け加える) 俺は彼奴(あいつ)を殺さなきやならなかつたんだ。
Tumblr media
ふつうに描写が具体的なので、エンターテイメントの背景の補足できてよかったし、「外はバビロン」とかの引用も意味がわかったし、ハリーが奥さんを愛して忘れられないまま酒場を離れられないこと(ほんとに愛してるのかもしれないし、辛い真実を見ないために縋ってるだけなのかもしれない)とか、いろいろ背景が想像しやすくなったかな。
Tumblr media
ヒューゴー:「おお、バビロンよ、日は暑く、汝が柳の蔭涼し!」 (注釈)旧約聖書詩編第137篇第一節及び第二節のもじり。「バビロン」は「資本主義社会」を、「日は暑し」は「生活の不安と苦難」を、それぞれ象徴しているらしく思われる。
幕間劇「雇い人の死」の終わりもようやくすこしわかるような気がしてきた。
氷屋の登場人物はみんな「大いなる眠り」を待っている。これを反復するようにKRZの幕間劇の最後もブランドンが急に眠って終わる。(もちろん「雇い人の死」のサイラスの死が重なってる)
KRZはブランドンの眠りが「大いなる眠り」なのか「しばしの小休止」なのかあいまいなまま、ハリーの「眠らせてやろう」という台詞で締めくくるけれど、KRZらしい悲観的なのか希望があるのかどちらでもあるような終わり方で、両義的なところがしみじみよかったと思う。
Tumblr media
KRZのこういうところ、マニアックで原典あたる人のみが楽しめるというあまりにわかりにくい楽しみ方ではあるけれど、まあ自分は満足できたのでいいです。
本書籍は絶版で発行年代も古く入手困難でしたが、ご厚意により貸していただきました。感謝。
1 note · View note
kichino-tundra · 1 year
Text
虐殺の国②
Tumblr media
【注意】この作品には差別・虐殺などの描写があります。
第一章 権力構造、または歴史的背景
第二節 歴史の幽霊
 ダニエルは黒い霊柩馬車から父の遺体の納められた棺が運び出されるのを、真新しい墓石のすぐそばで眺めていた。
 ダニエルの父親はサフラン市警の警部であった。数日前の朝、彼はうっすらと笑顔を浮かべた顔で「行ってきます」と言って家を出た。そしてそれきり帰ってこなかった。どうやら何らかの捜査のために珍しく現場に出ていたらしいのだが、まだ解決していない事件の詳細についてダニエルらが知ることは何も無かった。
 母や妹のすすり泣き、それから墓地を囲む赤や黄色の葉を持つ樹の枝に隠れているであろう小鳥の愛らしい鳴き声のみが辺りを満たしていた。
 ダニエルと、一番下の弟であるジョンは泣いていなかった。ジョンはダニエルやその妹であるルシアとは年が離れており、まだ5歳と幼い。彼はダニエルの服の裾を掴んで辺りをきょろきょろと見回していた。
 ダニエルはジョンの小さな手を取って服から手を離させた。
「男ならしゃんとしなさい」
 ダニエルはささやき声でジョンを優しく叱った。小さな手を空中に放り出されたジョンは、自分のズボンの裾をぎゅっと掴み、顎を引いて墓をじっと睨みつけた。拒絶されたのだと思って拗ねてしまったのかもしれない。ダニエルはそれを見てこっそり笑った。棺は墓石の前にぽっかり開いた穴のすぐ側まで運ばれてきて、中に納められた。
 ユーゴニア人口のおよそ八割を占めるアンドロ教徒の間では、棺は死者の国への門であると考えられている。死者は門をくぐると死者の国の王であり原初の人であるアンドロという男に迎えられる。アンドロは死者の皮を剥いで新しい皮に取り替えてやる。死者は、次の人生ではその新しい姿で生きることになるのだ。
 来世の身支度をアンドロに整えてもらった死者は、死ぬ前に生きた分の年月だけ「死者の国」を旅する。死者の国では時間は逆方向に流れるので、時が過ぎればすぎるほど、死者は若返ってゆくという。逆転する時間の旅を終えると、死者は再び地上へと生まれてくると信じられていた。
◇◇◇
 壁のようにそびえる建物は空を覆い隠さんとしている。その下に広がる道路は馬車と人々でごった返していた。
  ダニエルがサフランの街の雑踏を歩いていると、彼のすぐ側を自動車が通り過ぎた。彼はなんとはなしにその姿を眼で追った。屋根のない黒い車に乗る数人の男女の着ているスーツやドレスは、質の良い布でできているのが素人目にも分かった。
 ダニエルは交差点で道を曲がり、様々な店が軒を連ねる区画を歩いていった。彼は視界を流れてゆく店の外観をぼんやりと眺めた。そうしていると、女性用の毛皮のコートが飾られたショーウインドウと、喫茶店のレンガ造りの壁に挟まれた路地に、誰かが座り込んでいるのがちらりと見えた。ダニエルは立ち止まってそちらを見た。薄暗い路地に敷かれた新聞紙の上で男が項垂れていた。ドラコの男だった。ダニエルはしばしの間、冷淡な目で男を見つめた。人影に気づいたその男が顔を上げようとするのを横目に見ながら、彼は心なしか早足でその場を立ち去った。
「ダニエル!」
 再び街中を歩いていると、ダニエルを呼び止める声がした。振り返ると、恰幅の良いドラコの男が彼に向けて軽く手を振っていた。
「ムーンライトさん」
 彼は自分を呼び止めた男――ムーンライトに歩み寄った。
 ムーンライトはダニエルの通う大学の近くに建つレストランの店主である。彼は以前、ダニエルの友人に家を下宿先として提供していた。二人が知り合ったのもその友人がきっかけであった。
「お父さんのことは残念だったね。私も近頃は知り合いが立て続けに亡くなって悲しいよ。イマニュエルも一昨年に亡くなったから……」
 ムーンライトはため息をついた。
「ルフェリの伯父さんですよね。とても残念でした。彼が亡くなってあいつは大学を辞めてしまったし」
「イマニュエルとは同級生でね。昔はよく、もう一人の友人と一緒につるんだものだった。危篤の知らせを聞いて帰る直前、ルフェリはひどく動揺してほとんど喋らなかったよ。イマニュエルはあの子を自分の子供と差別せず大事にしていたから、懐いていたんだろうな。君も大事な人が亡くなって辛いだろう。何かあれば相談に乗るからな」
「ありがとうございます。実は……」
 ダニエルは石畳を横目に見やった。
「大学を辞めて仕事を探そうかと思っているんです。今日は手続きの準備のために大学へ顔を出すつもりで」
 ムーンライトは身を乗り出した。
「本当か?お母さんには相談したのか」
「それはもちろんしましたよ。お互い納得した上です」
 ムーンライトはしばしの沈黙の後、ため息をついた。
「そうか……。君は家族思いだな」
「そうでしょうか」
 ダニエルは表情を曇らせながら俯いた。
「仕事のあてはあるのか?」
「いえ、まだ」
「なら、俺の知り合いが――さっき言ったもう一人の友人というのがそいつなんだが、確か以前人手が足りてないと言っていた。良かったら紹介しようか?」
◇◇◇
 人工的な明かりが食卓の上に並べられた料理の表面を照らしている。ダニエルはムーンライトの自宅で、彼と向かい合って座っていた。人手を欲しているという友人に宛てた手紙の返事が来たため、ムーンライトの家で夕食がてら詳しい話をしようという話になったのだ。
 口の中のものを飲み込んだムーンライトが話し始めた。
「俺の大学時代の友人――ラースロー・ライムライトというんだが、そいつは炭鉱の所長をやっていてね。炭鉱警察/coal-mining policeの警官を募集しているのだそうだ」
「警察?」
 ダニエルはぽつりと口にした。
「炭鉱警察というのは、炭鉱とその周辺の街を管轄する警察組織だそうだ。銃を持つような仕事だから、体力のある男は大歓迎だと言っていた。ダニエルは上背もあるしスポーツも得意だからきっと大丈夫だろう。給料は月300オロだ」
「300オロ?」
「なかなか好待遇だろう?これから家族を養っていかなくちゃならない君には良い仕事だと思うんだが。ただ、家族と離れて暮らすことになってしまうが」
「それは構いません。是非お願いしたいです」
「分かった。明日また手紙を出しておくよ」
「ところで、場所はどこなんですか?」
「エーデルワイス州のアルストロメリア郡というところだ」
「そこって」ダニエルはやけに耳になじむ単語に首をかしげ、それから何かに思い当たったようにムーンライトの顔を見た。「ルフェリの故郷ですよね」
 ムーンライトに別れの挨拶をしたダニエルは、夜の街を歩いて自宅へ向かった。自宅のドアの前に立った彼は、既に眠っているかもしれない家族に配慮してゆっくりと扉を開けた。
「ただいま」
 彼は小さな声でそう言った。返事は返って来なかった。やはり皆眠っているようだった。だがダニエルは自分の部屋に向かう途中で立ち止まった。電灯の光が居間から漏れ出ていたからだ。ダニエルは一人首をかしげ、居間につながるドアを開けた。
「ルシア?どうしたんだ、こんな時間に」
「に、兄さん」
 妹のルシアがテーブルに本やノートを広げて座っていた。彼女の隣にはほとんどうつらうつらとしているジョンが座っている。ルシアはダニエルを見て本とノートを慌てて閉じた。
「勉強か?珍しいな。どうしたんだ」
「ええっと、ちょっと苦手な科目があって、テストが不安で……。でももう寝る」
「そうか。おいジョン、お前ベッドで寝ろ」
「んん」
 ダニエルは舟をこいでいるジョンを優しくゆすった。ダニエルは椅子から降りたジョンの手を引いて廊下に繋がる扉に手をかけた。
「ルシア、おやすみ」
「うん。おやすみ」
 ダニエルは居間のドアを閉めた。ダニエルが自室の前に立っても、ルシアが居間を去る気配は無かった。
 寝支度が済むとダニエルはベッドに入った。彼がサイドチェストのランプを消すと、タールのような暗闇が部屋を満たした。隣のベッドにいるジョンの幼い顔が、月の光によって幽かに浮かび上がっている。
 暗闇の中で子供の目に月光がきらりと反射して、隣のダニエルを見た。
「兄ちゃん寝た?」
 ジョンがダニエルに声をかけた。
「起きてるよ」
 ダニエルは目を開けて、ジョンのほうに顔を向けた。
「そっか」
「眠れないなら背中ぽんぽんしてやろうか、昔みたいに……」
 それを聞いてジョンは唇を尖らせた。ダニエルは笑い声を漏らして、天井に目をやった。
「どうしたんだ。何かあった?」
「そういうわけじゃないよ」
 しばらく沈黙が落ちたあと、ダニエルが静かに口を開いた。
「なあジョン、お前勉強は好きか」
「嫌いだよ。知ってるでしょ」
「そうだな」
 ダニエルはジョンの顔を見た。
「それでも、お前は大きくなったら大学に行けよ」
 そのとき、寝室の外からほんの僅かに廊下の軋む音が聞こえたが、ダニエルは気づかなかった。
「うん」
 ジョンが小さく返事をした。ダニエルはジョンのほうに手を伸ばした。そしてジョンの頭をぐしゃぐしゃと雑に撫でまわした。ジョンがやめてよとクスクス笑ったので、ダニエルも笑った。
◇◇◇
 汽車が到着したらしく、人がどっと吐き出されるように流れ出てきて、まるで駅という鉄骨製の怪物が大きなため息をついているようだった。
「じゃあ、行ってくる」
 大きな鞄を肩にかけたダニエルは改札の前で振り向き、家族の顔を見た。今日、ダニエルはサフランの街を去って、エーデルワイスに行く。家族とはしばしの別れになる。
「体に気を付けてね」
 母は心配そうにしていた。ダニエルは彼女を安心させようとするかのように、笑って頷いた。
「頑張ってね、兄さん」
 ルシアは明るい声で言った。
「ああ、お前も母さんのこと支えてやってくれ」
「うん……」
 彼女は少し表情を曇らせた。彼がどうしたんだと声をかける前に、ルシアの隣にいたジョンがダニエルのほうへ一歩踏み出した。
「兄ちゃん、いってらっしゃい!」
 ジョンは朝散々泣き腫らしたので、目がまだ少し赤かった。
「ああ、行ってきます」
 ダニエルはしゃがみこみ、ジョンと抱擁を交わした。
◇◇◇
 秋の透明で冷たい空気が肺を満たしたので、ダニエルは自分でも気づかぬうちに深呼吸をしていた。
 彼が列車を降りたのは、クローバーという名前の駅だった。客を乗せる列車以外にも石炭を出荷する貨物列車が運行するこの駅の正面には、山際の緩やかな斜面に沿って炭鉱街が広がっていた。そして街と山とに挟まれるようにして、青く霞んで見える大きな工場のような建物や鉄骨製の建造物、煙突がそびえ立っていた。
「ダニエル」
 ふと彼の名を呼ぶ声がした。ダニエルは駅舎の正面に佇む男に目を向けた。
「ルフェリ!久しぶりだなぁ」
 彼は男の元へと歩み寄った。
 ルフェリ・ホワイトアウトは猫のように大きな左右色違いの眼をした男だった。顔立ちはユーゴニア先住種族であるガタのそれだったが、混血である彼は一本の角を持ち、その手は鱗に覆われている。白いたてがみはドラコの男がするように長く伸ばして、三つ編みにしていた。大学を辞めた後エーデルワイス州民兵隊に入った彼は、少年のような顔立ちをしている割にしなやかな筋肉を纏う前腕をシャツの袖からのぞかせていた。今は丁度休暇の最中らしく、こうやってダニエルを出迎えに来てくれたのだった。
「お父さんのことは残念だったな。お前、俺の分まで勉強して立派な生物学者になってやると言ってくれたのに」
「約束を果たせなくて悪かったよ」
 ダニエルは肩をすくめて、困ったように笑った。
「別に責めたくて言ったんじゃないさ。ただ悲しいと思っただけで」
 ダニエルはルフェリが兵士になったのを、手紙のやり取りの中で知った。各州の保有する民兵隊/militiaは、州内の治安維持を担う軍隊である。ルフェリは現在一等兵――エーデルワイス州民兵においては伍長の下の階級――であった。士官学校を出て士官として入隊するのならまだしも、裕福な家の出である彼が兵卒になった理由を、ダニエルは詳しくは聞いていない。
「このあとすぐ署に顔を出すんだったな。頑張れよ」
 ダニエルはその言葉に笑顔を返した。
「ああ。また一緒に飯でも食おう」
1 note · View note
kitatou403 · 2 years
Text
【※激しくネタバレしています】ドラマ「ハンニバル」S1~3感想/レクター博士を特徴付ける要素は山ほどあるけれど、ひとつ抜き出すとしたら口で他人を味わう嗜癖があることに尽きる
 まず前提として、この文章は映画版とドラマ版を比較する目的で書いたものではありません。  レクター、ダラハイド、クラリスへ連なる一連の映画も観たはずなのですが、十数年前のことで記憶が鮮明ではありません。今回は言及を避けます。別にドラマ制作陣も映画を再現しようとは思っていないだろうしね。
--
 13話セットが3シーズン続く巨編なので言いたいことは色々あるのだけれど、通しで観て感じたのは冒頭伏せ字のとおりです。レクターは戦時中の事故で妹のミーシャを食べてしまったことが深く傷になり、今もやめられない嗜癖として引きずっている。S3前半で殺人犯はレクターからダラハイドに交代しますが、”噛み付き魔”ダラハイドも口唇口蓋裂という障害を持って生まれて肉親に疎まれ、また歯並びもガタガタのまま成人し、赤き竜に変身したいと思ってしまうほど心身に深い傷が残ります。
 口唇期、という語があります。赤ちゃんは唇で世界をとらえリビドーを満たす。薬物やタバコ、アルコールの依存は口唇期に問題があると考える方法です。私は別にフロイトの追従者ではないのでざっくり流すけれど、まぁ、世の中にキスや口淫の描写があふれ、フードポルノがメディアを席巻する今日の状況を見ると、どうも「口に入れる/味わう」ということは世の中の一大関心事なんですね。食と性欲の類似性は昔から頻繁に指摘され、研究対象にもなっている。世の中の人は口を使って快楽を得ることが大好きなのだなあ。
 美味しいものはそれなりに好きだけれど、料理がそこまで得意ではなく、ダラダラしたい日は冷凍うどんを袋のまま5分チンして昼食を済ませてしまう自分にレクターのヤル気は全く分からない。彼にはそれだけ切実な欲求があるのだろうけれども。
*
 各話のタイトルがとても素敵だった。S1ではフレンチ、S2は懐石、S3前半はイタリアンで提供される皿の名前、S3後半は18世紀の銅版画家ウィリアム・ブレイクの絵画のタイトルでした。
 S3後半を経てからシリーズ全体を見返すと少々印象が変わる。レクターのもう一つの特徴は知りあった人を思い通りに動かすこと。ダラハイドもレクターの助言を受ける。レクターの人心操作は派手な殺人に覆われて見えづらいけれど、「巧みな言葉すなわち口を使って」「他人の感情を味わう」という点においては食人と何ら相違ないよね、と私は思う。精神的に去勢し屠殺する。原作のレクター博士は確か、弁が立つというかスラングが多すぎるというか相手を煙に巻く謎の話術の持ち主で、FBI捜査官たちから「意味がわからないから話すだけ無駄」みたいなことを言われている。ドラマ版は優雅な語彙で知人を静かに追い詰め、最終的に人を殺させる。  物理的な食人で肉を味わい、弁を弄して相手の精神の荒廃を味わう。食ってる部位は違うが手段は同じで、レクターはある意味とても素直な異常者なんだろうなあ…と思ったりしました。ハンニバルの関係者がだんだん暴力や殺人に対するハードルを下げていくのが恐怖で、結局一度も手を汚さずに済んだ人ってグレアム捜査官の息子くらいでは?ハンニバルとずーっと一緒に過ごして罪の感覚を麻痺させると、便宜上のレクター夫人であるデュ・モーリア博士のような末路に至るというわけです。彼の思う壺だろうな、最終話最終カット。悪夢かな…。
 デュ・モーリア博士についてはレッド・ドラゴン編のキーワードである「無垢すなわち子羊」「経験すなわち虎」の概念がそのままハマりそうです。  ウィリアム・ブレイク。18世紀イギリスの銅版画家、画家、詩人で、強烈で宗教的な「ヴィジョン」を目にしては絵と詩で世界を書き留めた人物とのこと。代表作は「偉大なる赤き竜」シリーズの絵と「無垢と経験の歌」という連作の詩だそうです。青空文庫のデータをサラッと読んでみたところ、彼は無垢なるものと、経験し変化したもののふたつを重要視している。この文脈でいくとデュ・モーリア博士はS1の「無垢」からS3の「経験」へ変貌を遂げたキャラクターの一人だとも読める。  S3後半で、FBI捜査官ウィル・グレアムは彼女に対し「かわいそうな博士。自分を偽って。ハンニバルに飲み込まれて、やつの腹の中で苦しみを味わったってわけだ」と言います。「私の地獄は獣の口に飲まれることから始まった。地獄の門はダンテが考案したもの。地獄の開口部はそれ以前の時代には口だと思われていた」と博士は返答する。なるほど。ここで噛み付き魔ダラハイドのモチーフに繋がってくるわけですね。  ダラハイドは盲目の女性と親しくなり、彼女に眠った虎を触らせる。ダラハイドから見た彼女は太陽をまとう女の姿をしている。
 ブレイクのヴィジョンは宗教をもとにしている。ダラハイドはブレイクの絵「The Great Red Dragon and the Woman Clothed in Sun(太陽をまとう女)」を崇め、絵の前で体を鍛え、自らが赤き竜に変身することを夢見ます。ブレイクの詩で扱われる多くの生き物のモチーフはけっして見たままの生態を書き表しているわけではなく、宗教的な象徴や人間の業についての暗喩ですね。例をあげると「毒���木」という詩では嫌な人に遭遇して抱いた感情を、植物を育てるように胸の中に抱える少年の内心が語られていました(ブレイクは全部こんな調子)なので当然、赤き竜の絵は「空想世界の赤い巨竜カッケ〜」みたいな話ではなくヨハネの黙示録で語られる「7つの頭に宝冠を戴き、10本の角を持つ“赤き竜”」の具現化なんですね、おそらく。  S3-11話のタイトル「And the Beast from the Sea」は聖書で語られる「深淵から出でたもの。7つの頭と10本の角を持ち、それぞれの角に宝冠を戴く”海から来た獣”」だと思われる。The_Beast+Revelationで検索すると、中世独特の気の抜けたタッチで、”赤き竜”が”海から来た獣”に権威を与えている絵がいっぱい出てきて面白い。味があって可愛い。でもこれ普通にレクターとダラハイドの関係ですよね…。こわ…。
 実は黙示録の獣と呼ばれるものはもう一体いて、「子羊のように2本の角を持ち、竜のように話し、海から来た獣の権威を補強する"地の獣"」という呼び名で知られているようなのですね。姿かたちがあまり説明されておらず、「偽預言者」とも呼ばれているようです。  これは人によって解釈は分かれるのでしょうが、私はS3-13話のタイトル「The Wrath of the Lamb」はブレイクの言う無垢なる子羊と、黙示録で獣の手助けをする子羊のダブルミーニングなんじゃないかと思いますね、もっと言ってしまえばFBIにもレクターにも親しむウィル・グレアムその人の二面性の暗喩なんだろうなと。黙示録の偽預言者の末路は海から来た獣とともに火の湖に生きたまま投げ込まれて永遠に苦しむというものなんですけれども、これはS3最終話で崖から水面へ身を投げるレクターとグレアムの姿に変則的に当てはまるんだよな…。救われねぇな…。S3後半はマジでヨハネの黙示録だった…。
 ヨハネの黙示録に正確に倣うと、本当はダラハイド(海の獣)とグレアム捜査官(地の獣=偽預言者)が一緒に身を投げるはずです。でもドラマ版は違う。黙示録の三匹の獣の内ゲバとでも言うべき戦闘の中、ダラハイドはレクターとグレアムの手によって絶命してしまう。  レクター(赤き竜)は黙示録にも描かれているように本来はFBIに取り押さえられて「深淵(牢獄)」に千年繋がれる運命だったはずなのですが、まぁダラハイドを捕まえるために囮として一瞬だけ外界に出たのですね。ドラマ版ハンニバルは黙示録とは別のルートを歩むことになりましたが、黙示録の獣と呼ばれる存在は全て表の世界から姿を消しました。   ☆☆------------ここまでの感想は聖書にまじで縁のない人間の妄言です-----------☆☆ まじで、なにか誤りがあったら教えてほしい。私の聖書の知識は阿刀田高の「知っていますか」シリーズで止まっているので情報の精度が真面目に低い。
頭を使うのも疲れたのでこのブロックはミーハーな感じでいきます!! ジャック無能かよ〜〜〜〜!! アラーナ、次々関係者と寝るのやめろ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!! ウィル・グレアム〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!謎の能力者〜〜〜〜〜〜!!!! グレアム捜査官を見ていると捨て犬を想像してしまうのは何故なんだぜ〜〜〜〜〜〜〜〜!!! 死体!!!ひどいよ!!!!美しいけどご遺体で遊ぶな!!!! 死体でミツバチを飼うな 死体に花を咲かせるな 死体でタワー作るのをやめろ 死体を鹿の角に刺すな そもそも人間を食うな 死体を刺される鹿さんも気の毒だろうが オシャレにダミアン・ハーストみたいな殺し方をするな〜〜〜〜!!! ダミアン・ハースト作品のあの綺麗な断面、もしやレクターみたいに凍らせてから電ノコで切ってる?? っていうか人肉の部位を選り好みするな 内臓だけ抜くな しれっと戦利品として腎臓とか抜くな どうせなら全部食え〜〜!! お料理!!めっちゃ美味しそうだけど、S1-1話を観た日に肉塊を見て良からぬ連想をしてしまいました〜〜〜!!! 各話のサブタイトルがお料理なのが厨二病的にビシビシ刺さります!!カッコいいよ〜〜〜!!! マッツ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!マッツ・ミケルセン〜〜〜〜!!自宅ではいつもジャージのマッツ・ミケルセン〜〜〜〜〜!!!!!!お前は最高だ〜〜〜!!最高だ〜〜〜〜〜〜!!!最高に知的でセクシーでフィレンツェの町並みが似合ってた〜〜〜〜!!!!スーツも、なんか変なペイズリー柄の七面倒臭そうなネクタイも似合ってた〜〜〜〜〜!!!!なんかのインタビューで「ま、僕、老いるから、年をとった僕のことも応援してね」と仰っていたが一生ついていく〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!美の暴力!!!!!北欧の至宝〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!すばら〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!
あ、あと犬ね、うん。グレアム捜査官のおうちの犬たちがとても可愛かった。
*
最後に、サブタイトルについてはTwitterに連ツイしていたものを以下に纏めます。
●シーズン1 フランス料理 1話 Aperitif(食前酒) 2話 Amuse-Bouche(おつまみ) 3話 Potage(とろみのあるスープ) 4話 Oeuf(卵) 5話 Coquilles(貝殻型のグラタン) 6話 Entree(主菜) 7話 Sorbet(冷菓) 8話 Fromage(チーズ) 9話 Trou Normand(ノルマンディーの穴)コース料理の後半に備えて空腹を促す軽食。カルヴァドスと、林檎またはレモンのアイス) 10話 Buffet Froid(映画『料理は冷たくして(1979)』のタイトルそのまま。見どころは洗練されたインテリアと人がバンバン死ぬ様子らしい) 11話 Roti(肉、魚、ジビエ等のロースト料理。コース料理のメイン) 12話 Releves(小型の主菜) 13話 Savoureux(風味豊か)
●シーズン2 懐石/会席料理 1話 懐石(茶事の前に来客をもてなすための料理。飯、汁、刺身、煮物、焼物の一汁三菜を基本とする) 2話 先付(お酒とともに出されるつまみ) 3話 八寸(八寸角の木のお盆に山と海の幸を盛る) 4話 炊き合わせ(2種類以上の煮物を同じ器に盛り合わせる) 5話 向付(名称は飯と汁の奥に皿を置くことに由来する。なますや刺身) 6話 蓋物(おそらく会席料理。蓋のついた器に入った副菜) 7話 焼物(火を使う主菜) 8話 酢肴(酢の物) 9話 強肴(一汁三菜がひととおり提供されたあと、亭主の裁量で出される和え物や揚げ物、炊き合わせ) 10話 中猪口(広口の小さな器に入れた酢の物や和え物) 11話 香の物(会席料理の終盤はご飯、止め椀、香の物の三点が一つの盆にセットで出てくる) 12話 止め腕(会席料理の汁物) 13話 水物(果物、かき氷、飲料などコースの〆となるもの)
●シーズン3 イタリア料理 1話 Antipasto(イタリア料理の前菜。地域によって内容に差があるが、キノコや塩漬け肉、海や川の魚、チーズ、オリーブ、アンチョビ、酢漬けの野菜等が主流) 2話 Primavera(直訳すると“春” タケノコやブロッコリーなど野菜を多用する。春らしい色彩に仕上がった料理をプリマヴェーラ風と呼ぶ) 3話 Secondo(前菜+Primo Piatto、前菜+Secondo Piatto、前菜+Primo+Secondoのいずれかの組み合わせを選択して食べる。Primo Piattoはリゾットやパスタ等の炭水化物で、Secondo Piattoは肉や魚を使った主菜) 4話 Aperitivo(イタリアの夕食は21時前後。夕方に引っ掛けるスプリッツと軽食) 5話 Contorno(Secondoと同時に出される付け合わせ。漬ける、焼く、茹でる等シンプルな調理方法をとる) 6話 Dolce(デザート。ティラミスやパンナコッタ等) 7話 Digestivo(消化を促す食後酒。リモンチェッロ、イチジク酒、オレンジのリキュール等) 8話 The Great Red Dragon(偉大なる赤竜 ※サタンの別称) 9、10、11話のタイトルの前に8話の「The Great Red Dragon」を挿入すると18世紀の知識人ウィリアム・ブレイクの絵画の題名が現れる。9話と10話の絵はとてもよく似ているけれど、違うカメラアングルで描かれた異版とのこと。ヨハネの黙示録を描いている 9話 And the Woman Clothed with the Sun...(太陽を纏う女 ※聖母マリアの意) 10話 And the Woman Clothed in Sun(同上) 11話 ...And the Beast from the Sea(海から来たる獣) 12話 The Number of the Beast Is 666...(獣の数字は666)ブレイクの別の絵のタイトル。劇中の読みはsix six sixでした 13話 The Wrath of the Lamb(子羊の怒り)
---
賛否は分かれているようですが私には合ってたみたいで楽しめました。映画も見返そうっと。
0 notes
xinu1941-1966 · 2 years
Text
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
冷食捜査官 reisyoku sousakan : Frozen Food AGENT 
by とり・みき comic by TORI MIKI
ep.02: Strawberry Fields Forever 2002年
comic_cue Vol.200(特集食べ物天国)掲載
#冷食捜査官 #Frozen Food AGENT #とり・みき #とりみき #TORI MIKI #TORIMIK I#BLADERUNNER #GHOST IN THE SHELL #SF #manga #japan #comic #sciencefiction #Strawberry Fields Forever #ChristmasCake
129 notes · View notes
kennak · 2 years
Quote
改めておさらいしておくと、2015年6月、警視庁高輪署は元TBS記者の山口敬之氏に対し、フリージャーナリスト・伊藤詩織さんへの準強姦容疑で逮捕状を取り、捜査をさらに進めようとしていた。しかし、当時、警視庁刑事部長だった中村氏が逮捕の中止を命じたことで直前になって取り止めとなった(最高裁は今年7月7日、「山口氏による性的暴行があった」ことを認めた)。  この件については、中村氏が週刊新潮の取材に対して「私が決済した。(捜査の中止については)指揮として当然」とその事実を認めたことも話題となった。  つまり逮捕の中止を命じたのは自分であることを隠そうともしなかったのだ。 「警察当局の幹部が個別の案件について取材に応じるというのはほぼ皆無で、現役はもちろん警察OBからも遺憾の声が上がりました。中村氏は普段から冷静沈着なタイプですが、少し油断があったのかもしれません。週刊新潮に喋ってからは、“メディアの幹部を逮捕するというのは大変なことなんだ。たとえ君たちであっても逮捕中止を命じたよ”などと記者たちに話していましたね。要は、捜査中止の判断は間違ってなかったと言いたかったのです」  と、先の社会部記者。 国民に説明しづらい事件に  ただ、こうした説明が「身内」の記者たちに共感を持って受け止められていたのかは定かではない。 「もちろん中村氏側に立つ意見は、警察内部にはあった。つまり証拠隠滅の可能性は低いのだから、取り調べるにしても身柄を取る必要はなく、任意で良いのではないかということです。そういった主張のほうが多かったと思います。  実際、この件は、刑事事件としては嫌疑不十分、つまり、疑いは残るけども証拠が不十分だから起訴しないと検察が判断しました。中村氏はそれもあって、自身の判断の正当性を主張していたようにも記憶しています。  ただ先日、民事事件では性的暴行があったことが最終的に認められたわけで、国民に説明する機会があったとしたら、少し説明しづらい案件になったことは間違いないでしょう」(同)  山口氏が当時、発表した安倍首相(当時)についての著書はベストセラーとなっていた。現役の首相にここまで食い込み、内幕を書くことを許されているジャーナリストがいることは驚きをもって受け止められ、山口氏はワイドショーなどでもコメントを求められる存在となっていた。  そんな記者の逮捕を取り消したことで、中村氏は「首相官邸の番犬」などと揶揄されることとなる。  その一方で同じ刑事部長時代、この逮捕状握り潰しほどは知られていないものの、安倍氏と直接つながる「忖度捜査」に関わっていた。
(3ページ目)「中村警察庁長官」が辞職 「准強姦逮捕状」握り潰しで注目され、戦後最長の安倍政権を支えた最後の官邸官僚 | デイリー新潮
0 notes
pumpkin0141 · 2 years
Text
バットマン葬られた真実を4話まで聴きました。
現時点での感想というか、ほぼほぼリドラーに対する感想になった。
●●●●●●●●●●
ネタバレ注意
●●●●●●●●●●
リドラー最推しです。今回のリドラーはめちゃめちゃ良いね!zero year感ある方向性のキャラ作り感ある。
比較的落ち着きがあり、理性的な発言をし、一般のそれと変わらないような感性をみせ、一見話が通じるような印象を抱かせながら、人命・倫理観に根本的な拗れがあってどこまで行っても小悪党のサイコパス野郎な感じめちゃめちゃ好き
次点ではアーカムシリーズの騒がしいハイテンションマッドサイエンティストおじさんも好きだよ。こちらは小物感強めでめげないしょげない諦めないの自己顕示欲丸出しおじさんやね。
たまーーに的を射た発言をぶっかけてくる理性的な面もあるけど、基本は自分のトラウマからくると思われる攻撃的な発言しか繰り出さない異常者だね。
バッツィへの異常な執着と自分の相手となるのは彼しかいないと豪語する感じはかなり世界が狭めやね。
��か初手からゴア描写えぐい
ブルースが医者(検死医?)としての側面しかなかったり両親が生きている、そういう世界か?と思わせておいて、節々にん?と思わせる描写
やっぱりお母さんの真珠のネックレスが飛び散る描写は共通なんだな。
お父さんの手はとても冷たい、もそういうことなんだろう。
どちらにせよ、ブルース・ウェインは死に近すぎるというか、死人というよりも犯人の視点に立ちすぎている。 
バットマンの根本として、
バットマンもヴィランも結局のところ同じである、
というテーマが根付いているな。   
というところで一転して、資産家のブルース・ウェインが飛行機事故で死亡するニュースと共に主人公がバーバラゴードンにうつる。
この直前に誰かが飛行機事故で死亡したニュースをブルースが聴いている。
世界がリンクしているのか、それともブルースが夢を見ているのか?
若干これはスケアクロウのにおいもしたけど奴は長期の幻覚というよりは恐怖ガスだから違うんだろうが、ブルースにとっての悪夢や恐怖みたいなものはやはり両親がキーになってそうではあるね。
リドラーだ。
リドラー最推しなのでほんとほんと最近推されてて私は嬉しい。
今回のリドラーはかなり解釈好きな方のリドラーです。 
アーカムにおるのにめちゃめちゃバーバラに電話かけるじゃん 
緑の服=リドラーで周知なん草
結構バレるし結構目立つんやね。
なのにパパラッチに写されたくないとかいうならその緑のクッソ目立つ服着てんじゃねえ。
上下緑のセットアップだろてめぇなんなら緑の帽子も被ってんだろ。妖怪全身緑謎謎おじさん。お巡りさん、コイツです。 
アルフレッド相手にして一応敬語だし下手だし挨拶はする。
一見まともそうな振る舞いをするなオメーはよ。
アーカムで模範囚だと言いはるのは真剣なのかジョークなのかイマイチわかんない所がいいな。
解釈というか作者毎にこの辺は変わってそうだけど、共通してどの世界線でも自分を精神異常だと思ってはいるんだろう。
ただ、他の囚人とは違う、あいつらよりマシ、とかは思ってそうだが。 
犬にビビるん可愛い。暴力に弱い。
なぞなぞにすべて例えちゃう癖、可愛いね
途中でキャスターに
おかしいと思わなかったのか?
いつどこで誰がなぜ?それでお前らニュースキャスターは食ってるんだろう?
と詰めたが、
わからない、と言う事についての詰め方がガチ。
頭の悪さが悪いというより、物事の道理についての考え方がかなり潔癖な部類だと思われる。
〇〇であるならば△△でなければならない、みたいな道理が彼の中にありそうだな。と感じさせる一面だと感じた。 
バーバラに静かにしろって言われたら黙っておくの従順だね。
会話の節々に相手を試すように幾度と尋ねるのは、いわゆる試し行為と呼ばれるものなのかな。
謎謎も実際、バーバラの知能の高さが自分が組むのに相応しいか見定めてる感じもあったし、それに合格すれば彼の中では認められる部類に入るんやろう。
明らかにレイシストな振る舞いだが、同じグループ、立場に立ちさえすれば関係性を築くに至るんだろう。
ではなぞなぞをしようじゃないか?←は?可愛い
悪口を皮肉で返す男、ユーモアもジョークもキレがいいね。アルフレッドには一刀両断されてたけど。
バーバラに天才、と言われたら少し不服そうな声を出して
私は天才じゃない
偉大な人間ではない 
非凡な頭脳を持っているのは認める
世界を変えるほどの思想、それは私の持っていないものだ 
って言うのは少し驚きだった。
ここは結構リドラーのキャラの重要な部分だよな。
このリドラーはだいぶ、自分を客観視できているし、自分で自分を小悪党である事を認識しているな。
結構作品によっては、自分の頭脳を過信して天才だなんだと言いはるイメージがあるけども、やっぱ世界を変えようとか、何らかの思想のもとで動いているわけではない、というのはある。
その思想のなさがリドラーというキャラを小物たらしめているし、逆にこういう風に味方としての振る舞いもできるようなものになっている気がする。
ただここでじゃあコイツの核はなんだ?となると、本人も言うように
「才能だよ」
ということなんだな。
彼にとって、非凡な頭脳も才能もそれ単体では天才にも、世界を変える偉大な人間たらしめるものでもない、という考えがしっかりある。
自分で自分を、ただ才能があるだけの矮小な人間に過ぎない事を定義付けた上で、自分なりの行動をしている。
この客観性を持った上で、自己の能力を見せびらかすためと相手を試したい衝動?にかられて狂気的な事件を起こしまくるのか… 
一見、理性的に見えてその実、本能のままに赴く獣のような二面性がたまらんな。
そして自分が獣であることも発言的に認識している。
でもそれしか自分の才能を使う理由がないのかもしれない。
なぞなぞは芸術 
テストも好きだと言ってたが、それとは違って芸術と称するだけあって謎謎は彼にとっての道理を表してるものなのかもしれない。 
何かを表すのにそのものの名前を直接言うのではなく、それを示す抽象的な概念を組み合わせてから、相手にそれを見つけ出させる、という流れは、リドラーにとって大切な儀式の一つなんかも知れない。
バーバラもいうように、謎謎の最後はいつも「私は誰だ?」で終わるのだから、謎謎を通じて自分探しをしている、という説についてリドラーは否定も肯定もしてない。
もしこれが正しいとすると、彼にとって謎謎はそのものの正体?について理解、もしくは定義するための行為なんだろうか。 
名前それ自体に意味はないというか、この世界で当然のように意味を持ってつけられた名前を持つ概念や物体について、謎謎を通して彼なりに再定義して、はじめて彼はその答え(=対象とするもの)を認識できる、というか相手と共有できるのかもな。
謎謎に例えるのが癖、というように謎謎をつ来る行為にも彼にとって意味はありそう。
Aという概念や物があったとして、
謎謎に例える行為によって、Aが一気に抽象的な形のない、しかし確実にそれとわかる特徴を持つ概念に変換される。
その後に、その謎謎を誰かに解かせる行為により、その確実にそれとわかる特徴を持つ概念がAである、という証明をその他者が実行することではじめて、Aという概念を他者と正しく共有できる、ということなんかもしれん。
根本的に、彼は自分の目、頭脳を通して見る世界と、他人が見ている世界が同じものだとは思ってないんじゃないか?
名前自体が大事なんじゃなく、それが持つ仕組みのようなものが重要なんかもしれない。
名前があればそれを言えば何なのかわかる、というのは当たり前のように見えて実はかなり不確かなことだと思う。
ある意味、彼は「賢すぎる」あまりに、名前とそれのもつ仕組みや意義が正しく使われていない世界を理解できちゃうし、それに耐えられない。
リドラーキャラがたりここまでにするか。
頭いいやつと頭いいやつとで捜査進むのテンポ良すぎ
マジで暴力には弱いなんもできんぞこいつ。
やめろ、とか言うてんのほんまクソザコ。
ボコボコにされてうめき声あげてるリドラー君からしか得られない栄養がある
ウギャッって言ってるの笑う
時間がない、私が推理しないとって言ってるのは、やっぱバットマンが自分以外の手で殺されるのは不服なのか?そういう動機なんだろうか?
慣れっこさ、何度もお縄になった悪党だからな
って発言、めちゃめちゃバーバラの悪口を根に持ってて笑う。
自虐なんかもしれんが、どこまで理性でどこまで本能なんだろうね。この辺の曖昧さが精神異常なところなんだろうけども。
なぜ警官になった?
それをバーバラに聴くのは、
人の命に価値はなく、興味もないが、人の思考と人の行動には意味と意義を見出そうとする男が他人を理解するために必要な儀式か?
その後の、
あぁ、ごめん、 
に死んだ。爆弾発言だよ。
あやまる!?あやまる!??????あやまった!!????????
謝る…
リドラーはゴードンを刺した
他に何かがあった?
生きてたらいつか教えるよ何があったか 
↑死ぬ気あんの?
リドラーが謝るって結構とんでもねえことだと思うんだよな。
刺したのは間違いないのか、それとも事故だったのか…? 
リドラーは人命に価値をおいてないだろうし、自分のしでかしている事が悪である自覚はあれど、人殺しに良心が痛むような人物ではないと思うが…
この辺はちょっとあとあとにならんとわからんかも。
でももともと戦闘力クソザコの頭脳特化マンがボコボコにされて手負いで動けなくなったからって本人の能力自体は死んでないがただ単に周囲にデバフかかるのオモロ
本当にクソザコおじさんだな…
今日はここまで。
いつかリドラーのキャラについて考察まとめたいなぁ
1 note · View note
shigerunakano · 2 years
Text
忘れうる伝承
まず第一には家族主義的傾向を挙げることが出来ます。ー家族主義というものがとくに国家構成の原理として高唱されているということ。日本の国家構造の根本的特質が常に家族の延長体として、すなわち具体的には家長としての、国民の「総本家」としての皇室とその「赤子」によって構成された家族国家として表象されること。
‐丸山眞男「日本ファシズムの思想と運動」
ここはどこなのか。もちろん富山県東部を走行中であることは分かっている。しかし横で車を運転する妻の存在も忘れてしまうほどの混迷に襲われていたことは確かだ。辺りはほとんど真っ暗闇である。私は思い出していた。幼い頃「祟りの子」と呼ばれ忌み嫌われていた旧友の存在を。私は山梨県の生まれだが、その響きが妙に頭に残り結局この歳まで度々思い出すことになった、その存在を、再度思い出していたのは偶然ではない。これから調べることになる地域の人びとが信仰心や土着の慣習に基づいて私に依頼をしていることだけは確かなのだ。かつて、森博嗣が「すべてがFになる」で冷戦構造の脅威を描いた時代とは異なるとはいえ、実際の探偵業は理詰めではなく迷信に満ちているというわけだ。
ちなみに、彼の作品群はアンチ・ミステリーという系譜或いは系列に含み入れるべきであると考えているが、これは探偵としての自負でもある。思弁的探偵小説というわけだ。もっとも仮に冷静なミステリー作家がこの世にいればの話だが。
車が目的地である民宿に着いた。駐車場があることは既に聞き及んでおり、そこに車を停めた。宿泊料金は向こうが持ってくれるという。「はじめまして、遠藤さんですね」と言いながら女が出てきた。
お察しのとおり、私は遠藤秀 (みのる) である。どうやらここは朝日町と呼ばれる地域のようで、依頼主である、施設を管理する普通の主婦のような見た目の女性は高橋と名乗った。見た目は可もなく不可もなくといった感じの初老ほどの女性だ。髪型はショートだが、服装が浴衣のようなつなぎでクロックスのような踵を覆うサンダルを屋内で履いていた。彼女の名前は関東地方に多い名前なのではないかと思ったのだが、話の腰を折るのも億劫なので黙っていたがどうやら関東の出身のようであった。
「主人にとっては普通のことが私にとっては不思議なことだらけで……」
大きな声で話す女だと思った。関東の女の印象とは異なるが、指摘しないことにした。その代わりと言っては何だが彼女から事のあらましを語ってもらうことにしよう。
食事を採り、応接間のような場所に通された後に30分ほど世間話に興じることとなり、妻の美貌などの話で盛り上がった。私は否定したが恐らく多くの者にとって妻は美人だろうということは付け加えさせていただく。悪しからず。彼女は庶務だと思って欲しいと言った。事実ではあるが、元々出掛けの際は一人にしておきたくなかったという事情がある。名前は遠藤夫人とでも読んでいただきたい。それにしても声の大きな女だと思った。依頼の件を話すことは可能ですかと彼女に問われ私は快諾した。先程眠っていたからだ。元はといえば5日前に私の事務所に「複雑調査」の依頼が来たことが始まりだった。「複雑調査」というのは私が名付けたサービスの名前で通常の興信所では行わない複雑な依頼のつもりなのだが、実のところ私の理解では特殊な面はない。ただ単に煩雑な調査だと思って頂ければいい。電話越しの彼女が言うには市内3ヶ所の神社に藁人形が釘で刺された上に「レイ破廉恥、座敷男と交わった」という脅し文句のようなものが書かれた貼り紙が貼られていたというのだ。私は実のところその貼り紙に書かれた言葉が気になってわざわざ日本の反対側である日本海に面した富山県にまで来たのであった。
彼女は言う。「初めは近所の人が気付いて話題にしていたのを耳にしたのですが、貼り紙にあるレイというのが他ならぬ私の娘なんです、10歳になります」
「それで、私に依頼したわけですね」
「はい。座敷男と交わったという表現はうぅん、何ていうんでしょう、お前の母ちゃん出臍みたいなこの地域における慣用表現なんです。ひょっとしたら娘に危害を加えるつもりの人物が書いたのではないかと思ったのです」
「ちょっと待ってください。座敷童ではなく、座敷男ですか」
「そうなんです。大人の男は時々見境が無くなるという教訓を込めたと言われています」
「なるほど、警察にはまだ言ってないんですね」
「娘の為にも大事にしたくなかったのでまだ通報はしていません。近所の噂程度です」
「町内会のようなものへは」妻が聞く。
「話していません。私と夫を除いては見つけた近所の方とその方と仲良くされているお宅の方だけではないでしょうか。貼り紙を見つけた橋下という方が言っていました」
「とりあえず、分かりました。また話がある場合はまた明日伺うので、今日は休ませてもらいます。調査もぼちぼち始めます」
「分かりました。それではおやすみなさい」
翌日、私は女将さんに件の神社の住所を聞き妻と一緒に向かった。近年の富山は雨や曇りではなく、むしろ晴れている印象なのだが、その印象に違わず晴れていた。子どもの頃には日本海側は雨や曇りの印象があったが、なぜこうなったのだろうと思う。そのことを妻に話したら無視された。
3件の神社を回ったが、どれも何の変哲もない神社だった。土地の価値の関係か都会にあるものよりも大きく感じた。こんなところに藁人形が打ち付けてあったら驚くだろうなと思った。特に今日のような晴れた日には。しかし正直他には何も分からない。3件目の神社は他のものとは違い鳥居が黒く塗られていたの。既に大分禿げかけていたがそれがかつて黒かったことはよく分かった。
民宿に着いて女将さんに実行した人に身に覚えはないか、と聞いたが身に覚えはないと言う。
3件目の神社の管理を任されているという、橋下というお宅へ向かった。その方が藁人形と貼り紙を持っているというからだ。まだ元気そうなお爺さんが出てきて怪訝な表情を浮かべている。早速用件を伝えると例の貼り紙を持ってきて頂いた。どれも白い紙に黒いマジックのような跡で「レイ破廉恥、座敷男と交わった」と書かれてある。大体前情報の通りだ。今度は藁人形を見せてもらった。藁人形が着いて私はあっ、という声が出た。藁人形が紫色に塗られていたのだ。何かのペンキだろうか。
私と妻は、民宿の部屋に腰を落ち着け、話し合う。
「どういうことなんだろうね」私は言う。
「まぁ、大きな事件というわけではないみたいだし、ゆっくり事に当たればいいんじゃない」
「確かに」
そして私たちはその日は食事を採るまでゆっくり過ごし、その後は寝ることにした。食事は美味しかった。
翌日、私たちは女将さんの許可を貰いレイちゃんの通う小学校に向かった。今日も晴れていた。担任の先生と待ち合わせしたのが午後0時10分で、ちょうど昼休みである。親の許可を得たと伝えた上で探偵であることを述べると大人しく同意してくれた。コンプライアンスがあるだろうがある程度は融通が利くようだ。
職員室に通され「何があったんですか」と単刀直入に尋ねられた。電話越しに分かる通り、若い女性だった。
「近所の神社3件にレイちゃんを誹謗する内容の貼り紙が為されていたんです」
「それは大変ですね、彼女には何と言えばいいですか」と彼女が言う。
「とりあえずレイちゃんには黙っていてあげてください。ところでここからが本題なのですが彼女に過剰な関心を持つ人ないしは生徒に心当たりはありませんか」
「いえ、分かりませんがここ1か月ほどかなり怪しい風貌そして挙動の人が学校の周りで生徒によって確認されています」
「どのような人ですか」
「はい、サングラスをかけており生徒の方を見ながらぶつぶつ独り言を言っていたとのことです。学校の者が確認に当たりましたが残念ながら見つけることは出来ませんでした」
「そうですか。参考になりました。食事の時間も必要でしょうから今日は退席させて頂きます。何かありましたらこちらまで」と言って私は名刺を手渡した。事務所の名刺だ。
「はい、どうもありがとうございました」と彼女は言っていた。
翌日事件は起きた。民宿で妻とテレビを見ていたら、女将がちょっと待っていてくれ、と言って下の方へ降りていきしばらくすると警官が私たちの部屋に来た。警官が部屋まで来て、ちょっと話を伺いたいと言ってきた。民宿の部屋で私たちは警官に、レイちゃんが帰宅途中、何者かに突き倒され背中の辺りに小さな樽一杯分ほどの紫色のペンキをかけられ、軽い擦り傷を負ったと述べられた。目撃者はおらず捜査を進めており、そのことに関して何か知っていることはありませんかと。それと並行して自分たちのこと、すなわち探偵という身分であることについても細かく質問を受けた。必然、話題は神社の藁人形と貼り紙のこととなり、私たちはそのことについて調べていたことを話した。するとどうやら、警官は用を終えたと判断したらしく、部屋から出て行った。
「レイちゃんがそんなことに」妻は言う。
「あまり怪しまれない内に俺たちも撤収することになるかもしれないよ」私は言う。犯人と自分たち、一体どこが違うのかという疑問は口にしないことにした。
「え、自首」
「えぇ、今朝警察から電話がありました。これから、署に向かいます」部屋に入ってくるなり、申し訳なさそうにぶつぶつと声を漏らした後で、女将さんは言う。
犯人が警察に自首したのだそうだ。神社の件も自分がやったと認めていると。警官が民宿に来ており、その説明の合間女将さんから聞かされた。犯人は近所に住む20代の若い男で、レイちゃんに好意を抱く無職だったそうだ。彼女への好意以外に何もなかったと。何の意外性もない展開に驚かされたが、案外、世の中そんなものなのかもしれない。今回の件は自分の手を介在させずに解決したので、初期の費用には達しないが着手金は頂くので、半分程度は料金を頂くことになる。
「こんなふうに帰っちゃっていいのかな」私は妻に言う。
女将さんは料金は後日指定の口座に振り込むと述べ、今回のことでは誠にご感謝致します、と言ってくれた。私が翌日帰ることを告げると、彼女は会釈しながら部屋から去っていった。
翌日宿を離れる際、女将さんに異様に感謝されたのが少し気にかかった。
走り出した車の助手席に座りながら外が曇っていることに気がついた。これでこそ富山。妻に話すとそうだね、と笑ってくれた。
0 notes
shinjihi · 4 years
Text
伊藤詩織氏が告発した山口敬之氏の独占手記
「詩織」と名乗る女性の勇気ある告発!
2017年5月29日、「詩織」と名乗る女性が、東京・霞が関の司法記者クラブで、たくさんの記者とテレビカメラを前に、私から性的暴行の被害を受けたと主張した。
「性犯罪の被害者と主張する女性が顔を出して記者会見を行った」ということで、多くの新聞、テレビ、週刊誌が大きく扱った。この女性は自らの主張を詳細に説明するとともに、2016年7月の検察の不起訴処分について検察審査会に不服申請を行った、と述べた。
この問題は、この会見に先立つ5月中旬、なぜか『週刊新潮』が「安倍総理べったり記者の準強姦逮捕状」というセンセーショナルなタイトルで報じていた。
私は、週刊誌報道の段階から一貫して疑惑を全否定し続けた。しかしメディアの大半は、「勇気ある告発をした」として女性に寄り添い、私を犯罪者と断定するかのような報道が少なくなかった。
また、複数の野党議員が国会の内外で、女性側に寄り添い、事実認識を誤った質問を繰り返した。そしてなぜか、これら野党の主張に共鳴する集団も、ネット上で女性の主張を鵜みにして私を糾弾し、私や私の家族には「死ね」などという誹謗中傷のメールが殺到した。
事実と異なるあなたの主張によって私は名誉を著しく傷つけられ、また記者活動の中断を余儀なくされて、社会的経済的に大きなダメージを負いました。私は虚偽の訴えに強い憤りを感じました。
しかし4カ月あまりの審理の末、検察審査会は9月21日、「不起訴処分は妥当」との最終結論を出した。「犯罪行為があった」という女性の主張は退けられ、刑事事件としては完全に終結した。
 
この間、私は様々な判断から基本的に沈黙を守ってきた。しかし、女性が民事訴訟を提起したことで状況が変わった。これまでの沈黙の理由も含め、私は自らの見解を「当該女性への書簡」という形で申し述べることにした。
いままで私が、沈黙を守ってきた理由
詩織さん、
あなたは性犯罪被害者ではありません。そして、自分が性犯罪被害者でない可能性があるということを、あなたは知っています。
検察審査会は、一般国民から無作為に抽出された11人のメンバーによって構成されます。
そして、あなたの「犯罪行為があった」という主張と、私の「犯罪行為はなかった」という主張、さらに当局が収集した膨大な客観的な物証に基づく4カ月あまりの審査の結果、検察審査会は「不起訴処分は妥当であった」という結論に達しました。
 
これにより、刑事裁判によって私に犯罪者という汚名を着せようというあなたの企ては、最終的に失敗したわけです。
もしあなたが民事訴訟に打って出なければ、私はこれ以上の議論をしないつもりでいました。それは、これまで沈黙を守ってきた判断と同様に、傷ついているように見えるあなたがさらに傷つく危険性があると判断したからです。
しかし、あなたがあえて「不法行為があった」との主張を民事訴訟の場で繰り返すのであれば、無関係な他者を巻き込んで騒動を継続しようとするならば、私は自らの主張の中身を公表せざるを得ません。
 
それは「あなたの主張が事実と異なっている」ことを示すことを一義的な目的としますが、そのために「全く根拠がないことを事実だと思い込むあなた特有の傾向」まで指摘することになります。
残念ですが、あなたが選んだ道ですから、冷静かつ論理的に、私の主張の一部をここに示すこととします。
 
あなたの主張は、要約すれば「2015年4月3日の夜、抗拒不能な状態で意に反して性行為をされた」ということになります。そしてそれは、「飲食店のトイレから翌朝5時まで継続して意識を失っていた」というあなたの認識に立脚しています。
 
それは全く事実ではありません。また、あなたは自らの主張が正しいと立証することが絶対にできません。このことは、実は捜査段階ですでに明確に示されていました。
だからこそ検察官は不起訴処分という結論に達し、検察審査会もその判断が妥当という最終結論に至ったのです。私はこれから、その詳細を5つの事象に分けて説明します。
①「デートレイプドラッグ」
②「ブラックアウト」(アルコール性健忘)
③詩織氏特有の性質
④あとから作られた「魂の殺人」
⑤ワシントンでの仕事への強い執着
①「デートレイプドラッグ」――間違った主張のはじまり
あなたの「犯罪被害に遭った」という主張は、「私はお酒ですっぽり記憶を失くした経験はない」から、「山口氏にデートレイプドラッグを混入されたと思っている」という点からスタートしています。
 
私はそれを聞いて本当に驚きました。私はそもそも、デートレイプドラッグというもの自体を知らなかったからです。しかも、当夜の状況を見れば、私があなたのグラスにいかなる薬物も混入させることなどできなかったことは明白です。
2015年4月3日、我々は東京・恵比寿の2軒の店で飲食しました。1軒目は庶民的な串焼き店、2軒目はカウンターの寿司店。2軒とも、10数人も座ればいっぱいになる、小さいけれども明るいオープンカウンターの店で、客は店主と向き合って座ります。
1軒目の串焼き店はほぼ満席で、我々の両サイドにお客さんが座っていました。2軒目の寿司店もたくさんのお客さんで賑わっており、ほぼ満席でした。
 
当地で生まれ育った私にとって、両店は20年以上通う行きつけのお店です。あなたも記憶していると希望しますが、私はどちらの店でも、馴染みの店主やその奥さんと親しく談笑しました。
 
あの夜、あなたはいろいろな種類の酒を飲みましたね。1軒目の店に座ってほどなく、私はあなたの飲むペースが非常に早く、かなり強いお酒をぐいぐいと一気飲みのように飲むことに気が付きました。
少し心配になり、
「大丈夫ですか?」
と訊きました。するとあなたは、
「喉が渇いているので。お酒は強いほうだから大丈夫です」
と答え、その後もハイペースで飲み続けました。
私は少し驚きながらも、いい大人なのだからと、それ以上は警告をしませんでした。もちろん、私があなたに飲酒を強要したことは一切ないこともお認めになりますね?
結局、あなたは2軒の店でビール、サワー、ワイン、日本酒を飲んだ。そして2軒目の寿司店で、当夜1回目のトイレに立って、そこで酔いつぶれた。あなたは記憶を失ったのは2回目だったと主張しています。
しかし、あなたが寿司店でトイレの場所を私に訊いてから席を立ち、その後、戻ってこなかったので私はよく覚えているのです。酔いつぶれてしまった女性が、直前のトイレの回数を正確に覚えているというのも不思議な話です。
あえて2回目と主張しているのは、そう主張することで私に薬を入れる機会があったと主張するためではありませんか?
 
要するに、あの夜、あなたが飲んだ全てのアルコールのグラスは、ずっとあなたの目の前にあったのです。
 
百歩譲って、あなたがつぶれたのが2回目のトイレだとしても、ほぼ満席の客でごった返す明るいカウンター席の店で、顔馴染みの店主や従業員のいる前で、女性のグラスに薬品を入れることなどできるはずもありません。
「山口に違法ドラッグを飲まされた」
しかも驚くべきことに、あなたは薬を入れているところを見たわけでも、その後、目撃証言を得たわけでもなく、「私は酒に強いはずなのに、急に酔いが回ったから、山口に薬を盛られたに違いない」と言うのです。
失礼千万な話です。
 
あなたの言う「デートレイプドラッグ」は、その後、調べてみたところ、町の薬局で手に入るものではなく、ほとんどがインターネットを通じた取引だということですね。
私は所有していたすべてのパソコン、携帯電話、タブレットなど、ありとあらゆる物を警察に提供しましたが、違法薬物の購入や使用に繋がる物証は一切ありませんでした。
 
もし私が違法薬物を入手したり使用したりしたのであれば、日本の優秀な警察機構は何らかの手掛かりを見つけたはずですが、あなたの主張を聞いたにもかかわらず、そんなものはなかった。
串焼き店、寿司店でも捜査員が証言を集めに回ったことが確認されていますが、そこでも薬物混入を示す証言は一切なかったのです。
当たり前です。繰り返しますが、私はあなたの言う「デートレイプドラッグ」などというものは、聞いたことも見たこともないのです。
 
あなたはただ、「自分の酒量を過信して飲みすぎた」だけなのです。それはよくあることで、そのこと自体を強く責める気はしません。
しかし恐るべきは、その後のあなたの見解です。自分の飲みすぎを認めないばかりか、何の証拠もなく、「山口に違法ドラッグを飲まされた」という前提で主張のすべてを組み立てている。
 
記者会見で、デートレイプドラッグを盛られたという主張をした際に、あなたは「他に思い当たる節もある」と述べました。それは何を指しますか? 明確に示して下さい。
そんなものはあるはずがない。あなたの勘違いと思い込みなのだから。ありもしない証拠や傍証を、あたかも存在するかのように記者会見の場で匂わせるのは、卑怯なやり方です。
②ブラックアウト(アルコール性健忘)
繰り返しますが、あなたはいかなる薬物も混入されていません。ただ、飲みすぎただけです。
その一方で、あなたは記者会見で「私は酒に強く、泥酔したり酔いつぶれたりしたことはない」と主張しました。ということは、あのように泥酔してしまったのは人生で初めての経験ということになりますね。
 
それならば、あなたは酒の過剰摂取の影響下で、自分がどう行動するか、そして、その行動をどこまで記憶しているか、経験がないから類推できない。これが、今回の問題の核心部分です。
 
寿司屋でトイレに入ったあなたは、長い間出てこなかった。心配になった店の方に促されて、ようやく出てきたあなたは、見るからに酔っぱらっていました。驚いた私は、やむなく急いで会計を済ませました。
 
店を出たのは22時半から23時頃だったと思います。店を出る段階で、あなたは足元が覚束なかった。そして、店の入り口左手にあった荷物置きの棚から、あなたは自分のショルダーバッグに加えて、他のお客さんのカバンも持って出てしまったことが、あとになってわかっています。
誰が見ても、一人で電車に乗って帰すことは困難な状態でした。
 
しかし、私は当時、TBS報道局のワシントン支局長を務めていたので、ワシントン時間の午前中、すなわち日本時間の23時過ぎまでに済ませなければならない作業(メール確認やパソコンでの調査・連絡)を複数抱えていました。
神奈川県に住んでいるあなたを送っていったら作業が時間内に終わらない。しかし、あなたは自力では帰れそうにない。私はやむなく、当時逗留していたホテルで休んで酔いを醒まし��もらい、自分の作業を終えてから送って帰るしかないと判断しました。
「意識のない状態で部屋に連れ込まれた」
あなたはタクシー運転手の証言を元に、「『駅で降ろしてください』と言ったのにホテルに連れて行かれた。だからその段階で犯意があったのだ」というストーリーを作ろうとしているが、とんでもないことです。
そもそもあなたは、「寿司店のトイレ以降、記憶がない」と主張しています。あなたが相当程度酔っていたことは、あなたも認めているのです。
実際、あなたはそのタクシーのなかで嘔吐したではありませんか。嘔吐し、朦朧とした泥酔者が「駅で降ろしてください」と言ったからといって、本当に駅に放置すべきだと思いますか?
 
私が宿泊していた白金高輪のシェラトン都ホテルに到着すると、私は泥酔しているあなたがタクシーから降りるのを手伝いました。あなたはタクシーのなかで嘔吐したこともあって、傍目には少し回復したように見えました。
そして、千鳥足ではありますが、自分の足で歩きました。
 
このホテルでの移動について、あなたは「意識のない状態で部屋に連れ込まれた」と主張していますが、それはあなたが何と言おうと物理的に全く不可能です。ホテルの1階ロビーは、車寄せからエレベーターホールまで100メートルほどあります。
もしあなたの主張どおり、全く意識がない状態だったとしたら、私はあなたを抱えて、どうやって100メートルも移動したというのでしょうか? 
衆人環視のなか、正体不明の大人の女性を荷物のように背負ったり、引きずって歩いたりしたとでもいうのでしょうか?
あのホテルは、車寄せから入り口を入ると、まずドアマンや荷物係が待機しており、正面には24時まで営業している大規模なラウンジ、そして右手に曲がるとホテルフロントがあり、レセプションの人やコンシェルジェ、案内係がズラリと並んでいます。
意識を失っている、あるいは意に反して無理矢理移動させられている女性がいたとして、一流ホテルの訓練された接客のプロたち全員が、それを見逃すということがありうるでしょうか?
 
しかも、4月3日は金曜日で、ロビー階では多くの宿泊客やレストランの利用客が往来していました。あなたの主張がいかにありえないかは、金曜日の夜11時に、都ホテルに行ってみればすぐにわかります。
 
実際のあなたは、2つのカバンを自分で持って、自分の足でヨタヨタと歩いたのです。もちろん、千鳥足ではありましたから、私はあなたが転ばないように注意はしましたが、移動を無理強いしたり、あるいは担いだり引きずったりは一切していません。
防犯カメラに映っているのも、「意識のないあなた」ではなく、「酔っぱらっているけれども何とか自力で歩けるあなた」です。
 
要するにあなたは、犯罪行為が行われたという主張の根幹をなす「意識のない状態が朝まで続いた」という認識の一環として、「ホテル到着時も意識がなかった」との立場をとっていますが、あなたの主張は物理的にありえないのです。
 
私の部屋がある階でエレベーターを降りたあとも、あなたは自分の足で普通に歩きました。私が部屋の鍵を開けると、あなたは私を押しのけて先に部屋のなかに入り、小走りに窓際に向かいました。そして、いきなり嘔吐しました。
あなたは、いびきをかいて、寝ていた
私は翌朝、アメリカに帰ることになっていたので、パッキング前の荷物を窓際にまとめて置いていましたが、その上にも吐瀉物が飛び散りました。
自分の荷物を汚されて少なからず驚いていると、あなたは今度は踵を返して、無言でトイレに駆け込みました。あなたの吐瀉物をタオルで拭いておりますと、トイレのなかから嘔吐する大きな音が2度しました。
 
正直に言って、本当に迷惑でした。やらなきゃならない仕事を抱えて、翌日の移動のためにパッキングもしなければならないのに、荷物をゲロまみれにされたうえにトイレを占領されている。
しかし、早く済ませなければならない作業が複数あったので、私はやむなくパソコンに向かいました。仕事が一段落してもあなたがトイレから出てこないので、私は心配になってドアをノックしました。
すると、なかからかすかな声が聞こえたのでドアノブを回すと、ドアは施錠されていなかったため、ドアを開けてなかを見ると、あなたは尻もちをついて、トイレとバスタブの間に座り込んでいました。ブラウスとスラックスは、大量の吐瀉物で汚れていました。
 
私は吐瀉物が苦手なので自分も吐きそうになりましたが、このまま放置すると喉に物を詰まらせて事故を起こす可能性もあったので、やむなくなかに入って吐瀉物をタオルで拭い、あなたを起こそうと努力しました。
あなたは謝罪ともうめき声ともつかない声を上げながら、なんとか自ら起き上がりました。そしてゲロまみれのブラウスを脱ぎ、部屋に戻るとベッドに倒れ込み、そのまま寝てしまったのです。
 
私はあなたのあまりの痴態に怒り呆れましたが、翌日着るものがないとかわいそうだと思い、トイレに放置されたあなたのブラウスのゲロを拭って浴室に干しました。
また、バスルームの床面もゲロまみれだったので、シャワーで洗い流すなどして部屋に戻ると、あなたはいびきをかいて寝ていました。
 
部屋はツインで、シングルベッドが2つありました。前日まで私が寝ていたベッドはあなたに占領され、もう1つのベッドは、ベッドメイキングを壊さないままパッキング前の衣類などを並べていました。
私が全ての仕事を終えても、あなたは相変わらずいびきをかいて眠りこけていたので、私は荷物置き場にしていたベッドの、わずかに空いたスペースに身を横たえました。
下着姿でミネラルウォーターをごくごく。そして――
部屋に入ってどのくらい時間が経ったのか。
 
私がまどろんでいると、あなたが突然起き出して、トイレに行きました。ほどなくトイレが流れる音がして、下着姿のあなたが戻ってきました。
「喉が渇いたのですが、飲み物をもらってもいいですか?」と言って、あなたがホテルの冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、自分でキャップをひねって開けて直接飲みました。
下着姿であることを全く気にしていないのには少し驚きましたが、外国生活が長いせいかなと類推したのを覚えています。
 
そして、ペットボトルの水を何度かごくごくと飲んだあなたは、私が横たわっているベッドに近寄ってきて、ペットボトルをベッドサイドのテーブルに置くと、急に床に跪いて、部屋中に吐き散らかしたことについて謝り始めました。
面食らった私は、ひとまずいままであなたが寝ていたベッドに戻るよう促しました。
 
ここから先、何が起きたかは、敢えて触れないこととします。あなたの行動や態度を詳述することは、あなたを傷つけることになるからです。
はっきり言えるのは、私はあの日、あなたに薬物を飲ませたり、いやがるあなたを部屋に連れ込んだりしなかったのと同様に、部屋のなかでもあなたの意思に反する行動は一切していないということです。
もし、あなたが覚えていることがあり、自分で差し支えないと考えるなら遠慮なく言って下さい。
誰も証明できない「密室」での出来事
もうひとつ強調したいのは、トイレから戻ったあとのあなたは、立ち居振る舞いもしゃべり方も正常で、すっかり酔いから醒めたように見えたということです。
それまでに複数回にわたって大量に嘔吐したあと熟睡したので、それで楽になったのかなと思いました。その後しばらくして、あなたはまた眠りに落ちました。
要するに、あなたは「朝まで意識がなかった」のでは決してなく、未明の時間に自ら起き、大人の女性として行動し、そしてまた眠ったのです。
 
あなたはこのことを覚えていないのかもしれない。あるいは覚えていたが忘れてしまったのかもしれない。あるいは覚えているのに黙っているのかもしれない。
それは私にはわからない。密室での出来事ですから、誰も証言してくれる人はいない。
 
しかし、1つだけ客観的な事実を示すことができます。私は一時帰国の期間中、1度もホテルの冷蔵庫の飲み物を消費していません。室内のミニバーの飲料はどれも高価で、好みのものもなかったので、飲み物はコンビニで買って持ち込んでいました。
だから、7日間の滞在で、唯一の冷蔵庫の出費こそが、あなたが飲んだミネラルウォーターだったのです。
 
このことは、ホテルの領収書によって簡単に証明できます。あなたは、未明に自分で起きて、トイレに行ったあと、自ら冷蔵庫を開け、自分の力でペットボトルのふたを開け、飲んだ。
これはあなたの「朝まで全く意識がなかった」という主張とは完全に矛盾します。
 
その後、あなたが被害届を出して、私は警察の聴取に全面的に協力しました。そのなかで、深夜のあなたの覚醒と再睡眠について何度も質問されました。
ペットボトルのことも含め、私は覚えていることを繰り返し詳細に話しました。おそらく捜査員は私から聞いたことを踏まえてあなたに確認し、その答えを踏まえてまた私に聞き直すということを繰り返したのでしょう。
何回か聴取が繰り返されたあと、捜査員は私にこう言いました。
「あなたの供述は何度聞いても詳細で矛盾がない。他方、詩織さんは朝まで記憶がなかったと言っている。双方の主張は一見矛盾しているようだが、2人ともウソをついていない可能性が1つある。それは『ブラックアウト』だ」
 
英語でブラックアウトと言えば、真っ先に浮かぶのは停電です。しかし、捜査員の言うブラックアウトは違いました。アルコールの影響で、記憶の一部または全部が欠落してしまう現象のことをいうらしい。
たしかに、酒を飲みすぎてどうやって家に帰ったか覚えていないという話は珍しいものではありません。自力で歩き、自分でカギを開け、部屋まで辿り着いて寝たが、ただその経過の記憶だけがすっぽりと抜け落ちている。
 
それでも、最初に捜査員にブラックアウトの可能性を指摘された時には、私はにわかには信じられませんでした。
というのは、トイレから戻って再び眠るまでのあなたの行動は所作も会話も全く正常で、のちに記憶を失うような泥酔した状態とは到底思えなかったからです。そのことも捜査員に指摘しました。
 
しかし、医学的に「アルコール性健忘」といわれるこの現象は、アルコールの過剰摂取によって、脳内で記憶を司る「海馬」という組織の機能だけが低下することによって起きるため、傍から見ると当人の行動は、まったく酔っていないように見えるといいます。
普通に歩き、しゃべり、飲食をしているが、その状況を記憶として脳に保存することだけができない。もし当夜、そういう状況にあったのであれば、「朝まで記憶がなかった」とあなたが主張したとしても、辻褄が合うのです。
(つづく)
(初出:月刊『Hanada』2017年12月号)
【独占手記】私を訴えた伊藤詩織さんへ「後編」
③詩織氏特有の性質――「盗撮されたに違いない」
捜査員が示した可能性は、簡単に言えば「飲みすぎて記憶が飛んでしまった」という、酒飲みにとってはよくあるありふれた話です。
しかし、しかしです。私と同じく、あなたも捜査員からブラックアウトの可能性について説明を受けたはずだ。そして、あなたは記憶がないからこそ、「ブラックアウトではなかった」と断言することは絶対にできない。
 
しかも、あの夜は人生で初めて自分の酒量の限度を超えて飲んでしまったのだから、なおさらです。
それまでの人生でアルコール性健���の経験がなかったからといって、その現象が自分には絶対に起こりえないと断定するのは、少し独り善がりが過ぎませんか? 
そして、「自分が飲みすぎたはずはない」という無理な論理を補強するために、根拠もないのに「デートレイプドラッグ」などという違法薬物の話を思いついたのではありませんか?
 
そこで、私が指摘せざるを得ないのが、あなた特有の思考傾向です。
たとえば、あなたは朝起きてテーブルの上に私のパソコンがあるのを見て、咄嗟に「盗撮されたに違いない」と思ったと述べていますね。そしてそれが、警察が強制捜査に着手するきっかけになったとも言っています。
 
私のような仕事をしている人間は、例外なくパソコンを使っている。部屋にパソコンがあるからといって、自分が盗撮されたと思い込むというのは、あまり普通の思考回路ではない。
実際、そのパソコンは警察に提出され、盗撮映像など一切出てきませんでした。当たり前です。私は盗撮などしていないからです。
 
それから、あなたは「独自調査の結果、得られた新しい証拠を検察審査会に提出した」とも述べました。そこで例示したのがタクシー運転手の証言でした。しかし警察は、そのタクシー運転手から早い段階で聴取を行っていました。
その証言に基づいて、私は捜査員から何度も質問されている。そのことはあなたも知っている。その証言も踏まえた捜査が行われ、検察官は不起訴という判断を下したのです。
「自分は酒に強いから薬物を盛られたに違いない」
「ブラックアウトは、自分には起こり得ない」
「パソコンがあるなら盗撮されたに違いない」
「自分は初めて聞いたから、新証拠だ」
 
あなたの思考パターンには、まず強い自意識があって、自分を被害者、私を悪意ある犯罪者と思い込むことによって、全ての事象をそのストーリーにはめ込もうとしているのではないか。
その結果、冷静な判断ができなくなり、結果として事実ではないことや根拠のないことを、自ら信じ込んでしまっているのではないか。そう考えざるを得ないのです。
④あとから作られた「魂の殺人」――「レイプは魂の殺人です」
ここまでは、「~に違いない」というあなた特有の思考パターンから、私を犯罪者と思い込むに至った流れを類推しました。
 
しかしこれから述べることは、アルコールという外的要因によって起きた、いわば不可抗力的なものではありません。事後、あなたの心の内部で時間の経過とともに深まっていった、不可解な「後付けの被害者意識」についてです。
 
あなたは記者会見で、「私はレイプされました」 「内側から殺されました」 「レイプは魂の殺人です」と、非常にエモーショナルに訴えた。
しかし、その激しい怒りと憎悪は、最初から一貫したものではなかったことを証明します。それは、事後のあなたの行動と発言を精査することによって、はっきりと浮かび上がります。
 
あなたは「給水タンクに寄りかかってから朝まで意識がなかった」という前提の下で、自分がレイプされたと朝の段階で確信し、口論の末に逃げるように部屋を出たと主張している。
しかし、あなたの翌朝の行動は、明らかにあなたの主張と矛盾しています。まずは翌朝のあなたの様子について、私の覚えている限り記述します。
 
1度未明に起きたあと、再び眠りに落ちたあなたは、朝になってもう1度起きた。そして、私とごく普通の会話をし、ごく普通にホテルの部屋を出ていった。途中、1回だけ英語で少し大きな声を出しました。
「I fucked without contraceptives.」(避妊しないでやっちゃったわ)
 
急に英語で大声を出し、しかもfucked というあまり上品でない単語を使ったので、私は違和感を覚えましたが、あなたがすぐに日本語に戻ったので、特に気にしませんでした。
日本語の会話は、通常の音量で平穏な口調で、その日の予定や今後の連絡の取り方など、差し障りのない雑談でした。「口論の末逃げ帰った」というあなたの主張は、事実とかけ離れています。
なぜ「レイプ犯」のTシャツを着て帰ったのか?
しかし、もしあなたが朝の段階で私にレイプされたと思っていたのであれば、絶対にしないはずの行動をし、絶対にしたはずの行動をしていない。
まず、絶対にしないはずの行動について説明しましょう。
 
朝起きてトイレから戻ってきたあなたは、浴室に干されていたブラウスを手に、
「ブラウスが少し生乾きなんだけど、Tシャツみたいなものをお借りできませんか」
 
あなたのブラウスは化繊の薄手のもので、朝までに相当程度乾いていたため、濡れて着用できない状況ではないように見えました。
しかし、私としては別に断る理由もなかったので、パッキング途中のスーツケースを指し、
「そのなかの、好きなものを選んで着ていっていいですよ」
と言いましたね。
あなたはスーツケースから、私のTシャツのうちの1つを選び、その場で素肌に身に着けました。覚えていないとは言わせません。
レイプの被害に遭ったと思っている女性が、まさにレイプされた翌朝、レイプ犯のTシャツを地肌に進んで身に着けるようなことがあるのでしょうか?
 
私はこのTシャツの末についても、捜査員に伝えました。そして、できれば返してほしいとお願いした。
しかし捜査員は、
「いまはまだ捜査の途中だから、物品の返却についてはもう少しあとで考えましょう」
と言われました。
結局、私はそのTシャツを未だに返してもらっていません。そのTシャツの存在を認めると、自分の主張の辻褄が合わなくなるからですか?
あなたは記者会見で、自分が受けたと主張する「被害」について、「レイプという行為は私を内側から殺しました。レイプは魂の殺人です」とまで表現しました。
そこまで言うのであれば、いまのあなたは、私のTシャツを素肌に身に着けることなど、おぞましくて決してできないでしょう。
 
それならば、「あの朝のあなた」と「いまのあなた」の感情は、全く種類が異なっていることは明らかです。すなわち、あなたの強い被害者意識は最初からあったのではなく、あとから時間をかけて醸成されたものだということになります。
「レイプ犯」に送った「お疲れ様です」メールの謎
そしてもう1つ。「薬物を盛られてレイプの被害に遭った」と思っている人ならば、絶対にしたはずの行動をあなたはしなかった。それは病院での検査内容にかかわることです。
あなたは、ホテルを出て数時間後に婦人科に行ったと証言しているが、そこでどんな検査を受けましたか? 
妊娠していないかどうかだけを検査し、ピルをもらったと言っている。ホテルの部屋での、英語の独り言の内容と符合します。
19 notes · View notes
myonbl · 4 years
Text
2020年8月2日(日)
Tumblr media
8月に入って最初の日曜日、ツレアイ(訪問看護師)は半日出勤。それならその時間を私(私立大学教員)も働かねばと、こちらは食材整理。このところ、師匠と仰ぐ<大橋由香さん>と<コウケンテツさん>のチャンネルで得た小技・ノウハウを自分のものとすべく、傷みかけた野菜で3品作成。ランチは・・・どうみてもビールやね。
Tumblr media
マルタイラーメン+ヨーグルト+豆乳。
ツレアイは昼まで仕事、他は休み。
洗濯1回。
朝食を済ませてから考えることは、昼と夜の食事メニュー。息子たちのランチは「素麺」で決まり、夜はストウブ鍋とIHヒーターで「すき焼き」に決定。
このところ日課となっているのは、Koh Kentetsu Kitchen【料理研究家コウケンテツ公式チャンネル】を楽しむこと。短時間で美味しく、かつ合理的な調理法は本当に勉強になる。
西大路花屋町・セントラルスクエアまで買物、素麺・マルタイラーメン・キュウリ・パプリカ。
冷蔵庫の食材整理、傷みかけの野菜を早く何とかせねば。
Tumblr media
まずは、ナスとピーマンの消費メニュー。豚バラ肉が少しあったので、タマネギとニンニクを加えた甘辛仕上げ。ポイント(?)は、ナスとピーマンの切り方。
Tumblr media
次はコウ・ケンテツさんのレシピそのままに、パプリカのトロトロオイル蒸し。
Tumblr media
先週奥川ファームから届いたトウガラシが冷蔵庫に眠っていた。しばらく水に漬けて生気回復、グリルパンで焼くだけ。
Tumblr media
息子たちには素麺、仕事から帰ったツレアイには、T姉からいただいたボルドーの白を冷やして慰労。
録画番組視聴。
TBS落語研究会
「藪入り」柳家權太樓
「近日息子」桂三木助
「三井の大黒」入船亭扇遊
権太楼師は実に緻密、三木助は観ず、扇遊師はニンにあった噺で誠に結構。
名探偵ポワロ(18)「誘拐された総理大臣」
パリで開かれる国際連盟の軍縮会議に向かう首相を狙った暗殺未遂事件が新聞で報じられる。ポワロは事件が単なるいたずらとしか思えなかった。ところが外務次官じきじきの依頼で外務省に赴くと、首相はフランスで秘書のダニエルズ中佐と共に誘拐され行方不明だという。ポワロが捜査に乗り出すが、銃撃の目撃者である運転手も行方不明になっていた。
Wkipediaによれば、<クリスティ自身は自伝の中で「初めの3、4作で彼を見捨て、もっと若い誰かで再出発すべきであった」と述べている。孫のマシュー・プリチャードの証言では、クリスティはポアロにうんざりしていたが、出版社などに半ば強制される形でシリーズを書きついでいた>とのこと。作家の思いはそんなものかも知れないが、商品としてはやはりよく出来ていて楽しめる。
Tumblr media
鍋をストウブに入れ替えたので、「鍋物」にはソテーパンを使うことにする。amazonで購入した安いIHクッキングヒーターとセットにして、今夜はすき焼き。カセットコンロより幅はあっても高さがないので、使いやすい。冬には重宝しそうだ。
風呂の順番を待つ間に台所を片付ける。
風呂から上がって寝支度をし、就寝前読書。iPhone で amazon prime music を流していたが、気がつけば日付変更線を越えている。来週水曜日の内科受診に向けてアルコールをセーブしているので、なかなか睡魔がやって来ないのだ。
Tumblr media
7月の燃費、近場が多かったのでやや低調。
Tumblr media
暑いときには無理しないこと。
4 notes · View notes
xf-2 · 4 years
Link
中国から“救出”された最初の日本人
「国家安全当局が岩谷氏の滞在するホテルの部屋を捜査したところ、中国の国家機密と関連する資料を発見した」   2019年11月15日午後、北京市中心部の中国外務省で定例記者会見に臨んだ耿爽報道官は、北京訪問中の北海道大学の岩谷將(のぶ)教授が9月8日に国家安全当局に連行された理由について、説明を始めた。 「取り調べを受けた岩谷氏は、以前も中国の秘密資料を大量に収集していたことを供述した。違法をおかした事実関係は明白であり、証拠もしっかりしている。彼の行為は、中国人民共和国の『刑法』と『反スパイ法』に違反している」   こう強調した耿報道官だが、突然声のトーンを下げ、「岩谷氏は罪を認めており、後悔の念も示したことを考慮して、中国は彼を訓戒したうえで保釈を認めた」と述べた。   耿報道官が会見を開く数時間前、岩谷氏は釈放され、日本に戻る飛行機に搭乗した。   中国政府は2015年春から、中国国内で「日本人スパイ狩り」を始めた。これまでに10人以上が拘束され、なかには最高で懲役15年の判決を受けている人もいる。 「後悔の念を示した」ことを理由に釈放され、帰国した岩谷氏は日本政府とメディア、言論人が力を合わせて、中国から“救出”した最初の日本人といえる。
入国して間もなく拘束
中国政治、軍事史の研究者として知られている岩谷氏は、日中戦争史、中華人民共和国建国前の政治史などを専門にしており、かつて防衛省防衛研究所で戦史研究センターの教官、外務省大臣官房国際文化協力室の主任研究官を務めた経歴をもつ。中国政府系シンクタンク・中国社会科学院近代史研究所の招聘で9月3日に北京入りし、同月8日に連行され、釈放されるまで約9週間、拘束された。  帰国した岩谷氏が中国で起きたことの詳細を明らかにしていないため、日中関係者の間で未だにさまざまな憶測が飛び交っている。   ある中国情報機関に詳しい共産党関係者は、「岩谷氏が中国に入国して間もなく拘束されたことから、中国の国家安全当局が、まず拘束する方針を固め、社会科学院と連携して岩谷氏を呼び寄せた可能性がある」と推測する。
これのどこが国家機密なのか
中国当局が主張する「国家機密」の詳細は明らかではないが、「岩谷氏はこれまでも、自らの研究テーマである日中戦争など当時の資料を収集するため、中国に渡航したことがあった」と証言する関��者もいる。主に古本業者から購入していたという。   80~100年前の歴史資料が「国家機密」でないことは、国際社会の常識である。中国でも、その年代の資料は基本的に公開されている。しかし中国の治安当局は、拘束の口実として、岩谷氏が手に入れた歴史文献が「国家機密」と主張した可能性もある。
中国当局の逆鱗に触れた?
南京事件の経緯や慰安婦問題など日中戦争当時の出来事について、中国政府と日本の研究者の間で大きな見解の違いがあり、岩谷氏はこれまでに、中国当局の主張を実質的に否定する論考を展開したこともある。一部の関係者の間で、「岩谷氏の研究が中国当局の逆鱗に触れたのではないか」との見方が示されている。   もし岩谷氏の拘束理由が研究内容と関係しているのであれば、日本の中国研究者の学問の自由が侵される由々しき事態といえる。
日本の対中外交の小さな勝利
岩谷氏が2カ月あまりで釈放されたことについて、日中関係者の間で「日本の対中外交の小さな勝利だ」と指摘する声がある。なぜなら、これまでスパイ容疑で拘束された日本人は、ほとんど起訴されているからだ。   岩谷氏のように「違法をおかした事実関係は明白であり、証拠もしっかりしている」事件なら、「数年~10年以上の懲役刑は避けられない」(中国共産党関係者)はずだった。それを中国当局が突然、譲歩したのは、日本メディアがこの問題を大きく伝え、「中国に対する強い姿勢」を示したことによる力が大きいと筆者は考える。
「記事にするな」と外務省が産経新聞記者を恫喝
筆者は産経新聞の北京駐在記者時代の2015年頃から、中国による日本人拘束問題をたびたび紙面や雑誌などで大きく取り上げ、会合などで国会議員に直接訴えたこともあった。   しかし、肝心の日本外務省はこの問題に消極的で、さまざまな形で筆者に圧力を加えたこともあった。「北京と交渉しているから、書かれたらうまくいかなくなる」というのが彼らの言い分で、当初、筆者もそれを信じ、記事を見送ったこともあったが、3年経っても4年経っても一人も救出できずに、中国に拘束される日本人は増えるばかり。邦人を救出しようとしているのではなく、中国を刺激したくないのが外務省関係者の本音であることに気づいた。   今回の岩谷事件について、北京駐在の同僚記者が「拘束された事実」を確認し、記事化する際にも、外務省高官から「絶対に書くな」 「責任をとれるのか」などと恫喝されている。
「知中派」も一斉に抗議
産経新聞はこうした恫喝を無視して、2019年10月19日の朝刊一面トップに「中国、北大教授を拘束 準公務員、スパイ疑いか」との見出しで報じ、大きな反響を呼んだ。   インターネット上では中国を批判する書き込みが殺到し、2020年春に予定されていた習近平国家主席の国賓来日を再考すべきだ、と主張する日本の識者が急増した。   産経新聞が記事を掲載した3日後、天皇陛下の即位式典に出席するために来日した中国の王岐山国家副主席に対し、安倍晋三首相がこの岩谷事件について言及したことも、中国に対する大きな圧力となった。   その後、中国政治や現代中国論が専門の早稲田大学の天児慧名誉教授や、法政大学の菱田雅晴教授など八人が呼びかけ人となり、事件について強い懸念を示す声明を発表。岩谷氏の拘束について、「言葉にしがたい衝撃を受けている。関係当局は拘束の理由など背景を一切明らかにしておらず、理由が不明なままの拘束は国際社会では到底受け入れられない」とし、拘束理由など関連情報の開示を求めた。    また、今回の事件を受けて、日本の中国研究者が恐怖で中国に渡航できなくなる可能性もあるとして、「日中間の学術交流に好ましからざる影響が立ち現れ、日中関係の健全な発展に大きな影を落としている」と強調した。これらの学者は日本で「知中派」と呼ばれる人たちで、彼らが一斉に抗議することは中国にとって大きなインパクトがあった。
新しい日中関係を考える研究者の会が公表したアピール文(スクリーンショット)
手柄がほしい国家安全当局
この声明に対し、中国外務省の報道官は当初、「日本の学者たちは真相を知らないかもしれないし、考え過ぎだ」と応じたが、日本の反発は収まらなかった。 「岩谷氏の拘束は、手柄がほしい国家安全当局の判断とみられる。しかし、反響は予想よりはるかに大きく、このままでは習氏の訪日に大きな影響が出ると判断した中国指導部が、岩谷氏の釈放を指示した可能性がある」と分析する中国の政治学者もいる。   岩谷氏の釈放は、日本政府、メディア、学者らが中国に対し強い姿勢を示したことの成果とともに、習近平訪日前という特別な時期とも関係しているといえる。
それでも情報を隠し続ける外務省
しかし、岩谷氏が釈放されたわずか12日後、別の50代の日本人男性が中国湖南省長沙市で、国内法違反で拘束されていたことが報道によって明らかになった。   この男性は介護関係の仕事をしていたといい、拘束された時期は岩谷氏よりも2カ月早く、2019年の7月だった。中国の治安当局は日本人を拘束したあと、日本大使館に伝えなければならない取り決めがある。つまり、この男性の拘束を外務省は認識しており、国民に隠していたことになる。   これまで中国当局によってスパイ容疑で拘束された日本人はその全てがメディア取材によって明らかにされたものであり、外務省が公表した例は一度もない。   戦後、周辺国との武力紛争を極力避けてきた日本が、中国の国家安全に危害を加える工作員を中国に派遣するなど常識的に考えにくい。しかも1人や2人ではなく、わずか数年で10人以上も同じような容疑で拘束されている。明らかに異常な状態といえる。   しかし外務省は邦人保護に関し、ほとんど事実関係を明らかにしない。約1年前に、大手商社の伊藤忠商事に勤務する40代の日本人男性社員が中国広東省の国家安全警察に拘束されたことが判明した時も、外務省はメディアの取材に対し冷淡な対応を貫いた。日本政府は拘束情報を約1年前から把握しておきながら、報道されるまでこの事実を公表しなかった。    その後、菅義偉官房長官が定例記者会見でようやく事実関係を認め、「邦人保護の観点からできる限りの支援をしている」と強調したが、男性の氏名や容疑、拘束された当時の状況など詳細は明らかにしなかった。
拘束、起訴された日本人
この他、2015年から2018年にかけて、中国でスパイ容疑などをかけられ拘束、起訴された日本人は、以下の9人であることがメディア報道によって判明している(年齢はいずれも当時)。 1、愛知県出身の会社員の男性、54歳。2015年、旅先の浙江省で拘束され、軍事施設や公船を撮影したとされる。2018年に懲役12年の実刑判決。 2、神奈川県在住のパチンコ店店員の男性、58歳。元脱北者で、北朝鮮にいる妹を救出しようとして日中間を往復していた2015年に遼寧省の中朝国境近くで拘束され、2018年に懲役5年の実刑判決。 3、東京都の日本語学校幹部の女性、58歳。元中国人で、中国の機密情報を日本の政府機関に提供した容疑で拘束され、2018年に懲役6年の実刑判決。 4、札幌市の団体職員の男性、73歳。元日本の大手航空会社社員で、定年退職後、中国と経済交流を促進する団体を立ち上げた。2018年にスパイ容疑で懲役12年の実刑判決。 5、東京都の日中友好団体幹部、男性、61歳。元日本社会党職員、中国との交流などを担当し、中国の砂漠に植樹するプロジェクトなどに参加。2017年にスパイ罪で起訴。2019年に懲役六年の実刑判決。 6、千葉県の地質調査会社社員、男性、70代。中国の業者の依頼を受けて温泉を探すために訪中したが、国家機密探知罪で逮捕。2018年5月に起訴。2019年に懲役5年6カ月の実刑判決。 7、千葉県の地質調査会社社員、男性、 50代。中国の業者の依頼を受けて温泉を探すために訪中したが、国家機密探知罪で逮捕、2018年6月に起訴。 2019年に懲役15年の実刑判決。 8、出身地不明の会社代表の男性、60代。遼寧省で拘束され、2018年3月にスパイ罪で起訴。2019年に懲役5年6カ月の実刑判決。 9、大手商社、伊藤忠の男性社員、40代。 2018年2月に広東省で国家安全当局に拘束され、同6月に起訴。2019年に懲役3年の実刑判決。   この他、メディアに報じられていない拘束された日本人も数人いると噂されている。
起訴された日本人全員が冤罪の可能性大
拘束、起訴された日本人の職業を見ると、中小企業の会社員、日本語教師、パチンコ店のアルバイト、中国の砂漠で植林プロジェクトを推進する「日中友好人士」などが含まれている。いずれも専門的なトレーニングを受けた情報分野のプロではない。同時に、中国の国家機密を探れる社会的立場にもない。    そもそも日本の情報機関は、国内の過激派の動きを監視することを仕事の中心にしており、海外に工作員を送る法的根拠もなければ予算もない。先述した伊藤忠商事の社員を含めて、起訴された9人全員が冤罪である可能性は極めて高い。
それでも犯罪者扱いする日本政府
冷戦時代、米国とソ連の間で拘束した相手側の諜報要員を同時に釈放する「スパイ交換」が行われていた。日本人が中国でスパイ容疑をかけられて拘束されたなら、日本政府はすぐに国内で活動する同じ数の中国工作員を拘束し、交換交渉を始めるべきだが、日本政府にそういうことを実施する気配は全くみられない。   筆者が北京に駐在していたとき、中国にスパイとして拘束された日本人の家族や周辺者の取材をしたことがあるが、複数の関係者から「冤罪なのに、外務省と大使館はなにもしてくれない」と言われたことがあった。   日本人の拘束が判明するたびに、菅官房長官は「(日本政府は)できるだけの支援をしている」と記者会見で述べているが、北京の大使館関係者によると、菅氏が言う支援は釈放に向ける外交努力ではなく、あくまでも本人の要望にしたがって弁護士を斡旋したり、漫画やカップラーメンを差し入れしたりするなど、いわば詐欺や傷害容疑などの一般刑事犯と同じ人道的な支援だ。日本政府も、彼らを“犯罪者扱い”しているという。
抗議も釈放要求も一切しない
北朝鮮による日本人拉致問題に長年、取り組んできた松原仁衆議院議員は2019年2月27日の衆議院予算委員会の分科会で、中国による邦人拘束問題を取り上げ、政府の見解を問いただした。    衆議院同分科会の議事録によれば、松原氏の「政府はなぜ邦人拘束という事実を公表しなかったのか」との質問に対し、外務省の垂秀夫領事局長(当時)は「政府としては、ご家族への配慮、人定事項を含めたなんらかの確認や公表を行うことにより、当該邦人および同様に拘束されている他の邦人に対する中国当局の今後の中国側司法プロセスにおける取り扱いなどにおいて、不利益な影響を生じさせる可能性が排除できなかったことから、対外公表をすることは差し控えたものでございます」と答弁した。   松原氏はさらに、「日本政府は中国に対し抗議、または釈放要求をした事実はあるか」と質問したのに対し、垂氏は「日中首脳会談、日中外相会談を含めてあらゆるレベルを通じ、厳正に申し入れ、前向きな対応を求めているところでございます」と回答した。    垂氏の答弁から、日本政府はこれまでに中国と外交交渉で、邦人拘束の件について「前向きの対応」を求めただけで、抗議したことも、釈放要求もしたことがないことが明らかになった。
邦人拘束をなぜ公表しないのか
また、邦人拘束を外務省が公表しなかったことについて、垂氏は「被害者への不利益な影響を避けるために」としているが、残念ながら、事なかれ主義の外務省の言い訳にしか聞こえない。    伊藤忠の社員は1年以上、温泉業者らほかの拘束者は、長ければ約4年も拘束されている。すでに十分な不利益を蒙っている。人権侵害が激しいといわれる中国の刑務所、留置場に未だ日本人が捕われている責任は外務省、そして日本政府にある。   対中交渉がうまくいかなければその事実を公開し、中国当局による人権侵害の事案として国際社会に訴えるべきだ。それが中国への圧力になり、邦人の救出につながる可能性もあるが、自らの仕事を増やしたくないのか、外務省と日本政府には、こうした発想がないようだ。
ファーウェイ創業者の長女を拘束したカナダ
足首にはGPS付きの追跡装置がつけられている
外務省や日本政府の邦人を守る姿勢は、国際社会の基準からみれば明らかに不十分だ。日本と同じく、中国に複数の自国民を拘束されたカナダ政府は中国に対して毅然とした態度を取り、国際社会の協力を積極的に求めている。    2018年12月、カナダは中国の大手IT企業、華為技術(ファーウェイ)創業者の長女で同社副会長の孟晩舟氏を拘束した。孟氏は米国の対イラン制裁回避に関連する不正行為の疑いがあったとして、米政府の要請を受けたカナダが孟氏の拘束に踏み切った。    これに対して、中国の外務省はすぐさま反応し、米国とカナダに猛抗議、釈放要求を繰り返した。中国外務省の王毅外相は全国人民代表大会中の3月8日、記者会見して華為事件に言及し、孟氏の拘束事件とその後に起きた一連の華為排除の動きについて、「意図的な政治的抑圧であり、われわれは中国企業と市民の合法的権益を断固守る」と強調した。
中国の激しい報復、カナダ人を次々に拘束
この事件の背景には米中のハイテク分野の主権権争いも絡んでいるが、ある意味で、中国にとっては「外国に拘束された自国民を保護する事案」でもある。その後、中国当局の激しい報復行為は国際社会を驚かせた。   孟氏拘束後、中国はすぐに中国国内にいる2人のカナダ人を「国家安全に危険を与えた」などの容疑で拘束。その後も次々とカナダ人を拘束し、中国の地方都市の英語学校で教える若い女性を含めて、わずか2カ月で計13人のカナダ人を拘束した。その後、5人を釈放したが、残り8人はスパイ容疑で取り調べを続けた。   中国当局による一連のカナダ人拘束は、カナダ政府に対し、孟晩舟氏の身柄を米国側に渡さないように牽制するためと言われている。
屈しなかったカナダ
しかし、カナダは中国に屈しなかった。当初、カナダ人2人の拘束が判明すると、フリーランド外相はすぐに「中国によるカナダ人の恣意的拘束を深く懸念している」との声明を出し、即刻釈放を求めた。    その後、ほかにも複数のカナダ人が中国に拘束されていることが次々とわかり、同外相はさらに「中国側がカナダ国民に対して取った行動は、すべての国にとっての脅威だ」との声明を発表し、厳しい言葉で中国を非難した。    北京の駐中国カナダ大使も拘束者と面会するなど、国民を守る決意を表明した。中国に拘束された自国民の救出はいま、カナダ政府の最も重要な外交課題の一つになっている。   こうした中国に対するカナダ政府の強い態度は、複数の国、国際組織、人権団体の支持を受けており、拘束カナダ人を支援する輪は、すでに国際社会で広がっている。
これぞ中国の「人質外交」
米国国務省は2019年1月、一連のカナダ人拘束事件を踏まえて、米国人が中国に渡航する場合、中国当局による「恣意的な法執行」に対する警戒を呼びかけ、渡航危険度について、4段階のうち下から2番目の「一層の注意」に据え置かれて、中国へ圧力をかけた。    中国当局は「拘束した8人のカナダ人」について、スパイなど国家安全を脅かす疑いがあると説明しているが、中国から遠く離れ、人口も少ないカナダが地政学的に中国を仮想敵として見ているとは思えない。常識的に考えれば、カナダが大量の工作員を中国に送り込むはずがない。    中国は一連のカナダ人拘束を通じて、外交カードとしてカナダを牽制し、孟晩舟氏の身柄を米国に引き渡すことを阻止する狙いがある。いわば、人質をとって相手に圧力を加える「人質外交」である。 2010年、尖閣諸島海域で海上保安庁の巡視船に体当たりした中国漁船の船長を日本側が逮捕すると、中国は即座に「河北省の軍事施設を撮影した」という容疑で日本の建設会社フジタの社員を拘束。日本に対し、「スパイ罪で起訴すれば死刑もあり得る」と脅して、船長の釈放を強く求めた。当時の民主党政権は中国の要求に屈し、結果としてフジタの社員たちも釈放された。    一方、今回、カナダ当局は孟晩舟氏の釈放になかなか応じないため、中国とカナダの対立の構図は今後も長期化する可能性もある。
習近平が恐れていること
また、中国当局による外国人拘束は、国内の締め付けを図る思惑もあるとみられる。中華民族の偉大なる復興などナショナリズムを煽るスローガンを掲げる習近平政権は、外国の価値観などが中国国内に入るのを阻止することに力を入れている。中国人と外国人が接触することを嫌い、外国の民間人に“スパイ”のレッテルを貼って摘発することが、ここ数年、急増している。
日本が世界の笑いものに
筆者の北京駐在時代も、複数の北京在住の外国人知人が“スパイ”として拘束された。中国人からもらった重要でない会議の資料をいきなり「国家秘密」だと言われ、海辺で撮った写真にたまたま軍艦が写っていたことなどを理由に起訴された人もいる。 筆者は当時、取材で中国国内出張が多かったが、スーツケースを持たず、小さな手荷物で飛行機に乗ることを徹していた。荷物を空港に預ければ、自分の知らないうちに麻薬や政府の機密文書を入れられ、罪をでっち上げられることを警戒したためだ。    今後、トランプ政権下で米中関係が深刻化する可能性があり、米国と関係が深く、外交の脅しに屈しやすい日本は、中国にとって国内の引き締めを図るうえでも、人質外交を展開するうえでも餌食になりやすい。   今回の岩谷氏の釈放が、日本の対中外交の小さな勝利といえるなら、この経験を活かして情報を公開し、強い姿勢を継続すべきだと考える。主権国家として自国民を保護する姿勢を見せてほしい。それをしなければ、日本は世界中の笑いものになるだけでなく、ますます中国から軽視され、在中日本人はこれからも拘束され続けるだろう。(初出:月刊『Hanada』2020年3月号)
6 notes · View notes
kurayamibunko · 4 years
Text
ハンニバルズキッチンへようこそ
Tumblr media
『あれこれたまご』 作:とりやまみゆき 絵:中の滋
卵を焼くのが面倒なのでお湯に放り込んでゆで卵にする。皮のついた野菜、特にジャガイモなどはむくのがいやなので買わない食べない持ち込ませない「非イモ三原則」を徹底。初デートで相手にカレイの煮付けを作らせる。
など、幼少の頃から口をあければ食べ物が入ってくる挿し餌街道をまっしぐらに進み、筋金入りの料理下手として世にはばかるわたしに、料理することや台所に立つことは怖くも難しくもないんだな、と思わせてくれた料理番組があります。
米国のTVドラマ『HANNIBAL』です。
主人公は、映画『羊たちの沈黙』で毎度おなじみ、精神科医と殺人鬼の二足のワラジを両立させるハンニバル・レクター博士。
FBIのウィル・グレアム捜査官とコンビを組んで猟奇犯罪事件を追いつつ、同時平行してレクター博士による殺人&ウィルを陥れるためには薬物使用も辞さずの強い気持ち&陥れたのは自分だけどウィルを本気で心配する強い愛&そんなご陽気メンタルなレクター博士のせいで毎晩うなされ汗まみれで替えの下着がいくつあっても足りないウィル&犬が大好きなウィル、といった見所が満載です。
登場する死体も普通ではありません。体からすくすくキノコが生えていたり顎を裂かれて人間チェロにされたり何体も積み上げてトーテムポールにされたり動物の骨をくっつけられ博物館に展示されたりします。
いったいこれのどこが料理番組なのか。
私が釘付けになったのは、毎話毎話、凄惨な猟奇殺人事件の合間にはさまれる〔Hannibal’sキッチン〕のコーナーでした。
食いしん坊で料理の腕前はプロ並みのレクター博士が、その才能を遺憾なく発揮し、「フォアグラ・オ・トルション〜遅摘みのヴィダルソースとイチジクを添えて」などちょっと何言ってるかよく分からない料理をさらりと作り、自分に、時に自宅へ招いたお客に振る舞います。
「なんの肉かしら?美味しいわ」と絶賛するご婦人に「おしゃべりな子羊ですよ」と優雅な微笑を浮かべ説明しますがもちろん嘘っぱちです。博士が頑張って自力で調達した人肉です。 
●●●
広々したアイランドキッチンに、調理用の木のカウンターとステンレスのカウンターが1つずつ。スタイリッシュな業務用サイズの冷蔵庫には、部位ごとに切り分けた豚肉(人肉)や牛肉(人肉)がジップロックに包まれ整然と並んでいます。
レクター博士は木のまな板に子牛(人間)の肺を広げ、手のひらで丁寧に揉み込んで柔らかくします。数種類のハーブと塩を散らして下ごしらえ完了。その間にじっくりことこと煮込んだ��肉(人肉)スープを裏ごし器でこし、金色に輝くスープを作ります。つづいてあまった豚肉(人肉)をひき肉にしてソーセージ作り。最後にフライパンにたっぷりバターをしき、さきほど下ごしらえした子牛(人間)の肺をフライパンでジューシーに焼き上げます。
真っ白いお皿に取り分けて、新鮮なトマトやオニオン、キノコを添えて出来上がり。どの料理もほんとうに美味しそうなんです。(映像がシアンきつめでやや禍々しくもありますが)
レクター博士ほどのお金持ちなら星付きレストランで3食外食だって可能です。でも他人の作る料理は一切食べず、シャツを腕まくりにして腰にパリッと糊のきいたエプロンを巻くというハンサムスタイルで台所に立ち、下ごしらえから一切手抜きせず、同時進行で複数のメニューを鮮やかに調理し、絵を描くように美しく盛り付けていくのです。
全ては自分や招待客の目と舌を喜ばせる極上の一皿のために。
料理が苦手で、台所に立つのがストレスに感じるわたしには、さまざまな技法と器具を駆使し、合間にワインを飲みながら嬉々として料理に興じるレクター博士の姿は衝撃で、理解不能でした。
なぜわざわざ出汁をとろうとするのか、なぜわざわざ肉に下味をつけようとするのか、なぜわざわざソーセージを手作ろうとするのか、なぜわざわざコーヒーを豆からひこうとするのか、なぜわざわざウィルのためにわざわざお手製のお弁当をわざわざ作るのか。それら全てのことを、なぜ心から楽しめるのか。
●●●
久しぶりに台所に立ってみようと思いました。レクター博士のようにはできないけれど、丁寧に心を込めて料理をしてみようと思いました。そうすれば、博士が感じている楽しさを、少しは感じることができるかもしれません。料理に対するストレスを軽減できるかもしれません。わたしは、夕食代わりに食べていた亀田の柿の種の袋をそっと閉じました。
さて何を作ろうか、レシピ本なんてあったっけと本棚を眺めていたところ、目に入ったのが1冊の絵本でした。保育園でアルバイトをしていたときに読み聞かせで大人気だった『あれこれたまご』。
幸い冷蔵庫に卵があります。卵料理に決まりです。目玉焼きではなくオムレツというハイレベルな課題を自らに課したのは、台所というフロンティアに挑むわたしなりの決意表明でした。
絵本の主役はばちばちの関西弁でしゃべる卵たち
たまごは みんな 「しゃべり」やねん。
かさねて つまれて しゃべってる。
あのひとにやったら こうてほしいなあ。
おりょうりじょうず みたいやもん。
さあっ! なにに へんしんするんやろ?
あれ、なんや あつぅなってきた。
みてみて!ほっとけーきに へんしんしてん。
おいしそうやろ?
あっつ、あっつう!おだいどこ、ゆげで もうもうや。
よおといてもろたし、ほな いこか。
うわぁ、からだが とたんに ふわひらや。
たまごスープに へんしんや。
ちょびっとだけ のこってしもうた。
もう、へんしん でけへんのやろうか……?
てつだいに きたでぇ。
お、これでまた へんしん できるやんっ!
ほな、いこかぁ!!
みんなで なかよう たべてやぁ〜!!
わたしが丁寧に心を込めて作ったオムレツは、どう見てもいり卵でした。 ご飯の上にかけるとチャーハンに見えました。どこでレシピを間違ったのかは分かりませんでした。
●●●
レクター博士と同じくらい外食嫌いで料理上手な祖母の指揮のもと、包丁はあぶないからと持たされず、料理はええからあんたは一生懸命勉強して自立した職業婦人になりなさいと愛ゆえに台所から離され、家庭科の料理実習以外はまともに料理することなく大人になりました。
台所でまめまめしく立ち働く人たちを本当に尊敬するし、あなたも女なんだからちゃんとしなきゃとの忠告は薄笑いでスルーするし、台所はすべての人に平等に開かれ、その距離が近いか遠いかは個人によると思っています。 わたしにとっては、台所はファラウェイな存在でした。
でも、〔Hannibal’sキッチン〕のおかげで台所に立つことができたし、ベーシックな料理からトライすればいいことも分かったし、たまにはフォアグラ・オ・トルションに挑戦してみてもいいし、なんだかんだで美味しかったし、美味しいと嬉しいし、今度はもっとうまく作ってみようという気持ちにもなれました。
ライフスタイル雑誌のカリスマ・『暮らしの手帖』が提案する“ていねいな暮らし”を、毎日ハイレベルで実践するレクター博士。
わたしの背中を台所へと押してくれたレクター博士には感謝の念しかありません。たとえ、その食材と調達方法に、重大な問題があったとしても。
Tumblr media
『あれこれたまご』 作:とりやまみゆき 絵:中の滋 福音館書店
1 note · View note
memochang · 5 years
Quote
中には、こんな書き込みもあった。 〈炎上中をお楽しみの皆さん。面識もないのに色々書きたい気持ちは理解しますが、自己責任ですよ。捨てアカでも匿名でも例外なく追尾されますから今一度冷静になったほうがいいと思いますよ。こんな事の為に面倒に巻き込まれたくないでしょ。〉  しかし、そんな忠告はお構いなく、罵詈雑言の嵐は続くのだった。  今回の事件に勝者はいない。いたのは加害者と被害者だけである。事件騒動に関わったあとのすべての人間は、捜査した警察官などを除けば部外者だ。たまたまテレビやネットで事件を知り、犯人たちの言動に怖さを感じただけの無関係者である。  なのに、怖さと同時にこみあげてくる怒りの感情をぐっと飲みこまないで、そのまま言葉にしてぶちまけてしまう人間がたくさんいる。なぜか勝者気分で、汚い言葉を投げつけまくる。野次馬っていうのは、昔からそんなものかもしれないが、それはどう考えても醜い行為だ。  もう20年ほど前、故・筑紫哲也がニュースキャスターを務める番組内で、「インターネット上の書き込みは便所の落書きのようなもの」といった内容を口にし、まだ社会の中では少数派だったネット民たちから大反発を食らったことがある。当時のあの反発は、ネットコミュニケーションを下位に位置づける理不尽さへの抵抗だった。  それが今日、実名前提のフェイスブックですら以上のような次第。どこか自虐的なペーソスも感じられた便所の落書きと違って、巨大化し一般化したネットで行き交う言葉は、ときに落ちた動物を貪り食うピラニアのような攻撃性をむきだしにする。それは今回の加害者の沸点の低さや凶暴さと変わらない悪である。そう警戒すべきである。
煽り男とガラケー女 2人に対してむいた牙も怖かった|NEWSポストセブン
3 notes · View notes
2ttf · 12 years
Text
iFontMaker - Supported Glyphs
Latin//Alphabet// ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZabcdefghijklmnopqrstuvwxyz0123456789 !"“”#$%&'‘’()*+,-./:;<=>?@[\]^_`{|}~ Latin//Accent// ¡¢£€¤¥¦§¨©ª«¬®¯°±²³´µ¶·¸¹º»¼½¾¿ÀÁÂÃÄÅÆÇÈÉÊËÌÍÎÏÐÑÒÓÔÕÖ×ØÙÚÛÜÝÞßàáâãäåæçèéêëìíîïðñòóôõö÷øùúûüýþÿ Latin//Extension 1// ĀāĂ㥹ĆćĈĉĊċČčĎďĐđĒēĔĕĖėĘęĚěĜĝĞğĠġĢģĤĥĦħĨĩĪīĬĭĮįİıIJijĴĵĶķĸĹĺĻļĽľĿŀŁłŃńŅņŇňʼnŊŋŌōŎŏŐőŒœŔŕŖŗŘřŚśŜŝŞşŠšŢţŤťŦŧŨũŪūŬŭŮůŰűŲųŴŵŶŷŸŹźŻżŽžſfffiflffifflſtst Latin//Extension 2// ƀƁƂƃƄƅƆƇƈƉƊƋƌƍƎƏƐƑƒƓƔƕƖƗƘƙƚƛƜƝƞƟƠơƢƣƤƥƦƧƨƩƪƫƬƭƮƯưƱƲƳƴƵƶƷƸƹƺƻƼƽƾƿǀǁǂǃDŽDždžLJLjljNJNjnjǍǎǏǐǑǒǓǔǕǖǗǘǙǚǛǜǝǞǟǠǡǢǣǤǥǦǧǨǩǪǫǬǭǮǯǰDZDzdzǴǵǶǷǸǹǺǻǼǽǾǿ Symbols//Web// –—‚„†‡‰‹›•…′″‾⁄℘ℑℜ™ℵ←↑→↓↔↵⇐⇑⇒⇓⇔∀∂∃∅∇∈∉∋∏∑−∗√∝∞∠∧∨∩∪∫∴∼≅≈≠≡≤≥⊂⊃⊄⊆⊇⊕⊗⊥⋅⌈⌉⌊⌋〈〉◊♠♣♥♦ Symbols//Dingbat// ✁✂✃✄✆✇✈✉✌✍✎✏✐✑✒✓✔✕✖✗✘✙✚✛✜✝✞✟✠✡✢✣✤✥✦✧✩✪✫✬✭✮✯✰✱✲✳✴✵✶✷✸✹✺✻✼✽✾✿❀❁❂❃❄❅❆❇❈❉❊❋❍❏❐❑❒❖❘❙❚❛❜❝❞❡❢❣❤❥❦❧❨❩❪❫❬❭❮❯❰❱❲❳❴❵❶❷❸❹❺❻❼❽❾❿➀➁➂➃➄➅➆➇➈➉➊➋➌➍➎➏➐➑➒➓➔➘➙➚➛➜➝➞➟➠➡➢➣➤➥➦➧➨➩➪➫➬➭➮➯➱➲➳➴➵➶➷➸➹➺➻➼➽➾ Japanese//かな// あいうえおかがきぎくぐけげこごさざしじすずせぜそぞただちぢつづてでとどなにぬねのはばぱひびぴふぶぷへべぺほぼぽまみむめもやゆよらりるれろわゐゑをんぁぃぅぇぉっゃゅょゎゔ゛゜ゝゞアイウエオカガキギクグケゲコゴサザシジスズセゼソゾタダチヂツヅテデトドナニヌネノハバパヒビピフブプヘベペホボポマミムメモヤユヨラリルレロワヰヱヲンァィゥェォッャュョヮヴヵヶヷヸヹヺヽヾ Japanese//小学一年// 一右雨円王音下火花貝学気九休玉金空月犬見五口校左三山子四糸字耳七車手十出女小上森人水正生青夕石赤千川先早草足村大男竹中虫町天田土二日入年白八百文木本名目立力林六 Japanese//小学二年// 引羽雲園遠何科夏家歌画回会海絵外角楽活間丸岩顔汽記帰弓牛魚京強教近兄形計元言原戸古午後語工公広交光考行高黄合谷国黒今才細作算止市矢姉思紙寺自時室社弱首秋週春書少場色食心新親図数西声星晴切雪船線前組走多太体台地池知茶昼長鳥朝直通弟店点電刀冬当東答頭同道読内南肉馬売買麦半番父風分聞米歩母方北毎妹万明鳴毛門夜野友用曜来里理話 Japanese//小学三年// 悪安暗医委意育員院飲運泳駅央横屋温化荷開界階寒感漢館岸起期客究急級宮球去橋業曲局銀区苦具君係軽血決研県庫湖向幸港号根祭皿仕死使始指歯詩次事持式実写者主守取酒受州拾終習集住重宿所暑助昭消商章勝乗植申身神真深進世整昔全相送想息速族他打対待代第題炭短談着注柱丁帳調追定庭笛鉄転都度投豆島湯登等動童農波配倍箱畑発反坂板皮悲美鼻筆氷表秒病品負部服福物平返勉放味命面問役薬由油有遊予羊洋葉陽様落流旅両緑礼列練路和 Japanese//小学四年// 愛案以衣位囲胃印英栄塩億加果貨課芽改械害街各覚完官管関観願希季紀喜旗器機議求泣救給挙漁共協鏡競極訓軍郡径型景芸欠結建健験固功好候航康告差菜最材昨札刷殺察参産散残士氏史司試児治辞失借種周祝順初松笑唱焼象照賞臣信成省清静席積折節説浅戦選然争倉巣束側続卒孫帯隊達単置仲貯兆腸低底停的典伝徒努灯堂働特得毒熱念敗梅博飯飛費必票標不夫付府副粉兵別辺変便包法望牧末満未脈民無約勇要養浴利陸良料量輪類令冷例歴連老労録 Japanese//小学五〜六年// 圧移因永営衛易益液演応往桜恩可仮価河過賀快解格確額刊幹慣眼基寄規技義逆久旧居許境均禁句群経潔件券険検限現減故個護効厚耕鉱構興講混査再災妻採際在財罪雑酸賛支志枝師資飼示似識質舎謝授修述術準序招承証条状常情織職制性政勢精製税責績接設舌絶銭祖素総造像増則測属率損退貸態団断築張提程適敵統銅導徳独任燃能破犯判版比肥非備俵評貧布婦富武復複仏編弁保墓報豊防貿暴務夢迷綿輸余預容略留領異遺域宇映延沿我灰拡革閣割株干巻看簡危机貴揮疑吸供胸郷勤筋系敬警劇激穴絹権憲源厳己呼誤后孝皇紅降鋼刻穀骨困砂座済裁策冊蚕至私姿視詞誌磁射捨尺若樹収宗就衆従縦縮熟純処署諸除将傷障城蒸針仁垂推寸盛聖誠宣専泉洗染善奏窓創装層操蔵臓存尊宅担探誕段暖値宙忠著庁頂潮賃痛展討党糖届難乳認納脳派拝背肺俳班晩否批秘腹奮並陛閉片補暮宝訪亡忘棒枚幕密盟模訳郵優幼欲翌乱卵覧裏律臨朗論 Japanese//中学// 亜哀挨曖扱宛嵐依威為畏尉萎偉椅彙違維慰緯壱逸芋咽姻淫陰隠韻唄鬱畝浦詠影鋭疫悦越謁閲炎怨宴援煙猿鉛縁艶汚凹押旺欧殴翁奥憶臆虞乙俺卸穏佳苛架華菓渦嫁暇禍靴寡箇稼蚊牙瓦雅餓介戒怪拐悔皆塊楷潰壊懐諧劾崖涯慨蓋該概骸垣柿核殻郭較隔獲嚇穫岳顎掛括喝渇葛滑褐轄且釜鎌刈甘汗缶肝冠陥乾勘患貫喚堪換敢棺款閑勧寛歓監緩憾還環韓艦鑑含玩頑企伎忌奇祈軌既飢鬼亀幾棋棄毀畿輝騎宜偽欺儀戯擬犠菊吉喫詰却脚虐及丘朽臼糾嗅窮巨拒拠虚距御凶叫狂享況峡挟狭恐恭脅矯響驚仰暁凝巾斤菌琴僅緊錦謹襟吟駆惧愚偶遇隅串屈掘窟繰勲薫刑茎契恵啓掲渓蛍傾携継詣慶憬稽憩鶏迎鯨隙撃桁傑肩倹兼剣拳軒圏堅嫌献遣賢謙鍵繭顕懸幻玄弦舷股虎孤弧枯雇誇鼓錮顧互呉娯悟碁勾孔巧甲江坑抗攻更拘肯侯恒洪荒郊貢控梗喉慌硬絞項溝綱酵稿衡購乞拷剛傲豪克酷獄駒込頃昆恨婚痕紺魂墾懇沙唆詐鎖挫采砕宰栽彩斎債催塞歳載剤削柵索酢搾錯咲刹拶撮擦桟惨傘斬暫旨伺刺祉肢施恣脂紫嗣雌摯賜諮侍慈餌璽軸叱疾執湿嫉漆芝赦斜煮遮邪蛇酌釈爵寂朱狩殊珠腫趣寿呪需儒囚舟秀臭袖羞愁酬醜蹴襲汁充柔渋銃獣叔淑粛塾俊瞬旬巡盾准殉循潤遵庶緒如叙徐升召匠床抄肖尚昇沼宵症祥称渉紹訟掌晶焦硝粧詔奨詳彰憧衝償礁鐘丈冗浄剰畳壌嬢錠譲醸拭殖飾触嘱辱尻伸芯辛侵津唇娠振浸紳診寝慎審震薪刃尽迅甚陣尋腎須吹炊帥粋衰酔遂睡穂随髄枢崇据杉裾瀬是姓征斉牲凄逝婿誓請醒斥析脊隻惜戚跡籍拙窃摂仙占扇栓旋煎羨腺詮践箋潜遷薦繊鮮禅漸膳繕狙阻租措粗疎訴塑遡礎双壮荘捜挿桑掃曹曽爽喪痩葬僧遭槽踪燥霜騒藻憎贈即促捉俗賊遜汰妥唾堕惰駄耐怠胎泰堆袋逮替滞戴滝択沢卓拓託濯諾濁但脱奪棚誰丹旦胆淡嘆端綻鍛弾壇恥致遅痴稚緻畜逐蓄秩窒嫡抽衷酎鋳駐弔挑彫眺釣貼超跳徴嘲澄聴懲勅捗沈珍朕陳鎮椎墜塚漬坪爪鶴呈廷抵邸亭貞帝訂逓偵堤艇締諦泥摘滴溺迭哲徹撤添塡殿斗吐妬途渡塗賭奴怒到逃倒凍唐桃透悼盗陶塔搭棟痘筒稲踏謄藤闘騰洞胴瞳峠匿督篤凸突屯豚頓貪鈍曇丼那謎鍋軟尼弐匂虹尿妊忍寧捻粘悩濃把覇婆罵杯排廃輩培陪媒賠伯拍泊迫剝舶薄漠縛爆箸肌鉢髪伐抜罰閥氾帆汎伴畔般販斑搬煩頒範繁藩蛮盤妃彼披卑疲被扉碑罷避尾眉微膝肘匹泌姫漂苗描猫浜賓頻敏瓶扶怖附訃赴浮符普腐敷膚賦譜侮舞封伏幅覆払沸紛雰噴墳憤丙併柄塀幣弊蔽餅壁璧癖蔑偏遍哺捕舗募慕簿芳邦奉抱泡胞俸倣峰砲崩蜂飽褒縫乏忙坊妨房肪某冒剖紡傍帽貌膨謀頰朴睦僕墨撲没勃堀奔翻凡盆麻摩磨魔昧埋膜枕又抹慢漫魅岬蜜妙眠矛霧娘冥銘滅免麺茂妄盲耗猛網黙紋冶弥厄躍闇喩愉諭癒唯幽悠湧猶裕雄誘憂融与誉妖庸揚揺溶腰瘍踊窯擁謡抑沃翼拉裸羅雷頼絡酪辣濫藍欄吏痢履璃離慄柳竜粒隆硫侶虜慮了涼猟陵僚寮療瞭糧厘倫隣瑠涙累塁励戻鈴零霊隷齢麗暦劣烈裂恋廉錬呂炉賂露弄郎浪廊楼漏籠麓賄脇惑枠湾腕 Japanese//記号//  ・ー~、。〃〄々〆〇〈〉《》「」『』【】〒〓〔〕〖〗〘〙〜〝〞〟〠〡〢〣〤〥〦〧〨〩〰〳〴〵〶 Greek & Coptic//Standard// ʹ͵ͺͻͼͽ;΄΅Ά·ΈΉΊΌΎΏΐΑΒΓΔΕΖΗΘΙΚΛΜΝΞΟΠΡΣΤΥΦΧΨΩΪΫάέήίΰαβγδεζηθικλμνξοπρςστυφχψωϊϋόύώϐϑϒϓϔϕϖϚϜϞϠϢϣϤϥϦϧϨϩϪϫϬϭϮϯϰϱϲϳϴϵ϶ϷϸϹϺϻϼϽϾϿ Cyrillic//Standard// ЀЁЂЃЄЅІЇЈЉЊЋЌЍЎЏАБВГДЕЖЗИЙКЛМНОПРСТУФХЦЧШЩЪЫЬЭЮЯабвгдежзийклмнопрстуфхцчшщъыьэюяѐёђѓєѕіїјљњћќѝўџѢѣѤѥѦѧѨѩѪѫѬѭѰѱѲѳѴѵѶѷѸѹҌҍҐґҒғҖҗҘҙҚқҜҝҠҡҢңҤҥҪҫҬҭҮүҰұҲҳҴҵҶҷҸҹҺһҼҽҾҿӀӁӂӇӈӏӐӑӒӓӔӕӖӗӘәӚӛӜӝӞӟӠӡӢӣӤӥӦӧӨөӪӫӬӭӮӯӰӱӲӳӴӵӶӷӸӹӾӿ Thai//Standard// กขฃคฅฆงจฉชซฌญฎฏฐฑฒณดตถทธนบปผฝพฟภมยรฤลฦวศษสหฬอฮฯะัาำิีึืฺุู฿เแโใไๅๆ็่้๊๋์ํ๎๏๐๑๒๓๔๕๖๗๘๙๚๛
see also How to Edit a Glyph that is not listed on iFontMaker
4 notes · View notes
donut-st · 5 years
Text
心臓と鎧
 犯罪現場が屋外だった場合、厳寒期は夏と比べ格段に有り難い。白い息を吐きながら、俺は検死の医師に近づいた。 「鑑識を入れても構いませんか?」  医師は死体の方へ屈み込んだまま首肯する。俺は鑑識に合図を送り、警備の警官を配備した。捜査中、鑑識に何かあった日には始末書では済まない。大学の奨学金と研修、その他の専門教育等々、彼らに投資された資金は莫大だからだ。この費用のすべては国庫の負担、即ち税金である。  高卒の巡査とでは命の値打ちが違っていた。 「死因はなんだと思われます?」 「解剖してみないと正確なことはわからないが、まず他殺だろう。犯行は被害者の生前に行われたようだ。非常に手馴れているね」  医師は俺に死体の有様を示す。被害者は女性だ。肩甲骨から左下方へ切開されており、覗きこんでも心臓はない。代わりに紙片のようなものが二枚ほど混入していた。詳細は鑑識の結果を待つより他ない。 「拘束されていた形跡がある。それにしても相当な力仕事だよ」  医師の言葉通り手首に圧迫痕があった。 「心臓を手際よく切除するには解剖学の知識が必要だ。犯人は成人男性、医療関係者か食肉の解体業者?」  揶揄するように医師は俺の背後を見やる。 「一般的には、そうかもしれないが」  視線を追って振り返った俺の目に若い女性の姿が映った。 「壮絶、怨恨ですかね?」  呟く彼女は体格に恵まれている。非常に長身で見栄えが良かった。 「だとしたら、すごい憎悪だ」  たしかに先入観は禁物である。俺のような貧弱な男と比べれば、彼女のほうが肉体労働に適任だ。以前に捜査をともにしているが、女傑然として頼りになる。頭の回転も速かった。 「地区担当は後藤さん?」 「はい! 現場指揮は田所警部補ですか? またご一緒できて光栄です」 「いや、今だけの臨時だ。休暇に入るんだが、人事のスケジュールミスらしい。白井か三井が来ると思う」  後藤は小さな唸り声を上げながら頭を掻いている。 「どうした?」 「白井警部補は苦手なんですよ。報告書に私の名前を書いてくれないから」  一声あって医師は立ち去った。立ち替わり入ってきた鑑識が死体の検分を始める。 「評価を不当と思うなら白井に直接抗議すればいい」 「……実は先月、訓練場で思い切りワンツーを決めちゃって。あれから上手くないんですよ」  ジャブを打ち、ストレートを見舞ったというわけか。 「白井を? あいつも、とんだ災難だ」  思わず吹き出した俺に後藤は顔をしかめていた。 「後藤さんは、アマチュアボクシングの選手だったかな?」 「はい、大学の時。控えですけど」 「先月の話なら、おそらく忘れているだろうが、異議申し立ては規定の手順を踏むこと。査問会の審問を受けることになったら、そこを追求される」  後藤は女性警官の中から選抜された幹部候補生四十八名の一人である。 「査問会ですか?」  白井もそこはわかっているから、無下に扱わないはずだ。己の信念よりも規律と階級を重んじるのが警官である。 「審問でのふるまいについては、労働組合の弁護士が話し方から服装までコーチングしてくれる。それに、まずないから安心していい」  警官は『警察組織を守る』という不文律を鎧う甲冑だ。そして、この最高法規をあますところなく行き渡らせるポンプが署長以上の役職に就いた警察幹部の役割なのである。 「しかし、これからは裁判で証人に立つ機会も多い。事によっては議会の喚問に応じる場合もある。査問会くらいで苦手意識を持ってもらっては困るよ」 「心します」 「では、捜査主任が正式に決定するまで後を頼む」  俺は、敬礼している後藤に背を向けた。
 電飾に彩られた木々の下を抜けつつ、俺は人波を眺めた。四割方はアジア人の観光客である。彼らは我々市民と同じく、年末の街を楽しんでいるように見えた。 「はい」  夕暮れの冷え切った空気の中を流れてくる紫煙は、もちろん煙草によるものではない。去年、解禁になったばかりの大麻の臭いだ。 『聞いたぞ。今日から休暇だって? 俺が事件を何件、掛け持ちしてるか知ってるのか?』  携帯端末から聞こえる声は挨拶なしにまくし立ててくる。同僚の白井だ。 「知るわけがない。何の用だ?」 『別に。今どこだ?』  名前の通りに白々しい。俺を捜査に引き戻したいのは明白だ。 「花屋の前」 「お手伝いしましょうか?」  店先をうかがった俺に店員が声をかけてくる。 「頼むよ。ラフ過ぎない感じで」 「お相手は女性ですか? 年齢やお好みは?」 「うん。三十代だと思う。好みは、どうだろう?」  白井の笑い声が携帯端末から響いてきた。 『デートかよ? 驚いたね』 「切るぞ」 『待て待て。後藤に入れ知恵したの、おまえだろ?』  俺は「たしか百合が好きだと言ってた」と店員へ告げて会話に戻る。 「警察はボクシングジムじゃない。子供みたいな真似は止めろ。数年したら後藤は俺たちより階級が上になる」 『それが何だ? 今は違うぞ』 「たいした度胸だな。俺の出世街道を邪魔する気か? 俺は百七十センチそこそこだが、背後から首を締めれば、おまえみたいな大男でも簡単に殺せる」  『てこの原理』だ。偉大な物理の神は万人に平等である。 『女の機嫌を取って出世かよ? それなら俺も弱者救済センター仕込みの護身術の出番だな』  着信が入り、女性の氏名が表示された。 「電話だ。切るぞ」  通話を切り替える。 「ごめん。今、向かってる」  応答はなく沈黙の後、通話は途切れた。俺はリダイヤルしながら、約束の店へ急ぐ。しかし、何度かけても彼女は電話に出なかった。
 目的のレストランに入ってすぐ受付の男性から茶封筒を手渡される。 「誰から?」 「名前はおっしゃいませんでした。お客様がいらしたら渡すようにとだけ」  中にはカードが一枚、白い花びら、携帯端末が入っていた。予約したテーブルは空席である。俺は再び電話をかけた。茶封筒に入っていた携帯端末から即座に振動音が返ってくる。 「持ってきたのは女性?」  カードには、剣につらぬかれた心臓が描かれていた。所謂、『嘆きの聖母』である。 「いえ、男性です」  彼女の携帯端末に黒い飛沫が付着していた。鼻を近づけると錆臭い。凝固した血液に酷似していた。その画面にニュース速報が流れる。見慣れたマンションの風景に眩暈を覚えた。 「あの、大丈夫ですか?」  俺の手から茶封筒が滑り落ちる。ブーケに使われたマドンナリリーと茶封筒の花びら、そして死体の紙片は、すべて同じ形状だった。
※お題「贈る」「包む」「添える」
INDEX PREV NEXT
3 notes · View notes