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#保線員の詰所だった小屋
kankan70 · 1 month
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小湊鉄道無人駅。
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buttbii2 · 6 days
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ズリネタ15
久し振りに暗闇に行った。
平日で人は少ないからその分派手にやろうと決めていた。
肥大乳首いじりながら大部屋のゴミ箱のゴムザーを漁る。
ゴム自体が捨ててねえ。
生でやるのはいいがゴムザーが無いのはいただけねえな。
やっと見つけたゴムも射精の時に外したんだろう、中身はなかった。
しかたねえから大部屋の奥まって一番暗い場所に目隠し待機で陣取る。
誰もいない部屋で肥大乳首いじりながら獲物を待つ。
誰もいない事を良いことにチ○ポチ○ポ言いながら勃起した乳首をシコシコ。
足を広げ情けなく縮んだチ○ポと黒ずんだマ○コを晒す。
しばらくすると人の気配がする。
かまわず乳首をいじり腰を浮かす。
目隠しして手を出しやすくしてやってんだ。
早く俺の身体をいたぶってくれ!
そう思っていると側に来ていたそいつは俺の顔に跨がりチ○ポを口に突っ込んでくる。
そして同時に後ろ手で肥大乳首をつねる。
「うぐっ!」
俺は乳首の刺激に即落ちしチ○ポに舌を這わせ頭を前後させる。
チ○ポは口の中で膨らみだし、先っぽからヌルヌルしたモノを垂らし出す。
「お…おお……」
目隠しをしているからどんなヤツかはわからんが、50は過ぎたおっさんだろう。
強めの乳首責めに完全に奉仕犬になっちまった。
おっさんはしばらく口の感触を楽しむとチ○ポを抜き、俺を後ろから抱き締める。
そして両手で俺の乳首をいじり出す。
「乳首やられるとたまらんくなる」
俺はおっさんにもっとやられたくてわざと情けない声でうったえる。
「デッケエ乳首だな。手加減要らねえな?あ?」
おっさんはつねる指に力を込める。
「あう…あああ……」
俺の痛みとは違う声にますます力を込める。
「淫乱野郎だな。もっとデカクしてやるからな」
おっさんは俺の身体に密着し肥大乳首を楽しそうに責め立てる。
その度に俺は情けない声をあげされるがままに快楽を貪った。
それがどれだけ続いただろうか。
俺は仰向けにされおっさんが股の間に腰を入れ正常位の体勢になった。
それと同時に口元に生暖かいモノが押し付けられる。
おっさんに目隠しを取られると、そこにはもう一人別のおっさんがいた。
二人共禿げ上がった小肥りの髭面おっさんだ。
「力抜けよ」
マ○コに唾を塗られ先走りと唾でヌルヌルのチ○ポが俺のマ○コにあてがわれる。
当たり前のように生だ。
そして口にはすでにガチガチになっているチ○ポが押し当てられ口の中を圧迫している。
「あったけえー」
おっさん二人は俺の身体を道具みてえに扱う。
自分等が気持ちいいように腰を動かす。
「今日は人少ねえからよ。朝まで付き合ってもらうぜ」
俺の口を犯しながらおっさんはいう。
「目隠し待機なんざしてんだ。ドMちゃんなんだろ?使われて嬉しいだろ」
マ○コを生チンでかき回すおっさんが俺の乳首を同時に責める。
俺は首を小刻みに上下に揺らす。
「まあ、こうなってりゃ抵抗なんざはなからしねえか」
おっさん達は俺の縮んだチ○ポの皮に指を突っ込みグチュグチュかき混ぜる。
「先走りスゲエじゃねえか」
俺のチ○ポから抜いた指はヌラヌラ濡れて糸を引いていた。
おっさんは自分の乳首に塗り短くうめき声をあげた。
完全にバレてるな。
「後で個室行くぞ」
おっさんはニヤニヤしながら俺の腕をさする。
二人の腰の動きが速さをます。
余裕の無い表情のおっさん達は互いに顔を近づけネットリとしたキスをかわす。
「イクぞ、イクぞ!」
二人は舌を絡めたまま俺のマ○コと口の中に生臭いザー○ンを吐き出した。
「うおおおおっ!たまんねえ!」
ガッチリ頭を掴まれた俺は口の中のザー○ンを喉を鳴らして飲み込んだ。
「尿道の中んのも吸い出せ」
言われるまでもない。
ありがたく最後の一滴までいただくつもりだが、やはり言われたいセリフだ。
二人は何度か腰を振るとやっとチ○ポを引き抜く。
「そのままマ○コにザー○ン入れとけ。個室行くぞ」
再びタオルで目隠しをされマッパのまま受付に連れていかれ個室を借りる。
後ろから乳首をいじられ受付の店員に腰を振り縮んだチ○ポをさらけ出す。
「あとで俺も行って良いっすか?」
訳知りの店員だろう。
鍵を渡す時におっさんに耳打ちしたのが聞こえた。
「ああ、回収したゴムザーあるなら持って来てくれよ」
「たんまり保管してあるっすよ」
おっさん達はニヤニヤし個室に向かう。
「あの店員もヤベーな」
「どれだけゴムザーあるか楽しみだな」
個室のドアを開け中に入ると二人が早速カチャカチャと何かを用意する音がする。
俺はベッドに押し倒され目隠しを外される。
おっさん二人が手にする見なれた道具に脳が涎を垂らすのを止められねえ。
「両腕前につき出せ」
俺はヤバイ…ヤバイ…と呟きながらも大人しく両腕をおっさん達に預ける。
「ダブルは初めてじゃねえのか?」
「初めてっす」
「怖くねえのか」
「怖いっす…でも……」
落とす視線をおっさん達も追う。
「コイツw」
視線の先には俺の勃起したチ○ポがあった。
「ドスケベの淫乱野郎が」
「その勃起は受け入れた証だよな?」
おっさん達が俺の腕をとる。
「せいぜい死なねえように踏ん張んな」
おっさん達は視線を合わせると一つうなずく。
そして二人同時にゆっくりと両腕から流し込む。
「あ…ああ……!」
半分も行かないうちにグラグラ目が回りだす。
「お前、いくつ詰めた?」
「20だ」
「お前は優しいなあw」
「マジかw」
二人の会話から少なくとも40は確定だろう。
「うううぐうう!」
俺は噛み締める歯の端から涎を垂らしながらも何とか意識をつなぎ止めようとする。
「意識飛ばした方が楽になるぜ?
その後は何されるか知らんがなあw」
おっさんはバッキバキの目をした俺を見ても容赦無く最後まで道具を押し込んだ。
「気持ちいいだろう。たまんねえよな!」
おっさん達は立ったまま震える事しか出来ない俺を満足気に見ると、お互いの腕に道具を押し当てる。
「いくつ入れた?」
「さあなあ、半分で止めといてやろうか?」
「ぬかせ」
おっさん達二人の身体にもキチ○イ液が流れ込む。
「てめ…え……」
「お互い…様、だろ……」
二人は異常なほど呼吸を荒くする。
「次の、追加、覚えとけ、よ」
そう言いながらもお互い乳首をつねりながらディープキスを交わす。
そして俺の頭を掴むと三人で舌を絡めた。
「おい、意識あるか?あるなら二回瞬きしろ」
おっさんの声に俺はパチパチと瞬きをする。
「身体は動かねえし言葉も出せねえだろ?」
俺はかろうじて小さくうなずく。
「でもよう…脳ミソ溶けるくらい気持ちいいだろ?」
その言葉に俺の目から大粒の涙がこぼれる。
「そうか、泣くほど気持ちいいか」
そうなのだ。
おっさんの言う通り、俺は気持ち良すぎて涙をこぼしていた。
「可愛いじゃねえか」
おっさん達は俺を静かにベッドに寝かせる。
「動けるようになるまでに数時間掛かるだろうな。
それまで好き勝手楽しませてもらうぜ」
おっさん達は俺の身体に無しゃぶりつく。
乳首やチ○ポは当然の事、耳や鼻、口、喉、指…あげていればキリがない。
その間、もちろん俺の口やマ○コにはおっさん達のチ○ポが突っ込まれている。
俺達は唾液やザー○ン、汗や小便でドロドロになって絡み合った。
部屋の中はあの特有の臭いで立ち込めている。
「たまんねえよ!変態キチ○イ交尾たまんねえ!」
「ヤッベエヤッベエ!お前との交尾最高だぜ!」
おっさん同士も掘り合ったり俺のチ○ポに跨がったりとトコトン変態交尾を貪っている。
途中来たあの店員はゴム○ーを大量に置いていくと、俺達の異常さに圧倒されたか、一発俺に中出しすると早々に仕事に戻っていった。
俺達はそのゴム○ーを頭から塗りたくると狂ったように…いや、実際狂ったんだろう、道具の先っぽを取り外しザー○ンを吸わせると、おっさん二人、お互いの尿道から流し込んだ。
「うおおおお!誰だかわかんねえヤツのくっせえザー○ンでキンタマ犯されてるぜ!」
「ポ○ウイルスがおかしくなって薬効かなくなる!」
何が可笑しいのかおっさん達はゲラゲラ笑いながら俺の尿道にもザー○ンをたっぷり流し込んだ。
生臭くドロドロになったチ○ポをグチュグチュ扱きながらチ○ポの奥へとザー○ンを押し込んでいく。
「自分のチ○ポから他人のザー○ンが吹き出るんだぜ?スゲエ気持ちいいからな、楽しみにしとけ」
おっさんはゴムを歯で噛み切ると俺とザーキスのベロチューを楽しんだ。
そして、数時間はあっという間に過ぎ去った。
「どうだ?そろそろ動けるんじゃねえか?」
俺はまだ朦朧とする意識の中、おっさん二人に抱きついた。
「スゲエっす。たまんねえっす」
やっと絞り出せた言葉がコレだった。
おっさん二人は顔を見合わすと苦笑いとも照れ笑いとも取れる笑みを浮かべた。
「可愛い事言うじゃねえか」
「俺等の舎弟にしてやるからな、覚悟しとけよ」
「はい、よろしくお願いします」
俺はその日、何十回とイかされ、何十回と注ぎ込まれた。
おっさん二人はお互いに気づかれ無い程度の声で俺に可愛い可愛い言ってきた。
チョロい俺はそれだけでおっさん二人に惚れそうになる。
俺達はお互いのザー○ンを尿道に流し込み、三人仲良く扱き合いながら生臭えキスを交わした。
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kennak · 1 year
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わたしツナ缶の詳しさには自信あるから、この事故について語ってもいいよね いち「理論上一般消費者が知りうる情報をほぼすべて得た人」として、語らせてください news.yahoo.co.jp ツナ缶虫混入で1億円超賠償命令 はごろもの下請け業者に(共同通信) - Yahoo!ニュース  製造させたツナ缶にゴキブリとみられる虫が混入し、ブランドイメージが傷つけられたとして、はごろもフーズ(静岡市)が下請けの興津食品(同市)に約8億9700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁 ・2014年頃に作られたシーチキンに虫の異物が混入 ・2016年秋にそれを開けて「異物混入騒動」が発覚 ・下請け製造元の興津食品はただちに操業を停止、二度と操業再開せず ・2017年11月にはごろもが興津食品に「ブランドイメージを毀損した」と提訴 ・2022年11月地裁判決、1.3億円賠償命令 私の見立てでは「賠償金の一部は払って、和解が成立するのでは」と考えていたため、判決が出たことは驚くと同時に、 食品衛生の悪魔、黒いアイツが 1億3150万円 & 法人(缶詰会社)1社 という、おそらくペヤングを上回る日本史上最大のキルレに達した負の公式記録であると推察しています ペヤンギスタのときにまるかが支払った代償も凄まじかったと覚えていますが、あの時のまるかは大筋で再建を応援されていました 一方で、はごろもは元請けの責任を批判され、興津食品は製造の瑕疵について批判されています。どちらもSNS上での印象が悪くなってしまった 17年に起きた訴訟の8億円というのも、はごろもが元請けとして「ふっかけた」金額に一見みえますが、実際ははごろもの負ったダメージをある程度正確に反映した金額を請求しています 興津が居なくなった分で失った製造能力をさまざまな形(他社への振り分け、原材料マグロの形の見直し、新清水プラント)で穴埋め それが出揃うまで輸入シーチキンの品目を増やしたり、シーチキンSmileやサラダシーチキンなど既存の製造能力に依存しない新製品を送り出し消費者の繋ぎ止めに尽力しました 訴訟の時点ではごろもの一人勝ちでも、興津の一人負けでもない、目に見えて泥沼の様相でした だから一定額の和解金で…という風を想定して寝耳に水食らったわけです では、その興津はどうだったかというと まず、同じ会社でたびたび(?)異物混入の報告がなされていました 2010年代に入ってから数度、いずれも虫の異物だったとされています。当該品は回収されました その際にクリーンルーム(原材料を缶に詰める工程の部屋)の徹底に関する指導があった…と思われますが、ここに現場猫案件 G「せや!クリーンルームの外にある空缶に潜伏したろ!」 ツナ缶は、缶フタを下にした裏向きで充填されますし、充填前後にX線検査してもGは見つけられません(虫なので透過されます) ・空缶搬入工程の目視検査で見つける ・空き缶の在庫をクリーンルームの中に入れておく くらいしか、回避策は… そんなこんなあり、のちに1億円と1法人を破壊するシーチキンは2014年に興津から出荷され、2016年山梨のスーパーで買った消費者に「発見」されます。発見が報道に乗り、全国ニュースになるまでは時間がかかりませんでした この時のはごろもの初動が、全てを分けました。ほんとうに、ほんとうに… 当初のはごろもは「(虫の混入なので)健康上被害はないね!当該品は回収した!ヨシ!」と声明 これまでの異物混入(虫)も、そうやって収めてきましたし、2013年シーチキンヒスタミン回収と違って健康被害はありません。前例に倣い、これでよかったのでしょう この初動が、SNSを大爆発させるとも知らずに SNS(とくにTwitterとFacebook)では、興津・はごろも両者への批判が集中します(ほぼ5:5くらい) 元請けが絞ったから下請けがこんなの出したんだとか、下請けが品質管理してないからこうなったんだとか、フタを開けたら裏向きのアイツが現れるというショッキングな体験に深く同情する方も多くいました 確か11月入ったばっかりの頃にNHK山梨の夕方番組で「修正なし」の当該シーチキンの画像が放送されたことで、私は空缶の段階でアイツが混入した可能性を確信しました 確かに 前例に倣えば「健康に問題はない 前例に倣えば「(これ以外の)回収の必要はない」 しかし、SNSで燃え盛る炎に見かねたのか、 ・@消費者 非公開だけど、N年N月製のOKTロットのついたシーチキンLフレークを送ってくれたら回収するよ ・@小売店 非公開だけど、OKTロットのついたシーチキンLフレーク見つけたら送ってね、回収するよ と進み、11月ついに ・@消費者・小売店 OKTと書かれた全シーチキン回収するよ と至りました この「OKTと書かれた全てのシーチキンを回収するよ」という公式発表が、一週間早ければ。ここまで激しく燃え、はごろもの言う「ブランドイメージの毀損」はかなり抑えられたのではないでしょうか しかし、歴史にifは必要ありません。現に起こった損害から、はごろもはしばらくメディア対応に追われます 同じ時期、興津食品は、異物混入が「発見」され、最初にマスメディアに報道された翌日には、操業を停止しました はごろもや保健所の立ち入り検査で異物混入の原因を探るためです。自転車で現地を眺めていましたが、さまざまな業者が入れ替わり立ち替わり事務所や工場建屋に入っていたのを覚えています 2017年頃、興津食品は、戦後1948年から続けていた缶詰工場の操業復帰を断念した…という風の声を聞きます 工場の従業員は同業他社などに再就職、会社そのものは手続きのために残しておくと。そして、はごろもフーズからの訴状が届くことになりました シーチキンのイメージを毀損した、おそらくもっとも毀損されたであろう2016年3Q4Qの株主向け報告書を見ると、シーチキン商品群が異物混入騒動の風評で十数%減になったという表記がありました ツナ缶全体で見ると、11・12月の生産高は5%程減っていたようでした 年末の業界紙で「SNSで過剰反応」と… あれだけのことがあって、缶詰業界は「SNSで過剰反応」と評するのか…そうかあ…って脱力しましたね… なお、まるかさん興津さんの犠牲によって虫の異物混入はマジヤバということが食品工業全体に広がり 改修新設された工場では、虫が入りにくい搬入口、屋内の資材置場など混入対策が手厚くなりました
長井ずみ 12/31(土)東ヒ06bさんはTwitterを使っています
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tokyomariegold · 1 year
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2022/11/12〜
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11月12日 たぶん最後のギンレイホールへ行った。 アルバイトをしていた時、地下鉄の出口の案内をさんざんしていたのに、B4のbだったかB3のbだったか分からず、B3で地上へ出ると一つ道を間違えていた。やっぱり紀の善は閉店していて、細い道を通ってギンレイホールへ到着。 お世話になった社員さんへご挨拶をした。 「君、意外とよく来るな!」と言ってくれた。 今回の閉館のことは突然決まったことらしく、次の場所の目処は立っていないらしい。社員さん方もほとんどこれで退社されるとのこと。 久しぶりにロビーの内側から、ガラス扉越しに犬を連れた人々が通り過ぎるのを見ながらお話をした。 グッズの缶バッチをいただいて、あ、もう会えないんだろうな、と思いながら「お元気で」と言い合って別れた。
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ギンレイのみなさんに差し入れを、と、近江屋洋菓子店でお菓子の詰め合わせを購入。いちごのケーキがたくさん並んでいてかわいい。いちごのショートケーキは日本人が作った可愛さがある。
ガーディアン・ガーデンで写真の1wall 展を鑑賞。最後の1wall 展で、今日は最後が多い日。 いわゆる家族、を、冷静に観察させてくれる展示だった。 取り留めのない会話が流れる居間。 私の祖母は物静かだったので、ひとりでに語り始めることはなかったし、母も余計なことをあまりたらたら話すことはなかったので、適当に何か会話が生まれている、いわゆる居間っぽい感じは、少し羨ましいかもしれない。
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gggではデザイン対象の展示を鑑賞。 キコフの器がかわいい。 年賀状を作り始めたところだったので、いろいろなパッケージデザインを観て、あれで良いのかな…と、悩み始めた。
4ヶ月ぶりに髪を切って染めた! こんな場所にも安心感がある美容室ってあるのね〜、とフランクでおしゃれでヤスミノさんのヴィジュアルっぽいお店だった。 髪色を白っぽくしたい!と伝えていて、頑張って座り続けて、出来上がりがピンクっぽくて、あれ?でもかわい〜、となった。 自分が白って言ってなかったことにしていたら、色が抜けると白っぽくなるとのこと。なるほど。 年末年始金髪計画も相談させてもらった。(もったいないという結論。)
初めて“おうちクリーニング”モードで洗濯してみる。ヒートテックなんてクリーニングモードでなくて良いのにね〜、と干してみるとカイロを貼ったまま洗濯していて残念な気持ち。
11月13日 ギンレイホールの支配人からお礼のショートメールが入っていた。いつまでもお世話になってしまって、でも、アルバイトを辞めても少しだけ繋がりを持たせてもらえて幸せ。 来週、ハロウィンのキャンディを持って、研究室にもう一度行って、ちゃんと挨拶しようと思えた。
気圧がだめっぽい感じは当たっていて、湿度が高くて呼吸がしづらい。
フィルム現像を出したデパートの、物産展かいつまみ食材売り場みたいなところに、マンスーンさんがラジオでおすすめしていたとり野菜みそがあった。パッケージの金髪お母さんキャラもちゃんといる。参考書でワンポイントアドバイスをくれるキャラみたい。
年賀状はやっぱり指向を変えて“ポップをはかる年賀状”にしようかな。年末年始も開館している図書館でお正月を過ごしたい。
今日は何もなかった。
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11月14日 実家の忘れ物を送ってもらって、実家と関わりを持ったことで何かざらざらした気持ちになる。“ありがたい小包”が届いた。
とても忙しなく1日を過ごして帰宅した今も息が上がっていて呼吸が不自然。 昨日届いた新しいルームフレグランスがいい香り。
朝のバス停に何かのカードが裏返しで2枚落ちていた。 発車したバスの車内で、ずっとリュックの全てのポケットを探ったり、荷物の中身を取り出してはしまっている人がいて、あ!と思った。さっきのカードは、バスの乗車証も兼ねている職員証だったのかも知れない…特段拾い上げもせずに見過ごしたこと、何か悪いことをしてしまった人でなしの気分になった。
2023年ポップをはかる年賀状をつくる…
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11月15日 久しぶりにmoney treeを開いて、もうダメ。お金がない、というより、電気代がとっても値上がりしていたり、カードの引き落とし額が増えていたりで少し落ち込む。お金を使い果たす豊かさを知りたいです、バタイユ先生。 でも、今のところ節約すべきポイントがないのでこのままずるずるまたmoney treeをアインストールする日々を送ってみる。
前の職場でとってもお世話になった上司へメッセージを送る。近々お会いできるかもしれないので、その旨を連絡してみた。 今の職場の上司から、奥さんが4月に出産予定である報告を受け、育休をとるつもりであることを相談してくれた。男性が育休を取るには、証明書類が必要で手続きが少し面倒らしい。でも、出産とか子育てってそれに比べられない大変さがありそうで、その手伝いを友人や他人がもっとライトにできるシステムってあるのかな?身内でそんな手続きが必要なら、他人ならどうなるのかしら。考えながら、昔、都写美のトークイベントで志賀理江子がぬらりひょんみたいにそんなことを言っていたのを思い出した。
来週予定されている職場の食事会の件で、私は人前で食事が取れないことを伝えてみると「ちょうど良かった!今回はやっぱりバルにしたので、みんなで取り分ける感じで残す心配をしなくても大丈夫ですよ。」と言ってくれた。 自分の食事のことは、自分でももうどうにもできないので、人に伝えることをあきらめていた(理解してもらえはしなくても、それ以上に距離を置かれることしかないと思っていた)。 初めて社会の場で伝えてみて、その相手がこの方でよかった。
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11月16日 乗り換え駅で忙しなく乗り換えの道を歩んでいたら「あ!ちょっと!!」 みたいな感じでおじさんが正面から声をかけてきて、反射的に立ち止まらず視線を向けずまっすぐ通り抜けてしまった。よく街でいたずらに声をかけられる事があるので、自分のペースを崩さないで歩く癖がついている。たぶん今回もからかいっぽさがあったので正解だったと思うけれど、朝の通勤時間帯になんだったんだ…と、私に何を伝えたかったのか後々気にしている。
国宝展のチケットの予約をすっかり忘れていたことを、相手からの“忘れていてごめんなさい”メッセージで思い出す。 よくない感じで仕事の忙しさに、(文化的)生活が壊されている!
2期下の方のデスクにかわいいマスコットがいるのが気になっていて、今日やっとそのことを話せた。 バイエルみたいな名前(忘れてしまった)の水属性のポケモンらしい。イグアナがモチーフとか。クリスマス仕様で白のふわふわのマフラーを巻いていてかわいい。私が知る限りだと、その方が退勤した後はデスクからいなくなっているので、持ってきて持ち帰っているという、とても愛な感じ。
ネコのチーズケーキが再販されていた! コンビニご飯は心が枯れるけれど、でも、アイテムとして買ってしまうこともあるよね。
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11月17日 乗り換え駅にちいかわのガチャガチャが入ったと思ったら、売り切れて、今日はもう他のキャラクターのガチャガチャが入っていた。
ポケモンって動物の野生の要素を残しつつキャラ化しているので、変に平面化されたり擬人化されていなくてかわいいかも。ちいかわは人間社会の世知辛さをやってる感じが受けていると思っていて、それ以外で純粋に外面だけで愛でている人もいるのかな。
髪をすかれすぎて悲しかったけれど、すぐ乾かせる様になった。あとカラーシャンプーに戻したらきしまなくなった。
せっかくバラを買ったのに、それを楽しむ余裕がないほど何かに呑まれている1週間。 ポップをはかる年賀状を作りながら、全くポップじゃなかったな〜2022年、と反省している。
空腹を紛らわすためにナイアシンフラッシュして、ナイアシンフラッシュで頭痛を起こし、イヴを飲んで胃が痛くなって胃腸薬を飲む訳の分からないループをしている。
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11月18日 疲れすぎたので今日は日記お休みです!と、するつもりだったけれどちゃんと今書いている。 掃除もしてしまったし、ウォークインクローゼットの中のいらないものを少し捨てた!えらい!
大人の防災訓練は、ここぞとばかりにみんな喋りまくっていてその相槌で忙しかった。こうゆうとき思ったもの見えたものをフィルター通さずぱっかりみんな喋り始めて、社会人じゃなくなって、でも社会をするために集められた人達なので、本当に何も生まれない会話がずーっと同時多発的に発生していてすごかったし、私も海外旅行でカップ麺と非常食(まずい)を交換させられた話などをした。
保存食の配給を無視して受け取らないでいたら「何で!?持って帰ろうよ!どうしてそんなことするの?」と少し怒られ口調も入れて問いただされてしまう。食べ物のストックは大切!と力説された。私はそうゆうものを、あ!!と、なって一気に捨てたことが何度もある。
午後休みをとって表参道でネイルをしてもらって、町が平日にも存在していて、帰りに混んだ電車で暖房を浴びて、とっても疲れてしまった22時。これから今日の一食目。
仮囲いの中のクリスマスツリーが、今日のポップ。
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shukiiflog · 6 months
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ある画家の手記if.94 告白
読んでいた本から顔を上げると、香澄がいない。 席を立って一人で散策に行ったみたいだったけど、そっとしておいて僕は手元の本に目を戻した。
旅行中だし雰囲気のいい旅館だし、四六時中僕といないで一人で好きに歩きまわったりもしたいかもしれない。 来たときから館内を軽く見て回ってたけど、どこも空間が広いし空気がすみずみまでよく通っていて見晴らしもいい。不潔な部屋や表から見えづらい暗くて狭い場所とか不穏なエリアは客が入れる範囲ではとくに見あたらなかった。 こういう場所をあんまり利用したことがないから泊まっていたホテルくらいとしか比較はできないけど、旅館の従業員は教育がよく行き届いてるみたいでみんな親切で細やかに気遣ってくれるし、サービスの質もいいし、態度や雰囲気が妙に引っかかるような人もいなかった。 過ごしやすくて快適。もし館内で予想外のトラブルが起きてもここならきちんとした対応をしてくれるんじゃないかな。 なんて目で文字を追いながら考えてたら、部屋の一番奥から勢いよくドアが開いて閉まる音が聴こえてきた。
「……」
ここの従業員の立てる開閉音じゃないね 本を閉じてテーブルの上にとりあえず置いて立ち上がると、香澄を探しに席を立つ 図書室内にはまだほかに誰も居ないからちょっと足早に音のしたほうへ向かう 突き当たりを曲がった空間の床に香澄が膝をついて倒れ込んでいた 着崩れて乱れた着物の襟をたぐりながら立ち上がろうとする香澄の体を跨ぐようにして一人の男が頭上から体をかがめて香澄の腕を掴んで立たせようとひっぱる 大股で歩み寄って、香澄の上から弾き飛ばすみたいに男の顔面にブーツの靴底を容赦なく叩きこんだ 情香ちゃんの蹴り方をお手本にしたからまっすぐピンポイントで一点に強烈なダメージが入ったはず 男は蹴り飛ばされて頭ごと勢いよく体をひっくり返らせて後ろの壁に体を叩きつけていた 「直人!」 乱れた裾を踏んで香澄が脚をもつれさせながらも急いで立ち上がろうとする 「香澄、そのままでいいよ」 手で制して動かないよう言ってから目の前に片膝をつく 安心するよう手のひらで頰に触れながら香澄の全身をざっと見る …脚かどこか捻ってるかも。着物に血が飛んだりはしてないみたいだけど怪我してるかもしれないし、香澄は自分の怪我になかなか気付けないからね 「僕たちの他にはまだ誰も来てないみたいだから」それだけ言って香澄の体をそっと抱き上げると少し離れたソファの上に座らせる 「どこか痛む?」 香澄の前にかがんで、乱れた着物をとりあえず他人がパッと見ただけでは問題ないように襟や裾を引いて合わせ直しながら、目線を合わせて頰を撫でる 「ううん平気、…でも」 「…何かされた?」 詰問するようなニュアンスにならないように、乱れた赤い髪の毛を手櫛で整えながら優しく頭を撫でて訊く。香澄は泣きそうなくらい眉を下げて小さく頷いた 「…何をされたか訊いてもいいかな」 一度立ち上がって、座っている香澄の耳元で囁くように尋ねてから、香澄の顔の横で耳を澄ます。じっと同じ体勢を保って待っていると、少し迷うような間を置いてから小さな声で香澄が耳元で何があったかを説明してくれた 「ーーーーーーーーー、ーーーーー、ーーー………」 「…そう…。怖かったね」 香澄の頭を片腕で包み込んで胸元に抱き寄せる。まだ少し緊張の抜け切らない体に片手を添えて、ソファから背中を浮かせて温めるように撫でさすった。 着物の袖からケータイを取り出して、香澄を抱き寄せたまま片手で操作して知り合いに電話をかける。念のために連絡先を交換してもらっててよかった。 といってもお互いに職業柄、名刺を交換して軽く挨拶した程度なんだけど、ハプニングのおかげで少し話し込んだりもしたから、かえって知り合いになれた。それに香澄は目立つから、僕たちのことは再度訪問したらしっかり記憶しててもらえてた。 「……もしもし。…はい、そうです、どうもこの度は…。ええ、お世話になります。…ご無理を承知で、少しお願いしたいことが…」 無理かなと思ったけど相談したら、お店のほうはご子息に任せて休憩がてら来てくれることになった。 僕の言ってることで察したかもしれないけど、電話を切ったあとで香澄に説明する。 「さっき寄った着付け室のおばあちゃんが着物を整えにすぐ来てくれるって」 「こ、ここで整えるの?」 「全部脱いで一からやり直さなくてもできるみたいだったよ。僕じゃあんなに綺麗には直せないから」 それに誰かに少しの間、香澄についてて欲しかった。ここで信用できる人はまだあの人くらいしかいないし、着崩れたまま部屋や着付け室まで人目のある場所を移動させる必要もなくなってちょうどいいかなと思って。 ソファの上で香澄の隣に座って、背中に腕を回してさすりながら話す。 「雪で転んだって話してあるから、直してもらうときも怪我したと思ってなるべくここにじっと座ってようね。怪我は部屋に戻って確認するか館内の病院に帰りに寄って行こうか」 「…うん ありがと」 香澄が僕の肩に頰をすり寄せて少し脱力した。すぐにちょっと目を丸くして僕から体を離してきれいに座り直すから、笑って頭を撫でてもう一度肩に凭れさせる。 あのおばあちゃんにはもう僕らの関係お見通しのような気がするなぁ 考える間もなくすぐに図書室に来てくれたおばあちゃんに香澄をお願いして、僕は席を立つ。 香澄が不安そうに座ったまま僕の顔を見上げた 「おばあちゃんと一緒にいてね。…すぐ戻るよ」 頭をぽんぽんと軽く撫でて、その場からさっきの男のいた部屋へゆっくり移動する
蹴りを入れたら顔面ごと吹っ飛んで押し戻されるみたいに転げて入ってった部屋 扉を開けると音響機器なんかが揃えてあって、演奏用に外に聴かせる用の部屋じゃないみたいだ 「防音室か。いいね」 わざと少し大きめの声で言う。例の男は部屋の奥に設えられたソファに浅く腰かけて濡らした布で顔をそっと拭いて綺麗にしてるところだった 唇は切れてるし頬骨や皺眉筋のあたりは派手に青く内出血していた 妙に顔立ちが彫り深いのが仇になってるな 「ひどい人だなぁ、ちょっとじゃれたくらいでここまでするなんて」 僕を見ると眉を下げて困ったように甘く嗤う、熟しすぎて枝に掴まってられなくてみっともなく地面に崩れ落ちた果実みた���だな…腐ったような匂いばかり強く撒き散らして、醜悪だ 吐き気がする 「大した顔じゃないだろうに。香澄から聞いたきみの言い草を借りるなら、傷が増えれば男前が上がるんじゃないか?」言いながら勝手に笑む自分の口の端が引き攣るのが分かる 「あなたは一途なんですね、なんだか意外だな あまり恋人を自分ひとりに縛っては嫌われますよ?」 「あの子はきみの言う恋人とやらではないよ」 僕の大事な息子で、家族で、命の恩人で、誰より美しい、この世で最も愛する大切な唯一の人だ お前の言う遊び相手じゃないんだよ 歩み寄ると相手はさらに流暢に喋り出した 「カスミはもう少し遊びや身軽さを覚えればもっと蠱惑的になります あなたも分からない人だなぁ 身持ちが堅いばかりで、さらにパートナーのあなたがそうだからカスミは生まれ持った宝石のような愛らしさをずいぶんと損なってしまっているのに 気づかないものかな」 「……………よく喋るね」 抑えようと懐手にしている中で手のひらを握りこむ これ以上強く握ったら僕が指を骨折するな 遊びと、身軽さ…ね 「……」 … 遊びじゃない行為で香澄がどれだけの他人に好き勝手に扱われてきたと  身体をいじられ怪我を負わされ犯されて命の危機に晒されてきたと … 「あなたにとっても魅力的なアイデアだと思うけれど? 宝石はなるべく多くの持ち主の手を渡るほど輝きを増すでしょう?」 「宝石はそうかもしれないね」 適当に返して目の前まで迫った相手の顔のすぐ横、座っているソファの背を蹴り飛ばした ソファがひっくり返って倒れると男は慌てて背中からわざと床に転がって狐のように身軽に体勢を立て直した 演奏者か 要は舞台俳優やダンサーと似た身体だとみて���いか 絵画モデルのバイトにそういう職種の人間がよくいるから他の人種よりは接し慣れてるほうだ 軽くないソファだけど上等なおかげで倒れても傷ひとつついてない 「見かけによらず乱暴ですね 力押しばかりじゃカスミのような子は壊れてしまうんじゃない?」 言われなくても…     笑えもしないな、香澄に迫ったお前の行動を力押しと言うんじゃないのか 「あの子は宝石じゃなくて人間だ 不愉快な比喩はよしてくれないか」 言いながら髪から簪を引き抜いた 距離をとった相手をゆっくり壁際に追い込んで簪を逆手に持つ 僕のほうが背が高いけど知らずのうちにかなり顎を引いてたようで相手を睨み上げるような目つきになった  相変わらず口元が勝手に引き攣ったように笑む そういえば香澄の彼女だって子と話したときにも可笑しくもないのになんとなく口元は笑ってしまったな 「怖い顔だ カスミの前では紳士のフリ? こんな恐ろしげなギャップじゃ燃えられないな、幻滅されますよ」 「香澄にこんな顔向けるわけないだろう。それにあの子は僕に幻滅しないよ」 それを聞いた途端、相手のほうが幻滅したような態度をとった。急に大きなため息を吐いて首を振りながら倒れたソファを起こしてそこにドサッと寝るように脚を組んで座り直した。 「つまらない。…あなたが大袈裟に怒るものだから、逆になんだか興が醒めてしまった。もうカスミに構ったりはしないからどうぞお気になさらず、仲良くすれば?」 …… 強姦未遂者が好き勝手なことを… どれだけ香澄を怖がらせたと思ってる…とりたくない手段までとって逃げ出してきた香澄の行動をお前の目はどう見てた 触りたくもないけれど寝そべっている相手の手首を掴んでまとめあげると力尽くで体を持ちあげてソファに乱暴にちゃんと座らせた 相手の頭の後ろに掴んだ手首を持ってきて捻りあげると、無理な体勢に相手は顔を顰めた …なんの楽器を扱うのか知らないけれど、片目に誤って簪が刺さって潰れたら慣れるまでしばらく演奏に苦労するんじゃないかな …指の骨を折っておいたほうが致命的かな、学が指の骨折でピアノを辞めていたし とか簪の尖った先を見ながら考えていたら口から断片的に出ていたらしい 相手がまさかというような目つきをしたから、真正面からじっと睨みあげて意思を示した 僕はやるよ、そういうことを  …まぁ、もうしないんだけど、やってきた良くない事実と実体験はあるよ と 表情には出さずに内心で付け加えておく 人のものに手を出すからには見上げた覚悟があるんだろう? 「………」 「………。」 相手が微睡むように笑むのをやめて少し本当に気を揉みだしたところで勢いをつけて簪を持った手を垂直に相手の眼球に叩きつけた 「ひっ」と小さな息を吸うような悲鳴が相手の喉から上がった 相手の目の上を押さえつけるような形で簪を構えていた拳を当てた 寸止めしようかと思ったけど拳に重みがないからわざと当てた さっきまで尖った先をちらつかせていた簪は突き立てる前に相手の死角で手の中にきれいに握りこんでしまってたから当然眼球には刺さってない …生易しいけどこれ以上触れていたくないから手を離して覆いかぶさるようにしてソファについていた片脚を引いた 香澄のところに帰ろう 「……身のない自慰的な恋を死ぬまでするといい、一人きりで」 それだけ言い捨てて退室しようとしてからふと思い出して、ドアを開ける前にもうひとつあったソファの影に声を掛ける。 「少し脅かしたけれど性根を叩き直すまでにも至らなくて申し訳ない。静かにしていてくれて助かったよ」 「…………。」 そのままドアを開けて立ち去る。ソファの向こうの彼は結局最後まで沈黙していた。
「香澄、ただいま」 おいてきた香澄のところに戻ると、香澄は着付けのおばあちゃんとお茶菓子をつまみながら談笑していた。 着付けが終わっても僕が戻るまでついててくれるように頼んではいったけど、年の功というのかな、仲良く話してるうちに香澄はすっかり強張りも警戒もとれたみたいで僕に柔らかい笑顔を向けてきた。 「おかえりなさい」 着物を直してもらってる上に、髪の毛も結ってもらってる。「ほんの手休めですけれど」と言っておばあちゃんは朗らかに笑ってた。 香澄の隣に僕も腰を下ろしたら、香澄は眉を下げて僕の着物の袖を小さく掴むと、にこにこしながら報告してきた。 「おばあちゃん、俺たちの部屋の前を偶然通ったみたい、雪だるま見つけたんだって、それですぐにピンときてそこが俺と直人の部屋だって分かったって」 嬉しそうに笑って話してくれる香澄の瞳を守るように覗きこんで微笑む。 せっかく結ってもらった髪の毛が乱れないようにそっと頭に手を置いた。 おばあちゃんはお湯のみに残ったお茶を飲み干して、綺麗な背筋ですっとまっすぐな姿勢のまま立ち上がると「いい息抜きになりましたよ。そろそろ戻りませんと、愚息一人では心許ないですからね」と軽やかに言って帰っていった。 僕たちはお礼を言って、颯爽とした後ろ姿を見送った。 香澄と手を繋いで部屋に帰ってたら、途中で香澄が心なしうつむいて肩を落とした。 「…」 横目で様子を見ながら頭を撫でて肩に引き寄せる。
部屋に帰ったら真っ先に「お風呂入ろうか」って言って、部屋に備え付けのお風呂場まで香澄の肩を抱いて連れていった。 「怪我がないか確認も兼ねてね」 言いながらせっかく綺麗に着付けてもらったけど香澄の着物に手をかけて脱がしはじめる。 香澄は邪魔にならないように両手を横に掲げて、しょんぼり眉を下げた。 「また助けてもらっちゃってごめん…せっかくの旅行なのに…」 「…」僕はせめて今が旅行中でよかったと思ったけど。 家の近所とかで同じ場所に通りがかるたびに思い返すようなことにならなくて。ここであったことは僕たちが大事にしたいものだけ自分たちで選んで持ち帰れば、あとのものはこの場所にそのまま置き去りにしていけばいい。 僕も脱いでから脱がした香澄の髪を解いて洗う前に櫛を入れる。冷泉の髪が昔から一本も痛まずに綺麗にまっすぐだからどうやってるのか聞いたら、洗うときに髪を引きちぎらないように洗う前にブラシで整えるって言ってたから。 丁寧に櫛を通しながら髪の流れに沿って頭を撫でた。 「ちゃんと助けが呼べてえらかったね」 僕がもう少し早く気づいてあげられればよかったけど、四六時中監視下に置くような真似もしたくない 自由に過ごしてほしい、僕の知らない場所で僕の知らないものも手にしてほしい 「何度でも助けてあげるよ、香澄が抱かれたいのは僕だけ��もんね」 櫛を置いて正面からにっこり笑って言ったら、香澄は閉じた口元をもにょっとさせて顔真っ赤にしながらうつむき加減で頷いた。かわいい。 溜めてるお湯の温度を確認しながら和設えのバスタブの淵に香澄を座らせて全身を確認する。 外傷はどこにも見当たらないけど、痛くない?って聞きながら痛覚が鈍い部分を手のひらで軽く押してみたりして確かめる。香澄は聞くたびに小さく頷いた。 おそらく問題ないと判断して、お風呂のお湯をちょっとずつ香澄の体にかける。 館内に診察所があったからそこで診てもらったほうが確実なんだろうけど、あったことをちゃんと話さないとそう思って診てもらえないかもしれない。香澄は僕に話してくれた。嫌なことを香澄自身に繰り返し話させるのも、僕が代わりに他人に話すところを聞かせるのも嫌だった。 香澄がおもむろにそばにあったタオルを濡らして体を強くこすり始めたから、そっと手をとって手のひらに雪だるまみたいになった大きな泡の塊を乗せた。香澄はこするのをやめて泡をじっと見てる。 新品の綺麗な石鹸があったから軽く泡だててみたら一瞬できめ細かい雪みたいな泡が大量にできた。 もっと泡を作って香澄の体に乗せていく。体じゅう泡でもこもこになったら頭の上にも泡を乗せてみた。クリスマスの時の格好みたいでかわいい。ふかふかしたものが香澄は似合うね 「どこも沁みない?」 「うん」 首筋からまだ消えてない泡を使って、お湯と一緒に流しながら優しく肌を撫でて丁寧にすみずみまで洗っていく。おとなしくしてる香澄に話しかける。 「怖かったね。もう大丈夫だよ」 香澄は目を丸くしてパチパチさせた。 「怖い…?」 首筋に少しずつお湯をかけて泡を撫でて落とす。 「そうだよ。すごく怖いことをされたんだよ」 「…」 香澄は真剣な顔で少しなにか考え込んでる。両手にのせた泡でもふっと香澄の頰を包みこんで顔を寄せる。 「ちゃんと僕のところに逃げてこれた香澄はいい子だね」 そのまま髪の毛をくしゃくしゃ撫でて泡だらけにしたら香澄が僕の肩に乗った泡にふっと息を吹きかけた。宙に泡がシャボン玉みたいにふわっと舞ってゆっくり落ちる。泡を目で追ってた僕の鼻の先に泡が落ちてきて、二人で笑った。 全部きれいに流して二人でお湯に浸かる。 結果的に何事もなくてよかった、とは思わない。最悪よりマシだっただけで手放しに喜べるほど香澄のことがどうでもいいわけがない。…僕にとっても怖いことだった。 僕が一人にさせてしまったからだ、ってふうに、まるで思わないわけでもない。 ずっとそばについてていつも目を離さないような距離に僕が一生べったりついてても、香澄は嫌がらないかもしれない。 僕がそれで安心できても、香澄に僕の知らないものを持ってほしい、香澄だけの大事なものを手にしてほしい、僕はそれで怖い思いをするけど幸せだから耐えられる 傷痕を消したときも、あれは僕が言いださないといけないことだった 僕を信頼して、好いてくれてる、愛してくれてる、僕のすることを受け入れてくれる、僕のしたことを許してくれる、だから香澄が一人で自由に生きる時間と空間を僕が守らなくちゃ、寂しい思いをしながら、幸せな気持ちと一緒に 「…そういえば、防音室の外でもう一人、違う人とも会ったよ」 香澄がふと思い出したように話し出した 「もしかして前の日にも会った、白いスーツを着てた、黒髪の彼かな」 「うん。そのあとのドタバタですっかり忘れてたけど、ちょっと話しもできた。…初対面の人とあんなふうに話せたの、珍しくて嬉しかったな」 「そう…よかったね。何を話したの?」 聞いてみたら香澄は「内緒。」って笑ってお湯の中に口元を沈めてぷくぷく泡をたてた。楽しそう。 「僕も彼には間接的に助けられたよ。せっかくだから彼の演奏は聴きに行ってみようか」 「うん。…聴いてみたいかも」 嬉しくて顔が緩む。もうちゃんとあった、香澄だけのもの。 …ほんとはわかってる 僕が自由を守ってあげようなんて烏滸がましいこと考えなくても、僕の知らないことしかないこと 怖い思いをしたのも香澄 僕じゃないから僕らは一緒に居られる 香澄はこれっきりで忘れていいけど僕は一生忘れない。 二人で湯船のお湯に浸かってゆっくり息をしながら言った。 「ちゃんと二人で守れたね」 香澄は逃げてきた、僕は守った  約束、やっと守れたね …小さな声でそう言って隣の香澄に微笑みかけたら、眩しい虹彩のはっきり見える透き通った瞳にきらきら光る涙がいっぱいに溜まって、あったかいお湯の中に清水のように溢れていった 「ーーーー…」 言葉をなくした 美しい なんて感覚では とてもあらわせない
お風呂から上がりながら脱衣所でバスタオルの端を両手で持って香澄に「おいで」って手招きする。 バスタオルを持った両腕で寄ってきた香澄の体を包んで髪の毛や体をめちゃくちゃにわしゃわしゃ撫でて拭いた。タオルから顔を出した香澄はぼさぼさになった髪の毛を揺らしながら顔をほわほわ緩めて笑った。 二人でお互いの浴衣を着つけて、食事をして 軽い雪が降ってきたから僕は部屋の中にあった厚めの和紙を折って折り紙で傘を作った。雪だるまの頭に相合傘みたいにしてそっと乗せておいた。 畳の上に転がって、座布団を枕にして二人でお昼寝する。 温泉に入ると薬がなくても気持ちよくてうとうと眠りこめた。
夕食を終えてから、散歩がてらさっき話したバーに寄った。先に僕が入って安全確認する。 一つの楽器の音が響いてくるだけだったから、今夜はソロなのかもしれない。弾いてたのは彼だった。 一度見た白いスーツを着てるけど、ジャズだったから一人で自由に弾いてるのかもう仕事中なのかは僕には分からなかった。 「彼しか居ないみたい、大丈夫そうだよ」言って香澄の手を引いてバーの中に呼び込む。 二人でゆったりした椅子に座って、飲み物や軽食を頼んでからしばらく彼の演奏の中にいた。 途中で曲の調子が変わったから、軽食を食べていた手が勝手に止まった。 自主的に音楽を流したり聴くことはあまりしないほうだけど、生まれ育った兄の家には小さめのグランドピアノがあって、兄が弾いていた。ごく稀に兄はクラシックのレコードをかけたりもしてたけど、僕の中の音楽というと兄の弾くピアノだった。 僕はピアノの音を、何かの方法で聴いていた気がする。その方法はもう思い出せないけど、なるべく自然に聴いてみる。肖像画のモデルは固有の音を発するから、聴いたものを取り落とさないように。 「………」 目を閉じた空間に音を描く 音は曲線かカーブが多いけど、彼の演奏はほとんどが直線で織り成されていた 空間内に大きな長方形があって、その中に四角形が整然と並ぶ たまに急角度ではない緩やかな曲線が配置されてバランスをとる …。 曲調が変わってからなんとなく思う。たまに混じるこれは香澄の音なんじゃないのかな
部屋に帰ってから、もう一度軽くお風呂に入って、敷かれていた布団に二人で寝転がって体を伸ばす。 窓の外を見たら、雪だるまがお洒落をしてた。僕の雪だるまは体に布の外套をかけてて、香澄の雪だるまは首に毛糸の小さなマフラーを巻いてた。外を通った人か布団を敷いてくれた人かな? 香澄が喜んで写メ撮ってるのを横でにこにこして見つめる。
毎晩ちゃんと二人分の布団が敷いてあるけど僕らはいつも同じ布団で一緒に眠ってる。 今夜も灯りを消してから、自然と二人一緒の布団に入った。 香澄の体に布団をしっかりかけて寄り添う。 近くなった顔、僕の頰に香澄がキスしてきた。布団の中から手を出して香澄の髪の毛をくしゃくしゃ撫でる。そのまま頭を引き寄せて口付けた。 布団の中で体を少し起こして、香澄の顔の横に腕をついて外界から守るように囲む。何度もキスしては唇を離すのを繰り返すごとに深くなっていく お互いの体が徐々に熱くなって布団の中の空気がしっとり温まる 髪に指を絡めて頭を撫でたら香澄の腕が僕の首に回ってきた ぎゅっと抱きついてきた体をしっかり抱きしめ返して優しく背中を撫でる もう怖くないよ 大丈夫… 交差した顔の耳元で囁く 嫌なことも怖いことも絶対に起こさせない、今だけは 「…僕が抱きたい」 ゆっくり香澄の背中をあやすように撫でながら 呟いた言葉に、香澄は首に回した腕にさらに力を込めて応えた「…うん」 「いい子。香澄は今日はほんとうによく頑張ったね…  もう怖くないよ」 後頭部を撫でながら支えて柔らかく唇を合わせる 気持ちよくしてあげたい ほかのこと全部忘れられるくらい 香澄がたくさんの人に優しくされて可愛がられて愛されることが嬉しい それでもこれだけは、僕だけに許されたものだよ
香澄視点 続き
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minatokucarpet · 11 months
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ペルシャ絨毯 買取 (ペルシャ絨毯買取 [港区絨毯買取])
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ペルシャ絨毯 買取
ペルシャ絨毯買取専門店 港区絨毯 クム、イスファハン、カシャーンなど産地を問わずペルシャ絨毯を買取ます! "ペルシャ絨毯買取 鑑定・査定・価格査定|東京・埼玉・神奈川「港区絨毯買取」宅配買取は全国に対応しています。 ペルシャ絨毯クム産・マラゲ産・イスファハン産・タブリーズ産・ナイン産・カーシャン産などのシルク絨毯やウール絨毯 します。ペルシャ絨毯を使っていたけれども、模様替えの関係でどうしても部屋に馴染まなくなってしまった場合、買い替える場合など、ペルシャ絨毯を高価買取していますので、是非ご相談してください。ペルシャ絨毯買取【港区絨毯】出張買取|ペルシャ絨毯専門の鑑定士が見積・査定 など、、、ペルシャ絨毯の買取(新品・中古)は東京都港区の「港区絨毯」へご連絡ください。ペルシャ絨毯専門の鑑定士が査定経験と買取実績を活かします。 ペルシャ絨毯を一番高く売りたいだったら、ペルシャ絨毯買取に任せてください。 ペルシャ絨毯買取,シルク絨毯買取,絨毯中古, 0120-771-797"
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  ショッピングブーストゾーン全国からカーペットを集めています! ショッピングをサポートするエリアは、 東京、神奈川、千葉、���玉、いばらき、栃木、軍馬、愛知、静香、新潟、長野、山梨、京都、大阪、福岡、山口、大分、佐賀、福井県、熊本です。 今回ペルシャ絨毯買取専門店【港区】を使って頂きどうも有難う御座いました。ペルシャ絨毯買取 専門店 なので、絨毯の価値を理解してる専門人がいますので、国内でお客様の売りたい絨毯を一番高く買取する保証は港区絨毯のスローガンです。 また絨毯買取、絨毯買いたい、絨毯クリーニング、ペルシャ絨毯売りたいなどのサービスがございましたら、是非お待ちしております。 どうぞよろしくお願いします ペルシャ絨毯買取 港区絨毯買取専門店
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ペルシャ絨毯買取専門店港区 ペルシャ絨毯を高く買取します。 全国でもご利用いただけますので、上記以外の方も大歓迎です! 無料評価をご利用ください。 ペルシャ絨毯(じゅうたん)は金や宝石と並んで世界三大財産といわれるほど価値のある商品です。歴史に裏付けられた資産価値があるうえ、現在は従来 ペルシャ絨毯はなぜ価格が高いのか? 世界三大財産とまでいわれる理由 そもそもペルシャ絨毯とは? ペルシャ絨毯といえば幾何学模様のイメージが強いですが、自然をモチーフにしたナチュラルなカラーと柄の「ギャッベ」(イラン高原南西部の遊牧民が織ったもの)と呼ばれるものもあります。最近はこのギャッベの人気が日本国内で高まっており、都内にギャッベ専門店ができたりギャッベをテーマにしたイベントが各地で催されたりと、盛況となっています。 ペルシャ絨毯を買取に出したいペルシャ絨毯の価値を知りたいペルシャ絨毯を売るなら絨毯買取をお選びください!売りたいけれど重くて持ち運べないという方は、ぜひ港区絨毯の出張買取をご利用ください。重いペルシャ絨毯を持ち運ばず楽に売却できます。出張無理、自宅買取、など
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  ペルシャ絨毯買取なら買取実績豊富な港区絨毯買取へ
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ペルシャ絨毯はなぜ価格が高いのか?
世界三大財産とまでいわれる理由
資産価値が高いのはアンティークのペルシャ絨毯に限られる
「ペルシャ絨毯」とは、1枚1枚手織りでつくられるイランの伝統的な絨毯を指します。原油と並んでイランを支える基幹産業です。紀元前7世紀にはすでにイランの伝統産業として確立され、周辺国の宮廷で愛用されたことから広く認知されました。素材はウールが基本ですが、近年はシルク製のペルシャ絨毯もあります。 ペルシャ絨毯と一般の高級絨毯の大きな違いは、目の詰まり具合が異なることです。ペルシャ絨毯は目が高密度で詰まっているため、ホコリやこぼした液体などが生地内部に入らず、「表面を軽く掃除するだけでお手入れが済む」という特長があります。 ペルシャ絨毯は、「10万~100万円単位の新作」「1,000万~億円単位のアンティーク」に大別されます。なぜアンティークのペルシャ絨毯の価値が高いのでしょうか。それは古いものの大半がウールでつくられているため踏めば踏むほど風合いが出て、その美しさが評価されるからです。しかし古いペルシャ絨毯のすべてに価値があるわけではありません。有名な産地や工房でつくられたアンティークだけが高値取引の対象です。こういった背景を考えると、資産としてのペルシャ絨毯は一流作家の「アート」に似ているといえるのではないでしょうか。 ペルシャ絨毯を所有する際のポイントは、すでに高値取引されているものを購入すること。そのうえでコレクションとしてずっと所有し続けてもいいですし、現金化することも可能です。金融商品のように価値が大きく変動するリスクが少ない「現物資産」だからこその強みがあるといえるでしょう。 ペルシャ絨毯のトレンド!自然をモチーフにしたギャッベに注目 最近では、インテリアとしての新作ペルシャ絨毯が日本国内で人気を集めています。ペルシャ絨毯と一口にいっても作り手によって柄や色合いが異なるため、インテリアとして購入する場合は好みにあった産地や工房を選ぶのがポイントです。ちなみにペルシャ絨毯の5大産地は、いずれもイランの都市であるタブリーズ、クム、カシャーン、ナイン、イスファハンです。 またはペルシャ絨毯は、イラン(ペルシアはイランの旧称)で生産され続けている絨毯。イラン文化、芸術を代表する極めて優れた美術工芸品の一つで、その起源は紀元前の古代ペルシアにまで遡ることができる。床面の敷物だけでなく、壁飾りやテーブルクロスとしても用いられていた。 ペルシア絨毯は大きく三つに分類されている。6×4 フィート超の「カーリ (Qāli )」、6×4 フィート以下の「カーリシュ (Qālicheh )」、そして「ゲリーム (Gelim )として知られる遊牧民の絨毯である。ゲリームには粗織りの絨毯を意味する「ジル (Zilu)」と呼ばれる絨毯も含
素材
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手織り職人が使用する伝統的な道具。 ペルシア絨毯の素材としてもっとも多く使用されているのは羊毛だが、綿も多く用いられている。羊毛は、コルクウール、マンチェスターウール、キャメルウールなど、様々な品種の羊からとられたものが使用されている。絹は羊毛に比べて高価で耐久性に劣り、古くなるにつれて価値が落ちていくため、絹だけで織られた絨毯はそれほど一般的ではない。絹のペルシア絨毯は、その希少性と価値、そして耐久性の低さから、床の敷物ではなくタペストリのように壁飾りとして使用されることが多い。
図案
16世紀、17世紀のペルシア絨毯には多くのバリエーションがある。様々な地方で生産されていたことが多様なデザインを生み出すことにつながった。また、共通するモチーフとして、唐草文様、アラベスク文様、忍冬文様 (en:palmette)、円形文様、幾何学文様などは、多くの絨毯に採用されている。人物文様は、イラン国内で流通する絨毯には良く見られるモチーフだが、輸出される絨毯ではそれほど採用されてはいない。 産地ごと、あるいは家系ごとに様々なデザインが継承されており、それらの多くはシンプルで直線的な文様である。このような文様を絨毯に表現する際には、特別な下絵などを使用せずに職人の記憶や経験によって制作されることが多い。曲線で構成される複雑な文様の場合は、前もって用意された下絵のデザインと色調を絨毯のサイズに合わせて写し取っていく。伝統的なデザインも時代とともに少しずつ変化しており、現在では下絵を絨毯のサイズにあわせて縮小あるいは拡大するために、コンピュータが使用されている。
歴史
現存している最古の手織り絨毯として、古代文明パジリクで発見されたおよそ2500年前の絨毯がある。アケメネス朝ペルシアで制作されたと見られていたが、現在は否定されており中央アジアの遊牧系騎馬民族によって織られたとされている。ペルシア絨毯の最初の記録は古代中国のもので、224年から651年のサーサーン朝ペルシア時代の記録である。7世紀にイスラム教圏となるまで、ペルシアでは様々な王朝が勃興、衰退を繰り返し、ペルシア絨毯にも多くの変化がもたらされたが、ペルシア絨毯の生産は途切れることなく続いていた。その後、13世紀のモンゴル帝国によるペルシア侵攻のためにペルシア絨毯は衰えていたが、イルハン朝ペルシア、ティムール朝ペルシアのもと、ペルシア絨毯は再び発展してくことになる。 ペルシア絨毯に使用される羊毛、絹、綿といった天然素材は、経年変化によって腐食し、朽ちてしまう。このため、考古学者たちの古代遺跡調査によっても、ペルシア絨毯に関する有益な発見がなされることは極めてまれである。古代からペルシアで手織りの絨毯が制作されていたことを示す証拠は、数点の磨りきれた絨毯の断片しか存在しない。このような断片からは、12世紀に全盛を迎えたセルジューク朝ペルシア以前のペルシア絨毯がどのような特徴を持っていたのかを判断することは、ほとんど不可能となっている。 ゾロアスター教時代
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紀元前5世紀頃のパジリク絨毯。現存する最古の絨毯である。 1949年に、シベリアのアルタイ山脈のパジリク古墳群から、考古学史上非常に貴重な絨毯が発見された。この絨毯はスキタイ人の王族とみられる人物の墳墓から発掘されたものである。放射性炭素年代測定により、この絨毯が紀元前5世紀のものであることが判明している。283×200センチメートル の絨毯で、1平方センチメートルあたり36の編目で制作されている。この現存する世界最古の絨毯と見られるパジリク絨毯の洗練された織物技術から、この芸術分野の進化と発展が長期にわたって蓄積されてきたことがわかる。絨毯中央部は深い赤に彩られ、周囲を巡る二本の縞模様部分にはシカとペルシア人騎手が表現されている。 このパジリク古墳群から出土した絨毯は、遊牧民族たるスキタイ人の手によるものではなく、アケメネス朝ペルシアで制作されたものだと考えられている。 アケメネス朝ペルシアの初代国王キュロス2世はパサルガダエに王都をおき、その宮廷内は豪華な絨毯で飾り立てられていた。当時のペルシアとマケドニアは緩やかな同盟関係にあり、マケドニア王アレクサンドロス2世はキュロス2世の霊廟の飾りだった絨毯に目を奪われたという伝承がある。 6世紀まで、羊毛や絹で織られたペルシア絨毯は歴代の王朝で発展し続けていった。サーサーン朝ペルシア国王ホスロー1世が織らせた有名な『春の絨毯 (en:Baharestan Carpet)』は、王都クテシフォンにあった王宮の主謁見室の装飾に使用されたものである。この『春の絨毯』は絹織りで、金、銀、貴石が使用された長さ140メートル、幅27メートルという大規模なもので、楽園のような華麗な庭園が表現されていた。その後637年にアラブのイスラム諸国に王都が占領されると、略奪された『春の絨毯』は小さく切り分けられて、戦利品として兵士たちに与えられた。また、タキディス王の玉座は一カ月間を表現した特別な30枚の絨毯と、四季を表現した絨毯で飾られていたいわれている。 イスラム教時代
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ヴィクトリア&アルバート博物館が所蔵するアルダビール絨毯。 8世紀にはアーザルバーイジャーン地方 (en:Azerbaijan (Iran)) が、ペルシア絨毯と粗織りの絨毯の一大産地だった。また、タバリスタン地方 (en:Tabaristan) は、租税として年間600枚の絨毯をバグダートのカリフの宮廷に納めていた。当時のペルシアの主要な輸出品は絨毯で、祈りを捧げるときに足元に敷く小さな絨毯の割合も多かった。さらに、ホラーサーン (Khorassan)、シースターン (en:Sistan)、ブハラなどの都市でもペルシア絨毯が制作されており、その優れたデザインとモチーフで需要が高かった。 セルジューク朝ペルシアからイルハン朝ペルシアでも、ペルシア絨毯の制作は非常に活発に行われており、イルハン朝の第7代国王ガザン・ハンがタブリーズに建てたモスクは、豪華な絨毯で埋め尽くされており、絨毯の素材となる羊毛は、特別に飼育された羊からとられたものが使用されていた。ティムール朝ペルシアで生産された絨毯のデザインの多くが、装飾写本の挿絵であるミニアチュールをもとにしている。また、絨毯を織っている場面を描いたミニアチュールも現存している。絨毯織り工房には、糸の染色工房が隣接していることも多かった。ペルシアにモンゴル帝国が襲来するまで、ペルシア絨毯の制作は大いに発展していった。 この時代に制作されたペルシア絨毯でもっとも有名なものがサファヴィー朝ペルシアで織られた、現在ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館が所蔵する『アルダビール絨毯』 (en:The Ardabil Carpet) である。この絨毯は対として制作されたもので、もう1枚の『アルダビール絨毯』は、ロサンゼルス・カウンティ美術館が所蔵している。この『アルダビール絨毯』のデザインは無数にコピーされ、小さなものから原寸大のものまで様々な大きさの絨毯が制作されている。イギリス首相官邸に アルダビール絨毯 が飾られているほか、アドルフ・ヒトラーもベルリンにあった自身のオフィスに アルダビール絨毯 を所有していた。『アルダビール絨毯』は、1539年から1540年にかけて制作された。絹糸と羊毛が素材として使用され、1インチ四方あたり300から350の編目で織られており、10.5×5.3メートルの大きさの絨毯となっている Los Angeles County Museum of Art See also Victoria & Albert Museum。 土日・祝日も休まず営業!どしどしお問合��ください!
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お客様に信頼・ご満足いただける買取値段をご提示致します。 クム産 綿密な織りが評価されている、クム産。最もポピュラーで親しみやすく、日本国内でも人気の高い絨毯です。ウール素材のもの、シルク素材のもので査定額に差が出ます。シルク素材のものであれば高額査定は確実です。 相場~760000円 タブリーズ産 タブリーズ産にしかない道具を用いた、緻密な織りが特徴のタブリーズ産。他の産地のものに比べると、少々シンプルで遠目で見た時に、落ち着いた雰囲気を醸し出すところが魅力とされています。稀に円型タイプもあり、こちらも買取可能。 相場~600,000円   Read the full article
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四季の帯紐
Garanhead
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stoopid-o · 1 year
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あの日
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前書き
一九一九年四月一三日のふたりを書きました。 警察の描写は想像部分が多く、正確なものではありません。 直接的な描写はありませんが、虐殺についての話であり、作中に登場する虐殺事件は実際に起こった出来事です。 参考文献『インドの歴史』バーバラ・D・メトカーフ、トーマス・R・メトカーフ。創土社、二〇〇六年六月三〇日発行。
Rama side
 ――辺りが、急に騒がしくなった。  気配の変化に敏感なラーマが身を構えようとした矢先、警察庁の建物全体に声が響き渡った。 『建物内にいる者は全員中庭に集合。繰り返す、全員即刻中庭に集合すること』  殺人課、麻薬課、風俗課、放送により全ての扉が一斉に開く。何事かと、皆が口々に囁き合い、中庭を目指していた。ラーマも遅れることなく、足早にまっすぐ人波に従った。余程のことらしい、スピーカーからはまだ同じ内容が繰り返されている。  中庭には既に警視総監が待機していた。勤務中の警察官を全て集めるなど、余程のことが起こったのだとラーマは察した。戦争が終わってまだ一年も経っていない。またあの時のように戦争協力させられるのかとラーマは内心不安だった。イギリスに戦争協力したせいで百万人以上徴兵され、フランスや中東の前線で戦い、死んでいった……。  大戦の最中、インド担当国務大臣エドウィン・モンタギューは、インドに自治制度を徐々に導入すると発表した。なのに、改革ではローラット法を可決させ、テロや破壊活動の容疑者に令状なしの逮捕、裁判なしの投獄を可能にするという裏切りを行ってみせた。  インド人の命など少しも顧みない宗主国の振舞いに限界を感じていたのはラーマだけではない。  警視総監が皆の前に立っているというのに隊列どころではない。急に呼び出された警察官たちは戸惑い、思い思いに自分が並ぶべき場所を探してさまよっている。ラーマは自分の所属する隊に並ぼうと奮闘したが、見つけ出す前に総監が声を張り上げた。 「非常事態だ、儀礼は省略、整列しながら聞くんだ。先ほど、パンジャーブ州のアムリットサルで暴動が起こった」  独立運動の盛り上がりやローラット法の暴挙により、日々、デモは盛んになっていた。制服と同じく顔を真っ赤にさせ警察官たちに伝達する総監を、ラーマは憎しみの目で見る。 「詳細は追って通達されるが、総督命令で戒厳令が下された。デリーに厳戒態勢を敷く。繰り返す、デリーに厳戒態勢を敷く。アムリットサルは軍が対応するため、君たちは総督府の警備を強化し、街のパトロールを増やすんだ。今から自分たちの部署に戻り、それぞれ指示を受けること。以上、解散」  総監の指示により、人々はまた建物の中へ戻る。こんなに雑で急ごしらえな総監の指令など、警察官になってから初めてだった。  ラーマは部署に戻りながら疑念を抱いた。ただの暴動で厳戒態勢を敷くだろうか。しかも、アムリットサルはデリーから三百マイル以上離れている。暴動への警戒は日々高まっており、警察庁だけでなくインド総督の悩みでもある。ガンディーを崇める人々が増加し、サティヤーグラハ運動を始めた頃からはより一層緊張感が増したけれど、あの運動は武力によるものではない。  詰め所に班長である警部が入室する直前にラーマは戻れた。班長たちのブリーフィングに時間がかかりそうであれば、アムリットサルで起こっていることの情報収集がしたかったけれど、まずは指示を受ける必要がある。 「全員揃ったな、うちの班はこの地区の警戒を担当する。出歩く者がいたらすぐに家へ帰るよう警告し、従わなければ逮捕しろ」  班長はデリー市内の地図を貼り出し、色分けされた区画のひとつを指さした。うちの区画は外れだ。ラーマは鉄面皮を保ちながら、心の中だけでで悪態をついた。北部は治安が悪い。南部の高級住宅街の住民と違い、戒厳令を守る人々ばかりではない。  もうすぐ日が沈む。ラーマは今夜を怪我することなく終えられるかわからなかった。 「班をアルファとブラボー、ふたつに分ける。二時間パトロールしたら交代、交代場所はここだ。1700までに全員装備を整え出発すること。質問はあるか?」  なし。この班での戒厳令は初めてではない。定められた時間まであまり余裕がない、弁えたチームメンバーに対し、班長は満足気に頷いた。  班のメンバーだけでない、警察署の全員が何かを抱えて早足で歩き、どこかでは怒声が響き、武器庫や装備室に向かう人々の表情は硬い。今回の戒厳令はデリー警察の全員が動く。小銃の携帯はイギリス人が優先だ。ラーマは警棒と懐中電灯だけで何とかするしかない。  慌ただしく時間が流れ、定められた時刻となった。街へ出る時間だ。  デリーの中心地は夜でも昼のような賑わいだが、今日ばかりは静まり返っていた。店はどこも閉められ、ちらほらと急いで帰宅する人々を警察官が追い立てている。  ラーマはトラックの荷台から街を眺める。戒厳令により、もはや見慣れたデリーではなくなっていた。北部へ向かう際、総督府の横��通り過ぎたが、数十フィートにひとりの間隔で銃を提げた軍人が立っている。総督のお守よりマシだとラーマは内心でごちた。 「アルファ班は先に、定時報告を忘れず巡回レートは地図で示された通り行け。ブラボー班は通信の開設を始めろ」  面倒な通信の開設を免れたのは助かったが、ラーマのアルファ班にインド人は彼だけ。重い無線機はラーマが持つしかなく、交代も望めなさそうだった。  無線機の通信を確認し、アルファ班の三人は出発する。  北部のスラム街には細い路地が多い。そういった路地では待ち伏せの危険がある。普段は主にスリや強盗の心配をすればいいが、今夜は何が起こるかわからない。ルートは太い道路が主だが、危険性の高い細い路地も含まれている。  四月のデリーは比較的快適な気候で、夜になればかなり涼しく感じるが、ラーマは汗がじっとりと制服に染み込んでいくのを感じた。いつもなら人ごみをうっとおしく思うけれど、人がいない方がずっと不気味だ。先輩格のイギリス人たちもラーマと同じようなことを思っているらしく、緊張が顔ににじみ出ていた。  一巡目では特に何も起こらなかった。つい帰宅が遅くなってしまった人々を警棒で威嚇して帰らせたくらいだった。彼らは高圧的な警察官たちに悪態をつきながらも素直に従ってくれた。  交代だ。肩にずっしりのしかかっていた無線機を人に渡せてラーマは一息つく。軽くなった肩を回す。このまま休憩していたいところだが、別の仕事がある。  無線機から解放されたのに、また無線の番だ。ブラボー班からの定時報告を受け取りながら、ラーマは密かに情報を集めようとしていた。  アムリットサルで起こった暴動くらいで、デリーを厳戒態勢にするだろうかという疑念は解消されていない。そもそも、暴動の詳細がまだ謎に包まれている。  この班の詰め所に選ばれたのは小さな警察署。ラーマの下宿ほどしかなさそうな会議室を、別の班と半分ずつ使用している。頼りない机に何個もの無線機や地図が広げられ、狭い部屋に何人もの男たちが詰めているため蒸し暑くてかなわない。なのに、窓は暴徒対策のため開けることができない。  班長はずっとヘッドホンで無線を聞き、時々手帳にメモしていた。ラーマが担当する無線はパトロール用の無線としか繋がっていないが、班長が陣取っている無線はもっと範囲が広い。デリーで起こっていることはあの無線で聞ける。  最初は班長のメモを盗み見しようとしたが、彼の走り書きは恐ろしいほどの悪筆であり、その酷さは医者のカルテにも勝る。普段の書類はフォントのように完璧な文体で書き上げるためラーマらが困ったことはない。班長がいつも悪筆であれば解読力も養えたはずだが、書類との筆跡が違いすぎて別人が書いたようだった。  それでもある程度は読み取ろうとラーマは努力した。定時報告の合間に紅茶を淹れて差し入れ、班長の机に近づいた。ちらりと盗み見た手帳で解読できたのは三百と千という数字だけ。それだけでは何のことかわからない。  三百と千。その数字に頭を悩ませていると、ブラボー班が戻ってきた。交代の時間だ。  再び、ラーマは無線機を背負う。  今度のパトロールも大きな事件は起こらなかった。戒厳令により静まり返り、真っ暗なデリーは戦時中を思い起こす。今日ばかりは、通りをうろついては喧嘩を繰り返す野犬さえどこかで大人しくしていた。  二時間、きっちり警邏し、また交代。これが朝まで続く。ラーマはうんざりしていた。彼だけではない、小さな警察署に詰め込まれた全員がうんざりしていた。勤務は倍に延長され、慣れない地区を軽装備で歩き回らなければならない。誰もが無事に夜を越すことだけを願っていた。  また二時間後に交代。時間は午前二時になっており、一睡もしていないラーマの眠気は限界だった。  三人一組で警察署を出発する。やはり無線機はラーマが背負う。きっと肩に背負い紐の跡が残っているだろう。数日は肩が痛むに違いない。小銃を構えたふたりは先を歩く。普段なら余裕でついていけるのに、疲れと眠気でラーマの意識は今にも飛びそうだった。  数十分歩くと、細い路地に辿り着いた。イギリス人の同僚ふたりは三度目の警邏で気が緩んでいるようだった。同じ道を三度目だ。前も大丈夫だったからと緊張感が抜け注意力が低下しているように見えた。  ラーマにはすぐそばの建物の中から足音が聞こえた。ほんの小さな音だ、聞き逃してしまってもおかしくない。考える暇なく叫んだ。 「止まってください!」  ラーマが叫ぶ直前、右手側、二階の窓が開いた。 「人殺しに死を!」  前方を歩いていたふたりに目掛け、火炎瓶が投げられた。  瓶が割れる音と共に炎が広がった。ふたりに直撃はしなかったらしい、炎の向こう側から聞こえてくるのは驚きと怒りの声であり悲鳴ではなかった。 「こちらアルファ班、こちらアルファ班、ポイント十二で火炎瓶により火災発生、こちらの怪我人なし! 至急応援を頼む!」  ほとんど怒鳴るようにラーマは報告する。急がなければ。スラム街は燃えやすい素材で造られた掘っ立て小屋のような建物ばかりだ。ぼやぼやしていると大火災になりかねない。 「俺は犯人を追う! 消火を頼む!」  同僚の返事が聞こえる前にラーマは駆け出した。階段を登るバタバタという足音がする。犯人は屋上へ向かい、屋根を伝って逃げる気に違いない。犯人の人相はわからないが、窓から火炎瓶を投げ捨てた後、急いで背を向けて逃げ出すところは見えた。何の特徴もない白いシャツと刈り上げた短い髪以外の情報はない。今捕まえなければ。  階段を登っている最中にようやく気づく。無線機を同僚に託して置いてくればよかったと後悔した。途中で放置すれば十分以内に盗まれるだろう。しっかりと背負い紐とベルトを締めたはずなのに、走ると背中に二十五ポンドの重みがガンガン当たる。  痛みでやけくそ気味になりながら、ラーマはラーティーをしっかりと握りしめて屋上へ出た。  辺りを見回すと、東の方向に走っていく人影が見えた。発見から間髪入れず、ラーマは走る。逃亡者は屋根と屋根の間隔が狭いところを探しながら逃げているようだ。逃げ道を探しながらということは、計画的な犯行ではないのかとラーマ頭の中で考えながら、崩れそうな脆い屋根から次の屋根へと跳ぶ。  足元の瓦が割れたが、構っている場合ではない。屋根を突き破って誰かの部屋の中に落ちなくてよかったと安堵しつつも脚を止めない。  幸いなことに、満月が近いので街の明かりも懐中電灯を預けてしまっていても、犯人を見失うことなく追うことができた。ちらりと下を見ると、ボヤと屋根を走る人に驚いて人が集まり始めていた。戒厳令だとしても騒ぎを確かめたいという気持ちは抑えられないものだ。ラーマの体はひとつしかない。早く追加の警察官と消防が着くようにと願いながら、逃亡犯を追った。  もうすぐ、追いつく。 「逮捕する!」  白いシャツと刈り上げ頭の男は跳び移れそうな場所を失った。周りの建物は離れすぎており、超人的な跳躍力がなければ難しそうだ。  労なく男の腕をねじり上げ、手錠をかける。 「インド人の面汚し! 人殺したちめ!」  犯人は口汚く罵っていたが、ラーマが手に力を込めると罵りは続けているものの声は小さくはなった。人相は特徴がない。まだたったの二十歳程度。髪は短くてヒゲも綺麗に剃っている。だがそれくらいだ。どこにでもいそうな男だったので、人混みに逃げられる前に捕まえられてよかったと安堵した。  さて、どうしよう。ラーマたちが今いる家の雨樋はか細く、明らかに男ふたりの体重を支えることはできそうにない。無線で応援を呼ぶにもボヤがあったのだから時間がかかりそうだ。  屋根の上で男がふたり走り回っていたのだから、と考えてラーマは犯人が逃亡しないよう注意しながら身を乗り出し、窓をノックした。 「あんたら、ドタバタと何をしてたの!」  家の持ち主らしい女性は睡眠を邪魔され機嫌が悪そうだ。顔は真っ赤で、顔には怒りを滾らせていた。午前三時近くに屋根の上を走り回られたら誰だって怒りたくなる。 「朝早くにすみません。凶悪犯を捕らえたのでこの部屋に降ろしてもよろしいでしょうか?」 「嫌だと言ってもやるんでしょうが。あんたら警察はいつもそうだ……」  家主の了解は取れた。無線機を先に下の階へ降ろし、受け取ってもらう。顔を見るに、彼女はまだまだ文句はあるのだろうが、一応協力はしてくれている。ラーマはもう一つ持っていた手錠で自分と犯人の手首を繋いだ。 「な、何考えてんだあんた」 「お前を下の階に降ろすだけだ」  ラーマは犯人を屋根の端まで追い詰めた。 「頭おかしいぞ、おい、怪我したらどうするんだよ、おい!」 「お前は既に俺たちを殺しかけただろう」  勢いが大切だ。男を思いっきり押す。ラーマは勢いのまま腹ばいになって腕を振り、犯人が窓から部屋の中に転がり込んだのを確認し、自分も屋根から落ちた。 「殺す気かよ! お前ら本当に人殺しだな!」  落ちるに任せず、窓の桟に指をかけてラーマは落下死を免れた。身を引き上げて部屋の中に入ると、恐怖体験をした犯人はわめき、女性は不機嫌そうに扉の方を指差している。 「ご協力ありがとうございました、マダム」 「協力したんだから、早く帰りな」  取り付く島もないため、ラーマは無線機を背負い、犯人を連行しさっさと去ることにした。 「そうだ、この男に見覚えは?」  手がかりは望めないだろうが、退去する前に一応聞いておくことにした。 「ないね。窓から放り込まれてきたのが初対面で、見たこともない」  噓はついていないとラーマは判断した。彼女は寝ているところを起こされて不機嫌なだけで、噓はついていない。それに、犯人もこの家の屋根にはたまたま辿り着いただけのようだった。  戒厳令で苛立っている住人をこれ以上苛立てないよう、ラーマと犯人は今度こそ部屋を出た。  気がつけば、空は明るくなり始めていた。腕時計を確認すると時刻は間もなく午前四時。本来なら四時にはパトロールを終え交代の時間だ.どっと疲れに襲われたがラーマの勤務はまだ終わっていない。  無線で犯人を確保し、これから署に連行する旨を連絡して歩き出した。  逮捕されてからずっとぶつぶつ悪態をついていた犯人も、窓に放り込まれたショックが大きかったのか、不気味なほど静かに連行されている。  大分早いがデリーの朝にしては静かだ。人のいないとまったく違う街に見える。牛が道端の草を食んでいる光景は戒厳令下でなければ和ましい。誰もいない通りを歩き、ラーマはふと、故郷を思い出した。軍事訓練が始まるよりずっと早い時間に起きて、シータや弟と一緒に森や川で遊んだものだ。  いけない。郷愁に浸っている場合ではない。ラーマは気を引き締め直す。 「お前、名前は?」  せっかく署まで時間があるため、この時間で聞き出せることは聞き出すことにした。  しかし、返事はない。だんまりを決め込むらしい。ラーマはまずは軽めにラーティーで彼を小突く。犯人は簡単に転んだ。取り押さえる際にも容易に手錠をかけることができたので、軍隊経験や武術の心得はないようだ。若く、身なりは悪くないので戦時中は学生だったかもしれない。しかし、まだ確定事項ではないと、ラーマは頭の中に一応メモをした。 「痛い目を見る前に話した方が身のためだ」 「わかった、話す! おれはナーナー・サーヒブ……」 「なぜ警察官を狙って火炎瓶を投げた」  ナーナー・サーヒブと名乗る青年を立たせ、歩かせる。のんびりしている暇はない。 「お前らが人殺しの手下だからだ! 報いを受けさせてやる!」  よく吠えるが要領は得ない。ラーマのヒンドゥー語の能力が問題なのではなく、彼が象徴的なことしか言わないせいだ。  ラーマが所属する課はデリーの活動家を見張る役目を担っていたが、ナーナー・サーヒブという名前は聞いたことがない。彼が偽名を名乗っているのか、それとも前科がまったくないのに警察官の殺害を目論んだということだろうか。  本名かわからない名前以外聞き出せず、ラーマたちは警察署に到着した。 「犯人は留置場に置いておけ。私たちは一時間もしたらここから引き上げなくてはならない。しばらくの間はこちらの署に任せる」  班長は必要なことだけ短くラーマに伝達し、忙しそうに会議室へ戻っていった。苦労して犯人を捕まえたとしても労いの言葉などない。わかっていた。功績をあげたとしても横からかすめ取られる。イギリス人の上司、先輩、同僚はインド人を顧みない。  サーヒブを留置場に入れ、どうせ情報は掴めないだろうが一応話を聞くことにした。 「犯行の動機は?」 「復讐」  ぼそりと一言だけ呟いた。話にならない。  痛めつければ何か吐くとしても、今のラーマは一晩中歩き回り、最後に逃亡犯を捕まえるため屋根伝いに走ったせいでくたくただ。もうすぐ交代の時間がくる。しばらくは狭い留置場でゲロを吐きまくっている二日酔いの男たちと一緒にいればいい。引き取りまでには少しくらいは殊勝な態度になるだろう。 「お前の投げた火炎瓶が建物に引火して火事になったら、死ぬのは地元の人間だ」  ラーマも一言吐き捨て留置場から去った。  今回は現行犯で、未遂とはいえイギリス人警察官をふたりも殺しかけた。このままなら、よくて終身刑だろう。この国の法制度が狂っていることくらい、ラーマも知っている。イギリス人であれば罪人でも丁寧に扱われるけれど、インド人なら軽罪でも重大犯罪者扱い。逃げ道も用意し��いない、突発的な犯行で結果は殺人と放火未遂。あの身なりなら前科もなさそうだ。  だとしても、大英帝国が死刑を求めれば死刑となる。不均衡だ。  警察に潜りこんだのは人々に武器を届けるため、その目的のための仕事でラーマは様々なものを見た。インド人の娼婦を殺し、証拠もあったのに罪に問うことが出来なかったイギリス人。明らかに殺人だが、捜査されることなく打ち捨てられた不可触民の死体。現実が、ラーマの目の前にあった。  目を覚ましたくて、ラーマは洗面所で顔を洗った。悪いことばかり考えるのは、疲れているからだと自分を納得させようとした。清い水は悪いものを流してくれる。悪いことばかり考えるのは疲れているからだ。  会議室の人々はは片づけにかかっている。もし、火災に発展していたら今頃大忙しだ。基本的にラーマを見下し、同じ階級のはずなのに雑用係のように扱うあのふたりはもちろん嫌いだったが、ちゃんと消火できた点は評価に値する。  班の備品やアンテナ、ワイヤーを回収し、時間通りに班は撤退した。放火と殺人未遂のナーナー・サーヒブを置いて。  武器や装備を戻し、班長の指示もそこそこに長い任務は終わりを迎える。誰もが落ちそうになる瞼を必死に押し止め、ヘルメットで潰れた髪をかき上げ無言で解散した。  汗が染み込んだ制服から着換え、ラーマは帰路につく。今まで、疲れ切って気付かなかったが腹が減っている。そういえば夕食を取る暇なくパトロールへ向かわされた。食事といえば、味のしないビスケットを休憩中に紅茶で流し込んだだけ。  戒厳令は解かれたとはいえ、普段のデリーと比べて人通りが格段に少ない。少し歩き、いつも出勤前に寄る軽食や菓子、雑貨を売る屋台が今日も開いているのを発見した。 「チャイとプラタ、それと新聞をくれ」  いつもの無愛想な店主に注文し代金を支払い、湯気が立つチャイのカップを受け取る。忙しい夜を終えて飲むチャイは格別だった。デリーにしては静かな朝。これから仮眠を取ったらまた昼から仕事ということを考えなければいい朝だ。  プラタが焼き上がるまでの暇つぶしに読むため、積んであった新聞を一部取る。  新聞を開くと、思わず、カップを落としてしまった。素焼きの器は軽い音を立てて割れ、こぼれたチャイは靴を汚した。 『アムリットサルで虐殺事件 死者約三百人、負傷者千人以上』  一面の見出しに大きくそう書かれていた。ラーマの頭の中ですべてが組み合わさってゆく。班長が手帳にメモしていた三百と千という数字はアムリットサルでの死者と負傷者の数だった。ナーナー・サーヒブがラーマたちを人殺しとなじり、復讐のためにあの夜火炎瓶を投げた理由がわかった。  昨日、四月一三日の午後、ラーマたちが放送により集められる数時間前、アムリットサルのある広場で住人たちが集まりデモを開いていた。ローラット法によりデモ自体は違法だったが、彼らは民間人で武器は持っていなかった。なのに、イギリス人司令官レジナルド・ダイヤ将軍は彼らを強制的に排除した。住人が集まっていた広場には出入口がひとつしかなく、そこから一斉射撃が行われたという。 「兄さん、焼けたよ兄さん!」  新聞を夢中で読んでいたラーマはしばらくの間、店主の呼び声が聞こえなかった。軽く謝罪し、紙に包まれた温かいプラタを受け取る。  ふらふらと、脚は歩き出したがラーマの頭にあるのは虐殺事件のことだけ。自分は何一つ知らなかった。何も知らされなかった。班長は虐殺のことを知っていたはずなのに、班に、インド人に教える必要はないと判断したということだ。  ラーマは自分を優秀だと自負していた。班では一番の成績でそれは頭脳だけでなく、肉体的にも全てで勝っている。数字は噓をつかない。だが、認めなければ数字は意味をなくす。  十数年前の悪夢が蘇る。アムリットサルでも故郷のような惨状だっただろう。広場に集まっていた住人は一斉射撃により殺された。父だとしても、母だとしても、子どもだとしても、彼らは区別なく暴徒と扱い殺した。夥しい量の血が流れただろう。撃たれた住民は耳をつんざくような悲鳴をあげただろう。ラーマの記憶の中にある光景と同じものが、アムリットサルで起こった。  気がつけば帰宅していた。汚れた服が入っていた袋を落とし、ずるずると床に座り込む。手の中のプラタはすっかり冷えていた。
Bheem side
「今日はよく釣れたぞ!」  ビームは籠に入れた釣果を村人たちに見せる。まだ生きている魚たちはぴちぴちと跳ねた。まるまる肥えた川魚は焼くか煮込むか迷う。 「ビーム! そろそろ戻ると思ってマスタードシードを炒め始めたの、魚を捌いてくれる?」 「もちろん」  ロキの呼びかけで、ビームは魚を捌いた。血を抜き、内臓を取り出し、頭を落とし、皮を剥ぐ。そうして、食べるための肉にしてゆく。  魚の肝を投げるとサリイは上手く口で捕まえた。サリイは村の番犬だ。みんな忘れてしまったほど前、いつの間にかサリイは当たり前かのように村に住み着いた。番犬とはいえ年寄りのため、今はもっぱらマッリの遊び相手だ。  スパイスと野菜を炒めていた鍋にビームが捌いた魚が加わる。村中に香ばしい香りが広がる。 「ねえ、兄さん、ラッチュとジャングはどこ?」  サリイと遊んでいたマッリはナイフを洗っていたビームに質問した。 「婚礼に必要なものを買いに街へ行ってるんだ。二日後には戻るよ」  森で暮らすゴーンド族も時には街へゆく。基本は森からの恵みで生活は完結するが、時に必要なものがあれば少し離れた街へ買い物に行く。ものを買うついでに街で工芸品などを売って金銭を用意していた。  一週間後に村で結婚式が行われる。めでたいことなので、新婦の兄であるラッチュと付き添いのジャングが出かけていった。 「そっか、ラッチュと結婚式用の絵の練習台になるって約束したのに」 「そうだったのか、なら、おれを練習台にすればいい」 「いいの? 兄さん?」 「もちろん。マッリは絵がうまいからな、いくらでも練習台になる」  ビームの言葉にマッリの顔がパッと明るくなった。まだ子どもだが、マッリの絵の才能には目を見張るものがある。結婚式のため張り切る子の練習台になるくらい、ビームは喜んで受け入れる。 「マッリ! ご飯ができたよ!」  ロキの声が響く。夕食の時間だ。  二日後。  ラッチュとジャングは無事に結婚式用の荷物を村に持ち帰った。美しい装飾品に伸郎、荷車から荷物を降ろすビームに言う。 「アムリットサル……それはどこだ?」 「なんでも、パンジャーブ州にある村らしい」 「ずいぶん遠いところの話なのにここまで届いたか。よっぽどのことだな」 「よっぽどのことなんだ! おれとジャングが街に行ったらな、すごい雰囲気だったんだ。みんな苛立っていて、抗議運動とかしててな、おっかない感じだ」  話の雰囲気が不穏な方向に進んだため、ビームはラッチュを連れて村はずれまで向かった。 「それで、何が起こってたんだ?」  ビームが聞くと、ラッチュは気が動転しているらしく、長い髪をぐしゃぐしゃとかき回しながら話す。 「あ、ああ、馴染みの工芸品店に商品を卸すついでに店主に聞いたんだが、アムリットサルで虐殺事件が起こったらしい」 「虐殺?」 「虐殺だ。村人たちが抗議集会を開いてたところに、ダイヤとかいう将軍が射撃命令を出して、殺したらしい……」 「――むごいな」  川の流れに手指を浸し、ビームはうめいた。  イギリス人たちの暴虐は僻地の村にも時々届く。羊飼いのため、必要がない限り村からはあまり出ないビームにとって、アムリットサルもイギリスも想像できないほど遠い土地だ。それでも、彼は一方的に殺される人々を悼む。殺しを憎み、被害者たちの痛みを感じることができる人間だった。 「なあ、兄貴、おれたちはどうしたらいいだろうか。街は怒りで満ちている。おれたちも加わるべきだろうか?」  ラッチュもラッチュで悩んでいた。イギリス人の暴虐を怒り、抗議する人々を警察官はラーティーで殴り、片っ端から逮捕していた。  彼の中で、人が一方的に殺されることは悪であり、それに抗議するのはいいことのはずだった。なのに、警察官たちは抗議者たちを悪人扱いした。正義がなされない世に、ラッチュは混乱していた。 「待て、ラッチュ」  怒りに震えるラッチュの肩にビームは手を置く。静かだが、威厳のある低い声で制止した。 「今は殺された人々の安寧を祈ろう。彼らの苦しみに寄り添おう。怒りに、呑まれるな」  兄貴分の言葉でラッチュは冷静さを取り戻した。 「今夜、村のみんなで殺された人々のために祈るんだ。生きていた人々のために」  低い声で言葉を重ねるビームにも怒りがないわけではなかった。暴虐は許されざることだ。今の世はダルマ(規範、真理、善などを含む概念)が失われている。しかし、ビームは羊飼いの責務が一番の優先事項だ。村人を守り、村を守護するべき存在だった。理由がなければ村を離れることもできない。 「そうだな、兄貴。その通りだ」  諭されたラッチュの表情はすっきりとしていた。 「婚礼用の花を少しわけてもらおう。亡くなった人々のため、川へ流そう……」  
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tokyomariegold · 2 years
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2022/8/27〜
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8月27日 カスタムくんに会いに出かけた! 片道2時間の少し複雑な乗り換えを頭にたたき込んだ。あと少しのところで初めての路線乗り換え。そこでお財布を忘れていることに気がつく。え〜〜……!!と、でも、なんとも戻るしかない。そして戻ったらまた同じ道を出発する元気もないし、カスタム君の午後の部にも間に合わない。横浜駅構内にはブルーナカフェが入っていてナインチェかわいいけれど、心はすっかりカスタムくん。
合計3時間程の旅を0円でしてしまった。
戻りながら電車で日記の���字起こしをして、最果タヒの展覧会のオフィシャルブックを読む。もう1年以上私の部屋にある本だけれど、昨日、この本にマンスーンさんが寄稿していることを知り、もう一度読むことにした。
駅のホームでおじさんに話しかけられる。 私に顔を近づけて「一言、二言で終わるから!」と言われ、イヤホンを外すと「あなたは美人です。だからすてきな彼氏がいるんでしょう。そしてその人と結婚して、絶対に幸せになって下さい。」と言って、去って行った。(“絶対に”の位置が「“絶対に”その人と結婚して〜…」だったかも知れない。) 揶揄う相手を間違えている。
ヨドバシカメラで洗濯機をみる。 1人だとただの鑑賞会をして終わってしまうので友人に付き添ってもらった。ドラムより縦型の方が私の生活には合っていそう。コストダウンできた分で何かしようと思った。 友人がフィルムの現像を出していて嬉しかった。自分以外の人が写真を撮っていると嬉しい。
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8月28日 夜にライブイベントに参加する予定があり、1日を、それまで体力を保たせて帰宅後もきちんと過ごせるように時間を過ごしていた。 夜の予定が本当に苦手になってしまう。 もともと、ライブには1人でよく行っていたけれど、チケットを取った時の喜びから、そのライブが近づくにつれて憂鬱になることばかり。ライブの中身より、その時間を耐えた開放感と夜の街にいる喜びに、ライブ=楽しい、という印象をもっていて、ライブって楽しい。
でも、いつもの日曜日をいろいろ終えて、そこからお出かけするのはなんかいい感じ。みんな帰っていく中でわたしはこれから!みたいな。 途中、ディズニー帰りのお姉さんが隣に座り、携帯で新幹線を予約している様子で、これから大阪まで帰るのか〜と眺めていた。
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臨海副都心の街に久しぶりに降り立てて、しかも日暮れ時の涼しい夏の日曜の夜で最高だった。ライブ中も、外の景色とか今の空の暗さとかが気になって、元々終演までいるつもりはなかったけれど、早めに会場を後にした。 フットサルをしている人達、それ以外は、日暮れ時の公園の人達はみんないなくて、ビルの赤いランプが点々と映えていた。
夜の海沿いの首都高を眺めながら、ほとんど千葉なのでは?と思いながら、意外と日曜日もお仕事お疲れ様な人が多い、と思いながら、ライブ会場の粗悪なパイプ椅子から座って鑑賞することを想定されていない高さの舞台を見ることで痛めた身体を引きずりながら、涼しい夜を帰ってきた。
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8月29日 実家へ少しだけ帰ってみる。 母と同じ時に京都にいたらしい。近所の梨園で無人販売を始めたらしく、梨を1袋買った。ちょうどもぎ取ったところで、その場で詰めてくれる。1,000円で5,6個入っていて、1つだけ貰ってあとは実家に置いてきた。
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実家は色々家の補修を済ませていた。 庭の一部にコンクリートを打って通行しやすくしたり、かなり劣化していた木のデッキと縁側をプラスチックの擬木のデッキにし���手入れしやすくしたり、施工不良でずり落ちた屋根を葺き替えたりしていた。 また駅まで車で送ってもらう。 昔、塾に行くために下車していた駅は、駅ビルがかなり充実していて、駅横のデパートはショッピングモールみたいになって格が落ちていた。
池袋のビッグカメラで洗濯機を買った! 他店で目星をつけた製品をもう一度紹介してもらい、その内、一つ前の型がかなりお買い得だった製品に決めた。満足のいく行程で購入まで漕ぎつけた、と思っていると、最後にポイントプレゼントキャンペーンの紹介(セールス?)。どこかの国の必殺技くらいにしか思っていなかった“格安SIM”のことが少しわかった。
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帰宅して眼科へ。ペッパー君みたいなお兄さんに検査してもらう。使っているコンタクトのゴロゴロがつらくて、とても毎日装着できないことを伝えると「そうですよね〜、◯◯さん(私の名前)はかなり乱視が強いので違和感はあると思います。」と流れるように答えてくれてペッパー君。「目薬や装着液を使ってもあまり軽減しなくて…」と言うと、「え…?装着液ですか…?」と人間になってしまった。装着液ってハードコンタクトにしか使わないらしい。「(ゴロゴロするのは)慣れれば感じなくなりますかね〜」と言うと「慣れませんよ〜。ずっと違和感は残りますよ。」とペッパー君に戻った。
梨の皮を剥いて、カットして、今までで1番カットされた梨っぽい造形になって嬉しい!包丁を新しくして良かった。
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8月30日 夕食のお誘いメールをもらった。 職場の飲み会が無くなったご時世でとても助かっている身だけれど、少人数の少し心落ち着ける人選の会だと、行きます!と返事をしてしまう。 (食事の席に変わりはないので、少しずつこれから憂鬱度が増していくのだろうな。) でもお誘いメールに“参加してくれると嬉しいです。夕食を取らない派であれば飲み物だけのオーダーでも構いません。ご一緒できるのを楽しみにしています。”とあり、ならば!となったのかも知れない。 基本的に、他人から気を遣われてしまうタイプだと思っていて、(こんなにしたら逆に相手に悪いかな)と不安を抱かせてしまうくらい気を遣ってもらえると嬉しかったりする。(だから、家族や身内の無礼にしょんぼりするし、いつまでも引きずったりする。)
妹と喋れていた頃、その最後の方は彼女とそんな感じの関係でなんか良かった。祖母のお葬式を中抜けして一緒に帰った時、少しお互いの近況を話して、お葬式も大事だけど、テストや課題や明日の大事なことがあるよね、みたいな話をした気がする。
上司の思いつきで明後日は都庁へ行くことになった。昼食問題は自分に正直になって乗り越えよう。
職場で2日連続で病欠した人がいて「また病んでいるんじゃないか」「お前何かしたんじゃないか」みたいな会話が飛び交っていた。 その人がお休みすることで仕事が増えることの迷惑より、ただ何か面白がって言っている愚痴に聞こえて、とっても私は落ち込んだ。
明日で8月が終わる。暑中見舞いは2通お返事が来た。
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8月31日 今日は何もなかった。 そんなことはないはず。だけど、今日は何もなかった。
9月1日 都庁へ行った。1階のエントランスの巨大なピロティが、何かの搬入口みたいな空間なのに人だけが通っていて不気味。 ロビーにはアルソックの警備ロボットがウロウロしていて可愛い。 ずっと閉鎖されていた45階の展望室は、なんと今日から再オープンのよう!警備員のおじさんが「ちょうど今日からなんですよ。」と教えてくれる。 用務まで東京観光案内所で23区と市区町村のパンフレットを眺めて、再来週行く予定の府中市のお散歩マップを手に入れた! 隣は全国都道府県の観光マップが揃っていて楽しい。月替わりショップは今日から山梨県で、オープンしたてなので信玄餅の入荷数を数えていた。
用務が終わり、昼食に行くみなさんを見送って展望室へ。新宿から眺める東京は、何かありそうで、特別何もなくて、意外と住宅街が細々とよく見える。 誰でも弾けるピアノに人がたくさん並んでいて、代わる代わるに上手に演奏していた。みなさん力強いタッチ。
午後から職場へ戻るため、中央線に乗る。 平日の昼間の中央線っていろんな人がいる。ビンテージっぽいTシャツとキャップ、短パンにサンダルを身につけて、手にはフライトの本があり、昨晩の音楽イベントのストーリーを投稿している男の人がいた。
職場に戻ると、昼食をとれない、人前で食べられないことを、また今日も明るみにしてしまい、そのことを話されているな〜小声で遠くで、というのを察知したりした。あと都庁のどこかに傘を忘れたことに気がついた。
帰り道で稲妻を5回見た!
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9月2日 聴く・見る・読む、何を受け取っても、どこかで気持ち悪いレーダーが働いてしまう日。何も聴きたくない見たくない読みたくない。なので、自分の頭の中で健やかな都合の良いイメージやストーリーを流していた。
今日も何もなかった。 でも、以前同じ部署だった方にばったり会って「相変わらずかわいいですね〜」と言ってもらった。 「ヘッドホンおしゃれですね。」と言ってもらい、でもただのファッションなんです、ファッションといえば◯◯さん(相手の名前)のメガネっておしゃれですよね、といつも思っていたことを伝えることができた。「眼鏡はね、こだわりがあるんです。」と言っていた。眼鏡市場で買っているとのこと。
掃除をして爪を切って写真を撮って梨を剥いて花の水を換えて鏡を磨いてお香を焚いて洗濯をした。
場所性の本に、写真や芸術作品を作る人は場所のアイデンティティの要素をダイジェスト的に捉える、みたいな文があり、ある作家は、以前住んでいたプレーリーの土地を、グミの匂いの中に見出した、とあって、その作家の作品を観たくなった。
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tominohouzan · 1 year
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小片リサ 1stEP『どっち』発売記念 ミニライブ&お見送り会 2022年10月29日(土) タワーレコード八王子店(東京) ①13:00~ :★★☆(2.5) ②15:00~ :★★★★☆(4.5) ③17:00~ :★★★★☆(4.5)
リリイベ7日目はCD実販売後初の休日開催となる八王子タワレコ。これは枯れるかもしれないと不安になりながらも、同僚にタイムカードを預け故意のフライングで職場を飛び出した。
9時15分、京王八王子ビルに到着するもエレベーターがまだ稼働していない。これはこまった。附近に滞留者もいない。私だけエレベーター前で滞留するのはマナー違反かと思い、離れたところで待つことにしたが、いつの間にかエレベーターが稼働し、販売列に並び損ないでもしたらそれも困る。取り敢えず喫煙所で一服するも全く落ち着かない。 9時50分、エレベーターはまだ稼働していない。エレベーター前には滞留者が3名程。ハロヲタマナー良すぎで困る。取り敢えず離れる。 9時58分、滞留者5名。流石にエレベーター前で待つ。これなら買えるだろう。
10時00分ジャストにエレベーター稼働。5階タワレコへ着くと、スタッフが10時30分に入り口に再集合するようにアナウンスしている。取り敢えず店内に入ると、すぐにスタッフから店内奥で列を作るとアナウンスされた。素直に従ってその場を離れた方もいたので、流石にちょっとひどいなとは思った。10時10分で20名程度並んでいる。10時30分販売開始。目測40名。ここは抽選箱に手を突っ込み、自分で券を引くシステム。私が引いた券は3部ともイマイチな番号だったが、これぐらいのほうが気楽で私には良いかもしれない。今日は長丁場になるので、丸亀製麺でぶっかけうどん並と、ドトールでスイートポテトを食べてカーボローディングする。
・ちょっとまとめ。 この会場は10時にならないとエレベーターが稼働しないので、10時に来れば良い。また10時半に再集合しろと言われても店内に留まること。
1部 :★★☆(2.5) 12時28分入場列が作られる。整理番号37番で15番手入場。客入りは50名弱だろうか。会場は売り場から完全に隔離されていている。雰囲気はほぼ会議室といっていい(まるちゃんはライブハウスみたいといっていたが)。白色蛍光灯と天井アネモのビジネス感がエンタメ感を一掃している。天井に埋め込まれたスピーカーから微妙な音量でコインゲームのBGMのような音楽が流れ込んでいてストレスを感じる。壁にかけられているタワレコのバックドロップも出汁がきいた感じでよれていて、何とも言えない場末感がある。前方に詰め気味にして5列客を入れると、後方エリア80%はガランとしてしまう。私は4列目あたりを確保した。
まるちゃん登場。一曲はどっち。イントロでうつむいている。ここはもとからうつむく振りだったかは思い出せない。顔をあげるとやはり精彩に欠く。朝一番のパフォーマンスだったせいもあるのだろうが、声も絞り出している感じがあり、客席後方のガランとしたスペースを見るのが辛いのかなと思わずにはいれなかった。MCのカラオケの話が少し笑える感じだったのが救い。後半はいくぶん持ち直したが、全体的に笑顔も少ない。何より歌声に怯えのようなものを感じてしまった。あの美声はどこへいってしまったのだろうか。
2部 :★★★★☆(4.5) 整理番号41で下手2列目の全身が見える好位置を確保。1部より客も多少は増えたように見える。1部が(私目線では)絶不調だったので調子が心配だったが、なんと大復調!気持ちを入れ替えたのか、客入りが嬉しかったのか、表情にも覇気がある。キラーチューンのメロンのためいきもドロップ。そして禁断の客の頭髪イジリ!!!あまりにもオチへの流れがスムーズだったので、用意してきたネタだと私は確信している。私はしっかり台本を用意するハロメンが大好きなのだ。素晴らしい! 私の前の女性客へ向けたゴーオンを自分宛てに脳内で強引にコンバートする。
3部 :★★★★☆(4.5) 客席は今日もっとも寂しいかもしれない。会場前方に4列できるかどうかといった感じ。整理番号も80番台と若くないので、後方の空きスペース埋め要員に志願すると決めたのだが、逆にこれが実に楽しかった。手を伸ばしても周りにはぶつからない。スタンディングなのでゆらゆらできるのだ!
なぜこの事に気が付かなかったのだろう。まるでフェスに来たかのように、まるちゃんの生歌でゆらゆらする。最高だ!クラップもするときはするけど、ゆらゆらしたいときはもうしない。自分がしたいようにする。 客入りは良くなかったが、まるちゃんの調子は悪くないように感じる。最後のサニーデイズでも、まるちゃんには申し訳ないがクラップせず、私ひとりゆらゆらしていた。不意にゴーオンが私のエリアあたりに飛んできたような気がするが、これもまた私の前の人に向けたものだろう。きっとそうだ。
セトリ1部 1.どっち 2.真夜中のドア~stay with me 3.明���への手紙 4.ルビーの指環 5.Kitty 6.Oh, Sunny Days
セトリ2部 1.Kitty 2.雨音はショパンの調べ 3.歌うたいのバラッド 4.メロンのためいき 5.じらして愛して 6.Oh, Sunny Days!
セトリ3部 1.じらして愛して 2.ルビーの指環 3.真夜中のドア〜stay with me 4.部屋とYシャツと私 5.どっち 6.Oh, Sunny Days!
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khookhoo · 2 years
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最近、子供が死ぬ夢をよく見る。
大体、死因ははっきりとしない。突然死んでいることになっている。死んでしまってもう居ないところから夢が始まる。
これがきつい。
あるはずの物がなくなって初めて死を知るという感じだ。「居るはずの人」ではなくて「あるはずの物」という感覚が強い。
なぜ人ではなくて物と感じるのかははっきりと説明できないのだけど、赤ちゃんのころから家の中に子供というのは存在し、それを保護して育てていくので親としては「宝物」という感じに近いのかもしれない。「人」であるからには立場が対等でなくてはならないという暗黙の前提を置いてしまっているからかもしれない。親子関係は親が子供の教育責任と保護監督責任を負う。子供に対してはその責任を親が肩代わりしているのであるから、子供は親に従うべきであるというこれもまた暗黙の前提を置く。しかし当の子供本人には当然ながらそんな意識は無く、この世は基本的に自由であって、それに制限を課す親や先生、要するに大人は口うるさいものだという認識でいる。おそらくそれが健全な状態なのだろう。
夢の中で私はあるはずのものが存在しないことに気づいて空虚な気持ちになる。今まであることが当たり前だったものが失われて初めて自分が思っていた以上に大事であったことがわかった。そういった夢を見ることを繰り返す。
子どもたちは大体は存在していないが、たまに幽霊として会いに来ることもあった。幽霊だから、下半身はなかった。「パパ、今まで一緒に遊んでくれてありがとう」そう言っていつものように笑う。天国に行くでもなく、ただそこに居て笑うだけだ。しかし触れることはできない。幽霊だから。そのうちに喋ることもできなくなる。
非科学的なことではあるが、夢は常に暗示めいていて不安になる。
私の友人の一人が16歳の時に死んでしまった。本当に仲の良い友達であった。彼が死んでしまう1ヶ月ほど前から、彼は死後のことについてよく語っていた。まだ16歳、高校生だというのに「俺、生命保���をかけておいたほうが良いような気がするんだよね」とか、「俺が死んだらライブハウスに行って無料でライブ見るし、ラブホに侵入して生活するわ」などと。その後に死んでしまったことによって、その直前にあった関連しそうな記憶を恣意的に抽出しているのかもしれないが、それでもなお頭の中では何か神秘的と言うか、現状の科学では説明できない何かがあったのかと思ってしまう。
であるから、子供が死んでしまう夢というのは非常に気味が悪い。
今回の夢もそうだった。曖昧な記憶になってしまっているが、夢の中で私は子供を救うために何度か人生をやり直していた。
ある日。私は嫁さんと喧嘩して離婚に至った。それも繰り返した人生のうちで何度か発生したことだった。その時は、嫁さんが夕飯を作っている最中に突然怒り始めたのがきっかけだった。何故怒ったのかわからないが、しかし口論になっている。記憶をたどると怒り始めたきっかけは私が嫁さんに何か日常の一言を話しただけだ(セロハンテープはどこにしまった?とか、外出するけど買ってくるものはある?とかそんなものだ)。それだけで嫁さんは激怒した。料理中に話しかけるな、か何か言っていたと思う。
またある時は私が車を運転していて道を間違ったから激怒した。そのくらいで離婚に至るのは不条理だと思うが、しかし離婚に向けての話し合いはどんどん進んでいく。「猫はあなたにあげる」「でも子供は二人共連れて行く」「面会の権利はあるんだからそれで文句ないでしょう」などと言っている。なんとか離婚を避けようとするが、あまりにも怒っていて話が通じない。
結局、離婚に至る。
ある時は離婚に至ってから、私はタイで暮らしていた。大きな会社のブリッジSEみたいな仕事で現地の若いプログラマを指揮していた。宿舎はあまり綺麗ではなかったが小ぢんまりとしていて掃除も一軒家に比べれば楽だった。日差しが強いがそれが作られる木陰が部屋の中にも入ってきて暮らしやすかった。
ある時は浮間舟渡駅の近くに住んでいた。浮間舟渡は東京都北区にあって、埼玉との県境に位置する。現実では浮間舟渡駅近くには地元の友達が住んでいた事があって、何度か遊びに行ったことがある。駅を降りると駅前は暗くしずかで、まさにベッドタウンといった表現が近いように思う。ただ、私が行ったことがあるのは数えてみるともう10年前にもなるので、今はどうなっているのかわからない。
ある時は東京都府中市近辺を自転車で走っていた。細くてどこまでも続く街路を縫うように走り、どこかの家で夕飯を作るために食器や鍋の類をカチャカチャとやる音が聞こえる。その時住んでいるアパートも小さくて暗くて古いものだった。もう家族は居ないのだから、安いアパートで何も問題ない。浮いたお金を余暇を過ごす楽しみに使えば良い。
そんな時にいつも電話が入ってくる。元妻からで、曰く、「子供が二人共死んだ」という。
死因はいつも共通していた。私の実家の二階の窓付近で遊んでいて、そのまま地面に落ちてしまった。(なぜ離婚した妻が私の実家に住んでいるのか、合理的な理由はない)実家の二階の窓は危険だと私は子供の頃から思っていた。天井から床付近まで高さがあるような、開けるとベランダに通づるようなよくある大きさの窓が設置されていた。しかし実家にはベランダがなく、その下はコンクリートで固められた地面だ。落下防止の柵が据え付けられているが、それも老朽化して体重を支えられるかどうかは怪しかった。
子どもたち二人はもう居ない。もう既にこの世に居ないのならば経緯や仔細はあまり気にならなかった。それまでに見てきた夢と等しく、ある日突然、そこにあるはずのものが無くなったという空虚な感想を持つ。離婚して会う機会が減ったとしてもそれは同じだ。我々は家族であれ友達であれ、離して暮らしている大切な人は皆、それぞれが何も問題なく幸せに暮らしていると思い込んでいる。記憶の中には病気にかかって床に臥している状態ではなくて、一緒に遊んでいたとき、一緒に笑っていた時が記憶として残る。けれども実際は事故に遭う危険は常に存在するし、生活が幸せかどうかもわからない。
目を閉じると子供が二階から落ちていくシーンが見える。私は幽霊のようにそこに存在して、子どもたちが落ちていくその瞬間には干渉できない。遠くに妻や私の母が居るのが見えるが、気づいていない。あるいは、気づいていたとしてももう間に合わない。下で二人を受け止めようとする試みは失敗する。受け止め損なうか、そもそも間に合わないか。パターンは違えど二階では人間だった我が子が地面の上では生々しい人形のように寝転がっているのを見ることになる。
それを見るたびに、なんとか助かってほしいと思うが、しかしそれはただ願うだけだ。それ以上のことは何もできない。だから、そういう未来に至らないように、何度も夢の中で人生を遡ってやり直している。
あるとき私は戦争に行った。私は空挺部隊の一員となって狭い輸送機に乗り込んでいた。皆、第二次世界大戦当時の装備を身につけて所狭しと輸送機の中に詰め込まれており、重くて大きいバックパックの群れに人間が挟まっているかのようだった。私が所属する小隊のメンバーの顔ぶれはとても懐かしいものだった。私が新入社員の時に配属された原子力計算機システム課のメンバー。皆、もう50代になっているはずだが、ほうれい線が深く刻み込まれた笑顔のまま、軍服と装備に身を包んでいる。これから戦争を始めるが、なぜかこの小隊ならば生き残れるという漠然とした安心感があった。
しかし、敵地に落下傘降下して小隊が集合するまでに半数の人が行方不明になった。秋、収穫が終わった小麦畑に降り立ち、畑に囲まれた教会を目指す。その教会のてっぺんには機関銃が一艇据え付けられており、弾が無限に存在するかのような水平射撃を浴びせてくる。それを迫撃砲で排除するまでにまた何人かが斃れた。
朝になって敵が潜む森を掃討するまでにまた何人かを失った。未熟な補充兵は片っ端から死んでいった。半分崩れ落ちたレンガの塀に身を隠す仲間のところに砲弾が飛んできて生き埋めになった。それを助け出そうと掘り進めていた別の仲間も砲弾の餌食になった。昔から知っている顔はもう一人か二人になった。それでも原発チームのメンバーはいつも笑っていた。
野営地で寝転んでいる時に手紙が届けられた。妻からだった。手紙を読んだ瞬間に妻は元妻になった。4人居た子供のうち、二人は連れて行く。もう二人は養子に出すと書いてあった。猫は飼う人が居ないので捨てるともあった。せめて養子に出す子供と猫を引き取りたいが、しかし戦地からではどうしようもない。戦中の混乱期に養子としてもらわれていった子供を見つけることはもはや叶わないだろう。その時点で子供は失われたようなものだった。
あるとき我々は大隊全員が集められ、大隊付きの士官に混じって師団長が出てきた。師団長が持ってきた紙を読み上げ、それでようやく戦争が終わったことを知った。それを知ってもあまり喜びはなかった。
そしてまた、電話がかかってくる。子どもたち二人が死んだと。
そしてまた、私は幽霊になって実家の二階に漂うことになる。窓際で子どもたち二人が遊んでいる。妹が窓を開けて身を乗り出してスリルを楽しんでいる。姉はそれを咎めているが妹は言うことを聞かない。そして姉が考えていることが頭に伝わってくる。ほんの少しだけ脅かして怖がらせてやろうと。そうすれば危ないことをしたことを公開するだろうと。その試みは失敗することが私にはわかっている。でもそれを伝える方法はない。姉は妹を脅かすが、そうしたときに妹が足を滑らせ窓枠にしがみつく。瞬間、姉は「妹が落ちたら私は怒られるだろう」と判断する。怒られるのが怖いから助けようとする。しかしそれも無理だ。バランスを崩した姉はそのまま前のめりに落ちる。妹もそのまま。
もはや何度も見た光景であったが、見るまでは忘れてしまっている。そして出来ることはもう何もないと諦める。
が、その時は違っていた。下に居た近所の大人ら数人が脚立や布団などで子供をキャッチする体制をすでに整えてあって、落ちた二人の子供は大人に抱えられたり布団に軟着陸するなどして、無傷であった。
ふと気づくと私はテレビの前のソファに座って戦争映画を見ている。その映画の終わりはハッピーエンドと言えるだろう。たくさんの人命が失われたが、今後は失われることは無い。祖国を守りきった軍隊が凱旋するのを人々は両手と旗を振って歓迎した。色とりどりの紙吹雪が舞い、従軍した兵士はいつものように微笑んで手を振り返していた。そのいくつかは知った顔だった。
「パパ、戦争で何人の人が死んだの」
横に座っている娘がそう尋ねた。
「日本だけで数百万人が死んだから、全世界では数千万人が死んだんじゃないかな」
と言うと、ふーん、と言って、それだけだった。
目が覚めてから少しずつ現実世界のことを思い出す。私はまだ離婚していないし二人の子供は横で寝ている。夢の中で何度人生を繰り返しても上手く行かなかったことが、現実世界では全て問題なくうまく行っている。
だからそれで良かったね、ということで落ち着くのだが、それと同時に不思議な気分にもなる。
もしかしたらああしてタイでブリッジSEをやっていた自分とか、浮間舟渡に住んでいる自分とか、あるいは可能性は低いけど戦争に駆り出された自分という状態もあり得たはずだ。
それぞれの人生において、それなりに自分は生活できていて、満足感があった。
子供が死んでしまった件は辛くて苦しいが、そもそも結婚をしなくて子供がいない人生だってあり得たはずだ。そうしたら世間一般の子供の死に際してわき上がる感情もだいぶ違ったものになっていただろうと思う。
別にこれらは特殊なことでは無い。戦争に駆り出される人たちは現代でも沢山居るし、独身で子供がいない人たちも沢山居る。海外で暮らしている人もいれば都市部の狭いアパートで暮らしてる人もいる。
どれもこれも考えてみれば当たり前であるが、人生は漫然と生きていくだけでも特殊化が進んでいく気がする。ある職業を長く続ければ別の仕事のことは疎くなっていく。独身で居れば既婚者の気持ちはいつまで経っても分からない。一方で既婚者も独身だった時の記憶はいつか薄れて想像できなくなる。
それぞれ違った人生で違った幸せがあるはずなのに、私は夢から覚めたときに夢で良かったと思う。もちろん、その理由の一つは子供が死んだことが中心に据えられた夢であったからだ。
ただ、別の人生を歩んでいれば今の人生では出会えなかった子供たちが沢山居たはずだ。なぜ私はその子供たちと出会えなかったことを悔やまないのだろうか。
そんなもん、知らない子供なんだから情も湧くわけないだろうも言われればそれで終わりな気もするんだけど、ああいう夢を見た後では何故か、不思議な気分になる。
このブログにも何度か書いているが、私は時々「偽の記憶」を思い出す。見たことが無い友達、見たことが無い部屋、住んだことの無い街を何かのきっかけで唐突に思い出して、とても懐かしい気分に陥る。
もしかしたら別世界の私が体験した記憶が流れこんでるのだろか?「量子宇宙干渉機」のように。そんなわけは無いのだが、やはりどうしても想像を広げてしまう。
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