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#どこでも 平和な気分 どこでもいっしょ 場所時間問わず   寝れる   寝れる時寝ときや 寝れるとき寝ときや 寝れるかな 寝れるのか 寝れる幸せ
gansilverart · 1 year
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YobeuTu世界に一つのシルバーアート【gansilverart】
Robot Animation『どこでも寝れるゆるいやつ』
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どこでも所構わず
寝れるとは...平和な気分?
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YouTube世界に一つのシルバーアート【gansilverart】
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503rd-graffiti · 5 months
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【迷】3
僕たちは三人兄妹だった。 兄のカイリ、次男の僕、妹のアカリ。どこにでもいる平凡で特徴のない兄妹だった。 ただ、あの家庭環境の割には僕たちはどこか他人事で、お互いのことを本当の意味ではよく知らなかったのだと思う。 僕たちの両親は僕たちから見ても、世間一般的に見ても、最悪な親だった。 元々DV気質だった父親は、子供が生まれてからはその暴力の矛先を自分の子供たちに向けるようになった、というのは母の言だ。 その母親も、暴力の行き先が増えたことで自分が標的になる頻度が下がったことを喜んですらいたらしい。母親らしく子供を庇う素振りを見せたことは一度も無かったと思う。 そんな家庭環境で育ってきた僕たちは、代わる代わる父親からの暴力の標的となって日々耐え忍ぶように過ごしていた。 一応、曲がりなりにも兄だった僕とカイリは妹のアカリに矛先が向かないよう庇ったりなどもしていたけれど、 僕からしてみればそれは兄としての義務を全うしていたにすぎず、それ以上の感情は何もなかった。 いつか、この家を出るときには兄妹皆が大人になっているだろうし、その時には僕の兄としての義務からも解放されて あとはお互い干渉せず生きていくだけだろうと、なんとなく思っていた。 勿論、父親の殴る蹴るの暴力は堪えていたし、いつも傷だらけの僕は学校にも居場所は無く、苦痛しかない日々が続いていた。 それでもいつまでも続くものではないと、いつかは自由になってそこから僕の人生が始まるんだと疑いもしていなかったし、今でもそれは間違いではなかったはずだと思っている。 けれど、兄のカイリはそう考えていなかったようだ。 そして事件は起きた。
ある真夜中。家のどこかで何かが割れる音がした。 その音は途切れることはなく、合間に人間の怒号なんかも混じっていて、酷く耳障りな不協和音を奏で続けていた。 寝ぼけた意識がはっきりする頃には怒号は叫び声や懇願の声に変わっていて、次第に僕の部屋に近づいてきていることが分かった。 僕は途端に恐ろしくなり、部屋の端に移動して頭から布団をかぶり、それがこの部屋に辿り着かないことをただ震えて願うことしかできなかった。 最初に聞こえていた叫び声は父親で、その次に母親、大泣きしているのはアカリの声だったと思う。 しかし次第に声の数は減っていき、その不協和音を奏でている主が僕の部屋の扉を開ける頃にはアカリの泣きじゃくる声しか聞こえなくなっていた。 ガチャ、と特に荒々しくもなく開け放たれた扉の音に僕の肩は震える。 そして静かな足音と、何かを引きずる音が徐々に近づいてきて、僕の目の前で立ち止まった。 「ツグト。」 それは兄のカイリの声だった。その声は息が上がったように粗々しく、いつもの雰囲気とは全く異なる恐ろしさに、僕は一言も発せなかった。 「ツグト。」 もう一度僕の名を呼んだそれは、簡単に僕の被っていた布団を引きはがした。 「ごめん、ツグト。」 最後に聞いたカイリの言葉はそれだけだった。目の前には赤黒い何かで全身が汚れていた兄だったものがいて、ところどころ凹んだ金属バットを大きく振りかぶっていた。 次の瞬間、一生の全てを凝縮したかのような激痛が全身を駆け巡り、そして何もかも分からなくなった。
気付くと僕は白い場所にいた。 頭上は微かに青みを帯びた白い空が、目の前には浅瀬のような花畑のような、よく分からない景色がどこまでも続いていた。 もしかして死後の世界というところだろうかと、ぼんやりとした頭で僕は考えていた。 あの衝撃は間違いなく死だったと思うから、ここは死後の世界で間違いないだろう。 立ち尽くしていても良かったが、人というのはやる事が無いと敢えてやることを探してしまう質らしい。 僕はとりあえず辺りを歩いてみることにした。 しかしどこまで歩いても景色は変わらず。疲れるということはなかったが、どこまでも白色の風景が続いていた。 仕方ないのでその場にうずくまっていると、しばらくしてどこからともなく人型の何かが現れた。 その見た目は人型をしていても人間離れしており、一目見て同じ存在ではないということが分かった。 「迷子だ。困っているね。ああ、なら救ってあげないと。仕方ないよね、それが神の仕事だし。」 顔はベールのようなもので覆われておりよく見えなかった。声音も機械的で全く感情が読み取れない。 それだというのに、ニタニタと笑うような気配だけは何故か感じ取れた。 そして神と名乗る人物に僕は捕まった。 「人間は嫌いかい?それは可哀想に。そんな哀れな子羊くんでも、ぴったりな姿があるよ。」 そして気付けば僕は人間ではなく、人間の精神とリンクするとして世間で広まりつつあった新世代の生物、「リヴリー」へと姿を変えられていたのだった。 連れてこられた場所は、一本の木だけがあるところ。それ以外は僕が歩き回っていたところと何も変わらなかった。 ただ、その木の近くには既にもう二匹の姿があった。 「今日は迷子が大漁だなあ。そんな沢山の面倒を見るのは言葉通りに面倒、でしょう? だから今日からきみたちは私という神に仕える天使だよ。win-win、というやつだね。」 うんうん、と一人で頷いている自称神に対して、二匹はやっぱり状況が呑み込めていない様子であった。 『『『あの。』』』 そして同時に被る声。その声に目を見合わせる僕たち。おかしそうにしているカミサマ。 これが今の僕たちの始まりであった。
ゆっくりと瞼を上げる。そこはいつもと変わらない景色だった。 強張った体をほぐすため伸びをしていると、珍しくカミサマのほうが近づいてきて声をかけてきた。 「おはよう。よく眠れたようだね。」 『……はあ。』 夢見は最悪だった。しかしカミサマの皮肉(本音かもしれないが)に付き合う元気は僕には無かった。 「早速だけど、仕事が舞い込んだんだ。 暇じゃないけど、神の役目は果たさないとね?」 暇つぶし以外でカミサマが動くことがあるのかと驚いていると、その気配を察したのか、プンプン!とカミサマは自ら声に出して怒りを強調してきた。 「今、とても不敬を感じたよ。いついかなる時も神を軽んじてはいけないのに。」 『……別に、軽んじてはいないですけど。』 「口答えもいけないよ。さ、いいから行っておいで。」 何にせよ有無も言わせずいつものワープホールへと放り投げられる僕だった。 あんなことがあり、過去の夢を見たばかりの僕としては非常に乗り気ではなかった。 それでもこなさなければならない、そんな風に考えることが普通になってからもうだいぶ時が過ぎたように思う。
そこは小さな植木鉢のような盆栽のような、「島」と呼ばれるリヴリー専用の住居だった。 またリヴリー案件か、と嘆息していると、すぐ近くから「わあ!」と明るい歓声が聞こえてきた。 「放浪さん?放浪さんだ!」 声の主は高校生ほどの女の子だった。やってきたばかりの僕を「放浪さん」と呼ぶ彼女は、きっとこの島の持ち主であり、この島に住むリヴリーの飼い主なのだろう。 辺りを見渡してみると、綺麗なピンク色のモモスと可愛らしく着飾っているホムがこちらを不思議そうに見つめているのに気が付いた。 「あなたのお名前は……あ、名前無いんだね……。」 僕のバイオグラフィーを確認しながら悲しそうに眉を下げる彼女に、なんだか僕は申し訳なくなった。 『別に名前はなんでも良いんだけど、ワタメとかで。』 人間には僕の言葉は通じないのは分かっていたが、思わず呟いた言葉をピンクのモモスが拾ってきた。 『ユイ。この子、ワタメって呼ばれたいんだって。』 「え、そうなの?」 ホムと女の子が一緒に驚いた顔をする。ホムと通心中だからかなのか僕の言いたいことが女の子にも通じたのだろう。 なんだか恥ずかしくなって僕はその場に座り込んでそっぽを向く。 「そうのかぁ。でもワタメ、はちょっと寂しいかなって。それじゃさ、ワタちゃん、はどう?」 どう、と言われても。僕はそんなことより今自分が置かれている状況をま呑み込み切れてはいなかった。 きょろきょろと見回している僕の様子に、女の子は何かを納得したように、うん、と一人頷く。 「元の飼い主さんが戻ってくるまでうちでゆっくりしてね。 この子はユウちゃん、それからモモちゃんだよ。」 ユウと呼ばれたホム、モモと呼ばれたモモスは歓迎するようにニコリと笑って見せた。 『よろ、しく?』 仕方��無いので一応挨拶をした僕はひとり思考を巡らせる。 カミサマのことだ。彼らに何かしらの手助けをすることを求められているはずだ。 きっとこのリヴリーたちは何かしらに困っているか、もしくは女の子の方に何か困り事があるに違いない。 幸いにして家出として迎えられたので、ここから探っていけばいい。 しかしその考えを裏切るかのように、しばらくの時を過ごしてもここでは何も起こらなかったのだった。
『いや、本当に何も起こらなすぎでしょ。』 『どしたの?また考えごと?』 「ワタちゃんはいつも難しそうな顔してるもんね。」 家出としてやってきてから既に1週間。 平和が何かと問われればこの島での時間と答えてもいいくらいに何事も無く過ごしてしまっていた。 モモスもホムも女の子に毎日可愛がられており、当然例の危険なイベントに参加することもなく丁寧な世話とお洒落をしてもらっていた。 島の方も定期的に模様替えされており、ここで長い時間過ごすことになっても飽きるということは無いだろうと居候である僕ですら感じていた。 モモスもおっとりとした性格なようで、突然やってきた僕に対しても警戒心を持たずのんびりと接してくるので、僕の方もいつの間にか気を緩めて親しみすら覚えていたし、ホムの方も女の子そっくりの優しい雰囲気であり、僕の様子を女の子に教えたり、食事の好みを理解してくれたりと、かいがいしく世話をしてくれるのだった。 そんな平和な時が流れる島の生活でいくらか毒気の抜けた僕は、それでも当初の使命のことは忘れていなかった。忘れていなかったが故、この状況にどこまでも納得がいかなかった。 『君たち、ほんとは何か隠してない?』 『ええー?ん-、何かあったかなぁ。お散歩はみんなで行ってるし、おやつの時だってちゃんと起こしてるよ?』 『いや、そういうのじゃなくて……。』 「私も特に思いつかないなぁ。あ、ユイのガチャ運がとっても悪いって話はしたっけ?」 『ガチャ……?いや、多分そういうのでもないかな……。』 彼らと過ごしていれば隠し事が無いなんてことは明白だった。 それでもここに来させられたからには何かあるはずだった。そうでなければ僕がいる意味が無い。 そしてその何かを解決しないことには帰ることはできない。その考えが僕を焦らせていた。 『ユイって子。あの子は?』 「あれ?みんなお喋りしてるの?」 そんな話をしていると、ユイ本人が登場した。 ちょうど学校から帰ってきたらしい。鞄を下ろすといつも真っ先に僕たちの世話をしてくれるのだった。 「うん。ワタちゃんがみんな何か隠し事してるんじゃないかって心配なんだってさ。」 『ちょ、ちょっと。』 「えー!どうして?」 「そういえばワタちゃん、なんでそんなことを?」 『いや、あの。』 『なにか嫌なことあった?』 『そうじゃなくて!』 三方から問い詰められた僕は思わず声を荒げる。 しかし彼らは真面目な顔をして僕の次の言葉を待つばかりだった。 静まり返る部屋。 僕は途端ばつが悪くなったが、こうなっては仕方がないので言葉を続けるしかなかった。 『その、変だなって。ここは僕が行ったことのあるどこよりも平和で。 僕の手助けなんか全然要らなそうで……。みんな、穏やかで楽しそうで。 それが変なんだ。』 「変、なのかな?」 ホムのユウは困った顔をして言った。 僕はこくりと頷く。 『皆、誰もが何かを抱えているはずで。一人じゃ解決が難しい困り事のために僕はいるから。 でも、みんなには必要なさそうで。だから……。』 俯く僕に、みんなはしばらく様子を伺うように黙り込んでいた。 しばらくして、口を開いたのはユイだった。ユウ越しに僕の言葉を理解したらしかった。 「ワタちゃんの言いたいこと全部は分かってないかもしれないけど……。 私も、ユウちゃんもモモちゃんも、きっと一人じゃない、からかな?」 僕は思わず顔を上げる。そこには優しい表情で眉を下げたユイと、心配そうに僕を見つめるユウとモモの姿があった。 「私が学校とかでいないとき、ここにはユウちゃんとモモちゃんがいるでしょ? 私にも、たとえ外で嫌なことがあってもふたりがいてくれる。」 にこっと笑うユイ。同意するようにうんうんと力強く頷くユウとモモ。 僕が、そうじゃなくて、と言おうとしたところでユイは言葉を続けた。 「それに、ワタちゃんも今は一緒でしょ?だからワタちゃんもひとりじゃなくなったから、きっと大丈夫だよ!」 僕は目を見開いた。 『僕も?』 「そうだよ!みんな一緒!だからしょんぼりしなくていいんだよ?」 『しょんぼり……?僕が?』 「うん、なんかしょんぼりしてた。……違った?」 『……。』 「えーと、よし!こういう時はおやつにしよ!」 『わーい!おやつ!ほら、ワタちゃんも!』 『う、うん。』 その後僕たちはユイにとっておきのおやつを振舞ってもらうことになったが、僕はユイに言われたことをずっと考えていた。 手作りのリヴリー用クッキーを頬張るモモの笑顔と、それをにこやかに見守るユウ、一緒に自分のおやつを食べるユイの楽しそうな顔を眺めながら、僕は自分が何か思い違いをしているのかもしれないとふと思った。 カミサマのやることだ、こちらが想像もつかないことをやってくるのも不思議じゃない。 『うん、分からないことは仕方ない。』 『なにがー?』 「まだ難しい顔してる。」 「ふふ、でもちょっと元気になったみたい。」 『……お騒がせしました。』 こうして僕はある意味で開き直ることにしたのだった。 分からないことは仕方ない。どうせカミサマの気まぐれに違いないのだから、その時が来るまで僕はここで過ごすだけだ。
そうして過ごした1週間は本当に楽しいものだった。 そして僕はある意味で初めて、誰かと過ごすことに懸命になっていた。 自分が居候であるということを忘れるくらい、三人は同じ家族として過ごしてくれた。 同じご飯を食べ、一緒に散歩へ出かけ、島では川の字になって眠り、ユイに撫でてもらうのにはまだ慣れなかったけれどその温かさが嬉しかった。 明るいことばかりではなかった。ユウとモモが喧嘩することもあったし、ユイが泣きながら家に帰ってくることもあった。 けれど僕は積極的に喧嘩に割って入っていて、そのせいで巻き込まれたりもしたし ユイと直接話ができずもどかしくなり、どうしたら彼女を元気づけられるかと考える夜は眠れないこともあった。 けれどもそこに、居候としての義務、なんてものはなかった。ただ僕がそうしたいからという理由だけがあった。 そうして結果的にふたりの仲直りに立ち会って心から安堵したり、僕の必死さが伝わるのかユイは笑顔で僕を持ち上げて撫でてくれたり、 大小様々な出来事の全てが楽しく、そして僕に気付きを与えたのだった。 自分が本当はどうなりたかったということを。
そんなある日の昼下がり。 昼寝中のユウとモモ。島の近くでユイは読書をしていた。 穏やかな空気の中で僕もうとうととしていたところ、 「もういいでしょ。帰っておいで。」 そんな声がふと聞こえた。次の瞬間、僕の体はワープホールの中に転がり込んでいた。 『えっ!』 僕の声が聞こえたのか、ワープホールの向こうでユイが本から顔を上げるのが見えた気がした。 「ワタちゃん?」 しかしユイの見つめる島には、もうワタメの姿は無かった。
「おかえりー。」 呆然として座り込んでいる僕を見下ろしているのはカミサマだった。 僕は突然また常世に戻されたらしい。目の前にはもうあの三人との島は無く、懐かしくすらある白い景色が広がっていた。 「どうだった?卒業研修は。」 『卒……?』 状況を呑み込めていない僕に、面倒くさそうに溜息をつくカミサマ。 「そ。まさか遊びに出かけてたつもりじゃないだろうね?」 『それはないですけど……。』 結局最後まで使命のことを忘れていたわけではなかった。 しかしあの島ではついに事件が起こることは無かったのだ。 「そうだよねぇ。確かにきみはあの島で良い立ち回りをしていたと思うよ。 でもそれはきみの言うところの“仕事”じゃあなかったもんね。」 僕は返事ができなかった。 現世に行かされる時、僕は常に仕事をするつもりで出向いていた。 そうすることで常世に帰ることができたし、故にそれがカミサマからの使いだと思っていたからだった。 しかし今回は違う。 「何度か言っているけれど、私はきみに“仕事”なんて押し付けたことはなかったけどね? 救済は神たる私の仕事なんだから。」 だからその使いをさせてたんでしょうが、と食い下がろうとしたところだったが僕はふと思った。 カミサマのいう救済とは何なのだろうかと。 「今回だって、私の仕事だったんだよ?きみの卒業研修として良い場所を見つけるのも苦労しているんだから。」 そう言ってカミサマは僕の顔を覗き込む。 「で、決まった?」 『は?』 突然の問い。当然僕は何を問われているのか分からず、カミサマの顔を見返すことしかできなかった。 「だから、転生先。いつまでもここにいるつもりだったの?」 そんないきなりの言葉に僕は混乱を極めた。 しかし一方で、先ほどまでの現世での出来事を考えると、この流れは必然だったのかもしれないと妙に納得する自分もいた。 何故ならあそこで過ごした日々を通して、ようやく自分のこの先のことを考えていたのだったから。 『……いつ?』 「今すぐ。それともまだここでやりたいことでもあるの?」 それを聞いて僕は小さく笑った。 『いいえ。丁度飽きたところでしたよ。』 「でしょう?で、どうするの。 時間、場所、存在。きみが望むところへ還してあげよう。きみごときの願いなら、神である私に叶えられないものはないよ。」 その言葉に、僕はそっと深呼吸をする。 そして意を決してついに答えた。 『僕は、元のところへ帰りたいです。 死ぬ前の、まだ兄貴が一人で決めてしまう前のあの家に。』 僕が本当はどうなりたかったのか。 あの冷え切った家を、同じく冷え切った目で見ていただけの僕。 あの家にいながら僕は当事者じゃなかった。何故なら全てを他人事のように遠ざけて、ただ過ぎ去るのを待っていただけだったからだ。 妹を義務で庇うのも、母の傍観を見下していたのも、父からの暴力に耐えるのも、兄の狂気に気付かない振りをしていたのも、 僕が僕自身を突き放し、あの家に関わらずにい続けていた為だった。 それは、最初からあの家にいなかったことと一緒だったのだと、今ならわかる。だから。 『僕は、僕の意思でもう一度あの家と向き合いたくなったんです。 それで何が変わるかは分からないけれど、僕は今度こそあそこにいた家族の一人として、もう一度やり直したいんです。』 僕の答えに、カミサマは無言でいた。 相変わらずベールで隠されたその顔がどんな表情をしているのは見えなかった。 しかしカミサマは出会った時と、ここを離れようとしている今とも、雰囲気は何も変わらないでいた。 「良いでしょう。」 しばらくの後、カミサマはぽつりと言った。 そしていつものようにワープホールを作り出して、僕の方を向いた。 「ここをくぐりなさい。そうすれば願い通りのところへ還れるよ。」 そう言うカミサマは、いつも僕をおつかいに放り出す時と同じ様子だった。 どれだけの時をここで過ごしてきたか分からない。それでも立ち去るときはこうも突然で、 それはここに訪れた時と同じだけの突然さであったと思うと、なんだかおかしくて笑ってしまいそうになった。 それでも僕に迷いは無かった。そしてワープホールに向かい、足をかける前にカミサマの方へ向き直った。 『今まで、お世話になりました。』 それに対し、カミサマはやはり無表情のような無機質なような声で返事をする。 「さようなら、ツグト。もう帰り道は無いからね。」 『はい……!』 そして僕はワープホールをくぐる。それと同時に手足の感覚がリヴリーのそれではなく、元の人間のものになっていくのが分かった。 振り返るともう入り口は塞がっており、常世の景色もカミサマの姿も見えなくなっていた。 どこまでも広がる暗闇。しかし遠くの方に光の点があるのが見えた。 僕はそこに向かって駆け出していく。 あの場所へ辿り着くまで、最後まで振り返ることは無かった。
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chikyu-w · 6 months
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和田の気持ち
ふと、このままじゃ埒が明かないと思う時があります
くぐりの音楽は、本気でやるほど面白いです
僕たちはいつでも本気でやっているつもりだと思います
でもまだ、檻の外に出られる気がします
人生を賭けてみたいと、今更ながらに思いはじめました
後になって気づくことばかりです
だけど僕にもみんなにもずっと本気でやりたい音楽があると思います
本気だからこんなにくぐりは素敵なんだと思っています
僕はどうすればもっと本気になれるでしょうか
僕は今とても苦しいです
行き止まり、袋小路のような感じがしました
それでも、色々乱暴にやってみたら、何をどう頑張ればいいのか少しずつわかってきた気がします
僕はとても臆病で、意地をすぐに張ります
誰にナメられても平気なフリをして、いつも誰にどう思われているかが不安です
自分を守るための壁ばかりを作っています
なるべく清潔な人間でいたいから、下心がないフリをしています
これは僕の忌々しいプライドの正体です
このプライドさえ、僕が乗り越えることができれば、僕はもっと本気になれるのです
僕は管理された場所で力を発揮する人間です
僕は誰かに管理してもらわなければ、「本当の自由」を目指すことに張り合いがありません
この張り合いの無さこそが、僕らが生きている最中に世の中に見出す、虚無感という名の退屈です
宗教、信仰心というものは、この優しい檻の名前です
僕はいつも、檻から出ようとしています
その度に、僕はこの檻に囚われていたと、認めなければなりません
新しい場所に飛び出す時、今いる場所が、新しくない方の場所だと、認めなければならないのです
できればずっと、生ぬるい湯船のようなこの場所に留まっていたいと思うこともあります
そう思うたびに、そこから出なければならないのです
いつになっても、新しさは魅力です
僕はくぐりには、というか僕の中には、もっと新しさがあると思います
新しい音楽を、どうやったら作れるか、アンテナを日々張っています
大切なものほど、壊れやすいです
壊れる時ほど感動的です
信じる心はとても大切な心です
それが裏切られたとしても、むしろ裏切られた時ほど、信じる心は綺麗に光ります
深い絶望感の中で抱く一縷の望み、この世の中で一番弱い力、そういうものが愛なのだと思います
愛は一番弱い力ですが、人を心から幸せにできる力は、愛に違いありません
僕は人々に愛を伝えたくて音楽をやっています
やっていました
それはお客さんにとっては、僕の檻に閉じ込めるような行為だったのでしょうか
そういう下心も、確かにあったと思います
このように、問題提起と自己完結が永遠に、僕の中では、寝てる間以外は続いています
(僕は何かに取り憑かれているんだ
正気の人間ならこんなに惹きつけられる思いはしないのだ
狂気とは何か
まだわからないことばかりだ
僕は極めて論理的に考えていた
天井大風と書かれた凧が、��面から空を見つめている景色は、僕の様子にそっくりだ)
最近自殺についてよく考えるようになった
とくに自殺したいというのではない
いや、少し、ほんの少し、したいのかもしれない
一旦世界とのあらゆる関係を無くしてしまえたらと、願う日が多い
死ぬという行為は、とても官能的な魅力さえあると、思ってしまった
死という絶望の中に飛び込んでしまいたいほどの現実は、一体どれくらい絶望的なんだろう
そんな現実に耐えてまで生きていることは、偉いのだろうか、正しい選択なのだろうか
生きることに正しさを求めるのは、時折残酷に思える
もう誰も俺のことなんて覚えていないのかもしれない
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haru-yonige · 8 months
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沖田の女バレなんて神楽以外いないだろ💢とかと火のないところで勝手に燃え盛り勝手に煙ってる自滅タイプのヲタク
どうでもいいけどF外からの面白くも何ともない&本題との関連性もない一番コメント返しづらい隙自奴の言う「〜な俺が通りますよ」に対する返答、オモロ・誰も不幸にしない模範解答すぎん?と感心した模範回答第一位
「おう!気ぃつけて通れよ!」
どうでもいいTipsその2
ドキンちゃんの歌「わたしはドキンちゃん」(作者・やなせたかし作詞)より
「みじめな暮らしは大嫌い 朝から晩までおしゃれして 世界の中の誰よりも美しいねって言われたい」
「この世の終わりがきたときも 私一人は生き残る」
←あまりにも良すぎ
ほんとに幼児アニメですか? 子供騙しじゃないのにも過ぎるんだが
ドキンちゃん、多分しょくぱんまんがハイスペ男だというステータスで惚れてるだけなので実際しょくぱんまんが手に入った途端速捨てそうなとこ好きだょ
お母ちゃんが外国人なハーフの意見聞くと大体「母国料理は美味しいけど、日本の家庭料理作らせると下手すぎてメシマズ育ち」が多いので、神楽ちゃんも料理全然できないとか言いつつマミーもパピーも兄貴も不在の中ずっと一人で生活回さなきゃいけなかったわけだし、郷土料理に関しては結構良い線行くんじゃないのかな〜と思っている 沖田も「和食作らせると不味い」と言ってそう 和食(?)はTKGしか無理
チャイナの食い意地ステータスが高すぎて気づかなかったけど「普段何喋ってんのお前ら」「別に…食いモンの話とかばっかですよ」とか何気なく返しながら一緒に暮らすと自ずと食べ物の話が増えることに他所から指摘されて初めて気づく沖田かわいい
別に橋本環奈さんに文句つけたいとかじゃ全くないんだけど世代を問わず神楽ちゃんの実写版に一番似合うのはミニモニ後期〜ダブルユー時代の加護ちゃんだと思う 概念が神楽というか…顔のパーツだけ見たときに完璧か?と言ったら多分そんなことはないのになんか意味わかんないくらい可愛いところが神楽 時代が時代なら加護ちゃんが配役されてたなこれ 「可愛い」にステ全振りしてる
初回時神楽の耳掃除なんて想像しただけで怖すぎて耳掃除させろヨって目キラキラしながら言ってくるやりたがりの神楽に断固拒否しても無理やりされるオチだったのに、意外と普通の耳掃除(特に技術があるわけでもないが事故るわけでもない)だったから次回からやるなんて言ってないのに勝手に膝枕に転がってきて耳掃除強請る沖田だもんな
ポケスリのイーブイ可愛すぎて「イーブイと結婚するアル」(軽率に結婚というワードを使う)(自分にはそんな可愛げある台詞言うはずもない)��口癖になったチャイナにおこな沖田を受信した イーブイ可愛い
夜中斬った後の返り血浴びてふらついてる沖田と散歩中の神楽が遭遇して「一人で帰れないなら送ってってやろーカ」って言う神楽が良すぎて 普通逆だろってかんじだし沖田が自分と一緒で時々帰り道を忘れることを神楽は知ってるんだ それでも血塗れの沖田は神楽には触れない 聖域なので
マガナギ篇の「沖田隊長なら昨日から帰ってませんよ」に定期的にウワーーーーってなる カップリング的な意味じゃなく18歳にして仕事関係なく帰らない日が珍しくない感じが
付き合わなくても常にパーソナルスペース近すぎるおきかぐが付き合ったらさらに激近になって基本肩にもたれながら二人で一台のスマホ見てるのも好きだし今まで激近だったのがぎこちなくなるのも好き 自分で言ってる分には全部好き何でも任せろなのに世の二次創作見ると大抵違和感が先行するのが自分でも不思議
沖田はミステリアスを通り越して何考えてるかわからな過ぎて向き合う気力も好奇心も削ぎ取られるレベルだと思うからリアコの文脈において沼る女は少なさそうだけど神楽ちゃんは沼る男多そうだな 具体的には自立してるけど甘え上手なところ 自分がいなくても生きていけるから会えない(物理的に無理)のは平気だけど会いに来れる時に来ないと拗ねる、みたいな モテそう 沖田は顔が良くても得体が知れなさすぎて(ミステリアスと形容できる域を超えてる)余程顔が刺さる層にしかモテないと思う
沖田は相対的に自分の顔がいいことを自覚してるから仕事でも何でも自分の顔の良さを使えるところは適宜意識的に使ってくるイメージあるけど、神楽の場合相対的に云々というよりは絶対的に可愛いという潜在意識が本人の中に存在するので可愛さを利用するというよりが素の生まれたころから美少女ですムーブになってしまうのが眩しい (可愛いわたしの)浴衣見たいダロ?とかいう誘い方が素でできてしまうのが怖い
おきかぐが好きなの、良くも悪くも人間らしくない沖田が人間らしくなってるところが見られるからなのかも
現役のアイドルじゃなくなっても「この星は美しい 二人出会った地球」と歌う結婚したり子供産んだりしてるOGメンバーをみて泣いたし同フレーズを歌う神楽のことを考えて泣いてしまったりしたよね
おたえさん、すまいるでチャイナを見つけるなり速攻ちょっかいかけに行く沖田を見ながら「沖田さんは本当に神楽ちゃん以外の女の子に興味がないのね」ってニコニコ独り言漏らしててほしい わかる
熱帯夜に昔の夢見て嫌な汗かいて目覚めた神楽が隣で眠る沖田を起こす気にもなれなくて一人でベッド抜け出してベランダでぼんやり涼んでたら窓開ける音で起きた沖田が「何で起こさねえんだよ」ってチャイナを連れ戻しにくるだけの話 見たすぎ
主に神楽が「暑いアル」と文句を言いながらもどっちも離れようとしないのでエアコンで部屋をキンキンに冷やしてくっついて眠るおきかぐがラブラブすぎる
神楽ちゃん平成時代が似合いすぎてパロの神楽ちゃん一生ガラケー民であってほしいんだけど3Zおきかぐは授業サボって屋上で自分がチャイナ膝枕で寝る間神楽に自分のスマホ貸してスマホゲーやらせてる沖田いるもんな 画面消えるたびにロック解除するの面倒だから普通にスマホのパスコードも教えてるのウケる それでも神楽は沖田と他人とのやり取りにそんなに興味ないので「本人に悪いから」「バレたら気まずいから」「自分がされたら嫌だから」ではなく「単に興味ないから」という理由でゲーム以外触ろうとしないところが神楽 このおきかぐは合鍵も渡してる高校生カップル
ツイッター嫌いだからってTumblrをツイッターとして運用すな Tumblrがかわいそうじゃん
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chilchilmischie · 11 months
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Notification from my last ride
雨だ。
今日買い物に行った時、ザザ振りなのにベランダに洗濯物を干していた家があって、ちょっと驚いた。部屋の電気は点いていたようだったけど、雨が降ってることに気付いてなかったのか。
気にはなったけど、結局何も出来ずにその場を立ち去るしかなかった。
そうそう、Macbook airのOSを再ダウングレードした。Venturaにして以降、何故かインターネット接続が全く出来なくなってしまった。
Wi-Fi側の問題なのかなと思ったけど、他のデバイスだと普通に繋がるし、場所の問題かと考えて置き場所をズラしてもみたけど効果なし。
そもそも今まで普通に繋がってた訳だし、新調した途端に起きたことだから、やっぱりOSに問題があるのかと考えた。一応再度Venturaを入れ直してみたけど、やっぱりダメだった。
PCのことなんて全く分かんないけど、とりあえずOSを元のCatalinaに戻したら直るかなと思い初期化したら、本当に直った。やっぱりOSが原因なのだろうか?とにかくホッとした。
これを書いててふと思ったけど、サポート大丈夫なのかなと調べたら、どうやらサポート期間は終了しているみたい。じゃあまたVenturaにした方が良いのか。でも、そうするときっとまたネットが使えなくなる。
絵を描くぐらいにしか使ってないし、もう少ししたら新しいOSも登場するみたいなので、それまではひとまず我慢しようと思う。
頑張れCatalina。
◼︎ダイエットのこと
特に理由も無く痩せてみようと思い、(特に何もしてないけど)ひと月ぐらいダイエットをしてみた。
本当に「何か」をした気は無いのだけど、一応食事内容をちょっと考えたり、経緯��後で書くけど筋力トレー��ングをちょっとだけした。
これらのことが「何か」に当てはまるのではないかと考えれば、まあその通りなんだけど、元々勝手に痩せていっていたから、大きな要因にはなってないと思う。
さて、とにかくやってみた結果、3kgぐらい痩せて目標だった49kg台にまで落とせた。
身長が167cmちょっとに対して、この体重だとどうやらシンデレラ体重と呼ばれる値になるらしい。ガラスの靴を履いても割れない体重ってことみたいだけど、49kgもあれば普通にパキンってなりそう。強化ガラスなら平気?でも、そんな靴を履くシンデレラとか嫌だ。
健康上あまりよろしくない数値でもあるのだけど、あまり今までと変化はない。もしかしたら気付かないうちに免疫力が低下しているのかもしれない。
見た目もあまり変わってないと思うが、ふと電車の窓に映った自分を見て、「ちょっと骨張ってるように見える」と思った時があった。またダイエット中は周りから「男なんだから、もっとしっかりした体型の方が良いよ」と言われてしまったり。
前にも書いたけど、「男らしい」身体なんて趣味じゃない(というか嫌だ)けど、ただ痩せているのも見窄らしい感じになって良くないかなと思って、腹筋やクランプという筋トレをやってみることにした。
一応現時点では50kg前後を行き来して体重を維持出来ているけど、もしかしたらまた一杯ご飯を食べ過ぎて「太った!」ってことになるかもしれないし、備忘録としてどんなことを一ヶ月の間にしていたのか書いておこうと思う。
•食事について
ご飯は作るのも食べるのも片付けるのも面倒なので、基本的に簡単に作れて、ササっと食べれて、簡単に片付けられるものを食べていた。
今思えば、外食や作り置きのものを買うのでも良かった気がするけど、人前でご飯を食べたくない人間なので外食はあまりしたくないし、作り置きのものって買う際の選択肢として何故かいつも出てこない。ということで、なんだかんだ毎日ご飯を作ってたんだと思う。
メニューは大体以下のとおり。
・ヨーグルト2種(豆乳タイプ+色々)100gずつ
・豆乳(多分200mlぐらい)
・ダークチョコレート2個
・(後半あたり)バウムクーヘン(もらったやつ)1個
お昼
・無し(元々食べる習慣が無い)
夜ご飯
・玄米120g(土鍋で炊く)
・豆もやしを醤油と味噌と胡麻油で和えたやつ
・アボカドとツナ缶をポン酢と胡麻油で和えたやつ
または
・ほうれん草とツナ缶のチーズ雑炊
食後の(実際はほとんど食前だったけど)お菓子に
・ダークチョコレート2個
・(後半あたり)バウムクーヘン1個
・(食べたくなった時だけ)ポテトチップス半袋分
・豆乳 飲みたい分だけ
こんな感じだった。
朝は毎日固定で、ヨーグルトは豆乳のやつに、あとはその時安かったり食べたかったりしたやつを食べた。ダークチョコレートは最初は72%を食べていたけど、86%の方がヨーグルトに合っていると思って途中から86%に変えた。豆乳は飲まないともはや落ち着かない。これで十分お腹いっぱいになれるし、なんか幸せな気分になれる。そもそもダイエットを始める前からこうしていたので、本当に変化は無い。
お昼は食べない。食べるくらいならお昼寝に時間を割く。でもブラックコーヒーだけ飲んでるか。これも飲まないとなんか落ち着かない。カフェイン中毒とかじゃないと思うけど。
夕飯は土鍋でお米を炊くのにハマって、というか土鍋でご飯炊くと洗い物がめっちゃ楽ということに気付いて、それで作るようになった。あと普通に美味しい。
一緒に食べるものとして、アボカドのやつは以前からずっと食べていたものだけど、ツナ缶の種類を油漬けから水煮のタイプに変えた。健康上のためではなくて、洗い物する時に水煮だと缶を洗うのが楽だと分かったからである。味はやっぱり違いがあるけれど、どっちも美味しいから特に問題無し。
豆もやしはここ最近になって美味しいと分かって作り始めたやつ。シリコンスチーマーで蒸したもやしを、スプーン一杯分の醤油と味噌とで和えて、そこに胡麻油をちょんと掛ければ完成。簡単だし量もたくさん作れるので、2日に分けて食べられる。
アボカドが硬めでちょっと使うのはな、という時は雑炊を作った。これはもう10年以上作ってきたものだし、特にトッピングを変えたりもせず、今までどおりのやり方で大丈夫だった。あ、でもここでもツナ缶は水煮のものにしていたか。いずれにせよ、やっぱり美味しい。水を入れた分だけ、お米も膨れるので腹持ちも大変良い。
おやつは以前みたいにたくさん食べるようなことを控えるようにした。と言うより、あまりたくさん食べてしまうようなものは買わなくなったと言うべきだろうか。バウムクーヘンは美味しくて、ついもう一個となってしまいそうなのだけど、朝と夜で2個までと決めて、楽しみは次の日に取っておくように心がけた。まあ、そんなバウムクーヘンも後二日分しか無くなってしまったけど。無くなった後はまたダークチョコレートと豆乳になりそう。
食事については大体こんな感じ。日によっては誰かとご飯を食べに行くこともあったので、毎日って訳では無かったけれど、特にこれで「お腹空いた!死ぬ!」なんてことにはならなかったので、概ね安定していたと思う。
•運動について
そもそも「スポーツなんて無理」という人間なので、長続き出来る訳も無いと思って、2、3日やって終わりにしようと考えていた。
しかしながら、どんな体型になろうかなとあれこれ画像を見ているうちに、「こんな感じになれるなら、この筋トレやってみよう!」と意欲が湧き、なんだかんだで続けることが出来た。今の時点で大体3週間くらい?
まず目指す体型だけど、お腹周りを一番気をつけるようにして、腹筋が少し割れて見えるように薄っすら脂肪が付いている感じで、かつがっしりとした身体付きにならないようにした。
参考に男の人の腹筋画像とか見てみたけど、バッキバキだったりなんかイカついのが多く「こんな風にまでは目指してない」という感じだったので、女性向けの記事とかを見て良さげなものを取り入れるようにした。
普通に腹筋をしているうちに、「くびれがあったら尚良いのかも」という風にも思って、そこら辺も見てみると、腹斜筋や腹横筋を鍛えると良いよなんてことが書いてあったので、それに関連した出来そうなものの中から、リバーストランクツイストとヒールタッチクランチ、あと姿勢が良くなるとのことでプランクというのをやってみることにした。
回数やセット数などあまり明確に決めてないけど、無理の無いように続けていくうちに、ちょっとずつだけど腹筋が割れて、横から見ると「あ、そうそうこんな感じ」な体型に近づくことが出来た。
ちなみに毎日やるのは良くないらしいので、二日にいっぺんやるようにした。あと有酸素運動をセットにすることが大切らしいのだけど、マラソンなんて多分30mも保たないのでそこは諦めた。
筋トレって多分やり続けないといけないんだろうけど、あんまりやり過ぎるとムキムキになると思うし、その塩梅がちょっと難しい。でも筋トレをしてからちょっとだけ体調が良くなった気もするので、程々に続けていければなと思う。静か目な音楽聴きながらやるとちょっと楽しかったりする。
こんな感じだろうか。
10年前の自分が今の自分を見たらビックリするだろうなと思う。というか生活環境全般が大きく変わったから、もはや「え?10年後そんな感じなの!?」って思いそう。
もしかしたら10年後の自分はまたすんごい太っていたりするのかもしれないけど、出来れば「この頃に戻りたいな」みたいな感じにならなければと思う。むしろもっと良い感じの自分になっていることを願う。
なので現状維持をしつつ、より良い自分を目指すことにする。
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9
エスカレーターがガガガッと開くと辺り一面には本がこれでもかと積まれている。
書店の匂いは何回嗅いでも心地が良い。
有り余る新書達に埋もれて生命を終えれたらなんて幸せなんだろう。
いずれ来たる運命を理想論で装飾してみたりした。
文庫本コーナーの新刊ゾーンには好きな作家の本が積み上げられていた。
私的素敵シリーズの新刊である。
軽妙な言葉遊びや台詞回しが心地良い。
一見冗長な冗句達の様に思える会話劇も嵌って仕舞えば沼に落っこちてしまう。
沼に嵌れば最期だ。
余程の強い意志が無ければ知らなかった頃には戻れやしない。
易々と財布から羽ばたく札束にどんどん無くなっていく本棚の空きスペース。
どこかの大学が出していた論文では最近の若者はインスタントなエンターテイメントを浴び過ぎて金銭を使う事を憚るみたい。
私はエンタメを享楽している時に常人の倍以上の量の快楽物質が脳から分泌されていると思う。
別に科学的根拠は無いけれど勝手にそうなんだと自負している。
お目当ての商品を手に取りレジに向かえば良いところなのだが、どうも本棚をぐるぐると巡遊してしまい、こんな本があるんだとか買う予定にも無かった本を手に取ってしまう。
統計学や心理学の有意性を。そしてまんまとその通りに動かされてしまう恐ろしさを身に染みてレジへと向かう事にした。
会計金額は税込4,000円ちょいだった。
レジの際、毎回ブックカバーの有無を問われるが迷いに迷った挙句いつも着けてもらう。
本棚に入れたら没個性的になった装丁があまりに可哀想なので直ぐ捨ててしまうが喫茶店で読んだりする時にはカバーが傷付かないから助かっている反面もある。
この問いには未だ回答できないなと思わされた。
思わぬ出費ではあったが心と家の本棚が満たされたと思えば大満足であった。
紺色のレジ袋を下げ店を後にする。
今日もこの街は相変わらずの人気であった。
老若男女から魑魅魍魎まで全てが出揃っている。
眩し過ぎる程のロマンスもドロっとした喧嘩も友好的な関係も離散間近も地下アイドルのCDも百貨店で使える商品券も大量生産されたの衣類も大きな音と光を出して快楽へと誘うパチスロも大手ファストチェーンフードの分店も。
それを支えるネオンも地下を這うゴキブリやネズミもいる。
この街に無いものを探す方が難しいであろう。
この街に居るとそれだけで何もかもを肯定された様な気になる。
ぼんやり歩道橋の上から目の前を通る人混みを見ていたら携帯が鳴動し始めた。
時刻を見れば夕刻でそろそろ集合しても良い頃合いであった。
画面にはテレスからの着信が表示されている。
意識を人混みの方からテレスへと移して電話を開始した。
10
ふと気になって腕時計に目を落とすとそろそろアリスと集合をしても良い頃合いであった。
進展の無い話をダラダラとあの男が続けるものだから時間をこれでもかと無意義に過ごしてしまった。
ラビがキッチンから戻って来るや否や
「もうそろそろ時間かァ。大した話は出来へんかったなァ。」
と他人行儀に言い出した。
「全く誰の所為かしらね。」
そんなあたしの言葉をひらりと躱して
「俺も同行しようか?」
とか腑抜けた事を言った。
「何言ってるのよ。寝言は寝ていなきゃ成立しないわ。」
「ずっと眠てェから今も寝てる様なもんやろォ。」
「好い加減、目を覚ましたらどうかしら。」
「じゃあ目覚ましがてらにアリスと久し振りに喋らせてくれやァ。」
「何がどうなったらそうなるのかしら。」
「ならアリスにも許可取らなあきまへんやんかァ。」
「えぇ?本当に来るつもりなの?」
「冗談な訳あるかいなァ。アリスにも会いたいしなァ。」
「度重なる遅延行為はこれが目的だったのね。下劣極まりないやり口だわ。」
「下劣であろうと成功しているんやさかいに問題無いやろォ。」
「ちなみにあたしが許可した覚えは無いんだけど。」
「そないけったいなこと言いなさんなよォ。兎に角アリスに電話掛けてくれやァ。」
「チッ。完全にそっちのペースね。でもあたしが電話を掛けなければペースは乱れるでしょう?」
「テレスがその気なら別に構わんけどなァ。約束の時間を無視するのかって話にもなってくるでェ。なんなら俺からアリスに直談判って手もあるけど、それを使っても宜しいかァ?」
妙に軽い切り口で話���この人のペースには未だ慣れる事は無かった。
怒りが込み上げるものの頭の手前でサーっと引いて無くなってしまう。
あたしには無い人付き合いの巧さって奴か。
納得して感服したけれどと現実は何も動き始めない。
このままだと埒が明かないと諦めが着いたテレスは携帯を取り出してアリスへと電話をかけ始めた。
コール音が鳴り響き応対を待つ刹那、長い手が伸びていとも簡単にあたしの携帯を取り上げた。
11
「もしもし?」
「おォ?久し振りやのォ。俺が誰かわかるかァ?」
数ヶ月振りに聞く声だった。
物覚えは良い方だったのでその声の持ち主は直ぐに誰なのかを理解した。
「あらあラビさん。お久しぶりですわね。あの件以来ですわね。」
電話口でテレスが“っ…返せっての…”と力を込めて発言したのが聞き取れた。
恐らく一悶着があった後に
「今日メシどこにしよかァ。なんかアリスが食べたいもんでもあるかァ?」
「んーそうですね。パッとは浮かびはしないのですけど。ラビさんは何か召したいもの等ございますか?」
「せやなァ。いつも2人なら何食べてんのォ?」
「結構バラつきがありますね。洋食から和食そして中華から��ンド料理もタイ料理もフランス料理もイタリアンとかもよく頂きますわね。」
「それなら全世界制覇目指せるなァ。即ち何処でも良いって返事として受け取ってエエかァ?」
「そうですね。別にジャンルは構わないですわ。ラビさんお選びになります?」
「そうやなァ。なら、俺がええとこ知ってるからそこにしよかァ。」
「因みに何系ですか?」
「そうやな和系かなァ。」
「じゃあ和食の口にしておきますね。」
「でも出てくるのは和食じゃねえなァ。」
「なぞなぞみたいですね。答え考えておきますわ。」
「我ながら意外と良い問題かもしれんなァ。」
「わかりましたわ。それと後どれぐらいでこちらに来られます?」
「こっからやと10分あれば着くと思うでェ。飛ばして行くから待っててなァ。」
「何処で待ち合わせますか?何か分かり易い目印なんかがあれば良いんですが…。」
「赤い観覧車の下でエエんちゃうかァ?」
「そうですね!10分後を目処に向かいます。」
「了解やァ。」
最後の最後までテレスは携帯を取り返そうと必死だったのがラビの後ろから聞こえて来ていた。
機嫌を損ねて無いと良いけどとアリスは願った。
12
「ったく…返せつったら返せよ。」
テレスはこれでもかと語気が強くなり鼻息を荒くしていた。
「テレスに頼んだらどないなるか分からんかったからなァ。直談判のが話は早いやろォ?」
ヘラヘラしながらラビは答えた。
その態度に心底、腹が立ったが約束を取り付けてしまった以上取り消せやしない。
増してや電話口から漏れ出すアリスの声も久し振りのラビとの再会を心なしか楽しみにしていそうだった。
良い年こいて我儘を貫いて家族に迷惑をかけるのだけは避けておきたいところだ。
素直になれないのが良くない所だと昔から親によく言われたものだ。
だがあたしの不素直で成り立つ場合もあっただろうにとまた不素直な態度で親の説教を受けていたのを思い出す。
思い出に思い馳せていると恐らくラビは無言になったあたしを不機嫌になったのであろうと察知したのか静寂を裂いた。
「ほらァ、早ォ身支度せなァ。」
「直ぐにでも出られるわ。」
「ほな向かおうかァ。」
「謝罪の意とかないのかしらね。」
「意思の無い平謝りなんか意味を成さないだろォ。」
「かと言って謝らなければ済む話でも無いわ。」
「はいはい。すんまへんなァ。」
舌打ちをお返ししたら何故か満更でも無い表情であった。
つくづく男の考える事は分からないなと思った。
「早く出ようやァ。置いてっちゃうでェ〜。」
挑発的な態度を取るラビを横目に玄関へと歩みを進める。
「無視せんといてェなァ。おーい聞こえてるかァ。車の鍵は俺が持ってんねんから先々行ったって乗り込まれへんやんかァ。」
「わかってるわよ。んな事。でもこの空気に耐えきれないって事ぐらい分からない訳?」
テレスは靴を履いて振り返る。
「お〜怖ッ。そないカッカせんでもなァ。」
「随分と他人事じゃあ無い。呆れを通り越して寧ろ羨ましいぐらいだわ。」
鍵を振り回したラビを後続に先程停めたパーキングまで歩く。
またもや真っ赤なポルシェに乗り込む。
一体何をしに来たのか分からなくなる。
オレンジジュースを飲みに来ただけだった。
ただ本当にそれだけでしかなかった。
これが何かに役立てば良いけど。
そう願って車は唸りを上げて動き始めた。
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hummingintherain · 2 years
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2022/07/01-2022/07/07
7月1日(金)
 ポメラを開くと昨日の日記が表示された。怒りを通り越して憎悪になっていたのではないか。憎むほどのことが起きたわけでもない。自分自身が深々と直接傷つけられたつもりじゃなかったけれども、確かに何度も何度も傷が重ねられていたのだと思う。そこをのみこみつづけて、生傷のまま放置していた自分もきっと悪かった。でもわかっていた。ずっと前からわかっていた。この人には何を言っても通じない、何を言ってもわかりあえない。諦め。虚無。でも、それならばなぜそんなにも怒りのような、憎悪のような、震えて圧の強い声が出たのだろう。単なる苛立ちを媒体とした、「荒げる」ような声とはまったく別種だった。「声を荒げる」。よく使う表現だ。「声が震える」。よく使う表現だ。叫んだわけでも、泣いたわけでもない。でも思い出してみると、もう声も聞きたくない、と思った。そのすらすらと表層上をなぞり、結果的に確かに誰かを傷つけたこと、手本とされるべき立場でありながら仕事を放棄して遊びに興じていたこと、もはや終わったこと・解決したこととして扱おうとする、言葉だけで心が明らかにともなっていない「至らぬ点だと思っています」。まるで文章を淡々と音読するように、温度の感じられない言葉たちを聞きながら――もう言わないでくれ、そんな言い訳を連ねるほどに浅ましさが露呈するから、あなたへの嫌悪が募っていくだけだから――重なる。これはニュースにも登場する、学校や社会でのいじめの加害者側の姿勢と似たような構図であると。  そこに無自覚であるとまざまざと見せつけられて、こちらに残るのは失望か。  川上未映子の『ヘヴン』を思い出す。いじめが一つの柱である物語。終盤で、加害者の言い分がつらつらと語られる。その暴力性。決してまじりあえない、長い、ひととき。
 もうあの人の声を聴く必要も、会う必要もない。どこかで不意に人生が重なることはあるかもしれないけれど。きっとここで生じた出来事は、もう誰かの心の中だけに残り、そして消えていく。あの人も、きっと、荒れながら更新されていく日々の中で忘れていくだろう。きっと、根源的に何が問題なのか、理解はできないままで。いつかわかるときがくるとしたら、なにか別で劇的なショックが到来したときだ。でもそんなのすべて、もう知らない話。
 地位が高くなることで、他者からの指摘をされにくくなり、裸の王様になるくらいだったら、地位なんてもつものじゃないな。
 私には創作があるから、あの震えた声は、すこしも無駄にはならない。
7月2日(土)
 最近は、もっぱら五時くらいに目が覚めて、睡眠時間を確保すべく、そして起きたくもなさを燻らせるように、すぐにまぶたを閉じて明るくなってゆく部屋で眠っているのだが、今朝は思い切って、目覚めてほとんどすぐ、立ち上がり、着替えて、ベランダの窓を開けるとあたりは静まりかえり、外気が冷たく心地がよかったから、散歩をしにいった。  外に出て、思っていた以上の外気の日がまだ低く、道路に落ちる影は長い。日に当たるとじわじわと暑さが沁みてくるけれども、真昼の殺人的な日射にはほど遠い。日陰の道、ときおり日向の道、を歩いていた。朝の散歩自体、とても久しぶりで、最近としては特殊ではあったけれども、なによりの違いはマスクをせずに外出したことだった。至って平凡なただの散歩で、コンビニにいくつもりも、誰かと会話を交わすこともないから。口を覆うものはなにもない。堂々とした気分ではない、あるのはどこかこころぼそさ。最早懐かしさも忘れかけている。マスクをしての生活が当然になった子どもたちの中には、素顔を見られたくないという理由でマスクをはずすことへ抵抗感を示している、というアンケート結果を出した報道を見かけたけれども、なんだかわかるような気もした。マスクはそもそも守るためのものだから。たった一枚のぺらぺらとした物でも、随分なたのもしさで防具として役割を果たしていた。二年以上もそんな生活を続けていれば、下着や服のように、外出時に身につけて当たり前のものになって、やめるのに抵抗感を示すのも無理はない。  しかしそうはいっても、マスクのない口許、なにも遮るものなく澄んだ空気を吸うと、自分にとって大事なものをすこしずつ取り戻していって、なんの違和感もなくそこに存在して町に馴染んでいる、というような心地になるのだった。  しばらく歩いているうちに、トラックが通り、一軒家でおばあさんが新聞でも取りに来たところだったのだろう、ふうふうとちょっとした軒先に出るにも息切れをして手すりに掴まっている状態でちらりと私を見て、目の前を通り過ぎて、ちょうど通りがかった家でカーテンを開ける音が聞こえて、ぽつぽつと泡があちらこちらで弾けていくように醒めていく気配がただよいだす。太陽はどんどん天上へ向けて昇り、光も��くなって、腋の下あたりがじんわりと汗ばむようになってきた頃に、家に戻った。軽くシャワーを浴びて、今ポメラに打鍵をしているうちに、普段と違うことをしたせいか、身体はだるおもい疲れが徐々にのしかかってくる。
 昨日は1日だったので映画が安い。暑すぎるし、まだしばらく職場のダメージを引きずっていたので(今もなお、ではあるのだけれど)、映画を観に行くことに決めた。決めたのがお昼前で、映画の始まりまでそんなに時間がなかったので、さくっと昼ご飯を作って食べて、急いで映画館へと向かう。観たのは『メタモルフォーゼの縁側』。配役的にちょっとしたギャップの差があるのではないかと不安がないわけでもなかったけれども、蓋を開けてみれば素晴らしい映画だった。すっかり、「普通」や「速度」や「激烈な愚痴」が声高な勢いに染まって、同調圧力にくたくたになって、鬱初期症状やなんやかんやと仮決定して過ごすおのれの日々に、幸福を細い水にして流し込まれて、じんわりと広がっていくようだった。なによりも感じられたのは原作へのリスペクト。脚本はまるきり原作通りというわけでは勿論ないけれども、原作の印象的な場面をフィーチャーして表現したり、オリジナルの部分ですこしコミカルにリズム良い表現や違った困難や優しさを表現したり、物語って、ほんとうにいいなあ……としみじみ思わされた。うららさんが泣いた時には、既にゆるゆるになった涙腺がまた刺激されてほろほろと泣いた。
 終わってから畑へ行き、茄子やピーマンを大量に収穫。トマトが赤くなりつつあり、もう少し。
 まだ6時半、洗濯機がさりげなく呼んでいる。
7月3日(日)
 今朝も5時に目覚め、一度起き上がって窓を開けると、雨のにおいがした。道路に視線を落とすと一切の水溜まりも色の変化もなかった。まだ降ってはいなかった。けれどももう充分に雨の気配がたちこめていた。散歩をしようか迷い、ひとまず着替えたけれども、あまりの眠気と怠さにもう一度布団に戻った。その間にものすごい雨の音がした。寝入って起きたら9時を過ぎていた。まだ雨が降っている。たぶん今日は降り続ける。そのぶんやたらと涼しい。エアコンを切る。冷蔵庫にいれていた昨日の味噌汁を温め、コーヒーを淹れる。
 起きる直前まで夢を観ていた。音楽を聴いている夢だった。一人は琵琶のような楽器で、もう一人はウクレレだった。琵琶の方は20歳くらいの男性で、ウクレレの方は小学生くらいの少年。少年の方は、記憶が曖昧だけれども、坂口恭平の息子さんのゲンくんだった。彼が現実でウクレレをしているのかは知らないけれども。とにかくその二人が、都会の大きな駅の開けたスペースのような場所で、音楽を鳴らしていた。そこにはものすごい人が押し寄せていて、私は最前列から三番目くらいの場所で彼らの演奏に耳を傾けていた。琵琶とウクレレだけの演奏だから、派手な部類ではない。けれどそこには音楽しかなかった。車の音や、他者の喧騒、広告の音、そうしたものは夜空のなかにすべて閉じ込められて、音楽に内包されて、消え去っていた。すべてが彼らの音に耳を傾けていた。それで音楽が終えたら、青年の方が、MCを始めた。戦争の話をして、選挙の話をした。緩衝地帯について、シリアなどの国境地帯について、ウクライナについて、ロシアについて。淡々と話していた。彼自身が琵琶やウクレレの音と化してそのまま持続しているように、マイクを通じて語っていた。その間に、目覚めてしまった。思い起こすのは、ウクライナ侵攻が始まった直後に世界各地で起こったデモ、そして日本でも起こったデモ。
 自分の体調の悪さが初期症状の鬱の傾向なのではないかと仮定してから、意識的に戦争の話題からは距離をとるようにした。そもそもあまりニュースを観ないようにしていた。でも、まぶたを閉じていた間になにか解決しているかというと、なにも解決しておらず、なにも進んでいない。これ以上悪化しないようにするには、せめてもの抗いに一票を投じるほかになく。
 そんな夢をみる直前の夜に、西加奈子『夜が明ける』を読み終えていた。その影響が夢にも出たんだろうか。戦争の話ではないけれど。この世の中に起きている貧困や虐待や差別などのあらゆる問題を描ききった物語は、読み切ると、こんなにストレートなメッセージ性のある小説は、久しぶりに読んだので、なんだか脳がすっかり火照ったままぼんやりとしていた。そもそも小説を読み切ったのが久しぶりだった。いつ以来だろう。少なくとも六月の間はまったく読めなかった。
 そういえば昨日は、職場の先輩へのお礼を買いに行くついでに、本屋に寄ったんだった。本屋は、図書館は、最後の砦なのだと、なんだかそのとき、しみじみ思った。あらゆる攻撃から逃げつつ、あらゆる豊かさを見失わないようにするための砦であり、憩いの場。人にとっては一切立ち寄らないかもしれないけれど。コンビニや、ドラッグストアや、スターバックスのほうが、利用者はずっと多いかもしれないけれど。それでもなにか、大事なものが、誰かにとって切実に大事なものが本の空間では守��れていると、書架の前にじっと立って考えていた。
7月4日(月)
 一週間分の日記を昨日まとめて、やはり過去のことなんておおむね忘れている。ついでにその先まで読んでいくと、やがて鬱の初期症状ではないかという日記にあたる。ちょうど生理期間と被っているので、生理による影響が強く出ているのではないかと考える。もちろん、鬱でないにこしたことはないけれども。しかし長きにわたる異様な倦怠感とやらは、生理周期とは関係なく(もちろん、生理の影響も含む時期はあるだろう)怠いのだから、それはなんだかおかしいといえばおかしい。
 今日も雨。すこぶる怠い。午前中をほとんど寝て過ごしてしまった。夕方からはお世話になった先輩とごはんに行く。今日中に履歴書を書かなければならない。
 昨日は永井みみ『ミシンと金魚』を読みはじめそして読み終える、いつかこの本は映像化されるような気がする。『中学生から考えるウクライナ』も途中まで。第二章の最後のページでなぜか涙が出てしまうのは、未来への不安がじくじくと広がりながら、現状の直線的な方向性にはっきりとした警笛を鳴らしてくださっているからかもしれない。違和感を肯定されているような。直線から平面へしていくための、学び。
7月5日(火)
 文字を読み取りにくいという今の感覚は、英文を読んでいる感覚に近いかもしれない。並んでいるのは日本語であっても、なにか異国語のような。要所要所の単語はすくいとれるけれども、文全体を理解するのに時間がかかる。前後の文脈の流れがわからなくなる。たった140字の世界であっても。余白を楽しんだり、行間を読むといったところが、ものすごく高度な技術であるように思う(実際のところ、高度か)。なんとかどうにか小説を最近は読み始めたり、すこし前に比べれば本を読めるようになってきているような気がしているけれども、一体どれほど呑み込めているかを考えると正直疑問で、こういう時に批評文を読むのも大事なのかもしれない。なんだか補助線のようなものがほしい。
7月6日(水)
 昨日は歯医者。歯科衛生士の実習生らしき方が一緒だった。長かった治療ももう終盤を迎えている。今月中には終わる予定。あの不快なドリル音ともようやくおさらば。  夜にme and you clubで参院選について話し合う。体調がさほど良くなかったのでほとんど聴いているだけにするつもでいたけれどもが、なにか口にしたい思いに駆られてしまった。そういうのが良くない気がする。
 今日は気怠さ。雨の気配消え、とても暑くなる予感。
 面接が控えているので、それに向けてうだうだと準備をする。
7月7日(木)
 昨日は面接。もごもごとした喋り口になり、人見知りが発揮されてしまった。なんだか自分を誇張してしまったような後ろめたさが残る。長所と短所を聞かれて、なんだかそういう面接の最も常套句であるはずのことごとをちゃんと準備してくるのを忘れていたことに気付いて、舌の上でころころと転がすように喋った。手応えは半々。通りそうな気もするし、他に適した人がいれば余裕で落とされるだろう。駄目なら駄目でもいいか、という気分。とても疲れて、その後は夜ごはんも食べないまま布団に寝そべっていた。たった一回の面接でいちいちこんなふうに倒れていては、なんだか保たない。生理前のせいもあるだろうし、鬱っぽさ(仮)もあるからだろう。
 最近はなにも流さない状態でイヤホンをしているとすこし落ち着く。耳に異物がいれられたままの状態自体は邪魔といえば邪魔なのだけれども、あらゆる音が遠のく。
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hon5-tba · 3 years
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【英版公式】キャラクター紹介
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source:https://www.thunderbirds.com/
久々に顎公式(英版)を覗いてみたら、リニューアルされてたYO!全然知らんかった。
そこに掲載されていたキャラクター紹介文が、日本のものよりも詳しかったので、ちょっと翻訳機にぶっこんでみました。
以下、公式からの魚拓とグーグル先生による翻訳。(2021年2月現在)
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スコットはあなたがトレーシー兄弟に期待するような大胆さと勇敢さを持って、どんな困難にも立ち向かっていきます。実際、父親のジェフ・トレーシーが失踪して以来、スコットはインターナショナル・レスキューの非公式なリーダーの役割を担ってきました。
弟たちは、スコットが横柄だと文句を言うかもしれませんが、彼は間違いなく家族の中で最も経験豊富で、緊急事態への最善の対応を熟知しています。プレッシャーにさらされている時にも決断力と想像力に優れ、唯一の弱点は感情に流されてしまうことですが、これは仕事や家族を大切にしていることが直接の原因です。
タスク:ファーストレスポンダー(第1応答者)
パパが居なかった間、リーダーの座はunofficial非公式だったのね・・・兄さんの遠慮なのかそれとも弟たちが認めなかったのか?
bossy=ボスみたいに威張る、とかいう意味らしいので、弟たちからは親分風を吹かせてるように思われてたのかも??まあ、たしかに新しい装備はいつもスコットが使ってたっぽいし、長男特権は存分に行使してたんだろうな。
家族のことになると熱くなるというのは、本編を見ての通りですね。
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サンダーバード2号の乗り物と同じく、バージル・トレーシーは家族の中で一番大きくて力強い存在です。熟練したエンジニアでありメカニックでもあるバージルは、芸術的、音楽的才能で驚くほど繊細な一面を見せてくれます。これはおそらく、彼の「タフガイ」な外見にもかかわらず、バージルがトレーシー兄弟の中で平和主義者であることを意味しています。
忍耐はバージルの美徳の一つではなく、命令を待つことはほとんどありません。幸いなことに、必要な時に近くにいてくれることが多いです。バージルはIRのミッションの際には絶望的な状況下においても冷静さを保つ驚くべき能力を持ち、全てのミッションに正しい判断力をもたらします。
タスク: 解体、重量物の運搬、ロジスティクス
この文章だけ見ると、バージルがリーダーでも良いかんじよね。
しかし結局、マッチョボディを披露することはなかったので大きくて強い存在というのは見た目からはイマイチ伝わってこなかったかなぁ・・・というのが個人の感想。
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アランは典型的なティーンエイジャーで、寝ることよりもサンダーバード3号を操縦することが唯一の楽しみです(彼はそれを夢で見ているくらいです!)
IRのミッションに参加したがるアランは、天性のパイロットであり、コックピットでも、ジェットボードに乗って宇宙空間を飛ぶのも得意です。物怖じせず、お気に入りのビデオゲームと同じような情熱で、あらゆる障害に立ち向かいます。なので、救助ミッションでは、アランが勝つためにプレイしていると確信できます。
タスク: 宇宙飛行士
典型的なティーンエイジャー・・・天使ではないってことですね。勝手に妄想してて反省です。
最後の一文がちょっと何言ってるかわからない。どういう翻訳が正解ですかね?ツッコミありましたらぜひお知らせ下さい。
(後日追記) play to win = 直訳は「勝つためにプレイする」ですが、ここから考えて「何としてでも成し遂げる、成功させる」派生して「遊びではない」という意味にもなるかものことです。な~るほど! つまりアランは、ミッションに出たからには絶対成功させる、とか、遊びでやってるわけじゃないというのがわかるでしょう。という訳ですね。ご指南ありがとうございます!!
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インターナショナルレスキューの潜水士ゴードン・トレーシーは、海面下のサンダーバード4号が最もお似合いです。遊び好きで外向的なゴードンは、 トレーシーの兄弟の中で一番冒険的な存在であります。それはミッションの時も、彼の大胆な服のスタイルにも言えます!トレーシー家のジョーカーとして知られるゴードンは、いつも笑顔を絶やしません。しかし、いざという時には本気になり頼りになります:たとえば、救助活動の時やある女性を感動させようとする時などなど・・・
タスク: 水中探索と救助
ゴードンの服はoutrageousアウトレイジなスタイルなんだそうなwww
ここでいうジョーカーはおそらく単純に「ジョークを言う人」を指すのだろうけど、切り札的なジョーカーと思っても良しだよね!あの子はまだまだ引き出しがありそうだよ!
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ジョンは、プレッシャーの中で冷静さを保ちながらマルチタスクをこなす能力を持っており、IRの宇宙コマンド通信およびディスパッチとして理想的な人物です。救助ミッションでの彼の支援は通常、サンダーバード5号から遠隔操作で行われます。そこでジョンは軌道上の孤立した場所と星空を眺める機会を楽しんでいます。
ジョンは、自分の見たままを恐れずに言うことができ、年齢を超えた成熟度を持っています。意思が強く、頭の回転が速いジョンは、技術的なノウハウでブレインズに対抗できる唯一のIRメンバーです!
タスク:宇宙コマンド通信、ディスパッチ
年齢を超えた成熟度!!!!・・・だからエロイのか体が。
だってそう翻訳されたんだもん「年齢を超えた成熟度」ってwww
たぶん年の割には大人びている、とかそういう意味なんだろうとは思いますが、じゃあジョンは一体いくつなんだよって話です。ほんと気になる年齢。
「自分の見たままを恐れずに言うことができ」っていうのは、臆せず物を言うっていう感じよりか、空気読めない奴ってやんわり言ってる気が・・・??本編を見るとジョンてそんな感じなんだけど😅
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変装の達人であるフッドは、彼自身の手で問題を起したり、または汚い仕事をするために手先を送ることに満足しています。 彼の生き甲斐とするミッションは、最先端の技術を盗み、利用することです。科学と工学に基づいて構築された世界を制御できればできるほど彼はより強力になれるのです。
地球上では、インターナショナル・レスキューよりも高度な技術を持つ組織は存在しません。 だからこそ、彼らはフッドの第一の標的なのです。フッドはサンダーバードを手に入れるためなら何でもするでしょう。
最先端技術を牛耳って、この世界を支配する、っていうのがフッド氏の目標だったようで。
IRの最新テクノロジーがほしかった?!そういうことなのおじさん?!てっきりジェフが嫌いだからIRを目の仇にしてたのかと思ってたわ~。
たしかに、S1こそサンダーバードよこせとか言ってたり、トレーシー島乗っ取り事件など起こしましたけど、S2以降は諦めたもようで、S3ではハヴォックが3号を盗んだことを叱責してすらいました。
フッド的には、IR以外のテクノロジーを盗む仕事にシフトしたんだけど、最中にIRがレスキューと称して首を突っ込んで来やがるもんだから腹も立ちますよ。毎度仕事の邪魔をするIRに対し、機会があればブッ殺してやんよ!って思い始めるのも当然、そう考えればS3では殺意むき出しだったのも頷けるような気もします。そう、おじさんが悪いのではない!勝手に現場に来るIRが悪いのダ!!
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レディ・ペネロープは二重生活を送っている。一つはイギリスの上流社会の表舞台で、もう一つはIRのフィクサーです。辛口のウィットと偉大な目的意識を持つ、賢く大胆な女性です。IRが何かを必要としている時、それが情報であれ資料であれ、ペネロープは彼らの情報源となります。
パーカーはペネロープのボディーガード兼運転手。彼には波瀾万丈の過去があり、IRから何度も重宝されてきた「特殊なスキル」があります。
もうちょいスパイ的な活躍を見せてほしかったロンドンエージェント組。時にフッドを追うのが仕事になってて、普通にGDFみたいなことやってたこともあったので、だったらIRを名乗らないでいただきたかったなと・・・個人の意見です。
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トレーシー家の中心的存在であり、トレーシー島の家長でもあります。彼女は皆をまとめ、知恵と洞察力の源です。料理は得意ではありません。
おばあちゃんの長老感は素晴らしかったと思われます。指揮官はスコットでも、IRのリーダーはいっそおばあちゃんでも良かった気が。
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ハボック ー 泥棒、コードブレイカー、擬装の達人。多くの混乱を引き起こすために派遣されます!
ヒューズ ー IRを混乱させるフッドを支援する破壊の専門家です。
この書かれ方だと、フッドがカオス姉弟を雇ったのは、対IR対策のためとも受け取れる?
カオスはあるのにメカニックたんの紹介がないのが不満~。前にあったような気もしたんだけど、削除された??
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ブレインズはIRの天才であり、彼らの仕事を可能にするすべての車両や機器を設計しています。
裏方で活動することを好むブレインズは、まれに自分の発明品で旅をすることがありますが、いつも気分が悪くなってしまいます!しかし、本領を発揮しているときは、ブレインズの輝きが際立ちます:彼は思慮深く、意図的で、完璧主義者です。ただし、プレッシャーのかかる仕事は頼まないように!
タスク:エンジニア、発明家
自分で作った機械で乗り物酔いしちゃうのがブレインズ先生の愛すべきところ!
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トレーシー島で育ったケーヨは、トレーシー兄弟の妹のような存在。そしてカンフーの詠春拳の専門家として、彼らと彼女自身を守る以上のことができます ー バージルでさえも接近戦では彼女に適いません!
トレーシー島の警備を担当するケーヨは、集中力があり、サンダーバードシャドウと同じくらい隠密行動にも長けていて、時にスコットとの衝突につながることもある反抗的な性格をしています。それにもかかわらず、ケーヨのIRへの忠誠心は疑問の余地ないことを、彼女の家族を脅かす者はすぐ気づくでしょう。
タスク:隠密行動
詠春拳とはブルース・リーですね。ケーヨ強すぎ。
スコットとはもっと衝突してほしかったところでしたが、S3ではスコットの方が折れたのか、すっかりGDF出向で悪党退治に精を出してしまってたケーヨ様でした。おかげで彼女の活躍がたくさん見れたので良かったですがね!
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その他、ゲームも色々追加されていました。↑このスコさんの顔憎たらしいw
わぁ5号だぁ~と思った瞬間はさまれて死ぬwww
いかがでしたか?日本公式の紹介文よりも詳しく特徴が説明されていたので、キャラクターイメージをより掘り下げることができるんではないかと思います。
英版公式サイトはこちら
日本公式サイト(東北新社版 | NHK版)
日本S1~S3放送(スーパー!ドラマTV)
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xf-2 · 3 years
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石平 : 『 中国共産党・暗黒の百年史 』 「 一方で権力を握ると腐敗が始まり、汚職が横行し、つぎに色欲が爆発する。カネにあかせて妾を大量につくる。そのお手当のために汚職がエスカレートする。これも毛沢東以来の、というより孫文以来の伝統なのである。 本書を読んだあとでも中国共産党を賛美する人がいたらお目にかかりたいものだ。 」 (宮崎正弘氏の書評より一部抜粋)
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皇帝🐧ペンギン
2021/07/02 07:08
・中国共産党史の暗部を描き尽くした衝撃作!
・2021年7月1日の結党百周年にあわせ、1年かけて書きおろした渾身作。中国共産党による数々の大虐殺と民族浄化、驚異の裏工作と周恩来の恐ろしい正体など、日本ではよく知られていない衝撃事実を多数掘り起こして読みやすくまとめた、中国共産党史の決定版!
「本書の構成は、一般の歴史教科書のように、歴史的出来事を時系列で羅列(られつ)したものではない。むしろ、今まで日本で刊行された「中国近代史・現代史」関連の書籍で、意図的に隠蔽(いんぺい)され、無視されてきた事実を一つ一つ拾いあげ、それを「中共の暗黒百年史」として再構成したものである」(本書「はじめに」より)
<目次より> 一章 浸透・乗っ取り・裏切りの中共裏工作史 二章 繰り返される血まみれの大量虐殺史 三章 侵略と虐殺と浄化の少数民族弾圧史 四章 紅軍内大虐殺、陰謀と殺し合いの内ゲバ史 五章 周恩来、美化された「悪魔の化身」の正体 六章 女性と人民を食い物にした党幹部の貪欲・淫乱史 七章 日本人をカモにした対日外交史と反日の系譜 最終章 危険すぎる習近平ファシズム政権の正体と末路
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🔴🔴🔴  周恩来は、スパイマスターで【卑劣漢】。 虚像と実像は違う。 毛沢東の【酒池肉林】は並外れていたが、同時に多くの同志を裏切っていた。  🔴🔴🔴
     ♪ 石平  『中国共産党 暗黒の百年史』  (飛鳥新社) @@@@@@@@@@@@@@@@@@
中国共産党は悪魔である、と開口一番、ただしい歴史認識に基づいた叙述がある。日中友好の幻想にまだ酔っている人には目から鱗がおちることになればよいが。。。
毛沢東がいかなる陰謀と殺人と破壊工作で党の主導権を確立していったかは、これまでにも多くが語られた。その意味で、本書はおさらいである。 
ようするに「百周年の誕生日をむかえた中国共産党がどれほど罪深く、それほど外道なふるまいをする危険な勢力か」を徹底的に、達筆に、しかも簡潔に要点だけを抉った。 
「世界最大のならず者国家中国の軍事的脅威と浸透工作によって、我が日本が脅かされている今こそ、中共の悪を歴史的に明らかにし、マフィア同然の反日反社勢力の罪悪と危険性にあたいする日本人の認識を深める」使命があると著者は執筆動機を語る。 
なぜか。 日本の一流(?)とかの学者、ジャーナリスト、学究らは中国共産党���革命史観にそって賛美するものしか書いていないし、天安門事件前までの中国史たるや、共産党代理人が書いた書籍しか市場に流通していなかった。
そのでっち上げ史観に日本のインテリが影響を受けている実態はじつに情けないではないか。 
ウィグル族の弾圧を欧米はジェノサイドと認定し非難している。ところが、日本は与党内の親中議員と公明党によって反論が渦巻き、決議さえ出来ずにいる。
なにしろ与党幹事長を基軸に与野党を問わず親中派議員がぞろぞろと国会にいるからであり、新聞テレビで、まともに中国共産党の暗黒面を伝えるのは産経新聞しかないではないか。
経済制裁にさえ、日本の財界は加わらないで、むしろ対中投資を増やしている。この愚劣な幻想行為は、なにからおきているのか。
中国共産党のマインドコントールに嵌って贖罪意識を植え付けられ、日本が悪かった、日本が中国様に謝罪し、そのためには経済援助を惜しんではならないという善意の発想を基礎にしている。
この善意は、中国が展開した高等戦術、その洗脳工作から産まれた日本人の意識の破壊、つまり考える前提を破壊し、中国寄りに思考を組み変えることからおきているのである。 
中国的共産主義のおぞましさと残忍さの第一の例証は、かれらが権力を握る遙か以前から凄惨な内ゲバに明け暮れていたことである。
その実態は匪賊と代わらず村を襲撃して地主や有力者の財産を取り上げ、公開処刑して、村を暴力で支配し、それが解放区などと美化した。実態は大量虐殺でしかなかった。 
大量虐殺は権力を握った後の国内で更に大規模に繰り返され、つまりは皇帝毛沢東の独裁にさからう者は、たとえ「革命の同志」であっても、残忍な拷問の末に殺された。
周恩来は、毛沢東の上司であったのに、いつのまにか家来となって生きのびた。 狡猾な卑劣漢である、と著者は言う。 
ついで少数民族の虐殺と民族浄化であり、南モンゴルからチベット、そして現在はウィグル自治区でジェノサイドが続行している。 
一方で権力を握ると腐敗が始まり、汚職が横行し、つぎに色欲が爆発する。 カネにあかせて妾を大量につくる。 そのお手当のために汚職がエスカレートする。 これも毛沢東以来の、というより孫文以来の伝統なのである。 
本書を読んだあとでも中国共産党を賛美する人がいたらお目にかかりたいものだ。
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( 下記は、Amazon の レビューよりの転載です。)
日本人必読の書! 昨日届き、一気に読み終えました。 夜寝る前に読むには、「精神的に良くない本」でしたけど。
予想していたとは言え、それを遥かに超える「残酷な歴史」がまとめられています。 未だに中国に「幻想」を持っていたり、「暗黒面」に目を背け、ずぶずぶの関係にある政治家や官僚、財界人、マスコミ人、学者やコメンテーター、そして活動家たちは、こういった事実をどう考えるんでしょうか?
もし日本をはじめ世界が中国共産党の支配下に置かれたら(「自治区」や「世界統一政府」などを含む)、ここに書かれたことが間違いなく起こるでしょう。それこそ、世も末です。
私は人類は、これまで様々な「経験」や「歴史的出来事」等を通して学び、少しでも素晴らしい世の中になってきていたんだと信じていますが(もちろん「マルクス主義」や「階層史観」のことではない。私はそういった世代ではない)、中国共産党の侵略の手がさらに伸びれば、時代は大きく逆行するでしょう。
中国共産党や国民党により無残にも殺害されまくった数千万(数億人?)の人たちの尊い犠牲を繰り返さないためにも、何とかしないと大変なことになります。
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石平氏渾身のライフワーク 「はじめに」で、石平氏は、2021年7月1日の中国共産党結党百周年を「記念」して、1年以上の時間をかけ、渾身の力を振り絞って、「中共百周年の暗黒史」をテーマとする本書を書き上げたと述べている。 石平氏は1989年、日本の大学院に入り、中国近代史が日本でどのように書かれているか、日本の権威ある大手出版社から刊行された書籍を色々読んでみて、唖然としたという。日本の知識人たちが書いた中国近代史のほとんどは、中国共産党の「革命史観」に沿って書かれた、中共への賛美そのものだったからである。 中国共産党の外道ぶりと悪辣さを自分の目で見てきた石平氏は、日本の「中国近代史」の本を読んで、唖然としたり、憤ることがよくあるという。中共シンパの日本の知識人が書いた「中共史観の中国近代史」が広く読まれた結果、日本では中国共産党に親近感や甘い幻想を持つ財界人や政治家が数多くいるように思われる。
石平氏は嘘と偽りで成り立つ「中国共産党革命史観」を日本から一掃するため、そして中共の歩んだ極悪の百年史を日本の読者に示すため、この書を書いたのである。
33万人の長春市民を餓死させた「兵糧攻め作戦」、数千万人の人々を餓死させた「大躍進政策」、1千万人以上が虐殺された「文化大革命」については、これまでに石平氏の著書等で読んできたが、それ以外にも数十万人単位の大量虐殺が絶えず繰り返されてきた。 中共が好む殺人法はいつも「公開処刑」であり、必ず大衆を集めてきて、大衆の目の前で殺戮を行った。民衆に恐怖心を徹底的に植えつけて、彼らが政権に反抗できないように仕向けたのである。 「党を守るために虐殺も辞さない」という態度は、毛沢東時代に限ったものではない。鄧小平の時代においても、このような虐殺が実行された。 1989年の天安門事件では、石平氏と面識のある数名の同志たちが虐殺された。この天安門事件で殺された若者や市民の数は、今でも「最高国家機密」として封印されたままである。数千人はいると思われる。 そして他民族へのジェノサイドである。総人口の約5分の1の120万人が殺されたと推定されるチベット人虐殺は、今なお続いている。次に規模が大きいのが内モンゴルに住むモンゴル人の虐殺である。 現在、習近平政権によるチベット人、ウイグル人などの民族浄化政策は、世紀の蛮行と言っていい。習近平政権は間違いなく21世紀のナチスと化していると、石氏は述べている。
人民を奴隷として支配し、苦しい生活を強いながら、中共政権の幹部たちは贅沢と淫乱を貪る生活を送ってきた。その一方で彼らは、結党当時から残酷な党内闘争を繰り返し、殺し合いの内ゲバを展開した。時には、自分たちの仲間に対してもお家芸の大量虐殺を辞さなかった。 この極悪な中国共産党が百年に渡って存続してきたこと、そして70数年間にわたって中国を支配してきたことは、中国人民および周辺民族の最大の不幸であり、悪夢でしかなかったが、これが終わる気配は残念ながら全くない。むしろ習近平政権の下、中共のもたらす災禍はますます激しくなり、中国大陸周辺の我々近隣国にも及んできている。 幸い、この数年間、自由世界の多くの国々では中共政権の邪悪さへの認識を深め、中共政権を封じ込める中国包囲網の構築に乗り出した。 ウイグル人・チベット人に対する民族浄化の人権侵害に対し、そして彼らが香港で行っている人権侵害に対して、自由世界は一斉に立ち上がり、習近平政権への「NO」を突き付け始めた。更に安全保障の領域においても、自由世界主要国は連携して、中国共産党政権に対する総力的な闘いを挑み始めた。 中国共産党という悪魔のような政党の歴史は、習近平政権の破滅によって終止符を打たれなければならないと、石氏は主張している。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 浸透工作による百年の原動力――、まさしく中共のDNAである
本書は、中共百年の「悪のDNA」を受け継いで、世界の巨漢と化した今の習近平政権こそ、中共最後の政権となるべきである。中共という悪魔のような政党の邪悪な歴史は、習近平政権の破滅によって終止符を打たなければならない、として締め括られているが、石氏にしては歯切れが悪い。むしろ、「今後も百年は安泰」とも思える絶望的な嘆きの声と捉えるのが素直ではないか。
やはり、その辛辣さは、上塗りの中共誕生の歴史を振り返る他ない―――、袁世凱の死後の無政府状態が続き軍閥の群雄割拠の中で抜きん出てきた蔣介石率いる国民革命軍と毛沢東率いる中共の対立構造をみても、中華民国の国軍とされる国民革命軍に楯突いた中共とは何者か。
無論、国民革命軍の中核は、蔣介石と国民党の独裁体制にこそある。国民革命軍を率いて「北伐」と呼ばれる戦争で統一政府となった。その裏で実力をつけた中共は国民革命軍に殲滅されそうにもなった。しかし、二度の国共合作で生き残り、終には、武力をもって国民革命軍を中華民国の大陸から追い出し、現在の中華人民共和国を樹立に至る経緯がある。
その成功――、闇の力の原動力は、「浸透工作」にある。権謀術数を弄し、自己の打算にのみ腐心し、自分や一族のためにいつも私計を謀ろうとする「支那流為政者」は、「軍閥のDNA」と言ってよい。「腐敗の普遍化」は中共内部にも起こるのだが、「粛清によるクリーニング」(選別的な摘発)に「浸透工作」が一役買っている。それによって、「権力構造をむしろ安泰」に導くスキームが内蔵されている。これが、百年の原動力なのだ。
共産党総書記に就任して早々、習近平は唯一の政治的盟友である王岐山(おうきざん)という中共幹部を、腐敗摘発専門機関の中央規律検査委員会の書紀に就任させた。以降の5年間、習近平と王岐山コンビは二人三脚で、中共内における凄まじい「腐敗撲滅運動」を展開し、累計25万人以上の中共「幹部」が摘発され失脚し、あるいは刑務所入りとなった。この規模から言って「浸透工作」がないと実現はできやしないだろう。
さらに、「浸透工作」の凄みが本書で指摘されている――、鄧小平(とうしょうへい)が改革開放路線をスタートさせて外国資本を中国に誘い入れようとした時、中共のスパイ工作の長老格である能向暉は、新設された国策会社「中国国際信託投資公司」の副董事長兼党書紀に任命された。つまり、中共からすれば、「国民党の内部に潜り込むのも外国の資本を中国に誘い込むのも、全く同じ性格の浸透工作でしかない」と述べている。 このことからしても、普通の主権国家であれば、「外資に乗っ取られる」危険を感じるのだが、「外資を誘いこんで浸透工作を行う」という発想――、この辛辣さの凄みに驚愕するところでもあった。さらに、その一枚上を行く「コミンテルン」の視点で書かれていて、しかも随所にリアルを追求したエピソードが散りばめており、迫真に迫るものがあった。本書はお勧めできる。
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中国共産党は癌細胞! 「このやり方は、癌細胞とよく似ている。人の身体の中で健康な細胞を呑み込み、それを栄養に癌細胞はどこまでも繁殖していく。そしていずれ、寄生する母体を完全に食いつぶす。ここが、中国共産党の御家芸の浸透・乗っ取り工作の極意であり、最も恐ろしい側面である。」と石平氏は書いている。
日本国内を見ても、いろいろな部位?で癌細胞が侵食している。とくに、国会の中に寄生した中国共産党という癌細胞は最大の問題である。我々日本人はいつまでこの癌細胞と戦わなければならないのか!はやく、世界が協力してこの癌細胞に対する抗癌剤を開発しなければならない、と思う。
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sevennocheesecake · 3 years
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BTS In The SOOPを観ました
3度目の緊急事態宣言がでて、あまりにも暇な有休消化だった4月。私はバンタンの動画をひたすら見る生活でした。終わり際は、もはや見るものもなくなって、テテの愛犬・ヨンタンの動画ばかり見ていた。ヨンタン癒されるね・・・
In The SOOPをweverseで購入していたのをやっと見終わりました。今TBSチャンネルでやってるね。Run!BTSも放送やってるんだけど、翻訳のニュアンスが微妙に違うから新たな気持ちで見てる。そもそもだけど、翻訳みながら彼らの動きも見てるから、一回じゃよくわからなくて繰り返し見るのが大事だと気づいた。いずれ韓国語をヒアリングできるようになる日がくるんだろうか…?
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映像パックはBEHINDまでついて、約3000円くらいだけどものすごい映像の時間があるので、かなりお得だと思う。なにより、この手の動画買うのに毎回DVDを買っては30分くらいの映像で物足りなかった強欲な私は、こんなに見れるの!?まだあるの???という感覚だから得に感じる。こういうときだけポジティブ。
率直な感想としては、作る料理が全部おいしそう、というのが強かった。ジミンがいってたように、料理番組ってくらい料理作ってたし、ずっと食べてた。ありのままだから大家族の日常をみてるような感じで、かなり見応えある番組だった。
あとはいろいろ思ったこと。長いです。
テヒョンとジョングクに感じる違和感
最初に言っておくと、私の単なる感想と考察を述べるので、かなり偏ってるかもです。変な意味でなく、テヒョンとジョングク、彼らはきっと、友達以上で家族以上で、人間的に似てる2人なんだろうなと感じてたから、なおさら違和感を覚えた演出があって。
ジャニヲタが故に<シンメ>というものが昔から好きで、ペアで見た時の推しの人間性を観察するのが趣味の私。ペアになった相手によって、その人と成りが見えて来るような気がする。知らんけど。
ヒョンといるときのテヒョンは甘えん坊だし、けどトゥバに接する時のテテのヒョンっぷりをみたら参る。こういうところがずるいんだよ。(ずるいとは)
友達のジミンといるときは心置きなく話してる感じで、ムカつくときは顔に出るくらいお互いムカついてるし、お互いがつらいとき必ず助けてあげてる。だからクオズは尊いんだわ……(私、クオズ推しです)
ふと、グクといるときのテテはどうだろう、と考えたけど、どちらにもなれる。困ってる時グクを必ず頼ってるような気もするし、時には兄のような眼差しで見てるときもある。グクにとってテヒョンは、思春期のときに出会って自分を変えてくれた何にも変えがたい人なんだよね、テテもきっとそんなグクが可愛かったんじゃないかな。(全部憶測ですからね)
グクもテテも二人ともスキンシップがかなり多い。誰に対してもなんだけど、グクは人見知りだから心開いた人にだけだし、テテは誰にでも。少し性質が違うけど、2人ともとにかくパーソナルスペースへの入り方がすごい。なんとなく、こういうとこ、れんれんを彷彿とさせるんだよなあ。
でもね、グクのスキンシップって、どことなく、テテに対しては母性や愛情を感じるんだよ。まあ、私が男でも、テテみたいなポヤポヤした男いたら率先して優しくしたいし隣で支えたいが(????)
だからこそ、In The SOOPの演出は不思議だった。不仲説でも出てたの?新規だからわからないけど、誰か教えてほしい。。。だってねこれの前後の動画観ても、グクがテテにぎこちなかった部分ありましたっけ??ってくらい、気が抜くとひっついてなかったっけ。なんでこういうときじゃないとテヒョンはグクと二人きりで話す機会がないのだろう、グクと二人で話すのにジミンにお願いしないといけない理由なんてある?どういうこと??と疑問符だらけで。
けど、なんとなくグクの言ってることも、テヒョンがこういう演出をやったのか、私なりにわかったような気もしたり。
テテは昔の動画を見たりすると今はだいぶ大人の色気を纏って落ち着いてしまった。グクは、そんなテテを見て、控えめになってしまってとっつきづらくなったと番組内のインタビューで言っていた。でもテテ、中身は相変わらずピュアで不思議ちゃんのままだ。虎の勢いはなくなり、もうぽやぽや赤ちゃんになってきてるけど。
でも、それを打破するのもグクのあどけなさだし、やっぱりグクの無垢さとテテへの尊敬や人間としての愛が圧倒的に優ってるんだなと感じる。
私だって、中学の時にすごく仲良かった子に、ある程度大人になって会うと気まずくて何から話していいかわからない。グクはきっと、そういうのも感じてたりしたんだろうか。だから、ロマンチストなテヒョンなりのあの演出で、グクと真面目に話してみたかったのかな。
あのシーンはリアルに見せかけたフィクションのような気もして、<テテとグクの和解>とでもいえるような演出の真相はよくわからないけど、まあ、とにかく二人の絡みが表向きでも多くなってきたのはいいことだと思った。
ここでしょうれんの話になるけど、ある程度の距離感をもってるけど、お互いにどこかやっぱり過去の仲良さからお互いのことを分かっている感がでてしまうのが平野紫耀と永瀬廉。しょうれんは、逆にビジネス的に使われてしまうからテテとグクとは違うんだよねえ。グループの2トップが仲良しでそのあとちょっとずつずれていって、結局ビジネスコンビになってしまうのはざらにある話。でも、やっぱりふとした瞬間に、昔の話がでてきてしまうしょうれんが好きだ。
Life goes onのMVしかり、フラットに対等に仕事ができて、お互いを褒めちぎるくらいの才能をお互いが買ってるって、素晴らしい関係性じゃない?残念ながら、わたしにはそんな友人はいない。鼓舞するような友人もいない。だからこそ、この2人、いやバンタンたちが羨ましくなる。
でもってさあ、顔は世界一ハンサムな顔の2人だよ。こんな奇跡あるんか…あるんですよね。すごい。
テテがグクを起こしにいって抱きついてそのまま寝てしまうシーン(文面だけみると変な感じだけど、そのまま書いてる)で、その後ホビが起こしにいったときに、グクが使ってた枕をテテが使ってたことが萌えた。きっとグクがテヒョンにあげたんだろうな。ほんっと、グクはテテに優しい。やっぱりグテは尊い!(結局全部尊い!)
つかみどころのないテヒョン
みんなが何かしている時、テテがいないことが多かった。
何かしてても急にどこかへいくし、1人でカヌーに乗ったりするところ、突然ジミンの部屋で寝てしまうところ、やっぱりテテはつかみどころのない不思議な人だなあと感じた。なのに、ここぞというときにみんなを笑顔にするのはテヒョンで。チヂミをひっくり返すところなんて、ずっと見つめて、ジンちゃんが指導してあげて。成功したらみんなが褒め称えて。すごく良いシーンだった。ヒョン達はテテを褒めるのが本当にうまい。テテはいっぱい愛されて育ったんだなあ、と感じて幸せな気持ちになる。
彼は1人の時間も好きなんだけど、やっぱりかまってちゃんなところはマンネ感がダダ漏れで。ナムジュンに捧げた「無条件」(韓国のトロット)はかわいすぎたね。テテが一生懸命歌って、「見てください」とナムに訴えて、反応してあげる父の顔をしたナムジュンと子供みたいなテテの図。一歳しか変わらないのに。
ボンボヤ4でも🐯「抱きしめて寝てもいいですか?」🐨「距離は守ろう」と言われて、それでも🐯「手だけなら良いですか?」とでるテテ。ナムテテは癒し。
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自然体のテテは、色っぽさのなかにあどけなさがあって、美しいという言葉がよく似合う。キムテヒョンは見た目も内面も含めて美の人だと思った。個人的にはネギ切ってるときと、ステーキ焼いてる時のテテがぼやっとしつつも、みんなの役に立とうとして率先してるのが愛おしかった。やらないときは全然やらないし、やるときは全力でやる男、それがキムテヒョン。デコレーションに命がけのキムテヒョン。
EP.3でソウルに帰る前のご飯のシーンで印象的だったところをメモ。みんなでチャパグリのカップ麺を食べてるのだけど、辛いものが苦手なテテはチャパグリの辛くないやつを食べていたんだけど、ジンに辛いやつをもらって食べてみたテテ。( [ ]はテロップ)
🐯「これ食べれれば誰でも食べれます」
 [子供のような味覚を持つVでさえ好きな味]
🐥「こいつはキムチすら食べれなかった」
🐯「それについては話さないで」
🐱「キムチが苦手で何が悪い。食べられない人もいるでしょう」
ここのユンギヒョン、最強すぎて惚れました。
いつもそばにいてくれるホソク
ホビは、いつも誰かのそばにいた。
特に印象的だったのは夜中まで遊んでたのに、朝焼けを見ようとするグクとテテに気づいて寝ぼけ眼で起きて一緒に付き合ってる姿と、本当はメンバーでゲームするからみんなを探してたのに、テテとグクが突然花火をしだすから、それにも付き合ってあげるホビ。マンネたちの全力なところにも付き合うし、ヒョンたちの手伝いもする。いざというときに必ずいてくれるし、助けてくれる。ボンボヤ4で〈なんでも屋のJ-HOPE〉というテロップがついてたけど、ホビは本当に臨機応変に対応できるし、卒なくこなす人。
単独で何かをしているっていうよりも、誰かと一緒に何かをするってのが好きなんだろうなとも思った。Bring the soulでも、「RMやVの気持ちがわかる、人のやってることには興味がある」人のやりたいことに興味を持つ、しかも否定しない。非の打ち所がないんだけど。それにしてもホビは美脚だ…
ジミンの興味
正直ジミンがいちばん何に興味を示すのかわからなかった。何が好きで、何をやってるのが好きなのか。だけど、必ず誰かが何かをやってるところに乗っかって人一倍楽しんでるのがジミン��と感じた。ホビと似かよった感じがするのだけど、それをやってる張本人を超えるくらい楽しむからやっぱりジミンは元気だな〜。
EP.7のビハインドで、酔っ払って走り回ってグクの部屋の蚊帳壊してあざができたジミン、かわいかったな。酔っ払って暴走して翌日脚引きずってた。私もよく泥酔した次の日、脚に謎のあざがある。ジミンになんだか親しみが沸いて、またそんなジミンと一緒になって暴れるグクが愛おしかったよ。釜山ズ、酒つよくね?
ナムジュンのリーダーとしての品格
さEP.7でラーメンをみんなで作って食べようとしたお昼、ジミンが寝てたのを起こしにいったホビ。
🐿「どうする?食べない?」
🐥「んー……」
🐨「食べないなら残しておけばいい」
🐿(みんなに向かって)「ジミンは食べないって」
🐨「押し付けないようにしよう。押し付ける社会はよくない社会」[お互いの意見を尊重するBTS]
すごい。ナムジュンにはいつも感動する。こんな人が会社のボスであって欲しい、そんなことを常々思う。リーダーってこういうことなんだなあ、と。
BREAK THE SILENCEでも、グクが公演前に倒れそうになってて、ナムジュンが「頑張るな!」と言ってたのを思い出した。そのあとのインタビューで、「ジョングク絶対にグループに欠かせない存在」(曖昧だけどそんなようなことを言ってた)からといってたけど、だからこそ「頑張るな」という言葉が言えるってすごくない?私より年下だけど、年齢は関係ない。社会的に自分の立場をちゃんとわかってる人って年齢関係ないんだなと思う。なのに、VLIVEやタルバンでは天然でポンコツになっちゃうところがいいんだよねえ。イカれないための盆栽も、ちゃんと持ってきてたね。
ジンとユンギの関係性
ジンといるときのユンギは弟の表情になるなあ、とつくづく感じた。特に印象的だったところが、EP.8で食後に居間で2人だけで話しているところ。
「僕はミュージシャンにならなかったら何していたんだろう」という🐱に🐹が「おまえなら何でもしていただろう」と言う。
🐹俺はみんなと出会って人生が変わった。ただ成り行き任せに生きてきたのに。やはり周りの人が大事だよね。みんなはいつも頑張ってるじゃん。俺もみんなを見習って頑張るようになるんだよ。でも、もし俳優になっていたら1人でやる仕事だから適当に生きて、そんなに頑張らなかったかもしれない。 🐱俺だっていつも頑張ってるわけじゃないですよ 🐹おまえが頑張らない時でも他に頑張ってるメンバーがいるじゃん 🐱俺たちの関係が健全と思う理由がそれだと思います。 🐹周りの人が大事だということがメンバーを見て分かったよ。 🐱頑張ってるふりはするけど 🐹それも大事。ともかく周りの人に刺激を与えるし、おまえから刺激を受けて俺が頑張れば、おまえもそれを見て頑張るだろう。 🐱一時期すごく後悔してたんです。頑張るべきだとずっと話していたから。しかし、それが欲張りすぎたのかと思って後悔しました 🐹いや、おまえが積み上げたことがこんなにあるじゃん。 🐱しかし、後悔を減らしたいとは思いますね 🐹いや、おまえが努力を、もし後悔もしないで頑張り続けて、より良い結果を出したとしよう。でも、もうすでにこれくらいの結果を出しているじゃん。そして全部いい結果だし、悪くないし、そもそも努力した分の結果がほとんど出なかったら別だけど、おまえがすでに成し遂げたことがたくさんあるから、あえてそれについて後悔しないでほしい。おまえはすでにたくさんの結果を出したから。頑張って悔いのないように、一生懸命生きてきたから、これほどの結果を出せたわけだから。俺はそう思う。過去のことを後悔しても仕方ない。これからがんばればいいんだよ。
(中略) 🐱ポジティブになりたいと思うほど、より難しいですよね。たくさんの努力が必要だと思うけど 🐹ポジティブも努力しちゃダメ。ポジティブになろうと努力するより、あまり考えすぎないことかな
いつもしっかりしててブレないユンギが弱音吐くのはジンなんだなあ、ジンの存在マジでデカイなあ…とつくづく思った対話で。ユンギの人間らしさが出てる場面だったなあ。
タルバン×出張十五夜でも、ジンは自分の短所に「あまり深く考えない」といっていた。「でもそれって長所ですよね」とナPDは言う。私は、「あまり深く考えない」人って、グループに一人は必要だと思う。だって深く考えてしまう人たちを救ってあげるのには、このマインドを持つ人が必要なんだよね。わたしは超心配性だから、ジンちゃんが隣にいたらすごく救われる。
私的には、ユンギがインタビューで「釣りの場合はそこまでハマってないですね。別に釣れなくても、JINさんが喜ぶから」と言ってたのがほっこりした。何回もジンに誘われて釣りに行っても、ユンギは釣りにハマってない。けど、ジンちゃんのためにいってあげてるところ、もう愛だろ。
グクはやっぱり天才
この人本当にできないことあるの?というくらい物覚えも早ければ、勝負はなんでも勝っちゃう。グクは彫り師になりたかったいう情報はアミ友の旦那に聞いてたけど、神がかって絵がうまくて本当に驚いた。
ボンボヤ4でもジンとユンギについていって釣りをしてすぐ釣れてたし、今回もジンに教わってヒラメを捌いてみたり、何にでも興味があるグク。かと思えば死んだように寝てるし、ずっと食べてる。これに加えておまけに歌もダンスも天下一品なんだもん。彼の才能の爆発から目が離せない。グクはずっとモリモリ食べてて欲しいから、なんか、ダイエットしないでほしいな〜。。。
即興ソングを本気で仕上げるバンタン
オープニング曲素敵だな〜と思ってたら、テテが適当に弾いてた音楽にあわせてホビが適当にSOOP,SOOP,SOOP♪と歌い、自然とできた音楽がものになってく様子も面白かった。ユンギプロデューサーの手によりブラッシュアップされた、OST最高でした。
昼前に起きて、思い思いにやりたいことをやって、昼晩必ず一緒にご飯を食べる。寝たい時に寝れる幸せとか、なんにもしないことの幸せ、小さな幸せを彼らも同じように感じるし、休息は大事だね、と改めて考えさせられる番組だった。世界的スターになった彼らがああいう番組をするのには意味があるよねえ。
グクがナムジュンの横でゴムプロペラ飛行機を作っ��てうまくいかなかったときに言った言葉が素敵だった。
「諦めた後のサイダーはとても美味しいにちがいない」
グクの発する言葉は、いつもキラキラしている。私も潔く諦めてしまったときには、この言葉を思い出してサイダーを飲もうと思う。
Butterどんな曲だろう、今まで見たティザーの中で最高と優勝しすぎてもうすでにドキドキしている。
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idiotect · 3 years
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ちょっとだけ、クラウドがホラーちっくなおはなしでっす。
なんでもOKの方推奨~~~~!
「クラウド!!!!」
 目を離した刹那。本当にそれは一瞬で。  クラウドの身体を、ヤズーとロッズが放った銃弾が貫いていた。そして、次の瞬間、振りかぶった彼の大剣と沢山のマテリアから発動した魔法が衝突し、目も開けていられない程の白い爆発の後、どこを探しても、いくら名前を呼ぼうとも、世界中を何周としても、彼の姿はとうとう見つからなかった。  rêve ou réalité  あの日の雨で星痕症候群の患者が救われて幾日が過ぎただろうか。エッジの街はまだまだ遠方から病を治しに来る人々でごった返している。世界中に降った輝くような雨は、それを浴びた人、もの、すべてを浄化したけれども、その時、デンゼルのように屋根の下に居た人も多く、噂を聞きつけた人々で伍番街の教会は連日中に入れないほどの人出だそうだ。混乱が生じるといけないので、リーブをはじめとしたWROが指揮をとっているらしい。仲間達も手が空いている者はそれを手伝っているという。  そんな中、ティファは一人、店を再開した。  手伝いには行かなかった。仲間達も来なくていい、十分だ、と言っていたし、寧ろ、店もやらずに休んでいたらいいんじゃないか、とも言われた。それというのも、あの日から、ティファは連日連夜、クラウドを探していた。そして、そうなることは傍目に見ても分かりきっていたのに、精神のバランスを崩してしまったのだ。  特に深刻なのは睡眠だった。  ティファは、夢を見る。  その夢では、皆が見守る中、クラウドは教会の泉の中に現れて、ただいま、と言った。そして、マリンとデンゼルと4人で手を繋いで、セブンスヘブンに帰ってきた。仲間達皆で祝杯をあげてご馳走を食べて、これでもかと酔いつぶれてそして、二人、同じベッドで眠った。 「…ティファ?」  ふと、柔らかい音が響て、ティファは瞼を開いた。 「…マリン。…ごめん、寝てた?」 「うん。…あのね、そろそろ酒屋さん来る時間だな、って思って」  重たい瞼を持ち上げて、ティファは時計を見た。いつから意識を失っていたのか。確かに、もうすぐ納品の車が来る時間だ。 「もうこんな時間だったんだ。起こしてくれてありがとう、マリン」  マリンは少しだけ眉をよせて、うん、と小さくうなずいた。  睡眠障害。そう診断されて日が浅い。  日中、ぼうっとしているとすぐ寝落ちてしまうのだ。だからなのか、寝すぎて眠い悪循環で、ずっと、けだるさが体中にまとわりついている。病院にも行ったが、おそらく精神的ショックをやわらげようと、脳が眠るよう過剰に指示を出しているのでしょう、そういった診断だった。規則正しい生活をすれば、じきによくなりますよ、と。  その為、ティファは一旦クラウドの捜索を諦め、日中起きていられる時間をフルで使って店の開店準備をし、夜は精一杯働いた。働いている間は気がまぎれるし、寝落ちてしまう事もない。ティファだって、夢うつつのまどろみは望んではいなかった。そういう中途半端な眠りが、一番 精神的によくない夢を見せた。だから、ぐっすりと眠る必要があるのだ。潜在意識が届かないほどの、深い深い眠りに。 「こんにちはー!配達でーす!」  元気な声が裏口の方からして、ティファは慌てて走っていった。 「ごめんなさい、ぼんやりしてて… …あれ、いつもの方はお休みですか?」 「あ~… …あの、前の人、突然辞めたんっスよ」 「え!?何かあったとか…?」 「えっと、いや、う~ん、詳しくはわからないんです」  どこか言いにくそうに青年は笑うと、ティファが注文していた酒類の木箱を重たそうに置いた。明らかに慣れてなさそうな様子だ。   (…一昨日来た時は、いつも通りだったのに…)  顔なじみのいつもの酒屋の配達員は、もうセブンスヘブンの担当になって随分長かった。真面目な人柄で、仕事も丁寧で。それに、いつも、ちょっとした雑談とか、おまけとかしてくれるくらいには親しかった、と思っていただけに、何も言わずに突然やめた、という事実を、ティファはいまいち飲み込めなかった。人間関係のもめごとだろうか?職場環境が悪かった、とか…?そんなもやもやが、顔に出ていたのかもしれない。 「あ~、あの…」  悩んだ挙句、のような歯切れの悪さで、新担当の青年が口を開いた。 「ここだけの話なんですが、アイツ、クスリやってたみたいで…」 「え!?」 「中毒っぽくなって入院したって話なんですわ。…言わないでくださいよ。あ、オレも他の店のヤツ皆、クスリやってるヤツなんか後いませんから、そこは安心してください!」  それだけ早口で言うと、青年は帰っていった。 (クスリ、…)  世界が救われたからといって、すべてが平和になるなんて思ってはいない。ついこの間も、常連客の一人が最近店に来なくなったので、いつも一緒に飲んでいた人に聞いたところ、借金を踏み倒して蒸発したとか。 (分かってはいる、、けど…)  今更、正義漢ぶるつもりだってさらさらなかった。でも、命を落とした仲間達の事を想うと、気持ちの収まりどころが分からなくなる時も時々あった��� ***  それから数日後の事だ。その日も店は大繁盛だった。  けっして広くはない店の中、皆が幸せそうに笑っている様子を見渡していて、ふと、カウンター席の端に一人で座る男性にティファの目が留まった。彼もまた、常連客の一人だった。いつもは陽気に、他愛もない色々な話をしてくれる彼だが、今日は何かあったのか沈んだ表情をしていた。 「おかわり、作ります?」  それとなく近寄って話しかけると、空のグラスを両手で抱えて何か考え事をしていたらしい男性は、びくりと身体を震わせて、そしてあわあわと顔を上げた。 「あぁ、ティファちゃん。もう、たくさん飲んだから、この辺にしとくよ」 「ふふ、飲み過ぎは良くないですものね」  そう、ティファが頷くと、男性はほっとしたようだった。  ティファは皿を拭く続きに戻った。一枚一枚、丁寧に布巾で拭いて、棚にしまっていく。その工程をずっと見ていた男性だったが、最後の一枚が拭き終わった時、おもむろに口を開いた。 「ティファちゃんは眠れなくなったことはあるかい?」 「…私は、、最近寝すぎるくらいなので…。…眠れないんですか?」  男性はただ頷いた。 「最近、ね…。酒でも飲めば眠れるかと思ったんだけど、そうでもないみたいだ。…でも、…いや。気のせいかもな…」  そう独り言のように呟いて、そして顔を伏せた。 「あ、そうだ、これ使ってみます?」  ティファはポケットから小さな匂い袋を取り出した。ハーブの優しい匂いが香るそれは、精神を落ち着ける働きがある、とかでマリンとデンゼルと一緒に作ったものだった。 「なんだい?」 「お守りみたいなものです。昨日、子供達と作ったんです。眠れるようになるといいんだけど」  男性はその袋を受け取ると、すうっと匂いを嗅いで、そして微笑んだ。 「いい匂いだ。…よく眠れるかもしれない」  しかし、その後、それまで定期的に来てたその男性を店でみかける事はなくなった。 ***  ユフィが来た時、ティファはこの事を思い切って話してみた。 「え~、ティファの思い過ごしだって。そんなことないよ」 「でも…なんだか、気になって」 「そんなん、世の中にはごまんといるって。たまたま、店の常連客が2人来なくなっただけじゃん」 「酒屋さん入れると3人だよ」  ティファが即座に反論すると、ユフィはあからさまに大きなため息をついた。 「じゃ、3人。…だいたいさ、ティファ働きすぎなんだよ」 「そんなことないよ」 「そんな事あるって」 「だって……ユフィとか皆の方が働いてるでしょ…」 「アタシ達は、ほら、、、どこも悪くないからさ」 「私だって、ただ、寝すぎるだけで…」 「それが心配なんじゃん。皆心配してるよ。クラウドならぜったい止めてる……」  名前を出してしまって、ユフィはしまった、と顔をしかめる。  でも、ティファの表情はみるみるうちに曇っていった。 「寝すぎるとか、そんな事してる場合じゃないのにね。早く、クラウド探してあげないと…」 「あ〜……」     その時だった。ぐらっと視界が揺らいで、ティファはテーブルに手をついた。 「ティファ!?」 「ごめん、ゆふぃ、ちょっと横になる…」 「大丈夫!?苦しい??」 「ううん…だいじょうぶ…」 「全然大丈夫に見えないよ!…何か薬とか…」 「…ほんとうに、だいじょうぶだから…」  それは本当だ。これだけ強烈な眠気ならば大丈夫。今回は深い眠りに違いない。 「ねむいだけだから…」 「ティファ!」  ユフィの悲鳴のような声が遠くに聞こえて、そして、消えた。  ・  ・  ・  ・  無音の後の静寂。 「…ティファ」  真っ暗な世界に響いた、大好きな、やさしい声。  ティファは目を開いた。 「…クラウド?」 「おはよう、ティファ」 「…おはよう」  そして、そのままクラウドの首に抱きついた。 「…ティファ?」 「…怖い夢を見たの」 「……どんな?」 「…クラウドが居なくなる夢」 「俺はここに居る」 「うん。…でも、家出した」 「それはっ…ごめん。もうしない」 「絶対?」 「うん。絶対だ」  耳元で響いた、困ったような、でもどこか嬉しそうなその声に、ティファは少しだけ身体を離して、クラウドの顔を見た。  そこは二人の寝室で、そして、碧い瞳が少し心配そうに、こちらを見ていた。  だから、そのきゅっと一文字に結ばれた唇に、ティファはキスをした。即座にクラウドはそれに答えてくれて、彼女の閉じていた唇は割って入ってきた舌によって開けられる。顔の角度を変え、もう一度、と落ちてきた熱い吐息に、再度入ってきた舌に、身体の奥が疼いて熱を持ち始める。 「…ティファ」 「ん?」 「…もう少しだから」 「え?」 「…もう少しだ。だから…」  こつんと額と額が触れ、地肌に直に触れるクラウドの指に力が籠もった。次の瞬間、彼がティファを掻き抱いた腕が強くて、息が苦しい。 「……。」 「え?」 「」 「クラウド?なんて言ったの?」 「クラウド??」  パッと目が覚めた。  そこは夢に見たのと同じベッドの上。  ただ、そこにはティファ一人だった。 (…聞いちゃいけなかったんだ)    ティファは起き上がった。目を向けた窓の外は、空が白ばんでいる。夜明け前の静かな靄のかかった外の景色。窓にカーテンがかけられていないのは、そんな時間から眠っていたからだろうか。  ティファはただぼんやりと窓の外をみつめた。  徐々に外は明るさを増し、ふとした瞬間、光の糸が空に放たれ、じんわりと頭を見せた陽の輝き。それは一瞬で空を金色に染めた。 (…………そうすれば、まだ一緒にいられたのに)  深い夢は幸せに満ち溢れていて、そして残酷だ。夢はティファの発言を求めてはいない。いつも一方的に始まって、唐突に終わった。  夢の中で二人は言葉もなく飽きもせず、一晩中愛し合った。夢の中で目が覚めると、いつもそこにはクラウドの顔があって。そして、目が合う。唇が重なる。クラウドの手が服の下から肌に触る、その少しだけ冷たい感触までもありありと伝わってくる。だから、いつも全力でそれに答えてしまう。すると、煌々と濡れた唇がティファの身体中にキスを落としていく。全身に余すことなく、彼の、クラウドの感触が刻み込まれていく。そして、夜が明けるのだ。  ……でもそれは、最後まで、間違えなかった時。間違うと、今みたいに夜明け前に目が覚めてしまう。 (…次は気をつけなくちゃ)  話してはいけない、そう訴えるように、夢の中のクラウドはティファの問にはほとんど答えない。それなのに、今日の夢の中の彼は何か伝えたそうでもあった。それは、ティファが咄嗟に抱き着いてしまったからなのかもしれないが。でも、、、 (わかってる、所詮、あれは夢…)  触れる感触も、耳に響くその声も限りなくリアルで、今の生きる喜びで、でも、夢、なのだ。  と、行き場を失ったままになっていた身体の中の熱がうずいて、ティファは自分で自分を抱きしめた。  その時、違和感を感じた。  恐る恐る、自分の腕を見る。そこには、いつできたのだろうか、きつく握りしめられたような、赤い指の跡が浮かんでいた。 *** 「ティファさん…顔色悪くないですか?」 「え!?そ、そうですか…?」  常連客に突然指摘され、ティファは思わずグラスを落としそうになった。幸いにもそれはまた手の中に留まり、最悪の事態は防げたものの、一緒になって飛び跳ねた心臓はドキドキと大きな音を響かせている。 「疲れてるんじゃないかって、前から心配してたんですよ。最近、表情が暗い」  常連客は尚も続ける。  しかし、その彼の心配してくれているのであろう口調が、妙に耳に触るような気がして、ティファは俯いた。 「…昨日夜更かししたからかな。今日は早く寝ます」  ティファはそう言うと、素早く客に微笑み、そしてまた視線を落とす。  作業をしている風を装って、もう磨き上がれているグラスを再度拭き始めた。 「心配だな…僕が家族なら、早く休めって、今日はもう貴女を休ませますよ」 「ふふ、そうですね。もうすぐお店も閉店時間だし、今日は早めに閉めちゃおうかな」 「ティファさん、僕は本気で心配しているんですよ」  ああ、嫌だ、咄嗟にそう思ってしまって、ティファは耳を塞ぎたくなった。 「僕だったら、貴女みたいな人を一人で働かせたりしない」  私は、働きたくて働いているの。働かされているわけじゃない。 「そうだ、僕が代わりに皆に言いましょうか。今日は閉店しますって」  やめて。  それは、それは………クラウドの役目。  ―ティファ、休んだ方がいい。  ―すまない、今日は早いが閉店にする。  脳裏に心配そうな彼の姿が浮かんだ。その表情が夢の中のクラウドと重なる。ティファ、と心配そうにのぞき込む、吸い込まれそうなほど碧い瞳。  彼の、……クラウドの場所を、私から取らないで。  ティファは顔を上げると、にっこり、とほほ笑んだ。 「いえ、自分で皆さんに言ってきます。お会計もあるし…あ、先に頂いてもいいですか?」 「えっ、ああ…」  代金を受け取って、ティファはカウンターから出た。そして、テーブル一つ一つに声をかけていく。その後ろで、先ほどの常連客は店を出たようだった。  それからすぐの事だった。  ドン    そんな鈍い大きな音が店の外から響いた。 「なんだぁ…?」  誰かがそう呟き、誰かが外へ様子を見に行った。しばらくして戻ってきた男は、席に座りながら隣の客に言った。 「なんでも、近くで事故があったらしい。モンスター車だかに人がひかれたんだとよ」 「へぇ。千鳥足で歩いてた酔っ払いか」 「そこまでは分からなかったなぁ」  ・  ・  ・ 「ティファ」 「…クラウド?」 「おはよう、ティファ」 「…おはよう」  ティファはクラウドに抱きついた。 「…ティファ?」 「クラウド、どこに居るの?」 「………ここに居るだろ?」 「………。」  いやいやをする小さな子供のように、ティファは頭を横に振った。 「でも、」 「ティファ」  クラウドはティファの名前を呼ぶ。そして、その唇はティファの耳の外側をなぞるように触れたのち、その耳たぶを唇と唇で挟んだ。 「ん…」  漏れ出た声に、耳元に落とされた、ため息のような吐息。 「…もう少しだ」 「…。」 「……だから、それまで…」 「……。」  静かに身体はベッドの上に寝かされる。  一番最初は額だ。つぎにこめかみ。頬、そして、首筋。ゆっくりとクラウドはキスを落としていく。いつも決まった順番。むき出しの腕をなぞるように移動した唇は、手の甲で止まり、そして内側にも。指の一本一本までも。  その動きを見ていると碧い瞳と目が合う。そして彼は切なげに微笑んで、唇と唇が重なった。 「……俺は、ティファの方が居なくならないか不安だ」 「…え?」  覆いかぶさるその大きな身体が闇を作る。 「…………誰も、ティファに近寄らせたくない」 「え?」 「ティファは分かってない、」 「…クラウド?」 「…俺が…どれだけ……」 「クラウド?」  ・  ・  ・  店のドアベルが勢いよく跳ね上がり、近くのテーブルに座っていた初老の男性がそれに気が付いて顔を上げた。 「おう、いつも元気だな」 「あったりまえじゃん!」  その元気のよい声にティファが顔を上げると、それに気が付いたユフィがひらひらと手を振った。 「ティファ~お腹すいた~」 「先に連絡くれたら作って待ってたのに!」  呆れて言うティファに、ユフィは「忍がそんなことしないって」そう真顔で言い返しながらカウンター席に腰を下ろした。 「適当でいい?」 「うん。おいしーやつお願いね!」 「りょうかい」  ティファが調理を始め、ユフィはそれをにこにこ顔で眺めていたが、ふと、思い立ったように口を開いた。 「あれからは増えてない?」 「え?何が??」 「前に、ティファの思い過ごしだって言ったやつだよ」 「う~ん」 「え、また誰か来なくなったの?」 「うん…、でもそれは私のせいだから違うかな」 「ティファのせいって?」 「ちょっと、失礼な事をした、かも…」  その二人の会話が聞こえていたようだ。ユフィの隣に座っていた男が口をはさんだ。 「それさ、よくそこに座ってたヤツ?身なりの良いスーツ着て」  カウンター席はだいたい常連客が座る事が多いため、それぞれが名前は知らずとも顔見知りであることも多い。その男も大概いつも同じ席に座っていたから知っていたのだろう。 「ええ、そうです」 「あいつ、事故にあったって言ってたから、ティファちゃんのせいじゃないさ。治ったらまた来るだろうから、覚悟しといた方がいいよ」 「なんだよ、覚悟って」 「ティファちゃんはモテるんだって」 「はぁ?知ってるし」  ユフィが客に失礼な態度をとっているにも関わらず、ティファはぼうっと呟いた。 「…事故?」  あの日、一番最初に帰った彼。あの後すぐに近くで事故があったと聞いたのは、数日たってからだった。街中に入ってきたモンスターと一般人が衝突したそうだ。もし、それが彼だったのなら。それが、ここに来ていた事が原因なのだとしたら。……これで4人目だ。 (なんだろう…怖い…)  背筋に悪寒のようなものが走って、ティファは身震いをした。次々と姿を消していく顔見知りの人達。それぞれ理由があるにせよ、重なりすぎじゃないだろうか。そして、そう、ティファ自身の体調不良。規則正しい生活を心がけてはいるが、一行に改善が見られない。それどころか、日に日に悪化しているような気さえする。 「ねぇ、ユフィ、やっぱり…」  そう言いかけたティファだったが、ユフィはあ、という顔のまま、丁度電話に出てしまったところだった。 「もしもーし!ユフィちゃんだよ。…え、今?…別にいーじゃん、どこでも」  不貞腐れた顔をした彼女だったが、途端に表情が変わった。 「ティファ今仕事中だから。は?ティファなら目の前に……。……。分かった。すぐ行くよ」  電話を切るなり、ユフィはティファを見て真剣な顔になった。大きく息を吸い込み、そして、 「…ティファ、落ち着いて聞いてね。  あのさ、クラウドが見つかったって。今から一緒に行こう」  その後のあれこれを、ティファはあまり良く覚えていない。  ユフィに手伝ってもらって、急遽店を閉めると、マリンとデンゼルを預けて、二人は迎えのヘリに乗った。暗夜の闇を掻き分けるように進んだ先に見えてきたのは、海の中にぽっかりと灯りを灯した孤島だった。  ヘリはその島に一つだけある診療所の屋上上空をホバリングし、二人は飛び降りるように建物に降り立つとそのまま迎えに来ていた看護師に連れられて中に入った。  そして、一つの個室へと案内された。 「…クラウド?」  壁もカーテンもベッドも、真っ白な部屋だった。そこにクラウドは眠るようにベッドに身体を横たえていた。 「今朝、ミディール沖で見つかったようです」  静かな声でリーブが言った。 「おそらく、海底のライフストリームから吹き上げられてきたのでしょう。驚いたのは、どこにも怪我ひとつなかった点です。どうやら、ライフストリームの中で再生していたらしい。身体中のライフストリーム濃度が極端に高くなっています。でも、人体に害があるレベルではない。あくまで、傷の再生にだけつかったようです。それがクラウドさんの意思なのか、ライフストリームの意思なのか、それはわかりませんが」 「……目は、覚めない…?」  真っ白な部屋で閉じられている金色のまつ毛。それは照明に透けるように輝いてはいるが、しっかりと閉じられたままだ。 「医者が言うには、いつ覚めてもおかしくない状態らしい。…何か刺激が必要なのかもしれない。それで、ティファさんに来てもらったわけです。ティファさんが来れば、反応があるかと思いまして…」  気遣わしげにリーブは言った。「ティファさんの体調を考えて、目が覚めてからの方が良い気もしたのですが…」そう言葉を濁した。  ティファはクラウドの傍までくると、身体の横に力なく置かれている手を取った。両手で包んで、暫く待ってみた。でも、特に何も変化はなかった。 「…少し、二人きりにしてもらうことは出来ますか…?」  リーブとユフィ、そして看護師はうなづきあって部屋を出ていった。  その真っ白な部屋に、ティファは眠ったままのクラウドと二人きりになった。 「…クラウド?」  呼びかける、でも、その声は白に吸い込まれていく。  眠るクラウドは、本当にただ眠っているかのようだった。規則的に胸が上下し、顔色も良い。でも、全身の力が抜けていて、意識はまだ、どこか遠い世界にいるのが分かる。 「……帰ってきて、クラウド」  ティファはクラウドの顔を見つめた。あの碧い瞳が見たかった。���して、言って欲しかった。『ティファ』と。クラウドが言うその言葉をどれだけ夢に見たことだろう。  ティファは、クラウドの眠るベッドの上に手をついた。そして、そうっとクラウドの額に唇を落とした。つぎにこめかみ。頬、そして、首筋。ゆっくりとティファはキスを落としていく。腕をなぞるように移動した唇は、手の甲で止まり、そして内側にも。指の一本一本までも。そして、クラウドの顔を見た。 「……………………ティファ?」  薄く開いた口から、細い小さな声が漏れて、そして、ゆっくりと、碧い瞳が開かれた。 「っ、おはよう、クラウド」 「……おはよう、ティファ」    碧い瞳と目が合う。そして彼は切なげに微笑んだ。顔をそっと近づけると、ようやく、唇と唇が重なった。抱きしめた体はまだうまく覚醒していないようだったけれども、クラウドはゆっくりとティファの背中に手を回し、そしてぎゅっと力を入れた。 「ただいま」 「うん、おかえりなさい…」  笑顔と共に堪えるように、きゅっと一文字に結ばれた唇。頭を少し持ち上げると、クラウドはそこにキスをした。ティファの紅い瞳から、涙がぽろぽろと零れていった。 ***    クラウドが帰ってきて、ティファの体調は瞬く間に良くなった。マリンやデンゼルはもちろん、仲間達も店に顔を見に寄っては喜んでいった。  そして、セブンスヘブンに戻ったクラウドを、家族以外で一番?大歓迎したのはまさかの年配の客達だった。そんなに仲良かった…?とティファが思ってしまうくらいだ。彼らは配達を再開したクラウドが仕事を終えて店に戻るなり、 「おお、クラウドさん良かったな~!俺たちもこれで安心して飲める」 「やっぱり、ここにはクラウドさんが居ないとダメだな」  そう彼を囲むとバシバシと酔い任せの遠慮なしに背中を叩くものだから、クラウドが嫌がらないかと少し心配した。しかし、 「当然だ」  そうキリッとした顔で返事をしていて、思わずティファはびっくりしてしまったのだが。  その後、酒屋の配達人は退院し、客として姿を見せた。「薬!?違いますよ、俺、アル中で…だから今日はジュースお願いします」そう情けなさそうに笑った。蒸発した、と言われていた常連客もまた店に来るようになった。「え!?出稼ぎに行ってただけだって」眠れなくなっていた男も、「眠れるようになったから、溜まってた仕事を片せてやっと来れた」そう笑った。あの事故にあった男も、退院したそうだ。  でも、4人共、クラウドと顔を合わせた瞬間、ぎょっとしたように怯えて見えたのは、ただの思い過ごしだろうか。  でも、あれから、魔晄色が少し強くなった瞳をのぞき込んでティファは言う。 「やっぱり、クラウド少し変わったね…?」  ティファの紅い瞳を見上げてクラウドは答える。 「…だったらティファが教えてくれ」  軟らかい微笑みをたたえて、ティファを抱きしめ、小さく呟く。「ティファが俺を完全にしてくれる」 「どうやって?」  クラウドの唇はティファの耳をなぞり、そして囁いた。 「……夢で見たように」 fin.
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keredomo · 3 years
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『八月の光』、分厚いですよね(後半)
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 後半です。前半ではクリスマスとジョアナを中心に愛と承認についてうだうだ書きました。後半では腹を括って書ききれなかった「信仰とはなにか」問題について書かねばなりません。書き切るためにも、とにかく気合でページを進めるのみです。デスマーチ……(私はものを読むのが得意でない)。  後半で取り扱う人物がまー軒並みクズでして、奴隷労働をさせられることになった怒りをフォークナーに癒してもらうために読み始めたはずが、より一層怒り狂うはめになりました。
【主な登場人物】
リーナ・グローヴ:神がジェファソンに導き給うた。そろそろ産まれそう。
ジョー・ブラウン:自分が作った酒でアル中になるバカ。
ジョー・クリスマス:愛した女を殺し家を燃やして逃走中。賞金首。
ジョアナ・バーデン:愛の渦に飲み込まれ死亡。享年44歳。
バイロン・バンチ:おれがリーナを守る!夫に会わせてやるからな!
ゲイル・ハイタワー:実はバイロンとマブダチ。本は結構読むらしい。
 それでは参りましょう。悪態が炸裂して大変なことになりそうです。
【目次】
383ページ 頭蓋骨に蛆が詰まっているとしか思えない
395ページ 「確信」への憧憬  
403ページ ハイタワーの受け取った「おつり」
474ページ まるで死が賜物であるかのように
495ページ 黒人の神様
498ページ 罪を抱えきれない弱い人間
526ページ リーナの出産
574ページ このタイミングで新キャラ出すの何なの
631ページ ハイタワーの死/リーナの再出発
やっと読み終わりました(656ページ)
383ページ 頭蓋骨に蛆が詰まっているとしか思えない
 前半冒頭で「走る下半身」として紹介したジョー・ブラウンという男がいましたね。こいつの名前は偽名です。リーナの夫になることから逃れるために町を移り、名を変えました。本名(かどうかも怪しいが)ルーカス・バーチ、バイロン・バンチと名前が似ていた偶然がリーナを彼のそばまで運んできたのです。必然でしょうね。  このクソ野郎は、リーナから逃げて流れ着いたこの町に同じく流れ着いたストレンジャーであったクリスマスとつるんで密造酒の製造販売で儲けようとするのですが、脳が5gくらいしかないのであちこちでヘマをやらかしてクリスマスに睨まれます。とはいえクリスマス自身もストレンジャー特有の警戒心があり他に仲間にできそうな人もなく、同じくストレンジャーであるブラウンと一緒に過ごすことを選びました。宿のない彼をジョアナに与えられていた小屋に招いて共に暮らすようになると、ブラウンはクリスマスとジョアナが男女関係であることを知るようになります。へえ、こいつはおもしれえや。あの北部人の女とね。のみならず、クリスマスが酩酊して「自分には黒人の血が流れている」と独白するのも聞く。いよいよこいつの弱みを握ってやったぜ。こいつは使えそうだ。  それで、火事の現場に偶然居合わせたブラウンに容疑がかかった際、相棒クリスマスの複雑で繊細な事柄をぜんぶ、ぜーんぶぶちまけて、自分の利益に替えようとするわけです。我が身の安全とクリスマスの首に懸かった賞金の千ドルのために、知ってることをすべて警察に打ち明けて、「あいつが殺したんだ!あいつが悪人だ!」と喚く。「俺は何もかも知っている!犯人を明らかにしたんだから千ドルよこせ!」とぎゃんぎゃん叫ぶ。なんなんだこの下劣野郎は。最悪すぎる。
ブラウンはしゃべりたがった、熱心に大声でしゃべりたがり、どうやら彼がそうするのも千ドルの賞金が欲しいためだとすぐに明らかになったのだった。 「おまえは共犯証言をして自分の罪を軽くしたいわけかね?」保安官が尋ねた。 「俺はそんな証言したくねえよ」ブラウンは表情も声もやや荒っぽく、突っかかるように言った。「誰がやったか俺は知ってるんだ、千ドルくれれば話すんだ」
 ちょっと頭蓋骨に蛆が詰まっているとしか思えないですね。それとも、この時代、1930年代のアメリカの南というのは、ここまで人を貶めなければ自分が生き延びることができないような時代だったのでしょうか。
 2020年を生きる私はブラウンのキャラクターに対してはっきりと憎悪をもっていますが、当時の土地や時代のことや、信仰のもう手に負えないほどの形骸化のことに鑑みるに、彼が神を無視し、慣習を無視し、父親となってこの世に囚われることを拒み、逃げ、逃げ続け、この世に反抗して生きられるのならば何だってやる、という態度を選択するのももしかすると一つの生き様なのかもしれない、とわずかな同情の余地をもつこともできます。彼の発言や行動の迂闊さと利己心をみるに、そこまで確固たる思想があるとはまったく思えないけど、絶対ないとは言い切れないよね。
 もちろん、どう擁護しようと、こいつのせいでリーナは孕んで共同体から疎外され、こいつのせいでクリスマスはリンチに遭って死ぬわけです。  ですが、彼を悪であると断じていいのかどうかはわかりません。
 リーナはすごく晴れ晴れしく旅を続けています、この男を追う旅を。この小説のラストシーンは再びリーナの歩みで締めくくられるのですが、そのリーナの姿の晴れやかなことといったら。生きる勇気をもらえるラストシーンです。この美しさ、晴れ晴れしさは、未読の方には是非読み通して味わっていただきたいものです。  クリスマスは、これは想像にすぎないけれど、多分ジョアナを殺して一人になった時からずっと死にたかったのだろうと思います。二人で死ぬつもりだった女を一人で死なせて、彼はもう生きていくことはできなくなったような気がする。二人で死のうとしていたような女を一度人生に置いて、それから再び一人になるということはできないような気がします。
 ジョー・ブラウンの存在は、「引き金は意思を持たない」ということを示しているのかもしれません。事実、この世には、明確な意志で以って引かれる引き金なんかほとんどないのです(私たちが抗いながらも自殺に憧れる理由でしょうか)。
395ページ 「確信」への憧憬  
 これまでこの記事では愚昧な男バイロン・バンチと追放された牧師ゲイル・ハイタワーのことにはほとんど触れずにきました。どちらも物語の主要人物なのですが、どうも魅力に欠いて、それは彼らに主体性がないからだと思います。自己についても他者についても社会についても責任を有していない。呆れたことですが、一般的なことかもしれません。  動くことはもちろんsurviveするための能動的選択ですが、不動のまま耐え続けることもまた生き延びるための一つの選択肢でしょう。とくに共同体から疎外されては生きてゆかれないような状況では、動くことのほうが愚策であることが多い。  バイロンとハイタワーの両者は「耐える」ことを選んだ者でした。  ある側面では、この小説の結末について思えば、これはそういった「どこに自分を見出せばいいかわからない」ような生を生きてきた彼らを救済する物語であるとも言えるかもしれません。
「彼女はいまあなたがしているように僕を見つめてて、それから言ったんです、『その黒ん坊の名は何というの?』まるで神様が見るみたいに、人間の嘘から知りたいことだけを、尋ねもせずに、見つけだしちまうんです」
 バイロン・バンチがリーナに恋をするのも頷ける話です。確信を持つ人間は、従い続ける人間にはあまりにも眩しく見えるものでしょう。
 バイロン・バンチは、よりによってジョアナの死体と家が燃え上がっているまさにその時にジェファソンにたどり着いたリーナと偶然出会って恋に落ちます。「ルーカス・バーチ(下半身ジョー・ブラウン)を探していたら、バーチじゃなくてバンチならここにいるっていろんな人に言われたわ。バンチってあんたなのね。」みたいな感じで話します。今書き出してみて気づいたけど、売野機子の描く物語の登場人物にこういう話し方をする子がけっこういますね。『かんぺきな街』とか。
 バイロンがリーナを保護し、彼女の望みを叶えるためにブラウンに会わせてやろうとするその健気さ、甲斐甲斐しさというのは、明らかに当時理想とされていた男性像から逸脱したものです。言ってしまえば性役割が反転しています。ここがリーナというキャラクターの底知れなさで、この人、主語が一貫して「あたし」なんですよね。前半の登場人物紹介で「電波」と書きましたが、彼女を電波と言わしめる社会順応性のほうがどう考えても悪ですね。
403ページ ハイタワーの受け取った「おつり」
 『いかん、わしはせんぞ。わしはお役ご免の株を買ったんだ』。それがいまは口でしゃべる言葉ほどになって、繰り返し、執拗に、主張するように、『わしはそのために支払ったのだ、値段をごまかしはしなかった。誰にもそうは言わせんぞ。わしはただ平和が欲しかっただけだ。言い逃れもせずに彼らの値段どおり払ったんだ』。
 『 』は作中人物が頭の中で考えた会話や独白を示すそうです(原文では ‘ ’ )。ゴシック体(原文はイタリック)となっている“意識の中を走る「思考の流れ」”との違いが相変わらずよくわかりませんね。より強く現実に即している思考ってことなのかな。
 本書ではバイロン・バンチとハイタワーの対話に少なくない紙面が割かれているのですが、この箇所ではバイロンがハイタワーにクリスマスを助けるための嘘をついてくれないかと懇願します。  バイロンはハイタワーに頭を下げつつ、「悪人と同様に善人にも負債が——償わねばならぬ負債が——あるとあなたに言いましたね」と話しています。ハイタワーはそんなこと、つゆほども承知していない。  先に「耐える」者として触れたとおり、そして上記の引用からも見て取れるような、「ただ悪事を犯さないというだけで“善人”である」というスタンスをとっていたハイタワーには、自分が支払わなければならない負債なんか到底あるとは思えないのです。  しかしその後、ハイタワーはほとんど自らの意志で「おつり」を受け取ることになりました。
 この場面の前後で、クリスマスの祖父母が新たに登場します。ここにきて新キャラ出すのやめろ。クリスマスの(微妙にたいしたことない)出生の秘密が明らかになると同時に、前半で触れた孤児院の「番人」はクリスマスの祖父だったことが判明します。孤児院のシーンでの描写でも完全にヤバい男でしたが、何がどうなってあんなにヤバかったのかが明らかにされて私も安心しました。詳しくは後ほど。
474ページ まるで死が賜物であるかのように
それでいてなおその音楽は冷酷で執念ぶかい性質を持ち、用心ぶかくて、わが身を犠牲にする情熱もなく、頼み、懇願するのだが、それは生をではなく、死を請い願っているのであり、他の新教音楽と同様、人々に生命を禁じるその高い調子は、まるで死が賜物であるかのように、死を請い願っているのだ。
 ハイタワーが今は自分の所属先ではなくなってしまった教会、そこで奏でられるパイプオルガンの音色について回想しているこの箇所は、明らかにイエス・キリストを擬人化(擬人化?)した挙句クリスマスに重ねている文章ですね。  この、クリスマスの心情を髣髴とさせる一節をハイタワー(堕落した牧師)の思念として描き出すのもなかなか皮肉に満ちていながら、……もしかすると、「わかりあえなさ」を強調しているのかもしれません。
この人々は喜びや陶酔には耐えられぬようであり、そこから逃避するために暴力と酒と喧嘩と祈りを用い、破滅するときにも、また、同様に、きまって暴力を用いるのだ だから彼らの宗教も当然のことに、彼ら自身やお互いを、十字架上に追いあげるようなものになるのだ と彼は考える。この音楽の内奥には、あの人々が明日はせねばならぬと知っているものに対する彼らの宣言と献身とが聞きとれるように思える。また、前の週は奔流のごとく過ぎ去り、明日に始まる来週は深淵であり、いまだけは瀑布(ばくふ)の落ち口に集まった水の流れが一つに調和して厳粛で朗々たる響きをあげているといったふうなのだ、それも弁明のためでなくて自らの落下を前にしての末期の挨拶であり、それを神へではなくて鉄棒のはまった監房に死を待つあの男へであって、その合唱ばかりか他の二つの教会の音楽も聞えてくる監房にいる男に、彼らは喜んで磔のための十字架を建てようとしているのだ。(太字箇所はここではゴシック体)
『というのも、あの男を憐れんだりすればそれは彼ら自身への疑問を生むことになるからだ、彼ら自身を憐れむ希望と必要を生むことになるからだ。だから彼らは喜んであの男を磔にする十字架を建てるのだ、喜んで。それが恐ろしいことなのだ、まったく恐ろしい、恐ろしい』
 思念はイエス・キリスト、クリスマス、そしてハイタワー自身が民衆から受ける仕打ちを重ね合わせながら、自己を守るために他者の理解を拒むという民衆的暴力の陰惨さに辿り着きます。  この箇所を他人事として棚上げすることは許されないように思われます。私たちが他者を拒むとき、それが暴力の行使にあたることにはほとんど気づきません。しかしそれは、『八月の光』あるいは聖書に描かれる実際上の血祭りとなんら変わりないと、ここにはっきりと記されていました。
 ハイタワーとクリスマスは、それこそクリスマスの死の瞬間まで一切、直接に接触することはありません。隠居しているハイタワーは、クリスマスの存在を知ってはいるものの、バイロンの噂話で聞きかじる程度です。  こうしてかつての自分が民衆から受けた迫害にあらためて思いを馳せる夜を経たことで、その後ハイタワーはクリスマスを暴力と死から逃そうとする行動をとることになるのですが、結局守りきれず、無力感に包まれたままハイタワーもまた孤独に息をひきとりました。
 直接に愛し合うことのない人間がほとんど唯一の理解者としてこの世に存在しうるということは、絶望でしょうか。それとも希望でしょうか。自分が生きながらにして享受できない救いははたして救いなのでしょうか。生前評価されなかった画家を死んでから愛でるというおこないの下劣について、私たちはどう折り合いをつければいいのでしょうか。
 死が賜物であると宣べるとき、私たちはこの生の耐え難い無力感から解放されることの安堵に支配されてしまうのでしょう。その安堵に抵抗し続けることの困難に、それでも立ち向かわなくてはならないのですが。
495ページ 黒人の神様
『坊や、なんであっしばかり見つめとるだね?』するとその子(引用者注:孤児院時代のクリスマス)は言った、『おじさん、どうして黒ん坊になったの?』それで黒ん坊が言った、『あっしが黒ん坊だなんて誰が教えたい? ええこの白人の父(てて)なし子め!』するとその子が言うんだ、『ぼく黒ん坊じゃないよ』、そして黒ん坊が言った、『おまえはそれより悪いだ。自分が何だか知らねえんだから。それもだ、これからずっと一生知らねえだ。おまえは行きて、そいから死ぬだがそれでも死なねえままだ』
 呪いがすごい。この呪詛によって、人種差別の罪、暴力でもって黒人を奴隷として使役してきた白人の罪のすべてがクリスマスに注がれています。神なき人の子に重すぎる原罪を背負わせるのやめろ。
そしてその子が言うんだ、『神様は黒ん坊じゃないよ』、そしてその黒ん坊が言うのさ、『おまえは神様が何だか知ってるにちがいねえな、だっておまえがどんな人間かは神様だけが知っとるんだからよ』。
 「神様は黒ん坊じゃない」!  その次の黒ん坊のセリフもまたすごいものですが、「神様は黒ん坊じゃない」という一節に衝撃を受けました。そうだよな、黒人の歴史においては、キリスト教が布教される(あるいは強制される)その担い手は白人だったわけで、それは書物ではなく口承と絵図とモチーフのみによって教えられたわけで、イエス・キリストは黒人の姿をしていない……。一度も考えたことがなかった。黒人にとっては、神の子は自分と同じ肌の色をしておらず、よりイエス・キリストの姿(と思い込まされているもの)に近い白人たちのほうが上等な生き物であると思わされてきたのかもしれない。白人たちも当然その傲慢に染まっていたことでしょう。聖書におけるイエスの肌は褐色であるにもかかわらず。  ここで私が割って入って「神様は黒ん坊でもないけど白人でもありませ〜〜ん残念でした〜〜〜!」と叫びながらハリセンでクリスマスの頭をはたけたら何か変わっていたかもしれません。悔やまれます。
 その直後の黒ん坊のセリフ「おまえは神様が何だか知ってるにちがいねえな、だっておまえがどんな人間かは神様だけが知っとるんだからよ」、こっちが真実ですね。どんなに正しい��とに触れても、それが正しいと知らなければ受け取ることは叶わないのはやるせないものです。私もきっとおびただしい正しさを取りこぼして過って生きているのだろうな。
 それにしても、構造が明らかになるにつれフォークナーの筆力にひれ伏すばかりです。私事ですが、ここ何年かは、複雑きわまりない人生から「咀嚼可能なていどに簡易化をほどこした物語」を抽出することに取り組んできましたが、そろそろ「複雑な物語構造を組んで現実を再構築する」ということに取り組んでみたい気がしています。
498ページ 罪を抱えきれない弱い人間
 クリスマスの祖父について少し触れておきたいと思います。老ハインズと呼ばれている、町で噂のキチガイ爺です。「番人」の描写の時もやたらと神神神神言ってましたが、この人もまたあんまりよろしくない形で神と共にあり神を都合よくつかって救われたがっている人です。彼は常時、神と会話(対話でなく会話です)をしています。
老ドック・ハインズはあれが馬車に乗って出てゆくのを見送ってから、神様がおいでになるのを待っとると神様がやってきて老ドック・ハインズに申された、『おまえも行ってよろしい。おまえはわたしの仕事を果した。あとはもう女の悪業しか残っておらぬが、それはわたしの選んだ手先に見張らせる値打ちもないものじゃ』。
 クリスマスを孤児院から養父母に引き渡したあとのシーンですね。老ハインズは自分を神の使者だと思っているようです。  彼の一人芝居の滑稽さには正直ちょっと笑ってしまうのですが、直後に来るシーンはかなり切実で泣けてしまいます。
夜になると彼は言った、『神様、あの父なし子は?』そして神様が言われた、『あれはまだわたしの大地を歩いておる』、そして老ドック・ハインズは神様と連絡をとっておってそして晩になると彼は言った、『神様、あの父なし子は?』そして神様が言われた、『あの子はまだわたしの大地を歩いておる』、そして老ドック・ハインズはなおも神様と連絡をとっておって、そしてある夜に彼はもがいたり荒れくるったりしてから大声で叫んだ、『あの父なし子、神様! わしは感じます! わしは悪魔の歯と牙を感じます!』そして神様が言われた、『それはあの私生児じゃ。おまえの仕事はまだ終っておらん。彼はわたしの大地の汚れであり憎しみなのじゃ』
 ぐううう……(ぐうの音)。いやね、今となっては「私生児くらいでそんな……」という感じですが当時は気が狂うほどの罪だったんでしょう。自分の手から放してしまった孫をずっと気にして、不安にかられて、神様、神様と唱え続けている老ハインズの哀れな姿に胸が締めつけられます。ついに不安も苦しみも罪の意識も自責の念も背負いきれなくなり、ハインズは神様に「彼はわたしの大地の汚れであり憎しみなのだ」と言わしめてしまいました。  貶めることで安堵しようとする。人間のそういう弱さはよくわかります。自分の罪を自分で抱えきるには人間は弱すぎる。老ハインズと同じことを私もよくやっていると思います。でも、人間が弱いからと言って、自らその弱さを手放しに許すことは堕落にほかなりません。生きる以上、私たちはこの弱さに抗っていかなければならない。
526ページ リーナの出産
 さて、物語も終盤にさしかかっています。ついにリーナが出産するのですが、ブラウンが彼女を匿うことにしたのは実はジョアナ・バーデン邸の一角、クリスマス(とブラウン)が寝泊まりしていた小屋なんです。  クリスマスがジョアナを殺して家を焼いたそのすぐそばの小屋でリーナの子が産まれた瞬間、そこには、大人になったクリスマスに再会することで罪を許されたいと願ったものの叶わなかったクリスマスの祖父母(老ハインズら)と産婆役のハイタワーが集い、ここまできてもなお事態を我が事とみなしていなかったために医師を連れて来るのが間に合わなかった情けないバイロン・バンチが遅れてやってきて……なんというか、すごい構図ですね。ゴーギャンの『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』(1897-98)を思い出します。
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 ゴーギャンこれ。好きなんだよね。
『哀れな女だ』と彼は考える。『哀れにも不毛な女。あと一週間だけ生きのびておれば、幸運がこの場所に戻ってきたものを。この不毛の破滅した土地に運と生命が戻ってきたものを』。
 ハイタワーはリーナの小屋に医師役として通いながらこんなことを考えますが、ほんとにそうかなあ。ジョアナとクリスマスが破滅し、家が燃え上がって何もかも失われてしまったからこそ、ここに新たな生命が芽吹いたんじゃないのかな。わからないけど、そんな気がします。世界は運動し続けるもので、とどまることはないと思う。
574ページ このタイミングで新キャラ出すの何なの
 おい、もうほぼ読み終わろうとしているこのタイミングでなぜまたも新キャラを登場させる。すごい度胸だフォークナー。登場させたペラッペラの新キャラにクリスマスを惨殺させる役割を担わせるのに何の意図があるんだフォークナー。  この新キャラ(警官パーシイ・グリム)は物語に颯爽と現れて颯爽とクリスマスを殺して消えます。なんなんだ。
 留置所から逃げ出したクリスマスはハイタワーの家に駆け込み(クリスマスの祖母が彼に会いに留置所へ行き、ハイタワーが守ってくれるはずだと説いたためです)、ハイタワーも彼を追っ手の警官グリムから守ろうとするのですが、空しくクリスマスはグリムに撃たれて殺されてしまいます。
他の連中が台所に着いたとき、テーブルは横にのけられ、グリムは死体の上にかがみこんでいた。彼が何をしているのかと近づいて、一同は男がまだ死んでいないのを知った、そしてグリムのしていることを見たとき、彼らの一人は咽喉のつまった叫びをあげ、壁のほうへよろめいていって嘔吐しはじめた。グリムもまた、血だらけの大ナイフを背後に投げすてながら飛びさがった。「これで、きさま、地獄に行っても白人の女にいたずらできないぞ」と彼は言った。
 このシーンは……ちょっとあまりにも悲惨で口を噤んでしまいますが……。直後に「尻や腰のあたりの切り裂かれた服の間からは」という記述があるので、おそらくそういうことですね。一体、警官には正義の名の下にそんな仕打ちをおこなう権利があるというのでしょうか。正義は最悪。いや……マジで最悪ですね正義……。正義によって私刑が正当化されると思っている人間は本当に吐き気のする悪でしかないですね……。おえ。
彼らはこの澱んで僧院めいた薄暗さの中へ、いま彼らが彼にしたばかりの残酷な夏の光に似た何かを持ち込んだのであった。  その光の残映は彼らの上に、彼らのまわりに、ただよっていた——それは光の持つ恥知らぬ残忍酷薄な明るさともいえた。
 「八月の光」が何であったのか、端的に述べられた箇所です。  柔い光は人に優しく、あたりを照らして私たちに景色を与え、世に温度と色彩をもたらし、それは恩寵というべき恵みです。しかし、あまりにも強い光は私たちから視力を奪い、体を灼熱に焦がし、すべてを奪いつくす暴力と転じます。それは私たちの力ではどうにも操ることのできないもの、畏怖すべき自然です。  このグリム然り、『異邦人』のムルソー然り、どうも「太陽のせい」で人は道を踏み外しがちになるようです。それはお前が常日頃からきちんと責任について考えておらず、また畏れという意識のもとに生きてないからだと思います。バーカ。
631ページ ハイタワーの死/リーナの再出発
『いずれにせよ、人間の手で神様に非難や責任を押しつけえないものが、何かあるにちがいないのだ。どこかにあるにちがいない』。
 終わりから2番目の章はハイタワーが息をひきとる間際におこなう回想に充てられています。祖父の栄光、父の真面目さ、自殺させた妻のこと、などなど。相変わらずあまり反省の様子は見受けられませんが……。初めて知ったのですが、死ぬ間際にはアメリカ人にも走馬灯が見えるようです。
 それでも、上に引用したハイタワーの独白は、「八月の光」を否定しうる力強い一節に違いありません。この小説に登場した人物には、神を信じるのではなく、神に責任を転嫁したり、神を都合よく利用したり、神にすべてを預けて破滅へと堕ちていったりする者も多くありました。まともに神を信仰していたのは記憶の限りではリーナくらいでしょうか。  別に神を信仰することが圧倒的な是ということもなく、神のかの字も口にしないジョー・ブラウンのあっぱれな逃げっぷりもそれはそれでよかろうと思います。人倫には悖るし、局部を切り取られるべきはクリスマスではなくこいつなわけだが……。
 自分を手放してしまうこと、抗うことを諦めてしまうこと、すべてを「八月の光」のせいにして責任を取らないまま都合よく救済されようとすること。生きるという重圧からの解放に誘惑され、ともすれば抗い難く飲まれてしまうそういった堕落に抵抗し続けることこそ、私たちが生きるこの世界にたいする責任を果たすことに繋がるのかもしれません。
 ちゃっかり逃げおおせたブラウンを追って、リーナは再び立ち上がります。今度はバイロン・バンチも一緒です(残念ながらまだまだ片思いの模様。)。
『逞しいもんだ。男どもがあんたを踏みつけにして行っちまうと、あんたおはやつらの残したものを集めて、また進むというわけだ』
 そのとおり。私たちは何度踏みつけにされても立ち上がるのです。
やっと読み終わりました(656ページ)
 読み終わったぞーーー!!!ワーーー!!すごかった!!!  軽い気持ちで書き始めた感想文のために2周もするはめになり、私もリーナと一緒にずいぶん遠いところに来た気分です。私の読解力の低さゆえ一読では読みきれないところが結構あったので、こうして精読する機会を得られてよかった。
 しかしフォークナーの筆力えげつないな……。 
 と言うのが今は精一杯です。人の人生を初めから終りまで描き切るようなことは、今の私には逆立ちしたってできっこありませんが、「人の人生を初めから終りまで描き切るようなことも人間には可能なのだな」ということをこの20代の終りに初めて知れたので、おそらくこれから先、見ようとするもの、見えることをわかっているので見ようとすることができるもの、が格段に増えてくると思います。とても嬉しい。嬉しいな。精読できてよかったな。
 追うリーナ、逃げるブラウン、彷徨うクリスマス、助けるジョアナ、閉じるハイタワー、従うバイロン。人間同士を物語によって絡めあい、多様な生き様を浮き彫りにしつつ、フォークナーはけっしてその是非を問わない。善悪を診断しない。評価を下さない。優れた小説とはかくあるべし、というまさにお手本のような作品でした。これは個人的な感触にすぎず、後日もっと学びを深めたあかつきには撤回することになる謂いかもしれませんが、多くの小説においてはテーマがすでに正義を帯びているような気がします。気がするだけだけど……。
 というわけで、拙い感想文に長々とお付き合いくださり本当にありがとうございました。長かったでしょう……。読んでいただけて嬉しいです。ありがとうございます。  最後に、フォークナーがノーベル文学賞を受賞した際のスピーチより有名な一節を引用して締めくくりたいと思います。
I believe that man will not merely endure: he will prevail. He is immortal, not because he alone among creatures has an inexhaustible voice, but because he has a soul, a spirit capable of compassion and sacrifice and endurance.
 ——私は、人間とはただ耐えるだけの存在ではなく、打ち克つことのできる存在であると信じています。人間は永遠の存在です。あらゆる生き物のうちただ人間だけが尽きるこ��のない��をもっているから、というわけではありません。人間に魂があるからです。他者を思いやり、自己犠牲を厭わず、忍耐強く耐え抜くことのできる精神を人間が備えているからです。
訳は拙訳でした。全文はこちら↓ https://www.nobelprize.org/prizes/literature/1949/faulkner/speech/
 リーナの旅は続く。わたしは次は何を読もうかな。
(2020/05/17 16:21)
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