Tumgik
chikyu-w · 3 months
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私はこの秘儀を、まだ誰にも教えていない
私には守る義務がある
私の心は批判の的にさらすべきではない
覚えたてのこの魔法は、私はまだ、
ひみつにしていたい。
でも、誰かがいつか、私の肩のとなりで
手元をのぞいたりしても、
別に隠すことはしない。
恥かしくて、うしろめたいことなど
一つもない。
一つもないから秘儀なのだ。
誰にも手がかりの見つからぬ
一つの手触りもない、
そのような事実を
私は手に入れたのだ。
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chikyu-w · 3 months
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アルコールに酔った自らの理性を
私は信じたりしない
何も判断しなくなってから
何にも興味がなくなった。
決して悲しい話しじゃない、
悲しいなんて感情的な判断にも
執着しなくなったのだ。
私は何も隠していない。
しかしわざわざそんなことを言うやつが
私の中に隠れているのを
私は知っている。
それは悪でもないし、善でもないし、
私でもないが、他の誰でもない、
迎えに行けるだろうか。
彼のところに。
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chikyu-w · 5 months
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俺は今日飲んだブラックニッカクリアの味を二度と忘れないだろう。
父親が毎晩飲んだくれてる酒はこいつだ、ウィスキーにしては安すぎるが、味の気にならない人にとってはこのくらいでいいのだろう。
私にはこのウィスキーは似合わない。父親のような飲み方は、私には似合わない。
私の余暇はそんなに安くはない。
父親には今度、竹鶴ピュアモルトをプレゼントしてやる。テイスティンググラス付きで。
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chikyu-w · 6 months
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しねよ、人でなしだから
人でないから、人を傷つけても平気なんだ
しねよ、ひとでなし
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chikyu-w · 6 months
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「友情には軽蔑が、必要だと思うかい?」
僕はそう聞いた。
「どうしてそんなこと聞くの?」
彼は聞き返した。
「僕の親友に対する最も理想的な友情は、一点の曇りもない尊敬の眼差しだった。僕は本当に純粋な、下心の全くない気持ちが、この世界には存在すると信じていた。」
僕はゆっくりと思い出すように、言葉を慎重に選んでいた。
「純粋な心を持っていたかったんだね。それで?」
彼は非常に優しく、僕の話を促した。彼は僕の寡黙さを退屈に思っていない、それどころか、僕の記憶の追体験に、ぴたりと寄り添っている様子だった。
「僕には友達ができなかったんだ。相当後になってからよくわかったんだけど、小学校の頃の僕は理解されなくて当然だった。僕の大好きな“友達”は、僕のことをいっつも笑っていてくれたし、僕も彼らのことが大好きで、一緒にいるだけで、世の中の物、音、匂いが鮮明で、面白かった。」
僕は思い出話に話を咲かせようとしていた。僕の経験からなる、最も具体的な話で彼に友情を伝えようとしていた。こんなに心を解き明かす事のできる友人は、他にはいないから、僕は胸が躍るような感じがした。
「彼ら…“友達”のことを信じていたんだね?」
彼は、僕の集中力を妨げない為か、言葉を選び、慎重な声色で僕に問いかけた。
「信じて『いた』よ。とてもね。僕は彼らがやんちゃなことも知っていたし、それがカッコよくて、一緒にいると強くなれる気がして。仲間みたいな気持ちを、彼らはくれた。僕は彼らのことを100%尊敬していた。信じていたんだ。」
僕は少し、悲しくなりそうな気配がして、話すことをためらい始めた。
「良い人たちだったんだね。」
彼はわざと曖昧な言葉を使っている。
「困る質問だね、でも、現実的にとても良い人だったと思うよ。だけど、僕は今、彼らのことを50%くらいも尊敬していないんだ。」
「失望ってことなのかな。」
彼は僕にすかさず問いかけた。彼は僕の言わんとすることに、悲壮感を覚えているようだ。
「僕はね、単純に、意地悪されていたんだ。彼らは僕のことを100%では尊敬していなかったとわかったのは、卒業してからずっと後だった。」
僕は驚くほど冷静に話し始めていた。僕の胸の中に、まるで、一つの静かな暗い空洞があって、そこに吸い込まれていくような気がした。
「…」
彼は、どんな言葉も余計だとわかって、何も言わずに僕の言葉を待った
「本当に仲の良い親友は、お互いが同じようなことで、同じくらい軽蔑して、バランスが取れている関係なんだよ。」
僕は何が言いたいのかを意識するのがやっとだった。
「そしたら、お互いの良いところも、悪いところも、ちゃんと言い合えるね。」
彼は僕の話の筋を正してくれた。彼はわかってくれる。僕は彼に期待しているのかもしれない。
「そうだよ。でも、僕の理想の友情がどこにも無いとも、思っていないんだ。」
僕はやっぱり悲しくなって、彼の顔を見れなかった。
「じゃあ一緒に連れてってよ。君の理想が見てみたいよ。いつか100%尊敬しあえるよ。」
彼には夢があるようだった。僕がとっくのとうに見限った夢だった。そして彼の夢の主人公は、彼と僕の2人であった。
「僕らは不完全なままの友情を大切に抱えていかなきゃいけないんだ。僕は少なくとも、君は僕の言うことを信じてくれるはずだ。それが軽蔑だと呼ばれるなら、それだって構わないのさ。」
僕は、完全なる者が、2つ合わさって初めて生まれるなんて、まるでとても不完全じゃないか、と、思っていた。そんな寂しい気持ちに従うより、僕は彼と一緒にいたかった。
「でもね、僕らはきっと、最高な友情を目指していけるんだよ。」
彼の方が、ずっと真っ直ぐに言うので、僕はまるで説き伏せられたような気持ちになった。
「…君は、すごいね。僕よりずっと、賢いよ。」
僕は意図せず皮肉っぽくなってしまったことを、慌てて隠そうとしたが、出た言葉は消せなかった。
「そんなことないよ、僕らはどっちもバカさ。」
彼はあどけなく、ははっと笑いながら言った。
「わかりあう必要があるのは、僕らが互いに不完全な存在だからだね。」
《理想は叶わない》とは、僕は言えなかった。
…。…。…。
3日ほど経って、再び彼の家を訪れた。
彼は家に鍵をかけない。不用心だと注意しても、こんな貧乏な家に泥棒なんか来ないさと呑気に笑っていた。そうだとしても不安にならないのかいと聞くと、そんなのいちいち気にしていられないよと、また笑って言った。
彼は今日、鍵をかけていた。
初めは留守だと思った。
留守であって欲しいと思った。
僕は初めてこのドアを叩くのが、なぜだか怖かった。
僕は、身の毛のよだつ不安が頭によぎった。このドアの向こうに彼の気配は、ない。
しかし、僕はこのドアから立ち去ることが、どうしてもできなかった。
ドアを叩いた。1回目よりも強く、しかし丁寧に、彼によく聞こえるように。
彼の応答は、確認できない。
寝ているだけなら起きて良いはずだ。
留守だ。そうだ、留守なんだ。
きっと気まぐれに鍵をかけて、買い物にでも出掛けているんだ。すぐに帰ってくる。
そう思うことにした。それ以外、あり得ない。
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chikyu-w · 6 months
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和田の気持ち
ふと、このままじゃ埒が明かないと思う時があります
くぐりの音楽は、本気でやるほど面白いです
僕たちはいつでも本気でやっているつもりだと思います
でもまだ、檻の外に出られる気がします
人生を賭けてみたいと、今更ながらに思いはじめました
後になって気づくことばかりです
だけど僕にもみんなにもずっと本気でやりたい音楽があると思います
本気だからこんなにくぐりは素敵なんだと思っています
僕はどうすればもっと本気になれるでしょうか
僕は今とても苦しいです
行き止まり、袋小路のような感じがしました
それでも、色々乱暴にやってみたら、何をどう頑張ればいいのか少しずつわかってきた気がします
僕はとても臆病で、意地をすぐに張ります
誰にナメられても平気なフリをして、いつも誰にどう思われているかが不安です
自分を守るための壁ばかりを作っています
なるべく清潔な人間でいたいから、下心がないフリをしています
これは僕の忌々しいプライドの正体です
このプライドさえ、僕が���り越えることができれば、僕はもっと本気になれるのです
僕は管理された場所で力を発揮する人間です
僕は誰かに管理してもらわなければ、「本当の自由」を目指すことに張り合いがありません
この張り合いの無さこそが、僕らが生きている最中に世の中に見出す、虚無感という名の退屈です
宗教、信仰心というものは、この優しい檻の名前です
僕はいつも、檻から出ようとしています
その度に、僕はこの檻に囚われていたと、認めなければなりません
新しい場所に飛び出す時、今いる場所が、新しくない方の場所だと、認めなければならないのです
できればずっと、生ぬるい湯船のようなこの場所に留まっていたいと思うこともあります
そう思うたびに、そこから出なければならないのです
いつになっても、新しさは魅力です
僕はくぐりには、というか僕の中には、もっと新しさがあると思います
新しい音楽を、どうやったら作れるか、アンテナを日々張っています
大切なものほど、壊れやすいです
壊れる時ほど感動的です
信じる心はとても大切な心です
それが裏切られたとしても、むしろ裏切られた時ほど、信じる心は綺麗に光ります
深い絶望感の中で抱く一縷の望み、この世の中で一番弱い力、そういうものが愛なのだと思います
愛は一番弱い力ですが、人を心から幸せにできる力は、愛に違いありません
僕は人々に愛を伝えたくて音楽をやっています
やっていました
それはお客さんにとっては、僕の檻に閉じ込めるような行為だったのでしょうか
そういう下心も、確かにあったと思います
このように、問題提起と自己完結が永遠に、僕の中では、寝てる間以外は続いています
(僕は何かに取り憑かれているんだ
正気の人間ならこんなに惹きつけられる思いはしないのだ
狂気とは何か
まだわからないことばかりだ
僕は極めて論理的に考えていた
天井大風と書かれた凧が、地面から空を見つめている景色は、僕の様子にそっくりだ)
最近自殺についてよく考えるようになった
とくに自殺したいというのではない
いや、少し、ほんの少し、したいのかもしれない
一旦世界とのあらゆる関係を無くしてしまえたらと、願う日が多い
死ぬという行為は、とても官能的な魅力さえあると、思ってしまった
死という絶望の中に飛び込んでしまいたいほどの現実は、一体どれくらい絶望的なんだろう
そんな現実に耐えてまで生きていることは、偉いのだろうか、正しい選択なのだろうか
生きることに正しさを求めるのは、時折残酷に思える
もう誰も俺のことなんて覚えていないのかもしれない
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chikyu-w · 6 months
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折田のギターはオーロラの下に吹く、雄麗な疾風の音がする。その表面ははガラス細工のように繊細に光っている。
「形」に収録されているドラムは、その雄弁なギターをしっかりと額縁に収めている。爆発的な音像を優しく支えているのがわかる。
ベースは一番近くで、心拍のように脈を立てている。心臓に響くような、自然なコケティッシュさを持ったベースだ。
くぐりの一曲を聞くということは、神聖な場所で一枚の絵と向き合うことに似ていた。
くぐりは、画廊のようなバンドだ。
声という骨の後ろや前を、音が駆け巡っている。
とても立体的な印象派の絵画展のようだった。
俺はその額縁を壊したんだ。
もちろん、取り返しのつかないことだ。
その借金がまだずっと残っている。
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chikyu-w · 6 months
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はしゃぎ方を覚えた一年だった
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chikyu-w · 6 months
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死にたい気分もこの体のものであって、私自身じゃない
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chikyu-w · 6 months
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2023/11/05
なんとなく手足が冷えてる。セーターを着ても、駅のホームは風が冷たい。秋はどこに行ったのかと、もうずっと会ってない友達を思い出すような気分。
昼はライブを終えて、くぐりの3人でタイ料理を食べに行った。折田はマッサマンカレー、日向子さんはカオマンガイ、僕はトムヤムクンだった。日向子さんは誤って唐辛子をかじり、耳から煙を吹き出していた。
さっきまで、僕は家に帰って静かに本を読んでいた。「『狂気』について」、とても高尚な口調で事細かに論説している。気品ある文章だった。
高円寺に着いたら、あずきとたいかと、もしかしたらせとくんと会う。楽しみだ。
電車の中。
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chikyu-w · 6 months
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はじめての詩
頑張り方を忘れた僕たちは
幸せのパワーだけじゃ
どうにもならないことばかりで
だからこの世には幸せが足りない
幸せが足りない
まったく今の僕たちは
暇があればすぐに下を向いて
叱ってくれる人ももういない
でも本当に一番臆病なのは
下を向けない僕かもね
心から笑うのはいつも
初めてみたいな気がする
踊ったままでもしも
夜も眠れたなら
僕は南の一番星
人の心の内側に触れるような音楽を
いつだって求めてる
悲しみも喜びも
いろんな味わいを知って
友だちになろうよ
背負ってきたものを全て下ろして
肩を抱き合った時の丘に吹く風は
どんなに気持ちいいだろう
あー今日も流れ者
全て良くなる魔法
とうの昔に捨てたような
夢が今目の前
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chikyu-w · 7 months
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喧嘩した後の優しい言葉は、傷口に張った薄皮のように、まだヒリヒリと痛んだ。
どうか治りますように、瘡蓋が剥がれて、綺麗に元通りで無くても、今までと同じような、普段使いの私でいられますように。
薬指の頭を包丁で跳ねた。
大した傷ではない。
全治1ヶ月とはいうものの、神経も骨も無事だ。
そりゃ、血は止まらなくて焦ったけど。
過去の自分に会ってやれるなら、もうお前を恨んじゃいないし、大したことではないよと伝えたい。お前がカレーの玉ねぎのくし切りに失敗したことも、無駄じゃなかったよ。
俺はそんなちっぽけな世界の中で、必死に自分を許したり、情けなく思ったりしている。
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chikyu-w · 7 months
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ジャズは私の、
ストレートのバーボンを2人で掲げた
クッとひと舐めしたあと、ブランデーよりも濃い色のテーブルにグラスを置いた
「サッチモは、笑って歌うんだよ」
彼は極めて、その黒人ジャズシンガーに敬意を払って話していた。目は水を得た魚のように輝いていた。
「彼、いや彼らは、いつも心の花を咲かせて歌ってくれるんだよ。だから僕の心は彼らと一緒に揺れるんだ。」
彼は少し話が飛んでしまう、頭のいいんだか悪いんだかわからないやつだった。とにかく、ルイ・アームストロングに感動しているのは間違いなかった。
「僕はカッコつけるのは嫌いなんだ。あまり意味を感じない。ただし、そのままの自分でいろという訳でもない。直した方がいいところは直して欲しいし、良いところはもっと良くしてほしい。その努力を、そのまま見せて欲しい。生き様を見せて欲しいんだ。サッチモはね、それを教えてくれたんだよ、僕に。」
彼の話には妙な説得力があった。私にはわからない、心の変化が、音楽によって起こったのだろう。彼の信じた音楽によって。
私は何を信じているのだろうか。
映画で泣くこともあるし、アイドルにハマることもあるし、時には政治家の不祥事に本気で怒る時もある。
それなりに真面目に生きている私だ。
でも、私は一体、何を信じているのだろうか。
私を夢中にさせてくれるほどの深みなど、この世の中にあるのだろうか。
彼はその深みを知っている気がした。
「でもね、僕にだって悲しい時があるんだ。」
なんで”でも”なのだろうかとは、聞かなかった。
「サッチモはね、僕の人生の惨めさも悔しさも、丸ごと全部拾って許してくれる、気のいいおっさんなんだよ。歌はね、客に投げつけるものじゃないんだよ。お客さんと対等になって、心で会話するものなんだよ。」
私は彼のいうことに一つも疑問を抱かなかった。
「彼は、そう教えてくれたんだ。」
黙って頷く。
彼はしばらくの後、目を伏せて、バーボンのグラスを揺らしていた。
琥珀色の波は、夕焼けみたいなバーの照明で、とてもロマンチックだった。
「…こんな海の砂浜だったらいいのに」
彼は私の声を演じて呟いた。
「僕もそう思うよ」
私は止めなかった。
彼は恥ずかしそうに、またバーボンを見つめた。
私はその夜、ひと言も話さなかった。
彼はとても嬉しそうで、私もとても嬉しかった。
次に彼と出会うのはいつなのだろう。
ジャズは私の、いい友達。
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chikyu-w · 7 months
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詩の作業は翻訳だ
翻訳したいという意志が始まりで
これ以上翻訳する箇所も、誤訳もないと思うところまでが終わりだ
翻訳が終わると
私の歩いた旅路が紙の上に残像している
それを美しいと思うかどうか
それを良いと思えるかどうか
それは今の私が決める
ところが、詩も常に今である
時々の今を貼り付けたアルバムである
フィルムではなく言葉で
カメラではなく言語で
光より情景をうつしとる
音の鱗粉を纏う文字の連なりは
何度も一人、頭の中でこだまする
おかしなことだ
少なくとも、おかしな気分になるのは
詩の力であって間違いない
そう確信している
詩は得体の知れない霊的な私の精神から
得体の知れなさを翻訳してくれる
その道筋は私の精神だろうか
それとも私自身だろうか
詩の霊能にとっても、時は得体が知れないのだ
私がそうであるように
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chikyu-w · 7 months
Text
むかし
現実と精神との間に
まだ内も外もなかった時代
境目のなかった時代
それは無秩序で
何もかもが絡まり合っていた
僕はさっきまで
念仏が頭を回転していた
念仏の声が届く場所と
念仏を唱えてから行く場所は
きっと現実と精神の境目に阻まれて
そしたら、念仏なんて唱えなくても同じだと
そう思っ��いた
境目を解いて
全てをまた綺麗に結び直したら
きっと求めて意味のないことなんか
無くなるんだろう
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chikyu-w · 8 months
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ラーメンスープに浮いてる油の輪っかをつなげるみたいに、共感というのはそれなりに時間がかかり、気持ちの良い作業だ。
私は意外とあっさりした人間かもしれない。
でもやはり、塩気の強い方が好きだ。
面白い例えはいつでも思いつくのに
面白い音楽は気まぐれに近寄ってきて
すぐどこかに消えてしまう
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chikyu-w · 8 months
Text
「僕はあなたたちに期待し過ぎていました。すみません。でも、僕が人に期待することなんて滅多にないのだから、ちょっとは貴重に思ってくださいね。」なんて、言ってもわからないのだろう。私にもわからなかったんだから。
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