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#ちゃんげろソニック
nemosynth · 1 year
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Season 2, episode 3 - ensoniq
「エンソニックは、良きライバルとして共に大きくなる会社や。」  〜伝・梯郁太郎氏
♬     ♬     ♬
「幻のジャイアント・インパクト」
1980 年代初頭アメリカ合衆国。当時世界で最も進んでいた黎明期のパソコン業界。
そこにSound Interface Device、略してSID(シド)なる音源チップが誕生。そのSIDは最初パソコン用音源ICとして開発。なるも、ちょっと歪んだその音が凶悪な個性を帯びているという評判から、やがて後世にてチップチューンの名ICとしてレトロフューチャー的に再発見。2000 年前後にはスウェーデンはelektron社きってのイカれた卓上シンセSID Stationの音源コアとなり、その希少な在庫が枯渇して入手不可能となった後はその音をモデリングしたエミュすら登場、今や伝説のチップとして名を轟かせる。
そこまでして時空を超えてひっぱる人気の名石SID。デビュー当時「ぴー」とか「ぶー」とかしか言わんブザーみたいなPC用の音源回路ばかりの中、すでにSIDは1台のシンセサイザーをまるっと内蔵、すなわち:
・3基のデジタルオシレーター:鋸歯状波、矩形波、三角波、擬似乱数ノイズ、この3基のオシレーターを円環状にカスケードさせたハードシンクすら可能 ・1基のステートバリアブルVCF ・3基のアンプ ・3基のEG ・3基のリングモジュレーター:3基のオシレーターを円環状にカスケードさせたリング変調も可能
...をすべて内包して3音ポリを実現。リングモジュレーター3基とかハードシンク3系統とかどっちも円環状に変調できるとか何気に凄いですね。さしずめ「リング状リング変調」「リング・リングモジュレーション」「リンリンモジュ♬」てとこでしょうかね。SID Stationではウェーヴシーケンスすらできたよね!すぐバグってメモリーがぱぁぷりんに吹っ飛んだけどね!
それもそのはず、SIDを設計した開発エンジニア・チームはパソコン業界を超えて、ゆくゆくはプロ仕様シンセサイザーに採用されることすら夢見てこれを作った。彼らに言わせれば当時のパソコン向け音源ICなんて、音楽のことなどまるで分かってないやつらがでっちあげた代物。そこにミュージシャンマインドでもって音楽的新風を巻き起こさんと取り組んだ意欲作 SID。唯一彼らが心残りなのは、イラチなクライアントのせいで開発期間が短すぎて音質を充分によくできなかったこと。
いや、もうひとつ。さらにもうちょっとだけ時間があれば3音ポリどころか空前絶後の32音ポリにすらできたこと。ただでさえ当時ありえない32音ポリしかも前代未聞3オシでリンリンモジュ。 聴こえますか、このぎゅるぎゅる言うエンドレスなリンリンモジュの音が。まさにタキオン粒子加速器、エネルギー充填120%!反物質砲ファイア!!!
いやぁ、もし当時そんな怪物チップが出来上がっていたら6音ポリしかなかったJUNOはおろかPolysixやJX-3Pはひとたまりもなく吹っ飛び、最大でも8音ポリだったJupiterやTRIDENTはもちろん名機prophetもOBもSynthexも大打撃、挙句DX7をもってしても16音ポリとあっては戦略やり直しとなったのであろうか。
大陸を一撃で殲滅しえた恐るべきオーパーツの如き破局、そのコアたりえた一個の種、秘石SID。
このICを誕生せしめた若きエンジニア・チームは、彼らの偉業にちゃんちゃら無理解なパソコン業界に嫌気がさして見切りをつけ、いっそ電子楽器メーカーにならんと進路変更。 その社名を新規に考えるべく、まずは出発点として「音に関するもの」を意味するsonic(ソニック)、おふらんせ〜ふうに洒落てみるべく最後1文字「c」を「q」に変更してsoniq、さらに「包み込む」というような意味の接頭語 in- をくっつけて insoniq としたいところを敢えてそうせず、その接頭語 in- を古語 en- へとひねることで洒落てみて ensoniq。英語で「エンソニック」と発音するときは「ソ」にアクセント。なんならついでに「エンソニック」と「インサニック」の中間みたいな発音で。その名のとおり理想の音でくるむように、包み込むようなイメージでどうぞ。
やがて目からウロコの次世代シンセメーカーとしてめきめきと頭角を現すばかりか、海外シンセメーカーたちが安価で高性能なメイド・イン・ジャパン・シンセたちとの競争に敗北し軒並みばたばたと倒産する中、唯一、並みいる日本企業たちを相手にその好敵手として大立ち回り、デジタル・エイジにて大活躍、創造性の国アメリカならではのとらわれない発想と国産機の痛いところを突いた名機の数々でもって全地球のシンセヲタどもをぐぬぬと唸らせることになるこの会社。 これまでこの連載で紹介した電子楽器メーカーはすべて 70 年代前半までに設立され、ヴィンテアナログシンセ時代から続いてきた古参企業ばかり。YAMAHA や KAWAI に至っては戦前から存在する老舗。だが、ここについに新しい生粋のデジタル世代が登場。黄金の80sにふさわしくちゃきちゃきのとんがったデジタル野郎たちが大暴れするそんな彼らが旗揚げしたのは、時に1983年、MIDIが公式に誕生しDX7が電子楽器の金字塔として堰を切ったように怒涛の快進撃で世界へあふれだしていたころであった。
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「ファーストインパクト:Mirage」
ensoniq社が最初に出したのは実はパーカッションパッドであったが、ほとんど無名。いい音がするらしい。そして創業2年後の1985年、急速に成熟しつつある電子楽器マーケットにおいて全くの無名だった彼らはMirage(ミラージュ)という名の価格破壊サンプリングキーボードをだしぬけに投入。 お歴々はご存じであろう、当時サンプラーといえば最高1億円したシンクラヴィアか、1,200 万円もしたフェアライトCMI、はたまたイーミュレーターやカーツウェルK250 といった300万円はくだらない電子楽器のロールスロイスみたいなやつばかり。そんなところへやにわに1,599米ドルというアゴ外れんばかりにありえない破格でガチ道場破りしてきたのがMirageであった。
SIDチップをベースに自社開発した音源IC「DOC(ドック: Digital Oscillator Chip)」、コードネーム「Q-Chip」。これはSIDで開発期間が短すぎて具現化できず無念の涙を飲んだ32ボイス仕様を実現した夢のチップ。だがすでにDX7が出てきた今、Mirageではこれをあえて戦略的に8ボイスに制限し、その代わり1ボイスあたり2オシレーター最大4波形を重ねてトリガーできる仕様とした。8ボイス✕4波形で32音、うまいっ! しかも強力な自社開発デジタルオシレーターチップに加えてカーティス社のVCFでもってデジアナハイブリッドな音の加工も可能という、自力でIC設計できるensoniq面目躍如。
その一方で7セグ2桁LEDが唯一の表示、しかもテンキーだけでパラメーターを打ち込むという、しかもそれは16進数という、無慈悲なカスタマーエクスペリエンス。そもそもあまりの音質のひどさにMirageはサンプラーではなく原音をとどめないシンセであるとまでジョークにされて叩かれるも、そんな噂どこ吹く風。フェアライトが登場して6年、みんなアート・オヴ・ノイズの真似したくてしたくて「んもぉぅ辛抱たまらん」うずうずしてたところへ欧米ではDX7よりも安いサンプラーが放り込まれたのだから猛獣の檻に生肉を放り込むようなもの。
しかもシンセまるっと入った音源チップを自社開発できることがensoniqのコア・コンピタンスだったわけだが、彼らの強みはそれだけではない。 記憶メディアだって業界初の3.5インチ・フロッピーディスク。当時、他のサンプラーが採用していたストレージはほんとうに「フロッピィ」だったぺらっぺらの5インチ。耐久性ヤワすぎて折れ曲がる上に薄いプラが劣化するやつ。なので硬質な樹脂カートリッジに守られていた3.5インチはハンドリングも楽でガシガシとスタジオでもライヴでも現場でミュージシャンがタフに使える頼もしい相棒。一層お安い価格破壊MIDI音源モジュール版までちゃんと用意。上級者にはオプションでMASOS(メイゾス:Mirage Advanced Sampler Operation System)という黎明期のエディターソフトすら完備する全方位っぷり。PC業界からスピンナウトしただけあって、なおかつミュージシャン・マインドなだけあって「分かってらっしゃる!」
一方、Mirageには妙なところもあった。ビット深度が8bitだったのは時代だとしても、量子化の目が粗すぎてループ時に波形ゼロクロス・ポイント同士が出会わないことがあり、そのときはサンプルをディチューンさせることで波長を無理くり変えてゼロクロス・ポイント同士をつなげてループさせたのだという!!! 野蛮!!!
Mirageの雄叫びを純正ライブラリーサウンドで聴いていただきたい:
Ensoniq Mirage Sound Demo
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いいねぇ、粗さがインダストリアル♬ っていうか粗いくせに不思議にリアルというか、音楽的ですらある、圧倒的じゃないか...!
これですよこれ! 音楽的であればそれでいい。だってみんなこれがしたかったんでしょ? それにPC業界出身だからチップ設計はもちろん、ストレージメディア選択とかも時流を読んでばっちし的確。 デジタルに熟知した彼らはサンプラー市場にぽっかり空いたブルーオーシャンな窓を目ざとく見つけ、そこにピンポイントでMirageをぶちこんだのであった。そこまで狙い済ませたモデルが人気炸裂しないはずがない。それまでやれ音のクォリティだトータルな楽曲制作環境だとくそまじめに気にしていたやつらを尻目にMirageはパンクなまでに軽快なスペックでもってバカ売れ。この痛快さは、だがむしろ歴史の必然ですらあった。まさしく製造業界のパンク野郎ensoniqは、だがミュージシャンにとって大切なものが何かをよく分かっており、しかもそれをパソコンという外様の発想で具現化するヒーロー、旧弊であり様式美であった楽器業界を打破する新進気鋭の疾風怒濤であった。かっこいい!
同じ1985年、AKAI初代サンプラーしかもすでに12bitのS612やSequential Prophet-2000といったサンプラーが続出、CASIOからは庶民の味方SK-1 Sampletoneを見た。翌1986年には業界標準機となるAKAI S900、KORG DSS-1、Roland S-50/S-10などと個性派サンプラーが続々登場、世界はアナログとFMとサンプラーというサウンドが支配。それはまだPCMシンセが台頭する前のことであり、よってKORGもRolandもシンセメーカーでありながらフラッグシップはサンプラーというちょっとだけ不思議な時代でもあった。
え? 当時PCMシンセってまだだっけか? 当時のPCMシンセって400万円したKurzweil K250だけ?
じつはMirageローンチの翌年、PCMワークステーションシンセの草分けensoniq ESQ-1リリース。Roland D-50の前年、KORG M1に先立つこと2年、ensoniqはすでに次の一手を打っていた。
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「セカンドインパクト:ESQ-1」
ESQ-1は実はMirageのアーキテクチャーを概ね引き継いでいる。同じ音源チップをあえて8音ポリに制限するところまで同じ。ただそれを3オシレーターとして見せており、
・3基のPCMオシレーター ・1基のVCF ・1基のVCA ・ハードシンクならびにリングモジュレーション可能
って、ちょっとSIDみたいな先祖返り的な構成。
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とはいえ32の音源波形はPCMではあったがサンプルまるごとではなく1波のみ切り出してループさせたもの。それでも流石ミュージシャン・マインドを持った彼らだけのことあり、サンプル1波ループとはいえ切り出し方が天才的にうまくてリアルに聴こえ、それをフィルターやEGで加工すれば表情ゆたかなPCMシンセサウンドになった。すなわちKORG DW-8000やKAWAI K3にも近いがサイン波倍音加算合成でもなく一応はPCMだったのであり、音のリアルさや音色バリエーションの豊富さにおいてもこれらを凌駕するものであった。なによりも音が音楽的。これまたスペックや数値ばっか気にする当時の真面目人間からは出てこない「使えるサウンド」であった。
加えて最大2万4千ノートの8トラックシーケンサーも搭載。これは2年後のKORG M1が最大でも7千ノートでベースライン2〜3曲分でしかなかったことを思えばその3倍以上、楽曲制作に充分であった。電源をオフってもバックアップ・バッテリーでシーケンスデータは保持。8ボイス8パートマルチティンバー音源はそのまま8トラックに対応し、じつはKORG M1よりも前に史上初の本格的こんにち的ワークステーションシンセとしてデビューしていたのであった。この質実剛健なつくりを見るといかにM1がマーケティングの勝利だったかって分かるよね。
パソコン業界ゆずりは音源やシーケンサーだけではない。初めてファンクションキーを導入した操作性も流石PC。アバウトだがLCDよりも視野角が広いFL管を採用、今ならそのエモい表示がレトロフューチャー・コンピューター感。そしてensoniqはファンクションキーのことを「ソフト・キー」と呼び、画面によって機能が変わるから、すなわちソフトウェアに依存して規定されるからだと説明。このクールなネーミングセンスもPCならでは。なのだが、どういうわけかその説明が欠落したまま日本に伝わり「押した感じが柔らかい」と紹介されてしまう。 この操作性を活用し、1画面内に10音色を一気にならべて表示、ファンクションキーでよりどりみどり思いつきで音色選択できるすぐれた操作性もお初。40年くらいたってからKORG KRONOSにてSetlistという名前でふたたび採用。
そしてトドメのプライス1,395米ドル。日本価格はDX7や後のD-50、M1を上回る29万8千円であり事実上無名であったが、海外ではぐっと親しみやすい価格設定。おかげで5万台も売れたらしく、特に北米ではESQ-1と一緒にATARI STやCommodore AMIGA など黎明期のパソコンが綺羅星の如くならび、ESQ-1は海外コンピューターミュージック用キーボードとしても市民権を得た。そして日本のミュージ郎よりも先にゆくその普及率に、じつはその航跡を追うかの如くもうひとつの知られざるビジネスが勃興していたのであった。サードパーティ音色ライブラリーである。
ESQ-1が売れるところ、雨後のたけのこの如くあまたの音色ライブラリーメーカーが登場。中には不幸にして自宅を失って友人の土地に長さ6mのトレーラーハウスを停めて暮らし、膝の上にESQ-1のっけてそのローンに苦しみながら夜な夜な午前3時まで一心不乱に音創りするあぶね〜野郎まで登場。その彼が作ったESQ-1音色カートリッジは半透明のエポキシ樹脂にくるまれて生産され、それゆえにVoice Crystalシリーズと名付けられた。そう、Eye & I社Voice Crystalシリーズ。のちに大ヒットし、特にRoland D-50用のライプラリーはK社エンドースを受けていたキースさんまでを虜にしてクリスマス・アルバムまるまる一枚を制作せしめロゴをバミって隠したD-50とともににやけて雑誌宣伝広告写真にまで映ってしまったあのシリーズである。
同じ1986年、Apple社から初期のパソコンApple II GSが発売。GS とは Graphic and Soundの略であり当時盛んに言われていたマルチメディアへの対応を謳ったモデル。そしてここにも搭載されたのがまさにensoniqのDOC音源チップであった。Apple II GSは、これをそのまんま32ボイスのシンセ音源チップとしてフル活用、さらに15ボイスに達するステレオ波形再生も実現、Macintoshが登場するまで古典的時代の牽引役として輝ける看板機種となった。
一方、本業においてシンセとサンプラー、すなわちESQ-1とMirageというペアでもって時代を先取りしたensoniq。だが北米では絶好調でも日本では販売価格がむやみに高かったせいかあんまし認知されていない。そうこうしているうちにDX、CZ、FZ、S900、D-50、そして最後の大物KORG M1が「ワークステーションシンセ」というキャッチーなタームを繰り出してESQ-1のお株をさらってしまった。 そんなデジタル群雄割拠の中、ensoniqは音源チップDOCを進化させた DOC IIを開発。これをコアとしてESQ-1の後継機種SQ-80 と、Mirageの後継機種EPSことEnsoniq Performance Sanplerとを開発。中でもEPSはのちの電子楽器業界を大きく変えるコンセプトをはらんだ胎動となったのである。
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「サードインパクト:EPS, SQ-80」
EPSは、パンキッシュだったMirageから一転、ただまじめに音が良いサンプラーになっただけではない。
確かにシンセと違ってサンプラーには写実主義という出自があった。勝手気ままに理想の音を追究してもゆるされる自由奔放天真爛漫なシンセとは違い、当時のサンプラーに几帳面でくそまじめなイメージがつきまとうのは、その命題が写実主義だったからに他ならない。原音忠実、ハイファイ再生、だからビット数もサンプリング周波数も内蔵メモリー容量もどんどん数値はうなぎのぼり。高音質それだけのために恐竜のように肥大化してゆく一途。 でもなんかそれって袋小路。
だからこそ、そこに異を唱えたのがEPSであった。不毛な量的拡大ではなく質的転換、鍵はアーティキュレーションにあった。
生楽器にはアーティキュレーションがある。具体的に言うとさまざまな奏法がある。例えばヴァイオリンであれば、 ・弓を押し引きするアルコ ・弦をはじくピッツィカート ・短く跳ねるように弓で弦をこするスタッカート ...などなどあるわけで、既存の日本製サンプラーでは各奏法を別々のプログラムに収録してライブラリーが作成されていた。つまりプログラムごとに高度に専門化された内容でライブラリーが制作されており、現場では奏法ごとに異なるプログラムを逐一サンプラーにロードして演奏する。すなわち...
・アルコ用プログラム ・ピッツィカート用プログラム ・スタッカート用プログラム ...などなどなど。
だがEPSでは必要な奏法をすべて収録したプログラムを1つ作成し、それをロードしさえすれば主要なアーティキュレーションすべてが自在に演奏できるようにした。プログラムの中にレイヤーを設け、そこに各奏法を収録したのである。
・ヴァイオリン用プログラム  - アルコ用レイヤー  - ピッツィカート用レイヤー  - スタッカート用レイヤー ...などなどなど。
各レイヤーは単一奏法をサンプリングしたマルチサンプルで構成され、最大8レイヤーで1プログラムを構成する。 しかも奏法=レイヤーの切替は鍵盤左横の2連パッチセレクトボタンで行う。このパッチセレクトボタンがじつはensoniqならではの秀逸な発明であり、鈍重なプログラムチェンジを行うことなく、すばやく音色を切替えられる。プログラムを構成するレイヤーのみを切替えているからだ。だからタイミングよく反射神経で、それこそ演奏中その場の思いつきだけでぱっぱとアーティキュレーションを切替えられる。
なんならアーティキュレーションにとらわれず、まったく異なる音色を各レイヤーにもたせて切替えてもいいね。 なおこのパッチセレクトボタンは基本アンラッチ(モーメンタリー)だがラッチ設定にもできる上に、フットスイッチでも可能。
アーティキュレーションごとに個別プログラムを用意するのではなく、必要なアーティキュレーションをすべて網羅したプログラムをつくる。つまり楽器まるっと1つ、あるいは楽曲まるっと1つ収録したプログラムを制作する。そしてそれを最大限にぶん回せる構造にサンプラーを設計する。
ひょっとしたらライブラリーを先に規定し、あとからそれに合わせ込むようにしてハードを設計したのかもしれないサンプラー。それがEPSであった。 これは実に理にかなっていて、つまりコンテンツを最重要視した設計ということである。サンプラーたるものコンテンツありきなわけで、それが見抜けなかった当時の日本メーカーはやっぱハードしか念頭にない古典的ものづくり企業だったのであり、そもそもハードをなんのために使うのかがイマイチ分かっていなかったと言わざるを得ない。いや、それはE-muやKurzweil、Fairlightといった海外企業でも同じか。いかにensoniqがうがったものの見方をしていたかが分かろうというもの。
サンプリングはもう当たり前。次につくるべきは肥大化するあまりただのレコーダーへ堕ちようとしていたサンプリングマシンではなく、役立つ楽器としてのサンプラーであった。
もっと正せば、なぜサンプラーを使うのか?シンセがあるのになぜサンプラーなのか?サンプラーにしかできない事はなにか?と考えたとき、写実、というテーマがあるのであり、それを単に原音忠実としか捉えなかった既存メーカーと、アーティキュレーションという次元まで踏み込んで「写実」というテーマを考え抜いたensoniqとの違いであった。
そういやEPSではプログラムチェンジで切替えられる音色単位を「プログラム」とか「パッチ」とかって言わずに「インストゥルメント(楽器)」って呼んでたね。 歴史の浅いサンプラーがゆえに名称が固定化していない、そんな時代ならではの自由度の高さとはいえ、やっぱ示唆に富んでます。
もちろん当時これは目からウロコであった。今どきの大容量ソフトウェア音源には奏法の違いを切り替えるべく、最下1オクターヴをスイッチ代わりに打鍵させる機種があるよね。言わばその発想をすでに1988年に先取りしていたのがエンソ、偉い! 史上初めてアーティキュレーションに着目しアーティキュレーションを切り替えながらリアルタイム演奏できたサンプラーだからEnsoniq PERFORMANCE SamplerイコールEPSだったわけ。
13bitといういささか中途半端な解像度だったEPSは、12bitの2倍も音が良いというだけでなく、サンプラーのパラダイムシフトを宣言するものであった。
他にもEPSには自動ループ作成機能があり、いろんなアルゴリズムが選べたばかりかSynthesized Loopという究極アルゴリズムに至っては波形そのものを書き換えてしまうことで若干音が変わろうがおかまいなし、無理くりでもループをとる。え、サンプラーって原音忠実が至上命題と違ごたっけ? でも結果が音楽的でありさえすればそれでいいでしょ? 持続音がほしかったんじゃないの? やろうと思えば��ケヒからでもループとってじゃ〜〜〜〜〜ってサスティン効かせて流せるのよ。おかげでensoniqはループがとれない音はない!と断言しきっていた。もはや蛮勇。
演奏中に別の音色フロッピーを読み込ませることができるLoad while playもまた目からウロコ。ロード中は他になにもできないのが当たり前と思っていた私たちは、マルチタスクというものを知らん原始人だったわけだ。 おまけにポリフォニック・アフタータッチも装備。世が世ならばMPEとともに大注目されていたはず! オプションでFlash Memory Bank、今で言うSSDも先駆的に搭載され、特にディスクベースだったOSをストアしておくと起動が早くて便利。なんて80年代には早すぎて誰も知らなかったよ。
最初は、単に安くておもしろいサンプラーでありさえすれば良かったMirage。 その次に、すぐれたサンプリング「楽器」たらんとしたEPS。
この成長は、E-muですら成し得なかったものであった。E-mu社がEmulator IIの開発に難儀したのは「単なるサンプラーを超えてサンプリング楽器とはなんぞや?」という問いに対し有効解を見つけるのに苦心したからにほかならない。それをensoniqはやってのけたのであり、無から有を、ゼロから1を、理想解を具現化しえた唯一のメーカーであった。ぐぬぬと唸らされたのは全世界。
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他メーカーにはない自由な発想の数々、そしてそれを惜しみなくつぎ込んだ豊かな果実EPS。当時メイド・イン・ジャパンを始めとする安価で高性能で高音質の機種が台頭していたときに、まったく違う発想のサンプラーが登場。それはそもそも何故サンプラーなのよ?サンプラーって何よ?という本質から考え直してゼロから起こした自由の国アメリカならではの機種のはずだった。
はずだった?
SQ-80とEPSはユニークな発想が光り他社の弱点を突いた問題作でありプロからの評判も上々だったが、銀行屋がもっと売上をと言い出した。欧米の銀行は日本以上に短期的成果を要求してくる。それゆえensoniqはすみやかに次世代機種を出す必要があった。そんなアクロバットを実現するためには今までと同じことを繰り返すわけにいかない。 果たしてensoniqはSQ-80にとってかわる次世代シンセを開発。そのために下した英断とは:
・音源チップDOC、DOC IIを廃番とし、さらなる新音源チップDOC IIIコードネームOTISを開発、かつ、これを初めて投入 ・ESQ-1、SQ-80と続けてきたシンセのアーキテクチャーも敢えて棄てる ・サンプラーEPSをベースに、なおかつそれにひねりを加えた次世代シンセ音源をつくる ・次世代シンセは初めてCDと同じくサンプリング深度16bitを実現 ・更にエフェクト用に優秀なDSPを新規開発。これによる新型24bitマルチエフェクトを内蔵させる ・すべてをかつてなく短期間で商品化する
時に西暦1989年、名機VFXが誕生する。
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「フォースインパクト:VFX」
世の中ワークステーションシンセだらけ、もうすっかりワーステ・ブーム。かつてESQ-1がその草分け的存在だったのに、マーケティングの勝利M1にお株を奪われたわけで。 しかしその流行に乗って百花繚乱に咲き乱れるワークステーションシンセたちの真っ只中にあって、VFXは真逆にワーステを捨て、ただただ音のキャラと表現力のみにこだわった素のシンセとしてまさかの逆張りデビュー。内蔵シーケンサーはおろか、フロッピーディスクドライヴがあったはずのところには意味不明の穴ぼこがぼこっと口を開けている始末。こんな後始末もろくにしないとは、よっぽど開発を急いでいたのであろうか。とにかく、ただただ個性的な新音源と強力エフェクトあるのみ。 その一方でCPUには名門モトローラM68000! これ当時Macやフェアライトに採用されていたガチなやつですよ。ちなみにAKAI S900のCPUはNEC PC-98と同じV30。prophet-5はZ80だったよね。そしてVFXの音源ICには前述のとおり第三世代チップensoniq謹製OTISを、内蔵エフェクトには最新DSPを投入。音源チップのほうは90年代に入ると通信カラオケやアーケードゲームの数々にも搭載されることになる。
驚愕したのは音、音、音、壮大な音。映画館のような重低音が出る出る満ちる、エピックなサントラなど朝飯前。低域にコンプかかってんじゃね〜か?って思うくらい。しかもとにかく太い、押しが強い、いやそんなもんじゃない、もう我が強い、腕っぷしが強い、サウンドの力こぶ筋骨隆々、そこのけそこのけ強強すぎてミックスの中でいくら音量を下げても俺が俺がと出てくる出てくる。ごりごりのシンベ。のしあがるオーケストラ。つんざくリード。自己主張はげしすぎてそこんじょらのシンセはもちろんメタルのディストーションギターの音の壁ですらもろともせず抜けて聴こえるシンセブラス。どやかましいロックなアンサンブル全体をたった1音で深々とせき止め、がっぷり四つに組んでガッツリ支える、ヘラクレス級に腕力を誇るストリングス。重低音重低音。もはやVFXは音世界を支える巨人アトラス。あんなランボーなやつ、ちょっといない。他機種の音色は皆さん荷物まとめて帰って行きよりましたわ。
プリセット音色がまた秀逸、単体で聴くと「え?」と思う音色でもアンサンブルに混ぜると絶妙に良い音色になる。なんというミュージシャンだましいな耳でもって開発されたのか。 単に推しが強いメリケン・サウンドだけではなく、自分で音をつくるとそれはそれはもう深い深い幽玄なるたましいの深淵をのぞきこむ底なし沼にディープな音もつくれる。なんだか日本ではコムテツが多用したSYMPHONYというプリセット音色でばっか知られているようだが、なんともったいない! あんなもんオケヒ・ループにペットのサンプルをレイヤーしただけで自作できる。さらに工夫して作り込めばほんとうに深い味わいある音が、プリセットとはまるで違う音のパノラマが展開する名機。
・なんせPCM波形が実物以上に壮大な音がする ・その上に、PPGウェーヴテーブル音源の発想を取り入れた新開発TransWave波形もいろいろ搭載。楽しい! ・Oberheimにしかなかったモジュレーション・マトリクスも初めて採用 ・6系統の減算方式レイヤーによる重層的音創り ・強力エフェクトのおかげで何をやってもバルビエリ御用達どよよんサウンド ・そしてEPSゆずりのパッチセレクトボタンのおかげで、どぎまぎしながら音色選択ボタンを押すタイミングを狙いすます苦行さいなら
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VFXはすぐれて他社の弱点や欠点をうまく突いた名機であり、ensoniqが他社シンセをよく研究していることの現れであった。というよりそれ以前に、そもそもシンセとは何か?どうあるべきか?と鋭く問うシンセ史上たぐいまれな名作であった。ひとことで言えば思いつきに即答えてくれる、難しい仕込み不要、そんな直感的デジタルシンセであった。
そしてこの広大かつフレキシブルに音が変化するアーキテクチャーを、ensoniq はDynamic Component Synthesis(各ブロックが動的に他ブロックに働きかける音源)と呼んだが、さすが英語が母語だけあってうまくその売りとなる特徴をとらえている。
にもかかわらずVFXは不運なシンセとなった。 銀行屋が圧力をかけるゆえensoniqはVFXを手っ取り早くつくるはめに陥ってしまい、いい加減なつくりのまま量産してしまい基板や機構に不備が続出、バグも多くてクレーム続出。ついにアメリカにて「No more Ensoniq!」と言い出す楽器店まで現れた。それも最大手チェーンGuitar Center。 それでもなお音がいいのはなんでか?というと、これもやはりいい加減なつくりだったから! すなわちデジタルに強すぎてアナログ回路にむとんちゃくだった彼らがテキトーな最終段アンプをでっちあげてしまい、それが逆に奏功して良い音になったのだという!!!
度重なる蛮勇にクレーム殺到、それでもなおその音にこの上もなく恋い焦がれたユーザーたちアーティストたち。まさに「蛮勇引力の法則」ここに極まれりensoniq。
これゆえ不良撲滅すべく改良を重ねたあげく、半年後にワークステーションシンセVFX-SD投入。VFX「-SD」は機能追加されたSequencer + Disk driveの略。それでもまだ故障が多々あり、VFX-SDのFL管ディスプレイの直下をぐいっと押すとてきめんにエラーが出る笑 のちにアコピ波形に重点を置いたVFX-SD II、さらにはSD1、そしてついにSD1 32 Voiceと世代交代を重ねるにいたりようやく不具合沈静化。VFX-SDをSD1仕様にまでアップグレードしてもらえる基板交換サーヴィスもあったが、ただでさえ十万円もした上にエンソニック・ジャパン社まで送り返さねばならず諦めてしまったは一生の不覚。いやそもそも最初からVFX-SDをじっくり開発して出すつもりが焦って先にVFXというカタチで半年くらい先にフライイングで出しちまったんじゃねーの?とすら勘ぐってしまうね笑
そのVFX-SDというワークステーションシンセが誇るは音源だけではない。
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こちらもすぐれた最大24トラック内蔵シーケンサー。いにしえのOpcode 社 VISIONと同じく長大なパターンシーケンサーで構造的に作品が作れる。思いつきで断片的なシーケンスを12トラックでたくさん作り上げ、それがたまってきたら適当につないでソングにしてみたり順列組合せを変えてみたりと試し放題、思いつくままに発散しまくるアイディアを作品へと収斂させ昇華させてくれるクリエイティヴ・ツールとして最高! しかも12トラックのシーケンスをつなげてソングをつくると、ソング全体にわたりさらに12トラックのリニアトラックが追加。個々のシーケンスをまたぐオブリとか録音できる。
Undo / Redoも「オーディション機能」と変名された上で初搭載、シーケンストラックを再生しながらこれまた思いつきでbefore / afterを切り替えつつ比較試聴できるミュージシャンマインドな便利機能。当たり前ですがイベントエディットも充実しているばかりか、最後にオーディション機能で締めくくられるからホンマにエディットして良かったのかどうかbefore / afterで比較検証させてくれて気に入らなければもとに戻れるって、いかれぽんちな思いつきだけのクリエイターにとって至れり尽くせりじゃないですか。
デモ演奏も音楽的でセンスあふれる、もう立派な「いい曲」。 日本のワークステーションシンセのデモ曲といえば、マルチティンバー能力の限界に挑戦すべくアクロバティックなまでに各パートをぶん回した非現実的な曲芸「こんなことまでできます!ドヤ顔」みたいなもんばっかで聴いてるだけで目ぇ回ったが、ensoniqのデモ曲はちゃんと楽曲として成立しうるばかりか、落ち着きあってセンス良くてまとめ方もうまくて大人でかっこよくてデモだけでアルバム出来そう♬
ついでに機種名もロゴもアーティステイックでかっこいいね!
ミュージシャンマインドで設計された機械がミュージシャンを支援してくれる、理想のensoniqシンセ。 EPS 16 Plusという16bit化された新型サンプラーも発売、これにはVFXゆずりのグレイトなマルチエフェクトも搭載され、楽器としてだけでなくサンプル加工にも抜群に使えるようになった。EPS 16 PlusはVFX-SDとともに双璧をなし、その下にSQ-1(61鍵)、SQ-2(76鍵)、という廉価版ワークステーションシンセを配し、SQ-Rという1Uのコンパクトながらに実力派の音源モジュールも誕生、2Uの強力エフェクトアウトボードDP/4もスピンオフ、ensoniqは黄金時代を迎える。そればかりか音楽のたのしみを広げようと、補聴器まで試作していたというSDGsアクセシビリティ先取り!
その音は世界中で玄人ウケし、安いコモディティと化しつつあった日本製の機種とは一線を画す。そしてその高いプロファイルでもってensoniqは並みいる既存メーカーに対する異議申し立てとなり、それらの好敵手となった。
そしてついにensoniqは、EPS系の最終進化形ASRことAdvanced Sampling Recorderシリーズを経て、VFX以来5年かけて開発を重ねてきた夢のシンセを世に送り出すことになる。 同社最後の大輪、音源コアDOC IVコードネームOTTO、それを心臓として建造された双頭のフラッグシップシンセTS10とTS12。1994年のことである。
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「ファイナルインパクト:TS12」
Ensoniq TSシリーズ、それはそれは空前絶後に壮大な音がするシンセであった。構造はSD1をさらに発展させた完成形であり、音源波形も新規であるために既存機種との互換性は無い。比較して聴けばSD1もまだまだ粗削りだったのだと分かる。ド太い重低音はもちろん、澄みきった濁りのない深い音色もする。映画館「みたいな」ではなく今度こそまんま映画館そのものな音がした。
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TS10は61鍵シンセタッチ鍵盤、お家芸ポリフォニックアフタータッチ完備。TS12は76鍵ハンマーアクション鍵盤搭載。このタッチはかなり独特なものでアコピとは似て非なるもの。Flying Action Weighted Mechanismという大仰な名前がついた。88鍵ではなく76鍵でハンマーアクションを採用したのはステージピアノとしてクルマに載せられるサイズを考えてのこと、つまり車社会アメリカならではの機動力を考えてのことであろう。
16波形を数珠つなぎにしてウェーヴシーケンスをつくれたので、KORGよりも波形ステップ数は少ないものの音色ごとに個別設定できる点では実はKORGを凌駕する長所があった。デイヴ・スミス対ensoniq、ここでもアメリカ人同士の対決! KORGも気にしたのか最近のwavestateではウェーヴシーケンスを1,000もメモリーできるという、とてつもない上限値でもって事実上問題ないレベルにまで回避している。
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ASRシリーズのサンプルライブラリを読み込めたのもポイント、読み込むデータによって自動的にTSになったりASRになったりと二つの顔をもつ双頭シンセとなった。両者はアーキテクチャーが違うため、つまりこれはソフトを自動的に入替えることで機能が変わるパソコンのようなキャラをシンセでも具現化したことになる。
なによりも、とかく日本のデジタルシンセが冷たく痩せた音がするのに対し、あたたかく骨太で豊かでスケールの大きな音がする。これは4年後の1998年にあたかも打倒ProToolsと言わんばかりに出てきた同社DAWシステムPARISことProfessional Audio Recording Integrated Systemにも言えた。事実PARISは「あたたかい音がするDAW」としてハリウッド映画音楽業界でも話題であった。お得意の高性能DSPを6基も搭載したPCIカードを開発、これにより非力なパソコンでも高度な処理が可能となって文字通りレコーディング業界への福音のごときシステムだったPARIS。 そして巨大な体躯というか威容を誇る重厚長大なフラッグシップTSシリーズは、説得力あふれるビッグな音はもちろん、広大な仕様・性能を満載しているがゆえにensoniq最高傑作との呼び声も未だに高い。
だが、ensoniqは自分たちの理想郷を追い求めすぎた。
TSシリーズは業界最強な独自アーキテクチャーを貫きすぎたのか、SMFやGM、wavファイルといった互換性に欠ける孤高の存在であった。90年代ともなるとDTMが進展しユーザーが増大して市場の裾野が広がり、さほどパワーユーザーではないライトユーザーも参加した結果、今まで以上に簡単に音色やシーケンスデータをシェアできるよう互換性が求められるようになった。だからこそMIDI規格にもSMFやGMといったより細かいルールが制定されたのであり、MIDIと対をなすオーディオにおいてもwav/AIFF互換が必須となった。すべてはデータの再現性を担保するため。流通しやすく、誰でも同じような結果になるよう再現できるため。個性よりも普遍。普遍による流通とシェア文化。シェアラブルであること。
かつてPCからスピンナウトして誕生したensoniq、だが今ふたたびPCの軍門に下るときがきた。
このあとTSシリーズの中核を成していたVLSI音源チップDOC IVことOTTOはensoniq社製オーディオボードSoundscapeにも搭載され、そのままensoniqはPC系へと軸足をシフト。そして巨艦TSシリーズ亡き後、ensoniqから出てきたシンセは音はわるくないものの限定的なフィーチャーを帯びたモデルばかりとなった。
薄暮の迷路にさまよいこんだかにも見えたensoniq。 その中、唯一例外的に輝いていた変態シンセは第二世代TransWave音源を搭載したシンセFIZMO(フィズモ)。これはensoniqが物理モデリング音源を開発するも実現できず、「物理モデリング=physical modeling」略して「phys mo」そのつづりをストリート文化っぽく変えて「FIZMO」という機種名だけが残ってしまった機種である。今ならヴィジュアル系な外観はもちろん、ウェーヴテーブル音源として光る個性が注目されたやも。 さらには北米でいち早く台頭してきたhiphopサンプラー文化に着目、AKAI MPC対抗機種としてASR X を投入、卓越したサンプラーに強力無比なエフェクトを組合せた力作。音も太くてよかったよね、でもちょっとむずかしかったか。
やがてensoniqはSoundBlasterをつくっていたシンガポールのメーカー Creative 社の傘下に入り、そこでE-muと合併してEmu-Ensoniqとなり、そのままフェードアウト。
ちなみにKORG 01/Wは相当にVFX/SD1を参考にしたようで、VFXのモジュレーションマトリクスはKORGのAMS(Alternative Modulation Source)機能となり、アコピの音に重点的にPCM容量をあてがう戦術、内蔵マルチエフェクトのつくりや効き具合などなど、エンジニアをヘッドハントしたフシもある。ワーステ本舗のプライドとしては、ensoniqを無視できなかったのであろう。
そもそもなにがミュージシャンにとって一番うれしいのか、アーティストがやりたいことは何なのか?その本質「why?」をなによりも第一に見抜いてソリューションを提供していたensoniqの自由な着想と回答、それらはソフトウェアとコンテンツの天国アメリカならではのパラダイムに基づくものであったことを、お歴々はもうお気づきのことであろう。彼らが世に送り出した名機たちは、つねに物事の本質はどこかを探し、本質を問うところからはじまる斜め上をゆく自由さがあり、その外様ならではのすぐれた問題意識にはじまる思考と思索の旅路、その帰結であり果実であったに過ぎない。そして冒頭にかかげた都市伝説に語られるとおり彼らは日本メーカーと共に成長すべき良きライバルであったのだが、それだけに歴史の波に消えてしまったのはつくづく惜しいと言わざるを得ない。天才E-muですら思いつかなかった自由な発想、斬新な解、そして楽器業界の多様性、ロスト。
楽器進化論、その樹形図におけるミッシングリンクとなったensoniq。楽器というビジネスは、PCの前に消え去るしかないのであろうか? 当時SteinbergがVST規格を提唱し、初のプラグインシンセneonがぽよよんと出るに至り、さとい先取の精神の持ち主たちは異口同音にハードウェア退場論を盛んにぶちあげていたものである。そのあとも度々、特にpropellerheads社Reasonの宣伝などは「いつまでハードウェアを使ってるんだ? さ��さと棄てて僕たちソフトの世界で完結しちまいなよ」という主旨の、ややもすると苛立ちすらこもったものであった。
だが、苛立つということはそれだけ彼らの足元がヤワであることの証左でもある。
次はPC時代になろうがネット時代になろうが、それどころかなんべん倒産しようが不死鳥の如く奇跡の復活を繰り返してきた未来志向メーカー、その輪廻転生を見ていきたい。舞台はアメリカから大西洋を渡ってドイツへと移る。
(2022年8月13日同人誌にて初出)
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hotelinfernoll · 1 year
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F氏の休暇③
[fanfic] フロイドと巨悪
これまでの話
9
北へ向かう大型客船は大浴場やサウナやドッグランまであってさながら海に浮かぶホテルだ。 例の2人はのんきにオープンデッキの椅子に寝そべって沈んでいく夕陽を眺めている。さっきまで船首の先に立ってタイタニックの真似をしようとしていたが、どっちがどっちに立つかで小競り合いになったところを船員に見つかってデッキに移動してきた。賭郎頭首の船旅だから客船ごと貸切してるのかと思ったが、今回は本当にプライベートらしく一般客として乗り込んでいるようだが、ドレスダウンしているものの紫のスーツに派手な柄物シャツの胸元を大きく開けた銀髪と、オールバックに上等な生地のピンストライプのネイビーのスーツの2人組は遠目からでも“玄人”臭をプンプン放っている。おかげで2人がデッキに来た途端それまでいた数人の客がいつのまにか消えて、隣のレストランからターゲットの様子を伺う俺には好都合だった。
「コーヒーのおかわりはいかがですか?」 「ありがとよ。だがもう5杯も飲んで腹ん中がタプタプだ」 「お食事のメニューやアラカルトのご用意もありますが」 「いや結構。気持ちだけもらっておくぜ」
笑顔のままメニューを下げたウェイトレスにウィンクを投げた。俺以外客がいないのかさっきから入れ替わり立ち代りやってきてやたらと話しかけてくる。さすが高級客船、サービスが手厚い。それにしてもデッキのふたりの方は何を話しているのか。さっきから特に会話をする様子もなく、ただ時々目を合わせてはいる。こちらからは嘘喰いの顔しか見えないが奴が時々やたらとニヤついているのが見えた。 「一体何やってんだ…気色悪い奴だな」 「お前がな」 後ろで声がしたような気がしたがウェイトレスが数人たまっているだけだった。そろそろ夕飯時で客も増えてきたので場所を変えよう。 「また来るぜ」 おっと、日本はチップがいらないんだっけ。そういうところは気楽でいいよな。
10
その夜、船の中でちょっとした事件があった。 あるマダムのダイヤの指輪が盗まれたらしくクルーが船内中を右往左往していた。そんな事はお構いなしに嘘喰いと切間創一は遊戯室のクレーンゲームでキーホルダーをとろうと躍起になっていた。すでにケースの中身が全部買えるくらいの金はつぎ込んでいる。俺はといえば、一度部屋に戻って変装して奴らの後ろのスロット台に座って会話を聞いていた。
「んも〜〜〜っ またダメだ」 「下手くそだね貘さん。いい加減あきらめたら?」 「やだ! 絶対取る! 取るまで船を降りない!」 「買ったほうが早いよ」 「ハルと一緒に取らなきゃ意味ないの! 分かるでしょ?」 「……」 「あん時取れなかったからさあ……やっぱ取りたいじゃん」
斑目貘は切間創一を“ハル”と呼ぶ。これに関しても誰に聞いてもその理由はわからなかった。おそらくこの名前が誰も知らない2人の過去の秘密の鍵になるのではないか?
「じゃあリミットを決めよう。時間は限られてる」 「わかった、その方が燃える。あと3回?」 「あと1回」 「マジか」 「あと1回で取れなかったら、今夜は君が下」 「……ハッ! オッケー。負けらんないねえ」
おいおい、まさか客室もダウングレードして大部屋の二段ベッドに泊まってるのか? なかなかやるじゃねえか。だがそれじゃあ危なっかしくてしょうがない。お屋形様がノーガードで一般客と雑魚寝じゃさすがに心配だろうが。賭郎に連絡するか……。
11
カジにメッセージを送ると「余計な心配しなくていいですから。今スマブラ中なんで」と返信があったあと未読スルーになった。せっかくお屋形様の身の安全を心配して連絡したのに、意外と薄情な男だ。 俺がメールを確認しているあいだに2人の勝負は終わっていた。というか不測の事態で中断した。最後の100円を入れて嘘喰いがクレーンを下ろそうとした瞬間に1匹の真っ白いヨークシャー・テリアがゲームコーナーに入ってきて、嘘喰いの両脚の間を走り抜けた。 「キャンッ!!」 悲鳴を上げたのは犬ではなく嘘喰いだった。その声に驚いた犬の口から光るものが飛び出し、切間の足元に転がった。例の盗難にあったダイヤの指輪だ。切間はそれを拾い上げると次の瞬間ゲーム機のクレーンが宙を掴んで元の場所に戻るのを確認した。 「君の負け」 「ちがう! 今のはノーカウント!!」 「ダメだよ、勝負は終わった」 「無理無理、犬が乱入したら勝負は無効でしょ」 「そんなルールは決めてない。だから立会人がいないとダメなんだ……貘さんと勝負すると本当めんどくさい……」 「はい?!?」 ふたりが揉めているあいだ犬は俺の脚に両手ですがりついていた。かなり興奮していてヨダレを垂らして俺の脛に顔を擦り付けている。飼い主らしきと船員達がやって来て俺の足にしがみついて恍惚とした犬と切間が持っていた指輪を回収し、嘘喰いと切間も喧嘩をしながら去っていった。 ゲームコーナーには再び静寂が戻り、俺の足元には犬のヨダレで湿度と光沢を増した革靴だけが残された。
12
「俺のフェロモンに動物もメロメロって訳だ」 「アホですね」 「何だって?」 「いちいちそんな事で電話してくんのやめてください。それに聞きたいのはフロイドさんのモテ話じゃなくて貘さん達の秘密なんですけど」 「あーそれな。まあ、あとちょっとだな」 「さすがの陰謀屋も今回は無理っすかね」 「あとちょっとって言ってるだろ!! それに陰謀屋ってなんだよ。俺は陰謀売ってる訳じゃないぞ」 「怒鳴らないで下さい。マルコが起きちゃうじゃないですか。もう切りますね、みんな待ってるんで」 「まだスマブラやってんのか」 「深夜の方が人が増えるんですよ」 「……俺は誘われた事ねえな」 「やるんですか? スマブラ」 「誘われたらいつでもウェルカムだ」 「あ、カールさんも入ってきた。じゃあがんばって!」
To be continued...
おまけ
深夜の賭郎スマブラ大会オンラインメンバー (スマブラやったことないホテルインフェルノの勝手な使用キャラ妄想)
レギュラー:ちゃんみだ(ピーチ)、カジ(ヨッシー)、マルコ(カービィ)、銅寺(ロックマン)、紫音(ピカチュウ)、亜面(ジョーカー)
たまに参加するメンバー:カール(ソニック)、門倉(リュウ)、南方(サムス)、巳虎(ネス)、信男(プリン)、のぶ子(スネーク)、ヰ近(カズヤ)
巳虎は父がいない時だけ参戦する。銅寺が亜面を誘って、亜面がヰ近を誘った。ヰ近はたまーに参加して翌日ちゃんみだにうざがらみしていやがられる。
(221222)
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hazuqu · 1 year
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ちゃんげろソニック2022 「マトリョシカ」背景映像
イラスト: しづ
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Yuriko Tiger instagram post 6/21/2022
父の日(遅刻) 🇬🇧Happy Father's day! (IG is bugging itself a lil bit so imma post the Vi pic again soon..)
To him, the hero of my life! He reached me that giving up it's never a viable option and, even when everything turns grim, you'll cry some tears but then you'll get up once again. "be your own leader. Never let anyone boss you around." Always with such a gentle heart, while being so strong. Maybe not everyone knows that, but it's thanks to him that I grew up so obsessed with Japan.. Making me watch Akira, Ghost in the Shell, Inuyasha and many other anime during night time, buying me my first console while 3 years old, being the gateway for Sonic, Tekken, Dead or Alive, Metal slug and many more.. And also with so many cuties on them, hahaha!
I wish that one day I'll manage to get you here with me, too. —————————————- 🇯🇵日本が好きになったおかげです!彼にとって、私の人生のヒーロー!
あきらめることは決して実行可能な選択肢ではなく、すべてが厳しくなったとしても、泣いても、それからもう一度起き上がる教えてくれました。 いつもこんなに優しい心で、とても強いです。 アキラ、攻殻機動隊、犬夜叉などのアニメを夜に見させてくれ、3歳のときに最初のコンソールを買ってもらってソニックから鉄拳、デッドオアアライブ、メタルスラッグなどの玄関口になりました。 かわい子ちゃんが特に好きww なぜだろうねw —————————————- 🇮🇹Buona festa del papà! (Instagram sta dando un po’ di bug quindi ripesterò la foto di Vi tra poco.. 🥲)
A lui, che è il mio eroe nella vita ❤️. Mi ha insegnato che arrendermi non è un opzione ed, anche quando le cose vanno male, si piange e poi ci si rialza sempre. “Sii il capo di te stessa, non lasciare le redini a nessun altro.” Sempre con un cuore gentile ma estremamente forte. Non tutti lo sanno, ma è un po’ (un bel po’) colpa sua se mi appassionai al Giappone, in passato…. Mettendomi Akira, Ghost in the Shell, Inuyasha e altri anime a notte fonda, per poi comprarmi console a tre anni e da lì: Sonic, TEKKEN, DOA, metal slug a 5 anni. 😑😑😑😑 E tante tante gnocchette in giro hahahh
Spero un giorno di portarti portare qui a Tokyo.
#happyfathersday
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kiriusagi-ml · 1 month
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マリオ&ソニック AT 東京五輪
ストーリーモードクリア記念 備忘録
ストーリーって言うほど話はありませんでしたが(断言)前々から買ったからにはやっとこうと思ってたことを、まぁ図らずも…いや、時間はないんだけど、まあ元気もなくて。ゲームに元気をもらおうとやりました。ありがと。
東京といえば1964年以来の五輪開催でしたね。もう3年前になりますか。3年前なんです。それは置いといて、その2回目というところに着目してかつての五輪と現代��五輪、2つを楽しめるというゲームになっておりました。ストーリーも2つの時代を行き来する感じ。マリオとソニックがクッパとエッグマンに謀られ、ゲームの中に閉じ込められそうになったと思ったらおバカさんなので(朧気だけど)クッパ達も一緒にゲームの中に入っちゃう。それを見ていた(ハズの)ルイージがテイルス達と協力してゲームの外から助けようと奔走。一方ゲームの中では本人たちがゲームから脱出できる「裏ワザ」を使おうと奔走する2つの話を交互に楽しむ感じ。
その道中で色んなキャラとお話できるんだけど、マリオとルイージだけは喋らないんだよね。なんでやねん。ソニックとテイルスは喋るのに!通訳すな。
でも、マリソニのモデルって目がめっちゃ綺麗なんです。それが見られただけでも良しとします。皆の会話も見られるし。キャラゲーとして楽しませて頂きました。
ゲームとしては、相変わらずアクションが難しい。初見じゃあね!特に陸上競技の円盤投げあたりかな、あれがね〜…あと三段跳びとか?難しかったですね〜。各競技はミニゲームぐらいで、つまり、サクサク遊べるんだけど、やりごたえというかやり込みは流石マリソニシリーズ。続いてるだけあって整ってますね〜。よくやったリオは、陸上とかあまりなかった気がするんだけど、今回はシンプルに陸上あり、水泳あり、かつラグビーや卓球なんかもある。
1964の方でもバレーやマラソンなんかもあったりして。なかなか歯ごたえのあるゲームバランスでした。楽しいけどもういいかな…パーティゲームなので1人だとあんまり続きません。皆とやりたいやつだね。
一つ気になったところは…ドットの解像度が違いすぎることかな!マリオさん達、ワールドあたりでいいんじゃないすかあれは。せめてマリオ3ぐらいにしてくれ…と笑ってしまった。ソニック達のドット細かいんだよね。それと初代スーマリのマリオさんですよ?荒さがさあ…笑っちゃうのよ。
ともあれ。ゲームとしては4年越しに、ようやく気がかりのストーリーを終えられて満足です。ありがとうございました。今年はもう五輪だね。
あ、東京の話をキノピオたちの視点から聞けたのも楽しかったよ。
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strabin · 4 months
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2024/01/24の更新で、ビクターとガンジの新規ボイスが追加されたよ!!!ビクターの絵は力尽きて描けなかったよ……ごめん。
 ガンジの声、ソニックとイタカがたまに出てきて面白い。  誕生日の手紙で荒れ狂ってる描写が大量にある割に、今まで実装されてたガンジのエモートの声はけっこう静かだったから「今回も静かなのかなー」と思ったらすごくはしゃいでた。かわいい。  躁というより躁病になる前の健気な男の子って感じがして微笑ましいのと、どうしてこう(躁病で大暴れしてとても苦しんでそう)なってしまったんだ……っていう現実とのギャップで頭を抱える。  あと、恥じるを持ってないのでネットで動画を見てきたんだけど……あれは規制されませんか、あの、年齢指定……(やめろ)
 ビクターの自信なさげで照れ笑い(?)してるところとか、リップ音が無い投げキッスとかかわいすぎた。驚いて裏返った声とたまに発する「んぅ」みたいな声が大好きなので、花火の声とか色々すごく嬉しい。  イェーイとか言うの意外だった。そのあとに小さく「ぁ…」って言う声がかわいい。  4年目のエモートに声が無いのはちょっと寂しかったな……でも(多分ウィックの声の収録とかが必要だからとかメタい理由でついて無いとは思うけど)ゲーム本編の"無音"な彼を表してるようにも思えてエモを感じた。
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segnoan5 · 5 months
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ちゃんげろソニック2022 背景演出映像製作
「シル・ヴ・プレジデント」
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makinosena · 9 months
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顔も本名も知らなくったって俺ら友達だろう?/ちゃんげろソニック2022【誕生日記念に豪華注目歌い手で大合唱してみた!】
動画制作担当しました!
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getrend · 2 years
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【ホロライブ】ころさんとソニックが一緒の世界に居るのすげぇ…
ピックアップブログ – 【ホロライブ】ころさんとソニックが一緒の世界に居るのすげぇ… 【ホロライブ】ころさんとソニックが一緒の世界に居るのすげぇ… Source: 5ちゃんねるまとめのまとめ
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mari8log · 2 years
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2022/09/14
『ソニック・ザ・ムービー ソニック VS ナックルズ』を観に行きました。ソニックの知識は悠木碧のヘキの一つを担った作品、という偏った情報のみです。
感想は「おもしれエエエエエエ!!!」でした!洋画のいいとこどりをした作品。私が知っている俳優(ソニックさん)が主演の王道洋画!といった具合でした。
強盗を追いかけるシーン。気持ちいいテンポで街が爆発するしパトカーの事故も起こる。車が突っ込んできそうでキャーッと逃げるシーンも海外あるあるの絵面。その後ソニックの父親ポジの人間(中村悠一)が「ヒーローは自分一人が良ければいいってものじゃない」とソニックを諭すのも海外ヒーローモノあるあるの展開。挿入歌とともに踊ったり泡風呂に入ったり部屋を散らかしたり、なにもかも王道。私は今洋画を見ている!!!!その高揚感で胸がいっぱいに。
EDクレジットを見る限り挿入歌は10曲以上ありましたよね?挿入歌とともにいけてる感じで歩き回るのは洋画あるあるですがこの映画は特に景気良く挿入歌がバンバン入って楽しかったですね。
敵役(山寺宏一)とその下っ端も良かったな〜…。ラテに二人の絵を描いてウットリする下っ端のシーンなに?あと結婚式をメチャクチャにされて「殺してやる!」「シメてやる」を連呼する花嫁のパンチ力が凄い。たぶんソニック本編にはいないキャラのはずなのにインパクト大。
テイルズはずっとかわいい。ナックルズは最初敵役だったけど山寺宏一に裏切られてソニックの仲間になってくれるこれまた王道展開でニンマリ。ソニックテイルズナックルズの信号機カラーが協力して山寺宏一メカを倒すのも王道。後日談で野球をやりアイスを食べたがるナックルズもアホでかわいい。
全体的に洋画テイストが強いのですが山寺宏一の乗るメカはどことなく鉄人28号系のデザインでジャパンへの敬愛が表れてるのかな?と思いました。真実は知らん。
あまりにも面白かったのでソニックの映画を観るきっかけになった茶々さんに感謝をしつつ「もっとしっかり宣伝しろやSEGA……」という恨みで複雑な気持ちになりました。海外ではメチャクチャ人気な印象だし日本でもマリオ&ソニックとかスマブラとかに参戦していたりとかで知名度はあるはずなんですけど…まあ私はそのどちらもやったことはないですが……。
明日木曜日でうちの映画館は放映終了です。地上波でもやるか怪しいレベルの興行収入ですが、地上波でやるのなら絶対見るしこの面白さが続くなら(おそらくある)続編も観に行くと思います。ソニック、ありがと〜!
これは特に関係ないブラピのサイン。シンプル。
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lycoris0305 · 2 years
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テニプリってい〜いな〜 ボクのす〜べてさ〜
ということでTAKESHI KONOMI Presents『テニプリ☆ソニック2022-おてふぇす in 日本武道館-』に行ってきました。
テニプリのイベントは以下のように色々ありますが
・100曲マラソン
・おてふぇす(オールテニプリフェスタ)
・テニプリフェスタ
・BEST FESTA‼︎
・ドリームライブ(テニミュ)
武道館でのライブは2016年のテニフェス合戦以来、実に6年ぶりではないでしょうか(!)。合戦の時は��谷の代わりに福���が来てくれたり、あらやん観れたりと嬉しかった思い出ですね。
今回のテニプリ⭐︎ソニックはテニス史上初の試みで夏フェスという位置付け。前半は歴代テニプリOPED曲×テニプリアーティスターズとキャラクター声優がキャラソンを一緒に歌ってくれるという、「ああもうこれ今日で死んでも良いわ」と思える内容。特にコロナで中止になったテニプリアーティストライブを回収する流れで、総監修者(許斐剛先生です)の全方位に向けて愛と配慮がすごいのよ。※公式セトリはここにあるよ、振り返っていくよ
冒頭、「You gat game?」のイントロが流れた瞬間腰砕けましたワ。きめる×さちんの「真夏の雨」、UZA様と直純の「ENJOY」が特に良かったです。「エンジョイ!ヘイ!ついてこいよ〜やりたいことやればいいのさー」って歌詞が最高に丸井ブン太なのよ。直純は昔に比べて割とブン太を可愛く演じられることが多くなった気がするのだが、私の中では丸井はテニスで一番漢前な男なのよ。ほんで許斐先生のパートを挟んでからの宍戸の「1 FOR 214」良かったね〜〜。楠田さん×宍戸の氷帝への爆重感情が溢れていてね泣いちゃった。氷帝のおたくではないんだがテニスの王子様通ったおたくってみんな氷帝の夢小説擦り切れるほど読んでるじゃないですか。なんか感情入ってしまう。「Season」も漏れなくイントロで泣くのでね。こういうの涙腺にくる歳なんですよ。
そこからの「That's Anather」。この曲の勝手な自己解釈なんですが、退院後の幸村くんが闘病中の幸村くんに語りかけるように歌っているようにも思える。「誰かのためじゃなくてありのままの気持ち」で歌う幸村精市くん、心が洗われたしようやく私も手塚戦からすっきり気持ちを切り替えられそうです。
そして中盤、「青学テニス部に捧げるヤッホー」のにくい演出を皮切りに、テニミュ×アニメ声優のターン。怒涛の大盤振る舞いに「あ、これ今日死ぬやつ」と確信して腰砕けでボコボコにへこむし、涙は出るし情緒が訳わからんくなってました。「Orange」おまえは越前リョーガなのか?宮野真守の血縁なのか?合いの手や少しキザな振る舞いも含めて、越前リョーガ!お兄ちゃん!!!!
ぴかリョとらいまの「50/50」もうはい、ありがとうございます。個人的にトラウマがあり四天ミュはそこまで数入らない&その公演だけ円盤買わずに観てたタイプなんですけど「こいつをやっつけたい!」が見直したくなって、公演後にポチってしまった。あとぴかリョのキャラソン歌う時の歌声が2004年ごろの皆川純ちゃんリョマ声にそっくりでたまげました。
「ゴンタクレ」名曲ですね。縦横無尽な金太郎の心のうちに燃える闘志。大好きな曲をゆうちゃん×らいまが歌うってなにこれ夢?からの「勝ったもん勝ちや」はい、金太郎ファンが全員昇天してました。お疲れ様でした。最高って最高ですよね(?)。
か〜ら〜の〜!手塚跡部のターン。「チャームポイントは泣きボクロ」解釈300点満点でしたねーーーーー。階段に座るところマジで原作。そして、ラケットをマイクにしてお歌を歌われる跡部景吾ぼっちゃま(14)でした本人でした。対して和樹の跡部は初期の頃のヒールっぽさが残っていてそれもそれでとても好き。「ブギウギ」からの「俺様の美技に酔いな」ここで死人が500万人でましたね、各所から悲鳴漏れてました。漏れるわ。
テニミュに関しては、わたし初代氷帝時代に現場デビューしたテニミュ1stの亡霊(きらきらミトン世代)なので16?年ぶりくらいの生「一騎討ち」聞けて、あとドリライ3rdでギャン泣きだった「夢をつなげ」も聞けて今まで生きていて良かったって改めて思いましたね。しろたん和樹来てくれてありがとう。偉大な功績を残した3rdレジェンド阿久津仁愛くんも、いつか戻ってきてくれてOBリョーマとして歌う姿がみたいですね。ぜひそんな場をご用意いただきたい。
MC開け「テニ★パラ」からの、来るだろなーと思っていたサマバレ発表!手塚跡部のおたくおめでとう〜〜!!跡部景吾って「大好き」どころか「行くぜ、愛してる(爆美声)」って言ってくれそうじゃないですか?毎年サマバレ全部コンプリートしているので、今年も2枚買うの楽しみにしてます!個人的には乾貞治ソロ+柳蓮二ソロの2枚同時リリースを心待ちにしておりますので、来年お待ちしております。あとはそろそろ比嘉と四天かね。
テニプリアーティスターズの皆様は各々熱すぎて、ん?JAM projectのライブに来たんか?と思いましたがよかったですね。あと新テニOPの「未来の僕らへ」好きなんすよ。癖強くてよくない?聞けて嬉しかったわ。「ピスマ」美佳子美佳子美佳子〜ってなったし、青とピンクに星のペンライト、忘れられない光景でした。あと「DISPECT」まさかの?!サプライズで不二先輩と赤也殴り込みに来たらどうしようかと思いましたが耐えました。ディスペとレザビはベスフェス立海思い出します。ほんで成ちゃん。成ちゃん、新曲歌うなら初めに言うてもろてw ペンラ振りながら「知らんこの曲」てなったんや。タカさんも愛ある楽曲に恵まれ具合半端ないですよね。成ちゃんと樽ちゃんの顔見ると実家に帰ってきた安心感がある。
アンコールは、びっくり「ディスタンス」!ハグしてくれ〜BIG LOVE。テニミュみにきたんか?これでチケット1万は安すぎてせめて3万く��いにしてくれ。そこからのサプライズARリョーマの「fight to the end」。リョーマの曲で一番好きです。♪受け継いだこのた〜ま〜し〜い〜を〜の「た」の掠れた歌い方が性癖すぎてたまらんねんわ。いやいやいや許斐先生、許斐剛て。サプライズ言うてますけど、全然内容わかりまへんねんw困惑のこるサプライズが相変わらずの許斐剛先生なのでした。さすが、漫画家時々ハッピーメディアクリエイター。
最後に新曲「テニ⭐︎サマ」と定番の「ラブフェス」ラブフェス聴くと全員泣くよ。仕方ない。早く全力でコールしたいね。
これだけ、アーティスト、声優、ミュージカル俳優、先生の歌盛り沢山で聞くことができてMCだれることもなく、大満足でした。テニスに捧げた青春(人生)。誰しもが満足できる圧巻のフェスだったのではないでしょうか。最後に言わせてください。
テニス最高セイヤー!
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monk-tsujido · 2 years
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6/19(日) ・ いいお天気の日曜日☀️ 本日は13:00〜22:00で営業しております。 本日はまだどの時間帯もお席に空きがあります。 愛ある食卓 @aiarushokutaku の扱うお野菜はソニック(新玉葱)、じゃがいも(キタアカリ、男爵、メークイン)があります🥬🧅🥕🥔 お買いもののみでもお気軽にご利用くださいませ😊 ・ オーストラリアはヴィクトリア州のコンピラ・マル・ワインズの新着ワインはなんと330mlのかわいい瓶で登場です🍷 ↓はインポーターさんの文章から引用しています。 ・ このワインシリーズは、「グース」という名前を持つ不運な事故で映画界を去った3人の脇役俳優に捧げるワイン。そして、がんばっているが報われない全ての人々にもこのワインを捧げます。 ・ 白、赤、ロゼ、3種類ありますので、お一人様はもちろん3種類をみんなでシェアも楽しめます👍 ぜひぜひお試しくださいませ🎶 ・ ご予約、お問い合わせは0466-66-6409、またはinstagram、メッセンジャーまで、お待ちしてます🎶 (Auto Reserveでのご予約は承っておりません) *ハヤシコウさんデザインのMONKの4周年ポスター、好評販売中です‼️ ・ お店の営業時間にかかる音楽をイメージして作ったプレイリストがApple music、Spotifyにてお聴きいただけます🎧 最新版の選曲はインストゥルメンタルのみ、バーバリックワークスのビールの名前の元ネタにもなっている"WHISTLE SONG"も収録です。 ぜひお楽しみくださいませ♬ ・ Apple music↓ https://music.apple.com/jp/playlist/instrumental-mood-13-00-22-00/pl.u-06oxDWAIWX3z8rG?l=en ・ Spotify↓ https://open.spotify.com/playlist/7cSS00XIJZ1N50TTpdzU9G?si=1qjyfyObQ1iwpAVvD2Nd2g ・ ・ ・ #monk #monktsujido #辻堂 #辻堂ランチ #辻堂昼呑み #辻堂アペロ #辻堂ディナー #vinnaturel #vinonaturale #naturalwine #craftbeer #finefood #愛ある食卓 #konpiramaruwines #goose #winytokyo #claudettesoares #claudetteno3 #御酒vin帖 #お一人様歓迎 #お子様連れok #辻堂ワインバー #辻堂イタリアン #スナック跡地 (MONK Tsujido) https://www.instagram.com/p/Ce-Op4tPGcG/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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hazuqu · 2 years
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ちゃんげろソニック2021 「ローリンガール」背景映像
イラスト: チェリ子,  八三,  のう
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homo801 · 5 years
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11.05.2019 10 years memories. นิพพานแล้วที่เห็นพวกเขาขึ้นเวทีเดียวกัน ร้องคู่กัน 😭😭😭😭😭😭😭 蛇足、 【蓮】、みーちゃん、けったろ、clear、nero、ぽこた、ASK etc. #ちゃんげろソニック2019 (at お台場野外特設会場) https://www.instagram.com/p/BxU3t0eJ5ITFNUVzfgpam7RttawKpnc98Wkbr00/?igshid=1od0axxpk83fv
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segnoan5 · 5 months
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ちゃんげろソニック2021 背景演出映像製作
『うっせぇわ』
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makinosena · 3 years
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ちゃんげろソニック2020 VJ映像と映像チームの統括をさせていただきました!! 私が実作業した制作担当映像 OP、ED 歌ってみたのうた ロミオとシンデレラ S・K・Y 君に届け 歌に形はないけれど GOLD magnet Mind Craft Blessing 映像チームで制作した本数は 合計29本でした。(OP・ED除く)
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