Tumgik
#雨だったから並んでいなかったのかも。ラッキーでした!
yuko-a7 · 11 months
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天ぷら
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2023.7.2
昨日の午前中、「市谷の杜 本と活字館」を満喫した後は御茶ノ水へ。
次の目的地(どこかは次の投稿で…)は13時から見学可能なので、その前に昼食を。一緒に回った女の子が、「気になっているけど、いつも行列していて入ったことがない」と言う天ぷら屋さんへ。
私が行列嫌いなことを知っている彼女は『土曜の12時過ぎなんて絶対に並んでいるはず。他のお店に行くことになるな…』と内心諦めていたそうですが、なんと一人も並んでいない!
さっと席に案内され、天ぷら定食を注文。サクサクでとても美味しかったです♪
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こちらのお店、江戸川乱歩先生も通ったそうで店先には写真が飾られていました。今の建物は昭和2年に建てられたそうですよ!
私達が座った席の壁にも年季が入った一枚の色紙〜10人超の寄せ書きが飾ってあったのですが、隅っこに『緒形拳』の文字が。
緒形拳さんがこんな端に書いているということは、他のメンバーは大御所だらけのはず…と眺めるも、サインの為、『司葉子』『松本幸四郎』ぐらいしか解読できず。最後の「鈴」は読めるけど後は…というサインもありましたが、分からないままお店を出ました。
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bastei · 1 year
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2022
夢を見るには眠すぎる
 目が覚めると外は一面の雪景色に変貌していた。「すごいって、早く会社行って雪かきした方がいいよ」と妻がいう。もう少しだけ布団の中でグダつきたい。隣で寝ている息子の顔を眺めていたいけれども、妻のいうようにぐちゃぐちゃになった顧客用の駐車場のことを考えると、もう嫌な気持ちでいっぱいになった。この季節は全部マイナスからスタートしていくのが嫌だ。たとえプラマイゼロまで持って行っても、くだらない書類の空白を埋めていかなければならない。寝息を立てている息子のさらに隣で寝ている娘の顔を覗き込むと、私に気づいて信じられないくらい笑顔で笑っている。妻は先に目を覚ましており、蛍光灯もつけず私のお弁当を作っていた。これから始まる絶望的な季節、金にならない労働が幾分か頭をよぎっているようだった。だいたいこの時期になれば”こんにちは、雪です。一年ぶりですね”といった具合に簡単な挨拶にくるものだったから油断していた。”あー降ってきやがったなー”と思った翌日には、特殊作戦群が扉の前に"ステンバーイ…"と待ち構えていた。
繋がりとか縁とか言うとちょっと恥ずかしい
 ここに集まった人みんなは"何かのご縁"で集まっていると思います。今日を迎えるにあたって、僕とイトーくんの縁はなんだろうと考えました。出身も違えば大学も学部も違うし、サークルも違うし、仕事も趣味も多分違うし、多分国籍が一緒くらいなもんで、たまたま今から10年以上前にいった神楽坂の竹子——ほんとうにひどい飲み屋ですよ——の一角でたまたま隣のテーブルに座っていて、たまたま私の元カノの友達——それも2、3回しか会ったことなかったんですよ——といっしょにいて、酔った勢いで話しかけてみて、そのまま仲良くなるという縁が、ここまでずっと残るとはあの時思わなかったです。今になってみれば何であの飲み会行ったかも、逆になんで自分があの飲み会誘われたかも今ではよくわかんないし、もうすこし気持ちが乗らなかったら外に出なかったかもなーとか、竹子のビールがもう100円高くて上等なものだったらあそこまで酔っ払ってなかったかもなーとか、その後なんとなく皆んなで東京タワーまで歩く気分にもなってなかったかもしれないです。なんというか僕はラッキーだなーと思ったんです。
 そうして思い返していると、一緒にいると楽しいかもとか面白いことがことが起こるかもしれないという予感のようなものが縁だったのかなーと思うのです。よくわからん人付き合いには、ふわふわと縁なんて言ってヘラヘラ誤魔化してしまうんですけど、今日はもう少しだけ踏み込んでみるとあの時確かに"いい予感がした"んだって、やっぱり楽しいそうだなって予感が、あの時したんだと思います。みなさんも、お二人も、きっとそうじゃありませんか。
 そして、その元カノの友達はイトーくんと飲んだくれているうちに、今では直接の大事な友達として、今日まで仲良くしています。彼女はいまロンドンにいて、ここに来ることができませんでしたが、手紙をいただいておりますので、代読させていただきます。
Hからの手紙を読む
 結びになりますが、今日はお招きいただきありがとうございます。奥様とは今日初めてお会いしますが、二人が本当に愛し合っていることが身にしみてわかって、すごく嬉しいです。イトーくんをよろしくお願いします。今日は李賀のように飲みすぎるなと妻から釘を打ち込まれておりますが、たくさんお酒を飲んで、仲良くなって楽しい気持ちで帰りましょう。こんにちの縁が、美しい予感が、ずっと続くことを祈念しまして、お祝いのあいさつとさせていただきます。
手紙の中で語られた、昔イトーくんが酩酊状態で突如として朗読した李賀の漢詩
琉璃鍾 琥珀濃 小槽酒滴眞珠紅 烹龍炮鳳玉脂泣 羅幃繍幕囲香風 吹龍笛 撃鼉鼓 細腰舞 況是青春日將暮 桃花乱落如紅雨 勧君終日酩酊醉 酒不到劉伶墳上土
ガラスの杯は濃い瑠璃色に輝いている。 小さな桶から酒が滴って紅の真珠のようだ。 龍を煮、鳳を包み焼きすると、玉の脂がジュージューと泣くようにこぼれる。薄絹の帳と刺繍した幕にいる囲まれた中に、かぐわしい風がそよぐ。 龍の笛を鳴らし、ワニ皮の太鼓を打ち、白く美しい歯の美女が歌い、細い腰をくねらせて舞う。まして春だ。日はまさに暮れようとしている。桃の花は乱れ散り、紅の雨のよう。 君に勧める。一日中、ぐてんぐてんに酔いたまえ。かの劉伶でさえ、墓にまで酒を持ってはいけなかったのだ!
今年生まれてきた娘についてのごく個人的な考察
 兄妹そろって妻寄りの顔つきなので、3人並んでいると本当にそっくりだなーと思う。加えていえば、妻は3つ子なのでこの世に似ている顔が6つあることになる。ややこしい。
じゃがいもについて
「ねえ僕は実はさ、じゃがいもってあんまり好きじゃないんだ」
「えっ?! どういうこと?? 私むしろ入れるようにしてたんだよ?お腹いっぱいになるかなって思って、それも結婚してから5年もたってるのよ?本気で言ってるの?」
「そうなんだよ、そこなんだよ、だっておなかいっぱいになっちゃうじゃないか。それだけでおなかいっぱいになっちゃうのが僕はダメだったんだよ実は」
「飢饉かよって思ってしまうんだ。いや、フライドポテトとかは別になんともないし、なんというかコロッケとかはむしろ好きなんだ」
「めんどくせー男だなオメーは。むしろなんにでも入れてたわ。これでもかってくらい」
「汁物に入っているやつが、なんか違うなってなっちゃう。いや、食べるよ別に、なんていうか食べれないわけじゃないんだ」
「同じコストでいろんなもの食べたいんだよ。人参とか玉ねぎとかは同じ量食ってもお腹いっぱいにならないでしょう?他のものも食べれるわけよ、米とか」
「ところがじゃがいもってマジでお腹いっぱいになるじゃん。��っき道の駅で買った郷土料理の汁物のなかに死ぬほどじゃがいも入っててさ、これじゃあじゃがいもじゃんって思っちゃって最低だったマジ。それでやっと気がついたっていうかさ、じゃがいもそんなに好きじゃないって。好き嫌い殆どないからさーあんまり考えたことなかったんだよ。いままで。そもそも山菜汁にじゃがいもいれてくるあたりセンスないよ。あの店潰れるぞ。僕は山菜が食べたいよ」
「ポトフはよく食べるじゃん」
「ポトフはギリギリ許せる。味がするから。嫌いなわけじゃないんよ、普通に食べるし」
「めんどくせー男だなーーーマジで」
「カレーは?」
「カレーはじゃがいもっていうかカレーだからイケるな」
「5年も真顔で好きでもないじゃがいも食べるのやばいって」
「そういうの早くいってよ」
今年買って買ってよかったもの
小型のマッサージガン マツダのcx-5(ディーゼル4WD) デスストランディング(いまさらプレイして最高傑作だった)
この記事は2022 Advent Calendar 2022の5日目として作成されました。前日は nobokoさん、明日はまとさん⭐️🇶🇦さんです。
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misoyo-happy · 2 years
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お疲れさまです(^^)/ 今日もスポーツクラブに行ってきたよ!在宅勤務だったので、早く行けたの。前と違って、マシンエリア24時間営業だから、いつでも行けていいねd(^_^o) 18時くらいに行ったんだけど、駐車場も空いてたし、マシンもまぁまぁ空いてた。でも19時くらいになったらマシンが混んできたの。この時間は混むのね〜。在宅勤務の時は早めに来るべし!と思ったわ。 そしてお風呂入って帰りが20時半前かな。駐車場が満車で並んでたの!何か対策しないと苦情が来るんじゃないかな〜って思ったよ。第二駐車場もあるらしいんだけど、少し歩くんだって。私は徒歩だけどね。 移転前からの顔見知りの人に会って、お互いに、前の人と会えて嬉しいね〜♪って話をしたの(*´∀`*) あと、マシンの使い方を教えてくれたスタッフくんが私のことを覚えてて、話しかけてくれたよ♪ そして、今日も雨に降られなかったの。ラッキー! 明日は休館日です。 #スポーツクラブ #移転オープン #flower #hydrangea https://www.instagram.com/p/CfoVFYtrmRu/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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stran0505 · 22 days
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20240501〜02
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GW数日前に、夫から提案された旅行は〈片道15時間の出雲大社行き〉か〈片道6時間の黒部ダム行き〉
夫は相棒🐶も一緒でないと嫌なので、移動は車一択。出雲大社はきちんと前々計画立てて、相棒は実家に預けて飛行機で行こうと説得。黒部ダムは調べるとペット入場禁止なので即却下。
では何処へ行くかとなり、私が個人的にいきたかった益子陶器市へ行く事に。いえーい!
1日
私は朝から植物の薬散をし、夫はゆっくり寝て、10時半ごろ出発した。大きめのSAはいちいち寄って、あれこれ食べたけど写真はない。笑
この日向かったのは喜連川のペットOKの旅館。古い宿だが美人の湯だそうで、それだけで嬉しい。
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到着してからまずは旅館周りを散歩した。小雨降る中、外を出歩いてるのは犬連れだかり。笑
部屋に戻り、温泉に入り、たんまり夕食を食べ、寝る。
最高。
2日
朝風呂、朝食、散歩を済ませ、いざ陶器市へ。
会場に近づき増える車。駐車場は満車満車が続いたが、会場真ん中で丁度駐車場から出る車があり、入れ違いで大きな欅があるお店に停められた。ラッキー♩
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遂にワクワクの陶器市♩
会場にはテントがずらりと並んで、これは大変だぞっと気合を入れた。が、私はモノのストライクゾーンが狭いので、パッパパッパッと見て回った。そんななので、私は買い物1人でしたい派。逆に夫はモノにこだわり無いので、私が1ゾーン回る間は丁度良い日陰で相棒🐶と休憩☕️し、また次のゾーンに一緒に移動、と言う感じが我が夫婦の定番スタイル。こーゆー時、夫とは相性いいなぁとよく思う。
私が一回りして夫の元に戻ると、毎度色んなワンちゃんとご挨拶していた。夫なりのイベントの楽しみ方。笑
素敵な器を買い、色んなワンコと触れ合い、美味しいものを飲み食いした陶器市での写真はほぼ撮っていない。笑
楽しんでるとそんなもんよね。
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半分回って私は満足したので、会場を後にした。
近くの〈道の駅ましこ〉でお昼ご飯。新しくとても綺麗で開放的で眺めの良い最高の道の駅だった。写真は無し。笑
そこで家族友人へのお土産も買い、帰路に着いた。
ゆったりとした一泊二日。これぐらいが丁度良いな。GW後半は、またお花を眺めて過ごそう。
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2022f · 10 months
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20230805
zhtqQiNieS3SwNI:藤巻亮太@宮城 石巻川開き祭り100回記念!!スペシャルイベントにブルーインパルス✈そして亮太くん✨感動しすぎてブルーインパルスの写真全然撮れてないwwライブは整理番号あるのに全く意味なしの並んだもん順。真正面2列からフォロワーさんのおかげで最前列に!!!近すぎて死んだ❤ 続➡ pic.twitter.com/pGyFTGGKw6 [https://twitter.com/zhtqQiNieS3SwNI/status/1687819175350476800] jwave:「さあ話そう」 冨田ラボ FEAT.藤巻亮太 22:03 amazon.co.jp/dp/B09LP7D6L9 [https://twitter.com/jwave/status/1687814639395196928] hiroko_fujimaki:リハの時にも遠くまで響き渡っていたので、このライブは今回の #石巻川開き祭り に来ていた沢山の人たちに届いていたと思う✨ 私的には帰りの新幹線までに時間がなくて綺麗な花火を見ながら写真を撮ることも出来なかったけれど、石巻ならではの素晴らしいライブを観られて本当に幸せだった🎵 #藤巻亮太 [https://twitter.com/hiroko_fujimaki/status/1687814533778440192] Yocchan08403:レミオロメン藤巻亮太さんのライブ楽しかった(≧∇≦) #石巻川開き祭り #藤巻亮太 pic.twitter.com/ePxO0XxDtL [https://twitter.com/Yocchan08403/status/1687811369746542593] cheb0211:実は 中瀬が穴場スポットだった ディズニードローン お友達による 📷✨  藤巻亮太さんの歌 最高 (≧∇≦)b こちらは撮影NG #石巻川開き  ㊗️100回 pic.twitter.com/DYmFAztAHF [https://twitter.com/cheb0211/status/1687808320412020736] fun9zbs:中瀬で行われた藤巻亮太LIVE、野外音響とか大丈夫? 商工会に疑心暗鬼になっていたら後ろのトラック🚚に光り輝く文字が!  ✨KYORITZ✨  共立だ!共立様がおいでなすった! と絶大なる信頼と共に、頭の中のリトル私が小躍りしたw [https://twitter.com/fun9zbs/status/1687806087385522177] d22abeshu:3月9日😭#石巻川開き祭り #藤巻亮太 pic.twitter.com/2wNcvrDWUE [https://twitter.com/d22abeshu/status/1687794909150085120] mori_r05_2023:いやー藤巻亮太さんのライブ最高だった🥹  世代だから3月9日とか太陽の下とか泣けるよ  #石巻川開き祭り [https://twitter.com/mori_r05_2023/status/1687787604127981569] eimu_asuma:まあでも海の終わりで夏の終わりにしてから10月のマウフジテーマソングにはちょっと合わないかもな、ってなるのは分からなくもないけど、私はそれでテーマソングにしたミュージシャン藤巻亮太の感性が好きなので、そんなこまけぇこたぁいいんだよ!!ってなるので、ずっとSummer Swingをテーマ曲で!! twitter.com/eimu_asuma/sta… [https://twitter.com/eimu_asuma/status/1687787049326387200] hiroko_fujimaki:とりあえず亮太さん今日のセトリ🎵 (感想は後で書きます❗️😅)  1. 太陽の下 2. まほろば 3. 南風 4. スタンドバイミー 5. 光をあつめて(ハンドマイク) 6. 粉雪 7. 3月9日 8. 雨上がり  #石巻川開き祭り #藤巻亮太 pic.twitter.com/Gflagre24C [https://twitter.com/hiroko_fujimaki/status/1687784370365759488] 0xMIiTAx0:藤巻亮太さんのライブが押しちゃって、ディズニードローン始まったら みんな振り返ってドローン見始めたから 私めっちゃ亮太さんに手振った!!「聴いてるよ!見てるよ!」って1人でぶんぶんした( *˙ω˙*)و グッ!で、今帰りの電車から花火見てるw [https://twitter.com/0xMIiTAx0/status/1687780324380676099] cheb0211:藤巻亮太さんのLIVE終わったら中瀬からディズニーのドローンきれいに見れたよ [https://twitter.com/cheb0211/status/1687777705830608897] airuairu_yoshi:すごい藤巻亮太さんの生声響いてるー👏(*´○`)o¶♪ #川開き #石巻 [https://twitter.com/airuairu_yoshi/status/1687772754328911873] maron__onon:@EMI00860570 EMIちゃんお疲れ様〜☘️ 藤巻亮太のライブもあるなんて、豪華ね🎆 [https://twitter.com/maron__onon/status/1687772144636432384] show_boo_:藤巻亮太さん 『粉雪』 熱唱なう🥲✨ pic.twitter.com/kDlzwKQ06D [https://twitter.com/show_boo_/status/1687768968604631040] kenitch_rwy25:藤巻亮太ライブ中。 [https://twitter.com/kenitch_rwy25/status/1687762612162064384] d22abeshu:藤巻亮太さんの歌声が響く🎶#石巻川開き祭り [https://twitter.com/d22abeshu/status/1687762553618022400] yasumetal0325:藤巻亮太さんライブ待機 pic.twitter.com/BwKonGBadO [https://twitter.com/yasumetal0325/status/1687747872245395456] teburadeski1996:藤巻亮太さんのフリーライブ! pic.twitter.com/qNlyFnvxNM [https://twitter.com/teburadeski1996/status/1687746074952499200] hiroko_fujimaki:もうすぐ入場🎵 ちなみにチケットの整理番号は入場の順番とは関係ないとのことなのでチケット持ってる方は早く並んだ方が良いです‼️ #石巻川開き祭り #藤巻亮太 pic.twitter.com/7smo92gfpk [https://twitter.com/hiroko_fujimaki/status/1687738582654676992] _skull5a9o8o9_:”愛のために” 奥田民生 X 藤巻亮太 youtu.be/ZsvOltrYPpI @YouTubeより   良い歌🎵 [https://twitter.com/_skull5a9o8o9_/status/1687728870601129984] 39_RF_223_030:@hiroko_fujimaki やばー٩(×̯×)۶🎶  藤巻亮太って書いてある(当たり前か💦) めっちゃリバーサイですねド🏞 花火の雰囲気漂う~~~✨️ 楽しみですね🥰 [https://twitter.com/39_RF_223_030/status/1687728856038576128] ToshMcgarden:藤巻亮太が歌ってるー! リハだけど泣けてくる… #川開き #石巻 [https://twitter.com/ToshMcgarden/status/1687723947062923264] kikicat_rancat:藤巻亮太のリハとアニソンでごちゃごちゃよ [https://twitter.com/kikicat_rancat/status/1687723759778869248] hiroko_fujimaki:会場到着❗️ 亮太さんめっちゃリハしてる‼️😆🎶 #石巻川開き祭り #藤巻亮太 pic.twitter.com/LS2C5ToYWR [https://twitter.com/hiroko_fujimaki/status/1687723683371196416] kikicat_rancat:川沿いに待機してるだけで藤巻亮太のリハが聞けてなんだかラッキー [https://twitter.com/kikicat_rancat/status/1687720839075266560] eimu_asuma:Summer Swingみたいな曲をたまに出すから(サヨナラ花束とかもそう)、藤巻亮太は侮れないなって思うよ。 twitter.com/eimu_asuma/sta… [https://twitter.com/eimu_asuma/status/1687719904122966016] misuzu_0402:藤巻亮太さん  (⁠^⁠3⁠^⁠♪♪♪  大切な人  youtu.be/Lr9-lXkSgfY [https://twitter.com/misuzu_0402/status/1687697573417779200] AshleyJeong0112:#REMIOROMEN  #remioromen  #レミオロメン #藤巻亮太 #前田啓介 #神宮司治 #今日の曲  🎼レミオロメン🎵🎶🎧 Have a nice day😍 ▪️▪️▪️with Remioromen▪️▪️▪️  🔸️song of the day🔸️ 🔹️今日の曲🔹️ ▪️深呼吸▪️  youtu.be/GdfVhnw7wjs [https://twitter.com/AshleyJeong0112/status/1687678990339973121] sleepdog052:@Shawn_the_SNKRS 仙台来ましたが、仙台七夕の前夜祭の花火と、石巻川開き祭りの花火も被ってます。 花火の見やすいし、ブルーの展示飛行、藤巻亮太のフリーライブ、ディズニードローンショーもあるから石巻まで足をのばそうか迷ってるところ🤔 [https://twitter.com/sleepdog052/status/1687676179216736256] yonyonsan_j:【出演情報🆕✨】  BLUE SKY HEAVEN 2023 by ハーレーダビットソン  🗓 2023.08.26 & 27 🏕 富士スピードウェイ 🎫 前売り ¥5500 / 当日 ¥6600  🎵出演 MONKEY MAJIK  藤巻亮太 GLIM SPANKY omoinotake ☆Taku Takahashi (m-flo, block. fm) YonYon DJ SHOTA  ✍️詳細 blueskyheaven.jp pic.twitter.com/RZPbHYTbLc [https://twitter.com/yonyonsan_j/status/1687672501491687424] hiroko_fujimaki:今日のスケジュールを改めて確認❗️ ライブの前にブルーインパルスも見れるかな⁉️ #石巻川開き祭り #藤巻亮太 ishinomakikawabiraki.jp/hanabi.htm pic.twitter.com/sEsNo8Msgm [https://twitter.com/hiroko_fujimaki/status/1687652719610499072] news_pia:◤BLUE EARTH MUSIC FEST 2023 IN MITO supported by 茨城日産グループ◢  SDGsをテーマに関東最大級の音楽とグルメの祭典が今年も水戸にて開催🎶  #石井竜也、#PUFFY、#藤巻亮太、#一青窈 ら出演✨  🗓️10/21(土)~22(日) 🎪ザ・ヒロサワ・シティ会館 大ホール  🔽チケット絶賛発売中!🔽 [https://twitter.com/news_pia/status/1687629496265125893] Ishii_Kofu:8月11日  #山の日 に、#藤巻亮太 氏と  #佐藤康弘 氏によるトークショーが開催されます😎  甲府駅前の #ヨドバシカメラ  5階で、カメラの魅力をお二人に話していただきます📸  #甲府店 で5000円以上お買い上げのお客様はどなたでも参加出来ます!  ぜひ早めのお申し込みを! twitter.com/CampStyle_ishi… [https://twitter.com/Ishii_Kofu/status/1687629017296580613] takuya_4_hama:川開き2日目ー。 今日は花火やら、ディズニーやら、藤巻やらと盛りだくさん。 最高に暑くて熱いですよ🥵 世界が平和でありますように…。 #川開き #石巻 #藤巻亮太 #Disney pic.twitter.com/9mu7H2hHoD [https://twitter.com/takuya_4_hama/status/1687628284526505988] kawabiraki2023:第100回石巻川開き祭り。今日は2日目。いよいよ19時40分〜花火大会が開催されます  ブルーインパルス展示飛行、藤巻亮太リバーサイドスペシャルライブ、東京ディズニーリゾートスペシャルドローンショーと盛りだくさんの一日になります  熱中症対策を万全にお気をつけてお越しください pic.twitter.com/mdioK9m27s [https://twitter.com/kawabiraki2023/status/1687603199606407168] kankohitachinak:▪️ 藤巻亮太氏の情報 ◯HP fujimakiryota.com ◯アカウント @Ryota_Fujimaki [https://twitter.com/kankohitachinak/status/1687595230584078336] kankohitachinak:ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー TEENS ROCK 2023 GP FINAL ×  JCIひたちなか30周年記念対談&ライブ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ミュージシャンの藤巻亮太氏をゲストに迎え、記念対談とライブを開催します🎉 #レミオロメン #藤巻亮太 リプ欄へ続く↓ pic.twitter.com/Yl4lqFrtXz [https://twitter.com/kankohitachinak/status/1687594597583859712] ryosasuke39:亮太さんは8月5日宮城県で石巻川開き祭りスペシャルLIVE🎤🎸  羽生結弦さん同様、被災地のことを思い続けています❗️  光をあつめて/藤巻亮太 youtu.be/QPlR83uTmqs  大地の歌/藤巻亮太 youtu.be/CVpVvSIr2aU [https://twitter.com/ryosasuke39/status/1687480273683058688]
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ohmxmx-photodiary · 11 months
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どうしてもトレドナに会いたくて3年半ぶりに一人でシーへ!真夏の一人シーはお酒飲んでドナちゃん周回してお酒飲んでドナちゃん周回して本当に最高。
2023年7月12日水曜日
トレドナ復活&ハグ解禁してから一度もシーに行けてなくて、ずっとずっとシーに行きたくて。ひとまず有給だけとって本当に行くかどうかずっと迷ってたけど、天気予報が晴れだったので急遽決行。チケット買う時に気づいたけど首都圏パスで安かった!7900円。10月からは土曜日1万円超えると思うとめちゃ安い。
運悪くこの日の前週から仕事がめちゃくちゃ忙しくなっちゃって体力も気持ちも大分落ちてて、朝起きられず。結局8時半に起きて11時にイン。
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見よ、この雲一つない青空を!
7月12日に有給をとった私、天才すぎる。7月中旬くらいまでは梅雨だろうし雨も覚悟してたのに、この快晴!立ってるだけで汗をかく暑さ。日焼け止めも溶けだしてくる暑さ。私が求めていた暑さ。とは言え、夏ってこんなに暑かったっけ?て毎年思う。
インして、園内を歩いているだけで既に幸せがこみあげてきてた。真夏に一人で、のんびりシーにイン。年パス持ってた頃を思い出して、あの日が帰ってきたみたいに感じて、あぁ、幸せだなぁ。
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インしたらまず飲酒。ジン&キウイ。いつも友達と行くと期間限定メニュー食べがちなのでここぞとばかりにギョウザドック。家からここにたどり着くまでに汗だくだくなので小休憩。あ、ドナルドのハンディファンも買った!!ずっと欲しかったやつ。LEDでいろんな色に点灯するって商品説明に書いてあったけど、まさかの1色ずつ点灯じゃなくて5色が移り変わって点灯するタイプだった。さすがドナちゃん、目立ちたがり。
そしてやっと!念願の!3年半ぶりの!トレドナ!!ウドチャのドナには何回か会ってるのに、トレドナ久々すぎてしかも一人なのも久々で緊張してなんも喋れなくて笑っちゃった。でも写真はめちゃくちゃ良かった(一番最初のやつ)。
そして2周目。並んでるときにお洋服整えに行くドナちゃんが「あ、またいる!」て指で丸描くような仕草してきて好き…ってなった。
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私「今日はドナちゃんに会うためだけに久々に一人で遊びに来たんだよ~」
ドナ「じゃあ今日はいっぱい周回できるね!」
私「そう、今日100周するから」
キャストさん「ちなみに今何周目?」
私「まだ2周目w」
ドナ・キャストさん「www」
キャストさんもまじって3人でお喋りする感じ、好き。そしてカメラを意識せずにお喋りしてる写真、大好き。昔みたいにキャストさんに動画お願いできないのは残念だけど、ほとんどのキャストさんはグリの間のお写真いっぱい撮ってくれてて本当に感謝しかない。嬉しい。
2周で暑さ限界のため酒休憩。
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ユカタンのカクテル毎回美味しい!!これはライチーミルク、めっちゃ美味しい。本当に美味しい。40周年のレモンタルトもめっちゃ美味しかった。なんかタルト生地が硬くなくてめっちゃしっとりしてて、とにかくめっちゃ美味しかった。また食べたい。
ドナちゃん3周目からの気分転換にミニーさん。並んでるときにお洋服整えに行くミキミニドナ見られてかわいかった。ドナちゃん、お尻から引っ込んでいったかと思ったら最後にもう一回お顔ひょこっと出して手を振ってきたのかわいすぎた。動画まわしてたのに画角にまったく収まってなくて悔しさ。
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ミニーさん、かわいい~~!!
わかっちゃいるけどなんでそんなにかわいいのか。他のゲストが写真撮った後ミニーさんに見向きもせずさっさと去ってしまったりしても絶対に投げやりなバイバイはせずに必ず最後まで、たとえ相手がミニーさんを見てなくても、ゲストの背中にむかって優しく手を振って見送るミニーさんに心がキュッ…となった。相手が気づいてなくても、ふふって笑ってるミニーさん本当に素敵女子すぎる。
2周で暑さ限界のため小休憩。
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愛しの寿司ロール~~!!
テイクアウトバイツの閉店時間が早いことを突然思い出した私、天才。寿司ロール、2つ食べたかったけど我慢。本当に寿司ロールだけは別腹。思い出すとよだれ出てくる。食べたい。あとこの見た目もかわいいグアバスムージー、めちゃうまかった~!スムージーというよりゼリーって感じ?結構お腹にたまる。でもめっちゃ美味しい。やっぱ夏の期間限定ドリンクはシーが最強なんだよな~!!!こうやってグリして飲んで食べてグリして飲んで食べてってまったり一人で過ごすのが好きだったし今でもやっぱり好きだな~って実感した。
そして周回に戻る。
100周するって言ったのに休憩ばっかりでまだ4周目だよ~って言ったら、なんで!ちゃんと会いに来て!って言うドナちゃん、愛しい。そして毎度去り際に「急いで!時間ないよ!早く!すぐ戻ってきて!」て急かすドナちゃんと爆笑しながら退散する私。
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この後すぐまた並んでて、お洋服整えに行くドナちゃんに手を振ったら「あ、また並んでるw」て指さして笑われて、もう!そんなことするな!大好きになっちゃうだろ!沼すぎる。トレドナは本当に沼すぎる。好き。本当に好き。うぅ。
この日、水曜日だったのもあっていつもより少し空いている雰囲気だったから、ずっとスルーしてたビリーヴを見ようと思って早めにグリは切り上げ。「今日はもうこれで最後だよー」って言ったら写真撮るときめっちゃぎゅぅぅぅしてくれてふぇぇぇだった。てかいつも脳死で全身縦撮りでお願いしてたけど上半身アップ横撮りでも撮ってもらえると知って感動した。絶対こっちのほうがいいじゃん。見てこのドナちゃんのきゅるきゅるおめめ。好き。
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久々に一人シーに来たからにはマジランとニモには行きたいと思っていたのでマジラン寄ってからビリーヴの場所取りへ。マジラン声出し解禁してた!めっちゃ嬉しい!シャバーンが「大きな声で!」「大きな声で!」て2回繰り返してたの、めっちゃ良かった。嬉しかった。
ビリーヴまで1時間半きってたので場所取りあやしかったけど、ギリギリ座り見の最後列。やっぱり空いてたんだと思うけどとてもラッキー。
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すごく良かった。ビリーヴの間だけ雨が降るという不思議な状況だったけど、雨の中のモアナがあまりにもモアナでそれまでどうにか耐えてたのが一気に溢れて泣いた。夢を叶えるのがメインテーマだけど、誰にだって躓くことはある、ことを伝えるためにマウイやエルネスト・デラクルスが出てくるところが個人的にはぐっときた。最後にドナちゃんが出てきて、たまたまドナちゃんの停止位置側だったんだけど、パージあんなに遠いのに一生懸命いっぱい手を振るドナちゃんかわいすぎて…。次から望遠レンズか望遠鏡を持っていった方がいい。てか一眼はともかく望遠鏡は絶対に持っていくべき。
ビリーヴ20:35終了だったけど諦めきれず最後にシーライダーへ。間に合った!!そしてラッコと抱っこ回だった!もう全部最高。本当に楽しかった。やっぱり一人で行くディズニーでしか得られない幸せがある。そりゃ友達と行くのも最高に楽しいけど、それはそれ、これはこれ。次はみどりちゃんと月末にランド!楽しみ~!!
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sachiko-aside · 11 months
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【修善寺虹の郷】
計画していた「伊豆パノラマパーク」が休業、と直前に分かった。 急遽行き先を変更したのが、 補欠の「虹の郷」。
東京ドーム10個分という広~い敷地に、イギリスの町並みやカナダの村や日本庭園があり、季節の花が咲いている。 花菖蒲がまだ見頃で綺麗だった。 アヤメや花菖蒲って、気づくと終わってるのよね毎年、好きなんだけど。
なにより一番良かったのが、客層が落ち着いていたこと。 外国人観光客や若者グループがいなくて、空いてて静かな空間だった。 万華鏡ミュージアムや、夏目漱石記念館、富永一朗館など、高齢者向けコンテンツが充実している。
かと思うと、日本家屋の中にコスプレイヤー向けの何かもあった。
今回残念ながら、静岡県まで行って一度も富士山見えなかった。曇ってて。 しかし、前日まで雨が続いていたから止んでラッキー、暑かった。
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toriik-blog1 · 1 year
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第3章 【その日を摘め】
Dyan:翼がなくても飛べる。じっとしていられない
Nexsa:翼がなくても飛べる。一人になれる場所がある
Sympan:翼がなくても飛べる。平和と友愛の世界を模索している。拳は硬い方。
声とはいうが、潜水艇のソナーに近い。
ダイアンは広範囲に発した声がぶつかった光りを感じた。あちらからもダイアンの声はよく見えているはずだ。
 その光に向かって再び跳ぶことが出来たたからダイアはラッキーだな、とグッと拳を握った。シンファンからネクサーの様子がおかしいがコンタクトが取れない、たどり着けないと聞かされて、もし石碑に引きこもっているのならさすがに干渉することができないし闇雲に彼のいるチャンネルを探すにも限界があると諦めるところだった。
 他人の不調にちょっと怖いくらいにすぐ気づくシンファンだけれど“秘密の場所”に跳ぶことがでずに困り果ててダイアンに相談を持ち掛けて、座標さえわかればどこへでも跳べるダイアンがネクサーの元へ跳んだ。
 これが結構手間なのだが、心優しく生真面目でけっこう気の短いシンファンの前でやる気のない素振りをするとたいてい痛い目にあう。苦しむ仲間を放っておくのかとビンタをされたり、負担を強いてすまないとエネルギーの過剰供給をされたり、ほかにもいろいろ。これは普段から余裕ぶってヘラヘラして余計な一言を言わないと気が済まないダイアンの性格のデメリットでもあるからシンファンを悪者にするわけにもいかないのだけれど。
 “秘密の場所”だなんてもったいつけているけれど、世界を作り出すテクスチャーの割れ目だとか並行宇宙の隙間だとか、そういうよくわからない温かな光の差しこむ場所でネクサーは繭のなかでしずかに眠っていた。その繭すらところどころ傷ついて赤黒く濁っていて、これはシンファンが放っておくわけがない、と苦笑した。
 「ネクス」
 と呼びかけても応えはない。みっともなく視線が震えて緊張を思い知る。きっと放っておいてもしばらくすれば元気になるのだろう。シンファンだって、ダイアンには治療とか治癒とかそういう能力がからっきしだと知っているから、なにもできなくても納得してくれるはずだ。ここは安全だし、見捨てるのとはワケがちがう。
いくつかのためらいのあと、ダイアンはこの場に残ることを決めた。軽薄で軽率で思いつたら即行動のダイアンに根気強く付き合ってものごとの理屈をひとつひとつ教えてくれた人の側にいたいとおもうのは当然じゃないか、そう思って。
ネクサーにとってのダイアンはたくさんいる手のかかる若者の一人に過ぎないと冷静な部分はいうのだけれど、それはネクサーの都合で、ダイアンは関係がない。ダイアンのなかではネクサーは温かな手で背中を撫で手を引いてくれる人だ。半端なことをすると蹴り飛ばしてやり直しだというし、最善の最良を探して疲労困憊してもまだもっと良い方法があるはずだと静かに問い詰めてくる。時には一番危ない場所に飛び込んで一番つらい役回りを引き受けて、どうあるべきかを、つよく、指していた。
ダイアンはそういう遠回しで寛大なふるまいはできそうにないけれど、そうありたいとあの背中を追いかけている。とおいむかしにいなくなった父は教えてくれなかったことだ。
落ち着かない心と退屈を紛らわせるようにダイアンは鼻歌をくちずさんであたりを散策した。こういう空間はよくわからない破材が漂着していて、それが案外使えたりする。
根気強く探し回ったダイアンは意気揚々とミドリの樹の枝を拾ってくると傘のように振り回しながらネクサーの側に戻ってきて、枝の先を丹念に研いだ。鋭い切っ先に満足すると、枝先で自分の胸元で蒼穹色の光を放つ炉を突き破り、枝が溶けてできた穴のふさがらないうちに両手を突っ込んで充分に広げて、とろとろと滴をこぼれる黄金の体内に利き手を突っ込んで、片手にすこし余る、うつくしい、東雲色のボールをとりだした。
粒子に還元するはずの体液は気化するよりも多く流れ落ちるせいでダイアンの腹をつたい足を汚し、飛び散る燐光はネクサーの眠る繭をしとどにぬらしてゆく。
 「俺っていい子じゃないからさ、やっちゃうんだよね。こういう無茶。
 いやぁ、痛みがないのはいいな、さすがの俺でもできねぇよ、てか、死んじまうし。あんたたちは、光があれば、光があるかぎり、何度だってやり直せるんだよな。トリニタスがそうだったもん。どんなに絶望的な状況だからって諦めなきゃ、戦ってたら、光はあるんだってさ。俺ひとりじゃこれっぽっちだけど、でも、ほら、さっきより明るいし?
 場所、シンファンに伝えたから、来るのは難しくても、助けてくれるだろ、あいつ、器用だし、こういうのも、慣れてるかもじゃん」
 くふくふ、と笑って拙くなる言葉にダイアンは薄れてゆく意識をはっきりと自覚した。
 「みてみろよ、あれ、ミラーボールみたい。白色、オンリーの。あれがね、俺をねここまで、連れてきたんだぜ。空、どんな飛行機より早くて、飛べる。人、泣いてる人、助けてきたんだ。暖かいだろ。あれが、俺。あぁ。クソ、眠い。かあさんは、星に、星なんだって。おおぐまの、あしを、きた、に。いつつ、のばした、ところ。こぐま、の、ひたい、の、うへ、かあさんの、星。とうさん、は、銀、銀色の龍…」
 ダイアンの開いた胸からこぼれる光は徐々に少なくなったが、それと同じだけダイアンの身体も小さくなってとうとう元の背丈の膝くらいになってふらふらとネクサーの繭を抱きしめた。
「まつのは、なれている」
 ダイアンはすこし眠ることにした。
 
金色に輝く雨の街を泳ぐ、銀色のクジラを見て、ダイアンは最初、これは夢かとおもった。
ただ、寝る前にずいぶん気弱になってしまって、ネクサーに抱き付いたままだったことを思い出すと気恥ずかしくてたまらなかった。格好つけて助け出すつもりが、ネクサーの繭のなかに庇われてしまった。気をつかってもらわなくても大丈夫なようにわざわざ器を変えたのに、うたた寝なんてするからだ、と顔をおおってうなだれていても銀のクジラは降り注ぐ雨に全身を濡らし気持ちよさそうにしている。ダイアンはそのクジラにぴったりと寄り添っている小さなトンボらしかった。せめて、ハヤブサとかタカがよかったのだけれど力の大部分を分離させて、有機の肉体はこちらに持ち込めないとなるとこんなものだろう。並べるだけ、上出来。いややっぱりもっと強くてカッコイイやつがいいな。
「ネクサーはどうおもう」
ダイアンの問いかけにネクサーはなにも答えなかった。最初はクジラだと感じたけれどずいぶんと細長くてナマズとかハイギョにも見える。
「いい加減だな」
ネクサーは立ち並ぶ石造りの塔や神殿を避けながら降り注ぐ雨と柔らかな陽光に輝く街をひとしきりみてまわると、おおきな螺旋を描いてゆっくりと上昇して次の街に向かった。今度は、木と泥の建物が並んでいて、こちらにも雨は降り注いでいた。
しかもよくみてみれば、雨を受けた陽の光に照らされた部分だけが重厚なヴェールのような宵のとばりの平野から浮き上がっている。さっきの街も深い闇から雨と光の当たるところににょきにょきと生えていたのかもしれない。
夜と朝を同時に見ているような奇妙な光景だ。
 ネクサーは何軒かの民家と石塀の物々しい城跡のような場所をしばらくみたあと、また街全体を見回して螺旋を描いて浮上した。
3つめの街も同じように雨のなかぼんやりとした暗闇のなかに浮かび上がっている。街の造りもちょっと近代的になったけれどダイアンはあまり興味がわかず黙ってネクサーについて行った。静かにしていると、この廃墟のなかに微かに、人の気配を感じ取った。もう姿も失って、やさしい手触りだけをネクサーに託した誰かの気配だ。触れればほどけてしまいそうな彼らのふるびた彼らの存在を、ネクサーはたいせつに大切に慈しんでいる
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hi-highmt · 1 year
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筑波山は今日も雨だった
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山サークルの企画で、登山を始めて半年ぐらいの頃に登った筑波山へ。 その時は小雨で山頂からの眺望を全く楽しめなかったので「今度こそは!」と応募したのですが……今回も雨に降られてまさかのデジャヴ。筑波山とはどうも相性が悪いみたいです、私。
先ずは筑波山神社で山行の安全を祈願します。
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10年前はつつじヶ丘コースでしたが、白雲橋コースは岩だらけなんですね。
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行く手が白い……。でもこの程度の霧雨なら問題なし。
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大きな岩を抱いているような根っこ。
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途中の綺麗な白木の東家(BENKEI HUT)の前に、ヤマツツジが咲いていました。 今日は雨で俯いた花が多かった中、1番元気に咲いていたのはヤマツツジでしたね。
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巨岩&奇岩の並ぶ稜線に出ました。ここからは知った道です。
上の写真は弁慶七戻り。 今にも落ちて来そうで落ちてこないのが不思議。
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巨岩だらけ。
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タボチェッカーのような「高天原(たかまがはら)」。 ここを登ると……
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お社(稲村神社)があって行き止まり。
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分岐へ戻って左手の階段を進むと「母の胎内くぐり」など、次々と奇岩が現れます。
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「出船入舟」。 横から見ると、確かに船の形に見えました。 この写真は角度が悪いですが。
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「北斗岩」。 こんな感じで、色んな岩の間を抜けて行きます。
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10年振りの筑波山(女体山)の山頂。 思えばここは私の初めての日本百名山です。 ハンターじゃないから、10年経ってもまだ20座にも満たないですが。
今回も、山頂からの景色は真っ白だな〜。 でも、周りの木々が霧氷じゃないだけ少しマシかな?
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男体山へと向かう道にも奇岩が並びます。
こちらは「ガマ岩」。 誰が始めたのか、ガマの口に小石を載せられると願いが叶う??? 私も投げてみたけど届きませんでした。
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カタクリ祭りということでカタクリ園を覗いたのですが、シーズン終わりだからか雨だからか、どの花も下を向いてションボリしていました。
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雨で下を向いているけどニリンソウ(二輪草)かな? よく見ると、葉の付け根にもう一つの蕾がありますね。
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お昼はカップラーメンを用意していたけど、雨が降っていたので茶店に入ることに。 これも10年前と同じパターン。 その時は味噌汁をちゅうもんしてツアーで用意されていたお弁当をいただきましたが、 今回は持参のお湯で紅茶を淹れて、豚スタミナ丼を頂きました。
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こちらはメンバーが頼んだ「筑波山カレー」。 ご飯の盛り方が男体山&女体山ですね!
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「つくばうどん」も、油揚げが山容を表すかのように並べられていました。
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茶店にいる間に土砂降りになったのでレインパンツも履いたのですが、外に出ると止んでいました……あるあるですね。
ガスの中、男体山が見えました!
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お世話になった「仲の茶屋」さん。 雨だったので「お弁当も中でどうぞ〜」という呼び込みに吸い込まれました。 右奥には綺麗なトイレも。
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展望広場からは、辛うじて雲海が見えました。
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しょんぼりしてますが、キクザイチゲ(菊咲一華)かな? 今日はどの草花も雨に濡れて俯いていますね。
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男体山の山頂の社。木村屋総本店による奉納のようです。
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少し大きめのカタクリを発見! もやっぱり、しょんぼりしてる……本当は百合みたいに開く筈なのに。
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男女川(みなのがわ)源流の所に生えていた立派な杉。 右上、二股に分かれた枝の上から更に新しい幹が生えています(奥の杉と重なって見えている訳ではありません)。 杉の生命力って凄い!
この後、筑波山神社にゴールした途端に土砂降りになり、バス停までは傘をさして歩きました。 登山道では殆ど小雨だったから、ある意味ラッキーな山行でした。
滑らないようにと気を遣いながら歩いたせいか凄〜く長く感じたけれど、たったの7.1キロだったとは! やっぱり雨の登山は疲弊しますねー。 とは言え、10年前とは違う岩場だらけの白雲橋コースを歩けたし、雨のお陰で本来ならかなり混んでいる筈の登山道もガラガラに空いていたし、濡れた岩場を歩くトレーニングも出来たから結果オーライ♬
足の手術痕はまだまだ痛いけど、今回もポール不使用で歩けたし、地味に回復して行っているはず! さぁ、バリバリ登るぞ〜‼︎
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soratanet · 3 years
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2021.03.24 Wednesday
GOOD MORNING TOKYO!
久しぶりの東京です。(といっても去年の11月以来)
朝からMARUICHI BAGELへ行き、みほちゃんにサンドイッチを作ってもらいました。
今はミニベーグルでもサンドしてくれるんだって。
ということでミニで作ってもらいました。おいしい、嬉しい。
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「みほちゃん、一緒に写真撮ろうよ」と、ガラス越しに記念撮影。(ほぼ写ってません。笑) 
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そこから歩いて「OUR FAVORITE SHOP」へ。
只今仲條正義さんの展覧会を開催中です。
キギグッズも買えるし素敵なお店です。(ぐっと我慢したよ)
そういえばそこまで行く途中
中学校の前を通ったら卒業式をやっていて、聴こえてきた合唱にじーんとなってしまいました。
(すぐ泣くお年頃)
YAECA HOME STOREも久々にのぞいて「はー素敵やー」とため息。
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夜はあっちゃんの家にお邪魔しまして、おいしいご飯を頂きました。
ポテトチップスはあっちゃんが前にインスタのストーリーズに載せてるのを見て
「食べたーい!」と密かに訴えていた手作りのポテチです。
あっちゃん作の果実酒やらも色々出て来てたくさんもてなしてもらいました!
LINEとかじゃなく、やっと直接色々話せて嬉しかった!
あっちゃん、ありがとう。
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2日目。
朝はmy pandaデザイナーの中村さんとモーニング。
お揃いのコートでしたね。まるで制服!笑。
中村さんとも直接色々話せて良かったです。
会って話すことはほんと大事だな~~~
その後は上原に行き、ムギハナ覗いたらホリーがいたので
チューリップ2本ください!とオーダー。
かわいく包んでもらった2本を抱えて、April shopへ。
初めてお邪魔する、渡邉紘子さんの新しいスペースです。
開催中の岡本果倫さんの展示がとっても素敵でした。かわいーー!と心の中で大興奮。
そんな訳で写真の中にあるお花と文字の作品を購入しました。
それを見てる時に隣に三日月があるのを見つけて「わ!これも欲しいです!」と。
届くの楽しみだなあ。
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次は祖師谷のセイコさんのもとへ。
お弁当の日だったので一つ予約させてもらいヒバリで食べさせてもらうのでした。
お野菜たくさんカラフルなピビンパ。
まぜまぜして頂きました。セイコさんのごはん、久しぶりで嬉しいなあ。
セイコさんとはいつもたくさん話したいこと、聞きたいことがあるので時間が足りません。
そして会って別れた後はもう会いたくなる。笑。(好き過ぎでしょう)
夕方、表参道へ。
PLACE IN THE SUNでカラーしてもらいました。
田村くんがやってくれてる横で
オーナーの小林さんが横からやいのやいの言ってくるのが面白かった。
SUNは平和です。
最後は小林さんが手直ししてくれてね、贅沢でした!
髪の色もやっと落ち着いて満足です。
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3日目。
事前に予約していた佐藤可士和展を観に国立新美術館へ。
(外は雨降りだったので美術館日和でした)
SMAPものはやっぱりちょっとテンション上がるよね。
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手掛けたロゴが巨大サイズで展示されていて面白いです。
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赤とオレンジ。猫背な私。トネさん撮影。
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セブンのシリーズも並べると圧巻ですね。(トネさんの美しい頭と共に)
面白い展覧会でした!みんな来ちゃうの納得。
その後、地下のSFT覗いたら欲しいものだらけで大変。
(TEMBEAのバッグとかALOYEのお洋服とかさ、で、結局giraffeのネクタイ買うってどんだけ好きなの)
ちょうどmogu takahashiさんの小さな展覧会もやっていて、ラッキーでした。
(moguさんの靴下もめちゃんこかわいかった~)
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さて。
で、お腹空いたねえ、どこ行こうかな。
外は雨降りなので屋根がある場所で移動しよう。
あ、行きたいとこあったんだ!日比谷?なら一本で行けるね。
しかも駅直結だね。
なので多少並んでいても待ちますよ(そう、今日は日曜日なのだ)。
ガッツリなシェフズサラダとローズマリー香るフレンチフライ、にしました。
おいしいね。
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食後のデザートはタルトタタンを半分こ。
(タルトタタン大好き)
しかし90分制はなかなかすぐですね。
日比谷ミッドタウン好きー。
色々見るお店あるもんね。お洋服も雑貨も色々。
しかし外はなかなかの雨降りですが距離は近いのでえいやっと歩いて銀座へ。
ここでトネさんとお別れして私は1人銀座メゾンエルメスフォーラムで開催中の落合多武さんの個展へ。
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昔、数枚絵を観たことはあったけど、個展は初めて観るのでした。
難しかったけどね...でも大きいキャンバスの作品が見られて嬉しかったのだよ。
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ヤコちゃんの家に帰ったら豪華ディナーを用意してくれていた!
(巨大なロールキャベツなのでした)
すごーい!なんてありがたい...。
東京はまだ緊急事態宣言が解除されていなかったので
飲食店もクローズするのが早く、夜に外でご飯が食べられず。
そんな中、こうして素敵なごはんを用意してもらえるの嬉しいよう。
みんなで食べるごはんは楽しくておいしい。
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そしてカネモト家の黒ウサギ、コピさんです。
前回よりも大分大きくなっていたよ。
でもかわいいんだ。
時々じっとおとなしく座るからここぞとばかりに撫でてあげるの。
嫌がることなくずっと撫でられてるコピさんに癒されてました。
ああ、かわいい。
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4日目。ラストデー。
新宿待ち合わせ。というか東京で会うの初めてですね。
いつもメッセージでやり取りしてた2人と喫茶店へ。
やっと話わかってもらえるー!という内容を思う存分話させて頂きました。
笑い話になってこのまま終わるといいね。
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高円寺へ移動。
行ってみたかったKIOSCOへ。
(ちょうど閉まってるタイミングだったので「まだかな~?」と、覗いてるハマニシさんでした)
小さなスペースにかわいくて楽しいもの色々ありました。
メキシコっぽい感じもありつつね。
「どこか行きたいとこありますか?」と聞いてもらったんだけど
3日間あるとね、もう大分色んな場所に行けたり人に会えたので
「うーん、もうないです」ということで
駅近くのサンマルクカフェでおしゃべりタイムでした。
(住んでる人みたいでそれもまたいいよね。)
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そうだ!2人から思い掛けず素敵なものを頂いてしまいました。
(simmonのノザワさんも一緒にと!つまり3人から)
「おつかれさまでした」の贈り物。
まさかそんなの貰えると思ってもみなかったのでびっくり!
しかもsimmonのピアスだなんて!うれしすぎでした。涙。
ああ、やっぱり素敵な人たちだ。
2人と別れて東京駅へ。
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IDEE TOKYOへ。
開催中の展示は「赤木と松林と。」
そしてお店に並んでるアイテムが
深澤直人さんがキュレーターだけあって素敵なラインナップ。
(柚木さんのてぬぐいもかわいかったなあ...)
そんなこんなでしっかり4日間堪能して、新幹線に乗って帰って来ました。
時間合わせて会ってくれたみなさま、ありがとう。
おかげでとても楽しかったです。
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tagchan · 1 year
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「今朝のととと」2022年12月24日 盛岡 天気予報:くもり 最高気温:5℃ 最低気温:-2℃ 一昨日の雨から一転、昨日から今朝にかけてドバドバと雪が降り 再び銀世界となった盛岡です。 先日の雪に比べると湿り気のある雪となりましたが まだだいぶマシな方であっさりと雪かきを終えることができました。 雪に慣れていないゲストの皆さんは「これぞ東北。これぞ雪国」と喜んでいます。 例年だとこの時期はまだこんなに雪がないので、そういう意味ではラッキーですね。 さて、カレンダーを見ると今日はクリスマスイブ。 特に何もする予定のないとととですが 空室ありますので、御予約お待ちしています! 盛岡の宿応援割も12月までの分はあとわずかですので、ぜひご利用ください。 それでは、よい一日を! #今朝のととと #ととと 盛岡の泊まれるたまり場 #ととと盛岡 #盛岡のととと #鉈屋町 natayacho 町家の残る町並み 味わってほしい朝の鉈屋町界隈 青龍水まで徒歩1分 大慈清水まで徒歩3分 十六羅漢まで徒歩8分 神子田朝市まで徒歩12分 円光寺、大慈寺、永泉寺もオススメ 明治橋からは岩手山が見えることもあります (ととと ―盛岡の泊まれるたまり場― Tototo Morioka) https://www.instagram.com/p/Cmh_UMuBm6g/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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ari0921 · 2 years
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桜林美佐の「美佐日記」(183)
「こんどは何が起きた??」。思いがけない絶景紀
桜林美佐(防衛問題研究家)
───────────────────────
おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、令和4年8月の今回
は183回目となります。
 今年は行動制限のない夏休みということで「3年
ぶり」の行事・イベントが多いようです。当たり前
のように行っていた盆踊りや花火大会も、できない
期間を経ると、こんなにありがたいものなのかと感
じます。
 このところ、コロナの影響で中止になっていた講
演会なども復活し、お声掛け頂く機会が増えていま
す。
 化粧をしてスーツを着て駅まで歩きや自転車で行
って汗だくになってもいけませんので、そんな時は
タクシーを使うことになりますが、福岡や佐賀でか
んじのいい運転手さんばかりと出会った反動でしょ
うか、関東では愛想の悪い人が多いので極力乗りた
くありません。
 そこで、先日は夫に車で新宿駅まで送ってもらっ
たのですが、飲み物を買って松本行きの「あずさ」
に乗ろうとした時に青ざめたのでした。スマホがな
い!
 携帯がないということは、電話をかけて持って来
てもらうこともできないですし、そもそも講演に行
く先との連絡もできない。
 もう頭が真っ白で新宿駅が暗闇にしか見えなくな
りました!しかし、考えてみると、講演会の1時間
ほど早めに到着する計画だったので、これはもう取
りに帰るしかありません。
 まずは「みどりの窓口」で切符を払い戻さなけれ
ばならないのですが、案の定、人が並んでいる。次
の「あずさ」は1時間後しかないので、ここで列に
並んで払い戻した後に家まで戻っても間に合ったの
でしょうが、心情的にいたたまれず、払い戻しは諦
めて携帯を取りに行くことに。
 タクシーを拾いたくても、つかまらず、止まって
いられないのでとにかく走る。どんどん走ってやっ
と無理矢理に止まってもらい、自宅に着くと全身は
汗だくです。
 あまりにも動揺して、握りしめていた切符もどこ
かにいってしまい、帽子も道に落としたようで、自
分でもここまで慌てるものかと驚きました。
 そんなわけで結局、汗びっしょりの服でなんとか
ギリギリの時間に松本に辿り着き、無事に講演を終
えました。
 しかし!松本駅まで送ってもらい、やれやれ電車
に乗ろうと改札に行くと、なんと沿線火災が発生し
たということで新宿方面電車が全て運転見合わせに
なっているではありませんか!
 長年、ニュースの仕事をして交通情報も扱ってき
ましたが、沿線火災では運転再開はまず望めません。
駅員さんにとにかくなんとしても東京に戻る方法
を教えて欲しいと詰め寄り、運転再開を待つか、数
分後に長野まで行く特急があるのでそれに乗るかだ
と言われ、その特急「ワイドビューしなの」に乗る
ことに。
 だいたい「運転再開を待つ」の選択肢を示すのは
おかしいでしょ! 見込みがないのに!と彼を責め
てしまいましたが、その駅員さんは結局、切符の券
売機まで一緒に行ってくれて特急と長野からの新幹
線の席の確保までしてくれたので、ありがたいこと
ではありました。
 私としては、すでに行きの電車の切符も2回も買
うという失態があったので、この上、想定外の新幹
線代までも出費するのが耐えられず、かなりぶーた
れましたが、とにかく東京まで、予定よりも30分
程度遅くなるものの帰れるのだからやむを得ないと
自分に言い聞かせました。
 で、ようやく「ワイドビューしなの」に乗り込む
と、講演を聴いていて下さったという方が声をかけ
て下さり、少しほっとしてフト気付くと、この電車
は窓が非常に大きく、まさに「ワイドビュー」にふ
さわしい作りになっています。
 車窓を呆然と眺めていると、段々と素晴らしい景
色が現れてきます。講演が終わった時の松本は雷雨
になっていたのですが、そんなことはすっかり忘れ
る晴天の夕暮れ時です。
 そのうちにさらなる絶景が目の前に出てきます。
日本三大車窓の一つとして知られる「善光寺平」で
した。また、この篠ノ井線は明治の頃に作られた歴
史ある路線で、山間部を走行するため途中で「スイ
ッチバック」といって一旦後退して勢いをつけて前
進する場面があるのです。
 そのあたりの説明を車内放送でしていたようなの
ですが、よく聞いていなかったために、「姥捨」駅
で、いきなり電車が後退し始めた時は「ひえ~~っ、
こんどは何が起きた??」と、また帰れなくなる
のではないかと慌てふためいたのでした。
 因みに「姨捨」駅は、根室本線狩勝(かりかち)
峠、肥薩線矢岳(やたけ)峠と並び国指定の「名勝」
にも指定されているとのこと。
ただ、「姨捨」の名前から、老人を捨てた山なのか!
と、思ってしまいますが、実際、ここは、かつて
の殿様が老人を山に捨てるようお触れを出したもの
の、結果的にはそれはなされずに、おばあちゃんの
知恵によって敵からの攻撃を防ぐことができたとい
う逸話があるのだそうです。
とにかく、全く思いがけずにこのような物語の溢れ
る絶景紀行を体験できたなんて、終わってみれば実
にラッキーな1日だったのでした。忘れっぽい私で
すが、決して忘れない日となることでしょう・・・。
今日も最後まで読んで下さりありがとうございます
!どうぞ良い1週間をお過ごし下さい。
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usickyou · 2 years
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Star,visual binary star
 1
 道路に飛び出した猫を助けようとして、亜美は事故に遭った。  なんて嘘みたいだけど、それは紛れもない事実で、亜美は左脛を骨折した。パパもママも、もちろん私もたくさん心配して、怒って、安堵した。当面仕事はキャンセル、ゆっくり休めるなんて亜美は言っていたけれど、その言葉が本心じゃないのはわかっていた。  だって、猫は助からなかったから。
 今日も、亜美は病室に不在。けれど私も慣れたもので、病棟のナースさんへ愛想を振りまいてエレベーターへ乗り込む。庭園のある七階はラッキー・フロアだと言って亜美はパパに叱られていたけれど、私も本当はそう思う。こんな場所だからこそ些細な幸運も大事にしたいし、それが場違いな気持ちだとも知っていた。  亜美は、知っていてそれを言葉にできる。  ラッキー・フロアの自販機でホットレモンとココアを買って、庭園行きのガラス戸を開く。よく晴れた青空と、踏みしめるタータンの濃緑と、その間を区切る私の背丈の二倍はある無遠慮な金網。  亜美はそこで、いつもしているように、隅のベンチに腰かけ空を見上げていた。   やっほ、と声をかけ隣に腰を下ろしてはじめて、ベンチに昨日の雨が残っていたことに気付く。スカートに滲みた水滴は腿を冷やし、だけど幸いにも被害はそれだけで済んだみたいだった。 「……どったの?」  怪訝な表情を向ける亜美へ、なんでもないよと返す。昔だったら、なんて考えるのはきっと、心が弱ってる証拠だと思う。 (見てよ亜美、これ! もー、サイアクだよー) (んっふっふー、甘いぞ真美隊員、亜美なんかほら、おしりまで!)  揃ってデニムのミニから伸びていた、私の足はフレアスカートに包まれて、亜美はストレッチジーンズを履いたりなんかして(今はパジャマだけれど)。 「真美ー、どうかしたー?」 「どうもしてないよ。……たぶん」  隣から、亜美の声。私の返事は、上の空。  もしかして、緊張してるのかもしれない。金網が威圧的だから、亜美の横顔がすごく大人に見えたから、空が青いせい、ベンチの水滴のせい。どれも正しいし、だけど、どれも正しくないって思いたい。 「やっぱり、真美のほっぺは気持ちいいねー」  突然に、むぎゅっとつままれて、なぜられて、引っ張られて、私の頬は亜美の思うがままに形を変える。 「……だめだよ、亜美。真美のほっぺはみんなのものなんだから」  それと同じに、私の心もかたちを変える。亜美の望むまま、とはたぶん少しだけ違って、だけど私たちが好きなかたちになる。 「ごめんごめん、……じゃあ、用事思い出した?」  あらためて問われ、私は肯定を返す。うん、と言葉にして、頷いて、笑顔を渡す。これは、私たちの特別。他の誰とも違う、二人だけが知っている、この共犯の関係。  そうして私は、手にしたままだった、ふたつの紙コップを亜美に差し出す。 「ホットレモンとココア、どっちがいい?」  十代最後の春は、そんなふうにして始まったのだった。
 2
 事務所からは一時間、家からも、だいたい同じくらい。  亜美が事故に遭った現場は、都心から少し離れた海沿いの街だった。  よく晴れていたその日と違って、今日の天気はご機嫌ななめ、風は強いけれど雨が降る様子はない。太陽がのぞかないせいで冷え込んだ空気に、私たちは並んで身を震わせた。  海岸線に並んで走る道路、強い風に並び立つ木々が揺れていた。海も当然荒れているらしく、サーフボード片手に白波に向かう人たちの姿が点々と見受けられる。  あの日とは、だいぶ印象が違うんだとか、そんなことをぼんやりと考えている。 「真美ー、まだまっすぐだっけ?」  赤信号の前で振り返り、亜美は私へ手を、松葉杖と一緒に振ってみせた。私は辺りをぐるりと見渡して、返事と一緒に青に変わった信号へ踏み出していく。  並んで歩く、亜美の速さで。 「この坂、ってことはもうすぐ?」  海岸道路へ下る、車線もないのにやけに広く、なだらかな坂を示す。 「うんにゃ、似てるけどこれじゃないね」  そばに学校があるんだよ、と右手側へ見えている古びたホテルを指さした。 「よく覚えてるね、一回来ただけなのに」 「ほら、亜美のが撮影先だったっしょ」  そうだったっけ、とこぼして亜美は口をつぐんだ。思い出しているのか、考え込んでいるのか、立ち止まって前髪を整える仕草からは、伺い知ることはできない。  実際、私が周囲を観察したのは待ち時間ではなく、事故の後だった。機材車で運ぶか救急車を呼ぶか決める間、救急車が来るまでの時間、私は周囲の気遣いによって亜美と近付けられたり引き離されたり、ともかくけっこうな時間をここで過ごしていた。だから、この辺りの風景も覚えているし、現場の混乱も覚えているし、亜美の朦朧とした表情も忘れられない。 「ここだよ」  そう、私が言うまでもなく亜美は理解したようだった。右手の学校、グラウンドに沿う側道をペースを上げて、松葉杖が刻む歩調は変拍子。亜美を避けた車が歪めたガードレールを気にも留めず、その視線は、側道が歩道と交わる一点へ向かう。  やがてたどり着いたその場所で、亜美は深く息を吐き出した。 「……これ、だよね」  歩道の先、綺麗に刈り込まれた草むらに、ぽっかりと穴が空いたような土の色。一度掘り返し、埋めて、上から心ばかりと草を被せ、立てられた枝は風雨で倒れてしまっていた。 「うん。間違いない」  これは、お墓。  亜美が助けようとし、助けられず、車に轢かれて命を落とした猫の墓床。あの日、出会ったばかりの白い猫は、近付く亜美をふっとかわして道路へ向かい、そのままこの世界から去っていった。 「あの、カメラマンさんにお礼言わなきゃ」 「作ったのは、アシスタントさんとメイクさんだって」  亜美は、膝を地面につけて松葉杖を手放した。私は、手提げから取り出した一掴みの花束を手渡す。  この花はきっとあの子に似合ったと、亜美はキンポウゲの黄色い花をお墓に供える。白い毛並、少しくたびれた純朴なその姿には、こんなささやかな花。  亜美は花を添え、両手を顔前で重ねるとただ一言、ごめんねと呟いて、瞳をそっと閉じる。私も亜美の隣で、小さく手を合わせて安寧を願った。  時間にすれば、どれほどだろう。決して短い時間ではなかったように思う。けれど、私が目を開いても、なお亜美は祈り続けていた。  それから、ややあって、瞳を開き空を見上げる。曇り空、手のひらは重ねたままで、その透明な視線は淡い光を反射している。  やがて祈りは終わり、私たちは帰途へ着く。言葉は少なく、わずかばかりの小さな声も、吹き抜ける風に溶けていく。  亜美は、何を祈り、どんな言葉を交わしたのだろう。  消えそうな背中へ、私は何も聞けずにいる。
 3
「亜美の様子が変って……待って待って、ちゃんと話してちょうだい」  芸術的な包装のチョコレートを開封しながら、りっちゃんは少し落ち着いてと私をたしなめた。湯のみから昇ったほうじ茶香る午後の事務所には、私たち以外の姿はない。  そういう時間を選んだのだから、当然。 「えっと、最近亜美が退院したんだけど……」 「それから、ってこと?」  その前、事故に遭ってからのこと、猫のお墓の前でのこと、そんなことを言おうとして、だけど口をつぐんだ。  久々に彼女に会えて、嬉しくて弱音をこぼしてしまったけれど、これは本当に話すべきことだろうか。何も考えず、思いついた順に話す。そんな子供はもう卒業すると誓って、数年が経っている。 「……うん。やっぱり、ヘンだと思う」  けれど、だからこそ大事なことは黙ってちゃいけないと思う。言葉の持つ力を知って、知りながら使いなさいと教えてくれたのは、他でもない彼女だった。 「なんていうかね、そこにいないんだよ」  元気がないのは当然。部屋にこもりがちになるのだって仕方ない。でも、前は、たとえばインフルエンザで寝込んでた時だって、隣の部屋に亜美を感じてた。扉を開けばそこに亜美がいて、すやすや寝息を立てていて、私はそっと毛布を直して飲み物をベッドサイドに置く。そう、自然にできてたんだよ。  けど、今は違う。もちろん顔も合わせるし、二人でゲームして、ご飯たべて、お風呂入って、たぶん前よりも一緒の時間は長いかもしれない。なのに、亜美がいる気がしないんだよ。扉を開けたら、亜美がいなくて、もしかして最初っからそうだったんじゃないかって、思っちゃうんだよ。 「……ねえ、りっちゃん」  一方的にまくし立てた私の言葉を、きっと一つも漏らさず受け止めて、彼女は足を組み直した。 「もしかして、私がおかしいのかなあ?」  午後の陽射しは、春の空気でくすんでいる。窓の外から遠慮がちに忍びこむ喧噪を追い出すような静寂と、その中を漂う、少し荒れた私の呼吸音。湯のみを掴もうとして、チョコをつまもうとして、やめる。 「少しもおかしくないわ。真美も、もちろん亜美も」  宙を泳ぐ、私の指先を掴むような強い言葉。もちろん指先は握られてはいないのだけれど、その代わりに、彼女の瞳は私の心を掴む。 「ただ、大きな階段を昇ろうとしてるだけ」  無責任だけどね、とため息混じりに加えるその声は、まるで言葉通りじゃない。言葉の重みをあえて軽い口調に溶かしてみせる、彼女の技術。  あるいは、そうあってほしいという彼女の願い? 「りっちゃんは、もう昇ったの?」  だから、私の疑問も一つの願いなのかもしれない。何十もの国を渡り歩いたその強い心ときれいな感情が、私の辿ろうとしている道の先にあってほしいと、願いよりは、これは祈り。  星空に向けて両手を重ねるような、ささやかな。 「真美、こっちおいで」  解答を放棄して、彼女は私を手招く。私は聞き返すこともせず、彼女のそばへ寄り、ソファに腰を下ろし、包むように抱きしめられる。 「やだ、大胆」 「うるさい」  軽口は一つだけ。目を閉じて、心を委ねる。  シャツのボタンが頬に触れてくすぐったい。息が少し苦しくて首をひねる。髪に触れて背中を撫でる、彼女の手のひらが、心臓に脳に、そのもっと奥に届いて、優しい。  ライブの日の夜、あったかいお風呂にたっぷりつかってから潜りこむ毛布の何千倍、もっと、何千万倍? 亜美と喧嘩をした夜の、お母さんの膝の上? もしかして、そのお腹の中にいた頃の感覚? 「あったかいね」  あらゆる思い出、記憶の何を尽くしても表現できずに、出てきたのはたったの一言。あまりに無力で、けれど本質的に思える小さな言葉。 「他人って、悲しいわ。きっと、一生の時間を費やしても、絶対的にわかり合えない」  私に触れる、彼女の指先に力が入る。その声は、心なしか震えているように聞こえる。 「でもね、真美。亜美と真美なら、できるのかもしれない。そんな気がするの」  それで、気付く。彼女の温もりが私の心に触れるように、私の温度も彼女の心に触れている。  私を抱きしめた、彼女に何を返す? 「亜美のそばにいて。あなたにしかできない」  その声が届くかどうか、彼女が言葉を終えて息を吸うその瞬間に、私は一息に顔を上げてその胸の内を離れる。さすがに驚いた、そんなふうに目を丸くした彼女へ、力強く無力な言葉と一緒に、いたずらを仕掛ける。 「そんなの、あたりまえっしょ!」  受け取って、りっちゃんは笑う。あんたって、そう呆れながら、抑えられないみたいに大きな声で。  私も笑う。抑える理由もないから、大きな口を開いて。  私たちのこの声が、大切な人たちへ響くように。
 4
 日、暮れ行く帰り道。季節はまだ、少し寒い。地味で厚手な灰色のパーカーとワンピース、肩にかけた小さな黒のボディバッグ。もうちょっと考えればよかったと思い、あとは帰るだけだからと自分を納得させる。  何もかもうまくいく日もないみたいだと、知った日の悲しさを思い出した。  マンションのエントランスから、キーを差してエレベーターへ。顔見知りのおばあちゃんに声をかけられ、他愛ない言葉を交わす。何か嬉しそうねと言われ、他人って悲しいとその言葉を浮かべながら、わかっちゃうんだねと笑顔を返した。  ただいまと部屋へ帰ると、あるはずの気配はなくテレビの音も聞こえなかった。お父さんは当直だけど、お母さんはいるはずなのに、とそこで仕事で帰りが遅れるというメッセージに気付く。冷蔵庫の食材を確かめて、残っていたスープと切り揃えられた葉物野菜、メインに何か一品で良さそうだと献立に検討をつけた。  あまり、空腹は感じていない。  亜美はどうだろうか、ずいぶん静かだけれど。リビングから亜美の部屋へ向かう、意図せず足音を立てないのは、柔らかいスリッパのせいか、怯えているからなのか。  壁のよごれ、マジックを消した跡だとか、削れた壁紙だとかを指でなぞりながら短い廊下を歩く。貼り替えちゃえばいいのに、と主張する私たちへ、これはそのまま残しておきたいんだとお父さんは笑って応えた。その気持ちが、お父さんとは違うかたちだとしても、今ならわかるような気がしていた。  ベッドの上、亜美は眠っていた。閉め切らないカーテンの隙間から差し込む、スポットライトみたいな夕焼けにくるまれて、安らかな寝息をたてている。横に向けた、体を小さくまるめて、まるで生まれる前の姿みたいに。  ドアを閉めて、亜美のうしろへもぐり込む。柔らかなベッドに招き入れられて、亜美の背中へ顔をくっつけ、目を閉じる。  ちょっとだけ、体温が高い。眠っているからだろう。規則正しい寝息は私より深く、胸の内から伝わる鼓動もゆっくりと続いていく。  心地良い、亜美のリズム。たとえばこれが、私と同じだったなら、私は亜美を感じることさえできない。  違うから、私と亜美は触れ合うことができる。 「夢を、見てたよ」  寝息の隙間から、亜美の声が漏れる。起きていたの、と無為な言葉が浮かんで消えていった。 「亜美と真美で、ユニットをしてた」 「うん」 「デビューして、ちょっとうまくいかない時期もあったけど、みんな愛してくれて」 「うん」 「ずっと、二人で活動してたんだよ」 「……いい夢だね」 「……うん」  背中から、首へ、手をまわして、私よりちょっとだけ小さな体を抱きしめる。亜美は私の手を掴んで、頬に触れさせて、鼻先でなでて、確かめるみたいに、そこにあることが信じられないみたいに、何度も、何度も。  上昇する体温は、もう、眠りのせいじゃない。 「真美」  私を呼ぶ、震えた声は。 「私、アイドル辞める」  産声に似ていた。 「……そっか」 「……驚かないの?」 「めっちゃ驚いてるよ、でも、亜美の方が大事」 「……真美は大人だね。私より、ずうっと」 「いやいや、ないっしょ。真美には、アイドル辞めるなんてできないもん」 「いやいやいや、続けてく方がずっと難しいんだって」  背中越しに、言葉を交わす。胸のつかえが取れたように、迷いはない。最初からこうすればよかった、そんなことを考えて、最初はどこにあったのか、わからなくなる。  なるようになる、そんな言葉は、私たちにはあまりに軽率に思えた。 「けど、辞めてどうするの?」  生まれ落ち、やがて別れ、再び出会い、別れ行く。いつか見た、真っ白な海鳥の姿を重ねた。意志と、偶然と、どちらが欠けても二羽の海鳥は、広大な外洋で二度と出会うことなく消えていく。  だから、りっちゃんは私を抱きしめたし、世界中に手紙を配り歩く。 「んー、宇宙に行く」 「……それ、いいね」  本心だった。亜美が目指すなら、それくらい遠い場所だろうと。 「うん。できるだけ、遠くに行きたい。どこでもいいけど、それってたぶん宇宙っしょ」 「……あの子のためかニャ?」  あの、亜美を変えた、もしくは亜美を見つけ出した、今はもういない猫のこと。 「うーん……違う、と思う。でも、きっかけをくれたのはあの子だから、そうなのかもニャ」  いや、そうじゃない。あの子は亜美にいて、私にだっている。 「宇宙かあ……もー、遠いよー」 「ね。真美も一緒に行く?」 「やめとくー」 「だよねー」  亜美は勢いよく体を起こし、でも聞いてよと一息に調子を変える。それからとくとくと続いたのは、宇宙飛行士になるのにどれだけ時間がかかるか、民間の宇宙旅行にどれだけのお金が必要か、つまり、宇宙に行くのがどれだけ難しいかっていう話。  けれど、亜美は一言も、ただの一言も諦めを口にすることはなく、私も、行かないでだとか一緒に行こうだとか、そんなことを望みはしなかった。  気がつけば太陽は沈み、私たちを包んだ夕焼けも、次の世界のために姿を消していた。  それは、ステージの終わりに似ていた。
 5
 対流圏、私たちの暮らしている場所は、地面から17、000mくらいまで。上昇して、成層圏、中間圏、熱圏、で大体100、000m。地球と宇宙の境は、何を基準にするかで 異なるそうなのだけれど、おおむね50,000mから80、000mくらいらしい。  ちゃんと決めてよ、と本を片手に思いながら、そのふわふわした感じは私たちの距離に似ているのかも、なんて考えていたら亜美が微笑んでいた。  それが二日前、亜美の告白の日のこと。  今日の私は、事務所の屋上で空を見上げながら雲のかたちで遊んでいる。指輪、レモン、パンダ……たいがい暇だなあと思いながら、これがなかなかやめられない。 「やっほ」  そう、差し出されるダイナソーダ。振り返り、背中に太陽をまとった亜美の姿。その手にも、同じソーダの缶。これと離れるには、たくさんの勇気がいるのだけれど。 「どうだった?」 「一時休戦、って感じだね」  ゆっくりやるよ、そう言って亜美は手すりを背に体を伸ばし、悠然と空を見上げる。その瞳に、焦りはない。あるのは信頼と、決然とした意志と、別れの寂しさ、は私の心のあらわれかもしれない。 「あの雲、何に見える?」  ふと、亜美がつぶやき指し示すちぎれ雲。せーの、と目を合わせる。 「ねこ」 「にゃんこ」  私たちは、笑う。二人の距離、小さなズレ、別々のメロディを、この一つの世界を愛するように。 「亜美。私ね、この星で一番のアイドルになるよ」 「ほうほう」 「だから、どこに行っても私を見つけてね」 「さすがですな、真美隊員」  ふんふんと頷いてみせる、亜美の瞳から星が流れた。日の光を反射して、きらめき、大気の層で燃え尽きることなく、地上にこぼれ落ちる。  それは、綺麗だけれど、違う。星は空へ昇り、宇宙へ飛び出して、どこまでも、どこまでも遠くへ。私たちが、まだ誰も見たことのない世界へ。そうでなきゃ、私たちは、ずうっと孤独な星のまま。 「亜美、亜美」  呼びかけて、差し出す一輪の花。あの日捧げたのと同じ、キンポウゲ。あの子に似合う、同じように、私たちに似合うとずっと考えていた。  今日という日を、亜美は覚えていただろうか。答える代わりに、亜美は瞳を拭って、同じ花を私へ差し出す。  ハッピーバースデイ。  重ね合わせた言葉は、過ぎ行く春。十代の終わり。生まれ変わる私たち。そして、愛すべきこの世界。  全てに捧げられる、祝福だった。
 *
 一条の白い線が、地上を旅立ち空へ昇っていく。  その様子を、私はステージから見上げている。  私はマイクを下ろしていて、客席からは亜美への声援や別れの言葉。そうして、このささやきは誰にも聞こえることなく消えていく。  だから、これは秘密。  私と、亜美と、あの子だけの、約束。  マイクを持ち直し、左手を掲げ、私は歌う。  この星で、一番のかがやきを放つために。
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20220525
雑記(シュレディンガーの鳥)
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一昨日のことである。
たまに山で拾うカケスの羽根を使ったアイデアを思いついたんだがめったに拾えるもんでもないので若干のケチくさ根性が顔を見せていた。
そんでも「まいっか!」と我執を手放すにはいい機会だなと思った訳だ。
たまにヤフオクやフリマサイトに釣りの毛針やアクセサリー用として出品されているんだがそれを買うのはなんか違う。よくわからないが「偶然拾う」ということが自分の中では重要なことのようである。
とかなんとか言いつつメルカリを覗いたら前に目星をつけていたカケスの羽根のセットはとっくに売り切れていた。
そんでその日の夕方。
山を越えた隣町の石和の銀行に用事があり御坂峠のトンネルを抜けた少し先の宝石加工工場の前に差し掛かった。夕方だからか両車線ともまあまあの混み具合。
前方にゴミが落ちているのか前の車が何か避けたので私も意識もせずそれに続く。
300m程過ぎてからなんとなく戻った方がいい気がしてくる。迷った挙句車をUターンさせた。
路肩の空き地に車を停めて通る車がいなくなるのを待ち、先程何かを避けた辺りの道の真ん中に近寄ってみる。
カケスが落ちていた。
羽根が、とかではなく丸ごと一羽。
咄嗟に「嘘くさ!」と呟いてしまった。
何か出来すぎている。
おそらく脇の山から道路を横切って飛んだ際に車にぶつかり後から別の車に一、二回踏まれたのだろうが正直結構なビジュアルである。
これは鶏肉なのだと思うと不思議とスプラッタ感が若干やわらぐ。死体と食肉を��ててる境界が気になった。
車内にあったビニール袋を手にはめて、このままここにいてもまた踏まれるだけですよね?うちの庭の木の根元に丁重に埋めますからその青い羽根ください。と勝手な理屈で祈りながら持ち帰った。今際の際に「悪いようにはしないから!」と権利関係の書類に判子を押させる詐欺師のようだ。
その後石和からの帰り道でのこと。
並走する左車線の車が急にぐいぐいと幅寄せして強引に車線を変えようとするためにイラっとしたのだが、前方を見るとカケスを拾った場所の少し手前の道路が真っ黒い煙に包まれて先が見えなくなっていた。数台の車列で徐行して進むと路肩でパジェロかランクルが派手に燃えている。ゴダールかなんかの映画みたいだなと思った。
なんというかシュールすぎる。
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若干閲覧注意な感じですが大丈夫なんすかねコレ。
胴体がめちゃめちゃで手で支えられず一枚ずつ抜くのが大変そうなのでナイフで翼ごと切り取る。羅生門で死人の身包みを剥ぐババアみたいだ。右の羽根は地面との摩擦で若干痛んでいた。
胴体は野鳥たちがよく来るジューンベリーの木の根元に植えた。
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午前の午後でカケスの羽根が一気に増えてしまった。
思ってたより雨覆の羽根が少ない。青い部分は雨覆の羽根だけじゃなくて風切羽根の一部が大きな面積を構成している。だから普段山で拾う形のいい雨覆の羽根は結構ラッキーなことなんだなと思った。
実際全ての羽根を抜いてみて青い部分の構造が理解できてちょっとスッキリした。
しかしまあそれにしたってなんなのだ、この偶然は。
倒置法だぜ、動揺からの。
誤入金の4千万バックレた奴が子供の頃の文集でお金に対する並々ならぬ執着や持ち金使い果たす!みたいなのを書き込んでいるのを見て思ったが、ある種の思考や想念が現実化することは案外あるのではないか。
何で知ったか誰が言ったか忘れたがラテン語の”fortis imaginatio generat casum“(強い想像はイベントを引き起こす)というやつ。
なぜ彼だったのだろうかと思う。神の如き存在に対して違うオーダーの仕方をしていたら別の幸福な結末もあったのではないだろうか。何を思考あるいは想像するか精度が要求される。そこには何かが叶ってしまう怖さが存在する。自分が何を望んでいるか正確に知らなくちゃいけない。
少し前に読んだ角幡唯介の『狩りの思考法』という本で、北極圏の氷河の茫漠たる空間にあって「あそこにジャコウウシの群れがいる」という直感に導かれ期待を持ってそこへ行くと想像通りに獲物に出会うことの不思議を二重スリット実験の「観測」あるいは「介入」という観点で量子力学的に説明しようと試みていた。
シュレディンガーの猫のように、「そこにいるが、同時にいない」という「重ね合わせの状態」を現実は孕んでおり狩猟者としての著者が介入(観測)することでジャコウウシの群れが「いる」方へ物理的収束を起こし姿を現したのではないか、と。
南方熊楠が南方曼荼羅とか萃点だとか言ってたのってこの辺のことじゃないか。
カケスの死体が落ちている、落ちていない。でも落ちていると思って運転してたわけじゃないんだよなあ。ただ羽根を欲しいとは思っていた。
ふと午前中にカケスの羽根についてのインスピレーションが降りてきたのは、未来でカケスを拾ったからじゃないのか?とか考える。
川の上流から何かが流れて来るみたいに、時間が未来から過去に流れていく。未来で何かが起こったから現在にフィードバックがかかる。未来から過去への干渉のようなもの。
そのことで言えば映画のインターステラーの冒頭でもインド空軍の野良ドローンが主人公の家族の前に現れなかったら娘のマーフは重力の異常に気がつかなかった訳で、この出来事はマーフの「ユリイカ!」に至る全ての起点となっている。あれも重力という形を取った未来からの過去への干渉ということだったという理解だがあってんのだろか?
起点であり同時に終点であるのかも。
マーフ=「マーフィーの法則」とは起こりうることは起こる、という主人公の言葉が(うろ覚えだが)今日の私には妙な質を持って迫ってくる。
そういや先日N先生的にインターステラーが至高という話を聞いたばかりだった。
私としてはこの日の出来事に対しては非常に不思議な感慨を持ったのだが人様からすればなんのこっちゃという感じだろうか。今朝方見た夢を嬉々として聞かされるような。
わしゃアニミストじゃ!とか書いた次の日記で科学の子に徹しようとしているのは一体どういう訳なんだろう。この矛盾こそが近代の呪いだ。
しかし結局は科学も魔術じみた量子論的世界が展開しているのだからなんだかよくわからない。
とっちらかって収拾つかない日記のオチとしてはその日の夕飯が手羽の唐揚げだったこと。
ちょっと当分鳥肉駄目になったかもしらん。
カケスが自身のトーテム(守り神)だと思ってたら勝手に鳥肉が食の禁忌になるのもなんだか不思議な話だ。
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palakona · 3 years
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釣れたから良しとしよう
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2021年8月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
どうも、こんにちは。大阪は、8月2日から緊急事態宣言が発出されるそうで、また他県に出かけにくくなるな・・・。ということで、駆け込みで鳥取に行ってきました。お目当てはブラウントラウト。鳥取県にはブラウントラウトが釣れる川がいくつかあるそうですが、僕が知ってるのはここだけ。最初に来たときに小物を2尾釣ったんですが、それ以来釣ってない。ま、トータルで2回ぐらいしか来てないけど。さて、今日はどうかな?
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2021年8月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
渓相は良いんですけどね〜。魚が走らないんだが。いるの?
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2021年8月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
石川県ほどじゃないけど、車を停めるとアブが寄ってくる。噛まれると痛いので蚊取り線香を焚いてみました。とりあえず噛まれてないけど、釣りをしている最中にも寄ってくる奴がいて気になる。ハッカと併用したがハッカを吹いてるとアブがどっかいく印象。さて、渓相はいいのに無反応の谷を遡行して行ったが、この画像の真ん中あたり、岩の向こう側の流れにCDCカディスを流すと7寸ぐらいに見える渓流魚が浮上してきたがフライの下でUターン。どうしよう?鉤をハンピーに替えて再挑戦。ハンピーが流れに乗ると「バシャッ」と水しぶきが上がった!
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2021年8月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
Thomas&Thomas Quad 7ft #4
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!。日本海側の川でアマゴなんですが、ヒレピンなので成魚放流じゃなくて放流魚が定着したものかな?魚体がちょっと曲がってるこの状態で24センチあったのでちゃんと測ったら24.5センチぐらいかな。8寸超のアマゴです。
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2021年8月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
その後は、ウェットフライに替えてみたんですが、「落込み」を流れるフライをイワナらしき魚が追ったぐらいで釣果なし。やがて行手がこんなふうにボサ川になってきたので退渓しました。
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2021年8月、鳥取 iphone11
もうお昼なんですが、若桜の吉川豚の豚カツ定食(絶品!)を食べるために鳥取県内を大移動。誘導をカーナビに任せたらルートが高速道路使って2時間弱ってマジかよ?かつての大雨で道路が寸断されて通行止めになってたが、復旧してたら山越えでショートカットできるはず。狭い道路ですが道路は復旧していて2時間もかからず若桜に到着。無事豚カツ定食を食すことができましたw
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2021年8月、鳥取 岩屋堂 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
途中、岩屋堂を観光してみましたw。釣行用のカメラになったSONY α7で撮ってるけど、ちゃんとした写真はM型ライカ+オールドレンズで撮りたいなあ。
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2021年8月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
午後は前回釣れたポイントに来てみました。でもサッパリ反応なし。なんか先行者の痕跡があるような気がするんだが。もう、他に釣れそうなポイントは思いつかないし、暑いし、ワクチン接種後は1週間ほど運動しない方が良いとhrkさんが言ってくれてたし、明日仕事だし、以上、竿を納める理由を並び立てて帰ることにしましたw。
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2021年8月、兵庫 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
鳥取県の若桜あたりから兵庫県の山崎ICまでは遠い。途中の道の駅でトイレ休憩したんですが、大きなりんごのモニュメントがあったのでパチリ。
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2021年8月、兵庫 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
ダムドの「ザ・ルーツ」になった僕のジムニー。まだ架装して4日目なんですが、揖保川沿いの道は虫がビシバシ車に当たって汚れるので戦々恐々でした。どれぐらい凄いかというと、車に当たって落ちるカゲロウ(モンカゲロウ?)が雪でも舞ってるような感じ。でも、陽が高いうちに帰路についたせいか虫が飛んでない。ラッキー♡。
ということで、8月1日(日)は良型アマゴ1尾でした。嬉しいような、もっと釣れて欲しいようなw。
では、また。
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jinsei-pika-pika · 4 years
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思いをかたちにするスタイリスト、北村道子インタビュー portraits jan 14, 2019 7:10 pm
michiko kitamura
photographer & interviewer: chikashi suzuki writer: tomoko ogawa
portraits/
北村道子さんが手がける衣裳や彼女の言葉に触れると見えてくるのは、北村道子という生きる哲学のかっこよさだ。その哲学が、服になり、仕事になり、彼女そのものを形づくっている。唯一無二の個性を持ちながら、約40年、一切の妥協をすることなく、今目の前にある人物とその人が着る服と対峙してきた。そんな彼女が、前著『衣裳術』から10年ぶりに、俳優34人、写真家6人との10年にわたるコラボレーションを記録した『衣裳術2』をリリースした。2000年代初頭に角田純氏がアートディレクションを手がけていた雑誌『X-Knowledge HOME』にて、北村さんを撮影したことをきっかけに出会い、以降、コラボレーションを続けるフォトグラファーの鈴木親氏を聞き手に迎え、型破りで刺激的な北村道子さんの仕事術について語ってもらった。
portraits
jan 14, 2019 7:10 pm
北村道子さんが手がける衣裳や彼女の言葉に触れると見えてくるのは、北村道子という生きる哲学のかっこよさだ。その哲学が、服になり、仕事になり、彼女そのものを形づくっている。唯一無二の個性を持ちながら、約40年、一切の妥協をすることなく、今目の前にある人物とその人が着る服と対峙してきた。そんな彼女が、前著『衣裳術』から10年ぶりに、俳優34人、写真家6人との10年にわたるコラボレーションを記録した『衣裳術2』をリリースした。2000年代初頭に角田純氏がアートディレクションを手がけていた雑誌『X-Knowledge HOME』にて、北村さんを撮影したことをきっかけに出会い、以降、コラボレーションを続けるフォトグラファーの鈴木親氏を聞き手に迎え、型破りで刺激的な北村道子さんの仕事術について語ってもらった。
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Photo by Chikashi Suzuki
鈴木親(以下、鈴木):僕が、北村道子さんという存在を初めて意識したのは、大学のときに観た映画、『幻の光』(95)なんですよね。北村さんの衣裳って、何という印象もなく普通に映画としてスーっと入ってくる。でも、もう1回観るときって、ディテールをよく見るじゃないですか。そうすると、衣裳がすごく綺麗だなと思う。変なリアルさもないんだけど、ファンタジーが入っていて。何%の嘘と何%の真実みたいなものの割合を、映画ごとに全部変えているというか。
北村道子(以下、北村):それは、いつも私が思ってる思いだよね。さすが親くん、大学で先生してるだけあるなぁ!
鈴木:映画の雰囲気に合うようにスタイリングしているから、絶対作品の邪魔はしないんです。『バットマン』(05-12)シリーズの衣裳と同じ方向性ですよね。Christopher Nolan (クリストファー・ノーラン)作品と一緒で、現実だと嘘っぽいけど完全に嘘にはならない。でも、映画の中ではちゃんと映えている。逆に、ガチガチにリアルにスタイリングをしちゃうと、たぶん映画としては全く面白くない。ノーランとかがやって「エポックメイキングだ!」と言われていたようなことを、偉ぶることもなく、普通にスッとやっていたというのが、北村さんなんですよ。
北村:でも、日本では叩かれているんですよ。
鈴木:『幻の光』が?
北村:そう。まず、私の関わった映画はみんな、日本の映画監督にも叩かれているんですよ。『幻の光』に関しては、誰が送ってくれたのかはわからないけど、フランスの『Figaro』をはじめ、ドイツ、イタリアのみんながメディアで取り上げてくれたんです。��まりに取り上げてくれるから評価されるようになってきて、ヴェネチア国際映画祭で賞を取って、逆輸入的に話題になったんです。当時、主役の江角マキコさんは、基本的にモデルだったじゃないですか。モデルが「自分のために何かやりたい」という雰囲気を出してくると、私、拒否感が出てくるの。だって、江角のためにやる映画というのは、おかしいじゃないですか。それまでに、10回くらい断ったんですよ。それで、引き受ける条件として、葛西薫と藤井保を突っ込んだんです。
鈴木:それで、あの本、『ESUMI』(リトルモア )ができた?
北村:そう。その二人を入れるならと、映画を受けたんですよ。衣裳合わせも自分で5トン車借りて、是枝さんと私でやったんですよ。
鈴木:是枝さんの中でも、『幻の光』は良かったですけどね。リアルさがあるんだけど、何となく違う。現実にいないけどいそうな人物という感じがすごくして。だから、正直に言うと、ストーリーというよりは、映像が綺麗だったという印象が残ってる。
北村:どの映画でも、私は孤独で独りぼっちなんです。黒澤明監督もドローイングや着色をやっていたのと同じように、洋服を作っている。それが当然だと思うのよね。自分の中でそういうものが映画だと思うじゃない。映画というものを私はミケランジェロ・アントニオーニから出発していて、女優で一番好きなのは、モニカ・ヴィッティなんです。だから、映画を観ていて、彼女は裸足で道を歩いているという表現から、シナリオがわかるじゃないですか。全部通して観たあとは、たとえば、あそこであの椅子がどうして出てくるのか、そこをもう1回観ることを何度もしていく。そういうふうに、自分で映画の洋服の表現力というものをマスターしていったんですよ。
鈴木:それが正しい見方ですよね。
北村:それから自分で衣裳をやるようになって、「監督が描いたドローイングはないの?」と聞くと、「え?」と返ってくる。しょうがないから、それを私がやっていく。役者には絵コンテがあったほうが、わかりやすいじゃないですか。それを元にみんなやっていくようになってきたの。『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』(08)もそうだった。それはもう、孤独になっていくよね。
鈴木:北村さんが人物像をほとんど作っているんだと思ったのは、『メゾン・ド・ヒミコ』(05)の裏話を聞いたとき。採用されなかった設定なんだけど、主演の柴咲コウはゲイのための老人ホームにいて、白いシャツに薄く赤い下着が透けている。それが、「女性の性の部分をグッと抑えているけど、残っているという表現だ」と言われたとき、もう台詞は要らないなと思った。その服だけで人物像が成り立つじゃないですか。ビジュアルで表現することって、ビジュアルだけで一気に全てが入ってくることがあるから、言葉も超えてしまうことってあって。
北村:それ、正解です。小津安二郎監督がやっていた、原節子の二の腕から見えるブラジャーに私は辿り着いたんですよ。あの時代にそういうふうにやっていたなぁって。そうやって脚本を読み込んでで、ドローイングしていくタイプなんですよ。だから、プロデューサー側から「こういう普通の長袖で綿のシャツでこういうのにしてくれ」と言われるようになったときに、「じゃあ、どっち側をあなたたちは取るんですか?」という話になった。私は、そこから衣裳合わせに行かなくなったの。
鈴木:(笑)。
北村:アクセサリーも同じで、全く合わないアクセサリーや時計をみんな持ってくるのよ。美術の小道具さんがダンボール箱で持ってくる。そういう儀式なんですよ。「ここから選んで」と言われるんだけど、私は「え、なぜこれを使わなきゃいけないの?」って。長年ダンボールに入ってて、カビ臭いもん。それで喧嘩になって、「私は降ります」ということになる。思いをかたちにして表現するときに、役者側の意見が強いんだったら、監督は要らないんじゃないのと思っちゃうのよ。
鈴木:それじゃ、映画にならないですもんね。
北村:そう。『幻の光』も、その衣裳に対する思いみたいなものがあるわけ。石川県・能登で育った自分の子どもの時代の冬というのは、やっぱりモノトーンで世界が見えてた。私がアイスランドに行ったときに、能登と同じだなと思った。それを作品の中にフィードバックしたの。私、監督って、もし日本の作品だったら、あらかじめ役者を想定しながらシナリオを書いていると私は思っていたんです。ところが、私が衣裳をやるというとき、役者は誰も決まっていないんですよ。だから、想定してやってなきゃいけない。
鈴木:だいたいの当て書き、みたいな感じで進めますよね。
北村:うん。「例えばどういう人ですか? その人、私が交渉しますよ。あなたたちがしないんだったら」という話になってくるわけですよ。
鈴木:でも、以前は衣裳部の人がやるのが衣裳だったけど、北村さん以降、衣裳という考え方で映画にスタッフとして入る人たちが出てきた。伊賀(大介)くんとか三田(真一)くんとかは、北村さんのメソッドみたいなものがあったから、その後にスッと入れたんだと思う。
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北村:はじまりの話をすると、私は若い頃に、ものすごい広告業界に入って、300人を前にして恥をかいたんですよ。それは、メンズウェアが何たるかを知らなかったからです。イギリスの大物の撮影で恥をかいたから、そのギャランティをいただいて、「私、1年間この国に残ります」と言って、サビルロウのリージェントストリートとボンドストリートをくまなく調べたんです。洋服について全くわかってないお姉ちゃんがイギリスに行って、ボンドストリートを歩いていくと、ここでは全部揃うんだということがまずわかったの。
鈴木:シャツ屋も靴屋も帽子屋も時計屋も全部ありますもんね。
北村:そう。とにかく、メンズをマスターすればTPOがわかる。なぜって、メンズの人たちが、女の人たちをエスコートしていくわけじゃない。
鈴木:本当にそうなんですよね。CHANELの服も、基本的にニットは男性の下着だったり、ツイードは男性のスポーツウェアだったり、男性の生活に合わせて女性はどうするかということを考えて作られていたし。
北村:そうなんですよ。勉強してから日本に帰ると、飛行機でみんなロングホースの靴下を誰も履いていないんです。みんなカジュアルな靴下を履いて、モチャモチャしてて。こんなにひどい国なんだってわかって、そういうことを良しとしている自分がいたんだと。それが日本がアマチュアリズムなんじゃないかと私が言っているところなんですよ。普通は、何も知らないことを恥ずかしいと思わなきゃいけないじゃない。私がそれだったんです。そこからですね。
鈴木:コートもチェスターやステンカラーとチェスターの間みたいなローデンコートってのがあるんだけど、そういうタイプを着ているとあの人は貴族系なんだなとわかる。日本は、そういう習慣が一切ないですもんね。
北村:そうだよね。海軍にしても、デッキシューズを履いてないじゃないですか。そういう意味で、やっぱり、衣服にステートメントがないんですよ。
鈴木:日本人だと、良くも悪くもTPOにとらわれ過ぎて、コスプレ化しちゃう人はいますよね。生活の中で着ることは普通のことなのに、儀式になっちゃってる。それに関して、北村さんの上手さが際立っていたのが、『バベル』(06)のときにカンヌのレッドカーペットで菊地凛子ちゃんに CHANEL を着せたことです。ハリウッドに行って、ハリウッド俳優に囲まれているアジア人は目立たないことが多いけど、どんだけ目立ったかっていう(笑)。でも、悪目立ちだとブーイングものじゃないですか。賛否両論がちゃんとあるように、上手く北村さんはやってるんですよ。それは、どういうふうに着せるべきかをわかっているからですよね。あの後すぐですからね、Karl Lagerfeld(カール・ラガーフェルド)が凛子ちゃんをピックアップしたの。
北村:身も心も凛子ちゃんに尽くしました。カンヌに行くときに、まず1個だけココ・シャネルのバッグを持って行ったほうがいいと。それから、Karl LagerfeldのFENDIのバッグにドレスを詰めて、2カ月分のサングラスから靴までも全部トランクに入れて渡したんですよ。そうじゃないと、ランチやディナーのときに困るから。それで、カンヌを歩くときはこの中から着なさいって。全部、返してもらってないな(笑)。
鈴木:イブニングと昼間のドレスって全然違うけれど、日本ってそういう生活習慣はないじゃない。そのTPOは守られているのにアバンギャルドっていうのが格好いいんだけど、北村さんはそれを全部やってて。例えば、カンヌで浅野(忠信)さんが着ていたスーツ、どれだけサイズが合ってるのっていうくらい合ってた。でも、それだけじゃなくて、男性は目立ち過ぎちゃいけないんだけど、ちゃんと目につく。絶対に俳優さんに恥をかかせないんだけれど、映画と一緒で、ちょっとした違和感を出す。ネクタイだったりチーフだったりで一部だけ異物感を出してるんですよね。本当に上手い。俺が言うのも何だけど(笑)。たぶん、その人の個性をきちんと見抜いてるからできる。
北村:もう、その通り!
鈴木:それって、本当にわかってる人じゃないと絶対にスタイリングできないから。単純にTPOがわかればいいってことでもなくて、本人が着ている感じにプラスアルファで違和感を出していて。普通に見たらスッとはしてるんだけど、「なんか気になる」みたいな要素を探って、ズラしているというか。でも、他が完璧だから何も言えない。凛子ちゃんも未だにずっと CHANEL のファミリーだけど、アジア人でヨーロッパのいわゆる上流階級にいきなり入れるわけがないから、最初のインパクトがたぶんあったんだと思う。
北村:私、1回彼女を映画で降板させたことがあるんです。まだ菊地百合子でやっていたとき。そしたら、当時所属していた事務所の社長が凛子ちゃんを連れて、その理由を問いただしに来たんです、渋谷の私の事務所に。ちょうどそのときに、別の用事でカメラマンの小林響が偶然いたのよ。響は関係ないんだけど、あえて第三者がいたほうがいいやって思っていてもらったの。第三者によって今まで思ってなかった言葉が出てくることがあるのよ。それで、私は凛子ちゃんに、「今に絶対違う映画がやってくるから、そのオーディションを受けたほうがいい。そのために、名前はRで発音ができたほうがいい。外国では発音しやすいから」と言ったの。ハッタリだけど(笑)。「じゃあ、凛とした凛子にしよう」って。そうしたら、彼女が「私、変えます」って言ったのよ。それで社長が、「お前いい加減すぎる。この人、嘘ばっかり言ってる女なんだから」って。
鈴木:それで、菊地凛子が誕生したと。
北村:そう。彼女、その後、本当に『バベル』(06)が決まったのよ。オーディションに行くとき、「私が女優だったら、裸で行くよ!」って言ったら、「わかった! コートの下は裸にする」って言って、本当にそうしたかどうかはわからないけど、監督が「わかった、君の役を作るから」となったらしいのよね。意味あったよね、ちょっとした嘘も博打も。��がいなかったら、凛子という名前は出てこないのよ。あいつクソみたいな男だけど、よくいてくれたよ。
鈴木:写真家としてはワールドワイドなのに(笑)。
北村:凛子ちゃんって、どんな取材でも応じるよね。飛行機に乗って自分で行くんですよ。本当に少しのスペースしか露出がなくても、「大丈夫、行く!」って行くんだって。あれは見習うべき姿勢だと思うよ、女優たち。
鈴木:それは、北村さんが教育したからですよ。
北村:私はさ、親くんから洋服を学んでるよね。
鈴木:いやいや。
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『衣装術2』(リトルモア)
北村:私の中で、渋谷の雑踏とか公園の隅っこで撮るというアイディアは全くないもん! もともと、『衣裳術2』(リトルモア )でまとめた雑誌『T.』の連載企画を持ってきたのは、親くんと門間雄介くんだったし。
鈴木:『T.』でもこの連載だけ、テンションが違いましたよね。でも、今なら特にそうだけど、雑誌を買ってもらうのに特別なコンテンツが絶対ほしいじゃない。昔から日本の雑誌で多いのは、だいたいプロモーション取材のタイミングで同じ顔の表紙がバーっと並んでて、独自のチョイスがない。アートディレクターの大橋 修さんはすごく抵抗して、独自のチョイスを作らないと意味がないって、北村さんという異物をページの中に放り込んだという(笑)。
北村:でも、二人とも先に辞めちゃって。そうしたら、大橋くんが「北村さん、俺は続けたいから、毎回カメラマンを変えていくというのはどう?」っていう話になって。
鈴木:北村さんは、「こういうふうにしよう」と強引には、自分から言わないタイプだからね。
北村:そう、言わないです。大橋くんから、「続けてほしい」と言われたときに、「ほかの記事もファッションにはならないの?」って聞いたの。映画雑誌だから、そこは変えられないということで、「じゃあこれが最終的に書籍になるんだったら、目的がある」ということで続けて、それでリトルモアに頼み込んだのよ。
鈴木:北村さんが撮影しているシリーズも面白かったです。『衣裳術2』の表紙になった写真とか。
北村:そのときは、カメラマンが誰もいなかったんですよ。タカムラダイスケと言われても、その人の写真知らないじゃない。そしたらタカムラくんが、「北村さん俺のこと知らないから、俺がアシスタントやります」って言って。それで、凛子ちゃんの旦那の染谷将太くんを最初に撮ったんですよ。この連載で、私は親くんとのゲリラ撮影を、ものすごく覚えてるんですよ。親くんとやった新井浩文くんの撮影が、私、相当ショックだったのよ。後ろに警察官が写ってるの知ってる? あれ5分後だったら、「君、何してるんだ!」って来るやつでしょう? もう笑っちゃうよね。あれは計算して撮ってるんでしょう?
鈴木:一般の人は基本的に肖像権があるじゃないですか。警官は、公務員だからないんですよ。
北村:すごいよね、実際に来るんだから。
鈴木:そういうのが好きなんですよ。
北村:やっぱりね。だから目立ったところで撮影するんだ。
鈴木:そう。
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『衣装術2』(リトルモア)
鈴木:撮影時間をコンパクトにやるということは、考えてはいて。撮影って、下手に長時間やることが多いでしょう? でも、テンションってそんなに持たないじゃないですか。北村さんは瞬発力が半端ないから。持続力よりは瞬発力に北村さんのすごさがあるから、それは狭い範囲でぎゅっと終わるほうが、逆に良く出るというか。新井くんの撮影は、目黒の駅の線路を挟んで前後だけだから、実質半径300mとかの移動で終わったし。
北村:ああいう撮影をするのは、親くんだけですよ。まず皇居で撮るでしょ。渋谷は交差点で撮るじゃない。あとは御苑とかね。「こんなの平気で撮ってるの?」って思って。でも、ついていくと面白いんだよね。隅っこにいて、オロオロしてるのは私だけでさ。安藤政信くんの撮影なんて、ホームレスのいる隣に連れていくのよ。
鈴木:中央公園ですかね(笑)。
北村:あれカシミアのスーツよ?本当に場所を見つけるのが、上手いのよ。「こんなところあるの?」って感じで。
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『衣装術2』(リトルモア)
鈴木:でも真面目な話、違和感を北村さんが入れてくれるから、街中でも成立するんですよ。ただ、普通に街で撮ったら、ただのストリート・フォトになっちゃう。北村さんとの撮影だから、普通のロケーションがちょうどいいんです。一瞬普通に見えるけど、よく見ると違和感があるのは、たぶん普通の服じゃないというのが一番大きい理由だから。北村さんと『Purple』を初めてやったときに、凛子ちゃんがモデルだったんだけど、普通のスタイリストなら100%絶対ダメって言うくらいの台風が来て。だって、80万円くらいするコートだし、濡れるに決まってるし。でも、北村さんが言ったことで忘れられないのは、「全部濡れちゃえばわからない」っていう(笑)。
北村:だから、親くんの手口で嵐の中の池松壮亮くんの撮影もやったのよ。
鈴木:俺、すげぇなと思って。ラッキーと。北村さんは、乱暴に扱うけど、最高に丁寧にも扱うというか。普通だったら濡らして買取だけど、ちゃんとカシミアの質をわかっているから。
北村:あれが日本の洋服ならびちゃびちゃですよ。池松くんの撮影のときも台風が来て、じゃあTOM FORDを借りてこようかって。そしたら、大森克己さんはiPhoneで撮ってたらしいの。
鈴木:iPhoneは雨でも大丈夫なんですよ。フィルムのカメラはダメだけど。
北村:親くんは、フィルムで撮ってたじゃない!
鈴木:そう。正直に言うと、カメラは別に壊れても買い換えられるじゃない。でもこの台風は過ぎ去ったらもう撮れないから。
北村:でもね、Balenciaga、濡らした写真を『Purple』で使ってくれたんだよね。決められたルック通りじゃなかったのに。
鈴木:しかもそのときってNicolas Ghesquiere (ニコラ・ジェスキエール)がデザインを始めたばかりだったから、崩すのはダメだった。洋服の着方も全部指定で、「確実にやってくれ」と言われていて。しかも、広告は『Vogue』と『Purple』にしか打っていない時期で。
北村:そういや、『Purple』で押井守もやったじゃない。日本テレビまで行ってさ。
鈴木:押井守さんがまだアニメ好きだけの支持を受けていた���、今みたいな存在じゃなくて。ちょうど、日本のモデルで誰か面白いのがいないかと話していて、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2.0』(08)を観てたから、北村さんに話したら、北村さんも押井さんが大好きで。『ブレードランナー』(82)の影響を受けてはいるけど、逆にハリウッドにも影響を与えたような人だから、立場上、凛子ちゃんと同じようなものだって。海外の評価が異常に高いから、これは北村さんがやるしかないでしょうと思って。
北村:会話が止まらなかったよね、二人で。『ブレードランナー』の話になって。Ridley Scott(リドリー・スコット)のことをようやく会話できる奴がいたって感じで。
鈴木:映画のプロデューサーからは、一切ファッションの要素はない人だと聞いていて、「着るかどうかはわからないですよ」と言われていて。事前に、スタッフの書かれたシートを渡しておいたら、たぶん北村さんの名前を見て押井さんはすぐわかったんだと思う。ボサボサの髪を期待してたら、髪の毛をきれいに切って待っててくれて(笑)。北村さんの用意したライダースを「これどこの?」とか言って、着る気満々で嬉しそうにしてましたよね。
北村:その後、同じのを買いに行ったんだよね。懐かしい。
鈴木:Maison MargielaのニットにMarc Jacobsのジャケットを着せたんだけど、本人が着てる感じを残すために、今だったらおしゃれなダッドスニーカーだけど、そのときは全然だった本人のスニーカーを履かせてた。
北村:私物みたいだったよね。
鈴木:北村さんって、本当にその場に生きている人だから。例えば、通常の撮影だと、俳優さんや女優さんが初めて仕事する人だったりすると、服をいっぱい持ってくるんです。逆に、僕が「これを外して」と言っても、外させなかったりする。それだけあったら、被写体本人が選びたいとなっちゃうじゃない。親切にしたら、その後の仕事に繋がる可能性があるじゃないですか。たぶん、そこまで考えてやっている。
北村:頭いいね。
鈴木:このシューティングというよりは、次の指名とかコマーシャルとかも考えてる。ビジネスとしてやってたらそれは正論なんだけど、カメラマンからすると、目の前の撮影が上手くいけばいいだけで、もしその後に被写体に嫌われようがかまわないと僕は考えてるタイプ。北村さんは俺よりもっとハードコアで、撮影で4コーディネートを使うと言ったら、4半くらいしか持ってこない。サイズが合わなかったときとか、場所によってちょっと変えるとかくらいですよね。
北村:だって重いし。
鈴木:それは、目の前のシューティングが上手くいくことをすごく考えてるから。カメラマンからすると本当に、正直に言うと超やりやすいんです。俳優さんに服について説明するのも、カメラマンがするよりも、北村さんがこれはこうだからいいって言ってくれたら、それで通っちゃう。
北村:上げるもんね。親くんはヘアメイクのAMANOくんをいびっているだけでさ。ロケバスの中、人の悪口ばっかりだからね、私たち。
鈴木:(笑)。人って、その場に生きることっていうのが、大人になればなるほどできない。子どもは単純に言うと、その一瞬を生きてるじゃない。だから、若い頃ってすごく瑞々しさもあって、大人になればなるほどその瑞々しさに憧れる。北村さんは、みんなよりも先輩なのに誰よりもその場に生きてて、その一瞬が良ければいいという考えですよね。
北村:そう思わない?
鈴木:本来、人生ってそういうものというか、その一瞬が積み重なっていくと良くなるし、すごく先のことを心配しても本当はしょうがないんだけど、それができる人っていうのは、立場ができればできるほど少なくなってくる。でも北村さんは、映画でも全部それをやってるから。
北村:ライブなんです。
鈴木:そう、その場を生きてる。好奇心と共に。
北村:好奇心がなくなったら、やることないんじゃないの? と思ってる。
鈴木:哲学もそうだし、最近の量子力学や物理学もそうなんだけど、結局人の思いみたいなものが全部の形を変えるとなってる。人の意思が介在したときに、実際の物が動くというのが最新の物理学の考えらしいの。北村さんって、たぶん、そういう意思が明確だから。
北村:私はけっこう若いときから三木成夫を読んでるじゃない。だから、生命って、水と油という相反するものが、実は心と体、脳と体として、そこにあるってことを最初から読んでるから、何というか、波動がどうやっても上手くいかないなというときは、「水と油だからしょうがないんじゃない?」という感じだし、素数を大事にしてるから。3とか5を。4になったら、どっかで乱したくなってくるんだよね。
鈴木:哲学と物理学が、今はほぼ一緒みたいになっている。北村さんの時代は哲学を学んで、その哲学が服になってる。実際、北村さんの思いみたいなものが衣裳に入るということは物理学が証明している。その場に強い意思がちゃんと介在している、観察者という人だからね、やっぱり。
北村:本当に先生だねぇ、親くん。
鈴木:「気持ちは伝わらない」ってよく言うけど、物理学上、今の量子学では本当に伝わっているとされていて、北村さんの撮影を見ていると、たとえ他の人と同じものを持ってきたとしても、何かが違く見える。その何かっていうのは、もしかしたら強い思いなのかもというのはすごくある。
北村:親くんと『GQ』の15年周年でTOM FORDのルックを撮影して、TOM FORDから絶賛のメールが来たんですよ。
鈴木:ヒップホップの男の子で、IOくんって子なんだけど、まぁ、きっとTOM FORDは着ないでしょ。それをポコっと着せて。普通の人が来たら、演歌歌手みたいになるのを。
北村:北島三郎だよね。TOM FORD側としては、ものすごくいいカシミアの服を用意していたんですよ。でも、私は行ったときに、「これしかないの?」って言って、ヘビメタみたいなのを使っちゃったのよ。
鈴木:やっぱり、着丈とか、スラックスの裾をブーツに入れるとか、そのバランスみたいなのが絶妙に上手い。もちろんサビルロウとかの着方がわかってるからなんだけど。本人が履いてきたブーツにそのまま入れちゃって、バッと出てきたみたいな格好良さがあって。
北村:またさ、ウィンドウにベースが並んでる、みたいな楽器屋にロケに行くんだもんね。あれは、トムちゃんが「Nice!」って言ったのわかる。
鈴木:さっき話した、同じ服でも北村さんが持ってくると違く見えるというその差って、もちろん北村さんって細かく見てるところもあるんだけど、コンセプトを全部を通して綺麗に見た後に、現場はライブにする。そこがすごく上手くて。たぶん、撮影の前までは全部緻密に考えてる。その準備がハード。写真や映像って、その場の偶然性みたいなものが入らなければ、広告になっていっちゃう。その偶然性が入ることで、エディトリアルとして一番美味しいところが撮れる。コマーシャルだったら絶対決めていくけど、北村さんはそこでも無茶苦茶するっていうのはよく聞いてるから(笑)。撮ってる側からすると、そこの要素っていうのが一番強いところ。ハプニングだけを入れるのはできるし、緻密にやれと言われたらできる人はいるけど、その両方は矛盾するじゃないですか。さっきの水と油じゃないけど、矛盾するものを両方入れられる。しかも自然に。そこが、北村さんにしかできないところですよね。
北村:ありがとうございます。
鈴木:例えばファッションって、1年か2年過ぎるとすごく古く見えちゃうところがある。30年とか過ぎるとまた新しく見えるけど、10年だとしょぼく見えやすい。でも北村さんのスタイリングって、わかりやすい表現をすると、強度があるんだよね。本人に合ってるとか、写真に合ってるとか、映画に合ってるスタイリングだから、もちろん時代性はちゃんと入ってるんだけど、いつの時代に見てもよく見えるというか。だから、10年前のものを今見ても、一切古く見えない。それがすごいなあと。
北村:それ、けっこう褒めてるよね?
鈴木:褒めてますよ。例えば、Joe McKenna(ジョー・マッケナ)というスタイリストも、北村さんと同じようなメソッドでやっている。海外でもそういう人って少ない。彼は、分厚いハードカバーの本とか出すような人だから。北村さんはヨーロッパで生まれていたら、ハードカバーの本をもう5冊くらい出してると思う。
北村:一応、2冊は出してるんだけどね(笑)。
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Photo by Chikashi Suzuki
<プロフィール> 北村道子(きたむら・みちこ) 1949年、石川県生まれ。サハラ砂漠やアメリカ大陸、フランスなどを放浪ののち、30歳頃から、映画、 広告、雑誌等さまざまな媒体で衣裳を務める。映画衣裳のデビューは85年、『それから』(森田芳光監督)。07年に『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』(三池崇史監督)で第62回毎日映画コンクール技術賞を受賞した。著書に『Tribe』(朝日出版社)、『COCUE』(コキュ)、『衣裳術 2』『衣裳術《新装版》』(リトルモア)がある。2019年1月21日(月) 、東京・文化学園にて、「北村道子さんトークショウ」(17:30入場/18:00開始)を開催予定。1月10日(木)より出版社・リトルモアHPで観覧予約開始。
<書籍情報> タイトル 衣裳術2 著者 北村道子 装幀 大橋修 価格 ¥2,000 判型 A5判 /192ページ 発行日 2018年12月 出版社 リトルモア HP: www.littlemore.co.jp
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michiko kitamura
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