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#タンパク質祭り
bakinginstruction · 8 days
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coco2241 · 5 months
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ハロウィンの頃に書いた『魔女をまもる。』の感想
 10月31日はハロウィン。ひと昔かふた昔前はハロウィンというと漫画雑誌や、NHK教育放送(現在のEテレ)で放映されていた『英語であそぼう』など海外文化を紹介する番組を介して知るイベントだった。
 ハロウィンの夜にお化けの仮装をした子どもたちが各家を訪問し、「Trick or Treat」のかけ声の後、お菓子をもらうという地域住民の相互協力による行事が、日本に正しく定着しているだろうか。
 そもそものハロウィンは古代ケルトで行われていた祭りが元になっていると言われている。ケルト人はヨーロッパのかなり広い地域に住んでいた人々のことを指すが、日本で知られているのはフランスやブリテン諸島に伝わる妖精の神秘的な物語かもしれない。独自の宗教を持っていたが、キリスト教の定着とともに廃れたが、ハロウィンや妖精の伝承に形を残していく。
 キリスト教が伝播する過程で土着の信仰や風俗と融合していくことは珍しいことではない。またキリスト教徒たちも「プレスター・ジョンの伝説」、「女教皇ヨハンナ」、「さまよえるユダヤ人」といった伝説を生み出していく。こういった融合や伝説は信仰を主導する組織の教義と矛盾することもあった。そこから始まる排斥として悪名高いものとして「異端審問」と「witch-hunt」がある。この二つは分けて考えるべきか、同じものとして語るかは時代や状況によるので注意がいるだろう。現代人にも共通することだが、差別、偏見、無知など排斥活動には複合的な事象が絡まり合っている。
 例えば「witch-hunt」は「魔女狩り」と訳されてきたが、“witch”とされた人物は女性に限定されていない。「“witch”は女性である」というのはステレオタイプ(注1)である可能性が高い。“witch”とは何であったのか。「witch-hunt」は女性差別に根ざした宗教的な排斥運動であるという説明は単純化されたものである。。
注1)ステレオタイプとは医師と看護師の組み合わせで医師を男性、看護師を女性と思い浮かべるようなことで、思い浮かべた当人が所属する社会通念ではそういった事例が��いかもしれないが、これを固定観念とすることは偏見と言える。こういった偏見を特に社会的少数者(マイノリティ)に当てはめることが人権上の問題としてよく取り上げられる。
 “witch”とは何であるかということに取り組んだ意欲作が、槇えびしによる『魔女をまもる。』である。
 主人公は実在の人物であるヨーハン・ヴァイヤー(1515年~15��8年)である。史実としての彼は「witch-hunt」に反対し、それに関する著作を遺した人物として知られている。
ヨーハン・ヴァイヤーは“witch”と呼ばれる人々を医学的見地から考察し、精神疾患や取り調べの際に行われた拷問に耐えかねた自白から生み出されたものであるとした。
 本作のヨーハン・ヴァイヤーも当時の科学の視点から魔女の正体を説く。興味深いのは彼が用いる病理の根拠が四体液説に依ることだ。
 四体液説はインドのアーユルヴェーダや古代ギリシャで提唱された病の原理である。「血液」「粘液」「黄胆汁」「黒胆汁」の四つの体液のバランスが崩れると人間は病気になるとされる。漢方にも類似した気血水という考えがあり古代の医学の定説とも言える。患者の病態を観察して導き出された面もあるため、経験則に基づく治療方針の策定にはある程度役に立ったとは思われ、19世紀頃まで支持されていたが、病理学や生理学の発展とともに四体液説は根拠を失った。
 つまり四体液説のみを根拠に患者が“witch”ではないことを証明することは不可能なのである。そのため、作中のヨーハン・ヴァイヤーは「やはり“witch”は存在するのではないか」という疑念を払拭できずにいる。これは科学的思考を用いるが故のジレンマである。
 現代に��るまで多くの科学者たちがこのジレンマに陥ってきた。有名なエピソードとして軍医としての森鴎外が脚気の原因を細菌による感染症であるという誤りを正すことができなかったことや、プリオン病の原因が異常タンパク質という物質であるか生命体である未知のウイルスであるかという論争が挙げられる。
 未知を解明すると言うことは、時に既存の学説を覆さなければならない。その手順もまた従来と同じく、観察、分析、実証に基づいて行わなくてはならない。
 先ほど例で挙げた脚気であるが、原因はビタミンB1の不足であることがわかっている。鈴木梅太郎がビタミンB1の抽出に成功したのは1910年である。脚気の原因がビタミンB1の不足であると確定されたのは1925年のことだった。一方、高木兼寛が海軍において食事の内容を変えて脚気の予防を試み、成果を出したのは1884年である。ビタミンB1の存在を知らなくても食事の内容を変えれば病を防ぐことができると確かめることはできるのである。
 四体液説という不確かな学説を根拠にしながら、ヨーハン・ヴァイヤーが目の前にいる者は“witch”ではないと証明できるのは、事実の検証があってのことだ。現代の科学者たちも同様に日々研鑽を積んでいる。専門的な知識を持った科学者もまた無謬ではない。人間は性別や社会に与えられて役割によって偏見を持つ。偏見を持つと言うことは自分と異なる役割や立場の人間に対して不正確な認識を以て評価を下すということだ。このことに自覚しない限りこの態度は改めることはできない。この無自覚が「witch-hunt」に女性迫害の側面を持たせた最大の理由だと推察する。
 長らく世界は男性中心かつ男性優位の社会を自然だとしていた。政治、司法、財産の決定権は男性に偏り、女性は社会的弱者となる。この状態が現代において解消されたと認識するのは各地の報道をはじめ、統計などの科学的見地から誤りであることは言うまでもない。
 近代からの医学においても主に男性の医師が女性特有の病や妊娠出産にまつわる諸症状を研究や治療を行ってきたが故の誤りはある。魔女狩りの時代が過ぎ去った後、代わりにやってきたのは「ヒステリー」だった。
 「ヒステリー」という病名は現在用いられない。用いられるとしたら疾患の有無にかかわらず怒りを露わにする人間(どちらかというと女性)を侮蔑する際に使われることが多いだろう。「ヒステリー」の語源は「子宮」を意味するギリシア語が語源になっているように、女性の病気とされてきた。ある精神状態、身体症状を示す患者を「ヒステリー」としたが、病態生理が究明されていない曖昧な定義だったため、現在はいくつかの疾患の名称で診断される。
 「ヒステリー」の原因は心理負荷、つまり過度なストレスであるとされたが、何故女性にこの病気が偏るのか男性中心の社会を自然なものと捉える者には解明できない。ただ患者が女性であるが故に心身に欠陥を備えていると、女性蔑視の根拠とする者すらいた。
 「witch-hunt」と「ヒステリー」はなくなったが、他の言葉にすり替わっている可能性はかなりある。今回紹介した『魔女をまもる。』の幕引きもそれを示唆するかのようだ。不正確な評価が科学の発展を阻むのであれば、それは正さねばならないと判断するのが科学者のあるべき姿だろう。
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oniwabanryoko · 6 months
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茄子と鶏むねの甘酢炒め。キムチ納豆の温奴。
結局、母が責任持って食べるはずの納豆は放置されてた。私の不自由な左手は、パックを開けるのも、フィルムを取るのも、小さなタレの袋を開けてかけるのも、パックで混ぜるのも全てがしんどい。一連の作業がかなりのストレスで、とにかくやりたくない。出してやらなきゃ食べないのなら、二度と納豆買わないで欲しい。
今日は昼も夜もタンパク質祭り。筋トレ民かw
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deepexperttrash · 7 months
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味や飲み方は?大人気のザバスプロテイン。売れ筋商品をご紹介します。
ザバスプロテインは近年の筋トレブームも相まってかなり売れています。プロテインと聞くと、筋肉を大きくするためだけに飲む、味も美味しくないイメージがある方も多いと思います。 しかし最近のプロテインはより飲みやすく、タンパク質以外の栄養も豊富に摂れる商品が数多く開発されてます。 その中でも売れているのがザバスプロテインです。このザバスプロテイン、実は、筋トレに興味ないって方にもおすすめなんです。理由は記事を読み進めていけばわかります。今回は大人気のザバスプロテインの特徴や目的別の飲み方をお伝えするとともに、Amazonの売れ筋商品をご紹介します。 ザバスプロテインが先日のAmazon感謝祭で堂々のトップ10入り ザバスプロテインはこんな人におすすめ ザバスプロテインのおすすめの飲み方 プロテインシェイクとして 食事に組み込み ザバスプロテインについてのよくある質問 まとめ …
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1-in-365 · 11 months
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ゼラチンの日 宗教によっては避ける方も
今日7月14日は 日本ゼラチン工業組合が制定した “ゼラチンの日”だそうです。 ゼラチンがこの時期(暑い時期)から需要が高まることそしてもともとはフランス菓子や料理によく使われていたことから フランスを代表する記念日で “パリ祭”の日である今日になったのだとか。 ゼラチンは 動物の皮膚や骨、腱などの結合組織の主成分である コラーゲンに熱を加えて 抽出したもので タンパク質が主成分だそう。 ゼリーをはじめ さまざまな料理や食品の凝固 成形、食感などに 活用されています。 また食用のみならず 工業用・医療用・ 写真・アートの世界でも 幅広く利用されていて 私たちの暮らしに 欠かせない素材でもあります。 一方で イスラム教徒(=ムスリム)は ゼラチンが入った食材を 避けています。 彼らが宗教上 “豚”、“アルコール”、 “血液”、“宗教上の適切な処理が  施されていない肉”などを 避…
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genkidesuka2022 · 1 year
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骨の健康維持やダイエットに!チーズのうれしい効果
さまざまな料理にマッチするほか、おやつやおつまみにもなるチーズは、使い勝手がよく保存性にも優れた食材で、女性が好む食材の一つでもあります。
チーズの栄養効果や特徴について解説します。目次
知っているようで知らないチーズ
骨の健康維持やダイエットに!チーズのうれしい効果2つ
1.骨粗鬆症を防ぐ
2.ダイエットに役立つ
ナチュラルチーズとプロセスチーズの違いって?
ナチュラルチーズの特徴と分類
プロセスチーズの特徴
最後に
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知っているようで知らないチーズ
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チーズは古代から存在している: チーズは非常に古い歴史を持つ食品であり、紀元前5000年頃のメソポタミアやエジプトで既に作られていたと言われています。また、古代ギリシャやローマでもチーズは一般的に食べられていました。
チーズは多様性に富む: チーズには様々な種類があり、その味や風味は非常に多様です。例えば、ゴーダチーズはまろやかな味わいがあり、ブルーチーズはクリーミーで強い風味があります。また、モッツァレラチーズは伸びる性質があるなど、それぞれのチーズに特有の特徴があります。
チーズの作り方は複雑: チーズは牛乳や羊乳、山羊乳などの乳製品を酸や酵素を使って固め、塩漬けや熟成させることで作られます。チーズの種類によっては、熟成に数か月以上を要するものもあります。また、チーズの製造過程で使用される酵素や菌によって、味や風味が大きく異なることもチーズの特徴の一つです。
チーズは栄養価が高い: チーズはカルシウムやタンパク質をはじめとする栄養素が豊富であり、エネルギー密度も高い食品の一つです。また、チーズにはビタミンやミネラルも含まれており、栄養バランスの良い食品としても知られています。
チーズの産地による味の違い: チーズの味や風味は、産地によっても異なります。例えば、フランスやイタリアなどのチーズはその土地の気候や風土に影響された独特の味わいがあります。また、地域ごとに伝統的な製法や熟成方法があり、それによってチーズの特徴が変わることもあります。
以上のように、チーズは歴史や製法、味の多様性などがあり、興味深い食品です。
また、チーズは世界各地で親しまれ、様々な文化や料理に使用されています。
例えば、パルメザンチーズはイタリアのパスタやリゾットに、チェダーチーズはアメリカのハンバーガーやマカロニ&チーズに、ベリーチーズはフランスのデザートに使われるなど、地域ごとに異なる料理に欠かせない存在となっています。
また、チーズは熟成によって味や風味が変化することも特徴的であり、長期熟成のチーズはより濃厚な味わいが楽しめます。
一方、若熟成のチーズはよりまろやかでフレッシュな味があります。
さらに、チーズは料理の他にも単体で食べるだけでなく、チーズ盛り合わせやチーズフォンデュなどのように、食卓を彩る一品としても楽しまれています。
また、チーズは文化的な重要性も持ち合わせており、チーズ作りやチーズに関連する行事や祭りなどが世界中で行われています。
例えば、スイスのチーズ祭りである「チェーズ」や、イギリスのチーズローリング大会など、チーズを中心にした独自の文化が存在しています。
以上のように、チーズは歴史、製法、味の多様性、料理や文化との関わりなど、意外と知らない一面もあります。
チーズは世界中で愛されており、その魅力は多岐にわたります。
骨の健康維持やダイエットに!チーズのうれしい効果2つ
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牛乳や山羊乳を濃縮して作られるチーズには、生乳の栄養がギュッと詰まっています。
特に、カルシウム・ビタミンB2などを多く含んでいます。
1.骨粗鬆症を防ぐ
健康な骨と歯を作り、骨粗鬆症予防のためにも積極的に摂りたいカルシウム。
ほとんどのチーズは同じ重量の牛乳より多くのカルシウムを含んでいて、その含有量を比較すると、カマンベールは4倍以上、パルメザンチーズは10倍以上、プロセスチーズは6倍以上にもなります。
何をどれだけ食べるべきかを国が定めた指針「食事バランスガイド」では、カルシウム供給源として牛乳・乳製品を奨めています。
牛乳だったら200ml、スライスチーズだったら2枚分が1日の目安。
牛乳を飲むとお腹がゆるくなる人や苦手な人は、チーズを上手にとり入れてみてはいかがでしょうか。
ただしカテージチーズ・クリームチーズは、同じ重量の牛乳よりもカルシウムが少ないので注意が必要です。
2.ダイエットに役立つ
チーズには、ビタミンB2・レチノール(ビタミンA)が多く含まれています。
ビタミンB2は脂質の代謝を助ける働きがあり、ダイエット時には積極的に摂りたい栄養素です。
レチノール(ビタミンA)は肌のターンオーバーをサポートし、ダイエット中に起こりやすい肌荒れを防いでくれます。
また、チーズは腹持ちがよい食材なので、間食にとり入れれば、空腹の解消にも一役立ちます。
ナチュラルチーズとプロセスチーズの違いって?
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ナチュラルチーズの特徴と分類
ナチュラルチーズは、生乳に乳酸菌や酵素を加えて固めてから熟成させたもの。
熟成にしたがって風味が変化していきます。製法や原料によって6種類に分類することができます。
■フレッシュタイプ
生乳を酵素や乳酸菌で固めてから水切りをしたチーズ。
水分が多く、柔らかい食感が特徴です。
購入したら、なるべく早めに食べきるようにしましょう。
《代表的なチーズ》モッツアレラ・カッテージ・リコッタ・マスカルポーネ
■白カビタイプ
チーズの表面に白カビの胞子をつけ、熟成させたもの。
製造日から2~4週間で食べ頃となり、濃厚でとろっとした舌触りを楽しむことができます。
《代表的なチーズ》カマンベール・ブリー
■青カビタイプ
固めた乳の間に青カビを植え、熟成させたもの。ピリッとした香りと味わいが刺激的なチーズです。
食べ頃は、製造日から半年~1年です。
《代表的なチーズ》ロックフォール・ゴルゴンゾーラ
■セミハードタイプ
生乳を発酵させたあと、プレス機で水分を絞ってからゆっくり熟成をさせたものがセミハードタイプ。
較的硬く、プロセスチーズの材料にも使われます。食べ頃は、製造日から3ヵ月~6ヵ月です。
《代表的なチーズ》ゴーダ
■ハードタイプ
セミハードタイプの水分をさらに少なくしたものがハードタイプ。
濃厚な味わいが特徴です。
粉にして料理に使われるほか、プロセスチーズの材料に使われています。
食べ頃は、製造日から半年~1年です。
《代表的なチーズ》チェダー・パルミジャーノ レッジャーノ・ラクレット・ミモレット
■シェーブルタイプ
山羊の乳から作られるチーズのこと。
酸味を抑えるため、表面に木炭の粉をまぶしているものもあります。
《代表的なチーズ》ヴァランセ・クロタン・サントモール
プロセスチーズの特徴
プロセスチーズは、1種類以上のチーズを溶かしてから再形成したもの。
熱を加えて加工することで微生物の働きが止まるため、品質や風味が変化しにくいのが特徴です。
料理に使いやすいスライスチーズや、間食・おつまみにぴったりなキャンディタイプ・スティックタイプのものが多く出回っています 。
最後に
うれしい効果がたくさんあるチーズですが、低カロリーとはいえません。
ダイエットに役立てるには食べ過ぎに注意するほか、低カロリー・低脂質のものを選ぶことも大切です。
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airinhishou · 2 years
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昨日深夜のTOMさんの御飯 鶏胸肉2枚で、サラダと野菜の水分でカレー 「野菜食べ過ぎ」とか言って 「腹一杯」… さて…それはどうかな… 先日、カカオの比率の高いチョコレートとお酒の入ったチョコレート 禁酒してるので、全部TOMさんにあげました(かなりの量) いつしか、食後のお楽しみになってたらしい 一昨日 チョコレートが無くて あたしのお楽しみで沢山冷蔵庫に入れてた、GODIVAに勝手を出して食べやがった🙀 なので、買って返して貰います。 つぅ〜か、酔うて人の物を喰うな‼️ 前に、冷蔵庫にプリン コーヒーゼリー 杏仁豆腐 あんこプリンとか、日持ちのするやつを10個くらい入れてたら 朝起きて、びっくりした😱omg わざわざ蓋を開けて 食べもしないのに、流しにひっくり返して中身が排水溝に詰まった状態で放置 地獄絵図 それを覚えてない‼️とか言いやがるので、「全部買って戻して」(今だに戻してくれて無い) 期間限定のラス1で買ったパック飲料とかも、酔って勝手に飲んでたり 「何で飲むん‼️」言うと「飲み物がなかったから」だったり「知らん 覚えてない」だったり😅 酔うたらめちゃくちゃ迷惑を掛けられるのて困る コイツの上頭の上にトグロ巻いたカラス蛇が70匹ぐらい落ちてくれば良いのに💢 マジ‼️ムカついております。 だから1日一回以上「死ねばいいのに💢」と、キレられるという その話は置いといて あたしの雑飯な事😅 夕飯という名のフルーツ祭りwww りんご 梨 オレンジ アップしてないけど、バナナもwww おやつで、ブルーベリーチーズデニッシュみたいなの食べてみました。 デニッシュ部分が余り 美味しいとは思えなかった😅 お昼はタンパク質の摂れるサラダラップポリポリスティック野菜(これ!美味しい❤️)と、ブランパンシリーズのマーガリンサンド 朝は定番 病院へ行きました。 労災が延びました😅 ひざの裏の腫れが全く引いてない しばらく 休業ですわ 今日は何しよう… あっ!昨日、味噌と柚子胡椒2本貰いました❤️ 新天地 良い事沢山ありそう #一括払い#鶏胸肉料理#最近ちょっと太った#禁酒#禁酒201日目#棚ぼた#棚ぼた三昧#毎日棚ぼた https://www.instagram.com/p/CgknvOFh6jH/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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cyunley · 4 years
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今夜の宅飲みー! 旦那が寺泊で鯵や鰯や甘海老や鮪を 買って帰ってきたので今夜はお魚祭🐟✨ ・ #鰯の蒲焼き #中トロと鯵の刺身 #佐渡産甘海老 #新潟では南蛮海老 #鰯のなめろう #真の鶴純米酒 #純米1901号 #佐渡の酒 #尾畑酒造 #お魚祭 #新潟祭り #おうちごはん #おうちごはん部 #おうちごはんlover #タンパク質祭り #おうち時間 #stayhome #タベリー #フーディーテーブル #キッチングラム #クッキングラム #夫婦ごはん #ふたりごはん #手作りごはん #晩ごはん記録 #献立記録 #豊かな食卓 #ぽんしゅたぐらむ #cyunley作ディナー #cyuley ・ 新鮮やから鬼旨い😍❣️なめろうだけ 旦那はんがつくった! 今日はポン酒がよう進んだ🍶✨ 真の鶴純米1901号はどっしりとした 芳醇な旨みにほんのりと酵母由来の 発酵香とごく穏やかな酸味のバランスが とても良く複雑な米の旨みが凝縮された 酒飲みが好む酒質!吟醸酒の様なフルーティーさが ないので蒲焼きやなめろうの様な 旨みたっぷりな酒と合わせて◎‼️ 光り物は尿酸値が気になるけどたまには いーとする😅←あたい値高め。笑 ・ なう(2020/06/13 21:07:14) https://www.instagram.com/p/CBX-4BzgQqB/?igshid=1skwejrznyubp
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happinessinage · 3 years
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365日サイクルのクックチル献立「すこやか」
必要な栄養を摂取するだけでなく、食べる楽しみや喜びを感じていただきたいという想いが込められたナリコマフードが提供する献立です。
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素材の味を生かした、家庭的でぬくもりを感じられるお食事
安心・安全はもちろん、「美味しさ」にこだわり抜いたお食事をご提供しています。良質な食材や調味料、素材の味を生かしたやさしい味付け。ご高齢者の健康を願い、食べられる喜びを感じていただきたいというナリコマの想いです。
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季節感のあるメニューに行事食や郷土料理をプラス。日々の楽しみにつながる献立を。
良質なタンパク質、野菜、海藻、キノコ類を豊富に取り入れるなど、管理栄養士が毎食の栄養バランスを管理。美味しさはもちろん、調理法や味付け、色合いにも工夫を凝らし、楽しく、喜ばれるお食事を目指しています。1日3食、365日異なる献立やおせち料理、お寿司といった行事食にも介護食をご用意しています。ご高齢者のために考えられた健康的で飽きのこないお食事をお届けします。
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365日の献立
ナリコマでは、従来の介護食の課題であった「見た目」「安全性」「利便性」を追求し、研究・開発してきました。「お食事を通じて季節を感じていただきたい」という想いから、“365日サイクル”の献立システムを導入。利用者・入居者さまに喜んでいただけるお食事を提供いたします。
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行事食
正月やひな祭りなど、日本人が大切にしてきた暮らしの節目や季節行事をお楽しみいただける献立です。
郷土料理
毎月、日本各地の伝統的な郷土料理を献立に取り入れています。
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自家製パン
職人が一から考えた完全オリジナルレシピ。イーストと併せて自家製の天然酵母を使用し、ご高齢者が飲み込みやすいよう水分量を増やしたパンは、口どけが良くうまみや香りもしっかりと感じられます。
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自家製おやつ
ご高齢者にとってのおやつは、間食としてのおやつというだけでなく食事の補助としてとても重要な役割があります。 甘く食べやすいおやつは、食事にはない楽しみを感じていただけます。
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nagako · 5 years
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2019.05.21 もはやダイエットはしていないのだと思う
4月からダイエットを企てて、痩せる味噌汁とか糖質オフとかいろいろ試す一方で、物産展とか食フェスの誘惑にあっさり陥落して全然痩せないわたくしですが、家にいるときは炭水化物一切食べずに総カロリー摂取量は1000以内とか、食べたものを全部アプリで記録して糖質脂質タンパク質のバランスをチェックしたりとか、一応努力は続けているのです。が、全然痩せないのは、食べるときにはがっつり食べるのと、毎晩焼酎の緑茶割りを10〜15杯くらい飲むからでしょうか。冷やすの良くないみたいだしね。まあ、やめませんけどね。
前回のブログ(2019.05.05 結局のところ食いまくっておりますが)から2週間ちょい経って、その間、なに食べたっけって思い出してみたところ、この人完全にダイエットしてない。
5月6日、1日1000cal以下炭水化物抜きで調整するも、暴食レシピ本を購入。食欲に暴力的な火がつく。
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5月7日、2ヶ月ぶりにパスタを食べてしまう。感動する。
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snacknagako 2ヶ月ぶりのパスタの満腹感、異常!はらまんすぎて半分でギブ! あと炭水化物の多幸感、異常! 久しぶりに飲んだコーヒーの脳のパキッと覚醒感も、異常! これ毎日10杯くらい飲んで、煙草がんがん吸って、3食がっつり炭水化物食ってた頃ってマジで強烈に脳ドーピング決めて生きてたってことだよね。そりゃ脳もくたびれるよ。もういい年だから優しくしてあげよう🧠
5月8日 反省して朝飯こんな感じ
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5月9日 GLASSLOFT展の建て込みで差し入れ。ピザみたいなチョコレート。私は甘いもの苦手なので食べてないけれども。
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5月10日、高山ラーメンを食べてしまう。
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snacknagako 新宿に来たら、ふらふらと信州・飛騨高山・富山物産展に吸い寄せられ、ふと気づいたら高山ラーメンが着丼していたのだった。ダイエットどこ行った
5月11日 友ちゃん家で火鍋! シンガポールで調達してきてくれた火鍋セットとあさりの出汁ましましで最高! 写真撮り忘れたので友ちゃんの借りるね。
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最高。最後、麺までがっつり。友ちゃんごちそうさまでした❤️
5月12日 反省して朝飯こんな感じ。
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でも夜はGLASSLOFT展の会場の隣にある月島スペインクラブで、その日トークショーでご一緒した辻川幸一郎さんに美味しいスペイン料理をもりもりご馳走になりました。ジックさん、ごちそうさまでした!
5月13日 ジムでトレーニング。で、夜は家族で母の日ノンフライヤー祭り。景品かなにかでもらってからずっと使っていなかったノンフライヤーを駆使して、甥っ子と一緒に餃子の皮でミニピザを作る。パリパリでおかしみたい。
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5月14日 友ちゃんと激辛グルメ祭りROUND1! 雨の中11時30分に待ち合わせしてほぼほぼ制覇。全部マックス辛。ちゃんと辛くて美味しくて最高。
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5月15日は打ち合わせでPRONEWSさんへ。もうすぐ新連載のお知らせができそうです。乞うご期待! その後、俳優の尚玄さんのお誘いで彼が主演の映画「ココロ、オドル」の試写へお邪魔したのですが、途中でチーズトースト食べちゃって。写真撮り忘れたので、代わりに映画のポスターを。面白かったので、ラジオにゲストで来てもらおうと画策しております! こちらも乞うご期待!
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5月17日 ジムで申し訳程度にヨガ
5月18日 GLASSLOFT展のイベントの合間に豊洲まで散歩。市場に行ってみたんだけどさすがにやっていなかったので、ららぽーと豊洲でど・みそ。
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snacknagako 味噌おろちょんファイヤーで気合い🔥
夜は725で乾杯! ヘアメイクナツさんにちょっとカレーをもらってしまった!
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snacknagako スリーアミーゴス&素晴らしい仲間たちとともに大爆笑しながら飲んでます。楽し過ぎる!
5月19日 友ちゃんと激辛グルメ祭りROUND2! 個人的には、全く物足りなかったです。ROUND1の方がワクワクした。小籠包はとても好みだし美味しかったけど、鷹の爪ふりかけただけでは誰も食べないから勿体ない。唐辛子への冒涜であるとさえ感じる。フレッシュ唐辛子だったらもっと美味しく辛く食べれたのに。もっともコストが倍増するので難しいとは思うのだけれども。あとは全部納得いかない。激辛好きをなめないでいただきたい。夏の本戦に期待。
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その後、友ちゃんが中目黒の宝来に行くというので、ついていく。ここでも写真を撮り忘れたので友ちゃんまた貸して。絶品餃子。7人でこれ10枚ぺろり。他にも米とか麺とかいっぱい食べました。大満足。
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5月20日 渋谷のラジオへ行く前に、東急フードショーと東横のれん街で「おにぎりフェア」が開催されているというニュースをラジオで紹介したかったので、視察。食べてみた「お寿司屋さんのおにぎらず」。いや、おにぎりフェアなんだからにぎれや。他にもコロッケとかフォカッチャとか米バーガーとか逸脱したメニューがあって面白かったです。みなさまもよかったら覗いてみて。
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で、本日5月21日。以上の完全に、絶対的にダイエットしていない人の充実したお食事事情を改めて反省し、粛々と総カロリー数500くらいに抑えてみたのですが、この努力、果たして何の役に立っているのでしょうかね。もはや諸々の努力の目的は、これ以上太らないための調整になってきた感もありますが、自分の体質によっては、ハイカロリーでも太らない食べ物もあるし、食べ合わせの工夫で過剰摂取を防ぐこともできるので、いろいろと実験しながら効果的な方法論を探したいと思います。
今一番気になっているのは、きゅうり。
きゅうりで11キロ痩せた男性のすごいやり方
きゅうりで痩せるのはなぜ?~効果と方法、おすすめレシピ【医師監修】
あと、出汁。
飲む温出汁で美味しくダイエット!正しい作り方や効果って?
空腹感がない!?「だしダイエット」のメリットとは?
とりあえず、やってみる。合わなければ、やめる。私、人体実験好きなんですよね。これを摂取すると、こうなる。あ、ほんとだ。とか、全然じゃんとか。自分の体で実験してみるのが趣味っていうか。ダイエットもその延長線で、効果があろうがなかろうが楽しんじゃうから、目的を失いがちっていうか。いや、違うな。ただの食い過ぎだな。いやでも、調整できているのだから別に食べちゃってもいいんじゃないかな。それも違うな。とかなんとかブツブツ言いながら、現在53.8kgの体重をなんとか50kgまで落としたいと適当に、いや真面目に考えている45歳の楽しい毎日です。かえって3食がっつり炭水化物を食べて、データもしっかり取って、これを摂取すると本当に太るんだとか、体重増えるんだってデブエット実験してみたくもなってきているので、良い加減を忘れずに日々調整に励んでくれ、己。明日からまた頑張ります。押忍。
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xf-2 · 5 years
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100%奈良県産小麦で作った三輪そうめんの新商品「INORI(祈り)」が完成し、同県桜井市三輪の大神神社で13日、完成奉告参拝と試食会が開かれた。試食会には開発に協力した関係者ら約30人が参加し、厳選された素材の味に舌鼓を打った。三輪そうめんの中でも最高級品になるといい、夏から一般販売する。
 三輪そうめんは奈良時代に大神神社祭神の子孫、穀主(たねぬし)が三輪の小麦と湧き水で作ったのが起源とされる。だが、近年需要が減少。県三輪素麺(そうめん)工業協同組合では年間2500トンの生産能力に対し、最大2千トンの生産にとどまっているという。
 現状を打破しようと同組合が打ち出したのが「原点回帰」の方針だ。実は現在、三輪そうめんは外国産や北海道産の小麦が原料となっている。同組合は県産小麦で作る本来の三輪そうめんを復活させようと、平成28年から桜井市内で県の奨励品種「ふくはるか」の栽培を開始。従来のふくはるかはタンパク質含量が三輪そうめんの基準に満たなかったため、水はけや肥料などの工夫を重ね、3年越しで商品化を実現した。
 試食会では、帝塚山大のグループが考案した、ウメとタイの切り身を乗せた冷やしそうめんと、にゅうめんの2種類のアレンジメニューを用意。試食した村井浩副知事は「コシがあり、のどごしもいい。県の代表的な製品として、国内のみならず海外進出も実現してもらいたい」と評価した。
 同組合の池側義嗣理事長は「県産小麦は食べた瞬間に小麦のいい香りがする。品質管理の面で安全安心であることもアピールしていきたい」と話した。
 INORIは4束入り小箱が税別2千円、16束入り化粧箱が同8千円。問い合わせは同組合(0744・42・6068)。
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itadaki-mach · 2 years
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お餅を食べm@cha♪
いただきm@cha♪ blog 1周年記念号👏
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Q.「お正月に食べるとても縁起が良く体に良いものなぁ〜んだ?」
A.「お餅ぃ〜」
Q.なぜお正月にお餅を食べるの?
A.神様と同じものを食べて力を分け与えてもらいましょう♪
餅を食べる習慣は 稲作農家の食文化 にありそうです。
昔から農民は、お祝い事やお祭りのたびに餅つきをしていました。
餅には 「神の力が宿り、生命力が与えられ「神様と同じものを食べて、神様の力を分けていただく」 という意味があるようで、「神様は、鏡餅のあるところに来てくれる。」 餅を食べることは、とても縁起の良いこと。と されていたようです。
一年を健康で元気に過ごすための祈りも込められているようですよ。
また、お年玉は、もともとはお金でなく、丸いお餅を振舞っていた そうです。『神様からの魂をいただく料理=お雑煮』
「神様、昨年もありがとうございました。今年もよろしくおねがいします。」 と感謝しながら🥢✨
『お餅は、栄養素も豊富でパワー源にもなるスーパーフード!』
● 肥満抑制に期待できる栄養素パントテン酸
パントテン酸 : 食べ物から摂ったタンパク質、脂質、糖質をエネルギーにするために分解してくれる成分。お米よりも太りにくく、健康長寿を目指せる食べ物とされています。(お米にもパントテン酸は入ってますが、もち米の方がより多く入っている)
● お餅と小豆でスーパー健康長寿
小豆には疲労回復効果があるビタミンB1が豊富に含まれているので、持久力のつくお餅と一緒に食べて一日元気に活動するという理にかなった食べ物です。
● 風邪予防にも効果的
体内の代謝機能を上げてくれる働きもあり、お餅を食べることにより 体温を上昇させ免疫力up!
Q.気になるカロリーは?
A. ここが point!
→ 実はカロリーそのものがすぐ脂肪になるということではなく、きちんとエネルギーに変換されれば脂肪にはならないのです。🤭✨
そして変換を効率よくするのが 「パントテン酸 」 ということで、お餅は太りにくいんです🥰
だけど…何でも食べすぎは体に良くないです
健康になるための 魔法のことば🪄= 「腹8分目」 忘れないでくださいね🤗
お正月にお餅をしっかり食べて、神様から元気をいただきましょう
注)たくさん噛んでゆっくり味わってたべましょうね♪
おいしいお餅ごちそうさまでした🙏🥢
2年目以降も「健康で楽しく生活するために」 my日記帳_φ(^◯^として、ゆるぅ〜く 更新していきたいと思っております。Itadaki m@cha♪blog 引続き宜しくお願いいたします。
Happy New Year 🥳
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shokutaku-japan · 3 years
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[春のオム焼きそば] 最近、焼きそばをよく作っています。シンプルだけどとても難しい。作った時の心情がダイレクトに出来上がりに反映されます。 具はなんでもありで、今回は豚肉、春キャベツ、新玉ねぎ、 スナップエンドウでした✨ スナップエンドウは、丹波のKOM’S FARMさんのです。 生でも甘くて美味しくて、この時期になるとスナップエンドウ祭りが開催されます😊 焼きそばにもバリエーションが欲しいと思い、オム焼きそばにして、彩りでスナップエンドウを刻んでのせてみました✨ サクサクな食感が楽しく、春のオム焼きそばを美味しくいただきました😋 焼きそばは色んな具材を受け止めてくれる優しき?受け身な美味しいヤツです😊 作る時に具材と麺を別々で炒めて、麺はしっかりと焼き目をつけて焼くと香ばしくて美味しさ倍増です。 焼きそばは、野菜炒めに麺を焼いてソースで味付けしたという感じですね! 炭水化物、食物繊維、タンパク質、ビタミン類を一気にとれるし、美味しく自分に優しい一品なんて思うと、なかなか優れものです😊 #家庭料理 #おうちごはん #焼きそば #オム焼きそば #料理好きな人と繋がりたい #料理研究家 #料理教室大阪 #麺活 https://www.instagram.com/p/COmMyJytjCK/?igshid=1ke4ob5kd6gi
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abcboiler · 4 years
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【黒バス】やさしい国で待ちあわせ
2014/02/11発行オフ本web再録
■1■
リアカーを壊した。緑間と二人で壊した。
それもまあ仕方のないことで、この三年間、毎日使い続けていたそれは大分傷んでいて、何処かに寄付するにはぼろぼろ過ぎた。木目は至るところが節くれだって、慣れていないと服を引っ掛けて怪我してしまうし、車輪は少し歪んで、気を付けないといつも進行方向から左にずれてしまった。チェーンも錆びて、ぎいぎい音がしていたし、サドルの布はちょっと破けていた。 俺たちの愛車は満身創痍で、真ちゃんはいつも、リアカーの左角の節くれと、登ってすぐの歪んだ板に触れないようにそうっと乗っていた。俺はいつもハンドルを右側に傾けて運転していた。直した先からパンクするし、毎日油をさしても固まった錆は取れなくなって、着実に増えていた。 だから、壊したのだ。俺と真ちゃんで、卒業式の日に。いつも停めていた、学校の駐輪場の隅で。胸に花を刺して、卒業証書が入って歪んだ鞄を地面に置いて、砂に膝をついて、季節はずれの汗をかきながら、俺たちは黙って作業をした。真っ赤な夕暮れの中、二人で、ネジを外してボルトを取って、板を分解して、壊したのだ。俺たちのリアカーを。思い出を、鉄と銅と板に分解して粗大ゴミのシールを貼って捨てた。次の日の朝には回収される予定だった。駐輪場からは体育館の屋根だけが見えた。そうしてそこまでやってから、俺たちは歩いて駅まで向かって電車で帰った。 だって、まあ、仕方がないことなのだ。 俺も真ちゃんも、行く大学が違って、その方向も違って、お互いに別のアパートを借りて、四月から新しい生活を始めようとしていたのだから。俺が真ちゃんを迎えに行ったってどうしようもない。行き先の違うバスに乗ったって目的地には着かないのだ。そうなってしまうと、リアカーなんて場所を取って邪魔なだけだった。誰かに讓るにしても修理代金が高くついて新しく買った方がマシなレベルだったし、そもそも何処に寄付すればいいのかもわからなかった。 いいや、本当は、俺たち以外の誰かがこれを使うのが嫌だったのかもしれない。
「真ちゃん家だったら置いとけるんじゃねえの」 「置いてはおけるかもしれないが、俺もお前もいなくなる以上、誰も手入れをしなくなる。そうしたら後は本当に朽ち果てるだけなのだよ。修理もきかなくなるだろう」 「そうだよなあ」 「ああ」 「じゃ、壊そっか」 「ああ」
解体するとも、分解するとも、捨てるとも言えなかった。壊すという乱暴な言葉が最もふさわしいと思った。毎日毎日油をさして、毎日毎日真ちゃんが「今日もよろしく頼む」と声をかけて、パンクしたら直して、板が割れたら直して、雨が降ったらビニールシートでくるんで、落書きされたらペンキで塗って、そうやって三年間過ごしてきたこいつを、俺たちは壊す。 だって、仕方がないだろう。俺たちは大人になってしまったんだから。 こうして俺は真ちゃんを迎えに行く口実を失って、真ちゃんは俺に会う口実を失ったのだった。いいや、会う口実なんてのはいくらでもある。映画を見たい、新しい甘味が食べたい、なんだっていい。なんだっていいけれど、それは一般人の話であって、こと緑間真太郎にとって、それは必ずしも誰かが必要なものではないのだった。そして必ずしも必要でない場合、あいつは決して声をかけない。例え内心で寂しいと思っていたとしても、あいつは一人で祭りに出かけるだろう。 意地っ張りで我が儘で、懐に入れた��間には存外甘いあいつは、理由が無ければ他人に頼ろうとはしないのだ。人は一人でも、案外生きていけるものである。そもそも中学の頃は、あんな奇妙な乗り物が無くても一人で何処にでも行ってなんでも手に入れていた男だ。リアカーが無くなった今、あいつは俺を呼びつけないだろう。あれは、緑間真太郎なりのサインだった。不器用なあいつの、唯一の、俺を呼んでいい理由。 だから、俺たちには新しい口実が必要だった。いいや、俺たちだなんてずるい言い方はよそう。俺には口実が必要だった。 何せ、俺は、この緑間真太郎のことが好きだったので。 真ちゃんが俺のことを好きかどうかは知らない。多分好きだろう。俺の好きと同じ形をしているかどうかは知ったこっちゃないが、まあ、ほぼ同じ形で好きだろう。 でもそんなことよりも大切なことは、俺たちはそれを一つも口に出さなかったということなのだ。あれを壊している間中、ずっと。思い出を壊している間、ずっと。 だから俺も黙り続けている。黙ったまま、探している。まだ。
■2■
「真ちゃんホント忙しそうだね」 「まあな。取れるだけの講義を取った。ほぼ毎日一限から五限まであるのだよ」 「うっわ、信じらんねえ。勉強の鬼かよ。鬼真ちゃん。オニシン」 「全く語呂が良くないし何も洒落になっていないと思うが」
そう言いながらサラダを口に運ぶ真ちゃんの頬は、入学式から一ヶ月、少しこけたような気もするけれど、顔色は悪くない。心配していたが、きちんと食事は取っているらしい。今だって、サラダにスープ、ステーキを頼んで黙々と食べている。
「体調管理にも人事を尽くすのだよってか?」 「当たり前だ。自分で入れた講義を自分の不調で欠席するなど愚かしいだろう。初めの週に、きちんと栄養バランスを考えた献立を作った。後はそれ通りに食べれば問題ない」 「すげえ。そんな食事管理SF映画の中でしか見たこと無かったわ」
窓の外は真っ暗で、車が路面を走るザアアという音がする。なんだか雨の音に似ているような気もするが気のせいだろう。時計の針は八時を指していて、夕飯を食べるには、まあ、少し遅いくらいの時間。
「仕方がないだろう、講義があるのだから」 「ですよね」 「それでも今日は早い方なのだよ」
一ヶ月ぶりに再会する真ちゃんはいつもと同じ調子で、ひと月前と何も変わらないように見える。だけど実際は、俺の知らない所で俺の知らない講義を受けて、知識を吸収して、誰かと会話して、段々と新しく生まれ変わっているのだ。
「真ちゃん、友達できた?」 「……挨拶をする程度の顔見知りなら」 「多分それもう相手は友達だと思ってるって」 「そんなものなのか」 「そんなものですね」
飯に誘われたりしないの? と聞けば、真ちゃんは黙って頷く。俺の聞き方も悪かったが、これで頷かれても、誘われているんだか誘われていないんだかわからない。多分、誘われているんだろう。ゆっくりと口の中の肉を咀嚼して飲み込んで、水を一口飲んで真ちゃんは答えた。
「講義の終わりに、飯でも行かないかと言われたことはあるが、俺はその後も講義があったからな。最終講義が終わった後はさっさと帰っているし」 「じゃあ真ちゃん一ヶ月ぼっち飯?」 「昼は一緒に食べている奴もいる」
そんな当たり前の返事にちょっと傷つくくらいなら聞かなきゃいいのに、愚かな高尾和成くん。いやいや、マジで一ヶ月独りで飯食ってる方が心配だろ。健全な社会的人間性を持ち合わせていてくれて何よりだ。何よりなんだけれど、俺はこいつの母ちゃんでは無いのに、こんな心配をしてどうする。何にもならない。
「かわいい女の子はいた?」 「どうだろうな。いつも一番後ろの席に座るから顔は見えん」
心配すべきは、こいつが誰かと結ばれること。なんて、別に、付き合ってる訳でも無いのに、こんな心配してどうすんの。どうにもならない。何にもならない。世の中はそんなことばっかりだ。何をどう心配したって、それは全部見当違い。俺は母ちゃんでも無ければかわいい恋人でもなく、ひとりの友達。ひとりの相棒。
「お前の方はどうなんだ」 「俺? ううーん、俺んとこも女子の割合すくねえからなんともなあ。あ、でも若干みゆみゆ似の子いた」 「宮地先輩に紹介したらどうだ」 「え、真ちゃんがそんなこと言うなんてどうしたの」 「先輩の大学の教授が客員講師として来ているんだが、学部的に先輩が講義を取っている可能性がある。話でも聞けないかと」 「真ちゃんって、案外目的のためなら手段を選ばないよなあ」
真ちゃんはしっかり焼いてもらった肉を口に運ぶ。俺も自分の肉にフォークをぶすり。レアなそれからしたたる赤い肉汁。口の中で思いっきり噛み切ってごくりと飲み込む。生きている味がする。
「真ちゃん、次いつ会えんのさ」 「……そうだな、一通り落ち着いたし、来週の木曜なら問題ないのだよ」 「木曜な。オッケー。六時とか平気?」 「ああ」 「んー、どうすっかな。久々にストバスでもやる?」 「そうだな」
ぶすり。刺さったフォーク。それを持つ左手に、もうテーピングは存在しない。目を細めてみれば、そこに白い幻影が見えるような気もする。真ちゃんはバスケをやめた。悪いことじゃない。俺たちのバスケは、あの日の粗大ゴミの一つとしてどこか遠くで燃やされたのだろう。悪いことじゃない。ちゃんと、俺たち自身が選んだのだから。全てを失ったと悲壮感に浸るほど子供ではなかった。
     ◇
「いや、お前、ホント、ねえわ、マジで……」 「お前は少し鈍ったんじゃないか」 「そりゃ鈍るわ! 昔みてえな練習してねえんだから! お前はなんでそんなキレッキレなんだよ! 人事尽くして自主練しまくってんのかよもしかして!」 「いや、多少の筋トレはしていたが俺もここまでちゃんと動くのは久しぶりだ。元々の地力の差じゃないのか。単純に」 「単純にズバッとひでえこと言うよなお前」
コートに寝そべれば街灯に邪魔されて少し暗く星が見える。たかだか一時間くらい動いただけなのに、荒い呼吸がなかなか止まらなくて俺は苦笑した。一ヶ月でここまで衰えるとは、いやはや時間の流れとは無情だ。これを元に戻すには三ヶ月はかかるだろう。いつだって、壊す方が簡単なのだ。
「そんなこと言って、真ちゃんもまだ息整ってない癖に」 「……お前もだろう」 「ははっ、俺たち二人ともこうやっておっさんになってくんかな!」 「俺は絶対にお前よりも格好良いおっさんになってみせるのだよ」 「ええ、なんだそれ」
たるんだ腹など許さないからな、と俺に指を指してきたって、そんなの俺の知ったこっちゃない。許さないも何もお前の話だし、多分お前は太るよりはやせ細っていくタイプだから筋肉落ちないように気をつけろよ、と言おうと思って面倒になって取り敢えず笑った。母ちゃんじゃ、ねえんだから。うん? はいはい、きっとお前は、なかなかにダンディでイカしたナイスミドルになるに決まってるよ。
「あー! でも真ちゃんが練習してねえなら、俺が真ちゃん抜ける可能性も出てきたな! ぜってー次は抜く。めっちゃ練習する」 「ぐ、人が講義を受けている間に成長しようというのか」 「ふふん、ずるいってか? ずるくないよなあ、俺は人事を尽くすだけだからなあ。ずるいなんて言えねえよなあ。どうだ真ちゃん、自分の信念に邪魔されて文句言えない気持ちは。うん?」 「お前……底意地が悪い、いやそれは前からだったか」 「あん? お前に尽くし続けた高尾ちゃんのどこが底意地が悪いって?」 「どこの誰が尽くし続けたというのだよ。なんだかんだ自分の意見は押し通してきた癖に。俺の我が儘の影に隠れてやりたい放題していただろう」 「おお? それこそ聞き捨てならねえな? 我が儘の影に隠れてたんじゃねえよ、お前の我が儘がでかすぎて俺のが霞んでただけだっつの。お前の自己責任。オッケー?」 「我が儘を言っていたことは認めるんだな」 「いやいや、滅相もございません」 「どっちなのだよ!」
夜のコートで、体ばっかりでかくなった男が二人、真剣に言い争っている。あまりにも馬鹿馬鹿しくて子供みたいな内容を、わざと真剣な調子で言い合う。ああ、なんだか視界が眩しいのは、星のせいか、街灯のせいか、自販機の明かりだろうか。なんだか酷く目にしみて瞼を閉じた。おい、寝るな! なんて真ちゃんの怒った声。寝るわけねえだろ。お前がいるのに。お前がいたら俺はいつだって目かっぴらいて起きてるよ。今は閉じてるけど。はは、閉じちゃってるけど。
「おい、高尾、……高尾? なんだ、死んだのか」 「お亡くなりになった高尾くんに一言」 「高尾……、実は俺はお前のことを……」 「高尾くんのことを?」 「超ド級の変人がいると言って、大学の奴との話の繋ぎに、適当にあることないこと喋ったのだよ……」 「いや、待って待って待って真ちゃん! 何それ! ちょっと待ておい!」
流石に聞き捨てならなくて飛び起きたら、真ちゃんは真顔で俺の顔を見て頷いた。いや、その頷きは何なわけ。何を示してるわけ。全然わかんねえから。
「死人に口無し、バレなくてなによりだ」 「最低じゃねえか!」
叫ぶだけ叫んで、やりとりのあまりの下らなさに溜息をついた。何よりも下らないのは、真ちゃんが大学でも俺の話題を出してることに喜んでる俺自身である。滑稽な独占欲に苦笑いを零していたら、真ちゃんからボールが飛んできてギリギリのところで俺はそれを受け取る。びりびりと、手のひらがしびれる感触。こいつ、本気でぶん投げてきやがった。赤くなった俺の手はまだまめだらけで、皮も分厚くなっているけれど、これも後数ヶ月もしたら普通の手になっているのかもしれない。
「というか、お前は何故そこまで鈍っているのだよ。お前の方が暇なら、今日の時点でここまでへばっていないんじゃないか」 「暇とか言うなって! まあそりゃお前とはちげえけど、俺だってバイトとかめっちゃ入ってんだって。家賃は親に払ってもらってっから、生活費は自分で稼がねえと」 「ああ、なるほど、そ���か、それがあったな」 「お前は? それこそ講義で忙しくてバイトなんかしてる暇ねえんじゃねえの?」 「親の脛をかじっている」 「めっちゃ堂々と言ったなおい!」
笑いながら全力で投げたボールは、俺の希望通りこいつの手のひらの中に収まって、そのままゴールリングへ向けて発射された。俺の知っている、俺の憧れたままの高度と軌道。それが変わらないことに安堵しつつ、ボールは勢いよくネットを揺らして落ちる。地面がごうんごうんと跳ねる音。このシュートだって、いつかは終わる。
「事実なのだから仕方がないだろう。家賃光熱費水道代食費学費その他もろもろ全て親持ちだ。そもそも、ラッキーアイテムであれだけ金を使わせていた俺が今更この程度のことで罪悪感を覚えると思うのか?」 「やべえ、どうしよう、言ってることはどこまでも格好悪いのにここまで堂々とされるとそんなことないように聞こえ……聞こえねえな」 「やはり駄目か」 「駄目だったなあ」
少し笑いながら真ちゃんはボールを拾う。かがんだ時に僅かに揺れた上半身と、グレーのセーターが何故か目に焼き付いた。その服の下の筋肉も、段々と衰えていくし、二度とあの派手なユニフォームを着ることもない。そんな当たり前のことを、俺はゆっくりゆっくり飲み込んでいく。別に、悲しいわけではないのだ。少し寂しくはあるけれど。そうだ、寂しいのだ。大人になっていくことが。俺たちが、大学生になって、卒業して、就職して、もしかしたら結婚したりして、子供ができたりとか、して。そういう変化をこれからも続けていく。
「うちの大学は成績優秀者になれば賞金がもらえるのだよ。一年間にかかる金額と比べれば雀の涙のようなものだがな。それは親に渡すつもりだ」 「もう取れることは確定なのね」 「当たり前だ。人事を尽くしているのだから。」
例えば、一人暮らしをするようになって、洗濯だとか料理だとかを少しずつ覚え始めた。電気をつけっぱなしにしたり、蛇口をしっかり締めないで母さんに怒られた理由がようやくわかるようになった。お金のこととか、現実とか、ちゃんと見始めた。悪くないなあ、と思う。あの駆け抜けた日々に比べると少しばかり穏やかすぎて、太陽の光もあまり眩しくないけれど、変わりに柔らかくなったように思うのだ。
「成長してから恩返しということで先行投資してもらうしかないからな、金額の問題ではなく担保のようなものなのだよ。将来性の保証だ」 「お前さ、なんか照れ隠しが生々しくなってねえ?」
パスされたボールを投げ返す。真ちゃんはそれをシュートせずにもう一度俺にパスしてきた。別に俺はシュートなんか撃たねえのに。もう一回真ちゃんにパスしたらまた返ってきて、奇妙なキャッチボールが延々と続く。ぼんやり数えて十二回目で俺はでかいくしゃみをした。背筋からぞわぞわと、這い登るような冷気。
「うあー、さぶ。汗ひくとめっちゃ寒いな。つか、五月ってこんな寒かったっけか」 「五月は寒いだろう」 「五月は寒いか」
寒いっけ、と首を傾げる俺の顔面めがけてジャージが飛んでくる。真ちゃんのではなく、俺のだ。勝手に鞄から出されたらしいが腹も立たない。帰り支度を始めるこいつもジャージを羽織る。お前だって寒かった癖に、先に俺に渡しちゃうんだからなあ、そういうとこ、好きなんだよなあ。好きなんです。あーあ、好きなんだよ、ほんと。
「おい、聞いてるのか」 「へ? あー、ごめんごめん、何?」 「全く聞いていなかったのか。ボケすぎだ」 「ごめんって。で?」 「風邪を引かれても困るから、俺の家に寄っていけ」 「あ?」
耳に届いた言葉が信じられなくて俺は思わず自分の頭を殴りつけそうになった。そこまで驚くことでも無いのにこんだけ動揺が隠せないのは、やっぱり、俺がコイツのことを好きだからなんだろう。好きな奴の、一人暮らしの家に上がり込む、なんてのは、どうしたってそういう意味にしか取れないのだ。勿論真ちゃんにその気が無いことはわかっているけれど。だけど、わかるだろうか、一人暮らしの家だぞ、生活の何もかもが部屋に閉じ込められた、まず間違いなくこいつの匂いで満ちている部屋。
「お前、何回聞き逃せば気が済むんだ」 「いや、聞こえてた聞こえてた! 聞こえてたけどさ! え、いいの」 「構わん。ここから俺の家は近い」
そりゃ、お前の家に近いストバスのコート探したからな。俺のアパートからは遠いのだ。お前の家。俺が三年間迎えに行った、あのだだっ広い門扉がある豪邸とは別の、お前が一人で暮らしてる家。
「おい、どうした、来ないのか」 「いつ誰がそんなこと言ったよ。行く。超行く。真ちゃんのお部屋大訪問」 「そうか。エロ本はまだ買ってないから探しても無いぞ」 「……真ちゃんもなかなかに、俺が言うことわかってきたよね」
     ◇
「……おい、ちょっと待て、待ちなさい、親の脛かじり太郎」 「なんだ、さっき宣言しただろう」 「限度があるだろ! 何だよこの部屋! 部屋じゃねえよ家だよ! どう見ても一人暮らしには広すぎるだろ! 普通六畳一間だろうが! なんだこれ!」 「俺の家だが」
入口がオートロックの門だった時点で嫌な予感はしていたが、大的中も大的中、ドアを開けたら玄関と靴箱があり、そこから廊下が伸びていた。バス、トイレ別だ。というか、部屋までの通路に台所が無い時点で戦慄した。大学に入ってから他の奴の家にも幾度かお邪魔したが、部屋までの短い通路の片側に風呂トイレ、片側に狭い台所と洗濯機置き場、ドアを開ければ六畳間、この鉄則を外れる奴なんていなかったのだ。
「いやー、これはない、マジでない、かじるどころじゃねえ。しゃぶってやがる」 「まあ、富裕層だからな」 「やめろ……聞きたくない……こんな露骨な格差はやめろ……」
風呂に入れと投げ渡されたバスタオル。真っ白で、まだほとんど使われていないそれに遠慮する気にもなれなかった。保温機能で自動で沸かしてくれるバスタブでも俺はもう驚かない。腹いせに、シャンプーとリンスの位置を逆にしたことくらいは許されてもいいだろう。思い切り鼻歌を歌っても近所に文句は言われないんだし。 風呂を上がってみれば、真ちゃんが真剣な顔で洗濯機を回していた。説明書が壁に貼られている。若干首を傾げてセーターのタグを見ていたこいつは、マークの意味がわからなかったらしく携帯電話で調べ始めた。堅実な奴である。
「ちょっとくらいならソフトサイクルで問題ねえと思うけど」 「馬鹿なことを言うな。これだけ細かくラベル分けされているのだから消費者はそれに従うべきなのだよ。ふむ、これは手洗い不可」 「いちいちクリーニング出すわけ? 金がもったいな……いや、俺は何も言わねえ。言ったら言っただけ傷つきそうな気がする。何も言わねえ」 「ドライヤーを使うならそこの引き出しだ。暇ならリビングにいろ。茶は勝手に出せ」 「へいへい」
短い俺の髪は、水気を取れば自然に乾く。面倒くさいからとリビングに向かえばきちんと整理整頓された部屋。プリントも教科書も整然と並び、出しっぱなしの衣類なんて物は無い。思いのほか完璧な一人暮らしをしているこいつに少し驚く。生活力なんて皆無かと思っていたのだが、壁に貼られた手書きのメモを見て納得した。こいつ、毎朝のルーティンワーク完璧に決めてやがる。月曜日、五時、起床、ストレッチ、五時五十分、着替え(引き出し下段)、六時、テレビ兼朝食(チャンネルは六)……目眩がしてくる。多分、中学の時も高校の時も、こうやって自分の動きを決めて行ったんだろう。所々に訂正の箇所があるのは、それじゃうまくいかなかったからか。そういえばあいつはこの前会った時、「一通り落ち着いた」とか言っていた。それはこういうことだったのか。
「何を間抜けな顔を晒している」 「うお、真ちゃん終わったの。いやー、これすげえな。機械かよ」 「人事を尽くすためには必要なことだ」 「いやー、お前の人事に対する執念こんな形で見ることになるとは思わなかったわ。隣に貼ってあんの食事の献立?」 「そうだが」 「……真ちゃん、これってさ、今日の、食事の献立?」 「そうだな」 「……明日の食事の献立は?」 「これだな」 「…………明後日の食事の献立は?」 「これだな」 「まさかとは思うけど、真ちゃん、毎日これ食ってんの……?」 「完璧なバランスだろう」 「お前は! 融通きかなさすぎだろ!」
思わず怒鳴りつければ、何故俺が叱られなければならないのだよという顔で見られる。いや、おかしいのはお前。絶対にお前。誰かこいつに常識を教えてやってくれ。 俺の目の前にある紙には、朝から晩まで、食べ物とどこでそれを売っているかの表がある。ほぼ調理が入っていないのは、自分じゃ作れないと判断したからだろうか。数えてみれば三十品目丁度。それぞれの栄養素もきっちり取れている。それにしたっておかしいだろう、朝、煮干(松の家)、白米、漬物(西武スーパー)、牛乳(二五〇ミリリットル)って、いや、栄養は取れるかもしれねえけど、こいつは三百六十五日同じもんを食べ続けるつもりなのか。嘘だろ。絶対に楽しくない。
「この前お前と食事をした時は計算が面倒だったのだよ。翌日に足りない分は全て追加したからなんとかなったが」 「なんともなってねえからそれ。なんで翌日繰越制度になってんだよ。一ヶ月間焼肉しか食わなかったから次の一ヶ月は野菜しか食いませんってことじゃねえか」 「そうだな、それではカルシウムもタンパク質も足りない」 「ちげえよ! 何にも伝わってねえよ!」
誰か、この超ド級の馬鹿をどうにかしてほしい。お前は頭が良いはずじゃなかったのか。俺にはこいつの思考が手に取るようにわかる。わかってしまう。大学生になったからには勉学に励まねばならない、そのためには心身ともに健康でなくてはいけない、健康な体は健康な食事から、完璧な献立を作らねば。完璧な献立なのだから毎日それで完璧だ。終了。殴りたい。
「そうは言ってもな、毎日別の献立を考えるのは流石に負担が大きすぎるのだよ。できなくは無いが、俺は料理が苦手だから作れるメニューも限られる。その中でどうにかしようとすれば、今度は学業の妨げになるだろう。本末転倒だ」 「なんで俺が説得されてんだろうな。お前の発言だけ聞いてるとお前が正しく聞こえるから不思議だわ。あのな真ちゃん、アウト」
頭が痛いのは長風呂をしてしまったせいだろうか。久々にちゃんと広い風呂入って、ちょっとテンション上がっちゃったもんな、確かに。俺のアパートの風呂は狭くてろくに入れたもんじゃないし。ああ、それとも髪を乾かさなかったせいだろうか。風邪ひいたかな。いいや、違う、この目の前の男が全てである。
「っつーか、真ちゃん、今日はどうするつもりだったわけ。俺、お前と夕飯まで食うつもりだったし、まともな夕飯出てくると思ってなかったから外行く気満々だった」 「さりげなく人を馬鹿にするのはやめろ。俺だって外に出るつもりではいた」 「で、それで足りなかった分は明日に追加されるわけ」 「まあ、そうだな」
壁にかかったカレンダーを見る。先週の木曜と、今週の木曜にだけそっけなく印がついている。俺と会ったからだ。俺と会う日だからだ。そしてこいつは金曜日、俺との食事で足りなかった分を一人で追加して食ってるんだろう。どうせこいつのことだから、カルシウムが足りなければ牛乳を必要なだけ追加、タンパク質が足りなければ豆腐を足りないだけ追加、とかそんな大雑把なことをしているに違いないのだ。それはなんだか、酷く腹がたった。一人でそんな素っ気ない、機械みたいな食事をしているこいつにも、それの負担になっているのであろう俺のことも。
「……真ちゃん、来週どっか空いてる?」 「……木曜日なら」 「また?」 「木曜だけは授業が三限で終わるのだよ」 「ああ、なるほど」
さて、俺のこの感情のどこまでが純粋なもので、どこまでが邪なものだったのかは俺にもわからない。俺はもしかしたら母ちゃんのようにこいつのことを心配していたのかもしれないし、恋人気取りでこいつのことを独占したかったのかもしれない。両方かもしれないし、もしかしたら全然関係なくて、俺はただ、何にも考えていない馬鹿野郎だったのかもしれない。
「じゃあ、俺毎週木曜は夕飯作りに来るから」 「はあ?」 「栄養バランス完璧な献立だったら良いんだろ? 任せろって、少なくともお前よりは作れるから」 「いや、別にだからといって何故お前が」 「良いじゃん。お前木曜以外空いてないんなら俺どうせしょっちゅう遊びに誘うし。そのたんびにお前が飯の計算しなおすのも面倒くさいだろ。 だったら俺が作っちゃうのが手っ取り早くね。別にお前が他の用事入れる時はこねえからさ」 畳み掛けるように言う俺の勢いに押されたのか、真ちゃんは、いや、だとか、それは、だとかもごもごと言っている。きっぱりさっぱりしているこいつには珍しい狼狽具合だ。自分でも無茶苦茶なことを言っている自覚はある。だけど俺は全然引く気が無い。多分真ちゃんも、そのことに気がついたのだろう。
「……お前が、いいなら」
渋々と頷いたこいつに俺は笑った。自分があまりに馬鹿らしすぎて笑ったのだ。だけど、俺は、何度も訂正された跡がある木曜日のルーティンワークを見て、何もせずになんていられなかった。そうだよなあ、二週連続でお前の予定変わったら、それは別の何かを考えるよな。来週も俺が誘うかもしれないし、誘わないかもしれないし、そしたらお前はきっと、別の日課を組み立てなくちゃいけなかった。 最終的にクエスチョンマークだけが残されて、『保留』とそっけなく書いてあるそれは、俺がお前の毎日に組み込まれるためのスペースだった。お前は自分じゃ言わないけれど、ちゃんと俺はわかっているのだ。お前からの、新しいサインに。 そうやって、形の無い不安に脅かされていた俺は、入学して一ヶ月と一週目に、驚く程スムーズに、新しい口実を手に入れたのだった。
     ◇
「真ちゃん、最近とみに忙しそうね」 「試験が近いからな。お前だってそうだろう」
七月の頭、室内には既に冷房がかかっている。俺の部屋にもついてはいるが、効きが恐ろしく悪く音だけうるさく、よっぽど扇風機の方が役立っているのが現状だ。���学生の試験期間というのは講義を取っていれば取っているほど過酷になるもので、楽できる奴はいくらでも楽ができる。真ちゃんの忙しさといったらない。試験だけで二十個近いと聞いて頭を抱えた。国立受験だって十科目だっていうのに。
「お前んとこほど過酷じゃねえわ。レポートも多いし」 「レポートの方がかかる時間は多くないか?」 「俺んとこでね、レポートってのは、『なんでもいいから取り敢えず出せば単位はくれてやるから文字数埋めて出せ馬鹿野郎』って意味なわけ」 「凄い意味の込め方だな」
俺が作ったキャベツのホタテ煮を、眼鏡を薄く曇らせながら食べている真ちゃんの顔は呆れている。大根は鷹の爪を入れて煮たから少し辛い味付けだが、これくらいならどうということはないらしい。まあ、こいつは甘党であるというだけで、辛いのが滅茶苦茶苦手というわけではないからあまり心配はしていなかったが。
「生姜焼きはあんま漬けれなかったからよう改良だなー、これは」 「別に���普通にうまいが」 「お前ってすげーおぼっちゃまなんだか庶民舌なんだかよくわかんねえな」 「味の違いはわかるが、どれがうまくてどれがまずいのかはよくわからん」 「おしるこにはメーカーから何からこだわるくせに……」 「おしるこは食事ではないからな」 「じゃあなんなんだよ。飲み物っていうオチだったら来週の夕飯納豆入れる」
生命の源なのだよ、と嘯くこいつの冷蔵庫にはお気に入りのおしるこが大量に常備されている。おしるこばっかだ。あれだけ食事の管理をきっちりやっていた癖に、最も糖分が高く体に悪そうなおしるこに関して、こいつは一切の制限を設けていなかった。ちゃっかりしすぎだ。俺は人一倍脳みそを使うから糖分はいくらあっても足りないのだよ、と堂々とのたまった時は流石に腹が立ってこいつのおしるこを全部捨てた。いや、捨てるのでは勿体無いので俺が全部飲んだわけだが、俺は甘ったるいものがあまり好きではないのでまあ捨てたのと同じようなものだろう。お陰様でその日は胃もたれに悩まされるわ、真ちゃんは落ち込むわで双方ともに撃沈だ。
「……で、今日も泊まっていくのか」 「おー、真ちゃんさえよければ」 「構わん」 「明日の朝ごはん、卵焼きと目玉焼きとスクランブルエッグと温泉卵どれがいい」 「卵以外の選択肢は無いんだな」
こいつは静かに箸を置いて、両手を合わせて御馳走様でした、と頭を下げた。こういうところが、お育ちが良いというのだ。初めてこれを見た時に爆笑したら、お前は「お粗末さまでした」と言わなければならないだろうと激怒された。凄く理不尽な気がする。気がするけれど、まあ別に嫌なわけではないので、俺も今では笑いながらお粗末さまでした、と言う。先に風呂入ってよ、俺片付けてるから、と言えばこいつはたいした抵抗も無く頷いてリビングから消えた。
うーん、どうしてこうなったんだろう。
リビングは相変わらず綺麗に整理整頓されている。けれど、よく見ればラックの中には真ちゃんが全く興味が無いであろう雑誌やCDが並んでいるし、洗面所には歯ブラシが二つある。真ちゃんが翌日着るものを入れていた箪笥は今じゃ俺の着替え置き場だ。そういえばこいつは、洗濯は出来ても畳むのが苦手だったらしく全て広げたまましまわれていた。そのせいで余分なスペースを取りすぎていたから、畳んでしまえば俺の服が入るスペースが出来上がったわけだけれど。ガチャガチャと音をたてて皿を流しに運ぶ。これだって全部、二つ組み。 スポンジでガシガシと皿を洗う。俺が毎週木曜日に飯を作りに来るようになってすぐに判明したのは、飯を食べた後、俺の家まで戻るのがとてもとても面倒くさいということだった。そもそも俺も真ちゃんも、毎日通うのは厳しいくらいの距離に大学があるから大学に近いところに一人暮らしを始めたのであって、その方向は全く違うのであって、何が言いたいかと言うと、真ちゃんの家から俺のアパートまではゆうに二時間はかかる。飯食った後に少し喋って帰ったのでは、簡単に日付をまたぐ。まあ仕方無いと思っていたのだが、それに気がついた真ちゃんが泊まっていけと言ってから、その好意に甘えて、ずるずる。今では木曜は必ず泊まって、金曜の朝飯まで作って帰っていくのが常である。金曜が三限からでよかった、ほんと。真ちゃんは一限からあるので一緒に家を出れば遅刻することもない。そして洗剤が足りなくなってきている。今度来るときに買ってこよう。 皿を洗う時に、思いっきり泡立てるのが好きだ。真っ白な泡がぶくぶくと膨れ上がって皿を飲み込んでいく姿が好きだ。それをざあっと熱いお湯で流す瞬間が好きだ。黙って黙々と洗っていると、言わなくていい、だけどつい言いそうになる余計な言葉が全て一緒に流れていくような気がする。 ええい、消えてしまえ、消えてしまえ。幸福の間にうもれてしまえ。
     ◇
「はー、いいお湯でした! やっぱ浴槽広いといいなー! 俺のアパートと段違い」 「そんなに狭いのか」 「俺が体操座りしてぎっちりって感じだから、真ちゃんは多分はみ出ちゃうんじゃねえかな。はみだしんちゃん」 「語呂は良いが、ご当地キャラクターのように言うのはやめろ」
そんなにご当地キャラっぽくもねえと思うけど、まあなんてことない軽口の一つだと俺は特に返事もしない。テレビをつければよくわからないバラエティ番組で、アイドルが笑顔を振りまいていた。これ、もしかして宮地さんに見ておけって言われたやつじゃなかったっけ、と思えば録画ボタンが点滅しているので安心する。
「……しまった、撮り忘れたのだよ、これ」 「え? 今録画ボタン点滅してんじゃん」 「それは別の番組だ。UFOの謎を追え、古代人が遺す壁画と星の導きという……」 「なんでそんなの撮ってんだよ! どうせナスカの地上絵オチとかだよそんなん!」 「わからないだろう! お前は撮っていないのか!」 「俺の家にHDDなんて高級なモンありません!」 「お前の家、か」
興味があるな、と真ちゃんは笑った。そう、俺は真ちゃんの部屋に入り浸っているが、真ちゃんが俺の家にきたことは一度も無いのだ。そりゃあそうだろう。快適さが段違いだし、そもそも。
「俺の家来てもどうしようもねえからなあ。お前毎日一限あるし、俺ん家からお前の大学まで多分二時間、下手したら三時間かかるだろ。昼間に来るっつっても毎日五限まであるんじゃな」 「木曜は三限までなのだよ」 「知ってますー。木曜だけっておかしいだろ。はーあ、俺もよりによって木曜は四限まであるしな」 「そうなのか?」 「あれ、知らなかったっけ」
俺は土曜日曜月曜の週休三日体制で、金曜以外は一限から入れて三限終わりという楽々な時間割を組んであるのだが、木曜だけは四限まであるのだ。そのせいで、唯一真ちゃんとしっかり会える曜日なのに若干のタイムロスが生じてしまう結果になっている。確かに、いつも俺が真ちゃんの家に授業が終わり次第突撃しているから、俺の時間割なんて真ちゃんは知ったこっちゃないのだった。そんなに驚くことでも無いと思うが、真ちゃんはぽかんとした顔で俺のことを見つめている。それよりも、テレビに写ってるアイドル見て宮地さんへの言い訳考えといた方が良いと思うんだけど。
「じゃあ、一時間半、お前は俺を待たせているんだな」 「え、ええ? そういうことになっちゃうわけ? いやまあ確かに言いようによってはそうかもしんねえけど、そもそも木曜以外空いてねえのお前の都合だからね」 「だが実際そうだろう」 「んー、えー、んー、俺が頑張って大学から遠い遠い真ちゃん家まで移動してることとかへの考慮は」 「移動時間を考慮しないで一時間半だろう。講義一つ分なのだから」 「あー、そりゃ、おっしゃる通りです、絶対おかしいけど」 そうだろう、と真ちゃんが満足げに笑うので俺はもうそれでいいか、という気になる。はいはい、俺が一時間半も待たせてますよ真ちゃんのこと。一時間半も俺のこと待ってくれるなんて、真ちゃんもよっぽど俺のことが好きなんだね。マジで。 なんて言えるはずもなく、俺は空中で目に見えない皿を洗う。新しい踊りか? とか聞いてくるお前は何もわかっちゃいない。
■3■
『今から向かうわ』
夏休みは長かったがあっという間だった。多分これから先、色んなことにこういう感想を抱くんだろうなあと思う。大学生活は長かったがあっという間だった。人生は長かったがあっという間だった。そんな風に。 いつも通り真ちゃんに連絡をして、携帯をズボンのポケットに滑り込ませた数分後、低い振動が伝わってくる。取り出して画面を見てみたら、浮かび上がっている名前はたった今俺が連絡したその人で、はてと首を傾げた。今まで電話がかかってきたことなんて無かったのに。
「おー、真ちゃんどったの。今日はやめとく?」 『制限時間は二時間だ』 「はあ? え? 真ちゃん? どうしたの」
俺はアメリカの諜報機関でもないのに、何故いきなりこんな勝負をしかけられているのかさっぱりわからない。しかも相手は真ちゃんで、まずもって何の制限時間なのかもわからないのだ。わからないことづくしで立ち止まる俺に、真ちゃんは一方的に話し続ける。その声が若干楽しそうな気がするのは気のせいだろうか。
『俺のことを一時間半も待たせているのだから、お前の方もそれ相応の時間でもってして探すべきだ。質問には答えてやる』 「いやいやいや、わけわかんねえから。ちょ、どういうこと」 『毎週俺はお前を一時間半待っているのだろう? 腹立たしいからお前も一時間半かけて俺を探せ』 「いや、それお前さっきと言ってることほとんど変わらねえから。ぜんっぜんその理論理解できねえから、え、ちょ、どうしたのマジで」 『質問は終わりか?』 「いや、んなわけねえだろ! 始まったばっかだよ! お前どこにいんの!」 『その質問に答えられる筈が無いだろう』 「あー、めんどくせえなあ!」
ちょっと待って欲しい。状況を整理させて欲しい。どうやら俺は真ちゃんに何がしかの勝負……勝負と言っていいのかこれは? まあいい、何かを挑まれているらしい。制限時間は二時間で、俺はその間に真ちゃんを見つけなくてはいけない、らしい。ダメだ全く訳がわからない。
「制限時間二時間ってなんなんだよ」 『ずっと待っているわけにもずっと探すわけにもいかないだろう』 「一時間半じゃねえんだ」 『移動時間があるからな』
確実に楽しんでいる。そのことを確信して俺は無意識に苦笑いを浮かべた。そういえば、移動時間はお前が俺を待っている時間には含めない、そんな話しましたね。ってことは、つまり、どういうことだ? 俺は真ちゃんを探さないといけない。まず、真ちゃんが講義終わってから出発してるんだから、真ちゃんの大学から一時間半圏内なことは間違いない。そんでもって、俺の移動時間が三十分確保されてるってのはつまりどういうことだ? 一時間半は探す時間だっつってたんだから、三十分が移動時間で別枠なわけだ。でも探すのも移動すんのも結局は同じようなもんだよな? 探しながら移動してんだから、そういうことになるよな? ってことは単純に、一時間半じゃ間に合わない位置に真ちゃんがいるってことか。取り敢えず俺の大学から一時間半以上二時間圏内、真ちゃんの大学から一時間半圏内。合ってるか? 合ってんのか、これ。いやもう合ってなかったら仕方無い。それにしたって範囲広すぎだろ。
「どこにいんのか聞いちゃ駄目って、何なら聞いていいんだよ。近くにあるものは?」 『ふむ、まあそれは良しとしよう。デパートがある。駅の真ん前だな』 「その駅って何線が入ってんの」 『それは答えられないな。だがメトロ含めて八本乗り入れがある』 「あー、そこそこでかい駅なんだな……」
こうなった真ちゃんを俺が止めることなんて不可能だ。別に真ちゃん家を知ってるんだからそこで待ってりゃいい話なんだが、そんなことしたらこいつは暫く口をきいてくれないだろう。下手したら年単位、一生とかにもなりかねない。仕方がない、お前が見つけて欲しいってんなら探してやろう。見つけて欲しくないと言われるより百倍マシだ。我ながら無理やりなポジティブ思考に涙が出そう。
「で、真ちゃんはそこの駅にいるの?」 『いや、外はまだ暑いから駅近くの喫茶店で大福を食べている』 「満喫しすぎだ馬鹿野郎!」
とは言っても腹が立つものは腹が立つので思わず通話をぶった切った。満足げに沈黙する携帯を操作しつつ、取り敢えず駅に向かう。良い子は歩きながら携帯いじっちゃいけません。悪い子でごめんね。恨むならあの奇想天外馬鹿野郎を恨んでくれ。あまり時間も無いので、真ちゃんがいる範囲内でそこそこでかい駅を適当にピックアップする。実はあんまり無い。その中で路線が八本入っている駅は一つしか無かった。駅の東口に和菓子屋と大きなデパートがある。俺の大学から一時間四十五分。まず間違いなくここだろう。これで違ったらもう知らん。 案外あっさりわかるものだと拍子抜けしながら、そういえば路線の合計数を教えてきたのは真ちゃんだったと思い出した。なるほど、やっぱり、見つけて欲しくないわけでは無いらしい。なんでこんなことをやり始めたのかさっぱりわからないが、俺との木曜日が嫌になったわけではない、ということだけでも良かったと思おう。そしてもしも、この真ちゃんの気まぐれが来週からも続くのだったら、それはどんどん難易度を増していくのだろうということも容易に想像できた。嘘だろ。
     ◇
「いや、マジ真ちゃん、今回ばかりは駄目かと思ったぜ……」 「実際駄目だったのだがな。二十七秒遅刻だ」 「二十七秒で済んだのがすげえよ! 駅まではともかく、そっからのヒントが『信号が沢山ある所を左にまっすぐ』って、知るか!」 「他に言い様が無かったのだから仕方ないだろう」 「お前、まさかとは思うけど、俺を待ってる間暇だからってふらふら歩いてたらよくわかんないとこ出て迷子になってただけじゃねえだろうな」 「迷子ではない。携帯で調べれば帰り道はすぐにわかったからな。ただ現在地がわからなくなっただけだ」 「人はそれを迷子って言うかな!」
俺の真ちゃん探しの回数も片手を優に超えた頃から難易度を増してきた。駅前集合だった初回が懐かしい。最終的に猛ダッシュをしてたどり着いた公園で、真ちゃんは優雅におしるこをすすっていた。住宅地の隙間に無理やり作られた狭い公園内には子供の影すらなく、どこかから飛ばされてきたらしい花の種が芽を出して好き勝手咲いている。入口で荒い息を吐きながら緑間の名前を呼ぶ俺に、真ちゃんは少し驚いたような顔をしていた。わからないだろうと思う場所に呼び寄せるんじゃない、全く。 真ちゃんは俺の恨めしい顔にもどこふく風で、ブランコの板に脚をかける。頭をぶつけるんじゃないかと思ったが、案外大きめに作られていたらしく、真ちゃんを乗せてブランコはぎいぎいと揺れ始めた。すぐに息が整った俺も、なんとなくそれにならってブランコに乗る。ぎいぎいと、鎖と板が軋む音がする。
「あー、なんか懐かしいな」 「そうだな」 「ブランコなんて何年ぶりだろ。はは、めっちゃ軋む音してるけど大丈夫かこれ」 「大丈夫だろう」 「大丈夫か」 「リアカーだって、大丈夫だったのだから」
まさか今ここでその話をされるとは思っていなかった俺は、驚いて真ちゃんの方へ振り返る。夕日に照らされて目も頬も髪も真っ赤だ。ぎいぎいと、ブランコが鳴る。鉄と木の音。俺たちのリアカーの音。俺たちが壊して捨てたもの。
「懐かしいな」 「……そーだな」
それ以外、何も言えずに黙る俺に真ちゃんは笑った。仕方がなく笑ったというよりは、楽しそうに笑った。そのまましばらくぎいぎいと、懐かしい音を鳴らす。
「来週は、三限が休講なのだよ」
真ちゃんがそう言い出したのは、その日、俺が真ちゃんの家に行って夕飯を作って風呂に入って布団を敷いて寝る間際だった。俺のためにいつの間にか買われていた布団はまだまだ新しかったけれど、ところどころに小さな毛玉が見えた。俺はその言葉の意味を、もうちょっと深く考えても良かったかもしれない。
     ◇
『制限時間は三時間だ』 「マジかよ……」
毎週木曜に恒例になった電話をかければ、少しひび割れた真ちゃんの声が俺の耳に届く。三時間、今までで最長記録だ。休講になったって、あれはつまりそういう宣言だったのか。俺はあの時に気がついても良かった。迂闊だったとしか言えない。あいつが二限終わりになるということは、一コマ分多く待たせるのと一緒だ。ということは、その分あいつの移動時間も追加される。
「ちょっと真ちゃん、多めにヒント頂戴……」 『ヒントは無しだ』 「はあ?! いや、馬鹿言うなよ、無理だって!」 『俺が行きたい場所にいる』
それ以上何か言う前に通話が切られた。いくらなんでも理不尽すぎる。制限時間は三時間、真ちゃんの大学から三時間以内、俺の大学からも三時間以内。範囲が広すぎる。今時、三時間もあればたいていの場所には行けてしまうというのに。 真ちゃんは、もう俺に、見つけて欲しく無いのだろうか。 過ぎったその考えに背筋が震えた。理不尽なことを言われた怒りよりも、恐怖の方が先に立った。慌ててリダイヤルする。電源を切られていたらおしまいだと思ったが、どうやらそれは杞憂だったらしく、十五コール目で真ちゃんは出た。
『なんだ高尾。これ以上のヒントは無しだぞ』 「真ちゃん、真ちゃんはさ、もう俺に会いたくないわけ」 『誰がそんなことを言った』 「いや、あんな無茶ぶりされたら誰だってそう思うだろ」 『ヒントはもう言ってやっただろう。あとは自分で考えろ』
ぶちりと切れた二回目の通話。どうやら嫌われたわけではないらしく、かと言ってこれ以上の情報をくれる様子もない。嘆いていても何も変わらないなら、しらみつぶしに探す以外方法は無さそうだった。
「ヒントはもう言ったって……真ちゃんが行きたい場所?」
いや、知るかよ、と思う。素直に思う。あの気まぐれ大魔神の考えが完璧に読めたことなんて一度も無い。あいつが今どこに行きたいかなんてわからない。宇宙とか言い出したっておかしくない奴だ。宇宙に行ってUFOがいるかどうか確かめるのだよ、とか言い出しかねない奴である。三時間じゃ宇宙に行けないけど。行けないけどな。 思わず調べてみたら、宇宙の謎展とかいうのが近くでやっていた。可能性はゼロじゃない。そういえば、この前テレビを見ていた時に見かけた甘味屋に目を輝かせていた。あれはどこだったか。木村さんのとこの野菜が久々に食べたいとも言っていた。久しぶりにラッキーアイテムを探すか、とか言っていたのはなんでだっけ。 ああ、本当に、知るかよ、わっかんねえよ、お前が行きたい場所なんて、思いつきすぎてどうしようもない。
     ◇
「あー、ここもハズレ、か……」
どこに行っても姿が見えず、最後の望みを託して来たのは、懐かしの母校、秀徳高校だ。体育館からは、まだボールが跳ねる音がする。俺たちの一つ下の代は、それなりに癖があるけれど良い奴らだった。IH優勝は逃したが、WCはきっと優勝する。優勝できる。そう信じられるだけの奴らだ。そこに、俺と真ちゃんはもういないけ���ど。真ちゃんは朝から晩まで勉強三昧だし、俺はそんな真ちゃんを追いかけてこんな不毛な鬼ごっこをしてる。情けないと、去年の俺は呆れるだろうか。そんなことをする暇があるなら練習しろ、走りこめ、一分一秒も無駄にするな、そんなことを、言うかもしれない。今の俺は三限終わりでそっからバイトをして、サークルに顔を出したりして、週に一回真ちゃんを追いかける生活だ。悪くない。全然、悪くない。 駐輪場の方まで足を伸ばしてみたけれど、やっぱりそこに俺の求める緑の影はいなかった。そうだよなあ。だってここは、もう過去の場所だ。いつだって全力で走り抜けるお前が、今更ここに戻ろうなんて、言うはずがなかった。俺じゃあるまいし。
「秀徳―――――っ、ファイッファイッファイッ……」
遠くから聞こえてくる運動部の声出し。俺は今、あんな声が出るだろうか。出ないかもしれない。わからない。 だけど俺は、少しだけわかるようになったのだ。俺たちが練習をしている間、職員室では先生たちが必死になって俺たちの将来とか進路を考えていて、馬鹿にしてた鈍臭い先生だって俺たちが体育館使えるようにいつだって申請書作ってくれてて、スポーツ用品店じゃおっちゃんがいつも営業時間少し過ぎても店を開けてくれてた。家に帰ったらあったかいごはんがあった。俺が帰る丁度のタイミングで妹ちゃんは風呂からあがってて、俺はいつだってすぐに風呂に入れた。風呂から出たその瞬間に肉が焼けてた。あったかい食べ物は全部あったかいままだった。朝おきて引き出し開けたら、そこには絶対に選択済みの下着とTシャツと靴下があった。何にもしなくても部屋の床に埃なんて溜まってなかった。俺が今必死になってやってること、真ちゃんが必死になって作ってるルーティンワーク、そんなものが当たり前に俺たちの周りにあった。
「タイムアップ、かー……」
携帯を開けば、電話をしてから三時間と十五分。俺は初めて、真ちゃんを見つけられなかった。けれど、見つけられなかったと電話をするのもためらわれて、「悪い、無理だった」と一言メールをしたためて送信する。冷静に考えれば俺が悪いことなんて一つもないような気がするけれど、まあ、気持ちの問題だ。見つけられなかったのは、確かなんだし。
「帰るか、ね」
今から真ちゃんの家に向かうこともできたけれど、それはきっとルール違反だろう。俺は自分のアパートへ帰るべく、駅へと向かう。夕日はもう沈んでしまった。背中から、まだ、後輩たちの叫び声が聞こえてくる。 悪くない、全然悪くない。 大人になるのは寂しいことだと、あの時の俺は信じていた。リアカーを壊して、思い出を捨てて、バスケをやめて、学校の友達ともほとんど連絡を取らなくなって、生きるのに必要なことだけ手に入れていくのはとても寂しいことだと思っていた。だから未練がましく、あの日、ポケットを膨らませていたのだ。 ただ、そう、実際生活してみれば、案外そんなこともない。沢山のものを捨てて見つけた世界は、思っていたより優しかった。沢山のものを捨てたから、それまで俺がいた世界が、とても優しいものだったのだと気がつけたのかもしれないけれど、もしそうなのだとしたら、それは本当、悪いもんじゃなかった。真ちゃんは、いないけど。
     ◇
「遅かったな」 「……へ? うそ、真ちゃん?」 「待たせすぎだ。六時間だぞ」
玄関、いや、玄関なんて大層なもんじゃない、アパートの狭い門に寄り掛かるようにして真ちゃんは立っていた。錆びついて低い門は、もうとっくに鍵が馬鹿になっていて、ろくに閉まりもしない。郵便受けだって錆びているからぎこぎこと音がする。 まあ、今時、どうでもいいチラシくらいしか郵便受けには入らないのだからあまり不自由はしていないのだけれど。って、違う、違う、そんなことを考えている場合じゃない。意味がわからない。真ちゃんがいる。
「なん、で、こんなところにいるの……」 「なんでも何も、俺が行きたい場所に行くと言っただろう」
まさか六時間待たされるとは思わなかったがな、と真ちゃんは呆れたような溜息をつく。六時間って、お前、まさか六時間ここに立ちっぱなしだったわけ。不審者として通報されててもおかしくない。いや、そんな通報してくれるような甲斐性のある住人は多分この近辺にはいないのだけれど。っていうか、そうじゃない、そうじゃないだろ。きりがないからって制限時間作ったのお前だろ。なんでずっと待ってんだよ。
「お前、一体全体どこまで行っていたのだよ。もう来ないかと思ったぞ」 「いや、それはこっちの台詞っていうか、まさか俺の家とは思わないじゃん……」 「何故。俺はずっと言っていたはずだが。むしろお前はどこを探していたのだよ」 「そりゃ、いっぱいだよ」 「いっぱいか」 「うん、いっぱいあった」 「そうか」
いっぱいあったなら仕方がない、許してやろう、とふんぞり返る姿勢があまりにも偉そうなので俺は笑ってしまう。別に何が面白いというわけでもないのだけれど笑ってしまう。真ちゃんと一緒にいると、とてもどうでもいいことでだって笑ってしまうのだから仕方がない。そんな俺を見て、真ちゃんも小さく笑う。
「それで?」 「へ? それでって、なに?」 「時間に間に合わなかったのだから罰ゲームを受ける覚悟はできてるんだろうな」 「それで、にどんだけ意味がこめられてんだよ」
どうぞどうぞ、なんなりと。やっぱり俺はそんなに悪くないと思うのだが、六時間外で待っていてくれた相手に対してそんなこと言えるはずもないし思わない。おしるこ何百本おごりでも許そうと思って諦めた。惚れた弱みというやつです。投げやりになった俺の様子に、真ちゃんはにやりと楽しそうに笑って一言。
「お前の家に泊めろ」
     ◇
「狭いな」 「ずっとそう宣言してんじゃん」 「風呂場も狭い、台所も狭い、部屋も狭い、のに物は多い」 「わりーかよ」 「悪くない」
ただでさえでかい部屋に規格外のサイズの奴が入ってきたら、それはもう狭いなんてもんじゃなかった。極小だ。人形の部屋だ。座る場所を探した真ちゃんは見つけられなかったのか、勝手に俺のベッドの上に陣取った。わざとなのかなんなのか、いいけどね、いいですけど。一日中閉じきっていた部屋はもう夏を過ぎても蒸していて、堪えきれずに窓を開け放した。がらがらと、網戸が今にも外れそうになりながら開いていく。車輪が錆びついているのかそもそも設計的に立てつけが悪いのか、三回に一回は外れて俺を悩ませるこいつは、今回は綺麗に開いてくれた。
「ま、別に景色もよくねえけど」 「道路が見えるな」 「道路しかねえだろ」 「向かいの家も見える」 「道路沿いだからな」 「……あそこに」
俺につられて窓から身を乗り出した真ちゃんが下を指さす。そこには庭というのもおこがましい、アパートの僅かな隙間に雑草が茂っている。誰も手入れをしないから、好き放題に伸びきって、今じゃススキが揺れている。
「あそこにあるのは、お前の自転車か」 「そうだよ」
そ���、そこは庭というのもおこがましい、アパートの共同駐輪場だ。駐輪場というにもおこがましいのだが、しかし実際駐輪場として機能している以上それ以外の言いようはないだろう。引っ越しをするにあたって、新しく買い替えても良かったのだけれど、ついそのまま持ってきてしまった俺の愛車。
「懐かしいな」
そう言って真ちゃんは笑う。真ちゃんは、いつからこんなに笑うようになったのだろう。そこに俺が関係していると思うのは自惚れかもしれないが、関係ないと言い切るのもまた自惚れだ。きっと、俺は関係があった。だけど、それだけじゃなくて、俺の知らない真ちゃんの生活の色んなものがきっと関係あるんだろう。
「お前、あれ、今でも乗っているのか」 「そりゃ乗りますよ。普通に乗りますよ。なんならあれで大学に行くし、スーパーだって行きますよ。お前の晩飯の材料買ってますよ」 「ああ、そうだ、夕飯、お前こんな狭い家で作れるのか」 「それは流石に馬鹿にしすぎだろ! 言っとくけど週の六日間はここで過ごしてんだからな! 俺!」 「そうだった」
お前が働いて、家賃も光熱費も水道代も食費も払って住んでいる部屋だった、と真ちゃんは笑う。何故だか誇らしそうに笑うので、家賃は親持ちだけどな、という俺の声はなんだか拗ねたように響いてしまった。それでもこいつは、立派なものだと繰り返す。俺よりももっと大変な奴なんて沢山いるから居心地が悪いことこの上ない。
「で、エロ本はどこにあるんだ」 「お前ほんっと楽しそうね」 「当たり前だ。ずっと来たかったんだから」
楽しそうに引き出しを開けるが、残念、そこには俺の下着があるだけだ。母さん直伝の下着の畳み方は、なかなか皺になりにくくてこれが主婦の知恵かと俺は感心している。まあ、真ちゃんの家の服の畳み方も、今じゃこれなんだけど。俺が教えたから。 見当違いな引き出しを次々に開けていくこいつは遠慮を知らないのかなんなのか、もっともポピュラーなベッド下にもないことを悟って残念そうな顔をした。甘い真ちゃん、一人暮らしでエロ本を隠す必要がどこにある。普通に本棚にほかの雑誌と一緒に並んでいるのだがこいつは気が付く様子がない。教えるつもりもない。
「真ちゃん、諦めろって」 「諦めろ、ということは、ないわけではないのだろう? ならば人事を尽くすのだよ」 「へいへい、人事を尽くしたいのはわかったけど、後でな」 「む」 「夕飯にしよう」
飯にしよう。完璧な食事をしよう。お前がいればそれだけで俺は腹いっぱいに幸せだけれど、腹が空かないわけじゃないんだから。
     ◇
「狭かった」
風呂上がりの真ちゃんの第一声がそれだった。そう文句を言っている割に顔は満足げなのだから腹立たしい。洗濯しすぎてくったくたになったタオルで髪を拭くこいつに、ドライヤーなんてねえからな、と声をかければ構わないと返事が返ってきた。嘘つけ。お前髪の毛乾かさねえと次の日めちゃくちゃ絡まるくせに。このねこッ毛野郎。
「真ちゃんさー、なんでこんなことしたわけ」 「別に」 「しんちゃーん」 「……お前の家に行く口実を、探していただけなのだよ」
不機嫌そうに顔をしかめながら真ちゃんは、俺にタオルを投げつける。ぼふりと顔に湿ったタオルの感触。俺の家に来る、口実。俺の家に。真ちゃんがずっと探していたもの。それは、多分、俺が探していたものと、そっくり一緒だった。
「……別に、いつ来ても良かったのに」 「お前は、嫌そうだったじゃないか」 「ああ、それは、お前がここまで来るの面倒だろうって思ってたんだって、それに」 「それに?」 「あれ見つかんの恥ずかしかったから」
俺が指さした先の戸棚には錆びたボルト。あの日の俺の膨らんだポケットの中身。しばらく首をかしげていた真ちゃんは思い当たったのか驚いた顔を向けた。
「リアカーのか」 「リアカーと、自転車の連結部分の、かな」
女々しいったらありゃしない。だけど俺はどうしても、全部捨てることができなくて、こんなものを大事に抱え込んでいる。あの日こっそり、一つだけポケットに忍ばせたそれをまだ大切にしている。
「笑う?」 「笑わない、が」 「が?」 「ずるくないか」 「へ?」 「俺だって欲しかったのだよ」
ふて腐れたような顔で文句を言う真ちゃんの、内容があまりにも予想外すぎて俺は間抜けな顔をしてしまう。何それ、真ちゃん、欲しかったの。そんなの欲しがってんの、俺だけかと思ってたのに。そんなの大切にしたいの、俺だけかと思ってたのに。
「……そういえば、今日、お前探して秀徳まで行ったんだけど」 「はあ?! お前抜け駆けばかりか。そこまでお前がずるい奴だとは思わなかった。何故俺を連れて行かないのだよ。後輩どもはどうしてた。相変わらず生意気だったか」
いや、いきなり行っても邪魔かと思って話はしてねえけど、ていうかお前探すのに必死でその余裕はなかったけど、なんだよお前。なんだよそれ。お前、そんなそぶり全然見せなかったくせに。毎日毎日忙しくて、前だけ向くのに必死ですって顔してやがったのに、そんなの、お前こそずるくねえか。
「真ちゃんってさ」 「なんだ」 「案外あまちゃんだよなあ」
俺の言葉に一気に不機嫌になった真ちゃんの機嫌を取るのは大変だった。どうせ俺は親の脛をかじった世間知らずのお坊ちゃんなのだよと愚痴愚痴ぶーたれるので、どうやら大学でも言われたらしい。まあ否定はできないがそこが真ちゃんの良い所というかチャームポイントなのだから俺としてはそのままで一向に構わないのだが。
「お前のことも言ったら馬鹿にされた」 「へ? 俺のこと?」 「お前が家に来て飯を作っていく話をしたら、通い妻かなんかかよ、そいつもかわいそうだなとかなんとか、他にも色々」 「あー、うん、まあ、そんなもんだろーな……」
むしろ気持ち悪がられなかっただけ僥倖だと思うのだが、その回答はお気に召さなかったらしい。別に俺が通えと言ったわけじゃないのに、というのはその通り。
「だから俺も通うのだよ」 「いやその発想はおかしい」
堂々と告げた内容はあまりにも頓珍漢だ。っていうかこの狭い家には何もない。テレビだってろくに映らないし録画はできないし、クーラーは効かないし多分暖房だって効かないだろう。布団だって敷けないし、風呂だって手足を伸ばせない。
「それがどうした」 「真ちゃん、衣食住の充実って言葉があってな」 「どうでもいい。ここにはお前がいるんだろう」
だったらそれでいい、とこいつは言う。その言葉の意味をわかっているんだろうか。どうせ、わかっちゃいないくせに、馬鹿な奴。本当に、馬鹿な、大馬鹿野郎。
「お前がいればいい」
わかっちゃ、いないのは、俺の方だったんだろうか。
「すっげー熱烈なプロポーズね」 「本当のことなんだから仕方がないだろう。諦めろ高尾、お前のために俺の木曜は全て空けてあるのだよ。言っておくが、他の奴にここまでする気はない」
知っている。知っているとも。お前が、必要な時にしか人に頼らないことくらい。必要がなければ、誰かに連絡なんてしないことくらい。お前の毎日のルーティンに組み込まれることの意味くらい、俺はとっくにわかっていたのだ。
「それなんだけどさ、真ちゃん」
良かったら、金曜の午前も空けてほしいなと、そう告げたら真ちゃんは首を傾げた。後期授業は考慮しよう、とわからないまま頷く真ちゃんを抱きしめて、そのままベッドに倒れこむ。あたたかい。ごつい。でかい。好きだ。あーあ、好きなんです。さっき食った夕飯の食器は、まだ流しに放置したままだ。だけど今日くらい、いいだろう。
「真ちゃん、ちょー好き、残念ながら、マジで好き」 「残念ながら俺もだな」
笑っちまう。俺の家は本当に狭いから、くっつく口実なんていくらでもあるんだ。
     ◇
「おーい、真ちゃん、十時だぜ。起きねえと、三限間に合わねえんじゃねえの」 「腰が痛い……」 「真ちゃんが魅力的だったからつい」 「お隣さんが凄い壁を殴っていたような気がするのだよ……もうしばらくお前の家には来ない……、というかお前、俺が金曜三限からにして以来調子に乗ってるだろう」 「ごめん」 「否定しないのか!」 「事実は否定できねえから……」
朝食を差し出せば、真ちゃんは億劫そうにベッドの上でそれを受け取ってそのまま食べる。まあ随分だらしなくなったことで。まあ、相変わらず栄養バランスにはうるさいのだけれど。一日二日乱れるくらいは何も言わなくなった。俺の腹がたるんだらお前のせいだからなと、せっせと俺の飯を食っている。いいことだ。
「あー、また一週間真ちゃんに会えねえのかよー、ちくしょー」 「仕方ないだろう。学業をおろそかにするわけにはいかん。日々の予習復習、自主学習もろもろ、他のことを加えれば遊んでいる暇などないのだよ。 「そりゃそうかもしれねえけど! 土曜にも講義入ってて日曜が実験で潰れてってホントねえから! お前それ部活ぐらい拘束時間なげえだろ!」 「やりがいがあるな」 「その顔滅茶苦茶腹立つわ」
俺の部屋の引き出しから、こいつの服を取り出してぶん投げる。ベッドの上に散ったそれを適当に身に着け始めるこいつは余裕の表情だ。本当に、腹立たしい。
「へいへい、その間に俺はバイトにサークルにバスケに忙しくさせていただきます。へへ、この前ついに真ちゃんのこと抜きましたし? エース様の座が俺に渡る日も近いんじゃねえの? エース高尾の誕生だぜ」 「まだ一回だろう。調子に乗るなよ」 「悔しいなら悔しいって言っても良いんだぜ、真ちゃん」 「次はぶちのめす」
おっかねえなあと肩をすくめる間に真ちゃんは支度を終える。俺も支度が終わって戸締りをする。火の元、水道、窓。完璧だ。真ちゃんと一緒に家を出て、チャリで駅まで送っていく。俺の大学へは遠回りだけど構わない。最近真ちゃんは、二人乗りを覚えた。滅多にやろうとしないけど。俺も真ちゃんも寝坊した時、ダメもとで提案したら了承したのだ。あの緑間真太郎が、悪くなったものである。それは多分俺のせいで、そして俺以外のせいでもある。そんなもんだ。悪くない。
「で? 俺の家にはしばらく来ないわけ? じゃあ次はどこ行くの?」 「そうだな」
変わることが怖かった。失うことが怖かった。だけど案外世界はそのままで、真ちゃんは変わらずに俺の隣を悠々と歩く。リアカーにひかれていた時と変わらずに、堂々と、傲岸不遜に、楽しそうに歩く。俺はゆっくり自転車をこいでいる。
「お前がいれば、どこでもいい」
色んなことを捨てました。沢山の粗大ごみを出しました。大切なものも捨てました。だけど実は、こっそりちょっと、取っておきました。悪い大人でごめんなさい。だけど世界は、案外こんな俺たちを許してくれたりしてるのだ。お前がいればそれでいい。お前がいるからここでいい。お前がいるからここがいい。次はどこでお前に会おう。どこでもいい、この寂しくて厳しくて優しい世界。次はどこでお前に会おう。
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skf14 · 4 years
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10070025
顔が気に食わない。
人の頸と後頭部は、掴むために出来た造形だと言われても不思議じゃない。しなやかな黒髪のザラザラコリコリした感触を指の腹で確かめながら、目の前でぐひぐひと鳴く生き物の顔を、こだわりの煉瓦で作った壁に叩きつけた。一度、二度、三度、抵抗が薄れていったのは、十を超えたあたりからだったように思う。カウントするのが面倒で、五よりも後は数えてない。
ただムシャクシャしていたとか、世の中に鬱憤がたまっていたとか、そんなくだらない話じゃない。細い頸は僕の手によく馴染む。指の隙間をなぞる黒髪はまるで愛撫のようなフェザータッチで、気持ちがいい。
形あったものが、だんだんと形を失い、世界と同化していく様を見るたびに、僕は底知れぬ安心感に包まれた。僕以外の世界全てが溶けてしまえばいいと、そう願ってやまない日々の中、はっきりした輪郭の世界で僕は、祭りの金魚の如く顎を上げて、ヒィヒィと必死に酸素を吸って、焦燥感に駆られて。
顔が気に食わない。
人間の顔だ。目が二つ、鼻が一つに、口が一つ。僕の手の中の顔は随分と蕩けたようで、煉瓦の壁に自分の分身をなすりつけながら、少しずつ減っていく。僕は少し柔らかくなったそれを煉瓦に押しつけて、手を下へと引き下ろす。くぐもった汚い声と、濡れた音。ガリガリと硬く擦れたのは歯の音だ。目蓋や鼻の薄い皮膚から煉瓦に敗北して壁になっていく。顔が、なくなっていく。安心するのは、何故だろう。ビチビチ跳ねていた手足ももう動かない。脳内麻薬で気持ち良くなった手の中のこれが、絶命するのはそう遠くない。元より、命があろうがなかろうが、僕にとってはどうでもいい。ただそこに、人の形を模した顔があって、それが瑞々しい弾力を持って、動いている。それだけで僕は堪らなくなって、まるでキチガイみたいに叫び回って道路を走って、セメント用ミキサーに頭から突っ込んで赤い砂になってみたくなる。僕の好きな文学は、プロレタリア文学だ。労働者の不屈の精神。卑屈な心。諦観とささやかな幸せで妥協出来る愚かさ。僕にはとても、真似出来ない。僕は、自分の我慢がならない存在が世界にあることを、許容出来ない。鏡もテレビも何もないこの家にあるのは、おろし金代わりの様々な材質の壁と、大きな浴槽と、冷凍庫と、冷蔵庫と、僕のお気に入りのふかふかのベッドだけ。僕は時々自分が本当に人間として生まれて、ここに生きているのか、分からなくなる。僕を人間だと定義するものは何だ。僕が人間である証明は何だ。僕は、一体、何だ。
手の中のコレが最後の力を振り絞って首を動かそうとする。僕はその頭が、こちらを向こうと動く前に、もう一度煉瓦へと叩きつけた。こちらを向くな。こちらを見るな。やめろ。僕に、顔を向けるな。
指に纏わり付く黒髪が途端に気持ち悪いものに思えて、僕は、煉瓦に作ってあった釘目掛けて頭をゆっくり押し付けた。眼窩から刺さった鉄の太釘は脳に到達したらしい。頸の手を後頭部へと持っていって中を掻き回すようにぐりぐりと回していたら、びくん、びくん、と背骨が折れるほど、海老のように跳ねた手の中のが大人しくなった。はずなのに、それが、振り向こうとしているように見えて、僕は、僕は、後退って、それから、ゆっくり離れて、そしてトイレへ駆け込んだ。体質なのだろうか、僕はいつもこうして顔を無くすたび、吐いてしまう。怖くて、震えて、暫くこの小さな世界に閉じこもって、爪を噛む痛みだけが僕を正気に繋ぎ止めてくれる。ドアを、さっきのがノックしてきそうな気がして、何度も「入ってます!入ってます!」と叫んだ。
部屋に戻ると、それは勿論力尽きたようで、身体を軟体動物みたいにしなやかに曲げて、シャチホコみたいに立派に壁へもたれかかっていた。僕は頭が痛くなって、拾ったハンマーで後頭部を割りながら、忘れようと頑張っても這い上がってくる忌まわしい記憶から顔を背けていた。
綺麗な顔ね。それが母の口癖だった。母は僕が物心ついた頃から、ずっと僕のことを「真白」と呼んだ。僕の名前は、「真」だ。「真白」じゃない。でも、母は、僕を見て、真白、綺麗な顔ね。そう言って、恍惚と微笑んだ。母は僕の顔と、そして本当の「真白」、僕の父の写真を交互に舐めながら、「真白の味がする。」と嬉しそうに笑っていた。僕の中に残る母の最初の記憶であり、母が正気を保っていた最後の記憶でもあった。
母は、父のことを語ろうとしなかった。ただ、父に気味が悪いほどよく似た僕の顔を愛し、写真と見比べ、「真白」と僕が少しでも違うことを許さなかった。怒る母は怒っていてもなお、僕の顔を殴らなかった。僕は会ったこともない「真白」として、母に、いや、母という女に愛された。女、いや、メス、か。よく分からない。僕の周りにいた女は母一人だったから、あれを標準だと思うには無理がある。母の、僕の身体に這う蛇のような指先も、赤く熟れた舌も、全て、僕を縛り付ける呪いに変わった。人と目が合うたび、母の、舐め回すような視線を思い出した。
一刻も早く、母をなくさないといけない。僕は吐瀉物で汚れた服を脱ぎ捨てて顔を洗い、母の待つ部屋へと戻った。母は先ほどと同じように壁に顔を張り付けて、あれ、母じゃない。いや、でも、分からない。母かもしれない。顔がない。ないから、分からない。早く、無かったことに。
もう、手慣れてしまった。人体を簡単に溶かす強力な薬品の溜まったタンクに、細かく切ったタンパク質を落として、僕は母の頭部の剥製を抱きしめながら、ただ脳裏に残った、美しい母の面影を思い出していた。義眼の表面を舐めると、先ほど飛び散ったのだろうか、しょっぱい血液の味がした。
母に狂わされた、とは思わない。そもそも、元々狂ってはいない。母は美しい人で、僕、真白は、美しい人に愛された。血と脂がそこかしこに飛び散った部屋で僕は一人。爪を噛みながら、母を思い出して今日も一人。
プルル、鳴る音に顔を顰めても鳴り止まない。光るスマホに表示された名前は、記憶にない。
「はい。」
『あ、もしもし?』
声を聞いて思い出す。この前、僕がいるとも知らずにこの家の周りを彷徨いていた、目の死んだ男。素人のように恐らく女の、ひどく損傷した死体をキャリーに詰めて来た、白痴の男だ。
「あぁ、君、この前の。もう深夜だよ。結局成功したのかな。"君探し"は。」
『うん、そう。ごめんね。...また違ったんだよね、』
「そうか。じゃあ、また殺したのか。」
『うーん、僕やっぱり見る目ないのかなぁ?』
「とりあえず、この前みたいに甘い処理はするな。歯を全部抜いて、いつもの場所まで持って来て。」
『はあい!』
通話の切れた音が部屋に響く。僕は、男のことを思い出していた。
男は話していた。愛すべき、愛せる対象を探して尽くしていても、皆外れてしまう。外れたら邪魔になる。だから殺す。と。僕は胸に抱えた母の頭部を撫でながら、男のマスターベーションを聞いていた。信念のない、子供の癇癪のような殺人。反吐が出る。男は僕の弱みでも見つけたかのように卑しく笑って、死体の処理を手伝って欲しい、共犯になろう。と言った。美しくないものは、生きる価値がない、と思う。それが母というメスに愛されて僕が唯一信じた、そして、唯一守るべき、僕の矜持だ。
顔を残し、ただ己の理想と違うから殺す、なんて、野蛮だ。僕の世界において、そんな傍若無人は許されない。壁に立てかけてあったバールを袋で包んで、脇に抱えた。男が来るまであと1時間程だろうか。人間二人分の用意をして、合間に食事をして、母と戯れて、あぁ、その前に、壁を綺麗にしないと。
「ママ、真白は今日も、いい子だよ。」
母と交わした乾いたキスの音が、部屋に響いた。
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38nakao · 4 years
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ぱんつくった(言いたい)
2020.08.13(木)晴れ
 夏休み二日目。明日には実家に帰るというのに、もやしが2袋、開けたばかりでまだ2杯くらいしか飲んでない豆乳パックがある。ピーマンとかキャベツとか小松菜とか、まだまだたくさんあるんだけど多分週明けまで持つから、せめて奴らだけはお腹に収めなければならん。
 そういえば昨日インターネッツでレシピを調べて、豆乳のカッテージチーズをつくったのだった。植物性のタンパク質でもレモン汁で固まるのね。豆乳のホエー(?)はパンにしてみた。仕事のメールの通知がぽん、と鳴るパソコンでレシピを調べた。みんなが忙しないのを知っているのに、自分は休んで家の支度をしている。妙な罪悪感というか背徳感というか。しかもパンつくりっていう普段やらない生活の娯楽。うーーーんマンダム。
 ルームシェア時代のある頃、パンつくりにやたらハマってた。シンプルな丸パンしかつくれないけど。そのときのレシピの感覚で、一次発酵を1時間くらい取ってしまったが、今日見たレシピは二次発酵が長めだった。
 しかも今日のパンは水じゃなくてホエーもどきで捏ねている。100均で買った計りが使いづらくて分量もちゃんと守れてない。いろんなサイトからコピペしたようなレシピだから、ちゃんと出来あがるか一次発酵を終えるまで心配だった。ボウルの中でぷくう、と膨らんでる白いかたまりを見て安心した。意外と雑にやっても、ちゃんと膨らんでくれる。つくってる間は粘土遊びみたいで楽しい。洗いものも少ない。しかもこの粘土、食べれるんだよなー。
 エアコンを切って汗だくになりながら焼きあがりを待つ。ナカオの夏のパン祭りは大成功だった。焼きたてのパンを見たら、自然に顔がにやけてしまう。甘いにおい。きゅうりを切って、カッテージチーズを載せて、マヨネーズのとぐろを巻く。ゆでたまごは失敗して温泉卵になっちゃ��たので、そのまま素材として食べる(簡単な料理ほど調べずに挑むから失敗する)。
 1個が小さいから2個も食べた。豆乳のチーズは分量通りにつくったけど少し酸っぱい。まだタッパーにたくさん残ってる。さてどう食べきればいいのだ。
 日がかげってきた頃に散歩をした。最近、考え事が少なくなった気がする。ちょっと前までは、もっと真面目なことを考えてた気がする。場についてとか、恋愛のこととか。ちょっと真面目に飽きちゃったんだろうか。
 最近はまた少し本を読んだり、お笑いの動画を見たり、楽しいことをしている。でも考えがちょっと足りてないかなあ。楽しいことにそこまで集中できてるわけでもないし。日記を毎日(という体で)書いてるし、何回も同じこと考えるよか少しずつ「やる」方向にシフトしてるんだと思う。がんばれ、あと少し。
 ちょっと悪いことをした。例えば、1つの同じ場にいて、近くの席のひとじゃなくて向こう側で楽しそうにしてるグループの話題が気になってしまった時、自分の欲望に従って向こうの輪に加わるのか、直近にいるひとたちと楽しくする方法を考えるのか。
 まだ答えが出せずにいるのは「向こうにいるひとがこっちにいれば良かったのに」と思っているのに気付いたこと。ナチュラルにひとを見下してたのに気付いた。
「楽しませてくれよ」ってクソ客精神が、ダサい甘えを実はわたしだって持ってた。ああ、これは良くない。自分で掘り下げられない癖に、温泉が湧きあがったら我先に入りに行こうとする。
 もちろん相性や距離間も大なり小なりあるけど、今日のは根底から間違ってた。ふだん親しいひとの前では避けるコミュニケーションをやっていた。
 選民思想なのかしら。「良いヤツ」になるにはまだまだ修行が要るな。
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