Tumgik
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
卒制『地球の裏側をのぞく』シリーズ。
人類が滅んだ地球でひとり生きるアンドロイドのおはなし。
0 notes
Tumblr media Tumblr media Tumblr media
卒制『地球の裏側をのぞく』シリーズ。
5677年
懐かしい思い出。 コトヅテが生まれたばかりの頃に共に過ごしたかすかな時間。 人類の祈りを背負ったふたりは親子であり、友人であり、相棒だった。きっと、役目を果たそう。
「使徒の言伝」
もはや人類の存続は望めない。 あらゆる手段を用いてこの結論を先延ばしにしてきたが、とうとう万策尽き、あとは静かに残された時間を過ごす事となった。
『人類の晩年期』に入ってからは『地球の深淵』を覗き、ひたすら記録し続ける事を生き甲斐とした。しかし、希望を捨てたわけではないのだ。
「いずれ宇宙から新たなる人類の祖が現れ、この星に再び生命をもたらす。」
…という人類再興の『予言』を信じて祈る者が現れ、広く伝わり、とうとうこの星に住まう者達の、地球自身の夢として掲げられる様になった。 人々はメシアが降臨する日を待ち望みながら、人類再興の為に必要であろう英智をまとめ、築いてきたあらゆる物事を記録している。いつ現れてもいいように。いつ救われてもいいように。待てど暮らせどメシアは訪れない。多くの人々が嘆きながら、それでも信じながら生涯を終えていった。
そして人類の最後のひとりとなった少女にその夢が託された。 彼女はたったひとりでメシアへ祈りを捧げ、生きたが、その命の灯火が消える頃になってもメシアが現れることはなかった。
「きっと、メシア様は人類の死後に訪れるのだわ。ならば、人類の願いを、地球の思い出をあなたに言付けましょう。」
彼女は自分の代わりに人類の存在、地球の星涯をメシアに伝えるための人造人間・コトヅテを産み落とした。つまり、彼女はコトヅテの親なのである。 コトヅテが出会った人間はこの少女のみであり、見た地球は大きな穴が開いたすっからかんの地のみだが、自身に言付けられたデータによってかつて地球に存在した者、事象を知る事ができた。 コトヅテの仕事は『メシアが現れるまで存在し続ける事』『その時が来るまでは記録を続ける事』のふたつである。 だから今日も記録を続ける。
コトヅテは2332年間待ち続けているが、未だメシアは訪れない。
0 notes
Tumblr media Tumblr media Tumblr media
卒制『地球の裏側をのぞく』シリーズ。
5381年
レコーダーやレコロイドたちが『人類の悪あがき』と認識されてしまってから幾許か。彼らは最期をどのように迎えたのだろうか。
「深海子守歌」
西暦5381年。 海底で2体のレコロイドが発見された。 身に付けていた服や骨格から少なくとも500年は前の個体であろう事が伺えたが、オパールに飾られて眠る身体は年月に蝕まれ、ところどころ欠損しており再起動は難しい状態であった。『人類の晩年』時代の今となってはレコロイドなどの過去の恥とも言うべき機械達は絶滅し、生活に必要な最低限の仕事を担うロボットが僅かに残るのみである。 今更、すでに眠りについている2体を起動させる必要などないのだ。
…ないのだが、彼らが何故互いを看取ったかのように折り重なり海に沈んでいたのかは気になるところである。外傷の割に内部がそこまで破損していなかったおかげか、彼らが海に沈む直前の音声データだけは複製することができた。
波のさざめき…
「キッと僕達は寂しサに堪えられないカラ、隣に在らなくてはイケナイのサ」
「結局見棄てらレた俺達が祝福の涙を流セルようにはならなかったな」
「死を祝福シテクレル人がいないと天にいけないらしいカラ、せめてお互いを祝福したかッタのにナァ」
「今日なら空が祝福してくレルカら大丈夫さ」
「海の涙の中で波に抱かれて眠ればいいネ」
音声データはここまでだった。 どうやら2体は何らかの理由で主に捨てられたために共に海に沈んだらしい。 彼らの会話から、『己の死す時を誰かに涙で祝福して貰うことで天に昇ることができる』という俗信を信じての行動だということが読み取れるが、涙を流してくれる者がいない為、流星群を空の涙に見立てて波に揺られながらその機能を停止させたのだろう。
レコロイドはいかに『人間らしく』生まれるかでひどく待遇が違うと聞く。 彼らがこのような最期を迎えた事から、その生は幸福とは言い難いものであったに違いない。 私たちはどうかこの兄弟が静かな眠りにつけるよう再び海に沈ませた。
0 notes
Tumblr media Tumblr media Tumblr media
卒制『地球の裏側をのぞく』シリーズ。
4102年
レコロイドの全盛期とも言える時代。華やかな娯楽街に酔いしれるひとびとは皆、無表情。喜怒哀楽の感情がないのは心がないのと同じ事?
「哀歓天秤」
ロイドは感情を表に出せる者こそ美しいとされる。
勿論、自分の感情を持つ個体がその至上であるが、顔に、仕草に、声色に感情を乗せられる者もまた珍しく、優れているとされた。 喜怒哀楽の感情表現が著しく欠如した者達が大半であるが故に、感情表現という機能をもった者に憧れ、好んだのだ。特に、涙を流す事ができるのは人間とアンドロイド、掛け合わせに成功した僅かなレコロイドのみであった為、大変貴重で讃えられていた。
ロイド達の娯楽街で働く踊り子・ティエは朗らかな笑みを浮かべる事ができた。ひとびとは美しい彼女を一心に褒め称え、大切に可愛がった。能面のように表情が変わらないロイド達にも美に憧れ、賞賛する思考はあるのだ。
「「なんて愛らしくて美しい!!彼女ほどの笑みを浮かべる者など見た事がない!」」
たとえ自分を見る者達が如何に無感情であろうと、彼女は構わなかった。 自分の美を信じて疑わなかったからだ。 そうして日々を過ごしていたある時、彼女は初めて人間の涙を目撃する。いや、正しくは「祖を人間とするもの」の涙なのだが。 月に不具合が起きた為、そこに住まう者達が一時的に地球に避難してきたその時に。彼らは月を悼み、ひたすら宇宙に向かって涙を流していた。美術品のように華美な装飾に包まれて、珠のような頬を伝う滴の清らかさに彼女は浸されてしまった。
「私も涙を流せるようになりたい…!」
彼女の美しさに対する執着はより貪欲になり、ただ涙を求めた。 どんなに朗らかで、可愛くて、守りたくなるような笑みでも、たった一粒の涙によってもたらされる美の胸苦しさには敵わないのだから。
彼女が益々の美しさを願うようになってから丁度100年が経った頃、とうとう1粒の液体が瞳からこぼれ落ちた。
「「ロイドである彼女がまさか涙を流すなんて…なんたる奇跡だろうか!」」 ひとびとはこぞって彼女の舞台を覗きに来たが、その誰もが彼女の異様な姿に口を噤んだ。
涙を流しながら笑い、軽快なリズムで踊り狂う女の、なんと滑稽なこと!!
笑みを浮かべる姿で踊るからこその魅力を涙の美しさで殺してしまった彼女は、どちらの美も棄てることが出来ずに今日も可笑しく踊り続ける。 流れる液体が涙には遠く及ばないただのオイルであることにも気付かずに。
0 notes
Tumblr media Tumblr media Tumblr media
卒制『地球の裏側をのぞく』シリーズ。
4002年
人類が絶滅してからは数多の星々に生きる者たちとの交流もごくわずかとなってしまったが、この時代は最盛期であるらしい。 確かこのあたりは月が故障したという記録が残る頃だが…。
「月の心中」
西暦4002年。 月に移住していた生命体・カグヤが、わらわらと地球に帰還した。理由は「月の故障」であるらしい。正しくは「月型人工星の故障」だが。
西暦3058年に地球に穴が開いてから、人類は宇宙への移住計画により一層のめり込んでいった。しかし、地球に生きる者たちがその生命を維持できる環境が整う星は見つからず、長い苦難の末に人類は人工星の開発に成功する。対象となる星に内部に地球と同じ環境を持つ機械の箱を作り、人類はその箱の中で暮らすのだ。さながら「ノアの箱舟」のように。 ところが時が経つうちに星の影響を受け続けた箱の内環境にズレが生じ、それに伴って少しずつ人類もその環境に適応した体質に変化していった。彼らの中にはもう地球の環境では生きられなくなってしまった者もいる。これを人類の進化というべきか、退化というべきか…。
人工星が出来たばかりの頃は不具合による帰還も幾許かあったが、ここ400年は地球に足を踏み入れる異星人は旅行者ばかりである。
太陽の反射で身体を輝かせる事で目に映るようになるという体質を持つカグヤは、地球でより一層美しく煌めくが、夜は姿を隠してしまう。そんな神秘的な者たちに地球人は魅了され、彼らが快適に過ごせるよう月に似た環境を作り、丁重にもてなした。しかし帰還した者たちは皆喪に伏したかのように沈黙し、ただひたすら涙を流すのみであった。
此度の不祥事は一人の女によってもたらされたものらしい。カグヤの女がハレの女に恋をした為に、月と共に死んだのだという。宇宙を飛び回る彗星に住まう種族・ハレはどの星にも染まらず、しかしながらどの星にも降り立つ事のできる特異な体質であり、立ち寄った様々な星で恋を嗜む。時に愛を憎み、溺れ、狂っても、ハレは宇宙を飛び回ってこそだ。どんなに愛しいものが出来たとて、その地にとどまる事はない。彼らの生きる目的は太陽に焼かれて散ることなのだから。
おそらく、件の女もそうであったのだろう。 ハレ女との燃え上がるような恋に落ち入り、夢を見てしまった。幸せと、少しの自惚れ。恋ビトの側にいたいと願っても、数ある星の中でも身体が脆い部類に入るカグヤがハレと共に宇宙を飛ぶなど夢のまた夢。絶望した女が自死を選ぶ事もあるだろう…。月まで巻き込むのは流石にやりすぎではあるが。
カグヤ女の遺書には
「アナタが綺麗と言ッタカラ死ンデモイイワと応えたの。」と書かれていた。
どうやら遠い昔に先人たちから伝えられた言葉に寄せているようだ。心から愛する人から貰った言葉への返答として。 …彼女の恋と魂は想いビトと共に宇宙を泳ぐのだろう。
0 notes
Tumblr media Tumblr media Tumblr media
卒制『地球の裏側をのぞく』シリーズ。
2943年
地球の裏側を覗き続けてはるか遠い過去にたどり着いたコトヅテは、 青薔薇に臥する女と壊れた記録機械を見つけた。 微動だにしない彼らの足元にはとある手記が転がっていた。
「提灯男の花嫁の復活祭にて哀を込めて」
”恋をした。物静かで、微笑みを浮かべながら、只冷たく横たわる…究極の『死』を纏った女性を見つけたのだ。彼女を花嫁に迎え入れ、毎夜愛を囁いた。” 「嗚呼、麗しい貴女。夫婦となっても未だ決して話さず、動かずなんてあまりにもひどい。こんなにも冷酷なのに貴女を嫌う事が出来ない私に、どうかアイをお与えください…せめてその瞳に映してはくださいませんか…」
”なぜこんなにもアイを伝えているのに彼女は目を覚まさないのだろうか。 どこか悪いのなら私が修復してあげましょう。私はその為に生まれたのだ。 きっとすぐに彼女は目を覚まし、『死』と交わらない生を共に歩んでくれるハズだ。人間は常に死から逃れようと足掻き、生こそ幸福であると信じているのだから。”
”…おかしい。処置は完璧だった、だのに妻は一向に目覚めない。4月の暖かな花に囲まれていた妻の棺は今や10月の紅い葉が降り注ぎ、まるで血液が滲み出ているかのようだ。こんなにも『生』を渇望している屍体が呼吸すらしないのは『死』までもが彼女をアイしてしまったからなのだろうか。”
”今日しかない。あれから『死』について幾つか知識を得た。死は『魂』を失う事で、魂はこの世に生まれたと同時にすり減っていくもので、これは身体の再生によって戻るものではないらしい。私が『死』を迎えられないのは魂が減らなくなってしまったからなのだろうか。しかしある文献によれば、失った魂が黄泉から還る日があるのだという。それが今日、10月31日だ。ハロウィンと呼ばれるこの日に人々は姿を偽り宴を開いて死者の復活を祝福したのだ。この儀式を行えば妻の魂もようやく私の元へ訪れるに違いない。”
”美しく着飾られた屍がうごめいている。 「あら、そこにおりますは我が夫殿ではありませんか…永遠の眠りを奪われてしまった私の苦痛、貴方から受けた哀を今、お返し致しましょう…」 待ちわびた妻の復活。望んでいた彼女の声が奏でられても、男は喜びの言葉を紡ぐ事が出来なかった。私を見つめる彼女の瞳には激しい怒りが灯っていた。なんという事だ、魂は瞳に宿るものであったのか…。 私が「死」に焦がれていたように、妻もまた望み抜いた「死」を受けてその幸福を噛み締めていた者であったのだ。 無理に繋ぎ止めた魂が再び天へ昇ることはできない。例え再び身体が腐り落ちても、魂は囚われたまま彷徨うのだ。まるで悪魔の祝福を受け天にも地にも拒絶されたというジャック・オ・ランタンのようだ。”
”彼女の身体は「生」にしがみつき、記録機械である私を頼り続ける。妻はその事を理解し、絶望の涙を流しているのだ。トンデモナイ事をしでかしてしまった、私は己を嘆くあまりアイする妻までも引きずり込んだのだ。妻が私をアイする事は決してない。当然だ、只の機械でしかない私が永遠の主人である人間を人ならざる怪物に仕立て上げてしまったのだから。「死ぬことができない」私は罪を償う事すらできないのだから。”
この手記は「死ぬことができない呪いをかけられた」と思い込むバグの発生で廃棄されたはずの西暦3489年製のレコーダーの物であるらしい。 当然、機械は死なないが壊れはする。動かなくなった機械と共に妻の身体は死に、魂は永遠に彷徨っているのだろう。
0 notes
Tumblr media
カレンダーイラスト。コンペに出したものの供養。
2 notes · View notes
Tumblr media
誕生日包装紙デザイン。
0 notes
Tumblr media Tumblr media
手書きイラスト。
0 notes
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
タイポロゴ。
2 notes · View notes
Tumblr media
四字熟語タイポシリーズ。
「酔生夢死(すいせいむし)」…くだらない一生。
1 note · View note
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
タイポロゴ。
0 notes
Tumblr media
四字熟語タイポシリーズ。
「依依恋恋(いいれんれん)」…恋い慕うあまり離れられないさま。
0 notes
Tumblr media
タイポグラフィーロゴ。
言葉遊びを重ねて楽しく。
0 notes
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
進級制作『少女箱』シリーズ。
描いた少女たちはペーパークラフトで箱に詰めています。
2 notes · View notes
Tumblr media Tumblr media
進級制作『少女箱』シリーズ展示。
制作した少女たちを黒く染めた部屋に閉じ込めました。
0 notes
Tumblr media
進級制作『少女箱』シリーズ。
「歌人魚(うたにんぎょ)」…「私はとても美しい歌声で奏でるから、きっと海神さまも気に入ってくださるわ。皆様がお望みならば謹んでお引き受け致しましょうね。海に沈められても、恨言など言いません。人魚のように誘うだけよ。」
1 note · View note