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tutai-k · 19 days
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【イベント参加のお知らせ】京都・三富
今週末4/13(土)~4/28(日)まで、京都・堀川新文化ビルヂング 2Fで開催される三富2024に参加します。
開催時間は10:00~19:00で、2週間以上あるので、もしお近くへお越しの際は、お立ち寄りください。 いろいろな方の本/雑貨に出会えたり、ワークショップがある日もあるそうです!
ヨモツヘグイニナからは、 三重県・志摩地方を舞台にした漁村暮らし小説『浜辺の村でだれかと暮らせば』、女たちの物語からの逃避SF『アルバトロスの語りの果てへ』、ドラコニアのコラージュみたいな最新刊『兎島にて』の3種類をお願いしています。 ほかに、日々詩編集室で、地元に暮らす三人の女性の連帯の物語『ゆけ、この広い広い大通りを』も並ぶ予定です!
よろしくどうぞ。
久しぶりなので、近況報告的なものも。
日々詩編集室から刊行された『まちうた2024年3月号』に、海老名絢さんの詩集『あかるい身体で』、伊良子清白『孔雀船』の書評を寄稿しています。 この5月の文フリで、黒田八束さんのおざぶとんから刊行される「家父長制アンソロジー」に、小説1本を寄稿しました。
https://x.com/K_yatsuka/status/1723273661120213197
もともと出そうと考えていたプロットとはまったくちがうお話しになりました。その言葉を信用ならないと人間たちに決められた父の死骸を、遠いところへ棄てにゆく男の物語。SF……になるのかな。久しぶりに、「この筆者、人間が嫌いなんだな」という感じのやつができたので、お楽しみいただければ幸いです。 ほかにもいろいろありますが、追ってまたお知らせします。
今は澁澤龍彦と矢川澄子の本を一生懸命読みつつ、原稿をやっています。
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tutai-k · 4 months
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2023年のこと
夏に更新して以来すっかり放置していました。こういったブログ系は長続きした試しがない……。けれど、細々とでも記録していかないことには忘れる一方なので、思い出せる範囲で今年の創作活動で主要なところをまとめてみます。 ちなみに、私生活のほうでは仕事関係で異動があり、私は自分の仕事をそのまま持って行く予定でしたが、想定外に業務範囲が広がってしまい、自分の中の困りごとを色々と再認識した一年でした。(こういうふわっとしたことを書くと思わせぶりなことを書くなとか、明文化しろとかチクチク言うひとがたまに出てくるけれど、別に誰かの感情の埋め合わせしたり好奇心に応えたりするために生きているわけではないしな……ということを考える一年でもあった)
新刊『アフターヘブン』の頒布 5月の文学フリマ東京で中編小説を出しました。初頒布に際して書いた記事があるので、よかったら読んでみてください。 手頃な価格で手にとれる本を作ろうと思い立って作った一冊です。ありがたいことにたくさんの方に手に取っていただいて、現在頒布しているものは三刷目になります。 あまり細かいことは気にせず手癖で書いたら、複数の方から「カズオ・イシグロを思い出した」とおっしゃっていただいたのですが、そこは全然意識していないポイントだったのでびっくりした。(カズオ・イシグロは好きな作家です) なお、本作はスペイン内戦における歴史記憶法(通称)から着想を得て制作されたフィクションですが、過去そして現在に渡って続く戦争そして今パレスチナで起きている虐殺には強く抗議するとともに、今まさに傷つき、不安や恐怖を抱えている方々が少しでも早く平穏をとり戻せることを願っています。
家父長制アンソロの告知 11月の文学フリマ東京で、家父長制アンソロジー『父親の死体を捨てにいく』のフライヤー配布、同日X上での告知を行いました。こちらは2024年5月の文学フリマ東京で頒布予定ですので、楽しみにお待ちください。 『その丘が黄金ならば』という小説に父の死体を葬りに行く場面があり、そのイメージがずっと頭の中にあったのが企画立案のきっかけ……なのかな。最近読んだガルシア・マルケスのシナリオ指南本の中に、「イメージが『何か』を語りかけてくる時は、そのイメージの中に『何か』が内包されている」という言葉があり(意訳)、その言葉を借りるなら、父親の死体を捨てにいくことが表象する種々の語り――つまりアンチ家父長制の語り――が集う本になる予定です。楽しみですね。
PNに苗字がついた 黒田八束になりました。きっかけがあったわけではなく、ここ数年ずっとPNを変えたい気持ちがあって、ふと思いついてココナラで姓名判断が専門の方に相談してみました。「八束」がとても縁起の良い名前ということで、さらにパワーアップする形で苗字がつきました。 (須賀しのぶと同じ運勢にしてくれんか? とお願いして、この名前になりました。永遠の曠野を駆けるぞ)
未公開長編の初稿が完成しました 慣れないジャンルで、夏ごろからうんうんと唸りながら書いていた原稿ですが、無事に初稿が上がりました。 こちらは春ごろ告知が出る予定ですので、興味がある方は情報開示をお待ちいただけますと幸いです。
来年のことはあまり明確には考えていませんが、新規の長編を書いて何らかの形で発表するか、『方舟の椅子』を改稿してKindle化できたらいいなと思っています。 来年もなんとかやっていけますように……。
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tutai-k · 4 months
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2023年が終わるらしい
2023年のはじまりは、3月から転職も決まっていたし、持病の悪化による日常生活への不安もあったので、2月いっぱいまで休職した。 療養もかねて尾道に一週間滞在したが、出発の日に地元が大雪ですっころび、カメラのレンズを破壊するという暗黒の始まりを告げるなど、つらいことがたくさんあった。 2月も、結局、休養することがないまま、次の職の仕事をずっとしていた。どこかで休みたいと思いながら、全く休めないまま、2023年が終わりそうだ。 意外だったのは、誰の力も金銭的援助も借りずに十年近くひとりでやってきたこと、というのは、なんだかんだ「使える」ということだった。通用するんだ、これが。というおどろきは大きかった。手応えがあったとか、結果が出たとか、そういう意味ではなく、するっと不安なくやっていける。いままでやってきた、他人の顔色をうかがい、他人の動作に合わせて平均的に働くというのとは違った。積んできたものが、無駄にならない機会に巡り会えてよかったと思う。 休みたいと思いながら、休めないでここまで来たし、年始の休みも8日まであるけど、いろいろと休めないことが多い。雇用契約のある労働は休みだが、個人的な仕事はいくらでもあるし、なんなら山積みになっている。九日間で終わるのだろうか…と思いながら一日目をもう半日終えてしまった。(2024年のしいたけ占いには、おまえはだいたい気づいたら働きまくっていて休んでない、みたいなことが書かれていてちょっと悲しかった)
毎年毎年、何を年間のまとめに書いていただろうかと思うわけで、今年も悩んでいるわけだが、全然答えが出ない。とりあえず、読んだ本とか作った本をまとめていたような気がするから、それをやる。
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★作った本★ 1月 『山梔の處女たち』 pixivのいつだったかの百合文芸で佳作をもらったオメガバース百合「首輪とロマンス」、恋愛/性愛から離れたところで手を取り合う少女たちの魔法学園小説「魔女の選択」収録の短編集。Kindle版は、いつだったかのKino-Kuni文学賞で大賞をもらった滅び行く漁村の女二人の物語「迎え火」も収録している。
5月 『けものと船乗り』 現代物、というか、現実世界の不均衡や理不尽に焦点を当てたものがたりを多く書いてきたな、という自覚もあり、あと「幻想文学はもう書かないんですか」とたくさん声をかけてもらったりもしたので、ひさしぶりに幻想文学らしい幻想文学を。 全ての船を沈めてしまうけものが棲むという「島」を望む岬でまちのひとたちにこれまた「けもの」と呼ばれている存在が、船乗りを拾って海へこぎ出そうとするお話。 『ヤールルカ』 写真家の女の短い物語。撮ること/撮られることの暴力を考えているので、そのこととかを中心に、これは短い物語だったが、もう少し長く書けたらいいなと思ってちょっとずつ書いてる。ひとつ、暴力的な経験を「してしまった」ので、それも書けるか…とすごくいやな気持ちになりながら思っており、だが、これは書くことでしか報復も抗議もできないという思いがあるので、この物語とは2024年以降きちんと向き合いたいと思う。
9月 『ゆけ、この広い広い大通りを』 日々詩編集室から出た本。二児の子持ちの専業主婦・バイクと音楽がすきなトランスの女性・都会で働けなくなったフェミニスト、三人の同級生が「地元」でささやかな試みをするお話。 「ちがいのある人がともに過ごせる共有地をつくる」をコンセプトにしている団体を母体にもつ出版社から出る本だったので、いろいろ考えたし、思っていた以上にいままで読んでくれていたひと以外のひとに受け取ってもらえてよかった。自分が持つ切実な課題とかもたくさん載せた物語だったので、ベストをつくしたし、2023年のベストだと思う。この物語に全力をつくしていたので、2023年は、ヨモツヘグイニナでは大きめの物語は作らなかった。 この本は、ヨモツヘグイニナの通販の他に、本屋lighthouseさんとか、シカクさんとか、mychairbooksさんとか、日々詩編集室とかでも買えるので、お気に入りの書店さんで買ってもらえるとうれしい。 『いづくにか、遠き道より』 再録短編集。たくさんたまっていたのでつくった。2014年に書いた小説とかをおそるおそる読み返したら、思っていた以上に「小説」だったのでほっとした。
11月 『アルバトロスの語りの果てへ』 売れない作家のノイと、そのパートナーで人気役者のターが、アルバトロスの繁殖ボランティアに参加するお話。 物語を自分自身が語るとき、そこには当然自分も含まれている物語のこともあるし、そうでないこともある。だけど、埒外にあっても内にあっても、ひとは、語ったり語られたりせずとも、勝手に他者に物語を見いだし、それを消費してゆく構造がある。『山梔の處女』収録の「魔女の選択」によく似た内面を持つ物語だと思うが、他者のふるまいや言動に「物語」を見いだすとき、「なにを見ているか」に自覚的になりたいよね…というようなことを考えながら書いていた。
12月 『浜辺の村の大みそか』 日々詩編集室で出た小さい本。『浜辺の村でだれかと暮らせば』の番外編みたいなやつ。いまから日和と八尋がやったような大晦日をわたしも過ごします。
★読んだ本とか観た映画そのほか★ 色々読んだけど、印象深かったものについて。 『銀河英雄伝説』全巻 銀英伝のコンセプトバーやカフェにいくので読んだ。相変わらずめちゃくちゃおもしろい。 『豊穣の海』全4巻 来年参加する八束さんのアンソロジー父親の死体を棄てに行くやつの資料(?)イメージをつかむのに読んだ。今西が金閣寺のように燃えて、それを本多が眺めている(『暁の寺』)がよかった。あと、大人になって読み返してみると松枝清顕……「全部おまえが悪いじゃん!」ってなるのがおもしろかった。勲に対しては共感するところも多かったし、あいかわらず『天人五衰』が一番好き。 『雨の島』 今年の1月1日に読み終えてた。呉明益の本、『歩道橋の魔術師』も読みたいんだけど、未訳のチョウチョのなんとか…?が読みたい。 『苦海浄土』 ネイチャーライティングをやろうとすると必ず出てくる石牟礼道子、の代表作。水俣へ3月と10月といくことになったし、石牟礼道子を筆頭に水俣関係の本をとてもたくさん読めた一年だった。とてもよかった。来年は『水俣病を旅する』『苦海浄土』(全3巻)を読みたい。 『アフターヘブン』 八束さんの本。めちゃくちゃよかった。 『フィリックス・エヴァー・アフター』 すっごくおもしろくて、何度でも読み返したい! 『鋼鉄紅女』 最高だった……「地獄へようこそ……」って武則天が宣言したところから、もう一気に読んだ。家父長制と、男女の二人の「ペア」というかたちに反旗を翻す最高のSF小説。 『私と夫と夫の彼氏』 2023年で読んだ中で、一番一番おもしろかった漫画!11巻が待ち遠しい! 『琥珀の夢で酔いましょう』 この漫画もめっちゃおもしろかった~! 『父の時代、私の時代』 堀内誠一の自伝的エッセイ。「ウッチェロ!!!!!!!」澁澤龍彦・瀬田貞二との思い出を添えて。めちゃくちゃ古本価格高騰していたので文庫で出してくれてありがとう! 『ガザに地下鉄が走る日』 ずっと読みたかったけど、なかなか読めずにいて(岡真理さんの本は『記憶/物語』を2020年に読み、もう一度これも今年再読した)やっと読む。見過ごしてしまわないように、何が出来るかを考え続け、アクションを取る、できることをやるしかないんだけど、「人間が人間として生活するということ」が、誰にでもある世界にたどり着きたい。 本だと、吉田育未さんの翻訳作品を井上彼方さん/紅坂紫さん編集の『結晶するプリズム』で知り、『聖なる証』『星のせいにして』を読む。めちゃくちゃおもしろかった!年越し読書本は『イエルバブエナ』。「このひとが翻訳している本ならぜったいおもしろい!」という翻訳者さんに出会えたのがうれしかった。 映画もいろいろみたけどとくに『バービー』『his』『ゲゲゲの謎 鬼太郎誕生』がよかったな~。結局体力がなくて窓際のトットちゃんを見に行けなかったのがちょっとさみしい。 さいたま文学館で開催されていた澁澤龍彦の展示にはいけた。パンケーキも食べた。 12/24にITOプロジェクトの『高丘親王航海記』を見に行く。それについてのくわしいことは静かなインターネットに書いた。
★旅行★ 「今年はいろんなところへ行ったんじゃないですか?」と言われたけど実はあんまり行ってなかったりする(さみしい) 1月 尾道 ライターズインレジデンス尾道でまたみはらし亭に滞在する。だいたい伊勢うどん食べてた。 3月 水俣 はじめて水俣へ。というか九州自体がはじめて。いろんなひとに出会い、いろんなことを学び、いろんなおいしいものを食べた。『常世の船を漕ぎて』を水俣病歴史考証館で買った。 5月 東京 行ったという記憶しかない。なにしたっけ…?なにもしてないのか…もしかして…。 9月 大阪 銀英伝のバー「海鷲」へ行く。ロイエンタールの透けてる板を買った。文フリ大阪も行った。 10月 東京 銀英伝のカフェ「イゼルローンフォートレス」へ行く。かおりさんと会う。ながいことSNS上ではお付き合いがあるのに生身で会うのは初めてで、だけど「すっぱいものきらいだもんね」とか長年付き合ってきた人間同士の会話ができてとてもおもしろかった。次の日は吉祥寺や多磨へいき、緑色のインコとオナガを見る。 水俣 ふたたび水俣へ。熊本市内も立ち寄ったが、土砂降りだったので熊本大学と、橙書店へ行く。島尾ミホと石牟礼道子の対談集というめちゃつよBOOKを買った!めちゃくちゃ楽しかった。 11月 文フリ東京。ヒマラヤ鍋を食べる。次の日は埼玉文学館へ。武蔵野うどんに衝撃を受ける。
★来年の予定とか★ 1月14日に文フリ京都。辰年なので澁澤龍彦のコラージュみたいな『兎島にて』という本をだします。こういう物語で「兎」って単語がでると、誰か特定の人をみんな思い浮かべると思うんですけど、その特定の人は卯年のわたしです。他の誰でもありません。 3月までに出さないといけない原稿がめっちゃいっぱいあるので頑張ってます。 オープンにしてるのは八束さんの家父長制アンソロだけだけど、そのほかもまた媒体に載るなどしたらお知らせします。 やりたいことは、三宅島・舳倉島・天売島、この三つのどれかの島にいきたい!2023年は労働が忙しすぎてぜんぜん鳥写に行くことがなかった(かなしい)一年になっちゃったから、2024年はちゃんと鳥写したいです。 あと、日々詩編集室から『ゆけ、この広い広い大通りを』もでたことだし、もうちょっと小説を書いて発表する幅みたいなものをひろげたいかなと思っている。つらいことがたくさんありすぎたから、アンソロは主催も参加もいやだったけど、そういうのとか……あと、書いたらお金がもらえるタイプの原稿とかも、書ける媒体があるのなら書いていこうかと思っている。 これはずっとそうなんだけど、賃労働をしながらほかにわたしの体力で「できる」ことが「小説を書く」ことしかなかったので……。タイミングや機会があれば、頑張ってみようと思っている。
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tutai-k · 4 months
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アンソロ参加します
「父親の死体を捨てにいく」物語を集めた文芸アンソロジー、参加します。主宰の八束さんがハッシュタグ #家父長制アンソロ でX(Twitter)やFediverseから情報を発信していらっしゃるので、最新の情報はそちらより。 https://twitter.com/yatsukami/status/1723273661120213197
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企画にお誘いいただいてメンバーの名前を聞いたときに、(アンソロジーは毎回そうなのですが)場違いでは……?? と思ったのですが、その中で私にお声がけいただいたことには意味があろう、ということで、僭越ながらお席をいただくことにしました。
web拍手のほうから「文フリでフライヤーを受け取った」とコメントくださった方もいらっしゃって、どこからお返事したものかと悩んでいたのですが、この場で。ありがとうございます。作品を上げることもなくなったサイトにまでお越しいただいて恐縮です。触れたことのないテーマで途方に暮れているものの、自分らしいものが書けたらと思っています。
いまはとにかく読んで、学びなおすところから。がんばります。
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tutai-k · 5 months
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【新刊予約開始しました】兎島にて
2024年1月14日(日)に開催される文学フリマ京都で刊行予定の新刊「兎島にて」の通販の予約を開始しました。
兎が暮らす世界の涯ですらない小さな小さな島に「龍を食った」と自称する虎があらわれ、冒険の顛末を話す物語です。 虎とも龍とも、決して交わることのない運命の兎が、それでも虎と出会うお話。
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兎島にて 76ページ 本体リソグラフ印刷/カバーオンデマンドゴールドインク使用/A6版 通販850円(送料180円)・イベント800円
ご予約はこちらからどうぞ。
試し読み
あと最近の新刊(?)的なものが日々詩編集室から出てます。 『浜辺の村でだれかと暮らせば』の番外編『浜辺の村の大みそか』。ちっちゃいめでたい表紙の本です。こちらもよろしくどうぞ。
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tutai-k · 5 months
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未来に絶望しかなくても、信じてもいいかという気持ちにはなれる
ろくな人生を送っていない。はっきり言って馬鹿にされるばかりの人生で、他人がずけずけと入ってくるか、必死になってつくったものは、「この場所なら少なくとも壊されなくて済むかな」と思っているような場所に置いても踏み潰される。 いつだって人生最悪の日を更新して、わたしはわたしがこの世に生まれた日こそ呪われてあれ、とくりかえしている。
ろくでもない人生を送っている。
昨日もまあそういうろくでもない人生の最悪の日を更新するような日だった。詳細ははぶくが、さっさと人生のリタイアを考える程度には日常に喜びがない。ここ半年、「よかったな」と思うことは数える程度で、あとはなんていうか「どうしてこうなったんだ」というようなことばかりである。持病はまた悪化してきた。
そんな昨日、三ヶ月に一度行っているアフタヌーンティーの予約を入れていた。秋のアフタヌーンティーは9~11月。忙しすぎてもう無理かと思っていたが、なんとか日程を調整してぎりぎりで行けた。が、この半年ろくなことがない、しかも昨日は最高潮(でもきっとここからもっと最悪になるんだろうなとは思っている)で、「こんな気分のまま大好きなアフタヌーンティーに行くのか…」と思っていた。 いつものシェアオフィスにいくとアフタヌーンティーがむずかしいので、もうすこし近くのコワーキングスペースに行った。こども編み物教室をやってて、ちいさいこたちがたくさんいた。原稿をやろうと思っていたけど、編み物でつくったきのこや目玉焼き、クッキーでおままごとをしているこどもたちが仲間に入れてくれたので、一緒になって遊んで、絶望から少し立ち直れたので、アフタヌーンティーは楽しめた。
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今日は朝から、フォロワーさんが楽しそうに見ているゲゲゲの鬼太郎の映画を見に行った。鬼太郎誕生秘話?みたいなやつ。鬼太郎はこどものときにアニメを見てて、ちゃんちゃんこが飛んだり下駄が飛んだりするのを眺めていたくらいである。似たような時間にやってたベムベラベロと違いが分かっていなかった。
だからほとんどはじめてみたいなもので、楽しめるかな…と思っていたが、これがめちゃくちゃおもしろくてとてもよかった。わたしはあんまり因習村ということばが好きじゃない。(面白おかしく語られる山村に実際に住んでいるのは限界集落の高齢者だ)、「ムラ社会」を嫌い、笑い、そこでなんとか生きている人たちの生活を勝手にデフォルメして凄惨さでエンターテイメントする、そういう姿勢を好まない。だからすこし警戒していたけれど、見られてよかったな、と思った。
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主人公の水木は第二次世界大戦で(おそらく)南洋の前線に送られていたのだろう。玉砕を命じられた経験などがなんどもフラッシュバックする。かれと一緒に冒険(?)するのは、妻を探しているという男。ゲゲロウと水木に呼ばれていて、顔が鬼太郎そっくりなので、どうやら彼は鬼太郎の親父らしい。つまり目玉のおやじと呼ばれる存在の前身である。このふたりが、いわゆる「因習村」の「因習」の謎を解き、立ち向かっていく……。
お話しのつくりとしてはこんな感じ。公開されて間もない映画だから、あんまりネタバレ的なことを書いては、と思うので、よかったなあと思うところを少しだけしゃべると、
前線に送られた水木も、妻を探すゲゲロウも、どちらも「国」(はっきり「日本」と言ってしまっていい)に搾取され、押しつぶされてきた存在だ。そして二人とも、じつは根本のところでこの「国」とか「人間」という存在を信じられていない。その二人が、なりゆきで一緒に行動して怪異に立ち向かってゆくなかで、「未来」を信じ、きっと自分たちの後ろを歩くだろう存在のために、未踏の山に道を作るような行動をするところだ。 水木もゲゲロウも、とくに「強い男」ではない。水木は、自分より強い存在に(命やその他の「安全」)をちらつかされると、強く出られず引き下がってしまう。復員した水木が、戦争経験者だからと言って、肉体的に強く/戦闘・殺人の技巧に長けているわけではない。マスケット銃や斧を振るう場面はあるが、基本的に彼は、第二次世界大戦から復員したひとびとに(現代のある層が幻想している)むけられる「強さ/能力」を持たない(強さや能力を持たないのが普通だ。わたしの母方の祖父も戦時中に兵隊に取られていったが、死ぬまで戦地の悪夢を見てうなされていたそうだ)。この物語では戦争の経験とはつねに生きる強さや気力をそいでいく「傷」であり、物語を前に進ませる原動力とはなり得ていない。 ゲゲロウも、戦闘力という意味で、あまり強くなくて、バトルシーンよりも「捕まっちゃってる」場面のほうが印象的だ。ゲゲロウはよく捕まる。しかたなくバトルはするけど、本来の性格が、好戦的ではなく、強い方でもないのだろうと思う。人間からは隠れて、静かに生きていたい存在だったのだろうというのがなんとなくわかる。 ふたりはまったく強くなくて、「今」のためにもがいている。ゲゲロウが妻を探しているのは「今」のためだし、水木がこの村にやってきたのも「今」の自分のためだ。 だが、互いに関わりあうなかで、「未来」の話ができるようになる。 ふたりが立ち向かうのは特定のだれかのかたちをしているが、物語を俯瞰すればそれは戦時中に私腹を肥やしたものたち(国の暗喩)であり、ヒエラルキーの下層にいる存在を搾取する構造だ。水木はこの国を憎んでいる。「こんな国なんか滅びちまえ」と言う水木に、未来の話をするのはゲゲロウだった。水木がそう叫ぶ場面で、ゲゲロウはもっと、「国」を「構造」を滅ぼしてしまいたいと叫ぶような目にあっている。だが、この「国」「構造」の向こうにいる未来に、「今」を託したいと思う。 ふたりは最後まで強くなかった。戦うことで未来を勝ち取るのではなく、過去を引き受けることで「今」の向こうの「未来」のために、強くないままで、先へ進もうとする。
その未来へのまなざしの強さを、愛おしいと思った。
ここから下は、よかったな~と思った点のいくつか ・水木が、作中のこどもにされている虐待に対して嫌悪感をもよおす存在であること、そのこどもの結末に対して心から泣ける男であることと、そうでありながら一方では社会的地位や保身のため、時に哀れみで不誠実な行動を取ってしまうこともある人物として描かれているところがよかった。「水木は完全に正しい存在ではなく、善悪のメートル原器ではないが、それでもその絶対的な正しさだけを持たない人物が未来のために道を作る」という部分は、人間の営みそのものだと思った。
・「愛」というのが、性愛/恋愛で結ばれる男女のものだけでなく、血縁を通り越した、そして「記憶(愛着)」のない場所でも抱かれるものだと描かれたことがとてもよかった。これから、「未来」をつくってゆくわたしたちに、大きな希望になるように思えた。
クソみたいな人生だし、きっと明日からだってろくでもない日々だ。だけどまあ、いまはすこしだけ、未来を信じてもいい。
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tutai-k · 5 months
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個展『たたずむ』を小声書房さんにて開催します。
描き溜めたドローイング、置き物、版画、既刊の本の展示販売をします。
かなり見応えのある展示になりますので是非お越しください。久しぶりの個展なのもありレアです。
|開催日時|2024年2月2日(金)〜2月29日(木)まで
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tutai-k · 5 months
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#swordtember2023 prompts brought me a tiny triptych about an adventure of a tired young knight.
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tutai-k · 5 months
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2023/11/19
文学フリマの縁で、久しぶりに原稿依頼をいただいた。ずっとわたしの詩を読んでくださっている方からなのでうれしい。肩に力を入れすぎずに書いて、よい詩にしよう。詳細が発表されたら、媒体名などをお知らせします。 詩は普段から書いているので、未発表作が溜まっている。原稿依頼をいただいてまずやることは、溜まっている詩の中で発表できるものがあるかを確認することだ。一つ二つ見繕っておくと、最悪何も書けなくてもそれを出せばいいと思える。そうしたら安心して書き始められるのだった。いつもは書きたいことや完成形を全く考えずに書くのだけれど、依頼の場合は発行時期に合う雰囲気の詩にしたいとか、いつもより考える。考えすぎると固くなって書けなくなるので、頭の片隅に置いておくくらいにとどめる。置いておくとなぜか考えに合う「詩の言葉」がそのうち出てくるので、そこからはいつも通り書く。論理も技法もあったものではない。
昨日は葉ね文庫に行った。店主さんとお客さんに服を褒められた。上は女の子が4人描かれたスウェットで、下は青やピンクや黒などのボーダーのスカートだった。色を合わせておいたのがよかったようだ。 ガーネット101号を買った。詩集が紹介されているページで、『あかるい身体で』の一言評と詩の一部引用がされていた。評を読んで、やろうとした試みは成功したようだと思った。詩集を作るときは編年体でまとめるのではなく、一冊の詩集として一つの流れや時間軸を意識している。
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tutai-k · 5 months
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遠出したい。せっかく新刊もできたことだし遠くのイベントに出ようかなと思った。11/26のZINEフェス長野がまだ申し込めるようだった。あずさで行くかかがやきで行くか。うちからだと新宿に行くまでがけっこう遠いのでかがやきの方が速い気はするけどあずさ乗ってみたいよな〜と思った。
むかし妹が長野の男とつきあっていたときしょっちゅうあずさに乗っていた。その後結婚した夫も長野出身だけど場所はぜんぜんちがったと思う。過去の恋愛や人間関係を周囲の人間がずっと覚えているの悪いなあと思いつつずっと覚えている。わたしについてもきっと誰かが覚えている。恥ずかしいかというとわからない。指摘されたら恥ずかしいかも。
電車の料金を調べてみたら思ったより高くてびっくりしたので帰りは高速バスにしようと思った。バカデカ優人さんポスターを連れて遠出するの魍魎の匣っぽいかな。そんなことないか。デカいし。
遠出したくてうずうずして、1月のZINEフェス奈良も行きたくなっている。文フリ京都に出られないのでその代わりとして。文フリとZINEフェスがだいぶちがう種類のイベントだとはわかっている。あんまり小説を売るところではない。でもJ.GARDENもそうだけど、自分にとってどまんなかではない、正直そんなにたくさんは売れないイベントに出るのってそれはそれで気楽な面はある。交通手段とかホテルとか飲食店とか検索した。まだフワッとしている予定未満の予定についていろいろ検索しまくる時間がいちばん楽しいよな…と思った。
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パートナーとレッドロブスターへ。なんでもない日にやけにぜいたくした。文フリの打ち上げのつもり。パートナーはわたしの小説読んだことないけど。お店の人が生きているロブスターを一回テーブルに見せに来て、お写真撮りますかと言われたので写真を撮って「バイバーイ」とか言った。あの子はまだ自分が死ぬのを知らないのだ…と二人でつぶやきあった。いやな感じの冗談を言うときわたしたちは本当にイキイキしている。スチームしたロブスターはある程度お店の人が解体してくれるけど、自分たちでほじくったりちぎったりが必要なので、これはパートナーと二人で食べるのがちょうどいい食べ物だなと思った。知り合いやほかの家族とこれをやるのはけっこう気をつかいそう。
なんとなく頼んだフライのコンボ、白身魚のフライがふわふわでこんなに美味しいの初めて!と感激した。食べ慣れたもので美味しいものに出会うと本当にうれしい。そしてこれもパートナーがなんとなく頼んだチーズビスケットが、想像していたよりずっとサクッとふわっとしていて、こういうのがこんなに美味しいことってあるんだ…と驚いた。これテイクアウトあったらいいのにねと話した。検索したらamazonで売っていたけどどうやらそれは1.5kg入りのミックス粉で、自分で作ってくださいというものだった。40個できるらしい。業者じゃん。
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ゴルフの練習。ゴルフを始めて2年になる。レッスンは週一。あんまりまじめにやっていないので当然なかなかうまくならないけどぜんぜんできないことをやる時間というのは新鮮で面白い気がする。先生に言われたことを言われたようにできない。説明はわかるけど頭でわかるようには身体は動かない。この不自由さ。そうしてそれがべつにぜんぜん恥ずかしくないのは、やっぱり歳をとったからなんだろうか。子どものころの体育の時間はとにかくぜんぶが恥ずかしかったし、演劇のときもそうだった。
集まるクィアの会へ。近くに用事があったので途中からになっちゃうけどちょっと行ってみた。新宿中央公園の芝生の上で、みんなでプラカードを書いたり、何か話したいことがある人は手を挙げてスピーチをしたり。途中参加のわたしは聞いていただけだったんだけど人の話を聞いていると自分もすっかり打ち明け話をしたような気持ちになる。これは本を読むときにも感じることで、胸を開くというか解放感がある。公園はいろんな人が思い思いに過ごしていて、晴れていて気持ちのいい時間だった。こういうところで話をしたり連帯をたしかめあうのはすがすがしい。先週デモに行ったときとはかなり気分が変わっている。これはそれがどういう集まりかということではなくたんにわたしの調子だし、おおまかに体調だと思う。なので、わたしの言うこと(書いた文章)はあんまり真に受けないでください…と思ってしまうけど、真に受けないでほしいからいっぱい書きたいのかもしれない。文フリでブースに来てくれたTANさんに会えてうれしかった。
なむあひさんとゆとぴやぶっくすさんへ行ってねぎで飲んだ。オフラインで話すのやっぱりいいなと思った。あたらよ受賞おめでとうございますのお花を渡した。もっとブーケっぽいのを買おうとしていたんだけど花屋で大輪のダリアを見つけたら思わず…なむあひさんはDAHLIA(X JAPAN)でしょう…と思って。ねぎは古いJ-POPばかり流れている店で、ちゃんとXもかかった。前奏が流れた瞬間なむあひさんが「Xですね…美しい…」と言ったのがすごくよかった。
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渋谷◯◯書店に文フリの新刊などを納品に行こうと思ったのに本を入れた袋をまるまる忘れて家を出てきてしまった。電車に乗って愕然とした。か? わざと忘れたような気もする。売上を紛失されて以来、◯◯書店での活動にやる気が出ない。いや、紛失された直後はそうではなかった。ちきしょう自分の場所を守るぞという気持ちでやる気がみなぎっていたのに、夏を過ぎたあたりでなんだか急速に興味がしぼんでしまった。
えもの家へ。電車の着く時間を伝えたら「コーヒーとおにぎりをあたためて待ってるね」と言われ、それがもうすごくあたたかいよなと思った。晴れているけど風が強くて寒い日。こういう日は冬っぽくて好きなんだけど、長い地下鉄に乗っているうちに日は陰ってしまって、電車が地上に出たらすっかり夕方だった。
展示の作品を見せてもらい、昨日なむあひさんから預かった『aneimo』を渡した。土曜に送った『疎林で寝る』とわたしの本は無事届いていてよかった。レターパックを追いかけるように家を訪ねてしまったなあと思ったが、会えてうれしかった。今日晴れてるからえもちゃんち行っていい?と急に声をかけたらのってくれて、わたしは先々の予定を立てるのが苦手なので急に遊べるのほんとにうれしいな…と思う。展示用の置き物やドローイングが本当によかった。アナログの表現がめちゃくちゃ上手いよなあと感嘆した。
電車の中でキム・ヘジン『中央駅』を読み終えた。ホームレスの「俺」が誰なのか、どこからきてどうしてここにいるのか、何歳でどんな容姿なのかとか、そういう過去は一切語られない。あるのはいま現在の感情と感触。男女の愛の話だと思うけど「俺」と周囲の人間との関わりはブラザーフッドの話としても読める気がした。ぜんぜんうまくいかないブラザーフッド。
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このくらいの日記を毎日つけてzineにしてみたい気持ちがある。
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tutai-k · 5 months
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埼玉のおとこ
彼とは所属しているサークルが一緒だったが、特に親しいわけでもなかった。それがこうして、飲み会の帰りに駅のベンチに腰掛けて何本もの電車を見送り続けている。会話というにはあまりにもぶっきらぼうな言葉を投げ合っている。おれは電車に乗って三駅のところにアパートを借りているが、となりの男はそもそも電車に乗る必要なんてないのだ。入場料まで払ってホームまで付いてくるとは、馬鹿な男だ。
雪の降る街からひとり東京に出てきた俺は、埼玉の実家から大学に通うこの男のことを好きではなかったのかもしれない。埼玉の男はそんな俺の気持ちを知る由もなく、ぺらぺらとくだらない話をしている。
「次の電車に乗る」と言い続けて、目の前に電車が止まり、扉が開き、俺たちはベンチから腰を上げることなく、扉が閉まるのを見送る。電車はひかりをめいっぱいに溜め込んで走り出す。ひかりの尾が消えるのを見つめる。そしてまた、くだらない話。その繰り返しだ。
「おれは埼玉生まれで埼玉育ちだから、方言って憧れるんだよねえ」
埼玉の男の横顔を、夜の電車から漏れ出たひかりが照らす。きらきらと、安酒で染まった頬を光らせる。
「ねえなにか方言で喋ってみてよ」
俺の顔を正面から見据える男の目もきらきらと光っていた。俺の目はきっと酒のせいで淀んでいるだろう。けれどこいつはこどもみたいな目で俺を見ている。気に喰わない。俺は重い口を開いた。
その言葉はきっと埼玉の男には聞き取れなかっただろう。ざまあみろ、と思う。笑みがこぼれた。今まさにホームへと滑り込まんとしている電車を目の端にとらえる。
「これが最終だから乗るわ。じゃーな」
俺の言葉に、埼玉の男は目を丸くした。
「泊まってけば、おれんち」
その言葉を聞いて、ああこいつもたぶん寂しいのだな、と思った。きっと、俺と同じように。
「何て言ってたのか明日教えてね」
ひらひらと手を振る男に何も答えずに電車に乗り込んだ。目が眩むほどのひかりを溜め込んだ電車の中からは、彼の表情も窺えない。あいつ、俺がなんて言ったかわからないまま悩めばいいのに、一生。折に触れて、あれはなんて言っていたんだろーとかなんとか悩めばいい。そんな風に思うほどには彼のことを嫌いではない自分が、閉まったドアに映り込んでいる。
滑り出した電車の窓からあっという間に埼玉の男の姿は遠ざかってしまう。ばーか。明日も明後日もその先も、何て言ったかなんか教えてやるかよ。
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tutai-k · 6 months
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たどり着かなかったおおくの未来たちへ
文フリ東京だった。 土曜日開催のイベントってなんだかんだ言いながらはじめてのような気がする……労働が土日祝休めなかったころはなんでイベントは平日にやらないんだろうと思っていたし、土日が休みだったころはイベントは土曜日にしてほしいと思っていたが、日月休みになると、イベントは日曜日がいいなと思ってしまう。日月は宿泊料金がやすい。
そんな自分本位な「この日がいいな」をわたしはいくつも持っている。
文フリ東京は、土曜日の朝に出発した。車内販売がなくなってしまって、でもまあ新幹線のホームとか購買にシンカンセンスゴイカタイアイス(シンカンセンモウカタクナイアイスだという噂だが)が売っているらしいから、それを食べようと思っていたが、朝、名古屋駅で見つけることはできなかった。 しょんぼりしながら新幹線に乗る。新幹線の中ではほとんど寝ていた。
東京駅・浜松町・流通センター。いつもの乗り換えで会場に向かう。来年の12月の文フリはビッグサイトでやるらしいから、この行程で向かうのはあと一回。
会場前に八束さんのスペースで不穏なフライヤーをもらう予定だったのでもらいに行ったら、八束さんがさいたま文学館で開催中の『澁澤龍彦の文学世界』のフライヤーも一緒にくれた。 ので、スペースが出入り口の真ん前だったこともあって、これはたくさんのひとに見てもらえるんじゃないか…!ということで、出口に向けて配置した。完璧である。
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そんな素敵な設営をして、開場。
遠方からきてくれたフォロワーさんに展示のフライヤーを見せ澁澤龍彦の話をし、「若い頃にわたしも全集読みました!」と言ってもらうなどしたり、痛覚の麻子さんにはえんえんと「この写真見てくださいやばくないですか?羽田に楯の会の制服を着て見送りに着た三島の帽子をかぶっておどけているときの写真でこれが二人が実際にあった最後になるんですよ……」と一生終わらないんじゃない勝手くらいの話をしつづけてしまったり、このフライヤーに気づいてくれた通行人のひと(「澁澤龍彦だ…!」という声が聞こえた)に「裏面も見てください!そしてよろしくお願いします!」とさっと差し出したり……。こんなに充実した文学フリマ東京は、2014年から参加していて初めてじゃないかと言うくらい充実していた。
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惜しむらくは、澁澤龍彦のフライヤーと一緒に不穏なフライヤーを挟んでいたにもかかわらず、だれも「澁澤龍彦と棄てに行ける家父長制があるんですか?」と聞いてくれなかったこと…。澁澤龍彦と棄てに行ける家父長制は果たして存在するのか……?
とまあ、こんな感じなのだが、そろそろ皆さんも不穏なフライヤーとは?と思っているところだろうと思うので、ご紹介致しますとこういうやつです。
「父親の死体を棄てに行く」アンソロジー。家父長制を棄てに行きたい方はどうぞ2024年5月の文学フリマ東京をお待ちください。
イベントが終わってからは、八束さんとヒマラヤ鍋を食べに行った。 お店の予約時間まで過ごしていたドトールで渋沢栄一の話になり、「ああ、向こうは傍家で、本家はうちなので」と話したら「いまうちって言いました?」と聞き返される。うちです。 ヒマラヤ鍋屋さんはめちゃくちゃすてきな楽隊(?)のお誕生日パレードがあったり、びっくりするような美味しい鍋を食べられたりと大満足だった。
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打ち上げを終えて、翌日のさいたま文学館に備えて埼玉に宿を取っていたので、移動をはじめたら電車がいきなり止まった! 電車の沿線で人身事故があったとのことで、近くのハブ駅みたいなところで電車を降ろされてしまう。こんなこと担ったのは初めてなのでびっくりしていると、とりあえず一時間くらいしたら電車は動くからね~とアナウンスが入り、事なきを得る。
都会ならではの体験だな…と思いながら、ホテルにたどり着いて泥のように寝た。
そしてさいたま文学館へ。
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張り切って出てきたら開館まえについてしまった…。図録を買って、老人クラブの展示があったので見せてもらったりして(ヤツガシラの俳句があってとてもよかった)、10時になる。
貸し切り状態……。
展示は、埼玉と澁澤の関係から始まっていて、浦和高校時代の写真(浦和高校同窓会が出しているものだった)があるのがとてもよかった。 限定本も展示がたくさんあり、原稿も、文学館が所蔵しているものが4、5点。 サド裁判のときに澁澤が三島に書き送った手紙に、争点が「わいせつか芸術かを超え、表現の自由/検閲への抵抗である」ことが書かれていることを指摘していたり、『高丘親王航海記』の原稿用紙、最初は「了」と書いてあったのを、推敲の段階で文字を自ら消したことを指摘していたり、「澁澤龍彦」という人物を表現との向き合いかたから見せているのが良いと思った。 面白かったのは三島の写真の使い方で、「血と薔薇」の「男の死」の三島の写真、あと、メインビジュアルが羽田に見送りにきた三島の帽子をかぶっておどける澁澤の写真だったからか、「楯の会の制服を着た三島由紀夫」の写真が展示してあったりした。
展示をひとしきり見た後は、図書室に今回の展示の関連本がまとめてあるとのことだったのでそれを身に。「作家のおやつ」「作家の食卓」といった本の紹介や、山﨑ナオコーラが文豪の墓参りにいく本に澁澤の項目があった。山﨑ナオコーラの澁澤へのまなざしにはわたしにもおぼえがある。よい本だった。そしてその本で、先月わたしが緑色のインコに夢中になっていた霊園に中島敦の墓があることを知った。敦、ごめんな……墓のことなんて全然知らなかったから、緑色のインコのことしか考えてなくて……。
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その後は文学館併設の「けやきカフェ」で澁澤龍彦コラボメニューをたべる。黒糖と胡桃のパンケーキ。澁澤が好きだった胡桃や黒糖のお菓子をイメージしてつくられていて、とてもよかった。 思い出したのは、今よりもっと貧乏だったころ、いろんなところでやっている澁澤の展示に行けなくて悔しい思いをしたことだった。いまこうしてたどり着くことができるようになったことを、なんだかとても、自分が、自分をなんとかしているように思えた。
パンケーキを食べ終えてから、「武蔵野うどん」に挑戦することにした。「伊勢うどんとは対極にあるうどんだ」という事前情報しかなかった。 桶川駅ちかくのお店はかなり人気店のようでたくさん人が並んでいて、お店に入れたのは並び始めてから一時間後くらいだった。 つけ麺(うどんのことをつけ麺というのか?)システムで、つけ汁とうどんは別々の皿に載っている。なるほどこういうやつなのか、となにも考えずにがっと箸でつかんで汁につけてすすりはじめたはいいが、うどん、めちゃくちゃかたいんですけど?!噛みちぎれない…やばい、全部すすって口の中に入れるしかない……と思ったが、これがまたすさまじく長くて……永遠にうどんがおわらない……。 こんなに硬くて長いうどんはじめてなんですけど?!おれたちは箸で持ち上げただけでへたしたらブツッといく伊勢うどんの民なんだということを再確認し、「これは風邪を引いたときに食べるうどんではなく、体力が有り余っているときに食べるうどんだな」と確信しました。きっと武蔵野のひとたちは、風邪をひいたときにはおかゆを食べるに違いない。(伊勢志摩の人間は風邪をひいたら伊勢うどんを食べます)
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二口目からは一本ずつ食べることで武蔵野うどんのおいしさを堪能し、また是非食べたい、顎の力を試したい、と思った。
武蔵野うどんを噛み砕くのに体力のほとんどを持って行かれて、疲れ果てたので、そのまま帰宅することに。 購買にシンカンセンスゴイカタイアイスを見つけたので購入し、席に着くと、隣のひともおなじシンカンセンスゴイカタイアイスを持っていた。しかもおなじチョコレート味。
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べつに示し合わせてはいないがふたり一緒に食べることになってしまい、こんなに好きなひとがいるのに、もうシンカンセンスゴイカタイアイスは車内販売されないんだな……と悲しくなる。 そして、乗車15分まえに買ったし、シンカンセンモウカタクナイアイスだった。
アイスを食べ終えてからは、記憶がない。気づいたら名古屋だった。
名古屋駅で、近鉄のホームに来たら、電車を待つ人は無秩序にホームにたたずんでいて、車両のドアとか何も気にしていなかったし、電車が着いても「先に並んでいたひと」という概念がないので、運良くドアの近くにいたひとから電車に乗りこんだ。東京とかから帰る途中、この近鉄のホームの無秩序さを目の当たりにすると、まだ名古屋から三重まで帰らないと行けないのに、「帰ってきたなあ」と思うのだった。
名古屋駅から最寄り駅までも、寝ていたのでほとんど記憶がない。
帰宅したら、夕食は焼きそばだった。焼きそばの麺は、どれだけ頬張っても簡単に噛みちぎれた。武蔵野うどんは硬かった。
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tutai-k · 6 months
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1023_文フリ東京新刊『顔たち、犬たち』
なんかこう下読みしてほしいとか内容チェックしてほしいとかでももはやなくて、ここに小説があるというのを誰かに確認してほしい…みたいな気分。わたしはこれを書いていますか?
こういう恐怖感みたいなものは一人でちゃんと乗り越えなくちゃしょうがないし、いつもならなんとかなっているのに今回はどうしたんだろう。
もしもよかったらなんですが、冒頭部分のリンクを貼っておくので、ここに小説がありますねというのを確認いただけるととても励まされます…(読んで〜!とは言えない
(というようなことを思っていきなりえもにPDFを送りつけてしまった。自分の中でそういうのは禁じ手にしているつもりだったのでちょっと自分はいよいよやばいんじゃないかと?思う。
文字がありますねというのを確認してほしいとか意味わかんないこといっちゃったんだけど、えもはやさしいので読んでくれて、こういうところがよかったよとわざわざ伝えてくれた。本当にとても励まされている…めちゃ感謝…)
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tutai-k · 6 months
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11/11文学フリマ東京37参加します
2023年11月11日(土)に、東京・流通センターで開催される文学フリマ東京37にサークル・ヨモツヘグイニナで参加します。
スペース番号:か-01 ウェブカタログ お品書き↓
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新刊は「アルバトロスの語りの果てへ」。売れない作家のノイはある日、パートナーで人気役者のターに、アルバトロスの繁殖支援のボランティアに誘われる。数年をかけて行われる、つまり作家のノイにも、役者のターにも、どちらにとってもキャリアに穴をあけてしまうような提案で……。参加の理由を聞けば「物語から逃げたい」と。 女二人のSF短編です。リソグラフ印刷で、表紙は2色刷り、本文はブルーインクで印刷されています。きれいな本になりました。よろしくどうぞ!
他に、文フリ大阪で出した2014~2020年までの短編を集めた再録集「いづくにか、遠き道より」、少女小説集「山梔の處女たち」などあります。「いづくにか、遠き道より」と「浜辺の村でだれかと暮せば」は増刷しているので在庫たくさんあります。
お隣の日々詩編集室(か-02)では、9月に出た「ゆけ、この広い広い大通りを」が売っていますので合わせてどうぞ。
書斎派のかた、いつもは文フリに行ってるけどもうあの人混みしんどいな…ってかたは通販もありますので、ご利用ください。『ゆけ、この広い広い大通りを』もまとめて買えます。 ヨモツヘグイニナ通販サイト
9月の文フリが終わってから、激動(?)の10月を駆け抜けて、気づいたら11月が始まっているけれど、12月半ばくらいまでは落ち着く暇がなさそう。なんとか11/25にいつも行ってるホテルのアフタヌーンティーを入れたけど。
ブログに書きたいいろんなことがたくさんあるけど、書く元気が全然なくて良くない。
今日は朝から、試し読みとかを読んでてすごく素敵だなと思った琥珀の夢で酔いましょうを全巻買って読めたのがとても良かった。おもしろかった~。
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tutai-k · 6 months
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10月31日の対話と救済
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tutai-k · 6 months
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イベント参加予定🗓️
秋に文学フリマへ出店します。詳細は随時更新します。
⭐️販売・配布予定
◎新詩集『あかるい身体で』/1500円(本体価格)
◎既刊『声を差し出す』/900円
◎しおり(購入特典・1種類)
◎フリーペーパー「気まぐれ」2023年秋の号
⭐️文学フリマ東京37
日時:11月11日(土)12時から17時
場所:東京流通センター(東京モノレール:流通センター駅)
サークル名:パレオパラドキシア
カテゴリ:詩歌|現代詩・散文詩
ブース位置:第一展示場 A-61(入り口近くの壁際)
webカタログ:https://c.bunfree.net/c/tokyo37/h1/A/61
---↓終了しました---
⭐️文学フリマ大阪11
日時:9月10日(日)11時から17時
場所:OMMビル2階(地下鉄・京阪:天満橋駅直結)
サークル名:パレオパラドキシア
カテゴリ:詩歌|現代詩・散文詩
ブース位置:N-45
webカタログ:https://c.bunfree.net/c/osaka11/!/N/45 (販売予定の本の一覧)
⭐️おしゃべりと詩と何か(詩集刊行記念イベント)
日時:9月23日(土)11時から夕方頃まで
場所:長谷川書店水無瀬駅前店(阪急京都線・水無瀬駅改札前)
やること:おしゃべり/詩集にサイン/栞とフリーペーパーの配布/私家版詩集『声を差し出す』の販売/即興で何か書く(かも)
予約不要・出入り自由。ちいさな町にあるのんびりした本屋さんの軒先に海老名がいます。お気軽にお越しください。お会いしましょう。
*『あかるい身体で』は店内で販売していただく予定です。
投稿日:2023/05/29
更新日:2023/10/22
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tutai-k · 6 months
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1023_文フリ東京新刊『顔たち、犬たち』
なんかこう下読みしてほしいとか内容チェックしてほしいとかでももはやなくて、ここに小説があるというのを誰かに確認してほしい…みたいな気分。わたしはこれを書いていますか?
こういう恐怖感みたいなものは一人でちゃんと乗り越えなくちゃしょうがないし、いつもならなんとかなっているのに今回はどうしたんだろう。
もしもよかったらなんですが、冒頭部分のリンクを貼っておくので、ここに小説がありますねというのを確認いただけるととても励まされます…(読んで〜!とは言えない
(というようなことを思っていきなりえもにPDFを送りつけてしまった。自分の中でそういうのは禁じ手にしているつもりだったのでちょっと自分はいよいよやばいんじゃないかと?思う。
文字がありますねというのを確認してほしいとか意味わかんないこといっちゃったんだけど、えもはやさしいので読んでくれて、こういうところがよかったよとわざわざ伝えてくれた。本当にとても励まされている…めちゃ感謝…)
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