Tumgik
#daycloseoctober
oyasumi-blue · 7 months
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思えば同じベッドで女の子と寝るのなんて数年ぶりすぎて、実は緊張した。男の子と同じベッドのときは少しくらいぶつかっても、頑丈やし平気やろって雑に思うけど、女の子のふわふわして華奢な体、ぶつかったら潰れてしまわないか心配になるんだ。だからあのとき、同じ布団で寝た男の子はわたしのこと「柔くてふわふわしてる」と言ったのね。
翌朝、たくさんの話をした。
彼女といると、わたしは人生に不安や悩みがないフリをしているだけと気付かされる。普段なら出てこない思考や言葉がスルスル出てきて、つい聞いてもらいたくなるのだ。賢くておしゃれでしっかりしてて人生を謳歌してる最高の女。
わたしは繊細なひとを好きになりやすくて、でも上手くいかないから心のどこかでは辞めたくて。彼女が仲良しの彼と付き合わないのは、彼が繊細だからだと気づいた。もっとしっかりとした人が彼女はいいのだ。自分の頭では分かっているけれど、できないこと、足りないことが彼女はしっかりとできていて、眩しくてクラクラするんだ。
* * *
その日は9月でまだ暑くて。アスファルトの坂道を暑いねって言いながら、半袖で歩いた。たわいもない話を途切れることなくした。カレーを食べてカラオケをし駅前のおしゃれなインテリアを見て、夕方別れた。満足感の高い最高の日曜。
2023 10.8
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oyasumi-blue · 2 years
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久々に会ったその手が触れたのは、きっとずっと会いたいと願われていたから。
* * *
心が離れてしまったのはいつから?そんなのわたしにも分からない。でも別の人の優しさに触れてしまったから。本当に優しくて優しくて心が弱くて繊細で、不器用で頑張った結果で努力を残す人。その人の優しさに触れだした途端、彼のことはパチンと泡がはじけるみたいに、溶けていったのだ。
* * *
久々に彼を見つけたし、彼がわたしに気付いていることも薄々感じていた。わざわざ話しかけるのも……と思いながらも忘れかけていた頃、ひとりでいる彼を後ろから見つけて、トントンと背中を叩いた。振り返った彼に、よっ!とマスクの下で手を振ると、彼がわたしの手にハイタッチしてきた。そんなキャラじゃないことなんて、一番わたしが知っているのにさ。思わず触れた手。もし周りに誰もいなかったら、その手、握ってた?
高い身長、整った顔、洋服。言葉にすると外見ばかりになってしまうけれど、マイペースな空気とその一瞬では変われないし出せない佇まいが好きだったなぁと、遠くから彼を見つめ思った。見慣れないメガネに昔より強めのパーマ。なんだか懐かしかった。昔と変わらず好きだった。隣になれば変わらないやりとりをしたけれど、その後の飲み会でも一緒になることはなく、帰りは別々に帰った。
変わらないことが、変化しないことが辛くて、次第にわたしは彼といられなくなったのだ。一緒に誰かと何かをするだけで、例えば一緒に平日の夜に街でビールを飲むだけで、何かが変わると思っている。今も。日々が動くから。太陽と一緒に、世論と一緒に、奇しくも世界は動き同じ日は二度と来ない。「今日はどんな一日だった?」ってたわいもなくていいから話したい。
でも彼はにはそれがなかった。それが辛かった。別に向上心が強いわけでもない、意識が高いわけでもない自分だからこそ辛かった。いつしかわたしは不自由を感じて、誰かと一緒にしたいことができなくて、自分ひとりの方が自由だと知ってしまった。彼に気を使って見つけた安い中華屋で当たり前に座っていられるよりも、女の子とビアバーで数杯ひっかけるか、ひとりでカウンター席でぼーっと飲むお酒の方が、好きな時間だった。
不平も不満もないよ。本当にただ歩く道が違っただけ。むしろ交差しなさそうな道が、たまたま交差したことこそが、奇跡なんだ。今ならそう思う。最後のキスはいつのどれだったんだろう。思い出せないけれど、きっと、いつかの道玄坂のラブホテルで抱き合ったとき。
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oyasumi-blue · 2 years
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元々SNSの更新が激しい子だったけれど、前よりも激しい気がして、ちょっと胸がうっと苦しくなってしまって。その子のことを他の人は「自己顕示欲」と言った。もしかしたら、そうさせてしまった一因にわたしがいる。ひとの競争心に鈍感ではなと、自分では思う。なぜなら小さい頃から習い事で競争の世界にいたから、空気で分かる。
学校や職場みたいに毎日顔を合わせるわけじゃなかったら、存在感をだせるところなんて、LINEのやりとりか、SNSしかないじゃん。だからね、気持ち、痛いくらい分かるの。だって自分もそうだから。(次に会ったときに、ちょっとでも可愛いって思われたくて、そして新しい自分に出会いたくて、洋服や髪型変えてみるけれど。それだって時間を要するもんね。)
仕方ないけれど、恋愛に友情が負けたんだな、と思ってやっぱりそれがちょっと悲しくて引っ掻き傷を残していった。わたしの右胸のところ。
* * *
……なんてぼんやり考えていたけれど、急に寒くなった平日、アジカンの新曲を聴いていたらどうでもよくなりました。
最近は時間が少しでもあるとSNSよりも下着屋さんのネットショップを見たり、映画館の時刻表を眺めたり、インターネット上の街をうろうろ散歩し��いる。
アジカンのすごいところって「街」が強くて、スマホを眺めている時間が投影されていないんだよな。友達もいてバイトもあって楽しいこともお酒も知っていたけれど、なんだか急に独りになった、大学生の帰り道を思い出す。多分、こうゆう曲を有線のイヤホンいっぱいに聴いて、ポケットに手を突っ込んで下を向いて歩いていた。なんとなく高校生から着ていたUNIQLOのグレーのパーカーが捨てられない、穴も空いているのに。
今も、孤独や独りを感じることはあっても、あの大学生ならではの寂しさを感じることはもうできないんだな。そうなるには日々で大切なものも仕事も居場所も増えすぎた。
だってあの頃は、寂しくても誰かに話を聞いて欲しくても、ひとりで居酒屋に入るなんてこと、できなかったもの。
2022 10.19
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oyasumi-blue · 3 years
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恋をすると彼が好きなものが街中でも気になってしまう。
会話のきっかけや糸口がほしいから、という訳でもなく、単に気になってしまう性分なのだ。変なコード展開の洋楽、カレー、柄物のシャツ、小洒落たサコッシュ。
だけど恋が終わった途端それらは、色褪せるどころか遠のいて輝いて見える。街中で再会すると、あわてて目を背けたくなる。わたしの日々に、やや影を落とさないで、と辛くなる。
* * *
久しぶりに、カレーを食べた。君のことが好きだったときに買った、無印良品のレトルトの。目につくたび、ずっと少し胸がチクりと傷んだやつ。
やっと食べ終えることができたそれは、思いの外辛くて、ココナッツの甘い味もして、窓の外では雲から太陽が出てきていた。こうやって、夏も秋も終えていくのだなぁ。
それは夏の扉を開くように、思いがけずはじまった恋で、わたしはきみのカタワレではなかったみたいだけど。あの小さな暗い部屋で、プラトンの話をし、好きな小説について語った日々をわたしは忘れはしないし、読み溜めている本を読み終えたら、きみの好きな小説にも手をかけるだろう。エンドロールの続きも。
2021 10.7
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oyasumi-blue · 3 years
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わたしはそのとき、2ヶ月で6人の男の子寝た。
人数なんて数えるのは野暮。だってどれも、ひとつずつ手に取れるくらい素敵な夜だったんだもん。数えてしまうのは野暮じゃない?友人に言われ仕方なく数えたのだ。どれも後悔なぞない、笑いあって裸でベッドで眠りこけた、恋人と別れた後の季節のこと。冬。
そのバーで飼われていた愛犬は、いつのわたしでも、うるさいくらい吠えて迎えてくれた。階段でお店へのドアをのぼり、くぐろうとすると吠え、わたしは愛しい名を呼ぶ。こんばんは、と言っても彼は吠え、マスターがわたしの小学生のときのあだ名にちゃんを付けて呼ぶ。
寂しい夜、たいてい帰りがけバーに寄った。お店の明かりはいつも変わらなかった。
もう、生命と別れること。わたしは母以外、親族を皆亡くしたから、誰よりも早く別れを経験し、この年になって、それが強いことだと思っていた。思っていたよりも遥かに元気のないマスターと、思っていたよりも元気な愛犬を見た。
強いこと、それはわたしの良さだと思っていたのに。涙が止まらない。別れがこんなに辛いのはいつ以来だろう。強い瞳。大好きだよ、涙が止まらない。そのつやりのしな毛並みと愛らしい背中、いつまでも撫でていたいのに。
お別れの日が近づいているのだ。
2021 10.13
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oyasumi-blue · 2 years
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落ち込む夜も、ふいにシャワーを浴びながら涙を流してしまった夜も。
ストックしていた知らないアーティストでも、久々に聴く誰かの新曲でも。新しい空気と音と誰かが紡ぐ歌詞を10近く聴けたら、それだけでもわたしは元気になれるし自信が出てくるし、なにか新しいものを得られた気分になる。
日々のなかで自信を取り戻す方法なんて、ちっぽけであればちっぽけであるほどいい。いつだってそう。
自分の自信のなさも、モテないところも、周りのせいにするのはもうやめだ。わたしが向き合うべきは自分自身。
2021 10.28
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oyasumi-blue · 3 years
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あなたは誰かの好きな人。
その言葉が似合ってしまう人だと、思っているのはもう10年くらい前から。大学のクラスにはあなたのファンが1人はいた。わたしはある時、そんな彼と簡単に寝た。ただの、楽しい夜だった。
彼はわたしの好きな色が言えて、一緒に行った飲み屋も覚えていて、奇抜な夜も忘れていない。いつもは苗字で呼び捨てなのに、たまにさんを付けて呼び合う、2人だけのときに。でもわたしは彼がかっこいいから好きなのではなく、完全にお互いにあるのは情の好きなのだ。
いつか「あなたが簡単に一晩を明かす相手は、ずっと誰かの好きだった人かもしれない」という一文を見た。その通りだと思いながらも、私と彼は1対1の関係だから、気に留めてなかった。
* * *
友達が多いというのは時に厄介なもので。わたしは全く違うパーティーで、大好きな女の子が彼を好きだと知ることになる。自分の気持ちなんて、正直どうでもよかった。打ち明けた友達が共感と心配から肩を持ってくれたが、どうでもよかった。わたしはわたしが大好きな女の子がしあわせでいてくれることの方が優先だった。
どんな顔をして笑えばいいか。君はいつか彼女の恋心に気づいたとき、無邪気に笑うわたしに、そう思ったりしてたのかな。ばかだなぁ。いつだって肩がコツンと触れ合う距離にいて、誰がいてもそれは変わらなくて、でもわたしたちは、その日みたいに変わらなきゃいけないことも、無知でないから気づいてて。期限付きと分かっていたけれど、その期限くらい、せめて自分で決められると思ってた。
2021 10.6
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oyasumi-blue · 4 years
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辛いな、と思ってしまった日々。まだ言葉にするのもこわくって、だれかに聞いてもらう気力もなくて、でも、自分のなかでほぼ答えは出ている。
そんな夜が続くときは、ただ黙って見守ってくれる?お月様。ぎゅっと枕を抱きしめて、広いベッドで波の音を聞くみたいに眠る。
* * *
「変化」について考える1週間だった。本当にさまざまな、いろいろな変化。
出会う出会う本、映画、アーティストのインタビュ���、漫画。時代の流れもときに関係して、たまたま選んだけれど、それらの作品はわたしに「変化」について教えてくれた。そして背中を押す。
そう、「人間は変化を好まない生き物」なのだ。そのことを踏まえておくだけでも、安心感が変わってくる。だから変化に対して臆病になるのは仕方ないことなのだ。
そのことを受け止めながら、古いものを外へ逃すことによって、新しいものが入ってくる余裕ができる。循環する、川の水のように。だから、こわくて、寂しくて悲しくてたまらなくて、いいんだ。
変化を恐れるあまり、フラストレーションが溜まっている現状に見て見ぬ振りをし、留まり続けるのはみじめだ。こわくていいから、少しずつ歩き出せば、いいんだ。
2020 10.4
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oyasumi-blue · 4 years
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この曲の遊園地みたいな音がきれいだなとか、映画に出て来るムービースターのこの仕草の指先がきれいだな、とか。
タクシーから見た雨の日の夜景みたいにすぐに忘れてしまうから、書き留めておきたい。
かなしかったできごとは、今夜、別の文字に隠して、溶かしておいたよ。
お礼はきみがしあわせになったときに、いつか返しにおいで。
2020 10.12
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oyasumi-blue · 4 years
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この時代になって、週の5日のライフスタイルが徐々に変わって、わたしは明け方に眠り、午後に目を覚まし、深夜にしごとを進める。 
たくさんのものを吸収し、反射できたこの生活にお別れを告げたくないな、とも思う。
それはいつかの話。 朝がまだ眠っているうちにたくさん集めた、胸をかすめる言葉、バンドだけでは感じられない音たち、力強かったりか弱わかったりする映像とそこにくっついた物語。 そのすべて、どれも忘れたくないな、とぼんやり、でもどこか力強く、感じる。 いつの間にか夏が過ぎ、秋になった。きみと別れてしまった夏は置き去りにしてきたままだ。 
何気なく撮った、きみと出かけた先の動画は時折、何気ない⁽顔でわたしの前に姿を出す。 「消えて」とも「嫌だ」とも「さよなら」とも告げられない、そんな動画。 * * * 「最悪だ」と思っていた出来事も、ある日誰かの言葉や出来事、何かに触れた拍子にオセロのようにパタリとひっくり返る瞬間があって。 
わたしは人生のすべての黒のオセロを、白に変えていく作業を繰り返していく。少しずつ、少しずつ。 でも、みんなそうなんじゃないかな? 
映画のシーンみたいに分かりやすく、ドラマティックな出来事が起きて、ロマンチックでストリングスが効いた音楽とともに、訪れるんじゃない。 いつだって、わたしたちの奇跡は日常にある。 2020 10.26
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