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#西側がロシア制裁で団結した
ari0921 · 9 days
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 変わる米情報戦略、日本は対応できるか 
  #櫻井よしこ
『週刊新潮』 2024年4月11日号
日本ルネッサンス 第1093回
今年3・4月号の『フォーリン・アフェアーズ』誌に米中央情報局(CIA)長官のウィリアム・バーンズ氏が「スパイ術と国政術」(Spycraft and Statecraft)の題で寄稿していた。よく見ると1月30日に公表された論文だった。少し古いかもしれないが、大事なことが書かれている。
時代が変わり技術革新が急激に進んでも情報に関しては人間の能力が一番重要だとしたうえで、CIAは年来の秘密主義から転換して情報の「戦略的秘密解除」を志向しているというのだ。世界に一定の情報を公開し、敵の目論見を暴いて、味方を結集させ、政策決定者をより強力に支援する戦略だ。
ちなみに米国家情報長官のアブリル・ヘインズ氏も今年2月に同様の発言をしている。氏はCIA、国家安全保障局(NSA)も含めて全米18の情報機関のトップに立つ人物だ。米インテリジェンス界の方向転換が確かに進みつつあるのだ。このような変化は安全保障政策で米国一国主導から同盟国、同志国と力を合わせる集団体制に移ろうとする米国の戦略と重なる
戦略的秘密解除の具体例として、バーンズ氏はプーチン大統領のウクライナ侵略計画を世界に警告した件を挙げている。
「我々は早い時期からロシアによる侵略意図の情報を(バイデン)大統領に上げていた。結果、大統領は2021年11月に私をモスクワに派遣し、我々が彼らの戦争準備の実態を正確に掴んでいることをロシア側に伝え、思いとどまらせようとした。だが、彼らは全く説得に応じず、侵略計画については悪いとも思っていなかった。ロシアは自らの力を過大評価し、ウクライナの抵抗と西側のウクライナ擁護の意志を過小評価していた」
バーンズ氏は、ロシアが侵略に踏み切った後も米国がロシア軍の動きに関する機微情報を開示し続けたことで、プーチン氏の作戦の多くが失敗に終わったと述べている。
米国最大の敵は…
しかし米国の最大の敵はロシアではなく中国だとバーンズ氏は強調し、CIAは過去2年間、中国に対処するために組織再編に手をつけたことを明かしている。まず第一に中国を対象とするインテリジェンス関連予算を倍増させた。世界規模で情報収集、活動、分析能力を高め、中国語に堪能な人材を大幅にふやすことなどで、ラテンアメリカ、アフリカ、インド・太平洋の全域で中国と競う態勢を整えているというのだ。
21年には中国だけを対象にした「ミッションセンター」を設置したが、特定国に特化したインテリジェンスセンターはこれが初めてだ。CIAはまた、北京のインテリジェンス界とのパイプを静かな形で強化してきたそうだ。米国の情報専門家たちは自分たちの相手である中国の情報専門家たちと意思疎通を深めようとしているわけだ。米中間に誤解が生じるのを防ぎ、その誤解が紛争や戦争につながっていく危険を回避するためだ。
習近平氏やプーチン氏が独裁色を強めているのは容易に見てとれる。両氏の周りから苦言を呈する側近がいなくなり、「イエスマン」ばかりになってしまえば、両氏が現実を正しく把握することも、真実を認識することも難しくなる。その場合、己れを過大評価し、状況を誤解しかねない。事実それがウクライナへの侵略につながった。バーンズ氏ら米国のインテリジェンス界は習氏が同じ過ちを犯す危険性を見てとっているのである。逆に言えば現在の米中両国は十分な意思の疎通がはかれていないということだろう。
バーンズ論文を読むと、CIAの役割が変化を遂げているとの氏の指摘に納得する。氏はバイデン政権下、過去3年間で50回以上大統領の指示を受けて海外に飛んだ。事実上、外交官の役割を果たしてきたのだ。その点について氏は以下のように説明している。どうしても相容れない宿敵と交渉しなければならないとき、外交官が前面に出れば相手を正式に承認するかのような意味合いを帯びてしまう。他方、インテリジェンス要員による接触ならば、その種の懸念はない。氏が21年8月にアフガニスタンの首都カブールを
訪れタリバンの指導者と米軍撤退について交渉したのはそういう理由だったと明かしている。
役割を変えつつあるといってもCIAは基本的に「影」の存在だとも、氏は書いている。誰の目にも見えず、記憶にも残らない存在である。任務の危険性やそれに伴う犠牲について、一般社会はまだ十分には理解していない。だが、知ってほしいのはCIAが非政治的組織であること、忠誠を誓う対象は大統領でも党派でもなく合衆国憲法であることだと、書いている。これは非常に重要な点だ。
わが国は情報をとられ放し
CIAや他のインテリジェンス部門は現在大幅な増員計画を展開中だが、非常にうまくいっているそうだ。たとえば23年、CIAへの志願者数は、米中枢部が攻撃された9.11以降、最高を記録したとのことだ。
わが国の情報コミュニティはどうなっているのか。CIA長官のように外交官張りの活躍をする人材は、日本ならさしずめ国家安全保障局(NSS)の秋葉剛男局長や前局長の北村滋氏らになるのだろうか。それにしても現在のわが国が国際社会を動かし得る情報を持っているとはあまり考えられない。
わが国は逆に情報をとられ放しである。情報発信で世界に貢献できればよいが、その前に情報保全を徹底しなければならない。現時点でのわが国の情報保全法は特定秘密保護法だけである。これは外交、防衛、スパイ行為等の特定有害活動、テロリズムの4分野に関して、政府のもっている秘密を漏洩してはならないというものだ。政府内の情報を入手できるのは官僚であるから、この法律に縛られる(違反した場合に罰せられる)のは主に官僚である。
この特定秘密保護法に関して適格性評価(セキュリティ・クリアランス)を受け、秘密情報にアクセスできるのは約13万2600人に限られている。内97%が国家公務員で、民間人は3800人ほどにとどまる。これを米国と較べてみる。米国では国家秘密に接するための適格性評価を受けている公務員は280万人、民間人は120万人だ。段違いであり、わが国の情報保全力がまだ非常に弱いことが見てとれる。
高市早苗経済安全保障担当大臣が力を入れてきた適格性評価制度はようやく法制化の目途がついてきた。ただ法制化されればわが国の情報保全が万全かといえば、まだやるべきことがある。どの国も整備しているスパイ防止法である。わが国が真っ当な普通の国になり、被害に遭い続けることを避けるために、スパイ防止法こそ必要だと強調したい。
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gupaooooon · 9 months
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NoBarbenheimer
今回の件、原爆投下/原水爆をミーム化/ネタ化する動きの加速に対して。フェミニズムな作品であることがとても楽しみだったバービーの……“公式アカウント”が乗っかっていたという事実。そのショックについて。自分も抗議を送ったりTwitter/Tumblrでタグを使ったひとりですが、
「日本のみ」が被爆国ではないし、「日本人とされれる人々のみ」が被爆被害者ではない。
凡ゆる国と地域で被爆被害があり、凡ゆる国や地域の人々が、被害者が、世界中にいること。
“戦争被爆国”としての日本においては、戦時下で、軍国主義/差別主義の中で更に更にマイノリティとして虐げられた人々が、植民地支配/強制連行による被害者や、捕虜として収容されていた人々が、沢山、犠牲になっているし、その後も苦しみ続けている。日本/政府による迫害と差別に晒されている。その存在が、事実が、歴史が、蔑ろにされ続けている。
原爆/原水爆の犠牲者が、被害者が、いまも、世界で、さまざまな場所で、苦しみ続けていること。その歴史について。
それらを踏みにじるような言葉も、それらについて誤った認識を与える言葉も、Twitter上では多く(差別主義者/ネトウヨ/極右なども、バービーという作品そのものとそこにあるフェミニズムや多様性に対する一方的な揶揄/叩きや、韓国へのデマ/ヘイトや、他の悲惨な歴史や事件を更にミームにして茶化し出すという……醜悪な最低最悪な行いをぶち撒けながら、この抗議タグをTwitter上で利用してきていることもあり、)かなり蔓延してきてるようなので。
Twitterで今回自分がRTさせて頂いた……さまざまな方々が紹介していた記事やアーカイブ/今までTwitter上で自分がRTしてきたり引用してきたりした記事なども、自分用と兼ねて、いくつか、改めて、此方にも引用してみます。
また、再度、強調したいのですが、
日本は、今なお、戦争責任/加害の歴史に向き合おうとしない。戦争の責任と記録と歴史を忘却し、捻じ曲げようとする歴史修正主義が、まさにいま、どんどん勢いを増し続けている現状。核廃絶について背を向けるばかりか、核武装について“柔軟な議論”などとほざいて嬉々として語り出す連中が、差別主義者の糞どもが、万年与党であること。
そこを無視することこそ、恐ろしいことで、忘れてはならないこと。(これもほんと繰り返しだが、この現状だからこそ、戦争/核を軽視しないための抗議の責任があること、強調したい)
・日本だけではない、被爆国
「核兵���を開発するためには実験が必要です。1945年、アメリカのニューメキシコ州で世界で初めての核実験が行われてから、これまで2,050回以上の核実験が行われきました。
アメリカはネバダ砂漠や太平洋でロシアはカザフスタンや北極海で、イギリスはオーストラリアや太平洋の島国で、フランスはアルジェリアや南太平洋の仏領ポリネシア・タヒチで中国は新疆ウイグル自治区で実施しました。ワシントンやモスクワなどの大都市から遠く離れ、多くの場合は植民地や先住民族の暮らしている土地でした。(川崎 哲「核兵器はなくせる」、岩波ジュニア新書、2018)」
・Hiroshima and Nagasaki: A Multilingual Bibliography
「ABOUT US: The Aim of Our Project
In 2014, a year before the 70th anniversary of the atomic bombings of Hiroshima and Nagasaki, we started our survey and research into the multilingual publication of atomic bomb literature. Our goal is to make a comprehensive survey into the process of worldwide acknowledgment of Hiroshima and Nagasaki for 70 years.」
・外国人戦争犠牲者追悼核廃絶人類不戦碑
「この戦争の末期、長崎では数次にわたる米軍の空襲、潜水艦攻撃、そして八月九日の原爆 によって七万余の日本人、数千の朝鮮人、中国人労働者、華僑、留学生、連合軍捕虜(イギ リス、アメリカ、オーストラリア、オランダ、インドネシア等)が犠牲となった。
特に浦上刑務所のあった隣接する丘では、三十二名の中国人、十三名の朝鮮人が、日本人 受刑者とともに爆死し、また香焼や幸町の捕虜収容所では、被爆前に病気や事故などによ って数百名の連合軍兵士が死亡した」
「碑の建立に力を注いだのは、戦時中に収容所の職員だった田島治太夫さん(九九年死去)。一緒に運動した鎌田信子さん(72)は「日本人だけでなく、多くの外国人が犠牲になったことを知ってもらいたい」と語る。」(2005/07/15 掲載記事)
・被爆2世、女性として直面した複合差別 ――「韓国のヒロシマ」陜川から
「2023年2月7日、被爆者の援護を定めた法の対象外となっているのは不当だとして、被爆2世が国を訴えていた裁判の判決が広島地裁で言い渡された。「不当な差別とは評価できない」などとして、原告の訴えは棄却された。被爆2世に対しては、厚生労働省が定めた要綱に基づく健康診断が実施されているものの、がん検診はそこに含まれず、各種手当の交付なども受けられない。」
「原爆被害に加え、それ以前からの植民地支配に翻弄されてきた韓国人被爆者の次世代も、「線引きの外側」に置かれ、公的な支えを受けられずに生きてきた。」
・80歳を過ぎて語り始めた被爆体験――福島へ手渡したい思いとは
「切明さんの話は、「あの日」から始まるのではなく、軍都「廣島」の話から始まる。
「広島は今、平和を守ることや、核兵器廃絶を掲げていますが、77年前までは軍国主義の街でした」
切明さんが国民学校2年生の時、満州事変が起きる。広島城の周辺には陸軍の師団が置かれており、宇品港は中国大陸や、その後の東南アジアの国々侵略のための出発港だった。」
・「存在しない」とされた残留放射線、内部被ばくの被害を認めない政府
「こうした政府の態度の根底にあるのは、残留放射線による内部被ばくの否定だ。放射性物質を体内に取り込む危険性から目を背ける、その姿勢の源流を知るためには、日米の歴史を紐解く必要がある。
『原水爆時代〈上〉―現代史の証言』(今堀誠二)や 『核の戦後史:Q&Aで学ぶ原爆・原発・被ばくの真実』(木村朗、高橋博子)でも示されているが、原爆投下から1ヵ月後、マンハッタン計画の副責任者であるトーマス・ファーレル氏は、下記のような声明を発表したとされる。
「広島・長崎では、死ぬべきものは死んでしまい、9月上旬において、原爆放射能の余燼ために苦しんでいる者は皆無だ」
残留放射能が存在しないとした理由について記者からの質問を受け、ファーレル氏は「相当の高度で爆発させた」ことを挙げていた。
なぜこうした声明を出すに至ったのか。『核の戦後史』の他、『封印されたヒロシマ・ナガサキ』などの著者でもある奈良大学の高橋博子教授は、占領を円滑に進める必要がある米国側の意図を指摘する。
「声明には、原爆投下が国際法違反であることを否定し、広島を取材した連合国軍記者による報道を打ち消す狙いがあったと思われます」 」
「 「日本政府は核兵器の残酷さや非人道性を訴えるどころか、その“威力”を重視し、原爆攻撃をした米国と一緒になって、核兵器の有効性を世界に向けて訴えてきたといえます。核の“パワー”の肯定的イメージを拡散してきた、世界に対する責任は重いと思います」 」
・«さもしいといって下さいますな» 福田須磨子さんの思い 原爆を背負って(30)
「 《何も彼(か)も いやになりました 原子野に屹立(きつりつ)する巨大な平和像 それはいい それはいいけど そのお金で何とかならなかったかしら “石の像は食えぬし腹の足しにならぬ” さもしいといって下さいますな 原爆後十年をぎりぎりに生きる 被災者の偽らぬ心境です》
 1955年8月、被爆詩人・福田須磨子さん=74年に52歳で死去=が詠んだ詩「ひとりごと」です。須磨子さんは23歳のとき、爆心地から1・8キロ地点で被爆。高熱や脱毛など後遺症に苦しみ、紅斑症にもかかります。身体的、精神的苦痛と生活苦にさいなまれる日々…。3千万円の巨費を投じて造られた平和祈念像を見て、この詩を詠みました。」
・問われる空襲被害者の戦後補償
この記事は2020年放送のNHKスペシャル「忘れられた戦後補償」を下地にした2021年放送のクローズアップ現代の記事です。もとのNHKスペシャルを記事化したページは……もう削除されてしまい、この別番組の記事しか残っていない���況です。
被爆被害とは違った話なのですが、日本が戦後も、ずっと、いかに、国内外問わず、戦争責任に向き合っていない国であるか。民間人/市民を切り捨て、権力者/軍部を優遇してきたか。それがわかりやすい記事のひとつとして、引用します。
以下はNHKスペシャルの特集記事から当時引用した文面です。
「大将経験者の遺族には、戦犯であっても、兵の6.5倍の補償を実施。閣僚経験者に対しては、現在の貨幣価値で年1000万円前後が支払われていた。その一方で、旧植民地出身の将兵は、恩給の対象から外された。」
「国家が総動員体制で遂行し、破滅への道をたどった日本の戦争。犠牲となった民間人は80万人。戦後、国家補償を求めた民間被害者の訴えは一貫して退けられてきた。」
「ドイツやイタリアと違い、軍と民の格差が時代とともに拡大していった日本の戦後補償」
(しかしNHKの戦争責任を問う特集関係の読みやすいWEB記事や記録は……数年しか残さない、消されてしまうし。オンデマンド配信に全て入る訳ではないようだしで。戦争の真実シリーズの731部隊の特集の書籍化は何年も延期が続き、今年やっと……出版されそう……?である現状(何かしらの検閲を受けていないかが、不安である)、本当に不気味で、最悪だ)
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kurano · 11 months
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※ ウクライナ侵攻から「防衛力強化」という教訓のみを引き出すのは短絡的だ
https://news.livedoor.com/article/detail/24262544/
>つまり、ウクライナ侵攻から得るべき教訓とは、ありうべき侵攻に備えて軍備を増強することにその本質があるのではなく、むしろそうした侵攻を招き寄せないための適切な外交の重要性なのである。
 前提からして全部間違っている。ウ国戦争に至った経緯を反省する過程で、クリミア併合という大きなターニング・ポイントがあった。
 あそこで西側が一致団結してプーチンに強硬な態度を突き付けておけば、今回のウ国侵略は無かったとされる。所が、当時もロシアに対して、それなりの外交的制裁が無かったわけではない。そして、仮にわれわれが満足するレベルの外交的対応があったからと言って、今回のプーチンの野望を阻止出来たかどうかは極めて怪しい。それほどまでに独裁者の思考は気まぐれで誰も読めないし阻止出来ない。
 外交はしばしばミスをするし、効果が不確かであって、あげくにそれが失敗した時の惨状は回復しようもないほど悲惨なものになる。
 外交と軍事力は車の両輪であって、外交は相手が軍事的手段に訴えるその瞬間まで最善を尽くすべきだが、それでも日本のメディアにすり込まれた、軍事より外交という発想は、この呵責無い侵略戦争によって留めを刺されたと見て良い。
 この期に及んで阿呆な幻想にすがりつくな! としか言えない。
両方やれ。片方ということは無い。
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toshihikokuroda · 2 years
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《その後、吉田氏はただ一人、米政府高官に囲まれながら、サンフランシスコ市内の米軍下士官クラブで安保条約に署名しました。他の日本側代表団は一切、条約の内容を知りませんでした。日本の占領を継続する安保条約が、闇の交渉で押し付けられたのです。》……😡😡😡😡😡😡 サンフランシスコ条約・日米安保条約発効70年
問われる主権と領土
2022年4月28日【3面】
 日本が形式的に主権を回復したサンフランシスコ平和条約と、日米安保条約の発効から28日で70年を迎えます。サンフランシスコ条約により、沖縄、奄美、小笠原が日本から切り離されて米軍の全面支配下に置かれ、千島列島を旧ソ連に奪われました。また、旧安保条約により、世界に例のない対米従属の道を歩むことになりました。日本の主権と領土があらためて問われています。(竹下岳)
闇の交渉で押しつけ
 1945年8月、日本は第2次世界大戦での無条件降伏を勧告した米・英・中・ソ連のポツダム宣言を受諾し、米軍を中心とした占領軍の支配下に置かれました。
 ポツダム宣言では、日本に「責任ある政府」が樹立されたら、占領軍は「直ちに撤退する」と明記されています。
 ところが47年3月、米政府がソ連封じ込め政策(トルーマン・ドクトリン)を採用したことで状況は一変します。ソ連の核実験(49年8月)、中国革命(同年10月)、朝鮮戦争(50年6月~)などが続き、「反共のとりで」としての日本の重要性が飛躍的に高まりました。
 最終的に、米政府は50年9月8日、対日平和条約と一体で、日本との2国間協定(安保条約)を結び、米軍を維持する方針を決定。ポツダム宣言を公然と踏みにじるものでした。
 しかも、安保条約は「必要な限り、(日本の)いかなる場所でも米軍を維持する」=いわゆる「全土基地方式」を採用。これが、日本が世界でも類を見ない「米軍基地国家」の元凶です。
 平和条約締結をめぐっては中ソを含む全連合国との「全面講和」か西側諸国のみとの「単独講和」かの論争がありましたが、当時の吉田茂首相は米国のダレス国務長官と密議を重ね、「単独講和」に踏み切り、日本は「西側」陣営に入りました。
 51年9月8日、48カ国の署名により平和条約が締結。その後、吉田氏はただ一人、米政府高官に囲まれながら、サンフランシスコ市内の米軍下士官クラブで安保条約に署名しました。他の日本側代表団は一切、条約の内容を知りませんでした。日本の占領を継続する安保条約が、闇の交渉で押し付けられたのです。
日本の防衛とは無縁
 安保条約の本質は、日本の主権回復後も基地を置き、部隊を駐留させ、地球上のどこでも自由に出撃する「権利」を米軍に保証することにあります。
 実際、条約の実質的内容は、第1条で「アメリカ合衆国の陸軍、空軍及び海軍を日本国内及びその附近に配備する権利を、日本国は、許与」すると明記しているだけで、米軍の駐留継続以外の内容は一切ありません。
 安保条約は60年1月に改定されましたが、「全土基地方式」はそのまま維持。さらに、(1)核持ち込み密約(2)朝鮮半島への自由出撃密約(3)基地の管理権密約―などが同時に交わされ、国民の目に見えない密約で、米軍の特権が維持されています。
 安保改定で新たに加わったのが第5条です。日本の施政下で日米いずれかに対する武力攻撃が発生した場合、「自国の憲法上の規定」に従い「共通の危険に対処するように行動する」というものです。外務省は「米国の対日防衛義務を定めたもの」だと説明しますが、米側は「われわれは地上にも空にも、日本の直接的な非核防衛に関する部隊は持っていない。それ(日本防衛)は、完全に日本の責任である」(70年1月26日、米上院外交委員会の秘密会、ジョンソン国務次官)との発言を繰り返しています。
 在日米軍の大半を占める海軍と海兵隊は1年の半分を海外遠征に、残る半年を、そのための訓練や休養、整備などに充てています。在日米軍は日本防衛とは無縁の海外派兵部隊なのです。
「植民地化するもの」
 「要するに、この協定は日本を植民地化するものですナ」。当時、若手代議士だった中曽根康弘氏(のちの首相)がもらしたのが、日米地位協定の源流である日米行政協定(安保条約と同日発効)です。
 同協定は米軍や軍属、その家族に、日本の国内法を上回る特権を与えていました。なかでも、刑事裁判権をめぐっては、「公務中」「公務外」にかかわらず、米側は米兵や軍属らの犯罪に対して、排他的な裁判権を有していました。さらに、米軍による基地の治外法権的な管理権や空域の使用、日本への自由な出入りなどの特権が明記され、これらは手つかずのまま、現行の地位協定に引き継がれています。
 刑事裁判権については、53年9月の行政協定改定で、「公務外」の犯罪は日本側が第1次裁判権を有するとされましたが、その際「裁判権放棄」の密約が交わされました。
 安保条約に対する「思考停止」から脱却し、あるべき安全保障の姿を模索する必要があります。
沖縄県民「屈辱の日」
 サンフランシスコ条約は第3条で、沖縄、奄美、小笠原諸島を、米国を「唯一の施政権者とする信託統治制度」の下におき、米国は「行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有する」ことを定め、全能の支配者としての地位を得たのです。(その後、奄美は53年12月に返還、小笠原は68年6月に返還)
 日本が少なくとも形式上、「主権」を回復したのに、沖縄が日本から切り離された4月28日は、沖縄県民にとっての「屈辱の日」とされています。
 米軍は沖縄を本格的な軍事拠点とするため、53年以降、「銃剣とブルドーザー」による土地強奪を開始。さらに同年以降、核兵器の配備を開始し、ピーク時の67年には1300発が置かれ、県民は核と隣り合わせの生活を強いられました。
 増強された基地はベトナム侵略戦争への出撃拠点となり、激しい訓練による事件・事故も相次ぎました。
 また、米兵による殺人、交通事故、性的暴行といった凶悪犯罪を裁くこともできず、県民は無権利状態に置かれてきました。
 こうした状況を打破するため、県民は「祖国復帰」を掲げ、たたかってきました。68年には行政主席選などで本土復帰を掲げた勢力が圧勝し、日米両政府に、条約上不可能とされた「沖縄の施政権返還」を決断させます。
 72年5月15日、沖縄の本土復帰が実現しました。しかし、屋良朝苗(やら・ちょうびょう)主席が政府に提出した「建議書」に明記された「基地のない平和な島」の願いは実現されず、むしろ増強が続いています。地位協定さえ踏みにじる米軍の横暴な訓練も増えています。復帰50年の今年、県民の願いを実現する政治への転換が求められています。
道理ある領土交渉を
 サ条約はさらに、日露戦争でロシアから得た樺太の一部に加え、日本の領土である千島列島の放棄も定めました。(第2条)
 千島列島は、1875年の樺太千島交換条約で日本の領土として確定しました。ところが1945年8月、ソ連のスターリン政権が千島と北海道の一部である歯舞、色丹を軍事占領します。ソ連は、米英と結んだヤルタ協定(45年2月)で「千島引き渡し」が明記されていることを理由に領有を主張しました。しかし、この協定は秘密協定であり、当時、日本はその内容を知らされていませんでした。
 米・英・中国が発表した43年の「カイロ宣言」は戦後の領土不拡大を宣言し、ポツダム宣言もこうした立場を引き継いでいました。ソ連の行為はこうした原則に反しており、明白な国際法違反の侵略行為です。ところが日本政府は、ソ連との交渉で国際法に立脚した立場をとらず、「南千島(国後〈くなしり〉、択捉〈えとろふ〉)は千島にあらず」との立場をとります。これに歯舞・色丹を加えた「4島」を「北方領土」と呼んで返還を求めるというものです。
 しかし、こうした立場に道理はなく、やがて頓挫。そこで安倍晋三首相は「4島」から「2島返還」に後退させ、さらにプーチン大統領との「個人的な信頼関係」を構築するとの理由から、ロシアとの経済協力最優先、クリミア併合などロシアの覇権主義を一切不問にする屈従路線をとってきました。ロシアのウクライナ侵略により、そうした対ロ外交が大破綻に陥りました。今こそ、ロシアとの領土問題の原点に立ち返り、道理に立った交渉の立場に立つことが求められます。
(しんぶん赤旗)
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shintani24 · 1 month
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2024年3月13日
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プーチン氏「核戦争への準備万端」とけん制、切迫性は否定(ロイター)2024年3月13日
3月13日、ロシアのプーチン大統領(写真)は、米軍がウクライナに入れば干渉主義者として扱うとの立場を示した。ロシアの国営通信社RIAがインタビューの発言内容を報じた。写真はロシアのモスクワでの代表撮影(2024 ロイター)
[13日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は、ロシアは戦闘態勢にあり核戦争への準備も万端に整っているとしつつも、現時点では差し迫ってはいないと述べた。同時に、米国がウクライナに派兵すれば紛争は大幅にエスカレートすると警告した。国営メディアとのインタビューでの発言が13日に報じられた。
プーチン氏は自身の勝利が確実視される15─17日の大統領選を前に国営メディアのインタビューに応じ、ウクライナで核兵器を使用する必要はないとしながらも、主権が脅かされれば核兵器を使用する用意があると強調。核戦争への準備ができているのかとの質問に対し、テレビ局ロシア1と国営通信社RIAに「軍事技術の観点からは用意ができている」と応じた。
米国がロシア領もしくはウクライナに派兵すれば、ロシアは介入と見なすということを米国も理解していると指摘。「(米国には)ロシアと米国の関係や戦略的抑制に関する専門家が十分にいる」と指摘。「よって、全てがそこ(核による対決)に急いで向かっているとは思わない。しかし、われわれに備えはある」とした。
核使用に関する方針はロシアの軍事ドクトリンに明記されていると改めて言及し、「兵器は使うために存在する。われわれには独自の基本原則がある」と語った。
米が核実験を実施すれば、ロシアも行う可能性があるとも語った。「必要があるわけではなく、検討がなお必要だが、同様の行動を取り得ることは否定しない」とした。
ウクライナに関しては「交渉の用意がある」とした上で「現実に基づいて交渉する必要があり、向精神薬を服用後の強い欲求に基づくようなものであってはならない」と述べた。
米CNNは9日、2022年にロシアがウクライナで戦術核を使う可能性をバイデン米政権が懸念していたと報じた。
しかし、プーチン氏はウクライナで核兵器を使う必要性を感じたことはないと指摘。「大量破壊兵器を使う必要がなぜあるのか。一度も必要は生じていない」と言明した。
フィンランドとスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟については「無意味」と断じた上で、フィンランドとの国境に派兵し破壊システムを配備すると述べた。
また、北朝鮮は独自の「核の傘」を持っているとし、北朝鮮が核についてロシアの支援を求めたことはないと主張した。
米バイデン政権はこれまでもウクライナに派兵する計画はないと表明。プーチン氏の今回の発言に対し、今のところコメントしていない。
ウクライナのポドリャク大統領府顧問は、プーチン大統領の核を巡る警告は西側諸国を威嚇するためのプロパガンダと指摘。ロイターに対し「プーチン氏は事態が誤った方向に進んでいると理解した上で、古典的な核のレトリックを使い続けている」と述べ、こうした発言はプーチン氏が戦争に負けることを恐れていることを示唆しているとの見方を示した。
鶴岡路人 慶應義塾大学総合政策学部准教授
解説 「核戦争への準備万端」という部分がセンセーショナルに見出しになっているが、核兵器国は基本的に常に核兵器を使う準備ができている。それが抑止だ。そのことを述べたに過ぎない。
今回の記事で言及されている部分でより興味深いのは、ロシア領もしくはウクライナへの米国の派兵を介入とみなすと警告した部分である。従来は、米国が供与した長射程ミサイルによるロシア領への攻撃を介入(戦争への参加)とみなすとしていたことと比較すると、ロシアのいわゆるレッドライン(死守したい線)はむしろ後退しているとさえいえる。ウクライナへの派兵を排除しないとしたマクロン仏大統領発言への警戒が続いているのかもしれない。
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情報BOX:プーチン氏続投濃厚、ロシア大統領選の概要(ロイター 3月14日)
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初めて電子投票併用 可視化に逆行、改ざん恐れも ロシア大統領選(時事通信 3月16日)
ロシアで15~17日の日程で投票が始まった大統領選は、国のトップを決める選挙として、初めて電子投票が併用された。
期間を3日間に拡大するのも初。形式的な競争で関心が低く、プーチン大統領の通算5選が確実な「無風選挙」の中、投票率と得票率を引き上げて政権の「正統性」を確保する狙いだ。
ただ、かねて不正が指摘され、反体制派指導者の故アレクセイ・ナワリヌイ氏も大規模デモで抗議してきたロシアの選挙で、電子投票導入は「可視化」と逆行する。民間選挙監視団体「ゴロス」幹部は、政権に有利な「改ざん」もあり得ると警鐘を鳴らした。
「前例のない数の希望者がいます」。15日朝、電子投票システムで障害が発生し、多くの人のスマートフォンなどに「順番待ち」状態を説明する文字が表示された。職場の始業時間と重なっており、政権が組織票を期待する官公庁や国営企業などでアクセスが殺到したとみられる。
国営メディアは前向きなニュースとして報道。一方、ゴロス幹部はSNSで「(選管当局は)関心の高さを主張するが、職場で朝、上司の監視下で(強制的に)投票が行われたことがよく分かる」と指摘した。
電子投票は、外出制限が敷かれたコロナ禍を機に本格導入。これまで統一地方選などで浸透しており、プーチン氏も15日、公邸でマウスを操作し投票した。モスクワの投票所の数は2018年の前回大統領選時の約3分の2に減った。同時に、不正行為が監視カメラなどに収められる機会も少なくなった。
ゴロスへの圧力も強まっており、幹部は「投票所に(独立した)監視員は皆無。(不正の)証拠を集めるのも困難になった」と結果改ざんのリスクを警告した。
独立系メディアによると「官公庁や国営企業の職員らは最初の2日間である15、16両日に投票するように」と通達された。17日はナワリヌイ氏の支持者らが投票所で「デモ」を計画しており、最終日に訪れる有権者を減らすことで、当局の摘発が容易になるという見方がある。
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「プーチンは人殺し」 投票用紙に落書き、拘束 ロシア大統領選(時事通信 3月17日)
ロシアが支配するウクライナ東部ドネツク州で16日、ロシア大統領選の投票のために並ぶ人たち(EPA時事)
15~17日投票のロシア大統領選では、保守派の組織票を固めるプーチン大統領に対し、投票用紙に落書きして静かな抗議を試みるリベラル派の有権者が相次いだ。
「プーチンは人殺し」。ウクライナ侵攻や反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏獄死を念頭にモスクワでこう記し、警察に見つかって拘束された若者もいる。
ナワリヌイ氏の支持者らは、ロシア各地の現地時間17日正午に投票所に集結して「反プーチン」の民意を可視化することを狙っていた。無効票でも棄権でも自由。ただ、落書きは15日から多数報告された。
「ウクライナに平和を、ロシアに日常生活を」。独立系メディアは、国内の読者が落書きして自分で撮影した無効票の写真を紹介。「プーチンを(逮捕状を出した国際刑事裁判所がある)ハーグに」という主張もあった。これらは街頭でプラカードに記せば即座に摘発される文言だ。
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kennak · 2 months
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(ブルームバーグ): ロシア産原油を運ぶタンカーの多くが、米国による制裁の重圧を受けて運航を停止している。西側当局の制裁強化が目に見える効果を表し始めた兆候だ。米財務省が昨年10月10日以降に制裁を科したタンカー50隻のうち、約半数が制裁対象となってから積み荷できていないことが、ブルームバーグが一隻ごとに追跡した調査で明らかになった。直近ではバルト海のロシアの港に向かっていたロシア海運最大手ソフコムフロートの原油タンカー「NSリーダー」が、米国の制裁対象に指定された今月8日、ポルトガル沖で急きょ針路を変えて引き返した。主要7カ国(G7)は2022年12月、ロシアの石油生産と石油収入を抑える目的で同国産原油の取引に1バレル=60ドルの上限価格を課し、さらに2カ月後には石油製品に対する上限価格も導入した。だが、ロシアはこれを回避する方法を見いだし、上限を超える価格で取引されるロシア産原油取引への関与は禁止されているにもかかわらず取引を継続する西側企業もあるなど、この制度は昨年厳しい批判にさらされた。これに米国は制裁と上限価格違反の調査強化で対応した。この措置で、ギリシャのタンカー船主の多くはロシア産原油の取引から手を引いた。国際エネルギー機関(IEA)など複数の団体によると、その結果、ロシア産原油は運賃が高騰する一方、国際的な指標原油に比べて一段と割安な価格で取引されているという。ロシアのノバク・エネルギー相は、同国産の原油は安くなっていると述べた。米財務省は数回に分けて制裁を科したため、一部のタンカーはいずれにしろ積み荷の段階に至っていなかった可能性もあり、状況はまだ断片的だ。昨年10月上旬以降に制裁対象となったタンカー50隻のうち、18隻はこれまでに貨物を積載した。このうち9隻は深海油田からくみ上げた原油を陸上の製油所にピストン輸送するシャトルタンカーで、9隻は通常通り委託貨物を集荷した様子だった。また1隻は、制裁前に積み込んだ貨物を引き続き運んでいる。
ロシア原油のタンカー多数が運航停止、米制裁強化が効果示す(Bloomberg) - Yahoo!ニュース
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ari0921 · 17 days
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和六年(2024)4月10日(水曜日)
   通巻第8209号 <前日発行>
 イエーレン訪中が意味することは何か?
  過剰生産の警告は、すなわち『習近平の経済路線は間違いですよ』の暗喩
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 ジャネット・イエーレン米財務長官は4月3日にワシントンを立ち、4日に広東省に到着した。何立鋒副首相等と会談し、はやくも中国の過剰生産問題に言及した。世界貿易秩序の波乱要因として懸念を表明した。
 ところが中国のメディアは、イエーレンが前回訪中時にビールを飲んで、奇妙なキノコを食べていた写真を配信し、今度は何を食べたか等とへんな記事を配信していた。
 訪中前の講演でもイエーレンは「世界の価格と生産パターンを歪め、米国ばかりか世界中の企業と労働者に打撃を与える」と発言している(3月27日、ジョージア州での講演)。
 王文濤・商務部長は、三日後にはパリでBYD展示会にのぞみ、イエーレンの主張に対しては、「補助金の所為ではなく、中国のイノベーションの賜物であり、過剰生産と言われるのは市場メカニズムの結果である」と米側の主張に反駁した。
 すでに米国は中国製EVに25%の報復関税をかけており、トランプ前大統領は、これを60%とすると唱え、またメキシコ製の中国車には100%関税をかけると訴えている。
ジョシュ・ホーリー上院議員は125%、おなじくマルコ・ルビオ上院議員は「中国車一台あたり2万ドルの追加関税をもとめる法案」をすでに議会に提出した。
 この動きに応じたのか、中国のEVメーカーはタイに進出し、値下げと補助金で攻勢をかけ、日本が圧勝してきた市場を蚕食し始めた。
中国EVのタイ進出はBYDに加えて長城汽車、長安汽車、浙江吉利など、低価格帯EVや大幅値引きでタイのシェアを増やしている。
 過剰生産への懸念か。なるほどマンションの過剰生産(建てすぎ)は人の住まないマンションが30億人分もある。どう処理するのだろうか?
辺境で乗客のいない新幹線も、高僧道路も造りすぎ、テーマパークもあちこちに建てて、いまはペンペン草が生えている。海外にも過剰生産の付け足しのようにBRIプロジェクトで各地にゴーストタウンを造った。
 中国経済の構造的欠陥はGDPに占める個人消費がすくないため(37%、米国は65%、日本は60%)、外需に依存し、さらに海外マーケットを獲得するためにダンピングと補助金をつける歪んだ体質である。これは不公正な慣行だと米国側はみるが、米国に限らずWTO違反は明らか。日本も中国製太陽光パネルなどに100%の関税をかけてしかるべきだろう。
 ▼それでも「ウィンウィンでいける」と李強首相
 「過剰生産」をイエーレンは重大な懸念だと繰り返し述べたが、中国側は聞く耳がなかった。北京では李強首相、劉鶴 ・前副首相らがイエーレンと会談した。中国側は米中対決というタイミングゆえに、むしろ異例の厚遇ぶりを示した。
李強首相は決められた台詞。「敵対関係ではなくパートナーであるべきだ」と歯の浮くような発言を繰り出した。
 直前に中国政府は鉄鋼の減産方針を全国に通知し、過剰生産対応のジェスチャーを示したが、鉄鋼、造船、風力発電、太陽光パネル、そしてEVと、その廉価というよりダンピング輸出は世界市場を潰乱させた。
風力発電の世界シェアは中国メーカーがトップ5を独占し、「金風科技(Goldwind)」「遠景能源(Envision Energy)」「明陽智能(MingYang Smart Energy)」「運達股分(Windey)」「三一重能(Sany Heavy Energy)」の順となっている。メーカー乱立で収益は殆どないというのが業界の評判だ。
 中国製太陽光パネルはトリナ・ソーラー、カナディアン・ソーラー、ジンコソーラーホールディング、JAソーラーが譲位を独占しており、世界の太陽光パネル出荷量の上位四位を寡占した。じつに世界出荷量のうち71%が中国系企業が独占した。日本列島各地を埋め尽くしたが、不評ばかり。おまけに土砂災害を引き起こした。
ついで中国製EVがEU市場を攪乱し始めたため、EU委員会は重い腰を上げて規制に乗り出す。かくしてイエーレンの警告は世界市場すべての問題なのである。
 ようするに不動産関連で墜落した中国経済の補完を、EVを筆頭にクリーンエネルギー関連、バイオなどに転化しGDP成長率を堅持しようとしているのだ。
 ▼毛沢東の亡霊、ノルマという強迫観念が国有企業に取り憑いている
 習近平の経済の理解は社会主義時代のノルマであり、強迫観念のように国有企業の宿痾、中国人の体質なのである。だから馬雲やテンセントなど欧米並みの起業家が育っても、民間企業はかならず規制され、あるいは潰される。起業家精神は大きく削がれる。だから若者は国を棄てることになる。
 4月8日、訪中最終日に記者会見に応じたイエーレン財務長官は「中国政府による特定産業への補助金などの支援が原因だ」し、「米国や世界の労働者や企業に大きなリスクをもたらす」と改めて強調した。
 入れ違いにセルゲイ・ラブロフ・露西亜外相が北京に到着した。ロシアは中国との戦略的パートナーシップをさらに強化するため、とラブロフは語った。
 ラブロフ訪中はプーチン訪中の地ならしと言われる。
 またイエーレンは習近平とは会わなかったが、おりしも訪中している馬英九・台湾元総統が4月10日に北京で習近平と会談する段取り、日米首脳会談に日程を意図的にぶつけてきた。
 イエーレンは北京で潘功勝・中央銀王総裁とも会っているが、嘗てFRB議長の経験があるからだ。結局、中国は米国側に歩み寄る姿勢を示しつつ、一方でバイデン政権の半導体輸出規制にはつよく反発し、「米国の対中経済・貿易制限措置に深刻な懸念がある」とした。「米国は自由競争という資本主義原理に基づいて行動すべきである」と耳を疑うような発言もあった。
 半導体は技術窃取や台湾、韓国からのエンジニアのスカウト、米国における「千人計画」などで、すでに7ナノ半導体生産の技術を獲得したと、米国のシンクタンクが報告している。
 米国はこのため3ナノ、2ナノ生産工場をアリゾナ州に誘致し、台湾のTSMCに1兆円もの政府支援を行って、工場をいちどに三つ建設中である。
しかしTSMCは14ナノならびに1ナノの研究と開発ラボを台湾に集中させているため、米国は次世代半導体技術の中国への漏洩を警戒している。TSMCの熊本工場は28ナノで家電、スマホ向け需要に対応するためであり、予定されている熊本第二工場とて、7ナノにとどめる。
日本がIBM支援のもと、官民挙げていどむラピダスは、北海道千歳で2027年に2ナノ半導体生産を予定している。
 ▼中国の大手不動産会社、デフォルト続く
 さて不動産デベロッパーが倒産しているのに倒産しないという「ゾンビ軍団」はその後、どうなっているのか。
地方銀行、中小銀行の不良債権を肥大化させ、こんどは銀行の経営危機を招来させている。哈爾浜銀行は不良債権率が44%増えた。遼寧省の地銀、錦州銀行は上場廃止、江西省九江銀行は不良債権が三倍ちかくに膨らんだ。甘粛銀行は2・7倍、貴州銀行は五割近く不良債権を増やしていた。
準大手以下の27行の不良債権合計は2兆2300億円と今のところ軽いレベルだと言い張っているが、不動産大手のデフォルト処理が進んでおらず、とくに外貨建て債券が軒並みパンク、不動産不況の実態は、24兆円が不良債権だろうと推計される(それでも少なすぎるが、いずれ別稿で触れたい)。
 
中国最大のデベロッパー「碧桂園」も、ついに23年10月にドル建て債権99億ドルをデフォルト、第二位だった恒大集団の破産はいうに及ばず、世茂集団は二年前の米ドル債10億ドルのデフォルト、ドイツ銀行などが香港高等裁判所に法手続きを申請した。
このほか、大手の万科、華潤、融創、遠洋などが業績不振に陥っている。それぞまさしく供給過剰(生産過剰)の悪例ではないのか。
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jsato · 1 year
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翻訳記事:大国間の対立により、ドルの法外な特権が脅かされている(FT紙意見記事)
通貨秩序は、脱ドル努力と中央銀行のデジタル通貨によって既に挑戦されている
Zoltan Pozsar 2023年1月20日 元記事:https://www.ft.com/content/3e05b491-d781-4865-b0f7-777bc95ebf71
筆者はクレディ・スイスの短期金利戦略のグローバル責任者である。 冷戦終結後、世界はほぼ一極集中の時代を享受してきた。米国は紛れもない覇権国家であり、グローバル化は経済秩序、ドルは通貨として選択されていた。しかし、今日、地政学は再び、既存の世界秩序に手ごわい挑戦を投げかけている。つまり、投資家は新たなリスクを考慮しなければならない。 中国は、「一帯一路」構想、新興国グループ「BRICS+」、8カ国による集団安全保障同盟「上海協力機構」などの制度を通じて、新しいグローバリゼーションを創造し、「グレートゲーム」を再現しながら、主体的にルールを書き直そうとしているのである。 北京は封鎖されている間、モスクワやテヘランと特別な関係を築いた。このロシアとの関係は、地球温暖化の影響もあって、北極海航路を通じて中国のBRIを拡大するのに役立っている。また、昨年末には、中国と湾岸協力会議との間で初の首脳会談が行われ、中国とOPEC+との関係も深まっている。これらはすべて、最終的に「一国二制度」につながる可能性がある。 一極集中から多極化へ、G20 が G7+豪州、BRICS+、非同盟に分裂するとすれば、この分裂が国際通貨制度に影響を与えないわけがない。米国におけるマクロ経済の不均衡の拡大が、こうしたリスクをさらに高めている。 ドルを基軸とする通貨秩序は既に様々な形で挑戦されているが、特に目立つのは脱ドル運動の広がりと中央銀行デジタル通貨(CBDC)の2つであろう。 「脱ドル」は新しいテーマではない。金融危機後の量的緩和の開始とともに始まり、経常黒字国は貯蓄の実質リターンがマイナスになることを嫌ったからである。しかし、最近になって、脱ドル化のペースが速まったように見える。 この1年、中国とインドはロシアの商品代金を人民元、ルピー、UAEディルハムで支払うようになった。インドは国際取引にルピー決済を導入し、中国は湾岸諸国に今後3年から5年の間に石油・ガス取引の人民元決済に上海石油天然ガス取引所をフル活用するよう要請した。BRICSがブラジル、ロシア、インド、中国以外にも拡大するにつれて、貿易の流れの脱ドル化が進むかもしれない。 CBDC はこの移行を加速させる可能性がある。中国は、人民元を国際化する戦略を変更した。金融制裁は欧米の銀行のバランスシートを通じて実施され、これらの銀行はドルを支えるコルレス銀行システムのバックボーンを形成していることを考えると、同じネットワークを人民元の国際化に利用することはリスクを伴う可能性があった。これを回避するために、新しいネットワークが必要だった。 IMFによれば、世界の中央銀行の半数以上がデジタル通貨の試験運用や研究開発を進めており、CBDCは世界中に、特に世界の東と南に、急速に成長するクズの木のように広がりつつある。今後、ますます相互の連携が進むだろう。CBDCを通じて相互接続された中央銀行は、本質的に、米ドルシステムが稼動しているコルレス銀行のネットワークを再現するものだ。CBDCを基盤とする新たなネットワークは、二国間通貨スワップラインによって強化され、世界の東と南の中央銀行が外国為替ディーラーの役割を果たし、地域の銀行システム間の通貨の流れを仲介することができるようになり、すべてはドルを参照せず、西側の銀行システムに触れることもない。 変化はすでに始まっている。中国、ロシア、サウジアラビアの経常黒字は記録的な水準に達している。しかし、これらの黒字は、現在のインフレ率では実質リターンがマイナスの国債のような伝統的な準備資産にはほとんど再投資されていない。その代わりに、金(中国の最近の購入例)、商品(サウジアラビアの鉱山投資計画参照)、地政学的投資(一帯一路BRIへの出資、トルコ、エジプト、パキスタンなど困っている同盟国や隣国への支援)への需要が高まっているのである。余剰資金は、変化する世界において必要とされる選択肢を保持するため、流動性のある銀行預金として保有されることが多くなっている。 金融の世界では、すべてがマージナルフローである。このことは、最大の限界債務者である米国債にとって最も重要である。ドル建て貿易が減少し、ドル余剰の国債などの伝統的な準備資産への再投資が減少すれば、国際基軸通貨としてのドルの「法外な特権」が脅かされる可能性がある。
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shintani22 · 1 year
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2022年11月25日
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藤井智也選手 鹿島アントラーズに完全移籍のお知らせ
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中国電力 家庭向け「規制料金」31%値上げを申請(RCCニュース)
中国電力は、燃料価格の高騰などを理由に、家庭向け規制料金の値上げを国に申請しました。平均で31.33%の大幅な値上げです。
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中国電力 瀧本夏彦 社長 「心ならずも申し上げますが、低圧部門の規制料金につきまして値上げをお願いさせていただく」
中国電力は、家庭向けの電気料金のうち国が変更を認可する「規制料金」について、25日、経済産業省に値上げを申請したと明らかにしました。
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中国電力によりますと、値上げ対象の半数を占め、110万件が契約するプランでは、現行の8029円が1万428円となり、2399円の値上げとなります。値上げ幅は平均で31.33%となり、来年4月1日からの実施予定です。
中国電力は、燃料価格の高騰などで今年度上期の連結純損益が過去最大の560億円の赤字になったと発表しています。
こうした状況を踏まえ、すでに法人用の電気料金を16%値上げすることを明らかにしていました。
中国電力の「規制料金」の値上げ申請は、第2次オイルショックの影響を受けた1980年以来だということです。
中電値上げ申請、社長「苦渋の決断」 コスト削減策打ち出し理解求める(中国新聞 11月26日)
1980年以来となる規制料金の値上げを申請した中国電力。瀧本夏彦社長は広島市中区の本社で開いた記者会見で「切羽詰まった状況の中で、さまざまな知恵を絞っている。苦渋の決断」と説明。自由料金の一部メニューの値下げやコスト削減策も打ち出し、理解を求めた。
値上げの背景には燃料価格の高騰がある。中電が申請に際してはじいた原価は2023~25年度の平均で年1兆3187億円。現在の料金設定の前提となる08年度の1兆224億円から29・0%上がった。特に燃料費や市場からの電力購入費などが計8088億円と85・6%も上がっている。
中電は値上げ幅を抑えるため、年平均635億円のコスト削減を織り込んだ。最新鋭の石炭火力の三隅発電所2号機(浜田市)の稼働に伴う燃料費の削減や、人件費の抑制などを挙げた。瀧本社長は「経営効率化の深掘りは必須。収支を改善させたい」と述べた。
電気代には、石炭や液化天然ガス(LNG)などの価格変動を反映させる燃料費調整制度(燃調)がある。規制料金の燃調には上限があり、3月以降は上限を超えた部分を中電が負担している。23年3月期で自己負担分は340億円の見込み。この水準が続くと24年3月期は450億円に膨らむ試算になる。燃調の上限価格は1キロリットル当たり現行の3万9千円から12万500円へ大幅に引き上げる。
こうした状況の中、自由料金のうち、契約者が比較的多い「ぐっとずっと。」プランスマートコースの値下げも発表した。瀧本社長は「多少魅力のある料金にしないと自由化にならない」と強調した。
今回の値上げは島根原発2号機(松江市)の再稼働を前提にはじいた。料金算定上、24年1月末に再稼働すると仮定。中電は年950億円程度の燃料費を削減できると試算している。建設中の島根3号機の稼働は想定していない。
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電力カルテル 大手電力会社に課徴金命令へ 過去最高額の見通し(NHKニュース 11月26日)
事業者向けの電力の販売をめぐり中部電力、中国電力、九州電力などがカルテルを結んでいたとして、公正取引委員会が総額で少なくとも数百億円の課徴金を命じる方針を固めたことが関係者への取材で分かりました。課徴金としては、過去最高額になる見通しです。
公正取引委員会は、「中部電力」や「関西電力」「中国電力」「九州電力」などがオフィスビルや工場といった事業者向けの電力について、互いの営業エリアで顧客を獲得しないよう申し合わせるなど、カルテルを結んでいた疑いがあるとして、去年4月から7月にかけて立ち入り検査に入り、調べを進めていました。
関係者によりますと、こうした申し合わせは会社間で協議のうえ、2018年ごろから行われていたとみられ、競争を不当に制限する独占禁止法違反に当たると判断したということです。
そして、再発防止を求める「排除措置命令」とともに、中部電力、中国電力、九州電力などに総額で少なくとも数百億円の課徴金の納付を命じる方針を固めたということです。課徴金としては過去最高額になる見通しです。
電力の小売り市場は、2016年に全面自由化されたことで各地の大手電力会社がほぼ独占する構図が変わり、異業種からの新規参入も相次いで競争が激しくなっていました。
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公文書改ざん訴訟、赤木雅子さんの賠償請求を棄却 大阪地裁判決(朝日新聞)
学校法人森友学園への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、改ざんを強いられ、自死した近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54)の妻雅子さん(51)が、改ざん当時に同省理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)氏に1650万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、大阪地裁であった。中尾彰裁判長は、雅子さん側の請求を棄却した。
雅子さんは訴訟で、俊夫さんが改ざんをさせられた理由や、自死の原因、経緯について「佐川さんをはじめとする理財局の幹部の人たちに事実をありのままに話してほしい」と訴えていた。だが、地裁は尋問をせずに判決を出した。公文書改ざん問題は、佐川氏の賠償責任が認められず、一つの節目を迎えた。
訴状によると、俊夫さんは国有地売却問題が発覚した2017年2月以降、理財局や近財の上司から指示され、公文書の改ざん作業を複数回行った。同年7月にうつ病と診断され休職。同年11月ごろ、国有地売却などについて捜査していた大阪地検から任意の取り調べを打診され、自殺願望を口にするようになった。
18年3月、公文書改ざん疑惑が報じられた5日後、自宅の居間で亡くなった。近畿財務局は19年2月、公務災害に認定した。
雅子さん側は、俊夫さんの手記などをもとに「佐川氏が改ざんを発案し、主導的立場から指示をした」「(抵抗したが)改ざんを強制された」などと主張。強い精神的負荷を受け、自死につながったと訴えた。
一方、佐川氏側は、公務員が職務で違法行為をしても、個人は賠償責任を負わないとする最高裁判例などを挙げ、請求を棄却するよう求めていた。
雅子さんは20年3月、国と佐川氏を提訴した。俊夫さんが改ざんの経緯をまとめた「赤木ファイル」が21年6月に国から開示され、改ざんを疑問視する俊夫さんのメールも含まれていた。国は同年12月、「訴訟を長引かせるのは適切ではない」として、雅子さん側の請求を受け入れる「認諾」という手続きをとり、訴訟を終わらせたため、佐川氏に対する訴訟が残った。(森下裕介)
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大阪府の18歳以下全員に米10キロを配布へ 他の食料品も選択可(朝日新聞)
物価高騰の影響を受けた子育て世帯への支援のため、大阪府は25日、府内に住む18歳以下の子どもへ1人10キロ相当の米や食料品を支給する方針を明らかにした。
対象は来年4月1日時点の18歳以下で、約130万人。来年3月から申請を受け付け、配布するとしている。財源は国の臨時交付金を使う。申請時に米か、ほかの食料品かを選べるようにし、自宅まで現物が届く形を想定している。
吉村洋文知事は25日、記者団の取材に「子育て世帯はどうしても食費が多くかかる。所得制限なしで支援したい」と説明。必要経費などを精査した上で、12月中に府議会へ提案したいとした。
大阪府は今夏にも、18歳以下の子どもに1人1万円のデジタルギフト券を配布する事業を実施している。(新谷千布美、菅原普)
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配布コストの方が米代より高いやろ。
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パソナはお米も販売しているんですね
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15億円はどこへ?大阪府、18歳以下140万人に米10kg配布80億円の内訳とは(11月27日)
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ロシアはウクライナでなく日本攻撃を準備していた...FSB内通者のメールを本誌が入手(ニューズウィーク日本版)
<ウクライナ侵攻が始まる以前、ロシアは「かなり真剣に」日本との局地的な軍事紛争を計画していたとするFSB職員のメールを入手>
ウラジーミル・プーチン大統領が率いるロシアは、ウクライナへの大規模侵攻に着手する何カ月も前の2021年夏、日本を攻撃する準備を進めていた──こんな衝撃的な情報を、本誌が入手した。これはロシア連邦保安庁(FSB)内部告発者からのメールで明らかになったものだ。
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「全国旅行支援」年明け以降も継続へ 割り引き率は20%に(NHKニュース)
観光需要の喚起策「全国旅行支援」について、斉藤国土交通大臣は、新型コロナの感染状況を見極めたうえで年明け以降も継続することを明らかにしました。
旅行代金の割り引きを受けられる「全国旅行支援」は、コロナ禍で打撃を受けた観光業界を支援するため先月から実施され、期間は当面12月下旬までとされていました。
斉藤国土交通大臣は25日の閣議のあとの会見で、新型コロナの感染状況を見極めたうえで「全国旅行支援」を年明け以降も継続することを明らかにしました。観光需要の高い年末年始は対象にはならないということで、年内は12月27日の宿泊分までとして、年明けの開始時期は今後決めるとしています。
旅行代金の割り引き率は現在40%となっていますが、年明け以降は20%に引き下げます。
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割り引きを受けられる金額の上限も年明け以降は引き下げられ、▽宿泊と交通機関での移動がセットになった商品は、1人1泊当たり5000円に▽日帰り旅行などは、1人当たり3000円になります。
また、土産物店などに使えるクーポン券は原則電子クーポンとし、1人当たり、▽平日は2000円分、▽休日は1000円分を受け取ることができます。
斉藤大臣は「観光需要は回復しつつあるが、コロナ前の水準にはまだ戻っていない。観光はこれからの日本経済の柱となるべき産業で、地域振興としても大変重要だ。しっかり支援をしていきたい」と述べました。
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【本日(11/25)の広島県内の感染状況】(広島県)
新型コロナ 広島県 3453人感染 5人死亡(NHKニュース)
広島県では25日、新たに3453人が新型コロナウイルスに感染したことが確認され、5人が亡くなったと発表されました。
感染が確認されたのは、広島市で1440人、福山市で541人、東広島市で241人、呉市で222人、尾道市で184人、廿日市市で153人、庄原市で108人、三原市で105人、安芸高田市で68人、三次市で66人、府中町で50人、海田町で37人、府中市と江田島市でそれぞれ32人、世羅町と坂町でそれぞれ28人、大竹市と竹原市でそれぞれ25人、神石高原町で21人、大崎上島町で19人熊野町で14人、安芸太田町で8人の北広島町で5人、それに山口県から訪れた1人のあわせて3453人です。
1週間前の金曜日より1000人増えました。
これで県内での感染確認はのべ52万2067人となりました。
また、県内では患者5人が亡くなったと発表されました。県内で新型コロナウイルスに感染し、その後、死亡した人は856人となりました。
新型コロナ医療体制 病床使用率は57.8% 24日時点(NHKニュース)
24日の時点で病床の使用率は57.8%。
(確保病床535床、入院患者309人)
このうち重症患者用の病床使用率は19.0%です。
(確保重症病床42床、重症の入院患者8人)
軽症の人や症状がない人が入る宿泊療養施設は、1022室を確保し、299人が過ごしています。
(利用率29.3%)
直近1週間の人口10万人あたりの新規感染者数は642.58人です。
現在、広島県の感染状況はレベル0から4の5段階のレベルのうち、医療体制への負荷が生じはじめていることを示す「レベル2」です。
【新型コロナ 厚労省まとめ】100人死亡 11万7840人感染(25日)(NHKニュース)
厚生労働省によりますと、25日に発表した国内の新たな感染者は、空港の検疫などを含め11万7840人となっています。また国内で亡くなった人は100人で、累計4万8872人となっています。
岩手 新型コロナ 過去最多の2241人が感染確認 3人死亡(NHKニュース)一日に発表された新規感染者数としては3日前の2115人を上回り、過去最多となりました。県は、23日の祝日に医療機関の多くが休診したことが影響したとみられるとしています。
東京都 新型コロナ 1万2938人感染確認 前週より4646人増(NHKニュース)
大阪府 新型コロナ 1人死亡 5868人感染確認(NHKニュース)大阪府内の感染者の累計は226万3052人となりました。府内で感染して亡くなった人は合わせて6713人となっています。
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カタールではマスクなしのW杯観戦、中国で「ゼロコロナ」政策に疑問の声(AFPBB)
【11月25日 AFP】世界の国々が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と共存している中、厳しい規制に疲弊している中国国民は、サポーターがサッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)をマスクなしで観戦している姿に怒りを噴出させ、政府の「ゼロコロナ」政策に疑問を投げ掛けている。
新型コロナの感染拡大を国内で食い止める政策を掲げているのは、主要経済国では中国のみとなっており、現在でも継続して都市全体や居住区の封鎖が行われ、多くの人々がウイルス検査の義務を課されている。
野村ホールディングス(Nomura Holdings)のアナリストによると、中国当局は22日時点でこれまで人口の4分の1以上を何らかのロックダウン(都市封鎖)下に置いており、W杯で大いに沸いている観客とは対照的な状況に、中国のSNSユーザーが怒りの声を上げた。
広東(Guangdong)省在住のウェイボー(微博、Weibo)ユーザーは23日、「マスクなしでじかにW杯を観戦している人がいれば、1か月も家で待機させられた人、あるいはドアから出られずに2か月もキャンパスに閉じ込められた人もいる」とし、「誰が私の生活を奪ったのか? それは言わないでおこう」とつづった。
陝西(Shaanxi)省に住む別のユーザーは、自分の国に「失望した」と投稿。「W杯のおかげで、中国の大半の人々は海外の実情を知り、祖国の経済や自国の若者を心配している」と書き込んだ。
通信アプリの微信(ウィーチャット、WeChat)では、国の新型コロナ政策に疑問を投げ掛け、中国とカタールが「同じ惑星にあるのか」を問いかける公開書簡が22日に投稿された後、検閲により削除された。
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thefunkychicken · 2 years
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ロシアのプーチン大統領は、ウクライナの東部や南部の4つの州を併合すると定めた「条約」だとする文書に署名し、一方的な併合に踏み切りました。
これに対して、ウクライナがNATO=北大西洋条約機構への加盟を申請する方針を表明したほか、欧米側も相次いでロシアへの追加制裁を発表し、双方の対立は一層深まっています。
ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は9月30日、日本時間の夜、モスクワのクレムリンで行われた式典で演説しました。
この中でプーチン大統領は、▽ウクライナ東部のドネツク州とルハンシク州、▽南東部ザポリージャ州、▽南部ヘルソン州の合わせて4つの州で強行された「住民投票」だとする活動について、「住民は、自分たちの選択を行った。この地域に住む人々は永遠にロシア国民だ」などと述べ、ロシアがウクライナの4つの州を併合することを一方的に宣言しました。
一方、プーチン大統領は演説で、併合の正当性を改めて主張したうえで、「われわれはウクライナに、即時停戦し、交渉のテーブルに戻ることを求める。われわれの準備はできている。しかし、4つの州の人々による選択について議論の余地はない。ウクライナは、この地域の住民の選択を尊重すべきで、これが唯一の平和への道となり得る」と述べ、ウクライナ���府に対して交渉に応じるよう迫りました。
また、「われわれはあらゆる力と手段を講じてロシアの領土を守る」と述べ、核戦力を念頭に、ウクライナや欧米をけん制したものとみられます。
この後、プーチン大統領は、クレムリン近くの赤の広場で行われた併合に関連するイベントに、親ロシア派勢力の幹部と登壇し、集まった支持者の前で「住民は、歴史的な故郷であるロシアと一緒になることを選択した。おかえりなさい」と述べました。
これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は、NATOへの加盟を申請する方針を発表し、対抗姿勢を鮮明にしました。
またアメリカのバイデン大統領が、「この併合にはまったく正当性がない」と非難するなど、欧米側も併合を認めない姿勢を強調し、追加制裁を発表していて、双方の対立はいっそう深まっています。
キーウ市民から反発の声
ロシアのプーチン大統領がウクライナの東部や南部で一方的な併合に踏み切ったことについて、ウクライナの首都キーウでは市民から反発の声が上がっています。
このうち66歳の男性は、「ロシアのやり方は分かりきっていて、併合宣言はただ無視するだけだ。何も心配していないし、われわれは戦い続ける」と話していました。
また31歳の女性は、「4つの州は私たちの領土であり、プーチン大統領に渡したくはありません。その地域に住む人たちは命の危険を感じ、ロシア兵の言うがままになっていると考えると、とてもこわい」と話していました。
さらに30歳の男性は、「ロシアが行った併合の手続きはすべてが偽物で、法的な価値もなく、気にとめるべきではありません。残念なことに、併合された地域では住民が事実上の捕虜となってしまいましたが、われわれが領土を奪還すれば、また元に戻ります」と話していました。
併合支持するルハンシク州の市民の声
親ロシア派の勢力が支配するウクライナ東部ルハンシク州では、巨大なスクリーンが用意され、プーチン大統領の演説の様子などが映し出されました。
スクリーンの前には、併合を支持する人々がロシアの旗を手に集まり、プーチン大統領が一方的に併合を宣言すると、拍手したり、歓声をあげたりしていました。
また街中には「永遠にロシアと共に」と書かれた横断幕も設置されていました。
地元の女性は、「やっとロシアの一部になりました。勝利はわれわれのものとなり、すべてうまくいくでしょう」と話していました。
また地元の男性は、「きょうの出来事は世界的に見ても意味があります。われわれが犠牲のすえに獲得したものです」と話していました。
米 バイデン大統領「アメリカも世界も併合を認めない」
ロシアによる一方的な併合について、アメリカのバイデン大統領は9月30日、演説で「アメリカや同盟国は、プーチンの無謀な言葉や脅しにおじけづくことはない。アメリカは併合を認めないし、世界のどの国も同じだ」と非難しました。
そのうえで「プーチンの行動は、彼が難しい状況に置かれていることを示している。隣国の領土を奪って、そのまま済まされるようなことがあってはならない」と述べ、ウクライナへの支援を継続する考えを強調しました。
またブリンケン国務長官は、ウクライナがNATO=北大西洋条約機構への加盟を申請する方針を表明したことについて「NATOの門戸は開かれている」と述べ、NATOへの加盟申請はウクライナに対しても開かれているとの立場を示しました。
ブリンケン長官は、ロシアが核戦力の使用も辞さない構えを示していることについては「非常に無責任だ」として、核保有国の責任を放棄していると非難しました。
米 ロシア中央銀行総裁らに制裁
アメリカのバイデン政権は、ロシアによる一方的な併合を受けて9月30日、追加の制裁を発表しました。
このうち財務省は、
▽ロシア中央銀行のナビウリナ総裁や、
▽議会議員278人、
それにミシュスチン首相やショイグ国防相の家族などを資産凍結の対象に加えたとしています。
また商務省は、ロシアやウクライナ南部クリミアの57の団体について、ウクライナへの軍事侵攻に関与したとして、アメリカ製品の輸出規制の対象に加えたとしています。
ブリンケン国務長官は30日、会見でロシアによる一方的な併合を非難したうえで、「ロシアを政治的、経済的に支援するいかなる個人や団体、国に対しても、責任をとらせる」として、ロシアやベラルーシを支援する外国企業も制裁の対象になると警告しました。
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shinjihi · 2 years
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「西側が脱エスカレートし、プーチンが政権を維持すれば、彼ははるかに強くなり、ロシアは北朝鮮のようになるだろう。 (自分を騙さないで)2月23日に戻る方法は無い。「脱エスカレーション」の結果として、ロシアは現状に戻らないだろう。」
(元ツイート)
https://twitter.com/kamilkazani/status/1508576678552825856?s=21&t=N4mFEd6Lmj07AQWkmUHfbg
「西側がエスカレートしなくなった場合、プーチンが絶対に【Z侵略】を急いで100%正解だった事になり、彼を疑った全ての人が馬鹿だった事を意味する。プーチンが戦う事を決心した時、対外情報局のチーフナリシュキン等の当局者は躊躇した。
彼らはプーチンの判断を疑った。
勝利は疑念を払拭する。」
「多くの人がプーチンのロシアをソ連と比較し、今回の【Z侵略】を【冷戦】と比較している。それは間違っている。 1945年から1953年の短い例外を除いて、ソ連は常に集合的に運営されていた。政治局は実際に政策決定について話し合った。ソ連ははるかに寡頭的であり、現代のロシアはより独裁的だ。」
「後期スターリン主義を除いて、ソ連は党寡頭制だった。与党は集団的決定を下し、政治局の議定書は彼らが*実際に*それらについて話し合っていることを示した。政治局は真の議論をした。現代ロシアには議論が無い。自分の意志をさし指す最高指導者しか居ない。」
「「脱エスカレーション」の支持者はロシア内の勢力均衡への影響を無視してる。プーチンは既にソビエトの支配者よりも遥かに多くの巨大な意思決定者の力を掌握。しかし誰もが彼の判断を100%信頼しているわけでは無い。しかしロシアの勝利はプーチンに盲目的に従わなければならない事を示すだろう。」
「1938年のミュンヘン会談を考えよ。ヒトラーがチェコスロバキア危機を引き起こしたときドイツの多くの人が彼の判断を疑っていた。
ハンス・オスター率いるドイツ国防軍とアプヴェーアの将校は【ヒトラーを暗殺しドイツを大惨事に導くナチスの支配を打倒することを目的としたクーデター】を計画した。」
「なぜドイツ将校達はクーデターをやらなかったのか?西側が脱エスカレートしたからだ。ネヴィル・チェンバレンは宥和政策を選択した。彼は戦争を恐れていたので【平和を買う】ためにヒトラーに譲歩した。しかし、これらの西側の譲歩はかえってドイツ内でのヒトラーの権威を非常に高めた。」
「第二次世界大戦でのドイツ崩壊はミュンヘン会議の文脈で見る必要がある。1938年にヒトラーはドイツを危険にさらした。多くの人が彼の判断を疑い、狂人を殺そうと企てた人もいた。しかしその後、西側は後退し譲歩を与えた。結果もはや彼は狂人ではなく天才とされ、彼を疑った人が狂人とされた。」
「外交政策は国内政策に影響を与える。国内の勢力均衡への影響を考慮せずにどの協定が国際的な勢力均衡をどのように変えるかを考えるのは非常識だ。ヒトラーが結果的に危険を避けおおせた全ての判断がドイツ国内で支配者ヒトラーの力を高めた。【私たちは彼を疑ったが彼は正しかった。】となるのだ。」
「面白いパターンに気づいた。独裁的行動を簡単に「不合理」とレッテル貼りするアナリストは、適切な独裁体制を確立することができなかった。彼らは独裁的な力を構築する方法を知らず、彼らは独裁を維持する方法を知らない。彼らは自分が何を言ってるのか分かってない。」
「独裁者は国内の勢力均衡をシフトさせるために危険な「不合理な」動きを【しなければならない】のだ。彼が国を危険にさらすとき多くの人が判断を疑う。しかし彼が勝つと、彼が正しいことが証明される。彼は天才であり盲目的に彼に従うのが最も賢いことになる。それが独裁者が力を得る方法だ。」
「ロシアの人々はまだ気付いていないかもしれないが、当局はプーチンがロシアを危機に瀕させている事を知っている。更に重要なことは【国民】の人生、財産、そして未来を賭けてしまった。国民は非常に心配している。多くの人が2月23日に戻り、これまでの全ての決定を取り消すことを望んでる。」
「ロシアはウクライナと和平を結ぶとウクライナが勝ったことを意味するので、それはできない。プーチンがウクライナをナチスと宣言し破壊する事を約束したのでプーチンは撤退できない。
撤退はプーチンが失敗したことを意味するだろう。
彼の判断力は弱いとされ、それはロシアの権力構造の中で彼の立場を壊すだろう。」
「ただしロシアと西側の間の合意、エスカレーションの解除、制裁の解除は、全く逆の効果をもたらす。
ロシア当局はウクライナと戦っているとは考えていない。
彼らは西側と戦っていると考えている。
プーチンは紛争をエスカレートさせ、西側は後退した、と捉えられる。」
「2022年1月18日の議会でのジリノフスキーの演説を考えよ。それはロシア権力者たちの統一された立場を反映していないかもしれないがその世界観を確かに反映している。
【ロシアは下記を行う必要がある。
A.西側諸国を倒す
B.ロシアの軍事的優位性を利用する
C.それをもって我々の経済問題を解決する】と。」
「このスピーチは、ロシアの統治者が彼らの政策の基礎としている仮定を反映している。
まずジリノフスキーは、ロシアには「経済問題」があると述べている。それは失言だが、控えめな表現だ。実際、ロシアは深刻な構造的危機に瀕している。安い石油を売り尽くしたのは石油輸出業者だ。」
「理論的にはロシアには巨大な石油とガスの鉱床がある。しかし、それらのほとんどすべてが北極圏にあり、開発に非常に費用がかかる。さらに、ロシアはそれらを単独で開発するための技術を欠いており、欧米の投資家やサプライヤーに依存しなければならない。私の下記のスレッドを参照して欲しい。」
https://twitter.com/kamilkazani/status/1508576938465509380?s=21&t=IvWvUghopPwQBRCrWuvDFg
https://twitter.com/kamilkazani/status/1499855858456567809?s=21&t=2L-_24uSAHJyjyoSrnhzyQ
「ロシアは技術輸入にも依存している。ロシアは多くの物品を生産しておらず、また生産しているモノは、西側諸国の機械で西側諸国の部品と技術を使って、生産している。これは現在のロシアの社会政治的構造の中では解決することはできない。私のスレッドを参照してほしい。」
https://twitter.com/kamilkazani/status/1508576941409853440?s=21&t=UjrreNpBlzz8gjGsg8HGKw
https://twitter.com/kamilkazani/status/1501360272442896388?s=21&t=rOYmNs-1mZoQksBggmvH2Q
「最後に、ロシアは過疎化している。より少ない若者とより少ないロシア系国民。それが「ロシアは強固だ】と信じる人々が忘れていることだ。確かに、過去には、ロシアは戦争に勝ち、工業化するために莫大な人的投資をすることができた。でも当時は国が若かったのだ。私のスレッドを参照して欲しい。」
https://twitter.com/kamilkazani/status/1508576944329166850?s=21&t=ZrCTKl-ulO7BTLzG-GcS5A
https://twitter.com/kamilkazani/status/1493602653586264076?s=21&t=s9lxaiQw13lekzZp0rpt9w
「これらはジリノフスキーが話していた「経済問題」であり、ロシアの支配階級のほぼ全員が気付いていた。誰もロシアの役人を過小評価するべきでは無い。彼らは天才ではないかも知れない。彼らのほとんどは知識人でさえ無い。しかし彼らの殆どは愚かでは無い。」
「今、自分自身をプーチンまたは彼を支持する権力者として想像してみよう。あなたは国が深刻な危機に瀕していることを知っている。国は過疎化している。国内ではあまり生産せず輸入に決定的に依存している。主に石油とガスを輸出し、現在は安価な石油やガスを使い果たしており、残りは北極圏にある。」
「ロシアの指導部はロシアが工業生産、天然資源の採掘、人口統計においてどれほどひどい事になっているのかを多かれ少なかれ知っていた。彼らは船が沈んでいることを知っていた。しかし彼らはロシア軍の状況がどれほど悪いかを知ることは出来なかった。なぜか?専門家も知ることができなかったので。」
「ロシア経済のひどい状況は常識だった。クレムリンで働いている人たちを含め、多くの人が知っていた。首相代理として短期間働いた副首相Belousovを考えてみよ。彼はロシアの経済と人口統計について非常に厳しい評価を行った経済学者だ。」
「ロシアの権力者は、ロシア経済の状況に関する非常に正確で信頼できるデータを得ることが出来る。そのようなデータは常識だからだ。誰もがそれに関する検証可能な情報を簡単に得ることができ、そうした人の多くは権力の座についた。」
「ロシア経済省は非常に実力主義的で非常にオープンで積極的にヘッドハンティングを行っている。彼らは私を2021年に5回も就職面接に招待しようとした(=彼らの高い推論能力の証拠)。彼らは西側諸国の教育、ハイテク企業のバックグラウンドなどを持つ人々をターゲットにしている。」
「プーチンには経済状況を正確に理解している従業員がいてプーチンは彼らの説明を読んだ。プーチンとその周りの人々がロシア経済と人口統計に関する信頼できるデータにアクセスできたと信じるに足る理由がある。プーチンは船が沈みつつあることを知ってしまったので、何かしなければならない。」
「しかし、ロシア軍の能力に関する正確で信頼できるデータをプーチンに提供することはできなかった。そもそもそのようなデータは存在しなかったからだ。ロシア軍は1945年以来、大規模な正規軍との戦いで試されてはいないのだ。
ウクライナとの2022年の戦いは、第二次世界大戦以来の最初の実験だ。」
「第二次世界大戦以来、ロシア軍はハンガリーとチェコスロバキアの民間人、またはチェチェンとシリアのようなゲリラに対する警察の作戦にのみ関与してきた。しかし、ロシアは(1945年以降、実は)正規軍と戦った経験が無い。 2022年は実験だ。
私のスレッドを参照して欲しい。」 
https://twitter.com/kamilkazani/status/1508576989040427011?s=21&t=s2Mi7zxe_Bh2PP5kVmI0XQ
https://twitter.com/kamilkazani/status/1499377671855292423?s=21&t=fj7zeV-nZ9osz2HUMLsygQ
「プーチンは経済に関する信頼できるデータを持っていた。
彼は実戦での軍隊のパフォーマンスに関するそのようなデータを持てなかった。
データが存在しなかったから。
プーチンは楽勝と信じた将軍や専門家の意見に頼っていた。
この点でロシアの専門家は西側諸国の専門家よりも遥かに劣っていた。」
「プーチンが信頼できるデータを持てなかったと言うのは信頼できる【集約されたデータ】を意味する。多くの場合、彼は通常の兵士と話し幾つかの事例データを取得���推定できた。それは「専門家に耳を傾ける」よりも遥かに に良いだろう。シリアで戦ったワーグナー傭兵のインタビューを見てみよう。」
https://twitter.com/kamilkazani/status/1508577113762263045?s=21&t=q-hNAWmtjg3J1F4nmguOYw
「プーチンは、最前線の兵士から正確な事例データを収集して推定しなかった。
代わりに、彼は(世界中のほとんどの専門家と同様に)間違っていた将軍や専門家によって提供された不正確な集約データに依存していた。
注意:最前線の労働者の経験を無視するな。」
「このデータ精度の非対称性はプーチンがZ侵略を急いだ判断を説明できる。ロシア経済がどれほど酷いことになってるのかを知っていたが、ロシア軍の力を信じていた。
プーチンは、ロシア経済は衰退しているが、ロシアにはまだ軍事力があり、それを活用しないのは馬鹿げていると考えた。」
「はっきりさせておきたいのだが、それはプーチンの個人的な妄想ではなかった。それはロシアの集団妄想だった。彼らはロシアの軍事力を大幅に過大評価していた。 2月下旬と3月下旬のプーチンの【プロパガンダ担当】ソロビョフの口調を比較してみよう。」
2022年2月22日「我々がちょっと眉を上げれば、ウクライナは全てを理解する。我々はキエフを陥落させる。」
2022年3月22日「素早い解決は見込めない。何故なら我々は8年間鍛えられたヨーロッパで2番目に強い軍隊を相手にしているのだから。」
https://twitter.com/kamilkazani/status/1508577175905001473?s=21&t=EKVMeLz1yq8Z5W6iKR6cpg
「【Z侵略】の前にロシアのナショナリストは軍事力をテコと考え、軍事侵攻を公然と議論した。
主要なナショナリストメディアであるSputinkとPogromによる次の記事を引用しよう。それを読んで欲しい。それは非常にわかりやすく、それは傭兵軍に基づく攻撃的な政策のイデオロギーだ。」
「ロシア人は【戦争】と「文学】という2つのことだけは良く知っており、愛しています。
ロシア人が行うことで【戦争】も【文学】でも無い事は殆どの場合、酷い結果になります。
多くのロシアの機関は、まさにこの理由で軍事化されています。」
「ロシアには理想主義に傾かない貧困層がいる。
ロシア人はお金が大好きで、お金のためなら誰でも殺す。
北の国は退屈で、"美しい生活"、"豊かさ"、"繁栄 "でしか自分を励ますことができないのだ。」
「ロシアのあらゆる軍事作戦の計画:
-兵士はコンドミニアム+Zhiguli(ロシア車)を貰う
-下級将校-大型コンドミニアム+20000ドルの外国車
-上級将校-タウンハウス+ 40000ドルの外国車
-将軍-コテージ+ 80000ドルの外国車
-国防相-不動産+ 80000ドルの外国車」
「それだけ。他に何も必要無い。
ウクライナって何?
北カザフスタンって何?
代わりに「南ウラル」でも。
アウディA4と新しいコンドミニアムが掛かってる。
ロシア人はオーストラリアさえも征服しようとする。
どこからお金を得るか?
石油、ガス、戦利品。
愛国的な宣伝すら必要無い。」
「なぜコンスタンティノープルを占領するのか?
『黒キャビアを食べ、トップモデルと一緒にキャデラックに乗りたいから』とは答えられない。
なので正教会のアヤソフィアの十字架について話す。それで十分。正当な【理由】は何でもいい。
第5インターナショナルの話でも十分。」
「イデオロギー欠如についてロシア人は批判されている。ロシア人は祖国を現金で売るだろう。私は実際にその意見に同意する。しかしそれは又、ロシア人がお金の為なら他人の祖国に対しても何でもすることを意味する。彼らはスクルージマクダックのように金の為にもがき名誉ある戦士の地位を得るのだ。」
「非常に説得力のある出版物だ。
一方で西側諸国の二流の訳知り者達は、Z侵略のくだらない正当化を、Z侵略者の理想的な動機を捻り出す。
しかし、ロシアの民族主義者によると、彼らはお金のために誰でも殺す傭兵軍にすぎない。
ソース:
https://sputnikipogrom.com/politics/9147/russian-war-machine/
「ロシアの支配階級は愚かではなく、非常に実用的で非常に日和見主義だ。
彼らの殆どは既にプーチンの決断を疑っている。
彼らは疑念を伝えたり、非常に政治的に正しい方法で伝えたりしないかもしれない。
しかし彼らは疑っている。
プーチンは彼らを危機に陥れた。」
「しかし、プーチンが勝利するな���、つまり西側の脱エスカレーションが彼の勝利を意味する場合、ロシア内の勢力均衡はプーチンに有利な方向に大きく変わるだろう。
そう、ロシアは全体として弱体化するだろう。
しかし、プーチン自身は遥かに強くなる。
プーチンの神話とロシア帝国の神話はより強くなるだろう。」
「プーチンが勝利した場合、ロシア社会にどのような変化が期待されるのか?
第一に、支配階級はプーチンの権威を問い正したり疑ったりすることは出来なくなる。
ロシア帝国の神話の中で勝利はすべてを挽回するものであり、西側がプーチンを粉砕できないことはプーチンの勝利を意味する。」
「それはプーチンのすべての行いを遡及的に正当化するだろう。
ソビエトは1960年代後半にこのトリックを使った。第二次世界大戦に勝つ為には、クラーク撲滅運動、工業化、粛清が必要だったと。
勝利はすべてを挽回する。
そして、プーチンは西側に対する勝利で、すべてを遡及的に挽回するだろう。」
「この場合、ロシア人の内、多くはプーチンを信じている。彼らの信仰は遥かに強くなるだろう。
また別の沢山の人は彼を信じていない。しかしプーチンが勝てば彼らは以前の見解を恥じ、悔い改め、より強く、より疑う余地のない信者になるか、ただ口を閉ざし黙って生きるだろう。」
「ロシアはすでに変わっている。主要な反抗的メディアは閉鎖されたか、少なくとも機能しなくなった。プーチンに質問しようとした機関はすぐに解体されている。この言論の自由の侵害は、プーチン勝利後には酷くなるだけだ。新しいロシアには独立した言論は存在しない。」
「ロシアははるかに貧しくなるが、その支配者はそれを好むかもしれない。
副首相Belousovのこの論文を見よ。
中産階級の成長には問題があると。
-高価な輸入品を買う
-彼らは労働コストを増加させ、より多くの労働者の権利を要求する
-彼らは移住しようとする」
「ロシアのエリートはロシア人が金持ちになることを望まない。
彼らは貧困を競争上の優位性と見なしている。
彼らが貧しければ賃金を低く抑え、生産コストを下げることができる。
彼らが貧しければロシアの貿易収支を悪化させる高価な外国の商品を買うことができない。
最後に、貧しい人々は移住しない。」
「民間部門の崩壊は、短い視点でのみ問題になる。
長期的には、それはお互いに有利な状況だ。
民間部門が破壊され、移民ルートが閉鎖され、人々は支配階層の高い人々につかえ、食う為に働くしかないだろう。
それは競争上の優位性だ。」とロシア支配層は考える。
「貧困のもう一つの利点は、ロシア帝国の戦争の為の新兵を簡単に見つけられること。
多くの人はウクライナで捕らえられた子供たちを助けることを拒否したロシア人の両親に驚いている。
しかし、それについて良く考えるならば、それは完全に理にかなっている。
これらの家族は子供たちを資源とみなしている。」
「世界中の親が子供を売春に売り、誰も驚かない。
これらの家族は、子供たちとは、売春または別の方法で、お金を稼がなければならない経済的資源と見なしている。
これがロシアの貧しい人々が彼らの子供たちをどう見ているかを表している。」
「なぜ兵士の家族は抗議していないのか?
彼らは惜しみなく補償されているからだ。
軍に入隊すると17万ルーブルの月給を得られる。
それは2万ルーブルの月給の田舎者にとって莫大なお金だ。
プーチンはまた、ウクライナで殺された兵士の家族に700万ルーブル以上を支払う。
かなり良い取引だ。」
「私が見つけたウクライナでの戦争に反対して抗議している家族の唯一のケースは、エスニックな地域であるカラチャイ・チェルケシヤで起こった。 29歳から61歳までの6人の女性たちが、ウクライナに送られた親族の運命を明らかにするよう要求し、道路を封鎖した。もちろん彼らは逮捕された。」
「ロシアの地方の家族はウクライナで息子を失っている。
しかし彼らは抗議しない。
彼らの息子は英雄として亡くなった+彼らは支払いを受け取る。お得。
更に彼らの息子は「ロシアのために」死んだので、彼らは勝利まで戦い続けなければない。
男の子を無駄に死なせたくないよね?」
「皮肉に聞こえるかもしれないがロシアの家族にとってウクライナでの息子の死は良い取引。
理由は下記。
1.息子はいずれにしても経済的資源
2.戦争はこの資源を現金化する良い方法
息子の死が勝利であるということではない。
息子が死ぬか捕らえられたら、これまで費やした資源を回収するだけだ。」
「ロシアの男性はとにかく長生きせず、貧しい町や田舎の男性の生活は特に短いと考えて欲しい。ノヴゴロドまたはイヴァノヴォの小さな町を歩いていることを確認できる。
勿論、彼らはいずれは死ぬが、とにかく長生きすることは無い。
死んでもあまり損失は無い。」
「このアカウントが暗く非人間的にさえ聞こえるかもしれないことを私は理解している。そうでは無い。子供を売春に売る親は非常に人間的だ。彼らには名誉がないだけだ。現代文化は貧困を理想化し、栄光を与える傾向があるが、実際にそこには、ほとんど栄光は無い。」
「チェスタートンが書いたように『【財産】の全体的な要点は、それだけで名誉の感情を自然に養うことができるということだ』。逆もまた同様。財産がない場合、名誉の感情を養うことはできない。安定したバランスだ。この秩序は何世紀にもわたって続く可能性がある。 🧵の終わり」
https://twitter.com/kamilkazani/status/1508577424249798657?s=21&t=tcq-xTlOUH9qjkZ5CTxsLA
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chikuri · 5 years
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ロシアの思想宣伝が作りだした平和ボケからウクライナ国民が覚醒したのは、ロシア軍の侵略が始まってからだった。 ■1.「貴方が望んでいる日本の未来はこれなのか?」  こんな国があった。 __________ ・国民は平和ボケしている。 ・「軍隊はなくてもいい」という論調が強い。 ・近年、国益を明らかに損なった売国政権を経験している。 ・外国に媚びた弱腰外交を行っている。 ・愛国者は「ナショナリスト」「ファシスト」とレッテル貼りされている。[1, 5]  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  まるで、我が国の事を言っているようだが違う。ウクライナである。ウクライナは1991年にソ連から独立した際に多くの核兵器と巨大な軍隊を引き継いだが、維持費がかかるのと、隣国ロシアから警戒されるという理由で、すべての核兵器を廃棄し、軍隊を大幅に削減し、大国の対立に巻き込まれないようNATO(北大西洋条約機構)の集団安全保障体制にも加わらなかった。  日本の9条教徒なら「素晴らしい非武装平和主義政策」と称賛するだろう。その結果はどうなったか。ウクライナ出身で、今は日本で活躍している国際政治学者グレンコ・アンドリー氏はこう訴える。 __________ こんな政策は素晴らしいと考えている方を是非ウクライナの前線に連れて行きたいです。戦火で燃え尽きた村の廃嘘、ミサイルが落ちている中で学校の地下に隠れている子供、二十歳まで生きられなかった戦没者のお墓を見せて聞きたいです。貴方が望んでいる日本の未来はこれなのか? 戦争を言葉によって止められるものなら、その言葉を教えてくださいよ![2]  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ウクライナのクリミア自治州と東部2州では、2014年2月からロシア系住民による反乱を契機に戦闘が広がった。ロシア軍が背後で糸を引いていたとされる。現在までにウクライナ軍16千名以上、ロシア系分離主義者・ロシア軍7千人以上の死傷者が出ている。国連総会では、現状を「ロシアによる占領」と認めている。[3]  空想的平和主義がどんな悲劇をもたらすか、ウクライナは事実でこれを示している。その事実をアンドリー氏の著書『ウクライナ人だから気づいた日本の危機』[3]から見てみよう。 ■2.劇的な「軍縮」  まずはアンドリー氏の著書から、ウクライナの「軍縮」の実態を見ておこう。 __________  ウクライナが1991年末にソ連から独立した時点で、ウクライナ軍は次のような編成であった。兵士780万人/戦車6500両/戦闘車両7000両/大砲7200門/軍艦500隻/軍用機1100機、そして1500発以上の戦略核弾頭と176発の大陸間弾道ミサイルという、当時世界第三位の規模の核兵器も保有していた。[1, 1099]  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  まず、核兵器を放棄するようアメリカとロシアの双方から「脅迫に限りなく近い非常に強い圧力」[1, 1104]がかかった。ウクライナの指導者たちはこの要求をすべて呑み、「3年間ですべての核兵器を放棄する」という約束をした。見返りは「米英露はウクライナの領土的統一と国境の不可侵を保障する」という覚書だけだった。  覚書は国際条約ではなく、それを守る法的義務はない。その結果がロシアのウクライナ侵略と、米英の口先だけのロシア非難だった。アンドリー氏は、せめて代償として経済支援か、最新の通常兵器提供かを求めるべきだったとしている。あるいは核廃棄に長年をかけて交渉カードにしていれば、その間はロシアの侵攻を防げただろう。  多くの通常兵器は外国に売却されるか、国内で解体された。古い航空機などはアジアやアフリカの発展途上国に売れた。未完成の航空巡洋艦ヴァリャーグは中国が買った。中国は、軍事的使用はせず水上カジノにする、と約束をしたが、すぐに反故にして、中国最初の空母「遼寧」として完成させた。 ■3.ロシアの情報戦で作られた平和ボケ  核兵器廃絶と軍隊の大幅削減という大軍縮が行われた背景には、米露の圧力、財政問題、軍の腐敗などもあったが、最も大きな原因はウクライナ社会の「平和ボケ」にあった、とアンドリー氏は指摘する。ソ連が崩壊して、ウクライナが独立した時、人々の間に広まっていた考えは次のようなものだった。 「軍は金がかかるだけ」「これからは平和の時代だ。戦争が起こるはずがない」「そもそも戦う相手がいない」[1, 1693] この平和ボケはロシア側の情報戦の結果であったと、氏は指摘する。 __________  ウクライナが独立して以来、ロシアは連綿とウクライナ国内で情報戦を繰り広げていた。テレビ局の約半数や、人気の新聞や雑誌の半分以上はロシア寄りの報道、もしくはロシア政府の公式の立場をそのまま流していた。多くのメディアはロシア資本やロシア系の資本で運営されたのだ。[1, 1527]  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  情報戦には、ソフト的な内容も含まれていた。 __________  ロシア製の映画やテレビドラマが大量にウクライナで放送されていた。それを通して、さりげなくロシア人やロシアでの生活にシンパシーを持たせていた。  特に大きな役割を果たしていたのは、ロシア軍や諜報機関、またはロシアの警察を英雄扱いしている作品だった。このような作品を通してロシア国家の威厳が強調され、親露感情が誘導されていたのである。[1, 1536]  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  さらに「ウクライナとロシアは姉妹だ。今のウクライナ政府は家族を裏切って、ウクライナを西洋支配下に置いている」「争いは良くない。きっと平和的な解決があるはずだ」などと「平和的」メッセージが国民心理に刷り込まれていった。  不幸な事件もあった。2000年のミサイル発射の演習で一基のミサイルが弾道から外れて、民間マンションを直撃した。この事件が「軍人が無能で国民を危険にさらすなら、こんな軍はいらない」「民家に当たるかもしれないミサイルを飛ばすな」という反軍的世論を巻き起こした。背後にはロシアの世論工作もあったろう。  さらに「ウクライナはもうだめだ。汚職が蔓延している。若者は国外に逃げていく。もうこの国に希望はない」などの自虐メッセージも吹き込まれていった。こうした報道は、自国を「守るに値しない国」との先入観を植え付け、祖国のために戦おうという気概を萎えさせ、「寄らば大樹の陰」との依存心を増長させる。 ■4.「両国が共に歩んだ歴史」?  国内での情報戦に呼応して、ロシア側からの内政干渉も続けられた。ウクライナ国内のロシア系住民は平均で17.3%。西部でこそ5.4%だが、東部では30.3%、クリミア半島では60.4%にも達する[4]。これはソ連時代からウクライナ人の多くがシベリアや極東(我が国の北方領土を含め)に移住させられ、代わりにロシア人がウクライナに流入した結果だった。  これらウクライナ国内のロシア系住民の処遇について、ロシアは、ウクライナ語ができなくとも行政や教育など全てのサービスがロシア語で受けられるよう要求した。ロシアの歴史的蛮行を明記した歴史教育をしようという動きがあった際には、「両国が共に歩んだ歴史が侮辱されている」と非難した。  ロシアからの理不尽な要求を、歴代ウクライナ政権はほとんど呑んで、譲歩を続けた。政府や多くの言論人は「ロシアを挑発してはいけない」「ウクライナはロシアと歴史的なつながりがあるので、ロシアの意見を無視してはいけない」と主張した。  ウクライナが譲歩するほど、ロシアの要求はエスカレートした。挙げ句の果てに、ロシアはウクライナにEUとの協力協定締結を止めさせ、ロシアとの関税同盟に入るように要求した。この要求を併合の前段階だと危機を抱いた国民が、親ロシア政策をとるヤヌコビッチ政権を倒した途端、ロシアはウクライナへの侵攻を始めたのだった。 ■5.「NATOの戦争に巻き込まれる」  アンドリー氏は、せめてウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に加盟していれば、ロシアの侵略を受けなかったろう、と指摘する。旧ソ連構成国のうち、ウクライナとジョージア(旧グルジア)は侵略を受け、バルト3国は受けなかった。  バルト3国のうち、ラトビアとエストニアはロシアと国境を接し、200万人足らずの人口の4分の1はロシア系である。ウクライナとジョージアと同様、ロシアの侵略を受けても不思議ではなかったが、そうはならなかった。NATOに加盟していたからだ。  NATOは加盟国が外部から侵略されたら、加盟国すべてが共同で防衛する義務を負う。その加盟国には、アメリカ、イギリス、フランスが入っているのだから、ロシアも手が出せない。1949年のNATO成立以来70年間、その加盟国の領土は一度たりとも武力攻撃を受けたことがない。  なぜウクライナはNATOに入らなかったのか。ウクライナ政府は加盟を進めようとしたことがあったが、国民世論の6割は加盟反対だった。「NATOの戦争に巻き込まれる」「NATOに支配される」「軍事費が増える」、そして「ロシアが反発する」などの理由からだった。加盟に反発するロシアの外交的圧力もあったが、国内世論もNATO加盟を許さなかったのである。 ■6.売国政権による意図的な軍の解体  2014年2月のロシア侵攻の引き金になったのは、ヤヌコビッチ政権の崩壊だった。親ロシア政策をとっていた同大統領はウクライナの最高議会(国会)で解任決議がなされた後、ロシアに亡命した。  ヤヌコビッチ政権が売国政権だった事は、防衛大臣がロシア国籍を持つロシア人だったことで明らかになった。この人物も政権崩壊後に、ロシアに逃亡した。そしてモスクワのクレムリン宮殿で行われたクリミア編入を祝う式典に出席した。彼がロシア国籍を放棄していなかったことは、逃亡後発覚したのである。 __________  このような人を防衛大臣に任命する大統領はどういう人か、想像がつくだろう。この4年間の売国政権の間は、それまでに無秩序に起きていたウクライナ軍の衰退が、意図的に軍の解体に変わった。あの売国政権は、ロシアの指示を受けてウクライナの防衛力を削いでいたのだ。[3, 1731]  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ■7.「自らの血を流して戦わない国は、助ける意味がない」  2014年3月、ロシア軍がクリミアを占領し始めると、ウクライナは武力による抵抗をせず、国際社会にロシアの暴挙を止めるように要請した。国際社会はロシアを批判し、クリミア半島のウクライナへの帰属を確認する声明を発した。そしてロシアに対して、直ちにロシア軍をクリミア半島から撤退させるように要求した。  しかし、実際にロシアの侵略を止めるための行動をした国は一国もなかった。自らの独立のために血を流して戦わない国は、助ける意味がない、と判断したのだろう。  しかし、2014年4月以降、ロシアがウクライナ東部への侵略を開始すると��戦わずして国際社会に助けを求めても無駄だと覚ったウクライナは、弱体化した軍を立て直しつつ自力で戦いに臨んだ。  すると、国際社会の反応は少しずつ変わり始めた。ロシアに経済制裁を行い、ウクライナへの経済支援を開始した。ウクライナ軍とNATO軍の合同軍事演習が実行され、NATOからウクライナ軍に指導官が派遣された。戦争が長引くにつれて、対露経済制裁は次第に強化され、ウクライナへの支援も経済援助から、軍事物資や兵器の提供を含むようになった。  ウクライナ政府は防衛予算を2倍増とし、兵隊の数も増やし、装備の充実と新兵器の導入を始めた。しかし、如何せん戦争になってからでは遅い。 ■8.「明日は我が身」  ロシアとの戦いは、ウクライナ人を覚醒させた。旧ソ連時代の残滓の一掃を始めたのである。まず、戦争前にはウクライナ各地で2千基以上建っていたレーニンの記念碑の撤去を始めた。この動きをロシア政府は「歴史を侮辱する蛮行」と猛批判している。  並行して、ソ連時代に因む地名や通りの名称も改められた。自治体の名称変更だけでも917カ所、通りや広場を含めれば万単位となる。たとえばキエフ市の「モスクワ通り」は20世紀前半にウクライナ独立のために生命を捧げた人物に因んで「ステパーン・バンデーラ通り」となった。 __________  ・・・ソ連の後継者であるロシアから侵略を受け、多くの人が目覚め、現在では、ウクライナはソ連に占領されていたという歴史認識が広まりつつある。第二次世界大戦の評価も変わった。それまでソ連は善でナチスは悪という解釈だった。しかし今はソ連もナチスドイツも悪であり、ウクライナはその二つの化け物の犠牲者だったという史実に基づく見解が広まっている。[3, 1955]  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ヨーロッパにおける第二次大戦がソ連とドイツによるポーランド分割から始まり、ソ連はフィンランド侵攻により国際連盟を除名されている。こうした史実を見れば、ウクライナの歴史認識は正しく修正されたことが判る。  しかし、こうした覚醒は、ロシアの侵略を受けて、戦争になってからようやく実現したものだった。空想的平和主義からもっと早く覚醒していれば、ロシアの侵攻を受けて国土が荒廃し、その一部を奪われるという悲劇を防ぐ道はいろいろあったはずだ。  ウクライナの悲劇を「明日は我が身」として、我が国は防げるだろうか? (文責 伊勢雅臣)
No.1121 空想的平和主義が侵略を招く~ウクライナの悲劇: 国際派日本人養成講座
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