Tumgik
#短い爪を可愛くする
sakanafromhell · 1 year
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la, (1777字)
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「ラ、」 とあなたは言った。テスト中の静まり返った教室で。新宿南口の改札を出るとき「ラ、」 とあなたが言うのを遠くから見かけたこともある。声は聞こえなかったけれど、唇が「ラ、」 の形をしていた。それにあなたは「ラ、」 と言うとき必ずかかとを少しだけ上げる。だから間違いない。修学旅行の朝に寝ぼけまなこで爪を眺めていたときも、売れ残りのレーズンパンを嬉しそうに買ったときも、昇降口で校則違反の可愛い靴に履き替えたときも、「ラ、」 とあなたは言った。更衣室でオレンジ色のプールバッグから真新しい水着を取り出したときも、数学の授業で黒板に「4%」 と書き込んだときも。「ラ、」 とあなたは言った。怖い顔をした上級生軍団に取り囲まれたときにも。じつはその末席には、情けない表情をした私もいたのだけど。あなたの制服の着こなしに対する上級生たちの高密度のお小言は、あなたの不意打ちの「ラ、」 で一瞬止まった。あなたの「ラ、」 はいつも素晴らしい音楽の始まりを予感させる。誰も知らない湖の底で何億年も生き続ける孤独な魚の存在を信じさせる。言葉を知る以前の人類が思いついた最初の詩を想像させる。「ラ、」 は毎回違って聞こえた。澄んだ高い音の「ラ、」 もあれば、鼻にかかった可愛らしい「ラ、」 もあったし、選手宣誓のようなユーモラスに響く「ラ、」 もあった。「ラ、」 は「ラ、」 だけで独立していて、外部からの干渉を一切受けない。いかなる言葉も「ラ、」 の前後には接続されない。あなたの「ラ、」 は0.05秒ほどの短いあいだだけこの世界に滞空して、確実に人々の胸を打つ。なのにみんな、「ラ、」 が消えた瞬間に「ラ、」 なんて聞かなかったことにしてしまう。無慈悲な脳の自動処理によって。
日曜日の午後、電車の中で偶然あなたを見かけた。私は思い切って隣に座り、どういうときに「ラ、」 と言うの? と聞いてみた。あなたは「そんなのわからない」 と困った顔になる。 「楽しいときに言うの?」 「違うと思います」 「寂しいとき?」 「うーん……舌の先にはシロップの甘さがあるし、ダンスフロアにはクリックでサルサが鳴るし」 「よくわからないな」 「私もです」 「でも、好きだよ。あなたがラ、と言うのは」 「嬉しい」 「ところで今、ペン持ってる?」 「painですか?」 「ペン。まあ、どっちでもいいけど」 「ちょうど今、どちらも持っています」 と答えたあなたからシグノ0.38のブルーブラックを借りて、私は自分の手のひらに強い筆圧で8桁の数字を書いた。あなたの右の手のひらにも同じ数字を書いてあげる。あなたの手首は信じがたいほどきらめいていて、静脈はまるで美しい路線図のようだった。数字を書いているあいだ、あなたはくすぐったさに耐えきれず、ビー玉のような笑い声をぽろぽろ零した。地面にそれが落ちるたびに澄んだ硬い音がした。私が書いた 数字を見て「なんだろう?」 とあなたは不思議そうだ。「今日の日付」 と私は言った。「消さないでね」 と念を押すと、あなたは少し微笑んで立ち上がる。電車がゆっくり動きを止めた。あなたは笑顔のまま一度だけ私を振り返り、それから正面を見て、ホームに踏み出す。喧噪にまぎれて「ラ、」 が聞こえた。音のするスニーカーみたいに、着地の瞬間に言ったのだ。「ラ、」 は大きな波紋をたてて私の感情を揺らした。あなたの姿がホームの階段に消える。あなたの手のひらに書いた数字は風に吹かれて塵になる。とてもきれいな塵だろう。私の数字は汚く滲んで、だけど何十年も消えないままで、老いた皮膚にしつこく残り続けてしまいそう。どうせ最後は焼かれて灰になるだけ。その灰だけはきれいなはずだ。ラ、と言いたくなるくらいには。動き出した電車の座席でラ、と言おうとして、私はどうしても言えずにいた。このまま百年が経過しそう。したのかも。窓の外の景色みたいに。何もかもがあっけなく過ぎたあとなのかも。私の数字がまた滲む。街にはスポンジのような建物が幾つも並んでいて、邪悪な人や、内臓の弱った人や、何かを踏みつけている人や、頭に花を飾った人や、ティッシュを配る人や、あなたや、死霊や、細菌なんかが泳いでいて、まるで巨大な水槽のようだ。呼吸しづらいのも無理はない。私は唇をラ、の形にして息を吐く。私の口から漏れたのは、酸素、窒素、二酸化炭素、水蒸気、アルゴン、そして音のしない、 ラ、
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oka-akina · 1 year
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新刊「イサド住み」 冒頭試し読み
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 おれは怖くてたまらない。おれにどうやら命みたいなものがあって生きているってこと、おれの体の隅から隅まで生き物で、心や記憶まであって、おれという生き物が死ぬまでずっと生きているってことが本当に怖いんだけどうまく言えない。怖い。べそべそ泣いている。おれの言いたいことわかるか。わかれよ。うまく言えなくてもわかってくれよ。あんたは怖くないのか。たまたますれちがった誰かの気まぐれな採点によりおれの発言の価値は決まってしまい、裁定はそうそう覆らない。おれは布団をかぶって絶望している。隠れている。おれの話は誰にも聞いてもらえない。  でも川と川が十字に交差しているところが好きだ。毎晩見に行く。十字の縦も横もとても静かで、川面に団地の明かりが揺れている。夜の運河は油膜を張っているみたいにとろりとして見える。流れているというよりあれはきっと震えている。実際、横軸の小名木川に流れはないようなものだ。隅田川と旧中川を結ぶ水路で、雨の後や風の強い日くらいしかはっきりした流れを見せないし、流れの向きもしばしば変わる。きっとここには始まりも終わりもない。  始まりも終わりもないけど階段がありエレベーターがある。扇橋閘門といって、二つの水門が並んでいる。閘門より東は海抜ゼロメートル地帯で、満潮時の海の高さよりも低い土地。川を遮断して水位を下げてあり、小名木川には段差がある。川底ではなく水面に作られた差。船が通るときは二つの水門の間に船を入れ、水位を上げ下げし、船は差を乗り越える。  夜の運河はにおいが濃い。潮のにおいとどぶのにおいが混ざって、三階のおれの部屋まで届く。水面にちらちら揺れる明かりは銀紙を丸めてまた広げたみたいな光で、夜の黒い水はそれらを飲み込もうとせず震えるだけ。水はとても静かだ。ねっとりと移動している。光もにおいも川の上にとどまっている。  さっき風呂から出たらスマホが震え、ムムくんからのLINEだった。昼間ムムくんからスタンプが飛んできたからおれもスタンプを投げ、スローペースの投げ合いが続いていた。おたがい焦らしあっていたというかはぐらかしあっていたというか、言いたいことはわかっていた。今日はムムくんが先に折れた。 「今くん明日ってひま?」  おれもそれを聞きたかった。ほっとした。続いて自撮りの写真も飛んできた。鏡に向かってスマホを向けていて、美容室の鏡だ。ムムくんのスマホケースはいつもステッカーとかチェキとか挟まっていて、折り畳んだ千円札も見えた。緊急用の金かな。靴の中に入れておくみたいな。ちょっと笑った。鏡の中の鏡には切ったばかりの後ろ頭も見えた。襟足とサイドがかなりさっぱりしていて、指でなぞったら気持ちよさそうだ。  自撮りのムムくんはマスクのゴムを一回くるりとねじっていた。きっともみあげにゴムがかからないようにそうしていて、おれも先月髪を切ったときそうやった。こうするといいですよと美容師さんが教えてくれた。コロナ禍に生まれた工夫、その共有。いつかぜんぶ収束したらこういうことは誰も思い出さないだろうか。  二〇二〇年が明けてすぐ、あれよあれよというまに世界中みんなが巻き込まれた感染症に関しておれから言えることはあんまりない。恐怖や混乱の波が寄せては返し、定まらない。ここ二、三か月かはなんとなく凪いだ感じになっている。か? わからない。なんとなくの雰囲気でそうだというだけ。慣れ。どうやら常識も見通しも変化し続けていた。おれは少し前の恐怖をほとんど思い出せない。おれは夥しい数の死者を忘れ、配られた十万円と二枚のマスクを忘れ、いまいま分かち合っているささやかな工夫を可愛がろうとしている。これもいずれぶっ壊れるとは知っている。死が数の話でもないのもわかっている。もしおれが、何か、たとえば呼吸器に疾患があったら、とてもこんな雰囲気任せではいられない。それじゃあおれには特権があるってことだ。  頭を拭きながら「髪切った?」と送った。明日��ひまかどうかはすぐに返さず、といってもこれ以上拙い駆け引きや意地悪をしたいわけではなかった。なんとなく話の順序をいじくりたくなった。ムムくんとはアプリで知り合った。四つ歳下のゲイで、現状セフレの関係にある。そしてこれについては毎日、毎分検討しているけど、もう腹を括ろうと思う。おれはセフレのムムくんに恋をしている。そうしてムムくんには好きな人がいるからおれのこれは片思いだ。  聞け。おれの話を聞け。いや聞かなくてもいいか。どっちでもいいや。おれがここで話をしているってことだけ、おぼえていてくれたらいいや。べつにすごく話をしたいってわけでもないし、おれは話の糸口をつかみかねている。糸の端っこはここじゃない気がして手近なところをあれこれ手繰っている。とっ散らかっているし絡まっている。声の出し方だってうまくない。あーとかうーとか唸りながらともかくチューニングし続けていて、もうずっと、自分の出すべき声の高さを探っている。長いこと口ごもっている。でもこんなふうに音程にばかりこだわっているうちに歌い方を忘れてしまうんじゃないかってちょっと怖くなった。それでおれは手持ちのはさみで糸を切ってみた。とりあえず、ここから始めることにする。  ここはどこか? ここは運河沿いの歩道で、毎晩川面を見に行くのは犬の散歩のため。緑地公園を抜けて橋の下をくぐった。歩道の一部は艀になっていてこれも水位で高さが変わるが、おれと犬が歩くくらいではぜんぜん揺れない。 「台形、今日はたくさん歩いてるね」  おれは犬に話しかけた。小さい足を懸命に動かし、よちよち歩いている。ときどき立ち止まっておれを振り返り、そろそろ抱っこしてという顔だ。だめだよ台形、もうちょっとがんばろう。おれは話しかける。台形はふんふん鼻を鳴らしている。  台形というのは犬の名前で、白黒模様の狆。鼻ぺちゃ顔のか弱い犬だ。体の形が台形ですと誰かのブログに書かれていたのがなんだか気に入った。どうやって辿り着いたか思い出せない、知らない人の野良ブログで、たぶん「犬 飼い方」とか「狆 飼い方 コツ」みたいに検索していたらたまたま行き合った。  ほかのサイトや本では狆の体型はスクエア型とか四角とか書かれていて台形という語は見かけなかった。どこぞの誰かの語彙と気まぐれがおれの犬の名付けの根拠で、そういうめぐり合わせをなぜか素敵なもののように思った。おれはそういうものをとろうと思った。  そうして艀を歩いていたら、ぱしゃぱしゃぱしゃぱしゃ……と音がした。魚かなと思ったけどぱしゃぱしゃはけっこう長くて、まさか誰か溺れているのかと思ったが、川には何も見えなくてとても静かだった。念のため柵に上って辺りを見回した。水面に乱れたところはなくいつも通りに見えた。人影も水しぶきも見当たらなかった。いつのまにかぱしゃぱしゃの音も止んでいた。 「台形、どう思う?」このどう思うは水音のことでもあったしおれの恋愛の話でもあった。  ムムくんから「髪切った?」の返事はまだ来ていない。といってもまだ何十分も経っていない。でも明日ひまかどうかをスッと送らなかったことを早速後悔していた。ひまに決まってんだろ。台形が立ち止まったのでベンチに座った。おれのために立ち止まってくれた気もした。「明日は夕方からなら平気だよ」とLINEを送り、続けて「早いと寝てるかも。今日はこれから仕事で、今は犬の散歩してる」「明日の夜は仕事休み」と送った。しゅぽん、しゅぽん、しゅぽん。散歩中だから返信が遅いんだよとアピールしたつもり。会話はキャッチボールというよりジャグリングだろうか。空中のお手玉は二つ三つと増えていく。  すぐに既読がついた。「わーい」というスタンプが送られてきた。「前髪短すぎた気がしてきた……」「じゃあ十七時くらいに家行きたい!」しゅぽん、しゅぽん、しゅぽん。しゅぽんのタイミングが心臓の音と重なる気がした。だいぶ間の抜けた音だ。おれの恋はこういう音なのか。  お手玉だからべつに落っことしても気にならないのにちょっとのことで一喜一憂し、いったいおれはどうしちゃったんだろう。明日の夜が休みというのは前回会ったときに話してあった。夕方からならひまだよとすでに言ってあった。ムムくんはそれをちゃんと覚えていて、でもちょっと焦らして、連絡してくれた。そう思うとかなりうれしかった。  台形が歩き出した。チャッチャッチャッチャッと地面に爪がこすれる音が好きだ。小さい体の細い足。まあでもさっきの水音は溺れているような音ではなかったなと思い直す。切迫した気配はなく、プールでゆったりと泳ぐみたいな音だった。背泳ぎのキック、ストローク。誰とも競争していないときの静かなバタ足。ああそうか。おれはむしろ、誰か泳いでいるんじゃないかって期待していた。運河はいつも緑色に濁っていてかなり深い。とても泳げるような川ではないんだけど、一瞬可能性を夢見た。溺れていたら大変だなんてほんとは思っていなかった? 自分の心の中なのにおれは嘘をつきそうになっていた? 「まあ、嘘っていうのもちょっとちがうんだけどさ」  おれは台形に言う。べつに言わなくてもいいようなことだけど声に出して言う。台形はおれの足をすんすん嗅いでいて、体が動くと尻尾もふわふわ揺れる。白くて豊かな尻尾だから暗がりでもよく見えるが、夜の散歩には光るハーネスをつけておく。蓄光オレンジ。リードもLEDでぴかぴか光るからやけに賑やかだ。パレードとかお祭りとか、あるいはクラブ遊び? 台形自身はとてもおとなしくて内気な犬だ。いやおとなしくて内気なクラブ好きはおおぜいいるけど……。ああ。ほらね。おれの思考は訂正と注釈の繰り返しでとんちんかんな思いつきばかりしている。そうして、クラブってもうずいぶん行ってないなと思う。熱心に通っていたわけではぜんぜんなかったけど、人生のある時期になにがしか意味を持っていた場所が、今ではとても遠い。人生が思ったより長い。  さっき声の高さを探っていると言ったけどあれは比喩であって比喩ではなかった。ほんとにおれは声変わりのさなかにあった。ホルモン注射によって声が低くなり、ひげが生え、肌も硬くなった。生理はほぼほぼ止まった。そろそろ声は落ち着いてほしいけどどうも安定しない。  性別移行のいろいろ。この水面にも段差がある。三週間にいっぺん注射を打ちにいくが金がかかって仕方がない。でもおれはこれをやりたかった。高校生の頃からバイトばかりしてきた。いろいろの変化は二次性徴をやり直している感じだなあと思っている。それならばおれはいま思春期をやっているのかもしれない。もうすぐ三十だけど。  おれは何か? 元女子ですという名乗りは正確でない気がしているが、面倒なのでそれで済ませることはあった。女子だったことなんてあったっけ。でも、じゃあ、本来の姿、正しい状態に戻りたいんですという言い方も、それはそれでしっくりこなかった。他の人はどうか知らないけどおれの場合は。うまい言い方がわからない。  十字の縦軸、大横川を下っていくと仙台堀川とぶつかってまた十字に交わり、やがて大きくカーブ、またまた十字路。これを東京湾側に折れて平久川に入ると今度は五叉路になり、網目のように張り巡らされた水だ。大潮の晩、運河はぶよぶよ膨らんでゼリーみたいだ。  台形がにゅうっと体を伸ばしておれのひざにまとわりついた。なんの音かなんてわかんないよと言っている気がした。首の下の白い毛がオレンジの光に染まっている。扇橋水門の赤信号。夜は門が閉まってランプがついている。あれもコンクリートの柱を赤く染めていた。毛の黒いところはそうでもなかった。オレンジの光を黒が吸い込んだ。そうだよな、おれもわかんないよと顎をなでた。 「まあ魚か何かだろうね」  おれは台形に言った。「そうでなければ空耳だよ」とも。台形に話しかけているのか、台形のせりふもおれが一人でしゃべっているのか、自分でもよくわからない。  ああそうだ。おれはわかりやすい語り方をいつも探している。誰かの受け売りをがんばって身につけ、しゃべり、それがときどき屈辱的だ。おれがこのようにあるためにはわかりやすい物語とその語りが必須だなんて、なんだか馬鹿にされている。どうして男になりたいんですか? いつからそう思っていたんですか? やっぱりスカートは履かなかったんですか? ときどきおれはめんどくさくなって「死ぬほど悩んでるんです」とか「死にたいです」とか、可能な限り暗い声で言う。暗い顔もする。会話を遮断する。そうしてそれは、必ずしも嘘をついているってわけでもない。 「でも魚って夜でも起きてるのかな……」  とつぶやいてみたら、すかさず反論を述べるみたいにどこかでからすがぎゃあーっと叫んだ。台形はびくっと震えた。鳴き声は川沿いの倉庫の壁に跳ね返り、わあああんと響いた。両岸に建物が並んでいるからトンネルみたいになるのだろう。川の向こうで誰かがくしゃみしたのも聞こえるくらいで、天井はなくても反響する。あー。はいはい。そうだとも。寝ているやつらが突然目を覚ますことはある。あるいはたまたま夜ふかしの個体はいる。  おれもそういう個体だと言ってみようか。クリーニング工場で委託のドライバーをやっている。ちょっと前から始めた仕事。夜にコンビニやロッカーを回って集荷と配送を請け負い、ほとんど昼夜逆転みたいな生活になった。  ドライバーデビューはAmazonの軽貨物配送だった。これはおもに昼の仕事で、アプリでオファーを選んで好きな時間に好きな量だけ働き、というとなんだか聞こえはいいが、割り当てられた荷物を時間内に配り切るのはけっこう難しかった。小さい箱物ばかりで、物自体はそんなに重たくないが量が多く、積み込みがパズルみたいにややこしい。時間指定に慌てたり、マンションの宅配ボックスで誤配したり、知らない細い道を走るのも怖かった。でも一人でやれる仕事はいいなと思った。車の中は自分一人の空間で、自分の体の延長だ。  それで求人サイトを延々スクロールしていたら、今やっているクリーニング工場のドライバーを見つけた。業務委託。夜勤。けっこうレアな仕事だ。たまたま見つけたおれはラッキーなのだろう。まあ深夜労働の割には大した収入にならないし、がんばればAmazonの方が稼げるんだろうけど、ルートが決まっているので安心感があった。それもコンビニやマンションと工場の往復だから、わりあい運転しやすい道が多いのもよかった。荷物は服で、それなりに重い。ただ持ち方のコツを掴めば腰は傷めないと同業者のnoteやツイートを読んだ。腕の力だけで持ち上げようとしない。両肩と両足を荷物の正面に置く。筋トレと思えばなんとかなると知らない誰かが書いていて、これまた知らない���かの知識や気まぐれにおれはかなり助けられている。そして深夜の配送はAmazon以上に個人プレーの仕事で、ほとんど人としゃべらずに済んだ。それが何より気に入った。  べつにそこまで人嫌いというわけではなかった。前に働いていた工場で、配置替えやら班分けやらの話の流れで自分はトランスであるとほぼほぼみんなにカミングアウトする羽目になり、なんかもう個人事業主になりてえな、なっちゃおうかなと思っただけ。  いやちょっとちがうか。ホルモン注射を始めたら見た目や声に変化があり、おれの場合はけっこうわかりやすい変化だった。カミングアウトするしない以前になんかもうばればれだよなと思った。ばれるという言い方もなあとは思うし、周囲の人にいちいち事情を知ってもらう必要はないんだけど、何かしら説明が必要なことはあった。それは何か書類の提出を求められるとかではなく、素朴な疑問や世間話に応じ、遠慮のない視線を浴びるという形でだ。マスクをしているからひげは見えない。じゃあ、コロナ禍じゃなかったらもっと目立ったのか。そして思い出したから言うけど、いつかちんこ生えてくるって思ってましたか? って質問はなんだったんだ。  悪い職場ではなかったしあからさまにひどい奴がいたわけでもなかった。なんていうか……、人と関わるとその手のコンフリクトが生じることはままあり、しょうがないよなという気持ちと、くそったれという気持ちは日毎、いや秒単位で入れ替わり、おれに中古の軽バンを買わせた。  一応言っておくけど、どうしておれがこうなのかって話はあんまりしない。たぶんあんたが一番聞きたいことだとは思うけど、きっとおれは話さない。べつに勿体ぶっているわけじゃない。なんていうのかな、いちいち説明しないほうがいいんじゃないかって気がしている。これについてはあとで言う。言いたいことだけ言うから、言ったことだけ聞いてほしい。言ってないことは聞こえてないはずだ。聞こえたとしたら、それはあんたの想像だ。原則としてね。  今はクリーニング工場と、金がないときはAmazonもちょっとやっていて、ほんとにこれでいいんだかときどき不安にはなるが車を買っちゃったんだからやるっきゃない……のか? もうだめだやってらんないと思うたび居場所や人間関係を断ち切るみたいなことを繰り返してきた。おれはずっとこうなのか? 自問自答。決まった振り付けのダンスみたいにいつも同じことを考えている。  からすに驚いた台形はきゅうきゅう唸って伏せてしまった。ほんとに臆病で、前にドッグランに連れて行ったときも周りの犬にびびって縮こまっていた。おれはそういう台形が愛しくてたまらないし、内心ちょっとほっとする。おれも人目が怖いし、大勢の中で過ごすのは苦手だから。  びっくりしたよな、怖かったよなと台形のあたまをなでたらとうもろこしみたいなにおいがした。焼きたてのパンみたいなこともあるし、芝生みたいなこともある。においをかぐと落ち着く。おれも台形もおたがいにそうだ。マスクをちょっとずらして強く吸い込んだ。夜に散歩しているだけなんだからマスクなんてしなくてもいいのかもしれないが、顔を隠している方がリラックスできた。台形が臆病なのはおれの飼い方や生活リズムのせいかもしれないと思うことは思うが、べつに怖がりだっていいじゃんかとおれはおれに反論する。  台形をあやしながらムムくんに「前髪短いの似合うよ」と送った。もしかして明日おれと会うから髪を切りに行ってくれたのかな。さすがにうぬぼれかな。「そういう髪型好きだよ」とも送った。虫が鳴いている。りんりんりんりん、短い叫びを繰り返し、鈴の楽器を振っているみたいだ。  きみのことが好きですと言いたかった。言いたいのだと自覚したらへんにドキドキして、なんでも話してしまいたくなった。さっき川で何かぱしゃぱしゃ音がしたんだ。一瞬、誰か溺れているのかと思った。でもすごく静かなぱしゃぱしゃで、まるで誰か泳いでいるみたいな音だったんだ。せっせと文章を打ち込んでみたがしっくりこなかった。だって音の正体はわからない。それがどうしたって話にしかならない。送るかどうか迷って結局消した。代わりに「夜だけどからすがすごい鳴いてる」とますますどうでもいい話を送ってしまい、送った瞬間後悔した。どうでもいい話以上に、今からすはもう静かになっていて、辺りを騒がせているのは虫だから。べつにうそをついてしまったわけではないけど正確ではないことを言ってしまった。既読になったかどうか見たくもないがこういうときに限って秒だ。すぐにムムくんから「からすって夜も鳴く気がする……」と返ってきて、ほんとに恥ずかしくなった。  さるすべりの枝が街灯に照らされて、ピンクのフリルみたいな花びらが明かりに透けていた。濃いピンク。夏っぽいなと思ったけどもう九月だ。おれは花を見上げ、花を見上げるおれを台形が見上げていた。丸い目玉がつやつやしている。抱っこ用のバッグに入れてやるととすっかりすました顔だ。台形の体とおれの胸がぴったりくっついて、こいつのために今日もがんばろうと思う。やけに殊勝なことを考える。だからおれにとっては夜が朝だった。  やがてムムくんから「あっちがうかも、からすは明け方かも」とLINEが届き、「今度おれも台形の散歩行きたい!」「仕事がんばってね」と来たのでちょっとほっとした。台形の写真を送った。散歩中の写真。おととい撮った写真だから今日の台形ではない。でも今送ったら、今撮ったみたいに見えるのかな。何も言わなければわかんないのかな。  ムムくんからは「カワイイ」というスタンプが二つ飛んできた。きっと大事なことは二回言う。あるいは単に指先のしくじりでダブってしまった。おれにはそれがどっちなのか判別できない。想像することしかできない。じゃあ、言ったことだけ聞いてほしい、言ってないことは聞こえてないはずだというのは、けっこう難しいのかもしれない。やっぱりおれはとんちんかんだ。うまいことが言えない。でも言いたいことはある気がする。意見を述べたいというよりは、おれに声を出させてほしい。長い話をしてみたい。すごくしたいってほどではないけど、しゃべりたい。誰にも聞いてもらえないから勝手にしゃべる。吠える。おれは遠吠えをする。
「イサド住み」
価格・ページ数未定。2022年11月20日文学フリマ東京新刊予定。
文学フリマwebカタログ
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冒頭8000字くらいを載せてみました。だいたいこういう感じの語りで、トランス男性が主人公のボーイズラブです。軽貨物ドライバーをやっている主人公と、アプリで出会った年下の男の子・ムムくん。そしてムムくんがベタ惚れしている既婚男性・優人さん。三角関係のお話です。
イサドというのは宮沢賢治の「やまなし」に出てくる言葉で、「もうねろねろ。遅いぞ、あしたイサドへ連れて行かんぞ。」のイサドです。この蟹のお父さんの言うイサドが何なのか、読者のわたしたちにはわかんないですが、この蟹たちにはわかっている……というような話を書いているつもり。
そうなの、なんとまだ書いているんですが…というかごちゃごちゃいじっているのですが、精一杯やっておりますのでどうか見守っていてください〜。文フリ東京のあとは、BASEでの通販、渋谷○○書店での販売を予定しています。イベント参加は1月の文学フリマ京都、4月のJ.Gardenを予定しています。よろしくお願いします…!
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tokyomariegold · 2 years
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2022/8/27〜
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8月27日 カスタムくんに会いに出かけた! 片道2時間の少し複雑な乗り換えを頭にたたき込んだ。あと少しのところで初めての路線乗り換え。そこでお財布を忘れていることに気がつく。え〜〜……!!と、でも、なんとも戻るしかない。そして戻ったらまた同じ道を出発する元気もないし、カスタム君の午後の部にも間に合わない。横浜駅構内にはブルーナカフェが入っていてナインチェかわいいけれど、心はすっかりカスタムくん。
合計3時間程の旅を0円でしてしまった。
戻りながら電車で日記の文字起こしをして、最果タヒの展覧会のオフィシャルブックを読む。もう1年以上私の部屋にある本だけれど、昨日、この本にマンスーンさんが寄稿していることを知り、もう一度読むことにした。
駅のホームでおじさんに話しかけられる。 私に顔を近づけて「一言、二言で終わるから!」と言われ、イヤホンを外すと「あなたは美人です。だからすてきな彼氏がいるんでしょう。そしてその人と結婚して、絶対に幸せになって下さい。」と言って、去って行った。(“絶対に”の位置が「“絶対に”その人と結婚して〜…」だったかも知れない。) 揶揄う相手を間違えている。
ヨドバシカメラで洗濯機をみる。 1人だとただの鑑賞会をして終わってしまうので友人に付き添ってもらった。ドラムより縦型の方が私の生活には合っていそう。コストダウンできた分で何かしようと思った。 友人がフィルムの現像を出していて嬉しかった。自分以外の人が写真を撮っていると嬉しい。
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8月28日 夜にライブイベントに参加する予定があり、1日を、それまで体力を保たせて帰宅後もきちんと過ごせるように時間を過ごしていた。 夜の予定が本当に苦手になってしまう。 もともと、ライブには1人でよく行っていたけれど、チケットを取った時の喜びから、そのライブが近づくにつれて憂鬱になることばかり。ライブの中身より、その時間を耐えた開放感と夜の街にいる喜びに、ライブ=楽しい、という印象をもっていて、ライブって楽しい。
でも、いつもの日曜日をいろいろ終えて、そこからお出かけするのはなんかいい感じ。みんな帰っていく中でわたしはこれから!みたいな。 途中、ディズニー帰りのお姉さんが隣に座り、携帯で新幹線を予約している様子で、これから大阪まで帰るのか〜と眺めていた。
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臨海副都心の街に久しぶりに降り立てて、しかも日暮れ時の涼しい夏の日曜の夜で最高だった。ライブ中も、外の景色とか今の空の暗さとかが気になって、元々終演までいるつもりはなかったけれど、早めに会場を後にした。 フットサルをしている人達、それ以外は、日暮れ時の公園の人達はみんないなくて、ビルの赤いランプが点々と映えていた。
夜の海沿いの首都高を眺めながら、ほとんど千葉なのでは?と思いながら、意外と日曜日もお仕事お疲れ様な人が多い、と思いながら、ライブ会場の粗悪なパイプ椅子から座って鑑賞することを想定されていない高さの舞台を見ることで痛めた身体を引きずりながら、涼しい夜を帰ってきた。
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8月29日 実家へ少しだけ帰ってみる。 母と同じ時に京都にいたらしい。近所の梨園で無人販売を始めたらしく、梨を1袋買った。ちょうどもぎ取ったところで、その場で詰めてくれる。1,000円で5,6個入っていて、1つだけ貰ってあとは実家に置いてきた。
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実家は色々家の補修を済ませていた。 庭の一部にコンクリートを打って通行しやすくしたり、かなり劣化していた木のデッキと縁側をプラスチックの擬木のデッキにして手入れしやすくしたり、施工不良でずり落ちた屋根を葺き替えたりしていた。 また駅まで車で送ってもらう。 昔、塾に行くために下車していた駅は、駅ビルがかなり充実していて、駅横のデパートはショッピングモールみたいになって格が落ちていた。
池袋のビッグカメラで洗濯機を買った! 他店で目星をつけた製品をもう一度紹介してもらい、その内、一つ前の型がかなりお買い得だった製品に決めた。満足のいく行程で購入まで漕ぎつけた、と思っていると、最後にポイントプレゼントキャンペーンの紹介(セールス?)。どこかの国の必殺技くらいにしか思っていなかった“格安SIM”のことが少しわかった。
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帰宅して眼科へ。ペッパー君みたいなお兄さんに検査してもらう。使っているコンタクトのゴロゴロがつらくて、とても毎日装着できないことを伝えると「そうですよね〜、◯◯さん(私の名前)はかなり乱視が強いので違和感はあると思います。」と流れるように答えてくれてペッパー君。「目薬や装着液を使ってもあまり軽減しなくて…」と言うと、「え…?装着液ですか…?」と人間になってしまった。装着液ってハードコンタクトにしか使わないらしい。「(ゴロゴロするのは)慣れれば感じなくなりますかね〜」と言うと「慣れませんよ〜。ずっと違和感は残りますよ。」とペッパー君に戻った。
梨の皮を剥いて、カットして、今までで1番カットされた梨っぽい造形になって嬉しい!包丁を新しくして良かった。
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8月30日 夕食のお誘いメールをもらった。 職場の飲み会が無くなったご時世でとても助かっている身だけれど、少人数の少し心落ち着ける人選の会だと、行きます!と返事をしてしまう。 (食事の席に変わりはないので、少しずつこれから憂鬱度が増していくのだろうな。) でもお誘いメールに“参加してくれると嬉しいです。夕食を取らない派であれば飲み物だけのオーダーでも構いません。ご一緒できるのを楽しみにしています。”とあり、ならば!となったのかも知れない。 基本的に、他人から気を遣われてしまうタイプだと思っていて、(こんなにしたら逆に相手に悪いかな)と不安を抱かせてしまうくらい気を遣ってもらえると嬉しかったりする。(だから、家族や身内の無礼にしょんぼりするし、いつまでも引きずったりする。)
妹と喋れていた頃、その最後の方は彼女とそんな感じの関係でなんか良かった。祖母のお葬式を中抜けして一緒に帰った時、少しお互いの近況を話して、お葬式も大事だけど、テストや課題や明日の大事なことがあるよね、みたいな話をした気がする。
上司の思いつきで明後日は都庁へ行くことになった。昼食問題は自分に正直になって乗り越えよう。
職場で2日連続で病欠した人がいて「また病んでいるんじゃないか」「お前何かしたんじゃないか」みたいな会話が飛び交っていた。 その人がお休みすることで仕事が増えることの迷惑より、ただ何か面白がって言っている愚痴に聞こえて、とっても私は落ち込んだ。
明日で8月が終わる。暑中見舞いは2通お返事が来た。
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8月31日 今日は何もなかった。 そんなことはないはず。だけど、今日は何もなかった。
9月1日 都庁へ行った。1階のエントランスの巨大なピロティが、何かの搬入口みたいな空間なのに人だけが通っていて不気味。 ロビーにはアルソックの警備ロボットがウロウロしていて可愛い。 ずっと閉鎖されていた45階の展望室は、なんと今日から再オープンのよう!警備員のおじさんが「ちょうど今日からなんですよ。」と教えてくれる。 用務まで東京観光案内所で23区と市区町村のパンフレットを眺めて、再来週行く予定の府中市のお散歩マップを手に入れた! 隣は全国都道府県の観光マップが揃っていて楽しい。月替わりショップは今日から山梨県で、オープンしたてなので信玄餅の入荷数を数えていた。
用務が終わり、昼食に行くみなさんを見送って展望室へ。新宿から眺める東京は、何かありそうで、特別何もなくて、意外と住宅街が細々とよく見える。 誰でも弾けるピアノに人がたくさん並んでいて、代わる代わるに上手に演奏していた。みなさん力強いタッチ。
午後から職場へ戻るため、中央線に乗る。 平日の昼間の中央線っていろんな人がいる。ビンテージっぽいTシャツとキャップ、短パンにサンダルを身につけて、手にはフライトの本があり、昨晩の音楽イベントのストーリーを投稿している男の人がいた。
職場に戻ると、昼食をとれない、人前で食べられないことを、また今日も明るみにしてしまい、そのことを話されているな〜小声で遠くで、というのを察知したりした。あと都庁のどこかに傘を忘れたことに気がついた。
帰り道で稲妻を5回見た!
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9月2日 聴く・見る・読む、何を受け取っても、どこかで気持ち悪いレーダーが働いてしまう日。何も聴きたくない見たくない読みたくない。なので、自分の頭の中で健やかな都合の良いイメージやストーリーを流していた。
今日も何もなかった。 でも、以前同じ部署だった方にばったり会って「相変わらずかわいいですね〜」と言ってもらった。 「ヘッドホンおしゃれですね。」と言ってもらい、でもただのファッションなんです、ファッションといえば◯◯さん(相手の名前)のメガネっておしゃれですよね、といつも思っていたことを伝えることができた。「眼鏡はね、こだわりがあるんです。」と言っていた。眼鏡市場で買っているとのこと。
掃除をして爪を切って写真を撮って梨を剥いて花の水を換えて鏡を磨いてお香を焚いて洗濯をした。
場所性の本に、写真や芸術作品を作る人は場所のアイデンティティの要素をダイジェスト的に捉える、みたいな文があり、ある作家は、以前住んでいたプレーリーの土地を、グミの匂いの中に見出した、とあって、その作家の作品を観たくなった。
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amrgamata · 27 days
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虚ろゆらゆら misskeyまとめ #2
「ひらひらふわふわして落ち着かぬの……」
由良が小さく抗議する。けれど、僕の持っている服で由良でも着られることの出来る服といえば、今由良が着ているものしかなかった。文化祭で着せられたぎりぎり制服に見えるか見えないかくらいの女子向けの服だった。 と、いうのも、である。 今日僕と由良は、一緒に外へ出かけるのであった。可視化した由良は、僕に会う前になる事の出来た「霊体化」が出来なくなってしまったらしく、僕としては大変不本意なのだけれど、僕の持っている服を着せることにした。無論、こないだの「お菓子事件」再発防止の狙いもある。
「由良だって男物着るのは嫌だろ?」 「まあ、そうじゃがの。別にわしの普段着でもいいじゃろ」 「悪目立ちするよ。今の時代じゃね」
僕は変に注目を浴びるのが昔から嫌だった。ほぼ裏方に徹するような生き方をしてきたと言える。 それに、恐らく世間知らずの由良はあれやこれやと言葉を上げるに違いないと僕は踏んでいた。現に、テレビやスマホの画面に出たものにいちいち「あれはなんだ」と興奮気味に声を上げるのだから、それは簡単に予想できる。あらかじめルールを決めたところで、由良は自分の中で決めた方を優先する性格だから、僕の言葉に果たしてどれほどの抑止力があるのかどうかも分からない。
「とにかく、僕から離れないこと。いい?」 「何度も言わずとも理解しておるわ。わしとてここは住みよいからの」
ローファーの爪先をとんとんと地面にぶつけながら由良は言う。
「……まあ、誉め言葉として受け取っておくよ」
そう言って、僕は玄関のドアの把手に手を掛ける。 由良が息を呑み、こくりと喉を鳴らした。
ーーーーーー
ふはあ、と由良がやっと息を吐く。 由良の喉がつっかえてしまうのではないかとというほどに、由良はパンケーキを口に運び続けていたから、僕はなかなか訪れない由良の呼吸を心配していた。 両手でカップを持ち、由良はそれに入っていたミルクティーを一気に飲む。飲み終わり、満足げにまた息を吐いた。
「こんなに美味いものが世の中にあったとはのう……」 「僕にとっては日常なんだけどね……」 「てれびやすまほだけでは世界は完結せぬのじゃな」 「知らなかったの?」 「言うてみればわしは『そういう設定』じゃからの」
メタいな、と僕は思う。由良がスマホを使うことで、確かに由良の世界は広がっていた。先程の言葉も、恐らくはネットサーフィンをしていて見つけたのだろう。
「夕陽は食わぬのか?」 「さっき言ったように僕にとっては日常だからね」 「日常的にこのようなものを食うておるのか、お主」
唇を突き出し、由良が抗議する。
「それ食べたら帰るよ」 「まだ回りたい場所があるのじゃが」 「だめ。また来週」 「……『また』があるのじゃな?」
したり顔で由良が言う。都市伝説とはいえ外に出ないままでは気が滅入ってしまう。そう考えたのと近所にカフェができたできたからという理由で、今日の外出は計画されたものだった。
「次は『げえせん』に行ってみたいのう」 「はいはい。考えておくよ」
子供のようにはしゃぐ由良を見ながら、僕は由良は都市伝説としては何歳なのだろう、とぼんやり思った。
ーーーーーー
濡鴉の眼を閉じて、由良が何か考え事をしていた。 口の中で何かを言いつつだから、僕は少しばかりそれが気になってしまう。 手は指先だけ合わせ、それから十分程度過ぎた頃に、由良はやっと眼を開けた。
「考え事?」 「いや、会話じゃよ」
由良の言葉に、僕は面食らう。 明らかに由良は独りでいた筈なのだが。そう思っている僕の考えを見抜いたのか、由良はにまあ、と笑う。
「気になるか?わしが一人でいたにもかかわらず『会話』という言葉を使った理由が」 「……気になるなんて言ってないだろ」 「強がらなくともよい。眼を見ればわかるからの」
胸に手を当て、由良はふふん、と鼻を鳴らし威張る。その態度に僕は少しばかりかちりと来たけれど、僕は言わないでおいた。
「『カシマアヤコ』を知っておるか?」 「カシマアヤコ……確か、『かしまさん』って怪異の本名の一つだよな」 「知っておるなら話は早いな。わしはアヤコと話しておったのじゃ、交��を使ってな」 「交信?テレパシーみたいな感じか?」 「ああ、そうじゃな」
人がスマホや電話で話をするように、都市伝説も離れた場所にいても話ができる、そういったものだろう。
「……カシマさんが知り合いってすごいな」 「そうかのう?」
由良は言いながら、こて、と首を傾げた。
ーーーーーー
「……「妖怪神社」に、花見?」 「そ!七神も行こうぜ」
鈴渚神社ーー通称「妖怪神社」の次期当主である頼山が僕に言う。
「……合コンじみてないよな」 「おう、その辺は大丈夫。今度ばっかしはな」
去年行われた「花見の皮をかぶった合コン」の悲惨さを思い出したのか、頼山は苦笑いする。去年はとにかく、女の子達に振り回されただけだったのだ。
「でも妖怪神社って桜あったっけ?」 「いんや、梅見ってのがあるらしい。梅の木なら何本かあるぜ」 「ふうん……」
僕が気のない返事をすると、頼山は食いついてきた。
「んでんでんで、七神も行こうぜ?」 「どうせ行かなかったら会長になんか言われるんだろ……分かった、行くよ」
溜息を吐きながら、僕は言う。瞬間、頼山の表情がより明るくなった。
「ドタキャンとかなしだかんな!」 「分かってるよ」
バタバタと足音を立てながら、頼山H廊下を走っていく。
「梅見か。久しいな」 「そうなんだ……って由良?」 「ああ、そうじゃぞ」
ふよふよと浮きながら、由良が応える。いつからいたのか、どうやって学校まで来たのか、それらは僕にはわからずじまいだ。
「……僕以外にも見えてるの?」 「夕陽だけじゃろ。勘の鋭いものなら見えるかもしれぬがの」
含み笑いをして、由良は僕をちらちらとみる。訊かずとも、僕と頼山の話を聞いていたのだろう。
「わしもついていってもいいじゃろ?」 「……はあ」
僕の溜息で由良は全て分かったのか、嬉しそうにくししっ、と笑った。
ーーーーーー
ちちち、と雀が鳴く。 見上げれば、満開の梅が誇らしげに咲いていた。
「へえ、じゃあ君って七神の従妹なんだ?」 「多少古くさい喋り方はするがの」
由良の声がして、僕は木の上の雀から由良のいる方へ眼を向けた。そしてよく化けたものだな、と感心する。 今由良は「人間として」怪異研究会の面子と顔合わせしていた。怪しまれないように僕の入れ知恵はしてあるから、ちょっとやそっとのことじゃ由良の正体はバレないだろう。
「じゃあ、夕陽くんがなんか楽しそうだったのって、由良ちゃんが来てたからなの?」 「まあ、そうなるかな」
僕は苦笑する。方向性や意味合いは多少違えど、それに変わりはない。
「余程夕陽くんは由良くんを気に入っているのだね」 「……そう見えます?」 「見えるよ。そして由良くんも夕陽くんを気に入っている。違う買い?」 「わしは夕陽を好いておるぞ。夕陽は優しいしの」
由良が会長の問いにそう応えると、頼山と大鳥がひそひそと話をする。その話が聞こえずとも、大方は想像がつく。僕と由良の間に恋愛感情があるのかどうか話しているのだろう。
「それにしても、見事な梅じゃ」
むぐむぐと三色団子を食べながら由良が言う。それに僕は頷きを返した。
「『妖怪神社』なんて言われてるのにね」 「うぐ。それを言うなよな、七神……」
がっくりと、頼山が肩を落とす。次期神主様にも、色々あるらしい。そう思いながら僕は由良と同じく、三色団子に手を伸ばした。
ーーーーーー
「由良ちゃんっていっぱい都市伝説知ってるんだねぇ」
すっかり酔った頼山がそう言葉を発する。それに大鳥も頷きを返した。会長も、眼を細めて感心している。僕だけ一人、由良は都市伝説なのだから当たり前だと思っていた。 それにしても、と僕は思案する。由良がここまで完璧に化けることができるのを僕は知らなかった。一緒に住んでいるとはいえ、まだ由良について知らないことはありそうだ、と僕は思い、くぴくぴと音を立てながら梅酒を呷る由良を見る。
「……由良って酒飲めたんだな」 「なんじゃ夕陽、わしが幼子のような見目じゃから呑めぬとでも思うておったのか?」
僕の呟きに由良が不満げに答えた。僕はそれに、またも苦笑しながら首を横に振って否定の意思を伝える。
「ふん、どうじゃかの……それにしてもこやつらは弱すぎるのではないか?」
ちらり、と由良が酔いつぶれて眠っている頼山と大鳥を見る。ついさっきまで起きていた気がするのだが、と僕は微かに首を傾げる。
「……二人が眠っている今だから、突っ込んだ話をするけれどね」
酒の入っているらしい紙コップを傍らに置いて、会長が切り出した。
「由良くん、君ーー人間じゃないんだろう?」
その会長の言葉に、僕と由良の動きはぴたりと静止した。けれど会長はお構いなしに言葉を続ける。見れば、会長は涼しげな顔をしていた。
「え、と……会長……」 「そこまで警戒しなくとも平気だよ。私も此岸と彼岸で言うなら『彼岸側』のものだからね」 「……は?」
由良が会長の言葉に訝しげに短く言葉を発する。 途端、寒気がぞわりと背筋を駆け上がった。
「白面金毛九尾の狐、とでもいえば、分かるかい?」
ぶわり、と風が吹く。一瞬見ないうちに、会長は以前由良がやったかのように、腰のあたりから九本の金色の狐の尾を出してみせる。 再び会長は目を細めて、くけけ、と嗤った。
ーーーーーー
「……うまく化けたものじゃな」
じとり、と由良が会長を見る。
「心得てはいるからね。化け方も、騙し方も」
くい、と酒を呷り、会長は涼し気に言った。
「わしに妖気を悟られないとはな」 「千年は生きているからね」
目を細め、会長は再び由良に応える。
「殺生石になって見世物にでもなったかと思ったが」 「結構前にその姿は辞めたよ。今は私の……そうだな、跡取りがやってるかな」 「……あ、のー」
たまらず、僕は言葉を上げる。一つ引っかかることがあったからだ。会長と由良、四つの眼が僕を見る。
「跡継ぎ、って……?」 「うん、いい問いだね。今や九尾の狐は一個体じゃないんだ。下手すれば神格化すらされてる」 「……それで、近親婚でもしておるのか?」 「まさか。そんなことしていないよ。過去にそういった行為に手を染めた九尾の狐もいるかもしれないけれどね。私にはそいつの血は継がれていないよ」
くつくつと笑いながら、会長は由良と僕の言葉に流暢に答える。そして、「それじゃあ」と言葉を続けた。
「今度はこちらから訊くけれど、君はいつ顕現したんだい?」 「『顕現』などと大それたものではないがな。この姿はまあ、ふた月ほど前になるかの」 「ふた月、ねぇ……」
じ、と会長が由良を見つめる。 そしてやおら、うんうんと頷いた。
「その程度だと思ったよ。由良くんは化けるのがあまりうまくないからね」
会長の言葉に、由良が息をのむ。
「……わしに化けるのが下手じゃと言いたいのか?」 「うまくない、と言ったまでだよ」 「同じことじゃろ」
握りつぶしそうなくらいに強く握られていた缶の酒を一気に飲んで、由良は会長を睨みつける。
「ちょっと、由良……」 「なんじゃ夕陽」 「睨みつけるとかさ、やめてよ……?」
僕がそう言葉を上げたことで、由良に睨みつけられるのは僕になった。そういえば狐の眷属は階級に煩いのだっけ、と以前読んだことのある噂話を集めたブログの文言を思い出す。会長はもしかしたら、僕と由良が一緒に暮らし始めていることを感づいていたのかもしれない。僕はぼんやりと思う。
神格化までされた九尾の狐、会長と、一般と言っていい狐にしか化けられない由良。どちらの方が立場が上なのか、そういったことにあまり詳しくない僕でも分かる。 その九尾の狐に、遠回しでも「化けるのが下手だ」と言われてしまったのだ。由良の高いプライドが傷付けられているのも、また火を見るよりも明らかだった。寸前で「睨みつける」で済まされているだけで、本当は襲い掛かりでもしたいところだろう。そんな由良をなだめつつ、僕は眠っている頼山と大鳥に眼を向ける。無論、二人にまで止めに入ってくれれば、なんて思ってはいないけれど、せめて目を覚ましてくれれば事態が好転するかもしれないと思っていた。
「……起こそうか?二人を」 「え?」 「催眠術はもういらないだろう?今日はお開きにして、夕陽くんと由良くんは帰るといい。想一くんとひすいくんは私が送ろう」
僕は眼を瞬かせる。そして、感づいた。 頼山と大鳥は酒につぶれて眠ったのではなく、会長の催眠術にかけられたのだ、と。
ーーーーーー
「アヤコに訊いたぞ。彼奴、名を『時揃』というのじゃな」
梅見から帰り、ふくれっ面のままの由良がそう僕に言う。
「……ああ、会長のことか」 「彼奴以外に『時揃』などという奇天烈な名を持つ奴なぞいてほしくないわ」
苦々しく、けれど確かな信条を持ったような眼で、由良は僕を見上げる。
「で……その会長がどうかしたのか?」 「話はそれに終結するが���九尾の狐というのは矢に射られて死んでおるのじゃ。つまり、」 「会長を矢で射ろう、って?それは喩え僕が許しても世間が許さないよ」
僕が由良の言葉をばっさり切ってそう断言すると、由良は再びふくれっ面に戻った。
「何故じゃ」 「なんで、って……会長は人としてこの世界に生きてるからだよ」 「わしにかかれば証拠なぞ残らんぞ」
ずい、と顔を僕に近づけ、由良はまだ不機嫌そうに言う。
「郷に入れば郷に従えっていうだろ?人の姿で顕現した以上、由良も人の仲間ってことだよ。知ってると思うけど、人の世界だと殺人は許されない」
僕の言葉に、由良は少し考えるような仕草をする。ぐるうり、と一度首を回して、由良は溜息を吐いた。
「……お主に言い敗かされるとはな」 「納得、した?」 「悔しいがしたな」
由良は呟いて、苛立ちを表すようにがしがしと頭を掻いた。
ーーーーーー
「七神ィー」
廊下で名前を呼ばれて、僕は振り返る。声の主は頼山だった。ひらひらと手を振りながら、こちらへ向かってくる。
「頼山。どうしたんだ?」 「どーしたもこーしたもねぇよ。こないだの梅見、俺とひすい寝落ちしたじゃん?アレで由良ちゃん怒ってねぇかなーって。そんだけ」
バツが悪そうに、頼山は言う。まさか「あれは会長の催眠術で」なんて言えるわけもないから、僕は心情を隠しながら首を横に振る。
「んお。そうなのか?」 「うん。……まあ、別のことでイラついてはいたけど」 「別のこと……?」 「ああ、こっちの話」
僕の言葉に、頼山はじっとりと僕を見る。けれどそれはほんの一瞬で、すぐに「ま、いいや」と頼山は話を変える。
「会長が言ってたんだけどさ、次の心スポ巡りどうするか、だってさ」 「……なんでそれを僕に?」 「いんや、由良ちゃん都市伝説に詳しかったからさ」
ひすいの意見も取り入れ済み、と付け足して頼山は言う。
「……あれで由良ってかなり世間知らずだけど」 「あー……それはあの喋り方だしなんとなく予想できるわ」
ケラケラと笑って、頼山はすれ違いざまにばしばしと僕の背中を叩いて「ま、由良ちゃんに宜しくな」とと言い残して行ってしまう。 後には、「由良にそんなことを聞いたところで有用な意見が得られるのだろうか」と思う僕が残された。
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hoshiimooishiimo · 3 months
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Looked at me:story3「素敵に生きたいセブンティーン」
ZINEプロジェクト「Looked at me」に寄せてもらった作品の一部をご紹介します。 「Looked at me」についてはこちらから
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わたしの中学時代はコンプレックスに塗れていました。容姿のことでバカにされたり、悪口を言われたり、先生にもバカにするようなことを言われたこともありました。どうして普通にしてるだけでこんなに言われなきゃいけないのだろうと沢山悩み、夜に一人で泣いたりしてしまったこともありました。
でも勉強はしたいから学校には行かなくてはいけないし、大嫌いな一重瞼と簡単に別れを告げることもできないし、ダイエットもなかなかうまくできないしただ悩むことしかできませんでした。アイプチをして二重整形について毎日調べて、どうしたら変われるのかを考えながら瞼のマッサージをずっとしていました。
しかしわたしは自分のことをどうしても嫌いになりきれず、なんとかコンプレックスと向き合って生きていきたいと思いました。
まず第一にわたしはどんな姿でもわたしだし、わたしのことを見た目で判別して悪く言う人はそもそも良い人ではないのだから仲良くする必要もないし、言わせておこうという発想の転換をすること。わたしには素敵な友人がいますが、彼ら彼女らはわたしのことをばかにしてきたことは一度もなかったし今でもそのようなことはしません。人間関係もわたしのコンプレックスと密接に関わっていることに気づくことは大切でした。
またわたしはお洋服とメイクが大好きになりました。あまり興味のなかったお洋服とメイクにYouTubeや母親の影響で関心を抱くようになり自分の世界観を完成させることができました。好きなお洋服を着るだけで自分に自信を持てたし、わたしのセンスって世界で1番最高かもなんて思えたりします。お洋服は心も守れる鎧です。見た目に自信がないから好きな服を着れないと言ってる人を見ると悲しくなります。わたしは体型や見た目に自信がない人こそ、好きなお洋服を着て自分好みのメイクをして最高の自分を作るべきだと思うのです。どんなに頑張っても好きなアイドルにはなれないしモデルさんみたいにすらっとした体になれないけど、今日のわたしはちょっぴりいつもよりかわいいかもって毎日思えると自己肯定感も上がるし本当に可愛くなっていっている気がします。
そしてわたしにとって大きな変化を与えたことがあります。それはアルバイトでアメリカ人とたくさん関わるようになったこと。今まで自分が体型に囚われず好きな服を着る!と言っていてもお腹を出すことにはやっぱり抵抗があったり、短いスカートやズボンは太っちゃったから恥ずかしいな、とか思っていましたし今でも少し思います。それでも、自分の見た目を気にせずに好きな服を自信を持ってきている彼らは素敵で、輝いているように感じました。
でもやっぱりどんなに安定して過ごせてるつもりでも自分では言葉に言い表せないモヤモヤが脳みそを支配することがあります。
どんどん後輩に立場を追い抜かれるバイト、勉強したつもりなだけで上がらない成績、増えてく体重、なかなかうまくいかない恋愛、ドタキャンする友達、磨かれないファッションセンス。
あれもこれも高校生なりの悩みで大人にとってはちっぽけかもしれないけど、わたしにとっては結構大きな悩みで…。こんなことですぐ悩んでしまうような性格がコンプレックスになっているなって最近思い始めました。
性格を好きになるって見た目を好きになるよりもきっと、難しいこと。わたしは自分の性格を素敵ってちゃんと思えるようになりたい。頭から爪先まで、大好きでいたい。これからもわたしは好きな服を着てマインドを切り替えてなんとなくダイエットして好きなもの食べちゃってなんとなく生きる。たぶん現代を生きる私達はナルシストで生きるくらいがちょうどいいのかもしれない。昔からずっと付き合い続けてるコンプレックスと新しいコンプレックスを、少しナルシストに甘やかして今日もわたしは生きていく。
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P.N. うえの
19歳になりました
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doglok · 5 months
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愛猫にクリスマスプレゼントをあげたら大喜びで可愛すぎました! 短足マンチカンの男の子、プリンとメルです! 古いキャットタワーを捨てて、クリスマスプレゼントとして爪とぎタワーを新しく ... via YouTube https://www.youtube.com/watch?v=q4m6WISzoTg
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furoku · 6 months
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shukiiflog · 7 months
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ある画家の手記if.81 雪村絢視点 告白
I’m singing’ in the rain Just singing’ in the rain, What a glorious feeling, And I’m happy again. I’m laughing at clouds So dark, up above, The sun’s in my heart And I’m ready for love…………
直にぃが「そろそろお昼ご飯にしようか」って三人分の食事作ってたから、ケータイで検索してピザとかかつ丼とかラーメンとかいろいろ片っ端に電話かけて出前とった。頼むときに一応マナーかなと思って「二人の分も注文する?」って聞いたらすごい勢いで首を横に振られた。 それから三人で食事しながら香澄のとなりに座って香澄を構い倒した。直にぃのほかにも心許せる人間がいたらいい、とかなんとかいう思惑はなくもなかったけど、それより香澄が口開けて笑ってるのを見れるのが嬉しかった。いつもはちょっと大人しくて照れぎみっていうか、まことくんちでも声をあげて笑い崩れたりってとこはまだ見たことなかったから。今も無理して明るく振舞ってるわけじゃなさそうだし、なら遠慮せずにいこうと思って俺も好き勝手やり放題だった。香澄もつられて笑った。 ーーー自傷は、無意識からの心理的な圧迫や抑圧のひとつの現れ方だ。真澄さんの話で俺の憶測はすこし確信めいてきた。なら心からの感情をなるべくたくさん自然に発露させてやるのは有効だ。核心部分につられて心理はほかの感情も圧迫するから、圧死する前に溜め込ませないで出させたほうがいい。普通に考えて、核心部分を圧迫できるのは核心部分そのものじゃなくてその外側にあるものだ。それを溶かしたい、そのあとで圧迫されなくなった無防備な核心部分を守るのはーーー俺の役目だ。 で、何で溶かせるか、これはフリや演技じゃ通じない、香澄を心から大事に想う人間がほんものの関係を築いていかないと。俺がなんでここまでゴチャゴチャ考えてるかって、香澄のことが大事だからだ、つまり俺は普通にしてればいい。 今のところは順調、特に俺の心理面はね。誰も無理しないで好循環を築くことが俺の当面の目的だ。
風呂に入ることにしたら「片付けは僕がやっておくよ」って直にぃが食べ散らかしたものをキッチンに引こうとした。 「待って直にぃ!それまだ食べかけ!」 眉に皺を寄せてソファの上から直にぃが皿を持った腕をすこし強めに掴んでとめた。直にぃは皿に乗ってた最後の一個のタコ焼きを串に刺して俺の口に入れてくれた。パクッと食いついてもぐもぐしながら直にぃの腕をパッと離した。 ここにきたとき香澄の向こうでわたわたしながら部屋の中を片付けてる直にぃが視界の端をかすめた。そのとき直にぃは今おろしてるシャツの袖まくってて、腕には引っかき傷のあとみたいなのがちらっと見えた。どれくらいの怪我かよく見えなかったけど、まぁ掴んでもまるで痛まない程度には治ってきてるっぽいな。 うっかりにしたって直にぃはもうすこし気をつけたほうがいいな。香澄を守ろうとしてんだろうけど、それで直にぃが傷つくと香澄は自分を守られること自体に否定的になりかねない、もうなってるか? だから直にぃがそばについてても、いや、そばにいるほうが自傷悪化するかもな、今は。帰る前にチャンスがあれば説教しとくか。それか様子によってはしばらく香澄と俺だけで旅行でも行くかな。多分二人にそういう発想ないし。 もぐもぐし終えてタコ焼きを飲み込んだら先に風呂場にいこうとしてた香澄の背中に助走つけて飛び乗った。 「わ、絢まってまって、落ちるって」 香澄が俺の両脚を慌てて抱える、香澄の背中に乗っかりながらおんぶされて笑いながら言う。 「脚がいたむ~歩けない~」 「えっほんとに?!」香澄がさらに慌てたから香澄の顔の横から風呂場をビシッと指差した。 「すすめ香澄号!身体的弱者のために!」 「もう…絢の冗談しゃれにならないよ」 香澄が俺をおんぶして脱衣所で下ろした。 「有効な対処方法が見つかったって言ったじゃん。俺の脚なんてもうジョークのネタくらいにしか使えないね」 俺が服を脱ぎながら笑い飛ばしたら香澄はどこか安心したような笑みを浮かべてた。 焼き殺されかけたんだもんな、それを香澄が助けてくれた。 俺はもう大丈夫だよ。そんな感情を込めて、にっこり俺も笑って見せた。
香澄と一緒に読んだ「星の王子さま」の本は直にぃの私物らしい。原著じゃなくて和訳だった。 俺ははじめて訳したときからあの本の新訳が出るたびに全部に目を通してた。ずっと一定の人気を誇る本だから新訳がどんどん出る。サン=テグジュペリの描いた挿絵がすげーかわいいから書店でもすぐ目につく。直にぃが持ってた本は相当古いやつで今はネットとかじゃないとなかなか手に入らない、訳も日本語の言い回しも古めかしくてサンテックスの生きた時代を連想できる俺の好きなやつだった。
「おお~浴槽でか!」 風呂に入って浴槽のサイズにビビる。真澄さんとこのも標準より大きめだと思うけど。 「直人サイズだからね」 「この部屋って直にぃが購ったの?」 「うん。画家だった頃のアトリエを後輩に譲ってここに移ったの」 「なるほどね」 ここに住み始めたのと画家をやめたのは同時期で合ってるらしい。真澄さんが調べやすいように追加情報まとめてあとで報告するかな。しなくてもあの人ならこれくらいのことは割り出せてるかもな。
風呂の中で香澄とお互いの体を確認し合う。 香澄の体に新しい怪我は増えてなかった。それを褒めるみたいに香澄の頭をポンポン撫でて手と手を絡ませる。香澄の指先を指の腹でさりげなく撫でた。会ったときから気になった、やけに爪を短く切り込んでるから、いつ切ったのか切り口の感触で伺う。昨日今日、ってわけじゃないな。とするとこれは切ってから伸びてきてようやくこの長さってことか。直にぃの腕の傷はそれでか。 「香澄、爪切りすぎたろ」 目を細めてにまーっと意地悪く笑って言ったら正面の香澄がおたおたした。 「えと…寝てる間見ててくれてた直人の腕引っ掻いちゃって、なら爪切ったらいいかなって」 「切りすぎ。直にぃのこと守ろうとすると香澄は視野が欠けがちになるんだから、直にぃを傷つけたくないとか守りたいって思ったときは、思いついても行動する前に一度5分くらい深呼吸してみな。本当にしなきゃいけないこととその加減が見えてくるかもよ」 説教っぽくなりすぎないように向かい合って手を絡めて一緒に手遊びしながら笑ってそう言ったら香澄は素直に頷いた。 「絢、ありがと」
身体洗いあって二人で湯船に浸かって、話がひと段落ついたとこで俺は目を閉じて湯気に向かって歌い出した。風呂の中で歌うの、音が響いて楽しいな。 「それなんて曲?」 「Singin’ In The Rain.  ”雨に唄えば”だよ」 歌詞がないところのメロディは口笛にした。こんなこと名廊本家でやってたら殺されるな、シャレじゃなく。 香澄は隣で静かに俺が歌い終わるのを聴きながら待ってた。 歌い終わってから、すこし落ち着いた声で話す。 「俺の脚、雨が降ると痛んだり動かなくなるんだ。気圧だか湿度だか原因よく知らないけど。香澄をラブホで手当てしてから公園で倒れてまことくんに病院つれてってもらったけど、あれは帰ってる途中で雨が降り出しちゃって、脚が動かなかったから公園のゾウのお腹んとこに隠れてたの」 「ゾウのお腹?」 「こーいう丸い穴があって、潜れそうだったから」 腕を頭の上にあげて丸を作ってみせる。 「前は雨が降ったら俺はそこでお手上げだったけど、おとなしく本読む以外にも雨がやむまで歌うって手もあるよな~みたいな」 そこにいた頃は気づいてなかったけど前は相当たくさんの不可視の縛りがあった。あの頃は歌うって手段は頭のどこにも浮かばなかった。誰かに聞こえたら俺の分際で浮かれてでもいるのかってキレられるに決まってるし、雅人さんの家は沈黙に支配されてるような破っちゃいけない空気感があったから。 「絢、いまの曲もう一回歌って」 「いいよ」 ねだられてもう一回同じ曲を披露した。ジーン・ケリーほど美声じゃないしあそこまで声を張り上げるわけじゃないけど、音読するときと同じくらいの感じで、優しく湯気に乗せるみたいにして。 それから話は二転三転しつつ、『からっぽのいきもの』の訳の話になった。 あれって真澄さんが好きな本なのか、俺の訳が気に入ったのか、どっちなんだろ。 「それはたぶん絢の訳を好きって言ったんだよ。兄ちゃんあの絵本は好きじゃ無いから」 「そうなの」 「うん。なんて訳したの?」 「Ils font des animaux en ballons gonflables.」 まだあの本の内容は覚えてる。子供向けにしては意味深だったからつい暇なときリピートして考える。 あの物語の冒頭は”かれは ほんものをかうおかねが ありませんでした”だった。金銭で買えるどうぶつたち。みんなと同じようにかれに財産があったなら、自分のさびしさを使ってまでなにかを作ろうとは考えなかったかもしれない。かれをそらに運んでくれたどうぶつたちは、かれの作った尊く愛しいにせものたちだ。貧しさが、自分を高次へ導く豊かなものをもたらしてかれに生み出させた、宙に吐くだけじゃ霧散して消えるだけのかれの吐息が形になって、なにひとつ持ってないスタートラインから。 訳したときには、直にぃや理人さん、誠人さん、真澄さん、香澄…みんなに似てると思ってた。でもあれは俺の話でもあった。なにひとつ持たずに逃げ出して、残ったものもすべて捨ててそこから新しく始めた俺の。 どこまで高く上昇できるかは俺にかかってる。そして俺はあのとき上昇や浮上に無意識に墜落の未来を感じてた、でも ーーーー「物語にもただの日常にも無限の解き方があるけれど、絢も覚えておいで」 俺を俺だと分かってたときの理人さんがこっそり教えてくれたこと。 ”なぜあの犬は吠えなかったのか? …聞こえなかったこと、書かれていないもの、見えないもの、起こらなかったこと、決められた枠の外側に目を向けてみつけるんだよ、想像力をつかってね” つまり、あの物語はあそこまでしか明文化して書かれてないだけで、続いてたかもしれない。実際、最後はぷつんと切れたような形で特にここで終わりだなんて書かれてなかったし。 どう続けるのかは読み手次第ーーーかれも、俺も、香澄も、真澄さん���、直にぃも。どれだけそういう予測が立っても無残な墜落に終わるかは、書かれてないんだ。書かれなかったことに、作者の思いがあるかもしれない。…いま訳したらまた違う感じになるかもね。
「……さびしさは…彼の命なんだね」 となりで香澄が呟いた。 なにか考え込んでるみたいな顔してる。ーーーかれの、命… 「…香澄?」 香澄が俺の肩にもたれて頭を擦り付けてきた。ねこみたい。 「さっき絢は冗談みたいに言ってたけど…俺、ほんとに会いたいと思ってたよ。絢に」 「…………」 「会えてよかった。すごく大事なんだ…また…一緒にいられて、嬉しい。おかえり、絢」 凪いだ水面に広がる微かな波紋、 香澄の首に腕を回してぎゅっと体を抱き締めた。 触れた腕や体からざらざらした感触が伝わる、身体中にたくさん重なった傷跡、 …もう大丈夫だよ、俺がきたから 俺がついてるよ もう誰にも傷つけさせない、俺じゃなきゃだめなんだ、香澄にとって俺はもう”絢”だから それを嬉しく思う どこにもいかない ずっとついてる どんなときも俺がいて香澄が自分を守るのを助けるよ ”絢”は いらなくなんてない 「………俺もだよ」 香澄の首筋に頭を押しつけて静かに目を閉じた。嬉しくて、自然と口元が緩んで微笑んだ。 俺にもあった 俺が俺だったから、守れるものが 「…香澄が、すごく大事だ。…会えて、よかった、Je suis très heureux n'ai jamais été aussi vivant.…」
風呂から上がって夕飯作って、直にぃと香澄と三人でまた話しながら食べた。 話してて思う、直にぃもけっこう面白い本を読んでる、ずっと絵ばっかり描いてたってよく聞いたから何も共通の話題なんてないかと思ってたけど、案外俺と読んだ本で被ってるのもあった。 そして被ってる本は、正気だったときの理人さんに「読んでごらん」て俺が勧められたものだ。直にぃはきっと、雅人さんから勧められたか、借りて読んだ。 まだ本家で一緒に暮らしてて仲のいい兄弟だった頃、理人さんと雅人さんは一緒に同じ本を読んでたのかもしれない。そう思うと、嬉しかった。
それから直にぃを口先でいじりながら香澄と一緒に寝室に入った。 なんとなく歩くとき香澄の腕を引いて俺の前で絡ませるのがもう癖になってきた。なんだろ、落ち着く。香澄がうしろついてきてるからか? 絡ませた腕の上に俺も両手を置く。列車みたいにつながって歩く。香澄は俺の足踏まないようにしててちょっと歩きづらそうだけど。 かわいかったから鍋つかみに恐竜みたいな柄のやつ買ってきたら香澄はそれを見てえらく喜んでた。このキャラクター有名ななんかだったのか?? 香澄は丸くした目をきらきらさせてる。俺は鍋つかみを一度手にはめて、香澄の鼻にパクッて噛みつかせた。香澄は鼻を押さえられて笑ってた。花が咲いたみたいな笑顔だ。俺もにこにこする。 はしゃぐ香澄の手に鍋つかみをしっかり装着させて、香澄を寝かせる。以前やったみたいに、首筋を俺の体で守るようにして覆いかぶさった。優しく体を抱きしめて明かりを消す。 「香澄、おやすみなさい」 「うん、絢おやすみ」 俺の考えてた「具体的に試したいこと」ってのは、ここからだ。 入眠時の意識状態の行動には、起きている間の当人にいくら説得しても働きかけても効果は薄いだろう。カウンセラーとか臨床心理士とかちゃんとした人が専門知識持ってやるならそういうことも有効なのかもしれないけど、俺がそうじゃない以上俺にできることは別のことだ。 俺のフラッシュバックから生じる脚の痛みに燃えてもないのに水をかけて効果が出たとき思った、問題行動が起きた時が解決の契機にもなる、眠っている意識には、眠っている間に、俺が起きててずっと声をかけ続ければ…
…まだ眠たい もう少し寝てよう…あったかくて気持ちいいし… 「……。」 じゃないんだって!!!!! 「香澄、香澄!」 急いで体を起こして目の前で眠ってる香澄の肩を揺さぶる まさか眠ってたのか、初めてきた他人の家で? 今って、OMG、嘘だろ、部屋ん中もうすっかり明るい、まる一晩俺眠ってたのか?! 何しにきたんだよ?! 完全に脱力した俺の下敷きになってた香澄はぼんやり目を覚まして、俺の背中に回してた手をおそるおそる外した。 「……。」 「……。」 ……は?? 香澄も同じことを思ったのか、綺麗に嵌められたままの状態の鍋つかみをそーっと手から外してみる。…何もない。血の跡とか、指先が腫れてたり赤くなってもない。深爪ぎみだったから一晩中俺の背中を鍋つかみでこすってたとしたら爪の生え際にダメージあるはずだ。 「……。」 香澄の手をとってよく見る。香澄も自分の手じゃないみたいに目を丸くして俺と一緒に、見る。 ……何もない。 「………。」 「絢?!」 脱力してボスッと枕に顔面から倒れ込んだ。…マジか。論理的に現実だけ見て、理詰めで勝負しようとして挑んだら勝負開始のゴングが鳴るのと同時に俺がスヤスヤ眠りこんで、しくじったと思って見れば何も起きてすらなかった… ーーー惨敗。人間ってのは理屈でできてない。十分わかってたつもりだったんだけど… 「…っはは、」 腕をついて枕からゆっくり顔を上げて起き上がったらおかしくて笑いと一緒に目尻から涙でてきた。指先でそれを払う。 起き上がった香澄の体にぐたっと凭れたら重心がずれて香澄の膝の上に倒れた。 俺の顔を見下ろして覗き込んでくる香澄のぽかんとした顔を見て、その頰にそっと手を伸ばす。 俺ちょっと驕ってたかもね、頭使って情報揃えれば俺に事態をどうにかできるかも、なんて。俺の想定した希望より人間の可能性の方がひと回りもふた回りも大きなスケールで軌道を描いてた。人の命を生かす方向へ。 愛で人間の命は守れない、でも愛し合うことで人間が変わって、それが誰かや本人の命を守った。 惨敗だ。 俺が嬉しそうに声を立てて笑うのにつられたのか、香澄も笑い出した。 真澄さん、香澄は奇跡を起こしたよ、自分で。
そのあと一応全身を見てみて何も起きてないのを確認してから、香澄と一緒に寝室からリビングに出てった。 直にぃはもう朝ごはん作って俺たちを待ってた。俺のために何品目かをまだ追加で作ろうか迷ってたみたいだ。 俺が「じゃーん」て言って後ろから香澄の両手を掴んでバンザイさせて直にぃに見せたら、意味をすぐに察したのか直にぃは走り寄ってきて、香澄を抱きしめて泣いてた。幸せそうに笑いながら。
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junikki · 8 months
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親指と人差し指のジェルネイルが剥がれたので塗り直し。セリアで買ったセーラームーン風のネイルシールとユニコーンパウダーで幻想的にしてみた。親指の爪が割れてたのが伸びて、割れた部分を切って整えたので完全リセットされて気持ちいい。ジェルネイルしてたら爪割れるなんてことも回避されるんやな。
人差し指にはセリアのミルキーベージュを塗って、ユダヤの六芒星をつけてみた。ネイルシールににはこの六芒星が混じってるところが日本人らしいよな。
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この前、神戸へ行ってきた。南京町の写真。ホウオウがピッタリでしょ。この人ごみ感じが中国感あって良いよね。スギドラッグが中華風になってて可愛かったあ。チャイナ服っぽいデザインの服好きなんだよなあ。厨二病感wでも中国人に間違えられそうやからなかなか着れないwたしか高校時代に前が斜めになってるチャイナ風のブラウス持ってたな。そして高校時代に毛沢東のピンバッジ買ったwでも高校時代と違って、中華街は食べ物のお店ばかりになってて昔ながらの中華風の雑貨屋さんはかなりなくなってた。でも、一部お店ではまだひっそりと毛沢東グッズ扱ってるの見つけてめっちゃうれしかったなあ。買わなかったけどもw20年前と違って中国人観光客も増えたから、毛沢東のピンバッジをつけて共産党員ごっこ遊びも危険やよな。
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カビゴンの上で寝てるカラカラかわいい。ポケモンスリープいまいちこれで正解なのかよくわからん感じでやってるけども、どうぐとか定期的に消費しないと溜まってしまって新しいアイテムの入手ができなかったりするから、いつ使うのが正解なのかわからんけども、おこうとかすぐ消費するようにしてる。
久しぶりに髪切って切りっぱなしなしボブにしようかなーとか思ってる。どうやら髪少ない細い人に向いてる髪型だとか。わたしのことやん。無難な髪型やし、子供の頃よくやってた髪型だから似合わんことはないよな。確かに2020年に肩につくぐらいのボブにした時、ボリューム感出てうれしかった記憶。私の髪ってこんなにボリュームあったんやって感じ。今はそこまで髪に執着ないし、できればもっと首が見えるような大正ロマンあふれる長さにしたいけども、どうかな。前髪は短すぎると変やから眉下ぱっつんがいいけども。まあ細かい長さは美容師さんと相談して決めたい。そして切りっぱなしボブにハイライトグラデでターコイズブルー入れるの。
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vixianail · 1 year
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イエローがかわいい
馴染みの良いクリーム色をベースに、差し色でイエローをいれました。 ビタミンカラーのネイルを見るたびに、元気が出そうですね♪ こういった目立つカラーは、ショートネイルさんにもオススメです。 短いお爪もとっても可愛くなります。 a122.285.131 ◇当店は定額制サロンになりますので、時期が過ぎますと、こちらのデザインが終了している可能性がございます。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ご新規様割引 ⁡💅下記のコースからお選びいただけます。(ご新規様限定価格) ⁡◆定額6180円コース ⁡◆定額7180円コース ⁡◆ガラスフレンチコース7800円 ⁡◆ワンカラービジューコース6900円 ✨オフィスOKの上品可愛いネイルからトレンドのデザインまで。 ✨安心の定額コースも、選べるサンプルが種類豊富に揃っています ✨ジェルができない方用にケアのみでのご予約も承っており…
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lu4e-ms · 1 year
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僕には世界で一番可愛い、天使のような恋人がいます。そんな恋人の誕生日を隣で迎えることができて、僕は世界で一番の幸せ者だと思います。
誕生日前日。朝まで仕事で疲れてるはずだけど、君に会えると思ったら準備も全然苦じゃなくて、むしろ楽しくて。早く会いたいなって思ってたら丁度起きたのか君から電話が掛かってきて嬉しかった。付き合ってからもう一年半くらい毎日声を聞いているのに、会える日の朝は一段と心が躍ります。電話を切って服を着替えてから、いざ三ヶ月振りに君のいる街へ。スキップしそうになるのを抑えて向かいました。新幹線に乗って、もう何度目かの景色を横目にウトウトしてたらまたもやタイミング悪く仕事の連絡が…。でももう知らない!って気持ちで夜のために仮眠を取ってました。新幹線に乗ってるからっていう理由もあるけど、楽しみ過ぎて全然寝付けなくて、何度も時間を確認しちゃうんですよね。それに今頃何してるのかな、お風呂かな、ご飯かな、煙草かな、とか想像してニヤニヤしてますいつも。そうこうしてるうちに到着したけど、案の定今回も迷子になったので駅のホームで待ち合わせ。こっちに向かって歩いてくる君の姿に安心して、可愛くて可愛くて、改めて天使みたいだなって。君の周りを妖精が飛んでるんじゃないかってくらい輝いてます。あと髪型が最高に可愛かった。チョンチョンしてて猫みたい。近付いて肺いっぱいに君の匂いを吸い込んだ時がすごく好きな瞬間です。初めて会った日に比べたらちゃんと目を合わせられるようになったと思うんだけど、でもね、やっぱり泣きそうになるんだ。好きな人が目の前で動いて喋ってるって本当に奇跡みたいです。生きていてくれてありがとう。
合流してからは一緒にホテルに行って一旦休憩。途中タクシーの中でのあの演技力は流石としか言いようがなかったです。軽々と賞を取れそうな程でした。隣に座ってるこっちがビビりそうなくらい見事な演技を見せられて、菅田将暉ってやっぱりすごいな、と思った僕でした。部屋に入って心の準備をして仕事場に電話をかけたけど、どうにも神様は僕らの間に入りたいらしい。仲が良すぎて嫉妬してるんでしょうか?お餅が焼けるくらいアツアツなのが気に食わないのでしょうか?今回も一緒に居られる時間が短くなってしまったけど、神様は少し勘違いをしておいでです。短くなった分密度は濃くなるんですよ、やーい。少し落ち込んだけど、泊まれる日数は変わらないから良かったです。同じ煙草を吸ってから、お店の予約の時間まで買い物に行きましたね。僕らが会う日って雨の日が多いけど、本当はあんまり嫌いじゃないんだ。君とより近付いて歩けるから。少しこちら側に傘を傾けてくれる優しさに嬉しくなるから。あっちじゃないこっちじゃないって二人で若干迷子になりながら(僕が方向音痴なだけ)お目当てのお店を探して、色々可愛い物を見つけたけど、前から欲しかったって言ってた帽子をプレゼント。すごく似合ってたしその日の服にもぴったりで可愛かった。やっぱり一緒に選んだりするの楽しいな。僕は毎分毎秒君のことを可愛いと思っているので、これ似合うかな、可愛いと言った物は全部買ってあげたくなるんです。懐が許す限り、君の周りを僕がプレゼントした物で溢れさせよう。多分そう思うのは、単に君が可愛いからつい買っちゃうぜ、ということと、君は僕の恋人でしょう?ってその物が目に入る度いつでも再認識させるための、言わば僕の自己中心的な重たい愛の塊です。これからも身につけてください。買い物をした後は予約してたお店に。店長さんが面白くて、沢山お酒が並んでて、お客さんも楽しそうで、初めて行くような所だから緊張したけどすごく素敵なお店だった。おすすめされたワニ肉は思いの外美味しくて驚いたし、迷うほど色んなお酒があって、頼んだ物どれも美味しかった。歳を重ねるにつれお酒が弱くなってしまった僕ですけど、まだまだ飲みたいって思ってた。酔っ払ってて無理でしたけどね。君は久しぶりのお酒でテンションが上がってて可愛かったです。飲み過ぎは良くないけどたまにはいいですね。とても可愛いですはい。可愛い笑顔を見てると僕もお酒が進むというものですよ。煙草が一緒に吸えるのも最高でした。行く前に頼んであったオーダーカクテルはどちらも見た目から何から素敵で、沢山写真撮っちゃったな。君が詳しくイメージを書いてくれた僕のカクテルは、僕が僕であるために描いている姿そのものだったと思います。細かい所も見ていてくれてありがとう。説明を読んで感動して涙が零れそうでした。僕がイメージを書いた君のカクテルは、色々な角度から君を見た中の一面のようなカクテルでした。君の中の君がどうかは分からないけど、素敵なイメージカクテルだった。本人じゃないにしろ体内に君を取り込めて幸せ。それに緑で来なかったのには安心しました…。カメレオン…。だって…カメレオン俳優だから…。僕は悪くないです。沢山飲んで食べてさあ一服しようと煙草を吸いに行ったら、隣の人と話してる君の声が聞こえてきて少しばかり嫉妬していたのはここだけの話なんですが、楽しそうだったからよしとします。頑なに一人で煙草を吸いに行かせて一人で煙草を吸いに行ってたのは、君が隣に居ない間に周りを見渡しながら幸せを噛み締めていたからです。隣に居たら君に集中し過ぎて噛み締められないので…。何度も一人で行かせて噛み締めまくってました。ちょっと怒ってたけど、ごめんね。そういうことなのです。許して。そのお店を出た後は君がよく行くバーに。実は結構酔っ払っててあんまり思い出せないんだけど、君がこの曲はこうでこうでって説明しながら楽しそうに歌ってて可愛かったのだけは覚えてる。あんな風によく行くお店に連れて行ってくれるのすごく嬉しんだ。君の過去とか、歴史とか、そういうこと少しずつ知っていけてるみたいで。全部まるごと好きです。ありがとう。バーを出た後はタクシーに乗ってホテルに帰ったんだけど、今度は神様じゃなくて僕の膀胱が邪魔をして運転手さんを急かしてしまった…。これもやっぱり神様の仕業なのか?先にホテルに戻っておめでとうの準備をしたのに日付けが変わった瞬間をトイレの中で迎えてしまったのは悲しかったけど、誕生日当日、目を見てお祝いできたのは本当に嬉しかったです。変な帽子も割と似合ってて可愛かった。本当はスーツ着て薔薇の花束を持っておめでとうって言いたかったんですけどね。まず表彰状を読み上げて、誕生日のために少しずつ作ってたアルバムを渡しました。35になった男が渡して重たくないかな、と思いながら愛を沢山詰め込んで頑張って作ったから笑ってくれて嬉しかったです。喜んでくれてたらいいな。これからの一年、もっと沢山素敵な思い出が増えるだろうから、来年の誕生日はうんと豪華なのを作ることができそうです。僕は36になってるけどそこはどうか許してください。生まれてきてくれてありがとう。出会ってくれてありがとう。それから、僕と一緒に居てくれてありがとう。これからも愛し続けるから覚悟してください。お祝いした後は意味の分からない面白音楽を聞きながら睡魔にやられてました。(これも毎度になりつつある)今回はズボンに手突っ込んでなくて良かったです。その後は三ヶ月振りに君に触れました。可愛くて可愛くて、全部甘くて脳が溶けたみたいになるんだ。髪の毛の一本一本から足の爪の先まで全て可愛くて、閉じ込めて僕だけのものにしたいくらい。どうやっても飽きる日なんて来ないよ。君は世界で一番可愛いんだ。僕以外の誰にも触れさせないで。
二日目の朝は二人でまったりしてから起きましたね。髪の毛のセットをしてもらおうとしたら途中で「無理!」って言われたし貰ったベレー帽がうまく被れなくて悲しかったけど、前日にプレゼントした帽子を君が被ってくれて嬉しかったし、前に一緒に買った色違いの服で出掛けられたので最高の朝(昼)でした。あれもこれも初めてだけど、ペアルックも初めてです。見る度ニヤニヤしてました。やっと一緒に着られる日が来て嬉しかったな。その日も雨だったけど肩を並べて歩けるのでオールオッケー。まずは腹ごしらえにイタリアンのお店に。美味しいパスタとピザを可愛い君を前にしながら食べるなんて、幸せ以外の何物でもないよな。だけど君と一緒なら何でも美味しく感じるかもしれない。たらふく食べて幸せな気持ちになって、その後は煙草のお店を散策。ガラスの灰皿買えばよかったなって今更後悔してるけど、多分来月もあの辺歩くと思うから買いに行きたいです。思い出になるから欲しい。次に石のお店に入ったら、君が嬉しそうにこれはねって一つ一つ説明してきて可愛かった。好きなものというか気に入ってるものについて話す時、君はもうそれはそれは絶え間なく喋り続けるんだけどね、そこがまた可愛いしうんうんって聞いてあげたくなるんだ。全然話聞いてくれないって言われたけどちゃんと聞いてるんですよ。可愛さに気を取られてる部分は少なからずありますけどね。すみません。以後気をつけます。怒ってる所も世界で一番可愛いけどね。欲しかった本も、君と会う日に買いたいなって思ってたから買えてよかった。その後も誕生日だからまだ何か買ってあげたくてお店をブラブラして、色んな所一緒に見て回るのデートって感じがして楽しかったな。目的を持って動くのもいいけど、こういうのもいいよね。一緒に居れるなら何でも楽しいですけどもね。ブラブラしてたら君に似合いそうな靴のお店にたどり着いて、色々見ながらどうかなって毎回聞いてくるの可愛かったな。何でも似合うよどれも可愛いねって思ってるけど、ちゃんと選んでって言われそうなので言いません。いや言ってたかも。でも気に入ったの見つけてプレゼントできて良かった。これで足元も揃ったので、僕のことしか考えられなくなる日が来るのもそう遠くないですね。しめしめ。歩き疲れてどこかで休憩しようって話してたらコラボカフェを見つけて、ちょっと二人でだらだら。君はよく分からないテンションになってキーホルダー買いまくってたけど、絶対つけないでしょ…とは思いつつ何度も席を立つ時の顔が可愛かったので僕も強くは止められず。悲しいことにお目当てのキャラは出なかったけど、これも思い出ですよね。その後はずっと行きたかった占いに。初めてなもんで仕組みが全然分からなかったけど、優しい占い師さんで良かったな。仕事も向いてるって言われたからこれからもバリバリ働いて、君と暮らすための準備をしようと思います。ちなみに完璧主義者ではない…けど博愛主義ねえ…少し当てはまってるかも?とは思いました。君のことも結構当たってて、実は知り合いですか?って感じだったね。君は君が思うよりずっと素敵だし、魅力的な人だよ。アイドルの僕が言うんだから間違いはない。だからもっと自信が持てるよう変わらず近くで応援するし、君は凄い!って褒めさせて欲しい。僕がずっと味方でいるからね。一緒に頑張ろう。次に僕らの相性を占ってもらおうとしたら、お姉さんにちょっと笑われながら占う必要ないですよ!って言われて、何だ何だ?って思ったけど、どうやら占う必要がない程相性が良いらしい。君が木で僕が水で、って話は笑っちゃったけど、そういう風になれているなら嬉しいなと思います。やっぱり僕らは運命の赤い糸で結ばれていたんですね。知ってましたけどね。ですよねって感じでしたけどね。これでより離れられなくなったでしょう?だから何年経っても隣に置いていてね。離れると糸で繋がった指切れちゃうからね。嬉しい気持ちになった後は恒例のカラオケに。久し振りにアイドルスイッチを入れたら思いの外かっこよくなり過ぎて焦ったな。どうしようかと思った。君は毎秒可愛いけど、歌う時は惚れ惚れする程かっこよくなります。そんな君の歌声を隣で聞けること、一緒に歌えること、本当に幸せ者だなと思う。やっぱり君と一緒に歌うのが一番楽しいよ。世界で一番素敵な歌声だしね。キャスの録画も何回も聞いてる。声というか喋り方というか、空気感が少し似てきた気がして嬉しいなって思います。笑い声もハモってるは笑ったけど確かにハモってたよ。仲が良いと似てくるっていうし、幸せの証だね。気付いたらあっという間で何時間も歌い続けてて驚いた。それ程楽しかったですよ、ありがとうね。帰り道にちょっとしたイルミネーション見つけて撮ってもらったね。今までイルミネーションってただ電気が光ってるだけじゃんとか思ってたんだけど、好きな人と一緒に居たらすごく綺麗に見えるということを知りました。これが恋愛マジックってやつか。35にして初めて知ったよ。手を繋いで帰って、コンビニでケーキ買ってホテルに戻りました。君はお酒、僕はおにぎりを食べるという不思議な空間だったけど、君のおすすめのアニメを見たらすごく面白くて見入っちゃったな。隣で同じものを見て過ごせるのって、当たり前のようで奇跡みたいに幸せなことだよね。いつもありがとう。酔っ払った君がとても可愛くて仕方ないので丸ごとかぶりつきたかったけど、大事にしたいから食べないよ。可愛さが増した君に触れて、愛し��なって何度も思って。頭を撫でながら眠りました。眠る時もずっと触れていたいけど、君はよく寝返りを打つので離れちゃって少し寂しい。だから起きたらすぐに触りに行くんだ。起きてからも頭を撫でたり指触ったり、あの時間がすごく好き。全然起きないから何してもいいので触りまくってます。幸せ。
起きてきた君が体調悪そうで心配だったけど、僕も心に余裕がなくて何度も声かけちゃってごめんね。でもどうしてもギリギリまで一緒に居たくて、辛いのにありがとう。誕生日の日に食べられなかったケーキを大急ぎでたいらげて、わちゃわちゃしながらタクシーに。運転手さんが気さくな人で、いい気持ちで乗れたの嬉しかったな。だけどタクシーに揺られながら、もうすぐ帰らなきゃいけないのかってずっと泣きそうだった。繋いだ手の温かさが切なくて、もっと一緒に居たいなあって考えてた。そういう時に限って帰り道はあっという間で、すぐ駅に着いてしまいました。駅で今回はホームまで見送ってくれるって聞いた時、手放しで飛び跳ねたいくらい嬉しかったよ。途中君を見失って焦ったけど合流できて、ホームまで一緒に行って。案の定泣いてしまったけど、いつものように抱き締めてくれて幸せだった。愛されてるんだなと思えた瞬間でした。しんどいのに本当にありがとうね。
会う度に好きが増していって、そろそろ爆発するんじゃないかと心配なんですが、それも全部受け止めてくださいね。重たいのも面倒くさいのも、ご愛嬌ということで。ウザがられる程可愛い、大好きって伝えさせて。次会うときは一緒にお風呂に入ろうね。約束ね。君が居てくれるから僕の生活は毎日輝いています。誕生日、一緒に過ごしてくれてありがとう。君の新しい一年に、僕との思い出も沢山増えますように。これからも隣で笑っていてください。心から愛しています。
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psalm80-lilies-iii · 1 year
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ぼくはいかにしてキリスト教徒になったか
内村鑑三の"How I Became A Christian"を「光文社古典新訳文庫」の現代語訳で読む。「不敬事件」の内村鑑三がキリスト教とナショナリズムをどう体験したか知りたくて読んだのだが……。
ぼくが生まれた国は、すべての若者に対して、国家の名誉と栄光への惜しみない貢献を求めている。そして祖国に忠実な息子となるためには、海外での経験と知識と観察が必要だった。まず一人前の男になること、そして愛国者になること、それが外国へ行く目的だった。
キリスト教国を正しく評価するには、何よりもまず、純然たるキリスト教と、教授たちによって装飾を施され、教養化されたキリスト教を区別することが肝心だ。
ぼくらがキリスト教を歓迎するのは、ぼくら自身の理想により近づくのに役立つからだ。
この本に一貫して流れている認識は「和魂洋才」である。「優れた儒学者」を父に持つ「ぼく」は「官立大学」で「意志と良心に反して」クリスチャンになったあと上に引いたような動機で1884年にアメリカに渡り、奉仕と大学生活と神学校でそれなりに信仰を深めたあと、ざっくり言えば「洋才の基礎はキリスト教、和魂の真髄もキリスト教」という感じの認識を持って1888年に帰国するところでこの書物は終わる。
そのあと内村は1891年にいわゆる「不敬事件」、言ってみれば「和魂の真髄」であるところの『教育勅語』に書かれた明治天皇の「御名」に最敬礼しなかったことをとがめられて「一中」を辞職する。『ぼくはいかにしてキリスト教徒になったか』の原書が出版されたのは1895年だとこの本の奥付にある(ウィキペディアによれば執筆は1892年らしい)から、内村鑑三という人が「和魂洋才」というスキームの中でキリスト教を捉えたのがもともとの思想信条から来るのか、それとも「不敬事件」以降の国粋的プレッシャーの中でのことなのかは分からない。
でも、「どちらだと思いますか」ときかれたら、ぼくは「前者ではないでしょうか」と答える。
*
この「光文社古典新訳文庫」版の解説は橋爪大三郎さんが書いておられる。ぼくはこの人がキリスト教について書くことがあまり好きではないのだが、この解説に限ってはまったくそのとおりだと思う。以下、少しはしょって引用する。
本書の題名「いかにしてキリスト教徒になったか」とうらはらに、内村鑑三はキリスト教徒に、なりそこねたのかもしれない。
ではどうなったか。内村は、「日本流キリスト教徒」になった。その特徴は、第一に、キリスト教とはなにかを定義しない。第二に、キリスト教徒に変わる前の、日本の伝統(仏教や儒教や…)を残している。第三に、外国の宗派・教会と絶縁し、日本国を愛して天皇を尊崇する。このようなキリスト教が世界で通用し理解されるのかどうか、私は知らない。しかし日本では受け入れられ、内村鑑三は日本を代表するキリスト者とみなされた。これは私には、たいへん奇妙なキリスト教に思われる。
内村鑑三のあり方を不思議と思わない日本のキリスト教は、それぞれの宗派・教会を解消して、大政翼賛会・日本基督教団に合体することに、表立った抵抗ができなかった。そして、戦争が終結し軍部が解体したあとでも、日本基督教団を解消しないまま現在に至っている。私から見ればこれは、キリスト教がなにかを定義せず、宗派・教会のあいだの論争を一切やらないことに等しい。こんなやり方のどこが、キリスト教の「正統派」なのだろうか。そういう奇妙さの原点が、内村鑑三の証言のなかに見てとれると思う。
*
内村は「和魂」、言い換えれば日本人としての自尊心、の範囲内で受容したキリスト教を「純粋なキリスト教」として、アメリカの教会や神学校で語られる「装飾されたキリスト教」と区別した。それは儒教から「忠」を教えられ「国家への貢献」を心に誓った日本人の青年としては自然なことだったろうけれど、キリスト教との向き合い方としては不見識、あるいは驕りと言わざるを得ない。
何が彼の不見識、あるいは驕りを正し得たのだろうか。
ひとつは神学における教会論である。教会はアメリカのそれであれ日本のそれであれ必ず文化的・政治的な存在でしかないことと、それにもかかわらず「聖なる公同の教会」はひとつなのだという「信仰」がキリスト教にはあるのだということのふたつを、内村は、教会なり神学校なりあるいは書物なりで学ぶ必要があった。「聖なる公同の教会」という言葉にいう「公同」とは「あらゆる場所で、あらゆる人が、同じ信仰によって、一致していること」なのだが、非常に残念なことに、特定の教派・教団・教会に属する教役者がキリスト教会の「公同」性について分かりやすく解説することは、今日においてもまれであり、ましてや「エキュメニズム」という思想のなかった19世紀末のアメリカでこうした「公同」性の説明に触れることは難しかったのかもしれない。だが「どうして世界中の人々がそれぞれの自国語で書かれた聖書を読んで同じキリストを救い主と信じることができるのか」という、ごくごく素朴な疑問を通してでも、教会の「公同」性を信じることはできたはずなのである。
もうひとつは神ご自身の介入である。アブラハムにイサクを焼き尽くす献げ物としてささげよと言われた(創22:1-19)ように、あるいはモーセを殺そうとされた(出4:24-26)ように、またバラムのろばの前に立ちはだかった(民22:22-35)ように、そしてバト・シェバとの間にできたダビデの子を打たれた(サム上12:13-18)ように、神は信じる者に「否み」を下される。その後の人生にあっても決して忘れることのできないような「否み」を通して、神はご自分を信じる者を「御自分の神聖にあずからせる」(ヘブ12:10)。そういう観点からいえば、信じているはずの神との間に裏切られる(ように見える)体験、あるいはペテロのように自ら神を裏切る体験、を一度も持たない信仰生活というのは、神体験としては「浅過ぎる」、というより「短過ぎる」のである。分かったつもりになっていたキリスト教が神の「否み」の前に分からなくなる、そういう体験を経るにはある程度の時間が必要である。内村鑑三は4年間の滞米中キリスト教的な環境にありながら、それでも聖書を全巻通読する機会は持たなかったようである(通読可能な聖書はあったはずだ)。これではキリスト教を分かったつもりになるにも「短過ぎた」のだと思う。神が彼の「和魂」の何を否まれ代わりに何を教えられるのか、明らかにされるには、彼の滞米は「短過ぎた」。それでもいいと思って彼が帰国してきたのは、おそらく彼には「和魂」、日本人としての自尊心を捨ててでもまことの神を追い求めようという信仰がなかったからなのだと思う。
*
こうして『ぼくはいかにしてキリスト教徒になったか』を通読すると、「国家への貢献」が最大の目的だった渡米から帰国して、内村鑑三が「和魂の真髄」たる『教育勅語』の前に自らの信仰を屈することになったのは理の当然であるように思うし、帝国主義時代の日本人に「和魂」を超えてまことの神を求める動機などあるはずがなかったと言われても「そうなのか」としか思えない。橋爪大三郎さんは解説の末尾で
単に基督者であることを越えて、内村鑑三は、明治を生きた日本人たちの自画像そのものなのである。
と書いている。それ以上の何かを、ぼくはこの本から読み取ることはできない。「和魂」のもたらしたものが「血と火と煙の柱」(ヨエ3:3)、そして死屍累々たる焦土だけだったということは、ぼくらが昭和人だから知っていることなのである。
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senkoutouyoku · 2 years
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UVカットのクリアを仕上げに吹きました。
UVカットのクリアだと日光に当たっても変色しにくいのかなと思い使用しました。
クリアは部屋に広がりやすいのでしっかり換気が必要です。
吹いてから1時間経ったのですが、白いモヤが部屋中にまだ広がってるような気がします笑
吹いた直後は雲の中にいるみたいで中々危ないです。
自分のはクリア筆塗りでもいいかもしれない…?
偏光具合が分かる様に動画で撮ってみました。
今回使った塗料はマジョーラのアンドロメダⅡです。
偏光具合は青→水色→光に当てると紫
黒ベースに塗ると、ザ!マジョーラって感じでギラギラした色合いになるのですが、
今回は薄紫ベースなので、ヨーロッパのクリスマスの飾りみたいな可愛い偏光具合です。
塗料はlutamestaさんからプレゼント返礼品として頂いたもので、実際にlutamestaさんの着ぐるみ作品に使われているものです。
lutamestaさんのバキバキが増えて欲しいというお言葉に甘えて今回の爪に使ってみました。
今まで偏光のシフォン系の布などを使って爪を作っていたので布とは別素材の爪を作るのが楽しかったです。
偏光塗料は重ね塗りしてる時が楽しいです。
着ぐるみの爪の作り方は、爪を短毛ファーやストレッチボアで作る方法が多いのかなと思ってます。
私も以前は上記の方法で作っていました。ぬいぐるみみたいで可愛いですよね。
今回は偏光塗料を使った爪なのでいつもと一味違った着ぐるみが出来ると思います。
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doglok · 6 months
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プレゼント開封にワクワクが止まらない猫が可愛すぎる! 短足マンチカンの男の子、プリンとメルです! ずっと愛用させていただいている、ITS-LAB様の爪研ぎ。 メルのうちの子記念日に ... via YouTube https://www.youtube.com/watch?v=gacbZWxnlnY
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furoku · 6 months
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shukiiflog · 10 months
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ある画家の手記if.4
「ーーーーうっ、く…」 耳障りな嗚咽と一緒に戻してしまったものをぼんやりと見て、それを水で流してしまいながらふらふらと立ち上がる。 口元をタオルで拭いながら部屋の隅までいってベッドの脇に崩れるように座りこんだ。 こうしている場合じゃないな、と時計を見て時間を確認する。 もうそろそろ病院は昼食が済んだかな。
最近はいつも頭の中が忙しなくて、沢山の人声がこだましている。 もっと静かだったはずだ、僕に関係ない音は僕にまで届かないもので、目の前にいる誰か以外の声はしなかった 目の前にいないのなら誰もいない、僕に見えないどこかにいることは僕には関係がなかった そして静物は喋らなかった。僕の世界はずっと静かだった。
ーーーー直人が ーーーー死んじゃったかと思った ーーーー怖いよ
うん お前の言うとおりだね
「聞いたよ。退院にはあと一ヶ月かかるんだって?」 「うん…大袈裟だよね」 「そう言わずにのんびりするんだね」 「のんびり……。」 香澄は怪我と心的外傷も加味して一ヶ月間ほど病院にいることになったそうだ。 本人はそれをあまり有難そうにはしていない。 とりあえず寝かされた個室の中にはまだ香澄の私物は一つもない。 「要るものがあったら僕が買ってくるよ」 「あ、財布……俺のアパートに少しなら「くだらないことを気にしてないでちゃんと休みなさい」 「う……。」 入院費も僕が払うつもりだ。面倒だから貯めすぎないように情香ちゃんにプレゼントを買ったりして使ってきたけど貯金はそれなりにある。 「なにか欲しいものはある? そういうことは僕より彼女のほうが手際よくしてくれるかな」 「彼女…」 「この前会った子。可愛い人だったね」 「…俺、あの子とは別れたんだ」 「いつ?」 「この前、直人の部屋に泊まってったあと…かな」 「…どうして?」 香澄はなにか言おうとしてやめると、少し考えるようにどこか遠くを見た。 「………………フランケンシュタイン…」 「ん?」 「………あ、あの、買ってきて欲しいもの、一度読んでみようかなって」 「いいよ、買ってこよう。でも少し怖いかもしれないよ、眠れなくなったりしないかな」 「俺は直人みたいに怖がりじゃないよ」 二人で見たホラー映画。 春の夜。なぜだか香澄は電気を消すし、たまに映画も見ていなくて上の空だったりして僕ばっかり画面を凝視して怖がっていた。 あの頃香澄がなにを考えているのか僕は知らなくていいと思っていた。 「香澄があんな厄介なものを持ち込むからだよ、見ないわけにもいかないじゃないか」 「…嫌なら嫌って言わない直人も直人だよ」 「お前は……」 だんだんふてぶてしくなってきたね。 前より俺は好きだけどね。 上着のポケットに手を突っ込むと指先に触れるものがあった。手にとってポケットから出してみる。 タバコの箱とライターだった。 「直人、吸うんだっけ」 「ああ、いや…僕のじゃないよ」 友人のものだ。ここにくる前に少し寄ってきたそこで ーーーーおめでとう ーーーーお祝いに一箱あげる ーーーー吸えばいいのに、似合いそう 壁を見回すとすぐに目に入ってきたタバコのマークに斜線の印。流石に病室では吸えないか。 ポケットに二つをしまい直すと、本を買ってくると告げて香澄の病室から出た。 廊下を出てこれまで意識したこともなかった喫煙所を探して歩き回る。 ようやく見つけた狭いスペースに入り込んで、タバコの箱をトントンと軽く叩いて拙い動作で一本取り出して口にくわえる。 ライターだけなら油絵の具を溶かすためによく使ったからその要領でくわえた先に火をつける。 ジリジリ焼けて白くなる先端を見ながら煙を吸い込む「っ、」思わず噎せて軽く咳き込む。 喫煙所の中でこれだけ不慣れで挙動不審な喫煙者もいないだろうな。 でも口内に広がる匂いも味も好ましいものだった。 それを暫くの間そっと、緩やかに喉に通していった。
本屋に行って、指定された本以外にも香澄の暇つぶしにといくつか余計な本も買い込む。 隣にあった花屋で病室にそのまま置けそうな花がないか見ていて、なんとなく気になったものを手にとる。 鉢植えは入院患者には縁起が良くなかったんだったかな、詳しくないので構わず買ってしまった。
「はい、ご指定の本と、一冊じゃ味気ないかもしれないから全然違う本も混ぜたよ」 香澄は礼を言って紙袋を受け取った。 手に下げていたもうひとつの紙袋から、サイドテーブルに僕は5センチほどの小さな鉢植えを置いた。 「………サボテン?」 「うん。香澄が寂しくないように」 ベッドで身を起こしている香澄は自分の横に並んだミニサボテンをじっと見つめている。 「…………」 「…………」 「………邪魔になったら捨ててもいいから」 あまりに無言で長く凝視する香澄を見て思わずつけ加えた。 「……直人…タバコ吸ったの?」 うーんやっぱり匂いが残ってたか。僕にはとても誤魔化せそうにないので白状する。 「少しだけ……。なにか、したことないことをしてみようかと思ったんだけど…」 手近なもので済ませすぎた気がする。今更、幼稚な発想だなと思わなくもなかったけど ーーーーおめでとう 「41年前の……今日が、  僕の生まれた日だ」 香澄はなにも言えずにいる。僕が、あまりにも言葉に似つかわしくない億劫で気鬱な空気を出してしまっている。 それでも続ける。呼吸が浅くなるのを感じながら。 「……正確な日付は、戸籍ではあと少し先だ。出生届を出すのが遅れて」 生きるか死ぬか曖昧なところを生まれてからしばらく彷徨っていた。 「僕が産まれたことを………喜ばない人も………」 ーーーこんな話、息が苦しくなるだけでこれから生きていくのに関係ないと思っていた。 過去なんて語ってもつまらない、まるで僕がなにかを赦されたくて言っているだけのようで心底気分が悪い。 でも毎年この日から誕生日までの短い間、僕は必ず体調を崩す、それを隠しながらここへは通えない。 ずっと上っ面だけ傷つけ合わない優しい言葉を交わしていたかった。香澄はそんな風に振る舞う僕をそのままにしておいてくれたけど ーーーーーそれじゃ寂しいと、僕の中の何かが騒ぐようになった。 「ひとが…産まれてくることが怖くて、僕は……」 「怖くて…それだけで命を……奪ってしまったことも…………」 取り返しのつかないことをした。 赦されたいんじゃない、受け止めて欲しかったのでもない、ただ話すのが困難なことを、煙を喉に通すよりずっとずっと困難なことを、僕が先に口にしなければ香澄もきっと永遠に口にすることはないだろう。 引っ掻かれた肋の爪痕がじわりと痛む。 ベッドの上、香澄の目の前に腰かけて香澄を囲むように手をついた。 「僕は……お前にも同じようなことを強いてるんじゃないんだ」 僕が吐いた分と同じだけお前も吐けなんてことを言ってるんじゃない。そんなことは望んでない、ただ 「教えてほしい…… お前のことが、知りたいんだ」 「お前はどうして僕に優しくしたの?」 僕には優しくなかったそれを、お前はどうしてただ繰り返したんだ 僕を見ていれば分かったはずだ 相手の姿を無視してまで、お前がしようとしていたことはーーーいつから始まったんだ? 「…………」 ベッドの上で両膝を抱えて、首を項垂れると香澄はそのまま身を強張らせた。 僕は香澄のほうへ腕を伸ばして、自分の体にタバコの匂いが染みついていることに一瞬躊躇ったけれど、香澄の体をそっと上から包み込むように抱き締めた。
続き
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