冒険の釣り(8)
茶臼岳展望台の足下に丸い姿を見せる夜沼までは、一跳びすれば降りられそうなほどの急傾斜で、さほど太くもない背丈ほどの木々が根を下ろして枝を張り巡らせている。師匠は、これらを掴んで斜め降りすれば私でも大丈夫と言い、息子は腰痛持ちの私には「無理は禁物」と自重を促している。途中で腰の痛みで身動きできなくなったらと考えれば、自重するのが賢明と「夜沼川から夜沼まで釣り登るルートに再挑戦したいな」と話を切り上げる。
「もうそろそろ昼だ。松川まで行って昼食にしよう」との柴田の言葉でアスピーテラインを下り、松川渓谷の紅葉に包まれてのバーベキューで去年立ち寄ったサービスエリアに着き、夜沼で広げるはずだった昼食にする。食事しながら師匠が息子に「もっと釣りたいだろう」と訊くと息子は「釣りたいです」「それなら食後、安代に行こう」「近いんですか」「30分ほどだよ」冒険の釣りは不首尾に終わったと諦めていた私に代わって、師匠が息子の心情を汲み取って提案してくれたのだ。そこで柴田と別れて安代に向かう。
師匠は「��処にする?」と私に訊くから「天然の生簀に行きましょう」「そうだな。あそこなら間違いなく釣れるな」二人の遣り取りを聞いていた息子は私に「生簀?」と怪訝な顔で訊く。彼も師匠に連れられて一度か二度行っているはずで、二人が生簀と呼ぶ場所までの道や、山中の状況を細かく説明することなどできないから「行けばきっと思い出すよ」とだけ話す。
山道に車を停めてブッシュを掻き分けながら生簀を覗いても今日はイワナの姿がない。師匠はブッシュをかき分けて歩いた跡を見つけ「誰かが釣りに入ったようだ」「でも、全部釣ることなどできないでしょう」と言ったが、姿が見えないのは不安だ。生簀の下流の曲がりを指して「あそこにはいつも大物が二匹いますよ」「そうだな。あそこなら確実だ」「場所を教えてやって下さい。私は生簀をもう一度見ます」師匠は生簀の下流に息子を導いて行く。
生簀をしばらく見ていると黒い影がスッと倒木の下に入る「結構大きい」もう一匹が手前にも居るから、下流に向かった息子を呼び戻そうと顔を向けると、二人の会話は釣りを始めたと教える。真剣に向き合っている所を邪魔してはいけないと思い直し、倒木の下に潜り込んだ大物を狙おうと、倒木の下に餌が潜り込む位置を狙って餌を落して流し込むと、今日の最大サイズを釣り上げる。息子は「逃げられた。今日はダメだ」と言うが、久々の釣りで感覚が鈍ったのかもしれない。冒険の釣りはいつもの生簀で幕を閉じた。2017.9.15
0 notes
合法風俗 in 池袋
2017/1/19
無趣味童貞低所得フリーランス25歳が逝く風俗体験レポート
会社を辞め、彼女とも別れ、ヘルメットもパクられ、
失うものなど完全に無くなってしまい無敵となった2016年最後のドにはある考えが過っていた。
"長髪お姉さんに、髪の毛をかきあげながら口でコンドームをつけてもらいたい───…。"
片道¥1,700-という破格の夜行バスにて、低所得でみみっちい器の小さい童貞は東京へと繰り出した。
実は言うと東京へ来たのはそれなりの理由がある。金が無く無駄に健康体と休日がある人間にぴったりの治.験を受けに来たのだ。
向上心が無い単細胞のカスプログラマーなので、次の職場までの休みの間にやることが治.験で小遣い稼ぎしか思いつかなかった。
3泊4日の入院で他は何もしなくても良く、それで7万円がもらえるという内容だったのだが、
エロナース好きのドにとって、4日というのはあまりにも惨く残酷な日数だった。
実った果実の如く膨らんだ臀部が、パリッとした白い布から突き出した様を毎日横目でやりながら、
まだかまだかと言わんばかりに、己の愚息が日々怒張していくのを感じた。
2,3日目かで、我慢を知らないゆとり世代代表のドは早速、同部屋のメンバーに感情をぶちまける。
「東京の風俗街ってどこ行ったらいいですか?」
年下でありながらも業界には手練れな一人の大学生が早速、池袋の「南の島」は最高だったと高飛車な様子で答えた。
大学生にマウントを取られると異常なほど癪に障る。
その日の就寝前の少しの間に、「南の島」のサーベイを行ってみると、ピンサロということが判明した。
風俗経験が年齢に伴っておらず、ピンサロは未経験でアルコールが出るというイメージだったのだが、どうやら出ないようだ。
ただ、オープンオフィスが嫌いな通年引きこもりタイプのコミュニケーション欠乏症のドにとっては、あの仕切りが薄いオープンな佇まいのピンサロはどうも苦手意識がある。
難しいことはすぐやめるをモットーに生きているので、南の島はまたの機会へとすることにした。
待ちに待った出所日、報酬の7万円を手にした。
人から50万円という多額の借金を抱えている身だが、僕は性格が最悪なので、今の心境から最高の2017年にするための報酬の使い道についてはもはや天秤にかけるまでもなかった。
出所後に早速、入院中にたまりたまったヘソ垢や、皮膚から湧き出る脂性特有のガンコな油膜をスーパー銭湯で念入りにゴシゴシと洗い落とした。
僕は性格が最高なので、嬢の立場で考えることを決して怠らない。
ただ、久々のヘルスからか緊張で普段よりも手汗が滲み出る。なんとかならないものか。
ヘルスを体験するに相応しい身体に整え、早速向かうヘルスを決めるべく、画面が手汗でテカりついたスマホでサーベイを行おうとしたが、
帰阪の夜行バスの時間までかなり押していた。段取りの悪さも童貞の要因である。
ひとまず、風俗街である池袋へ向かうバスに乗り、移動中の間もない時間で迅速なサーベイを、気持ちの悪い指さばきで行う。
開始して数分、とある店名が目に飛び込んできた。こ・・・これは・・・。
バスを降り、軽く飯を済ませた後のドの脳裏に繰り返し過った欲望、
"長髪お姉さんに、髪の毛をかきあげながら口でコンドームをつけてもらいたい───…。"
念願の目標を達成すべく、ヘルス店に向かう前にコンドームを探す旅に出た。
無い、無い…コンドーム経験が年齢に伴っていないドにとって、コンドームを購入することは初めての経験だった。
コンビニ、薬局…恐らくおいてはあるだろうが、陳列されている箇所が全く分からず、焦るその様子は、自然と気持ちの悪いオタクを象徴とする速足となっていた。(店員さんに聞くという発想は微塵も出るはずが無い)
で、結局見つけたのはドン・キホーテだった。
これは完全なる偏見だが、ドン・キホーテにくる客は毎日ヤクでキメセクしてるようなやつらばっかりなのはなぜなのか。
そういう客に肩でもぶつけると殺されると思い込んでいるドは、細くて狭い通路を、上りに上がった肩をさらに上げチビチビと移動し、リラックマのコンドームを購めた。
リラックマでも交尾をするのだから童貞にとっては情けない話である。
歯並びの悪いコンプレックスの口を少しでもよくするために、念のためフリスクも買った。
外はいい天気だ。鳥は楽しげに歌い、花は美しく咲きほこる・・・。まさに、俺みたいな童貞が・・・
長髪のお姉さんにコンドームを装着されるにぴったりの日だな。
万全の体制で、調べておいたヘルス店へ直行する。
そして、ヘルス店の名前は、「にゃんだ☆full☆MIX」。
僕の風俗経験を知っている知人であれば、「にゃんだフルボッキ」を彷彿とさせる感慨深い名前だろう。
当店名が飛び込んできた瞬間、脊髄反射の如く向かうことを決定したのだった。
それが、なぜなのかは自分でもわからない。自ら過ちを繰り返そうとするのだから──…。
時間も無かったので、今回は予約しなかった。
勤務している嬢は比較的若い中、年上が好みなので、理想のお姉さんを指名しようとしたが1時間待ちだった。
この際、リードすることを習得しようと決意し、初々しさがある年下を選ぶことにしたが、
攻めが得意な少しギャルッ気のある嬢をあまりにもボーイが勧めてくるので、
向上心の無い意思の弱いクソ童貞は「あ、じゃ、それで」と返答。
指名のホテルへ向かい、古びた室内で嬢を待つ。
実は受付型のホテヘルは初めてなので、どれぐらいで嬢が来るのか分からなかった。
15分経っても来ないので、心配性のドは焦りも混じった気持ちの悪いしゃべり方で「ま、まだですか」と店に問い合わせた。
しばらくしたら来るようなので、続けて待つ。
そして、待ち続けた結果先に到着したのは、ゴキブリだった。2017年の開幕は早くも暗かった。
ゴキを蹴飛ばしそうこうしている間に、玄関ドアのノックが鳴った。
「あっ、今で、で、でます」
緊張から来るキョドり声で迎え入れた。相変わらず嬢に対して敬語なのは治らない。
「よろしくお願いします~」と、嬢が入る。
咄嗟に僕は固唾を飲んだ。
ギャルッ気を落としたイメージの良い化粧、豊満なスタイル。そして茶髪のロング。
パネルよりも遥かに印象が良かった。過去の悪夢の再来とはならないとここで確信を得た。
そこまで時間が無いことと、童貞ということを伝え、早速服を脱ぐ、が、欠かせない要求を一つ出した。
「服の上から胸揉んでもいいですか?」
快くオッケーを出し、揉みにかかる。服の上からという背徳感が、我慢の限界に達した愚息をさらにグググッと刺激させる。
ちなみに、童貞と伝えた際には「えっ!そんなイケメンなのに!」と言われた。
これにはもはやもう驚かない。なぜなら #明るいイケメン化計画 の効果は幻想では無いのだから。
通例行事のイソジン、シャワーへ移行。
嬢が手にボディソープをつけ、醜い童貞の身体をはべらせる。
「うっ・・・あっ・・・」
やわらかい皮膚で触られるだけでも、さらに愚息はドッ…ドッ…とエレクチオンを加速させる。
嬢の手が乳首付近を這わせた瞬間、愚息が別の生き物の如くピコンッとはねあがり、
先端で嬢のヘソの凹凸を感じ取る。
「すごい反応・・・もう我慢できない感じ?」
そういわれるがまま、玉袋と竿を念入りに洗われる。
「あ・・・あかん!で、でます」
少し触れられただけで、4日塞がれた栓がシャンパンのように取れ、とめどなく子孫が溢れ出た。
まだまだイケることを伝え、残り時間はベッドの上で過ごした。
攻めが得意と聞いていたので、さっそくフェラチオを要求した。
人は学び続けなければならないので、惜しげも無く60分コースの¥19,000-にしたのだが、
テクについてはそれに釣り合う申し分のないものだった。
仕事も彼女も失った腐れきった身体をベッドの上で大の字にし、至極のフェラを堪能していると、
ふと、嬢の頭に目をやった。
(「か・・・髪の毛・・・」←髪の毛好き)
あまりにも理想な髪の毛だったので、
(最近だったら、ラジエーションハウスのアンちゃんみたいな髪型が好き)
耐えきれない欲望をグッと抑え、僕は性格が最高なのでまずは断りを入れた。
「髪の毛を触ってもいいですか?」
これにも快く即オッケーで、汗ばんでギトギトになった汚い手でやさしく、指通りを堪能する。
すると嬢が「エクステ(エステク?Sテク?)つけてるから・・・」と放った。
女性経験が年齢に伴って無いので、なんのことがさっぱり分からなかったが
「あ、ああなるほど~」と苦し紛れにやり過ごした。
愚息の勢いはとどまるところを知らず、至極のフェラチオですぐにでも果ててしまいそうだったので、
「ちょ、ほ、待って…バ、バック素股てできます?」と、性懲りもなく���回のヘルス体験と同じプレイを要求。
「ん、どうやるんだろ・・・とりあえずやってみます」というので、
僕は得意げな面持ちで体勢をリードしてあげる。
体勢が完成し、いざ腰ふり!と勢いづいたが、
いざ始めて見ると、すぐに初老のじいさんのような息遣いで、へえ・・・へえ・・・と言いながら腰を振っていた。
明らかに体勢が間違っているようなので、もういいやと思って、
僕は性格が最悪なので自分が一番気持ちよくなれるフェラチオに戻してもらった。
「グッ・・・出ッ・・・」
と、同時にアラームも10分前の声を漏らした。そこで当初の欲望をふと思い出した。
"長髪お姉さんに、髪の毛をかきあげながら口でコンドームをつけてもらいたい───…。"
いったんフェラチオを止め、買っておいたコンドームがあることを伝え、
コンドームを付けたことが無いから練習させてほしい体(てい)で付けてくれるか懇願したところ、
なんとこれも快くオッケーを得た。金は出すものである。
(皮オナばっかりやってる童貞なので、実際に付けたことが無い)
早速実行に移す。表裏からの説明、初歩的な知識を学ぶ。人は学び続けなければならない。
そして、装着フェーズへ移ったが、なんと手でつけられてしまった。
しまった、口でやってもらうことを要求し忘れた。2月から新天地で仕事なのだが、先行き不安である。
そして、あまりにも講座的な流れとなってしまい、
全く痛くも無く、問題なく装着できたが、直後、空気の抜けたビニール風船のように愚息がしぼんでしまった。
消化不良は避けるべく、再度全身リップからのフェラチオにて奉仕いただき、
なんとか時間内に満足の行く絶頂を迎えることができた。二回も男汁を出した。
男汁は自分の胸まで飛び、2回の絶頂の疲れからか、あまりにも情けない姿に落胆し、
さっさとシャワーを浴びて帰阪の準備をした。
うまくいけば挿入…までの淡い期待を抱いていたが、呪われたこの愚息はその願いを拒み続けた。
だが、総合的な結果として、十分に2万円弱の価値はあった。
何かもを失った男、ド。
帰りのサービスエリアで吉野家の牛丼を食いながら、
2万円で得た最高の体験を何度も何度も反芻し、心に空いた穴を満たしていった。
夢を夢で終わらせない。
おわい
1 note
·
View note