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#丸目ハイエース
msbar1973 · 1 year
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2時間で半分ちょっと💦 天井の汚れが思いの外、こびり付いてて長い柄のスポンジでは取れず ボディにへばりついてビショビショになりながらスポンジで🧽擦り洗い。 #ハイエース #ハイエースワゴン #トヨタ #hiace #hiace200 #hiacewagon #toyota #flexdream #fdclassic #fdbox #fdcamp #fd_classic #fd_camp #vanlife #丸目ハイエース #ガルシア #ガルシアシスコ #garcia #garciacisco #yokohama #geolandar #車中泊 #fcl #craftplus #洗車 https://www.instagram.com/p/CpWX0u1PhY_/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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ichinichi-okure · 8 months
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2023.9.14thu_tokyo
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昨晩は疲労困憊なのに百万遍を歩き回ったのち村屋※で飲んだ 帰りに天下一品に寄ったせいか 今朝は二度寝していた
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二度寝して現場に到着
午前中はトイレ前にあったデカい鏡を移設する準備をしていた ラジオは「今夜アレになる」「18年ぶりのAREだ」と繰り返す
鏡を取り外すと朽ちた内壁がバリバリと剥がれたので修復 車があるうちに2枚多めに合板(畳サイズ)を買っておいてよかった
京都「西ノ京」に開店する珈琲ヤマグチ※の工事を請け負っている 最高気温が35度を超えたことを意味する猛暑日は37日を数えた
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クライアントと友達
午後は昨日に引き続きクライアントが友達2人と助っ人に来てくれた ニュージーランド在住?サービス業従事者&僕の母校の教員
クライアントは真名美という 5年位まえ僕の飲み屋の客だった 真名美が現場に来るとアイデアを伝えてどう形にするか相談する
京都入りしてから2か月と1週間が経つ 7月7日に銭湯で買った石鹸はすっかりちびてしまった
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7月8日天井落とし
今日はこういうかたちで「回想」することをみとめられたので 日頃反芻していた言葉の断片を1行31文字以内で書き留める
高井戸ICからイッチー※のハイエースに工具を満載し片道460km 物件は元米屋でその前はパン屋 餅屋いずれも貸主の商売だった
東京から京都へたった1人で移住した借主の行動力に感服する 工事の相方で師のイッチーと真名美で3人であちこち飲み歩いた
METROでのGiftやKyoto TSUBAKI fm 3rd anniversaryは楽園だった 京都にいる内にできるだけ多くのリスニングバーやクラブを回りたい
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DJで一級建築士のタムラさん(DoitJAZZ)
築90年の町家建築を相手に序盤のほとんどは解体で難儀した 天井を落とし壁をめくり床をこじあけた裏側に幾千の生き物の痕跡
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イッチーと彼が連れてきたアルバイト
仕事終わりには若松湯で埃りと汗を流している 町場に用事があればその周辺の銭湯巡る 10数軒は回ったか
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文化財で銭湯にプチ遠征
ひと月かけて執り行われる祇園祭にも少し詳しくなった 通りの名前も徐々にしみついてきている
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祇園祭はカッコよかった
コーヒーを淹れる台は材木屋で50年眠り続けたラワンの一枚板 材木屋は現場の近くにあり親切※美大関係者へのサーヴィスが手厚い
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材栄さん
京都入りと同時に2級建築士製図試験対策の日曜講座に通い始めた しかしオンもオフもやることが満載で宿題の半分もままならなかった
めくった壁から90年前の大工さんがつくった壁がでてきた 新しく造る壁と並列させて見えるように設えている
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A剥がして現れた壁
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B古い壁と新しい壁
8月22日 イッチーはトリツカレ男の店番と都立家政での新しい 案件に着手すべく一足さきにハイエースに工具の半分を載せて帰った
いったん東京に戻り9月10日に製図試験挑んだが十中七八アウトだ 12月7日に結果が出る そのころには珈琲ヤマグチも板についている
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二級建築士製図試験問題
言葉を尽くし手を動かし工夫を重ねた内装工事も終盤 準備した200枚の名刺は徐々に京都人たちの名刺に換わっている
いろんな店で顔なじみになり「工事終わったら帰りはるんですか」 惜しんでくれるのは嬉しいが工事はあと1週間半くらいで終わらせたい
サウナで声をかけてくれた51才の紳士は音楽通だった いまやかけがえのない京都のともだちになっている
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レコード棚も造っています
場所柄外国人とも酒を酌み交わした フィンランド人、チリ人 トルコ、中国人、モンゴル、アイルランド…7か国位?
芸大(先端芸術表現科)の同級生や先輩とも久しぶりに会えた なぜか同級生の2人が医師免許をとっているが明日その彼らに会う
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先端の先輩が自転車に載せられる美術館をつくっていた
16時半 真名美は同級生と自然派ワインの店coimo wine & cafeへ 僕は若松湯のラジオで阪神タイガースの優勝の瞬間を見届けた
最寄りの定食屋兼飲み屋「たいたん はちべゑ」へ行くと 「あとアウト1つやで」と狂喜乱舞するファンに迎えられた※
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あれに乾杯
京都でピザ屋を開きたいという同い年の夫妻に出会った※ 早く眠るつもりがCOMOGOMO JURAKUで2人の夢を語りあった
もしかしたら彼らの店を造ることになるかもしれない 25時 今日も倒れるまで眠らなかった
灼ける盆地の風にも秋の成分がだいぶん添加されてきた もう猛暑日の38日目をカウントすることはないだろう
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イッチー、フィンランド人のイラリくん、やぎ
ーーーーーーーーーーー 注釈
※村屋 出町柳のカオスな飲み屋。自然派日本酒が豊富。
※珈琲ヤマグチ 現在自家焙煎コーヒーのオンライン販売とイベント出店。 2023年9月現在。中京区西ノ京左馬寮町にて喫茶店を開業予定。 御前丸太町下ル 若松湯東入ル。 https://www.instagram.com/_3_yamaguchi/
※イッチー 高円寺のタパスバー「トリツカレ男」店主。 2017年末この店をイッチーが造っているのを手伝わせてもらったことが 僕が内装を始めたきっかけのひとつになっている。 https://www.instagram.com/toritukareotoko/
※親切な材木屋 材栄 https://zaiei.shopinfo.jp/
※阪神タイガースのリーグ優勝 日記の中にアレの瞬間が2回あるのは ラジオ放送に遅れてテレビ放送がついてくる。 タイムラグは2分近くあったと思う。 その間検閲できちゃうのでは?という時間差。 ラジオは昔も今も最速のメディア。現場でもラジオが相棒。
※ピザ屋 ヨロシクピッツァ。 ポップアップ出店と窯ごと出前ピザしている。 https://www.instagram.com/yoroshiku_pizza/
※COMOGOMO JURAKU 現場から近いし深夜遅くまで開いているので 製図試験対策で力尽きたらここで晩酌していた https://www.instagram.com/comogomo_juraku/
-プロフィール- やぎ 38歳 東京 とんち造作計画・内装業
ペーパードライバーの個人事業主の内装業。 店舗設計、解体、壁の造作、什器製作、左官、給排水配管 などおおよそ全て自前で施工している。 佐橋※介。※の部分を景に替えてお読みください。 http://instagram.com/tonch_keikaku/ http://tonch.tokyo/
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otome-ism · 3 months
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ハイエースにカーテンを装備
いくらスモークフィルムを貼っても、夜間に室内灯で活動していると外から丸見えなので対策をする。
前部は仕切りのカーテンを引き続き使用することにして、後部については以前はアイズ・マルチシェードを使用していたが、吸盤がたまに外れるのと、外した際に結構かさばるので今回は常設のカーテンにすることにした。
カーテンレールを自作するのも面倒なので今回は車両購入先のFLEXのカーテンを取り付け。
工賃が結構かかるのと、カーテンの遮光性がいまいちなのが難点かもしれない。外から見えなくすることを一番にしたいので遮光については目をつむろう。
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製品としてはプリーツもきれいなので取り付けた後は工賃のこととか忘れるんだけど。
で、前部については一緒に頼もうとしたところフリップダウンモニターを避けるのが結構大変で、デモカーを見て取り付けに納得がいかなかったので自作でレールを取り付けることに。
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以前のカーテンレールは商品が終売しており、手で曲げられるレールを中国から調達。黒いレールってのもよかった。ちなみに一度曲げに失敗して2本目の購入。
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前回失敗したレールの端材でフリップダウンをギリギリで避けるライン取りをしたので、そのレールに合わせて曲げる。ちなみにキャンプ用の鍋がRを作るのに重宝した。
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とりあえずキレイに完成。あとは現物合わせをしていく。
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両端とも長かったのでカット。結局カットした分を測ったらもう少し短く買ってもよかったかもしれない。
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天井にトグラーを入れてビス止め。モニターを回避したところはモニターベースにビス止め。FLEXのは天井にレールを這わせていたので、モニターを大きく迂回させていたのが気に入らなかったのよね。これならモニターをキワで避けられるので大満足。
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カーテンを取り付けてみた。Bピラーに沿っていないのでそこから光が入ってきてしまうので、後でジャンパーボタンでも取り付けておこう。
レールを2回買ったけど、取り付け位置も価格面でも満足なできとなった。
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ganbarimasune · 1 year
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2023/04/26
「ここで死んでも丸一日邪険にされて終わりですから」ホームの黄色の内側へ行こうとした彼の腕をそうやって強く引いて真後ろの待合室へ放り込んだ。待合室に数人いた人たちは私達の方をギロリと見てまた、手元のスマートフォンに視線を戻した。一名のみこちらへ体の向きを変えていたのできっと撮影し出したのだろう。それで良い。腕の力で体勢を直そうとする彼を優しく戻す。目線をあわして彼に近づいて、ほらねと言う。そして、少し考えてなるべく自然に、お茶でも飲みに行きますかと思い切って彼の頬を触りながら言った。彼が驚いて私の手を取る。それを見て、ゆっくりと立ち上がり駅を出た。
しばらく歩いた後、停められていたハイエースに乗り込んだ。
その車両の中で、社員の1人から茶封筒を手渡される。このバイトは異様に割りが良いので続けているがなるべく早く辞めてしまいたいと思っている。インターネット上で化粧や格好で変えているとはいえど自分の姿を見た時の感情は名前のつけられないような不安がある。
車窓からは桜の木々が見えた。この季節になると公共交通機関から、こんな様な依頼が来るらしい。言わされていることに共感はしているが、こうもしてまでか。と思う。 
ふと隣の彼の顔を見ると、先ほどまで儚い顔をしていたそれは今では封筒の中身に夢中の様子だった。
春はこの様な依頼ばかり。
我々のこの様な活動が、人間の自分のことも考えられなくなった様な不安を忘れられるように、冬のうちに色々と案を捻り出すのだ。
夏のうちは、あちこちに出て観光地の集客に周り、夏が終わる頃に募る不安を逃すためにもう一度この様なことをする。秋には文化芸術の振興に力を注いで、冬には雪国に連れて行かれたり、環境を変えられる様に、別れへ背中を押すのだ。今年もきっとそうだろう。
早速上げられてるじゃん、ともう1人の社員が声を上げてノートパソコンをこちらへ向けた。。運転している社員もすごいじゃん、と言って笑った。隣の彼は「ボーナス出ますかね」と顔をあげた。
だから私は皮肉を込めて「これで何人が生き延びますかね」と積んでいた自分のカバンに茶封筒を押し込んでやったのだ。
なんて単純な人間なのだろう、と思った。が、きっと人間はこうでいいのだろう。と私の中の結論がそう言っていた。
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asaokinai · 1 year
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2023年2月
・2/2 夕方くらいに家を出て、下北で映画を観ようとしたけど、気分が乗らず結局はしご酒...。未郁が買った古着のスウェットがかわいかった!
・2/4 午後からヨガ。久しぶりにいつもの3人が揃った気がする。終わったあと、いつもの喫茶店に行き、本当にくだらなすぎる会話だけで気づいたら3時間が経っていた。お菓子ランキング教えてと、わたしが言い出したのに自分は決められなくてごめんね笑。
・2/5 お昼ごはん、未郁がつくったドライカレー。彼が作るカレーは、どんな種類もどんどんアップデートされていくので毎回感動。2人で本棚を整理して、近所の【ゆうらん古書店】さんへ。初めて行ったのだけど、丁寧にセレクトされていて、感動...。わたしはそのまま日本民藝館に柚木沙弥郎展をみに。近くにあった古着屋さんがかなり好みでした。色々と試着させてもらい、おもしろいかたちのボトムスを購入。そのお店は、次々にお客さんがやってきてみんな買い物して行って、その光景が素晴らしいなあと。下北に戻って、1時間ほど本を読んで帰宅。今日は少しあたたかった気がする。
・2/6 夜、行ったことのないお店に飲みに行ってみよう!と初めてのお店2軒+行ったことがある1軒ではしご。近所に街のいいお寿司やさんを見つけられてうれしい。常連さんもいい感じでした。それにしてもわたしは昔から1人で飲みにいく文化がないし、開拓したいという冒険心もない…そもそもこれは度量の小ささの問題なのではないのか。
・2/7 なんだかあたたかく感じた日。
・2/8 ぼんやり物件検索(趣味の)。そういえば、この前物件を検索していて、いいなって思ったところを、見てここ理想〜という感じでスマホを未郁に見せたら、なんと未郁のおじいちゃんとおばあちゃんが昔住んでいた家!ということがあった。一致したのは同じマンションということだけで、部屋こそ違ったものの、こういう偶然ってすごいよね。田舎育ちのわたしは、実家やおばあちゃんの家が変わるということを経験したことがないし、想像もできない。縁がある家に自分が住むことになった、ということも起こりうること。ひとつに留まらない、軽やかさ、いいなあ。
・2/9 原稿3本。
・2/10 朝から雪。朝、未郁を駅まで見送った。
・2/12 ゆいさんとはぎのと渋谷のロイホ。渋谷のロイホは、アイスコーヒーとパラダイスティー、オレンジジュースがピッチャーに入っているのが、たまらなくいいんだよね。いちごのパフェを食べると意気込んでいたつもりが、着地したのはコーヒーゼリーサンデーでした。歩いて明治神宮へ。会うたびにはぎのの成長を感じて、毎回感動。
・2/14 バレンタインのギフトを買いに、夕方新宿へ。伊勢丹の地下が恐ろしいほど混んでいた。ちょっとしたお祭り気分。まだまだ買い物しようと思ってたけど、未郁からTEL。いま世界堂出たとこと言うから、新宿にいることは内緒にしたかったのに思わず自分の居場所を喋ってしまった。一緒に帰宅して久しぶりにシュウマイを作った。この前お店で食べたクミンのシュウマイにしたら、おいしかった。
・2/16 冬の青森へ。お昼ごろ着いて、新青森駅近くの定食屋さんで帆立の刺身定食。雪が降っていたけど、駅に送迎に来てくれたホテルの人が〈今日は晴れてるよ〉と言っていた。〈昨日まで吹雪だったから、いいときに来たね〉とも。えっ。ハイエースの窓から見る景色がどんどん白くなっていった。16時半には、ホテルに到着。とにかく雪の壁が高すぎて笑ってしまう。こんなに雪が積もっているところを歩いたのは、高3のときアラスカに不時着した以来かもしれない…。夜ごはんも温泉もじっくり楽しめた。旅行のとき、時間をかけて食べるご飯と、すとんと眠りにつける感覚が好き。
・2/17 チェックアウト後、酸ヶ湯温泉へ。酸性が強めで、熱くて、気持ちよかった〜。外との温度差がいい。その後、ロープウェイで樹氷をみに。ロープウェイのなかで、スノボの常連さんが話しかけてくれて〈年に30回は来てるけど、晴れてる日は珍しいですよ〉とのこと。山頂でブーツを借りるといいですよ、など色々と教えてくれて、有り難かった。初めてみた樹氷は本当に凄まじくて...。iphoneの充電もすぐに切れる。着いたときは少し太陽が出ていたけど、一気に視界が白に。snow monster〜すごい体験でした。その後、三内丸山古墳へ。バスの中ですごい寝た。閉館まで1時間しかなくて駆け足だったけど、行けてよかった。新幹線の時間までスーパーへ。家には23時ごろ帰宅。こんなにタイムスケジュールがうまくいった旅が久しぶりな気がした。
・2/18 深大寺に厄除けへ。行きの選択肢はボロボロだったけど、厄を落とした瞬間、思わぬところで空車のタクシーが目の前にやってきたこと、3人で900円で割り勘しやすかったこととか、そういう楽しい気持ちになれただけでも行ってよかったなと思う。単純ね〜。夜は5人横並びで映画エゴイストを観た。営業時間残り1時間の西武へ駆け込む。瓶ビール5本を注文。少しの時間でも、わたしが大好きな子たちの顔を見れてうれしい。帰りはたまたま未郁と同じ電車でした。
・2/19 湘南のほうへ。さくちゃんの素敵すぎる新居。お昼に集合してから(めぐさんとは、小田急線からだけど)ずっと喋り続けていた。いまはもう一緒には働いていないけれど、みんなが頑張っている姿はいつもまぶしくて、ものすごーく尊敬します。
・2/20 午後から楽しくておいしい取材。取材先の八百屋さんで、野菜をたくさん買って帰宅。芽キャベツ、パープルラディッシュ、スティックブロッコリー、金美人参。食べるのが楽しみ。疲れていたのか、21時には寝てしまった。
・2/23 夕方、新百合にスラムダンクを観に行く。祝日なのを忘れており、席がほとんど埋まっていた!ミュージカルや劇など生で作品を観ているときに、なぜかわからないけど涙が止まらないという現象がたまに起こるのですが、今回も冒頭から泣いてしまい...。ものすごく一時的な瞬間の過程と尊さ。物質の素材感や音がとても忠実に、そしてあまりにオーバーに再現されており、これぞ創作物...と改めて感動しました。5人の個性も素晴らしく、わたし��何かできることがあるはず��.....とそう思えた。誰よりも楽しんでたね、と言われたけど、そうよ。観れてよかった。��、豪徳寺で行った焼き鳥屋さんがおいしくていい気分だったね。
・2/26 朝一でサウナに行こうと思ったけど、起きたら9時半だったので諦めた。諦め早い。仕事をして家事をして、気づいたら夕方だった。いい日。今年はラジオを始めたいなと去年から色々と考えているけど、取材のテープおこしをしていると毎回自分の声にがっかりしてしまうので思いとどまる泣。
・2/27 大好きな方と仕事ができ、久しぶりにビデオ通話!元気そうでうれしかった〜。お仕事またご一緒できること、わたしには身に余るほどの出来事だけど、こういうことで生き延びています。夜は、わがまま言ったら、未郁が帰ってきてから一緒にスーパーに行ってくれた。いつもオオゼキだけど、今日はライフへ。わたしは無類のオオゼキ好きだけど、ライフのラインナップの幅広さ、大好きです。ブラッシュアップライフ8話。
つづく
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yotanbo · 2 years
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#今日の彼女 はハワイアン!? #東京ディズニーランド 隣にある #カフェカイラ の撮影をさせていただきました! https://www.cafe-kaila.tokyo 鳥取空港の「hanare」で撮影をして、終わったらそのまま撮影機材47+16kgを持って鳥取空港からテイクオフ! heavyな荷物があるので、羽田に迎えに来ていただいたのですが、を!ハイエース!っと思ったらまさかの幼稚園バスwww しかも着いたらなぜか横浜ぁ〜〜〜 #TDL じゃなかったのぉ〜www というわけでほぼ初めましての横浜を案内してくださったのは名和さんwww 立ち食い焼肉超おいしー 2件目のバーでは「moto」の話題で盛り上がりました! 宿泊先は、寮www 久しぶりに1人暮らしを満喫させていただきました!! 翌日 6時に幼稚園バスのお迎えでTDLへ登園! そのまま、撮影開始でズーーーーーーっと缶詰。。。 17時半に終わりまして、ボンボヤージュで子供へのお土産を買いに行きましたが、、、コロナで入場制限・・・。 ネット予約をみても空いてなぁーい と、いうわけで羽田へ・・・・。 帰りの重さは50+16kg〜ん!? パンケーキ食べすぎた? ということで弾丸撮影終了でした! Cafe kailaは日本で空前のパンケーキブームが起きた際の火付け役だそうで、#ハワイアン で素敵な空間で食事をいただくことができます! スタッフの方々も楽しい方々ばかりで鳥取の田舎もんカメラマンを呼んでいただき感謝感激です! #今日の彼女シリーズ #江戸 (イクスピアリ) https://www.instagram.com/p/Cjb3opHLG52/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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camp-outdoor-jp · 3 years
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森の中でのキャンプ 日陰になる分寒い 今日は早めに焚き火開始 最高!! #フォンテーヌの森 #焚き火 #ハイエース #ハイエース丸目 #丸目ハイエース #ハイエースのある生活 #ハイエース好きな人と繋がりたい #ハイエー .. #キャンプアウトドアJP
森の中でのキャンプ 日陰になる分寒い 今日は早めに焚き火開始 最高!! #フォンテーヌの森 #焚き火 #ハイエース #ハイエース丸目 #丸目ハイエース #ハイエースのある生活 #ハイエース好きな人と繋がりたい #ハイエー .. #キャンプアウトドアJP
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森の中でのキャンプ
日陰になる分寒い
今日は早めに焚き火開始
最高!!
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View On WordPress
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suiseijin · 4 years
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2020 08 04
イェナンを一生懸命励ますジュンピが優しすぎる≪日本語字幕≫潮音战记 
https://youtu.be/rI0fC8-n24Q 
疲れてしまったときに、また見ようと思った
Don’t Wanna Cryをわたしに向かって歌ってくれる文俊辉……………………………………………(の夢をみた)
修学旅行(?)先で空港からホテルへ向かうバス(横幅は広いが後部座席のドアは片側のみだし、中の感じはハイエース)の中で、わたしは2人がけの助手席のドア側が定位置だったんだけど何故か後部に移動して左側に座っていて、そこから後ろを見るとジュンさんウォヌさんソクミンさんなどがいた
そこで歌の試験が始まってSVTの曲をツーエイトずつみんなで順番に歌っていくんだけど、普通に歌詞わからんから1曲目(わすれた)は鼻唄で合格したら隣にいた丸顔の子(スングァンさんかな?でも日本語話者だったし高校の同期かも)に「いや歌えよ!」と笑われ、いや普段から歌詞聴いてないわ!と反論した
そしたらジュンさんがこっちに乗り出してきてこれは?ってDon't Wanna Cryのサビを何度か歌ってくれて、おうむ返しに歌ってみたらそうそう!って言って嬉しそうに頷いてくれて、丸顔さんに「〜〜〜ってカタカナにするとどうなるの?」と聞いて困らせてごめん無理だよねと謝った
夢、セブチ出てきすぎ
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msbar1973 · 1 year
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無事#洗車 完了 #ハイエース #ハイエースワゴン #トヨタ #hiace #hiace200 #hiacewagon #toyota #flexdream #fdclassic #fdbox #fdcamp #fd_classic #fd_camp #vanlife #丸目ハイエース #ガルシア #ガルシアシスコ #garcia #garciacisco #yokohama #geolandar #車中泊 #fcl #craftplus https://www.instagram.com/p/Cn_4cMyL-Za/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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inthemellowmood · 5 years
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ぜんぜんだめなとき
なにもしたくないし、かといってなにもしないことにはいかないし、日々いろいろ考えるし、あーもうなんでもいいなんでもいい今はこれなのこの状態なの仕方ないのー!って言いたくなる 今がそれ。
最近いろんな人に分析するの得意だよねって言われる。私もそう思う。たまたま会うことになったマッチングアプリの男を批評するのは、その内容が良いこと言ってるとか悪いこと言ってるとか関係なしにその人を真面目に見つめて客観視してるからできること。私は私自身が面白い。変わってるんだって認められたらなんか神経質な私も可愛く思えてくる。
私は、昔からとても敏感な子だった。あの子がこう考えてるかもしれないからこれをするのはやめておこう。この子達の輪の中に入る前に、ほんとに大丈夫かもう一度考えよう。ママは「目の前の女の子たちをじっと真面目な顔で見つめてる姿をよくみた」って私に話してくれた。今だってそれはある。
なんでもできないとだめだと思った。だってそう育てられたから。でも中学生のとき限界がきた。ついに。なんでもできる私をみんなは認知してた。私はもうそのとき、1だめだったら100だめなんだって思ってた。だからできなかったときはすごく落ち込んだ。自分はなんてだめなんだろうと思った。
20になって変わった。変な男と付き合って、神経質な私はちょっと神経質な私に変わった。このぐらい気にしなくてもなんとかなるんだ、と思った。と同時に、変わり者な男と一緒にいることで少し丸くなった。恋愛はいつだって人を成長させる。
21になった。短い恋愛でも学ぶことがあった。「新幹線の予約を1人でしたことがない、1人で乗ったことすらない、クレジットカードってどうやって作るんですか?」と男に訊いた。彼は、アジアの知らない土地で列車が突然動かなくなり、もうだめだと思ったところに知らないおじさんが現れハイエースに乗せてもらい事なきを得たらしい。人間どこにいても実際なんとかなる、本当にあるんだと思った。私がクレジットカードを作って新幹線の予約をして男に逢いに行けたときは、小さな子供を褒めるかのように接してくれた。素でヘラヘラ笑ってた気がする。この男に言われた言葉でどうしても忘れられないのが「かほって大人っぽいのか子供っぽいんだか…わからんな」 これって本当の私。たぶん。いや、これが全て。
最近、全てが繋がってることがわかった。愛についてよく考えている。愛は循環していて、だから皆幸せでいるためには、愛し合うことが必要。でも愛って難しい。まず自分自身を愛すことが第一段階。自分自身を愛せてない人が多いんだ。この世は。私だってそう。ああここがだめだからだめだめだめ、自分なんて嫌いだ… よくある。だめなところに目が向いてるときはとことん自分を嫌う。愛せない。程遠い。でもできることに目が向いてるときはなんか機嫌もいいし、なーんだこれができる自分ってすごいじゃん。あれはできないけどこれはできるしおっけーおっけー!愛せる。自分愛せる。幸せだな〜 カフェラテでも飲んじゃおっ。自分を愛することができると、自ずと輝いてくる。ああ、あの子に連絡しよう 最近どうしてるかな。ご飯にでも誘ってみようかな。周りを愛することができるようになったら、それは第二段階。繋がってるんだ。愛は思いやりでもあり、愛し合うことは許し合うことでもある。正しい周りへの愛は、きちんと自分に返ってくる。この世で一番素敵なことだと思う。こうやって人と人は繋がる。
忘れがちだけど、愛すること愛されることは誰にだってできる。元気がないとき、失敗続きなときも、ああ今はこんな状態なんだ 仕方ない 無理して頭はたらかせなくてもいい って許す。こう思えるのは私自身成長したからかな。ちゃんとひとつひとつ、大切なことから目を背けずに生きてきたからかな。この先もきっと大丈夫だし、前に進んでいくと思う
21歳の夏が終わると同時に、やるべきことやめるべきこと諦めるべきことが少しずつわかってきた。荷物を少なくしたい、とふと思った。荷物って、私の中で自分の部屋の中のもの全て。身軽になりたいなって思った。今は重すぎる。やめるのは興味をもつこと。必要な場合にのみ興味をもつ。他人に期待をしない、にも繋がる。私は私自身へ過度に期待しないし、ある程度諦めてく。これが今思う全てのこと。
これからもこの先もずっと、大丈夫だと思う。今はもう自分を愛せるから。
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hochagera · 5 years
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<6月のお知らせ>
<6月のお知らせ>
梅雨入りしました。しかし雨は好きです。正確には雨が降っているのを見たり聞いたりするのが好き。山々も新緑めいて夏の様相を増してきました。
わたくしは最近忙しく作品のまとめをしています。おそらく、6月末か7月に「AEOSO2」と「流し芝居1・2」のDVDを発売します。現在膨大な映像データと格闘中。少量生産ですので手元に置いておきたい方、是非是非お買い求めください。是非是非是非是非!(AEOSOステッカーやamazosoステッカーも作りました。全然売れない。)そして次なる作品への準備も進めています。次は8月ごろでしょうか、野外での短い作品を、人形を使って作ろうと目論んで居ます。かすかに作品の息吹が聞こえ始めたところ。コウゴキタイ!
というわけで6月の案内です。 目次 1.劇団どくんご松本公演@枡形跡広場! 2.出演情報(22日カフェマモー/30日瓦祭り) 3.7月劇団ベビー・ピー松本公演@薄川緑地! ※体の教室7月の会はございません。予めご了承ください。
1.劇団どくんご松本公演@枡形跡広場!
劇団どくんごの松本での公演、6月20日21日と迫っています!野外にテントを建てての2夜限りの公演。市街地ど真ん中の枡形跡広場にて、松本では2年ぶりの公演です。
こちらお席に限りがございます。観劇をご予定の方は早めにご予約してお越しください。お席を用意できない可能性もあります。
ここで劇団どくんごの紹介。
テント芝居をご存知でしょうか。かつてはテントを運んで旅をしながら公演を続ける一座は日本にも複数ありました。おもに70年代80年代ですがそこを境にその数は減り続け、厳密に『旅するテント劇団』は現在では劇団どくんごのみです。(旅をしないテント劇団は関東圏にいたり、テントでない形態で旅する劇団はいる。)トラック2台とハイエース1台に生活用品も芝居道具も音響、照明全部積み込んで、そしてテントの構造体そのものも積み込んで土地から土地を移動して、自ら舞台の立て込みをして本番をむかえ、そして撤収してまた移動するということを繰り返している劇団です。どくんごのツアーは鹿児島県を皮切りに九州・四国・本州・東北・北海道まで北上し、また鹿児島まで南下する7ヶ月間続きます。想像するだけでお分りいただけるかと思いますが、大変タフです。そんな活動をわざわざ続ける劇団があるということ。まだ日本にいるということ。その点だけでもこの劇団を観てもらいたい要因です。
そして何と言ってもどくんごの芝居の内容がすごい。完全に独自の世界を切り開いています。表現者は自らの世界を見つけて構築し具現化することに尽力するわけですが、このどくんごの芝居、一度見ても説明することができません。すごかったとしか言いようがない。イッツどくんご。あれはどくんごだった。何かに例えたり比べたりできない存在なのです(マジ)。見た人にしかわからない、だからうまく勧めることができない。宣伝する側にとってはまったくこまった芝居です。しかしそれこそまったく他では経験できない魅力なのです。アメージング。
しかし芝居は単純に笑えます。そしてお子様も大歓迎です。基本的にお客さんにボーダーはなくテントの中での飲食も自由、写真���影OK(パシャパシャうるさいのはNG、映像もNG)、うっかりテントに入ってしまった外国人も大喜びな五感で感じる演劇体験です。松本公演は20日(木)、21日(金)とありますが、どちらもオススメ!(ほんまやで)
20日(木)はわれわれ松本をざわつかせた流し芝居が男組女組合わせて4人でここでまたもや登場!幕間のゲストで少しばかり出演いたします!
21日(金)はゲスト出演なしの純正どくんご公演。ゲスト出演に神経チラつかせたくない方は金曜日の公演がオススメです!集中してどっぷりどくんご世界に飲み込まれるには金曜日の公演をご予定ください!
わたくし普段あんまり人にものを押し売りはしません。わたしもされるの嫌だし。しかしどくんごだけは別なのです。これは見なきゃ損。見てない方はマジで勿体無いし、どくんご前と後ではマジで人生違うのでこれを機会に是非是非ご覧ください!🍖🌋🍑
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<劇団どくんご松本公演>
6/20(木)・21(金) ←20日(木)はゲストであの”流し芝居”が登場!
19:00開演(30分前開場)
大手門枡形跡広場特設”犬小屋”テント劇場(四柱神社隣)
◯予約
劇団どくんご 090-8568-5411
or斜めまで直接ご連絡ください!
◯料金
前売・予約;2,500円
当日;2,800円
中高・浪人生;1,300円
小学生;500円
http://www.dokungo.com/php/detail2019.php?n=2019&id=20190621&
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2.出演情報(22日カフェマモー/30日瓦祭り)
んでもって出演情報押し売り。
どくんごの公演が終わってすぐなんですが、22日(土)マーズモーにありますカフェマモーにて、投げ銭演芸会がございます。
こちらわたくしも浪曲で参加する予定であるほか、我らがゆうわちゃんによる南インド古典舞踊、そして長野市より招聘しますは焼酎亭呑み鉄さんによる落語、そんでもって札幌市よりお越しの無茶志亭肉丸(ナガムツ)さんによる落語をお披露目です。
この肉丸さん、普段ナガムツさんと呼ばれる役者で御座いましてわたしの札幌時代の知人なんですが、この度どくんごの公演観に来る(北海道公演もあるんですが、、)ついでに松本に遊びに来るというので、ついでに落語も一席講じてもらうこととなりました。わたしもナガムツさんの落語は見たことないので楽しみ。普段から爆裂におかしなナガムツさんなんですが今回どんなお話が聞けるのか楽しみです。そして長野市の呑み鉄さんもかなりグッとくるルックスに加えて長野市の素人落語界の先陣を突っ走る方&キュートなのでとっても楽しみ。そしてこないだもインドに行ってレッスン&リフレッシュを終えたばかりのゆうわちゃんによるマジ本格派インド舞踊もこれまた衣装やメイクからかなり見応えたっぷりな演目です。
とういうなかなか出演者固めのマーズモーでは初めてとなる投げ銭演芸会。ちょっちいつもと違った雰囲気で、皆様のお越しをお待ち申しあげます!
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マーズモー演芸会
6月22日(土)19:00~ ¥投げ銭
無茶志亭肉丸(ナガムツ)〈落語〉
横田ゆうわ〈南インド古典舞踊〉
焼酎亭呑み鉄〈落語〉
前田斜め〈浪曲〉
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それでもって、月末30日!まだこちらは詳細不明ですが女鳥羽川沿いの瓦レコードにて周年祭に浪曲で出演いたします!時間は午前かな?巡り合わせの際は是非!
3.7月劇団ベビー・ピー松本公演@薄川緑地!
そんでもって7月にはもうひとつテント芝居を松本に招聘いたします!
わたくしからみたらお兄さん世代に当たる、劇団ベビー・ピーのテント芝居公演、『ラプラタ川』@薄川緑地です!
すすき川沿いの河川敷では初めての開催。市役所さんもわたくしもそわそわしておりますが是非とも成功させたいイベントでございます。
普段は京都で活動する劇団ベビー・ピーですが、近年は瀬戸内の島で公演したり新潟の山々をツアーしたりとアクティブに活動の幅を広げていたのですが、なんと今期はテントを運んで旅をする!ということでここ松本市もツアーに組んでもらいました。松本はなんと2公演地目。京都を出発して北海道まで北上し、鹿児島まで南下するツアーの序盤にやって来てくれます!
夏も真っ盛りなその頃かと思いますが、今年の夏はこの2つのテント芝居で、あとは我々のらぼうの作品をご覧いただければ大満足かと存じます!🍖
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<劇団ベビー・ピー松本公演>
7/20(土) ←のらぼうのゲスト出演あり〼!
19:00開演(30分前開場)
薄川緑地 見晴橋下流右岸 
※雨天の場合はmarsmoo(筑摩4丁目16-29)にて開催!
◯予約・問い合わせ 080-6425-9861(前田斜め)
◯料金 一般前売・予約;2500円
    一般当日;3000円
    中高生前売;1500円
    中高生当日;2000円
    小学生前売;500円
    小学生当日;1000円
    小学生未満;無料
https://baby-pee.jimdo.com/
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おしまい
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Text
【小説】JOKER 第二部ジョーカーvsラットマン
第一章 異邦人
 〈1〉
   慶田盛探偵事務所所長慶田盛敦は、たった一人の事務員兼秘書三島陽菜と仕出し弁当で昼食を取っていた。
 応接セットはそれなりのものを使っているが、職員の机は開業した時のまま、譲り受けたスチール机と華奢な椅子だけだ。
「所長、お昼が終わったら相談一件、二時半から地裁掛け持ちですよ~」
 呑気な口調で陽菜が言う。
 陽菜は敦より二十歳ほど年下の娘のような女性だ。
 元々長年に渡り陽菜の母親が事務と秘書をやっていたのだが、失業中の娘をどうにかしてほしいというので採用したのだ。
「相談は日本人ではないって話だったね」
「はい、日本語があまり上手では無かったですし」
「友人が殺人事件の容疑者にされたと」
 つたない日本語と慣れない事務では詳細は望めない。
 殺人事件の容疑者という事で早くも脳裏に三浦探偵事務所への連絡が浮かんでいる。
 日本では立件されたが最後99%が有罪となる。
 それを嫌がらせのように押し下げようとしているのが、慶田盛弁護士事務所と三浦探偵事務所だ。
「殺人事件って本当に多いですよね~。どうして年間百件に収まるのかな?」
「それを知った所で僕らの仕事が減る訳ではないよ」
 言って慶田盛は弁当を食べ終わって、簡素なシンクで軽く洗って事務所の前に弁当箱を出す。
 そこで薄暗い階段を上ってくる浅黒い肌の青年と目が合った。
「時間早かったですか?」
 青年の言葉に敦は頭を振る。
「いや。僕が事務所にいる時間ならウェルカムだよ」
 慶田盛はドアを開いて青年を招き入れる。
 陽菜も弁当箱を洗っている所だ。
 青年を応接セットのソファーに座らせると陽菜が湯飲みを差し出す。
「あの、これ、お茶ですけど、コーヒーや紅茶の方が良かったですか? 普段は何を飲んでるんですか?」
「気にしない、いいよ。お茶飲める。ケダモノセンセイ?」
 青年が顔を向けてくる。名前が一字違うだけで犯罪者のようになるのはなぜだろう。
「ケダモ、リ。ね。ケダモノだと犯罪者になってしまうからね」
 慶田盛は冗談めかして言う。
「日本語難しいね。やっぱり分かってきたよ」
 青年がポケットからスマートフォンを取り出す。
 Google翻訳にした方が手っ取り早いと判断したのだろうか。
「センセイこれ見る」
 音量を絞ったスマートフォンの暗い映像の中で、人間の姿が揺らめいている。
 だが、暗いと思ったのは無数の黒い物体のせいだった。
 首から上はシャンプーハットを逆さにして守っているが、全裸の身体に無数のネズミが食らいついているのだ。
 映像の中の女性が声の限りに叫ぶが、ネズミは本能のままに肉を貪る。
 慶田盛は食べたばかりの昼食が逆流するのを感じる。
 仕事柄死体の写真は見慣れているが、死んでいく姿を見る事は稀だ。
「これが被害者なのか?」
 慶田盛の言葉に青年が頭を振る。
「ニャンの妹。ニャンはヤクザを殺したと言われて警察に捕まった」
「どういう事かな……この映像は被害者ではないと?」
 こちらの言う事はちゃんと分かるらしい。青年が首を縦に振る。
「フホウタイザイシャだけど、フホウタイザイシャじゃない。二百万円払って日本に勉強に来たよ」
 それを聞いて慶田盛はヤクザの外国人ビジネスを考える。
 発展途上国で日本で日本語と職業の勉強ができると言って人を集める。
 集めた人間を女性なら性風俗、男性なら肉体労働で強制的に働かせるという訳だ。
 しかも、金を払っているのに違法な形で就労している為に警察に訴える事もできない。
「ヤクザが殺されて、この映像を見つけた警察が僕たちがフクシュウしたんだと決めつけた。でも、家族や仲間がどこでどんな風に働かされているか、僕たちには分からないね」
「このスナッフビデオが出て来たから、ヤクザを殺したのは外国人だという話になった訳か」
「たぶん、そう」
 青年の言葉に慶田盛はため息をつく。
 いつもながら警察の短絡的な発想には驚かされる。
 映像の被害者の兄だから、ではなく、外国人だから、という理由が正解なのだろう。
 強制送還で母国の警察に引き渡してしまえば万事解決だ。
「状況は分かった。詳しいアリバイ何かは当事者のニャンさんに聞かないと分からないだろうね」
「ニャンはもっと訳が分かっていないね。ビデオも見てないと思うね」
「それは分からないだろうね。でも、弁護する為には本人と契約しなきゃならないんだ。それと、君の名前を聞けるかな」
 映像で驚いてしまったが、最初に聞くべきなのは相手の素性だった。
 慶田盛は待ち受ける裁判を思い身体を奮い立たせた。
  〈2〉
  「さみー。何でヒーター壊れてんだよ」
 屋内でダウンジャケットを着た健が、真夏の蠅のように両手をこすり合わせる。
「いきなり大金使ったら税務署に嗅ぎつけられるからでしょ」
 こちらもダウンベストを着た加奈が身体を丸めて言う。
 三浦探偵事務所は目下冬将軍と熾烈な戦いを繰り広げている。
 コートに身を包んだ清史郎は残念な思いで石油ファンヒーターを眺める。
 五年ほどしか使っておらず、特に壊れるような事もしていないのだが、十二月に入りいよいよという所でスイッチを入れた所全く反応しなかったのだ。
 ファンヒーターくらい買っても税務署は動かないだろうが、先の事を考えるとジョーカーとして稼いだ金はなるべく温存しておきたい。
「そもそもさ、何で調査費用が十万円とかなんだよ。一週間以上かかってんだからもっと取らねぇと割に合わねぇだろ」
「私一人の時はそれでもやれてたんだ」
 清史郎はため息をつく。健と加奈はよくやってくれているが、急に価格を上げたりしたら慶田盛探偵事務所が潰れてしまう。
「私、あんまり役に立ってないのかな」
「そりゃ、俺たち寒がってるだけだもんな」
「営業に行けとは言わないよ。仕事が増えてもこな���ないんじゃ意味がない」
 清史郎は苦笑する。
 実際、健と加奈は充分に捜査の役に立っているし、依頼もこれまでにないほど順調にこなせている。
 ――問題は価格設定か――
 清史郎は今更ながらにどんぶり勘定の事務所の事を考える。
 商店街の好意が無かったら今頃廃業していてもおかしくないのだ。
 と、事務所の電話が着信を告げる。
 すかさず加奈が電話に応答する。
「はい、三浦探偵事務所でございます。はい……ああ、慶田盛さん?」
 声のトーンが余所行きのものから身内のものにトーンダウンする。
「……今から、いいですけど……二時半から地裁だから? ミンさんを置いていく?」
 加奈の通話を傍から聞いているだけではさっぱり意味が分からない。
「分かりました」
 言って受話器を置いた加奈が顔を向けてくる。
「ヤクザが不法滞在者を使ってスナッフビデオを作ってて、ヤクザが殺されたから犯人は不法滞在者だって事になって、ミンさんの友達のニャンさんが警察に捕まったんだって」
 要点をまとめた話だが、まとめられ過ぎていて話を理解しづらい。
「詳しい事は慶田盛さんとミンさんから。で、慶田盛さんは二時半から地裁で裁判があるから、長居はできない」
「相変わらずあのオッサン、無茶振り半端ねぇな」
「それだけ多くの人に信頼されてるんだよ」
 清史郎は健に答えて言う。
 加奈がガスコンロで茶を入れる為に湯を沸かし始める。
「なぁ、ジョーク、スナッフビデオって何だ?」
 手持ち無沙汰な様子の健が訊いてくる。
「殺人の様子を写したビデオや死体を損壊するビデオだな」
「それって写したヤツは殺人犯か死体損壊じゃねぇのか?」
「殺人ほう助にも相当するな」 
 清史郎が言うと健がPCのキーボードを叩く。
「どの道ヤクザが人殺しをしたって事には変わりないんでしょ?」
「今の段階では何とも言えないな」
 清史郎は腕組みをして言う。
 ジョーカー事件で矢沢が失脚した為、矢沢組は現在若頭の緒方が臨時的に取り仕切っている。 
 新庄市でトップにならないという事は、緒方にはそれなりに慶田盛や清史郎のリスクが見えているという事になるだろう。
 だとすれば、理性的な緒方がスナッフビデオなどというリスキーでリターンの小さいビジネスに手を染めるとは考えにくい。
「問題は殺されたヤクザが本当に不法滞在の外国人によるものなのかって事だ」
 清史郎はかじかむ手を揉みながら言う。
 加奈がガスコンロをつかっているせいか室温が幾らか上がった気がする。
「警察はそう考えてるんだろ」
「もっと穿った見方をすれば、日本語も満足に話せない外国人を犯人に仕立て上げて、強制送還で証言できないようにすれば検挙率を上げられるという話にもなるな」
 健に答えて清史郎は言う。
 目下最も高い可能性がそれなのだ。
 ヤクザの死体発見がいつで、被告がいつ逮捕されたのか不明だが、殺人事件がそんなに簡単に解決する訳が無い。
 ドアが開き、慶田盛と浅黒い肌の東洋人が姿を現す。
「清史郎、すまん。次の裁判まで時間が無い」
 慶田盛が息を切らして言う。
「分かった。そこの……ミンさんから話を聞けばいいんだろう?」
「また後で話を聞かせてくれ」
 慶田盛が慌ただしく事務所を出ていく。
「どうぞおかけ下さい」
 加奈がミンを事務椅子に誘導する。
 座面の破れていない唯一の椅子だ���
「私たちは依頼者の秘密は守る。盗聴の心配は無用だ」
「まぁ、絶対の防諜ってのは無ぇんだけどな」
 健が余計な事を言う。
 ミンがスマートフォンを取り出して経緯を語る。
「ジョーク、すまねぇ、俺、トイレ行ってくる」
 スナッフビデオを見た健がトイレに行こうとする。
「ちょっとあんた我慢……」
 加奈が胃袋の辺りを押さえて言葉を詰まらせる。
「二人とも、トイレは一つだからな」
 清史郎が言うと二人が先を争うかのようにしてトイレに向かう。
「殺されたヤクザの事は?」
「私たち知らない。分からないよ」
 ミンが皆目見当がつかないといった様子で言う。
「つまり現状では訴えの被害者すら分からないという事か……」
 拘留中のニャンに会いに行かない事には、殺されたヤクザの名前も分からないという事だ。
 慶田盛が弁護士として拘留中のニャンに会いに行く事は正当な権利として認められるが、清史郎は会いに行った所で面会すらさせてもらえないだろう。
「うえぇ~、今日絶対うなされるわ、これ」
 げんなりした様子で健が戻ってくる。
「殺されたヤクザはヤザワグミとかいうヤクザ」
 やはり、と、言うべきか。新庄市最大、関東広域指定暴力団ともつながりの強いヤクザだ。
 健がヘッドフォンをつけてPCの操作を始める。
「矢沢組構成員畑中猛二十八才。住所は市内。仕事は外国人労働者のブローカー。矢沢組の方から捜査依頼をかけたらしい」
 健が早速情報を拾って来る。何度か新庄市警に侵入し、健に言われた通りに機材を設置して来たのだ。
 お陰で警察のデータベースは好きなように見る事ができる。
「現場の写真って……これもスナッフ何とかじゃねぇか!」
 PCの画面からのけ反るようにして健が言う。
 風呂の椅子程度の椅子に立たされ、首に輪をつけられた男が吊るされており、回転ノコギリが片足に押し当てられる。
 それもすぐに切り落とすのではなく、職人が金箔を張るようにゆっくりと嬲るようにだ。
 被害者のヤクザは何とか首つりを逃れようとする。
 映像を早送りすると片足が切り落とされた時点で、まだヤクザは持ちこたえている。
 覆面をした男がヤクザの頭から蜜のような粘液室のものをかける。
 覆面をした男が消えると画面に丸々と太った無数のネズミが現れる。
 ネズミたちが先を争うようにヤクザの身体に食らいつく。
「何、今度は拡大して見てんの?」
「違うって。こっちは殺されたヤクザの方だ」
 戻って来た加奈に答えて健が言う。
「殺人の手口を見ると同一犯のようだな」
 清史郎は考える。
「健、ミンさんの映像とこの殺人現場の映像の場所を比較できるか?」
 清史郎の言葉を受けて健がキーボードを叩く。
 ミンのデータが引き延ばされ、画面に表示される。
 二台のディスプレイにそれぞれの殺人現場が表示される。
 部屋はどちらもコンクリート打ちっぱなしの地下室のような光源の無い部屋だ。
 もっとも、被害者は絶叫しているだろうから防音も兼ねているのだろう。
「似てるけど……違う」
 画面を観察しながら加奈が言う。
 一見すると同じような部屋に見えるが、加奈は早くも何か発見したのだろうか。
「被害者の目。光の映り込みがニャンさんの妹さんは左右からなのに、ヤクザは正面全体になってる」
 加奈に言われて観察すると確かに被害者の瞳に反射している光の光源が違う。
「床もホラ……最初の部屋はフローリングっぽいのに、二回目の部屋は床がリノリウムみたいにフラットになってる」
 加奈がグロテスクな映像を確認しながら言う。
「つまり殺害現場は別という事か」 
 清史郎は腕組みをして考える。
「死体遺棄現場の映像出すぜ」
 健が言うとヤクザの方の画面に静止画像で全身を食い荒らされ、正体不明になった男の映像が映る。
 場所は矢沢組の門の前、車から放り出されたらしく血が飛び散っている。
 少なくとも遺棄された時点では瀕死とはいえ息はあったという事か。
 死体の傍らにはスナッフビデオのDVDのディスクの入ったケース。
 これは死体を放置した後に放られたものらしい。
「こりゃ矢沢組キレるって」
 健がため息をついて言う。
「指紋や遺留物は?」
「ケーサツそこまで調べてねーよ」
 健がミンが持ってきたのと同じ映像を画面に表示させる。
 画面が分割され、加えて七件のスナッフビデオが映し出される。
「つまり、八人の外国人が殺されたから、同じような方法でヤクザを殺したって考えた訳?」
「そーゆー事らしいぜ? これまでの八人は死体も出てねぇんだし、模倣犯の線が濃厚だ……と」
 加奈に答えて健が画面に事件のファイルを表示させる。
 被害者は十二月三日、矢沢組の門の前で見つかった。
 矢沢組は警備会社と契約しており、門には監視カメラがあったがタイムラプスビデオで軽トラックが近づく所と去る所しか映されていない。
 タイムラプスビデオとは長時間録画をする為に数秒間に一コマの映像となっている。
 従ってタイミングを知っていれば数秒間は完全に画面から消える事ができるのだ。
 画面に移された軽トラックは流通量の最も多いハイエース。
 ナンバープレートには段ボールで覆いがしてあり陸運局に問い合わせる事はできない。
 運転席に映っている運転手と助手席の人物は目出し帽子を被っており性別の確認もできない。
 DVDを見た刑事課は市内の工場で不法滞在で働いているニャンを逮捕。
 強制送還の方向で事件は解決に向かっている……。
「不法滞在者による狂気の大量殺人……これが警察のプレス発表だっての?」
 加奈が声を上げる。
「ええと……現在国内には多くの外国人がおり、犯罪が頻発しています。今回の事件はこうした外国人の起こした猟奇的なものであり、日本国民が傷つけられるという最悪の事態を引き起こしました。警察は今後外国人の取り締まりをより厳重なものとし、厳罰化していく所存です」
 健が警察発表の草案を読み上げる。
「何かおかしくない? 仮に八件と別の犯人だとしても、殺されているのは外国から来ている人なんでしょ?」
「論点をすり替えているんだ。事件が起こった事が問題ではなく、外国人がいる事が問題なんだとな」
 加奈に答えて清史郎は言う。
「誰がどこで働こうと勝手じゃない。それに外国人の人たちは保険や年金も使えないんでしょ?」
「日本人の税金を外国人に使うな、って意見の方が多いみたいだぜ?」
 プレス発表より先に漏洩したネットニュースに反応した人々の書き込みを健が表示する。
「外国人が日本に来て死ぬのは当然の結果か……モラル低下もここまできたか」
 清史郎は苦い気分で言う。安い労働力として何の保障もなくこき使っておきながら犯罪者扱いする。
 外国人がアジアから来ている場合には特に顕著だ。
「この事件、このままじゃダメだよ。ね、ジョーカー」
 加奈の言葉に清史郎は頷く。
「まずは警察側の発表を覆さないとな」
 清史郎は合計九件のスナッフビデオを画面に表示させる。
 犯行個所は三か所と見られ、外国人が殺されている映像と畑中の殺されている場所が同じものが二つ存��している。
「ホラ見ろビンゴだ」
 健が声を上げる。これで九件の事件は同一犯の可能性が高くなった訳だ。
「そもそもこれだけ大量のネズミを飼育しておける環境が必要なんだ。模倣しようとしてもネズミを急に揃えるなんて事ができる訳が無い」
 清史郎の言葉に加奈が画面の一転を指さす。
「白いネズミ! どの映像にも必ず白いネズミが映ってる」
 よくよく見れば薄汚れているがグレーに近い灰色のネズミがどの映像にも混じっている。
「よっしゃ! これで犯人は同一犯ってこったな」
 健が声を上げてPCのキーボードを叩く。
 事件現場の映像とネズミの映像をまとめてファイリングする。
「でも真犯人に近づいたって訳じゃない」
 加奈が苦い表情で言う。
 確かに警察のロジックは崩せるが、肝心の犯人については不明のままなのだ。
「警察の野郎、市内の外国人を抜き打ち調査するつもりみたいだぜ」
 データを引き抜いた健が眉を顰める。
 大規模な取り締まりをすれば市民の目が逸れると考えているのだろう。
「この事件を起こしたのが何人かなどという判断は現段階ではできない。まずは事件の真相を探る」
 清史郎の言葉に健と加奈が頷く。
「よろしくオネガイシマス」
 ミンが小さく頭を下げた。
  〈3〉
 
  清史郎は新庄市警本部の窓口を訪れている。
「三浦探偵事務所の三浦清史郎です。捜査一課の風間警部補にお話しがあります」
 周囲が警察官だらけという落ち着かない環境下で、清史郎は周囲を観察する。
 事件の事を知っている者も多いのだろう、清史郎が来ただけでおおよその要件は掴めているようだ。
「まずはアポイントメントをとって下さい。取材であれば後日広報が応対致します」
 窓口の女性警察官が言う。
「これから警察が嘘たれ流そうとしてんだよ! 証拠持って来てやったんだぞ!」
 健が声を上げると周囲の警察官の目が集中する。
「情報提供です。警察が入手されているスナッフビデオに関して重大な証拠がありました。お会いできないと言うのであればインターネットで公開します」
 清史郎の言葉に受付の警察官が動揺を浮かべる。
「インターネットは情報として証拠能力を持ちません。情報をどのように流されようと結果は変わりません」
 上席らしい警官が窓口に現れて言う。
「そうでしょうか? ではスナッフビデオも画像加工された証拠能力の無いものとみられるはずです。それを根拠に犯人を捜される事の正当性を伺いたい」
「捜査情報はこちらからは漏らせん。貴様どこから情報を得た?」
「矢沢組です」
 清史郎の言葉に警官が気圧されたような表情を浮かべる。
「少々お待ち下さい」
 矢沢組の名前を出した途端、警官の態度が変わり内線で電話をかける。
 ややあって捜査一課の風間真一が姿を現す。
 髪をオールバックにした固太りの男で二人の警官を従えている。
「どうぞこちらへ」
 睨みつけるようにしながら顎をしゃくる。
 清史郎は二人を連れて警察署の廊下を歩く。
 盗聴器は手にしていないが、仕掛けてある盗聴器は作動している。
 三人は風間に続いて取調室に入った。
「ワレ、矢沢組の名前だしてどういうつもりじゃゴルァ!」
 風間がスチールのデスクに拳を叩きつけて声を上げる。
「被害者の一人は組員でしょう?」
「ア、   コラ、適当抜かすと任意同行でしょっ引くぞ」
 風間が息がかかる程の距離に顔を近づけてくる。
「一つ忠告する。矢沢組の組員が被害者になっている事件で、適当な真似をすれば報復を受ける事になる。立件した後に模倣犯が出て矢沢組の組員に死者が出た時どう落とし前をつけるつもりなのか伺いたい」
 清史郎の言葉に風間の顔色がどす黒いものとなる。
「随分上から目線じゃのぉ、警察ナメとんのかドルァ!」
「目線の問題ではなく、事実を申し上げたまでです。今後同様の事件が起きた時、矢沢組に対してどう釈明するつもりですか?」
 清史郎の淡々とした口調に風間が奥歯をぎりりと鳴らす。
「なんぞ証拠があるんかい。出せるもんなら出してみぃや!」
 清史郎は健の肩を叩く。
 健が落ち着かない様子でDVDディスクを取り出す。
 DVDを手にした風間が顎をしゃくると警官がノートPCを抱えて慌てて戻ってくる。
 DVDの映像を見ていた風間の額に汗が滲む。
「映像情報から判断する限り、全九件は同一犯の可能性が濃厚です。外国人が報復したというシナリオは使えません」
 清史郎の言葉に風間が鼻白む。
「だからなんじゃ、映像が証拠になるとでも思うとるんか」
「そっくりそのままお返しします。映像証拠で外国人を摘発するんですか?」
 清史郎の言葉に風間がスチールデスクを殴りつける。
「ド畜生の三流探偵が!」
「矢沢組の体面、もう少し慎重に捜査された方がよろしいかと」
 清史郎の言葉に風間が舌打ちする。
「去ねや! 顔も見たくないわ!」
 言うだけ言って室内から風間が出ていく。
 これで風間はプレス発表を控えるだろう。
 警察が体勢を立て直す前に真犯人を捕らえて起訴するのだ。 
 
 
〈4〉
  「もーやだ。警察行きたくねー」
 警察署を出た健ががっくりと肩を落として言う。
「任意同行って、何の容疑だっつーの」
 加奈が肩を怒らせる。
「これから何度でも相手をする事になるんだ。慣れておけ」
 清史郎の言葉に二人がため息と共に首を縦に振る。
「で、これからどーすんだ? 警察のプレス発表遅らせただけだぜ」
「矢沢組だ。これからようやく捜査ができるんだ」
 清史郎が言うと健がさも嫌そうな表情を浮かべる。
「警察の次はヤクザなんてどんな厄日だよ」
「そういう職業なんだよ」
 清史郎は改造したフォルクスワーゲンビートルに乗り込む。
 健が後部座席に、横に加奈が乗る。
 清史郎はエンジンをかけながら矢沢組の短縮ダイヤルを押す。
『はい、矢沢組です』
「三浦探偵事務所の三浦清史郎と申します。若頭の緒方さんに取り次いで頂けますか?」
『少々お待ち下さい』
 清史郎が車を走らせていると、ややあってよく通る低い声が響いた。 
『緒方です。三浦探偵事務所様がどういったご用件ですか?』
「昨日未明に玄関で殺されていた畑中氏の事件を調査しております。是非一度現場を見せて頂きたく思いご連絡させて頂きました」
 清史郎が言うと一瞬間を開けて。
『その事件については警察は既に解決したと言っています』
「それを覆す証拠が出たのです。警察はこのまま冤罪を推し進めるでしょうが、それが矢沢組にとって有益だとはとても思えません」
『覆す情報?』
「全九件の画像を確認した結果、犯行は同一犯によるものである可能性が濃厚になりました。畑中氏が殺されたのは外国人による報復という事は文脈から読み取れません」
『そういう事であれば……』
「これからお伺いさせて頂いて構いませんか?」
『現場は若い衆に命じて掃除してしまいましたが……』
「可能な限り可能なものを収集させていただきたいと思います」
『分かりました。調査の邪魔にならないよう手筈を整えます』
 言った緒方が電話を切る。
「何かヤクザのが警察よか紳士的じゃね?」
 後ろで聞いていた健が言う。
「実るほどに頭を垂れる何とやらでな、力を持ってるヤツの方が謙虚なんだよ。まぁ、怒らせれば話は別だがな」
 清史郎が言う脇で加奈が頷く。
「私たちは貧乏でも謙虚じゃない?」
「お前たちは充分人間ができてるよ」
 清史郎は苦笑して言う。
 今回の事件はまだ何の手がかりも無いに等しいが、この二人が居れば難解な事件も解決できる筈だった。
  「ご苦労様です。緒方です」
 鋭角的な顔立ちの、ビジネスマンといった風体の細身の男と清史郎は握手を交わす。
「三浦探偵事務所の三浦清史郎です」
 清史郎が言うと緒方は軽く息を吐いた。
「堅苦しい話は無しで行きましょう。同一犯の証拠というのは?」
 清史郎は健の肩を叩く。
 健がラップトップを叩いて画像を表示させる。
「犯行現場、殺害方法、殺害に用いたネズミが一致するんです」
 清史郎はかいつまんで言う。
「なるほど、確かに。しかし、彼らが同胞を殺したという見方もできるのでは?」
「そうなると犯人がどのようにターゲットを絞っているのかが不明になります。畑中さんは明らかに日本人ですから」
 清史郎の言葉に緒方が顎を摘まむ。
「畑中は外国人労働者を買うブローカーをしていました。シノギとしては小さなものです。外国人労働者から恨みを買う事は充分に想像できます」
「確かにその通りです。だとするなら同胞を殺した事は……」
「理屈に合わない。確かに。ではこの事件は外部何者かによる意図的なものであると?」
「意図は分かりませんがね。玄関の監視カメラの映像を見せて頂いて構いませんか?」
 清史郎が言うと緒方以外の組員が身体を固くする。
「ご自由にご覧下さい」
 清史郎は緒方についてモニタールームに向かう。
 矢沢組の周囲と内部を写したカメラ映像が二十四枚並んでいる。
 清史郎は潜入した事があったが、これだけの監視カメラを潜り抜けるのは至難の業だった。
「犯行の映像が映っているのは玄関のカメラだけでした」
 緒方が言うと組員が畑中が捨てられていく一瞬を映し出した。
「残念ながら映像は捨てる前と後しかありません」
「タイムラプスビデオでは仕方がありません。ですがここに見逃せない点があります」
「ここに?」
「まず、タイムラプスビデオの六秒の間に瀕死の畑中さんを捨てなければならなかった。これは玄関のビデオのタイムラグを知らないと不可能です」
「内部犯という訳か?」
 緒方の口調が苦いものとなる。
「更に六秒という事を考えると、一度車を停めてから降ろす時間的余裕は無かったはずです。だとすれば荷台に最低二人は乗っていないと実行は困難。即ち運転手と助手席に人間を合わせ最低四名は犯行に必要だったという事です。従って単独犯という事はあり得ません」
 清史郎が言うと健と加奈も驚いたような表情を浮かべる。
「タイムラプスビデオに映っているという事は時速二十キロ以下に減速していたことは間違いないでしょう。大人二人で荷台から放り投げたと考えるのが現実的です」
「つまりはこの映像を入手できる者で、なおかつ四人以上のグループという訳だな?」
 険しい顔で緒方が言う。
「そういう事になります」
 清史郎は二十四枚のディスプレイを眺��る。
 普通の人間は他人の家の防犯カメラの映像など入手できない。
 しかし、警備関連の企業に勤めていたり、矢沢組を出入りする人間の数を考えると途端に関連する人間の数は多くなる。
「組員では無いと信じたい。あのような拷問を無差別に行う組織だと思われれば商売が成り立たなくなる」
 緒方が眉間に皺を寄せる。口調こそ穏やかだが、犯人が目の前にいれば問答無用で殺すかも知れない。
「畑中さんの当日の動向は分かりませんか?」
「畑中はフューチャー人材ネットという会社の社員をしていました。会社の方に記録が残っているはずです」
「その会社は……」
 清史郎が訊こうとすると緒方が口元に薄い笑みを浮かべた。
「現代の奴隷商人ですよ」
 本当に恐ろしいのは風間のようにがなり立てるのではない、こういった事を涼しい顔で言える人間なのだ。
  〈5〉
  「ヤクザって結構マトモっぽくね? もっと警察みたいに怒鳴られるのかと思ったぜ」 
 フューチャー人材ネットに向かう途中、キーボードを叩きながら健が言う。
「私は何か怖かったな。人があんな惨い殺され方をしてるのに」
 加奈が恐ろしいものでも見たかのような口調で言う。
「ヤクザはナメない方がいい。殺す時は問答無用だし、殺されても死体なんぞ出てこないからな」
「マジっすか?」
 健が声を上げる。
「お前、工事現場で働いてたのに何も聞いてないのか?」
「現場とヤクザっすか? 仕事を回してもらうとかあるみたいっすけど」
「コンクリートミキサーに死体を放り込んでみろ、DNAも出てこないぞ。大型の開発やビルなんかじゃ何人砂粒になってるか分からない」
 清史郎が言うと加奈が首を竦める。
「怖っ!」
 健が声を上げる。現場勤めが長かったから光景が想像できたのだろう。
「で、これから行くフューチャー人材ネットってのはどんな会社なんだ?」
「黒い人材派遣会社っすね。有給が使えないとか、病欠したくても電話がつながらないとか」
 検索していた健が言う。
「良かったぁ~。私登録しようとしてたんだ」
「やめとけやめとけ。解雇通告無しに解雇して保証金も払わない会社だ」
 加奈に答えて健が言う。
「まぁ、ヤクザが経営している人材派遣会社だからな」
 清史郎は苦笑する。元から人材派遣などという業態は真っ当ではない。
 労働量が同じでも正社員のように保障がある訳ではなく、退職金も出ないのだ。
 気概があるなら独立した方がまだまともな人生を歩めるだろう。
「世の中にまともな部分がどれだけあるかって考えちゃう」
「考えるだけ無駄だって。この会社が不法滞在の外国人のブローカーの表の顔なんだろ」
 健が加奈に答える。
「腐る大捜査線かぁ~」
 加奈の言葉に清史郎は小さく噴き出す。
 昔似たような名前の刑事ドラマがあったからだ。
 近くのコインパーキングにビートルを停め、フューチャー人材ネットの入った雑居ビルに足を踏み入れる。
 フューチャー人材ネットは広さは三浦探偵事務所とさほど変わらないものの、水色の絨毯が敷いてあり、パーテーションで区切られた現代的な雰囲気の事務所だった。
「三浦探偵事務所の三浦清史郎です」
 清史郎が受付で言うと奥から同年代のハゲタカを思わせる痩せた男が出て来た。
「フューチャー人材ネット代表鴻上純也です」
 名刺を交換し、パーテーションで区切られた面談室に案内される。
「緒方さんから話は聞いています。可能な限り協力しろと言われています」
 清史郎は内心で頷く。緒方は既に手を回してくれているらしい。
「まず、畑中猛さんの一昨日の勤務状況を伺えますか?」
「九時五時ですね。実際には六時半まで残業、以降は一人で帰っています」
「���り道、例えば行きつけのバーなどはありませんか?」
「最近の若い子はあまり飲まないようですね。オフの事は残念ながら分かりません」
「勤怠について最近異常はありませんでしたか?」
「ありません。何故いきなり死んだのか分かりません」
 鴻上は本気で当惑しているようだ。
「念のため畑中さんの住所と電話番号を伺えますか?」
 鴻上が持参していたラップトップを操作する。
「住所は新庄市高台十二―五メゾンハイツマンション五〇五。電話番号は070―××××―××××です」
「御社は海外の人の派遣も行っていたそうですが、トラブルはございませんでしたか?」
 清史郎が言うと鴻上は意外にも同様した素振りも見せなかった。
「海外の人材とのトラブルは特にありませんでした。彼らは日本では地盤がありませんし、地元ではヤクザの力が強い。ご存知無いかも知れませんが世界最大のマフィアは日本の組なんですよ。経済力で言うと最大の組だけで日本の企業上位六位の八兆円の規模になります。弱小国家など相手になりません」
 鴻上にとって組に所属する事は汚名では無いようだ。
「つまり逆らう事など思いもよらないと」
「そういう事になりますね。もっとも現地では現地人を使っていますが」
 鴻上が言った所で四人に茶が運ばれてくる。
 剣呑な話をしているはずだが、事務員に動じた風は無い。
「同業他社とのトラブルは考えられませんか?」
「日本のヤクザは互いに杯を交わして兄弟となっています。互いのビジネスに悪影響を及ぼす事は代紋に泥を塗る事になります。それは断じてありません」
 最もありそうな可能性が早々に否定された。
 もっとも、あったとしても表ざたにはできないという所もあるのだろう。
「単刀直入にお聞きしますが、殺された事に心当たりはありませんか?」
「ありません。あったとすれば、殺された外人が高跳びしたと考えて探し出そうとしていた事くらいです」
「では外国人労働者の死亡も知らなかったと」
「寮の連中も突然消えたと言っていたくらいです。とはいえ隠している可能性もありましたので地元とも連絡を取って探してはいました」
 フューチャー人材ネットは消えた外国人労働者を捜索していた。
 実際に捜索していたかどうかはミンなりニャンなりに訊けば分かるだろう。
「では捜索中に殺されたという可能性もある訳ですね?」
「何をしている最中だったかは分かりかねます」
 鴻上が答える。これ以上質問しても有意義な答えは返ってこないだろう。
「外国人労働者の寮のある場所を伺えますか?」
「パレステラスガーデンの二階が寮になっています」
 清史郎はパレステラスガーデンの住所を控えると健と加奈を連れてフューチャー人材ネットを後にした。
  〈6〉
   清史郎は家主に事情を言って鍵を開けてもらい、畑中のマンションを訪れていた。
 ワンルームの壁の薄い建物で、床にはカップ麺とスナック菓子の袋が散乱している。
「健、あんたの部屋とどっちが汚い?」
「せめてどっちが綺麗って聞き方しろよ。俺の部屋の方がきれいだって!」
 健が加奈に応じて言う。
「健、PCで分かる事を探ってくれ。加奈は俺と一緒に部屋の中を探ってくれ」
 清史郎が言うと健が畑中のPCに取り付き、加奈が口元をハンカチで押さえながら部屋の奥へと入っていく。
 健が持参したPCを畑中のPCに接続して操作し始める。
 画面上でパスワードの黒い●が点滅している。
「健、何をしているんだ?」
「パスワードを割ってるんっす。文字の数字の組み合わせは天文学的な数になるから手作業なんてしてられねぇっつーか」
「〇〇三一五は?」
 デスク回りを見て清史郎は言ってみる。
「あー! 何で分かったんっスか! ジョークすげぇ!」
「すごいも何もデスク周りの写真がかたっぱしから自撮りだろ? それだけ自分が好きならオレサイコーって入れてもおかしくないだろう」
「超馬鹿っぽい! でもパスワード解析する手間が省けたぜ」
 健が猛然とキーボードを叩き始める。
 加奈は部屋のクローゼットの前に屈みこんでいる。
「加奈、何かあったのか?」
「いや、意外に勉強家だったんだなぁ~って」
 加奈が調べていたのは語学のテキストの山だった。
 海外の人材を集めていたのだから英語は必須スキルだったのだろう。
「ヤクザでも仕事は一生懸命にやってたって事か」
 一所懸命に悪事をするというのは依然知り合った殺し屋円山健司を思い出す。
「そっちは英語の参考書っすか?」
「ああ。そっちはどうだ?」
「英語のオンラインレッスンとゲームとエロサイトばっかりっすね」
 畑中は英語だけは真面目にやっていたらしい。
 清史郎は玄関に戻ってドアの周りを丹念に調べる。
 ピッキングされた形跡は無く、靴の乱れも無い事から突然押し入られたという事でも無いらしい。
 部屋から連れ去られたので無ければ、移動中に拉致されたという事だろうか。
 ――やはり顔見知りの犯行が濃厚か――
 しかし、それならば緒方が何か知っていても良さそうなものだ。
 ――今は地道に情報を集めるだけだ――
 外国人労働者の寮は一階に大日警備保障という警備会社の入ったマンションにあった。
 立地から考えて大日警備保障も矢沢組系列だろう。
 清史郎たちが訪ねるとミンが仕事から帰った所だった。
 ワンルームの部屋に二つ二段ベッドが並べられ四人が生活しているようだ。
「ミウラさんこんにちは」
「ミンさんこんにちは」
 清史郎が挨拶するとミンが同僚に向かって早口の外国語で説明する。
 狭苦しい中に招き入れられ、ジャスミンティーを勧められる。
「これまで殺された人はみんなこの寮の人かい?」
 清史郎は心苦しく思いながらも八人の映像を見せて訊ねる。
「ちがう人もいるよ。知らない人もいるよ」
 残酷な映像に顔を顰めながらもミンが言う。
「同じ寮の人は?」
「リンとホワン」
 ミンが二人を指さす。この寮の人間は合計三人殺されたという事だ。
 この寮で働く人間にとっては気が気ではないだろう。
「殺された人たちに共通点は?」
 映像を確認する限りある程度若いという以外は年齢も性別もバラバラだ。
「分からない」
 残念そうにミンが言う。
 言葉が足りないせいでこちらも質問する言葉が出てこない。
「ニャンさんの妹さんの家族か同僚の人は?」
「女の子の寮は別にあるよ。ニャンは警察に捕まったよ」
 ミンの言葉に清史郎はため息をつく。
「女の子の寮は?」
「会社が違うから分からないよ。フウゾクの会社だよ」
 連絡が充分につくという環境でも無いらしい。
「最近誰かに見られてると思ったり、尾けられてるって思った事は?」
「ツケラレテル?」
「尾行されてる……追われている……追跡さ���てる……」
「ごめんなさい。分からないよ」
 ミンが頭を振って言う。
 どうやらこれ以上聞き出せる内容は無いようだ。
「邪魔したね。取り合えず身の回りには充分に気をつけて」
 言って清史郎は健と加奈を連れてパレステラスガーデンを後にした。
  第二章       錯綜
  〈1〉
   十二月四日午前四時。
 スマートフォンの着信音で清史郎は目を覚ました。
 このような機械を発明した人間を呪いたくなりながら通話ボタンを押す。
「はい、三浦です」
『緒方だ』
 切羽詰まった口調で電話をかけて来たのは矢沢組の緒方だ。
「こんな時間にどうしたんですか? 事件に進展でも?」
『鴻上が殺された。例のネズミ殺しだ』
 突然の言葉に一気に目が覚める。昨日フューチャー人材ネットで会ったハゲタカのような男が一夜と経たずに殺されたのだ。
「警察には?」
『警察から連絡があった。新聞配達のバイトが死体を発見したらしい』
「場所は?」
『フューチャー人材ネットの入っているビルの真ん前だ』
 死体を発見したバイトはさぞかしびっくりした事だろう。
「分かりました。現場に向かいます」
 言って通話を切った清史郎は愛車のビートルに乗り込んだ。
   フューチャー人材ネットのビルの前には二台のパトカーと救急車が停まっていた。
 三人もの警官が動員されており、死体は既に救急車に搬入されている。
 周囲は黄色いテープで保護され、警官たちは近づこうとする人々を制止している。
「掃除が終わるまでしばらくの間近づかないで下さいね~」
 現場を見ようとした清史郎に警官が言う。
 証拠品は無いのか、何か手がかりになるようなものは。
 清史郎が身を乗り出すと赤黒い染みが見えた。
 鴻上が放置されていた場所だろう。
 フューチャー人材ネットの入っているビルの前には監視カメラは無く、今回の加害者は時間的余裕をもってビルの前に放置した事だろう。
 証拠は幾らでもありそうなものだが、警察が浚った後ではロクな収穫は望めない。
「三浦さん、朝早くからすみません」
 朝早くから一分の隙も無くスーツを着こなした緒方がやって来る。
「そういう商売なんでね」
「オイ、そこの警官。先生をお通ししろ」
 低い声で緒方が警官に向かって言う。
「……あの、どういったお話……」
「矢沢組の緒方だ。署長にでも確認を取れ」
 言ってズカズカと現場に踏み入って行く。
「三浦さん、犯罪捜査じゃこちとら素人だ。どうすればいいですか?」
 怒りを滲ませながら緒方が言う。
「被害者の身体はネズミに食い荒らされて指紋の類は無いでしょうし、犯人は手袋をしていた可能性が高いです」
 清史郎は赤黒い染みに近づいていく。
「車から降ろされたならまずブレーキ痕。後、血液に付着した微細証拠品がカギになる場合があります」
「ポリ! 先生の言う通りにしやがれ」
 緒方が言うと警官たちが右往左往する。
 どうやら鑑識キットも準備もして来ていないらしい。
「仕方ない。私の方で調べます」
 空が白々としてくる中、清史郎は道路に残された血液のサンプルを採取する。
 更に周囲を歩き回り、ブレーキ痕を確認する。
「ブレーキ痕は一般的な軽自動車のものです。急停止し痕が残ったものと思われます」
「前はタイムラプスビデオを避ける為だったな」
「今回は人目を避ける為でしょう。これは仮説ですが、死体にはブルーシートか何かがかけてあったのではないでしょうか」
 ビニールシートで巻いた死体を端を持って車から放り出したのだろう。
 やり方は荒っぽいが、証拠は残りにくい。
「現場にDVDは残されていませんでしたか?」
 清史郎が警官に尋ねると険悪な視線が返ってくる。
「DVDは無かったかと聞いているんだ」
 緒方が言うと警官がDVDを差し出してくる。
 差し出された所で再生できる機器も無い。
「指紋を採取してこれまで警察で採取されたものと照会して下さい」
「差し出がましい事を言いやがると……」
「言われた事をやりゃあそれでいいんだ」
 緒方が言うと血を上らせかけた警官が大人しくなる。
「後は近くの防犯カメラに軽トラックが映っていないかどうかですね」
 清史郎は言う。幸い三件隣にコンビニエンスストアがある。
 トラックの影くらいは残っているかも知れない。
「緒方さん、私はこれで」
「朝早くから済まなかったな。明日は畑中の葬儀だ。何か分かるかも知れない」
 緒方の言葉にうなずいて清史郎はコンビニエンスストアに足を向けた。
  〈2〉
  「新庄工科大学?」
 モーニングコールでいつもより早く呼び出された健が清史郎の言葉に問い返す。
 事務所の寒さは外気温と左程変わらず、早急なヒーターの購入の必要性が感じられる。
「それって鑑識的な事をするって事?」
 加奈が朝七時にも関わらず張り切った口調で言う。
「ああ。血液とネズミの唾液くらいしか出ないだろうが、死体は少なくとも現場に一度は降ろされたはずだし、何かに包まれて遺棄現場まで運ばれたはずだ。つまり、殺害現場と包んだものの痕跡が残っている可能性があるんだ。血液には粘着力があるからね」
 清史郎は採取した小さなビニールの密封パックを見せる。
「でも、現場に最初からあったゴミも付いてる訳よね?」
「それを大学の分析機器で分析してもらうんだ」
「ジョーク大学のセンセに顔がきくのか?」
 驚いたように健が言う。
「付き合いがあるからね。じゃあ出発だ」
 清史郎は二人を連れて市内の工科大学に向かう。
 前もって連絡していたせいもあり、工科大学の環境科学科の柴田一太教授が生徒たちと共に準備を整えている。 
「三浦さん久しぶりだね」
「柴田さんお久しぶりです」
 柴田は中肉中背よりやや中年太りをした男だが、ふくふくとした顔立ちをしておりメタボリックにありがちな不健康な印象は受けない。
「血液に付着したサンプルを採取したいという事だね」
「ええ。現場でこそげ取ったので道路のカスも多いと思いますが」
「それは優先的に除外するよ。確か現場候補のサンプル映像があるとか」
 柴田が興味深そうに言う。
「かなりグロテスクですが……」
 清史郎は健に映像を表示させる。
 柴田が口元を押さえながらも映像を食い入るように眺める。
「証拠らしい証拠は出ないかも知れませんよ?」
「と、言うと?」
「床がフローリングやリノリウムのような材質で、殺人の前後に清掃されている可能性が大きい。輸送中のビニールシートか何かに付着した物質なら検出可能だろうけど」
「おっさん、ここでは何を調べられるんだ?」
 健が柴田に向かって言う。
「ガスクロマトグラフィーと液クロマトグラフィー、更に原子吸光器もある。分析化学に必要な機材は揃っているよ」
「具体的にはどういった物質が検出できるんですか?」
 加奈が健が訊きたいであろうことを尋ねる。
「血液であればたんぱく質や鉄分や塩分が検出できるし、それを除外して町中を車で移動したなら排気ガスなんかを検出する事もできる。ビニールシートが新品なら保護用の粉末なりがあるだろうし、死体を縛ったなら何かの繊維が検出されるかも知れない」
「そんな細かいモンで何が分かるんだ」
 健が不思議そうに言う。
「それを考えるのが探偵だ。じゃあここは柴田さんに任せて慶田盛にニャンさんの話を聞きに行こうか」
 清史郎は一同を促してビートルへと戻った。
  「奇妙な事になったね」
 ニャンの弁護をする事になった筈の慶田盛が事務所の応接セットで言う。
「加害者が拘置所の中にいるのに十番目の被害者が出た」
 清史郎は湯飲みを両手で包み込むようにして言う。
 茶の淹れ方は加奈の方が上のようだ。
「警察側は不法滞在者の組織的犯罪として押してくるかも知れないね」
 慶田盛が茶をすすりながら言う。
「不法滞在者は矢沢組の監視下にある。寮の下に警備会社が入っているくらいだ」
 清史郎は昨日得た情報を慶田盛に告げる。
「警察にとっては犯人を逮捕する事が重要なんであって、逮捕する相手が誰かという事は自分たちに都合さえ良ければいいという事なんだ」
 慶田盛の言葉を清史郎は反芻する。
「矢沢組の外国人ブローカーは社長まで殺された。外国人ビジネスから撤退するのであれば警察との間で手打ちができるか……」
「外国人ブローカーがいいとは言わないけど、それじゃ何の解決にもなっていないんじゃない?」
 加奈が言う。確かにこれで十一番目の被害者が出てくるという事になれば外国人を一斉摘発しても元の木阿弥という事になる。
「つーかさ、気になってたんだけど、このエグいビデオって他人に見せるのが目的なんだろ? ンでこんな凝った殺し方してんだろ? だったら視聴者がいるんじゃねぇか?」
 健が指摘する。確かに他人に見せるつもりが無いのであればこれほど凝った殺し方をする理由が見当たらない。
「スナッフビデオの愛好者は世界中にいるからな……」
 慶田盛が腕組みをする。
「最初は八人連続でアジアの労働者だった。次はブローカーだ。外国人の労働者の失踪が珍しくない事なのだとしても、日本人でしかも会社の社長というのはな」
 清史郎は考える。単にスナッフビデオを撮影するというだけなら、残酷な話だが外国人労働者だけで良かったはずだ。
 ここに来てヤクザを殺し始めたというのは一体どういう風の吹き回しなのだろうか。
「一応、外国人保護のNPOに連絡はとってある。矢沢組との兼ね合いはあるけど、摘発という事になったら保護する段取りはできているよ」
 先手を打ったらしい慶田盛が言う。
「矢沢組もこれ以上組員の死体が出ればなりふり構わないだろう。犯人だってその恐ろしさは分かっているはずだ」
「これってアレだな、ラットマンVSジョーカーって感じだな」
 健が緊張感の無い事を言い出す。
「犯人の行動指針が全く読めない。これで事件は完全に終わりなのか、続きがあるのか、その行方も分からない」
 ラットマンがこの先も犯罪を続けるなら、警察の一斉摘発も空振りに終わるだろう。
 そうすれば警察の面目は丸つぶれだ。
 ――犯人の狙いはそれなのだろうか――
 だとしても根拠が薄弱すぎる。
 清史郎は健と加奈を引き連れてビートルに戻った。
  〈3〉
  「ジョーク、頼みがあんだけどさ」
 ビートルの車内で健が頼みづらそうに言う。
「何だ? 言うだけならタダだぞ」
「途中のホームセンターで石油ファンヒーター買ってくれ。外と室内とどっちが寒いか分からねぇし、指がかじかんでキーボード叩けねぇんだよ」
 清史郎はため息をつく。寒いのは仕方ないにしても、キーボードの叩けない健は文字通りただ飯食らいだ。
「しょうがないな。まぁ、長く使うものだしヒーターくらい買ってもバチは当たらないか」
「やりぃ!」
 健が嬉しそうに声を上げる。
「その分仕事もたくさんこなさないとね」
加奈の声も弾んでいる。
「所で健、さっきの話だが、誰かに見せる為に撮影したなら、その誰かを探し出すような事はできないのか?」
「ムリっす。動画配信だとしても、会員制になってるだろうし、そんなサイト幾らでもあるだろうし」
 確かに健の言う通りだろう。発信者と受信者のどちらも分からないのでは手の打ちようがない。
「気になるんだけどさ、あのビデオライト当たってたじゃん? あれって相当強いライトなんじゃない? 芸能事務所が使うようなさ」
 加奈の言葉に清史郎は頷く。
 確かに映像が鮮明過ぎた。普通のPCやスマートフォンのカメラで、普通の照明で撮影されたのであれば、あそこまで鮮明な映像にはならないはずだ。
「まさか……芸能事務所がそんな事をしてるとは思えないが」
「それは無いと思う。前に光源の話をしたと思うけど、芸能事務所やスタジオならレフ版とか使って光の当たり方を均一にするはず」
 加奈がその可能性を既に考えていたのか意見を述べる。
「じゃあ、4KカメラをPCにつなげて強い光を当てて……って、投光器あんじゃん! 現場用の」
 健が声を上げる。
「投光器ったって、ホームセンターで幾らでも買えるだろう?」
 清史郎の言葉に健が肩を落とす。
 ホームセンターで石油ファンヒーターを買い、ガソリンスタンドで灯油を買い込んで事務所に戻る。
 前の石油ファンヒーターは五年頑張ってくれたがこれで引退だ。
「はあぁ~、生き返る。これぞ文明の機器」
 健がファンヒーターの前で頬を緩ませる。
「あんたがそこにいたら室内に温風が回らないでしょ」
 コーヒーを沸かしながら加奈が言う。
「少しくらいいいじゃねぇか。減るもんじゃなし」
「ったく、事件の事も考えてよ。ジョーカー、何か分かった事無いの?」
「ブレーキ痕があったくらいだよ。深夜とはいえ急いでたみたいだな」
「フューチャー人材ネットに的かけてるとか?」
 健が席に戻りながら言う。
「それは昨日話したし、それなら外国人労働者を殺している理由が成り立たない」
 加奈が冷静に言う。
「誰かがフューチャー人材ネットの不正を暴こうとしてる」
「その為に殺人をも厭わないというのは、正義を働こうとしている人間のする事じゃないだろうな」
 清史郎は健の言葉をやんわりと否定する。
「何か良く分からない事件よね。殺人にはすごく凝ったり、痕跡にはすごく気を使ってるのに、殺す相手は行き当たりばったりみたいな」
 加奈の指摘は的を得ているかも知れない。
 被害者が外国人労働者だけで、これまで通り死体を残さないのであれば事件にすらなっていなかったはずだ。
 それが日本人の被害者が出て、スナッフビデオまでが現場に残された。
 しかも二人目の日本人はブローカーの社長で、裏のビジネスを知っていたとするならヤクザだという事も知っていたはずだ。
 それならばその報復が半端なものではない事は簡単に想像がつくだろう。
「犯人の目的ってそもそも何なんだろな。スナッフビデオで儲けるっつっても、普通に売れるような代物じゃねぇんだろうし、性別だってバラバラだろ? エロビデオなら大体若い女の子じゃね?」
 健が首を捻りながら言う。確かに言われてみればスナッフビデオとして売り出すとしても客層はネズミを使った殺人方法にしか興味が無い事になる。
 それでは商売にならないだろう。
「大量のネズミを飼ってるんだ。コストや隠し場所も馬鹿にならないだろう」
 清史郎は脳裏に新庄市の地図を描きながら言う。
 機材も使っているのだし、どこかに手がかりがあるはずだ。 
 清史郎が考えあぐねていると電話の呼び鈴が鳴った。
「お電話ありがとうございます。三浦探偵事務所飯島でございます」
 加奈が電話を取って言う。
「はい、三浦ですね。少々お待ち下さい」
 加奈が受話器を置いて清史郎に顔を向ける。
「工科大学の柴田さん」
 清史郎は受話器を取る。
「三浦です。何か分かりましたか?」
『参考になるかどうかわかりませんが、興味深い事が分かりましたよ』
「どんな些細な事でも結構です」
『トウモロコシ何かの穀物の微粉が検出されました』
「それはどういった意味になるのでしょうか?」
『あくまで仮説ですが、犯人はネズミを飼育するのに犬の餌を使っているんじゃないですか? 他にもそれを示唆するような牛骨粉も検出されています』
 現場に関する証拠は見つからなかった。
 ――しかし……犬の餌か……――
 これまたホームセンターで簡単に手に入る代物だ。
「ありがとうございます。また何か分かりましたら教えてください」
清史郎は通話を切る。
「ジョーカー、何だって?」
「犬の餌が検出されたんだそうだ。犯人は普段はネズミに犬の餌を与えてたんだろうな」
「餌ならホームセンターで買えんじゃね?」
「ちょっと待って、ケージはどう? あれだけたくさんのネズミを飼っておけるケージは相当大きいか幾つかに分けられているんじゃない?」
 加奈が言う。確かに狭いケージに肉の味に慣れたネズミを押し込んだら共食いをする事だろう。
「あ! 昔町の外れの方にデカいペットショップが無かったか? もう潰れちまってるけど」
「行こう」
 健の言葉に清史郎はビートルの鍵を手にする。
 ようやく手がかりらしい手がかりが見えて来たようだ。
   郊外型の大型ペットショップは廃棄されたままの姿で佇んでいた。
 正面のガラスが近隣の悪ガキの悪戯で割れており侵入が困難という事は無い。
 スナック菓子の袋やペットボトルが散乱しているが、どれも古く最近のものでは無いようだ。
 ここでかつて何が行われていたかは考えるまでも無いだろう。
「汚ぇトコだな。ま、誰も掃除なんかしやしねぇんだろうけどさ」
 健がぼやきながら先に進んでいく。
 清史郎はポケットから取り出したマグライトで床を照らす。
 床にはホコリが溜まっているが、何者かが侵入したような形跡がある。
 ――当たりを引いたか――
「見てジョーカー、バックヤードにだけ新しい鍵がついてる」
 清史郎は加奈の言葉を受けてバックヤードの観音開きのドアにライトを向ける。
 取っ手に鎖が巻き付けてあり南京錠でロックされている。
「それじゃあお宝を拝見するとするか」
 清史郎にとって南京錠などは鍵とも言えないものだ。
 ピッキングツールで難なく開いたドアを開けて中へと足を踏み入れる。
 瞬間、小便を腐らせて煮詰めたような強烈な臭いが鼻を突く。
「うげっ! 何だ? この臭い」
 健が顔を背ける。
「嫌な予感しかしないんだけど」
 口を押えた加奈が言う。
 清史郎は袖で鼻と口を押えながらマグライトでバックヤードを照らす。
 が、そこにはがらんとした空間が広がっているだけだった。
 ……床の汚泥のような物体以外は。
「何も無ぇ……てか、これ……」
「ネズミの糞だろうな。飼い主は閉じ込めておくのに耐えかねたんだろう」
 バックヤードでケージを積んでネズミを飼っていたのだろうが、飼い主の方が臭いに耐えかねる状況になったのだろう。
「この臭いじゃ毎回運ぶ気にもならない……ジョーカー、床に引きずったような痕がある」
 加奈の言葉にマグライトを下に向ける。
 確かに汚泥が削られたようになり、ケージを引きずり出したような痕がある。
 犯人はネズミのケージをここからもっと風通しのいい所に移動させたのだろう。
「何だよ。また振り出しに戻るのかよ」
「いや、これで犯人がネズミを飼育していた事は判明した」
 清史郎は健に向かって言う。
「犯人はどこに消えたのかしら? たくさんのネズミを飼っておける場所って……」
「郊外に出れば廃屋なんて幾らでもあるし、廃棄された養豚場や養鶏場もあるだろう」
 清史郎は郊外の様子を想像しながら言う。
 新庄市の北部の山林地帯にはかつては多くの畜産業者が存在していた。
 その残骸の多くはハイウェイを通る時に見る事ができる。
「一軒一軒回るのか? このクソ寒いのに?」
「寒いのはともかく、当てもなく山を探し回っても拉致が明かないんじゃない?」
「警察なら人海戦術でやるんだろうな……」
 清史郎はひとまずペットショップの外に出る。
 寒空だが悪臭の中に比べると北風の方がマシに思える。
「ジョーク、何か案は無ぇのかよ」
「あんたこそ空撮とか何かできないの?」
「googleearthだってそこまで精密には見れねぇよ」
 健の言葉を清史郎は反芻する。
 犯人も忘れ去られたような施設まで把握はしていないだろう。
 だとすればハイウェイから見えてなおかつ、一般道では入り込めない場所という事になる。
 更に移動に軽トラックを使っている事から、車の乗り入れのできる場所という制限も付けられる。
「とりあえず、ハイウェイから入っていける横道を探した方がいいだろうな。もしこの犯人が利用している施設ならネズミの糞が乾燥していない事から、最近場所を移動したんだろう。だとすれば脇道を封鎖する私有地の看板みたいなものは新しいはずだ」
「なぁるほど、確かに。でも、誰かの家に出ちまったらどうなんだ?」
「聞き込みに来たって言えばいいじゃない」
 健に答えて加奈が言う。
「じゃあドライブに行くとするか」
 清史郎はビートルの後部座席に健を乗せると運転席に乗り込んだ。
  〈4〉 
 
 「どーせ森林浴するなら秋とかのが良かったんじゃね?」
 幾度目かの横道を試す中、健が愚痴をこぼす。
 街乗りの車として作られているビートルは車高が低く、エンジンなどは新型に換装してあるが底がこすれ振動もひどい。
 岩で車体の下を破壊されたら帰る事もままならない。
「森林浴ってどっちかって言うと夏じゃない?」
 加奈が健に向かって言う。
「だって夏の山って蚊が出るじゃんよ」
「あんたって本当にアウトドアに向かないわよね」
「海には行きたいぜ。目の保養に」
 健の言葉に加奈がため息をつく。
 ハイウェイからの脇道は意外に多かったが、多くが途中から藪に包まれていた。
 まともに通れた道もあるが、高齢者の農家が猫の額のような畑を耕しているだけだった。
「ジョーカー、私たちで人海戦術は無理が��るんじゃない?」
 加奈の言葉に清史郎は山道の中でブレーキを踏む。
 ビートルの新型のエンジンの振動が静かに車体を震わせる。
「確かにそれはそうなんだが……」
「もう少し条件絞った方がいいんじゃねぇの?」
 健の言葉に清史郎は考える。
 私有地の新しい看板は想像以上に多かった。
 恐らくは土地の相続が難しく売りに出されたものだろう。
 農家もそれとほぼ同数存在している。
 ――だとすれば――
「健、不動産で売り出されている土地の情報と、農協に作物を収めている農家のデータを検索してくれ」
「不動産はネット見れば分かるけど、農協には何の仕掛けもしてないし侵入できないぜ?」
 健が答える。健はITの天才のように見えるが、種と仕掛けが無いと普通のITボーイなのだ。
「近くの農協に仕掛けてくれればやるけど」
 キーボードを叩きながら健が言う。
「いいわよ。こっちで直接電話で聞くから。新庄神谷の田舎なんてそんなに人が住んでないでしょ」
 加奈がスマートフォンとシステム手帳を広げて言う。
「じゃあ、俺は一旦ビートルを戻してコーヒーでも買うか」
 清史郎は近場のコンビニに向かって車を走らせた。
  「で、不動産で売り出されている土地を除外して、農家も除外した結果がこれ」
 コンビニの駐車場で健が地図を表示する。
 地図が色分けされ、幾つかの空白地帯が出現している。
「土地って言っても宅地と農地と山林を省いて、酪農? 的な所は空白のままにしてる」
「昔酪農をしてた農家があったんだって。丁度この辺」
 加奈が地図の一点を指さす。
 二人はほぼ条件にそってターゲットを絞り込んでいたらしい。
「じゃあラットマンとご対面と行くか」
 清史郎はビートルを発進させた。
 黄色いプラスチックの鎖を外し、立ち入り禁止の看板を無視して山道にビートルを乗り入れる。
 まだ新しい轍が山の中へと続いている。
「なんかそれっぽくね?」
「でもジョーカー、犯人がいて、武器とか持ってたらどうするの」
「そういう時の為にくぎ抜きがあるんだよ」
「頼りねぇなぁ、モデルガンでも持って来れば良かったじゃねぇか」
「ああいうのを持ち歩いていると職質された時に面倒なんだよ」
 清史郎がビートルを走らせていると、林が開けて納谷と牛舎が姿を現した。
 エンジンを停めて外に出てみる。
 納谷を後回しにして牛舎を見るが静まり返っている。
 が……
「あったぜ! ジョーク、ネズミの糞だ!」
 牛舎の床の部分に大量のネズミの糞が散らばっている。
「ジョーカー! こっちに犬の餌がたくさんあるよ」
 納谷を覗いていた加奈が言う。
「よっしゃあ! ラットマンのアジトを突き止めたぜ!」
 健がガッツポーズを取る。
「だが、ネズミがここにいないという事は、犯人は次のターゲットを既に拘束している可能性がある」
 清史郎の言葉に健と加奈が目を見開く。
「おそらく窓の無い遮音性の高い部屋を幾つか確保しているんだろう。一日二日ならネズミに餌をやらなくても死にはしないだろうしな」
 清史郎はスマートフォンを取り出して緒方をコールする。
『緒方だ。捜査に進展はあったか?』
「犯人がネズミを飼っていた場所を確認した。が、今は運び出されている。恐らく次のターゲットを拘束したか、そうでなくても狙いを定めたんだろう」
『仕事が早くて助かる。こっちは組員の点呼を行う』
「外国人労働者の方は?」
『フューチャー人材ネットの社長と社員が死んだんだ。手を回せる状況ではない』
 組関係者が立て続けに死んでいるというだけで緒方は手一杯だろう。
「とりあえず地図は送る。犯人が来たら捕らえられるようにしておいてくれ」
『捕らえるだけで済めばいいがな』
 緒方が通話を一方的に切る。
 清史郎は現場の写真と地図をメールに添付して送る。
「ヤクザが味方ってのは心強えな」
「裏を返したら失敗したらタダじゃ済まないって事でしょ」
「とりあえず事務所に戻ろうか」
 清史郎はビートルに足を向けた。どの道ここに留まっていても何かができる訳ではないのだ。
  〈5〉 
 
 「NPO法人ジャーニーオブアースの高田美恵と言います」
 四十代のキャリアウーマン風のスーツ姿の女性を前に、緒方は戸惑いを感じていた。
 ラットマンの事件がようやく片付きそうだと言うのに、どんなトラブルが舞い込んだのだろうか。
「慶田盛弁護士からこちらで違法に働かされている外国の方がいらっしゃるとか」
「ウチはただのケツモチでビジネスは企業がやっています。我々が直接関与している訳ではありません」
「それならばどうして外国の労働者に続いてそちらの企業舎弟の方々が殺されたのですか? 無縁という事は無いはずです」
 頑として引き下がらない様子で高田が言う。
「だとして一体どうなさりたいのですか?」
 緒方は尋ねる。NPOなどという胡散臭いものがヤクザに一体何の用があると言うのか。
「我々は国内の外国人の人権を保護しております。滞在に違法性がある場合、また、行政が適切な援助を行っていない場合、司法的手続きによって人権と合法的滞在を要求します」
 面倒くさい相手だと緒方はため息を押し殺す。
 外国人ビジネスはそこそこの収益率がある事と、麻薬の生産地である現地との繋がりもある事から簡単に手を引く事はできない。
 ――フューチャー人材ネットを切るか――
 フューチャー人材ネットで管理している外国人はせいぜい二百人といった所だ。
 だが、二百人も司法で戦うという事になればNPOも音を上げるだろう。
「いいでしょう。我々の知る限り、外国人労働者のデータをお渡ししましょう」
 言って緒方は若い衆にフューチャー人材ネットの裏帳簿を持ってくるように命じる。
 ――矢沢組はここの所踏んだり蹴ったりだな――
 
 「ニャンさんとの面会も上手く行ってね。不法滞在の外国人の滞在許可を正式に取得する為にNPO法人に依頼したよ」
 事務所に戻ると早々に慶田盛がやって来た。
「不法滞在者の弁護なんてできるものなのか?」
 慶田盛に椅子を勧めながら清史郎は訊ねる。
「そこが法の難しい所だ。パスポートはあるがビザは無い。本来強制送還という所だが、強制的に働かされており、今後も働かされる予定が存在し、生活の基盤も日本に存在している。と、なれば彼らの人権を守る為に裁判をすることはやぶさかじゃない」
 慶田盛が加奈の淹れたコーヒーに口をつける。
「今後も、と、言うが、フューチャー人材ネットは社員に続いて社長が殺されて運営が危うくなっている。緒方は会社を捨てるかも知れないぞ?」
「日本で働いていたなら、本来労基法が適用される。それが無視された状態で働かされていたなら、当然順守が求められる。フューチャー人材ネットが倒産したとしても、就労実態があったとして国は失業保険を支払わなければならないし、フューチャー人材ネットも相応の保証金を支払わなければならないだろう」
 そもそも、と、慶田盛は続ける。
「日本国憲法の基本的人権という考え方は国籍を問うていないんだよ。帝国憲法は臣民の、と、書いてあるから明らかに天皇の主権統治下にある、と、読めるけど現在の日本国憲法はそうじゃない。一九七九年、最高裁のマクリーン判決でも憲法第三章の基本的人権の保障は在留する外国人に等しく及ぶべしと言っている。判例が前例として存在するんだ」
 慶田盛が全員に聞かせるようにして言う。
 確かにその通りなら不法滞在などという言葉そのものが違憲という事になるだろう。
「これは一九四八年の国連の世界人権宣言でも批准されている事で……」
「言いたい事は大体分かった。要するに人類皆兄弟という事だろう」
「まぁ、それが理想ではあるんだけどね。最近は何かと閉鎖的になって来ている気がしてね」
 やれやれと慶田盛が肩を竦める。
「とにかく、外国人の保護はNPOに依頼したから何とかなるだろうし、法廷闘争という事になれば僕の出番だし何とかなるよ」
 言ってコーヒーを飲み干した慶田盛が席を立つ。
「ニャンさんの容疑が晴れそうだと思ったらまた地裁だよ。じゃあな」
 慶田盛が嵐のように事務所を去っていく。
「慶田盛のオッサンって法律の鬼みてぇだな」
「だから法の番人なんだろ」
 健に答えて清史郎は言う。
「不法滞在の人たちの弁護なんかしてお金になるのかな……」
「なるようなら俺たちだってもっといい暮らしをしてるだろうさ」
 加奈の言葉に清史郎は苦笑で答える。
 慶田盛弁護士事務所と三浦探偵事務所は利益度外視が持ち味なのだ。
  『組員は厳戒態勢だ。ラットマンのアジトも確保した』
 スマートフォン越しに緒方が言う。
『に、しても会社一つ取られるとは思ってもみなかった』
 緒方の言葉は苦い。どうやらフューチャー人材ネットの外国人労働者は慶田盛が解放する形になったのだろう。
「太っ腹だと思われた方が近所受けはいいんじゃないのか」
 清史郎が言うと苦笑が漏れる。
『震災の炊き出しの方が余程いい宣伝になる。まぁ、これでラットマンを仕留められれば意趣返しにもなるんだがな』
 緒方が好戦的な口調で言う。不法滞在者でスキャンダルを抱え、組員を殺された事で怒りのベクトルがラットマンに向いているのだろう。
 に、しても、と、清史郎は考える。
 矢沢組が総力を挙げるという事は矢沢組の中にはラットマンはいないという事になるのでは無いだろうか。
 だとすれば畑中の事件のタイムラプスビデオのトリックが仕掛けられない事になる。
 矢沢組の外の人間で三浦探偵事務所以外にハッキングを仕掛けている所があるとは思えない。
「警察に突き出すつもりなら殺さないでくれよ」
 清史郎が言うと小さな笑い声と共に通話が切れた。
  第三章       ジョーカーVSラットマン
  〈1〉
   十二月五日。清史郎は目覚まし時計で六時半に起きると地元のニュースにTVのチャンネルを合わせ、玄関に新聞を取りに言った。
『……速報です。本日午前六時新庄市警組織対策本部長が惨殺体が発見されました。新庄市警は連続殺人事件との関係を捜査中としており、同一犯の場合フューチャー人材ネットを狙った二つの殺人に続く第三の殺人であるとして捜査本部を設置し……』
「何だとぉ!」
 清史郎は思わず声を上げた。
 ヤクザが厳戒態勢の中、ラットマンは市警の、それも最もヤクザと緊密な組織対策本部長を狙ったというのか。
 ヤクザが警戒しているから警察を狙ったとでも言うのか。
 ――そんなバカな話がある訳が無い――
 清史郎はワンルームの室内を動物園の熊のようにうろつき回る。
 昨日ラットマンはネズミを運び出していた。
 ラットマンは昨日の時���でターゲットを捕捉していたのだ。
 と、言う事は最初から狙いは警察の組織対策本部長だったのだ。
 ――何故組対なんだ?――
 ヤクザを庇っているように見えたからか。
 だがこの殺人は外国人労働者による殺人という文脈から完全に外れている。
 ラットマンの狙いは一体何だと言うのか。
 清史郎は身支度を整えると事務所に向かう。
 定時の九時を待たずに加奈と健が事務所に現れる。
「ジョーク、ラットマン何考えてんだよ?」
 健が訳が分からないといった様子で言う。
「それが分かれば苦労しないし、この事件も起きていない」
「ヤクザの守りが固いからって言っても市警の組対本部長も相当よね」
 加奈が言う。個人としては狙う事もできるだろうが大物と言えば大物だ。
「でもこれで外国人労働者の線は完全に消えた事になる」
 清史郎は言う。外国人労働者が無差別に狙ったとして市警の組織対策本部長に当たる可能性は限りなく低いからだ。
「現場にはやっぱりお巡りがいっぱいいんのかな?」
「そりゃ、警察は警官が殺されたら本気になる組織だからな」
 清史郎は健に答える。警察は民間人の被害者には冷淡な事が多いが、身内の警察官となると目を血走らせて犯人を追いかけるものなのだ。
「何か納得できない。今回の殺人も死体を見せつけた訳でしょ? ラットマンは外国人の時は見せつけるような事はしなかったけど、ヤクザから先はわざわざ死体を見せつけてるのよね? 何かメッセージがあるんじゃないのかな?」
「殺人ビデオを作ってたヤツがか?」
 加奈の言葉に健が答える。
「それよりこれから市内は検問だらけの戒厳令みたいな事になる。ラットマンはアジトに戻るか高跳びしていないと逃げ場がなくなるだろうな」
 清史郎は腕を組む。
「軽トラックにネズミ乗っけてれば簡単に見つかりそうなモンだけどな」
 健が頬杖をついて言う。
「これが最後の犯行だとすればネズミを下水に逃がせばいいだけだ。ケージだって畳むなりプレスに紛れ込ませるなりすれば見つからないだろう」
「そっか……この殺人事件って、凶器は逃がせば消えるって事なんだよね」
「でもよ~、どういうミスリードなんだ? 全然繋がらねぇじゃんよ」
 清史郎は冷えたコーヒーに口をつけて考える。
 何かが引っかかる。単純だが、見落としてはならないもの。
 矢沢組の玄関のタイムラプスビデオ、市警組対本部長。
 ――まさか――
「健、大日警備保障に警察OBがいるか分かるか?」
 清史郎が言うと健が不思議そうな視線を向けてくる。
「大日警備保障は矢沢組のフロントだろう? で、警備会社とくれば警察OBの天下りだ。大日警備保障なら矢沢組のセキュリティも分かるだろうし、市警の組対本部長のスケジュールも手に入るかも知れないだろう? しかも大日警備保障はミンさんたちの寮を監視するみたいに事務所を構えていた。外国人労働者を監視するのが大日警備保障の役目だったとすればどうだ?」
 清史郎が言うと健が猛烈な勢いでキーボードを叩き始める。
「大日警備保障の人が外国人のスナッフビデオで小遣いを稼いでいて、それがバレそうになったからフューチャー人材ネットの社員と社長を殺した、って言うのは分かるんだけど、その後どうして警察の幹部を狙ったのか分からない」
 加奈が首を傾げて言う。
 清史郎にはその言葉に答える術が無い。
 まだパズルのピースは穴だらけのままなのだ。
「従業員の三分の一は警察OBだぜ。ほとんどシルバーだけどな」
 健がPCのディスプレイに一覧を表示させる。
「ヤクザと警察のパラダイスね」
 皮肉るような口調で加奈が言う。
「大日警備保障の昨日のシフトは分かるか? なるべく現役に近いヤツで非番のヤツは?」
「新田卓ってヤツかな……警察を暴力事件でクビになって採用されてる」
 健が履歴を表示させる。
 新田卓三十四才。空手三段柔道五段。元警備部巡査部長。デモの警戒で出動中市民に対する暴力で謹慎。謹慎中にNPOの代表を襲撃して重傷を負わせて依願退職となっている。
「空手三段柔道五段じゃあ私らじゃあ手も足も出ないんじゃない?」
 加奈が忠告するようにして言う。
 三人がかりでも新田を捕らえるなどという事はできないだろう。
 しかも現状ではただ怪しいというだけなのだ。
「新田の住所は分かるか?」
「もちろん。でもどうすんだ?」 
「スナッフビデオを動画配信で売ったならPCに痕跡があるはずだろう?」
 清史郎が言うと健が珍しく考えるような表情を浮かべる。
「新田本人がやったなら別にいいんスけど、新田が完全に肉体派で家にPCも無かったらどうすんだ? それに最初複数犯って言ってたじゃねぇか」
 健の指摘に清史郎は額に手を当てる。
 その可能性を忘れていた。
「新田のメールを覗く事はできるか? 組織的犯行なら組織が割れるかも知れない」
「もしかしたら組織だから組対本部長を消したのかも」
 加奈が言うと健がさも人使いが荒いといった様子でPCを叩き始める。
「だが、普通組対というのは暴力団対策部の事だぞ?」
「それくらい知ってるってば。でも、暴力団の中の暴力団って事もあるじゃん?」
「それなら一昨日の時点で刑事部の風間が何か知っていても良さそうなものだろう?」
「風間から組対に話が行ったって可能性は?」
「可能性はあるが、それならどうして風間を殺さなかったんだ? ラットマンを追う可能性があったのはあの時点では風間だったんだぞ?」
 清史郎が言うと突然健が触っていたPCから『君が代』が流れ出した。
「何だ? どうした?」
 清史郎が言うと健がPCの音声をミュートにした。
「新田は愛国防衛戦線って団体の構成員だったみたいだ。これサイトな」
 画面上では日章旗がはためき、スナッフビデオへのリンクも張られている。
「こいつらが外国人を殺してたっての?」
 加奈が声を上げる。
「でも、それがどうしてヤクザを殺す事になった?」
 清史郎は画面をのぞき込む。
『日本を愛し、日本を守る。汚らわしいドブネズミ、土人どもを取り除き、美しい日本を取り戻す。子供たちに残そう愛すべき祖国』
 清々しい程のヘイトだがそれがこの団体のスローガンであるらしい。
「これを素直に読むと、外国人を呼んでくるヤクザもターゲットになるって事じゃない?」
 加奈の言葉に清史郎は虚を突かれる。
 そこまで短絡的だったとするなら、フューチャー人材ネットを襲った惨劇には納得が行く。
 しかし、警察の組織対策本部長を殺した事には依然として結びつかない。
「健、この組織の構成員何かは分からないのか?」
「これ、ロシアのサーバーに作られてんだ。結構腕のあるヤツが組んでるっぽいし、相手のIPアドレスを掴んだくらいで組織が割れるなんて事は無いと思うぜ?」
 健の言葉に清史郎はスマートフォンを取り出して緒方をコールする。
『予想外の展開だな』
 挨拶も無く緒方が応じる。
「一つ聞きたいんだが、愛国防衛戦線という組織に心当たりは?」
『右翼団体で最近はネットを中心に活動しているらしい。親は同じだが組が違うから詳細は分からん』
「お宅の大日警備保障の新田がメンバーだった。で、そのサイトでスナッフビデオが垂れ流しになっている」
『大日警備保障は確かに親は同じだが組が違う。だが、大日警備保障か……』
「心当たりがあるのか?」
『外国人に警備が必要だと言って頭超えてから割り込んできたのが大日だ。てっきり小遣い稼ぎをしに来ているものだとばかり思っていたが……』
 緒方も知ってはいるものの詳細は分からないらしい。
『愛国防衛戦線は無動正義という男が代表を務めている……現在は新庄市に移り住んでいるらしい』
「その無動正義というのは何者なんだ?」
『ヤクザとしては三流だが、ネット右翼の最先鋒で荒しなんかで稼いでる男だ。与党を宣伝する書籍や中国や韓国を罵倒する書籍も発行している。最近は新しい道徳と歴史の教科書も作ってるそうだ』
 緒方も何か調べているらしい様子で言う。
 健が無動正義を検索してウェブサイトを表示する。
 『愛国心』と大きく書かれた下に禿頭の男の写真が載っている。
 よくよく見れば小さく愛国防衛戦線へのリンクも存在している。
「こっちでも確認した。一応文化人というカテゴリーには入れられているようだな」
 与党側のご意見番といった形でTVやラジオにも出演しているようだ。
『矢沢組としては親に判断を仰ぐしかないな』
 苦々しい口調で言って緒方が通話を切る。
「ジョーカーどうするの? 一応文化人らしいけど」
「やっている事は石器人並みだがな」
 実行犯ではないにしろ、無動正義の指示で愛国防衛戦線と大日警備保障が動いた事は間違いないだろう。
「無動って野郎をふん捕まえて吐かせりゃいいんじゃねぇか?」
「大日警備保障を忘れないでくれよ。俺たちは探偵で警察じゃない。暴力じゃなくて知力で物事を解決するのが仕事なんだ」
「それには証拠を探さないとね」
 加奈が応じて言う。
「見つけるべき証拠は殺害現場、軽トラック、ネズミが入っていたケージ、投光器、撮影用のカメラ。こんな所か」
「軽トラックなんて警備会社は幾らでも持ってんじゃねぇのか?」
 健が言う。
「新田の事務所の軽トラックからルミノール反応が出ればビンゴだ」
「大日警備保障の事務所は市内だけで八か所だ。それにコーンを乗せて動いてるかも知れなねぇし……」
「殺害現場が一番動かぬ証拠なんじゃない?」
 健に続いて加奈が言う。
「窓の無い部屋。地下室か、人の出入りの無い地下駐車場か……」
「それこそ検索できねぇよ」
 キーボードに触れずに指だけ動かして健が言う。
「忘れてる。現場は水で流して掃除できないと血が残るって事」
 加奈が言う。
 確かに最初の頃の映像は床がフローリングのようだったが、途中からリノリウムのようになり、照明も明るくなっていた。
 犯人グループは最初の頃の反省を踏まえ、条件のいい場所を探し当てたのだろう。
「ネズミをケージなりに戻す為にも密室が必要か……」
 清史郎は頭を巡らせる。間口がかなり狭くないとネズミの大脱走が起きる事だろう。
 そうすれば近所に知られる事になる。
 そしてこれまでの被害者の住所から考えて市内にある事は間違いない。
「コンテナだ」
 清史郎は言う。
「健、大日警備保障が警備している港のコンテナは分かるか?」
「なるほど、貨物のコンテナなら密室でライトを持ち込んだりすればそれらしくできるし、洗うのも簡単……」
 加奈が言うと健がPCのキーボードを叩き始める。
「パシフィックアジアって貿易会社と契約してやがる」
 健がgoogleearthで埠頭のコンテナ���拡大する。
 黄色の貨物コンテナが八基並んでおり、そのうち一つか幾つかが犯行に使われた可能性が高い。
「ジョーク、乗り込むのか?」
 健の言葉に清史郎は考える。
 鍵を開けて中を確認するにはピッキングをしなければならないが、昼間にそれをすることは困難であり、そもそも大日警備保障が警備をしているのだ。
 新田に遭遇したら三人まとめてコンクリート詰めにされて、ドラム缶で海に沈められかねない。
 やるなら夜だ。
 現場を特定し、証拠を手に入れ、実行犯と無動正義を殺人容疑で起訴するのだ。
 
 
〈2〉
   深夜零時。清史郎は久々にジョーカーの衣装に身を包んでいる。
「僕は殺しが仕事で警護は仕事ではありません」
 ボートの上でスーツ姿の円山が両手に手袋をはめたまま言う。
「致命傷を負わせて欲しいんじゃない、殺されたら困る」
「あなたは殺し屋を何だと思ってるんですか」
 清史郎は今回の作戦に当たって円山健司に警護を依頼していた。
 緒方に兵隊を借りるという方法も無くは無かったが、矢沢組は格上であるとはいえ、愛国防衛戦線と同じ指揮系統に属しており、いざという時にどう動くか分からなかったからだ。
 健司と一緒にボートを漕いで岸壁に近づく。
 夜でも尚荷物の積み下ろしのある港は多くのライトで照らされている。
 大日警備保障のハイゼットが横付けされた黄色いコンテナがゆっくりと拡大されて来る。
「警備員……新田がいやがんな。こっちには気づいてねぇみてぇだけど」
「消して来ましょうか? 友達価格で一人五万円で手を打ちますよ」
 健に答えて円山が言う。
「もっと高額でいいから目を逸らせてくれないか?」
「中途半端が一番難しいんです」
 言いながら円山がアタッシュケースから花粉防止用のマスクのようなものを取り出す。
「円山くん、それ、何なの?」
 加奈が訊ねる。
「入手に苦労しましたがクロロホルムですよ。マスクに染み込ませてあります。これをかけてしまえば当分起きる事は無いでしょう。柔道家や空手家と戦って勝てるなんて思っていませんから」
 円山なりに気を使ってくれているらしい。
 ボートが岸壁に近づき、積まれたパレット越しに新田の頭が見える。
「それでは先に僕が行きます」
 円山が岸壁に腕をかけて身軽にパレットの裏に回る。
 ポケットから昔のカメラのフィルム程の大きさのものを少し離れた場所に放り投げる。
 瞬間、カメラのフラッシュのような光が瞬いた。
 新田が確認するかのように動き始める。
 円山が足音を殺して警備員の背後に回り込んでクロロホルムのマスクをかける。
 新田が身体を捩り、円山がコンクリートの床の上を転がる。
 新田が警棒を抜くと円山の手に拳銃が出現する。
 新田が一瞬動きを停めたかと思うと膝から崩れ落ちる。
 倒れた新田を円山がパレットの裏まで引きずってくる。
「その銃本物なのか?」
 健が健司に向かって訊ねる。
「まさか。クロロホルムが効くまでの時間稼ぎですよ。僕はもう少し周囲を探って来ます」
 健司がコンテナの影から影に移動するようにして姿を消す。
 これほどの人間に一度でも命を狙われていたのかと思うと恐ろしいものがある。
「ジョーカー行きましょ」
 作業員の服装の加奈が先に上がり、清史郎もそれに続く。
 健は清史郎と加奈の頭と肩と胸についたカメラの操作が仕事だ。
 清史郎は大日警備保障のハイゼットにルミノール反応液を振りかける。
 死体はブルーシートか何かに包まれていたのだろうが、靴跡がくっきりと浮かび上がる。
 足の大きさは二十七センチはゆうにあるだろう。
 実行犯に新田が加わっている事は確定的だ。
 続いて近場のコンテナの鍵を開ける。
 最も近いコンテナの中は空だった。ルミノール反応も見られない。
 続いて隣のコンテナの鍵を開ける。
 真っ暗な洞のような室内を照らすが血痕らしいものも機材を持ち込んだ形跡も無い。
 パトカーのサイレンが聞こえてくる。
 ――警察が来たならジョーカーの出番も無しか――
 清史郎はパレットの影に戻って加奈と合流する。
 やって来たのは覆面パトカーで、コンテナの前まで来るとサイレンを止めた。
 運転席から風間刑事が出てくる。
 周囲の様子を覗いながら一つのコンテナに向かって歩いていく。
 スーツ姿の手にはラバーの手袋がはめられている。
 ――おかしい――
 警察が来たなら何故一台、それも覆面パトカーなのか。
 他に警官も居なければ何故両手にラバーの手袋をしているのか。
 一番妙なのは……
 風間がポケットから取り出したキーでコンテナの鍵を開けようとする。
「ホワイトクリスマース!」
 清史郎はモデルガンのグレネードを抜いて飛び出す。
 鍵を手にしたままの風間が振り向く。
「チックタックチックタック宝箱の中身は何でしょう!」
「ジョーカー! この道化が!」
 鍵を放って風間が銃を引き抜く。
 刑事は事件性が無い限り銃の携帯は許されない筈だ。
 しかも手に握られているのは警察の正式拳銃のS&Wではなくトカレフだ。
 轟音が響いて清史郎の耳が一瞬聞こえなくなる。
 耳のすぐ傍を弾丸が通過したらしい。
 清史郎はグレネードを構える。
「ラップトップデスクトップトーテムポール!」
 清史郎が引き金を引くと花火が打ち出される。
 花火がコンテナに当たり色とりどりの光を放つ。
「見かけ倒しか! 愛国無罪! 死ぬがいい!」
 風間がトカレフの引き金を引く。
 清史郎は死ぬ思いでコンクリートの上を転がる。
 トカレフの装弾数は八。
 二発使ったから後六発残っているはずだ。
 轟音が立て続けに二回響く。
「トカレフモロゾフカラシニコフ!」
 清史郎は目くらましに花火を放つ。
 深夜の埠頭に水平に放たれた花火の光と轟音が響く。
 続けざまに轟音が三回。
 強運なのかどうやらトカレフの餌食にはならずに済んでいるようだ。
「我らの大義、邪魔はさせん!」
 轟音が響き、続いてカチリという金属音が響く。
 風間はトカレフの弾丸を打ち尽くしたらしい。 
「外国人の悲運も今日は我が身、ラットマン! 貴様の命運もここまでだ!」
 清史郎が歩み寄ると風間がS&Wを抜く。
「尽忠報国の志、英霊たちが共にあるのだ!」
 リボルバーが火を噴く。
 清史郎は反則だと思いながら再びコンクリートの上を転がる。
 警察官として発砲したなら、一発一発まで報告の義務があるはずだ。
 ――それすら無視すると言うのか――
 もう避け切れないと思った清史郎の周囲で銃弾が爆ぜる。
 銃を手にした風間の足が二日酔いのように揺らいでいる。
 瞬間、清史郎の目がコンテナの上に立つ円山の姿を捉える。
 円山が花火と銃撃の間にクロロホルムを振りかけていたのだ。
 揮発性の高いクロロホルムを吸い込んだ風間は意識を失いつつある。
「何故組織対策本部長を殺した?」
 清史郎は歩み寄りながら訊ねる。
 銃を構えようとした風間の手から銃が落ちる。
「薄汚いドブネズミ……土人どもの一掃作戦を無視したからだ。そもそも、最初のチンピラの死で新庄市の土人どもは一掃されるはずだったのだ。それを弁護士やら探偵やらが邪魔をしたのだ。土人を引き入れた悪逆非道のブローカーを殺し、土人の組織がやったのだと上奏したのに組織対策は受け入れん。だから殺したのだ。だが組織対策本部長が殺されたとあれば、土人どもが結託して美しい日本を汚そうとしている事を疑う者もいるまい。これから美しい日本を取り戻す戦いが始まるのだ」
 意識朦朧としているせいだろう、聞いてもいない事までペラペラと風間が喋る。
「それは無動正義の指示か?」
「無動閣下は総理を代弁し天皇陛下の目を覚まさせる為に戦いを始められたのだ! 私のような一兵卒は臣従するのが……務め……というもの……だ……」
 清史郎の前で風間が崩れ落ちる。
 清史郎は風間の放った鍵を拾ってコンテナの扉を開く。
 無数の歯ぎしりをするネズミの鳴き声が響き、ネズミのケージ、TVスタジオのような照明装置、そして殺された被害者が吊るされていた現場が姿を現す。
 清史郎は健に映像と音声を切るように合図する。
「私は愛国という言葉が嫌いだから郷土愛と言わせてもらうがな、郷土愛っていうのは自分の国を移り住んだ人が住んで良かったと思える国にする事だ。他人に冷たい人間は自分にも優しくできない。誰かを迫害する人間に国を愛する事はできないんだ。覚えておけ」
 清史郎は倒れた風間に向かって言う。
「ジョーカー、今の一言バッチリもらったから」
 加奈が楽しそうに言う。
「動画配信する時は削除しろ。俺はジョーカーなんだぞ」
『言って無かったっけ。これリアルタイムで動画配信してんだ。しかもようつべとヌコヌコで』
 イヤホンから健の声が聞こえてくる。
 清史郎は顔から火が噴き出るような気分になる。
「だったらショータイムだ! これが愛国防衛戦線と大日警備保障の悪の城だ!」
 清史郎はコンテナの照明のスイッチを入れる。
 暗かった殺戮の舞台がステージのように映し出される。
 遠くからパトカーのサイレンが聞こえてくる。
 今度こそ警察の大群が押し寄せてくるのかも知れない。
『ジョーク、動画停めたぜ』
 健が言うと円山が音も無くコンテナの上から飛び降りてくる。
「それではお暇しましょうか? 警察は厄介ですし」
「違いない」
 円山が素早くボートに飛び乗り、清史郎は加奈が乗ったのを確認して乗り込む。
 健がエンジンをかけて波を切る。
 入れ違いになるように港に赤いパトライトを点滅させたパトカーの群れがやって来る。
 パトライトの明かりが港の明かりに溶ける頃、清史郎はようやく詰めていた息を吐いてジョーカーのマスクを脱いだ。
「みんなお疲れ様だな。これで事件は一件落着だ」
 清史郎の言葉に三人の笑顔が答えた。
  エピローグ 
 
 
「……被告はビザを有しておらず、六十日を超えて無許可で労働していたのであり、これは入国管理法違反に相当します。従って強制送還が適当であると検察は判断します」
 検察が法廷で声を張り上げる。
「被告は六十日を超えて就労できるとしたフューチャー人材ネットの詐欺によって滞在したのであり、そもそもが入管で適切な説明を受けておりません。入管では入国目的を確認しているはずであり、六十日を過ぎて当人に確認を行わなかった入管に不備があるのでは無いでしょう��? 加えて被告は一日十八時間を超える労働に従事させられており、これは国籍を問わずに労働基本法違反に当たります」
 慶田盛が答弁する姿を清史郎は健と加奈に挟まれながら眺めている。
「異議あり! 被告の労働条件は入管法とは関係ありません」
 検察が慶田盛の陳述を遮る。
「異議を却下します」 
「そもそも日本国憲法三条十一項の基本的人権は日本国籍保有者のみに与えられたものではありません。一九七九年、最高裁のマクリーン判決の判例を資料として提出します」
「異議あり! 弁護人の資料は時世にそぐわぬ古いものであり判例として相応しくありません。二〇一八年十月二日改正出入国管理法案を資料として提出します」
「異議を認めます」
「出入国管理法は出入国に関する法律であり、被告は既に国内で就労済みであり法の適用外であります。また弁護人は改正出入国管理法に対し、一九七九判決に基づき違憲審査を請求します」
 慶田盛の言葉に法廷が騒然となる。
「一時休廷します」
 裁判官が言って慶田盛と検察を呼んで法廷を出ていく。
「慶田盛のオッサンって弁護士なんだな」
「昔から弁護士だよ」
 健に答えて清史郎は言う。
「何かドラマ見てるみたい」
加奈が呟く。
「私たちが風間や無動やらの事件を暴けなかったら、不法滞在どころか殺人容疑だったんだ」
「そう考えると俺たちすごくね。もっと注目されても良さそうだけどな」
「現場押さえて風間とやりあったのはあくまでジョーカーなんだから」
「へいへい、元優等生は言う事が一々真面目ですね~」
「うっさい!」
 清史郎が二人のやり取りを聞いていると裁判官と慶田盛、検察が戻って来た。
「本法廷は被告に情状酌量の余地があるとし、在留カード取得の意志の有無を確認し、在留の意志のある者には発行するものとする」
 裁判官が重々しい口調で言ってハンマーを打つ。
「これって慶田盛のオッサンが勝ったって事か?」
「概ね勝利って所だろうな」
「ミンさんたち幸せになれるといいね」
 加奈が嬉しそうに言う。
「どうだかな。国籍があってもヒーター一つでひいひい言わなきゃいけない国だからな」
 清史郎が言うと健と加奈が笑い声を上げた。
 
 
「と、いう訳でウチに入国管理官やら何やらが来て大わらわだ。こっちはシノギを一つ潰されたのに割に合わない話だ」 
 緒方は『殺し屋』のカウンターに座って焼酎を飲んでいる。
「それでも組員を殺した相手には意趣返しができたんでしょう?」
 言って殺し屋円山がグラスを磨く。
「動画配信でジョーカーに全部持っていかれたよ」
 組員に呼ばれて途中から映像を見ていたのだが、ジョーカーの一人舞台と言っても良かっただろう。
 内密に知っていれば大日警備保障と愛国防衛戦線を締め上げて金を巻き上げられたのだが、これでは踏んだり蹴ったりのままだ。
「その割には嫌そうな顔をしていないんですね」
 円山がいつもの笑顔のまま言う。
「欲の皮の突っ張った野郎はまだ見逃せるが、能書き垂れて悪さする野郎には反吐が出るんだよ」
 緒方が言うと円山の笑顔の質が変わったように見える。
「ええ。確かに。だから僕も殺し屋であって殺人鬼ではないんです」
 円山の言葉に緒方は久しぶりに笑い声を立てた。
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skf14 · 4 years
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12042317
「今日は何の話を聞かせてくれるの?」
「じゃあ今日は、花が好きだった女性の話を。」
自室の本を持ち寄り、今日話す物語を作る。それが俺の日課だった。君は必ず、俺の声によってのみ眠りに導かれる。
枕元に置いてある木の椅子は、君が青空市で気に入って買ってきた、手作り感溢れる自由なデザインで、案外座り心地はいい。モコモコのパジャマを着た君に強めに抱きしめられた白いぬいぐるみが君の力で少し潰されて、虚ろな目でこちらを見ている。似てる、と呟いたら、こんなに太ってない。と怒られた。
己の口からつらつらと流れ出る物語を、まるでクラシックのレコードを聴くような顔をして聞いている君は、美しい。
「彼女は最後の日も、庭の手入れをしていた。空は少し曇っていて、少し前に植えた水仙の色もなんだか灰をまぶしたように仄暗くて、でも、彼女は嬉しそうに花たちを眺めては一つずつに触れていった。」
「相変わらず死ぬ話、多いね。」
「仕方ない、俺が作れる話には必ず死が付きまとうんだよ。知ってんでしょ。」
「うん。続き、聞かせて。」
「彼女は庭に咲いていたルイ14世をひと束刈り取って、花束を作った。ルイ14世ってのは、薔薇の品種で、ベルベットのような質感の美しい暗赤色の薔薇。所謂黒薔薇。そうして、彼女に似合う小ぶりなそれを抱き締めながら駅へと向かった。」
君は眠ることなく、飽きることもなく、ただ黙ってベッドからこちらを見つめている。その目には、目の前に広がる世界への期待が浮かぶばかりで、ただただ、眩しい。
「道すがら、彼女は思いを馳せていた。薔薇を愛してくれた、夫のことを。冬に映える血の色のようなその薔薇を、夫だけは美しいと褒めてくれたこと。この小さな庭と家とを守ることが出来れば、他には何も要らないと思えた日々。」
君は今誰を思って、何を考えているんだろうか。頭は口と同調せず、勝手に別の思考へと飛び火しながらぐるぐると回っている。あくまでも、矛盾さえなければ、この話は成立する。君だって恐らくクオリティなど求めてないことは分かっていた。
「彼女の愛する夫は、混雑する冬の朝誰かに背中を押されそのままホームで肉塊になった。最早、犯人が誰だとか訴えたいとか罪が罰が、なんて彼女にはどうでもよかった。ただ、夫が最後に感じたのが凍てつく鉄の冷たい硬さだったことと、最後に見た景色が人で埋め尽くされた味気ないホームだったことに、深い悲しみを覚えた。それはもう、この世界全てに絶望するほどに。ただ、彼女はルイ14世が咲くまで、待った。夫が咲くのを楽しみにしていたからだった。」
「彼女は、凛とホームに立っていた。ホームは飲み会帰りと仕事帰り、部活帰りの人々で混雑している。真っ黒な空には欠けた月だけがぼうっと浮かんでいて、雲は一つも流れていなかった。胸に抱いた薔薇が珍しいのか、隣に立っていた母親に抱きかかえられた子供が薔薇に手を伸ばしている。子供の目はキラキラと宝石のように輝いていた。彼女は、笑ってその手をやんわり遠ざけ、母親に、「その子の目、暫く覆っててくださらない?最後の願いよ。」と告げ、通過していく特急列車に背中から飛び込んだ。散ったのは薔薇の花びらなのか、彼女の肉片なのか最早分からない。ただ、純粋に花を持って夫に会いに行った彼女を、誰が、なんの正義を持って責められようか。」
本を閉じる。それが終わりの合図だった。
君は満足げに微笑み、ベッドの右側を空けた。白紙の本を見て、その場で考えるなんてやっぱりお前は凄いね。と君が呟く。そこに潜り込んで、君の横顔をしばらく見つめて、合言葉のようにいつもの台詞を告げて、君と同じように目を閉じた。
今日の話も、過去の話も、人が死ぬ話じゃないことを君はまだ、知らない。
「おかえり。遅かったね。」
「ただいま。なんか事故があったみたいで、電車遅延してた。はいこれ。」
「ありがとう。ご飯出来てるから、手洗ってきな。」
寒い中、鼻の頭を赤く染めた君が帰宅して、リビングから漂う水炊きの香りに表情を緩める。君の手土産はコンビニのスイーツ。
君が帰ってくるこの家が、幸せという抽象的な言葉を具現化したものだと、俺は断言しよう。幸せだよ。毎日、君のおかげで。
ある時は、幸せだった家族が飲酒運転の車に全てを奪われる話。ある時は、我が娘への虐待を止められない母親の話。君が何事もなく死を受容してから眠るのはきっと、君の中で眠る感覚が少しだけ死に似ているからなのかもしれない。紡いだ物語は、31本。そうか、これを始めてからもう1ヶ月か。そういえば俺が君と一緒に住み始めてから、もう3年が経とうとしている。
結婚だとか、籍だとか、そんなものにはお互い興味がない。決められたルールに乗っかるのがなんとなく嫌いな俺と、肩書きなんてどうでもいい君が、このままずっと二人でいられること。それが、俺の夢であり、人生のゴールでもある。
「最近さ、髪の伸びが遅いんだよね。ここ数ヶ月切ってないのに、伸びてる気がしない。」
「爪は?」
「...あれ、確かに、爪も切ってない。なんで?」
「いや、姿見てないなと思って。進化した?」
「ポケモンじゃないからね俺。」
「なんでだろうね。」
「なんだか、成長が止まったみたい。」
君の睫毛が太陽に当たって透けている。頬に陰を落とすほど伸びたそれが瞬きで揺れる度、しゃら、しゃらんと音が鳴る。俺はそれを密かに、幸せの鳴き声、と名付けた。今日も冬の弱い太陽に照らされて、天使がここにいる。
本を開いて、今日の話を作る。君は相変わらずベッドの中で、宇宙が詰まったような輝く瞳を俺に向けている。
「じゃあ、今��は、愛され続けた人の話をしよう。」
「うん。聞かせて。」
「彼女はとても恵まれていた。勿論、経済的な面でもそれなりに恵まれていたが、彼女の周りにはいつも人がいた。まあ、彼女自身がそれに気付かず、またそれを当たり前のことだと信じて疑わなかったのが、唯一の彼女の欠点、だった。」
君は少し目線を揺らした後、欠点、なのかなそれ。と呟いた。独り言だと判断した俺が話を進めようと息を吸うと、待って、と声がかかる。
「欠点、じゃないよ。多分。俺の大切な友達にも、同じような人がいるけど、きっと心の中ではありがとうって思ってるし、当たり前だなんて慢心してない。」
「そのオトモダチがとっても大切な存在ってのは伝わったけど、今話してるのは物語だよ。どうしたの?」
「...いや、ごめん。続けて?聞きたい。」
納得していない様子で、天井を見上げながら耳を傾ける君。別にいい。いつものように、綺麗な瞳がこちらを向いていなくても。君が聞いてさえくれれば、物語は成立する。言葉というのは、怖い。
「就職先が決まった彼女は、祝ってくれる友達と共に飲み会に行っていた、その帰りだった。狭い、車がすれ違うことの出来ない道路。入ってきたハイエースに横付けされた彼女は慌てて逃げようとしたが、遅かった。彼女はいとも簡単に連れ去られた。犯人は複数人のグループで、全員男。詳しい話聞きたい?」
「いや、いい。聞きたくない。」
「オッケー。男達に金目のものを奪われ、散々楽しまれた挙句、盛り上がった男の一人が彼女の首を絞めて殺した。死体は山の中に無造作に捨てられて、数日後腐臭に吠える犬と腰を抜かした飼い主によって発見された。彼女は最後に、何を思ったのだろうか。何故私が、どうして。私が神であるなら、こう答えよう。人生は、最後に幸せと不幸せが半分ずつになるように出来ているんだ。平等な世界を7日間で作るために、帳尻合わせが出来るようにね。と答えるだろう。彼女が死んでも思いつかない、理不尽な平等について解くだろう。」
君は悲しそうな顔で天井を見つめたまま、ほろりと涙を一粒零した。真珠のような、まん丸い水玉が、彼女の丸い頬を転がり落ちて、ベッドへと消えていく。俺は、黙ってスペースを空けてくれない君の左側に無理矢理潜り込んで、目を閉じた。視線を感じて横を見れば、じっとこちらを見つめる君がいる。どうしたの、と声をかけると、そういえば俺、お前の爪を切るところを見たことがない。と呟いた。目を閉じると暗闇が広がる。程なくしてまた、世界が死んだ。
そこから数日後、元気のない君を心配して君のスイーツをコンビニで買った。二層クリームのシュークリーム。ただいま、と声をかけても、部屋の中にはテレビの明かりと、それに照らされる、座り込む影だけがあった。返事はない。テレビの中では慌ただしげに、キャスターがニュースを読み上げている。
「ただいま。どうした、電気つけるよ?」
「ねぇ。」
「ん?」
「あの本、白紙なのにどうしていつも、開いて読んでるの?」
「格好付けてみただけよ。」
「そう。」
君がテレビのリモコンを掴んで音量ボタンを連打する。みるみるうちに大きくなるアナウンサーの声。煩い棒読みを俺の耳は勝手に文字に変換して、脳の溝に刻んでいく。
『行方が分からなくなっていた、東京都在住の○○○○さん24歳が昨夜△△県の山中で遺体となって発見されました。遺体には損傷の跡が見られ、現場からは複数の人間が立ち去る姿が目撃されており、警察は殺人事件として捜査を進めているとのことです。繰り返します。行方が分からなくなっていた、...』
そっとリモコンを操作して、音量を下げた。大丈夫。そもそも、耳はまだ衰えてないから、普通の音量でも聞こえるよ。心の中で安心させるように呟いて、ソファーに腰掛ける。君は俺を暗闇の中でも見つめている。目に、テレビのモニターが四角く映って、世界の終わりみたいに綺麗。そういえば今ニュースで聞いた名前、君の友達と同じだね。
「説明して。お前はいつも説明してくれない。一人で全部わかった気になって、一人で全部持って行って、それで苦しんだ気になってる。」
可愛い声が段々涙に犯されて、不明瞭になっていく。顔が見たい、と、立ち上がり部屋の電気をつけると、君の目に沢山の色と光が入って、オパールを埋め込んだようなその色に見惚れた。綺麗だ。ずっと君は、俺の宝物。
「俺は、架空の物語を現実にする力がある。物語の中の死は、現実とリンクする。一人の命の重さ、おおよそ1ヶ月分。沢山残ってても、残り1日でも、1ヶ月分の命の猶予が生まれる。」
「あの本は?」
「人間の顔と簡単なプロフィールが書かれた本。と言っても、俺が物語を考えられる程度の情報がぽつぽつと浮かんでくる。」
「その、命は?」
「物語を聞いた人間に還元される。」
上手く笑えていただろうか、と心配したのもつかの間、君が口元を押さえてトイレに駆け込んだ。中から君の、内臓を絞り出すような嘔吐音が聞こえる。無理もない。きっと君は数えてないだろうが、昨日で物語は丁度180。赤ん坊から年寄りまで、主人公は本の気まぐれ。数多の命を己のたった15年に、いや、違うか。
「俺は、物語を生み出すことは止められない。ごめんね。」
「それ、は、何に謝ってんの。いつもいつも、お前は、自分のために人に謝ってばっかり、何も思ってないからっぽなのに。」
「お前が好きで、こんな愛し方しか出来なくて、そんな俺に愛されてるお前を、大切に思ってる人へのごめんねだよ。分かる?」
「分かりたくもない。」
伸ばした手は払われて、強引にトイレのドアを閉められた。無理もない。無理もない。こうなることは分かっていた。いつかバレるんじゃないかと、ずっと思っていた。世界は狭い。まだ15年しか君の未来を作れていない。15年後に君が突如この世界から消える、その恐怖を考えただけで、気が狂ってしまいそうになる。
トイレの扉をノックする。返事はない。中で疲れて眠ってしまったか、それとも俺を警戒して、声を潜めているか。どちらにせよもう、関係のない話だ。君を幸せには出来ないけど、幸せだった人のかけらを集めて君を飾ることはできる。
「一応伝えておくけど、耳を塞いでも意味はないし、お前はこの物語の分の寿命を全うする以外、死ぬ方法はないよ。ごめんね。」
啜り泣く声が扉の中から聴こえてきて、途端に心が悲しみに覆われた。昨日までの日々が走馬灯のように駆け巡って、そのままゴミ箱へと吸い込まれていく。捨てる準備は、とうの昔に出来ていた。俺はいつだって、未来も、その先も見ていた。見ていたはずだった。今はただ、君の15年1ヶ月目のことしか見えていないだけで。
「じゃあ、今日の話を始めようか。」
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聞かせてオーナーさん!アウトドア好きの愛車ランクル&プラドの『維持費』って実際どうなの!?
出典:instagram by @ahc80cmp
憧れの四駆を買ってからのキャンプ、どう変わった?
以前、筆者は念願のカスタムランクルプラドを購入。その様子は、下記の記事でレポートとしてまとめてありますのでご参考ください。 購入してから10回以上キャンプを楽しみ、計約4000kmを走行しました。まずは、はじめて四駆に乗って感じた良かった点を紹介します!
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家族をキャンプ場まで運んでくれる大切な道具のひとつ、それは車!今回は、キャンプの風景に合い、かつ実用面でも条件を満たしてくれるクルマを...
オフロードを力強く走る、悪路走破性の高さ
単に4WDなだけでなくパワーがありロードクリアランスも高いので、キャンプ場によくあるオフロードや傾斜・凹凸がある道をグイグイ走ります。雨でぬかるんだ道で多くの車がスタックする中、タイヤがスリップすることもなく難なく走れた時には思わずニヤリとしてしまいました。
ギアをたくさん積める積載量
3列目シートの有無によって積載できる量は異なりますが、5人乗りであればかなり多くの荷物を積むことが可能です。暖房器具やシェルターなど荷物が増えがちな寒い時期でも、1泊で通常使う程度の量であれば、ファミリーキャンプの道具は全てトランク内にすっぽり。
実際のところ、維持費とか“お金の面”ってどうなの?
出典:PIXTA
結果的に、見た目だけでなく性能にも満足しています。ですが、乗る前は古いモデルだけにトラブルやメンテナンス、維持費などへの不安があったのも事実。 実際、古いモデルのランクルやプラドに乗ってみたいと思っている方の悩みの多くは「排気量が大きい分、維持費がかさみそう」や「古いモデルだとトラブルが多く修理にお金がかかりそう」というところではないでしょうか?
【維持費・メンテナンスは?】オーナーに「ランクルの実際」を聞いてみた!
出典:Instagram by @ahc80cmp
購入して乗り続けてみないと分からない、維持費やメンテナンスの頻度について。そのギモンにお応えするために、ランクルやプラドのオーナーさんに実際のところはどうなのか詳しく聞いてみました!
まずは、95プラドの場合
まずは筆者の95プラドを例に解説します。納車時の92,000kmからスタートして約4,000km走行しましたが、今のところトラブルはゼロ。 メンテナンスに関しては、3,000〜4,000kmごとにオイル交換が必要で、その点は普通の車となんら変わりません。 乗車歴: 4ヶ月 総走行距離:約96,000km 排気量:3,400cc 登録ナンバー:3ナンバー 月間走行距離:約1,000km 1ヶ月のガソリン代:約17,000円(レギュラー) 自動車税:約60,000円 重量税(2年):約50,000円 自賠責保険料(24ヶ月):約25,000円 車検期間:2年ごと ルーフキャリアを取り付けている上に、キャンプ時は常に満載のため、燃費はリッター8km程度とそれほど良くないですが、極端に悪くもない数値。普通車両として3ナンバー登録しているため、車両と排気量の大きさにより自動車税と重量税は高めです。
ランドクルーザー60の場合
出典:instagram by @gk0228
オーナー:@gk0228(GEN)さんの場合
丸目と角ばったボディが気に入っている我が家のランクル60。走行に関わるようなトラブルはとくになく、1カ所パワーウィンドウが使えなったので修理しました。 1ナンバーで毎年車検は手間ですが、普段のメンテナンスはオイル交換程度です。
乗車歴:2年半 総走行距離:約175,000km 排気量:4,000cc 登録ナンバー:1ナンバー 月間走行距離:約300km 1ヶ月のガソリン代:約12,000円 自動車税:約17,000円 重量税(1年):約19,000円 自賠責保険料(12ヶ月):約24,000円 車検期間:1年ごと さきほどの筆者の95プラドと大きく違うのが、自動車税と重量税。合計8万円以上も違うのが分かります。この要因になっているのが「登録ナンバーの種類」。車体と排気量が大きいランクルの場合、3ナンバーの普通車両として登録すると自動車税と重量税がかなり高額になってしまうんです。 排気量で税額が決まる普通車両に比べて、最大積載量が基準になっている貨物車両として登録すれば、自動車税を“普通車の小型車以下”に大幅に軽減することが可能です。 1ナンバーで登録すれば、じつは税金が普通車並みということはあまり知られていないのではないでしょうか。
ランドクルーザー80の場合
出典:instagram by @ahc80cmp
オーナー:@ahc80cmpさんの場合
うちの愛車の魅力は、60仕様に換装した丸目とアルルブルーのボディカラー! ランクルをきっかけにキャンプ場で声を掛けてもらうことが増えました。 うちの場合は、マフラーの排気漏れトラブルがあり応急処置をしましたが、次回車検時に修理する予定です。燃費はリッター5km前後で大食いですが、むしろそこにも愛着が湧いてます(笑)。
乗車歴:9ヶ月 総走行距離:約162,000km 排気量:4,500cc 登録ナンバー:1ナンバー 月間走行距離:約700km 1ヶ月のガソリン代:約20,000円 自動車税:約17,000円 重量税(1年):約19,000円 自賠責保険料(12ヶ月):約24,000円 車検期間:1年ごと 初回登録から13年以上経過している車両は、自動車税や重量税が割り増しになることもあり、やはり古いモデルのランクルオーナーさんは1ナンバーで登録している方が多いようです。 ただ、貨物車両として登録するためには、3列目シートの撤去、2列目シートのリクライニング固定など構造変更が必要で車検が1年ごとになるので購入の際は販売店で確認が必要です。また、1ナンバーは高速料金が普通車両より割高で、任意保険料も普通車両より高い傾向にあることを知っておきましょう。
出典:PIXTA
燃費の悪さについては、ランクルに乗る以上は覚悟が必要ですね……。車検はどこに出すかによって金額が異なりますが、外車のように部品が高価ではないので1回につき4〜6万程度とそこまで高額ではないようです。
ランドクルーザー78プラドの場合
出典:instagram by @sol_78_
オーナー:@sol_78_さんの場合
我が家のランクルはナロータイプにカスタムしてあるため、車幅が狭く都内の狭い道でもストレスなく取り回せるところが魅力です。スクエアなボディも気に入ってますね。 4ナンバー登録なので税金面での維持費は抑えられています。これまでのトラブルは噴射ポンプの故障が1回ありました。かなりの走行距離なので、今後はしっかりメンテナンスして長く乗っていきたいです。
乗車歴:3年 総走行距離:約220,000km 排気量:2,982cc 登録ナンバー:4ナンバー 月間走行距離:約600km 1ヶ月のガソリン代:約10,000円 自動車税:約17,000円 重量税(1年):約13,000円 自賠責保険料(12ヶ月):約18,000円 車検期間:1年ごと 78プラドはディーゼル車のため燃費の点で他の車両より優れている上に、オーバーフェンダーを取り外せば、4ナンバーの小型貨物として登録することが可能。4ナンバー登録するためには車両のサイズが全長4.7m以下・全幅1.7m以下・全高2m以下でガソリン車の場合は排気量が2,000cc以下でなければなりませんが、ディーゼル車なら排気量は無制限。 構造変更が必要な点や、1年ごとの車検については1ナンバーと同じですが、高速料金は普通車両と変わりません。4ナンバー登録した78プラドであれば維持費はかなり安く抑えられますね。 ただ、東京・神奈川・埼玉・千葉など地域によっては「ディーゼル規制」があるため、規制対応済みの車両でないと登録できないので注意が必要です。
手がかかるほどかわいい愛車?
出典:Instagram by @ahc80cmp
たしかにトラブルがゼロという訳ではありませんが、どれも長く乗っていればいずれは起こる類のもの。燃費が悪いというのは周知の事実ですが、それ以外の維持費やメンテナンスの手間は普通の車とさほど違いがない場合もあるということも分かりましたね。 今回インタビューさせてもらったオーナーさんたちからは、そういったちょっとしたデメリットと付き合っていくこともランクルを好きな理由の一つ、と言わんばかりの想いが伝わってきました。あくまで参考程度の事例でしたが、次期オーナーへの参考になれば。
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