230405
手に入れたギターのボディとネックの組み上げ作業をしに、行きつけのリペアショップに行った。一度自分で組み上げた時は全く気づかなかった不調があって、割と簡単に使える��態になった。あとは各部の微調整をして、弾き倒して、各パーツをボディに馴染ませたい。自分にも馴染ませたい。
ギターを組んだり調整をしたりしていると、ギターはなんて曖昧な楽器なのだろう、と思う。完全にチューニングが合うことがないし、チョーキングするだけでブリッジが引っ張られる。一本弦が切れるだけで他の弦のチューニングが狂う。新品でもパーツに隙間があったりする。でも、そういう粗雑さが、良い音が出る要因になぜかなっていたりする。リペアショップの店長さん(すごく信頼している)は、そういう粗雑さや不正確さがある方が弾きたくなる、むしろ完璧に精巧なギターは気持ち悪く感じる、と言っていた。
昔、大学の軽音部の同期とギターについて話したことがある。彼はもともと吹奏楽部に入っていて、大学に入ってからはギターを弾き、歌をうたい、卒業後はアナログシンセに傾倒していった。その彼がギターについてどう思っているのか気になっていたが、ある時「ギターが一番感情が乗る」と言っていた。ギターから離れていった彼に少し寂しさを(勝手に)感じていた自分は少し嬉しくなると同時に、その意見に共感した。
ギターのつくりの甘さや粗雑さ、構造の不完全さが、感情が入る隙間を生み出しているのかもしれない。そんなふうに思った。
細部まで完璧に精巧に作り上げられ、隙間がまったくないものよりも、少しゆるく、その時々でいろんな変化をする、不完全なものに魅力を感じる。だからギターを好きなのかもしれないし、だから人間が好きなんだな、と思った。不完全だからこそおもしろくて美しくて、たまに、悲しい。
帰りはラーメン太陽でラーメンと餃子を食べた。餃子もラーメンもほんとに”太陽”って感じがしてびっくりした。
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#11 - Cthulhu
ほっとしたよ本当に…
という事で一度つくってみたかった5弦ベースが完成。納品も出来て安堵の晩を過ごしています。るいなと申します。
最近は昼間の風もひんやりしてきましたね。読者の皆さんはいい夏過ごしましたか?
僕はサンダルで樹海を散歩したり、公園の芝でゴロゴロしたりした。深夜に近所の大学の部室に侵入してスタジオでメタルコアを流すなどもした気がするね。他にもまあ、色々あったヨネ!!
いや、でもほんとよかった…完成しないかと思ったもん。それがつい先日納品できた喜び。この夏はそれに限る…!
好き放題つくらせてくれて何より楽しかった。
配線とかも最初全然わかんなくて…色んな人に聞いたなぁ。経験ない仕様なのに
「出来ます!やります!」って言っちゃう自分、アホすぎる…
さて、そろそろ始まります超長文レビュー。
さっそく全体像行ってみよ〜!
全体の印象はやはり圧巻…オーラがすんごい…"クトゥルフ"の名前に相応しい、ジャズベーススタイルには過剰なほどのスペックをこの身に宿している。以前、"神器"とか言ってくれた厨二病の人たちが居たけど本当に嬉しい。確実にゴッドイーターのやりすぎ。PSP懐かし…
表紙を飾るのは"世界地図"のようなスポルテッドメイプル。
オーナーの1番のこだわりでもあるが、ただグレードが高いだけではない。
そもそも"スポルテッド"という木材はいわゆるグレードが高くなるに比例して朽ちている箇所が多く、指で押しただけでも粉々に砕けていく。爪なら切断とか出来るじゃね…?
だがこの個体を見てくれ、中心部である弦の真下は朽ちていない硬質なメイプルの芯を配置。やや赤く見えるところが木材本来の朽ちていない、硬い部分である。
そしてサイドの地図のような侵食跡が朽ちている部分なのだ。ここは非常に柔らかい為、エポキシを染み込ませ、砕けないように補強した。
柔らかいスポルト材を使いながらも木の位置を調整し、楽器の中心部は朽ちていない硬いメイプル材を使用した。
ま!何言ってるかわかんないと思うけど!要するに、いいトップ材ゲットだぜ!という事だ。全体にびっしり"縮杢"も入ってるしな!
次に中間層、ミドルレイヤー担当はウェンジだ。
トップ材では、とても柔らかいものを使用したので真ん中には軸として硬めのマテリアルを入れ込む。
いや、カッコつけて言ってみたけど単純に見た目優先だよね。デザイン的にも縁取りがあって引き締まる。
バック材はアルダー。やはりリスペクトしたいのは60年代のジャズベース(こんなの発表しておいてどの口が言ってんだ…?
コンターカットの深さや形状もオーナーと相談しながら造形。木材本体の重量としても負担の少ないよう、勝手に軽い個体を選定。ただでさえ重い5弦ベースだからね。
みて!このネックジョイント!ほんと気持ち悪いよね〜(褒めてる
ネック側にも15点のエンザートを入れ込む。
いや何度見ても気持ち悪い(めっちゃ褒めてる
集合体恐怖症の人に、
「アッ…僕これダメですッ….!!」
って言われちゃったてへ
あとこのカッタウェイね。
ハイフレットが弾きやすいように削った。
確かに造形はめんどくさいけど、「弾きやすい」の言葉には敵わないって…そりゃ…もう…ねぇ…
見た目もヌルヌルしててかわいいし!
もちろん裏通しで弦も張れるようになってる。
出来ないよりは出来る方がいいでしょ?
みんな大好きGOTOH製。
これは僕がギターをつくる時に毎回恒例の構造なので今回も当然採用した。シールドをストラップに掛けやすいし、トラブルにて抜ける際も機材にダメージが少なかった。機能優先なのに結果として秀美性も高くなっちゃってるよね。そういうの、めっちゃすき。
ネックに使用したのは柾目のメイプル。
一度セットアップしたら動きにくい、という楽器が好きなので勝手に柾目を採用。
もちろん過酷な環境での使用が多い方からのご依頼であれば板目などを使用し、"調整して弾きやすくする楽器"を製作する。これは完全に僕の独断。
形状はお馴染みの左右非対称。
「4弦+1弦」という思考のもと、4弦ベースのネック形状から低音弦側へ、ほんの少し引き伸ばしたようなイメージで削りだした。
オーナーに加工途中のネックだけ郵送し、確認してもらいながら進めたけど、結局好き放題やらせてもらった。ありがとうございます本当に。
カーボンは4本入り。
ネックジョイント部などから折れ曲がり、ロッド調整でローポジションが逆反る、いわゆる「うねる」ネックにならないよう、今できる最善の構造を採用。
その機構を袋とじにしているのはこのホンジュラスローズウッド。
オーナーのこだわりにてグラデーションの色味がとても美しい個体を選定。まるで夕焼け。
インレイはアバロン貝。高級感の代名詞。
実は弦の太さを考慮して、"真正面から見た時に均等"になるよう調整をしている。
気になるスケールは34.25~33インチのファンドフレット。
"ファンドフレットジャズベース"これだよこれこれ。これがしたかったの!!!!!(うるさい
大好きなベーシスト、アドリアン・フェローの使用するベースでも採用されている34.25インチを5弦側に。通常より"0.25インチ"長いのだが、これを気持ち程度の差だと侮ってはならない、確実に34インチのLOW Bとは再生力が異なる。
そして高音弦側の33インチ。
これは前回のクトゥルフベースでも説明したが、フレットレスベースなどでも採用される意外とポピュラーなスケール。何より弾きやすい。
「錆びにくいステンレスを使いたいのだけれど、音はニッケルのように柔らかいのがよくて…」
との事でフレットはフリーダムC.G.R.さんのウォーム、SF-01Wを使用。
切ったり削ったりしてるとわかるんだけど、本当にステンレスか?と疑うくらい柔らかい。粘り気の強い金属なのだろう。
次にハードウェアを見ていこう。
朽ちていないスポルト材の上に座り込むこいつはドイツ産、ABMシングルサドル。輸入めんどくさいけど大好き!!!コピー品も多く出回っているが、本物は桁違いにメッキの処理が薄く艶やかである。
そして過去作同様、弦間ピッチを統一しているので、ブリッジ本体の位置が"弦と弦の間の長さが等しくなるよう配置"されている。
こんなこだわり、ほとんどの人が興味ないんだよな…いい音が鳴ればそれでOKなわけで…
音を拾うマイクはアギュラーのAG 5J-HC。
僕はよくわからんけどなんかこれがいいらしいので言われるがままにつけた。実際良かったから完成した後に説得された感じ。やっぱり共同製作って色々勉強になるね〜谢谢谢谢。
操作系統もこれまたこだわり強め!
フロントVo. / リアVo. / マスタートーン / トレブル / ベース / アクティブバイパススイッチ
これも僕はよくわからんかったから言われるがままに配線。
ただ気持ちはわかる。全て独立して操作したいし、マスタートーンが常に効くようになってるのだが、それがいい。モコモコにするととても楽しい。これまた僕が説得させられた感じ。これすら狙ってたオーナーさん、もうベースつくれると思うんだよな…
いや、なにこのキャビティ最高?神殿?王宮?城?
配線はとにかく難しかった、こういうの疎いんですよ。とほほ…
元職場の先輩とか、機材詳し過ぎ友達とか、店内でずっとDream Theaterのライブ映像が垂れ流されてる地元のリペアショップさんとか…色んな人のところに聞きに行ったね!それもまた一興。楽しかった。
そしてピックガードもオーナーこだわりの4mmアクリル。
演奏時の指の入り具合などを調整する為らしいのだが、これまた原材料の入手から大変で!!!
明らかに楽器用ではないアクリル板をメートル単位で発注したがそれもまたいい思い出。
もちろん固定は全てインサートにて締結。
お次はヘッド。
ペグのHIPSHOT。一生分買い貯めたい勢いで好きなメーカー。最近納期遅いけど…そんなところもかわいいね!
クトゥルフロゴも「サイコー!!!」になったよね。軽率に叫んだもん。1人で工房で。
メイプルに綴られた黒いインク。海の怪物、"Cthulhu"に相応しい風貌に仕上がる、これもまたひとつの幸せの形だと思う。こういう自分しかわかんないノリを強要しちゃうのやめたい。
てか、後ろ姿からして既にオタク。
全てインサートにて締結。
まあ、ここは別に頻繁に取り外さないからインサート使わなくてもいいんだけど…なんか使った方がかっこいいじゃん?
ボリュートは"生き物感"万歳。
ヌメっとした海洋生物の足をイメージして造形。つくってる時は「サイコー!!!」を連呼していたね。もちろん1人で工房で。さみしいね。
ナットはブラス。
初めてやったけどこの構造すごいすき。指板の端まで削られていない"置いてある"状態のナット、とてもかわよい。ちょんって座りよる。たまらん。
サイドのインレイは黒縁のルミンレイ。
もうこれは説明不要だよね。蓄光素材で暗闇で光る。目に優しくライブでの暗転が怖くない。最高と言わざるをえない。サイコー
さて、一通り語ってみたわけだが〜
ここまで辿り着けた者は何人居るのだろうか…
ちなみに初めて音出しした時「フェ◯ダーってこれ目指してたんじゃないの?」って口に出して言っちゃってたもんな(やばい迫害されるこの場でだけは許してくださいごめんなさい怒らないで
まあ、まだ完成したばかりのいわば"産まれたて"の楽器。これから色々あるかもしれないが出来る最善で応えていきたい。
紹介しきれない沢山の周りの人のお陰様でこうして完成を発表出来ました。本当は全員名指しでお礼したい。
ありがとうございます。
まだまだ至らぬ点もあるかとは思います。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
あれ〜、最後の終わり方こんなあっさりでよかったっけ…
【SPEC】
Model : Cthulhu
String : 5 (Gauge : .045 .065 .085 .105 .130)
Scale : 33~34.25
Body
Top : Spalted maple
Middle : Wenge
Back : Alder
Pickguard : Acrylic (Clear : 4mm)
Neck
Nut : Brass
Fret : 21 (Freedom C.G.R. SF01W)
Fingerboard : Honduras rosewood
Inlay : Abalone
Side inlay : Luminlay (Green : 3-5)
Hardware
Color : Black
Bridge : ABM
Tuners : Hipshot
Pickup
Aguilar : AG 5J-HC
Control
F Vo. / R Vo. / M Tone / Treble / Bass / Bypass switch
Preamp : OBP-1TK 18V
Knobs : HATA
Urethane matte finish
【謝辞】※敬称略
GTI(@go_drums)
図面作成・CNCによるフレット溝・ボディ外周等の切り出し
kono.(@kono_picture)
ロゴ・スペックシートデザイン作成
今さっきトリマーっていう機械で親指削っちゃってやばい。血が止まらないし爪とか色々がぐちゃぐちゃ。楽器つくってて初めて怪我したかも…地に足をつけて生きていかないとなあ。気をぬくとすぐ浮遊しちゃうので
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Suddenly
オルターネーター逝く
営業回りをしようと走っていたら突然、バッテリーマークとブレーキマークが点灯!!
「おいおい・・・こんどはなんだ・・・」と(苦笑)
走行距離が25万km過ぎた辺りから覚悟はしていましたが本日、オルタネーターが逝きました。不幸中の幸いで、お世話になっているリペアショップの近くだったのでそのまま自走して入院。
クルマ人生で3~4回オルタネーターの故障は遭遇してますが、夜でなくて良かったです。ご存知ない方にご説明しますが、オルタネーターが壊れると、バッテリーだけの電力でクルマを走らせますからね。電気自動車じゃないけど、そんな感じでバッテリーが切れるイコール、スパークプラグが発火しないイコール、エンジンが止まります。
ご経験ある方もいらっしゃると思いますが、古いクルマや過走行車など必ず出てくる故障の一つです。
仕事もまだ忙しくなく、リペアショップも早急に対応してくれて助かりました。 ありがとうございました。
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続・あなどるなかれ〝日常のお手入れ″
楽器演奏を楽しむために、日常的なお手入れは不可欠です。
前回に引き続き “日常のお手入れ” に関するお話を。
エレキギターは大枠で
木材
合成樹脂
金属
の3種で構成されています。
今回は構成要素の一つ “ 金属パーツのクリーニング ”。
ペグやブリッジなど演奏時に直接手で触れる機会が多い金属パーツ。
使い込む事による劣化と、環境による意図せぬ劣化。
「このギターまだ買ったばかりなのに・・・」
極短期間で 曇り・錆び が発生する場合もあります。
金属部品は木部や樹脂部品よりも劣化が起こりやすく、部品交換が必要になる可能性が高い素材です。
手から出る油や汗。放置しておくと錆や曇りの原因となり外観を損なうだけではなく、酷い場合・・・
機能に影響するダメージ ➡ パーツ交換
の必要に迫られる場合もあります。
実際にパーツ交換が必要となった場合・・・
新品パーツ ➡ 外観の変化
音質、使用感、演奏性の変化
更に、同じ部品が手に入らず代用部品での交換が必要となり・・・
余計な追加加工と費用
音質や機能の変化
が伴ってしまう事もあります。
金属パーツのクリーニングをリペアショップに依頼すると費用が掛かります。
日頃のお手入れをご自身で行えば節約になり、その分を重要なリペア費用に回して頂く事も出来るかもしれません。
特にニッケルメッキは曇りが生じ易いので、習慣的に “ サッとクリーニングをするだけ ” でも、美観を保ち錆びの発生を予防出来ます。
F.C.G.R.では部品の・・・
形状
メッキ状態
劣化状況
などにより
スチールウール
ワイヤーブラシ
研磨剤
バフ
を使い作業を行いますが、環境・道具が必要となります。
そこで、御自分で簡単に行える簡単なクリーニング方法をご紹介させて頂きます。
“ f54Shiner ”
お手軽に
金属パーツの黒ずみ取り、艶出し
塗装面の艶出し
が行えます!
こちらは主にボディやネックなどの塗装面の艶出しを行う為のポリッシュですが、金属パーツの艶出しにも利用可能です。
ピカール、クレンザー、歯磨き粉などを用いクリーニングを行う方もおられると思いますが・・・
「塗装面から金属部品まで、コレ1本で楽器の磨き作業が手軽に行えます!」
●使用方法
布を2枚用意します。
本製品を布①に少量含ませる。
パーツの表面を軽く丁寧に磨く。
布②でしっかりと空拭きする。
たったコレだけです。
塗膜艶出しの際、作業後に “ 27a Polish / SP-P-14 ” を御使用いただくと「自然で深みのある艶が長持ちします」。
※注意
・メッキが落ちる場合も御座いますので、目立たない所で試してからお使い下さい。また、磨き過ぎにもご注意ください。
・本製品に含まれる水分が、木部・ピックアップ内部・ネジ細部などに入り込み錆びや故障を招く可能性もありますので、本製品の付けすぎに御注意ください。
・お手入れの際は傷が付きにくい、弊社 “ Polish Cloth / SP-P-10 ” をお薦めします。
以下に、使用例をご紹介します。
●例1:長年使用したテイルピース↓↓↓
●例2:ヘッド・トップの艶出し↓↓↓
黒の深みが増し、ライト映り込みの輪郭がよりクッキリと見えます。
●例3:艶の落ちたラッカー塗膜の艶出し
アクセサリーや靴、車のフロントガラスやスマートフォンのディスプレイなど綺麗にすると気分が良いと思います。
同じく楽器も綺麗に末永く大切にご使用頂ければ、リペアマンとしてとても嬉しいです。
リペア担当:小林
※ ご使用頂く際は、事前に「製品の注意点」をお読みください
F.C.G.R.のリペア・カスタマイズ ☜クリック
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