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#丸型鉄瓶
wazakka-kan · 8 months
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鉄瓶職人 髙橋大益の「丸型鉄瓶とりっこ摘み」1.2リットル。家族全員分のお湯が、一度で沸かせる十分な量。
9/7入荷予定。こちら予約が入っていないので、しばらく店頭で陳列出来るかと思います。
摘みの形が小鳥ちゃんなだけで、雰囲気が女子的可愛さ漂って見えます。
他の鉄瓶で、どんぐりやリス、レトリバーなど、可愛い形を見た記憶。
時間のある時に、こんな摘みをつけてみてもいいなと、髙橋さん的遊びなのかなと思って見ておりました。
たまに、お問合せで、「別注で摘みを○○の形に作れますか?」と受けることがあります。
物理的には作れますが、試作を経てから本製作になる過程を思えば、金属という材料の取り回しの悪さもあって、そんな気軽な話ではないのだけどなといつも思います。
髙橋さん自身も、そういう要望は聞いてきたでしょうから、時間を見つけては、いろいろ形を遊んでみたのだろうなと思います。
髙橋さんの鉄瓶は、大きさの割に軽く感じます。持った時のバランスが、とてもいいのだと思います。把手も持ちやすい太さ、カーブ。
お湯を注ぐ時に、加減すれば細く細く落とせるので、コーヒーを淹れる方にもおすすめ。
そして、伝統的な鉄瓶には蒸気穴は開いておりませんが、この丸型の蓋には開いております。
通販→https://goo.gl/RVD3XK
#鉄瓶 #高橋大益 #職人技 #丸型鉄瓶 #伝統工芸 #一生もの #インテリア雑貨 #和雑貨 #江古田 #新桜台 #西武池袋線 #練馬区 #商店街 #贈り物 #プレゼント #ギフト
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oka-akina · 1 year
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1222,23,24
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 22日は渋谷◯◯書店の店番だった。クローゼットを片付けていたら出てきたワンピースを久しぶりに着てみた。これに白いタートルを合わせるとなんかすごいガーリーだな…と、なんかこう、半ばコスプレのような気持ちで出かけた。  黒いネル地のワンピースで、腰のところからふわっと広がっている。あんまりわたしっぽくない格好なんだけど、店番で顔を合わせるのは通りすがりのようなお客さんばかりだし、なんかこういうワンピはお店屋さんぽさがあっていいかなーと思った。お店屋さんぽさって、べつにばかにしているわけではなくて、なんていうのかな…自分の中にあるイメージみたいなもの。を、上手になぞれるとなんかうれしい。仮装、擬態、ごっこ遊び…か?  ちょっと肌の調子もよくなくて、あんまり化粧しない方がよさそうな日だった。気に入る顔にならないなら自分ぽくない服装をしてみるのも面白いんじゃないかなーと思った。で、せっかくなのであたまにカチューシャもつけてみたんだけど、電車に乗っているうちにあたまが締めつけられるような感じがあり外した。  ほぼ通りすがりのようなお客さんばかりと思っていたら、運営のりれたさんがいらしていてなんだか気恥ずかしい。べつに何もつっこまれないしものすごく突飛な格好をしているというわけでもないんだけど勝手に(そもそもわたしっぽくないというのも、自分でそう思うというだけで、他人から見たらたぶんふだんと変わりない)。そしてたまたまなんだけど、「初めまして、オカワダアキナといいます」みたいなあいさつする機会も多い日だった。  ○○書店の向かいのギャラリーで企画が始まるそうで、ちょっとあいさつに行った。作品の展示と販売があって、デザインフェスタみたいな感じ。この日は内覧会で、翌日からオープンとのこと。わたしはたまたま今日店番に入ってたってだけなんだけど、りれたさんにお声がけいただいたのでオープニングパーティー的なところにのこのこ出かけて行き、図々しくもビールをもらった。瓶のビール。カールスバーグだったかハートランドだったか思い出せない。ハイネケンではなかった気がする。緑の瓶だったのは確か。こういうのってぜんぜん酔っぱらわないんだけどなんでだろう(酒に強いわけではない)。  小説を書いていますとかzineを作っていますとか自己紹介し、いやほんとだからなんなんだって感じでまじで展示となんも関係ないんだけど、堂々と挨拶しちゃうと一応は名乗りとして成立してしまうので面白かった。小説の装画をお願いできる方を探していて…というような話をしてみたり。いやこれはべつに建前ってわけではなくて、ほんとにそういった気持ちはあるので、まあ来年の予定なんてぜんぜんまだなんだけども、そういう話をするのは楽しい。そういう話をしている自分がなんか面白いなーみたいなのもあった。これも擬態かもしれない。わからない。  まだ書き始めたばかりでなんにも目処はたっていないけど、体の大きな女性の話を書いていて、そうしたらたまたまお話した方がふくよかな体型の人物を描いているという方で、なんかすごい偶然でうれしくなった。前田豆コさん。もうちょっと具体的な話をできたらよかったんだけどほんとにまだ書き始めでなにもしゃべれることがなかった。そしてこういう日に限って自分ぽくない服装をしているし、化粧もちゃんとしていないしで(世間的にというよりは自分の満足度として)、しくじったなーと思った。カチューシャはずしといたのはよかったと思った。  そしてビールを飲み終わって退散し、エレベーターを降りて地下鉄の入り口にさしかかったとき、あっ店に傘を忘れてきたな…と気づいたけどどうもめんどくさい気がしてそのまま帰った。まだ改札は通ってなかったし、エレベーターですぐだから取りに戻ってもたぶん2、3分の話なんだけど、どうにもおっくうだった。傘を置き忘れたときってすぐ気づく。置き忘れた場所から離れたとたんにあっと思い出し、それなら引き返せばいいのにもういいやと思ってしまう。  これもう半年くらい前になっちゃうけど、つまずく本屋ホォルさん(深澤さん)と草加をうろうろしたときもそうで、途中立ち寄った店に傘を忘れてきたなあと、出てすぐ「あっ」と思ったけどめんどくさくて取りに行かなかった。言い出しにくかったというわけではなくて、まあいっかとなってしまった。わたしの中にある慣性の法則というか、いったん歩き出すと戻れない。なんであれ動き出したらまっすぐびゅーっといきたい。たぶんこういうところにわたしの人生のしくじりや弱点が詰まっている…とおおげさな言い方をしたくなり、たぶん帰りの千代田線が空いていて物思いにふけりやすかった。座れはしなかったけど。チョン・ミョングァンの「鯨」をちょっと読み進めたが、本が分厚いため片手で開いていたら指が痛くなり、途中であきらめた。  で、ツイッターを眺めたら、谷賢一の性的暴行の件について柳美里氏がツイートしていて、思わずリツイートした。ちょっと涙が出た。こうやってちゃんと言及してくれる人、とくに著名人がはっきり言ってくれるということ。この件についてはわたしはなんも関係ないんだけどほっとする気持ちがあった。  演劇周辺が性暴力まみれという話は、昔からみんな知っていたはずだろう。いろんな人の名前が出るたび「知ってた〜〜」って感じでしょ。何かあっても「あー○○さん女の子好きだもんね」「遊ばれちゃったね」って流されちゃいがちでしょ。関わりのある人はみんな知ってただろ。知らなかったはずないだろ。それで演劇の場を離れざるを得なかった女性がおおぜいいた(いる)こと、あんたらみんな知ってるだろ。発言力のある人、声を遠くに届ける力や手段を持った人たち、どうにかもうちょっとなんか言ってほしい。良心とか誇りを信じたい。というようなことをツイートしたら気分が悪くなり、夜遅くなってから吐いた。
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 23日。赤澤玉奈さんの展示を見に行った。北千住BUoY。北千住の駅から線路沿いに飲み屋街の脇を歩いて、途中ちょっと狭い住宅地に入りなんとなーく歩いていくと(目印とかなにもないんだけど素直に歩くと)墨堤通りに出て、すぐ見つかる店。地下ではちょうど演劇をやっていた。フォローしている黒澤多生さんが出演されていて、観に行きたかったんだけど、ちょっと疲労が溜まっていたのでやめておいた(風邪をひきそうな予感があった)。展示は2階のカフェ。  赤澤さんはBALMアンソロジーにご参加いただいた方で、詩と絵の展示。『波が吹いて森が引いていく』というタイトル。詩の朗読がよかった。BUoYは廃墟をリノベーションしたスペースで、2階は元ボウリング場、地下は元銭湯。がらんとした空間の壁に絵が並んでいて、ヘッドホンで朗読を聴いた。テキストを目で読むのと、人の声で聴くのと、受ける印象がちがう。目で読むときわたしはかなり読み落としているような気もした。ヘッドホンの向こうにカフェのBGMや人の話し声が聞こえてくるのもよかった。コーヒーを飲みながらえもに手紙を書いた。書くものを忘れたのでお店でペンを借りた。  『体の中から手に持てる石』という、その場で赤澤さんが石に絵を描くという企画があり、お願いした。こちらが好きな石を一つ選んで不安や悩みを語り、聞いた話をもとに赤澤さんがドローイングする…というもの。「不安や悩みを手に持って取り扱うことができるようになるような体験を目指します」とのことで、「抜いた虫歯を見るときのようにそれぞれの痛みを客観視し、」というキャプションに惹かれた。赤澤さんの「〜のように」という比喩は、詩や散文のときでもそうだなあと思うんだけど、さりげなく指差すような絶妙さがあって素敵だと思う。突拍子もないような喩えではないけど、そのように言われて初めてすとんと落ちるような、頭の上の枝にあるちょうどいい重さの果物をもいで差し出してくれたような…と、やってみようとするとなかなか上手くいかない。だから赤澤さんの「〜のように」はほんとにいいなあと思う。  悩みを話すというのがパッと出てこなくて、ものすごく卑近な話をしてしまった。口に出して話すうちに、その件それ自体とはちょっとちがうところに問題があるのかもと思い至り…というところまで丸ごと話してしまったので、ほんとにわけのわからない話になってしまった。詳しいなかみはひみつ。わたしのしゃべったことはなんだかよくわからん話になってしまったけど、それを最後まで聞いてくださり、すごくほっとした。ちょうどきのう、りれたさんからブックセラピーという人から悩みを聞いて選書するという企画に誘われ、わたしのような性格が歪んでいる意地悪な人にはとてもできないんじゃないかと、きのうもそうは言ったけども、改めて思った。  握りやすい、ちょっと砂の感触もある石で、すごく絶妙な絵、形を描いてもらえた。ああそうだったと思うような、さっきの比喩の話と同様、すとんと落ちる感じ。むかし読んだ吉本ばななの「血と水」だったかな、主人公の恋人が、木とか石とかでお守りを作る男の人…という話があって、それを思い出した。なんともいえない形だけど、相手の心になじむ形を彼はどこからかすっと取り出してきてなんでもないことのように差し出す…みたいな感じの話だった。たしか。
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 石はポッケに入れて帰った。ポッケの中で何度も握り、左手で握ると石のへこみのところにちょうど中指がひっかかり、石はわたしの体温で温かくなった。ポッケの中にはワイヤレスイヤホンのケースも入れていて、そういえばこのケースは歯医者で抜いた歯を持ち帰り保管しておくケースに似ているな…と思った。わたし自身は歯を抜いたことはないんだけど。ルミネの靴下屋と無印に寄り、タイツの中に履く用の五本指つま先靴下・安いノート・レトルトのコムタンを買った。  最寄駅に着いたら、ケーキの箱を抱えて歩く人や、でかい紙袋をいくつも提げた人、サンタの格好でケーキやチキンを売る人など、めちゃめちゃ「いつかのメリークリスマス」な風景だ…と思った。毎年ちゃんとクリスマスの雰囲気、年末の雰囲気になるのが不思議。夜空の感じとか。夏はもっと羊羹っぽいのが、冬はさらっとしている。これ伝わるかわかんないけど。  家に帰って夕飯の支度をしていたら、リビングの電灯が切れてしまった。脚立にのぼらないと替えられないし家にストックもない。すぐ近くのドンキで売ってるとは思うんだけど型番も大きさもなんもわからん…調べるのもめんどくさい…。暗い部屋でもそもそ食べた。好きなアイドルの配信やMリーグの中継を見ながらで、スマホの明かりの眩しさが今度は「JAM」みたいだな…と思った。イエモンのJAM。  JAMの歌詞の好きなところは、最初のサビの「素敵なものがほしいけどあんまり売ってないから好きな歌を歌う」のすぐあとに二番のAメロ「キラキラと輝く大地で君と抱き合いたい」ってくるとこ! あんまり売ってない→キラキラ、の流れ、そしてそのあとに「この世界に真っ赤なジャムを塗って」とタイトル回収…がほんともうキマりすぎてるだろ〜とむかし友だちと語った。古い歌を思い出すと友だちのことも思い出される。
 24日。きのうおとといの日記を書いた。展示の流れで書きそびれたけど、「イサド住み」の感想をいただいてすごくうれしかった。毎度うまくお返事できなくてお恥ずかしいんだけど、ほんとにとても励まされています。そしておととい、○○書店で小説の成り立ちのようなことについて尋ねられ、うまく受け答えできなかった。もっかい脳内反省会をやった。  夜はクリスマスだからビーフシチューを作って、スーパーで買ってきたチキンと。チキンといっても竜田揚げなんだけど。骨なしチキンとシールが貼られていてなんか罵倒っぽいな…と思ってちょっと笑った。骨なしチキン野郎。  大根とホタテ缶のサラダ。千切り大根を塩で揉んで水気を搾り、ホタテの水煮缶と和える。マヨネーズと粗挽き胡椒。これを作るとクリスマスとか年末っぽいなあと思う。実家の母がたまに作った。たぶんお歳暮でもらう缶詰を活用したメニューで、だから年末っぽいのだろうと思うんだけど、我が家はだれからもお歳暮はもらわないのでわざわざホタテ缶を買っている。  ビーフシチューにセロリを入れ、余った葉っぱを何かに使いたいなあとレシピを検索し、セロリコスパゲッティと名付けられた、要するにバジリコスパゲッティを細かく刻んだセロリの葉で代用したもの…を作ってみた。付け合わせっぽくしたかったのでペンネ。なかなかうまくいった。セロリが好きな人は好きだと思う。わたしはかなり好きだと思った。  切れた電気はまだ替えてなくて(めんどくさくて…)、卓上ランプを天井に向けて間接照明みたいにしている。けっこういい感じだと思うことにする。ホテルの明かりっぽくもある。『シンプル・メン』という映画(監督:ハル・ハートリー)を配信で観て、途中まで観たところでちょっと疲れたので、本を読んだり小説を書いたりした。
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mitsu-maru · 1 year
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Bleu
 記憶というのはポインタとデータで出来ている。いつからか、そのように僕は信じている。忘却とはデータの在り処を指し示すポインタを失った状態であり、データそのものは確かに残っているのだと。何らかの切っ掛けでポインタが復元された時、記憶は鮮やかに蘇る。たった今まで自分が忘れていたことにすら驚くほどに。紅茶に浸したマドレーヌは暮らしに満ちている。長く生きれば生きるほど、過去が未来よりも重くなるから。
 記憶のポインタは厳密な一対一対応ではなく、大なり小なり誤差が生じる。本来想起されるべき思い出の一部が欠落したり、少しずれた思い出が蘇ったりする。あるいは、なかった記憶が新たに生成されたりもする。これは僕が2022年11月20日の午後、「Solarfault, 空は晴れて」という本を読んだ時に生じた反応を元に生まれたテキストである。記憶というのは揮発性であるだけでなく発泡性でもあるから、1週間という時間は記憶を発酵させるに十分な時間だ。読んだ小説の感想文が新たな小説であっていけない理由はない。
 青い、作用の定かでない、おそらくはあまりよろしくない液体。小瓶。『ロスマリン』だと思った。図書館で借りたハードカバーの本だった。少年たちが夏休みに高層ビルディングを抜け出して旅立つ先は暖かい海だった。映像の中で少年と犬が白い浜辺を走っていた。オゾンホールが話題になっていた世紀末。姉はフロンが使われているという理由で旧型のエアブラシをゴミの日に捨てた。その頃、一度塗った色をCtrl+Zすることはできなかった。読み終えた本の感想をTwitterで検索することはできなかった。Amazonは夜中に切らしたPPC用紙を翌日の夕方に届けてはくれなかった。
 大学進学を機に上京し、僕は私鉄の駅から坂道を登って、サンドイッチ屋のT字路を左に曲がってどこかの企業の借り上げ社宅の側を抜けた先にある青いアパートで暮らした。とても青い家だった。九州から上京した人間には東京の日暮れは地球が丸いことを実感させるほどに早く、うどん屋のつゆはありえないほど黒かった。レンタカーで意味もなく夜の新宿を走り回って、ラーメンを食べた。殺人事件が起きそうな間取りの海辺の一軒家でペペロンチーノを作った。サークルに入って本を書いた。酔い潰れた関西人の介抱をしながら、寝言も関西弁なんだと妙に納得した。
 敷地の外れの外れに、今はないその建物はあった。自治の名の下にビラがばら撒かれ、インクの匂いが漂い、アニメソングが館内放送で流れるような建物だ。そういえばビラを配っていたあの団体も青という字を冠していた。季節を問わず週に一度僕たちは集まって、ただひたすらに話をした。それが僕たちの活動だった。生協の缶ジュースは少しだけ安かった。年齢も専門もバラバラな学生たちが、教養を無駄遣いしていた。時々真面目に小説を書いて本を作り、批評会で真剣に意見を交わしたりした。僕たちの掟はただ一つ、描き始めた物語を必ず完結させること。開いた物語は閉ざされなければならない。それさえ守れば何をやろうと自由だった。その頃茨城県でバケツで流し込まれた液体が青い光を放った。
 学園祭で小遣い稼ぎをするために部員総出で占い師の真似事をした。タロットカードから客が望む物語を紡ぎ出すのは即興小説の訓練だ、というのが建前だった。原価がただ同然の占い屋はなぜだかいつも大繁盛で、僕たちのサークルは本の印刷代には困ることがなかった。
「久しぶり」
 堤が話しかけてきたのは、夫の不倫を見て見ぬふりをしつつ、別れる決心ができないと悩んでいる女性の背中を押してしまった直後だった。
「俺のことも占ってよ」
「顔見知りのことは占わないようにしてるんだ」
 本当に占いがお望みなら、と後輩のテーブルを指差す。堤は肩を竦めて、三百円を支払った。後片付けを終えた後、二人でステーキを食べに行った。安くて硬い牛肉にニンニクと醤油でえげつなく味をつけた代物だが、その頃の僕らにはそれでよかった。紙エプロンに跳ねたステーキソースが抽象画のようだった。
「なんだ、その。元気そうだな」
「どういう意味だよ」
「別に」
「ああ、聞いたのか」
「聞いたとも。なんで教えてくれなかった」
「教えたからといって、何が変わるわけでもないだろう」
「そりゃあ、そうだけどよ」
「じゃあ、いいだろ」
 堤は煙草をくるくると回して言葉を探した。最後まで、出てこなかった。
 小さなゲーム会社でアルバイトをした。携帯電話で話をしながら深夜の住宅街を歩いた。千駄ヶ谷のモスバーガーが秘密基地だった。自分たちが作っていたゲームのことは欠片も好きになれなかったけれども、スタッフ同士で話しているのが好きだった。六本木のライブハウスには月一で通っていた。お目当てのバンドの対バン相手のファンが自分の周りで激しく踊り出して、つられて踊っていた。強い人が集まる、という噂のファミリーレストランに自転車で乗り込んでカードゲームの対戦を挑んだりした。初めて中央特快に乗って八王子まで行った。
「で、いつ?」
 帰りの電車は適度に混んでいた。冷蔵庫にマグネットで貼り付けたメモのことを思い出した。換気扇の調子が悪いから業者に連絡すること。そうメモしてから何ヶ月が経っただろう。その頃僕はもう自炊することを止めていて、冷蔵庫には赤ワインとチーズしかなかった。黒い服ばかり選んで着るようになっていた。たまたま見つけた美容院の美容師と気があって、好きなように自分の頭を作品にしてもらうことしていた。この時は確か、虎をイメージした金のメッシュの入った黒髪だったと思う。ギターなんて一度も弾いたことがないのに、スタジオを借りてエアバンドのアー写を撮った。悪ノリしてロゴも作った。
「まだ決まってない。決まっていたとしても、お前には教えない」
「そう」
 エアバンドのベースは、本当のベーシストだった。本当はギターが弾きたかったらしいが、手が小さくてコードがうまく押さえられなかったんだと笑っていた。雷と餃子で有名な街から、時々都内に遊びに来ていた。常軌を逸した方向音痴の彼にとって、乗り換えはいつだって至難の技だった。コンピュータグラフィックスを専攻していた彼を、八王子の某大学の教授のところまで無事に送り届けるのが今日の僕のアルバイトだった。この頃のインターネット回線はZoomで面談するほど力強くもなく、クラウド環境はGitHubで自分のポートフォリオを公開できるほどではなかったから、修士論文の指導をしてもらうために直接会いに行く必要があったのだ。
「お前がいなくなるのは嫌だなあ」
 そんなことを面と向かって言われたのは当たり前だが初めてだった。正直少しだけ心が揺らいだ。努めて僕は平静を装い、東へとひた走る列車の窓から外へと視線を移した。刻一刻と時は迫っていた。冬が始まっていた。セーターの袖を鼻に押し当てた。
「バンドはエアなんだ。ギタリストがいなくたって、やっていけるさ」
「エアじゃなかったら、よかったのにな」
「そうしたら、ツアーには必ず宇都宮を入れてやるよ」
「絶対MCでいじられるやつじゃないか」
 東武線の駅の側、一階が物販になっているライブハウスを幻視する。もちろんバンドはエアなので、歌詞も曲もない。それでもステージの上で僕たちは青いライトに照らされていた。ライブの後半で必ずやる定番のバラード曲を歌えば、正確にハモってくれるという信頼があった。電車が新宿駅について、ベーシストと一緒に湘南新宿ラインのホームまで歩いた。
「それじゃあ、またな」
「ああ。今日はありがとう」
 手を振って僕らは別れる。僕には、これが最後だと分かっていた。携帯電話が鳴る。新宿駅は人が多すぎて、誰も僕のことを気にも止めない。運命が僕を迎えに来る。もうすぐだ。こうして世界は分かたれる。
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misttimes · 11 months
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5月23日のツイート
ジェットエンジンの排気でぼやけてるけど福岡サンパレス。 pic.twitter.com/8LXP31VA3x
posted at 23:59:01
2023/5/20 7G47 HND→FUK JA26MC 国際線仕様機材だったけど再開の気配が無いな。 pic.twitter.com/meT13DA8cf
posted at 23:56:27
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RT @pmakino: NTT-X、鼻毛カッターといいこれといい、わけのわからない抱き合わせキャンペーンするところ好き twitter.com/pc_watch/statu…
posted at 23:43:59
NTT-X Store の名前が変わっても一世を風靡した鼻毛カッターとセット販売するセンスは変わらないでほしい。
posted at 23:43:29
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RT @shagiri: NTT-X storeなくなるのか。 pic.twitter.com/a8L03GGvx4
posted at 23:42:20
スターフライヤー、エアバスA320neoは162席構成に 今年上期に運航開始 www.traicy.com/posts/20230522… >現在運航中のエアバスA320型機は150席を配置しており、12席増える。一方で新型シートの採用により前後空間は5%拡大できるという。 2列増えるのに前後空間が拡大?🤔
posted at 21:56:30
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RT @traicycom: スターフライヤー、エアバスA320neoは162席構成に 今年上期に運航開始 dlvr.it/SpPY4G pic.twitter.com/1o38E0vJtg
posted at 21:53:07
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RT @HIOKANATSUMI: いよいよ今日は21時〜 #宮田ニキ生 ❣️ 絶対ミテネ〜!!朗読ドキドキ…🥰 twitter.com/kismiya_2525/s…
posted at 21:08:48
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RT @CYXuAxfGlfFzZCT: 完全に駄目だアルフィヤ。 国連感覚で議員やってやがる。 俺だってウイグルの方々を助けたいと思う。 でもはっきり言うが、このアルフィヤ主張は、ウイグル人が避難先として日本を戦略的に利用しようとしてる風にすら見えてしまう。 この主張はウイグル人にとってもマズいぞ www.moeasia.net/archives/49724…
posted at 21:04:31
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RT @mattariver1: 小野田さんに日本を任せたい。ガチで。 pic.twitter.com/AIP41MbfoV
posted at 21:04:11
電車内で隣席がゴホゴホしててインフルエンザを移された経験有り。この時は当選してたAnimeJapanのチケットも無駄になった。 twitter.com/misttimes/stat…
posted at 21:01:17
乙女モードと時間が丸かぶりで溜まっていた『僕ヤバ』をようやく見始めた。とりあえず2話まで観たがゆかりんはまだ出番無し。
posted at 20:46:22
『僕ヤバ』遠藤一樹(プロデューサー)×髙橋圭太&福田裕子(原作編集)インタビュー【連載第5回】 www.animatetimes.com/news/details.p… >遠藤:この先、おねえがたくさん出てくるの楽しみにしてください(笑)。田村ゆかりさんボイスが凄く良いですよね! ブースでみんな惚れ惚れしていて。
posted at 20:43:24
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RT @animatetimes: 『僕の心のヤバイやつ』連載インタビュー第5回:遠藤一樹プロデューサー×秋田書店担当編集・髙橋圭太さん&福田裕子さんインタビュー 「市川が自分の力で頑張って山田の心を動かして、成長していく物語なんです」 #僕ヤバ www.animatetimes.com/news/details.p… pic.twitter.com/9FVS8kIKbm
posted at 20:41:46
新宿マルイメンって最近アニメイト新宿が移転してきて最寄り駅が新宿三丁目で新宿駅から10~15分くらい歩く場所だ。 www.0101.co.jp/074/access/?fr…
posted at 20:39:45
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RT @marui_anime: ୨୧・。。・・・。。・୨୧ #マルコとマルオの14日間 #プリキュア シリーズ20周年を記念して、新宿マルイメンに大幕登場❣ 📅~2023/5/31 まで ღ:www.0101.co.jp/maruko/ #プリキュア20周年 #precure20th pic.twitter.com/3nAxjPT6As
posted at 20:37:16
自分の普段の使い方だと16GBで間に合っていて実際16GBで統一しているけど、16GB*2枚組 32GBが8000円台で買えてしまうから買ってしまった。
posted at 20:35:27
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RT @Emiryun: ありがとうございます! 64GBでも平気な気がします! 教えてくださりありがとうございましたー!
posted at 20:33:47
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RT @Emiryun: PCに128GBのメモリを積ませたら最強になるのはわかるけど、64GBと体感どのくらい変わるんだろう。 極端な場合だけど、動画編集、ゲーム、配信、写真現像(RAW)を同時に開いてたとしたら!?笑
posted at 20:33:09
元々慢性鼻炎持ちだったのに以前はしてなくて今の方が楽で効果を実感している面はある。
posted at 20:08:31
自分は当面😷継続。
posted at 20:06:56
廃止か……
posted at 20:06:10
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RT @YukarinStaff: 「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」廃止についてのご案内 www.tamurayukari.com/information/?i…
posted at 20:05:48
近鉄のB更新みたい。インバータがGTOだと思ったがこちらもさすがに更新だろうか。 >RT
posted at 19:38:35
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RT @JRshikoku_tokyo: 皆様に今後も快適にご利用いただけるよう、特急しおかぜ・いしづちの「8000系特急型電車」をリニューアルします!✨ pic.twitter.com/476Mxhyfb8
posted at 19:35:45
マイナポータルで確認完了。
posted at 19:24:04
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RT @konotarogomame: マイナンバーカードに自分の健康保険証情報が正しく登録されているかどうかを確認するためには、マイナポータルにログインし、「注目の情報」の「最新の健康保険証情報の確認」を押していただくと、健康保険証情報のページが開きます。ページの中段にある「あなたの健康保険証情報」から、登録されてい… twitter.com/i/web/status/1…
posted at 19:13:24
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RT @sachimiriho: 貴方は僅か21歳の、佐渡島出身の巡査が中核派に鉄パイプで連打され、ガソリンと火炎瓶で焼き殺された渋谷事件をご存知ですか。事件では他3名の機動隊員が重度の熱傷、商店街も焼かれ、民間人も重症を負った。 手を踏まれるのも嫌なら広島の慰霊の邪魔をしないで下さい ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%8B… twitter.com/okidaijichikai… pic.twitter.com/wPefAfw0VV
posted at 19:07:23
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RT @R172: ご報告です☀️ この度、新しい命を授かりました! 現在は安定期に入り、秋ごろ出産予定です🍁 元気なベイビーに会えるように、穏やかな気持ちで過ごしたいと思います☺️ 体調と相談の上、お仕事も続けていきますのでどうぞよろしくお願いします🙌
posted at 19:06:56
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RT @MIKITO_777: とりあえず、インフルと感染性胃腸炎、本当に多いから、 『しっかりと石鹸で手洗い』 を徹底してください。 それだけで、高熱で寝込んだり、嘔吐と下痢でトイレの住人になるリスクを大きく減らせます。 twitter.com/MIKITO_777/sta…
posted at 12:57:46
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RT @MIKITO_777: とりあえず、コロナに限らず、現在小児の感染症はかなり多いです。 インフル、RS、溶連菌、感染性胃腸炎など、緩和に合わせて明らかに増加しています。 少なくとも現時点で『マスクを外すよう指導』は不適切です。 小児の健康と学習機会を奪いかねません。 twitter.com/chibanippo/sta…
posted at 12:57:41
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RT @china_alfafa: 本日放送の #おじゃる丸 『あうん対決』のゲストは #小倉唯 ちゃん #石原夏織 ちゃん 一緒に収録も出来て、息のあったかわいいあうん坊を演じてくれました♪ 夕方5時から再放送あるのでそちらでも是非!! あ〜うん♪ twitter.com/nhk_animeworld…
posted at 12:44:19
ぐちゃりん
posted at 12:39:00
はとつー
posted at 12:38:51
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RT @oarai_shimachan: 間に入ってくれたガルパンファンの方のおかげで、相互ブロック解除からの再フォロー、DMで改めて謝罪を受け取りました。麻子パネルは戻りませんが(これは自分の意志は曲げられないのでご容赦ください)最後に道を誤ったお二人を救い上げる麻子さんに最大限の感謝を。
posted at 08:45:48
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RT @seaside_c: 【特番情報】 5月26日(金)21時から 6月17日(土)開催のイベント 「オンリー"ワン"ダーフェスティバル」を記念した生放送を行います!! イベントの見どころをたっぷりお伝えしますね! 新情報も!?乞うご期待🐶 出演:日岡なつみ,篠原侑,菱川花菜 放送ページ↓ live.nicovideo.jp/watch/lv341462… #愛犬声優 pic.twitter.com/DgrwgbDYSi
posted at 00:50:09
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RT @niche510: あの土地に関する公式からの供給物、今あるものを本当に大事にとっておかないと追加は無いと思った方がいいですよ。今回の件が出てくる前から感付いてる人はいたかもしんねえけど。 常連様のリテラシーに関する部分は半ば諦めがあったものの、形として動いてしまうときついな。
posted at 00:38:07
香椎宮に参拝。30年ぶりくらい?本殿は保存終了工事中。御朱印は当面は書き置き対応の模様。 pic.twitter.com/whfTaXjtRK
posted at 00:07:49
from TOJHO(@misttimes) - Twilog https://ift.tt/KOGTPC9 via https://ift.tt/kMQLR30
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crispy-moratta · 2 years
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民藝の100年 memo
白樺同人は印刷物として、西欧の美術動向を���収するのに役立った。
リーチ、lovelyとメモるのかわいいな、、、
交通手段として失われていく船を前近代の象徴として、またインターナショナルなイメージとして、北前船の交易品は蒐集された
朝鮮民族美術館の宮廷の建物をミュージアムにした際に、朝鮮家具の卓子という書棚が展示ケースとして活用される。また日本民藝館のケースはこれがルーツであり、鈴木繁男が拭漆を施したものである。
日本民芸術館設立趣意書 「自然から産みなされた健康な素朴な活々した日を求めるなら、民藝Fork Artの世界に来ねばならぬ」と、蒐集対象は民衆に用いられた日常の雑具と規定した。表紙は青山二郎の染付羊歯文平猪口
船箪笥の図案が文字っぽいあしらいがされているところがあり、また留め具が非常に多い。上に持ち運びのための取手?がついている。
越後タイムスは吉田正太郎の依頼を受けたもので、中身は新聞のような紙版がなされている。下手物が特集?されていて、紙面中央には器の図版、特集タイトルの上にある花の図案は何だろうか。、、また展示体系のして、額装してあるが、マージンにマージンをとる、ビジュアル的な良さがあった。
東こぎん肩布の図案は菱形の図形が組み合わされ、また縫い?の荒さ?がとても良い。が肩布って何に使うもの?
日本民藝品図録の紙面、民藝品が画面中央にモノクロ印刷で置かれており、右下にノンブルが漢数字で入っている。このノンブル、各ページ同ポジになく、圖三十二 など。 印刷方法に依存しているところもある?
紙縒卍文八角膳の天板の模様が気になる。中央から何かそういう形で押し付けたような、掘ったよあなかたち。木目ではないが、荒い目でみるとそういうふうに認識してしまう。漆を塗る過程によるものな気はするが。
柳宗悦や濱田庄司らはイギリスと韓国の家具を高く評価する。またハーバード大学附属フォッグ美術館の招きを受け、欧州経由で渡米。スウェーデンの北方民族博物館やスカンセン(野外博物館)にしょくさつされて、将来の民族美術館の構想を温める。アメリカでは素朴な味わいの聖書の挿絵を蒐集。ボウバックアームチェアスプラッタあるタイプの意匠が非常に好き。たびたび出てくる、クネクネとした。人のような植物のような版画的に造形、図版は何に由来しているんだ、、。
スパリップウェアが掛け流しの重要な参照点となる。
マイケルカーデューの紙皿がとても素晴らしい。化粧土をかけた後に櫛形を施したらしいが、櫛形の曲がるときのスナップが妙な歪さをうんでいる。たぶん私が好きな最たる理由は色だが。
聖書の挿絵が意外とコミカルでおもろかった。ノンパースで、バットが空間に浮いていてお祈りしてるもか、そんな高くない。高座にいるとか。ドイツのもの。
1920-30 日本の近代化にあわせ、大正末から昭和の初期にかけて、矛盾が露呈してきて(誰目線だ?)都市に対する郷土という概念が成立する。民俗、民家、民具、民藝などの生活文化を再評価する動きが高まり、都市生活者の趣味という側面とともにかっぱつかする,
柳田と柳が話したのは一度だけらしく、過去の歴史を正確にするのが民俗学であると柳田は主張し、柳はこうあらねばならくという世界に触れていく使命を担うのが民藝だと説いたが、ふたりはその違いを確認するにとどまった。表層的だが、柳田の民俗学論に共感するが、どちらが善でどちらが悪という話でもなく、どちらも持ち合わせているような気もするので、派はないがグラデーション的には柳田スタンスか、私は。
緑草会編 民家図集の紙面が良かった。頁上部に図版があり、下に設計?ラフとテキストが200字ほど、これらは印刷工の仕事?1930
京郊民家譜の河井寛次郎の装丁が素晴らし��良い。イッチン描き風の文字が現代的な視点ではかたりパンクだが、実際イッチン的な素朴さを当時は感じていたのか?
20世紀初頭、大津絵が再評価されるが、これが良いのが格子の裂を多用した表装で柳も大津絵の新しい見せ方と高く評価したそう、普通にタータンっぽくもあるが、もう少しばあさんっぽい。
芹沢銈介は絵馬を集めてたらしいワ。
山本鼎の木鉢のデザイン画がとっても良いが、クラフト紙に水彩?で書いてる、これが一発書きとは思えないので、これを書いていく過程で決まるかたちもあると思うが、逆にこれを見て作れる職人もすごいな、設計図とか別にあるのかな、
民藝同人によって蒐集されたものの中には道具としての生命を終えたものもあるが、煙で燻され、磨き込まれて深まった色合いや皿の味わいを「見る」という用途をもっていると柳はいった。
赤絵丸文繁鉢、丸という枠に図案をされる。赤と緑、生成りのような黄色なかな。活発である。縁の黒が効いているのもあるか。アウトラインをつけることによって、おもちゃ感が強い。がキムチとかをポンと入れたくなる高貴さはある。
美の標準 そのニ 工藝第2号において、柳はふたつの挿絵を入れ、なぜ一方が不十分で、一方が優れているかを示しこれによって美の標準をはっきりさせたいと思っている。これは言葉によらず、具体的に一見して分かるから読者にも興味があると思う。とかなり読者に寄り添った、へんしゅうをしているが、悪いものの例には有名なものを、いい例には無名なものをいらるという編集方針がとても良い。そのものを押し出すのではなく、考えを押し出すのだ。また12回の連載を終え、悪い方の例になるものを写真に撮るのがなかなか面倒になったらであるなどといっている、笑
雑誌 工藝 は雑誌そのものが工芸的な作品であるべきであるという発想のもとつくられており、布表装にしたり、用紙に和紙を使ったり、豊富な小窓絵と写真を使ったりという工夫が凝らされてた。
雑誌 工藝の芹沢銈介のはたらきがめちゃくちゃに良い。扉絵の挿絵、これらのにじみなどに芹沢の影を感じた。また、線の形として、あまり勢いはなく、熟考された上での手癖っぽい感じ、またそれが直線とのコントラストを産み、なお良い。
民芸フォントと題されたところで、柳が「非個人的な字」を見出したとある。壺の局面に書く際のいっちんの手法の不自由さが、個性の角をとるということだが、浄瑠璃、芝居の番付、提灯の文字、将棋の駒なども近しいという。が芹沢の手癖的な文字の方が私は愛おしいと思うが、あれは違う?いっちんのパンクな感じは、もしかしてグラフィティてきなところに繋がりを感じられるかもしれない。不自由な手法という意味では。
柳も仮名のかたちとして注目した、浄土真宗初期の版本の文字が非常に良いが、版画なのか、、文字の上に家紋的な図版が、レイヤーで捺印されていて、字と図の境界を曖昧にしている。が良くみると推されている圖はぜんぶおなじで、なんか訂正印みたいでもあるが、なにか用途がある?
織物の袖無長衣 サイシャット族 | 台湾の色彩と図案のバランスが素敵だが、テキスタイルの柄に依存して、ライン先の記事全体の形がキュッとなっているのもかわいい。また、ライン的に入る柄には縫いの位置ととても関係性がありそうで、これも素朴さの所以かもしれん。
雑誌 民藝でも見られたが、柳は本文ページと表装のコントラストがないことを嫌ったそうだった。「表具に用いる素材としての布又は髪の色をら本品と近いものから選びますとその結果が至って無難なことが見出されました」とある。
山陰新民藝品展覧会 1932のパンフレットが美しい。図版が自由に配されつつ、その周りにキャプション、中央に四角く囲った民藝品のリストが固く組まれている。
柳の拭漆机の棚に彫られた、4枚の花の図案が美しい。深く掘りエッジを立たせることで、シャープな印象をつくるが、これも柳のシャープ好きを裏付けるものか?
日本民藝地方民窯展 展示風景1940がめちゃくちゃによい、地図から糸を引き、器よ結びつける。非常によい。
柳と芹沢で制作された全長13メートルの巨大な日本民藝地図、旧国名による区分に都道府県を協会を重ね、オーバラップさせる。また鉄道網を走らせ、民藝品を記号化したものをつかい、500を超える産地をマッピングしたよのたが、ここまでのレイヤーを作るながら、意外とあっけらかんとした。色面の印象が強い、ビジュアルで、いけいけとしながも力強い。芹沢の色彩感覚がめちゃくちゃよく、赤、深緑、黄色、緑っぽいグレーに、白文字金文字、ときおり赤文字で入る地名のカリグラフィーがめちゃくちゃ心地よい、地図はベタで、海は陸に沿って若干コントラストがついている。ふわふわしそうな、色使いたが、鉄道路線の黒がコントラストを1番上のレイヤーでつくり、横に広がり続けるビジュアルに流れる視線を留めてくれる。民藝品のアイコンが素敵、そこまでディテールを排除せず、色数も極端に絞らず、揚々としている。
抱瓶とよばらる酒瓶の一種でかたちが三日月型のらいんになっているのは腰に当てて方から下げて携帯したことによるもの。しかし現在でではサイズ感的に絶対置きだろと思いつつ、なんなら水指であるが、これも用途の転換と呼べるものか。
生成り本文頁にモノクロの写真をおく、だんだんページは焼けてきて、独特なコントラストをつくる。
青森の伊達げら、の模様がかわいい。記事のつくりによって図案がワープしている。
芹沢銈介の海外中の挿絵が良かった。家が消失してもなお、仕事が続けられる体制がとれているところに自分的に芹沢を見た。どんな状況でもものづくりに向き合えるのは最低限の環境、それなりのスペースと採光、そんなに必要とされる条件は厳しくないのかもしれない。
文字絵 忠 | 考 朝鮮半島 文字絵芹沢のものが有名なので、あまり朝鮮などにそういう意識がなかったが、なんか図の割合多くないという感じと、なんかちょっと稚拙な図案に強筆という印象。
スウェーデンのヴィルヘルムコーゲの澱青釉碗がすごく、深く名前の通り澱んだ青としているにもかかわらず、輝きがあり、骨太なかたちが素敵だった。
河井寛次郎のキセルシリーズの現物を始めてみたが、ネットで見るよりも格段にエロティックで、原案デッサンは至って素直な感じ。メカニカルなエロさがあるが、河井寛次郎自身も、「本当の民衆的工芸のメカニカルは機械産業が後継になる」って言った
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ichinichi-okure · 4 years
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2020.7.26sun_tokyo
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 6時ごろに一度、スコールのような激しい俄雨の音で目が覚め、7時過ぎには出勤する彩乃ちゃん(妻)の目覚まし時計で起こされたが、ドタドタと慌ただしく準備する気配をぼんやりと感じながらも半睡の状態で、出て行ったあとまたしっかりと寝て10時半にようやく起きた。  近ごろは眠くて眠くてしようがない。晩に酒を飲みながら寝落ちしてしまうこともしばしばで、昨夜もそうだった。体力が落ちているのかなんなのか。まあ、ただ単に飲み過ぎなのだろうけれども。
 窓を開けたら青空があった。久しぶりに屋上に洗濯物が干せる。意気揚々と洗濯機を回し、その合間にエアコンの、昨日分解して洗っておいた各パーツを取り付ける。それから空いたペットボトルやら、缶やらを片付け、掃除機をかけ、赤なた豆茶をいれ、飲んだ。
 屋上に干しに行くと、二階のおばさんも干していた。長引く梅雨のことやらコロナのことやら、軽く世間話をして、「雨、降らないといいね」とおばさんは先に部屋に帰って行った。西の空がどんよりしていて、危ない予感がしながらも洗濯物を干し終え、部屋に戻ったら雨音がした。慌てて駆け上がり、干したばかりの洗濯物を部屋に入れる。二階に行き、おばさんに雨が降ってきたことを伝えたら、おじさんが出てきて、やっぱり降ってきたか、と言って屋上に上がって行った。
 部屋に戻り排便をしていると、荻窪の本屋Title店主の辻山さんからメール。置いてもらっている拙詩集『あまいへだたり』が売り切れ、追加納品をお願いしたいとのことだった。これで三度目の納品になる。ありがたいことである。私家版で作り、ISBNコードは付けなかったのでAmazonや大型書店では取り扱ってはもらえないが、おかげでこうして個人でやっている書店にお世話になり、直接やりとりできることは嬉しい。特に予定もないので、今日持っていきますと伝えた。
 昼にはパスタでも作ろうかと思っていたが、せっかくなので荻窪で飯を食うことにして、身支度をする。納品書、請求書も書いて、早々に家を出ると、陽が差していた。屋上で煙草を一服。遠い空はまだどんよりと曇っていて、また雨が降りそうだ。
 地下鉄丸ノ内線で荻窪へ。Titleへ行く途中にある、「丸信」というラーメン屋が、昔ながらの感じで前から気になっていたのでそこで昼にしようとずんずん歩いていったが、休みだった。戻るのもなんなので、少し先に行った、四面道交差点の角にある「大勝軒」に行こうかと思う。ただ、ずいぶん前に一度食べたとき、その量の多さに参ってしまったことがあったので、少々迷う。店の前まで来て、胃の調子も割に良さそうなので入ることにしたが、券売機を前にしてはやくも後悔してしまった。ただの「もりそば」でも麺量が350gあると書いてある。その数字を見ただけで腹がいっぱいになるが、後から来た客も待っているので、ままよ、と「もりそば」を購入、せっかくなので(なにが?)中瓶のビールも購入、席に着く。
 焼豚の切れ端とネギを和えたおつまみとともに供されたビールを飲みながら待っていたら、「もりそば」が来た。麺もスープも美味しかったけれど、後半は苦しくなってきて、一味唐辛子を振りかけたりしながら騙し騙し胃に収めた。分かっていたことなのになぜおれは、と短絡的な決断を悔やみつつ、もしかしたらこの異様な満腹感も含めて欲していたのかもしれないとも思った。
 パンパンに腹を膨らませ外へ出て、ゆっくりと歩く。途中、突風が吹いて、目の前にあった美容室の大きな鉢植えがふたつ、倒れた。瞬間的に立ち止まり、「あ、めんどくさいな」と思ってしまったが、すぐに店の人が出てきて、ひとつ抱え起こす。なんとなくもうひとつの方を抱え起こすと「ありがとうございます!」と笑顔を向けられた。ガラス越しに目が合った別の店員さんも満面の笑みであった。私はさきほどの自分の心の動きを思い、なんだか後ろめたかった。
 Titleに着こうとするときに、また雨が降ってきた。ちょうどよく店に入る。結構な混雑ぶりで、少し驚いた。先に納品をすませ、前回分の精算もしていただく。カウンターの端に淑ちゃん(イラストレーターの西淑さん。一作目の詩集『青葱を切る』の装画を描いてくださった)の絵のDMを見つけ、手に取ると店主の辻山さんいわく9月に二階で展示をするとのことだった。ほんとうは5月に開催する予定だったそうだが、「アレのアレで」9月になったと、はにかみながらおっしゃっていた。そのDMを一枚もらい、店内をゆっくりと見て回る。二階での展示も見た。少年のころの、紙芝居や駄菓子にワクワクするような感じの、どこかなつかしい絵だった。外は暗かったが、気持ちが明るくなるような展示で、なかでもひとつだけテイストが違う、黄色と白の花の絵に心を惹かれた。  作家さんと思しき人に目礼して一階に下りる。ブコウスキーの未発表作品集など、気になるものがいくつもあったが、実は目当てにしていたものがあった。雑誌『東京人』最新号、特集は「緊急事態宣言下のまち」。かねてより読みたくて、方々の本屋で探したのだけれどもどこにも置いていなかった。辻山さんも寄稿されているから、多分Titleには置いているだろうと思っていたのだった。予想通り入り口近くに置いてあり、購入。またほんの少し言葉をかわして、店を出た。
 雨が降っていた。結構な降り方だった。ラーメンのせいもあってか喉が渇いていて、煙草も吸いたいし、すこし便意を催してもいたので、帰りがけにベローチェに寄った。ブレンドを頼み、水も一杯もらう。人数制限のある喫煙室に入り一服。便意が激しくなったのでトイレに行く。用を足していると、ゴミ箱にチップスターの空き箱が入っているのが目に入った。なぜこんなところに捨てたのだろう。どこで食べたのであろう。人間とはおかしなものだと思う。
 一息ついて、再び地下鉄丸ノ内線で新高円寺へ。晩めしの食材を買いにスーパーに寄る。駅に隣接したこのスーパーは伊勢丹系列の店で、モノはいいが少々高い。ただ、契約農家直送のコーナーの野菜は比較的安価で、また美味しい。田村さんの枝豆と胡瓜、須藤さんの大葉をカゴに入れる。鯛のお頭が売っていたら煮付けにしようとアラが置いてあるコーナーに行ってみるが、ない。精肉のコーナーへ回ると、しゃぶしゃぶ用のモモ肉がセールになっていた。今日は大根おろしと大葉をたっぷりとのせた冷しゃぶにしようと思いカゴに入れ、麦とホップのロング缶、大根を半分にカットしてあるやつ、ワカメの乾物も追加してレジに向かった。
 店を出てエスカレーターに乗る。見上げれば、青空。まぶしいくらいの、青空だった。  ふいに、飯島耕一の有名な詩「他人の空」のフレーズが頭をよぎる。      もう流れ出すこともなかったので、   血は空に   他人のようにめぐっている。
 なぜ今このフレーズなのか、わからない。わからないが、こういうことはよくあって、詩の言葉、に限らないかもしれない、言葉はこうやってふいに通り過ぎ、束の間、どこか遠い、ある「場所」に連れて行ってくれる。そこに行きたいから詩を書いているのかもしれない、とよく思う。けれどそれだけとも言えなくて、自分自身にもだれかにも、説明はしたくないんだろうと思う。  帰路、遠い空に積乱雲が見えた。蝉が鳴いていた。もう、長かった梅雨も終わるのかもしれない。
 家に着いて食材を冷蔵庫に入れ、屋上で煙草を一服。西の空では雲間から光が差していて、南の空にはさきほど見た積乱雲がある。飛行機が何機も続けて飛んでいく。  思い立って、部屋に戻り、飯島耕一の「他人の空」が収録されている本を探して読む。他の詩なども読んでいるうちに、日が暮れ始めていた。  半身浴をしようと、風呂掃除をして湯を張ったが、買ってきた『東京人』を読み耽っているうちに溜めすぎてしまった。普通浴になったがまあいいことにして、風呂に入る。長めに入り、あがったらもう7時近かった。  昼にたくさん食べたのでまだ腹がすかない。彩乃ちゃんは今日通し勤務なので、帰ってくるのは9時半になるが、一緒に食べることにして、のんびりと支度をする(以下、長々と料理工程が続きます)。
 田村さんの枝豆をこすり洗いした後、塩を振り、同じく田村さんの胡瓜はごく薄い輪切りにして、塩揉みをする。ワカメを水に浸して戻すあいだに、みりん大さじ二杯を煮切り、そこに醤油大さじ二杯、酢大さじ二杯を合わせて三杯酢をつくる。塩���みした胡瓜を洗い、水気をしっかり切ってから、絞ったワカメ、三杯酢と合わせ、ラップをして冷蔵庫に入れる。  沸かした湯に塩を入れ、枝豆を茹でる。いくつか開いたら即座にざるにあげ、扇風機の風に当てて冷ます。  また鍋に水を入れて湯を沸かし、ドボドボと酒を注いで沸騰させたら火を止める。冷蔵庫から出して常温にしておいた豚肉を、一枚一枚湯にくぐらせて火を通し、ボウルに取っていく。  それから、大根の皮をむいて漬物にする用にとっておいて、なかの柔らかい部分を擦り下ろし、ざるにあけて水気を切っておく。  須藤さんの大葉はとても大きいので縦半分に切り、重ねてからクルクルと巻いて、千切りにする。これは食べる直前のほうがいいので、そろそろ彩乃ちゃんが帰ってきそうな頃合いを見計らって9時20分くらいにやる。    9時30分頃、彩乃ちゃん帰宅。手を洗ったり着替えたりしているうちに、麺つゆとカボス果汁、醤油、みりんを合わせてポン酢をつくり、盛り付け。ちゃぶ台を出してもらい、配膳を手伝ってもらう。9時からやっていた「西村京太郎トラベルミステリー」を観ながら乾杯。十津川警部は内藤剛志版もあるが、高橋英樹にかぎる。亀さんが愛川欽也でなく高田純次になったのには慣れた。彩乃ちゃんとふたり、突っ込みながら楽しく観た。
 で、酒を飲みながら、これを書いているのが今だ。まだ飲むだろうし、まだなにかが起こるかもしれないが、ここでやめることにする。明日からまた仕事に行くことを思うと気が滅入るが、また休日は訪れるし、日々の生活のなかでなにが起こるかはわからない。いいことも、わるいことも。金もなく、どうするあてもなかった若いころ、夜の街で隣り合った見ず知らずの人間と酒を酌み交わしながら、給料を5日間で使い切ってしまっても、なんとか生きていた。一年後を考えれば気が重くても、人生が耐えるに値するものかどうか分からなくても、とりあえず次の週末までは生きていよう、と思う。ロング缶からの日本酒四合ともなると、ずいぶんとセンチメンタルになるものだ。センチメンタル、というのも違うかもしれないが。  ああだこうだ、話が長い、とよく彩乃ちゃんに言われる。今日もまた飲み過ぎているようだ。もう寝たほうがいい。それは分かっているのだけれども、日本酒で甘くなった口腔内は、カティーサークの辛さを欲している。まったく馬鹿げているが、どこまで続くのか、とりあえずはやってみるしかない。そんなこんなで、おやすみなさい。日記とかたりつつ、読んでくれる誰かのことを思っていたら、語りかけてしまった。もう一度、おやすみなさい。あなたがどんな人であれ、明日も一日、無事に生きられますよう。では、また明日。
-プロフィール- 藤本徹(36) 東京都杉並区 詩集『青葱を切る』(2016)、『あまいへだたり』(2019) @fujimoto_toru_
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wazakka-kan · 1 year
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高橋大益さんの鉄瓶「丸型鉄瓶1.2L」
丸みある形はいろいろあれど、ぽってりしもぶくれな胴体に弦、蓋のつまみが小鳥、北欧テイストに絶対似合う可愛らしさがある鉄瓶。
8月末、1個入荷予定。
予約受付中です。
通販→https://goo.gl/RVD3XK
#鉄瓶 #高橋大益 #職人技 #丸型鉄瓶 #伝統工芸 #小鳥 #北欧インテリア #雑貨屋 #和雑貨 #江古田 #新桜台 #西武池袋線 #練馬区 #商店街 #贈り物 #プレゼント #ギフト
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kokoro-m · 4 years
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F 7/23
誰よりもわかっていました、書く手が止まることに。
だって画像をここに読み込もうとしたらすぐダウンして何回もそれ繰り返してんやにゃぬむ、、、シンプルに反省。良いのです、ここはマイペースの世界。
パリ2日目、実質初日。
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鏡を見ると反射的に撮ってしまいがち。おろしたてのごついナイキと、ご贔屓にしすぎているZARAで全身を包み、いざスケジュールを攻略しに街へ出ます。髪型は、フィフティシェイズオブグレイのアナですこんにちは。
パリにいる間、ほぼ気温が40度の世界だったので、足か腕か腹かどこか肌を出してないと服を引きちぎりそうな暑さでした...
朝一番に向かったのは、大目玉の「City Pharma」
パリで一番安くスキンケア等商品が手に入ることで有名な薬局です。日本でも良く見るものが、大容量で安くなってたり、お土産用のバラマキリップなどの種類も超豊富。お世話になっているメイクさんから聞いて買おうと決めていたCAUDALIEのリップ、美容ミスト(これがすっごい良かった!)、定番Aveneのまたも化粧水ミスト、ハンドクリーム、敏感肌用クリーム、日焼け止め大量、などを購入。
そのあとは、朝食専門店の「Claus -SAINT GERMAIN DES PRES-」へ。もともと行きたくてピンを地図に立てていたら、City pharmaからとっても近くてラッキー。プラン立てがしやすいコース、大好き。どうせCity Pharmaで大量買いして荷物を一旦置きたくなるから、朝食でもとってからホテルに帰れたらな、と思っていたところにこれ。大好き。
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白を基調にした店内は、インスタグラム映えだな〜とついつい現代的な感想を抱くほどに洗練されてお洒落でした。焼き菓子が飾ってあるのは罪です。
ひとりだしカウンターかな、と思っていたら、割と早い時間だったので店内も空いていて、自由に選べたので窓に近い二人がけの席へ。大好きなアボカドトーストや、シンプルにブレッドだけ、他にもメニューが多くて迷いましたが、せっかく来たのなら!と思い切って、オススメのモーニングセットの中から選びました。
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クロワッサン、スコーン、シナモンデニッシュのブレッド3種類、エシレバター丸々一個、フルーツのジャムに、フランボワーズソース付きの瓶詰めヨーグルト、オレンジジュースにコーヒー。あまりに贅沢。
静かな空間で、スプーンなりが置かれる音と店員さんの話し声だけ、朝の始まりを感じるには十分すぎる時間。
優雅になれるのも朝だけ、食べ終われば即電車でホテルに戻り、一息してからまた電車に乗って、モンマントルに向かいます。
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地下鉄の切符。一枚1.90ユーロで、大体の場所は一枚でいけた。でもホテルからモンマントルまでは40分弱かかって、乗り換えの時に一旦出口を出てすぐ向かいの違う駅を経由して、とやると、改札に二回入ることになるので、二枚分の3.80ユーロがかかります。それでもやすい!10枚セットを買って、疲れたらすぐ電車に乗れるようにしていました。セットだと8ユーロ弱の謎の破格。
移動は全て「Citymapper」かGoogle マップを使っていました。Citymapperの便利さは異常。何駅行きの電車で、途中停車駅の表示は勿論、車両はどこに乗ったら乗り換えに最適か、など全て教えてくれる強者です。何分後に来る!とか。電車やバス以外にも、「Lime」(ヨーロッパで今流行りの移動用スクーター)で行った方が早い、とか、全ての可能性を提示してくれた。お陰で時間ロスもミスも0。
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そうして安心の上で辿り着いたモンマントル。こ、ここは映画の中か〜!と思うほどの壮観。観光客で溢れかえっているものの静けさは基本的にあって、風も抜けて心地良くて最高の気分。バーの野外カウンターでお馴染みサンペレグリノを購入し、ごくごくを力を蓄え直して向かったのは念願のモンマントル美術館。
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思わず通り過ぎてしまいそうな入り口。ででーーんここが美術館です、なんてポールや看板もなく、ひっそりと存在しています。一度中に入れば分かる、この慎ましさの雰囲気。ここは個人経営の美術館なので、ミュージアムパスは使えず、料金を払って館内をまわります。まず最初に、青々した緑豊かな庭園が迎えてくれます。どれだけ暑くてもずっとここに居たいと思わせるほどに静寂が似合う場所で、チラッと見えた出口の方にはカフェが。順序通りに回るためそこに出たのは最後でしたが、寄りたかったけど他の目的地へ行くために断念。次きたら私も優雅に庭園を見ながらエスプレッソ飲む。
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入り口からは連想できないほど内容が充実していました。所有されているコレクションの中には、日本を彷彿とさせるペインティングやポスターもずらり。
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空腹を感じて美術館を出たので、いざ興奮に満ちたランチ探し。この日は少し移動して、ラザニア専門店「LALA La lasagnenia -Pigalle」で大好きなラザニアを、と意気込んで居たのですが、想像以上の暑さに完全にバテていて、がっつりメイン料理を食べれる気がしない、これは由々しき事態すぎる、、と Rue Norvinsを歩きながら悩む。それでも美味い飯が食べたい!とGoogleマップで調べたレストランは満席、どうしようと途方に暮れた時思いつきました。俺らのライトミール、MARCELがあるじゃないか!!ほぼ音速で向かい、無事外の席で一息。クランベリージュースでバテた身体にビタミンを漲らせ、頼んだのはシーザーサラダ。フライドチキンに大量のスライスチーズとレタス。サラダなのに超ボリューミー!シンプルな味付けにチーズの濃厚さがこれでもかと絡まって、胃袋にドンピシャ。この後に立てた予定をチェックしながら食べ進める。とりあえずまた道を戻り、サクレ・クール寺院へ行かねば。
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hi-majine · 5 years
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ひとつ穴
 焼きはしやせんと女房いぶすなり  なんていう川柳《せんりゆう》がございますが、ご夫婦のあいだに焼きもちがないというのも情《じよう》がうすいようで……といって、あんまりありすぎるのもずいぶんお荷物で……そこはほどほどというところで、焼くほどでなく、狐色《きつねいろ》ぐらいにいぶすというのがよろしいようでございます。
「ちょっと、権助や」 「ひえい」 「まあ、なんていう返事をするのさ。ここへおいでよ」 「へえ」 「そこへお坐り」 「何《あ》んでがす?」 「おまえも知ってるだろうが、旦那がもう三日も帰っていらっしゃらないね」 「へえ、そりゃあまあ、旦那どんのお帰りになんねえのは、おらだって知んねえこともねえが、まあ、あれだけの年齢《とし》だで、まさか迷子になるわけはなかんべえし、といって、どこかでおっ死《ち》んだちゅうわけも……」 「なにいってるんだねえ。縁起のわるいことをおいいでないよ。おまえ、旦那さまの居所 「おらあ知んねえ」 「そんなことがあるもんかね?」 「そんなことがあるもんかったって、知んねえことは知んねえだ」 「だって、おまえ、いつも旦那さまのお供《とも》をして歩いてるじゃあないか」 「そりゃあそうだが、どうもおらあはぐれちまうだ」 「どうしてさ?」 「こねえだだってそうだ。となり町の絵草紙屋の前までいくと、きれいなあまっ子の絵をみて、旦那どんが『この絵を知ってるか?』と聞くだから、『えかくきれいでがすねえ。どこのあまっ子だんべえ?』っていうと、『ばかっ、これはあまっ子ではねえ。中村歌右衛門という女形の役者だ』って……だから、『女形って何《あん》でがす?』と聞いたら、男があまっ子に化けとるだって……まあ、えかく腰ぬけ野郎があるもんだとおもって、おらがながめているうちに、気がついてふりむいたら、旦那どんの姿がねえ」 「まあ、だらしがない。おまえ、まかれちゃったんだね」 「いや、まかれたではねえ。はぐれただ」 「どっちにしたっておんなじさ。おまえがぼんやりしてるからいけないんだよ」 「おらがぼんやりではねえ。野郎がはしっこいだもの」 「なんだい? 野郎というのは」 「あっ、こりゃあいけねえ。陰じゃあ旦那どんのことをいつも野郎といってるもんで……」 「あきれたねえ。自分の主人をつかまえて野郎ということがあるもんかね。じゃあ、あたしのことはなんというんだい?」 「へえ、うちのあまっ子が……」 「いやだねえ……これからそんな口のききかたをしたら承知しないよ」 「へえ、どうかかんべんしとくんなせえ」 「とにかく口のききかたは気をつけないとこまりますからね……旦那がきょうはお帰りになるとおもうの」 「はあ」 「で、もしも、またおでかけになるようだったら、どうせおまえにお供をいいつけるから、途中でまかれたふりをして、どこへいらっしゃるか、ようくみてきておくれ」 「はあ、ようがす」 「それから、これはすくないけれどもね、鼻紙でもお買いよ」 「あんれまあ、もらっちゃあすまねえのう」 「いいからとっておおき」 「では、せっかくのおぼしめしだで……なんぼへえっとるか……」 「なぜあけてみるんだよ」 「なあに、銭高によって忠義のつくしかたをかんげえなくては……」 「現金だねえ、いうことが……」 「いやあ、えかくたくさんへえっとる。何《あに》を買うべえ」 「鼻紙でもお買いよ」 「こんだにたくさん鼻紙買って、いちどきに鼻あかんだら、鼻がすりきれちまうだんべえ」 「なにもこんなに鼻紙ばっかり買うことはないさ。好きなものをお買いよ」 「そんじゃあ、おらあ、ふんどしも買うべえ」 「なにいってるんだね。おまえの買い物の相談してるんじゃあないよ」 「あっ、かんじんなことを聞くのをわすれた」 「なんだい?」 「こりゃあ給金とは別でがしょうね?」 「なに、給金からさしひくもんかね。そのかわりたのんどくよ。こんどはきっとむこうまでついていって旦那のおいでになるところをつきとめておくれよ」 「へえ、むこうまでついていきますだ」 「そうして、むこうを知らしておくれ。たのむよ……そら、旦那さまがお帰りだ。あっちへ早くおいで……お帰りなさいまし」 「はい、ただいま」 「早くあっちへおいでよ」 「なんだって権助を座敷へいれるんだい?」 「いえ……その……いま掃除をさせましたもんですから……」 「掃除をさせるのなら清や竹がいるじゃあないか。あんな者を座敷へいれるんじゃあない。あいつの歩いたあとをごらんなさい。足あとがついているから……どうもきたないやつだ。このあいだもあいつの足をみておどろいちまった。なんだか、かかとをつかずにぴょこぴょこ歩いてるから、『かかとになにかついてるのなら、とったらどうだ』というと、とれないという。どういうわけだと聞いたら、『故郷《くに》をでるとき、かかとのあかぎれんなかへ粟をふんづけてきやしたが、ことしは気候が順調にいったもんで芽《め》をふきやした。このかかとをみるにつけても故郷をおもいだしやす』と涙ぐんでやがる。かかとへ田地《でんじ》をつけて歩いてるんだからあきれたもんだ……二、三日うちをあけちまってどうも……」 「どちらへ?」 「いや、その……すぐに帰ろうとおもったんだが、なにしろ田中が相手だもんだから……あいつときたら梯子《はしご》酒だから、もうすこしつきあえ、もうすこしつきあえというので、ついついどうも……どちらからも手紙がこなかったかい?」 「いいえ、お手紙はまいりませんが、川田さんからお使いのかたがみえました」 「川田さんからお使いのかたが? ……いつ? きのうかい? さあ、しまった。きのういくつもりでいたんだが……きょう帰り道にまわってくればよかった。急いだもんだから、ついわすれちまった。すぐにいってこよう」 「お召しものは?」 「着物はこれでいいが……」 「おでかけになりますなら、お供《とも》をおつれになって」 「いや、べつに供なんぞいらない」 「でも、もしもご用があるといけませんから、おつれになりましたら?」 「じゃあ、定吉をつれていきましょう」 「定吉は手がふさがっておりますので……権助をおつれなすって」 「あれかい? ありゃあごめんをこうむりましょう。おまえはねえ、たいそうひいき役者で、あれをかわいがってやるのはいいが、あんなばかなやつはないねえ。叱言《こごと》をいうとむやみにふくれやがって……このあいだも供のくせにさきへ立って歩くから、『ばかめ、なんだって供がさきへ立って歩くんだ』といったら、『わしがさきへ立って歩くんではねえ。おめえさまがのろいからあとになるんだ』という。『なんぼ足が早いったって供がさきへ立って歩くやつがあるもんか』といったら、ようやくあとからきやあがった。そのときはたいへん素直でよかったが、神田へいってちょうちんを借りてきたとき、あいつはちょうちんを持ってあとからくるんだ。『なぜあとからくるんだ?』といったら、『こねえだは、供はあとからこいといったのに、そんな無理なことはねえ。ちょうちんはさきへこい。供はあとからこいったって、わしあそんだに長《なげ》え手は持たねえ』と、こういうのさ。それはいいけれども、それからしばらくして、番町を歩いているときに、風の吹いてる日だったが、つめたいものが顔へかかった。みると、おどろくじゃあないか、これが痰《たん》だ。ふりむくと、あいつが荷物をしょったままでげらげら笑ってるんだ。『おまえか?』と聞くと、『へえ、三度目だ』と、こういやあがる。『三度目とはなんのことだ?』『二度目まではうまくとびこしたが、三度目は風のかげんでおめえさまの顔へ吹きつけた。わりいのは風だがら、なにごとも因果とおもってあきらめてくんろ』と、こうとぼけたことをいやあがる。あんなばか者はありゃあしない」 「いいえ、あたくしからようく叱言を申しておきましたから、どうぞおつれになりますように……」 「そうかい。まあ、おまえがそういうんならつれてってもいいが、呼んでごらん。あいつは返事もしやしないから……」 「権助や、権助や」 「はーい」 「おや? こりゃあめずらしい。あいつが返事をしたよ。雨がふらなきゃあいいが……したくをしなよ。供だよ」 「とうにしたくができて、尻をはしょって待ってるだよ。さあ、いくべえ」 「あの……お履物《はきもの》は?」 「はあ、もう履《へ》えてますだ」 「おまえのじゃないよ。お履物といったら旦那さまのじゃあないか」 「ああ、野郎の……えへへ、旦那どんのはまだでてねえだ」 「そんなことでお供がつとまるかねえ。気をつけなくっちゃあいけませんよ。いいかい、途中気をつけて、旦那さまにまちがいのないように、どこまでもようくお供をするんだよ」 「わかってるだ。さあ、履物がでただ。早く歩《あゆ》め」 「まあ、なんですね、旦那さまをつかまえて早く歩めとは?」 「へえ、すみません」 「じゃあ、いってくるよ」 「いってらっしゃいまし……権助たのむよ」 「へえ、よろしゅうがす」 「権助、きょうはいい天気だなあ」 「ああ、よく晴れていい気持ちでがすなあ」 「これからあたしはすこし急いでいこうとおもう」 「ああ、勝手に急げ」 「なんだ、勝手に急げとは? ……用はないから、おまえはうちへ帰んなさい」 「いや、ぜひにお供すべえ」 「いかなくってもいいよ」 「いや、いくべえよ」 「うちになにか用があるといけないよ」 「なあに、もう米はといじまったし、薪も割っちまったし、なんにも用はねえだ」 「だけれども、あたしがいいというんだから帰んなよ」 「いや、そういうけんどもねえ、人間てえものは、いつなんどき災難《せえなん》がこねえともかぎんねえ。おめえさまが、いつ行き倒れになるかわかんねえからね」 「縁起のわりいことをいうな。おまえはつれて歩いてもいいんだが、すぐにそうやってひとの気にさわるようなことばかりい���。どうもこまったやつだ……あれっ、急にみえなくなっちまった。おい、権助、権助! ……ざまあみやがれ。なまいきなことをいったって、人ごみにきたらはぐれてしまやあがる。ざまあみやがれ」 「うふふ、ばか野郎、はぐれたではねえ。おらあここへかくれただぞ。このたぬき野郎、またうまくまいたとおもってやがるな。あれっ、野郎|馳《か》んだしたな。よしっ、おらも負けずに……よいしょ、よいしょ……あんてまあ、脚が早えだ。きょうはどうあっても、野郎の寝床《ねどこ》をみとどけなければ、おらあ、おかみさまへ対《てえ》して顔むけがならねえ。やあ、この横丁へへえりゃあがったな。野郎、このあたりに巣を食ってるにちげえねえ。あれっ、みえなくなっちまった。こらあいかねえ……うふふ、あたまかくして尻かくさずちゅうのはこのこった。このうちへへえっただな。ここに野郎の下駄《げた》がある……どこぞで、ようすをみとどけてやんべえ。あ、この塀《へい》にでけえ節穴《ふしあな》があるだ。ちょうどいいから、のぞいてやんべえ……やあ、みえる、みえる。野郎、おらがここでのぞいてるとも知らねえで、高慢なつらあして、でけえふとんの上に坐ってやあがる。売れのこりの木魚《もくぎよ》みてえな野郎だ。あれっ、きれいなあまっ子だなあ、何《あん》てえ色が白えだんべえ。ありゃまあ、そばへぴったり寄りゃあがって……えへっ、まっとはなれろ。ここにひとり者がいるだぞ。あんまりみせつけるでねえ……何《あん》だと? 腹がへったで、まんま食うべえかって? ばか野郎、腹のへるほど馳んだすこともあんめえに……何《あに》がよかんべえ? このごろは、さかなも場ちげえものが多くて口にあうものがねえだと? 何《あに》ぬかすだ、この野郎、うちにいるときゃあ、さかなといやあせいぜい目ざしでねえか。それをうめえうめえと食《くら》ってるくせしてでけえことぬかすでねえ。何《あん》だと? うなぎでも食うべえ? わしゃ、うなぎ断《た》ちやしたって? ほかに増す花できたのか、旦那がこのごろ顔をみせねえから、好きなうなぎを断って信心ぶった甲斐《けえ》があって、きょうはようやくござったよう。うん、そうかって……鼻の下あ伸ばしゃがってこの野郎。え? かわいいおめえのほかに女なんかこせえるもんか……その口前《くちめえ》であまっ子をだましなさるだよ、ほんとににくい人だよ。痛《いて》えからよせって? ばかだな、この野郎、楊子《ようじ》でほっぺた突っつかれてとろけそうなつらあしてやがらあ……そうだに、そばへ寄ってでれでれするな」 「あなたおひとりですの?」 「いや、供がいたんだが、途中でまいちまった」 「小僧さんですの?」 「いや、小僧なら、つれてきて口どめすりゃあいいんだが、いつかあの深川の不動さまへいったとき、永代《えいたい》でおまえに逢ったろう? おまえは供がいるので佐賀町のほうへまがってしまったが、あのとき供をしていた権助だ」 「ああ、そうそう。おそろしく色の黒い、まるでなべのお尻のような人ねえ」 「この女《あま》あ、存外ろくでなしだな。おらのことをなべの尻《けつ》だって、ぬかしてやがる。ばかべえこきゃあがって、そんだに黒《くれ》えつらがあるもんでねえ。あれっ、なにか小せえ声ではなしてやがる。もっとでっけえ声をしてやれ。あっ、こりゃたまげた。昼間だってえのに障子《しようじ》をしめちまった。これじゃあ、かみさんがぐずぐずいうのも無理ねえこった……あ、痛《いて》え……おう痛え。このばか犬め、かじるならさきへ吠えたらよかっぺえ。あやしいもんではねえ。おらあ、かみさんの忠臣だ。このばか犬め。かかとをかじられて、こんだに目の上まで痛えわけは? あっ、ここに釘がでてたな。あんりまあ、この黒えのは何だ? やっ、こりゃあ塗りたてだ。かさねがさねつらあ汚されちゃあかんべんなんねえ」  権助、烈火のごとく怒って家へ帰ってまいりました。 「ただいま帰りやした」 「ごくろうだったねえ。こっちへおはいり……どうしたんだい? おまえの鼻のあたまと額はまっ黒だよ。それに血がでてるじゃないか」 「へえ、かぎ裂《ざ》きぶっただ」 「顔をかぎ裂きするやつがあるもんかね。で、どうしたい?」 「どうにもこうにも、きょうはたまげた。旦那どんの供をして途中までいくと、権助、ここでひまをくれるから帰れとこういうから、おらあ帰らねえ。いつおめえさまが行き倒れになるかわかんねえから帰らねえとがんばった」 「まあ、縁起でもないことをいうねえ」 「なんといわれてもかまわねえとおもって、あとにのこのこくっついて家の五、六軒もいくと、えかく人が立っているから、そのあいだへおらあかくれちまった。旦那どんは気がつかねえであるいたが、うしろをみるとおらがいねえもんだから、『人ごみにはぐれてしまった。ざまあみろ』なんてなまいきなことをぬかしているのを、おらあうしろで聞いたから、まずしめたとおもって、それからみえがくれに旦那どんのうしろへついていくと、両国の橋のところでしばらくかんげえて、川っ端の横丁へまがっていった」 「それから?」 「横丁をまがってすこしいくと、格子のはまったうちへ、つっぺえったようだ。おらが表から、のぞくと履物があるだ。しめた、うちへ帰ってあんたに告げべえとおもったが、中のようすをみとどけなけりゃあだめだとおもって、裏のほうへまわっていくと、ずーっと塀がある。ちょうど塀に節穴があったからのぞいてみると、ふとんの上に旦那どんが乗っかって、そばにあまっ子が行儀《ぎようぎ》わるくななめに坐ってるだ。そのあまっ子のきれえのきれえでねえのって、年ごろは、二十二、三だんべえか、色が白くって、まるで白子とおもうようなじつにいい女だ。あんたとくらべちゃあ……まあ……えへん、あんまりよくねえけんども、まあ、そのあまっ子と、はあ、いちゃいちゃ、いちゃいちゃ、とっついたり、ひっついたりしてな、そんで、はあ、おらのことをなべの尻だといった」 「ふーん、じゃあ、それがお囲《かこ》い者なんだね?」 「そうにちげえねえ」 「やっぱりそうかい。そんなことじゃあないかとおもったからおまえにたのんだのだが、道はよくおぼえておいでかい?」 「おぼえちゃあいるだが、口ではいえねえ」 「いけばわかるだろう?」 「そりゃあわかるだ」 「おまえ、後生《ごしよう》だからいっしょにきておくれな」 「どけへ?」 「どこへったって、旦那さまにお目にかかりにさ」 「会ってどうするだ?」 「会ってどうするったって、知れたことじゃあないか。男のはたらきだからなにをするのもいいけれども、旦那さまがどうなさるおつもりだか、あたしゃうかがいたいから……」 「こりゃあ、えれえことになった。そりゃあいくのはよくなかんべえ」 「なぜ?」 「何故《あぜ》って、いくさだって、こっちにいてするのと、むこうへでばるのとは五分の損がある。そうだなことをせずに、わが家だから、いつか一度は帰るにちげえねえ。そうしたら、いろいろとはなしをして、そんでもわかんなかったら、そのときにひでえ目にあわしておやんなせえ。ええ、わさびおろしで鼻づらでもひっけえてやったらよかんべえ。おらも野郎ぶっぱたいてやるだから……」 「なんだね、旦那をなぐってどうするんだね。じゃあ、どうしてもいっしょにいくのはいやかい?」 「いやっちゅうこたあねえが、やめたほうがよかんべえに……」 「そうかい、おまえもなんだねえ、旦那とひとつ穴のきつねだねえ」 「きつねとはひどかんべえ」 「そんならつれていきなよ。つれていかないところをみるとおかしいじゃないか」 「じゃあつれていくべえ。おらだって人間だ。きつねといわれてはこころよくねえ……しかし、いくがね、いわば夫婦喧嘩だ。仲なおりをしたあとで、だれがここへ案内した? 権助だ、あの野郎とんでもねえやつだ、なんてんでうらまれるのはこまるだからね」 「おまえの名なんぞだす気づかいないから、つれておいでよ」  こうなったらだれがとめてもなかなかとまりません。しかし、そこはご婦人のことでございますから、髪をなおして、着物を着かえてうちをでましたが、いつもはちょいとあるくと、鼻緒ずれがしたとか、足が痛いとかいってなかなかあるかないのに、きょうはかんしゃくをおこしておりますから、早いの早くないのって、宙をとぶようでございます。 「そうだに早くいっちまっちゃあだめだ」 「ぐずぐずしてないで、早くおいでよ」 「早くおいでったって、そうだにでけえ声だしちゃあだめだあな。ここだ、ここのうちだよ」 「そうかい。じゃあ、おまえ表で待っといで」 「待ってるなあええが、喧嘩ぶつようなことがあっちゃあだめだよ。ええけえ?」 「よけいなことをおいいでないよ。おまえはそこにおいでよ……こめんくださいまし。ごめんくださいまし。どなたもいないの?」  と格子戸へ手をかけてひくと、ガラガラとあいて女中がでてまいりまして…… 「はい、いらっしゃいまし。どなたさまで?」 「こちらさまに大津屋の半兵衛さんがおいででございますか?」 「はい……いいえ、いらっしゃいませんが……」 「おとぼけなすっちゃあいけません。ここに下駄があるじゃあございませんか?」 「ああさようでございますか。あたくしはよそへまいっていま帰ったばかりですから……それじゃあおいでになったかも知れませんが、あなたはどなたさまで?」 「ちょっとお目にかかればわかるんでございますから……」 「でございますがね、どなたさまでございます?」 「お目にさえかかればわかります」 「ですけれども、お名前をお聞かせなすってくださいまし」 「そうですか、名前を申さなくってわからなかったら、わたくしのようなばばあがまいったと、おっしゃってください」 「さようでございますか……」  女中はけげんな顔をして奥へきてみると、六畳ばかりの座敷で、一間の床の間に一間のちがい棚、下が袋戸棚になっておりまして、床の掛けものは光琳《こうりん》風の花鳥《かちよう》物がかかっており、まわりが縁側で腰高の障子がはまり、きゃしゃな小意気な桐の胴丸の火鉢に利久《りきゆう》型の鉄瓶《てつびん》、中に桜炭の上等なのがいけこんである。すこしはなれて枕もとのところには結構なたばこ盆があって、絹布のふとんの上に旦那はうとうととやすんでおいでなさいます。 「あの、ちょいと、ねえさん」 「なんだよ。旦那が、いまおやすみになったばかりじゃあないか」 「ちょっとこっちへいらしってください」 「なんだよ。どうしたの?」 「どうしたって、旦那の浮気なのにはおどろきましたわ」 「なんだい?」 「だから、あたしがいわないこっちゃあないんです」 「なにがさ?」 「なにがさって、表でごめんなさいっていうからいってみますとね、いい年増なんですの。みると、ちょっと人柄のところがあっていい服装《なり》をした人がね、息せき切ってきているんですの」 「はあ……全体なんなの?」 「まあ、お聞きなさいまし。それからなんというかとおもっていると、こちらに大津屋の半兵衛さんがおりますかというから、あたしはいないといいましたら、おとぼけなすっちゃあいけません。そこに履物《はきもの》がありますというんですよ。まあにくいじゃありませんか。履物まで知っているんですの。あたしも間がわるうございましたからね、いま用たしから帰ってきたばかりですが、ことによったら留守においでなすったか知れません、といったらね、ちょっとお目にかかりたいというから、お名前はなんとおっしゃるんですかと聞いたら、名前はいわなくってもお目にかかればわかるとこういうんですわ。それから二度も三度も聞いてやったら、しまいに怒ってね、名前を申さなくっていけなかったら、ばばあがまいったとおっしゃってくださいまし、と、こうなんですよ。にくらしいじゃありませんか。それがばばあどころじゃあない、いい年増《としま》ですね。なんだかようすが変なんですけれど、どうしましょうねえ? 旦那はきっとほかにも浮気をしておいでなさるにちがいないとおもいますわ」 「きているってそういっておやりな。なにをいうんだい。笑わせやがる。いや味《み》なことをいいやがって、生意気だよ」  どっちが生意気だかわからない。囲《かこ》い者は囲い者でいくらか焼きもちがあるもんで、寝巻き姿の上へお召し縮緬《ちりめん》のあわせをひっかけ、ほつれた鬢《びん》の毛をかきあげながら、さっきすこし飲んだ酒の酔いで目のふちをほんのり赤くして、ずるずるおひきずりで門口へでたときの風は、えもいわれない風情《ふぜい》でございます。 「おいでなさいまし。あなた、どちらからおいでなさいました?」 「お女中はいく人《たり》おいでくだすってもいけません。半兵衛さんをおだしなすってくださいまし」 「そりゃああなた、そうおっしゃいますけれども、とりつぎにでましたものが、お名前をおうかがいしましたら、なにか、ばばあとおっしゃったそうでございますが、ばばあなんていうお名前のおかたはありますまい、とおもうんでございますが……旦那はおやすみになっていらっしゃいます。お名前をうかがいまして、ご用によったらおとりつぎをいたしましょう」  というと、前に権助からいろいろなはなしを聞いたあげくにこの姿。この女が、い��まで自分の亭主となにをしていたかとおもうとがまんができません。こっちのほうから焼きもちの虫がこみあがってくる。こいつをおさえようとすると、こっちのほうからかんしゃくの虫があたまをもちあげてくる。こいつを無理におさえると、まん中から屁っぴり虫が……さあ、こうなるともうむちゃくちゃです。 「名前をいわなくっちゃあならないんですか? わたしは大津屋半兵衛の家内です!」  といわれて、お妾《めかけ》さんもさすがにおどろいた。まさか奥さんがくるとは夢にもおもっていませんから、家内ですといわれたんで、 「はっ」  とあとへさがったとたんに、奥さんはバタバタバタッと奥へはいって、旦那の枕もとにぴたりと坐りました。いままでは強かったが、旦那の枕もとへ坐ってしまうと、女というものは意気地《いくじ》のないもので、なにかいいたいけれどもなにもいえず、口ごもって涙ぐんでくる。口はもごもごするが、鼻がつまって、からだがふるえて胸がどきどきしてまいります。やがて気をとりなおして、旦那の肩をゆすぶりながら、 「旦那さま、お、お起きあそばせ……もし、だ、旦那さま!」 「あーあ、水を一ぱいくんな。ああどうも、バタバタしちゃあいけないよ。せっかくいい気持ちに寝こんでいたのに……あっ、こりゃあ、おまえか! おどろくじゃあないか。どうしてここへきた? よく知れたねえ。ほんとに、ど、どうしてここへきたんだい?」 「わたくしよりも、あなた、どうしてここへおいでなさいました? うちをおでかけになるときは、川田さんへおでかけになるおつもりじゃございませんでしたの? まあ妙なところに川田さんのお宅があるんでございますね。あなた、どうしてここへいらっしゃいますの?」 「えへん……えへん……そりゃあどうも……その……なんなんだ。こういうその……わけなんだ。なにが……その……」 「どういうわけでございます?」 「その、川田さんへいったんだ。その……」 「おいでになったものが、なんでここにいらっしゃいますの?」 「いや、いったところが、川田さんのおっしゃるには、どうも……だから……なんなんだ。まあすこし……わけなんだから……もらいたいとこういうわけですから……さようですかというんで……なにが……そのうなんなんだ」 「なんだか、おっしゃることがちっともわかりません」 「いや、川田さんのなんなんです」 「なんでございます?」 「川田さんの持ちもの……なんですよ。ご妾宅ですよ。ここは……」 「川田さんのご妾宅? それで?」 「川田さんのいうには、あちらではなしをするから、あちらへいってろ……と、まあいうようなわけなんで……」 「さようでございますか。大きに失礼をいたしました。川田さんはどうあそばしました?」 「そのう……またほかに急用ができて、おむかえがあったもんで、それででかけられて、そのう……なにしたんだ」 「そうですか。それでわかりましたが、川田さんのお持ちもののうちへおいでなすって、あなたがおやすみになって、それですむんでございますか?」 「えへん……えへん……そのう……寝たというわけじゃあない。このご婦人が急に癪《しやく》がおこったってえもんだから、それで押してあげたりなんかして、あたしもつかれたもんだから……」 「あなたのお力で押してあげたら、さぞ癪もおさまりましょう。けれども、癪を押すのに枕がふたつおいりになりますの?」 「え? いや、その……なにしろお癪が強いもんだから、ひとつは、その……ころがったときのかけかえの枕……」 「おとぼけなさいますな。なにもそんなにおかくしあそばさなくったっていいじゃありませんか。そりゃあ男のはたらきですから、なにをなすったって決して焼きもちがましいことは申しません。おかくしなさることはおよしくださいまし。わたくしもご存知の通り姉妹《きようだい》もなし、それほどあなたがかわいいとおぼしめすなら、うちへひきとって姉妹となり、あなたがどこへでもつれてあそびにおいでなすったとて、家内の姉妹ですといえば、わたくしも心持ちがよし、あなたも世間でわるくもいわれず、家内は感心だ、仲をよくしている。さだめし主人の教えがいいのだろうといわれ、わたくしも肩身が広ければ、あなたも光りを増すことになるではございませんか。それなのに……なぜわたくしにそうとうちあけてくださらないんです!」 「うん、えへん、そのう……大きな声をしちゃあいけないよ。いや、まことにすまない。いや、これはわたしがわるかった。うちあけていえばよかったんだが、ついどうもな、きょういおう、あすいおうといいそびれてこういうことになったんだが、ここでせりふをならべられちゃあこまる。うちへ帰ってはなしをしよう。ねえ、おまえ、そう泣いちゃあこまるから、まあ、ひと足さきへお帰り」 「ごいっしょいたしましょう」 「いっしょにいかなくったっていいじゃないか。ばつがわるいからさきへお帰りというんだよ」 「どうせわたくしのようなばばあといっしょに帰るのはおいやでございましょう……」 「いや、べつに、ばばあというわけじゃあない。さきへお帰りというんだよ。じきに帰るから……さきへおいでといえばおいでよ! そんなわからないことをいわないで、わたしがわるいからあやまる。うちへ帰ってはなしをするからお帰りというんだよ。わからないなあ」 「どうせわたくしはわかりません」 「そう、おまえ、袂《たもと》をひっぱっちゃあいけない。帰らないとはいわないよ。すぐ帰るよ。おい、そうひっぱっちゃあ袂が切れるよ……ええい、なにをするんだ! いいかげんになさい。おまえもあんまりわからなすぎる。わたしもわるいとおもったから一目《いちもく》も二目《にもく》もおいて、わびてるんだ。それなのになんです、けしからん。うちへ帰ってはなしをするというんだから、それでいいじゃあないか。帰んなさい、さきへ……おい、なにをするんだ。またひっぱって、袂が切れるってえのに……おい、いいかげんにしろ!」 「いたい! あなた、おぶちなさいましたね。さあ、殺すんなら殺してください!」  と、旦那にむしゃぶりつきました。 「なにをするんだ!」  と、旦那が奥さんの丸髷《まるまげ》をつかみましたので、元結がぷっつり切れて散らし髪になって、なおもむしゃぶりつくのを、ぽーんとむこうへつきとばす。奥さんがひょろひょろとよろけて火鉢の上へどすんと尻餅をつく。鉄瓶がとたんにひっくりかえって灰《はい》神楽《かぐら》があがる。旦那がそばにあった刺身の皿をほうりつけると、奥さんがひょいとよけたが、よけきれないで、あたまから刺身をあびる。耳のあいだにツマがぶらさがって、鼻のあたまへ大根おろしがついている。そのさわぎにおどろいて、妾ははばかりへ逃げこむ。女中がびっくりして裏口からとびだすとたんに井戸端ですべってころぶ。とたんに猫がとびこんできて魚をくわえだすというえらいさわぎ。  こうなっては権助もひっこんではいられませんからとびこんできて、 「まあまあ待ちなせえ。あぶねえからやめなせえ。あっ、痛え、おかみさん、何《あ》んでおらが手へ食いつくだ? だからいわねえこっちゃあねえ。あっ、旦那どんあぶねえ、怪我でもぶったらどうするだ? まあ待ちなせえ。短気は損気、たぬきのきんたま八畳敷だ」 「やい、権助、なにしにここへきた?」 「さあしまった。でるところじゃあなかったな」 「どうもおかしいとおもった。権助! おまえがここへつれてきたんだな。どうもようすがおかしいとおもった。権助! おまえぐらいわるいやつはないぞ。ちくしょう、犬め!」 「何だ、犬だ? おかみさん、ちょっくら待ってくんなせえ。あんたがたは夫婦のこった。あとではなしがわかるだんべえが、おらあ、ひとつ掛けあわなけりゃあなんねえ。野郎、ちょっくらここへでろ」 「主人をつかまえて野郎とはなんだ?」 「野郎といったがどうした? そりゃあ、あんたんとこで奉公ぶって給金もらってるだからめし炊《た》きだが、これでも故郷《くに》へ帰れば権左衛門のせがれ権助といって、村に事のあるときには名主《なぬし》どんから三番目に坐る家柄だ」 「なにをいってるんだ。家柄なんぞ聞いてやしねえ」 「聞かねえでも、いわねえではわからねえからいってやるだ。そのおらのことをつかめえて犬とは何《あん》だ! おらがいつ椀のなかへつらあつっこんでめしを食った?」 「なにをいやがるんだ。つらをつっこんで食うばかりが犬じゃあねえや。あっちへいっちゃあいいようなことをいい、こっちへいっちゃあいいようなことをいうから、それで犬といったんだ」 「それじゃあ、夫婦してよってたかっておらのことをけだものにするだな。おめえさんは犬だといい、おかみさんは、ひとつ穴のきつねだといった」
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annamanoxxx1 · 4 years
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月兎 01
 雨の中華街は、まるで小さな映画館で観る古いキネマのようだ。燻んだ灰に烟る極彩色。濡れた地面に反射する赤、黄、青。中華角灯の連なる汚れた路地裏。公園の東屋。媽祖廟に関帝廟。映画のセットに一人取り残されたような気持ちで左馬刻は夜道を歩いていた。傘はない。霧雨は、肩にかけたスカジャンの下までは染み込んではこない。こんな日は人も静かだ。観光客の少ない街は必然、客引きの声が消える。商売をしても仕方がないと皆知っているから。脇に下げたホルスターの拳銃が、重い。自然丸くなる背をポケットに突っ込んだ手で支える。息をすることすら怠い。
 沈んだ景色の中、不意に頭上に明かりを感じた。まるで、雲の隙間から気まぐれに顔を出す日の光のような。顔を上げると、眼鏡の男が居た。正確には、陳列窓の中に。男は、うたた寝をしているように見えた。アンティークのソファにゆったりと体を預けている。優美な曲線を描くマホガニーの肘置きに柔らかく添う指先。鈍い光沢のジャガード生地で作られたロングのチャイナ服。細い体。柔らかな質感の濃茶の髪。完璧な形をした耳には、赤い房飾り。シノワズリ趣味。それは男の装いだけではない。透かし彫の衝立も、天井から下がる黒の角灯とクリスタルのシャンデリアも、大胆なピオニー柄の淡碧の壁紙も。現代日本とは思えぬ、杳々とした空間。その中で眠る男に興味が湧いた。硝子に顔を近づける。繊細な装飾が施された眼鏡の、黒のフレームの奥。レンズ越しの瞼をまじまじと見つめる。放射状に広がる長い睫毛。丸みを帯びたまぶた。瞳の色は何色だろうか。白い頬に落ちる影。
「なぁ、目、開けろよ」
 聞こえるはずはない。だが、話しかけずにいられない。明かりの消された店で、唯一明るい陳列窓の中で、眠る男が生身のはずはないのに。それでも、あまりに男が生々しくて。
「なぁ、なぁ」
 気狂いのようにぽつ、ぽつと何度も語りかける。
 どれ位の時間、そこに居ただろうか。縋るように硝子に手を突いて。ようやく諦めて、立ち去ろうとした。その時に。ふぅ、と男のまつ毛が持ち上がった。最初に見えたのは、明るい緑。晴れた夏の木漏れ日のような。それに見とれていると、ゆっくりとマゼンタが現れる。不思議な瞳の色だった。
「きれぇだな、お前の目」
 こちらを見ない男に、話しかける。
「あっ?おい!」
 男は無反応のまま、スゥと瞼を下ろした。何事もなかったように、上下のまつ毛が重なる。
「………くそ」
 悪態をついた瞬間、店内がパッと明るくなった。
「何か、用か」
 デカイ男が、にゅっと建物の脇から顔を出す。どうやら店の人間のようだ。裏口から回ってきたのだろう。
「あ、いや、こいつ」
 左馬刻が、陳列窓の中の男を指差す。
「ああ……今店を開けよう。待っていてくれ」
 そう言って、大柄の男が戻っていく。日の光を集めたような明るいオレンジ色の髪、晴れた海面のような明るい青の目。白色人種の特徴を持つ、彫りの深い顔立ちに、飾り窓の男と同じようなロングのチャイナ服。シノワズリを体現したかのような男と、店の佇まいが重なった。すぐに透かし彫の施された硝子扉が内側に開く。
「どうぞ」
 背の高い男に招かれて、左馬刻は店内に足を踏み入れた。エキゾチックな花の香り。外からは見えなかった場所には、壺や茶器、置物などが並んでいる。
「茶を淹れよう。座っていてくれ」
縁にカーヴィングの施された、エボニーのティーテーブル。揃いの獣脚のアームチェアにドカリと座り、左馬刻は陳列窓の男の茶色い後ろ頭を、��んやりと見つめた。
「気になるか?」
 オレンジの髪の男が、茶盤に並んだ茶器に湯を注ぐ。流れるような手つきで茶葉を洗い、再度鉄瓶から湯を注ぎ、蓋を閉めた小ぶりな急須に上からも湯をかける。コトリ、と目の前に置かれた透かし模様の白い湯のみに浮かぶ、黄金の輪。ず、と一口すすると、茉莉花の香りが広がった。
「銃兎も連れてこよう。起きるかどうかはわからないが」
 そう言って、オレンジの髪の男が陳列窓に近づく。あの男は『銃兎』と言うのか、と左馬刻は思った。オレンジの髪の男に抱き上げられた銃兎が、左馬刻の向かいのアームチェアにゆっくりと降ろされた。
「銃兎、茶はどうだ?貴殿の好きな碧潭飄雪(スノージャスミン)を淹れたのだが」
スゥと、銃兎の瞳が開く。けれどまたすぐに閉じてしまって、オレンジの髪の男が苦笑した。
「どうやら、今日は気が乗らないようだ。部屋に戻せと言っている。すまないが、待っていてくれ」
 そう言って、オレンジの髪の男は銃兎を抱き、カーテンに覆われた店の奥へと消えていく。それを、なぜだかひどく腹立たしい気持ちで左馬刻は見つめていた。いや、腹立たしいというのは少し違う。左馬刻は、羨ましかったのだ。オレンジの髪の男が。
「さて、待たせたな。小官は理鶯という。元軍人だ。船に乗るのが好きで、各国で買い付けをしては、こうして商いをしている。貴殿の名は?」
「左馬刻」
左馬刻は簡潔に答えた。
「銃兎、は一体なんだ?人間か?」
左馬刻の率直な問いに、理鶯が微笑む。
「あれは観用少年(プランツドール)だ」
「は?プランツ?嘘だろ?」
 『プランツドール(観用少年・観用少女)』とは、その名の通り、観用の少年・少女だ。人工の。左馬刻の属する火貂組の組長・火貂退紅も一体、少女型を所持している。左馬刻は職業柄、派手な集まりに参加することが多いが、今まで目にした観用少女たちはみな、成人男性の胸元にも満たない姿だった。何年、何十年物でも。手入れを怠らなければ、同じ姿のまま二百年の時を越える個体もいると聞いている。
「稀に、育ってしまう物もいる。稀に、だが」
 そう言って、理鶯は茉莉花茶に口をつけた。
「左馬刻、銃兎は名人の手による傑作だった。銘は『月兎(げっと)』」
 銘がつくほどの観用少年の価値を、左馬刻は知っている。退紅のオヤジのプランツも、銘を持つ逸品だった。その値段は、億を超える。しかし、理鶯は『傑作だった』と過去形を使った。
「育ってしまったプランツの価値は、ほぼ無い。それでも、銘を持つプランツなら、ワンルームマンションを買えるくらいの価値を持つ」
 語りながら、理鶯が茶を左馬刻の湯のみに注ぐ。一煎目より柔らかく重い香りが立ち上った。
「へぇ」
 左馬刻が相槌を打つ。つまりあのウサギちゃんは、高級品っていうわけだ。
「一千万でどうだ?」
理鶯の言葉に、左馬刻が顔を上げる。
「は?」
訝しげな左馬刻に、理鶯が微笑みかけた。
「銃兎は、左馬刻を気に入ったようだ。興味がなければ、一瞬でも、瞳を開いたりはしない」
「アイツ、動けんの?」
 ずっと、寝っぱなしなのかと勝手に思い込んでいたが、そういえば今まで見てきた観用少年・少女たちはみな、歩き、笑い、主人と何か会話をしていた。
「食べもんも食えんのか?」
 理鶯が茶を勧めていた事も思い出した。
「ああ、風呂もトイレも、一人でこなせる。食事は日に3度、人肌に温めたミルク。週に一度金平糖を与えると肌ツヤが良くなるぞ。全体的に疲れが見えてきたら専用の栄養剤もある。銃兎は育っているから、人間と同じ食事も摂れるが、嗜好品だ。ミルクさえ与えていれば、ことは足りる」
 左馬刻は頭を抱える。自分の家に銃兎がいる事を想像して、胸がぎゅっと熱くなった。コンクリ打ちっ放しの無機質な部屋だ。家具も最低限しかない。そんな空間に、あの、美しいものが存在する。それはなんと魅力的なことか。
「そいやさ、銃兎って名前は誰がつけたんだよ」
 銃なんて物騒な名前が付いている。けれどその名は、あのお綺麗な顔に不思議と良く似合っていた。
「前の主人が、な」
 含むように呟いた理鶯は、それきり理由を語ろうとはしなかった。
「返事は直ぐでなくていい。銃兎は気難しい。迷ったら顔を見に来るといい。眠っていても、銃兎は気づく」
 流石に、高級車が買える値段を即決することはできなかった。
「馳走になった」そう言い残して、左馬刻は店を出た。
*
「いいのか銃兎?左馬刻は帰ってしまった」     天蓋付きの中華風の寝台の上、銃兎は絹のシーツに包まって眠っていた。理鶯の言葉に、パチリと緑の瞳が開く。理鶯が差し伸べた手をとって、銃兎はゆっくりと起き上がった。
「理鶯、余計な事はしないで頂けます?」
手厳しい一言に、理鶯が苦笑する。
「大体、一千万だなんて、安すぎます。私を何だと思っているんです」
ぷぅと頬を膨らませて、銃兎が涙を滲ませる。元は、数億で取引されていた個体だ。自尊心が大いに傷つけられたのだろう。
「だが、銃兎。貴殿の日々のミルク代や服、装飾品など、一体いくらの持ち出しになっていると思う?」
 優しい声で理鶯が問う。責めているのではないことは、銃兎にはちゃんと伝わっている。けれど。
「……だから、嫌ですけど、ものすごく嫌ですけど、硝子窓で客引きしているじゃないですか」
「うん、それはとても助かっている」
 言いながら、理鶯は銃兎の頭を柔らかく撫でた。現実、銃兎を目当てに店に飛び込んで来る客は多い。しかし、銃兎はそんな客たちには決して目を開かなかった。銃兎を目当てに入って来た客の中には、店の常連になる者も多い。もともと銃兎を欲しがる客というのは、美術品の好事家が多いのだ。
「だが、銃兎、小官は貴殿をこのようなところで飼い殺しにしたくない」
 理鶯の言葉に、銃兎が泣きそうな顔をした。
「わたしは、ここに居たいんです。ずっとここに。ねえ、駄目ですか?お願い、理鶯」
理鶯の幅の広いチャイナ服の袖を掴んで、銃兎が懇願する。理鶯は銃兎を大切に扱っているが、それはあくまで商品としてだ。出来る事なら、商品としてではなく、銃兎を愛してくれる人間に届けたかった。
「もう、人間を愛するのは嫌なんです。もう、あんな思い、二度としたくない」
 理鶯にすがり付く銃兎の背を撫でて、理鶯は物思いに耽る。通常、観用少年というのは、愛に絶望すると枯れるものだ。しかし、銃兎は、一度枯れかけはしたが、こうして未だ美しく咲いている。それは、銃兎も気が付かない心の奥底で、人の愛を望んでいるからではないのか。
「左馬刻は、きっとまた来る。ゆっくり考えたらいい」
 そう言って、理鶯は銃兎を寝台に横たえた。椅子の背に脱ぎ捨てられたチャイナ服を、ハンガーにかける。
「おやすみ、銃兎。また明日」
 暗闇の部屋から、明るい四角に足を踏み出す理鶯を、銃兎は寝台の上から静かに見送った。
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kusodream · 2 years
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2022年3月の夢
- 2022年3月31日 木曜日 6:07 夢 小野塚がいる。ゾンビのゲームのような世界観。水鉄砲のような紫色の銃。ゾンビに当てるが、わりとじっくり照射しないと効果がない。数が多い。視点を変えられるが、鳥瞰図の視界に変えたら直せなくなる。 外へ出る。ショッピングモールのような建物だった。自転車で遠ざかる。 実家にいる。少し実家とは違う。両親は出かけるらしい。茶碗蒸しを作ろうとするが、卵も椎茸も三つ葉もあるのにここには電鍋がないことに気づく。じゃあ無理か、鍋だと火加減がむずいので。 冷蔵庫に腐ったハムが入っている。 Kさん宅。水色の壁。室内に白い牛。立派な象牙色のウンコをしている。
- 2022年3月30日 水曜日 6:02 夢 工業廃水を捨てている倉庫。どうやらうちの会社のものらしい。車を降りる。ガラクタが落ちている田舎の感じ。Hさんらしき人の後をついていく。水路と倉庫2つ。行政からの指導が入らないように記録自体は残していないが稼働はしている。一瞬真っ黒い水が排水されているのが見えたが、すぐ透明になる。 Kさんから連絡。
- 2022年3月29日 火曜日 7:15 夢 なんか全体的な夢を見た。充実感あったが二度寝したら忘れた。 居間に古いウォシュレットがあって調子が悪いので型番を調べる。妹が何らかの用事で出かけていく。
- 2022年3月28日 月曜日 6:04 夢 お菓子の包み紙。誰かがビーズ細工をしている途中の箱の中身。きれいに分類してあるが、ジップを閉じていないので少しこぼれている。黒いワイヤーテグス。
- 2022年3月26日 土曜日 8:14 夢 インドアフィッシュに食われる。インドアフィッシュは3匹いて蛍光緑にやや光る。最後に誰ぞに会いたいと言うので誰かが連れて行ってあげている。
- 2022年3月25日 金曜日 6:22 夢 オロシャ 広い湯船に鮨詰めに座って順番を待つ人々 実家に近い、集荷にくる、アイスを段ボールに詰めて送ろうとしているが止める、何となくガラクタみたいなものが入っているもの、送ったところで要らないものだからここで処分してほしい旨伝える、シルバニア的な四角い家具の置物のようなものだけ抜き出される
- 2022年3月24日 木曜日 6:55 夢 服部さんを待っているが、なかなか来ない、会議室のようなところで他の予約客をさばく。外国人のビジネスマンのような人ら。人種いろいろ。椅子を配布する。灰色で座面が三角のスツール。服部さん、緑色のプルオーバーを着た姿で現れる。えりあしが伸びている。
- 2022年3月23日 水曜日 7:08 夢 部長 かきくけこ スミロドン
- 2022年3月22日 火曜日 6:01 夢
- 2022年3月21日 月曜日 7:24 夢 隈取りのある若い女性の部屋。
- 2022年3月19日 土曜日 6:55 夢 実家のPC部屋にお菓子を置いている。父はもう家を出る時間らしい。そこからいくつか見繕っている。袋の中にはウイスキーの瓶がある。今少し飲んでいく感じになったがグラスがない。手を伸ばして何かを取った。プラスチックのおもちゃのコップみたいなもの。何か嬉しい気持ちになる。
- 2022年3月18日 金曜日 6:17 夢 押井守作画のしんちゃん映画っぽい、いろんな国のコックが横一列に並んでラーメンを作る映像というかアニメーション。すごい美味しそう。ロシア勢もいる。各国いる感じだが全てラーメン。ポンガラカレーのもある。一旦手首の上に具をバウンドさせるテクニックがある。 まんがの週刊誌。
- 2022年3月17日 木曜日 7:28 夢 あんま覚えてない
- 2022年3月16日 水曜日 5:52 夢 ラーメンが固まっている。 もちの粒に電磁波や熱を加えてカリカリにするおもちゃの機械。 デミオさんがヤフオクに出品しており、残り4分で50,000円程度になっている。 モノタロウの直営店にいる。 カービィらしきキャラクターグッズがやたらに多い。おもちゃ屋さんというかファンシーショップの様子。カートの使い方に癖があり、欲しくもないものが勝手に追加され、難儀する。コンパネの簡易な倉庫みたいなもののキット。
���なみがいる。 白っぽいベンチに座っている私を退けて座ろうとしてくる。悪気はないようだが、そういうところが昔から嫌だと思い、即座に帰ることにする、店を出たあたりでさすがに大人気なかったなと思う。
- 2022年3月15日 火曜日 5:55 夢 ゾンビ。フリスビーで犬を追い払う。 元AV女優がDJをしてい���。 オークション形式。
ドラえもんの回る手作りの。 民家の中。荒れている。
カレースープ。
- 2022年3月14日 月曜日 8:19 夢 片山まさゆきがいる雰囲気のある二階の本屋。入り口が狭く、青っぽい。本屋だと思ってはいるが、あまり本屋の店構えではなく、バックヤードみたいな感じ。
- 2022年3月14日 月曜日 4:39 夢を思い出すことについて もともと映像的に見ているものを言葉に移し替える過程でいろいろ変わってしまっている、本来のそのもののものではなくなってしまってる 書かないよりはいいかなと思って残しているが。どんなによくても6割くらいしか再現できていない気がする、最大限見たまま書こうとしているけど文字にする過程でどうしても都合よく丸めてしまってる感じもするし。 全体的に思い出していかないと別シーンがどんどん思い出せなくなる、文章にするのは現実的な頭の使い方なので、そっちに力を入れると抽象的なイメージがどんどん思い出せなくなるというか、ほんとに目が覚めちゃって今日の予定とかに意識が行くともう思い出すのは無理。あんま頭に力を入れず、全体的に何があったかフワフワっと思い出して、単語だけ拾っておき、道筋を残しておいてから細部を思い出すのがいい気がする。 たぶん夢は毎日もっと見ている。 夢には一番搾りと二番絞りがあり、夢占いとかで使うべき示唆に富んでいる(というかより無意識由来の素材が多い)ような夢は一番搾りのほう、たぶん時間でいうと午前三時とかに見てる夢。朝方に見る夢は起きてるときの意識の絞りカスなので大した意味はない。スクリーンセーバーみたいなもん。ほんとに面白いのはやっぱもっとデカい無意識。でもそっちはなかなか思い出せない。熟睡から少し覚めたタイミングでガッツリ思い出さないと拾うのは無理で、明日も仕事の人がそんな起き方してたらダメ
- 2022年3月14日 月曜日 4:16 夢 発煙筒拳(字面は3文字)というようなものの、肩に手をやって腕を上げる振り付けの拳法をモチーフにしたテーマソングみたいなものがある。ドラゴンボールの作中歌。黒いカンフー服着たヒゲ白髪のおじいさんキャラがやっている。発煙筒なだけに煙が出るが、なぜクルマになっているのかは不明。本当はそんなわけないはず。丸いドーナツ状の光が投影される部分だけが抽出されて、こういう感じのテーマソングになってるのがややウケる。 母の前歯。差し歯。二本ない。自分の歯を見せる。触ってほしくない、痛いので見せるだけ。顔を上に上げたまま口を開けるのが物理的に不可能になっている。昔の母の写真。金髪。 Mさんとスパーリングしている自分。の映像を見ている。第三者目線でみるとかなりそれらしく見える。モダン柔術ぽさがある。肘に組みつく感じとか、変形ベリンボロみたいな感じで悪くないのだが、一回つかんだものをすぐ離してしまうという課題が見える。 妹が妊娠している。見た目はあまり妹っぽくない。ほとんど服を着ていない。仰向けでお腹を見せている。そういう人が二人いる。奥の人のほうがお腹が大きい。静脈が浮いてる感じ。見る間に膨らんでいる感じ。私はそれに手を当てている。妹のような人は泣いている。顔が赤ちゃんぽい。汗で髪が黒々して見える。母もいる。生きて生まれてくれるだけで何もいらないと言う。 おじいさんが車を降り、歩き回る。知らない人。小柄。家族といる。車内に連れ戻す。黒いジープのような車。あまり天気が良くない。キャンプ場のような茶色の感じ。 おそらくVR空間で、集会のようなことをしている場面。いろんな見た目の人がいる。着替え問題がある。盗撮防止に足回りを覆うもの。アイロンメーカーが作った。小さいものと大きいものがある。特に大きく全身を覆うようなものもあり、プールの着替えみたいに重要な部分は済ませられるものもある。蹲踞。それにすらフェチズムを持つ人。 畑を碁盤目状に区切り、耕す人。迷彩服。常連というか玄人ばかりの雰囲気。
- 2022年3月13日 日曜日 1:06 夢 病んでいる人。病みがちな人特有の雰囲気。どこかの店の常連。
- 2022年3月12日 土曜日 6:56 二度寝の夢 どこかの店。棚ひとつ分の自分用のスペースが設けられており、そこに私物を置いている。 村上春樹の短編よりもっと軽い本読む。畢竟という名前の若い学生が出てくる。短歌に絡めたひとつ1000文字くらいの話。
- 2022年3月11日 金曜日 6:08 夢 数名入っているグループラインに誰のか分からんコメントがあり、かなり昔に付き合っていた男からの連絡だとわかる。 直近の写真などが残っており、手の内を明かしてしまったような気分。 が、よくよく見てみるとプロフィールは全然若い別人だった。誰も頼るべき人がいないような気分。
- 2022年3月11日 金曜日 6:05 昨日の夢 ビカクシダの筒。
- 2022年3月9日 水曜日 7:06 夢 実家がガラッと改築されている。洗面台が四面あったり、とくに天上の切り欠きが良い ヴィレッジヴァンガードらしき店にいる 青いグリースのようなもの、暗闇で光る、大きな指輪、ハンカチ、ふくろ、など。進んでいくとバー、オーケストラなど。
- 2022年3月8日 火曜日 5:54 夢 冷凍庫に保管されていたドーナツのようなものを食べる。祖父が以前に買ってきたもの。 飲むとゾンビになる液体を持っており、飲む。妹も飲む。なぜか分からんが飲むに足る合理的な理由がある。家族4人で車に乗っている。 蛍光黄緑の液体で、ペットボトルのようなプラ容器に入っている。味は薄塩っぱくてまずい。一口だけ飲む。 どこかの施設へ向かう。2階。人が多く、混んでいる様子。他にゾンビいるみたいな感じではない。人多い。 妹がぐずりだす。たぶんゾンビの液体のせいだと思うのだが。ぐずり方が子供の頃のような感じ、というか見た目も子供になっていて、すごい久しぶりに見た感じ。
- 2022年3月7日 月曜日 7:20 夢 結構見たが忘れた
- 2022年3月5日 土曜日 6:21 夢 見たこともないくらい精巧な紙人形の劇を見る。テクスチャを乗せて着色した紙片に糸をつけて動かすのだが、動かし方が巧みで、そういうグラフィックみたいに見える。演目は千と千尋で、紙人形を操るおばあさんの手が常にフレームに入っており、千と千尋の物語を千尋に向けて演じている、みたいなちょっとメタっぽい演出がある。 妹がPS5を持ってきてくれるが、あまりにも急、嬉しさより申し訳なさがでかい、喜ぶ反応がぎこちなくなる。 干し網を三つくらいまとめる。古い実家の風景。 実家の台所のアイランドの真向かいに古いVHSも見られるブラウン管テレビを置いている。かなり突貫工事な置き方。テレビでは今のプリキュアがやっている。
- 2022年3月4日 金曜日 7:12 夢
- 2022年3月4日 金曜日 2:50 夢 スキップで河原を進んでいる、ワンピースを着ている 小高い石のまわりを上に登る、一番上 恩赦を得る クワガタムシ 個人誌の表紙を友達に頼もうとしていたが既に合同誌を出す約束になっていたらしく面はゆい気持ちになる 何度目の夏ってタイトルにしようと思っている、春にして君を離れのパロディで(?) 暗い、電灯が青緑色っぽい箱型のアパートの共用部に座ってKさんと話している、上の階でコインランドリーを回しており待っている様子 私は文学すすさんって名前に改名しているらしい。くそダサい
- 2022年3月3日 木曜日 8:57 夢 ペットボトル加湿器の湯気を間近で見る 杉浦日奈子の絵は明るいところで見ると主線が薄くてよく分からなかったけど日本家屋の中で見たらものすごい臨場感があると気づき、そう言う。 おだんごを巡って
- 2022年3月2日 水曜日 7:20 夢 大通りを渡ろうとしている。暗渠。小さい子供が左の方へ駆けていき、母親がそれを追いかけ、二人で下を覗き込んでいる様子。明るくて春先のような雰囲気。 人の顔に感情に応じて赤黒黄色のすごい模様が現れる。草間彌生みたいなブツブツとサンゴヘビみたいな紐状の混ざったテキスタイル。 服が売ってあるのを見る。1Fで通り抜けできる。開放的で白っぽいH&Mみたいな量販店。四角い模様の緑色のセーター。今買うと荷物になるな。 全体的にせわしない雰囲気の夢。
- 2022年3月1日 火曜日 13:31 夢 室内が半分くらい水没する。自室ではない、やや事務所っぽさのある部屋。MacBookが潰れてるのでは?いや、台の上に置いてたから大丈夫なはず…。確認したらギリギリキーボード浸ってた。くそっ。目が覚める。
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中板橋Cafe wine & bar Dining〜 ジャパンモルト入荷しました。 稀少なアイラ島のピートで焚かれた麦芽で仕込まれたウイスキー原酒。三郎丸蒸留所に2020年に導入された木桶で醗酵し、世界初鋳物製ポットスチル「ZEMON」(特許取得済)により蒸留。 スモーキーなウイスキー造りにこだわり、日本では珍しくピーテッド麦芽のみを仕込んでいます。ピーティで塩気がある三郎丸蒸留所の重厚なスタイルを原酒のまま味わえます。 ・原材料名:モルト ・酵母:エール酵母、ウイスキー酵母 ・アルコール度数:60% ・蒸留年月:2020年6月 ・ボトリング年月:2020年7月 若鶴酒造 三郎丸蒸溜所 1952年の開設以来受け継がれてきた製法・材料を生かしてウイスキー製造を続けてきた北陸唯一の蒸留所。戦後の米不足の中、1952年にウイスキー製造免許を取得。以来、冬は日本酒を仕込み、夏の間のみウイスキーを蒸留。 次に信州蒸留所のニューポット(蒸留新酒)は、3年以上の樽貯蔵を経て発売されるシングルモルトウイスキーの原型となります。 2020年6月に蒸留したライトリーピーテッド※のウイスキー原酒を限定で瓶詰しました。将来できるウイスキーの片鱗をうかがわせます。トワイス・アップ(ニューポットと同量の水を注ぐ)で香りが広がります。 製造設備更新により役目を終えることになった「鉄製発酵槽」で製造した最後のニューポット。今後は木製の発酵槽とステンレスの発酵槽を使用。 ※ライトリーピーテッド:ピート麦芽フェノール値3.5ppmのニューポット お食事など事前のご予約も引き続き承っておりますが、簡単なおつまみやパスタなどは随時ご提供しております。お気軽にお越し下さいませ。 本日はラムチョップ、ローストビーフが御座います。お魚はタコとトマトのマリネ、その他にベビーリーフと生ハム、ハニートマトとパルミジャーノのサラダなどオススメです🍽 東京都のレギュレーションに沿って営��しております。感染防止に対してのリスク管理は引き続き行い、加えましてお休みにつきましては随時お知らせを告知します。 今後とも中板橋Cafeを、どうぞ宜しくお願い申し上げます。 ※除菌ジェルのご用意が御座いますので、来店の際はご使用をお願いしております。 ※換気のため、ドアをオープンにして定期的に通気を致しております。 ※テーブル席のご利用をご遠慮しております。 ※マスクの着用をお願いしております。 まだまだ大変な時期が続きますが、どうぞ皆様もお身体ご自愛下さいますよう、宜しくお願い致します。 ※都のレギュレーションに沿って営業しております。 ※ご予約は昼夜問わず承ります。お祝いや少人数でのご利用もお気軽にお問い合わせください。 ※希望のお食事やオーダーなど事前にご要望など承ります。 ※除菌ジェルご用意して御座います。ご訪問の際はお使い下さいませ。 ※当店のお支払いを頂く際は、カード決済、キャッシュレス決済、各種対応しております。 これまで起こしくださいましたお客様も、これからお越しになるお客様も、今後とも中板橋Cafe Wine & Bar diningをどうぞ宜しくお願い致します🌃🥂✨ #NakaitabashiCafe #中板橋 #中板橋カフェ #カフェ #ワイン #ワインバー #winebar #ダイニングバー #bar #フレンチ #イタリアン #JAZZ #JAZZbar #池袋 #池袋から7分 #新宿から18分 #バー #国産黒毛和牛 #a5 #黒トリュフ塩 #上ランプ #ラムチョップ #タコのマリネ #信州蒸留所 #駒ヶ岳ニューポットライトリーピーテッド2020 #三郎丸 #三郎丸アイラピーテッド (中板橋Cafe「Wine & Bar Dining」~River Side~) https://www.instagram.com/p/CFwdBGsgEVv/?igshid=9sm3dvkb611j
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abcboiler · 4 years
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【黒バス】no day but today/只今日已ガ或
2017/01/29 発行コピー本web再録
明日も明日も明日も来ずとも
今日と今日と今日が在ります
   明日も明日も明日も死すとも
今日と今日と今日を逝きます
         「先生、センセ、どこにいるんですか」
「もう見つけている癖にわざとらしい。さっさと来い」
 四月の頭は春の狂乱。薄青い空は、桜花の気配を反射して柔らかく香る。春の季節は花よりも短い命だ。先生はこの季節が一等お好きなので、常日頃閉じこもる部屋から、この時ばかりは、あちらこちらへと、凧より不確かに、童より落ち着き無く彷徨っている。
 春。あらゆる芽生え。美しき目覚め。
「たまには、先生の方からお越し頂いても良いと思うんですけどね」
 サテ、どのようにあんな所へ登られたのかしらん、と丁寧に手入れされた庭をぐうるり見渡せば、咲き終えた桃の木の陰に梯子が立てかけられている。どれだけお誘いしても動こうとしない偏屈な男は、こんな時ばかり行動をするのでこちらとしても苦笑いを浮かべるより他に無い。初めて雪に出会った犬が、気でも違ったかのように走り回るように、初めての衝撃は人を狂わせるものだ。先生は、何年を過ぎても、春に初めて出会う獣だ。所々の釘に緑青が浮き出た屋根の上、黙ったまま遠吠えをする。
「先生、今月の原稿」
「そこにある」
 高台にある先生の屋敷の屋根からは、東京の平屋が見渡せる。えいやらこいやと屋根を登った功労者を労わることもなく、先生は眼下の街を指差した。否、指したのは、己の書斎の、黒檀の書斎机なのだろう。目を閉じるまでも無く、あの沈黙に包まれた部屋で沈黙を守る原稿が見えた。
「なんというか、これは、アレだ」
「なんだ」
「優秀過ぎてつまらないなあ」
 緑間先生が、〆切を過ぎたことは一度も無い。俺が先生附きになってから、本日まで。三度目の春を迎えても尚。
 何を馬鹿なことを、という目で先生は俺を見た。この国には珍しい、否否、恐らく唯一であろう、明るい若葉の瞳が俺を写して瞬きをする。それ以上言葉を接ぐのは億劫になったのか、先生は花に霞む橙色の街を見ながら呟いた。
 春は五月蝿いな。春ばかりは、こうも五月蝿い。
   *
「なんと言いますか、編集になったら、というか、他の輩はね、先生の原稿を追っかけ東奔西走、京都の旅館で芸妓さんと戯れてる所をとっ捕まえ、陸奥の炉利端で魚焼いてる所をとっ捕まえ、浅草で芸妓と戯れ等してるのをとっ捕まえね、必死に連れ戻しちゃあ見張って、追い立て、原稿を取り立てているんですよ」
「芸妓ばかりか」
「そうですね、真ちゃん以外はね」
 半時ほど屋根の上で黙りこくっていた先生は、突如立ち上がると俺に一言も告げずに、その大きな身体に見合わぬ機敏な動作でひょういひょいと梯子を降りて屋敷の中へ戻っていってしまった。慌てて追いかければ、台所でじいっと鉄瓶を沸かしている。思考の一つもその原動力も解らないけれど、何故だか先生の原稿だけは西洋の錬金術かと紛うばかりの不可解さでもって、〆切までに現れている。そうしてまた、尚の事不可思議を極めることに、この原稿がまた読みやすく、人の情緒に潜り込むのである。
「その呼び方はやめろと何度も言っているだろう、高尾」
「はいはい」
 実際の生活に於いて、人の心など微塵も解するつもりの無い先生は、二人分沸いた湯でもって、己の分の茶だけを点てた。矢張りその侭、俺を無視して部屋へ戻るので、こちらも此の呼び方を変えるつもりはない。というのも、元はと云えば、冬だから酔わねば為らぬ、付き合えと突如言い出した先生が、存分にしこたま酒を喰らい、湯水のように酒を煽り、泥酔の挙句、飲んだ酒の分だけ語り、笑い、己でこの愛嬌ある呼び名を漏らしたのが悪いのである。
 高尾、お前は己がまだ罪悪に目覚めていなかった頃を覚えているか。幼い頃? それは幾つだ? 五つか六つ? 馬鹿を言うものじゃない。子供など罪悪の根源なのだよ。悪辣の化身よ。それより以前だ。尤も最たる無罪は生まれた瞬間だ。その時だけが赦されている。はは、ははは、俺もその頃は、先生等という、何者でも無い呼び名など無かったが、ふん、今や名前に意味など無いな。お前もそうだろう? お前の名前は『文芸青い森』氏だろう。人など、どうせ記号と象徴に消えて逝くだけだ。足掻いてもがいて縋らなくては、己の名前など、母しか知らん物になる。何だ其の顔は。俺にも母くらい居るに決まっているだろう。お前は珠に俺を神か悪魔かと勘違いしている。母だけが俺の名前を知っている。ははは、真ちゃんとしか呼ばれなかったがな。ははははは。笑い声は母の連なりだ。はははは。
 翌日、記憶を無くさなかった真ちゃんが、悪鬼も裸足で逃げ出す形相で、昨晩は忘れろと迫ってきたのも懐かしい。
「真ちゃんは面白いなあ」
「そうか。お前は大概失礼な奴なのだよ」
 曲がりなりにも、文士と編集という関係で、そこまで砕ける奴がいるか、と、そう言いながら真ちゃんは原稿を投げて寄越す。俺の無作法を許容しているのだから、なかなかどうして、そちらも同じ穴の狢と思う。原稿の枚数だけを確認して鞄にしまいこんだ。まだ日にちは有るので、ゆっくり線を引けば良い。つくづく、人間性は置いておいて、優秀すぎる男だった。
「そもそも、文を書くため文を書き、文に殉じて文士になったのに、何故書かない? その時点で理解に苦しむな」
「学生になったからって、勉学に励む奴ばかりとは限らないでしょ?」
「ああ。確かに居るな。ふむ、懐かしい。赤司なんかは、貴方達に教わることなど無いと、教授を片端から論破して、後は圖書館に引き篭るか、どこかへ流れてばかりいたし」
「そうじゃあない。そんな飛び出した奴のことじゃない」
 赤司といえば、恐ろしく有名な華族の一派だと思うが、まさかそこの嫡子のことではないだろう。先の戦争でいち早く物流に目を付けて、いざ火薬が飛び交う頃には全ての武器から薬剤、食料、布、それらの元締めを押さえていたという恐ろしい先見の一族。緑間という苗字も相当名の知れた家であることは間違いないのだが、赤司と繋がりがあるというのなら、それは兵器と身内ということだ。その経歴から只者ではないことは知っていたが、この男は想定を簡単に超える。
「そもそも、何故、作家になぞなろうと思ったかね」
「何度も話しただろう。生きる意味だ」
「何度も聞いたけど、全く解りませんね」
「わからなくていい。お前とは考え方が違う。お前もそう思っているのなら、お前は作家になっている」
 高尾、俺はな、人として生まれたからには、何かを残さねばならないと信じているのだよ、と真ちゃんは説く。何かを生まねば、生まれてきた甲斐が無い、と。
「俺は、今しか信じない」
 此処に存在するものが全てで、此処で己が感じたものが全てで、それ以外は存在していないのだと。故にその存在を残すのが、己が役目だと彼は信じている。
「未来などなくていい。永遠に訪れないものになど興味は無い。俺は今生きていればそれでいい。今、生きているのだから、人として生きた証を残せればそれでいい。それが、俺が死んだ未来も残るというのなら面白い。それだけだ」
「そんな生き方、苦しくねえの」
「明日は死ぬかもしれないが、昨日は既に夜かもしれないが、何、どうせ生きるのは今日だけなのだよ。何を気負うことがある」
 縁側で茶をすする姿は、一見して平穏の象徴のようだ。陽射しが反射して黄金に降り注ぐ庭は赤詰草が地面を覆い尽くし、小さな丸い花を細かくつけている。桃の木の下には薄紫の碇草、垣通。黄色い鬼田平子は縁側から飛び出すように伸びているし、廂の下には烏柄杓が弦を巻いている。
 春は目覚めで、春は狂乱だ。緑に埋もれて、緑の人は、静かに目を細めている。その中身が烈火よりも尚熱いことを、どれほどが知るだろう。迂闊に触れれば火傷どころか、その覚悟の前に骨から燃やし尽くされることを。
「…………それじゃあ今回も完璧な完成原稿をありがとうございました」
「はい、お粗末さまでした」
「今、何を考えてるの?」
「春は五月蝿いなということを」
 この五月蝿さは、どうすれば伝わるのだろうな、という真ちゃんの目には、静寂ばかりが見える。
   *
「仕事を寄越せ」
「先生が仕事人すぎて俺は本当に怖い」
 一週間ぶりに真ちゃんの書斎を訪れれば、原稿用紙およそ三百枚の束を押し付けられながら、淡々とそんなことを言われるので思わず頬が引き攣るのを感じる。物量はそのまま圧力である。質量保存は精神に及ぶ。たった二枚半の書評を書くのに三ヶ月先延ばしにしている作家もいる中で、この男は一週間でこれを書き上げ、次を求める。先生の全集の編集作業だけはやりたくない。
「っていうか、そもそも俺、こんな原稿依頼してたっけ」
「自主的に書いただけだ」
「嘘だろ」
「別に載せろというつもりはない。が、一応渡しておく」
「『春について』か。まんまだね」
「己でまとめられそうに無いから三百で書いた。捨ててもいいし、どこぞの穴埋めにしても良い。使う時の許可もいらん。ただ、使うなら半分は削れ。この話に三百は無駄だ。削る場所はお前が決めていい」
「珍しいね、真ちゃんが最後を人に任せるなんて」
「まだ俺には早かったんだろうな」
 欠伸をしている所を見ると、どうやら完成したばかりらしい。人間として規則正しい生活が最も原稿を進めるのに適していると信じているこの人は、朝は必ず六時に目覚め、夜は十一時に床につく。お役所の方だって、ここまで時計に忠実には動くまいという正確さだ。ただし、どうも先生の中では、最終の区切れ目があるらしく、その一線を超えると、後は書き終えるまで一睡もしない。それが例え残り三枚であろうが、五十枚であろうが、関係なく。それはただ彼の心の中にのみ存在する線であるので、俺から調節することは不可能だ。今回は、どうやらその線を随分と早く踏み越えたようだった。
 興味本位でぱらぱらと原稿をめくるが、几帳面な文字が整然と並び、所々自身で入れている赤ですら、列を成して整っている。いつも通りの、緑間先生の完成稿である。性分とはいっても、これはあまりに厳���が過ぎる。
「真ちゃんの原稿、誤字脱字なぞは勿論あるけどさ、全部自分で赤入れてあるから、それ以外の、つまり、真ちゃんも気づいていない誤字、一度として、見つけられたことが無いんだよなあ」
「当たり前だ。読み直した時に気がつくだろう」
「普通は見落とすんだよ。普通はね」
 この、自主的に書いたという、いうなれば仕事でも何でもない手遊びの原稿だって、どうせ一文字も狂いが無いに決まっているのだった。
 とはいえど、俺の担当している文芸でこれ以上真ちゃんの頁を増やした日には、雑誌の名前を『月間緑間』に変える必要が出てしまう。一度も原稿を落とさないから、重宝されているのだ。重宝しすぎた。一人だけ、連載のように一定の頁を持っているから、完全にうちの紙面は緑間で成り立っている。成り立ちすぎて、緑間専用誌にならぬように編集長まで確認しているくらいなのだ。どこか別の所で、今月穴を開けそうな所はあったかと皮算用している俺に、真ちゃんは淡々と繰り返した。それで、仕事はないか。
「真ちゃん、うちで長期の連載もあるし、随筆も持ってるし、他誌でも連載してるし、珠に寄稿なんかもして、若手の同人の書評もしてるでしょう」
「別にそれくらいだろう」
「それのどこがそれくらいなのか教えてくれ」
 間違いなく、今、真ちゃん以上に書いている輩などいない。あまりに節操なしに手当たり次第に書くものだから、批判的な所からは「飢えたハイエナ」「そこにあるものは全て食らおうとする卑しさが見える」とか好き勝手言われているほどである。実際は超上流階級特権階級育ちの、血統でいうならこの日本でも十には入る一族の嫡男なのだが。
「書かせろ。何でもいい」
 確かにこの欲求は、そう評されても仕方が無い程過激である。というより、そんな事を適当に並べ立てる彼らの中の誰も、緑間真太郎がここまでの基地外じみた文字狂いとは思っていないだろう。文字を食らって、文字を吐いて呼吸しているような人だ。その姿勢を知っているひと握りは、こと緑間真太郎に対しては口をつぐむ。触れたくないのだ。その真摯さは、その一途すぎる情熱は、少しでもその道に足を踏み入れたことがある者からすれば恐怖の対象である。
「真ちゃんは、もう少しばかり、遊びっていうものを覚えてもいいんじゃないの?」
「遊び?」
「うーん、座敷遊びとか」
「お前、経費で行きたいだけだろう」
「そんなことありませんよ」
 本当だ。真ちゃんと一緒にそこに行って、面白いとは思えない。いいや、綺麗な人の形をした花に囲まれて、ずっと物騒な顔をしているこの男を見るのは面白いかもしれないが、それは花遊びではないのだ。どうせなら俺は花を愛でたい。日向の庭に咲く小さな明かりではなく、夜の行灯の下で賑やかに艶やかに咲く方をね。まかり間違っても、この男ではない。
 この男を見るのは楽しいが、夜の花と一緒に愛でる、ものでは、無い。
「興味が無いな。そんなことに時間を割くなら、一文字でも多く書くし、一つでも多く学ぶだけだ」
「でも、世界が広がるかもよ?」
「何だと?」
 今まで全く反応を示さなかった真ちゃんは、ぴくり、と眉をあげた。この男は、兎角、視野だとか世界だとかの広さを気にする。見えなければ書けない、俺は見たことが無いものを書く事はできない、というのが口癖だ。そもそも、俺がこの偏屈に最初に認められたのも、俺の視野の広さによるものなのだから。徹底しているといえば徹底している。
「そういった、遊びだとかに興味が無いって云うのはさ、其れ等のものに命を賭けている人や、それに関わる物事を無視してるってことだろう? 人間の命題の一つとして、堕落だって書かないといけないんじゃあないの?」
「もう堕落を題材にした話は書いたのだよ」
「そうでした」
 半年前の原稿を思い出して肩を落とす。あらゆる堕落の果てに辿りついた人生のどん底で、男が周囲を恨み妬みながら、次第にその気力すら無くしていく話。最後は真冬の酒場の前で、真っ白な雪に埋もれて息絶える。読んでいるだけで、こんな人間の屑がいるものかと呆れ果てたし、其の男と己の共通点を、読み進めるほどに見つけ出してしまって苦しくなっていった記憶。
「何で真ちゃんは或れが書けたんだ……」
「周囲に堕落している人間が多かったからな」
 見たことがあるものは書けると言っているだろう、という真ちゃんは、何を思っているのだか、暫く難しい顔で考え込んでいた。
「しかし、お前の言うことも一理ある」
「お?」
「そういった遊びも、知識として必要なのかもしれん」
「いいねいいね」
「黄瀬にでも連絡をとって」
「却下」
 突然出てきた名前に慄きながら、俺は咄嗟に真ちゃんの肩を掴んだ。不満げな顔が俺を見下ろすが、今、俺はお前の心の大事な、こう、柔らかい部分を守ろうとしているのだ。少女が一人物騒な夜道を歩こうとするのを引き止めるのと同じ理である。そんな顔をされる筋合いは無い。
「黄瀬クンは止めよう」
「何故」
「何で先生は突然そう、段階をすっとばすかな!」
「こと遊興にかけて、あいつに適う者はいないだろう」
「いないよ。いませんけどね? いきなり上級者の最高級品にいってどうするのって話」
「どうせなら最高のものを体験したほうがいいに決まっているだろう?」
「先生は本当に頭が良いのか、俺は突然わからなくなる」
 黄瀬といえば今、帝国劇場で押しも押されぬ一の役者だが、その分、女遊びも派手なことで有名だ。というより、女の方から寄っては散り、寄っては散りしているのだろう。一度だけ、真ちゃんに連れて行かれて楽屋まで行ったが、あれは他人に興味など全くない類の人種だった。というより、懐いた人間以外、全て同じに見える、という、素直すぎる男である。この世は好きか無関心。
 あらゆる人間の細かな差異に、いちいち目くじらを立て腹を立て、文句を言うような真ちゃんとは真逆に位置しているのだろう。故に、思考は合わないが相性は良い。好かれた人間にのみ構って欲しがる男と、誰にでも平等に構うが、一見ではその意味に気がつけない男。
 だからこそ、黄瀬は、誰彼構わず、請われるがままに適当に相手をし、そして何彼問わず、適当に流してあらゆるものをやってのけるのだ。そんな男に任せたら、間違いなく戻って来られないような世界に案内される。それも善意で。黄瀬にできるあらゆる接待で歓待するのだろう。
「高尾?」
「赤司といい黄瀬といい、どうして他者巻き込み破滅型の人間が真ちゃんの周りには多いんだ……? 普通作家自身がそうであるものじゃないのか……? それともやっぱり真ちゃんが実は破滅型で、類は友を呼んで……?」
「高尾、聞いているのか」
「はい、すみませんなんでしょう」
「それならお前が連れて行ってくれるのか?」
「はい?」
「お前もなかなか遊び慣れていそうではある」
「何ソレ。真ちゃん、そんな風に俺のこと思ってたの?」
「違うのか?」
「若い頃は色々やりました」
「だろうと思っていたのだよ」
 黄瀬と比べるべくもないが、しかし周りと比べれば、どうだろう、なかなか俺も堕落した人生を過ごしていたことには違いなかった。金になるならと闇まがいのこともしたし、その辺の店で得体の知れぬ使いっぱしりをしたり、野菜をかっぱらったり、適当な女の家に厄介になったり、まあ、それなりに。嗜みとして。
「俺は若い頃に何もできなかったからな」
 そう、しみじみと漏らす真ちゃんは、まるでもう寿命を終えるような口ぶりで話す。まだ二十も半ば、男の盛だというのに。まだ世間では若いと言われるような歳で、真ちゃんが振り返る過去は学生の頃のことなのだろう。
「家のことだけだ。言われるがままに言われたことをこなしただけだった。俺自身のものなど何も無い」
「それも十分立派だと思うけどね」
「そうだな。悪くない。それは決して悪いことではない。俺は赤司の生き方を否定はしない。家を守り、家に殉じ、家を遺す生き方は誠実であるだろう。だが俺は我が儘なのだよ」
「存じ上げていますけどね」
「俺が遺したかったのは緑間の家ではなく、『緑間真太郎』という存在だったからな。フン、ついぞ理解されなかったが、仕方が無い。誰も間違っていないのならば、そこにはただ違いが残るだけだ」
「しかしまあ、よく出してもらえたよな」
「というより、作家になると言ったら絶縁されたからな、なんとも気楽な自由の身なのだよ。最高だ」
「最高とか言うなよ。周囲から見たら驚きの凋落だわ」
「そうか? 誰だって自由には憧れるものだろう? 俺ほど羨ましがられる人間は他にいるまい」
「その自信も凄いけどね」
 それで、お前はどこに連れて行ってくれるんだ、と言う真ちゃんの中で、もうどこかへ遊びに連れて行かれることは確定しているらしい。何で俺が、と思わなくもないが、何せ言いだしっぺが此方なので、何とも断りにくかった。かといって、彼と花街には行きたくない。絶対に。絶対にだ。ならば残る選択肢は少なかった。
「……すき焼きでも食べに行く?」
「すき焼き」
「食べたことある? 流行りだして店も増えているけど」
「無い。うまいのか」
「まあ、うまいね。牛肉をね、こう、甘っからく煮て、そこに生卵をかけてね、白米かなんかと一緒にかっこむの」
「行く」
「先生は、案外、食に対して貪欲だよなあ」
   *
 最近は晴れてばかりの陽気だから、地面は乾いて歩きやすい。乾きすぎて土煙が上がっているくらいだ。真ちゃんは歩く時、あまり音を立てないが、そのあまりに高い上背と、緑の出で立ちは人目を引く。俺も背は高い方だけれど、真ちゃんの隣では子供のようだ。
 人目を引くから外に出たくない訳ではなく、単純に不精なだけの真ちゃんは、先程からすれ違う女生徒達の一種の欲を秘めた瞳にも全く気がつかないらしい。やれやれ。どれだけ若くても女は女。そして朴念仁は朴念仁らしかった。
「真ちゃんは、だれかとお見合いとかしないの」
「何故見合いなんだ」
「真ちゃんが自主的に自ずから恋に落ちると思えない」
「失礼だな」
「恋に落ちるの?」
「女とそんな関係になったことはないな」
 あっさりとそんなことを言ってのける、この男の作品の中には、男女間の恋愛を描いたものもそれなりにあった筈だが、当の本人はこの言い草だ。恋は目に見えない。彼にとって、堕落を知るのが周囲の人間を介してであるように、恋愛も、周囲を介して学んでいるのだろう。
 あまりにも人間としては不適当だが、それが文壇にて脚光を浴びるのだから世も末である。
「しかしまあ、見合いも無いな。家からはもう一切の連絡が来ないし、たいした関係も無い輩から持ってこられても断るだけだ。かといって、世話になった人からそういった話が来るとも思わんしな」
「何で」
「お前は、見合いの相手として俺を紹介したいと思うか」
「思わない」
「そういうことだ」
それは自分で言って悲しくなりやしませんか、と思うのだが、真ちゃんからすれば、それはただの事実、の一言らしい。客観が過ぎるのも考え物だと思う。簡単に言えば、可愛げがない。指摘されて慌てふためく姿に人は愛嬌を覚えるのであって、開き直られたのでは腹が立つだけである。彼は圧倒的に後者だった。それも、特別に質が悪い。
「真ちゃんが誰かとお見合いなんてすることになったら、真っ先に教えてくれよ」
「何故」
「真ちゃんの悪口を百個くらい言って、期待の度合いを下げておいてあげるからさ」
「迷惑極まりないな」
花の香りと砂交じりの風に巻かれながら辿り着いたのは、最近このあたりにできたばかりのすき焼き屋。幟が風にはためいて、白く抜かれた文字が裏返っている。
 俺の隣にいた真ちゃんは、「ここだよ」と指し示す俺を追い抜かすように暖簾をくぐりながら、
「そもそも俺は、女に対してそういった欲求を抱いたことがない」
「え?」
 そんな意味深長なことを言って俺を困惑させるのだった。
 暖簾は紺で、緑はとっくに女中の案内を受けている。
   *
「うまい」
「良かった」
「これは良いな。良いものが来た。良いものが現れた。これは残るぞ。これは残る」
「意外だな。真ちゃんは、こういうハイカラな物は嫌いだと思ってたけどね」
「嫌いなことがあるものか。新しいというのは、それだけで意味があることだ」
 すき焼きが出てきた瞬間、眼鏡の奥の瞳がきらめいたと思えば、そこからは一言も喋らず淡々と箸を進めるだけだったので、これは気に入ったのだろうなあと眺めていたら、締めの雑炊まで食べ終わって、真ちゃんはやっと満足げな息を漏らした。そしてこの言いざまである。どうやら相当に、お気に召したことは間違いなかった。
「あんまり、新しいものが好きっていう印象は持っていなかったけど」
「新しい文化はいつだって迫害される。迫害され、追いやられ、蹴落とされても残ったものは本物だ。ただそれを待てばいい。自ら追いかけるほど暇ではない」
 本物は残る。本物はいずれ耳に届く。お前が俺をこの店に連れてきたようにな、と続ける姿は、堂々としていていっそ小憎らしい。俺が一度ここに来ていて、ここなら出汁も効いているし、真ちゃんも好きだろうなあと、思ったことまで見透かされているようで猶更である。
「それにしても、そんなに新しいものに興味はないだろ」
「ただ、俺は新しいものに自分の調子を崩されるのが嫌いなだけなのだよ」
「それって結局嫌いなんじゃん」
「そうかもな」
 新しくなくなればいいのだから、時は偉大なのだよ、と言う、真ちゃんは手元に運ばれてきた茶碗を確認している。藤色に瑪瑙のような緑色。今までこんな色の茶碗を見たことは無かったけれど、これも西洋の文化と共に流れてきたのだろう。まるで俺の考えていることがわかるかのように、真ちゃんは呟く。新しいな。これは新しいものだ。
「新しいものがどんどん流入してくる」
「そうね」
「悪いことではない。ことここにいたって、日本の遅れは目に余る。日清で勝ったからといって、この浮かれ様はなんだろうな。皆、心の奥にある不安を、黙って見過ごすこともできず、話を恐れて、綺麗に話題を避けた結果がこれだ。戦に勝った。日本は選ばれた。馬鹿馬鹿しい。一時の盛況は未来の浪費だ。自分の意見が無いというのは、迷惑をかけないという意味ではない。むしろ真逆だ。全ての罪悪は相手由来になる。新しいものを手にしなければ時代に取り残されるが、ただ流すのでは、いずれどこかでしっぺ返しを食う。それだけのことなのだよ」
「次の話の題はそれ?」
「『古き悪しきもの、新しき良きもの、愚か者』か? 語られ尽くしたという感は強いがな」
 すき焼きの話から、また真ちゃんの好きな原稿の話になってしまった。なってしまったというか、俺がそうさせてしまった。どうもつい、俺は彼の仕事癖に呆れている反面、先生にはこうであって欲しいという気持ちがある。どうしても。書いていて欲しい。何もかも。全て。
   *
「それで真ちゃん、すき焼きで何か学べた?」
「うまかったな」
「真ちゃん結局それしか感想言ってないけど」
「何だ? あそこのすき焼きの店でエッセイでも書けと? それならばそうと言え」
「違う。何で先生にそんな大衆雑誌の穴埋めみたいなもの書かせないといけないの」
「大衆誌は偉大だろう。結局、聖書を除けば一番読まれているのは新聞なのだから。大衆こそ国で、大衆こそ世界だ。大衆向けに作られているものは強い」
 何だかんだと食後のお茶までして、真ちゃんの家へと戻る道は、もう夕暮れの終わりだった。空は赤紫と濃紺の間で、複雑に折り重なっている。太陽はいくつもの細かい線になって、折り重なり絡み合い、木々の隙間を通り抜ける。家々は、夜より一足早く、軒先に行灯を下げていた。がらがらと、手水の水を捨てる音。豆腐屋の喇叭がどこかから木霊して、小石が小さく反射している。
 あたりが丸くぼんやりと光る中を、男二人でぽちりぽちりと歩いていく。
「そういえば、官能小説のようなものには、手を出していなかったな」
「何を突然」
「お前が言ったのだろう。花街に行くのも勉強だと。お前の所に、これ以上俺の話を載せるのは、紙幅の関係上無理であろうことは分かるし、他誌にも限界がある。しかし、俺はその分野には一切手を出していないからな。参入の余地はあるだろう?」
「何でそこに参入の余地を見出したんですかね」
 まるでさも名案を思いついたと言わんばかりの顔で、密やかに頷くものだから脱力してしまう。参入の余地があっても、入るべきでない場所は沢山ある。
 貴方は麻薬の密売の人手が足りないからといって薬を売りさばくだろうか? いや、別に官能小説が麻薬と言っている訳では無いけれど。けれど似たようなものだろう。
「今日は行かなかったが、次回、行ってもいいかもしれん」
「何でいきなりそんな乗り気なんですか」
「食欲性欲睡眠欲は、人類の三大欲求だろう。人類から性欲が無くなれば、それは滅びの時だ。逆に、性欲について傑作が書ければ、それは永遠になるのではないか?」
「先生は本当に馬鹿だなあ」
「何だと」
 鼻白んだ様子で真ちゃんが俺の顔を見やった時、丁度真ちゃんは屋敷の門を開けようとしていた。夜は徐々に深まっているとはいえ、まだ宵の始まりだ。行こうと思えばこれからだって、街にもう一度繰り出せるだろう。繰り出せる。俺たちは遊興に行けるだろう。
「嫌です」
「何故。遊べと言ったのはお前だろう」
「否、そうだけど、然様ですけど、真ちゃんと行っても、楽しくなさそうだし」
「別に、お前は帰るか、別の店にでも行くかすればいいだろう。というより、同じ場所にいることは無いと思うが」
「いやいや、それでも」
 真ちゃんと一緒に行って、真ちゃんを、見るのは、面白いだろうと、思う。思うが、俺は、どうせなら花を愛でたい。日向の庭に咲く小さな明かりではなく、夜の行灯の下で賑やかに艶やかに咲く方を。まかり間違っても、此の男ではない。此の、人では、無い。
「俺、先生のこと好きなんですよ」
「そうか」
 此の人では、無いと思うのに、此の人が、女を抱いている所を想像したく無かった。それが嫉妬でなくば何だろう。
この様な形で自覚をするのは、自分としても御免被りたかったのだが、しかし己の思うままに己が動いてくれるのならば、人が過ちを犯すことなど無いのだった。
「だから、先生のこと連れて行きたくないです」
「そうか」
 俺は此の人に世界を見て欲しいと望むが、その世界に俺がいないことが耐え難い。其の我が儘な感情を、俺は知っている。恋だ。これは紛うこと無き愚かな恋だ。周囲を巻き込んで、破滅していく、はた迷惑な恋なのだ。
「……それで、何だ高尾その顔は」
「なんか、思いのほかあっさりと受け入れられてびっくりしてる顔ですね」
「何を言う。お前は俺をどんな朴念仁だと思っているのか知らんが、曲がりなりにも作家だぞ。人の気持ちが繊細��ものであることはわかっている」
「真ちゃん……」
 淡々と告げる瞳に、侮蔑や嫌悪は見えない。本当に、真ちゃんは気にしていないのだろう。周囲が暗くなっていく中、まだ明かりを灯さない緑間宅の前は一層と暗い。ただ緑の光だけが、爛爛と輝いている。
「此れはあれだろう? 俺がお前からの告白を勘違いした所、『友達としてに決まっている』と言われ、恥ずかしい思いをするという」
「ちげえよ馬鹿! お前に期待したのが馬鹿だった! っていうか逆だろそれ!」
「はあ?」
 真ちゃんは突然罵倒されて意味がわからないのか、一人で首を傾げているが、俺からすればその思考がわからない。何故だ。今のは話の流れでわかるだろう。返す返すも、何故ここまで人の心が読めない男が、作家などをやっているのか理解に苦しむ。
 その作品に雷鳴を撃たれ、こうして編集にまでなって追いかけている俺だって、他所から見れば、理解に苦しむのだろうけれど。
「恋愛として! 好きだって言ってんの!」
「は?」
 これだけ直截的に伝えているにも関わらず、全く理解が追いついていない様子なので、却って此方の方が落ち着いてきてしまった。開け放たれた門を挟んで、一人と一人。
「もういっかい言います?」
「頼む」
「恋愛的に、恋愛として、性的欲求の対象として、真ちゃんが好きです。だから真ちゃんを花街に連れて行くのは嫌なのでお断りします」
 しばしの沈黙。これは間違えたかと思ったけれど、真ちゃんは体中の錆び付いた螺子をぎしぎしと動かして、掠れた声で呟いた。
「帰れ」
「え?」
「かえれ。かえれかえれかえれ」
 門が唸りをあげて、あらゆる軋みを訴えながら勢いよく閉じられる。がしゃん、という音が地球の裏まで響き渡って、俺は少しはみ出していた脚を強く打ち付ける羽目になった。脛である。人体の急所である。
「原稿は来週の水曜日には仕上げておく!」
 その叫びは、家の中へと走り込みながら発されたのであろう。俺が顔をあげた時に、後に残るは舞い上がった砂と哀れな男、則ち、俺のみであった。
「逃げ足、早すぎるだろ……」
 ああ言われてしまえば、俺は来週の水曜以降に訪れることしかできない。基本的に、困難には拳で立ち向かっていくような男だと思っていたのだけれど、流石に同性に告白されて、尚立ち向かうことは出来なかったか。
 しかしそれにしても、ハテ、「俺がお前の告白を勘違いする」というのは、どういう意味なのだろう。
 勘違いの仕様が、無いではないか。勘違いする筈が無いのである。何故って、「高尾和成が緑間真太郎のことを友情として好きである」或いは「恋愛として好きである」のどちらの解釈をしたとしても、それを「勘違い」と、真ちゃんが思う筈が無いのだ。「『高尾和成が緑間真太郎を恋愛として好きである』という『勘違い』をしてしまう」ためには、それには、つまり、真ちゃんが、俺のことを、好きでなくては、いけないじゃないか。そうでなくては成立しない。己の内に秘めた恋心に、迂闊に触れられそうになった時、「勘違いしてはいけない」と、人は己を守るのだろう。
 真ちゃんが、俺のことを好きで、好きだから、俺からの告白を「これは友情の告白なのだから勘違いしてはいけない」と解釈したの、だと、すれば。
「ええ……」
 顔が、首から段階を踏んで熱くなっていく。今すぐこの門を乗り越えて会いに行きたいのだけれど、恐らくそんなことをすればあの先生は本当に拳で殴ってくるに違いないので、此度は大人しく退散するより他に無い。
    *
「二科展に行く」
「珍しい」
「どうしても野暮用でな」
 覚悟をして出向いた水曜日、出不精である筈の男が珍しく外套などを着て、今にも発たんや、と謂わんばかりの出で立ちで門を開けてくるので、すわこれはまた逃げられるのか、と思いきや、どうやら本当に用事らしい。珍しい。
「紫原の作品が出ているらしい」
「紫原ってあの?」
「あのがどのかは知らないが、そうなんじゃないか」
 紫原といえば、これもまた古くからある名家の一つである。一つであるが、最近はそこの嫡男が、春季賞を二期連続で受賞したと新聞に載り、そちらの方が有名である。
「俺の家の茶器は全てあいつのものだぞ」
「やめてやめて知りたくありません。俺、普通に脚で押したりしていた」
「茶菓子が好きだったから、それが高じてそこまで行き着いたらしいが、詳細は知らん」
「知らないのかよ」
「黄瀬と青峰が話をしていたのを聞いただけだからな」
「今、日本国軍陸軍長官の家名が聞こえた気がするのは無視させて頂きますよ俺は」
 玄関先の立ち話で、出すような名前では無い。つくづく、目の前の男は、圧倒的な権力の知己が多過ぎる。数える程しか友人などいない癖に。
「真ちゃんの交友関係が恐ろしいのだよな、俺は」
「そうか?」
「あらゆる世界のトップと繋がっているだろう」
「腐れ縁だ」
「腐れ縁って」
「初等部の時に同じ組だった」
「恐ろしい場所だなそれは」
 別に、五歳だか六歳だかの子供に、何が出来たということも無いのだよ。肩をすくめながら、真ちゃんは奥の書斎へと消えていく。原稿は案の定仕上がっているらしい。このままここで待ちぼうけても良いのだが、何とはなしに落ち着かず、後を追いかけて書斎へ入った。途端、投げて寄越された原稿用紙の束。
「『改題、春の目覚め』?」
「以前お前に『春について』を渡しただろう。まだどこにも出していないな? あれは捨てておけ。こちらに差し替えろ。書き直した」
「あゝ、自分で削ったのか」
「そうだな、それに、少々足した」
 以前の原稿は既に下読みを終えてあるが、半分削るというのはそう簡単に出来る作業でもなく、未だどこにも出されず俺の机に眠っている。最初の数ページを読めば、出だしから既に変わっていたので、これは削ったというよりほぼ書き直しに近いのであろう。
「今回の原稿」
「何だ」
「珍しく、こう、表現が柔らかいというか、迷っているというか、これはこれで人間味があって俺は好きなんだけど、真ちゃんらしくないというか」
「五月蝿い」
「これってもしかして俺のせい?」
「五月蝿いと言っている」
 俺を無理矢理押しのけて、真ちゃんは出かけようとする。構いはしない。どうせこの家に戻ってくるのだろうし、緑間真太郎は書かずにはいられない。それを載せるのは俺の仕事だ。けれどしかしまあ、成程。知っていなければ書けないと、真ちゃんは何度も繰り返し言っていたが、他人から聞いていたものが、いざ自分のものとなると、文章はここまで変わるものだろうか。
「認めちゃいなよ。俺のこと好きでしょ、先生」
「うるさいうるさい黙れ死ね」
 春はうるさい、と真ちゃんは叫ぶ。もう既に桜は殆ど散り終えて、木には濃い紅の萼を残すばかりだ。それでも空気は柔らかく、庭の雑草は軒並み空に向かって体を伸ばしている。春。春。この世の春。
「世界も広がるんじゃないの。今までに無い恋愛体験、禁断の恋、参入の余地が」
「…………それでどういう話を書けというんだ」
「ううん、そうだなあ。お話にするなら悲恋? 考えようによってはね、相当の悲劇を演じられるとは思うけど」
「周囲に理解されず心中?」
「そうそう、そんなの」
「つまらないな。つまらない話だ。そんなもの」
「ありゃ」
 ばっさりと、切って捨てられ俺は思わず笑ってしまう。まあ、己の告白を悲恋に昇華しろというのもノンセンスな話ではあった。門を開けば、悲劇など起こりそうに無い、春の一途。
「俺はな、人間が強いという話を書きたいのだよ。どれだけ脆かろうが弱かろうが、最後には立ち上がり、己が道を掴むという話だ。俺はそれが好きだ」
「俺には好きって言ってくれない癖に」
「馬鹿だな。たった今、お前が好きだと言ったのに」
 読解力を養った方が良いんじゃないか、とおもしろそうに笑って、真ちゃんは俺を置き去りに、馬車を呼び止めて乗り込んでいってしまった。滝のような言葉に、俺はただ呆然と立ち尽くしている。春が五月蝿いと文句を言っていた男は、それこそ、その象徴のような嵐であった。
 門の内側に取り残された俺は、彼が帰ってくるまで、良い子に留守番などしていないといけないのだろう。手の中に残された原稿を、めくる。改題、春の目覚め。もともとは三百枚あった原稿は、随分と薄くなっており、俺はあっという間に半分以上読み進めてしまう。
 「……あ、誤字」
  皆が浮かれて騒ぎ立てる、春は今、目覚めたばかり。
   ―――春の陽気を長閑等と形容する者も居るが、私にはどうもそれが理解し難く感ぜられる。先ず、目を開けた瞬間の眩しさがいけない。冬などは慎ましく、夜明けは暗闇からじわじわと染み入って来るものを、春に成った途端、光は遠慮無しに襖の紙を透かして部屋の中を踊ってゐる。それではと硝子戸を開けてみれば、庭には繁縷や鬼田平子が我先にと手を延ばし、虫の羽音や近所の子供の数え歌、此方は一人だというのに、彼方からも其方からも、やれ花の香りだ絹の空気だと、全身に春を訴えて来る。之を如何に長閑と形容しよう。私は春に対し五月蝿いとしか思わない。穏やかと云う優しさは、冬にこそ已、赦される可きで或る。冷たく密やかに息づいていた心は、有無を言わさず起出され、其処ら中を跳ね回って、己が物とは思えぬ程掴み難く辟易する。口は勝手に賛美歌を歌い、足は気が付けば屋根へと登る。其れ等全て、春の成す業で或る。春の所業で或る。此れを五月蝿いと形容せず如何に成ろう。私はこの五月蝿さを、愛してゐるに違い無いのだから。
緑間真太郎著『春の目覚め』より抜粋
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hh1987zhonguo · 4 years
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洛陽の一日
旅先で印象に残るのは名所旧跡よりも何気ない街角の風景であり、そこに暮らす人々の営み。
8月11日(火) 6日目
「8時にホテルの前で中国人と会う約束をしていたのに、起きたら8時10分。ダッシュで行ったけれど居なかった。ああ、日中友好にヒビが入ってしまった!」 と日記に書いてある。 記憶に無いが、前夜、ホテルの前で日本語学習した中国人と何かの約束でも交わしたのだろう。 そして昨夜の洪さんは今朝も可愛いままだった♪ 彼女に尋ねたのは北京への電話の掛け方。言われるまま先方の電話番号を伝え、イスに座って待っていると、「X番の電話ボックスへ入りなさい」と指示が来る。交換手が繋いでくれるシステムだ。 電話の向こうで楊さんの賑やかな声が聞こえるも、お互い何を言っているのか良く分からん状態で勝手に喋って電話は終わった。まぁ、いい、あの日本の若者が無事に洛陽に着いたことが分かれば目的は達成。 電話が終わって箱から出てくると、日本人から声をかけられた。洛陽の大学に留学中の岡山出身の男性で、僕の大学での映研サークルの友達、対木によく似ていた。 親切なその��は、洛陽の旅行情報を教えてくれた。面白かったのは、大学での専攻は「人口抑制学」だと言っていた。一人っ子政策の中国ならではの学問なので専攻しているとのこと。ふ~~む。
街へ出た。 でも観光ではない。明後日の鉄道切符の手配だ。当時の中国個人旅行者にとっての難敵は、この切符手配。これが済まないと、次の旅程が組めず、のんびり観光もできなかった。 ということで、洛陽駅の切符売り場に向かった。 切符売り場は長蛇の列。排隊(パイトゥイ)=行列という意味の中国語を学習したのは、この中国旅行だった。人民は立場によってはモーレツに親切でもあり、またモーレツに不親切でもあった。当然、駅で切符を売っている服務員はその優位性にモノ言わせて不親切極まりなかった。 おまけにほとんどの人民購入客が小さな切符売り場の小窓を隔てて大声で叫んでいるのだから、服務員も激高する。ほぼ鉄道切符は「買うもの」ではなく「買わせていただくもの」であった。そんな修羅場に言葉も良く分からないヒヨっこの僕が太刀打ちできるわけもなく、筆談用メモに、「乗車列車番号」、「乗車日」、「行き先」、「枚数」を中国語で書き、「買いたい!」「いくら!」と書き、ようやく回ってきた自分の順番に、僕は服務員のオバサンに尋ねた。オバサンは既に発狂モードで取り付く島もない。何を言ってるのかほぼ意味不明だが、大変残念なことに、今、ここで買えないことだけは理解できた。でも1時間以上並んでこの結果は悔しいので、後ろに並ぶ人民に助けを求めた。そして分かったのは「当日買え!」ということだった。 予想通りの敗戦、という残念な気分で僕は一度、駅舎の外に出て、昼前だが駅前の食堂で瓶ビール(大)を買い求めた。当然、ぬるいビールしかないが構わなかった。そのビールをラッパ飲みしながら駅に戻り、薄汚く暗い駅舎のベンチで絵葉書を書いた。 相手は少し前までお世話になり、想いを寄せていた年上の女性。彼女は僕の良き相談相手だった。その人と知り合った頃、無口で陰鬱な青年であった僕は異性と口をきくことなどできなかった。でも、彼女はどこか違った。強いて言えば、会話を引き出すのがうまかった。数年の時を経て、気づいたのだが、彼女は自分の失敗談を楽しく話すのが上手だったのだ。当時の僕は、自信も経験も無く、語るべき言葉を持たない暗闇のようなものだと自分を卑下していた。でも彼女の失敗談を聞いていると、自分の悩みが小さなものに思えたり、そんなこともあるんだと共感を覚えたりで、自分のことも素直に言える時があった。そんな彼女と僕は、誕生日が同じだったこともあり、世間知らずの僕を勝手に「運命」とも感じさせていた。 彼女は「思慕」という言葉を時々使った。好き、とか、恋しいという意味のこの言葉は、当時の僕にとって詩的で、大人の言葉に聞こえた。そして、いつの間にか彼女に思慕の想いを抱く自分がいた。 でも、いろいろあって、その後、うまくはいかなかった。その状態が1年以上続いていた。そして、絵葉書にしたためたのは別れの言葉だった。 今となっては、何故、洛陽の駅でぬるいビールなどラッパ飲みしながら、その人に最後の手紙を書いたのか全く不明である。ただ、日記には「XXさんにお別れの手紙を書いた」とだけあるのみ。
青春の傷あと、とでも言うべきだろう・笑 その後、傷心の痩せた青年は自分が空腹であることに気づき、さっきビールを買った店に入り昼飯を注文した。 この店のお兄ちゃんは表に出て、歌うように「ララララ~~来々!!、ララララ~~来々!!」と叫んで客引きをしていた。 日記には「白飯、野菜炒めみたいなもの」を食べたと書いてある。笑えたのが白飯を食べていると、後から来た人民客で同じく白飯を食べていた男が、店主に文句を言い始めた。そして、同じものを食べている僕のところにもツカツカとやってきて、失礼にも白飯を取り上げ、どうも白飯の味がおかしい!傷んでる!食うな!という意味のことを訴えたのである。 今まで食べてきた中国の白飯は、日本のそれとはだいぶ違う。まず、艶やかではない、白くはなく、くすんでいて、ポソポソしている。だからあまり美味くはない。なので、こんなもんだろうと思って僕は食べていたが、改めてニオイを嗅いでみると、何か違う。。。 中国に来てまだ6日目ではあったが、僕はもうそういうことも段々、没有関係(メイヨ―クワンシー・どうでもいい、という意味)になっていた。 その後、洛陽観光をした。 バスで 中国三大石窟 の一つ、龍門石窟へ。 ここは唐代に造られた石窟寺院で、もっとも目を引くのが高さ17.14mの廬舎那仏。この石仏は中国唯一の女帝で、寺院建造に関わった則天武后をモデルにしたという説もある。ただ、こちらの日記には「やっぱり少し悪人面」とある。 
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↑ 廬舎那仏をバックに。この写真は日本人ツアーのお姉さんに撮ってもらったが、 廬舎那仏の全体が映っていなかった、残念。 今やユネスコの世界遺産に登録された龍門石窟でも、歴史や文化の香りを楽しむは、万里の長城同様、人民のパワーにかき消された。 龍門石窟は黄河の支流、伊河に面した河岸段丘にある。その伊河では夏の水遊びを楽しみ人民、洗濯をする人民がいる。それは想像に難くない風景だが、大型のトラックを川に突っ込ませ、洗車する人民たちもいるのには驚く(写真下)。
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こんな扱い方されたらどんなに質の高い車であっても、すぐ壊れるだろうに。。。こちらの理解の外にあることが多い、こういうことを学ぶのも旅の面白さだ。 目の前にいた小姐も、スカートなのに大股さっぴろげ、パンツ丸見えで川で涼んでいて、こちらが恥ずかしい。 オレンジの缶ジュースも観光地価格で1元(約45円)と高い。そしてプルトップを開けて飲もうとするも、錆びていて千切れた。そんなことは日常茶飯の人民オバサン、動揺することも無く手持ちのドライバーで一撃必殺、缶に二か所、穴を開け、ニコリとこちらに差し出す♪ 僕はそのジュースをチビチビ飲みながら、真夏の川辺、柳の下の石垣でまどろみながら石窟よりも人民たちの喧騒や動きに目を奪われていた。 市内にある関林も同様である。 三国志でも有名な関羽を祀る関林、こちらも世界三大関廟として名高く、三国志ファン必見の名跡。何でもここは関羽の首塚とか、本人の首がここに眠っているということか?  
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祀られた赤面で長い口髭の関羽は迫力があり、左右に控えるのは張飛に劉備か? しかし、三国志ファンでもない僕にとって、更に迫力があったのは、この関林ではなく、ここにたどり着くまでの街並みや風景だった。 毛沢東主義のスローガンが街角のアチコチに掲げられているのは北京と同様。そして下の写真は、交通事故の悲惨さをプロパガンダする街角の風景だ。事故被害者の痛々しく、グロい写真や事故の経緯など。「あなたも気を付けないと加害者、被害者になるから注意せよ」という共産党からの啓蒙活動だ。
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下の写真は、道端にミシンを置き、服の修理などを請け負ってると思われる、若いお母さんとその赤ん坊。踏み込み式の手動ミシンだから「どこでもミシン」だ。 がんばれ、働くお母さん。
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次は街角のレストラン。 ミシュランの星が付くまではいかないが、自家用の窯を路上に出し、雨露をしのぎながら、今日もしたたかに商売商売。 若さゆえの好奇心で、こういう店で食事して何度、腹を壊したか♪学習能力無し~
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関林からのバスで洛陽友誼賓館までの帰り道、乗り換えの広州広場でバケツをひっくり返したような土砂降り。足止めを喰らうも、雨が熱気を沈め、どこからか土や川のニオイを運んでくる。 仕事から帰宅途中の多数の人民とともに、土砂���りを眺めながらの雨宿り。気楽な旅人に贈られた非日常的な場面は、今でも映画のワンシーンのように心の奥の隅のほうに沈殿している。33年も経ったあの広州広場は、今、どんな風景となり、どんな時間が流れているんだろうか?
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wazakka-kan · 8 months
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