猫太郎

団地で飲む。

仕事が休みの日は無気力のまま家に居たくなくて新宿の回転寿司によく行った。店内には店とほぼ同じくらいのレーンが設置されていて寿司がどんぶらどんぶら運ばれ、回転したり掬われたりしていた。よくカーブの席のところに座ってお湯でお茶を作って、寿司を注文するまでただレーンと寿司を眺めていた。カップルやスカウトマンが多かった。なんとなく、寿司を食べてぼーっとして会計をして外を出る。パイナップル串を食べる。串を店に帰す。建物に飽きて空を眺めながら歩く。平日の新宿の空は広くて青い。「もう消えようか」とぼやいても空は諭す目をする。そうかと思う。画材屋に行っても慣れない画材屋に正直に好きなものを選べない。山手線に乗って池袋のパルコと仲良くなる。ここでは正直になれる。パジャマを買う。パジャマばかりを買う。紙袋を手で背負い込む。

冷たい家でコーヒーを淹れる。コーヒーはここではあたたかく感じるから、多分こいつは友達。Amazonで買ったビーフンを夜中にだし汁で煮るてSkypeを開いてもみんなオフライン。深夜だな思った。自分のアカウントを2個作ってipodtouchとパソコンの二台で自分と通話をする。アイコンがどれも適当に拾った水族館の動物の画像であつぼったい自分の声にうとうとしながらipodtouchを耳に当ててパソコンでビーフンを啜って「おなかすいた」となげやりにつぶやいた。猫の匂いがする。