Tumgik
n-shirato-0806 · 5 years
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朗読劇「根も葉もない花たち」
2019年7月20日(土)~21日(日)新宿オモロイ劇場にて。
朗読劇「根も葉もない花たち」の脚本・演出を担当しました。 もうずいぶん時間が経ってしまったけれど、備忘録の気持ちで書いておきます。長いです。
後悔も反省点もたくさんあるけど、ここではあまり記しません。
▼ストーリー 舞台は都内のお嬢様学校。 突如系列の男子校との合併が発表され、生徒たちは動揺。 寮や部活、恋愛や人間関係などそれぞれの場所で変化に対峙していく。
全4話のオムニバス形式で、以下のような内容。
学生寮
部活動
恋愛
合併反対派の選択
▼役者 女子校が舞台なので、主要どころはほぼ女性。 本当に色々なタイプの役者が集まっていたので、意図せずバラエティが出て嬉しかったです。 とは言え人数的には男性も半数近かったので、稽古場は「女子校!」って雰囲気でもなかったかな。
座長:成田佳穂さん(https://twitter.com/Aengawa_kame)1・4話出演 副座長:疋田圭代さん(https://twitter.com/kayo_hikita)2話出演 副座長:日向菊りんかさん(https://twitter.com/Rinka_seiyuaka)3話出演
この辺りは詳しくは後述します。
登場人物は、オーディション時に「女生徒A」みたいに仮名にしておいて、後は全員役者名を当てました。
▼オーディション オーディション時、プロットといくつかの台詞は渡していたけれど 作品の性質上役者さんの演技やタイプを見て当て書きしたいなと思っていて、 希望する役以外の台詞を読んでもらったり、本人の性格や考え方を質問したりしていました。
質問内容は人それぞれなのだけど、 「学校でどんな役回りになることが多いですか?」は一番多く聞いたと思う。 ある程度交流を持った今になって、当時のメモを見返すと納得もありギャップもあり。
オーディションではやりたい役を第3希望まで教えてもらっていたんだけど、これは想像以上に偏っていて興味深かったです。
当然全員を希望通りにキャスティングするわけにはいかなかったけど、「この役者で見てみたいな」という意味で書いた役もたくさんありました。
アニメやゲームは別だけど、実写は極力当て書きしたいので、ワガママを通してもらえて助かりました。
▼衣装 男女ともに、「上下黒」「シャツかブラウス」「靴も黒」という指定だけして、あとは各々自由にコーディネートしてもらいました。
ひとりひとりの衣装をじっくり撮影させてもらえればよかったなというくらい、本当に満足。 登場人物に合わせて色々工夫してくれて、スカートの丈ひとつ、黒タイツかストッキングにも個性が溢れていて楽しかったです。
女性は髪型のアレンジも可愛かったな~!
▼音楽 1話に1回程度で、ピアノソロのBGMを入れました。 冒頭とラストは、著作権切れのクラシック音源を。こちらもピアノソロで。
冒頭:愛の挨拶(E・エルガー)
ラスト:ピアノソナタ第14番「月光」(L・ベートーヴェン)
当日の音響周りはすべてマネージャーのKさん(名前を出していいのか分からなかったから伏せました)が担当してくださいました。 事務所のマネージャーさんはみなさん本当にマルチ。とにかく格好良くて頼もしかったです。
▼小物 当日台本の紙の色だけ指定したら、小物係さんがすっごく雰囲気のある深紅を選んでくれました。 それぞれが台本を持って登壇するシーンが、花を持ってるみたいでイメージにぴったりだった。喪服で献花をするビジュアル。
▼フライヤー 役者の金子さんがデザイン担当してくれました。万能。 とにかく花!花!を押し出してもらって、当パンも近いデザインに仕上げてもらえました。
▼照明 当日の照明も担当しました。 2、3話は役者の流星さんがやってくれました。深謝。
ピンスポは使わなかったです。 暗転によるシーン切り替えが好きなので、ちまちま入れられたのが楽しかったです。
色変えは2シーン+ライブのみで、
回想:グリーン
火災:レッド
ライブ:ホワイト
本当は回想をイエローにしたかったけど、劇場の都合上、ベタでもだいぶ黄色っぽかったので小屋入りしてから急遽グリーンに。 照明は今でも「もっとこうすれば…」みたいな気持ちになる。
▼主題歌 オープニングとエンディングで歌唱をしてもらいました。 エンディングは今回の作品に合わせた書き下ろしです。
担当が月出彩伽さん(https://twitter.com/Ayaka1231h)。 作詞作曲、歌唱と全部こなしてくれました。
衣装の黒やリップ・爪の赤が、作品にぴったりで嬉しかったです。 クールな出で立ちと、シンプルでスモーキーな音楽に痺れていました。 本人はすごくキュートで親しみ深いキャラクターで、そのギャップもたまらなかったです。
月並みな表現で恐縮なんですけど、メロディも歌詞もとにかく素敵だったので、本当は物販でCD売りたかった。 せめて~と思って「当パンに歌詞カード入れたい!」ってお願いして、フライヤー係の金子さんやマネージャーさんが対応してくださったのが有り難かった。 歌詞の権利的にここで紹介できないのが残念なんだけど、ラストに一歩踏み出す風に終わるんですよ。それがすごく物語的でぐっときました。 今もひとり鼻歌で口ずさんでいます。
▼1話のこと 「女子校の合併に伴い、女子寮の解散が言い渡されたが、反対派の生徒たちが集会を決行。寮が淑女育成にいかに重要かを説くが、後半は別の生徒たちに寮の実情(厳しい上下関係、いじめ、飲酒や喫煙など)を曝露されて終わる」というストーリー。
【役者】 ・反対派 柿嶋沙也加さん(https://twitter.com/k1k2n5s2m1):斬り込み隊長 岡田理沙さん:クールな恐ろしさ 金子真姉さん(https://twitter.com/ma_ne1121):黒幕感の強さ
・賛成派 流星さん(https://twitter.com/udo0bitter0tea):彼女がいたから皆立ち上がったのだと思う 染谷美奈さん(https://twitter.com/mi3na77):本当に泣き出すんじゃなないかと思わせた 黒須乃亜さん:文字っぽい台詞をちゃんと音声にしてくれる
・その他 enさん(https://twitter.com/en01747290):後述 成田佳穂さん(https://twitter.com/Aengawa_kame):後述
【所感】 「清廉なお嬢様学校とは言いつつ、実はダークな面があるんだよ」っていうのを分かりやすく説明する回。
反対派の3名は「猫かぶり」と「黒い本性」の二面性を出してもらうために、立ち座りや身振り手振りを多めに入れてもらいました。 「もっと酷く!もっと怖くていいです!」って言ったら本当にみんな怖くなっちゃった。オフタイムに笑ってもらえるとほっとしたものです。
賛成派の3名は、上記3名を糾弾する役回り。 この3名がかけ合うことはないんだけど、「きっとこういう人間関係なんだろうな」という想像をかきたててくれました。
主語を大きくするとすれ違いの原因になるから「女はドロドロしてる」という表現はしたくないかな。 結局のところ成田さんのシメ台詞である「花が悪かったのか、花壇が悪かったのか」というところに帰着させたかった。 この話では結局、悪事の温床になっていた寮は解散になるわけだけど、その正否を判断できる人がいるのかは謎です。この世には。
▼2話のこと 「女子校の合併に伴い、部活動も合併することに。女子演劇部の部長は、男子部との合併を拒否。その心のうちを聞いた副部長は、部活以外で演劇をする選択肢を思いつき、卒業後に劇団を立ち上げることを約束する」というストーリー。
【役者】 疋田圭代さん(https://twitter.com/kayo_hikita):表情や仕草が鮮やかな芝居 hakkaさん(https://twitter.com/hakka_724):柔らかい声とメリハリのある芝居 夜空さん(https://twitter.com/YoZoRa_nocturne):「先生」の人間性が見える芝居
【所感】 書きたかった台詞を散りばめた話でした。
合併を拒む演劇部部長の「狭い世界で、好きな人たちと、好きなことをしていられればいいの。それって悪いこと?」
察しが悪いこと指摘された副部長の「ハッキリ言う努力してないのそっちのくせに、私のせいにしないでよ」など。
あと副部長の「時間も場所も、ここと今だけが、私たちの全てじゃないと思う」というのは、作品全体を通したひとつの解答だと思います。是非とか正否ではないけど。 でもそれに気づくのって、ものすごく時間が経ってからじゃない? hakkaちゃん(作中)は現役時代に気づいててすごいな……。
あとは「過去回想で照明の色を変えて、台詞を重ねて時系列が入れ変わる」というだいぶ映像的なことをやりました。 個人的には楽しかったし、役者陣が意図をくみ取って、表情や声のボリュームを細かく調整してくれたのがありがたかったです。
ラストで卒業後に劇団を立ちあげた2人が、自分たちの次回作を「私たちが通っていた女子校をモデルにした、女の子ばかりの作品」と説明していて、それが『朗読劇・根も葉もない花たち』のつもりでした。 これもすごく文字的なギミックだよね。もっとうまいこと処理したかったです。
▼3話のこと 「合併など我関せず、先生との恋愛に夢中な女生徒が、ある時友人と先生の浮気現場を目撃してしまい、やがて自らも浮気に走ってしまう」というストーリー。
【役者】 ・日向菊りんかさん(https://twitter.com/Rinka_seiyuaka):声だけでも感じる表情の豊かさ ・真優子さん(https://twitter.com/032685Shin):優しい女も悪い女もできる万能性 ・但野友崇さん:「女子高生食ってる感」の上手さ ・弦巻良さん(https://twitter.com/Tsuru_ryou):引き出しの多さ。コメディアン
【所感】 男性もがっつり喋る貴重な話。 先生役の但野さんと弦巻さんがダブルキャストで、先生友人(のちの浮気相手)と交互に演じてもらっていました。 男性陣のキャスト交換に合わせて、女性陣の演技も変えてもらうという遊びができたので、マチソワ通して観て欲しかったのが本音。 結構手癖で書いていた話だったので、キャスト陣のアレンジ力に助けられた面が強いです。
私の周囲には、学生時代からだいぶ年上と付き合っている女性がたくさんいたし、それこそ先生と生徒というカップルも知ってるけど、人によっては未知の世界ですよね。
「学生にとって学校は社会と同じで、大抵のことがそこに詰まっている」というのは、学園ものではよく言われていることだし、学生時代にそれに気づく人も多いと思う。 その先の結論に辿り着くと、色々生きやすくなる気はしますね。 やっぱり現役時代に気づくのは大変なんだろうけど。
▼4話のこと 「合併反対の過激派が、生徒会室まで乗り込んできて、遂に刃物を振り回す。しかし実は生徒会長自身の差し金で、合併でこれまでの世界を汚されるくらいなら自分たちで壊してしまおうという魂胆から、灯油を撒き散らして校舎を燃やす。 そして数年後、生徒会長の未来と思しき女性が、とある学校で教鞭を取っている」というストーリー。
【役者】 ・女生徒たち 成田佳穂さん(https://twitter.com/Aengawa_kame):迫力。赤シーンは皆息が止まったと思う enさん(https://twitter.com/en01747290):「もっと取り乱して」と言ったら本当にめちゃ取り乱してくれた 河野由廻さん(https://twitter.com/kono_yue):凛々しさで女子校感を強めてくれた 衛藤蒼生さん(https://twitter.com/A_o_i0720):胆力。「冷静な後輩」の見事な演じ方 詩川絢子さん(https://twitter.com/AyakoUtagawa):この役は彼女にしかできなかったと思う
・男子高校生 三田村浩平さん(https://twitter.com/K99WZbTuZigHwzC):「学生時代」と「先生時代」差分がバッチリ 睦月宗能さん(https://twitter.com/Muneyoshi_Mutsu):「意地悪」演技の練度が上がった 立川椿さん:「ドロドロ」を「ドロッドロ」っていうのがお気に入り(私の)
warakaさん(https://twitter.com/h_waraka):笑顔がいいんですよ 黒咲力弥さん(https://twitter.com/kurosakirikiya):アドリブの盛り上げ上手 榊原拓海さん:「気持ち悪かったです」という褒め言葉
【所感】 極端な話「望まぬ形で生き延びるくらいなら、潔く死のう」という形もありなんじゃないかと思って書きました。無論、それを他者が強いてはいけないと思うけど。
とにかく掛け合いが多い話で、稽古を重ねるごとに白熱していくのに密かに興奮していました。 結構叫ばせてしまったけど、千秋楽まで喉枯らす役者はひとりもいなくて頼もしかったです。
あとは男子高校生たち。台詞数こそ少なめですが、状況説明のために欠かせない存在でした。 冒頭は「もっと嫌な感じ!」を連呼していたら、最終的にみんなちょっと嫌な感じに仕上がったので満足です。3人とも基本優しい男性なので、本当はそのままでいてほしいけど。 ラスト3人のアドリブは基本的にお任せしていたら、キャラ立てが日に日に愉快になってました。
放火シーン、本当は炎の音を入れたかったけどどうしてもメラメラ感がノらなくて、「月光」オンリーで運びました。選曲は月影島の事件へのリスペクトです。
稽古初日、成田さんに「彼女はどうして数年後、教師になったのか?」と聞かれてきちんと答えられなかったし、答えは各々の中にあっていいとも思うんだけど、やっぱり学校が好きだからなんだろうなと思います。私は。
▼合併ってそんなにダメ? 感じ方はそれぞれ、人、時間、条件などなど。 作品全体としては「思春期ならではの視野の狭さ」も描きたかった反面、「隣人の絶望を軽んじるな」という警鐘もごもとっともだし。
実際「男子校と合併する」という事実は、言葉ひとつだと大したことないように思える人もいるだろうけど、渦中で生きてきた少女たちにとって、下手したら世界を揺るがしかねないですよね。 所謂セカイ系ではないけど、2話の圭代ちゃんの「狭い世界」、3話のりんかちゃんの「社会」、話の成田さんの「私たちが生きてきた花壇」も、どれもゆるぎなく「世界」の話だと思うし。
私自身、女子校に通っていた当時は「共学いいな~!」って騒いでたけど、来年から合併って言われたらどうだったかな。 そんなことを考えるきっかけになりました。
▼絶対的な蛇足 檀上には出てこないけれど、作中で「合併を苦悩して自殺未遂をした女生徒がいる」「どうにか本懐を遂げてちゃんと死んだ」というほのめかしがあるんですが、前後に歌唱シーンがつくことになったから追加したものでした。 歌唱アーティストが、もうここにはいない幽霊みたいに見えたらいいなと思った。 生徒役としてカウントもできないけど、まるで関係ない存在にも見せたくなかった。
これももっと上手いことやりたかったですね。小説なら短編一本書いちゃえばいいけど。
▼タイトル 仮タイトルをそのまま固定してしまったけど、うまいことハマった気がします。 役者の睦月さんが、終演後に「綺麗な花たちとの集合写真、大切にします💐」ってツイートしてるのがお気に入りです。
▼総評
根も葉もなくたって花は花だと思います。
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可愛く描いてもらったコップでおしまい。
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n-shirato-0806 · 5 years
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伝えたいこと~沖縄編~
読み返そうとして何が何やら分からなくなる未来が見えたので、タイトルは都度シンプルでわかりやすくしようと思いました。「眩しいDNAだけ」は今夢中になっている曲で、インスタの弾き語りバージョンもとても良かったのであのまんま。
ツイートもしたけど、先日 玉村宙子ちゃんが出演した「伝えたいこと~沖縄編~」を観てきました。
玉ちゃんは10代からの友人で、一緒に学生映画を撮っていました。小柄で声も高く、天真爛漫な性格をしているので、幼い役を演じることが多かった印象。実際彼女が過去出演した舞台「ゆらゆらと水」や「匹如身-最後の団欒」では、もろに子どもの役を演じていました。一癖も二癖もある子ども。
そんな彼女が、今回はお母さんの役! 奥さんの役!
加齢に伴って、年相応の役ができるようになった……という単純な話ではなく。あそこにいたのは、夫と離れ、子どもを抱えて、激動の時代に年を重ねた女性で。
「役者さんはすごいな」というのは、何かしらの演技を観るときに大抵思うことなんですが、プライベートで長い付き合いがあるだけなんだかドギマギしてしまいました。
もちろん、朗読劇自体も素晴らしいもの。重々しくもかつ私たちが真剣に考えなくてはいけないテーマを取り扱っていて、苦しい気持ちになりつつ観て良かったです。
先日映画「シシリアン・ゴースト・ストーリー」を観たけど、この朗読劇ともども、手紙というのは本当にドラマチックなプロップだな~と改めて。手書きなら尚更。
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