Tumgik
mountmouse75 · 1 year
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そもそもの話
人の趣味趣向や人生観や正義なんてものはかなり大きく違う中で、一応社会通念や規範や宗教観念に置いてある程度の共通認識を持って過ごしている。その中で自分が選んだ規範は音楽が念頭にあり、かっこよく言えば求道者を名乗り、実際はただの音楽を辞めれなかったこじらせおじさんな訳だけども。その中でここ数年の中で一番大きな、大げさに言えばパラダイムシフトが起きたのだ。それを記録しておこうと思う。
どちらかと言うと僕の音楽への向き合い方はストイックだと自負している、それは目指していたり憧れているアーティストの思想をそのまま借用している為、ある種自分の意思というよりは考えるのをやめてひたすらに経本や聖書の様に信じていただけなのかもしれない。 しかし、逆に言ってしまえば初期衝動にあった得体の知れない憧れや、純粋な部分を早々に捨ててその道に突っ走って行ったとも言える。 しかし、自分で立てた非常に高い目標というのは案外厄介なモノで、例えばインディーズで自分のユニットのリリースが決まっても、メジャーデビューしてそこそこお金がもらえても「こんなのは自分が求めてるモノじゃない」とまるで奇っ怪奇妙奇天烈な感情が顔を出し、まるで自分が喜ぶことを悪いことだと言わんばかりに達成感を感じることを阻止しようとするのだ。40歳手前になり、等々音楽を続ける為のモチベーションが枯渇しかけてしまったのだ。そう、これは一大事なのだ、人生の目標を疑い始めるという絶望的な事態だったのだ。
最近新しいピアノトリオを始めた事がきっかけだった。 20年来の仲間で、そこまで一緒にやってた訳ではなく、最近またちょこちょこ別のライブや連絡を取るようになったりするようになって、今後永続的にストレス解消を名目に、やりたい事だけやってある種の人生の部活的な感じで気負わずやろうって事でトリオを結成する事になった。 そして先日初のライブをやって、仲間の尽力や友人の御祝儀的な感じでなんとか満席になりライブ前の「ああ、お客さんが全然来ない。来てくれるって言ってた人も来てないよ、どうしようお店に申し訳ないからサクラでも雇っておけばよかった...」という強烈な目眩を起こさずに済み、ひとまず演奏に集中すれば良い算段がついた。 演奏はまずまず徐々に調子が上がって言った感じで、歓声があがる場面もありひとまず成功と言った感じだった。 しかし、ここで通常素直に喜べないのが僕だ、謎の悪魔の囁きが頭の中でささやきかけてくるのだ。「お前はこれでいいのか?楽しんでいいのか?」と。本当に困ったものだなあ。 ライブが終わってお客さんが帰って、ちょっと飲んでいよいよホテルに帰宅している最中、今まで感じたことのない感情が生まれてきたのだ。 僕の素直に喜ばない根源というのは、確かに高尚な理想が元で、音楽的、技術的、精神的にも洗練されたものが理想だ。当然到達する訳もなく常に自分に幻滅しているのだ。しかしその日は少し違う感情が湧き上がって来た、お客さんもお店の人も僕らも終始穏やかに笑い話、「次のライブ決めてないなんてダメだ、すぐにでもやってくれよ」なんて言ってくれる人までいて、つまりお世辞や社交辞令でもなんでもいいんだけど、少なくともその空間で音楽を聴いて飲んで楽しんだって人がたくさんいて、何となくそれは心地よい気もしたのだ。 寒い季節なのだけど、なんだか真夏の夜中に目黒川を歩くような、少しぬるい湿気をまとった風に吹かれてビールを飲み歩いてるような。とにかく理由もなく、音楽をやることを許されたような、そんな気持ちでホテルに戻っていった。
と、ここで終わってしまうとただの美談になってしまうので、ここでもう一つの真実を記しておこうと思う。 実はその、納得が出来ないという部分のもう一つの根源に、結果を聞き手に強要していた部分があるのではないか?という疑問がある。それは今でも参加しているポップスユニットでもそうなのだが、非常にマニアックな小ネタを挟んだり、キックやスネアの位置を微妙に動かしてみたり、がしかし意図を汲まず納品したオケの歌はツッコんでるだとか。おっと話が脱線しました... いずれにしても、僕の作ったモノや演奏について、聞き手への理解度を重要視していた節、節というより明確に押し付けていたという事実に向き合う瞬間だったのかもしれない。 例えるならとんかつ屋で「まずは塩でお召し上がりください」と、最初からソースをビシャビシャにかけることを許さないかのような、非常に押し付けがましい店主そのもの。そりゃもう、誰も幸せにならないってものでね。いくら自分の目標にまっすぐとは言え、そりゃないだろうって事にようやく結びついたのですね。
よくよく考えてみると、ときたまユニットでの活動をエゴサしたりして、青春時代よく聴いてて懐かしい!とか言われて嬉しいはずなのに、そう言ったエゴみたいなモノで素直に受け入れられないとかさ。
そんな今、僕は大きな大きなでっかいハードルを1つよりも、簡単に超えられるハードルをたくさん用意することにしました。 もう少しだけ、自分と他人に優しくした方がきっといいんだろうな。
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mountmouse75 · 1 year
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Freedom Custom Guitar Research
結局紆余曲折あって手にすることがなかったメーカーなのだけど、チャンスがあれば今でもほしいなと思ってるメーカーだ。
知人がライブで使っていて異常に良い音で一体どんな楽器なんだ!って衝撃を受けて、翌日楽器屋に走ったのは今でも覚えてる。今はピックアップを自社で賄っていたり、いろんな形や種類が出ているけど、当時はいわゆる工房系レプリカを作ってるメーカーという印象が強かった。ピックアップも当時はFlorance PickupsのVooDooという種類のものを載せていて、本当にオールドフェンダーのクローンを目指してるんだなって印��で非常に良かった。
その当時バイトを掛け持ちしてそのまま深夜連に行って、数時間寝てはバイト行ってライブして、何故か通ったクレジットカードの分割枠を使って楽器を買い漁っていたものだけど、ギリギリその当時限度額が足りず諦めたのは今でも悔いている。今思えば無駄な楽器を処分してお金を作ってとか、素直に親に頭を下げて借りるという方法もあっただろうが、いかんせん頭が働いてない事と若さゆえの愚かさでその判断が出来なかった。
ある程度大人になって、ちゃんとした楽器を買おうと思って都内の楽器屋に出向いたら、たまたまヴィンテージクローン祭りみたいなのの準備をしていた。午後からイベントをやるんだけど、その前なら好きに試奏していいよって事で弾かせてもらっていた。しばらくすると何となく見覚えがある人が話しかけてきた、FCGRの社長深野 真さんだった。 「君はベースを選びに?」と言われてその旨を伝えると「僕の楽器も含めてここにあるの全部弾いてみてくれないかい?」と言ってきた。 そこにはフェンダーCS、J.W.Black Guitars、RS Guitarworksなど様々あって当然FCGRの物もあった。 一通り弾いてみると深野さんが「うーん、君のプレイスタイルだとうちのよりRSかフェンダーが合いそうだね。一応僕の楽器も今調整でそっちに寄せれるけど試してみる?」と言って、ネックジョイントのネジを微妙に緩めてから僕に渡してくれた。 不思議なことに、その前のカチッとバランスが良い傾向から、全体的に暴れて倍音が豊かになって方向が変わったのだ。 「楽器はネジをきつく締めるとか作りがいいだけではいい音にはならないんだよ、それでもやっぱり僕の楽器よりRSの方が合いそうだね笑」と言って笑ってた。いつか欲しくなったらよろしくねとも言ってくれた。結局その後たくさん弾いて、その時はRSを選んだんだけど、今度は音が良すぎて音楽とぶつかるなって事で手放してしまった。
その後辿り着いたのはCSじゃないフェンダーの64年のレプリカだったのだが、深野さんとの経験によって壮大な計画を思いついたのだった。それは、木の鳴りが良い個体を選んで、パーツは全部交換して自分だけのサウンドと作り上げよう。という事だった。 ボディが軽く良く鳴る、それ以上にネックの強度がありネック自体が鳴る個体をひたすら探した結果が64年のレプリカだった。 まずペグにはSadowskyに採用されてるHIP SHOTのUltraliteを採用した、ネッドが軽くなるのとトルクが丁度良くチューニングが安定する。ブリッジにはBADASSベース2、ボディが鳴りすぎるとローとハイがかなりプアに鳴る点を改善出来るのと、ヴィンテージタイプにあるコマが動いちゃうのを防げる、そして単純にマーカスが好きだから。 PUはvoodoo、そうFGCRに昔載ってたものだ。ちなみにこれを制作していたPeter Florance氏は数年前亡くなってしまって、今は現存するものがマーケットで時々出回るくらいで、今思えば手に入れた僕偉い。そしてポットとコンデンサはRSにした、抵抗値が通常の250kΩより高い280kΩなのでハイ抜けが良い、コンデンサはどうやらjensenにオーダーしたペーパーオイルコンデンサにした。ネックプレートにはFGCRの分厚いものにして、これも音色とサスティーンに寄与している。
そう、好きな楽器の要素全部混ぜにして、ネジの締めるトルクもいくつか試して、最終的にはピックガードも外して自分が思うジャズベースを組み上げることが出来たのだ。 楽器とは不思議なもので、単体で良い音色に聴こえるものほどオケ中で浮いてしまったり、なじまなかったり、音源におけるベースの役割として最高の楽器にはなったと思う。単体で弾く分にはSadowskyの方が楽しいからね笑。
結局FREEDOM CUSTOM GUITAR RESEARCHとは何だったのか?商売敵の楽器の良い所を僕に教えてくれて、違う楽器の方が合うよ、調整で変わるよって教えてくれる。恐らく楽器や音楽が好きなだけで楽器作ってる人の集まりなんだろうなって思うと、合わなくても良いから上がりの1本でどうにか手に入れたいなと思う訳です。 最後は国産、職人の本気を味わってみたいと思う。
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