Tumgik
kcpx72 · 3 years
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煩悩の数だけあるある
スイカバーあるある … 皮の部分だけ溶けるの早い
有吉ゼミのカメラアングルあるある … 下からアップ
ノートあるある  … 最初の1ページだけ気合い入れて書く
コンビニあるある … 揚げ物コーナーの前を通り過ぎるときに横目で商品と価格を確認する
コンビニの雑誌コーナーあるある … 治安が悪い立地だと女性ファッション誌が少ない
コンビニの雑誌コーナーあるある … 治安が悪い立地だと芸能界の裏情報が載った黒いデザインの単行本が多い
雨あるある … 傘を忘れてコンビニで買おうとするが意外と値段が高い
コンビニのアイスあるある…クリームブリュレみたいなやつの値段高い
給食あるある … 2か月に1回くらい攻めた献立が並ぶ
学校の石鹸あるある … 視聴覚室横にある手洗い場の石鹸はいつも干からびている
さんま御殿あるある … 指し棒の強度が心配になる
ジョイフルあるある … ドリンクバーのチケットが財布の奥から出てくる
数学のXあるある … 2通りの書き方があるので好きな人のXの書き方が気になる
チャーハンのレシピあるある … 火力が大事
田舎に移住してくる人あるある … 旦那が長髪
田舎に移住してくる人あるある … 妻が短髪
めざましじゃんけんあるある … 何の手を出したか報告してくれる
からあげあるある … 金賞を受賞している
審査員あるある…宮本亜門が座っている
テレビあるある … 国民全員サザンオールスターズとワンピースが好きだと思ってる
ラーメン屋の名前あるある … ~ちゃんラーメン
こだわりの強いラーメン屋の看板あるある … 黒背景に金文字
髪が薄い先生あるある … 髪が薄いことに触れてはいけない先生か髪に関する面白エピソードがある先生の2種類いる
日本テレビあるある … 有名芸能人XがCMの後に登場する
アキラ100%あるある … 椅子の上にタオルが用意されている
日本史の授業あるある … 安土桃山時代の授業終わるの早い
飴色玉ねぎをつくるときあるある … 飴色がどの色かわからない
中一の英語あるある … pardon?が流行する
さくらんぼ餅あるある … プラスチックの容器が跳ねて中身が飛び散る
無印良品あるある … 店員みたいな恰好の客がいる
古着屋さんあるある … どこからかお香の匂いがする
クラスあるある … 一人は小太りがいる
駅のベンチでお腹が空いた人あるある … 膝に置いたカバンの中でパンをちぎって食べる
料理研究家あるある … ちょい足しアレンジでピーナッツバターを使う
料理研究家あるある … ちょい足しレシピで海苔の佃煮を使う
エスカレーターあるある … アキレス腱を伸ばしている人がいる
エレベーターあるある … 一瞬、開と閉の見分けがつかなくなる
ほうれん草あるある … 茹でると小さくなる
ラーメン屋の店主の写真あるある…腕を組んでいる
テリーマンあるある … 引き分けが多い
テリーマンあるある … 靴紐が切れると誰かが死ぬ
エビの感想あるある … ぷりぷりしている
100均あるある … 野菜の皮むき器の種類が豊富
みちょぱあるある …よく肩を出している
マークシートあるある … 塗った濃さで大丈夫かどうか心配になる
M-1のトップバッターあるある … 審査員によってはトップバッターを考慮されて5点高くなる
車のCMあるある … 車内で楽器を演奏しながら海岸沿いを走る
個人営業店のPayPayあるある…見たことないくらい大きなタブレットでバーコードを読み取ってくれる
電車あるある…隣の座席に女子高生が座ってくると社会から認められているような気になる
洋服屋あるある…買おうとした服が現品限りだと言われる
細木数子のドレスの色あるある…紫色
地方出身の坂道グループの企画あるある…グーとパーで分かれるやつの正式名称で言い争う
タオルあるある…買ったばかりだと吸水性がない
道に落ちている軍手あるある…右手
ビーダルあるある…いあいぎり、いわくだき、かいりき、なみのりを覚えている
料理系ユーチューバーあるある…グルタミン酸とイノシン酸を掛け合わせる
バイきんぐ小峠英二あるある…なんて日だ!とあまり言わない
テレビ番組の応援席あるある…田中将大が座っている
ママさん芸能人のインスタあるある…ハワイアンな朝食を載せる
サバイバル漫画あるある…魚を生食してビタミンを摂取する
サバイバル漫画あるある…川沿いに拠点を構えて結局雨で流される
10年前の芸能人あるある…小さいおじさんを見た
10年前に芸人がよく話していたトークあるある…ホテルのシャワーの水圧のトーク
電車あるある…吊革に掴まらずに体幹で耐える人がいる
副担任あるある…自分の名前が覚えられていない気がする
電車にいる人あるある…大体ラインニュースを見ている
春あるある…視界の霞みの原因が黄砂か視力の低下かわからない
夏あるある…熊谷駅の様子がよく中継されている
秋あるある…毎年サンマが不漁
冬あるある…そんなに寒くないのに極厚ダウンジャケットを着たおばさんがいる
電車の広告あるある…脱毛、転職、英会話
教室あるある…落とした消しゴムがなかなか見つからない
教室あるある…掃除の時間に窓の外で黒板消しをぱんぱんするが室内に逆流する
うなぎ屋あるある…「う」が鰻になっている
じゃがりこあるある…自分が買うやつだけ折れたのが多い気がする
じゃんけんあるある…チョキで負ける率が高い気がする
すき家あるある…新メニューの味が容易に想像できる
カレーあるある…入れた隠し味の味が全然しない
戦国武将あるある…川の堤防を築いて民衆に支持されたエピソードを1つは持っている
高校1年生あるある…習いたての古文の単語を日常会話で使って友達から小さな笑いを取ろうとする人がいる
お祭りあるある…服になぜかソースが付いている
アコースティックギターあるある…サウンドホールの中にピックを落とす
ミスドのゴールデンチョコレートあるある…食べるとこぼれる
ベージュの色の服を着たおばさんあるある…遠目で見ると裸に見える
出席番号が13番の人あるある…13日の授業は少し緊張する
有吉ゼミのヒロミあるある…チャンネルを変えると何かを塗っている
バンドの紹介文あるある…哲学的な歌詞とハイトーンボイス
黒板用の大きなコンパスあるある…綺麗な円が描けない
冷凍たこ焼きあるある…どれだけ加熱しても冷たい
カラオケの履歴あるある…五木ひろしだけのページがある
あるあるあるある…先生をお母さんと呼んでしまうあるある
あずきバーあるある…固い
レジ袋有料化あるある…レジ袋を持って歩いていると環境の事を何も考えてないと思われそうで不安になる
飛行機あるある…窓際の席で翼が震えてるのを見ると不安になる
ゆず北川悠仁あるある…ライブ前半で観客への声掛けが多くて後半声枯れる
音楽あるある…好きなアーティストを聞かれてマイナーバンドを答えると変な雰囲気になる
英語ができる芸能人あるある…カタカナを流暢な英語の発音で喋って笑いを取る
大学生あるある…ウェイとあまり言わない
マックチキンナゲットあるある…5個は足りない
虹あるある…1人でいる時しか見ない
ジャニーズあるある…ジャニーズの人がジャニーさんの感動エピソードを話す前に必ずCMが入る
フードコートあるある…呼び出しベルの音が意外に大きくてびっくりする
Twitterあるある…トレンドの言葉を検索して診断メーカーのやつだった時画面をそっと閉じる
犯人あるある…瞳に映った景色で場所を特定する
自動販売機あるある…左上にコーラがある
遠足のときに先生が拡声器で言うことあるある…「帰るまでが遠足です」
暇な授業あるある…学校に銃を持った敵が攻めてきた時にどう逃げるかを考える
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kcpx72 · 3 years
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フラペチー僧
「…それが無欲という考え方です。煩悩や欲を捨てて生きることが仏教では大切とされています。何も難しく考える必要はありません、簡単なことなのです…」
説法を終えた。僧になってからというもの、説法の最後は決まって「無欲」の話をする。大学で仏教を学んでいた頃に研究していたテーマであり、参列者の反応も割と良いからだ。今年の盆も例年同様に忙しい。網戸の外は蝉時雨が降りしきっている。
「ありがとうございました」喪主の男がお布施を渡した。「今日も暑かったですね、このお盆の時期は大変でしょう」「そうですね、今年は特に暑いですね。どうか皆さんご体調を崩されないように」
「喉乾いてるでしょうから。どうぞ遠慮せずに召し上がってください」喪主の男が盆に乗せて飲み物を差し出した。「ああ、どうもわざわざ有難うございます」
「どうぞ、煎茶とゴディバの季節限定キャラメルフラペチーノです」喪主の男が言った。
くう〜〜〜〜〜、キャラメルフラペチーノが飲みたい。どうしても飲みたい。大の甘党男子なのだ。出家してからというもの、甘いものを食べることが出来るのは節分くらいのものだ。こんなことなら「無欲」の話などしなければ良かった。私の中の欲が爆発しそうだ。一体全体私を試しているのかこの家族は。喪主の男が私の反応を観察している。世間一般的に盆の後に僧が飲むものといえば煎茶と相場が決まっているのだ。ここでキャラメルフラペチーノなんかを飲んだら寺社界隈で御笑い草だ。喪主の男の視線が痛い。というか後ろに赤いランプが点いたビデオカメラがあるな。何だこいつらユーチューバーか?
「どうも有難うございます。では頂きます」私は煎茶に口を付けた。なんだこの飲み物は。ほとんどお湯じゃないか!何も味がしない!キャラメルフラペチーノを飲ませてくれ。滝修行や写経よりも己を試されている気がするぞ。お釈迦様よ、愚かな私をお許し下さい。
私は衣織を脱ぎ捨てた。「もう俗に帰りました、私は僧ではありません」キャラメルフラペチーノを手に取った。飲んだ。天にも昇るようだった。
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kcpx72 · 3 years
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リコーダーを舐める少年
好きな女の子のリコーダーを舐めるために夜の学校に潜入している。
1階の教室の窓から中へ潜入できた。掃除の時間、予め教室の窓を1箇所だけ開けておいたのだ。鼓動が早くなっているのは、潜入するスリルのせいなのか、ユリちゃんのせいなのかわからない。だれもいない真夜中の放課後は息が出来ないくらいに心臓が破裂しそうだ。
ぼくがユリちゃんを好きになったわけを説明しよう。それはズバリ成���優秀で茶道を習っていてショートカットでいい匂いで可愛いからである。
ユリちゃんのロッカーには図工や保健体育の教科書、朝読書の本が何冊か、絵の具セット、そしてお目当てのリコーダーが置いてあった。さすがぼくのユリちゃん。ロッカーの中が整理整頓されているしホコリ1つない!
さっそく立てかけてあるリコーダーを手に取った。「これがユリちゃんのリコーダー……」いちおう周りを見渡してだれもいないことを確かめた。茶色のケースから取り出してじっくりと観察した。まるで舐めまわすように観察した。これから本当にリコーダーを舐めまわすと想像すると鼓動が早くなる。吉田と刻印があった。間違いなくユリちゃんのリコーダーだ。ゆっくりと吹き口を自分の口元に近づけようとした瞬間、ある物が目に止まった。
「悪用禁止!裏ツール全集」ぼくは愕然とした。そして膝から崩れ落ちて天を仰いだ。おお神よ。まさか好きな人の朝読書の本が「悪用禁止!裏ツール全集」だなんて。思わず手に持っていたリコーダーを天に掲げて叫んだ「夢であってくれ!」
ぼくは意識朦朧となりながら本の中身を開いた。「ガチャガチャをお金を入れずに回す方法」「他人の家のWiFiを使うには」「偽造パスポート」「闇金融の見分け方」そっと本を閉じた。ぼくの可愛いユリちゃん……。あれは幻だったのか。夜の教室にユリちゃんの幻想が溶けて、泡になって消えた。
だれもいない教室で好きな人のことを想う。ひとり感傷に浸っていると、突然、SECOMが来た。「ぼく何やってんの?」そして連行された。
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kcpx72 · 4 years
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以蔵坂
弘歓5年3月。異国より持ち込まれた新型の病が街に蔓延しまして、江戸と京都、大坂では国を跨ぐ移動を制限する禁令が出されました。関所を通るのが大変難儀となり、街では病を防ぐために口元に面を付けることが義務とされました。平癒を祈る大仏を建立したり天皇が入れ替わったりしましたが、病は何年にも渡って収束しませんでした。
何年も面で口元を覆っていましたので、口元を見せる行為はだんだんと卑猥なものとされました。そして、その時代の男共は女の隠された口元をどうしても見たいと思うようになりました。
下山門という街で生まれた以蔵という男がいました。以蔵は茂みに隠れ、手に持った刀で往来する女の面を切りつけて、露わになった女の素顔を見ることを行うことで恐れられていましたが、ついに奉行所に捕えられました。そこで、以蔵が忍んでいた茂みの辺りを「以蔵坂」と言うようになったそうです。
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kcpx72 · 4 years
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漂流
目が覚めるとそこはタワレコでした。
大音量で流れる音楽がうつ伏せで倒れる彼の意識を呼び戻しました。ゆっくりと目を開きます。長い間気を失っていたせいでしょうか。彼の視界は霞んでいました。顔を擦ると砂粒がぱらぱらと落ちてきました。少し痛みを感じましたが、身体を起こして周りを見渡しました。彼は驚きました。気が付くとタワレコにいたのですから。
「ここは今宿の砂浜でなかったのか、なぜ私はタワレコに横たわっているのか」彼は目を疑い、もう一度おそるおそる周囲を確認しました。けれども、CDがぎゅうぎゅうに陳列されて、アルバムの手書きポップが目を惹くそれは紛うことなくタワレコでした。彼は自分の身に何が起こっているのか見当もつきませんでした。頭は痛みましたが記憶を少しずつ辿って考えました。
ロケット花火を海に向かって打ち上げています。高い音を鳴らしながら飛んでって上空で破裂しました。一気に午前3時が明るくなりました。続けてまた火を点けます。破裂しました。点火。破裂。点火。破裂。右手がライターの熱で溶けそうです。彼はライターと束になったロケット花火を砂浜の岩の上に置いて暗くなった波を眺めました。沈黙がうるさかったのでライターを思いっきり海へ投げつけました。街灯が人の影を映し出しました。「見てんじゃねえ」半分残った缶コーラを街灯に向かって投げつけて叫びました。飛沫になった炭酸水は、夏に溶けて、透明になりました。手の甲にも飛び散っていましたから舐め取りました。甘い。でも苦い。甘い。苦い。甘い。
彼は思い出しました。目が覚めるまで今宿の砂浜にいたはずだったのです。そこから記憶は途切れていました。そして気が付くと不思議なことにタワレコにいたのです。
彼は他に誰かいるかもしれないと思い、タワレコを歩き回りました。しかし、CDの棚をいくら通り過ぎてもCDの棚があるばかりでした。永遠にタワレコが続いているのです。「おーい誰かいないのか」といくら叫んでも店内のBGMにかき消されてしまいます。彼はぞっとしました。もしかしたら一生ここで過ごす羽目になるかもしれないと。
それから3日が経過しました。結局、彼は誰とも遭遇せず、永遠に続くタワレコの店内を彷徨うばかりでした。彼は鞄に入っていたミネラルウォーターと干し梅、果汁グミを食べて何とか3日生き長らえました。しかし、このまま時が過ぎれば必ず死んでしまいます。もう食べるものも飲み物もないのです。また、彼は孤独でした。タワレコのレジでさえ人の気配がないのです。彼はもう限界を迎えていました。
ふと彼の目から涙が零れました。嗚咽、極限状態、そして彼は死にたくないと思いました。それは生への願望でした。彼は気がつくと、持っていたライターで音楽雑誌を燃やしていました。タワレコの店内に大きな大きな火の柱です。ゴウゴウと音を立てて燃えています。そしてサカナクションのアルバムを焼いて食べました。同じサ行の棚からSHISHAMOのアルバムも抜き取り焼いて食べました。SHISHAMOの最新アルバムは塩焼きにしました。
店内のスピーカーからはOfficial髭男dismの曲が流れてまして愛だの恋だのを歌っております。「ここに愛なんてないんだよ」そう叫んで、彼は鞄の中からロケット花火を取り出しスピーカーに向けて発射しました。ロケット花火を発射、点火、破裂、点火、破裂。さすがのスピーカーも引火し、BGMの音がだんだんと静かになりました。そして完全に音楽は止まりました。ただ、ゴウゴウと炎の音が聞こえるばかりです。
店内は炎にのまれていきました。手書きポップもアイドルの等身大パネルも、雑誌も、CDも真っ赤に染まっています。彼はこのまま死にたくないと思いましたけれども、この状況で生きるのも難しいと思いました。最期に彼は歌を歌いました。ほとんど炎の音にかき消されていましたが、どうやら満足そうでした。
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kcpx72 · 4 years
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言葉の限界?
綺麗な虹が架かるのを見ると人々は写真を撮って「素敵な虹🌈 」だのと浮かれますが、傍から見ると当人が感じた美しさなどは全然伝わらないのです。
味わった感動を言葉や写真で伝えるナンセンスさ。寂しい限りですがやはり感情は自分自身にしかわかってもらえないものです。
感情を言葉にするという行為。自分の感覚を信じているからこそ、誤解を恐れて何も言えなくなります。感情が音を立てて崩れ落ちる気がしてたまらないのです。これが「何考えてるかわからない」と酷評される諸悪の根源でしょう。
私はこれまでの人生で綺麗な虹を4回見ました。小学校の校庭で2回、高校からの帰り道で1回、アルバイト先で1回です。そして昨日、夢の中で虹を見ました。一番大きくて綺麗な虹でした。
虹が龍になって空を駆けるという夢でした。龍の背中に乗って見る景色は凄かったなぁ。
今から書く文章で、見た虹の素晴らしさは伝わらないでしょう。ましてや夢の映像です。しかしどうしても伝えたいこの思い…。どうすればいいのかと悩んだ挙句、テレパシーで伝えます。むむむ。
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kcpx72 · 4 years
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仙人
高坂は仙人と名乗る父から仙人として育てられました。高坂は15歳です。中学3年生です。高坂は仙人だと言い聞かせられて育ってきましたから、友達にも僕は仙人だと言いふらしました。しかし今は神話の世界でも平安時代でもなく、21世紀。令和の時代なのです。自分が仙人と言い張ったところで誰も信じる人はいませんでした。
「おい高坂!仙人だと言うんならそこから飛び降りてみろよ」友達が教室の窓を指さして言いました。3階ですので10メートルほどの高さがあります。しかし高坂は自分のことを仙人だと信じていましたから躊躇せずに飛び降りました。教室の窓に友達が駆け寄り、おそるおそる心配そうに高坂の様子を確認しました。しかし高坂は怪我ひとつありませんでした。元々体育の成績がよく、運良く芝生の上に着地したからでしょうか。
高坂が無事だとわかった友達は「おい高坂!そこから教室までジャンブして来いよ!」と言いました。その友達は別の友達と高坂を見て笑っています。突然のことでした。急に高坂の体がゆっくりと持ち上がるようにして、足先から宙に浮いたのです。そのまま垂直に体がゆっくりと静かに浮かび上がってきます。長い時間をかけてついに教室の窓の前まで来ました。「だから僕は仙人なんだって」高坂は友達に言いました。高坂は本当に仙人だったのです。そうしてそのまま高坂は天に昇って��きました。
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kcpx72 · 4 years
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江戸の腐れ学生
むかしむかしあるところに権兵衛という名の若者がおりました。権兵衛は筑前国福岡の町人の生まれで、幼少の頃より天童と呼ばれて周りから将来を期待されていました。しかし権兵衛は成長するにつれて、だんだんとゆるゆるな小僧になっていきました。
今日も権兵衛は山に芝刈りにも行かず、川へ洗濯にも行かず、ただ家でダラダラと鹿を解体するYouTubeの動画を観ています。
「すげぇなぁ。鹿の解体すげぇなぁ」
権兵衛はこれからの人生で鹿を解体することなんてないくせに鹿の解体動画を観ています。上方のとある朱子学者は「時間は有限の資源である」と言いました。権兵衛のような暇な学生が持つ人生における資源は時間だけにも関わらず、その時間を浪費しているのです。なんと愚かな権兵衛だこと。まるで時間を城のお堀に捨てているようなものです。石見で銀の採掘よりも魚釣りを奨励する殿様がどこにいるというのでしょう、いやいません。限りある時間で論語や孫子、古事記、万葉集などを読み、見識を深めるべきではないのでしょうか。
あらら権兵衛はTwitterを開きました。大奥のゴシップ記事やブラックな藩でご奉公する下級武士の嘆きを見てニヤついています。しかしなぜ他人が気になるのでしょう。他人を見る前に自分のことを考え改めるべきでないのでしょうか。
おっとっと権兵衛はインスタも開きました。寺子屋の先生を盗撮し、親しい友達限定のストーリーズに載せているではありませんか。しかしいくら親しい友達だからといって、先生の肖像を勝手に載せていい訳ではありません。人は誰しも肖像権というものを持っており、この権利は保護されるのです。肖像権の条文は武家諸法度にも載っています。権兵衛自身のせいなのか、それとも時代のせいなのか。権兵衛は一度宇喜多秀家公のように島流しされて、そのゆるゆるな考え方を改めた方がいいのではないのでしょうか。
いつまでご公儀様の世が続くかはわかりませんが、300年後のこの国に、このようなゆるゆるな学生が居ないことをただただ望むばかりです。
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kcpx72 · 4 years
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珈琲とニュースと
朝はいつも珈琲を飲む。珈琲はとても美味しい。元気で満たされる気がする。どんなに忙しい朝でも欠かさずに飲む(カフェイン中毒者だからという理由もある)。そしてスマホを開き、ネットニュースに目を通す。
【国内】
■青森県で初感染 不要不急の外出を避けるよう要請
■大手うどんチェーン店倒産
■俳優の譜川やすゆきさん死去
■鳥取おさるパークのたまごくん1日園長へ
■千葉県で震度4を観測
緊迫したニュースに挟み込まれて、なんだか肩身の狭そうな気の抜けたニュース。鳥取におさるパークがあることも知らなかったし、たまごくんというネーミングセンスも個性が溢れている。拝啓たまごくん。是非会いに行きたい。
路上あがりのとある大物ミュージシャンは「緊張と良いお付き合いを」と言っていたし、とある大物お笑い芸人は「笑いとは緊張と緩和」だと言っていた。
ここのところ忙しくて、心身ともに疲れていたが、こんなときこそ一杯の珈琲を飲むのだ。色々落ち着いたらおさるパークにも行きたいなぁ。
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kcpx72 · 4 years
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満月マラソンのボーカルがパンクに暮らしていた話
むかしむかし、満月マラソンというパンクバンドがいた。そのボーカルの西永という男は福岡県の姪浜という街に住んでいた。いつか日本武道館を満員にするということだけを願い、いかなるときもパンクの精神で暮らしていた。パンク誕生の地、アメリカの方角に足を向けて寝ることもせず、パンクとはこれ如何にを絶えず考えていた。パンクに背くような行動(お花に水をやる、お年寄りに席を譲る、電車で移動する)もしなかったし、用があって天神に向かう時も、常に鎖を振り回して歩いた。西永はいつも口癖のように言った。「木が倒れる時は必ず傾いている方向に倒れるじゃん?俺らも同じじゃん?いつも精神をパンクに傾けていれば必ず武道館で演奏できるじゃん?」数年後、満月マラソンはその通り日本武道館を超満員にした。演奏の後、西永はステージでパンクに死んだ。
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kcpx72 · 4 years
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旅行記②
朝7時に起きて身支度を整え、京都のホテルから出発した。少し雨が降っていた。そして、ずっと行きたかった喫茶店へと向かった。いつも京都旅行の際に立ち寄っていたが、常に席が埋まっていたので、泣きながら渋々帰っていた喫茶店である。時間を確認せずに店前まで来たが開店準備中だった。開店まで20分ほどあったので、ゼスト御池の地下で「ノルウェイの森」の続きを読んで開店まで待った。楽しい旅行中だというのに物語の中では���に2人も死んだ。近くに座っていたおじさんはスポーツ新聞を読んでいた。8時になったので地上に出て、商店街にある喫茶店に再度向かった。既に「スマート珈琲店」には3組のお客さんが座っていた。スマート珈琲店は昭和7年創業だという。レトロな雰囲気の落ち着いた喫茶店であった。私は珈琲とタマゴサンドウィッチを注文した。商品が届く間、今日の予定のことを考えた。今日は12時30分から京都祇園花月で漫才と新喜劇を観ることになっている。それまでの間、どのように行動するか悩んだ。悩んだ末に南禅寺と真如堂に行くことに決めた。真如堂は初めて訪れる。南禅寺はこれまでに3度訪れている。京都で最も気に入ってる場所であった。10分ほど経って珈琲とタマゴサンドウィッチが運ばれてきた。濃い珈琲を啜り、サンドウィッチを食べた。今日も朝が始まってゆく。厚焼き玉子は京風の味付けでとても美味しかった。
南禅寺に到着すると、まだ小雨が降っていた。早朝で雨が降っていたせいか、観光客はまだ少なかった。正門を進み、三門を抜けると、本堂が見えてきた。雨が良く似合うお寺だと思った。本堂を参拝して南禅寺の境内にある水路閣に向かった。水路閣には観光客が一人もいなかった。水路閣の濡れたレンガにスマホを置き、セルフタイマーでこっそりと自撮りをした。
バスに揺られて真如堂の近くのバス停で下車した。真如堂(真正極楽寺)は山の上にあるので、少しばかり登山をしなければならない。しかし足が痛い!完全に靴のチョイスを間違えた!今履いているのはHANAO SHOESという靴である。名前の通りにスニーカーに鼻緒が付いた、ちょっと変わった靴である。旅行に出発する前は、京都発のブランドの靴を履いて、京都の街を歩くことが粋であると思った。しかし、この靴はデザインは抜群に良いのだが、機能面が最悪であった。薄い靴底でサイズが大きい(これは自分のミスである)、さらに鼻緒のせいで靴紐が結びにくいという欠点があった。特に靴底が薄いのは、旅において致命的な欠点であった。もはや靴底のクッション性は皆無であり、アスファルトを踏んで歩いているような新感覚を味わえる。そのせいで、足の裏に疲労が溜まり、もはや指の感覚はない。足の裏の疲労は、ふくらはぎに伝わり、膝をいじめて、太ももを破壊し、お腹は空き、常用漢字を忘れ、スマホ中毒者を生んだ。要約すると、とにかく足が痛いのである。
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kcpx72 · 4 years
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旅行記①
自宅の最寄り駅から始発の次便に乗り、博多駅に向かった。外はまだ暗い。地下鉄から乗り換えて博多駅から岡山駅を目指した。移動中は「ノルウェイの森(下)」を読んで時間を潰した。途中で電車内から人の姿が消えたので、甘栗を食べた。岡山駅に到着して後楽園口を抜け、外に出て、空を見上げると晴天だった。さすが晴れの国おかやま。岡山の空はいつも広く感じる。高い建物が少ないせいだろうか。しかし、岡山より高い建物が少ない地元よりも空が広い気がするので不思議である。突き抜けるような青空を背景に、駅前の桃太郎像の写真を撮った。
岡山から神戸に向かった。相生駅で乗り換えた。正月明けの土曜日ということもあって、電車内はスーツケースを持った多くの人で混雑していた。運良く座れたので、本を読みながら揺られていた。どうして「ノルウェイの森」の食事の描写はあんなに素敵なんだろう。特にサンドウィッチは瑞々しくていつも美味しそうだ。私は明日の朝食をサンドウィッチに決めた。
三宮に到着した。思ったような神戸の雰囲気ではなかった。ステッキを持った老紳士や高価なドレスに身を包む婦人がお茶をする神戸の風景を想像していたが、その姿はどこにもなかった。駅前は天神・新天町のようにアーケードが広がっていた。大通りを抜けて北野坂を登り異人館を目指した。晴れた日に散策するのは気持ちがいい。坂の途中に洋館のような外見のスタバがあった。急な石段を登った先には広場があり、手品師や似顔絵書き、路上ミュージシャンと多くの観光客で賑わっていた。なんたらかんたらという名の外国人が住んでいた洋館を一通り見学して、坂を下り、中華街を抜け、三宮の駅に戻ってきた。
次は神戸から奈良に向かう。阿修羅像を見るためだ。神戸・奈良間は1時間半ほどある。その間は音楽を聴きながらずっと本を読んでいた。旅の醍醐味は自分の好きな物(音楽・読書・日本史など)を一度に味わえることだと思う。長い移動だったが決して退屈ではなかった。奈良駅に着くと、まず元興寺に向かった。小さな寺だったが、よく管理されていて綺麗だった。そして興福寺を目指して歩いた。池を曲がり、坂を登って興福寺の境内に辿り着いた。やけに坂を登る旅程だったので、足が痛くなってきた。境内には三重塔があった。ただ寺があるだけかと思いこんでいたので驚いた。辺りに鹿がいた。以前、YouTubeで鹿を解体する動画ばかりを見ていた時期があり、そのことが頭に浮かんだ。興福寺の宝物館に入場した。高校の日本史の資料集に記載されていた仏像が多く展示されていて、天燈鬼・竜灯鬼像や興福寺仏頭などを見学した。興福寺仏頭は想像の2倍も大きかった。そして、阿修羅像を見学した。阿修羅像を正面や斜めからみる機会は中々ないのでしっかりと目に焼き付けた。そして阿修羅像に関する1つの発見もできた。仏閣を巡った後に銭湯へと向かった。旅行前の調査により、奈良には素敵なレトロ銭湯があることが判明したからだ。しかし、銭湯の様子を窓越しに見ると地元のおじさんやおばさんが楽しそうに歓談しており、その地域ネットワークの隙間に入り込む余地は1ミリもなかったので残念ながら銭湯を後にした。窓から銭湯の様子を盗み見て顔をしかめる金髪男性というヤバい光景ではあったが、通報されなくてよかった。そして京都に向かった。
京都は何度も訪れていたので地図は何となく頭に入っている。東福寺駅から祇園四条駅に到着した。お腹が空いたので炒飯と餃子を食べた。食事が済んだ後、前日に「夜は短し歩けよ乙女」が放送されていたので、先斗町界隈を歩いた。「夜は短し歩けよ乙女」は好きな小説の1つで、黒髪の乙女に恋心を抱く大学の先輩が、彼女の外堀を埋めるために先斗町や夏の古本まつり、大学祭で奮闘する話である。この小説でお酒をたらふく飲んでいた黒髪の乙女のことを考えると自分もお酒を飲みたくなったので、近くのコンビニでお酒を買って鴨川で飲んだ。寒い夜の鴨川沿いは多くの公然猥褻カップルで溢れかえっていた。そして京都のホテルに泊まった。
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kcpx72 · 4 years
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マルチ商法と月と風
年に2度ほど、1人で学食を食べたくなる。今日がその日であった。食堂が混む昼休みを避け、3限が始まる時間に大学から少し離れた「交差食堂」に到着した。半年前まではカツ丼しか頼まなかったが、最近は日替わり定食を頼むことにしている。カツ丼が似合うのは高校生までだ。大人の男性は日替わり定食をスマートに頼むのだ。「本日のAランチ」はチキン南蛮定食で、「本日のBランチ」は酢豚であった。私はチキン南蛮定食を選び、窓に近いテーブル席の端に座った。シラカシの木が風で揺れて、テーブル上の陰影をゆっくりと変化させる。よく晴れた穏やかな午後。昼のピークは過ぎたものの食堂は未だ大勢の人で混雑していた。
チキン南蛮を一口食べてみた。薄い衣を纏った鶏肉を齧った。その感覚で右脳は痺れた。味覚を司る脳の小さな兵隊が奏でるマーチ。それは存在の概念すら放棄していた。影は影を伸ばし、夕焼けは時代を映す。チキン南蛮は宮崎発祥と言うが、私の目に浮かんだのは、青春時代を過ごした宮崎・延岡の風景であった。街道に出る一本の小路を記憶で辿ると、鶯が鳴き、鵯が鳴き、畑の大根の葉が揺れているが、懐かしさというよりは寂しさを思い出させる。いつもそうだ。薄くなった月は冷え冷えとした私の心だ。チキン南蛮は美味であった。タルタルソースとも相俟って、絶品であった。
「ああ美味しいな〜幸せだな〜この味のままニワトリが生まれてくれればいいのにな〜」
私は美味しいチキン南蛮を食べて幸せであった。この時までは。そう、この時までは。
「…お友達を紹介して頂けると5万円の紹介料が…そうです。…ビジネスモデルは…1年で150%…タワマン…自分を変え…」
おっととととと、食堂の隣のテーブルからやばい会話が聞こえてきた。私は怪しい説明をする淡いグレーのスーツ姿の若者と、熱心に話に耳を傾ける大学生を凝視した。これは、マルチ商法ではないのか。投資の経験や知識がなく、資金もない大学生にリスクのある取引や投資をさせることはけしからん!私の中の強い正義感が叫んでいる。早くあの大学生を助けなければ!
「じゃあお手洗いに行ってくるから、考えててね」スーツ姿の若者が席を立った。私は急いで大学生の元に駆け寄った。助けなければ。私の中の強い正義感が燃えている。「それはマルチ商法である!簡単な儲け話などないのだ!」私は力説した。「うるせえ、お前に何がわかるんだよ、引っ込んでろ」と大学生は叫び、私は拳で殴られた。
正義の押し売りは時に望まない争いを生む。歴史も語っているではないか。私は席に戻った。そして昼食の続きを再開した。
私は大根の煮物を一口食べてみた。味の染み込んだ大根は懐かしい味がした。祖母の味だ。幼少の頃に祖母が語った「田の水面に映る月の話」を思い出した。風が吹き、波が経つ度に消えそうになる静かな月。いつも泣きたい時に涙は出ない。あの日の寂しい夏の匂いが鼻についたが、記憶を泳ぐだけで感情は言葉に追いついては来ない。味がよく染み込んでいる大根だ。濃くなるが、乾いてはいない衝動。遠い遠い宇宙をイメージした。ここには宇宙があり、それだけで落ち着くのだ。大根の煮物は絶品であった。
「ああ美味しいな〜この味のまま畑から生えてくれればいいのにな〜」
私は美味しい大根の煮物を食べて幸せであった。この時までは。そう、この時までは。
「お布施…壺…一人一人の心の中に…ほほえみ信仰会は…笑顔を世界中に…タワマン…20万円…」
おやおやおやおや、食堂の隣のテーブルから怪しい会話が聞こえてきた。私は説明をする張り付いた笑顔の中年男性と、熱心に話に耳を傾ける大学生を凝視した。壺を買わせようとしているが、怪しい新興宗教ではないのか。ほほえみ信仰会など聞いたことがない。怪しい。盗み聞きした会話によると、大学生はギャンブルまみれで借金まみれ。おまけに恋人から3股されてたそうではないか。沈んだ心につけ込んで、洗脳することは許せん!私の中の強い正義感が叫んでいる。早くあの大学生を助けなければ!
「ちょっと電話が…」中年男性が席を立った。私は急いで大学生の元に駆け寄った。助けなければ。私の中の強い正義感が燃えている。「その宗教は怪しい!!目を覚ますのだ!」私は力説した。「うるせえ、お前に何がわかるんだよ、引っ込んでろ」と大学生は叫び、私は拳で殴られた。
争いは正義と正義のぶつかり合いである。正義を振りかざすことは時に望まない争いを生む。歴史も語っているではないか。私は��に戻った。そして昼食の続きを再開した。
あと味噌汁と漬物が残っている。
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kcpx72 · 4 years
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ふくおかほんわかぱっぱ冬まつり①
ついに、今日「ふくおかほんわかぱっぱ冬まつり」が開催される。「��くおかほんわかぱっぱ冬まつり」とは、警固公園で毎年12月20日に開催される冬祭りの一つである。冬の日が暮れると、狭い通りの両側に露店がひしめき、クリスマスのイルミネーションと相俟って、公園全体が底から金色に輝く。露店の焼きそばやお好み焼き、ベビーカステラ、タピオカミルクティー、博多すとろべり〜饅頭の匂いが天神のショッピングビル街に漂い、それに釣られて人が動く。
この祭りは、カップルにとっては聖なるクリスマスの前夜祭であり、屋台のおじさんにとってはクリスマス・年末前の聖なる小銭稼ぎであった。そして、私にとっても、勝負の日であった。
私は奇術師である。先代から受け継いだハットを深くかぶり、コーヒーの染みが付いた紅いマントが正装の大奇術師である。警固公園で毎日のように奇術の技を鍛錬している。そんな私に「ふくおかほんわかぱっぱ冬まつり」のメインステージで奇術を披露してくれないかと依頼があったのだ。
依頼者は警固公園の管理人さんである。彼は警固公園の地下に7年の歳月を費やし自ら違法建築した城に住んでいる。各層が朱色、群青色、白色で塗られた3層の立派な天守である。この城は、地下できらめき通りとパルコ新館、福岡市役所と非合法的に繋がっているらしい。誰が攻めてくる訳でもないのに虎口には1000丁のゲベール銃が設置されている。籠城するとしても、管理人1人である。大量の銃で一体どう戦うつもりなのであろう。奇術師仲間曰く、彼は福岡藩主黒田氏の末裔の末裔の末裔だという。
彼はカップルに対して憎しみを抱いている。52年間、恋人ができなかったからであり、それは八つ当たりであった。大画面の前で待ち合わせるカップルに向かって「維新だ!」と叫び、手裏剣を投げ、大砲を撃ち、奉行所の御用となった過去もあるらしい。「何故恋人が出来ぬのか」そう嘆く彼の背中には切なさがむんむんと漂う。しかし、元服してからの約40年間、陣羽織に身を包み、模造刀を腰に指しているちょんまげ姿の男に恋心を抱く人がどこにいようか、いやいない。「幼少の頃に見かけていた近所の変わり者に自分がなってしまった」と彼は言う。皆も彼を変わり者だと言う。
彼はクリスマスイルミネーションの傍のベンチでうっとりしているカップルの横をわざと陣取り、奇術を披露していた私を見て、「維新の志を共にするものよ!」と叫んだ。「いきなり何ですか」私は言った。「聖なる夜を前にして、不貞を働く恋人同士が増えておる。漂う甘いムードを断ち切り、殺伐とした公園を目指すのだ。私はそれを維新と呼ぶ」と彼は説明したが、なんのこっちゃわからなかった。しかも、時代は令和だというのに陣羽織に刀を指している。説得力がまるでない。西南戦争の残党かと私は思い、「西南戦争 生き残り 警固公園」で検索したが徒労に終わった。彼は続けて言った。「再来週に冬祭りが開催されることはご存知であろう。是非お主に出演して欲しいのだ。その奇術で漂う聖なるムードをぶち壊してもらいたい。」奇妙な風貌の男に懇願された。なんとも言えない凄みが漂っている。「よし、わかった」私は了承した。奇術師は日陰に追いやられる存在である。奇術師復興の為、ステージに出演することに決めた。奇妙な利害関係が一致した。「ちなみに、出番は西南学院大学ミスコンファッションショーの後である」刀を抜き差ししながら彼は呟いた。
私の十八番奇術は鳩を出すことである。おいおい手品とどこが違うねん。と思われる読者諸君も多くいるだろう。しかし、私がハットから出現させる鳩は哲学をする。手品師どもが出す鳩は、今にも死にそうで遊んでばかりいる駄目駄目な鳩ぽっぽである。一方、私の鳩は西田幾多郎全集を暗唱し、豆の代わりにカントの思想を食べる。ハットから現れた直後から、存在について思想を巡らし、世界とは何ぞやを常に問う。今日は、夢見るエグザイル風路上ミュージシャンが歌う「チューチュートレイン」の歌詞の解釈について、若者に鳩語で説法をしていた。
そんな風に奇術を鍛錬していると、必ず警察が来る。必ず誰かが通報するのだ。私はそんなに怪しいのだろうか。まあちょっとは怪しいかもしれんが、通報するほど怪しいだろうか。ただ鳩を出してるだけではないか。不幸なことに警固公園内には交番があり、通報を受けると迅速に対応されてしまう。さすがは日本の警察。仕事が早い。先週、奇術師仲間との飲み会がサイゼであったが、全部で7個ある奇術師あるあるのうちの1つらしい。「奇術師通報されがち」
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kcpx72 · 5 years
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カレー③
野菜売り場の奥でパクチーを見つけた。彼はラディッシュやエシャロット、ペコロスといった自己主張の激しいサブカル野菜の仲間たちに囲まれて、負けじと自己アピールを行っていた。彼のプロフィールは「福岡県産 198円」だった。人生で初めてパクチーを買う。今日はパクチー記念日だ。記念に陳列されているパクチーを撮影した。その写真をツイートをしようとしたが、面白くなさそうだったのでやめた。そして、レジに並んだ。
レジ付近の乾電池コーナーをまじまじと眺めていると、突然、何者かが行列に割り込んできた。一体全体、そんな悪いことをするやつはどんな顔をしているのだろう。曲がりなりにも私は法学部である。この被疑者をなにかしらの法で裁けないものかと、頭の中でポケット六法を想像した。善意の第三者であるレジの店員さんに目線で助けを呼ぶも無視されてしまった。被告の顔をこっそり見てみると、ぜんざいパーティを開催していたマダムの一人であることに気がついた。
ぜんざいを食べながら大声で会話をしていたので、マダムの名前や家族構成、持病まで私の耳に入っていた。このマダムは「日本三大マダムがよくする話題」の一つである、「健康」を主なトークテーマとしていた。残りの二つは「年金」と「今日のヒルナンデス」である。割り込み健康マダムはペットボトルのお茶を二本手に持っていた。ぜんざいを食べて喉が乾いたのだろうか。少しイラっときたが、ここで声を荒らげてはいけない。今から作るカレーに邪心が入ってしまう。カレーを作る際は心を無にしなければいけないのだ。インドカレー作りの巨匠もどこかで言っていたような気がする。
そして、割り込み健康紫カーディガンマダムの後に続いてレジで会計を済ませ、無事にパクチーを購入した。
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kcpx72 · 5 years
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カレー②
 スーパーマーケットに到着した。狭い駐輪場だったが、無理やり押し込んで華麗に自転車を停めた。そして、二重に鍵を掛けた。このスーパーマーケットに駐車するときは、いつもより念入りに施錠をする必要がある。というのも、以前、中学生が万引きで大量検挙されたのが、このスーパーマーケットであるからだ。田園風景が広がる平和な街に、突如として現れる危険なエリア。治安が悪い。もしも、自転車を盗まれた挙句、パクチー片手に徒歩で帰宅する様を同級生に見られでもしたら、恥ずかしさのあまりもう二度とこの地域に住むことはできないだろう。だからこそ、念入りに施錠をするのだ。余談だが、この付近で毎年開催される花火大会の日は、特に治安が悪くなるので注意である。花火大会の日にスーパーマーケットに用がある人は、敵に腹を刺されるかもしれないので、防御のために週刊少年ジャンプを上着の下に忍ばせておくことを強く勧めておく。
 恐る恐る周囲を確認してみたが、お年寄りばかりでヤンキーらしい若者はいなかった。今日は運よく治安がいい日のようだ。私は安心して店内に入った。自動ドアを抜けると、左側にイートインスペースが設置されているのに気が付いた。前に訪れていた時は設置されていなかったはずだ。お年寄りの集団が大きなテーブルを囲んで、大音量で密談をしながら一斉に何かを食べていた。甘い匂いが漂ってきた。ぜんざいである。よく見ると、イートインスペースでぜんざいの販売を行っていた。大きなテーブルを囲んでの食事会の様子は、まるでレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「最後の晩餐」のようであった。いや、「最期の晩餐」かもしれない。今にも死にそうなお年寄りの集団である。ぜんざいが最期の食事かもしれない。
その様子をじっと眺めていると、カラカラに乾いた蟹の死骸が公共の場で騒ぎ立てているようにも見えて、自分が少し嫌になった。
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kcpx72 · 5 years
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カレー①
 最近、スパイスからカレーを作る研究を行っている。カレーは、玉ねぎ・トマト・スパイス・具材・隠し味を組み合わせて調理する。この調理はすべて目分量。二度と同じ味のカレーを作ることは不可能である。昨日の超最高傑作「ジンジャー・ポークカレー」も偶然の産物であった。
私と同じように、あのアイザック・ニュートンも偶然の産物的に頭上から林檎が落下して、偉大な万有引力の法則を発見できたという。しかし、ニュートンは常日頃から物理学の基本現象について休まず考えていたからこそ、林檎をきっかけとして法則を発見できたのである。私の脳内を占めるカレーの割合はせいぜい4%であり、ニュートンの脳内を占める物理学の割合75%には到底及ばない。また、カレーは具材とスパイスを鍋に適当に入れさえすれば、それなりの味になる。物理の厚いテキストを飴色になるまで炒め、適当に煮込んでも万有引力は発見できないから大違いだ。もしも、ニュートンが甦り、令和にタイムスリップしたら、私が監修して「ニュートンの林檎カレー(レトルト食品)」を発売させよう。ヒルナンデスあたりが食いついてきてヒットするに違いない。レトルトの工場も目分量で商品の味がそれぞれ違うことになりそうだが。
 さて、今日も私はカレーを作っていた。メダルを夢見るオリンピアンが昨日の自分を越えようと日々鍛錬するように、私も昨日のカレーを越えようと修行していた。しかし、昨日のカレーを越えるためには一つ食材が足りないことに気が付いた。パクチーである。あの香りがどうしても必要であった。私は急いで冷蔵庫を開けてパクチーを探した。しかし、ここはエスニック料理屋でなければ、MOCO’Sキッチンのスタジオでもない。一般家庭の冷蔵庫にセリ科の一年草なんてものはストックされていないのだ。そこで、仕方なく、近くのスーパーマーケットに買い物に出掛けることにした。
 最短距離ではなく、わざと裏道からスーパーマーケットへと向かうことにした。暇な日は遠回りするに限る。郵便局の角を曲がり、田んぼ道を進んだ。稲穂のにおいがした。よく晴れた空、カラカラに乾いた蟹の死骸を避けながらゆっくりと自転車を漕いだ。田んぼを越えた先の神社の森では、10月だというのに蝉が鳴いていた。私は少し混乱した。今は秋ではなかったのか。暑ければ夏、寒ければ冬。簡単である。しかし、夏と秋の線引きはどうすればいいのか。そんなことを考えながら、蟹の死骸を避けて自転車を漕いでいた。
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