サンプル3
R-18文章のため、別リンクへワンクッション
未成年の方はご遠慮ください。 原文は二次創作ですが、サンプルとしてお読みいただけるようキャラクタ―の名前を適当なものに変更しております。
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サンプル2
ハンデッドアンセム二次創作(CPあり/雷ノラ)
目が覚めたとき、世界がやけに静かだった。まだ、朝が早いのだ。
普段ならぐっすりと眠っているだろう時間帯である。ノラは瞬きをした。何故かやけにぱっちりと目が覚めてしまっている。
窓の外は薄暗い。スマホの画面を確認すると、太陽が顔を出し始めるくらいの時間だった。さすがに起きだす気にはなれず。そのままぼんやりとする。窓の外の道を、名も知らぬ人がランニングする音が聞こえた。早朝の世界はそれくらい静かだった。
ベッドの上で丸まったまま、ノラはもう一度ぱちくりと瞬きをして、今度は隣に寝ている男の横顔を見た。
仰向けにすやすやと眠る雷我からはいつもの精悍さが鳴りを潜めている。大体、眉間の皴がなければ「美人」の部類の顔立ちだ。それが世間にもバレてきているのか、最近モデルのような仕事が入ってくるのだとぼやいていたことを思い出す。もちろんDAAは宣伝になるなら仕事を選ばない。小奇麗なフォーマルに身を包んで雑誌の片隅を飾っているのを笑ってやったものだ。
こてん、と雷我がこちらへ寝返りを打ってきた。新生活に購入したダブルベッドは男二人が並んで寝ても十分な広さがあり、少し向きを変えるくらいでは相手にぶつからない。
こちらへ転がってきた雷我はやっぱりぐっすりと寝ている。無駄に長い睫毛がすぐ目の前にある。その無垢な表情や上下する肩を見て、ノラは胸が満たされるのを感じた。
世界が穏やかで鳥の鳴く声が瑞々しいこととか、羽毛布団のなかのぬくもりとか、好きな人が隣に寝ていることとか。
そういうことがいつの間にか「当たり前」になっていて、何か特別なことをしなくても手に入る。
だって、雷我とノラは現在同居していて、お互い仕事や学業でバタバタしている日が多いとはいえ、毎日同じベッドで眠るのだ。目が覚めれば、必ずこの光景がある。
もしかしたら、それは随分と贅沢なことなのかもしれない。
ノラはそっと手を伸ばし、目の前に投げ出された雷我の掌をなぞった。デッドした左手。少しひやりとしている。でも骨ばっている長い指はいつもの雷我のもので。その輪郭を確かめるように指先で辿る。
(後略)
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サンプル1
ワールドエンドヒーローズ二次創作(CPなし)
(前略)
翌朝のことである。
合宿所に宿泊していた光希は朝早く目が覚めたので、散歩をすることにした。
朝の風は、ツユクサの匂いがする。
ツユクサは夏の花だ。青くて、小さい。山道などに良く自生している。とても小さいので、ツユクサの匂いなど誰も知らない。光希も、知らない。けれど、なぜかそう感じた。朝の風が、少し涼やかだからかもしれない。
合宿所前のグラウンドに、風はふわりと、光希を招く。そこでは、よく知る人影が二人、顔を突き合わせて何かを話してい���。
慎と、愛教学園のヒーローである北村倫理である。
「二人とも、おはよう」
「あ、……おはよう、光希くん」
「ありゃま、おはよ」
慎と倫理は同い年であるし、仲は比較的良いが、こんな朝からグラウンドで二人きりとなると少々珍しい。
「二人で訓練?」
と訊ねれば、二人は顔を見合わせた。
「まさかー認可校様とそんなそんな。ボクはただの通りすがりさ。ねえ?」
「う、うん、そう、かな……」
曖昧に頷いた慎はボトルとタオルを持つと、「走り込みから戻ったところなんだ。そこでたまたま倫理くんと会って」と微笑んだ。
光希はすこし首をひねった。なんだか、慎の様子がおかしい気がする。
「慎くん、何かあった?」
「え、何にもないよ。どうして?」
「ううん……」
どうして、と問われると困ってしまう。本当に、なんとなくなのだ。光希が答えを探しあぐねていると、「そんなことよりさ、」と倫理が割り込んだ。
「もうすぐ朝食の時間だよ、お二人サン。今日は佐海ちゃんが作ってくれるんだよね。いったいどんな豪勢な朝ごはんが出るんだろうね? ボクはあれがいいな、ホテルバイキング!」
「さすがにバイキングは……あ、でも本当にもう時間だね。急いで着替えないと。ごめんね、光希くん。またあとで」
「うん、またね」
その笑みがやはりどこかぎこちなかったけれど、光希は何も言えなかった。
(後略)
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