Tumgik
bnb-special · 4 years
Text
Vol.01【2020SS】風を感じる春夏。
ーー明けましておめでとうございます。
辻 遅いやろ(笑)。
ーー今年初めての更新なので一応(笑)。
辻 展示会の準備とか東京店の引っ越しとかでバタバタしてて、なかなか公開トークができなくてすみません。3月のどこかではやりたいと思ってますので、もう少々、お待ちください。
ーーそんな中、春物がどんどんデリバリーされてますね。
德田 されてますよ~。店がどんどん華やかになっていく感じは、やっぱり春ならではよね。
辻 そうですね。春物の革とかはなかなか好評で、もう結構動いてますよ。
ーー革と言えば、新しいデザインのジャケットが今シーズンはありますね。
德田 『スカイジャケット』でしょ。久しぶりに革でデコラティブなデザインをしたよね。
Tumblr media
辻 とことんデザインしました。左右非対称の。もともとインスピレーションを受けたのが凄く無骨なモーターサイクルジャケットだったんですけど、それをファニーにしたというか、洗練させたというか。
德田 パッと見た瞬間に「あ、カッコいい!」ってなるデザイン。そういう強さのある革ジャンって久しぶりに作った。
ーー『アランジャケット』とは対照的ですもんね。
德田 『アランジャケット』は静かに革の魅力を引き出してたけど、『スカイジャケット』にはディテールが多いっていうカッコ良さがある。
Tumblr media
ーー確かにディテールが多いですね。
德田 ベルトもあって、ちっちゃいポケットもあってさ。フロントの折り返しもピタッと折れるわけじゃないから、ボタンを留めても立体的になる。なんかこう、ファッションしてる! って感じがあるよね。
辻 あるある。街で着てたら目立つやろしね。
Tumblr media
ーーグリーンはもちろんなんですけど、黒もなんか雰囲気ありますよね。
辻 革と縫製糸の色が違う、配色ステッチにしてるっていうのもあるんちゃうかな。
德田 革で配色ステッチって、なかなかやらないもんね。
ーー難しいんですか?
辻 難しい。同色とは比べものにならないぐらいアラが目立つからね。革って縫い直しができないのよ。特にシームをまたいで2本ステッチを入れる部分とかは、左右をバランスよく揃えるのが難しい。
Tumblr media
德田 デニムとかだったら2本針のミシンがあったりするけど、そうじゃないから。
ーーえ、2本針で縫ってないんですか!?
辻 全部シングルステッチ。1台のミシンで全部縫う。
ーーそれはかなり腕が問われますね。
辻 めちゃくちゃ問われる。失敗したらもう一回、革を裁断してやり直さなあかんから。ようやってくれはったと思うわ。裁断も革を一枚一枚見て、ここのパーツにはこの部分をとか、もの凄く細かくやっていただいてる。
德田 お安いジャケットではないのでね、その辺はキチッと丁寧に作らせていただいております。ちなみに裏地はレオパンダちゃんです。
Tumblr media
辻 革と言えば、BUTも新作がございますねん。
德田 そうそう。革のベスト(BRITT)とスエット(BEHATI)が。
ーーなかなかファンキーなチョイスですね。
德田 でしょ(笑)。特に革のベストが思ってた以上に好評で。
辻 フロントに飾りが付いてるんです。民族衣装みたいな。
Tumblr media
德田 面白いのは、BUTの革って製品にしてから洗い加工をかけるんだけど、その飾りも一緒にエージングされるから、いい表情が出てくるのよ。
ーー革のベストって無骨なイメージがありますけど、ちょっといままでにない感じですよね。
德田 でしょ。ルックブックでも革のベストでスタイリングを組んだけど、Tシャツに羽織るだけでも雰囲気出たもん。
Tumblr media
ーースエットはどうですか? 革のスエットって、なかなか聞いたことないんですけど。
辻 ぶっちゃけ展示会では、まったく評価してもらえませんでした(笑)。でも『アランジャケット』も、11年前に初めて作ったときはそんな感じやったわ。「何これ?誰が買うん?」みたいな。ファーストオーダーなんか笑ってしまうぐらい少なかったし。
ーーそれがいまや「ブルーナボインの革と言えば」なアイテムですもんね。
德田 革のスエットってだけ聞くと「?」だけど、着るとほんとにカッコいいのよ。個人的にも、これは欲しい!
Tumblr media
ーーそもそもどうして革でスエットを作ろうと思ったんですか?
辻 德田さんのリクエスト(笑)。
德田 そうなんです。どうしてかって言うとね、子供の頃に祖父母が海外旅行のお土産に、スエットみたいなプルオーバーの革のジャンパーを買ってきてくれたの。それがあまりにもカッコよくて、凄いお気に入りだったんだけど、その当時の革って「革です!」みたいな独特のニオイがあったのよ。
辻 あったあった。
德田 それが子供の頃は耐えられなくて、お気に入りなのに��んまり着れなかったの。で、そのニオイが大丈夫になったときには、もうサイズが小さくなってて…。だからいつか革のスエットが欲しいってずっと思ってたので、今回ラインナップに入れてみました。
ーーまさにBUTの真骨頂的なアイテムじゃないですか! 面白いことに、とにかくチャレンジしてみるっていう。
辻 ただ、「革でスエット作ろ」って言われても、そんなに簡単にできるものではないんですよ。
Tumblr media
德田 スエットのカタチをそのまま革に落とし込むだけではできないから。
ーー革でスエットを作るっていう案が出たとき、「これは難儀やぞ」って思いました?
辻 いや、革の取り方とかはちょっと工夫がいったけど、心が動かされたから楽しかった。
ーーどういうところに心が動かされたんですか?
辻 革でスエット、なるほどな。誰も作ってないわな、って。でも春夏やしな。ちょっとでも長く着てもらえるにはどうしたらいいのかな。あ、そうや風が通るようにしよ。というわけでスエットなんですけど、いろんなとこが開くようになってます。
ーーどこが開くんですか?
辻 肩も開くし、脇も開くし、腕も開く。あとは背中も。
Tumblr media
德田 これはゴツめのストールとかとコーディネートしてもらったら抜群よね。
辻 抜群です。革はいいよ。真夏以外いつでも着れるしね。特にいまからゴールデンウィークぐらいまでは、革を着るのに一番いい季節。
ーー開くと言えば、今シーズンは背中にベンチレーションの付いたアイテムが多いですよね。
辻 そうなんです。『ウエンティ ゴッサマージャケット」とか、アイテム名に「ウエンティ」ってついてるのは全部、背中が開いてるんです。
Tumblr media
ーー「ウエンティ」ってどういう意味なんですか?
德田 ローマ神話に登場する風の神の名前で、古典ローマ語では「風」っていう意味がある。
ーーどうしてまた、いろんなアイテムにベンチレーションを付けたんですか?
辻 背中開いてたら、なんか楽しいでしょ。バックプリントのTシャツが見えたりして。尚且つ去年の夏ってめちゃくちゃ暑かったやん。
ーー暑かったですね。
辻 もちろんTシャツとかシャツ1枚でも、それはそれでいいんですけど、やっぱりファッションって楽しんでなんぼですからね。だからもうちょっと重ね着を楽しみたいとも思ってて、じゃあ背中開いてたら涼しいんちゃうかと。それやったらベンチレーション付けたら風も通るし、服の表情も変えられるし、着こなしの幅も広がるし、いいこと尽くめ。岡本太郎じゃないけど、"背中にディテールがあってもいいじゃないか"というね。
德田 だから今年は『ブレーメン ロンT』とか、バックプリントが入ったアイテムもいろいろ作りました。
Tumblr media
辻 みんな鏡に向かっても、ほとんど前しか見ないでしょ。でも、背中からプリントが見えたりしたら楽しいから。1回試してみて。
德田 あとウエンティシリーズには『ウエンティ ストレージャンパー』とか『ウエンティ メルシュベスト』みたいに、丸カンが付いてるアイテムがあってね。そこにじゃらじゃらとキーホルダーを付けてもらっても楽しいよ。
Tumblr media
ーーそのためにキーホルダーもいろいろ作ったんですよね?
德田 作ったよ。『ドリームホルダーシリーズ』っていう。
辻 やっぱりメンズのアクセサリーって、リングとかバングルが多くなってしまうでしょ。でも、キーホルダーってアクセサリーになるなと思って。で、パンツにはベルトループがあるからすぐ付けられるけど、トップスに付いてた方が面白いやん。
ーー確かに。
辻 そんなことをいろいろ考えてるうちに、そういえばフィッシングジャケットとかベストってDカンが付いてて、いろいろ装備できるようになってたなぁ…ていうところからのインスピレーションです。
Tumblr media
德田 『リアルシュリンクバッグ』に付けても可愛いし、楽しい用途は他にもいろいろとございますので。
ーーそろそろお時間ですね。東京店の移転以外で、なにか近々にイベントの予定とかないんですか?
辻 あります! 4月の上旬に大阪店でワコールのイベントやります。
ーーワコールって、女性用の下着メーカーじゃないんですか?
辻 それがメンズもあるのよ。ボクも愛用してるんですけど、もの凄くいい。詳しいことはまたSNSか次回のスペシャルページで告知するけど、どっかでパンツを買おうと思ってた人は、ちょっと待っててください! 
9 notes · View notes
bnb-special · 4 years
Text
Vol.08【2019AW】令和元年、最後の最後に大ニュース!?
ーー2019年のスペシャルページは、今回が最後の更新です。まずは辻さん、大阪マラソン完走おめでとうございます!
辻 盛大な応援ありがとうございました。
德田 みんなでTシャツとうちわ作って応援に行ったもんね。
ーー「旅姿のいだてん」Tシャツですね(笑)。
Tumblr media
德田 そうそう、シャレで作った(笑)。販売はしてませんよ。
辻 でも完走はしてないから。
ーーえ、したでしょ!?
辻 半分ぐらい歩いたから、完"走"ではない。
德田 2020年もエントリーするらしいよ。
辻 次は絶対完走するから。
德田 応援Tシャツのネタ、考えないと(笑)。
辻 で、今日は何の話をしますか?
ーーはい、2020年の春夏の話をお願いしようかと。もう商品のデリバリーは始まってるんですよね?
德田 ちょっとずつね。
ーーまずはテーマなんですけど、なかなか興味深いですね。
辻 「童話が教えてくれたこと」ね。
Tumblr media
ーーどうしてまた童話なんですか?
辻 夢を見る力であったり、戦う勇気であったり、仲間と力を合わせることだったり、善悪の判断だったり、童話って大人になったいま読み返してみると、いろんなことを教えてくれてるんですね。
德田 たとえば赤ずきんちゃんだったら、小さい頃に読み聞かせてもらったときには、オオカミがおばあさんに変装したとか、お腹に石を詰められたとか、面白いシーンばっかりが印象に残ってない?
ーー確かに。
德田 でも、赤ずきんちゃんって、お母さんの言いつけを守らなかったからオオカミに食べられたりとか、いろいろ大変な目に遭ったわけでね。
辻 約束はちゃんと守りましょう、という教訓やね。それは童話を考えた人の思想でもあるわけやん。
ーーはい。
辻 だから2020年の春夏は、シンプルなものを作ろうとか、着やすいもの合わせやすいものを作ろうとか、オシャレに見えるものを作ろうとかじゃなくて、自分の持ってる思想をいつも以上に入れながらモノづくりをしてみました。
ーーそれが童話と上手いことリンクしたんですね。
辻 そういうことです。
德田 作ってみて思ったんだけど、童話って物語の中にいろんなキャラクターが出てくるでしょ。だから図案にするのが、すっごく楽しくて。たとえばアロハだったら、ジャックと豆の木は王道路線でオールドハワイアンのボーダー柄に落とし込んで、赤ずきんちゃんの柄とかはちょっと北欧タッチで、いままでにないアロハの雰囲気が出た���して。
Tumblr media
ーーいろいろ童話を読み返したりもしたんですか?
德田 したした。で、改めて読んでみると、大人になっていろんな経験をしてきたからか、どのお話も心打つよね~(笑)。
ーー子供の頃はそんなことなかったですよね。
德田 なかった。あと、いまって同じ童話でも、いろんな人がいろんなタッチの絵で描いてるから面白いよ。美しい絵本もいっぱいあるし。私は個人的に、ハンス・フィッシャーっていう人のがお気に入りなんだけど。
Tumblr media
辻 まあこうやって童話をテーマにすることで、「久しぶりに本読んでみよ」とか思ってもらえたりしたら、それはそれで嬉しいしね。
ーールックブックも、もう配布されてるんですよね?
德田 してるよ。ここ2シーズンぐらいはたくさんの人に出てもらってたんだけど、今回は久しぶりにプロのモデルさん1人だけで撮りました。
辻 イメージは希望の光が差し込んでる森の中。真っ暗な森の中でひとりになっても、絶対に明るい光がいつか差し込んでくるから寂しくなんかないぞ、と。明るい未来が見えてるぞ、というイメージで撮った。
Tumblr media
德田 モデルさんもよかったよね、今シーズンの服がすごくマッチして。
辻 ポージングもものすごい上手かったし。
ーーアイテム的な見どころはありますか?
德田 プリント柄がいろいろ豊富かな。なので普段は柄ものを着ないって人にも是非、この機会にトライして欲しい。
ーー無地しか着ないって人、いますもんね。
辻 そんなに難しいもんじゃないねんけどなぁ…。結局ね、服を選ぶときって、まずは自分で鏡を見てイケてるかどうか判断するやん。
ーーそうですね。
辻 でもそこにもうひとり、第3者の目を気にしてる自分というのがいててね。いい意味じゃなく自分で自分を俯瞰してしまうから、冒険できなくなるのよ。
德田 いままでと違う雰囲気の服を着たら、周りに変って思われるかも、みたいなこと?
辻 そうそう。
ーーそれを克服するには、どうしたらいいんですかね?
辻 そんなん、エイヤー! しかないでしょ。
ーーえ!?
辻 エイヤー! って勢いで、思い切って着てしまうしかないんちゃう。
Tumblr media
德田 自分が気に入ってたらそれでいいっていう強い意志を持ってる人もいると思うけど、やっぱり端から見てカッコいいとか可愛いとか言われる方が、服って楽しいと思うのよ。もちろん、似合う似合わないはあると思うけど、まずは着こなすことが大事よね。
辻 いや、着こなさんでもいいのよ。ただ着るだけでいい。いきなり着こなすのは難しいわ。
德田 そうかな。着てるうちに、だんだん"こなせて"くるもんじゃない。
ーー着てたら似合ってきたりもしますしね。
德田 ちなみに無地のアイテムにも、この春夏はしっかり作ったものが多いよ。特に定番のシャツ(くしゅっとSPシャツ、くしゅっとスタンド、くしゅっとコルカッセ)に関しては、自信を持ってオススメできる逸品が作れたと思う。
Tumblr media
辻 ブロードなんですけどね、とにかく表情が豊か。
德田 洗いざらしでシワっとしたまま着ても雰囲気があるというね。やっぱりメンズのシャツって、ペラい素材じゃ頼んないし、前に『パリッと白シャツ』っていうゴツい生地のを作ったことあるんだけど、あそこまで極端に肉厚じゃなくてもいいかな、と。今回はほんとにいい着地点を見つけられた。しっかりしてるし、ブロードとしては珍しい絶妙な肉感があるし。
ーーそういう生地に仕上げるためのポイントは、どこにあったんですか?
辻 作り方で言うと糸の撚りかな。結局ね、こういうシンプルな生地って、あれこれ計算しても実際に作らないとどうなるかわからないのよ。やっぱり世の中にないものを作るというのは難しい。時間もかかるし。
ーーどのくらいかかったんですか?
辻 1年!
Tumblr media
德田 春夏、秋冬っていうシーズンがあって、展示会型のモノづくりをしてたら、ある程度はスピードも必要になるんだけどね。このシャツのブロードができたときに、もっとゆっくりモノづくりしたいなって思った。特に長く着てもらう定番のアイテムに関しては、こういう作り方をした方がいいのかなって。
辻 まあ決して安いシャツではないので実物を見てもらって、それに見合った価値があると思った人は、是非チャレンジしてください。
德田 ちなみに私は久しぶりに、白シャツにデニムっていうコーディネートにチャレンジしようと思ってる。
ーー1年の始まりを新しい白シャツで迎えるっていうのも、気持ちよさそうでいいですね。
辻 いいこと言うね~。
ーーもうそろそろ時間ですね。最後に2020年、ブルーナボインの注目ポイントが何かあれば。
辻 東京店を引っ越します。
Tumblr media
ーーえ、サラッと言いましたけど、それって大ニュースじゃないんですか!?
辻 そう? 公の場で発表するのは初めてやけど。
ーーいやいや、大ニュースでしょ。で、どこに引っ越すんですか?
辻 代官山から代官山に(笑)。もうちょっと駅に近くなる。
ーーいつですか?
德田 3月末頃にオープン予定。
ーー路面店ですか?
德田 もちろん。いまの東京店を作った頃って、まだまだ私たちも力不足で、大阪店ほど作り込むことができなかったんだけど、次は違うよ。東京店に行くのが楽しみで仕方なくなるようなことを、いろいろ考えてるから。
ーー令和元年をいいニュースで締めくくれますね。
德田 ほんとに。皆さんのおかげです。今年もいろいろとお世話になりました。よいお年をお迎えくださいね。
辻 まあ明るくね、ちょっとぐらいアカンかっても、下を向かんと歩いてたら、いつかいいことあるから。来年も頑張りましょ。それでは皆さん、よいお年を!
Tumblr media
2 notes · View notes
bnb-special · 4 years
Text
Vol.07【2019AW】面白すぎる、今年のアウター。
ーー朝晩はだいぶいい感じに冷えてきましたね。
德田 服が一番楽しい季節になってきたね。
Tumblr media
ーー次回の公開トークまでちょっと間があるので、今回は本社からのお届けなんですけど、辻さん、たむけんさんのインターネットTVに出てましたね。
辻 そうですねん。eo光チャンネルでやってる「たむらけんじのぶっちゃ~けBar」っていう番組に出していただきまして。
ーーミー��の編集長が「さすが辻さん、いいこと言いはる」って言ってましたよ。
Tumblr media
辻 ありがとうございます。もうしばらく公開されてると思いますので、また時間のあるときにでもご覧になってください。で、今日はなんのお話を?
ーー今シーズンのアウターで、まだお話をしてもらってないのがあるので、その辺りを。
辻 オッケー! じゃあ、早速いきましょか。
ーーはい。まずは『BN-2B』なんですけど。
Tumblr media
德田 ブルーナボインって前から軍モノのこういうシリーズを作ってきたでしょ。
ーー「もしもブルーナボインが○○を作ったら」シリーズですね。
德田 そうそう、あのシリーズ。ミリタリーって命を守るための服だから機能性とかすごいんだけど、タウンにはオーバースペックなのよ。でも、そういうディテールってやっぱり魅力的なのでね。そこをブルーナボインらしくクリエーションしようぜ、っていう楽しいアイテムです。
ーーボディの生地は、めちゃくちゃミリタリーっぽいですね。
辻 そうなんです。高密度のナイロンで。
ーーいわゆるビンテージのフライトみたいな素材ですか?
辻 それにより近い素材。打ち込みはこっちの方があるけど。
德田 ボディはリアルさをチョイスしたから。ただ、袖の部分はかなりファンキー。
ーーこれ、模様みたいになってますけど、一体どうなってるんですか?
Tumblr media
德田 フェイクファーを薄い透明のポリウレタンで挟んでとじ込めてる。
ーー不思議な雰囲気ですね。
辻 磨りガラスみたいでしょ。
ーーこういうのって普通に服用として売られてる素材なんですか?
辻 売ってない。面白いことをするのが好きな生地屋さんがいててね、そこで作ってもらうんです。
ーーリブもかなりインパクトありますよね。
辻 毎年、店でイベントをやらせてもらってるストールの作家さんがいるんですけど、その人に頼んで織ってもらった。
Tumblr media
德田 残糸を使って織ってくれてるので、ひとつひとつ色の入り方が微妙に違うのよ。そういう部分も『BN-2B』の面白さかな。作っててすごく面白かったもん。こういう未来感があって、温かみも感じるアイテムっていうのを、これからも作っていきたい。
辻 どうしてもメンズの服って、ワークウェアとかミリタリーがベースになってたりするから、どちらかというとちょっと攻撃的な雰囲気を纏ってることが多いんですよ。でも、リブに手織りの素材を付けると優しい雰囲気が出るというか、いい感じに寄り添ってくれるでしょ。そういう服を作りたいよね。
Tumblr media
ーー中綿は入ってるんですか?
辻 入ってます。蓄熱、保温、耐静電気に優れた高機能な中綿素材が。で、裏側はチタンスパッタリングです。
ーースパッタリング! ブルーナボインではお馴染みの素材ですね。NASAの技術を応用したという銀色の。
德田 そうそう。もうだいぶ長いよね、スパッタリングを使うようになって。保温性と蓄熱製が高いから、ほんとに暖かい。
辻 すごい素材やわ。
Tumblr media
ーースパッタリングでシャツとか作ったらどうなるんですか?
辻 派手なだけ(笑)。
德田 軽いし暖かいし、ようこんな素材を作れたよね。使ってても楽しいもん。世の中には賢い人がいはるわ。
辻 まだアウターって何かあった?
ーー『モルドレッドコート』がありますね。
德田 『モルドレッドコート』はすごくいい! 久しぶりに味のあるツイードを作ることができて。ブルーナボインって昔から、ハリスとかドネガルとかブリティッシュのツイードが好きで、インポートを扱ってる会社の人にお願いして引っ張ってもらったりしてたからね。
Tumblr media
辻 英国の人たちって狩猟に行くために、まずはハリスツイードとかで自分の体に合ったジャケットを仕立てるんですよ。
ーー貴族の人たちですか?
辻 そうそう。でも新品の状態だと革とかと一緒でツイードもガサガサしてて雰囲気がないでしょ。だからしばらくの間、執事に着さすねん。で、いい感じになってきた頃に「よしよし」言うて返してもらって、それ着てハンティングに行かはるんです。
德田 ひたすら着込まないといい表情って出ないから、執事の人は相当着込んでると思うよ。
辻 生地の表面がツルッとなって味がでたツイードは、さすがに英国の貴族でもカッコいいと思ったんやろな。そういうツイードの雰囲気に憧れて昔、ハリスツイードに洗いをかけて服作ったことがあるんです。
德田 あったあった。
辻 で、「ええもんできたわ~」と思って展示会に出したら、昔から洋服屋さんやってる人にえらい怒られてね。
ーーなんてですか?
辻 「ハリスツイードを洗うとは、どういうことや!」って。
德田 「こんな腰の砕けたようなものを…」みたいに言われたけど、ツイードって着込んで腰の砕けた雰囲気がカッコいいのに。
ーーそういうツイードを目指して作ったのに怒られたんですね(笑)。
辻 そやねん(笑)。
ーー『モルドレッドコート』のは、どんなツイードなんですか?
Tumblr media
德田 いまってどうしてもメンズだと、ツイードと言えばハリスみたいな方向に行くでしょ。だったら日本で作ってみるのも面白いかなと思ってね。ハリスとかはしっかり打ち込みがあるけど、ちょっと緩みのあるツイードに仕上げてみました。生地屋さんもいい提案をしてくださって、すごくいいツイードが出来たんだけど、縫製が難しくて…。
ーーどの辺りが難しいんですか?
德田 縫ってるときに生地が動くのよ。動くとボタンとかポケットの位置に付けたマーキングとかまでズレてくるので、縫製の技術がすごくいる。ボタンホールも補強を入れないとダメだし、何かと手の掛かる素材なんです。でも、そういう扱いの難しいツイードだからこそ、いい雰囲気が出せたと思う。
ーー中綿入りですか?
德田 いや、中綿は入ってない。ポケットの縁とか裾に厚みのある綿は入ってるけど。
Tumblr media
ーーそれは何のためですか?
辻 ちょっとエスニックっていうかね、民族衣装とかでよくあるんですけど、コートのラインがキレイに出るようにね。
德田 花魁さんの服とかもそうなんかな?
辻 そやね。花魁さんとかは、着物がキレイに垂れるようにっていうのもあると思うけど。
ーーこのコートってリバーシブルなんですね。
Tumblr media
德田 そうなんです。ツイードでコートを作るということは、もちろん裏地を付けないといけないんだけど、それだったら裏側でも着れるようにした方が面白いやん、という単純な発想で(笑)。
ーー表と裏でまったく別モノですよね。
Tumblr media
德田 ツイードの方は素材の雰囲気を楽しんでもらいたかったので、凝ったディテールは入れないでスッとシンプルに。その代わり、裏は敢えてまったく違う世界観で、ミリタリーっぽい空気感が出るように仕上げてみた。
ーーどっちで着るのがオススメですか?
德田 全然雰囲気が違うので、その日の服とかでいろいろ変えてもらったらいいんじゃないかな。雨の日は絶対に裏だけど(笑)。
Tumblr media
ーー前に紹介してもらった『ブルオーバーコート』といい、『グラマーBN-1』といい、今シーズンのアウターはどれもほんとに面白いですね。
辻 面白すぎて、わかってもらえないんちゃうやろか(笑)。
ーーなかなかアイテムの写真だけでは伝わらない部分も大きいですからね。実際に街なかで人が着てるのを見たりとか、自分で袖を通してみたら、すっごいわかるんですけどね。
Tumblr media
辻 そやねん。いつも言いますけど、みんな買わんでもいいから、袖だけでも通しに来てくれはったらいいのに。
德田 今年はいつにも増して面白いアウターが作れたので是非!
2 notes · View notes
bnb-special · 5 years
Text
Vol.06【2019AW】革って最高。
辻 そろそろはじめましょか。今日はいつも進行してくれてる人が急用で来れなくなったので、大阪店スタッフの田仲の司会進行でお送りします。
ーーはい、田仲です。よろしくお願いします。今回はレザーのイベント中ということもあって、トークのテーマも革ということで。
德田 11月2日の土曜日と3日の日曜には、東京店でのレザーイベントも控えてるしね。
辻 はい。じゃあまずは、革ジャンになる前の革を見ていただきましょか。
(裁断前の革を広げて)
Tumblr media
辻 これがですね、馬半頭分の革です。馬の革にはほとんど左か右のサイドに焼き印が入ってるんです、馬主さんの。細かいキズが多いのも馬革の特徴です。
德田 馬って基本的に走りまわって生活してる動物だからね。
辻 で、普通はそのキズを隠すために、革の上にペンキみたいな塗料を塗ってから、フライトジャケットだったりの服に仕上げるのが一般的なんです。
ーーでもブルーナボインは違うんですよね。
辻 そうです。キズも馬の特徴なので、極端なもの以外は敢えて使いますし、さわってもらったらわかると思うんですけど、馬革ってものすごく軽くてしなやかなんです。
德田 皆さん、遠慮なくさわってくださいね。
Tumblr media
辻 その上に塗料をベタッと塗ってしまうと、馬革の良さがなくなっちゃうんですよ。だからブルーナボインの馬革にはペンキみたいな塗料は使ってません。ベースの色に染めたあとは、薄い色の染料で軽くお化粧直しするぐらいの感じで、皆さんにお届けしています。
ーー1着のジャケットを作るのに、どのくらいの革を使うんですか?
辻 さっき見ていただいた革を1.5枚から2枚ぐらい。だから馬1頭分でジャケットが1着ぐらいの計算。
德田 (スタッフが着込んだ着用サンプルを見て)これはどれぐらい着てるの?
Tumblr media
ーー8~9年ぐらいですね。
辻 ペンキみたいな塗料を上からベタッと塗ってないから、着込むほど色が変わってきて、こんな風に革の表情が変化してくるんです。ボクたちはそれが面白いと思って、こういう革を使ってます。
ーー次はボディの話なんですけど、『アランジャケット』はもうご存じの方も多いと思いますので、今日は『ドラグーンジャンパー』のお話をお願いします。
Tumblr media
辻 革ってね、当たり前ですけど、量を使えば使うほどジ��ケット自体も重たくなるんです。だからポケットなんかでも、パッチポケットにした方が付けるのは簡単でいいんでしょうけど、その分だけ重くなるし着心地も変わるんです。
ーーはい。
辻 『ドラグーンジャンパー』って、パッと見はシンプルな造りに見えるんですけど、服の構造線の途中にポケットをはめ込んだりするという、革でしかできないような細工がいっぱい入ってるジャケットなんです、実は。
Tumblr media
ーー他にもそんなディテールはあるんですか?
辻 肩の部分。たとえばMA-1とかだと、立体的にするために生地を折り畳んでダーツを入れてるんですね。でも『ドラグーン』の場合はパーツを切り替えることで立体的な型を作ってる。
ーー縫い方なんですけどね、ブルーナボインのレザーって、革を割ってステッチを入れる手法が使われてるじゃないですか。あれってボク、ブルーナボインのレザー以外で見たことないんですけど。
Tumblr media
辻 難易度が高いからちゃう。かなり上手な人じゃないと同じようには縫えない。うちの職人さんはもう17年近く、ブルーナボインの革をずっと縫ってくれてる人だから。
お客様 そんなに難易度が高いと作り手の幅も狭まりますよね? そこにこだわるのはデザイン的とか着心地とかに大きく関わってくるからですか?
辻 たとえば今日ボクが穿いてるレザーパンツも、構造線の中にポケットを仕込んでるんです。そうした方が使う革も少なくなって、値段に関するお客さんの負担も少なくて済むんです。ただ、さっきもお話ししたように、馬の革ってキズが多いから、ある程度は切り替えを入れたいんです。
Tumblr media
ーーそうした方がキズの部分を省きやすいですもんね。
辻 そう。だから構造線とパンツのラインを出すために、切り替えが必要なギリギリのラインを探ったりするんですけど、そんなことパッと行った革の縫製工場ではできないんです。だからボクは、どんなデザインをしてもなんとか形にしてくれる、この職人さんにお願いしてます。
德田 普通だったら「無理」って言われても仕方ないデザインでも、ハナから「できない」とは言わないで、何かしら試してくださるもんね。ただその職人さんにも、最初っからこういうことをやってもらえたわけじゃないから。長く続けさせてもらってる中で信頼関係も築けたし、もちろん技術もどんどん向上されるし。そういう人と組めてるというのが、何より幸せですよね。
辻 職人さんって、ほんとに大変。「どっから縫うたらええねん!」みたいなデザインの服、いっぱいあるからね(笑)。
Tumblr media
德田 そうそう。どんな服でも縫製する順番があるから。それを組み立てるのが難しい。
辻 なにか質問があったら、遠慮なくおっしゃってくださいね。
お客様 革って風合いとか色の染まり方が、同じ革でも場所によって微妙に違ったりするじゃないですか。
辻 しますね、もともとは自然界のものなので。
お客様 そういうのって「これはココ」とかって、パーツごとに色合わせするんですか?
辻 適当にやってる……わけではないです(笑)。ちゃんとしますね。
お客様 えーーー!
Tumblr media
德田 特にブルーナボインみたいにグリーンとかブルーとか、普通ではやらないような色の革が多いと余計に手間がかかる。
辻 1着に使う革が何頭かに渡ったりすると、色の染まり方が全然違ったりすることもあるんですよ。だから「あ、このパーツは、こっちの革のこのパーツと色が合うな」みたいな感じで、最初にある程度決めてから採ってはる。
お客様 それはオーダーしてるのではなく、職人さんの裁量でやってくれるんですか?
辻 そうです。
德田 あと、今日もあそこに2人で聞きに来てくれてるけど、ブルーナボインの生産チームも頑張ってくれてる。
Tumblr media
お客様 裁量とはいえ、職人さんにやってもらうと料金も高くなりますよね?
辻 いや、料金とかじゃなくて、その人がやってくれるかどうかなんですよ。やらない人は、もう全然やらないから。
德田 やっぱり感覚って人それぞれ違うから難しいんですよ。良い悪いが不透明な部分もあったりして。だからパーツの採り方とかを楽しんでやってくれる職人さんじゃないと、ブルーナボインの革を作るのは難しいと思う。
お客様 そうなると、ますますその職人さんにしか頼めなくなりますね。
辻 そうなんです。だからなんとしても長生きしてもらわんと(笑)。
Tumblr media
お客様 革で染めれない色とかってあるんですか?
德田 基本は何色にでも染められますけど、ベージュとかカーキは難しいです。
辻 あと、タンニン鞣しの場合は蛍光色。パキッとした色が出ないんで。
德田 そういう意味では、ブルーナボインで作ったグリーンとかも難しかったよね。
辻 難しかった! タンニンの色が下地から出てきて濁るんですよ。黒い革とかはそういう心配が少ないからラクなんですけどね。
德田 でもブルーナボインって、黒の革を敢えて避けてきたところがあるよね。
辻 そうそう。ボクらがわざわざやらんでもいいやろ、って。でも作ってみると、やっぱり黒が一番売れるんです(笑)。ボク的にはグリーンとかブルーみたいに面白い色の革を選んでもらった方が楽しいと思うんですけどね。
お客様 辻さんって、革のアイテムをどれぐらい持ってるんですか?
辻 実は今日の朝、数えてましてん。パンツは7本。ショートパンツも含めてね。ジャケットはワンラックまるまるありました。
Tumblr media
ーーワンラックって、結構な数ありますね。
辻 あるけれども全部は着てないです。今年はこれ、みたいな感じで決めて着てますね。そろそろシメましょか。あ、最後にひとつだけ宣伝いいですか?
ーーはい、どうぞ。
辻 11月9日の土曜日と10日の日曜日に、たむらけんじさんと月亭方正さんが主催する「大阪パフェ」っていうイベントが万博公園であるんです。そのオフィシャルTシャツのプリントデザインをブルーナボインが担当させていただきました!
Tumblr media
德田 数量限定だけど、会場で販売もされるみたいで。
辻 そうそう。チケット1枚で小学生以下の子供3人まで無料で一緒に入れるらしいからね。お時間ある方は是非! 以上! 今回もお付き合いいただきまして、ありがとうございました!
0 notes
bnb-special · 5 years
Text
Vol.05【2019AW】選ばれしアメカジボイン。
Tumblr media
辻 次回の公開トークの日程が決まりました。
ーーいつですか?
辻 10月26日の土曜日。17時から。その日は大阪店でレザーのセミオーダーイベントがあるので、革のお話をさせていただこうかと。
ーーどんなイベントなんですか?
辻 革とか裏地とかを、ある程度自分の好きな組み合わせでオーダーしてもらえるというね。店のインスタにも詳細がアップされると思いますので、またチェックしてみてください。
Tumblr media
德田 イベント自体は翌日の27日もあるし、東京店でも11月2日の土曜と3日の日曜にやります。
辻 大阪の公開トークのページを、東京のイベントの日までにアップしますので、東京の方はそれを読んでから来てもらったら、よりイベントを楽しんでいただけると思いますよ。以上! じゃあ本題に入りましょか。
ーーはい。今回はですね、「今シーズン、私はこれを買いました」というテーマで、辻さんと德田さんが個人的にお買い上げになったアイテムのお話をしていただこうかと思いまして。
辻 ひとつだけ?
ーーそうですね。まずは辻さんからお願いします。
辻 ボクはね、これですわ(N/Bブレザー コーデュロイ)。もういまの季節にピッタリ。
Tumblr media
ーー懐かしい雰囲気ありますね、紺ブレみたいで。
辻 完全にそのイメージです。でもこれ、パッと見は紺ブレの雰囲気やけど、着心地はカバーオールみたいなんですよ。
ーー不思議ですね。
辻 襟だけをきっちりブレザーみたいに作って、あとはカバーオールみたいなカッティングにしてるから。チノパンとかに合わせてもらってもいいし、仕事にも着ていけると思うよ。
Tumblr media
德田 金ボタンもひとつひとつ雰囲気が違うしね。
辻 そうそう。ベークドしてまんねん。
ーーどういうことですか?
德田 ボタンを直火焼きしてるの。焼肉みたいに。しかも全着分ひとつずつ、辻さん自ら(笑)。
辻 もともとボタンは薄い塗膜に覆われててね。焼いてそれを取ってあげて火を回すと、金属が酸化するんです。それで色が変わる。
ーー確かに角度によって玉虫色っぽく見えたりもして、いい感じですね。
Tumblr media
辻 ボタンを焼いて25年です(笑)。
ーーほんとにですか?
德田 ほんとほんと。だって独立前にアシスタントデザイナーをしてたときから、辻さんってボタン焼いてるイメージあるもん(笑)。
辻 とにかく今年の秋口はこのジャケットですわ。
德田 今日の格好に合わせたら、すごい可愛らしいんちゃう。
(おもむろに試着しだして)
ーーあ、ほんとですね。着て来たみたいですよ。
Tumblr media
德田 また、このコーデュロイもいい仕上がりなのよ。頼んで作ってもらったんだけど、いい糸を使ってるから染まりが濃くてね。
辻 安っぽくないもん。生地がカシーッとしてて。
德田 コーデュロイってほんとにピンからキリまである素材でね。あかんコーデュロイほど情けない素材ないもんね。
辻 そうそう。たまに濡れたネコみたいなコーデュロイあるもんな(笑)。
德田 目指したのはベルベット的なルックスのコーデュロイ。毛の深さもありつつ光沢もあって、芯がしっかりしてる。ただ、このコーデュロイは作るのが難しいから、とにかく納期が思い通りにいかない。
Tumblr media
辻 そうなんですよ。ションヘルっていう織機で織ってるんですけどね、デニムで言うところの力織機みたいな。時間がかかる上に、ずーっと人が付いて見とかないとダメなんです。
德田 NHKでドキュメントやってたもんね、もう扱える人がいなくなるって。見たとき涙したもん。
辻 ションヘルってドイツの機械やねんけど、もう向こうにもほとんどないから、ヨーロッパから日本にわざわざションヘルで織った生地を買いに来たりしはんねんで。ただ、とにかく生地が上がってこない(笑)。でも、そういうのまで愉しめる世の中になってもいいと思うねんけどなぁ。天然のフグが釣れたときだけ開ける店とかあるやんか。あんな感じで。
ーー遂に店頭に並んだ! みたいな。
辻 そう。
德田 まあ、とにかく素晴らしいコーデュロイが作れたのでよかったけどね。
ーー『アルチザンコーデュロイコート』とか『Vバックトラウザー』とかも同じコーデュロイですか?
辻 そうです。
Tumblr media
ーー続きまして德田さんは?
德田 私はもう、『ブルオーバーコート』!。いまから着れる季節になるのが待ち遠しくて仕方ない!
Tumblr media
ーーコートなのに、スタジャンっぽい雰囲気ですよね。
德田 今シーズンは「アメカジボイン」がテーマなのでね。手口もスタジャンみたいにラインの入ったリブにしようかなって一瞬考えたけど、それじゃあ面白くないと思ってね。思い切って刺繍でラインを入れました。
ーーこれ、刺繍なんですね!?
Tumblr media
德田 そうなの。どうせやるんだったら、とことんってことで、超贅沢な仕様にしてみた(笑)。胸に入ってるブルドックの刺繍も、だいぶ時間かけて作ってもらったのよ。
ーーこれもワッペンじゃなくて刺繍なんですね。
德田 そうなんです! サガラ刺繍のイメージでやってもらって。ブルドックの立体感とか面白いでしょ。ちょっと毛が吹き出してるみたいなイメージで見せたいって 工場さんにお願いしたら、糸の配合とかをめちゃくちゃたくさん提案してくれて。あとブルドックといえばスタッヅの付いた首輪のイメージなので、針の部分だけはシルバーで光ってるような雰囲気にして欲しいとかもお願いした。
ーー凝ってますね~。この英文はどういう意味なんですか?
Tumblr media
德田 「後ろなんて振り返らずに、どんどん前に行こう!」みたいな意味。この刺繍をやってもらった工場さんは、ほんとに面白くてね。この文字の見え方のイメージだけでも、何パターン作ってくれはったか。
辻 これ、めちゃくちゃ面白いんですけど、どうしてもうちぐらいの規模だと生産数もそんなに多くないので、工場さんにも申し訳ないなって、いつも思ってしまうのよ。値段もそこそこ高くなってしまうし。
ーー面白いことをやればやるほど、高くなりますもんね。
德田 でもね、高くなるのは面白いからじゃなくて、やっぱり技術がすごいのよ。今回やってもらった刺繍の表現方法とかでも、現場の人がずっと開発してきて、糸のテンションとか運び方も、ずっと研究してやってくれてるからね。
ーーどうしても、値段だけで「高い!」って判断されがちですもんね。
Tumblr media
德田 確かにお安くはないけど、シーズンを通して実際に来てもらったら、「あ、もしかしてこの服、値段以上の値打ちあったんちゃう!?」と思ってもらえると思うのよ。ワンシーズンだけじゃなくて、長いことも着てもらえるしね。ほら、よく「高いけど安いわ」って言ったりするでしょ。『ブルコート』はまさにそれだと思うんだけど。
ーー大絶賛ですね。
德田 刺繍をしてもらった工場さんとも自画自賛してたしね。「こんな可愛らしい服ある?」、とか言い合って(笑)。
ーーちなみにこのコートは中綿入りですか?
德田 入ってます。身頃の部分はキルティングで、袖はブルーナボインお馴染みのスパッタリング。
Tumblr media
ーースパッタリングは銀色のあの素材ですね。
辻 そうです。NASAの技術を応用したという蓄熱性のある。
德田 これね、内側にもポケットを付けてるから、旅行とか行ってもすっごいラクチンよ。コートの外ポケットってハンドウォーマー的な役割で、実際に着たときに使うのって内側が多いからね。
辻 腰のベルトもポケットの中にボタンを付けてとめてるので、使わないって人は外してくれはったらいいしね。
德田 逆にもっとギュッと絞りたいって人は、自分でボタンの位置を付け替えてくれはったらいいし。
Tumblr media
ーー『ブルコート』はもう店頭には並んでるんですか?
德田 並んでる。でも、『グラマーBN-1』と同じで、ブルーナボインの東京、大阪の両直営店のみの展開で、ちょこちょこサイズが欠けてきてるみたい。
辻 今シーズンはね、自分で言うのもなんやけど、ほんとに面白いアウターがいっぱい作れたので、是非見に来てください。
ーー26日の公開トークも、皆さん是非!
德田 ブルーナボインのIKOKAカードを持ってる人は、ハンコ押しますので忘れずに持ってきてくださいね。
1 note · View note
bnb-special · 5 years
Text
Vol.04【2019AW】 THANK YOU ROBINの真骨頂
ーー次回の公開トークの日程はまだ調整中ということで、今回は久しぶりに本社での収録なんですけど。いよいよ今シーズン最大の話題作『グラマーBN-1』が店頭に並びましたね。
辻 来ましたな、遂に。
Tumblr media
ーーカシミヤのムートンっていう素材だけでもすごいのに、それをMA-1にしてしまうって、常人の発想ではないと思うんですけど(笑)。
德田 究極に遊んでるアイテムよね。もちろん、モノとしてはめちゃくちゃ真面目に作ってるけど。
ーーこれは「THANK YOU ROBIN」ラインなんですね?
Tumblr media
德田 そう。「THANK YOU ROBIN」っていうラインがなかったら、作ってなかったと思う。
ーーそれは値段的にも、ですか?
德田 税抜で80万円だからね。ブルナーボインのコレクションラインでやるには躊躇したと思うのよ、私は。もしムートンで作ったとしても、カシミヤは選ばなかったかも。
辻 ここまでいくとね、ただお金を持ってるからってだけで、買えるものではないと思うんです。
ーーどういうことですか?
辻 80万円あったら「軽四買えるやん」とか「ロレックス買えるやん」とか言う方もいらっしゃるんですよ。でも、軽四とかロレックスに魅力を感じない人もいるわけじゃないですか。それやったら、新地のクラブに5回行くわ、とかね(笑)。
ーー確かに。
Tumblr media
德田 だから、本当に服が好きな人じゃないと手を出せないと思うし、そういう人の手に渡って欲しいと思うアイテム。ケアも簡単じゃないし。
ーーそうなんですか?
德田 冬が終わったら日陰乾しして、リブもカシミヤ100%だから、防虫もしっかりやってもらわないといけないし。
辻 もう、とんでもない"ごちそう"なので、防虫は絶対です。
Tumblr media
ーーカシミヤって言うと、どうしても毛の部分だけのイメージだったんですけど、ムートンもあるんですね。
德田 あるのよ。しかもカシミヤの中でも、今回使ったのは子羊だから軽い。ムートンでイメージするズッシリ感はないよね。
辻 全くない。
ーー子供と大人でそんなに違うんですか?
德田 毛が柔らかいし、繊維も細い。
辻 人間でも子供の髪の毛ってフワフワでしょ。それと同じ。
Tumblr media
ーーそもそも、どうしてカシミヤでMA-1を作ろうと思ったんですか?
德田 この素材と出会ったときに、「何を作ったら面白いかな?」っていう話を辻さんとしててね。これはもう単純に、本気でMA-1とか作ったらめちゃくちゃ面白いんじゃないってことになって。
ーー今シーズンのテーマは「アメカジボイン」ですもんね。
德田 そう。で、やるんだったら色とかも忠実にした方が絶対に面白いと思って。ただ、ディテールだけはムートンの大きさとか縫製の関係で、忠実にできない部分もあるから削ぎ落としてるけど。
ーー裏側の毛がオレンジっていうのが素敵ですよね。MA-1感が増して。
德田 でしょ。そこはとことん、ライオンオレンジにこだわってみた(笑)。
辻 ポケットの中までフワフワやからね。温いよ~。
Tumblr media
德田 あと、ポケットのくるみボタンとジッパーの引き手は、ブルーナボインがいつも使ってるホースの革で作った。
ーー『アランジャケット』とかに使ってるのと同じ革ですか?
德田 そうでございます。色もよく合ってるでしょ。
ーーふとした疑問なんですけど、カシミヤも副産物なんですか?
Tumblr media
德田 それね。私も気になったから聞いてみたら、産まれてすぐに不慮の事故とかで亡くなってしまう子羊も、やっぱりいてるみたいで。そういうのを使わせてもらってるって。
辻 カシミヤは本来、毛に値打ちがあるからね。基本的には食肉にはしないんちゃう?
ーーでもまあ、食べて残ったものではないにしろ、処分するよりは使ってあげた方がいいですよね。
辻 それはそうでしょ。
德田 いまはムートンとかファーとかスエードでも、日本の技術ってすごいからフェイクで作れるのよ。それはそれでモノとしても考え方としても素晴らしいと思うけど、だからって副産物として出てくる皮までダメって言うのはね…。
ーー世界的に脱毛皮、脱皮革みたいな流れがありますもんね。
Tumblr media
德田 確かにミンクとかは完全に人間のエゴだと思うけど、その垣根が難しいんじゃないかな。
辻 革製品ばっかりがそういうことを言われてるけど、フリースとかポリエステルも一緒。人間のエゴですよ。だって近年、問題にな��てるマイクロプラスチックは、60%以上が衣料品から出てるって言われてるからね。
ーーなかなか難しい問題ですね…。
辻 いつも言うけど、衣料品って誰にも着てもらえなかったら極端な話、ゴミと一緒なんです。だからボクたちは、大事に長いこと着てもらえる服を作らいないとダメなんです。
德田 そしたらリサイクルする必要もないからね。もともとハイプレタのバッグなんかは、子供とか孫が受け継いで使い続けるのが美しいって、フランスでは言われてたりするから。それって素晴らしいことだと思うのよ。
辻 本来、革なんかは、完全にそういうモノなんやけどね。本当に地球に優しいのは、大事にできて長いこと使えるモノ。これは間違いない!
Tumblr media
ーーだから、何でもちゃんと作る、と。
辻 そう。ちゃんとというか、一生懸命、丁寧に作らなアカン!
德田 『グラマーBN-1』は、まさにそういうアイテムになれば嬉しいなと思って作った。ホントに贅沢だと思うよ。中に着込まなくても大丈夫だし。
ーーそんなにあたたかいんですか?
德田 毛と毛の間にあたたかい空気を溜めるから、中はホントにTシャツでもで大丈夫なぐらい。逆に気張ってニットとかを着ると暑いかも。あ、そうそう、同じカシミヤのムートンで作ったマフラー(グラマーマフラー)も付いてます。
Tumblr media
ーーセットなんですか?
德田 そう。マフラーは単品販売もするけどね、ジャケットを買っていただいた人にはもれなくお付けします。
ーー値打ちありますね~。
德田 ありがたいことに、もうご予約もいただいてるみたいで。
ーーすごい!
德田 「THANK YOU ROBIN」のモノづくりの根底にある、「一生の宝物」にしてもらえるアイテムだと思いますので、是非、袖を通していただければ。
1 note · View note
bnb-special · 5 years
Text
Vol.03【2019AW】 アメカジボインがやって来た_PART3
アメカジボインがやって来た_PART2より続く
Tumblr media
ーー今シーズンはチノも作ったんですね?
德田 そう。久しぶりに。
辻 チノの語源知ってる?
ーー知らないです。
辻 正式名称はチャイナクロスっていってね。中国製の綾織りの生地を、そう呼んでたりしたんです。軍人さんのパンツに使われたりもしてて、安くて大量生産できるっていうのが特徴の。
ーーチャイナクロスがチノクロスに変化したんですね。
Tumblr media
辻 そうらしいよ。で、それはそれでいいねんけど、安価な素材だと長く穿いてもらえないのでね。いつも上質な生地作りをされているメーカーさんで、とても「チノ」に合う生地と出会ったので、これや! という思いで作りました。中国では作られてないけどね。
ーー手触りだけでシッカリしてるのがわかりますね。光沢もあって。
辻 髪の��の短い人が三つ編みしたら、外にパーッと毛が飛び出たりするでしょ。糸の場合も同じなんですけど、それを内側にねじ込んで出ないようにする紡績の方法があるんです。それを取り入れて作りましてん。
德田 だからチノによくある白っぽい毛羽感がないでしょ。
Tumblr media
ーー確かに。ツルツルです。
德田 そういう毛羽感のない糸を、シッカリ打ち込んで作られた生地。
辻 でもこれ、展示会に出したら、あんまり好評ではなかったんです。
ーーそうなんですか!?
辻 色もベージュと黒やしね、今更感があったんちゃうかな。
Tumblr media
ーーめちゃくちゃアメカジのイメージですけど。
辻 でもね、店頭に並んだら、お客さんはいろいろ見たり比べたりしてはるから、ちょっと違うってわかるんやろね。めちゃくちゃ好評なんです。あ、なにもうちのチノが最高ですって言ってるんじゃないですよ(笑)。
ーー言うてますけど(笑)。
辻 (笑)。でもホントによく買っていただいてます。キレイし使いやすいし、最高のヤツですわ。
ーーアイテム的には何があるんですか?
德田 細身の『カール』と太めの『ビュッシュ』と、あとはデザインの入った5ポケットの『テーゼ』。軍モノっぽいイメージの生地だけど、今回は敢えてそういう雰囲気は出さなかった。
ーージャケットもあるんですね。
Tumblr media
德田 そう。アメカジがテーマなのでね。Gジャン型の新しいジャケットを作りました。『メイビーノットチノジャケット』っていう、ポケットに角マチが付いてて、フロントはジッパーでトップだけボタンの。
辻 パッと見はそんなに新しくないけど、着てみるとちょっと違うっていうのを目指しました。
ーー日常で着てこそ違いがわかるという。
辻 そうです。「お、ええの着てるんやん」って言われるヤツね。
Tumblr media
ーー辻さん、飲みに行った先で、ホントによく言われてますよね。
辻 そやねん。こないだなんか自転車乗った若い女のコに「いや、めっちゃカワイイ服着てるっ」って言われたし(笑)。
ーー男女問わずですね。じゃあ次に行きましょうか。
辻 はい。『コウモリギンガムシャツ』ですね。
Tumblr media
ーーベースは『コウモリデニムシャツ』と同じですか?
德田 同じ。ヨークとかポケットとかのカッティングがコウモリみたいなデザインの。ボックス型のシルエットでね。
辻 これ、��ッと見たら何てことない柄なんですよ。でもね、素材がちょっと面白くて。
ーーどういう部分が面白いんですか?
辻 生地って古い機械でしか出ない味と、ものすごく新しい機械を使ってしか出せない味があって、『コウモリギンガムシャツ』の生地は最新式の機械で織られた生地を使いました。
Tumblr media
ーーそっちなんですね。逆かと思いました。どうして最新式の方を使ったんですか?
辻 最新式の織機じゃないとできないぐらい、打ち込んでるタテ糸の本数が多いんです。
ーー糸の本数が多いと何が変わるんですか?
辻 多ければ多いほど紙みたいになっていくんです。いままではペーパーライクにすると、あんまり味のない生地に仕上がったんだけど、最新式の織機だとペーパーライクな上に味も出るという面白い生地が作れる。
德田 独特のパリパリ感とフラット感があってね。
Tumblr media
ーーその機械はどこにあるんですか?
辻 中国。織機自体は外国製やけどね。
ーー日本じゃないんですね。
辻 でも技術が継承されるんやったら、どこの国にあってもいいんちゃう。なくなってしまうよりは絶対いいと思うよ。
ーーそれは確かに。
辻 でね、中国で生地を作っても、加工は日本でするんです。加工に関しては日本にしかできない面白い方法がいっぱいあるから。
ーー『コウモリギンガム』は製品でも加工してるんですか?
辻 最後に洗いをかけてパッカリングを出してるだけ。
德田 キレイなパッカリングが出るように縫い方は工夫してるけど。
辻 そうそう。縫うときにもデザインしてる。服にいい味が出るように、キュッと縮ませながら縫うというね。世の中的にはキレイでサラッとしたものが良しとされてるけど、それだけだと面白くないもん。
Tumblr media
德田 よく考えたら、服の"味"っていうのもアメカジから来てるよね。
辻 確かに。でも、アメリカ人はそうしようと思ってやったわけじゃないからね。偶然の産物。
ーーアメリカは、どうやったら合理的に大量生産できるかっていうのを突き詰めただけですもんね。
德田 そう。そういうところに服の味が生まれるっていうのを見つけたのが日本人。だからアメカジっていう言葉が生まれたと思うし、私たちもその影響を受けて育ったし。
辻 アメカジの面白さって、アメリカ人が気付かなかった服の面白さに、日本人だけが気付いたところにあると思うわ。だからいま、アメリカ人は日本のアメカジ文化を見て「すごい!」って言うやん。
Tumblr media
ーー確かに。
辻 そろそろ終わりますか。
ーーいや、ちょっと待ってください! あとひとつだけ、大阪マラソンの話も。
辻 実はボク、走るんです。
ーー大阪マラソンを走る辻さんに密着する連載が、ミーツで始まってますからね。
Tumblr media
德田 大丈夫なん? 走れる?
辻 走れるやろ。
ーーフルマラソンは走ったことあるんですか?
辻 ない(笑)。
ーー毎月どれだけ走ったかっていうのが、その連載に載ってるんですけど、今月はビックリするぐらい走ってませんでしたね。
德田 8キロぐらいやったよね(笑)。
辻 その代わりハイボール104杯飲んだけど(笑)。
ーーあ、飲んだ量も載ってましたね。
辻 走るって決めたら飲まなくなるかと思ったけど、全然そんなことなかった…。
Tumblr media
ーー本番はいつですか?
辻 12月1日。
ーースペシャルトークでも毎回、その話題は入れていこうと思うので、ミーツの誌面と合わせてお楽しみください。
辻 頑張ります!
2 notes · View notes
bnb-special · 5 years
Text
Vol.02【2019AW】 アメカジボインがやって来た_PART2
「アメカジボインがやって来た_PART1」公開後の9月某日
辻 本編に行く前にひとつお知らせがありましてね。
ーーどうしたんですか?
辻 前回の公開分で『ユーイングジャケット』のお話をさせてもらったでしょ。
ーーはい。レザーを編み込んだ革ジャンですよね。
Tumblr media
辻 そう。あのジャケットね、トークイベントのとき革紐を24メートル使ってるってお話ししたんですけど、あとでもう1回確認してみたら、44メートル使ってたんです。
ーほぼ倍じゃないですか。
辻 そやねん(笑)。そやしね、どれだけ手が馴れても、職人3人で1日3着は難しいみたい。やっぱり1日1着が限界やねんて。
ーー気が遠くなりますね。
辻 職人さんには、感謝しかございません。ちょうどホースハイドのバージョンが店頭に並んだところだと思いますので、そのへんの仕事もチェックしてみてください。
Tumblr media
ーーわかりました。
辻 それでは本編をどうぞ!
アメカジボインがやって来た_PART1より続く
辻 さあ、次はどれいきますか?
Tumblr media
ーーカスリ柄のアイテムがあるんですね、今シーズン。
辻 ありますな、プリントで表現した。
ーーどうしてまたプリントにしようと思ったんですか?
德田 いまってホントにプリントの技法が凄くてね。生地の風合いとかテクスチャーを出しながらプリントできたりするのよ。その面白い技法をふんだんに使って、カスリ柄を表現してみたくなって。
Tumblr media
ーーほんとによくできてますよね。写真で見たら絶対に騙されると思います(笑)。カタチは2型ですか?
辻 そうです。オーソドックなオープンカラーのシャツ(P-カスリシャツ)とシャツライクなブルゾン(P-カスリブルゾン)。
德田 シャツはフロントをドットボタンにしてみました。
Tumblr media
辻 ブルゾンはあれです、業界で言うところの「夏以外いつでも着れるので、1着あると便利ですよ」っていうタイプ(笑)。
ーーその辺りが面白ポイントですか?
辻 いやいや、このシャツは面白さで魅せるアイテムちゃうでしょ。着たらカッコいいというだけの話で。ええ色やし。(スタッフに向かって)このシャツの1サイズって在庫ある?
Tumblr media
ーーどうしたんですか、急に?
辻 いま買っとこうと思って(笑)
スタッフ松尾 店にはもうほとんど残ってないですね。
辻 えー。
德田 今回のカスリは人気あったもんね。
ーーアメカジのイメージが強い柄なので、今シーズンのテーマにもハマってますもんね。
辻 でもね、諸説あるけどカスリって数千年前からある柄なんですよ。
Tumblr media
ーーそうなんですか!?
辻 インドネシアのイカットとかね。あと沖縄にもあるし。
德田 ブルーナボインって、カスリ好きよね。
辻 好きやな。
德田 次の春夏でも作ってしまったわ。
ーーそれもプリントですか?
辻 いや、先染めでやりました。糸から。ハイ、次いきましょ!
ーーテンポ早いですね(笑)。では、続きまして加工デニムに。まずは『レレレデニム』からお願いします。
Tumblr media
辻 これはですね、まずダメージを加工してくださいってお願いをしたんです。それから工場の社長とホームセンターに行って、そこにあるほうきを全種類、買ってね。
ーーほうきって、そうじに使うほうきですか?
辻 そうです。「ほうきぐらい、うちの工場にもありますよ」って社長は言うてたけど、「いや、新品じゃないとダメなんです」と。
ーーいっぱい種類ありそうですけど。
辻 いや、それがそんなになかったのよ。7~8種類ぐらいかな。それで工場に戻って、色を落とすための薬品を調合してもらって、ほうきでデニムをレレレのおじさんみたいに掃いて出来上がったのが『レレレデニム』と『レレレ ビュッシュデニム』。
Tumblr media
ーーもしかして『レレレデニム』の「レレレ」って…。
辻 そうですよ、皆さんよくご存じの、レレレのおじさん(笑)。
ーー結局は、どんなほうきがベストだったんですか?
辻 ハッキリは覚えてないけど、お婆ちゃんが家の前を掃く時に使ってるみたいなほうき。
ーーじゃあ、レレレのおじさんが使ってるようなタイプではなかったんですね?
辻 そうですね。あんなにワイルドなほうきではなかった。
ーーレレレって、1本1本やってるんですか?
Tumblr media
辻 そうそう。あ、でもボクはやってないよ。最初に見本をつくるときの1本以外は。だから工場の人は思ってたんちゃうかな、「今日も"レレレ"かよ!」って(笑)。
德田 タテ落ち感をわざと出して、それをアーティスティックに見せたっていうのが面白かったよね。アメカジ的にはこういう落ち方はタテ落ちとは言わないんだろうけど。
ーー加工のデニムはもう1本、『ホイルデニム』がありますね。
Tumblr media
辻 『ホイルデニム』には箔を使いました。
ーーハク?
辻 そう。箔は箔やん、アルミ箔。
ーーあー、その箔ですか。わかりました。
辻 このパンツがなぜ出来たかって言うとね。うちの企画に若手のスタッフがいるんですよ。
ーーはい。
辻 そのスタッフに言うたんです。「たまには何か考えてくれよ。デザインしたないんか?」って。そしたら言いよったんです、「辻さん、箔ですわ」って。(パンと手を叩いて)それ、オレやるわ、って(笑)。
ーーつまり若手の企画をパクったということですね(笑)。
辻 (笑)。
Tumblr media
ーー箔はどうやって付けてるんですか?
辻 まずは箔を付けたい場所に、手で糊を塗るわけですよ。で、その上に箔のシートを置いて、熱と圧力でくっつけてね。それで箔のシートをペラペラペラって剥がすと、糊の部分だけ箔が残るんです。
ーーそれは、加工してからですか?
德田 そうそう。ちゃんとキレイに色を落としてから。
ーー何色の箔が使われてるんですか?
辻 ��と銀やね。
Tumblr media
德田 金はさりげなすぎて、わかりにくいけど。
ーーやっぱり金の方が高かったりするんですか?
辻 いや、そういうわけじゃないけど。箔って大きい1枚のシートになってるんですよ。だから、デニムにくっつく部分と、そうでない部分があってね。1回、剥がしてしまったら、それで終わり。
ーーえ、くっついてない部分は、もう1回使えたりしないんですか?
辻 そやねん。だから工場の人には「もったいないですよ」って言われたけど、面白いものをつくるためにはしょうがないのよ。
ーーさすが!
アメカジボインがやって来た_PART3に続く
1 note · View note
bnb-special · 5 years
Text
Vol.01【2019AW】 アメカジボインがやって来た_PART1
辻 お久しぶりです。
ーー4ヶ月ぶりですね、スペシャルページの公開トークは。
辻 ちょっとね、イベント用にカードを作りましてん。ブルーナボインに"IKOKA"カード(笑)。
Tumblr media
ーーそれはどういうカードなんですか?
德田 公開トークとか、大阪店でやるイベントに参加してもらったら、ハンコをひとつ押させてもらってね。4つ貯まると素敵なプレゼントがあります!
辻 あ、断っとくけど、ボクたちにとっての"素敵"なので、みんなにとって素敵かどうかは知りませんよ(笑)。
ーー何がもらえるのかは、4つ貯まったときのお楽しみ、ということで。それでは本題なんですけど、この秋冬はブルーナボインとしては珍しく、カテゴリーを意識したモノづくりをしたシーズンなんですよね?
Tumblr media
德田 そうなんです。テーマは「アメカジボイン」。やっぱりカジュアルってアメカジがベースになってるアイテムも多いし、それをブルーナボインのフィルターを通して作ったらどうなるかっていうのをやってみたくて。
ーールックブックとかWebサイトでも、なぜアメカジをやるに至ったかの経緯が語られてるので、詳しくはそちらをご覧頂くとして、秋冬のアイテムも続々と入荷してますね。辻さんが今日、穿いてるのも新作ですよね。
辻 そう、『シークレットポケットデニム』。これ、好きなんです。
Tumblr media
德田 ポケットいっぱいあるのに「シークレット」ってワケわからんでしょ(笑)。
ーー確かに。
辻 その昔ね、ポケットはいろんなものを隠す場所なので、女性が穿くもんじゃないという時代があったらしんです、アメリカの文献によると。だから大きいポケットを付けて、逆にシークレットっていう名前を付けてやろうという、あまのじゃく的発想です。
ーー遊んでますね~。『アランジャケット』とか『ドラグーンジャケット』とか、レザーももう店頭に並んでるんですね。
Tumblr media
辻 並んでます。革といえば、今シーズンからホースハイドの仕上げを変えました。
ーーどんな風にですか?
辻 (A4のコピー用紙を手に持って)このコピー用紙が革だとしたら、いままではこれをこのまま服にしてたんです。その良さは何かって言うと、着込めば着込むほど柔らかくなって味が出てくるんです。でも会社勤めしてる人が柔らかくなるまで着込むのって、なかなか大変でしょ。
德田 着れたとしても週末ぐらいって人が多いもんね。
辻 だからね、最初から柔らかくなるように、今シーズンはこうやって(コピー用紙をくしゃくしゃにして)革を揉み込んだんです、ちょっとだけ剥いてから。革は揉み込むと小さくなる代わりに厚みが増すので、そうすると分厚くて柔らかい革ができるんです。
Tumblr media
ーー着心地は変わりました?
辻 もう全然違う。3年ぐらい着てる感じ。めちゃくちゃ着やすいよ。
ーー今シーズンのホースハイドはグレーとかオレンジとか、色も面白いですね。
德田 グレーは鉱物的な色をやりたいというのがあってね。黒よりもちょっとだけ冷たい感じのする。
Tumblr media
辻 確かソ連の空軍のグレーを出して欲しいってお願いしたよな?
德田 え!? そんなん初めて聞いたけど(笑)。
辻 言いました! 
德田 どんな色かも想像できないけど。
辻 イメージやん。ボクもソ連の空軍の色、知らんもん(笑)。
德田 なんかそんな感じで(笑)、ベーシックだけどちょっと雰囲気の違う色がやりたいと思ってグレーは作ったのね。あとはグレージュもあるよ。
Tumblr media
ーーグレージュの革って珍しいですね。
辻 革って「この色で」ってお願いしても、なかなか思い通りに仕上がらないのよ。特にグレージュは難しい。
ーー革ジャンは新しいモデルもありますね。
辻 『ユーイングジャケット』ね。
Tumblr media
德田���革でカバーオール的なジャケットを作りたいって話をしててね。
辻 『アランジャケット』はライダース寄りでしょ。だから、もうちょっとワークウェアっぽい革のトップスが欲しかったんです。
德田 凄いよ、この前立てとか袖口に編み込んだレザーの長さ。
辻 1着に24メートル使ってるから。
ーー学校のプールの端から端までじゃないですか。
德田 そうそう。しかも全部、手作業で編み込んでるから。
Tumblr media
辻 昔は日本にもアメリカにも、こういう仕事をしてくれる人がいっぱいいたんです。でも、いまは誰もやってくれない。
ーーこれはどうやってやってもらった��ですか?
辻 まず最初に革を編み込んだクラフト系のベルト(ユーイングベルト)を作ったんです。で、その手法を革ジャンに取り入れたら面白いものができると思って、うちの革ジャンの職人にそれを見せて相談したんです。そしたら「絶対にやりたくない」と(笑)。
Tumblr media
ーーそんなに手間なんですか?
辻 とりあえず1着だけやってみてってお願いしたら、革って表と裏があるからね、1着編み込むのに職人3人がかりで1日掛かったって。
ーーそれはやりたくないですね(笑)。
辻 そこをなんとか! って頼み込んで、なんとかやってもらってます。
ーーもしかしたら、いまこの時間も編み込んでるんじゃないですか?
德田 かもしれんね(笑)。『ユーイングジャケット』はホースハイドのタイプが、このあとに控えてるし。
辻 いや、いまはもう馴れてきて、1日3着ぐらいできるようになってるんちゃう。
ーーそれでも1日3着なんですね…。あと、今年の革ジャンの裏地なんですけど。
德田 ロボット柄でしょ。
Tumblr media
ーーそうなんです。今シーズンのテーマを象徴してるというか、すごいアメカジっぽいモチーフですよね。ルックブックの表紙もロボット柄のジャケット(ROBOT-E ジャケット)でしたし。
德田 そうそう。スイングトップというか、ドリズラーっぽいデザインなんだけど、プリントが入ってるというね。
辻 『ROBOT-E ジャケット』は、カタチがもの凄くキレイんです。
Tumblr media
ーー素材は何ですか?
德田 レーヨン×コットン。ビンテージのボーリングシャツっぽい雰囲気の。
辻 レーヨンとコットンって同時にプリントしたら、レーヨンの方が先に色を吸うのよ。で、そのあとにコットンが色を吸うから、境目がぼやけていい感じの雰囲気が出る。
ーーロボットも、ただのロボットじゃないんですよね。
辻 そうです。泣いたり笑ったり怒ったり、喜怒哀楽があるというね。
ーーそういうデザインのアイデアって、何をしてて思い付くんですか?
辻 昔ね、德田さんとよく骨董市に行っててね。そのときにブリキのロボットを買って、会社にずっと置いてたんです。それを見て、「あ、これや!」と思って。
ーーということは、この中に実在するロボットがいてるんですね。
辻 そうそう。それは泣いたり笑ったりしてないけど。でも、30~40年後はわからんよ。
ーーどういうことですか?
辻 AIに支配されてるかもしれんし、そうなったら100年後ぐらいには、ロボットも感情を持って喜怒哀楽を表現しよるかもしれんでしょ。そのときに「あいつ未来のことわかってたんや!」というデザインです(笑)。
Tumblr media
ーーなるほど(笑)。
辻 いまだけですよ、買えるのは。100年後には伝説のジャケットになってるからね。あ、でも生地が100年持たへんわ。90年ぐらいしか。
ーーそれだけもったら上等でしょ(笑)。
アメカジボインがやって来た_PART2に続く
1 note · View note
bnb-special · 5 years
Text
vol.16【2019 SS】ギンギラギンにさりげなく 03
「ギンギラギンにさりげなく」02より続く
ーーではショーケースを移動して、続きましてはアクセサリーです。辻さんがちょうど着けてらっしゃるので、有刺鉄線のブレスレットからいきましょうか。
Tumblr media
辻 これ、着けてたら自分の手首に刺さりそうに見えませんか?
ーー確実に見えますね。
辻 でも普通に着けてたら、自分には刺さらないんです。
ーー不思議ですね。
辻 職人さんに「もうやらへん!」っていわれるぐらい何回も刺さらないように作り直したから。
ーー刺さらなくするポイントはどこにあったんですか?
辻 有刺鉄線の部分をジャラジャラと動くようにした。はじめは固定してたけど、それだとどうしても刺さるので。
Tumblr media
ーー意外なところに答えがあったんですね。それにしても有刺鉄線をブレスレットにしようなんて、何をしてて思い付くんですか?
辻 有刺鉄線を見て(笑)。
ーーそのまま(笑)。
辻 いや、ちょうど西部開拓時代の本を見ててね。そしたら、その当時はみんな牛を飼ってて、その牛が勝手にいろんなところに行きよると。そうなったら、どれがどこの牛かわからなくなるでしょ。
ーー確かに。
辻 そうならないよう牛を囲うために発明されたのが有刺鉄線やねんて。で、たとえば辻家の形状はこれ、誰々家の形状はこれ、みたいな感じで、有刺鉄線って形状にパテントがもう何百ってあるらしくて。それ見てたら「有刺鉄線オモロイ!」ってなって。
ーーそれをアクセサリーにしようっていう発想も、かなり面白いですけどね。安全ピンのキーホルダーのときも思いましたけど。
Tumblr media
辻 安全ピンはパンクの人がいろんなとこに着けてはるやん。そっからのイマジネーション。
ーーこれも手曲げですか?
辻 引っかける部分は違うけど、ピンの部分は手曲げ。
ーーこんなキレイに曲げれるんですね。
辻 すごいよ。ボクらがやっても曲がらへんのに、その人はキュッと曲げはるから。
德田 この秋冬の新作で結び目を作ったバングルが出るのね。それは手とか足とかを駆使して引っ張ったりしながら曲げていくんだけど、「もう限界です」って職人さんにいわれてしまった(笑)。
ーーいままでに作ってきたアクセサリーで、思い出に残ってるものとかありますか?
辻 一番最初に作った『どんぐりの鈴』かな。
(鈴を振る)
ーーいい音しますね。
辻 そうなんです。これで1万4千円は、めちゃくちゃ値打ちあると思うねんけど。
Tumblr media
德田 はじめは音が鳴らなくて、中に何を入れたらいい音がするのかをいろいろ考えたよね。
お客様 中に入ってる玉もシルバーなんですか?
辻 (中を覗き込んで)真鍮です。
ーー見えるんですか?
辻 見えた(笑)。
德田 これは面白いアイテムよね。
辻 鈴は魔除けにもなるしね。あ、もひとつ思い出のアイテムあった。
ーーなんですか?
辻 『レスラーバッジ』。パッと見たら七宝焼きっぽい仕上がりでしょ。でもこれ、実はニセモン七宝なんです(笑)。
ーーニセモンって(笑)。
Tumblr media
辻 なんでそんなことを思い付いたかっていうと、作ってもらってる職人のおじさんが七宝焼きの作家さんでね。七宝焼きでアクセサリーを作ってもらったことあったんですけど、数がなかなか作れなくて。
ーー手間掛かりそうですもんね。
辻 そうそう。で、その職人に相談したら、「透明のエポを入れたりして工夫したら、七宝焼きみたいにできるかもしれん」と。それでやってもらったら、すごくいい感じに仕上がって。
德田 面白い手法よね。しかもマスクのカタチには、ハサミとか糸ノコを使って手切りしてるし。
ーーオール手作業なんですね。
德田 もうなんでも手作業(笑)。てんとう虫のピンバッジも1匹1匹手塗りしてるし。
Tumblr media
辻 そうそう。一気に塗って、ホットプレートの上で乾かすんです。
德田 模様を描いてしまったらわからなくなるのに、なぜか土台はシルバーだし。
辻 着けてたらたまにおばあちゃんとかに本物と間違われたりすんねん。「てんとう虫とまってますよ」って。
ーーそれ、ボクもホテルマンにいわれたことあります(笑)。時間も長くなってきたのでアクセサリーはこれぐらいにして、大阪店で展開してる「EXTRA VAGANZA(エクストラ ヴァガンザ)」のお話を。
辻 EXTRA VAGANZAはね、ボクの友達にアメリカのニューメキシコ州でシルバーのアクセサリーとかを買い付けてくる人がいてて。聞いたらその世界では、やっぱりネイティブアメリカンっぽいアイテムがもてはやされるらしいのよ。
ーーわかりやすいんでしょうね。
辻 そう。でもニューメキシコに行くと、ネイティブアメリカンが作ってるけど埋もれてしまってるアクセサリーがいっぱいあると。
德田 面白いのに、まだ誰も価値を見いだしてないというかね。
Tumblr media
辻 じゃあ大阪店のショーケースをその友達にひとつ渡すから、そういうのを好きなように置いてっていうのがEXTRA VAGANZAの始まりです。
ーーということは置いてあるアイテムが替わったりもするんですか?
辻 そうです。年に8回ぐらいかな。
松尾(大阪店店長) アメリカの美術館に作品が収蔵されてるアーティストのアイテムが並んだりもしますよ。
ーーこのクシとかスプーンのネックレスもEXTRA VAGANZAですか?
Tumblr media
辻 そうです。それはどっちもドイツ製です。いろんなものを輸入してる友達が持ってて、穴を開けたらアクセサリーになりそうと思って輸入してもらった。
ーー何でできてるんですか?
辻 水牛の角。平たく伸ばして貼り合わせてる。家族で作ってるらしいよ、ドイツで。
德田 アクセサリー用じゃなくて、普通にクシとかスプーンとしてね。
ーーへ~。面白いですね。
辻 有名無名を問わずいろんなアイテムが並ぶので、大阪店の真ん中のショーケースはちょっとギャラリー的な感じで見てもらっても面白いと思いますよ。もうそろそろいい時間ちゃう?
Tumblr media
ーーですね。ひとまず2019年の春夏の公開トークはこれが最後ということで。
德田 次回は9月かな。また大阪店のインスタとかで告知しますね。
辻 本日も長いことありがとうございました。またお会いしましょう!
2 notes · View notes
bnb-special · 5 years
Text
vol.15【2019 SS】ギンギラギンにさりげなく 02
Tumblr media
「ギンギラギンにさりげなく01」より続く
ーー初めて使ったエキゾチックレザーって何だったんですか?
德田 オーストリッチよね。
辻 そうそう、ダチョウ。南アフリカ産の。
ーーダチョウも副産物なんですか?
辻 現地では食べてはるんちゃうかな。
ーー皮は食べないんですか? とり皮って美味しいのに。
辻 美味しいよな(笑)。
(ベルトが登場)
Tumblr media
德田 懐かしい~。何年か前に展開してたんです、このオーストリッチのベルト。
辻 これバックルも作りましてん。
ーーどうやって作るんですか?
辻 大阪店のショーケースを作ってくれた金属加工の会社の社長に頼んで。そしたら「そんなん作られへん」と。「こんな堅いステンレス簡単に曲げられへん」って。
ーーそもそもがバックル屋さんじゃないでしょ。
辻 そやねん(笑)。でもなんとか考えて曲げてもらってね。当時はずっとこのバックルを使ってベルトを作ってたんですけど、来年また復活させようと思います。
德田 2020年の春夏にね。
辻 もういまバックル曲げてもらってます。
ーーどうやって曲げるんですか?
辻 エイっ! って。
ーー手曲げですか(笑)。
德田 で、オーストリッチの次がクロコかな。
Tumblr media
辻 クロコって何種類かあるんですけど、ブルーナボインが使ってるのはシャムワニっていうタイ生まれの子。
ーーそれって大きいワニなんですか?
辻 いや、ワニとしては小さい方です。ワニってね、タイに行くと各家庭に水槽があって、そこで大事に育てて業者に出荷しはるらしいよ。
ーー和牛の農家みたいですね。
辻 そんな感じちゃうかな。ボクは実際に見たことないんですけど。
德田 クロコは使ってるうちに深みが出てきてね。経年変化がすごく楽しいよ。
Tumblr media
辻 あとウォレットはゴートかな。おフランス産です。黒だけシボを目立たせるために染めは日本でしてるけど。
ーー革は同じですか?
德田 同じだけど、カラフルなのはコーティングをビシッとかけてある。
Tumblr media
ーーゴートは使い込むとどうなるんですか?
辻 あんまり変化はしませんね。黒以外はコーティングかかってるので。だから汚れにも強いしね。イージーケアです。終わり?
ーーいやいや(笑)。まだもうちょっとあります。せっかくなのでウォレットチェーンの話もお願いします。
德田 最初に作ったのは『ガリトラップ』かな。
Tumblr media
辻 このデザイン、実はヒントがありましてね。アメリカ村で古着屋をやってる友達がいるんですけど、彼が買い付けてきたアイテムの中にビンテージのジュエリーがあって。
ーーどこで買い付けてきたんですか?
辻 LAで。あとで調べたらメキシコ製だっていうのがわかってね。どうやらメキシコのビンテージジュエリーには、1本の棒状のシルバーを手で曲げてチェーンを作るという面倒くさい手法があるみたいやと。
ーーはい。
辻 で、これは面白いから、その手法を取り入れて何か作ってみようと思って、日本の職人さんのとこに持って行ったのよ。そしたら「これはできない!」と。
ーーどうしてですか?
辻 難しいし大変や、って。
Tumblr media
ーーそれでどうしたんですか?
辻 時間かかってもいいから1回作ってくださいって。それでできたのが『ガリトラップ』なんです。
ーー結局やってくれたんですね。
辻 やってくれたけど、作れるのが1日に1本。でも偉いもんでだんだん馴れてきて、いまは1日に3本作れんねん。
ーーそれでも3本なんですね。ウォレットチェーンってハードなイメージがあるんですけど、ブルーナボインのはまた雰囲気が違いますよね?
辻 そうですね。優しい感じがあるかもしれませんね。ちょっと「和」的な雰囲気も入ってるし。新大阪の駅にもあるでしょ、『ガリトラップ』みたいなん。
ーーあ、待ち合わせの目印的な!
辻 そうそう。千成びょうたん。
ーー確かに上の部分は似てますけど(笑)。『ガリトラップ���の球体のパーツって、ひとつずつ付けていくんですか?
辻 そうです。穴が空いてて、そこにさっき話した手曲げのチェーンを通して留めてを繰り返す。そら1日1本しかできへんよな(笑)。
ーー長いのとかは気の遠くなるような作業ですね。
德田 『ガリトラップ』だけに限らず、ブルーナボインのアクセサリーは、ほとんど作ってて気が遠くなるんちゃうかな(笑)。全部ひとりの職人さんが作ってるし。
ーーその人しか作れないんですか?
辻 できないやろし、こんな面倒くさい仕事、他ではやってもらえないと思うわ。仮にできたとしても、とんでもない値段いわれるやろし。
ーーそうなんですか。最近は黒いアクセサリーもいろいろありますよね。あれはどうやって着色してるんですか?
Tumblr media
辻 よくぞ聞いてくださいました。これはですね、お寺の"りん"と一緒。真鍮の上に銅メッキをして、銅の部分を強制的に酸化させて黒くしてる。
德田 だから使ってると味が出てきて、経年変化が楽しめるというね。
辻 お寺の"りん"も、いい雰囲気が出てたりするでしょ。
Tumblr media
ーーどれぐらい使うと、この雰囲気になるんですか?
辻 それが人によって違うんですよ。汗っかきの人は早いし。あと『ガリトラップ』は、ブレスレットですけど18金のがあります。70万円(笑)。
Tumblr media
ーーさわってもいいですか?
辻 どうぞどうぞ。意外と軽いですよ。
德田 球体の中は空洞だからね。
辻 実はいまそれを無垢で作ってるんです。
ーー全然、違うんですか?
德田 違うね。着けたときに、いい感じの重さがある。あ、このドクロのウォレットチェーンは無垢です。
Tumblr media
辻 これはドクロの型を職人さんにイチから作ってもらったんです。
德田 他のシルバーのと持って比べてもらったら、重さの違いがわかると思いますよ。
Tumblr media
お客様 確かに違いますね。
辻 で、さっきの18金のブレスレットなんですけど、そのまま家にポンと置いといたらドロボー入ったときに持って行かれるでしょ。だからケースが付いてるんです。"金"を入れるから"金"太郎の。
德田 まさかここに金のブレスレットが入ってるとは思わないでしょ。
Tumblr media
辻 セキュリティシステム付きです(笑)。ケースもだんだん値打ち出てくるかもしれんしね。
德田 かもね。木彫り作家の北浦和也くんに作ってもらってるんです。
ーーケースの方が高くなったりして。
辻 いや、可能性はある。芸術家はそういうのあるもん。最近ちょっとずつ売れてきてるし。
「ギンギラギンにさりげなく」03に続く
2 notes · View notes
bnb-special · 5 years
Text
vol.14【2019 SS】ギンギラギンにさりげなく 01
Tumblr media
辻 5時になりましたので、そろそろ始めましょか。
ーーそうですね。
辻 では皆さん、カンパーイ!
全員 カンパーイ!
ーー今回の公開トークは「ギンギラギンにさりげなく」というお題で、アクセサリーとかウォレットの話をしていただこうと思うんですけど、この話がアップされる頃には、もう次のシーズンのアイテムが店頭に並んでるんじゃないですか?
德田 6月中旬だったらそうね。新作のTシャツは、もう並んでる。
Tumblr media
ーー次の秋冬のテーマは何ですか?
辻 アメカジ! 「アメカジボイン」です!
ーーどうしてまた、このタイミングでアメカジを?
德田 いままで特にカテゴリーを意識したモノづくりをしてこなかったからなのか、ブルーナボインのアイテムって言葉で説明できない部分があるよねっていう話を辻さんとしてて。で、よくよく考えたら、いまブームになってたりする服も、特に意識しないで皆さんが着てる服とかも、結局はアメカジが始まりじゃない? ってところに行き着いて。
ーー確かにそうですね、デニムとか普通に小さい頃から履いてますし。
德田 でしょ。20年以上ブルーナボインを続けてきたんだけど、このあたりで一回、カテゴリーを意識したモノづくりをしてみるのも面白いんじゃないかな、と思って。
ーー面白いと思います!
Tumblr media
德田 で、カテゴリーを意識してモノづくりをするのは初めてに近いから、できるだけアメカジに向かってストライクを投げてやろうと思ったんだけど、それがなかなか(笑)。もうどれがストライクなのかは、皆さんにおまかせしようかと思って。
ーーいわゆる王道というか、リプロダクト的なアメカジではないんですよね?
辻 違いますね。ただ、いまの世の中で、それがストライクなのかボールなのかは、まったくわかりません(笑)。
德田 でも、何がやりたかったのかっていうのは、見たらわかってもらえると…思う。インスピレーションのもとになったアイテムがわかるものも、いろいろあるしね。
辻 店頭にズラーッと並んだら面白いと思うねんけどなぁ、いままでのブルーナボインにはちょっとなかった感じで。
德田 ペインターとかフライトジャケットっぽいアイテムもあるもんね。
辻 あるある。手編みのリブが付いたMA-1とか。まあ、その辺は9月から始まる秋冬の公開トークのときにしましょか。あと、今月は『モンテクリスティ』のイベントもありますねん。世界最高峰のパナマ帽の。
Tumblr media
德田 そうなんですよ。いままではモンテクリスティだけだったんですけど、今年は『クエンカ』っていうパナマ帽も一緒に並ぶので、両方見ていただけます。モンテクリスティも作り手がどんどん少なくなってきてるっていう話も聞くしね。
ーー高齢化ですか?
德田 どうなんやろ。なんとか継承してくれたらいいんだけど。あの編みの技術はすごいもんね。
Tumblr media
辻 ホンマにすごいよ。編みの細かさでグレードが決まってんねん。今回のイベントで一番のパナマ帽は65万円!
德田 軽トラ買えるよね(笑)。
辻 船乗ってて、飛んでいったら立ち直られへんわ(笑)。いつもいいますけど、別に買わなくてもいいんです。見に来てもらうだけでも値打ちあるから。
德田 そうそう。モンテクリスティが店頭に並んでて、実際にふれられる店ってほとんどないのでね。
ーーイベントはいつからですか?
德田 大阪店が6月22日の土曜日から26日の水曜日まで。東京店が6月29日の土曜日から7月3日の水曜日までです。大阪店の初日(22日)には、モンテクリスティが作られてるエクアドルまで買い付けに行ってるバイヤーさんも来てくださるので。現地の話はなかなか面白いよ。
辻 あとその日は、コロンビア産のコーヒー豆を使ったコーヒーのお酒を、ウラなんばの味園ビルにある「NO.B」っていうバーのマスターが作りに来てくれます。ほんまに美味しいからね。それ飲みに来るだけでもいいので、ぜひ寄ってください。じゃあ、そろそろ本題にいきましょか。
ーーそうですね。まずはウォレットなんですけど、せっかくお店でやってるんで、ショーケースの前に行って実演販売形式で話してもらってもいいですか?
辻 オッケー! じゃあ移動しましょ。
Tumblr media
ーーいま店頭に並んでる分だけで、ウォレットに使ってる革って何種類ぐらいあるんですか?
辻 クロコでしょ、パイソン(ヘビ)でしょ、ホースでしょ、山羊でしょ、あとは牛スエード。それぐらいかな。革はね、基本的には副産物なので、使ってあげた方がいいんです。
ーーそうですね。じゃあ、まずはパイソンなんですけど。
Tumblr media
辻 ブルーの方はインディゴで染めてるんです、パイソンの革を。黒い方は墨染めですね。
ーー墨染めって、どんな風にして染めるんですか?
辻 墨汁をビャーってかけるんです。
ーーえっ!?
Tumblr media
辻 それはウソやけど(笑)。
ーービックリするじゃないですか。
辻 どっちの染めも、使ってるうちにどんどん色に深みが出てきますね。あと、同じパイソンの革に百虎とかレオパードのプリントをしたタイプ。
Tumblr media
ーー革にプリントって、簡単にできるんですか?
辻 (お客様としてトークを聞きに来ていた革屋さんに向かって)どうなんですか?
革屋さん いまは時代が進んでるので、いい機械を持っているところであればできると思います。
辻 だそうです(笑)。要は細かいノズルからインクをブワーッと吹き付けていくんです。コンピューターで制御して。
ーーそれはウォレットになる前の革にですか?
辻 そうです。4メートルぐらいあるパイソンの革に。
ーーダイヤモンドパイソンも同じ革なんですか?
Tumblr media
德田 品種が違うのよ。ダイヤモンドパイソンはもともとの模様が美しいから、柄をそのまま活かして仕上げてる。だからひとつひとつ微妙に柄が違う。ヘビって昔から縁起がいいっていうもんね。お財布にヘビの革を入れてたら、お金が貯まるっていうし。
辻 そうそう。子供の頃、よう道で拾ってきたわ。
ーー道に落ちてますか、ヘビの革?
辻 ボクの地元は奈良の田舎なので。
ーー德田さんは京都でしょ?
德田 昔は落ちてたよ。
ーーそうなんですか。
辻 (スタッフに向かって)ダイヤモンドパイソンの使い込んだサンプルってあったっけ?
スタッフ あります!
Tumblr media
辻 革って面白くってね。ウォレットだけに限らず、ジャケットでもなんでもそうなんですけど、使っていくうちに味が出てくるでしょ。そしたらどんどん、生きてるときの革の風合いに戻ってくんねん。不思議でしょ。
ーー確かに。でも、どうしてなんでしょうね?
辻 覚えてんのちゃう、細胞が。だからね、夜中にうちの会社行くでしょ。そしたら奥から聞こえてくるもんね「ヒヒ~ン」って。
全員 爆笑
德田 それ、家出るときから考えてきたネタでしょ(笑)。
辻 まさか(笑)。
「ギンギラギンにさりげなく」02に続く
2 notes · View notes
bnb-special · 5 years
Text
vol.13【2019 SS】 何も言えなくて…夏 03
ーー続きましては『深海シリーズ』なんですけど。これは何が描かれてるんですか?
Tumblr media
辻 その名の通り、深海にいてる生き物ですね。見たことないけど(笑)。これ、実をいうと復刻の柄なんです。
德田 10年ぐらい前かな。パーカーとかを作ったことがあって。
辻 そのときは線だけで、絵に色は付いてなかったけど。
德田 こないだも「どうして深海なんですか?」って聞かれたんだけど、深海ってものすごく未知なイメージがあるでしょ。発見されてない生き物も、まだまだいると思うし。そういった部分でインスピレーションの元になったりするので、ものすごく好きなんです。
辻 昔、「すばらしい世界旅行」やったかな。クストー隊長っていう人がいてて、潜水艦みたいなんに乗って海に潜りよんねん。よう見てたわ~、あれ。「兼高かおる世界の旅」と同じぐらい好きやった。
德田 若い人、知らんでしょ(笑)。
辻 深海シリーズの絵の中にも、よう見たら深海探査機みたいなのがいてるから、探してみて。
德田 この絵を描いてもらうに当たって、図鑑とか当時めちゃくちゃ調べたよね。
辻 調べたね~。そんな本、会社にいっぱいあるわ。
Tumblr media
德田 今シーズンの柄はちょっと江戸っぽいタッチに色付けしたけど、また違うタッチの深海柄もやってみたいね。
ーー深海といえば、前にダイオウイカの柄もやってましたよね。
辻 やったやった。『イカス ジャンパー』。名前はダサいけど(笑)。
德田 そう? そのネーミングを思いついたとき、すごくいいと思ってんけど(笑)。ダイオウイカの柄は、ジャケット以外にもショートパンツとかいろいろ作ったよね。
Tumblr media
ーー深海シリーズも、いろいろアイテムがありますよね?
辻 アロハとジャンシャツ。あとはショートパンツとTシャツも作った。ショートパンツは内側がパイルになってるから、男の人はノーパンで穿いたらいいねん。バスローブみたいで、ものすごい気持ちいいと思うわ。
Tumblr media
ーー辻さんはノーパンで穿くんですか?
辻 もちろん。
ーーということは、辻さんがこのショートパンツを穿いてるのを見かけたら…。
辻 ノーパンです(笑)。
ーーTシャツも面白いカタチですよね。
Tumblr media
辻 切り替えを入れましたね。
ーーどうして全面を柄にしなかったんですか?
辻 全面柄でも作ってみたけど、面白くなかったのよ。わざわざ作らんでもいいな、みたいな感じて。で、切り替えを入れてみたら可愛らしくなって。
ーーアロハも毎シーズン、作ってますよね?
辻 やらなかったシーズンもちょっとあるけど、ほぼ毎シーズン作ってますね。(しみじみと)でも一番大変。
ーーどういうところがですか?
辻 まず絵を描かなあかんでしょ。あとは、とにかくコストがかかる。
ーー何に一番かかるんですか?
辻 版代。手捺染っていう手で染めていく技法が好きなので、だいたいその方法で染めるんですけど、版が1版で何万円ってするんですよ。で、深海柄、見てみて。
ーーすごい色数ですね。
辻 そう。たとえば10色あったとしたら、版代だけで数十万になるからね。何枚売れなあかんねん、と。もうキライ(笑)。
ーーじゃあ、なんで作り続けてるんですか?
辻 好きやから(笑)。
ーー好きとキライをぐるぐる廻ってるんですね(笑)。
德田 アロハって着るとやんちゃな雰囲気が出るでしょ。私はあのチンピラ感が、すごいイカしてると思うねんけど。
ーー確かに! ブルーナボインのアロハって襟が小さめですよね?
Tumblr media
辻 そうかな。
ーーいわゆるアロハシャツっぽくはないでしょ?
德田 それはあるかも。辻さん、襟小さいの好きなのよね。
辻 そうそう。大橋巨泉さんが着てたシャツの襟みたいなんは、ちょっとね(笑)。
德田 石原裕次郎とか。どっちも古いか(笑)。
ーーずっと作り続けてるといえば、ショートパンツもですよね?
Tumblr media
辻 そうですね。昔、ショートスリーブのシャツは作らないって決めてた時代があってね。
德田 そうそう。ショートパンツを作りたいがために。
辻 いまでこそショートパンツはみんな穿いてるけど、20年前に街なかで穿いてる人って少なくてね。全然売れなかったんですよ。で、ショートパンツを穿いてもらうのに、上が半袖では具合悪いやろ、と。
ーーどういうことですか?
辻 あまりにもファッションじゃないもん。
德田 それで長袖のシャツにショートパンツを合わせてもらうっていう提案をしてたのよね。それからずっと作り続けてる。
ーーしかも毎シーズン、いろいろ種類を作ってるでしょ。
辻 そうかな?
ーー『ダブルシュリンク』とか『インディアインク』とか、さっきの『深海』とか『カラーアニマルズ』もありますし、色もカタチも豊富じゃないですか。ちなみに今シーズンは、どれ穿きますか?
辻  革のショートパンツ。BUTの。今年はこれです!
Tumblr media
ーー決め手は?
辻 まず普通の人に見られへんでしょ(笑)。ショートパンツって面白くてね。ウールとか冬の素材で作っても、肌に触れてる面積が少ないから涼しいのよ。だから結構、革でも作るんですけど…売れませんわな(笑)。
ーー需要がないんですか?
辻 ないやろね。作ってるメーカーあったら教えて欲しいわ(笑)。でも好きなんです。麻のシャツとかにすごい合うし。
德田 そうそう。ナチュラルな素材と相性がいいのよ。
Tumblr media
辻 あと、ショートパンツで通勤したら、すっごい自由な気分を味わえますよ。前にご近所さんとたまたま駅であったんですよ、平日の朝に。そしたら「辻さん、今日お休み?」っていわれたもん(笑)。
ーー平日のショートパンツって、昼間にお酒飲んでるのと同じぐらい自由な感じしますもんね。
辻 わかるわ~。ボク、嫁さんの親に会うときも、ショートパンツで行ったからね。
ーーそれはなかなかですね(笑)。ところで辻さん、靴下が左右で違うんですけど、どうしはったんですか?
Tumblr media
辻 まだ酔うてたんでしょうね、今日の朝(笑)。
ーーえ、リアル間違いですか?
辻 いやいや(笑)。靴下って片方が破れたら、みんな捨てるでしょ。ボクは勿体ないから、破れてない方はひとつの場所にまとめて置いといてね。それを適当にパパッと取って履く日があったりするんです。
ーー今日はたまたまその日だったんですね。
辻 そうです。(時計を見て)うわ、もう1時間半も喋ってるやん。���みませんね、長いこと。そろそろお開きにしましょか。
Tumblr media
ーー次回は?
辻 6月1日の土曜日です。ひとまず今シーズンの公開トークは、それが最後です。展示会があるのでサンプル作らんと。
德田 その次は9月かな。あ、次回はラジオ体操みたいに出席カード作ろかな。で、来ていただいた方にはハンコを押す、と。
ーーハンコが貯まったら、何かもらえるんですか?
德田 皆勤賞で。何か考えときます!
2 notes · View notes
bnb-special · 5 years
Text
vol.12【2019 SS】 何も言えなくて…夏 02
ーー次は皆さんお待ちかねの『ジョナパンシリーズ』です。ジョナパンは毎シーズン、登場するんですか?
德田 そうなんです。Tシャツだけは必ず展開していこうって決めてるから。
ーー今シーズンは、どんなジョナパンですか?
Tumblr media
德田 『マーブルDEジョナパン』と『ドットDEジョナパン』。
ーー結構、賑やかですね。
德田 何シーズンか前に、大きなジョナパンを胸ポケットに置いたことがあって。みんな意外とそれを喜んでくれたので、激しくても受け入れられるのかな、と思って。
Tumblr media
ーーこれって、手描きなんですか?
辻 ドットの部分だけね。ステンシルみたいなのを使ってスプレーで描いてる。
德田 限界まで柄を入れたかったので、版で作業をすると柄が途中で切れてしまうからね。職人さんに手描きしてもらうしか方法がなかった。
Tumblr media Tumblr media
ーージョナパンと子煩悩レスラーは、どっちが先輩なんですか?
德田 子煩悩レスラー。
ーーだいぶお若いんですね、ジョナパンは。
辻 若いっていうても10年ぐらいになるんちゃうかな。
ーー誕生のきっかけって、何だったんですか?
德田 辻さんに突然、「ブルーナボインにキャラクターいたら面白いんやん。何か考えて」っていわれて。でもキャラクターって、サンリオとかディズニーとかのイメージがあったから、どうやって考えたらいいんかなって、結構悩んだのよ。
ーー突破口はどこにあったんですか?
德田 当時、息子が小学生でね。四角形とか楕円とか三角形とかの幾何学模様を英語で覚えるっていう宿題の紙を壁に貼ってたのよ。それを何気に見てて、お風呂に入ったとき、鏡に三角形とか星を描いてたら、なんか顔みたいに見ええるぞ、と。そこに耳を描いてみたら「できたやん!」って。
ーーまさかの風呂場生まれ(笑)。
德田 で、辻さんに見せたら、「めっちゃいいやん!」って。デザインって、思いつくときはそんな感じよね。で、名前もフルネームで考えてね。
ーージョナパン・ブルーですよね。
德田 なんで知ってんの? もしかしてジョナパン好き?(笑)
ーー大阪店オープンのノベルティに載ってましたから。
辻 ああ、ジョナパンのノート。実はジョナパンって、ちゃんとしたプロフィールとかサインもあるからね。
Tumblr media Tumblr media
德田 そうそう。プロフィールはオンラインストアのジョナパンのアイテムのところにかなり詳しく載ってるので、よかったら見てみてください。
ーー服以外もいろいろありますよね。ピンバッジとか。あと、タオルも見たことありますけど、あれは非売品ですか?
Tumblr media
德田 タオルはね、お店で住所とかを登録してもらった人に、暑中見舞いで送らせてもらってるんです。質素なタオルですけど。
辻 タオルは安モンの方がいいんですよ。
ーーどうしてですか?
辻 ゴツいタオルは拭きにくい。銭湯に行ったら、洗ったタオルで体までふかんとあかんから。
ーー風呂屋基準で選んでるんですか?
辻 そうそう。あと。使っていたらガシガシになる方がいいのよ。体洗うときに気持ちいいから。
Tumblr media
德田 というわけで、きょうび酒屋さんとかでも配らないようなチープなタオルを、敢えて選んでます。
辻 でも、ちゃんと日本製ですよ。今日、来ていただいてる皆さんは、タオル届いてますか?
お客様 使ってます!
德田 どんなかんじですか?
お客様 ガサガサしてます!(笑)
辻 オッケー!
ーージョナパンって、いままでどれぐらいの柄を作ってきたんですか?
德田 今年で17弾目かな。
Tumblr media
ーー思い出のジョナパンは?
德田 どれかなぁ…。まだ初期の頃、ジョナパンが全然人気なかった頃に、顔をボディに描いて、袖を耳に見立てたTシャツを作ったのね。自分ではなかなかの傑作だと思ったんだけど、当時はみんなにまったく響かなかった(笑)。それが思い出深い。
辻 全っ然、売れへんかったもんな(笑)。
德田 それはもう気持ちいいぐらいに(笑)。だから、そのTシャツを持ってる人がいたらすごいと思う。
ーー売れなかったのに、やめなかったんですね?
辻 そう。やり続けるって決めてたから。根性論ですわ。
ーーということは、ジョナパンも根性あるんですね。
辻 あるある。あ、プロフィールに加えとこ(笑)。
ーーそもそもジョナパンって、何者なんですか?
辻 ジョナパンはジョナパン。あ、パンダじゃないからね。
德田 「I'M  NOT A  PANDA」って、本人もいうてはるし(笑)。
辻 そうそう。前にそのセリフのバッジとかステッカー作ったもん。
Tumblr media
ーー確かジョナパンは、德田さんしか描いたらダメなんですよね?
辻 はい。オフィシャルは德田さんです。
德田 でも、ブルーナボインのシャツとかに描いて欲しいっていわれたら、ちょっと躊躇するよね。ほんまにいいの? って(笑)。まあでも、描かせてもらえるというのはありがたいです。
「何も言えなくて…夏」03(5月24日更新予定)に続く
1 note · View note
bnb-special · 5 years
Text
vol.11【2019 SS】 何も言えなくて…夏
ーー辻さん、今日はちょっとメガネの雰囲気が違いますね。
Tumblr media
辻 (着ていたTシャツを指さして)レオン、レオン。合わせてきました。
ーージャン・レノに、ですか?
辻 そうです(笑)。じゃあ、始めましょか。
ーー今回のテーマは「何も言えなくて…夏」ということで、もう何もいうことがなくなるぐらい、夏物のことを話してもらおうかと。まずは『子煩悩レスラー』シリーズなんですけど。
辻 もうだいぶベテランですよ、子煩悩レスラーさんは。
Tumblr media
ーーどういうきっかけで誕生したんですか?
辻 15年ぐらい前かな。友達の作品展を見に行ったんですよ。そしたらグループ展でね、そこにレスラーのイラストを描いてる宮崎陽平君っていう人が作品を出しててね。その作品がすごい面白かったから声かけたんです。
ーーなんてですか?
辻 お友達になりませんかって(笑)。で、名刺交換して、後日イラストを正式にお願いした。
ーー作品展にもマスクマンのイラストを出されてたんですか?
辻 そうそう。あの太ったお父さんレスラーを水彩で描いてはってん。あれ、顔だけやったかな? ちょっとその辺りはあやふやなんですけど。
ーーそれをモチーフに、ブルーナボイン用に描き下ろしてもらったんですか?
辻 そうです。その当時に何シーズンかやって、そっからしばらくお休みしてたんですけどね。3年ぐらい前やったかな? 「個展します」って連絡をいただいて。見に行ったらやっぱり面白かったので、また一緒にやりたいなって思って復活しました。
ーーその方はレスラーばっかり描いてるんですか?
辻 そうちゃうかな。インスタもやってはるから(@1980fx)、また見てみて。毎日1枚ずつ作品をアップしてるわ。
ーー初登場って、子供が頭に乗ってたやつですよね?
辻 よだれ垂らした子供がね。で、寂しいから家族を増やして欲しいってお願いしたら、今年は奥さんが登場した(笑)。
Tumblr media
ーー奥さんもレスラーだったんですね。
辻 そうそう。チャンピオンやねん。
ーーそれで『奥様はチャンピオンT』なんですね。他にはどんな絵柄があるんですか?
辻 今シーズンは「江戸の絵師との邂逅」がテーマなので、それっぽいのもあるよ。
德田 北斎漫画オマージュのとかね。あとは家族全員で波乗りしてるのとか。
Tumblr media
ーーちなみに、子煩悩レスラーさんは何人家族なんですか?
辻 5人家族。子供が3人いてはります。
ーーワンポイントでレスラーが刺繍されてるTシャツありましたよね?
德田 あるある。
ーーあのシリーズにもう一人、大人の違うレスラーいてませんでしたか?
辻 『とげレスラー』ね。あれは赤の他人(笑)。タッチが全然違うでしょ。
Tumblr media
德田 子煩悩レスラーに刺激を受けて、ちょっと私がクリエーションしてみました(笑)。
辻 パクりです(笑)。あ、新しいマスクマン募集しよかな、お客さんから。
ーーどうするんですか?
辻 いいのがあったらTシャツに採用させてもらう。
ーーえ、ほんとにですか?
辻 もちろん。販売権はうちがもらうけど(笑)、商品化したTシャツはプレゼントさせていただきますので。
ーーどうやって応募したらいいんですか?
辻 このアドレスに皆さんが描いたマスクマンの画像を貼り付けてメールしてください。
Tumblr media
ーーじゃあ急遽決定ということで、新しいマスクマンを募集しますので、どしどしご応募してください!
辻 よろしくお願いします。じゃあ次のアイテムに。
ーー次は『スペースタイムT』です。
Tumblr media
德田 市松模様のね。この模様は注染で出しててね。浴衣とか手ぬぐいとかでよく使われる、日本の古い染めの手法。
辻 上から染料をバーッと注いで、それを下からバキュームでビュッって吸うねん。
ーーそれで染まるんですか?
德田 そうなの。浴衣を染めるときは、じょうろで染料を注いだりするんだけど、このTシャツはその行程を機械化した最新の手法を使ってる。
ーーもともとは何色のTシャツなんですか?
德田 真っ白。
ーーそうは思えない染まり具合ですね。これって全部を一気に染めるんですか?
辻 そうです。だから市松模様の境目が、ジワッと色混じったみたいになってるでしょ。
德田 それも注染の面白いところでね。色の組み合わせを間違えたら、境目が変な色になってしまったりすることもあるから。
ーーどうして市松模様にしたんですか?
德田 実は市松模様っていう柄の名前は、佐野川市松っていう江戸時代に人気のあった歌舞伎役者の舞台衣装に由来しててね。で、今回のテーマも江戸に関連してるでしょ。
ーー市松さん考案の柄だったんですか。知らなかったです。
德田 どうやらそうらしいよ。だからその古い柄を、日本の古い手法で作ってみようと思って。
ーー市松模様の上には何が描いてあるんですか?
Tumblr media
德田 江戸時代のいろんな物事を、イマジネーションで現代に置き換えたモチーフ。たとえば、葛飾北斎って夜空がすごく好きだったらしくて、星の等級を絵で表現してたりするのね。
ーー江戸時代に、ですか?
德田 そう。すごいでしょ。で、夜空の先には宇宙があって、じゃあ宇宙には天使もいてるでしょ…とかね。あと、江戸時代のベッピンといえば花魁だけど、現代のベッピンはこんな顔でしょ、みたいなモチーフも入ってる。
ーー「265」っていう数字は何なんですか?
德田 江戸時代が続いた年数。ちょっと江戸っぽい虎さんもいてたりするし。
ーーいろんな意味で、めちゃくちゃブルーナボインらしい柄ですね。
德田 そうかもね。
ーー続きましては『ベラスT』を。
Tumblr media
辻 シルクのTシャツね。
ーーシルクって取り扱いが大変っていうイメージがあるんですけど。
辻 いわゆるシルク素材よりはイージーケアです。
ーー普通に洗ったりもできるんですか?
辻 普通にってどういうこと?
ーー家庭用洗濯機とかで。
辻 おすすめはしませんけど、ネットに入れてエマールとか優しい洗剤を使ってもらったら、洗えないこともない。ボクはそうしてますけど、皆さんがやられるときは自己責任でお願いします(笑)。
德田 あと、もしご家庭で洗濯するときは、洗った後、すぐに干してくださいね。
ーーシンプルなTシャツですけど、コットンのとは全然表情が違いますね。
辻 着たらものすごい雰囲気あるしね。
德田 男の人がシルク100%のものを着る機会ってそんなにないでしょ。もしかしたらシルクのパジャマを着てる人とかはいるかもしれないけど。だからシルクの肌ざわりをメンズでも味わって欲しいと思って作ったのが『ベラスT』なんです。
辻 THANK YOU ROBINには柄の入ったのもありますよ。
Tumblr media
德田 今日、ちょうど直営店のスタッフが着てるけど、ショートパンツに何気なく合わせてるだけですごい雰囲気出てるもん。
ーー洒落てますね。
德田 そうそう。簡単に「お洒落ちゃうん!」って思われるというね(笑)。夏場にシンプルな着こなしを愉しんで��ただくには、これ以上ない���イテムかもね。
辻 はい、次いきましょ!
ーー次は皆さんお待ちかねの『ジョナパンシリーズ』です…
「何も言えなくて…夏」02(5月17日更新予定)に続く
1 note · View note
bnb-special · 5 years
Text
vol.10【2019 SS】 あの時君は若かった
「ブルージーンズメモリー」をテーマに盛り上がった第3回公開トーク。分量の関係で本編では泣く泣くカットとなってしまったのだが、実はブルーナボイン立ち上げ当初の思い出話をご両人が語っていたのだ。今回はゴールデンウィークの特別編として、その一部をお届けします!
Tumblr media
德田 『ハッピーデニム』を作ったとき、加工部分の裏側にてんとう虫をプリントした生地を使ったのよ。
辻 『フェリシンデニム』とかのポケットに使ってる生地ね。
德田 でもそれって、てんとう虫の柄をきちんと整列させたわけじゃなくて、敢えて適当に貼ったような雰囲気で作ったから、時々てんとう虫の柄に当たらないのが出てくる。
辻 そうそう。で、「入荷分に、てんとう虫いてないのがあります!」って、卸先からたまに電話掛かってくんねん。
ーーどうするんですか?
辻 「逃げましたな」って。
(会場大爆笑)
辻 それが通用したのよ、昔は。何でも面白がってくれたもんな。
德田 まだ私と辻さん、2人でやってた頃よね。
Tumblr media
ーーどんな感じで仕事してたんですか、その頃って?
辻 毎日、必死やったよ。独立するまで営業もしたことなかったし。
ーー前の会社では何をしてたんですか?
辻 企画のアシスタントとパターン。
德田 私は皆さんのアシスタント。
辻 もう完全に丁稚やったもん。縫製工場に行ったことなかったし、生地の選定もさせてもらえなかった。
德田 だから、そこの会社が深く追求してない部分を探って、「カットソーやらせてください!」とかって、自分で道を切り開いていくしかなかった。
辻 パターンの学校に、もう1回行き直したりもしたし。
ーー会社に入ってからですか?
辻 そう。毎週土曜日に。当時、月に1万5千円ぐらいしたんちゃうかな、学費が。
ーーえ、自腹ですか?
德田 そうよ。会社にいわれたんじゃなくて、自分で勝手に行ってるだけやもん。
辻 男の生徒はボクひとりだけでね。あとは大きな会社のお姉様方ばっかり。そこでメンズのパターンを必死に引いてたわ。これ覚えへんかったら、メシ食われへんと思って。しんどかったな~。
ーーでも、いまになって思うと、行っててよかったですか?
辻 行ってなかったらブルーナボインはなかったやろね。
ーーブルーナボインを立ち上げたときって、前の会社と同じ工場に協力してもらったんですか?
辻 それは敢えてお願いしなかった。自分の倫理観の中でダメだと思ったので。そしたら不思議なことに、助けてくれる人が出てきたりするのよ。
德田 若いときに必死でやってたのを見てくれてた人たちが連絡をくれたりね。
Tumblr media
ーー最初に作ったのは何だったんですか?
辻 取引できる生地屋さんがなかったからね。骨董市に行って昔の着物を買って、それでアロハを作ったのが最初。で、そのアロハに合うジーパンはアメリカっぽいのじゃなくて、日本の藍で染めたジーパンやろって、当時20年前に3万円のジーパンを作ってね。
ーーそれで生活はできてたんですか?
辻 もちろん、バイトしてましたよ(笑)。
德田 してたね~。私は他のブランドの展示会のお手伝いをしてた。
辻 ボクはミナミのアラビヤコーヒーで働いてた。
Tumblr media
ーー仕事終わってからですか?
辻 夕方の4時から。だってヒマやんか。1年で3型しか作らへんのに(笑)。
德田 あと、私は夜な夜な、買ってきた着物をアロハにするためにほどいてた。それがもうホントに大変で。
辻 また機会があったら、そのアロハ公開します。ええ柄のは売らんと置いてあるので。やらしいやろ(笑)。
Tumblr media
德田 あの頃は着物のセリ市とかにも行ってたもんね。辻さんが古物商の免許取って。
ーーセリって「5千円!」とか、声出してするようなやつですか?
德田 そうそう。本気のセリはビックリするよ。ちょっと街では見かけないようなクセ者揃いで(笑)。たまに偽物を掴まされたりもあって。
辻 偽物というかね、ボクらは絹の着物が欲しかったんですけど、たまに人絹(レーヨン)の着物を出してくる人がいてるのよ。パッと見ただけではわからないから、隣の人が「5千円!」っていうと、ついつい「6千円!」ってなりますわな(笑)。でもそれも、最後の方はさわるだけでわかるようになってきたからね。
ーー何が違うんですか?
辻 レーヨンは冷たくて、絹はあたたかい。
德田 そうそう。ただ、冬の朝市では手がかじかみすぎて、その作戦は通用しないけど。
Tumblr media
ーーバイトって、どれぐらいまでしてたんですか?
辻 ブルーナボインを立ち上げてから2年はしてた。
德田 その頃って、夜中の3時に起きて、当時は阿波座に事務所があったんだけど、新大阪まで歩いて行ったりもしてたよね。
ーーどういうことですか?
辻 始発の在来線に乗るためにね。タクシーなんか使えないから。だから出張の前の日は事務所に泊まってた。
ーーそんなに厳しかったんですか?
德田 お金がないというか、自分たちのやりたいことのためにお金を置いてたっていう感じかな。
ーーツラかったですか?
辻 全然。バイト行ったらメシも食わせてもらえたし、飲みにも連れてってもらえたし。あ、でも商品が売れへんかったのはツラかったわ。3年やってあかんかったらやめようと思ってて、3年やったけど実際にあかんかって(笑)。で、あと2年だけやって、それでもあかんかったら次は本当にやめるつもりしてたらビームスさんが取り扱ってくれはって。
Tumblr media
ーーいちばん最初に取り扱ってくれたのは、どこの店ですか?
辻 大阪だとnaluさんとMAPSさん。あとは九州のBRANCHさんと、いまはもう店がなくなってしまったけど、熊本にピースさんっていうお店があって、そこと。
ーーいまでも取引が続いてる店ばっかりですね。
德田 私が印象に残ってるのは、当時のBRANCHのバイヤーさん。Tシャツを見てもらったら、「カッコいいですね。やりましょう!」って。
ーー即決(笑)。
德田 え、そんなに簡単に決めていいんですか!?って、ぐらいのね。それまで散々、断られ続けてたから余計に思った。
ーーそうなんですか!?
辻 めちゃくちゃ断られたよ。「こんなん3千円で作れるわ」っていわれたこともあったし、商品すら見てもらえないことも何回もあったし。德田さん、泣いてたもんな(笑)。
Tumblr media
ーー人に歴史あり、ですね。いまもし当時の自分に声を掛けるとしたら、辻さんは何ていいますか?
辻 そのまま喫茶店しときなさい、って(笑)。
ーーアラビヤコーヒーで修行したら、いい喫茶店できそうですしね。何かお客様で質問はありませんか?
お客様 服の仕事をしようと思ったのは、いつぐらいですか?
辻 ボクの場合は高校を卒業するタイミングで3つの選択肢があったんですよ。ひとつはファッションデザイナー。ひとつは料理人。で、もうひとつは小学校の先生。
ーーえ、先生になりたかったんですか!? ちょっと意外です(笑)。
辻 うちの姉が先生をしてたから、昔から憧れてたんです。ボクの中ではファッションデザイナーが一番難しかったんですけどね。料理の学校は学費が高過ぎて諦めました(笑)。
德田 私はとにかく手に職を付けたくてね。どうしてかっていうと、高校受験のときに「スベったら自衛隊に行け」って親にいわれたのよ。で、なんとか高校には入れたけど、卒業する頃になったら次は「警察官になれ!」って。で、これは手に職をつけないとヤバいぞ、と思って(笑)。
ーー德田さんの警察官も見てみたい気がしますけど(笑)。
德田 何もないのに拳銃撃ちそうやし、ならなくてよかったんちゃうかな(笑)。それで当時から、ちまちま何かをするのが好きだったので、縫製ができるようになろうと思って。それが服の仕事をしようと思ったきっかけかな。デザイナーよりもパタンナーになりたかったんだけど、バックリした性格だから向いてないと思って。創業当時は辻さんと2人だけだからパターンも引いてたけど、よく怒られたもんね。
ーーどんなことで怒られるんですか?
德田 私は1ミリぐらいのズレだったら性格的に許せるんだけど、辻さんは「その誤差が100メートル先ではどんなけ狂うと思ってんねん!」って。100メートルの服なんかないわ! って、私は心の中で思いながら聞いてたけど(笑)。
Tumblr media
辻 他に何か質問ございませんか?
お客様 自分の作った服を着てる人を、初めて見かけたときってどんな気持ちでしたか?
辻 これはボク、ハッキリ覚えてるんです。熊本でデニムの蝙蝠シャツを着てる女の人がいてね。それ見たときは思わず小躍りしたね(笑)。いまも電車でよく会うんですよ、ブルーナボインの服を着てくれてる人に。
ーーそんなときはどうするんですか?
辻 車両変える(笑)。飲み屋で会ったらおごるけどね。
德田 私は通りすがりで着てる人に出会うと、思わず振り返ってしまうよね。で、私もブルーナボインの服を着てるから、向こうも振り返ってるときがあって。そのときはどうしていいか分からないので、とりあえずうなずく(笑)。だから、あいつめっちゃブルーナボイン好きやん、って思われてるかも。
ーー作ってる人とも知らずに。
德田 そうそう。でもいつになっても、着てくれてる人を見かけると嬉しいですよ。
1 note · View note
bnb-special · 5 years
Text
vol.09【2019 SS】 ブルージーンズメモリー 03
ーー今回の公開トークのテーマが「ブルージーンズメモリー」なので、何か思い出のジーンズがあれば、それぞれ教えていただきたいんですけど。
Tumblr media
辻 中学生のときにね、奈良の郡山にあった三信衣料に行ったんですよ。リーバイスの501を買いにね。壁にリーバイスとかボブソンとかエドウィンとかのジーパンが、ザーッと天井ぐらいの高さまで並んでて。かと思えば、洋ランから短ランまで、学生服もズラーッと並んでて。
ーー昔って街のジーパン屋に大概、制服も置いてましたよね。
德田 あったあった。でもそれ、若い人は知らないんじゃない。
辻 そやろな。そしたら三信衣料の兄ちゃんが、「501はシュリンク・トゥ・フィットや」って、いいよるわけですよ。知ってる、シュリンク・トゥ・フィット?
ーー洗って縮ませてジャストサイズにするっていう合わせ方ですよね。
辻 そうそう。まず、ウエスト測ってくれてね。「お前にはこれや」って選んでくれんねんけど、サイズがデカいのよ。
ーー縮む前ですもんね。
辻 でね、店の壁を見たら、お風呂でジーパン洗ってるポスターが貼ってあってね。まあ、穿いたまま風呂入れっていう話ですよ。
德田 お湯、青なるし(笑)。
辻 そやねん。日本人はお風呂を家族共通で使うから、お父さんもお母さんも入るやん。なので一番最後に入って、ブラシで洗ったわけですよ。
ーーポスター通りに。
辻 そう。そしたらだんだん縮んできてね、ピッチピチになって。で、穿いたまま片方の足��っかりこすってて、乾いて穿こうとしたら、左右の足で色違うねん。
德田 え、なんで片方だけ洗ったん?
辻 わからへん。洗いやすかったんちゃう(笑)。で、店の兄ちゃんに「これ、あかんわ。交換して」って持って行ったら、「お前、片足だけ洗ったやろ? そんなん交換できるかい!」っていわれてね。それがジーパンの思い出。
ーー結局その501はどうしたんですか?
辻 そのまま穿いてた。だって高かったもん。
Tumblr media
ーー確かに中学生に501は高額ですよね。德田さんはありますか、思い出のジーンズ?
德田 私、小学校には、デニムのショートパンツで行くって決めててね。
ーーえ、ずっとですか?
德田 そう。真冬でも。
辻 変わっとんな(笑)。
德田 いま考えると、自分でも相当変わってたと思うわ。でもその当時って、それがカッコいいみたいなところがあったのよ。ハイソックスなんかもなかったし、どうやって寒さをしのいでたんかと思うけど。
辻 ボクは小学生の頃、冬はおばあちゃんに毛糸のパンツ穿かされたけどね(笑)。おばあちゃん子やったから。
德田 さすがにそれはなかったわ(笑)。で、デニムのショートパンツなので、穿いてるとどんどん色が落ちていくでしょ。
ーー年中穿いてますしね。
德田 そう。それがものすごく切なかった。なんで白くなるの…って。
ーーそのショートパンツって、自分で選んで買ってたんですか?
德田 違うと思う。父親のお下がりやったような気がする。ブルーナボインをやり始めた頃、雑誌の取材なんてほとんどなかったけど、たまにあって顔出しせなあかんとなったら、辻さんと2人して子供の頃の写真を送ってたのね。そういえばその写真でも、デニムのショートパンツ穿いてたわ。
ーーえ、ちょっと待ってください。どうして子供の頃の写真を送ってたんですか?
Tumblr media
德田 なんでやったんやろ。顔出すのやめとこ、ってね。そんなことしてたらまったく取材が来なくなって(笑)。いま考えてみると、そりゃ、イヤよね…。
辻 アウンサンスーチーみたいやったけどね、德田さん。
ーーいやいや(笑)。その写真は実際に載ったんですか?
辻 載った載った、ポパイに。
ーーやりますね~。逆にいまやって欲しいです。
辻 次、取材の依頼が来たらやってみよかな。写真置いてあるし。
ーーブルーナボインのジーンズで思い出の1本ってありますか?
辻 ボクはもうこれ、今日も穿いてきた『ハッピーデニム』ですね。
Tumblr media
ーーどんな思い出があるんですか?
辻 初めて作ったのは17年ぐらい前かな。その当時、こんなガシャガシャしたデニム、他になかったもん。
ーーその頃って、レプリカジーンズ全盛期ですよね。
辻 そうそう。加工も当時は、いかにリアルに仕上げるかが大事やったからね。昔、島根県の山奥、ジブリの映画にも出てきた、ほら…。
德田 もののけ姫?
辻 正解! もののけ姫の舞台のモデルになったっていわれてる島根県の山奥に、ものすごくいい加工場があってね。
ーーそんな山奥にですか?
辻 そやねん。冬はチェーンないと行かれへんぐらいの山奥。で、なんとかお願いして加工してもらえることになって実際に作ってみたけど、結局リアリティを追求してるレプリカメーカーには勝たれへんな、と。
ーーそれでどうしたんですか?
辻 もうこうなったら、デニムは絵を描くキャンバスや! ぐらいのイメージで、好きなようにやろうと思って。それで出来たのが『ハッピーデニム』なんです。この1本から、ブルーナボインのデニムの歴史が始まったというね。
Tumblr media
ーーそれはかなり思い出の1本ですね。
德田 ある意味、スピリッツの塊なんやろね。ブルーナボインの原点というか。
ーーいまだによく聞きますもんね、欲しいって。
辻 今日もここ来る前に髪の毛切りに行ってけんけど、美容師のお姉ちゃんにいわれたもん、「可愛いパンツですね」って。
ーー大人気!
辻 他に褒めるとこないしちゃう(笑)。でも、またいつか作ろうと思ってます。あと、ジーパンだと『コンバートデニム』も好きかな。
ーー膝から下が濃いのと薄いので入れ替わってるという。
Tumblr media
辻 『コンバート』もボクの中では『ハッピーデニム』の延長線上にあるんですけど、出来たときにすごく面白いデニムが作れたなっていう感じがあって。これもね、デニムの緯(よこ)糸をつなぎ目の部分に残してるんです。そうすると色が三段階に見える。それで尚且つ最初に、ものすごい上手に加工をしといてあげると、全体に奥行きがでるんです。
德田 これ、不思議なのは、上の方が濃い方と薄い方を穿き比べたら、意外と人によって似合う方が違うというね。
ーーそうなんですか?
德田 だから是非、試着するときには両タイプを穿き比べてみることをオススメします。初めに決めてた方と逆を選ぶ人も結構いてるから。
Tumblr media
ーー德田さんのブルーナボインで思い出の1本はどのジーンズですか?
德田 私は『パッチングデニム』が好きなんです。
ーー今日、穿いてるのですか?
德田 そうそう。色落ちを楽しむというより、私はガンガン洗って普通に穿く派でね。
ーーいつぐらいに作ったモデルですか?
德田 ハッキリは覚えてないけど12年ぐらい前かな。そっからいまでも毎年のように引っ張り出してきて穿いてる。
Tumblr media
ーーということは、初めはもっと色が濃かったんですか?
辻 濃かったね。
德田 パッチの部分とで、3トーンぐらいあったんじゃないかな。いろんな素材を使ってるから、穿き込んだらどうなるんだろうっていうのを楽しみながら、ずーっと穿いてるね。
辻 そろそろシメましょか。
Tumblr media
ーーそうですね。ちなみに次回の公開トークは?
辻 5月3日の金曜日。憲法記念日です。
德田 ゴールデンウィークのど真ん中やし、みんなどっか行ってて誰も来なかったりして(笑)。
辻 それでもやりますので(笑)。本日もご清聴ありがとうございました。
2 notes · View notes