散り急ぐ桜におどけて微笑むおんなじねってあなたとわたし

ひとしれず実も結ばれず花は枯れ鏡の中にわたしと花瓶

くちびるに毎夜毎夜と罪重ねあすもしらせず宵闇烏

日記 8.2.15

人の一生を一輪の花に例える けれども、ほんとうは一株の植物 花は何度でも咲く そしてそれは一方向にだけ向かうものでもなく 枯れては散り どこかに蕾をこしらえ またほころび そうやって 許される限り命を謳歌するものなのでしょう

日記 7.2.15

忙しさに日記も途切れ 特に記すこともないような時間 というのは嘘 記すべきことに気づかずに ただ時間を漏らすだけ 忙しいというのは 無目的や無自覚の言い換えた言葉

日記 2/2/15

明日飛行機に乗ります 何度目だろう 何度であっても いつだって 場所を失う感覚は じりじりと つけてきた足跡を焦がすように 慣れないものですね

電話口途切れ途切れの青い声夢であれば夢であれば

あと少しあなたを想ってそうしたらわたしは寝ますがんばりました

日記 30/1/15

臆病な指先で 言葉を探している 予測された言葉たちは ほんとうを伝えたがる

日記 29/1/15

雪として 言葉は庭を舞ったとして あなたの手のひらに 一編も積もらない 夜だけが あなたを隠して 静寂 ひらひらと舞うのは わた��の動揺

気遣いというのは、人に“明に”気づかれたら二流だ。「気を遣わせてしまったな」と思わせてしまうからだ。相手に負担をかけないようにしている行為なのに、別の面（心理面）で負担をかけるなど、言語道断。 　だから目に見えて分かりやすい気遣いをする輩は、私は却って好ましくなく思う。だいたい、美しくない。気遣いというのは相手への配慮でなく、自分の美学に過ぎない。だから分かってもらう必要など無い。自分自身が理解しておればそれで十分である。 　とはいえ、そのようにした気遣いに“暗に”気づいて、真似して返してくれることほど嬉しいことはなく、しかしその「お返し」に気づいたことは心に留め置き相手を褒めることはしない。ただ良き心証をのみ持つ。これでよい。

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目のなかに虹が映え瞬きも惜しむべきかと鏡面に問う

日記 28/1/15

このままではいられない そうでしょう 若さは無条件の美しさ 老いは不可避な美しさ 変化しながら 美しくあり続けなければ

日記 27/1/15

窓を開けて 未来を部屋にとりいれる この部屋には過去が居座り またわたしも過去で 体温を失った椅子の背もたれが 非難の音をたてて 陽に融けてゆく

日記 26/1/15

のみこまなくては この灰色の息を 喉を刺して 肺胞に一面に 消えない この灰色の息を そうして 目だけは決して閉じず あなたの背骨を 影が彩どるのを待つ

日記 25/1/15

街をいき 贈る日もない手袋を 求めて時は 駆け足に去る

棚を開けかつての指輪指にしてやさしい痛み懐かしむ午后