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#現代人の多くはただ成功とか失敗とかいうことがけを眼中に置いてそれよりももっと大切な天地の道理を見ていない
itigo-popo · 3 years
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こんにちは!今回は前回と前々回で予告したクランちゃん🌹とグレン君🥀についての記事です!毎度の事ながら原作者である🍓ちゃんに頂いた資料を元に、感謝の念と溢れる熱量と共に解説していきます〜!🌻
★二人の立ち絵は後々また描き足すかもしれません。グレン君の立ち絵の方は下記にて…!
【2021/09/23追記:一部文章の修正と追加済み】
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舞台はとある王国に聳え建つ大きな城。厳重に施錠された塔一角の部屋に一人の薔薇色の少女が国から手配されたメイドの監視下の元、一人ぼっちで幽閉されていました。
その少女の名は〝クラン・ローゼンベルク〟といいます。
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★補足
この王国は前回のオズウェルさんが訪れていた村があった国では無く、はたまた村を襲った敵兵の国でも無く、次回の記事で書かせて頂く予定のルイの出身国でもありません。
因みにラブリーちゃんとミハエルさんはオズウェルさんと同様に後に地上に降り立ちますが恐らくまだこの時点では天界在住です。各自地上に降りる理由ですがラブリーちゃんは保護者役になったオズウェルさんに連れられ、ミハエルさんはラブリーちゃんを追ってという理由かと思われます。
花夜と春本に至っては作者が🍓ではなく🌻で舞台も日本と全く違う為こちらは国以前に蚊帳の外です。カヤだけに。
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話を戻しまして…クランちゃんの出生ですが、
王国専属の魔法使いが連れて来た子です。
クランちゃんが幽閉されている城や国の主導権は主である国王と息子である王子に有りますが当然〝連れて来た〟からには彼らの娘という立ち位置ではありません。
ならば貴族の子か?というと違い、かといって村や街に父や母がいる訳でも無く…しかし孤児でも人攫いでもない。
遠く離れた血縁でもありません。そんな少女を一体どのような目的で幽閉までし、人目を避けさせ隠しているのか…。
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それには理由が有りました。まず国王は国全体の権力者達や政治家達、軍事機関、研究機関と深い繋がりがあります。
そしてクランちゃんの傍には彼女に正体を隠している国から派遣されたメイドが世話係と銘打って監視をしています。
万が一逃げ出さないようにしているからです。つまるところ
クランちゃんは純粋な人間ではありません。
元々彼女は無限に膨大な魔力を発生させる事が出来る装置のような存在として創られました。
この魔力を国や王は軍事や国家機密の研究に利用する為クランちゃんを幽閉していたのです。
そして、それらは後発的にそうなったのでは無くクランちゃんが創られた理由でもあります。
因みに王と違い王子は善良で国王共々クランちゃんに直接の面会はなかったものの彼女への幽閉や以降に記述する〝ある〟研究内容に反対しています。
この王子の存在が後々の展開に大きく影響していきます。
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ここまで禍々しく書き連ねて来ましたが、クランちゃんは種族としては人間です。正確には〝天使に近い存在〟です。理由は後程。
とはいえ機械では無いと言えど彼女の魔力の使い道を考えますと、それこそ機械のように扱い然るべき施設内にて監視且つ管理し利用した方が効率も良いのでは?と疑問も感じ無くもありません。
ましてや愛らしく着飾る洋服も本来は最も必要が無いはず。
この辺りについては彼女を連れてきた王国専属の魔法使いが大きく関係しています。彼女も権力者の一人でもあります。
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女性は国から頼まれた魔力装置を創る為に神様の元に訪れます。神話みたいですね!この神様なのですが現在は地上界に隠居中のようでして前回のオズウェルさんの記事の時にて登場した全智の天使に神としての役割を引き継いでいます。
こう見ますとそれぞれ在住していた国は違えど皆々同じ🍓が描いた世界に住んでいるのだな〜と嬉しくなる🌻…!!
つまりクランちゃんは神様が人間として創造した子ですので、先述でいう〝天使に近い存在〟なのです。
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しかし、何故この時点で敢えて〝人間〟として創ったのか。
これは神様の意思からではなく魔法使いの女性がそう創って欲しいとお願いしたからです。
歳も取りますし、国としては今後も末永く使っていく効率を考えますと悪手のように感じざるを得ません。
これに関しては恐らく魔法使いの女性が、前回のオズウェルさん同様に人間が好きだったからだと伺えます。
但し、この女性もオズウェルさんと同じく良識的な人間を好いており王国の民が好きで且つ彼らを護る為に王国専属の魔法使いをしています。故に国王や後に記述する研究機関等のやり方には眉を顰めており、まだこの時点では内側に潜めていますが彼女もまた王子同様に反対派なのです。
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上記の通り魔法使いの女性は慈悲深い方で、クランちゃんを連れて来た際に大切に扱うようと国王に釘を打ちます。
魔法使いとしての実力も然ることながら神と繋がっていたりと特殊なパイプ持ちでもありますから国王も彼女の言い分を無碍に扱わず、提示された条件を呑み承諾します。
一種の取引みたいなものでしょうか。人間として創られた事以外は国王側からしても悪い話ではなく、そんな些細な欲求に対し首を縦に振ってさえしてしまえば無限の魔力の提供という膨大な利益を得る事が出来るのですから。
以降クランちゃんは〝幽閉〟はされているものの、衣食住や遊ぶものにも困らない何不自由のない生活を送ります。
城に来た当初は四歳くらいで、とても幼なかったのですが今現在は十四歳まで成長しています。世間を知らずに育った為やや浮世離れはしていますが心優しい性格に育ちました。
魔法使いの女性も仕事の合間に遊びに来てくれたりと、血の繋がりこそ有り���せんが母と娘のような関係を築きます。
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因みに、これ以降の展開には神様は全く関与して来ません。
クランちゃんを創造したのち、その後どう扱われるか又は持たせた魔力によって一つの国がどうなっていくのか…。
それに関心も無関心も無い。手を貸すのも偶然且つ必然。世界を憂い愛と平和を謳いながら冷徹で残酷な傍観者です。
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視点をクランちゃんに戻します。
上記の方でふんわりと触れましたが彼女の素知らぬところで彼女が生成する強大で膨大な魔力は軍事利用を始めとした王国専属である〝機密〟の研究機関により非人道的な人体実験にも使われてしまいました。
その人体実験の内容は、身寄りの無い孤児を集め兵士として利用する為にクランちゃんの魔力を使い潜在する運動神経を刺激し著しく向上させるという実験です。
この実験が成功した暁には対象は常人離れした身体能力を得る事が出来ます。
但し実験対象が魔力を持っていた場合クランちゃんの魔力に影響される副作用か又その後遺症か、魔力が消失します。
数々の孤児が犠牲となり失敗作と成功作が生まれました。
救いは先述した王子や魔法使いの女性に根回しされたのか失敗作の孤児達は城内で働いてるという事でしょうか。
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★補足
魔法使いの女性がクランちゃんを連れて来なければ、事前にこのような人権を無視した事態は未然に防げた筈です。
恐らく企画段階で、孤児の子達を含めた彼女が愛する国民達の命を天秤に掛けられてしまった又は人質に取られる等、弱味を握られてしまったからではないかと思います。
又は孤児の子達が人体実験以上の危機に晒されてしまう等。
クランちゃんを敢えて〝人間〟としたのは人間が好きだから以外にも訴える想いやメッセージが含まれていそうです。
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凄惨な実験の果てにクランちゃんの魔力に適合し成功した孤児達は軍事利用の為、兵士としての教育を受けます。
その中でも逸脱した身体能力を覚醒させた優秀な成功作である一人の真紅の少年がいました。
その少年の名こそ〝グレン・クロイツ〟元孤児であり、この人体実験の被検体の一人だったのです。
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過酷な境遇だった為か、それとも教育の影響なのか自身を〝駒〟と呼び感情を表に出さない少年です。淡々と任務遂行する姿は一人前の兵士にも全てを諦めているようにも見て取れます。その後は暫くの間、その高い能力を見込まれ王城専属の傭兵兼使用人として過ごしていました。
そうして与えられた任務や日々を、ただただ機械的に過ごしていた彼に、やがて突然過ぎる転機が訪れます。
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とある業務で偶然、中庭にて作業をしていた日のことです。
これまた偶然にも部屋の窓から中庭を見下ろしていたクランちゃんの目に、グレン君の姿が留まりました。
先述通りクランちゃんは浮世離れ気味で世間を知らない面があります。自分と似た髪色、瞳の色を持つグレン君に好奇心に似た興味を抱きそれ以降、窓の外で彼を見かける度に目で追うようになっていきました。
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魔法使いの女性が国王に釘を指してくれたお陰で、大事にはされていますがクランちゃんは幽閉をされている身です。
流石に十年もそれが続けば、室内に居るのがが当たり前に育ったといえど飽きが来るというもの。
退屈だったクランちゃんにとって、外で見掛けるグレン君は羨望の的のように輝いて見えていたのかもしれません。
そして遂には我慢出来なくなった彼女は訪れていた魔法使いの女性に頼み。彼と遊んでみたいとお願いします。
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クランちゃんの口からこのような〝お願い〟が出たのは、恐らく今回が初めてで魔法使いの女性はそれを快諾します。
グレン君にとっても異性同士とはいえ同年代の子と…ましてや遊ぶ機会なんて随分と無かったと思いますから悪い話では無い筈です。足早に国王に掛け合いました。
国王は些か呆れ気味に聞いてはいましたが、多少グレン君の仕事内容に調整が入る程度であり通常通りの任務にクランちゃんと遊ばせるという風変わりなものがくっつくだけなので返答をそこまで渋るような内容でもありませんでした。
もし不穏な動きが有れば予めクランちゃんの側近として配置させているメイドがグレン君を拘束し再教育するように研究機関に送り返すだけです。
こうしてグレン君は傭兵兼使用人又はクランちゃんの従者兼遊び相手として勤めるようになり晴れて二人は顔を合わせる事となりました。
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因みに銘を受けた当日のグレン君ですが上司に呼ばれ初っ端口頭から「最重要人物の護衛及び監視の任務だ」と告げられ、流石のグレン君も涼しい顔の内心では戦々恐々としていたのですが蓋を開けてみれば少女と文字そのままの意味で遊ぶだけだったので拍子抜けしたとかなんとか。
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最初こそ主にグレン君が警戒を示して距離感があったもののクランちゃんの能天気な…おっとりとしたペースにだんだんと絆されていきました。二人は徐々に親密になります。
好奇心からか人懐っこく少々抜けている愛らしい面もあるクランちゃんに対しグレン君も素で少々辛辣な言葉を投げ掛けてみたりと魔力装置とその魔力による被検体とは思えないような微笑ましく仲睦ましい関係値を築きます。
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少し引っ掛かるのは、クランちゃん自身に知らされていない事とはいえ自身や周囲の孤児達をこのような姿にした元凶でもあるクランちゃんに対してグレン君は怒りや怨みを感じ無かったのだろうかという点ですが恐らくそんな事は無く、だからこそ最初の頃は警戒し場合によっては一夜報いて処分される気もあったのではないかなと思います。
しかしクランちゃんと触れ合っていくうちに連れ彼女自身の境遇も決して良いものとは言えず彼女もまた被害者の一人であるという答えに落ち着いたのではないかと推測します。
二人が親しい友人となるまで、そう長い時間は掛かりませんでした。しかし同じくして穏やかな時間も長くは続いてくれなかったのです。
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これまでの国王の横暴な統制に国民や一部兵士の不満が爆発しクーデターが勃発したのです。
瞬く間に王国内が戦場と化しました。勿論、国同士の戦争では無く内紛でです。城内にも怒号と罵声が響き渡ります。
意外にも早々に劣勢に陥ったのは国民側ではなく王国側でした。軍事力は王国側が保持しているものの肝心の指揮が行き届いていなかったのです。何故そのような事態に陥ったか
国王も混乱していました。何故ならクーデターを起こした先導者は実の息子、自身の傍で仕えて来た筈の王子だったからです。
だいぶ遡った先述にて書かせて頂いたこの王子の存在が後々の展開に大きく影響していくというのが、ここで繋がります。ずっと傍らで国王の人を〝駒〟のように扱う王政、そして非人道的な研究への協力等々人権や意志を無視したやり方を見て来た王子は、裏で傷ついた��民や兵士達に寄り添い反旗を翻すタイミングを見計らっていました。
恐らく魔法使いの女性も王子同様に以前から国民側として裏で手を引いていたと思われます。そして、このクーデターはクランちゃんとグレン君の保護までしっかりと視野に入れられており、外部にも漏らさぬよう慎重に計画を練られていた筈のものでした。
魔力提供したものとは又違いクランちゃん本体の強力な魔力は、王城内外のバリア等あらゆる動力源としても使用されてしまっており図らずしもクーデターを起こすには厄介なものとなってしまう為、一時的に城外に避難させる必要がありました。そこで警備が手薄になる内乱での混乱に乗じてグレン君が外の安全地帯に彼女を連れ出すという算段の筈でした。
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一足…いや二足も早くクランちゃんの側近であった王国専属のメイドが王子や魔法使いの女性の規格外に動きクランちゃんを拘束します。
彼女はただのメイドではなく王国の為に戦闘要員として教育された暗殺者の一人でした。思うに彼女は事前に王子や魔法使いの女性の裏での行動に気付いており尚且つグレン君がクランちゃんを連れ出すという計画まで〝メイド〟として傍で聞き確実に王国側を勝利させる為敢えて大事にせぬように内に潜ませ、虎視眈々と様子を伺って来たのではないかと思います。
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★解説では早い段階でメイドの正体は王国から手配された監視役と明かしていましたがクランちゃんやグレン君達が彼女の正体に気づくのは今この瞬間です。
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さて確実に王国側を勝利させる条件ですが、それはクランちゃん…もとい、
無限魔力発生装置の主導権を王国側が絶対的に握り最大限に利用する事です。
これまでは魔法使いの女性との契約により大事に扱ってきましたが王国側から見たら今の彼女は裏切り者です。
よって契約は破棄と見なされ、クランちゃんを大事に且つ丁重に扱う理由も無くなりました。
逃げようとするクランちゃんの手をメイドは捕まえます。
当然そんな裏事情など知らずに十年間、彼女に信頼を置き剰(あまつさ)え家族のように慕っていたクランちゃんは酷くショックを受けます。
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予定外の展開にグレン君も呆気に取られ、動揺している間にクランちゃんは王城内の他の部屋に攫われてしまいました。
今までと打って変わり問答無用という態度にグレン君も普段の冷静さを失い激昂し、それこそ同士討ち前提の死を覚悟しクランちゃんを死に物狂いで探します。
もしこれが王国の手により強化された人間同士の一対一の純粋な決闘ならグレン君にも勝算が見えたかも知れません。
しかし現状は内部戦争です。相手も無策な訳がありません。
ここにきて王国側からの新たなる刺客がグレン君とクランちゃんを絶望の淵に追いやります。
城内が混乱する渦中やっとの思いでグレン君がクランちゃんを探し当てた部屋には怯える彼女と一緒に最凶で最悪な暗殺者が血色の眼を揺らしながら尋常でない殺意と狂気を放って恨めしそうにグレン君を待ち構えていたのです。
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この刺客とは一体何者なのか。まず、クランちゃんの側近であったメイドは王国に忠誠を誓う暗殺者の一人でした。要は彼女の他にも暗躍していた者達が存在していたのです。
その中でも現在グレン君と対峙している暗殺者の少女はタチが悪く、例えば暗殺者でありながらも世話係の兼任を担っていたメイドが持つような理性が崩壊しており殺しそのものを生業とする生粋の暗殺者です。そして国王以外に唯一、メイドが信頼する彼女の実の妹でもあります。
この暗殺者の少女はクランちゃんやグレン君と同じ年頃でありますが、元々の素質か暗殺者として育て上げられた過程でか価値観が酷く歪んでしまっており『自分を見てくれるから』ただそれだけの理由で暗殺を遂行してきました。
今回も例に漏れずグレン君が『見てくれるから』彼を殺そうとします。そこに最早もう内部戦争だとか暗殺任務だ等は塵程に関係ありません。
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★補足
この間クランちゃんを暗殺者の妹側に任せて姉側のメイドは何処に行っていたのかと言いますと、国王の元へと助太刀しに行っていたのではないかと思います。クーデターが勃発している現状、命が一番危険に曝されているのは国王です。
この姉妹も出生はグレン君と同じく孤児であり特に姉のメイドの方は王国に拾われた恩義から強い忠誠心を持ち結果としてクランちゃん達と敵対しました。
しかし妹の方は精神が壊れてしまっており暗殺の理由である『見てくれるから』という物言いの仕方からして、国に恩義を感じる以前に幼さ故に愛情不足等々のストレスに心が耐え切れなかったのだと推測します。
因みに姉妹と表されていますが血の繋がりはありません。
二人の関係ですが、少なくとも姉の方は妹を大事にしている印象で壊れてしまった妹と同じ年頃であるクランちゃんの傍で仕えながら、同じく彼女らと同じ年頃であるグレン君と一緒に従者として働いていた日々の内心を思いますと複雑なものがあります。
因みに約十年間メイドとして触れ合ったクランちゃんの事は「嫌いでは無かった」ようで今回の王国側と国民側の対立が無ければ、もっと良好な関係が築けていたのかもしれない。
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★補足2
今まで触れて来なかったクランちゃんの戦闘能力ですが無限に魔力を発生させれるものの、温室育ちであり恐らく王国側からの指示で万が一抵抗された際に厄介なので護身用の教育を受けていません。よって王国の動力源に使われる程の高い魔力を持っているにも関わらず戦闘能力は皆無です。
素質としては王城の防御壁代わりに使われていた防御魔法に特化しており、攻撃魔法より守護面に長けているようです。
しかし今回の件を考えますと王国側の判断は大正解だったようで実際にクランちゃんは戦闘場面においての自身の力の使い方が分からずグレン君を守る事が出来ませんでした。
これに関しては、先を見据えて指示した王国側がしたたかであったと言う他ありません。
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視点を絶体絶命のグレン君とクランちゃんに戻します。
グレン君も傭兵として培われた経験や過酷な訓練を乗り越えて来ただけあり持ち前の身体能力を持ってして抵抗します。全ては囚われてしまったクランちゃんを救ける為。いま彼女を敵の手中に収めてしまったら、もう二度と会えなくなってしまう…そんな胸騒ぎがグレン君を焦燥に駆り立てます。
しかし相手は〝殺人〟に関して一流であり加えて精神が崩壊している為ブレーキが存在せず惨殺するまでグレン君に執着し続けます。例えクランちゃんが自分を犠牲にしグレン君を見逃すように叫んでも羽虫の鳴き声程にしか捉えない又は聞いてすら…はたまた聞こえてすらいないのです。
その結果、グレン君くんの必死の攻防は悲劇的で尚且つ最悪な結末として無念にも終わってしまいます。クランちゃんの目の前でグレン君の身体は鋭利な刃や黒魔術により深く刻まれ嬲られ満身創痍となりました。
死体よりも酷い有り様の瀕死状態で、まともに呼吸をする事すら出来ているのか分からない程に変わり果てたグレン君の姿にクランちゃんは遂には泣き崩れてしまいます。
その凄惨な光景は、誰がどう見ても逆転不可能な幕引きにしか見え無かったのです。しかし…
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クランちゃんの泣き声を聞きグレン君は最期の力を振り絞り傷だらけの体で立ち上がります。
それとほぼ同時に魔法使いの女性が率いる一部の反乱軍がグレン君とクランちゃんを護るように部屋に突入し、反乱軍である国民と魔法使いの女性の決死の助力によってクランちゃんとグレン君は先述していた計画を組んでいた際に事前に用意されていた外の安全地帯へと送られたのです。
そして同時刻…クランちゃんとグレン君の逃亡劇の裏で、王城の玉座の前では国王は国の繁栄を、王子は民の意志を継いで、互いの思想と理想の為に親と子は剣を振り下ろしました。
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安全地帯に送られ、文字通り命からがら城外に逃げる事が出来たクランちゃんとグレン君。クランちゃんは初めて出た外を不安げにきょろきょろと見渡します。足取りも覚束無いまま緊張の糸が切れ尻餅を着くクランちゃんの横で、どさりと重たい音がしました。グレン君が倒れたのです。
逃げる前グレン君は重症よりも酷い状態でした。その深手のまま敵に抗い痛みを感じる以上にクランちゃんを助ける事に必死でした。自分の命を犠牲にしてまでもクランちゃんに生き延びて、生き続けて、生きていて欲しいと。
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二人を逃がす前に、魔法使いの女性から応急手当として回復魔法を受けていたと思われるグレン君ですが恐らく魔法使いの女性は回復魔法は専門外であり、専門の術者もその場におらず呼びに行くとしたら時間が掛かってしまい目の前の敵に隙が出来てしまう…そして、それ以前に暗殺者の黒魔術が蝕んでしまったグレン君の体や魂は、もう助からない段階まで症状が進んでしまっていたのだと思われます。
魔法使いはグレン君に眴せします。流石にグレン君を治療が行き届かない外に出す訳にはいきません。例えもう助からないとしても1%でも生存確率を上げるならばクランちゃんを一人で外に逃がし、そして暗殺者と今も尚対峙している為この場は危険な場所には変わりませんが医療班が来る望みがまだ有る分こちらにグレン君は残っているべきと…ですが
その真紅の瞳は近くまで来ている〝死〟への恐怖は微塵も感じさせず最期までクランちゃんを護りたい、傍にいたいという強い願いと従者としての誇りを、肌がひりつく程に感じさせました。
いずれの選択にせよグレン君が長く無いのは変わりません。ならば彼の意志を最大限に尊重するのが、せめてもの手向けになるのではないか…そうして魔法使いの女性は、それこそ断腸の思いでクランちゃんと共にグレン君を送り出しました。彼女にとっても王国により犠牲となってしまった国民である一人の少年を。そして大事な娘…そのような存在であるクランちゃんの、やっと出来た大切な友人を自身の目の前で救えなかったのですから…。
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安全地帯にさえ来てしまえば、クランちゃんはもう大丈夫です。役目を終えグレン君は血塗れた瞼を穏やかに閉じて息絶えていました。従者として友として最期まで彼女の傍にいました。
グレン君の死にクランちゃんは酷く悲しみました。しかし、もう先程のようには泣き叫びませんでした。膝枕するようにグレン君の頭を乗せ、泣いていた時の余韻を残して少し赤く腫れてしまった瞳で何かを決意したようにグレン君の亡骸を見据えます。そして彼女の〝救けたい〟という純粋な想いと祈りは、潜在的に宿り眠り封じられた秘められし〝奇跡の力〟を覚醒させます。
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二人を取り囲むようにして、周囲をクランちゃんの強い魔力が顕現した証である紅い薔薇が、まるで今から起こる出来事を祝福でもするかのように咲き乱れ華やかに舞い踊ります。
随分と遡った先述にて記させて頂いた通りクランちゃんの実態は人間ではなくどちらかと言うと天使に近い存在です。
そう、今まで鳴りを潜めていた天使としての力が覚醒したのです。そして運命に翻弄され続けた少女の無垢な祈りは無事に天へ届きました。
こうして意識を取り戻したグレン君の視界には宝石のような瞳に涙を一杯一杯に溜めたクランちゃんが映り、揶揄ってやろうとするも束の間に抱き締められ、傷に響くと小さく呻きつつも照れくさそうに抱き締め返すのでした。
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天使の蘇生術を施された反動によりグレン君も人間ではなくなってしまいました。クランちゃんも以前のように人間の真似事のような歳の取り方を出来なくなってしまいます。しかし、そんな事は今の二人にとって、とてもとても些細な事でした。
その後の長い長い年月を、クランちゃんとグレン君は互いに手と手を取り支え合い二人は幸せに生きていくのでした。
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ここからは補足と後日談。内紛は王子が率いる国民側が勝利し、研究施設諸々は取り壊され軍事の在り方についても一から見直していく事となりました。国民を踏み台として富や税を貪っていた一部の権力者達も総入れ替えを行い今度は国民に寄り添える王国を目指し今ここに若き王が誕生しました。
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元国王の処罰そして処遇については王子自身が殺害での解決を望まない人柄に汲み取れた為、権力を剥奪した状態で王子側の兵士の監視下の元軟禁または国民が知る由も無い住居にて隠居させているのではないかと思います。後者の隠居の場合に関しては見つからない場所でないと恨みが収まらない国民が国王を手に掛けてしまう事が危惧出来るからです。
これに関しては元研究員達や元王国側の権力者達そして例の暗殺者であった姉妹達にも同じような処遇が下されたかと思います。もし更生が可能ならば数年後には贖罪という意味合いも込めて表で活動出来るよう手配をする事も考慮して。
但し人として余りにも許されない行為をしてしまっていたり、更生の余地や意思が無いようであれば再出発をした王国を脅かす脅威となる前に正当に処罰を降したと考えます。
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その後のクランちゃんとグレン君について。
隠居とはまた違いますが、復興中の王国内が落ち着くまで暫くは安全地帯での生活を余儀なくされます。とはいえ生活で必要な食料や衣料品等は、新しくなった国からほぼ毎日届いており特に不便や不自由なく暮らせる状態です。
落ち着きだした頃には魔法使いの女性も二人が人間ではなくなってしまった事情も知った上で変わらぬ様子で接し度々顔を出すようになります。まるで新婚さんのような二人を茶化す母親のように。
安全地帯に関してですが、恐らく特に危険な生物が生息していない森の中で目立たないながら赤い屋根の可愛いらしいお家が建っており、そこを王国内に戻るまで仮住まいにしていたのではないかと推測。もしかしたら、そのままそこに住み続けているのかも。小鳥のさえずりで起きてほしいし、クランちゃんには森の小動物と遊んでほしい。
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以上がクランちゃんとグレン君編でした!🌹🥀
クランちゃんの愛らしさも然る事ながらグレン君という一人の男の子の生き様と言いますか在り方が格好良すぎる…!!
因みに今後ルイ達と邂逅する時が来た場合、時系列的には逃亡後の二人と会うのが正解なのですが、お城…箱入り娘のお嬢様…と見せかけて実は囚われの身の女の子…グレン君との主従関係…イイよね…みたいな感じで🍓と話していて、んじゃあ逃亡前にするか〜と審議中だったり🌻
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そうだ、せっかくなので…魔法使いの女性、クランちゃんのメイドであった暗殺者のお姉さん、そのお姉さんの実妹でグレン君を窮地に追いやったヤベー暗殺者の子は…実は…!
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この🍓が販売中のスタンプにいます。(久々な突然の宣伝)
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ちょうど三人で並んでらっしゃいました。左が魔法使いの女性、左中央が妹の方の暗殺者の子、右中央が姉の方の暗殺者の女性でメイドとしての姿、右が暗殺者としての姿です。
みんな可愛くて美人さんです!因みに🌻の推しは…春本の作者なので何となく察して頂けてそうですがヤベー妹の子。
でもって!なんと神様(左)と、オズウェルさん編で登場した全智の天使様(右)もスタンプの中にいるのだ〜!神々しい!
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そんな感じで今回はここまで〜!次回はルイと花夜と春本編です!😼🦊🐰もしかしたらルイと花夜、次々回に春本という風に記事を分割するかもしれません。まだ未知数…!
今回…というより、まとめ記事を書く度🌻から🍓への愛の重さが尋常でなく露呈しだしており見ての通り沢山書いてしまった為、誤字脱字すごいかもしれません…!見つけ次第直していきます😱それでは!♪ (2021/09/22)🌻
7 notes · View notes
tecchaso1988 · 3 years
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#読書 #論語と算盤 #守屋淳  Amazonの誕生日欲しいものリストから @1213takumi はまちゃんが選んでくれた本が届きました🙏 良本をチョイスしてくれて感謝✨   道徳と経済的利益追求 両立の可能性を追求する日本人としての志を 後世の僕らに示してくれた方 #渋沢栄一   僕もその遺志 を担う一人の日本人で在れるように頑張ります🙏   #読書メモ #実業とは多くの人にモノが行き渡るようにするなりわいなのだこれが完全でないと国の富は形にならない #国の富をなす根源は何かといえば社会の基本的な道徳を基盤とした正しい素性の富なのだ #一個人の利益になる仕事よりも多くの人や社会全体の利益になる仕事をすべきだ #徳川家康という人ほどうまく適材を適所に配置して自分の権勢を上手に広げた謀事の達人は他にいない #人が世の中を渡っていくためには成り行きを広く眺めつつ気長にチャンスが来るのを待つということも決して忘れてはならない心がけである #世間には随分と自分の力を過信して身の丈を超えた望みを持つ人もいるが進む事ばかり知って身の丈を守ることを知らないととんだ間違いを引き起こすことがある #名声とは常に困難でいきづまった日々の苦闘のなかから生まれ失敗とは得意になっている時期にその原因があるこれは真理である #一生涯を通じて大きな志からはみ出さない範囲のなかで小さな志を立ては移り変わり工夫をする #志を立てる要はよく己を知り身の程を考えそれに応じてふさわしい方針を決定する以外にないのである #本当の経済活動は社会のためになる道徳に基づかないと決して長く続くものではない #高い道徳を持った人間は自分が立ちたいと思ったらまず他人を立たせてやり自分が手に入れたいと思ったらまず人に得させてやる #お金の本質を本当に知っている心ある人は良く集めて良く使い社会を活発にして経済活の成長を促すことを是非とも心がけてほしい #世間はお金を大切にするという意味を間違って解釈しているお金に対して無駄に遣うことは戒めなければならないが同時にケチになることも注意しなければならない #人が何か自分の務めを果たすというときにはワクワクするような面白みを強く持ってほしい #理解することは愛好することの深さに及ばない愛好することは楽しむ境地の深さに及ばない #一日を新たな気持ちで日々を新たな気持ちでまた一日を新たな気持ちで #勝つことばかり知ってうまく負けることを知らなければそのマイナス面はやがて自分の身に及ぶ #自分磨きは自分の心を正しくして魂の輝きを解き放つことなのだ #個人の豊かさとはすなわち国家の豊かさだ個人が豊かになりたいと思わないでどうして国が豊かになっていくだろう #信用こそすべてのもととなるわずか一つの信用もその力はすべてに匹敵する #自分ができることをすべてしたうえで運命を待て #人は人としてなすべきことを基準として自分の責任を果たし自分の人生の道筋を決めていかなければならない #現代人の多くはただ成功とか失敗とかいうことがけを眼中に置いてそれよりももっと大切な天地の道理を見ていない #普通の人は往々にして巡り合った運命に乗っていくだけの智力が欠けている #正しい行為の道筋は天にある日や月のようにいつでも輝いて少しも陰ることがない #成功や失敗といった価値観から抜け出して超然と自立し正しい行為の道筋にそって行動し続けるなら成功や失敗などとはレベルの違う価値のある生涯を送ることができる https://www.instagram.com/p/COadXnQL1Mv/?igshid=1fyqnna6bgrtb
#読書#論語と算盤#守屋淳#渋沢栄一#読書メモ#実業とは多くの人にモノが行き渡るようにするなりわいなのだこれが完全でないと国の富は形にならない#国の富をなす根源は何かといえば社会の基本的な道徳を基盤とした正しい素性の富なのだ#徳川家康という人ほどうまく適材を適所に配置して自分の権勢を上手に広げた謀事の達人は他にいない#人が世の中を渡っていくためには成り行きを広く眺めつつ気長にチャンスが来るのを待つということも決して忘れてはならない心がけである#世間には随分と自分の力を過信して身の丈を超えた望みを持つ人もいるが進む事ばかり知って身の丈を守ることを知らないととんだ間違いを引き起こすことがある#名声とは常に困難でいきづまった日々の苦闘のなかから生まれ失敗とは得意になっている時期にその原因があるこれは真理である#一生涯を通じて大きな志からはみ出さない範囲のなかで小さな志を立ては移り変わり工夫をする#志を立てる要はよく己を知り身の程を考えそれに応じてふさわしい方針を決定する以外にないのである#本当の経済活動は社会のためになる道徳に基づかないと決して長く続くものではない#高い道徳を持った人間は自分が立ちたいと思ったらまず他人を立たせてやり自分が手に入れたいと思ったらまず人に得させてやる#お金の本質を本当に知っている心ある人は良く集めて良く使い社会を活発にして経済活の成長を促すことを是非とも心がけてほしい#世間はお金を大切にするという意味を間違って解釈しているお金に対して無駄に遣うことは戒めなければならないが同時にケチになることも注意しなければならない#人が何か自分の務めを果たすというときにはワクワクするような面白みを強く持ってほしい#理解することは愛好することの深さに及ばない愛好することは楽しむ境地の深さに及ばない#一日を新たな気持ちで日々を新たな気持ちでまた一日を新たな気持ちで#勝つことばかり知って���まく負けることを知らなければそのマイナス面はやがて自分の身に及ぶ#自分磨きは自分の心を正しくして魂の輝きを解き放つことなのだ#個人の豊かさとはすなわち国家の豊かさだ個人が豊かになりたいと思わないでどうして国が豊かになっていくだろう#信用こそすべてのもととなるわずか一つの信用もその力はすべてに匹敵する#自分ができることをすべてしたうえで運命を待て#人は人としてなすべきことを基準として自分の責任を果たし自分の人生の道筋を決めていかなければならない#現代人の���くはただ成功とか失敗とかいうことがけを眼中に置いてそれよりももっと大切な天地の道理を見ていない#普通の人は往々にして巡り合った運命に乗っていくだけの智力が欠けている#正しい行為の道筋は天にある日や月のようにいつでも輝いて少しも陰ることがない#成功や失敗といった価値観から抜け出して超然と自立し正しい行為の道筋にそって行動し続けるなら成功や失敗などとはレベルの違う価値のある生涯を送ることができる
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monqu1y · 3 years
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大戦がもたらしたもの  「大戦が 齎 ( もたら ) したもの」と題する講演を聞きに行った。  講演内容の要旨は、次のとおり。  1939年9月に始まったドイツとポーランドの戦争は、近隣諸国を巻き込んで規模を拡大していった。  イギリス・フランスがドイツに宣戦布告する一方、ソ連軍は、火事場泥棒的に、東からポーランドに攻め込んだ。  翌年、ソ連は、フィンランドを攻撃して領土の一部を奪うとともに、バルト三国を併合した。  ドイツは、デンマーク、ノルウェー、ベネルクス三国、フランスなどを制圧した。ドイツは、イギリスを牽制するためイタリアと、ソ連を牽制するため日本と軍事同盟を結んだ。近衛内閣は、軍事同盟に応じ、且つ、翌年、日ソ中立条約を結んで南部仏印に軍を進めたが、これらはスターリン戦略[砕氷船テーゼ]に沿うものだった。
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 1941年6月、独ソ激突が始まった。  半年後、日本は、アジア植民地解放戦争を開始し、フランス領インドシナ、イギリス領ビルマ、オランダ領インドネシア、アメリカ領フィリピンを占領した。  それに触発された植民地独立宣言の動きは次の通り。
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 1942年2月、中国共産党の中央党学校開校式で、毛沢東が、学風(学習態度)・党風(党活動)・文風(文書類の表現)の三風を整頓し、党内の主観主義・セクト主義・空言主義を克服すべき旨、述べた。三風整頓運動が起こり、毛沢東 側近の張宗可(康生)は、関係者を拷問して自白を得たうえで、政敵を、スパイ,裏切り者,内通者等に仕立て上げた。拷問は本人だけでなく親族や縁戚にまで及び、拷問に耐えられず、身に覚えのない罪を自白する者も多かった。ソ連人脈の王明,博古,張聞天,王嘉翔,楊尚昆,陳昌浩,杜作祥,沈澤民,張秦秋,王宝礼,王盛荣,王運城,朱自舜,李元杰,汪盛荻,北海道特甫,殷剣,元嘉永,徐義新らは、失脚した。権威主義と官僚主義を率直に批判した王実味は、逮捕され処刑された。  1942年6月頃から、[砕氷船テーゼ]の予言通り、経済力と科学技術力を誇るアメリカを擁する連合国側が優勢に転じた。  1943年5月、ドイツと戦う連合国側に与する必要から、ソ連はコミンテルンを解散した。  1945年3月、日本軍がフランス軍を降してベトナムを独立させた。  1945年5月、イタリアが降伏し、ドイツも降伏した。8月には日本が降伏し、五千万(ソ連2060万,ドイツ950万,日本646万,ポーランド560万,中国318万,アメリカ113万,イギリス98万,フランス75万)人以上の犠牲者を出した第二次世界大戦は終了した。  しかし、「尊皇討奸」の志を受け継ぎ、資本家階級を倒して国家社会主義を目指す陸軍将校らは、敗戦受容れの詔を録音したレコード盤を血眼になって探し求めた。
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 彼らの狙いは、ソ連軍に依る日本民族解放を待つための時間稼ぎだった。  近衛文麿人脈が占める政権中枢から「ソ連仲介和平」という口実で情報を得ていたソ連軍は、日本降伏に先立って、軍を極東に集結させていた。  アメリカ軍に依る原爆投下を機に日本への攻撃を始めたソ連軍は、武器を持たない無抵抗の日本人を殺しながら、瞬く間に樺太や千島列島を占領した。
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  占守島 ( しゅむしゅとう ) で樋口中将が抗戦を命じなければ、北海道はソ連軍に 蹂躙 ( じゅうりん ) されていたのだ。
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 ソ連軍は、朝鮮半島も占領したが、アメリカ軍が上陸してくると、米ソ協定に従い38度線以北に退いた。  ソ連軍は、東ヨーロッパの占領地域でも、社会主義人民共和国政権樹立に力を注ぐようになった。  日本の敗戦でベトナムにはフランスの植民地支配者が戻ってきていたが、1945年9月に革命が起こり、ホー・チ・ミンがベトナム社会主義共和国の建国を宣言した。しかし、フランスは、それを認めなかった。  1945年10月、国際連合(本部:ニューヨーク)が発足した。  イギリスでは、大戦終了直前の選挙で勝った労働党政権が、「ゆりかごから墓場まで」の福祉充実策を実施し、銀行,石炭,通信,航空,電気,鉄道,ガス,鉄鋼などの重要産業を国有化していった。そのため、産業は競争力を失い、[イギリス病]とよばれるほど国力は衰退した。復活には、1980年代のサッチャー登場まで待たなければならなかった。
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 朝鮮半島では、信託統治(国際連合の信託を受けた国による統治)が検討されたが、まとまらず、アメリカとソ連による分割占領��行われた。  1945年10月10日、中華民国と中国共産党との間で、「内戦を避け、独立・自由・富強の新中国を建設」するための協議が行われたが、双方の思惑は、相手を潰す準備を整えるための時間稼ぎだった。  1946年6月、イタリアでは王制が廃止されて共和政となった。翌年2月にパリ講和条約を結んだイタリアは、エチオピア・アルバニア・リビア・ソマリランドなど総ての海外植民地を失った。  1946年6月、ベトナム南部で、フランス領コーチシナ共和国臨時政府の樹立が宣言された。  1946年7月、中華民国と中国共産党との間で、全面的な内戦が始まった。当初はアメリカの支援を受けた国民党軍が優勢なように見えたが、次第に、ソ連に降伏した関東軍の装備等( 就中 ( なかんずく ) 精鋭将兵の軍事指導)を利用できる中国共産党に形勢が傾いていった。  1946年12月、ベトナム軍とフランス軍の戦争が始まった。フランス軍が優勢だったが、ベトナム社会主義共和国軍はゲリラ戦を展開して頑強に抵抗した。  1947年2月、建国を悲願とするユダヤ人とアラブ人の紛争が絶えなかったパレスチナを持て余したイギリスは、委任統治を放棄し、国連にゲタを預けた。11月、国連総会は、パレスチナの土地の6割弱をユダヤ国家に、4割強をアラブ国家に分割する案を、可決した。倍以上の人口を抱え、殆どの土地を所有するアラブ人側に過酷すぎる不自然な決定は、アメリカ大統領トルーマンのゴリ押しによるものと言われている。
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 そこから、中東戦争が始まり、長く続くこととなった。  朝鮮半島では、統一政府樹立のための総選挙がソ連の反対で実施できなかったので、1948年5月にアメリカの占領下にある南部だけで総選挙が行われ、李承晩が大統領に当選した。8月15日、大韓民国第一共和国の樹立が宣言され、アメリカ軍政が廃止された。  1948年9月9日、朝鮮半島北部を実効支配する勢力(満州派、甲山派、南労党派、中国共産党、延安派、ソ連派など)が、朝鮮民主主義人民共和国の建国を宣言した。  1949年1月、中共軍が国民党軍を敗退させて、北京に入城した。10月1日、毛沢東が北京市で中華人民共和国の建国を宣言した。10月25日、中共軍八個連隊は、対岸の 厦門 ( アモイ ) からの砲兵隊の援護を受け、200隻のジャンクで三方向から包囲するようにして金門島に迫った。これに対する国民党軍(三個師団と保衛一個連隊)は、旧日本陸軍中将 根本博氏の指揮を受け、一発も反撃せず、中共軍を上陸させて島内に誘い込んだ。日没後、国民党軍は、ジャンクに火を放って上陸軍への補給と退路を断ち、総反撃に出た。中共軍は、混乱し、包囲網の開いた一方向に雪崩を打つように殺到して海岸に向かったが、追いかける国民党軍と島陰で待機していた海軍の挟み撃ちに合って壊滅した。以後、中共軍は、対岸から砲撃するだけで、金門島に上陸しようとしなくなった。
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 1949年4月、北米と西欧の30箇国は、軍事同盟NATOを結んで共産圏の脅威に備えた。  1949年6月、ベトナム王国ができ、ベトナム帝国皇帝だったバオ・ダイが国王になった。  1949年12月、南京から逃れ出た蒋介石らは、台湾島の台北に中華民国政府を移転させた。  1950年1月、イギリス労働党政権が、中華人民共和国を承認した。  1950年2月、フランス、アメリカ、イギリスがベトナム王国を承認した。  1950年5月、韓国の総選挙で、李承晩政権に対する不信任の結果が示された。2年後任期満了時の再選を危ぶんだ李承晩は、人気挽回策として、対日戦意を煽り「対馬侵攻」を名目に精鋭軍を南下させ釜山に集結させた。手薄となった首都ソウルは、「国土完整」を唱える朝鮮民主主義人民共和国軍にとって、格好の餌食に見えた。  1950年6月25日早朝、北朝鮮軍による総攻撃が、青天の霹靂の如く、何の前触れも無く始まった。防衛ラインは次々と突破され、韓国軍はひたすら敗走を続けた。韓国政府は非常閣僚会議で、ソウルを捨てて南にある水原への遷都を決め、李承晩は更に南の大田に逃れた。ラジオは「国連軍が助けてくれるから安心しろ」と大統領の肉声を放送し続け、新聞は事実と異なる韓国軍の反攻を伝えていた。大統領が逃げ、国民を欺き続ける中で、北朝鮮の南進を少しでも遅らせる為、韓国軍はソウルを東西に流れる漢江の人道橋を、多数の避難民もろとも、爆破した。後に、橋爆破の現場責任者だったチェ・チャンシク大佐が責任を問われて処刑され、真相は闇に葬られた。  米軍機動部隊が大田に到着し防衛線を築いたが、北朝鮮軍は韓国軍を攻め、それを崩壊させて横にいる米軍を包囲した。韓国軍は大量の米軍装備を放棄して逃げ、それを北朝鮮軍が使い、米軍の装備で米軍兵が殺害される状況になった。  しかし、李承晩は、韓国軍が前線に立つことを主張し続け、状況は改善されなかった。  その結果、米軍主体の国連軍は敗北を重ね、8月末には、北朝鮮軍が釜山まで60キロメートル余の昌寧郡に迫った。  9月2日、マッカーサー元帥が国連安全保障理事会に「国連軍の活動に関する第3次報告書」を提出し、国連軍増強の必要を強調した。また「北朝鮮軍がカムフラージュの為に民家や民間輸送機関を利用しており、軍事目標を識別することは著しく困難である」旨説明し、民間人・施設に対する攻撃の正当性を説明した。民家人を装い、或は、民間人に紛れ込んで、民間人が攻撃しているように見せかけるのは、共産主義者の常套手段。民間人の犠牲を材料とするプロパンガは、彼らの強力な武器となる。9月15日、国連軍は、仁川上陸作戦を成功させ、ソウルを奪回した。
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 しかし、李承晩の主張に基づき韓国軍を前線に立たせた結果、米軍の装備で米軍兵が殺害される状況が再現され、翌年1月、中共軍にソウルを占領されてしまった。  その後、戦況は、一進一退を繰り返したが、国連は休戦への道筋を作り、両軍の捕虜送還協定が締結された。  6月18日、李承晩は、国連決議を無視し、アメリカに何の予告も無く、抑留中の朝鮮人民軍捕虜二万五千人を北へ送還せずに韓国内で釈放させ、国際世論の非難を浴びた。この釈放は、不法に抑留した日本人の返還と引き換えに、常習的犯罪者あるいは重大犯罪者として日本の刑務所で収監されている韓国人受刑者に対する放免・日本永住許可付与を要求した手口に相通ずる処がある。  1951年9月、サンフランシスコで吉田茂首相が講和条約に調印し、日本は主権を回復した。朝鮮・台湾・南樺太・千島は放棄し、沖縄と小笠原諸島はがアメリカの占領下に置かれることとなった。調印したのは48カ国だった。同日、日米安全保障条約が結ばれ、アメリカ反共陣営に日本が組み込まれた。  1952年1月、韓国は、 所謂 ( いわゆる ) 李承晩ラインを一方的に設定した。  1953年3月、ソ連の最高指導者スターリンが病死した。  1953年7月、朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国が、軍事境界38度線を挟む休戦に同意した。軍事委員会委員長に就任した金日成は、朴憲永、金枓奉、崔昌益、許貞淑、金昌満、武亭、朴一禹、朴孝三、方虎山、尹公欽、徐輝、李相朝、金雄、鄭律成、金元鳳、許哥誼、朴昌玉、金烈、朴義琓、総政治局長、崔遠、金七星ら他派の政敵を次々に追い落とし粛正して、権力を強化しいった。  1953年12月、韓国は、日本海で漁船数百隻を拿捕し、乗組員数千人を抑留した。
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 そして、抑留者の返還と引き換えに 日本の刑務所 で常習的犯罪者あるいは重大犯罪者として 収監 されている韓国人 受刑者 の 釈放 を要求した。日本政府 はこれを飲み、在日韓国人犯罪者472人を放免し、日本での永住許可を与えた。  1954年2月、 嘗 ( かつ ) て中国西北部の陝西省で毛沢東らを迎え入れた高崗が「東北部を独立王国にしようとした」という濡れ衣を着せられて失脚し、半年後に毒殺された。  1954年、ベトナム国王バオ・ダイは、首相にゴ・ジン・ジェムを任命した。翌年、ゴ・ジン・ジェムが国民投票を実施し、ベトナムは共和国になった。ゴ・ジン・ジェムは大統領に就任し、アメリカの軍事援助を取り付けた。バオ・ダイはフランスに亡命した。  1955年、ソ連と東欧諸国は、NATOに対抗するため、軍事同盟WPOを結んだ。  1956年、ソ連での個人崇拝批判の影響受けて、北朝鮮でも金日���批判の動きが出てきたが、金日成は、甲山派と組んで政敵を除名し逮捕した。  1956年5月、毛沢東は、最高国務会議で「百花斉放 百家争鳴」を提唱し共産党への批判を歓迎した。翌年2月の最高国務会議でも中国共産党に対する批判を呼びかけるとともに、翌月6日から1週間かけて全国宣伝工作者会議でもさらに中国共産党に対する批判を呼びかけた。知識人の間で中国共産党に対する批判が徐々に出始めるようになり、共産党の中国支配に異を唱えたり毛沢東の指導力を批判する者も出てきた。5月、毛沢東は、新聞に対して党の批判とあわせて「右派」に対する批判も行うよう命じたが、「右派らは有頂天になっている。まだ釣り上げてはならない」と述べた。6月、人民日報は「右派分子が社会主義を攻撃している」という毛沢東が執筆した社説を掲載した。10日後、人民日報は、毛沢東が 嘗 ( かつ ) て「百花斉放 百家争鳴」を呼びかけた演説内容を掲載したが、演説したという内容は、批判を制約するものだった。党を思い切って批判した知識人たちは社会主義政権破壊を画策した[右派]というレッテルを貼られ、知識人の粛清運動(反右派闘争)が始まった。以後、中国共産党批判は二度と行われなかった。
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heyheyattamriel · 4 years
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エドワード王 八巻
昔日の王の一代記、八巻
ワイルダーランド
ヴァレンウッドの旅は楽しいものでした。ほとんどの場所で昼間は晴れて、夜間は涼しい気持ちの良い天候が続きました。彼らの馬の足元に、舞い落ちる朱色や茜色、金色や緑の明るい色の葉っぱが降り積もってカーペットを作っていました。ヴァレンウッドは、曇りがちで急峻な森林の多いハイロックとはとても違っていました。北の国境に着いた時、振り返ったエドワードの目には、ほとんど丸裸で、栄光を失ってしまったような木々が見えました。彼らの前には、数えるほどしか木が生えていない、丘がうねる広大な緑の土地が広がっていました。それは永遠に続いているように思えました。
「エドワード、これがワイルダーランドだ」モラーリンが言いました。「気をつけるんだぞ。気持ちのいい土地に見えるが、この辺りを治める方法を知る王はいない。皆互いのやり方を否定している―人間より悪いものもいる。ここではタムリエルのすべての種族がいて、衝突している。身を守るんだ、ことによればな」
彼らの旅は、ちょっとした事件とともに、それから数日続きました。カジートの盗賊団が夜に彼らのキャンプに這い寄ったこと以外は。彼らはたやすく撃退されました。シルクが一人を倒すと、残りは叫びながら逃げて行きました。大人しいウッドエルフの少女、ウィローは彼らの後ろに向かって弧を描くように火の玉を投げました。街道はありませんでした。互いに交差し、どこにも続いていないように見える小路ばかりでした。
二週間の力強い騎乗のあと、彼らは土地が途切れるボウルのような形の丘に着きました。収穫物が積まれた畑はきれいに見えましたが、そこにいた人々は覇気がなく、ぼろをまとっていて、友好的ではありませんでした。宿についての質問も、ただ肩をすくめて困ったような顔をされただけでした。その時、武装した一団が現れて、用件を言えと要求しました。モラーリンがモロウィンドに向かっているというと、何も盗まずに早く行ってしまえと言われました。
「通過できただけで充分だ」モラーリンが静かに言いました。
「あの田舎者たちに誰か礼儀作法を教えるべきだ」普段は穏やかなマッツが唸りました。
「それなら留まってエチケットの学校でも開いてみるか」モラーリンが言いました。「ああいう悪党のために講義をしてやるには、私の人生は短すぎると恐れているんだ。空の具合が気に入らないな、あれはあの村人よりも邪悪に見える。町で運試しをしてみようと思うんだがね」
町は木の柵で囲まれ、丈夫な門がありました。彼らを見渡すと、衛兵が入場を拒絶しました。「人間だけだ、エルフ。下等な仲間を連れて去れ」
「わかった。アリ、マッツ、エドワード、お前たちがここで暖かく迎えられることを保証しているようだ。我々はどこか雨宿りできる場所を探すよ」
アリエラは、この門に足を踏み入れた途端、嵐が来る前にみんなファーストホールドに吹き飛ばされるのが見えるようだと皆に言いました。そこで彼らは町を迂回し、砦らしきものの中にある岩壁を備えた堀を渡りました。北に延びる道の脇に、近くに大きな納屋がある小さい家があります。どちらも粗末な修繕しかしていないように見えましたが、モラーリンはドアをノックして納屋で眠らせてもらえるか尋ねるのにアリエラとエドワードを行かせました。残りは道で待っていました。
年かさの女性がノックに応えて出てきました。彼らに会って喜んでいるようでした。「泊まりたいんですって?話し相手ができてうれしいですよ。納屋で寝なくたってかまやしませんよ、奥様。空いている部屋がありますからね。私はオラ・エンゲルスドッターと言います」アリエラは待っている仲間たちに合図をしました。女性は眼をすがめて彼らの方を見ました。「ご主人とお友達がいなさるの?ええ、それじゃみんな寄り集まっていましょう。その方が暖かいでしょうからね。火にスープの鍋が掛けてあるんですよ。一週間分の食事ですけど、どうかお気になさらず。まだ作れますよ」
「夫はエルフですの」
「そうなんですか?あの方はあなたと息子さんの面倒をよく見なさっているように見えますね。豚みたいによく太って。あの人たちを連れておいでなさい。私の孫娘にもこんな風に気にかけてくれる方がいるといいのに」
客人のもてなしに金を払わせなければならないほど困窮していないと言って、オラは支払いを拒否しました。その夜の物語と歌の楽しさで支払いに充分だと言いました。雨漏りの最悪の事態を避けるために、鍋と皿が置かれていました。彼女はそれを熟知していました。雨戸と扉をしっかりと閉め、屋根が全部飛んでいかないかと怯えるような嵐が荒れ狂う中、彼らは暖炉の周りに集まって、とても楽しく過ごしました。
「奥様、教えてくださいな」オラがアリエラだけに囁きました。「あの方は本当にあなたに良くしておられる?あの方はとても大きくて、とても黒いのね」
「本当に良くしてくれますのよ」口は真面目そうな形を保っていましたが、アリエラの目は笑っていました。
「ああ、それはいいことですよ。あの方が大きくて黒いものだから、ちょっと男爵を思い出してしまって。あの人は孫娘のキャロンをさらって行ったんです―それに、あの子を手厚く扱ってくれやしません。あの人は―あの人はあの子を傷つけるんです、奥様。そして、彼女は逃げ出すこともできやしないんです。どこに行けるって言うんです?」オラの目に涙が浮かんで、使い古されて親しみのあるしわに沿って頬を流れ落ちて行きました。
女主人が就寝のために部屋に引き取ったあと、アリエラは彼女が話したことを繰り返しました。
「その子を助け出そう」ビーチが言った。「怠惰な生活で腐っちまう」
「賛成!」シルクとウイローが即座に言いました。
マッツが同意する唸り声を出しました。ミスとスサースは興味があるように見えました。
モラーリンは疑わしげでした。「我々はタムリエルのすべての間違いを正すことはできないよ。この男爵は村人に避難所のようなものを提供しているのだし。よそがいいと思えば、彼らは出ていくだろう」
「賛成」ミスが言いました。「盗賊を遠ざけてるから、そいつは楽しみのために村人から盗むのかもな」
「それで、彼を引きずり降ろすのかね?代わりになる誰かがいるだろう。あるいは、よそ者がやって来て、根こそぎ持って行かれるさ」
「この不潔な何かに勝るものはない」マッツが言いました。
「そういうことだ」嵐は過ぎ去ったようでした。アリエラは戸口に行って、雲が素早く行きすぎる東の月を見上げました。一つの大きな輝く青い星が、月の近くに浮かんでいました。「ゼニタールがタムリエルの近くにいるわ。モラーリン?」
「明日ここの屋根を修繕しようと思っていた、それが公正ならね」彼女が炎のそばに戻ってくると彼は言いました。「少なくとも、大仕事だよ。一夜の宿にしては―アリエラ?」
「彼女なりに…私に助けを求めたのよ…そして私―風の中にゼニタールの声を聞き、今夜の雨の中に彼の手を感じたの」
「君の試練、というわけだね、奥さん」
アリエラは頷きました。笑ってはいませんでした。彼女は煙突がある隅でモラーリンと一緒に身体を丸め、少しの間囁き合って笑いました。エドワードは眠っていました。朝になると、彼はビーチとウィローが新しいこけら板を置くのを手伝いに屋根の上にやられました。モラーリンは手紙を書いて、夕食の時間に間に合うように、徒歩で男爵に持っていくようにと、マッツに言い付けました。
「女の子のために彼に挑戦するつもりなんだね!」エドワードがにやりと笑いました。「でも彼は戦うかな?それに、僕たちがいなくなったら、またその子を取り返すんじゃない?」
「いや、彼は私を町に入れなかったから、代わりにお前の母上は彼を我々の家に招くことを考えたんだ」モラーリンはシグネットリングで手紙に封をしてマッツに渡しました。
「わあ。でも、あなたのおうちまでは遠いんじゃない?」エドワードはこの救出劇が差し迫ったものでないことに、少しがっかりしました。でも、彼には8人の人間だけで砦を奪おうなんて、とても筋の通ったこととは思えませんでした。たとえそれがモラーリンの仲間たちであってもです。多分、あの歌は彼らの行いを大げさに言っているのでしょう。
モラーリンはにやりと笑ってエドワードの髪をくしゃくしゃと撫で、質問をやめて屋根に行き、母上の心配をしなさいと言いました。モラーリンとミスは一緒に歩いて出発しました。アリエラは狩りに行ったのだと言いました。夕飯時になっても、彼らは戻ってきませんでした。アリエラはエドワードに心配はいらない、あとで会えるから、と言いました。
女主人にお別れを言ったのは、日が沈んでからかなり時間���経ったときでした。彼らは馬を全部連れて行き、砦の北側の壁の近くの木立に置いていきました。アリエラはエドワードに馬と一緒に待っていたいかと尋ねました。エドワードがどこに行くのかと尋ねました。
「私たちは砦に入ってオラのお孫さんを取り戻すのよ。質問は駄目です、エドワード。あなたが来るなら、私と一緒にいて、言われた通りのことをなさい。堀はレビテトで渡るの。私は泳がなきゃだめね。渡り終えたら塀をよじ登るのよ。中に入ったら、私についてきて、できるだけ音をたてないようにして」
エドワードはぽかんと口を開けて、母と他の仲間たちを見ました。彼ら6人でどうやって砦を襲うというのでしょう?3人の女性と、2人の男性と、男の子が1人で?壁の上には衛兵がいるでしょうし、中にはもっといるでしょう。マッツも一緒に中に入るだろうけど、と彼は考えました。でも、モラーリンとミスはどこに?
堀では恐ろしいことがありました。エドワードは抗議を始めましたが、それからその方がいいと考え直しました。スサースが最初に堀に滑り込みました。小さな水音とシューッという声がして、水面が静まりました。アリエラが水の中に入りました。他の者たちは宙を浮いて渡りました。
「ロープがある」ビーチが壁を探りながら言いました。3本のロープがありました。エドワードとビーチとスサースが最初に上に上がりました。アリエラ、ウィロー、シルクがそのあとに続きました。モラーリンとミスが上で待っていました。二人の衛兵は荒れ果てた建物の上で穏やかにいびきをかいていました。
「どう―」エドワードが言い始めると、母が片手で彼の口をぴしゃりと叩いたのがわかりました。他の場所の壁の上にいる衛兵が大きな声で呼びかけ、エドワードは心臓が止まりそうになりました。ミスが何かを叫び返すと、どしどしという足音が遠ざかって行きました。
仲間たちは静かに階段を下りて、影のように中庭を横切りました。砦の中に入る扉には、衛兵が一人もいませんでした。通路の中は不気味なほど静かでした。彼らは堂々とした扉のところで身を落とし、壁にぴったりと身体をつけました。中の声が聞こえます。か細い、ゾッとするような泣き声がして、静かになりました。モラーリンがそのあとに続いた静寂に向かって口笛で短い曲を吹きました。ドアが大きく開き、彼らは中に駆け込んで、猛烈な勢いで驚いていた衛兵の上に身体を投げ出しました。
エドワードがトゥースを手に最後に中に入りました。彼は一番近くにいた衛兵の脇腹に突き刺して、ビーチが頭への一撃でとどめを刺しました。マッツはずっと中にいました。扉を開けたのはマッツだったのです。彼の斧が一人の衛兵の頭を割り、それから内側のドアに向かって振り抜きました。アリエラとウィローが外側のドアに素早くかんぬきを掛けました。モラーリンの敵はとても若い男でした。彼は大きなダークエルフを一目見ると、彼の剣を床に捨てて跪き、慈悲を請いました。
モラーリンは汚らわしいものを見るような目で彼を見て言いました。「ゼニタールによろしく言ってくれ。エボンハートのモラーリンが慈悲を推奨していたとな。私には、お前のような者には持ち合わせがない」彼は若い衛兵の喉を切りました。モラーリンの革鎧に血が吹きかかりました。彼の犠牲者は床に倒れ、ゴボゴボと恐ろしい音をたてています。燃える酸がエドワードの喉に上がってきましたが、彼は固唾を呑んで目をそらしました。
控えの間の中にいた衛兵たちは処刑されましたが、ドアの外では怒号と足音が轟いて、ドアに体当たりする音が聞こえました。エドワードは母のあとについて、巨大なベッドに鷹が羽を広げるような形で縛り付けられた裸の少女以外は誰もいない、奥の部屋に行きました。彼女の眼が彼らを見つめていました。
アリエラが彼女の肩を押さえている間に、仲間たちが彼女の縄を切って自由にしてやりました。「おばあさまが私たちをよこしなさったの。男爵はどこ?」
少女は本棚を指さして、アリエラにしがみつきました。彼女はエドワードより大きくもなく、年もそう変わらないように見えました。彼女の胸は膨らみ始めたばかりです。彼女の体はみみずばれと血と紫色と黄色の打撲で覆われていました。アリエラは自分のマントで彼女を包みました。ビーチが彼女を抱き上げました。ミスの指先が本棚を探っています。カチリという音がして、横に滑りました。彼は慎重に中に入りました。他の者たちがあとに続くと、秘密の扉が彼らの後ろで閉じました。
「それはただのねじ穴だと思う」ミスが言いました。「だけど、罠を仕掛けてあるだろう。間違いない」
「じゃあ、気をつけて」アリエラが言いました。「急ぐことはない。男爵は戸口で客の見送りをする準備をしてると思うよ、いい主人の常識みたいにね」
細い通路が左側に開けました。ミスは雷の矢を打ち込みました。床は骨でいっぱいです。人間の骨です。小さな頭蓋骨が空っぽの目で見つめていました。「彼を殺すことを楽しむことにするよ」モラーリンが言いました。
「駄目よ!」アリエラが抗議しました。「私の試練です、私が殺すの!」
モラーリンが彼女の方を振り向きました。「アリエラ―」
「私はアリエラの手によって死んだと歌われたいの!彼と対決する権利を主張しますわ、王様」
「私に任せて、歌は君の言った通り歌うよ!彼は君の2倍はあるんだぞ。権利のために私と戦いたいのかね?」エルフは彼女に向って身を屈めました。彼は彼女の頭一つ分余計に身長がありました。
「必要なら」アリエラは彼を撫でて通り過ぎ、腕につけた盾を鳴らしました。そして走り出すと、彼女のショートソードを抜きました。
モラーリンは彼女を掴みましたが、掴み損ねて彼女のあとを走って追いかけました」彼の大きな体は低くて狭い通路で引っかかりました。不用意に壁にぶつかると、彼の魔法のシールドから火花が飛びました。
「二人とも、早く」ミスが前方で叫びました。「お前らのためにやつを取っておくとは約束してないぞ」
「モラーリン」エドワードが彼の後ろを走りながら喘ぐように言いました。「母さまにやらせないつもりなの!」
「させるさ!どうやって止められるか教えてくれるのか?私は提案を受け付けるぞ。実際に彼女と戦うには知識が不足している」彼は半分怒って、半分面白がっているように見えました。
「た、多分彼はもう逃げちゃってるよ」
「ないな。彼は我々と一緒にここに閉じ込められたんだ。さっき反対側から出口を見つけてミスが男爵には開けられない鍵をかけた」
「じゃあ、麻痺させよう。父さまは運べる」
「彼女は盾を使ってる。他にも効果はあるが、あれは呪文を跳ね返すんだ。私はただ自分を麻痺させるだけだし、私は運ぶには不便だ。彼女は大丈夫さ。あれはすばらしい盾だ。とても強い魔法を使える。アイリック本人が細工をしたんだよ」
「今夜、鍵にちょっとした問題がおありかな、男爵?」前方からミスの声が聞こえました。彼らは広い部屋に出てきました。そこでは、男爵が巨大なドアの隣のスイッチを虚しく引っかいていました。
「彼には必要ないでしょう」アリエラが鼻で笑いました。仲間たちは彼女の周りに半円状に広がりました。男爵は背中を扉につけて戦う間合いを取りました。彼は大男で、マッツほどの大きさがありました。そして、彼はマッツが持っているのと同じくらい大きな斧を抱え、ブレストプレートとヘルムを身に着けていました。彼はモラーリンを指さしました。
「9対1だ。お前のような黒い悪魔たちからのオッズを期待しているぞ」モラーリンはグループの後ろにいましたが、男爵は彼をリーダーに選び出しました。なぜかみんなそうするのです。
「ウェイトでアドバンテージを取るのがお好みなのだろう?だが、妻が戦いたいそうでね。お前の魅力に抗えないと見える。私もだ。招待への返事を待ち切れなくてね。だから代わりに来てやったのだ」
「俺があの女を負かしたら、残りのお前らが俺を殺すのか?は!その値打ちはあるかもな」彼はアリエラを冷酷な黒い瞳で見つめながら付け加えました。
アリエラは恐ろしい微笑みを見せました。彼女の黒い髪は肩の辺りで奔放に揺れ、彼女は輝いているようです。「お前はこの女を打ち負かすことはできないでしょう、男爵。ですが、もしできるなら、どこにでも行きなさい。今夜、お前は私だけのものです。皆に誓います、ゼニタールに懸けて!もしまかり間違って彼が私を殺したら、私の幽霊が墓まで、その先も彼を追い立てるわ」彼女の声は予想よりも楽しそうでした。エドワードは震え始めました。
「ゼニタールに懸けて!」
男爵は笑いました。「信じられんな。だが俺のコレクションにまた女が加わるわけだ。その女にそんなに飽きてるのか、エルフ?」
「そんなに彼女を恐れているなら、代わりに私とやる方がいいか?」エドワードの心が、どこか深いところでかのエルフが正しいことを理解しました。男爵の虚勢にもかかわらず、彼はアリエラを恐れていました。エドワードは彼らとともには誓いませんでした。彼はしっかりと杖を握り締めていましたが、足は床に根を張っているようでした。
男爵は再び笑って、答え代わりにアリエラに強力な一撃を繰り出しました。でも、それは彼女の盾に傷もつけずに跳ね返されました。彼女が魔法でシールドを張っていることがわかると、彼の目が見開かれました。アリエラは踊るように脇に避け、彼の腕を切りました。彼女は敏捷でしたが、彼はどうにか多くの攻撃を当てることに成功しました。もし彼女のシールドが切れ…エドワードには最後まで考えませんでした。
彼女の盾の効果を消すことばかり考えて、彼が体を開いていたため、彼女は彼の足に何度も攻撃を加えました。彼女は打撃を低く保って、足を鈍らせ、血を流させようとしていました。その間中、彼が死んだら玉を抜いてやると言いながら、彼女は彼の男らしさをあざ笑って挑発していました。猛烈な一撃が彼女を後ろに下がらせました。彼女の盾が光ると、消えてしまったのです。
男爵は彼女の頭を一撃で割ろうとして斧を高く構えました。彼女は腕を後ろに引き、細身のショートソードを敵の目のにまっすぐ投げ込みました。彼は斧を取り落として叫びながら膝をつき、両手を顔に這わせました。アリエラは前に進み出て、彼の脳に深く貫通するほど、痛烈に剣を突き刺しました。身体をよじり、痙攣させながら、彼は倒れました。
「よくやった、奥さん!」
「私にはすばらしいトレーナーと、いい甲冑師がいますもの!」アリエラは笑って、やがて頭を戻し、こぶしを握り締め、両手を挙げて言葉にはしない勝利の叫びを上げました。
「お前のおかげだ!」モラーリンはシルクを掴むと荒々しく抱きしめて大きな音をたててキスしました。「お前が彼女に教えてくれたいかしたトリックだ、シルク」
「私のトレーナーさんを口説くのをやめて下さったら感謝しますわ、旦那様!」細身のアダマンティウムの剣を慎重に拭いながらアリエラが言いました。
「わたしが?口説く?怒っていないだろうね…それに、君の盾はまだ魔力がある。私はただ感謝しただけだよ。次に会った時はアイリックにキスしよう」
「本当に死んだの?」戦闘の間中、キャロンは目をつぶってビーチにしがみついていました。今の彼女はアリエラを―畏敬のまなざしで見つめていました。エドワードは適切な言葉だと考えました。エドワードも何か同じことを感じていたのです。恐怖に近いものでしたけれど。
「充分死んでいるわ」アリエラは、まだかすかにぴくぴくと動く身体を満足気に見つめながら言いました。少女は近寄り、彼の隣に膝をつきました。彼女は石を持ち上げると、泣きながら、何度も何度も彼の顔にぶつけました。彼女がそれを終えると、スサースが彼女に治癒の呪文をかけました。ミスが鍵を開けて外に出ると、馬を置いて行った場所のすぐ近くでした。
彼らは少女を母親の家に送り届け、彼女を冒涜しようとする人間には誰にでも、もし彼女が傷つけられたら、ゼニタールの番人たちが戻って来ると言うように、と教えて立ち去りました。まごついた老女は孫娘を抱きしめました。彼女が別れの挨拶をすると、夫の面倒を見るようにとアリエラに耳打ちしました。
「あら、そうしますわ」アリエラは言いました。「そうしますとも」
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彼らが休憩のために足を止め、ア��エラが話をしようとエドワードの方に行きましたが、彼はとても疲れていて、ただただ眠りたいと抗議しました。息子が彼女を必要でない時は、君を必要としている夫に会えるだろうと言いながら、モラーリンが彼女を引き離しました。二人は火を囲む輪の外に出て行きました。エドワードは目を覚ましたまま起きていて、二人の小さな、鼻を鳴らすような音を聞いていました。それは、珍しいことではありませんでした。最初は気になりました。「眠れないよ、二人ともうるさいんだもん」ある夜、彼は抗議しました。「ねえ、何してるの?」その言葉は仲間たちから忍び笑いを引き出しました。「少なくとも、眠る振りぐらいできないのか?」モラーリンが平静を装って尋ねました。「僕は今、どうしてダークエルフがよく一人以上子供がいるのかわかったよ。僕がわからないのは、どうやって人間がこんなにいっぱい増えたかってことだ」モラーリンとアリエラは、その夜彼に嘘をつくために戻ってこなければなりませんでしたが、彼が眠ったふりをしたあとは、他の夜と同じようにしていました。
その騒音はあまりにも身近なものだったので、その夜の冒険の映像が彼の心の中で明滅するのを防ぐことができず、まるでそれらが再び本当に起こっているように、生き生きとしていました。彼は自分のデイドラが餌を食べ、それを止められないのを感じていました。不公平だ、と彼は考えましたが、自分のデイドラに餌をやり、それでも神々とともに歩むというモラーリンの言葉の意味を理解し始めていました。ゼニタールとともに。
モラーリンがアリエラを抱えて戻ってきました。彼は彼女を優しく下ろしてから、エドワードと彼女の間に横になりました。
「女でいるということは困難に違いないね」彼は優しく言いました。「彼女を見ていると大変だ。ただ見ているだけで」
エドワードは頷きました。
「私はそれについてよく尋ねた、彼女に」モラーリンは続けました。「彼女はそれがどんなに大変か教えてくれたが、今晩まで知らなかった。彼女が勝つことは知っていた。ゼニタールが彼女とともにあって、男爵にはデイドラしかいなかった。それでも、見ているのはとても辛かった。彼女は10回のうちの9回を使った。そして、もし失敗すればあの盾にはさらに使い道がある…彼が疲れ切ってしまう前に、消耗を回復したかもしれん」
「僕もそのことを考えていたの…そしてあの衛兵…彼は命乞いをした?」
「わかっているよ。だが、彼は同じ言葉を聞いていた…毎晩毎晩な。それでも彼は男爵の手下であり続けた」
「大抵の男はあなたみたいに強くないんだよ。自分でもどうしようもなかったんじゃない?」なぜ彼は、もう死んでしまった男の弁護をしているのでしょう?彼の心はその夜の出来事を、良くも悪くも違う結果になったかもしれないと何度も繰り返し考えていたのです。
「あのように腐った魂のような邪悪を目にしたのに、ただ見ているだけで何もしないなどとは…マッツは持っている値打ちなどない私の片手を持ったままだったかもしれないな。それに、若者にとってはさらに悪い。今夜のようなことを経験させて済まなかった」
「僕の魂は腐っちゃった?」
「苦虫を噛み潰したような気持ちだろう、みんなそうだ。だが、治るよ」
「今治せる?」
「もちろんだとも」モラーリンは彼を腕の中に引き寄せて寝返りを打ち、エドワードが両親の間で横になれるようにしました。アリエラは眠ったまま彼女の両腕を彼に回しました。エドワードの鼻で、彼女の強い女性の香りと、モラーリンの麝香の暗いスパイスの香りが混じりました。
「母さま、とても怒ってた」エドワードは囁きました。彼はまた同じような気持ちで母を見られるようになるかしらと考えました。きっと、モラーリンもその安心感を求めていて、それを求めるには充分賢明だったのでしょう。
「彼女は女だ。他者に対するああいう類の傷は、彼女の心の琴線に触れる」彼は言いました。
どのぐらい?少年はその質問を口に出せるわけがないことを察しました。
「お前の父は怪物ではない。だが、彼女は自分のことを気にもかけない男に嫁いだ。そして、彼の下から去ることができなかった。お前の種族にはよくあることだが、だからと言って耐えることをたやすくはしないと私は思うよ」
「じゃあ、彼女にもデイドラがいるの?」エドワードは悲しげに尋ねました。
「それについては本人と話さなければいけない」
「今日のはほんとには公正な戦いじゃなかった。母さまはシールドがあったし、彼にはなかったもの」
「公正な戦いは闘技場のためのものさ、坊や。お前は狼やヘルハウンドが何も持っていないからって、武器も呪文も鎧もなしに戦うのかい?私は使うだろうな」
「男爵が死んじゃって、キャロンとオラはどうなるの?それに他の村の人たちも。」
「私が予言者マルクに見えるかね?わかるわけがない。春までここにいて、今夜我々が焼いた畑に何が育つかを見ることはできる。私は留まる気も、耕す気もないがね。私には私の、手入れすべき畑がある―聞いたかい、ノルドの農夫みたいじゃないか。鉱山の方がもっと私らしいな」彼はあくびをしました。
「他のみんなはあとのことは考えてなかった。父さまは考えてた」
「私は王だよ。それが仕事さ」
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第34話 『旧き世に禍いあれ (2) - “ブラストフォート城塞"』 Catastrophe in the past chapter 2 - “Blastfort Citadel”
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 ブラストフォート城塞を見渡せば、『城』という華やかな言葉の印象とは遠い、石造りの堅牢な風貌は砦のそれと言っていいだろう。
 スヴェンはこの建造物も元は修道院だったと噂では聞いていた。ただ、城塞に研究所を設けた時には既に砦として使われていて、実際のところどうだったかは、皆目見当がつかない。むしろ験を担いだ誰かの作り話ではないかと考えていた。作り変えられた施設にしては、礼拝堂だったと見られる建物もなく、険しい斜面をわざわざ切り出して作られた来歴の割には、この地に作られた由来すら記録に残されていないのも疑念の余地がある点だった。
 城塞と名を冠しながらも、城壁の内側に市街はない。居並ぶのは兵舎や倉庫、そして厩舎などの背の低い軍用の建物で、全てが同じように暗い色をしていた。
 はぁと深い息を吐く。その息は白く、スヴェンは体をぶるりと震わせた。外套の襟を直し、足を早める。
 短い秋は瞬く間に過ぎ去り、もうすっかりと冬だ。視界に入る山岳はすっかりと白い雪に閉ざされている。ブラストフォートは年中気温が低く、1年の半分以上は雪に覆われている。
 この城塞は、トラエ���ラウニとソルデの三国間で起きた紛争の中心地となった。三国の国境線が交わる丁度中央地点で、思惑も戦線もぶつかり合った。互いの国へ進攻するに際しても、ここを通らず他二国に兵站を送るにはどうあってもリスクの高い迂回が生じる関係で、攻めるも守るも、話はまずこの城塞を手中にしてから、という事情もあった。この要塞を抑えた国が勝つと信じられ、激しい争奪戦が目下進行している。
 トラエがこの城塞を維持し続けられているのは、”軍神”ゴットフリートのおかげだ。不敗を誇るゴットフリートは、皇帝の厚い信望を受け、ブラストフォート城塞に陣を敷いた。ここを確実に堅持し続けることが、即ち勝利を意味する。武勲で比肩する者のいないゴットフリートが此度の采配を受けたのも、当然の帰結であり、疑いを示す者もいなかった。
 対するラウニやソルデもそれを理解していたからこそ、戦火はさらに激しくなって行った。トラエ無双の英雄が、史上最も堅牢を誇る城を守護している。つまり、ここを打ち崩したもの、あるいは守り抜いたものが、この戦争を制するに等しい。この三国戦争の顛末を決定づける、天下分け目の決戦地の様相を呈していった。
 ゴットフリートは戦場で一度もその膝を地面についたことはなかった。スヴェンが城に派遣されて3年、ブラストフォート城塞は今もトラエ帝国領のままだ。各地で名を馳せたどんな名だたる英雄が攻めてこようとも、この城塞を越えた者は未だかつていなかった。
(砦としての適切なつくりと、それを最大限に生かす武将……。理屈で言うは容易いが、それがこうして揃い立つと、これほどまでに守り抜けるものなのか)
 スヴェンは眼鏡のブリッジを押し上げて、先を急ぐ。その手は幾冊もの分厚い魔術書があった。
 激戦地とはいえ、兵糧が乏しく���るこの季節には大きな動きも見られなくなる。天候によってはなお一層、双方ともに大人しいものだ。攻めあぐねた敵軍に二面三面と包囲されながらも、ブラストフォート城塞はまるで平時のように静まり返っていた。
(ああ……どうしてうまく行かないのだ……)
 城塞の中にある研究室の扉を開ける。
 真っ暗な部屋を、たったひとつのランタンが照らしていた。本来はもっと採光がいい窓があったのだが、スヴェン自身が本棚で潰してしまっていた。外光は観測を伴う実験に不向きだ。
 城塞の中の、私の城。眼鏡を再度押し上げて、ふふと短く笑う。
「次はうまくやってみせる……この書こそ本物だ、今度こそ……吾輩が見つけるのだ」
 ぶつぶつと言葉を口の中で繰り返しながら、長い執務机の上に置かれていた書類や本を床にすべて落とし、新しい本を置いた。
 本棚やコートハンガーにかけられた外套、並んだ靴などは嫌と言うほど規則正しく、寸分のずれもないように置かれているというのに、余程気が高ぶっているのか、今は床に落ちた本たちを気にして直すそぶりもない。
 大きな椅子に腰かけて、その本を開いてページを手繰り始めた。
 世界を知るということに限りはあるのだろうか。スヴェンは幼い頃からずっと考えていた。世界を知るためにありとあらゆる本を読み解き、特例を受けて最高学府に進級したときも、当然のこと、以外には特に何も思わなかった。神童と呼ばれ、世界の知識を見る間に吸収し、未知の研究に邁進し、知性で遥かに劣る両親とは縁を切り、知こそが価値とする者達とこそ縁を深め、生きてきた。
 ――この世界は、一個の生命だ。
 そう悟ったのはいつのころだろう。それからスヴェンの関心は世界の表層を辿ることではなく、世界の成り立ちの根源を掴むことに移った。
 この感覚までも理解し共有できる者はさすがにいなかったが、スヴェンは気にすることはなかった。目的と到達点は明確だったからだ。
 世界が生まれた瞬間を見る。つまり、過去へ遡行しその瞬間を観測することが出来れば、世界が生命であり、巨大な有機体であり、何がどうやってそれを作り出したのかを証明できるのではないか、と考えた。菌類はそれぞれの菌根で膨大な情報網を作り上げることで知られている。ならば世界は? 世界と世界を構成する生命や物質との関係も、似たものではないのか?
 夢を見ていると言われた。気が狂ったとも。けれど、スヴェンは時間を移動することに執着し、トラエ皇帝はスヴェンの情熱に理解を示した。思えばこんな突拍子もない目的に意義を見出す皇帝というのもまた、妙ではあるとは思った。皇帝にもまた、過去に遡行する事で成し遂げたい、”過去に戻ってでもやり直したい何か”が、心中にあったのかもしれないが、それを聞き出す術をスヴェンは持たないし、スヴェン自身興味もなかった。少なくとも、時間遡行がもたらしうる皇家の安定、全ての危険を排し、あるいは時を超えて未来の悲劇を食い止め続けて、皇家そのものを永遠に君臨させる、という”表向きの”理由――そのために、皇帝はスヴェンを支援することを決定し、臣君達も、やや半信半疑ではありながらも、それを支持した。
「これだ」
 今日も皇帝に頼んでいた奇書が届けられた。
 スヴェンはブリッジを押し上げ、眼鏡の位置を直す。正常な観測のためには、眼球とレンズの距離は常に1.5cmを保たねばならない。立ち上がろうとして自分が先程叩き落した本を見やり、露骨に眉をしかめる。頭の中を整理し終えて一息ついたら、急に普段の几帳面さが顔を出した。手早くそれらを元あった場所へそそくさと戻して、室内を完璧に揃え、部屋の中心に立った。
「まず、魔石を用意して……」
 木箱に詰めてある魔石を取り出し、机に置く。魔石は貴重な資源である。研究には大量の魔石が不可欠だった。魔石なしには、相当な魔力量を消耗する実験を繰り返し行うことは出来ない。ブラストフォートは戦地だ。当然、魔術師部隊が使うために魔石も大量に集められていたが、落城までには湯水のごとく消費されていた魔石も、入城し防衛に転じてからは、ゴットフリートを中心とした白兵戦主体の迎撃戦において、これらが投入される機会も乏しく、結果余剰が出ていた。山と積まれた荷物を運び出すにも、労力がかかる。それならば、国内にいる魔石を必要とする人員が、逆にブラストフォートまで来れば良い。研究をする場所としては些か物騒な地ではあったが、自由にできる大量の魔石が得られる機会には代えがたかった。スヴェンは二つ返事で前線まで足を運んだ。研究には様々な代償がつきものだ。それを理解してくれる後ろ盾を得たスヴェンは、他の誰よりも恵まれていると言えるだろう。
 取り上げたいくつかの魔石の中から、更に質の良いものを選ぶ。一番大きいものはナリだけで中身は薄く、魔力自体は少ないようだ。ページをたぐる仕草に似た動作で、一粒ずつ指を触れては次の石に触れ、研ぎ澄ませた感覚で内容量を確認していく。最後に触れた人差し指ほどの魔石が最も密度が高く、多くの魔力を秘めていた。
「よし……よし……まずは一時間前に戻る……そうだ……」
 長い間研究し、様々な方法を用いたが、まだ成功させたことがない。
 スヴェンも焦り始めていた。戦火は年を追って激しさを増している。今は冬期で戦線が膠着しているが、雪が溶ける頃にはまた激化される。2国がこの城塞を攻め、帝国は防戦し続ける。魔石の余剰が出ているのも今だけだ。魔石の消費量も年々増え続け、そうなればいつ自分に回してもらえる分が枯渇するとも知れない。そう考えれば、時間は限られている事になる。一度でも成功させられれば、魔石を消耗する前の時間に何度でも戻って、ほぼ無限の実験を繰り返し、術式完成を確実なものにすることが出来る。それが理想であり、今の目標だ。勿論この方法は戻る人間の肉体時間の経過は加味されておらず、スヴェン本人の寿命の解決という課題が残ってはいるが、禁術に手を出せば、その辺りは時間遡行に比べれば造作もないだろうと見当がついていた。
 本のページを睨むように再度読み上げようとした時、パチン、と何かが弾ける音がした。ふぅっと風が頬を撫でる。
 音がした方向を振り向いて、スヴェンは動けなくなった。
 空間に大きな渦が現れたのだ。
 その渦に向かって風が吹き込んでいる。
「おお!」
 未知なる光景に弾んだ声を上げる。
 まず渦から出てきたのは、手だった。男の両の手が伸び、時空の切れ目をこじ開けて、その姿を現した。これから始めようとしていた実験によって、数分か数時間の未来から自分が戻ってきたのではないか。どうやら、今実験している術式は成功したのではないか。歓喜に身が打ち震える。
 単純な転移魔術など、スヴェンも何度も見たことがあるし、日常的に行使している。周辺空間に生じた歪の性質や姿の現れ方から、今目の前で行われているものは、通常のそれとは質が異なることは一目で判断できる。それは”理論上、時間遡行が成功すればこのような形で転移が成されるだろう”と想定した結果そのものだった。
「スヴェン博士か?」
 渦から現れた男に尋ねられ、スヴェンは驚いて身を竦めた。
 男は自分の身なりに気が付いたのか、ゴーグルの中の目を丸めて、被っていたマスクを外した。城塞の戦士たちよりも重装備だが、防寒具として見ても、防具として見ても、異様な姿をしていた。それはむしろ、ガスや毒に汚染された領域に立ち入る者が使う防護服に似ていた。
 男は軽く会釈した。
「僕はフィリップ。スヴェン博士で間違いありませんか?」
「いかにも、吾輩はスヴェンだが……」
 答えながら、興奮で何度もメガネを押し上げる。
「僕は未来から来た」
「おお、やはり! では、未来では時間移動の方法が確立されたのか! 素晴らしい! 素晴らしい!!」
 スヴェンは無邪気に飛び跳ねた。
 悲願だ。
 奇跡が目の前で起きたのだ。経緯こそまだ判然としないが、宿願が果たされたのだ。
「その方法が知りたいか?」
「ああ、無論だ。吾輩にとって、生涯をかけた研究の成果だ!」
「僕の生きる時代にはその技術は確立している」
 身の内から湧きあがる感動に震える。長い時間をかけた研究が実を結ぶのだ。喜ばない人間がいようものか。
 スヴェンはズレたメガネを何度も押し上げ、唇をペロリと舐めた。
「未来では、あなたの完成させた基礎を発展させ、実際に過去に飛ぶことが出来るようになった」
「そうか……そうか……! それで」
「研究資料はある。それを渡してもいい」
 フィリップと名乗った男は荷物からひとつの本を取り出して見せた。スヴェンは手を伸ばしたが、ぴたりと手を止める。
「……吾輩は、基礎を完成させた……?」
「ああ、そうだ」
「つまりは吾輩が術式を確立させたわけではないのだな」
 基礎を完成させた研究者が自分だとして、その先、実際に技術転用することは別の次元の話になるはずだ。魔術、火薬、物理……この世の全ての技術はそうして生み出されてきた。小さな研究の成果を種として多くの科学者が取り組み、発展的に理論を大成させていく。芽吹いたものを育てひとつの大樹とするにはそれだけの手間と時間と閃きが必要になる。
 今までもスヴェンは『時間遡行の第一発見者』『行使者』となるために、寝食を忘れ、周囲から気味悪がられるほど、研究に必死で取り組んできた。
 それでも時間が足りないと感じていた。その肌感覚は間違いではなかったのだ。
 目の前に提示された本は確かにスヴェンを求めた結果に導くだろう。
 だが、同時に自身の敗北を決定づけるのだ。己の力量だけではここには辿り着けなかったのだと、認めることとなる。
 フィリップは静かに逡巡するスヴェンを見ていたが、やがて、微笑みながら頷いた。
「これは’’真実’だ。研究者としての矜持はさておき、”真実”を知りたくはないか?」
 スヴェンはハッとして顔を上げた。
 真実。
 私は何のためにここまで進み続けてきたのか。
 彼が言っていることが正しく、自身で術式を完成することがなかったとしても、それは過程に過ぎない。私が目指していたものは、あくまで”真実”ではないのか?
「もしも、それをいただくと言ったら? 何が望みだ?」
 心のどこかで、素直にそれを受け取る事に呵責が生じていたのだろう。だから、それを受け取る事を、無意識に合理化したがっていたのかもしれない。未来から来た男に対価を返すことで、”真実”を受け取ってしまう自分に理由を与えようとしていた。
 予見した通りにスヴェンの瞳に灯った貪欲な光を見出して、フィリップはにやりと笑った。
「城塞内の警備情報をいただこう」
「警備の? 何故だ?」
「知らない方がいい。あなたには関係のないことだ」
「……そもそもお前は、何のためにここにいるのだ?」
「知れば、来たるべき未来のことも伝えねばならなくなる。必要以上に過去を変える事は避けたい……ただ、必要なものがあるとだけ。それを持ち帰る事だけなら、この時代の歴史には影響しない、それは保証しても良い」
 まるで台本があるかのように、フィリップは淀みなくスヴェンに語り掛ける。
 未来から来た。それは間違いないだろう。スヴェンが口外もしていなかったはずの、仮説段階の転移の様子そのものが目前に展開したことで、疑う気持ちなど寸分もなくなっていた。受け取った資料に目を通せば、そこからもまたフィリップが未来から来た事が真実であるという証拠を得る事もできるだろう。ただ、もう一声、フィリップが信頼に値するという、自身が”真実”を受け取る事に感じる呵責を打ち消すだけの理由を求めたかった。
「受け入れたいのは山々だが、警備情報をとなると難しい。未来から来た事が仮に真実でも、君がトラエ以外の人間であったならば、私の立���からすれば利敵行為に与しかねない事になる。理解してくれるか」
 スヴェンはこう言い放ちながら、内心で自嘲した。スヴェンは、フィリップがトラエの人間である事を証明してくれる事を期待していた。彼があらかじめ私の呵責を砕く準備までした上でここに来ていると、察しが付いていた。その上でこんな事を方便にするのは、戯曲を棒読みする姿を見透かされるようで、歯がゆかった。
 フィリップは答えをやはり用意していたようで、間髪入れずに分厚い上着のポケットから、ひとつのネックレスを取り出した。金色のネックレスは傷がつき、古いものだった。スヴェンはその取り出す様を見ながら、やはり見透かされていたのだと、思わず赤面した。
「開けてみてくれ」
 スヴェンはおずおずと受け取り、開いた。そして息を飲む。
「これは……!」
「一緒に映っているいる赤ん坊が僕だ」
 一目見て分かった。写真に写った男は、ゴットフリートだ。城塞の食堂で目にした、岩でも噛み砕きそうな厚い顎、豹を思わせる眼光、右頬と左こめかみに負った特徴的な傷跡。スヴェンの知るゴットフリートよりもかなり年を重ね、白髪や白髭を蓄えた風貌で笑っていた。
 ――未来だ……。
 スヴェンは、ごくりと息を飲んだ。
「あのゴットフリートが、人の親、果ては老人か……。戦場で死ぬような者ではないとは、思っていたが」
「祖父は一族の誇りだ」
「……分かった。警備情報を渡そう。だが、本当に面倒事は起こさないのか……?」
「表立っては何も起きないから、安心していただきたい。この時代には捨て置かれたものを、持ち帰るだけだ」
 スヴェンには、その言葉の意味まではわからなかった。
 その後の逡巡を見越したように、ゆっくりと研究書をスヴェンに差し出す。
「戻れる先は魔力の量に左右される。魔力を1点に集中すればいい。杖を使えばいいだろう」
「お……おお……」
「この本に詳しくまとめられている。運命は、未来は変わらない」
「本当に?」
「あなたが、あなたのために使うだけに留めれば、自ずとそうなるだろう」
 答えないスヴェンの胸に、ドンと本が叩きつけられる。
 その感触に、スヴェンの理性はぐらりとふらついた。
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 月が高く上ったのを見上げて、フィリップはゆっくりと山岳の斜面を進んだ。姿勢を低くし、音を立てないように。
(……不安はあったが、狙ったタイミングに戻れたな……)
 グレーテルと徹底的に城塞の歴史を調べた。
 激しい攻防戦から間がなく、その後しばらく戦闘がない、天候が落ち着いている時期。かつ、当日の天気が晴天で満月であること。
 いくら協力を得ることが出来て警備の状況が把握できていても、誰もいないはずの山の斜面で灯りを用いて、遠目にでも見つかる危険を冒すことは避けるべきだ。暦を遡り、目途をつけたのが今日この日だった。
 斜面には雪が積もっている。この積雪から数日、戦線に動きはなかったと記録されている。束の間の平和。だが、その直前には、この斜面で、たくさんの人と人が殺し合ったのだ。静寂に包まれた雪景色の中、あちこちに矢が突き刺さったまま放置されていた。戦闘の跡だ。
 左右を見渡してから、フィリップは一番近くの雪を掻いた。そこにも矢が刺さっている。
(……矢先の雪がほのかに赤い)
 山岳地の雪らしく、水を含まないさらさらとした雪で、払えば埋もれたものが簡単に姿を現す。
「……あった」
 雪の下には、傷の少ない兵士が眠るように倒れていた。
 念のため体を検めるが、四肢も無事で、背中に矢を受けた痕があるだけだ。専門外だが、転がした下の赤黒い土の色から察するに、死因は失血だろう。
 こんなに状態のいい屍体を見たのは、いつぶりか。
 ここはまさに、フィリップにとって宝の山だ。
 見渡す限り、無数の屍体が隠されている。先日攻め入ってきたが退路を断たれ、殲滅の憂き目にあったラウニの一個師団がこの斜面に眠っている。
 ざっと見積もっても数千から万を超すだろう。 この雪の下にある屍体さえあれば、それらは全て、二人が未来で戦うための手足となる。計り知れないほどの戦力だ。
 グレーテルも転送を待っているだろう。と言っても、未来で待つ彼女の方からしたら、突然数千の屍体が目前に現れるような形になるのかもしれないが。
 兵士を完全に雪の上に横たえてから、フィリップは術式を展開した。過去に遡行することに比べ、未来に送ることは難しくはない。状態が劣化しない静止した時空間に屍体を閉じ込める。そして、ある特定の時期に来たら、閉じた時空間から屍体を現実に表出させるように仕込んでおく。川の流れを下るように、時の流れに逆らわずに未来へ向かうのであれば、身を任せるだけで良い。逆に、流れに逆らって上流に向かおうとするには、莫大なエネルギーを要する。それが、時間遡行研究者たちがたどり着いた、ひとつの答えであった。
 遺体はぼぉっと青白い光に包まれて、ふっと消えた。
 成功だ。
 こうして閉じ込めた屍体全てが、グレーテルの元で姿を現すだろう。彼女も状態のよさとその数に感動するはずだ。周囲を見渡し、笑みが溢れる。
 屍体の数は多ければ多いだけいい。フィリップは近くの雪中を再び探り始めた。
「ん? なんだぁ?」
 突然降ってきた声に、フィリップはぴたりと動きを止めた。
 振り向けば、豪奢な装備に身を包む屈強そうな男が、首を傾げながらこちらを見ていた。ありえない。
「――……巡回はいないはずじゃ……」
 スヴェンから得た警備資料は棚から即座に取り出されたものであって、あの場で嘘を取り繕うためにあらかじめ用意できるようなものではなかったはずだ。
 だからこそ、その内容を信じたフィリップは夜を待って行動を開始したのだ。
「巡回なんざしてねえさ。散歩してただけだ」
 男は野太い声で言った。
「しっかし、誰だ、お前は。さっき屍体を掘り返してたよな?」
「……何のことだ」
「おいおい、しらばっくれても無駄だ。見てたぞ。目の前から消えたんだからな」
 失敗した。
 頭の中で思考が急回転を始める。どうやってこの場を切り抜ける? 取り繕うか、命を奪い口を封じるか、逃げるか?
「転送魔法か? それで屍体を運んで何しようってんだ」
「それは……」
 なにかうまい口実はないか、言葉を手繰ろうとするフィリップを待たずに、男は叫んだ。
「戦場泥棒は重罪だぜ!」
 雪をギュッと踏みしめる音を立てて、男はフィリップに飛び掛かる。
 やるしかないか。
 咄嗟に、重力歪曲《グラビティプレス》の術式を展開する。
 跳躍し上向いた兜の中の顔を、月明かりがはっきりと照らす。豹のような眼光がこちらを見据えていた。一瞬、フィリップの胸中に幼い日が去来した。
(――……ゴットフリート爺さん!)
 逃げなければならない。話も通じない。殺してはいけない。
 月明りを背に大きな影が落ちる。
 フィリップは咄嗟に術式を変じて、空間移動《テレポート》に切り替えた。短い距離であればすぐに展開して移れる。
 鈍い音を立てて、ゴットフリートが鞘から引き抜いた剣が雪に突き刺さる。さきほどまでフィリップが立っていた雪の跡は、衝撃で爆ぜて消え失せる。そのまま、目線を数歩先のフィリップに向ける。
「はっ、やっぱり転移か。ラウニの連中は知ったこっちゃねぇが、ここには俺の隊の奴も幾人か眠ってんだ…」
 雪から剣を振り上げるように引き抜き、巻き上げられた細かい雪がまるで煙幕のように広がる。視界が真っ白に染まる。
 フィリップは咄嗟に腕で顔を庇ったが、視界に影が過る。
(まずい!)
 二度目の転送が一瞬遅れ、避け切れなかった。ゴットフリートの剣先は肩から胸にかけて切り裂く。傷は浅いが痛みによろめく。
 雪の影から突きを繰り出したゴットフリートは、目をぎらりと輝かせる。
「魔術師相手は滅多にやれねえんだ。面白えな……!」
 まともにやり合ったら、殺される。
 運が悪すぎる。
 本気でやり合ったところで、ゴットフリートに勝てるわけもない。仮に勝てたとしても、祖父である彼を今この場で殺したら、未来から来た自分は一体どうなる? 前例がなく、全く予想がつかない。年老いてからも人の話を全く聞かなかったあの男が、戦場跡をうろつく怪しい男が語る”理由”なぞ、おとなしく聞いてくれるはずもない。殺さずに無力化出来るような術も持ち合わせてはいない。
 なんとかやり過ごして、逃げるしかない。
 再度テレポートをしようと身構えたフィリップに向かって、ゴットフリートが大きく踏み出そうとして、ぴたりと止まった。
「……なんだ? 臭ぇな……」
 眉をぐっと止せ険しい表情で辺りを見渡す。
 確かに何か匂いがする。嗅いだことのない匂いだ。
「屍体の臭いでもないな……なんの臭いだ……?」
 唐突に、その匂いが一層強くなった。
 屍体は確かに掘り返した。けれども、この気温で、雪の下にあった兵士の体は腐敗するはずがない。凍てつき、匂いもなかったはずだ。
 腐ったような、けれどももっと酷く脳を直接刺激するような……嗅いだことのないほど異臭。
「……うっ」
 胸が悪くなる。
 ゴットフリートも片手で鼻を抑えながら、周囲を見渡した。
 ふたりの視点が1点にとまった。打ち捨てられた盾だ。放り出されて地面に突き立ったままのそれが、奇妙な黒い靄に包まれている。
「おい、小僧、お前の術か、ありゃあ?」
 ゆらゆらと噴き出ていた黒い煙の密度が増す。
 フィリップは自分の背中が粟立つのを感じた。
 あれは、だめだ。
 理由はわからない。ただ、本能が叫ぶ。けれど、足が竦んで動かない。
 盾を包んでいた煙は次第に細くなり、盾と地面が成す角から勢いよく噴き出した。そして、その煙が見たこともない不気味な黒い猟犬の姿を取った。
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~つづく~
原作: ohNussy
著作: 森きいこ
※今回のショートストーリーはohNussyが作成したプロットを元に代筆していただく形を取っております。ご了承ください。
旧き世に禍いあれ(3) - “猟犬の追尾”
「ショートストーリー」は、Buriedbornesの本編で語られる事のない物語を補完するためのゲーム外コンテンツです。「ショートストーリー」で、よりBuriedbornesの世界を楽しんでいただけましたら幸いです。
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groyanderson · 3 years
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☆プロトタイプ版☆ ひとみに映る影シーズン2 第七話「復活、ワヤン不動」
☆プロトタイプ版☆ こちらは電子書籍「ひとみに映る影 シーズン2」の 無料プロトタイプ版となります。 誤字脱字等修正前のデータになりますので、あしからずご了承下さい。
☆ここから買おう☆
(シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!!
pixiv版 (※内容は一緒です。)
དང་པོ་
 ニライカナイから帰還した私達はその後、魔耶さんに呼ばれて食堂へ向かう。食堂内では五寸釘愚連隊と生き残った河童信者が集合していた。更に最奥のテーブルには、全身ボッコボコにされたスーツ姿の男。バリカンか何かで雑に剃り上げられた頭頂部を両手で抑えながら、傍らでふんぞり返る禍耶さんに怯えて震えている。 「えーと……お名前、誰さんでしたっけ」  この人は確か、河童の家をリムジンに案内していたアトム社員だ。特徴的な名前だった気はするんだけど、思い出せない。 「あっ……あっ……」 「名乗れ!」 「はひいぃぃ! アトムツアー営業部の五間擦平雄(ごますり ひらお)と申します!」  禍耶さんに凄まれ、五間擦氏は半泣きで名乗った。少なくともモノホンかチョットの方なんだろう。すると河童信者の中で一番上等そうなバッジを付けた男が席を立ち、机に手をついて私達に深々と頭を下げた。 「紅さん、志多田さん。先程は家のアホ大師が大っっっ変ご迷惑をおかけ致しました! この落とし前は我々河童の家が後日必ず付けさせて頂きます!」 「い、いえそんな……って、その声まさか、昨年のお笑いオリンピックで金メダルを総ナメしたマスク・ド・あんこう鍋さんじゃないですか! お久しぶりですね!?」  さすがお笑い界のトップ組織、河童の家だ。ていうか仕事で何度か会ったことあるのに素顔初めて見た。 「あお久しぶりっす! ただこちらの謝罪の前に、お二人に話さなきゃいけない事があるんです。ほら説明しろボケナスがッ!!」  あんこう鍋さんが五間擦氏の椅子を蹴飛ばす。 「ぎゃひぃ! ごご、ご説明さひぇて頂きますぅぅぅ!!」  五間擦氏は観念して、千里が島とこの除霊コンペに関する驚愕の事実を私達に洗いざらい暴露した。その全貌はこうだ。  千里が島では散減に縁を奪われた人間が死ぬと、『金剛の楽園』と呼ばれる何処かに飛び去ってしまうと言い伝えられている。そうなれば千里が島には人間が生きていくために必要な魂の素が枯渇し、乳幼児の生存率が激減してしまうんだ。そのため島民達は縁切り神社を建て、島外の人々を呼びこみ縁を奪って生き延びてきたのだという。  アトムグループが最初に派遣した建設会社社員も伝説に違わず祟られ、全滅。その後も幾つかの建設会社が犠牲になり、ようやく事態を重く受け止めたアトムが再開発中断を検討し始めた頃。アトムツアー社屋に幽霊が現れるという噂が囁かれ始めた。その霊は『日本で名のある霊能者達の縁を散減に献上すれば千里が島を安全に開発させてやろう』と宣うらしい。そんな奇妙な話に最初は半信半疑だった重役達も、『その霊がグループ重役会議に突如現れアトムツアーの筆頭株主を目の前で肉襦袢に変えた』事で霊の要求を承認。除霊コンペティションを行うと嘘の依頼をして、日本中から霊能者を集めたのだった。  ところが行きの飛行機で、牛久大師は袋の鼠だったにも関わらず中級サイズの散減をあっさり撃墜してしまう。その上業界ではインチキ疑惑すら噂されていた加賀繍へし子の取り巻きに散減をけしかけても、突然謎のレディース暴走族幽霊が現れて返り討ちにされてしまった。度重なる大失態に激怒した幽霊はアトムツアーイケメンライダーズを全員肉襦袢に変えて楽園へ持ち帰ってしまい、メタボ体型のため唯一見逃された五間擦氏はついに牛久大師に命乞いをする。かくして大師は大散減を退治すべく、祠の封印を剥がしたのだった。以上の話が終わると、私は五間擦氏に馬乗りになって彼の残り少ない髪の毛を引っこ抜き始めた。 「それじゃあ、大師は初めから封印を解くつもりじゃなかったんですか?」 「ぎゃあああ! 毛が毛が毛がああぁぁ!!」  あんこう鍋さんは首を横に振る。 「とんでもない。あの人は力がどうとか言うタイプじゃありません。地上波で音波芸やろうとしてNICを追放されたアホですよ? 我々はただの笑いと金が大好きなぼったくりカルトです」 「ほぎゃああぁぁ! 俺の貴重な縁があぁぁ、抜けるウゥゥーーーッ!!」 「そうだったんですね。だから『ただの関係者』って言ってたんだ……」  そういう事だったのか。全ては千里が島、アトムグループ、ひいては金剛有明団までもがグルになって仕掛けた壮大なドッキリ……いや、大量殺人計画だったんだ! 大師も斉二さんもこいつらの手の上で踊らされた挙句逝去したとわかった以上、大散減は尚更許してはおけない。  魔耶さんと禍耶さんは食堂のカウンターに登り、ハンマーを掲げる。 「あなた達。ここまでコケにされて、大散減を許せるの? 許せないわよねぇ?」 「ここにいる全員で謀反を起こしてやるわ。そこの祝女と影法師使いも協力しなさい」  禍耶さんが私達を見る。玲蘭ちゃんは数珠を持ち上げ、神人に変身した。 「全員で魔物(マジムン)退治とか……マジウケる。てか、絶対行くし」 「その肉襦袢野郎とは個人的な因縁もあるんです。是非一緒に滅ぼさせて下さい!」 「私も! さ、さすがに戦うのは無理だけど……でもでも、出来ることはいっぱい手伝うよ!」  佳奈さんもやる気満々のようだ。 「決まりね! そうしたら……」 「その作戦、私達も参加させて頂けませんか?」  食堂入口から突然割り込む声。そこに立っていたのは…… 「斉一さん!」「狸おじさん!」  死の淵から復活した後女津親子だ! 斉一さんは傷だらけで万狸ちゃんに肩を借りながらも、極���色の細かい糸を纏い力強く微笑んでいる。入口近くの席に座り、経緯を語りだした。 「遅くなって申し訳ない。魂の三分の一が奪われたので、万狸に体を任せて、斉三と共にこの地に住まう魂を幾つか分けて貰っていました」  すると斉一さんの肩に斉三さんも現れる。 「診療所も結界を張り終え、とりあえず負傷者の安全は確保した。それと、島の魂達から一つ興味深い情報を得ました」 「聞かせて、狸ちゃん」  魔耶さんが促す。 「御戌神に関する、正しい歴史についてです」  時は遡り江戸時代。そもそも江戸幕府征服を目論んだ物の怪とは、他ならぬ金剛有明団の事だった。生まれた直後に悪霊を埋め込まれた徳松は、ゆくゆくは金剛の意のままに動く将軍に成長するよう運命付けられていたんだ。しかし将軍の息子であった彼は神職者に早急に保護され、七五三の儀式が行われる。そこから先の歴史は青木さんが説明してくれた通り。けど、この話には続きがあるらしい。 「大散減の祠などに、星型に似たシンボルを見ませんでしたか? あれは大散減の膨大な力の一部を取り込み霊能力を得るための、給電装置みたいな物です。もちろんその力を得た者は縁が失せて怪物になるのですが、当時の愚か者共はそうとは知らず、大散減を『徳川の埋蔵金』と称し挙って島に移住しました」  私達したたびが探していた徳川埋蔵金とはなんと、金剛の膨大な霊力と衆生の縁の塊、大散減の事だったんだ。ただ勿論、霊能者を志し島に近付いた者達はまんまと金剛に魂を奪われた。そこで彼らの遺族は風前の灯火だった御戌神に星型の霊符を貼り、自分達の代わりに島外の人間から縁を狩る猟犬に仕立て上げたんだ。こうして御戌神社ができ、御戌神は地中で飢え続ける大散減の手足となってせっせと人の縁を奪い続けているのだという。 「千里が島の民は元々霊能者やそれを志した者の子孫です。多少なりとも力を持つ者は多く、彼らは代々『御戌神の器』を選出し、『人工転生』を行ってきました」  斉一さんが若干小声で言う。人工転生。まだ魂が未発達の赤子に、ある特定の幽霊やそれに纏わる因子を宛てがって純度の高い『生まれ変わり』を作る事。つまり金剛が徳松に行おうとしたのと同じ所業だ。 「じゃあ、今もこの島のどこかに御戌様の生まれ変わりがいるんですか?」  佳奈さんは飲み込みが早い。 「ええ。そして御戌神は、私達が大散減に歯向かえば再び襲ってきます。だからこの戦いでは、誰かが対御戌神を引き受け……最悪、殺生しなければなりません」 「殺生……」  生きている人間を、殺す。死者を成仏させるのとは訳が違う話だ。魔耶さんは胸の釘を握りしめた。 「そのワンちゃん、なんて可哀想なの……可哀想すぎる。攻撃なんて、とてもできない」 「魔耶、今更甘えた事言ってんじゃないわよ。いくら生きてるからって、中身は三百年前に死んだバケモノよ! いい加減ラクにしてやるべきだわ」 「でもぉ禍耶、あんまりじゃない! 生まれた時から不幸な運命を課せられて、それでも人々のために戦ったのに。結局愚かな連中の道具にされて、利用され続けているのよ!」 (……!)  道具。その言葉を聞いた途端、私は心臓を握り潰されるような恐怖を覚えた。本来は衆生を救うために手に入れた力を、正反対の悪事に利用されてしまう。そして余所者から邪尊(バケモノ)と呼ばれ、恐れられるようになる……。 ―テロリストですよ。ドマル・イダムという邪尊の力を操ってチベットを支配していた、最悪の独裁宗派です―  自分の言った言葉が心に反響する。御戌神が戦いの中で見せた悲しそうな目と、ニライカナイで見たドマルの絶望的な目が日蝕のように重なる。瞳に映ったあの目は……私自身が前世で経験した地獄の、合わせ鏡だったんだ。 「……魔耶さん、禍耶さん。御戌神は、私が相手をします」 「え!?」 「正気なの!? 殺生なんて私達死者に任せておけばいいのよ! でないとあんた、殺人罪に問われるかもしれないのに……」  圧。 「ッ!?」  私は無意識に、前世から受け継がれた眼圧で総長姉妹を萎縮させた。 「……悪魔の心臓は御仏を産み、悪人の遺骨は鎮魂歌を奏でる。悪縁に操られた御戌神も、必ず菩提に転じる事が出来るはずです」  私は御戌神が誰なのか、確証を持っている。本当の『彼』は優しくて、これ以上金剛なんかの為に罪を重ねてはいけない人。たとえ孤独な境遇でも人との縁を大切にする、子犬のようにまっすぐな人なんだ。 「……そう。殺さずに解決するつもりなのね、影法師使いさん。いいわ。あなたに任せます」  魔耶さんがスレッジハンマーの先を私に突きつける。 「失敗したら承知しない。私、絶対に承知しないわよ」  私はそこに拳を当て、無言で頷いた。  こうして話し合いの結果、対大散減戦における役割分担が決定した。五寸釘愚連隊と河童の家、玲蘭ちゃんは神社で大散減本体を引きずり出し叩く。私は御戌神を探し、神社に行かれる前に説得か足止めを試みる。そして後女津家は私達が解読した暗号に沿って星型の大結界を巡り、大散減の力を放出して弱体化を図る事になった。 「志多田さん。宜しければ、お手伝いして頂けませんか?」  斉一さんが立ち上がり、佳奈さんを見る。一方佳奈さんは申し訳なさそうに目を伏せた。 「で……でも、私は……」  すると万狸ちゃんが佳奈さんの前に行く。 「……あのね。私のママね、災害で植物状態になったの。大雨で津波の警報が出て、パパが車で一生懸命高台に移動したんだけど、そこで土砂崩れに遭っちゃって」 「え、そんな……!」 「ね、普通は不幸な事故だと思うよね。でもママの両親、私のおじいちゃんとおばあちゃん……パパの事すっごく責めたんだって。『お前のせいで娘は』『お前が代わりに死ねば良かったのに』みたいに。パパの魂がバラバラに引き裂かれるぐらい、いっぱいいっぱい責めたの」  昨晩斉三さんから聞いた事故の話だ。奥さんを守れなかった上にそんな言葉をかけられた斉一さんの気持ちを想うと、自分まで胸が張り裂けそうだ。けど、奥さんのご両親が取り乱す気持ちもまたわかる。だって奥さんのお腹には、万狸ちゃんもいたのだから……。 「三つに裂けたパパ……斉一さんは、生きる屍みたいにママの為に無我夢中で働いた。斉三さんは病院のママに取り憑いたまま、何年も命を留めてた。それから、斉二さんは……一人だけ狸の里(あの世)に行って、水子になっちゃったママの娘を育て続けた」 「!」 「斉二さんはいつも言ってたの。俺は分裂した魂の、『後悔』の側面だ。天災なんて誰も悪くないのに、目を覚まさない妻を恨んでしまった。妻の両親を憎んでしまった。だからこんなダメな狸親父に万狸が似ないよう、お前をこっちで育てる事にしたんだ。って」  万狸ちゃんが背筋をシャンと伸ばし、顔を上げた。それは勇気に満ちた笑顔だった。 「だから私知ってる。佳奈ちゃんは一美ちゃんを助けようとしただけだし、ぜんぜん悪いだなんて思えない。斉二さんの役割は、完璧に成功してたんだよ」 「万狸ちゃん……」 「あっでもでも、今回は天災じゃなくて人災なんだよね? それなら金剛有明団をコッテンパンパンにしないと! 佳奈ちゃんもいっぱい悲しい思いした被害者でしょ?」  万狸ちゃんは右手を佳奈さんに差し出す。佳奈さんも顔を上げ、その手を強く握った。 「うん。金剛ぜったい許せない! 大散減の埋蔵金、一緒にばら撒いちゃお!」  その時、ホテルロビーのからくり時計から音楽が鳴り始めた。曲は民謡『ザトウムシ』。日没と大散減との対決を告げるファンファーレだ。魔耶さんは裁判官が木槌を振り下ろすように、机にハンマーを叩きつけた! 「行ぃぃくぞおおおぉぉお前らああぁぁぁ!!!」 「「「うおおぉぉーーーっ!!」」」  総員出撃! ザトウムシが鳴り響く逢魔が時の千里が島で今、日本最大の除霊戦争が勃発する!
གཉིས་པ་
 大散減討伐軍は御戌神社へ、後女津親子と佳奈さんはホテルから最寄りの結界である石見沼へと向かった。さて、私も御戌神の居場所には当てがある。御戌神は日蝕の目を持つ獣。それに因んだ地名は『食虫洞』。つまり、行先は新千里が島トンネル方面だ。  薄暗いトンネル内を歩いていると、電灯に照らされた私の影が勝手に絵を描き始めた。空で輝く太陽に向かって無数の虫が冒涜的に母乳を吐く。太陽は穢れに覆われ、光を失った日蝕状態になる。闇の緞帳(どんちょう)に包まれた空は奇妙な星を孕み、大きな獣となって大地に災いをもたらす。すると地平線から血のように赤い月が昇り、星や虫を焼き殺しながら太陽に到達。太陽と重なり合うやいなや、天上天下を焼き尽くすほどの輝きを放つのだった……。  幻のような影絵劇が終わると、私はトンネルを抜けていた。目の前のコンビニは既に電気が消えている。その店舗全体に、腐ったミルクのような色のペンキで星型に線を一本足した記号が描かれている。更に接近すると、デッキブラシを持った白髪の偉丈夫が記号を消そうと悪戦苦闘しているのが見えた。 「あ、紅さん」  私に気がつき振り返った青木さんは、足下のバケツを倒して水をこぼしてしまった。彼は慌ててバケツを立て直す。 「見て下さい。誰がこんな酷い事を? こいつはコトだ」  青木さんはデッキブラシで星型の記号を擦る。でもそれは掠れすらしない。 「ブラシで擦っても? ケッタイな落書きを……っ!?」  指で直接記号に触れようとした青木さんは、直後謎の力に弾き飛ばされた。 「……」  青木さんは何かを思い出したようだ。 「紅さん。そういえば僕も、ケッタイな体験をした事が」  夕日が沈んでいき、島中の店や防災無線からはザトウムシが鳴り続ける。 「犬に吠えられ、夜中に目を覚まして。永遠に飢え続ける犬は、僕のおつむの中で、ひどく悲しい声で鳴く。それならこれは幻聴か? 犬でないなら幽霊かもだ……」  青木さんは私に背を向け、沈む夕日に引き寄せられるように歩きだした。 「早くなんとかせにゃ。犬を助けてあげなきゃ、僕までどうにかなっちまうかもだ。するとどこからか、目ん玉が潰れた双頭の毛虫がやって来て、口からミルクを吐き出した。僕はたまらず、それにむしゃぶりつく」  デッキブラシから滴った水が地面に線を引き、一緒に夕日を浴びた青木さんの影も伸びていく。 「嫌だ。もう犬にはなりたくない。きっとおっとろしい事が起きるに違いない。満月が男を狼にするみたいに、毛虫の親玉を解き放つなど……」 「青木さん」  私はその影を呼び止めた。 「この落書きは、デッキブラシじゃ落とせません」 「え?」 「これは散減に穢された縁の母乳、普通の人には見えない液体なんです」  カターン。青木さんの手からデッキブラシが落ちた途端、全てのザトウムシが鳴り止んだ。青木さんはゆっくりとこちらへ振り向く。重たい目隠れ前髪が狛犬のたてがみのように逆立ち、子犬のように輝く目は濁った穢れに覆われていく。 「グルルルル……救、済、ヲ……!」  私も胸のペンダントに取り付けたカンリンを吹いた。パゥーーー……空虚な悲鳴のような音が響く。私の体は神経線維で編まれた深紅の僧衣に包まれ、激痛と共に影が天高く燃え上がった。 「青木さん。いや、御戌神よ。私は紅の守護尊、ワヤン不動。しかし出来れば、お前とは戦いたくない」  夕日を浴びて陰る日蝕の戌神と、そこから伸びた赤い神影(ワヤン)が対峙する。 「救済セニャアアァ!」 「そうか。……ならば神影繰り(ワヤン・クリ)の時間だ!」  空の月と太陽が見下ろす今この時、地上で激突する光の神と影の明王! 穢れた色に輝く御戌神が突撃! 「グルアアァァ!」  私はティグクでそれをいなし、黒々と地面に伸びた自らの影を滑りながら後退。駐車場の車止めをバネに跳躍、傍らに描かれた邪悪な星目掛けてキョンジャクを振るった。二〇%浄化! 分解霧散した星の一片から大量の散減が噴出! 「マバアアアァァ!!」「ウバアァァァ!」  すると御戌神の首に巻かれた幾つもの頭蓋骨が共鳴。ケタケタと震えるように笑い、それに伴い御戌神も悶絶する。 「グルアァァ……ガルァァーーーッ!!」  咆哮と共に全骨射出! 頭蓋骨は穢れた光の尾を引き宙を旋回、地を這う散減共とドッキングし牙を剥く! 「がッは!」  毛虫の体を得た頭蓋骨が飛び回り、私の血肉を穿つ。しかし反撃に転じる寸前、彼らの正体を閃いた。 「さては歴代の『器』か」  この頭蓋骨らは御戌神転生の為に生贄となった、どこの誰が産んだかもわからない島民達の残滓だ。なら速やかに解放せねばなるまい! 人頭毛虫の猛攻をティグクの柄やキョンジャクで防ぎながら、ティグクに付随する旗に影炎を着火! 「お前達の悔恨を我が炎の糧とする! どおぉりゃああぁーーーーっ!!」   ティグク猛回転、憤怒の地獄大車輪だ! 飛んで火に入る人頭毛虫らはたちどころに分解霧散、私の影体に無数の苦痛と絶望と飢えを施す! 「クハァ……ッ! そうだ……それでいい。私達は仲間だ、この痛みを以て金剛に汚された因果を必ずや断ち切ってやろう! かはあぁーーーっはーーっはっはっはっはァァーーッ!!!」  苦痛が無上の瑜伽へと昇華しワヤン不動は呵呵大笑! ティグクから神経線維の熱線が伸び大車輪の火力を増強、星型記号を更に焼却する! ��号は大文字焼きの如く燃え上がり穢れ母乳と散減を大放出! 「ガウルル、グルルルル!」  押し寄せる母乳と毛虫の洪水に突っ込み喰らおうと飢えた御戌神が足掻く。だがそうはさせるものか、私の使命は彼を穢れの悪循環から救い出す事だ。 「徳川徳松ゥ!」 「!」  人の縁を奪われ、畜生道に堕ちた哀しき少年の名を呼ぶ。そして丁度目の前に飛んできた散減を灼熱の手で掴むと、轟々と燃え上がるそれを遠くへ放り投げた! 「取ってこい!」 「ガルアァァ!!」  犬の本能が刺激された御戌神は我を忘れ散減を追う! 街路樹よりも高く跳躍し口で見事キャッチ、私目掛けて猪突猛進。だがその時! 彼の本体である衆生が、青木光が意識を取り戻した! (戦いはダメだ……穢れなど!)  日蝕の目が僅かに輝きを増す。御戌神は空中で停止、咥えている散減を噛み砕いて破壊した! 「かぁははは、いい子だ徳松よ! ならば次はこれだあぁぁ!!」  私はフリスビーに見立ててキョンジャクを投擲。御戌神が尻尾を振ってハッハとそれを追いかける。キョンジャクは散減共の間をジグザグと縫い進み、その軌跡を乱暴になぞる御戌神が散減大量蹂躙! 薄汚い死屍累々で染まった軌跡はまさに彼が歩んできた畜生道の具現化だ!! 「衆生ぉぉ……済度ぉおおおぉぉぉーーーーっ!!!」  ゴシャアァン!!! ティグクを振りかぶって地面に叩きつける! 視神経色の亀裂が畜生道へと広がり御戌神の背後に到達。その瞬間ガバッと大地が割れ、那由多度に煮え滾る業火を地獄から吹き上げた! ズゴゴゴゴガガ……マグマが滾ったまま連立する巨大灯篭の如く隆起し散減大量焼却! 振り返った御戌神の目に陰る穢れも、紅の影で焼き溶かされていく。 「……クゥン……」  小さく子犬のような声を発する御戌神。私は憤怒相を収め、その隣に立つ。彼の両眼からは止めどなく饐えた涙が零れ、その度に日蝕が晴れていく。気がつけば空は殆ど薄暗い黄昏時になっていた。闇夜を迎える空、赤く燃える月と青く輝く太陽が並ぶ大地。天と地の光彩が逆転したこの瞬間、私達は互いが互いの前世の声を聞いた。 『不思議だ。あの火柱見てると、ぼくの飢えが消えてく。お不動様はどんな法力を?』 ༼ なに、特別な力ではない。あれは慈悲というものだ ༽ 『じひ』  徳松がドマルの手を握った。ドマルの目の奥に、憎しみや悲しみとは異なる熱が込み上がる。 『救済の事で?』 ༼ ……ま、その類いといえばそうか。童よ、あなたは自分を生贄にした衆生が憎いか? ༽  徳松は首を横に振る。 『ううん、これっぽっちも。だってぼく、みんなを救済した神様なんだから』  すると今度はドマルが両手で徳松の手を包み、そのまま深々と合掌した。 ༼ なら、あなたはもう大丈夫だ。衆生との縁に飢える事は、今後二度とあるまい ༽
གསུམ་པ་
 時刻は……わからないけど、日は完全に沈んだ。私も青木さんも地面に大の字で倒れ、炎上するコンビニや隆起した柱状節理まみれの駐車場を呆然と眺めている。 「……アーーー……」  ふと青木さんが、ずっと咥えっ放しだったキョンジャクを口から取り出した。それを泥まみれの白ニットで拭い、私に返そうとして……止めた。 「……洗ってからせにゃ」 「いいですよ。この後まだいっぱい戦うもん」 「大散減とも? おったまげ」  青木さんにキョンジャクを返してもらった。 「実は、まだ学生の時……友達が僕に、『彼女にしたい芸能人は?』って質問を。けど特に思いつかなくて、その時期『非常勤刑事』やってたので紅一美ちゃんと。そしたら今回、本当にしたたびさんが……これが縁ってやつなら、ちぃと申し訳ないかもだ」 「青木さんもですか」 「え?」 「私も実は、この間雑誌で『好きな男性のタイプは何ですか』って聞かれて、なんか適当に答えたんですけど……『高身長でわんこ顔な方言男子』とかそんなの」 「そりゃ……ふふっ。いやけど、僕とは全然違うイメージだったかもでしょ?」 「そうなんですよ。だから青木さんの素顔初めて見た時、キュンときたっていうより『あ、実在するとこんな感じなの!?』って思っちゃったです。……なんかすいません」  その時、遠くでズーンと地鳴りのような音がした。蜃気楼の向こうに耳をそばだてると、怒号や悲鳴のような声。どうやら敵の大将が地上に現れたようだ。 「行くので?」 「大丈夫。必ず戻ってきます」  私は重い体を立ち上げ、ティグクとキョンジャクに再び炎を纏った。そして山頂の御戌神社へ出発…… 「きゃっ!」  しようとした瞬間、何かに服の裾を掴まれたかのような感覚。転びそうになって咄嗟にティグクの柄をつく。足下を見ると、小さなエネルギー眼がピンのように私の影を地面と縫いつけている。 ༼ そうはならんだろ、小心者娘 ༽ 「ちょ、ドマル!?」  一方青木さんの方も、徳松に体を勝手に動かされ始めた。輝く両目から声がする。 『バカ! あそこまで話しといて告白しねえなど!? このボボ知らず!』 「ぼっ、ぼっ、ボボ知らずでねえ! 嘘こくなぁぁ!」  民謡の『お空で見下ろす出しゃばりな月と太陽』って、ひょっとしたら私達じゃなくてこの前世二人の方を予言してたのかも。それにしてもボボってなんだろ、南地語かな。 ༼ これだよ ༽  ドマルのエネルギー眼が炸裂し、私は何故かまた玲蘭ちゃんの童貞を殺す服に身を包んでいた。すると何故か青木さんが悶絶し始めた。 「あややっ……ちょっと、ダメ! 紅さん! そんなオチチがピチピチな……こいつはコトだ!!」  ああ、成程。ボボ知らずってそういう…… 「ってだから、私の体で検証すなーっ! ていうか、こんな事している間にも上で死闘が繰り広げられているんだ!」 ༼ だからぁ……ああもう! 何故わからないのか! ヤブユムして行けと言っているんだ、その方が生存率上がるしスマートだろ! ༽ 「あ、そういう事?」  ヤブユム。確か、固い絆で結ばれた男女の仏が合体して雌雄一体となる事で色々と超越できる、みたいな意味の仏教用語……だったはず。どうすればできるのかまではサッパリわかんないけど。 「え、えと、えと、紅さん……一美ちゃん!」 「はい……う、うん、光君!」  両前世からプレッシャーを受け、私と光君は赤面しながら唇を近付ける。 『あーもー違う! ヤブユムっていうのは……』 ༼ まーまー待て。ここは現世を生きる衆生の好きにさせてみようじゃないか ༽  そんな事言われても困る……それでも、今私と光君の想いは一つ、大散減討伐だ。うん、多分……なんとかなる! はずだ!
བཞི་པ་
 所変わって御戌神社。姿を現した大散減は地中で回復してきたらしく、幾つか継ぎ目が見えるも八本足の完全体だ。十五メートルの巨体で暴れ回り、周囲一帯を蹂躙している。鳥居は倒壊、御戌塚も跡形もなく粉々に。島民達が保身の為に作り上げた生贄の祭壇は、もはや何の意味も為さない平地と化したんだ。  そんな絶望的状況にも関わらず、大散減討伐軍は果敢に戦い続ける。五寸釘愚連隊がバイクで特攻し、河童信者はカルトで培った統率力で彼女達をサポート。玲蘭ちゃんも一枚隔てた異次元から大散減を構成する無数の霊魂を解析し、虱潰しに破壊していく。ところが、 「あグッ!」  バゴォッ!! 大散減から三メガパスカル級の水圧で射出された穢れ母乳が、河童信者の一人に直撃。信者の左半身を粉砕! 禍耶さんがキュウリの改造バイクで駆けつける。 「河童信者!」 「あ、か……禍耶の姐御……。俺の、魂を……吸収……し……」 「何言ってるの、そんな事できるわけないでしょ!?」 「……大散、ぃに、縁……取られ、嫌、……。か、っぱは……キュウリ……好き……っか……ら…………」  河童信者の瞳孔が開いた。禍耶さんの唇がわなわなと痙攣する。 「河童って馬鹿ね……最後まで馬鹿だった……。貴方の命、必ず無駄にはしないわ!」  ガバッ、キュイイィィ! 息絶えて間もない河童信者の霊魂が分解霧散する前に、キュウリバイクの給油口に吸収される。ところが魔耶さんの悲鳴! 「禍耶、上ぇっ!!」 「!」  見上げると空気を読まず飛びかかってきた大散減! 咄嗟にバイクを発進できず為す術もない禍耶さんが絶望に目を瞑った、その時。 「……え?」  ……何も起こらない。禍耶さんはそっと目を開けようとする。が、直後すぐに顔を覆った。 「眩しっ! この光は……あああっ!」  頭上には朝日のように輝く青白い戌神。そしてその光の中、轟々と燃える紅の不動明王。光と影、男と女が一つになったその究極仏は、大散減を遥か彼方に吹き飛ばし悠然と口を開いた。 「月と太陽が同時に出ている、今この時……」 「瞳に映る醜き影を、憤怒の炎で滅却する」 「「救済の時間だ!!!」」  カッ! 眩い光と底知れぬ深い影が炸裂、落下中の大散減を再びスマッシュ! 「遅くなって本当にすみません。合体に手間取っちゃって……」  御戌神が放つ輝きの中で、燃える影体の私は揺らめく。するとキュウリバイクが言葉を発した。 <問題なし! だぶか登場早すぎっすよ、くたばったのはまだ俺だけです。やっちまいましょう、姐さん!> 「そうね。行くわよ河童!」  ドルルン! 輩悪苦満誕(ハイオクまんたん)のキュウリバイクが発進! 私達も共に駆け出す。 「一美ちゃん、火の準備を!」 「もう出来ているぞぉ、カハァーーーッハハハハハハァーーー!!」  ティグクが炎を噴く! 火の輪をくぐり青白い肉弾が繰り出す! 巨大サンドバッグと化した大散減にバイクの大軍が突撃するゥゥゥ!!! 「「「ボァガギャバアアアアァァアアア!!!」」」  八本足にそれぞれ付いた顔が一斉絶叫! 中空で巻き散らかされた大散減の肉片を無数の散減に変えた! 「灰燼に帰すがいい!」  シャゴン、シャゴン、バゴホオォン!! 御戌神から波状に繰り出される光と光の合間に那由多度の影炎を込め雑魚を一掃! やはりヤブユムは強い。光源がないと力を発揮出来ない私と、偽りの闇に遮られてしまっていた光君。二人が一つになる事で、永久機関にも似た法力を得る事が出来る!  大散減は地に叩きつけられるかと思いきや、まるで地盤沈下のように地中へ潜って行ってしまった。後を追えず停車した五寸釘愚連隊が舌打ちする。 「逃げやがったわ、あの毛グモ野郎」  しかし玲蘭ちゃんは不敵な笑みを浮かべた。 「大丈夫です。大散減は結界に分散した力を補充しに行ったはず。なら、今頃……」  ズドガアアァァァアン!!! 遠くで吹き上がる火柱、そして大散減のシルエット! 「イェーイ!」  呆然と見とれていた私達の後方、数分前まで鳥居があった瓦礫の上に後女津親子と佳奈さんが立っている。 「「ドッキリ大成功ー! ぽーんぽっこぽーん!」」  ぽこぽん、シャララン! 佳奈さんと万狸ちゃんが腹鼓を打ち、斉一さんが弦を爪弾く。瞬間、ドゴーーン!! 今度は彼女らの背後でも火柱が上がった! 「あのねあのね! 地図に書いてあった星の地点をよーく探したら、やっぱり御札の貼ってある祠があったの。それで佳奈ちゃんが凄いこと閃いたんだよ!」 「その名も『ショート回路作戦』! 紙に御札とぴったり同じ絵を写して、それを鏡合わせに貼り付ける。その上に私の霊力京友禅で薄く蓋をして、その上から斉一さんが大散減から力を吸収しようとする。だけど吸い上げられた大散減のエネルギーは二枚の御札の間で行ったり来たりしながら段々滞る。そうとは知らない大散減が内側から急に突進すれば……」  ドォーーン! 万狸ちゃんと佳奈さんの超常理論を実証する火柱! 「さすがです佳奈さん! ちなみに最終学歴は?」 「だからいちご保育園だってば~、この小心者ぉ!」  こんなやり取りも随分と久しぶりな気がする。さて、この後大散減は立て続けに二度爆発した。計五回爆ぜた事になる。地図上で星のシンボルを描く地点は合計六つ、そのうち一つである食虫洞のシンボルは私がコンビニで焼却したアレだろう。 「シンボルが全滅すると、奴は何処へ行くだろうか」  斉三さんが地図を睨む。すると突如地図上に青白く輝く道順が描かれた。御戌神だ。 「でっかい大散減はなるべく広い場所へ逃走を。となると、海岸沿いかもだ。東の『いねとしサンライズビーチ』はサイクリングロードで狭いから、石見沼の下にある『石見海岸』ので」 「成程……って、君はまさか!?」 「青木君!?」  そうか、みんな知らなかったんだっけ。御戌神は遠慮がちに会釈し、かき上がったたてがみの一部を下ろして目隠れ前髪を作ってみせた。光君の面影を認識して皆は納得の表情を浮かべた。 「と……ともかく! ずっと地中でオネンネしてた大散減と違って、地の利はこちらにある。案内するので先回りを!」  御戌神が駆け出す! 私は彼が放つ輝きの中で水上スキーみたいに引っ張られ、五寸釘愚連隊や他の霊能者達も続く。いざ、石見海岸へ!
ལྔ་པ་
 御戌神の太陽の両眼は、前髪によるランプシェード効果が付与されて更に広範囲を照らせるようになった。石見沼に到着した時点で海岸の様子がはっきり見える。まずいことに、こんな時に限って海岸に島民が集まっている!? 「おいガキ共、ボートを降りろ! 早く避難所へ!」 「黙れ! こんな島のどこに安全が!? 俺達は内地へおさらばだ!」  会話から察するに、中学生位の子達が島を脱出しようと試みるのを大人達が引き止めているようだ。ところが間髪入れず陸側から迫る地響き! 危ない! 「救済せにゃ!」  石見の崖を御戌神が飛んだ! 私は光の中で身構える。着地すると同時に目の前の砂が隆起、ザボオオォォン!! 大散減出現! 「かははは、一足遅いわ!」  ズカアァァン!!! 出会い頭に強烈なティグクの一撃! 吹き飛んだ大散減は沿岸道路を破壊し民家二棟に叩きつけられた。建造物損壊と追い越し禁止線通過でダブル罪業加点! 間一髪巻き込まれずに済んだ島民達がどよめく。 「御戌様?」 「御戌様が子供達を救済したので!?」 「それより御戌様の影に映ってる火ダルマは一体!?」  その問いに、陸側から聞き覚えのある声が答える。 「ご先祖様さ!」  ブオォォン! 高級バイクに似つかわしくない凶悪なエンジン音を吹かして現れたのは加賀繍さんだ! 何故かアサッテの方向に数珠を投げ、私の正体を堂々と宣言する。 「御戌神がいくら縁切りの神だって、家族の縁は簡単に切れやしないんだ。徳川徳松を一番気にかけてたご先祖様が仏様になって、祟りを鎮めるんだよ!」 「徳松様を気にかけてた、ご先祖様……」 「まさか、将軍様など!?」 「「「徳川綱吉将軍!!」」」  私は暴れん坊な将軍様の幽霊という事になってしまった。だぶか吉宗さんじゃないけど。すると加賀繍さんの紙一重隣で大散減が復帰! 「マバゥウゥゥゥゥウウウ!!!」  神社にいた時よりも甲高い大散減の鳴き声。消耗している証拠だろう。脚も既に残り五本、ラストスパートだ! 「畳み掛けるぞ夜露死苦ッ!」  スクラムを組むように愚連隊が全方位から大散減へ突進、総長姉妹のハンマーで右前脚破壊! 「ぽんぽこぉーーー……ドロップ!!」  身動きの取れなくなった大散減に大かむろが垂直落下、左中央二脚粉砕! 「「「大師の敵ーーーっ!」」」  微弱ながら霊力を持つ河童信者達が集団投石、既に千切れかけていた左後脚切断! 「くすけー、マジムン!」  大散減の内側から玲蘭ちゃんの声。するうち黄色い閃光を放って大散減はメルトダウン! 全ての脚が落ち、最後の本体が不格好な蓮根と化した直後……地面に散らばる脚の一本の顔に、ギョロギョロと蠢く目が現れた。光君の話を思い出す。 ―八本足にそれぞれ顔がついてて、そのうち本物の顔を見つけて潰さないと死なない怪物で!― 「そうか、あっちが真の本体!」  私と光君が同時に動く! また地中に逃げようと飛び上がった大散減本体に光と影は先回りし、メロン格子状の包囲網を組んだ! 絶縁怪虫大散減、今こそお前をこの世からエンガチョしてくれるわあああああああ!! 「そこだーーーッ!! ワヤン不動ーーー!!」 「やっちゃえーーーッ!」「御戌様ーーーッ!」 「「「ワヤン不動オォーーーーーッ!!!」」」 「どおおぉぉるあぁああぁぁぁーーーーーー!!!!」  シャガンッ! 突如大量のハロゲンランプを一斉に焚いたかのように、世界が白一色の静寂に染まる。存在するものは影である私と、光に拒絶された大散減のみ。ティグクを掲げた私の両腕が夕陽を浴びた影の如く伸び、背中で燃える炎に怒れる恩師の馬頭観音相が浮かんだ時……大散減は断罪される! 「世尊妙相具我今重問彼仏子何因縁名為観世音具足妙相尊偈答無盡意汝聴観音行善応諸方所弘誓深如海歴劫不思議侍多千億仏発大清浄願我為汝略説聞名及見身心念不空過能滅諸有苦!」  仏道とは無縁の怪獣よ、己の業に叩き斬られながら私の観音行を聞け! 燃える馬頭観音と彼の骨であるティグクを仰げ! その苦痛から解放されたくば、海よりも深き意志で清浄を願う聖人の名を私がお前に文字通り刻みつけてやる! 「仮使興害意推落大火坑念彼観音力火坑変成池或漂流巨海龍魚諸鬼難念彼観音力波浪不能没或在須弥峰為人所推堕念彼観音力如日虚空住或被悪人逐堕落金剛山念彼観音力不能損一毛!!」  たとえ金剛の悪意により火口へ落とされようと、心に観音力を念ずれば火もまた涼し。苦難の海でどんな怪物と対峙しても決して沈むものか! 須弥山から突き落とされようが、金剛を邪道に蹴落とされようが、観音力は不屈だ! 「或値怨賊繞各執刀加害念彼観音力咸即起慈心或遭王難苦臨刑欲寿終念彼観音力刀尋段段壊或囚禁枷鎖手足被杻械念彼観音力釈然得解脱呪詛諸毒薬所欲害身者念彼観音力還著於本人或遇悪羅刹毒龍諸鬼等念彼観音力時悉不敢害!!」  お前達に歪められた衆生の理は全て正してくれる! 金剛有明団がどんなに強大でも、和尚様や私の魂は決して滅びぬ。磔にされていた抜苦与楽の化身は解放され、悪鬼羅刹四苦八苦を燃やす憤怒の化身として生まれ変わったんだ! 「若悪獣囲繞利牙爪可怖念彼観音力疾走無辺方蚖蛇及蝮蝎気毒煙火燃念彼観音力尋声自回去雲雷鼓掣電降雹澍大雨念彼観音力応時得消散衆生被困厄無量苦逼身観音妙智力能救世間苦!!!」  獣よ、この力を畏れろ。毒煙を吐く外道よ霧散しろ! 雷や雹が如く降り注ぐお前達の呪いから全ての衆生を救済してみせよう! 「具足神通力廣修智方便十方諸国土無刹不現身種種諸悪趣地獄鬼畜生生老病死苦以漸悉令滅真観清浄観広大智慧観悲観及慈観常願常瞻仰無垢清浄光慧日破諸闇能伏災風火普明照世間ッ!!!」  どこへ逃げても無駄だ、何度生まれ変わってでも憤怒の化身は蘇るだろう! お前達のいかなる鬼畜的所業も潰えるんだ。瞳に映る慈悲深き菩薩、そして汚れなき聖なる光と共に偽りの闇を葬り去る! 「悲体戒雷震慈意妙大雲澍甘露法雨滅除煩悩燄諍訟経官処怖畏軍陣中念彼観音力衆怨悉退散妙音観世音梵音海潮音勝彼世間音是故須常念念念勿生疑観世音浄聖於苦悩死厄能為作依怙具一切功徳慈眼視衆生福聚海無量是故応頂……」  雷雲の如き慈悲が君臨し、雑音をかき消す潮騒の如き観音力で全てを救うんだ。目の前で粉微塵と化した大散減よ、盲目の哀れな座頭虫よ、私はお前をも苦しみなく逝去させてみせる。 「……礼ィィィーーーーーッ!!!」  ダカアアアアァァアアン!!!! 光が飛散した夜空の下。呪われた気枯地、千里が島を大いなる光と影の化身が無量の炎で叩き割った。その背後で滅んだ醜き怪獣は、業一つない純粋な粒子となって分解霧散。それはこの地に新たな魂が生まれるための糧となり、やがて衆生に縁を育むだろう。  時は亥の刻、石見海岸。ここ千里が島で縁が結ばれた全ての仲間達が勝利に湧き、歓喜と安堵に包まれた。その騒ぎに乗じて私と光君は、今度こそ人目も憚らず唇を重ね合った。
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beginnerslupin · 6 years
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お宝と美女が大好物! 『ルパン三世プロファイル』
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怪盗アルセーヌ・ルパンの孫で、奇想天外な作戦で世界中のお宝を盗みだす神出鬼没の大泥棒。IQ300の天才で、美女が大好き!
ルパンにとって盗みとは、『退屈しないためのゲーム』。その巧妙な盗みのテクニックと人物像とは!!
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まるで忍者!?侵入&盗みのテクニック
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「なぁに壁なんてのは、越えるためにあるんだ」
その言葉通り、どんなに侵入困難な場所でも知恵と身体能力を活かしてスルリと侵入していく、まるで忍者のような超人級のテクニックを見ていこう。
●「ルパンVS複製人間」の侵入テクニック
・レーザーが張り巡らされた場所への侵入
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侵入路に張り巡らされたレーザーに触れると敵に存在がバレてしまう!そんな時は暗視ゴーグルと、レーザーを避けて前進するための組み立て棒を使用。上の画像はゴーグルをはめた時に見える映像。1歩進むごとに棒の長さや角度を調整し、びっしりと張られたレーザーを巧みに避けていく。
●「カリオストロの城」の侵入テクニック
・地下水道からの侵入!
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地上での侵入が困難な時には地下の水道からス~イスイと侵入!道なき道をも迷わず進むのがルパン流。
・敵が現れたら天井に隠れる!
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侵入時に敵と遭遇しそうになったら、素早く天井へ!忍者もびっくりの隠れ技!
・体一つで高い城の壁をよじ登る!
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高くそびえたつ城を、城壁をつたって地道によじ登る!細腕ながらかなりの腕力を持っている。
●TVSP 第15弾『お宝返却大作戦!!』の冒頭で繰り広げられる、セキュリティ解除テク
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強固なセキュリティが施されたカジノの金庫に現れたルパン。まずは防犯カメラ対策!
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実は事前に次元がカジノ周辺の電線を撃ち、停電させた隙に防犯カメラの映像をいじっていた!右が実際の映像。左の監視員が見る映像では、ルパンが消えている。
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いよいよ侵入!特殊な手袋をはめて、指紋チェックOK!
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特製の眼球メガネをあてて、網膜チェックもOK!
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お金の入ったジュラルミンケースのセキュリティも特殊な道具で解除していとも簡単にお金をゲット!次元と連携して特殊道具を駆使する、これくらいの盗みならルパンにとっては朝飯前!
●まだまだある!ルパンのハイスペックすぎる道具
・ワイヤー内蔵!腕時計
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普通のかっこいい腕時計?・・・と思いきや!
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強靭なワイヤーが 飛び出す!
華麗なワイヤーアクションで高所でもスイ~スイ~と自由自在に空中移動!高層ビルや高いお城への侵入もお手のもの!
(TVシリーズPART4 第1話『 ルパン三世の結婚』より)
・トイレの詰まり取りが侵入道具に大変身!
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トイレの詰まり取りと滑車をくっつけたユニークな移動用吸盤で、張り巡らされたセキュリティセンサーの中をスルリスルリとすり抜ける!日用品もルパンの手にかかれば犯行道具に早変わり♪
(TVシリーズPART2 第47話『非常ベルにルパンは笑う』より)
・お宝はバキュームで一気に吸引!
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盗みはスピーディに、豪快に!宝石やお宝はチビチビ盗まず一気に吸い上げる!
(TVシリーズPART1 第16話『宝石横取り作戦』より)
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変装テクニックがスゴイ!
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ルパンが正体を隠して敵のアジトなどに侵入するために行う『変装』。体型/性別/人間or動物を問わず、本物そっくりになりきるテクニックは圧巻!
●銭形の変装には様々なタイプが存在
・覆面タイプ
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どこからどう見ても銭形!・・・と思いきや、正体は銭形そっくりの覆面をかぶったルパン。よく比較して見ると、手まで変えていたことが分かる。
(TVシリーズPART2 第63話『罠には罠を!』より)
・お面タイプ
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お祭りのお面の様にベリっとはがせるお手軽タイプ!
(TVシリーズPART2 第145話『死の翼アルバトロス』より)
・くす玉(!?)タイプ
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こちらは首の後ろの紐を引っ張ると、パカッ!とマスクが取れる優れもの。まるでくす玉のよう!
(TVSP 第16話『盗まれたルパン~コピーキャットは真夏の蝶~』より)
●もはやコント!キャラ激変の変装
・ 昭和の雰囲気漂うおじさんに!
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どこかで見たことのあるようなおじさんに大変身!眉毛とヒゲのメイクが秀逸。
(TVシリーズPART1 第15話『ルパンを捕まえてヨーロッパへ行こう』より)
・おもしろフェイスのお百姓さんに!
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歯に注目!!!抜いたのか特殊メイクなのか・・・!ここまで徹底した役作りにはハリウッド俳優も脱帽・・・!?
(TVシリーズPART1 第13話『タイムマシンに気をつけろ!』より)
●麗しき女装術!
・美しすぎるが故、男性から求婚されたことも!
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あまりの美しさに男性から求婚を受けたこともあるルパン。たまらず正体をバラすものの、それでも構わないとさらに熱烈に求婚され、結婚へ!
女好きのルパンだからこそなせる、男心を鷲掴みにするテクでお宝もバッチリ頂いた。
(TVシリーズPART2 第42話『花嫁になったルパン』より)
・セクシーな不二子をも完全再現
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勘の鋭い不二子でさえ、鏡に映った自分だと騙されてしまうほどの完成度!そして驚くべきは、不二子への愛ゆえか・・・(!?)、当日の下着まで合わせてくるところが神業!どうやってこの日の下着を調べたのだろうか。
(TVSP第11弾 『愛のダ・カーポ~FUJIKO's Unlucky Days~』より)
●人類を超え、動物にまで大変身!
・「パンダ」!?いや、「ルパンだ」!!
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パンダに変装したルパン。銭形も「ああ、パンダか」と検問を通してしまい、逃走成功!シロクマの着ぐるみに黒でペイントするという意外とアナログな方法ではあるが、 足の裏まで完璧にパンダを再現!でもちょっと暑そう・・・。
(TVシリーズPART2 第150話 『ピアノ交響曲「動物園」』より)
・獰猛なトラに!
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猛獣のトラになりきり、四足歩行もお手のもの。座り方はうっかりルパンが出てしまったが、飼い主にも見破られず、侵入成功!臥体のいいトラの中にスマートなルパンが入っているとは誰も疑わなかったようだ。
(TVシリーズPART2 第40話『ミサイルジャック作戦』)
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世界の名車を華麗に乗りこなす!
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ルパンを語る上で欠かせないアイテムが『車』。高級車から大衆車まで幅広く乗りこなすルパン。その超プロ級のドライビングテクニックは作品の見どころの一つとも言える。
●ルパンの愛車の一部をご紹介!
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・左上
TVシリーズPART1のオープニングでも登場する初代の愛車。最強の速度と馬力で走行する高級スポーツカー!しかし五ェ門に真っ二つに斬られたことも・・・!(TVシリーズPART1 第7話『狼は狼を呼ぶ』参照)
・右上
TVシリーズPART2のアイキャッチで見覚えのある方も多いであろうこの車。世界でも生産台数の少ない超レアカー!
・左下
TVシリーズPART1から登場するが、特に活躍が印象的なのは劇場版 第2作『カリオストロの城』の冒頭で繰り広げられる激しいカーチェイスシーン!コンパクトカーならではの小回りの利く走行で森の中や崖っぷちもスイスイ走る!(詳細は下の項目で紹介!)
・右下
TVシリーズPART4での愛車。左下の車種をベースにし、よりスポーティなモデルに仕上げられた車種である。コンパクトカーならではの身軽さはそのままに、どんなうねった道をもグングン進む力強さがアップ!
●ルパン家代々のクラシックカーコレクション
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TVシリーズPART1 第23話『黄金の大勝負!』ではルパンのアジトにルパン家代々のクラシックカーコレクションが置かれている。
● 脅威のドライビングテクニック!
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TVシリーズPART1 第1話『ルパンは燃えているか・・・・?!』では飛騨スピードウェイを舞台にF1カーレースを繰り広げる!ルパンはF1世界選手権参戦用に開発された車に乗車。敵に仕掛けられたどんな障害物をも回避し他の追随を許さない! A級ライセンスを持つルパンの神がかったドライビングテクニックを存分に堪能したい方はぜひこのタイトルを見て欲しい!
●劇場版 第2作『カリオストロの城』でのカーチェイスシーンは必見!
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ルパンのドライビングテクニックを語る上で、『カリオストロの城』冒頭でのカーチェイスシーンは絶対に見逃せない!ウェディングドレス姿の少女クラリスの車、そしてそれを追う男達の車に出くわしたルパン達が、壮絶なカーチェイスを繰り広げる。
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ルパンは、道から外れて岩壁の上を走行するという脅威の離れ業を見せる!
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道のない森の中も、木をバッキバキに折りながら爆走!
「キキキーッ!!!」崖から落ちるギリギリのところで見事なターン!
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美女が大好き!!
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「裏切りは女のアクセサリーのようなものさ。いちいち気にしてちゃ、女を愛せるわけがないぜ」
不二子を筆頭にかわいこちゃんには目がなく、騙されても許してしまうその女好きぶりに、次元や五ェ門は呆れている。
●美女へのデレデレシーン集
・裸で不二子にダイビング!
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不二子を筆頭に、美女に襲いかかる時に見せる得意技がこれ。ジャンプすると同時に脱皮するかの様に服を上から下まですり抜け、パンツ一丁or全裸でそのままターゲットへダイビング!野生剥き出しの技だが、だいたい失敗する。
・不二子ちゃ~んが大本命!
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ルパンのこの表情を見よ!天下の大泥棒も、不二子にはハートを完全に盗まれてしまっている。不二子は騙すためにルパンを誘惑する事が多いが、ルパンはそれさえも楽しんでいる。
・不二子以外にも!美女なら誰でもウェルカム!
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ルパンが鼻の下を伸ばすのは不二子だけじゃない!美女なら誰それ構わずデレデレに。
・女性に優しいジェントルマン
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ルパンはただ女好きなだけではない。女性に優しく、ヒロイン達を助けてくれるジェントルマンでもある。
劇場版 第2作『カリオストロの城』でルパンは政略結婚のため城に幽閉された少女クラリスを助けようとする。そして「どうかこの泥棒めに盗まれてやってください」「無理やり花嫁にされようとしている女の子は緑の野に離してあげる、これみな、泥棒の仕事なんです」となんとも優しく、粋な言葉をかける。
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TVシリーズPART2 第155話『さらば愛しきルパンよ』では、永田重工に騙され、父親も亡くした小山田マキが殺されかけているところを、ルパンが間一髪助け出した。そして優しい表情で「じゃ、後始末に行こうか。」と言ってマキの無念をはらすように共に永田重工と戦った。
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→ルパンの活躍をもっと見たい人は!
『ルパン三世』TV、映画、OVAシリーズが
各動画配信サービスにて好評配信中! 
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nought-sough · 6 years
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神様のすみか
RADWIMPS「オーダーメイド」パロディ

黒子のバスケ 緑赤
いつものように、挑戦者の気概で教室に足を踏み入れた。そこには既に足ぐせの悪い神様が待っていて、窓からさす茜を一身に背負っていた。
緑間は無論大層に戸惑った。そこにいるのは紛れも無く中学時代の赤司だった。
「おいで」
赤司が机の上に座ったままこちらに声をかける。前髪は長く、互い違いの色をした目が猫のように爛々と輝いていた。その指は退屈そうに将棋の駒を弄んでいる。赤司は当然のように帝光中の制服を着ていて、自身を見下ろすと緑間も同様だった。そういえば少し視界が低い気がするし、喉元に声変わりの時期特有の倦怠感がまとわりついていた。ああ、これは夢なのだなと思う。中学のときのことなんてとうの昔に忘れていると思っていたのに、空き教室も赤司もひどく鮮明であった。 入口で立ち止まったままの緑間に、赤司が不思議そうな顔で視線をやった。夢ならそれらしく振る舞うべきか。そんなことを考えた。 「わかったのだよ」 言って近づき、彼の対面に座る。駒ののっていない将棋盤を睨む。 そして、顔をあげると神様がいた。おかしいなと思う。しかしいくら見つめてもそれは赤司の形をした神様であり、同時に神様の形をした赤司なのだった。理屈ではなかった。夢特有の不可解��直感がそう告げていた。 教室の中はひどく暖かくて、窓の向こうや廊下ごしに聞こえてくる喧騒が耳に心地よい。母の胎内にいる赤ん坊のような、そんな気持ちになった。 ふわりと赤司が手を動かした。一瞬ののち、ぱちん、軽快であり威圧的である、そんな相反したような音がたちどころに生まれて消える。緑間は眉根を寄せた。そこは。全くこいつは、なんて手を打ってくるのだろう。考えてみれば緑間は、こちらの赤司と将棋を打ったことは一度もなかった。こいつはあちらの赤司とは打ち方の傾向が少し異なるように思う。攻撃的というか、威嚇的というか。自己保存の本能がないようだ。怖がりなゆえに襲いかかるのか。そして緑間はそういう打ち方に対する策を全く持ち合わせていなかった。気づくと泥濘に足をとられて悪戦苦闘している。対面の相手は全く涼しい顔だ。そして赤司は、退屈しのぎにかこんなことを言い出した。 「真太郎。お前は未来と過去を見れるとしたら、どちらを選ぶ」 その声にはなんの色も含まれない。緑間は赤司の能力を思い返して、何だそれは、嫌味か、と混ぜ返した。どちらも視れる、そんな目を持つやつがなにを。赤司はくちびるだけで笑うと、いいから、と答えをせっついてきた。 「…俺は、過去だけでいいのだよ」  膠着しきった盤上から意識を外して眼鏡を押し上げる。へえ、なんで? 赤司はそう尋ねてきた。言葉を選ぶ。どう言えばこの男に伝わるのかわからず、元々軽くはない口がさらに重くなる。 「未来を見れるというのは、過去や現在を軽んじることになる気がするのだよ」 「軽んじる? お前らしくもないな。そんなものは単なる印象論に過ぎない」 「印象論になるのは仕方ない、俺はいまだかつて未来が見えるという体験をしたことはないのだから。だが――」 実際、お前はお前の目を持ってしても、今と過去しか見えぬ黒子に勝てなかったではないか。口にでかかった言葉を飲み込んだ。この赤司はきっと中学時代の赤司であって、自分が敗北することなど論外であり、その存在を許容することなど到底不可能に違いない。籔蛇だ。何とか言葉の継ぎ穂を探して続ける。 「人間にとって現在と過去は絶対的なものだ。その息詰まる窮屈な時間軸の中で未来だけが変数だ。拓けている。そうではないか?」 赤司は肩をすくめる、続けろというようだった。 「上手くは言えないが…人はその未来という未知数があるからこそ、その変化に希望を託し、そこに依拠して生きられると思うのだよ。未来が既に見えるのなら、生きるのなどひどく退屈なことだろう。 あれをやれば失敗する、あれをやると紆余曲折はあるが最終的には成功し良い思い出ができる。そのような結果論ですべてを考えるというのは…人を随分貧しくさせると思うのだよ」 眼鏡を押し上げる。らしくもないことを言ったかと思う。まるで前向きで健全だ。緑間は自身のことをそういうふうには思わない。絶対的なものをこそ求めているように思う。たとえば目の前のこいつのような。 戸惑いながら言葉を続けた。 「それに…お前のいいざまだと、もし未来を選んだ場合過去は見えなくなってしまうというように聞こえる。過去が見えなくなるなど…俄に想像しがたいが、それはアルツハイマー病のように記憶がなくなるということなのか? あるいは、今の自分から、過去を延々と切り離されていくということなのか?」 赤司は目を伏せる。その裏にあるものは読み取れない。俺は脳内でそういう状態をシュミレートする。過去をなくす。ひどいことだ。 辺りを見回す。赤司との将棋によく使った空き教室だ。机が夕日を反射し橙の海原のように見える。乱雑に消された黒板と、日直の欄に書き付けられた見知らぬ名前。中途半端に閉められたうす黄色いカーテンがやわらかくなびく。俺がこんな夢を見られるのも、すべては記憶あっての物種だ。無論自分とてその記憶や思い出とでもいうべきものを、忌まわしいと思ったことはある、かつて輝石(キセキ)と呼ばれた原石は無残にも砕けて飛び散った。あのとき全能ですらあったはずの5人は、けれどあまりにも無思慮で不器用だった、赤司はどうだか知らないが。生き血を流すような経験として敗北を知った。それでやっと緑間は、全力で相対した敗者に対して自分たちの行為がどんなに残酷なものだったかを理解した。 「…俺の想像した通りならば、未来が見えるというのは、盲目的な状態に思えるのだよ。自分にも、他者にもな。こんなことを言うのは柄でもないが……過去から学ぶこともあるだろう。今まで自分がしてきた経験を度外視するのは賢明な選択とは言えんのだよ」 「なるほどね。いい答えだよ、真太郎」 赤司は凛とした声で言い放った。なら、お前には過去が見えるようにしてやろう。 過去が見えるようにしてやる? 怪訝(おかし)な言い方だ。どう言う意味だと尋ねながらやっと練った手を打った。赤司は色のない目で俺の勧めた駒を眺め、無造作に歩兵をつまんでぽいと銀の前に投げる。歩兵だと? ばかな。金色の目が俺を見上げてくる。足を組み替えて笑う。 「いやだな、わかってるだろ、真太郎。僕は神様なんだ」 嘘も本気も判断がつかない。赤司であれば、なおさらこちらのあかしであれば、仮定の話だとしてもこんなふうに自信満々で己を神だと言い切りそうでもある。たかが夢なのに俺はそんなことを考えている。俺の訝る顔を童顔の自称神は愉しそうに見つめ返す。 「僕はね、キセキの中でもお前のことを気に入っている。一番僕に近いと思っていると言っていい」 「褒められている気がせんな」 今のところ自分は赤司の足許にも及んでいる気がしない。近い? 何がだ。��格か(ぞっとする)、IQか(ならばこの盤上ではもっと接戦が繰り広げられていてもいいはずだ)、テストの順位か(一位と二位の間にある数点を緑間はひどく遠いものに思う。こいつは100点満点のテストだから100点を取っているものの、200点満点であれば200点をとるし、500点であれば500点をとるだろう。たかだか100点のテストで99点をとる俺など、彼にしてみたらきっと道化にすぎぬのだろう)――いずれにしたって全く正当性がない。それとも家柄か、いえがらなのか。しかしそれは、俺が自力で掴んだものではない。そんなもので認められたところで嬉しくもなんともない。 「冷たいなあ。…まあそんなわけで、真太郎には特別大サービスだ。おまえにはね、いろんなものをあげるよ」 きっとね。 ――眸を。 ゆうひに輝かせて赤司は言う。ついと駒を弄ぶ指先が上がり、提案だというように人差し指を突きつけられる。 「腕も脚も、口も、耳も目もね。心臓も乳房も、鼻の穴も、二つつずつやろうじゃないか?」 荒唐無稽にも程がある申し出だった。 「…下らん。たかが中学生のお前にそんなことが出来るのか? 」 「ああ、赤司家の全精力を上げると約束しするよ」 馬鹿に仕切った声を出したつもりだったが、赤司はあっさりとそう言った。全くこれが中学生の貫祿だろうか。自分も中学生なのを棚に上げて緑間は思うのだ。 どうかな真太郎? 僕は悪くない提案だと思うけれども。 静かに目を伏せて赤司は言う。今こいつが見ているのは何手先の未来なのか。跳ねた赤い髪が夕日に煌めく。それに目がいってしまう。俺は赤司が言ったことを脳内で反芻した。腕も脚も口も耳も目も。心臓も乳房も鼻の穴もだと? 「…乳房はいらんのだよ」 「おや」 赤司はくすりと笑った。瞳の中で赤い海が跳ね返る。 「残念だな、真太郎は女の子になりたくないのか?」 「こんな背の高い女がいてたまるか」 そんなことをほざく張本人の方がよほど少女のような顔をしていると緑間は思う。乳房はお前にやるのだよ。そう貶せば、赤司は、それは困るな、家が継げなくなってしまう、といって笑った。 「まあでも、俺が女の子だったらもっと自由だったかもね。もしそうなったら、お前と付き合ってやってもいいよ」 随分とふざけたことを言ってくれる。びしりとたつ青筋を自分で意識しながら、緑間は眼鏡を押し上げた。 「そもそもお前が女なら俺達は出会ってなかっただろう」 「さあ、どうかな、運命論に則ったら、俺の性別がどうであれ、俺とお前はこうやって将棋をやってたんじゃないかな」 運命論? 赤司征十郎らしくもない言葉だ。厭味ったらしく返して俺は桂馬を進めて歩兵を取る。どうも誘導されている気がしてならないが。赤司は俺の置いた駒を見やる。悠然とした笑みは崩れない。 「分かったよ。他に注文はないかい?」 「……ふん、まあ、腕と足と耳と目と鼻の穴 は、貰ってやってもいいのだよ。だが、口は二つはいらん」 「一つでいいと?」 「ああ…もし俺に口が二つあったとして、それぞれが違うことを言い出したら面倒だし、振り回される周囲もたまったものではなかろう。それに、独りで喧嘩するなど愚の骨頂だからな、赤司」 それは皮肉のはずだったけれど赤司は表情も変えなかった。おれは彼の中に居るはずのもう一人の赤司征十郎を探そうとして失敗におわる。 ―――ウィンターカップが終わって、黒子の誕生日を機に、赤司に会った。それは夢ではない、現実のなかの記憶だ。 赤司はまるでウインターカップまでの自分なんかなかったみたいな顔で、驚くぐらい平然と俺達の前に現れた。油断ならない雰囲気ではあるがどこかのほほんとした彼を、緑間は戸惑って眺めることしかできなかった。彼と彼の奥にあるものが気になって、脇にいた青峰とは違って挨拶の声もかけられなかった。あの赤司は確かに中学時代、一年生の時まで、緑間の隣に並んでいた赤司だった。 あの驚くような冷たさを見せる前の、少年の名残を残した赤司征十郎。 一体そんなことがあるのだろうかと、黒子のパーティからの帰宅後父の医学書にまで手をつけた。それで分かったことといえば人の精神が生み出すあまりにも膨大で複雑怪奇な症例の数々で、最終的に緑間に残されたのはどんなことも有りえないということはないという結論にもならない結論だった。 緑間は赤司が二人いるという事実を現象としては納得していて、でも原理として納得はしていない。 眼鏡を押し上げる。 あの時の気持ちをなんと呼べばいいんだろう。今自分の胸に溢れかえる感情だって、なんという名がつけられるものなのか緑間には解らない。 忘れたいとも思う、忘れてしまえばいいと思う、赤司のことなど。こんな複雑怪奇な男のことなど。しかしどうやったって忘れられないものばかりだった。はね返る髪、やさしげな笑みにすべてを支配する掌。高尾のパスをさえぎった傲然とした表情、くっと見開かれた瞳孔に、バスケのユニフォームから覗く手足。ふくらはぎと、脇からしなやかな二の腕に続く線。どれもまったく、出来すぎていた。緑間はどちらかというと男というより女のそれを見る感覚で赤司を見ていた。それはたしかに恥であった。忘れてしまいたい記憶で、けれど何に変えても忘れられずにいる。今だってきっとそうなのだ。盤上を見るためにうつむき露になるつむじと、臥せる瞼に生える赤い睫毛。不意と顔をあげられれば整いすぎた顔の強すぎる目の光に、目を逸らすことも赦されない。視線が交錯し、次いで、 「――――っ!?」 ゆめだ、 これはゆめだ、ゆめなのだ。でなければ説明がつかなかった。一瞬だけ身を乗りだして緑間とくちびるを重ねた赤司は、また何事もなかったように穏やかな微笑みを貼り付けた、 「そうだね。そうでなくては、恋人とこういうことも出来ないからね」 「おま…っ何を考えているのだよ!」 「何を考えてるって…お前の将来のことだけれど。いつかお前に恋人ができて、今は見も知らぬ誰かさんと愛し合う日のことさ。そうなったときに、口がふたつあったら不便だろう? 真太郎が浮気ものだと糾弾されないように、一人とだけキスができるようにしておかないとね」  ゆるりという、冗談なのかそうでないのか。緑間はぐいと口を拭う。しっとりとしたくちびるだった、そんなことが脳裏に焼き付いてしまうようで恐ろしい。 「…そ、そんなふうに気遣われなくともおれは…ひとりとだけキスをするのだよ」 「おや、本当かい?」 赤司は桂馬を進める。また一考の必要がありそうな手だった。 「寧ろお前が危ぶむべきはお前自身だと思うがな」 くちびるを、記憶から追い払うために緑間はわざとねじけたことを口にした。 「僕かい? …お前にそんなに不誠実な人間とみられていたなんてしらなかったな」 「お前は…人によって言うこともやることも変えるだろうが」 「ああ、それはね。それが効率的だと判断すればそうするよ。というか、誰にでも同じ態度で同じことを言う人間なんてなかなかいないさ。お前くらいのものだろう」 「それは暗に俺が変人だと言っているのか?」 「まあ、僕は真太郎のそういうところが好きだよ」 論点がずれている、そう思って、しかし是正することばを吐くのも面倒だった。こうやってゆるやかにそらされる会話をいったい何度こいつと交わしたことだろう。幾度も忘れたいと思い、けっきょく忘れることはできない。こいつといるとそんなことが千千にまで増えていく。胸の中に膨れ上がる色鮮やかな感情を数え切れない。嫉妬、羨望、憧憬、勝利の悦び、敗北の苦さ、屈辱感、絶望、寂寞。俺にそういう感情を教えたのはすべて赤司だった。俺の肩にも満たない幼い顔の男だった。赤毛を見るのがなんとなく苦しくて眼鏡を外して拭う。忘れたくて忘れようとして、けれど忘れられなかった。こういう想いをどう、てなづければいい。赤司なら知っているんだろうか。これはこれこれこういう名前なのだと、相手チームの作戦を詳らかにするときのように、俺に教えてくれるだろうか。 埓もなかった。 「…つれないなあ」 微動だにもせぬ緑間の顔に、自分の好意を拒否されているとでも思ったのだろうか。赤司は珍しく少し不機嫌そうな顔をした。ふと違和感が兆す。こいつがこんな顔をしただろうか。 「…まあ、お前といるのももう残り少ないしね。これは俺からの餞(はなむけ)だ」 兆す。眼鏡をかけ直した。左目の黄金が赤く塗変わっていく様を見た。 「一番大事な心臓はさ、お前の両胸につけてやろうね」 「あかし、」 あの一件で変質する前の赤司がいた。オッドアイは、やはり見るものに不穏な印象を与える。顔の作りも何も変わっていないのに、柔和で落ち着いた雰囲気が彼の周りに漂っていた。二重人格、だという。二重人格。二人の人間。ふたつの心臓。 「まだそんなことをほざくのか」 「ほざくとはなんだ?ひとつよりは、二つあったほうがいいじゃないか。それ が道理というものだろう。一つが潰れても、もう一つが残れば生きられるんだからなんとも心強い」 「──それは、どうにも一人で生きることを前提とした話に聞こえるな」 痛かった。緑間の言葉に赤司が問うように目を見開く。 「赤司、答えてくれ。おまえはあのときもそう考えていたのか? お前にとってあのときまわりにいた五人は、ただのでくの棒に過ぎなかったのか?」 この姿の赤司からそんな言葉を聞くのは耐えられなかった。あの赤司ならばまだ耐えられる、あれは結果だ、もう動かせない結果の赤司だ。しかし目の前のちいさな彼は未だ過程であった。赤司の腕をつかむ。薄い制服に囲まれて、消えてしまった赤司はここにいた。勢い任せに抱き締める。夢だろうと神様だろうと構わなかった。むしろそうなら逆に好き勝手ができるというものだ。赤司がもがくように身じろぐから逃すものかと力を入れる。もみあうと椅子も将棋もあっけなく音を立てて倒れていった。がらんどうの教室に響き渡るそれはひどく耳障りだ。手酷い音を立てて安物の将棋が床に跳ね返り飛び散っていく。 「あまり馬鹿にするなよ、赤司」 わがままな腕を床に無理やり抑えつけて声を落とす。こうして組み伏せれば体格差が酷く顕著であった。 「心臓ぐらい、俺にだってあるのだよ」 「みどり、ま」 薄くさぐるような声は変声期を過ぎたばかりで震えている。次いで彼の指が伸び緑間の眼鏡を外していった。驚いて高鳴る緑間の心臓のことなど知らぬ気に、その指先は頬を拭っていった。 「…余計なことを」 「すまない、だって」 「黙れ」 くすりと笑われれば苛立ちが先に立つ。諫めれば赤司は存外素直に口をつぐんだ。まったく精巧な夢だった。なめらかな肌、形の良い輪郭、耳、通った鼻筋、色づくくちびる、額にかかる前髪。赤司と抱き合っていた。彼が口を閉じると制服の内から浸透してくるような鼓動が聞こえてくる。ああこいつとふたり生きてここにいると思う。教室は暖かく遠くから喧騒が聞こえまるで母の胎内のようなのだ。 「こうしていると、お前の心臓がどちらにあるかまでわかってしまうよ」 少しして赤司はまた口を開いた。ああ、と返す。 「――俺もなのだよ」 とくとくという心音は際限がない。赤司の鼓動は右の胸から聞こえる。いくら二重人格だといえ、��臓までも二つあるわけがないのだ。馬鹿なことを考えたと思う。赤司は人間だ、��間で、人間には心臓は一つしかついていないのだ。 ひととはそういう生き物なのだ。 「こうしていれば右側の心臓など必要ないだろう」 ぴちゃりと緑間の目から涙が滴り赤司の頬に落ちる。そういえばこいつが泣いたところを見たことがないかもしれない。 「お前は涙も欲しいらしいね…」 消え入りそうな声で赤司は言った。手のひらが後頭部にあてがわれて、彼のなだらかな胸に己の鼻が押し付けられる。赤司に抱き寄せられていた。 「何を泣くことがある?真太郎。お前の望み通りにね、全てが叶えられているじゃないか」 慰めのつもりだろうか。 胸も手も足も耳も目も、心臓も口も鼻の穴も心も涙も体だって、みんなお前が選んだことじゃないか。緑間の耳元で囁く。 「泣くことなんてないだろう……」 涙が伝って赤司の唇までたどり着く。彼はそれを舐めてしょっぱいなと顔を顰める。 「ああ、それと、ちなみに涙の味だけれどもね、」 赤司はそう口を切る。まだ続ける気なのか。彼らしくもない。 「それも緑間の好きな味を選べるようにしてやるとしよう。もっと甘くしたらどうかな? そうしたらさ、お前が泣いたとき女の子が喜ぶかもしれない。だってさ、女の子って甘いものが好きだろう?……」 とち狂ったのかと思う。まったくふざけた讒言だ。 「馬鹿か、お前は」 女の前で泣くなど矜持が許さなかった。いや、女でなくとも、人前で泣くなど考えるだけで不愉快だ。涙の味などこのままでいいと思う。そうなら、俺のそれを舐めるなんて馬鹿なことを仕出かすのはこの男くらいなものだろう。俺にはそれくらいが似合いなのだ。 胸が騒がしい。 ちかちかと眼前で粒子が瞬く。夕日が傾きかけ、暁に濁っていく。無邪気にこちらの顔を覗き込んでくる赤司の瞳が美しかった。 「なんだ、」 「なあ、ちゃんと見せてよみどりま。お前はむしろ誇るべきだろう」 胸が騒がしかった。 眼前に迫る赤司を、その目に入りそうな前髪が、彼の眼を疵付けるのがいやで指で払う。赤司は俺のことじゃないよと眉を寄せて少し笑う��� (これはなんだ) 俺がお前に教えたい感情と、お前が俺に教える感情と、いったいどちらが多いのだろう。 ことばにできないもつれる感情をぶつけるようにその細い体を抱きしめる。中学生の赤司と、空き教室と夕景とその温度。すべてがひどく懐かしかった。赤司の体は抱きすくめるのに丁度よくひどく胸に馴染んだ。まるで生まれた時からこうしているようだった。 胸が騒がしい、でもなつかしい こんな思いをなんと呼ぶのかい さらり、と。 風に髪が揺れた。さやかな水音が耳元でたつ。薄目を開ける。視界に初夏の光が飛び込んできた。古びた天井が見える。縁側の障子を開け放った日本家屋の、古式ゆかしい一室に寝かせられていた。 首を回す。和服の赤司が枕元で盥に水を絞っていた。名を呼ぼうとして、うまく声が出せない。のどがひどく乾いていた。しかし気配に気づいたのか赤司はふと視線を上げてこちらを向いた。顔は大人びていて、両目は綺麗な赤だった。飽きるほど触れた唇が動き緑間の名前を呼んだ。「彼」の方がそう呼ぶようになってから随分経っていた。 「真太郎、起きたか」 具合はどう? 気遣わしげな声色だった。ああ、と思い出す。高校はおろか、大学を卒業し、赤司家が所有するこの空き家で彼と同居を始めてから三年が経っていた。 「びっくりしたよ、急に熱を出して寝込むものだから。医者の不養生とはよくいったものだね」 低い落ち着いた声のトーンが耳になじむ。和服を襷がけに身にまとった二十六の赤司は麗人というほかなかった。冷たい手拭いを差し出してくるその手を、思わず握る。 「、?」 驚いて目を見開いた顔は存外に幼い。 「赤司」 「どうした?」 「お前と俺はどこかで会ったか?」 「……は?」 思わず口から零れたことばはあまりにも奇矯なものだった。赤司が困ったように眉を寄せる。熱でおかしくなったのか、言ってひやりとした手が額に載せられる。 「ち、がうのだよ、」 「じゃあ何だ」 「だからどこかであった事があるかと聞いている」 「だから何を……お前と俺は中学からの付き合いだろう」 「いや、それより前だ」 「中学より前?」 赤司の声がワントーン上がる。更に困ったように眉を潜める赤司は、なかなか見れるものではなかった。 「なんだ?たとえば、小学校とか幼稚園とか、そういうことか? …まあ一度くらいすれ違ったことがあるかもしれないが、俺は覚えがないな」 赤司の唇が紡ぐ言葉は常識の範疇内にある。いつものことなのだが、その理路整然とした態度が今の緑間には歯痒い。 「いや、もっと前なのだよ、たとえば、生まれる前、とか……」 「ふ、なんだそれは、前世とか、そういうやつか?」 真面目に言い募る緑間に赤司はぷっと吹きだした。語調はひどく柔らかく、ふわりと額の上から手が外れて、手ぬぐいが緑間の額の汗を拭き取っていく。 「一体どんな夢を見たんだか」 半ば呆れたようにつぶやく赤司は、夏の日差しに逆光になる。こいつが覚えていなくて俺が覚えていることなどそうあるものでもない。珍しく恋人に対する優越感を覚えつつ緑間は瞼を閉じた。赤司が溜息をついて立ち上がる。熱で浮かされたものとでも思っているんだろう。おやすみとちいさく落とされた声は、ひどく優しく緑間の耳に染みこみ消える。気だるさと混ざったあまい眠気が手を振っている。
眠りにおちる緑間の意識の中で、足ぐせの悪い神様は、将棋盤の向かいで夕日を浴びて、退屈そうに座っていた。
2016.1.17 別サイトにて公開
2018.5.14 転載
9620字

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seiichikatou · 4 years
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📖年間300冊チャレンジ中📖 読んだ本 2019.12月に読んだ本❼ 277〜281冊目 ①イスラム芸術の幾何学~天上の図形を描く~/ダウド・サットン(著),武井 摩利(訳) メモ:模様好きにはたまらないです。キーとなる構造はパターンを繰り返す幾何学と、アラビア文字のカリグラフィー。本来は他宗教にも寛容だったイスラムの文化らしく、シンメトリカルな調和のとれた図形がもたらした影響力は、家紋や書道など、日本にもあったと伺える。コンパスと定規、方眼紙があればとりあえず真似事で描けるようになる。反復パターンは、理論的には無限。その無限の概念に偶像崇拝禁止の背景を感じてしまう。アラベスクやロゼットなどの理屈が可視化して見えてきます。霊的な感覚より、原始的な美しさに強く惹かれる。 ②スピリチュアル系のトリセツ/辛酸なめ子 メモ:人にとってはナイーブな話になるかもしれないが、辛酸なめ子さんの語り口が、ある意味ウィットに富んでいてスラスラ読める。神社好きな僕もスピ系だろうなぁ。なにせ我が家は前々の代からスピ系である。いや我が家だけではないはずだ。お初月の初詣は?クリスマスは?お盆は?言い換えればそのどれもがスピリチュアル。それにしても面白いのは、タイプ別のスピ系を口癖から生態化し、仲良くなる方法を指南している点。神社系の僕は、「奥宮は行きましたか?」なんて言われるとたまらない(笑)。 ③特攻隊の現実(リアル)/一ノ瀬俊也 メモ:明治以来の忠君愛国教育の結果もたらされたもの。それを、空虚なイデオロギーと片付けるにはあまりにも痛々しい。美談で語っていいのだろうか?死後に与えられる栄誉に、どれほどの価値があるのか?やけっぱちのような十死零生。もちろん当事者意識になり現代視点で見ることは、私にはできない。ただ事実として、国の命令だったのか志願だったのか、多くの若者が特攻で死ぬことを指名にしたのは確か。そして攻撃された側にも大きな犠牲があったのは確か。 孤独とプレッシャー、恐怖と不安、決意と大義、諦めと望み…。生きたいという本能と、指名感に翻弄された若者やこの国が犯した間違いの記録。 ④東京で家を買うなら/後藤一仁 メモ : 東京にいないから関係ないとは言い切れない。恥ずかしながら、「家」についてほぼリテラシーのない僕には、めちゃくちゃ面白かった。売ることを考えて買うと失敗しにくいという冒頭の提起に、序盤から納得してしまった。特に災害へのリスクヘッジの視点から、土地を考える第4章は必見。 家を買うべきかどうか、持ち家をどうしたらいいかなどど考えている方は読んでも損はない。 ⑤時間とテクノロジー ~「因果の物語」から「共時の物語」へ~/佐々木俊尚 メモ : デジタルの進化によって、モノのサービスは個体から液体へ変わって行こうとしてる。そんな中、アナログ媒体の「めんどくさい」が最高にクールであるらしい。時間を感じることは、摩擦した空気である。この摩擦によって実際に触れている感覚の心地良さが、僕という、あなたという世界をつなでいる。もしかしたら近い将来に、時間という概念は大きくかわるのではないだろうか?因果的思考に頼るのではなく、今生きるということを全身で感じ味う。かなりざっくりしているが、僕はそのように読みとった。 ⑥このビジネスモデルがすごい!~グレートカンパニーに学ぶ~/船井総合研究所 (著), 船井財団 (監修) メモ:まずは成功の3つの条件と、3つの企業の指名を確認しよう。「素直」、「プラス思想」、「勉強好き」の成功条件。「収益性の追求」、「社会性の追求」、「教育性追求」の企業の指名。これは本来あるべき姿だ。船井財団が取り組んできたグレートカンパニーの定義や概要を確認しよう。業界の姿、理念ビジョン、ビジネスモデルマップ、歩んできた歴史、収益性、持続的成��、人材吸収力、顧客満足度、組織力、社会性、企業から学ぶこと。以上の項目から���8つのグレートな企業の立ち位置を理解する。どの会社も目から鱗の素晴らしいビジネスモデルなのだが、僕は最後の章である、本書のまとめを強く押す。これからの時代を生き抜く条件や、定評のある船井総合研究所のチャート診断ができるからだ。 本は最高! 本に出会う! #チャレンジ中 #つんどく消化中 #本好きな人と繋がりたい #本が好き #積ん読 #NetGalleyJP #出版社おすすめ作品のゲラ #平凡社 #講談社 #自由国民社 #創元社 #光文社 https://www.instagram.com/p/B6VRqapJ2W0/?igshid=q5vxdwhku6n6
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motu-memo · 7 years
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2017/01/29 ダンガンロンパV3
初代、2はプレイ済み/絶対絶望少女、小説系は未読
第一章 私と僕の学級裁判
第一章からまさに度肝を抜かれる展開でめちゃくちゃ引き込まれた
全章通しても一番やられた~~!ってなったのは一章
終わって考えて見ればだけど才囚(最終)学園に、(最)原(終)一で、ある程度予想できそうにはなってた
まさか自分が操作していたキャラがクロだなんて思うものか
本で砲丸の通る道を作ったのも砲丸を通気口に入れたのも、一応描写してるのがすごい
人物指定の時は真っ先に最原指名したけど、それが違うんならいよいよカメラの位置が分かるのは赤松さんしかいなくてまさに絶望
最後までプレイした上でも個人的に赤松さんのが一番キツイおしおきだった
やや運頼りすぎる?気がしてたけど、結果失敗しててこれもまたしっくりきた
まあそれがきっかけで首謀者が分かるので、結果赤松さんが主人公であったことに意味が出てくるの最高にアツい
第二章 限りなく地獄に近い天国
斬美さん話通じるし万能だし最高だな~の矢先にこれ
この辺から百田がぐいぐい存在感出してきた ただただ怪しかった
まんまと絶対こいつクロだろって思ってた
夢野ちゃんのマジックショーに対して不安しか抱いてなかったから、カーテン開ける瞬間「もうこれ絶対誰か死んでる」とは確信してたけど人物が意外
学級裁判までいっても殺人方法は分かるんだけどまったく動機が分からず…
結局のところ、星くんであった理由は"比較的生への執着が少なかった"というだけで、それもなんか…こう……
動機自体も"全国民"と"今ここにいるメンバー"を計りにかけた結果であって、気持ち的にはひどい!とは思うけど実際会ったばっかだし
なんか今作はこういうクロ多い気がする
斬美さんすごい好きだったので おしおき 倍ツライ
超高校級のメイドの部屋マジでなんも使わなかったな…
第三章 転校生オブザデッド
個人的に一番不穏、というか不気味な章 宗教こわい
なんというか生徒会のメンバーのリアル感…ああ、宗教流されそうだね…ってキャラ
実際あの閉鎖的な状況だったら宗教くらい発生してもおかしくなさそうだなあ
アンジーへの疑惑というかモヤモヤがMAXになる展開だったので、これは逆に被害者かなって思ったらマジだった
転子は本当にショック受けた
今更だけどこれ株が上がると同時に生存率下がるゲームだ!
儀式怪しいな…でももう死んでるし…しかし降霊が成功するのもアレだし…って思ったら最悪の展開
転子ちゃんは宗教がらみの時も本当良い子で、良心の塊感あったのですごいつらい
死に方も、儀式が失敗するからって痛くても声出さなかったんだろうなあ…
是清くんも、まさに変人って感じのビジュアルと言動に反して裁判中の発言がわりとしっかりしてて好きだった…けどやっぱり正真正銘の変人だったよ…
今回のクロもなんか、動機が特殊な気がした
コロシアイって状況下でなくても殺してるだろこれはという感じ
ただひたすらに姉の為っていう、元々狂っていただけという…
おしおきは初代のセレスさんを思い出す感じ
他にも似てるなーって思うのがあるんだけど、意図的なのかな
通して考えてみると、今作唯一、自分(姉)のために犯した殺人になるのかなあ
第四章 気だるき異世界を生かせ生きるだけ
個人的トラウマ章 裁判中に何度進めたくないと思ったことか…
タイトルが内容にかけて回文なの最高すぎる
仮想世界?的な時点でゴーグル外したらそこには死体が…!!って容易に想像しちゃうやつ
制作者というか発案者自身が被害者なのが意外だった
異世界のアバターがすごい可愛い
あと唐突すぎるスラダンパロに爆笑した 感情が忙しい
ここでも百田は1人だけログアウトしていたとかいうクロフラグガンガンに立ててなんなんだ
コイツ毎回学級裁判で疑われてる気がするな
裁判後半のゴン太くん、可哀そうすぎて見てられない…
ここまで嫌なクロ指定もなかなかない 2の眼蛇夢を思い出した
機器の接続不良的なやつはまあ自身のミスとしても…結果、直接的な動機も「みんなを守るため」であって、最後までいい子だった
結局入間ちゃんの動機が薄いような気はする
まあ王馬自体誰から殺されてもおかしくないような言動はしてるけども…入間ちゃんが、人を殺してまで出たい、っていうのがあんまり想像できない
今回のおしおきは、初代の桑田を思い出す感じでよりエグい
アルターエゴ化ということは…こっちは残る?という希望も打ち砕いてくるのが流石…
第五章 愛も青春も無い旅立ち
ある意味大好きな章
モノクマすら惑わそうとする発想 熱い
熱すぎて死ぬ
熱いのとは別に、キーボのプレス機脱出シーンで声出して笑った
前章までで死ぬほど百田の株が上がっていたので、本当心臓に悪かった
人数が絞られているゆえの、百田と王馬、どちらかが死体でどちらかがクロという状況 過剰な緊張感で禿げた
しかし台本あるとはいえ、あの王馬を演じ切る百田すごくない?すごい
正直、今回の学級裁判は六章より手に汗握ったかもしれない
どうしても死体が百田くんだと思いたくないという部分で、最原くんと最高にシンクロする章だった
というかハンマーといいボムといい、入間ちゃんのえげつない有能さに気づく章
前々から発言に反して実績がえぐい
ハルマキちゃんがすっかりヒロイン
おしおき前の「初めてなんだよ…人を好きになったのは…!」のくだりはマジで泣いてしまった
王馬の印象もかなり変わった章だった
どこまでが嘘でどこまでが本当かって考えるのが楽しい
殺しはせず、笑いを重視っていうDICEのモットーもあるし最後の方は、本心だと思いたいなあ
第六章 さよならダンガンロンパ
問題の最終章
オチに関しては私は肯定派
ダンガンロンパじゃないとできない責めたオチだなぁ
そしてそれを終わらせるっていう最原くんの選択も含めて好き
ただ、フィクションである事を過去作キャラの姿で言わせるのは必要だったのか?とは思う
単純にマジでつらいから……
流石に大好きなシリーズ二作品のキャラから「全部嘘だよ設定だよバーカ!!」って言われちゃうの嫌な意味で泣く
まあラスボスが超高校級のコスプレイヤーだから、っていうのは分かるんだけど…
フィクションのコスプレしかできない設定不安定
オーディションの最原くんいい感じにキモ過ぎて笑う
アレに関してはプロローグと繋がらないし嘘の一つでは?と言い聞かせてるんだけど…どうなんだろうか
主人公が切り替わる演出はすごく好き
キーボが希望ですよ!って言い始めて主人公が交代して、その主人公の最原くんが”希望”に対して反論してくるのがすごい すごいな~
議論スクラムが狂おしい程好きなので、最終章になかったのが一番の不満
色んなキャラに変わりつつ反論してくるつむぎVS生き残り組のスクラム超見たい
結果、最原、ハルマキ、夢野ちゃんが生き残るエンド
その後が非常に想像しづらいんだけど、平和な世界ではあるみたいだし、幸せになって欲しいなあ
もろもろ
色々追加要素があったけど、とにかく議論スクラムが最高
もうなんならこれだけでいい
ゲーム的な面白さというよりは演出がすこぶるアツい
発言者の名前を呼ぶのも熱いし、最後に全員で言う「これが俺たちの答えだ!」が最高に熱い
たまに王馬みたいなのが味方にいる時の心強さとか、キーボくんが安定して味方側にいてくれるところとか、すごいキャラに愛着が湧く
これも変な連打とか入れずに話題発展とかしてもっとやりたかったなあ
最原VSその他全員みたいなスクラムも見たかった
あとメインテーマの「嘘」である追加の偽証システムもすんごい罪悪感あるけど難易度増してて良かった
大体その場の人にはばれてるの笑うけど
地味にノンストップ議論の時の、文字の演出がすごい凝ってた
文字自体が立体的な配置になってたり、フォントとかエフェクトとか、すんげー賑やかになっててよかった
対して残念なのが理論武装とブレインドライブかな~
理論武装はまずリズムゲーとして成り立ってないので論外
理論武装の時だけ出る、個性を模した衣装みたいなのは好き
ブレインドライブはテンポの悪さがアホ
今回、嫌いだったり「いらなくない?」みたいなキャラが全くいないのすごい
まあ学級裁判ではゴン太だったりアンジーみたいなキャラはやり方によっては邪魔に感じてしまったりすると思うんだけど、それもなかった
全然関係ないけど、転子の顔芸が死ぬほど好き
賛否両論なのがすごいすごい分かる
5章が盛り上がりのピークだしあそこで終わってればって感想もわりと分かる 5章は熱い
過去作が好きであればあるほど、あの6章はそれを丸っと否定された気がするのもすごいすごい分かる
ただそれ以上に、「嘘」ってテーマにあれ以上のエンディングはないとも思う
個人的に、あのエンドに対してネガティブな感想があるとすれば、続編が出せないという点かな…
っていうか出したら台無しなので出すな…………………
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arinkonokuni · 5 years
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【CoCシナリオ】欠損人形 KP:導入 KP:  KP:甘露寺さんの導入です。 KP:ある、なんでもない日のことだった。天気も良く、ニュースは珍しく優しいことばかりを流している。 KP:外を見れば穏やかな風が木々を静かに揺らしている。 KP:理想的な休日だ。 KP:  KP:自宅であなたはゆっくりと朝の時間を過ごしていた。 KP:今日は何も予定がない、さぁ、これからどうしようか KP:と考えているとあなたの携帯電話が鳴り響いた。 KP:劈くように、まるで悲鳴のように。 KP:  KP:発信元を示すディスプレイには『貝澤求』と表示されている。 KP:取りますか? 甘露寺蜜柑:取ります。多分携帯の電話帳に登録してないので知らない番号だ… KP: 電話に出れば貝澤さんは震える声であなたに叫ぶ。 KP:「助けて! 部屋の外にたくさん、たくさん化け物がいるんだ!」 甘露寺蜜柑:「は…?」? KP:ここで電話が切れます。 KP:どうしますか? 甘露寺蜜柑:「……」呆然 甘露寺蜜柑:求くんの声だったから求くんなんだろうなと思う……声色的にいたずらではなさそうだから家に向かいます。 KP:【貝澤の元へ行く】 KP:貝澤求の家は軽く見た様子だとなんらおかしなところはない。 KP:しかし、朝だと言うのにカーテンが全てしっかりと閉じられていることにあなたは違和感を覚えるだろう。 KP:加えてあなたはこの道中、特に化け物と思うようなものは見ていない。 KP:その玄関の鍵も同様にしっかりとかけられている。 甘露寺蜜柑:ピンポンします 貝澤求:出ます! KP:  KP:扉を開けると玄関に座り込んだ貝澤がいた。 KP:恐怖に揺らぐその瞳、震える身体。 KP:しかしそれ以上に目を引く部分がある。 KP:  KP: それは、貝澤にあるべきはずの【左足】がないところだ。 KP:  KP: その断面は肌に覆われ、最初からなかったかのように綺麗に無くなっている。 KP:貝澤は目線をあなたに向けると、その顔を恐怖に引き攣らせて叫んだ。 貝澤求:「………ひっ……! ば、けもの……ッ……!」 KP: 変わり果てた貝澤の姿を見た甘露寺はSAN値チェック1/1d4。 甘露寺蜜柑:CCB<=88 【SANチェック】 Cthulhu : (1D100<=88) → 62 → 成功 甘露寺蜜柑:甘露寺蜜柑のSANを-1した(SAN:88->87) KP:  甘露寺蜜柑:「化け物……?というか、それ……」足を指差す 貝澤求:「…っ、やだ……何……」ずりずり後ろに下がる 甘露寺蜜柑:「……」 甘露寺蜜柑:「甘露寺だけど。今、どう見えてる?」 貝澤求:「ば、けも、の、ど、どうしてそれ、があるの…?!」左足をさす 甘露寺蜜柑:「それ…?」自分の左足見た… 甘露寺蜜柑:「うーん…どういう状況なのか分からないけど、何があったのか話して。動かないから」 貝澤求:「それは、ないのが、普通でしょ!?、僕みたいに…、」えーん 貝澤求:「外も化物ばっかりなんだ、皆それを持って、それで歩いてる!ぼ、く、怖くて」 甘露寺蜜柑:「……。これが変なものに見えるってことか」自分の左足ぽんぽんってした うーん… KP:【心理学】【精神分析】が振れます 甘露寺蜜柑:CCB<=80 【精神分析】 Cthulhu : (1D100<=80) → 86 → 失敗 甘露寺蜜柑:うそ… KP:先生… KP:心理学はこっちで振りますがどうしますか? 甘露寺蜜柑:じゃあ振ります…70です KP:シークレットダイス KP:貝澤さんが非常に混乱状態に陥っていることが分かる。 KP:あとは、足の断面に対して【医学】等が振れます。 甘露寺蜜柑:振ります… 甘露寺蜜柑:CCB<=72 【医学】 Cthulhu : (1D100<=72) → 18 → 成功 KP:貝澤さんの傷の断面はとても綺麗であり、このまま放置しても問題ないことが分かる。 甘露寺蜜柑:マ?? 甘露寺蜜柑:(救急車呼んでも厄介だろうし…このままでも大丈夫そうか…?) KP:いくつか言葉を交わしていると貝澤は落ち着きを取り戻してきます。 KP:いくら化け物じみた格好になったとはいえ甘露寺さんを甘露寺さんと認めたようです。 貝澤求��う~~~ひとしきりべそべそした後に落ち着きます… 貝澤求:甘露寺蜜柑は普通なのに!!!;;; 貝澤求:「……そ、だ、怖くなってせんせーに電話して……」ハッ ひどいことたくさん言っちゃったっておそるおそる見上げる 甘露寺蜜柑:「うん。電話があったから来たんだけど」 貝澤求:「う……先生、ばけものなんて言ってごめんなさい、み、見捨てないで」足がないので這って近づいて服をひっぱった 甘露寺蜜柑:「別にいいけど……」 貝澤求:「ごめんなさい……」えーん…ぎゅぎゅ! 甘露寺蜜柑:「何かあったの。それとも急に化け物が沢山いるように見えるようになった?」 貝澤求:「あ、朝起きたらたくさん、いて、…僕、何も覚えてなくて…」 貝澤求:「先生、助けて」 甘露寺蜜柑:「そうか……」 KP:貝澤さんは外に出るのを嫌がり、貴方と一緒にいようとする。今日一日一緒にいますか? 甘露寺蜜柑:「出来る事はするけど。何か思い出したら話して」 甘露寺蜜柑:一緒にいて~ってしてくるなら断れないのでいます… KP:このお互いの距離感が好き 貝澤求:わかる…… KP:それでは、貝澤さんの家に入ることでしょう。 KP:  KP:貝澤さんの家はカーテンが閉め切られていてやや薄暗い印象です。 KP:《探索可能場所》 KP: リビング、お風呂、 キッチン、寝室、貝澤の自室 甘露寺蜜柑:「部屋に何か残ってるかな…見てみてもいい?」 貝澤求:こくこく!ってした後にハッとしてだめ~ってのたのたついていくんだけどその頃には開けてそうな感じで…(どうぞ!!!!!!!!) 貝澤求:ずりずり… KP:片足が無いからずりずりしてる 甘露寺蜜柑:リビングいきます KP:【探索】 KP:[リビング] KP: ふかふかのソファーにテレビが置いてあり、雑誌などが置かれたダイニングテーブルがある。 KP:やはり貝澤の欠損に合わせられていないのでサポートなしでの生活は難しいだろう。 KP:図書館、聞き耳、目星ができます。 甘露寺蜜柑:順に振ります! 甘露寺蜜柑:CCB<=80 【図書館】 Cthulhu : (1D100<=80) → 95 → 失敗 甘露寺蜜柑:CCB<=82 【聞き耳】 Cthulhu : (1D100<=82) → 51 → 成功 甘露寺蜜柑:CCB<=80 【目星】 Cthulhu : (1D100<=80) → 43 → 成功 貝澤求:CCB<=50 図書館 Cthulhu : (1D100<=50) → 77 → 失敗 貝澤求:CCB<=60 聞き耳 Cthulhu : (1D100<=60) → 12 → スペシャル 貝澤求:CCB<=75 目星 Cthulhu : (1D100<=75) → 75 → 成功 KP:【聞き耳】ほんのりと焦げ臭い匂いがする。 KP:【目星】辺りをみてみれば部屋の隅に少量の灰が落ちていることに気付く。また、雑誌に一枚の便箋が紛れ込んでいることに気が付く。その便箋には『夜になるまで丁寧に扱おう。かわいいお人形さんは君がいないと何も出来ないよ』と書かれている。 甘露寺蜜柑:(ふざけてんのか?)くそがって感じの顔 貝澤求:手を伸ばして服を掴んでいる ぎゅ… 甘露寺蜜柑:「何だか焦げ臭いし…何か燃えたのか」灰をすくった KP:何の灰かは知識系技能で何か振れるものがあれば振ってもいいです。 貝澤求:「…?」くんくんしてる「何でしょう…」 甘露寺蜜柑:薬学とか…?化学はない… KP:うーん、わんちゃん化学か博物学か生物学でも。 甘露寺蜜柑:CCB<=65 【生物学】 Cthulhu : (1D100<=65) → 94 → 失敗 甘露寺蜜柑:ccb<=10 博物学 Cthulhu : (1D100<=10) → 30 → 失敗 貝澤求:ccb<=10 博物学 Cthulhu : (1D100<=10) → 62 → 失敗 甘露寺蜜柑:わかんね~~~~!汚いからゴミ箱にポイ! 甘露寺蜜柑:キッチンに行こう… KP:灰はゴミ箱へ。それではキッチンです! KP:[キッチン] KP: キッチンには調理器具が点々と置かれ、食材も並べられている。 KP:へんてつのない普通のキッチンだ。 甘露寺蜜柑:ちゃんと飯食ってんだなってちょっと安心した! 貝澤求:CCB<=(9*5) POW Cthulhu : (1D100<=45) → 4 → 決定的成功/スペシャル KP:OK KP:何か見たいものがあれば情報を提示する形になります。 甘露寺蜜柑:今は特にないかな… 甘露寺蜜柑:お風呂ちらっと覗きにいきます KP:[お風呂場] KP: 棚の中には柔らかそうなタオルが詰め込まれ、いくつかの入浴剤が置かれている。 KP:お風呂場へ向かう扉を開ければ少し濡れた浴槽がある。 KP:問題なく使えるだろう。 KP:ただ今の貝澤が一人で使えるとはとても思えないが。 KP:聞き耳ができる。 甘露寺蜜柑:CCB<=82 【聞き耳】 Cthulhu : (1D100<=82) → 49 → 成功 貝澤求:CCB<=60 聞き耳 Cthulhu : (1D100<=60) → 68 → 失敗 KP:【聞き耳】ふわりと微かに血の匂いがする。 甘露寺蜜柑:「…?」お風呂きょろきょろ…匂いの原因探せますか? 貝澤求:「?」それを見てる KP:そうですね、目星かな 甘露寺蜜柑:CCB<=80 【目星】 Cthulhu : (1D100<=80) → 1 → 決定的成功/スペシャル 貝澤求:すごーーーい! KP:すばらしい!! KP:それでは、貴方は匂いものが排水口であること。周辺に血の飛び散ったことが無いことから、ここで血を洗い流したのではと思う。 甘露寺蜜柑:なるほどな! 甘露寺蜜柑:「…何でもない。行こう」寝室行きます 貝澤求:「はい」ずりずり 貝澤求:CCB<=(9*4) POW Cthulhu : (1D100<=36) → 41 → 失敗 貝澤求:1d10 Cthulhu : (1D10) → 10 貝澤求:貝澤求のSAN値が1減少しました。 (SAN:49->48) 貝澤求:「……い、た…!」ない左足部分を抑える… 貝澤求:ぱたぱたし始める 暴れるな 甘露寺蜜柑:「ちょ、ちょっと…大丈夫?」断面を見た… 貝澤求:「……せ、せんせ……っ、痛いよ…」えーーんぱたぱた KP:明らかにない足を痛がっています。医学などができますよ。 甘露寺蜜柑:CCB<=72 【医学】 Cthulhu : (1D100<=72) → 28 → 成功 KP:では、貴方はこれが、幻肢痛という、四肢を切断された人間が時に起こす症状であり、切断され無くなった部位が痛む症状であると知っています。 KP:原因は不明で現代医学では時間を置くなど痛みが治まるのを待つしかありません。 甘露寺蜜柑:「……」何もできないので服握るなり殴るなり何でもしてくれって感じで待ってる 貝澤求:「先生…助けてっ…」手を伸ばした… 甘露寺蜜柑:腕とか掴んでいいよって伸ばした 貝澤求:うう…掴んで爪を立てました! 貝澤求:ぎゅう~~!! KP:それでは、徐々に幻肢痛が収まっていくことでしょう。 甘露寺蜜柑:「……ごめん」その様子を見下ろしてる 貝澤求:「……っ、」ぽろぽろ泣いてしまう 甘露寺蜜柑:CCB<=87 【SANチェック】 Cthulhu : (1D100<=87) → 90 → 失敗 甘露寺蜜柑:甘露寺蜜柑のSANを-1した(SAN:87->86) 甘露寺蜜柑:「……大丈夫?」 貝澤求:「だ、いじょうぶです」にこした 甘露寺蜜柑:「……。俺も何でもできるってわけじゃないから」 貝澤求:「はい、わかってます、ありがとう先生」 貝澤求:「…先生、ぎゅってして」ダメ元! 甘露寺蜜柑:CCB<=(15*5) 【POW】 Cthulhu : (1D100<=75) → 70 → 成功 甘露寺蜜柑:「……。好きに掴んでていいから」しない… 貝澤求:さっきみたいに遠慮がちに服を掴んだ!いいのだ…^^ 甘露寺蜜柑:寝室に行きます… KP:[寝室] KP: 寝心地の良さそうなベッドが置かれた寝室だ。カーテンが締め切られているため薄暗い。 KP:目星ができます。 甘露寺蜜柑:CCB<=80 【目星】 Cthulhu : (1D100<=80) → 71 → 成功 貝澤求:CCB<=75 目星 Cthulhu : (1D100<=75) → 48 → 成功 KP:えらい! KP: シーツに赤い染みができていることに気付く。 KP:シミに対して医学ができます 甘露寺蜜柑:CCB<=72 【医学】 Cthulhu : (1D100<=72) → 8 → スペシャル KP: 【医学】これは血液だ。まだ、新しいものであることもわかる。 KP:以上です。 甘露寺蜜柑:ここで切ったのかなあ…と思いつつ 自室にいっちゃおっかな… 貝澤求:CCB<=(9*3) POW Cthulhu : (1D100<=27) → 42 → 失敗 貝澤求:1d10 Cthulhu : (1D10) → 2 貝澤求:貝澤求のSAN値が1減少しました。 (SAN:48->47) 貝澤求:「……ッ、」服をぎゅ~~!!待ってね…;;; 甘露寺蜜柑:どうしたどうした KP:貝澤は貴方の服をつかむ、脂汗を流していたが、しばらくすると収まったのか服をはなす。 甘露寺蜜柑:「また痛くなった?」 貝澤求:こくこく! 甘露寺蜜柑:「そうか…早く治せるといいんだけど」 貝澤求:「平気です!慣れてきました…なんとか」ついていくぞ! KP:それでは、自室です KP:  KP:[貝澤の自室] KP:貝澤のらしいもの(写真とPC画面)が様々なところに置かれた貝澤の部屋だ。 KP:置きっぱなしの服や持ち物も普通のもので、貝澤が今までずっと体の一部を欠損していたとはやはり思えない。 KP:小さな本棚やクローゼットがある。 甘露寺蜜柑:「……」見てしまった… 甘露寺蜜柑:CCB<=86 【SANチェック】 Cthulhu : (1D100<=86) → 14 → スペシャル 貝澤求:「!!!!」 甘露寺蜜柑:何となく予想はついてたかな… 貝澤求:あわあわ…あわあわ…ずりずり… KP:思ったより平気 貝澤求:「せ、先生、だめ」見ないで~~~!w KP:クローゼットに目星と本棚に図書館ができます。 甘露寺蜜柑:「はいはい」目そらしてクローゼットみにいこう 甘露寺蜜柑:CCB<=80 【目星】 Cthulhu : (1D100<=80) → 82 → 失敗 貝澤求:CCB<=75 目星 Cthulhu : (1D100<=75) → 64 → 成功 貝澤求:うう…ずりずり…ついてく… KP:【目星】 甘露寺蜜柑:平気だったけどやっぱり気になって集中できなかった KP: クローゼットの影に隠れるようにして何かが落ちている。 KP:拾い上げるとそれは【左足】が欠けたプラスチックの人形だった。 KP:思わず貝澤のことが頭をよぎり、あまりの不気味さに背筋が粟立つ。SAN値チェック0/1d2。 甘露寺蜜柑:CCB<=86 【SANチェック】 Cthulhu : (1D100<=86) → 42 → 成功 貝澤求:CCB<=47 SANチェック Cthulhu : (1D100<=47) → 31 → 成功 甘露寺蜜柑:「それは…」 貝澤求:「!」ずりずり拾ってきた 犬? 甘露寺蜜柑:「貝澤くんの?」 貝澤求:「覚えてないです…」 甘露寺蜜柑:「……」 甘露寺蜜柑:「これは化け物じゃなくて、ちゃんとした人間の形をしてる?」 貝澤求:こくこく「怖くないです、何だかぞわぞわしますけど…」これはSANCのぞわぞわ 甘露寺蜜柑:「なるほど…」 甘露寺蜜柑:本棚みにいくか! 甘露寺蜜柑:CCB<=80 【図書館】 Cthulhu : (1D100<=80) → 48 → 成功 貝澤求:GG! 貝澤求:CCB<=50 図書館 Cthulhu : (1D100<=50) → 81 → 失敗 KP:【本棚に図書館】 KP: そこに一枚、メモ用紙が挟まっていることに気が付く。 KP:手に取ってみることができます。 甘露寺蜜柑:見ます KP:[メモ用紙] KP: そこには見慣れない文字でこう書いてある。 KP:『等価交換。』と、たった一言だけ。 甘露寺蜜柑:「?」裏は何かありますか… KP:特に何もないです。 甘露寺蜜柑:「等価交換……」 貝澤求:「???」 甘露寺蜜柑:(結局よく分からないな……)リビングに戻ろう… KP:リビングです。 KP:図書館ができますよ。 甘露寺蜜柑:ご飯どうしようかなと思いつつ 振ります! 甘露寺蜜柑:CCB<=80 【図書館】 Cthulhu : (1D100<=80) → 84 → 失敗 貝澤求:CCB<=50 図書館 Cthulhu : (1D100<=50) → 64 → 失敗 KP:よくわからないね… 甘露寺蜜柑:「はあ…ご飯とかどうする?食べる?」 貝澤求:「! はい!」おなかすいた! 甘露寺蜜柑:「わかった」冷蔵庫あけよ 何作れるかな~ KP: 調味料の棚、その引き出しを開けるとそこにひとつ変わった形のビンがあることに気づくだろう。 KP:手に取ってみればラベルが貼ってあり、そこには『麻酔薬』と書かれていることが分かる。 甘露寺蜜柑:「あ…」 甘露寺蜜柑:「また痛くなったら言って。治せるかもしれない」幻肢痛に効くかわからんけど… 貝澤求:「! はい」にこ 甘露寺蜜柑:よし じゃあ何か作ろう。求君何が好きなのかな 貝澤求:何が好きだったかな…夏なのでそうめんとか…(?) 甘露寺蜜柑:そうめんつくろ!! KP:では、そうめんを作るので、DEX*5か料理技能をどうぞ。 甘露寺蜜柑:ccb<=5 せっかくなので料理 Cthulhu : (1D100<=5) → 9 → 失敗 甘露寺蜜柑:アアアア~~~~~~~~っっ KP:ん~~ちょいふやけたそうめん! 甘露寺蜜柑:「はい」どーぞ! 貝澤求:「! ありがとうございます…!」にっこにこにこしてる 甘露寺蜜柑:「ん。いただきます」一緒に食べよ 貝澤求:「いただきます」手を合わせた 貝澤求:「! 美味しいです」にこにこにこにこしている ちゅるちゅる 甘露寺蜜柑:「よかった」 甘露寺蜜柑:「飯食って楽になったらいいんだけど」 貝澤求:「はい」にこにこにこ 貝澤求:「先生、ありがとう。大好き」 甘露寺蜜柑:「…」ぎゅってできなかったからよ~これで罪滅ぼしさせて…… 甘露寺蜜柑:「何か思い出せたりしない?」 貝澤求:ふるふる「何も…」シュンとした 甘露寺蜜柑:「そう」いいよ! KP:貴方達はおなかも満たされて、この異常な状態の中、ゆったりと時間を過ごします。 KP:  KP: KP:気が付けば日は暮れ、夜の帳が落ちていた。 KP:蛍光灯で照らされた室内には【左足】を失った貝澤がいる。 KP:貝澤はあなたに対して全面の信頼を寄せ、あなたによしかかっている。 KP:その姿はいつも通りの貝澤だ。欠損部分を無視すれば。 KP: そこであなたの重い気持ちとは裏腹に明るいインターホンの音が響き渡った。来客のようだ。 甘露寺蜜柑:「……」 甘露寺蜜柑:「あれだったら待ってて」玄関に行くよ 貝澤求:や!ぺたぺたついてく KP:【玄関へ行く】 KP: 玄関を開ければそこにはにこにこと笑う男がいた。 KP:その手には巨大なアタッシュケースが握られている。 KP:彼は笑顔を張りつけたまま口を開く。 KP:  男:「お待たせしました。こちら『貝澤の【左足】となっております』」 甘露寺蜜柑:「は??」 KP: 彼はそう言ってアタッシュケースを開く。そこには貝澤の【左足】があった。 KP:  貝澤求:「ど、どなたですか…? !」 KP:ケース内につけられた柔らかなクッションに埋もれたそれは完全に人間のものであり、 KP:断面は見えないものの薄く見える血管や色付いた肌からこの【左足】は胴体から切り離されているにも関わらず生きていることが分かる。 KP:常軌を逸したものを見たあなたたちはSAN値チェック0/1d2。 貝澤求:CCB<=47 SANチェック Cthulhu : (1D100<=47) → 97 → 致命的失敗 甘露寺蜜柑:CCB<=86 【SANチェック】 Cthulhu : (1D100<=86) → 51 → 成功 貝澤求:1d2 Cthulhu : (1D2) → 1 貝澤求:貝澤求のSAN値が1減少しました。 (SAN:47->46) KP:「どなたか」という言葉に男は返答を返す。 男:「さぁ? 人形屋とでも言いましょうか」 甘露寺蜜柑:「人形……」 甘露寺蜜柑:「まあ……もらえるものはもらっとくけど……」 男:「はい! えぇ、もちろんですよ。ではお代をお支払いください」 甘露寺蜜柑:「お代?」 男:「__あなたの【左足】を、ね」 甘露寺蜜柑:「……」 男:「ただでもらえるわけないじゃないですかぁ。でもサービスはしますよ」 甘露寺蜜柑:「は。等価交換ってそういうことかよ……」 甘露寺蜜柑:「サービスって」 男:「サービスとして、貝澤さんの『五体満足の人間が化け物に見える』っていうあの思い込み、治してあげます」 男:「ほら、ここにサインしてください」 甘露寺蜜柑:「そりゃ助かるな……」 KP: 男があなたの眼前に一枚の紙を突きつける。 KP:そこには『契約書』と題が打たれており KP:『甘露寺は貝澤の【左足】を自身の【左足】で購入致します。』 KP:と印刷されている。 貝澤求:「…せ、せんせ」ぶんぶんぶん ぎゅぎゅ 甘露寺蜜柑:「いや……でも、そのままじゃ生きてけないでしょ。君も」 甘露寺蜜柑:(このままの状態だと結局俺もこの家から出られなそうだしな……困ったな……) 貝澤求:「けどだって、先生がそんなことする必要ないもん…」 貝澤求:「俺のせいで先生が傷つくのはやだ」泣いちゃう!泣いた 甘露寺蜜柑:(身体の一部を失うってのは痛い……だが、貝澤くんをこのまま放っておいたらどうなるんだ) 甘露寺蜜柑:(無理矢理ここを出ることはできるだろうが、その後彼はどうなる?きっと何もできないまま死んでしまうだろう) 甘露寺蜜柑:(彼の命と俺の足一本って考えれば……) 甘露寺蜜柑:(頑張って治すと言った患者に俺は何ができた?何もできてないじゃないか。せめてこれくらい……) 甘露寺蜜柑:「……」 甘露寺蜜柑:ささっと契約書にサインします。 甘露寺蜜柑:「好きにしろ」 KP: 男: あなたがそう言うと男は目を細めた。目に張り付いたその光がかげる。つまらないと言うように。 男:「あぁ、そうですか。はいはい」 KP: 彼は投げやりな様子であなたに契約書とペンを差し出す。 KP: サインを書き込むと同時にその紙に印刷された文字が砕けるように消えた。そこには KP:『甘露寺は貝澤の【左足】を購入致します。』とだけ書かれている。 KP:【人間ふたり】 男:「承りましたぁ」 KP: 間延びした声の男があなたの手に無理矢理アタッシュケースを押し付けると紙をふんだくった。そして彼はあなたに背を向けるとうんざりしたような表情を見せる。 男:「別にあなたの【左足】なんていらないんですよねぇ」 男:「あー、それは適当に断面にくっつけるとくっつくのでぇ。お好きにどうぞ」 男:「せいぜいお幸せに」 KP: 彼はそう吐き捨てると、泡のように夜の中へと消えていった。 KP:  KP:貝澤の断面、そこにアタッシュケースから取り出した【左足】をくっつけるとそれはみるみるうちひとつになる。 KP:そして瞬きする間にそれは元の貝澤の【左足】に戻るだろう。 KP:それを見た貝澤の目に光が戻る。 KP: その声には凛とした理性があり、あなたは貝澤が元に戻ったことを知るだろう。 KP:  KP: 静かに静かに、あなたたちはまた日常へと戻っていく。 KP:貝澤の【左足】もちゃんと機能している。 KP:これで良��ったのだとあなたは息を吐くだろう。 KP:���を見ると貝澤が笑っている。人形ではない、れっきとした人間が微笑んでいる。 KP: KP:ED『人間ふたり』 KP:お疲れ様でした。 貝澤求:お疲れ様でした!!!!!!!!!!!!!!!11 KP:SAN値回復 1d10 KP:また、芸術『人形』を貝澤と甘露寺ともに2d10取得できる。
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monqu1y · 3 years
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敵のタイプ別攻略方法 敵の値踏みとタイプ別の攻め方
 市営住宅集会所へ講演会を聞きに行った。  演題は「 兵法書 ( へいほうしょ ) を読んで『生き方』を考える」。内容の要点は次の通りだった。   呉起 ( ごき ) は、今から2400年ほど前に、 魯 ( ろ ) ( 斉 ( せい ) の近隣諸侯国)、 魏 ( ぎ ) 、 楚 ( そ ) と転職をくり返し各国で華々しい軍功を挙げながら、素行の悪さで定着できず、最後には、富国強兵策で特権を奪った貴族たちから恨まれて殺された 軍略家 《 ぐんりゃくか 》 。
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以下は、呉起が説いた兵法の要旨。 〖国を治める〗  〔不和〕  1_国内が不和であれば、軍を発することはできない。  2_軍内が不和であれば、陣を組むことができない。  3_陣営内が不和であれば、進撃することができない。  4_兵士が不和であれば、勝利を収めることはできない。  〔徳目〕  1_道:根本原理に立ち返り、始まりの純粋さを守る  2_義:事業を行い、功績をあげる  3_謀:禍を避け、利益を得る  4_要:国を保持し、君主の座を守る  〔戦の原因〕  1_名誉欲  2_利益  3_憎悪  4_内乱  5_飢饉  〔軍の名目〕  1_義兵:無法を抑え、乱世を救う兵⇐礼をもって和を求める  2_強兵:兵力を頼んで戦を仕掛ける兵⇐謙虚な態度で説得  3_剛兵:私憤から戦を仕掛ける兵⇐外交折衝  4_暴兵:礼節を棄てて略奪をほしいままにする兵⇐策略  5_逆兵:国内が乱れ、民が苦しんでいるのに戦に駆り出される兵⇐臨機応変の処置  〔百人部隊の編制〕  1_肝のすわった勇者の集団  2_好んで戦い全力を挙げて武功を立てようとする者の集団  3_高い障壁を飛び越えたり遠い道を踏破したりできる者の集団  4_位を失って再起を図ろうとしている者の集団  5_城や陣地を棄てて敗走した汚名をそそぎたいと思っている者の集団 [注 伍は五人、両は伍が五つで二十五人。 卒 ( そつ ) は四両で 百人 ( ・・ ) 。旅は五卒で五百人。師は五旅で二千五百人。軍は五師で一万二千五百人]  〔必勝法〕  日ごろから、優れた者を高い地位につけ、無能な者を低い地位にすえる。  民の生活を安んじ、役人に親しませる。  百官がみな、わが主君を正しいと信じ、隣国を悪いと考えるような政治を行う。 〖他国を評価する〗  斉:人は剛毅で、国も富んでいるが、主君も臣も驕り高ぶって、民をないがしろにしている。その政治は寛大だが、俸禄は公正でなく、軍は統一して��らず、先陣がしっかりしていれば後陣は手薄になる。⇐必ず兵を三分して敵の左右を脅かした上で追撃する。そうすれば敵軍を破ることができる。  秦:人は強靭で、地形は険しく、その政治は厳しくて、信賞必罰で、人も功を競い合い、みな闘争心が旺盛で、勝手に戦おうとする。⇐必ずまず利益を見せびらかせて釣り、兵を引く。そうすれば敵は功をあせって統制を乱す。これに乗じて伏兵を繰り出し、機会を捉えれば、敵の将を虜にすることができる。  楚:人は軟弱で、国土は広く、政治は乱れ、民は疲弊している。そのため規律があっても持久力が乏しい。⇐本陣を襲撃して敵の戦意を削ぎ、機敏に行動して敵を翻弄し、疲れさせる。  燕:人はまじめで、民は慎重であり、勇気や義理を重んじて、策をめぐらすことは少なく、ゆえに守りを固めて逃げ出したりしない。⇐近づいたと見せて急に攻め、攻めるとみせて退き、追うとみせて背後にまわるなど、神出鬼没に行動する。そうすれば必ず敵の指揮官はこちらの意図がわからず、部下は不安になる。兵車や騎兵を伏せ、敵をやり過ごして襲えば、敵将を虜にすることができる。  三晋:性格は穏やかで、政治は公平。しかし民は戦に疲れ、兵事に慣れている。そのため指揮官をあなどり、俸禄が少ないと不満をもらし、死ぬまで戦おうとしない。ゆえに統制は取れているが、実戦の役には立たない。⇐対陣して相手を圧倒する。攻めてくれば阻み、退けば追撃するといったようにして、戦に嫌気を起こさせる。  〔敵情:攻撃適機〕  1_風が強く、厳しい寒さで、敵が早朝に起きて移動したり、氷を割って河を渡り、難儀を顧みないでいる  2_夏の真っ盛りの炎天下に、日が高くなっても起きず、起きると間もなく行軍し、飢え渇きながら行動している  3_軍が長い間戦場に止まり、食糧は欠乏し、百官の間に不満の声が高まり、奇怪な事件がしばしば起こっていながら、指揮官がこれをおさえきれていない  4_軍の資材がつき、薪やまぐさも少なくなり、雨が続き、物資を略奪しようにもその場所がない  5_兵数も多くなく、水地の便も悪く、人馬ともに疲れ、どこからも援軍がこない  6_行軍が長く日も暮れ、兵士は疲労と不安におそわれ、うんざりして食事もとらず、鎧を脱いで休息している  7_指揮官の人望が薄く、参謀の権威も弱く、兵士の団結力が弱く、全軍がおびえていて、援軍がない  8_布陣が完成せず、宿舎が定まらず、また険しい坂道を行軍して、到着予定の半分も着ていない  9_敵の進軍がしまりがなく、旗が乱れ、人馬とも振り返ることが多い  10_同盟する諸侯が到着せず、臣君が和せず、陣地も完成しておらず、禁令が施されておらず、全軍が戦戦兢兢として進もうにも進めず、退くこともできない  11_敵が遠くから来て、到着したばかりで、まだ陣地も整わない  12_食事をし終えて、まだ防禦態勢が整っていない  13_あちこちと走り回っている  14_疲れている  15_有利な���形を占領していない  16_時勢を失っている  17_長距離の行軍で、遅れた部隊が休息できていない  18_河を渡ろうとして、軍の半分しか渡り終えていない  19_険しい狭い道を行軍している  20_旗が乱れている  21_陣営が忙しく移動している  22_将と兵士の心が離れている  23_兵士がおじけづいている  ―敵の充実したところを避け、手薄なところを攻める―  〔戦を避けるべき相手〕  1_土地が広大で民が豊かで、人口が多い  2_君主が下々の者を愛し、恵みが国中に行き渡っている  3_賞罰が公平であり、発する時期も時を得ている  4_功績のある者に高い地位を与え、賢者や能力のある者を重用している  5_軍団の兵士が多く、装備が整っている  6_隣国や大国の助けがある 〖軍隊の管理〗  〔四軽〕  1_地形をつぶさに見極めたうえで馬を走らせる  2_まぐさを適当に与える  3_車に油を十分注す  4_武器を鋭く、甲冑を堅固に整える  〔二重〕  1_進んだ者には重い賞を与える  2_退いた者には重い罰を加える  〔勝敗の要因〕  1_平生の訓練で、礼節を守り、行動を起こすときには威厳があり、進むときには阻むことができず、退く時には追撃できず、進退に節度があり、左右両翼の軍も指揮に呼応し、分断されても陣容を崩さず、分散しても隊列をつくることができ、安全な時も危険な時も、将兵が一体となって戦い、いくら戦っても疲労すしないような軍隊を作れるかどうか  2_飲食を適切に取り、人馬の力を消耗させていないかどうか  3_将が、穴のあいた舟に乗り、燃えている家で寝ているように、必死の覚悟をしているかどうか  4_優柔不断に陥るかどうか  5_訓練が良くできているかどうか(近くにいて遠くの敵を待ち、余裕を持って敵の疲れるのを待ち、満腹の状態で敵が飢えるのを待つ。円陣を組んだかと思えば方陣を組み、座ったかと思えば立ち、前進したかと思えば止まり、左に行ったかと思えば右に行き、前進したかと思えば後退し、分散したかと思えば集中する。様々な変化に対応できるよう習熟させる。)  6_戦の訓練で、背の低い者には長い矛を持たせ、背の高い者には弓や弩を持たせる。力の強い者には旗を持たせ、勇敢な者には鐘や太鼓を持たせる。力の弱い者は雑用に使い、思慮深い者は参謀とする。同郷の者で 伍 ( ご ) を編成し連帯責任を持負わせる。  7_一度目の太鼓で武器を整え、二度目の太鼓で陣立てを整え、三度目の太鼓で食事をとり、四度目の太鼓で武器を点検し、五度目の太鼓で進軍の状態にさせ、そして太鼓の音が揃ってはじめて、旗をかかげる。  〔行軍の定石〕  1_深い谷間の入口や大きな山のふもとを避ける。  2_青竜の旗を左に、白虎の旗を右に、朱雀の旗を前に、玄武の旗を後ろに立て、招搖の旗を中央にかかげて、その下で将が指揮を執る。  3_順風のときは敵を攻め、逆風のときは陣を固めて待機する  〔軍馬の飼育〕  1_環境を良くし、水や草を適度に与え、腹具合を調整し、冬は厩舎を温め、夏にはひさしをつけて涼しくし、毛やたてがみを切りそろえ、注意深く蹄を切り、耳や目をおおって物に驚かないようにし、走り方を学ばせ、留まりかたを教育し、人と馬がなれ親しむようにする。  2_鞍、おもがい、くつわ、手綱などはしっかりとつける。  3_馬は、仕事の終わりや腹が減ったときよりも、仕事の始まりや食べ過ぎたときに駄目になる。  4_日が暮れてもまだ道が遠い時には、時には降りて休ませる。人はくたびれても馬を疲れてさせてはならない。いつも馬に余力をもたせ、敵の奇襲攻撃に備える。 〖将軍のあるべき姿〗  〔心得〕  1_管理:大部隊をあたかも小部隊を治めるように掌握して統率する  2_準備:門を出れば、いつ敵に襲われてもいいように備える  3_決意:敵を眼の前にして決死の覚悟を持つ  4_自戒:勝っても戦を軽々しく考えないように自らを警戒する  5_法令簡略化:  6_形式的な煩雑さを避けて分かりやすくする  7_命令を受ければ家人に別れを告げることもなく、敵を撃ち破るまで家人のことを言わない  〔好機〕  1_精神:全軍兵士の動きを充実させる将軍の気  2_土地:道が狭く険しい高山の要塞では、十人の兵卒でも千人の敵を防ぐことができる  3_状況:間諜を放ち、軽装備の兵を発して敵の兵力を分散させ、君主と臣下の心を切り離し、将と兵がお互いに非難しあうようにしむける  4_力:車の楔を堅固にし、舟の櫓や櫂を潤滑にし、兵士をよく訓練させ、馬は良く走るように調教しておく  5_将の威徳や仁勇:部下を統率し、民を安心させ、敵をおののかせ、疑問が生じても迷うことなく判断する。  〔軍の威信を兵卒に伝える戦具〕  1_太鼓・鐘:耳から  2_軍旗・采配:目から  3_禁令・刑罰:心から  〔敵将のタイプ別対応策〕  1_愚直で軽々しく人を信用する⇐だまして誘い出す  2_貪欲で恥知らず⇐賄賂で買収する  3_状況の変化を軽く考える無思慮⇐策をつかって疲れ苦しめる  4_敵将が富んで驕り高ぶり、部下が貧しくて不満をもっている⇐これを助長し、離間させる  5_優柔不断⇐驚かせて敗走させる  6_兵が敵将を軽んじて帰郷の心がある⇐逃げ易い道を塞いで険しい道を開いておき、迎え撃って殲滅する  〔敵将タイプ判別法〕  1_身分は低いが勇気のあるものを選び、敏捷で気鋭の兵士を率いて試みる。彼らにはもっぱら逃げさせ、勝利を収めさせない。敵が追ってくるのを観察し、兵卒の一挙一動を見て軍規がゆきわたっているかを見る。追撃するときもわざと追いつけないようにみせたり、有利とみてもわざと気づかないふりをして誘いに乗らないようであれば、智将。戦を避ける。  2_部隊がさわがしく、旗は乱れ、兵卒はばらばらに動き、隊列が縦になったり横になったりして整わず、逃げる者を追おうとしてあせり、利益があると思えばやたらそれを得ようとするのは愚将。捕虜にできる。  〔場所別対応〕  1_進みやすく退却が難しい場所では、敵が行き過ぎてきたところを討つ  2_進みにくく退きやすい場所では、こちらから討って出る  3_敵軍が低湿地に駐屯していて、水はけが悪く長雨が続いているようであれば、水攻めで溺れさせる  4_敵が荒れた沢地に駐屯していて、雑草や潅木が繁茂しておりつむじ風が吹いているようであれば、火攻めで焼き滅ぼす  5_敵が駐屯して動こうとせず、将兵ともにだらけ、軍備も十分でない場合は、深く侵入して奇襲する 〖ケースごとの対応〗  1_敵の急襲を受け、混乱して隊伍が乱れた場合   ↑←自軍に威光が行きわたり士卒が命令どおりに動くのであれば、慌てず対処する。  2_敵が大軍で、自軍が少ない場合   ↑←平坦な土地での戦闘を避け、狭く険しい地形にさそいこむ。  [一の兵力で十の敵に当たるときは狭い場所で。十の兵力で百の敵に当たるときは険しい場所で。千の兵力で万の敵に当たるときは障害の多い場所で。]  3_敵の兵力が非常に多く、武勇に優れており、大きな山を背にして要害の地に拠り、右手に山、左手に川、堀を深くして砦を高くし、強弩をもって守っており、退くときは山のように堂々としており、進むときは雨風のようにはげしく、兵糧も十分で、長期戦になってもこちらが不利になる場合   ↑←千輌の戦車、一万の騎馬兵を備え、さらに歩兵を加え、全軍を五つに分け、それぞれの道に布陣させる。五つの軍が五つの道に布陣していれば、敵は必ず迷って、どこを攻めればよいか分からないでしょう。敵が固く守るようであれば、急いで間者を送り込み、敵の意図を探る。敵がこちらの言い分を聞けば、囲みを解いて去る。聞き入れずに使者を斬って、文書を焼き捨てるようであれば、戦闘開始。勝てなければすばやく退却する。勝っても追い討ちをかけない。余力残してわざと逃げ、整然と行動して、すばやく戦い、ひとつの軍は前方の敵をくぎづけにし、ひとつの軍は後方を分断し、別のふたつの軍は、馬に枚をふくませてひそかに左右に動かして急襲し、五軍が次々に攻め立てる。  4_敵が近づいて自軍に迫り、退却しようとしても道がなく、兵卒が不安におちいった場合   ↑←もし敵が少数で自軍が多数であれば、部隊を分散して代わる代わる敵を討つ。もし敵が多数で自軍が少数であれば、策をめぐらせて相手の隙を狙い、継続的に敵を攻める。  5_敵に渓谷でぶつかり、周囲は険しい地形が多く、しかも敵が多数で自軍が少数の場合   ↑←丘陵や森林、深い谷や険しい山、大きな沼沢地にあえば、すばやく通過する。万一、深山幽谷でいきなり敵と遭遇したら、必ず先手を取って太鼓をたたいて敵を驚かせて、弓や弩を射掛けながら攻め立て、敵を捕え、敵軍の混乱を見極めたうえで、ためらうことなく追撃する。  6_左右に山がそびえ立ち、地形は狭く、身動きできないようなところで、急に敵に遭遇し、あえて攻撃もできず、退却もできない場合   ↑←味方の兵のうちから武術に優れた者を選んで敵に当たらせる。そして身の軽い兵を先頭に立たせて、戦車や騎兵を分散させて四方に潜ませる。敵との距離を数里に保ち、相手に見つからないようにする。陣を固く守り進退できない敵に対して、山かげから旗を押し立てて陣立てを現す。驚く敵に向かって、戦車と騎馬を出動させ、休む間もなく攻めかかる。  7_敵と大きな沢沼地で遭遇し、車輪はぬかるみに落ち、轅は水につかり、水は車にせまり、舟の用意もなく、進退に窮した場合   ↑←戦車や騎兵を用いることなく、しばらく待機させ、高いところに登って四方を観察し、幅の狭いところ広いところ、浅いところ深いところ、水の状況を調べたうえで策を巡らす。もし敵が水を渡って攻めてきたら、およそ半数が渡るまで待って、攻める。  8_長雨続きで、馬はぬかるみに落ち、戦車も動かないようなときに、四方から敵の攻撃を受け、全軍が驚き慌てふためいた場合   ↑←戦車は、晴れて湿気がないときに動かすもの。雨天や湿気のあるときには用いない。頑丈な戦車を走らせ、進むにしても止まるにしても、必ずその道理に従うようにする。雨天や湿気のあるときには低い土地を避け、高いところをめざす。  9_凶悪な敵がいきなり侵入してきて、わが国土を侵し、牛や馬を略奪していくような場合   ↑←昼間は守りを固めて敵に応じず、日暮れになって敵が退却するときに追撃する。敵は、帰りを急ぐが、戦利品で動きが鈍くなっているので、焦りで部隊が乱れる。  10_城邑をすでに攻略し、それぞれの宮殿に入った場合   ↑←宮殿の財貨を奪い、収用する。軍が駐屯した土地では、住民を害しない意図を示して不安をとりのぞく。自軍を厳しく取り締まり、材木を切ったり、建物を荒らしたり、食糧を盗ったり、家畜を屠ったり、財産を焼き払ったりさせないようにする。安心して投降できるよう、寛容さを示す。 〖信賞必罰〗  〔供応エピソード〕  呉王は、廟前で宴会を開き、家臣たちを3列に並べて供応した。最高の功績をあげた者は前行に座らせ上等の器に上等の料理を盛ってもてなした。それに次ぐ功績をあげた者は次の列に座らせ皿数をやや少なくした。功績のなかった者は後の列に座らせて、料理の数をわずかにした。  饗宴が終わると、功績ある者の父母妻子には、廟の門外でみやげ物を贈った。そのときも功績ある者とない者で差をつけた。  戦死した者の家族には、毎年、使者を送ってその父母をねぎらい、贈物をして、功績を忘れないでいることを知らせた。  これを行うこと3年。秦が軍を興して西河に進軍してきた。魏の臣はそれを聞くと、命令を待たずに装備を整えて奮って敵を討とうとする者が数万におよぶほどであった。  呉起は、「人には短所と長所があり、意欲には盛んになるときと衰えるときがありる。功績のなかった者を試しに五万人ほど徴集してください。五万の兵を死にもの狂いにして、戦ってみせます。」と言って、五万の兵を託された。戦いの前日、呉起は全軍に、「各吏士たちよ、戦車、騎兵、歩兵それぞれに対応して戦え。戦車隊が敵の戦車隊を打ち破れず、騎馬隊が敵の騎馬隊を打ち破れず、歩兵隊が敵の歩兵隊を打ち破ることができなければ、敵を破ったとしても、功績があったといえない。」と訓示した。そして、戦車五百乗、騎馬兵千人を含む五万の兵で、秦軍五十万を破った。
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y24klogs · 4 years
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砂漠遺跡の先行調査
行方たそ、サクラちゃんといっしょ
2020/06/09 サクラが参加しました。 サクラ:あっ お久しぶりで御座います! ジャック:おっ!サクラじゃん!久しぶり~! 行方が参加しました。 サクラ:依頼と聴きつけまして。 見知った仲であれば安心ですね…と、おや。 行方:ん……此処でよかったか。 ジャック:おっ!依頼のヤツかな?今日はよろしくな~! サクラ:宜しくお願い致します! 行方:そうだ。此方こそよろしく… ジャック:俺はジャック!今日の依頼を見つけて来たヤツってわけ! 行方:ユキカタ。よろしく。 サクラ:サクラと申します!どうぞお見知りおきを、ユキカタ殿! ジャック:ユキカタか!よろしくな~! 行方:ジャックと…サクラ、だな。よろしく。 ジャック:話に聞いてた分だとこれで全員かな!それじゃ行こうか!
アルマ:おかえりなさい。  今日はどうするの? ジャック : 今日の依頼は~これだ! クエストを開始します。 あなたは依頼書を掴むと、アルマへ差し出した。 サクラ : 今日は早く決まりましたね! ジャック : そ~だな!目立つ場所に良いのが残ってたしな! 行方 : 以前はそうでもなかったのか… サクラ : ゆ…優柔不断な節が御座いまして…お恥ずかしい限りで。 ジャック : そ、そうだな…… アルマ 「ふむ、この依頼を受けてくれるのね。」 アルマ 「今回の依頼は、砂海にある遺跡の調査ね。」 行方 : ……気持ちは分かるが。 ジャックが[砂海……?]を選択しました アルマ 「砂漠のような、どこまでも砂が広がっている地域よ。  少し違う所は、砂が細かすぎて、  普通に歩くと水のように沈み込んでしまうところ。」 サクラ : むむむ…また中々に厄介な。 ジャック : …………堕ちたらだいぶいや~な死に方しそうだな 行方 : 成程……相応に危険そうだ… アルマ 「だから今回は、砂上船での移動になるわ。」 ジャック : お~、砂上船……、乗った事ねえかも サクラ : 聴き慣れぬ言葉で御座いますね… 行方 : 砂上船……… アルマ 「砂を走る、不思議な船。  砂を泳ぐ動物に引かせるのが普通だけれど、  今回はエーテルで走る船………って、言ってたわ。」 サクラ : 以前空を舞う船には乗った事が御座いましたが、砂の上は初めてですね…! ジャック : 何か馴れないし船酔いしそうだな…… アルマ 「つまりまぁ、それくらいの道具が使える  っていう、大口の依頼ってことね。」 行方 : ……まあ、いい経験にはなるだろう。 行方 : 私は構わない。 ジャック : それもそーだな。大口って事はそれだけ信頼できるとこから出てるわけだし? ジャックが[………。]を選択しました アルマ 「で、ええと、どこまで話したかしら。」 サクラ : そうですね! …ええーっと。 アルマ 「ああ、そう、砂海の遺跡の話ね。」 ジャック : そう!依頼に書いてたやつ! アルマ 「ええと、その砂海の遺跡は、  元々血を天に捧げる祭壇だったらしいわ。」 アルマ 「だから、血を媒介にした魔力の類は効果が強くなるわ。  ……少し強くなりすぎるくらいみたい。扱いには気を付けてね。」 サクラ : ほう…一聞、闇魔術の様で御座いますね。 行方 : ……魔力か。 ジャック : ユキカタはそういうの使うの? 行方 : いや…魔法は使うがその類では無いな ジャック : じゃ大丈夫そうかな? アルマ 「それと、乾いた地域だから、  水の魔法は無効化されてしまうわ。」 行方 : ん。 サクラ : 成程、此方も心配は無さそうですね。 アルマ 「あとはそうね、アンデッド系の魔物が多いだろうから、  道中では光の魔法がとても有効になると思う。  使える人が居るならかなり楽ができるんじゃないかしら。」 ジャック : ……光魔法とか、使える? サクラ : いえ… 行方 : ……いや。 ジャック : ま、ま~なんとかなるっしょ! アルマ 「大体そんな所かしら、大丈夫そう?」 行方 : ………。 サクラ : な、何とかするのも依頼のうち、で御座いますね…! ジャックが[受ける]を選択しました アルマ 「それじゃあ、お願いね。」 ジャック : お~任しとけって! サクラ : では、いざや出発、でしょうか! 行方 : やるだけやるさ。 砂上船に乗りますか? ジャックが[はい]を選択しました サクラ : 流石に風が乾いておりますね。 ジャック : なんか異世界に来たような気になるな……! 箱の中には妙な球が入っているようだ。 持って行こうか? [閃光発音筒] を手に入れた。 行方 : ……(一面に広がる砂の海を見渡し 調査員 「何か御用ですか?」 調査員 「おや、歴史に興味がおありなのですか?」 調査員 「………そうですか、では概略だけ。」 調査員 「この遺跡は、過去に『血を捧げる』儀式を  行っていたとされる神殿と見られています。」 調査員 「血や命を捧げる類の技法、  魔法、呪いの力の類を使う方は、  影響を受けて普段以上の力を出せるでしょう。」 サクラ : はい! 負担は目にせぬ処とは、斯様に! 調査員 「しかし、影響が強すぎる為に、  魔力が非情に暴走しやすいかと思います。  扱いには十二分に注意してください。」 調査員 「そんなところでしょうか。」 ジャック : これで動いてんのかな……(クリスタルを眺めた) サクラ : エーテル船との事で御座いましたからね…恐らくは。 行方 : …そうだな。 ジャック : 物ぶつけたりしねえようにしないとな…… 調査員 「何か御用ですか?」 調査員 「砂竜というのは、砂海では比較的一般的な魔物です。」 調査員 「一般的というのは、ゴブリンにのように  『よく居るからあまり気にしなくていい』  というタイプの一般的ではなく。」 行方 : …… 調査員 「遭遇したらマジで危ないから遭遇しないように避けろよ。  ………という方の『一般的』になります。」 調査員 「そうですよ、ですからあなた達へ先行調査の依頼が出されたのです。」 調査員 「内部はところどころが朽ち、砂海に沈んでいます。」 調査員 「遺跡内部を歩いていたら、確実に『砂竜』が現れるでしょう。」 サクラ : む…? 調査員 「砂竜は砂海に沈み、そこから攻撃を仕掛けてきます。」 調査員 「遺跡の一部は砂海に浮いているでしょうから、  その浮島に居れば少なくとも『捕食』対象からは  外れる事ができるでしょう。」 調査員 「しかし、届かないとみれば砂のブレスで足場から落とそうとしてくるでしょうから、気を付けてくださいね。」 調査員 「捕食を防ぎにくい人は浮島に登り、  囮役が吊り上げる、というのをお勧めします。」 調査員 「砂竜の対策ですが……。」 調査員 「『広範囲を吸い上げるような攻撃』ができる人がいるのなら、  おそらくそれで砂竜を砂の中から引っ張り上げる事ができるでしょう。」 サクラ : (甲板の箱の中を覗き込んでは…) 調査員 「もし、それに類する魔術の心得がないようでしたら、  私の横にある『閃光発音筒』をいくつかお持ちください。」 調査員 「大きな音と閃光で、相手に隙を作りだす術具です。」 調査員 「液状化した地面はあるいは水よりも音をよく伝えます。  砂に潜っている砂竜に使えば、大きなダメージを与える事もできるでしょう。」 調査員 「敵に向けて放り投げて使用する事になりますが、多少の距離までは巻き込まれる事になりますから、ある程度距離を置いて使用してください。」 調査員 「なお、そこそこ高級な術具になりますので、  使用量に応じて報酬の方から減額とさせていただきます。」 調査員 「無駄遣いはしないように。」 サクラ : (閃光発音筒を取り出してはふたりに見せた) ジャック : 高いから使いまくると報酬から天引きだってよ(箱から取り出した閃光発音筒を見せびらかして) サクラ : なんと…! サクラ : 私も同行者殿からお話を聞いておかねば。 危うく報酬を失くすところで御座いました。 ジャック : 強い道具には相応の代償があるものなんだぜ……(むやみにカッコつけて) 行方 : とは言うが……いざとなったら躊躇わず、だ。(ふたりの発音筒を見て サクラ : 無事には代えられませぬ、か。 行方 : ……(頷き ジャック : ま、命あっての物種って言うしな。ユキカタも1個持ってっとけよ。使わないにしてもさ 行方 : …ん。(箱へ手を伸ばし残りの一本を手に取る 調査員 「何か御用ですか?」 調査員 「遺跡内部にはアンデッドモンスターが数多くいるでしょう。」 調査員 「特に霊体の魔物は、物理攻撃を無効化します。」 調査員 「ただ、ひたすら頑張って殴ればそのうち霧散させる事もできるかと思います。  霊もあまりにもブンブンとやられると根負けするんでしょうね。」 調査員 「魔法攻撃ならばあっさりと倒す事が出来るかと思います。  使える人がいるのなら、役割分担するといいでしょう。」 調査員 「あとは、そうですね、狂気に呑まれた一撃ならば、  気迫に負けてそのまま倒せる事もあるかもしれません。」 調査員 「それ以外のアンデッドモンスターについては、  『光』属性の魔法攻撃が有効です。」 調査員 「もし使える人間いるのでしたら、  積極的に使うといいかもしれません。」 ジャック : アンデッド、俺らだと苦戦するかもしれねえな。大体物理だろうし サクラ : そうですね…と、為れば根比べでしょうか。 ジャック : 俺は大体聞いたけど、そろそろ着くかな? サクラ : 私も大まかには! 視えて来る頃合いでしょうか… 行方 : ……(進行方向を覗き込み ジャック : お!アレか!? サクラ : おおっ お眼が宜しい、準備をしないとですね。 行方 : …! あなた達は、遺跡へと足を踏み入れる。 乾いた空気は唇を裂くようで、 遺跡はそうして裂いた身体の内から 血を奪おうと口をあけているようだった。 ひゅうと吹く風にすら砂が混じる。 乾き、縋り付き、全てを奪う。 その空気を逆に切り裂くように、あなたは歩を進める。 [*砂漠探査]を覚えました。 [*砂漠探査]を覚えました。 [*砂漠探査]を覚えました。 ジャック : かなり空気が乾いてるな…… サクラ : 事前情報の通りで御座いますね… サクラ : 水も限られておりますし、あまり長居は出来ないかも… 行方 : そうだな……(服の砂を幌い ジャック : サクッと行ってサクッと終わらせられたら一番だなっと サクラ : 上手くいくとよいのですが…! ジャック : っと、アレは……? あなた達の行く手に、ゆらりと影が立ち上る。 行方 : …早速か。 サクラ : むっ 遺跡に居ると言われていた、アンデッドたちだ。 冒険者は武器を構える。 Round 1 行方 : ジグ! 行方が軽快なステップで踊りだす!  達成値:20 ([3,6,2]+9)    サクラは[ダンス]になった    ジャックは[ダンス]になった    行方は[ダンス]になった サクラ : 忝い! ジャック : 助かった! サクラ : チャージ! サクラは力をためた!    サクラは[チャージ]になった 防衛装置 : チャージ! 防衛装置は空気中に漂うエーテルを吸収する。 防衛装置は[チャージカウンター]を1つ獲得した。 ジャックは待機した。 防衛装置 : チャージ! 防衛装置は空気中に漂うエーテルを吸収する。 防衛装置は[チャージカウンター]を1つ獲得した。 スマッシュマミーは移動した。    スマッシュマミーは[6,5]へ移動した。 スマッシュマミーは移動した。    スマッシュマミーは[5,5]へ移動した。 呪いの雲 : シャドウボール! 呪いの雲が闇を放つ!  達成値:8 ([1,5,2])    防衛装置に9のダメージ  ([6,2]+1)        防衛装置は[重傷]になった        防衛装置は[気絶]になった ジャック : ジャグリング! ジャックは曲芸を披露する!  達成値:22 ([5,3,4,3]+7)    スマッシュマミーに26のダメージ  ([4,6,6]+13) サクラは移動した。    サクラは[6,5]へ移動した。 行方は移動した。    行方は[6,6]へ移動した。 スマッシュマミー : スマッシュ! スマッシュマミーはジャックを吹き飛ばそうとした!  達成値:12 ([5,2,5,1]-1)    ジャックは防御した。        ダメージを6軽減!  ([]+9)    ジャックに0のダメージ  ([3]+7) スマッシュマミー : スマッシュ! スマッシュマミーはジャックを吹き飛ばそうとした!([4,4,4,1]-1) スマッシュマミーのクリティカル!    ジャックの防御はAPが足りず失敗した。 ジャックは[劇的カウンター]を1つ獲得した。    ジャックに10のダメージ  ([6]+7)    ジャックは[5,3]へノックバックした。 サクラ : 零桜乃閃! 一閃に桜花が散る──  達成値:25 ([1,5,4]+15) ジャック : って!!!    スマッシュマミーに25のダメージ  ([5,1,2,3,1,1,4]+11) 行方の攻撃は距離が合わず失敗した。    スマッシュマミーに0のダメージ      サクラは0のSPを回復した。      ジャックは0のSPを回復した。      スマッシュマミーに0のダメージ      行方は0のSPを回復した。      サクラは[チャージ]でなくなった Round 2 行方 : ……っ! サクラ : ジャック殿! ジャック : そこまで大した事ねえから安心しな! サクラ : なら好かった…、また来ます! 呪いの雲 : シャドウボール! 呪いの雲が闇を放つ!  達成値:8 ([1,3,4])    行方は抵抗しようとした。        行方は抵抗した。  達成値:14 ([3,6,4]+1)    行方に3のダメージ  ([2,3]+1) 防衛装置 : エネルギービーム! 防衛装置からビームが放たれる!  達成値:19 ([6,4,3]+6)    スマッシュマミーに13のダメージ  ([3]+12) 行方は移動した。    行方は[6,6]へ移動した。 ジャックは移動した。    ジャックは[5,5]へ移動した。 スマッシュマミー : スマッシュ! スマッシュマミーはサクラを吹き飛ばそうとした!  達成値:14 ([1,6,2,6]-1) サクラ : 霞桜乃閃!    空舞う花弁の如く剣線を逸らす──        サクラは回避した。  達成値:22 ([1,3,3]+15) スマッシュマミーは移動した。    スマッシュマミーは[5,4]へ移動した。 サクラは攻撃した。  達成値:25 ([2,6,2]+15)    スマッシュマミーは防御した。        ダメージを2軽減!  ([]+3)    スマッシュマミーに12のダメージ  ([2,2,2]+11) 行方 : ソードダンス! 行方がまるで踊るかのように辺りを切り裂く!  達成値:23 ([1,2,5,6]+9)    スマッシュマミーに33のダメージ  ([4,5,1,1]+25)    スマッシュマミーに28のダメージ  ([3,1,1,1]+25)        スマッシュマミーは[重傷]になった        スマッシュマミーは[重傷]になった        スマッシュマミーは[気絶]になった        スマッシュマミーは[気絶]になった ジャック : ジャグリング! ジャックは曲芸を披露する!  達成値:20 ([6,2,3,2]+7)    スマッシュマミーに18のダメージ  ([3,2,6]+10)    スマッシュマミーに0のダメージ      サクラは0のSPを回復した。      スマッシュマミーに0のダメージ      スマッシュマミーに0のダメージ      ジャックは0のSPを回復した。      行方は0のSPを回復した。      スマッシュマミーに0のダメージ      スマッシュマミーに0のダメージ   アンデッドを蹴散らすと、冒険者は武器をおさめた。 ジャック : ユキカタ!ナイス! 遺跡の探索を続けよう。 サクラ : 御見事…! 行方 : …アレは何だ(奥に控える防衛装置を見て ジャックは、ポーションを使った。    ジャックは8回復した。  ([5]+3) サクラ : むむむ…はて。 ジャック : さっきアレからビームが出てアンデッドが苦しんでたけど、そういうモン? サクラ : 何やら術が働いていた模様でしたが… サクラ : 不死者も侵入者も、見境なく攻撃する…といった所でしょうか。 行方 : ……成程。 ジャック : よくわかんねーけどあんま近付かない方が良いかもな。 サクラ : 脇道もある様子、其方から参りましょうか。 行方 : ん。 部屋に入ると、真っ先に目の前の壁画が目に入る。 部屋に入ると、真っ先に目の前の壁画が目に入る。 サクラ : また如何にもな… ジャック : 壁画?だな 碑文には恐らく壁画の説明だろう。 古代文字が描かれているようだ。 行方 : …他にも何かあるな ジャック : 何か説明っぽいけど、読めねえ~…… サクラ : …古代語はさっぱりで… 壁画には、6種類の武器を携えた6人と争う6匹の竜が描かれている。 行方 : これは…… 行方 : ……少しなら読める。 サクラ : おお…! ジャック : マジで!? 行方 : …以前本で呼んだものだ。 サクラ : 博識な仲間に救われましたね…して、如何様に… 行方 : これは…竜とヒトとの戦についてだ。 行方 : 天空の剣、大海の槍、揺地の斧、灼陽の杖、蒼星の弓、紅月の短剣…… ジャック : ほ~…… サクラ : 壁画にも六種の武具を携えたヒトと、六尾の竜が描かれておりましたが… サクラ : 読み上げて頂いた武具の担い手…といった所でしょうか。 行方 : ん。その其々が、竜を穿った、と… 行方 : それくらいか。 サクラ : 成程… サクラ : 今回の依頼も竜の討伐が含まれておりましたし、一応覚えておきましょうか。 ジャック : 読めなかったから助かったわ~……サンキューな 行方 : 思わぬ所で役に立てたな…… サクラ : 有難う御座いました…! 頼りにしてしまいましたね。 ジャック : 他には何も無さそうだし、次は逆の道の方見てみようか 行方 : …そうだな。 サクラ : はい、 中央の通路には気を付けて参りましょう。 サクラ : ふむ… 箱がおいてある。 大丈夫な箱? 目標値:15 <= 3d+感覚補正+パーセプション 行方 : また怪しげな… ジャック:失敗・・(11)([6,2,1]+2) サクラ:成功!(21)([5,4,2]+10) 行方:失敗・・(8)([3,4,1]) サクラ : やりました! ジャック : ……無理かな~ 行方 : … 箱の中には強力な呪いの気が込められている。 開ければアンデッドを引き寄せる事になりそうだ。 サクラ : むむむ…此れは。 ジャック : わ、わかんね~、どう? 行方 : 何か分かるか? サクラ : 良からぬ気配で御座いますね…振れない方がよいかと。 箱をあけますか? サクラが[いいえ]を選択しました サクラ : (すっと手を引き) ジャック : 余計な物触って面倒な事になんのは避けたいしな! サクラ : 報告しておけば残しておいても問題は無さそうですね。 ジャック : 他には何も無さそうかな? 行方 : …ん。必要以上に触れるのも…か。 サクラ : 其の様で…奥間の水晶くらいでしょうか。 サクラ : 此方も何もなさそうですね。 行方 : ふむ……となると中央か。 ジャック : それじゃあのビームの前か…… 行方 : ……。 サクラ : 意を決して参りましょう。 …びーむ。 先に進むと思われる大扉だが、 今はどうやら閉ざされているようだ。 口をあけた女神の生首の下に、 古代文字が書かれている。 扉の古代文字 目標値:20 <= 3d+知力補正+ナレッジ ジャック:失敗・・(9)([1,6,2]) サクラ:失敗・・(6)([2,1,4]-1) 行方:成功!(クリティカル)([6,6,6]+2) 行方 : … ジャック : ……無理かな~ サクラ : ご…御無礼を… 古代文字を読む限り 『先にすすまんとする生贄は我に血手で触れよ』 と書いてあるようだ。 ジャック : だ、ダメだ!!俺には読めん!! サクラ : むむ…さっぱり… 行方 : …─── 行方 : 『先にすすまんとする生贄は我に血手で触れよ』… ジャック : ユキカタ……!!やるな……!! サクラ : おお…また助けられてしまいましたね! 行方 : …偶然だ。 サクラ : ご謙遜を! 女神像が怪し��、調べてみようか。 サクラ : 然し、少し��かり抽象的な文面で御座いますね…はて。 行方 : 血手……か。 ジャック : 血手~って事は血塗れの手的な? サクラ : 血の術を扱う国柄であった様で御座いますし…不自然ではなさそうですね。 行方 : そうだな……そしてコレか(女神像を調べ 行方が[はい]を選択しました 誰が調べますか? 行方が[行方]を選択しました あなたが触れた瞬間、 女神の瞳が一瞬ビカアアアアンと光る。 行方 : ───── ジャック : お、おい!大丈夫か!? サクラ : わっ… ……扉が開いたようだ! 行方 : ………え? サクラ : なんと…どの様な絡繰りだったのでしょう… ジャック : さっきの戦闘で怪我したからそれか? サクラ : ユキカタ殿、御手に怪我は…大丈夫そうですね、好かった。 行方 : ……成程(自らの手を見ると、小さな切り傷が付いていた ジャック : それじゃ、先進んでみるか! 先に進むあなたを待ち受けていたのは、 大きく口をあける巨大な『砂地獄』だった。 サクラ : む、むむ… 一体どこから流れてきているのか、 砂はどんどん渦の中心へと吸い込まれて行く。 ジャック : 迂闊に進んだら吸い込まれそうだな…… 渦に分かたれるように、道は二つに分かれているようだ。 サクラ : 少しばかり冷やりと致しますね… 足を踏み外さぬ様に気をつけないと。 行方 : ……(砂地獄を覗き込む あなたの行く手を阻むように、アンデッドが現れる! ジャック : っとおお!?! Round 1 サクラ : 敵襲…! 行方 : …迂回は出来そ……ぐ。 ジャック : 下手な動きしたら突き飛ばされんじゃねーかこれ! 行方 : クソ… サクラは移動した。    サクラは[10,4]へ移動した。 行方は移動した。    行方は[8,2]へ移動した。 スマッシュマミーは移動した。    スマッシュマミーは[10,6]へ移動した。 ジャックは移動した。    ジャックは[11,5]へ移動した。 スマッシュマミーは移動した。    スマッシュマミーは[11,5]へ移動した。 サクラは移動した。    サクラは[11,5]へ移動した。 行方 : チャーム! スマッシュマミーを魅了する!  達成値:25 ([6,5,4]+10)    スマッシュマミーは[8,2]へ引き寄せられた。 ジャック : ジャグリング! ジャックは曲芸を披露する!  達成値:18 ([1,5,2,3]+7)    スマッシュマミーに19のダメージ  ([5,5,2]+10) スマッシュマミー : スマッシュ! スマッシュマミーはジャックを吹き飛ばそうとした!  達成値:6 ([3,2,1,1]-1)    ジャックは防御した。    ジャックはWillを使用した!        ダメージを6軽減!  ([]+9)    ジャックに0のダメージ  ([2]+7)    スマッシュマミーに0のダメージ      ジャックに0のダメージ      スマッシュマミーに0のダメージ      サクラは0のSPを回復した。   行方 : ……    サクラに0のダメージ      スマッシュマミーに0のダメージ      スマッシュマミーに0のダメージ      ジャックは0のSPを回復した。      行方は0のSPを回復した。   Round 2 サクラ : 御見事…、此れなら…! ジャック : OK頼んだぜサクラ! スマッシュマミー : スマッシュ! スマッシュマミーはサクラを吹き飛ばそうとした!  達成値:7 ([3,1,3,1]-1) サクラ : 霞桜乃閃!    空舞う花弁の如く剣線を逸らす──        サクラは回避した。  達成値:25 ([6,1,3]+15) サクラ : これなら…! 桜吹雪乃閃! 桜花を纏ったひと薙ぎが周囲を掃う──  達成値:28 ([3,3,4,3]+15)    スマッシュマミーは防御した。        ダメージを2軽減!  ([]+3)    スマッシュマミーに17のダメージ  ([6,1,4]+11)    スマッシュマミーは[9,5]へノックバックした。 スマッシュマミーが、みるみるうちに砂に飲み込まれて行く!! サクラ : よし…っ ジャック : ナイス! 行方 : お…… スマッシュマミーは[流砂に呑まれた]になった Round 1 ジャック : ってもう一体残ってんだった!! サクラ : 此方は…腕で押すしかなさそうで…! 行方は移動した。    行方は[10,2]へ移動した。 サクラは攻撃した。  達成値:23 ([3,2,3]+15)    スマッシュマミーは防御した。        ダメージを2軽減!  ([]+3)    スマッシュマミーに17のダメージ  ([6,2,3]+11) ジャック : ジャグリング! ジャックは曲芸を披露する!  達成値:24 ([6,4,5,2]+7)    スマッシュマミーに18のダメージ  ([1,5,5]+10)        スマッシュマミーは[重傷]になった スマッシュマミー : スマッシュ! スマッシュマミーはサクラを吹き飛ばそうとした!  達成値:16 ([3,5,4,5]-1) サクラ : 霞桜乃閃!    空舞う花弁の如く剣線を逸らす──        サクラは回避した。  達成値:21 ([1,2,3]+15) 行方は移動した。    行方は[10,4]へ移動した。 サクラは攻撃した。  達成値:26 ([2,4,5]+15)    スマッシュマミーに26のダメージ  ([6,6,6]+11)        スマッシュマミーは[気絶]になった ジャック : ジャグリング! ジャックは曲芸を披露する!  達成値:23 ([5,1,5,5]+7)    スマッシュマミーに16のダメージ  ([5,3,1]+10)    スマッシュマミーに0のダメージ      ジャックに0のダメージ      行方に0のダメージ      サクラは0のSPを回復した。      サクラに0のダメージ      スマッシュマミーに0のダメージ      行方に0のダメージ      ジャックは0のSPを回復した。      サクラに0のダメージ      ジャックに0のダメージ      行方は0のSPを回復した。   Round 2 行方 : ……落ちる側はゴメンだな(砂に飲まれるマミーを見て ジャック : だな。慎重に行こうぜ サクラ : 全くで御座います…其の様に。 ちゃぷちゃぷ……。 行方 : ここは……… 古代文字で書かれた碑文のようだ。 ここには清らかな空気が漂っている。 心配せずにゆっくりと休めるだろう。 少し休んで行こうか? サクラ : おお…水が。 ジャック : 相変わらずなんて書いてんのかわかんねーけど、休めそうだし休んでおこうか 行方 : …ん。ここなら問題ないだろう。 サクラ : 少しばかり休憩致しましょうか… 先の闘い、体力よりも気力を使ってしまいました。 サクラが[はい]を選択しました
………もう、私の加護を受けたものが死ぬのは見たくないのに。
ジャック は全回復しました。 行方 は全回復しました。 サクラ は全回復しました。 あなた達は先へと進むべく立ち上がる。 サクラ : …? ちゃぷちゃぷ……。 ジャック : サクラ~さっき何か言った? 行方 : …どうかしたか? サクラ : いえ、私も誰かが何か…と思ったのですが、ユキカタ殿では? 行方 : ………?私は何も… ジャック : じゃ、じゃあまさか……俺!? 行方 : ……… サクラ : …… ジャック : お、おい、そんな目で見んなよ 行方 : ……行こう。 サクラ : い、いえ…知らぬ間に自分の声を発するとは、御疲れかと… サクラ : そうですね…! ジャック : お~……行くか……! 遺跡の中に、砂の湖が広がっていた。 行方 : ……やはり先も砂、か。 否、遺跡が数百、数千年の時を経て 砂の中へと沈んで行っているのだ。 ゆらりゆらり、水のように揺れる砂の泉。 その中を『泳ぐ』巨大な影を、 冒険者の眼が見逃すわけもない。 あなたはゆっくりと歩を進める。 ジャック : やっぱり居たな、砂竜 行方 : あれが…… ジャック : ん?サクラは?(周囲を見渡し) 行方 : ……?(つられて辺りを見渡す 行方 (カイリたそ・・・・・・・) ジャック : ったく、はぐれたのかな。この辺なら砂竜も気付かないだろうしちょっと待とうぜ 行方 : ……ああ。 ジャック : よし……、準備は大丈夫か? サクラ : はい、何時なりと…! 行方 : ……問題無い。 ジャック : それじゃ、やるか……!! サクラ : いざ…! あなたはその巨体を相手に、油断なく武器を構える。 砂竜もこちらに気が付いたようだ。 大きな咆哮を上げる。 Round 1 サクラは待機した。 行方 : ジグ! 行方が軽快なステップで踊りだす!  達成値:23 ([3,6,5]+9)    サクラは[ダンス]になった    ジャックは[ダンス]になった    行方は[ダンス]になった サクラ : 忝い! ジャック : 助かった! サンドドラゴン : 潜行! サンドドラゴンが砂へと潜っていく!    サンドドラゴンは[潜行]になった ジャックは移動した。    ジャックは[2,5]へ移動した。 サクラは移動した。    サクラは[5,5]へ移動した。 行方は移動した。    行方は[5,5]へ移動した。 ジャックは移動した。    ジャックは[3,7]へ移動した。 サクラの零桜乃閃は距離が合わず失敗した。 行方 : チャーム! サンドドラゴンを魅了する!  達成値:22 ([5,1,6]+10)    サンドドラゴンはどこかへ引き寄せられた。    サンドドラゴンに0のダメージ      行方に0のダメージ      サクラは0のSPを回復した。      ジャックは0のSPを回復した。      サクラに0のダメージ      サンドドラゴンに0のダメージ      行方は0のSPを回復した。   Round 2 行方 : ───消えた… ジャック : まだ離れちゃいないはずだぜ!! サクラ : 潜った…でしょうか、話に聴いた戦法で御座います…! 行方 : 引きずり出せるか……! リアクション対象のアクションを選択して下さい。 サクラ : 逃がさない…! 残桜乃閃! 桜色の剣気を纏い間合いを詰める──    サンドドラゴンは[移動禁止]になった    サクラは[移動禁止]になった サンドドラゴンの移動は状態によって失敗した。 ジャックは移動した。    ジャックは[5,7]へ移動した。 行方は攻撃した。  達成値:18 ([5,3,1]+9)    サンドドラゴンに38のダメージ  ([6,2,5]+25) サクラ : 零桜乃閃! 一閃に桜花が散る──  達成値:24 ([2,1,6]+15)    サンドドラゴンに22のダメージ  ([2,4,1,2,2]+11) サンドドラゴンの潜行移動は状態によって失敗した。 ジャック : ジャグリング! ジャックは曲芸を披露する!  達成値:22 ([5,3,5,2]+7)    サンドドラゴンに20のダメージ  ([1,3,3]+13) 行方は攻撃した。  達成値:18 ([4,2,3]+9)    サンドドラゴンに36のダメージ  ([4,2,5]+25) サンドドラゴン : 捕食! サンドドラゴンからビームが放たれる!  達成値:22 ([3,5,6,2]+6) サクラ : 霞桜乃閃!    空舞う花弁の如く剣線を逸らす──        サクラは回避した。  達成値:24 ([4,4,1]+15)    サンドドラゴンは[潜行]でなくなった    サンドドラゴンに0のダメージ      行方に0のダメージ      サクラは0のSPを回復した。      サンドドラゴンに0のダメージ      ジャックは0のSPを回復した。      サクラに0のダメージ      サンドドラゴンに0のダメージ      行方は0のSPを回復した。   Round 3 サクラ : 捉えた…!これなら! 行方 : …やる! ジャック : ショータイム! ジャックが演目の始まりを告げる!  達成値:17 ([5,1,4]+7) サクラ : 忝い! 行方 : …助かる サンドドラゴンの移動は状態によって失敗した。 行方は攻撃した。  達成値:23 ([6,3,5]+9)    サンドドラゴンに37のダメージ  ([4,5,3]+25) サクラ : チャージ! サクラは力をためた!    サクラは[チャージ]になった サクラ : 往きます…! 零桜乃閃! 一閃に桜花が散る──  達成値:27 ([3,3,6]+15)    サンドドラゴンに36のダメージ  ([1,2,3,3,6,4,6]+11) サンドドラゴンの移動は状態によって失敗した。 ジャック : ジャグリング! ジャックは曲芸を披露する!  達成値:27 ([5,6,3,6]+7) ジャックはWillを使用した!    サンドドラゴンに24のダメージ  ([4,5,2]+13)        サンドドラゴンは[重傷]になった 行方は攻撃した。  達成値:26 ([6,5,6]+9) 行方はWillを使用した!    サンドドラゴンに30のダメージ  ([2,2,1]+25) サンドドラゴン : タックル! サンドドラゴンは身体を激しく打ち付ける!  達成値:16 ([6,3,3,4])    行方は防御した。    ジャックは防御した。    行方はWillを使用した!    ジャックはWillを使用した!        ダメージを13軽減!  ([6]+13)        ダメージを12軽減!  ([6]+9) サクラ : 桜花乃太刀が奥伝──… 月下桜雲乃閃!    迫る剣線を一刀のもとに両断する──    サクラはWillを使用した!        ダメージを100軽減!      サクラに0のダメージ  ([5,5]+20)    ジャックに11のダメージ  ([6,4]+20)    行方に0のダメージ  ([1,5]+20)    ジャックは[3,9]へノックバックした。 サクラ : 往きます…! 零桜乃閃! 一閃に桜花が散る──  達成値:27 ([5,3,4]+15) サクラはWillを使用した!    サンドドラゴンに40のダメージ  ([3,5,3,6,5,4,3]+11) ジャックのジャグリングは距離が合わず失敗した。 行方は攻撃した。  達成値:24 ([6,6,3]+9) 行方はWillを使用した!    サンドドラゴンに37のダメージ  ([3,5,4]+25)        サンドドラゴンは[気絶]になった ジャックのジャグリングはAPが足りず失敗した。    サンドドラゴンに0のダメージ      行方に0のダメージ      サクラは0のSPを回復した。      ジャックは0のSPを回復した。      サクラに0のダメージ      サンドドラゴンに0のダメージ      行方は0のSPを回復した。      サクラは[移動禁止]でなくなった    サクラは[チャージ]でなくなった あなた達は砂竜を倒し、武器を納める。 行方 : ……! サクラ : よし…っ ジャック : いって~……!なんとか勝ったか……! 砂海に関わるものならだれもが恐れる砂竜。 その恐ろしき竜を、あなた達は退けた。 行方 : 大丈夫か… サクラ : ジャック殿、手当を…! ジャック : 大丈夫大丈夫、あんま命に係わるとこじゃねえし(飛ばされて思い切り腕をぶつけたらしい) 遺跡の最奥はもうすぐそこだ。 あなた達は足を進める。 サクラ : なら好かった…でも無理は為さらず…! 行方 : ……(頷いて ジャックは、ポーションを使った。    ジャックは7回復した。  ([4]+3) ジャック : よし!それじゃ一番奥まで行こうか! 行方 : ……ああ。慎重にな。 サクラ : はい…!依頼完遂まで僅かで御座いますね…油断せず! 先に進んだ冒険者達を出迎えたのは、 小さな小さな部屋だった。 控えめに光を放つ水晶が浮いているのが見える。 逆に言えば、それ以外には何も無いようだ。 行方 : ……ここで行き止まりか ジャック : 終わりっぽいな? サクラ : どうやら其の様子…
……カツ、カツ
クリスタルは、静かにそこに浮いている。 ジャック : …… 行方 : 此処にもクリスタルか… ……どうやら、ここが最深部のようだ。 今回の遺跡調査はこれで終わりだろう。 サクラ : 魔術の媒体であったのでしょうか… あなた達は来た道を引き返す事にした。 サクラ : 詳しい事は専門家に任せないと、ですかね。 ジャック : 魔法的な奴はさっぱりだわ。とりあえず報告戻んないとな~ 行方 : ああ……これは研究者の領分だ。 サクラ : 帰りも気を付けて戻ると致しましょうか…! ジャック : そうだな! 行方 : …ああ。砂に落ちないようにな。
……カツ、カツ
冒険者達は危険な遺跡の調査を終え、リーンへの帰路へつく。
次の依頼は、どんなものになるだろうか。 クエストをクリアしました。 50ルド 手に入れた。 55経験点 を手に入れた。 ジャック がレベルアップしました! 初見ボーナス 1名誉点 手に入れた。 行方 : … ジャック : 簡単な依頼だったな! サクラ : 大成功ですね! 5経験点 を手に入れた。 レビューを送信しました。 [報酬袋] を手に入れた。 行方 : ……(請求書を眺め ジャック : ……まさか持ってった分で請求されるとはな…… サクラ : …今後は気をつけねば。 ジャック : だな、迂闊だったぜ…… サクラ : とはいえ今回は何事もなかっただけ、ですから…保険料としては妥当かも知れませぬ。 行方 : ……まあ、そうだな。 ジャック : それもそっか!今日はありがとな! サクラ : 此方こそ! ジャック : あ!そうだユキカタ!これ! フォローしました。 行方 : ん……此方も助かった。 行方 : …ん。 ジャック : 連絡先!大体リーンに居るから何かあったら呼んでくれよ! サクラ : おっと、恒例の…で御座いますね。 では私からも。 行方 : そうか、ならば此方も… 行方からフォローされました。 サクラ : (袖口に仕舞われた財布から名刺を取り出しては渡し) ジャック : そんじゃ今日はここまで!俺はそろそろ寝るわ!またな!! パーティーから離脱しました。 行方 : ああ、また。 サクラ : はい! またの御縁を! サクラ : 私も帰ると致しましょう。 お休みなさい! 行方 : ん…お休み。 サクラ : (深く御辞儀をすると宿を出た)
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sugared-lie · 5 years
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13.13
第2話導入 
影丸は満員電車でZARDを聴きながら出勤(痴漢えん罪に巻き込まれないように手と荷物を頭に乗せてる) 13課のドアを開けると先輩と明金が殴り合いをしているのに遭遇。割って止めようとするが巻き込まれ失神。 目を覚ますと課長から事件の発生を告げられる。 2人の力で解決するようにとのこと。 先輩は別の捜査をするらしい。 そのことに明金が文句を言うと逆に挑発され売り言葉に買い言葉で明金は1人血気盛んに現場へ向かう、それを影丸が待ってくださいよ〜と追いかけていく。 その様子を見て課長が 「いやぁ〜にしてもあの2人は似ているねぇ あの頃の君たちに」 先輩「……。さぁてあたしも外出ますか、課長例の件よろしくお願いしまーす」 そのまま事務所を出ていく 課長(……。僕は彼らが彼女の救いになってくれることを願うよ。) 明金は現場に着いた。事件の概要はこうだ。公園で不可思議な焼死体が見つかりガソリンはお���か火元も火の気も全くないところで起きた火災ということもあり事件は難航していた。また死体に不可思議な魔術に用いられそうな紋様があったこともあり13課が担当することになったということらしい。 明金の後を追い影丸が現場に着く。そこには影丸が前に属していた捜査一課と鑑識が現場検証をちょうど終えたタイミングだった。 影丸は一課の刑事に声を掛けられる、振り向くと影丸の前のバディである叩き上げのおっさん刑事と現在そのパートナーであろうメガネをかけた警察学校でエリートと噂されていた新米刑事であった(おっさん刑事がよく影丸の話をするので年下の彼はなにかと影丸にたて突いてくる) 13課はどうだ?だのいい加減結婚しろだのどうでもいい話もされつつ事件を引き継ぐ影丸。 明金はその中に加わらず血眼になってなにか証拠を探そうとしている。 そんな2人を見てそのエリート刑事が「これが先輩がいう出来のいい後輩刑事とそのパートナーですかぁ?全然息合ってるように見えませんけどぉ」と鼻で笑ってくる。 影丸は苦笑い。明金は一瞬ガン飛ばすが無視。(殴りかかるんじゃないかとヒヤヒヤしている影丸) ビビる新米。 そして最近不可解なオカルトじみた事件が増えているらしいことを聞かされる。 そんな感じで証拠や身元確認を済ませていくのだが明金が野次馬で集まった人の中から怪しい人物を見つけ出し明金を見て逃げ出したため追いかける。 影丸も後を追い、明金に追いつく頃にはその逃げ出した人物はすでに鉄拳制裁によって完全に伸びていた。その人物は過去に明金に逮捕されたことのあるチンピラだった(ボコボコにされながら) その男は事件には関与しておらずアリバイもありただ明金にびびって逃げただけだと供述。 この件によって2人は一般人を殴ってしまったことの始末書を書く羽目になり、先輩から説教される。 全く息の合わない様子に影丸が「ちゃんと力を合わせて捜査しましょうよ」というが明金は聞く耳持たず。どこかへいってしまう。 困り果てた影丸はその日の夜、一課の先輩刑事の元を訪れる。一杯やることになり先輩に思い切って相談。すると 影丸「実は今のバディ、明金さんとうまくいかないというか、もちろんじぶんの力不足のせいなのですが…彼女は行動力もあるしとても優秀です。気弱な僕なんかがパートナーじゃ足を引っ張っているだけにしかならなく感じてしまって。。」 先輩「いいか影丸。人間っつーのは弱点だらけよ。喉にみぞおち、目なんか潰されちゃあおしまいよ。おっ店員さん生もう一杯、お嬢ちゃん可愛いねぇ… ゴホンッ あーーーーえーなんだ しかも人によっては精神的に弱いとこだってある。そのよえーところを全部庇うなんざ物理的に不可能っつーわけよ。おれたちゃ前しか向けねーからな、いくら意識したって後ろはガラ空き。不意打ちで終わりよ。 これはかんけーねぇ話をしてるわけじゃねぇ。 バディってのはいうならばこのビールと焼き鳥よ、片方だけでも十分だが両方揃えば無敵よ。最強よ。そのおめーのバディを無敵にしてやれんのは影丸。お前しかいねーんだよ。明金くんの背中を守ってやんのは相性でも能力でもねぇ。パートナーを命がけで守りたいって奴にしかできねえんだ。まっ、これはおれの長年の経験だがな。」 影丸「先輩…相変わらず…例え話下手ですね。。」(この人の後輩でよかったなと控えめに笑いながら) 先輩「ふん、かげ、オメーも言うようになったなっがっはっは。まあ今日は一杯引っ掛けて明日からまた気張れや! おっ、影丸みてみろ 新メニューだってよ!なになに?ハバネロ明太手羽餃子?一体どんな味すんだろうな!頼もうぜ!いやぁ〜昔っから新メニューってのに弱くてな、こう新しいものってなんでもどんなものか確認したくなるよなぁ〜」 影丸「先輩それ絶対やばいやつですって!食べない方が…ん?…新しいもの…確認…」(何かに気付く) 先輩「ん?どうした?」 影丸「先輩…すみません!!!今から戻って調べ直さなきゃならないことが!!あと明金さんのことも」 先輩「んー?そうか!おうっ行ってこい」 影丸「ほんとすみません!今度埋め合わせするので!!失礼します!!」 先輩「……。ふぅ、おれも後輩に置いてきぼり食らう歳になっちまうとはなぁ…案外良いもんだ。(新メニューを食べる)うん、かれぇわ。染みるなぁこれ。。」 次の日明金は気まずさから朝事務所に顔を出さない、影丸は目にクマを作ってギリギリに出勤してくる。そしてそのまま課長に犯人の目星がついたことを伝えそのまま張り込みにいくと出て行ってしまう。 影丸がいなくなったのを確認した明金はそーっと出勤。 課長は影丸が犯人の元へ行ったこと、影丸が明金くんに応援を頼んだことを伝える。 明金は私の力なんて必要なかったのかよ…ふんっもうひとりで解決できるだろと少し僻んでいると課長が「おやおや、影丸くん、ノートを忘れていったみたいだねぇ、事件のことととか書いてあるんだろうから困るんじゃないかなぁ」とぼやき部屋を出ていく。 明金は数分無視したが結局気になってしまいノートを見る。 課長は部屋の外で待っていたところ 明金は勢いよく部屋を飛び出していく。課長にも気付かずどこかへいってしまう彼女を見て課長は 「うぅん、いいねぇ若さだねぇ」 そこに先輩も居合わせて 「ったく、世話が焼けるわ」 明金はつむじ風を起こしそうな速度で走っていく。その姿に迷いや憂いはない吹っ切れた表情をしていた。 明金が走るとこの回想シーン 明金が影丸のノートを開くと 中には事件についてまとめられた資料が事細かに書かれている。 明金は几帳面に書き並べられたメモに若干の嫌悪感を抱きながらそれとは別に後ろの方に書きまとめられたそれに気付く。 明金サラ について は? 明金は面食らう。 そしてその次の項をめくっていく。 その1 イライラすると物や人に当たることがある その2 聞き込みは苦手。挑発や喧嘩っぽくなってしまう可能性がある。 なんだこれは。こいつは私の悪口を書き殴っているのか?よし殺そう。 その3 腕っぷしはかなり強い。 ※身をもって実証済み 〜〜その35 思い切りがよい。 (活かせる方法を模索する) 〜その64 運転は荒そうで意外と乗り心地が良い 〜その70 意外と可愛いキャラクターがすき おいおい。意外とが多いな。 パラパラと斜め読みしながら最終ページにたどり着く。 その100 正義感がつよい。この人になら背中を預けられる。 絶対に彼女を理解し、活かすことができればどんな怪事件も解決できる。先輩を見返してみせます! 最後の文字はとても力強く書かれていた。 明金「ちくしょう。あいつに文句言わねーとどーにもむしゃくしゃしやがる、あたしが行くまでくたばんじゃねぇぞ!こた!!」 全速力で明金は合流に向かうのであった。 人気のない寂れた工場を走る夕日色の長髪をなびかせた人物。それを追いかける黒いフードをきた男たち。 逃げ切ろうとするが行き止まりで追い詰められてしまう ???「ねーちゃんどうやら鬼ごっこはここまでみてーだな」 フードを取ったその人物の1人はなんとこの前、明金の鉄拳で伸びたチンピラだった。 チンピラ「この前は大変お世話になりましたねぇ、今日はたっぷりと可愛がってやるよへっへっへ」 追い詰められ観念したのか直ちに戦闘態勢をとり刃物を振り回し襲いかかってくるそのフードの男たちを慣れた動作でいなしていく女性姿はまるでつむじ風。 ひとり、またひとりと丁寧な一撃で沈めていく。 その様子に困惑する男たち。 あっという間にチンピラだけになってしまう チンピラ「てめぇ!」 詰め寄ると後ずさりするチンピラ。しかしながらその男はニタリと笑う。 突然、彼の前から炎が立ち上がる。 いち早くそれに気付きギリギリのところでかわすことには成功。 チンピラ「ヘッヘッヘ。俺たちを追い詰めたつもりだったろうが実は誘い込んでいたんだよ。どうだ?マジックみたいだろ? ここには仕掛けをたんまり仕込んどいたんだ。 まああんたがたが睨んだ通り、あの焼死体の事件はこういうタネだったつーわけよケッケッ」 工場内を見るといたるところに魔法陣のようなものが描かれており、先程炎が上がった場所にもそれはあった。 そしてその工場の二階部分にひとり、フードをかぶり何か分厚い本を持つ人物がいることがわかる。 チンピラ「彼の力はすごいよ〜?簡単に人を燃やしちゃうんだから。 でもまさかあの人だかりから俺を見つけるとは思わなかったなぁ。すごいすごい。まああれはあんたがたを誘い出す為の事件だったんだけどね。見事に引っかかってくれて笑いが止まらないよはっはっはっ」 絶体絶命。 男は突然強気に殴りかかってくる。 不意を突かれかわし損ね1発もらってしまう。 そして その栗色の長髪が宙を舞う。 それを見てチンピラは驚く。 チンピラ「!?!? なんだてめぇ!? あのヤンキーねーちゃんじゃねぇだと!???」 そう。チンピラが明金サラだと思って追い詰めたその女性は女性ですらなく なんとも気弱そうな男だった。 ???「ははっ。バレてしまいましたか。」 その人物は着ていた上着を脱ぎ立ち上がる。 「残念ながら僕は明金サラさんではありません。僕は影丸虎太郎。彼女のバディです。」 影丸と名乗るその人物は殴られた頬をぬぐい手慣れた手つきで合気道の構えを取る。 影丸「あなたが今回の事件に深く関係していたんですね。僕の推理はこうです。 まず最近怪事件が突然増えだしたこと。そして本来我々13課は警察外部では存在していないことになっていること。極め付けは前回の化け物を使った殺人事件。あなた方の狙いは僕たちだった。今回の魔術を用いた焼死体。現場に魔法陣、火元なしとなれば我々が動くことになることはあなた方には容易に想像がついたはず。そこでそこの男。顔の割れていた明金さんに恨みのある人物を利用した。事件を起こし、彼を野次馬に紛れさせ、わざと捕まえさせ我々の体制を確認しようとした。新設されたばかりの13課があなた方の脅威になるか試したんですよね? (これは先輩が新メニューを頼まずにはいられないっていうので気づいた) そして間違った方に誘導し評価を下げさせ、あわよくば内部分裂も狙いだった。 彼が明金さんに恨みがあるのは色々と調べて簡単にわかりました。そもそもあの朝早い時間にあなたの活動区域である繁華街から離れたあの公園の事件現場に現れるなんて流石に違和感がありますよね? あなたはそういったものには興味がないことも調べはついています。あなた方は利害の一致、つまり明金さんに復讐したいチンピラさんと我々の動向を探りたいそこの黒フードの組織の仕業だったのですね。 いやー見事にはまってしまいました。危うく明金さんと13課を失うところでした。 なので今度はこちらから仕掛けさせてもらいました。明金さんの格好を真似てあなたを尾行しておけば繋がっているあなた方はすぐに気づいて逆にこちらを狙ってくるはずだと。」 チンピラとフードの人物は動揺しながらも チンピラ「ちっ。だからなんだ!!結局お前ひとり追い詰められてることに変わりはねーだろが!! 最悪な状況から抜け出すことなんてできねーんだよクソが!おい!!やっちまえ!派手に燃えて死んじまえぇ!!!ギャッハッハ」 ドサッ 「……。」 チンピラ「おい!どうした!はやく燃やして…あっ」 チンピラは二階に目をやると黒フードは倒れており 代わりになんとも艶やかな栗色の髪をなびかせた女性が仁王立ちしていた。女はとてつもない眼光でチンピラを睨んでおり、その姿からは何かオーラのようなものが見えるほどその空間を圧倒していた。 その人物は明金サラ。その人だった。 その姿を見てホッとした様子の影丸。 影丸「(ふぅ…良かったぁ。) ゴホンッ、あなたは先程僕に最悪な状況だって言いましたね。 でも残念ながらその 最悪な想定 は済んでました。」 チンピラ「あいつが来るように仕向けたってことかぁ!?」 影丸「いえ、それは少し違います。僕は信じただけです。バディを。」 影丸「あなた方の 失敗 はこの最悪な状況を想定できなかったこと。それはつまり13課を、僕たちを」 影丸がそう話していると 明金は二階から飛び降りチンピラに向かって全速力で駆けてくる。 そしてその握りしめた鉄拳をチンピラめがけて勢いよく放ちながら 明金&影丸「「舐めんじゃねえ!!!!」ってことです!!」 その怒りのこもった一撃は鈍い音を放ちチンピラを気絶させるのにはあまりにも充分過ぎる威力だった。 影丸はそのままチンピラの身柄を押さえ 「10時48分、公務執行妨害罪及び、公園で起きた焼死体殺人事件の容疑者として逮捕します!」 ガチャリ。 チンピラは完全に伸びていたが 手錠は男の両腕にしっかりと付けられた。 影丸「ふぅ。これにて一件落着ですね。あ、明金さん!ありが…ゴフッ…!!」 影丸は明金に礼を言おうと振り返ると綺麗な右ストレートを頬にもらった。 明金「ふぅ〜〜スカッとした!! おい、こた!言いたいことは山ほどあるがひとまずこれでチャラにしてやんよ! まずなーに勝手に1人突っ走ってんだばーかっ それと無断で私に成りすまそうとはどーゆーことだよ!」 影丸「殴ってチャラにした上で文句もちゃんと言うんですね…」 影丸は完全にその最悪の想定ができておらず右ストレートをもろに喰らい後方に倒れピクピクしている。 明金「まったく。あたしが駆けつけたからいいもののもし間に合わなかった��どーしてたんだよ、アホこたっ」 影丸「いててっ…そ、それは必ず来てくれるって信じてましたから。」 明金「おめーはよくそーゆーことを恥ずかしげもなく言えんなったく。そーじゃなくてお前がよく言う最悪の想定はしてなかったのかって聞いてんだよ」 心なしか明金の顔は少しずつ赤みを帯びてくる。 影丸「あっ、ほんとだ。全く考えてなかった。もしこなかったらどうしたらよかったんでしょう??」 明金「知るかばーかっ」 明金は耐えられなくなりそっぽを向く。 ここにあの女がいなくて良かった。こんな顔見られたら何言われるかわかったもんじゃない。 明金はそう思った。 影丸「でも多分なんとかなりましたよ。明金さんは僕の想定なんて軽々しく超えちゃう人ですもん。」 影丸はハハハと笑う。 影丸「さてと、まだ先輩は来てないみたいですし。今のうちにやれることやっちゃいますか」 影丸は伸びたチンピラを強引に水をぶっかけ起こす。 明金「やることぉ?あ、そうかあの女がいると手柄取られる上に全然教えてくんねーもんな!こたのくせに考えてんじゃねえか〜〜!」 影丸「はは、それ褒めてるんですよね…?まあいいやとりあえずこいつとあっちで伸びてる奴を起こして話を聞き…」 影丸がそう言いながら二階に目をやるとそこには黒フードの男はいなくなっていた。それどころか影丸が倒したはず他の手下さえ消えていた。 影丸「そんなバカな…!?いつのまに??」 影丸が動揺していると突然チンピラが苦しみだす。 チンピラ「うっ…!?熱い!ひぃ熱いあちぃよおぉ苦しいあああっあああああああああ」 影丸「どうしました!?しっかりしてください!!」 男は苦しそうに着ていたアロハシャツを破く。 するとそこには魔法陣が描かれておりそれが赤く蒸気をあげながら光輝いていた。 影丸は触ろうとしますがあまりの熱さに男から遠ざかる。 男はさらに苦しそうに暴れまわる。 そしてみるみる蒸気が上がっていきついに着火しだした。そうなるとその男は一瞬で火だるまに。 チンピラ「がぁぁぁあああああああたずげでぐれ゛ぇぇあぁぁぁあ」 影丸「明金さん!み、水を!今水を持ってきます!!しっかりしてください!」 明金「お、おう!」 チンピラは影丸に何かを伝えようと口を動かしている 「つ つ つとぅ ぐぁ」 影丸「えっ?何ですか?」 「つ づぐよみ の  がらず ぎょうだん 」 「づ とぅぐあ」 影丸「しっかりして!」 明金はバケツに水を汲んできた。 明金「おい!持ってきたぞ!」 しかしその頃には男はぴくりとも動かなくなっておりそこには真っ黒に焦げた人だった物がまだ炎を上げてあるだけだった。 影丸「くそぅ!口封じを仕掛けておくなんてなんでそんな簡単なことに気づけなかったんだ僕は!!」 影丸は拳を地面に強く叩きつける。 明金「こた…」 明金は落ち込む影丸にかける言葉を探すが何も思いつかなかった。そうしているとそれに気付いた。 明金「こた!まずい!あちこちから蒸気が!外に出るぞ!!」 明金は影丸の手を引き外に出る。 出ると同時だった。 建物は勢いよく燃え盛り爆発にも似た音を立てて崩れ落ちていった。 そこに大量のパトカーがなだれ込んでくる。 その中に課長と先輩。 先輩「おい、無事か!」 明金「お、おう。。でも…」 明金は燃え崩れる建物を見る。 影丸「すみません。犯人を追い詰めたのに。。こんな結果に。ほんとすみません。」 明金「い、いや!こたは悪くねぇ!あたしが」 明金が弁解しようとすると先輩が食い気味に話し出す。 先輩「私はお前たちに無事かって聞いたんだ。その様子なら大した怪我はないな。なら良いよ。」 課長「うん、2人が無事で何よりだよぉ、しかしながら、これはとても大きな陰謀が渦巻いているようだねぇ…」 課長は燃え広がる炎の先を見続けながら言った。 それに呼応するように皆その炎を見る。 落ち込む影丸にはその炎を見ることもできなかった。 影丸、彼の手には火だるまになった男が身につけていた指輪型のペンダントが握られ、炎が消し止められるまでそれに視点を落としていた。 その炎は何かの始まりを不穏に予感させる何かがあった。消火活動は日が落ちるまで続き、我々はただただ立ち尽くすしかなかった。 影丸は今日もいつも通りZARDを聴きながら出勤。 影丸「おはようございまーす!」 扉を開けると今日も今日とて先輩と明金が取っ組み合いをしていた。 2人は龍と虎にも似たオーラを放っている。 影丸は割って止めようとする。 そうすると影丸がターゲットになるのが最近のパターンだ。 影丸「2人ともやめいででででちょっ待って…息!息できなっゔっ」 手足を明金に抑えられ首を先輩に決められた影丸は一瞬天国の両親に会ったそう(後日談) 影丸「ハッ」 目を覚ますと先程とはそこまで時間が経っていないようだが完全に気を失っていたようだ。2人は満足したのかお菓子を頬張っていた。 影丸(はぁ…最近わざとやられているような気がしてならないな…ほんと最悪な想定を超えてくるよこの2人は…) あの事件の後、犯人は逃したものの13課の功績が認められ少し予算が良くなったそうで課長は嬉しそうにぽたぽた焼きを頬張っている。先輩は相変わらず無愛想だけど時折僕達の近況を気にしてくれているようだ。明金さんはというと… 明金「おいこた!聞いてくれよこの前街を歩いてたら中国系とロシア系のマフィアの対抗してるとこに出くわしちまってよぉ〜〜」 明金は嬉々として話しているがそれは全く笑いごとじゃないことに気づいているのだろうか。いやダメだ。完全に楽しい時の顔だこれ。 こんな感じで以前より自分のことを話してくれるようになった。少しずつだけど13課の雰囲気も良くなってきている気がする。それは良かった。良かったけど… 僕はあの事件のことがどうにも引っかかっている。 これを後悔と言うのだろう。 きっと今こうしてる間にもまた事件は起ころうとしている…そんな気がしてならない。 影丸は引き出しを開け煤けた指輪を眺める。 僕たちはとても大きな悪意の中にもう巻き込まれているのかもしれない。もしそうなら僕達はなんとかしなくてはならない。たとえ命を落とそうとも。 影丸が前を見るとみんなが影丸の方を見ていた。 彼は思う。この人達となら大丈夫な気がする。確証なんてないはずだけれど。少し明金さんに似てきたのかな。 影丸「ん? あれないな。そういえば僕のノート知りませんか?」 明金「んー?ああ、これのことか」 明金は自分の机の引き出しを開けて影丸のノートを取り出す。 影丸の顔の血の気が一気に引いていく。 影丸「なん…で?あ、明金さささんが僕のノートを?あの、ま、まさかですけど中身見てませんよよよよね…?」 明金はニヤリとする 明金「ああーこれねぇーお前あたしがいくら魅力的だからってこれはどーなのぉ?」 そう言いながら明金は 明金サラについての項を開く。そして読み上げる。 その25 乾き物よりチョコレートとかの方が好き その34 意外と後輩の婦人警官の間ではファンが多い 課長「明金くんそうだったのぉ!?ぽたぽた焼きも美味しいよぉ??」 少しショックを受ける課長。 明金「こた、お前意外と使いすぎな。罰として昼飯奢れ!」 影丸「…さい」 明金「ん?」 影丸「返してください!!!」 影丸は取ろうとするが明金はヒラリと交わす 明金「おっと〜もう別にいいだろ〜〜ほとんど見ちまったぞ?」 影丸「全部…全部は見てないんですね…?」 明金「ん?何?その言い方だとなーんかまずいこと書きやがったなー?」 明金は楽しそうにペラペラめくっていく 影丸は構えを取り、いままで見せたことのない速さでノートを奪い取る。 明金「あっ!こらこた!まてぇ!!」 影丸「だめだめだめだめ…絶対だめ〜〜!!!」 2人は署内を走り回る。そして2人揃って怒られることになるがそれは少し後のおはなし。 こんな感じで13課は毎日破茶滅茶!最悪の想定が追いつかないです…この人達とこれからどうなっちゃうんだろう、ふ、不安だーーーー こた、まてーーーーーーー 影丸が持って逃げているノート 明金サラについて その91 笑った顔はかわいい。 彼はこのノートを死守すると心に誓うのだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 影丸「課長、少し話が。」 課長「どうしたんだぃ?」 影丸「今回の事件、犯人側に僕らの素性がバレてました。」 課長「ほぅ。それはつまり」 影丸「確定とは言えません。ですが警察内部から情報が漏えいしている可能性は高いと僕は考えます。」 課長「うん…あまり考えたくないが。。そうか…」 影丸「明金さんや他の人には言っていません。変に疑心暗鬼になるのはまずいので。」 課長「そうだねぇ、今のところはそうしておこうか。こちらでも調べてみるよ。報告ご苦労様。」 影丸「ありがとうございます。では失礼します。」 課長「内通者…ね。」 その日は力強い雨が一日中降っており 不穏な雷が鳴っていたーーーー
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mazotive · 5 years
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(自創作)Phyxellerのメモ
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ツイートだと何かで埋もれちゃうので記事として残しておこうという作戦 PhyxellerというサイバーとかSFとか近未来というワードの似合う感じの創作話
キャラ紹介だけにしようとか思っていたのにいつの間にか世界観とかも書いちゃった……
Phyxeller(ふぃくせ���ー)は一応仮題程度のタイトル。
Phyxellerって?
まずPhyxel(フィクセル/Physical+Pixel)という造語があって、意味は物理的ピクセル、つまり手で触って動かせる画面上のあのドットみたいな、いわゆるSFにある「浮いて触れる液晶画面」の素子みたいなやつ……と、3Dプリンタの「命令次第で立体的な物が作れる」の特徴を兼ねたような存在。 そしてそれにPhyxellerはソレにerがついて「フィクセルを操る人」という意味。
世界
めっちゃくちゃに退廃してる。SFだとおなじみだね。
あるとき地中からデミオンという有害物質が煙のようにモクモクと出て、浄化しきれなくなったと判断した国々は半球状の巨大なバリアを作って遮断することでデミオンから身を守ろうとした。
やがて長い年月を経て、バリアの外にあった街や自然を含むほとんどの生命はデミオンによって死滅し、焦土のような風景が広がり外界と区別されるようになった。 それに対して中はホログラムで彩られた空や自然があり、発達した機械文明で人は不自由なく暮らしている。
デミオンは吸って即死というものではなく、デミオンの含まれた空気を吸って体内に一定量蓄積されると痺れや目眩や倦怠感なんかを引き起こし、もっと吸い続けると呼吸器や心臓、抵抗機能などなどが停止して死んでしまう。 ある程度なら吸っても時間経過によって体内で浄化されるけど、衰弱の反応が起こると浄化機能も衰弱するので、デミオンを相殺する物質リミオンの摂取以外では回復しなくなる。
ちなみにリミオンは外界に点在する泉やガスの噴出口などから採れるが、デミオンの流出量に比べるとかなり少ない。
外界に出てそれらの物質の調査を行ったり、時折国内に侵入しようとする外界生物(大体はデミオンによって突然変異した獣)を駆除する組織があって、それをBLOXという。 BLOXは予てより活動の補助的技術だったフィクセルを、武器や重機などのメインの技術として扱う実験を始めた。最近打ち出されたのは「意のままにフィクセルを操る」実験。これが後にフィクセラーを生むことになった。
薄紫髪の子
たまに落描きと称して描いていて、なおかつPSO2でも再現して遊んでるこの青年の話👋
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▲ちなみにこの武器の青い部分なんかを作っているのがフィクセル。本来はその土台である装置ごとに作れる形が決まっているけど、フィクセラーはこれを自在に変形させられる。
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名前はミカバ・キルヒコ もともと名前のキルヒコに漢字表記はなく、名字のミカバは弥伽婆と書く。 ただし文化的に漢字が廃れてしまったので弥伽婆と書けるのは彼くらいしかいない。
デミオンによる突然変異で、生まれた時からライラックの髪色をしている。(こういった遺伝異常は割と常識)
小さい頃から寡黙で真面目でいわゆる勉強しか趣味のなさそうな凹凸のないガリ勉気質で、しかして国が定めた知能基準を超えている、稀にみる天才児。 フィクセルを自在に操るための命令変換用チップを脳や体に埋め込む実験の実験体に選出され、その手術に同意してコンピュータと並ぶ計算能力とスキャン用の機械眼(左目)を得てBLOXに所属するフィクセラーになった。
しかしチップを埋め込んだ副作用によって余計に機械的な人格になり、フィクセラーのコンセプトであった「意のままに」の「意」さえ発生しない状態になってしまった。
第一主人公
よく描いておきながらキルヒコは第二主人公で〜す。 それで、無感情で非人間的な状態に陥った彼を戻そうとした研究所に残った最後の方法が「手術前の日常を続ける」こと。
そうして招かれたのは彼の唯一の親友であり主人公のこいつ。
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シグレ・ケイ ロケットエンジンによって浮遊する「フライトボード」を使ったスポーツを趣味にしている生意気で負けず嫌いで小難しいことが嫌いな青年。漢字では四暮 京。
フライトボードは一般家庭でも移動手段として用いられる機体でありスポーツの一種。 彼は生まれ故郷のクリムゾンで、このボードアクションの大会で3冠を達成するほどの上級ボーダーだった(現在住んでいるのはスマルトという国)。 キルヒコにボードに乗る楽しさを教えて中級ボーダーレベルにまで仕立て上げた張本人。
手術によって機械的になった彼の人格矯正に関わり、研究者の言いつけも破ってボードに誘い出したり口論の末に殴りかかったりするなどをして(最低…)、人格を少しずつ復活させることに成功。 キルヒコがフィクセラーに選ばれたことについては喜んでいたが、人格が落ちて片目を機械眼に換えられたということを聞いてめっちゃキレた。
昔のある時からデミオンに対する耐久力を失い、室外で活動する時はリミオンの含まれたパッチを顔や体に貼っている。 粗暴な性格やそういった体質があってBLOXに所属できる素質は全くないのだが、フィクセラーの行動管理人という裏口を設けられ強制入隊させられている苦労人。
互いに感情的になることの大切さと冷静になることの重要さを教わっているようなそんな仲。 後に一緒に任務に出たりする良きバディでもある。
※ここからもホントに仮案くらいだし超ややこしいのでテキトーに読んで()
国とか
国の全てには半球状のバリアが張られており、その根本に厳重なゲートを設け、そこを出入りして国々を移動できる。 バリアの内側は空を映すホログラムで満たされていて、ある程度決まった流れで晴れや曇りや朝夕なんかを映して旧来の空を再現してる。 半球状というと東京ドームみたいな大きさを想像するかもしんないけど、規模的には北海道くらいあるんじゃないかな。(適当)
国ごとにキーカラーを定めていて、特に外界調査に出ている時は国の判別に困らないようにエンジンが出す光の色などに適用している。
BLOXは三大都市に一つずつ設置されていて、政府や軍隊とは別でそれなりの権力がある。
スマルト ほぼメインになっている三大都市のひとつで、晴れ渡る空色のネオンが特徴。 守りと安心に徹した国づくりをしていて、バリアが最も堅牢で空気中のデミオン濃度も最も低い安全国。医療技術やAIやそんなハイテク技術がめざましい印象。 その代わり中に住む人々は他国に比べると消極的で神経質な傾向にある。クリムゾンの人間を自己中心的で横暴な人だとして避けたがる。
クリムゾン ケイの故郷でもある国。夕暮れの赤いネオンに包まれ、街中が派手な電光と騒音で彩られる国。 大きさから三大都市のひとつとして数えられるけど、度々バリアの根本を掘って侵入する外界生物がいて安全性はとんでもなく低い。そして掘った穴からデミオンが流れ込むためデミオン濃度も高く、耐性の弱い人間は住むことができない。 外界生物の駆除のために武器開発が進んでいて、各国のBLOXや軍隊にも普及している。 デミオンの遺伝作用や不安定な環境が連鎖して、人々は攻撃的な性格になりやすく、治安の悪いスラム大国でもある。 スマルトの人間をやさしい環境でぬくぬく育った甘チャンだと罵る人が多い。
ジョンブリアン 身体の一部を機械に置き換えることでデミオンの悪影響を無効化する技術を進め、それの成功によって様々な国を取り込み三大都市のひとつに成り上がった技術大国。乱立する工場が放つ黄色い照明光に照らされる国。 手足を義手義足に変えた人々が多く、中には頭以外の全てを機械化した人や、部品をフィクセル製にすることで変形自在な身体を手に入れた人もいる。いわゆるサイボーグの国。 対応力と修復度が高く、侵略や汚染を受けてもすぐに立て直せる力があり、比較的安全ではあるが、工場の乱立によって別の大気汚染が心配。
そのほか
食生活 いわゆるディストピア飯はまだ普及してない……けど、都市が増え自然が減った影響で、肉や野菜などなどの自然食材は高級品扱いになったため、食感等々を似せた合成食品の研究は騙せるくらい進み、それのおかげで逆に普通に料理が味わえる状態。 近未来なので1つ食べるだけで1食分の栄養素が〜という食品はたくさんあって、そういうのはBLOXの調査隊や作業員などが利用する。 ついでにデミオンの濃度や耐久力の関係でリミオンを定期的に摂取しないと健康に支障が出る人は、リミオンの含まれたアメとかグミとかタブレットみたいなものを持っていて、一息つくごとにヒョイっと食べたりしてる。ケイの使っているパッチは遅く長く効くというタイプなのであれは別。
動物と自然 ペットや家畜や動植物園で保護されている生物は繁殖に失敗していなければ大体生きてる。 スマルトではほとんどの地域がペット禁止で野良犬や野良��もほとんどいない。ジョンブ���アンは割と自由。クリムゾンは野良犬だと思ったら外界生物だったということがザラにある。 渡りの習性を持った鳥はバリアにぶつかって死んでしまう(orバリア形成時までに帰ってこなかった)ことがあって、カラスのような知能のある鳥とかニワトリみたいな飛ばない種族だけが中に残った。 建物の乱立や地下開発などで植物が根を下ろす場所はもう鉢の中くらいしかないけど、水栽培や空気栽培などの技術もあってホソボソと存続中。 街中で見れる植物はほとんどフィクセルとホログラムの掛け合わせで、季節や気温に沿って変化はするけど、所詮はやっぱりホログラム。う〜んディストピア。
敵 外界ではデミオンの作用でクリーチャー化して生きている外界生物がいて、しょっちゅう外界調査の妨げになる。 自分より汚染されていない個体を捕食しようとするので、別に人間相手でなくても外界生物同士が争うことはある。 首が3つあるとか毒ガスを吐くとか超常的な進化を遂げているやつが多くて、変化の仕方によっては建物の残骸が体にくっついて無機的なゴーレムみたいになってる生物もいる。 廃墟や手付かずの地下施設がそのまま巣になっている。
生物のいくつかが変化しながら生きているんだとすれば、人間だって生存可能な気もするけど……。
フィクセルとホログラムって違うの フィクセル→触れる ホログラム→すり抜ける
エネルギーとか そこらへん工学っぽいのホント分からないので適当に言うと殆どが電気。 燃焼系のものなんかは発電のために使われる程度。(じゃあロケットエンジンは?) 反重力とかすごいギジュツがあると思う。乞うご期待。
総括
SFとかファンタジーって技術関連をどこまで教科書みたいに体系化させたらいいのか分かんないよね。この記事を書く時にいちいちWikipediaのジェットエンジンとかロケットエンジンとかネオンとかのコーナーを読んでしまったが全然分からん…なんだこれは……。
ロボメカの練習として彼らや世界の物ものを描いていきたい所存。ジョンブリアンの人々はエグいくらいの改造人間デザインにしたいデスね。あと外界のクリーチャーとか。
創作はコレ以外にもあったりするけど、それの紹介はまた別の機会で。 興味を持ってくれた方々ありがとうございましたです。
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