もも(Momo、2000年4月1日 - )は、日本のショーダンサー、グラビアアイドル、タレント。
別名義 Momo
愛称 もも・ももちぬ
生年月日 2000年4月1日
現年齢 23歳
出身地 香川県
血液型 O型
身長 153 cm
スリーサイズ 88 - 60 - 86 cm
カップサイズ H
3歳の頃からダンスを習っていて、東京のショー・クラブ「バーレスク東京」にずっと憧れていた。
ダンスの勉強をするため体育大学を受験して合格したにも関わらず、父親が厳しくて入学させてもらえなかった。ひとまず、上京資金を貯めるために地元の宅配会社に入社し、一度はステージを見ておこうと「バーレスク東京」に行った際に、スカウトを受けて入店。2019年11月に憧れのステージに立った。
父親からは反対されていたため内緒で上京していた。TV番組に出演したことで発覚してしまったが理解を得ることが出来、現在では応援してくれている。
InstagramやTikTokへの投稿でも一躍人気となると同時に、外見について誹謗中傷を受けたが、ファンからの励ましで切り替えることができた。
直接アンチコメントをぶつけられて心を痛めたこともあったが、頑張っている同僚ダンサーや、自分に憧れてオーディションを受けに来る女性達の姿に、自分も誰かが落ち込んでいる時に希望を与えられる存在になりたいと思うようになった。
バーレスク東京には、高度な振りを披露するAチームとアイドル系の楽曲を披露するBチームがあり、ももはBチームで活動している。彼女のキャラクターに合っているからだと思われるが、そのダンスの実力は周囲にも認められている。
バーレスク東京のダンサーから選抜されたアイドルユニット「キュンキュンクリーム」のメンバーでもある。
SNSの 総フォロワー数は150万人を超えており、「バーレスク東京」のショーダンサーだけではなく、映画、ネット配信、グラビアモデルな��、幅広い活動をしたいと考えている。
2022年12月、"2022年一番輝いていたダンサー"をファンが投票で決める「Queen of BURLESQUE」でグランプリ(1,542票)に輝いた。2023年3月には、MBSラジオ「オレたちゴチャ・まぜっ!〜集まれヤンヤン〜」の企画で行われたRadiotalk 総選挙で第1位となり、特番出演を勝ち取った。
2023年4月、自身初となるアパレルブランドとのコラボ『もも×kitson me』で、バケットハット、トレーナー等を発売した。
2023年12月、「Queen of BURLESQUE 2023」は、トップ10のメンバーが前年と大幅に入れ替わる激戦となったが、ファンと共に頑張り抜いてこれを制し、再びグランプリ(2,062票)に輝いた。
趣味は温泉巡り、特技はラテンダンス。
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ジャニーが同性愛者(真性の少年性愛者、児童性愛者)であり、事務所に所属する男性タレントに対して性的児童虐待(同性愛行為の強要)を行っているとの話は、1960年代から散発的に繰り返し報道されてきた。
まず、駐留米軍の「在日軍事援助顧問団 (MAAGJ)」に勤務していた頃(1958年~1966年)から、外交官ナンバーの車(クライスラー)で新宿・花園神社の界隈に繰り出し、「ケニー」、「L」、「牛若丸」といったゲイバーで遊んでいたこと、更に新宿駅南口で網を張り、田舎から出てきた少年たちに声をかけては、常宿の「相模屋」(1泊600円のベッドハウス)に連れ込んでいたことを、当時のゲイ仲間・原吾一が、著書『二丁目のジャニーズ』シリーズで明かしている。
ジャニー喜多川が最初に手がけたタレントは「ジャニーズ」の4��(真家ひろみ、飯野おさみ、あおい輝彦、中谷良)で、当初は池袋の芸能学校「新芸能学院」に所属させていたが、学院内にてジャニーが15名の男子生徒たちに性的児童虐待行為をしていたことが発覚。
オーナーの名和太郎学院長(本名:高橋幸吉。2000年6月7日に急性心不全で逝去。81歳没)はジャニーを1964年6月28日付で解雇した。
しかしジャニーが、ジャニーズの4名も一緒に引き連れて出て行ってしまったためにトラブルとなり、ジャニーらが所属中の授業料やスタジオ使用料、食費など270万円を求めて学院長がジャニーを提訴し、裁判へと発展した (通称:ホモセクハラ裁判)。
なお、当時のジャニーは在日軍事援助顧問団(MAAGJ)に在籍する下士官事務職員として、米国軍人および外交官の立場にあったが、新芸能学院との騒動は「MAAGJの公務の範囲外の職業活動」で起こった問題であるため、「外交関係に関するウィーン条約」(日本では1964年6月8日に発行)の第31条1項による外交特権「外交官は接受国の刑事・民事・行政裁判権からの免除を享有する」の対象から漏れ、訴えられた。
この裁判は長期化し、1964年から実に4年に渡って行われた。
ジャニーズの4名も実際に証言台に立っており、その証言記録は『女性自身』(1967年9月25日号)、『ジャニーズの逆襲』(データハウス刊)、『ジャニーズスキャンダル調書』(鹿砦社刊)にて再現されている。
『週刊サンケイ』(1965年3月29日号)でも「ジャニーズ騒動 “ジャニーズ”売り出しのかげに」として5ページの記事が組まれた他、ルポライターの竹中労も、著書『タレント帝国 芸能プロの内幕』(1968年7月、現代書房)の中で「ジャニーズ解散・始末記」と題してジャニーの性加害について言及した (当書はその後、初代ジャニーズを管理していた渡辺プロダクションの渡邊美佐の圧力で販売停止)。
なお、『ジャニーズスキャンダル調書』では「同性愛」という表現自体を否定しており、ホモセクハラである以上、「性的虐待」、善意に表現しても「少年愛」であるとしている。
『週刊現代』(1981年4月30日号、講談社)にて、「『たのきんトリオ』で大当たり アイドル育成で評判の喜多川姉弟の異能」と題し、ジャーナリストの元木昌彦がジャニーの性趣向問題について言及。
(直後、ジャニーの姉のメリー喜多川から編集部に「今後、講談社には一切うちのタレントを出さない」と猛クレームが入り、元木は処分として『週刊現代』から『婦人倶楽部』の部署へと異動させられた。
この件については、『週刊文春』(1981年5月28日号、文藝春秋)でも、「大講談社を震え上がらせたメリー喜多川の“たのきん”操縦術」と題して報じられた。
なお、ジャニーの性的児童虐待についてメリーは、「弟は病気なんだからしょうがないでしょ!」と言ってずっと放任していた)
雑誌『噂の眞相』(1983年11月号)が、「ホモの館」と題してジャニーズ事務所の合宿所の写真を公開。
元所属タレントの告発も相次いだ。
元フォーリーブスの北公次は『光GENJIへ』(1988年12月)、
元ジューク・ボックスの小谷純とやなせかおるは『さらば ! ! 光GENJIへ』(1989年9月)、
元ジャニーズの中谷良は『ジャニーズの逆襲』(1989年10月)、
元ジャニーズJr.の平本淳也は『ジャニーズのすべて ~ 少年愛の館』(1996年4月)、
豊川誕は『ひとりぼっちの旅立ち ~ 元ジャニーズ・アイドル 豊川誕半生記』(1997年3月)、
山崎正人は『SMAPへ』(2005年3月)をそれぞれ上梓。
タレントの生殺与奪の全権を握るジャニーの性的要求を受け入れなければ、仕事を与えられずに干されてしまうという実態が明るみに出た。
中でも『SMAPへ』は、ジャニーが行っていた性行為の内容について最も細かく具体的に描写しており、少年に肛門性交を強要していたことも明かしている。
同じく元Jr.の蓬田利久も、漫画『Jr.メモリーズ ~もしも記憶が確かなら~』(竹書房の漫画雑誌『本当にあった愉快な話』シリーズに掲載。著:柏屋コッコ、2014年1月~2015年4月)に取材協力する形で暴露している。
ジャニーは肛門性交時にノグゼマスキンクリーム、メンソレータム、ベビーローションなどを愛用しており、少年隊もラジオ番組で、錦織一清が「ジャニーさんと言えばメンソレータム思い出すなぁ・・・」、東山紀之は「合宿所はいつもメンソレータムの匂いがしてた」など、分かる人には分かるギリギリの発言をしている。
元Jr.の星英徳も、ジャニー喜多川の死後になってネット配信で、「ただのJr.だった自分ですら、何十回もやられた。
ジャニーさんが特に好んだのは、小中学生の段階のJr.。
時には平日の朝から学校を休んで合宿所に来いと呼び出され、マンツーマンで性行為を受けた。
その最中は、当時付き合ってた彼女のことを毎回必死に頭で思い描きながら耐えてた。
メジャーデビューしたメンバーは必ず全員やられている。
必ずです! 全員やられてる!
そもそも断ったらデビュー出来ない」と幾度も打ち明け、ジャニーによる性被害や当時の事務所内での異常な状況を説明した。
ジャニーズの出身者以外からも、浜村淳が関西ローカルのラジオ番組『ありがとう浜村淳です』(MBSラジオ)の中でジャニーのことを「あのホモのおっさん」と発言したり、ミュージシャンのジーザス花園が、2009年発表の自作曲『ジャニー&メリー』で、AV監督の村西とおるもブログやTwitterで糾弾している。
ジャニーに対する感謝、愛情が誰よりも強いことで知られるKinKi Kidsの堂本剛(児童劇団の子役出身)は、小学5年生の段階で子役活動を辞め、一旦芸能界を引退していたが、姉による他薦でジャニーズのエンターテインメントの世界に触れ、自分もスターになって成功したいという感情が芽生える。
しかし成功するためには、まだ幼い小学6年生の段階からジャニーの性的な行為を耐え忍ぶしかなく、剛が中学2年生の14歳の時に奈良県から東京の合宿所に正式に転居してからは、ジャニーの性行為は更に過熱していった。
当時剛と非常に親しい関係にあった元Jr.の星英徳も、「剛は普通のJr.たちとは違うレベルの性行為をジャニーさんから受けていて、そのことにいつも悩んでた。剛が病んじゃったのはジャニーさんが原因」と、2021年6月25日の深夜にツイキャス配信で証言した。
剛にしてみれば、確かにジャニーには芸能界で大成功させて貰って感謝はしているものの、幼い頃から異常すぎる性体験を強いられ、自分の心と体を捨て去るという代償を払わされてきた訳であり、更に人一倍繊細な性格がゆえ、15歳からは芸能活動へのストレスも相まってパニック障害を抱えるようになり、長年に渡って自殺を考えるほどに苦しんだ時期が続いた。
自分で選んだ道ではあるし、ストックホルム症候群、トラウマボンド(トラウマティック・ボンディング)、グルーミングなどの効果によって、ジャニーに対して大きな感謝はしつつも、もしジャニーと出会わなければ、こんなにも苦しい思いをすることは無かった、という愛憎が入り混じった複雑な感情から、剛の自作曲『美しく在る為に』は、ジャニーへの思いや、芸能活動への葛藤が描かれた曲だと、一部のファンの間では解釈されている。
その歌詞の一部には、
「あたしが悪いなんて 云わせないの あなたが悪いなんて 云う筈がないの 人は勝手だったもの 何時も勝手だったもの 美しく在る為に 勝手だったもの」とある。
[1]
元光GENJIの諸星和己も、2016年11月6日放送のバラエティ番組『にけつッ ! !』(日本テレビ)に出演した際、千原ジュニアとの会話でジャニーについて、
千原 「数年後に大スターになると見抜くその力よ」
諸星 「違う違う、たまたま、たまたま」
千原 「先見の明がすごいんでしょ?」
諸星 「僕の考えだと、“結果論”だね。 あの人(ジャニー喜多川)の目がいいとか、見抜く力がすごいとか、“全く”無い!」
と断じ、ジャニーに対する世間の過大評価に異を唱えた。 そして番組の最後では、「ジャニーの感性はね、あれホ〇だから!」と締めくくった。
ジャニーについてはよく、「少年の10年後の成長した顔が見えていた」などと評されてしまうことがあるが、それは間違い。
確かに子供の頃は冴えない平凡な顔をした者が、美容整形なども踏まえて将来二枚目に化けたパターンもあるが、その一方、小さい頃は可愛かったのに、成長と共にどんどん劣化してしまったパターンも少なくない。
そもそも、テレビなどで頻繁に同じタレントの顔を目にしていれば、視聴者の目はその顔に慣れていく訳だから、マイナス面はどんどん軽減されていく。
ジャニーが持っていたのは権力と財力であって、人の10年後の顔はおろか、人の本質や将来を見抜けるような特殊能力、神通力は存在しない。
ジャニーは将来を予見して採用していたのではなく、ただ単に、今その瞬間の“自分の好み”の少年、個人的に性欲を感じる“ヤりたい相手”を選んでいただけであり、その少年がたまたまスターになるかならないかは、諸星が述べた通り、後からついてきた“結果論”に過ぎない。
ジャニーに個人的に嫌われれば、いくらスター性や才能がある者であっても捨てられるし、ジャニーに個人的に好かれれば、スター性の無い者であっても権力と財力でメディアにゴリ推しされ、結果、誰でも人気者になれた。
こうした、ジャニーの個人的な好み、機嫌だけで全てが操作・決定される、非常に特殊で独裁的な事務所だったため、多くのスターを製造した一方、本当に将来有望だったはずの多くの才能も死んでいった。
なお諸星はこの放送の一ヶ月後の2016年12月2日に大沢樹生と共に開催したトークライブでも、ステージ上で「俺が何で結婚しないか? ホモだから。 ジャニーみたいなものだから」と発言し、ジャニーを茶化している (諸星自身がゲイであるという部分は自虐による冗談であり、諸星はゲイではない)。
1988年~1989年にかけ、月刊誌『噂の眞相』もこの問題を数回取り上げた。
しかしジャニーズ側は、「『噂の眞相』という雑誌はこの世に存在しないもの」という姿勢を貫いていたため、全く相手にされることは無かった。
週刊誌『FOCUS』(1989年8月11日号、 新潮社)に、ジャニー喜多川が合宿所で撮影した田原俊彦の全裸のポラロイド写真が流出掲載される。
1999年10月28日号から2000年2月17日号にかけ、『週刊文春』がジャニーズ事務所に対する糾弾を14回に渡ってキャンペーンとしてシリーズ掲載。
ジャニーが所属タレントに対してセクハラ・児童虐待を行い、事務所内では未成年所属タレントの喫煙や飲酒が日常的に黙認されていると報道し、約15名もの元ジャニーズJr.が取材に協力した。
出版元である文藝春秋は、他の大手出版社と違ってジャニーズ事務所との癒着や影響力が皆無に等しかったために出来たことだった。
【キャンペーン開始の引き金的な記事】
江木俊夫 公判で元アイドルが「ジャニーズ」批判 (1999年10月7日号)
【14回のキャンペーン】
青山孝 元フォーリーブス衝撃の告発 芸能界のモンスター「ジャニーズ事務所」の非道 TVも新聞も絶対報じない (1999年10月28日号・p252~255)
ジャニーズの少年たちが耐える「おぞましい」環境 元メンバーが告発 「芸能界のモンスター」追及第2弾 (1999年11月4日号・p190~193)
ジャニーズの少年たちが「悪魔の館」合宿所で 「芸能界のモンスター」追及第3弾 強いられる“行為” スクーブグラビア ジャニーズ「喫煙常習」の証拠写真 (1999年11月11日号・p26~29)[1]
テレビ局が封印したジャニーズの少年たち集団万引き事件 追及キャンペーン4 マスコミはなぜ恐れるのか (1999年11月18日号・p188~191)
ジャニー喜多川は関西の少年たちを「ホテル」に呼び出す 追及第5弾 芸能界のモンスター (1999年11月25日号・p188~191)[1]
ジャニーズOBが決起! ホモセクハラの犠牲者たち 芸能界のモンスター追及第6弾 (1999年12月2日号・p195~197)
小誌だけが知っているジャニー喜多川「絶体絶命」 追及第7弾 (1999年12月9日号・p179~181)[1]
ジャニーズ人気スターの「恋人」が脅された! 追及第8弾 (1999年12月16日号・p185~187)
ジャニー喜多川殿 ユー、法廷に立てますか? 「噴飯告訴に答える 追及第9弾」 (1999年12月23日号・p179~181)
外国人記者が「ジャニー喜多川ホモ・セクハラは日本の恥」 追及第10弾 (1999年12月30日号・p38~40)
ジャニーズ裁判 元タレントはなぜ「偽証」した キャンペーン再開! (2000年1月27日号・p180~181)
ジャニー喜多川よ、ファンもこんなに怒っている 徹底追及(第12弾) (2000年2月3日号・p165~167)
NYタイムスも報じたジャ二ー喜多川「性的児童虐待」 (2000年2月10日号・p172~173)
ジャニー喜多川「性的虐待」 日本のメディアは腰くだけ ピュリツァー記者が激白 (2000年2月17日号・p34~35)
【追加報道】
スクープ撮! ジャニー喜多川の素顔 (2000年3月16日号)
ジャニー喜多川の性的虐待! 母親が決意の告白 「息子は私に訴えた」 (2000年3月23日号・p184~186)
新展開 ついに国会で質問されたジャニーズ性的虐待 なぜNYタイムスしか報じないのか (2000年4月27日号・p176~179)
ジャニーズ疑惑 梨元勝国会で証言へ! (2000年5月4日・11日合併号・p180~181)
大手メディアがこの性的児童虐待問題をこれほどまでに取り上げたのは1960年代以来初めてのことで、その波紋は大きく、自民党衆議院議員・阪上善秀(後の宝塚市長)も、2000年4月13日にこの問題を衆議院で取り上げた [注 6]。
1999年11月、ジャニー側は名誉毀損であるとして文藝春秋を訴え、1億700万円(ジャニーズ事務所に対し5350万円、ジャニー喜多川に対し5350万円)の損害賠償と謝罪広告1回を求める民事訴訟を起こした。
2002年3月27日、東京地裁の一審判決では、「高度の信用性を認めがたい。
証人の証言はたやすく信用できない点を残している」としてジャニー側が勝訴し、東京地裁は文藝春秋に対し、ジャニーへ440万円、ジャニーズ事務所へ440万円の、計880万円の損害賠償を命じた (井上哲男裁判長)。
文春側はこれを不服として東京高裁に控訴。 これに対抗するかのようにジャニー側も控訴。
2003年7月15日の二審判決では、ジャニーの性的児童虐待に関する記述について、
「喜多川が少年らに対しセクハラ行為をしたとの各証言はこれを信用することができ、喜多川が、少年達が逆らえばステージの立ち位置が悪くなったり、デビューできなくなるという抗拒不能な状態にあるのに乗じ、セクハラ行為をしているとの記述については、いわゆる真実性の抗弁が認められ、かつ、公共の利害に関する事実に係るものである」
と結論づけられ、ジャニー側の性的児童虐待行為を認定 (矢崎秀一裁判長)。
このため、性的児童虐待部分のジャニー側の勝訴は取り消され、損害賠償額はジャニーへ60万円、ジャニーズ事務所へ60万円の、計120万円に減額された。
ジャニー側は損害賠償額を不服として最高裁に上告したが、2004年2月24日に棄却され (藤田宙靖裁判長)、120万円の損害賠償と性的児童虐待行為認定が確定した。[1]、[2]
しかし各芸能マスコミは、一審の880万円から120万円に減額された事実だけをベタ記事で書いて済ませ、「性的児童虐待が認められた」という肝心の部分は書かなかった。
この問題について、懐疑主義団体「JAPAN SKEPTICS」の機関誌『NEWSLETTER 53号』にて、当時同会の副会長だった草野直樹が批判。
「マスコミの誤りというのは、『間違ったことを報じる』だけでなく、『必要なことを報じない』ことも含まれる。 そして後者の多くは、いくつかの『タブー』に縛られていることが原因になっている。
報道におけるタブーのベールを抜いた報道には、オカルト・疑似科学の類と同様に騙されないようにしよう」と訴えた。
芸能評論家の肥留間正明も、「芸能界でホモセクハラが裁判になったのは異例。
真実と認められたのも初めてで、これは社会的な事件」と語っている。
また、ニューヨーク・タイムズや、イギリスの新聞・オブザーバーなどの海外メディアも大々的に取り上げ、この問題をタブー視するなどして真実を報道しない卑怯で腰抜けな日本のマスメディアの姿勢、体質を批判した。
以後もジャニーズ事務所と文藝春秋は対立。 2006年に『武士の一分』が映画化された際、ジャニーズは文春文庫で発売されている藤沢周平の原作本の帯に、主演の木村拓哉の写真の使用を一切許可しない、という対抗措置を取っている。 また、木村が工藤静香と結婚した際にも、会見への週刊文春の参加を禁じた。
そのため、文春側は巻頭グラビアで白紙ページに木村とインタビュアーの輪郭のみを描き、ジャニーズによるメディア統制であると非難した。
2010年3月14日、サイゾーウーマンにてシリーズ連載「新約・ジャニーズ暴露本」開始。
2018年6月6日、サイゾーウーマンにてシリーズ連載「いま振り返るジャニーズの“少年愛”報道」開始。
2019年7月9日にジャニーが逝去。
その際、テレビや雑誌など、日本の主要メディアではジャニーを賛美する歯の浮くような美辞麗句のみが並べられ、まるでジャニーを聖人君子かのように崇め奉った。
ジャニー喜多川 - ジャニーズ百科事典
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ハリウッドが、じゃなくて、欧米社会が、人種差別的なんです
多くの白人が人種差別的でないように演技するけど、白人しかいない場ではホンネ炸裂 だんだん本性隠してるのに疲れてきて逆切れ気味に本音を曝け出す その繰り返し
欧米人がいいというものをいいと思い込む過去の悪習をそろそろやめて、日本は日本で、東南アジアは東南アジアで、インドはインドで、中東は中東で、アフリカはアフリカで、自分たちがいいと思うものを評価するのが当たり前じゃないか
それが、全世界が欧米基準に合わせて欧米人に褒めてもらえるようにピョンピョンジャンプして尻尾振ってるようにみえる 言っちゃ悪いがアカデミー賞なんか、その典型 日本アカデミー賞はそんな欧米権威にぶら下がっている名称が非常によくないと思う
自由と民主主義も日本には、日本の自由と民主主義の伝統がある 欧米と違うと自由がないとか民主主義がないではない これは中国人がする人権がない状況の批判に対する言い訳と同じようにも見えるが、全然違う 実際に政府批判した人間が安全に幸せに生きられる社会であるという最低条件は万国共通でいい 人を殺すのは悪いことだ、と同じように
ただ、それを満たしたうえで自由や民主主義には民族文化で個性の違いがある 芸術文化にも個性や違いがある それが自然に理解できているのが、本当に人種差別がない人だ
で、そんな人は白人にも黒人にもアラブ人にも東洋人にも東南アジア人にも・・そんなにはいない
要するに人類は基本人種差別的 これは生き物の本能からすればむしろ当たり前 その上でいかに違う者同士で平穏を保つか、が追及すべき問題だ 人種差別をなくそう、なんてえのは、みんなで平和を祈れば世界は平和になるってのと同じぐらい実効性がない
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024)3月28日(木曜日)
通巻第8193号 <前日発行>
建国250年を迎えるアメリカに祝賀ムードがみあたらない
半世紀前の希望と夢と活気は何処へ行ったのだ?
*************************
筆者が初めて米国にいったのは半世紀前、サンフランシスコ、ロスアンジェルス、そしてハワイに立ち寄っただけの一週間の旅程だった。アメリカンドリームの神話は生きていた。人々は希望と夢を描き、また町の風景にも活気があった。あちこちに星条旗が並び建国200年の祝賀前祝いの空気は溌剌として、若者に元気があった。
爾来、五十回は米国各地、とくにワイントンとNYには取材で何回も訪れた。1983年米国教育関連シンクタンクの招きでカリフォルニアのクレアモント市に一ヶ月滞在し、連日の講義や討論会があった。
土日には別のプログラムが組まれていて、野球ナイター観戦、ディズニーランド、サンディエゴなどに行った。古き良き時代の「法と秩序」があり、男女間はモラルがあり、好景気で、治安も良かった。季節労働者としての移民は歓迎されていた。
アメリカは大国前として余裕があり、1984年にニクソン元大統領と独占インタビューに行った時は、「日本は経済力を武器につかえ、日本は巨大なインポテンツだ」と余裕のある指導者の言葉で、帰り際に「あの若いのに宜しく」と言った。「あの若いの」というのは中曽根のことだった。
現在のアメリカはどうか。
「世界一の大国」だったアメリカは価値紊乱の時代に直面し、モラルを含めた社会全体が落ちぶれ、衰退し、ウォール街と軍需産業とシリコンバレーに集中的な繁栄はあっても、大都会の一部は無法地帯、地方都市は寂れ、農村はくたびれ果て、そして何よりも人々の表情から活気が失せている。若者たちの眼に輝きがない。
先日も友人とアメリカ体験を話しあった。
「初めて行ったとき、希望と夢に溢れ町に活気があった。いま治安悪化、不安心理が社会全体を襲い、完全な分裂状態。大統領選挙は『シン南北戦争』ですね。2026年7月4日、アメリカ建国250年祭は『喪』につつまれるのでは?」
政治を見れば、老人ふたりが侃々諤々、自分だけを徹底的に称賛し、失敗はすべて相手の所為だと非難し、国家は機能不全、議会も世論も分裂状態。この趨勢のまま二年後には、2026年7月4日を迎える。建国250年の式典はトランプ主催となるか、他の人か?
社会は麻薬、凶悪犯罪、治安最悪などで不安心理が拡大し、平均寿命の低下と肥満率、学生の不登校、大學ローンの支払い不能、禁治産者。クレジットカード破産、鬱病の蔓延、不満の爆発による暴力行為、無差別殺人。
2023年にアメリカ人は665億ドルをギャンブルにつかった。アルコール関連の死亡事故は18%増加、スピード違反死亡事故は17%増加した。
鬱病は50 パーセント以上増加し、十代の自殺率は 48 パーセント増えた。とくに10歳から14歳の女の子の自殺は131パーセント増加した。
友人が三人以下という孤独な人間が増え、三分の一程度のアメリカ人が十人以上のトモダチをもつという統計がある。
けれども恋人不在、結婚するなど人生設計にプログラミングされていない。したがって劇的な出生率の低下、離婚は倍増。このうえにメディアンの左翼偏重が加わる。
このような状態は日本も同じである。
そして韓国、台湾、香港、シンガポールなどアジア諸国の出生率は日本よりも低い。中国は統計が出ていないが、出生率は韓国並みの0・7前後ではないか。
ペンタゴンは採用目標を達成できなくなった。
軍隊が女性の入隊増で本体の軍機能が麻痺しており、軍人家系から軍への応募が急減した。軍人たちが現在の軍のあり方に呆れたからだ。
「アメリカの若者はこれまで以上に兵役に就く資格が低下している」とフォート・ジャクソンの司令官パトリック・ミカエリス大将は軍関係のメディア『スターズ&ストライプス(星条旗)』に語った。陸軍参謀長のジェームス・マコンビル大将は、「軍務を志す若い男女はたくさんいるが、彼らは学力要件を満たしていないし、身体的要件も満たしていない」とした。
こうした現実を前提に近未来を予測するなら、まさに眼の前のリアルは米国衰退、国家分裂という最悪のシナリオへの「炭鉱のカナリア」だろう。だがアメリカのカナリアは歌を忘れている。
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Besuto essei. 202
New item:
日々の雑感、考察、失敗談から、亡くなられたあの方への追悼文まで… さまざまな書き手たちが、「エッセイ」という枠組みのなかで書き記した2021年の記録。 この年に新聞・雑誌等の媒体に発表された中から選りすぐった、珠玉のアンソロジーです。
Shelf: 914.68 BES 2022
Besuto essei. 2022 = The best essay.
edited by Nihon Bungeika Kyōkai.
Tōkyō : Mitsumura Tosho Shuppan, 2022.
ISBN: 9784813804147
337 pages ; 20cm.
Editorial board members: Kakuta Mitsuyo, Hayashi Mariko, Fujisawa Shū, Horie Toshiyuki, Machida Kō, Miura Shion.
Text in Japanese.
Table of contets:
部屋にいる感じ / 武田砂鉄
ロクな恋 / 李琴峰
特に秘密、ありません / 二宮敦人
親父の枕元 / 原田宗典
犬の建前 / 宇佐見りん
いつか「コロナ福」だったと言える日 / 鷲田清一
紙 / 内田洋子
学び始める春、失敗を楽しむ / 山本貴光
瀬尾夏美 / おじいさんの空き地
落合博満への緊張感 / 鈴木忠平
月の砂漠 / 小池水音
冷水を浴びせる : 坂上弘の文体 / 三浦雅士
陰のある光 / 小泉凡
脳内・ドイツ / マライ・メントライン
父と兄の書棚が招いた変な読書 / 志茂田景樹
心の扉を開く音楽 / 寮美千子
立花隆さんを悼む / 柳田邦男
失われゆく昭和探して / 川本三郎
大人への扉を開けたのは / 加納愛子
関係性の結晶 / 齋藤陽道
ガラスのこころ / 岸田奈美
"諦められない"心でアイヌ語研究に夢中 / 金田一秀穂
アイヌとして生きる / 川上容子
佃煮に想う / 小泉武夫
最高の食事 / 田中卓志
珠玉の世界 / ブレイディみかこ
神様、世間様 / 尾崎世界観
さいとう・たかをさんの思い出 / 辻真先
コロナ禍社会と密になった / 本谷有希子
最後の飛翔 / 椹木野依 -- 我が町の「宝」 / 井上理津子
ネガティブな皆さんへ / 尾上松緑
「あいつなりに筋は通ってるんだ」 / 岩松了
翻訳とは / 村井理子
「覚えられない」 / 茂山千之丞
白土三平さんを悼む / 田中優子
そんな時代 / 海猫沢めろん
ともに歩けば / 小川さやか
(笑)わない作家 / 万城目学
雪原 / 岸本佐知子
河合雅雄さんを悼む / 佐倉統
学園の平和、取り戻せ! / みうらじゅん
料理 / 小山田浩子
田中邦衛さんを悼む / 倉本聰
「声」分かち合う喜び / 温又柔
エリック・カールさんを悼む / 松本猛
月みる月は / 彬子女王
トーストと産業革命 / 青山文平
祖父母のすずらん守る / 星野博美
考えることに失敗する / 神林長平
悪態俳句のススメ / 夏井いつき
死も遊びだと思いましょ / 横尾忠則
UFO / 柴田一成
「やめた」後の達成感 / ほしよりこ
息子よ安心しなさい、あなたの親指は天国で花となり咲いている / 青木耕平
那須正幹さんを悼む / 高樹のぶ子
愚かさが導いてくれた道 / 沢木耕太郎
クールでお茶目なかっこよさ / 谷慶子
機械はしない終業挨拶 / 黒井千次
閉、じ、こ、も、り / 村田喜代子
ナマケモノ / 奥本大三郎
夢を彷徨う / 髙村薫
愛しの小松政夫さん / 鈴木聡
胃袋の飛地 / 湯澤規子
『老人と海』をめぐる恋 / 高見浩
「すごい」と「やばい」 / 酒井順子
写真を撮られるということ / 松浦寿輝
安野光雅さんを悼む / 大矢鞆音
この世の通路 / 佐々涼子
◆編纂委員作品◆
瀬戸内寂聴さんを悼む / 林真理子
多分、両方だと思いますよ / 町田康
忘れがたきご亭主 / 三浦しをん
あそこの棚に置いてある。 / 堀江敏幸
それは私の夢だった / 角田光代
遠き花 / 藤沢周.
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写真
先日、ひょんなことから、写真家の友人に私がずっと愛している男を会わせる機会があった。
友人との待ち合わせ場所に男を同伴して赴いたのは、きっとその写真家がわたしたちふたりの姿を撮ってくれるだろうという淡い期待があったためだ。
世界に二人きりであることをひたすら求めて関係してきたわたしたちにはついぞ「公」をやる機会がなく、数年来、頑なに「二人きり」を行使してきた。しかしここにきてどうしてか、このところわれわれは公に現れたくて仕方ない。その衝動の一環として、他者に二人を撮ってもらう客観的な一枚を渇望していた。何かしら、愛の証拠を残しておきたかったのだろう。二人の成し遂げた、類稀な愛の、その証拠を。
「二人の写真」。われわれを捉えるそれは傑作であるべきだった。美しいものであるべきだった。われわれが、心底から納得できるものであるべきだった。それがゆえに、軽々しくは撮らせられないのだった。この愛を、何も知らない者に撮らせるわけにはいかない。少なくとも私の文章を解する者でなくては。私は偶発性への賭けに出たのだった。
写真家の友人は私がことわりなく人を引き連れてきたことの異常性を察知し、瞬時におのれのなすべきことを把握した。待ち合わせた交差点で軽やかに、何の準備も指示もなく、彼は私が愛する男と私のツーショットを撮った。愛する男は私を愛しているし、写真家の友人も私に対して友愛をもっている。彼がシャッターを押し、彼がレンズに映る、その一瞬は私のために捧げられた一瞬だった。
後日届いた二人の写真を見ると、互いがまるで別の世界を生きているような、まったく異なる筆致をしていた。
つるりとした顔の私、複雑に入り組んだ顔の彼。モノクロームに加工された二人の��の、あなたの顔はおそろしく暗い。私の顔は、反して、白く輝いている。腕を抱えて寄り添いながらも、わたしたちはまったく違う地獄を生きている。写真とは残酷なものだ。ありありと、二人の形而下での隔たりを示してしまうのだから。それでも、わたしたちが別の地獄を生きていることもまた、わたしたちの関係を深める糧となっていることを双方ともに理解している。生を共にするとは、本質的にそういうことだった。おためごかしでもなりゆきでもない、そんな真に迫るかたちで共にあれる人が現れてくれることを私はずっと切望していた。現れ、意志でもって関わり、道行きを共に歩む。この実現は生の奇跡であった。
*
「もしかすると気を悪くしてしまうかもしれないんだけど」
交差点での出来事のひと月後、写真家と飲みに行ったところ、例の写真の話題になった。撮ってくれてありがとう、嬉しかった、と伝えたら、何やら神妙な顔をするので少し驚いた。私はその友人の品性を信用していて、むやみなことは言わないとよく知っているので、気を悪くするわけはないよと続きを促す。
「写真を整えていて、思ったんだ。その、彼の目が、狂気を孕んでいてさ……」
だん、と音がするほどに荒々しくジョッキを机に置いて、「そう」と叫んだ。
そうなのだ。叫びながら、私は悶えた。どうしてか、誰もあの目の孕む狂気に気づかない。あの異常性に。世界で私だけが気づいている、恐ろしい輝き。ようやく気づいてくれる人が現れて高揚する。カメラマンというのはずばぬけた観察眼を持っているのだなと思う。あの一瞬で、よくも。
そんなふうに話すと、写真家は少し謙遜して、付け加えた。
「会って話していてもわからなかったことも、撮るとわかるんだよ。写真の明度を調整している時に、ああこの目は、と思った。あなたが彼をミューズとしたのはよくわかる。あの男は異常だよ」
写真家が彼を評するその言葉のすべてに頷く。よくぞ見抜いてくれた。私は彼のその異常性に恋しているのだから。
「そうでしょう、そうなの。にこやかに社交をこなしている彼の目がまったく笑っていないことに気づいた時、本当にぞっとした。そして恐ろしく惹かれた。その狂気を徹底して表に出してこない、人間離れした抑制。あれを飼い慣らす知性の強度。本人ですら、自分が何を制御しているのか気づいていないのではないかと思った。そして、私はそれをどうしても暴きたくなってしまった」
写真家は苦笑して、「あんなのに会ってしまったらもう、仕方ない。苦しむからやめとけだなんて、おいそれと言えないよ」と言う。
「写真を撮るとき、人にカメラを向けると誰しもかならず身構えるんだよ。撮られたい顔を模索したり、少なからず萎縮したり、恥じ入ったりする。でも、彼にはそれが一切なかった。怖じるということが。撮られ慣れているとかそういうことじゃない、世界におのれの身を投げ出してしまっている人の無頓着と言うべきか、あるいは……。正直、こちらが一瞬怯んでしまったよ。悔しいなあ」
*
話しながら、男の目を思い出す。
写真家はその眼光の鋭さを指摘していたが、私が見ていたのは、彼の目に何の感情も宿っていないことの異常さだった。表情は微笑みを絶やさないのに、目だけはたえず無を湛えていた。生まれて初めて、これほどまでに世界から乖離している人を見た。あの目が光る瞬間を見てみたくなった。彼の目が光る時、その光が私に向けられているべきだと思った。
撮ってもらった写真のなかの男の目は、改めて見ると、少なからず威嚇の表情を帯びている。おそらく思い上がりではないだろう、「この人はわたしのものだから、くれぐれも丁重に」ということを言っている。私が友人として親しんでいる写真家の存在を尊重しつつ、自分の所有物である私を傷つけたら殺す、と言っている。
他者に暴力を向けることを徹底して避けてきた男が、殺す、という目をする。わたしの大事なものを傷つけたら殺す、と。私があの目を光らせたのだ。欲望によって。本質的には何事にも無関心であった男の目を私だけが光らせた。私がその狂気を剥き出しにした。そうして今ようやく、あの目の異常な輝きが第三者の手によって写し取られ、顕現したのだった。私を見つめるあの目の獰猛な輝きが、私の視界にのみ映っていたあの輝きが、ついに表象された。
男がひた隠しにしていた狂気をあますことなく引き出し、そのすべてを自分に浴びせる。その愉楽に酔いしれて日々を過ごすことの、なんという甘さ。なんという痛々しさ。痺れるような快感に耽って、私も男も、かつては備えていた厳格な統制機能を放棄してしまった。生きることに淫している。共に生きることに。道行きを行くことに。
*
かつて、「ファム・ファタール」というタイトルで、男について書いた。ファム・ファタールとはフランス語で「運命の女」を指す。女が男たちの文学の題材として易々と死なされてきたことを批難し、そのような文学作品たちへの復讐のためには男たちこそが私の文学のために死ぬべきであると語った記事だった。
実際に、これまで私はほとんど書くためだけに男たちの性を搾取し、愛することもせずに暴虐の限りを尽くしてきたつもりだったが、その運動は奏功しなかったのかもしれない。それが、ついには一人の男に忠誠を誓ってしまったことで露呈した。計画を頓挫させ、忠誠を誓った相手が、この眼光の男だ。ファム・ファタールを題材として筆を走らせてきたような男どもはけっして一人の女に忠誠を誓わなかった。私の計画は、一人の男に忠誠を誓うことで瓦解した。
その瓦解を引き起こした当人である私の男はこれを読んで、「ファム・ファタールはあなただろう」と笑っていた。いつまでも笑っていた。理知的な人なので、けっして男性強権的な価値観のもとにそう言っているわけではない。ただ、現実的な状況に鑑みて、自分がファム・ファタールと呼ばれることにどうしても納得がいかないらしい。
出会い、惹かれあい、関わり、生殺与奪の権まで預けた女。何十年にもわたって敷いてきたおのれの統御を巧みにほどき、押し込めて潜めていた狂気をあられもなく暴いた、たった一人の女。いわゆる伝統的なファム・ファタールを演じている当の本人が、自身のやったことを差し置いて男の側をファム・ファタールと呼んで嗤おうとする。男は、その手のひら返しをある種の裏切りだと感じたのかもしれない。
指摘されるとおりなのだ。私は確かにあなたのファム・ファタールで、本当は、あなたは私の「ミューズ」。私にものを書かせる女神。ミューズという概念もまた、搾取の文脈を逃れ得ないものかもしれないが、「あなたを描かせてくれ」と一方的に恋い縋っているだけまだよいだろう。そもそもの位相が違う。あなたはファム・ファタールである私によって快楽とともに人生を狂わされる。私はミューズであるあなたを描いて人生を至上の美しさに仕立て上げる。
写真がとらえたわたしたちの顔が白と黒のソラリゼーションをなしていたことが、この位相の相違をよく示していた。そここそに私はあなたと私の対等を見出す。
あなたは私のミューズで、あなたが私に向ける狂気を糧に、私はものを書き続ける。ファム・ファタールを抱えてしまったあなたは、あなたをミューズとして追い縋っている私に、一方的に運命を翻弄され続ける。私はあなたのために書く。あなたは私のために死ぬ。これがわたしたちの対等で、わたしたちにとっての「共に生きる」ことなのだ。共に歩み、共に死ぬことなのだ。
*
写真家は言う。「いつかもう一度、彼を撮ってみたい」と。
ミューズを持つ生がどれほど美しかろうと、彼を書くことによって明らかに命を削られている私は思う。あなたもあの狂気に魅入られないといいけれど、と。
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紹介や
コリーです。紹介します。
あろハム権左衛門
心の中に少年を宿している。突然キャッチボールを始めたりたまに壁に埋まったりしてる。オムニのときから思ってたけどダンスめちゃうま。オレンジのキャスパをオペ席から見れたのは良い思い出。背高いしなんかスポーツやってたんかなって思ってたら中高文化部らしい。
ゲネで指輪と間違えてイヤーカフはめようとしてたけどマイム超分かりやすいし芝居も貫禄あってすごい。掛け合いのシーンまじで気持ちいいんよ。
キャスパ自分が出ないところなのにバチクソかっけえ振付考えてくれたのほんまやばい。35期のキャスパはもう安泰ですね。
海泥波波美
なんやかんやで一番絡むことの多い奴の一人。この前の競馬楽しかったな。3連単当てるの脳溶けるな。どうやら新歓の頃はめちゃくちゃ絡みにくいと思われてたらしい。orz
アサギは自分がもう一人後輩に欲しいと言ってるけどもうこんな奇跡のバランスした人間は現れないと思う。
今回の役ではアサギの普段ない一面が垣間見えた気がする。
苔丸
いつも衣装で頼りにさせてもろてます。どんだけエグい衣装製作があろうと苔丸おるしなんとかなるやろと思ってしまう自分がいる。というか苔丸がいないと衣装斑が崩壊しそうな気がする。
今回みんなが見逃しがちな色んなところに気付いて教えてくれた印象。苔丸がいないとちゃうかが崩壊しますね。
キャスパわがまま聞いてくれてありがとう。マジで神です。
冊まいむ
初めての音響チーフ。がんばれ!コマ数の多さに苦しんでる。がんばれ!パソコンがぶっ壊れてめちゃくちゃ困ってた。がんばれ!パソコンがぶっ壊れるの辛いですよね。こりはもう3回初期化したよ。
キャパ的に結構心配してたけどそれを吹き飛ばすくらい役がハマってる。
がんばれみそか!負けるなみそか!
襟君
君がいないと生きていけません。いつも課題見せてくれてありがとうね。あなたは私の命の恩人です。今度奢ります。
とてもすごい筋肉をお持ちなのに照明仕込みはいつも卓に回るから吊り込みはあんまできないのは照明班七不思議の一つ。ポージング決めてるときのえりちゃんの笑顔がこりは大好きです。笑顔も筋肉も輝いてるよ。
ミル鍋
一度電チャリを貸してから何回か借りにやってきてる。ふはははは良いだろう電チャリは、もう普通のチャリには戻れまい。何度でも貸してやろう。
舞台とか本チラとか映像とかキャスパとかセンスが爆発してる。その他色々なところで奔走していてゆにほんまありがとうな😭となっている。芝居の感じとかもちゃうかで1番好きかもしれない。最近真面目なタイプの役が続いてたからもう一回霊Cみたいな役が見てみたい。
大福小餅
階段を無理矢理チャリで降りたらこふくも一緒にチャリで降りてた。一体なんてことをさせてしまったんだ。嗚呼
舞監でいっぱいいっぱいやろうにずっと稽古頑張ってて尊敬。そういえば秋公のときも朝早くから自主練してた気がする。でも時折めちゃくちゃ眠たそうにしている。無理はしないでください。
中森ダリア
オムニ仲間その1。本人の口から飛び出るエピソードに困惑する毎日です。すごい世界に生きてるねあんた...
1番ちゃうかで麻雀打ちたそうにしてたひらりさん、この前やっと打てました。数え役満アガってました。ちゃうか麻雀で初めて見たよ数え役満。
ひらりの今回の見せ場はまぁなんといってもアレですよね。楽しみにしてるぜ。
帝京魂
やれやれ系主人公。演技中に目が合うと目力が強すぎて笑ってしまう。あと口笛ずっと練習してる。最近やっと呪術を履修したこりの領域展開にいつも反応してくれる。
今回1番衣装が似合ってるのは彼。なんでそんな作業員感出てるん。なんか気付いたらいつもパンチ掃除してるし。役作りも完璧ですか。いつもコンちゃんは社会の荒波に揉まれた感の役やってるから今度は純粋無垢な役をやって欲しい。
しょこら
オムニ仲間その2。秋公の楽ステのアドリブほんますこ。あの後小一時間擦ってた。インスタで度々不憫な情報が流れてくる。ほんま災難やな...
今回の役はこらしょ史上一番のハマり役。最高の無量空処をかましたれ。
黒井白子
ちゃうかで1番最初に仲良くなったのは白子と言っても過言ではない。
今回は暇さえあれば稽古したり他の役者にアドバイスしたりしてずっと稽古場を回してた。流石に体力的にキツくないかと思ってたけど稽古終わりの彼から出てくる言葉は「幸せだあーー」どうやら新人でもその演劇サイボーグっぷりは健在のようです。
彼の異次元の存在感に乞うご期待。
鴨兎春
舞美ネキ!彼女にはネキの称号が似合いますよね。
マジでおもろいこの人。流石生粋の大阪市民、ただの豊中市民には辿り着けない領域にいる。それだけじゃなくて、タテカンバチくそかっけぇ。あと普段着もかっけぇ。おもろかっけぇ。
今回は初めてのでかい役なわけですが、舞台上でもかっこよく仕上がっております。
園堂香莉
我らが照明チーフ様。誰も彼女には逆らえません。秋公のときはひまわりだったけど今回はオペ席からみんなをひまわりにしてくれる。
あとキャスパ激エモい。神。照明チとキャスパ担当が同じだとあんなに素晴らしいものができるんですね。
個人的にはもっと役者して欲しい。あの綺麗な声は唯一無二だと思ってる。けどオペの技術もすごいんよな。でもオペ席に縛るのももったいないんよな。なんかいい方法ないですかね。
まろん
35期が誇るオペマスター。オペオペの実の能力者。新しいオペ概念を生み出して欲しい。外公のときの音響オペは神がかってた。
なんかバイオリン習ってるらしいですね。ガチでちゃうかでオーケストラできるんとちゃいますか。一回ガチ演奏見てみたい。
テキストを入力
想像の100倍フレンドリー。PVやべぇよカッコ良すぎんだろ。1ステ前なのに100周したわ。彼のおかげで35期のかっこよさにバフがかかってる。これから2年このクオリティの映像が見れる私達は本当に幸せ者です。
紫仏瑠唯
実はがっつり話したことはなかったりする。だけどめちゃくちゃ真面目でしっかり者なのは知ってる。オムニのときもその人間性が滲み出てるのがオペ席から見てて分かった。もっかい役者やってくれないかなぁ。待ってます。
近未来ミイラ
演出様ぁ!!!!もうね、彼すごいんですよ本当に。頭の中覗きたい。こりはこの脚本が今までで1番好きです。冗談抜きで。もっと自信持って欲しい。なんでそんなすぐヘラっちゃうの。まぁそんなところも好きなんですけれども。みーらといえば小ボケのイメージをみんな持ってるかもしれないけど実はみーらのツッコミもめちゃくちゃ面白い。あのがなり声本当にクセになる。
みーらとここまで走れて本当によかったです。楽ステで泣かせてやるからな、覚悟しとけ。
新人が終わる音が聞こえてきますね。自分はかなりちゃうかに依存している自覚があるのですが、新人が終わるとしばらくはちゃうかがないわけです。寂しいですね。文字打ってたら余計に寂しくなってきました。どうやらこりは思ってた以上にちゃうかが大好きなようです。
寂しすぎて死なないように、脳裏に焼きつく強烈な思い出を作ってやろうと思います。
35期ってすげえんだぜ!VAMOS!
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【 ふれあい感謝祭 】 ・ グランメッセ熊本にて行われました、 株式会社松栄パナホーム熊本様主催の 「ふれあい感謝祭」にて、 オープニング演奏を務めました! ・ この度は、お声かけいただき誠に有難うございました👏💐 ・ 参加メンバーも20名近く😳 演奏時間も1時間近く😳😳 ・ 終わった後はヘロヘロでした😇笑 ・ 撤収中に、80代の女性のお客様から「感動しました😭」と声をかけていただき、こちらまで感動😭✨ ・ もっとお客様に楽しんでいただける演奏をお届けしたいなと思いました🔥 ・ ・ ・ ・ ✎✎✎✎✎✎✎✎ 『和太鼓は “誰かを幸せ”にする 和太鼓は “人生を豊か”にする』 和太鼓輝-HIKARI-は、 熊本から世界へ向けて 和太鼓の魅力を発信している 創作和太鼓チームです。 和太鼓の演奏や指導 和太鼓教室の開催 創作曲の作曲、編曲など 和太鼓に関するご用命は 和太鼓輝-HIKARI-にお声掛け下さい。 ✐✐✐✐✐✐✐✐ ・ ・ ・ ──────────── 各リンクは @wadaiko_hikari の プロフィールページ下部に表示している 『 Linktree 』をご確認下さい🤲🏼 ──────────── ・ ・ ・ ✔️公式ホームページ ➭お問い合わせ、随時受付中! ➭ SUZURIにて、グッズ販売中! ➭ LINEにて、スタンプ販売中! ・ ✔️SNS各種 ◆Instagram ◆Twitter ◆TikTok ◆Facebook ◆YouTube 1stチャンネル ◆YouTube 2ndチャンネル ・ ・ ・ #和太鼓輝 #創作和太鼓 #熊本から世界へ #和太鼓 #輝 #ひかり #日本 #松栄パナホーム熊本 #ふれあい感謝祭 #グランメッセ熊本 #キッズ #大人 #和太鼓初心者 #和太鼓好きな人と繋がりたい #イベント出演 #ご依頼募集 #企業イベント #和太鼓教室 (グランメッセ熊本) https://www.instagram.com/p/CqHPDPfPvQw/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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染まるまで
indigo la End『あの街レコード』収録の「染まるまで」を愛している。―「友達にはなりたくなかった 変わった告白だった 君はその日から彼女になった 案外悪くないな」の歌い出しから、哀愁漂う夕焼けが心象風景の一面に広がってゆく。わたし自身にも印象深い夕景の記憶があって、眼下の街を焼き尽くすかのような夕焼け空を、この曲を聴く度に想起する。追憶に耽ける行為は、なんと甘美な時間であろうか。―「思い出してはポツリと消えて 目を閉じれば浮かび上がる 溢れるくらい何度も思い出す あなたの横顔が夕焼けに染まるまで」夕焼けは、くたびれた会社員や献立を考える主婦らを照らし、市街を茜色に輝かせ、わたしたちを包み込む。隣で佇むあなたの横顔もゆるやかに染まっていくのに、どうしてこんなにも胸が痛むのだろう。意識してしまった隔絶を沈みゆく夕焼けが後押しして、あなたとの関係性に終止符を打てと迫るかのような。―「やっぱりここで待つことにしたよ 君が染まるまで やっぱりここで待つことにしたよ 僕も染まるまで」時間と場所と光景を共有したのだから、同じ感情を抱きたいとの願いは叶わないのだろうか。あなたもわたしも同じ色に染められて、夕焼けの下でひとつになりたいのに。あの日の夕焼けは二度と訪れないけれど、ふたりで眺めた夕焼けを脳裏に浮かべて、いつまでも待っていたい。あなたとわたしが染まるまで。
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スマホを持たない、持つことをやめた日本、世界の有名人たち
トムクルーズ、羽生結弦、オードリー・タン、本木雅弘、山瀬まみ、
新井貴浩、エルトンジョン、エド・シーラン、ジャスティン・ビーバー …
(関連記事)
・60代、70代、高齢者の『スマホ認知症』(デジタル、インターネット認知症)
60代以上がスマホを利用することによって認知症が引き起こされる恐ろしいスマホ認知症(デジタル認知症)とは?
『スマホを手にせず心の幸せを手に入れた人たち』
現代人が縛られる薬物中毒より深刻な「スマホ中毒」の「拘束」から逃れることのできた有名人たち。
トム・クルーズ、羽生結弦、オードリー・タン、エド・シーラン、ジャスティン・ビーバー…
あらゆる世代の憧れでもある彼らが、なぜその若者たちと違いスマホを持っていないのでしょう?
彼らの「デジタル・デトックス」はいかにして成ったかを探っていきましょう。
トム・クルーズ
世界で最も有名なハリウッド俳優の1人。ミッションインポッシブル、トップガン、オブリビオン、コラテラル、ナイト&デイ、アウトロー、もはやこれ以上説明はいりません。
私はずっとスマートフォンも携帯電話もメールアドレスも持っていません。時計や宝石もね(笑)
テクノロジーと連絡のし合いに振り回されたくないのです。
最新の60fpsテレビも映画を正しく映すのに余計なことを増やしているだけです。
台湾のIT大臣 オードリー・タン
世界でも目を見張る成果を出し続ける台湾のIT担当大臣の天才オードリー・タン。
台湾が新型コロナの感染者を抑え込んだこと、適格でユニークな改革、自身がトランスジェンダーであることなど異色のデジタル担当大臣として世界にその名が知られるようになりました。
14歳で中学校を退学し、プログラマーやハッカーとして活躍しながら、
16歳でインターネットの企業の立ち上げに参画するなど、天才的な人生を歩んできました。
そんな最先端のテクノロジーに携わっている���ードリー・タン氏は、まさかのスマホ嫌い。
私は二つ折りの電話を愛しています。“ガラケー”です
著書『オードリー・タン 自由への手紙』 (講談社刊)の中で、
「私は二つ折りの電話を使っています。“ガラケー”ですが、何も困ることはないし、スマホのように余計なものもない。プログラミングだって可能」
「できないのは指でスクロールすることだけ(笑)」と語っています。
「スマホはメッセージ連絡を強要され、常に気にしていないといけません。
また、気軽にSNSを見れることで病的に依存し、
目を覆うような数の誹謗中傷が並ぶSNSや動画やコメント欄で心を病んでも、みんな離れられないのです。
テクノロジーに自由はなく、日常生活も時間も心も支配されてしまう」と、あえて絶対に持たないそうです。
本木雅弘:用事があれば固定電話かFAX
ジャニーズ出身で、シブがき隊メンバーの俳優の本木雅弘は、携帯電話すら持っていません。
布川によると、本木は携帯電話を持っていないので、LINEをしないし、用事があるときは固定電話やFAXでやりとりしているそうです。
エド・シーラン
すでにグラミー賞4度受賞のイギリス、全世界で超人気の若手シンガーソングライターのエド・シーラン
1月24日に公開された動画で、携帯電話との「関係悪化」により、7年前から使うのをやめたと打ち明けた。
「私は携帯電話を持ち歩いていないんだ。2016年から電話を持っていないんだよ」
と動画シリーズ『The Collector’s Edition』のホストに話し、
「携帯電話にとてもストレスを感じて、悲しくなったんだ」と説明した。
「人との接触を遮断するというより、制限しただけ」と語るシーラン。
常にテキストメッセージに返信し、すぐに応答する必要性を感じるストレス
親しい人の投稿や写真を逐一毎日いいねし、動画を何十本も再生し、感想をリアルタイムで送り合うストレス
で、2015年に行われたx(マルティプライ)ツアーの後、スマホを使うのを止めたと話した。
最近のシーランは、Emailでのコミュニケーションを好むようだ。
「数日おきに座ってノートパソコンを開いて、一度にメールだけ返信する。送信したら、パソコンを閉じる。そうすると、デジタルに圧迫されずに本来の普段の生活に戻ることができるんだ」
携帯電話のない生活の最高な点は、自分の時間を自分のペースで邪魔されずに過ごせることだという。また、その変化によって、メンタルヘルスが改善し、全体的に「全てにおいてより良い気持ちでいられる」と話した。
2016年にシーランは、「自分の目でなく、画面を通じて世界を見ているようだ」と話し、携帯電話やメールから離れ、全てのソーシャルメディアを止めるとファンに伝えていた。
「インターネットは、それが好きな家族や友人に調べて見てもらい、良いところだけ教えてもらえばいい。
好きでもないネットを見て精神を病む必要はないんだよ。」
山瀬まみ
新婚さんいらっしゃい!でおなじみ桂文枝と山瀬まみさん。
桂文枝師匠曰く、山瀬まみさんはガラケーだと明かしていました。
実際、以前通販番組内で自身がガラケーなのを語っておられます。
古田新太:FAXとテレカを愛用
名脇役で数々の作品に出演する古田新太もスマホを持たず、それどころかテレカを今でも愛用しています。
古田新太さんは、その理由について
「あれほどデリカシーとプライバシーのないものはない」
「縛られるのが嫌だ」
と話されています。
以前は所属事務所にスマホを持たされていた古田新太さんでしたが、時間通りに仕事の現場に着いたのに
メッセージで「大丈夫?」と確認のチェック連絡が毎回何度も来るため、
「ちゃんと時間通り来てるのになんで毎回聞いてきてやりとりしなきゃならないんだ!」
とキレて、携帯電話をゴミ袋に投げつけてしまいました。
それ以来、携帯電話は持っていないそうです。
2022年2月に『人生最高レストラン』(TBS系)に出演した際、
スマホを持ってないことを共演者から聞かれると、「連絡するときは家の電話かFAXだろ」と回答。
「家には必ず帰るし、FAXだったら見る」と主張していました。
そんな古田が誰かに連絡したいときは、大半は公衆電話を使うか、飲み屋にある店の電話を使うのだそう。
テレカはたくさん持ってます。
羽生結弦
説明不要のフィギュアスケートオリンピック2連覇の偉業をを成し遂げたアスリート。
輝かしい成績と実力だけでなく、その王子様のようなルックスで世界中のあらゆる女性を虜にしています。
そんな彼はなんとスマホを持っておらず、自身でSNSも一切やっていません。
以前TBS「NEWS 23」の生放送で「スマホ持ってないんで…」と明かした羽生選手。
確かにSNSなどは一切やっていませんでした。
ファンのメッセージを読むとき等はPCでスタッフを経由し、音楽等はipodで聴くので問題は無いそう。
競技引退後の現在、わずかながら動画を投稿しているチャンネルを持っていますがご自身では運営していません。
親族もTVに出演せず、本人もほぼフィギュア以外のことを語らず、結婚相手の事も不明です。
とにかくご家族のことを含め、特定されそうな個人情報を明かさない姿勢で彼のプライベートは謎に包まれています。
広島カープ現監督 新井貴浩
インスタグラマーって何ですか?
以前からガラケーしか持たないことで有名な新井さんこと、広島カープ監督
新井監督は現役時代(1999-2018)から一貫して今もガラケーを使い続けています。
今年放送されたNHK番組『サンデースポーツ』内でも改めてガラケーしか持っていないことに言及されました。
番組が盛り上がる中、6監督の相関図についてのトーク中に飛び出た発言。
DeNA・三浦大輔監督と共に人気のインスタグラムを紹介された新井監督。
しかし「インスタグラマーって何ですか?」とピンとこない表情。
「私ガラケーしか持ってないので」、「事務所の方がやりとりを何か勝手に発信してくれています」
新井監督の話を受け進行役の中川安奈アナが「珍しいですね」と驚くも、「?珍しいんですか?」とまたもピンときていない様子。
さらに「LINE生まれてから1回もやったことないです」。
1年前の雑誌のインタビューでも「ガラケーが���の中にある限りガラケーでいきたいです。」とさりげなく語っていました。
座談会終了後に行われた写真撮影の最中にも、ヤクルト・高津臣吾監督らが「本当にガラケー?」と新井監督に聞きますが、「本当にガラケーだけしか持ってないです」と返され驚きの表情。
他の監督達からもガラケーで選手やスタッフとコミュニケーション取れる?監督できる?と驚きと笑いに包まれていましたが、新人1年目にして広島を堂々リーグ2位とプレーオフ・クライマックスシリーズに導きました。
クリストファー・ノーラン
レオナルド・ディカプリオ主演の映画『インセプション』や『バットマン』シリーズ、『オッペンハイマー』など
現代を代表するメガヒット作を生み出す映画監督クリストファー・ノーランは、2023年の今もスマートフォンを持ち歩いていません。
スマホを持たないのは、テクノロジーを嫌っているからではないという。
ノーラン氏は「テクノロジーやそれによって可能になるものは素晴らしいと思っています。
問題はスマホ中毒になってしまう。つまりどれだけそちらに気が散ってしまうかです」とリポーターのインタビューで述べた。
「何かを生み出したり、脚本を書いたりすることに対して、一日中スマートフォンを使うことは役に立ちません」
ノーラン氏は2012年の映画の『ダークナイトライジング』の公開時にも、スマートフォンには興味がないとバックステージのインタビューで述べている。
「技術革新反対者、テクノロジー嫌いというわけではなく、ただ単に興味を持ったことがないんです」
「1997年にロサンゼルスに引っ越してきた時には、誰もが携帯電話を持っているわけではありませんでした。私自身はその後、持つ選択をしなかったのです」
2020年のヴァニティ・フェアのインタビューでは、時折ガラケー、つまり折り畳み式携帯を使用することはあるものの、スマートフォンは持たないと宣言しています。
「私は気が散りやすいので、暇な時間があるごとにインターネットにアクセスしたくありません」
ノーラン氏が避けているのはスマホだけではない。
ハリウッド・リポーターによると、ノーラン氏はほぼEメールも使わない。『オッペンハイマー』の出演者には脚本をアナログに手渡ししたという。
その理由について、
「秘密主義ではなく、プライバシー。ネットには本当の秘密性はなく、人間が見て運営しているからほぼ必ず流出する」と説明している。
「色々なことに挑戦し、失敗し、可能な限り冒険好きでいるためです。自分が書いたものを読んでくれる人とその場で一緒に座って彼らの意見を聞く。
顔と顔を突き合わせる人間らしい方法によって、彼らがどう感じるのか見られるのです」
森山未來:10年以上携帯電話を持っていない
独特のオーラがある人気俳優の森山未來は、スマホはおろかガラケーも持っていません。
20代の頃は携帯でゲームをしていた経験があるそうですが、時間があっという間に過ぎることを「もったいない」と感じたことから、
携帯電話を持たないアナログな生活だそう。2022年11月放送の『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)で、
10年以上スマホも携帯電話も持っていない生活を明かしました。
昔はスマホを持っていたそうですが、
「めっちゃ使っていて、1日中麻雀のゲームをしていた。気がついたら日が暮れてて、あ、これあかんわと思って止めたんですよ」
と、のめり込んでしまう自身の性格が原因で、携帯を使わなくなったと、以前、トーク番組に出演された時に話されていました。
もともと電話に出たくない、LINEなどのSNSでたとえ親しい友人や身内でも四六時中見たかどうかなど
向こうに自動でチェックされることや時間を他人に縛られるのが嫌な性格だということも、スマホを持たない理由のひとつなのだとか。
そのため、誰かに連絡するときは、固定電話や公衆電話を使っているそうです。
ジャスティン・ビーバー
世界一といっても過言ではない若者のアイコンでスーパーアイドル、ジャスティンビーバー。
子供のころから活躍する彼は、大人気である一方、めちゃくちゃな行動や発言もありネットのSNSに振り回されめちゃくちゃでした。
それによりメンタルヘルスに悩んだ経験もあるジャスティン。現在もスマホは持たず、代わりにネットは人に頼んで仕事の連絡を取っているそう。
さらに夜6時から昼まで自分で決してネットを使用せず、デジタルデトックスをする生活を送っていると、2022年3月『Billboard』で明かした。
「間違いなく、友人や知人や親族と境界線を持つことを学びました。もう誰かのためにこうしなきゃ、とは思わなくなった。
『NO』と言えるようになって安定しているし、人を助けたい気持ちはもちろんあるけど、それと同時に全部はできないと学んだのさ」
セレナ・ゴメス
インスタグラムで「いいね!」がついた写真のTOP10に8枚もランクインし、名実共にインスタの女王となったセレーナ。
しかしその結果、SNS疲れで不安症とうつ病に。
治療のためスマホどころかインターネットを一切しないデジタル・デトックスを9ヶ月間以上続けている。スマホを持たないことでSNS断ちを行った効果についてセレーナは「とてもリフレッシュできたし、きちんとした感情を再び持つことができるようになった」とコメント。ファンとつながる大事なルーツだけど、SNSに振り回されて本当の自分を見失うことの怖さを身をもって知ったみたい。
エルトン・ジョン
有名な曲を上げるとキリがない長年活躍する超世界的有名シンガー、エルトン・ジョン。
『Jimmy Kimmel Live!』で、スマホを持っていないことについてこうコメントしたエルトン。
「私の人生は素晴らしいです。1分に2回も連絡してくる人を避けられるから」
「スマートフォンを持つことにもう耐えられませんでした。」
シェイリーン・ウッドリー
映画『ファミリー・ツリー』や『ダイバージェント』シリーズで知られる若手女優のシェイリーン。
雑誌『The Daily Beast』で、
「自分はアナログなタイプで、折りたたみ携帯電話を愛用しています」
と話していた。
「仕事でネットは最低限使うけど、普段は折りたたみ携帯電話でやり取りしてるんです。」
サイモン・コーウェル
世界有数の音楽プロデューサーであり、世界一の有名オーディション番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』『The X Factor』の司会で有名なサイモン。日本の芸人も出演して勝ち上がり話題になりました。
4年以上携帯をもっていない理由について
「もうiphoneに人生を振り回されたくないんです」
「ミーティングをしたり、会話したり、夕食を取ったりしているときに、みんなスマホを見ていますが、
そちらに気持ちを支配されきちんと人と向き合えていない証拠なんだと気づいたんです」
ヴィンス・ヴォーン
映画ジュラシックパーク・ロストワールドやウェディング・クラッシャーズで知られる著名俳優は「Digital Spy」で告白。
「携帯電話にはイライラします。みんなSNSをいじったり、メールをしている。私の周りは持つことを脅迫してきます。
彼らによって公衆電話が恐竜のように絶滅しかけています。パークのように災害時にどうするつもりなのですか?
蔓延する「スマホ強迫性障害」にはなりたくないし、私は最後まで生き残ります。必要な状況にならない限り絶対に持たないと思います」
スマホがなくても「全然困らない」
スマホを持っていない人たちの言い分をみると、「全然困らない」「スマホに心のゆとりや人生の時間を奪われたくない」という答えと、確固たる信念が共通しています。
スマホがあることが当たり前になっているネット依存の人にとっては、想像すらできない生活かもしれませんが、ほんの10数年ほど前にはスマホはまだなかったもの。
スマホを持たない暮らしを送っている彼らほど、心にゆとりと安定のある幸せな生活を送っています。
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2023年の出生数(速報値)は8年連続の減少で75.8万人と過去最少となった。
経済アナリストの森永康平氏は「岸田首相は2030年までが(少子化トレンド反転の)ラストチャンスと発言しているが、これまで出てきた政策は的外れ」と指摘する。
「ITで人口減社会に対応」「移民受け入れ」という選択肢はナンセンスで、出生数減の本質である「未婚者の急増」を解決すべく積極財政に今すぐシフトすべきだと説く。
(湯浅大輝:フリージャーナリスト)
■ 今すぐ未婚の若者の手取りを増やせ
──2023年の出生数が過去最低でした。この数字をどのように分析していますか。
森永康平氏(以下、敬称略):岸田首相が「2030年までが少子化反転のラストチャンスだ」と発言している通り、75.8万人という数字は危機的な水準だと思います。もっとも、少子化は先進国共通の問題であることも事実。日本固有の問題は「(他先進国と比較すると)出生数の減り方が急である」ことと「結婚の意思がある男女の割合そのものは変わっていない」ことにあります。
少子化の本質は「未婚者の急増」です。結婚と出産、子育てが直結している日本では、結婚するカップルが増えないと、子どもの数も増えようがないのです。
出産適齢期世代が「結婚したくない」と自分の意思で思っているかといえば、案外そんなこともないのです。2021年の出生動向基本調査によれば「いずれ結婚するつもり」と考えている18~34歳において男性は81.4%、女性は84.3%いました。多少減少しているとはいえ、今も8割の若者が結婚したいとは思っているのです。
にもかかわらず、彼らが結婚できないでいるのは、(1)所得が上がらない・不安定だ、(2)税負担が重い、という経済的なものがメインです。
政府もこんな簡単なロジックは理解しているのです。��に、内閣府の「少子化対策大綱」においても「若者の雇用の安定」を掲げています。ところが、実際に出てきた政策は「現役世代の財布から毎月500円頂戴します」「3人目の大学進学を無償化します」というすでに子どもがいる世帯に向けたもの。どこが異次元の少子化対策なのか、開いた口が塞がりませんよ。
結婚したい若者を結婚させるには、彼らの手取りを増やすしかないでしょう。その上で取り組むべきは「減税」に他なりません。特にボディブローのように効いている社会保険料と消費税は早急に見直すべきです。賛否両論あるかもしれませんが、他にも、現金給付などの方法もあります。とにかく、手をこまねいている場合ではないのです。
【出生数75.8万人の衝撃】日本人がいなくなる!?森永康平氏「岸田首相の政策は的外れ、今すぐ減税・積極財政を」(JBpress) - Yahoo!ニュース
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MOONLIGHTING - AL JARREAU LYRICS+SUBTITULADA ESPAÑOL
「Moonlighting」
このブログを10月1日に書いている。今日10月1日といえば、私が学生時代を過ごした80年代は就職活動の解禁日とされていた。
当時、会社訪問は4年生の10月1日と同時に始まり、面接を経て試験を受け「内定」が年末までに取れれば、それが就活の順当な在り方だった。現在とは違い、それはホントの「短期決戦」で、数か月という短時間をいかに動くかにより働く会社が決まり、その後に続く大半の人生までも確定してしまうというものだ。中には、私のように年が明けても会社は決まらず、卒業さえも危ぶまれる学生もいたが、それでも4月には無事に入社式を迎えることができていた。 時は昭和62年、西暦1987年。いわゆるバブル入社組は「全員入社」という意味でもバブルの恩恵を受けた「幸運な人たち」だったと思う。
「こちらブルームーン探偵社」というアメリカのテレビドラマをご存じだろうか? シビル・シェパードとブルース・ウィルスが共演するコメディタッチのドラマで、日本では80年代の後半NHKで放送されていた。日本で作られたモノもそうだが、80年代に製作された映画やドラマは、主人公たちの衣装や室内の設えに本物使いや拘りがあり、ストーリー以外にも多くの見どころがある。この「ブルームーン探偵社」でもその傾向は随所に見受けられ、いかにも高級そうなワンピースやジャケット姿で635を操るシビルや当時流行だったノーベントの上着をジャストフィットに着こなすブルース、そしてドラマのスタートとエンディングに華を添えるアル・ジャロウの歌など、CGが多様された今日のドラマにはない贅沢な空気感がこの作品には漂う。 ストーリーはドタバタでコメディテイストだが、衣装や車などの小道具や音楽が洗練され一流であるが故に、その対比がこのドラマを上質なエンターテイメント作品に仕上げている。吹き替え版は無いが、その映像はユーチューブで見ることができるので、興味がある方はご覧になられてはいかがだろう。
普段聴くのはジャズだが、本当はフュージョン好き。シンプルなコード進行の上にきれいなメロディが乗り、アレンジに少し捻りが利いたものをいいと感じる。特にキーボードにローズピアノのサウンドが使われていれば、私の頭の中は80年代の輝く光景で満たされる。今回ユーチューブの映像をきっかけに、80年代に録音されたアル・ジャロウのCDを数枚手に入れた。丸い声質、正確な音程、全体のサウンドは、とても私好みで耳触りが良く、もっと早く聴いていればよかったと思うほど心地よい気分と気分と時間を得ることができた。お店で聴く音楽もしばらくアルの歌声が続くことになるだろう。
アースカラーのスーツを着る男性。ハイウエストのパンツにジャケットを合わせる女性たち。シティポップが流れる街のパブは仕事帰りの男女で賑わう。 パソコンもスマホもなく、全てがアナログ。当然情報も少ないから、それを得るためには自ら体験するしかない。だから人は街へ出る。それが街の活気へと繋がる。人・街・生活スタイルが時間の経過とともに洗練されお洒落になっていったあの頃。80年代とはそんな時代だった。昨今は、便利で多くのものが手に入り、多様性が認められる文化風潮だが、なぜだか心持が豊かに感じられることがない。あの時代を過ごした人なら、きっと誰しもがそう思うはずだ。そういう観点に立てば、昭和末期の80年代は、「あのころはよかった」との懐古的感情では片づけられない「特別」な時代なのだと思う。私の趣味嗜好も当時をベースにするものが大半を締めるのだから、あの時代を生きたことを心から良かったと思うのである。
注文服ヤマキ 木下 達也
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すべての壊れゆくなにか
旅に出ている。
出がけにすっころんでカメラのレンズをダメにした。だから、鳥の写真は撮れない。
さいわい、カメラ本体は無事なので、ちいさな単焦点レンズをつけて町に出かけて、いままで全然やったことのないスナップ写真や風景写真を撮っている。
「鳥の写真が撮れるようになれば何でも撮れるよ」と言ってもらったこともあるのだが、カメラをはじめて二年とちょっと、ほぼ鳥の写真しか撮っていない。急に風景やスナップ写真がいい感じに撮れるわけがなく、試行錯誤だし、そんなにやる気にもなれない。原稿と、読書、それからときどき散歩にでて旅の前半は終わってしまいそう。
さすがにそれではもったいないから、明日はカメラを持って、いろいろなところを足が許す限り歩いてみようと思っている。
本を読んだ。
旅の途中の新幹線で。
『アフリカ夜想曲』(楢川えりか)。数年前に本の紹介に惹かれて電子書籍で購入して読み終えている。いま、小説を読みたくてたまらない時期で、そのくせ積ん読は資料の学術書ばかり……そういえば……と思い出したのがこの本だった。
椿姫からはじまってテニスン、シェイクスピア……さまざまな欧米文学の引用があり、まさに「小説を読んでいる!」という強い快感を与えてくれる本だ。
物語はボーイズラブで、父の友人で家庭教師に恋をする主人公が、その家庭教師とでかけるグランド・ツアー(貴族の子女が世界旅行をする風習)。パリで出会った画家と愛し合い、彼と一緒にアフリカへ行く……。
主人公は同性愛が罪になる国・時代に生まれた次期侯爵。旅の終わりには、「ふさわしい」女性と結婚し、子をなし、領地を治めるという仕事が待っている。
当然、この恋は、「ふたりは死ぬまで幸せに、一緒に暮らしました」というわけにはいかない。
父と家庭教師の関係も絡み、その時代の困難さと、それでも愛がたしかにあること、愛によって連綿と関係がつながってゆくことが描かれている。人を愛することは、「次」につながってゆくのだということが、たしかに感じられてとてもよかった。
旅の宿でも一冊。
「小説を読みたい」と思いながら、資料本しか荷物に詰めなかった。古本屋・本屋の多い町だから、そこでえらべばいいやという気楽さがあった。時間もたくさんあるんだし。
今日読み終えたのは、『中西悟堂 フクロウと雷』(平凡社)。
「野鳥」「探鳥」という言葉をわたしたちは気軽に使うが、その言葉をつくった人のエッセイを集めた本である。
フクロウの雛の観察途中に大嫌いな雷が鳴る、カイツブリの雛を観察するために、ヒルに食われようが蚊に刺されようが一日沼に立ちっぱなし……ブラインドをはって、子育てする鳥を観察する姿。いまでは鳥の巣をそんなふうに観察する人はほとんどいなくなってしまったけれど、「この姿勢」から「野鳥」「探鳥」という言葉は始まったんだなとしみじみ思う。
記念すべき第一回野鳥の会の探鳥会には、柳田国男、北原白秋、徳富蘇峰なんていうとんでもないひとびとが参加していたらしい。
さて、そんな「野鳥」という言葉は、これまで日本人にとって鳥というのは「飼うもの」だったから生まれたそうだ。ただ「鳥」と言ったとき、当時のひとびとは「飼われている鳥」を想像してしまう。
だから野にいる鳥を、飼われている鳥と区別して「野鳥」と呼ぶことにしたのだと。
だから、この本には、ホトトギスとヨシゴイ(そのほかの鳥たちもだが)なんていう、おどろくような鳥を「飼っていた」一緒に生活していたエッセイも収録されている。
飼うことで生態の観察をして理解を深める一面もあるにはあるし、ヨシゴイは溺愛されすぎていて筆者の手からしか餌を食べなくて調査で家をあけていると痩せてしまっていたりして、それはもう観察のための飼育じゃなくてペットでは……と思ってしまうのだが、「回想の時鳥」の章は、ホトトギスへの愛しさ、そして過ちからホトトギスを落鳥させてしまう悲しみの慟哭が綴られている。「これは散文詩だ」と筆者もことわっているが、慈しみに満ち満ちた文面、ホトトギスが落ちるまでの、痛切な悲しみが胸を打つ。
『アフリカ夜想曲』でもそうだったけれど、いのちというのはうしなわれるし、それが人間同士であれ、人間と鳥という異種間であれ、いつかは別れがやってくる。それでも、ともにいた時間や記憶は消えず、愛はずっとそこに燃えていて、暗がりの中をさまよっているような気持ちにさせられるときも、灯台の光のように輝いている。
旅で買った本2023/1/28
『中西悟堂 フクロウと雷』(平凡社)
『魂の秘境から』石牟礼道子(朝日文庫)
『忘れられた巨人』カズオ・イシグロ(早川文庫)
『森は童話館』加藤幸子(桐原書店)
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梢ちゃん、初めてのイリュージョン
1.
大阪から東京へ引っ越して、あっという間に1学期が過ぎた。
新しい学校で仲良しの友達もできたし、まあどんな環境にもすぐに適応するのがウチの強みやな。
弟の湊(みなと)は転校先の小学校に慣れなくてちょっと苦労している感じ。
それで母ちゃんが新聞の折り込みチラシで見つけた小学生向けの造形美術教室へ行ってみたらどうか、と提案してきた。
湊はウチと違(ちご)て繊細やもんね。
ゾーケイとかビジュツとか、そういうんは向いてると思う。
母ちゃんは教室へ電話を掛けて見学の予約をした。
土曜日午後のクラス。
「梢(こずえ)も一緒に来て」
「えぇー、ウチも?」
「湊は小2やし一人で行かされへんでしょ? いつもママが付き添えるとは限らへんし、そのときはあんたが連れてくの」
「あーん、貴重な週末やのに。母ちゃんのいけずー」
「そろそろ『お母さん』かせめて『ママ』って呼んでくれへん? いつも成○石井で母ちゃんって大声で叫ばれるの恥ずかしいんやけど」
「『おかん』って言われるよりええやろ? それに高級スーパーやゆうて恥ずかしがるんは田舎モンやで。だいたい成○石井くらいアベノ橋にもあったやんか」
「あ、そうか」
「分かったらよろしい、母ちゃん」
「そうやって親を煙に巻くの止めなさい」
2.
そんな訳で3人で見学に来た造形美術教室。
三田さんというおばちゃんの先生が教えていた。
生徒は10人ほどで、それに保護者のパパとママが何人か来ている。
この日はカラーキャンドルを作っていた。
使い古しのろうそくとクレヨンを削って湯せんにかける。
何色か溶かして好きな順番で型に流し込めばカラフルなキャンドルが出来上がる。
「桧垣湊くんね? よかったら一緒に作らない?」
先生に誘われて湊は頷いた。
「あのっ、ウチもやらせてもらっていいですか!」
「こら梢!」
母ちゃんが止めようとしたけど、先生は笑って許してくれた。
「湊くんのお姉さんね? もちろんどうぞ」
「桧垣梢ですっ。中学2年です! ヨロシクお願いします!!」
だってキャンドル作り、すごい面白そうなんやもん。
「うわぁー、綺麗やん!」
どや、この色のチョイスはなかなかのもんやろ?
「水色を入れたいの? ええで、お姉ちゃんが一緒に削ったげる」
クレヨンを削るのを手伝ってあげた。この教室、こんな小っちゃい子にもナイフ使わせるんか。
「ボク! そこ指入れたらあかんっ。熱いでぇ~!」
湯せんの中に指を入れかけた男の子を止めた。ホットプレートの扱いも注意させんとあかんなぁ。
気が付けばウチは子供たちの輪の中にいてあれやこれや世話をしていた。
先生は後ろに立って笑っていた。
3.
「この娘が一番楽しんだようで申し訳ありません」
他の生徒さんたちが帰った後、母ちゃんが謝った。
ま、ウチを連れてきたらこうなるのを予想せんかった母ちゃんのミスやな。
「いいんですよ。よかったらこれからも毎週来てくれたら助かるな、梢ちゃん」
「ええんですか?」
「子供、好きでしょ?」
「ハイッ、好きです! ・・母ちゃん、ウチの分の月謝もお願い」
「あのねぇ」
「月謝なんて要らないわ。むしろお給料払わないといけないくらいよ」
「えぇ! お給料もらえるんですか!」
「な訳ないやろ」
母ちゃんがウチの頭を小突いた。
「ところで、」
母ちゃんは先生に向かって聞いた。
「三田、静子先生ですよね?」
「はい」
「覚えてませんか? 30年以上前ですけど京都の中学校で」
「京都? 確かに昔、京都で教師をしていましたが」
「私、美術部でお世話になった鈴木です」
鈴木っちゅうんは母ちゃんの旧姓やな。
「・・鈴木純生(すみお)さん? あの、捻挫して松葉杖の」
「はい!」
「きゃあ~っ」「きゃあ~っ」
母ちゃんと三田先生は両手を握り合った。
それからハグして、その場で跳ねながら一回転する。よお息が合うもんやと感心した。
「チラシでお名前見て、もしかしたら思ってたんです」
「懐かしいわ!」
「よかったら、あらためて昔のお話させてください」
「そうね、そうしましょう!」
・・後ろのドアが開く気配がした。
「先生、これも倉庫に置かせてもらっていいですか」
振り返ると背の高いお兄さんが立っていた。
その後ろには可愛いお姉さんもいる。
お兄さんは大きな丸いモンを抱えていた。
イケてない兄ちゃんやな。この、もさぁっとした感じ。
ウチの見立てやと30は超えとるな。もちろん彼女いない歴イコール年齢や。
それと比べてお姉さんはずっと若くてキュート。きっとピチピチの女子高生。
「ああ、まだ生徒さんがいましたね。出直します」
「いいのよ。もう済んでるから。・・それで何を置きたいの?」
「このボールです」お姉さんが答えた。
「くす玉なんだって」
「正確には人間くす玉です」
人間くす玉って、いきなり謎のワード。
「くす玉っ!?」
素っ頓狂な声を上げたのは母ちゃんだった。
「まさかそれ、S型の人間くす玉・・」
「よく分かりますね」
お兄さんが言った。
「あなた何者ですか?」
母ちゃんは両手で胸を押さえて深呼吸して、それから一人で叫んだ。
「きゃあああ~!!」
さっき三田先生とシンクロして叫んだときよりずっと大きな声だった。
皆が驚いて見守る中、母ちゃんだけが絶叫しながらぴょんぴょん飛び跳ねていた。
46歳の母ちゃんが急に若返ってハタチになったみたいに見えた。
4.
次の土曜日の教室。
ウチは一人で湊を連れて来た。
母ちゃんは前の晩からどこかへ出かけ、朝になって上機嫌で帰って来てグーグー寝ている。
ええ歳の主婦がそないな夜遊びしてええんか?
父ちゃんは笑ってたから許してるんやろうけど。
今日の造形美術教室の題材は千切り絵だった。
いろいろな色の和紙をハサミを使わずに裂き、糊で貼って綺麗な絵にする。
子供たちは一生懸命。ウチも一緒に絵を作る。
やっぱり楽しい。
ウチには造形美術の才能があるんやないか。
「みんなーっ、クッキーだよ! あたしの手作り!!」
れいらさんがお菓子を持ってきてくれた。
玻名城(はなしろ)れいらさんは先週出会ったあの高校生だった。
造形美術教室の卒業生で、ときどき子供たちに差し入れしてくれる優しいお姉さん。
「イッくんは二日酔いらしいです」
「男のくせに駄目ねぇ」
れいらさんが報告して三田先生が笑った。
イッくんとはあのお兄さんのことで、本名はえーっと、酒井功(さかいいさお)さんやったな。
れいらさんと同じく造形美術教室のOBで今もいろいろお手伝いしてくれているらしい。
「いったい何人で飲んだんですか? 先生」
「5人ね。イッくんと桧垣純生さんと私。それに桧垣さんの知り合いっていうモデル事務所の社長さんと、京都から来たイベント会社の社長さん。イッくん以外は全員女性よ」
「えっ、ウチの母ちゃんも一緒やったんですか?」
「そうよ。昔のお話が沢山できて楽しかったわ」
「社長するような人と母ちゃんが知り合いとか、知らなかったです」
「面白い人たちだったわ。皆さんお酒もぐいぐい飲むし、盛り上がっちゃった」
「先生もぐいぐい飲んだんでしょ?」
「おほほほ」
「イッくん可哀想。おばさんたちに飲まされて」
「んま、れいらちゃんったら失礼なこと言うわねー」
「ウチにも分かります。30過ぎのおじさんでも、おばちゃんたちから見たら若い男の子ですもんね。そら可愛がられますわ」
「梢ちゃんまだ中学生でしょ? 何でそんなことが分かるの?」
「えへへ、そうゆうんは得意なんです」
「でも30は可哀想よ。彼25歳だもの」
「うわぁ、ホンマですか~! ウチが言うたってチクらんといてくださいっ」
「あはは」「きゃはは」
5.
家に帰って、ウチは母ちゃんから若い頃の話を聞いた。
母ちゃんは京都の会社でイベントの司会やイリュージョンのアシスタントをしていた。
イリュージョンって、あのマジックのイリュージョンなのか。
二十歳のときの写真と言って見せてくれたのは、チャイナ服の母ちゃんが透明な箱の中に出現したところだった。
腰まで割れたスリットから生足出して、きらきら輝く笑顔で手を振っている母ちゃん。
今の母ちゃんと同じ人とは信じられないくらいに綺麗だった。
謎の『人間くす玉』についても教えてもらった。
人間くす玉は同じ会社のアトラクションで、中から女の子が飛び出すくす玉なんだって。
先週イッくんが抱えていたのは一番小さなサイズのくす玉。
「彼がクレクレしたから無料であげたって社長が言ってたわ。意味分からへんよね」
ウチにも意味が分かりません。
夜、れいらさんから LIME のメッセージが届いた。
『明日イッくん家に行くの。梢ちゃんも一緒にどう?』
『行きます!』
『イリュージョンを見せてくれるんだって』
またイリュージョン!?
後にして思えば、それはウチが新しい世界に足を踏み入れるお誘いだった。
6.
イッくんのマンション。
「いらっしゃいませ!」
ドアを開けて迎えてくれたのは綺麗な女の人だった。
「あなたが梢ちゃん? 酒井多華乃(たかの)です。よろしくね」
「多華乃さんはイッくんの奥さんだよ。先月結婚したばかり!」
ほぇ~。ばりばりの新婚さんやないですか。
多華乃さんは七分丈スパッツの上にニットのサマーセーターを着ていた。セーターの襟ぐりが大きくて谷間がちらちら。
こんなセクシーな奥様がいるやなんて、この間は「彼女いない歴イコール年齢」とか思てゴメンナサイ!
リビングに案内してもらうとイッくんが待っていた。
ちゃんとお話しするのはこれが初めてだった。
「お招きありがとうごさいます! ・・あの、ウチも『イッくん』って呼ばせてもらってええですか?」
「いいけど?」
「実はどう呼ぶか寝ないで考えました。『イッくん』はちょっとナレナレしい、『イサオさん』はヨソヨソしい、そやかゆうて『イッさん』やと大阪のおっちゃんみたいで」
多華乃さんがぷっと笑う。
「なんでやっぱり、れいらさんと同じ『イッくん』で行かせてください!」
「梢ちゃんって面白いね」
よっしゃ、ウケてくれた!
ウチは心の中でガッツポーズをする。
「イッくん、二日酔いは治った?」
れいらさんに聞かれてイッくんは頭をかいた。
「ああ、酷い目にあったけど、タカノがいてくれたから・・」
「熱いねーっ」
大喜びで冷やかすれいらさん。
いつものウチなら一緒に囃し立てるとこやけど、さすがに初対面で遠慮したのは我ながらエライと思う。
「・・んじゃ、さっそくやろうか」
「イリュージョン!?」
「うん、新作だよ。この場所に招かれたゲストだけが見れる限定イリュージョン。そして記念すべき最初のゲストが君たちだよ」
ぱちぱちぱち。れいらさんが拍手した。
今度はウチも一緒に思いきり手を叩いた。
7.
小さなテーブルを挟んで4人がソファに座った。
手前のソファにウチとれいらさん。
向かい側にイッくんと多華乃さん。
こちらから見て向かって左にイッくん、右に多華乃さんが座っている。
イッくんは多華乃さんの腰に左手を回すと、ぐいっと引き寄せた。
多華乃さんがイッくんに密着する。
ニットの襟がでろんと伸びて白い肩が出た。その肩にブラ紐はなかった。
あの、それはお客さんが男性のときに目を惑わすための演出ですか。
女でもドキっとするんですけど。
「これはサテンの袋。長さ2メートルあるのでうちの妻が全部入ります」
イッくんは多華乃さんを左手で抱いたまま、床の袋を右手で拾い上げた。
紫色でつるつるした光沢のある袋だった。
それを多華乃さんの頭から被せる。もぞもぞと右手だけで身体全体を覆ってゆく。
・・そやから、わざわざ密着してそういう作業をするのは何でですか。
すごくエッチに見えるやないですか。
足先まで袋を被せた。
「足あげて」
多華乃さんの膝がぴょんと伸びて、目の前に袋の先が突き出された。
「れいらちゃん、袋の口をくくってくれる」
「これでいい?」
れいらさんはサテン袋の口を絞って結んだ。
「ありがとう」
相変わらずイッくんは袋に入った多華乃さんを左手で抱いたままだった。
つるつるしたサテンの袋を右手で撫でる。
多華乃さんのボディラインがはっきり分かった。
膝、腰、頭。
うわ、そこは多華乃さんの胸。
いくら奥さんやからゆうて、人前でそないに揉みしだいたらアカンでしょ。
「次はこのシュラフ(寝袋)。梢ちゃん、シュラフって知ってる?」
「ええっとキャンプとかで使うモンですよね」
「そう、携帯用の寝具だね。綿が入ってて暖かいんだ。・・これを被せるから手伝ってくれるかい?」
イッくんに指示されてシュラフを今度は多華乃さんの足の方から被せた。
腰の下を通すとき、イッくんは左手に抱いた多華乃さんを持ち上げて通し易くしてくれた。
頭まで被せ終えると、脇のファスナーを上まで閉めた。
「こっちは縄で縛るよ。・・ん? どこかな」
右手で足元をまさぐった。
「れいらちゃん、そっちに紙袋が置いてない?」
「ええっと・・、あった!」
ウチとれいらさんが座るソファの後ろに紙袋があった。
「そこに縄が入ってるから、それでここを縛って。できるだけきつく」
れいらさんはイッくんのソファの後ろに回り、言われた通りにシュラフの口に縄を巻いて縛った。
「二人ともご苦労様でした。後は座って見てね」
ソファに座ったイッくん。
ウチとれいらさんはその反対側に座っている。
イッくんの左手はシュラフ(の中の多華乃さんの腰)を抱いたまま。
「いま、タカノは二重の袋の中。暖かい、というより暑いだろうね。呼吸するのも辛いかもしれない」
右手でシュラフを押さえた。多華乃さんのちょうど顔にあたる部分。
「この中で美女が苦しい思いをしていると考えたら、・・ちょっと興奮するよね」
「イッくん! そういうフェチな妄想してる場合じゃないでしょ! 梢ちゃんも見てるのに」
「え、ウチ? 何のことですか?」
分からないふりをしたけど、二人の会話は何となく理解できた。
じっと我慢してる多華乃さん。たぶん本当に苦しい。
そんな多華乃さんを抱きながら「興奮する」と言ったイッくん。ドSやんか。
「ごめんごめん。イリュージョンに戻ろう」
イッくんは右手でシュラフの口を縛る縄を掴んだ。
「いくよ。・・それ!!」
手前に引いた。
シュラフは腰の位置で二つに折れ曲がった。
「もう一回!」
すぐにシュラフの足先を掴んで持ち上げた。
二つ折りのシュラフが四つ折りになった。
「え」「え」
ウチとれいらさんは揃って声を上げた。
「二人で上から押さえてくれるかい」
言われた���りシュラフを押さえると、空気がしゅうっと抜ける音がした。
シュラフは四つ折りのまま潰れて平らになってしまった。
「えーっ、どうして!?」
「多華乃さんは!?」
二人で騒いでいると多華乃さんの声がした。
「お疲れ様、お茶にしましょ♥」
リビングに隣り合ったキッチンに多華乃さんがいた。
紅茶とケーキを乗せたトレイを持って笑っている。
少しだけ乱れた髪。少しだけ紅潮した頬。
とても色っぽかった。
8.
「いったいどうなってるの!?」
「それは内緒。今のところお客さんが来た時に見せられるのはこのイリュージョンだけだからね」
イッくんはタネを教えてくれなかった。
「あんなにたくさんあったイリュージョンの機材はどうしたの?」
「ほとんど人にあげるか倉庫に入れちゃったんだ。これからまた新しいのを作るよ」
「新居に汚いものを置くなって、三田先生に言われたみたい。私は気にしないんだけどね」
多華乃さんが補足してくれた。
「まあ彼のアパートにいろいろ怪しいモノがあったのは確かね」
「怪しいモノはないだろ、タカノ」「うふふ」
「イッくんはね、何でも自分で作っちゃうんだよ。イリュージョンの道具から吊り床まで」
「スゴイですね! 吊り床って何ですか?」
「あ、ゴホンごほんっ」「・・ちょっと早いかな? 梢ちゃんには」
「???」
いろいろ話をしてイッくんと多華乃さんのことを教えてもらった。
二人は同じ大学で知り合って、一緒にイリュージョン同好会を設立した。勤めるようになってからも仲間と活動を続けている。
マジックの競技会にオリジナルのイリュージョンを出して賞を獲ったこともある。
たまに造形美術教室の子供たちにもイリュージョンを見せてくれているんだって。
「最近はれいらちゃんも参加してくれてるんだ。梢ちゃんはイリュージョンをしてみたいって思わない?」
「やりたいです。ウチもあんなすごいイリュージョンができるようになりますか?」
「できるわよ。私も最初は何も知らなくて始めたんだもの」
「ならウチの親が許してくれたら。あ、日曜日しかダメですけど、いいですか?」
「ぜんぜん大丈夫」
「梢ちゃんを誘おうと思ったのは訳があるの」
れいらさんが説明してくれた。
「三田先生、10月に還暦を迎えるのよ」
「カンレキって?」
「60歳のことだよ」
「先生そんなお歳やったんですか」
「だからお誕生会を企画してるの。そこでイリュージョンも見せようって」
「ははぁ」
「いつもだったらイッくんが多華乃さんとやるんだけど、たまにはサプライズもいいでしょ?」
イッくんと多華乃さん、れいらさん。3人がウチを見て笑っている。
まさか。
「れいらちゃんがものすごく推すんだ。新しく来た梢ちゃんっていう中学生がとてもいい子だって」
「あのウチそんないい子では」
「僕も梢ちゃんと会って思ったよ。是非、誕生会のイリュージョンをやって欲しい。・・タカノはどう?」
「大賛成よ。私も梢ちゃんのことが大好きになっちゃった」
「決まりね。マジシャンはあたし、アシスタントは梢ちゃんだよ!」
れいらさんが宣言した。
どうやらウチはいつの間にかイリュージョンに出ることが決まっていたらしい。
母ちゃん、ウチ、母ちゃんと同じイリュージョンのアシスタントするんやで。怒らんといてな。
「実はこんなのを設計しているんだ」
イッくんはノートに描いた図面を見せてくれた。
スーツケース?の中に膝を曲げて入った女の人のシルエットが描かれていた。
「タカノ用に描いたんだけど、梢ちゃんなら問題ないはずだよ」
「もしかしてウチがこれに入るんですか?」
「そうだよ。それで外から剣を刺すんだ」
「えええ~っ!!」
9.
還暦祝いなんて勘弁してちょうだい。
はじめのうち三田先生はお誕生会を嫌がった。
それでも造形美術教室の卒業生がたくさん来る、保護者の皆さんもお金を出し合って準備してくれると聞いて抵抗を断念した。
「ありがとう! ・・でも赤いちゃんちゃんこなんて着せようとしたら、その場で逃亡するわよ」
母ちゃんはウチがイリュージョンするのを嫌がるどころか大喜びしてくれた。
「三田先生のお誕生日にイリュージョン? 素敵やないの!! それであんた衣装はどうするの?」
「んー、まだ何も決まってへん、と思う」
「マジシャン役はあの高校生の女の子ね? よーし、母ちゃんがまとめて面倒みたげる!!」
母ちゃんはイッくんの携帯の連絡先を聞いていたらしい。
勝手に電話して衣装製作の了解を取り、るんるん楽しそうに準備を始めたのだった。
10.
「スーツケースが手に入ったんだ。サイズをチェックしたいから来てくれる」
次の週、連絡があってウチは一人でマンションへ来た。
イッくんと多華乃さんが迎えてくれた。
さっそくスーツケースを見せてもらう。
「メ○カリで買った中古品なんだ。これをイリュージョンに使う予定」
それは思ったより小さかった。
立てて置いたら腰くらいの高さしかない。
「入ってくれるかい。梢ちゃん」
「あ、はい」
いきなりですか。
ええですよ。そのつもりでスカートやのうてショートパンツ穿いてきましたし。
イッくんが広げたトランクの中にお尻をついた。
「両手は後ろに回してくれるかい」
「後ろですか?」
「そう。手錠掛けるつもりだから」
「てじょう?」
「うん、後ろ手錠。動けないように」
!!
「イサオ! イリュージョン初体験の女の子にそんなストレートな言い方はダメっ」
多華乃さんが叱ってくれた。
「梢ちゃんフリーズしてるじゃない。・・心配しないで、梢ちゃん。マジック用の手錠だから自分で外せるわ」
「身の危険を感じました。ウチは生還できるんでしょうか?」
「んー、大丈夫だと思うよ。しらんけど」
イッくんがのんびり答えた。
ウチの関西人アンテナが反応する。
「あ、今『しらんけど』言いました? ウチも使うチャンス伺ってたんですけど」
「一度言ってみたかったんだよ『しらんけど』。今の使い方でいい?」
「グッドです。イッくん大阪でやっていけますよ」
「ナニアホナコトイッテンネン」
今度は多華乃さんが言った。
「多華乃さん、それは東京のヒトがやると割とスベるんで止めた方がええです。あとイッテンネンやのうてユーテンネンです」
「難しいのねぇ」「ドンマイです」
「ねえ、そろそろ続きをやらない?」
「イッくん人のギャグには冷淡ですねー」
「うふふ。冷たいのも彼の魅力よ」
はいはい、ごちそう様です。
トランクの中で横になった。
身体を丸くして両手を後ろに回す。
「もっと顎を引いて頭を下げてくれる」
「はい」
「あぐらを組む感じで。もうちょっとお尻下げて。・・OK、そのポジションをよく覚えておいてね」
「了解っす」
外にはみ出した髪を多華乃さんが直してくれた。
「大丈夫だね。では蓋するよ」
カチャ。
トランクの蓋が閉じて真っ暗になった。
頭の後ろが押し付けられて痛かった。
ぎゅっと折りたたんだ膝と脛、足の甲も前に当たってキツイ。
狭いやん!
「起こすよ」
ぐらり。
お尻に体重が乗った。
すっと身体が沈んで後頭部に余裕ができた。
足は全然動かせないけれど、少しだけほっとした。
「肩を捩じって、片手ずつ前に出してみて」
ごそごそ。
あ、出せた。
「右手で左の壁、左手で右の壁。触れるでしょ?」
はい、触れます。
「あとはまた両手を背中に戻す」
ごそごそ。
戻せました!
「ここまでできたら問題ないよ。ちゃんと生還できるから安心して」
はい!
「何度も練習して慣れてね。出してって言ってくれたらすぐに開けるから」
分かりました!
11.
「・・梢ちゃーん、大丈夫?」
声が聞こえた。
この声は、れいらさん!?
「はーい、大丈夫ですぅ。れいらさんですかぁ?」
「そうだよー。もう1��分くらい経ったっていうから開けるよー��
え? 15分も?
ぐらり。
ウチを閉じ込めていた空間が横向きになった。
カチャカチャ音がして蓋が開く。
イッくんと多華乃さん、それにれいらさんがウチを見下ろしていた。
あ、えーっと。
「じゃーんっ、たった今、囚われの美少女が救出されました!」
あかん、誰も笑てくれへん。
仕方ないので、自分で「えへへ」とごまかして起き上がった。
「大丈夫みたいだね。静かなままだから、ちょっと心配になって」
イッくんが言った。
「ぜんぜん大丈夫です。・・何か馴染んでしもて、ぼおっとしてただけです」
多華乃さんとれいらさんが安心したように微笑んだ。
本当は、女の子を閉じ込めるってこういうことなんかと考えてた。
ちょっとえっちな妄想もしてドキドキした。
でんもそんなん恥ずかしくて言われへんやんか。ウチ純真な中学生やのに。
「そういえばれいらさん、いつの間に来てたんですか?」
「遅れてごめんね。梢ちゃんのお母さんに衣装の採寸してもらってたんだ」
「れいらさんちに行ってたんですか、ウチの母ちゃん」
それで朝からウキウキ出かけて行ったのか。
「面白いお母さんねぇ。あの人から梢ちゃんが生まれたのなら納得だわ」
「変な納得のしかた、せんといてください」
「そうだ梢ちゃんのお母さん、イリュージョンやってたって教えてくれたよ」
「え、そうなの!?」
多華乃さんが驚いた。
「らしいです。ウチも詳しくは知らんのですけど」
「むかし京都にいた頃、かなり本格的なイリュージョンをやってたらしいよ」
「なんでイサオが知ってるのよ」
「前に飲まされたときに聞いたんだ。・・あ、別にわざと教えなかったんじゃなくて、僕は余計なことは喋らないだけだよ」
「む」
多華乃さんはイッくんの首を肘で絞めて押さえ込むと、その耳の後ろをゲンコツでぐりぐりした。
「あれはスリーパーホールド。多華乃さんの得意技だよ」
れいらさんが教えてくれた。
その後イッくんがスーツケースイリュージョンの仕掛けを説明して、皆で進め方を相談した。
途中でれいらさんが「あたしもスーツケースに入りたい」と言い出して入ることになった。
「何時間でも閉じ込めていいよ」なんて言うもんやから「なら駅のコインロッカーにでも預けましょか」って返したら「うわーいっ!」と喜ばれてしまった。
多華乃さんまで「あらそれ素敵」なんて言う始末。
「手錠は?」「いいですねー」
「DID♥」「ですっ!」
もうやっとれんわ。
でも、これだけあけすけに話せるんは羨ましいな。
ウチもさっきスーツケースの中で興奮しましたって素直に告白したらよかったかな。
12.
お誕生会前日の造形美術教室。
子供たちがみんなで飾り付けをしていた。
ウチは湊と一緒にケーキを作っている。
ケーキと言っても食べられない飾りのケーキだった。
ダンボールの大きな筒に模造紙を貼って、その上から色紙で作ったクリームやフルーツをつける。
「姉ちゃんっ。そこはローソクやんか」
「あ、ゴメン」
「ここのチョコプレートはボクがやる」
「ならまかせるで」
「うん」
造形美術教室に来るようになって湊はずいぶん積極的になったと思う。
立ち上がって周囲を見渡す。
手伝って欲しそうな子は・・おらへんな。
それなら部屋の隅に座り込んでちょっとひと息。
明日はいよいよイリュージョンの本番か。
昨夜見た夢を思い出した。
スーツケースに入っている夢だった。
何故か学校の制服を着ていて、後ろ手に手錠を掛けられていた。
この頃、何度も同じような夢を見る。
ウチはいつもスーツケースに閉じ込められていた。
・・またか。
夢の中で考える。
・・それやったら、楽しまな損。
イリュージョンと言われてスーツケースに入ったウチ。
そのままどこかへ運ばれる。
街の雑踏が聞こえる中をごろごろ転がって、静かな場所に置かれた。
コインロッカー!?
スーツケースごと、コインロッカーに収納されたんか。
あの、このスーツケース、女の子が入ってるんですけど。
囚われのヒロイン。DID。
ずっと前からDIDの意味は知っていた。ウチはおませな少女なんや。
おませなウチは絶対絶命のピンチにも憧れる。
もう逃げられへん。どこかに売られてしまう。
そうや、可愛い女の子は拉致られて売られる運命にある。
諦めるってキモチ、ちょっとええと思う。
小さく折り畳んだ身体が動かせない。
もどかしい。もどかしくてウズウズする。
そやけど、このもどかしさに耐えるのが乙女の務めや。
身体じゅうが熱くなる。
「・・梢ちゃん!」
誰かに呼ばれて我に返った。
ウチの顔を覗き込んでいるのは、れいらさんだった。
「梢ちゃんがヒマそうにしてるのは珍しいね」
「ちょっと休憩中です。れいらさんはどうしはったんですか?」
「さっきね、衣装を試着してきたの」
「お~っ、どんなでしたか」
「セクシー! 自分でもびっくりしちゃった」
「母ちゃん、ウチの衣装よりもヤル気出してましたもん」
「恥ずかしいけど、あんな恰好めったにできないから頑張って着るよ。梢ちゃんの衣装は���」
「それは明日のお楽しみです。・・ええっと、あの、つかぬ事を伺いますが」
「はい?」
思い切って聞くことにした。
「れいらさん、こないだスーツケースに入ったでしょ? イッくんのところで」
「入ったねー」
「失礼なこと聞くって怒らんといてくださいね」
「うん、怒らない」
「れいらさんと多華乃さん、やっぱりマゾの人ですか?」
「へ!?」
「あのときのお二人、ドMトークで盛り上がってたやないですか。コインロッカーに預けてほしいとか手錠掛けられたいとか」
「そ、そんなこと口ばしったっけ」
れいらさんが顔を赤らめるのを見たのは初めてやないかな。
「『ICレコーダー梢ちゃん』の異名を持つウチですから間違いありません。あのトーク、なんぼかはノリで言わはった思うんですけど、羨ましかったです。あんな風に性癖を発散する女の人を見たのは初めてでしたから」
「中2のくせに性癖なんて言葉使うのね」
「ウチはおませな少女なんです」
「あははは」
豪快に笑われた。
「いいよ、教えてあげる。マジレスすると多華乃さんはドMだよ。自分でも公言してるわ。旦那様のイッくんはS」
「分かります分かります」
「あたしはMとS両方あるな。お相手によってどちらでも。・・あ、お相手って男性に限らないからね」
れいらさんはそう言ってウインクした。
「梢ちゃんはMだよね」
「あ、ウチはまだ・・」
「スーツケースに詰められて感じてるじゃない。もうみんな気付いてるわよ」
ぶわ。
冗談やなしに顔に火が点いた。
しばらくけらけら笑ってから、れいらさんは言った。
「それでいいんだよ! SとかMとか恥ずかしいことじゃないんだし」
「それやったらお願いがあるんですけど」
「何だって聞いたげるよ」
「これからはウチも多華乃さんとれいらさんのドMトークに参加していいですか? ウチもエロいこと言いたいです」
「そんなこと!? あはは、大歓迎!!」
「ありがとうございます。何かすっきりしました~」
「梢ちゃんて本当に面白くっていい子ねぇ。ますます好きになっちゃった。あたしが三田先生なら絶対にぶちゅ~ってしてるところね」
「ぶちゅう~!?」
13.
三田先生のお誕生会が始まった。
造形美術教室の生徒さん、保護者のパパとママたち、卒業生が何十人も集まっている。
イッくんと多華乃さん、それにウチの母ちゃんもちゃんと揃っていた。
司会のれいらさんが開会を宣言した。
続いてイッくんが卒業生代表として挨拶。・・その直後。
ぱーん!
正面にあったケーキからクラッカーが弾けて紙吹雪が舞った。
「三田先生っ。はっぴぃばーすでーぃ!!」
ケーキが上下に割れて、中から立ち上がったのはウチやった。
母ちゃんの作ってくれた白い衣装を着ていて、手には花束。
ケーキから出て花束を三田先生に渡した。、
子供たちは大喜び。他の人たちからも大きな拍手。
ウチが飛び出したのはケーキの形をしたびっくり箱。
その正体は前日に湊が作ったダンボール製のケーキだった。
これをイッくんがたった一晩で改造してくれた。
クラッカーを取り付けて紙吹雪が飛ぶようにした。
上下に分離できるようにして内部を補強し、小柄な女の子なら収まる空間を用意してくれた。
ホンマ、イッくんって何でもできるスーパーマン。
「ご苦労様!」
花束を渡して戻って来たウチをれいらさんが労ってくれた。
「ケーキの中でドキドキした?」
「はいっ。次にパーティするときは一緒にびっくり箱しましょ!」
「いいわね!」
ウチは皆が集まる前からケーキの中にずっと隠れていたのだった。
お誕生会はそれから子供たちが歌ったり踊ったり、造形美術教室の昔のビデオを上映したりして進行した。
そしてメインイベント。ウチとれいらさんのイリュージョンの時間になった。
14.
れいらさんが衣装を着替えて出てきた。
「うわあ」「れいらちゃーん!!」
「すごーい!」「キレイ!!」
大人も子供もみんなびっくりしてるなぁ。
「みんなー! お姉ちゃんこれから頑張ってマジックするよー。立ち上がったりしないで見てねー」
「はーい!!」
れいらさんは真っ赤なボディスーツとその上に短い黒ジャケットを着ていた。
ボディスーツはハイレグで胸のカットも深い。
バニーガールみたいにも見えるし、白いブーツを履いているからレースクイーンのようにも見える。
エロくて恰好いい。
母ちゃんが「萌える~!!」と雄叫びを上げながら作ったコスチュームだけのことはある。執念がこもってるわ。
何人かのパパが見とれてしまってママから叱られているのもお約束。
さすがにこれを女子高生に着せて小学生の前に立たせるんはええのかと心配やけど、三田先生が手を叩いて喜んでるから構へんのやろうね。
れいらさんが手招きした。さあ出番や。
「マジックをお手伝いしてくれる梢お姉さんです!」
「よろしくーっ」
ウチはスーツケースを引いて出て行く。
あの中古のスーツケースはイッくんが改造して外観が変わっていた。
正面と裏側に細長い穴が6つ。
これはサーベル(剣)を刺すための穴。
ギミックの都合でキャリーハンドルは上げたまま固定。
ウチはお客さんの方に背中を向けると両手を後ろで組んだ。
その手首にれいらさんが手錠を掛けた。
左右に引っ張って手錠が外れないことを示す。
それが済むと、れいらさんはスーツケースを倒して蓋を開いた。
スーツケースの中は仕切り類が全部外されていた。
代わりに蓋の裏に剣刺しのギミックがついて、少しだけ狭くなったけどウチが入るのには問題ない。
うちは靴を脱がせてもらって裸足になり、スーツケースの中に横になった。
膝を引き寄せて身体を丸くする。
簡単な所作やけど、一発で決まるように何回も練習したんやで。
れいらさんはスーツケースの蓋を閉じようとする。と、中身が大きすぎるのかなかなか閉まらない。
蓋にお尻を乗せて座って閉めた。パチンとロックを掛ける。
キャリーハンドルを両手で握り、重そうにスーツケースを立てた。
れいらさんが次に手に取ったのはサーベルだった。
これもイッくんの手作りで、長さ1メートルほど。
銀色のブレード(刃)と手元が束(つか)になっている。
れいらさんはブレードを指で撫でて痛そうな顔をした。
「怖い人は目をつぶってねー」
スーツケースの後ろに立ち、一番上の穴にサーベルの先端をあてがった。
何人かの子供が自分の手を目の前にかざした。
15.
カチャリと音がしてスーツケースが閉ざされた。
ウチはもう外へ出られない。
ぐらり。
スーツケースが立てられて世界が90度回転した。
いよいよここから本番。
ウチはスーツケースの中で深呼吸する。
こんな姿勢やから本当の深呼吸は無理やけど、大切なんは気持ちやからね。
スーツケースの中で身体を捩じった。
背中で手錠を掛けられていた両手を前に回した。
そんなことができるのは、左右の手錠が分離できるからだった。
手錠の鎖は紐で繋がっているだけで、その紐はリールで伸びるようになっている。
前に出した右手で左の壁をまさぐり、そこに6個並ぶレバーを探し当てた。
蓋の裏にはサーベルの一部、ブレードの先端だけが隠されている。
レバーを動かすとスーツケースの蓋の穴からその先端が突き出る仕組みになっている。
一方、れいらさんが持つサーベルは、スーツケースの穴に押し込むとブレードが縮んで束の中に収まる仕掛けになっているのだった。
「・・スチール製のメジャーがあるだろう? あれと同じ構造だよ。ブレードは硬いように見えて実は巻き取られてるんだ」
「?」「?」「?」
ウチもれいらさんも、一緒に聞いていた多華乃さんも、イッくんの説明はさっぱり理解できなかったと思う。
理屈は分からんでも、効果は分かった。
後ろからサーベルを押し込むのに合わせてレバーを操作したら、お客さんにはサーベルがスーツケースを貫通したように見える。
大切なのは二つ。
二人のタイミングを合わせること、それから6個ある穴の順序を間違わんようにすること。
それさえ守ればバッチリのはずや。
れいらさんが最初の穴に1本目のサーベルを押し当てた。
コツン。
スーツケースの中に音が響く。
ウチは1秒待ってレバーを下げた。
これでサーベルの先端がにょっきり顔を出したはず。
2本目、3本目。
ウチは順番にレバーを操作した。
後で聞いたら子供たちとパパママたちはビックリしていたらしい。
ウチが本当に刺されたって思った子が多かったんやて!
うわぁっ嬉しいぃ、って叫んでしもたよ。
4本目、5本目、6本目。
全部のサーベルがスーツケースを突き通った。
れいらさんはそのスーツケースをくるりと回してお客さんに全体を見せた。
今度は後半。サーベルを抜く演技になる。
レバーを逆の向きに動かせばブレードの先端が引っ込み、同時にれいらさんがサーベルを引き抜いたらええんやけど、実はこれはけっこう、ちゅうか、かなり難しい。
前半でサーベルを刺すときは、れいらさんがサーベルを押し当てる音を合図に、少し遅れてレバーを動かせばよかった。
「・・でも、抜くときに少し遅れるのは困るんだ。ちょっと考えたら判ると思うけど」
「?」「?」「?」
またしても女性3人はイッくんの説明を理解できなかった。
「後ろで引き抜いてるのに、前に出ている先端がそのまま残っているのは不自然だよ。あれ?って思われてしまう」
「そうか」
れいらさんが気付いた。
「前も後ろも同時じゃないといけないんですね」
イッくん細かい。でもその通りやな。
ウチとれいらさん、スーツケースの中と外でタイミングを完全に合わせないといけない。
何か合図が要る。でもどうやって?
イッくんのアイデアは単純やった。
「それならお客さんに合図してもらおう 」
16.
子供たちに向かってれいらさんが呼びかけた。
「みんなー、梢お姉さんが穴だらけになっちゃいました! 助けてあげたいですか?」
「助けてあげたーい!」
「じゃあ、この剣を抜きまーす! 何本抜かなきゃいけないかしら?」
「ろっぽん!!」
「1本ずつ抜くから一緒に数えてくれるー?」
「はーいっ」「数えるー!」
「数え間違ったり、声が揃っていなかったりしたら、梢お姉さんは死んじゃうかもしれないよ?」
「だめー!」「やだあっ!!」
「じゃあ練習しよう! いい? せーのっ、いーち、にぃーい・・。ああぁっ、ダメダメ揃ってないっ。もう一回!」
全員が揃って1から6まで数えられるまで練習させた。
「いくよ? せーの!」
「いーっち!」
れいらさんがサーベルを引き抜くと同時にブレードの先端が引っ込んだ。
「にぃーい!」
子供たちの声が響く。リズムもペースも綺麗に揃っていた。
「さーん!」
どんどんサーベルが抜けて行く。
「しいー!」
あと2本!
「ごぉー!」
これで最後!!
「ろぉーっく!!」
「はーい! 全部抜けたねー! 梢お姉さんは無事かなー?」
���ーツケースを横に倒して、ロックを解いた。
カチャリ。
横になっていたウチが身を起こした。
「うわー!!」「あれー!?」
白い衣装がピンクに変わっていた。
立ち上がって一回転して見せた。
どうかな? 母ちゃんの作ってくれた早変わり衣装。
可愛いでしょ?
れいらさんに手錠を外してもらう。
小声で言われた。
「知らなかったよ。びっくり!」
「えへへ。黙っててスミマセン」
二人並んでお辞儀をした。
三田先生が駆け寄って来た。
「すごいすごいすごい!! どきどきしちゃった! ありがとう!!」
イッくんも来て握手してくれた。
「やられたよ。衣装チェンジとはね」
もう一度拍手を浴びながら皆でお辞儀した。
お客さんの中に母ちゃんと湊が座っているのが見えた。
湊は黙ってサムズアップしてくれた。
あんた、どこでそんなゼスチャー覚えたの。格好ええやんか。
ウチも笑って親指を立てて返す。
すると母ちゃんまで指を立ててウインクした。
母ちゃんっ、指が違う.
立てるのは中指やのうて親指やちゅうねん。
17.
それから二週間経った夜。
ウチと母ちゃん、れいらさん、イッくんと多華乃さん夫妻、そして三田先生がレストランの個室にいた。
三田先生がお誕生会のお礼にと招待してくれたのだった。
「ウチ、フレンチなんて初めて」「あたしもです!」
「お箸で食べるフレンチ、いいですねー」
「友人のお店なの。形式張らずに楽しんでちょうだい」
ワインとノンアルコールのスパークリングで乾杯。
「あら、あなたたちもノンアル?」
先生がイッくんと多華乃さんに聞いた。
「僕らは後でいただきます。今は、ちょっと」
「彼、リベンジする気なんです」
多華乃さんが言った。
「タカノ、いきなり言う?」
「いいじゃない。頑張るのは私だよ?」
「あ、ぴぴっと来たっ。イリュージョンするんでしょ!」
れいらさんが言った。
イリュージョン!?
「この人、梢ちゃんの衣装チェンジに全部持ってかれたこと未だに根に持ってのよ。子供みたいでしょ? うふふ」
「そんなことはないよ。僕は」
「うん、イッくんってそうだよね」「分かるわ」「イッくん、ホンマですか?」
「ぼ、僕は・・」
「あまりイサオを苛めないであげて。その分、私が彼に苛められるんだから♥」
謎めいた微笑の多華乃さん。
他のみんなは笑っている。母ちゃんまでウンウンって頷いて。
まさかこの二人、ムチとローソクでSMプレイしてたりする?
18.
「ええっと、やろうか」「はい!」
イッくんと多華乃さんは席から立ちあがった。
一度出て行って戻って来た。
持ってきたのはあのスーツケースと紙袋。それからサーベル、ではなくて金属の細い棒。
「先日とは趣向を変えたスーツケースイリュージョンをやります。・・これは」
イッくんはそう言って金属棒を持って水平に構えた
「ステンレスの丸棒です。直径5ミリ、スーツケースの穴をぎりぎり通る太さです。先端を円錐形に削り出しました」
イッくんはスーツケースを床に倒して蓋を開いた。
れいらさんが黙ってウチの肩を叩いた。それから開いた蓋の裏を指差す。
!!
あの剣刺しのギミックがない。
蓋の裏に張り付けられていた黒いパネルのような仕掛けがなくなっていた。
6個の穴がはっきり見えた。
多華乃さんがさっとシャツを脱いだ。
ブルーのスパッツ。その上は黒いブラだけ。格好いい!!
スーツケースの中に入って膝をついた。
そのまま身体を逆海老に反らしてスーツケースに収まる。むちゃくちゃ柔らかいやないですか。
イッくんが多華乃さんの肌を撫でる。ああ、また。
「あら♥」「まぁ♥」
嬉しそうな声を上げたのはウチでもれいらさんでもなく、三田先生と母ちゃんだった。
イッくんはにやりと笑うと蓋をぱたんと閉じた。
すかさずスーツケースを立てて起こす。
紙袋から縄束を出してスーツケースに巻きつけ、荷物みたいにきりきり縛った。
れいらさんがウチの耳元でささやいた。
「多華乃さん、頭下向き」
ホンマや!
あのポーズで逆立ち?
イッくんはスーツケースの後ろでステンレス棒を水平に構えた。
「前後の穴を一発で通すのが難しいんだ。・・練習の成果をご覧あれ」
息を整える。
いきなり穴に突き刺した。合図も何もしなかった。
反対側の穴から棒の先端が飛び出す。
すぐに引き抜き、別の穴に突き刺した。
抜いては刺してを何度も繰り返した。
むちゃくちゃ速かった。
今度はステンレス棒を6本、スーツケースの横に並べた。
まず1本を突き刺した。
すぐに次の1本を持って突き刺した。
立て続けに全部の棒を刺してしまった。
「・・おっと失礼」
テーブルにあった紙ナプキンで、一番下の棒の先端を拭いた。
ナプキンが血に染まったみたいに赤くなった。
ひょえー。
ウチらのイリュージョンより迫力ありまくり!
多華乃さんがどうなっているのか想像できなかった。
ぎちぎちに縄で縛ったスーツケースの中で、無理なポーズで逆立ちで。
「では助けてあげましょう。彼女が無事でいるかどうか心配です」
ステンレス棒を全部引き抜き、スーツケースの縄を解いた。
床に寝かせて蓋を開ける。
入ったときと同じポーズの多華乃さんが現れた。
ぐったりしているみたいやった。
イッくんが多華乃さんの背中に手を当てて起こした。
血!!
多華乃さんの胸と脇腹から真っ赤な血が流れていた。
ええ!!
まさか、大怪我!?
れいらさんも驚いて固まっている。
「・・ええっと、残念ながらイリュージョンは失敗したようです。妻は天国へ旅立ちました」
ガタ!
立ち上がったのは母ちゃんやった。
自分のナプキンを掴むと、二人に近づいて多華乃さんのお腹をごしごし擦った。
「ひ、・・きゃはははっ」
多華乃さんが身を捩って笑いだした。
「あーん、ごめんなさい!!」
「あんたら、やりすぎ! これ、ケチャップでしょ?」
母ちゃんが言う。母ちゃんの目も笑っていた。
「恐れ入りました」
イッくんが謝った。
「最後まで騙せると思ってたんですけど、さすがですね」
「昔よく使ったわ。匂いで分かるからお客さんと近いときは注意が必要なの」
「勉強になります」
19.
食事が済んで、三田先生がイッくんに聞いた。
「さっき、もし桧垣さんに見抜かれなかったらどうするつもりだったの?」
「そのときは蘇生措置をして生き返らせる予定でした」
「ウソ。スーツケースに入れて持って帰るって言ってたじゃない、イサオ」
「そっちの方がよかったかな?」
「そうね。私はまる1日詰められてもイサオのためなら耐えるわよ♥」
「多華乃ちゃん」「はい?」
三田先生がいきなり多華乃さんの頬を両手で挟んでディープキスをした。
「ん! んんん~っ!!」
「素敵よ、その心がけ。でも新婚だからってサービスしすぎると、彼、図に乗るわよ」
「はぁ、はぁ、・・はい」
「次は、」
三田先生が顔を向けたのは・・、ウチやった!
「一番頑張ってくれた梢ちゃん♥」
「は、はい」
ウチは顔を近づけてくる先生から逃げられなかった。
「本当に、一番お礼を言いたかったのはあなたなの」
「うわ♥」れいらさんの歓声が聞こえた。
「これからも、お願いね」
ちゅう。
マウスツーマウスでキスをされた。
女の人相手で快感やったというと変態みたいやけど、本当に気持ちよくてうっとりしてしまった。
ウチは皆が見ている前で60歳のおばちゃんにファーストキスを奪われたのだった。
・・それからウチは長いことイリュージョンの活動をすることになった。
イッくん夫妻とれいらさんにはまだ秘密があったけど、それを知るのはずっと先のことだった。
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~登場人物紹介~
桧垣梢(こずえ):14歳、中学2年生。一人称は『ウチ』。
桧垣湊(みなと):8歳、小学2年生。梢の弟。造形美術教室の生徒になる。
桧垣純生(すみお):46歳。梢と湊の母ちゃん。旧姓鈴木。
三田静子:60歳。小学生向け造形美術教室の指導者。嬉しいと誰が相手でもキスする癖がある。
玻名城(はなしろ)れいら:17歳、高校2年生。造形美術教室の卒業生で教室を手伝っている。
酒井功:25歳。造形美術教室の卒業生。趣味でイリュージョンをやっている。通称イッくん。
酒井多華乃(たかの):25歳。功の新妻。身体が柔らかい。
4年前に書いた 多華乃の彼氏 と 多華乃の彼氏2 での仕込みをようやく回収しました。
仕込みとは、造形美術教室の先生の名前を三田静子にしたこと、そしてイッくんが京都に行って人間くす玉をクレクレしたことです。
大抵の場合、回収方法はまったく考えずに執筆時のノリだけで仕込むので、そのまま放置で終わることも多いです。
今回はAIで作成したイリュージョン絵(=スーツケースに女の子が入って笑っている絵)が中学生のように見えたことから、この女の子を純生さんの娘にして仕込みを回収することにしました。
純生さんと三田先生のエピソード(純生さん中学3年生のとき)は『三田静子』をサイト検索すれば出てくるはずなので興味のある方はお読みになってください。
今回のイリュージョンは3つ。
イッくんのマンションでやった袋詰めからの脱出は、現実に演じることが可能と想定しています。
ただし、あの部屋(正確にはソファと隣接してキッチンがある)かつ観客が少人数でないとできないので、舞台で演じるには向きません。
袋の上から多華乃さんのボディを撫でまわすのは夫婦のイリュージョンだからできることですね。
梢ちゃんのスーツケースイリュージョンは、前記の通りスーツケースに入った女の子をAIに描かせたので、それなら剣を刺してしまえと考えたものです。
ダンボールの剣刺しはよく見かけるイリュージョンですが、スーツケースは珍しいかもしれません。
サーベル回避のギミックは、これならできそう?というものをイッくんに考えてもらいました。
刺すときと抜くときのタイミングの相違は作者のこだわりです。お読みの皆さまには面倒くさかったら申し訳ありません。
梢ちゃんのスーツケースで仕掛けを凝ったので、多華乃さんのスーツケースは一切ギミックなしの命がけです(笑)。
ダンボールよりはるかに狭いスーツケースの中、軟体ポーズでその上逆立ち。いったいどうやって6本のステンレス棒をすり抜けたのでしょうか?
最後に母ちゃんが止めたのは本当はルール違反です。
元プロだから分かっているはずですが、レストランで血まみれは悪乗りが過ぎましたね。
本話の最後で梢ちゃんの今後を示唆しました。
イッくん夫妻とれいらちゃんの秘密とは、もちろん 前話 で描いたあの趣味です。
梢ちゃんがどんなM少女に育って行くのか作者の私も楽しみです。
挿絵は今回もすべてAIで生成して一部手修正を施したものです。
一番うまくできたのはれいらちゃんのマジシャン姿。やはりAIは単純な立ちポーズなら簡単です。
ここのところAIに描かせた絵にストーリーをつける小説が続きましたが、次回以降はストーリーを先に考えて挿絵をつける従来の手順で進めたいと思います。
しばらく時間が開くと思いますが気長にお待ちください。
最後に小説ページの体裁について。
tumblr の入力エディタが更新され、従来の入力方法(HTML入力)が使いモノにならなくなりました。
大きな変化がないように努めていますが、一部違和感があるのはお許し下さい。
(例えば、後書き前の区切り線が引けない~泣)
それではまた。
ありがとうございました。
[Pixiv ページご案内]
こちら(Pixiv の小説ページ)に本話の掲載案内を載せました。
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「さっさと病院行け!バカ!」と優しさの裏返しの言葉で心配してるバブに唆され内科を受診した。お前は現代の陽成院か。綏子リスペクト。と、うた恋い。の話は置いといて。2週間以上慢性的な胃痛で段々と吐き気も追加されて流石にな、で結果はピルの副作用で胃痛と腹部膨満なのでは?という結果を貰った。フランクすぎる先生から、「ピルもストレスも諸々で腸にガスが溜まっちゃってそれで胃を押し上げて痛くなってるね」という結果と薬を処方してもらった。胃に問題なくてよかった。今週は全部ドタバタで忙しいけど、上司に許可得て就業時間前に行ける会社でよかった。前の会社の頃、多分2日とかしか有休を取っていなかった気がする。有休といえば3年前から12/23は休むようにしてる。平成の頃は休みだったから、なんとなくその日はオフにしてて、3年前は都内のある人の家で大学院の書類の不備やなんやかんやを電話で聞かされ慌てて行けることになったっけ。あの時はお世話になりました。一昨年はなんだっけ、って遡ったら女神と渋谷パルコで最果タヒの作品を見ていたし、去年は修士論文の要旨。充実してたな。論文で思い出したけど、火曜日に新規事業の研修があり、その中の質問で高齢者の見守りはどうするんだというものがあって、遥か昔のような記憶を引っ張り出して答えたけど、自分自身この自分が行なってきた研究が将来的に使えるのかって半信半疑に思ってたことと、そのアンサーに対しての講師の反応に、また違った目線から見れば化けるのではないか、と思えた。来週の打ち合わせまでに私は自分の研究のまとめを同じチームに提示して新たなる可能性を見出す課題が出た。最近、母からも父からも「お前はすごいことを成し遂げたんだ。自分をどうか犠牲にするな」と言われて泣いた。奨学金全額免除だよ?そら頑張ったよ、不正出血が出るくらい、毎日睡眠時間を減らして体重も減らして作り上げた論文が、研究が当たり前なものあるか。またもやぬるま湯に浸かってたなって思って初期の頃沢山思い描いてたものをなあなあとしてたので、いのちだいじに、の命令はもちろん、自分にしか成し遂げられないことに力を注ぐ。見ないふりをしてるのが1番よかったけど、頑張ってた分やっぱり信頼性や憧れられていたので、美しくて賢い私に出来る限り近づけていきたいな。私生活も徐々に。籠の鳥になるものか。私は自由でいることが1番輝く。
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Nintendo Switch「even if TEMPEST 宵闇にかく語りき魔女」クリアしました!
大好きなゲーム「ノルンノネット」のシナリオ・ディレクターを務めた潮さんの最新作ということで、発売前から楽しみにしてました。
DL専用ソフトなので発売日当日の夜にインストールし「プロローグだけやっとこ」と思ってるうちに朝までプレイ。わかっていたことだった…。
睡眠不足になりながら先日クリアし、興奮のままネタバレ感想言ってみよう。
ノルンの頃から発揮されていた、一見端正で落ち着いた文章なのに、的確に感情を貫く精密さ繊細さで「痛くてつらい境遇」をみっちり描かれたら、そりゃこっちの体力はもう0よ!
俗にいうドアマットヒロイン(元からいた環境や人間関係の中で虐げられている主人公)に属するんでしょうが、そういう物語分類以前にまず「虐待」の文字が浮かぶほど徹底した尊厳の奪取ぶりを端正な文章で描かれます。
誰がここまでやれといった……! いややっていいけど……!!
虐げられ続け、いわれなき罪で火刑に処し、一度は死んだ主人公が「魔女」の協力の元再び人生をやり直す……というところから始まる本作。「なぜ彼女はこんな運命をたどることになったのか?」というミステリーのような趣もあります。
また、本作のシステム的特徴でもある「魔女裁判」とは、作中エピソードで殺人を犯した人間を議論し民衆投票により見つけ出す、人狼ゲームのようなもの。
プレイヤーから見て犯人当てはさほど難しくないと思いますが、巧妙な選択肢やフラグ管理の妙、なにより「300人の投票権を持つ民衆に、犯人をあてるように誘導する」という構造上、うっかりすると顰蹙を買って結構あっさり失敗するので油断ならない…。
そんなスリリングな展開ばかりかとおもえば、プロローグを抜けると「騎士を目指す若き候補生の訓練生活」という非常にポップな展開も始まります。会話の軽妙さは楽しいし、なによりほんのちょっとした語尾や一言で、そのキャラクターにぐっと立体感が生じる腕前は、ノルンノネットからさらに洗練されているように感じました。
しかししかし、これもやはりノルンノネットからの引き続きと言いますか、「一見どれだけ穏やかで人がよさそうに見えても、ほんの少しの運命のかけ違いで誰しも凶行に走る」という人間観が、本作ではより手広く展開されているように感じました。その手前で散々楽しい生活を繰り広げているもんでショックもひとしお…。
そんな凶行を前に、突然の暴力に悲しんだり怒ったりするだけではなく、そこに至ってしまった人への慈しみと責任感、時に自らが手を染めて他者を死に至らしめる罪悪感……同じテーマなのにこんなにも様々な情動がわくものなのか、と毎回舌を巻いてしまいます。あと泣く。いろんな感情で泣く。
個人的に一番刺さったのは、主人公から見たエヴェリーナの理解しがたさ。エヴェリーナが他人に残酷になれる理由はいくつか示されていたけれど、知ったからって、本人に突き付けたからって何かの解決に至るわけではない……というどうしようもなさは、最初は恐怖、最後は「他者との相互理解の難しさ」を突き付けられているようで、ずっと重石のように残っています。
主人公の母親は、エヴェリーナという悪魔を主人公に仕向けたともいえるし、最大の理解者であるマヤも主人公に残してくれた……そう思うと、人のつながりとその影響の複雑さを思わずにはいられない。
その複雑さはイシュが語る「過去の人間たち」と同じものに思えます。彼が語るあの人物像は、決して他人を裏切るような人には思えないけれど、しかし凶行の事実はどうしようもなく立ちふさがっている。
そういった「他者のどうしようもない理解しがたさ」は、もしかするとイシュと主人公に共通した経験だったかもしれない。
ここにしかない輝きを持つ作品ですが、シナリオ面で難を上げるとすれば、いくつか作中で宙ぶらりんに感じる要素がありました。
特にエンダーの扱いはもう少し掘り下げてほしかった。エヴェリーナやコンラッドといった序盤では最悪最大の障害に思えた人物らが、主人公の成長によって恐ろしかった存在感がどんどん後退していくのは必然と思えますが、しかしエンダーが魔女たちや女神に近い存在なら、むしろあの最終決戦前後にこそ主人公との対決展開があっても良い存在なのでは…? とも。
意図した空白というよりは「ただぽかんと空いた穴」に思えて、隠し要素でもなにか説明があってもいいんじゃないかと思うくらい。でもたぶん? アルバム全部開けたけど?? ない? かな?? うーん。
あと、主人公たちが人々で何かとても根本的なすごいことをやらかしても、「メディア操作で封殺する」で処理するのは「あれだけやってそんなことできるう?」とちょっと強引に思えてしまったかも。
ゼンルートでみせた「その場に現れることができた理由」には、強引ながらにその強引さにこそ拍手喝采してしまったんだけども。
あとはクライオスとヒューゴの過去についても、もうちょい落とし前が欲しかったかなあ。
この辺はぜひ追加エピソードやファンディスク、他ノベライズコミカライズなどで補填してほしいところ。してほしいので出してください。
メインキャラクターとそのストーリーとしては、ルーシェンの章の序盤よかったな~。最初は自分も思わず「うわー思ってた以上になまっぽくヤバーい」と感心してしまいました。その時の彼も、彼の状況もよく考えたら決して「ほのぼの」なんかしてないはずなんですが、あそこの抜け感は何度読んでも好き。
それとルーシェンのバッドエンドで、頭では他人を傷つけることを考えながら迷わず身を投げるのも切なくて良かったですね。他キャラクターのバッド(悲恋)エンドでは、いうてそばには主人公がいるけど、彼だけは自分自身でその道を選ぶ。そういうところは「強く生きよう」と決めた時ときっと同じで。
ルーシェンは超常的なスペックや他とは違う生い立ちを理由に強くなったんじゃなくて、ただただ「決めて、努力する、実行する」という凡人の超人性によって強くなったというのが彼の良さだし、他にない魅力だと思いました。そういう彼だからこそ、悲惨な境遇でもどこか穏やかな日差しと、太陽のような頼りがいをふいに感じられるんじゃないでしょうか。
主人公がエヴェリーナの存在を克服したように、ルーシェンは兄たちの存在を最終的には大したことに思わなくなっていく(もしかしたら最初から思ってなかったのかもしれないが)というのも、興味深い鏡像関係でした。
あとマヤね! 主人公大好き同性キャラといえば乙女ゲームや少女マンガじゃよくあるポジションですけど、母のように姉のように導く姿だけでなく、時に主人公のために罪を犯し、時に理由も知らずにすべて引き受けて殺される姿には、「深い愛情」という言葉以上の何かがあったように思えて、言い尽くせない魅力があります。
主人公たちには恐ろしい境遇と苦難と理不尽が絶対降りかかっているし、脅かそうとする存在も不気味で理解し難い存在もいるけど、泣きたくなるくらい綺麗なものもあって、その美しさに支えられて人は生きている。
誰しも等しく狂暴で残虐な性質があるとして、自分のこの情動をどうやって管理するのか、そして他者と社会がもつ暗い情動とはどう付き合っていくのか、そんなこの世界でうまくやってくにはどうすれば? という問いかけとその答えが、儚く眩しく泣きたくなるくらい暖かい。
道中は主人公と一緒になって思い悩みもしたけれど、エンディングには「悪くない人生だったな」と一緒になって感慨にふける。本当に素晴らしいゲーム体験でした!
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