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#中国のグワダル港開発中止
ari0921 · 2 years
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和四年(2022)4月28日(木曜日)
    通巻第7314号
 ゲームチェンジから、もう一度、ゲームチェンジ
   中国人(孔子学院関係者)3名、カラチの自爆テロで死亡
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 グアダールからカラチへ。
 「これはゲームチェンジだ」とイムラン・カーン首相(当時)は叫んだ。
 中国がパキスタンのバロチスタン州グアダールに建設中だった近代港湾(事実上の中国の軍港で南シナ海→ハンバントタ港(スリランカ)→ジブチをつなぐ)は中国にとって、地政学からも戦略的要衝であり、習近平の目玉「一帯一路」(BRI)の命綱でもあった。
 CPEC(中国パキスタン経済回廊)に中国は620億ドルを注ぎ込んで、その完成を急いでいたが、突然『路線変更』し、グアダール開発は取りやめ、カラチに変更したのだ。
 当初はグアダール港というパキスタンを南西部から北東へ、さらに中国へと五つのラインを造営するという遠大なプロジェクトで、鉄道、ハイウェイ、光ファイバー網、原油パイプライン、ガスパイプラインを貫通させる。
 鉄道はレールを盗まれ、ガスは途中で抜き取られ、光ファイバーは寸断され、あげくにハイウェイでは強盗事件が頻発した。
 中国が悩まされたのはテロである。州都クエッタでは度重なる中国人殺害、拉致、誘拐、ついには大使の宿泊ホテルが爆弾テロに襲撃された(大使は不在だった)。
 もとよりバロチスンは英国が勝手に線引きしてパキスタン領土に編入したためであり、バロチスタンの住民はパキスタンへの帰属意識が薄い。国王は外国に亡命したままだ。
 テロ対策を厳重にとれとパキスタン政府に要請しても軍は士気が低いうえ、テロ集団と通じていたりする。とうとう中国はしびれを切らし、カラチへプロジェクト拠点を移行するとした。これがカーン首相の解任へと繋がった。
 地政学上のゲームチェンジが繰り返されたことになる。
 そして4月26日、カラチ大学の孔子学院で院長、講師、ボランティアら中国人三名とパキスタン人の運転手が自爆テロで吹き飛ばされた。自爆犯は女性だった。
BLA(バロチスタン解放軍)が犯行声明を出した。
 日本の公安調査庁によるBLA分析は次の通り。
 「BLAは,政府や「中国パキスタン経済回廊」(CPEC)構想を非難するとともに,バルチスタン州グワダル湾近郊で発生した道路作業員への銃撃事件(2017年5月)
等,治安当局,同州政府,インフラ等を標的とするテロを散発的に継続している。また,2018年11月には,BLAの自爆テロ専門部隊とされる「マジード殉教者旅団」が,パキスタン南部・シンド州カラチに所在する中国総領事館を襲撃(警察官2人死亡)した。同部隊の訓練施設は,アフガニスタンに所在するとされるほか,同襲撃を指揮したとされるアスラム・ファルーキー司令官は,同国南部・カンダハール州で,何者かによる自爆テロによって死亡(2018年12月)したとされる。
 BLAは,同様の目的でテロ活動を行う「バルチスタン解放戦線」(BLF)及び「バルチスタン共和軍」(BRA)と共闘関係にあるとされる。これらのバルーチ系武装組織は,2018年11月,連合体の「バルーチ・ラージ・アージョイ・サンガル」(BRAS)を組織した。2020年7月,BRASのバルーチ・ハーン広報担当が,「BRASと『シンド革命軍』(SRA)は,連携して共同戦線を立ち上げる」と発表するなど,シンド系過激組織と協力関係にあるとされる』(引用止め)。
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xf-2 · 5 years
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中国が推進するシルクロード経済圏構想「一帯一路」をめぐり、パキスタンやマレーシアなどの関係諸国でトラブルが噴出している。  重い債務負担に苦しむ国が相次いでおり、中国からの借り入れを「債務のわな」と警戒する動きが広がる。習近平国家主席の提唱から5年が過ぎ、地球規模の壮大な構想は曲がり角に差し掛かっている。  ◇中国の在外公館襲撃  「中国は土地の占領と資源の収奪を目指している」。パキスタン南部カラチにある中国総領事館が2018年11月、武装集団の襲撃を受け、パキスタン人警察官や市民ら4人が死亡。分離独立を唱えるバルチスタン州の過激派「バルチスタン解放軍(BLA)」が犯行声明で、中国を厳しく非難した。  中国の友好国であるパキスタンは「一帯一路プロジェクトの要衝」(北京の外交筋)と言われる。現在、中国西部とパキスタン南西部グワダル港を結ぶ中パ経済回廊(CPEC)の構築が進むが、襲撃が相次げば事業の遂行に影響が出かねない。  スリランカでは中国からの借り入れで港湾を整備した結果、返済不能に陥り、中国国有企業に99年間にも及ぶ運営権を譲渡。債務のわなにはまった典型例と言われた。モルディブでは、中国の資金で住宅開発などを進め、対中債務は国内総生産(GDP)の4分の1超に膨らんだとされる。  ◇地元にメリットなし  東南アジアでも混迷が拡大。マレーシアでは、中国の銀行融資などで建設する東海岸鉄道線計画をめぐり、「マレーシアに何のメリットもない」(マハティール首相)と見直しの動きが出ている。ただ、一方的に中止すれば中国側に多額の違約金を払う必要があり、対応を検討中だ。  中国は15年、日本との競争を制し、インドネシア・ジャワ島の高速鉄道建設を受注。だが、土地収用が順調に進まないことを理由に中国側が資金を出し渋り、今年5月の完成予定が少なくとも2年遅れとなっている。 
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ari0921 · 2 years
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月25日(金曜日)
     通巻7230号 <前日発行> 
 こんなタイミングにイムラン・カーン首相がモスクワ訪問。何故?
  カラチ → パンジャブ間1100キロのガスパイプライン建設へ
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 パキスタンの商都カラチから内陸部パンジャブへガスのパイプラインを建設する大プロジェクトは2021年5月28日にロシアとの間で署名し、いつ開始するかという最終の詰めが残っていた。
 全長1100キロ、年間124憶立方メートル(将来的には160憶まで引き揚げる)、総工費は15億ドルから35億ドルで、パキスタンが74%を負担し、ロシアが26%。 
 カラチは古くからアラビア諸国との交易で栄え、ここにサウジアラビアも石油精製施設を建設するプロジェクトが提示された。パキスタンは中国が開発してきたグアダル港のプロジェクトを事実上放棄した。
 パンジャブ地方にはイスラマバード、ラホールなど人口凋密地帯の電力をまかなう発電所があり、カラーからインダス河域をさかのぼってパイプラインが敷設される。
 ロシアの傘下企業は、西側の制裁を警戒してかガスプロムは加わらず、東方パイプライン、TMK、ロシア・エネルギー省等がコンソーシアムを結成する形式を取る。
 2月23日、ロシアはウクライナ東部に軍を派遣し軍事作戦にでた。世界がロシア制裁を叫ぶタイミングでパキスタンのイムラン・カーン首相の特別機はモスクワへ到着した。パキスタン首相のモスクワ訪問は1999年にシャリフ首相以来、23年ぶりである。
 
 両国関係は細い絆でしか結ばれていなかったのは、アフガニスタン戦争中にパキスタンが米軍の空軍基地を提供し、米国との関係を強めた所為で、またロシア国内には2500万人のムスリムがいる。したがってパキスタンは容易に西側のモスクワ制裁に同調できないのである。
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ari0921 · 6 years
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【紅い浸入 一帯一路の陰で(中)】 中国マネー「風の門」一変 パキスタンの商業港に巨額投資 パキスタン南西部グワダル港に着くと、アラビア海から強い南風が吹き付けてきた。グワダルが、地元バローチ語で「風の門」を意味するとされる理由だ。  この地は日ごろ、周辺の不安定な治安状況などを理由に外国人の立ち入りが規制されている。昨年12月、当局の特別な許可を得て入る機会を得た。  何世紀にもわたって小さな村にすぎなかったその景観は、中国の巨額マネーで一変しようとしていた。習近平政権が推進する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の戦略的要衝のひとつだからだ。  「ここに隠しているものは何もない。すべてを見てほしい」。地元港湾局のドスタイン・ジャマルディニ代表はこう説明した。  穏やかな漁村や市場の風景が広がる中、港付近には高さ20メートルほどの大きなクレーンがいくつも立ち並ぶ。中国語の看板に「中巴友誼」(中国とパキスタン友好)との文字も見えた。 ×   ×  中国は、西部の新疆ウイグル自治区カシュガルからグワダルに至る約3000キロに沿う地域を一帯一路のもとで「中国・パキスタン経済回廊」(CPEC)として開発支援し、中国からパキスタン全体に落ちるカネは、約600億ドル(6兆7000億円)といわれる。 「この1年半で港の風景が急速に変わったのは、中国からの投資のおかげだ。CPECによって、われわれは電力危機からも解放された」とジャマルディニ氏は断言した。今後は診療所や職業訓練センターも設けられ、「地元は大いに発展していく」という。  港側は“バラ色の未来”を強調する。ただし、今後の発展は未知数だ。整備対象となる海岸線51キロのうち、完成しているのは港のほんの一部の500メートルほどで、巨大クレーンも活発に稼働している様子は見受けられない。船の着岸も2週間に1度程度だという。  何より目に入るのは配備された警備員だ。地元バルチスタン州で続発するイスラム過激派などによるテロ事件を反映してか、全員が銃を抱えて周囲を警戒する。港に出入りする船も海上警備艇がほとんどだ。現状は活気よりも、ものものしさが漂う。  グワダル港側は一貫して「純粋に商業的な港」であることを強調している。  「グワダルに安全確保名目で中国軍が展開する可能性がある」(インドのPTI通信)、「中国はジブチに続き、グワダル港近くに海軍基地を建設する計画だ」(香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト)…。こうした報道が相次いでいることを念頭に置いた発言だ。  「ここに基地が造られるわけではない」。ジャマルディニ氏は語気を強めるが、既に2015年11月に中国国営企業が港中心部を約40年間管理する権利を獲得しており、パキスタン側の説明通りに推移するかどうかは不透明だ。  「パキスタンは中国に占領されようとしている」。地元記者はこう嘆息した。 ×   ×  グワダルの東に位置するパキスタン最大の商業都市カラチの環状鉄道も、中国の存在感を示している。かつては地元住民の足だったが、経営が悪化したため1999年に運行が停止。今や線路に近隣住民が不法に住み着いている。  日本の国際協力機構(JICA)が10年の工期で再建させる計画があり、調査まで行っていた。だが、最終的には昨年10月に中国が事業費2075億パキスタン・ルピー(2225億円)の大半を「中国・パキスタン経済回廊」(CPEC)の一部として支払うことで合意した。  「それについては、われわれは選択の余地はなかった。投資してくれるところが中国だったということだ」と地元シンド州のフサイン・シャー鉄道相は説明する。支援国が中国になった内幕は定かではないが、関係者は「シャリフ前政権時代に流れが変わった。(JICAが関わることに)中国から相当な横やりが入ったようだ」と明かす。 パキスタンを基点に中央アジアに伸長し、インド洋や中東、アフリカへの海の玄関口を得たい中国。CPECは、カシミール地方のパキスタンとインドの紛争地域も縦走し、インドをいらだたせる。中印は、カシミール地方の別の地域や印北東部アルナチャルプラデシュ州の領有権を争っている。対インドで蜜月にある中パのいっそうの連携は、核武装する3カ国の危険な“火薬庫”に火種を与えている。  地域で存在感を保ちたいインドは、グワダルに対抗するように昨年12月、イラン南東部チャバハルに5億ドル(約560億円)を投資して港を開いた。グワダルから距離にしてわずか100キロ。中央アジアへの物流活性化を狙っており、CPECに対抗する意図が透けてみえる。  日本も通関設備やコンテナ装置などで資金協力を行っており、周辺地域は安倍晋三首相が米印とともに推進する「自由で開かれたインド太平洋戦略」と中国が真正面からぶつかり合っている場所とも言える。  パキスタンのある研究者は、苦しげにこう話した。「本音で言えば中国は信用できない。投資の先にあるのは支配かもしれない。それでもインフラが立ち遅れたこの国に金を出してくれる。何がよく、どこに付くのが正解か誰にも分からない」
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