Tumgik
#キーン先生
methylmetaphisik · 7 months
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耳がキーンとする 耳なりってやつだ 耳から鳴っているのか、耳の外から聞こえるのか、いまの時間はよくわからない 自分の潔癖が広がって、最近はどんどん他人を嫌がるようになってきた それでも好きな人間に会う約束が今月あって、もしかしたら急に会えなくなるかもしれないけどそれまでにきちんと痩せておくとかきちんと身支度するとか、なんとなく計画できている 好きな人間はわたしのそういうのを知る由は無いだろうけど、19才の頃詩人だったわたしが君のことこの先100ねんは好きだ!!と思った気持ちを裏切らず、おとなしく年月は経っている。こうしてお茶すれば、来年くらいまでは気持ちが変わらずいられるんだけど、これもいつかは途切れてしまうんだろうか でも幸せは途切れながらもつづくってスピッツが言ってましたよね
30超えて書く詩だけが本物の詩なんだって聞いた 明日はまたひとりで新宿で酒が飲めれば飲みたい 自由に生きれるなら生きていたかった 自由っていうのはわたしにとって、勝手に人を好きになること、異常なくらい好きになる気持ちのこと 異常に好きって気持ちを持ち続けたい 人そのものを好きになるって、許し続けられるってこと 好きな人も、多分わたしのこと許し続けてくれている それは愛情じゃなくても、わたしの人生を労わってくれる 詩はつづく
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hachikenyakaiwai · 11 months
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【かいわいの時】昭和二十年(1945)6月7日:第3次大阪大空襲。死者2759人、被災者19万9105人(大阪市史編纂所「今日は何の日」)
昭和二十年六月七日(一九四五年)午前十時十五分、生江地区の人々の悲劇の日がやってきた。サイパンを飛びたった三百機にのぼるB29アメリカ空軍爆撃機の大阪最後の空襲であった。早朝より敵の来襲を知らせる警報のサイレンが不気味な音を響かせ、初夏の空に鳴りわたる。遠くで爆弾が炸裂するのがドドーンと地面を叩くのか、抉るのか、鈍く重い音が足もとから伝わってくる。まもなく雲間に数機の爆音が聞こえてくる。何事もなかったように、白い飛行雲を残し、次から次へと生江の上空を北に向かって飛び去っていく。誰れかが大声で「逃げろ…」と叫けぶつかの間、キーンと耳を抉る金属音が頭上より背筋を通し伝わった。その瞬間、ものすごい炸裂と地響が起こる。人々は地面に叩きつけられ声もない。家屋はそのまま空中に舞いあげられ、粉々に飛び散り落ちる。真黒い煙が竜巻のように舞い上がり火の粉が散る。なおも空から容赦なく爆弾が不気味な金属音をたてながら黒く白く光りながら雨の如く落ちてくる。ここかしこで火の手があがる。真っ赤に空を焦がす熱気が突風を呼び、その風の物凄さ、猛り狂う炎の色、白昼を暗黒化にし生江地区を残し、つつみこむように周辺は火の海となった。火の粉は地区内に落ちてくる炎と煙に追いたてられ何千人もの人々がぞくぞくと城北公園めがけて着のみ着のまま泣き叫び、転びながら逃げてくる。それを待ち受けていたかのように戦闘機数機が黒煙の中より現われ、淀川土堤すれすれに飛び交い、避難してくる人々めがけて機銃弾を浴びせ殺したのである。
ある者は土堤や池の端、木の繁み、ある者は園道にうづくまり、頭をぶち抜かれ、足をもぎとられ、腹を抉られ、顔をとばされ、その肉片からしたたり落ちる血で大地を染め、乳呑み子から老若男女が水をもとめて這いづりまわり息たえる者、母と子がしっかりと抱き合い身動きもしない。髪をふりみだし「雲が燃えている」と泣き叫けぶ女の子、恐しさにお経を口ずさむ老人、爆弾の雨が音をたてながら木々をゆさぶり、人々に襲いかかる。炎が黒雲を呼び、雨を呼び、地獄絵図が数時間も続いて終った。遺体は常宣寺に運ばれたが、足の踏み場もないぐらい本堂にも庭にも並べられ、収容できずにそのまま外に数日間放置されていた人々もあった。地区内の家々から帰らぬ我が子、父母の名を呼ぶ悲しみの声が幾日も続いた。遺体は淀川土堤に運ばれ、油をぶっかけられ火葬にされ、その煙が夜も昼も休みなく何日も続いたのである。戦争に駆り出され散っていった我々の親兄弟、家を守った母と子の尊い命が奪われていった……。
そして三十三年の歳月が流れ、今我々が生きていることを喜び合い、また戦争を知らない若い世代に何んの意味ももたない戦争という悲劇をくり返さないための手がかりを我々の手で残さなければならない。また我々の先輩が部落解放とすべての人民の解放を叫び、多くの血を流し、闘い続けた運動の歴史を受け継ぎ、平和と人権尊重の精神を守り続けるため、真実を教え、真実を語り、真実を伝え、この惨劇の歴史と、ここに刻みこまれた犠牲者とともに永久に銘記するものである。一九七七年十一月二十五日 文 伊藤辰夫(平和観音「碑文」より)。
(写真)式典の準備が整った平和観音(=2023年6月7日午前9時1分撮影)
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rinna5021 · 1 month
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鳥山明先生追悼イラスト
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鳥山明先生がご逝去されました。68歳でした。
私は「アラレちゃん」を見て育ち、子供のころ、アラレちゃんの「キーン」をよく真似て遊んでいました。
しばらくして、「ドラゴンボール」の連載が始まり、アニメは毎週、欠かさず見ていました。悟空がどんな冒険をするのか、毎週ワクワクして見ていたものです。
私は小2から眼鏡をかけていたので、子供のころのあだ名は「アラレちゃん」でした。私にとって、アラレちゃんは永遠の存在です。
そしてドラクエシリーズと出会い、鳥山先生の描くモンスターに毎回、心躍らせながら冒険したものです。
あんまりです。あまりに早すぎ���す。まだまだやることはたくさんあったはずです。
私を含め、こんなに大勢のファンを置いて逝ってしまうなんて、あんまりです。
つらいですが、花束の代わりです。どうか、ごゆっくりお休みください。
2024.3.11
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harawata44 · 1 month
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鳥山明さんが死去、68歳「ドラゴンボール」など日本を代表する漫画家 (2024年3月8日掲載) - ライブドアニュース
関連:
鳥山明さんが死去:ニュースまとめ - ライブドアニュース
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以下引用
「Dr.スランプ」「ドラゴンボール」など、日本を代表する少年漫画の第一人者として知られる、漫画家の鳥山明さん(とりやま・あきら=本名同じ)が、3月1日に亡くなった。68歳だった。連載していた「週刊少年ジャンプ」(集英社)の公式サイトで8日、発表された。 また、鳥山さんの事務所「バード・スタジオ」と、作品の総合プロデュースを担当する「カプセルコーポレーション・トーキョー」のコメントを紹介し、その中で、鳥山さんの死因が急性硬膜下血腫だったことを明らかにした。 「週刊少年ジャンプ」編集部は 「ジャンプ誌上でたくさんの作品を発表された鳥山明先生が逝去されました。突然の訃報に、集英社・編集部一同大きな悲しみに包まれております。『Dr.スランプ』『DRAGON BALL』『SAND LAND』...先生が描かれた漫画は、国境を越え世界中で読まれ、愛されてきました。また、先生が生み出された魅力あふれるキャラクターたちと、その圧倒的なデザインセンスは、数多くの漫画家・クリエイターに大きな影響を与えてきました。先生の偉大なご功績を讃え、感謝の意を表するとともに、謹んでご冥福をお祈り申し上げます」 と追悼のコメントを発表。さらに株式会社バード・スタジオと株式会社カプセルコーポレーション・トーキョーのコメントも紹介。 「ファン、関係者の皆さまへ 突然のご報告になりますが、漫画家・鳥山明は2024年3月1日、急性硬膜下血腫により永眠しました。68歳でした。熱心に取り掛かっていた仕事もたくさんあり、まだまだ成し遂げたいこともあったはずで、残念でなりません。ただ、故人は漫画家としていくつもの作品を世に残して参りました。多くの世界中の方々に支持していただき、45年以上にわたる創作活動を続けることができました。 これからも鳥山明唯一無二の作品世界が、末長く皆様に愛され続けることを切に願います。生前のご厚誼に深く感謝し、ここに謹んでお知らせいたします」 既に葬儀は近親者のみで執り行ったという。 「なお、葬儀は近親者のみにて執り行いました。静謐を望む本人の意向により、ご弔問・ご香典・ご供物・ご献花その他はご辞退申し上げます。家族への取材等につきましてもお控えいただけますよう、ここにお願い申し上げます。今後のお別れの会等については未定ですので、決まり次第お知らせいたします。何卒ご理解を賜りますようよろしくお願いいたします」 とお別れ会に関しては未定とした。 鳥山さんは1955年(昭30)4月5日、愛知県清須市に生まれ、23歳から漫画を描き始めた。「週刊少年ジャンプ」(集英社)の新人賞にあたる「月例ヤングジャンプ賞」投稿を機に、78年に読み切り作品「ワンダーアイランド」で漫画家デビューした。 1980年(昭55)から「Dr.スランプ」の連載を開始。かわいい見た目とは裏腹に怪力を持つ主人公のロボット則巻アラレと、アラレの製作者の博士・則巻千兵衛やガッちゃんら個性的なキャラクター、ストーリーで人気を獲得。翌81年には「Dr.スランプ アラレちゃん」としてテレビアニメ化された。走る時のかけ声「キーン」やあいさつの「んちゃ」など「アラレ語」も流行語となった。 84年5月「Dr.スランプ」の連載を終了すると、同年11月からは同誌で「ドラゴンボール」の連載をスタート。初期は少年の孫悟空が、7つ集めるとどんな願いも叶える神龍(シェンロン)を呼び出す「ドラゴンボール」を探す冒険に出るストーリー。ここでもヒロインのブルマや仲間のクリリン、ヤムチャら人気キャラクターを次々と誕生させ、悟空と仲間の冒険や戦い、友情を描いた同作は、テレビアニメや映画作品も多数作られ、世界的人気を得て累計2億6000万部を突破し「Dr.スランプ」を超えるヒットとなった。 また、人気ゲームシリーズ「ドラゴンクエスト」のキャラクターデザインも、1986年(昭61)5月27日発売の第1作から手がけ「スライム」などの人気キャラクターを生み出した。 鳥山さんは、都内で4日に開かれた、自身の漫画をメディアミックス展開する企画「SAND LAND Project発表会」に、描き下ろしイラストを寄せていた。同プロジェクトは、2000年(平12)にコミックス1巻で展開し、23年にアニメ映画化もされた「SAND LAND」の、その先を描いたゲーム、シリーズ版アニメを展開。鳥山さんは 「僕は連載していた『ドラゴンボール』というやや派手な作品の反動もあって、短編や読み切りはどれも、好みである小さな世界とゆるいヒーローのなんでもない地味で平和な話ばかりを描いてきました。『SAND LAND』も基本的にそんな内容ですが、さすがにこれではアクション作品として厳しいと思われたのか、アニメスタッフの皆さんには、いろいろ派手な仕掛けをプラスして演出に重厚感を加えていただきました。(中略)僕は新キャラである天使のムニエルの設定とデザイン、アンなどのデザイン、エピソードなどを提案させていただき、続編が完成しました。地味好きな僕では実現しなかったであろうドラマチックな展開は新鮮な驚きで、新たな世界観と迫力あるアクションを楽しんでいただけることでしょう。ベルゼブブ、ラオ、シーフの3人の新たな大冒険と新登場のキャラ達との出会い。恐ろしいエネルギー『アクアニウム』を巡るワクワクドキドキの物語を楽しんで、じっくりと平和を感じていただければ本当に最高です。鳥山明」 などとコメントを発表していた。
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hatohonoka · 7 months
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不夜城が如くネオン煌めく繁華街。煌びやかな様子とは裏腹に、一歩道を外れれば影色濃く腐臭漂う裏道へたどり着く。
男は一心不乱に走り続ける。何故自分が追われているのか皆目見当がつかない。ただちょっと扇動されて、「小包」を公園に置いただけ。最近思い当たる節と言えばその程度。たかだかその程度しか思いつかない。俺のせいじゃない、悪いのはあいつだ!
足がもつれ、運悪くごみ溜めにダイブする。走り続けた足は疲労でだるく、絶え絶えの息は腐臭を吸い込みむせる。
追跡者の影が、煌めく繁華街への出口を背におもむろに得物を取り出す。人生の終点に突っ込んでしまった男は喚き散らし、笑う膝で懸命にもがく。カチリと音がする。
男の顔に落ちた通りからさす光が、追跡者の姿で陰る。
男が最期に見たのは、銃を突きつける少女だった。
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ー入学ー
横浜駅。世界でも5本の指に入るとか入らないとか言われてる程の駅。掲示板と手元の地図とを眺め続けてどれくらいたっただろうか。完全に迷子である。
わたし望月愛衣は齢12…もうすぐ13だが、冷や汗出るほどに迷子になったのはいつぶりだろうか。フィーリングで目的地を目指しても今までなんとかなっていただけに地図の見方すら分からない。完全な詰み。
「うわぁ、ちょっとまずいかも…」
もしかしてなんか試験的なものなのだろうか?入口を探し当てられなければ入学すら認められないとか
そんなはずない、こんなにウェルカムな入学式の案内を送り付けておいて試験なわけが無い。てかこの地図分かりにくい、簡略化しすぎでほぼ一本道しか書いてない。
途方に暮れても仕方がない、目印のお店を探し当てるしかなさそうだ。などと再起したのはこれで3度目ぐらいか
そろそろ足が疲れてきた。近くにあったベンチに腰掛ける。
行き交う雑踏を探しても、自分と同じような制服を着た子は見当たらない。平日の昼間だというのにどこから湧いて出てくるのか分からないぐらいには人が行き交っている。
仕事に行く人だろうか、あの人は観光?あの子たちはショッピングかな?
平和そのものである。よきことよきこと。こんな日常に一人立ちしたいが為に施設から『孤児院』という学校施設がある横浜まで来たっていうのに、入学出来ませんでした〜で帰るのは格好が悪すぎる。
「どうしたもんかぁ〜」
背もたれに仰々しく身を預け伸びをする。
「どうしたの?」
見上げた先、顔を覗き込む女の子、いや見た感じ年上のお姉さんがいた。落ち着いた雰囲気、これが大人びたという表現でいいのか分からないけども。まじまじと見られている。いや、顔近。まつ毛なが。
また着慣れた感じにわたしと同じ白の制服を身にまとっている。ということは
「助かったぁ、やっと同じ制服着てる人見つかったぁ」
上級生であろう彼女がふふっと笑う。上品だ。
「きみ、新入生?駅迷いやすいよね。私もよく迷う。今もそう」
上級生でも迷うってんだ、じゃあ新入生のわたしなんかたどり着くつけないわけだ…って
「ちょっと待ってください?今も迷ってるんです?」
キョトンとした彼女は短く「そう」とだけ返した。
あぁ、完全に終了のお知らせってやつだ。
​───────​───────​───────
と、まあ入学式の会場にはなんとか間に合ったというわけで。
あの後、彼女の寮の同室の方が怒りながら迎えに来たおかげで『孤児院』の施設、更には会場にまでたどり着けたって訳だ。
別れ際、頑張ってねと言われたが入学式に何を頑張るのだろう。長時間椅子座り耐久があるという事だろうか?
純白の制服の群れが体育館のような会場に集まっている。水銀灯が照らす会場はやや薄暗く、傍から見たらお嬢様学校もかくやあらむだろうか。近くの椅子に腰をかける。
ざっと見渡して自分含め100人?ぐらい居るだろうか。規則正しく等間隔に机付きの椅子に座って近くの子達同士でソワソワと話し合っている。
さらに数人、様子を伺っているのかコンクリ打ちっぱなしの壁際でたむろしている。
どのグループに混ざろうか吟味でもしているのだろう。当たり前だ、ここにいる子達はわたし含め孤児。12,3歳の子達が集められている。
『孤児院』からの招待状を配られた子達だ。今つるむ相手を見誤れば今後どうなるかわかったもんじゃない。
…というかみんな迷わず来れたんだね、どうやらわたしが一番最後の到着だった様だ。出入口の扉が施錠される音がした。
「どもども、隣いい?」
活発そうな、ショートヘアの子に声をかけられる。バスケとかやってそう、女子にモテる女子だ。
「あ、どうぞ」
断る理由もなく、快諾。
「あたし幸 亜里沙、ちょっとギャグっぽい名前でしょ?亜里沙って呼んでいいよ、あなたは?」
「自分で言っちゃうんだ…望月愛衣よろしくね」
「ねぇ!愛衣はどこから来たの?あたし青森から来たんだけど横浜駅めっちゃ人いすぎじゃね〜?」
ガハハと言わんばかりにはしゃいでいる。てかいきなり名前呼びか、カルチャーショックを受ける。
「おかげで人酔いしちゃったよ。わたしは埼玉から」
「埼玉か!うん、埼玉。埼玉って何があるの?」
この話題はあまり広げない方が良さそうだ。
ふと、椅子の下に箱が置いてあるのに気付く。ちらっと足元を見ると自分の椅子の下にも箱がある。
「あ、っと〜。あれ?亜里沙その足元にある箱って?」
これでも緊張していたのか、今まで気付かなかったそれを手に取る。30cm四方の箱。シルバーのケース?ジュラルミンでできた箱には開けられそうな蓋が付いているが鍵がかかっていてビクともしない。持った感じずしりと重みを感じる。他の子も箱に気付いたのか各々手に取っている。
「なにこれ?新入生へのプレゼント的な?」
中身を確かめるように亜里沙が箱を振る。蓋と本体がカタカタと鳴る以外、中から音はしない。
キーンとマイクがハウる音が響く。ありがちな。
「失礼。諸君着席を」
正面の壇上、舞台袖からツカツカと長く綺麗な黒髪に鋭い目つき真っ黒なスーツを来た大人の女の人が現れた。マイクはインカム型なのだろうか、手には鎖のようなものを持っている。その鎖の先、遅れて舞台袖から現れたのは、手錠をはめられ目隠し、さらにヘッドホンで耳栓までされたツナギの男の人が引っ張られて現れた。
会場がどよめく、これが大人の世界なのだろうか?
「静粛に。この男の説明については後ほど。まずはようこそ『孤児院』へ。諸君らはここで一般常識から外れた存在になっていただく。座席の下にケースがある、確認がまだの者は早急に確認を。」
会場が不安げにざわめく。
「もしかしてコロシアイさせられちゃう?なんちって」
亜里沙が冗談めかしく囁く。
「そんな訳ないでしょうに、映画の見すぎ」
「これよりケースの電子ロックを解除する。各自内容物を確認するように。中身の取り出しは指示があるまで待つように、ケースは落とさぬように」
『先生』?が軽く手を挙げ合図の様な仕草をする。
ガチャリ!会場に電子ロックが解錠された音が響く。
わたしの手元の箱も、大きな音をたてた。
亜里沙と顔を見合わせる。互いに箱の中身を確認する。
恐る恐る、ケースの蓋を開ける。ビクともしなかった蓋がすんなりと開く。
中には、拳銃が収められていた。
「これから諸君らとその銃は一心同体。我々の必需品となる。紛失、破損のないようしっかりと整備すること。」
「どういうことだてめぇ!ふざけるのも大概にしろ!」
前の方に座っていた如何にも不良な感じの子が、銃を手に壇上へ飛び上がる。
「席へ戻りなさい」
「うるせぇ!なんだこれはよぉ?映画の撮影かぁ?あぁ?いいからさっさとセンコーをだせやセンコーをよォ!」
不良生徒が『先生』?へ銃を突きつける。
あまりにも血気盛んすぎる。怖くないのだろうか?万が一これが本物の銃であったら、まずいのではないか?舞台まで止めに入る?いやこの距離じゃ間に合わないか?
マイクがハァとため息を拾う。
「なんだてめぇなにk」
ズダン!
あれは柔術?だろうか、綺麗な動作で『先生』?は不良生徒を床に叩きつけ、同時に銃まで奪ってしまっていた。不良生徒はぴくりとも動かない。気絶でもしたのだろうか?
「今年は血の気が多いですねぇ…静粛に。まだ説明の途中です。」
何事も無かったかのように説明を続け始めた。
やっぱり映画の撮影なんじゃ…?逃げるか?亜里沙だけでも連れ出せそうだけど、他の子は?唖然としてる。出口は一つだけ?会場がざわめき始める。何人かが立ち上がり
パンッ
会場に破裂音がこだまする。遅れて悲鳴。
壇上。男が倒れる。壁に赤が跳ねる。
「いいでしょう、もう面倒だ。この方が効率がいい。そこ!席を離れるな!ったく面倒臭い!」
逃げ出そうとする生徒を一蹴する。
「いいですか?聞いてください。説明します。この男は今日死刑執行の死刑囚です。国家転覆を企て捕まった犯罪者だ。今日から君たちは国家に仇なす犯罪者どもを消し去る存在になってもらいます人事担当がどう説明したかは分かりませんがつまるところ公務員になりますただ公には姿は見せずあくまでも影としてこの国を支えてもらいますそのための『孤児院』でありそのための場所になります​───────​」
おそらく決まっていただろう口上をめちゃくちゃ早口で垂れ流している。その間、どうすることも出来なくなってしまった会場は、すすり泣く声が聞こえ始めていた。あの男は本当に死んでしまったのだろうか?遠くからでははっきりとは分からない、前の方では吐いてる子も居る。ってことはやはりそうなのだろう。
「亜里沙?大丈夫です?」
ちらっと隣の亜里沙を確認すると、泣きはしてはいないが血の気が引いた顔でケースを抱え固まっている。
「…えっ、えぇ。あぁうん。だ、大丈夫。じゃないよ。愛衣は?逃げる?」
「いえ、下手に動くよりあの先生?の指示に従ってた方がいいかも。立ち向かったりしなければ問題なさそうだし」
落ち着かせようと話しかけるが反応が鈍い。大丈夫じゃなさそうだ。かと言って逃げ出せそうにもない。『先生』?の話は聞かざるを得ない。
「​───────​─ということです。ふぅ、諸君落ち着きましたか?よろしい。では、諸君。その銃で隣の人を撃ってください。」
つづく
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rodeoanswer · 10 months
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LINEN SHIRT
RODEO/ANSWER です
いつもインスタグラムからの連携投稿で、まともにブログを更新しておらず「なかなかつまらないブログ」になっておりました
一応 ブログあったんですよ・・・
商品のご紹介以外にも、竹ノ塚テイストを含んだネタや、もちろん気になるアパレル事情等もなるべく継続的に投稿できればと思います
RODEO/ANSWER は1960年代〜先代が上野で商売を始め→足立区江北において米軍のサープラス・ウェアーの専門として卸売を開業→1971年にはここ足立区竹の塚に移転し「ジーンズショップロデオ」として、以来52年ほど営業を続けております
詳しくは会社概要を
昔からご来店くださっているお客様や、もちろんご新規のお客様にも支えていただき、ここまでなんとか続けることが出来ております
以前ほど多くのアイテムを取り扱うことが難しくなってはおりますが、ぜひ、お近くにお越しの際はお立ち寄りください
前置きが長くなりました
では本日のアイテムはこちらです
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spell bound スペルバウンド のリネンキャンバス7分丈 BIGポケットシャツ
まだウェブに掲載しておりませんが、本日撮影済みですので少しお待ち下さい
174センチ52キロ
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カラーは ブルーとグリーンの2色です
昨年、このシリーズの生成り(クリーム色っぽい)を扱っていましたが、今シーズンはもう少し元気な色がいいかな〜と、こちらのお色をセレクト
リネンは白とか生成りとかベージュは、まぁ定番ですが、特にこちらのパキッとしたブルーはナチュラル過ぎず、クールなイメージでいいのかなと思います
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 グリーン、、、、こんな感じでネービーのパンツと相性抜群ですね
足下はキーンのニューポートですが、もう少しキレイめにしたいならモカシン
やレザーのスリッポンなどもいいでしょうね
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開放感のあるスタンドカラーで、スッキリした印��ですね
胸のポケットはあえてビッグポケットです
シルエットがかなり余裕のあるタイプなので、意外にポケットの大きさはきに
なりませんよ
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袖まくりしておりますが、こちらはそもそも七部袖仕様となります
Tシャツの上からサラッと羽織っても良い感じではないでしょうか
個人的にはスタンドカラーのシャツを羽織ってる方、、イイですね、、
好みです
着丈はチョイ長めです
174センチ52キロの やせ形モデル N氏 が着用してこんな感じです 
素材は高品質なミドルオンスのリネン100%素材
コシ感がありリネン独特の風通しの良さと、風合いをお楽しみいただけます
意外にもソフトな肌触り!
店頭では販売中
サイズ M   /    L    ¥18700(税込)
[SPELLBOUND / スペルバウンド] 
岡山を拠点に、厳しい品質管理のもと、児島・さぬき市の国産工場で縫製しています。児島の洗い工場で加工を施した製品は肌馴染みの良い生地感に仕上がり、はき込むほどに独特の風合いを生み、長く味わっていただける商品となります。「デニム」・「ワーク」・「ミリタリー」といったカジュアル服の普遍的なキーワードをイメージソースに、ベーシックでありながら程良く時代と寄り添ったデイリーウェアーを提案します。
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今週の入手本(0429-0505)
『ぼっち死の館』(齋藤なずな著/小学館ビッグコミックスフロントライン)
『半身棺桶』(山田風太郎著/荒山徹解説/カバーデザイン:下田法晴/ちくま文庫)
『とりぱん 31巻』(とりのなん子著/講談社/電子書籍)
『40歳だけど大人になりたい』(王谷晶著/デザイン:アルビレオ/平凡社/Kindle版)
『猫の耳の秋風』(内田百閒著/装画:前川千帆/六興出版)
『サイノフォン1 華語文学の新しい風』(王徳威、高嘉謙、黄英哲、張錦忠、及川茜、濱田麻矢編/白先勇、ダデラヴァン・イバウ、西西、朱天心、宋沢莱、張貴興、李娟、駱以軍、林俊頴、李永平、ハ・ジン、厳歌苓、楊顕恵、ワリス・ノカン、廖偉棠、陳大為、劉慈欣著/小笠原淳、津守陽、濱田麻矢、松浦恆雄、三須祐介、及川茜、白井重範、田村容子訳/濱田麻矢解説/装画:馬尼尼為/装幀:天野昌樹/白水社)
『対談シリーズ 嘘がつけない人 対談と掌篇』(小山田浩子+大竹昭子著/装幀:横山雄+大橋悠治(BOOTLEG)/装画:Philippe Weisbecker/ロゴデザイン:宮地美華子(古書ほうろう)/カタリココ文庫)
『美少年』(団鬼六著/装幀:宇野亜喜良/新潮社)
『エッセイ 比較言語学における統計的研究法の可能性について』(寺田寅彦著/田畑書店ポケットアンソロジー)
『詩歌 宮崎智之セレクト 中原中也名詩選 中原中也』(中原中也著/宮崎智之選/田畑書店ポケットアンソロジー)
『中銀カプセルタワービル 最後の記録』(中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト編/装幀:上清涼太/草思社)
『同潤会 大塚女子アパートメントハウスが語る』(女性とすまい研究会編/小川信子、村上美奈子、渡邉喜代美、小谷部育子、寺本晰子、宮本伸子、中村直美著/装丁:市川美野里/ドメス出版)
『フェルメールのカメラ 光と空間の謎を解く』(フィリップ・ステッドマン著/鈴木光太郎訳/装幀:虎尾隆/新曜社)
『汚穢と禁忌』(メアリ・ダグラス著/塚本利明訳/中沢新一解説/カバーデザイン:間村俊一/カバー写真:鬼海弘雄/ちくま学芸文庫)
『カンガルー・ノート』(安部公房著/『カンガルー・ノート』再読:ドナルド・キーン/写真:安部公房/装幀:近藤一弥/新潮文庫)
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habuku-kokoro · 1 year
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能楽堂舞台に、新たな地平を視る 稲坂良比呂
<劇評>
能楽堂舞台に、新たな地平を視る
稲坂良比呂(劇作家・香文化研究家・省心会メンバー)
  ひとつの文学作品、描き出された真の心、生み出したひとりの作家_________その世界を読み取り読み取り、脳内いっぱいの情報を、削ぎ、省き、研ぎ、舞台に形象化する。それが創造を重ねてきた「ひとり文芸ミュージカル」。シンプルである故に余白あり、その余白に、観る者の心が自由に入りこめますことを。
 8月1日、東京銀座の夏の宵、観世能楽堂で初演成った『紫式部ー雲隠れー』は、憂き世情下、能楽堂1/3のみを客席とし、全席招待客のみの一回限りの公演でした。この時発信され、この空間に満ちたものは、何か?
 この舞台から見えるものは、まだ未完成かもしれませんが、新しい地平を拓こうとする創り手の、思いの力が熱量となって能楽堂に響いていました。
観客の心には、どのような響きだったのでしょうか?
それは、十人十色、百人百様であれば幸いです。この舞台は、紫式部と『源氏物語』を見つめ、気づき、翔び、削ぎ省き研いでみた形。つまり象徴とその余白です。その余白に、それぞれの感応をいただければ幸いです。
 『源氏物語』と紫式部、まずは一般的知識をお持ちの方、イメージはあっても本当は知らないという方、逆にご自身の『源氏物語』と紫式部像をお持ちの方と、お客様の数だけ、それぞれの言葉をいただける舞台でありたい、と思います。そして紫式部と『源氏物語』を、自分の言葉で語る人が、一人また一人と、増えて行くことを願うものです。
 私自身の体験から少々______40年前(1982年10月)、ニューヨークの国連本部(大ホール舞台)で、日本の伝統芸道「香道」が、初めての世界へ向けて、実演紹介。私はその構成・演出を担当。演目は『源氏物語』54帖を5種の香木の香りで設定する「源氏香」。言語、文化も異なる各国の人々から大きな反響を得、全米に報道。そして米国各大学への「源氏香」巡演へ。まず、NYはコロンビア大学。迎えてくれたのは、ドナルド・キーン教授。米国における日本文学研究の第一人者の、熱い『源氏物語』と紫式部愛に圧倒されました。西海岸、UCLAでは、ハンス・ベアワルド教授、谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』と『源氏物語』こそ、世界が感嘆する日本人の美意識そのものであると、熱く語りました。現代、世界各所に紫式部を深く敬愛する研究者たちが数多くいます。
1941年、NYのタイムズスクエアの古書店で偶然手にした一冊の本で、一人のコロンビア大学の学生の人生が変わりました。本は、『源氏物語』、学生の名は、ドナルド・キーン。晩年、日本に帰化し、文化勲章も授賞。
    紫式部から850年の空白を経て明治、二人の女性が魂の作を世に放ちます。歌の与謝野晶子(『源氏物語』の後継者でもある)と、小説の樋口一葉。紫式部の13年余に比し、一葉の僅か
13ヶ月の作家生活での早世も哀しい。『紫式部ー雲隠れー』この能楽堂舞台の余白に、晶子と 一葉の姿も浮かぶようです。
 この先『紫式部ー雲隠れー』は、色々な思いや、気づきが受け取れる舞台となりますように。 8月1日の観世能楽堂は、その第一歩の舞台であったと思います。
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takahata-kodomoen · 1 year
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2月1日  ⛄飯豊少年自然の家   、スノーチューブ滑り⛄
天気は快晴、キーンと冷えた空気がとっても気落ち良い朝。飯豊少年自然の家に向けて出発! いつもの園外保育よりも長ーい、約40分のドライブ🚎
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到着、初めて来たお友だちがほとんどでドキドキワクワク♪
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出会いの集い。自然の家の先生から、スノーチューブのお約束を教わります
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おしりと足をあげて乗りましょう♪
さぁ!出発、ゲレンデまで歩きます。
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スピード満点 スリル満点
ちょっぴり怖い子も、勇気を振り絞って挑戦しました。
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滑り終わったら、歩いて登ります。多い子は5~6回も上りました。すごい体力ですね。
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ちょっぴり怖い子は、先生と一緒に♪ 全員チャレンジ成功♪
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おなかすいたぁ~
メニューは、シチュー、ナゲット、ポテト、ご飯、イチゴクレープ、ココア
たくさん体を動かしたからとってもおいしかったね
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別れの集い
一日ありがとうございました!
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帰りのバスはぐっすり休みました。
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お家でゆっくり休んでくださいね
着替え等の準備ありがとうございました。
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oniwastagram · 1 year
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📸Genji Kyoto / 源氏京都 “浮舟の庭”③ 京都市・河原町五条に2022年新たに誕生したブティックホテル『Genji Kyoto』の庭園“浮舟の庭”が素敵…! 海外出身の日本庭園作庭家の先駆者・Marc P. Keane(マーク・ピーター・キーン)。氏のコンテンポラリーな枯山水庭園が遂に日本/京都に登場…。鴨川&東山が目の前の屋上庭園も!【宿泊者向け】 京都・Genji Kyoto“浮舟の庭”の紹介は☟ https://oniwa.garden/genji-kyoto/ ...... 続き。Marc P. Keaneさんにはそれ以外にも多くの話を聞かせていただいたので、いつか別途ご紹介したい。 . この方の庭園、ほんとカッコいいと思うので日本国内であまり残っていない(見られない)のはもったいない…。これから出会いがあり、増えていくことを願って。 こちらも宿泊者向け(施設利用者向け)ではありますが、京都のクリエイティブなホテルを探している方にオススメだし、そこから広がってくれたら嬉しい! . 任天堂創業地やみんな大好き「サウナの梅湯」もすぐ近く🧖‍♂️♨️ 今後生まれ変わってゆきそうな五条楽園でクリエイティブな拠点を探している方はぜひどうぞ。 . 京都・Genji Kyoto“浮舟の庭”の紹介は☟ https://oniwa.garden/genji-kyoto/ ------ #庭園 #日本庭園 #京都庭園 #京都ホテル #建築デザイン #ランドスケープ #京都観光 #京都旅行 #枯山水 #枯山水庭園 #kyotohotel #japanesegarden #japanesegardens #kyotogarden #zengarden #beautifulkyoto #japanesearchitecture #japanarchitecture #jardinjaponais #jardinjapones #japanischergarten #jardimjapones #landscapedesign #karesansui #marcpeterkeane #genjikyoto #五条楽園 #庭院 #庭园 #おにわさん (Genji Kyoto 源氏京都) https://www.instagram.com/p/Ckdg82Xr0s-/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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理由は必ずある
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娘がずっと、叫び続けていた。
それはもう、
家全体が振動し、 壁が反響してキーンと残響が残り、 そして耳の鼓膜の奥までキーンと いつまでも鳴り響くような。
それが、多い時では1時間に10回とかのペースなものだから 私も母も、精神的に疲弊していた。
「なにか���病気なんじゃないの? 病院で診てもらったほうがいいんじゃない?」
ポツリと、恐る恐ると、 彼女がつぶやいた。
「年相応なんだと思う」
私は、奥歯を噛み締めて、 もう何度目だろう、セリフを吐いて 母を説得した。
「それは年相応ではないわなぁ」
今までに何百人と子どもを診てきた おっぱい先生に、そう一刀両断された。
「...年相応ではないですか?」
「うん。違うなあ。 イヤイヤ期は確かにあるけど、 でも、そんなに頻繁には起こらへんわ」
...じゃあ、やっぱり...
「発達障害の可能性があるってこと...ですかね?」
恐るおそる尋ねてみる。
「いや、それもないと思うなぁ。 園でも、おばあちゃん含めた 他の人の前でも、そんな風には しぃひんのやろ?
発達障害やったら、誰の目から見ても 『あれ?この子、ちょっと変やなあ』って 気づくもんやと思うねん。
あんたの子は、人を選んでる。 それは、発達障害とは違うと思うわ」
「なんか、思い当たることはあるか?」
おっぱい先生に尋ね��れるけれど、 私もなんと答えていいか分からない。
「スピリチュアルな能力持ってる人には 口を揃えて 『彼女は、魂とエネルギーが とんでもなく大きいから、 この地球上で生きていく方法が まだ分からないんだと思うよ』 とは、よぉ言われます」
おっぱい先生も、 「そうかぁ。魂が大きいかぁ。 ほんでも、せやったら どうしたらいいんか、 具体的に教えて欲しいわなぁ」 と、しみじみと呟いた。
まったくもって、同感だ。
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それでも。
やっぱり私には、 彼女が泣き叫ぶとき、
わたしに何かを主張していたり、 そういうことではなく。
内側に湧き上がる強すぎる力を コントロールしきれていないような、 そんな印象を受けていた。
でも、 それにしても、 なんで、こんな風に?
そんなこんやで、 今夜も彼女は叫び続けていた。
近所の犬が、怯えて遠吠えを始める。
ただ、寄り添う。
付かず離れずで、 淡々と、でも
「ここにいるよ」 「ひとりにしないよ」
って。
しばらくして、ほんの少し 彼女は泣き止み始めた。 そして、ポツリと 「なにか食べたい」と 泣きそうな声で言った。
その瞬間、点と点が繋がって すべてが理解できた。
「まぁちゃん、おっぱい飲めへんから どうやって泣き止んだらいいんか 分からへんの?
それで、なにか食べたいって思うの?」
そう尋ねると、 彼女は、その小さな頭で コクンと頷いた。
そうか。 そうだったのか。
考えてみたら、そりゃそうだ。
生まれてからの3年半近く、 彼女は、怖いとき、悲しいとき、 寂しいとき、痛いとき、 常におっぱいを求めて泣き、
泣けばすぐにおっぱいが手に入って そのお乳に癒され、安心し、 そして落ち着くことができていた。
その「心の安定剤」とも言える手段 -ツール-が、 自発的とは言え、突然無くなったんだから 感情をどうコントロールすればいいのか 分からないのは当たり前だろう。
めちゃくちゃ食べるのも、 わたしの前でだけ泣き叫ぶのも、 「やめたくても、できないの!」と叫ぶのも、
それですべて、合点がいった。
理解できた瞬間、 心から安心した。
よかった。 手遅れになる前に、 ちゃんと気づいてあげられて、 本当によかった。
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子育てには、メソッドも 正解も、先生も、何も存在しない。
自分の子どものことを誰よりもわかっているのは、 親しかいないし、
その中でも母親の gut feeling -直感/胎の声- に 勝るものはないのだと思う。
というか、 胎でしか、本当の意味で、 自分の子どもにとっての正解は 導き出すことができない。
そして多くの場合、 それはロジカルからは程遠いし、 言語化できなかったり、 証明も、説明もできないけれど。
それでも、 その見えないけれど 確かにそこにある 「 ナニカ 」を 信じて行動し続けるしかない。
そして、 それは結局、「 人生 」という名の道において まったく同じことなんだろう。
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rizumuj · 4 years
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Happy World Teachers' Day to Ms Keane & Ms Keane only!
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mokkung · 3 years
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映画『サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ〜』 聴覚障害は治すべきものではなくハンデでもない
2019年 アメリカ合衆国 原題:Sound of Metal 監督:ダリウス・マーダー 脚本:ダリウス・マーダー、エイブラハム・マーダー  原案:デレク・シアンフランス 音楽:ニコラス・ベッカー、エイブラハム・マーダー 撮影:ダ��エル・ブーケ 編集:ミッケル・E・G・ニルソン 出演:リズ・アーメッド、オリヴィア・クック、ポール・レイシー、ローレン・リドロフ、マチュー・アマルリック
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 先日書いたように、最近は各配信サービスが様々な良作をたくさん作っていますが、今回紹介する映画『サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ〜』は、最近Amazonがオリジナルで配信している映画で評判が良く、先日TBSラジオの番組、アフター6ジャンクションの特集「輝く!アトロク的ベスト配信映画&ドラマ大賞」で紹介されていたので、より興味を持ち今回観ました。確かに多くの人が評価するとおり、素晴らしい作品でしたので、その感想を書き記しました。
あらすじ
 ドラマーのルーベンは、ギタリストで恋人のルーと2人でバンドを組み、トレーラーハウスに住みながら各地を移動してバンドのツアーを行っていた。そんな中、ルーベンはある日突然聴覚が急激に低下し始める。医者に聴覚低下する一方で回復することはないこと、大金は必要だが人工内耳で聴力を得られることを説明され、自暴自棄になるルーベン。回復が見込めないと理解したルーは、知人に相談してルーベンを聴覚障害者自助グループに紹介し、離れ離れで暮らすことを決意する。不本意に恋人と離れ、聴覚障害を受けいられれないまま聴覚障害者たちとの生活を始めることに戸惑うルーベンだったが、聴覚障害者コミュニティでの生活を通して次第に心境が変化していく。
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引用元
リアルな聴覚障害の描写
 この映画の演出上の最大の特徴は、聴覚障害の描き方が非常に説得力あることです。聴覚を失い始める瞬間から、聴覚を失った後の様子まで、主人公ルーベンにフォーカスした視点になるときは、実際の難聴症状を再現した音演出が成されています。キーンと音がしたり、こもった音になったり、全くの無音になったりするんです。僕は聴覚障害を経験したことはないですが、きっとこんなこんな感じなのだろうと違和感なく実感しましたし、ツイッターでフォローしている方で、一時難聴を患ったことがある方が、この映画を観てリアル過ぎて病気になったときのことを思い出して辛くなり、途中で止めてしまったとツイートしているのを見かけてました。そのくらい現実の聴覚障害に近い音演出が見事です。なので、この作品は是非ヘッドフォンやイヤフォンで視聴することをおすすめします(配信限定なのでそういうこともできる)。
 ちなみにドラムの描写もリアルでしたね。実は僕、中学から高校にかけてバンド活動に精を出していて、ドラマーだったんです。当時はドラムスクールも通って習っていたので、結構頑張って練習しましたし、大学に進学してからも同級生でバンドを組んで、たまにライブなどしていました。なので映画やドラマのバンド演奏には着目していまいますが、本作の主人公を演じたリズ・アーメッドのドラム演技はかなり様になっていて本当にドラマーらしかったです。ドラムセットもちゃんと左利き使用に組まれているのも良い。多分この演技のためにドラムの練習をかなりしたのではないかと思っていましたが、調べてみるとやはりそうで、半年間トレーニングを受けたようです。このような説得力を生むための、俳優たちの役づくりには毎度感服します。
 劇中のバンドは、ギターとドラムだけのデュオで、ホワイト・ストライプスを思い出しましたね。
The White Stripes - Seven Nation Army (Live at Bonnaroo 2007)
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引用元
難聴者の生活やコミュニティーの描写が面白い
 聴覚を失ったルーベンは、中盤以降、ジョーという聴覚障害者の男性が運営している聴覚障害者自助グループの中で集団生活を贈りながら、手話を学んだり、同じ聴覚障害者たちとの交流を深めていきます。このシーンがとても素敵です。
 まず聴覚障害者たちの生活やコミュニティーの様子をこんなに鮮明に描いた作品は今まで観たことがありません。円卓を囲んだ食事の場面では、みんながお互いに手話で楽しそうに会話しており、時々机を叩いて、その振動で相手にサインを送ったりしているのです。聴覚障害の人とコミュニケーションを取ることはこれまでもありましたが、聴覚障害者がこんなにたくさん集まって会話をしている場面を見たのことはなかったので、僕には非常に斬新な映像に写り、正直結構びっくりしました。
 またルーベンは聴覚障害者たちの学校に通い、手話を学びながら子供から大人までいろんな生徒と交流していくことになるんですが、このような聴覚障害者の学校の様子も始めて映像で見ましたし、非常に新鮮でした。彼らは音楽を聞くことはできないですが、床に座って床からダンスミュージックのビートを感じ取ったり、ピアノをみんなで囲んでピアノに触れて音楽を楽しむシーンがあるんです。こうやって振動を感じ取って音楽を楽しむことができるというのは全然意識していなかったですが、確かにそういうものかもしれないと感心しました。思い起こせば映画『ベイビー・ドライバー』で、主人公ベイビーの育ての父も聾者だけど、彼はレコードをたくさん持っていて振動で音楽を楽しんでいましたね(このシーンはマジで最高)。
映画『ベイビー・ドライバー』予告編
『ベイビー・ドライバー』自宅シーン
 このように聴覚障害の音表現だけでなく、聴覚障害者たちの生活や文化が追体験できるような映像が非常にフレッシュですし、ハッとさせられるというか、聴覚障害者について今まで自分が意識してなかったこと、知らなかったことがたくさんあるんだなということを気付かされる映画でした。実際に聴覚障害者を役者としてたくさん出演させていることも影響していると思います。
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引用元
“静寂”と“振動で感じる音”
 しかしこの映画は聴覚障害の追体験だけが面白いわけではありません。突然の辛い出来事をどうやって受け入れていくのか、ある時を境に社会のマイノリティーになるとどう感じるのか、それを主人公の心の移ろいを通して丁寧に描いている点も非常に見事で素晴らしい作品でした。
 これまで恋人と生活し、音楽活動をしていたルーベンが、突然それらから遠ざけられるという苦しみは計り知れないものです。今まで聞こえていたものが全く聞こえず、コミュニケーションの方法を一から学ばないといけないというのは、全く言葉の通じない外国へ一人放り投げられたような気分か、それより辛いかもしれません。自暴自棄になったり、突然の変化に受け入れられず狼狽していたルーベンですが、聴覚障害者コミュニティーに参加したことで、次第に彼は聴覚を穏やかな心を取り戻し始めます。もちろん同じ聾者の仲間たちとの交流があってのことなのですが、映画を通して彼の心の変化を与えるのが意外にも聴覚障害によって得られた“静寂”と“振動で感じる音”なのです。
 聴覚障害者コミュニティーの運営者であるジョーは、まだ受け入れられないルーベンに対して「毎日早朝に起きて、部屋でコーヒーを飲んでじっと座れ、それができなくなりそうになったら置いてあるペンと紙で思ったことを気持ちが落ち着くまで書き出せ」という課題を与えます。最初、意味が理解できずにイラつくルーベンですが、静寂の中で自分を見つめることがもたらす心の平穏が彼を変えていきます。聴覚障害は治すべきものではなくハンデでもない、自分の一部である、ルーベンは最終的にこのことを心から理解し、映画の最後で彼がとる決定的な行動にもつながります。
 また彼を変えるもう一つのきっかけになるのが振動で音を感じることです。落ち込んで滑り台の上に座っていたルーベンですが、遊んでいた子供が滑り台を叩いて振動を与えます。それに応答するように滑り台をドラムのようにリズミカルに叩いて子供とコミュニケーションを取るルーベンですが、それをきっかけに次第に聴覚障害の生活に馴染み、前向きに暮らすようになっていきます。最終的には難聴者の子供たちにドラムを教えたりするのです。ルーベンはドラマーだったので、振動から音を感じることに対する順応が早かったのかもしれませんが、耳が聞こえないなりに音を感じ取る喜びを得られたのは大きな心の変化につながったのではないかと思います。これこそタイトルの「サウンド・オブ・メタル」が意味するところでしょう。
 この映画は、このようなルーベンの心情の機微を言葉では表現せず、ちょっとした行動や表情から、自然でさり気なく、かつ分かりやすく伝えることが非常に上手だと思いました。しかもそれを難聴者の感覚ならではの部分ともリンクさせている点も素晴らしいです。
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最後に
 その後、ルーベンは恋人でバンドメンバーのルーが、今までのバンドとは全然違うスタイルの音楽活動をしていることをネット上で目にしてしまい、このままではダメだと感じ、再び自分も音楽活動を再開するため、大金を叩いて人工内耳を埋め込む手術を受ける決心をします。そこで彼が僅かに感じる音と振動でドラムを叩くシーンは本当に切ない。
 そこから彼がどのようになっていくのかは、映画を御覧ください。聴覚障害者となった彼の心情変化の表現が見事だと書きましたが、この映画は、愛情が無くなったわけではないけれど、もう後戻りのできない大きな変化が二人の関係を終わらせてしまうという、現実にも経験するような恋愛の結末を描いている点でも非常に味わい深いです。思い出しただけで切ないですが、それでも少し爽やかな気持ちで前向きに見終わることができる映画です。
Amazonで配信中なのでぜひご覧ください!
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um1aut · 3 years
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1970/2019
指輪物語の合間にKindleで買った本を消化しているのだが、ドナルドキーン先生の本ばかり読み進めている。三島由紀夫と深く親交のあったことは知識として知っていたが、自身の言葉で語られる三島像はやはり面白く、興味深い。私は昔から三島の書く文章に苦手意識があって、「金閣寺」が良かったこと以外の記憶があまりない。没後50年ということで各所の特集を色々と読んだりもしたが、結局「まあ金閣寺は良かったよね」以上の感想を持てなかった。しかしここへきてキーン氏が「三島さん」と親しみを込めて回想するのに触れて、また少し読んでみようかという気になっている。
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kkagneta2 · 4 years
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ボツ1
おっぱい。図書室に居る可愛い先輩っていいよね。未完。
さる令和元年の12月14日、午後4時57分、天候は晴れ、外は暗くなりつつある、図書室前の廊下にて、元来プレッシャーに弱い僕は、いよいよと言う時になって逃げ出したくなっていた。いつもならば平然と過ぎ去る空き教室も、今となっては格好の逃げ場所のように感じられて仕方なかった。手洗い場も、トイレも、僕にとっては魅力的に目に写った。
耐えきれなくって、気持ちを落ち着けたくって、先の手洗い場に佇んで、蛇口を捻った。水は冷たくて、僕の緊張はますます高まった。
その時後ろから笑い声が聞こえた。ハッとして振り返ると、これまで固唾を呑んで事の成り行きを見守っていた連中、………早く行けと言わんばかりに、手をこう、シッシッと動かしている。
あゝ、僕もそっち側に行きたいのに、………
僕は喉が乾いて来るのを感じた。どうしてこんな目に合わされているのかという憤りを感じた。窓の外は暗くて、廊下の明かりは心許なかった。
でも、図書室から漏れてくる光は、やわらかくてあたたかくて、なんだかこそばゆくって、自然と歩みが進んだ。
いよいよもって、扉の前まで来てしまった。―――あゝ、彼女が居ませんように!………なんて思ってしまって、頭を振った、後ろから笑い声がまた聞こえた。
その笑い声に挑発されて、取っ手には手をかけたけれども、開ける勇気が出ない。手に力が入らず、まっしろな頭で、開け、開け、と念じても、いま一歩のところで不安と緊張に飲まれる。
………ガラリ。
前方から暖かい空気が漂ってきて、扉が空いたんだなと感づいた頃には、僕の顔はもっとあたたかいものに包まれて、手を取られる。
「やっぱり君だったんだね。おいで、寒かったでしょう、こんなに手を冷たくして」
僕より頭一つ背の高い、上級生のお姉さん、―――僕の手を引いて、僕の手をその手の中に抱き込んで、ふうっと息を吹きかける。
「ね? 待ってたんだよ。あんまり遅いから、お姉さん今日は来ないんだと思っちゃった」
と、嬉しそうに微笑んで、図書室の扉を閉めた。
僕は今日、この人に告白する。………
   僕があの人と出会ったのは、やっぱりこの図書室の中で、もう半年前になるだろうか。
6月なのに暑くって、けれども借りてこなくちゃいけない本があったから、下敷きで仰ぎながら扉を��けた。中は明るかった。でも、しーんと静まり返っていて、自分の息だけが嫌に聞こえてくる。
目的の本は、………見つからなかった。書架を行ったり来たり、何度往復しても、見つからない。
諦めかけたその時だった、僕のちょうど後ろから、ペラ、………と本を捲くる音。そこは古臭い小説が並ぶ書棚で、唯一僕が探していなかった箇所だった。
誰か居るのかな、―――と、思いつつ、顔だけを出してそっと伺った。
一目見て、胸がドキリとした。とっても綺麗な上級生が、後ろの書棚に軽く凭れかかって、真剣な顔で、手にした本を読んで居たのだから。………
僕は見惚れてしまった。少し茶色がかったふわふわとした髪の毛に、外国の綺麗なお姉さんのような顔、細い手足、それに、とっても大きな胸元。………どれも見たことが無かった。
背広も中身も焼けてしまった本を捲って、ある所では物悲しそうに、ある所では微笑んで、どっぷりと本の世界に浸っている。
僕は思い切って話しかけた。
「あの、こういう題名の本って、どこにありますか、………」
掠れた声に自分でも驚いたけれども、お姉さんはこっちを向いてニコッと笑った。
「この本よ」
パタンと閉じて、僕に近寄ってくる。しーんとした中から制服の擦れ合う音が聞こえてきて、目の前にまでお姉さんがやって来て、ふうわりと風がなびいてきて、心臓のドキドキはますます高まった。僕の視界は、お姉さんのとっても大きなおっぱいで、占められていた。見上げてようやく伺えた顔に向かって、
「ご、ごめんなさい」
「ん?」
「あ、あの、………読書を邪魔しちゃって、………」
僕がそう言うと、お姉さんはしゃがんで、
「別に、いいんだよ」
と、ひんやりした心地よい手で、僕の手を取って、本をその上に乗せてくる。
「この本、とっても面白いから、よかったら感想を聞かせてね」
僕の返事を聞く前に、お姉さんは立ち上がって、またにっこりとした。
「あ、ありがとうございます」
「ん、どういたしまして」
チュ、………と音がした。それはお姉さんが僕の両頬に手を当てて、額にキスをした音だった。
「またね」
気がついた時には、お姉さんはずっと遠くに居て、手を振っていた。ガラリと扉が開く音がして、またガラリと扉が閉まる音がして、僕は本を落として、つい今しがたお姉さんが唇をつけた額を撫でた。夢だと思ったけれども、周りには本のカビ臭い臭いではなく、なんだか甘くて懐かしいが漂っていた。
  「お前知らないのか」
「知ってるの?」
「知ってるも何も、この学校に居る限りは知ってないといけないじゃないか」
次の日、友達にお姉さんの事を聞いてみたら、そんな返事が返ってきた。みんな小学校に居る時から知っていて、その場を通りかかった女子も、ああ、あの人でしょう? え、君知らないの? と驚いた顔をする。
お姉さんは、ちょっとした有名人だった。秀才、天才、スポーツ万能、ハーフ、ギネス記録保持者、胸はZ、―――
「ギネス? Z?」
「胸だよ、胸。こんなんだったろ?」
と、友達が腕を抱えた。
その他にも沢山あった。だけれども、僕が本当に知りたかった、お姉さんの学年とか、名前とかは最後の最後になってからだった。
「だからすごいんだそうだ。この間も、ずっと向こうの高校生がわざわざここまでやって来たぐらいだからな。俺の兄貴も狙ってるし」
「ふぅん」
「ま、でも無駄だろうな」
「どうして?」
「お高い所に止まっていて、女子なら兎も角、男とは滅多に話さないんだそうだ。話してもずっと不機嫌で、―――」
僕は突如として憤った。
「そんなことなかったよ!」
「え?」
「全然、そんなことない! ずっとにこにこしてて、ずっと優しくて、―――」
「お前、会ったのか!」
「うん。昨日図書室で。この本はお姉さんが渡してくれたんだ」
僕は得意気になって言ってやったけれども、友達は頑として信じてくれなかった上に、
「人違いだろ、―――ああ、でもお前のことだからなぁ、………可愛い弟が目の間に現れた感じじゃないか?」
とも言い出すので、結局は喧嘩になってしまった。
  その日も図書室へ足を運んだ。お姉さんが手渡してくれた本は、難しかったけれども面白くて、昨晩の間に一気に呼んでしまったのだった。
図書室の中は、相変わらず物音一つしてなくて、窓から入ってくる夕日の光だけが、ゆっくりと動いていた。椅子を引く音も、鞄を置く音も、高らかに響いて、座った途端に、このまま永遠に閉じ込められてしまうような気がして、怖かった。
宿題をしようと、パタパタと教科書を取り出すのも、なんだか別の人が音を立てているようだった。トントンと、文字を書く時に鳴る音も、淋しく響くだけだった。耳がキーンとして、いまいちここが現実なのか、夢なのかよく分からなかった。
「こんにちは」
突然、両肩に人の手を感じると共に、そんな声がかかったので、僕は思わず鉛筆を落とした。
「何やってるの?」
ふわりと、いい匂いが僕を包んだ。
「しゅ、宿題を、………」
「んーん? 見せてごらん?」
と、後ろから覗き込んでくる。
その時、突如として現れた白い塊に、僕は唖然としてしまった。
―――で、でかい!
それに柔らかい。ぴったりと、僕の顔に張り付いて、後ろからページを捲ってくる度にふるふると揺れる。前回にはあんまり気にならなかったのに、流石にこれでは目が離せない。
「ん? ………んふふ」
あ、まずいと思って、僕は咄嗟に下を向いた。でも、グイグイと押し付けられていたし、手もいつの間にか取られてしっかりと握られていたから、逃げられずにされるがままだった。
「可愛いなぁ」
そんな呟きが聞こえてきた。僕は友達の「可愛い弟が目の間に現れた感じじゃないか?」という言葉を思い出して、少し落ち込んだけれども、隣に座ったお姉さんの顔を見て、一気にあたたかい気持ちに包まれた。
「本、読んでくれた?」
「は、はい」
「どこまで?」
「い、一応、ぜ、全部、………」
僕がそう言うとお姉さんの顔はパアッと晴れ上がった。
「すごいじゃない! 面白かった?」
「はい、と、とっても。………その五で主人公が、思いの丈を言うところとか、すごく。………」
「うんうん、私もそこが一番好き。………何だか気が合うね、私達」
その一言に、僕はドキッとしてしまって、嬉しいやら恥ずかしいやらで、お姉さんの顔が見られなかった。
「そ、そんな、………」
「ふふ、そんなに緊張しなくていいじゃない」
「す、すみません」
「………もう一度してあげよっか?」
ふるんと、胸が揺れる。
「い、い、い、いえ、もう大丈夫です、もう大丈夫です!」
僕は必死な思いで顔を上げて、彼女の顔を見つめたけれども、綺麗で、可愛くて、見れば見るほど頭が真っ白になってきて、やっぱり視線を下げたら、今度はお姉さんのおっぱいが目に飛び込んできて、結局は膝の上にある自分の手を、眺めるだけになってしまって、吹き出したお姉さんに、
「冗談だから、ね? ほら、分かったから」
と、しっかり握り込まれた手を包まれて、ようやく安心出来たけれども、
「でも、してほしかったら、いつでもしてあげる」
と、耳元で囁かれて、三度、穴があったら入りたくなるような、こっ恥ずかしい気持ちで一杯になってしまった。
僕はそれから、お姉さんと本の感想を言い合ったり、宿題を教えてもらったりした。ずっと緊張しっぱなしで、喉がカラカラに乾いて、変な声を出してしまわないか心配だった。でも、お姉さんは優しかった。言葉に詰まった僕に、
「大丈夫、大丈夫。間違ってても笑わないから、ちゃんと自信を出して言ってごらん?」
と言いつつ頭を撫でてくれたり、それで間違っていても、
「これはこうしたかったんだよね?」
と、こちらの意図を読み取ってくれる。でもやっぱり、ちょっと子供扱いする癖があって、ついあくびをしてしまった時なんかは、膝をぽんぽんと叩いて、
「空いてるよ」
と嬉しそうに笑う。
外はすっかり夕日が沈んで、東にある山はもうすっかり暗くなって、窓の外からはカラスの声が聞こえてくるようになっていた。
「そろそろ帰ろっか」
お姉さんがぼんやり外を眺めながら言った。
「あんまり遅いと、お兄ちゃんが心配するからね」
と、くにゃっと笑った顔に、僕は何故か言い知れない悔しさを感じた。それが何だったのかは分からないけれども、何か、僕に向けていた笑顔とはまた別の、別の、別の感情があるような気がした。でも、気がするだけで、たぶん「お兄ちゃん」と、お姉さんの口から僕以外の男の人を出されるのが、ただ嫌だったんだと思う。だって、「お兄ちゃん」だから、相手は家族なのだから。
教科書とか、ノートとか、その他文房具を片付けている時に、僕は思い切って、お姉さんに噂のことを聞いてみた。僕にはどうしてもお姉さんが、友達の言うような無愛想な人には、見えなかった。
「噂、………ねぇ?」
と、お姉さんも困ったという感じだった。
「んー、………知ってるけど、んー、………君は信じるの?」
「ま、まさか!」
「ふふ、良かった。じゃ、こうしよっか。お姉さんの本当の姿は、私達だけの秘密、………ということで」
これを言った時のお姉さんの顔は、いたずらっ子のような無邪気な顔だった。
僕はそれから、お姉さんに手を引かれて正門前まで行った。もう、お別れなのだと思うと、寂しくって、手を離したくなかったけれども、ただ握りしめられてるだけだったから、いつしかあのあたたかい感触は無くなっていた。
「家はどこ? よければ送っていってあげる」
「○○町なので、あの、いつもそこのバスで行き帰りしています」
「そっか。じゃあ、お別れだね」
「はい、………」
僕は、お姉さんが「お別れだね」と言った時には堪えていた涙が、途端に滲み出してくるのを感じ取った。幸い、僕は背が低いし、ずっと下を向いていたから、こんな格好悪い涙を見られずに済んだ、―――と思っていた。
「おいで」
その優しい言葉に、ふらふらと彼女に縋り付いて、その胸元に顔を埋めた。背中には手が回されて、しっかりと抱きしめられ、息が出来なくて苦しかったけれども、それでもお姉さんの優しい甘い懐かしい匂いに、僕の気はどんどん和らいでいった。校庭から人が出てくる気配がしても、お姉さんは抱きしめるのを止めなかった。かなり目立つ場所だったのに、誰も僕たちを見咎める者は居なかった。足音はそのまま過ぎ去って行って、僕はその時、お姉さんの体と一つになったんだな、と心付いた。僕の体はお姉さんの体の一部になってしまって、だから誰も何も言わずに通り過ぎて行くんだな、と思った。僕はもう既に意識しか残って居ないんだな、とも思った。このままお姉さんと一生を過ごすんだな、とさえ思って嬉しくなった。―――けど、気がついた時には、僕の体はお姉さんの体から引き剥がされていた。
「もう大丈夫そう?」
「うん」
「気持ちよかった?」
「う、うん」
「ん、素直でよろし。――ね、そういう感じで、寂しかったら、ちゃんと寂しいって言うんだよ?」
「うん」
「お姉さんには甘えていいからね? いつでもいいからね?」
「うん」
「恋しくなったら、ちゃんと呼ぶんだよ?」
「うん」
「じゃあ、………」
チュ、………と、また額にキスをされる。
「ふふ、ばいばい」
ぼんやりと後姿を眺めているうちに、また寂しくなって、追いかけそうになった。外はいよいよ夕焼けの光が無くなって、通りを行き来する車の光と、街灯の光がまばゆく目に飛び込んできたけれども、雲の上からチラチラと見える月の光だけは、ほんのりと、僕を姿を照らしていた。頭の中は、お姉さんが「お兄ちゃん」と言った時の顔が思い浮かんでいた。だってあの顔が僕の中で一番可愛く見えたのだから。………
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ya-da · 4 years
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経堂「カレー婆ちゃん」、キーマカレー大盛ラッシー1300円先払い。 気になって仕方なかった「カレー婆ちゃん」へ。 「こんな場所に雑居ビル?しかも3階?」と訝りながら現地へ。 なんなんだこのビル?2坪くらいのスナックばっかで構成された階段ビル。「ちょんの間」ビルにしたら、ハマりそうなビル。 場末感満載な階段を登って、店へ。 エアコンなし。外気温と同じかそれ以上。36°以上。 水差しの中で氷の残骸がどんどん溶けていく。ちょっと飲んでみたら、案の定生温い。「カレー専門店で温い水かよ」とテンション駄々下がり。ラッシーは冷たかった、最初は。すぐぬるくなったけど。 キーマカレーは、鶏ひき肉の様子。鶏ひき肉って旨味は出やすいんだけど、すぐ肉が出し殻化してしまう。どう処理すんだろ?と思えば、どうもしてなかった。パサ化した挽肉カレー。 不味くないよ。美味しい。「カレーが趣味」っていうご主人のカレーをご馳走になった感じ。 食べてるととにかく汗が吹き出した。だくだくと汗かいた。辛いから?いや暑いから! 800円なあ。。Uber eatsで、1650円とかだったら、キレる。「趣味のカレー」で、原価もそれなりにいくんだろうから、一回くらいなら付き合うか。。。くらいの感じ。 とにかく冷水。「キンと冷えた水をごくごく飲みたい」と思えど、自販機がどれも日向で茹ってる。こんなもん温い飲料しか出て来ないに決まってる。買えるか。 「仕方ない。コルティ4階の中華屋でカキ氷を」と思えば、コルティ4階中華屋は、涼を求めた家族連れ貧困層が押し寄せ、叫び声が反響しまくってて発狂しそう。 ウェイターさんに頼み込んで、カキ氷テイクアウトにして貰って炎天下で食べた。 美味かった。 ここまで暑いと頭がキーンってならない。 カキ氷ば炎天下で食べたいよね。 + カキ氷でひと心地ついて、小田急高架下の自販機で、「箱根の森から」の緑茶140円買って飲んだら、これが、キンキンに冷えてて、優勝だった。 #カレー #キーマカレー #スパイス婆ちゃん #経堂 #ちょんの間 #カキ氷 #貧困家族の憩いの場 #箱根の森から #curry #keemacurry #mincedchicken #shavedice #tokyo #japan (キーマカレー スパイス婆ちゃん) https://www.instagram.com/p/CDvlQ2YAPiV/?igshid=fyolo43ery7h
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