Tumgik
lemonadete · 5 years
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こんな人間になるくらいなら、この仕事になんて就きたくないとこころの底から思う、けど、私は後戻りなんて今更できないから、未来を呪いながら突き進むしか道は残されてはいない。はやく辞めてしまって、どうしようもない甲斐性のない仕事に就きたいなあ、やりたいことをやりたかっただけなのになあ。
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lemonadete · 5 years
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酸素は時々どうしようもなく非情で憂鬱だからと、時折水底に沈んでは、生温い淡水に身体を浸す。
好きな人に殺されたいなあ、と思う。首を絞められるとか、食事に毒を盛られるとか、なんでもいいからその人の見ている前で死にたい。それが叶わないのなら、なにか大義名分を背負って死にたい。合法的に死を迎えたい。
長生きしたくなんかないし、子供を産みたくなんかない。好きな人に殺されたいけど、好きな人の人生をわたしのために縛るのはかわいそうだ。好きな人に愛されたいけれど、好きな人の貴重な人生のひとときは、不良品に用いるにはあまりにも勿体ない。
わたしの外見がうつくしく、内面もすばらしい人間だったらよかったのに、と何度も夢想した。が、わたしはわたし以外にはどう足掻けどなることはできず、この醜い顔と薄汚れた精神とともに歩むしかないのだ。
そう思うと人生は恐ろしく憂鬱だ。ああ、はやく何かの間違いで、うっかり好きな人がわたしを愛してしまって、そしてわたしを殺してしまえばいいのに!
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lemonadete · 5 years
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たった数日間受け持たせて頂いただけのその人が、別れるのが悲しい、と言って目を瞬かせたその光景が、失敗作のわたしの心臓に染み付いた。何もできないわたしにそんな感情を抱くその人に、この人は何も知らなくて、間違っていて、哀れで、申し訳ないと。そう思う自分がどうしようもなく嫌いで、迸りそうになる感情を舌の奥に封じ込めると、「こういう時ぐらいなにか言えないの」と先生が呆れた目をした。
人生で成功したことなんてひとつもない。わたしはきっと善い人にはなれないし、そもそもこの道を選んだことが間違いだった。というより、わたしの全部が。人と関わることは好きだけど、人と関わるにはわたしはあまりにも不出来だ。不良品だ。
当たり前に自分が必要だと認識できる人とわたしの何が違うのかと言ったら、やはり産まれた瞬間からわたしは間違えてしまったのだろうな。早産で低酸素状態で産まれたわたしは、あとすこしで「おばかさん」になってしまうから保育器に入れられたんだよ、と母はよく言う。きっとわたしは間に合わなかった。間に合わなくて、でも間に合ったふりをするしかなくて、ここまでのうのうと生きてしまった。わたしはこのまま一生こうやって、この猿芝居を続けるのだろうか
冒頭の出来事を食卓で話すと、「そう言ってくれたんだよ、わざわざ、気を遣って」と言って父はいつものように笑った。母は飼い猫の話題を口にした。わたしは父の笑顔が��いだし、母の他人に興味のない素ぶりも嫌いだ。
あの瞬間、どうしようもない贖罪と同時に浮かんだ、自分も必要とされるかもしれない、という勘違いを水底に沈めて、またわたしは目を覚ます
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